文教委員会 第2号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/10/17
会議録
○八木(徹)委員長代理 これより会議を開きます。 委員長の指定によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
○川崎(寛)委員 委員長、ちょっとその前に、この委員会の運営について。文部大臣から初めて当委員会において所信表明があるわけでありますが、実は私、本日委員長が欠席をされておりますので、本来でありますならば、八田委員長自体に申し上げたいと思っておったのです。それは、すでに参議院においては八月三十日に所信表明が行なわれておるわけです。われわれは、その前の臨時国会が終わった当初から、委員会を早急に開くべきことを要望いたしてまいりました。今日はすでに十月の十七日です。だから大臣が就任をされて、参議院ではすでに三回やっておられる。第一院としての責任を放棄しておると思うのです。委員長にこの点は、委員会運営について第一院としての責任を遂行していく、そういう上において、今後の委員会運営については厳重にひとつ代理の委員長のほうから申し入れておいていただきたい。お願いいたしておきます。
○八木(徹)委員長代理 承知いたしました。いまの発言につきましては、委員長に申し上げると同時に、また理事会でとくと協議申し上げることといたします。 ————◇—————
○八木(徹)委員長代理 この際、文部大臣及び文部政務次官から発言を求められております。順次これを許します。文部大臣。
○有田国務大臣 私は、先般、文部大臣の重責をになうことになりましたが、文教のことは、申すまでもなく、国政の基本でありまして、それだけに、責任の重大さを痛感いたしている次第であります。したがいまして、文教委員各位の御協力を賜わりつつその重責を果たしてまいりたい、かように存じておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 わが国の教育は、関係者の努力によりまして、相当の成果をあげつつ今日に至っておりますが、なお改善充実につとめなければならない課題がたくさんあるように思うのであります。この機会に、私といたしましては、さしあたり日ごろ考えておりますところの所信の一端を率直に申し上げまして、各位の御理解と御協力をいただきたいと存じます。 私は、今日の国民特に青少年に対する教育において、国家、社会の一員としての自覚と責任を持った、根性のあるしっかりした人間を育成することについて配慮することがきわめて肝要ではないかと存じておるのであります。こうした意味におきまして、学校教育においては、青少年が将来国家、社会の成員としてそれぞれの個性を生かし、能力を十分発揮することができるようにすることを常に念頭に置きながら、知識の修得に片寄ることなく、思考力や創造力を伸ばすとともに、意志の鍛練や道徳性の涵養、さらには体力の増進などについて一段と配慮していかなければならぬと思っておるのであります。 しかしながら、人間形成は、学校教育のみならず、家庭の中において、あるいは地域社会の中で行なわれる教育と相まってなされるものでありますから、家庭教育を重視し、社会教育の進展をはかる必要があると存じておるのであります。 わが国の学校教育は、義務教育の充実、教育の機会の量的拡充等につきましては、御承知のとおり世界的にも高い水準に達しておるのでありますが、一方教育の質的な面につきましては、なお改善すべきいろいろの問題があると思われるのであります。 教育の充実と質的向上をはかっていくためには、今後とも、教育環境の整備、教育費の負担の軽減、育英奨学事業の拡充等は申すに及ばず、教職員の資質の向上と処遇の改善についても配慮していくことが大切であると存じておるのであります。 さらに、現在のわが国の学校教育は、新学制発足後すでに約二十年を経ておりまして、義務教育をはじめ、後期中等教育、大学教育など、教育の全般にわたって制度的にも内容的にも種々の課題が提起されておると思われますので、たとえば後期中等教育につきましては、高等学校教育の多様化、定時制通信教育の振興、社会教育の充実、各種学校の整備など、当面解決を迫られておる問題がございます。さらに、身体的に恵まれない子供のための特殊教育や地域的に恵まれない子供のための僻地教育などにも、なお一そうきめのこまかい配慮をする必要があると思うのであります。これらは、いずれも、わが国教育の量的普及の上に、さらに教育の質的向上を願う国民の意思のあらわれであると存ずるのであります。 教育は百年の計と申されておりますとおり、長期的な視野に立って施策を推進しなければなりませんので、教育に対する国民の期待にこたえるためには、常に本質を見きわめつつ、着実に、周到な準備と計画をもって文教の刷新をはかってまいりたいと存ずるのであります。 次に、私学の振興について一言申し上げたいと思います。 わが国の教育に占める私学の役割りは、きわめて大きいものがあります。それだけに私学の振興はわが国の教育にとっての緊要事であります。現在、私学の振興方策については、臨時私立学校振興方策調査会で種々検討されておりますが、先般中間答申がありましたので、さしあたり、これを十分尊重して、私学の健全なる育成振興のための適切な措置をとってまいりたいと思っておるのであります。 なお、時代の進展に即応する学術研究の推進、芸術文化の振興並びに教育、学術、文化の国際交流の推進についても、一そうの配慮をしてまいりたいと存じておるのであります。 以上、日ごろ感じておることの一端を申し述べ、かつ、文教委員各位の格別な御指導と、御鞭達をお願い申し上げまして、就任のあいさつといたしたいと思います。(拍手)
○八木(徹)委員長代理 文部政務次官谷川和穗君。
○谷川説明員 先般、文部政務次官を拝命いたしました。もとより不敏の身でございますが、文教委員会委員の皆さま方の御叱正をいただきまして、大過なくこの重責をつとめたいと存じております。今後ともよろしくお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○八木(徹)委員長代理 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。川崎寛治君。
○川崎(寛)委員 先般行なわれました人事院勧告に基づきます公務員の給与改定の問題について、お尋ねをいたしたいと思います。 最初に人事院総裁にお尋ねいたしますが、人事院総裁が給与の改定について勧告を行ない、各委員会においてそれぞれ質疑が行なわれました際に、きわめて真摯な態度で人事院としての役割りを貫いていこう、使命を果たしていこう、そういう態度を貫かれておりますことに対しては、心から敬意を表したいと思います。特に公務員の場合に、労働基本権をとられて、その代償機関として存在をいたしております。それだけに勧告の完全実施については長年の課題といたしまして、また総裁も、総裁になられまして四回目の勧告を行なわれたと思うわけでございますが、今日の人事院そのもののあり方についても可否を問われる重要な段階ではないかと思いますので、完全実施の時期の問題だけにしぼってお尋ねいたしてまいりたいと思うのであります。 去る十四日の参議院の社会労働委員会におきましても、九月一日実施という閣議決定に対しましては、完全実施をされなかったことにたいへん残念の意、遺憾の意を表明しておられるのでありますが、このことについての総裁の基本的なお考えをまずお述べいただきたいと思います。
○佐藤説明員 人事院の立場は非常に川崎委員によく御理解いただいておると思いまして、たいへん心強く存ずる次第でございます。 ただいまおことばにもありましたように、私が就任いたしましてから四回目でございますが、この給与勧告について、実施時期を五月一日からということを明示いたしましてからちょうどことしが七回目になります。それがいままで一度も完全に実施されないままに今日に至っておるということは、まことにわれわれとしては、いまのおことばにもありましたように、人事院のかなえの軽重を問われるような点に触れての重大な問題だと思います。したがいまして、特にことしの場合は率も例年に比べて低うございましたし、かたがた絶好の機会であろうということで特段の努力を重ねてまいりました。ここにおられます森総務長官あたりにも相当お力添えをいただいたのでございますが、残念ながら依然として全然前進を見ることができなかった、きわめて遺憾に存じておる次第でございます。 ただ、私どもは、この段階で決してまだあきらめてはおらないわけでございまして、申すまでもなく、われわれは八月十二日に衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、それぞれ別々に勧告を提出いたしております。議長あてのものにつきましても、すみやかに適切な措置をとられんことを切望するということで御勧告申し上げておるわけでございます。私どもが国会に提出いたしました勧告がものを言いますのは、これからの段階に当たるわけでございます。国権の最高機関として、われわれのおすがりするところはもはや国会が最後のよりどころであるという気魄でこの席でもよろしくお願いいたしたいと思いますが、その他のあらゆる機会に少しでも私どもの勧告の趣旨が前進した形で実現いたしますように、この機会にまたあらためてお願いを申し上げる次第でございます。
○川崎(寛)委員 総裁に引き続いてお尋ねいたしたいのでありますが、総務長官の時間の関係があるようでございますので、たいへん失礼でございますが、総務長官のほうに先にお尋ねいたしたいと思います。 総務長官は、この勧告が出された以後、衆参の内閣委員会あるいは参議院の文教委員会、あるいは参議院の社労委員会等でそれぞれ発言をされておりますし、また、公務員共闘会議の代表の諸君と会われました際にも、給与担当大臣としてのかたい決意を何度かお述べになってまいったと思います。特に勧告の実施の問題については、五月一日の時期を含めて、つまりそれを内容としてするのが義務だ、これは八月二十六日の参議院の内閣委員会の議事録を見てみましても、「人事院勧告の完全実施は私どもの当然の義務でもございますし、そういう方向に努力いたしたいと考えております。」こういうことで貫いてこられたと思うのです。しかし、結果は、やはり昨年同様九月一日実施ということで義務が貫かれなかった、こういう結果になろうかと思います。このことにつきまして総務長官のお考えをお述べいただきたいと思います。
○森国務大臣 いま公務員の給与、特にその給与のうちで民間との格差の問題は、これは人事院が毎年四月を基準として八月に勧告を出す。その勧告に基づいてこれを是正することになっておる。そうして政府といたしましても、この人事院の勧告を尊重しながらこれに決断を下す、こういうことになっておりまして、したがって私は、給与担当といたしましては、この人事院の勧告を尊重することが当然なことだと思っております。したがって、そういう観点から、私どもは、完全実施の方向に二歩でも三歩でもことしも進むことを期待しながら、さまざまな折衝をしたのでございますけれども、御承知のとおり、もう何人かの方々が御説明申し上げたと思いますが、問題は財源の問題でありまして、ことしは景気がいいという話があるだけに私はそのことができるものだ、こういうふうに思っておりましたが、しかし、現実にはこの景気のはね返りというものが九月の決算にはあまり出ておりません。しかも、たとえば米価の問題にいたしましても、米作の問題にいたしましても、災害の問題にいたしましても、歳出のほうは非常に重要、緊急なものがたくさんある、そういうことでこの勧告が出されましてから何べんとなく関係閣僚が集まりまして相談をいたしました結果、ついに財源難ということで、特に大蔵大臣からは、そうした緊急の財源を捻出するためにも今後、ことしの予算におきましても相当節約の要請も出ておる昨今でございますので、われわれとしてはまことに遺憾のきわみでございますけれども、事情やむを得ないということで九月一日実施ということに決定したわけであります。これは、しかし、公務員給与というものが人事院の勧告によってなされている今日のたてまえ、そしてその勧告を政府が尊重しなければならないたてまえからいきますと、まことに残念しごくであると存じております。
○川崎(寛)委員 閣議決定の前の各委員会における御答弁と比べますと、たいへん後退しているわけですね。少しも責任を感じておられない。あなたは、先ほど読み上げましたように、五月一日という時期を含めて人事院勧告の完全実施は私どもの当然の義務でございます、こう言っているのです。言い切っているのですよ。いまの御答弁は、ただ尊重をして一歩でも二歩でも、こういうことは、勧告がなされた以後のどの委員会でもその程度の答弁はしていないのです。たいへんな違いじゃないですか。そうしたら、最初からそういうお気持ちだったのですか。
○森国務大臣 私は、いまここにお伺いする前にも参議院の内閣委員会におきまして私の所信は述べてまいりましたが、決して責任を感じてないと言うわけではございません。何といっても現在の公務員給与というものが、人事院の勧告を尊重することによってこれが円滑を期せられているものでございますから、その点ことしは昨年並みになってしまったということは、結局自分の常日ごろの主義、主張からいってもまことに遺憾なことだ、こういうふうに述べておるわけであります。責任回避は決していたしておりません。
○川崎(寛)委員 それでは、参議院の内閣委員会で八月二十六日に御答弁になった、完全実施が義務だ、当然の義務だというお気持ちについては、いまもお変わりないのですね。
○森国務大臣 私は、政府としては財源があれば必ずそうしなければならぬ、そうするのがあたりまえである、こういう考え方は変えておりません。
○川崎(寛)委員 そうしますと、これは閣議で公務員給与改定に関する人事院勧告の実施時期がきまった十四日朝の給与担当大臣としての述懐というのが、ある新聞に載っているわけです。それを読みますと、これは先ほどのニュアンスとはだいぶ違うのです。後退をしたニュアンスになりますが、「ボクは一歩でも半歩でも前進すればいいと思って一人でしゃべりまくった。けれどほかの偉い大臣は余りしゃべらない。思い当るんだ。もうみんな九月実施をハラの中で決めていたんだね。ボクのような新参閣僚より、もっと上の方で何かが動いていたのじゃないかな」、こういう述懐を述べておられる。そうしますと、あなたが六人委員会の給与担当大臣として勧告を受けて、完全実施が義務だとまで言い切って、努力するんだ、こう言い切って、してこられた。しかし、そのことは、全く給与担当大臣というものが今日の閣内におけるそういう機構上のあり方としてほとんど貫かれていないということを、この述懐の中からは読み取れるわけですね。あなたは給与担当大臣だ、しかし、給与担当大臣であってもその完全実施という問題については、これはほとんど自分の外のところできまってしまった、そういうふうに見てよろしいですか。
○森国務大臣 私は最近、これは詭弁でなくて身辺非常に多忙をきわめておりまして、いまの記事が出ておるということは聞いておりますが、私自身が内容を知ったのは初めてです。そこで、その新聞の記事を云々されても、しゃべったとすればちょうどその日のことだと思いますけれども、私は記憶しておりませんけれども、問題は、たしか人事院の勧告がなされたその日以来、われわれは数度にわたって関係閣僚会議を開いております。その際非常に激しい議論の取りかわしがあって、さらに、最終決定の十四日の前の十三日の夕刻からわれわれはいわゆる最終的な調整に入りまして、それを休会にしたままさらに翌朝八時半から三回にわたり会議を開きましてきめたことでありまして、私は、率直に申し上げまして閣僚としては一年生でございます。一年生でございますから、いろいろと、まあ平たいことばで言えば作戦等にもずいぶんそごがあったとは思いますけれども、私は私の主張を通し続けてまいりました。決して、たとえばこれらの問題についても他の力、つまり六閣僚以外の力等がこれに加わったとは思っておりません。事実最後に私は持論を捨てて、いわゆる今日の財政状態等を大蔵省からお聞きいたしまして、万やむを得なかろうというので私が折れたことによって閣議に持ち込まれたような事情もございますので、そういうことが真相でございます。
○川崎(寛)委員 同じく八月二十六日の参議院の内閣委員会で、増子人事局長が——つまり昨年一〇・二二の前に党同士で、自民党、社会党、それぞれ党の責任者が話し合っておるわけですね。それからまた、衆参の内閣委員会で決議も行なわれているわけです。それ以後検討していく、こういうことで、完全実施の問題については政府としてもいろいろ取り組まれたと思うのです。その八月二十六日の内閣委員会で、増子人事局長が、三月二十三日にこの問題について出たその結論の内容を言っておられるわけですね。これで見ますと、過去十八年間、つまりことしを入れて十八年になりますが、十七年間一度も完全実施ができなかったその今日のあり方、その問題についていろいろと制度的な検討をしておるわけです。ところが、この三月二十三日の結論においては、どうにもならぬという結論が出ているのですね。そういたしましたら、そのときから、従来どおりであるならば完全実施はできぬということが、結論が出ているのでしょう。その上に立ってあなたは完全実施は義務だ、こうまで言い切ってきたとすると、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいではないですか。そう言われても抗弁のしようがないじゃないですか。
○森国務大臣 それはいささかことばが過ぎるのではないかと私は思いますが、給与担当としては当然完全実施の方向に努力すべきことであって、そのことが現実の、たとえば財源その他にはばまれて数歩か後退をしておる。私は、たてまえとすれば当然完全実施の方向にお互いに努力をしなければならぬ、こう思っております。
○川崎(寛)委員 あなたは、できると思っていままで進めてこられたんですか。
○森国務大臣 私自身といたしましては、できるために努力をしなければならぬというので努力を続けてまいりましたし、さらに、来年も再来年も引き続きこうした問題は一刻も早く解決すべきだ。問題は、そう考えてまいりますと、現在の給与制度そのものにもやはり相当検討しなければならぬ部分が出てくるのではないか。そのことについても、いままで毛ずいぶん先輩が努力を重ねてきたことは承知しておりますけれども、その壁が突き破れないかどうかということは、やはりわれわれのこれからの決意、努力いかんにかかっているのではないか、こういうふうに考えております。
○川崎(寛)委員 給与制度に問題があるかどうかということは、いまに始まった問題ではないと思うのですね。そうすると、完全実施できないというのは財政の事情だけですね。
○森国務大臣 少なくとも私が了解いたしましたのは財政の事情だけでございます。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、憲法に基づいた労働者の権利が、公務員ということで奪われた。その代償機関として人事院を設置してきた。二十三年以来一ぺんも完全実施されない。そういたしますと、民主主義を発展さしていくというのが与党・政府の責任だと思います。その点について、結局、従来過去十八回にわたって実施ができなかった根本の問題は財政だ。こういうことになりますと、財政当局がこの公務員の基本権というものを奪って、代償機関として設置された人事院の勧告制度そのものをくずしてきた責任は、一にかかって財政当局にある、こういうふうに言えますか。
○森国務大臣 財政当局から現在あるいは将来の財政事情を聞いて、そして関係閣僚もしくは全閣僚の間においてこれを了承するかしないかによってこれはきまることでございますから、単にその責任は大蔵大臣一人にあるとは思いません。
○川崎(寛)委員 当然内閣全体が負うべきだと思います。 そういたしますと、先ほど人事院総裁も国会でこういうお話もあったわけでありますが、給与担当大臣としてこの問題を完全実施すべきが義務だとまで言い切ってこられたあなたの立場からするならば、国会にどういう態度で臨もうとされますか。
○森国務大臣 私は、現状におきましては一番大きなファクターになるのは財源だと思いますので、財源の点におきましては、私は十分なる検討を加え、しかもこれは実情やむを得ないという考え方をいたしましたので、九月実施にやむを得ないという態度で協力したのであります。
○川崎(寛)委員 総務長官、時間がたいへんあれでございますので、私重ねて追及いたしたいのでありますが、ひとつ最後に、やはり八月二十六日の参議院の内閣委員会でこういうふうに言っておられますね。完全実施されなかった場合にどうなるか、トラブルは起きないか、こういう問題で質問が行なわれている。それに対して森総務長官は、「厳正な第三者的な立場にある人事院が、しかも、その立場において勧告したことが、実際上政府の立場に立って考えたときに、それが完全実施されないとき、労使の間のさまざまなトラブル、いま仰せのような問題に派生してくると私は思います。」いいですか。「したがって、私はこういう問題を論議するにあたりましては、当然人事院が勧告したその線に沿って完全実施の方向に最大の努力をすべきものが私は当然の姿であると、こう考えます。」だから、トラブルの起こるのはもう当然だ、こういう御理解ですね。十八年間権利を奪われて、その代償機関がその任務を果たしてこれなかった。十八年間も満足させられないということになれば、腹の中から怒りが出てくるというのは、これは当然のことです。だから総務長官も、その点についてはそれが理解できる、こういう意味で、「完全実施されないとき、労使の間のさまざまなトラブル、いま仰せのような問題に派生してくると私は思います。」と予想しておられるわけでしょう。
○森国務大臣 それは当然自分の思っていることができなければ、たとえば子供でも親から何かねだる。ねだったときにそのとおりにならなければ、それはおこります。これは当然だと思う。しかし、私は、公務員という立場において、だからといって、それをたとえばストライキのような問題、そういう目的で紛擾する、騒ぐことを私は認めている者でもございませんし、それを奨励しておる者でもございません。やはりお互いに話し合いの上でこういった問題は解決すべきじゃないか、こういうふうに思います。
○川崎(寛)委員 それじゃ、同じ屋根の下に一緒に仕事をしている、似たような仕事をしているその公労協の諸君の場合には、これがすでに三十六年以来完全実施されておる。その差別についても憤りがあるのですよ。しかも、やります、やりますと言って、やらぬのでしょう。だから、公務員の当然の責任として、公務員の当然の立場から云々ということは当たらないと思うのですね。これからの解決はどうしますか。
○森国務大臣 いま言われました公社、現業との関係もあることだけに、私どもは、何とか人事院の勧告というものは、これは完全実施の方向にいきたいと努力をしたのであります。しかし、現実に財源がなければ、これはまことに遺憾なことではございますが、万やむを得ないという状態であろうかと思います。
○川崎(寛)委員 最後に、完全実施が義務だとまで言い切られ、また、こういう点についてトラブルもということまで言われておる給与担当大臣として、どういう責任を感じておられますか。責任とられますか。
○森国務大臣 私は、責任をとること、場合によってはやめるとかやめないとか、そんなことは簡単なことだと思います。そうではなくて、何とかして労使関係を軌道に乗せ、そうして将来こうしたことのないような状態にするのが私のつとめだ、こう私は思いまして、これからも、先ほどあなたの話にもございましたように、ずいぶん長い間先輩諸兄が努力してきたことではあるかもわからぬけれども、とにかくこのあり方というものにもう一ぺん検討を加える必要があるのではないか、こういう気がいたしますので、私は、将来に向かって一歩でも二歩でも解決する方向に向かって私自身は進んでいかなければならぬ、そういう義務を感じております。
○川崎(寛)委員 大蔵政務次官がお見えのようですから、大蔵政務次官にお尋ねします。 私は、もう完全実施の一点にしぼってお尋ねをいたしております。今回も、これまで何べんか決議も行なわれてまいりましたし、党と党との間でも、自社両党の間でも党の責任者が話し合いもしてきておるわけです。しかし、ついにことしも五月一日実施をしてくれという人事院の勧告は値切られたわけですね。先ほどの森総務長官の御答弁にもありますように、内閣全体の責任ではありますが、過去十八回にわたって完全実施をしてこなかったのは、一にかかって財政制度上の問題だ、財源の問題、財政上の問題だ、こういうふうに結論づけられると思うのです。高度成長のときにもこれは実施をされてきていない。要するに、やる気がないからできない、そういう基本の姿勢の問題政策の問題だと思います。人事院の勧告を値切ったというそのことについて、財政当局としての立場、特に財政当局はそもそも最初から完全実施の腹はなかった、こういうふうに思うのですが、どうですか。
○小沢説明員 御承知のとおり、国家公務員につきましては、その給与財源というものをもっぱら税収に依存をいたしておるわけでございます。したがいまして、公共企業体等の職員の三公社五現業等の場合と違いまして、これはやはり人事院の勧告が出ました場合に、政府としてはその勧告を尊重しながら、同時に、他の財政需要といいますか、要因といいますか、そういうものをいろいろ勘案をいたしまして、その上でできるだけ勧告を尊重する方向で給与というものを決定していくものだと考えております。今年につきましては、御承知のように、食管会計の繰り入れなり、あるいはまた他に千数百億にものぼる財政需要というものがあるわけでございます。私どもはいろいろとこの財源の調達につきまして苦心をいたしました。まだ九月決算というものが明確にはなっておりませんけれども、何としても給与のこの財源につきましてはできるだけの努力はしなければいかぬだろうということから、各省に今後節約等のこともお願いをいたしまして、そういう前提で、何とかひとつ昨年並みの実績だけは九月実施という方向でやっていかなければいかぬだろう、こういうことで、財政側のお答えを申し上げておるわけでございまして、この点は、ただ先生おっしゃるように私どもが切る、切るということでなくて、必要な財源の捻出に苦労をしている、こういうことに御理解をいただきたい。
○川崎(寛)委員 公労協と差別をしていいという根拠はどこにあるのですか。
○小沢説明員 労働関係のいろいろな適用法令も違うのでございますが、そういうような点につきましては、私答えをいたす立場でございません。御承知のとおり、公共企業体の職員等につきましては、給与総額制というものをとりまして、これは独立採算のたてまえをとっておる企業体でもございますので、その辺のところは、給与総額の制度の中で、企業努力なり、あるいは経費の節減なり、あるいはまた既定経費の流用等を比較的弾力的に運営できるようになっておるわけでございます。ところが、この人事院の勧告によって給与を考えます一般公務員につきましては、もっぱらその財源を税収に求める、こういう点が非常に大きく違っておるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
○川崎(寛)委員 六人委員会の給与担当大臣が、時期を含めて完全実施が義務だ。また、人事院総裁もたびたびお述べになっておられるように、なるほど法の制定上の、実定法上の問題としては差異があるけれども、法律が期待をしておるところは同一に扱ってほしいのだ、こういうことをお述べになっておるわけです。私はきょうは大蔵大臣の出席を要求いたしておったのでありますけれども、大蔵大臣が出てこられていないので、その点は直接には追及できないわけでありますけれども、六人委員会の一人として、当然給与担当大臣の森総務長官が繰り返しお述べになっておられるように、時期を含めて完全実施ということが、私は、六人委員会としても、人事院勧告を受けた政府の立場として当然だと思うのです。しかし、いまの大蔵政務次官のお話によりますと、最初から税収云々で、その点は、完全実施すべきだということについては考えは毛頭ない。完全実施しようという意思があったのですか。
○小沢説明員 繰り返し、この問題につきましては、勧告が出ましてから各大臣あるいは大蔵大臣も、おそらく大蔵委員会等において所見を述べられておると思いますが、政府としてはあくまでも勧告を尊重する。しかしながら、給与改定というものは、御承知のとおり非常に日本の国家財政並びに国民経済に非常に大きな影響を来たすものでございますので、慎重に今日まで検討をしてまいりました。その給与の性格からいいまして、ただいま申し上げましたように、税収にもっぱら依存する点でもございますので、他の財政需要要因というものを総合的に勘案した上で決定をする、これは従来ともやむを得ないところでございます。そういうような意味で、私どもは、もちろん日本の経済そのものをできるだけよくしていきまして、十分公務員の諸君でも給与改定が完全に財政上のみ込んでいかれるような国家財政の運用をできるだけ将来においてはいたしたいと思いますけれども、今日の段階におきましては、遺憾ながらまだそこまでまいっていないのであります。
○川崎(寛)委員 国鉄はいつも赤字ですよ。赤字の国鉄が三十六年以来完全実施をやっている。高度成長のときには自然増収もたいへん大きかった。自然増収の多いときにもやってないのですよ。そうすると、公務員の賃金というのは、現在すでにその実績が示しておるように、民間に二年おくれになっている。人事院勧告の制度が行なわれる前までは、公務員の賃金のほうが民間賃金ベースよりは高かった。実施されたとたんに、民間給与よりも下がってきたわけですね。そうしますと、大蔵当局としては、日本経済全体の中の低賃金政策を貫くために、勧告制度がどうあろうが、とにかく財源にことばをかりて、財源次第だということでこれを値切ってきておる、そう言わざるを得ないと思うのです。では、自然増収の多いときにもやらなかったのですけれども、どういうわけですか。
○小沢説明員 私どもの立場は、公務員の給与そのものにつきまして、財政上の立場から前線に出ましてこれを決定するというよりも、公務員の給与の上昇といいますか、そのベースアップといいますか、そういう問題も、それぞれ他の財政需要の要因と同じように考えまして、国全体の財政の点から、それぞれできるだけこれを消化していくように努めるのが私どもの役でございますので、そういうような意味で私申し上げているわけでございまして、大蔵省が公務員の給与のあるべきものをこうすべきだ、ああすべきだということで前に出かけていきまして、いわば前線に出ましてそれを決定しているという立場でございませんで、それぞれ必要なところからの財政需要というものをよく承りまして、できるだけその財源の調達に遺憾なきを期すように努力するという立場でございますので、この点は誤解をしないでいただきたいと思います。
○川崎(寛)委員 前線に出てなんということは言っておりません。しかし、実態はどうです。六人委員会の給与担当大臣等にはさんざっぱら踊らしておいて、前線どころか、うしろのほうでさいふのひもを締めて、民主主義の根本である権利の問題、そしてそれに対する代償機関としての役割り、こういうものは果たさないでいて、今日のような事態というものをずっと持続してきておるのは、私は大蔵当局だと思う。だから、何も前線に出なくていいです。給与担当大臣等が言うことをそのとおり実行しなければいかぬ。実行する努力をしてもらわなければいかぬ。どこにもないじゃないですか。どうして解決するのですか。三月二十三日の各関係機関等による検討等を見ても——では、人事院勧告制度というものについて、大蔵当局としてこれを制度どおりに実行していこうという腹があるのですか。あるいは考え方があるのですか。どうしてやろうとしているのですか。将来にわたってこの制度が続く限り、税収云々で値切っていくということを続けようとするのですか。制度上のこれを実現していく、これはもう内閣全体の責任であります。しかし、その中でそれを一番ひん曲げておるのが大蔵当局だと思うのです。解決の方向を示してください。
○小沢説明員 繰り返し申し上げますが、私どもは必要な財源の調達につきましてできるだけ努力をすると同時に、またその財源の点につきましての責任官庁としてそれぞれの需要官庁につきまして、あるいはまた需要のいろいろな立場からする御要求につきまして、お答えを申し上げるという立場でございますので、その点は御了承をいただきたいと思います。
○川崎(寛)委員 政務次官とやりとりしてもこれは平行線だと思います。制度自体の問題だと思いますので、総裁にお尋ねしたいと思います。あるいはたいへん失礼な尋ね方があるかもわかりませんけれども、それはお許しいただきたいと思います。 人事院の総裁としては完全実施できると思って勧告されたのですか。
○佐藤説明員 申し上げるまでもございませんが、私どもは財政上の権限というものを全然持っておりません。したがって、これは責任を持って財政上財源がどうであるというような判断はつけがたい立場にあるわけでございます。したがいまして、また私どもとしては忠実に民間の給与を克明に調査いたしまして、そして公務員の給与との水準上の比較をいたしまして、そこに差異があるということであれば、その差異は少なくとも埋めていただかなければ筋が通らない、その一点に事をしぼって、われわれはその実現に努力をしているということでございます。
○川崎(寛)委員 昨年の衆議院の内閣委員会でも、閣議で決定後の内閣委員会でも、総裁は非常に強い御発言をなさっておるわけです。声明でも出そうかと思った、しかしと言って腹におさめた、こう言われておるわけです。自分の任期中に何とか完全実施にこぎつけたい、こういうふうなことも言っておられるわけです。いまのままだとできると思いますか。
○佐藤説明員 できるようにしなければならぬという決意でおるわけであります。
○川崎(寛)委員 それでは、これは繰り返し各委員会で質問をされておる点でありますが、重ねてお尋ねいたしたいと思うのでありますけれども、先ほども私が触れましたように、八月三十日の参議院の文教委員会で総裁がお述べになった議事録を読み直してみて思うのでありますけれども、勧告は当然完全実施をさるべきだ、こういうことで、そういうことは公労協との関係等においても、先ほど大蔵政務次官は、法のたてまえをただ形式的に言われただけでありますけれども、公務員の場合もこれは当然時期を含めて完全実施されるべきだ、それが法律としては期待しておるのだ、こういうふうな御見解をお述べになったと思うのです。この点勧告というものはこれは内閣が受けるのだから、内閣のほうが適当に値切ってもかまわぬのだというふうな点についてはどう思いますか。
○佐藤説明員 内閣は内閣としてのやはり立場及び責任をお持ちになっておりますから、その責任のもとにおいて、最善の措置をおとりになるということはあり得るわけであります。しかしながら、私どもとしては、先ほど触れましたように、国会にも勧告をされておるわけでありますからして、内閣の措置が適当であったかどうか、私どもが批判をする立場にはおりませんけれども、最高機関としての国会は、もちろんみずからいろいろお調べをなさることもできるわけでありますから、国会の御裁断を待つ、国会の御裁断が下れば、もうわれわれはあきらめざるを得ない、そういう立場であります。
○川崎(寛)委員 文部大臣はこの勧告に対してどういう態度で今日までこられましたですか。
○有田国務大臣 私も多数の教員をかかえておる関係上、何とかして完全実施に近づけしめたい、こういう気持ちを持ちまして、常に閣議におきましても関係閣僚に何とかならぬものかということを申し上げて、完全実施に近い線を出すべく努力を払ったのであります。
○川崎(寛)委員 ただ関係閣僚に陳情しただけですね。国立関係を含んで七十万の教職関係の諸君は、この人事院勧告の完全実施について念願し続けてきているわけです。ところが、残念ながら文部大臣は、先ほどの所信表明で根性のある人間を、また各新聞等にも見られますことは、たいへん根性というおことばがお好きのようですね。しかし文部大臣が根性のある態度で、また所信表明の中にも給与の改善等にも触れられておるけれども、勧告されたそのものを文部大臣の立場で、つまり国務大臣の立場でどう実現をしようとして努力されてきたのか。残念ながら新聞等を見ます限りにおいては全く見られないわけです。だから、私は極端に言いますならば、六人委員会の諸君がやるだろうからといって、わきでただ傍観をしていたというふうにしか見られないのです。どうですか。
○有田国務大臣 文部省としましては、私の就任する前から、すなわち人事院勧告ができる前から、人事院総裁に対しましても、教員の立場上かくかくにしてほしいと、ずいぶんいろいろなことを申し入れておるのであります。私が就任しましたのは八月早々であります。間もなく人事院勧告が出ましたが、勧告が出ましたあとも、先ほど言いますような何も傍観しておるわけじゃない。関係閣僚に対しましては、常にその必要性を力説してまいった。しかし、私は正直に初めから申しておる。大体の見通しとしては、何とか五月からということを言う人もありましたが、非常に困難なことだろう。いままでの実績から考えても、なかなか五月一日からということは困難だろう。そこで私は参議院の文教委員会におきましても、完全実施に近づけるような極力努力するけれども、実際の話からいって、五月一日からはむずかしそうだよということを私は申しておりました。私は隠しも何もしない、率直な考え方を申して今日まできたわけであります。
○川崎(寛)委員 労働基本権をとって——つまり二十一年の労働組合法の中ではあったのですね。あった権利というものが、二十二年の国家公務員法が施行されたその第一次においてはまだあったわけですね。それがマッカーサーの書簡に基づく政令二百一号で、今度は公務員法の改正が行なわれた。その代償機関として人事院が設置されて今日に至っているわけです。そうすると制度上、ひとつ文部大臣としての立場をちょっとお尋ねしたいのですが、そういう制度上のたてまえからするならば、完全実施をするのが責務だ。先ほど森長官の御答弁を私何べんか引用しましたけれども、そのことについては少なくとも完全実施すべきだ。財源云々等は別にしましても、すべきだということについてはそうお考えですか。
○有田国務大臣 これは法律問題ともからみますが、私の気持ちとしては完全実施をやりたい、これは偽らざる気持ちです。しかし私は憲法学者でも何でもないが、私の解釈するところは、御承知のとおり、労働基本権はたしか憲法二十八条にあります。ありますが、いかなる権利も無制限に行なわれるかというと、そうでもない。やはり公共の福祉のために制約されるということは、当然こうして国家社会というものを形成しておる以上はあり得ることだ。ましてや国家公務員、すなわち国民全体の奉仕者としての国民全体の立場に立っておる公務員に対しましては、憲法の解釈上もこれは制限があることはやむを得ない。かるがゆえに、この国会におきまして、国家公務員法におきましても、地方公務員法におきましても、争議行為というものを明らかに禁止されておる。ところが、一方そのままにおきますと、公務員のあるいは地方公務員の生活を擁護する機関がない。したがいまして、人事院というのができまして、それで公平な立場から勧告制度ができておることは御承知のとおり明らかであります。しかし、法律の議論をするわけじゃありませんが、完全実施をしたいということと、完全実施をしなければならぬという、そこには法律上の差異があるのです。争議行為は明らかに法律上禁止されておりますけれども、一方、国としても国会としましても、人事院の勧告を尊重しなければならぬけれども、五月一日からやれという勧告があるからといって、それを完全に実施しなければ国なりあるいは国会は法律違反をやっておるというわけでもない。そこにおのずからニュアンスの相違があるということをひとつ御了解願って、その上に立って議論をしていただきたい、かように思います。
○川崎(寛)委員 いまの、だいぶん先回りをした御答弁をしておりますけれども、それでは完全実施をすることがなぜ公共の福祉に反するのですか。
○有田国務大臣 私はそういうことは申しておりません。争議をやるととが公共の福祉に反する、こういうことを申しております。
○川崎(寛)委員 そうじゃないです。先ほどの答弁は憲法二十八条云々を説明された。しかし完全実施をやるということはあたかも無理だといわんばかりの理論づけをされたわけです。だから、私がお尋ねしておるのは、そこまでいってない。完全実施すべきだと思うのだという点はそのとおりなんでしょう。いかがですか。
○有田国務大臣 私は完全実施をしないことが公共の福祉に反するとは申しておりません。私の申したのは、憲法上からいいましても、ことに国家公務員法なり地方公務員法において争議行為を明らかに禁止されている。したがいまして、法律に違反するようなことを国民全体の奉仕者の立場にある公務員がやることは、これは明らかに公共の福祉に反する、こういうことを申したのであります。したがいまして、一方、人事院という生活権を擁護する機関がありますが、その勧告を尊重したい、できるだけ完全実施をやりたい、その気持ちは一ぱいあるのです。しかしながら、それが完全実施にならないからといって、これが法律違反とかそういうようなことにはならない、このことを申しておるのであります。その間において区別がありますから、その上に御了承願いたい。
○川崎(寛)委員 こういう通達を出しておられますね。これは初中局長が各県に出されたと思うのですが、勧告を受けた機関は自己の自主的判断に基づき勧告内容実現につとめれば足りるのだ。そうして人事院勧告に十分な検討を加えた上でこれを修正して実施することは不当でも違反でもないのだ、こういうふうにいっておられるのです。先ほど文部大臣が憲法二十八条に触れて言われたように、その代償機関としての人事院が勧告されておる。ところがこの通達か、説明資料になりますか、によりますと、十分検討を加えた上でこれを修正して実施することは不当でも何でもないんだ、最初からこういうふうにあなたは各県の教育長に対して指導をやっているじゃないですか、どうですか。
○斎藤説明員 いまお示しになった事柄は通達ではございません。と申しますのは、これはそもそも一斉休暇闘争というものを企てまして、そして何か勧告を完全に実施しなければ争議そのものが違法性がないのだというような論議が管理者との間に展開されますので、法律論としてはそういうことでないのだということをこういう労働関係を担当いたします管理者の業務の参考のためにやったことでございます。
○川崎(寛)委員 しかし精神には、最初から完全実施に努力をするという文部省としての姿勢は、これには何もないですよ。
○斎藤説明員 この書類が通達で勧告そのものを議論する段階に出したものではございませんで、これは府県において労働関係を担当いたしている者が、現実に勧告が完全実施でないと争議をしてもいいんだというような指導が行なわれる可能性が非常にあったものでございますから、それは法律論としては違うのだということを業務上の参考にいたしたものでございます。
○川崎(寛)委員 先ほど私は、森給与担当大臣の参議院における答弁を引用して読み上げました。代償機関である人事院がやったことに対して政府が実行しなければそういうトラブルが起こるのはあたりまえだ、その点は十分わかると給与担当大臣は言っているのですよ。それがことしも去年と同じことをやったわけです。しかも、財源上の点からいいますならば、昨年よりもずっといい。森給与担当大臣——国務大臣です。同じ国務大臣でさえもそういうふうにして給与担当大臣の立場からは言っておられる。だから、実施することは義務なんだという強い自分を縛る決意で努力してきた、それが自分は新参閣僚だから、自分たちの知らぬ高いところでやられてしまったんだ、こういうことをぼやいておるわけです。ところが文部省のほうは、今回の場合では、一番関心の高い、また強く要望してきております教職員たちに対しては、しょっぱなから完全実施ということへの努力、そういう姿勢は何ら示すことなく、不当でも何でもないんだ、かまわぬのだ、こういう形式論理でいっておるわけです。だから私は先ほど文部大臣に完全実施へのその意欲というもの、そしてそれが根性を説く文部大臣の立場でどう貫かれたかを尋ねた。全然やっておらなくて、一方では不当ではないのだから勧告が削られたって不当でないのだという指導をしょっぱなからやっておる。その姿勢にたいへん大きな違いがあるわけです。この十八年間もめにもめ続けてきている人事院勧告制度というものについてどう打開していくかということについて何ら努力をせぬでおいて、罰するほうばかりにはかまえておる。そういう姿勢が問題を次々に発展さしておるわけです。文部大臣の御所見を承りたい。
○有田国務大臣 先ほど来申しましたように、いやしくも国家公務員たる者あるいは教職の地位にある地方公務員たる者、それが法律に違反するようなことがあってはたいへんなことですよ。いやしくも法治国においてです。全体の奉仕者の立場にある者が法律違反をやってもよろしいなんということ、どうしてそういうことが考えられましょうか。したがいましていま初中局長が申しますように、代償機関であるといわれるところの人事院の勧告が完全実施にならないおそれがあるというので争議行為をやってもよろしいという、そういうような姿勢がとられたときに、文部当局としてそれに注意を払うことは当然なんです。それと一方、完全実施に近づけるべく努力するということは問題が違うのです。その区別を明らかにして、その上に立って話をしてもらわぬと、一方完全実施ができないからといってストライキをやってもよろしいと聞こえんばかりのことばは私としては受け取れない。
○川崎(寛)委員 昨年の一〇・二二の前には中村文部大臣は私たちとも何べんも会ったわけですよ。社会党の衆参両院の文教委員は何べんも会いました。そうして文部大臣自身が日教組にも会おうと言って会ったわけです。努力された。警備員の問題あるいは超過勤務の問題、研修手当の問題等についても、私たちは何べんも何べんも会って話し合いもしました。中村文部大臣のそういう姿勢からいま振り返ってみますならば、有田文部大臣は残念ながら——私は、あなたが違法行為になんという攻撃をする前になぜやるだけのことをやってないか。自分のほうでやるべきことをやらぬでおいて相手に対して義務のみを強要してくる、そういうことで教育ができますか。期待される人間像を見たってそうじゃないですか。期待される人間像はいま期待される政治家像といって政治家に向けられているじゃないですか。今日日本の国政の責任を負っておる自由民主党の諸君が、そういう自分がやるべきことをやって一歩でも二歩でも前進させましたか。させないでおいて、早手回しに勧告なんというものは値切られてもかまわぬのだ、不当でも何でもないのだという指導をしていくところに私は根本的な問題があると思うのです。だから、わが国における円満な文部行政の発展というものもなかなか出ない。あっちこっちに衝突ばかり出てくる。こういう結果になるのは一にかかって為政者のほうの姿勢の問題だと思うのです。私はあなたが言おうとしておることはわかりますよ。論理はわかりますよ。しかしそれは納得できません。やるべきことをやらぬでおいて攻撃をする。このことは後に人事院総裁にももう少し基本的なことでお尋ねしたいと思いますけれども、文部省として、あるいは文部大臣として、毎年繰り返されます給与改定のこの問題について、どのように国務大臣の立場から努力しようとしておるのですか、明確にお述べください。
○有田国務大臣 私は五月一日からという完全実施になりませんがために、いま過去においてこれだけの努力をした云々ということは言いません。そういうことを言っても、もう九月一日からということを閣議で決定したのですから。私も、九月一日からということで決定されたからといって、それまで何らの努力をせずして傍観していたわけでも何でもない。しかしそれを、こういう努力をしました、こういうことをやりましたと言うてみても、結論が九月一日ということになっておりますから、努力してもその努力がかいなく、自分の微力のいたすところで、この点は大いに遺憾に思います。しかし、私は日教組の諸君と何も会わないということを言ってない。しかし日教組の諸君と会う以上は、やはり教育上何かプラスの立場、そういう環境で会うことが大事だ。私は虚心たんかいでおる。しかし初めからわれわれは実力行使をやるのだ、文部大臣と対立的にこうやるのだというような姿勢で会見しても、何も益するところはない。それで私も前から言っておるのですが、日教組の諸君がもう少し姿勢を正してくれぬか、そうして教員たる者の地位を自覚して、そうして大いに教育のためにお互いに語ろうじゃないか。こういう環境ができれば私は喜んで会う。中村文部大臣といえども、御承知のとおり三条件というものを非常に強く表に出した。私もそういう環境が日教組側にできたならば喜んで会談もいたしましょう。しかしいまのような、法律違反をやってもかまわないのだというような実力行使の指令が出るような、そういう環境にあるときに、いま文部大臣と会談しましても、私は教育上益するところなし、こういう判断のもとに現在の段階においては会おうとしていない。その点は私の気持ちも察していただきたい。もしも私の論理なり言うことがわかってくださるならば、あなたたちもこの大事な教員という立場を考えて——私も教員の地、位の向上ということは、さっきも申しましたように常に考えておる。したがいまして、皆さんもそういうように教員の立場を考えてうまく指導していただいて、ともどもに手を握って日本の教育というものをりっぱになし遂げていきたい、こういう気持ちにあなたたちもなっていただきたい、このことを私は特に希望します。
○川崎(寛)委員 いまの問題は少しあとに回します。もう少しこまかい問題がありますから、人事院総裁に長くお待ち願うのもたいへん恐縮ですから、もう少し総裁のほうにお尋ねしたいと思います。私は、総裁が各委員会でお述べになられたことを繰り返しここでお尋ねをするのは時間のロスだと思いますから、その御答弁を全部含んでお尋ねしたいと思います。 人事院が二十三年の設置以来、完全実施ということは行なわれてきておりません。また勧告を受けるほうの政府においても、先ほど私が引用いたしましたように、総理府の増子人事局長が、三月二十三日の結論として、完全実施を解決する有効な方法はないということを参議院の内閣委員会では答弁をしております。そういう中で代償機関として、つまり代償機関でありますからこれはただ単に言いっぱなしでいいということではないと思うのです。当然に代償機関としての機能を果たさなければいかぬと思うのです。その機能を果たすためにはどうあるべきだと思いますか。
○佐藤説明員 ただいまお触れになりましたように、人事院勧告の時期がよくないという話がここ二、三年来起こってきておりまして、一昨年及び昨年の閣議決定の付記事項のようなところへ、再検討が望ましいというようなことばさえ出ております。私どもとしては、勧告の時期その他勧告のやり方を変えることによって非常に円滑に完全実施が期待できる、確保できる、保障できるということであればそれに越したことはないのでありますから、せっかくのそういう研究であれば、われわれとしては進んでやるべき研究であろうということで取り組みました。のみならず、政府あるいは自民党の政調会でも、吉武試案というようなことばで知られておりますように、その面は真剣に検討してくださり、閣僚委員会でも取り上げてそれを検討する。私も、これは重大な利害関係のあることでございますから、そこに出席して意見を言わしていただいたのでありますが、結末は、結局現在のやり方に対してよりよい制度というものはいまのところ見当たらないということで、一応現在に至っているわけであります。私としては、やはり基本は民間給与をとらえて、それを精密なる計算のもとに比較をして公務員の給与をきめていくということが、鉄則として一番手がたい方法であろうと思います。そこで日本の場合を見ますと、民間給与の一番大きく上がるのは春の時期だ。そうすると、その時期をとらえて比較することがどうしても適正な結果を得るゆえんであるということからいきますと、やはりどうしてもいろいろな計算上その他の作業からいっていまのような勧告の時期にならざるを得ないということが一つある。ところがもう一つ、基本的に考えてみますと、年度半ばになってお金の心配を急にせにゃならぬというのはどういうわけだろうという、私どもの素朴な疑問ではありましょうけれども、あるわけです。たとえば公労委の仲裁裁定は、年度開始早々の五月に裁定が下って、そして、まだその企業体のもうけも何もはっきりわからぬときに、すでにもう補正も何にもなしに四月にさかのぼって完全実施されておるというようなことと比べて、何かそういう面からくる改善案というものもあるのじゃないかということを煮詰めて考えて、おりあるごとに申し上げてきたわけであります。要するに、当初の予算を組まれます場合に、来年度の経済情勢、民間の賃金情勢という見通しは大まかながら一応おつきになるはずじゃないか、そういうことを見込んでやはりある程度の手当てを予算上含みを持たしておいていただければ、その分だけはあらかじめ見込まれておりますから、どたんばになってお金の全額を御心配になる必要はないということになるのじゃないかというような、きわめて単純なことでありますけれども、やはりこれはなかなか大事なことじゃないかと思いまして、毎年また予算の編成時期になりますと——去年も大蔵大臣にお会いして、そういうことでひとつ来年度の予算は十分含みをとっておいてくださいよと頼んだのですけれども、遺憾ながらその実績はあらわれておりませんけれども、われわれの考えているところでは、ぎりぎりその辺のところをまずやっていただいて、それからさらにまた名案があるならば、この名案に対しては幾らでもわれわれとしてそれを取り入れるにやぶさかでない、そういう気持ちでおるわけであります。
○川崎(寛)委員 勧告を受けるほうの政府は、有効な解決方法なしということで、いまは結論を出しておるわけですね。人事院総裁のほうは代償機関としての立場を貫こう、こういうことで御努力になっておる点については十分に了解をいたします。しかし、受けるほうの政府側が有効な方法がない、こういうことであるならば、権利を奪ってきたその過程からして、これは人事院の勧告制度そのものの根本に触れてくる問題ではないかと私は思います。つまり、今日の制度が続く限りこれは完全実施されない。でありますから、単に勧告をすればいいのだというだけの機関でない人事院といたしましては、代償機関としての機能を果たしていこうと努力をされても、その努力が実らない。でありますから、人事院総裁のその苦衷というのは十分にわかります。そうなればこれは根本に返って権利を戻すべきだ、そして本来持っておるべき権利でありますから、この権利を戻して、そしてILO等の勧告にもありますとおり、これを本来のあるべきものに戻していくべきだ、労働基本権を返すべきだ、それ以外にはいま解決方法はないのじゃないですか。
○佐藤説明員 私どものただいまの公の立場は、国家公務員法、給与法、その他与えられました法律の実施、これを誠実に行なうということが使命でございまして、その法律がいかにあるべきかというような立法論的な事柄については、われわれとしてここでにわかに申し上げるべき立場にはないと思います。現に御承知のように、いま開店休業中でございまして——開店休業中ということばは取り消しますが、ただいま動いておりませんところの公務員制度審議でも重大な課題としてお取り上げになるべき様相もうかがわれます。私どもとしては、そこまで出しゃばった意見を申し上げることはお控えしておきたいと思います。
○川崎(寛)委員 それではもう一歩下がりまして、いまのままでは完全実施できないというふうにお考えになりますか。
○佐藤説明員 先ほど申しましたような、現行制度の上で完全実施は不可能なことであるとは思っておりません。
○川崎(寛)委員 わかりました。それはあと内閣のほうの責任者に追及しなければならぬ問題であります。ただしその責任者がおりません。文部大臣にお尋ねしても、これは全然問題にならぬと思いますから、打ち切ります。 次に、今度文部大臣のほうにこの点に関連をしてお尋ねをいたしますが、先ほどの説明資料——通達でない、説明資料だということですが、それと、あるいは現に下部のほうでいま起きております問題、それはいろいろなPR資料を父母に配れ、一斉休暇闘争等についてのPR資料を配れといって県の教育委員会を指導しておる。また現に鹿児島で行なわれておる。あるいはこの説明資料を見ても、警察とよく連絡をとっておけ、こういうことでかかっておるわけですね。そういうことが文部省としてやるべきことですか。自分のほうはやるべきことをやらぬでおいて、違法だ違法だという責任追及だけをやり、そしてそういうことをやったらこれは警察にあらかじめ連絡をとっておけとか、どこに根本問題を解決しようという姿勢がありますか。根本問題を解決しようということをやらぬでおいて、いや警察に連絡をしろ、いや父兄にPRをせい、そういう指導をやるところに今日の文部省の姿勢の根本問題があるわけです。正しいと思いますか。
○斎藤説明員 私どもはやはり違法なストライキをやるな、これは別にそういうきざしがないのにあらかじめ言い出したことではありません。すでに一斉休暇の方針をきめ、それからいわゆる批准投票というものの準備が始まった時期の段階で個々の管理関係の者がどう対処すべきか、そしてそれが違法でないということを宣伝されても困りますから、その点のやりとりを書いてあるわけでございます。警察に連絡云々のことも、これは地方公務員法によってこれを教唆扇動する場合は刑事の事案にもなることでもございますし、それから学校内において一斉休暇をする事柄自体は、比較的任命権者たる教育委員会で把握し得ますけれども、学校外で動くいろいろな行動と申しますものは、これは監督すべき立場でもある教育委員会が実際によくわからない。そういうときの状況判断の資料というものは、他の機関でよく知っているところから得る必要もあろうということでございます。また、一斉休暇に関連いたしまして、学力調査と同じようにあるいはピケその他で騒擾等も起こることも万一にもありますから、そういう事前の措置等は十分に関係当局と連絡する必要もあろうかと思います。私どもは、できるだけ事前に違法の闘争がないという手段を講じてもらいたいという関係で、その点ではやはり学校に非常に関心のある父兄等も、こういうものは違法であるということを認識していただくことはきわめて大切だ、さように思っておるわけであります。
○川崎(寛)委員 先ほど文部大臣も触れられましたが、憲法二十八条による権利を制限したわけですね。それを制限をして国家公務員法にやってきている。しかもその制限をしたことについては、代償機関が努力をしても十八年間実施してきていない。制限をされておるものが二十年近い長い期間守られない。代償機関としての機能というものが果たされていない。それを政府が実行しないというのであれば制限されているという権利は、それが実施されない限りにおいては当然よみがえってくるべきだ。それを法律が云々と言われる。法律を守らなくちゃいけない立場にありながら、またこれは実行しなければならない道徳的な義務がある、政治的な責任もあると思うのです。そういうものを果たさずして、権利の制限のほうばかりに向けられていく、このこと自体が問題であって、それは先ほど来言っておりますように、それが実行されない場合にはトラブルが起こるのもやむを得ない、こう給与担当国務大臣自体、担当責任者自体みずからが言っておるのです。これは権利の問題ですよ。単なる条文解釈で問題を制限をしていけるような問題ではない。だから、権利の回復として多くの労働者諸君が怒りに燃えておるわけです。やるべきことをやらぬでおいて、そっちのほうだけ攻撃をするということ自体に政治責任がある。だから、文部大臣としても、この点はまずやるべき政治責任のほうを果たすべきだ、本末転倒だと思うのです。どうですか。
○有田国務大臣 どうも川崎君は先ほど来私の言うことを理解していただけないと思うのです。どうもあなたのおっしゃることは、人事院の勧告を完全に守るということと、それから法律で禁止されておることを同じように解釈されるのですね。私は先ほど来るる申しておりますように、それは憲法二十八条に労働基本権のあることは明らかです。しかしながら、憲法自身の解釈からいいましても、公共の福祉のためにある程度制限されるということは、こうした国家社会生活をしている以上はやむを得ない。ましてや国民全体の奉仕者の立場にあるところの国家公務員が、あるいは地方公務員がかってに争議行為やストライキをやってもいいかということは、私はどうもそういうことは公共の福祉の上からいってやるべきものじゃない、かような解釈です。のみならず、国家公務員法におきましても、地方公務員法におきましても、はっきりと争議行為は禁止されておるのですよ。争議行為が禁止されておるということと、一方人事院の勧告を完全実施しないからけしからぬということは、これは完全実施をすることが望ましいことは望ましいですよ。けれども、完全実施されないからといって、一方、法律に禁止されておるにかかわらず、完全実施されていない以上はストライキをやってもよろしいというのは、これこそ逆の考え方で、私から言うならば、公務員としての、ことに教員としての立場から、そういうことはやめてほしい、これが第一なんですよ。一方、素質の向上、地位の向上、したがって、処遇の改善ということはやらなくてはいかぬことですが、だからといって、完全実施がされないからといって争議行為をやってもよろしいと言わぬばかりのそのことばは、私はどうも理解できない。そういうことが一般の人にわからぬから、ことにかわいい大事な子供を預けておる父兄でもわからぬ人があるから、文部省としてそういうことに対する誤解を避ける意味において、これを理解させる意味においてそういうことをやることは、私はあながち間違ったことであると思わないのですよ。どうかひとつこちらの気持ちをよく理解してほしいと思うのです。
○川崎(寛)委員 一般の人はわからぬと言っていますけれども、各新聞の社説は、全部値切ったことに対して非難しているんですよ。読み上げてみましょうか。 朝日の十五日の社説、まあいろいろ問題があるが、しかし、「より多く、政治権力をにぎっている政府の側に、慎重な考慮をうながさなければならない。」勧告の完全実施の時期の問題について「人事院の勧告を政府が値切るのは、筋が通らない。」あなたはいま一般の世論はわからぬと言っておるが、世論を代表する新聞はこう言っておる。朝日だけではありません。同じ十五日の日経の社説においても「人事院勧告は組合の主張するような趣旨のものである。政府はできればそれを完全実施することが望ましい。」わからぬと言っておりませんよ。値切っても当然だというふうな姿勢でおりますけれども、そうじゃない。毎日の社説においても「組合側を法律無視にまで追いこもうとする政府の態度も、また責められねばならないだろう。「ないソデは振れない」といったそっけない態度でなく、もう少し前向きの姿勢で対処すべきではなかったろうか。」こう言っておるのです。世論はそういう点については全部支持しておるのです。追い込んだのは政府ですよ。十八年間実施してないのです。ぬけぬけと言っているじゃないですか。政府が追い込んでおる。その根本的な姿勢と政治姿勢、その責任、それがこういうことに追い込んできている。あなたはいま単年度の問題のような言い方をしておるけれども、ことし一年の問題ではない。過去十八年間の問題ですよ。これについては何ぼ言ったって平行線です。答弁要りません。世論は支持してないと言う。しかし、追い込んだのは政府だ。どの新聞だって取り上げているじゃないですか。私はそういう立場で、当然憲法の本来保障しておる権利というもの、それをいかにして守り、実現をさしていくか、これは政府の責任です。また別の機会にこれらの問題については根本的にやりたいと思います。しかし、きょうはもうすでに私は約束の時間をはるかにオーバーしておりますからここでとめますが、要するに、十八年間政府が守らなかったそのことが今日の事態に追い込んできておるという政府の責任を追及して、終わりたいと思います。
○八木(徹)委員長代理 長谷川正三君。
○長谷川(正)委員 私は、ただいま川崎委員から、当面の公務員給与の問題に関連いたしまして、理路整然、かつ条理を尽くした質問がなされましたけれども、文部大臣をはじめ各関係当局の責任者の御答弁の中に、十分私どもが納得できる、また了解できる御答弁がなかったことをまことに遺憾とするものであります。私は、実はこの問題でなしに、他の質問を用意しておりましたけれども、ただいまの質疑を伺っておりまして、ごく平凡な一市民でもわかる条理から一言だけこの問題について申し添えさせていただきたいと思います。 いまも川崎委員からるるお話がございましたが、十八年間にわたって、公務員の労働基本権を制限した代償としてできた人事院の勧告が実施されなかった。このことについて、先ほど来給与担当大臣も大蔵政務次官も、そしてまた有田文部大臣も、尊重はしたいんだけれども財源がない、だからできないのだ、詰めて言いますと、そういう御答弁であります。しかし、三歳の童子もわかりますように、膨大な国家予算の中で、労働者自体、公務員自体から考えるならば非常に控え目であるという、不満だらけの内容でありましても、その勧告すらも完全実施してこない。しかも、そういう内容でありますから、国家財政全体から見まして、絶対的に財源がないということは、これは三歳の童子もわかるように、そういうことはあり得ない。出そうと思えば財源はあるはずであります。問題は、今日の日本の政治の進め方の中で、公務員の生活がどの水準に保障されることが、最も正しく、国民大衆にとって最もいい公務員のあり方を実現していく政治のやり方であるかという判断一つにかかっていると私は思うのであります。 すなわち、そういう立場から申しますと、公務員賃金については、人事院の勧告をそのまま実施するということの国政上における重要度、国民生活を守る上における重要度において、これは低しと見ておる、軽しと見ておる、この一言に過去十八年の施策は尽きておると私は思う。はたしてそうでしょうか、この点をひとつ十分に考えていただきまして、この際、憲法に保障された労働基本権を全面的に公務員にも与え、そして仲裁制度というようなものを確立する方向にするか、あるいは、人事院がまさに公正な勧告をいま以上にできるような形にして、これを政府が完全に守るということを明確に義務づけるか、こういうことにしない限りは、私はこの問題は絶対に解決しないと思うのであります。そして、いまやそれを判断し、決着をつける重要な時期にきていると思う。公務員は決してみずから法を破ろうなどと積極的に志向する者はだれもおりません。にもかかわらず、今回十月二十一日には、きわめて微細ではありますけれども、ストライキという形も出るような情勢に進んでおります。まことに憂うべきことであり、胸の痛むことであります。これは、法律も大切でしょう。しかし何よりもその法自体を合理づける社会正義なり、ほんとうの人間生活の真実なり、そういった法の上の法、国民全体の中に当然の常識として流れ得る正しいあり方、こういうものを法律なら法律が無理に押えてくれば、これはたび重なる災害ではありませんけれども、どこかで堤が切れ、どこかに水があふれ出す、このことを正しく処理するのが政治じゃありませんか。有田文部大臣が大臣の立場で、あるいは斎藤初中局長が初中局長の立場で、一応違法行為がもくろまれているように看取するのでこれについて警告を出すのは当然だ、また、この席で川崎委員の追及に対して、違法のことを許すということはできないというふうに形式的に御答弁になるということであれば一応了解ができます。しかしながら、その御態度の中には、そのように長い間公務員の当然受ける最低の賃金すら受けられないできている窮状に対するあたたかい理解と、切々としてこれを身に感じておるという御態度がにじみ出ていない、そのことを私は言いたいのであります。 そういう意味で、冒頭申し上げました公務員の賃金を少なくとも人事院勧告完全実施並みに上げることの政治的判断は、それほど軽いものであるのか、きわめて重要な最優先すべき重いものであるのか。きょうは文教委員会でありますから教員の問題だけに限りましても、日本の教師の今日の生活の実態というものをよく考えた場合に、この低い勧告すら実施しないということの実態がどういう結果を実際生んでいるのか。なるほど、勧告が値切られましても、公務員は餓死はいたしておりません。しかし、社会生活にはおのずからその社会の構成における一つの水準がございます。さらに、公務員あるいは学校の教師、それぞれその体面を保持する水準というものがございます。それをまかなえない無理がきたときに実際どうなるか。 今日私が知っている多くの公務員関係の末端の諸君、行政の、しかも一番重要部面を担当して、身を紛にして働いている公務員や学校の教師の皆さんの家庭を見るときに、奥さんに内職をさせてどうにか切り抜けている生活、あるいは学校の勤務時間を何とか最小限度に切り詰めてもらってアルバイトにかけ回っている教師、それがどんなに多いか、御存じですか。これが国民の教育の上にどんなマイナスを来たしておるか、御存じですか。もっと悪い例をとれば、今日決算委員会その他で問題になっている田中彰治事件、共和製糖の過剰融資事件、こういうところで動いておるような膨大な金ではありませんけれども、これを最小限度の小型にしたような小さな職権乱用や小さな汚職、こういうものが公務員の生活をささえている。こういうことを考えたら、人事院勧告を実施するということに財源がないなどという政治的判断は根本的な誤りである。国民に対してまことに重大な誤りを犯しているということを、国の政治をあずかる当局者は銘記をしていただきたいということを、この席には責任者は文部大臣しかおられませんから、文部大臣としての有田さん、閣僚としての有田さんに私は訴えたい。そのことは私は総理に訴えたいのです。いま私が質問しているこれは、用意しておったことではありませんけれども、川崎委員と皆さんとのやりとりを聞きながら、どうしてもこれだけは申し上げたいと思いまして、一言申し上げた次第です。別に御答弁は要求いたしません。ぜひひとつ今後の御善処方を切望いたします。 次に、私は有田文部大臣の所信表明に関していろいろ御質問申し上げたいわけですけれども、きょう伺ったところでありますから、次の機会にそれを譲ることに先ほどの理事会でもお話がまとまっておりますので、そのようにいたしたいと思います。しかし、ただ一つ、二つ、次に深く質問を申し上げる題目だけはこの際大臣に申し上げておいたほうがいいと思いますので、一、二御指摘を申し上げておきたいと思います。 その第一は、文部大臣の所信表明の中に、これはもちろん限られたことばでございますからすべてを盛り尽くせないと思いますが、今日国民の非常に広い層の切実な要求となっておる幼児教育の問題について一言も触れておられないのであります。これは軽視をされるという意味ではないと思いますが、実際この幼児教育に対する国民の要求というものをどのように把握されており、これに対してどのようにこたえられようとしておるか、また、四十二年度予算の中にそれはどのように盛り込まれようとしておるか、こういうような点について次の機会に伺いたいと思っております。 それから次に、私は東京の出身でございますが、特に全国の大都市周辺の人口の非常な急増地帯の市町村あるいは府県の大きな悩みとなっておりますのは、義務教育諸学校の設置の問題、これが貧弱な地方財政を非常に圧迫いたしております。これについては、どうしても今日、特別立法するなり、何らかこれに即応する、国自身が責任を持つ体制をとる必要があろうと思うのでありますが、先般有田文部大臣御就任早々の新聞談話の中に、小学校の国庫補助率三分の一を二分の一に引き上げたい、中学校並みにしたい、こういうことを仰せられております。これは新聞報道でございますから真偽のほどはわかりませんが、文部省自体すでに一昨年あたりからそういう要求をされておると思います。これなどは直接人口急増地帯の問題というように取り出さなくとも、もし実施されるならば、事実上非常な福音になることは明らかであります。学校をどんどん建て足さなければならない、待ったなしに、義務教育年齢に達した子供を入れなければならない人口急増地帯問題としては、これはきわめて大きな効果を及ぼすものだと思います。これについてどのような御決意を持って臨んでおるのかということを、この次にはデータをあげて、少し詳細に御説明願いたいと思います。 さらに、高校の問題につきましても、ベビーブームの子供が高校の時期を去って大学に差しかかったということで、何か解決してしまったような印象が流れておりますが、これに対しまして、大臣は、この所信の中で高校の多様化ということをうたっております。その内容についてはいずれ十分な御説明をいただきたいと思いますが、その内容はしばらくおくとして、ベビーブームの子供の時期が差しかかったために高校が非常にお粗末に詰め込まれた、これを正常に戻し、そして水準を向上させる好機だと思います。また、準義務制と考えてもいいような最近の国民の高校教育に対する要求から見ますならば、高校教育について、教職員の定数の問題をはじめとして、大いに水準向上をはからなければならないと思いますが、これについても、次の機会に詳細に御抱負のほどを伺いたいと思っております。 また、この御所信にも出ております特殊教育、僻地教育の振興につきましても、これはきわめて血の出るような、涙なしには見られないような事態があちらこちらに散在しておりますので、これについても十分な御理解に基づく御施策をお願いしたいと思っております。 また、先ほど日教組との問題につきましても多少のお話がございましたが、これらについても次の機会に深めさしていただきたいと思います。 そこで、本論に入るわけですが、私がきょう質問を御通告申し上げました第一は、学校警備員制度の問題でございます。これにつきましては、去る五月十三日に、本文教委員会の中に設置されております学校警備員小委員会におきまして床次小委員長のもとに報告書がまとめられまして、これが五月二十五日の本文教委員会に報告をされたのでございます。 御承知のように、その第一は、「学校警備員の設置は、方向としては望ましいが、なお検討を要する問題点が多く残されていると思われるので、正規の勤務時間外における公立学校の管理状況等の実情を全国の学校について的確に把握するため、政府は、所要の調査を行ない適切な処置を講ずべきである。」これが第一項でございます。これについては、目下四十一年度予算にこの調査費が盛られまして調査が進行中と思いますので、その集計、それに基づく適切な施策を強く期待を申し上げるわけであります。 第二といたしましては、「右の調査とあわせ、文教委員会としても、直接、教職員の宿日直及び学校警備員制度の実情を把握するため必要な現地調査を行なうこととする。」こうなっておるのであります。 実は先般東北に文教委員会から調査に参りました際も、この警備員制度の問題は宮城県と福島県につきまして一応調査いたしたところであります。しかしながらこの問題につきましてはなお多くの問題がございます。特に私がこの両県について見たところによりますと、警備員制度も全面的に置いておるのではない。たとえば土曜と日曜だけ置いておるとか、いろいろな方法をとっております。しかも、警備員制度を置く一つの重要なねらいは、教職員の働きを教育に専念できるようにするために、いわゆる雑務から解放するということが重要な一つの課題だと思いますが、宮城県や福島県で考えられておりますのは、どうも学校の管理の責任だけは、警備員は置くけれどもまた教育上の問題もあるからということで、依然として教職員の宿日直が並行して行なわれておる。これはあまり意味はないのではないか。したがって、東京都が行なっておりますように、全面的な警備員制度にして、原則として教職員は宿日直をやらないでよろしい、もちろん学校に行事のある場合、あるいは非常災害があったような場合、あるいは教育的にどうしても必要が起こったような場合、教職員の宿日直が必要とされる場合の措置は当然あっていいと思いますけれども、いわゆる学校管理というために日常の宿日直を並行して行なう必要はないのであって、こういう点については、特に東京都の区部、それから多少財政事情の違う東京都下の市町村、これらについてもぜひひとつ十分な調査をする必要があると思っておるのでありますが、これは文部当局というよりも、むしろ文教委員長に、この報告に基づく調査を今後進めていただくように私は要望する次第であります。なお、理事会等におきましても、すでに石川県ですか、富山県ですか等を見ようじゃないかというお話も出ておるのでありますが、これらの調査をさらに早急に進めていただきたいと思うのであります。きょうは委員長がおられませんが、代理の委員長から御答弁いただければこの点についてひとつ御答弁いただきたい、こう思います。 それから第三点といたしまして、「政府は、宿日直の頻度の多い小規模学校の教職員の勤務量の軽減を図るため必要な措置を至急に講ずべきである。」これが報告の第三項でございます。特に「至急に講ずべきである。」というのがつけ加わったのは、いわゆる第一項が申しますところの全面的な調査完了後次の施策を行なうというのでは間に合わないという意味がこの中に含まれているものと解します。したがって、今年度途中からでもこれについては財政上の措置、行政上の措置、いろいろな方法がくふうされ得ると思いますけれども、これらにつきまして、文部当局はこの報告をどのように尊重し、どのように処置をされようとお考えになっておるか、伺いたいと思います。
○有田国務大臣 警備員制度につきましては、本委員会の小委員会の結論にもありますように、方向としては望ましい。しかし、直ちに実施するのには残された問題がたくさんございますので、それにつきましていま事務当局においていろいろな調査を進めつつあるという段階でございます。また、日直につきましても、どの程度やっておるかということを全国的にいま調査を進めておりまして、詳しいことは事務当局から御答弁しますが、その調査の結果に待って善処いたしたい、かように考えております。
○斎藤説明員 先生御質問の、特に第三点についていかなる態度をとっているかということが中心でございますので、その点について申し上げます。 この学校警備員小委員会の結論として、全国的な調査とそれに対する措置というものは別としても、頻度の多い小規模学校の教職員につきましては、暫定的にでも何かの措置を至急講ぜよ、こういう御趣旨で、この御趣旨はよくわかるのであります。私どももいろいろ検討はいたしてみましたけれども、この小規模学校について暫定的にどう措置するということを切り離して、具体的な予算の要求とか、その前提になる施策を全般について考えるのは非常に困難であるということでございまして、私どもとしては、やはり本年度全国的に実施しております全国集計、すなわち、宿日直の状況あるいは警備員の配置状況、その実態、それにからまる給与、あるいはその他の雇用上の諸問題というものを分析いたしてから必要な措置を考えるということで、その小委員会の報告にございますように、小規模学校について暫定的にという御趣旨は私わかるのでございますけれども、さて具体的にどうするかということになりますと、実はそこまでいきかねるので、これは率直に申しまして、この観点からの四十二年度の要求というものはあらわれておりません。ただ、小規模学校の教職員につきましては、実態によりましては、校長先生の官舎というものが同一地域内にある、そして警備上、主として物的な警備上は問題ない、教育上のことならば、校長先生の官舎と申しますか、そういうところに連絡をすれば間に合うというような状況でありますならば、形式的に宿直を学校自体についていま全部求めなくてもいいだろう、実質がカバーできるのならばそれもいいではないか、これはむしろ行政の扱いの問題である、これは個々にいろいろ事情が違っておりますから、その辺は実態に見合って指導していきたいとは思いますけれども、警備員制度あるいは宿日直制度全般につきましては、小規模学校の問題を含めまして、なお調査結果を待って検討いたしたい、かように考えております。
○八木(徹)委員長代理 委員長に対するいまの要請は、さっそく八田委員長に連絡をとって、理事会で協議することにいたしたいと思います。
○長谷川(正)委員 斎藤局長の御答弁ですが、結局、結論的に申すと、この第三項の報告については、一応検討したけれども実際はできない、こういうので、まことに木で鼻をくくったような御答弁であって、警備員問題について本委員会が小委員会までつくっていろいろと検討した結果、これは喫緊のことであるとして、報告したことに対して、行政当局の答えとしてはまことに消極的であって、不満であります。ただ、そのおしまいのほうにちょっぴり校長の住宅があるような場合云々ということがありましたが、それについて何か具体的な指示なり通達なりをなさったのですか、なさらないのですか、それについてお尋ねいたします。
○斎藤説明員 これは通達等をして全国的に指導するということはいたしておりません。と申しますのは、これは正直なところ非常にむずかしい、個々の教育委員会なりの判断というものが非常にむずかしいところでありますから、私どもが今後教育委員会のこういう方面の担当者会議をやりますときに、その実情というものと、それが行なわれました場合の利害得失というものを個々に聞いてみて、そうして、それで差しつかえないというようなところを十分のみ込んでもらった部分については弾力的に運営する方法もあろうじゃないか、ただ、この点について通達を出すという考えはございません。これはまた場合によりますれば非常に趣旨が曲がってとられるおそれもございますので、実際の行政指導の中で私たちはそういう方向で考えてみたらどうかと思います。しかし、これは率直に申しまして、第三項のまっ正面からのお答えにならぬことは重々承知しております。そして、この御報告の趣旨を木で鼻をくくったということでございますけれども、私の気持ちとしては毛頭そうではございません。それを検討してもなおかつ相当複雑な問題を生ずることであって、そういうことが将来の全体のかまえ方になり、検討の方向として、むしろ困難な事情もやり方によっては生ずるおそれもあるというところまで考えて申しておるのでございまして、結果は、先生おっしゃるように木で鼻をくくったということではございますけれども、気持ちとしてはそういうことではないことを御了承願いたいと思います。
○長谷川(正)委員 ただいまの御答弁はわからないではないのですが、納得がいきません。と申しますのは、わからないではないという意味、つまり、わかるという意味は、全般的な日本の学校における警備員制度のあり方というようなものが全般的調査の結果として一応方向づけが出る、その想定を一応頭に置かないで小規模学校についてある暫定措置をとったところが、結果的にはその逆のことを今度はあとでやらなければならぬというような事態が起こり得るというようなことを行政当局としては細心の注意を払っておやりになるでありましょうから、そういうような意味で慎重にお考えになる。全般的な調査が終わり、今後の学校警備員制度をどのような構想で進めるかという方針の立たないうちに、部分的にせよあまり突っ込んだことができない、こういう意味ではわかるのであります。しかし、反面、特にこの最後の「至急に講ずべきである。」ということは、たとえば女の先生が生命の危険にさらされるというような事件まで起こっておる、あるいは、一日おきに宿直してへとへとになっておるという男の教師もいる、との事態は一刻も見過ごしておけないじゃないか、全般的調査は、これはやはり大きな制度を確立する上には必要だろうけれども、こういう差し迫った事態に対してはどうしても緊急の措置をとれというのがこの趣旨であります。そうとすれば、全体の調査は調査として進めながらも、そういう特殊なところへは局長自身がおいでになるならないは別として、係官を派遣して詳細にその実情を幾つか取り出して調べ、そうして、しかも当面これを切り抜けるにはどういうくふうをしたらいいか、いろいろな案をそこの町の当事者あるいはそこにつとめておる校長さんや教師、これらともひざを交えて話す中で、何らか応急の措置、あるいはそれに若干財政的配慮が必要であれば、最小限度それらについてくふう検討をしたという、そういう実績をここに御発表になって、その結果、こういうこともこういうこともこういうことも考えたけれども、現在のところこういうところにきておりますというのでいまの最後のお答えであれば、あるいは了解がある程度できるかもしれませんが、そういう御努力が足りないということは、この小委員会の委員会に対する答申というものに対する、これも先ほどの公務員給与じゃありませんが、重要度のはかり方、教育の現場の悩みということについての行政当局としてのあたたかい配慮、こういったものにはなはだ欠けるところがあると申しても、これは過言ではないのであります。そういう意味で、いまからでもおそくはありません、そういうことについて、やはりもう一段の御措置をとっていただく必要があると私は思いますが、これは大臣からでも局長からでもけっこうですが、ひとつ明快な御答弁をいただきたい。
○斎藤説明員 私どももこの問題は十分気にかかっておることでございまして、決してないがしろにするという気持ちは毛頭ございません。まあ、これは、部分的に行政指導によってどうできるという段階のものは、それでもよろしゅうございますが、しかし、おそらくこの小委員会でここまで検討されております背後には、やはり制度だとか、それから財政だとか、そういうものを全部ひっくるんでいるからここで御議論になっておるのだろうと思います。そういう観点に立ちますと、これがこっちの方向なら私が責任を持って処理できるとかいうようなことに達するまでに相当考えなければならない、見通しも立てなければいけない。そういうことで、なかなか具体的な案というものができにくいのでございますから、その点はなお私どもも十分に検討をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
○長谷川(正)委員 ひとつ、いまからでもおそくはありませんから、次の委員会あたりにはその御努力のあとを御報告願わんことを期待いたします。 私は、次に期待される人間像問題について御質問申し上げようと思っておりましたけれども、時間がございませんので、これは次の機会に回さしていただきまして、最後に、時間的にちょっと緊急を要すると思われますので、文化財保護問題につきまして、一、二質問を申し上げ、後の質問者にお譲りしたいと思います。 これもまたたくさんあるのでございますけれども、時間がありませんからはしょりまして、ごく緊急を要すると思います問題は、文化財保護委員会としては、始まって以来の大事業として取り組まれたと思います奈良の平城宮の発掘なり保存なりの問題に関連いたしまして、現在国道二十四号線のバイパスが、あの東側ですかを通ることになっておりまして、いわゆる東一坊大路と昔いわれておったところを通るような計画が進んでおるやに聞いております。そしてまた、これはその北にある水上池というのですか、そこのところも通ることになっております。これらは古都保存法のいわゆる保存地区に指定されておる部分も含まれておるのではないかと思いますが、これに関連して御質問したいわけです。と申しますのは、当初平城宮あとと考えられておりましたところは、いま買収して保存ということになっておりますけれども、その東一坊大路からさらに法華寺にかけての地点が、どうもその後の調査によりますと、平城宮が時代の変遷とともに非常にはみ出していった状況がすっかり残って、貴重な遺跡であるということが漸次いま明らかになりつつあるというふうに伺っているのであります。先般も、私、現地に行って見てまいりまして、その状況も聞いてまいったのでありますが、あそこにそのバイパスを通すと、そこが破壊される。現在、それではそこは高架にして下を残すというふうなくふうもあるいはされているのかもしれませんが、それにしても、その下が破壊され、またその北の部分にある池が一部つぶされるのではないか、こういうことが非常に憂慮されておりますが、これについていろいろ経過もおありのようですけれども、特にこれは建設省が直接やっておるお仕事でありますから、もしそこがどうしても非常に貴重な文化遺産があるということであれば、何とか多少路線を変更してもこれを残したほうがいいのではないかというふうに考えられますけれども、それについての御見解を承りたいと思います。
○村山説明員 奈良の国道二十四号線のバイパス問題につきまして、御指摘のようにその計画がございますので、文化財保護委員会といたしましても、建設省のほうから連絡を受けまして種々検討いたしました結果、国道バイパスをつくる必要があるかどうかにつきましては私どもの所管ではございませんが、どうしても二十四号線にバイパスをつくるということになれば、平城宮跡付近の地点は、どこを通りましても遺跡、遺構を避けてつくるということは不可能でございます。そこで、つくるとすれば、遺跡、遺構が比較的少ない土地を選びまして、また遺跡、遺構を破壊することが比較的少ない方法をもってやらざるを得ない、こういう事態に相なるわけであります。そこで、種々の経過がございますが、簡単に結論を申し上げますと、道路をつくるとすれば、平城宮跡東側の旧一坊大路、これは当時としても道路であったわけでありますから、この一坊大路に沿ってつくることが比較的無難であろう、こういう結論に到達いたしました。そこで今年三月条件をつけまして、バイパス計画につきまして了承いたしたのであります。 条件と申しますのは、申すまでもなく、遺跡、遺構をいたずらに破壊するような建設計画は不適当でございますので、事前調査を原因者の負担において極力慎重にやるということ、それから調査の結果、実施計画につきましては別途協議してほしいということ、それから実施計画の大筋といたしましては、計画路線の西端が平城宮跡の東外堀の東端に一致するように一坊大路に沿って計画されたいということ、それから実施後におきましても、きわめて重要な遺構が調査の結果判明したというような場合には、御指摘にもありましたように、一部高架にするとか、あるいは土盛りを行なうとかいう方法を講じまして、破壊を最小限度にとどめる、こういう配慮をするということを条件として、路線そのものにつきましては一応の了承をしたわけであります。 調査の問題といたしましては、現在のところ、二年余をかけまして、奈良県の教育委員会が主体となりまして、文化財保護委員会の付属機関でありますところの奈良国立文化財研究所の平城宮跡発掘調査部が技術的には全面的に協力いたしまして万全を期するつもりでございます。
○長谷川(正)委員 いまの点について建設省……。
○伊藤説明員 ただいま文部省のほうからお答えいたしましたことと同趣旨でございます。建設省といたしましては、ただいまのように起業者負担で発掘調査をやっていただいておるわけであります。その結果によりまして、いろいろ設計上の問題その他につきましての最終的な打ち合わせは、その後に行なわれるというように考えております。
○長谷川(正)委員 すでに買収のためのくい打ちが始まるということも伺っておりますが、進行の状態はどうなんですか。
○伊藤説明員 買収の準備のためのくい打ちを始めているという報告は受けておりますが、進捗状況についてはまだ聞いておりません。
○長谷川(正)委員 その点、保護委員会のほうはどういうように把握されておりますか。
○村山説明員 私どものほうは、工事の計画そのものにつきましては、約二年余の調査期間があるということを承っておりますが、具体的な状況につきましては承知しておりませんし、その点につきまして進捗の状況とにらみ合わせて御連絡があるものと考えております。
○長谷川(正)委員 時間がありませんので、実は私たくさん伺いたいのですが、もう個条書きのように申し上げますから、ひとつ的確に御答弁願います。 一つは静岡県の白岩遺跡、これは東名高速道路だと思いますが、ここの発掘調査が、実際調査を委嘱された学者グループが行った場合に、買収等が進んでなかったために半月も何か調査期間を空費した、こういうことを聞いております。しかし、その後調査いたしましたところが、これは縄文後期の遺跡ということでありましたが、その下に一メートルほどの粘土層を置いてさらに中期の遺跡があることが発見された、これも非常に貴重なので調査をしたい、こういう要求が出ておりますけれども、時間と調査の費用、この点で行き詰まっているように聞いていますが、これについてはどういうふうな処置を保護委員会としてはされるつもりか、お伺いしたい。
○村山説明員 お尋ねの静岡県白岩遺跡は、正確に申しますと、静岡県小笠郡菊川町に所在する、御指摘の縄文から弥生にかけてのかなり重要な遺跡でございます。これが東名高速道路の路線に当たりましたので、発掘調査をすることになりましたが、この地点は現在文化財保護法の史跡指定地にはなっていない、いわゆる周知の遺跡ということになりますので、手続としては発掘の届け出で足りるわけであります。発掘の調査は、そういうことでありますので、道路公団が学者に委嘱いたしまして、静岡県の教育委員会とも連絡して、昭和四十一年八月から九月末までの予定で実施したようであります。その詳細につきましては、私どものほうに報告が参っておりませんので、十分承知しておりませんが、調査は、一部御指摘のように未買収地があったりしまして、必ずしも万事順調であったとは言いかねるようでありますけれども、ほぼ行なわれたというぐあいに承知しております。なお詳細につきましては現在県のほうと連絡中でございます。
○長谷川(正)委員 その点なお十分連絡して遺憾のないように御処置をお願いします。 それからもう一つは、これは前に質問したこともございますが、千葉県の台門貝づかについて、これをくずしてその土をよそへ売ってしまう、こういうような事態が起こって、保護委員会としては、これに対して残り半分の貝づかについてストップをかけたように伺っていますが、これが結局全面的にその後こわされてしまっているというように伺っていますが、この経過はどうなっていますか。
○村山説明員 前回の文教委員会で御指摘を受けましたので、さっそく千葉県の教育委員会と連絡しまして、事業を一時とめさせ、去る八月に千葉県の教育委員会におきまして緊急に発掘調査をいたしました。その結果は、貝づかではありますけれども、古墳時代以後の堆積貝づか、いわゆる再堆積したもので、重要度についてそれほどでないということが判明いたしましたので、その記録を残して工事のほうは進んでおるというぐあいに聞いております。
○長谷川(正)委員 いまの事務局長の御答弁はそれでよろしいのですか。何か百万円でとりあえず調査するということにきまったところが、これは早稲田の滝口教授に委嘱したそうですが、先生もお忙しかったようで、実際は滝口教授が立ち会わずにわずか六十万円くらいで調査して、いま重要度がないということでこわしたと言っておりますけれども、はたしてそういう判断が正しいのかどうか、学者の間では非常に疑問が生まれておるようであります。しかももう一つのほうは調査がまだ完了しないうちにこわしてしまったというふうに聞いておりますけれども、これはいまの御報告のように把握して、全面的にそれでよかったとお考えになっておるのですか。
○村山説明員 台門貝づかは、前回も御指摘いただきましたように、無届けで工事が始まって調査のほうがあとを追いかけたきわめて遺憾なき事例の一つでございます。そういうことでございますので、調査のほうも緊急にやりまして、御指摘のように、予定した経費の範囲内で調査は済んだようでありますが、さればといって粗漏であったということではないと考えております。 なお、千葉県におきましては、こういう事例にかんがみまして、教育委員会の社会教育課から文化財保護室というやや独立の文化財担当の組織をつくりまして、さらに専門委員などに委嘱いたしまして、千葉県内の史跡保存の総合計画を立案するたと適切な配慮を講じておりますので、スタートにおいては遺憾でありましたけれども、千葉県下の史跡保存につきまして、これが契機となって改善の措置が進められておるので、不幸中の幸いというか、これからは千葉県下において遺憾な事例が絶無であるように、私どもも連絡を緊密にして処置いたしたい、かように考えております。
○長谷川(正)委員 それではその件はこの程度にとどめます。 あと実は難波宮の問題、あるいは尼崎の田能遺跡の問題、それから特に私はきょうは時間があればゆっくり究明する必要があると思いますのは、古都保存法ができまして、奈良、京都、鎌倉、その他幾つか指定された都市が保存されるということになりましたが、これが建設省のほうの管轄に移っておると申しますか、それで実は文化財保護委員会の手が逆に行政的に遠くなったのではないか、そのために古都保存法が古都破壊法といわれてもしかたがないのではないかというような憂うべき事態に進んでいるのではないかという危惧を私は持つのであります。したがいまして、こういう問題についてひとつ次の機会には十分御検討願いたいと思っております。私もいろいろと御質問を申し上げたいと思っておりますが、本日は時間がありませんし、あとの方も待っておられますから、以上予告だけを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。
○八木(徹)委員長代理 堀昌雄君。
○堀委員 実は私、ずいぶん久しぶりに当委員会に参りまして、本日質問をさしていただくのですが、さっき有田文部大臣のお話の中で、私のちょっと納得のできない点が一、二点あります。川崎委員との質疑応答の中なんですが、文部大臣は、教職員の待遇改善のために考えなければならぬと、きょうのごあいさつにもあるわけですね。ですから文部大臣としては、完全実施に一生懸命努力した、こういうようにお話しになっておるわけです。これは努力をなすったと私思いますが、具体的にちょっと伺っておきたいのは、ことしの概算要求の中で義務教育費国庫負担法に伴うところの予算の要求をやっておいでになるけれども、その際、昨年も実は値上げ分の十一分の七しか実施されなかったのです。財政的に問題があるというならば、どこに問題があるかというと、最近の傾向は、大体公務員の給与は六%ぐらいは上がらざるを得ないということは、すでにもう文部省として見通しを持っていい段階に来ているのではないか。六が五になるか、あるいは七になるか、多少の変動はありましょう。しかし大体五、六%の上昇は物価上昇とにらみ合わせれば当然考えなければならない。ほんとうに文部省が教職員の待遇改善をして、五月から人事院勧告完全実施をやらせようと思うならば、予算の中に、義務教育費国庫負担の二分の一に合わせて、予備費として少なくとも六%の半分なら三%なり四%分を要求をするくらいの熱意がなくしては、あなたが教職員の待遇改善のために真剣にやっておるつもりだとおっしゃっても、文部省は真剣にやっておらぬと私は思うのです。それをお出しになっておれば、十一分の四削るのですから、ことしの場合でも十一分の七は実施をする。十一分の四は削る。十一分の四がもし予備費の中に、義務教育費国庫負担法の二分の一の中に積み上げてあれば、十一分の七でけっこうです。それは五月から完全実施できます。こうなるわけですね。その点文部省が、ほんとうに真剣に教職員のベースアップの問題について、公労協が即時実施されておると同様な立場に立ってやる考えがあるならば、当然私は概算要求されておるだろうと思うのですが、要求しておるかどうか。していないのならやる気がないんだ、こういうことになるのですが、その点をはっきり……。
○斎藤説明員 義務教育費国庫負担金の教職員の給与につきましては、定数とか、それから定期昇給の見込みとをいうものを織り込んで要求いたしますが、ベースアップの分につきましては要求してございません。
○堀委員 ベースアップは幾らかわかりませんから、予算額も要求できないでしょう。しかし予想せられざる使途に充てるために予備費という項目があるのです。予備費はあなた方も幾らか置いておると私は思うのです。個々の項目か何か全然ないのか。それは私は予算技術上——私も文教予算の中身を調べていないからわからないけれども、予備費を置いていると思う。毎年起きていることだから。だから、予測せられざるということは、要するに金額が予測せられざるのであって、使うことは予測されているわけです。毎年起きているわけです。私はこの問題は、十九日の大蔵委員会で国家公務員給与全体の問題として人事院総裁と大蔵大臣とやりますからいいのですけれども、さっき文部大臣が、教職員のために自分も考えておるんだ、大いに努力したけれどもだめだったとおっしゃいましたが、本気で努力をするのなら、いまからでもおそくないから予備費の追加を出してもらいたいと思うのです。教職員の二分の一のあと大体六%くらいなんですよ、最近の動向は。何で六%が来るかといえば、物価上昇が五、六%あるわけですから、それに見合ってくるわけです。だから、それを見込んで六%予備費に積むなんということは無理ですから、半分だけでも積んでおいてもらいたい。三%くらいは積んでおけば、あと三%積めば五月からもらえるようになる。だから、あなたがほんとうにそういうお気持ちなら——それを大蔵省が認めるか認めないかは別です。別だけれども、文部省としてはそれだけの要求をして、そうしてそれでも切られました、さらに今度の補正の中でやろうと思っても切られました、これなら文部大臣としても刀尽き矢折れたんだからしかたがないと思いますけれども、それがされてないのはやはり本気じゃない、こう私は思うのです。有田さん、ひとつやりなさい、どうですか。
○有田国務大臣 公務員のカテゴリーの中に入りますと、なかなかほかの関係がありまして、私は教職員に対しまして、やはり専門職的な特殊な立場にあるのです、そういう特別の考慮を払いながら教員の処遇については考えたい、こういうので、いま公務員と一緒に——教員だけベースアップを予想して、それを合していなかったからといって、教職員に対して努力していないとか考えていないとかいうのじゃなくて、私は今後そういう方向へ検討を進めていきたい、かように考えております。
○堀委員 私の意見を取り入れて検討されるのもけっこうです。それはあなたのおっしゃるように、公務員という横のつながりがありますからね。文部省だけでは出せないかもしれぬ。しかし私に言わせると、よく新聞も書きますが、とにかく学校の先生、それから税務署の職員と警察官、これだけはその他の公務員の中でもちょっと特殊な立場にあると思う。だから、そのほかがどうでもいいというのではありません、全体必要なんですけれども、そういう特殊な配置にある人については、やはりそれなりに所管をしておる役所はもうちょっと真剣に出してみて、よそが出してないでも出してみて、それでも切られたらしようがない。財政当局に力がある以上はしかたがないでしょうけれども、それだけの誠意をやはり文部大臣に示していただきたいということをひとつ要望いたしまして、皆さんおそろいのようですから、私の本論のほうに入らしていただきます。 実は、私が本日ここで質問をさせていただきたいと思っておりました件については、幸いにして先ほど尼崎市のほうで市会の各派幹事長会議というのをやりまして、そこに市長が提案をいたしまして、競馬場前に学校を建てるというのはどうも適切でないからというので、方針を変更して工事契約の解消を何かそこに申し入れて了承を得たということでありますので、具体問題としては一応解決をしたのでありますが、しかしこの問題を起こしてきた経過と背景の中に、これはたまたま尼崎市の一問題でありますけれども、現在の人口急増をしております都市及び周辺における学校用地の取得の問題について、実は非常に大きな示唆を含んだ問題を持っておりますので、ここでひとつこの問題を取り上げて、文部省の考え、自治省の考え、大蔵省の考えをここに明らかにして、二度とこのようなことの起こらない措置をここで考えていきたいと思いますので、ひとつ問題の提起をいたしたいと思います。 実は事の起こりは、ことしの九月十三日に、私が居住いたしております尼崎市の北方でありますけれども、最近尼崎市は、大阪その他の周辺地帯でありますために、人口が急増をいたしておりまして、特に北部の地帯はずっとこれまでは農村地帯でありましたけれども、交通が比較的便利であります関係から、人口が非常に急激に膨張をしております。そのために小学校に対する児童の収容力に限界を来たして、いま問題になっております阪急電車の園田駅の前に園田小学校というのがありますが、非常に狭隘な小学校であるのにかかわらず来年度は五十三学級を収容しなければならぬという超過密状態に至ったわけです。そこでこれの分校をつくろうということで土地の取得を考えましたけれども、約二十四学級程度のものを、今後の人口増加も含んで考えると、最低五千坪程度の土地の取得が必要である、こういうことになったようであります。その結果、いろいろ経緯があったようでありますけれども、県営の園田競馬場というのがございますが、その正門の真正面のところに学校を建てるということが実は始まったわけであります。そうして九月十三日の日に地鎮祭が行なわれたので、この地域の住宅地帯のおかあさん方が非常にびっくりいたしまして、そうしてその翌日から整地が始まるのに、子供を背負いあるいは子供連れで数十人のおかあさんがすわり込みをいたしまして、直ちに工事の中止、反対運動の火ぶたが切られたわけであります。その後この人たちは、自分たちの校区の中の家庭を訪問いたしまして、署名を厳密に正確にとった結果、千五百七十三世帯の校区世帯数のうちで千三百五十六世帯、約八五%の反対署名をとって、これを市に請願として提出をしたわけであります。そこで、私はたまたまその校区の中に——私、現在は診療をいたしておりませんが、医者でありますので、もとの同僚のお医者さんから連絡がありまして、どうもわれわれの手に負えないことだから、ひとつ一ぺん実情を調査してもらいたいというような話が九月の下旬にございました。そこで私現場に行ってみましたけれども、なるほど全く競馬場のまん前であります。父兄の皆さんのお話によりますと、現在でも競馬場周辺では非常にいろいろな事故が起きておる。これが競馬場も、たとえば淀の競馬場であるとか仁川の競馬場であるとかいう国営の競馬場でありますと、多少条件が違いますが、県営競馬場の実情は競輪場と大差がありませんから、ここですっからかんになった人たちがいろいろとこの周辺に事故を起こしておるということは、これは想像できることであり、その地域住民の非常な不満の種になっておりますし、そこへ学校を建てるからすぐ競馬場をどけろと言ってみても、これはやはり県及び地方自治体の何らかの財源になっておりますから、われわれとしてももちろんそういうところは取り除くべきだと思いますけれども、学校を建てるから競馬場をどけろという話には簡単になりません。ですから、その前に建てるという以上は、やはりこれは別途のことにしてもらうということにならなければなるまい、私もこう考えました。学校教育法施行規則の第一条には「学校の位置は、教育上適切な環境に、これを定めなければならない。」とはっきり規定してあります。これを御父兄の方が市へ持っていって話をいたしますと、なるほど法律はそうなっておるけれども、学校を建てる権限というものは地方自治体にあるから、文部大臣がどうこう言われても、もしわれわれがここへ建てようと思ったら建てることはできますよ、こういう言い方が最初に行なわれました。お母さん方は非常に悲憤慷慨をして、一体国の法律というものはだれのためにあるのでしょうか、こう言って私どもに詰め寄られるわけです。私も国会議員でございますから、国の法律が地方自治体によって完全無視をされて、要するに競馬場の前に学校が建つのを手をこまねいて見ておらなければならぬというのは、私も国会議員としてそうはまいりませんから、そこで私は同僚の理事の皆さんにお願いをして、法律的な処置は、現行法はどうあろうとも、少なくとも有田文部大臣が——まあ戦前の国定教科書には、御承知のように孟母三遷の教えが書いてありました。このごろはないと思いますが、だれが考えても競馬場のまん前へ小学校を建てることが適切だと考えるはずもないし、法律がきめておることは、やはり何らかの影響力を駆使してそういうことをやめさせなければならぬ責任が大臣にある、だから、ここでひとつ文部大臣と議論をさしていただいて、文部大臣の所信を明らかにした上で、何らかの措置をとってそのようなことをやめてもらうような処置にしたい、こう考えております。しかし、前段として私は市長に申し入れをいたしまして、とりあえず工事の中止だけをしてください。お母さん方はあぶないわけです。ブルドーザーが通っておるところに御婦人方がすわり込みをしておるということは、まことにわれわれ常識としても危険でしようがないから、そこで工事の中止だけをしてくれと言って市長に強く申し入れをいたしましたので、十月三日に工事は一応中止をされて今日に至っておったわけです。そこで私はいろいろ考えてみまして、この問題の背景になっております点は、人口急増地帯において、地方自治体に十分財政的余裕があれば、当然そこに人口がふえるであろうところは学校の敷地を先行取得しておけばこういうことにならないと思うのです。ところが、それが財政上非常に不自由なために、先行取得してないために、いざいよいよ敷地を手に入れようと思ったら競馬場の前のようなところしかなかった。ほかに一、二あるのですが、なかなか地主が買収に応じなかったのでそこにした、こういうことになっておるわけですから、これは私は、たまたまこういう例が起こりましたけれども、これは都市周辺において今後とも起こる可能性のある問題ですから、そこで本日はその土地先行取得の問題を含めて、この問題はもう少し深めておかなければならぬ、こう考えて実は質問さしていただいておるわけです。ですから、最初に申し上げたいことは、大臣、この学校教育法施行規則第一条第二項に「学校の位置は、教育上適切な環境に、これを定めなければならない。」ということがきめられておりますね。しかしこれを実行する担保になるものは何もないと思うのです。訓示規定みたいになっておるようですが、これをはっきり地方自治体を含めてこの部分についてだけは拘束できるような何らかの法律改正といいますか、これは上から下までで処置しなければいかぬでしょうが、そういうことをして、二度とこういうことが起きないという歯どめだけはきちんとしておいてもらいたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
○宮地説明員 御指摘のように、学校教育法施行規則の一条に、「学校の位置は、教育上適切な環境に、これを定めなければならない。」ということが規定されております。しからばこれの保障はどういうことになるんだ、これに反してかってに適切でないところへ定めようとした場合に、文部大臣は手をこまねいて見ておるだけかという御質問でございますが、これにつきましては、一応法律的に申し上げますと、地方教育行政の組織及び運営に関する法律のほうで、教育に関する事務の管理や執行の適正を欠く場合には文部大臣は是正のための措置要求ができるという規定がございます。したがいまして、尼崎市のほうで御指摘のように競馬場のすぐ近くに学校を建てるということは、私どもも適当な措置と思いません。それから事前に兵庫県は、適当でないから位置の変更をしなさいということも言っております。それをしかつめらしく法律に根拠を求めますれば、それでもただの指導でききません場合には、文部大臣としましては兵庫県教育委員会をして尼崎市のほうにいわゆる是正措置の要求を強く命ずることができるということでございます。したがいまして、施行規則の規定に従わないという場合には、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定によりまして措置要求をいたします。ただ、これは最初お話しのように、学校のある場所に風紀上おもしろくない施設が周辺に来るという場合ではございませんで、現実に競馬場がある教育的な環境にないところへ、教育についての仕事をします教育委員会がわざわざ学校を持っていくということは、一応常識では考えられないという点もございまして、私どもといたしましては、現在のところ、学校教育法施行規則の点だけでいままでこういう前例を見ておりません。したがいまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の大臣の措置要求を発動したこともございません。したがいまして、これについてのいろいろな法律上の問題もあろうかと思いますが、また今後の検討課題かと思いますが、私どもといたしましては、尼崎市の教育委員会が常識をもって処すれば、先生の御心配になるような問題は、法律問題じゃなくて実際の運用上できる問題ではないか、このように考えております。
○堀委員 私も、最終的には私どもの希望どおりになりましたけれども、こういう問題が起きたということで、文部省の側としても、これは御承知のように、人口漸滅地帯には新設校舎を建てることはないから起きることではありませんでして、要するに都市及び周辺地帯の人口急増地帯の問題でありますから、非常に限られた範囲の問題ですから、そういう教育委員会等に対しては、あなたのほうで、こういう事例があったから今後そういうことのないように十分措置をするようにという指示は、一ぺんおろしておいていただきたいと思います。いまのような組織運営に関する法律のほうに措置要求があるならば、ある程度拘束力があると思いますから、それを発令しなければならぬようなことが起きること自体がおかしいのですから、しかし、こんなことが一ぺん起きますと、私ども不安があると思うのです。やはり教育というものはもう少しまともに考えてもらわないと困る、こういう気持ちがありますので、その点はちょっと注意を喚起をしていただきたいということを要望しておきます。 そこで、その裏側になる問題でありますけれども、やはり人口急増地帯では、三年か五年くらいの見通しを持って土地の先行取得の道をある程度聞いてやりませんと、その他のものは別としても、学校だけは、いまのように、たまたまその地域に二ヵ所くらい土地がありますから、まだ今後の問題としてどうかなろうかと思いますけれども、全然なかったら物理的にそこにしかつくれないということになりますので、学校がないわけにはいかないし、そういうことが起きる可能性が裏側としてはまた物理的にあるわけですから、それをそういうことにならないようにするためには、私はやはり学校敷地——いろいろ順序はありましょうが、まず学校敷地に関しては少し先行取得を認める方向を、これは大蔵省、自治省を含めて財政当局も検討していただく必要があるのではないかということを、この問題を契機に非常に強く痛感をしておるわけです。 そこで、まず一番近い関係から。ひとつ自治省の財政局長のほうで、いまの私が申し上げたような都市周辺における人口急増地帯において、いろいろありましょうが、最初に、学校施設の敷地についての先行取得については今後どういうふうに考えるか、ひとつお考えを承っておきたいと思います。
○細郷説明員 用地の取得を起債で見るかという問題につきましては、以前はなかなか起債のワクの関係もございまして、まともに見られなかったわけでございます。最近、お話にありますように人口が非常にふえてくるといったような事情等もあり、かつ、土地の価格が非常に都会で上がってきているといったようなこともあったりいたしまして、だんだん地方債によって用地取得費を見るというようなことになってまいりまして、現に四十年度におきましても、ただいま手元にありますところだけでも、全国で四百五十億くらい交付公債等の方法によりまして用地取得費を認めるというような態度をとっております。将来におきましても、やはりこういった社会情勢の動きはますます激しくなるかとも思いますので、この問題についてはなお前向きで検討してまいりたい、かように考えております。
○堀委員 きょう私が問題提起をして、すぐ御答弁をいただくことは無理だと思います。いまの前向きの検討、たいへんけっこうだと思うのですが、その際、あわせてちょっとお考えをいただいておきたいことは、地方自治体の側とすると、先行取得をして起債をいたしましても、まだそれを利用するに至らないうちに償還額がまたその次の年度から出てくるということでは、地方財政の見地から見て非常に苦しい問題も起ころうか、そういう問題を検討なさるときには、あわせて二、三年の据え置きと申しますか、その程度の——そう長期にわたるものはどうかと思いますし、また、先行の範囲も十年春十五年もでは困るわけですから、三年ないし最大五年くらいの範囲で、実際入ってくるという見通しを立てた場合における先行取得の起債の問題ということになろうかと思いますが、それにつきましてはひとつ償還を二、三年は据え置くということにならないと、せっかくの制度が開かれましても、これを地方自治体として利用することがなかなかむずかしいのではないかと思いますから、その点も含めてひとつ御検討をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○細郷説明員 将来そういった先行の範囲でありますとか、先行取得をいたします場合の具体性の問題であるとか、いろいろその都市におきます都市計画の問題等も考えてみないと、具体的な結論が出にくいかと思います。最近におきましても、たとえば住宅の団地を公団がつくるといったような場合には、相当規模以上の住宅団地でございますれば、むしろその中に学校その他の公共用地分をちゃんと確保しておくべきではなかろうかといったような議論もございますし、現にそれを実行している向きもあるわけでございます。そういった面の検討も進めなければなりませんし、必ずしも地方債だけの問題ではなかろうかと思いますが、地方債につきましても、そういった財政上の負担をどういうふうに将来に分割していくかというような問題もあわせて検討してまいりたいと思います。
○堀委員 それでは、この起債その他の問題についての財政側の担当者である理財局長に——いま自治省の財政局長が前向きでひとつ検討したい、こういうことで、まあおそらくいま私がお話を申し上げたことの経緯の中から、論理的にやはり都市急増地帯においては、少なくとも学校用地の先行取得というものは必要があるということについては常識的に理解ができる問題だろうと思うのですが、ひとつ理財局長の立場から、いまの財政局長の御答弁を含めて、大蔵省側としての見解をちょっと承っておきたいと思います。
○中尾説明員 ただいまの問題でございますが、急速に都市化していくとか、あるいは人口の社会増が急速に起こるという場合は確かに問題でございます。それにつきましては、いま自治省のほうからもお話がございましたように、非常に明瞭な形で団地ができますと、たとえば住宅公団の団地というようなことになりますと、実際には公団が土地も取得する、それから建物もつくるということで、地方債でやるか地方財源でやるのを一時根っこから肩がわりするというものもだいぶあるわけでございます。これは公団や何かの非常に大きな場合のことでございまして、そこに至らないようなもので、事実上急速に人がふえて学校を急にふやさなければならないといったような場合には、確かにその境目に問題があることは十分予測されるところでございます。実情を申し上げますと、いまもお話がございましたように、用地の取得につきましては、すでにいま起債を数年前から見ておるわけでございます。お話にございましたように、やはり社会増の地帯が中心になっております。大体この土地の確保ができませんとめどが立ちませんし、補助金というものはつきません。そのようなことから、事前に土地の手当てのほうはやる仕組みにせざるを得ないようになっておるのが実情でございます。それで、どんなところが優先するだろうかというようなことから、市町村でありますと市町村と県、これが県内の順番をいろいろ考えておられますが、その辺の御意見も承りまして、必要だというのを大体起債で見ておるというのが実情でございます。大体の場合は一年前でございます。まあそっちの手当てがつきますと補助金のほうのめどもつくという形になっておるのが実情だと思いますが、場合によりますと二年前というような例もございます。これはとにかく何ぼ社会増が急にきたといいましても、思い立ってすぐ学校をつくるということはないわけでございまして、ある程度の傾向があらわれまして、いろいろな準備を進めて計画が立てられていくわけでございますから、もう少し早い時期に見通しがついて計画が立って、それが当該市町村のみならず県当局においても認められるというような事例は、私はあり得ることだと思います。そういうような面につきましては、今後とも実情に即しましてこれに協力できるように努力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
○堀委員 大体大蔵省、自治省ともいまのようなお答えで、まあいまの問題を契機として、二度とこういうことが急増地帯で起こらないような補完的処置が、方向としては私は明らかになっと思います。そういう点で、今度は文部省のほうでありますが、財政当局のそういう御答弁もありますから、さっき私が申し上げたように、そういう面を含めて用地取得については慎重な配慮を行ないながら、要するに先の計画の見通しを立てて、それについていまのような手続に基づいてやってもらえば、おそらく大蔵省、自治省ともに十分な配慮のもとに二度とこういうことの起こらないような形ができると思いますから、そういう点を含めて、今後二度とこういうことの起こらないように、十分ひとつ県の教育委員会等を通じて、特に都市急増地帯にさっき申し上げたような通達なり何かをおろしていただいて、ただし、裏側にはこういう処置もありますよということを含めて、ひとつ処置をしていただきたいと思いますので、その点についての大臣の御答弁を伺って、私の質問を終わります。
○有田国務大臣 実は尼崎の問題ですね、私も尼崎のある人からあなたと同じような陳情を受けたのです。そこで事務当局にそれを伝えまして、直ちに県教育委員会を招致しましていろいろと実情を調べてみたのですが、それに関連しまして団地のときはどうだとか、いま堀委員から御質問のあるようなことをいろいろ事務当局に検討さしてみますと、大体いま関係各省からも御答弁があったように、また法的にもいま局長が答弁いたしましたようなことを承りました。また、事実上尼崎の問題も、行政指導といいますか、いわゆる法律の発動を待たずして行政指導で解決するという見通しがつきましたので、これは運用の問題だ、運用で一応いけるなというような判断に立ちまして、そういう見地から一そう各省に徹底して、再びこういう事態が起こらないように善処いたしたい、かように考えております。
○川崎(寛)委員 最近新聞あるいは週刊誌等にも出た問題でありますけれども、自衛隊の募集について、防衛庁が各県の地方課長を通して、さらに県の地方課長のほうから今度は市町村に対して、全国十数ヵ所でモデル県をつくり、さらに各県で具体的な自衛隊員の適格者名簿というものの作成がいま進められておる、こういうことに関連をして、この学校教育に及ぼします影響、そういう問題についてお尋ねをしたいと思います。 防衛庁がこういう形で、各県を通して隊員募集の合理化だという名前のもとに、適格者名簿をつくっておることは御存じですか。
○斎藤説明員 そのようなことは、私自身は存じておりません。
○川崎(寛)委員 そういたしますと、防衛庁が独自に進めておる、こういうふうに理解をしてよろしいと思いますが、社会党が調査団を出しまして具体的に滋賀県の実態調査をいたしました。そういたしますと、滋賀県においては、ここに私持ってきておりますが、県が〇〇市町村自衛官募集事務処理要綱という準則を出しておるわけですね。それからこれに基づいて、これは日野という町でありますけれども、日野町における自衛官募集事務処理要綱を次のとおり定めるということが、ことしの七月一日、日野町において決定をされておるわけです。そこでこの問題に関連をしてお尋ねをしたいわけでありますが、この滋賀県の具体的な例によりますとこういうふうになっているわけです。この中に関係組織団体というのがあるわけです。この募集事務を進めていく場合に関係組織団体というものがある。その関係組織団体には、関係官公署、学校、報道機関、協力団体、自衛隊相談所等というのが、関係組織体等の用語として出されておるわけです。でありますから、当然にこれは学校も対象としていろいろのことが進められておるわけです。全く知らぬと初中局長は言っておられるわけでありますけれども、そういたしますと徴兵制度の前提じゃないか、こういうことで新聞等においても取り上げられておる、しかも重要な問題を全く知らぬということで通すというのはいささか無責任じゃないか、こういうふうに思うわけです。
○斎藤説明員 私、防衛庁から事務の運び方等について何も連絡を受けておりませんし、また、私どもも、新聞では承知しておりますが、しかし特にその点について私のほうで実態を調べたということもないので、私は正確にここでその実態を申し上げるだけの知識がないという意味で申し上げたのであります。ただ、その中に、いまお読みになりますと、関係組織団体ということで学校があるということでございますが、報道機関もあるということでございますから、いろいろな面で協力を得るということ自体は徴兵制度ということには関係ないのじゃないか、いろいろな資料を求める、それについてそれぞれの自主的判断においてその協力をするという限度では別に差しつかえないというふうに考えるわけでございます。
○川崎(寛)委員 それでは、知らないというので少し内容を説明しておきたいと思いますけれども、滋賀県の場合をとりますと、住民登録や移動票あるいは納税台帳等から、町によっては十七歳、全般的には十八歳でありますが、十八歳から二十四歳の適齢者というものを全部拾い上げまして、自衛隊各市町村におきます適格者名簿というのが作成をされておるわけです。そういたしますと、特に問題が出ますのは、これから来年の卒業期を前にして問題が出てくるわけです。この事務処理要綱によりますと、十八歳から二十四歳の適齢者というのは全部拾い上げて適格者名簿にあげよ、こういうことになりますね、そうして自衛官に応募するように勧誘をせい、こういうことになっておるわけです。しかも現に行なわれております勧誘のあり方を見ますと、これは一対一の勧誘のやり方をやっておるわけです。各県におきます自衛隊の地方連絡部が出向いていったり、あるいは協力会等が出向いていって、各戸別訪問をやって自衛隊に入れ、しかもこの自衛隊というところは、ここにパンフレットがありますが、陸上自衛官あるいは航空自衛官、さらには自衛隊制度のしおり、こういうものがつくられて、これを各戸に持って回られるわけです。そうしてその際には、自衛隊というのはこういういいところだという、いい点ばかりがあげられておるわけです。極端なものを言いますと、給料がよくてマネービルもできる、そういうふうに書いてあるわけです。そこで、こういう自衛官の募集をこういうやり方でやって、そういうことは、学校におきます職業指導教育として大いに積極的にやれという指導を文部省はやっているのですか。
○斎藤説明員 自衛隊員の募集につきましても、これは一般の他の公務員、国家公務員もございましょうし、市町村の公務員、それから技術者もありましょうし、教職員もございましょう、また一般の企業の従事員もございましょうから、そういうものと同様に扱われており、特別な取り扱いというものはなされておらないと思います。これは就職をする生徒たちにできるだけその内容を教え、そして生徒がその特性に従ってそれぞれの選ぶ道を行くというのが、これが学校の職業指導の一つのあり方だと思っております。
○川崎(寛)委員 そこで、今日の労働力不足の中で、自衛官がなかなか予定どおり確保できぬということで利点だけをあげておるわけですね。ここには任務なんというのは何もないのです。あるいは罰則もないのです、そういうことについては。その安定した生活環境で工業学校に準ずる勉強ができるとか、幹部に昇進できるとか、それだけ書いてある。あるいは極端なものは、月五千円程度ずつマネービルをやって、除隊をするまでに百八十万円ためた者もおるとか、そういうことを地方連絡部は各学校等にも配ってやっておるわけですね。さらには適格者名簿をつくって、その中でピックアップをしてやれ、特技を持っておる、これは適するという者に対しては積極的に働きかけをやれということをやっておるわけです。さらには、自衛隊に対する親近感というのを持たせるために、たとえば高校生の一日入隊というふうなことも行なわれておる。どうですか、一日入隊という、そういうことが今日の学校教育法なり教育基本法なり、そういうものからして好ましいですか。
○斎藤説明員 一日入隊というのは、いろんな形で行なわれておるようでございます。形と申しますのは、休暇中に地域で希望者を募ってやられる場合もございましょう、あるいはもっと集団をなして行なわれる場合もございましょうが、そういうものは、すべてその学校を管理すべき校長等が教育的に見て差しつかえない、意義があるという場合の判断をすることでございますから、一日青年の家に行って集団訓練をする機会があるから、あるいは自衛隊があるからそれを利用してやられるとするか、それはいろいろその学校長の教育の判断であって、そのこと自体をもって教育基本法に違反をするということは、私は言えないのじゃないかと思う。それは、一日工場を見学する場合もございましょうし、一日企業についてみるということも、教育の当事者が、それが教育上役立つという判断をいたしますれば、それはなされてもいいことじゃないかと思います。
○川崎(寛)委員 それじゃ、学校に兵器を陳列して、そうして自衛隊に対する理解を深める、つまり防衛思想の普及をやる、そういうことは好ましいですか。
○斎藤説明員 それはやはり個々に行なわれる実態の限度の問題でございますから、先生お話しのように、自衛隊だから悪いとかいうような、自衛隊だから特別いいとかいうようなことじゃなくて、それは学校の行事なり何なりとして、個々具体的にその限度を越すかどうかという判断をしてしかるべきことだろうと思います。
○川崎(寛)委員 それじゃ、防衛思想の普及ということでそういう兵器の陳列をやったり、あるいは自衛隊に対する親近感を深めさせたりするということをやるならば、防衛思想の普及、そういうことが今日の学校指導要領の中で明確にされておりますか。
○斎藤説明員 特に自衛隊だけ何かするというようなことは聞いてございませんし、また、特に自衛隊についてだけ何かやれという指導も現実にはいたしておりません。そういう事柄は、いろいろな他の行事その他との権衡でそういうこともあり得るということを申しておるのであります。そのあり方の実態が限度を越すかどうかということは、個々具体の判断になってこようかと思います。
○川崎(寛)委員 これは、憲法の前文にもわが国の進むべき方向ということは明確に示されておるし、あるいは教育基本法においてもそういう点は明確にされておるわけです。ところが、仮想敵国というものを置いて、そうして防衛思想を普及していく、あるいは自衛隊というものについての親近感を持たしていくということが義務教育の段階にある、あるいは高等学校の段階にある児童生徒にとって、単なる職業指導として、あるいは自衛隊が独自でやるのだからそれはそれぞれの判断にまかしていいんだという段階ではないと思います。そういうことは、学校教育法なりあるいは教育基本法なり、さらには義務教育諸学校における政治的中立確保の臨時措置法等の精神から見ても、特定のそういう団体というものを普及をさせるということは、私は、今日の健全なる教育基本法のもとにおける学校教育のあり方としては好ましくないと思う。いかがですか。
○斎藤説明員 自衛隊にだけ職業補導の機会を与えて、他のものを遮断するというようなことは許されないのであります。これは各人がそれぞれ将来の進路をきめるわけでございますから、自衛隊もその内容を知ってもらいたい、そうして、自衛隊としてはできるだけ隊員を得たいというのももっともでございます。他の公務員等につきましても、できるだけ人材を得たいというのも事実でございます。また、企業にいたしましても、高等学校のときから自分の企業に優秀な人材を求めたい、それぞれその内容を知らせるための活動が行なわれる。それを一体限度を越して行なうか行なわないかということは、これは学校長が判断をしてしかるべくきめていくことでございまして、先生のおっしゃるように、自衛隊が募集要綱等を配り、学校で掲示すること自体が、何か教育基本法や何かに反するというふうには考えられないじゃないかと思います。
○川崎(寛)委員 これまで自衛隊は、各市町村にまかせて自主的な募集をやってきたわけです。ところが、計画的に適齢者の台帳をつくってくる。そうなりますと、十八歳から二十四歳といいますと、後期の中等教育から高等教育にかかる年齢層がみなはまってくるわけです。徴兵制度の前提と国民がとるのは当然じゃないですか。しかもこの募集要綱の中には、こういうふうに書かれている。「採用予定者に対し、協力諸団体の協力を得て入隊の際壮行会、激励会等を行なうよう努める。」これは出征兵士を送るようなかっこうですよ。 私は、昭和十七年、第一回学徒動員で学業半ばに行ったんです。そうしてまた、私の弟は当時中学生だった。からだが弱かったし、向かないから、おまえはおまえとしての道を行くべきだ、こう言ったが、当時の雰囲気に巻き込まれて海軍の予科練に行きました。それで案の定、弱いからだでありましたから、そこで訓練に耐えられず病死した。国に尽くす道というのは、予科練に行くということが国に尽くす道じゃないのだ、そればかりじゃないのだということでやったが、当時の雰囲気というものがその子供をそういう方向に追い込んだんです。 いまの初中局長のようなきわめてルーズな姿勢でやっていく、そういたしますと、職業指導の面においても、適格者名簿に入っておる、君は適格者だ、自衛官になれ、こういうふうな指導をされればそういう方向に行きますよ。それが自主的な、その子供のしあわせを伸ばしていく道であるかどうかということについては、これは保証できないと思う。いまの初中局長の御答弁ですと、あたかも単なる一企業が募集をしておる募集のやり方と、何ら変わらない同列のものだという言い方をされております。しかし、私は、これは決してそうじゃない、同列に置けるものではない、こう思います。適格者名簿というものがそういう方向に作用していく。また、これには、必要によっては情報を提供せよ、こういうことになっておるわけです。どうですか、そういういまの進め方というものが妥当だと思いますか。
○八木(徹)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○八木(徹)委員長代理 速記を始めて。
○川崎(寛)委員 それじゃ最後に一つだけお尋ねしておきます。 それは、この要綱によりますとこういうことになっているのですよね。統計資料の整備をやれ。適格者名簿をつくる、登録させる、判断をしていく、一人一人戸別訪問等をして勧誘をする、さらに統計資料の整備をやれ。この中には、「募集に必要な次の諸統計資料を整備し、活用するものとする」、「大学生、高等学校、中学校生徒の在籍状況および雇用の状況」、こういうものを統計資料でつくれ、こういっているのです。これは文部省に連絡なしに、こういうことを一町村等が自衛官募集の資料としてつくることについて、文部省は何ら知らないということは私は無責任だと思います。
○斎藤説明員 それぞれ雇用状況とか地域における進学状況とかいうようなことを、資料としてそれぞれの当事者が求められること自体が、別にこの人間の進路を強制することでも何でもないと思うのです。そのこと自体が悪いというわけでは私はないと思う。それは、いい人材を求めたいとするそれぞれの企業なり団体なり組織としては当然にそういう分析をすべきことでありまして、それが直ちに自衛隊のみに行けということには、私はならないと思うのであります。それは学校として個々に指導します場合に、からだが弱い、こういう方向には向かない者までも追い込むということにはならない。そのために学校の職業指導というものがあるわけでございます。先ほど例にあげられましたように、からだの虚弱な者がその組織に耐えられるかどうかというようなことは、やはり学校の担当の者としては助言をしてやるべきことだと思いますけれども、その資料を集めること自体が悪いことだということには、私はならないのじゃないかと思います。
○川崎(寛)委員 これはいずれ連合でやります。
○八木(徹)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十三分散会