社会労働委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 234 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/10/14
会議録
○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。去る八月三十日小林武君が委員を辞任され、その補欠として大橋和孝が選任されました。 —————————————
○委員長(千葉千代世君) 理事補欠互選の件についておはかりいたします。 佐野理事が一たん委員を辞任いたしましたため、理事一名欠員となっておりますので、その補欠互選をいたしたいと存じます。互選は、先例により、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉千代世君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に佐野芳雄君を指名いたします。 —————————————
○委員長(千葉千代世君) この際、松山厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許可いたします。松山厚生政務次官。
○説明員(松山千惠子君) 松山でございます。今日までごあいさつを申し上げる機会を逸しまして、深くおわび申し上げる次第でございます。 先般の内閣改造に伴いまして、政務次官を拝命いたしました。もとよりまことに浅学非才、ふなれなものでございますので、今後とも諸先生方の御指導、御鞭撻をいただきながら、与えられた期間、職責を全うさせていただきたいと念じておりますので、どうぞひとつよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○委員長(千葉千代世君) 派遣委員の報告に関する件を議題といたします。 先般当委員会が行ないました厚生及び労働行政の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から報告を願います。 まず、第一班中国班、広島県及び岡山県の御報告をお願いいたします。佐野芳雄君。
○佐野芳雄君 第一班の報告をいたします。 当委員会の決定に基づきまして、山本委員、私の二名が参加をし、八月三十日から九月三日まで広島、岡山の両県下を視察してまいりました。主として広島県の大久野島毒ガス障害者の実態調査及び対策に関する事項、心身障害者、障害児の現状と援護対策に関する事項を中心といたしまして、厚生及び労働行政に関する当面の問題もあわせて調査をいたしました。 以下、調査項目に従って、その結果の概要を申し上げます。 まず、大久野島毒ガス障害者の実態調査及び対策に関する事項について申し上げます。 広島県竹原市忠海町に属する大久野島にありました元東京第二陸軍造兵廠忠海製造所において毒ガスの製造及び貯蔵が行なわれていたのでありますが、同所の職員及び工員で作業中、毒ガスに起因して負傷または疾病にかかり、障害を残し、療養を必要とするに至った者があります。この人たちに対しては、昭和二十九年二月、大蔵省から共済組合連合会あてに通達されたガス障害者救済のための特別措置要綱に基づいて救済が行なわれているのであります。この通牒では、ガス障害者に対して旧陸海軍共済組合の権利義務を承継した、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法を適用することを明らかにするとともに、同法によっては不十分な点を行政措置によって補充することとしているのであります。 連合会が行なっている救済措置を概説いたしますと、ガス障害者で療養を要する者は忠海病院及び呉共済病院に収容して療養を行なうこと、療養中の者には原爆症患者と同様の医療手当を支給すること、ガス障害により廃疾となり、その程度が恩給法第四項症以上の者には障害年金を支給すること、障害年金者が死亡した場合は五年分の遺族一時金を支給すること、障害が公務によるガス障害であるかどうか、療養を要するかどうか、廃疾の程度が障害年金受給資格に該当するかどうかを審議するためガス障害調査委員会及び認定審査会が設けられております。 この調査委員会及び認定審査会は、昭和二十九年三月以降毎年おおむね四回開催されておりまして、現在までにガス障害者として認定した者の数並びに給付状況は次のとおりとなっております。 認定した障害者の数二百九名、うち百三十名、年金受給者十名、同一時金受給者四十名であります。 私ども一行は忠海共済組合病院を視察し、入院療養中の八名のガス障害者を慰問、見舞いをいたしました。現在当院で治療中のガス障害者は百三十名でありますが、入院患者は一カ月平均七名、一人当たり治療日数二十五日、外来患者は一日平均三十名ないし四十名、一人当たり治療日数七日であります。 毒ガス障害者のおもな病状は呼吸器の症状であって、毒ガスの曝露による気道粘膜の急性炎症が慢性炎症に移行している状態であります。一般に慢性気管支炎と診断されておりますが、中には気管支拡張症、肺気腫へと進展した高度の障害者も見られるのであります。現在までの死亡者の状況は、死亡者五十九名、うち主因分類を見ると、気道ガンによるものが最も多く、十九名を占め、気道ガンの症例については毒ガス、特にイペリットによる発ガン性が注目されます。次に、消化器ガンも八名の症例がありますが、これについては毒ガスとの因果関係を実証するに至っていないとのことであります。その他三十二名のうち、呼吸器系二十一名と、大半を占めているのが特徴であります。 当病院におけるガス障害者の病状について問題点を申し上げますと、終戦後すでに二十一年を経過した今日では、障害者の平均年齢は六十歳余りであって、老人病が相当加わって高血圧症やロイマチス、神経痛のような疾患が併発するものが多いことであります。忠海病院では、毒ガスで障害に関連があると認められる疾患についてのみ治療を行なっているのでありますが、全身的な回復がなければ毒ガス障害の治療の効果があがらないという点に問題があるのであります。 なお、かっての従業員のうち、現在結核に罹患している者で療養の申し立てをする者がありますが、ガス障害と結核との因果関係が判然としないために療養の認定がされていないのであります。これらの結核患者についても、ガス障害者として救済することが望ましいということであります。 竹原市役所において市長の陳情を受けましたが、その要望事項は第一に、原爆被爆者と同様、大久野島で毒ガス製造所に従事した者はすべて毒ガス障害者であるという前提に立って医療保障の徹底をはかり、国の責任において全面的健康管理を行なわれたい。 第二に、現行法の改正もしくはガス障害者のため法を制定し、救済を講ぜられたい。 第三に、現在の医療手当金を増額してもらいたいということでありました。 また、竹原市役所におけるガス障害について関係者との懇談をいたしました際に明らかになった諸点は次のとおりであります。 第一に、大久野島における毒ガス製造の時期は昭和十二年ごろといわれていますが。その後昭和十五年ごろまで製造していたともいわれ、また、当時の従業員の方々は、昭和十八年末、あるいは昭和十九年に及んだともいい、毒ガス製造の時期についてはいろいろと意見が分かれて、実態が把握されていないようであります。 第二に、当時忠海製造所に勤務していた従業員数においても、ある時点における人数は判明していても、資料が消失して当時の従業員の実態が判然といたしておらない点であります。 第三に、ガス障害調査委員会の裁定では、女子従業員には危険な作業をさせていなかったとの理由で、毒ガス障害者の対象から除外されております点に問題があります。参考までにガス障害調査委員会における現在までの女子関係の療養申し立て処理状況は、申し立てが二十九件のうち、採択はわずか二件であって、保留二十二件、不採択三件、取り下げ二件となっております。その当時の実情は、戦争進行につれて男子工員の召集により手不足になった時期には、女子がその補充に充てられ二〇%の危険手当を給付されて作業に従事していたといわれます。本年八月に竹原市保健所の医師が行なった毒ガス業務従事対象者調査によれば、三十五歳から三十九歳の女子が四十一名もおり、一般の既婚の女性に比較して、死産、流産が多いということであります。 第四に、県においても原爆者の総合対策特別委員会が設置され、この委員会で今年ようやく大久野島毒ガス障害者の対策について審議をしている状況であります。 第五に、当時の忠海製造所に勤務していた従業員の身分は、陸軍の内地軍属であったことにかんがみ、右に述べましたように、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法を適用し、同法による不十分な点はガス障害者救済のための特別措置要綱に基づく行放措置によることとしているのでありますが、必ずしも十分な救済措置が行なわれているとは言えないのであります。 毒ガス障害は放射能障害と同一視すべき特殊な障害と思われます。しかるに、その救済措置は、原爆被爆者と比較してやや格差があるやに感じられ、また、これが対策に必要な調査資料についても、必ずしも十分整理されているとは言い得ない面もあることが明らかであります。国が中心となって早急に実態調査を実施し、戦傷病者戦没者遺族等援護法関係、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律と遜色ない適切なる救済措置を講ずる必要があることを痛感いたしたのであります。 次に、心身障害者、障害児の現状と援護対策の事項について申し上げますと、まず、視察いたしました心身障害者、障害児の施設は、広島県では西条町にある県立肢体不自由児施設若草園、社会福祉法人精神薄弱児施設六方学園、広島市宇品町にある県立身体障害者更生指導所、同職業訓練所及び身体障害者更正相談所をはじめとする各種福祉関係相談所等であります。 岡山県では、県立の重度リハビリテーション施設岡南荘及び肢体不自由児施設、精神薄弱児施設、乳児施設を経営している社会福祉法人旭川荘等であります。 心身障害者、障害児の現状について見ますと、身体障害者福祉法による身体障害者手帳の所持者(身体障害児を含む)は昭和四十一年の現在では、広島県では三万二千四百六十九人、岡山県では二万八千三百人で、県人口の千分比でこれを見ますと、広島県一五、岡山県一六・三七で、全国平均の一一・九よりも相当の高率を示している状況であります。しかしながら、心身障害者、障害児の実数については、両県ともに実態を把握するまでに至っていないことは、心身障害者、障害児対策の立ちおくれの原因となっていると思われます。したがって、厚生省は都道府県を指導し、国の予算でもって心身障害者、障害児の実情を把握するため実態調査を行ない、早急にそれぞれの障害者、障害児のニードに応じた対策を樹立する必要があるのであります。施設に収容されている障害者、障害児の起因病患を見ますと、障害児の場合には、両県ともに約六割近くは脳性小児麻痺で、年々増加して、今後脳性小児麻痺の発生予防対策から社会復帰に至るまでの広範な一連の事業が確立される必要があります。 一方、身体障害者の施設では、主として後天的な障害が大半を占め、産業災害、交通事故等による障害者数が毎年増加の傾向にあるということであります。施設整備の状況については、両県ともにいまだ体系的に整備されておらず、拡充強化の途上にあるということが言えるのであります。 障害者、障害児の施設及び収容定員については、推計される障害者、障害児に比して著しく不足を来たしている状況で、今後緊急かつ積極的に国は施設の計画的な整備をはかり、さらに飛躍的に拡充強化する必要があると考えられるのであります。特に重症及び重度の障害施設の設置については、政府の五ヵ年整備計画を大幅に変更し、増設する必要があります。特に広島県では、昭和四十二年度において国立の重症心身障害児施設を設置されるよう、強い要望がありました。また、岡山県においても、重度の障害により日常生活に常時介護を必要とする者九百三十三名が把握されており、国立の重度身体障害者療養施設をブロック別に設置されたいという強い要望があったのであります。重症心身障害児の援護については、法律に明確に規定するとともに、入所児童は十八歳を過ぎても継続し、児童、成人にかかわらず、一貫した恒久対策を樹立してもらいたいという切実な要望があったのであります。施設の専門職員の養成確保には非常に苦慮しており、基準定員の増員、職員の処遇の改善についても要望があり、これらについて国は十分な指導、助成を行なう必要があることを痛感いたしました。 次に、リハビリテーション施設は、身体障害者の機能回復訓練、職能訓練のための施設としてその整備をはかっていかなければならないことはもちろんでありますが、これを利用する身体障害者の立場から見ると、施設入所中の生活の不安のために、訓練を受ければ残存能力が向上することが明らかであるにもかかわらず、これを利用し得ない場合が多いのであります。したがって、入所を促進し、入所期間中の生活を安定させるために社会復帰促進手当のごときものを支給する制度を新たに設ける必要があると感じました。 広島県宇品にある福祉センター内のそれぞれの機関は、それぞれ別個の法に基づいて設置され、かつ、それぞれ別個の法による国庫負担対象事業とされているため、管理的経費については、施設の規模、収容定員に応じ、負担割合を定め運営にあたっているのでありますが、これを一つの機関において一括して行なうようにしたいとの強い要望があったのであります。 また、現在の更生指導所、職業訓練の訓練科目が家内工業的、手工業的であるので、近代産業の雇用関係に適合するよう訓練科目、技能取得方法を開発しなければならないと考えられます。 岡山県には、身体障害者の職業訓練所がなく、身体障害者対策に熱意を示しながらも、医療、リハビリテーション、雇用について一貫性がないのは画竜点睛を欠いているので、職業訓練施設の設置が必要であります。しかしながら、施設の体系的整備はもとより、在宅心身障害者、障害児の援護の強化もまたこれに劣らず重要でありますので、福祉機構を一貫した、きめのこまかい施策を実施することが現在ほど要求されている時代はないと思います。したがって、各種関係制度、予算の確保、関係法律による改善措置を通じて、総合的かつ計画的に実施し、現在の立ちおくれを取り戻し、飛躍的な福祉対策を立てなければならないと思うのであります。 厚生及び労働行政に関する当面の問題及び要望事項について若干申し上げます。 定時制の岡山市立商業学校衛生看護科及び岡山市女子高等学校衛生看護科の二枚を視察いたしました。この種の学校は全国に五十二校あるのでありますが、うち六校が岡山県下にあり、看護教育に対する熱意のほどがうかがわれます。医師会側の声として、高等学校衛生看護科の生徒のうち、准看護婦の免許状を有する者に対しては、既習専門科目に対しては高等学校の修得単位として認定ができるよう法的措置を講じられたいとの要望があったのであります。 次に、財団法人岡山県血液配給センターについては、岡山県が全国に先がけて県衛生部、赤十字支部、県医師会の三者合議協力の上昨年末設立し、本年二月より業務を開始したものであります。赤十字血液センターの採血した保存血液を県下必要血液量の約六割ないし七割を医療機関へ公平、円滑かつ迅速に配給して、血液の供給と需要機構を分離し、整備したことは一つの特色であります。血液配給センターの業態、特殊事情から早急に献血による医療用保存血液の価格の適正化について要望がありました。 石井公益質屋は岡山市にある三つの公益質屋のうちの一つでありますが、運営費の三分の一国庫負担、貸し付け限度額の引き上げ等について要望があったのであります。全国調査によれば、公益質屋は年々衰退の一路をたどりつつあり、いまこそ公益質屋法の抜本的改正が必要となっているのであります。 最後に、労働行政については、広島県では昭和四十二年度に港湾労働者福祉センターの設置と、労災診断センターの設置について要望があり、岡山県は県内労働力の確保のため、移転就職者用の宿舎を岡山、倉敷、水島を中心に増設されたいとの要望をいたしておりました。 その他の要望事項については、別冊のとおりお手元に配布いたしたので、御高覧をお願いいたします。 以上、報告を終ります。
○委員長(千葉千代世君) 次に、第二班四国班、徳島県及び高知県の御報告願います。紅露みつ君。
○紅露みつ君 それでは、第二班四国班の報告をいたします。 第二班は、土屋委員、森委員及び私の三名で、八月二十三日より二十七日まで五日間の日程で徳島県及び高知県の視察をいたしました。 徳島県では、県庁及び労働基準局の関係幹部から説明を聞き、懇談するとともに、精神薄弱者施設の草の実学園、老人福祉センター、身体障害児施設のひのみね学園、徳島総合職業訓練所、渭東地区における木工業、阿南地区におけるじゅうたん織り業、鳴戸、日和佐地区の国立公園、国定公園を視察するとともに、国民宿舎日和佐海亀荘を利用いたしました。高知県では、県庁及び労働基準局の関係幹部から説明を聞き、懇談するとともに、高知職業安定所、高知中央保健所、土佐山田保健所、身体障害者施設、高知市の和紙製造業及びサンゴ加工業等を視察いたしました。 以下、両県における調査事項のおもなる点の概要を報告いたします。 まず、心身障害者、特に精神薄弱者及び身体障害者対策についてみると、徳島県では精神薄弱者は約三万人で、そのうち児童五百人、成人四百人が施設収容の措置を要するものと推定されており、これに対する県内の施設能力は、児童三百二十人、成人二百三十人分と、必要数の約六〇%であります。身体障害者は約二万人と推定されており、その七五%が身体障害者手帳の交付を受けております。肢体不自由児は、収容を必要とする者が約五百人と推定されておりますが、既存の施設は一カ所で、定員は百五名であり、本年度から増員が計画され、ひのみね学園においては母子入園棟で十床、重度病棟で三十床が併設されることになっております。しかし、その収容率は二九%にすぎないのであります。 高知県では、現在精神薄弱者は二千五百人、精神薄弱児は三千人と推定されております。本県では昭和四十年度から児童、成人の行政の一元化をはかり、対策を進めております。特に精神薄弱者については、更正相談所の相談指導によるほか、社会福祉法人かがみの学園に四十二人収容し、職能訓練等により社会復帰につとめております。本年度から同園を拡張して三十二名増員の予定であります。精神薄弱児施設は県内に五カ所で二百十八人を収容し、保護育成に当たっておりますが、収容児数は全数の七%であります。身体障害者手帳の交付を受けている者は二万百人で、そのうち児童は約一千人で、これに対する施設は、身体障害者関係で二カ所、収容定員七十名、肢体不自由児施設子鹿園百三十名を収容しております。このうち二十名は重度肢体不自由児であります。両県とも、これらの心身障害者対策を県の重要な施策として推進しておりますが、施設収容を必要とする数と収容定員との間になお相当の差があり、引き続き施設整備の必要があります。また、特に精神薄弱者については、その実態がつかめておらずこれの実態調査とともに、精神薄弱者に対する一般の理解と、在宅精薄者の保護指導の強化等が一そう必要であると思われます。 さらに重症心身障害児は、徳島県では七十名ないし八十名、高知県では約三百名と推定されておりますが、国立の施設は、四国を通じてわずかに香川県善通寺に一カ所設置されるにとどまっております。徳島県、高知県ともに国立施設の県内設置について強い要望を持っているのであります。 次に、保健所の整備状況について見ると、徳島県では、保健所は徳島保健所以下九所が設置されており、医師等、職員の充足率は、医師の定員三十八名に対し、現在員は十四名で、充足率は三七%と低いが、薬剤師及び獣医師は、定員九名に対し、現在員は二十七名となっており、医師と合計すれば、人数の上での充足率は八七%となっております。また、保健婦は、定員では八十名となっておりますが、現在員は六十九名で、充足率は八六%であります。 なお、県下五十三市町村に六十九名の保健婦が置かれているが、未設置町村はなお十三ヵ年村に及んでおります。 高知県では、保健所は高知中央保健所以下十所で、医師等、職員の充足率は、医師の定員四十三名に対し、現在員十一名で、充足率はわずか二六%と、はなはだ深刻で、二カ所の保健所では医師が兼務の状態にあり、薬剤師及び獣医師は、定員十名に対して、現在員十一名であります。また、保健婦は、定員八十二名に対して、現在員百四十一名で、充足率は一七二%と高く、駐在制を実施して効果をあげております。 以上のように、両県とも医師の不足は深刻であり、特に高知県では医師不足の保健所が二カ所もあり、かろうじて他の保健所の医師の兼務によって保健所業務を遂行している事態は急速に解消されねばならないと思います。夏季においては伝染病等の発生の多い南国では、保健所の使命は重要であります。高知県では、医師確保のため、本年度から医学生に奨学資金を貸与する制度を実施しておりますが、県下に医科大学がないという特殊事情を考慮して、医師確保に関する特別の国の配慮を望んでおります。 両県とも、保健所施設は、現在では業務量の増大に伴い、著しく狭くなっているもの、あるいは老朽化しているものもありますので、庁舎の改増築の必要があろうと思います。また、保健所業務の実態から見て、基準定員の増加と特殊勤務手当等、職員の待遇改善の措置が大いに必要であると思われるのであります。 次に、広域職業紹介の状況について見ますと、徳島県では昭和四十年における広域職業紹介による県外就職者の数は、一般求職者で約千七百人、中学卒業者で約二千六百人、高校卒業者で約四千二百人にのぼっております。そのほか出かせぎ労務者が五千七百人以上と推定されております。これを合計すると、年々他の府県に一万四千二百人以上のものが就職していることになり、徳島県の求職者の約三分の二は他府県に就職する結果となっております。就職先は地域別に見ますと大阪が最も多く、総数の約三分の二で、次いで兵庫、愛知の順となっております。 高知県では、昭和四十年における県外就職者は一般求職者で、就職総数約八千五百人中、千百七十名、中学卒業者で新規卒業者の約六〇%の三千八百二十名、高校卒業者で新規卒業者の約四〇%の二千五百八十名がそれぞれ他府県に就職しており、就職先も、徳島県と同様、京阪神地区が大部分で、中京地区がこれに次いでおります。このほか出かせぎ労働者は七千人ないし一万人といわれております。この傾向は昭和四十一年度においてもなお続いていると思われるのであります。 以上のように、両県とも県外就職の数は著しく、昨年の景気調整下にあっても、新規学卒者に対する県外からの需要は殺到して、これの県外流出が目立ち、このため高知県では、県内の労働者は老齢化するとともに、地域開発推進の上からも、新規学卒者の地元確保が重要な課題となっております、県においても、県内就職のための集団求人方式化、労働条件の向上、早期求人申し込みの指導、職業指導の充実等により、県内労働力の確保につとめている現状であります。しかしながら、他府県と同様な労働条件で新規学卒者を採用することは県内の中小企業では容易ではないので、これを県内に引きとめることは困難であろうかと思われたのであります。 また、出かせぎ労働者は、両県とも公共職業安定所の紹介によるものが非常に少ないため、その実態を把握することが困難でありますが、出かせぎ労働は社会的にもいろいろ問題がありますので、高知県では、本年度より労働省から出かせぎ対策重点実施県としての指定を受け、これに基づいて出かせぎ労務者対策協議会の設置、出かせぎ労務者台帳の作成、出かせぎ手帳の交付、巡回職業相談所の開設等を行ない、公共職業安定所紹介による就労の促進、就労経路の正常化及び就労条件の適正化をはかり、あわせて県内労働力の確保につとめております。 出かせぎ労務者及び他府県への一般の就職者は普通離職後帰国しまして、出身地の公共職業安定所に出頭して離職の認定を受けるので、失業保険の給付額が保険料の徴収額に比して著しく高額になる結果ともなっております。 公共職業安定所による広域職業紹介活動は、公共職業訓練の実施と相まって、県内の労働力、特に若年労働者を他府県に送り出し、安定した職場を与えることには成功しておりますが、これは他面、地元開発に必要な労働力にも影響を与える結果ともなっております。 なお、徳島県から、身体障害者の職業訓練施設を設置すること、高知県から、総合公共職業訓練所を安芸市に設置すること、雇用促進事業団による移転就職者用住宅を高知市に設置することの要望がありました。 最後に、老人福祉対策について見ますと、徳島県では六十五歳以上のものは約六万八千人に及び、県下総人口の約八・四%を占めており、さらに増加の傾向を来たしております。 県下には養護老人ホームが十カ所、定員六百名、それに定員二十二名の軽費老人ホームを持つほか、養護受託者制度が行なわれております。老人クラブもその数四百七十五、会員数四万三千三百名となって、それぞれ地域の特殊性を生かして活動しているが、今後もクラブ数、会員数ともに増加の見込みであります。 老人健康診査は、昭和四十年度で六十五歳以上の老人の一般診査の受診率は一八%で、全国平均よりかなり上回っております。診査の結果、精密診査を要する者は約三分の一で、精密診査の受診率は、受診対象三千八百八十五人のうち、受診者二千五百五十七人で、六六%となっております。 要保護老人世帯への家庭奉仕員は、昭和四十年度まで四市に各一名あて設置されておりましたが、四十一年度から五名が増員され、現在九名となっており、それぞれ相当の成果をあげ、期待をされております。 高知県では、六十五歳以上の老人の数は昭和三十八年で七万六千五百人で、県下総人口の九・二%であり、現在においてはすでに一〇%をこえているものと推定されております。 養護老人ホームは六カ所で、入所者は五百二十名であります。老人クラブ数は五百四十、会員数は三万八千人となっており、年々増加の傾向にあります。 両県とも、老人の福祉対策に相当努力しており、特に徳島の老人センターは、立地条件、施設の形式、収容者が外部との接触を保つことの配慮等によって新しい老人の養護方法を試みて成果をおさめております。なお、徳島県においては、養護老人ホームの業務運営基準の制定と精密診査の促進策について特に要請がありました。 国立公園、国定公園につきまして、徳島県から、公園の景観を厳正に保存するために、特別保護地区における補償費の国庫負担、集団施設地区内の用地買収費の国庫負担、有給専任の公園管理指導員の充実をはかること、高知県からは、足摺国定公園の国立昇格、海中資源保護の強化のための法改正を行なうことの要望がありました。 終わりに臨み、今回の視察にあたり、県、市町村、各施設、事業所等の関係者の御協力に感謝して報告を終わります。
○委員長(千葉千代世君) 以上で派遣委員の報告は終わりました。 ただいまの御報告に対し、御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、委員派遣の報告はこれをもって終了いたします。 なお、ただいま御報告がございました両班からは、別途文書をもって現地の要望事項が提出されておりますが、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○委員長(千葉千代世君) 次に、社会保障制度に関する調査を議題といたします。 看護婦の充足に関する件について調査を行ないます。 本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○大橋和孝君 看護婦の非常に不足しておる問題について、ひとつ厚生省のほうに——まだ大臣がおいでになっておりませんので、大臣が来られてから大臣からお伺いすることにして、初め医務局長のほうにお伺いいたします。 最近の婦人労働者は八百万人もあるといわれます。共かせぎの婦人も非常に極度に数がふえてきておるわけであります。そうして、しかもその中で低賃金で働いている人、いわゆる月額が一万五千円程度のものは、三分の二はこの婦人労働者が占めているといわれているわけであります。こういうような状況の中で、看護婦とか保母というような職業に従事している者も、従来から非常に低く見られているというところにこの看護婦不足の問題点もあろうかと思うわけであります。そういう観点から、このごろは非常にこの看護婦の不足が社会問題化して、非常にこの病床数、いわゆる九十八万四千床もあるという、これは二十八年度の統計でありますが、それから以後四十年の、十年あまりの間には二倍以上にこの病床もふえているというわけであります。看護婦のほうは非常にこれに追いつかなくて、いまでは五床から八床ぐらいの間に一人ぐらいの割合しか看護婦が確保できない。特にまた日本の看護協会あたりでは、二人半に対して一人ぐらいの看護婦を要望している。業務力の上から考えたならばそれくらいに考えなければならぬという要望が出るわけであります。こういう中で非常に看護婦不足が問題化すると同時に、また、この労働時間の問題に対しましても、ILOの勧告なんかによりますと、一日八時間ぐらい以内であって、週四十時間というのが要望されているわけでありますが、公務員の勤務時間は四十四時間になっているわけであります。また、夜勤につきましても、非常な看護の特殊性があるにもかかわらず、看護協会あたりの調べで見ますと、最低が七・七回、それで最高は十一・五回になっているのでありますので、一カ月にやはり三分の一は夜勤をしているというような状況であると考えられます。また、病人というのは非常に夜間に重い訴えを訴えたり、重症を来たしたりすることが想像以上に多いわけでありますけれども、こういうところに非常に大きな問題があり、人事院あたりでは月に八日間ぐらいが望ましいというようなことも言っているわけでありますか、なかなかそういうことになり得ない現状にあるわけであります。 また、この賃金の面から見ましても、公益法人あたりでは平均が二万五千円ぐらいになっておって一番高いのでありますが、厚生省あたりのほうでは一万九千円ぐらいのこれが初任給という形になっております。こういうようなことを考えてみますと、このたび行なわれている厚生大臣の人事院に対する要望なんかを見ましても、医師とか看護婦のために初任給を大幅に上げようとか、あるいは、また、日直などの手当を新設したり、あるいは、まだ、急患者に対してすぐに応ずるような態勢をつくれとか、あるいは、また、僻地に対しては特別な手当を出すようにとか、あるいは重症の心身障害者などの療養に対しては本俸の二四%かをプラスするようにとかいういろいろ要求をしておられるようであります。また、これらの問題に対しましても、非常に大きな格差のあることが問題であり、特に看護婦のほうは大きな差があるわけでありまして、なかなかそういう方面に看護婦さんの充足もむずかしい現況になってきているというわけであります。で、そういう観点からこの看護婦の不足の問題を深刻に考える場合には、いま申したように、ただ単に賃金の問題とか、そういうことのみでは解決できない、こう思うわけでありまして、特に制度上の問題とか教育上の問題が非常に考慮されなければならないと思うわけであります。こういう観点について、医務局長のほうでは一体どういうふに考えておられるか、根本的に。そして、また、ことに看護婦の養成案というようなもの、養成のそのことに対しては、その行政指導はどういうふうにしておられるか、あるいは、また、その考え、看護婦を養成するたてまえはどういうふうに考えておられるかという点をまず第一にお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(若松栄一君) 看護婦の需給の問題で、医療従事者に非常に御迷惑をかけておりましたことについては、私どもの基本的な養成、需給計画が適切でなかったという意味で、まことに申しわけないと思っております。この看護婦の需給が非常に予想外に逼迫いたしました原因といたしまして、戦後における社会保険制度の拡充、さらに医療保障全般の拡充というようなことから、国民全般の受診量、あるいは医療を受ける量、したがって医量全体の量が非常に拡大してまいりました。特に病院施設のベットの拡大ということが私どもの予想を上回った勢いで伸びてきたということが一番大きな原因であろうかと思います。それに加えまして、そのような状況に応じまして、当然看護婦の養成の伸びが起こらなければならなかったのでごさいますけれども、その施設の拡充それ自体が必ずしもそれにマッチしていなかった。かてて加えて、三十五、六年ころにいわゆる病院ストライキというようなことが起こりまして、そのために看護婦に対する魅力といいますか、という希望が非常に薄らいできたということもございまして、そういうような問題で一時的に非常に志望が減って、それが最近に影響をあらわしてきていたというような事態もございまして、いろいろ理由はございますけれども、とにかく最終的に需給がうまくいかなかったということについては十分責任を感じておるわけでございまして、それに対して養成の長期的な計画をもっていままで実施してまいりました。しかし、長期的といいましても、養成そのものには、入学から卒業という期間がございますので、直ちに一、二年で即効的にいくということはなかなか困難でございます。そういう意味で、私どもは現在も大体五年後、十年後を見越して計画をいたしているわけでございまして、比較的近い将来の予想をいたしてみますと、昭和三十五年を例にとってみますと、就業看護婦が十六万四千人ほどでございました。その時代にも、理論的に計算いたしますと二万人程度の不足があったはずでございます。昭和四十年におきましては、就業看護婦の数は五万人ほどふえまして、二十一万四千人になるのでございますが、それでもなおかつ理論的計算で三万人近く足らないという計算になっております。さらに四十六年ごろになりますと、私どもの現在の推計では三十一万八千人ぐらいになろうかと考えております。そういたしますと、現在の医療法の標準をもって計算いたしました理論計算では一応不足が解消するという予想でございます。この予想は、大体現在の養成施設の数を基準にし、それに従来から年々ふえております施設の数をさらに加えて、できればもう少しそれを増加させたいという多少の希望も加えまして、そうしてその養成所の卒業生の数、就職の率、そうして一方では自然に減耗していく数というものを差し引きいたしましてこのような計算をいたしております。それならば四十六年になった場合には看護婦の不足は解消するのかといいますと、実はまだその時点でも解消という域には達しないと思っております。といいますのは、いまの推計はいわゆる理論的な推計でございまして、看護婦にもいろいろ偏在もございます。したがって、事実上専門的ながんセンターとか小児病院というような高度の専門的な病院は医療法の基準以上に看護婦を使っておりますので、そういうような偏在を考えますと、現実的な不足はなお解消はいたさないだろうと存じております。また、そのほかで予想されるものといたしまして、現在の基準がはたしていいか悪いか、ただいま大橋先生のお話にもありましたように、看護協会等は現在の基準では満足しておりません。さらにベッドに対する看護婦の割合をふやせということを言っております。そういうような計算をいたしてまいりますとさらに不足してまいりますし、また、ただいまお話のありましたように、週四十四時間勤務という問題が、一部ではすでに四十時間勤務になっておるところもございます。そのような労働形態の変化が起こってまいりますと、また当然不足が加重してまいります。そういう意味で、決して四十六年に看護婦の不足が解消するとは申しませんが、従来からの理論的計算では、一応そのころに理論的な数では解消する。しかし、現実的にはなかなか解消は困難であると予想されますので、そういう意味で現在の養成ベースをさらに高めていくという配慮をいたしております。特に先ほど報告にもありましたように、看護高校に対する関心が非常に高くなっておりまして、現在五十二校でございますが、これを近い将来に百校、二百校という数にふやす、私どもは五年、十年の間には五百校以上も看護高校をつくっていきたいという考え方を持っております。そういう意味で、できるだけ養成能力をふやしていくということに努力いたしてまいります。そのためには、養成と同時に、当然給与、待遇改善ということもこれに並行していかなければなりませんので、これも先ほど大臣が人事院に申し入れをいたしました内容のお話がございましたけれども、そのような線に沿ってさらに努力をしていくつもりでございます。
○大橋和孝君 看護高校のお話を伺ったわけでありますが、私は、いまの段階において看護婦の不足を来たしている大きな原因は、いま説明の中に、いろいろ自然にふえていく養成所を計算に入れてといういま医務局長のお話でありますが、私はそういうような考え方を少し厚生省としては反省をしてもらって、もっと強力に考え直してもらいたいという気持ちを持っているわけであります。特に私は、現に皆保険下にあって、そのいまの保険の仕組みの中ではこういう養成に対するものは見込まれていないわけであります。治療の面だけが見込まれておって、従業員の養成というようなことは一つも基礎計算に入っていないわけでありますが、そういう中で、いま医師会あたりで養成所をこしらえたり、あるいは、また、いろいろな病院あたりが養成機関をつくって、相当の費用の要るこの養成施設を運営をするというところに大きな誤りがあるのではなかろうか。むしろこれは国なり公共団体が責任を持って養成をするべきであって、そのもとの責任は厚生省にあると、私はこういうふうに考えるわけでありますが、そういう観点から厚生省が公にそういう養成所をこしらえていく。看護高等学校なんかのアイデアは非常に私もけっこうだと思うわけでありますが、そういうふうな断片的なものではなくして、やはり看護婦のいまの要求ということになれば、非常に高度に医療の内容も向上いたしております。特にがんセンターとか、いま医務局長も触れられたような施設に対しては、特に高度な看護婦の要望があるわけでありまして、私は、この看護婦の養成機関というものをもっと一元化をして、そして何と申しますか、看護大学とか、あるいは看護短大とかいうようなものも含めて、一貫した教育ができるようなものをもっと国として施設を持つべきではなかろうか。特に私は考えるわけでありますが、この教育そのものをばらばらな状態に置くのではなくして、国がみなやるわけでありますが、ところが、現在はどうかといえば、医師会が肩がわりしてやったり、あるいは特に個人の病院までがこれを肩がわりして養成所を持たなければ看護婦が確保できない。たとえば大きな国立病院においても、自分の病院の看護婦を充足するために養成所を持たなければならない。いま結核療養所は患者は少なくなっておるかもしれませんが、療養所あたりでも、みな自分の療養所を受け持つ看護婦を養成するためには、そこにどうしても看護婦養成施設を持たなければならないという現況に追い込まれて、いままでほうっておいてあったというところに問題があるわけであります。そういう観点から、いまおそらく医師会あたりでも行なわれている看護婦学校は相当赤字経営を医者の経済の中で含んでやっている。これはもういまの皆保険下の現況においては、おそらく当てはまらない状態がそのまま放置されているということであります。私はそういう点で、いま医務局長もそういう点は非常に厚生省としても責任を感じているというお話でありますから了解はいたしておきますけれども、しかし、この問題が根本にある限り、いま御説明になりましたように四十六年ぐらいになれば、その計算上からは不足にならないだろうという考え方自身は、私はそうした根本的な問題を考えないで、それを他に転嫁するというか、そのほうに転嫁をして——特に私が申し上げたいのは、いまの医療費の中に含まれていないのに医療費でもってそれを何とかまかなっていくという押しつけ方に問題があるだろう、こういうふうに思うわけでありますが、特にそういう観点について十分な配慮をしていただきたいとともに、いまおっしゃっておりましたような看護高等学校というものを五百にふやしたらそれでいいというのではなくて、もっといろいろ保母の問題から、あるいは助産婦の問題から、あるいは、また、そうしたいろいろな特殊な重度の精薄の施設とか、あるいはそういうところの施設に対する人たちの特にいろいろな特殊な教育もあるわけでありますので、そうしたものをもっと国で一括をして、そして、ことに厚生省あたりでもそうした面に対して大きなひとつ何かの方針を立ててもらわないとこの問題は解消できないんじゃないか。特に私は、この看護婦の不足の問題が非常に大きくクローズアップされてきたのは、いままでにおいてそういう面に大きな欠点があると私は考えざるを得ないのでありますが、その点についてひとつお尋ねしたい。
○説明員(若松栄一君) 看護婦の養成の形態についての現在の不合理な点を特に御指摘いただいたわけでございますが、これは私どもも常に同じように感じております。通常いわゆる専門的な技術的な職業につく方たちは、それぞれ学校教育を経て、そうして専門的な技術を習得しているのが普通でございますが、看護婦についてはそういう学校教育という形をとらずに、いわゆる医療機関における養成というような形をとってまいりましたことは、初めからそういう形をとろうと意識的にやったことではないと思いますけれども、現実に看護婦というものがまだ現在のような高度の医療機関の体制にならない前に、もっと端的に申しますと、開業医が主体であった時代から看護婦の養成というものが徒弟制度的に医師のもとに養成されてきた。そうして一定の経験等をすると検定試験というような形で資格を得ていたというような非常に長い歴史がございますので、そういう歴史的な過程のもとで、結局近代的な看護婦の養成というものが、いつの間にやらそういう徒弟的な養成の制度のあとを受けて、それを引き継いで医療機関、病院で養成が行なわれるというような形になってきてしまった。いまではなかなかその既成の事実を容易に動かすことができないというような状態になっているものと思います。しかし、これをそのままいつまでも放任しておいていいものとは存じません。当然やはり一番理想的な筋では、学校教育という形で養成を行なうことができれば一番適当だと思います。しかし、現実にもう現在養成所というものが相当な施設、設備を病院の中で持ってこれをやっております以上、これを急に学校として、別に文部省所管の施設を新たにつくっていくこともなかなか一挙には困難でございます。そういう意味で、できる面から逐次これをやっていきたいということを考えておりまして、先ほどお話がありましたように、看護婦の養成も、できるだけ短大とか、あるいは場合によっては大学というものもつくっていく。一方、准看については、先ほど申しましたように、高等学校をできるだけつくっていく。准看の養成につきましては、実は昭和五十年ごろを考えてみますと、女子中学卒業の生徒が八十万人以下になってまいります。しかも、高校の進学率が約九〇%になってまいります。中学卒で就業可能なものは約八万人足らずという見当になってまいります。八万人足らずの中から——現在准看の養成所で約三万名おります。したがって、八万人足らずの中学卒業者の中から三万人の学生を獲得するということは、ほとんど不可能であるか、あるいは非常に能力の低い者、あるいは身体的、精神的な欠陥のある者まで拾い上げなければならないというような状況になりかねないと思っております。そういう意味からも、准看の養成につきましては、近い将来に現在の准看施設というような形態から、学校教育、特に高校、看護高校というような形に必然的に転換せざるを得ないという宿命があろうと私どもは予想いたしております。そういう意味で、できるだけ合理的な養成制度に持っていきたい。その過渡期におきまして、現在医療機関、あるいは医師の団体が診療報酬の一部をさいて養成をやっているということは確かに不合理ではございますが、これを根本的に解決することはなかなかいろいろな意味で困難がございます。公的の医療機関につきましては、これは国がそういう養成費については、診療費、診療報酬以外の一般会計からの金をつぎ入れるというような形、あるいは県立の養成所については県費を繰り入れるというようなことは比較的容易にできることでございますので、そういうふうにしむけていく所存でございます。一般民間の養成施設に対しましては、これに国が補助金を出すというようなことがきわめて困難であるということから、何とか便宜的な策でも講じたいということで、いろいろ考究いたしておりまして、昨年も委託というような形で何らかの援助ができないかというようなことも考究いたしておりましたが、成功はいたしておりません。今後も何とか民間のそういう養成施設の費用負担についても、できるだけ穴埋めをするというふうな方法について検討を進めてまいりたいと思っております。
○大橋和孝君 いまの話を聞いていると、えらい先の話ばかりであって、先の話はいま言うても絵にかいたもちだ。そんなことをいま尋ねておるわけじゃなくて、いま現在の非常な不足の問題について質問をしておるわけでありますので、ちょっとピントはずれのほうは少しやめてもらいたいと思うわけであります。特に私が申し上げているのは、いま現在そうした看護学院とか大学の付属、あるいは、また、国立の付属、あるいは、また、日赤なんかに付属しておるような看護学院へ入るのには定員がわずかであって、希望者はいま五倍、十倍の人が応募しているわけです。入れない人がおるわけです。また、普通の准看護婦学校にしましても、非常に五倍、七倍の状態で、入れないようになっておる。しかし、いまおっしゃっているのは、高等学校にするといって、中学を出た者は少なくなるという先の計算かもしれませんが、いま現在はやはり中学しかいけないような状態の人もたくさんある。こういう方々がやはり准看護婦学校に入っていって、そして将来は正看護婦になるような道はもっともっと拡充されなければならぬという現在の非常な要求の状態になっておる一方には看護婦不足があるという、こういうような矛盾をいま早く解決するための方法はどうしたらいいかということをもっと前向きで考えていただきたいと思う。こういうことを私は要望しているわけでありますが、そういう観点からいって、その看護婦施設に対して、いま少し医務局長も触れられたように、もっと国のほうからいろいろと費用の負担をしながらこれを拡充していくような形で進めてもらわなければいけないんじゃないか、私はそう思います。特にいま申したように、そういうふうな医療費の中にも含まれていないのにこの施設を医者が引き受けてやっているところに矛盾があるのだから、それを何とかするように前向きの姿勢で拡充していかなければならない。 特に私はここでつけ加えてお尋ねしておきたいことは、そうした施設に対して、いま現在不足しておる。いまおっしゃったように、将来は不足はなくなるだろうとか、あるいは、また、将来の動向はこうだろうとか言っている議論ではなくして、いま現在のこの不足を補うための重要な施策として、そうした看護婦の養成所に対するいまの厚生省の考え方を聞いたのでありますが、特に私はその中でいまの施設に対しては、当然国がやるべき性質の養成所がそうしたいろいろな機関で行なわれておるし、病院で行なわれておる。これに対して厚生省はもっと前向きになってこういうものに援助を与えなければいけないし、よき指導を与えなければならぬと思うのです。そういう点について問題をしぼってひとつ厚生省の考え方を聞かしていただきたい。特に私がここでいまお尋ねしたいのは、そうした観点から、医者の集まりである医師会なり、あるいは保険医協会なりという団体が行なっておる看護婦の養成所に対して、それが実習病院が足らないからこれをもう取り消すとか何とかというような、いま現在大きな不足になって困っておるのに対してそういうような指導がもしあったとしたならば、これは許せないことだと考えるわけであります。その観点にも触れてひとつお考えを聞かしていただきたい。
○説明員(若松栄一君) 養成施設が絶対数においてある程度足りないということは申し上げるまでもございません。できるだけ増加の勢いを盛り上げたいという気持ちでいろいろな助成なり補助なりをやっておるわけでございますが、いわゆる公的な機関の経営いたします分については、国が直接建設費なり何なりの助成をいたしておりますので、できるだけこの助成も額をふやし、個所数がふえるようなふうに年々努力をいたしております。 准看護婦の養成施設につきましては、これはこの公的な施設と、それから、主として医師会等でおやりいただいておる民間の施設等がございまして、医師会等のおやりいただいておる施設が准看養成施設の四割程度にもなっておるという実情でございますので、公的の医療機関ももっとこの養成に力を入れ、そういう公的医療機関の分担を大きくしていくという努力はいたすつもりでございます。民間医療機関、民間の施設に対する直接的な助成ということにつきましては、先ほども申しましたように、なかなか困難がございまして、経済的な援助を直ちに直接的に行なうということが困難でございますので、現在もいろいろ何とかやりくりをしてでもできないかというようなことで検討をいたしておるわけでございます。 なお、それらの施設についてこの指導が適当でないというお話がございました。名古屋市の保険医協会の設置しております養成施設のことであろうと思いますが、それらについても、私どももできるだけ円満にこの設置、運営が行なわれますように、県当局と十分連絡をとりながらやってきたわけでございますが、現在までまだ適切な解決には至っておりません。今後とも県と十分緊密な連絡をとって指導してまいるつもりでございます。
○大橋和孝君 大臣にもこれはちょっと伺っておきたいと思いますが、この看護婦の養成の問題に対して、特にまあいろいろと現在のこの不足を補う意味においてどうあるべきかというその考え方、特に私はいまちょっと医務局長にも聞いておるところでありますが、医務局長のいまの答えに対してもちょっと不満があります。これはあとからまた私質問の中でただしたいと思いますが、特に私は、いまのこの不足の状況下で、まあ国がやるべき本質的なその養成の義務を医者の側で、特に医師会とか、あるいは、また、保険医団体とか、あるいは、また、ちょっと大きい病院、個人の病院とか、あるいは、また、療養所とかというところが非常にその必要に迫られて、何とかそれをしなければ看護婦不足を補うことができない。重要な人の命を預った施設としてどうしてもやっていけないという立場から、やむにやまれぬ立場からこの養成所を経営しておられるこの中で、非常に私は涙ぐましいような、何と申しますか、医者の努力というものもあり、その周囲からのバックアップもあると思うわけでありますが、そういうことで行なわれておるのを、いまの医務局長のお話では、そういうものの自然増加を見て、そうして、あるいは何年になれば不足はなくなってくるだろうという計算を立てておるというお話を聞くことに対して、私は非常に不満があるわけであります。これは根本的な考え方において間違いだと思うわけでありますが、そういう点からしても、私どもとしては、いまのこの窮状を救うために、もっといまの養成所をできるだけ前向きに指導して、そうして養成所をうまく育てていく。先ほど申し上げたように、看護学院には十倍もの応募者がある、あるいは、また、准看護婦の養成所では、他府県で聞けばちょいちょい四倍、五倍の希望者がある。非常に困っておる。これは入りたい希望者がないわけではない、あるわけであります。というのは、そういう状態であっても、それが受け入れられないような状態であるし、そういう状態の中で、しかも養成所をこしらえようと言っておる。これに対して、いろいろな問題で実習場がないとか、そういう現況だということでもってこういうものを非常に許可に制限を与えようとか何かしようというふうな考え方は、私は非常にうしろ向きの考え方であって、いまとるべき処置ではなかろうと思うわけでありますが、そういう観点について、ひとつ大臣のほうの考え方を一ぺんお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 閣議の都合でおくれて参りまして、はなはだ恐縮であります。医務局長からお答えを申し上げたと思うのでありますが、重複する点につきましては御了承をいただきたいと思います。 ただいま大橋先生からお話がございましたように、医療事業が増大してまいりまして、看護婦の必要性というものが年々高まってまいっております。一面、今日までの養成がこれに追っつかなかったというようなことで、看護婦の不足を来たしておりますことは、まことに遺憾に考えておるわけであります。そこで、政府といたしましても、国立病院、あるいは療養所、あるいは県立病院等の公的医療機関にはできるだけ看護婦の養成機関を付置いたしまして、そして養成に努力をいたしておるわけであります。問題は、民間の医師会、あるいは保険医協会等で行ないます民間の養成機関に対して国としてどれだけの援助なり助成なりをやっているか、この点が十分ではないのではないかという御指摘があるわけであります。この点につきましては、大橋さんも十分御承知のことと思うのでありますが、私学、民間の教育とか、そういう教育機関に類似した養成機関等に対しましては、憲法上直接国が助成をするということにつきましては非常に問題があるようでございます。今日、私学振興に対しまして、直接ストレートで国から補助をするということでなしに、私学振興会等を通じましてこれを行なっておるというようなこともその一つのあらわれでございますが、そこで、厚生省といたしましては、県等を通じまして、民間の看護婦養成所に対して養成を委託をするという形式をとりまして、そしてこれに対して委託助成費という形で助成をいたしておる、こういう実情にあるわけであります。このことは、私は決して違法だとは考えておりません。現に医師会、保険医協会等で養成されました看護婦の四割程度のものが国公立の病院等に勤務をしておる。こういう実態からいたしまして、私はそのような措置をとっても、これは法律的にも疑義はないもの、こう考えましてそういう方策をとっておるわけでございます。今後におきましてもできるだけそういう配慮をしながら、民間の養成機関に対しましても協力を願うと同時に、国としてもできるだけの助成等をやってまいりたい、こう考えております。 そこで、具体的な問題といたしまして、愛知県におけるところの医師会と保険医協会の対立のために、保険医協会が設立をしておりますところの看護婦養成所が百二十名の生徒をすでに採用しておる。ところが、その実習のための病院が、なかなか医師会等の反対等もございまして、引き受け手がない、こういうやっかいな問題が起こっておったのであります。ところが、六月に至りまして、名大の分院、笠寺の病院で協力をしてもらえる、こういうことになりまして、すでに実習病院の問題も解決をいたしましたので、設立認可を愛知県で知事がこれをやったのであります。しかるところ、最近に至りまして、どういうような事情でありますか、またこの二つの病院が生徒の実習を断わってきた。しかるところ、もう幾らおそくとも十一月から実習を始めなければならない、一方、こういう時期が切迫をしておると申しますか、そういう事情になっておるわけであります。御承知のように、二カ年間の養成期間に六十七週の実習をする必要がある、こう規定をされておる。でございますので、第一年度に少なくとも十五週の実習をする必要がある。十五週の実習をするということになりますと、おそくとも十一月早々から実習をさせなければいけない、こういう非常に切迫した事態になっております。辞退をしてまいりましたところの笠寺の病院、名大分院等に対しましても、県の衛生部で引き続き、一ぺん引き受けたことであるから、何とかひとつもう一ぺん再考してやってほしいといういろいろ折衝もしておるわけであります。また、最悪の場合には県立の准看護婦養成所でこれを引き取っても、現在おります生徒には迷惑がかからないようにしなければいけないという最後の対策まで考えながら、なおその間の調整を円満にはかりますために県でせっかく努力をしておる。また、厚生省におきましても県と協力をいたしまして目下努力をしておる、こういう事情にあるわけでございます。私どもは、民間における養成機関がそういうトラブルなしに、現在不足している看護婦の養成につきまして何とか円満にいくようにということで努力をいたしておる次第であります。
○大橋和孝君 いまお話にもありましたが、一度実習病院ができて、そして許可を与えた。それがあとからまた実習ができないような状態になってきて非常に困っておられるということでありますが、私はこの中に非常にいろいろな問題が含まれておると思うわけであります。出ている新聞なんかを読んでおりますと、私もここで発言したのを非常に悪いことだといって攻撃も受けております。あるいは、また、きょう名古屋の医師会あたりからも抗議文もいただいております。これには私は触れません。触れませんが、しかし、根本的に考えますと、実習病院がなければいけないことは前からわかっておることであります。ところが、いま名古屋の状態であれば、国のやっている施設、いわゆるがんセンターだとか、あるいは、また、労災病院だとか、あるいは、また、社会保険の病院、これは厚生省が直轄でやっておられる病院でありますね、その中にはいま実習するベッドがあるのかないのか。私が聞いたところでは相当の病床があって、そこらが引き受ければ十分これはできるはずだといわれています。だったら厚生大臣がこういうものを引き受けなさい。現在不足しておる看護婦を充足するための公の機関があるのです。しかも、厚生省は一度そういうことでもって許可をしておる状態であって、すぐこういうようなところに行ったら実習の病院ができるんじゃないか、そのくらいのことは私は厚生省から通達を出してすぐできるんじゃないかと思うのが第一点。 第二点は、いままで保険医協会に百二十名の看護婦を持っておる、それを他の医師会の看護婦養成所で引き受けてやる、これでも同じようにやはり実習の病院はふえることだと思うのです。だったら、ふえる分はそういうふうにしなくても確保できる裏打ちがあるのではなかろうか。 それから、もう一つ第三点としましては、いま午後だけやっているわけでありますね、実習病院が。それを午前中もやれば倍の数だけ収容できる。私は実習の病院がないということ自身はどうも納得ができないのでありますが、それは大臣からも、あるいは、また、医務局長からもひとつ詳しく説明してもらいたい。
○説明員(若松栄一君) お話のように、名古屋市内には病院が相当多数ございます。その中には、もちろん国立や日赤や大学も、あるいは社会保険病院もございます。そして、それが全部それぞれやはり現在でも養成を引き受けております。たとえば国立で申しますと、国立病院自体が養成所を持っておりまして、その生徒の実習をやっておりますと同時に、付近にあります国立療養所である中部病院、あるいは梅森光風園というような療養所が准看の養成をいたしておりますので、その実習病院も引き受けてやっております。まあ日赤あるいは大学等もそれぞれみずからの養成所の生徒を預かっておるほかに、他の養成施設に実習場を提供しております。そしてそれがどの程度かということになりますと、これは数はそれぞれ二百人とか三百人ということになりますが、養成ということは、単によその施設から生徒が来ればそれでいいというものではありませんで、実習にきた生徒に対して臨床指導、看護婦がついて時間割りをきめ、あるいは指導者をきめ、そしていろいろなスケジュールを組んで養成するわけでございますので、そういう意味で、実習を引き受ける施設も相当の人手と手数がかかります。そういう意味で、これを無限に引き受けるということはもちろんできませんし、また、この養成を引き受ける規模というものもおのずから適正規模というものがあるわけであります。まあ現実は、マキシマムは、少なくともベッド数の半数ということにいたしておりますが、ベッド数の半数というのは決して適正規模ではなくて、やむを得なければそこまでやってもよろしいという程度のことでございまして、できればやはり三分の一とか四分の一程度のもので十分な実習ができることが一番望ましい姿であります。しかし、望ましい姿と緊急の場合に引き受け得る限度というものの間には相当差がありますので、おっしゃるように、国立あるいは大学、日赤、社会保険病院等の施設がもう能力がないかといわれれば、能力がないとは申せません。そういうぎりぎり限度までやろうとすれば、ベッド数対引き受け生徒ということのバランスにおきましては、まだ絶対的に不可能ということではございません。しかし、施設側は、まあ現在のこのような困難が起きております背景を十分承知しておりますので、それらのことによってこの病院の運営自体がいろいろな困難を起こすということになると、引き受けることそれ自体も意義がございますけれども、病院の運営自体に非常に支障があってはそのマイナスも考えなければいけないというようなことから、なかなか踏み切ってくれないのであります。これは現在私どものほうで強制的に割り当てる、あるいは命令してやらせるというようなことがなかなか困難なゆえんでもございます。少なくとも国立病院についてだけからいえば、ある程度その命令も可能ではございますが、日赤その他の病院についてはそういうような直接的な権力は持っておりません。国立についてもこれは相当の数を引き受けておりまして、国立自体としては、もう現在がまともな教育のできる限度である、これ以上はもう困難である、それ以上引き受けた場合にはもう能力がないので、これはもう何とかして無理な押しつけはしないでほしいということを実は現地の施設からも申してきております。また、私どももできるだけそのような無理はしたくないということで、何とかこの現在仲たがいをしております両団体が円満に協調していけるような状態になれば、それを引き受けることによっての運営上の困難とかトラブルであるとかというものがなくなるわけでございますので、何よりも、まずその両団体が円満な協調体制をとっていただくということが先決であろうと思いまして、単に、この実習病院の物理的な大きさ、余裕ということだけではこの問題は簡単に解決できないのではないかと思って、そういう意味で、なおしんぼう強くこの折衝の経過を見守っているわけでございます。
○大橋和孝君 ちょっと私はあまり変な話を聞いて、少しぼくはその指導性に対しても聞き捨てならぬように思うわけです。両医師会が円満でないからこの看護婦養成施設のいわゆる実習病院が受け入れられないと言う。実際に限度としては受け入れる能力はあるけれども、何かその両医師会のトラブルのために、あるいは、また、何かのその別な経営上にまで影響を及ぼすような点があるからそれを受け入れることを拒否されているんだと、だからして、その円満な話し合いができないからこのことは困っているんだというのでは、私は厚生省としては少し手ぬるいのではないかと思うわけであります。一方ではもっと大きな看護婦不足の問題で非常に困っておる。だからして医師会、保険医協会の両団体もそうらしいと思いますが、僻地のほうまで行って、九州のほうまで行ってそういう人を募集をしてこられるという、非常に熱心な動きが一方にあって、そうして看護婦を養成しよう、こういうようなまじめな働きが、しかも私財を出してその施設をこしらえる。当然これはもうその考え方からいけば、国がやるなり、直接もっと低利のものをどんどん出すなりして援助しなければならぬものを、皆さんいまなけなしの金を出してまでもその施設をこしらえようという熱心な考え方を持ってやっておる。しかし、問題はどこにあるか知りませんが、われわれとしては内容は知らないけれども、トラブルがあるためにそれができないとか、あるいは、また、そういうことは円満にやってもらうことが先決だというような考え方では、ぼくはそれではいけないんじゃないかと思います。むしろそれよりは、さっきの話の中にも、国立病院はだいぶ一ばいだという話でありますが、今度できるがんセンター、これは県立でやっておるわけですね、あるいは、また、社会保険病院というのは厚生省直轄病院じゃないかと思うのですが、そういうようなものもあって、そこらには、私が話を聞いておるところでは、かなりまだ実習能力があると、こう聞いておるわけです。それがいま医務局長がおっしゃったように、何か受け入たるためにその病院が経営に非常に支障を来たすようなことがおそれられて、それで受け入れられないというものがあるということになれば、ぼくはそれはそのままにほうっておいてはいけないので、それはもっと積極的に何かしなければいかぬ。私は矛盾を感ずることは、その百二十人はこっちのほうに分散して引き受けようといっても同じことになるじゃありませんか、実習の病床数が足りないということになれば。そのロジックは全然合わないはずだ、そんなことを言っておっては。そこのところは明確にもう少し指導性を発揮してもらって、何とか前向きの姿勢でそういう養成施設がどんどんやれる方向に進めていただきたいと、私は心からお願いするわけです。私はそんなこまかしい、医師会がどうやっておるとか、それは医師会自体で考えてもらっていいことである、われわれ介入しないでいいことであります。しかし、本質の看護婦の養成という問題に対しては、私はそれは徹底的に明確に厚生省としてやってもらわなかったら先はこうなりますとか、これはなくなりますとか、いまごろ言ったっていま現在足らぬ。足らぬのに対してもっとまじめに指導精神を出してもらって、実習病院ができぬことはない。あります、ぼくはあると思う。その点についてもっと詳しく聞かしてください。
○説明員(若松栄一君) 先ほどからもお話が出ておりますように、名大の分院でも引き受けてもよろしいということは、能力があるわけであります。また、笠寺病院も一たんは実習病院として承諾を与えたわけでございますから、そこにも能力があるわけでございます。にもかかわらず、再び返上してきたということは、結局実習病院を引き受けることによって病院の運営の問題で心配が起こるというようなことが結局あったであろうと思います。したがって、それを押してまで命令するというようなわけにはまいりませんし、まあ同じようなことが他の多くの病院にもあったのだろうと思います。したがって、どうしても絶対数が足らないというわけではないので、その間の受け入れができるような体制ができれば、受け入れる施設は十分にあるというわけでございますので、そういうような体制の整備が先になれば問題なくこの施設が得られるということを申し上げているわけでございます。
○藤田藤太郎君 いま私は、看護婦不足の問題を通じて名古屋の看護婦養成所の問題が出てきておるわけで、これはもう大臣、医務局長もこれは御存じだと思うのであります。引き受けるという条件のもとに養成所の認可をしておいて、いまになってからいまのようなかっこうで当事者同士云々というようなことではないのです。いま自由診療というのはないので、いずれかの健保に入って、皆保険体制なんですね。だから都道府県に、委託行政であっても、そのしん柱になる医療行政というものはやっぱり厚生大臣が指導しておやりになる。三万何千も看護婦が足らぬとここでおっしゃっているのです、医務局長自身が。それで、趣旨はそういう意味で認可をされた。何か問題が起きて横やりが入ったというか、問題が起きて実習病院が辞退してきたから、これはやむを得ぬというようなぼくは考え方というのは、ちょっとこれはおかしいと思うのです。 ぼくはもう一つこれに関連して聞きたいわけですが、医務局長は先ほど看護婦養成についてお話がありました。私は、看護婦の問題、医務局長はこの前准看というのははんぱものだというような発言があったということを私は記憶している。そうして十分に看護行政がやれぬような状態に置かれているということを言いながら、正看の六倍も養成をされている、いまさっそく必要だから。そこで、先ほどの構想をお聞きすると、五十年には中学卒が90%高校へいって、あと10%、八万しか中学卒は残らぬ、この中からそのいまの三万なんて採れっこはないのだ、だから云々というお話があったわけです。私は、どうも看護婦不足対策に、何かこう私らが納得できないようなことを平気でおっしゃっている、ぼくはさっきから聞いていると。いまだんだんと社会も発展してきて、技術は技術——中学卒業の義務教育を受けた者は、高校程度の常識や教養をつけながら専門的な教育分野というものが発展しているわけです。だから、何もそういう意味で中学を卒業して高校程度の教養をつけながら専門的な教育をして看護婦対策をやっていったら八万の中の三万も採れぬような理屈が出てくるはずがない。高等の看護婦養成教育云々というお話がありましたけれども、その高等の看護婦さんのいまの免許を持っておいでになる方々は、全部とは言いません、全部とは言いませんけれども、その方々が看護婦で働いてもらったらそんなに看護婦不足が出ないはずです。ところが、半分とかもっと少ししかその中で働いておられないから看護婦不足が出てきているわけです。そこらのものを考えて、看護婦の充足を、実際に技術は十分でないと准看をおっしゃるなら、もっと技術を身につけるような看護婦養成の制度、文部省であろうと厚生省であろうと、適切な方法でおやりになって実際に看護婦の不足を補っていくというものの考え方が厚生省でなぜ立たないのか。それを一つもおっしゃらぬ。八万になるから云々で、准看ではどうのこうのというような話では、十年先のことをお話になっても、これは私はどうにもならぬのじゃないか。そういうことがあるから准看に力をお入れになっていないのかというと、正看の六倍も本年は教習をされておるわけです。三万も不足ですからそうせざるを得ない。その人たちが働いてお医者さんを中心にした医療保障、医療行政を進めていかなければならぬというところでこういういま議論をしてきている。どうして看護婦の不足を補うのかというのなら、そういう意味で真剣に看護婦充足のためにお考えにならなければ、いつまでたっても、その対象学卒が減ってきたら、そうしたら高等学校云々ということでお話をそらしていったのでは看護婦不足は解決しない、私はそう思うのです。私は専門家じゃありませんから、専門的な立場でこういういろいろの御意見があったら聞かせていただきたいと思う。しかし、片一方ではまるで資格のないような発言をしておいて、さしあたりこうやる、いまの充足の問題は六倍も教習をしている、将来は八方のうちから看護婦養成ができぬから云云、私はそんなことじゃない。専門的な技術を身につけて、そして看護行政に入ってもらうような姿はどうしたらいいかということを、昭和五十年の十年先の問題をおっしゃるならば、そのことを真剣に私はお考えにならなければいかぬのじゃないか。そういうことと関連しているのかどうか知りませんけれども、いまはもうとにかく熱心でない。いまの名古屋の看護婦養成でも、何か人頼みのようなかっこうでおやりになる。私はあなたが発言されるのを聞いていると、非常に残念でしょうがない。こんなことが看護行政か。いま医療行政の中で、政府の監督下にある都道府県がそういうことをやって、それはいたし方ありませんというような医療行政であってはならぬ。皆保険の元締めはどこなのか。厚生大臣、そして医務局長じゃありませんか。絶対数の不足を補なうために、やっぱりいまの県があとを引き受けてどんどん実習病院をつくらなければいかぬ。そしてそこの看護婦の絶対数が足らぬものだから、何とかしてそこのところをつくらなければいかぬ。引き受けますというようなことなんか、いまのせっかく認可されたその養成所の実習を引き受けるような措置を、民間がぐあいが悪ければ国でやっている施設に引き受けさしてやるというようなくらいの熱意が医務局長に私はなければならぬし、私はやっぱり厚生大臣がそういう点は十分にかじをとって、一貫した皆保険体制下における看護婦養成の方向というものを明確にしてもらいたい、私はそう思う。だから二点についてひとつ明確にしてもらいたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 看護婦の不足対策、養成の問題につきましてはお話のとおりでございます。私は、看護婦としての正看、准看の立場というものにつきましては専門的な立場から医務局長がお話を申し上げたと、こう思うのであります。しかし、現在の実情は正看だけで看護婦の不足を充足することができない。そこで、准看を養成するということが必要不可欠になってまいるわけでありますが、この准看の諸君にも、私は必要なる研修、あるいは研究等の制度を十分提供いたしまして、そうして准看の諸君が正看に試験を受けてどんどんなれるように、そういうことが必要であると、こう考えております。だから、初めから高校卒の者を正看として養成するということも大切であるが、それと同時に、当面の看護婦不足に対処しながら准看を養成をし、それを再訓練をし研修をさせてこれを正看に引き上げていく、こういうことを並行して進める必要がある、このように私は基本的に考えておるわけでありまして、この私の方針に医務局長が違った見解を持っておるとは私は考えておりません。そういう方向で私はやっておると、こう思っております。 なお、名古屋の愛知県の問題につきましては、こういうことを申し上げては責任のがれというようなことに解釈されては困るのでありますけれども、正看の養成所の認可、あるいはそれの監督等は厚生省が行なっております。准看の養成所につきましては都道府県知事にその権限を与えておる。でございますから、この問題につきましては、第一次的にはやはり愛知県知事さんが責任を持っていろいろそのあっせんなり努力なりをやっていただいておる。また、それに対しまして厚生省が拱手傍観しているのではなしに、できるだけ愛知県に協力をし、これを督励をし、また、指導して、夏以来努力をしておりますことは、これは大橋先生も藤田先生もよく御存じのことだと思うのであります。現在でも私はそういうことで、なお引き続き愛知県と一緒になってこの問題の解決に努力をしたい、こう思っております。 なお、十月三十日までに実習養成がはっきりきまらない場合にはこれを取り消すというような一応たてまえのようでございますけれども、これは一ぺん笠寺の病院、名大の病院等がきまった、そういう形、認可をされたという特殊な事情等もございますので、私は十分その間の事情を勘案しながら、実情に沿うような措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○山本杉君 それじゃ関連をして、一つ二つお聞きしたいと思います。 先ほどの医務局長のお話を伺っておりますと、四十六年には、この医療法の上から理論的には看護婦の不足問題は解消するんだとおっしゃった。だけれど、実際にはなかなかそれは困難である、そこはよくわかるのです。それに対しては看護高校、看護婦養成の高等学校を五百校にもふやして、そうしてそれを何とかしていこう、こう言っていらっしゃる。私はまあそれは当然なことだと思うのでございますが、現在の状況ですね、私この間岡山県を視察してきたときの様子で判断いたしましてもそうなんですが、昨年、そういう学校をこしらえたいということで、ずいぶん陳情にも出てこられた。で、厚生省にも陳情はございますけれども、なかなか文部省とのかね合いもあったりして、何度も何度も責任者が足を運ばなければならぬというような状態で、そう簡単には認可がおりなかったわけなんです。そういうふうな現状の中で、岡山県の医師会並びに岡山市の医師会は、非常な熱意を持っておるものですから、いま全国で五十二校あるうちの六校までが岡山県にあるのだというさっきのお話、それから、また話は違いますけれども、血液の配合センターなども全国にさきがけて岡山県ではちゃんとできて、県内の六〇%を満たすことができるのだというようになっておりましたけれども、こういう熱意のある県ですらもなかなか困難なことで、そうしてその経営の状態などを見てみますと、官立というのは一つだけで、あとは私立でございます。さっきの委託というおことばもよく意味がわかるのですけれども、なかなか私立学校に対する助成が困難であるということ、これは憲法の違反だから困難だとおっしゃる大臣のおことばで、よくそこの点は理解できることでございますけれども、その経営が医師会の犠牲並びに医師個人の犠牲で行なわれているという現状なんです。まあ療養費の中でそれをやっていくことは非常に気の毒なことであり、困難であるということは医務局長もよく理解を持っておっしゃいましたけれども、私は行って見て、あまりにもそれが少し度を過ぎているような感じがするのです。たとえば看護婦の教室が足りない、学校のほうの教室が足りないということだと、医師会がその教室として建物を提供し、また、養成する教員が足りないからというので、お医者さんが時間をさいて講義をしているというようなことで、物質的にも精神的にもずいぶん犠牲を払っていらっしゃる。それから、また、医師の経営者としての個人の犠牲というのは、学費をみんなみてやらなければなかなか行かない。それからそのほかにもいろいろな問題があるようでございました。しかも、一人前になると、そのうちの四〇%は公の官公立の病院に行ってしまうんだという、この事実でございます。そういうような面から私は厚生大臣に伺いたいのですけれども、いま藤田先生からも御質問が出たのでございますけれども、大臣は医療制度を抜本的に改正したいというお考えのもとにいろいろお進めいただいておるということはよくわかっておりますが、国民皆保険の今日、私は看護婦が足りないというこの問題をどう解決していくかということが非常に大きな医療制度の根本問題ではなかろうかと思うのです。戦前、軍人さんであるとか、あるいは学校の先生などは国家の費用で養成されたという事実もございますが、何とかこの国民皆保険の現状の中で医療を担当するこの看護婦を国家養成の形でなさるおつもりはないものかどうか、その一点をひとつ伺いたい。 それから、また、医務局長に対しては、年々ベッドがふえて、昭和三十五年から四十六年までの十年間にはおよそ倍になって、三十二万近いベッドの数になるので、年々医療金融公庫もベッドをふやすということをたてまえにして、病院なり何なりの新設、増築にお金を貸し出しているわけでございます。こういう事実に対して具体的にどういうふうな考え方で看護婦を満たしていこうとしていらっしゃるのか、そのお見込みについて伺いたいと思うのです。 また、あと一、二点ございますけれども、それは准看を正看にするこの養成の一貫性に対してのお考えも伺いたい。 それから、さっきもちょっと申し上げたのですが、准看ですらも講義をする人がないもので、お医者さんが時間をさいてやっているという現状の中で、正看の養成施設ができましても、一体この養成をする教師というものをどうやっておつくりになるのか、これに対するお考えなども少し伺いたいと思うわけでございます。
○説明員(若松栄一君) 技術的な問題のほうから先に私からお答え申し上げます。 最初に、看護学校、高等学校の看護科をつくる場合に手続が非常にやっかいだったということでございますが、これはおそらく私立の学校の場合ではなかったかと存じます。私立の学校ですと、これは文部省が学校の規格を非常にやかましく言いますので、このようなことがあるいはあったかもしれませんが、公立の、県立の高校等につきましては、これはそれほどめんどうがないわけでございまして、昨年は公立の申し込みについては、全部何も問題なく認められておるはずでございます。
○山本杉君 ちょっと中途ですけれども、岡山県には公立は一校しかないのです。あとはみんな私立です。
○委員長(千葉千代世君) 質問者の趣旨をよくのみ込んで、ゆっくり答えてください。
○説明員(若松栄一君) 公立の場合には、確かにあまり問題なくやっております。また、助成金も出ておりますが、その助成金にも何の制限もいたしておりません。予想よりも申し込みが多かったのでございますけれども、これも全部予算のほうでやりくりをして、認可をしたという状況でございます。で、来年度も相当数のものを見込んで、これは全面的に承認していきたいという文部省の御意向のようでございます。 なお、実は問題になりますのは、一番あとに出てまいりました御質問の教師の問題でございまして、看護学校を五百校もつくりたいということを申し上げましたけれども、実は教師の問題がやはり非常に問題でございまして、現在の看護婦養成所でございますと、相当な講習等をやりまして看護教員に充当しておりますけれども、高等学校になりますと文部省の正規のいろいろな規制がございますので、教員の資格がさらに厳重になります。そういう意味で高校教諭の資格を持った教師の養成、看護婦をつくることがなかなか困難でございまして、そういう意味では文部省と厚生省と、それぞれ本年度から養成施設の教員を養成するということに力を入れております。そういう意味で、できるだけ養成職員が得られないために学校が開けないというようなことのないようにという配慮をいたしております。 また、一面、そういう指導的な看護婦、あるいは教育者としての資格のある看護婦というものをできるだけたくさん養成したいという意味から、看護短大であるとか、あるいは大学コースというようなものをできるだけ数多く、また、定員もふやそうというような努力をいたしております。
○山本杉君 もうちょっと具体的に、どこでどういうふうにどういう養成をするかということを伺いたい。
○説明員(若松栄一君) 施設の具体的な名前はいま私は存じておりませんが、短大が現在七校できているはずでございます。それらの卒業生はそれぞれ教諭相当の資格を得ることができるわけでございます。そのほかに文部省及び厚生省が臨時の職員養成コースを持って現在六カ月間の講習をいたしているわけでございます。
○山本杉君 看護婦を教える先生に短大を出たらすぐなれるのですか。
○説明員(若松栄一君) 失礼いたしました。大学出が教員の資格がございまして、いまは短大だけでは資格がないそうでございますが、これは講習等によりまして資格を付与するという方法をとりたいと思います。
○山本杉君 その大学を出て資格を持った人を配置なさるわけですか、各高等学校に。
○説明員(若松栄一君) 配置するということでなしに、できるだけそういう高等学校を開く場合に、資格のある教諭がいないために、なかなか高等学校の衛生看護科を開こうということに無理がございます。その教諭が得られないためにちゅうちょしているという例がございますので、できるだけそういう職員の資格のある人たちをたくさん養成したい。配置するということは公的にできるわけはございませんが、そういうような資格のある方々をできるだけたくさん養成したいという趣旨でございます。
○山本杉君 その養成については、何年度はどこでどういうふうな人をどうふやすというような御計画はないわけですか。
○説明員(若松栄一君) それは、学校でございますと文部省が所管いたしますので、文部省と連絡をとりながら、できるだけそういう施設をつくってほしいということで、現在東大にありますのが学部になりましたし、それから熊本も、本年から熊本に学部ができました。また、来年は徳島でそのようなものをつくりたいという意向でございます。
○山本杉君 そういう資料を一つ出してください。ベッドがふえていくのに対してどういう見込みがおありかということ。たとえば病院をこしらえましても、まあ一階と二階は使っても、三階と四階は開店休業しなければならない、看護婦がないから。そういう現状ですよ。それに対してどういうふうにお考えですか。まあ法律の上からは理論的には解消するというのじゃなくて、どういう計画をお持ちかということを詳しく聞きたいのです。
○説明員(若松栄一君) 総体にベッドがふえておりますので、年々ふえる数を把握しておりますし、したがって、将来も大体総体のベッドとしてどの程度ふえるであろうということを予測いたしまして、その予測いたしましたベッドに見合う看護婦を確保するにはどの程度の人数を確保すればいいかという計算をいたしまして、それと現在の能力、さらにこれからふえるであろう能力というものを計算いたしまして、それで四十六年度ごろには理論的には大体満足する数が得られるという計算をいたしておるわけでございます。
○山本杉君 厚生大臣に伺いたいのですが、いまのお話で、四十六年には理論的には解消するであろうと考えておるとおっしゃっているのですが、この養成の問題について、もう少し国家が看護婦をつくるということを考えてくださるわけにはいかないのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま医務局長から申し上げました看護婦養成計画、この計画は当委員会に提出をいたしまして御検討いただきたい、こう思っております。私といたしましては、先ほど御答弁申し上げたように、厚生省の立場からは、国立病院、あるいは県立病院等の国公立の病院には必ず看護婦養成機関を付置し、また、その施設も拡充整備をはかりまして、そしてただいま局長から申し上げたように、年次計画でもってこれが充足ができるような、その計画の一環として、まず国や県が中心になって養成をする、これが一つであります。それから、もう一つは、文部省と連絡をとりまして、文部省のほうの養成機関の拡充、整備というようなこともお願いをしなければならない、こう考えております。 第三の点は、民間に対する養成についての問題でございますが、これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、民間で養成されましたものの四割程度が現在のところ官公立の病院等に勤務をしておるという実態に即しまして、看護婦委託養成費というような形で、民間の養成機関が養成にあたってできるだけ国のほうからの協力も得られる、国のほうからもこれに対してできるだけの協力ができるように、そういう対策を県を通じて行なってまいりたい。また、看護婦さんになる方につきましては、修学資金制度というものをもっと充実をいたしまして、そうして看護婦になる方の勉学上の財政面の世話もしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○山本杉君 私が伺いたいのは、いままでは徒弟制度の中で民間の医者が養成してきた看護婦であるというような、さっき長い歴史の上でということで医務局長の御説明があったのですけれども、それは私は厚生省の範囲だったと思うのです。もう高等学校に移り、さらに正看になりますと大学教育でございますから、そうなると文部省に移ってしまうので、それに対して、たとえばいま大臣のおっしゃった委託の問題ですけれども、そういう生徒に対して、国がというとあれですが、医者が払っております月謝などを国がみてやる、県を通してなさるか市を通してなさるか、それはわかりませんが、そういうふうなお考えはないものでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在のところ、民間の私学的な養成機関に対しましては、先ほど来申し上げておるような事情等もございまして、私ども委託養成費という形を通じてのみこれに対しましては適切な現在のところ考えを持っておりませんが、しかし、一面におきましては、できるだけこれがお医者さんの医療費等の負担にならないように、国公立の病院なりの付設の養成機関なり、あるいは文部省なり、そういう方面が主体的になりまして、できるだけ国や県、あるいは厚生省、文部省のお力によって看護要員の養成確保、これを主体に今後進めてまいりたい。なおそれだけでは十分でない民間の養成機関につきましては、委託制度という形を通じて負担の軽減になるようにはかってまいりたい、こう思います。
○山本杉君 准看教育と正看教育との一貫性ということも私ちょっと質問の中に伺ったのでございますが、いま准看の資格を持った者が大学へ入ろうと思えば入れるわけでございましょうけれども、この勤務しておる准看が正看になる資格はどういうふうな形でお与えになりますか。
○説明員(若松栄一君) 准看から正看にできるだけ移行できるようなことを強化していきたいということは私どもの念願でございますので、どういう方法があるかということにつきましては、関係の看護協会等ともいろいろお話し合いをいたしております。現在のところは、勤務している准看が正看になるために進学コースというものがございますが、進学コースは従来昼間だけのものを認めておりましたが、勤務しながらやれるようにということで、夜間のコースも認めるようにいたしておりますし、また、場合によっては、今後は通信教育というような形についても考えてみたい。通信教育については現在検討中でございます。そういうような形で、できるだけいろいろな道で正看に昇進できるような道を開きたいというぐあいに現在も検討中でございます。
○委員長(千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(千葉千代世君) 速記を起こして。
○大橋和孝君 看護婦の問題について、いままだ私ちょっといろいろお聞きしたいことがたくさんあるわけですから、次の機会にまたやりたいと思うのです。ただ一言だけここで申し上げたいことは、大臣からは非常に名古屋の看護婦養成所の問題に対しても前向きで、この三十一日を限って、名古屋の県の衛生部長から出ている通達もあるようだけれども、これは考えないで、その保険医協会の看護婦養成所が成り立っていくような方式で考えたいという、取り消しは考えていないという意思表示をいただいて、非常に私は喜んでおるわけであります。特に私はここで医務局長にも大臣にもお願いしておきたい一点は、いつも問題になっているのが実習病院がないということでありますから、これに対する指導性を十分発揮してもらって、いまのような国立病院を実習病院にするとかいうことで、ある程度強い指導を出していただきたい、このことを一点お願いしておきたい。
○委員長(千葉千代世君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(千葉千代世君) 速記を起こして。 資料をちょっとお願いしたいと思います。この委員会でよく看護婦の問題が再三質疑されますけれども、正確な資料が足りませんのです。同じことが何べんも答弁されるわけなんです。そこで、看護婦の養成計画、年次計画のようなものがございましたらば二十四日までにひとつ御提出いただきたいと思います、本委員会に。 それから、教員の現状です。先ほど東大の例を述べられましたのですけれども、東大のあれは看護学士の養成になっておりますのですけれども、あそこを出た方は必ずしも看護婦の養成所へは入っていないのです。私はこれは文教にずっとおりますときに、養護教諭養成所の五ヵ年計画を三十八年度からやって、国立の養成所を十一つくったわけですね、年次的に。そのときに東大の看護学士のところを調べたのですが、実際的にはなかなか看護婦の先生になったりなんかしていらっしゃらないのですね。調べていったら。ですから、そう安易なものではないということがわかっております。したがいまして、先生になる方というのは、やはりお医者さんが片手間と申しては失礼でございますけれども、大学の教授の先生でございますとか、大学を出たお医者さんでございますとか、そうでない方々は実際の経験をお持ちになった方が、教師の資格でなくて、講師という資格でもっていらっしゃる方が多いわけなんです。そういう意味におきまして、そういうようなことで、ごく概略でけっこうでございますが、一緒にひとつお調べいただきたい。よろしうございますか。わかる程度でけっこうでございますが、ひとつよろしくお願いいたします。
○説明員(若松栄一君) ただいまお話の養成計画並びに教員の現状についての資料を提出いたします。
○委員長(千葉千代世君) よろしくお願いします。 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。 午前の調査はこの程度とし、午後は二時に再開して労働関係の調査を行ないます。 これにて休憩いたします。 午後零時四十八分休憩 —————・————— 午後二時十一分開会
○委員長(千葉千代世君) ただいまより、社会労働委員会を再開いたします。 労働問題に関する調査を議題といたします。 公務員給与に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○山崎昇君 本年の八月十二日に公務員の給与改定に関して人事院から勧告が出まして、それ以来二カ月を経過をしているわけですが、政府は六人委員会等をつくって、この勧告の実施についていろいろ検討されているようであります。聞きますと、昨日の六人委員会では結論が出なくて、きょうの六人委員会で結論を出し、あわせて、引き続き行なわれております閣議で結論が出されると、こういうふうに私ども聞いておったのですが、六人委員会でどういうふうに結論が出、また、それを受けて閣議ではどういう決定をなされたのか、これを労働大臣にまずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) お答えをいたします。 お話しのように、八月に人事院のほうから勧告が出されてまいりまして、その後しばしば関係閣僚の間で協議を続けてまいりました。特に今年からは従来の五閣僚に加えまして、経済企画庁長官にもお入りをいただきまして、いわゆる六人委員会という形で協議をいたしてまいったわけでございます。しかし、その間、大蔵大臣等のやむを得ない渡航等もございまして、一時中断をいたしておりましたけれども、事務的にはもちろんいろいろ連絡をし、検討をいたしておりましたが、六人委員会は中断をいたしておりましたが、あまり時期を失することは適当ではないので、できるだけ早く決定をしようということで、昨日、大蔵大臣、企画庁長官はお帰り早々でございましたけれども、御足労をわずらわしまして協議をいたしました。しかし、大蔵省におきましても、いろいろ税収そのほかの面においてもっと検討をいたしたい、財源、原資について検討をいたしたい、こういうようなお話等がございまして、昨日は最終的な六人委員会における決定は持ち越しました。しかし、誠意をもって早く決定をする必要があるというので、今朝八時半から再び六人委員会を開催をいたしまして、種々協議をいたし、その結果一つの線が出ましたので、十時からの閣議で決定をいたした次第でございます。
○山崎昇君 いま労働大臣から、六人委員会で検討された経過、あるいは、また、閣議でも決定した経過の話がありましたが、どういう内容で決定をされたのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) 内容につきましては、昨年同様、九月一日にさかのぼって人事院勧告を実施をするということでございまして、時期はそういうことでございますが、そのほか、内容については勧告どおりでございます。
○山崎昇君 決定の内容は、人事院勧告を九月の一日から実施をする、こういう内容だという説明がございました。九月から実施をするということを閣議できめるには、それ相応の理由がなければならないと私は思うのです。どういうふうに検討されて、どういう理由で九月一日実施になったのか、その理由について詳細に御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) いろいろ議論がございまして、その内容すべてを申しますとなかなかたいへんなのでございますが、できるならば人事院勧告を、内容的にも、また、時期的にも完全に実施をいたしたい、こういうことで関係閣僚は鋭意検討をいたしたわけでございます。協議をいたしました。しかしながら、御承知のように、今年は財政的にも、公債を発行するとか、いろいろな事情があるわけでございまして、財源的にいろいろな制約があるということでございまして、ぎりぎり一ぱいどうしようかということから、最終的な結論はいま申し上げたような結論になった次第でございます。
○山崎昇君 いま労働大臣に対して、どういう理由で九月からの実施になったかというお尋ねをしましたところが、議論はいろいろあったと、しかし、あなたが最終的に言ったのは財政的な事情だけしか言われてない。私は、九月の一日から実施するにあたって、財政的な事情だけで九月の一日実施だということにはならないと考えるのですが、そのいろいろな事情について、簡潔でけっこうでありますが、また、項目別でもけっこうでありますが、もう少し具体的にお知らせを願いたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほども申し上げましたように、できるだけ勧告の内容そのものを忠実に実施に移すということでございましたが、大蔵省のほうでは財源の見通しがまだ十分ついておらない、また、ことしは公債等についても相当思い切って発行をしなければいかぬというような実情である。しかも、また、今日の事態は、長い目で見た場合に、日本経済にとってもきわめて重要な時期である、欧米各国においては相当いろいろな財政的な困難が起きておるのでございますが、日本経済にとっては長期的な展望等もあわせ考えると、インフレ等の事態を起こしてもいけないし、健全財政を堅持をしていきたいというようないろいろなお話等もございまして、先ほど来申し上げておりまするように、はなはだ残念ではございまするけれども、そういう内容に決定をいたしたわけでございます。
○山崎昇君 どうも私はわからないのです。あなたの答弁を聞いておるというと、財政の話しかないわけですね。そうすると、財政的な理由で九月実施にしたと、そのほかの理由についてはあまりたいした理由はないんだと、こうなるのですか。それとも、たとえば具体的にこれこれの点も検討した、あるいはこういう点についても検討した。そういう検討されたなら検討された事項でもいいから、内容は別にいたしましても、お知らせを願いたいと、こう言うのですが、あなたはただいろいろと言うだけであって、私どもは一向わからないのです。私ども議員というものは、政府がこういうふうにきめたについてはこういう理由がございました。私が質問したら、こういう理由があげられて、これはこうなったのですと、こういうことを国民に向かって明らかにしなければならぬ責務があるのです。そういう意味であなたに具体的に九月実施にした理由をお尋ねしているわけですから、したがって、項目別でもきちんと整理して、私どもにわかるようにひとつ説明を願いたい。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほど来申しておりますように、できれば時期的にも十分な配慮をいたしたいということでございましたが、一番の難点といいまするか、そうせざるを得なかった理由は、原資がない、財源がないと、こういうことが理由でございます。別にほかの理由で特におくらせようとか何とかいうことにいたしたわけではございません。
○山崎昇君 そうすると、労働大臣からあったお答えは、いろいろ議論をしたけれども、結局は財政的な理由だけでこれは九月実施にしたのだと、こういうことになりますね。
○国務大臣(山手滿男君) そうです。
○山崎昇君 後ほどもう少し大臣にお尋ねしたいと思うのですが、経済企画庁長官がたいへん忙しくて、二、三十分程度しかおられないというお話がございましたので、労働大臣のほうはちょっと中断して、長官に二つほどお聞きをしたい。ここで私は長官と経済論争をする意思も何もございませんし、また、それほど知識を持っているわけではございませんので、ぜひしろうとにわかるように御回答をお願いしたいと思います。 第一の点は、池田内閣当時とりました高度経済成長政策が失敗をした。おわかりのように、去年は戦後最低の経済不況に見舞われている。そのために政府は赤字公債を発行して何とかかんとかやりくりしなければならぬ、こういう状態であったわけです。したがいまして、池田内閣のあとを受けた佐藤内閣は、この不況の克服と物価の安定というのを二大柱にして経済を進めるのだ、こういうことが大々的に宣伝もされましたし、また、強い内閣の決意でもあったように私ども伺うわけであります。ところが、依然として日本の経済は、一部何か新聞報道等によれば回復しているようにもいわれますけれども、停滞をしているのではないか、こうもいわれるのです。そこで、長官にお聞きをしたいのは、いま日本の経済というのは不況から立ち直ったのかどうか。もちろん経済でありまするから複雑であって、一言で立ち直ったかどうかという結論を聞くのは多少私は冒険的な点もあると思うのですが、もっと端的に質問さしてもらえば、大体八割くらい不況が立ち直ったのか、あるいは七割くらい立ち直ったのか、あるいはそうでもないのか、その点についてまずお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 政府がとりました諸般の施策によりまして、景気は漸次上昇を続けていると思います。ただ、御承知のように、昨年の上半期というものは、もうほとんど成長率ゼロの時代、それから下半期になってようやく四%ぐらいな上昇率で、本年度に入りまして相当な上昇率を示してきておりますが、そういう景気の立ち直りの過程におきまして、やはり政府が社会資本の充実、公債を発行して公共事業に向けるというような方針で刺激をしてきたものですから、そういうものに関連します産業というものはいち早く回復してきた。しかし、繊維その他必ずしもそれにすぐついてこなかった。しかし、大体六、七月ごろからそういうものにも若干の潤いが出てきた。それから企業規模別にみますと、やはり景気の回復のときにはどうしても中小企業に対する影響がおくれてまいります。そういうようなことで、中小企業のほうに対する影響も初めは非常に大きかったわけではございません。しかし、まあ最近ようやくそれらの点にも潤い始めてきた。ですから、もう最悪の事態は脱して、これから徐々に上昇していく方向にきている、こういうことが申せると、こう思います。
○山崎昇君 いま長官から、景気は上昇を続けており、最悪の事態はもう解除をされて、大体明るい見通しだ、こういうわけでありますが、そこで、先ほどお聞きしたように、そういうものを総括して一番しろうとがわかるようにいえば、大体六割あたりぐらい回復したのか、七割ぐらいまで回復したとみたらいいのか、ひとつ長官のそういう意味の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) パーセンテージで申しますことは、はなはだむずかしいのでございまして、たとえば池田内閣のときの二〇%も一八%も高度成長したときを一〇〇として、それに対していえばずっと低いようなものですし、あるいは安定成長という路線の七・五%から八%ぐらいの景気回復でずっと景気が続いていくのだということになれば、あるいは八〇%とか七五%とかいうような状況になってきた。こういう意味で、その標準のとり方によって若干違いますものですから、端的にパーセンテージだけで申し上げることはちょっとむずかしいと思います。
○山崎昇君 長官の言うとおり、そうだと思います。ただ、私がお聞きしたいのは、いま最悪の事態は大体解除されたというので、昨年の不況が回復された回復率は、大体七割ぐらい回復されたか八割ぐらい回復されたか、そういう意味でお伺いしているので、御見解をお伺いいたしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体一昨年から昨年にかけての不況が私どもは大体底をついて、ある部面においては上昇をしてきた、こういうところでございますから、まあ六〇%から七〇%前後のところじゃないかと、こう思っております。
○高山恒雄君 藤山長官にお聞きしたいのですが、きょうは私は長官に質問することはないと、こう考えておったのですが、いま労働大臣の答弁の中で、非常に重要な意見があると思いますので、見解をお聞きしたいと思います。それは、世界各国の情勢が今日インフレ傾向にあるというこの問題、したがって、インフレ傾向にあるということは、労働者の賃金がこれ以上上昇するということは、少なくともインフレ傾向に向かいつつある、こういう見解に労働大臣はお立ちにならないとこの発言はできないと思う。そこで、私は長官にお聞きしたいことは、四十年度の日本の労働者の賃金は、物価の上昇が早くて、むしろ追っかける賃金だと私は考えているのです。しからば、先ほどの景気上昇の問題が、多少挽回した、こう言われておりますが、それにちなんで、一体物価の値上がりが押えられたのか、賃金上昇が少なくともインフレ傾向に向かうおそれがあるのかどうか、私はないと断定したいと思います。賃金が上昇したからといって、インフレ傾向になるということはない、私はこう言いたいのです。企画庁長官はそういう傾向にあるとお考えになっておるかどうか、この点はあとで労働大臣に私は質問するについて非常に重要なポイントだと考えておりますので、長官のひとつ御答弁いただきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私ども物価対策の見地から申しますと、生産性の向上に見合う賃金というものなら、それは吸収可能な賃金でございますから、別に高くとも差しつかえないということでございます。同時に、生産性が十分向上できないような部面が、かりにあるとすれば、それはやっぱし価格に影響はしてくる。しかし、かねてからまあ物価問題を取り扱って申し上げているように、われわれは、つまり、たとえば今日の物価高の原因をそういうふうに見ましても、中小企業なり農業なり、あるいは流通機構の中で合理化をし、そうして生産性の向上をはかり得る部面がまだあるんじゃないか。したがって、賃金の平準化の作用によって中小企業なり流通機構なり、あるいは農業における労働者の賃金が上がっていっても、政府の経済政策よろしきを得て、そうして合理化、生産性の向上というものが相伴っていままでできてなかったそういう部面に及んでまいりますれば、それを吸収できる、まだ余地があるんではないか。どうしても絶対に吸収できないというものは、たとえば合理化、生産性の向上ができないという、たとえば床屋さんとかパーマネント屋さんとか、そういう種類のものはございますが、これは合理化のしょうがないわけでございまして、そういうものについては、まあ外国の例を見ましても、対前年度に若干のそういうことからくる値上がりはやむを得ないということは認められておるわけでございますね。ですから、そういう意味において、私どもは今日の労働賃金が生産性の向上をし、そして、合理化、経営の完ぺきを期していくことによって物価問題のある部面を解消できるのじゃないかと、こういう立場に立っていま物価問題の施策を実は進めておるのでございます。
○高山恒雄君 なるほど生産性に見合う賃金は妥当な賃金として上げてもいいと、これはもう当然のことだろうと私も思いますが、先ほどのこちらの質問は、この九月をなぜ五月にしないか、その内容がどうかという質問があったわけです。それに対して、やっぱり世界的なインフレで日本もそういう危険性がある、したがって、財源の問題も伴って、今日においては九月にやむを得ずしたんだというお話でありますが、したがって、長官は、公務員の給与を、人事院勧告があったように、この五月にしてもインフレが伴うというのは、そんな話はないんだと、こういうお考えですね、その点はっきりしていただきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、公務員の人事院勧告というものが実施されることによって必ずしもインフレの非常な原因になるというふうには考えておりません。
○藤田藤太郎君 藤山長官はお帰りになるようですから、私も一言お聞きしておきたいと思います。 景気がよくなった、経済の活動がよくなってきたと、こうおっしゃった。しかし、その根本の原因は、生産力が機械化によって非常に上がってきて、設備の動態とあわせて、労働者を中心にした合理化政策で生産力が上がった、そうなればそれに見合う購買力をどれだけ上げるかということで経済のバランスというものが出てこなければならぬ。だから、その景気が上がってきた要因、要するに購買力がどう上がってきたかという要因をどこに求めてそういう説明をされるのか、私はそれが第一点に聞きたいわけです。 それから二番目は、先日も国民生活審議会が一つの考え方を出しているわけです。で、いままでは生産だけを高めて、そして国民生活というのは第二義的になっておった、これは生産力培養計画と同時に、国民生活の培養というものと両てんびんの形で今後は経済計画を立てなければならぬというような意味のことが先日の国民生活審議会の答申の中に出ている。それを藤山さんはどうとらえようとしておいでになるか。 三番目は、私の考えでは、何といっても昭和三十五年から合理化を含めて生産力が三倍以上になっている。ところが、賃金は物価の上昇によってキャンセルされて、三十人以上の毎勤統計を見ても、ことしの三月までの状況では一九%か二〇%しか上がっていない。社会保障、所得保障も伸びていない。そういう条件のもとに経済がバランスの方向で上昇したという理由はどこにつけられるか。私は、やっぱりいまの日本の経済にとって、生産の上昇とあわせて国民所得、購買力ですね、それから労働能力のない人の所得保障というものをプラスして、どう生産と消費のバランスをとっていくか、これが日本の経済の私は重要課題だと、そう思っているのですが、物価上昇はいつまでも続いている、生産と消費のバランスはくずれて不況が続いている。最近では、どうも東南アジアに対するアメリカの特需がささえ棒になって経済が回復したというようなことが言われているわけでありますから、日本の生産力とあわせてどうバランスをとって経済のほうに反映さしていくか、その道はどうなのか、その前提条件から、どうも私は経済が成長してきたということはようわからぬわけです。また、特需を中心に、軍需産業にいまの短縮してとまっている工場を切りかえていくんだというようなことまでうわさに出ているわけであります。こういうことは正常な経済発展じゃ私はないと思う。まあことしの秋から今後立てられる経済計画の中に——私は時間がありません、関連ですから言いませんけれども、もっといろいろの問題が考慮されると私は思うのですが、だからいまの景気上昇の要因ですね、それから国民生活審議会の一応出したあの概念に対する政府の見方、それから購買力をつくるために、賃金を通じて、また、社会保障なり所得保障を通じて購買力を上げなければ、日本の経済はいつまでたってもちんばな経済で、平和的に経済を進めていこうというこの原則はそこらに道があるんではないか。だから、いずれこれは山崎君が議論されるでしょうけれども、公務員賃金は、藤山長官は心の中で、これは当然実施しなければいかぬとおっしゃりながら、きょうの返事では九月だと、こういうかっこうの返事なんです。日本の経済計画をお立てになる長官としては、少しそこらの考え方がちぐはぐになっているんじゃないか。結局最後は財政の問題だというだけで、それではなかなか働いている労働者は納得しないと、こう思う。そこらあたりの関連した考え方をひとつ聞かしていただきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 総括してお答えいたしたいと思います、関連していますから。 一昨年からと申しますか、いわゆる不況の過程にありましても、賃金の上昇というものはそう大きな——まあ若干の差はございますが、変動なくして上昇してきた。それから購買力も、一番最後には若干落ちてはおりましたけれども、今日では必ずしも購買力が非常に落ちているという状況にはなっておりません。そこで、むろん国民経済を立ててまいります上において、国内消費を十分に充足さしていく、拡大していくということが一つの経済発展の理由であることは、これは申すまでもございませんが、ただ、日本におきましては原料を相当輸入してこなければならぬ日本の国でございますから、したがって、経済全体をながめてみますると、やはり国内需要だけでなしに、やはり輸出というものを拡大していかなければ経済の興隆と発展ということは期し得られないと、こう思います。そこで、今日の事態におきまして、やはり日本の経済を拡大していくのは、一方では貿易を拡大するということでございまして、その貿易が世界的な好景気に恵まれていま伸びているということは、これは非常に大きなしあわせだと思います。そのことは必ずしも、まあアメリカを別としまして、他のヨーロッパ各国の景気の動向から見ますれば、ベトナム問題だけだとも考えられないのでございまして、そういう意味からいって、日本の貿易が伸びて、そうして生産したものが国内需要以上にできて、それが輸出ドライブにかかっていく。それは輸出が伸びておりますことは、やはり一方からいえば日本の産業の質が非常によくなった、そうして外国品との競争力もできたというようなところに非常な大きな私はやはり基本的な原因があるのではないかと思います。そういうことでございますから、たとえば貿易が非常に国際的に不景気であって、収支が国際貿易にたよるわけにいかぬという場合には、ある程度景気の刺激というものも国内需要によらざるを得ない場合もありますけれども、しかし、今日では相当に国際貿易にたよってしかるべきだ、また、それに基礎を置いて適当じゃないか。ただ、そういう意味において、不景気のときに需要が不足しておったというのを御承知のとおり、まあ公債を発行いたしましたけれども、その財源で今日までいわゆる社会開発といわれるような道路だとか住宅だとか、そういうものに対する投資による消費を拡大いたしまして維持してきたわけでございます。その刺激によって景気がここで回復してきた、こういうことでございます。景気が回復してくれば、やはり民間の事業でいえば、おのずから賃金なり、あるいはボーナスなり、それらのものも拡大していきますから、消費傾向としては増大していくということになろうと思います。ですから、そこいらのことを考えて、われわれとしては十分注意深く施策を進めてまいらなければならぬと思います。 また、国民生活審議会が最近中間報告をされました、最終的な報告ではございませんが。今日のような時代において、生産の伸び、ことに工業生産の伸びと申しますか、それに伴いますいろいろな公害等の問題も起きておりますし、あるいは新しい都市活動のために起こっておりますすべての生活を阻害する要因等、それらのものに対する対策というものが、国民生活審議会の答申の趣旨からいえば、十分に産業の伸びと一致していないのじゃないか、したがって、そういう面について一そうの施策を政府がとって、そうして産業拡大と並行してそれらの国民生活の処置に対するおくれを取り戻していくことが非常に重要な今日の一つの課題であるのじゃないか。それがやはりこの十分な翌日の再生産ができる立場に立っていけば、生産にもまた寄与していくのであって、それは生活環境なり、あるいは国民の栄養の上においてそういう面から関与していくことは、単にそれ自体がぜいたくということでなしに、翌日の再生産の一つの活力を持ってくるのじゃないか、こういう意味での御答申の趣旨、中間報告の趣旨はそういうことにあるのではないか。われわれとしても、むろんこの経済というものが最終目的ではない。利益を獲得するのが最終目的でなくて、国民生活をよりよき生活に持っていくことが経済拡大の目的であって、経済を拡大して単に利潤を得るというのが最終的な経済活動ではないという考え方については、むろん政治の上においてそうした国民生活審議会等の言われておりますような考え方を持って今後の経済計画の中に織り込んでいかなければならぬと、こういうふうに考えておるのでございます。
○藤田藤太郎君 もう一つ。国民生活審議会の問題についての御見解がありましたが、しかし、これからその問題は議論がされていく問題でありましょうが、前段のお話に貿易の問題が出てまいったわけです。しかし、貿易というのはフィフティー・フィフティーの原則に立たなければ今日の対外貿易はできないと私は思う。日本は五〇%から六〇%くらいしか操業をしないで、そして日本でできるものだけ売りつけるなんということは考えることができない。だから輸出をすれば輸入をするという、この貿易にもバランスがとられ、幾ら輸出したくても、国内の需要に受け入れ態勢がなければ輸出は伸びてこないのです。そうすると、それは何かというと、何といっても国民の中における購買力になってくる。だから今日の雇用労働者というのは、産業労働力の六十何%から七〇%、先進国は八〇%から九〇%にある。それが何といっても日本の今後の機械化、工業化していく購買力の中心で、それから社会保障、所得保障だろうと私は思う。その勤労者の所得が物価値上げでしぼられていって、そうしてどうもなお経済が云々というお話があったら、これは結局姿や形の生産力はできたけれども、いつまでたっても働いている者は浮かぶ瀬なしという経済が続くという以外に考えられないわけであります。だから、そこらあたりは、経企庁の長官は、私は日本の経済の今後のあり方というものから考えて、この公務員給与の問題なんかは主観の問題である、全体の財源的な操作というのは、私はこれはこれであかんのだという問題じゃないと思う。だからバランスをとって経済を繁栄さしていく道というものを考えていくなら、また、法律上からいって、人事院総裁があらゆる角度から検討してやっておられるのを、五月から八月まで差っ引いて九月からということに、藤山長官がそういうお気持ちになられたことが私はどうもようわからぬと思うのです。だからその辺は、その前段のお考え方についてお話を願って、そうして最終結論をこう出されたということが、どうも藤山長官としての考え方がもう一つこれはにじみ出ていない。だから、はっきり言ってもらいたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 前段の御議論は、輸出貿易を盛んにするためには国内消費が相当活発でなければならぬ、これは私はかねて実はそう思っておるわけであります。というのは、たとえば輸出だけの商品をつくろうということは、これは不可能なことでして、国内で使用されるものを輸出するということになって初めて輸出産業がよくなる。ですから、戦後の日本の世界的によくなっていった商品を見てまいりましても、たとえば日本人が写真機をしょっちゅう肩にしていて、外国を旅行すると、写真機を肩にしているのは日本人だ、中国の方は写真機を肩にしていない、すぐわかるのだということが昔からよくいわれているわけであります。それほど日本に写真機の需要があった。しかも、日本人は非常な、何と申しますか、精功なもの、ある場合には自分が必ずしも使い切れないような精巧なものを持つような慣習がございますから、そういうことで非常に写真機が国内にふえた。それが輸出の非常に大きな原因になったということは、これは当然でございまして、やはり国内には使わないが、輸出だけの品物をつくるというのは、これは無理なことでございます。過去において、いわゆる小幅の日本の織物を広幅織りにして、そして国内でも広幅でもって日本の着物が仕立てられるということになって初めて経済的な輸出の状況になったわけなんです。ですから、そういう意味において、国内の消費というものを私は輸出ドライブの上において決して無視するものではございません、原則として。ただ、しかし、それもある程度その時期その時期によって程度もございますし、したがって、その時期その時期のやはり程度を、輸出に重きを置くか、あるいは国内消費のほうにウエートをかけるかということは、やはりそのときの経済状況の推移とか、あるいは日本の産業の体質の改善の状況というものを見ながらやってまいりませんと、私は、実際的にはならぬのじゃないか。そこで、賃金を上げまして購買力を増進していくということについては、これは望ましいことであることは申すまでもございませんけれども、しかし、これもまた同じように、ある時期には伸び、ある時期に若干縮まるということも、これは長い過程の上においては上昇しながらも、その中において、若干の上昇率が多い場合も、あるいは少ない場合も、これはやむを得ぬところではないかと思います。しかし、長期にわたって上昇傾向をたどっていくということ自体が望ましいことであろうかと、こういうふうに考えておるのでございます。 そこで、そういう立場に立ちまして考えてみますと、私ども、人事院勧告をこの原則どおり一日も早く持ってまいりますことが望ましいことであることは、これは当然のことでございます。ただ、今日の過程におきまして、昨年来の非常な不況であった、そして会社の経理内容等についても必ずしも十分でなかった。ことしは立ち直ってきたといいましても、先ほど御説明申し上げましたように、六、七月ごろからほんとうによくなってきたというのが実情です。そこで、財務当局からいたしますと、一体六、七月ごろから立ち直ってきたその現状において、九月期決算がどの程度財政収入に寄与しているかということの見通しを立てられた上で、いまの政府予算の中でどれだけのことができるかということを考えられることは、私は財政当局としてこれは当然のことだと思います。そこで、財政当局がそういうような立場に立って話をされますときに、われわれは景気の上昇率から、九月期決算は上昇そのままというような形で私は税金の増収にすぐはね返ってくるとは、そうは思いません。と申しますのは、やっぱり不況を切り抜けてきた経営者としては、できるだけ立ち直りの時期に健全な経理をしたいという立場に立って経理をいたしますから、相当収入があっても、やはり過去の不良資産を償却するとか、あるいは整理をするとか、いろいろなことに使いまして、事実の上で決算上にあらわれている利益というものは、私は必ずしも大きく景気の回復と同じようなレベルですぐあらわれてくるものではないのじゃないか。ことに先ほど申しましたように、大、中、小とそれぞれ立場が違っておりますし、影響力も違っておる。そして、また、全体的に六、七月ごろからやってきたのですから、そういう意味からいくと、財政当局が本年だけは非常に苦しいのだという事情もわからぬわけではございません。したがって、そういう意味からいって、ことしはやむを得ず九月実施にとどまらざるを得ないのだということもうなづけるわけでございます。
○山崎昇君 藤山長官はたいへんお忙しいと思いますので、私の質問はこれで終わらせていただきたいと思います。後ほどまた労働大臣にもいろいろお聞きしますが、各省から来られておりますから、ひとつお聞きしたいと思うのですが、第一に人事院総裁にお尋ねをいたします。 この八月に出されております勧告の内容は私も見せていただきましたが、多くの疑問点を持っております。総裁にも詳細に私は質問したいと実は思っておりますけれども、そういう時間もございませんし、また、内閣委員会、あるいはその他の委員会等でもいろいろ審議もされたことだと思いますので、きょうはごく基本的な考え方について五点ばかり聞きたいと思うわけです。 その第一点というのは、公務員労働者の給与のきめ方については、これは一般の労働者と同じように、労使双方が話し合いをして賃金をきめるものだ、こういう原則の上に私は人事院総裁が立っているのではないか。したがって、国家公務員法でも地方公務員法でも、給与あるいはその他の法制的な問題については交渉することができるという規定を持っているのはそういう意味にあるということを前提にして総裁にお伺いをするわけですが、この人事院勧告というのは、公労協の諸君の仲裁裁定的な私は趣旨に解すべきではないか、こう考えているわけです。ただ、人事院は法律にあるから勧告すればいいのだ、こういうものではないのじゃないか、こういうふうに私は考えて、昨年の九月三十日の社労委員会でも当時の労働大臣にそういう趣旨の見解をただしましたところ、小平労働大臣は、あなたと同じです、ただ、法律的には違っておりますと、こういう答弁であったのですが、この勧告を取り扱う人事院総裁としては、この人事院勧告というものは公労協の諸君の仲裁裁定的な趣旨に解することが妥当かどうか、この点についてまず総裁の見解をお聞きしたい。
○説明員(佐藤達夫君) 現在の私の立場から申しますというと、立法論を、あれがいいこれがいいという議論をする立場にはございません。現在われわれの基準とされております国家公務員法を誠実に守って、その意図するところを実現するように努力をするという一点からきておりますので、あまり大それたことは申し上げられませんけれども、ただ、いまお尋ねの公労協の場合との比較論でございますけれども、これは御承知のとおりに、三公社五現業の人たちは争議権はありませんけれども、団交権までは与えられておるわけです。ところが、私どもがおあずかりしております一般職の国家公務員は団交権もないというところに基本的な違いがありますので、したがいまして、公労協の関係におきましては、一応団交でぶつかってもらう、そうしてその最後の裁定を仲裁機関にやってもらうということで一応筋が立っているわけでございます。私どものおあずかりしておりますところでは、いまの話し合いということはございます。一種の交渉ということはございますけれども、団交に至るまでの法的拘束力というものは現在の制度では認められておりませんから、すなわち、団交権の代行をどこかでやるということから人事院という第三者的な中立機関が設けられまして、一般の労働基本権の代行機関だとか、団交権の代行機関だと申されております。その機能として公務員の給与勧告をおあずかりしておる。したがいまして、この給与勧告のわれわれの仕事というものは非常に重大な意味を持っているという意識をもって今日まで仕事に当たっている次第でございます。
○山崎昇君 私ども、いま総裁と立法論についてやろうというのじゃないのですが、いま総裁から、公務員については団交権もないから、団交権の代行機関として人事院は勧告をしておる、こういう御説明なんですね。そうすれば、確かに実定法上の違いはあるにしても、団交権の代行機関である人事院が勧告したものについては、その趣旨というのは公労協の仲裁裁定と同じ趣旨に私は解すべきものではないか、こういうふうに総裁にお尋ねした。法律の違いは私も知っております。しかし、性格的にはそういうふうに理解をしなければ公務員の給与というものは守られないのではないか、人事院の存在というものは無意味になるのではないか、こういうように考えますので、もう一度この団交権の代行機関である人事院の勧告というものは、いわば公労協の仲裁裁定的な趣旨に理解をするのが妥当だと私は考えるのですが、総裁の見解を聞きたいと思います。
○説明員(佐藤達夫君) その点はたびたびいままで他の機会にも申し上げてきたところでございますが、法の本質、法の精神としてねらっているところは全く同じだと私どもは考えておるわけでございます。
○山崎昇君 趣旨については大体同じだという御返事でありますので、次に移りたいと思います。 いま総裁から、趣旨については大体公労協の仲裁裁定的に考えるのがよろしいんだ、こういう御見解でありました。そうならば、当然人事院勧告というものは、法的には政府を縛らぬけれども、精神的には私は政府を縛るものではないのか。いわば、ことばを変えて言えば、人事院勧告を受けた政府は、当然これを実施しなければならない義務があると私は考えるのですが、どうですか。
○説明員(佐藤達夫君) 公労法の関係においては、それじゃ法的に拘束されるとか、あるいは政府は尊重しなければならないということばが特にうたわれておりますけれども、その奥にひそんでおる根本の考え方は公務員法の場合と私は同じだろうというふうに考えるわけでございます。
○山崎昇君 念を押すようですけれども、そうすると、総裁の見解としては、この人事院勧告というものは、精神としてはやはり公労協の仲裁裁定と同じように政府は完全実施すべきものなんだと、こういうふうに総裁は理解をしておる、こう私のほうで理解をしてよろしゅうございますね。
○説明員(佐藤達夫君) 公務員法をおあずかりしております私どもの立場から言えば、それは当然のことだということで、従来その主張を続けてまいっておるわけでございます。
○山崎昇君 それでは第三点目に移りますが、私の記憶に間違いがなければ、臨時人事委員会制度ができまして以来、ちょうど昭和二十三年に私は第一回の勧告めいたものが出ていると思うのですが、それ以来、途中の報告その他等も入れて、人事院が公務員の給与について意思表示を出されたのが大体十九回ぐらいになっているのではないか、こう私は思っておるわけです。ところが、今日まで、この人事院の勧告や報告その他というものが満足に実施されたためしがない。いわば政府は人事院というものを軽視をしているのではないか、こう私ども判断をせざるを得ないと思うのですが、一体人事院総裁から見て、この人事院の勧告やその他報告というものを一回も満足に実施をしない政府に対してどうお考えになっているのか、総裁の見解を聞きたいと思います。
○説明員(佐藤達夫君) いまお話のとおり、大体いままで人事院が勧告を行ないました回数は十八回、私のほうでは十八回というふうに承知しております。そのうちで、ごく単純な手当関係のものは、これは完全に実施されたものもございますが、俸給表に関する限りのものにおいては、ある場合においては実質的にこれが切り下げられ、それから、昭和三十五年以来は、内容はそのまま取り入れていただけましたけれども、実施期日の点において切り下げられて今日に及んでおるということで、私どもとしてはきわめてこれは遺憾なことだというふうに考えておる次第でございます。
○山崎昇君 そうすると、総裁としては、きわめて遺憾だということばを使われているのですが、この遺憾だということだはあまりにも一般的で、きわめて強く理解する場合もあるし、浅く理解する場合もあるので、私はどうもどちらにとったらいいかわからないのですが、端的に言って、やはり人事院軽視だというふうに私は思うのですが、どうですか。
○説明員(佐藤達夫君) 私どもたいへんこの理屈を先に考えるものですから、あまりお気に召すようなすっきりしたお答えはできませんですが、過去の分は、これは結局において政府の原案が国会において採択された形になっているものですから、国会に弓を引くとか、国会を批判するような面がちょっと出てまいりますものですから、それは言いにくいのです。たとえば今度の場合のように、まだ国会のあれになっておらぬ段階でしたら批判は別です。
○山崎昇君 総裁はなかなかうまい逃げ方をされるわけですが、それでは今回の場合でもけっこうですから、どういうふうに批判をされておるのか、見解を聞きたいと思います。
○説明員(佐藤達夫君) この機会にちょっと…。この委員会にはあまり私は出席する機会もございませんから、私どもがなぜ五月実施ということをうたっておるかということをまず申し上げまして、それで私どもの深刻な気持ちをおくみとりいただきたいと思うのでありますが、それは何も急に一つのめどで五月ということを打ち出しておるのじゃございませんで、御承知のとおり、私どもは四月現在で約六千数百の事業所にわたって、四十数万人の一人一人の従業員個別的に当たってその人たちの給与を調べた。しかも、その事業所たるものは、何も大企業をつかまえてやっているわけではありませんで、百人以上の規模の事業所をとらえてのそれが水準の発見ということになります。その水準と国家公務員の一般職の方々の給与水準とを四月現在で突き合わせまして、そうしてそこに格差を求めまして、これだけの格差がある、これは民間の水準に公務員の給与もぜひ追いつかしていただきたいということで五月実施ということをうたっておるわけです。これは批評する人は、四月で調べたならば四月にさかのぼるべきじゃないか、あるいは公労協の仲裁裁定は四月にさかのぼっているじゃないかという議論もありますが、私は、そこは実は考えようはいろいろあるので、これは従来五月でやってきておりますし、五月でこれは現在のところけっこうだ。したがいまして、せめて五月にさかのぼって実施していただかないと、少なくとも百人以上の一般民間の水準にも追いつきませんということから、私どもは、ことにこの施行期日の完全実施を強くお願いをしてまいっておるわけでございます。これが先ほど御説明申し上げましたように、昭和三十五年以来、きわめて残念ながら、常に切り下げられてきておる。公労協の仲裁裁定は過去十年において常に完全実施、四月までさかのぼって実施されてきておる。こういう均衡の問題もございますので、私どもとしては、この際、きわめて強く完全実施を望んでおる、こういう立場でございます。
○山崎昇君 いま総裁から、五月実施をきめた詳細な御見解を聞きましたが、それが総裁の言う批判の内容だと私は受け取るわけであります。いまの説明によりますというと、六千数百カ所の事業所で四十数万人も一人ずつ当たって調べて、半年間もいろいろの作業をやって、そうして科学的に——私は必ずしも認めるわけではありませんけれども、一応人事院としては科学的な数字でこの公務員の賃金というものをきめておる。そういうものが実質的には何回か破られ、三十五年以降は、最も民間賃金とバランスをとらなければならぬという、その実施期日である五月については、これで六年間破られるわけです。そういう事態に対して、一体、人事院総裁として、どういうふうに私は公務員労働者に対して責任をとろうとなさるのか。これは人事院総裁を責めることは、まことに責める私もつらい立場に実はありますけれども、おわかりのように、一年ごとに人事院に対する公務員労働者の不満というのはつのってきている。また、不信感があふれてきている。それが昨年の場合には一応やらずに終わりましたが、十月二十二日のストライキということになり、今年はまた十月二十一日のストライキということになってきているわけであります。毎日のように警官隊ともみ合いながら、全国の代表が集まって皆さん方にいろいろ陳情その他をやっている。そのつど聞く声というのは、人事院に対する不信の声、政府に対する不信の声というふうにあらわれてきているわけです。 そこで、私は、人事院の総裁に、こういう人事院制度そのものを守る、加えて、不信のつのりつつある人事院に対する信頼を回復する、そして政府に対しては、それだけ苦心をしてつくった勧告というものを守らせる、こういう立場から私は考えるならば、三人の人事官は、少なくとも辞表を出してまでも私は政府に反省を求めるべきじゃなかったのか、こう思うのです。これはまだ国会にかかっておらないから総裁に言うわけなんですけれども、閣議が終わったようでありますけれども、これからもう一ぺん佐藤総理に会って、人事院としてのそういう固い決意を告げられる決意をお持ちなのかどうか、あるいはそのくらいの決意をして人事院制度に対する信頼をかち得る道を選ぶ意思があるかどうか、お尋ねしたい。
○説明員(佐藤達夫君) 基本的なたてまえを申しますというと、これも申すまでもございませんが、人事院の法的な責任は、勧告をつくり上げて勧告を提出するまでということになっておりまして、実はそれから先のことは国会なり政府の良識ある御判断にまかせるというのが実は法律の趣旨だろうと私は思います。思いますけれども、われわれが責任を持ってあらゆる努力を重ねてつくり上げた自信のある勧告は、これはわれわれがもう出したあとはどうでもいいというようなことで、冷ややかにながめておるというようなことは、われわれとしてはとうてい気持ちの許さないところでございますから、できるだけのあらゆる努力を払いまして、たとえばことしの場合は特に努力をしたつもりでございますけれども、各大臣——ここにも関係大臣がいらしゃいますけれども、強くお願いして、できるだけの努力はしてまいったわけでございます。しかしながら、それにもかかわらず、今日のような、これは非常にわれわれとしてはむざんな結果だと思いますけれども、こういうことになった。はなはだ残念に思います。ただし、私どもはここでくじけてはいけない。あるいは政府に対する何らかの行動をとるかどうかということは、また立ち戻って考えてみますというと、実は私どもは国会に直接勧告を申し上げているわけです。政府にも出しておるというような気持ちなんです。たまたま政府の原案の作成の過程においてわれわれのたいへん不満な結論が一応出ましたけれども、これは中間的な結論にすぎないので、これが国会に上程されて、国会が立法機関、最高機関として最終的なここに御判断を下される。修正をなされることもありましょう。過去に三回ばかり国会の修正で公務員に有利な修正をなされたこともあります。われわれはそういう希望を捨てません。あるいは、また、国会に対する勧告に対する一つの受けとめとしては、あるいは議員立法で完全実施の議員提案をされることも、これは当然憲法上あり得ることでございまして、私どもこの席に伺いましたのもそういう趣旨でございます。ひとつ国会のほうのこれからの手続を、ぜひよろしくひとつお願いしたい、それをお願いかたがた出てまいったわけでございます。
○山崎昇君 たいへん総裁から固い決意のほどが述べられましたので、最後にもう一点お聞きしたいと思います。 それは先般、何か異例の措置だそうでありますけれども、総裁が官房長官に会われて、五月実施をぜひ実現してもらいたい、こういう要請がやられたということを新聞で知っておるわけでありますが、その新聞報道によりますと、総裁が五月実施を特にあの時期に官房長官にやられた理由の一つに、本年は財政のゆとりがあるというふうに判断をされているというふうに載っているのです。そこで、総裁が財政にゆとりがあると判断された内容をできればひとつお聞かせを願いたい、こう思います。
○説明員(佐藤達夫君) あの関係の新聞報道は、全部官房長官その他の私のお会いいたしました相手の方々の御発表であると思います。私自身はああいう会見について新聞に発表した覚えはございません。したがって、あすこに出ておった財政上の問題ということは私が発表したわけでなしに、愛知さんのほうから発表されたことでございます。これは率直に申しまして、それはそういうことを言いました。しかし、私どもは財政当局でも何でもございませんから、ただ一般の市民の一人として新聞記事などを見ておったその感覚では、去年よりことしは相当財源にゆとりがあるように私は見ましたので、そういう点も勘案して、ぜひよろしくということは、率直に申しまして、言ったのであります。そういうことだろうと思います。
○山崎昇君 再三メモがまいりまして、総務長官が何か時間がないというので、後ほどまたお聞きをしますが、総務長官にひとつ聞きたいのであります。 先ほど給与担当大臣の総務長官がおりませんでしたので、労働大臣からきょうの閣議決定の内容をお聞きしたわけです。そこで、長官に担当大臣としてもう一ぺんお尋ねしたいのですが、九月実施にした理由を具体的にひとつお聞かせいただきたい。
○国務大臣(森清君) 私、給与担当の総務長官の森清でございます。 ただいま山崎さんのお尋ねのことは、すでに労働大臣からお話をしてございますように、御承知のように、大蔵大臣並びに経済企画庁長官が外国から帰られましてから、大詰めにまいりましたこの問題について、きのうからわれわれ関係の六人の閣僚が集まりまして検討を始めました。そうしてそれぞれがそれぞれの立場においてこの問題の解決方についてさまざまな意見を取りかわしたのでございますが、本日早朝からの閣議におきまして、結局財源が非常に見通しが立たない。特に非常に好景気だといわれておる昨今ではあるけれども、そのはね返りが九月決算には出ていない。そこで、これからのこうした問題に対処するにあたって、いかにも財源の見通しがないから、このことが一番大きな原因だったのでございます。
○山崎昇君 そうするとあれですか、財源の問題が理由であって、その他にはあまり理由ございませんか。一体どういう項目についてそれならば議論をされて、そして決定的な理由というのはあるいは財政だったのかもしれませんが、どういう項目で議論されたのか、発表願いたいと思います。
○国務大臣(森清君) これだけの大きな問題を協議するにあたりましては、当然その過程におきましてはさまざまな問題が出まして、たとえば政治的な姿勢の問題にしてもそうでございますし、それから、こういう公務員の給与決定にあたっての現在の仕組みの問題にいたしましても、さまざまな問題がそれぞれの立場において協議されたことは、これは論をまちません。
○山崎昇君 長官、もう少しあなた親切に答弁してくださいよ。私は具体的にあなたの見解を聞きたいのです。さまざまな理由といったって、あなたはわかっているかもしれないけれども、われわれはわからぬのですよ。ですから、具体的に、政治姿勢ならばどういうふうに議論をし、給与の仕組みについてならばどういう議論をし、その他の理由があるならば、それについてどういうふうに議論をされたのか、明らかにしてください。
○国務大臣(森清君) 私がその会議の席上で自分の意見を開陳したことであるなら、私はすべて私の責任においてお話を申し上げてもけっこうでございますが、しかし、他の閣僚の話した話というものは、これはやはり会議の秘密等の保持もございますし、私はそういうことにまで触れて詳細にお話することは失礼だと思いまして、概括的な言い方をしたのでございます。
○委員長(千葉千代世君) ちょっと長官、あなたは給与担当大臣でしょう。だから、あなたの責任範囲で、やはり具体的に説明の要求をされたならば、具体的に答えるあれがあるわけですから、おっしゃってください。
○国務大臣(森清君) 私は、現在のこの公務員給与につきましては、人事院が民間の給与ベースと比較対照してどのくらいの差があるか、こういうことをお調べになって、そうして先般八月十一日にこれが勧告がなされたのでございます。そういう観点からいえば、われわれは当然人事院勧告というものは尊重しなければなりません。そこで、私どもといたしましては、まず尊重するということが第一重点なことでありまして、財源の問題等につきましては、率直に申し上げまして、これは政治姿勢の問題である程度片づく問題ではないかと、私自身は給与担当でありますから、そう考えます。そこで、私は、終始その問題についてそういう見解のもとに発言をいたしました、主張もいたしました。しかし、これはこの決定にあたりましては、単にそういう問題だけでなくして、いわゆることしのこれからの財源の見通し、こういうふうなものも非常に大きなファクターでもございますし、そこで、こうした問題について大蔵大臣から詳細な説明がございました。先ほど申し上げましたように、非常に一般的には景気がいいように論じられているけれども、しかし、実際にいま現在にその内容を見たときに、そのはね返りというものは九月決算には出ていない、そういうことから、むしろこれから残されたところの予算については説明をしなければならぬというような状態だと、むしろ大蔵省側としては非常な苦衷を訴えられました。そこで、結局こうした人事院勧告によって、しかも、期半ばにしてこういう改定をしなければならぬ、そのことにも無理があるのではないか、何とかして前向きにするためには、これはいまの勧告制度というものを根本的に改めて、ほんとうに五月から完全に実施できるような方向に向かってわれわれは努力し、研究する必要があるのではないかというふうな問題も協議されましたけれども、現在の時点におきましては、いわゆる大蔵省側の財源の見方等に非常に大きな問題がございまして、そこでさまざまな議論の結果、昨年と同じような九月一日でなければ財源の確保というものはむずかしかろう、こういうふうな決着になったのでございます。
○山崎昇君 まだ私にはよくわからないのですが、去年のこれは十二月二十七日の参議院の内閣委員会の議事録なんですが、去年の内閣委員会で昨年の賃金をきめるときに附帯決議がついているわけですが、あなた御存じですか。その附帯決議について、それならば一年間給与の担当である総理府としてはどういうふうに具体的に検討したのか、明らかにしてください。
○国務大臣(森清君) 私は就任してからほどなく、どうも、たとえば各委員会に出てみましても、初めから予算の中に財源を確保しておいたらどうか、こういう御意見が非常に強くございまして、そこで、その方法として、いまの勧告制度というものを、何とか八月ということではなくして、もっと前にこれが勧告が出るようにする方法はないだろうか。私どもの役所はもちろんのこと、佐藤人事院総裁にもそうしたことを御相談したことがございます。しかし、結果においては、それが、いままでもそういう議論は何べんも何べんも慎重に検討した結果、なかなか困難である、こういうことも私はあわせて聞いておきます。
○山崎昇君 去年の内閣委員会では、附帯決議としてこういうふうに述べられておるのです。「公務員給与に関する人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後これを完全に実施し得るよう政府は予算措置を講ずることに最善を尽すべきである。」、これは全会一致の決議なんですね。だから、総理府はほんとうにこの附帯決議を尊重するなら、当然予算措置をしておかなければならぬ。しかし、現実はしてないじゃないですか。だから私の言うのは、幾ら、から念仏的にものを言おうとも、現実的にどういうふうに処置をしたのか、聞きたいわけです。
○国務大臣(森清君) 私は、予算措置としましては、私自身が八月の一日からでございますから、私自身としては、これはやや不可能だったと思います。けれども、ただ、問題は、私は従来強く念じており、主張してまいりましたものは、何といっても、人事院の勧告は完全実施の方向にわれわれ自身としては努力をしなければならぬ、こういう考え方のもとに提案をせられ、私は努力をし続けたつもりでございますが、非力にして私の主張がいれられなかったことは、いまの段階におきましてはきわめて残念に思っております。
○山崎昇君 それじゃ重ねて総務長官にお尋ねしますが、昨年の給与をきめるときに、自民党と社会党との間に了解事項が出されておる。これはあなた御存じですか。また、去年の閣議できめる際に、閣議の了解事項というものが自民党から社会党にきておるわけです。これもまたあなた御存じですか。それじゃそういう点についてどういうふうに検討されたのか、お聞きをしておきたいと思う。
○国務大臣(森清君) 特に閣議におきまして、そうした申し入れを受けましたことも私は聞いておりまして、これは当然両者とも完全実施をたてまえにやるような努力がなされておる、そういう要求がなされておることでございまして、したがって、私は先ほども申し上げましたように、それがほんとうの姿である、そうすることが望ましいことであるという観点から、私は私なりに個別的に関係の閣僚にもお会いし、努力を重ねたつもりでありますが、何べんも申し上げますとおり、これは私の非力のため、そういう私どもの主張はいれられなかった、こういうことでございます。
○山崎昇君 私の非力と言われると、私もそれ以上追及するのに実は困難を感ずるわけですが、力のないものにやれやれといってもどうもならないのですが、そこで、少し方向を変えて、あなたに二、三原則的な点でお聞きをしておきたいと思うのですが、昨年ILOのドライヤー報告というのが出たのはあなたもおわかりだと思うのです。そこで、このドライヤー報告を読んでみますというと、いまの人事院制度や、あるいは地方公務員に関連をしております人事委員会制度というのは、どうも構成について公平な構成にはなっておらないように思うと、こういう指摘がされておるわけです。それは具体的に私がそれを考えれば、三人の人事官や三人の人事委員で構成をされておるのですが、労働者を代表するような委員がいわば任命されてない。いわばことばを変えて言うと、使用者側を代表するような方々が三名とも委員として任命されておるから、必ずしもこの人事院や人事委員会というのは公平な構成ではないというふうに指摘をされているのだと私は思うのです。そういう意味で言うと、このドライヤー報告で指摘をしておる人事委員会制度のうちの人事委員の任命について、何かあなたのお考えがあればこの機会に聞いておきたい、こう思うのです。
○国務大臣(森清君) ドライヤーの勧告がなされたことも承知しておりますが、ただ、私は、いま私自身の私見というものはございません。
○山崎昇君 そうすると、あなたはドライヤー報告というものをどういうふうに理解をされているのですか。こういう国際的な条約なり、あるいは勧告なり、こういうものについて当面あなたが国家公務員を扱うわけですが、公務員全体を扱うあなたがまだ私見がございませんの、何にもございませんのということは、私はちょっと聞くわけにいかないと思います。あなたが、それじゃ部下にこのドライヤー報告と公務員制度の関係というものをどういうふうに検討さしておるのですか。あなた自身に意見がなければ、じゃ総理府で検討されておる内容等があれば聞いておきたいと思うのです。
○国務大臣(森清君) 増子局長からちょっと答弁いたさせます。
○説明員(増子正宏君) ただいま御質問の点でございますが、ドライヤー委員会のいわゆるドライヤー・リポート等の内容につきましてはいろいろな問題が含まれておるのでありまして、その点につきましては、問題ごとにわれわれ今後の立法の上に、あるいは法の運用の上に参考にするという意味で、十分検討いたしております。 なお、ただいま具体的に問題になりました人事院の構成の問題でございますが、これは山崎先生も御存じだと思いますけれども、ドライヤー報告が直接取り上げておりますのは、地方の人事委員会、あるいは公平委員会の人選、あるいはその構成等につきまして若干触れた点がございます。国の人事院の、つまり人事官の選任につきましてはドライヤー委員会は全然触れていないところでございます。私どもが現在の人事院を構成する人事官制度につきましては、現状において問題があるというふうには考えていない次第でございます。
○山崎昇君 長官が三時四十分というのですから、もう一つだけ聞いておきます。
○委員長(千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(千葉千代世君) 速記を始めて。
○山崎昇君 じゃもう一つだけで一応やめますが、いま人事局長が、ドライヤー報告は人事委員会や公平委員会について述べているのであって、国の機関の場合については触れておらない、そのとおりなんです。それはなぜかというと、地方公務員の結集体である自治労から直接ILOに提訴をされたから、提訴をされた問題について結論を出されておることは私も承知しておるのです。しかし、人事委員会や公平委員会というのは、国家公務員に準じて、いわば国の機関に準じてつくられているのですから、その精神、性格は国と地方と違ったはずはないと思うのです。そういう意味からいうと、提訴をされた地方の人事委員会について公平性が欠けておる、こういう指摘は、当然国の場合にやはり当てはまるべきではないかと、こう私は考えるわけです。そういう意味でお尋ねをしておるわけです。したがって、人事局長の言うように、直接ドライヤー報告がそれに触れていないことは私も知っておりますよ。知っておりますが、ドライヤー委員会でいっておる精神というのはそういうところにあると私は考えるのでいま人事院制度についての見解をお聞きしたわけです。もう一ぺんひとつそれに関連をして見解を聞いておきたい。
○国務大臣(森清君) 私も、とにかく増子局長がいまお答えを申し上げましたとおり考えております。
○説明員(佐藤達夫君) きょうは私少し気が立っておりますから、乱暴なことを申し上げるかもしれませんが、ただいまのおことばの中に、われわれ人事院の人事官の選任がいかがかと、われわれが片寄ったようなふうに聞こえる。ドライヤーが何と言おうと、それは別でありますけれども、われわれの立場が多少公平性を欠いておるような疑問を起こさせるようなおことば、そういう誤解を抱かせるようなおことばがありましたから、この機会に私としてははっきり申し上げておきたいと思いますけれども、私どもは、少なくとも国の人事院に関する限りにおいては、国家公務員法で厳重に資格がきめられ、その上に国会の人事についての御承認を受けた上でわれわれこの地位について、さらに最高裁判所長官の前で、公正に忠実にこの仕事を行なうということの宣誓までしているわけであります。したがいまして、私はこの場所に出ましても、私の信ずるとおりのことを申し上げておるのです。私の場合のことを申し上げて恐縮ですけれども、池田内閣の時代に、私にぜひ人事院総裁にというお話がありました。しかし、私はそんな仕事はとてもできぬということでお断わりしましたが、またぜひにということで受けましたけれども、これは与党だけの人事なら引き受けません。与野党一致の御承認があれば就任しますということまで申し上げまして、幸いに与野党一致の御承認がございましたからこの地位におるわけであります。私どもは決して不公正な、あるいは片寄った立場にあるものではないということを、大事なことでありますから、この機会にはっきり申し上げておきませんと、われわれのやることなすことすべて疑問を持って見られると思います。
○山崎昇君 いま人事院総裁からお答えがあったのですが、私はあなたのやっていることが不公平だなんて言っているのじゃないですよ。いまの人事官の任命にあたって、本来給与をきめる場合に、先ほどあなたからお話ございましたが、仲裁裁定的な性格だというなら、仲裁裁定をきめるのはどういうふうにやっていますか。労、使、公益の三者の構成になっておって、最終的には公益委員の決定になっていることは知っておりますよ。しかし、少なくとも公労協の場合には、労働組合の意向というのが出身の委員を通じて反映されるような仕組みになっている。ところが、人事院や人事委員会というのはそういう仕組みになっていないから、だからいま政府にお尋ねをしているのは、ドライヤー報告にもあることだから、したがって、人事官等の任命の際には、労働者を代表するような者を一名人事院に入れることがどうですかという意味で聞いているのであって、あなた方のやっていることが不公平だとか公平を欠いているとかという意味ではございませんので、その点は総裁のほうでひとつ誤解のないようにお願いしたいと、こう思うのです。 総務長官は四十分とありますから、一応あなたへの質問は保留をしておきたいと思うのです。
○委員長(千葉千代世君) 御了解いただけましたでしょうか、佐藤総裁。
○説明員(佐藤達夫君) 当然その質問の趣旨は承知いたしましたけれども、国民の皆さんの前での発言ですから、万一誤解があってはいけないということで発言いたしました。よく了解いたしました。
○山崎昇君 続けて自治省にひとつお尋ねをしたいのですが、きょう自治大臣が病気で来られないそうでありますので、ほんとうは大臣にいろいろお聞きをしたいのですが、おられませんから、政務次官からひとつお答えをいただきたいと思うのです。 私どもいろいろ資料を集めるわけですけれども、何といっても一番手っとり早く私どもの目に入ってくるのは、新聞やテレビのニュース解説その他になってくるわけですから、主として新聞情報でお聞きをしたいと思うのですが、十月六日の日経新聞が報じたところによるというと、ことしは何か経済が少し明るくて、九月期決算の法人収益も好調である。だから国税の収入についてもかなり自然増収が見込まれるので、地方公務員のことしのベアの財源については自力でやっていけるのだと、こういう趣旨のことがこの日経新聞に実は出ておるわけなんですが、そのとおりと理解をしていいのかどうか、まずお聞きをしたいと思うのです。
○説明員(伊東隆治君) この記事でございますが、これは自治省においては関知していないところでございます。実は地方財政の現状を見てみまするというと、もう交付税は一ぱいになっておりますし、また、税の増収を見込んで、もうすでにほとんど予算は組んでおりまして、非常にその手の中は窮屈な現状でございまして、この記事とはむしろ反対な実情でございますので、この実施にあたりましても、国に準じて適当な措置を講ずるようにいまもくろんでおるところでございます。
○山崎昇君 そうするとあれですか。私のいま手元にありますこの十月六日の日本経済新聞は、これは誤りですか。ただ考え方だけで述べられてあるのであれば、政務次官の言うこともあるいはということになりますが、かなり詳細に数字をあげて、そしてこまかにここには載っておるのですが、まあ一々内容は申し上げませんが、これすべて誤りですか。全然違いますか。
○説明員(細郷道一君) 数字のことでございますので、私からお答え申し上げます。 あそこに出ております内容その他につきましては、実は私どももあそこの出ております数字のような判断を実はいたしておるわけでございません。まあいわゆる観測記事ではなかろうかと思います。そこで、私どもも、本年度の地方財政につきまして、特に都道府県の場合どんなふうな動きをしているかというのをごく最近において概要を調べたわけでございます。で、調べてみますと、歳出の面におきましては、公共事業をほとんど完全にと言ってもいいほど消化をするように九月において予算化をいたしております。これは本年度、御承知のように、公共事業の推進というようなことで、国の考え方を受けて地方が協力をいたしておる形でございます。それから、歳入のほうにおきましては、地方交付税は本年度当初の国の予算に見積もっておりますものにほぼ近い数字を組んでおります。さらに地方税につきまして、都道府県税でございますが、都道府県税におきましては、私どもが当初財政計画で見込んだ数字よりも二百六十億ほどすでによけいに自然増収を見込んでおるわけであります。そういったような収支の状況からいたしまして、現在の地方団体の財政状況は、国の意図する公共事業を完全実施しつつ、かつ、歳入の面においては自然増収の一部をすでに計上をしてこれを執行使用している、こういうような状態でございますので、給与の改定財源が自力でまかなえるかどうかというのは、一にかかって今後の税収の動きにかかるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、私どもは全部自力でまかなえるというような楽観をいたしておるのではございません。今後九月期以降どういうふうに法人関係の地方の税が伸びてくるかというようなことも見てみないと、年度一ぱいの収入の見積もりを立てることは困難であろう、こういうふうに思っております。
○山崎昇君 そうすると、どうしても私は新聞だけが正しいとは言いませんけれども、「地方公務員のベア財源自力でまかなえる」、こういう表題で、そして中をずっと続んでみますというと、国税の場合には一千億以上の自然増収がある。そして自治省では、これこれの費用をまかなったとしても、地方公務員の財源については十分である。そこで、いま大蔵省と折衝しておって、大蔵省のほうではいままで貸した分を払えと言うんじゃないかと、それが一番心配ですという実は結びになっているわけです。この点はあとで大蔵省にもお聞きをしたいと思っているのですが、そうすると、再度お尋ねいたしますが、この記事は全く違いますか、あなた方の考えと。これは確認しておかないと、私は実はきょうの質問はほとんどこれを中心にやろうと思っておったのですが、これを否定されるとだいぶ狂ってきて、違うことをお聞きしなければなりませんので、明らかにしてもらいたい。この新聞記事は何としても違うなら違う、誤りなら誤りだということを明確にしてください。
○説明員(細郷道一君) 私どもが現在見通しております本年度の財政事情としては、その記事のとおりでございません。
○山崎昇君 新聞記事が違うということでありますから、別な点からそれじゃあお尋ねします。 自治省から出されておりますいろいろな資料を見してもらうと、地方財政がいろいろ困難な状況もある。そのうちの一つの理由に超過負担ということばが出てくるわけですが、これもあなたのほうの出した数字を、私が間違いなければ昭和四十年度で千二百七十三億円ぐらい、昭和四十一年度で千四百四十三億円ぐらいの超過負担というものがある、こういうふうに出ておるのですが、この数字は間違いありませんか。
○説明員(細郷道一君) 昭和四十年度の決算をもとにいたしまして超過負担の状況を調査いたしております。それを四十一年度の事業量に引き延ばしてみますと、約千四百億ほどございます。ただ、本年度は関係各省のいろいろな努力によりまして三百三十億ほど超過負担の解消がはかられておりますので、単純に計算をいたしますと千百億ぐらいなおあるであろう、こういう推定でございます。
○山崎昇君 そうすると、この超過負担を自治省はどういう形でいつまでに解消しようとするのか、お聞きをしたいと思います。というのは、先般全国の町村長会がございまして、その町村長会のいろいろ資料をもらって見ますというと、いまの地方財政の窮迫というものは、これは構造的欠陥にある、こういうことばが使われておるようであります。そのうちの一つに、ぜひともこの超過負担の解消をはからなければ地方財政の立ち直りはできないんだ、こういうふうになっておるからお尋ねするのですが、自治省はいま三百億ばかり解消される見込みだと、こういうのですが、かりに千百億としても、これはいつどんな形で解消される計画なのか、お聞かせ願いたいと思います。
○説明員(細郷道一君) 超過負担の問題は、実はわが省だけで解決のつく問題でございません。関係各省並びに地方団体の心がまえも重要でございます。そういう意味合いにおきまして、私どもとしましては、明年度の国の予算の編成にあたりまして、また、予算の要求にあたりまして、関係各省から超過負担の生じないような要求をし、かつ、予算の編成もしてもらいたい、こういうのを具体の名前を掲げてそれぞれ要請をいたしております。まあ昨年もそういうようなことで三百三十億ほどの解消をはかったわけでございます。何ぶんにも長い間の問題でございますので、なかなか一挙にいかない点もあろうかと思っておりますが、私どもとしましても昨年に引き続いて強力にこの推進をはかってまいりたい、かように考えております。
○山崎昇君 関係各省と関連があるからいろいろ相談をしてやられるということについては私もわかる気がするのですが、地方団体の心がまえというのはどういうことですか。これは中央政府のやり方がまずいから地方団体でこういう負担がさせられておるのに地方団体の心がまえが必要だ、こう言うのですが、どういう心がまえですか。
○説明員(細郷道一君) これはまあ心がまえといいますか、これは財政秩序の確立ということを、国、地方を通じて、やはりこれは相互に協力をしていかないと負担の区分の是正というのは私なかなかむずかしいと思います。そういう意味合いにおきまして、国もうんとやってもらう、地方もそれに対して是正の心がまえをとっていきたい、こういう意味で申し上げたのであります。
○山崎昇君 もう少し具体的に言ってください。地方で心がまえが必要だの、財政秩序の確立だのと言っても、この超過負担の性格そのものが地方団体の責任ではないのですね、これは。地方団体が悪くてこういうものが起きたのならあなたの言うこと私はまっすぐ理解していいと思う。政府の単価が安かったり、補助金が正確でなかったり、あるいはむりやり公共事業という形で押しつけてやらせるから超過負担というものが出ているのでしょう。それをあたかも何か国もやるから地方もやれ、地方の責任であるようなあなたの言い方は私は納得できない。もう一ぺんひとつ明らかにしてください。
○説明員(細郷道一君) 責任とか何とか、そういうふうな意味合いで申し上げたものではございません。いろいろな事業ごとに現在負担の区分というのがきまっておるわけでございますから、負担の区分を守るのには相互に負担するほうが、同じような心がまえになることが大事ではなかろうか、こういう考え方として申し上げたものであります。いまいろいろ議論になっております超過負担につきましては、中身が国の補助単価が低いものもあり、また、国の補助の対象範囲が使いものもある、そういったような実情に合わないものもあるわけであります。それについては関係各省、大蔵省に私どもは強く要請をいたしておる、こういうことでございます。
○山崎昇君 強く要請はいいのですが、それじゃこれは千百億程度のものは来年度で解消できますか。約束できますか。
○説明員(細郷道一君) 私どもはできるだけ解消いたしたいと考えております。しかし、何ぶんにも、まあ長いことこういう状態が続いておるものでございますから、したがいまして、一挙に全部が来年度にできるということにつきましては、いまのところまだ確たる見通しは実はございません。ございませんけれども、昨年に引き続き、超過負担の解消問題につきましては関係各省も非常に熱意を入れていただいておりますので、私どもは去年よりもさらに進んでこの問題が実現するように大いに努力をいたしたいと、かように考えております。
○山崎昇君 私がこの問題をしつこくあなたに迫るのは、あとで聞く給与改定の財源と関係があるからお聞きをしておるわけなんですけれども、政府は、地方自治体が独自で何か政策をやったり、あるいは国の政策と多少違ったことをやれば、財政的な制裁と称して交付税を削ってみたり、その他の制裁をするのですね。ところが、あなたのほうの補助単価が安かったり、まずかったり、あるいは国の政策を実行しようとすれば、長年にわたってこういう超過負担が出てくる。そういうものの解消については、努力は努力としても、いつまでに解消するのだというめどを地方に与えなければ片手落ちじゃないかと私は思うのです。だからあなたにしつこく聞いておるのですが、来年度一ぱいくらいでぜひこれは解消してもらいたいし、するという決意だけでもここで述べてもらいたい。これは政務次官からひとつ述べてください。
○説明員(伊東隆治君) この問題はまことに重要な問題でもございますので、来年一ぱいにはぜひ解決いたしたいと思っております。 〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕
○山崎昇君 それでは次の質問に入らしてもらいますが、実はこの給与の問題を議論する場合に、必ずといっていいくらい地方公務員の場合は人件費というのが出てくるわけです。そこで、私もこの人件費というのを少し調べてみますというと、昭和三十九年以降の数字だけで申し上げてみても、地方自治体でいま人がふえているのはどれか、それは警察が約七千人、消防が約千人、公立大学、高校を入れて約一万八千人。いま地方自治体で人がふえているのは、第一番に警察がふえている。普通の行政官がふえているわけじゃない。しかし、世間で一般に引っくるめて人件費人件費というと、何か一般行政職員だけが猛烈にふえて、賃金が高くて、そして地方自治体の財政をこの人件費で圧迫しているような言い方をされるわけですが、専門家である自治省はそういうふうには思っておらないと思うのです。ですから、この人件費というものを考える場合に、少しやはり分析をして考えてもらわなければ困るのじゃないか、こういう立場から一、二お聞きをしたいのですが、自治省の出した全国の給与実態調査を見ても、全国に約三千四百六十六の地方自治体があります。これは県、市町村、特別区を入れて、私の記憶に間違いなければ三千四百六十六の自治体があるわけですが、そのうちの七割まで、いな、むしろ八割までは国家公務員より給与が低い。確かに六大都市、あるいは一部の大きい府県で、平均給で言えば多少国家公務員よりも上回るところがあるかもしれぬけれども、大半は国家公務員よりも賃金が低い、こういう実情にあると私は思っているのですが、それについて自治省はどう考えるかが第一点。 第二点は、相対的に予算総額における人件費の額というのがふえておりますけれども、人件費の率そのものはそんなにふえておらない。ここ四、五年の地方財政計画を見ても、三倍にも四倍にもはね上がっているのは公共事業費であって、人件費ではない。こういうことを考えると、いま地方自治体の財政を圧迫しているのは先行投資と称する公共事業費であって、人件費ではないと私は考えているのだが、それについての見解をお聞きしたい。
○説明員(細郷道一君) 国家公務員と地方公務員の給与の比較は、御承知のように、地方団体の中でいろいろございます。高いところもございますし、いまちょっと手元にあります数字で、三十八年の七月一日現在の実態調査によりますと、国と比べまして、府県、五大市、市はそれぞれ若干上回っております、平均にいたしまして。町村がやや下回っておるというのが実態調査の結果でございます。それから、人件費の増高がどういう影響を与えておるかという点につきましては、確かに財政規模の中に占めます人件費のウエート、これは他の事業費が伸びますれば相対的に低下をするのが普通でございます。しかし、これはむしろ国民経済が年々発達してまいりますれば、当然にそれだけ事業がよけいに進んで、国民に税金が還元されていく姿であるべきものでありまして、私は、むしろそういう姿が当然と申しますか、好ましい姿ではなかろうかと一般的に考えております。ただ、現状におきまして非常に問題になりますことは、人件費の増加と、それをまかなう一般財源との割合がどうであるかという点がさしあたっての問題点でございますが、 〔理事藤田藤太郎君退席、委員長着席〕 ここ数年は、一般財源の伸びよりも、年によりましては人件費の伸びのほうが上回っておるというような姿を呈しております。一方、確かに御指摘のように、公共事業は盛んでございますが、その財源としましては、国庫補助事業、そして地方債といったようなものがその財源として充てられておるわけでございますので、そういう意味合いにおきまして、地方財政の構造は、やはり最近不健全要素をやや含んでおる、将来やはり健全化に向かって進まなければならない、こういうふうに思っております。
○山崎昇君 だいぶ時間もたってきましたから、あと一、二点で自治省は終わりたいと思うのですが、あなたのほうで出した昭和四十年度の何か決算見込み、これ一カ月ほど前ですか、出されておるのですが、あれを見ますとたくさん載っておりますが、まあ一、二言うと、単独事業というのはほとんどふえてない。何か二・三%という数字のようです。それに比べて国の補助事業が約二割ぐらいふえておる。そして地方自治体の財源の中身についても、自主的財源というのはきわめて減ってきて、国庫支出金がかなり中心になっておる、こういうことをあなたのほうで言っているわけですね。そこで、私ども考えてみますというと、私ども国会にきてから、各委員会で法律が一つできたり改正されたりするたびに地方自治体の仕事がふえていく、ほとんど自治官庁的な要素を帯びておりますから自治体の仕事はふえていくわけであります。しかし、それに対しての人件費、その他経常的な経費はあまり国でみておらない。そういう意味から、自治体ではかなりな経費としてそういう問題が圧迫をしているということは私もわからぬわけじゃない。そういう点等をかね合わせて考えてみるというと、この人件費の問題というのは、よほど政府で考えてもらわなければ困る。ただ地方自治体でやりくりせいとか節約せいとか、そういう問題だけでは片づかない内容を私は帯びておる、こういうふうに考えるわけです。そういう意味で、ぜひ今後の給与問題等を考える場合に、この財源等については特段の皆さんのひとつ配慮を願いたい、こうひとつ要望をまずしておきたいと思うんです。 もう一点質問したいと思いますのは、今度の勧告を実施するのに、きょう九月実施というふうになってしまいましたから、本来なら五月からの財源を聞かなければいけませんが、五月から実施したら地方公務員が幾らかかって、九月からならば幾らなのか、お聞かせを願いたいと思います。
○説明員(細郷道一君) 五月実施といたしますと、所要額で八百九十二億、そのうち、地方の一般財源で七百二十二億でございます。それから、九月実施といたしますと、所要額全体で五百六十九億、一般財源で四百六十一億、こういうことでございます。
○山崎昇君 それでは、だいぶ時間がたってきましたから、大蔵省に二、三聞きたいと思うのです。 先ほど来、財源の問題をめぐっていろいろ答弁を伺っているのですが、私どもが聞いたところによると、九月の法人等の決算を見て、そして所要の税の自然増収なりその他財源を正確に計算するには時間がだいぶかかる。それは十一月ごろにならなければなかなかはっきりしたことがわからない。そういう意味で補正予算のめどもまだ立たないのだ、だから臨時国会等は十一月の下旬ぐらいでなければ開かれないのじゃないか、こういうふうなまあ大蔵省の見解だというふうに聞いておるのですが、そのとおりですか。
○説明員(小沢辰男君) 全般的な補正要因並びにこれに対する財源の見通しを確定的につけますには、いま先生のおっしゃったような時期を想定しております。
○山崎昇君 そうすると、きょう閣議で公務員給与だけを早々と九月実施というふうにおきめになったのですが、それがきまるには、先ほど来、労働大臣なり総務長官の答弁では、この財源が中心になっておるようですね。そうすると、公務員給与の問題のときだけは、大体財源の見通しなり、あるいは財源の問題についての考え方がまとまっておって、給与問題だけはきめたわけですか。その間のいきさつをもう少しわかるように説明願いたいと思います。
○説明員(小沢辰男君) 先ほど申し上げましたように、九月決算の状況を正確につかみませんと、自然増収がどれくらいあるかという点につきまして私ども正確な資料を得ることができません。しかしながら、公務員給与につきましては、御承知のとおり、もう八月に勧告が出ております。ずいぶん長い期間、政府がいつまでもその態度をきめないということもよくないことでございます。したがいまして、現在いろいろな補正の支出、財源、両方から見ますと、まだまだ不確定要因がたくさんございます。食管の赤字繰り入れにつきましても、消費者米価というものをいかにわれわれが考えていくかという点にも大きく関係するわけであります。しかしながら、いろいろそういうような事情がございますけれども、あまりこの決定を長引かしては公務員の諸君に不安なことでもあります。非常に財源が苦しいところでございますが、何とかやりくりして、九月実施の程度であれば乗り切れるだろうということで本日閣議の決定になったものと私どもは了承しております。
○山崎昇君 そうすると、財源がまだ不確定である。それから、一方、支出のほうは、いまお話にありましたように、公務員給与がある、米価の問題がある、あるいは災害対策もあるでしょうし、その他あると思う。しかし、公務員給与だけはもうここだけできめてしまえ、そうすると、あとはいろいろ考えてやればいいのだ、こういうふうにも、少しひねたとり方をすればとれないこともないと思うわけです。私は石橋をたたいて渡るといわれる大蔵省が、何で全体の財源が定まらないのに公務員給与だけはスポンときめてしまうのか、どうしてもその辺が納得いかない。なぜもっと検討を加えてやらなかったのか、もう一ぺんひとつわかるように説明願いたいと思います。
○説明員(小沢辰男君) おっしゃるように、私どもとしては、財源の見通しということにつきまして、中央、地方とも非常に困難を来たしておりますので、なかなか踏み切りがたいところではございましたが、給与担当の大臣、あるいは労働大臣、その他人事院総裁の熱心ないろいろお話もございまして、何としても公務員の給与は、少なくとも前年の実績を下回らぬようなことだけはどんなに苦しくともやらなければいかぬだろうというような気持ちから、本日、公務員給与につきまして、できるだけ御要望を入れる配慮をしつつ、まことに完全実施ができませんで遺憾ではございましたけれども、九月に実施をするという、その財源はあくまでも何とか確保したい、こういうことで決定したわけであります。
○山崎昇君 それじゃ重ねてお尋ねしますが、去年はきわめて経済が不況で、そうして日本の財政政策が大転換を遂げるといわれるような赤字公債を発行するくらい不況のときでさえ一カ月前進さしておる。ことしはまだ確定はしていないと思うのですけれども、あれこれ新聞なり、あるいは大蔵大臣談話だという新聞報道を見ると、大体一千億以上の自然増収はあるのじゃないか、こういうふうにいわれておるわけです。私ども事務当局でいろいろ非公式に聞くと、三千億円と言う人もいるし、三千五百億円くらいあるんじゃないかと言う人もある。私も公務員でありましたから、大蔵省は少し財源を隠しているんじゃないか、こういう疑いさえ私は持っているのですが、それはまあさておいても、どうも自然増収はかなりなものになるんじゃないかと私ども想定をするわけで、去年に比較して明るい見通しに立っておる。さっきの藤山さんの答弁ではありませんけれども、いまは去年に比べて六、七〇%の回復だと思うけれども、何とかもう少したてば回復するんじゃないかという明るい答弁であった。そうすると、大蔵省は、財源的にいっても去年よりは明るい、財源があるのに、なぜ公務員の賃金だけは去年並みに押えなければならぬか、なぜ前進をさせることができなかったのか、どうもこの点が私どもわからないわけなんですが、もう一ぺんひとつお聞きをいたしたいと思います。
○説明員(小沢辰男君) 先生のおっしゃいますように、昨年は決算上から見ましても、当初予算で見込みました税収入を下ること二千三百億というような状況でございまして、それから見ますと、ことしは自然増収を若干でも期待できるというふうに、非常に違いがございます。昨年は非常にああいうふうな赤字公債発行のような時期であっても九月実施はやったじゃないか、ことしはもう少し明るいなら完全実施をやったらどうだとおっしゃることはよくわかりますけれども、しかし、会社の経理と違いまして、悪いときはみんなでがまんしてもらって、いいときにはいいというわけには公務員の問題はいかぬと思います。人事院の正確な調査によって毎年毎年出るわけでございますから、したがいまして、その年のやはり財源というものをよくにらみながら、できるだけ国民経済に対する影響等も考えまして、政府が尊重しつつ人事院の勧告を尊重するというたてまえをとりながらも、そうした財政的な考慮を払ってやはりきめていくというのが毎年のたてまえでございますので、ことしは補正の要因としてずいぶんたくさんのものが実はございます。そこで、実はいろいろ考えてみましても、消費者米価の問題を御了解願わぬとなかなかこれは財源確保ができないのかなというようなことがございますが、一方、物価抑制というような至上命令もございます。そういたしますと、なかなか苦しい財源というものの確保でございますのですが、先ほど言いましたように、できるだけ早くきめたいという趣旨で今日のような事態になりましたので、御了承いただきたいと思います。
○山崎昇君 次官の言われる考え方も、答弁としては私はわかります。わかるというのは了承するという意味じゃないのです。ただ、私はきょう午後ずっとお尋ねをしているのに、九月実施にしたのは財政問題だというからいまあなたにお聞きするわけです。財政問題だというなら、最悪の事態であった赤字公債を発行した去年ですら一カ月前進をさしておる。ことしは不況が六割にしろ七割にしろ、一がいにそう言えないと思いますけれども、回復をし、さらに明るい見通しだというのに、財政難だから九月実施でよろしゅうございますということが私にはわからないのです。ことしも去年と同じように赤字公債を発行しなければならぬような不況だというなら、まだ私は財政事情ということであなたの言うことを理解をしてもいいと思うが、そうではない。そこのところをもう少しわかるように説明してくれませんか。
○説明員(小沢辰男君) 実はことし私どもは、御承知と思いますが、食管の繰り入れ問題が非常に大きく問題になっておるわけでございます。それから、災害につきましても、すでに百十四億ばかり予備費を支出いたしておりますが、なお三百数十億の予定をして支出をしなければいけない要因がございます。あるいは御承知の米作の増産対策として、すでにこれは米価決定の際の約束済みになっております追加にさらに五十億を出さなければいかぬという問題もあるわけでございます。なお、固定資産税等の減収分の補填もやはり当然補正予算でやっていかなければいけません。それから、義務的な経費といたしまして、国民健康保険なり生活保護なり、その他の関係でこれも約三百億近い実は財源が必要でございます。あれやこれや考えますと、どうしてもなかなかやりくりができないのでございます。したがって、実は昨年の財政事情と比べますと、総体的には先生のおっしゃるように明るいわけでございますけれども、とにかく追加予算の歳出面、その財源ということを考えていろいろ検討いたしますと、どうしてもなかなかいまのところどうも財源の確保ができないというような状況でございますので、そういう点から、給与の関係の労働大臣なり総務長官なり、非常な御努力でございましたが、御理解をいただいたようなわけでございます。
○山崎昇君 二、三事務的な点で聞きたいと思うのですが、今度の勧告を五月から実施した場合に、国家公務員で一般会計がどれぐらい、特別会計がどれぐらい、九月から実施した場合、一般会計がどれぐらいで特別会計がどれくらいか、お知らせいただきたいと思う。
○説明員(小沢辰男君) 五月実施の場合に、私ども当初見込みましたのは、一般会計で五百四十億、特別会計で百十億、合計六百五十億と見込んだのでございますが、最近いろいろさらに詳細に、本日決定の際に若干の移動がございますので、当局から数字を申し上げます。
○説明員(津吉伊定君) 五月実施では、一般会計五百五十億、特別会計官十億、合計六百六十億、九月実施では、一般会計三百五十五億、特別会計七十億、合計四百二十五億ということでございます。
○山崎昇君 いま計算された財源というのは、これは定員によって計算されたのですか、あるいは現在員で計算されたのか。もし現在員だとすれば何日現在ですか。
○説明員(小沢辰男君) 私どものいまの計算は、四月一日現在の実員で計算をいたしております。
○山崎昇君 もう一つお聞きをしたいのは、いまお聞きをして、かりに九月として四百二十五億になっているのですが、実はこれは公務員がもらうときには所得税を差っ引かれるのですね。そこで、まるまるこれだけかかるんじゃないんじゃないかと私は思うのです。実際には所得税分は金は要らないんじゃないかと思うのですが、それは差っ引いた計算なんですか。その点どうですか。
○説明員(小沢辰男君) 当然税込みでございます。
○山崎昇君 そうすると、税は私どももらうときにはもうとられているんですから、国庫に入るわけですから、そうすると、四百二十五億あなた方かかるというのだけれども、実際には幾らですか。
○説明員(佐藤吉男君) お答え申し上げます。今回の給与改定が九月から実施されました場合に、所得税のほうで源泉徴収で当然その一部が国庫に入るわけです。その金額は国家公務員だけの分について特に計算しておりませんが、国家公務員及びこれに準じて行なわれます地方公務員の分を合わせまして約八十億円でございます。
○山崎昇君 もう一つ、これは大蔵省に聞くのはどうかという気もするのですが、政府関係の機関がたくさんございますね。たとえば統計協会でありますとか、何かたくさんあるのですが、ああいうところの職員の給与関係の財源等はどういうふうに大蔵省で把握されているのか、お聞きしたいと思う。
○説明員(津吉伊定君) いわゆる政府機関、公団、事業団につきましては、御承知のように、主務大臣の認可を受けますものでございますとか、あるいは国会に予算を提出して御議決を仰ぐというものがございます。それぞれその予算の範囲内におきまして適切な措置がなされておるというのが従来の状況でございます。もちろん公務員に準じてでございます。
○山崎昇君 いま大蔵省の答弁で、世間一般には四百二十五億かかる四百二十五億かかるというのですが、実際にはいまの税はあなたのほうに入るわけですから、三百四十億しかかからない。地方公務員も入れたら、かなりあなたが言っている数字と実際使う金との間には差があるのではないか、私はこう思うのです。加えて、行政管理庁の資料を見るというと、大体現在定員に比較して一万人の欠員がある、なお今後欠員は補充しないという、そういう人件費等も考えるというと、かりに一人年間五十万かかったとして、一万人であれば五十億、あれやこれや考えると、あなた方が発表している数字と実際にかかる金とでは約二百億くらいの差があるんじゃないか、こう思うのです。それだけの金があったら、これは仮定の話でありますけれども、八月実施くらいはやれるんじゃないか。なぜ財政的にこの人事院勧告というものを一歩でも前進させなかったのか、大蔵当局にもう一ぺんひとつその点を聞きたいと思う。
○説明員(小沢辰男君) おっしゃるように、税金では逆に一定の率返ってまいりますから、それは引かなければならないというお話はよくわかるのでございますが、先ほど私が申し上げましたのは、実は九月実施でもなかなか財源的に見て窮屈だ。それは御承知のとおり、食管のいま消費者米価という問題を別にして考えました場合には、当然食管会計の赤字補てんに非常に大きな金額を予想しなければいけません。それから対策費の五十億、あるいは先ほど申し上げました災害、万般を考えてみますと、とにかく支出要因をまかなう財源につきましての検討が、総体的に見て、いまの段階ではなかなか財源確保の道がつきがたいということで、非常に苦慮いたしております。そういう総体の中から考えまして、まあしかし、そうは言いながらも、昨年の実績を下回るような結果ではまことに申しわけないじゃないかというので九月実施にお願いしたと、こういうことであります。
○山崎昇君 それはおかしいじゃないですか。あなたは計算をするときには、九月実施で四百二十五億で計算するでしょう、所要財源を、そうでしょう。しかし、実際には三百四十億しかかからないのじゃないですか。公務員が給与を手に持つときには差っ引かれているんですよ。もらってから払っているわけじゃない。だから数字のこれは魔術じゃないですか。地方公務員も入れたら、優に何ぼになりますか、大体二割ですな、所得税として見ているのは。地方公務員を入れたら、約二百億円近い金というもが、予算上あなた方が見るのと実際上金を使うのとは差があるのではないですか。
○説明員(小沢辰男君) 先ほど主税局の課長が申し上げましたのは、地方の分を含めて八十億見当と申し上げたわけでありまして、地方公務員関係全体を入れまして、九月、実施の場合にはおよそ八百九十億見当になるわけでございますから、まあその点で八十億という数字が出てきたわけでございますが、ただ、私いま申し上げるのは、九月実施で四百二十五億。そこで、おまえ税金を取れば八十億減るじゃないか、こうおっしゃいますけれども、私どもは実は補正予算をいまいろいろ検討しております際に、支出要因というものをずっと考えてまいります。そのときに四百二十五億と置いて、それから歳入のほうをどうだこうだというようなことを考えます際には、なるほど支出要因を四百二十五億と置きますけれども、同時に、歳入のほうでは自然増収の形、あるいはいま私が申し上げ、課長が申し上げましたようなものを一方の歳入のほうに見込みながら、全体のバランスをどうしたらいいかということを考えるわけでございますので、その点御了承願いたいと思います。
○山崎昇君 ここで予算編成技術をあなたとやったって、私も公務員だからよくわかっているから、これ以上は言いませんが、ただ、表向き発表される数字と実際にかかる金は開きがあるということだけは私は明らかにしておかんといかんと思います。 そこで、もう一点ひとつ大蔵省に聞いておきたいのですが、先ほど自治省のほうにもちょっとお聞きしたのですが、大蔵省では地方公務員の給与の問題に要する財源も当然考えていろいろの対策を講じている、こういうふうに私は理解をしたいと思うのですが、いかがですか。
○説明員(小沢辰男君) 地方の給与財源につきましては、毎年御承知のとおり、国のほうで交付団体につきましては、若干いろいろの操作でめんどうをみてきておりますが、今年の給与財源等につきましては、先ほども自治省から言われましたように、今後の何といいますか、地方財政の税収の見込み等を十分やはり検討しなければなりません。十分検討した上で適切な措置を私どもも自治省と相談の上でとっていきたい、かように考えます。
○山崎昇君 ほんとうはまだまだ私は聞きたいこともあるのですが、もうかなりの時間になりますから、そろそろ結論的な点で労働大臣に最後の締めとしてお聞きをしたいと思うのですが、私の手元にある経済企画庁で出した生活白書なり、あるいは総理府で出しております総理府の統計なり、あるいは都政調査会で出しております資料なり、どれを見ましても、昨年は国民の生活はきわめてひどい状態であった。十一年ぶりに実質的な収入は下がった年である、そうして、一方、物価のほうは戦後最大の物価値上がりで七・六%の物価値上、かりを示しているということを数字が示しておるわけです。国民の生活はきわめてどん底にあるわけだ。この国民の生活の中には、もちろん国公、地公を入れまして、百六十万の公務員の生活も含まれておるわけですから、一般的に言っているわけですが、そういう状態にある。加えて、昭和四十一年度の状態を見るというと、佐藤さんが物価安定を叫べば叫ぶほど物価は上がっている。今年になってからでも数え切れないほど物価は上がっておりますから、きわめて生活はまた苦しくなっている、こういう実態になっている。そうして先ほど来聞いておりますというと、とにもかくにも、昨年よりは経済の不況は幾らか立ち直っているし、先行き明るい、いわば税についてもまだ数字的に明らかになっておりませんが、これまた自然増収をかなり見込めるような状態に私は判断をするわけです。そうして、一方、人事院の総裁からいろいろ答弁がありましたように、人事院勧告というのは、団交権を否定をされておる公務員にかわって人事院が代行機関としての勧告である、そしてその勧告というのは仲裁裁定と同様に理解をすべきものであるから、当然政府はこれを実施する義務があるんだという答弁がある。あるいはドライヤー報告等を見ましても、国際的な視野から考えてみても、いまの人事院勧告というのは、完全かつ迅速に実施されてはおらないという点がきわめて遺憾だ、こういう点が指摘をされておる。あらゆる点から私ども考えてみて、ことし政府がきめたこの九月実施というのは、私は理由がないと思う。そういう意味で私はもっと皆さんにお聞きをしたいのですが、もう時間がなくなりましたから、総体的に最後に労働大臣に申し上げて、あなたのもう一ぺん決意をひとつ聞きたいと思うのですが、一たん閣議できまったものをくつがえすことはなかなか困難だとは思いますが、いま私から申し上げましたように、いずれの理由をとっても、九月実施にするのは、これはいわれのないことであって、政府の一方的なやり方だ、不当なやり方だと私は判断せざるを得ないのです。そういう意味で、大蔵省もきておるわけですが、財源が確定をし、自然増収がもっとできるような段階等があれば、再度人事院勧告の実施については検討するということを、ぜひひとつ労働大臣が代表して私は約束をしてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほど来政府側のほうで御答弁を申し上げておりまするように、ぜひこの人事院勧告を尊重をいたしたいということで、鋭意合議をいたしたのでございまするが、何ぶんにも十二分な財源がございませんので、やむを得ずこういう決定になった次第でございまするが、それにつけましても、いま大蔵省のほうからお話を申し上げましたように、非常に原資につて不安定要素もございまするから、単に九月実施というようなことではなしに、既定経費を相当節約をしよう、事務費といいますか、行政費を節約をしてこれに充てようということ等も考えておるわけであります。さらに、また、人事院勧告につきましては、先ほど来御指摘がありましたように、いろいろ皆さん方にも御心配をかけるようなこうした要素もございまするから、昨年もそうでございましたけれども、何とかもう少し改善をして、みんながもっとすなおに納得し得るような勧告のしかたにするわけにはいかぬだろうか、そういう意味で、総理府を中心にいたしまして、早急にみんなで協議をして、人事院の勧告その他について改善をしていこうというようなこと等も実は六人委員会で相談をいたした次第でございます。できるだけ私たちも努力をいたしたつもりでございまするが、そういうことになったわけでございまして、公務員諸君におかれましても、ぜひその辺の事情をよく御理解を賜わることを希望をいたしたいと思います。
○山崎昇君 それじゃこれで私の質問を終わるわけでありますが、最後に、私はどうしても、昨年の賃金闘争が終わる際に、田中幹事長と、二階堂副幹事長と社会党の成田書証長と野々山労働局長との間に、閣議了解事項として三点が確認をされておる。 第一点は、本年は財政が苦しいけれども、来年以降は前進的な措置をとりますという第一点の約束がある。第二点は、地方公務員の財源は政府で措置をいたします。第三点は、人事院勧告の時期等も含めて、公務員制度審議会で十分検討をいたしますと、こういう公党間の約束が踏みにじられ、閣議了解事項が踏みにじられる。そして先ほど述べましたように、どういう点から考えても、昨年よりも前進させられないという理由がないのに昨年同様の九月実施にしたということは、とうてい承服ができない。したがって、私は、最後に、政府のとった措置は一方的措置であって、公務員の不信感がますます増大するであろうし、公務員労働者が今後いろいろな形でとられる行動等については、一切あげて政府の責任であるというふうに私は理解をして私の質問を終わりたいと思うのです。
○高山恒雄君 賃金問題については、かなり詳しい追及がありましたので、また、それのお答えもありましたので、私はダブル点はできるだけ避けて御質問申し上げたいと思うのです。 まず、大蔵省の次官にお聞きしたいのですが、労働大臣も森長官も、財政の見通しがつかないと、こう言っておられます。先ほどその財政の見通しでは、一応十一月ごろにならないとはっきりしないと、こう次官も言っておられるわけです。九月決算から十月にかけて、確実な数字はそういう点になるかと私も思います。その中で大蔵省が非常にいま財源の問題について不安を感じておることがある。それは、一つには食管の問題だ。食管の赤字がどのくらい出るのか、これはまあ数字をはじけばすぐ出ると思う。なお、災害の問題もそうだろうと思いますが、そのほかのいろいろな問題を考えてくると、とうてい現在の公務員の給与を五月に遡及してやるということについては不安定なんだ、こうおっしゃっておる。したがって、食管の赤字と災害、大体これは予想がついておると思うのですが、どのくらいの赤字になるのか。しかも、この問題でどのくらい補正予算をしなくちゃいかぬのか、この点もっとお聞きしたい。
○説明員(小沢辰男君) 食管の赤字でございますが、先般の生産者米価の引き上げに伴いまして、私どもはいま計算をいたしておりますのは七百十五億と計算をいたしておるわけでございます。ただ、これは先生御承知のように、米の売り渡しの数量いかんによって若干の変動がございますので、やはり数量の増加を見込みますともう少し上回るの、じゃないかというふうないま見込みをいたしておるわけでございます。災害につきましては、大体予備費の中からすでに百十四億出しまして、もちろん予備費の残り、一般の緊急やむを得ざる経費を三十九億、約四十億ばかり出しておりますので、現在四百九十七億見当残っておるわけでございますが、大体災害関係は四百億程度あとあれば片がつくのではなかろうか、かように考えております。食管の赤字と災害関係につきましては、この二点につきましては、以上申し上げましたような見当をつけておるわけでございます。
○高山恒雄君 そうすると、災害のほうは補正予算を組む必要はないということでございますね。
○説明員(小沢辰男君) 災害だけを考えてみますと、予備費で十分まかなえますので、したがいまして、そのために急いで補正予算の審議をお願いをするということは必要ないかと思います。
○高山恒雄君 そうすると、食管の問題を考えて、七百十五億ということになりますと、前期よりも今期は配当もできるという社会情勢になっておるわけです。そうすると、増収があるという見方はだれが見てもわかるんじゃありませんか。食管の七百十五億、米価を上げようとおっしゃる、どうしてそういう見当がつかないということをここであいまいなことを、言われるのか、どうも私はふに落ちないですね。食管は七百十五億だ、そのほかいろいろあるでしょうけれども、災害は補正予算を組まなくても予備費で、これは災害委員会で五百二十億あると言っていますが、間違いないでしょう。多少それから出ておっても、約五百億か五百十億あるでょう。そうしますと、食管でかりに値上げをするということになれば、特別収入というものは、当然公務員の給与を払うだけの金は出ると見ても間違いないじゃありませんか。どうしてそれが見通しが立たないんですか。
○説明員(小沢辰男君) 見通しが立たぬと申し上げましたのは、中央、地方を通じまして、一番大きな三税のうちの法人税につきまして、九月期決算というものがまだ全貌が明らかになっておりませんので、したがいまして、法人税の今年度の見込みがどの程度になるか、世上、景気はだいぶ回復した、明るくなってきておるということがございますけれども、やはり九月期決算というものを見ませんと私ども正確につかむことができない、こういう意味で申し上げました。それと、もう一つは、生産者米価のほうは、御承知と思いますけれども、もう七月に生産者米価を決定いたしまして、予約数量の見当を大体つけながら赤字を算定をいたしておるわけでございます。一番大きな自然増というようなものについては、九月期決算というものの全貌が明らかにならぬとなかなかつかめないという意味で御説明申し上げたわけでございます。
○高山恒雄君 確実に明らかにならないという点は私もわかるのです。けれども、先ほど森長官も労働大臣も、現在の段階では財政の見通しがつかぬと、こうおっしゃっておるのです。しからば、税収入がかなりふえたとするならばもう一ぺん考慮する余地があるのかないのか。たとえば臨時給与として二カ月分を支払いするとか、そういう考え方は大蔵省にないのですか。増収がたくさんあった場合にはどうするんですか。それはそのままになるのでしょう。そこで私は申し上げたいのだが、公務員の給与だけは先にきめたいと、こうおっしゃる。きめたいということと、喜ぶことをきめるということとは違うのですよ。人事院の勧告が出ておるにもかかわらず、しかも五月というのを九月にして、十八回も例年繰り返し同じことをやっているわけですね。そこで、いまこの段階で公務員に早くきめてやったほうがいいと思うので私のほうではやりましたと、こういう次官の答弁なんです。やって、しかも増収が出てきた場合に、しからば大蔵省はもう一ぺん審議して臨時給与でも支払いする熱意があるのかないのか、この点はどうですか。
○説明員(小沢辰男君) 実は公務員給与の九月実施を決定いたしましたのは、十分予算的の補正のいろいろな財源の見通しをつけて、これならやれるというよりも、たとい苦しくとも、九月の実施はせめて確保しなければいかぬだろうという意味でございます。まだ不確定な点は確かにあるわけでございます。いま先生は、うんと自然増収でもよけいにあったら、また追加してひとつ二ヶ月繰り上げるなり、その分だけを臨時給与に回すなり、そういうことをせんかというお話でありますが、私は、全般的に見まして補正要因というものがたくさんあるわけでございますので、いまの日本の財政の現状、本年度の財政の現状から見まして、そのような考えは全然ございませんです。まあこれでひとつ公務員の給与はけりをつけたい、かように考えております。
○高山恒雄君 財政面が不安で、これは赤字になろうとも公務員の給与を上げてやったんだ、それは恩着せですよ。そういうきめ方はおかしいですよ。公務員の人事院の勧告は、団体交渉権すら与えてないんだから、先ほどの経過のとおり、少なくとも人事院の勧告を尊重して公務員には優遇をしてやろうという措置ならわかりますけれども、財政の見通しが立たないまま公務員の給与だけを上げてやらなければいかぬという立場であったと、こうおっしゃる。しかし、増収がうんとふえれば臨時給与を出しても決しておかしいことはないんです。また、労働大臣にしても——森長官は見えませんけれども、お二人とも財政の見通しが立たないからと、こうおっしゃる。立たなければ何ですが、立ったら労働大臣どうですか、公務員に臨時給与を出すという大蔵省に交渉して、そのくらいの措置はとってもいいと思うのですが、その点はどうですか、労働大臣。
○国務大臣(山手滿男君) 昨日来いろいろ協議を重ねてき、いま大蔵政務次官から言われましたようなこと等も終始協議をいたしたのでございますが、先ほど申し上げましたように、大蔵大臣は、ぜひ、規定経費についても相当節約もしなければ、いろいろな不確定要素があって確信が持てないというような次第でございまして、いまお話のように、それではうんと自然増収があったら追加をしてどうこういうようなわけにはなかなかいくまいと思います。
○高山恒雄君 そこで、私は、これは労働大臣にお聞きしたいのですが、大臣も、大臣になられて期間がないのですから、ひとつ大臣の姿勢を聞きたいのです。と申しますのは、先ほどから言いますように、公務員には団体交渉権すら持たせてなくて、しかも人事院の勧告は実際に守っていかぬ、それが累積して十何年も放置されている、これが毎年のこの国会で重大な問題としてあらわれてきている。労働行政をやられる上においてこれでいいのか悪いのか、これをどうしようとされるのか、先ほどの報告の中でも出ましたように、基本的な勧告方法も変える必要があるということすらおことばの中に出ているようでございますが、労働省としては、こういう関係の立場というものは決して正常なものではない。したがって、一般公務員の希望の持てる労働条件を確保してやる必要がある、こうお考えになったのか。どういうふうに今後の行政の中でお考えになっているのか、それをまずお聞きしたいのです。
○国務大臣(山手滿男君) 昨日来、ああいう決定をいたします過程におきましても、非常に残念なことでございまするので、いまの勧告のやり方なりいろいろな技術的な面を改善をして、こういうような事態をできるだけ解消をしていこう、昨年そういう点について附帯決議もつきましたので、いろいろ関係者の間で協議をいたしたようでございますが、どうもうまい知恵が出なかったわけでございます。しかし、もう一度何とかこういうことを繰り返すことのないようなふうに制度を考えてみようじゃないか、こういうことを特にきょうの六人委員会そのほかで申し合わせた次第でございます。
○高山恒雄君 そうなりますと、具体的な問題を多少聞きたいのですが、この予算化の措置を労働省はお考えにならないのかどうか。これは先ほどの附帯決議に出ておりますように、予算化すべきだ、こういうふうに出ているわけですが、予算化をされる意思はないのかどうか。
○国務大臣(山手滿男君) 予算編成は、御承知のように、現在のやり方は、前年の十二月に政府与党原案をつくって、年が明けましてから衆参両院で御審議を願いまして、四月から発足ということになっております。きょうも議論が出たのでございますが、もしも政府が、それでは今年度の昇給の原資はこれだけだ、こういうようなことであらかじめこの原資を予算化をして確定をするというようなことになりますと、むしろそれが牽引車のようになって、あるいは非常に押えるところがあるかもわからない、あるいは非常に民間給与について伸ばし過ぎるというようなことが起きるかもわからないし、どうもそこら辺のところを軽率には判断をできませんので、できるだけあらかじめ予算化するということについては問題もあろうという議論等も出ました。したがって、きょうはそうした内容のことについては結論が出なかったわけでございます。
○高山恒雄君 労働大臣、私はきょうの閣議の内容をお聞きしておるんじゃないのです。労働大臣の考え方をお聞きしておるのです。たとえば五・五%ぐらいの物価上昇はある、こういう政府は見方をしておるわけでしょう。そうすると、現在の日本の労働者賃金から考えてみて、物価が上がれば生活は苦しくなることは当然のことなんです。そうなってきますと、それに見合うくらいの予算処置はやっても決しておかしいことはないのじゃないかと私たちは思うわけです。これが労働大臣としてはそういう処置に対してはどうお考えになっているのか。予算化じゃない、それ以外のことでこういうことを考えておるという、いまからお考え願わないと毎年のこれは繰り返しなんですよ、その姿勢が私は聞きたいのです。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほど来、高山先生の御指摘のとおり、こういう関係を年々繰り返すことは労働大臣としても非常に不本意であります。ぜひお示しのように何とか改善をいたし、今年はこれでいたしかたございませんか、何とか抜本的にうまい方法をあみ出していきたいと思っておる次第でございます。
○高山恒雄君 非常に前向きの姿で検討するというお話ですから、それを信頼したいと思いますが、少なくとも、やはり労働行政の一つとして、まずおひざ元の大臣がお使いになっているいま雇用者の立場です、ほんと申しますと。その自分の足元の従業員の立場の給与くらいは、交渉権も与えてない公務員には与えてやるんだ、これはもう全額五月から実施するんだ、こういう立場にならなければ、いかに労働大臣が労働者に訴える問題を新聞に発表されても、組合は真剣に聞かないと思うのです。これはつまり人間をつくる上から大きなあやまちだと思うのです。労働大臣はこの人情的なものがここにあってもいいのじゃないか。それでなければ労働大臣はつとまらぬと私は思うのですが、先ほど前向きの姿のお話がありましたので、一応私はこの点は御信用いたしたい。必ず来年度は実施するようにお願いしたいと、私は希望を申し上げておきます。 賃金の問題については、非常に先ほどからこまかく質問がございましたので、私は控えますが、実は不当労働行為の問題があるわけです。これは埼玉県の浜野繊維工業ですか、染色です。これは大体一ヵ月前からここに組合組織をつくったところが、結局会社か切りくずしをやってきて第二組合を組織した。そして第一組合と第二組合の問題で不当労働行為で提訴している、地方労働委員会に。ところが、不当労働行為の結論は、地方労働委員会は不当であるという結論を出した。それにもかかわらず、まだその組合の切りくずしをやって対抗的な処置に出ている、こういう実態があるわけです。なお、組合のほうでは、基準法違反がかなりあるようです。したがって、これも十項目からの基準法違反を取り上げてやろうとしているようですが、こういうまだ日本には組合を組合として認めない経営者がある。こういう立場から、もっと労働行政に対する経営者の教育、労働行政としての教育をする必要があるのではないか、こういうふうに私考えるわけですが、一体埼玉にそういう事実が起こっていることを労働省は御存じなのかどうか、ひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) 埼玉県にそうした不当労働行為かあったことにつきまして、私は実はまだ報告を受けておりませんが、事務的にはいろいろ報告を受けているのかと思います。しかし、いまお話のような基準法違反であるとか何とか、いろいろ組合の切りくずしとか、いろいろな旧式的な経営者のまだままあるであろうことはたいへん遺憾でございます。そういう人たちに対しましては姿勢を正して教育を徹底をして、皆さんに御心配をかけることのないように今後やってまいりたいと思います。
○高山恒雄君 事務局のほうはこれは御承知ですか。
○説明員(青木勇之助君) お答え申し上げます。 先生いま御指摘の事案につきましては、われわれのほうにまだ情報が入っておりません。
○高山恒雄君 これは一ぺん労働省として調査してもらいたいことなんです。基準法違反の最も悪らつなものです。その上に千円と八百円の強制貯金をさせている。この貯金は本人の自由にならない、退職するときでなければ引き出すことができないという悪らつなやり方、これは最も典型的な、いままでの経営者にないような事実が起こっているわけです。こういう問題か放任されているということは、私は地方労働行政に対する労働者の指導の欠陥だと思うのです。しかも、この経営者は染色協会の会長なんです。おそろしい現象なんです。こういう人が日本の染色協会の会長をつとめて、しかも、会社の第二組合をつくろうというこの姿は、まだ日本の労働行政については手が回っていない、これは労働省の責任だと思う。もっと事実を調べていただいて、そして早急に解決して、安心して働けるような環境をつくることを要望しておきます。 終わります。
○国務大臣(山手滿男君) ただいま御指摘の点につきましては、よく調査をいたしまして対処をいたします。
○委員長(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。 —————————————
○委員長(千葉千代世君) 次に最低賃金に関する件について調査を行ないます。本件に関し、ご質疑のある方は、順次御発言を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(千葉千代世君) それでは速記を起こして。
○森勝治君 時間がだいぶたちまして、これから質問するのは私も先輩に対して恐縮なんでありますが、来たる十七日に本件に関しての何か中央最低賃金審議会の会合がおありだそうでありますので、私もぜひこの際当局の見解をただしておきたいと思いますので、まげて御協力をいただきたいと思います。 昨日でしたか、朝日新聞の報道によりますと、労働大臣は、十七日に開かれます中央最低賃金審議会におきまして労働省の公的見解を発表するというふうに報道がなされておるわけでありますが、もしこの朝日報道が真なりとするならば、私はちょっとこの問題について労働省に、特に新しい大臣に一言なかるべからずということでありますが、時間がおそくてあえて私が発言を試みようとしたゆえんもまたこの点にあります。なぜかと申しますと、大臣は、先般の衆議院の社労、すなわち、九月九日の社労の席上におきまして、わが党の古村委員の質問に大臣は答えられておるわけでありますが、速記録を持ってきておりますが、簡単に申し上げますと、これは前後、後段はぶきます。「あらかじめ役所のほうで一つの基本方針をきめてそれについての意見を求めるということよりも、むしろ白紙で審議会の自主的な結論をお願いする、改善の方法をお願いするということのほうがよろしかろう」、あるいは、また、中央審議会の答申を待ってすみやかに労働省の見解を出したい、こういうことを新大臣として言われたわけであります。遡及して恐縮でありますが、それからちょうど三カ月前の六月九日に、当社労におきまして私の本件に関する質問について、時の小平大臣は次のようなことを言われておるわけであります。審議会において検討中、最賃制についてどうのこうの、あるいは、また、どういう方式がいいとかというようなことをいまの段階で申し上げるということは控えたほうが適当である、こという意味のことを言われております。さらに、また、村上局長もことばを継ぎまして審議会に正式に諮問をしておるのでありまするから、私のほうから意見表明というのは常識的に差し控えるのがよろしかろう、そういう態度でありますというお答えをいただいたわけであります。 そこで、私がお伺いしたいのは、依然としてそういうお考えで新大臣も担当局長も現在もそういうことでおられるのかどうか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山手滿男君) 新聞にそういう記事が出ておったことは私も見ております。しかし、私は全然関知をしない、ある一つの新聞だけに出ておりましたことでございまして、どういういきさつであの記事が出されたかは、私全然よく了解することができないわけでございます。前回も申し上げましたように、今日諮問をいたしておるわけでございまして……。
○森勝治君 前回言わないよ。初めてだよ。あんたは。
○国務大臣(山手滿男君) 諮問をいたしておるわけでございまして、各委員の皆さん方の自由な立場に立っての御審議、そうして結論を出していただくことが適当であると今日も考えております。しかし、審議会の皆さん方から、諮問の趣旨が必ずしも明白じゃないじゃないか。諮問の趣旨をそれでは明らかにしないかと、こういうようなことでございまするので、来たる十七日には、私審議会に出席をさしていただきまして、審議を促進をする意味からも、労働省の諮問をいたしました趣旨についてお話を申し上げたい、かように今日考えておるところであります。
○森勝治君 諮問の趣旨とおっしゃいますのは一体どういうことでしょうか。私どもの担当の当委員会にすらも労働省の見解を明らかにしない。本来ならば、省としてはこういう態度で臨みたいと思うけれども、皆さん専門委員の方々はいかがでしょうか。これが従来の各種行政の付属機関に大体の政府の意向をきめて諮問したのがほとんどでありますが、本件についてはどういうわけか、白紙委任をいたしておるわけであります。しかし、それでは私どもも見解がわからぬ。たとえば先般九月九日の衆議院の社労におきましても、わが党の吉村委員が、それはずるいやり方である。で、一体どういう考え方だと育っても、いや、これは詰問の段階でありまするから、お答えするのは差し控えたい、これは前大臣と同様なことを言われておる。ところが、今度は朝日新聞の発表のように、あなたはいま知らぬと言われておるわけでありますが、しかし、先ほどのほかのこの公務員の賃金の問題から伺ってみても、まあいろいろ御議論がごごいますがということを大臣は言われている。私ども、大臣は「山手」という名前でありますが、何か山手線に乗っかってゆられておるような気がして、どうもとりょうがないので、いささか私も手持ちぶさたのように聞いたわけでありますが、やっぱり担当大臣ならば、私は率直に簡明に、しかも勇気のあるあなたのおっしゃるこの前向きの姿勢の御答弁があらゆる機会を通じて私はしかるべきだと、こう考えて御期待を申し上げた。ところが、この賃金問題に関するただいまの高山委員の質問からいたしましても、閣議の中身は、これはあなたの見解はどうだと聞いているのに、閣議の問題を持ち出して、その中のことを言われておる。いまの問題でも、私は知らぬと言われる。それならばこの際私はお伺いしたいことは、この朝日では二点を出しておるわけです。第一点は、業者間協定を中心とした現行方式には問題があるというのが第一点。第二点は、全国一律の最賃制については、現段階では実施することがむずかしいという二点が出されておるわけでありますが、いま聞くところによりますと、あなたは十七日の中央最低賃金審議会に臨んで、諮問した公的見解を表明するということでありますので、当然この辺にも言及され、触れられるのじゃなかろうかと思うのでありますので、一体この朝日報道の点の第一点、第二点については否定されるのか、虚構の事実で朝日が発表したのか、しかし、朝日には労働省では発表した覚えはないけれども、来たる十七日の審議会では朝日報道の二点のような内容について表明するというのか、この点について、ひとつ謙虚な御答弁を大臣からいただきたい。
○国務大臣(山手滿男君) 朝日新聞の記事がどういうことで出たのか、私は関知をいたさないのでございますが、私が今度出席をいたしまして、諮問の趣旨を申し述べたいと、こう考えておることにつきましては二、三点ございます。それは、今日の事業者間協定による制度は、それはそれなりに相当に成果をあげておりまして、それなりの基盤ができておると思います。しかし、四百六十万ばかりの人がこれによって適用をされておるわけでございますが、これだけではもちろん十分ではないといいますか、これをさらに今後発展をさしていくことはどうしたらよろしいのか、そういう点をまず申してみたいと考えております。また、今日皆さん方御承知のように、経済問題も労働問題もいろいろ変化をし、発展をしてまいっておる。それらの変化、発展に関連をいたしまして、最低賃金制度をどういうふうに今後考えていったらよろしいか、その点について委員の皆さん方のお知恵を借りたい、こういう点も私は率直に申し述べてみたいと思います。また、そのほか御承知のように、全国一律最低賃金をお話になる方もあるし、そうでない方もございまするし、いろいろありますし、また、ILO条約の二十六号条約に抵触を私たちはしないと思っておりますけれども、抵触をするんじゃないかというようないろいろ御議論もあるわけでございまして、そういう一つ一つの問題について忌憚のない御議論を戦わしていただきまして、実効のあがる答申をいただきたい、こういうことで出席をするつもりでございます。
○森勝治君 最後に、だから私は山手線に乗っかって電車にゆられているような気がしてならぬと申し上げているのです。私が質問したのは、一項、二項、明らかにそういうことをお話になるつもりかどうかという質問をしているのですから、そのことについて明快にお答えをいただきたい。
○国務大臣(山手滿男君) もう一ぺんどうぞ。
○森勝治君 大臣は耳がりっぱで、耳の早い方だと承りましたが、どうも謙虚に出られましたので、もう一度申し上げます。 第一点は、業者間協定を中心とした現行方式には問題があるという朝日の報道の第一点。第二点は、全国一律の最賃制については現段階では実施することがむずかしい、この重要な二点が来たる十七日の中央最低賃金審議会の席上において大臣から労働省の考え方として表明されるという報道がなされておるから、これが真実かいなかという私の質問であります。おわかりでしょうか、質問の趣旨。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほどの三点について、ただいま私が考えておりますのは、中審の皆さま方の納得のいくように諮問をした趣旨を申し述べるつもりでおりますが、たとえて言えば、いまお話しの全国一律最賃制についてはむずかしいとか何とかいうような議論はしないつもりであります。いろいろ議論はある、議論はあるが、それらの議論について委員の皆さん方はどういうふうにお考えをいただいているのか、いただけるのか、そういうことをわれわれのほうでお聞きしたい、こういうことでございまして、また、いまの業者間協定等の問題につきましても、これがいいとか悪いとかいうようなことではなくて、これをさらにどう発展さしたらよろしいのか、どういうふうに今後展開をしていくべきかというようなことをわれわれはいまお知恵を借りたいのだ、こういうふうに話すつもりでございます。
○森勝治君 そうすると、諮問の趣旨がわからないという説明にあたって、いま大臣が私の再度にわたる質問に答えておっしゃったようなことを十七日の審議会に出席されて表明される、こういうことですね。くどいようですが、非常に大事なことですから、いいですか局長、よろしいですね、担当局長。
○国務大臣(山手滿男君) いま申し上げましたような趣旨を私から明らかにするつもりであります。全然趣旨がわからないという話でございますので、そういうことでございます。
○森勝治君 そういう趣旨は半分わかりましたので、もう一ぺん明快に私は所信をただしておきたいと思います。 いまの二点については、少なくとも来たる十七日の審議会においては労働省として公的表明を行なわないという、こういう御答弁と承ってよろしいですね。
○国務大臣(山手滿男君) 全国一律のものがいいとか悪いとかいう、そういうような議論ではなくて、いろいろお出しになっておられる議論があるわけでございますから、そういうものをどういうふうに扱ったらよろしいかということを聞きたい、こういうことであります。
○藤田藤太郎君 私は労働大臣にちょっと意見を申し上げておきたいと思います。 どうも最低賃金というものについてまじめに取り組んでおられるのかどうかというと、私はよくわからぬという気がする。なぜかと申しますと、今日のヨーロッパには一律の方式でイギリスのウェルカンシン方式のような方式があります。しかし、いずれの国へ行きましても、賃金の格差というのは一〇〇%か八〇%、国によっては八五%低いところがある。そのところあたりを調べて見ると、むしろ試用といいますか、試みに見習い、それからパートタイム、こういうところの人々に賃金の格差があるわけです。そこで、その人を使うということになれば、その人が一番生活ができる。それでも欠けるところがあるから、最低賃金というものが労使の団体交渉で、ILOの三十五号勧告をごらんになったかどうか知りませんけれども、労使が基準法で対等の立場で日本では労働条件をきめるということがあるわけです。そういう立場で、ILOの勧告は、最低賃金の制度をきめるときにはこうやるのだということが明確に出ている。それは各国がそういう賃金格差の中においてもまだ努力して、そうして最低生活を保障、再生産への努力をしているわけです。日本は賃金の格差が、大企業が一〇〇%としたら、このごろ少し上がったとしても四〇%くらいですね。いままで三〇%、三分の一の格差があった。ここでようやく上がったところでそんな状態で、そこへ業者間がきめて、そうしてそれがそのままの状態で賃金審議会で出されてきまるというような、実際の労働者が発言する機会が、最後は三者構成だからそれで入っているのだという、いままでそういう理屈でおっしゃってこられたわけですけれども、これだけ日本が経済が発展をして、外国とも貿易や交易もやろうという時代に、いまの労働大臣の業者間協定に基づく賃金がどうでございましょうかというような諮問というものを労働省がおやりになるということが、どうも私にはわからぬ。日本も先進国だというわけです。皆さん方のおっしゃるのには、先進国であり、工業国だとおっしゃる。そういう状態の中で、私は、業者間協定で四百万から自然にもうその状態に拘束されたようなかっこうで、働いている人の意思が出ないで賃金が大多数がきめられている。これこそむしろ賃金をきめるときのルールや、それから、そういうものについて労使が対等できめるという基準法の目的の大原則に立って、私は最低賃金のいまの九条、十条のところあたりは、労働大臣はいままで社会労働委員会で議論すると、いや、問題がありますから、早く検討して結論を出して、できるだけやはり世間並みと申しましょうか、最低賃金をきめる。ILOもあるし、世間並みのことをやりたいと思うと、私は何回ここで聞いたかわからぬ。それにもかかわらず、歴代の労働大臣がそうおっしゃりながら、いまの最低賃金で問題になっているところに、業者間協定の方式はいかがでございましょうか、そういう趣旨説明、諮問をされるというのは、私はどうも納得いかぬですよ。これはなぜもっと労使が、働いているものと使用者との関係で、対等で、そうして問題をきめるような三十号勧告のあの文章を見てごらんになったらどうでございます。もっともっと平易に団体交渉で自然にきめるようなかっこうをどの国もとっておりますよ。それが日本の国だけがそういう状態で、またそれをどうしたらよろしゅうございますかと聞くというのは、私はどうも労働大臣、これは大臣になられてから初めて文句を言うわけですけれども、どうも私は、いまの森君との応答を聞いていると納得いかぬのです。もう少し私は最低賃金というようなものについては前向きでひとつ労働省の考え方を出して、たとえば業者間協定というようなかっこうだけでは、これはやはり何といってもあのとき三十六年にはきまったけれども、これは変えなければいかぬと思うから、そういう立場で、ひとつ九条、十条、十一条、十六条という四つのきめ方がありますけれども、その中で、どうしてやはり働いている人の意見を賃金をきめるときに入れたらいいか、そういう方法について考えてもらいたいというぐらいにして私は労働大臣が諮問されるなら、それは幾らかわかるけれども、いまの話じゃわからぬですよ。ちょっと私は文句ですけれども、言いたくなりますよ、いまのような話を聞いていると。
○説明員(村上茂利君) ちょっと私から大臣の答弁を補足さしていただきたいと思います。 たまたま森先生から、朝日新聞の記事に出ておりました二点をしぼりまして御質問がございましたのですが、大臣がお答え申し上げましたのは、従来の業者間協定の実績を踏まえて、今後どうしたらよいかとか、経済、労働、あるいは賃金事情の変化に即応して、実行性ある賃金をどう考えたらよいかとか、いろいろ方式についても論議があるが、どうしたらいいかと、そういった包括的な内容についてお考えになっていることを申し上げたのでありまして、その幾つかあります中で、たまたま森先生の御指摘の二点に、無理にと申しては恐縮でございますが、かみ合わせようとされましたものですから、業者間協定そのものが強く出ましたり、そういった印象を受けたかと思いますけれども、審議会に対する諮問としましては、昨年八月利が大臣にかわりまして、かなり長い内容でございますが、いま申しましたような趣旨は一応述べたわけでありますけれども、そのような趣旨ではわからない、もっと明らかにしてほしいという意見が審議会の委員の中に一部ございまして、そうして、それでは大多数は諮問の趣旨は了解しておると思うけれども、趣旨がわからないという委員もありますから、次回の最賃審議会に大臣が御出席いただきたい。そこで大臣からさらにこの趣旨についてこれを明らかにしていただきたい、こういういきさつがございましたわけでございます。朝日新聞に出ておりました記事も、何かあたかも労働省が今後の案につきまして見解を披瀝してどうこうするというような印象を与えるような形のものでございまして、そういうことは労働省として関知しない、こういう趣旨を大臣から申し上げた次第でございます。しこうして、その内容につきましていま藤田先生からお考えがございましたが、われわれといたしましても、現状に拘泥して云々ということじゃなくして、むしろ前向きな形で外国の最低賃金の現状等についても、御検討の際にはあわせていただきますように、すでに昨年八月に諮問いたしました際に申し上げておるところでございます。そういったことと関連しまして、大臣がさらに御趣旨を明らかにしたいということでありまして、前向きな姿勢で労働省としては取っ組みたい。そこで見解を表明するということではないということを申し上げたわけでございます。
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、九条や十条のようなものは、もうどこを見ても適しないのだから、それから十一条、十六条ですか、そういうところをもっと踏み込んで最低賃金をきめなければいかぬというのは国際情勢です。そういう時代に、一〇〇%と四〇%というような格差があるのに、いまこそ最低賃金というものを日本のように一律的に底をきめなければどうにもならぬというのは、労働者は、これはもうどこへ行ったって、だれでもそう言いますよ。そういう考え方が働いている人の中から出ているのに、また業者間協定の九条はどうでございますというのは、私はそこを言っているわけです。それをひとつ明確にそういう考え方に立ってもらわなければ、最低賃金を審議してくれなんというので、それはあしたか何かおっしゃるそうだが、その九条の関係はどうでございましょうかというような諮問のしかたというものは、今日歴代の大臣がおっしゃってきたこととはおかしいと私は思います。それはそれだけ言っておきます。
○説明員(村上茂利君) その先生のおことばでございますが、大臣が業者間協定につきましてどうするという見解を述べるという趣旨ではありませんので、ただ、審議会にいま諮問しておるところでございます。そこで、審議会の中で諮問の趣旨がわからないという御意見もありますので、その諮問の趣旨を明らかにしたいということでございます。それを業者間協定についてどうするとか何をどうするとかいったような見解披瀝をするものでないというふうに私どもは了解しておるのでありまして、したがいまして、そういう考え方が適当でないというおしかりをちょうだいいたしますにつきましては、ちょっとまだ見解を披瀝しておらぬわけでございますので、ひとつお許しをいただきたいと思います。
○森勝治君 どうも局長の話を聞いていると、せっかく大臣の助け舟に出られたなら、もう少し新幹線に乗ったようなスピードでばっと明快に御説明をいただきたい。まあそういうことはさておきまして、いま局長もいみじくもおっしゃったように、提案の趣旨が明確を欠くから出席して説明したい、こういうことを言われております。ところが、私も若干触れました衆議院の社労における審議状況の中では、一体大臣はどういうことを言われておりますか。吉村委員がこういう質問をしております。あなたが近いうちに中央最低賃金審議会に出席されるというのは、膠着した状態——御承知のように、労働組合側が、労働省の本件に関する労働者の決意と前向きの姿をくみ取れないということで著しく不信の意を表明し、すでに先月の二十二日、総評は今後協力しないというのを、文書で大臣に手渡しておられる。いまや全国の各地方審議会におきましては、各県の基準局長あてに、ほとんどの府県において、今後一切労働省の本件については協力しないということで、みんな引き掲げているという現実は大臣御承知のはずであります。このように労働組合側がこの中賃をボイコットをしておる。したがって、そういう対立的な状態を除くためにも、さらにまた進んで中賃の結論を出そう、そういう考え方のもとに立って労働省の方針というものを説明する、あるいは誠意を持っていまの膠着状態のこの事態を軌道に乗せるようにする、そういうものだと理解してよろしいかというのがわが党の吉村委員の質問でございました。ところが、これに対して大臣はこう答えておられます。「大体」とかいろいろな議論というのが大臣のことばに多く出ておるわけでありますが、そういうことはさておきまして、「大体お話のような趣旨で労働省としても勉強して」と、これは大臣が勉強するという意味だろうと思うのですが、「労働省としても勉強して審議を促進していただくようにお願いをするつもりでございます。」と、こうあなたは答えられております。御記憶だと思うのです。そうなりますならば、いま私が申し上げましたように、十月以降は各県の地方審議会では全面的に労働者側委員がボイコットいたしておりまするので、本地方審議会というのはまさに機能が麻痺しております。したがって、最賃行政というものは、本件に関する限りは完全にストップしておると申し上げても、これはあまり歓迎はできませんけれども、現状認識、やむを得ないと思うのであります。したがって、このような状態を打開するためには、その膠着の原因というものを当然排除していかなければなりません。そこで、大臣は中央最低賃金審議会に出られてその決意を表明されるということでありますならば、いま大臣がおっしゃられた提案の趣旨が明確を欠くということだけで出席して説明するばかりじゃなくして、中賃の現状、全国の本件に関する労使間のあつれき、対政府に対する全労働者の不信のかたまりというものをほぐそうという大きなポイントをかかえておられる。そういう重要な目的を帯びて参加されるのだから、単に労働省が本件に関する審議会に対する提案の明確さを欠いただけにとどまるものではなかろうと思うのであります。したがって、私が二、三点触れましたが、その関連と、この現状の膠着する状態をあなたの言われる前向きの姿で解決するためには、大臣としてどういう決意を示されるか。したがって、当然十七日の審議会に大臣が出席されれば、この労働者が地方審議会をボイコットしておる現状の問題が、当然これは現状打開、改善という面からも、当該委員の皆さん方に大臣からるる説明がなされるだろうと私は推測をいたします。したがって、その点についてのあなたの見解を承りたい。
○国務大臣(山手滿男君) 御承知のように、現在諮問をいたしておるわけでございまして、私が諮問したものがある一つの方向をどうこうということではなくて、多少明確さを欠くじゃないかというようなお話がございまするが、私は、お話しのように、前向きで現在のやっていることをさらに発展をさしていくためにはどうしたらよろしいか、いろいろ論議がございます。いろいろな方法を言う人もございまするけれども、それらについてどうしたらほんとうに日本の経済の実態に即し実効のあがる制度になっていくかということをお尋ねをしたいと、こういうことでございまして、決して前向きでないとか何とかということではないわけでございます。
○森勝治君 まあいいでしょう、そういう御答弁ですから。 それでは、私のほうで本件について指摘をしたいと思うのであります。現在のような膠着する状態のよって来たるゆえんというものは、歴代労働大臣の公約と称すべき回答や答弁というものが、諮問にあたっても当該審議会から明確性を疑われている、正確に反映できないという、こういうところに労働組合側の不信の芽が芽ばえてきたのだろうと私は思うのであります。そうなりまするならば、新大臣としては、歴代大臣が言明しているところの各種の会議において、あるいは類似の会合において全国一律最低賃金制の問題についても当然触れられていかなきゃならぬし、私どもは六月九日の当委員会におきましても、私がつぶさに大橋大臣のことば、石田大臣、さらには小平大臣の発言の内容、会議のやりとり等について具体的に指摘をしたところであります。それは全国一律制の問題については、特殊のものを除くならば、それができるということがしばしば当該大橋大臣以下、歴代なされておることは皆さん御承知のとおりであります。そういう問題について労働省がさらに率直に中央最低賃金審議会に説明をし、さらにまた、この際、あらためて歴代労働大臣が言明し、約束をいたしておりまするこの全国最低賃金制というものを前提として中央最低賃金審議会に諮問する、そういう考え方はお持ち合わせないのか、どうか。あなたがせっかく前向きと言われるが、どうも小平さんよりもうしろ向きのような気がしてしかたがない。幸か不幸か、私は近眼だからそこまではっきり見えないせいかもしれません。したがって、あなたが言明される積極性、果敢性、さらに前向きという姿をいま私が具体的に質問いたしましたから、あなたからも具体的にひとつ御答弁をいただきたい。
○国務大臣(山手滿男君) 歴代の労働大臣もいろいろお考えを持っておられたようでございまして、いろいろなことを考え、理想論としていろいろな御答弁をされたこともあるように思います。ただ、しかし、具体的にそれは中質に諮問をいたします場合に、諮問したものはまず答えを出して、一つか二つこうするのだというような判断をして、それについての評価を求めるというようなことではいかにも幅も狭うございまするし、私は、委員の皆さん方がぜひ幅広く自由に御審議をいただいて、早急に結論を出していただく。歴代の大臣も、いま森先生からお話のように、いろいろなことを考え、心配をしておりまして、理想論としてはいろいろな議論を出しておったようでございますけれども、私といたしましては、昨年八月審議会に答申を求めました線に沿うてそういうふうなことをお話を申し上げ、この審議会を軌道に乗せたい、こういう希望をいたしております。
○森勝治君 大臣からそういうお話を承ったのでありますが、そのような御説明で、いま労働省に対する不信を植えつけられた労働者に、その不信をぬぐうに足る御説明だと理解することはどうしてもできない。したがって、そういう御説明では、おそらく全国の労働者は納得しないだろうと私は思うのです。そうなりますと、私も先ほど若干指摘いたしました、今月以降最賃行政が麻痺しているという、この現実の姿を担当大臣でありまするあなたは一体どう思われるのか。これはまさに労働行政の失態でなければよいと私は危倶する一人でございますが、御見解を承りたい。
○説明員(村上茂利君) 総評のほうから通告がまいりまして、地方の最低賃金審議会に関する一つの考え方が示されておりました。組織活動の問題でございますから、地方最低賃金審議会のいろいろな現象があらわれると存じます。全国的に麻痺したとかどうとかいうような事態はまだ生じておりません。今後どういうふうな形であらわれますか、これは組織活動としておやりになるわけでありますから、労働省としてはかれこれ申す筋合いではございませんが、ただ、麻痺したとかどうとかといったような形にはなっておらないというふうに私どもは考えておるわけでありまして、御承知のように、地方最低賃金審議会は労使の三者構成でございまして、労働者代表も同時に総評であるわけでございまして、今後麻痺するといったようなことは不幸なことでございますので、私どもは、もしそういうことになりますればはなはだ残念なことでございますので、できるだけ誠意を尽くしまして、地方の最低賃金審議会がスムーズにいきますように、なお一段の努力をいたしたいと思います。しかし、現状といたしましては、地方の実情も非常な関心を持ちまして、私ども確認いたしておりますけれども、全面的にどうこうというような姿には立ち至っていないようであります。しかし、御指摘のような形になりますると、これは非常に遺憾なことでございます。さらに誠意を尽くしたいということを重ねて申し上げたいと存じます。
○森勝治君 大臣に御答弁いただくつもりだったら、局長に答弁をいただきましてありがとうございました。今度は間違いなく大臣から御答弁をいただきたいと思います。 いま局長も言及されましたように、膠着の実態、膠着しつつある状態、これは局長もお認めになられたようであります。したがって、この膠着状態というものを打開する自信というものがもし大臣にしてなかりせば、これは十七日に中央最低賃金審議会を開いても意味がないような気がして私はならない、それを危惧する一人であります。したがって、十七日までにはまだ若干日数もございますから、労働者側と労働省側が十分話をされてはどうかと私は考えております。もし十七日までに労働者側と労働省側で何らかのパイプが通じ合うことができなかった、そういうときには、予定された十七日の審議会というのは延期をして、労働者側との接触というものをより一そう勇気をもってとり行なうのが正しい最賃行政を行なうそういう立場だろうと思いますので、そういう御努力をされてはどうか、私はこの点について大臣のお答えをいただきたい。
○国務大臣(山手滿男君) 先ほど来いろいろお話がございましたが、私どもぜひこの最賃審議会を軌道に乗せまして、ぴしっとした御答申を早目にいただきたいと思っておるわけでございますが、いま先生からいろいろお話がございました。私まだ多少考えが十分でないところもあろうかと思いまするので、十七日までにもう少しよく考えてみたいと思います。私自身の考えをもうちょっとまとめてみたいと思います。そうして十七日には延期をするとか何とかということではなしに、ぜひそれまでに私自身の考えをもうちょっと練って、十七日には出席をして見解を述べてみたい、そうして軌道に乗せるように努力をいたしたい、こう考えております。
○森勝治君 時間がだいぶ経過をいたしておりますから、きょうはあと一点だけ質問をし、後の委員会で引き続き質問をさしていただくことにいたしたいと思うのであります。 業者間協定に基づく最低賃金の決定方式というものは、これまで大臣や局長等の御答弁によりますと、疑義が出てきたとか、二十六号条約に適合しないという有力な意見も生まれてきたなどといわれております。ところが、大臣としては、どうも二十六号に抵触しないようなつもりできたというようなことで、必ずしも担当大臣——小平さんもそうでございましたが、現大臣もその点は明確性を欠いておる、この辺が基準審議会から再度説明の要請がなされたところだろうと思うのであります。しかし、抵触していないと思っておったが、有力な意見が出てきたとか何か、そういうことを責任省でありまする労働省の大臣や当該局長が言われるということは、私は野人でございますからやぼったい発言をいたしますが、いわゆる若干ずるいような気がしてならない。率直に私はこの点を申し上げたい。 業者間協定につきましては、これまでもしばしば私も当委員会で質問いたし、同僚諸君もやっておりまするから、この際、一つだけ聞いておきたいのですが、六月の九日に私がこの問題について質問いたしましたら、村上局長はこういう答弁をされております。俗称業者間協定という表現を用いられておりました。「俗称業者間協定でありますけれども、それは業者間協定そのものではない。三者構成の最低賃金審議会の議を経て労働大臣または都道府県労働基準局長がきめて告示をするものであります。」、「まさに法律上の拘束力を持つ最低賃金でありまして、申請の過程におきまして、いわばイニシアチブをとるのは業者間協定であるが、でき上がったものは関係労使の意見を聞いておりますので、そういった形がILO二十六号条約においても許容されるのじゃないか、」と、こういう発言をしておるわけであります。局長御記憶だと思うのであります。ところが、この中で、私どもがどうも局長のこの答弁を二、三度読み直してみなければならぬような重要な発言が出てまいりました。どこかと申しますと、「イニシアチブをとるのは業者間協定であるが、」云々、審議会の議を経れば二十六号条約に適合するという説明であります。ここで局長は、この方式においては業者間協定だけがイニシアチブを持つことを説明され、特にこの点は力をこめて発言されたところであります。もし業者間協定でも、審議会の審議を経ればよいというのならば、労働組合間のいわゆる組合間協定というものにも審議会に申請する権利を認むべきではないか、私はそう思うのであります。したがって、そうなりますならば、局長の説明というものはいささか経営者側にのみあたかも味方したかのごとき、さらにことばを変えて表明いたしますならば、片手落ち的な発言ではなかろうかと私は愚考いたします。もし経営者にのみイニシアチブを与えるということであるならば、労使が対等の立場でという法の定める問題については一体どういうことに相なるのか、こういう点について私は局長からの答弁をいただきたいのであります。したがって、労使双方に最低賃金の提案権を認めるならば、当然労使間の交渉が行なわれるわけで、このような手続を規定している現行法九条及び十条は、これが明らかにILO二十六号条約に適合していたと一体考えておられるのかどうか、この際、ひとつこれは局長ではなくて、大臣のほうからいま私が質問した中身について御説明いただきたい。
○説明員(村上茂利君) 私の答弁申し上げましたことに関連しての質問でございますから、まず私からお答え申し上げますが、それぞれの制度ができますには、その当時におけるいろいろな要請に基づきまして、その当時のいろいろな実態に基づいて制度が生まれるものだと存じます。現在の業者間協定につきましても、かつて、もう九年も前になりますけれども、いろいろ御検討いただきまして、従来運用で行なわれておりました業者間協定というものが存在しておって、それをどういうふうに扱うかといういろいろな御議論をいただいた結果、そういうような自主的規制として成り立っておる制度であるが、これについて最賃法をつくる際に、一つの決定方式として取り入れようということで取り入れられたのであります。もし先生がいま提示されたような方式が行なわれておったり、あるいは当時の議論の対象になっておったならば、また別の評価もなされたかと存じます。したがいまして、いままでのいきさつから見まして、業者間協定はそれなりのある程度の実体があって、現行最賃法が制定されます場合にいろいろな御意見を聞いた上で法制化されたもので、幾つかの決定方式の中に入れられたものであるというふうに私ども理解しておるわけでございまして、いま御指摘のような形式がもしあって、あるいは行なわれて、そして論議の対象になりました場合にはどう評価されるかということになりますと、立法論としてはいろいろ御意見があろうかと思います。そして現段階におきましていま審議会に諮問しておるわけでございます。いま私どもが業者間協定をそのまま認めるとか認めないとかということを申しておるわけじゃないのでありまして、いまこの段階で先生御提示の方法につきまして、業者間協定の比較におきましてそういうものを認めるべきかいなかということを申し上げることも、あるいはいかがかと存じまして、もしそういうものを残す、あるいは固執をするといったような議論が明確になりました場合には、当然それとパラレルの関係において論議の対象になろうかと存じますが、いまここでいろいろ申し上げるのはどうも適当でないというふうに存ずるわけでございます。その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○森勝治君 時間がございませんから、これ以上私はことあげしようとは思いませんが、いま局長は、そういう議論があるならば考えましょうと、現に議論を私が提起しているじゃないですか。私ばかりじゃありません。労働団体とも本件についてはしばしば論争を巻き起こしているじゃないですか。御承知のとおりでしょう、そういうことは。しかし、きょうはもう時間がおそいですから、委員長にお願いしまして、この次に本件について引き続きお伺いする機会をお願いすることにして、きょうの質問はこれで終わります。
○委員長(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。 それでは、本日の調査はこの程度といたします。次回の委員会につきましては委員長に御一任を願うこととし、追って公報をもってお知らせいたします。なお、いまのところ、今月二十四日を予定しております。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時散会 —————・—————