法務委員会 第6号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/07/28
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。坂本泰良君。
○坂本委員 私は、昭和三十八年の十一月起こりました三井三池のガス爆発事件について、その後の刑事問題の処理についてお伺いいたしたいと思います。 御存じのように、この爆発はちょうど選挙中でありまして、私は立会い演説会が終わってからかけつけたわけでありますが、死亡者が四百五十八名、負傷者が、一酸化炭素中毒患者千名をこえておりまして、現在この負傷者のうちに、入院中の者が二百三十名あります。そのうちに、まだ意識のわからない者が六十名、流動物を鼻から入れてようやく生命を保っておる方が一人、これは熊本大学に入院中であります。それから何食べておるか全然わからない者、これがまだ五、六名おられます。それから子供や奥さんを見ても全然わからない者、こういう方が八名おられまして、私も熊本病院に入院しておる方、並びに大牟田の病院に入院しておる方には、数回お見舞いに行ったことがありますが、全く人間として全然わからない者、それから文字その他のことも全然わからない者で、そういう点については、ほんとうに小さい子供を守するようにして、看護婦さん並びに家族の方々が看護しておられるのを見ますと、まことに見るにたえないものであります。特に爆発当夜の状況を申しますと、あのななめの炭坑から担架に乗せた死体を、えいほらえいほら言ってかつぎ上げる。翌日までわれわれもあの穴の入り口のところで二百名ぐらいはかつぎ上げられる状況を見まして、そして翌日の十時ごろになったら、選挙中でありますから、選挙運動にも行ったような次第でありますが、その死体は大牟田市の二、三カ所に運ばれまして、そして霊柩車、並びに霊柩車が足りませんから一般ハイヤーで火葬場に持って行かれる状況を、現在でもまのあたり見るような状態でございまして、全く悲惨な状態であったわけであります。 この事故に対しましては、警察もその捜査を進め、さらに通産局の保安監督局でも調査をされまして、いずれも双方から福岡地検のほうに書類が送検になりまして、その後現在に至っておるわけであります。 それからなお、三十九年の四月に遺族の丸山登さん外六名から告発状が出されまして、この告発に際しましては、実質上の遺族の代表になっております。それで、どうして爆発が起きたかということについて、われわれも法律専門家としてその会議に数回参加をいたしましたが、あとでも申し上げますが、この炭じん爆発というのは全く会社側に責任があるのだという結論に達しまして、これは傷害致死だけの問題じゃない、未必の故意としての殺人罪に該当するものである、こういうことで、ただいま申し上げました丸山氏外六名の遺族の方が代表して告発状を出しまして、私もその告発代理人の一員になっていると思いますが、その代理人は三百数十名になっていると思います。 その後福岡地検におかれましては、いろいろこの調査をしなければならぬ、さらに、政府は、政府による調査団が設けられる、民間においては、いわゆる三池炭鉱労働組合を中心とした調査団が設けられまして、そしてその事故が発生したことについて実際の事実上の実験をやる。いわゆる公開実験です。公開実験も十数回やりまして、十二回自の公開実験については、いわゆる水をまいてあるところとまいてないところの実験なんです。水をまいておれば爆発しない、まいてないところは爆発をする。そういうような、実験が行なわれまして、昨日最高検の公安部長にその実験の書面等は写真とあわせまして提出しておきました。きのうは福岡の地検の検事正その他から報告を聞いておられるような状況でございましたので、これは一つしかありません、そこに提出をいたしましたから、そういうわけで本日ここにないわけでありますが、そういうわけで、すでに三年有余になっておるわけでありまして、これが殺人であればもっと時効も長くなりますが、傷害致死あるいはその他の刑事上の問題だとすれば本年の十一月で刑事の時効が完成する、こういう状況になっておるわけであります。そういう状況にわれわれは承知しておるわけですが、法務省のほうでは、その捜査の関係は大体私が申し上げたのと同じような状況になっておりますかどうか、その点をまずお伺いしておきます。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの件は、事件といたしましては、昭和三十九年九月八日遺族丸山登外六名から福岡地検に告訴されました殺人、鉱山保安法違反事件、それから昭和三十九年十二月八日に、福岡地検が福岡鉱山保安監督局から送致を受けました鉱山保安法違反事件、それから昭和四十年六月三十日福岡地検が大牟田警察署から送致を受けました業務上過失致死傷事件、同年八月二日同じく大牟田警察署から送致を受けました業務上過失致死傷事件となって検察庁に受理されております。 そこで、この事件につきましては、その後その前から警察及び鉱山保安監督局におきましても、さらに送致後は検察官におきましても、十分捜査をいたしております。特に、鑑定あるいは実験等も十分いたしておりますが、ただいまお話しのように、一昨日及び昨日福岡地方検察庁の検事正らが最高検察庁に集まりまして、いろいろこの件の処理につきまして検討いたしたということでございますけれども、なお昨日の段階におきましては結論に到達いたしておりません。なお補充捜査を要するということでございまして、その協議の結果を持ち帰りまして補充捜査を遂げることに相なっております。 御指摘のように業務上過失致死傷事件あるいは鉱山保安法の違反事件といたしましては、本年十一月に時効完成ということになるわけでございます。もちろん時効完成前にこれらの事件の処理をいたすべきものと考えておりますし、現地におきましてもその心がまえで極力急いで補充捜査を遂げる予定でございます。
○坂本委員 そこで一、二点お伺いしたいのですが、その問題が長引いているのは、いろいろ鑑定その他がありますけれども、それがあまりに長引きまして、その理由とするところを集約いたしますと、第一は化学的証拠がつかめない、それは爆発してしまっておるからわからぬ。第二は、しかしながら、そういうことを言うけれども、炭じんがたまっていて、そうして爆発したことには間違いない、こういうことで鉱山保安監督局からも保安法違反としての書類を送検になっておる。ことにこれは私が考えますに、脱税その他税金をごまかしたような場合は、国税庁のほうから告発をいたしますと、検察庁はほとんどそれを起訴しているようであります。そういうような関係で、滞納税金を納めるとか、ひとつ何とかといってわれわれ行ったこともありますが、しかし、それは税金は納めてもあとのことであるから、脱税違反は検察庁に送って厳罰にしなければこれはくせになるというので、きびしい態度で臨んでおるわけでございまして、検察庁に行きましても、国税庁のほうから回ってきた事件については、容易なことがなければこれは不起訴にできないのだ、こういうことでやっておるわけであります。私もやはりこの鉱山保安監督局、これが保安法違反ありとしてやった以上は、これはもっと早く検察庁は処置すべきである。これは検察庁にも交渉に行ったこともありますけれども、やはり税金に対する国税庁の態度と同じく、また、それから起きた事件に対してはきびしい態度で検察庁は臨む、この保安監督局から少なくとも専門的に保安法違反なりとして書類を送検した以上は、これはさらに鑑定その他も必要でありましょうが、まずもってこれはきびしい態度で起訴して、そしてその裁判の上においていろいろそういう事情等ももしありますればそこで解決する、そういうふうに私は臨むべきである、こういうふうに考えておったわけであります。しかるに、すでにじんぜん三年を経過をしておるようなわけであります。 そこで民間における公開試験その他によりますと、またいままでの経験からいたしましても、このガス爆発というのは、散水、完全に水がまかれておるということになれば絶対爆発はしないわけであります。それからなお、岩の粉、岩粉をまいておけばガス爆発は起こらないんだ。それから完全に掃除をしておけば、もちろん炭じんがたまりませんから爆発は起こらないわけであります。この三つが整っておれば絶対事故は起こり得ない。最初は――それはもう十年もあるいは二十年も前でしょう、この三つを整えておりました。この三川坑の爆発が起きたところは、この三つのことが完全に行なわれておりますから、たばこをのんでも、ガスの仕事をしましてもだいじょうぶだ。いわゆる爆発をしたところはそういう一般に禁止されておることも解除されておる、そういうところであったわけなのです。そこが今度爆発をしたわけなのです。これは何によるかと申しますと、やはり会社の合理化政策に基づくのでありまして、 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕 その散水をするために水管がずっといっているわけですね。そうして何メートルかおきに水が出るようになっている。それを木のせんで詰めてあるわけなのです。木のせんで詰めてあるというのは明らかになっておるわけですが、それは水をまいていないのだという消極的な証拠になる。だからもうなれっこになって、そうして水を散布するのに相当の人員が要るから、合理化で人員を整理して少なくなるからもうここはだいじょうぶだというので、その水の出るところに木を打ち込んであるのです。散水していないということはそれでもわかるわけであります。それから岩粉なんかもほとんどまいていない。そういうような、人員整理をやりますから掃除なんかもできていない。これに対して、いわゆる保安監督官と申しますか、そういうものが派遣されていくわけです。ところが、みんな会社のほうだけ行って、実際見に行かない。まああれはだいじょうぶだろうということで、水害でも災害でも起こるのはそういうことがあるわけです。行かない。酒でも飲んで実際監督をしない。そういう点がうかがわれるわけです。ですから炭じんがたまっていたかいないかは――また炭じんがかりに少しはたまっても、水をまけば爆発はしないわけです。そこに爆発が起きて四百五十八名の死亡者を出した。千名に近い負傷者ができた。こういうような事実が発生しておりますから、会社の合理化によって、会社の怠慢によって、この爆発が起きたということは明らかであると思う。それをなぜぐずぐずしているか。検察庁は科学的実験とか何とか言ってじんぜん日を延ばさずに、何でやらぬか、数回われわれは交渉に行ったし、ほかの人も行ったわけです。なぜすぐに捜査を進めないかという点に大いなる疑問があるわけなんです。そしていま時効が完成間近になってやるというところに、さらにまた疑問を持つわけです。これはいろいろな形式的には鑑定とか、あるいはそういう専門的なことがあるからむずかしいむずかしいと言いながら、だんだん延ばしていく、そういう点があるのでありまして、四百五十八名も死んでおりますから、未必の故意として殺人であるということで遺族からは告発も出ている事件でありますから、もっと真剣にやらなければならぬ、迅速にやらなければならぬ。それを延ばしているのはなぜかというと、やはりこれは遺族その他の方々が言っているように、独占資本にだけ奉仕をしてやっておるから、会社のやることなら何でもできるだろう、何百人死んでもお上にめんどうを見てもらえないのだ。その責任の黒白もつけてもらわなければならぬ、なぜ起訴してもらえないだろうか、裁判が開けないだろうかという不信がここに出てきておるわけであります。佐藤内閣は人命尊重ということを言っております。もしもこれが不起訴になったということになれば、重大な社会問題になると思います。何度も申しますけれども、資本家は何でもできるのではないか、悪いことができるのだ、こういうことになりましたら、これはまた大きなる重大な問題がここに発生してくるわけであります。だからこういう点について、すでにもう結論が出ているから、最高検の指示等にも、検事正がわざわざやってきておると思うけれども、聞くところによると、すでに板付の飛行場に検事正が二十五日に上京する際に新聞社がかぎつけて山のようにやってきて、福岡地検はもう不起訴にきめたのだ、それを最高検の指示を受けに行くのだ、こういうことで、どうですかというのでたくさん新聞社が検事正を追っかけておる。だからわれわれ民間のほうにもそれがわかりまして、きのう最高検に参りますと、公安部長はその報告を聞いておられる状況にあったわけです。ですからそういうような点について万遺憾なき確信を持っておるかどうか、その点はいかがでございますか。いまになって、まだ補充捜査が足らない点があるから補充捜査をすると言われる。何をいままでやっていたか不審に思うわけですが、その点はいかがでございますか。
○津田政府委員 ただいま御指摘の事件につきましては、福岡地検におきましては特別の捜査体制をとりまして、鋭意捜査をいたしておるわけでございます。本件は殺人あるいは業務上過失致死傷あるいは鉱山保安法といういわゆる取り締まり法規違反と、こう三つが問題になるわけでありまして、この殺人ということは別といたしましても、業務上過失、鉱山保安法違反というものは、やはり相互に相当の関連を持っておるわけであります。したがいまして、取り締まり法規に外見的に当たるとか当たらぬとかいう問題もまたさりながら、やはり本質は人命の致死傷あるいは殺人というようなことに関連する重大問題であります。 そこで、この事件が通常の殺人事件あるいは業務上過失事件ときわめて性質が違っておりまして、その責任があるとすれば責任者の範囲もきわめて広いわけである、また多数にのぼっておるということになるわけでありまして、通常の事件を見て簡単にいけるからこの事件もいけそうだというふうには私どもはとうてい考えることができないのであります。すでに警察、鉱山保安監督官、検察官を通じまして取り調べました参考人の数は数百名以上にのぼっておるわけでありまして、証拠品の数も非常に膨大でありますし、また実況見分等もしばしば行なわれておるということでございます。そこでその結果を検討いたしますということになりますと、これはやはり通常の常識だけでは済まされない問題が多々あるわけでありまして、学問的にもきわめて明白であるということでなければ証明が明らかであるということができないということは、あらゆる刑事事件を通じてのことである。したがいまして、この事件の捜査のむずかしさというものはそのような点にあるわけでありまして、これにつきまして相当日時を要することは、私どもとしてはこれはやむを得ないことというふうに考えております。現に昨日及び一昨日の両日にわたりまして、詳細に説明ないし報告を聴取いたしましたし、その内容につきましては私どものほうからも係官によって傍聴させておりますが、内容を報告を受けますと、きわめて複雑であるということであります。そこで今回、さらにある部分の補充捜査を要するという結論が出たことも、またこれはやむを得ないことと私は考えております。でありますけれども、かような大きな事件でありますし、御指摘のように時効も迫っておるわけでありまして、検察庁といたしましてはこの際極力捜査を続けまして適正な結論を出すということに努力すべきでありますし、検事正もその覚悟をもって赴任した次第でございます。
○坂本委員 ぜひひとつ、もう時効も近いから、迅速に――もちろん相当長くかかることは、われわれもそう普通の事件のようにいかぬということは知っておりますけれども、すでにもう三年半以上だから、長くかかるにしても程度がある。こういう点でもっと早く、いまおっしゃられたようにあと補充捜査があるならば、迅速にやってもらいたいと思います。 ただ私はここで一つ心配になることを申し上げて御所見を承りたいのは、政府の委嘱した技術調査団というのが編成されまして、九州大学の山田教授が団長として数回調査もやられておるようであります。ところが、この政府の調査団は報告をまだ出しておりません。ところが、この調査団長である山田教授は、個人の意見としてこういうことを発表いたしております。三川鉱の斜坑にはそう炭じんがたまっておるはずがない、こう言うのです。爆発したのはベルトコンベアーで石炭をあげている、その炭車から炭じんが発散してそうして発火をしたのだ、私、専門家ではありませんので、新聞発表になっておるわけですが、多少その文字が違うかもわかりませんが、とにかく炭じんはたまっていない、しかしながらベルトコンベアーで石炭をあげておるから、そのなまの石炭から炭じんが出て、そうしてそれに引火したのだ、それが舞い上がったからそれに引火したのだと言っておる。ところが、これは学問のない労働組合でも、そんな炭車で掘った石炭を運んでおるのが舞い上がって引火をするというようなことは実際考えられないというのです。どうして採鉱科の、専門家の山田教授がそういうことを言うのだろうか。学問というのはそんなものだろうか。非常な不信の念を持っておるわけです。そうしてこの山田教授が言うのは、それであるから会社は不可抗力である。だから責任はないのだ、こういう発表をしておる。そういう個人的な発表をする前に、なぜ政府の任命した調査団として、その団長である山田教授がその結論を出さずに、どうして個人の意見を発表するか。大三井であるから、三井に迎合し、さらにはもらっておるからこういうような発言をするのだというようなことが――これは現地を中心として多数のものが憤りを感じておる。全くこの政府の調査団というのは、三井独占の御用機関に堕して、そうして正しい調査の結果の発表のできないものである、こういう不信を抱いておるのであります。三井三池はこれを幸いに、この発表を見て、もう山田教授とはなあなあでしょう。福岡地検に上申書を出しまして、そうして山田教授の調査はこういうものである。だから会社は不可抗力であるし、責任がない、こういう上申書を出しておるのであります。だからその上申書の内容はどういうのを出しておるかということを、福岡地検に参りまして見せてください、学問的の発表であるなら、その学問的な発表を三井三池がどういうふうに利用をしてやっておるか、その意見書を見せてくださいといっても、福岡地方検察庁は見せてくれないのであります。われわれでも公開試験をやっておるし、調査もしておるから、それを見たならば、やはりこれは学問的のことであり、実際実験をしていることであるから反駁もできる。そうしてはじめて公正な検察庁の捜査が進められるであろうというので検察庁に頼みましても見せてくれない。その検察庁に対しても非常な不信がある。検察庁もやはり独占資本に対してはそういうもんかな、こういうことがございますが、これがやはり、そのほかにもいろいろありますけれども、第一の心配なんですが、これは地検から報告が最高検に来た場合に、こういう問題についてのこういうのは無視すべきである。なぜ政府の調査団の発表としてやらないのであろうか、こういう点が民間には強く言われておるのでありまするが、どういうふうになっておりますか、この際伺っておきたいのであります。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの件でありますが、山田穣という人が調査団長であります三池災害技術調査団の「三池炭鉱三川鉱の爆発災害の原因並びに災害防止策に関する技術調査団の調査結果報告」というものは、昨年の十一月二十日付をもって通商産業大臣に提出されております。したがいまして、ただいまお話しのこれは同一人でありますが、九州大学名誉教授山田穣等が会社の依頼に基づいて作成した鑑定書というものも、別途これは検察庁に提出されておりますことは、御指摘のとおりであります。しかしながら、これらの鑑定書の内容につきましては、やはり捜査中の事案に該当するわけでありまして、それは公表いたすことはできないと思っておりますが、この三池災害技術調査団の報告書というものにつきましては、その取り扱いがどういうことになっておるか、いま私は承知いたしておりませんが、公式に通産大臣に提出されておることは、私どもははっきり承知いたしております。
○坂本委員 いまのをちょっと確めたいのですが、そうすると昨年の十一月二十日にこの山田教授を団長とするところの政府の任命による技術調査団ですね、この調査団の発表が出ておる、こういうことでございますか。
○津田政府委員 その技術調査団の報告書が通商産業大臣に提出されておる、これが十一月二十日付になっております。
○坂本委員 私はこの調査団の編成についても非常に当時から疑問を持っていたわけです。というのは、何といっても三井という財閥は九州に覇をなしております。しかもまた九州大学は、この福岡県にあるわけなんです。それが団長をやったところに非常に不信が最初からあった。 ちょっと話が別になりますけれども、この水俣の水俣奇病に対する調査団につきましても、これはやはり新日窒の大財閥でありますから、熊本大学の方は排除してもらいたい、こういうことを申しましたが、団長は福岡の九大になったかと思いますが、わりあい公平になっております。しかし、それでもやはりこの新日窒の会社側の代表としての学者の意見というのは、会社の責任がないようなことだけになっておるわけです。しかし事実は、あの会社があるから、そこの魚を食べるし、その魚を食べるから水俣の奇病が発生するというのはわかっておるわけですから、学者というのは全くこれは責任のがれです。責任のがれの理由をつけるものである、こういう不信を持っておるのでありますが、今度のこの三井三池の爆発事件の調査団も、山田氏が、それは相当の権威者であるかもわかりませんけれども、これはやはり三井三池と深い関係にあるわけです。造詣が深い。その造詣の深い者が一方的に解釈して責任とさせない。いわゆる山田教授の新聞に発表されたのは不可抗力だ、こういうことで会社は責任がないというようなことを言っておる。全く不信きわまるものだと思うわけなんです。ですから、こういうのもありますが、いわゆる民間のほうでも、この技術、実験その他もやっておりますから、この点はひとつこの際は福岡地検が最も公平な立場に立ってやらなければならぬ。特にまた私が最初申しましたように、この散水、岩粉、掃除――散水が行き届くためのその水道の管に木を打ち込んであったのが証拠に出ておりますから、水をまいていないというのは1少しはどこかやっておるかもわからぬけれども、その間に木のせんを打ち込んであるわけです。だから、その散水が不十分であるということは明らかであるし、岩粉をまく、これは相当金がかかります、岩の粉ですから……。これがやっていないということはもう明らかなんです。それから掃除が行き届いていないということは、これは合理化の際にわれわれが一番心配した点なんですが、それがやはり人命に及んできた。石炭を保安法どおりにやればなかなか採算がとれないけれども、それを無視してやるから、どんどん予定以上の炭が上がってくるのでありましょう。しかしながら、やはりそれよりも人間の生命はもっととうといものでありますから、それを考慮しての保安設備は十分にしなければならぬ。それを怠ったということは、これは一に会社側の責任であり、少なくとも四百五十八名の死者を出し、千名の負傷者を出し、まだその病気がよくなっていない。全く廃人同様になっているのが多数ある。こういうことを見ますと、何度も申しますが、この佐藤内閣の人命尊重なんていずこにありや、これは全く重大な問題であります。私は、かりに福岡地方検察庁が多少の疑問を持ちましても、やはりこれは起訴して裁判を請求し、その裁判の判断によってやはり結論を出さなければ、この国民の納得というのは得られないと思うのであります。でありますから、これは絶対起訴して、多少の疑問があった点は裁判の判決にまつ、そういうような点を私は重視しなければならないと思いますが、この点に対する、きょうは法務大臣の御出席がありませんから、政務次官の御所見を承っておきたいと思います。 なお、刑事局長に申し上げたいのは、何度も申しますこの三つのことがやられていないということは、これは事実わかっておりますから、それならばやはり会社に責任があるという前提に立って、この山田教授の会社擁護のための不可抗力というような点は、第三次、第四次的にして、そうして本件の処理に当たらなければならぬ、起訴すべきである、私はこう思うのでありますが、最後にお二人の御所見を承っておきたいのであります。
○山本(利)政府委員 本件は、まことに重大な問題でございまして、そのために死亡された方及びけがをされた方に対しては、心からお見舞いを申し上げるわけでございますが、その後も、この問題が一日も早く解決いたしまして、御遺族の方や現に苦しんでおられます方々に御満足のいくようにと、法務省関係でもお祈りをしておるわけでございます。いろいろ長引きましたことについては、先ほど刑事局長からもお話しをいたしましたように、問題が問題でございますし、その結論において万一誤りを生じましたような場合には、重ねて申しわけないことが起こるわけでございますから、今後十分に注意いたしまして、一日も早く解決するように今後努力いたしたいと思います。その間におきまして、坂本委員の御説の中にもありましたように、調査機関といい、あるいはまた検察あるいは裁判関係の者が、大資本家に影響せられて、事の是を非に曲げて事を取り計らうというようなことがあってはこれは絶対にならないことでございますから、その点についても、本日の御意見が十分反映いたしますように、世間の疑惑の起こらないように今後努力を尽くしていきたいと、かように考えます。
○津田政府委員 本件の事故の発生原因及びその防止義務ということが、本件事案の核心をなすものであると思います。その点につきましては、検察庁といたしましては、十分厳正に証拠をもって判断する考えであります。現に昨日、一昨日を通じての報告におきましても、そういうような点が一番問題になったほどであります。したがいまして、検察庁はこの事件に真剣に取り組んでその原因と防止義務の違反ありやいなやという点に重点を置いて極力捜査をいたしておることであるし、今後もさような見地に立ってこの問題の最終処理をいたすことに努力をすることになっておるわけでございます。
○坂本委員 時効も、御存じのように、未必の故意による殺人もあると思いますけれども、業務上過失その他とすれば、十一月に迫っておりますから、いま御答弁をいただきましたように、かつその上に至急に迅速にひとつやっていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○大竹委員長代理 神近市子君。
○神近委員 きょうは大臣がおいでになればぜひ伺いたいと思っていたのですけれども、大臣が御欠席でありますので……。この間高裁の長官の任命式で宮中においでになって、そして天皇陛下から検察審査会についての御下問があったということが新聞に出ておって、法務大臣はそれに御返答したということだったのですけれども、省内で、こういう御質問があってこういう御返事をしたというようなことが話題になったことがあるでしょうか。次官は御存じないでしょうか。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
○山本(利)政府委員 存じません。省内において、大臣が宮中に参内し、いろいろ御下問を受けた際にこういうような答弁をしたというような御報告のあったことは、私聞き及んでおりません。
○神近委員 私はなぜこういうことを伺うかというと、法制の中で、国民の利益を守るという点で、検察審査会は、国民の人権擁護であります。それで、天皇陛下が御下問になったときには検察審査会はこういう性質のものでありますということは、おそらく御返事があっただろうと思うのですけれども、この間から何度も検察審査会の結果を伺うと、三十九年の例でありますけれども、持ち込まれた件数の0・0四ぐらいしか取り上げていない。有名な事件で何度もこれを取り上げてないという実例があるので、私はわざと、このことを記憶してお尋ねしようと、きょうは大臣がおいでになれば、ぜひそのことを、どういう御答申を申し上げられたか伺いたいと思っていたのですけれども、それがきょうは御入院だというので伺えないので、私はたいへん残念に思いますけれども、その理由は、いま三井三池の問題も出ておりましたけれども、人権を守る、国民を守るというようなことに、私どもは日本の法務官僚という方々は、法律さえあれば、法律の適用さえあれば、それで自分たちの役目は済むんだ、その裏に国民を守らなければならないというような意見があるのをちっとも考えていられないような方が多いということです。この間モンテンルパの日本の戦犯を助けたというブニエ博士という方がいらっしゃいました。このモンテンルパの問題を考えても、フィリピンの法律だけでこの人はやったのじゃないのですよ。法律は、人間のためにあるというので、この人は自分の地位をかけて、日本人の百何十人というものを助けておいでになる。私は、こういうような精神というものは非常に大事だと思うのです。それでこの間からお尋ねを申し上げておる国士舘大学の問題でも、片方的な、法務大臣が、あるいは総理大臣が、あるいは椎名外務大臣がというように、顧問とかなんとかいう――この顧問がどうしてできたかということは、この間私申し上げたつもりでありまして、戦前の大日本国粋会の後身であります。そういうものが今日なおあとを引いていて、そうしていろいろな問題を起こしておる。そのことについて、私はまたもう一ぺん刑事局長にお尋ねしたいと思うのです。 この間八人の参考人を呼んで、暴力事件――次官は、実にこの間はっきりと法律と、それから道徳あるいは教育というものの違いというものを明言してくださったのですけれども、刑事局長の御答弁には、私は非常に不満であります。八人調べた。最初は、八人の中で調査中だから名前は言わない、それから今度不起訴になったあとで名前が言えるのかと思ったら、これも言えない、こういうような、何か片寄った御返事、私はちゃんとそのときに呼ばれた人たちの名前はわかっておりますよ。第一になぐったところの柴田学長、なぐられた佐藤教授、これは二人はきまっておりますね。あとの人たちは学生監というような事務とかそういうものをやっておる方々、そうしてこの人たちか――刑事局長、御想像できないでしょう。ちゃんと学長のところへ行って、きょうは呼ばれましたが、どういう返事をいたしましょうかといって、打ち会わせをしてきている。そうして帰って、今度は、こういうことを聞かれましたから、こういうような答弁をしておきました。ちゃんとツーツーなんじゃありませんか。それで老齢であるからとか、あるいは学長の家族との関係が長いからとか、それで不起訴にした、こういうような判定をしていらっしゃいます。私は、その点であなた方は名前を発表なされないのがよくわからぬのですよ。この間ここに参考人横山学生監という人が来たでしょう。その参考人を呼んだときのあの人の応答をみんな聞いております。何のことやら、憲法なんというものは犬法だ、あるいは旧憲法でなければならないとか、大講演をここでして、そして、講演するな、聞かれたことに返事をしろというようなことで、ちっと脳軟化症か何かになっているような返答をしたことを覚えていらっしゃるでしょう、あなた方はその人を呼んでいますよ。そういうようなことをしておいて、そして二カ月の重傷を負わせた、これを何の罰もあるいは戒告もしなかった、私はその点で、刑事局長の考え方が大臣に気を使ったのかあるいは総理大臣に気を使ったのか、そういうような官僚の中の変な気づかいというかあるいは心づかいというか、こういうことではなかったかということを疑うのです。それでこの間、道徳的責任というものはそれにはないかということをお尋ねして、次官は実にはっきりと御返事があったわけですけれども、このなぐられた佐藤教授は検察審査会に提訴しておられます。この間天皇陛下が御下問になったときは、参議院の小林章さんのことが毎日新聞に出ていたから、だから天皇さまは検察審査会というものはどんなものだろうとお尋ねになったと思うのです。新聞でも、結局小林さんはあそこまでいけば審査会法によって取り上げられることはやむを得ないだろうというふうな社説が出ていました。だけれど、私はこの佐藤さんの問題も取り上げるべきだと思うのですけれど、刑事局長はどういうふうにお考えになっていますか。
○津田政府委員 佐藤英夫教授がなぐられて、あるいは足げにされてけがをしたというような告訴であるわけであります。しかしながらこれにつきましては前回申し上げましたように、なぐりかかった事実はあらゆる証拠によって認められるのでありますけれども、佐藤が全治二カ月の傷を負ったという事実につきましてはほとんど証拠がないわけです。もっとも佐藤忠昭という告訴人の実兄の診断書というものは、全治二カ月を要する外傷性左側膝関節血腫、右側胸部打撲傷ということになっておりますが、これについては本人を取り調べました結果、これは告訴人、つまり佐藤英夫の訴えに基づいて作成したものであるということであり、当該関係のカルテは全然存在しないというようなきわめて不確実なものである。したがいまして、本人がさような外傷をこの被告訴人である柴田の暴行によって受けたという証拠は存在しないわけです。この一点は別といたしまして、この診断書による証拠というものはきわめて不確実であるというようなことから、これを認めることができなかったわけであります。したがいまして、本件につきましては厳格な証拠に基づいて捜査の結果を出したものでありまして、ただいまここに何人がどう言ったということを申し上げられないということは、不起訴事件でありますけれども捜査の内容にわたる事柄でありますので、将来一般の方々に検察が協力を求める上におきまして、何人がどういうことを言ったからどうなったということによって、捜査に対する協力者にトラブルが及ぶことを防ぐ意味におきまして、そのことは公表しないというたてまえをとっております。でありますけれども、学校側の証人、学校側と申しますか、学校に直接あるいは間接に関係のある参考人のみを取り調べて結論を出したということでは絶対にありません。この佐藤忠昭という医師あるいはその関係者も取り調べておりますし、また警察官その他目撃者も取り調べておりますから、さようなことはないわけであります。本件につきましては全く東京地方検察庁の判断によってその結論を出したものでありまして、東京地検が関係者、たとえば法務大臣というようなことを考慮してこういう結論を出したということは絶対にございません。さようなことをするはずのものでもありませんし、また法務大臣自身も、国士舘と特殊の関係がないということはすでにこの委員会でも申し上げておられるわけであります。その点によってもさような必要のないことは当然であります。
○神近委員 証拠がないというふうなことをおっしゃるけれども、玉川警察がパトカーで迎えに行っていますよ。それからそのときに二百人から三百人の生徒あるいは先生、そういう者が、目の前で、足でけって、ステッキでなぐったところを見ているのですよ。それとさっき言ったように、呼ばれたときに、学長に、どういうように言いましょうかというようなことを相談してきている。それだからあなた方かほんとうに――玉川警察署にも手が回っているかもしれないけれども、少なくとも現場に行ったおまわりさんとか、あるいはパトカーを運転していた人とか、そういう人の意見も、これは一例じゃないのですからね。その前に、名前はちょっと忘れましたけれども、水泳場のことで、これも教授をうんとなぐっています。それは学生の見ている前でなぐっています。この佐藤教授の場合も、三百人からの生徒と教師がいる前でなぐっているが、その教師だの生徒だのは呼ばれて、そういうことを言ったということがわかると、教授らはみんな首なんです。生徒ならみんな退学なんです。そういうようなことがあるという背景を考えないで、証拠が薄弱であったというようなことをあなた方がおっしゃるということに、私は法務行政というもののあり方にどうもいろいろの疑惑を持つわけなんです。この間これは小林章氏の事件のときに問題になっておりましたけれども、検察審査会の議決によって調査する場合に、前に審理した人が再審理するのかあるいはこれをかえるのか、今度はどっちに考えていらっしゃるのですか。小林さんの場合も、おそらく問題を取り上げなければ世間に済まないじゃないかと私は考えるのです。それと同時に、私は佐藤教授の問題も取り上げられるべきだと考えるのですけれども、そういう場合に、いままであなた方がお調べになったような調べ方で、同一の方がお調べになるのですか、あるいは担当をかえておやりになるか、どっちにやろうと思っていらっしゃるのですか。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの趣旨は、検察審査会で起訴相当の議決があった事件について検察庁がどう取り扱うかという御趣旨だと思うのでありますが、これにつきましては、検察庁にそれぞれ規定がありまして、起訴相当の事件については再捜査をする、その場合は検事正をはじめとして高等検察庁と十分協議の上、内容の再捜査によって捜査結果を審査する、こういうことになっております。したがいまして、通常の場合は検察官を取りかえて審査に当たらせるわけであります。
○神近委員 それから、大臣に気がねをなさるんじゃないかというようなお疑い、そのことはこの間ちょっと申し上げておきましたけれども、これは昭和十五年に日本国粋会というのができて、それでそのときの会長は阿部なんとかいう方だ。それから緒方竹虎、頭山満、石井光次郎、それから松野鶴平、そういう方々が、この柴田も入れてつくった。そのときの学校なんですよ。そのとき国士舘というものをつくった。それでこの間何度も、石井さんがきっと忘れておいでになるから、これはこういうような状態だから、あなたのお名前が文部省あたりに圧力をかけるということがあるかもしれないということを御忠告申し上げて、そして笑い話で、これはやめてもらったというようなお話しだったのですけれども、この十五年以来の関係があったということを頭に入れておおきになれば、大臣の管下でいろいろ事務をなさる方が多少の気がねをなさるということもわかるように考えるのですけれども、ともかくもいまの佐藤教授の問題はたくさん問題があります。なぜ私がこういうように問題にするかというと、学生たちはもう毎日なぐられているんですよ。足でけ飛ばされて、何かちょっと気に入らないことがあるとなぐられている。そういうような暴力の教育というものは、家庭で母親が子供のなにをなぐるとか、あるいはおとうさんが何か不届きなことがあって子供をなぐるというようなことと違うのですから、学校で大っぴらにやられて、そしてその精神の入れかえというような大きなテーマを出されるのですから、これは今日の風潮の中でこういうことが許されてはならないということで、私はこの問題に――初めはこれは倉地武雄を殺したのかなと思ったのが始まりですけれども、ともかくもこの暴力の校風ということが今日の青少年の問題となっているときに、こういうことを許しておいてはならないというのが、これは私だけでなく二、三、文教でもやっていることですけれども、私どもの考え方で、私は法務省のやり方がその点で非常に手ぬるいような考えで、これは次に人権擁護のほうの問題で伺いますけれども、ともかくやり方がまともでない、私どもの希望するような方向でないということを私は申し上げたいのであります。 文部省の問題に移る前に、人権擁護局の方に伺いたいと思うのです。人権擁護局には、この不当解雇それからこの人権擁護の問題で何件くらい提訴があっていますか。
○堀内説明員 ただいまの御質問で不当逮捕の事件とおっしゃったのは、国士舘に関係しているものですか、それとも関係なしに……。
○神近委員 関係している問題です。
○堀内説明員 国士舘に関係して不当逮捕というものはないと思いますけれども……。
○神近委員 人権問題ですよ。
○堀内説明員 国士舘に関係して、人権の問題として取り上げている事件について申し上げます。 これは国士舘大学におきまして総長はじめ学生監などが学生あるいは生徒に対して暴行を加えているのではないかという点が一つあります。それから次には、この大学では選挙権銀行倶楽部というものがあって、それに学生に対して強制的に加入をさせているのではなかろうかという疑いがある事件が一つ。それからもう一つは、大学の総長などによりまして学校の職員に対して不当な解雇などをしておるのではなかろうかという問題が一つ。以上の三件であります。
○神近委員 これは三件だけですね。
○堀内説明員 第一点の、この大学の総長はじめ学生監などが学生たちに対して暴行を加えたのではないかという事件につきまして、これは後にまた新しい事件が起こっておりまして、数は一個でなくて数個ございます。
○神近委員 ちょっとその点、おかしいのです。地裁に不当解雇の訴えも出ているはずです。それで一番初め近江屋さんという方が係のときに持っていったら、そんな大学ならみんなやめたらいいでしょうというようなことをおっしゃった。そのほかに、学問の自由ということがあるのですから、学長がどんな教育をしたって自由じゃありませんか、なんということを近江屋さんという人が言っていますよ。とんでもない。これは学校教育法の問題にあとでなにしますけれども、さすがに人権擁護局でこの人をすぐやめさせて、係がかわったというのですけれども、この三件ですか、もっとこの事件はあるはずです。それで、きょう首切られた人は十二、三人ありますから、だからこの中に非常に生活困難におちいっている方があるわけですよ。それが学長のいつでもの手ですけれども、生活困難あるいは給料が出ないということで家族が困る、本人が困るということでおどかすのですけれども、それをなぜ早く片をおつけにならないのか。二年ぐらい、まだかかっているでしょう。そういう怠慢ということも、人権を擁護するという立場から、あなた方一体何をしていらっしゃるのかと私どもは言いたくなるのです。この問題を二年近くかかっていらっしゃるというのはどういうことなんですか。
○堀内説明員 ただいまおっしゃいました、不当に解雇された職員に対する問題でありますが、これに関連しまして民事の訴訟が起きておりますので、私ども一般に民事訴訟あるいは刑事の訴訟が起きますと私どもの処理をやや控えるというたてまえをとっておりますので、同様のたてまえから、訴訟の推移を待つという意味で待っておるのであります。
○神近委員 それで、学生は何人か持ち出していますか、なぐられたことに対して。
○堀内説明員 この大学の寮の中で学生相互間に暴力をふるいましてなぐられましたという事件につきまして、東京法務局におきまして取り上げまして、この六月の末に学校当局に対して厳重に、将来このような不祥な事件を起こさないようにという注意を与えた、そういう事実があります。
○神近委員 あなたのほうの参考人に工藤という学生が呼ばれて、あなたのほうとの打ち合わせで三時に出るということになっていたのです。そうすると、千駄谷の駅のところで、その日何かの会合があって、二十何人かの者にその工藤がなぐられていますよ。それを御存じですか。そしてなぐられて、ふところに入れていた帳面も、あるいはいろいろなものも全部押収されている。それは御存じでしたか。人権擁護局に出頭する前ですよ。
○堀内説明員 ただいまお話しの点は、四月二十二日の朝日新聞の記事に載っておるようでありますが、大体その記事に載っておりますのと同様の事実があったということを、私のほうでもいまの学生の口から聞いております。
○神近委員 それで、そんなことを朝日新聞が書いたということをえらく恨みまして、これで何人か、この間ここに出てきた横山という人、それから学長、そういうような者が朝日新聞にどなり込んで、そして美土路社長をおどかしたということはこの間ここでも問題になった。その倉地を殺したこと、それからほかの首になった教授たちにみんな恐喝の手紙まで行っている。おまえの家族が不幸になるぞ。これは私どもには、おまえを殺すかもしれないというふうにとれるのです。そういうような手紙が行っている。 ところが、これは学校教育法に関係がありますけれども、朝日新聞がそのことを書いたということで、朝日新聞の購読禁止をしているのです。それを御存じですか。こういうものをつくりまして生徒にみんなこれを配っているのです。朝日新聞以外の新聞を読め、朝日新聞は一切購読をやめろ。そしてこういうものをちゃんとつくって、これにほかの新聞の名前を書かせている。これは学校教育法の問題だから、あなたの管轄ではないとおっしゃるかもしれませんけれども、ともかくもこういうことをしている。ここでは人権というものは一切守られていない。そしてこういうような自分たちの1工藤の帳面に載っていた名前が二十六人あったそうです。この二十六人というのは別に悪意ではないのですよ。ともかくもこのいうような状態では安心して勉強ができないんじゃないか、もっと民主的に運営をしてもらおうじゃないかという、学生の自治会をつくろうというような賛成者の名前をずっと書いてあったのです。ところかそれを取り出して、その中の一番首謀というかあるいは一番熱心な三人は、こういうように共産党のスパイだと書いてあるのですよ。民主主義が一体共産党のスパイですか。新憲法あるいは民主主義というようなものは、みんな共産党のスパイあるいは共産主義者だとここへちゃんと張り出しがしてあるから、あとでこれをよく見てください。そういうようなことをやっている。その工藤の帳面から出て、あとの二十一人ですか二十人ですか、これは三千人も講堂に集めたところに、壇上に上げて、そしてそこで土下座をさして、まことに民主主義を考えるなんということは誤りでございましたといって謝罪をさせて、そうしてこれを退学にするか停学にするかというようなことを、ともかくも学生に聞いているのですよ。ともかくそういうような状態であるのに、あなた方が早くこの問題を解決なさらない。私は地裁も同じことだと思うのです。もっと早くさっさと片づけておやりにならなければならないと考えるのですけれども、どうお考えになりますか。
○堀内説明員 先ほどおっしゃいましたお話のうちで、学長あるいは学生監が朝日新聞に苦情を言いに行ったということ、あるいは学生に対して朝日新聞の購読を禁じたというこの二つの点については、私どもまだ承知をいたしておりませんでしたが、第三の、工藤勝利という方そのほか二人ばかりの人を、学校の掲示板にただいまおっしゃったような掲示をしたという事実は、その工藤さんという方から法務局のほうに申し出がありまして、その点は承知いたしております。それでこれにつきましては、私ども早急に調査をいたしまして、何らかの処置をとりたいと考えておる次第でございます。
○横山委員 いま神近委員が提起された二つの問題はきわめて重大です。局長、いまの写真をもう一ぺんしかとごらんください。それは堂々と学校の構内に退学処分に処すというて書いて、下に三人の大きな写真を並べて、その一人一人の名前をはっきり書いて、下に、これは共産党のスパイだ。これは共産党のスパイだ。これは共産党の手先である。こういうことはもう人権無視もはなはだしいことですね。共産党のスパイであるか手先であるか、それはそのものはわからぬはずです。かってに学長がきめつけて、学生運動をした、だからこれはかってに、スパイであろう、手先であろうと言うておる。一体共産党のスパイというのは、共産党員ということをいうておるのであろうか。それと、スパイと手先とはどういう違いがあるのであろうか。常識的に考えても、まさしくそれは、横山か柴田か知りませんが、全く独断である。もしもそうだとしても、かりに百歩譲ってそうだとしても、そういう学校の構内に麗々しく、大きな写真の下に、この者は共産党のスパイ、手先というて墨痕りんりと書くということは、何と考えても人権擁護に違反する、そうお考えになりませんか。
○堀内説明員 おっしゃるように、ただいまの点は私どもも非常に人権の侵害に当たると考えますので、早急に調査の上で処理したいと考えます。
○横山委員 もう一つは、神近委員の提起された朝日、毎日の問題です。これは一ぺん読み上げてみましょう。 「毎日新聞購読に就て、昭和四十一年六月四日、国士館大学」として「横山」という判こが押してあります。「一、購読者、従来朝日新聞を購読しているものは之を停止して毎日新聞に替える。其範囲は学校職員、学生、生徒及父兄、卒業生、協力諸団体につき広く全日本に呼びかけるものとする。」「全日本」ですよ。「一、注文法、(1)毎日新聞社の印刷になる毎日新聞愛読者「カード」に所要の記入をする。」「毎日新聞社の印刷になる」というのはちょっとおかしいのですけれどもね。それを毎日新聞社が自社で印刷をして国士館大学へ配付をしたというならば、これは重大である。「此際複写の一葉は毎日新聞社に、他の一葉は注文者に於て保管する、(2)記入に際しては希望の月の部分を〇で囲む、(3)学生、生徒に在っては学生監、担任先生は取り纏め第一副室の吉峰先生に渡す。其の他は成るべく団体毎に取り纏め同先生に提出する、(4)吉峰先生に一括提出の期限を左の通りとする、第一次、六月十五日正午、第二次、同日二十日正午、第三次、同月三十日正午、第四次以下は各月の十日正午とする、但し有効とする為成るべく早く注文するものとする、」「有効とする為」というのは、この運動の成功を期するためだと理解できるわけですね。「(5)注文に際しては新聞社に迷惑を及ぼし学園の威信を落さぬ様確実に行うこと、」これはどういう意味だかよくわかりませんがね。「新聞社に迷惑を及ぼし学園の威信を落さぬ様」確実に行なえ、慎重に行なえというならまだ話はわかるけれども、確実に行なえと書いてある。「(6)吉峰先生は毎日新聞社の係員と連絡して業務の遂行に当る、」毎日新聞は共同謀議ということになる。「(7)不審の点は吉峰先生に問い合はせること(終)」と書いてある。これは一体何でしょうか。まさにこういうことをやられた朝日新聞もどうかしていると思うのです。毎日新聞もこの共同謀議に参画しておるとしたら、毎日新聞の品位を私は疑いたい。しかしそれよりも、新聞社以外に、国士舘大学というものが、こういうばかげたことをしていいものかどうかということなんですよ。いま神近先生が順繰りに刑事局長、人権擁護局長、文部省、その三者に聞いていらっしゃるのだけれども、それぞれの所管の立場で答弁をしていらっしゃるようだけれども、全体としてこの国士舘大学の問題について一体どうお考えなのか。どうも津田刑事局長は、自分の商売はこうだ、――担当の範囲内で答えることにきゅうきゅう恋々として、本質的なものの考え方をあなたはなかなかおっしゃらない。慎重なのかこすいのか知りませんけれども、なかなか言わぬ。私どもは、だれの所管という以前に義憤を国士舘大学に感ずるのです。ほんとうに義憤を感じておる。だからこれは文部省、法務省それぞれ所管の違いがあっても、全体的に一体国士舘大学をどう考えるのかというふうに連絡をしてもらわなければいかぬ。どうですか津田さん、あなたはこれらの問題が自分の所管ではないにしても、文部省として考えるべき点がありゃせぬかという点はあるだろうと思う。人権擁護局として考えるべき点は、おれが握っている証拠の中でこれはいかがかと思うがという点がありゃせぬかと思う。同じことは人権擁護局だって言えるだろうと思うのです。文部省だって、国会に提出した国士舘大学に関する大学から出た報告はでたらめである、そんなことは百も承知をしておるはずなんです。大学に国会からこういう注文があるから調べて出せ。調べて出したやつは、これは文部省は責任は負えませんが、大学から出たものでありますというばかげた答弁をして、文部省が責任を持った報告は国会に出してないことも、私には全くけしからぬと思われる。以上の私どもの疑問を法務政務次官が、やはり法務政務次官という立場もあるかもしれないけれども、全体としていかにあるべきか、そういう立場で一ぺん御意見をお聞きしたい。
○山本(利)政府委員 いままでいろいろな点から、文部省の係官はその自分の係の職務の範囲内で、あるいは法務省の係官はやはり答弁する場合においては自分の関する範囲内で答弁をするということは、私やむを得ないところだと思うのであります。だけれども、今日までいろいろな点から国士舘大学についての質疑応答がずいぶん行なわれまして、それに関しての各委員からの提供される情報及び御意見等から考えまして、私は教育というものの立場からいえば、少し時代離れがしておるのではないかと率直に感ずるものであります。 それを法律的にどう処罰するとかせぬとかいう場合の問題については、これはやはりそれぞれの専門の立場から十分に慎重に調査研究して当たらなければなりませんけれども、人権を軽んじ、あるいは大局的な教育の立場を離れての学校の存在ということには私は疑問があると思う。だからこれは文部省といわず法務省といわず、今日の大学というものは、大学の学問の自由であるとかあるいは自治であるとかいうことで終戦以来強くいわれておりますために、外部からこれに手を加えていろいろ調査するということはまことに困難であるということも、われわれは想像ができるわけでありますけれども、この同じ日本の国民、あるいは世界的に平和を守り、自由な文化国家の人間をつくり上げようとする立場からいえば、逸脱した教育が行なわれるという場合においては、大学協会というものもありますし、その他各大学が連係を保ちながらいろいろな点についても協議しておられるところでありましょうし、またこのごろはそれぞれの私立大学に対するところの育成のために、各方面から相当な資金的援助も行なわれておることでありましょうから、それらのいろいろな機関が、少し行き過ぎるとこれは学問の自由の侵害であるとか、大学自治の侵害であるとかということばも起こりがちと思いますけれども、それをおそれないで、健全な大学の育成に向かって政府機関はすべて善処すべきであると私は考えます。
○横山委員 じゃ、人権擁護局長に聞きますけれども、新聞を朝日から毎日に切りかえる、こういうものを麗々しく大学の判こを押して全部に回して、先生から強制的に紙を渡しておるということは、個人の自由を束縛するの最たるものである。これをやめさせなさいよ。どうですか。
○堀内説明員 およそ人の自由を害して強制的にわたる点は、私どもも人権の問題として取り上げておりますので、取り調べまして、その点がありましたら注意をいたします。
○横山委員 それから文部省、やめさせなさいよ。いまちょっと法務政務次官が言ったのですが、国士舘大学に減税並びに融資の何かの国の施策があるでしょう。それをやめさせなさいよ。文部省はどうですか。何があるか。どういう恩典を国士舘大学に与えているのか。
○犬丸説明員 現在私立学校に対しましては、建物を建設する場合に必要な資金の融資……。
○横山委員 現に国士舘大学に何をしているか。
○犬丸説明員 ただいまちょっと資料がございませんので、現にどれだけのものを出しておるか的確に申し上げかねますけれども、おそらく一般的な制度の中で融資あるいは補助金が出ていると思います。ただこれはそれぞれの大学の必要とそれぞれの制度の目的に即して、たとえば融資であるなら大学志願者の急増期における建物の必要性とか、あるいは建物を一定の水準にまで高めるための必要な融資等、そういう目的に即してやっておりますので、必ずしも当該大学に行なわれております教育の内容いかんによってどうこうするという趣旨の融資なり補助金の制度になっておりません。国士舘大学の教育につきましていろいろ御批判がございましたことはよく承りましたけれども、直ちにそれを融資あるいは補助金の制度と結びつけてどうこうすることが適当かどうか、慎重に考慮を要するところでございまして、なお検討していきたいと思います。
○横山委員 そういう考えだから、いつまでたっても国士舘大学はちっともよくならぬ。ぼくも一般的にはあなたの意見に必ずしも文句は言わぬ。けれども、国士舘大学のいまのあり方は、大学の先生を学長がステッキでなぐったり、次から次へと首切ったり、選挙権倶楽部と称して選挙をめちゃくちゃに乱用したり、新聞社をかってにかえさせたり、共離党のスパイだといって学生の写真を張り出したり、そういうめちゃくちゃな常識はずれの教育か――あなたも職を奉じてやっておられる以上は、教育基本法に何が書いてあるかわかっているでしょう。どう考えたってこの教育は教育基本法の第一条の精神に違っていますよ。どこに一体、基本法にいう個人の価値をたっとぶということが出ていますか。「自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成」を期さなければならないという気持ちがどこに出ていますか。基本法全体に流れる新しい憲法の精神というものが、この国士舘大学の教育のどこに出ていますか。学長はいろいろなことを言いますよ。いろいろなことを言いますけれども、客観的に見てこれほど問題のある国士舘大学が、基本法の精神に沿って教育が行なわれておると思われないでしょう。それを、自由にはできないのだ、やるようにまかしておくよりしようがないのだ、報告は大学から出たものをそのまま国会に取り次ぐよりしようがないのだというようなばかげたことをやっているなら、あなたは辞職しなさいよ。――一体、それなら国士舘大学の今日の状況について、文部省は何をしておる。あらためてそれを聞かしてもらいたい。
○清水説明員 ただいま非常にきびしい御批判をいただいたのですが、国士舘大学の問題につきましては御批判があるということは十分承知をいたしておりまして、局のどこの所管という立場を離れまして、行き過ぎた点についての反省はそれぞれの局長から反省を求めておる、こういう状況でございますが、先生方御承知のとおり、大学、特に私立大学の問題につきまして、文部省の権限の範囲というものはきわめて制約をされている状態でございまして、良識のある大学人自体の御善処をまず第一義的に期待していきたい、こういう態度で臨んでおる次第でございます。
○神近委員 いま文部省のほうにお尋ねしようと思ったことを大部分横山委員からもお話があったのですが、この間文教委員会にあなた方がお出しになった調査というものは、もうでたらめなものなんです。何にも実態は聞かないで、学校が電話か何かで言ったことがそのまま出ていて、これは文教委員会で非常に問題になって、実は文教と法務で合同審査ということになっていたのですけれども、会期がこんなに迫ったので、きょうは単独ですけれど……。 まるで学校全体を政治結社にして、選挙権銀行倶楽部というので幾らくらいお金ができているかというと、三百万以上とっていますよ、一人が年間二百円ずつ入れますから。それで、一万人の生徒が、未成年者もみんなとられている。そしてそのほかに、父兄だとか、いや停学した、あるいは退学した、そのときに、十人連れてくればこの退学を許してやる、停学だったら三人とか五人とか、そういうようなことで、おそらく一万五千くらいの人数。とすれば、年間三百万以上のお金が出てくる。それで、文教委員会でこの点を非難したら、学校には置きません、これは赤堤に移しましたということを答弁している。そして文教委員会の調査にはそれが出ている。ところが、きょう帰って赤堤に電話をかけてごらんなさい。あれは国士舘の中でございまして、こちらにはございません、こういう返事なんですよ。それを、あなた方は、向こうの言ったとおり、赤堤に、この学校の外にこれを出したというような報告をしていらっしゃるけれども、それは一体どういうことをお考えになりますか。
○犬丸説明員 ただいま御指摘の選挙権銀行倶楽部と大学との関係でございますが、何と申しましても選挙権銀行倶楽部というものは一つの政治団体でございますから、その政治団体の活動と教育活動とが混同することは望ましくないという線は以前から私ども貫いておりまして、きびしく学校側にも注意をしております。そして再三その事務所を学校外に出すように勧告をいたしまして、文書でもその旨を勧告しましたところ、別にしましたという報告を受けております。さらに、その点につきましては、その後も、いま先生がおっしゃいましたように、いやそれは文書の報告だけであって実際は一緒になっているというようなお話もございましたので、実は最近係官にも現地に行かせまして、そしてその事務所が出ておる状況を確認し、混同のおそれのあるような点につきましては注意を与えてまいったような次第であります。
○神近委員 これは教育基本法の第八条の二項に全く違反している。それをあなた方は指摘ができないのですか。教育基本法の第八条第二項は「学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」とはっきりある。これに全く違反しているのじゃありませんか。それが一つ。 それから、きのう私大懇談会が答申していますね。ゆうべ放送していましたけれども、きょうの新聞に出ています。その中に、教授会というものがなければならない。学校の理事者だけでなく、たとえば任命とかあるいは退学とかそういうようなことは教授会の審議を行なわなければならないということがちゃんと基本法にも書いてあるし、学校教育法にも書いてある。ところがそこには教授会というものがないのですよ。文部省の報告には教授会のことをちゃんと書いてあるけれども、あなた方はほんとうの事実をどういうように報告を受けていますか。
○犬丸説明員 最初のほうの御質問でございますが、基本法八条の問題でございます。これは前にも一ぺんお話ししたことがあるように記憶しておりますが、基本法八条では、政治的教育と政治活動とこの二つを禁止しております。基本法八条と申しますものは、もちろん行政上もこの精神に基づいて行政を行なわなくちゃならないし、大学当局、学校当局もこの精神に基づいてやらなくてはいけないという一般的な規定でございます。それで具体的にこの八条を守るようにしていく措置と申しますものはまたそれぞれ別な法規によって具体化されておるわけでございまして、公立学校あるいは国立学校でございますればそれぞれの立場からの規制措置というものがございます。ただ、国立大学などの場合におきましても、大学の場合におきましては、一方からいいますと学問の自治、大学の自治という問題がございますが、その一方に憲法にも書いてある学問の自由というようなものもございますから、そういう方面からの要請と調和する範囲内において教育の政治的中立というものが保たれていくような措置をとっていく、こういう態度を行政府としてはとらなければならないわけでございますが、この中で、前半の政派的教育の問題につきましては、特にそういう学問の自由あるいは教育の自治、大学の自治という問題と関連が強うございますので、そういう問題から、いろいろ面で、大学、特にその中でも私立大学などにおける教育が基本法違反じゃなかろうかというような御批判が起こることは当然だと思いますけれども、それをどういうふうに行政府として規制する行動をとるかということは慎重を要すると思っております。ただ後段の政治活動の面は、これはかなりはっきりしたことでございまして、政治活動と教育とが混同されてはならないということは、かなりはっきりとした問題でございますので、国士舘問題につきましても、いまの選銀倶楽部の問題と学校教育とは混同することのないようにということで、その点は強く指示しております。政治活動自身、それは個人がやる場合、学長であっても個人の資格でおやりになる場合、これを禁止するということはできませんので、ただ混同しないようにということを私どもとしては指示してきております。 教授会の件につきましてはむしろ大学審議官のほうから……。
○清水説明員 ただいまお話にございました教授会の点でございますが、国士舘大学の学則によりまして教授会が置かれることに相なっております。それで先般の御報告につきまして、文書をもって照会いたしました結果、教授会は置いている。これは学長に近い方にも、私直接来ていただいたのでございますが、置いている。それから審議事項を学則できめておりますが、事項によりましては教授会の決定として学長に一任をしておる事項もあるようでございます。そういうことを文書並びに近い人からも――これは事務当局でございますが、承知をいたしたのでございます。 なお、先生、先ほど昨日の私大懇談会の点に触れられたわけでございます。私大の場合におきます教授会と経営者である理事会との関係、あるいはそのあり方、権限の問題について各種の意見が出ておるわけでございます。そういう点もちょっと触れてお答えとさせていただきます。
○神近委員 あなた方が文書をもって問い合わせたあそこの教授会というものがどんなものか、話をしてみましょうか。両側にずっと教授たちが並んで、そこの委員長席のような席だけが残してある。そこに元帥服を着た学長が来たときには、全員起立して最敬礼をしなければならないというような教授会ですよ。その零囲気がどういうものかわかりますか。そして一言でも学長が言ったことに背反することはできない。前に最高裁の判事か何かやっている方があって、その人が、一人か二人中立だということだけれども、あとは全部学長の言ったことが無条件で通る。通さないと承知しない。そういうようなものが一体教授会と言えますか。学校教育法にあるように刑罰を加えることができない、あるいは教授その他の任命については教授会の一致した意見でなければならない、そんなことは無視されて、そして学長が、たとえば個人的感情あるいは自分の利害の感情、そういうもので裁断するということです。それをあなた方は文書でいいかげんに問い合わせている。さっきあそこに行くときには、ちゃんと学長のところに行って、どういうことを言おうかということを相談して、そして刑事局長のところに行ったということを申し上げたでしょう。それと同じようなことが教授会でも行なわれておる。きのうの答申では教授会というものはもっと重視されていなければいけない。退学とかあるいは教授の免官とかは教授会の意見の一致が必要だということがいわれている。学校教育法の十一条、たとえば生徒に体罰を加えることはできない、また大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かねばならない、そんなことは一切守られていない。それをあなた方は――審議官は新任の方ですから、あまりなにしても悪いのですけれども、ともかくこの問題は私はよほどみんなが考えなければならぬと思う。日本の教育というものの一角がこういうことによってくずれているということです。こんなに青少年の悪習というか、暴力あるいは犯罪が多発しているものの一角がそういうところに出ているのですよ。私はそういう意味で、一般的な日本の状態に義憤を感じております。刑事局長は不起訴にした。さっき言ったようなずさんないいかげんな調べで、ちゃんと打ち合わせてきた者が言ったことを取り上げて、それで不起訴にしたというようなこと、そういうふうなことになっている。せめて検察審査会にいま持ち出されているから、もう一度審査をなさるべきだということを私は考えるのです。きのうこのことを私は次官に――実はこの間質問を申し上げたときに、次官にお尋ね申し上げました。刑事局で決定したこと、あるいは裁判で不起訴になったこと、けったということ、三人も五人もなぐったということ、それからうその申告を文部省にたくさんしている。これは文教委員会でまたやるそうですけれども、そのうその申告をたくさんしているということははっきりわかっています。そうすると教育をあずかる者あるいは徳育を行なわなければならない人としての問題と、刑事的に責任が排除されたあるいは免除されたということとの違い、――この間私が次官にお考えを聞いたときに、次官は実にりっぱに答えている。教育あるいは文化の面と、法律は――ともかくも六法全書などというものは、国民のためにあるはずなんです。私はいまローマ史を読み直しているのですけれども、そこから始まったこの六法全書というようなものが、それに支配されている頭というものよりも、もっと全体としての人生あるいは国というものを考えるべきじゃないかと私は考えて、この間の次官の御返答はまことにりっぱだと考えているものであります。文部省はこのごろなかなかいいことをやっていますよ。子供の年齢を下げて教育年限を延ばすということ、それからいろいろ古都保存法だとか、あるいはいまちょうど外郭環状線の問題に関係のある森林保存法だとか、いろいろいいことをやっていらっしゃるのに、この学校の問題になるとこういうずさんなことになっている。私はきょう大臣がおいでになるならば、昭和十五年のアイデアで今日の教育が行なわれてはならないということを申し上げたかったのですけれども、大臣がおいでにならなければしかたがないというように考えて、私の質問を終わることにいたします。
○横山委員 関連。神近さんがせっかくたくさんの資料を持っていらっしゃって、大所高所から論じられておるのでありますから、いまのお話の教授会の問題について、ある教授の手記を参考のために読み上げてみます。 御承知のように本学の教授会は、定刻前に教授たちが着席して学長の御出でをまち、学長の御着席まで全員起立してむかえ、一同敬礼するという、御前会議の様式をとらせております。佐藤嘉祐氏が懲戒免職になるちょっと前に、教授会でちょっと起立敬礼がおくれたからといって学長から大声でどなられ、あげくのはてに満座のなかで、〃わけのわからない論文を書いて博士になったからといってつけあがるな〃とまでののしられたことは、大学の教授方は御自分の目で見、耳できかれたところです。もしもこれがほかの大学の教授会でおこったとしたら、教授たちが自分たちの同僚に加えられたこんな悪罵をゆるしておくはずはありません。私はそのとき非常な義憤を感じ、長老教授の誰かが一言発言されれば後につづこうと考えておりましたが、どなたも発言されず、そのままになってしまったのです。そのとき、これでは大学の教授会というよりも、中国皇帝の御前で行われる宦官会議に等しいと感じ、自分自身がはずかしくてなりませんでした。」この一事をもってしても、教授会がどんな雰囲気でどんな運営をなされておるか、おわかりだと思うのです。文部省は確かに教授会があり、教授会が行なわれておると報告を聞いておるというようなお話ですね。その一事をもってしても、私は文部省がどういう調査をしておるかということがびんとくるのです。そういうことで、先ほどの選挙権銀行倶楽部でも、住居を移した。移した住居はなるほど学校の外にある。行ってみればだれもおらぬ。看板だけが外へ行っただけで、事実は中にあるという点についても、形式論で、あれは外へ移しましたというて文部省は済ましておるつもりでありますか。そういう全く官僚的なやり方で、しかも手が届かないからこれ以上はしかたがありません、大学にわれわれの税金やわれわれの預貯金がどういうふうに投げ込まれておるか、それは関係ないことでありますから知りません、調査したこともありませんと、そんなばかげたことで大学の管理運営ができると思いますか。私どももこの問題はもう数九月にわたって取り上げておるのでありますから、少しはわれわれの意を体して、実際効果のあらわれるようなことがやろうと思えばできるはずだと私は思うのであります。もしも本気で法務政務次官のおっしゃったような義憤をお互いに感じておられるとするならば、刑事局長だって人権擁護局長だって、文部省のそれぞれの係官だって、何かやろうと思えばできると私は思うのであります。それを法律の爪のあかを形式的に考えて、これじゃ証拠がありません、これじゃ何がありません、それでもって私どもが出す写真を見れば、これは明らかに人権擁護に違反しますとか、この新聞のやり方はいけませんとか、こういうことになるじゃありませんか。あなた方がまともにわれわれのような義憤を感じて、法務政務次官のおっしゃっているような気持ちをくんでおったとするならば、こんなことは私が出す前にあなたのほうが目をつけておって、これはいかぬ、これは許さぬというようなことがあってしかるべきだと私は思うのであります。そんなことを言ったってもう時間もありませんから、これは注文をしておきます。 少なくともきょう御意見のございましたあの写真は、これは明らかに人権擁護に違反するという意味の御答弁がありました。したがってその措置について近き将来に御報告がありたい。それから新聞の扱いについてどういうようなことをなさったか、御報告を願いたい。それから国士舘大学についてどういう国家の援助がなされておるか、その調査の御報告を伺いたい。 私からは以上三点を、なるべく近い将来に、休会中といえども本委員会の委員長の手元を通じて私どもにわかるようにしていただきたい。
○大久保委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 ただいまの国士舘大学の問題につきまして、政経学部三年の工藤勝利が暴行を受けた件について、前国会で質問いたしました。 〔委員長退席、濱田委員長代理着席〕 小熊学生監らを傷害罪で工藤のほうから告訴しましたが、世田谷警察署はこれを検察庁のほうに送付されましたかどうか、警察庁に伺いたい。
○関根説明員 いまの国士舘大学告訴事件につきましては、工藤勝利告訴にかかる国士舘大学学生監小熊熊治外数名の学生監に対する告訴事件として、五月十六日に東京地方検察庁に送致しております。
○志賀(義)委員 ところで、六月下旬に北海道稚内の工藤という学生の親のほうから告訴取り下げ願いというものが出ておるそうですが、そういうことがございますか。これは世田谷警察署上野捜査第一係長から本人が聞いたという話でございます。そういうことがございますか。本人は全く関知しないことだそうです。
○関根説明員 ただいま急に出てまいりましたのですが、世田谷に聞きましたところ、そういう話があったということで、正式に受理していないように聞いております。
○志賀(義)委員 これは稲垣学生監がわざわざ北海道の稚内に行って、親に会って圧力をかけてやっているのですよ。めちゃくちゃなことをやっているのですね。 ところで、その事件当日、この工藤という学生は、かばんとその中のもの一切を学生監らによって強奪されている。翌日、かばんを返してほしいと電話をすると、稲垣学生監は、それは返すわけにはいかぬと突っぱねている。なおそのとき、告訴したことについてはこう言っている。あのお礼はさせてもらうからね、――これは学生監の言い分ですよ。そこいらのやくざの言い分と同じです。ところが、その後は、そんなものは知らぬと言っているのだが、先ほど人権擁護局長が言われた、四月二十二日の朝日新聞には、加藤元信学生監の談話が出ております。「工藤君のカバンの中のものは、教育上ちょっと調べたいことがあったので一応お預かりした。「見せてほしい」といったら無理に拒否する態度ではなかった。」――この最後のところはうそですよ。とにかく加藤学生監が朝日新聞の記者に、そのかばんは預かっていると、はっきり言っている。ところが、これを返していないのです。こういうめちゃくちゃなことが行なわれているのですが、こういう点を警察はお調べになりましたか。
○関根説明員 本人及び関係者から事情聴取をしてございますが、確かに預かった。それから、返してくれという要求をした。それから、後日返すというふうな話し合いが行なわれておったというふうな調べになっております。
○志賀(義)委員 私の聞きたいのは、そのかばんは返したかどうかということです。
○関根説明員 調べを行ないましたのは四月の末ごろでございますから、そのころには当然返しておらなかった。その後のことは調べておりません。
○志賀(義)委員 警察のほうで調べてください、かばんをとったまま返していないのですからね。 ところで、文部省並びに人権擁護局長、それから法務省刑事局長にも伺いましたが、先ほど神近さんからも質問がありましたが、この七月の初めに、名前は伏せますが、政経学部の学生が学生監に呼ばれ、お前は前科がある、――前科というのは、民主化運動に参加したということですが、この際おまえは、選銀倶楽部会員を十人必ず集めてこい、十人集めてくれば進級さしてやる。そのほか、おまえは単位が足りない、夏休みに入るまでに選銀倶楽部会員を十人集めてくれば単位をやる、十人集めてくるまで、おまえは夏休みはできない、学校に出てきて勤務に充てる、こういうことを言っているのですが、人権擁護局長、御存じですか。これはひとつ調べてください。
○掘内説明員 ただいまおっしゃったようなことは私も存じませんので、なお調査いたします。
○志賀(義)委員 それから、この六月上旬のことですが。国士舘大学付属高校の林教諭がノーネクタイで校庭を歩いていたところ、柴田徳次郎舘長がちょうど出会ったのです。おまえはネクタイを締めていない、あすから来るなとどなられ、そのまま解雇されたという事件がある。そうすると横山委員はここにノーネクタイで来ていますが、あれなんか国会からほうり出されることになります。お聞きになっても、もうめちゃくちゃですね。この林教諭のことについても人権擁護局長、ひとつお調べください。いかがですか。
○堀内説明員 その点も調査いたします。
○志賀(義)委員 じゃ、これもごめんどうですが、調べてください。去る五月十二日政経学部二年生の学生が、洗たく屋にズボンを出して、白いズボンしかはくものがなかったので、それをはいて、学校側に届け出た上で歩いていたところ、応援団の学生に取り囲まれ、何をなまいきなかっこうをしているかと三階の便所の土間に土下座させられ、なぐる、けるの暴行を受けた。そこへちょうど通りかかった学生監が、目につくから戸を締めてやれと指示した。学生でこのごろ東京農業大学、それから布施市の近畿大学、最近はまた桃山学院大学のいわゆるしごき事件というようなものが新聞に報道されているのでありますが、こういうことがやられているのですね。ところで、人権擁護委員会に訴えた当人たちが、六月中に結論が出ると言っておられたが、どうでしょうかと尋ねたところ、それは一般論であって、六月中に結論が出せるということではない。七月はまだだめです。八月までには何とかしましょうと言っておられたというのですが、何か延期しなければならない理由があったのでしょうか。そういう点もひとつお調べください。何とかしましょうという具体的な内容は何ですか。前に訴えを押えようとしたために、人権擁護局長のほうからきびしく擁護委員会の方に言われたこともありました。とにかくこの国士舘大学の事件は東京弁護士会人権擁護委員会で取り上げて、実情を重視し、人権侵犯事件として徹底的に調べる。それから五人も専任の弁護士を委員会に置いて、六月十一日から関係者を呼び、調査に乗り出しております。東京弁護士会でもこのようにやっておりますので、人権擁護局のほうで、しかるべくただいま申し上げたこと、神近、横山両委員から言われたこととあわせてお願いしたいと思います。 では、この件はこの次に……。 ――――◇―――――
○濱田委員長代理 次に刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。志賀義雄君。
○志賀(義)委員 これは野党の委員はみな質問しておりません。それを野党の委員の私が質問すると、与野党ともに済んだということで、この次の国会でパッとやられるおそれがあるからちょっと遠慮してくれということでございますから、これに関連してちょっと伺いたいのです。 津田刑事局長、この前あなたに伺ったら、罰金、科料ですか、全体でその八割くらいが交通事犯で、およそ百六十億円くらいに昨年度でなるだろうということが、昨年御答弁がありました。そのときにあなたは決してそれだけ必ず取るというものではないと言っておるのでございますが、きょう配付されました法務省刑事局の資料によりますと、三十六年から四十年まで必ず予算よりも多く取られているのですね。三十七年のごときは予算の三倍近く取られている。ことしはどれくらいお取りになるつもりですか。罰金及び科料の歳入予算額は全体で二百五十億余りになっておりますが、これはどれくらいになりますか、この前の推算でやっていただいてけっこうですが……。
○津田政府委員 昭和四十一年度の罰金及び科料の歳入予算額は二百五十四億、これはお手元に資料として差し上げてありますが、そういう見積もりになっております。しかしながら、御承知のとおり、罰金、科料というものは、犯罪がなければ、見積もりをしておりましても、当然歳入はないわけでありますから、それはそのほうが望ましいと言えば望ましいわけですけれども、予算の面から申しますと、通常の形で、あり得るだろうという見積もりを計上している意味でありまして、それを必ず取るという趣旨のものでは、本質的に必ずしもないと思います。そこで、私どものほうといたしまして、歳入見積もり額そのものを検察庁に通知しておるというようなことはもちろんございません。それは国家の予算でございますから、歳入見積もり額を検察庁で承知しておるかもしれない。しかし、その予算をさらに細分して割り当てるというようなことはもちろんございません。したがいまして、検察庁といたしまして、これを起訴するということにつきましては、別にいかに歳入を上げるかというようなことを考えて起訴しているわけではなくて、その罪責相当の起訴処分あるいは不起訴処分をしておる、こういうことで、結果的に昭和四十年度以前におきましてはかような数字になっておりますということにすぎないと思います。
○志賀(義)委員 刑事局長、あなた、そう言われますけれども、各警察署にこの予算を割り当てるのですよ。そして聞くところによると、警察官には一件当たり何か賞与が出るそうですな。そういうふうにして大いに実績を上げて、ひどい年では、昭和三十七年のごときは三倍近くにも予算を上回っております。あなたのほうから配られた統計で、予算を超過しないのは一つもない。そういうことになりますと、私も計算してみましたが、八〇%ではおよそ二百億円をこえるということになりましょう。この前おっしゃった数字は一般会計予算の三百分の一くらいでしたが、今度はこれが二百億をこえるとなりますと二百分の一ちょっとになるのです。いいですか、こういう人たちはみな税金を納めているのですね。そのほかにこのために国の一般会計予算の三百分の一ないし最近では二百分の一も、また取られるというようなことになりますと、これはたいへんなことになります。 そこで、私がきょう伺いたいのは、最近大阪で非常に問題になっております司法権に対する検察の圧力という問題であります。大阪簡易裁判所の交通裁判官二人ですね、これが結局検察庁の圧力によって交代するという結果になった、こういうことでありますが、そのことについて刑事局長のほうに何か入っておりますか。
○津田政府委員 ただいまの事件は、私は概要の報告を大阪地検から受けておるというふうに記憶しております。ごく荒筋程度はいま承知しておりますが、そのことについて詳しいことは、ちょっと資料を見ませんと申し上げかねる次第であります。
○志賀(義)委員 伺いますが、これはいま申しましたとおり二百億円にものぼる、非常に予算額を超過するというので、交通事案というものはウナギ登りなんです。大阪の簡易裁判所で取り扱うのが一日千二百件ないし千八百件、多いときは四時間で一人の判事が八百件取り扱うのです。そうしますと、一件当たり十七秒。いまから十年前に私ども高橋さんがここの委員長をやっておられたときに大阪の簡易裁判所に行ってこの交通裁判の実情を見てまいりました。国会が終わってですから、ちょうど夏の暑いときでした。そうしますと、盆になると坊さんが檀家をずっとお経を上げにまいりますね。一度に回るものだから一軒当たりのお経はありがたいところだけほんの少しやります。ああいうような裁判なんだ。十七秒で何ができますか。そうなってくると、検察庁のほうからどうしてもこれは件数が多いというので、求刑基準というのをつくってこれを裁判所のほうにも渡している。それに従って書き込んだものを、書記官がみんな調べて判を押す。最後に被告人の署名欄と起訴状に相当する欄の氏名、つまり判決文に相当するようなところ、こういうところだけ三カ所だけ判事が扱ってやるというようなことになるのですが、こういうことで非常に裁判というものがずさんになってくる。 そこで私の伺いたいのは、こういう求刑基準というようなものを検察庁がつくって交通事案の場合に配付されておるのか、裁判所にそれを渡されておるのか、いかがでしょう。
○津田政府委員 交通事件について、その他の事件につきましてもそうでございますが、求刑基準というものは、事件の種類によってはもちろんその標準を考えて検察官に知らしておることはあります。これは、むしろ検察官が全国各地におきまして、いろいろ自己の判断で求刑をするということになれば、きわめて全国がまちまちになりましてアンバランスが起こるということで、同種類の定型的な事件につきましては、これは上の高等検察庁あるいは最高検察庁が中に入りまして、いろいろそれは事件によって違いますが、大体こういう事件の定型的なものについてはどれだけということは打ち合わせておるわけです。それが俗にいわゆる求刑基準と称するものでありまして、特段の、特殊の情状がない限りは、その求刑基準に従っておるというのが定型的な事件においては通常の形であります。しかしながら、その求刑基準を裁判所にことさら知らしておるという事実はないと思いますけれども、しかしながら検察官が定型的に多数の事件に同じ求刑をしておれば、ああこれが求刑基準であるなというふうに裁判所が思うことはあり得ると私は思っております。
○志賀(義)委員 いま言ったような実情で、書記官と裁判官とが十七秒でやるのですから、どうしても求刑基準というものが検察庁から送られてそれでやっているのじゃないかと思われる節があるし、大阪ではだいぶ問題になっております。おそらく東京でもそうだろうと思いますが、そういうことがあって、それが判事によりますと――今度問題になりましたのは、交通裁判官を引退したのは広川、橋本両判事なんですが、これに関連して、こういうこともあるのです。大阪区検の上席検事がある判事にどなり込んだことがあるんですね。あなたならそのどなり込んだ意味はよくおわかりでしょう。「おまえは何期か。」ということでどなり込んだのです。こういうことはひとつないようにしていただきたいと思いますが、この二人の判事の量刑が非常に低過ぎるという――検察官の場合は求刑基準というものがあるでしょう。しかし憲法にも規定されたとおり、裁判官というものは独立したものですから、何人にも裁判の上では拘束されないものです。これがこういう求刑基準があり、しかも、検事と判事とが意見を異にするときにあるいは話し合いということもあるでしょう。しかし新聞を通じあるいは雑誌を通じて、この二人の裁判官の量刑が不当に軽いというようなことを発表したということになると、――これがいま大阪の判事の諸君、それから弁護士会その他で検察ファッショだといって問題になっているのですが、そのことは御存じですか。
○津田政府委員 これは記憶でございますからあまり正確ではないと思いますけれども、大阪の弁護士会から検事正あてに、ただいま仰せの趣旨とまさに符号するかどうかわかりませんけれども、この求刑並びに科刑の問題で申し入れがあったという趣旨は私も承知しております。
○志賀(義)委員 それなら、マスコミを通じて、裁判官の名前をあげて、量刑の問題を検事がかれこれあげつらうというようなことは、これは検察官の態度として正しいことかどうか、刑事局長はどうお考えですか。
○津田政府委員 少なくとも当事者である検察官が、世の中において不当と思われるような方法によりまして裁判官を批判することは、これは私は適当でないと思うのであります。しかしながら、検察官の考えている趣旨が合理的であるということを主張することは、これはあくまで検察官としてはすべきことでありますので、おそらくそこの限界の問題ということとなると私は思う。少なくとも世の中に不当であるということで批判されるような形でその求刑なり科刑の内容を云々することは、私は適当でないと思います。
○志賀(義)委員 これを検察庁のほうで不当とされて、五月二十一日には百四十二件、それから五月二十八日には三十七件、合わせて百七十九件正式裁判を要求されておるのです。こういうようにされるのならこれはまだ一応筋が通るでしょう。このために裁判が混乱する、長引くから、十七秒というぐあいにいかないから、こうなりますと少なくとも何時間もかかります、あるいは数日かかります。だからこれでもう大阪簡易裁判所の機能は麻痺してしまう。それでこの二人の裁判官、広川、橋本両裁判官が、ついに身を引くということになったのですよ。このようなことが起こってくる根本は、これはもういまの交通事案というものがどうにもこうにもならない状態になっておりますから、これはいずれ最高裁判所にもあらためてどう対処されるかを伺わなければならないと思いますが、なぜマスコミを通じてそういうことを発表されたのか。これは限界を越えていると思われるが、あなたの言われるように限界の内部の問題か、それはどうお考えですか。
○津田政府委員 私は検察官がマスコミを通じてさようなことを発表したということは承知しておりません。したがいまして、あるいはそういう求刑、科刑について問題があるということを、新聞自体が探知して記事にすることも、それはあり得るわけです。私は、いまのところでは検察官がそれを公表して云々ということは全然聞いておりません。
○志賀(義)委員 非常に微妙なあやのある言い方をされますが、普通の日本語に直すとこういうことでございますね。検察官が非常に憤慨して、それとなく報道関係にそのことを言って、それで書かせたということになるんじゃありませんか。あなたはお調べになって言っておられるのですか。まだそういうことがあったかなかったか御存じなくて言われておるのですか、どちらですか。
○津田政府委員 その点については調査はもちろんいたしておりません。が、検察官が公表するということは、私の常識としては考えられないということで申し上げておるわけです。ただし、その間の事情を新聞記者あるいはその他が探訪して承知して新聞に書いたということはあり得るかもしれない、こういうことでございます。書かせるために検察官が新聞記者にさような事実を漏らしたというようなことについては、私はさようなことは全然聞いておりません。
○志賀(義)委員 私の言うのは、あなたはお調べになって答弁なさっているのか、たぶんこうであろうという推察で言っておられるのか、どちらかと伺っているのです。弁護士会のほうはこれは検察アァッショだ、こういうふうにいきまいているのですからね。どうですか。正確にお調べになって言われるのですか。
○津田政府委員 先ほど申し上げましたように、私は弁護士会が申し入れをしたという報告があったということだけをいま頭に置いておるわけで、具体的にその書面等をいま手元に持っておりませんので知りませんが、新聞記者に対する問題については、私はいま初めて聞いたわけでありますから、それは、検察官が新聞記者に、さような裁判官と、求刑科刑の問題でトラブルがあったということを公表するはずは、私としてはないというふうに申しておる。はずはないということは、現実には調査しておらぬということでございますから、調査してお答えしていることではもちろんございません。
○志賀(義)委員 検察官が報道したという――報道は新聞社なんかがやることで、検察官は報道に何も責任は持っておりませんよ。またそういう職掌でもないんだから。マスコミを通じてということが問題になっているのです。検察官がそれを漏らしたことが問題になっているようです。そこは一番ポイントですから、もう一度このことはよくお調べになっていただきたいと思います。 政務次官に申し上げますが、これはいま大阪の法曹界の大問題になっているのです。私も先日大阪に参りまして新聞をずっと調べてみて、いやこれはたいへんだと思ったのできょう伺っているわけでありますから、ひとつ法務大臣とも御相談なさって、この件について、はっきりした御報告をいただきたいと思います。重大問題ですから。いかがですか。
○山本(利)政府委員 志賀委員のおっしゃるように、マスコミを通じて検察官のほうで発表したということがあれば、私は少し筋が違うように思います。いろいろ人間によりまして、ときに間違いをし、そそうをすることがありますから、そういうようなことがありました場合には、十分法務省としては注意しなければなりませんし、また誤報で、何かの間違いでそういうぐあいに伝わったものとすれば、その点も調査しまして御報告いたします。
○濱田委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後一時四分散会