商工委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/09/26
会議録
○委員長(村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。 本日は通商産業、経済企画両大臣及び政務次官のあいさつと、渡良瀬川の鉱毒問題に関する件の調査を行なうことにいたしましたので、御了、水を願いたいと存じます。 —————————————
○委員長(村上春藏君) 次に、三木通商産業大臣、藤山経済企画庁長官、金子経済企画政務次官から、それぞれごあいさつのため発言を求められておりますので、順次これを許します。 まず、三木麺産大臣。
○国務大臣(三木武夫君) このたび通商産業大臣に留任をいたすことになりました。去年に引き続いて困難な通産行政に携わることになりましたので、各位の一そうの御協力をお願いいたす次第でございます。
○委員長(村上春藏君) 次に藤山経済企画庁長官。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先般の内閣改造にあたりまして、引き続き留任をすることになりました。今日までもいろいろ御協力いただいておりましたが、さらに、今後とも一そうの御鞭撻と御協力をいただきたいと思います。
○委員長(村上春藏君) 次に金子経済企画政務次官。
○説明員(金子一平君) 先般経済企画政務次官を命ぜられました金子一平でございます。よろしくお願いをいたします。 —————————————
○委員長(村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、渡良瀬川の鉱毒問題に関する件について調査を行ないます。 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○近藤英一郎君 質問に入る前に、本日の委員会の開会につきましては、委員長さん、理事さん、また委員の方々から早速御賛成いただきまして、まことに感謝にたえません。それと同時に、去る国会において、水質基準の設定に関する請願も御決定いただきまして、この点心から御礼を申し上げるわけでございます。 ただいまから三木大臣、また藤山経済企画庁長官等に対してお尋ねをいたしたいと思います。 最初に、水質基準設定の時期と対策についてでございますが、請願によって、いよいよへ基準を設定する段階に至りましたことは非常に地元として喜んでおるわけであります。もう御承知でもございましょうが、この渡良瀬川の鉱毒という面に関連しての問題は非常に古い問題でございます。古老の話や古い文書によりますと、明治の十年ころまでは非常に水質がよかった。しかも、その沿線にある桐生市とかあるいは足利市とか、そういうところは非常に機業で栄え、魚なんかも、サケ、アユ、コイ、フナなんかの魚類が非常に繁殖して、その当時の記録によりますと、漁夫が三千余人からおったというふうに言われておったわけであります。ところが明治十三年——大体足尾の銅山が発見されたのが一六一〇年だと言われておりますが、その後幕府の御用銅山となり、明治十年に時の政府から古河市兵衛が買い受け、そして積極的な製鋼と開発が始まったわけであります。ところが明治十三年、わずか二、三年ですでにその鉱毒の被害があらわれてきたわけであります。それは記録によりますと、栃木県会の藤川為親さんという方が、渡良瀬川には毒が流れておる。だから魚はとってはいけないし、たとえとってもそれを売買してはいけない、そうしたおふれを出したということが記録に残されておるわけであります。最初は、農民は原因がどこにあるかわからなかったと言われておるのですが、その後だんだんと被害が大きくなりまして、流産をする御婦人、あるいは頭の毛が抜けるとか、胃が悪くなるとか、そういう現象が極度に出てきたということが記録されております。われわれの先輩の田中正造という先生が明治二十三年に衆議院議員に当選されて、二十四年の十二月に第二回の帝国議会で、初めて足尾の鉱毒問題について政府に質問してから、この問題は非常に世論が沸騰してまいりまして、大きくなってきたわけであります。それで一番熾烈な運動があったときが明治三十年から三十四年のときといわれておるんですが、その間、大挙上京して、町の政府に、あるいは国会に陳情、請願が繰り返されたわけであります。政府もだんだんやかましくなってきたので、三十年の五月には古河鉱業に対して鉱毒の予防命令を出したという記録があるわけであります。一番激しかったその大挙請願の時期が明治三十三年だといわれておるんですが、このときには二千名からの農民がむしろ旗で、しかもわらじをはいて、竹やりを持って上京するというような非常に険悪な状況で上京しようと企てたんですが、途中で官憲にえらくはばまれて、結局最後は永島與八さんという人以下六十九名の検束行を出したという有名な川俣事件が発生したといわれております。田中先生は自分が政治家としてこの問題に真剣に取り組んで、何としても農民を鉱毒から救わなければならないんだ、そういう面から一個人の政治生命ということに対していろいろな批判があって、あるいは田中正造自身の政治生命の将来を延ばそうとしていると悪口を言われることを非常に気にしまして、明治三十四年の十月には衆議院議員を辞任して、その年の十二月に開院式還幸の明治天皇に直訴するという有名な事件があったのであります。そのときの田中先生の心境、それから農民の惨状、そうした面は、たまたま私のところに田中正造先生が書かれた軸があるんですが、これはいま大臣にお見せしたんですが、「虐げのあとは毒よりはけしけり馬にくはする民草もなし正造」と書いてあるんですけれども、これなんかは、おそらくしいたけ、官憲の圧迫のあとを強く意味しておるように感ぜられるわけであります。そうしたことから、一応明治の時代からそうした大きな政府に対する強い陳情、請願があったんですが、なかなかまだ根本的に解決しない問題があるわけでございます。現在でも群馬県と栃木県の一部を入れますと、約八千四百ヘクタールの耕地がこの水を使っておるわけでありますが、年間概算しても約三億円くらいの被害があると現在いわれております。 そこで、経過は以上にいたしまして、経済企画庁長官にお伺いいたしたいと思いますのは、昭和三十三年に水質保全法が制定せられて、この法律に基づく最初の調査河川として石狩、江戸、淀、木曽川とともに渡良瀬川も経済企画庁が調査の河川に指定して、調査を開始してからもうすでに今年にして七年になるわけであります。ところが、渡良瀬川であるこの本川がいまだ水域の指定も水質基準の決定もなされていないというのはどういうわけであるか。長い間の懸案ではありましたが、いっときも早く決定せられんことを地元の農民としては強く要望しておるわけであります。そこで、水域の指定並びに水質基準の決定は第一いつごろになるのか。それから水域の指定と水質基準の決定をすれば本問題は解決するのかどうか。あわせて対策をわれわれは必要とするものでありますけれども、この点についてまず長官のお考えをひとつ承りたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま近藤委員から渡良瀬川の問題につきまして、過去の状況から被害の甚大な状態の問題についてお話がございました。私も子供の時代ではございますけれども、田中正造のことについては、子供心にも感銘を受けたような事件でございますので、渡良瀬川の問題が重大だということは、私も十分承知しております。水質保全法ができまして指定河川になったわけでありますが、三十八年の一月に水質審議会に渡良瀬川を扱う特別部会をつくりまして、今日まで十五回の審議を重ねてきております。本年もすでに六月、九月に二回会合をしたわけであります。だんだんおくれて時間がたっておりますのは、まことに申しわけございませんけれども、水質基準の設定というものは、相当学者的良心のもとに委員の方々が厳格な調査をされておられるわけでありまして、われわれはそれを一日も早くできるようにお願いはしておりますけれども、若干おくれておりますことは、これは申しわけないと思います。できるだけ早く水質の基準をきめていくということは、これは当然のことでございますから、なお一そうひとつ委員の皆さま方にもお願いを申しまして、十分な調査をしていただいて、早急に決定するように取り進めてまいりたいと思います。同時に、水質基準がきまりましただけでは問題は解決しないわけで、それに対する対策等も必要になってくるのでございまして、その点につきましては、通産、農林、建設等の関係各省と相談をいたしておりまして、できれば水質基準の決定と同じ時期に、同時にその問題を発表していきたい、こう考えて仕事を進めておる次第でございます。
○近藤英一郎君 いまの長官のお答えで、できるだけ早い機会にやる、それからなお、水域の指定と水質基準の決定をするだけでは本問題は解決するのじゃないのだ、やっぱり対策も並行していかなければならぬ、こういうように答弁をお聞きしたのですが、なるべく早くやるというのは、承ると、ある情報では九月中にやろうということで、水質審議会の中の第六部会、いわゆる渡良瀬川を取り扱われる部会で急いでおったそうでありますけれども、その資料の内容等を検討し直す関係があって延びているように聞いておるのですが、なるべく早くというのは、いつごろ、年内を予定するのか、あるいは来月を予定するのか。とにかく七年もかかっている問題でございますので、その点をもう一度聞いておきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 企画庁の水資源局ではできるだけ年内くらいにできるように促進しておりますが、若干の遅速は起こるかと思いますけれども、大体方針としてはそういうふうに考えております。
○近藤英一郎君 次は、鉱毒の原因について承りたいと思うのですが、水質基準決定のための資料として水質調査をしたらしいが、鉱毒の原因は何か、またその源泉はどこにあるのか、すでに明らかにされていることと思うのです。長い問題でもありますので、おそらく調査ができておると思うのですが、説明をいただきたいと思うのです。それから農民側からすれば、鉱毒の源泉は、これはあとからいろいろまた触れてみたいと思うのですが、鉱山側にあると考えておるのですが、この点についてはどう考えておるか。それから鉱山が開始されなかった時代には下流の農作物の被害もなく、また魚類もすんでおったが、足尾銅山が始って新しい技術を入れ、機械を入れて、そうして採掘、製鋼が始ってから鉱毒が出てきたのでありますが、この点については、どういうお考えでおられるか、聞いておきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 事務当局から御説明いたします。
○説明員(森五郎君) ただいまの鉱毒は何かというお尋ねであります。先生非常によく御存じでございまして、釈迦に説法という感じがいたしますが、技術的な問題でございますので、私から答弁させていただきます。 先ほど来、近藤先生からいろいろ過去の歴史を伺いましたが、あの時代の鉱毒問題と現在の鉱毒問題とは若干問題が違うのじゃないかというふうに考えております。と申しますのは、古河市兵衛が足尾銅山を開いて、先はど近藤先生のお話で、ここで銅を採掘し、製錬をいたしておったのでありますが、このとき坑内から出てくる銅を溶かした水、すなわち硫酸銅を含んだ水を、当時は技術がまだ進んでおりませんでしたので、そのままもろにと申しますか、なまのまま渡良瀬川に流し込んだ。これが農民あるいは農作物にいろいろ被害を与えたということでございます。ところが、現在の鉱毒問題はそれとは若干性質が違いまして、現在は鉱山保安法に基づきまして、足尾銅山から出てまいりますそういった水、坑内から出てくる水というものは全部処理いたしております。無害な状態にして放流をいたしておるわけでございます。その監督はわれわれのほうでやっておるわけでありますが、ただ何しろ先生御承知のとおり、七十年来経営を続けてきておる日本有数の銅山であります。非常に古い時代からでございますから、その採掘をいたしましたいわゆるズリ、銅の品度の非常に低いもの、あるいは処理し終わっておるもの、こういうものが方々に堆積をしております。これは非常に広範囲にわたっております。最近の堆積のものは、いろいろ近代的な集積場その他をつくりましてそれにためて、そこから流れ出るようなことがないようにやっておるわけでございますが、何しろ降雨時におきまして、そういったものを洗った水——非常に広い範囲に銅の露頭がございますが、そういうものを洗った水が降雨時に渡良瀬川に入る。これは銅の鉱物が入ったものでございますが、そういったものが田に流れ込みまして、これが分解をいたしまして農作物に害を与える、こういう性質のものであるというふうに判断をいたしておるのでございます。
○近藤英一郎君 いまの問題に関連してですが、鉱山の監督の問題とか、それから鉱山の排せつ物、ズリとか、サンドとか、カラミとか、そういう捨ててあるものの問題を話し合っていかなければ、いまの局長の答弁では私は納得はできない。 そこで、それでは鉱山の排せつ物ですが、鉱害の原因となる鉱山の排せつ物が明治の時代から付近の山の斜面や谷間に捨てられている。どういうものが、いつ、どこに、どれだけ捨てられているのか。また、社宅とか、グラウンド、道路、学校の敷地にこれらズリとか、カラミとか、あるいは砂とか、鉱泥とか、そういうものがやっぱり使用してあるのじゃないか。というのは、足尾の地形は谷間で非常に狭い。結局敷地をつくるためにはそういうものが利用されるのじゃないか。そうすると、それを通して流れてくる排せつ物が相当ある。これはおそらく無防備なんです。それに対してはほとんど何も対策が立てられていないと思うのです。この問題について、先ほど申し上げたように、どのくらい捨ててあるのか。それから何カ所ぐらいになっておるのか。それからそれを、たとえばグラウンド、道路、学校敷地等に使用しているのかどうか、これをひとつ最初に聞きたい。
○説明員(森五郎君) 現在われわれのほうで足尾の堆積場といたしてございますのは、約十四カ所程度のものを考えておりますが、これ以外にもあるかということになりますと、これは非常に古く、先ほど申しましたように七十年来の鉱山でございますので、このほかに全然ないとは言い切れないわけでございます。そういったことで、確かに先生のおっしゃるグラウンドに使っておるとかなんとかいうものが中にはあるわけでございます。しかし、少なくとも戦後の、特に最近では、三十五年に笹子橋堆積場というのをつくりまして、これから全部選鉱のいわゆるスライムとか、廃泥と言っておりますが、こういったものは、そこに捨てて流れ出さぬように処理をしておるということでございます。 なお、どういうものが出てくるかということでございますが、現在では坑内から出てくる硫酸銅を含んだ水、これはもう全部先ほど申し上げましたように処理をいたしております。 それからダム等で若干滲出してくるもの、これも全部処理をいたしておるわけでございまして、鉱山の操業に伴っての問題は大体保安法で監督をいたしておりますが、大体満足すべき状態ではなかろうか、ただ先ほど申しましたように、豪雨特等におきまして古い堆積場、古い昔積んだものが流れて汚水が渡良瀬川に入るということが考えられるということでございます。
○近藤英一郎君 大体どのくらいと推定しておるのかということ、それからわれわれが調査した段階では、おそらく古いもので十数カ所あるだろう、その中でいま局長が言われるのは、笹子橋の堆積場ですか、これは完全なものにして、そして川へ流すようにしておる点はある程度了解できるのですが、そのそばの天狗沢の堆積場、それから有越沢の堆積場、これが非常に大きい堆積場であります。平時の水は、たとえばそれが処理できるような中才の浄水場を経て、そしてきれいな水を、できるだけ毒のないものを流すようにしておるのですが、雨がうんと降ったときには、おそらく全部オーバーしてしまって、ほとんど効果がないのだ、こういう点を農民側で調査したり、いろいろ県の調査等から聞いて、われわれはそれをそういうふうに承知しておるわけです。それから原堆積場というものがあるのですが、これなどやはり非常に地形は、局長行かれたかどうか知らぬけれども、御承知のとおりの急傾斜の地形で、しかも量が非常に多い、スライムも非常に多いのですが、これなんかもおそらく水の排水溝を見ると、雨の降ったときはほとんど中和はできない、たとえば浄水場のような施設なんか素通りしてオーバーして出てしまう、そういう点は鉱山保安局として責任ある立場で監督しておるのですが、どう考えておりますか。
○説明員(森五郎君) ただいま御指摘の天狗沢、有越の堆積場の問題でございますが、これはたしか一あるいは間違っているかもしれませんが、戦時中ためた、ためた場所が先生御承知のように非常に急峻な沢、非常に高い沢に積んだ結果、私の記憶によりますと、索道で選鉱場から運んでおったという、私の昔足尾に行ったときの記憶でございますが、そういうふうに記憶しておるのですが、それが現在非常に急峻な山の上であるということで、なかなか技術的に、雨の降ったときにそれを絶対流れ出ないようにするということはむずかしい問題であると思います。これが現在の何と申しますか、鉱毒問題のむしろ足尾においては中心をなす問題じゃないかと私は考えております。ところが、原のほうは、ややこれとは若干問題が違うのではないか、いま現在あふれ出ておるというお話でございますが、もしそういうことがございますれば、これはわれわれのほうで監督を厳にして、そういう雨の降ったときに流れ出さぬように処置を考えるということに相なろうかと考えておるわけでございます。
○近藤英一郎君 大臣はお忙しいわけですか。何時まで……。
○委員長(村上春藏君) 二時まではいいです。
○近藤英一郎君 あとで局長のほうへもう少し排水の処理とか、それから施設あるいは排せつ物等について、これはあとでお聞きしたいのですが、大臣がお急ぎのようでありますので、これは三木大臣に鉱山の施設の管理について、この点についてお聞きをしたいと思います。 鉱山業を過去において行なったために、堆積場に積んであるズリとかサンド、スライム、カラミ等については、現在平常時にはあまり鉱毒を出していないように言われているけれども、それでも全然出していないというわけではないと思うのです。また一たん集中豪雨があると、非常に多くの濁水を出すが、その濁水はおそらく澄んでいるときの相当な倍数に値する毒を含んでいる。これについてどのような処置をしているのか。また先ほどお聞きしたように社宅、グラウンド、道路等に捨てられている廃物が、集中豪雨のときには特に洗われて来ますから、それを通って出てくる濁水も多いわけであります。この処理はどうしているのか、全然野放しにしておくのは危険ではないかと思うのであります。全く濁水が本川に流れ込まぬような施設をつくる必要はないかどうか。また山火事、あるいはまた引き続いて亜硫酸ガス等の害で住ずる広大なはげ山対策については、これも農林省とやはり関連があると思うのですが、要するに鉱山施設管理についての内容から言えば、所管大臣としては一番重要問題になってくると思うのですが、どのように管理をされているか、承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) 近藤さんの御指摘のような問題につきましては、一平水時には問題がない。一応これについては地元の人たちも平水時の処置というものについてはまあそう不安に考えるようなことはない。豪雨のときの場合に、いまの処置というのでは十分ではないし、十分でないというよりもどうも対策がとられていない。今後豪雨時の場合に一体どうするかという問題は、とくとこれは研究をしなければならぬ課題であると思います。われわれのほうでもそういう場合を考えて十分な検討を加えていく考えでございます。
○近藤英一郎君 平常時でも全然鉱毒を出していないとは言われないと思うのです。これはやはり調査の結果出ていると思うのです。そこでその一番問題は集中豪雨があるとか、長雨が続いてくると結局オーバーしてくるわけでありますから、それによっての被害が多くなるということは当然であろうと思う。いま大臣の答弁を聞いて、まあ不十分であるという点は認めている。ですからこの問題は水質基準の設定と並行して対策をやはり積極的にひとつ一立てていただきたい。この点をまず第一点にお願いをしておきます。 それからこれは亜硫酸ガスの問題ではげ山になったとか、あるいは広大な区域がはげ山になった、その対策でいま農林省の林野庁でだいぶ植林をしたりやっているのですけれども、やはりまだ満足するような予算がついていないと思うのです。この点は農林省はどういう対策を持っているか、関連してちょっと答弁願います。
○説明員(森五郎君) いまの亜硫酸ガスの問題でございますが、これは鉱山保安法に関する部分だけ私から答弁さしていただきたいと思います。あと植林その他の問題については農林省、そういうことでございまして、実は昔製錬をやりましたときに、製錬から出てくる亜硫酸ガスをそのまま放出をしておるということで、足尾の付近の山が全部はげ山になった、これは足尾に限らずほかのところでも、たとえば日立でも、あるいは尾去沢でも小坂でも、そういう問題は過去において起きたわけです。そこで足尾の問題、それははげ山になること自体が渡良瀬川の汚濁の問題とも関連をするという考え方で、通産省といたしましては、これを硫酸を取らせよう、キャッチしなければならないということで、鋭意戦後努力してまいったわけであります。たしかこれはフィンランドから新しい銅の熔錬技術を導入いたしましたときに硫酸工場をつくらしまして、これで亜硫酸ガスを硫酸として回収をするということをやってまいったのです。したがいまして、戦後鉱害問題、いわゆる鉱煙問題、鉱煙による植物の害というものは非常に減ってきているわけでございます。したがいまして、まだ全部これは製錬所から出てくるものが完全にSO2ガスがゼロかということになりますと、これはまあ若干まだ問題はあるかと思いますが、こういう点につきまして、今後なお検討を要するというふうに考えているわけであります。
○説明員(上田克巳君) 本日、農地局長に対してお呼び出しがございましたけれども、局長よんどころない用事がございまして、私よりかわってお答え申し上げます。 ただいま御質問の林野庁においての治山事業のことでございますが、この点につきましては、所管が異なりますので、いま直ちにお答えすることはできません。農地局においては林野庁にこの点を申し入れて検討方をさきに依頼してございますが、まだこれについての回答を得ておりません。
○近藤英一郎君 大臣お急ぎのようでありますが、あとでまた御質問いたしますが、次に水質基準の決定の方法について承りたいと思います。水質の基準は平水時の基準、それから洪水のときの基準というように区別をしてきめるのか。それとも年間を平均して決定するのか、この点はどうか。それから平水時の水質がよくても、増水したときの水は非常に悪い場合、耕地を一挙に荒らしてしまうわけであります。単なる平均の基準というのは役に立たないのではないか、この点はどうか。それから農業用水から見れば、かんがい期を通して有害物の含有量が最も低い水質を考慮して決定をされるべきではないかと思うけれども、この点についてはどうか、これは局長でもいいと思いますが。
○説明員(松本茂君) 水質基準の時点でございますけれども、この川の水が利用されておりまするのが、農業用水としてかんがい用に利用されていることが多いという事情を考えまして、かんがい期間をその時点として考える。そのかんがい期間の平均水質から水質基準をきめる、こういうふうにいたしたいと思っております。
○近藤英一郎君 かんがいの期間だけですか、そのいまのきめ方は。
○説明員(松本茂君) 水質基準をきめますと、それで年間制約をされるわけでございます。ただその川の水準基準をきめますそのときのいろいろな調査をいたしますが、その時点といたしましては、かんがい期間のときの水質を出しまして、それをこの川の水質基準としてきめていきたいと、こういうふうに思っているのです。
○近藤英一郎君 そのかんがい期間はそれはわかるのですが、かんがい期間にも洪水のときと平水のときとある。それは別々に区別してつくるのか、そのかんがい期間の中の平均としてつくるのか、それはどうなんですか。
○説明員(松本茂君) かんがい期間をとります場合にも、ある年一年だけということではございませんで、数年間の経年的な平均水質というものを勘案いたしまして、それをもとにしまして基準を考えていくことにしております。でありますから、洪水のときもありましょうし、だからそういうときは、かんがい期間でもわりあい平素より水が多くございましょうが、またそれほど多くないときもある、そういったときも含めた平均のときでございます。
○近藤英一郎君 そこで大事なのは、もう農業用水で見れば、かんがい期を通して有害物の含有量がもっとも低い水質を考慮して決定しなければいかぬと思うのです。要するに含有量が少ない時期をとっては困ると思うのです。その点はどうですか。
○説明員(松本茂君) 水質基準のきめ方でございますが、きめるその基準でございますが、この川が先ほど申しましたように、かんがい等に特に非常に強く使われておるという点から考えまして、農林省とも十分よく御相談いたしまして、その御意見を尊重してきめていくつもりでおります。したがいまして、水質基準をきめます場合には、かんがい等を十分考慮に入れまして、それに支障がないということを考慮の上きめていくことに相なると思います。
○近藤英一郎君 それでは藤山大臣に承りますが、一番大事だと思うのは、水質基準の設定後の処置、これについて公共用水域の水質の保全に関する法律第八条及び第十条に規定している関係行政機関の義務及び経済企画庁長官の各行政機関の長に対して勧告する権限があるわけですね。勧告をして主務大臣が結局実施させるわけでしょうけれども、その実施の結果はだれが見届けるのか、もしそれをやらなかった場合にはどうなのか、その点について伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん水質をきめますことは、農作物あるいは工業用水とか水道とか、そういうものに影響のないようにするためにきめるわけでございますから、そのきめた基準を守ってもらうように、通産大臣とか農林大臣とか、それぞれわれわれとしては勧告をしていくわけであります。勧告されたものは、この場合各省においてその勧告を守っていただける、こう思っております。同時に水質をきめましても、それに対する処置等について積極的にやっていただきませんと何にもならぬわけです。ことに渡良瀬川のような場合には、いま植林の問題もございますが、長い間農地に堆積しておる毒物もないとはいえません。したがって新しい水質の基準による水が通りましても、長い間の問題として残っておるような問題もあるかと思います。ですから、それらも先ほど申し上げましたように、水質基準をきめると同時に各省の対策を、ただ勧告するのでなしに、あらかじめ各省と相談して、こういう対策を行なっていくのだという意見の一致を見て進めていきたい、こう思っております。むろん勧告はいたしますけれども、それを十分にやっていただけるものと、こう思っております。
○近藤英一郎君 そうすると、大臣のお答えでは、結局勧告する権限があるのだ、そうすると通産大臣なら通産大臣に——、鉱山保安法の中にも金属等の規則がありますが、それによって義務がありますね、勧告されたほうは。大臣は今度はその鉱山業者にそれをやらせる、実施を辿るわけでありますが、それは今度は鉱山保安法によって鉱山業を営んでおるものはそれを実施しなければならない義務があるのですね。そこでたとえば蚊も、これは聞くところによると、通産省でも相当大きく見ているようですが、たとえば有越沢、それから天狗沢、この堆積場に対して施設をするとすると、県の耕地課あたりで、これだけの施設をすればこの大きな堆積場から出る鉱害は防げるんだというのには、大体四十五億から五十億ぐらいかかるというような計算が出ているわけです。そうすると、たとえばそれを実施する場合には、大臣は勧告を受けて、企業者から実施計画を出さして、それに許可を与えてやらせるのか。そのまま通産省なら通産省でその実施に対しての計画を、こうしなさい、これまでの施設はやりなさい、そういうのか、その点はどうでしょうか。
○説明員(森五郎君) 技術的な問題でございますので、私から御答弁いたします。 水質がきまりまして、その水質に基づいて、鉱山側としてこういうことをしなければならないということになりますれば、鉱山保安監督部長がこれを古河鉱業に対して、こういうことをやりなさいという指示をいたすわけでございます。したがいまして、古河鉱業株式会社といたしましてはこういう施設をつくりたいということを申請してまいります。したがって、これを監督部長が認可をいたしまして、それを実施させるということに相なるかと思います。
○近藤英一郎君 そうすると、こういうことになるわけですか。古河のほうで実施の計画を出して認可を受けるわけですが、そうすると、たとえば通産省が見た見方と、それから企業者自体が計画を出してくるのと相当な開きがあるという点もまたあると思うのです。その場合には、もちろん認心しないだろうとは思うんだけれども、その点はやはり実施計画を企業者から出さして認可をしてやるということですか。
○説明員(森五郎君) そのとおりでございますが、もしその申請された施設によっても、なおかつそれが危害が防止できないというようなことになりますれば、これはもちろん変更命令等を出しまして改定させるということになっております。
○近藤英一郎君 それじゃまだ幾つもあるのですが、大阪が二時までというのですが、二人の大臣にお聞きしておきたいと思いますのは、結局、農民側は非常に簡単なんです。というのは、要するにきれいな水を流してくれればいいのだと思うのですよ。だからそれに対して、おそらく群馬県あたりはいろいろ調査して、これとこれとこれだけの施設をするのにはたいへんかかるというような計算が出ておるわけです。というのは下流の農地のいわゆるよごれた土を入れかえるというような問題等もありますから、おそらく相当ばく大な金がかかるが、そこで問題は、企業者自体、鉱業者もその施設をするためにはやはり限度があると思う。なかなか経営の面を考えると、そう膨大な、ばく大な負担がかかるようなのは経営上やれないと思うのです。そこで両大臣に承りたいと思いますのは、佐藤内閣が非常に公害という面を第一線に強く打ち出して、鉱毒の鉱害でなく、公の公害ということを考えれば、企業者には精一ぱいの施設しかできないのだ、これだけだ、これ以上何といっても会社の経営の面から考えてこれ以上やれないのだ、そういうようなことが出てきた場合に、公の公害という面から当然被害を受けておる農民があるのですから、年間三億からの農作物の被害をこうむっておるのですから、これはやはり政府もこの点について企業者と相並行して国の金を出して施設する必要があると思います。この点についてはどうお考えになっておるか。 それから両大臣に要望する事項としては、とにかく長い問題で、この際どうしても水質基準の設定と水域の指定が行なわれるというときに、抜本的な山元対策をやっていただきたいということ、それから山元だけでなく、数十年来鉱毒を受けて土壌がよごれておるわけです。このよごれた土をきれいな土に置きかえるということは、これはやはりたいへんな金がかかると思います。これなんかは、戦争中石炭山をうんと掘って、特別鉱害というようなことで、国とそれから地方公共団体と企業舌と一体となってやった事例があるわけであります。これも鉱害の一つとして特別鉱害という面で、そういう場合には政府はやる意思があるかどうか。と申し上げますのは、これは農民に負担をかける、いままで農林省の土地改良の関係のやり方で負担をしろといったってしっこない、これは銅山側に責任があるときめつけておるわけですから。内容的には銅山から出るのは、この間の水質審議会の調査では、銅山側は四〇%程度しか鉱毒は流していないのだ、あとは認定不能か、ほかの自然から出ておるという調査を出しておりますが、これは納得しがたいと思います。その場合、土地の改善をする場合は特別鉱害というような石炭対策でやっておるような、そういう方法でやらなければ地元はとても金を出せといっても出しっこない。この点について両大臣から承っておきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) お話の点はよくわかるのですが、鉱害に対しては第一次的には企業者側の責任ということはこれは当然でありますが、しかし企業者側の負担の限界もございましょうし、またこの場合は自然の汚濁による場合が相当にあるというわけですから、これを全部企業者の責任に転嫁することにも無理がございますので、水質基準の制定が行なわれるならば、これに対していろいろな勧告が出ると思います。その勧告の中にはいろいろ植林とか土地改良とか、いろいろな、またこれに対する鉱毒の防止の施設なども勧告が出ると思いますので、企業、地方公共団体、国等が協力をしてやらなければ目的は達成できぬと思いますので、そういう場合には各省とも連絡をとって、できるだけ協力をいたしたい所存でございます。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体通産大臣が言われたとおりでございます。従来水質基準をきめまして、他の河川でもございますが、工場等については通産省も近代化資金等を供給してやっていらっしゃる例もございます。ですからこういう広範な農村地帯における影響というものをどんな形でやっていくかということは、農林大臣ともよく相談した上でわれわれも最善のことを尽くしてまいりたい、こう思います。
○近藤英一郎君 両大臣からお答えいただきまして、いろいろとこの対策については積極的に今後進めていただける、こういうように解釈してよろしゅうごさいましょうか。——それじゃ大臣は二時までということですから、あと二、三聞きたいのですが、大臣はもうけっこうです。あとでまた関連して……。
○鈴木一弘君 これは政治責任云々を言ってもどうにもならない問題だと思います。すでにかれこれ百年近くたっておる鉱害でありますから、現在の農民の希望というものは、あくまでも一日も早くきれいな水がほしいということ。現在のように肥料を三倍入れたり石灰をたくさん入れなければならぬという状態を直してほしいということが一番の根本だと思います。 そこで、政府に伺っておきたいのは、現在扱っておる省が農林省、企画庁、通産省というふうに、一体どこに訴えたらいいかわからない。国の責任で国のほうでめんどうを見てもらいたいというのでありますけれども、国というのは企画庁をさしておるのか、通産省をさしておるのか、あるいは農林省をさしているのか、場合によればそのほかに行くのか、その点がはっきりしない。まさかアメリカへ行くわけにはいかないし、その点で実際農民側としてはどこへ一体訴えたならば声というものが届くだろうか、これが最大のまず問題だろうと思うのです。下の声がそのまま政府に伝わらない、訴えるとしても意思の疎通を欠いてしまうということであっては何にもならない。その辺について一体どこへ持っていけばよろしいか、おのおのばらばらでありましょうけれども、どこへ持っていっても通ずるように今後の連絡というものはできるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) これは水質の汚濁については経済企画庁で基準等の設定等もいたしますので、各省に対する勧告権も持っておりますから、窓口は経済企画庁にお持ち願うのが適当である。通産省は通産省としての勧告の分野がございますし、農林省も関連する。各省にまたがることでありますので、やはり取りまとめは経済企画庁でおやりを願うことが適当ではないか、かように考えております。
○鈴木一弘君 おそらくそうだろうと思いましたけれども、その点がどうしてもそういうことであれば、全部企画庁に行ってくれ、こういうことになるわけですね。ですから、その際に先ほどの近藤先生からも質問がありましたように、はっきりと一つ責任をとったような形でやっていただきたい、これは企画庁に要望しておきます。 次に水質基準について関連してお伺いしておきますが、先ほどの答弁だと、かんがい期間においてその数年間の平均をとって基準をきめるということでありますが、そうなりますと、現在かなりの鉱害が出ている。私ここに建設省で調べた水質の、川の水の分析の結果と、桐生の水道の取り入れ口で桐生市がやった結果を見ますと、その水質のいわゆるPPMの数量がはなはだしく違いがある。どうしてこんな違いがあるのか、これはあとで建設省のほうと厚生省に聞いてみたいと思っておりますけれども、そういうようになりますと、データの取り方によっては非常に鉱山側に甘いものがある、いままでもこの水でうまくいったのだからいいじゃないかというようなことになるのではないか。やり方によって、いわゆる上水道を取るようなきびしい水質基準の検査を行なっていくか、あるいはもっと甘くやっていくかということでずいぶん違うと思うのです。その点の基準のきめ方というものをはっきりしておきませんと、現在の濁ったままでこのぐらいでいいだろうというふうに規定されますと、百年たっても川は清くならないということになりかねない、そういう点を長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 水質の基準をきめますのには非常に慎重に検討をしていただくわけでありまして、水によりましては、いまお話のように上水道に使う水もあれば、あるいは農業用水に使う水もいろいろございます。したがってその大部分のものをむろんカバーすることが必要であることはこれは申すまでもございません。ただ御承知のように、今日たとえば足尾の問題、足尾から出ます鉱害というものが田畑に非常に影響をするという長年の問題を解決していくのがこの川の主要な一つの目的だと思うのです。しかし河川によりましては、いろいろその途中でもって新しく工場ができたりなにかして、新しい排水その他の影響を受けるところがあろうと思います。多摩川なんかまさにその例だと思うのでございますが、したがってその水質を守っていただくということは単に足尾銅山だけでなしに、その河川に沿っております下流の工場その他に対してもやはり将来そういうような汚水を流す問題について浄化装置をつけるなり、その他の方法をきめてまいりませんと、きめられた水質そのものが維持できないことになってまいると思うのです。ですから、桐生の問題は私どもまだ承知しておりませんけれども、そういう問題としてわれわれは考えていくわけでありまして、下流にいけばだんだんいろいろな水が流れてまいるわけでございますから、それらのものにつきましては、川自体の水質保全をきめましたその標準というものをできるだけ維持して持っていきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 いま下流にいけば濁ってくるのではないかということですが、私は銅にしぼって、砒素にしぼって申し上げたわけですが、まさかほかの河川を見ましても上流で銅の出ない川は、下流まで銅というものは出てこない、よほどの工場地帯を通過しない限りは。そのいわゆる含有量といいますか、PPMが違ってきているということは、これはやはりどこかに測定の違いがあるのではないかと考えられるわけです。ですから基準をきめるのにできるだけシビアーにしておかないと、将来これを維持してきれいにしていくということにしておかないと何にもならないと思うのです。その点は十二分に注意してほしいと思うのです。 それからもう一つですが、神戸ダムの問題でありますが、これがこれから計画されるというか、もうすでにぼつぼつ着工にかかるということだろうと思いますが、多目的ダムがつくられると、かなりかんがい用水に行くことが神戸ダムの計画を見ると出ています。新しく六千百ヘクタールの用地についてもかんがい用水を補給するというような、新しいところにまで、かんがい用水から見ればかんがい地域が広がっていくわけです。この神戸ダムをつくる目的がどういう目的であったのか、一つには考えられるのは、いわゆる多目的ダムとしてダムをつくらなければ水資源の利用に非常に不便をするというのか、それともおもな目的は、どうしても足尾の水についてはこれは銅の害毒というものも除去し切れるものではない、しかたがないから神戸ダムをつくって、できれば沈でん池のようなかっこうにして、そうして上のほうの多少とも希釈されたものを出したいというのか、その辺のところはそういうふうに勘ぐっては悪いかもしれませんけれども、どういうふうにお考えなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 神戸ダムをつくりますときに、企画庁としては水質基準がやがて設定される、したがってそれに対応するようなダムの処置をつくってもらいたいということを申し入れてございます。そうして建設省としては、それに対応するようないま準備の調査をなさっていられる段階と承知いたしております。
○近藤信一君 産業公害ではいろいろと問題になっているのです。この産業公害ではやはり国会にも特別委員会が設けられていろいろと議論をするわけです。政府としても産業公害に対しては相当苦労をしておられると思うのです。国家百年の計といいますが、いまこれを見ますと公害百年と、こういうことにもなろうかと思うのです。そこで問題はやはり工業がだんだんと発展してまいり、そうするとやはり公害問題がいろいろといろいろの面に出てくるわけですね。それで、じゃ公害を絶対に出さぬようにできるかというと、そのきめ手というものは私はいまないと思うのです。しかし昔と違っていまでは相当技術も高度化していっているし、近代化をやればある程度の公害を防止することはできる。このことは政府もいろいろと言っておられるわけなんですが、これは公害といっても今度のような鉱山の鉱毒水による鉱害、それからそれに関連して水資源の水質汚濁の問題、またスモッグとか、いろいろな問題、公害といってもたくさんいろいろあるわけですね。そこで一体それじゃそれをどう部分的にこれを排除していくか、こういうことになると、先ほど来言われておりますように、いわゆる設備を十分にして、そうして公害を出さないようにしなければならぬけれども、足尾銅山なんという大きな会社だからそれは独自でできるかわからぬ、しかしやはり政府としてもそれに対するところの資金といいますか、それも相当要ると思うのですね、一つの大きな設備をしようとすれば、それは五十万や百万でできる問題ではないと思うのですよ。そういう公害排除、防止する設備に対するいろいろな対策を立てると同時に、それに対する資金の問題も私は政府としてもこれは考えていかなければならないのじゃないか。独自でやれるところもあるでございましょう。先日も私どもは多摩川の上流に行って、あそこを通ったときにサントリーですか、あそこの会社が絶対公害を出さぬという、そういう計画のもとに、あそこの会社が設立されて、公害防止については、あそこが一番現在完備しているというふうにも私聞いたわけなんですが、そういうように完全に防止する対策というものが、いまでは私は技術は高度化してきておるからできるのじゃないかと思うので、ただ足尾の場合には、これは昔からの惰性といいますか、それでずっときておる面もある。それから先ほど近藤委員も言っておられましたように、部分的には鉱毒汚水というものが沈でんして、そうしてあまり通常には害というものはない。ところが豪雨なんかでさっときた場合に、その沈でんした土の中に埋まっているやつが流されてしまう、洗われてしまう。こういう面については、これを防止しようがいまのところないと思うので、そういうようにならないようにどうするか、こういう対策が私は重要じゃないか。いま近藤委員に対して、両大臣ともそういうことについては、ひとつ今後十分考えようということで確約されたわけなんですが、私ども一番心配するのは、そういう完全防止ということがどの段階でどういうようにできるかということになると、私は政府としてもこれは頭の痛いところじゃないかと思うので、そういう点をやはり経済企画庁なり通産省は今後十分に対策を立てていかなければ、部分的な、先ほど鈴木委員も言っておられましたように、水質をそれじゃ試験をする場合に、部分的にどういう基準でやるかというようなことも出てくるのだから、部分的にいいとしても、全般的にこれを考えた場合に、やはり部分的な検査と全体の分が違ってくると思うのです。そういう点で今後はやはり通産省なり経済企画庁というものが考えていかなければ、これからだんだんと工業方面においても増産せよという一方、その反面においてはそういう被害が出てくるということは、私は今後もあり得ると思うですね。そういう点で十分ひとつ両相で今後は考えていただきたい。自動車の問題を取り上げましてもそうですね。排気ガスの問題で、自動車の排気ガスの出ないような対策を立てて、自動車にそれを取りつける、こういうようなことも通産省は考えておられるようでございますから、私は完全にやろうと思えばやれる。ただ問題は、それに対するばく大な費用の問題があるから、そういう点についてもやはり政府が十分の対策を立てていかなければ、やりたくともやれぬという場合もあろうかと思うのですが、そういう点について、両大臣のひとつ決意のほどを聞かしていただきたいと思います。これは私の要望でもございます。
○国務大臣(三木武夫君) 公害の問題は今の大問題です。これからの新しい企業というものは、やはり公害というものに対してこれを防止するために施設を十分にする社会的責任、コストの中にやはりそれは入れるべきである、新しい企業は。それからまた工場の密集地帯ほど公害を起こしやすい状況を持っておりますから、産業立地に対してもある程度の規制が必要であるという考え方でこれはいま検討を加えておる。それから現にでき上がった工場地帯、これは公害問題を起こしているわけですが、これに対してはまあ政府の公害防止事業団などもできまして融資もいたすことになっておりますし、開銀とか中小企業金融公庫からも公害防止の施設に対しての融資を行なうことになり、中小企業に対しては来年度から共同施設に対しては補助金を出そうと、こういう考え方を持っております。こういうことで公害に対する融資のワクはこれは飛躍的に増大させていかなければならぬ。こういうことで対処いたしていきたいと考えております。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま通産大臣言われたとおりでありまして、公審問題は水、空気の汚染その他各般のものが最近出てきております。これは日本ばかりでなく各国とも大わらわになってこれに取り組んでおるわけであります。われわれといたしましても、いま通産大臣が言われましたように、新しい工場には新しい設備で初めから公害の問題を考えてつくってもらう、あるいは立地条件等をさらに考慮して建ててもらうというようなことでございますが、既存のものについてはやはり会社で相当な設備をしてもらわなければならぬと思います。それらについては融資等もやらなければならないでありましょうし、先般もこの問題でいろいろ事業していらっしゃる方と話し合ったのですが、ある方は必ずしも融資は必要ないけれども、相当膨大な設備、固定的な特別な設備をするのだ、だから少なくも固定資産税の面では何らかの形で考慮してもらえないだろうか、融資はそう必要ないけれどもというような御意見がございました。それらのいろいろな御意見を伺った上で、われわれもできるだけ善処してまいりたいと、こう考えております。
○近藤英一郎君 ちょっとお忙しいでしょうが、大臣おいでになるうちにもう一点だけ。 いま鈴木先生から出た神戸ダムに関連してなんですが、これは農民は非常に関心が深いのです。本来ならば建設省の河川局長なり大臣なりくれば聞きたいと思ったのですが、水質基準の設定と関連があるものですから、両大臣に伺っておきたいと思うのですが、大体神戸ダムができるということに方針がきまって予算がついたようです。それで相当大きな六千万トンからの水をためるダムができるようですが、ダムができればその水はよくなるのか悪くなるのか、水質が。そこが問題なんです。というのはダムに水をためて鉱毒を沈でんさせることもこれも一つの方法だと思うのですが、表面に浮いている水だけを流すようにすればいいことになるのか。それとも洪水のときには水が一ぱいたまりますから、そうすると一ぱいになるから下に抜くということになりますから、あとで締めれば鉱毒もうんと含まれた洪水時の水が底にたまってしまうわけです。そうすると、今度は雨が降らないとき除々に出していくわけですが、そうすると、常時鉱毒が大体流れるのかどうか、これが問題だと思う。この点を、大体ダムができれば水質がよくなるのか悪くなるのか。先ほど鈴木先生から出たように、せっかくあすこにダムができるのだから、このダムを利用して下流の水をよくするような方法は考えられないかどうか。私が聞いた点では、何か通産省では建設省に対して設計の内容を変えて、そして神戸ダムができるその設計の中に鉱害対策ができるような設計に変えたらどうかというようなことを強く要望しているということを聞いたのですが、なかなか建設省側はうんと言わないという状況にあるそうですけれども、最近は非常に公害問題という面から考えて、多少それじゃ考えてもいいじゃないかというような空気も流れているようにも聞いているのですが、せっかくの機会ですから、両大臣に関係があります問題ですから、神戸ダムができるその地点において設計内容を変えて、そして鉱毒対策を含めたダムにしていただきたい。この点は要望なんですが、先ほどの水がよくなるか悪くなるのか、この点をひとつ一点聞いておきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 実は水がよくなるか悪くなるかというのはなかなかむずかしい問題なんでございまして、したがって、企画庁としては建設省に対して、今度の建設に対して水質基準をきめるんだから、その基準に反するようなことがあっては困るんだということを申し入れまして、建設省としてはそれに対するいま調査を、一体ダムをつくってよくなるのか悪くなるのか、その調査をしておられる段階でございます。そこで、もしこのダムをつくることによって水質が何らかの形でいまのお話のように、平水のとき、ふだんのときはかまわないけれども、洪水のときそういう問題についてひとつ調査の結果としてよく考えていただくというつもりで私どもはそういう申し入れをしておるわけでございます。
○国務大臣(三木武夫君) 通産省も鉱害問題の見地から、このダムに対しては関心を持っておる。建設省とも連絡をとっておる。これが沈澱して、それがかんがいということになれば非常に鉱害問題も、また水質の上から言っても非常に汚濁されたものになるわけですから、今後このダムの建設については鉱害防止の見地からどういう処置をとるべきかということには十分の連絡をとりたいと考えております。
○近藤英一郎君 それではいまの神戸ダムの問題について、建設省からこられておるようですが、先ほど私が質問した点についていまお聞きになっておったと思うのですが、御答弁していただきたいと思います。
○説明員(望月邦夫君) 渡良瀬川の水質問題と、それから神戸ダムの関係でございますが、現在水質問題につきましては、経済企画庁において種々御検討願っております。それでわれわれのほうといたしましても、神戸ダムが水質に及ぼす影響等につきまして、いろいろの学者等の御意見を賜りまして、この結論を出したいというふうに思っております。それによりましてダムの設置と水質との関係というものが具体的に判明いたしましたならば、それらに基づきましていろいろと処置をしていく所存でございます。
○近藤英一郎君 そうすると、さっき藤山長官が答えられたように、この問題は通産大臣のほうも関心を持っておられるようですから、建設省と三者でやっぱり話し合いをいま進めておる段階ですか。
○説明員(望月邦夫君) この神戸ダムにつきましては、水資源開発公団が実施するダムでございまして、その実施方針を決定する場合におきましては、主務大臣は建設大臣でございますが、関係各省と相談をしてきめるというふうな組織になっておりますので、そういったところを通じまして十分連絡をしながら決定していきたい、かように考えております。
○近藤英一郎君 それでは建設省に対しては、ぜひ両大臣が言われるように関係のある問題ですし、ダム建設にあたっては鉱毒を防止するという面から考えての施設ができるように、ひとつ私のほうで要望しておきますから、よくお互いに連絡をとってやっていただきたいと思います。 次に、これは農林省に承りたいんですが、農地の問題について、現在の鉱毒の被害地、水田については一つには過去に蓄積された鉱泥あるいは鉱油、そういうような問題が入って悪くしておる。いま一つは、現在入ってくる水が悪いということでもある。そこで過去の蓄積の中には、戦争中の乱掘による鉱毒の堆積が多いのであるけれども、これはさっき大臣に質問したのですが、特別鉱害というようなもので、その特別鉱害復旧事業と同様に工率の復旧をすべきものと思うがどうか、これはさっき質問したとおり、農民が負担を出しっこないのですからね。この点をひとつ、どう農林省は考えておるか。 第二は、悪水によるものは、鉱滓の防除施設、また先ほどのダム、または農業の取水の方法、取水施設の改善等によって防がなければならない、あるいはまた耕作の方法を改善することも一つの方法だろうと思う。その点農林省としてはこれらの対策についてどのように考えておるか。またやるとすれば、いろいろ計画を立てておられるようですが、費用は大体どのぐらいかかるのか、この点について承わりたい。
○説明員(上田克巳君) お答え申し上げます。 第一の点でございますが、農業用水の水質が有毒でありまして、これに対する事業を行なっている例を申し上げますと、鉱毒対策事業というものがございます。それは国庫補助率が施設に対しましては六五%、農地に対しましては五〇%ということになっております。そこで一応考えられますことは、渡良瀬川の水質が悪いために対策事業をいたすものにつきましては、この事例にかんがみまして、同じような取り扱い方をすることになるのではないかと思っております。これはほかの同種の事業とのバランスがございますので、特に全額国の事業というふうにすることは困難ではないかと、さように考えております。いままでに行ないました例に安中の地区がございまして、これは三十三年から三十五年までに東邦亜鉛の安中工場から流出されております亜鉛を防止するための工事でございます。それにつきましては、ただいまのような国庫補助によって事業を行ないましたが、国庫補助以外の点につきまして、一部工場側が負担しております。 それから次に別子地区、これが第一期と第二期とありまして、第一期は三十二年から三十七年の間に、それから第二期は三十九年以降現在継続して事業を実施しているわけでありますが、これにつきましては、国の補助以外の部分につきましては、正確には計算しにくいかと思いますが、が三%、それから私費で四七%を負担するという形で実施しておるような次第でございます。 それから第二の点につきましては、渡良瀬川の農業水利につきまして、次第に取水が困難になってまいりましたので、渡良瀬川沿岸の土地改良事業というものを国の直轄裏業で実施してほしいという要望が地元、県から出てまいっておりますので、これに対しまして全額国費をもってする直轄調査に入っておりまして、四十一年度に調査費六百万円をつけております。それで四十二年、四十三年両年度をもって調査を完了いたす予定にて、四十二年度は四千一百万円の調査費を大蔵省のほうに対して要求しているわけでございます。で、その調査の結果を待ちまして計画を立て、工事に入ろうとしておりますので、いま直ちにどういう工事をするかということについては申し上げられません。 この中で、先ほど御指摘の過去八十年間の有毒物が耕地に流入しまして、蓄積して減収を招いているという問題に対しましては、その汚染土壌を掘り出しまして、圃場整備事業、まあ区画整理事業を行なう際に、農道等に埋め込んでしまうということも一つの有効な手段かと思われますし、それからその腐食した土壌とそれからまた汚染された土壌を汚染されない土壌で希釈するという意味で、両方兼ねまして、客土事業を行なうのが一番効果的ではないかというふうに考えております。で、客土事業のほうにつきましては、これは県のほうの概算、それからそれを農林省のほうでも検討しておるところでは、総事業費にしまして約五十二、三億ではないかと存じております。これが普通の県営圃場整備事業という制度で行なうものとしますと、これは区画整理事業及び同時に客土事業を行なえるわけでございますけれども、三反歩以上の区画にいたしますと四五%、それから普通の一反、二反の区画にいたしますと四〇%ということになるわけでありますけれども、先ほどお話申し上げましたような鉱毒対策事業で行なうとすれば、五〇%の国庫補助率になるわけでございます。以上でございます。
○近藤英一郎君 いま調査をしているというようなことで、来年度の調査費も四千百万円ばかり要求しておる程度で、大体いま計画を聞いてみると、やろうとすれば五十二、三億かかるということですね。たとえば客土とか、悪い土をとっていい土を入れるとか、そういうことですか。 そこで農地側が要望している水質基準というものはどの程度にきめたらいいのか、それはどういうふうに考えているか。われわれはしろうとだから、PPMというような技術的なこまかい点はよくわからないのだけれども、農林省が考えている水質基準はどの程度にきめたらいいのか。
○説明員(上田克巳君) お答え申し上げます。水質基準の設定につきましては、経済企画庁において行なわれるわけでございますけれども、そちらのほうから協議がございますので、その協議にこたえるような形で農業側の要望水質というものを出しておるわけでございます。そこでは幾つかの物質について要望しなければならないのでございますけれども、いまのところ、問題を単純にしまして、銅をメルクマールにして申し上げますと、銅の濃度を、かんがい期間を通じまして〇・〇四PPMというふうにいたしております。
○近藤英一郎君 それはまだ別に——企画庁と話し合った線で、農地側としての考え方ですね、いまの〇・〇四PPMというのは。農地側としてはそれを要望し、期待しているわけですか。
○説明員(上田克巳君) ちょっと農地側とおっしゃられるとあれでございますが、農業側……。
○近藤英一郎君 農地側というのは、農民側のほうは基準のきめ方について非常に関心を持っているわけです。要するにきれいな水を流してくれるようなことを施設をしてもらいたいということなんです。だから農地側、農民側に立つ農林省はどの程度の線のPPMというか、きめたらいいのかということを聞いているわけです、考えているのかということです。
○説明員(上田克巳君) お答え申し上げます。農地側とおっしゃられますので、こだわっているのでございますけれども、農業側として、かんがい水の水質は、かんがい期間百十日、しろかき水を導入する期間を通じまして、いま申し上げましたような基準になっていればいいというふうに考えているわけでございます。
○近藤英一郎君 〇・〇四PPM……。それでは、大体なかなかむずかしい面もあるようですから、きめる直前ですから、なかなかむずかしいだろうと思う。 最後に、これは通産省に承りたいのですが、結局は銅山は、鉱業者が鉱業をやめても、鉱毒は残るわけです。たとえばうんと施設がかかる、そんなに施設をするのじゃ、とても経営が立たないから、極端にいえば鉱山側がいわゆる鉱山をやめたと仮定しても、鉱毒というものは、何千万トンという堆積があるのだから、これは残るわけです。聞くところによると、農林省はやはり農民側に立っていろいろと強く要望してくれたり、やはりこの程度の施設をしなくちゃならんということを言っているのですが、通産省のほうはやはり企業者をかばうというか、通産省のほうとしてはやはり古河鉱業のほうを、応援をしているとは言わないけれども、かばっているような態勢が見える。特に鉱山保安局長、鉱山課長なんか、これは聞いた話では、たとえば対策を立てようということで農林省、企画庁、通産省、三省でいろいろ話し合いをやろうというけれども、なかなか対策の案を出してくれないということを私ども聞いている。だから農林省側のほうは計画を立てて、これとこれとこういうふうにやればきれいな水が下流に流れてくる、だから被害がなくなるということで、その基本的な考えで進んでいるのだけれども、通産省は逃げるというのか、企業者をかばうというのか、まだ調査が完了していないということばを使っているようですが、これはあるいは悪い推測かもしれんけれども、そういう傾向があるように、そういう声が聞けるわけです。そういう点はおそらく公の立場である局長、課長としてはないとは思うのだけれども、そこでどうしてもそれは農地側が希望するような基準にするには銅山は防除施設を強化する必要がある。それについて通産省自体としてその防除施設の計画を検討されたことがあるのか、あるいは検討されて計画ができているのかどうか。それからその費用はどのくらいを通産省は、たとえば計画があるとすれば見ているのか。それから、これに対してさっき申し上げたように、私は銅山側だけを責めるのでないので、やはり公の立場から鉱害を防ぐという面で国もやはり助成すべきだと思う。その点についてどう考えているか。またその費用はどのくらい必要なのか、これを御答弁いただきたいと思います。
○説明員(森五郎君) お答え申し上げます。鉱山がやめたあと鉱害の問題はどうなるかというまず一点です。これは現在鉱山をやめましても、の責任は五カ年間継続されるということになっておるわけでございます。しかし、これは法律ではそうなっておりますが、実際問題といたしまして、渡良瀬川の問題にそれを考えた場合、現在もし足尾鉱山がやめたといたしますと、これはおそらくもっと水質が悪くなるんじゃないかというふうに考えるわけです。したがいまして、われわれは、まだ足尾の山はすぐつぶれるということはございません。現在までに大体七十年間で七十万トンの銅量を掘り出しておりますが、その地下にはまだ相当のものが埋蔵されているということで、ここ近い将来にやめるという問題は、おそらく経済界の大きな変動がない限り私はないと思いますけれども、結局この問題に当てはめて考えてみますと、むしろやめたら、これは何も鉱業権者は五年間といってもすぐ済みますから、そのあとは非常なむしろ放置状態になるということになるんじゃないかというふうに、大体そういう性格の問題であろうというふうに御理解いただければけっこうかと思います。そこで通産省がどうも企業家の援護にばかり回っているというお叱りをこうむったわけでございますが、御承知のように通産省には鉱山局と申しまして生産を担当する局があります。私の局は鉱山保安局でございます。この中には、いわゆる鉱山保安法の中には鉱害の予防ということが大目的の中に入っております。四つの柱の中にこの鉱害予防というのが入っております。少なくとも鉱山保安局長に関する限り業者の肩を持つということは絶対にございませんことを申し上げておきたいわけでございます。そこで、しかし、われわれも非常に現実的な立場に立たざるを得ない場合もあります。これは近藤先生よく御存じですが、できないことを約束するというわけにはまいりません。最大限の努力をいたします。技術的な問題、技術的検討というものもございます。したがいまして、われわれは水質基準がきまったあとにおいて、その水質を守るようにあらゆる努力をいたしたいというふうに考えております。それでいま近藤先生から御指摘の施設を強化する、こういう方向にはわれわれももちろん最善の努力をいたしたいと思うのですが、一体それじゃ先ほど来私が答弁申し上げましたいろいろな問題について、抜本的にどういう対策をしたら鉱害がゼロになるかというような試算は、これはなかなか技術的にも困難でございます。したがって、むしろそういう試算はまだわれわれのほうでは、そういう全体を通じて抜本的な対策を講じたら一体幾らになるかということはまだ試算をいたしておらないわけでございますが、少なくともいろいろな沢がたくさん——先生にいまさら御説明することもございませんが、でき得る限りなるべくそういった降雨時に銅が流れ込まないような施設を業者を督励してやってまいりたいと考えておるわけであります。
○近藤英一郎君 いま聞いておきたいのは、さっき申し上げた葦子橋の関係は、これはある程度まで最近やった施設だから、いま局長が言われるように、あすこの簀子橋の堆積場から出るものについては九〇%処理されているだろう、これはいいと思うのですよ。ところが、あすこにある大きい施設の二つについて、天狗沢と有越沢の堆積場、これについていまどういう対策をやらせようとしているのか。それからあれからはわりあいに鉱毒を出してないじゃないかという考え方を持っているのかどうか。それからもう一つは原堆積場、これは非常に古い、技術の悪かった時代に掘って積んであるやつをいままた掘り返しておるわけで、露天で掘り返しておるのですから、雨が降れば必ず浸透してくるのです。これについては具体的な対策をいま持っておるのですか。
○説明員(森五郎君) 天狗、有越につきましては、先ほど先生にお答え申し上げましたように山の上であって、これをコンクリートで被覆するというようなこともなかなかむずかしいんじゃないかというふうに考えられまして、これはなかなかむずかしい問題なんですが、しかし、いずれそこを洗ってくる水が沢を通ってくるわけですから、その沢に対して何らかの沈でんさせるような措置を今後考えてまいりたいと考えております。 それから原につきましては、これは先生御指摘の点でございますので、これは被覆をしたらどうかということで……。
○近藤英一郎君 かぶせる……。
○説明員(森五郎君) そうです。そうしてそれが降雨時にそのどろが流出しないような、あるいは上に木を植えるとかいたしまして、被覆して流出しないような措置を考えたらどうかということで、現在検討中でございます。
○近藤英一郎君 まだいろいろ納得のできない面もあるのですが、きょうの委員会で、両大臣も積極的にこの問題に取り組んで、長い間の問題でもありますので、前向きでひとつ対処していきたいというような答弁もありましたので、その行き方を見守りつつ、またいずれかの機会に、具体的な計画ができると思いますので、そのときにまた御質問をしたいと、こう考えて、きょうはこれで質問を打ち切ることにいたします。
○鈴木一弘君 いまの原堆積場の問題で局長に伺ってみたいのですけれども、被覆をしただけで、被覆をしてその上に木を植えていくということですけれども、それはかなりの量になるだろう、いま検討中ということでございますけれども、現在、再利用でベルトコンベヤー二台で掘っておるわけですね。おそらく選鉱場へそのまま水にとかして運んでおるんじゃないかと思いますけれども、そういうような現在作業をしておるのに、これを被覆をしてとめるのだと、何だか矛盾しておるかっこうにならないですかな。その辺の対策はどうなっておりますか。
○説明員(森五郎君) いま鈴木先生とそれから先ほど近藤先生からも御指摘を受けたのですが、原で昔堆積したやつをもう一ぺん使っておる、これは事実でございます。これは経済的な理由からそういうことをやっておるのだろうとわれわれは考えますが、それの現在の水の処理が悪いという指摘でございますが、これはやはり保安法に基づきまして、厳重に現在作業をしておるところの水の処理等につきましては、十分今後注意をして監督していきたいと、こういうふうに考えるわけであります。しかし、これはいずれ採掘が終わるんじゃなかろうか、あるいはもう量が、底が見えてきたというような時期をねらいまして、いま申し上げた被覆とか、被覆して上に木を植えるというようなことで処置をしたらどうかというような考え方を持っておるということを申し上げたわけでございます。
○鈴木一弘君 一体それではその採掘をしておるのが終わるのはいつごろとお考えになっておりますか。
○説明員(森五郎君) これはその原堆積場にためたものを全部掘るというような計画ではないようでありますが、品位のいい部分だけをもう一ぺん抜き取ってやろうという計画でございますので、いずれ近い将来に先ほど申し上げたような被覆というような問題が出てくるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 いずれ近い将来と、非常に不安定な要素ですけれども、現在昼夜兼行で掘っているようでありますし、それだけに、この場だけの答弁じゃなくて、役所のほうではっきりと鉱山側と話し合って、いつごろになるか確定してほしいと思うのですよ。それでなければ、これはいつまでもいつまでも手をつけられないということになりかねない。しかも今度は、その堆積場からあふれ出たものについては、先ほどは適当な処理をしたい、いわゆる浄水場みたようなことを考えたい、いまでも沈でん池みたようなものがあるようでありますけれども、五メーターの深さのものが超満員になっている。したがって、溢水した場合にはそのまま流れ出てしまう。通産省あたりで見に行くときには、その土砂を全部きれいに川の中にはうり出してしまうそうですけれども、こういうふうにきれいでございますという姿だけ見せる。そういうような鉱山側の非常に不誠意な面がある。そういうことがいわれているわけですけれども、一つは、その浄水場をつくるようにやっていくならば、どういうふうに計画さしていくか、どういうふうにいつごろまでにやらせるつもりなのか。いま一つは、そういうようないきさつをごまかすというようなこともありますから、不意打ちの、抜き打ち的に見るというようなことを本格的におやりになる必要があるのじゃないのか。この二つの点。
○説明員(森五郎君) この原堆積場の堆積物を再処理する計画がいつまでであるかということにつきまして、これは古河鉱業とすっかり詰めまして、いつまでだという具体的な計画を立てたいというふうに考えておるわけでございます。 それからもう一つの、操業中においての鉱山側の管理の問題でございますが、これはいま先生方から、どうも管理のやり方がずさんである、通産省の監督官も行っていないのじゃないかというお話がありましたが、検査は抜き打ちが原則でございます。そういう点に粗漏ありというおしかりをこうむっていたわけでありますから、われわれも今後気をつけまして、監督を厳にしまして、施設の改良をすべきは改良をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 これは水質の問題でちょっと伺っておきたいのですが、厚生省からきていると思うのですが、桐生の水を本宿というところから原水を引っぱっているわけですね。ところが桐生市の水質検査を見ると、大体水道法による水質基準の省令一ぱい一ぱいである。特に銅の場合、鉛の場合、クロームの場合、砒素の場合、一ぱいである。現地では特に砒素が多いのではないかというようなことがいわれているわけですが、それについてと、いま一つは、それに対して群馬県の保健所へ頼むと、分析をするけれども、飲料に適当、不適当という答弁だけくる。一体不適当のときはどうするつもりなんですか。その辺のことがよくわからない。一つは、あとで資料要求いたしますけれども、そういった点についてまず答弁していただきたい。
○説明員(大橋文雄君) お答え申し上げます。水道によりまして供給される水は、水道法に水質基準というものがございまして、その水質基準に合致しているものでなければならないということがはっきりしております。法律ではその詳しいことが省令に譲ってございますが、たとえばただいま御指摘になりました銅とか砒素というようなものにつきましても、たとえば銅につきましては、これはその水道によって供給される水でございまして、原水じゃございませんが、銅は一・〇PPM以下であること、それから砒素につきましては〇・〇五PPM以下であることというふうに省令でこの数字が明記されてございます。それでこの桐生市がその原水としてとっておりますところにおきます水質、原水の水質でございますが、いま参りますときにちょっと報告を求めて聞いてきた数字でございますが、一応従来のものの形成的にはやはりどうも砒素があるというようなことでございますが、銅に関しましては大体原水に〇・〇六ぐらい、あるいは砒素に関しましては最大〇・〇四あるということで、この原水の範囲内におきましては、非常に水質基準に近いぎりぎりのものでございますが、桐生市の水道の場合には、いずれもその後浄水場の過程におきまして、凝集沈でんとか、あるいはろ過というようないろいろな浄水方法でこれをさらにきれいにいたしますので、水道の水として供給される場合には、水道法の水質基準に合致しているというのが実情でございます。
○鈴木一弘君 いまの答弁は非常に不満なんですが、これは四十一年八月十五日に採取したのを四十一年の九月十六日に調査結果が発表になっているのですが、浄水のほうですでに銅が一・一PPMというふうに水質基準一ぱいです、あるいは砒素については〇・〇五PPMというふうに一ぱい、原水でいえば銅が三・一PPMもあるという状態——桐生のほうから調べてきたのですけれどもね。それとあとの答弁と違うのですけれども、それはさらに再調査していただきたいのです。 もう一つは、先ほど言ったように、群馬の桐生保健所に頼んで調査の依頼をしているけれども、飲料に適不適だけを言っている報告が出ている。その不適の場合にはどうしているのですか。
○説明員(大橋文雄君) 上水道の水道で飲料不適という報告が出た場合でございますか。
○鈴木一弘君 そうです。
○説明員(大橋文雄君) それは即座に改善し、飲料に適するようにしなければならぬということでございます。
○鈴木一弘君 それに関連して伺っておきたいのですが、建設省が群馬大学に依頼してやった渡良瀬の調査ですが、それによる場合、銅のリットル当たりミリミリグラム、ですからPPMだろうと思うのですが、同じだと思うのですが、それと桐生のいわゆる取り入れ口で取ったのと非常にデータが違っている。たとえば高津戸あたりで見ていると〇・五とか、一番多いときで〇・五四PPM建設省の群大に頼んだ調査では含有量があるということですけれども、一方桐生で見ると三・一ある。そうするとこれは建設省のほうのデータの取り方がおかしいのか、こっちがおかしいのか。片っ方は四十一年、片っ方は三十八年でその間に三年あるから、三年ある間にいわゆる足尾からの銅というものが多く出てきているような傾向になっているのか。その点はこれは厚生省と建設省の間でどんなふうな違いがあるのですかね、やり方に。それを伺いたいのです。その相違はどうして起きたか。
○説明員(大橋文雄君) 水質試験は非常に——確かにおっしゃいますように数字には、いかなる河川におきましても非常に数値的には変動がございます。御指摘いただきましたように、その川の流量、あるいはそのほか排出されますいろいろな要素とかそういうものによって変動されます。しかし水質試験をやります方法そのものは、建設省でやりましても厚生省でやりましても、大体一緒のものを用いておりますけれども、いろいろなもろもろのそういう要素によりまして変わります。同じ一日を取りましても、朝と晩、あるいは日中というふうに非常に変わりますので、ただいま申されました数字の食い違いというものは、そういうふうな条件の違いからくるのではないかというふうに推定しておるわけであります。
○鈴木一弘君 これ一問で終わっておきたいのですけれども、そういうようにまだ水質そのものを現在調べているのでも私の考えているのとはずいぶん食い違いがある。そうなると、これを鉱山保安局のほうでできる限りとめたいということになってもとまり切れないということになりかねない。その点で強力に通産省側からも正確なデータというものを取って、一体どこがどういう原因になるのかということまでつかんでいかなければ、対策の打ちようがないと思いますし、さらに桐生よりも太田のほうが水道がよごれているというふうな話でありますから、そうなると、これは多くの人がじかに口に入れるものでもあるし、強力に基準の何といいますか、きめるような会議というものをやるなり、連絡を積極的にとるなりの方法を考えてほしいと思いますが、その点答弁してほしいのですが。
○説明員(森五郎君) いままでの足尾の鉱毒問題と申しますのは、農民に対する問題、あるいは内陸面水域における漁業の面というようなことでございましたが、鈴木先生御指摘のような水道の問題というのもあるということで、これは確かに重大なことでございますので、水質基準が設定されましたなら、その設定された基準に基づきまして十分な勧告をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 これで終わりますが、終わりにあたって資料の要求を委員長にお願いして、委員長から取り計らってほしいのですが、一つは桐生とか足利とか、あちらのほうの火葬場から灰まで持っていって、人間の灰を六キロだと思いましたが、岡山医科大学——広島大学かもしれませんが、分析をお願いしておるわけであります。地元のほうでもやっておりますが、その結果を岡山医科大学からいただきたいということ。二番目は桐生の保健所で適、不適というだけのことでありますので、その分析結果というものを不適のときの分析結果だけでいいのですが、また、それが幾日ぐらいあったかということをほしいということ。三番目は太田の水道のデータ、特に原水と浄水ですが、ほしい。 以上三つのデータを特にお願いしたいと思うのです。資料として要求します。
○委員長(村上春藏君) それではいいですね、資料の問題。ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(村上春藏君) 速記をつけて。他に御発言もなければ、本件の調査はこの程度にいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会