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52回国会参議院1966/07/29

石炭対策特別委員会 第3号

発言数
64
登壇者
19
会派数
3
開催日
1966/07/29

会議録

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。  石炭鉱業審議会の答申に関する件について、参考人に、三井鉱山株式会社社長倉田興人君、三菱鉱業株式会社社長大槻文平君、北海道炭砿汽船株式会社副社長原功一君、住友石炭鉱業株式会社社長石松正鉄君、上田鉱業株式会社社長上田清次郎君、三省鉱業株式会社社長塩谷猛君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長山本忠義君、全国炭鉱職員労働組合協議会議長松葉幸生君、以上の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に、本委員会を代表しまして、一言ごあいさつを申し上げます。  御多用中のところ、特に時間をおさきいただきましてまことにありがとうございます。本日は、石炭鉱業審議会の答申について調査を行なうことになっておりますが、関係各位には、それぞれのお立場で忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、当会議場は冷房不完備のためたいへん暑うございますので、どうぞお召しものは御遠慮なくお脱ぎいただきたいと存じます。  まず、最初に大槻参考人、次いで上田参考人、山本参考人及び松葉参考人の順で、それぞれ一人十五分程度の御意見を述べていただきます。そのあとで委員各位から質問を申し上げます。  それでは、大槻参考人からお願いをいたします。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) 御指名を受けました三菱鉱業の大槻でございます。  まず最初に、参議院におかれましては、危殆に瀕しております石炭鉱業の再建に関しまして前後二回にわたりまして特別決議をなさる等、真剣に御検討いただき、御審議をいただきましたことに関しましては、われわれ業界の者といたしまして衷心から感謝にたえない次第でございます。  また、本日は、私ども大手のほうとしまして私ども四人お呼び出しいただきまして、私どもの答申に対する意見を開陳し得る機会を与えていただきまして、これまたありがたく存ずる次第であります。  今回のいわゆる鉱業審議会より答申されました抜本的対策なるものは、なるほど、一千億の財政資金による肩がわり、しかも元本を返済するのであると、元本まで返済してやるのだというその処置、並びに特別会計を設立して、そして石炭の対策を講じてやるのだというこういう点に関しましては、いまだかつてない、ほんとうにいわば画期的な施策であると申し上げて差しつかえないかと思うのでありますが、その内容をしさいに検討さしていただきますと、われわれ業者側といたしましては、われわれの考えておった、われわれがまた要望しておった点とは非常にほど遠いものでありまして、とうていわれわれの側といたしましては、抜本的な対策であるとは何としても申し上げることができないというふうに存ずるのであります。以下、そういう観点に立ちまして、私どもの忌憚のない考えを述べさせていただきたいと存じます。  まず第一に、一千億円の均等償還による肩がわりの問題でございますが、私どもといたしましては、先刻これは御承知のように、現在、石炭鉱業というものは大ざっぱに申しましてトン当たり五百円のマイナスがあるのだ、したがって、この五百円のマイナスというものをひとつ何とかやっていただきたいというのが私どもの切なる要望であったわけであります。で、その内容は、一千億円の、いわゆる合理化過程において生じましたところの過重な負担の一千億円、これは利子の効果から申しますと約二百円、したがって、あとの三百円というものを何らかの形において助成をしてもらいたいというのが私どものお願いであったのであります。ところが、今回出されましたこの均等償還によりますと、なるほど形の上では非常によろしい。というのは、元本を返していくのでありますから、十年ないし十二年後にはその一千億円という元本はなくなる、それは確実であります。しかしながら、年々約二百円の元本償還額というものが、会社経理の面では収支に入ります。したがいまして、形の上では非常にかっこうがいいわけです。かっこうはいいけれども、現実にわれわれの経営者側に入る金というものはゼロであって、それはわれわれの頭を素通りして銀行に入ってしまうということになりますので、収支の計算上は非常にいいけれども、現実の会社経営に裨益するところはないということに相なるわけであります。したがいまして、今回の抜本策によりますと、元本の資金効果が二百円、それからまた利子一千億円に関する利子の効果が二百円と、あとの百円は大体安定補給金でいこうと、こういうお考えのように存ぜられますが、その安定補給金の百円も、当局の御説明によりますというと、われわれ大手の場合は頭を通り越しておる、何ももらえないという状態でありますので、われわれの大手の会社におきましては、やはり現実の面でトン当たり三百円ぐらいの不足金を生ずるということに相なるわけであります。すなわち、俗に言う勘定合って銭足らずという状態がわれわれの会社経営の中に生まれてくるのであります。答申によりますというと、四十五年度までに大部分の会社は赤字状態を脱却するというふうに書かれております。しかしながら、われわれの計算によりますと、この今度の対策によりましては、まず累積赤字が四十五年度までに黒字に転換する会社は三社、やや減るという会社が六社、反対に累積赤字が増加するという会社が八社という計算になるのであります。また、赤字黒字の問題を申し上げますならば、四十二年から四十五年度までの平均について見ますというと、黒字の会社は九つであって、赤字の会社は八つ、つまり約半分の会社が依然として赤字だ、こういう結果になるのであります。答申書に書かれております四十五年度までの大部分の会社という考え方は、四十五年度単年度における収支ということをいっているのではないかと思います。四十五年度だけを見ればあるいはそういう結果になるのかもしれませんけれども、四十二年度から四十五年度まで見ますときに、私がいま申し上げたような状態に相なるのであります。したがいまして、私どもはこれが抜本的対策であるということはどうしても申し上げることができないというふうに存ずるのであります。のみならず、私どもが四十五年度において五十二、三トンという高い能率を約束いたしております。これを完遂するためには相当多額の金を市中から借りなければならぬ。運転資金として三百円赤になるわけでありますからその金、同時にまた追加投資と申しますか、設備資金と申しますか、そういうものを借りなければならぬ。そして四十五年度までには大体計算によりますと千五百億の累増、実際の借金の増加が千五百億という計算になるのであります。  こういう状態でありますので、一体この千五百億というような純増の借金がはたしてこういう状態でできるのかどうか。私どもがこの抜本策が大体わかりましたのが三日前、二十五日三日前、二十二日ごろでありました。それで、私はこれではたいへんだ、これでは勘定は合うけれども銭は足りない。会社はつぶれる。御承知のように、会社のつぶれるのは計算上黒字になっているからではなくて、ほんとうに資金繰りが立たないからつぶれるわけであります。したがいまして、この対策をこのまま実施されれば、われわれとしては銀行からの借金は非常に困難だから、おそらくつぶれるのではないかという結論で、各先生の中にお願いに参ったのであります。これではとうていできないから、せめて二百円ぐらいの助成金というものを回すようにしてくれとお願いしたのでありますが、資金繰りは非常に窮屈だということはよくわかる、しかし、現実に会社は黒字になるのではないか、黒字になるならば銀行は金を貸すじゃないか、こういう御返答なのであります。私はただいまも申しましたように、なるほど計算上は黒字というものが出るかもしれない、しかし、その計算上というものは、素通りした金を収入に入れているからできるのであって、現実にはこちらの会社の経営というものは火の車、依然として実質的には赤字が出ている。こういうことになるので、それは言うべくして貸してくれない。しかも石炭鉱業に対する前途はなかなか困難である、明るい見通しというものはなかなか立てにくいという状態では、金貸し業である銀行はとうていこんなことでは金を貸すものではない。だから、何とかして二百円ぐらい回していただきたいということをほんとうに懇請いたしました。ある先生のごときは、よく事情はわかる、しかしながら、ここでこの答申をくつがえすということはとうていできない、そういうことを言ってくれた先生もあったぐらいであります。  一方、金融のことを考えてみますというと、いま申しましたように会社は非常に実質的には赤字、そういう状態で赤字金融ということは銀行としては厳禁であります。したがって、金融というものはなかなかつけにくい。そのことを考えてか、答申書の中には、随所にこの市中銀行の協力を要請するということばが出ております。あるいはまた金融懇談会というものをつくって何とかするんだということも書いてありますが、私は単なる懇談会ぐらいではこれはどうにもならない。もっと強い行政指導か、ないしは強制的な規定か、そういうものがない限りは、現在の市中銀行はわれわれ炭鉱業者に金を貸すということはまずないんではないかというふうに考えるのであります。今回の措置を見ましても、元本を返すのは十年だ、これは銀行にとっては相当延ばされたという結果になりましょう。また、金利は政府関係金融機関においては六分五厘、市中の銀行においては五分だ、それはいろいろ事情があったんでありましょうけれども、市中と政府機関との間に差を設けられたのでは、市中銀行としてはなおさら貸しにくい。貸してもこんな措置をまたとられるのではないか、それではわれわれとしては炭鉱に貸せないじゃないか、貸したら貸しただけ損するじゃないか、こういう結果にならざるを得ないのではないかというふうに私は考えるのであります。したがいまして、もしこの答申どおりにどうしてもやるということでありますならば、私は炭鉱の金融につきまして、少なくとも政府保証をするというぐらいなことがなければ、私はやっていけないんではないか。と申しますのは、各炭鉱会社はもう担保力というものはありません。担保のないところに金を貸す金融機関というものはないのであります。したがいまして、私はこれから先の金融にほんとうに政府がある程度責任を持ってもらう、あるいは保証してやるというような措置を講じていただかない限りはやっていけないのではないかというふうに考えるのであります。  御承知のように、前回の答申、あれは打ち立てたところの前提条件というものが崩壊したためにわれわれが危急に瀕することになったのであります。今回の答申は、この金融によってわれわれがまた崩壊に瀕するのではないかということを私は非常におそれておるのであります。どうぞ諸先生も、このことはひとつ十分お考え置きを願いたいと思うのであります。これが第一点であり、しかも最も主要な点であります。  第二点は、閉山費用の問題であります。閉山費用の問題は、今回は千二百円から二千円というふうに増額されておりますが、現実には七千円から八千円、高いところは一万円ぐらいかかっておるというのが実情でございます。したがいまして、二千円の値上げをしていただきましても、閉山をやる会社におきましては、その差額の五千円以上のしわ寄せというものがまたそこに起こってくるのであります。このしわ寄せが結局はまた第二の抜本対策というようなことになりかねないのではないかということを私はおそれます。したがいまして、これもまたふやすことができないというのでありますならば、幸い特別加給というものをつけるというお考えのようでございますから、その特別加給金というものについて十分特段のひとつ考え方をしていただいて、思い切ってつけていただきたいというふうに考える次第であります。  第三点は、特別年金制度の問題であります。特別年金制度——現在の炭鉱労働のたとえば賃金面におきましては、私は決していいとは思っておりません。したがいまして、炭鉱という特殊の労働に対して、何らかの魅力をつけてもらうということは願ってもない幸いであります。また、われわれが進んで望むべきことでもありましょう。しかしながら、現在のようにほんとうに資金繰りに瀕して、会社がどうなるかわからぬというときに、この特別の年金制度を打ち立てるというのはちょっと時期がどうであろうか。もし政府が全額持ってやるというようなことでありますなら、これは別であります。私どもはそういうことを希望しておったのでありますけれども、現実はそうではありませんで、これは企業が負担すべきものである、四十二年度までにひとつこれは実現するように検討したらいいだろうという答申であります。これでは私どもはとうてい納得できないのでありまして、措置としましては非常に私はりっぱな措置であり、りっぱな制度であると考えますけれども、いかんせん現実金のないわれわれとしましては、こういうことをいますぐ実現するということはできないという実情にあるわけであります。  そういうようなことが私どもの意見の大要でございますが、したがって、私どものこの石特に対して要望する事項を簡単に申し上げますと、これは私の私見も入っておるかもしれませんから、あとで他の社長にもお聞き願いたいと思いますけれども、まず第一は、現在償還年限というものが十年ないし十二年となっておりますが、この償還年限が短いということは、結局、特別会計の趣旨から考えまして、対策費が減るという結果になるわけであります。したがいまして、私どもの希望といたしましては、この償還年限を延ばして、そうしてそこから金をつけて企業が成り立つようなことをやってくれないだろうかということがまず第一であります。  それからまた先ほどから繰り返し申し述べておりますように、第二の点といたしまして、二百円ないし三百円の金がどうしても足りない、現実に足りない。赤字になる、借りられない金が出てくる。それにつきましては、それを何とかカバーする意味におきまして、幸い答申の中には「探層探査および坑道掘進に対する助成制度の拡充強化を図る。」、こういう一句がございますので、この項目を活用していただきまして、ひとつ炭鉱に特有な坑道に対する助成補助のことを十分お考え願いたいというのが第二点であります。  第三点は、この特別会計というのは、なるほど非常にいい制度のようでありますけれども、何もかも炭鉱の「炭」という字がつけば、みなこれにぶち込まれるということは私は困ると思うのであります。そういうことは先生方も十分お考え願っておると思いますけれども、この件に関しましては、ひとつ可能な限り一般会計に回し得る費目のものだけは回していただいて、そして少なくともここ三、四年の非常に苦しいときだけでもけっこうですから、その期間だけでもひとつ炭鉱の経営強化のために何とかやっていただきたいというのが第三のお願いであります。  それから第四は閉山の問題でありますが、これは先ほども申し上げましたように、要するに特別加給交付金というものを十分ひとつふやしていただきたいということでございます。  それから第五番目といたしては、これはさっきも申しましたような年金の全額政府掛け金負担ということでしばらくやってもらいたい。そうでなくて、企業がやれということなら、企業に力が出るのを待ってひとつ実施するようにやっていただきたいということでございます。  第六番目といたしまして、私はぜひこれはお願い申し上げたいと思いますことは、今回の措置は抜本的な措置である、いまだかつてなく画期的なりっぱな措置である、こういうふうに言われておりますが、この抜本的な措置を講じたるがゆえに抜本的な監督規制の強化をされては困るということであります。私どもは生産業というものは他からの容喙なしに生産一本にいそしませるということが一番国のためにはなるというふうに考えておりますが、小児病的に非常に厳格な監督というものを、あるいは介入ということをやられたのでは、われわれとしてはたまったものではないというふうに考えております。かつて井上石炭局長は、保護すれども介入せずという名文句をしゃべられたことがありますが、私はこれがほんとうにいまもっとも大事なことばであり、その実践であるというふうに考えるのであります。しかも、今度の抜本策は、お前たちにこれだけの金をやるぞ、しかしながら、資本の一〇%の利益をあげたときには補給はやらないぞ、一五%の利益をあげた場合には借金は返させるのだぞと、こういうことを規定しております。私はいかにもみみっちい、こういう少し努力して少し利益があがればすぐに返済をさせる、あるいはまた補給はしない、こういうようなことでは疲弊し切ったところの石炭鉱業の再建、立ち直りということはきわめて困難じゃないか、ある一定期間これはそのままやって、そして企業に力をつけさせることによって返させるという方向にぜひやっていただきたいというふうに思うのであります。答申の中にはこういうことがあります。住宅の整備、医療体制の充実等による生活環境の改善ということをぜひやらなけりゃならぬというふうに書いてあります。しかし、この改善は一体だれがやるのか、これは企業に力がない限りできないことであります。現在、炭鉱では医者に困っております。なぜ困っているか、医者に対する給料を世間並みに出せないということに一つあるのであります。そういうこともお考え願いまして、どうぞひとつこの企業に力を与えるような措置でやっていただきたいと存ずるのであります。  もう一つ、私はここで申し上げたいのは、聞くところによりますと、兼業会社に対しましては、その全体としてプラスの場合には、いま申し上げましたような一〇%、一五%というような取り扱いをするというふうに聞いておりますが、これでは石炭を兼業しておる会社は、石炭をやめろということに等しいのではないか。また、いろいろな仕事をやっておりまする会社が、その分かち出るところの営業外の収入というもののために会社の経理がよくなったという場合には、よくなったから、それでは補給金はやらないぞ、あるいは返させるぞというのでは、その会社をして副業的にやっておるその企業を、石炭本体からはずして別会社とさせるということを私は奨励しているものであるというふうに考えます。そうではなしに、やはり企業に力をつけさせるのだという見地から、兼業会社につきましても同様に、自産炭の損失を基本にいたしまして補助その他の措置を講じていただきたいものであるというふうに考えられるのであります。  もう一つは、四十一年度のつなぎ資金の問題であります。現在、御承知のように、石炭鉱業は六百万トン以上のいまだかつてない貯炭を抱えております。各社は非常に資金繰りに困りながらも黙って今日までおったということは、この抜本対策に期待しておったのであります。ところが、この抜本対策を見ますというと、何ら資金的にどうにもならないということで、非常にこれから先私どもは何とかしなきゃいかぬということで政府筋にお願いにまいりまして、また国会にもお願いにくると思いますが、どうぞひとつ四十一年度につきましても、四十年度とほぼ同様な、あるいはそれ以上の形に持って進んでいけるように御配慮願いたいというふうに存ずるのであります。  最後に申し上げたいことは、今回の答申の根底をなす前提は、要するに、賃金七%、物価一〇%アップということを前提にして考えられておりますが、私は炭鉱労働組合との間に前回も七%でがまんしてもらったのでありますけれども、世間が一〇%以上のベースアップと言いますか、賃金を出しておるということがこのままずっと続くのでありますならば、ひとり炭鉱の労働組合にだけ、その分はがまんしろということは言えないのではないか、雇用対策とか、いろいろ考えられますけれども、私はやはり世間並みの賃金を上げてやるということが一番大きい雇用対策ではないかというふうに考えるのであります。したがいまして、もし炭鉱の賃金というものを七%アップ程度で押えたいならば、どうぞひとつ、政治の面で、世間全体の物価の安定並びに賃金の安定ということに十分ひとつ力を尽くしていただかなければならぬというふうに考えるのであります。しかも、私どもの出しました答申案の根底をなすところの能率というようなものにつきましては、私どもといたしましてはほんとうに背伸びをしておるというかっこうであります。したがいまして、私どもはこれ以上、いままで以上の努力をやりまして、何とかして、労使一丸となってこの能率だけは出したいと思っておりますけれども、非常にむずかしい能率を出しておるのであります。言いかえますならば、余裕のないところを基本にして対策を打ち立てられておるということもひとつあわせお考え願いたいと存ずる次第であります。  長時間にわたりましてありがとうございました。     —————————————

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) この際、委員の異動についてお知らせいたします。  本日、高橋雄之助君が辞任され、その補欠として米田正文君が選任されました。     —————————————

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) それでは、次に上田参考人からお願いをいたします。

上田清次郎上田鉱業株式会社社長

○参考人(上田清次郎君) 私は、九州で小さな炭鉱を経営しておる上田清次郎であります。  本日は、本委員会に私ども中小炭鉱の代表者までお呼びいただきまして、この答申案に対する所見を申し上げる機会を与えていただきましたことを厚く感謝いたします。答申案につきましていろいろ申し上げたいこともありましたが、許された時間の関係もありますし、ただいま大槻社長から申し上げましたこのことにつきましては、私どもおおよそ、大部分が同意見であるということにして、私は重ねてこのことを申し上げないことにいたします。  つきましては、答申案というものを一般的に一口に申し上げますると、非常に過去にないりっぱな大きなものを打ち出してもらったこの答申案そのものだけを見ますると、実にやり過ぎたものじゃないかというような批評さえ他からはあるそうであります。しかしながら、私どもその実態に携わっておるものから見ますると、答申案そのものが不足ではないのであります。しかしながら、答申案によって救われようとする私どもの体質はあまりにも悪過ぎる、したがって、このけっこうな答申案によっても、なおかつ私どもの病気はなおらないのではないかということを心配しておるものであります。したがって、この答申案の全体から考えまするならば、答申案の範囲内において、もし最高機関の議会できめられましたといたしますると、これは答申案でなくて単なる一時的な救済案であるというものになってしまうのではないかということを感ずるものであります。したがって、この答申案の範囲内でなくして、答申案を骨子として、なおかつこれに足りないものを十二分に議会で御考慮願いましたならば、あるいは助かるかもわからない、いまごろ抜本策が出てくるのは、いずれかと申しますると時期を失しておる。ここ数年前にかくのごとき答申案が出たのでありましたならば、あるいは炭鉱の今日は救えたかもわからない、また国の犠牲も少なかったかもわからないと私は感ずるものであります。  そういうことから考えまして、この答申案がいい答申案になるか悪い答申案になるかということは、われわれ炭鉱の実態をよくお考えくださいまして、そうして国がどうしても救わなければならないというお考えがあるならば救っていただきたいと思います。また、これを救うことと、その救うための犠牲とか、国の力ではできないから捨てようじゃないかという結論にまで到達いたしまするならば、私どもは自分の私企業でありながら、自分の力で自分の仕事ができないようになったのでありまするから、これもやむを得ません。しかしながら、この機会においてはまず五千万トンは確保すべきだという方針をとっておられるようでありまするから、そうとするならば、この答申案で、はたして五千万トンが確保できるであろうかということを深く心配しておるものであります。  また、ただいま、私どもの申し上げたいことは、大槻社長から大部分申し上げましたので、私は大手と中小と異っておる面を一、二申し上げまして、皆さんに御理解を願いたいと存じます。この答申案の骨子が、いろいろ答申案はあらゆる方面にたいへんな広範囲にわたり配慮をしていただきまして、つくっていただいておるものでありまするが、私どもに直接関係があるものを抜粋いたしますると、大体私はこれを五つに分けてみたのです。  第一点は、位置づけの五千万トン、この位置づけの五千万トンと決定されましたことは、私どもがこのまま四十五年までもし答申案のきき目があって、健全で経営が立て直ったといたしますると、六千万トンをはるかにこえる数字になるのではないかと思うのです。最低六千万トン、そうしますると、位置づけが五千万トンでありまするから、約二〇%はどうしても切り捨てなければならない。数量において二〇%ということは、炭鉱数におきましては半数以上を切り捨てなければなぬということになるであろうと予測しております。こういうことから考えますると、その切り捨てられる炭鉱は、おおよそどこが多いだろうということを考えますると、我田引水的に考えましても、私ども中小炭鉱がその中の八割から九割を占めるのじゃないかということが予測されるのであります。しかしながら、この五千万トンという位置づけも、経済的需要ではとうていまかない得ない。したがって、政策需要までつけることについてはずいぶん当局も努力されたあとがはっきり見えるのであります。  私どももよく承知いたしております。したがって、かくのごとく無理な政策需要までつけての五千万トンということでありまするから、私どもがいいとか悪いとか申し上げるのではなくして、これがいいのか悪いのかは、議会の先生方にきめていただくほかはないと存じております。  次の一点は、肩がわりの一千億円、このうちに私どもに向けられるものは六十億から七十億の範囲ではないかと予想しております。この六、七十億という肩がわりにつきましては、これは私ども中小炭鉱といたしましては、決して満足でき得るものではありません。しかしながら、この六、七十億もいろいろな条件がつくのです。したがって、その条件の中になかなか中小は入りにくい。それを当局がいろいろあっせんをしていただきまして、六、七十億は何としても入れてやらなければならぬということで努力していただいたことも認めております。したがって、かくまで努力していただいてできた六、七十億が足りるとか足りないとか、そのことについての小言もあまり言う気持ちはありません。いたし方ないとあきらめております。したがって、この安定補給金が百円というのが、中小にはおよそ百円考えられてもよかろうということであります。しかしながら、私どもが肩がわりの面におきまして一千億の中の六、七十億というのでは、これはどうしても大手、中小の出炭比率から考えますると、中小が非常に損な立場になる。しかしながら、これは損といってもやむを得ないとあきらめておるのです。そこで、この安定補給金の面において救ってもらえる恩恵の差を、私どもは埋めていただきたいと、こういうふうに実は期待しておったのでありまするが、それも百円という数字まで答申案の中に入っておりまするから、百円の範囲内ではたしてこの埋め合わせができるであろうかということを私は心配しておるものであります。  次に、金融の問題であります。これは答申案の中で具体的にこそ示してありませんが、この実態の炭鉱が動いていくには、この打ち出された答申案のみではいけないから、金融の面をいかにしてやるべきかということは十二分に配慮は行き届いておると存じます。したがって、最高機関の議会におきましてこれを善意に受け取っていただきまして、これを十二分に活用していただくことでなければ役に立たぬものになるのではないかと存じます。また、このことについて中小炭鉱で特に申し上げなきゃならぬことは、かつて政府——私ともの直属、通産省内の石炭局あたりでも、いろいろ過去もあっせんしてもらったのです。しかしながら、お骨折りによってワクだけはいただいたが、いつの融資も窓口銀行を通じなければならぬことになっておる。したがって、窓口でいろいろな担保だとか、いろいろな信用もありましょう。いろいろな条件があるために、せっかく努力していただいたそのワクが完全にいつも消化できない。いつでもその許されたワクの半分以下なんです。はっきり数字は調べたらわかると思いまするが、今日持ち合わしておりません。そういうことでありまするから、これが完全に答申案の精神のごとく、私どもに国からのあっせんが行き届きまするならば、これは何とかなるんじゃないかという期待をいまでもかけております。  次に、いま一つは閉山費用なんです。閉山費用が、大槻社長は大きな金額をいわれましたが、それは大手でありまするから、そうでありましょう。私どものところは大手ほどには要しておりません。過去の千二百円で買い上げられたときの実態から見ますると、実際は五千円をちょっとこしたぐらいのところがなくちゃならなかったはずのものが千二百円しかなかったものですから、付近のお取り引き関係やいろいろな面に、金融関係にはなはだしい御迷惑をかけて、閉山になった人たちはその土地にも住まわれないというようなあわれな状態になっております。したがって、これも私どもは大手ほどいただこうというのではありません。でき得ればたくさんいただきたいのですけれども、そう勝手なことも申し上げられませんから、最低三千円、答申案で二千円と出ておりまするが、私どもは最低三千円以上をぜひいただきたい。そうして、本人は炭鉱をやめて金持ちになろうとはむろん考えておりません。そういう実態でもありません。ただ、仕事を投げ出して、いまからどの仕事にありつくかという、そのありつく資金もないのです。ただ付近に、炭鉱をやめることによって近所隣りやつき合いに非常な御迷惑をかけなくて済む程度にだけは、やめられるようにだけはお願いしたいと、こういうことを申し上げておるのであります。  それからいま一つ大手と多少違うだろうと思うことを申し上げますることは、今回の肩がわり資金の六十六億によりまして、私どもが数字的に恩恵を受けるのは百五十円、一トン百五十円余りだと存じます。また、この補給金を百円いただきますることになりますると、合計二百五十円ぐらいは過去よりも私どもに特別に入ってくる金が一トン当たり二百五十円ぐらいふえるであろうということを予想しております。しかしながら、過去に比べまして、本年以降はすでにこれははるかに上回るところの負担増があるのであります。御承知のように、鉄道運賃の値上がりが、これは平均でありまするが、中小では一トン当たり八十七円ぐらい上がっておるのであります。それから労働年金、これも大槻社長からいろいろ話がありましたが、これはほかならぬわれわれのためでもあるし、役所がぜひというならば、これもおっしゃるようになさなくてはいけないであろう、またそうする必要があるだろうということも考えております。したがって、これの負担金が約四十円であろうということを予想しております。また、閉山費用、これも従来の閉山費用を今回値段が上がるということになりますると、結局負担増が二十円くらい出てくるであろう。賃金七%アップ七十五円、これだけ四つを合わせましても二百二十二円ほど従来よりも負担増が多くなるわけなんであります。ちょっと申し忘れておりましたが、賃金の七%、これが七十五円くらいの金額になります。しかし、これは年々上がっていくのでありまするから、四十五年度においてはこの賃金の値上がりだけが一トン当たり四百円以上になるわけなんです。したがって、この二百二十二円と合わせますると、一トン当たりの負担増は六百二十円ほどです、過去に比べて。当然これは一銭二銭の違いはあるかもしれませんが、一割も二割も違わはないような結果が必ずこういうふうに出てくるわけなんです。そうしますと、六百円以上の負担増があって、私どもが今回の処置で助かるものは二百五十円だということになりますると、三百数十円過去よりも非常に悪くなる。  今回の答申案が出ようとするときに私どもが心配いたしまして、またまた大手と中小との開きがあってはかなわぬから、今回だけはぜひひとつ、どの程度になるものか、われわれでどうともなりませんが、大手に準ずるようにしてお願いしたいということで二月以来お願いして回ったのでありまするが、おおよそこの賃金の問題とかいうようなことは、これはもう当然のことであるし、なおかつ大手と私どもの間には働く者の賃金格差というものがあるのです。これが一トン当たりどのくらい賃金格差があったかと申しますると、私どものところは、大手よりも一トン当たり二百五十円くらいは賃金が安いのです。したがって、この運動に回るときにいろんな人から、中小はそんなにまで大手のように言わなくても、中小は比較的もうかっておるのではないかということをよく言われたのです。なるほどそうかもしれません、いま残っておるものは。しかし、ほんとうに研究するならば、ほんとうにもう一つ掘り下げて考えまするならば、決してそうではないのだ。中小もやっていけないからこそ、過去は八百もあった炭鉱がいまは百七十に減っておるのじゃないか。その中にはむろん寿命が尽きてやめたのも若干あります。しかし、大部分は経済的に生活ができなくてやんだものが大部分なんです。八百のうちの六百以上はそのためにつぶれた炭鉱のみでありまして、今日、しからば残っておる君らはわりあい経済的には余裕があるのじゃないかと言われる。私ども、これは何で残り得たかと申しますると、さっき申し上げましたように、私どもで働いておるところの労務者は、約一人当たり一カ月七千円から一万円の間、炭鉱によってその間多いところと少ないところはありますが、こんな大きな、三万円から四万円の間においての七千円から一万円の格差なんです。この大きな格差を黙って、一生懸命に働いてくれた。大手の組合はストばかりやっておる、このごろはだいぶ直りましたが。私どもの炭鉱でしかられることは、労働基準監督局から、いつも働き過ぎるのだ、八時間というのにおまえのところは十時間も働いておるのだと。私どもが酷使しておるのじゃない。本人らがそこまで働かなければ生活ができない。また、ここまで働いてやらなければわれわれの事業家はつぶれるのだということを認識していただいておるがために、非常に安い賃金で、ストもせずによく働いてくれたのだ。このおかげなんだ、私たちが残り得たというのは。私どももむろん努力はいたしましたよ。しかし、自分の努力あるのみと誇っておるものではありません。この労務者がかくまで安い賃金でストもせずに黙って今日まで五年も七年もわれわれについてきてくれた、このことに感謝する以外にはないのです。それのみです。もしそれを大手並みに私どもが賃金も払い、私どもの労働者がストをやったと仮定いたしまするならば、今日われわれ中小炭鉱はおそらく一鉱も残っておらなかったであろうということを申し上げて間違いないと存じます。  しかしながら、今日以後私どもはかくのとおりで、賃金差で、働く人が承知すればそれでいいのじゃないかという、これで通されましょうか。われわれはよくこの実態を認識しておるから、今度こそ抜本策が出るならば、われわれも、われわれの立場をよく認識していただいて、そうしてその恩恵の中に入れてもらって、諸君のこれまでの賃金格差、これはもう私が言わなくても相手がみなよく知って協力をしていただいておる、この人たちのためにも、この賃金格差の幅を縮めてやらなければならぬということを約束しておるのです。このことについては政府にも、あるいは議会の方々にも、審議会の方々にも、この実態は申し上げてあるが、それはなるほどそのとおりだと、このままいつまでもいかれるものではないから、大手並みとは言わずとも大手に準ずるところまでは引き上げてやらなければいかぬであろう、そうでなくては行く行くは何といっても諸君の中小炭鉱には働く人が集まらないだろうという、このことをよく御承知のはずです。そうおっしゃっていただいておるのです。このことについて反対する人はおそらく一人もおらなかったと思います。  しかるに、答申案が出て見ますると、まあまあやっぱり、答申案そのものはさっき大槻社長から申し上げましたように十分でないが、この十分でないその中における中小炭鉱というものは、先ほど申し上げましたように、まだまだ大手より非常に率が悪いのです。したがって、ここで何とか、大手がこれでりっぱになるとは思っておりませんが、これは一般論で申し上げたように大手もたいへんでしょう、これから。しかしながら、私ども少なくとも賃金格差ぐらいは多少の幅を縮められるようなことをしていただかないと、私どもの力ではどうにもならない。  大手は、御承知のように、過去、赤字は去年やことしのことではない、数年赤字は続いておるけれども、系列銀行あり、あるいは系列産業あり、あるいは多角経営の中の一つの炭鉱であるというようなことで、他からの持っている力も大きい。そういうことで、欠損しながらも五年も七年も続けることができた。そうしてまた、ある時期にはこういう施策を待つこともできるのです。しかし、私どもの資力では、一年赤字がもし続くとするならば、それはつぶれてしまうのです。過去もみなそうです。赤字を五年、七年もちこたえた中小炭鉱は一鉱もありません。今日までつぶれた炭鉱は、半年か一年の金融がつかないために、あるいは赤字が背負い切れないために、みなつぶれていっているというのが実態であります。こういうことをお考えくださいまして、何とか補給金の百円というのをぜひ三百円ぐらいに上げていただきたい。  それから、閉山費用の二千円をぜひ三千円に上げていただきたい。こういうことをぜひとも最高機関の議会にお願いいたしまして、いわゆるこの答申案のあのワクの範囲できめられないで、あれを骨子として、あれに十二分に肉づけをしていただきましたならば、私どもあるいは助かり得るかもしれないという期待をかけておるものであります。  以上申し上げまして、私の所見を終わらせていただきます。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) それでは、次に山本参考人からお願いいたします。

山本忠義日本炭鉱労働組合中央執行委員長

○参考人(山本忠義君) いつも諸先生方にたいへんお世話になっており、特に今回諸先生方の御配慮で私どもの立場について説明する機会を与えていただいたことについて心から深甚の感謝を申し上げます。  まず、私どもは今度の答申案につきましては絶対反対でございます。したがって、審議にも、討論は十分に尽くしましたけれども、採決には加わっておりません。このことをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  なぜそういう態度をとるかということですが、特に答申をおつくりいただきました政策懇談会の先生方については、私どもはこういうふうに見ているわけです。というのは、七年間、炭鉱の問題について第一次有澤調査団という調査団ができまして以来、ずいぶんわれわれの要望も聞いていただいたし、事業主なりあるいはまた現地の視察等も十分にしていただいた方々である、こういうふうな認識を持っているところです。だから、炭鉱の鉱夫でも、七年間穴ぐらの中で働いていると、一級先山にはなれませんけれども、少なくとも二級先山ぐらいにはなれる。石炭を掘ることについてもずいぶんなれるし、悪条件等についてもなれてくるのが普通であります。そういう先生方がわれわれに対して十二万の首切りをやり、あるいはずいぶんあっちこっちの山をつぶすという過酷な調査団の結論を答申をしておきながら、なおかつ、今日そういう先生方自身の手で一千万トンに及ぶ閉山をしなければならない、あるいは三万人の首切りをしなければならないという血も涙もない答申案をつくったということについて、心から憤激を覚えている次第です。  私どもは、今度の答申案が出る際にはきわめて期待もしておったわけでありますし、この答申案が作成された過程においても、現状置かれております私どもの立場等について礼儀を尽くしてずいぶん陳情も申し上げたつもりでおるわけです。しかし、この答申案の中に見られるように、一顧だにされていない、こういう判断を強く持っているわけです。  現実、今日でもなおかつ、新聞なりあるいはテレビなりで、筑豊のスラム地帯の悲惨な状況についてときおり報道がされます。なお、北海道の美唄地区についてもしかりです。あれはすべて十一万人の首切り、十二万人の首切りの中で、五カ年間でやりなさいと言ったけれども、現実的に生き延びていくためには、企業競争をして、一生懸命きのうまで足のつめをなくして働いていた炭鉱夫を、二年間でばたばた整理した結果が、あの悲惨な状況になっているわけです。今日、労働省の統計の中でも、四十歳以上の失業者がすでに三万人も出ている。かつて池田総理大臣のときに私どもは、政府機関にできるだけ多くの炭鉱の労働者を吸収いたします、こういうお約束をいただいたのですが、現実には、諸官庁その他とお話し合いをするときには、四十歳以上の年齢の者についてはどうしても困ります、もっと若いいいやつがおりませんか、こういうのが現実です。私が折衝をした当事者でありますから、肝に銘じておるわけです。いま今日、一千万トンのスクラップの過程の中で起きている現状を想定いたしますと、炭鉱の坑内夫の年齢というのは、すでに四十一歳になっております。十一万人の首切りによって、なおかつ少ない人員で、あの年で十四・九トンの能率しかあがっていないのに、今日三十七トンに残った者が能率をあげて努力しております。労働環境や労働条件は、今日参考人として出てきております会社側の代表といえども言わざるを待ないくらいの窮乏の実情にある、こういうふうに私どもは考えております。しかし、なおかつこの石炭産業にしがみついて家族を養って生きていこうとする炭鉱の労働者の気持ちについて何ら触れていない答申案につきましては、絶対に納得かできない、こういうふうに思っているわけです。  だから、この答申案の内容の中に、離職者対策については万全を期せ、こう言われておりますけれども、実際に万全が期せられるだろうか。いまから四年前、五年前のときにおいてすら、ああいう非常に問題が起きて、なおかつ三万人もの四十歳以上の高齢者が失業している現実の上に、四十一歳の平均の炭鉱の就労年齢ということになりますと、ほとんどやめざるを得ないということになるのは四十七歳、四十五歳という人間です。これは家族を五、六人もかかえて、高校へやっているとか、どこへ転職するにしてもたいへん困る実情にある者について、なおかつ三万人も首を切って、対策は十分にやりなさい、こういうことは全く現状に即しない。七年間ずいぶん皆さんからいろいろ話を聞きながら、なおかつ何にも聞いていない先生方の態度である、こういうふうに私どもは考えております。  それから、全体を貫く姿勢の中で、どこの人におもねているのかわからぬけれども、みずからの見識というものをなくしてしまった答申案の内容である。国の財源がこれくらいなのかこれくらいでないのかということにばかり頭が走ってしまって、こういう現実置かれている石炭産業のきびしい情勢について、どうすればほんとうに立ち上がることができるのかという面について視点をそらしている。だから、それが全体的に一千億の財源の肩がわりになったり、安定補給金が百円になってみたり、三井三池や、山野や、伊王島、夕張の大災害があったのに、そういう保安監督の行政についてとうするとか——予算について私どもが団体交渉その他を経営者とやる場合には、さかさまに振っても鼻血も出ない。だから、期末手当についても、今度つい二日ばかり前にきまったんですが、前期に比べて一千八百円のアップで四万一千八百円、自分の子供たちでも、就職して一年間たった人でもボーナスが五万円以上ですから、おやじより多い。こういう実情にあるわけですから、その点十分にひとつ考えてくれているのかいないのか、こういうふうになるわけです。  それから、もう一つは、何といいましても、オートメーションの工場とは違います。設備機械をあんまり簡単にスクラップにするというようなことは口にしないでもらいたいというのが私どもの立場です。  今日の炭鉱をささえているのは、いま上田参考人も言われましたように、炭鉱労働者ががまんをして、賃金を上げてくれという気持ちがあっても上げないで、一生懸命しがみついて、この山がつぶれてしまうからということでがまんしている、いわゆる労働者の忍耐と屈従の上に立って石炭産業は今日ささえられてきていると言っても過言ではないと思うわけです。当然人力によって、ピックで石炭を掘っております。坑内の機械化については限度がある。だから、これからの石炭産業を発展させるのも、あるいは答申の内容について、あるいは政策の内容について充実させるのも、一にかかって忍耐と屈従で長い間続いてきている炭鉱労働者がその気になってやるぞということにならなければ絶対達成できない、こういう確信を持っている。私どもは、いい産業があるからといっても、あちこちタコ部屋みたいなところを歩いたやつらがものを言うなら別ですけれども、ずいぶん過酷な条件の中で生き抜いて、なおかつ石炭産業を愛しているのが私たちでありますから、それなりの誇りを持っております。そういう見地からも、今度の答申案というものについて心から期待をしておったのですけれども、いま申し上げたような方向で、全く私どもは賛成できない。こういうことが天下を濶歩するということについてきわめて不満を持っている次第です。  なお、労働環境の整備や労働条件の整備、これがなくてはやっていけないのは御承知のとおりでありますが、この答申の中に流れている内容から見ましても、なおかつ、いま企業の赤字が五百円と、こう言われております。土屋委員の説明は一応承ったのですが、救済されるのは二百六十円、安定補給金の百円を入れて三百六十円、こうなりましても、なおかつ赤字が二百円出る。そうして賃金を上げなさい、労働環境の整備をしなさいと言う。今日炭鉱では、六人の家族でも六畳間と四畳半の中で生活しているのが炭鉱夫の長屋です。いいブロック住宅もできましたけれども、それはほんの小部分であります。そういう中で一生懸命働いている炭鉱夫についていろいろと書いてくれておりますけれども、その程度のことしかしないで、労使協調してやりなさいといっても、どこから金を持ってきたらいいのか。もっと長期のストライキでもやって、ばんばん取ることをやれというのを教えているのか。企業の赤字を完全に救済もしないで、そういういいかげんな抜本策というものを出しておいて、おまえたちの労働環境を整備しなさい、労働条件をよくしなさいと言うけれども、どこに行って金をもらってきたらいいのか〇十時間労働、十二時間労働をやっているその中で、おこぼれをいただく姿勢をとれと言うのか、こういうふうに私どもは考えるわけです。  したがって、まだまだたくさん申し上げることはございますけれども、一口にいって、私どもは、この答申案というものはいいかげんなものだ、きびしく置かれている石炭産業の実情について、ほんとうに人間として血の流れるような立場の中からつくられたものではない、ただ単なる文章であり作文である、こういうふうにしか見られないということを強調しておきたいと思うわけです。  したがって、私どもは、どうかひとつ国の政治の場の中で、私どもの実情について、山へおいでいただいてもけっこうでありますし、私どもは赤旗ばかり立てて諸先生をお迎えするつもりはありませんから、十分にひとつ長屋のおかみさんたちや組合員と実際に会っていただいて、どういうことを考えているのかということについて十分ひとつ参考にしてもらいたい。その上で、この答申案なんかにこだわらないで、いろいろな見識のある見地から、ほんとうにひとつ、十年間も十五年間も労使が協調できるように約束をして、一人前にやれるように、高い次元の上で、政治的立場からどうか御配慮を特段にお願いしたいと、心からお願い申し上げる次第でございます。  本日はどうもありがとうございました。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) それでは、次に松葉参考人からお願いをいたします。

松葉幸生全国炭鉱職員労働組合協議会議長

○参考人(松葉幸生君) 炭鉱の職員組合代表の松葉でございます。諸先生方には心から御礼申し上げます。  まず、私は職員組合という立場から申し上げてみたいと思うのですが、これまでの第一次答申、第二次答申の段階におきましては、会社の実態をよく知っております職員層としては、受けて立つという表現でこれを受けてまいりました。そうしてとにかく不十分、不満なことはわかる。しかし、この中で、とにかく死力を尽くしてやってみようというかまえでまいりました。そうしてその成果は、先ほどから各参考人の方が申し上げたとおり、能率等もかなり前進してきた。そういう態度をとってまいりました私たちが、今回の答申については、審議会の席上におきまして明瞭に反対の意思を表明いたしましたので、なぜかという点をまず最初に申し上げてみたいと思います。  まず一つは、われわれは審議会の席上で、本答申を作成をする背景になっておる具体的な素材というものを明らかにしてほしい、ということは、答申を作成する過程でわれわれはそれとなくいろいろなことを聞きました。しかしながら、最終的にでき上がった答申を見てみまして、非常に不満を禁じ得ない。その不満を解消して、この答申に従ってほんとうに石炭産業が成り立っていける、おまえたちががんばるならばやっていけるという展望が具体的な背景によって納得させられたならば受けましょう、こういう態度で臨みました。しかしながら、残念ながら審議会の席においても具体的な素材は何ら提起しないままに、小委員会のメンバーの方々の判断としてだいじょうぶだ、こういうお答えでございます。少なくとも、石炭労使の代表が出ておりまして、労使こぞってこの内容に対しては不信の念を表明したのは今回が初めてではないかと思います。  第一の理由は、そういうふうにわれわれが納得できる素材がない、素材すら提起されなかった。うがって考えますと、当初、昨年末から各企業体にきわめて詳細な再建計画を出させ、事務当局としてはいろいろな指示、姿勢を命令をして、第一次、第二次、第三次と計画の練り直しをやらせた。それによって種々改善の限界なり必要な諸対策というものを見きわめられたはずであります。その最初の段階での作業の過程、それに基づいた判断というものと本答申の内容とが結びついていない、こういう疑問を持つわけであります。最終段階になりまして、財源その他の問題とからみまして、当初の具体的な作業等を通して出てきた判断というものはどこかにたな上げをされて、きわめて政治的といいますか、中途はんぱな妥協という形で、文章表現で本答申が出された、こういうふうにうがった見方をせざるを得ないような印象を受けるわけであります。だから、審議会なりで具体的な素材を出さなかった、そのことは出せなかったのではないか、こういう疑問をはっきり持ったわけであります。  それから、第二点としましては、そういうように具体的な素材を持たないなりではありますけれども、先ほどから各参考人が申しましたように、あとで二、三申し上げますが、本答申によって石炭産業の安定は期しがたい。期しがたいどころか、ここ一、二年の間にたいへんな混乱が起こる。その結果は、答申で触れておる五千万トンという体制すら四十五年度の段階に至った場合においては破棄せざるを得ない情勢になってしまうのではないか、こういう疑問のゆえに答申に対しては反対をいたします。  以下、一、二点につきまして、これまでの参考人とちょっと違った角度から若干具体的な数字で申し上げてみたいと思います。数字は正確な資料でございませんで、私が断片的に新聞あるいは作業の過程で仄聞をいたしましたものをつなぎ合わしたものでございますから、信憑性についてはお許しを願いたいと思います。  まず、答申の基本的な問題であります位置づけの問題でありますが、五千万トン程度、こういうふうに出ておりますが、これに対してまず基本的に反対なわけであります。ただ、その反対の理由が五千万トンという数字だからだめだというつもりはございません。ほんとうに具体的な分析を通して、資源的にも経済的にも、あらゆる面から考えて将来五千万トンは妥当である、そうしてそのためには静かな撤退といいますか、秩序あるスクラップ・アンド・ビルドがつくられていって、それが真に恒久的な石炭産業の安定に通ずるのだということになれば、五千万トンあえて否定いたさないつもりであります。しかし、当初は第一次答申で五千五百万トンと位置づけたのが、第二次答申では五千二百万トンとなり、それから一年半足らずで五千万トン程度になった。これは審議会の席上で炭労代表から、五千万トン程度ということは五千万トン以下ではないということは確認はしないのかということについても、確認できない、こういうことでありました。私は、五千万トンという問題について賛意を表明できないのは、これまでのそういう経過、それから今回の施策の不十分さというものによって、五千万トンが たとえその五千万トンでありましても、その位置づけ自体が、ほんとうに国が長期にわたって保障できる位置づけそのものでもあり得ないのではないか、こういう疑問がまず一つあるわけであります。  それから、いま一つは、現在五千百万トン程度の生産能力を持っております。昭和四十一年度の生産計画は、御承知のように五千九十七万トン、四ないし六月はその計画をすら二十九万トン上回っております。したがって、いろいろ今後の情勢変化を考えましても、これまでのような状態で続けるとするならば、昭和四十一年度においては五千百万トン程度の出炭は可能ではないか。現実にこれまでのああいうなまぐさい経験をしながら、必死に五千百万トンを出しておる、半分程度の人間で五千百万トン程度出しておる炭鉱の労使に対して、五千万トンに落とせ、その裏側として能率は三割ないし四割上げるんだぞと、こういう位置づけが炭鉱労使に対してどういうような問題を投げかけるのかという点について、どういう配慮がされているのか。先ほど山本参考人も申し上げましたが、これはあまりにも過酷であります。現在出し得る能力、それを背景にいたしまして、もっと努力をしろと、その努力によって少なくとも現状の出炭レベルよりかは落とさせない、こういうような考え方というものが出てきましたならば、ということは、願わくば国会で決議をしていただきました目標の五千二百万トン程度の位置づけというものがなされておりましたならば、まだまだわれわれ炭鉱労働者の受け取り方は違ったと思います。しかし、その辺がまず私は大きな問題でありますし、したがって、能率は大幅に上げながら、現在の出炭能力以下の位置づけというものが当面どういう問題を起こすか、これは一次答申のあとの状態の再現以外の何ものでもない、こういうふうに考えます。  具体的に数字をちょっと私の概算で申し上げてみますと、昭和四十一年度の生産計画五千九十七万トンという場合には、二百七万トン程度のスクラップはそれに見込んだ生産数字であります。したがって、四十一年度においては、いかなる状態のものでも二百万トン程度はまずスクラップ化されるだろう。そうして五千百万トン程度の出炭ができたとしましたならば、需要は私が知り得る限りは四千九百万トン程度しかないのではないか。そうしますと、生産と需要との間の二百万トンのギャップが出てまいります。こういう点から、四十一年の年度末、来年の三月現在では、千二百万トン程度の貯炭になる。この貯炭はむしろ過剰貯炭とかなんとかというものを通り越して、物理的な貯炭能力の限界である。これ以上貯炭がふえるということは物理的に不可能だ、こういうふうに聞いております。  そうしますと、四十二年度においてはどういうふうになるかということになりますが、少なくとも四十五年度の大手の三千九百八十万トン程度の出炭というものを展望いたします場合には、四十二年度においては四十一年度よりかは絶対出炭量として大手の百五十万トン程度の増産が必要であります。そうしますと、反面、需要のほうは、九電力関係の本年の二千五十万トンが明年どういうふうになるか、これはわかりませんけれども、新聞等で見ますと、九電力側として二千万トン、本年より五十万トン落とすということを主張しております。引き取りベースと消費ベースが違うということでそういうことを言っている。もしそういうふうになったとしますと、その他の小口一般需要が百七、八十万トン減るということは、少し少な目に見ても予想されるわけでありますから、電発から見ても、新規稼働、そのことを含めましても、少なくとも五十万トン程度は四十一年度の需要ベースよりか減る。一方、生産は百五十万トン程度大手としては絶対出炭としてふえる。その関係を見てみますと、大体四十二年度においては少なくとも四百万トン程度のスクラップを必要とするようになってくるということは、貯炭が物理的に限界というかっこうになりますと出炭を落とす以外にはない、こういうかっこうになりますから、この四十一年度と四十二年度だけを考えてみますと、それが年次計画でどう出るかは別といたしまして、すでに四十一年度も八月になろうとしておる、余すところ四十二年度末までは一年半程度しかない、その間に六百万トン以上のスクラップを強行しない限り需給のバランスがとれない、こういうふうに見ざるを得ないのではないか。まさに第一次答申の直後の問題と同じ状態を想像せざるを得ないわけであります。  そのことは直ちに離山ムード、生産停滞、収支悪化——今回の答申がある程度具体的な裏づけによって業者の生産計画に基づいてやられたものであったとしても、その計画自体が初年度からすでにくずれていく、こういうふうにならざるを得ないのではないかというふうに判断をいたすわけであります。したがいまして、この位置づけの問題に関連をしました今後のビルド・スクラップという問題を考えましただけでも、政策の破綻は必定ではないかというふうに判断をせざるを得ないわけであります。  で、この点につきまして御要望申し上げたい点は、何とか少なくとも五千二百万トン程度の院内決議の線を堅持していただいて、労働者にも希望を持たせる、そうしてそれに即応した需要造成ということを努力していただくということをぜひお願いをしたいわけであります。さらに、今後のビルド・スクラップという問題は、むしろ違った角度からの需給の調整を行なって計画的にビルド・スクラップを進める、できるだけ静かな秩序ある撤退なら撤退という形にやるような緻密な計画と強力な指導というものが必要ではないか、そのことが今回の施策を実施していく場合のまずスタートにおける中心課題ではないかと思うわけであります。  次に、労働力の確保、労働条件の改善という問題でありますが、さっき山本参考人から一般的に触れられましたが、私は若干こまかな形で申し上げてみたいと思いますが、これまで私たちは労働条件の改善という問題について施策の基調としてどう見るかということを訴えてまいりました。ということは、試算計数として七%として入れてある。これは強制するものではないとよくいわれました。しかし、これをそのことばどおり受け取れるあるいは受け取り得るというふうにお考えになる方はいらっしゃらないと思います。むしろ最高であって、それすらあぶなっかしいという経営の情勢なわけです。ですから、あえてわれわれとしては、やはり収支改善あるいはその他の問題を含めまして、経営がほんとうに安定ができて、そうして少なくともこれまでの格差を是正をするというところまでいかなくても、年々の賃金引き上げ金額、これが社会レベル程度の保証はできるようなそういう方向で政策というものを考えてもらわない限り、ほかにいかなる施策をとろうとも、労働力の確保は困難であるし、そこから生産条件の基礎条件が失われていくというふうに訴えてまいったわけであります。決してぜいたくな要求をしているつもりはございません。しかし、今回の施策の中では、ことばとしては労働条件の改善とか生活環境あるいは労働環境という形で触れておりますが、具体的には何らの保証もない。むしろわれわれが陳情してまいりました過程では、七%自体がよ過ぎるのではないかという印象を受ける言い方さえされておる。七%は低くはない、七%は精一ぱいではないか、そんなぜいたくなことを、こういう印象を受けるようなお話もございました。しかし、毛頭ぜいたくな気持ちはございませんし、それから経営が安定したならばという保証それ自体がないわけであります。保証がないというよりか、むしろ前提として経営安定ができるような思い切った施策というものがあれば別でございますが、それすらない。そういう点から、非常にこの労働力確保という問題は強調されておりながら、私は近い将来労務倒産ということすら危惧されるのではないかというふうに考えられます。新規労働力の導入なんということはまさに不可能であります。優秀ビルド坑は例外といたしましても、石炭産業全般として見た場合には不可能というふうに判断せざるを得ません。  それから、特別年金制度というものを設けた。これは当面直ちに賃金の改善がそうはできぬから、その見返りだ、こういうふうにおっしゃっております。私は特別年金制度によって炭鉱労働者に希望を持たせる、これは決してむだではありませんし、それなりの効果があると思います。しかし、それは当面の賃金について最小限納得できるような保証が前提になって初めて特別年金というものが真の魅力ある存在になってくる、こういうふうに理解すべきではないか。年々の賃金が、いまから申し上げますように、他産業よりか現在の賃金水準自体が低いのに、年々その引き上げ額が下回る、開いていくという状態の中で、年金の魅力で炭鉱労働者を引きとめをし新規労働者を確保をするということは、これはまさに笑いぐさだと思います。  二、三申し上げてみますと、時間当たりの賃金で見てみますと、中労委の調査資料によりますと、十六の主要産業中第十位にあります。諸外国においては最高位にあるはずであります。それから、製造業平均なり鉄鋼あたりと比べてみますと、製造業平均の場合には平均年齢が三十二歳で勤続が九・八年というので、時間当たり賃金が百九十円十九銭であります。鉄鋼が三十三歳の年齢で勤続は十・二年、それに対して時間当たり賃金が二百十六円七十六銭。これに対しまして石炭の場合はどうかといいますと、平均年齢が、これは四十年の六月現在でございますが、三十七・三歳、勤続年数が十二・七年、それで時間当たり賃金は百七十七円三十四銭という状態にあります。それから、ベースで、基準内で見てみますと、石炭の二万九千八百円というものに対しまして、金属鉱山が三万二千五百円、鉄鋼が四万四百円、製造業平均で三万五千九百円、こういうふうに低位にあるわけです。それだけではなくて、年々の賃上げという面では、過去六年の賃金の引き上げ率を見てみますと、金属鉱山関係が九・九%、電力が一〇・二%、鉄鋼が一〇・六%というのに対して、炭鉱は六・六%。これはさっき申し上げましたベースが低い上に率が低いというわけでありますから、金額ではどうかといいますと、四十一年度で見てみますと、炭鉱の場合には二千円にも及ばないというのが、日経連の調べで十九産業の平均は三千百九十六円という数字が出ております。  こういう状態を放置しておいていかに美辞麗句を並べようとも、今後の炭鉱労働力の確保というものは、よし、かりに経営の安定の展望があっても、困難ではないかというふうに判断せざるを得ないわけであります。したがいまして、この労働条件の改善という問題につきましては、やはり収支改善と当然関連するわけでありますから、もっと積極的な収支改善策を講ずる中において、少なくとも年々の賃金の引き上げというものが他産業の水準程度は保証できるような余裕というものを考慮されない限り、文章でいかに書こうとも、いま申し上げました状態がさらに拡大をしていく。その場合には、最悪の場合には労務倒産ということに転ずるというふうに判断をいたしますので、その点も十分諸先生方におきまして御判断の上、どうかひとつ施策の中に十分織り込むように御努力をいただきたいと思います。  それから、次に、保安の問題でありますが、これは中央鉱山保安協議会の基本問題委員会から意見書というようなかっこうのものが出されまして、ある程度文章としては考慮されたようでありますけれども、今回の政策の問題が問題になりました端緒は、引き続いて起こりましたあの大災害でありました。これは単に保安の問題だけではなくて、経営全体の問題として施策の問題となったわけでありますが、いずれにいたしましても、ああいう大災害が起こった事実、連鎖的に起こった事実、その事実は今後とも起こり得る可能性を示唆しているわけであります。したがって、今回の答申におきましても、この保安確保という問題についてもっと大胆な問題提起と、それからそれを実施するための資金的な裏づけ、財政的な裏づけというものについて思い切った配慮がされてしかるべきであったはずであります。しかし、文章面には若干は出ておりますけれども、たとえば救護隊関係の教育を中心とした教育センターというようなものも出ております。監督体制の強化という問題も出ておりますから、中央保安協議会を中心として具体的な検討はそれなりにされていると思いますが、最終的な問題としての財政的な裏づけというものについては、それこそ収支改善の総財源云々の問題とからみまして、はたしてこの保安体制の整備の問題についてどういうような形となってあらわれてくるか、非常に懸念をしているところであります。この点につきましても具体的な説明を省略されておりますので、今後、院内における御討議の中でこの問題についても十分御検討願って、二度とああいう不祥事にならないように、全体的な体質改善とあわせて保安の確保が可能になるように御努力をいただきたいというふうに考えるわけであります。  時間がまいりましたので最後にいたしたいと思いますが、五千万トンになろうとも五千二百万トンになろうとも、一千万トンないし八百万トンのスクラップが行なわれるわけであります。これは諸外国では、静かなる撤退といっているほどでありますが、いずれにいたしましてもそういう大量のスクラップがされる。その場合の賃金債権の保証という問題について、これまでよりかは若干前進をした内容が出されておりますので、その点ではありがたいと思いますけれども、ざっと考えまして、これは大手の場合に考えますと、勤続年数が非常に長い、年齢が高いという面から、ざっといたしまして労働者一人当たり百万円程度の退職金が要るわけであります。未払い賃金なり社内預金があればさらにそれを上回る。これを見てみますと、能率大体三十五トン程度に見ましても、その賃金債権を保証するのにすら二千円程度は要るわけです。で、終閉山の段階でその企業が資金余力があるはずがございません。結局は交付金によってすべてをまかなう、こういうかっこうになるわけでございますから、二千円程度の金額では賃金債権を保証する、まるまる充当してもぎりぎりじゃないか。そうしますと、その中には当然一般債権も入ってまいりますし、それから鉱害補償の問題も入ってまいります。そういうことから考えますと、あの金額自体から考えますと、賃金債権についても十分な保証はされていないというふうに判断をせざるを得ませんので、先ほど各参考人から申し上げられましたように、加算交付金の問題につきましても、いま少し積極的な対策を御考慮願いたい。  以上申し上げまして私の意見を終わりたいと思います。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) 以上で参考人各位からの意見聴取を終わります。  なお、本日の当委員会には、三木通産大臣、小平労働大臣、政府委員として、通産省側から井上石炭局長、森保安局長、労働省側から有馬職業安定局長、厚生省側から伊部年金局長、以上の政府委員並びに国務大臣が出席をいたしております。  これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 住友石炭社長の石松参考人にお尋ねいたしますが、石松社長さんは鉱業審議会のメンバーですね。そこで、私がいままで四人の方の御意見を承っておったわけですが、炭労の山本参考人のお話を聞くと相当意見が食い違っておりまするし、退場したということですから別ですが、この四十二、三名の鉱業審議会のメンバーの中に、石炭協会の麻生会長あるいは久保副会長、佐久副会長以下十四、五名の石炭関係のメンバーが入っておるわけです。四十数名の中にはもちろん電気の代表の方もおりますし、あるいは鉄鋼関係の石炭と立場を異にする代表もおりますから、石炭の意見がそのまま通るとは私判断しませんけれども、しかし、三分の一は石炭に関係した方々が代表として入っておるわけです。上田参考人の組織からも同じ名字ですが植田会長さんが出席されておる。ですから、小委員会でおきめになったことでしょうが、最終の決定は、私は、審議会で決定なさったものだと思う。どういうわけで——皆さん方の意見が、いまお話を聞くと一〇〇%近く通らぬということになるわけですが、こういう結果になったことが私ふしぎでならない。前回の当委員会では、三木通産大臣の御答弁によりますと、この答申が出たので、経営者あるいは労働者のそれぞれの代表の意見も十分聞いて立法化措置を講じましょう、しかし、答申は尊重しなければなりませんと、こう言っておる。すなおに聞くと。三木通産大臣のお話は、専門家のそれぞれの先生方が集まっておきめになったことでもあるし、これは当然大臣みずからが委嘱された方々のおきめになったことであるから、これはすなおに聞かなければならないというお気持ちはわかるわけですが、私ども逆に推測すれば、この答申を隠れみのとして、答申尊重ということで、答申をそのまま一〇〇%立法措置と予算化してくることを私は心配しておる。なぜなら、いまそれぞれ参考人の御意見の中にあったようなことが答申の最終決定ではなく、国会議決が最終決定であるけれども、その答申を尊重するというたてまえをとって政府が立法措置を講ずると、国会で手直しするするのはなかなかこれは容易でない、いかに権限があったにしても。しかし、その四十二、三名の中に十数名入っておって、小委員会でまあきまったとしても、いまのような御意見があれば、これは相当意見が通ったはずなんです。そこが私はふしぎでならないので、石松社長さんはこのメンバーであるわけで、そのあり方について具体的にお尋ねしたい。

石松正鉄住友石炭鉱業株式会社社長

○参考人(石松正鉄君) 私は仰せのとおり審議会の一メンバーでございます。この答申が出されるにあたりまして、この審議会の委員の中から政策懇談会というものが設けられ、そのメンバーの諸先生方がいろいろと中心になって研究されたわけでありますが、もちろん私も最終の審議会の場には出席いたしました。しかし、私としては、あの答申の内容は十分でない、不満足ではあるけれども、まあ一応答申を出されることには賛意を表するということでいたしたわけであります。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 石炭局長にお尋ねしますが、通産当局からいただいた資料は、この措置を講ずることによって——答申どおり予算措置を講ずるかどうかは別として、まあ一応答申に基づいて立法化し、予算措置を講ずる。その場合には、大体五十円ほどの赤字である。五百円ほど赤字になるのだが、この施策を講ずることによって、四百五十円カバーできるから、五十円の赤字である。ところがその五十円という赤字も、まあ炭鉱の坑道なり、あるいは炭鉱のボーリング代ですか、そういうものを出すことによって、応援することによってこれはゼロになる。こういう資料をいただいておる。いま各社の代表のお話を聞くと、これと全然違うわけですよ。あなたお聞きのとおり。ですから、これはどういうことで二十円や三十円の差はこれは別問題です。どういうことでこう参考人のお話と通産当局とそう違うのか。こういう違いがこの答申案にあらわれてきたのではないかという懸念があるわけです。赤字になる分はやむを得ないとして、そう数字が二百円も二百五十円も違うということはあり得ないはずなんです。ところが現実の問題として違っておる。その点はいかがでしょうか。

井上亮通商産業省石炭局長

○政府委員(井上亮君) 阿部先生のお尋ねにお答えいたします。  先ほど大槻社長からお話がありまして、あるいは上田さんからお話がありまして、今回の答申案の程度ではなかなか赤字も脱却できない。したがいまして、今後の経営もきわめて不安定だというようなお話があったわけであります。しかし、石炭鉱業審議会の政策懇談会が、主として各社の経理の実態、今後の生産の状況というような各般の問題を検討されました。そのときの政策懇談会の考え方、あるいは政策を前提にしてのコスト改善効果というものの見方は、これは資料にもたしか出ておると思いますが、たとえば大手全体にとってみますると、赤字は先ほど大槻さんおっしゃいましたように、追加負担を含めて大体五百円程度、トン当たりで。それに対しまして、この表にも出ておると思いますが、今度一千億円の債務の肩がわりを元利均等償還方式でやるということにしますと、利子効果が大体ラウンドで申しますと二百円程度、それから元本の返済効果、これが大体二百円程度、合わせまして、いまラウンドと申しましたが、四百円以上の効果が出る。これに対しまして四百円の効果が出れば、大手の中では大部分の企業が赤字脱却が可能になる。まあ大手の中でも、その程度ではまだ脱却ができないという企業もございます。したがいまして、どうしてもこの措置によってもなかなか赤字が脱却できないという企業に対しましては、安定補給金を百円程度交付するというような措置を講じますと、まず大手につきまして多数の企業は一応赤字から脱却できる姿になる、これは今後四、五年を展望しまして。それからなお中小炭鉱につきましては、これは同じく政策懇談会において、中小企業から今後四十五年度までの収支の見通し、これを御提出いただいたわけでありますが、これによりますと大体今後の中小炭鉱の赤字見通しは、たしか六十七円程度でございます。したがいまして、今後いろいろな出資——単に安定補給金と肩がわりだけではありません。いろいろ炭層探査とか坑道掘進とか、あるいは近代化資金、開銀資金、中小公庫融資、いろいろなものがありましょうけれども、そういうものは別にしましても、一応中小炭鉱におきましても、多数の方は赤字から脱却できるのではないかというような判定を、政策懇談会とされてはされたわけであります。  ただ、ここで先ほど大槻社長からお話しの点との食い違いを申し上げれば、結局大槻さんのおっしゃいました意味は、なるほど肩がわりによって四百円のコスト効果はあるであろう、あろうけれども、現実には利子効果だけで、元本返済効果は、これはまあ、たな上げでもしておりますと、それは銀行にすぐ行くわけですから、返済されるわけですから、企業の資金繰りではあまり役に立たないというようなことから、現実に効果があるのは二百円ではないかと、こういうことをおっしゃったのだろうと思います。しかし、明らかにコスト効果という点からいえば、これは四百円コスト効果があると見るのは会計上正当な見方になる。したがいまして、資金問題は今後も資金確保問題が残るということは、政策懇談会としても十分意識しているというわけでございます。

剱木亨弘自由民主党

○剱木亨弘君 ちょっと速記をとめていただいていいですか。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) 速記とめてください。   〔速記中止〕

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) 速記をつけて。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 大槻参考人にお尋ねいたしますが、普通の企業再建の場合にわれわれが論ずるのは、経営と資本と労働、三位一体となって協力する態勢を再建の一つの方策として論議するわけですが、今度の答申による石炭産業の再建については、そのほかに需要が——電力なり鉄鋼かどれだけ引き取るかという話があります。もう一つは金融の話でありますが、金融の話はこの答申も非常に慎重に書いてありまして、金融と皆さんとの関係は常に密接にありますから、そのことは質問いたしませんが、この需要側との関係ですね、石炭業とそれから電力なり鉄鋼なりその他の需要者との接触については、この答申によりますと、もうこのままいきますと政府が双方呼んであっせんするとう方途しかないように考えるわけなんですが、今日までの情勢なり今後の皆さんの心がまえですね、そういうものをお聞かせ置き願いたいと思うわけです。私どもは、この際石炭産業というものは国家管理あるいは公社方式でなければ、再三再四このようなことで、さっき職組の代表がおっしゃいましたように、もう二、三年うちにこの答申というものはほごになるのではないかと心配しておるわけでありますけれども、まあそれはそれとしまして、需要者との話し合いについてはこの政府におまかせでなくて、皆さん独自でどのような対策が立てられておるか、まず第一点質問いたしたいと存じます。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) 御承知のように、日本の石炭は、日本を取り着いておりますアメリカとか豪州とかいう高能率の国の石炭に比べまして非常にコストが高い。したがって、アメリカの石炭を船で運んで日本に持ってきても、それのほうがずっと、千円がらみ安いということになるわけですね。そこで、需要家側といたしましては、こういう自由競争の世界で、貿易の観点から見ましてもやはり太刀打ちのできるような安いエネルギーを使いたいというのも、これももっともだと思うんですね。したがいまして、現在日本の石炭は経済的には外国の石炭にはもちろん、それからまた石油に対しても競争力がないということは、これはもうはっきりしているわけであります。そこで需要家側に対しましては、使うことによってマイナスが起こる分についてのいわゆる補助金といいますか、そういう問題が起こりますので、これはお互いの商業ベースの観点、立場においてお話し合いをしてみても、これはとうてい間に合う性質のものではない。したがって、いわゆる政策需要というようなことで、諸先生並びに政府の非常な協力を得ざるを得ないという結果になるわけであります。で、私どもといたしましては、石炭鉱業の過去の日本の産業に対しました貢献度合い等についての認識は需要家側は十分持っておる、でき得る限り協力したいという気持ちを持っておるということははっきり申し上げることができると思います。しかし、その数量の面につきますと、やはりこれは自分の責任を持って経営しておる企業でありますので、やはりそこで政策需要という面で負担を軽くしてもらうような措置を講じてもらわなくちゃならぬと、こういうことになるわけであります。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 関連質問でありますが、さっき職組の代表が数字をあげて供給と需要との関係をおっしゃいまして、それを認めますならば自動的に一千万トンのスクラップというものが肯定せざるを得ないような情勢なんです。私ども先般からこの委員会でその点を、五千二百万トンの点を政府にただしておるところでありますが、そこで、昨年石炭会社の法律をつくりましてこの会社をつくりましたが、そのつくったあとと、すなわち現在とつくりますまでの皆さん方各社の企業努力というもので、需要と供給との関係はどちらがいいですか、これは端的にお話し願いたい。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) 電力の引き取りの精算会社の話ですか、お話は。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 そうです。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) それはまあ全体といたしましてスムーズにいってるということは事実でございますね、あれがあるために。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 きのう私は労働大臣に通告しておきましたので質問いたしますが、答申を読んで見ますと、山本参考人も言われましたように、労働力なり、あるいは労働者の待遇なりについては、あるいは一千万トンスクラップのあとの三万人離職者の離職対策などについて、労働省当局の見解を審議会が十分に聞いておられないような気がしてならぬのです。山本参考人の御意見の中にもそのようなものがありまして、とにかく労働者を無視した答申はまっこうから反対であるという意見を述べられました、大臣おいでになる前に。私もこの答申を見まして非常に心配しているのでありますが、これは炭鉱だけではありません。将来もこういうことが起こるわけですね、ほかの企業についても。合理化を政府が政策的に考える場合に、労働者の移動なり、あるいは労働力確保なりを十分に労働省から見解を聞かないまま審議会の答申が出るとすれば、これはたいへんなことでありますが、大臣は審議会に行って意見を述べられたことがあるのか、その間の事情について御説明願います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 今回の答申が出るまでに、私が審議会に意見を述べたことがあるかということでありますが、私自身は審議会に参って意見を述べたことはございませんが、しかし、私はいま先生がお話しのような労働関係の問題は、職責上当然重大な関心を持っておりましたから、職業安定局長等とも十分打ち合わせまして、審議会のほうにも労働省としての考え方というものは、十分これは意見を述べたと言いますか、意向を、労働省の考え方を伝達さしておったわけでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 職安局長も見えておりますから、その点をもう少し具体的にお尋ねいたしますが、各参考人が言われるように、五千万トンを肯定するならば、もしこの議会が肯定するならば一千万トンスクラップについてはもう火を見るよりも明らかであります。その場合にここにも数字が出ておりますように、約三万人の首切りです。しかもそれは昭和四十二年度に約四割くらいも首切り発生するのではないかということが述べられている。それに対して、昭和四十二年度と言いますともう八月から予算を組まなければならぬわけですね、来年度の予算でありますから。すでに予算を組まなければならぬのでありますが、労働省はその離職対策なり今後の労働力の移動について具体的に検討して、審議会に資料など提出されているのかどうか。あるとすればその対策について簡単に——また具体的には法案審議のときにお聞きいたしますが、いい機会でありますから御説明願いたいと思います。

有馬元治労働省職業安定局長

○政府委員(有馬元治君) 小柳先生から今回の抜本策につきまして交渉の経緯と言いますか、労働省としての立場でどういうふうな見解を述べ、反映したかというお話でございますが、私どもは通産省の石炭局と絶えず連絡をとりながら、しかも審議会の主要な先生方の御意見なり、あるいはわれわれの意見を主要な先生に申し入れまして、最終的にはこの抜本策ができたわけでございますが、結論として石炭の位置づけが五千万トン、これは雇用対策、労働面のみならず、総合的に勘案をして五千万トンという位置づけが審議会として出された。これによりますと、山本参考人等からお述べになりましたように、一千万トンの閉山、三万人の首切りというふうな事態が予想される。私どもも率直に言ってそういった事態を想定しながら、この離職者対策にも、それからビルド山の労務確保対策、両面の対策を真剣にいま検討中であります。具体的に各山元の閉山の状況を積み上げまして検討しなければ、具体的な対策ははっきりいたしませんけれども、大体の方向としてはそういった見当が成り立ちます。それから初年度にまあ相当なウエートがかかるということも予想できますので、そういったいろいろな角度からの万全の対策をいま検討中でございますので、必要な予算措置等については来年度ぜひ織り込みたい、かように考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 大槻参考人にお尋ねをいたしたいと思います。先ほどお述べになりました意見の中に次のようなものがあったわけであります。均等償還、これはいいけれども、経営者を素通りをしてしまうから、この点がきわめて不満だ、この点を改めてもらいたい、こういうふうな御意見があったと思うのですが、実際には金繰りが非常に苦しいからこういった御意見も出されたのではないか、このように思うのですけれども、炭鉱金融に政府保証を要望なさる、あるいは抜本的な措置はいいけれども、これ以上の国の経理の監督、規制強化は困るのだ、石炭局長が言った保護すれども介入せずという態度であってほしい。今日まあ一千億あるいはそれ以上になる国の金を石炭企業に使おうとしておる、そういう答申が出ておるのですが、もちろん社会的な摩擦というものが非常に石炭産業には多いので、こういった政治的な配慮というのがされるのですが、こういう国の規制、経理の監督強化というものは困るという立場を御説明をいただきたいと思うのです。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) ただいまの元本均等償還方式というものについてのお話ですが、これは先ほど井上局長からもお話がございましたように、元本を返すその分だけがこれは会社の収入にはなるけれども、現金が入るわけじゃないわけです、会社に。したがって、現在赤字を続けておる石炭鉱業としては金が入らないのですから、実際。収支計算の上では黒字になるかもしらぬけれども、現実の経営の面については現金的には非常な赤字ですよ。これが資金繰りに詰まるから、会社が倒れてしまいますよ。そこでこの二百円に相当するものは何か坑道助成金かなんかの形でひとつお考え願いたい、こういうふうに申し上げたつもりであります。  それから第二の、監督、規制の問題につきましては、私どもは国家がこれほどの保護をやってくれるのに対して、全然規制をこれ以上してくれるなというようなことは申し上げておりません。ある程度の規制をするのは当然のことでしょう。しかし、いわゆる抜本的な措置をとったら抜本的な規制をするのだという、そういう気持ちであってもらっては困る。できるだけおとならしい監督指導をしていただきたい、あまりみみっちいことを言わんでくれと、こういう話を実は申し上げたのです。したがって、それに関連して、一〇%の利益があがった場合にはすぐ補助を打ち切るとか、一五%になった場合には借金を返させるとか、そういうことをあまり言わんで、ある期間はじっとしてひとつ企業にまかせてやって力をつけさして、返さしてもらうようにしてもらいたい、こういうことを希望として申し上げたわけです。

小野明日本社会党

○小野明君 今度の答申にもこの点ははっきり出ているのですね。経理の規制という面は、この点で通産大臣の御意見を伺いたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは政府案が最終的にどうなるか、しかし、いずれにしても相当の、千億程度の財政の肩がわりを必要とするわけでありますから、これは通産大臣としては、国民的な立場に立たざるを得ない、したがって、ある程度の経理に対しては、われわれとしては経理が厳正に行なわれるということの監督は当然のことだと思います。おそらくいま大槻さんの言われることは、むやみに企業に口出ししてもらうようなことは、かえって企業の努力をそこなうものではないかという配慮だと思う。これだけの財政資金を使ってこれが、国がこの使途について監督をしないということはできない、これはもう当然のことだと思います。

小野明日本社会党

○小野明君 次に、山本参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、一千万トンのスクラップと、そうして三万人の整理と、こういうふうに証言されているのですが、先ほど答申が出たあと、井上局長の話を聞きますと、三万人の整理というものは、確かにきょう出しております数々の中にも出ているわけですね。そういった点で一千万トンのスクラップというたことは、一千万トンという数字をあげたことはありませんと、こういうふうに言われるわけですね。この点で多少食い違いがあるようですから、その点についてひとつ実際におやりになっている立場からどうなるのだということを、多少御説明願いたいのですが。

山本忠義日本炭鉱労働組合中央執行委員長

○参考人(山本忠義君) 鉱業審議会の中では、確かに一千万トンという数字については明確に述べられておりません。しかし、人員を三万人整理をする、このことについては明確に言われております。だから私どもはこの一千万トンかどうか、それは資料をむしろ先生方のほうから当局のほうに要求して、五千万トンに出てきた数字について厳密に批判をされますと、山別に閉山のことなんかも明らかになるのではないか、こういうふうに思っております。そういう面でお確かめいただきたいのですが、とにかく私どもにしますと、どんな山をどういうふうにつぶすにしても、今日は産炭地の地方自治体の崩壊にもつながる、しかもその年齢がきわめて多い人間を、お役人のほうではどういうふうに帳面づらを合わせるかどうか知らぬけれども、現実にそういうことが可能かどうか、ほかのほうに就職をあっせんする、どこへ連れていくと言うても……、そういうことを非常に心配しております。心配だけではなしに、実際に過去のいままでやってきた例の中から、明らかに高年齢者層の失業者というものが滞留しているわけです。これは何ぼ口でどういうことを言われても承認するわけにはいかぬ、こういう見地で、スクラップということば自体反対なんです。いまスクラップをしなくても、佐藤総理大臣が通産大臣のころにおっしゃったように、五千五百万トンということをきっちり守っていただければ、ある程度クッションが出るわけです。現実には五千百万トンしか出ておりませんから。まだ余裕がありますから、どんな小さな炭鉱といえども労働者と経営者のほうが一体となってやれば、あるいは代金決済の面等についても配慮をしてもらえば、ささやかながらでもつぶさなくてやっていくことができる。そういうところを炭労は、必ずしも大手並みの賃金を要求するということはやっていないわけです。実情に合った方向で、小さければ小さいなりに、地方自治体の要求の中にあって生き延びていく方法だって考えられる。だから抜本策の根本というのは、炭鉱をつぶしてスクラップ・アンド・ビルドをやるのだという観念を捨ててもらいたい。その誤りは第一次調査団と第二次調査団でおかしているじゃないですか、こういうことです。だから、もし需要がオーバーになるというような見地であれば、保安の問題についてきわめて関心を持つなら、一日だけでも、自主操短のかっこうになるかもしれませんけれども、保安点検の日にちをやっただけでも自主的に出炭の面でも規制ができるし、口先ばかりで言っている災害の撲滅もできる。一日休業をして、ある程度の賃金補償をしながら、坑内で保安点検をする、こういうことを勧告をし、実施して取り上げていけば、これは目に見えた効果があがってくる。そういう面からも出炭の規制ということができるのだから、いまこの際はもう少しスクラップなんていうことをやりなさんな、これは工場をつぶすわけじゃないのです。炭鉱の労働者が子供を学校にあげたり何なりして、細々生きている人間を失業者にしてしまうことだからやめてくれと、こういうことをはっきり言っているわけです。で、そういうことを修正しても必らずやっていける。この例があります。というのは、かつて北海道の茅沼炭鉱というのがあったのですが、あそこは暖房用炭についてはほかのほうから持ってくると非常に高くなるわけですから、地方自治体、町ぐるみで要求して、いま泊炭鉱という会社をつくって非常によくやってるんです。従業員も幸福になっているし、あの町の人たちも石炭が安い値段で入ってくるわけですから、ああいう施策をやっていけば、何も山をつぶす、一千万トンをスクラップ、三万人労働者を整理しなければ炭鉱が再建できないんだということには絶対にならぬ。だがら一千億円出すのも二千億円出すのも同じなんだから、そこに見地を求めていけば、抜本策というなら、政府与党並びに時の総理大臣が五千五百万トンを約束して、首を切られたあとでも能率を上げろと、こうやって能率を上げてきたわけですから、そういう面からやっていくと、もう少しほんとの意味での抜本策をやれば、われらもよくなるし、地方自治体もよくなるし、石炭経営者もよくなる。そういうやつを見識をもってきちっと立てていただけば、私たち必らずしも努力をしないと言ってるんじゃないのですから、いままでの実情の中で努力をしてきておるんですから、必ず世論にこたえる。いいかげんな案で、いいかげんな対策だからおれたちも泣かされるし、国民にもしかられるし、政治は不在だ、こういうことになる。全部悪くなってしまうことだから、ひとつ今度はそういうことをしないでくれといって政策懇談会のメンバーの人々に言ったわけです。七年間やってきてよく実情がわかってるはずなんだから、炭鉱夫やっても七年たてば先山だ。七年間いてもまだ先山にならぬというような答申案の内容だ、こういうふうにさっきは言った次第です。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 三井鉱山社長の倉田参考人にお尋ねします。いま小野委員の質問に対し、山本参考人から、三万人の首切り、これは能率によって違うでしょうが、三万人整理した場合に一千万トンなり八百万トンになるかわかりませんけれども、まあそういうことになるのですね。ところが、いま五千万トンから五千五百万トンしか出ておらぬ。これに対して三万人首切って八百万トンか千万トン分を整理するというふうになると、四千万トンしか確保できないということになる。一方、新鉱開発を熱心にやっておられるかということになると、あまり新鉱開発も熱心に行なわれない。そこで、私どもがいろいろ勉強しておるわけですが、昨年の暮れから本年にかけて、この答申を出すために各社にそれぞれ資料を出していただいたはずなんです、通産当局がね。これは私、三井さんの例を申し上げているんじゃない。石炭全体の会社のことを申し上げておるんですが、その場合、三井、三菱、住友、あるいは北炭から雄別、太平洋、大手、中小問わず、私のところは六十トン、私のところは七十トンというて膨大な計画書を出したために、このままでいけば現有勢力でも五千五百万トン、六千万トンになるといって、どうも政策懇談会のメンバーの方とか小委員会のメンバーの方々が、これはたいへんなことだということになって三万人の首切りを出したと承っておる。したがって、皆さん方各社が出された数字は、もちろん倉田さんはほかの社のことは御承知おきないかもしれぬけれども、一般論としてそういうことがあるかないかということをお尋ねしたい。

倉田興人三井鉱山株式会社社長

○参考人(倉田興人君) 大手全体のことにつきまして私もあまり詳しく存じておりませんが、大手のほうで閉山ということも、これは一社の中でも、また、一つの事業所の中でも、いままでのように一事業所をぽんとつぶすということではなしに、その鉱業所内に一坑とか二坑とか三坑とかありますね、その中にも、やはり一番経済性のない山、そしてまあ炭量も少なくなっている、そしてコストも深部採掘その他でかかるというようなものを、これをつぶしていくということは、どうしてもこれはやはり生産性を向上する、能率を上げていく上からは必要なんでございます。ですから、これからいま五十三トン、これは私どものほうの例ですが、五十三トンの能率を四十五年には六十トンにすると、三池、芦別のごときは七十トンにするという目標で進みますと、これはやはり機械化を十分やって、そしてどうせ能率は一人一カ月幾らという数字で出すのですから、ですから、人間は減りっぱなしにする、あるいは、また、先ほど申し上げましたように、悪いほうはつぶして、そしてほかのほうにそれを移せるだけは移すけれども、人員減は減のままにいくというようなかっこうでいきますと、やはりこれは先ほど山本さんからお話がありましたが、静かな撤退ということで人を減らしていくということは起こっております。全体的な問題でどこの会社がどうされるということについては、数字を私つかんでおりません。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 次に、大手の原参考人と中小の上田参考人にお尋ねしますが、国鉄運賃ですが、さいぜん上田さんから若干触れられましたが、前回運賃が延納などという形でまだ処理がつかぬですね。ところで、今回また上がったために、大手は各社の連帯責任、中小は事業団の保証ということで残っているわけです。先日の委員会で、百円の補給金、これは運賃代にもならぬじゃないかという話を通産当局としたわけですが、運賃は、当然これが出ると処理されるものだというように考えておりますが、運賃について、これは各社によって違うと思いますが、平均とにかく九十円くらいです。前回でもまだ残っているわけです。百円補給金つけても、皆さま方の意向は、とても百円では承知できないという御意向ですが、この運賃の処理についてどういうお考えを持っておるか、あるいは通産当局として運賃の処理について抜本対策の中でどう処置をするかということを通産大臣にお尋ねします。

原功一北海道炭砿汽船株式会社副社長

○参考人(原功一君) 原でございます。ただいまお話の運賃補助につきましては、確かに延納をいたしております。この延納分も、再三にわたりまして審議会の先生方に、何とか運賃補助というようなことでお願いしたいということでずっとお願いし続けておったのでございますが、今回の措置では運賃措置が残念ながら入っておりません。したがいまして、延納分につきましては自力で払う、今後自力で払っていくということをやむなくさせられたわけでありますが、したがいまして、いま大槻社長からも申し上げましたように、市中銀行の今後の借り増しの資金がつかなければ、この延納分、たな上げ分の支払いができない、こういう状況でございます。今後は、一つにかかって金融を達成できるかどうか、金融を達成して、それからお支払いをしていくということでございまして、金融がつかなければこれはなかなか払っていけない。全社的に見て払っていけない、こういうことでございます。

上田清次郎上田鉱業株式会社社長

○参考人(上田清次郎君) 国鉄運賃の延納のお尋ねでありまするが、これはいま前者が御答弁申し上げたようなものではないと思います。これは必ずとられるんだ、われわれは払わなければならぬ。この延納措置が出る前の私たちの一般の風評は、とにかく延納ということにしておけば、結局その時点には払わなくて済むだろうというような風評が流されておったのであります。私どももその風評を、まずそうなるだろう、あまり炭鉱が悪いから、救済策においてはそういうことが出てくるだろうというようなことを考えておったわけであります。ところが、運輸委員あたりの意見を聞くと、これは何といっても絶対払わなければならぬ。したがって、この延納ということは、これに相当する金額の金融がいまつくのだというだけでありまして、これは払う時期がくれば必ず払わなければならぬのでありますから、われわれの負担に当然なるのであります。  それから、先ほどお尋ねがありました審議会委員の中の植田というのは、あれは上田違いでございまして、私どものほうの連合会長の植田でございまして、ただし、私は、連合会長の植田が帰ってきましてからの私どもの話には、あの答申案については、これではたして抜本策になるだろうかと、私どもは抜本策になるとは言えないということだけは伝達をして、全面的賛成はしてなかったはずに心得ております。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) ただいまの阿部委員の質問は具体的な内容でありますから、井上石炭局長のほうから答弁をさしてもらいたいという希望がありますので、井上石炭局長のほうから答弁するようにいたします。

井上亮通商産業省石炭局長

○政府委員(井上亮君) お答えいたします。  ただいま運賃が支払えないかというような問題でございますが、石炭鉱業審議会の政策懇談会におかれましては、諸先生方御承知のように、開発銀行の平田さんが主査になられまして、各社の今後の五カ年間の経理状態をつぶさに検討されたわけでございます。この検討に際しまして、各社から綿密ないろいろな諸資料を平田さんはとられまして御検討されたわけでございます。その検討の中には、来年以降、いままで延納になっておりました運賃は支払うもの、支払うということを前提にした経理、したがいまして、先ほど私平均的に見まして、大手では追加負担を含めて五百円程度の赤字があると申し上げましたが、この赤字の中には、運賃の延納を支払うという前提のものが入っての内容でございまして、ちょっとその点補足させていただきたいと思います。

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 ちょっと関連。上田参考人にちょっとお尋ねをいたしますが、安定補給金が百円ではいま運賃にも見合わない、こういうお話でございました。それから、一千億の肩がわりでわれわれのほうは六十億か七十億ぐらい。そうすると、トン当たり百五十円くらいの利益になる。そうすると、補給金の百円を加えると二百五十円、そういうことではとても炭鉱の経営は将来やっていけないというようなお話でございます。安定補給金も多いほどそれはいいのでありましょうが、これにも限度がありますから、大体どれくらいならあなた方としては将来の炭鉱の経営ができるであろう、こういうお考えでございますか。

上田清次郎上田鉱業株式会社社長

○参考人(上田清次郎君) お尋ねにあずかりました安定補給金は、理由としてはお尋ねのとおりでありますが、先ほども申し上げましたように、安定補給金の百円では、鉄道運賃だけで八十七円、それからいろいろ今後、従来に比べて将来直ちに負担増になるものだけで二百二十二円になります。なお、労賃の七%値上がり、こういうものは年々上がっていくのでありまするから、四十五年度になれば四百円以上上がります。これを合わせますと六百二十円ほどの負担増になってまいります。二百五十円いただいても、なおかつ従来に比べたら相当足らないようになるわけで、ぜひともこの負担額全部ということではありませんが、少なくとも安定補給金の百円というものを三百円程度にしていただいて、肩がわりの大手、中小の比較のとれないものの穴埋めということで、ぜひ三百円いただきたい。また、穴埋めという意味が一つと、それだけいただかなければやっていけませんということを申し上げておるわけでございます。

二木謙吾自由民主党

○二木謙吾君 それから、大槻参考人にちょっとお尋ねいたします。いま閉山をするについては、トン当たり七千円、あるいは八千円、一万円もかかるような炭鉱もある。それで閉山の答申案が二千円になっているが、それではとてもわれわれのほうはまた累積赤字が出る、こういうお話でございましたが、上田さんは、これも閉山の費用が多いほどそれはもとよりいいのでありましょうが、上田さんは、まずまず答申案は二千円出ているが、三千円ぐらいなければわれわれはやっていけない、こういうようなお話がございましたが、あなた方大手のほうはどのくらいに、金額としてはどうお考えでございましょうか。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) ただいまの御質問でございますが、七千円、八千円というのは大手の実績なんでございます。大手と中小との一番大きな違いは、やはり退職手当にあると思います。この閉山費用の大部分が退職手当であるということのために、大手が非常に多くかかっている。それと、もう一つは、やはり鉱害の面でも、残存鉱害という面でも中小より大手のほうがずっと大きいのではないかと思います。したがいまして、上田さんとのお話に食い違いがありますのは実績上の違いである、こういうことでございます。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 さいぜん上田参考人から訂正のおことばがございましたが、私申し上げたのは、上田参考人と同じ組織の連合会の植田勲さんということで申し上げておりますので、誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  次に、塩谷参考人にお尋ねいたしますが、実は、私ども年金は昨年からいろいろ話をしてまいりまして、炭労等の強い要望が前々からあったわけですが、これは中小炭鉱で年金制度を設けても、経営者みずからとても金を積み立てることができませんというような話もありましたし、実態を知っているものですから、一切政府にやっていただくということで労働省当局にもお願いしたりして、おそらく明年度の予算は今年八月三十日に一応出さなければなりませんから、そういうことで国の一般会計の中で出すものだというように私ども理解しておりましたけれども、その方針に従って厚生省の年金局で企画立案しているように心得ておったところが、いま大槻参考人のお話を伺っておりましたが、年金はわれわれの力で負えませんというような話なんで、大手がそういうことをおっしゃるのだったら、ますます中小の場合に私は特に影響してくるのでなかろうかという心配があるわけです。ですから、そういう点を率直にお話をいただくと同時に、山本、松葉両参考人にお尋ねしたいことは、はたしてそういう場合にそういうふうに出してもらってやれる山があるか、実際国の負担があればどうか、そういうきめのこまかいところを参考までにお知らせいただきたいと、こういうわけです。

塩谷猛三省鉱業株式会社社長

○参考人(塩谷猛君) いまの御質問に対して、気持ちとして、私は坑内で働ける人は国の宝だ、ぜひその制度が必要だと、これは経営者の道義としていつも感じております。現に長期銀行に行って、何とかわれわれの一部の負担、あなた方の力でできぬかということをお願いいたしました。まことにこの残された十万に及ばぬこの人たちは、さっきお話がありましたが、七年、八年で先山になれません。今後の保安その他を考えますと、これは宝です。これが心境であります。ただ、それについてできるかどうかということになりますと、今度の四十円負担というのはたいへんなことで、きのうまでみんなで話しております。先ほど大槻参考人からおっしゃったできる体制にしてやりたい、これが心境であります。  一言言わせていただきますけれども、私は、長期戦必要かどうかということが肝心ではないでしょうか。私は、今度の答申を見て、死活を賭して立て直すように胸に刻みました。私は八十日の無期ストの矢おもてに立ったそのどろ沼を助けていただいたので言わせていただきたい。これは日本炭鉱労働組合長の阿部先生であり、道炭労の委員長である大矢先生に救われたそのときにはまだ余裕がありました。しかし、いまその炭労の表彰を受けた組合は、私の労務課長、どうか炭鉱の体質を考えてください。瀕死の重体が、治療と投薬を答申によってきめられ、これを投ずる。気力を持てというのが私は政策だと思う。これがあればやります。胸の中には、二度と繰り返したくない。八十トン出ておる、そして五千万トン国民に対して責任とらなければという気持ちも持っております。労働集約産業なんです、そこに生きがいを感じております。かわいいです。この産業に誇りを持っている。私は元軍人でした。あの御詔勅の御ことばを賜わって北海道へ来ました。いまでもとことんまで炭鉱で生きたいという気持ちになりました。しかし、炭労の委員長のおっしゃった、あの筑豊から五十人を一班にして東京につれてきてテレビ塔に上げました。子供は夢中で喜んでおりました。しかし、そのときでも私は三十代の人しか採用できません。若い人が入ってくれるだろうかと思ってきました。おとうさん方は決意しております。しかし、薄雪の札幌におりたおくさん方は涙ぐんでおりました。これは十万人しかいないんです。ここに参考人の大手の社長の中にも、責任の上に進退は決意しておられるおことばを聞きました。もう八百六十人か何かしかいないんです。がんばれますかどうか。いまさら大物の通産大臣と、たぐいない井上局長にたよるほかないんです。私どもは、その組合も体質を改善して変わってきたんです。経営参加すら考えております。先ほどから言われた内容は、過去五億トン、二兆円は一トンも違わず出したはずだ。どうか大臣、国民にPRして、やるのは私たちだが、年金制度を、何とかしてこの残された者に後顧の憂いないようにするために、企業家としてもできる責任をとっていく気持ちでございます。

山本忠義日本炭鉱労働組合中央執行委員長

○参考人(山本忠義君) 年金のことなんですが、私どもの感じを率直に申し上げます。というのは、賃金でも何でも、さかさに振っても鼻血しか出ないということで七%、ほかのほうの相場では一〇%、一二%上がっているのにがまんしてきているんです。期末手当が四万二千八百円、そういう実情からしますと、私どもはこの年金をずいぶん三年越しお願いをして、労働省その他の努力で日の目を見てきているんですが、あの答申案の内容から見ますと、これをやるなということと同じことだという印象を持っております。というのは、会社に原資を出せ、こういうわけですから、これは政策懇談会のメンバーの先生方はどんな経理審査をされておるか知りませんけれども、そういうことで、労働環境の整備も労働賃金についても不遇にあるものが、年金というものを出す原資があったらとうに出しておったし、私どもも力がなかったわけではないから、会社に交渉して取っておったと思うんです。それが出せない理由がそこにあるのに、なおかつ国のほうの施策に待たぬで会社側に出しなさい、こういうわけですから、これはうまいことをおっしゃっても、これは出さなくてもいいということのようだわい、こういう印象を率直に持っております。ですから、再三お願いしておるのは、国のほうで思い切ってやっていただきたい。いろいろな施策があるはずですから、そういう面で考えてもらいたいということは長年にわたって陳情申し上げたつもりです。  それから、もう一つ、これもいいかげんなようなことになるんですが、議論をずいぶんしていると、しまいにおかしくなる。学識経験者というか、偉い人のやり方は、初めの着想はいいことで、たよりにしていると、だんだん議論しているとおかしなことになる。というのは、炭鉱夫というのは平均年齢四十歳、四十五歳といっているのは、たびたびの企業合理化の中でみな年寄りばかりで、十年も二十年も働いて、しかも若手の労務者が入ってこない。三万人首切り、そんなところへ新しい人が入ってこない。そういうことを考えてみますと、年金の過去通算なんですが、これは例がないというかもしれないけれども、そういうことにしがみついておったのでは仏つくって魂入れずで、これから十年、二十年つとめた人には年金をあげますというのは、五十五歳でいまやめた人は三十年、四十年働いても何にもならない、二千円程度のお涙もらうかどうか、そんなような発想です。大体根本的なものの考え方が人をばかにしている、実情をよくわかっていない、こういうふうに考えています。だから、御要望といたしましては、そういう実情の上に立って、いままで二十年、三十年続けて坑内で働いたり坑外で働いてきた人は、なるほどいいところへ行った者もいるのですけれども、しがみついていてよかったということにしてもらうような意味で年金制度を根本的に考えてもらいたい、こういうふうに考えています。

松葉幸生全国炭鉱職員労働組合協議会議長

○参考人(松葉幸生君) 今度の答申をつくりますのに、年金の問題についてもいろいろぼくらも相談を受けたことがあるのです。その過程ですが、経営者が持つということはなかった。これは国が全額持つのだ。なぜそういうことを申し上げますかといいますと、ぼくらは少し出しましょうという立場をとっておった。というのは、給付の対象も、遺族年金あるいは障害年金等も含めてという要求もありましたし、坑外夫にもという要求もありましたから、全然出さぬで国にばかりおんぶするのはあまりにてまえがって過ぎるだろうということから、少しは自分たちも保険料を負担してもよろしゅうございますということだったけれども、国が全部持つという御説明だったのです。答申を見てみましたら、経営者に出せと書いてある。これは収支改善自体が不徹底だということがまず基底にある。それも含めて十分やっていけるのだということが計算上から判断されているかどうか知りませんけれども、先ほどから言うように、それは不可能だ。そうしますと、今回の収支改善策では、経営者が出す意欲はない。その結果はどうなるか、退職金の肩がわりを言い出してくるか、あるいは未納の企業が出てくる。そうすると、その場合にどうなるか。退職金の肩がわりだったらもともと全然意味がない。途中で未納になったという場合には、必ず閉山交付金の中から先取りされる。そうしますと、当然ほかの問題にしわ寄せされる。賃金カットされ、もとのもくあみというふうになりかねないのじゃないか。端的に申し上げますと、私は、今回の施策を前提とする場合に、企業が今後長期にわたってその負担能力がないということが端的に申し上げられると思います。それから、いま一つ申し上げたいのは、坑内夫ということで限定されておりますけれども、これはまあ常識的に見た場合にはそうだろうという印象が強いと思います。というのは、坑外夫はよその産業と同じじゃないか。ところが、年金を言い出された場合に問題になりましたのは、やはり坑内労働という特殊な性格もあります。先ほどもお話がありましたが、炭鉱の低賃金を長い目で見ますと、見返りということで、当面は早急な改善ができないから、そういう意味で長い希望を持たせるという一つのあらわれであるという御説明であったのです。ところが、そういう視点から見ますと、炭鉱の坑外夫というのは、賃金面から見ると一番みじめであると思う。四十、五十になって二万円前後、中小炭鉱のはなはだしいところでは、生活保護をもらったほうがいいという層がたくさんあるのです。現実に、ある企業では、在職しながら生活保護をもらわなければならぬといういびつな状態まで出ている。これは特に坑外夫の場合に問題あるわけです。そうしますと、こういう一つの炭鉱における賃金序列でもあります、坑内夫中心の炭鉱での。坑外夫になりますと、賃金の面から見ますと一番みじめな状態にあるのです。その人たちには適用しない、こういうかっこうになっております。いままで私たちが御説明を受けた範囲、あるいは答申の内容から見ますとそういうことになります。はたしてそういうことが全体として炭鉱労働者に希望を持たし、意欲を持たすことにプラスになるのかどうか、結局収支改善もそうでありますが、一文惜しみの百文知らず、八割ないし九割は効果があるはずのものが、あとの一割、二割についてみみっちい根性で施策を展開しなかったために、収支改善の問題にしても年金の問題にしても、所期の効果が達成されないで、逆に車輪が走り出す可能性がある。こういうふうに、年金の問題でも、あとの細部の問題になりますが、非常にそういう点できれいごとの理論的な整理だけをして、炭鉱の実態、労働力確保という全体的な視点からの取り上げ方というものが欠けているんじゃないかというような気もいたしておりますので、その点もあわせて申し上げておきます。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 大槻参考人にちょっとお尋ねいたしますが、なるほどお説のとおり、今回の対策は収支じりを合わせるという点のみに重点が置かれておるようでございますが、非常に資金繰りにお困りになっておる。運転資金の面というような点においては、今度の答申もほとんど盛られていない、全くお説のとおりでございますが、たとえばこの一千億の肩がわりにいたしましても、会社を素通りして、そして金融機関に渡すと、こういうことになっておるようでございますが、業界のほうとしては、一応これを会社に渡して、それから金融機関に支払うと、こういう御希望がひとしく業界の皆さま方におありであるかどうだか、その点をちょっとお漏らしいただきたいと思います。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) ただいまの御質問にお答えいたします。  その元本の返済金というのはひもつきの金なんですね。したがって、その金を経営者側のほうで自由に使えるという筋のものではないわけですね。したがって、その元本返済のためのその金をかりに会社が直接受け取ってみても、返さざるを得ないということになると思います、対銀行関係から考えますと。したがって、それではどうにもなりませんので、私の考えとしましては、むしろ二百円の原資というものを百円ぐらいにして、その百円を何とか特殊の坑道補給とか何とかというふうな名目でやってもらえぬかというふうな考えは持っていますけれども、返ってきたものを全部自分のところで使って、金融機関に返さないんだというようなことはとうていできないと思うのであります。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 いや、私が申し上げているのは、一応会社のほうの手を通じて、それから金融機関にと、こういうことになれば一時的に資金繰りでもできるんじゃないかと、そういう御希望が皆さんにあるんじゃないかというような点をちょっとお尋ねしたわけです。むろん金融機関に返さなければならぬことは当然ですけれども、会社も非常に資金繰りに苦しんでいらっしゃるので、まあ失礼な言い方ですけれども、それで一時的にでも資金繰りができるんじゃないかと、こういうお考えがおありじゃないかと、そうするともっとこれは効果的じゃないか。まあ一部そういうお話も私聞きましたのでお聞しているのです。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) ただいまのお話でございますが、一時でも融通させてもらえるということであれば非常に資金繰りが助かるということは事実でございます。ですけれども、結局相手のあることでありますので、それはケース・バイ・ケースの話し合いということになるんじゃないかというふうに考えられます。で、希望しないかするかということを言われれば、それはもちろん希望するということを申し上げざるを得ないと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 それから、なお大槻参考人の方にお尋ねしたいのですが、先ほど市中銀行はなかなか融資をしてくれない、金を貸してくれと言っても簡単に金を貸してくれない。何らかの方法で政府に強力な行政的にとはおっしゃらなかったようですが、何か処置をしてもらえればはなはだ幸いだというようなことをおっしゃった。それは具体的にどういう……。

大槻文平三菱鉱業株式会社社長

○参考人(大槻文平君) ただいまの御質問でございますが、銀行というのは、預金者から金を集めて、そしてその金を貸してもうけながら銀行という株式会社を運営していくという仕事でございますね。これは申し上げるまでもないことでございますけれども、したがいまして、返るというめどのない金は貸さないというのが原則です。で、いま炭鉱の場合は、したがって、銀行は赤字融資はしない、黒字の会社だけにしか金を貸さないというのがたてまえです。で、また、金を貸す場合にも、保証なりあるいは担保を取るということが通常の場合行なわれるわけでございますけれども、炭鉱会社には大体において担保力はない。そうして、これから先の収支の見通しから見ても、それは先行き明るい面はないということになれば、銀行として金を貸さないというのは、これはあたりまえのことじゃないか。かりに貸してまた今度のように五%しか利子負担しないとかいうようなことで金利を切られるというようなことにまたなるのじゃないか。そういうことではとても貸せないということになるのじゃないかと思うのであります。したがって、いま最大のこの答申案の問題点は、いかにして金融をつけるかということになると思うので、その金融をつけるためには、政府保証なり、あるいは非常に強力な何か行政的な指導を金融界につけてもらうという必要があるのじゃなかろうかと思うのであります。というのは、御承知のように、この間の石炭鉱業審議会の総会には、私どもの麻生会長が向こうの全銀連の会長に対して、ぜひ出席して意見を述べてくれということを話して、了解を得ておったというふうに私は聞いておるのでありますけれども、当日銀行の代表者は出席しておりません。これはどういうことかというと、明らかに消極的な抵抗をすでに示しておるということが言えるのじゃないかと思います。また、炭鉱の先き行きの状態が明るくない、悪いのじゃないかということは、今回の答申が発表されるやいなや、石炭会社の株は全部二、三円ずつ下がって、あの敏感な証券業界がそういうことをはっきりわれわれに教えてくれておる、そう思うのであります。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 山本さんにお尋ねしますが、新聞の報道なんかを見ますというと、御承知のように、九州は非常に炭鉱が老齢でありますし、閉山の交付金が八百円もアップになった、だから、この際、もう閉山したらいいのじゃないか、中小炭鉱の中には先を見越して閉山を急ぐ気配がある。これは上田さんにもお尋ねしていいですが、そういうような現地の山元において、非常ないわゆる人心の動揺と申しますか、そういう点はどういうふうにあらわれておりますか、事実ですね。私どもまだ現地に参りませんし、わかりませんので、不明ではなはだ申しかねますが、実際あなた方がどういうふうにキャッチしていらっしゃるか。現地の模様ですね、簡単でようございますから。

山本忠義日本炭鉱労働組合中央執行委員長

○参考人(山本忠義君) 現実に私も現地に行って来たわけではございませんのであれでございますけれども、まあ電話連絡その他で、答申が出たあと、私どもの傘下の支部から聞いておるのは、非常にもうがっかりした。抜本策と、こういうのですからね。いままで苦労して生き残ってやってきたのは、少しはよくなるだろう、こういうふうに期待しておったのが、三万人も首切られると死んでしまうのだ、こんなようなことになってしまったものですから、非常に動揺しているのです。これは経営者のほうがむしろ心配しなきゃならぬことかもしれませんけれども、離山ムードというやつが高まる可能性は非常にある。しんぼうして待っておった連中も、この際どこかへ行ったほうがいいぞと、こういうことが非常に多くなるのじゃないか。それから、中小炭鉱はいまでも優秀な坑内夫についての人手不足に悩んでおることは、これは大手もそうですけれども、事実です。そうなれば、大手よりも労働環境の悪いところですから、なおかつ、そういう面で非常に動揺するのではないのかと、こういうふうに考えております。だから、第一次調査団のときに、五カ年間で十一万人を整理しなさいといったときに、二年くらいで一挙にいってしまったのと同じように、今度は会社のほうがしりをたたくとたたくまいと、労働者のほうが自発的にどこかに去ってしまうというような危険性が非常にあるのではないのかと、こういうふうにきわめて心配をしている次第でございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 時間もほんとうにおそくなって、参考人の皆さんには御迷惑と思いますが、簡単にもう一、二お尋ねしたいと思います。  松葉さんでございますか、先ほど年金問題が出て、現地の事情などよく承りましたが、私も全く同感で、この答申に盛られております内容は坑内労務者を対象としてある。これに対しましては、私どもとしてはあくまでも反対で、坑の内外を問わず、優遇してあげなければならない、こういう考えを持っておりますが、あなた方もその点につきまして強力にこの点は推していただきたい。私どももその点を十分考えております。そこで、通産大臣にお尋ねしますが、この答申案に出ておる坑内労務者に対して年金制度を設ける、これに対して坑外労務者を省いてあることに対しましては通産大臣はどういうようにお考えになっておるか。私は、坑の内外を問わず、当然差別をつくべきではない、かように存じておりますが、通産大臣並びに労働大臣、これは厚生関係ではあると思いますけれども、これは何も現地の方とこちらと食い違うとか何とかじゃないのだから、御見解を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 鬼木さん御承知のように、坑内の労働というものは、他の労働と比べて非常なやはり特殊な性質を帯びておりますし、われわれ炭鉱に参りましても、こういう人たちは条件はよくないですから、何とかこういう人たちに対して年金制度のようなものがあって、安心ができるような処置をとりたいとかねがね願っており、この抜本策が出る出ないにかかわらず、明年度からは年金制度を実施したいという考えでございます。この坑内夫というものを対象にしたことは、その労働が非常に特殊な性質を帯びておるということで対象に取り上げたわけでございます。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 今度の答申に対しまして通産大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるか。その点を私は根本的にあなたの考えをお聞きしたいと思う。先ほどから参考人のお話がるる申し述べられておりましたごとく、大体大かたの見方は、せいぜい五年間程度であって、これは意外に短命な抜本策になりそうだ、こういう批評が全体のようでございますが、思うに、こうしたわれわれの不満な答申が出たという最大の理由は、石炭の位置づけの根拠があまりにも薄いということではないかと思うのです。大臣の御見解を承りたいのですが、石油との価格差など、総合的なエネルギー政策の立場から十分な私は検討が加えられていないのじゃないか。いわゆる石炭の位置づけというのは、ただ単に生産目標を設定するということだけではないと思うのであります。これはもうよく大臣はおわかりと思うが、割り高な国内炭の需要を長期にわたって確保する、それに見合った生産規模を維持していくということでなければならぬと思うのです。ここに私は誤りがあるのじゃないかと思うのです。今回の答申が炭価据え置き、炭価はそのままにしておくのだ、これが一つの暗黙の了解事項として、価格の分析がしていない。とりわけ、先ほど申しましたように、エネルギーとの価格比較から見た石炭対策という大事な手ぬかりがある。これが根本となって、私は、この答申が全部われわれの不満になっておる結果だ、これが私は根本だと思っておる。だから、一千万トンのスクラップ、それによって三万人の離職者を出す、これ全部私はこの石炭の位置づけという根本問題からきた結果だと思う。そういう点について大臣のはっきりした御見解を承わりたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私は、この答申、これは政府の最終案ではない、非常にこれは参考にして政府は政府の態度をきめるわけですが、きわめて抜本的なこれは答申である。これが三年や四年でこの問題がすぐにしりを割るようには考えてないのでございます。石炭に携わっておる方々、これは経営者にも労働組合にもいろいろな御不満があるようでありますが、考えてみなければならぬことは、一千億という財政資金を投じて、そうして過去の事業債務、これを財政的に肩がわりする、これはたいへんなことであります。また、一方においては特別会計を設ける。その特別会計というものは、将来、原油はふえていくわけでありますから、相当金額はふえるわけであります。この原油の関税を特別会計の中において石炭対策に充てる。また、一方においては安定補給金、金額にいろいろの批判があるようでありますが、とにかく純損に対して安定補給金を出そうというこの答申の考え方、これを抜本的と言わずしてそれ以上の石炭対策というものが考えられるのかと私は思う。これはやはり石炭鉱業自体からものを見るわけにいかぬ。国民経済全体から見て、これは非常なやはりこの答申の骨格というものは抜本的な問題に触れておると思うのでございます。  そこで、鬼木さんの言われる、これは単に重油とのコストの面ばかり考えたのではないかというような御発言でありましたが、やはりエネルギー源というものは、日本が立っていくためには国際競争力を強めていかなければならない。エネルギーの持っておる経済性というものを無視することはできない、やはりこれは考えなければいけない。しかし、石炭は、一方においては、これは地域経済、雇用の問題とも結びついておりますから、単にコスト主義だけで考えるということは、国民経済の立場としては許されない。その地域経済とか雇用の問題とか、こういうものとどの点にやはり調和をはかっていくかというところに出炭量というものもきめられていくわけでありまして、この五千万トン程度という出炭の目標というものは、コスト主義だけでというふうには私は考えてないので、非常なこれは全体の国民経済的立場で検討を加えられた数字であると受け取っておるのでございます。だから、今後は政府はいろいろな各方面の意見も聞きまして、そうしてこの骨格を、これを変更する考えはないのであります。しかし、いろいろな各方面の意見を聞いて、できる限りこの抜本策によって経営者もふるい立ってもらわなければならぬ。株は下がったというお話でありますが、これはやはりこれだけ出たら、これを基礎にしてひとつ石炭鉱業を立て直そうという意欲が経営者にもやはり労働組合にも私は必要だと思う。たいへんなこれは国家としては決意であります、これだけのことをするには。これは私は今後いろいろ政府として最終的な態度をきめるために各方面の意見を聞きたいと思っております。しかし、悪い悪いといってみんなが弱いならば株も下がるでしょう。みんながやっぱりこれを基礎にしてひとつやろうじゃないかと、こういう意欲が、やはり経営者にも労働組合側にも、できるだけいろんな点で今後私自身も各団体の意見を聞いて、できる限りみんながふるい立ってもらうよりほかない。国は千億円の財政資金で肩がわりして、これでも何とかふるい立たぬということでは国民に相済まぬと私は思っております。そういう点で、いろんな点を考えてこれはなされた答申であると実は思っておるのでございます。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) 鬼木さん、どうですか、だいぶ時間も経過しておりますので、できたらもう一問ぐらいにしてください。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 もうちょっと。大臣のお話はそれは当然のことであって、これはみな一体となって石炭産業の再建ということは、これは当然のことであって、しかし、私が申し上げておるのは、むろん先ほどから大臣のお話のように、総合エネルギー供給の経済性、それから安定性、あるいは地域社会に対する影響等の観点から、あらゆる観点からこうした答申が出たのだと、かように思います。むろんそうだと思います。しかし、私が申し上げておるのは、いささか答申が、その見方が試算ということばを使ってありますが、試算が、甘過ぎたのではないか、こう私は申し上げているのです。私がざっと調べましたところにおきましても、これは先ほどからおっしゃっておる離職三万人、今度は新たに閉山の影響を受ける市町村が全国で五十四に及んでおるようであります、人口減が三十五万人。そのほか、この市町村の税収入が三十九年度が三十九億円であったと思いますが、それが二十八億に激減した、生活保護者が二十万人が二十六万人というふうになる。なお、こうした試算において、はたしてこまかに私はよく検討されたかどうか。大臣のおっしゃるとおり、むろんその気持ちでおやりになって、審議会の答申、また、審議会の方々の労に対しては、私は大いに多といたします。それを否定しているわけではありません。大いに多といたしますが、少々観点が甘いのじゃないか。これは答弁は要りません。  そこで、労働大臣にお伺いしますが、先ほどから、まだこれからいろいろ研究中だという局長の答弁でありました。私が調査しました範囲内におきましては、関連商工業者の影響が非常に大きなものがあります。ここ数年のうちに関連商工業者の売り上げ高の減が四千億に達すると思われる。ことに、また中小企業の方々の離職をなさる方が二万五、六千人と私は推定しております。それが全部失業されるとは思われない。あるいは二分の一か三分の一だと思うが、こういう失業者も私はちまたにあふれると思います。こういうことに対して労働大臣はまだ研究中だとおっしゃっておりますけれども、いやしくもこの答申が出ましたら、それに対してあなた方の万全のお考えはあってしかるべきだと思うのですが、その点、労働大臣のお考えを承りたいと思います。そうしなければ、あまり安閑として、いま研究中だ研究中だと、こういう答申が出て、五千万トンということになればこういう影響があるのだ、われわれの関係にはこういう数字が出てくるのだというようなことは、当然私はお調べになっておくべきである。その点、労働大臣の御見解を承りたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 今回の答申について、先ほど通産大臣からもお話がありましたとおり、政府がこれをどう受け入れるか、これに基づいてどういうふうに今後やっていくかということは、御承知のとおり、まだ決定をいたしたわけではございません。しかし、いずれにいたしましても、その大綱等は尊重されるところでありましょうから、相当数炭鉱の離職者が出てまいります。あるいは、また、それとの関連において、中小企業者等においても、これまた転職と申しますか、あるいは廃業、そういった方が出るであろうということは、これは想像にかたくないのであります。ただ、しからば具体的にどこの地域でどれくらいのそれぞれの離職者が出るのかと、こういうことになりますというと、まだ具体的にどの山が一体廃鉱、整理をしようというのか、今後の様子を見なければ、先ほど来、石炭局長からお話を私は聞いておるのですが、まだ具体的には一体どこの地或でどれだけの人が出てくるのかということは、実際これはまだまだ実は現実的にはわからないわけであります。もちろん全般的な心がまえといたしましては、労働省は、もちろんそういうことが具体的になるに従って、また、具体的にどうするかという、何か当然これは持たなければなりませんし、また、それらの人たちの再就職等につきましても、きめこまかい施策を当然やらなければならない、そう心がけております。したがいまして、今後もそれらの点を十分通産当局とも連絡をとりながらやるつもりでございます。ただ、私は昨日も衆議院でも申したのでありますが、何と申しましても、同じ数の離職者が出るにいたしましても、地域的に非常に集約されて出るとか、時期的にあまりに急激に出るとか、こういうことになりますと、やはりその地域社会に与える影響ということもきわめて重視しなければならない重大でございますから、労働省の少なくとも立場からいたしますならば、そういう点も十分注意してこの合理化政策を進めていただきたい。この希望は今後ともわれわれは十分通産当局とも打ち合わせながらやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

大矢正日本社会党

○委員長(大矢正君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  参考人各位に申し上げます。  本日は、御多用中のところ、また、冷房装置不完備のために、暑い中、長時間貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。  構造的な危機に直面をいたしております石炭産業の建て直しは、各界各層の一致した協力と努力が必要でありまして、その意味におきましても、当委員会における参考人の各位の本日の御意見はまことに貴重なものがあり、今後われわれが委員会で審議を行なっていく上におきましての参考になったと判断をいたしております。本日はまことに長時間ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会

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