大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/09/16
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についておはかりいたします。 ただいま理事が一名欠員になっておりますが、その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三池委員長 御異議なしと認めます。 それでは、藤井勝志君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○三池委員長 税制、金融、外国為替、印刷及び造幣事業に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
○平林委員 本日は、大蔵大臣が見えるまで、百円の紙幣廃止に関する問題について、関係当局にいろいろな角度からお尋ねをしてまいりたいと思う次第でございます。 八月の二十六日に私ども新聞紙上でこれを読んだのでありますけれども、閣議で福田大蔵大臣が、百円硬貨について、素材の銀が供給不足で国際相場も上がっているために、今後白銅貨に切りかえるという問題と同時に、昭和四十八年度末までに百円紙幣についてはこれを廃止するという方向で閣議の了解を取りつけたという報道がなされました。 言うまでもなく、通貨は国民の生活において重大な関係を持つものであります。これが突然——いろいろ内部では相談をしておったのでしょうが、われわれが受けた感じでは、突然福田大蔵大臣から閣議了解事項に持ち込まれたという点で、実はこの辺にどういうことがあるのかという点について奇異の感に打たれておるわけであります。 そこで、きょうはこの問題につきまして、一体、この閣議了解事項というものはどんなものであったのか、そして、こういう閣議了解事項を取りつける理由というものは何であったかという点を初めに事務当局のほうから御説明をいただきたいと思うのであります。
○中尾説明員 これはいまの百円銀貨をやめるということとしてあるいは御認識が得られたかと思いますが、実は、現在百円の硬貨とそれから百円の紙幣、日本銀行券でございますが、これが混流をいたしておるわけでございます。それを全部硬貨をもって流通せしめるという措置を促進するということが閣議了解の内容でございます。 その取り扱いが非常に唐突であったというようなお話でございまするが、実は、私どもといたしましては、これはもうずっと前からの方針で、ただ、実際問題としていろいろな障害がございまして硬貨化がはかれなかったという事情がございまするが、その後事情がだんだん変わっておりまして、ずっと内部では検討してまいったのでございます。ところが、ただいまもお話がございましたように、アメリカで銀貨の改鋳をいたしました。これが昨年でございましたか、そういうようなこともございましたので、それらとの関係におきましてこの問題が議論されますと誤解を招く、と申しますのは、アメリカのほうのは、銀の値段が上がりまして、表面の、額面の価格と素材の価格との間に開きがなくなってしまったのでございます。そういうようなことから改鋳を余儀なくされたというととであります。これは、一般物価と銀の値段とは違いますけれども、やはり通貨の流通性というものが、アメリカの銀貨につきましてはそこなわれてきたという事情があるのでありますが、わが国で今回のような結論になりましたのは、別にそういうことではないので、その辺の関係も誤解を招かないようにするにはどうしたらよろしいかということにつきましていろいろ考えておりました。 元来でございますと、いろいろな案をつくりまして、それで、これは政令事項でございますから、政令の改正を行なうという段階におきまして閣議にかけるのが本筋でございますが、いろいろそういうような点の検討も終わりましたので、従来にはございませんことでありますが、これは大蔵大臣の所管事項でございまして、政令事項でございますから、その意味において閣議にはかる必要がございまするが、その方針につきまして、なおその前に一応取り上げて、その方針を大臣が閣議でもって報告をせられた、その方針について御了承を得た、こういうことになっておるのでございます。したがいまして、今回の百円通貨の増鋳をいたしますにあたりまして、実際に増鋳が行なわれましてでき上がるのは来年の一月ごろを考えておるわけでございますが、それまでに準備が要りますし、それからまた政令の改正も要りますが、そういう意味で閣議の御了解も得、それから前広に発表したという形になっておるのでございます。 それまでの問、閣議了解までの間にそれらしき気配が新聞などに伝えられなかった、そういう点をたぶん御指摘なんだろうと思いますが、この点は、いま申しましたようないろいろな事情がございまして、アメリカあたりのそのようなものの影響もあるのではないかというようなことは昨年もいろいろうわさにのぼったのでございます。しかし、それらの事情もございませんので、微妙ないろいろな投機的な影響、その他に影響があってもいけないのでその点は気をつけていたのでありますが、今回の措置を具体的に行なうということで準備をいたします段階におきましては、むしろ前広にこれを公にしたというのが、私どもといたしましては実情でございます。
○平林委員 前からの方針であり、内部では検討しておったというお話でございますけれども、少なくとも大臣が閣議に提出をされたやり方というものは唐突の感じを免れることはできません。 そこで、いまのお話だけでは、その後一般の新聞に伝えられた切りかえの理由について少しことばが足りないのでないか。一般の商業新聞の切りかえの理由については、いまお話があったほかに、サービス、販売部門の経費の合理化だとか、あるいは金融機関の現金計算事務について合理化をするとかいうような例も加えて説明がされておるわけであります。これは私はたぶん新聞だけの憶測ではないと思うのです。福田大蔵大臣が閣議で了解を取りつけられたときの理由にそれらのものがあげられておったのではないだろうかと思うのですけれども、そうした問題についての理由もあって今度の切りかえということになったのですか、どうですか。
○中尾説明員 先ほどの答弁で申し上げるべきであったと思いますが、いま唐突というところを私は強く受け取ったものですからそのいきさつだけ申し上げたのでございます。 今回の百円通貨のコイン化を促進するということにつきまして、なぜとれを促進することに踏み切ったかということについての御質問と存じますので、それにつきまして概略を申し上げます。いま私申し上げまする趣旨が、大蔵大臣が閣議においてもご説明になりました趣旨でございますので、その概要を申し上げます。 まず、百円通貨でございますが、これは昭和三十二年以来、銀貨をもちましてコイン化を行なうことが既定の方針になっておったのでございます。しかしながら、御記憶もございますと思いますが、当時百円の紙幣、これにミツマタを使用いたしておったのでございます。ミツマタの関係は、これは日本全体というような問題ではありませんが、高知県でございますとか、あるいは中国地方の南向きの部分でありますとか、静岡県でありますとかいうようなところで、山村地帯の換金特用作物としてこれは大事なものであっわたけです。これの需給に急速な影響が加わりますと、そういうような打撃を受ける面があるという配慮がございまして、これを一挙に行なうということではなく、一定の長い期間をかけてこれを実施していこう、大体十年くらいたちましたら全体の七割くらいが銀貨になるであろうという見当をつけまして、それで進めてまいったのでございます。 ところが、その後事情がだいぶ変わりまして、経済の高度成長によりまして、こういうコインといいますか、小額通貨の流通需要が非常に全体としてふえました。一方でそのミツマタの関係がありますので、銀貨のほうをたくさんつくるということも差し控えておったというようなことで、現実には現在百円通貨は十四億枚余り流通いたしておると思いますが、そのうち銀貨は約四億枚余りでございます。事志と違いまして、七割と思っておりましたのが二九%内外というような状況にとどまっておるのでございます。改定をいたしますときにはなるべく衝撃がないように持っていくということが当然でございますが、あまりいつまでたってもできない、並行流通ということもまことにこれは困るのでありまして、全体の二九%でございまするので、全国にこれをばらまきますと、並行流通によるところの御不便が非常に多いということから、現在は東京周辺、それから大阪周辺と若干の島だけに供給を行なっておるのが実情でございます。そういうようなことでございますが、これはお金のことでございますから、出たり入ったりいたしまして、日本じゅうにごく薄く流通しているわけです。しかし、中心はそういうところに限られておるのでございます。これではまことに不便である、どうか銀貨をもっと供給してもらいたいという要望はほかの地方からも当然従来からあったのでございますが、それにようこたえ切れなかった、そういう状態であったのでございます。 ところが、その後最近に至りますまで、ここ数年の間にだんだんといろいろな条件が変わってまいりまして、まず第一はミツマタの関係ですが、これはその前にも生産は減っておりますが、昭和三十九年以来だんだん生産が減っておりまして、印刷局の局用の需要はどうしても減らさざるを得ないというような時期がございまして、その結果、三十九年から百円と五百円のお札につきましてはミツマタを用いておらないのでございます。したがって、百円通貨が硬貨になりましても、それから紙幣になりましてもミツマタ需給に対するところの影響はなくなってしまったという状況の変化がありました。 そこで、それではいよいよ促進をしようという段取りになるのでありますが、御記憶と存じますが、例の小額通貨、一円、五円、十円、特に一円がはなはだしかったのでございますが、これの供給がなかなか需要に追いつかないということで、だいぶ世間に御迷惑をかけるに至ったのでございます。何しろこれは数も多いものでございまして、流通からはずれてしまうものが多いものでございますから、これの供給に実は忙殺されておったのでございます。そのために、いろいろ設備も整え、くふうも整えまして、もっぱらそれに対する対策を進めてまいりましたととろ、最近に至りまして、ようやく不足という声が現実には解消いたしまして、今回、例のはがき料金の改定、あのときはこの一円玉の不足によるトラブルというものはあるいは一部あったかもしれませんが、少なくとも私どもの伺っているところでは、十分な手配ができまして、一円玉の面からの御不便はまずまずかけないで済んだというような状態であります。しかし、まだ今後のこともございますので、ある程度やはり手元の準備というものを積んでおきませんと、再びああいう御不便をかけるおそれがあります。そこで、実はつくりだめをいたして、ある程度準備しておったということでございます。それで相当の準備が現在では整っている状態に至りました。 と同時に、一方でこの間最近急速に自動販売機それから硬貨の自動計算機あるいは自動包装機というようなものの開発が非常に進んでまいっておるのでございます。これらの努力が民間においていろいろ行なわれておるので、御承知のとおり、これは物価とかいうことになれば多少大げさになりますけれども、物価対策上の見地から見ましても、やはり小売り、サービス部門といったようなところのいわゆる経営の合理化ということは、われわれといたしましても一番努力をし、しかもそれが非常にむずかしい部面でございます。それらの面におきまして、人力を省く、いわゆる省力による合理化ということの一環といたしましてそういうような機械が普及いたすということは、当然政府としましてもこれを期待いたしまして、これを促進しなければならない立場にあるのでございますが、現実に出回っております機械は、十円玉を幾つか入れるというようなのは相当あるのですけれども、何と申しましても、五十円、百円というのを入れまして、それのおつりとともに品物が出てくるというのでないと、そういう機械のほんとうのいわゆるごりやくは出てまいりません。ところが、それがただいま申し上げますように、関東平野一円あるいは大阪の周辺だけというところに百円玉がとどまっておりまして、今後といえども、現在のようなテンポで製造いたしておりましたのでは、その割合はとうてい上向きに持っていくことはできないというような状況でございます。そこで、そういうような合理化の努力に対しまして一つの障害を与えることになるので、それらの点で、直接的にはそういうような機械を開発製造しておるようなメーカーの方々あるいはそれを利用しておられるほうの業者の方々等からも前々からいろいろな陳情もございましたのですが、最近のような状況でございますので、これにも何とか早くこたえなければならぬという実情に実は迫られており、そこへもってきていまのような条件がだんだん好転してまいりました。 これも先生御承知かと存じますが、数年来、実はいまの小額のコインの増産の関係等もからみまして、造幣局の内部の設備の合理化、近代化というようなことを進めてまいったのであります。それらの計画が一応めどがつきまして、東京でも新たに一系列のものが動き出すというような状況になりました。そこへ百円のコイン化を従来のようなことでなく促進することができる態勢にめどがつきましたので、その見通しをもちまして今回の方針の決定を見たものでございます。 以上のようなことでございまして、いま新聞等に伝わったというお話も、いま申し上げたような関係で関連があるわけであります。
○平林委員 たいへん長い説明で、何を言われたか、私要約をすると、結局あなたの御説明によると、コインをガチャンと入れて品物を売るような自動販売機の都合だとか、あるいはデパートのほうの都合によるところの要求だとか、そういうことでかえた——銀の地金の問題を除いてはそういう説明に尽きると私は思うのですよ。 私は、今度の通貨制度の改革、変更というものの中には実際にお金を使う一般の国民の利便ということは考えていられない、こういう点に問題があると思うのです。それが今度の通貨制度を変更するときの一番大きな問題で、紙幣をなくして貨幣に切りかえるというようなことを国民がほんとうに望んでいるのかどうかという、国民の実際に使う面での便、不便という点はちっとも考えておられない。 たとえば、いま地方へ行けば、まだ香典なんか包むとき、百円紙幣を三枚くらいやって三百円くらいで香典を包んでおるところがありますよ。それが今度は、長い時期になるけれども、コインだけになった場合に、結局三百円でなく、今度は五百円札しかないから五百円ということになってしまう。まるいのを三つ包むというのは、そういう用紙があれば別だけれども、なかなかそうはいかない。今度は五百円ということになる。あるいは、実際にさいふを新しく買うという場合でも、持ち歩きに重いとか軽いとかいう議論もある。こういう国民の便、不便ということを中心にものを考えられていないという点が私は今度非常に不満な点なんです。閣議了解事項の中にそういうのが含まれていないというのが、いま長い話の中から出てきたことなんですが、それはどうなんですか。
○中尾説明員 前回の答弁が長かったのは申しわけございませんが、実はどれもはしょることのできないことを申し上げたので、いまお話の点は、実は私はさっき申し上げたつもりでありまして、東京とそれから大阪の周辺しか流通していないので、その他の地域においてもこれを流通させてくれろという要望が強いということは申し上げたつもりであります。 〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕 それから、東京あるいは大阪におきましても、その両方が並行して流通しているというととは決してぐあいのいいものではないのでありまして、持って歩くにしましても、お札はまとめてねじって持っていかなければならぬ、それからそのほかに玉も持っていかなければならぬ、合わせて幾らあるかということは見当つかないわけです。これはやはり国民の方々は御不便で、これを単一化することが便利であるということは言うまでもありません。そういうことは当然考えておるのです。 それからいまの、地方で、ある場合にはお札のほうが便利だ、これがいきなり五百円のお札しかないということになりますと、かえってお金を粗末に使うことになるというふうなことは当然考えられることでございましょう。私はそういう状態が当然起こるとは思いませんけれども、やはり懸念としては御指摘のとおりだろうと思う。そういうような点については、いま決定いたしておりますのは、百円通貨をとにかくそういう意味で全部コイン化することを促進するということでございますから、これを一挙に行なうというわけにはなかなかまいりません。造幣局、印刷局、それぞれの能力を合理的に活用して持っていかなければならないのでありますから、やはりここのところでもって昭和四十七年とか四十八年とか、場合によればそれよりちょっとおくれるかもしれませんが、そのくらいの間に持っていくよりほかないのです。それより早くするわけにはいかないのです。したがって、それがほぼ全部コイン化されるであろうと私が申し上げましたような時点におきまして、なおお札のほうがそういうような特殊な用途として必要であるというならば、これを全部なくすることもないのでございます。これはかつて五十銭の銀貨がありましたが、一円のお札というのも、そういうような場合に祝儀などに用いるというときの便利さが相当あったわけです。しかし、これが流通の主流ではなかったのですが、いまお話のような場合に、だれか一円札ないかねといって、さがすとだれか持っている、これで持っていこうという便利さはあったと思うのです。その辺はまだだいぶ先のことでありまして、そのときの実情に即したやり方をしたらいいのじゃないか、そこまで踏み切ることはないと思います。 したがって、百円の紙幣を硬貨に直すといいましても、何年か先にそういうような事情を無視してまで全部やろうというほどかたく考えておるわけではなく、やはり実情に即して持っていくべきものだと思います。しかし、これは将来のことであります。そこは多少弾力的に考える余地はある、むしろ実情に即して持っていくべきものだと思います。いま御質問のございましたように、やはり国民の利便ということが第一でございますから、やはりあらゆるものにこたえていくということは、私どもとして基本的な方針として今後も考えていく、こういう立場であります。
○平林委員 福田大蔵大臣が閣議の了解事項に持ち込んだ中には、四十八年までに紙幣は全部廃止をするということがあるというので、私はこれを問題にしているわけです。国民の便、不便を考えず、突如閣議でこういうことをやり、しかも、その切りかえの理由が、どちらかというと、サービス、販売部門の経費の合理化だとか、あるいは金融機関の便、不便ということを中心にものを考え、実際に使う国民の意向、意見というものを聞かずに抜き打ちにやった、そこがけしからぬ、こういうわけでございます。 ですから、いまのお話のように、多少柔軟性があって、国民の便、不便あるいは国民の声というものを考えながら、それを参酌しながらやるということであれば、私、またあらためてこれは大蔵委員会あたりでこうした問題について、どう国民の声を聞いてまとめ上げるかということは相談しなければならぬ、こう思っています。いまのお答えに多少柔軟的なことがありますから、次の問題に移ります。 そこで、ちょっと聞きたいのですが、百円銀貨の素材価値はいま一体どのくらいであるか、それから今度の新しい白銅貨の中身と実際の素材価値というのはどの程度か、これをひとつはっきりさせてもらいたいと思うのであります。
○中尾説明員 現在の百円銀貨の素材価値は、政令で定めるところの銀と銅と亜鉛の割合に最近の地金の相場を掛けまして出しますと、四十六円三十四銭ということになります。それから、ただいま考えておりまするところの、これを白銅にいたしました場合は三円八銭ということになります。
○平林委員 現在の百円銀貨は、素材価値として銀の含有量六〇%、あと銅、亜鉛で、一枚が大体四十六円三十四銭、来年一月から鋳造し、発行していこうとする白銅貨は、銅が七五%、ニッケルが二五%、素材価値は三円八銭。そうすると、その製造価値というものはおおよそ二十分の一程度になってくるわけであります。私はそこで思い起こしてもらいたいのですが、百円銀貨を発行する当時、私たまたま参議院議員として参議院の大蔵委員会にいました。そのときこの問題についていろいろ議論をしたのであります。そのときに議論をされましたことは、結局、こうした銀貨というものは国民の通貨に対する信頼度に非常に関係をする、銀の含有量が多いか少ないかということは、結局、それが国民の通貨に対する信頼度に影響を与えるからなるべく含有量を多くすべきである、あるいはそのコインの大きさについてもそうした面を配慮して考えなさいというように、微に入り細にわたってこの国民に与える影響を考えながら百円硬貨というものが発行されたということを私は記憶をしておるわけであります。 それだけいろいろな面で国会が臨時通貨法の改正のときに議論をいたしましたものが、今度は閣議の了解事項で、しかも政令をもってその素材価値も二十分の一にしていく、こういうことは、いまの国民経済の中でインフレあるいはお金に対する国民の感触などから考えてみて、一体適当と判断をされたのかどうか、私はそこを非常に疑問に思うのです。こういうことは、通貨全般から見ればこまかい割合、こう言うかもしれませんけれども、それ以上に、やはり現在の深刻な経済状況を考えた場合に、こうした問題を全然考えなかったのかどうか、どういう判断でこういう切りかえをやられたのか、そこを私は説明してもらいたいと思うのです。
○中尾説明員 何もかも御存じの上の御質問でございますからいろいろなことは申し上げません。 それで、私もいきさつはよく存じております。問題は、銀貨がございますので、この銀貨を廃止するということにつきましては、やはりいろいろそれらに応じた印象というものは当然避けられないのでございまして、この点は私どもが一番苦慮いたしました点でございます。しかし、何しろわが国の経済というのは世帯が大きいものでございますから、通貨の製造量というのは非常に大きいのでございます。そこで、この前銀貨にしようといったときに比べまして格段の規模の大きさになっておりまするので、今後、いま申し上げましたような見当において百円をコインにいたしてまいりますにつきましても、これをやっていくということになると、いま十四億枚と申し上げましたけれども、これがおそらく四十八年ぐらいになると、これは見通しの問題で、見当をつけるほうがやや穏当を欠くのですが、まあ三十億枚前後になるのじゃないかというような計算になるのでございます。そういうことになりますと、そこで数千トンの銀の手当てをしなければならないということになります。 銀は、御承知のとおり国産も若干ございまするが、足りない部分は輸入いたしております。実際問題といたしまして、政府が貨幣用の銀を手当ていたしまするとするならば、これはほとんど輸入に待たなければならないわけです。そうなりますと、ここ数年の間に三億ドル以上の外貨を必要といたします。これはまあ現在外貨がございますから、やってできないことではございませんが、やはり経済努力でありますとか、貿易の振興でありますとかというような面に外貨を使うというのでございますれば、それなりのリターンもございますが、これだけの通貨のために三億ドルを用いるということは、外貨の効率的な使用という面からしては当然問題があるわけです。そういうことになりまするほかに、いま三十億枚前後と申し上げましたが、経済の発展はそれにとどまりません。その後もどんどん増加して需要が出てまいると思うのでございます。そういうような場合に、かくも大量に必要といたしまするものを、計画的に国の計画、必要に合わせまして手当てするということになりますと、ただいま当分の間はともかくといたしまして、今後におきまして銀の確保ということは困難ではないかという見通しが強いのでございます。現在におきましても、世界的に見まして、銀の生産は横ばい、それに対しまして、需要は大体その二倍近くあるというような状況で、もっぱらスクラップでございますとか、あるいはアメリカ財務省の放出でありますとかいうもので世界の需給がバランスを得ておるというような状況でございます。したがって、今後こういう制度にいたしました場合には、やはり原料の確保ということが大事なので、これが銀貨をついにあきらめたということの基本的な理由でございます。 なお、銀貨が白銅貨になりますと、片方は貴金属でございますし、片方は貴金属ではございませんから、当然素材価格は下がるわけです。そうすると、いままでよりも百円の値打ちが下がったのではないかというような印象を与えるということは、私も当然考えたことでございます。御承知のとおり、こういう問題は非常に微妙でございますでの、私ども一番頭が痛かっだのですが、まあそういうことでやった、こういうことでございます。 しかし、実際問題といたしましては、ただいま流通いたしておりまする銀貨が、銀価格あるいは物価との関係におきましてその流通性を失うということではないのでございます。アメリカの場合と違うのでありまして、現在まだ素材価格で四六%、これに製造費を入れましても半額足らず、これは世界じゅうに流通いたしております銀貨の標準的な関係に十分合っておるのでございまして、今後銀の価格が相当上がるということが十年ないしそれ以上先に考えられるといたしましても、決してアメリカのような、これが鋳潰点に達するというようなことはまず考えられないというていのものでございます。 したがって、銀の価格なりあるいは物価なりという関係から、いまの銀貨が通貨としての機能を失ったのだ、百円はもう銀ではできないのだというようなことでは決してございません。そして、今後白銅貨によつて硬質化が進められますが、同時に、いまの銀貨と通貨として適格性を全然失っておらないのでございますから、これはそのまま流通をさせていく、そして最後には統一する必要がございますから回収はいたしますけれども、これをあえて回収することが当面の目的ではないのでございます。これはこれで硬貨でございます。そのまま流通にまかせて一向差しつかえないのでございます。われわれの考えといたしましては、現在十四億枚ありますけれども、そのうち四億枚が銀貨である、その残り十億枚を、その後増加している需要にもこたえながら、十億枚の銀行券をコインにいたしておくわけなのです。 ものの言い方でございますから、別に他意があって申し上げているわけではないので、御理解のために御認識いただきたいのですが、現在の銀行券でございますと、これは四十何銭という程度でございます。その分を三円何ぽかけてつくるのでございます。その面からいえば、逆に経費は上がっておる、素材価格もべらぼうに高いものをつくるということでございます。一方で、その銀貨のほうも回収するわけではないので、いずれ全コイン化が行なわれてから徐々にこれを回収していけばいい、こういうことでございます。この点はしかし、先生が御指摘になりましたように、印象的にはやはり重大な問題があると思います。したがって、こういう機会に御質問をいただきまして、私も答弁の機会を得られたわけで、そういうことでひとつ御理解をいただきたい、こう考えます。
○平林委員 私、あなたの答弁には非常に便宜的なものがあると思うのです。たとえば、銀のいまの貨幣を全部銀貨にすれば外貨が三億ドルあれするというようなお話についても、一体どういう根拠でそういう数字を並べるのか、たとえば、年間五百トンくらいの国内生産があることは事実です。それは間に合わないということはわかります。そしてまた、全体で七千トンの銀地金が必要になるから、そこから算術計算すれぼ三億ドル失う、しかし、銀というのは、それならば一切輸入しないのか、こういうと、決してそうじゃない。私は、国民の通貨という問題、それから通貨に対する国民の信頼度をこわしてもらっては困る、そういうこけおどかしの数字をあげて、だから白銅貨にするのだということは私納得できないのです。 それから、あなたはどう考えておられるか、貨幣法とかあるいは臨時通貨法という法律がありますね。 この貨幣法なんというのは、さっき私読んでみたのだけれども、古い法律でございますから、中には一銭五厘の条項までありまして、現在としては適合しないけれども、ここに盛られている精神は、たとえば二十円の金貨の中にはどのくらいのものを、何グラム金は含有しなければならぬとか、あるいは十円の貨幣については何グラム入れなければいけないとかいうふうに、こまかい含有量まで規定をしておるということは、通貨に対するところの国民の信頼度というものを含有量いかんによって左右させてはならぬというような精神があって貨幣法というのはこまかく何グラムまできめてあると思うのです。 ところが、今日政令でもって、いまお話しになったような御都合で中身を変えていくということをやることが、私は国民経済全般にはからざる影響を与えないという保証はないと思う。そういうことをもう少し考えていかなければならぬ問題があるので、いまの御説明では私納得できないのです。この点は、政令を出すときにもちろんその内容まで検討するでしょうけれども、その点をもう少し再検討する必要がある、こういうことを申し上げておきたいと思うのです。 次に、時間もありませんから、百円の問題が議論をされました昭和三十二年当時、臨時通貨法の一部を改正する法律案というのが議会に提出をされました。そのときに私は参議院議員として大蔵委員会で附帯決議を提案しまして、大蔵委員会で満場一致きまりました。これは御存じだと思うのです。 この附帯決議は、 一、最近の経済事情にかんがみ、高額紙幣(五千円札、一万円札)の発行については特に慎重を期すること。 一、百円硬貨の発行に当っては、政府は次の諸点を十分配慮をすべきである。 1 みつまたの政府買上量については、今後三十一年度水準を下廻らないようにすること。 2 各種紙幣の廃棄率をたかめること。 3 百円硬貨の銀の含有量を可及的多くするとともに、その大きさについては十円貨程度とすること。 4 印刷局、造幣局の職員に対して、人員整理させず、その他労働条件の低下、工場閉鎖などなさないよう配慮すること。 これは国会の意思として議決をされた附帯決議であります。 今度百円の銀貨が百円の白銅貨になる、こういう場合に、この国会の附帯決議は一体どうなるのですか。先ほどミツマタの点については御説明がございましたけれども、各種紙幣の廃棄率の問題あるいはこの含有量の問題、印刷局職員に対する問題、こういう附帯決議について、一体どういう配慮をなさって今度の切りかえ措置がきめられたのか。これは大蔵大臣にも聞かなければならぬことですけれども、実際の担当者であるあなた方の御見解をひとつ承りたい。国会の決議を無視するつもりかどうか。
○中尾説明員 国会の決議をもちろん無視するつもりはございません。 それから、ここに書いてございます事項、これは国会の御決議もさることながら、私どもといたしましても十分に実は考えておる点でございます。開き直って、印刷局、造幣局の業務確保のためにお金をつくるのかと聞かれたら私は困るのでありますけれども、しかし、これだけの政策の転換をいたしまする以上は、それによってどういうふうにそれぞれの作業量がなるかということの見通しは、これはつけなければならない。しかし、幸か不幸かと申しましょうか、実際問題といたしまして、わが国の通貨の需要量というものは非常に大きなものでございます関係上、実際問題といたしましては、この百円の硬貨の発行当時、それから、今度は百円硬貨の製造の促進を行ないまして、現在に至りましても、なかなかこれは一挙にはまいらないのでございます。やはり数年をかけてやっていかなければならないというような状況にございます。そういうような関係から見てまいりますと、おのずから幅のある計画になります。その結果、私どももなるべく早く百円の硬貨化を促進する、これを達成する、先ほどございましたような含みがありまするにしても、達成するということはいたさなければなりませんが、それはやはり実情に即した、需要に応じたテンポでできるだけそれにこたえる、これが第一義である、第一義ではございますが、それのまた裏側におきまして印刷と造幣がどうなるかということになりますと、実はその間印刷局と造幣局の能力を総合的にフルに活用いたしませんとこれを達成できないというのが実情でございます。そこで、私どももこの案が現実的な案として成り立つという見通しを得たものでございます。 さらに具体的に申し上げまするなら、現在の廃棄率あるいは手元の準備率もありますが、これらのものも当時お約束いたしております。したがって、そういう努力もいたしております。現実に相当改善もされておると存じますが、しかし、その後の通貨の需要が非常に急激であったために現在でもまだ十分ではないのでございます。さらにこれを引き上げなければならないというととは、印刷局の問題としてでなく、一応日本銀行あるいはわれわれ大蔵省の通貨の関係の当局といたしましても、これは痛感いたしておるところでございます。 そういうような関係がございまして、実はこの百円を硬貨にいたしましても、それらのものを進めてまいります上には、現在の印刷局の作業量ではなかなか間に合わないのであります。やはりこれを年々ふやしていかなければならない傾向にあると思います。 それから、造幣局でございますが、造幣局のほうは、先ほど来るる申し上げましたように、いろいろな仕事のほうの段取りをつけまして、それで始めるものでありまして、しかも、設備のほうも非常に合理化していく、効率化するということでやっております。いやしくも労働強化、そういうものにしわが寄るようなことは考えておりません。そういうことでは、これは政策にならないのであります。やはり政策には目標と手段と両方あるわけですから、目標を立てると同時に、手段として穏当なものでなければ実行に移すことは穏当でないわけであります。その辺は、私ども十分に見当をつけまして、それで出発をいたす、こういうことでございます。
○平林委員 臨時通貨法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これはもう尊重する考えは当然のことである、そういう考えである、こういうことでございます。 それならば、私はその裏づけとなる問題について確めてまいらねばならない。たとえば、廃棄率の問題について、現状がどうであって、そうして目標とする四十七、八年はどうなるか、あるいは準備率は現在どの程度あって、四十七、八年でどの程度になるかということが試算をされて、その上に立って、たとえていうと、各種紙幣の廃棄率を高めるという国会の附帯決議を実行したということが裏づけられるし、あるいはまた、印刷局職員に対して人員整理をしないとか、労働条件の低下とか工場閉鎖をしないようにするということが裏づけられるわけですけれども、この点についてはどうなっておりますか。
○中尾説明員 まことにごもっともな御質問かと思います。 ところが、その点につきましては、実は私の立場はまことにつらいのでございまして、廃棄率は現在百円硬貨を発行いたしました当時に比べれば改善されております。しかし、現在でもまだ十分ではございません。これは出回っておるお札をごらんになれば実感でわかると思うのであります。私どももそういう認識であります。ことに五百円あたりは流通速度が早いものですから、だいぶきたないのでございまして、そういうような点で、さらに数十%の廃棄率の向上といいますか、紙幣の浄化を必要とすると思います。しかし、現在までは実はその余力がなかったというのが実情でございます。これはまだ現在のところ数段階改善する余地がある、またその必要がある、こういうふうに考えております。具体的にいま廃棄率がどのくらいであるかというようなことにつきましては、実は日本銀行のほうの数字であるものですから、それぞれにつきまして日本銀行のほうの了解も要りますので数字をちょっとここで申し上げるわけにはいきませんけれども、したがって、それでは不確実だというお話かもしれませんが、私が御答弁申し上げておる場合には、実情と合わないことを申し上げておるつもりでは決してございませんので、実情といたしまして、なお廃棄率は不十分でございます。これに対してはさらに数十%向上しなければならない実情にあるということを申し上げまして、御了承願いたいと思います。
○平林委員 時間がございませんから、確認だけをしておきます。 つまり、いまのお答えは、廃棄率あるいは日銀の保有率——準備率というのですか、これは高めるようにする、その具体的な数字はいまここではお話できないということですけれども、私はこれでは納得できないわけでございますので、日銀のほうとも話をして、この国会の附帯決議が裏づけとして適当にやれることができておるかどうか、それを確めたいと思うのであります。いずれ資料の提出を願いたいと思うのです。その点をお答えを願って、あとでまた大蔵大臣にやりたいと思います。
○中尾説明員 廃棄率のほうは比較的日銀とも話がしやすいと思います。 それから準備率のほうは、ちょっとこれはどこの中央銀行も実は発表いたしておりません。で、まことに申しかねるのですが、私の立場としては、右から左へ実はお見せしたい気持ちなんです。しかし、これは実はやはり高額券の異常な必要ということは、要するに、大災害でありますとか、あるいは信用恐慌といったようなものに備えるわけでございます。これらのものに対してどの程度の準備をしておるかというようなことは、大体どこの国でも中央銀行の責任で行なっておるというようなことでございます。そういうようなことでございますから、率直に申しまして、私どもは全然これを知る機会がないということでは決してございませんが、その点は、そういう事情がございますので、なおそういう点も御理解の上で、資料の点につきましては、具体的に御相談を申し上げたい、こう存じますが、いかがでしょうか。
○平林委員 資料として提出できないという点は、私は納得できない。しかし、具体的な問題を後ほど提示するというなら、それはきょうこれで話はとめておきますが、追ってこの問題についてお話をいたします。いまの具体的に話をするのはいかがでしょうかという点は、とりあえずそういうふうにしてくださいというふうにしておきまして、あとでまた詰めてまいりたいと思います。 あとで大蔵大臣が来ましたら、この問題について引き続き議論をしたいと思います。
○藤井委員長代理 只松祐治君。
○只松委員 前回若干質問をいたしましたが、時間がなくてしり切れトンボになりました税制の問題等を中心にして、若干質問をいたします。 まず第一点は、所得税があまりにも高いし不公平だ、こういうことで、どこかの大学の先生が訴訟を起こしたようですけれども、事ほどさように税金は高いのですが、国税庁ににらまれたらということでなかなかそういう勇気のある人が少なかった。今度勇気のある人が出てきてそういうことをした。 そこで、前回私はそういうものの一環として課税最低限というものの家族構成について大臣にお聞きをして、いわゆる政治的な答弁だったのですが、きわめて事務的に事を運んでおられる事務当局として、独身者あるいは家族一人、二人というふうにいろいろ分かれますけれども、通常課税最低限という形で出される場合には、実在家族、いわゆる家族構成員四人という形で出していくのがすなおな事務当局のあり方ではないか。現在は五人対四人ですが、将来三人の家族になるということが言われておりますけれども、三人になっても五人の家族構成で将来百万円になった、三人ならば六十万円にしか相当しないのを五人家族として百万円の課税最低限だ、こういうことにでもなれば、これはたいへんなごまかしということになると思うのです。五対四ですから何とかということかもしれませんが、私は、家族実態に見合った厚生省が発表した数字に引き直していくべきではないか、税調等にもそういう形の御意見をお出しになるのが当然だと思いますが、事務当局としてどのようにお考えになりますか。
○塩崎説明員 ただいま只松委員の御指摘のとおり、課税最低限に関連いたしまして、いかなる世帯人口をとればいいかという問題は、税制調査会でもそのような御指摘があったのでございます。私どもは、若干過去の習慣もございますけれども、五人といったものが中心的なものと考えてきたのでございますが、それぞれいろいろな理由があり、所得税の納税者のうちのどのあたりからとるのがこの標準世帯をあらわすかという種々の数字もございますけれども、大勢といたしましては、いま先生のおっしゃったような方向を考えなければならないのではないか、かように思っております。しかし、何ぶん長らく五人世帯で、たとえば六十三万一千円、将来また八十万円というようなことが考えられた傾向もございますので、このあたり、頭の切りかえをどういたしますか、今後税制調査会等にはかりまして慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
○只松委員 この前より多少進みまして、慎重に検討ということになったわけですが、基本的な方向として、明年度からそういうふうにされるかどうかということまでここで確答できないかもしれませんが、やはり家族構成の実態に見合った課税最低限、これはよく私たちがいわゆる食糧には課税しないというように栄養調査や何かで言っておりましたように、こういう問題も全部からんでくるわけですが、きょうそこまで私は論議いたしません。いわゆる基本的な方向としてそういう方向をとるならとりたいということが、事務当局としては妥当な考えではないか、それを政治的に自民党のほうがどうとるかは第二段階のことでございますけれども、事務当局としてはそういうことが適当ではないかと私は思います。どうですか。
○塩崎説明員 御指摘のように、やはり税制は現実の社会の実態に適応したものであるべきだと思いますので、そういった意味で、現実の世帯人口、さらにまた、所得税のかかるところはどのあたりか、所得税の納税人口、これらを勘案いたしまして、おっしゃるような方向は、私はやはり実態に合うべきものだと思いますけれども、そんなような方向が基本的な方向だとお考えでございますれば、またそういった方向がとらるべきだ、ただ問題は、その切りかえがどんなような影響をもたらすか、これを慎重に検討しなければいけない、かように私どもは思うのでございます。
○只松委員 次に、法人税についてお伺いをいたします。 所得税はそのようになかなか重いわけでございますけれども、法人税の、特に大法人の場合にはいろいろな租税特別措置等が適用されまして、軽いと思っている人はないでしょうけれども、対比いたしまして不公平な面がございます。そういう中で皆さんがお出しになりました昭和三十九年度のいろいろな法人、企業の実態の資料を見ましても、会社数が約六十五万あるわけですが、その中に欠損会社が二十一万、こういうことで、欠損法人が三分の一、三一・一%になっておるわけです。七の中でも多少斜陽になっておる鉱業というのは四八・九%、約半数が欠損法人ということになっております。しかも、一年ならいいけれども、年々この欠損法人がふえていったりあるいは続いている。もうけないで会社が存続するわけですから、まことに奇異な現象なわけですが、これは国税庁長官のほうでしょうか、主税局長さんでもどちらでもけっこうですけれども、この欠損法人の実態について少しお伺いをいたしたいと思います。
○泉説明員 只松委員のおっしゃいましたように、欠損法人が年々三割程度ある、年によっては三割をかなりこえておるという状況にございます。この中には、お話がございましたように、鉱山会社であるとか船会社であるというふうに、非常に不況が長引いておるために欠損法人であるもの、それから新設法人でありまして、新設当初数事業年度は投資に対する収益がなかなかうまく生じてまいりませんために欠損が続いておる、数事業年度たつと利益を生じてくる、そういった状況の新設法人というものがございます。いずれにいたしましても相当割合が高い点につきましては、はたしてこれが適正なものかどうかということで、私どもといたしましても非常に神経をとがらして見ておるわけでございます。 ただ、ほかの国のことを言って恐縮でありますが、同じような状況が外国ではどうだろうかというようなことで調べてみましたが、たとえばアメリカなんかで見ますと、やはり日本、あるいは日本より以上に欠損法人が多いようでございます。しかし、そうかといって、欠損法人がそのようにたくさんあるということで放置しておくべきではございません。また、現に私どものほうで調査いたしますと、欠損法人だということで申告いたしておりますけれども、実際調査いたしますと、欠損ではなくて、むしろ利益が出ておるといったような法人もございます。これは個々の法人によって違うわけでございますけれども、しかし、私どもといたしましては、そういう点から考えますと、単に欠損法人だからといって、調査省略なりあるいは机上調査で済ますべきものではなくて、欠損法人といっているものの中にも、本来申告すべき所得の相当ある法人もあるということを考えて調査対象に選定しなければならぬ、こういうようなことを考えております。したがって、国税局、税務署もそういう気持ちで調査に当たるようにという指導をいたしておるような次第でございます。
○只松委員 アメリカとの対比なり諸外国の対比ということもいろいろありましょうが、しかし、たとえばアメリカのトータルは日本よりも確かに一〇%くらい高くなっておるということ、しかしそれは、日本で百万円未満、アメリカでいえば十万ドル未満の欠損法人が五〇%をこしておる、こういうことで、十万ドル以上の場合はそんなに日本と違わない。要するに、零細企業に欠損法人がたくさん出ているということから見て、この零細企業に対してはアメリカの税務署はわりあい寛大である、日本の場合はなかなかそうもいかない。数字からこういうことも言えぬことはないわけですよ。日本は三〇%、アメリカは五〇%というふうに、零細企業が一番開いている。二〇%の開きがあるわけですから。 それはそれといたしまして、とにかくこうやって個人の事業所得者が法人成りをしていく、そして法人になれば赤字が出る。一般の事業所得者は非常に追及される、これは交際費とも関連してきますけれども。あるいは大中小と分けまして、一億円の会社で千三百九社、十億円で百五十社、五十億円で十六社、百億円以上でも十社、こういうふうに、いわゆるきわめて大きな一流会社でも赤字を計上しておる。しかし、一方私たちが言うように、株の操作のためには、会社は利益である、こうやって粉飾決算をこの中でしておるところがあります。そういう巨大会社で赤字を出しており、しかも、これが一年ならいいけれども、年々赤字を出していっておる会社もある。前年度よりも本年度のほうが、いわゆる昭和三十八年度よりも三十九年度のほうが赤字が増大したというのが七・六%にもなっておる。前年よりもさらに赤字がふえた。前年から赤字がふえたくらいですから、さらにそのあくる年あたりもおそらく黒字にはならないでしょうし、その前あたりも黒字ではなかった。こういう大法人が三年も五年もこうやって赤字を続けるということは、何かやはりその会社に根本的な欠陥があるなり、あるいは税制上に何か問題がありはしないか。たとえば、山陽特殊鋼でも六年間一割から一割二分を配当しながら、事実上は税務署に対しては赤字ということで納めなかったことは御承知のとおりです。 こういうふうに、法人の税の調査というものに適正を欠くものがあるのではないか、こういう気がしてならない。あなたたちのほうから見て適正というならば——これはほんとうは証券局にも関係してくるわけですが、何年もこうやって銀行あたりはよく赤字会社に金を貸したり、こういう大きな会社は何百人、何千人と使っているのでしょうけれども、よく事業が成り立っているものだと私たちはふしぎでならない。これはどういうふうにお考えか。あなたたちは、大会社に対しての調査、課税、そういうものがきわめて適正に行なわれ、一つも粗漏がない、こういうふうにお考えですか。
○泉説明員 先ほど税務の法人税の調査についての基本的な態度は申し上げたわけでございますが、それにしましても、資本金の相当多額な法人で赤字経営を続けておる法人が相当数ございます。この中には、先ほど申し上げましたような鉱山あるいは海運業を営んでおる会社、あるいは新しい化学工業を営んでおりまして、設備投資を急激に必要とするけれども、収益はなかなか生じておらない、こういった事業、あるいは紡績といったように現在斜陽的な産業などもございます。したがって、なかなか一がいに言うことはむずかしいかと思いますが、しかし、お話のように、法人でありますから、数年も赤字経営を続けていくということはなかなか容易ならぬことでございまして、その中に配当をしながら税の申告だけは赤字であるといった山陽特殊鋼のような事例があることは、はなはだ遺憾なことだと思うわけでありまして、そういう意味では、税のほうの調査と、それから証券局のほうの有価証券報告書の取り扱い、こういうものとが十分密接な連絡がとられなければならぬ面があろうかと存じます。しかし、そういうのは結局は長続きしないのが普通でありまして、鉱山業とか海運の場合には、御承知かと思いますが、そう引き続いて好況ということはなかなかないので、数年に一ぺん好況があれば、その間の利益によって相当長い間耐え抜くだけの企業の基礎ができる、こういったことがよくいわれております。そういった点も考えられますが、概して言うと、普通の法人であれば、そう長く赤字経営を続けていくことはできないはずのものでございます。 したがって、赤字経営でそう長く続いておるということについては、そこにあるいは税の申告の脱漏があるおそれもございます。したがって、私どもとしましては、税の調査をそこで正確に適正に行なわなければならない、かように考えておるのでございます。
○只松委員 たとえば、こういう欠損会社がそういうものを含んで、昭和三十九年度日本の六十五万社の交際費が五千三百億円、こういうことになっておるわけですね。これは年間一七・六%前年度より交際費が伸びていっておる。これをかけてまいりますと、昭和四十一年度、本年度には七千三百三十億円交際費を合法的に使い得る、こういうことになるわけですね。昭和三十九年度で五千三百億円というのは今年は七千三百三十億円くらいになる。一七%去年と今年で伸びているわけですから幾らになりますか、かけてみればわかりますけれども、大体数字的にはそういう勘定になる。こういういわゆる赤字会社、税金を一銭も納めてないところが、こういう租税特別措置法が適用されて、合法的に交際費が認められており、七千億円からの交際費が湯水のごとく使われている。そこで赤坂、銀座は不景気になってもさびれることなく大にぎわい、赤字会社の重役もどんどん出入りをする、いまの会社はこういうことになっておるわけですね。いわゆる所得税や何かについてはこれだけきびしく取っていく——交通事故を起こしたから、あるいは今月病気して赤字になったからといって、皆さん方が所得税をまけてくれるわけではない。しかし、会社のほうはこうやって赤字だといえば——おまけに交際費その他会社のむだというものはたくさんある。政治献金など、田中彰治みたいな事件も起こってくる。租税特別措置が適用されて、実際上はこういうことで減免税になっているのだから、したがって赤字でしかたがないのだ、こうやってどんどん使っていても、これは合法的に費用として認めて、なるほどトータルとしてはこの会社は赤字になっているのだ、こういうことにならざるを得ない。 きょうは租税特別措置法まで論議する時間はありませんけれども、これだけの赤字会社であっても、こういう交際費の面や何か、確かに法律上はそうやって認めております。しかし、何年間も赤字を続けているこういう会社には特別に交際費を認めないとか、あるいはそういうものは減らしていくとか、あるいはほかのそういう面に対しての政治献金その他もそうでございますけれども、税金を一銭も納めないで赤字会社になっておるけれども政治献金は合法的に認めておる、こういうことでなくて、もっと皆さん方のほうで、いわゆる国民がおこらないように、まともにこうやって勤労所得税やあるいは事業所得税等を皆さんがお取りになるように、大会社に対してもこれを適用される、こういうことについて考慮される余地はないのかどうか。 私は、こうやって何年間も赤字経営を続けているようなところには、何か罰則といってはなんでございますけれども、税法上か何か、そういうものについて考慮すべきではないか。まともに税金を納めていくのは取られていく、しかし、こうやって何年間も納めないで累積赤字をしていて、将来の見込みが何もなかったら銀行や何かは貸さない、何かあるわけですから。それで、裏ではこうやって合法的に七千三百億円も交際費を使っている。皆さん方のほうで税体系上あるいは徴税上何かそういうことをお考えになる余地はないか。ひとつ、長官と双方からそれぞれ税制上の面と徴税上の面からお答えをいただきたい。
○泉説明員 税制の問題はあとで主税局長からお答、えいただくことといたしまして、先ほど只松先生から、交際費の支出額が五千三百六十四億円三十九年にあった、それは三十八年に比較して一七%伸びておる、したがって、毎年一七%ずつ伸びていくならば、四十一年は七千三百三十億円ではないか、こういうお話がございましたが、御承知のように、三十九年の秋以降一般的に不況になりまして、赤字と申しますか、経営が非常に苦しくなってまいりましたために、四十年度になりまして企業は相当交際費の節約をはかりました。そのためにいま銀座かいわいもかなりさびれるといったようなことも聞いておりますが、その影響が四十年度の交際費の支出額にどう出ておりますか、現在集計中でございますので、いずれ年末までには集計が終わると思いますが、その集計を見た上でないと申し上げられませんけれども、同じように一七%の割合でふえているということは言えないと思います。 それからまた五千三百六十四億円というのは、申し上げるまで毛なく、利益会社、それから欠損会社を含めての交際費の支出額でございます。利益会社の場合の交際費支出額のほうがもちろん圧倒的に多いわけであります。欠損会社で交際費を出しておる額というものはそう多くないわけでございます。 それから交際費につきましては、御承知のように、租税特別措置法におきまして、普通の租税特別措置は税の軽減をはかることを目的にいたしておりますけれども、交際費についての特別措置は、むしろ交際費支出の抑制に資そうということで、一定の限度額をこえたものは損金に認めないことにいたしておるわけであります。その点は御了承いただけるだろうと思います。 それでは、そういう赤字を出しながら、しかも交際費を出しておるような法人に税制上もっとほかに考慮すべきではないかという御意見につきましては、主税局長のほうから御答弁いただきたいと思います。
○塩崎説明員 赤字企業につきましては、交際費あるいは寄付金その他不自然と思われる支出を税制上何か抑制する手段を講じてはどうか、こういう御意見でございます。 交際費の問題につきましては、通常国会におきまして、平林委員をはじめ皆さん方からも多分に御宿題をいただいておるような次第でございまして、現在その実態等をなお詳細に調べまして、来年三月期限が切れますこの交際費についてどうしたらいいか御検討をわずらわすことにいたしております。期限が切れますれば、無条件損金算入というので、昭和二十八年以前の状態に返りますが、おそらくこれまでの空気ではなかなか無条件損金算入にははならない。私も只松委員のおっしゃるように、日本の交際費は少し多過ぎるのではないか、これを税制や何かが働きまして減らす方向に働くならば、これは非常にいいことではないかと思うのでございますが、しかし、その原因は、たびたびここで申し上げましたように、広告費と交際費の過大傾向が過当競争の大きな原因じゃないかと思うのでございます。やはり競争が苛烈であり、お客を維持するために、あるいは獲得するために交際費を使わなければならないという情けない慣習、これが少し私は行き過ぎておるのが日本の現状ではないかと思うのでございます。 そんな意味で、先ほど長官がおっしゃられましたように、交際費については、その支出額の一定割合を損金算入にしないという制度があります。したがいまして、赤字企業につきましては、当然赤字で全く苦しいのですが、たとえ競争のためとはいえ支出せざるを得ないということで支出して赤字が多くなりましても税法が働きますので、その税法上の赤字の金額は少な目になる、交際費の五割だけは資本金基準、あるいは四百万円という絶対基準が概括して申せばございますが、交際費の五割だけは損金に算入されませんから、その分だけ赤字が少なくなる、こんなような仕組みで、いま私は税制上ペナルティーを与えておると思うのであります。 さらに寄付金につきましても所得限度が働きます。寄付金につきましては、所得金額の百分の二五、資本金の千分の二・五の半分という基準が働きます。赤字企業につきましては所得基準が働かない。こんなようなことで、はなはだ微温的でございますが、税制上、交際費あるいは寄付金を制限する手段はついております。 しかし、これが不十分であるという考えが強いということが盛んに言われておりますが、これをどういうふうに持っていったらいいか。しかしながら、赤字企業は赤字であり、赤字ということは、やはり利潤が少ない。利潤を担税力の最も主柱といたしております法人税でございますので、これをどういうふうに使いまして——要は交際費の削減というととが私は目的であろうと思うのでございます。そんなようなところに焦点を合わせまして、なお交際費の問題、寄付金の問題は検討してまいりたいと思っております。
○只松委員 大臣がお入りになりましたが、もう一、二点聞きたいことがありますので、ポイントだけの御答弁でけっこうです。 いまはポイントをはずした質問で私は交際費を一例にあげたのですが、このほかに、たとえば寄付金でも三十九年度は三百十三億円ある、あるいは広告費あたりでもたいへん膨大な額があるわけで、いわゆる損した損したと会社は言っておるけれども、そういうところにたくさんのむだ金を使ったり、あるいは使ったふりをして、そういうふうに赤字にしてはいないか、しておるのもあるんじゃないか、こういうことを言っておるわけです。零細企業やあるいは勤労所得税は源泉ですから、全然のがれることはできない。倒産した会社が納めなかつたらこれは別にして、個人はのがれることはできない。ところが、こういうふうに大会社はあまりにも欠損が多過ぎやしないか、しかも、毎年赤字を続けている会社が多い。したがって、そういうものを何らか税制上なり徴税上の問題として皆さん方はお考えになる必要があるのではないか、こういうことを言っておるわけです。交際費が多過ぎる、私はこれは言っておるのではない。こういう点からひとつ考慮をぜひいただきたい。次に、一括してお答えいただいてけっこうですか、それと関連いたしまして、逆にもうけ過ぎておる会社がある。たとえば、都市銀行は、公表では二百八十五億円の利益、こう公表いたしておりますけれども、税務署に対する申告は六百六十五億円ですか、間違いないですね。したがって、その差は実際上三百八十億円、公表の二・三倍都市銀行はもうけておる。どうしてこんなにもうけておるのか。大体は税務署に赤字といいながら公表で黒字、こういうのが粉飾決算ですね。ところが、銀行は税務署に大きく出して、公表は少なくする。あまりもうけ過ぎて恥ずかしいということじゃないか。こういうことが許されていいものかどうか。多少まじめな実業家と申しますか、中堅の企業家あたりはこういうことに対して非常にふんまんを感じております。皆さん方はこういうことをどうお思いになるか。何でこういう過大な利潤が出てきたか。たいへんに金融機関は保護されております。これも時間がございませんので、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
○泉説明員 お話のように、公表決算の利益金額と法人税の申告の所得金額との間には業種によってかなり違いがございますけれども、相当の開きのある場合がございます。これにつきましては、御承知のように、配当の益金不算入の問題、そのほか税制上の固有の理由で、公表上の利益にはなるけれども法人税申告上の所得にならない場合があり、逆に、公表には利益に計上しておらないけれども税法上は自己否認して申告しなければならぬという場合があるわけでございます。したがって、会社公表の利益と税務の申告の所得とが必ずしも一致しないということはよくあることでございます。これをできるだけ両者一致させようということで、企業会計と商法及び税法の調整の問題ということで、長年それぞれの当局者の間で努力いたしてまいっておりますが、先ほど申し上げましたように税法特有の問題もございまして、まだ完全に一致するまでには至っておりません。 ただ、いまお尋ねの金融機関の公表利益に比べて申告利益が相当多いという点、これは私どももかねてから注目いたしておる問題でございます。これは公表上の利益に比べて税務の申告上自己否認をしなければならぬ課目がかなり多い。たとえば、有価証券の評価なんか非常に古い評価になっておるものがあったりして、税の申告ではそういう古い評価ではだめだということで自己否認して申告をいたしております。そういった事柄が相当ございますためにそういう開きになってまいっております。 しかし、要はそういう公表と申告との開きのみならず、その申告自体が適正な申告であるかどうかという点に問題があろうかと思うのでございます。したがって、私どもといたしましては、そういう申告がはたしてほんとうの利益の申告であるかどうかという点に重点を置いて税の調査をいたしてまいりたい、このように思っております。
○只松委員 税の申告や調査はあなたのほうでやるのはけっこうですが、私はきょうは大臣に質問する予定がございませんからここではけっこうですが、銀行局長お見えですか。——とういうふうに、一言で言えば、片一方は税金も払えないで苦しんでおるところもある。いま全体として、財政主導型と福田さんがおっしゃるように、約一兆円近い赤字公債を出して、日本の企業は大体不況の中にある。まだ依然として低迷を続けておる。宣伝的にはよくなっておるとおっしゃるが、実際はそうではない。ところが、銀行だけはこんなに大もうけをしておる。不景気のときに銀行がこれだけもうけるということはいかがなものかとも私は思います。こういうあり方について銀行局長はどういうふうにお考えになりますか。 それからいま一点、私たち社会党が前々から歩積み。両建てあるいは拘束預金等の問題について、中小企業者の立場を擁護する、あるいは借り方の立場を擁護するためにいろいろ御意見を申し上げてきておりますが、そういうことの一つの集約的な問題として、四十一年二月九日に銀行局長通達として歩積み・両建てに関する通達が出ております。これに間違いございませんか。
○澄田説明員 ただいまの御質問のうちの金融機関の利益の点でございますが、ただいまお話しのように、法人税の申告の利益と公表の利益との食い違いという点については、われわれも十分注意はいたしております。ただ、この点につきましては、わが国の金融機関が経済界と同様に急速に膨張しているというようなこともありまして、預金の残高とかあるいは貸し付けの金額というものに比較して自己資本が小さい、こういうこともございます。金融機関の性質上、十分内部留保をいたしまして自己資本を充実するということが必要なことは申すまでもございません。したがいまして、税法上認められております償却や積み立て金というものはもちろんでございますが、それを越えまして、有税の償却や有税の積み立て金をしていくということも、適正な範囲においては必要なことであるというようなことで、従来からそういうことが行なわれておりますし、われわれのほうもそれを認めてきておるというようなことがあったかと思います。ただ、これは程度の問題ももちろんございますし、有価証券報告書等の内容が事実をありのままにあらわすということの必要もございます。そういうような点から、今後とも十分金融機関の利益留保という点について適正な限界を維持していく、こういうようなことで留意してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 それから第二点でございますが、お示しのときの四十一年の二月九日、これは歩積み・両建ての自粛の整理期限が本年五月末ということになっておりますので、それまでに十分その趣旨が徹底するようにということを目的として出した通達でございます。
○只松委員 まず第一点の、いろいろおっしゃいますけれども、とにかく公表利益が、実際上よりも三分の一まではいきませんけれども、きわめて低い。過大な粉飾決算もどうかと思いますけれども、これだけ過小なのも国民を欺くものというか、預金者を欺くものではありませんか。これだけもうけ過ぎているのですから、いろいろなものを差っ引いてもこれだけ余っているのだと思うのです。こういうものが正しいかどうか。いかに企業の安全、金融機関の安全といっても問題がある。これは銀行局としてもひとつ十分御考慮をいただきたい。 それから、これと若干関連するわけですけれども、この前私たちが要望いたした一つの問題点でありますが、コールのいろいろな自粛措置、こういうことで、たとえば三井銀行も前期七億円のやつが今度公表で四十七億円ですから、税務申告になると、二・何倍になるとして百億円以上もうかっているのじゃないかという感じが、憶測ですが、いたします。こういうことで、都市銀行や何かはいい。基本的には、社会党としては歩積み・両建てをなくしていく、こういう立場にあります。ありますけれども、こういうもうけ過ぎている大銀行と、それから自分で金を集めてきて、一生懸命で中小零細企業に貸していかなければならない相互銀行やら信用金庫、こういうものを一本の通達によって——確かに内容は多少違っておりますけれども、ほとんど同一のような形で規制されていくというようなことに関しては、私はいろんな問題が出てくるだろうと思う。大臣もせっかくお入りになりましたので、私はこれ以上ここで内容について論議いたしませんけれども、何かいろいろ御相談するということだそうでございますし、これも案になっておりますから、そういう問題につきましては、もうけ過ぎているそういう都市銀行、それから地方銀行あるいは相互銀行、信用金庫、こういうものについてよく業者側の意見も聞いて、社会党の本来述べておる趣旨というものを十分御理解いただきまして、この案の最終確定についてはひとつ善処されんことをお願いいたしたい。 以上の点について、ひとつ銀行局長の御配慮をお願いしたい。よろしゅうございますか。
○澄田説明員 ただいまのお話の点でございますが、いま歩積み・両建ての問題の第二ラウンドといわれておりますが、自粛、整理の第二段階目の案をそれぞれ各金融団体と相談をいたしております。お話のとおり、各金融機関によりまして内容も非常に違っておりますし、経営の実態も違っておりますので、歩積み・両積ての整理の目的を達成するととが、角をためて牛を殺すということにならないように、かえって中小金融の阻害になるということのないようにという点は、十分金融機関の種類に応じて勘考をいたしてまいるつもりでおります。
○藤井委員長代理 佐藤観次郎君。
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣に質問するのでありますが、先ほど同僚平林委員から百円紙幣並びに百円銀貨の問題について非常にこまかく御質問がありまして、そのとき、主計局時代の中尾さんは非常に頭のいい人でありましたけれども、きょうの答弁は非常に苦しい、何かこじつけのような答弁です。ちょうどいまいただいた大蔵省から出している「ファイナンス」に書いてありますけれども、私は大蔵大臣に今度百円紙幣、百円銀貨をおやめになることの政治的な理由をお尋ねいたしたい。いわゆる技術的なことはすでに中尾さんから十分聞いておりますからお尋ねいたしません。 少なくとも、いまの百円紙幣、百円銀貨はいまの貨幣の中心をなしておるものだ。しかも、国民大衆が非常に親しみを持ち、それから百円札が基準になっておるということ、これは大金持ちの人は別でございますけれども、大衆の貨幣の中心をなしておる紙幣を何か非常に秘密の間に——これは新聞で読んだのでありますが、このことについては実にないしょで、この間閣議で大臣からお話しになったそうでありますが、私たちは、こういうような国民から愛される貨幣の中心である百円紙幣並びに銀貨をたった二十分の一の素材価値の白銅貨に簡単にかえるというようなことを大蔵省の一部で審議されるということを非常に不審に思っておるわけであります。少なくとも、貨幣をかえるということは、大衆の貨幣に対する信頼度が相当変わってまいりますし、それから、せっかくいままで国民が非常に親しく思っておりました百円紙幣をこの際なくするということについては納得のいかない点がございますので、大臣から、技術的なことじゃなくて、政治的な意味でひとつ御答弁を願いたいと思います。
○福田国務大臣 いまどちらの先進国へ参りましても、百円程度のものを札でやっておるというところはないのでございます。これは佐藤さんもよく御承知のことと思いますが、まあ大体二百円、そんなところ以下のものは硬貨でやる、こういうような風潮であります。 なぜそういう状況かと申しますると、やはりだんだんわれわれの文化が進んでまいる、そういう際に、やはりこれはコインでやるほうが、計算というようなことを考えてみるときに、あるいは最近特に流行しておるガチャンですね、あれを見ましても便利である。何か薄ぎたないような感じのする札というものにこだわる必要はないということかと思いますが、もともと、いまの百円銀貨、これは百円銀貨に全部置きかえよう、こういう考え方から百円銀貨の鋳造となったわけであります。ところがその後、御承知のように経済の実勢が進む、そうすると、補助通貨の需要量というものがふえてくる、そこで鋳造すれども鋳造すれどもなかなか紙幣を減らすわけにはいかない、こういうことで、今日は大体三割ぐらいが銀貨でまかなわれておりましょうか、そんなような状態です。 そこで、わが国におきましても、百円というような単位の補助通貨は硬貨がいい、それにしようというふうな意見になるわけであります。ところが、さてかえるということになりますると、今日の百円銀貨、その銀貨のもとである銀、これが世界的に非常に需給が逼迫をしておるわけで、これを入手しようといたしましてもなかなか困難な状態が出てくるわけであります。そこでこの際、そういう窮屈な銀は使わないで、白銅貨にしよう、こういうことに相なった次第でございまして、一に、取引上あるいはわれわれの社会生活上補助通貨の体制をマッチさしていきたい、こういうことでありまして、別に他意はございません。
○佐藤(觀)委員 政府や銀行は都合がいいかもしれないけれども、国民大衆はちっともそういうととを喜んでいない。 そこで私が福田さんに特に申し上げたいのは、あなたは大蔵省の主計局長もやられた方でありまして、外国のほうでは百円ぐらいの補助貨幣は全部紙幣ではないといまおっしゃいますけれども、それならなぜそのときにやらなかったかと言いたいくらいです。そこで、きょう平林委員からも中尾理財局長にいろいろ注文がありましたが、国民の立場というものを全然無視されておる。かつて紙幣のときもミツマタの問題なんかが出たことを、私は大蔵委員を長くやっておりますから承知しておるのでありますが、しかし、銀貨を非常に価値の少ない、二十分の一にひとしいような白銅貨にかえてやるということは、そう私はそれによってすぐにインフレになるとは申しません。けれども、貨幣を軽視するという意味において非常に悪い影響があるのじゃないか。ちょうど幕末に田沼意次というのがおりまして、貨幣を改悪したことがあります。佐藤内閣もだんだんあぶなくなってきたので、貨幣を改悪して、そしてこの際銀や——百円札というのは、私はチップをやるのに非常にぐあいがいいのですね。おそらく大臣なんかはチップが多いからなんですが、わしらは百円札が一番いいと思う。大体百円札を一枚ずつ持っていて、チップをやるときにこうやって百円をやればいい。白銅貨を一つやったのではありがたく思わぬと思う。そういう配慮がないというところに、私は大蔵省の欠陥があるのじゃないかと思います。私たちは庶民でございますから、そういう大きな金の問題はあまり問題になりませんけれども、少なくとも百円札はいまのスタンダードの金だ。まあ一円とか十円とかは価値がありませんが、百円がほんとうの日本の中心の貨幣だと思っておるやさきへ、いつの間にかばっと新聞に出て、おそらく国民は戸惑ったと思う。これは中尾さん御存じだと思う。新聞に反対の投書がたくさん出ておりました。一つや二つでない。庶民は百円札を非常に親しみを持って迎えておると思う。それがいまの大臣の説明によりますと、銀行や、時代のあれだからやむを得ないと言われますけれども、何となく私たちはそういう点が佐藤内閣の人気が出ない一つの原因じゃないかと思う。大衆の心を全然知らぬ。幾ら養老院に行ったり小学校へ行ったって、ちっとも喜ばぬ。大蔵省で少なくとも福田さんのような苦労人がこういうことを大衆に知らせずにやらしているというところに政治の欠陥があると思いますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。
○福田国務大臣 それは、佐藤さんが正式の通貨と補助通貨とを混同されている一面があるのじゃないかというふうに思うのです。つまり、素材価値がどうのこうのということは補助通貨にはありやしない。これが札ならば非常に素材価値は低いわけでございます。それでも百円は百円で銀貨とちっとも変わりがないのであります。そういうようなことを考えまして、別に素材価値を下げて通貨価値がどうのこうのという心配は私どもは毛頭持っていないのであります。 ただ、佐藤さんがおっしゃられる一つの問題は、国民に親しまれておる、これは私はそういうことがあると思います。しかし、百円程度の補助通貨は、これは硬貨にしていったほうがいい、そういう方向では進みますけれども、決して百円の札をすぐいまここで通用させないんだというのじゃありません。百円硬貨に全部置きかえるといたしましても相当の時間がかかるのであります。今日札で流れておる面もありまするが、同時に、通貨需要というものが今後ふえていくのでありますから、それに追いつくまでにはまことに容易ならざる努力と日子を要すると思いますが、その間百円の札が流通する、これはもちろんそうでありますると同時に、まあ時間がたってみて考えて、どうも札を残したほうがいいだろうというような国民的嗜好でもはっきりくみ取れますれば、これは残していくということも考えられる、こういうふうに思います。ただ、今回はそういうことで百円札を硬貨に置きかえる努力をしていく、またこの機会に素材を変更していく、こういうことをしてみてはどうか、こういうことでございます。
○佐藤(觀)委員 もう一点そのことについてお尋ねするのですが、何年ころまでの目安でいまの紙幣とかあるいは銀貨をなくされるのか。 それからもう一つは、私たちが非常に心配しておるのは、金を粗末にするという空気が国民の考えに出る。それは素材というものは、具体的に言えば、御承知のように、札は紙ですから何でもないようでありますけれども、やはり札は札で尊厳を持っておると思う。私たちはかつての十円札をイノシシと言っておりました。あの十円札が非常に今でも昔のことを思い出す人の材料になっておると思うのです。そういう点で、私は、補助貨幣であっても、百円というものは非常に国民のスタンダードのあれとしていま重要なものを持っておると思うのです。すぐにこれでインフレとは申しませんけれども、貨幣を非常に粗末にする、私は、それはやはりいつかは国民がインフレのおそれを持つような形になるのじゃないかと思う。そういう点について、大臣はそういう配慮をされたかどうか。あとでまた平林さんからもお尋ねがあると思うのでありますが、私たちは特に庶民の気持ちを察して、百円札に郷愁を感じておるのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか、もう一点だけお尋ねしたいと思います。
○福田国務大臣 あくまでも今回は補助通貨の問題でありまして、その素材がどうあるかということは、その通貨の持つ価値に影響のある問題じゃない、こういう考えを基本的には持っておるのです。それは百円の札と白銅貨を比べてみると、どっちが素材価値が多いか、こういう問題になると、そこはおのずから明らかじゃないかと思うのです。国民に慣熟した、親しみのある通貨、こういう問題は私は残ると思う。そういう点につきましては、ただいま申し上げましたように、どうせこれ全部を百円硬貨に置きかえるとすると七、八年はかかると思うのです。まあ、もう少しやってみた時点におきまして、どうも残したほうがよさそうだとか、大体国民の嗜好というものはわかります。わかりますから、そのわかった時点におきまして、その程度におきましては、あるいは百円の紙幣を残すというようなことも考えることを別に否定しているわけじゃないのであります。 とにかく、世界の通貨趨勢というものに順応いたしまして、わが国においてもごく小額の補助通貨につきましては、これはコイン主義でいこう、こういう考えをとったわけであります。
○佐藤(觀)委員 まあ、私たちの希望とすれば、銀貨は別にして、百円紙幣はできるだけ残してもらいたい、これは一般庶民の声じゃないかと思いますので、十分に御配慮を願いたいと思います。 それからひとつお尋ねしたいのは金利の問題であります。 先日私は総理にも質問いたしたのでありますが、世界の風潮は、西ドイツ、イギリス、アメリカ等、どんどん金利を上げております。これは非常に重要なことでありまして、私たちは、金利の問題というのはやがて日本の財政を非常に苦しめるのじゃないかというふうに考えておりますが、その点の御意見はどういうようにお考えになっておりますか。
○福田国務大臣 わが国の金利水準というのは、国際的に見て非常に割り高であります。これは佐藤さんなんかもしょっちゅう御指摘があって、金利は下げろ下げろという、こういう御議論のように承知しておりますが、まことにそのとおりでありまして、今日わが国の金利水準は国際社会において非常に高い。私は、長い目の日本の金利政策のあり方としては、金利水準というのは国際水準まで下がっていくということが望ましい、こういう基本的な考え方を持っております。特にこれから世界経済が自由化だ、貿易も資金の流れも自由だ、こういう傾向になる、その自由経済社会においてわが日本の産業が有力な地位をから得なければならぬ、それには何かというと、やはりわが日本とすると、金利の負担というものは、産業の世界市場における活躍に大きな妨げをする、これを何とか下げるということは、当面の問題としては私は緊要なことになってきた、こういうふうな認識を持っておるわけであります。そこで、何とかして金融機関の合理化、近代化を行ない、そして金利を下げるようにしたい、こういうふうに思っておる。これが私の金融政策の一つの大きなかなめでありまするが、さて金融機関の合理化、近代化といいましても、そう簡単に実効をあげ得るわけのものじゃない。そこで、ぽつぽつそういう考え方を進めていくほかはない、こういうふうに存じておるわけであります。 そこで、機会を見ては金利の引き下げを行ないたいというふうに思いますが、金利といいましても、長期金利と短期金利に分けて考える必要がある。短期商業金利はそのときどきの経済情勢に応じて弾力的にこれを運営するというかまえは、これはどうしても必要です。しかし、長期金利につきましては、割り高なわが国の金利を長い努力で下げていくというかまえ、これを特に進めなければならぬというふうに、長短両金利について分けて事を考えておるのでございまするが、さて、現実の問題としてこれをいついかなる段階でどういうふうにやっていくかということになりますると、これはなかなかいまお話のようにいろいろな機微な問題があるわけであります。 ことに、今日は国際金利高という臨時異常の現象が出てきておるわけであります。そういうさなかにおいてわが日本の長期金利を下げるということになると、長期資金の円シフト問題というような問題も起きてくるわけであります。それから短期金利につきましてもすでに円シフト問題というものが起こってきておるわけであります。そういうようなものを考えまするときに、わが国の国際収支の見地からは慎重な扱いをしなければならぬ。私は長期金利は逐次努力して下げていきたいとは思いまするけれども、当面の問題とすると、そういう国際金利の情勢、またそれに伴うわが国の国際収支の状況等も考えなければならぬ、そういうようなことから、そういう基本的な問題に影響のない程度でやっていかなければならぬというふうに考えまして、今回はまあ小幅、部分的という程度が適当であろうという判断をいたしたわけでありますが、今後とも金融機関の合理化、近代化、そうして貸し出し金利は低くなるという方向につきましては努力を積み重ねていくべきものである、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 その関連で私がお聞きしたいのは、公債の発行ということがこれから続けられると思うのですが、いまあなた方からいただいた参考書類を見ますと、今年度も昨年よりやや税収がふえている程度でありますが、ことしはどれくらいの国債を発行されるのか、また、国債の利回りの問題について大臣はどんなようなお考えを持っておられますか。この二点についてお尋ねしたいと思います。
○福田国務大臣 ことしは七千三百億円を発行し、これを全部消化してまいるという考えであります。利回りにつきましては、六分七厘九毛五糸ということを基本といたしまして条件を煮詰めております。
○佐藤(觀)委員 昭和四十二年度の概算的なあれはどうですか。
○福田国務大臣 昭和四十二年度につきましては、これはまだ構想を固めておるわけではございませんが、まあ大きな考え方を申し上げますと、一般会計の予算は、これは投資部門と一般部門とに分けて、一般部門につきましては税収その他普通歳入をもってこれに充て、なお余力がありますれば投資部門にその財源を繰り入れたいというくらいに思っておるわけであります。 投資部門は当分その多くを国債に依存する、こういう考え方をいたしておるわけでありまするが、幾ばくを国債で充てるか、あるいは国債を財源として実行するところの投資部門の予算の幅をどの辺にしますか、これは来年度の民間の経済が一体どういうふうになるかということをよく見詰めたいと思うのです。民間の経済がうんと伸びそうだというときに政府の投資部門を拡大しますと、これはインフレというか、そういう方向に経済は走る傾向を持ちますので、もしそういう状態であれば投資部門のほうは控え目にしていく、しかし、依然として停滞だ、財政が需要喚起の一役を買う必要がある、こういうことでありますれば、これは投資部門のほうは拡大をしていく、拡大ぎみにこれを持っていく、こういう考えでありますが、おおよその見通しといたしまして、投資部門がことしよりは伸びる、これは私は間違いないところだと思うのです。したがって、その財源としての公債はことしの七千三百億円よりはふくらむ、そういう傾向を持つだろうと思うのです。 ただし、そのふくらみ幅ですね。投資部門の支出のふくらみ幅、その財源としての公債のふくらみ幅、これについては、ただいま申し上げたような弾力的なかまえでやっていこう、あくまでも、来年の経済はどうあるべきか、どうなるであろうか、そういうことを年末までじっくり見詰めまして、年末の時点で、予算編成の時点において断を下していく、こういう考え方でございます。
○佐藤(觀)委員 福田さんの公債論がいろいろ問題になるのですが、大体現在一兆円の国債で六百五十億円の膨大な数にのぼる利息がつくと思うのです。 そこで、これは金利と矛盾を来たしはせぬか。たとえば、利付金融債の応募者利回りは年七分二厘、それから据え置かれた政保債が七・二%となる等、結局信用力に劣る民間債を上回るということになってくると思うのです。こういう点について大臣はどういうようにお考えになっておられるのか。これは金利の再編成という問題で問題になると思うのです。これは非常に重大な問題で、おそらく今後国債が市場へ出たり何かするような場合に相当問題になると思うのですが、この点はどういうように解釈していいのか、お尋ねしたいと思います。
○福田国務大臣 私は財政運営の責任者といたしまして、公債の利息はなるべく低いがいい、そして一般の国民の負担を軽くするということにつとむべきものとは考えておりますが、同時に、その発行する国債は民間消化ということを考えておるわけであります。これが消化されなければならぬ。これは日銀にしりが持ち込まれたというようなことになれば、これまたインフレ要因になる。そこで、民間にも消化され、また、政府の財政負担も最小限にというぎりぎりの一線というところが国債の条件でなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまするが、来年度の国債の条件をきめる際にも、来年度における金融の情勢、したがいまして、これを消化し得る能力またはその条件、そういうものを見定めまして、なるべく低位にということも忘れずにきめなければならぬ問題である、こういうふうに考えておるわけでありますから、これもじっと来年度の金融の動き方というものを見定めて、しかる後にきめたい、かような考えでございます。
○佐藤(觀)委員 その点について、大臣は金利政策としてどういうような方針でいかれるか。いままでに御説明のような考え方でいいのか、あるいは、一般の考え方は大臣の考え方と違った意見を持っておる人もおるのですが、その点は金利政策の再編成という立場でどのようにお考えになっておるか、もう一点お伺いしたいと思います。
○福田国務大臣 金利政策につきましては、いろいろな御意見がありまするが、多数の人は、私は、私のとっておる金利政策というものを支持しておられるというふうに考えております。 つまり、日本の金利も基本的には国際金利を基準としてやっていかなければならぬという問題が一つ、それから、そういう際に日本の金利、特に長期金利というものは国際的に割り高である、これを是正していかなければならぬ。つまり、その是正としては、これは無理やりに下げるというようなことはできません。それはやはり金融の需給ということもあるし、また、金融機関のコストという問題もあるわけでありまするが、基本的な方向としてはそういう考え方で持っていかなければならぬ。それから第三には、国債はもろもろの金利の基軸をなすものでありますから、国債の条件のきめ方につきましては特に慎重を期してやらなければならぬ、こういうふうに考えております。
○佐藤(觀)委員 近く大臣もIMFの会議に出席されるそうでありますから、国際金利の問題についてもいろいろと意見を持っておられると思うのですが、ここで私はそれと関連いたします景気の問題についてお尋ねしたいのですけれども、政府や日銀では、景気はもう底をついた、こういう非常に楽観論が横行しておりますけれども、現在の末端は必ずしもそうは行き渡っていない。これはあとでまたいろいろお尋ねしたいと思いますが、実際の場合としては、上のほうでは、大企業では、きょうの毎日新聞にもたしか山陽特殊鋼やその他が景気のあおりでだいぶよくなったということが発表されておりますけれども、私たちは直ちにいまの現状で末端まで日本の景気が浸透しておるとは考えられない面があると思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
○福田国務大臣 私はそうは見ていないのです。大企業もそうですが、中小企業においても、いま景気の上昇の影響を相当受けつつある、こういうふうに見ております。 特に景気を見る場合において重要な問題は設備投資でありますが、どうも大企業のほうは設備投資意欲がまだ起こってこない。しかしながら、中小企業におきましては、相当活発な設備投資活動というものが起こってきておるわけであります。また、金融の方面から見ましても、中小企業方面の金融というものが活発化しております。大企業のほうはまださほどたいした動きはない、こういう状況であります。 それから地方をずっと回りまして感じたところでも、景気の影響というものを相当強く感じておる、こういう状態であり、また日本銀行等が東京におっていろいろな形で調査をする、そういうところにも中小企業への景気上昇の影響というものが強く出てきておるような次第でありまして、決していまの景気上昇が大企業ばかりのものじゃないということにつきましては、もうはっきりそういうふうに考えておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 大蔵大臣なんかの見られる中小企業は景気のいいところだけ見られるのじゃないかと思う。何となれば、ことしの八月の中小企業の倒産は昨年の八月に比べて一二%くらいふえておるわけです。景気がよければ倒産がどんどん出るわけがないのですけれども、この点は一体どういうように説明されるのか。中小企業の倒産は去年も非常にひどかったのですが、ことしはもっとひどいような傾向にあるようであります。景気がよくて倒産するというのはおかしいと思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
○福田国務大臣 中小企業問題は非常にむずかしい問題であることは御承知のとおりでありまして、千差万別の状況であります。そういう中小企業の中には、過去二年余り続いた不況になかなか耐えかねるというような状況は大企業の場合よりも多かったのじゃないか、したがって、ああいう不況期においては中小企業に特別な配慮をしなければならぬというので、そういう施策もとってきたわけでございますが、それにしても、御指摘のように倒産という問題がある。これは倒産する事業会社の規模が大幅に零細化しておる、こういう特色はあるのですが、倒産する件数というものは依然として衰えない。これはどういう状況だろうかということを私も頭をひねっておるわけでございますが、やはりこの二年間にわたるところの不況、これの影響というものが出てきておる。その間に、中小企業は千差万別でございますから、その中には経営のやり方において行き過ぎだとか行き足りない部面とかがあったような企業もあったかもしれないし、その原因についてはいろいろな問題があるいはあるのじゃないかというふうに思いますが、だんだんと中小企業のほうも景気の影響を受けて活発化していくであろうし、また、そういうふうになっていただきたいというふうに念願をいたしておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 この間自民党の渡辺さんと一緒に四国を回ってきました。なるほど、いま大臣の言われるように、表向きは景気の上昇というような状況が出ておると思うのですが、よく見てみますと、この春から仕事がふえたけれども採算割れをしておる。これは結局上のほうで資金の散布があったり、いろいろなことで仕事は扱っておるけれども、事業としては実際赤字で経営せざるを得ないというようなことを言っておりましたが、この点はどのように解釈されますか。
○福田国務大臣 それは中小企業でも大企業でもそういう問題があるのじゃないかと思います。非常に不況期に切り詰めた事業なんかは、事業量がふえるというふうになりますと増収増益というような形になってきますが、逆に、そうでない企業におきまして、増収ではあるけれども収益状態があまり改善されまいというものも出てくるわけであります。これは企業によるのじゃないかと思います。それは大企業、中小企業ということではなくて、その企業経営の体系が一体どういうふうであったかということがまちまちに出てくる。中小企業だけの特色ではなくて、大企業においても同じような傾向が企業によってあるのだ、こういうことじゃないかと理解しております。
○佐藤(觀)委員 そういうところで私たちが景気が上昇したとは考えられない面があるわけで、実はこの三年間、福田蔵相の前に田中さんが大蔵大臣をやっておられたときから私たちは経済のひずみが起きるということを非常に心配しておりました。ところが、最近採算割れから企業が借金政策をやらざるを得ないというような状態になっておるわけです。これは、一面においては銀行の預金が余っておるということもありますけれども、おそらく中小企業は金に困って、中小企業金融公庫とか国民金融公庫には相当殺到しておると思うのです。こういう点はどのように解釈し、また、この暮れにどういうような対策を講ぜられる御意思があるのか、これも承っておきたいと思います。
○福田国務大臣 いま、今後の景気の先行き見通しをつけることが非常にむずかしい段階なんですが、いずれ山は予算編成、この時期かと思うのです。この予算編成時期を画して、今後の景気がどういうふうに推移するかという公式な見解をきめなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、ともかく暮れまでの情勢を見まして、一体金融が非常に逼迫するような状態になるのかならないのか。私は、金融緩慢の形はずっと続いていくというふうに見ておりますけれども、また、にわかに民間の資金需要活動というようなことが起こるかもしれませんし、その辺はそのときどきの情勢に応じて弾力的に対策を講じていく、中小企業につましても当然そういうふうな考え方で臨んでいきたい、かように考えております。
○佐藤(觀)委員 大臣の時間がありませんからあと二点だけ質問いたします。 あと平林委員からも質問があると思いますが、私が景気が立ち直っていないという理由の一つとして、証券界がなかなか活況を呈しない。これはむろんいろいろな原因があります。原因がありますが、将来の景気を予測するものとして証券界がいつも表にあらわれると思いますが、必ずしも楽観を許さないような状態になっております。この点、大蔵大臣はどのように見ておられますか、伺いたいと思います。
○福田国務大臣 この一年間で証券相場は千円そこそこから今日千四百五十円、そこまできておるわけで、実に四割五分の騰貴なんです。この大幅な上げというものが今日の相場の低迷しておる最大の原因じゃなかろうか、こういうふうに私は見ております。その他、証券の需給要因という問題がありますが、大きく言いますと、私は、四割五分までこの一年間に上がったのが最近に至って頭打ちになっておる、これがその実相じゃないか、さように考えております。
○佐藤(觀)委員 最後に、北ベトナムの爆撃以来非常に深刻な場面を呈しておるということは、これは御承知のとおりでございます。しかし、一面において、私は裏はわかりませんけれども、ベトナム戦争のために日本のほうから特需のものが出ておる。そういう点で、朝鮮戦争の時代のようではありませんけれども、多少景気の裏打ちをしているということは事実です。もう一点は、福田さんの公債政策というものが多少効果を奏して現在のような景気をどうにか保っておるような形でございます。 そこで、ベトナム戦争はいつ終わるかということによって、日本の経済にも相当大きな波紋があるのではないか。そういう点について、政府はどういう対策を講じておるのか。あるいは、戦争は不幸でございますが、われわれは、一日も早く戦争をやめさせたい、アメリカの北爆はあれ以上にやらせないという希望は持っておりますが、同時に、日本は一面においては、戦争に表面では加入しておりませんけれども、いろいろ情勢を聞きますと、いろいろな特需の中に足を突っ込んでいるという話も聞いております。それがために、アメリカではインフレの問題があり、日本と貿易関係でいろいろな問題が出ておりますが、こういう点について大臣は、戦争をやめてほしいというのは国民一般の願望でございますが、その点について、もしこの戦争でアメリカが一応ベトナムから撤退したというような、そういう場面に際会したときにはどのような形になっていくかということを御想像になり、対策を持っておられるかどうかということをお聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 ベトナム戦争が一体どうなるかということは、おそらくジョンソン大統領といえどもなかなか予言のできない問題だろうと思うのですが、今後これがどういうふうに推移するか、いわゆる激化の方向をたどるか、あるいは今日のような状態が続くものか、あるいは急転終戦処理というようなことにいくものか、いずれはその三つ以外にはないと思うのです。 わが国の経済に影響がある場合、激化する場合と、それからまたこれが急転終戦処理ということになった場合だろうというふうに考えますが、激化した場合には、アメリカの経済はまた相当過熱の度を加える、したがって、アメリカ政府はこれに対して相当ドラスティックな抑制措置を講ずる、こういうふうに考えます。 それから、にわかに終わったというようなことになりますると、いまどのくらいの戦費がベトナム戦に使われておりますか、まあ百二、三十億ドル、こういうふうに見るのが通常のようでございますが、これはわが日本の総予算に匹敵する額ですから、相当大きな額です。これが一挙にとまる、こういうことになると、他に何らの施策を講じなければアメリカの経済は非常に大きなショックを受けると思います。しかし私は、アメリカ政府がそのショックをショックのままに受けるというようなことはあり得ない、何らかのこれにかわる対策、すなわち、国内建設のために相当大きな仕事を計画するというような挙に出るのだろうと、アメリカ筋でもそう言っておりますが、そういう方向をたどるだろうというふうに見ておるのです。しかし、他の国のことでもありまするし、また、その影響がどういうふうに出てくるであろうか、そういうようなことも、まあ理屈どおりにはなかなかまいらない面もありまするから、あらゆる世界情勢、特にアメリカの経済の動きに即応して日本の経済がかじのとれるような仕組みをつくっておかなければならぬ、そして、このかじのとり方によって日本の経済が安定的に成長発展できるようにしなければならぬ。それには何かというと、私は財政と金融、この二つがそのかじになるというふうに思うわけであります。 財政につきましては、るる申し上げておるのですが、一般部門、投資部門というふうに分けて、そうして弾力的に財政の運営に当たっていきたい、これが財政部門。金融部門につきましては、国際収支が悪くなったからここで引き締め措置に転ずるというような、そういう金融政策が事後的事後的と出ていくやり方は下策である、私はこういうふうに思います。常に情勢を見通して予防的な措置を講じていくという態度こそが、今後こういう複雑な国際情勢に臨む金融政策の根幹でなければならぬというふうに考えておりまして、金融界も融資ルールの活用その他につきまして十分考えていただきたいということをただいま要請をいたしておるわけでございます。できる限り間違いのないように運営をいたしていきたい、かような考えでございます。
○佐藤(觀)委員 近く国際通貨基金の会議に御出発になるそうでございますから、いずれあらためて大蔵委員会で御意見を承ることにして、私の質問を終わります。
○藤井委員長代理 平林剛君。
○平林委員 時間もございませんから、百円の紙幣の問題について、端的にお尋ねをしてまいりたいと思います。 いずれにしても、今度の政府の通貨制度の変更は国民生活に対して非常に大きな影響を与える、また将来の日本の経済に対してどういうことになるか。あまり大げさなことを言わなくとも、私は微妙な影響を与えてくることは間違いないと思うのであります。大蔵大臣は、大臣に就任をするときにこういうことばを述べられました。一円といえどもむだにしない財政をやりたい、こういうお話を述べられたのであります。貨幣に対するものの考え方が軽くいけばいくほど国民経済に与える影響というのは大きくなる。そういう意味では、一円といえどもむだにしないということばは、まさに大蔵大臣として名言、適言であろうと思うのであります。 さて、しからば、この一円玉でいま何が買えると御判断になりますか。大蔵大臣お答えがなければほかの政務次官でも理財局長でもよろしい。この一円で何が買えますか。一円といえどもむだにしないというのが国家財政の基本である。この一円で何が買えますか、ちょっと答えてください。
○中尾説明員 突然のお話でございまして、実は円で買えるものが見当たりませんが、何かさがすとなると、一円がないと買えないものはたくさんございます。したがって、これはやはり大事なものだと思っております。
○平林委員 一円といえどもむだにしない、これが財政の基本です。また、国民の税金をあずかる上において政府のとるべき態度です。ところが、一円で何が買えるか即答できない。なければ困るんですよ。七円のはがきを今度買う場合に、十円玉を出しておつりが三円くる場合に必要です。ところが、この一円では何も買えない。何が買えるかというと、ちょっと言えない。 かつて参議院の山本さんがこの質問をやりましたら、理財局長がいや、おさい銭には使えると答えた。そうしたら佐藤義詮という議員が怒って、これは宗教を侮辱するものだといって取り消しを要求したことがございますが、その程度です。 そこで私は、こういう貨幣の価値というものを高めるということが、国民経済に対する安定なりあるいは貨幣に対する信頼を高める、こういうことになると思うのですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
○福田国務大臣 貨幣の価値を高める、これはもうそのとおりでありまして、私は、通貨価値の向上、維持ということを切言いたしておるわけであります。ただ、いまおそらくこれから平林さんが百円問題に入るのだろうと思いますが、これはどこまでも補助貨、便宜の問題なんです。これで日本の百円の価値がきまるのだ、その素材できまるのだというふうな性質のものではないということをあらかじめ申し上げておきます。
○平林委員 確かにこの価値を高めるために、今度百円の銀貨を銅とニッケルの含有量にしていく、これは理屈はあるでしょうけれども、いまの大蔵大臣の答弁は当初答えられたのと矛盾をしていると思います。反対の方向に行っていることは間違いないのです。これだけは幾ら大蔵大臣頭がよくていい答弁を考えようともだめです。まさしく貨幣の価値というものは逆に低下していく、これはその素材価値は通貨と関係ないと言うけれども、それなら貨幣法に書いてある精神はどうなるのですか。貨幣法の中に書いてあるように、この貨幣法には、古い法律ですけれども、少なくともその当時の二十円とか十円とか五円とか、五十銭とか二十銭とか、いまはニッケル貨の十銭、五銭などというものはございませんよ。ございませんけれども、貨幣法に書いてあるのは、それぞれ貨幣の量目について、含有量ですね、どういう程度、量をやるかということまで法律で規定してある。こういうことは、私は貨幣の価値というものを維持していく、貨幣というものに対する信頼を失わせないようなための措置がこの法律の含意である、これを今回かえていくということに対して、しかも、国民にいろいろな相談もしないでやるということは適当でないと考えるわけです。ですから、私は先ほど政令を出す前までにこうした問題についてもう一度検討してもらいたいということを実は要望いたしまして、理財局長もこうした点は十分検討しなければならぬというお考えのようでございました。 そこで私は、大蔵大臣もこの政令を出される前までに、もう一度貨幣法なり臨時通貨法なりをにらみ合わせてみて、いまおやりになろうとしていることが実際適当であるかどうか、こういうことも考えてもらわなければならぬ、こう思うのでございます。 それからもう一つ、時間がございませんから私申し上げますが、この百円銀貨を発行するときに参議院の大蔵委員会で附帯決議をつけたのです。実は私当時参議院議員でしたが、この附帯決議というのは、一つは、「最近の経済事情にかんがみ、高額紙幣の発行については特に慎重を期すること。」これは五千円札、一万円札のことですが、これは経済が大きくなるに従って当時の事情とは変わってきたことは認めますけれども、やはりインフレにならないという配慮が国会の当時の意思でもあった。これが附帯決議にあらわれたことでございます。それから第二は、「百円硬貨の発行に当っては、政府は次の諸点を十分配慮をすべきである。」つまり、政府は「みつまたの政府買上量については、今後三十一年度水準を下廻らないようにすること。」この点は、いまは百円札にミツマタはあまり使わなくなった、千円札とか五千円札とか一万円札になってきたから、これはいますぐここで問題にはならない、これは十分考えられておるようでございますから、この点は強く触れません。しかし、「各種紙幣の廃棄率をたかめること。」これは、今度の紙幣をなくすという理由の一つに、百円札はぐちゃぐちゃで困るというような国民のあれだという。廃棄率を高めていけばきれいなお札が流通するということになるわけでありまして、こういう点について、政府は附帯決議に基づいて今後も配慮するのかしないのかという点、これをひとつお聞かせ願いたい。 それからもう一つ、「百円硬貨の銀の含有量を可及的多くするとともに、その大きさについては十円貨程度とすること。」これはいま事情は違ってきましたが、私がこの前質問したと同じように、含有量については、国民が貨幣についての心がまえ、心組みをそこなわないように配慮してほしいということでございまして、政令を出すまでに検討してもらいたいという点でございまして、この点もひとつ再確認を願いたい。 最後に、「印刷局、造幣局の職員に対して、人員整理させず、その他労働条件の低下、工場閉鎖などなさないよう配慮すること。」これも私は廃棄率を高めることとか、日銀の保有率を高めることということが進められますると国会の意思は尊重せられることになると思うのでありますが、この附帯決議も今度の白銅貨に切りかえることでなくなってしまう、こんな安易な考えを持たずに、国会の意思は今後も尊重していきたいということの御言明をひとつこの機会にお願いしたい、こう思うのであります。
○福田国務大臣 ただいま御指摘の三十二年五月十八日の参議院大蔵委員会の決議ですね。これは四つありますが、そのうちの3の「銀の含有量を可及的多くするとともに、その大きさについては十円貨程度とすること。」これがある。今回は銀をやめまして白銅貨にしよう、こういうことでありますから、この条項云々という点は困るのですが、その精神はもちろんそのとおりであります。その他の1、2、4につきましては、今回の百円には別に関係のないことでありまして、今後ともこの精神を尊重してまいりたい、かような考えであります。
○平林委員 私は、貨幣、通貨ということは、これは国民全般の意向というもの、それから便、不便というものを考えていくべきものであって、今度の通貨制度の変更というものはいささかこれに欠くるところがある、これは先ほど理財局長にも指摘したところであります。この点は、先ほどは理財局長は国民の今後の便、不便を考えて、そうして十分それは含めながら考えていくと答え、大蔵大臣もいま佐藤委員の質問に答えられまして、かなり柔軟なお考えを示しましたので、私はこれをもって了といたしますけれども、ただ一つ、これから廃棄率を高めていきますね。現在の廃棄率については、これは私ここでは申し上げませんけれども、昭和四十七年にはどのくらいまで持っていくかという大体の計画がおありだろうと思います。それから、日銀の保有率というものも現在の保有率を昭和四十七年とろまでには大体どれくらいまで持っていけばよろしいかという判断がなければならぬ。その判断があればこそ、私はっきり言えば、今度百円の紙幣をなくして硬貨だけに切りかえようというようなことで、国会の附帯決議にも反しないことでやっていけるという御判断になったと思うのであります。 さて、そこで、いままで議論したことは別にして、昭和四十七年当時のことを考えてみる。この場合には、柔軟な態度であることは確認しましたけれども、昭和四十七年ころになりますと、百円の紙幣があるいは少なくなってくる。それで、日本でお札として発行するのは五百円札、千円札、一万円札、このときに一円のアルミ貨、五円の白銅貨ですか、これが一体どうなるか。いろいろなことを想定しますと、今度の通貨制度の変更ということは、私は昭和四十七年ころを目ざしてデノミネーションをおやりになるのではないだろうか、こんな気がするのでございます。これは単に大蔵大臣たる者、最近のコインを使ってコカコーラが出るとか、鉄道の便宜だとか、銀行だとかデパートの便宜のことを考えてそういうふうにするなどということから発想し、閣議に了解事項として取りつけてやるというような程度ではないと思うのです。そうすると、昭和四十七年ころを目ざしてデノミネーションをする。時間があれば私は一々皆さんに質問したいのです。その当時の予算規模はおそらくは十兆円をこえるでしょう。十兆円にはゼロが幾つあるか三秒間で答えろと言ったら答えられない。こういうことを考えますと、十兆円にはゼロが十三くらいある。なかなかたいへんな時代になってくるのですよ。そのときにゼロを一つでも二つでも取っていくというようなこと、あるいは一ドル三百六十円というのが、ゼロを二つ取れば三・六円ということになりまして、これはこの間やったフランスだとか、あるいはソ連だとか、イタリアも準備中だとか、そういうのに比べて国際的なドルの交換率などもある。これは私は平価の切り下げとは全く違うことを考えているのですよ。こういうようなことをやる準備がされているのじゃないか。たとえば日銀の保有率を高めていきますと、フランスでやったときには、そういうお札が一ぱいあれば、あとは千という単位があればそれに十という判こを押す、五千という札があれば五十という判こを押せばさっと通用するわけですから、こういう日銀の保有率を高めていくとデノミはやりやすいということになることは事実です。私は、今度の通貨制度の切りかえの中にはそういうことが含まれているのじゃないか、こういうことは国民の間で大いに議論したほうがいいと思っているのですよ、秘密主義でさっとやるよりは。ですから、そのための準備もいろいろあるでしょうけれども、将来のインフレ傾向ということを考えて、ある程度経済を安定させる意味ではデノミもまた必要なりという判断がございますので、今度の通貨制度の変更についてはその意思は全くないと、きょうおっしゃるのかどうか、ちょっと聞いておきたいと思いましてお尋ねをいたします。
○福田国務大臣 今回の通貨措置と関連してデノミネーションを考えている、これは毛頭そういう考えはございません。それから、デノミにつきまして、今日その時期でもありませんし、したがって、私どもの頭にデノミということばが去来するというようなことは全然ございませんから、よく御了知願いたいと思います。
○平林委員 まあ、きょうのところはその辺の答弁でかんべんをしておきます。 しかし、いずれにしても、私は国民経済の将来のことを考えますと、いつかの時期にはこうした問題を検討しなければならぬ時期がくる、そのときのいろいろな諸準備についても、私は、政府は国民にそのために迷惑をかけないような十分な準備をする必要もあるということを強調しておきまして、質問を終わっておきたいと思います。
○藤井委員長代理 次会は、来たる十月十九日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会