P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
52回国会参議院1966/11/18

外務委員会 閉会後第1号

発言数
113
登壇者
9
会派数
4
開催日
1966/11/18

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  田中政務次官から発言を求められておりますので、これを許可することにいたします。田中政務次官。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○説明員(田中榮一君) 先般外務政務次官を拝命いたしました田中榮一であります。まことにふなれな者でございますが、皆さま方の御指導によりまして職責を果たしていきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) この際、派遣委員の報告に関する件を議題といたします。  先般、当委員会から行ないました委員派遣につきまして、派遣委員から御報告をお願いいたします。岡田委員。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 黒柳委員と私が北海道近海安全操業問題等に関する調査のため、八月七日から十四日まで、札幌、根室、釧路等を訪問、関係当局はじめ地元関係者から事情を聴取するとともに、現地査察を行ないました。詳細な報告は、会議録に載せてくださるよう委員長においてお取り計らいいただきたいと存じます。  以上、簡単ながら、とりあえず口頭で御報告申し上げます。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまの御報告に対する質疑はございませんか。-別に質疑もないようですから、派遣委員の報告は、これをもって終了いたします。  なお、御要黒のございました派遣報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めて。   〔午前十一時三十一分速記中止〕   〔午前十一時五十五分速記開始〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 速記を始めて。  国際情勢等に関する調査を議題といたします。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 総務長官に沖繩の問題について若干お尋ねいたしたいと思います。  まず私がお聞きしたいことは、教育に関する施政権の問題についてであります。森長官が就任されましてから、沖繩問題に対して非常に熱意を持たれて、そのために御努力なされておることに対しましては、私も敬意を表するわけでございますが、特に教育の施政権返還の問題についてたいへん御熱心で、そして、このためにアメリカ側ともいろいろ折衝されてまいったわけでございますが、森長官が最初に言われましたように、やはりなかなかむずかしい問題でございまして、そうたやすくアメリカ側がこれを日本側に渡すということはないようです。過日もジョンソン新大使がこの問題については否定的な見解を新聞記者会見で発表しております。アメリカ側がああいう態度をとっておるということについては、これは私は予想をしておったところでございますが、しかし、ああいうような態度が表明されたということについて森長官はどうお考えになるか、また、今後、これに対して従来の森長官の持っておる構想をどういうぐあいにして進めていくか、その点についてまずお伺いしたいと思います。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) ジョンソン大使と私とが初めて会いましたのは、ジョンソン大使がまだ信任状を奉呈しない前でございました。そこで、奉呈しない前のジョンソンさんにこういう公式なお話をするということは私は控えたほうがいいんじゃなかろうか、あらためての機会に話をする、したがって、きょうは時間があるが私は話をしないと言ったところが、むしろ逆に、ぜひ話を聞きたいと、こういうことで約四十分間私は話をしました。しかし、四十分間でとうてい私の真意が伝わるわけではございませんので、ぜひ緊急に新しい機会をつかんでお話しする機会を得たいということで同意をして別れたわけでございます。その後ああした発表がございまして、平和条約第三条というものが、沖繩の施政権がアメリカにある、そういう前提に立ってこの問題に言及したときに、当然、私は常識的にはこういう案が出てくると思います。しかし、いずれにいたしましても、もう一ぺんゆっくり話をする機会を持つ、君の言うことをよく聞く機会を持とうと言ったその直後に、ああした発言がなされたということを、私は非常に遺憾とするものであります。そこで、ごく近々のうちに、約束に基づきましてお会いいたしまして、私の真意を伝えたい、こう思っておるわけでございます。もちろん、それには、これまた新しく赴任いたしましたアンガー高等弁務官に対しましても、わずか四、五十分しか話をいたしておりませんので、機会があったら沖繩にも飛んで、現地の直接司令官であるアンガーさんにも会ってお話をして、そうした順序を踏んで、やがては外交ルートに乗せたい、こう考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 この問題についてアメリカ側は、平和条約の第三条に基づいて、全部の施政権はアメリカにあるのだ、こういう見地から法理論的にああいう結論を出したと思うのですけれども、それと同時に、具体的な現実的な問題として、いまベトナム戦争で沖繩というものを、基地としてアメリカは十分に活用したい、それには、やはりアメリカがあそこをしっかり掌握をしておくことが必要であるという国防省あるいは軍側の見地というものが大きく働いておるのではないかと、私はそういうふうに思う。そういたしますと、この問題を、森長官の構想のように進めていくということは、非常にむずかしい壁にぶつかると思うのですが、本日の新聞の報道するところによりますと、大浜さんが向こうへ行きまして、沖繩問題懇談会の代表として、この問題についてアンガー新長官と話し合いをしておるようでありますけれども、その答えも否定的であった、こういうことであります。おそらく、いまのジョンソン新大使あるいはまたアンガー新長官とあなたが話されても、この問題について満足な回答を得られることはまずあるまいと思われるのであります。もちろん、話し合うことは必要でありましょう。しかし、この問題は結局もっと政治的な問題として取り上げて初めて解決できる問題じゃないか。つまり、いまの国務省系のルートあるいは国防省系のルートだけで話したのではこれは解決にならない。やはり私はもっと高度な問題として、たとえば大統領と直接話し合うというような方式がとられなければなかなか解決を見ないのじゃないかと思うのです。というのは、御承知のように、沖繩はアメリカの軍の支配下にある。そして国務省は実はあそこに対して何ら権限を持っておらぬ。そして、私どももいろいろな場合に遭遇するのですが、大使館を通じて沖繩の問題についていろいろ話し合っても、何ら確たる回答も得られない。たとえば渡航の問題一つにしても、大使館と話したんじゃどうにもならぬというような事態から見ましても、軍をやはり説き伏せなければならない問題があるだろう。それから、軍に対して話をするということは、いまの状況からしてなかなか軍とだけの議ではむずかしいのじゃないか。そうすると、もう一つ上の段階の話でなければならぬと思うのですが、はたしていまの日本政府にそういうふうなことをする姿勢で沖繩のこの教育の問題について積極的な方式を進めていくということができるのかどうか、その点はどうお考えになっておりますか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 私は、岡田さんの言われるように、最終的にはそういうところまで持ち上げなければこの問題は解決しないと思っております。しかし、いまいわゆる沖繩施政十六年間にわたって初めて私がこういう教育権の返還という施政権の問題について言及いたしましたために、非常にアメリカ側としてみても意外な時期に意外な要求が出てきたというのでいささかあわてているのじゃないか、こういうふうな感じがいたします。それだけに十分な時日をかけて十分なる下ならしをしなければならない。その下ならしの役目をするのが私だと、こう考えながら、関係者に向かって私の考えておる点を強調しておるようなわけでありまして、おっしゃるとおり、私は先ほど外交ルートにも早く乗せたいということを申し上げましたけれども、そういうルートを通じてもなかなか解決はむずかしかろう。こういうふうなときには、どうしても日本の総理とアメリカの大統領の間でというような話の幕も当然出てくるのじゃないか、こういうふうに考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 この問題についていまのような構想で進められていくといたしましても、それにはやはり政府が全体としてこの問題について相当熱意を持たなければならないと思う。そういう姿勢でなければ、おそらくこの問題解決は一歩も前進し得ないのじゃないか。従来沖繩の問題につきましては、まあ、どちらかというと、触れたがらないというのがいままでの自民党内閣のとってきた態度であります。沖繩に対する財政経済援助につきましても、従来向こう側から一要求ありましたものを日米協議委員会を経て出すというぐらいなところであって、積極性がなかった。まあ、できるだけこの問題は触れないほうがいいという態度であった。特に外務省はこの問題については非常に消極的であったのだ。あなたがあの問題を取り上げたときにも、外務省のほうはあまりいい顔をしておらなかった、実は渋い顔をしておったというのが実際だったと思うのです。ですから、もしあなたの構想を進めるとすれば、これはやはり内閣がそういう気持ちになって、内閣全体が積極的な姿勢をとらなければならないと思うのですが、いまのところ、あなた以外にそう積極性を示しておるような姿勢は見当たらないのですが、その点はどうお考えになっておりますか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) これは岡田さんに率直に申し上げますけれども、実は私も、この問題を取り上げましてから、いかにこの問題が重大な問題であり、しかも、なかなか押していっても壁も厚い、そうしてかたいということも自覚しておりますので、むしろ内閣全体としてその役目を私に荷を負わせるようなことがあると、私自身としてもなかなか行動が鈍る点がある。そういうようなことで、とにかく地ならしの段階におきましては、私自身の着想としてある程度までこれを進めてみたい。そういう時期が来て、これならば目鼻がある程度つくという段階になりましたときに、初めて外交ルートに乗せたい、こういうふうな考え方のもとに進めておるわけでありまして、おっしゃるとおりに、非常にむずかしい問題であることも私自身よく知っております。それだけに、私は勇気と熱情を持ってこれに当たりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 これはまた佐藤内閣の改造にからむんですけれども、先のことをとやかく言うのもどうかと思いますけれども、森さんがせっかく非常に熱心にこの問題に取り組まれたといたしましても、もし内閣の改造が行なわれて、たとえば、新しい総務長官が任命された、その方は前と同じように消極的な態度であったとするならば、せっかくの森さんの構想も、これは日本政府の問題として継続的な問題にならないおそれがあるんです。そういう際には、せっかくこの問題を取り上げても、しりつぼみになり後退するでしょう。そうして、結局沖繩の国民諸君には非常な失望を与える。そうして、また二度と取り上げることが困難になるという事態も予想されるんです。  そこで、森さんとしては現在この問題についてどういうふうにして、積極的に継続的にこの問題に内閣が取り組むような姿勢をおつくりになるつもりがあるのか、この点をひとつお伺いしたい。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 十二月にはやはり内閣改造があるであろうというようなことを巷間伝えられております。私もそう思います。しかし私は、自分がやめるやめないにかかわらず、その瞬間まではともかくこん身の努力を傾けていこう、かりに私がやめて後任の総務長官が出ました場合には、総務長官の仕事は非常に窓口の広い、守備範囲の広いポストでございますけれども、しかし、その中で沖繩の問題は特に重要な問題でございます。私が教育権返還という問題を掲げました以上は、私は自民党の党員である以上は、これよりうしろへ下がることはできない。この問題は歴代の総務、長官がどうしても掲げなければならない旗じるしである。それから前へ進む道はあっても、それからうしろに引くことは私は万々あり得ない、こう考えますし、私も、かりにやめました場合といえども、党員として、一ぺん手がけた問題でございますから、やっぱり一代議士として、一国会議員として終始これの実現方に努力を傾けていきたい、こう考えております。こういう決意であります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 この問題について沖繩の反響を見ておりますというと、かなり森さんの構想を支持する空気が強い。沖繩の教職員組合は特にこの問題と非常に深い関連を持っておる団体でありますが、この団体におきましても、大体の方向としては支持をしておる。ただ、その際に、教育権の返還の問題だけにとどまって、そうしてそれにとどめて、たとえば、他の施政権の分野の返還を捨ててしまうのではないか。もしそういうことであるならば、返還に対して支持できないという態度も打ち出しておるわけであります。森さんはこの教育権の返還の問題と他の全面的な施政権返還についての問題との関連をどうお考えになっておりますか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 私は、沖繩住民の悲願とするところのものも、日本人の悲願とするところのものも、やはり施政権の全面返還だと思います。しかし、全面返還を唱えてみたところで、早急にこれが解決するとはだれしも思っておらないと思います。そこで、その中から将来の沖繩あるいは日本の立場というものを考えてみて、しかも、施政権の中でさまざまある中から、一体、何をとりあえず可能だとして選んだときはどうか、厚いながらも壁をたたいてみて、比較的やわらかいと思われるところはどこか、こうして選んだときに、私は教育権だと、こう感じて、これをやっておるわけであります。もちろん、施政権の返還の中でも、地域別あるいは機能別という中にもさまざまございますけれども、私は、この教育権の問題が、従来たとえばこれが日本になったところで、教育に関する限り、政府が強い指導をしておるわけでもございませんし、いまの援助額の内容を見ましても、日本からの援助額の大部分の金はこれらにつぎ込まれておる現状から見ましても、私は現状と、その施政権が返還されたときのことを考えてみましても、実質的にそれほど大きな変化がないということだけに、日本側から見ればそういう見方が見られるだけに、アメリカから見てもこれは比較的容易な返還の項目ではないかと、こう考えたわけであります。しかし、智頭に申し上げましたように、日本人としての悲願は、何といっても施政権の全面返還であります。そこで、外堀を埋めたら内堀、内堀を埋めたら天守閣、こう行きたいのが人情でございまして、そういう方向に何年かかかってたゆまざる努力を続けていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もちろん、この問題は単に政府のアメリカに対する交渉だけで解決できる問題ではない。私はこの問題は、やはり沖繩における住民の間に強い要求、強い希望があって、それが一つの大きな力になって、そうしてアメリカ側もその力というものを知る事態が起ってきて初めてこれの実現が可能になってくる。また同時に、内においてもこれの返還要求の強い運動あるいは強い要求があって、初めてそれが実現の道が開かれるのだ。こういうように考えておるんです。いままで沖繩の問題について、政府は率直に言って、アメリカ側に対してもみ手でお願いをするというような態度であった。これでは私はなかなか平和条約第三条に示されたところの壁というものは破れないと思うんです。したがって、やはりこの沖繩の人たちの強い念願、強い運動が一つの大きな力に盛り上がったとき、そうしてまた、国内における大きな力が、国民の世論、あるいはその力が発揮されて、そうしてアメリカ側もこれに対して考えざるを擬ない状況が生まれたときに初めてこの政府の交渉も成立するのではないかというふうに考えているんです。で、アメリカが沖繩の統治についていろいろなことを言っておりますけれども、何といっても、率直に言って、あれは植民地統治だ。この植民地統治を破るということ、それを直させていくということは、やはり相当な力が、抵抗の力が働かなければこれが実現されないことは、いままでの各国の例を見てもわかり、現在でも、たとえばアデンであるとか、パナマ運河地帯というようなものを見ますというと、そういうことが感じられるんです。政府はこの点について、やはりいままでのたとえば政府のもみ手でもって下手から出ていくという政策だけでこの問題が解決する方向を見出すことができるとお考えになっておりますか。それとも、やはり沖繩の人々の強い要求、運動あるいは国内における強い願望、そういうものが一つになったときに初めてこれが達成し得る道が開かれるとお考えになっておりますか。国務大臣(森清君) 私は、この問題は、おっしゃるとおり、非常にむつかしい問題でございまして、しかも、取り組んでから相当の歳月も要しなければならぬ、こう考えているだけに、いわゆるそうした意見をささえるバック・グラウンドの力、これにまつところがきわめて大きいと思います。一億国民あるいは九十四万の沖繩の島々の人たちがこぞってこれを願望する、切望する、こういう形でアメリカを動かしていくことが一番賢明じゃないかと思います。おっしゃるとおりだと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 次に、お伺いしたいのは、十一月の十五日ですか、福田蔵相は、閣議のあとの記者会見で、アメリカから要求の出ている来年度の沖繩援助資金百三億円について、「施政権など基本的な問題を日米双方が十分に話し合い、財政支出を通じ、政府が沖繩施政に接触を持つ方向が決まらなければ承認できない」、というような発言をしておるわけです。おそらくこの百三億円のアメリカ側からの要求に基づいて、ただいま閣議後に閣僚懇談会が開かれたと思うんでありますが、この百三億円をどうするかという問題の前に、この福田発言のうちの、「政府が沖繩施政に接触を持つ方向が決まらなければ承認できない」、これの意味ですね。私どもこれは二つとれると思うんです。一つは、まあ、大蔵当局としてできるだけ来年度の予算の支出を押えていきたい、そのために本年度の沖繩援助額の五十数億のやや倍に近い額でありますから、それを出したくないという、大蔵当局の、あまり予算をふやしたくないという点に力点が置かれての発言か。それとも、あなたの言われる教育等の施政権の問題について、あるいはまた、沖繩の行政全般について金を出す以上、日本としてはそれに対してもっと発言権を持つべきであるという意味の発言なのか。これは両様にとれると思うんですが、きょうの懇談会において森長官はこの点についてどういうふうな印象を得られたか、それをお伺いしたい。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 福田さんが新聞に発表したのは、どういう御意思でああいう記事になったのか私はつまびらかにしておりませんが、ただきょうの会議におきましては、そういうことは別に問題ではなくして、御承知のとおり、百億以上の支出となりますと、沖繩の財政の三分の一でございます。そこで三分の一も負担するからには、やはり、たとえば予算の細目にわたりましても、いろいろわれわれがチェックできるような立場になるのは、これは私は当然だと思うんです。そういう意味で言われたと私は解釈して、会議は進めてまいりました。したがって、むしろ岡田さんのお話しになった後者のほうだと私は考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 来年度の沖繩援助の予算の問題について百余億円ということは、私どもは決して多いとは思わないんです。というのは、もし沖繩が日本の県でありましたならば、政府としては、いわゆる貧弱県の一つでありますから、もっと多額のめんどうを見なければならないという意味からいえば、これは決して多い額ではないと思うんです。またこれが削られるようでは、これは沖繩に非常に失望を与えるし、較差是正の上においてもやはりっまづきになると思うんで、この額は当然認めて差しつかえない額ではないかと思うわけです。ただ、私どもはこの額が、先ほどあなたも言われましたように、何ら沖繩の現在の情勢あるいはまたいろんな施策に関係なしに、アメリカ側から要求されただけいつでもその額の内容をチェックしないで払うというのでは、これは私はどうもおかしいと思うので、やはりこういうふうな福田発言があるということは、これはいままでの政府の態度とはやや違った態度であろうと思うのであります。この問題について、たとえばアメリカのアンが一新高等弁務官、あるいはまたアメリカのジョンソン大使との話し合いがすでに始まっておるのでしょうか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 御承知のとおり、日米協議会はもう第一回をやりまして、そこで、いまの日本からの援助額の要請がアメリカ側からなされたわけであります。そして、われわれはその扱いにつきましていま鋭意努力中でありまして、できる限り、十一月中にも、準備のでき次第、第二回目の日米協議会を開会いたしたい、こういうっもりになっております。したがって、そのことからいわゆる大蔵大臣の発言というふうなことになった、こう思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 大体この百三億という額はそのまま決定される可能性があるかどうか。  それから第二に、いま言われましたように、この財政援助を受ける琉球政府が行なう施策について、現に日本側は琉球政府から通報を受けておるかどうか。そしてまた、それについて日本側から何らかのアドバイスなりあるいは協議をして、この政策はこうすべきであるという指示を与えておるかどうか。それと、琉球政府を監督しておるアメリカのUSCARとの関係はどうなのか、それはどういうふうにお考えになっておりますか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 大体沖繩の予算というものは、アメリカの民政府と沖繩政府との問で十分なる検討がなされまして、その間にありまして日本側の政府の意見も聴取をして、そして、最終的なまとまったものが日米協議会に出されるのがしきたりでございます。私はいま細部は覚えておりませんけれども、そういう従来のしきたりから申しまして、琉球政府とアメリカ側そして日本との間には、ある程度の了解はついておるのでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今後予算が増額されていって、そして来年度は百三億だが、再来年度はさらに数十億増す、こういうことになってまいりますと、日本の財政援助というものもかなり大きくなってき、また琉球政府の予算のうちでも相当な部分を占めることになってきます。この際に、日本側から積極的にこの施策について発言権を持つということは、これは私は当然なことだと思うのですけれども、その際に、やはり高等弁務官、米民政府、琉球政府との間のいろいろの権限の問題というものが今後問題になろうかと思うのです。そこで、ワトソン高等弁務官の時代に多少権限の委譲も行なわれたけれども、しかし、根本的にはどうもまだ十分に琉球政府の自主性を認めておるという立場にはないようなんです。特に裁判権の移送の問題等に見られるような事態が起こってくると、私はアメリカのやり方に対して非常に疑惑を持たざるを得ないのでありますけれども、この問題についてどういうふうにお考えになり、また、この問題についてたとえば日米協議委員会等において具体的に取り上げられておるかどうか、その点はどうでしょうか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 従来の日米協議会におきましては、あらかじめ打ち合わされた議題に基づきまして協議がなされております。しかし、予算のことについては、ただいま申し上げましたようなことで、むしろ日本側といたしましては、援助要請額をうのみにするということで、細部にわたってはあまりタッチしないような状況でありました。もっとも、いままでは昨年が五十八億、一昨年が二十八億というぐあいに非常に微々たるものでありまして、それはそれでよかったと思いますけれども、このように三けたに援助額が増大してまいりますと、日本といたしましては、これを編成するにあたって、日本側の意見がある程度入るような方向にいくのが私は当然じゃないか、こういうふうにも考えられますだけに、来年の予算につきましては、おおむね妥結ということで、あらゆる順序を経まして今日まで来ておりますから、再来年度あたりからこれは慎重に、われわれの発言権がある程度認められるような方向に話し合いを続けていくべきものだと私は思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いままでの日米協議委員会の運用の方法を見ておりますと、日本は全くパッシブなんですね。そうして、向こうから金を出せと言われればそれを出すようなことに終わっておった。これでは私はいけないと思うのです。沖繩のほうからも、それじゃ満足しないという声も多いわけなんです。したがって、日米協議委員会のあり方というもの自体を私はこの際改めなければならぬと思うのですが、その点について何らかの構想をお持ちになって、そうして、これについてアメリカ側と折衝され、そうして、日米協議委員会における日本側の立場をもっと強めていくというようなことについての何か構想をお持ちになっておりますか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 日本側といたしましては、なるべく広い分野において日本の発言権を多く認められるような方向に逐次努力をしていかなければならないところでありまして、特にその予算の三分の一を日本側の援助によって占められるような状況になってきますと、その感がさらに深められるわけであります。したがって、これは外務大臣、外務省ともよく相談をしながら、われわれの発言がある程度沖繩の内政に響くような方向に行きたいというのは、私は、われわれ担当の者といたしましては、これは痛切にこいねがうところでございます。したがって、これはたまたま誤解だったのでございましょうけれども、大蔵大臣のああした発言があったということは、そうしたことの一つの契機にもなるのではないか。したがって、四十三年の予算編成にあたっては、そうしたことを十分配慮していくような行き方で日米協議会が持たれることは望ましいこと、だ、こう考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一、二問で終わりますが、最近自衛隊が沖繩に行ってミサイル訓練ですね、ミサイル演習をやるということが伝えられて、沖繩側でもかなり神経をとがらせて相当な動揺が伝えられております。こういうような問題については、森長官には自衛隊側から通報があるのですか、相談があるのですか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) その問題については、ございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 しかし、この問題は、心理的に非常に重大な影響を及ぼすので、こういうような問題についてやはり長官として相当な発言権を持ってしかるべきじゃないかと思うのですが、この点はどういうお考えですか。

森清自由民主党総理府総務長官

○国務大臣(森清君) 私どもの立場といたしましては、担当の沖繩のことでございますから、十分に慎重に考慮いたしたいと思います。たとえば、いま私は岡田さんに、自衛隊のことについてはございませんということを言いましたが、渡航手続はわれわれのところでやっておりますから、その程度のことはやっております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 自衛隊の渡航手続は、これはやはり総理府を通じてやることになるわけですか。――これは私は沖繩の今日の状況から見て不適当である、やるべきでない、こういうふうに考えておるのでございます。そういうふうな御配慮をお願いしたい、こういうふうにお願いしておきます。  それから最後に、沖繩の問題についてひとつ外務大臣にお伺いしたい。  それで、沖繩の問題について、いままで外務省は、さわらぬ神にたたりなしというような態度で、きわめて消極的であったと私は思う。森さんが総務長官に就任されて、そうして教育権の返還の問題を出されたときにも、かなり冷ややかな態度であったというふうに見ておると思うのです。おか目八目で当たっておらないかもしれないけれども、どうもそういうふうな感じがしたんでございます。その後の経過を見ておりましても、あまり熱心ではないように思う。しかし先ほど私が申し上げましたように、この問題は、ジョンソン新大使との交渉や、あるいはアンガー新高等弁務官との交渉の問題だけで片づく問題ではない。また、こちら側としても、沖繩担当の森総務長官、だけの権限の中で片づけられる問題ではない。やはりこれは日米の相当ハイ・レベルの交渉によって何らかの解決を見出さなければならない問題だと思いますが、先ほど申し上げましたように、いま森長官が一人でおやりになっておるようなこと、そして、たとえば内閣改造で森長官がおやめになるような場合に、あとへ続かないことになると、これは沖繩に非常に失望を与えることになるだろうし、また同時に、これから沖繩の問題を解決していくという上にも、逆にマイナスになるおそれもある。一体外務大臣としては、この問題について積極的に取り組むおつもりがあるのかどうか、そして、これは単にいまの佐藤内閣だけでなくて、その後も続いてやるというような外務省の決意を固めつつあるのかどうか、その点をお伺いしたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは所管外の問題でございまして、この問題はここにおられる総務長官の主管でございます。それが両国の間において正式に折衝が始められるというふうになると、外務省も一枚加わらなければいけない、まだその段階になっておらない。したがって、外務省は冷淡であるというふうにお受け取りになったかもしれませんが、決して特別の感情をもってこれを見ておるわけじゃございません。  それから、その内容について多少私も個人の意見はありますけれども、こういう場所で申し上げるべきではないと思いますので、差し控えたいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いまの外務大臣の御答弁を聞いておりますというと、まことに冷淡なようでございます。積極的にバック・アップしてやるというような姿勢はひとつも示されておらぬ、個人的に意見はあるけれども差し控えたいと出言うけれども、外務大臣として持っていらっしゃる意見なら、発表していただきたい、どうお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま申し上げたとおりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私はきょうは、主としてベトナム問題と、それから国連の中国代表権問題の二点についてお尋ねをいたします。  最初に、ベトナム問題についてお尋ねをいたしますが、現在ベトナム戦争はいよいよ長期化の様相を呈して、解決のきざしはなかなかございません。しかし、このような事態が続けば、その解決がいよいよ困難となることは、これは明白でございます。こういう状況のもとでベトナム戦争がエスカレートしていくと、米中対決にもなりかねないという説もありますけれども、私どもも、いま直ちにそういう状況が起こるとも考えておりません。問題は、むしろこの戦争が長期化して、一そうエスカレートしていった場合、ソ連が今日の平和共存政策を放棄せざるを得ないような事態にまで発展する、そのことのほうが一そう問題としては重要なのではないかと考えております。もちろん、今日、米ソ間には、ベトナム戦争に対する根本的な立場の相違があるにもかかわらず、一応のパイプが通じて、危機を回避しておることでありますが、とにかく、いずれにしても、この戦争をすみやかに終息させることの重要であることは、これは言うまでもないことであります。そういう意味で、このハノイやベトコンの意思のかたさ、決意のかたさ、あるいはアメリカの中間選挙の動向に見られる、いわゆるデスカレートにあまり期待できないという状況、そういうことにあるにかかわらず、しかし各国それぞれの動きが起こっていることも事実であります。その一々については私は申し上げません。そこで、きょうはベトナム問題に対して、日本はどのように対処しようとしているのか、実は当委員会で外務大臣の見解を久しく聞かないわけでありますが、外相もしばしば外国を訪問されて、いろいろ感想もあることと思いますので、この問題を中心にお尋ねをいたします。  そこで、最初に、第一問は、そういう状況のもとで、この日本が、さきにマニラ会談に参加しなかったことは、私は当然であると思うし、非常にけっこうだったと思います。しかし、それは、私どもとしては当然のことと思いますけれども、政府と私との間には、このマニラ会談不参加の評価、あるいは取り方について見解の相違がないとも言えません。そこで、政府がマニラ会談に参加しなかったのは、どういう展望を持って参加しなかったのか、その辺の事情からまずひとつお聞かせをいただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本の外交の姿勢として、急にここへきて、マニラ会談馬参加しなかったことが、従来の日本のやり方から見て窓外であるというような感じを私は与えてないと思います。従来の日本のやり方から見て、マニラ会談に参加しないのは当然である、こういうふうに解釈される方の一ほうが多いのではないかと思います。たとえば、ことしの六月のソウルにおけるアジア・太平洋地域閣僚会議でございますが、これは韓国が提唱したもので、これに対していち早くタイが同調をいたしまして、そしてこれの準備会議はバンコクで行なわれた。日本はこれに対して参加の意思を決定したのは相当近づいてからでございます。それまでは大体参加しないと、そういう考え方が広く世間に伝わっておったのですが、日韓会談もいよいよでき上がりましたし、あまり食わずぎらいもどうかというので、この準備会議はオブザーバーとして参加することに初めはなっておりましたが、だんだんこれが単なる反共気勢をあげるというようなものでなしに、もう少し実のある穏健な会談になりそうだということを確かめましたので、これに参加することにしたのでありますが、その準備会談において、十分に日本の主張を話し、これは日本としては、対立を新しくつくり上げるという、   〔委員長退席、理事森元治郎君着席〕 そういうことには一切不賛成である、むしろ対立を解消すると、こういう趣旨において日本はこういう会議に参加したいということを、そういう趣旨によって日本の主張を述べた結果、関係諸国はほとんどこぞってこれに同調するということになりましたので、初めてあの会議に終始参加をいたしたのであります。  そういうわけでございまして、マニラ会議不参加の理由も、ほぼそういったような方針に基づいたものである、こう御了承願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、日本はベトナム戦争に対して何らかの役割りを果たそうとしておるのかどうか、その辺はどうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 御承知のとおり、日本は憲法の制約がありまして、海外出兵はこれはもうできない。出兵のみならず、海外の紛争に力をもってこれに参加し、声援するということは一切これは放棄しております。そういうわけでございまして、いわゆるベトナム戦争には、これは関係は持ち得ないし、また、持とうという気持ちは持っておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それは私の、質問に対する外相の受け取り方がちょっと違うので、そんな積極的な介入なんか、もちろん戦争そのものに対する介入なんかあり得ざることで、それは当然なんで、そうでなしに、日本はマニラ会談なんかに参加しなかったり、あるいは、少なくともソウルにおけるある種の動き等と関連して、何らかのベトナム戦争に対して調停者とか仲介者とかということばは――資格があるかないかという問題、そういう議論は別として、そういうようなことを考えて日本の外交、そういうことが日本の外交の中にあるのかどうか、そういうことです。いまその時期であるかないか、それは別です。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これはたびたび申し上げておるように、近い所でああいう戦乱が果てしなく続いておるということは、日本の平和、繁栄のために非常に妨害になります。でありますから、これは一日も早く解決することを熱望しておりますし、また、日本の力によってそれが可能であるという見通しがつくならば、いつでも日本は、許される範囲内ですが、もちろん、やりたいと、こういう考え方を持っております。   〔理事森元治郎君退席、委員長着席〕

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 報道によると、外務大臣はマドリードで、ベトナム戦争の侵略者はハノイであると語ったというのですが、これは事実ですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ベトナム戦争でどっちが、アメリカが侵略者であるか、それとも北ベトナムであるかというような質問をたしか受けたという記憶がございます。一々どういうことばで返したか、これは知りません。聞いたほうが、拡張解釈でそういったようなことを書いたのかもしれません。これは国会でしばしば申し上げておることでございまして、あれ以上特別に私は強く言ったわけでもないのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、そういう考え方では、外相も先ほど言われたような、事情が許せば、日本も何らかの役割りを果たすことにやぶさかでないというような意味のように受け取られましたが、しかし、それすらも私は果たせないと思いますが、それはとにかくとして、このマニラ会談不参加等で、日本がアメリカとの間に一定の距離を置いているという態度、そういう態度を示しながら、他方では、どういう表現を用いられたか知りませんが、マドリードで行なったような、侵略者はハノイというような、これは従来日本の国会でもそういうふうに言ってきたと言いますけれども、そういう態度をとっておって、はたして日本が役割りを果たせるのかどうか。いまはその時期ではないとか、あるいはチャンスではないとか、これは総理も外相も、しばしば当委員会あるいは予算委員会等で発言されてきました。ところが、私は、もうそれはチャンスや時期の問題でなしに、基本的な態度そのものに問題があるのじゃないか。たとえば、チャンスが到来しても、政府のいまのような立場では相手側から信用されないのじゃないか、信用されるはずがない。したがって、時期が到来しても、その役割りは果たせないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 私は必ずしもそうではないと考えます。とにかく、戦争に介入しておらない。しかし、この戦争に対する考え方は、これはもうはっきりきまっております。こういうだけのことでございまして、考え方、これは自由でございます。そういうことがベトナム戦争の終結のために寄与する資格がない、こういうふうにきめつけてしまうことは、これはどうかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 資格の問題は別として、資格云々は別として、チャンスが到来しても、なかなかその役割りを果たせないのじゃないかと思います。   それから、これはあと続けますが、これに関連して、マルコス・フィリピン大統領が提唱しておるベトナムに関する全アジア会議、これについては日本はどういう態度で臨もうとなさるのか、この問題を一つ伺っておきます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは実は私、旅先で新聞でそういったような記事をちらっと見た程度でございまして、まだ帰ってきてこの問題について深く聞いてもおりませんし、また聞こえてこないくらい、きわめて微弱なものであって、ほんとうに日本に対してそういう働きかけをしてくるのかどうか、それすらも疑わしいくらいに考えております。いまのところ何も考えておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは下田次官の考え方というのは新聞に伝わっておりました、この問題に対する。しかし、そういうことなら、これはこれ以上聞きません。  次に、北爆について、今日まで政府は、大体アメリカの立場を支持してきたわけです。これはしばしば当委員会でも外相が発言をされております。これは周知のとおりであります。しかし、私ども春気しておる限りでは 、べトナム参戦国――アメリカ側の参戦国以外に、世界で公然と北爆を支持しておる国は日本以外にはそんなにたくさんはないと思います。今日では世界の大多数の国々、そうしてまたウ・タント国連事務総長も北爆停止を強く要求しております今日の時点でも、政府の従来の方針は変わりがないのかどうか。実はこの問題は久しく外相の意見を聞いておらないので、あらためてひとつこの機会にもう一度伺っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これについては、従来と変わりございません。まあ、ウ・タント事務総長が北爆について批判をしておることも、私は承知しておりますが、私は、北爆だけをやめれば問題が解決するかという点では、そうはいかない。であるからして、戦いの当事者が両方で武器をおくということで初めて問題が収拾する、糸口がつくと、こう考えておりまして、その点は依然として私は考えは変わっておりません。ウ・タント事務総長は、北爆をやめることだけで問題が解決するとも言っておられないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ハノイは今日まで米軍の即時無条件撤退を要求したことは、これは事実であります。これはまああの国としては当然であろうと思います。しかし、いまのウ・タント国連事務総、長の三項目の提案に対しては、ハノイのニャンザン――労働党機関紙ですね。ニャンザンは、十月六日ですか、米国が北爆を直ちに停止すべきであるとの第一項は、ベトナム問題解決のための要件に沿うものであると述べております。だから、非同盟三国あるいはソ連、東欧諸国あるいはフランス、あるいは国連事務総長、カナダ等々、たくさんの動きを私もある程度聞いております。しかし、それはきょうはあえて触れません。そうですから、日本が何らかの正しい意味の役割りを果たそうとするならば、せめてこの程度のことをアメリカに要求する程度の外交ができなくては、私は、どういうチャンスや時期が到来しても、日本がベトナム戦争で役割りを果たすことは、平和的な意味の役割りを果たすことは困難ではないかと思う。いかがでありますか。  その前には無条件即時撤退だったのですね。いまでも原則的にはそうです。しかし、その北爆停止が問題の解決に役立つ、沿うものであると、一応ニャンザンがこう伝えているわけです。しかも各国がこの問題に、全面的にこの問題に、北爆停止に問題を集中しているわけです。だから日本としても、やはりこの種の動きを十分把握した上、で、もし将来チャンスがあるならば、あるいは時期が来るならば、何らかの効き脅しようというならば、そのぐらいのことを認識して、アメリカに言うべきことを言うべきではないかと思いますが、いかがですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、北燃停止だけで片づくというようなことは、特殊な国が言っているにすぎない。しかし、北爆停止というものがやっぱり問題の解決のきっかけになるというぐらいのところは、かなりの国が言っておるようであります。それにはやっぱり条件がある。こういうので、条件はいろいろあるようでございます。一々申し上げません。でありますから、それぐらいのことは、われわれも納得がいくのでありますけれども、はたして、そのきっかけがつくかどうかというような点になりますと、日本の今日の立場においてはそう簡単ではないと、こう考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ハノイの長期抗戦の決意のかたさは、これは言うまでもないことですが、しかし、アメリカもまた強大な力を持っている。それでアメリカ自身の決意というものがなかなかかたいでしょう。しかし、その強い力を持っているアメリカが、とにかく北爆を停止して事態の推移を見るという、そういうことで何らかの糸口をつかむという、そういうきっかけでもなければ、話が煮詰まったから、さて北爆停止なんと言っても、なかなかそこまではいかないと思います。ですから、とにかく北爆を、強いほう――アメリカが強いのですから、強大な力を持っているのですから、その国が北爆を停止して、事態の推移を見るという、そういう行き方があってもいいと思うのです。これはとるべき当面の一つの方法ではないかと思いますが、外相も、日本の外交として、そういうことにもう少し強力に取り組む考えはありませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただこう様子を見るというのは、まるで当てなしに、まあ、やめてしばらく様子を見ようかと、こういうのでは、私はこれはあまり意味がないと思います。やめたならば、一体どういう反応がどこに起こるかというようなことがある程度はっきりしないことには、ただ、ここらで一服しようという、だけでは、どうも私は意味がないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いや、やめておいて様子を見るのではなしに、北爆を停止しておいて話しかけるという、そういうことでいいと思うのです。そういう順序を踏まなければ、問題がなかなか解決しない。実は、私も先般各国を歩いて、特に各国の外交のアジア担当者と、ベトナム問題を中心にいろいろ話し合ってきたし、意見も聞きましたが、どこへ行っても、アメリカの平和の意図はほんとうかどうか、真、実かどうか、もしそれがほんとうであるというならば、具体的な行勅をもって示してもらいたいという、これがどこへ行っても一致した意見でありました。これは西側陣営の中の人ですらそういう意見を持つ.ているのが多数でありました。しかし、チャンスがつかめない、これは外相並びに総理がしばしば言われている。昨朝が熟さないと言う。しかもその間にどんどんエスカレートしていく。アメリカも中間選挙の結果、必ずしもハト派が有利でなかったことは御承知のとおりです。そうなってくると、先ほど私が申し上げたような、ソ連自身が、平和共存政策すら、これ以北続けるかどうかという、そういうところまで追い込むような事態が来たときのほうが、むしろ問題ではないか。それは米中対決ということはあるかもしれないが、しかしそんなことは簡単に起こらないでしょう。いま、とりあえず米ソの間に一応のパイプを通じて、危機は回避しておりますけれども、しかし、そういうことをもっとまじめに考えないと、これは際限のないジャングルに入っていくのではないか、そういう意味で多くの国々が、当面の一つの方法として北爆停止を求めているならば、日本政府も真剣に考慮すべきではないかと考えるわけです。重ねてお伺いをいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) やはり北爆停止ということにおいて、何らかの反応が期待し得るとい状況が必要ではないか、こう考えます。ある程度そういうことを考えてもいい時期にあるいは来ているのかもしれません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それなら、ひとつ行動に移してください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 来ていないのかもしれません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 来ているほうが多いでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) それはまあどっちだかわかりませんが。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 羽生委員の質問に関連して、ひとつこの機会に。政府は、和平的な収拾ということは御賛成たろうと思う。もし賛成ならば、佐藤内閣が考えているベトナムの和平的な収拾の条件、方針を、四点か三点か、五点か知りませんが要約して知らしてくださるといいのですが、今日までは一つも言っていないのですが、ひとつ要点を示してもらいたい。たとえば、北ベトナムの四原則とか、ベトコンの五原則とか、アメリカの二十項目とか、いろいろそれぞれ、みな立場を出している。イギリスあるいはソ連も方針を出しています。だから、いま大臣のようなお考えを結晶して、ひとつ北爆はやめる――たとえばですよ、大臣の頭にやさしくしてあげますから、たとえば北爆はやめる、それから戦線は相互に逐次縮小していくとか、あるいはベトコンは介入させましょうとか、話し合いの根本はジュネーブ協定ですとか、あるいは関係国の議長さんが集まってやるとか、いろいろ出ている。これはまあ七つか八つありますね。それから、北がもし引くならば、アメリカも南から引くプログラムを出してもいい、こんなことが新聞に大きく書いてあります。どうでしょう大臣、これはどうも考えをまとめやすく条件を出したのですから、四つか五つにまとめておっしゃってください。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと、同じ問題なので、一緒に答えてもらいたいと思う。  私も、この戦闘を、直ちに北爆を停止するとか、停止すればそれでいいとか、片づくなんて思っていないのです。そんな甘っちょろい考えは持っておりません。結局、この戦争の背景ですね。歴史的な経過、将来の展望あるいは中立化構想というものは、具体的に、たとえばそれはベトナム、だけの中立化を先にやろうというのか、南北ベトナムが統一後の中立というのか、あるいはカンボジアやラオスを含めて、あの地域全体の中立化を言うのか、そういう時期的な問題、手順もありましょう。だから、そういういま森君の言われたこと、私の言ったこと等を含めて、日本としては、このベトナム問題にどういう抱負や経綸を持っておるのか。それがないと、うまい時期が来れば、ちょっと一口乗ろうなどという、そんななまやさしい問題では私はないと思う。また、政府も、そんなに問題に無関心だとは思っておりません。ある程度のことはお考えがあってしかるべきだと思いますので、あわせてひとつお答えいただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ何項目か、五項目、だ、あるいは十七項目、だ、ずいぶん出ました。もう出尽くしたのではないかと思うのですね。(「いや、あなたのほう、佐藤内閣のほう」と呼ぶ者あり)あれ以上、もう出ようがない。だから、ああいうものが出ても、まるっきりどうも素通りしておる、そういうところに問題があるんじゃないでしょうか。北爆停止なら北爆停止を、アメリカの行動によってある程度の誠意を示すとか、とにかく信頼の問題を解決しないといかぬのじゃないか。ですから、相手方のハノイの首脳者の心理状況というものを直接攻撃するという手もあるだろうけれども、それに影響力のあるいろいろな方面をある程度サウンドするとか、そうしてやるとか、まあ私は、項目などを並べてみたって、何にもならぬと思うのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 項目はいいですよ。項目はいい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 項目としては別にその……。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 関連。ことばじりで言うのじゃないのですけれども、たとえば、ああいうウ・タント事務総長の意見にしろ、あるいはイギリスの外務大臣のごときは、非常に具体的に停戦までの運びから、それから停戦後のいわゆる解決の条件等について、いろいろ批判はあるでしょうけれども、ああいうものを提案しているのは、私は、単に項目を、並べて、そのままいかないからって、それはむ、だだとは思わないのですよ。これはもういろいろなことの積み上げの中から、やはり両陣営の最小公倍数というか、最大公約数というか知りませんけれども、そういうもののさぐりを入れる意味にしても、だれでも、項目だけで、方式だけですぱっと解決するとは思っていない。やはり立場はいろいろあっても、何とか両方に対して誠意を認め合って、いま両方の不信感から、実際はもう大体、羽生君も言われたように、なかなか直ちに米中の戦争なんかになりはせぬですよ。なりはせぬけれども、ほうっておくことは、やはり常に拡大をする危険を持っているわけですから、何とかもういいかげんなところで息抜きといいますか、水を入れるといいますか、そのためにいろいろなさぐりを入れることは、私は決してむだだとは思わないのです。で、その中では、最も一番単純化されたのが、結局、ウ・タントの提案だと思う。私は、おそらく同僚羽生委員の言っていることは、何もアメリカの北爆だけをやめ、あとはどうでもいいというのじゃなくして、ウ・タントの、言っているように、やっぱり強いほうがもう一ぺん、これは直ちにではないかもしれませんが、ある程度の状況があって、サウンドしてでもいいですから、ある程度の北爆の相当の期間の停止をやる。同時に、第二項が非常に私は重要だと思うのです。少なくとも、南ベトナムにおいて一切の敵対行為、この中にはベトコンがやっているテロもゲリラもみな入ると思うのですね。ですから、そういったような、南爆もそうでしょうし、アメリカ軍の南ベトナムにおける軍事行動もそうでしょう。要するに、第二項では、双方に軍事行動を南ベトナム国内、領域においてやめろということでしょう。第三項は、全部の関係者を一堂に集めて会議を開け。その場合にベトコンも入れてやれ。私は、そこら辺のことは常識なんであって、加えて、その後のいわゆる中立というようなことは、どういうふうにしたら守られるであろうとか、それを解決するにはどうしたらいいだろうとか、そういうような解決に対する、すなわち両方から、北から今後内政干渉をしない、北からは人民革命戦術をやらないようにするにはどう対処したらいいか。アメリカが軍隊をいわゆる、その後に撤退する順序をどうしたらいいということについて、もう日本も、どちらにも切り札を見せないという、何か非常にえらい切り札を持っているかと思うと、実は何もないとか、単にただ待っているだけでは、私はやはりいかぬのじゃないか。  だから相当、アウトラインでいいのですよ。三項目か、それこそ四項目か五項目でいいのですよ。大体このくらいでどうでしょう、ずばり言えば、ウ・タントのやつは賛成だ、加えて解決の方式は、まず南ベトナムにほんとうの独立自主が守られるようなことが絶対必要だ。その条件としては、北からも人民革命戦争を押しつけない、それには南も、いわゆるアメリカも引けとか、そのくらいのことは、もうそろそろ出すべきじゃないですか。そういうことは決して私はむだだとは思わない。そういうことができなくても、われわれも、日本国民も支持するだろうし、それから世界も、日本は単なるトランジスター・マーチャントではないということを認めるだろうと思うのですよ。どうですか。ただ私は、そのことばじりをとらえるのではないのですけれども、やはり積極的な寄与をする、だれにもわかるように、簡単にフォーミュラ化して、そうして方式を出すことはむだじゃないと思うのですが、どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まことにそれはむだじゃないと思いますが、出尽くしたのじゃないかと思います。それで、日本は帰り新参でございまして、よほど、もし、やるにしても、十分に熟慮を加えた上でないといかぬと思いますが、そう表立ったことは日本としては……。いろいろ今度首脳部に会いまして、考え方を聞いて、かなり懇談をしてみたわけでありますが、だいぶこの周囲の空気から見ても、だんだん問題の核心に近づきつつあるような気がいたします。そこで日本として一体、どういう役割りをすべきかというようなことも考えないわけでもないのでありますが、これだというようなものはまだございませんので、まことにその点申しわけないと……。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 一言だけ。それは慎重なことはよくわかるのです。大向こうをねらっていくようなことは、日本として慎しみたい、これはわかる。しかし、また外交は、外に出るばかりが能じゃないのですから。あなたは外国をだいぶ回ってこられて、いろいろ実質的な話などもあるだろうと思うのですが、それはやはり、こういう機会にお漏らしを願いたいのです。そうして、しかし、また、慎重だけで、何もしないのではいかぬので、これ以上申しませんが、慎重なことは、われわれはみな必要だとは思いつつも、もうそろそろ今度は外へ出て、やはり、表へ出てやることがいいんじゃないか、こういう意味で言っているのでありますから、その点はよくお考えいただきたい。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで最後に、ベトナム問題はこれが最後で、ほかの問題に移りますが、いま外相は、全部出尽くしたと言われましたが、その出尽くした中で、どういうものがいいのか、それも考えていないわけですか。そうすると、いまの内閣、椎名外相は、これについては特別の施策を持っておらない、帰り新参であるから、様子を見て、チャンスが来れば一口乗るが、特別の発言はしないという、これは非常な皮肉というか、いやな言い方ですが、率直に申して、結局そういうことなのか。あとは商売一点上張りということなのか。しかし、それにしてもおかしいのは、チトー大統領を呼んだり、ナセル大統領にも招請状を出したり、それからドゴール大統領を呼びたいと総理はこの前私に言われましたが、あるいはウィルソン・イギリス首相を呼ぶとか、これは単なる親善なんですか。何かそういうことと若干の関連があるのですか。その辺はどうなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 直接関連はないと思います。やはり親善ということなんですね。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そうすると、結局、日本としては特に何らかの役割りを果たす意味の特別の構想は何も持っておらない、こう理解していいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ベトナムに関してはですね、ええ。ベトナムに関して特別の意図を持って招請をしているわけではございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いや、招請の問題は別です。それはわかりました。外交の姿勢としてベトナム問題については特別の構想というものは何も持っておらないのか。そう理解していいのかどうか。あってもこの席では言えぬということなのか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、持ちたいと大いに努力しております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もうよろしいです、これ以上は。  そこで、次には中国代表権問題もいよいよきょうから実質の討議の段階に人って、各種の決議案が提出される様子であります。きょうは私は本質論には触れません。問題の取り扱い方を中心に二、三お尋ねをしてみたいと思います。まあ、それより前に、伝えられているカナダ案やイタリア案、これに対して日本はどう対処しようとしているのか、ますその辺の事情からお伺いしておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本は、例のとおり重要事項指定方式でこの総会に臨んでおります。カナダ、イタリアは、――それからそのほかにも二、三あるようでございますが、まあ結局、いまそういう新しい提案をしようという国が集まって、そして何とか力強く一本にまとめて提案できないかというようなことでせっかく相談を進めておる最中のようであります。それで、どういうふうにこれがまとまりますか、まだいまのところはっきりとした結論は出ておらないように思います。でございますから、これにどう対処するかということは、日本としてはまだ、的確にこれをつかんだ上で日本の態度を打ち出すと、こういう考え方でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこで、イタリア案というものの真意というものは一体どういうものなのか、われわれはわれわれなりに承知しておりますね。カナダ案は、要するに二つの中国問題、イタリアは、特別委員会を設置して慎重に討議しろということのようですが、そういう問題はかなり外務次官の、下田外務事務次官の考え方や談話というようなものがたくさん新聞に出ているわけです。ところが、当の外相がこの席でそんなことを言っておっては、この委員会は全く意味のないものになってしまうのですが、その辺、もう少し浮しく御説明いただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) こういう大事な場所で、簡単に、まだきまらない問題を推測して申し上げると混乱いたしますから、いま申し上げたように考えておるわけでありまして、まあ、いずれ数国集まって、イタリア、カナダ、ベルギーその他二、三集まってしきりに協議をやっておりますから、その結論が出てくると思います。そういう場合には、こういう形の場合にはこう、こういう場合にはこうと、いろいろこちらも準備しておりますので、その上でないとはっきり申し上げるわけにいかぬと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私たちが新聞の報道等から推測するところによれば、日本がかりに、カナダ案には反対するようですが、イタリア案に賛成するとするならば、重要事項指定方式で、中国の国連加盟を実質的にたな上げするために、その票集めの一つの戦術として、イタリア案もときによっては賛成してもよい、そういうふうに受け取れるわけですね。依然として中国の国連加盟問題をたな上げするというこの方式の継続が、いまの外交姿勢と理解してよろしいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 重要事項指定方式を持ち出しているのは、中国問題がきわめて重要であるから、単純な投票ではきめてはいかぬ、かえって問題を誤ると、こういう考え方なんです。実質上、かりにそういうふうな重要事項指定方式によって投票が行なわれる場合に、白を入れるか、黒を入れるかということは別問題にして、それに現われる重要事項指定方式を取り上げる姿勢は、問題は重要であるから慎重にやろう、こういうことなんです。かりにイタリアの案でございましても、いきなりそういう投票によらずに、十分に委員会において審議をして、そうしてその次の国連総会においてこれを報告をして、そうしてその上で決定をすると、こういうことになるのだろうと思いますが、どっちにしても、とにかく問題を慎重に取り扱うという点においては同じだと思うのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そこでかりに、政府が重要事項指定方式の――本質論は私はやりません。先ほど申したとおり、きょうは全くの手続上の問題をお伺いしているのですがかりにそういうことで重要事項指定方式との関連で、日本がイタリア案を支持するようなことが起こった場合には、それは中国の国連代表権問題は、日本としては白紙に戻すことを意味することになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 別に関連はありません。重要事項指定方式というのは、中国問題については、いやしくも実質問題に関する限りにおいては、三分の二の多数できめようと、こういうだけの問題、片一方は、それを委員会にかけて慎重に審議をした上で運びをつけよう、こういうわけであります。お互いに排他的ではないけれども、別に関連するというわけではない。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 時間がないので簡単にいたしますが、そこで、かりにイタリア案等が総会で議決された場合、日本も賛成して議決されたような場合には、特別委員会設置がきまった場合、その結論には日本は従うということですか。特別委員会設置には賛成だが、一応の結論が出ても、その賛否はまた別だということなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) それは委員会の結論がどういうふうに出ますか。審議の経過はどういうふうに経過をたどるか、おそらく千変万化と言っちゃ少し大げさかもしれんが、そう簡単ではない。その具体的な状況に従って日本としては対処をするという以外にはお答えできません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 中国の国連代表権問題は、特に重要事項指定方式ですね、これは本年がすでにその限界とお考えになりませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 別にことしが限界であるというような特別の理由は私はないと思います。だんだん様子が少しおかしくなってきたなというような考え方もあります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それでですね、これもベトナム問題と同じことで、政府の基本的な方針というものはほとんどないわけですね、対中国問題に対して。そこで、問題は票読み――今年度の重要事項指定方式は何票取れるだろうか、負けはしないだろうか、勝てるだろうか、全くの票読みに終わっております、日本外交というものは。ところが、さきに中国はミサイル実験に成功した。核開発のテンポは予想より早い、こういわれておる。ところが、この場合、中国の参加しない軍縮、これは核を含むわけですが、全く無意味だということは、これは言うまでもありません。世界の今日の非常に重要な問題であります。そこで、世界的なこの軍縮という立場に立って考える場合に、実質上中国の国連加盟を阻止するための重要事項指定方式、これと、この世界的軍縮との関連性はどういうことになるのですか。それをどういうふうに理解して対中国外交をおやりになっておるのか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 重要事項指定方式によって中国の加盟、国連追放ということをやろうというだけの話であって、その場合に、日本はどっちに投票しようと、その結果が三分の二以上の多数をもってそれが通った場合には、日本はそれにも服しないと、こういうことを言っておるわけじゃないのです。でありますから、重要事項指定方式、すなわち、加盟阻止というふうにお考えになるのは、これはちょっと飛躍であると私は考えます。  それから、軍縮は、これは中国が国連に加盟しようとしまいと、とにかくこの軍縮には参加してもらう、こういう方針であります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 従来の歴史的な経過からいうならば、この重要事項指定方式というものは、中国の国連加盟を実質的にたな上げするための一戦術であったことは、これは明白である。これは歴史的な経過から見て明白です。そこで、それではかりに特別委員会なりあるいはそのほかいろいろ出てくるでしょう。イタリア案の特別委員会設置その他いろいろ出てくるでしょうが、その場合に、日本の従来の実質上国連加盟阻止を目途とした重要事項指定方式、今後はこれに必ずしもとらわれるわけではない、適当な結論が、単なる阻止だけでなしに、今後は加盟について何らかの新しい分野が開けてくる、そういう場合には、その方向に沿うこともあるわけですね、日本としては。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) かりに特別決議によって中国の国連加盟が可決された場合には、日本はそれをも否定するというような立場は私はとれないと思うのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私の言う意味を正確に受け取っていただいたらと思うのですが、特別委員会設置は、それはやはり多数できまればそのとおりですよ。その結果として、いままでの加盟阻止をねらいとしたようなことと全く異なった見解が出てきたような場合にも、それが多数の決定であるならば、日本政府はこれに従うかどうかということなのです。加盟が実現するような場合。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 委員会がどういう経過をとってどういう結論になるか、それはいろいろ私はわれわれの想像以上の問題が起こってくるかもしれない。しかし、穏やかにそこで審議されて、そして再び国連総会のそれが舞台に移って表決でいずれきまるだろう。そうして国連加盟が可決されたという場合には、これはその事実を無視するわけにいかぬと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私はこの問題は、この辺で従来の重要事項指定方式は白紙に戻して、新しい観点からこの問題に取り組むべきだと思います。ただし、私は中国のいまの行き方に賛成しておるわけではない。は私なりの考えを持っておりますが、それは、世界平和の観点から見て、総理も外相も、しばしばこの委員会で世界軍縮会議への中国の参加というものに賛意を表されてきておるわけです。ところが、国連加盟を阻止して、国連のワクの外で軍縮会議に参加しろと言ったって参加するはずはありませんよ。そんなことはあり得ざることです。だから、まじめにこの軍縮ということを考えるならば、その気に食う、食わぬ――現在の北京が気に食うか、食わぬかということは別として、一応そういうワクの中に入ってもらって、そこで世界と共同歩調で問題を討議していくと、こういう態度がなかったならば、平和の実現は困難ではないか。そういう条件のもとでなおかつ実質阻止を目途とするような重要事項指定方式を、しかも共同提案国となったということは、これはおかしいのではないか。そこで世界軍縮会議との関連はどうなるか。その問題をかなり重く見ないと、中国問題の根本的な私はなかなか解決はできないと思う。その辺をひとつお伺いします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 共同提案国になるということは、中国の問題がきわめて重要な問題であって、極端なことを言うと、人口が十万足らずの国もあるくらいなんですから、それの向背によって問題が決するということを考えるのです。そういうようなことできめるべきじゃないということを考えるのです。そういうようなことできめるべきじゃないということを考え、ぜひこれでいきたい、これを再確認してこれでいきたいと、こういうので共同提案国になるのでありますから、別に共同提案国になるから特別の意味がそこに出てくるということは私はないと思います。  それから、軍縮に参加させなければならぬと。であるから、これを誘っておるというわけでありますけれども、これはかりに国連に参加すれば非常に問題の、何といいますか、運びがスムーズになると、こういうふうにお話しになりますが、まあ、現状では、国連を気に合うように改組しなければ入ってやらないというようなことを公然と言い放っておる状況でございますから、改組してそしてお迎えするというようなことではなかなか手間がかかる。やはり軍縮問題は、これは非常に急ぐ問題で重要な問題であるから、とにかく大局的にこの問題に対して目を開いて、そして参加せよと、こう呼びかけるのは、これは当然のことだろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これで最後ですが、私も中国が国連改組を主要な条件としておることとか、あるいは朝鮮戦争のときの決議の取り消しの要求とか、それは百も承知しておりますが、問題は、一応そういう加盟に道を開いて、そういう中で向こうがそういうことを言ったならば、あらためて世界全体がそれに対処する方法を考えればいいことで、一応中国の意思いかんにかかわらず、国連側として世界全体がそれに道を開くと、それが順序として必要ではないか。それなのに日本が、外相は、必ずしも重要事項指定方式は阻止やたな上げが目的ではないと、重要な問題であるから十分討議してもらうと言われておるのですが、しかし、ほとんど、重要事項指定方式がかりに通ったってそれなりの話で、これに真剣に取り組んだ討議ということはないでしょう、実際問題としては。一年間たな上げにすれば事足りると、こんなことで当面の重要な問題は絶対に解決しないし、日本外交の前進もない。私はイデオロギーの問題は金然別です。あるいは原則論も別であります。そういう外交姿勢がないということは非常に残念であります。きょうは時間もありませんから、ほかの方の御発言もあるようですから、この辺でやめておきますが、結局この辺でもう一度問題を白紙に戻して、国連で阻止を目的とするような決定――決定というよりも、そういうことと違った条件が、あるいは考え方が国連に出てきた場合、それはやはり世界の多数の方向に従うと、先ほどの発言をそのまま理解してよろしいですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほどの発言のとおりです。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まず最初にお尋ねしたいことは、今回外務大臣は東南アジアをはじめヨーロッパの視察をされて帰ってこられたわけですが、非常に短期間の旅行とはいえ、やはり東南アジアのごときは十三年ぶりで日本の外務大臣が行ったというようなことで、現地の反響も非常に大きかった。また、外務大臣自身としても、日本政府を代表して、今後の日本が東南アジアに果たすいろんな問題、あり方という点について各指導者階層とも十分話し合ったんではないか、またヨーロッパにおいても、同じような行き方でもって、特に、これは推測でありますけれども、先ほど来から問題になっておりますベトナム問題を中心として、何らかの形で収拾策をという、そういう意図があったのではないか、こう思われるのでありますが、今度の旅行を通じてどういう成果があったのか、またどういうことに期待できるのか、そういう点について外務大臣のお話を伺いたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 東南アジアは日本にとっては非常に大事な地域でございまして、この四月に経済開発閣僚会議も開かれ、またその成果として近く行なわれる東南アジアの農業開発会議がございます。そういうことであるのにかかわらず、日本の閣僚が最近だれも東南アジアを訪問しておらないということは、どうもあまりにも形が悪い。かたがた、私が東南アジア四カ国、すなわちタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、これを引き受けていわゆる親善訪問をしたわけでありますが、他の諸国は農林大臣がお回りになりました。なお、ベトナムとカンボジアの二カ国は通産大臣がいま訪問中でございます。そういうことで、日本として東南アジアを非常に大事に思っており、今後提携していかなきゃならぬ地域でございます。それに一応義理を果たした、こういう形になるわけであります。私は非常に忙しく、少ないところは一泊、多くても四泊、こういうことで四カ国を大急ぎで回ったわけであります。  主として私は、日本の外交の基調と申しますか、日本外交の基本的なあり方、そういうもの、またこれに関連して東南アジアの経済協力というものを取り上げて、そしてお互いに共存共栄をはかっていきたいという点は、これはまあ前から、四月の会議でも話したことでございますけれども、とっくりと首脳者に会って、最近の情勢をからませて、そして懇談をいたしました。また、向こうのこれらに関する考えも十分に聞いたということに尽きるわけであります。ただその中で一様に言っておるのは、日本はやはりアジアにおける大国である、特に東南アジアに対してはぜひ指導的な地位をとってもらいたいと、あらゆる問題について日本をひとつ指導者と仰いで自分らはいきたいと、こういうようなことを熱心に話しておりました。しかし、そういう問題については、私は日本が特に東南アジアの指導者というようなうぬぼれを持って臨んでいるわけじゃないので、東南アジアの繁栄が日本の繁栄に不可欠であり、東南アジアの平和は日本の平和に不可欠である、そういう意味において苦楽をともにするという間柄で、よくなることにとにかく日本として相応の努力をしておるというだけの話であります。同じような効果をほかの国のイニシアチブによって達成されるなら、何もこっちはそれに対してどうこうという考え方は持ってないということを言っておいたわけであります。  それから、その国によって、政治のあり方、経済のあり方、いろいろ違います。特にインドネシアについては、最近新政権ができまして、その新政権の実力者に全部会いました。非常に快く迎え、また新政権の意気込みもはだに感ずることができた。非常に紊乱し財政を立て直す上において、IMF等の国際機関から竹に人を派遣してもらって、そして十分に国内の状況を観察して、その指導によってやっていきたいという意向のようでもあった。それからまた、日本との経済の結びつきについては、これは日本に限ったわけじゃありませんが、合弁ということを非常にきらっておった。合弁組織でだんだん数にものを言わしていわゆる経済支配をされるのじゃないかというような考え方でございましたが、そういう考え方で、それで金は出してもらう、金は出してもらうが発言力はゼロ、ただしお返しは、出してもらった金で開発をして、そして生産物ができた場合に、その生産物で返そう、こういう行き方一本であった。ところが、これにはいろんな長短がありまして、やった結果は必ずしも一〇〇%いいものじゃない、こういういき方は。そこで、最近はすっかり考え方を変えて、従来の行き方のほかに、合弁事業でいくと、こういういま法制を準備しておるようであります。その他、とにかく責任者が日本にやってきていろいろ話しておりましたが、その約束は逐次着実に果たしつつあるというふうに私は見てとってきたのであります。それから全然新しい人は、ナスチオン将軍とスハルト副首相でございます。ナスチオン氏は非常に精神面である。東洋的な精神家である。新政権の精神的支柱をなす人でもあるので、十分に自重して、新政権が健全に育つように見守っていただきたいと、こういうことが日本の利益でもあるということを話しましたら、大いに感激してうなずいておった。それからスハルト氏は、訪日を私がお願いしたところが、即座に、ぜひ自分は行きたいと、いま一番大事なことは経済建設である、日本は世界の奇跡といわれるような経済の再建をやってのけた、そういう日本と非常な親善の間柄にあるということは幸いなことであるし、この機会に日本に渡って十分に実際の見学をしてまいりたいということを言っておりましたから、わりあいに早く訪日が実現するのではないかと思います。  それから、シンガポールに参りまして、例の血債問題、つまり戦争中にあすこの華僑を大量虐殺をした、その恨みを日本にまだ持っておる。とにかくケリをつける上において何がしかの賠償をせよと、こういうことを言っておるわけであります。これはシンガポールが分かれる前からやかましく言われておった。その後シンガポールがマレーシアと分かれた。それでとだえておりましたのであります。今度私が行くについて、向こうがぜひこれをというので持ち出してくることはもう明瞭であった。いろいろ財政上のいきさつも当方のほうにはございましたが、結局、これは大事な問題であるからというので、私が向こうにおる間に、さらに日本でこの問題を検討した結果、これが無事円満におさまった。在留邦人の連中は、もうほとんど聞いたときは絶句するような驚きであった、うれしいやら何やら。ということは、日本人会でよく子供を集めてあすこで運動会をするんだそうでありますが、どうも空気が険悪になって運動会の最中に石などをほうり込まれたらたいへんなことになるというので、ずっと郊外のほうに行って運動会をやっているというようなことで、戦々恐々として暮らしたときもある。この問題が解決しないということになると、商売その他でも非常な暗たんたることになるんじゃないかと、非常に心配しておりました。向こうへ行ってみて初めてそういうことがわかりましたが、無事解決いたしました。  東南アジアは大体そういうことでありまして、あとはヨーロッパの英仏でございますが、日英定期協議、これはイギリスでやることになっているのです、ことしは。それからフランスは向こうがことしはやってくる番でございましたが、政情が非常に忙しいので、もしこちらのほうに来るついでがあるというならば、ひとつこっちでやってもらえばたいへん都合がいいと、こういう申し入れがありましたので、これはわれわれのほうでこれに快諾を与えて、そうしてパリで日仏定期協議をやることになったのであります。  イギリスでは、主としてローデシア問題等について、ウィルソン首相がみずから出かけている問題だけに、このほうの話が非常に力が入っておったようで、何しろ短い期間でありますから、半分表敬、半分会談という会談をやりまして、あとは総理大臣の主催するという昼飯がございました。ごく少数のイギリスの内閣及び与党の領袖連中と昼飯を共にいたしました。それから、外務大臣は今度初めて会う人であります。ブラウン――労働党のはえ抜きの人で、この間まで経済関係の大臣をやっておりましたが、新しく外相になったわけであります。それで、この間、グロムイコ・ソ連外州が来て、だいぶゆっくり会談したようであります。そういったような問題を聞きました。中共、ベトナム問題に関連していろいろ腹蔵のない意見を聞くことができまして、たいへん有益でございました。  それからスペインは、昨年の三月でしたか、外務大臣が向こうから日本の招待によって参りまして、それのお返しといいますか、向こうから非常に切なる招待がありました。それで三日ばかりさいてスペインを訪問して、フランコ総統にも会いまして、非常にこれまた有益であったと思います。とにかく、独裁者ではありますけれども、まあ貧乏ゆるぎもしないように国内を治めておる。最近は、だんだん自由化の傾向が強いので、いろいろ苦労があったようでありますけれども、とにかくフランコ総統の目の黒いうちはあの独裁体制はゆるがないように思われました。で、フランコ総統は、やはり軍人なだけに、中国の核実験等の問題にからんで、日本はこれに対して、どういう対策を一立てるつもりかといったような率直な意見がございまして、こっちの意見も申し述べたわけであります。まあ、いろいろ歩くというと、型の変わった人に会えるので、そうしてなまの意見を聞くということは、いろいろ参考になったわけでございます。  以上はなは、だ簡単でございますが……。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 物見遊山的なものだな。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) そう言われてもしかたがない。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 外務大臣としてはばかに長い答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。  次にお伺いしたいことは、今度の視察を通して、具体的に約束されたこと、あるいは約束まではいかないけれども、十分検討して協力を惜しまないという一つの方向を示したような内容等があるのではないかというふうに思われます。が、東南アジアの場合にしても、あるいはヨーロッパの場合にしても、なかんずく東南アジアにおいては、そういう、まあ傾向といいますか、考え方が強かったんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 東南アジアは、これはもう経済協力の問題は事務的に外交ルートを通じて進められております。それで、私が手がけてやった問題は、いま御報告申し上げたシンガポール血債問題、これにケリをつけたというだけで、あとは何ら新しい約束も何もしてまいりません。終始親善旅行に終わったわけであります。それからヨーロッパもそのとおりでありまして、いろいろこれらの国との関係はあります、いろいろ。たとえばスペインなんか何もなさそうに一応思われますけれども、例のカナリア群島の中にラスパルマスという漁業基地がありまして、日本の漁船がもうあそこにも非常にたくさん行っている。日本の漁船を中心にして漁業景気というのがわいているという状況、そういうわけでありますから、スペインと、漁業の問題一つつかまえても、まあ、今後いろいろな問題が起こってくる、そういったようなことには直接触れませんでした。ただもうごく概括的に話をした。たとえば、十二海里の漁業専管水域設定ということが近ごろはやっておる。あそこでも、やりたい、こんなようなことを考えていたようであります。そんなことまあ持ち出すと、どうも少し話が重苦しくなりますので、いろいろ日本の漁業もはるばる進出してごやっかいになっておるのでありますけれども、今後どういうことになろうとも従前どおりよろしくお願いすると、まあそう言ったら、向こうはうなずいておったから、たとえば漁業水域というのが決定されても、従来の権益は十分に守ってくれるのではないか、こういうふうに勘ぐって帰りましたが、それ以上言うことはありません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまの大臣の最後のおことばで、何かこうするっと逃げられたような感じを受けるのですが、確かに最高責任者である大臣、しかも今度の旅行に際しては、本来総理が大体回る計画のところを回られたということも聞いておりますので、あるいは実質的には首相代理という形で行かれたとも聞いております。ならば、もちろん親善ということも大事でしょう。各国の指導階層と意見を交換することも、それは大事だと思います、その結論が出る、出ないにかかわらず。しかしやはり、先ほども大臣のお話にございましたように、特にまあ東南アジアについては日本が指導的な立場に立ってリードしてもらいたい、これはおそらく東南アジア各国とも共通した考え方ではないか、こう思います。ならば、やはり先ほども若干問題が提起されておりますように、いま一番東南アジアとして何が焦点になってるかといえば、それは経済協力の問題、これはもう広範にわたってあることは当然でありますが、やはり何といっても、ベトナム問題というものをどうすれば解決できるのか、日本としてもそれだけの期待を寄せられている以上は、多少前進的に、あるいは足がかりをつかむような、そういう前向きの姿勢というものがほしいんじゃないか。佐藤総理が就任早々予算委員会で冒頭に申された外交方針というものをいま振り返ってみましても、積極的に東南アジア外交を推進すると、こう申されていらっしゃるんですね。それを具体化する外務大臣が、やはりこうしたいま最も懸案となっている問題等をかかえて、東南アジアの指導階層はもとより、あるいはウィルソンにしても、あるいはドゴールにいたしましても、あるいはフランコはどうかわかりませんけれども、いずれにしても、何らかの形で解決に前進的な行き方を示すという方向がほしかったように思うんでありますが、今後やはり大臣として行かれる場合には、そのくらいの用意というものがあってしかるべきじゃないか。どだい、表向きは親善だと言われるけれども、実際はやはり相当大きな使命を持って大臣が一たび動かれるわけでありますから、行くのが常識じゃないかと私は思うのです。いまのお話で大臣は終わられたようでございますが、じゃ一体いまのお話を伺ってみて、ただうなずいたとか、非常に日本のこれからの外交を期待するとか、たいへんおほめのことばにあずかって帰ってくるだけでは、やはり何にもならぬと思うのですね。せめて大臣としてもっと積極的にやってほしかったということはいま申し上げたとおりでありますけれども、もう一度重ねて申し上げたいことは、そうした面を含んで、まあ一つの日本政府としての基本方針というものを述べられたそうでありますから、そうした問題に関連して、何らかの形でベトナム問題等を通じての東南アジアの今後の繁栄――先ほども大臣は、東南アジアの繁栄はすなわち日本の繁栄に通ずると、こう申されました。ならば、もっともっと加点をベトナム問題の収拾ということに意を用いてよろしかろうと思うのですが、先ほど来から答弁を伺っておりますと、何らその考えをお持らでないようでございますが、ほんとうにそうした問題について話し合いというものはなされなかったかどうか、それを重ねてお伺いしたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) この問題は、話に出たところもありますし、それから出ないところもあります。まあマレーシアなんかは、もう自分のインドネシアとの紛争が解決して、相当な国幣を使って、まだしかし裕福な国でありますから相当の余裕は残っておるようでありますが、急いでとにかく国の建設、平和建設というものに夢中になっておる、そういう状況で、ラザク副首相、この人はまた経済の企画のほうのやはり元締めをやっておるようであります。そういう方面の建設の状況なんかを主として聞いてまいりましたし、それからインドネシアはインドネシアで、いまお話しするように、日本に来て、ハメンク・ブオノ副首相がいろいろ折衝した、二度やってきました。そのフォローアップ、そういったようなものについて、話がついそちらのほうに話の重点が移って、中共とかベトナムというような話し合いをする大体時間がない。そういうわけで、まあこの人たちとさしあたり話すということは、やはりインドネシアの再建の問題、日本とのいろいろな経済協力の問題、そういうことがとにかく当面の問題であって、これは二国間で話し合えばそのとおりに大体進んでいくというものであります。でありますから、私はベトナム問題や中共問題を忘れているわけじゃないのですけれども、やはりそういう問題を持ち出すときは、時と場所と相手というものがあると思います。でありますから、その話は、マレーシア、あるいはシンガポール、あるいはインドネシア等においては一切出なかった。タイ等においては、これはいろいろな問、胆について翻し合いました。そういうわけです。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ各国の――といいましても、英国であるとか、あるいはフランス、あるいはソ連等の外務大臣が動くときには、なるほど表向き親善という形で行かれる場く場合があるでしょう。しかし、必ず目的を持って動いておる、これはもう常識でありましょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) それ、ちょっと補足しましよう。  イギリスは五回目の定期協議。それで、会ったのは、ウィルソン首相、それからブラウン外相、それからジェイ商務相、この三人。もちろんこれは親善でも何でもありません。でありますから、中共問題あるいはベトナム問題等については、これは相当突っ込ん、だ話をしてまいりました。イギリスがどういうことを考えておるか、また最近イギリスを訪問したグロムイコ・ソ連外相との間にどういう会談がかわされたかというようなことも、実はなかなかそういうことはしゃべってくれないんですよ。しゃべってくれないんですが、相当ざっくばらんな人で、ずいぶん相当な機微に触れた問題も話してくれました。しかし、これは内容は申し上げるわけにいきません。  それから、クーフトミュルビル――フランスの外相ですね、これとはずいぶん長い間話をしました。まあドゴールさんの言っておる、あるいはドゴール大統領の行動、そういうものは、われわれどうもどうつないだらどういうふうになるかという疑問がときどき起こるんですけれども、クーブドさんの解説といいますかね、彼の論理というものを聞いて、なるほどそういう論理かというような気がいたしました。これもどうもなまな問題でありますから、お話ししたいんですけれども、こういう場所ではお話ししにくい。まあヨーロッパのほうは親善じゃございません。  ただスペインは、親善、答礼といいますか、そういう意味がありますが、英仏二国は、これはもう定例の協議です。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま最後にお伺いしたお話の中に、英国を訪問されましたときにベトナム問題について突っ込んだ話が行なわれたということでございますが、もちろんこれは公開を避けられるのはやむを得ないと思います。ただ、何らかの約束、あるいは英国から日本に対して強力な何か提言がありましたか、それだけ答えていただけばけっこうだと思うのですが。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 提言というような、そういうものじゃありませんけれども、まあ希望意見はございました。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この問題に関してはこれでおしまいにいたしますが、次は、もう一点だけお伺いしてとどめたいと思います。  先ほどもちょっと問題になりました、中共の代表権の問題でありますけれども、今回またわが国が共同提案国として中共の国連加盟を阻止しようという決定を見ておりますが、過般中共においては核ミサイルの実験に成功しておる。おそらく相当短期間の間に世界でも最も有力な核保有国になるであろうという推測がなされております。おそらくその時期というものもわれわれの想像する以上に早まるのではないか。そうなりますと、最もその至近距離にある日本としては、当然脅威を感じないわけにいかないと、これは私どもがしばしば主張もし、またそうした問題が繰り返し論議されてまいりました。この中共の核ミサイルの実験、それから今後の中共が有力な核保有国になるであろうというこうした問題についての大臣としての今回のそうしたできごとに対する評価はどのようにおとりになっていらっしゃるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは専門家の間では、いまの米、それから続いてソですね。米ソ両国の核戦力というのは非常に巨大なものであると、それで中共がまあいま開発に着手したばかりである。何年たてばどうなるというようないろいろな推測が行なわれておりますが、結論においてほとんどこの両国に比較してはるかに低いものであると、こういうふうに評価されております。われわれは、まあ有力なる専門家がそういうふうに言っておるのでありますから、それを信じておる。だから、まあ世界でおそるべき有力なる核戦力を開発するだろうというようなふうには考えておりません。しかし、持たない国に対してはやはり相当な脅威であることは、これは事実だと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 その持たない国にとってはまあ相当脅威であるということ、それからまたその前にも申されました、おそらくそう取るに足らないと、私はまあそういうふうにいまの大臣の答弁から伺ったのでありますが、私はこれは当たらないのじゃないかと思うのですがね。昨年アメリカのマクナマラ長官も、中共の核開発については想像以上に進んでおると、また有力な保有国になることも十分考えられると、このような言明があったように記憶しております。そうすれば、日本のこうした問題に対しての評価というものが低いのか、正当な評価がなされているのか、いまのお話を伺うと、相当専門家の方々の意見を総合された発言だと思われるんですけれども、甘過ぎるんじゃないか。あるいは、日米安全保障条約というものがたてになっているために、そんなことは心配するに足らないとおっしゃるのか。いずれにしても、いま最後に言われるように、脅威であるということの問題を通じて考えた場合でも、この際、やかましくいままで論議されてきましたように、政府としてこの重要事項指定方式というものを取りやめて、新しい観点に立って、中共をむしろ世界秩序の中に入れながら、核の実験あるいは使用、製造というものを思いとどまらせるような方向へ持っていくのが、むしろ日本としてとり得る最高の、また最善の方法じゃないかと、こう思いますけれども、その点、あるいは前者の質問と多少ダブるかもしれませんけれども、重ねてその点をお伺いしておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) おことばですが、私はまあはるかに低いということばは用いたが、取るに足らないというふうなお話ではありませんから……。しかし、日本にとっては、私は、日本は日米安保条約というものを結んでおるので、この立場から言うと、アメリカの信頼度というものが相当に高いのでありますから、日本はいかなる種類の攻撃にあった場合でも、必ず日本の安全については責任をとるということを昨年の佐藤・ジョンソン会談においても言われておるとおり、私は日米安保条約を堅持する限りにおいては、中共の核脅威というものは日本にとってはきわめて微弱である、こう考えてよろしいのではないかと思います。しかし、日本が何にもしないで、ただアメリカにまかせておくと、こういう意味じゃない。  日米安保条約に守られておる日本の義務というものはやはり忠実に果たすという必要はもちろんあると思います。  それで、その脅威を今度は薄らめるために、国連に加盟さして、そして核開発の問題も思いとどまらせるとか、とにかく世界の平和愛好国の仲間入りをしてもらう、こういうふうに考えたらどうかというお話でございます。それはにわかに、中共をかりに国連に加盟させたとしても、中共の今日の態度というものは改まるかどうか、これはもうまことに疑わしい。それのみならず、さっきほかの委員にお話ししたとおり、国連に入るについては入るだけの前提があると思う。改組しなきゃいかぬ、気に合うように改組しなければ入ってやらない、こういうようなことを言っておる中共でございますから、なかなか国連に加盟させることすら非常にむずかしいのではないか。かりに国連の表決が中共に味方をいたしましても、実現は困難ではないかと、こう考えております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 他に御発言がなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十五分散会      ―――――・―――――

国会会議録検索システムで原文を見る ↗