本会議 第3号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/07/13
会議録
○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(山口喜久一郎君) おはかりいたします。 議員秋山徳雄君から、海外旅行のため、七月十六日から本会期中請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(山口喜久一郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。山本幸一君。 〔山本幸一君登壇〕
○山本幸一君 私は、日本社会党を代表して、ベトナム戦争を中心とするアジアの平和と日本の外交のあり方について、数点の御質問をいたしたいと存じます。(拍手) 佐藤総理は、過日来、各新聞の世論調査をたいへん気にしていらっしゃる様子であります。お互いに政治家として、気になることはよくわかります。特に、一国の総理に対する国民世論が、歴代総理中最低であるという事実は、私個人として、まことにお気の毒でもあり、かつまた御同情を申し上げる次第であります。(拍手) しかし、佐藤総理、人気挽回の特効薬はございます。もしあなたが人気挽回のために、うらはらのない日本の平和と国民生活の安定を願う政策を実行するならば、たちどころに世論はあなたに味方することを、私はかたく受け合って差しつかえないと思います。(拍手) それには、まず、アメリカのベトナム侵略戦争に加担することをやめることであります。それから、日中の国交回復実現を目ざし、当面中国の国連代表権の承認に踏み切ることであります。そして、アメリカに沖縄の返還を迫り、日韓条約を破棄して、両朝鮮の統一を促進するに必要な役割りを果たすことであろうと存じます。(拍手)また、大企業、財界のみに奉仕する経済政策を改めまして、社会の宝である中小企業者、労働者、農民の働く価値を尊重する政治をやることでありましょう。 先般来の新聞記事によると、佐藤総理は、わしは榮ちゃんと呼ばれたいと伝えられております。政治家として、あなたの心情はよく私もわかります。しかし、佐藤総理、ここで必要なことは、榮ちゃんと呼ばれる前に、国民から佐藤不作さんと呼ばれないことが大切なことではないかと思います。(拍手)総理、私が先刻指摘いたしました不心得な政策を改めるならば、あなたは名実ともに榮作さんと親しまれましょう。したがって、私がこれから行なう質問に対し、榮作さんと呼ばれるような答弁をされることを期待してやみません。(拍手) まず質問の第一は、過ぐる七月五日から三日間行なわれた日米経済合同会議は、国民の大きな関心の前に開かれたのであります。ハノイ、 ハイフォンの爆撃によって、アメリカのベトナム侵略戦争はアジアの全面戦争の危機を思わしめているのであります。今日、沖縄全土はアメリカの核装備基地で包まれ、いまだ国内に多くの基地を持つ日本国民は、ベトナム戦争の拡大によって、一そう深刻な不安におおわれているのであります。したがって、日米合同会議では、当然にベトナム戦争の平和的解決のために、アメリカ側に向かって、日本政府が何かを求めてくれるものと思っていたのでありますが、何のことはない、アメリカ側から一方的にベトナム戦争は勝つぞというだぼらを吹きまくられ、今後一そう戦争の拡大とその協力を押しつけられ、一言半句もなかったといわれておるのであります。(拍手)全くあきれ果てる以外にはございません。また、沖縄百万島民の願望である沖縄の返還問題に、これまた一言も触れていないのであります。あれだけ国民が非難する沖縄の裁判移送問題の抗議すら、おくびにも出さなかったと伝えられております。あるいは中国問題では何が具体的に論議されたのか、全く明らかにされず、ばく然としております。私の想像によれば、依然として中国の国連代表権不承認の堅持、中国封じ込め政策の強化、米中戦争の可否とその見通し等が協議されたと思われますが、これがことごとく秘密にされておるのであります。わずか延べ払い決済をきわめて遠慮しがちにそろりと出しましたが、アメリカに一蹴されてぐうの音も出ず、このていたらくは一体何としたことでしょうか。日本の自主外交いずこにありやと国民は歯ぎしりをする思いで嘆いているのであります。(拍手)これを佐藤総理は一体何と反省するのか、まずお伺いいたしたいと思います。(拍手) 質問の第二は、アメリカの北爆再開の際、政府はこれを支持し、世界の笑われ者になりました。しかも、今回のハノイ、ハイフォンの爆撃に至っても、やむを得ずとして賛成の態度を明らかにいたしました。アメリカの要請によって南ベトナムに派兵している植民地的国家を除いて、世界の一体どの国がハノイの爆撃に賛成いたしましたか。(拍手)今日までアメリカ側に立っていましたイギリスですらこの爆撃に反対し、アメリカに抗議しているではありませんか。 私は、ある外交雑誌を見ました。この外交雑誌によりますと、日本を評して、ふしぎな国だといっております。ベトナム戦争で一番危険区域に入っているのに、アメリカの爆撃を支持しているが、どうにも理解できないといっております。いかにアメリカに従属するとはいえ、また、どんなに特需でもうかるとしても、あまりにも危険な火遊びであると書いております。全くそのとおりではないでしょうか。(拍手) 政府の北爆及びハノイ、ハイフォン爆撃支持の唯一の理由として、北ベトナム共産勢力の浸透をあげております。これは、アメリカの侵略戦争と、同じベトナム民族の内政問題の対立とをことさらに同等にとらえて、国民をごまかそうとする手段にすぎません。両ベトナムの対立紛争は、あくまでも国内問題でございまして、外国の武力はもちろんのこと、一切の介入は許されません。アメリカは、南ベトナムの要請と称して軍隊を派遣し、連日ベトナム人を殺害いたしておりますが、これは国際法上、合法であるといたしております。また、日本政府はこれに支持、協力を与えているのであります。今日ベトナムに派兵されたアメリカ地上軍は、二十六万人前後といわれておるのであります。かくのごとき大がかりの戦闘行為が宣戦布告もされずに行なわれることが、国際法上合法なのかどうか、まず、その法的根拠を明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)また、地上軍二十六万人前後、海軍、空軍六万人前後の本格的戦争が、アメリカのいう軍事顧問団派遣の継続延長と見ることができるかどうか、総理の見解を承りたいと思います。(拍手) 質問の第三は、私は、先般カンボジアからハノイを訪れ、つぶさに現地の事情を視察し、ベトナム戦争の本質をあらためて認識いたしてまいりました。ハノイ、ハイフォン爆撃以後、ジョンソン・アメリカ大統領はたびたび、ベトナム戦争のアメリカの勝利は明らかである。北ベトナム、民族解放戦線側の戦力は完全に制圧した、彼らは近く手をあげるであろう、こういう宣伝を始めております。しかし、皆さん、皮肉なことには、何人もこの宣伝を信用いたしておりません。世界のすべてのマスコミは、北爆以来ジョンソン大統領の人気が低下し、十一月の中間選挙を控え、全く自信を失ったジョンソン大統領の選挙対策と人気挽回をねらった手が、すなわちハノイ爆撃であると評しております。しかし、これもおそらく失敗をいたしましょう。何とならば、アメリカの常識人や国民の多数は、戦争の拡大をおそれ、何のための、だれのための戦争であるかと疑っておるのであります。むすこや夫を帰してくれと要求しているからであります。 私の調査視察の認識では、アメリカがどんなに爆撃を強化しようとも、それによって北ベトナムがくずれることはないと思っております。かつて日本の軍閥に、またフランスの侵略に引き続いて今回のアメリカの侵略戦争と、数十年間植民地政策反対と侵略反対に戦い続けたベトナム国民は、小学生に至るまで侵略に対する憎しみと怒りは皮膚全体にしみ込んでおるのであります。ベトナム人民は、領土の保全、主権の確立、独立と統一、すなわち愛国正義の全人民的戦いに誇りを持っているのであります。爆撃された村落などかえって生産は上がっております。この事実はいま申し上げた彼らの誇りがさせていることでありましょう。ベトナム人民の愛国正義の誇りは、十七、八歳の女性たちの使う小銃でアメリカの自慢するジェット爆撃機を数多く落としておるのであります。北ベトナムの人口千七百万人のうち八〇%以上は農民であります。爆撃の中に二毛作ではあるが、一反当たり八俵近くの収穫をあげております。したがって、私どもの聞く南ベトナムや韓国国民とは比較にならない安定した生活をいたしておるのであります。でありますから、経済生活面からも戦闘が衰えるはずはないと私は思って帰りました。 これに比し、皆さんの耳に痛いことを申し上げます。アメリカの戦闘意欲はどうなのか。(発言する者あり)あなた方は一つも現地をごらんくださらずに、かってなことをおっしゃっては困る。アメリカの戦闘意欲はどうなのか。具体的な例を一つとらえてみましょう。さぞかし自民党の保守反動諸君は耳が痛いことでありましょう。 すなわち、捕虜になったアメリカの操縦士全部がふところの中に約四十センチ四方の布を持っております。この布には十四カ国語の印刷がしてあります。内容は、「私は不幸にして捕虜になりました。水をください、食べものをください、ベッドを保障してください、捕虜交換まで生命を保障してください。さすれば十分のお礼をいたします。」と書いておるのであります。このようにしなければパイロットになり手がないのがアメリカの国内事情であります。(拍手)すなわち、アメリカのしかけた戦争は、不正義の戦争であり、侵略の戦争であることを、アメリカの兵士自身が一番よく知っておる証拠だと思わなければなりません。(拍手)この事実は、アメリカがどんなにすぐれた近代兵器をもってしても、ベトナムの全人民的抵抗にはどうにもならないことを物語っているのであります。 私たちは、過ぐる第二次大戦を振り返ってみて、当時の日本政府、軍部は、連日マスコミを動員して、各地における輝かしい日本軍の勝利と戦果を伝えておりました。しかるに、ふたをあけてみたら、どこでもここでもみじめな敗戦と多くの夫や子供を失った事実を国民は知ってあ然といたしたのであります。私は、ベトナム戦においても、双方ともに、にせや誇大の宣伝をしていると思っておりました。ところが、そうではありません。ハノイには二、三名の国際ニュース社の記者が駐在しております。その責任者の言によれば、「私も、実は、国民をふるい立たせるため、多少は誇大な戦果が発表されるものと信じていました。私はハノイに一年六カ月余駐在するが、北ベトナム側の戦果には、ただの一度もうそはございませんでした。私は爆撃のつど、このジープで現状に昼夜兼行でかけつけて、その事実を確認いたしております。そして、私たちの確認と政府発表とに食い違いがあるかどうかとラジオにかじりついて政府発表を聞きますが、ただの一度も誤った発表、誇大の発表はありませんでした。」と、この人は言明いたしております。これは日本人であります。新聞記者であります。この一事をもってしても、北ベトナム政府は、国民に何事も正確に伝え、国民の信頼を高める政治が、すべての点で行なわれているのでありましょう。私は、これに比較して、日本政府の閣僚各位の言動を今後とも大いに反省する必要があると思います。私は重ねて申し上げます。アメリカは、必ず戦争に勝つ、北ベトナム側は敗れ去るであろうと言うが、このだぼらを何としても信用するわけにはまいりません。(拍手) そこで、お尋ねいたします。ジョンソン大統領は、本年じゅうに五十万の地上軍をベトナムに投入すると言明いたしております。私も、きっとそうなると思います。なぜならば、二、三万人の軍事顧問団を派遣した当時の戦争は、南ベトナムのかいらい政権を表に立てて、実権はアメリカが握っていたという、いわゆる特殊戦争でございました。だが、今日では、全く事態は変わっております。二十数万人の地上軍を投入し、アメリカが戦争の主役を買って出た局地戦争、つまり直接戦争でございます。聞くところによると、戦闘兵士一名に対し、武器、弾薬、衣料、食糧などの物資は、一カ月二トンを要するそうでありますから、二十数万人に対しては、一カ月五十万トン前後を必要といたしましょう。したがって、二十数万の地上軍の物資補給は、その大半が韓国、台湾、タイ、沖縄等を中継地として送られているのであります。そのうち、沖縄が、一カ月約十七万トン、総数の三分の一を占めているといわれているのであります。だが、地上軍を五十万に増兵すれば、輸送時間、立地条件から、大多数の補給地が沖縄に置かれることは、きわめて明らかであろうと思います。先ほど申し上げたとおり、沖縄は、アメリカの核兵器基地であり、加えて、最大の補給地になれば、一体、沖縄の状態は、将来どうなるのか、相手方は、日本人に恨みも憎しみも持っておりません。しかし、みずからを守るために必ず沖縄に報復攻撃をすると思わなければなりません。まさに、沖縄百万島民は、アメリカの侵略戦争の犠牲になることが明らかになりつつあるのであります。私は、これを単に沖縄のみの問題と解するわけにはいかない。アメリカの軍事基地を持つ日本本土にも大きく関係いたしてまいりましょう。特に、沖縄が最大の物資補給地になれば、物によっては日本本土から買い入れることになりましょう。それは、アメリカ本国から沖縄中継で南ベトナムに三十二、三日、韓国、台湾等を中継で約四十日前後を要するが、もし日本本土で買い付けた物資ならば、九日か十日で南ベトナムに輸送することができるからであります。椎名外務大臣は、先般、衆議院外務委員会で、「理論的には沖縄に報復攻撃があり得ます。しかし現実はベトナムは遠いのでありますから、したがってないと思う。」と暗に、ベトナムに報復攻撃のできる武器は持ち合わせていないから心配するなと解される発言をいたしました。ここで椎名さんは、理屈の上で報復攻撃があるということを認めております。しかし、認めるけれども、現在のベトナムにはそのような武器の持ち合わせがないから心配するなということをつけ加えております。全く無責任な発言だと私は思います。(拍手)これは皆さんも御承知のように、現に外国からの援助にせよ、北ベトナムはミサイルを持っております。今後とも、いつでも沖縄報復攻撃に役立つ武器の援助を受けることができると思われるのであります。そうなった際に、沖縄は一体どうなるのか、この際、総理の判断を明確にお伺いしたいと存じます。(拍手) 総理は、過ぐる参議院における発言中、「沖縄が攻撃を受けた場合、アメリカに守ってもらうが、同胞を見殺しにすることはできない。」という巧みな殺し文句を使って、自衛隊の海外派兵のきっかけをつくる発言を行ない、参議院の委員会はそのために混乱いたしました。私は、この総理の発言が、単に総理の思いつきとは思っておりません。おそらく、先ほど私が指摘したとおり、アメリカの戦争拡大方針による沖縄の危機を承知の上の発言だと思いますが、総理、この際正直にあなたの心境をお答えいただきたいと思います。 質問の第四点は、佐藤総理は、日米安保条約の延長、固定化を決意し、着々その準備を進めていると聞いております。私は、アメリカのベトナム侵略戦争は、朝鮮戦争から日米安保条約の締結以来計画されたものと認識いたしております。それは、アメリカ自身が認めているとおり、中国封じ込め政策をねらいとし、アジア太平洋地域を結んだアメリカの支配確立の一環であると思われるのであります。日本政府もまた、このアメリカの方針に協力して、内外対策を進めてきたと言えましょう。外に向かっては、現にジョンソンの十億ドル援助提案を土台として、東南アジア経済開発閣僚会議を開き、韓国提唱による反共アジア外相会議に参加し、日韓条約の締結によって、韓国の南ベトナム派兵を容易にしたではありませんか。したがって、政府の考え方は、一そう反共軍事同盟強化の役割りを果たしつつあることは間違いございません。また、内にあっては、三矢計画をはじめとして、憲法改悪を目ざし、小選挙区制をたくらみ、自民党内に安全保障調査会をつくり、日本の武力強化を計画し、そのためILO条約八十七号批准に便乗し、改悪国内法を政令で施行し、労働者の団結を切りくずし、祝日法に名をかりて、紀元節の復活を実現して、軍国主義思想を吹き込むなどを見ても、アメリカの戦争政策に露骨に協力している点が文句なしに明らかであります。(拍手)このことは、日本国民にとってきわめて不幸なできごとであります。すなわち、日本を戦争の火中に投げ込むことになるからであります。また、侵略戦争に反対し、民族の自決を主張するアジア・アフリカ諸国との経済交流の道をふさぐことになることを私は心配する一人であります。 政府は、先般来横山特使を派遣して、ベトナム戦争の平和解決の打診をさせてまいりましたが、口先でどんなに平和解決を言っても、それはことばをもてあそぶにすぎません。現実は北爆やハノイ、ハイフォンの爆撃を支持し、南ベトナムへの経済援助の名において、アメリカの軍需物資輸送の片棒をかつぐようなことで、だれが一体政府を信用いたしましょう。私は率直に申し上げて、アジア諸国は、日本が本気になってベトナム戦争の平和解決を進めるならば、必ずや多くの支持をしてくれるものと信じておるのであります。 そのためには、まずアメリカの軍事政策に対する協力をやめることです。そして当面最低限中国の国連代表権承認に踏み切ることであります。そして社会主義諸国家間との交流を深める姿勢を持つべきでありましょう。せめても、せめても、この程度の前向きの態度をとるならば、日本の国際的信用は必ず高まり、政府・自民党の尊敬するアメリカ自身も救われることになりましょう。(拍手)総理いかがです。この政策をやる決意がありませんか。私は総理の所信を承りたいと思います。 なお、本年の三月でしたか、あなたの最も信頼するアメリカのマクナマラ国防長官は、アメリカ上院において次のごとき証言をいたしている新聞記事を私は見ました。 その一つは、米中戦争に発展しないという者があるが、それは無責任な言動である。その二つは、しかし、自分としてはベトナムの戦闘そのものが米中戦争に発展するとは思わない。その三つは、米中戦争の原因となるものは日米安保条約であろうと証書いたしております。 この証言は、皆さん、すなわち日台条約、日韓条約、日米安保条約は、いずれも中国を対象とするものであって、米中戦争の原因となる本質はそこにあることをさしておると思わなければなりません。(拍手)日米安保条約は、この意味において明らかに軍事同盟であることを立証いたしております。かかる危険な安保条約をさらに固定化そうとする政府の意図は断じて許せないのであります。日本を戦争の火中に投げ込みたくないという一片の良心が総理にあるならば、日米安保条約の延長、固定化を放棄して、日本の中立を宣言することが最良の道ではないでしょうか。佐藤総理、いかがです。この点についてお答えをいただきたいと思います。 最後に、私は、佐藤総理が口癖に言う政治の姿勢について一言いたします。自民党の諸君、さぞかし耳が痛いでしょうが、前代未聞の悪質な選挙違反を犯して天下を騒がせだ参議院議員の小林章君は、ずうずうしくも国民の世論にそむいて居すわり、わずかに自民党を脱党してその場をつくろったことは御承知のとおりであります。文字どおり高級官僚の恥知らず、ず太さを暴露いたしました。その小林君が復党を許されたというのでありますが、これは一体何たることでしょうか。(拍手)国民を侮辱するのもはなはだしいと思います。専売益金の上前をはね、買収、供応をほしいままにして、多くの職員を犠牲にした悪質な違反者である彼こそ、院の除名はもちろんのこと、自民党の除名も当然でありました。それにもかかわらず、これが復党を認めるに至っては、国民のだれしもあなたの政治良心とあなたの常識を疑うのは当然でありましょう。(拍手)これでは、国民があなたを信用せず、あなたの人気は、ますます後退低下する一方であると思います。物価問題もそのとおりです。公共料金をはじめ、多くの物価をさんざんに上げてしまってから、物価対策懇談会なるものをつくった。全く国民を愚弄いたしております。皆さん、ごらんになりましたか。私は先日ある漫画を拝見した。その漫画には、子供がたこを上げようとしたがなかなか上がらない。そこで子供は、たこの表に「佐藤総理、物価」と書いたら急に上がったとかいてあります。(拍手)総理はこの漫画を一体どう受け取るのか。すなわち、うらはらのない政治をやらないとあなたの人気はますます低下いたします。 私は、一言、総理に御注意を申し上げて質問を終わりたいと存じます。(拍手) 〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 まず冒頭に、有力紙の世論調査、その結果につきまして、たいへん御同情のある御忠言をいただきました。心からお礼を申し上げます。私も、もちろんこの世論調査、これは十分気をつけなければならないと思いますし、ことに貴重な反省の資料だ、かように思っておりますので、この点は、山本君の御忠告同様、私自身が十分反省する、かように御了承いただきたいと思います。 次に、ベトナム問題を中心にしてのわが国の基本的態度について種々御意見を交えてのお尋ねでございました。私がこれをいろいろ整理いたしましてお答えをしないと、御意見の部分が非常に多いので答えにくいのであります。 ただ、まず第一に申し上げたいことは、ベトナム紛争を一方的にアメリカの侵略行為だ、かように断定してしまうことは、私は、はたしてその認識が正しいだろうか、かように思うのであります。(拍手)山本君は、私が申し上げるまでもなく、社会党における良識の士だ、かようにいままでうわさされておりました。また私はさようにも考えております。しかし、この人にしてベトナム紛争を一方的に侵略行為だと断定してしまうことは、認識を誤っておられるのではないか。少なくとも私はこれに賛成をしないのであります。(拍手) また、お話のうちにもありましたように、アメリカは南ベトナムの要請によってここに兵を出したのだ、そのことがはたして許されるか、こういうお話がございました。私が申し上げるまでもなく、紛争は一方的に起こるものではございません。必ずお互いにその責任はあるわけであります。ことに、この南ベトナムの紛争の場合は、私が申し上げるまでもなく、南ベトナムにおける破壊分子に対する北側の援助、これが実は問題だと思います。(拍手)かような意味において南側からアメリカが援助を求められた。そうして、この援助は私が申し上げるまでもなく、国連憲章五十一条ではっきり示しております集団自衛権の働きである、あらわれである、このことがはっきり言えるのであります。(拍手)私どもは、今日国連中心の外交を展開し、また、国連憲章を守り、お互いにこの国連の仲間として、そして、国際平和を達成しようと努力しておることは御承知のとおりであります。ただいまの国連憲章の五十一条ではっきり認めておるこの行為、これを私どもは無視するわけにはいかない。かような意味におきまして、私は、世界の平和のためにもこのことが必要だ、かように思います。 ただ、いままでも申し上げましたとおりに、その理論はいかようにあろうとも、とにかく紛争が続くことは非常に私どもが困ることだ。最大の関心を日本国民はこれに示しておる。かような意味合いにおきまして、一日も早く紛争がとどまることを心から願っております。最近の日米合同委員会の場におきましても、私とラスク長官、椎名外務大臣とラスク長官との間におきましても、この日本国民が持つ関心は率直にこれを披露いたしまして、米側も今後も一そうの平和への努力をしてほしい、このことを強く要望いたしたのであります。(拍手)同時にまた、このことはアメリカだけではございません。北側に対しましても私どもは要望すべきものを要望する。かような意味において、昨日の所信表明にも北側に対する私どもの希望も述べた次第でございます。(拍手) 日米貿易経済合同委員会につきまして、その経過並びに成果を発表しろというお話でありますが、これは共同コミュニケにすでにもう発表されておりますし、これを通じて十分御理解をいただきたいと思います。ただいま申し上げますように、その中身をさらに具体的に説明しろ、こういうお話でございますが、事柄は外交上の問題でございますから、私は、また椎名外務大臣は、ラスク長官に対しまして、日本国民の要望するところのもの、また期待するところのものを率直に披露いたしまして、言うべきものは言った。その内容は、ただいま申し上げますように外交上の問題でございますから、政府におまかせをいただきたい、かようにお願いをするのであります。 さらに、沖縄問題につきましてお触れになりましたが、沖縄の問題については、その基本的態度は、私がしばしば申し上げるとおりでございますから御理解をいただいておると思う。早く復帰を実現することが日本民族の願いであるということはよく申しております。しかしながら、私どもは社会党の皆さんとは考え方が違っておりまして、アメリカの理解と協力のもとにこれを実現すべく最善の努力を払っておるのであります。(拍手)今日、日米間は、今回の会議を通じましても一そう緊密な関係が樹立され、協力する方向がはっきりいたしまして、いまだかってない日米間の親善関係が樹立された、相互援助関係が樹立された、かように私は喜んでおるのでありますが、このこともまた所信表明でお伝えしたとおりであります。 裁判の問題は、これまた十分話し合ってございます。これは現地におきましてこういろ事柄が円満に解決することを心から望んでおりますので、この経過はしばらく時間をかしていただきたいと思います。 なお、延べ払いの問題や中共の国連代表権の問題に触れられましたが、ベトナム問題といまの中共国連代表権の問題は直接関係があるわけのものではございません。ベトナム問題はベトナム問題、国連代表権の問題は代表権の問題としてこれを処理すべきだと思います。また、いわゆる吉田書簡、延べ払いの問題につきましては、これは当時京都におきまして政府の考え方が明確にされておりますので、この席ではあえて申し上げませんが、具体的に、ケース・バイ・ケースによって今後きめていくべきだと、かように思っております。 なお、今回のこのベトナム問題を通じまして、沖縄、さらには本土自身が攻撃をされるのではないか、そういう危険があるのではないか、いつも言われる戦争に巻き込まれるという、こういうお話がございました。これも、良識の人である山本君がどうしてかようなことを言われるのか、私はたいへん疑うのであります。前国会におきまして、これらの関係については明快にお話をいたしたと思います。ことに山本君は、前国会の私の答弁など引用されておりますので、誤解はないと思いますが、いわゆる日米安全保障条約のもとにわが国の安全が確保され、絶対に攻撃的な行為はしない、この国がもしも攻撃をされたならば初めてこれに対する報復的な防御体制ができるんだということをはっきり申し上げたのであります。したがいまして、アメリカの圧倒的な核の報復を最初から覚悟して初めて沖縄やわが本土に対する攻撃が加えられるのであります。私は、かような暴挙をする国はどこにもないと、かように確信をしております。(拍手)この点は、国民の皆さまにも十分理解していただきたいと思うのであります。 さらにまた、この問題を通じて、わが国の諸般の施設について軍国体制がしかれておる、いわゆる軍国体制がしかれておる、こういうことを御指摘になりました。山本君のいわゆる軍国体制とは何を意味するのか、私にはわかりません。私どもは憲法を守り、そうして平和に徹するということを常々申しております。また、いずれの国とも仲よくする、これがわが国の行き方だ、ついては、お互いに独立を尊重し、内政に干渉しないことにしようじゃないか、そのもとにおいて初めてわが国の安全は確保されるのだということを申しております。いわゆる軍国体制、もしもそれが軍国的、侵略的体制をつくるというのであるならば、絶対にさような考え方はございません。しかしながら、わが国を守るに、わが国の安全を確保するに必要最小限度の自衛力を整備するんだといえば、そのことは、当然、私どもは、国策の一つとしてこれを守り抜くつもりでございますから、誤解のないようにお願いをいたしておきます。(拍手) 最後に、私の政治姿勢について、小林章君を復党させたことについての御批判がございました。私は具体的な問題につきましての御批判は御批判として伺っておきますが、私自身の政治的な姿勢といたしましてお願いするところのものは、これはどこまでも清潔な政治、同時にまた能率のある行政を念願しております。これが私の念願であります。なかなかこれを実現することが、ただいまのようにいろいろの批判を受けるようでございます。しかし、まじめに、また着々とその歩を進めてまいるつもりでございます。そういう意味で、今後とも御批判は御批判としていただきますが、御協力もお願いしたいと思いますので、一言お答えしておきます。(拍手) ————◇—————
○海部俊樹君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明十四日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
○議長(山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十二分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 佐藤 榮作君 法 務 大 臣 石井光次郎君 外 務 大 臣 椎名悦三郎君 大 蔵 大 臣 福田 赳夫君 文 部 大 臣 中村 梅吉君 厚 生 大 臣 鈴木 善幸君 農 林 大 臣 坂田 英一君 通商産業大臣 三木 武夫君 運 輸 大 臣 中村 寅太君 郵 政 大 臣 郡 祐一君 労 働 大 臣 小平 久雄君 建 設 大 臣 瀬戸山三男君 自 治 大 臣 永山 忠則君 国 務 大 臣 上原 正吉君 国 務 大 臣 橋本登美三郎君 国 務 大 臣 福田 篤泰君 国 務 大 臣 藤山愛一郎君 国 務 大 臣 松野 頼三君 国 務 大 臣 安井 謙君 出席政府委員 内閣法制局長官 高辻 正巳君 ————◇—————