大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/07/22
会議録
○三池委員長 これより会議を開きます。 国の会計、税制、金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
○只松委員 全く久しぶりの大臣のおいででございますので、聞きたいことがたくさんあります。しかし、時間があまりございませんので、いろいろの問題を簡明にお尋ねしますから、できるだけ要点をついたお答えをいただきたい。 まず最初に、何と申しましても、当面の経済問題の一番重大な問題は物価の問題であろうかと思います。これもほかのところではたいへん論議されておりますが、本委員会としてはこういう問題をフリートーキングしたことはほとんどございませんので、ひとつ大臣から、現在まで物価問題に対してどのような対策を行なってきたか、当初四・五彩程度の予測のもとに諸般の施策を進められましたけれども、現在はそういうふうにいっておりません。ひとつお聞かせいただきたい。
○福田(赳)国務大臣 お尋ねの点は、消費者物価の問題かと思います。消費者物価が昭和三十六年以降ずっと上がり続けておる、非常に心配をいたしておるわけであります。何とかこれを鎮静させなければならぬ。経済の相当の高さの成長政策をとっておりますから、これを完全にストップする、私、これはむずかしいと思いますが、上がり幅が去年のように七%であるというような状態はまさに異常な状態である、そういう感覚のもとに物価問題とは取り組んでおるわけでございますが、私は、この対策としては、当面の施策とそれから長期的な施策と、二つあると思います。 この問題の根本的な解決は、私は長期施策にまつほかはないと考えます。 つまり、おくれておる産業部門、中小企業、農村、こういった方面の近代化、合理化、それによっての生産性の向上、こういうことかと思いますが、しかし、さらばといって、長期的施策を待っておるいとまもないような緊急の問題でもある。そこで当面とり得るべきあらゆる手段は講じなければならぬ、こういうふうに考えるわけでありますが、最大の物価政策は、これは国の財政の運営を適正にしていく、こういう問題かと思うのであります。私はそういう観点から今回公債を発行するという政策をとりましたが、その発行の規模を適正な限度に維持する、この原則をかたく守っておるわけであります。 私は、今日の物価問題に対する最大の支柱は、財政が適正な規模において運営されておる、こういう点かと思います。なお、しかし、流通の部面あるいは労働の流動性の部面あるいは生産の部面、こういう各方面において手段があるか、これはいろいろあるわけであります。それらをひっくるめまして昭和四十一年度の予算にもこれを掲げておるような次第でございます。今後も消費者物価の上げ幅のスローダウン、これはもう全力を尽くしてこれを実現していきたい、かように考えておる次第であります。
○只松委員 いま消費者物価の面からのお話がございました。 御承知のように、卸売り物価も三十五年を一〇〇といたしますと、昨年度で一〇三・一だったのが本年六月までですでに一〇六と、卸売り物価も大きな高騰を伴っております。そういたしますと、いまおっしゃったように財政を適正に行なうというようなお話、したがって、その中身として公債を適正に云々というようなお話がありましたが、私たちは、財政の適正ということはまあそのとおりだと思いますけれども、公債の適正というようなことは、それは物価問題には少し適切な御意見ではないと思います。こういう問題について、私は時間がありませんから論議しようとは思いませんが、具体的にこういうふうに消費者物価が東京で一四二になって、全国では一三一でございますが、卸売り物価が一〇六、こういうふうに上がっております。確かに、国の政治でございますし、経済政策でございますから、長期的な展望なり施策も必要です。しかし、これは率直に言って、福田さんたちのように資本主義経済を信奉されておる方は、長期的な施策というよりも、当面いかにこの国民生活を安定させていくか、当面の経済をいかに安定させていくか、発展させていくかということは、資本主義においてはより重要なわけですね。だから、計画経済ならば、将来こういうふうになるからひとつこういうふうに耐乏しろ、あるいはこういうふうにしろというふうに言えぬこともないと思います。資本主義経済というものはそういうものではないわけでございます。 したがって私は、長期的なものよりも、当面皆さん方がどうやってこられたか、あるいはどうやってこれを阻止しようとしておるのか、そのことを具体的に、資本主義経済を信奉されるそのチャンピオンとしての福田さんの御意見を聞きたい。
○福田(赳)国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、緊急当面できる施策と、それから長期的にわたって粘り強くやっていかなければならぬ問題とあるわけですが、当面できる施策といたしましては、やはり生産の増加、これはひとつ考えなければならぬというふうに考えておるわけであります。 そういう意味合いから、ことしは野菜の指定生産地という問題を取り上げる、あるいは食肉の増強というものも考えておる、場合によりましては輸入政策の弾力的運営ということもやってみなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。それからその他生産部面でいろいろありますが、省略いたします。それから流通の部面、これは卸売り市場の整備という問題でありますとか、ボランタリーチェーンというような仕組みでありますとか、流通面においてもいろいろな点を考えておるわけであります。さらに、物価というものは賃金と非常に密接な関係があります。やはり労働の流動性、これにも配意しなければならぬ。これも労働省を中心としていろいろと配慮をいたしておるわけであります。そういうこまかいことでもこれをやっていくということ、これは非常に大事なことじゃないかというふうに思うわけであります。それらをやっていく。なおもう一つの問題は、公正取引委員会の活動であります。いろいろなカルテルなんかもありまするが、消費者の立場というようなことも考えまして、経済の安定と見合いながらこの活動に期待をするということも考えておるわけであります。 それらのあらゆる努力を結集いたしまして、物価の上がりをとめるわけにはまいりませんけれども、上げ幅がだいぶ変わってきたなというふうに皆さまに考えていただけるような事態をつくり上げていきたい、こういうふうに考えております。
○只松委員 私は、経済担当の中心閣僚である福田さんですから、もう少し具体的な、しかもまとまった御答弁がいただけるものだと思って期待しておったのですが、なかなかそういう御答弁もないようでございます。 たとえば公取という話がちょっと出ましたが、経済の中でも、あるいは諸物価決定の中で非常に大きなウエートを占めておる鉄鋼、粗鋼、こういうものを公取委が再三再四その調整を中止するように勧告をいたしております。ところが、一向にそういう方向にはいっておらないで、粗鋼の値段はどんどん上がっております。たとえば、これも何なら大臣ひとつ御視察なさったらいいと思いますが、ある道路の陸橋の建設が行なわれておる、工事がストップしておる、何でだといったら、鉄鋼が回ってこないんだ、そこで労働者も働けない、こういうことが現実に起きております。これは在庫の問題なり鉄鋼の流通の問題なりということも関連してきて、単に生産だけの問題ではないかもしれませんけれども、生産設備はあり余っておる、それで下落を防止するために生産調整をする、こういうことをして、しかも通産省がそれを指導しておる。こういう面があるかと思えば、一方末端では品不足という現象が起きておるわけです。こういう問題はいわゆる政策の施策として、通産省の指導ですから直接大蔵省と関係がないといえばそれまでですけれども、重大な経済政策、経済問題あるいは物価問題として福田さんも無関係ではないと思います。 こういう問題に具体的に前向きに取り組む、こういうことが、私は福田さんの任務だろうと思いますし、物価問題の一つのきめ手になると思うのですが、ひとつ粗鋼の問題を含めて、福田さんはどういうふうにこういう問題に取り組んでこられたか、あるいは取り組もうとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 物価政策の見地から公正取引委員会の運営に期待しておるというふうに申し上げましたが、特に私は、鉄鋼は、鉄鋼産業自体が一体どういうふうになるか、これはもう日本経済の全局に影響ある大きな問題だろう、こういうふうに考えております。鉄鋼におきましても、この景気停滞の例に漏れず、非常に沈滞した市況が続いてきたわけであります。その圏にありまして、通産省の指導のもとに調整が行なわれるというようなことがあり、それがいま公正取引の見地からどういうふうに評価されるべきかということが問題になっておるのです。これは御説のとおりでありますが、これらのものに対するものの考え方、これは通産省が指導して生産調整をする、これを私は一がいに排撃するつもりはございませんけれども、問題は、それをはずして自由にいたしました場合に、これが鉄鋼産業にどういう影響を及ぼすか、これが私は基軸となるべきものであるというふうに考えるわけであります。とにかく、国の産業をささえる中心の柱である鉄鋼産業がどうなるか、産業自体としてどうなるかということは、非常に大きな問題である、これを度外視してこの価格調整問題というものを論議することはできない、こういうふうに考えておりますが、しかし、これを調整をはずしましても、鉄鋼産業に重大な亀裂がいかないというような状況でありますれば、これは当然はずすべき問題である。では、生産調整をはずしたら一体鉄鋼産業がどうなるかという点につきましては、私はただいまのところ、あなたにものを申し上げるだけの権威ある材料は持っておりません。これは通産省が慎重に判断をしていくべき問題だと思いますが、理屈はそういうふうであるべきものである、こういうふうに考えております。
○只松委員 さっき物価問題を長期と当面ということでお分けになりましたけれども、いまの鉄鋼問題一つとりましても、鉄鋼産業の将来性なり、基本的な今後のあり方という面からは、通産省のあり方を、たとえば是なら是とする、こういうことにいたしましても、当面の物価問題という面からするならば、これは大いに考慮を払わなければならない、こういうことになると思います。 だから、要するに、そういう長期的な展望に立ついろいろな経済政策にウエートを置くか、あるいは当面の異常な高騰を続ける物価高——このことは、しかし、あとの景気変動その他の問題もお尋ねしますけれども、物価問題というのがやはり今日の経済のあらゆる問題の基盤をなしておるし、関連をしてくるわけですから、これは長期的な展望に立つ場合でも、やはり当面の物価問題というのは非常に重要視していかなければならない、こういうことになると思うのです。ひとつ、あまり長期的なり、何か大資本のためのそういう面だけを見ないで、当面の国民生活に影響を与えておる面というのを重要視して諸施策を行なうべきではないか。そういうことをやって、たとえば鉄鋼なら鉄鋼というものを、調整をはずすはずさないは別にいたしまして、とにかく引き下げに努力するということをいたしますれば、これからずっと諸般の値下がり、卸売り物価のストップ、こういうことにもなってくると思うのです。だから私は、本気で物価対策をやるならば、そういう面に積極的に、単にそういう問題を通産省まかせということじゃなくて、大蔵省なり経済企画庁等とも連絡をとって、そしてそういう問題に真剣に取り組む、こういうことが必要だと思うのですが、そういうふうにはお考えになりませんか。長期だけを見ておけば、当面の問題はまあまあ何とかその場をしのいでいけばいい、こういうふうに、まあそこまでの極端じゃないと思いますけれども、お考えになりますかどうか。
○福田(赳)国務大臣 いま私どもが当面している問題は、物価政策ばかりじゃないのです。経済の成長政策もあるわけなんです。成長、つまり景気の回復、これを実現しながら、かつ物価問題を解決していかなければならぬ。成長を無視して物価政策を講ずる、これは簡単なことです、不景気にしちゃえばいいのですから。そういうことじゃなくして、景気は上昇させる、しかも物価問題にも成長政策が悪影響を及ぼさないように、のみならず、物価も安定基調のほうへ向かうようにという施策を続けておるわけであります。 しかし、景気政策、成長政策にこだわるのあまり、物価というものをないがしろにするというようなことがあったら、これまたたいへんなことです。成長政策自体がつぶれちゃう、これが両々相まって実現されるようにやっていかなければならぬところに、今日の苦心というものが存するわけであります。 先ほど申し上げましたように、景気の中心をなす、経済成長の中心にある鉄鋼が一体どうなるかということは、重大な問題でありますから、そういう側面もきちんととらえながら、しかし、今日の市大問題である物価問題というものにも真剣に取り組んでいく、こういうつもりであります。
○只松委員 よく大臣のほうでは経済の成長とか発展とかいうことをおっしゃいます。一般的にはそういうことも言えるわけですけれども、たとえば鉄鋼なら鉄鋼を見まして、生産設備が余っているわけですから、過剰設備になっておるわけですから、この鉄鋼がどういうふうに今後成長したり、どういうふうに発展することを希求されるのか。まあ、そのことだけ論議したってたいへん時間がかかりますから詳しいことは論議いたしませんけれども、私はなかなかそういうふうに簡単に成長だとか発展だとかいうことの意味がわからないのです。それよりも、日本の経済にとって非常に重要なことは、やはり物価を上げないということがいろいろな経済の基礎になると思うのですね。そうする場合には、あまり鉄鋼のそういう面だけを見ないで、やはり物価政策にウエートを置いた考え方をしていく、こういうことが私は問題だと思う。公取なんかはそういう面を重く見て、物価面から見てそういう要請をしておると思うのですね。したがって、どこにウェートを置くかということの置き方によって、通産省の見方なり公取の見方になるわけですから、したがって、私はいま物価問題をお聞きしているのですから、物価の面からももう少しそういう面をお考えになるべきじゃないか。発展とか成長とか、これは抽象的にはわかりますよ。具体的に過剰設備をかかえておる鉄鋼というものから考えてみた場合には、もっとそういう物価面から見るべきじゃないか、国民経済全般から見ても。そういうことを私は言っている。ぜひひとつそういうふうに考えていただきたい。 そういうふうに、物価面ということを非常にウエートを置いて考えるならば、やはり相当思い切った施策というもの——英国で今度労働党内閣になっていろいろな問題について思い切った施策をやっているのですね。やはりこういう異常に物価高騰を続けてきて、いままでは卸売り物価は上がっていないからだいじょうぶだ、こうおっしゃっていたわけですが、卸売り物価もこういうふうに上がってくる、こういうときには、よほど思い切った手を打たなければならない。ところが、いま言うように、鉄鋼にいたしましても公共料金にいたしましても、そうわれわれは物価引き下げのために思い切った手が打たれているとは思わない。 過去もそうでございますが、たとえば消費者米価あるいは食管会計、あるいは専売益金等の問題でいろいろ質問があっても、当面は上げない、こういう御答弁をきのうあたりもなさっておりますけれども、私は、当面というのは、いままでの当面は、いつも、常識的に解釈しますと、予算年度内ではなくて、十二月の暦年度における当面、こういうふうに解釈しておるわけですが、私は、そういうことじゃなくて、暦年度内でなくて、少なくともやはり予算執行の任に当たる大蔵省としては、来年の三月一ぱい、予算年度内は上げない、こういう思い切った態度というものを打ち出して物価対策に取り組んでいく、こういうことが必要だと思う。そのことが、ほかの各官庁なりほかのものに反映して、非常な決意というものが物価を引き下げていく、阻止する要因になると思う。 そういう観点から、私は常識的には暦年度内と思いますけれども、ひとつここで、本予算年度内は上げない、こういう明確なお答えをいただきたいと思いますが、いかがでございますか。米その他等につきまして……。
○福田(赳)国務大臣 いま英国のお話がありましたが、英国の労働党内閣が賃金、物価のストップをかける、非常にこれは思い切った施策だと思います。私は、そういう思い切った施策のできる英国の政府またこれをおそらく支持するであろう英国民に深く敬意を表するわけです。方法は別ですが、しかし勇敢に要請された施策をやっていく、こういうことは私は深く敬意を表しますが、さて、日本はどうだということになりますと、なかなかこの物価問題といえどもそう簡単に思い切った施策もできないような状態です。 いま只松さんは、消費者物価を押えろ、こういう角度から、米あるいはたばこの値上げは三年間はいたさぬということを要請されておるようでありますが、しかし一方、国家の財政の状態を考えてみると、そういうなまやさしい状態じゃないのです。只松さんはまた、税の論議になると減税も大いにせいといって主張されるだろうと思うのです。減税もそれから料金の値上げストップも両方できるというわけのものじゃない。住宅を建てろ、災害対策は完備せい、そんなに器用なことはできないのです。 そういうようなことを考えますときに、私は、あなたがいまお尋ねになりますような三年間ストップせい、こういうようなことは私はここでお答えするわけにはまいりません。いまここでお答えできることは、財政の状況も重大ですが、しかし物価のことも考えなければならぬ、また国民の生計費のことも考えなければならぬ、その三つの要素をよく見きわめて、そして適正なる判断を下していきたい、こういうことだけでございます。
○只松委員 大臣の答弁で三年間ということをおっしゃいましたが、三年じゃなくて、単年度ということです。 それは、いままでのお答えで各大臣が当面とおっしゃっているのは、大体十二月までのことを意味しておられる、常識的には私はこう見ておるわけです。そうではなくて、少なくとも三月までの本年度の予算編成をしておるわけですから、この三月までは米価、たばこ等を上げない、こういうぐらいの決意をひとつ示していただきたい、こういうことを言っているわけです。三年じゃございません。予算年度内でございます。ひとつそういうお答えをいただきたい、こういうことでございます。
○福田(赳)国務大臣 単年度というのを三年と聞き違えまして、どうもおそれ入りました。 いま申し上げたとおり、これから財政をどういうふうに運営していくか、さしあたって昭和四十一年度の予算をどうするかということも全く頭が痛い状態でございます。そういうような状態で、いまここで本年度は消費者米価は改定いたしませんとか、そういう具体的な答弁をいたすことは差し控えさしていただきたいのであります。 要するに、私も物価問題には非常に熱心に取り組んでおるわけでございます。その点だけをひとつよく御理解願いたいのであります。
○只松委員 そういたしますと、予算委員会においても、参議院等におきましてもたびたびお答えになっております当面上げない——総理もお答えになっておりますが、この当面とは、七月一ぱいとか八月とか、こういうことをおっしゃっておるのか。私は、常識的には十二月までの年度内であろう、こういうふうに考えておるわけです。三月までのことは明確に断言できないということならば、逆に言うならば十二月程度までは上げない、本年内は上げない、こういう常識的な解釈にとどまる、いつものきわめて常識的な期限だ、当面というとそういうことに考えていいわけですか。
○福田(赳)国務大臣 まあ当分ということは、平たく常識的におとり願いたいのですが、それを解釈して、まあ年内は上げないのだ、あるいは三月までは上げないのだろう、あるいは六月までは上げないのだろうと、いろいろのとり方があるわけでありますが、こちらもそうなんです。経済の動きに従う国民所得の状況あるいは物価の動き、財政の状況、いろいろ考えてやっていかなければならぬ。まだ年度の初め、早々のことでございまして、まだ財政のほうも見通しもつかぬ。物価の問題におきましては努力をしております。消費者物価は、今日は非常に調子がいいような数字が出ておりますけれども、さあ、これからどういうふうな動きをしていきますか、これもつかみにくいわけです。さようなことで、まだ当分というのがいつまで続くのか、私ども予定をいたしておりませんが、まあ常識的に只松さんにおいて御理解を願いたい、こういうふうにお願いいたします。
○只松委員 これは、常識的にというのは、私個人では十二月、ということは、もうここ何年間か一月一日にお上げになっておりますから、米価はそういうことだろうと思います。たばこは何年ぶりかですから、一月一日ということはさだかではないでしょう。しかし、これも似たり寄ったりのことになるだろう、そういうことで暦年内、こういうふうに私は解釈しております。そうすると、これはたいへんなことで、まだ来年早々米価が値上がりになるやもしれない、こういうふうになると私は思う。ひとつ、そういうことのないように、先ほどからも申しますように、物価と本気で取り組まれるならば、本年度予算内は、少々の、七百億円くらいの赤字が食管会計でまたふえますけれども、ひとつそういうことは別途配慮して物価の値上がりを抑制していただきたいということを、時間がございませんので、御答弁をいただかないで、お願いをいたしまして、次の問題に進みたいと思います。 次に、これは佐藤内閣になっての、私が知っている限りでの善政だと思うのですが、河川敷の開放を決定されたわけでございます。都市周辺の緑地、運動場の少ない中で、私も体育振興委員会の理事をしておりまして、これはたいへんにけっこうなことだと思います。 そこで、関連いたしまして、第三京浜国道が通るときに、わずかゴルフ場を横断するだけで三千四百万円くらいの賠償金を支払っております。新聞で見ますと、そういういろいろな賠償金、損害金等は支払わない、こういうふうにおっしゃっておりましたが、業者も今後猛烈な陳情等があるだろうと思いますので、ひとつ、財政がないないとおっしゃっている大蔵省でありますから、そういう面だけ、貸すときはただで貸して、地代その他もほとんど無料に近い、こういうことで優遇をしておきながら、返還するときには多大の賠償金、損害金を払う、立ちのき料を払うということになると、これこそ首尾一貫しない問題だし、国民に対してたいへん申しわけないことだ、そういうものは一切支払わない、こういうことをひとつここで明確にお答えをいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 御趣旨はまことにごもっともなことで、できる限り御意見のような方向でやってまいりたい、かように存じます。
○只松委員 さらにそのことが、今後開放を進めていくまだたくさんの河川敷——多摩川はまだいま第一段階ございますし、荒川なり大阪の淀川なり、今後ずっと都市周辺地区の河川敷が開放されるわけですから、できるだけということで、これも注釈つきのようなお答えのようでありますが、ひとつ、できるだけではなく、基本方針としては、原則としてはこれはしないということが私は大蔵省の方針、国の方針であってしかるべきだと思いますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○福田(赳)国務大臣 さように御了承願ってけっこうであります。
○只松委員 次に、これは先般の通常国会でも多少地方自治法の関係で定年制の問題が論議されました。 現在の日本の社会には幾多のひずみ、大きな欠陥がありますが、その一つの最大欠陥、矛盾といいますか、あるいは恥ずべき行為、恥部というのは、日本における五十五歳の勧奨定年退職であろうと思います。一般民間の五十五歳定年、諸外国では大体若くて六十歳、長ければ七十五歳というのが平均の退職年限でございます。しかも平均寿命というのは、日本は男子で六十八歳、女子で七十三歳、これはゼロ歳からですから、実際上二十歳以上をとりますと、男子で七十歳、七十三歳くらいに平均余命が上がってくる。ところが、五十五歳で首になって、あとはインフレ下におけるわずかな退職金なり年金しかない。これは、昔おば捨て山ということばがあったのですが、私は昭和のじじ捨て山、こういうふうに申しております。たびたび私は予算委員会の分科会その他で労働大臣あるいは厚生大臣等を呼んで聞いて、いや、今後努力をいたしますということで、確かに民間等におきましても、いま東洋レーヨンで六十歳、あるいは三井石油化学、安田生命等々で二、三割の会社が一年ないし五年程度定年を延長してきております。これは世界の公務員あるいは世界の雇用関係あるいは日本国内における民間のそういう動向を見ても定年というものは延長すべきだと思うのです。このことが、たとえば大蔵省あたりで端的に言われます、もう四十何歳で局長になれば、天下りをやってほかのところに行こう、あるいは行政機構を皆さん方がいろいろ簡素化しようとしておりますけれども、どんどん公団やそういうものができる。これが六十歳なり六十五歳まで定年が延びますと、そういう必要がないわけですから、そういうこともなくなって、おのずから行政の簡素化もできてくる。幾ら行政の簡素化を言っても、五十五歳で定年になれば、高級官僚は自分の行き先を考えてつくる、こういうことになるわけです。それから、行政の矛盾等もそこに端を発しておる面も多いわけです。したがって、当然に私は国家公務員においても定年制を延長すべきだと思う。 ところが、その場合問題になるのは、やはり定年の延長ですから、高級職員あるいは高額所得者が残っていくということになりますから、そこで財政の問題が問題になってきます。地方自治体等もそのことがうたわれて五十五歳という定年制が持ち出されたゆえんもそこにある。したがって、こういう問題は一年でできませんから、ひとつ大蔵省当局において、一番最後の逃げ手は金、財源ということになるわけですから、大蔵省当局においてもすみやかにひとつ定年制問題について、その制度——制度は労働省等でもやるでしょうが、それから出てくる財源、そういう問題について今日からひとつ御検討、御研究をいただきたい、こういうふうに思いますが、ここで正式に大臣のお答えを賜わりたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 公務員の定年制というのは、これは裁判官や検察官、それから自衛官など以外に全面的にあるわけじゃないのです。慣行としまして、各省あるいは各地方団体におきましてある基準を設けておいて、勧告退職をさせる、こういうようなことはあるようでありますが、法規的な意味におきます定年制、これはごく一部の職員にしかないわけなんです。 お話のように、いま人間の寿命、つまり活動能力が相当延びてきたこともあります。それから労働の需給という問題が、これから日本の経済が発展をしていく過程においてだんだんと窮屈になっていくというような事情もある。そういうようなことを考えますと、年にかかわらず、働く能力のある人は大いに働けるような仕組みということがだんだん考えられていくのだろうと思います。しかし、働く能力のない人、それだけの肉体的能力等が欠けておるという人が定年制のゆえにその職にとどまっておるということもまた他面において考えなければならぬ問題だろうと思います。 そういうことを考えますと、この定年制をどういうふうにしていくかということはきわめて重要な問題と考えますので、お話のように、大蔵省においても給与というような関係がありますので、慎重に検討いたしていきたい、かように存じます。
○只松委員 時間がございませんのでこまかく申し上げにくいのですが、とにかく、諸外国では、平均余命は日本と同じですが、それで若くて六十歳、長ければ、アメリカの事務系統で七十五歳というようなのがあるわけです。七十五歳はいかがかと思いますけれども、世界の傾向がそうなんですから、六十歳くらいまではどうか。逆に、時間があればひとつ世界の先進諸資本主義国の中で五十五歳の定年制があったら教えていただきたい。こういうこともあなたと論議したかったのですが、時間がないからしません。日本だけなんです。日本人は五十五歳ではまだそんなに年寄りにならない。きのうあたり新聞の投書に出ておりましたけれども、小学生、中学生の子供をかかえておる人もある、こういう状態なんです。それで、五十五歳で、法律上はありませんけれども、事実上勧奨退職と申しまして、年金その他全部それによってきまっておる。だから私は、財源の問題等で研究していただきたい、こういうことを言っておるわけです。年金から何から全部五十五歳勧奨退職でそういうことになっておる。事実、特に裁判官とか、きめてある人は五十五歳でないが、きめてない人は五十五歳で、地方公務員は若干の例外はあるが、しかし、国家公務員の場合はそういうようになっておる。そういう意味の研究をぜひお願いしたい。 次に、これも社会構造の、産業の変化等で裁判等による罰金、こういう問題の中身もたいへん変わってきておる。三十九年度の高検における罰金を見ますと、六十三万三千件で二百二十七億円、これだけございます。大体この八割以上は交通違反だ、こういうことが言われておるわけなんです。これも私たちがたびたび他の委員会等で、この交通事故の問題と、それを受ける、たとえば埼玉、静岡あるいは兵庫というような通過県ですね、こういう他県から大都市に通過していく、こういうところは被害が非常に大きい。それで事故も大きい。こういうところには何らかの特別交付税交付金等をおろすべきだということで、たとえば消防自動車等を、いままで十万人以上の都市だったが、五万人以上にする、こういう補助をするという形が順次進んでまいりました。こういう交通の罰金等は、そういう被害と対応しておるわけですから、これは二百億円からの交通の罰金がありますが、そういうことで国がみみっちく取り上げて何とかしょうというのではなくて、これはやはり地元に還元する、そうして、それにもしワクをつけるとすれば、ガードレールなりあるいは跨線橋をつくるなり、交通のそういう違反でできたのですから、交通傷害が起こらないようにしていく。きのうあたりも一斉交通取り締まりをやったけれども、警察庁がなめられて、事故が減らないが、罰金や何かで納めた金は国で取り上げて別に使っておいて、ただ事故だけなくせ、それは無理です。跨線橋やガードレールをつくるとか、そういう手を打っておいて事故が減らないというなら別だけれども、ただ取り締まりだけ警察でやったって、これだけの自動車を日本の警察官で取り締まれるものですか。だから、やはり交通事故をなくしていくためにも、そういうことをすべきで、あまりみみっちいことを考えないで、こういうものはちゃんと地方自治体に還付するなら還付する。これもいま本年度内直ちにということは、法規等の関係もありますからできかねる、打ち合わせもしなければならぬと思いますが、そういうことをすることを御考慮いただきたいと思いますが、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 これは、せっかくのお話ですが、私は非常に困難だと思います。つまり、これは国の刑事事件に基づきまして徴収するものであります。これを各地方に取らせるというような仕組みにすること自体が、性格上むずかしい。 それからもう一つは、各都道府県に徴収を担当させる、あるいは、させないまでも、国で取ったものをそれに還元するというようなことをしたならば、これはもう各地方団体競って罰金を取るというようなことにならざるを得ないと思います。まあ、金が地方団体になくて困るというなら別ですよ。そういうのは、それは地方団体における道路状況もありましょう。いろいろな状況を勘案して交付税という制度があるのです。交付税で足りないところはまた別に補給もしておるのです。そういうようなことで適正に行なわれておる、こういうふうに考えますので、罰金を還元するということについては、私は非常に困難性がある、こういうふうに思います。
○只松委員 それじゃ、罰金そのものイコール還元という形ではなくても、事故なり、罰金に見合って交付税交付金等をそこの地区の住民に——大体国道が一番被害が多いのだが、それが必ず県道、市道、そういうものに自動車が入っていって、したがって全体としてその県内の被害件数というものがふえているわけですから、これは、自治省の財政局長はそういうことを考慮するということをたびたび私にも答えておりますけれども、これは大蔵省との関連もありますから、大蔵省のほうでそういうことと見合った形でひとつ交付税交付金の中でも御考慮を願いたい、そういうことをお願いをします。 最後に、質問の時間がありませんから要望だけしておきますが、生命保険その他保険を見まして、他日またゆっくり御質問したいと思いますが、保険の契約高が、たとえばこの十年間に契約件数が約三倍、それから契約金額が約十倍、二十四兆円にも達しております。ところが、保険の料率はそれほど下がっておりませんし、まして保険の支払い額というようなものはむしろ低下をしてきておる、こういう状態である。これは資産の内容、株価の低落というようなことが原因にあげられておりますけれども、そして、またこれだけ膨大なものになりながら、依然としてこれが相互保険という形で、経営形態が何か相互扶助みたいな前近代的な状態にあって、しかもそれは一方的に会社側の現在の役員がその総代を指名する、そういう非近代的な状態にあります。したがって、保険会社のあり方、資産内容、そういう問題等について大蔵省としても十分に監査をする、今後そういう問題について御検討をいただきたい。ひとつ、するかしないか、一言だけお答えをいただいて私の質問は終わります。
○上林説明員 御指摘の問題点はいろいろあるようでございますが、たとえば保険料率につきましても逐次合理化をいたしてまいっておりまして、過去におきましても、たとえば終戦後の推移を申しますと、昭和二十七年、三十一年、三十四年、あるいは三十九年の四月に一〇%程度ずつ下げてまいったわけでございます。今後もそのような方向で努力をいたしたいと存じます。 そのほか、会社の運営につきましても、相互会社の経営主体の選任方法その他につきましては、今後この委員会でいろいろ御忠告も受け、保険審議会でも審議をしていただきまして、できるだけ民主的に、よりよき経営主体が生まれますようなことを考えておるわけでございます。 そのほかいろいろな点につきましても、御指摘のように行政指導等を行ないまして、これらの制度がうまく運営されていくように努力したいと考えております。
○只松委員 大臣の見解も同一でけっこうでございますか。
○福田(赳)国務大臣 そのとおりであります。
○三池委員長 横山利秋君。
○横山委員 北朝鮮の技術者の入国の問題は非常に重大化してまいりました。すでに大臣も総理の発言をお聞きになっておられ、状況もある程度は入手していらっしゃると思いますから、単刀直入にお伺いしたいのであります。 いま韓国がしたいと思っていますことは、おそらく政府が技術者の入国を取り消すことはあるまい、こういう判断はもうしておる、したがって、技術者の入国が阻止できないとすれば、事実上それが効果を及ぼさないようにしたい。つまり、商社なりあるいは関連の人たちにそれを辞退させるということを最終的なねらいとして、そのためにあらゆる政治的工作をしておるのであります。これはもう公式にやっておるし、それから隠密にあらゆる工作をしておるのであります。そうして、いまやその焦点は——新聞で伝えるところの報復手段は、新聞をごらんになって御存じだと思いますが、最終的に金融機関に対しましてあらゆる圧力を加えておるのであります。この金融機関は著名な金融機関、少なくとも東工物産なり東邦レーヨンなり、あるいはいま一つの会社なり、それに関連いたしますあらゆる金融機関にわたっておる。東京銀行の原頭取は韓国からこの間帰られた直後、羽田から支店長を急速電話で呼び出しまして示唆を与え、富士銀行はこの主力銀行でありますが、できるならば会社が取締役会の決議をもって辞退することを要望し、三和銀行は韓国大使館の安公使を招致いたしまして、そうして安公使が三和銀行を招致しましてこの取り扱いをやめるようにと要望し、第一銀行並びに三菱銀行もまた同様な示唆を受けておるわけであります。このようなあり方というものは、実に私は内政干渉もはなはだしいし、しかも、けしからぬことだと思っておる。しかし、それに対してただ言うばかりでなくて、韓国側の言い分は、もしもこれに応じなければ、韓国におけるこの金融機関の支店の設置を認めないとか、賠償取り扱い指定銀行として指定しないとか、いま御存じのように十一行くらいにわたっておるのでありますが、そのことを取引材料に使っておるわけであります。私はまことにこれはゆゆしい問題だと思っております。 で、本来このことが商社との純貿易の問題であるならば政府の関知しないところと言えるかもしれません。けれども、この技術者入国に関連いたしましては、すでに予算委員会、外務委員会、法務委員会で数回、政府がもよいにもよって、あらゆる報復手段を計算に入れて最終的に政府の決断をもって決定したことだ。もちろん私どもは要望はしたけれども、最終的には政府があらゆることを計算に入れて決定したことである。一にかかってこの問題によって生ずるものは政府が責任を負わなければならない特殊な問題だと私は考える。ですから、巷説伝えるところの、政府は許可をしたけれども、これによって生ずる問題について、政府は、商社のこと、金融機関のことに責任は負わないというようなうわさがありますが、もしそうだとしたならば、これは政府としてきわめてひきょうなやり方ではないか。私は某銀行の頭取に会って、少なくともこの問題について、主力銀行並びに取引銀行でありますから、通常の、今日まであるような仕事をなさればよろしい、こう言ったところ、非常に憤概をいたしました。政府はけしからぬですよ、横山さん、政府は、自分だけはいい顔をして許可をしておきながら、われわれが韓国から圧力を受ける、しわ寄せを受けることについて傍観しようとしている、政府だけがいい顔をして、悪いのはわれわれ取り扱い機関だ、金融機関だ、こういうようなことで逃げ込もうとしておるのはひきょうです、こう金融機関は言うておるわけであります。私はそれはもっともだと思う。 したがいまして、私は、根本的な問題がこれには含んでおると思うのでありますが、事、この技術者入国に限定をしましても、少なくとも政府がちゅうちょをし、迷い、そしてあらゆる情勢を判断をして決定したことについて政府は責任を持つべきである。私の質問は、あなたが大蔵大臣であると同時に、閣僚の一人としてこの点について責任を持ってもらいたい、また、大蔵大臣として、いま焦点が金融機関から商社にかかっておるそのことについて責任を持ってもらいたいということなんであります。御答弁をいただきたい。
○福田(赳)国務大臣 私も、あなたからこの間話を聞いて、そういう問題が非常に重大化しておるということの認識を深めたわけですが、金融機関についても聞いてみたのです。これは聞いてみたというか、ある一行だけでございます。そうすると、やはり韓国側から接触があったという話です。私は、在外公館につとめる人がある程度その勤務地の商社なり個人なりと接触する、これはもうやむを得ないことかと思うのです。それが度を越えて、日本の国交を乱すというようなことになると問題だ、そういうふうに考えるわけですが、そういうようなことを考えながら、外務省のほうでも、いまお話のような問題につきましては韓国側に対しまして注意を喚起しておるわけであります。 そういうような状態で、今後の推移を見るというほかないと思うのですが、事が金融機関に関係をするというような事態でありますので、実は私も非常に苦慮いたしておるわけであります。
○横山委員 政府が技術者の入国を許すという決定をする直前でありますが、通産省の某局長がその商社筋に暮夜ひそかに自発的辞退を求めたということがあります。私どもは、それに対しまして官房長官に、何たることだと言うたのであります。政府がいまや決定をする直前に自発的辞退を求めるということは、どういうことであるか。私は、大臣や官房長官がそういう悪質な陰謀を考えたとは思いません。純粋に、官房長官や大臣は許可する方針に一路邁進しておったと思うのであります。ところがその某局長は、政府に決定をさせておいて、陰で商社に自発的辞退の方向へ回ろうとするということは、何たることであろうか。まさに韓国の思うつぼに、そのしっぽに立って働いておるのではないかという感じがするのであります。また、政府機関に出しました申請書なりあるいはいろいろな書類が即日ぐるぐる回って金融機関の手に入っておる。金融機関は一体どこからそれを入手したのであろうかと足跡をたどってみますと、これはあまりはっきり申し上げられないのでありますが、日本国外のところから回っておる。これは容易にまた想像できることなんであります。あまりに差しつかえがありますので申しませんが、日本政府以外のところをぐるぐると回って金融機関に入る、そして韓国政府はその資料に基づいて、次から次へと関係工場なりあるいは見学をするところの工場なりに目つぶしをかけておるわけであります。この点につきましても私は容易ならぬことだと思う。直接韓国政府が日本政府から入手するわけではない。ワンクッションを置いておるわけでありますが、これまた私はけしからぬことだと思う。この技術者の入国に関連をいたしましていろいろな問題が発生をしておる。日本政府の役所の秩序まで関係が出てまいりました。大蔵省にそういうことがあるとは私はまだ聞いておりません。非常にけっこうなことであります。したがいまして、政府は、一たん入国をさせる——入国をさせるということは、商談を成立させるということである。そして、商談が成立し得るように促進しろとは私は言わないけれども、それが砂上の楼閣に終わらないように、私は通常の経済ベースが行なわれることを擁護すべき責任があると思う。この点はどうですか。
○福田(赳)国務大臣 私はあの決定を見まして、決定は技術者の入国の決定なんです。ですから、これはどうしてもやらなければならぬ問題である。しかし、入国後において、また商社なり北鮮側とのいろいろな接触があるだろうと思う。そういう際に起こるべき契約の締結問題に政府が関与する、これは少しまた行き過ぎたことになるのじゃないか、これは私もあなたほどの事情は存じませんものですから、率直に申し上げるわけなんです。 まあしかし、平たく考えまして、いろいろないきさつがあってああいう決定がされた、いろいろの意見がそれについて出ておりますが、韓国側も、特例だとまで日本が言っているわけなんですから、すらっと納得してくれたらよさそうなものだと、こういうふうに存じますが、政府の責任問題というのが、一体契約のどこから出てくるのであろうか、これはちょっと私も理解ができないところであります。
○横山委員 契約を履行させる責任があると言っているわけではないのです。けれども、日本政府が技術者入国を許したということは、何のために許したか、これは法務大臣並びに総理大臣がしばしば、入国の原則として、文化、スポーツ、医学、貿易というようなことについて、日本政府としては北朝鮮との交流についてはこれが入国の一つの基準であると言っておるわけですね。今回初めて貿易という意味において入国をさせる、つまり北朝鮮と日本との貿易については、政経分離方式とまで言い得るかどうかわかりませんけれども、現在貿易が順調に行なわれておることだから、その貿易の実情を了解をし、それによって必要な入国を認めるという立場なんですよ。それで入国を認めたところが、韓国政府がそれに対して非常な抵抗を示した。政府の決定以前、決定以後、そして今日新聞に伝うるところによれば、日本における韓国人商社を引き揚げたり、あるいは渡航を制限したり、あるいは漁船に対する取り締まりを強化したりという、あらゆることが計画されておるようだ。もうそこまでくれば、一北朝鮮の技術者の入国問題ではなくなりつつあるではないか、こういうことなんですよ。ですから、政府としてはなるべく問題を局限化したいという気持ちはわかりますよ。わかりますが、それをおそれるのあまり、政府は入国を許可したけれども、金融機関や何かが、がけがくずれていくのを拱手傍観をしておるために、もしも最悪の状態で事実的な自発的辞退ということになったならば、政府は許可したわ、けれども何にもなかったわ、砂上の楼閣であるわということで済みますかということなんです。それで、政府は許可したのだから、商社が自発的に辞退したのだからしようがないよということで済みますか。最近この問題が日ごと夜ごと新聞に載りますので、町へ出ますと、みんな都民なり市民なりが言うておるのです。なめられておりますね、技術者入国くらいの問題で何たることですか、政府は一体どうするのですかという雰囲気なんです。このいまの状態を見ますと、政府は何もしないというようなことではあるまいかと思う。私は、大蔵大臣がこの間の事情を十分調査し、入手をして、遺憾なきを期してもらいたい、そうして砂上の楼閣に終わらせたのではいけませんぞと言っておるわけであります。入国を許可したのは、法務大臣であり、また外務大臣である。けれども、いまやこの問題のきめ手になりますのは金融機関の問題になってきた。大蔵大臣としてその点遺憾ないようにしてもらわなければいけませんぞ、こう言うておるのであります。
○福田(赳)国務大臣 私も、三名の北鮮人が入国した後においてどういう商談があるのか、東邦ベスロンというのが関係しているとか、あるいは東工物産ですか、そういうのが窓口商社であるというような話は伺っておりますが、その契約が一体どういう内容のものであり、どんなふうないきさつを経ておるものか、よく承知しないのです。これは通産省あたりがよく承知しておるのじゃないかと思いますが、私のほうの仕事とは全然関係のない問題なので、それを承知しないなんというのはあたりまえのことだろうと思いますが、しかし、そういうような案件であり、ぜひこれを成立せしめなければならぬというような性格のものであるといたしましても、これはまず商社が契約をするにあたりまして、契約をすべきかどうかということについては商社なりの判断があると思うのです。それからまた、さらに今度は商社に金融をしている金融機関、これも、そういう取引に対して融資すべきかせざるべきかというようなことについていろいろの角度から総合的に考えなければならぬ点もあると思うのです。これを政府が——まあ商社については私は何らの権限もありません。ありませんが、金融機関だけについて申し上げまして、金融機関に対して、これを融資いたしなさいとか、しては困りますとか、こういうようなことを言うととは、これは非常に重大な問題になってくると思うのです。いま普通の銀行に対しまして命令をするという制度はございません。命令融資の形というものはないわけであります。そういう性格の金融機関に対して、私から融資は差し控えたほうがよかろう、融資はやるべきものですというふうな干渉をする、これはちょっと大蔵省としてはできかねることじゃないか、こういうふうに私は考えますが、まあ、金融機関としては金融機関の立場で冷静に判断をいたしまして行動してもらう、このほかないように思うのでございます。
○横山委員 それは大臣、非常にいろいろな角度から考えつつ答弁をなさっておると私も推量するのですが、先ほど言いましたように、額面どおりあなたの話を金融機関にいたしますと、金融機関は非常におこるのですよ。おこるのは当然だと思う。この技術者入国をきめたのは政府ではないか、政府は技術者入国は何のためにきめたのか、貿易の仮契約が一年半前にされて、それに伴って技術者入国を認める認めないという問題になって、ようやく政府が認めた、認めるのは、貿易をという意味において認めたのだ、政府の北朝鮮との入国の原則が四つくらいあるのだから、この仮契約に基づく入国を認めたのだ、そういう特異な状況のもとにおいて認められた政府が、仮契約のことは知らぬ、貿易のことは知らぬ、そうして韓国から文句が出たら、わしは知らぬ、こういう無責任なことがあるか、これは私は金融機関の言うことはもっともだと思う。ただしかし、政府としてはいま非常にデリケートな立場だと思います。ですから、別な角度から大臣の所見を伺いたいと思うのです。 それは、北朝鮮との貿易である以上、金融が伴うことはわかり切った話でありますが、本件をかりに離れて、北朝鮮との貿易について、経済閣僚としての大蔵大臣はどうお考えになるのですか、それをまず伺っておきたい。
○福田(赳)国務大臣 これはもう前からきまっいることじゃないかと思うのですが、政経分離の考え方によって、そして経済関係では接触していく、このほかないと思います。
○横山委員 その点が実は韓国と日本政府は非常に食い違っておる。それは、御存じのように、日韓条約に対する基本的な解釈で、韓国政府は朝鮮半島を代表する唯一の合法政府として、この条約が日本と北朝鮮との貿易国交を遮断しておるのだと国会に報告しているわけですね。これは御存じのとおりだ。日本政府は、そうでない、南の地域を統括、統治する韓国政府だと思っておる。したがって、いまあなたがおっしゃったように、北鮮と日本との貿易については政経分離の方式で何ら差しつかえないと考えておられる。しかも、その貿易は民間貿易で伸びてきた。しかし、いまやどうしても技術者を入国させなければならない。何となれば、この仮契約は百億をこす契約であるからだ。向こうだって一ぺんは工場を見ておきたいということになって、政府はこれを許可したものだ。日韓条約に対する基本的な見解の相違——あれほどの重大問題を、その条約の適用範囲について両国政府の見解が全く違うということに端を発しておる。韓国政府がその解釈をとって、国内においてあらゆる宣伝をし、それによって韓国民衆を納得させましたがゆえに、この技術者入国になりますと、韓国政府はメンツにかけて何としてもこれを破砕しなければならぬということになったわけです。この点についてあなたはどうお考えですか。
○福田(赳)国務大臣 まあ韓国政府と日本との間には国交ができなたわけですが、北鮮との関係ですね、これについて、私ははしなくも今度の問題で感じたのでありまするが、もう少しはっきり話し合いをしておかなければならぬ、こういうふうに思います。 私の平たい所感から言うと、どうも北鮮から三人の技術者が入ってくるという程度のことでこれほどの大きな問題が起こる、これは異常である、もう少し基本的な話し合いを進めるべきじゃないか、かように考えます。
○横山委員 いまさら、日韓条約についての基本的な解釈が統一されなかったことは残念であるとあなたからおっしゃられようとは実は思わなかったわけでありますが、しかし遺憾ながら事実はそのとおりであります。そのために、私ども日本国民の常識から考えれば、技術者三人を入国をさせるだけにかくも猛烈な内政干渉に及ぶような反撃といいますか、そのために国内の金融機関をはじめ、あらゆるところが韓国からおどされ、牽制され、妨害をされておるということは全く情けない、言語道断だと思うのです。私は、伝えるところによりますと、官房長官がこの商談の成立を望むという見解を持っていらっしゃるように伺ったのでありますが、大蔵大臣としてはどうなんでございますか。
○福田(赳)国務大臣 私は、それについて何らの意見を申し上ぐべき資料を持っていないのです。ですから私は、政府が首脳会議を開いて入国を許可した、これは許可する方針をきめたのだから、それは実施されるであろうというふうに思いますが、しかし一体どうなるのか、これは商社の利害関係もいろいろありましょうし、あるいは今度それに対して金融機関がどういう動きをするか、これはやはり金融機関の判断もありましょう。これについて、私はとやかく意見を申し上げる材料を持っておらぬということであります。
○横山委員 これは一体大蔵省の各局は何をしておるのか。これほど日ごと夜ごと新聞に載っており、しかも、もう巷間伝うるところでなくて、金融機関がすべて韓国大使館並びに韓国政府からあらゆるどうかつのようなことを受けておることについて、その原因も大臣が知らない、当局も知らない、こんなばかなことはないと思うのです。どうなんですか。
○福田(赳)国務大臣 商社が契約をするか、あるいは金融機関が融資をするか、これは商社だけが知っておることであり、また金融機関だけが知っておることなんです。これはわれわれにはとうていわからない。これは御理解がいけると思うのです。
○横山委員 私の質問とあなたの答弁との歯車の食い違いは、情勢認識についての違いだと思うのです。私は、現実問題として商談の成立を望んでおるわけでありますけれども、情勢認識としては、いまやほっておいて済む問題ではない。何となれば、韓国政府がビザの問題から、漁船の問題から、引き揚げの問題から、あらゆる報復措置を講じておるわけです。このままであれば最悪の状況になる。それは商社が自発的辞退に追い込まれるか、あるいは向こうから、一応予定どおりですから、これはいまごろ取り消すことはないのですから、やってくる。そうすると、報復手段が苛烈になるという最悪の状態になる。どっちかなんです。そのときに政府が何もしない、報復手段をやるならどうぞおやりください、政府はこの問題にタッチしたくないという消極的な立場で終始なさるのか、それとも経済閣僚として何らか韓国政府との話し合いをなさるのか、それともまた、この金融機関の今日の迷い、今日の心配、不安、政府に対する非難に何らかの形でおこたえなさるのか。いまの大臣のお話ですと、何もしない、こういうように聞こえますが、そういうことでしょうかということです。
○福田(赳)国務大臣 私は何もできない立場にある。この契約なりあるいは融資を判断する人は、これは商社であり金融機関である、こういうことを申し上げておるわけなんです。しかし、これは外交問題でありまするから、外務大臣が外務大臣としていろいろな行動をとる。これは現にいろいろとっておるのじゃないか、こう想像しますが、それはあり得ることであります。
○横山委員 大蔵大臣としては何もしないということに私は非常に不満ではありますけれども、しかし、実情を把握して、外務大臣と協議をするなり、あるいは金融機関の希望を聞いて善処しろとは言いませんが、その扱いについて相談するなり、何らかしなくてはなりますまい。もうあなたの監督下にある金融機関がどうなってもしようがないということなんでございましょうか。
○福田(赳)国務大臣 そういうことじゃないのです。あなたは、この商社なり金融機関に対して何か行動をとれというようなことをおっしゃるのですが、それはできない。しかし、商社は別ですが、金融機関は大蔵省の所管の機関でございまするから、これがいろいろ問題が起こってくるということになりますれば、これは外務大臣とそれに対する措置については相談をしなければならぬ、こういうふうに思います。ただ、表立って報復措置というようなことはまだ聞いておりません。きのう参議院の予算委員会で外務大臣が答弁されておりましたが、それを聞いておりますと、まだ報復措置ということについては何らの申し入れも受けておらぬ、巷間私どもいろいろ聞いておりますが、外務大臣としてまだ正式にそういうことは聞いておらぬというような状態であります。もし、それがほんとうにそういうような傾向でありますれば、私はまたそれらの問題について外務大臣と相談をしなければならぬ、こういう立場にあるわけであります。
○横山委員 ついでに伺っておきたいのでありますが、韓国に支店を設置することについて韓国政府が取引の材料にし、賠償指定金融機関とするかしないかということについて、韓国政府が取引の材料にしておる模様であります。この種の問題については、大蔵省のセクションは国際金融局でございますが、大蔵省所管の問題とどういう関係になりますか、その事務的な点についてお伺いしたい。
○鈴木政府委員 第一の、韓国における支店でございますが、現在まだ韓国に外国銀行の支店を設置するという法律が通っていないわけでございます。これは両サイドの問題があるわけでございますが、向こうは向こうで一方的に認可する、それからこちらは銀行の店舗行政という趣旨で銀行局も関与しております。しかし、私どものほうの国際金融局としても、海外における銀行でございますから、為替銀行が主たる仕事になるわけでございますから、銀行局と国際金融局の共管ということになっております。したがいまして、両国政府が協議して支店を認めるといったようなものではございませんで、どの銀行が韓国に出たいというのは、日本の行政認可を受けると同時に韓国の行政認可を受ける別個の行為でございます。 それから第二点の無償協力に関する指定銀行でございますが、これは本体は日韓協定、たしか議定書だと思いましたが、正式には韓国が指定することになっておりますが、会議の席上で、その指定銀行については、実際上は日本と協議するということになっております。したがって、現在十行を指定されておるわけでありますが、これについては事前の協議があったわけであります。
○横山委員 その十行は、もうすでに両国政府の合意を見て、そうして扱いとしてはどういうふうになるわけですか。向こうに支店を置くわけでありますか。現状のままにおいて取り扱い銀行となるだけでありますか。
○鈴木政府委員 指定銀行というのは、支店とは全く関係のないことでございまして、日本政府が韓国に無償協力をいたします際に、一般会計が金を払い込む、その金を払い込む窓口でございます。これは日本の国内の店舗に円を払い込むわけであります。そういたしますと、韓国がその金を使って日本の業界から物を買う、そうすると、その金が韓国の金として業界に支払われる、こういうことでございまして、支店とはもう全く関係のない内地店舗がこの業務をやっておるわけであります。内地店舗というのは日本の内地店舗であります。
○横山委員 時間がまいりましたので、その十行の名前を言ってください。
○鈴木政府委員 十行の名前は、東京銀行、富士銀行、三菱銀行、三井銀行、住友銀行、三和銀行、東海銀行、大和銀行、日本勧業銀行、第一銀行であります。
○横山委員 わかりました。 最後に、アジア局長来られたそうでありますが、いま大蔵大臣に伺いますと、大蔵大臣としては、必要により外務大臣と協議をして善処したいというような意味のお話がありました。私の質問は概略おわかりだと思いますが、アジア局としては本問題についてどういう取り扱いをしていますか。
○小川政府委員 先ほど来の御質問を伺っておりまして、二点あると存じます。 一つは、金融機関の問題、一つは、韓国がこれについて報復措置その他を講ずる点について、これに対する問題、後者の問題が私どもの問題でございますので、お答えいたします。 私どもといたしましては、本件によって日韓関係に害を起こすようなことが起こらないようにということを韓国政府に申しまして、すなわち、ただいまの報復措置とか、そういうようなものはとらないようにということを申し入れてございます。
○福田(赳)国務大臣 いま外務省のほうから伺いますと、北鮮に対する貿易の基本方針は、私先ほど私としては政経分離ということだ、こういうふうにお答えいたしましたが、それじゃ支障があるのだそうであります。ケース・バイ・ケースだということでございまするから、訂正いたします。
○横山委員 さっきわざと聞きのがしておったわけでありますが、時間がありませんから追及がちょっとできません。 アジア局長、その申し入れたことだけをお話になりましたが、反応はどうですか。どういうことですか。
○小川政府委員 韓国政府が報復措置をとったという公表はございません。先ほど来ビザの問題等が出ておりますが、実際には、日本からの韓国への渡航者につきまして、外交、公用を除いた一般旅券に対する一般のビザの発給を、申請は受理しておりますが、一時停止しておるということが確認されております。そのほかの日本商社に対する制限とか、あるいは韓国人の引き揚げというようなことは、報道では伝えられておりますけれども、韓国側は一切発表しておりません。実情がどうなっておりますかは、韓国側のことでございますので、確認しておりません。ただいまの日本人に対するビザの発給の停止だけが事実でございます。
○横山委員 それでは、外務省としては、入国を許可したことに伴う商談の成立を望んでおるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○小川政府委員 商談の問題はもっぱら当事者間の問題でございますので、一切当事者にまかせてございます。
○横山委員 終わります。
○三池委員長 藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は横山委員が質問をしましたことに関連をして、この北鮮技術者の入国問題についてお尋ねをしたいと思うわけですが、時間が制約されておりますので、横山議員の質問に直接関連をした形でお尋ねをしたいと思います。 私はいまの質疑応答を聞いておりまして非常に奇怪に感ずるわけであります。それはなぜかというと、なるほど具体的な報復措置というようなものはとっておりません。しかしながら、それぞれの報道機関の報ずるところによれば、まあ若干オーバーな言い方かもわかりませんけれども、韓国との関係においては国交断絶も起こり得るのではないかというほど韓国としてはこの問題を大きく取り上げておる。日本政府が十五日に入国許可の方針をきめてからの韓国内の動き、あるいは韓国大使の動向、こういう一連の動きを見ておりますと、韓国政府にとっては実に重大な問題として取り組んでおるわけであります。それほど重大な問題に対して、大蔵大臣の答弁を聞いておりましても、今日段階において、方針が決定をして約一週間程度でありますけれども、その一週間程度の間に大蔵省所管の主力銀行に対して非常に露骨な政治的な圧力というものが韓国政府、韓国の大使館あるいは領事館、こういったところから具体的にかかってきておる。いわば現在朝鮮設備輸入商社と束工物産が契約を結んでおる、この東工物産と直接の大きな取引をしておる富士銀行、東京銀行、あるいは第一銀行、三和銀行、これらは日韓条約に基づく無償協力に関する指定銀行として指定を受けておる銀行であり、あとで申し上げたいと思いますが、今回の商取引に関連をする東工物産とこれまた主力取引銀行に対して、非常に露骨な政治的な圧力がかかってきておる。したがって、この技術者の入国問題を解決するかしないか——この政治的な圧力というものを政府の責任においていわゆる円満にどのように解決するかどうかが、この入国問題を最終的に決定づける実質的な条件だと私は思うわけであります。それほど重大な状態が起こっておるにもかかわらず、大蔵大臣の立場からいえば、あまりこの問題を政治的に大きくしたくないという政治的配慮があるのかどうか知りませんけれども、この内容については私はあまり知らない、こういう形で、私は横山議員の質問をはぐらかすような御答弁があったと思うわけであります。私は聞いておりまして、横山議員の質問は、何も大蔵省が銀行に対して、たとえば今度問題になっておる東工物産なり、あるいは東邦ベスロンなり、こういったところに何億あるいは何十億の融資をしたらいいだろうとかなんとかということを、何も指示したり、行政指導すべきだということを言っておるのでなくて、あるいはまた、この朝鮮の設備輸入商社と東工物産との契約内容に大蔵省なりあるいは政府機関がタッチせよと、こういうことも何も言っていないと思うのです。これらは商社同士の話し合いの問題であるし、あるいは銀行対会社との商取引に関することですから、これらは何もタッチする必要はない。問題は、私は前者、先ほど触れましたように、現実的に韓国政府なり韓国大使館から大蔵省の所管範囲に入っておる具体的な銀行に対して、いわゆる京城支店の申請をしておる、これをまだ確定はいたしておりませんが、すでに内定をしておる銀行も一つ、二つあるように聞いておりますけれども、こういうものを認めないと言ったり、あるいは無償協力に関する指定銀行からはずすというような圧力がかかっておる、この問題をどうするのかということが、私は先ほど来からの論議の中心であろうと思うのです。その点について、大蔵省として、大蔵大臣として、この入国問題が政府の方針どおりスムーズに行くように、妨害されておる条件をどのように排除するかということについての見解を聞かしてもらいたいと思う。対策を聞かしてもらいたいと思う。
○福田(赳)国務大臣 政府の方針とおっしゃいますが、政府の方針は、北鮮の三名の技術者の入国を認める、こういうことで、政府がその三名の人の来日を機会として契約の成立を期するというような性質のものじゃこれはないのです。あくまでも商談のほうは、これは商社、北鮮同士のものであり、また融資は商社と金融機関同士の問題でありまして、そこはひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。 それで、いまお話しの韓国側が私の所管である金融機関に対していろいろ行動する、これは私からその問題について韓国に抗議をする筋じゃないのです。これはあくまでも外務大臣を通してやらなければならない。外務大臣に対しましては、私もこういう問題があるのだとよく申しておるわけなんであります。外務大臣はすでに韓国側に対して行き過ぎがないようにという注意も喚起をいたしておるような次第でありまして、先ほど申し上げましたとおり、その問題でありますれば今後の推移を見るほかはない、こういうふうに考えます。
○藤田(高)委員 私のほうは誤解をしてないのです。この契約が成立するかしないかは、この契約の当事者である朝鮮の設備輸入商社と東工物産がいわゆる商談をしてきめたらいいことなんですから、そんなことに大蔵省がタッチせよということは言ってない。先ほどもそのために私は断わった。そういったことは、横山議員も言ってないじゃないか。また、この問題に関連をして、たとえば東工物産と、富士銀行だったら富士銀行あるいは三和銀行だったら三和銀行と関連においてどの程度の融資をし合うことが望ましいだろう、そんなことは干渉したりタッチすべき性質のものでない。これは私先ほど断わったとおりです。ですから、大臣言われるように、その点は誤解をいたしておりません。 しかし、現実的に私は問題の本質を明らかにするために一つだけ例を取り上げてみたいと思います。それはどういう形の干渉が来ておるかというと、この問題は、先ほど来言っておりますように、朝鮮企業設備輸入商社と東工物産とが三十九年の二月に仮契約を結んだ、自来二年半ですね。その契約を正式に成立さすために政府に対しても技術者の入国許可についての運動をはじめとしていろいろ運動を継続してきた。ところが、この東工物産というのは窓口であって、実際にこの繊維プラントの技術を持っておるのは東邦ベスロンだ。この東邦ベスロンと東工物産と、そうしてこの技術を中心にして設備機械をつくる呉造船、この三者が一体になって、いわば輸入商社との問に仮契約を結んでおったわけであります。ところが、この東邦ベスロンというのはアクリロニトリルの技術を持っておる会社でありますが、この親会社はいわゆる東邦レーヨンであります。この東邦レーヨンはつい先般御承知のように鐘紡との合併に失敗をした会社であります。会社の内容というものは必ずしもよくないということで、現在私どもの知り及んでいる範囲では、かれこれ二百億円程度富士銀行を中心として金融機関から借金をしておる会社である。したがって、この東邦レーヨンという会社は特に富士銀行に対しては頭が上がらない。広い意味でいえば、銀行管理ともいうべき会社になっておる。したがって、富士銀行の意見というものは非常に大きな作用をしておるわけであります。こういう一連の商取引でありますから、富士銀行から東邦ベスロンの親会社である東邦レーヨンに対してあれこれの注文をつけた場合には、これはもう一番きき目があるわけであります。ところが、そこをねらって韓国の金大使が、この富士銀行に対して、富士銀行から東邦レーヨンヘ、東邦レーヨンから東邦ベスロンに対して具体的な圧力をかけておる。 それはどういう内容かというと、東邦ベスロンの重役会議においてこのいま問題になっておる契約を破棄するように重役会議で決議をして、その決議書を親会社である東邦レーヨンを通し富士銀行に対して提出をしてきなさい、その提出してきたものを韓国の金大使に見せなさい、こういう具体的なことがなければ、横山委員も先ほど指摘しましたように、いわゆる無償協力に関する指定銀行の取り消しもやりかねないぞ、あるいは、新たに京城支店の申請をしておるようでありますが、その富士銀行の支店申請についてもこれは認めるわけにはいかない。こういう、いわば二つの条件を中心にして圧力をかけてきておるというのがこの筋書きであります。大体、これと同じような筋書きでやってきておるのが東京銀行であり第一銀行であり三和銀行である。私は、これらの銀行についても、いま富士銀行の例を取り上げましたような幾つかの内容を持ち合わしておりますけれども、こういう具体的な圧力がかかってきておるわけです。それが大蔵省の所管である銀行を通して韓国の内政干渉というものが具体的に及んでおるわけですから、これは商談を成立さすとかささないとかいう以前の問題として、かかる銀行筋を通しての内政干渉は、これは外務省の仕事でなくて、大蔵大臣みずからの大蔵省の責任じゃないですか。私は大蔵大臣の責任としてこの種の内政干渉は排除する責任があると思うのですが、どうでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 私の仕事にも関係ありますが、この韓国政府に向かって交渉談判をする。これは和じゃないのです。これは外務大臣なんです。これはもう職責上はっきりしておる問題で、だれも疑う余地のない問題であり、そういうことについて私はもう割り切った考え方をしておるわけなんですが、ともかく外務大臣との間におきましては、私も事が穏やかにいくように最善の努力はいたしたいと存じます。
○藤田(高)委員 最善の努力はしたいということでありますが、今日まで最善の努力を具体的にどのようにおやりになったでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 私の関係するところは金融機関の問題ですが、金融機関についてはこういう動きがある、こういうことは外務大臣にもよく申し上げ、善処方を求めておる、そういうふうに御了承願います。
○藤田(高)委員 政府が十五日にこの技術者の入国を許可しようという方針を決定した当初においては、その入国は今週一ぱいには実現できるのではないか、そういう前提で決定されたようでございますが、いま大蔵大臣の答弁によりますと、外務省に対して——この種のどの程度の認識とどの程度の実態把握をされておったのかは知りませんけれども、少なくとも私は、いま私が披露したような程度のことは大蔵大臣としても十分御承知であっただろうと思うのです。そういう実態把握の上に立って外務大臣とも話をされたということでありますが、私はやはり形式論としては、なるほど外務省が直接韓国政府なりあるいは韓国大使館と折衝するにいたしましても、実態はいま具体的に銀行を通して圧力がかかっておる。この圧力を排除するための実質的な努力というものは大蔵大臣が主体的に動かなければならぬと思うわけでありますが、いま、今後も努力をしていきたいということでありますけれども、当初の入国実現の時期から見まして、いまの状態で推移いたしますなれば、これは私の杞憂になるかもわかりませんけれども、時期が若干ずれるのではなかろうか。少なくとも、政府の当初の方針どおり、内政干渉を排除して自主外交の方針を貫いていくということであれば、当初時期設定をしたことが実現できるように、これは佐藤内閣の有力閣僚として当然責任があると私は思うわけでありますし、この種の問題は、一つの役所のセクショナリズムではございませんけれども、外務大臣だ、やれ大蔵大臣だということで一線引いて、責任のなすり合いをするようなことでなくて、佐藤内閣全体の統一した見解に基づいてこの種の問題は処理すべきであろう、私はこういうふうに思うわけであります。そういう点からいって、大蔵大臣としては外務大臣とも具体的に折衝されておるというのであれば、見通しの問題として、いつごろ入国が実現できるような見通しでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 入国につきましては、これはビザですから、旅程を調べたり、そういうような手続上の問題があると思うのです。私はそう時間はかからぬと思うのですが、具体的なことはこれは法務省のほうでやっておりますので、存じません。 権限のなすり合いをしておる、そんなことは全然ございません。外交交渉はすべて外務大臣を通じてやる、これは鉄則でありまして、そう考えることは、決してなすり合いをしておるゆえんじゃないということを御了承願いたいと思います。
○藤田(高)委員 私は、大臣の答弁は、それは形式論としてはわかりますよ。しかし、この種の、韓国と日本、あるいは韓国と北朝鮮という外交の基本問題に触れるようなことについては、いささか形式的な答弁に過ぎるのではないか。先ほどから指摘いたしておりますように、この問題はいまや銀行筋を通して韓国の内政干渉というものが具体的になされておるわけですから、そのこと自身、契約が成立するかしないかはともかくとして、政府としては、入国を認めようというこの前提——政経分離というところまでは今日の佐藤内閣は踏み切っていないにしても、入国を認めるという前提には、おのずからこの種の商談というものがまとまって、日本の業界もこれによって利益を得ようし、また朝鮮もこの契約を通じて経済的にプラスになっていく、こういうことが前提でなければ、それぞれの国にとって、経済的に不利になるようなことについてその国が入国を認めるとかということはないわけでありますから、私はそういう立場からいけば、やはりいま具体的に銀行筋を通して圧力のかかってきておることについては、政府の責任において業界を保護する具体的な措置というものが当然とられるべきであると思うわけでありますが、その点について大蔵大臣としては、こういう私が指摘をした幾つかの銀行に対して圧力がかかっておるものに対してはさらに調査を厳格になされて、即刻そういう圧力がかかっておるものについてはこれを全面的に排除をしていく、そういう政治的圧力、内政干渉を排除していくということについては具体的な努力をされる用意があるのかどうか。
○福田(赳)国務大臣 この間横山さんからその話がありまして、私も当たってみたのです。ある銀行に当たってみますと、こう言うのです。こういう問題が起こって、われわれ苦慮しておる、韓国側から何とかして協力をしてもらいたい、こういうようなことを言われておる、それにつきまして新聞なんかいろいろ調べてみると、事が発展して、指定銀行なんか取り消されるおそれなしとしない、もし協力せざればそういうことになるかもしらぬ、こういうように考えられるので、たいへんわしらの立場はつらいのです、こういう話です。かたがた、私ども常識的に見まして、韓国側が東京におる大使館員やあるいは領事館員を通じまして、ひとつ協力してくれ、おれたちの立場はこうなんだ、このくらいのことは間々ありそうなことだろうと思います。私どもがいま申し上げましたように銀行から聞いたところでは、その間々ありそうな協力要請といった程度に聞こえるのですが、事が事だけに銀行としては非常に心配しておる、それが指定銀行の取り消しまで波及するのではないかということをおそれるというのが私は実態じゃないか、そういうふうに考えるわけであります。 それで、ただいまその銀行のおそれている問題が公式に日本政府に対して要請として出てきておるかというと、まだ正式な抗議あるいは報復措置としてそういう話は出てきておらぬ、こういうのが実態です。でありますから、いま、わが外務省としての立場は、行き過ぎがあっちゃ困りますよという注意を喚起するにとどまる、これが現状であります。私も事、金融機関に関しますので、最大の注意は払っております。
○藤田(高)委員 きょうは私の持ち時間がもうありませんので、この問題の推移を見きわめる上からも以下の質問は保留したいと思いますけれども、私自身、大臣の御答弁でちょっと熱意に欠けるといいますか、私どもが心配をしておるような気持ちにぴったり合った態度でこの問題に善処しよう、こういう意欲が乏しいのではないかということを率直に私は感じるわけであります。これは私だけの感触かもわかりませんけれども、そのように思うわけであります。というのは、先ほども若干長くなりましたけれども、あえて具体的な事例をあげましたように、韓国の大使が富士銀行を通して、そうして東邦レーヨンという会社を通じて今回の商取引に直接関係のある東邦ベスロンに対して、重役会議で契約の破棄がなされるような決議書をつくってこいというところまで銀行に直接韓国の政府機関から圧力が加わっておる。この実態をもっと真剣に大臣としては認識をし、取り組んでもらわなければいけないのじゃないか。そうしないと、政府が北朝鮮の技術者を入国さすという方針にもかかわらず入国さすことができないような実態になるじゃないか。入国しても、契約の相手が全然なくなるような、そういう実態がなくなってしまうような抹殺行為がいま行なわれておるわけですから、このこと自体については、やはり私は大蔵大臣の積極的な意欲と責任においてこの種の内政干渉だけは完全に排除をさしていきます、こういう決意だけは私はきょうの委員会で御答弁いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 私は商社の商取引、これは先ほども申し上げた。あなたも御了解なすったと考えておりますが、このあれに介入するわけにはいかない。また、金融機関のそれらの商社やメーカーに対する融資、これに対して何らかの示唆を与えるわけにはいかない。ただ、韓国側がこれらの商社に対する行動において行き過ぎがある、これは困ることでありますから、これは外務大臣を通じて善処していただく、こういうことであります。
○藤田(高)委員 時間がありませんので、せっかく通商局長も来ていただいておったようでありますが、これは先ほど言ったように、後日に質問を留保いたしておきます。 重ねてなにいたしておきますが、韓国の政府機関から主として大蔵省の所管であります銀行に対して直接の圧力がかかっておることについては、これはいま大臣から御答弁もありましたが、そういう具体的な内政干渉については、ひとつ大蔵大臣の責任において排除をする、この決意をもう一度お聞かせいただきたいと思うわけであります。
○福田(赳)国務大臣 外務大臣ともよく相談をいたしまして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。
○三池委員長 平林剛君。
○平林委員 私は、きょうは大蔵大臣に、明年度の減税の問題とそれから最近の経済状況下における公債発行の問題、その他一、二点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 初めに、明年度の減税構想についてでありますが、先般、当委員会に税制調査会の会長である東畑さんにおいでいただきまして、私どもの意のあるところをいろいろと御注文を申し上げたわけであります。特にそのとき私どもがお話をいたしましたのは、現在税制調査会に提出をされておる課税最低限八十三万円構想の問題とサラリーマンの退職金課税に対する減税措置の問題であります。この件につきましては、すでに商業新聞にも大きく報ぜられまして、国民の側においては、さっそくにもできるのではないかというくらいな期待を持っておる。今回の減税政策がまだ十分でなかったそのはね返りもございましょうけれども、これに対する期待というものはかなり大きいものが実はあると私は思うのであります。現在税制調査会においても、政府から提出された資料に基づいて鋭意検討中でございますけれども、これが国民の期待する方向に向かうか向かわないかということも、一つには政府の姿勢といいますか、政府のかまえ方というものが積極的であるか、あるいは、ただ資料を出したというだけにとどまるのかということによってかなり影響される。責任者である大蔵大臣として、この二つの問題につきまして、その実現性、あるいは実現を期待している国民にどういうかまえでこたえられようとしておるのかということをお聞かせいただきたい。そのことは、国民の期待にこたえることでもありますし、同時に、税制調査会も今後審議していく上において十分な参考になるのではないかと思うのでありまして、大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 平林さんに対しましても、また国民全体に対しましてもはっきり申し上げますが、いま税制調査会にお願いしておりますのは長期税制構想です。これはどういうことかと申し上げますと、やはりこの数年間において理想的な租税の体系はとうあるべきか、このことにつきまして目標を設定したい。それでないと、毎年毎年の減税政策というものがややもすれば場当たり的に流れて不均衡を生ずる、こういうことをおそれたからであります。これからは長期の目標を掲げて、それを当該年度における財政事情とにらみ合わせて段階的にやっていく、こういう考え方で審議をお願いしておるわけであります。その審議の一つの材料として、それじゃ大蔵当局は、理想的なあるべき形というのはどんなことを考えておるのかというのに対して一つの資料を提出した。これはもちろん私に相談があって出した資料じゃないので、大蔵省資料なんと言われるのは、これは誤解があるのであります。あるいは塩崎試案あるいは川村試案という程度のものでありますが、こういうものがある、こういう考えであるということが事務当局から提出されておるわけなんです。それが新聞にも報道されて、国民にも期待を抱かせるというようなことになっておりますが、そういうわけで、いずれ税制調査会でいろいろ御審議をいただきます。その結果長期減税構想というものが出てくる、それをどういう手順、段階を踏んで実行していくかということは、一にそのときの財政事情によってきめるのだ、こういうことであります。 あの構想はも来年度においてこれを実行するというものではありません。できたならば、その一部でも来年度においては実行したい、こういう性格のものであります。
○平林委員 税制調査会に提出した。いまのお話ですと、塩崎試案ですか、何でもようございますが、八十三万円構想は長期的展望である、したがって三年程度の期間をかけてそれの実現をはかる一つの目標として考えておる。塩崎さんの案だろうと何だろうと、これは大蔵省として提出をされたものですから、やはりこれは政府の資料と、こう見ることはいかぬというわけにはまいらぬと思います。ですから、あまり逃げ口上でなくて、八十三万円一ぺんにいかないにしても、少なくとも段階的に、来年度あたりはそのうちどの程度やる、あるいはサラリーマンの退職金の問題については、大臣もしばしばこの程度は実現したいというお話がございましたけれども、これはそういうふうに理解してよろしいかどうか。もう少し積極的にこの問題について実現をしていくというかまえを国民に明らかにしてもらいたいと思うのです。
○福田(赳)国務大臣 私は、御承知のように減税論者であります。大いにことしも減税をやったというつもりでございます。今後もやっていきたい。ただ、財政がこれを許すかどうかという問題です。 来年のことを考えますと、非常に窮屈です。平林さんも御想像がつくことかと思うのですが、そういう窮屈な状態下において減税が大幅にできるかというと、なかなかそうはいかぬだろうと思います。しかし、乏しき中においても、何とか私のこの減税構想というものは進めていきたいと熱意は非常に高いのでありまするが、さあ、これを許すふところぐあいがどうかというと、まことにさびしい状態だ、かように御了承願います。
○平林委員 財源が許すかどうか、財源がはなはだ窮屈である、こういうお話でございますけれども、非常に抽象的でございます。今日税制調査会に大蔵省から、長期の税制構想であったといたしましても、八十三万円構想が提出されているのであります。またサラリーマンの退職金の減税問題についても、新聞論調を見ても、これを積極的に支持し、また大臣もこれにこたえるようなお話もときになさっておるわけであります。ですから、これはもう三年たってからやるんだ、こういう絵にかいたもちをぶら下げてやるという話は罪なことですから、少なくとも来年度この程度は実施する、こういうかまえが必要ではないでしょうか。 そこで、財源の問題についてですが、窮屈だとか、いや、財源が許すかどうかということでありますと、それが一つの壁になって、きわめて熱意を持っておるという大臣の考えというものが、具体的減税としてあらわれてこない。そこで私は、今日の段階において、そうしたことを一歩前進させるためにも、財源問題については、まあこの程度は何とか減税の分に振り向けることができるかもしれぬという程度の御説明はいただきたいと思うのです。
○福田(赳)国務大臣 実はそれどころじゃないのです。ことしをどうやって越すか非常に頭が痛いのでありまして、来年のことはこれからの経済の推移を見て、どうして切り抜けるか、ゆっくり取り組んでいかなければならない問題だと思います。私は減税論者であり、できる限り減税ということを考えていきたい、これだけをひとつ御了知願いたいのであります。
○平林委員 福田大蔵大臣ともあろうものが、減税論者であるということを自分で宣伝しておきながら、そうして財源についてはそれどころじゃない、ことしのこともどうだなんという程度じゃ、はなはだ心細い大蔵大臣ですね。もう少し私はその点については、ふところをたたいて、おれは減税論者だ、おれはこの物価上昇のときに、国民ほそうした問題についてもたいへん困っているだろうから、ないふところをさいてもひとつやってやる、退職金の減税問題はこうだし、八十三万円も出した以上、絵にかいたもちにさせないために、一歩でも二歩でも前進させるかまえだというくらいのことを言っておかないと、やはり福田大蔵大臣の株は、国民から見ると下がってまいりますよ。 ことしたいへん苦しいというお話ですけれども、大体ことしの税収の状況を見ておりますと、かなり税の伸びはいいじゃないですか。少なくとも、五月末の租税、印紙収入の状態を見ると、五千百十三億六千七百万円、一六%くらいの収入率でございます。これは前年同期の一四・四%を上回っておるわけでありまして、ことしのこともどうかわからぬというお話ですが、少なくとも税収の面においては、すべり出し好調と見られるわけであります。大蔵大臣、自然増収なんかというのは、どのくらいあるといま見込まれますか。このくらいのことはひとつお話しいただきたいと思うのであります。 〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕
○福田(赳)国務大臣 お話のように、いま年度初頭における租税の収納割合ですね。これは去年に比べますと幾らかいいんです。幾らかいいのでありまするが、一つ私どもつかみにくい問題ですが、金利が下がったものですから、延納が減ってきておる、こういう関係が出てきておるんじゃないか、そんな点もいまあるんじゃないかというふうに見ておるのでありまするが、これがどの程度のものであるか、これは捕捉しにくいのです。したがって、年度二カ月の実績だけから十二カ月のものを推算してみる、これはまだそういう段階まできておらぬ、こういうふうに考えております。やはり九月期の決算というものを見ないと、ラフな見当でありまするが、そのラフな見当もつきかねる、これは率直に申し上げまして、そういうふうに考えております。
○平林委員 福田大蔵大臣、私に財源の問題をやたらあれされるといけないと思って用心しておるようです。大体、私は去年もやはり同じようなときに議論したのですが、その当時の判断でも少し早いかもしれません。あなたの言うように九月末でないとはっきりした見通しができないかもしれません。しかし、九月だってまだ見通しです。お互いに見通しの問題ですからはずれることがあるのは承知ですよ。大蔵大臣は私より責任ある立場にあるからものを言いにくいかもしれませんが、私は一千億円ぐらい何とかこのままの状態なら出てくるんじゃないかという見通しを立てているのです。大蔵大臣の見解はいかがですか。
○福田(赳)国務大臣 まだ私はそこまでは読めません。まあ予算を割るというようなことはあるまいというふうには考えておるのですが、プラスアルファがどのくらいになりますか、まだ私には見当がつかないというのが率直なところであります。
○平林委員 腹にあるけれども言えないというところじゃないですか。大体この見当は期待できるかもしれないという見通しはあるけれども言えないというふうにお答えいただいたほうが、福田大蔵大臣の一つの見識に私はなると思うのです。見通せないというのでは、ちょっとたよりないのでありまして、そこは言えないというふうにおっしゃっていただいたほうがむしろ適当な表現かと私は思うのであります。私は、こういう段階ですから、もうひとつ減税を実施してもらいたい、それは少しでも国民の生活が向上するためにぜひ積極的に取り組んでもらいたい、こういう意味で申し上げて、財源問題をいま質問しておるわけであります。 そこで、自然増収は、私の見込みでは、いまの調子なら一千億円ぐらいはあると見ておるわけであります。私らの見通しが当たるか当たらぬか、これはわかりませんけれども、大体そんなものだろう、こう思っています。そのほかに、もしいろいろな八十三万円構想、かりに一ぺんにいかなくても、七万円とか八万円程度いまの課税最低限を引き上げるというためには、この間の税制調査会の東畑さんですか松隈さんですかのお話によると、九百億円ぐらいかかる、かりに三年間と見てワンステップ踏むと九百億円かかる。退職金の減税問題についてはそんなにかかりませんけれども、いずれにしても、ある程度この際積極的に財源を見つけて、積極的な減税のかまえを示してもらいたい、こう考えるのであります。 ところが、実は新聞のほうにちらほらしておりまして、その中に、たばこの専売益金、少したばこでも値上げして財源を生み出そうかなんということで大蔵省は、検討してくれないかということを税制調査会に提出したらしいのです。私はこの間この問題について、税制調査会の会長にもお話を聞いたわけです。はっきりしたことは言いませんけれども、私は注文をいたしておきました。かりに政府からそういうような示唆なりがあったとしても、すぐそれに飛びついてくれるなという話をしたわけであります。少なくとも減税をするための財源さがしのためにいきなりたばこの専売益金を増加させるということでおやりになっては困ります、そうではなくて、むしろ明年度期限が到来する租税特別措置の大胆な整理、こういうことによってまず財源を求めてもらいたい、そういう努力があって後にたばこの価格について触れるなら、これは筋が通るかもしれないけれども、いきなりそれに飛びついてもらっては困ります、こういうことを注文したのであります。大蔵大臣にも私はこの点を注文しておきたいのです。大蔵大臣いかがでしょうか。私の言うように、租税特別措置の期限の到来するものを大胆率直に整理して、もし減税財源にするならそれを考える、その後にたばこなんというようなことを考えるというのが筋である、こうあなたもお考えになると思うのでありますが、いかがでしょう。
○福田(赳)国務大臣 租税特別措置法で期限の来年到来するものはたくさんあるわけです。これはどうしても期限の到来することですから、それを機会に洗い直さなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。ただ、いま財政、経済を運営する上におきまして重要な問題がある、それは貯蓄の問題なんです。この貯蓄の関係の特別措置が、かなめにすると非常に多いわけであります。これは御承知のとおりであります。これをどういうふうに扱っていきますか非常にむずかしい問題で、いまにわかにここで結論を申し上げるわけにはいかぬ問題でございます。しかし、とにかく洗い直してみる、これだけははっきり申し上げます。 それからたばこの問題ですが、たばこは昭和三十一年でありましたか、値上げがありまして、自来改定はいたしておりません。一部の論者がたばこの販売価格の引き上げをしたらどうだというようなことを言っております。これは事実でありますが、大蔵省として、あるいは大蔵省の事務当局として、税制調査会にその問題を検討してくれというような要請はしておりません。この問題も、財政の状況も考えなければならぬ、あるいは国民のふところぐあいもよく見てみなければならぬ、いろんな角度から検討しなければならぬ問題だ、こういうふうに考えておる次第であります。
○平林委員 ただ考え方としては、かりに減税の財源を求めるために直ちにたばこの価格引き上げということは考えるべきでない、少なくとも減税財源という点を考えるならば、まず整理すべき租税特別措置のほうを十分検討して、洗い直して、その後考えるというその姿勢は間違っていないと思うのですが、そういう考えをおとりになると私は期待するのですが、いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 大体においてそういうことかと思います。つまり、特別措置についても洗い直す、これはただいま申し上げたとおりでございます。 それからたばこにつきましても、これは慎重に検討する、何もむやみに上げようというふうに考えておるわけじゃないのです。事は、いずれにいたしましても総合的に国民が納得してくれるような方向において解決しなければならぬ、こういうふうに考えます。
○平林委員 今国会におきまして総理大臣は、所信表明において、ことしは着実な景気の回復過程をたどるだろうという話をされました。この問題については、いろいろ予算委員会その他においても議論されておったのですが、それが甘いかどうか、これは別問題にいたしまして、まず明年は正常なテンポになっていくだろうという期待もあることは事実です。とれが短命であるか短命でないかという議論はまた行なわれているようでありますが、まず総理並びに福田大蔵大臣はそういう一つの方向というものを描かれておると思うのであります。 そうすると、この場合に、昭和四十一年度の税制改正のときに行なわれたような消費購買力を高めるという減税、あるいは投資証券対策というようなことを中心にした企業減税よりは、この際大蔵大臣の言われておるようにゆとりのある家計ですか、物価騰貴に伴う実質所得の確保、こういうような方面に重点を置く、具体的に言えば、所得税減税のようなものをまず積極的に取り上げる、こういう考え方はいかがでしょう。
○福田(赳)国務大臣 それはそのとおりに考えております。
○平林委員 時間がありませんから税金の問題はこの程度にしまして、次にお尋ねしたいことは、公債発行の問題についてであります。 まず、事務当局でもけっこうですが、昭和四十一年度の償還を実施して、国債整理基金特別会計に残る余裕金はどれくらいでございましょうか。
○中尾政府委員 昭和四十一年度の償還は、実際問題といたしまして一応の見込みでございます。今後交付公債の出方とか、あるいは出資国債の償還要求とかいうものが具体的にまいりませんと見当はつかないわけでございますが、しかし、一応の見込みといたしましては、それらを支払いまして百億円あまり残るであろうと見当をつけておるわけでございます。
○平林委員 同年中に償還期限のくる国償は、内外債、交付公債含めて約九百六十億円くらいに達すると聞いておるのですが、その点はいかがですか。
○中尾政府委員 いま申し上げましたように、さだかでないものがございますので、どういうふうにおとりになりましたか存じませんが、普通国債で現金償還をいたすべきものが二百五十四億円でございます。それから、従来でございますと借りかえでしました分が三百九十一億円、合わせまして六百四十五億円が普通国債の償還予定でございます。そのほかに年賦の交付公債あるいは出資国債のようなものがございまして、それらのものは一応の予定でございますが、大体年賦国債が二百八十億円くらい、出資国債が百五十億円程度というふうに考えられます。さらに外国債が若干、三十億円あまりございますので、したがいまして、償還全体として見ますと千百二十億円前後かと思います。
○平林委員 いま大体のお話がありましたように、借りかえの分も含めてではございますが、合計して千百二十億円前後の償還期限がくるものがあるわけであります。もちろんこれは、たとえばその手持ちが日銀だとか大蔵省預金部にあるものは従来借りかえというようなことをやっておる例はございますけれども、それにしても、余裕金というものが非常に少ない中にこれだけのものが償還期限に達しておるわけでございます。こうした問題について、これから公債政策を続けていこうとする大蔵大臣はこの措置を一体どうするのか、将来、国債に対する一つの信頼をはかる上においても一体どうするのか、こういう問題が私は残ると思うのです。大蔵大臣のお考えをお聞かせいただきたい。
○福田(赳)国務大臣 基本的には国の経済が健全であり、財政が健全であるということかと思いますが、しかし、技術的にもいろいろ考えておく必要があると思います。それで、いま財政制度審議会のほうでも御議論いただいておるのですが、何らかの形の減債制度、これを設けたい、かように考えておるわけであります。
○平林委員 実はきょう時間がありませんからこまかいお話はできませんけれども、ことし千百二十億円、私の調べでは再来年、四十三年度になりますと約六百億円、四十四年に五百億円、四十五年に六百億円、四十六年に八百億円、これは金額自体は財政規模から見てそう大きなものにはならないかもしれませんが、昭和四十七年になりますと、この間発行した例の赤字公債の期限が参りまして、これだけで三千億円、四十八年になりますと建設公債を加えて八千億円、最近国会において大蔵大臣がお答えになっているのによりますと、その次の公債発行を考えますと、四十九年になりますとまた新たに八千五百億円から九千億円、こういうふうになりますと、少なくとも昭和四十七、八年以降は、このままでいきますと、公債を償還するために新たにその公債を発行するか、全部借りかえにするか、いま大蔵大臣が言われました技術的なものを考えていくか、いろんなことがあると思うのでありますが、こういうことに対して私は公債政策をとる上において不安がないわけじゃないと思うのですが、どういうふうにこれをさばいていかれるつもりか、ここを聞いておきたいと思うのであります。
○福田(赳)国務大臣 いま日本の経済が非常に異常でございますものですから、財政主導型といいますか、フィスカルポリシーといいますか、そういう意味合いにおける公債発行をやっておるわけなんです。これは今後の推移を考えてみますと、昭和四十二、三年がこれはピークだと思います。そのころになると民間の経済も相当活発になり、財政からの支柱というものは私はそう考えなくていい段階になるのじゃないかと思います。ただ、いま日本では社会資本の立ちおくれという問題がありますので公債がその財源として使われるということはずっと続くと思いますが、しかし、大山は私は四十二年、四十三年で峠を越す、こういう見方をいたしております。 かりに四十五年、この五年間くらいを考えてみますときに、これはもうほんとうに大ざっぱな話ですが、今度の建設公債の累積額が四兆円をこえるのじゃないか、五兆円まではいくまいと思いますが、その程度になる、しかし、そのころにおける日本の国民総生産は四十兆円をこえるような状態になる、こういうふうに思うのです。まあ国民総生産の一割程度になるわけであります。その程度で日本の経済がびくともするというような状態ではない、こういうふうに考えておるわけなんであります。公債に対する国民の信頼、これはどうしてもゆるぎなきものにしていかなければならぬ、そういうふうに考えますので、減債の制度につきましてもただいま検討している、こういうことであります。
○平林委員 大蔵大臣は減税財源になると口を閉ざして半年後の見通しも語らないけれども、この公債政策の問題についてはかなり積極的にお話しになっているが、私は、この点については遺憾ながら政府のおやりになっておる公債政策の行くえについては非常な心配を持っておるのであります。 まあ、この議論は尽くるところがないでしょうからやりませんけれども、ただこの機会に聞いておきますが、大蔵大臣はこの前の国会のときに私の質問に答えまして、ここ二、三年は低圧経済が続くだろう、こういうお話でありましたけれども、この低圧経済というのは二年ないし三年は続くものといまでもお考えになっておりますか。
○福田(赳)国務大臣 いまでも考えております。ただ、その低圧の程度はだんだんと緩和されてくる、こういうふうに考えます。
○平林委員 最近大蔵省やあるいは日銀の内部には、この低圧経済の問題の判断は別にいたしましても、最近の景気の状況から見ると、政府がいうように順調であると発表されておる。いま大蔵大臣も、低圧経済の程度は、これは悪くなる方向でなくてよくなる方向だという御説明でございますね。景気というものは、池田内閣のときでも、自分たちが想定した以上に進んだりするものですね。高度成長政策をとったときには、当時池田総理が判断をされたより急速に進んだことの経験がございます。これが今日の原因を招いたわけでありますが、したがって、この景気の動きというものはむずかしいけれども、私は相当いろいろな意見を総合的に参酌しながら慎重にやっていかなければならぬと思うのです。 そこで、大蔵省の一部あるいは日銀の中においても、景気が順調であり、また、おおよその見通しが上向いてくるというときならば、公共事業など、それは社会開発ということもあるでしょうけれども、ほどほどにして、今後は物価安定の方向に少し力を入れていかなければいかぬだろう、こういう議論があると私は聞いておるわけであります。そういう意味では、いま昭和四十二年、四十三年というのが公債政策についても一つのピークである、一つの接点になるわけでありまして、こういうことを考えますと、今後の財政あるいは公債政策というようなものは、その見通しの上に立って、公債の発行限度額を落とすとか、財政を中立的なものに引き戻していくとかいうような考えが必要なんだ、こういう議論があるのですけれども、福田大蔵大臣はどういう考えを持っておられますか。
○福田(赳)国務大臣 私は、基本的な意味合いにおきまして、財政の役割りというものはだんだんと高くなる、また高くすべきだと思うのです。つまり、いままではどちらかというと財政のウェートが非常に少ないです。国民経済全体の中における財政の財貨サービス、こういうものを見ましても十何%というものだったわけです。それに引きかえて設備投資というものが非常に高いウエートを占めて二五、六%までいっておった時期が続いたわけですね。いまこれが逆転をしておるのです。この逆転しておる高さというものが今日は異常である。つまり、低圧経済下でありますから、政府が成長の支柱としてその財政を拡大する、こういう考え方に立ったのだが、これが非常な高成長を遂げた時期におけるような程度まで財政のウエートが落ち込むということは私はよろしくない。やはり財政は財政の担任すべき社会資本の立ちおくれ、この問題と真剣に取り組まなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、あなたがいまおっしゃるように消極に堕せず、また積極に走らず、中庸を得た財政運用に逐次持っていかなければならぬ、かように考えております。
○平林委員 先ほどの質疑にもありましたように、最近の経済の一つのはね返りとして消費者物価、それから最近では卸売り物価の漸騰が見られています。もちろん卸売り価格の上がってきた原因は、今日まで政府が説明しておりますように、銅を中心にする非鉄金属あるいは生鮮食料品関係の値上がりなどが含まれているから、そうぎゃあぎゃあ騒ぐことはない、これが直ちにインフレの深化、こう見る必要はないという御説がありますけれども、しかし、卸売り物価の漸騰というものが今度は反転をして、いろいろな日本の経済、景気にどういう影響を与えてくるかということは、よほど深刻に考えていってもらわなければならぬと思うのであります。特に私も、公債が発行されたから直ちにインフレになるなんという議論は持ちませんけれども、いまのまま——いま大蔵大臣のお答えがあった慎重な態度をとるならこれは別でありますけれども、インフレ的傾向はなお進むものと見なければならぬ。いまインフレであるかどうかというのは議論があるでしょうけれども、今日の状態を除いてインフレと言わなければ、いつをインフレと言うかと言いたいくらいでございまして、そういう意味で非常に心配しているわけです。 そこで、このままでいきますと、お互いに心理的にもインフレ方向に向かっていくということが考えられますので、いかがでしょうか、一部で議論されておるのでありますけれども、この際デノミネーションというようなことを実行して、こうしたものについて鎮静をさすというようなことはお考えになっておりませんか。
○福田(赳)国務大臣 デノミネーションといいますと、いろいろ誤解が起こるのは、過去におけるデノミネーションがデバリュエーションと一緒に行なわれておる、そういうことなんです。いまあなたがおっしゃるのはデバリュエーションじゃないだろうと思うのですがね。ただ通貨の呼称を変更するということだろうと思いますが、これならばそうたいした実質的な、基本的な意味における影響というものはないのじゃないかと私は思います。しかしこれが、いま私が申し上げたとおり過去における陰影があるのです。デバリュエーションと一緒になっておる。いま日本がデバリュエーションをする必要があるかというと、対米一ドル三百六十円、これは非常に健在なんです。対外通貨価値において何ら不安とするところはない、国際収支はきわめて好調である。こういう状態ですから、デバリュエーションをする必要は全然ないです。ただ単に通貨の呼称を変更するかどうかというだけの問題ですが、私はそういう陰影のあるような行為は、いま動いておる経済下におきましてはやるべきじゃない、こういうふうに考えておるわけであります。ただいまのところはデノミネーションというようなことは、頭のどこにもそういうような考え方を持っておりません。
○平林委員 それじゃ、きょう私あと若干残っておったのですが、本会議の予鈴も鳴っておりますから割愛をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○吉田(重)委員長代理 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時五十二分休憩 ————◇————— 午後四時四十六分開議
○三池委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。武藤山治君。
○武藤委員 まず、大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、昨日も歩積み・両建て問題について、各銀行の協会長をお呼びして、第二ラウンドを今後どう展開するかという点について、大臣も再三、第二ラウンドはやるんだ、こういう意気込みをもって言明されておりましたので、いろいろ意見を聴取したわけであります。 そこで、歩積み・両建て問題が現在どういう状況になっているかということは、国民の大きな関心事でございます。大蔵省は、その後苦情処理機関なども増設をして、大いに業者の苦情を吸い上げよう、そして適切な処置を講じていこうというかまえを見せておるわけでありますが、まず、その苦情処理機関に苦情がどのくらい申し出られたか、その数字を最初に明らかにしていただきたい。
○青山説明員 最近までのケースで五十四件でございます。
○武藤委員 それは当初開設をしてから今日まで五十四件ですか。
○青山説明員 そのとおりでございます。
○武藤委員 大蔵大臣、開設以来五十四件という数字は、常識的に考えても非常に少のうございますね。なぜ苦情が五十四件しか申し出られないか、その理由はどういうところにあると大臣はお考えでございますか。
○福田(赳)国務大臣 まあ、少ないと言えば少ないし、多いと言えば多い。両様の感触が持たれるわけでありますが、どういうことで少ないか、これは長い間のしきたりでございますので、持ち出してもというようなこともありましょうし、あるいは私どものそれの広報周知にまだあまねく行き渡っていないようなところがあるかもしれぬ、そういう事情があろうと思います。しかし、そういうような五十何件という数字は、また見方によれば、とにかくそういう環境の中においてもこれだけのものがある、こういうことでありますから、少ないとばかりは言えないので、貴重な参考資料になる、こういうふうに思います。
○武藤委員 大臣は、少ないとは言えないなんていうのは、これはもう事実認識不足もはなはだしいですよ。公正取引委員会の調査でも、各企業別に二千四百件か七百件調査したって、かなりの件数が歩積み・両建てはこんなにあるのだということが出ているわけですよ。特殊指定をしようか一般指定をしようか考慮中であると、取引委員長も国会で答弁しているのです。ですから、四兆三千億円も拘束性預金があるのですから、そのことが申し出られないというからには、かなり大きい重大な理由があると思うのであります。いま大臣がおっしゃった、従来の商習慣で歩積み・両建てというものはあるものなのだ、つくものなのだという業者間のあきらめもあるでしょう。第二には、大臣のおっしゃった、われわれの周知徹底のしかたがまだ企業者に知られていないという点も、第二としてはあるでしょう。しかし、もっと大きな問題は、貸し手と借り手の関係、うっかり申し出ると銀行に融資を打ち切られたり、仕返しをされるであろうから、そううっかり申し出られないという気持ちが、私は一番重大な理由だと思うのであります。苦情処理機関になかなか申し出られない理由だと思うのでありますが、そういう理由のほうが重大な理由じゃありませんか。一番最大な苦情処理機関に件数が少ないという理由は、私はそういう点にあると思うのですが、いかがでありましょうか。間違いでしょうか。
○福田(赳)国務大臣 そういう事情もあろうかと思います。
○武藤委員 御承知のように、借りるほうはびくびくして、うっかりこれは申し出たら切られはせぬか、今後銀行にもうめんどう見てもらえぬじゃないかとびくびくしているわけですね。こういう気持ちがあることは事実だと認識しても間違いないのじゃありませんか。いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 そう思います。
○武藤委員 そういう状況だからこそ、苦情処理機関に申し出た場合の取り扱いの規定というものは、大蔵省はかなり配慮しているはずでありますか、どういう配慮をしているかというと、苦情を申し出た者に対しては、これは銀行へ、金融機関へ通告していいか、通告はしないほうがいいか、本人の気持ちを聞かなければ通告をしないということになっているのじゃありませんか。いかがでございましょうか。
○福田(赳)国務大臣 そのとおりと承知しております。
○武藤委員 私は、そこまで配慮しているという今日の取り扱いのしかたは、やはり債務者側が弱いから、それを配慮して、大蔵省でそういう一応の取り扱いまで配慮していると思うのであります。 ところが、いまここで問題にしようとする、五月三十日午後一時に起こった問題というのは、そういう配慮を全く欠いておるのであります。公務員としてあるまじき、秘密を漏らし、業者に迷惑がかかることを全く配慮しないで、歩積み・両建ての問題についての問い合わせに対して、大蔵省の、しかも本省の役人がそういう態度をとったのであります。 ちょっと具体的に申しますと、五月三十日午後一時、場所は自宅から、相手先は大蔵省本省中小金融課田口事務官なる者に債務者が電話をして、私のところは第一相互銀行から融資を受け、取引をしているが、六三%の両建てをされている、これではとても金融が苦しくてたいへんだから、歩積み・両建てのことについてどこへ相談に行ったらいいか、そういう趣旨で電話で尋ねている。そうしましたら、田口事務官は直ちに、大蔵省としては、役所としては秘密は守るのだから心配ないから、書類をつくって、関東財務局へ行きなさい——ここまではいいのであります。秘密は守られるのだから、書類をつくって関東財務局へ申し出なさい。それで本人は、そうですが、それじゃさっそく関東財務局へ書類を持って行きましょうというので、電話は切れたのであります。ところが、それからわずか三十分たったら、第一相互銀行営業部長横塚さんなる者から債務者のところに電話があっておまえは大蔵省に、歩積み・両建てが多いというので話したそうじゃないか、以後、第一相互銀行としては君のところとは一切取引はしない、融資は断わる。わずか三十分の後ですよ。ちょうどその営業部長から電話があったときに、第一相互銀行の貸し付けの係が債務者の家へ行っていたわけであります。それは新たに借り入れ申し込みをし、融資が決定をして、いよいよ金を出すというときの打ち合わせに係が行っておった。そこへ営業部長から電話があって、その係まで電話に出させまして、もう融資がきまったことも一切御破算だから、帰ってこい。その係は、青くなって、これはたいへんなことになったといって帰ったそうであります。こういう事件であります。 大臣、この事件の内容を詳細に聞いておりますか。聞いておりましたら、大臣からまず経過を少し説明を願いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 それは、実は高橋さんという人が、私の大臣秘書官のところへ参りまして、わが輩は大臣の選挙区の伊香保の出身の者である、塚越という旅館の出である、こういうような話で、それで問題は、銀行局の中小金融の問題なんだ、歩積み・両建ての問題なんだという話があるので、秘書官は、案内したのですが、御紹介したのですか、電話をかけたのですか、とにかく中小金融課で係と会うように手配をいたしたわけなんです。ところが、数日後、その人が、田口と申しましたか、その係官との間にけんか事件があった、こういうようなことをあとになって私は秘書官から報告を受けたわけですが、そんなようなことで、ちょっと私も、うちの選挙区の者でそういうようなトラブル々起こしたというので、実は頭にあったわけでありますが、またさらに、しばらくたってから、あの問題はいろいろごたごたがありましたけれども、円満に無事に解決いたしました、こういう報告がありました。私もやれやれというふうに思っておったのです。ただ、私は、名前は聞きましたが、記憶はない人です。本人はぼくを知っているようなことを言っておるようでありましたが、私は記憶はない。それから伊香保の塚越というところの出の者でそういう該当者はいないようでございますが、とにかく、私は、選挙区の者だからというので、わざわざ丁寧に秘書官が係官のところへ連れていった、こういうことかと思います。 それで、私が想像するのに、係官は、大臣の秘書官が連れてきたのだからというので、特に親切にやったと思う。その親切が余って銀行に連絡をしたのだろう、こういうふうに私はとっているのです。これはもう親切の生んだ事件です。そういうふうに思っておるわけなんです。あなたの理解されるところとちょっと問題が違うように思いますが、事実問題でありますから、その事実の経過につきましては、所管課長がよく承知しておりますから、お聞き取り願います。
○武藤委員 それは、大臣の経過の認識はだいぶ時間がずれているわけです。 私がいま質問したのは五月三十日の時点、大臣がいま答えた、秘書官のところへ本人が行ったというのは、電話でもって契約がパーになり、相銀からばっちりやられたので、腹を立てて、翌日大臣の秘書官のところへ行ったわけなんです。 だから、いま私が前段で質問しているのは、まだ電話の段階です。五月三十日午後一時に大蔵省へ電話して、こういう問題は一体どこへ相談に行ったらいいかという問い合わせを田口事務官にした。ところが、田口さんは、直ちにそれを久保弘なる課長補佐に報告をしたらしいのです。財務局へ書類を持っていきなさいと教えておきながら、その中身を久保弘という課長補佐に田口が報告をしてしまった。そこで、その課長補佐の久保弘は、直ちに第一相互へ電話してしまったわけです。だから、第一相互の営業部長がかんかんにおこって、契約解除だ、もう融資はせぬということで、わずか三十分の間にその契約が一切パーにされて、そこで本人はおこって、もう一回二時三十分ごろ大蔵省へ電話したわけであります。田口君を電話に呼んで、さっきあなたは書類を持って財務局へ相談に行きなさいと教えておきながら、第一銀互から、実はこういうわけで契約解除だと、がらんとやられたけれども、一体どういうわけなんだ、だれが一体そんなことを第一相互にしゃべったのだ、こう問い合わせたわけです。そうしましたところ、田口事務官いわく、中小金融課の課長補佐久保弘に、最初電話があったときに、私から報告いたしました、報告をしたら、課長補佐は直ちに第一相互銀行へ連絡をしたそうであります、なぜ連絡したのだ、秘密を守ると言いながらなぜ連絡したのだと問い合わせたところが、第一相互銀行の社長が大蔵省出身で私の先輩だから、内報してやって義理を立てようとしたものである、こういう返事をやっているわけであります。 だから、私がここで問題にしたいのは、いま歩積み・両建てでこれだけ国会でも問題にし、金融機関も自粛措置をとりますと約束をし、大蔵省中小金融課もあげて努力をしておる最中に、中小金融課勤務の人自体がそういうことをやって、業者に迷惑をかけ、たいへんな窮状に追い込んでしまうような事態を発生させるということは許しがたいことである。そこで、本人は思い余って、翌々日六月一日に大臣室をたずねて、大臣の秘書である福田さんという方がいらっしゃるそうですが、福田秘書官に会って、昨日電話して、これこれこういうわけでこうなりました、一体これはどうしてくれるのか、こういう相談に行ったら、非常に親切にしてくれたそうであります。親切にわざわざこの秘書官がみずから岸という検査官を呼んでくれて、応接室でいろいろ事情を聞いてくれた。そこで岸さんは、なるほどそれは気の毒だ、よく聞いてやろうというので、何回か中小金融課へ行ってくれたり、その話を持ってきてくれたり、いろいろ走り役をしてくれた。ですから、大臣の秘書官はさすが大臣の秘書官だと言って、本人は非常にほめておりました。普通のこっぱ役人と違う、人間が違うような感じを持ったというほどがらっと違う。そこで、その六月一日の日に秘書官が心配して、それじゃ来てもらおうというので、田口さんと久保さんを呼んでみたが、来ない。用があるならばこっちへ来いという腹だったと思います。三階へ来い。そこで、三階へ岸検査官が案内をして連れていった。それからがさつきの大臣の言ったけんかがそこで始まるわけであります。 もちろん、けんかが始まるには、そのしょっぱなの初対面のことばのやりとりが、本人は一昨日の問題でかんにさわっておるところへまたかんにさわるような態度をとられたので、このやろう、こうきたわけであります。本人の言うには、机をたたいて松本課長補佐なる者の胸ぐらをつかまえて、とにかくおれは二、三十ぶんなぐったかな、とにかくうんとぶんなぐったことは確かだ、そうしなければ、あまりにもむかついて、胸が悪くて、おれとしてもどうにもやりようがないところまで追い込まれた、銀行に遮断されて——ぶんなぐったことは申しわけないけれども、最初の事実はこういうわけですと言って、私のところに訴えがきたわけであります。 私はここで問題にしたいのは、これが麹町警察の事件になったとか、その結果が示談でどうなったとかいうことを問題にしようとしておるのではありません。これだけ真剣にいまあらゆる方面で問題にしている歩積み・両建て解消のときに、電話一本問い合わせがあったら、財務局へ書類を出しなさい、秘密は守りますよと言っておきながら、秘密を守らずに、第一相互銀行に電話をするこの行為、中小金融課の課長補佐たる者がこういう態度をとって公務員法第百条に抵触しないかどうか、大臣の見解をひとつ明らかにしてください。
○福田(赳)国務大臣 私は、いまあなたから初めて童話の話を伺いますので、事実が一体どういうものか、ちょっとはっきり事実関係をつかむことができません。これはよく取り調べました上で、私の見解は申し上げます。
○武藤委員 これはせっかく一般質問できょうチャンスをいただいたのでありますから、あとで調査などと言わずに、ここには課長もおるし、担当官もおるわけでありますから、まず最初聞きますよ。 五月三十日の午後一時ごろ、田口事務官のところへ債務者から電話があって、こういう問題はどこへ申し出たらいいかという問い合わせがあった事実はあるかないか、それはどうですか。
○塚本説明員 五月三十日の一時というようなお話でございますが、私どもで把握しておりますのは、五月三十日の午後三時半ごろでございます。三時半ごろに田口事務官のところに高橋さんから電話がございました。
○武藤委員 それは、三時半ごろは、私のほうのメモでいうと、一回相互銀行からばっちり断わられて、憤慨をしてかけたときが三時三十分になっておるわけです。私のほうのメモでは、一番最初は一時に、どこに問い合わせたらいいか、どこへ相談したらいいか、それが一時なんです。 しからば、その三時半ごろに電話があったときの電話の内容はどういうことだと聞いておりますか。
○塚本説明員 五月三十日の午後三時半ごろでございます。田口事務官のところに高橋さんから電話がございまして、第一相互銀行との取引に関して次のような苦情を印し出たわけでございます。その内容は、自分は借り入れが百五十五万円ある、それに対して預金が二百六十万円担保にされておる、その内訳は、一年定期で百万円、定期積み金で百十五万円、さらにもう一つ定期積み金で四十五万円、合計二百六十万円過当な拘束を受けておるんだということが一つでございます。それから五月三十日、百万円の借り入れを第一相互銀行に対しまして申し入れた。ところが、第一相互銀行からは、二百万円貸すから百万円を定期預金にするように要求されたのだ、これはひどいじゃないですかというようなお話でございました。それに対しまして田口事務官は、一応両建て・歩積みの苦情は財務局において受け付けておるということをよく説明しまして、関東財務局の理財部の金融課で受け付けておるから、その係長の何がしのところに行きなさいと懇切丁寧に教えてあげたわけでございます。それで、田口事務官は、そのことを担当の上司でございます課長補佐の久保君に報告したわけでございます。久保課長補佐は田口事務官からそれを聞きまして、それはなるほど、もし債務者の言うとおりならこれは困ったことだ、是正させねばならぬ、そういうことから、第一相互銀行の島崎社長に対しまして電話いたしたわけです。たまたま社長が外出中のために、営業部長が電話に出たそうでございます。それで、この事実を伝えまして、債務者の申し出によりますと、これは困るじゃないか、是正する必要がある、ついては、一方的な言い分を聞いてもそれはいかぬから、銀行は実情を至急調べて報告されたいというふうな意味の電話をしたわけでございます。それに対しまして、間もなく第一相互銀行の経理部の次長から童話が久保課長補佐のもとにまいったわけであります。それによりますと、債務者の高橋さんの苦情の申し出とはかなり違っておるわけでございます。 第一相互銀行の報告によりますと、最初高橋さんとの間に貸し付けが四百万円あった、手形貸し付けでございますが、それが延滞しておる、そこで、返済条件を軽くするために、こういうふうなことをやりました。まず手形貸し付けを二百万円、これは従来の四百万のうちの半分にして、残りの二百万につきましては給付——相互銀行の用語で言いますと給付でございますが、これを二百万円、この二百万円の給付のほうは満期が四十三年の十二月、非常に長くしたわけでございます。長くすれば、そこで本人のほうも返済がしやすくなるであろう、こういうふうに変更した。これが四十年九月十三日でございます。 そこで、現在の取引状況はどうかといいますと、貸し出しが三百六十万円ある、その内訳は、手形貸し付けが二百万円、相互銀行用語でいう給付が百六十万円、それに対しまする担保預金は、合計いたしまして二百十四万円、その内容は、一年定期で百万円、それから定期積み金で百十四万円、合計で二百十四万円、それから本日借り入れの申し込みがあった、そういうことでございますが、なるほど借り入れの申し出があったが、高橋さんが言うには、先ほどの苦情の申し出の内容によりますると、二百万円貸すから、そのうちの百万円は預金せいというような話であったわけでありますが、銀行のほうからの報告によりますと、高橋さんは借り入れの申し込みをした、百万円貸してもらいたい、ついては、自分のところが代理店になっております大正海上に、二百万円あなたのほうに預金させるから私に百万円貸してくれ、そういうふうな申し出があったわけです。銀行としましては、先ほどの二回に分けました二百万円の口——二百万円給付と手形貸し付け、その二百万円の手形貸し付けのほうが固定化しておりまして、何回も書きかえ、書きかえで来ているわけでございます。それでありますので、ひとつそれでは三百万円お貸しして、これは給付にいたします——給付といいますと、三年とか五年とか、期限が長いのでございます。そうして三百万円にしておいて、そのうちの二百万はいまの固定貸し付けになっております、書きかえになっておりまする二百万円に充当していただきたい、それが一つと、それから保証人を立ててもらいたいんだということを申し上げておるのだけれども、本人のほうが納得してくれないので困っておるというようなことでございます。なお、このときに、先ほど武藤先生がおっしゃいましたように、高橋さんに対して、いま預金のことについていろいろ御心配があるようでしたら、この際白紙に戻す意味で、相殺したらどうでしょうかというような意味のことは言ったようでございます。事実、いま申し上げましたように、いまの話は、五月三十日現在におきましては妥結しなかったわけでございますが、ただ、その後六月二日でございますか、(「そのあとは聞いていない」と呼ぶ者あり)合意に達して、融資をするということになったわけでございます。 ただ、これが、先生御承知のように、五月三十一日に別のことで本人が振り出しました十四枚の手形、一応千六百九十三万七千円、これが不渡りになりまして、六月の四日に銀行取引停止処分になっておるということで、いまの話は実行できなかったということになっております。
○武藤委員 大体私の聞いておったことが事実であることは間違いなかったわけであります。 いまの話の中で私が知らなかった問題は借り入れ額の内訳ですが、本人も、その問題は六三%両建てされている、こういう話を実は電話をした。おそらく中身のこういうことは、銀行を調べて、相銀のほうの言い分をしゃべっておるのでありまして、私の聞いた話は、六三%の両建て拘束性預金は少々過酷だから、何とか相談をして、こういうものを少し解除してもらうつもりで電話をした。大蔵省は本省でぱしぱしっと、その場で電話で解決するような懇切丁寧な歩積み・両建ての処理はしていないはずであります。本来は財務局が直接の担当だから、財務局へ行って書類を出して処理してもらいなさい、これが普通のケースであります。それとも財務局にやらずに、本省で久保弘が処理したような形で処理するのが通常の事務処理のしかたなのか。金融課でやるのか、財務局でやるのか。
○塚本説明員 苦情処理の受付は財務局でやるのが通例でございますが、それを本省においても、債務者のためにそのほうが早く解決すると判断されます場合は、すみやかにするのが公務員としてのつとめではあるまいかというふうに考えます。
○武藤委員 そうなりますと、課長、こだわると、とことんまでやりますよ。久保弘が田口から話を聞いた。本人から話も聞かぬ、顔も見ない。電話一本で——苦情処理機関はとこですか、どこへ相談したらいいですかという電話一本あっただけで、相互銀行へぱっと電話する。そんな事務処理のしかたが常識のしかたですか。あなたは上司として、課長としてそんな事務の処理のしかたが正常な事務処理のしかたですか。それが正しいかどうか、それだけを聞いている。
○塚本説明員 申し上げますが、たまたま社長が大蔵省の出身でございます。そういう意味で、よけいに不正と申しますか、過当ないろいろな問題は是正させたい、ぜひ人一倍やってもらわなければならぬという気持ちを私ども常に持っておりますが、そういう意味で公務員として当然やるべきだ、そのやった結果が、あるいは本人に思わざる結果になるということになりますれば、まことに遺憾なことでございますので、少なくとも至急に直さすべきだ、こういう誠意をもってやった点はぜひくんでいただきたいと思うのでございます。
○武藤委員 それは課長、課長の部下がもしそういう苦情を電話で受けたら、おまえ、それは慎重に、本人を呼んで、本人の意見をよく聞いて、本当に事実関係がどうなっておるのか、きちっと本人の供述を聞いてから、第一相互へおまえ行って連絡をやりなさいと言うべきである。そのときに、業者がつぶれるような、あるいは融資に困って業者が路頭に迷うようなことのないように相互銀行としては十分配慮して、歩積み・両建てはやめてもらいたいということを、本人を呼んで調査してやるのがほんとうの事務の処理のしかたではないですか。
○塚本説明員 高橋さんのほうの申し出の内容は、部下であります田口事務官が十分聞いておりますので、それを後刻報告を受けまして、それが事実であるかどうか確かめまして、そのとおりであれば、それは是正させなければならぬということであれしたわけでございます。
○武藤委員 いまの発言でいうと、それは久保をかばうために、田口に責任があるような結果になりますね。ところが、田口は、そういう問題は財務局でやるんです、秘密は守るんだから、財務局に書類を持って相談に行ってくださいと言ったんだよ。田口がそういうことを言ったというのはうそですか。
○塚本説明員 田口事務官に対しましてそういう苦情の内容を申し出て、田口事務官としては、それは財務局へ行きなさい、財務局としては、債務者のその内容を伝えて、暴露というか、そういうことはしない、そういうことは親切に教えております。
○武藤委員 だから重大なんですよ。本人には、財務局へ書類を持って行きなさい、秘密は守られるんです——秘密を守らなければたいへんなことになるんですよ。課長さん、公務員法第百条はどういうことを書いてありますか、知っているでしょう。
○村上(孝)政府委員 国家公務員法第百条第一項には「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」というふうに書いてございます。しかし、この解釈については、後ほどお尋ねがあればまたお答えいたします。
○武藤委員 そうすると、いまのは、当該事件の場合には秘密と解釈されない、秘密事項にはならない、そう解釈しておるわけですか。
○村上(孝)政府委員 その国家公務員法第百条第一項の規定の趣旨は、私いろいろ法制局にも聞き合わせましたけれども、職務上知ることのできた秘密を当然の職務行為以外の場合に他に漏らすということを禁止したものでございまして、たとえば、仕事の上で上司に知らせる必要があるという場合に、上司に知らせる、あるいは本件の場合のように、たまたま大蔵省出身の経営者がおるという事業に対しては、早くそういう不当な慣行を是正させようということで、指導行政上の必要から、直しなさいということを通知し、警告するために知らせるということについては、これにかからない。大体金融機関のほうでは、だれそれに対して貸し出しをし、預金をとっておるということは知っておるわけですから、そういう事態に対しては、この事項自体が秘密であるということは、それ自体の解釈としても問題があると思うのであります。たとえそれが秘密であるとしましても、いま申し上げましたように、正当な職務行為以外の場合に他に秘密を漏洩するのはいけない、こういうふうに第百条一項の規定を読んでおります。
○春日委員 ちょっと関連して一つだけ。 私は、いま官房長の御答弁の中で、聞き捨てがたい御答弁が一言あったと思う。 それは、そこの社長の島崎君なる者は大蔵省出身の者であるから、特に間違いがあってはならぬと思って、そのような格段の配慮を加えた、こう申されたが、少なくとも大蔵省のほうはそういうような行政慣例になっておるのですか。たとえば、金融機関に対して、大蔵省出身者のものについては格段の配慮が何らか加えられておるのであるか。われわれの常識の範囲内では、国民は法律の前に平等である。行政は法律に基づいて執行されるものである。すなわち、そのような厳粛なものでなければならぬ。公正なものでなければならぬ。したがって、大蔵省出身者であろうとなかろうと、少なくとも行政執行に当たっては、これは機会均等の原則の上に立ってなされなければならぬものであると思うが、大蔵省出身者に対しては格段の配慮を加うるという慣習の上に立って行政執行がなされておるのか。各金融機関に対して大蔵省の出身者はたくさんに行っておるから、もしそういうようなことが行政慣例として行なわれておるとするなら、これはゆゆしい事柄である。あらためて官房長から御答弁を願いたい。
○村上(孝)政府委員 春日先生のお話、一般論としてはまことに私妥当だと思うのですが、格別な配慮でなくて、桃李言わざれども道おのずから通ずと申しますけれども、大蔵省の出身者が行っておる金融機関で問題を起こすようでは、大蔵省の本来のあり方自体の威信にも傷がつくわけでございますから、格段の配慮ではなくて、格段に厳粛に法律を守るべし、こういうような趣旨でございます。
○春日委員 桃李みずから装わずといえども下おのずから道をなすというようなことは、村上君せっかくだけれども、全然関係ない。私は文学者でないけれども、文学については……。だれであろうとかれであろうと、同じように厳粛に扱っていかなければならぬ。大蔵省を退いたときから関係は遮断されなければならぬ。高級公務員がみずから行政関係にある企業体に就職することを禁止する法意はそこである。格別な配慮があってはならぬのである。桃李みずから装わずといえとも下おのずから道をなすということとは、そんなこととは関係ない。どんな者でも社長たる者は厳然とやらねばならぬということであって、大蔵省から行った者が厳然とやって、ほかから来た者は厳然とやらなくていいのですか。そんなばかなことはないではないか。大蔵省から行った者はしっかりやらねばならないが、他の者はさらによりしっかりやらねばならないのである。大蔵省から行った者に対して特別の注意を加えるとか、特別の親切な配慮を加える、その他の社長に対しては、おまえら民間から行った者はちっとぐらいインチキがあってもいい、こういうような行政配慮がなされたら、国の行政はどういうことになるのか、ゆゆしい問題である。あらためて御答弁を願いたい。
○村上(孝)政府委員 私ども文学的修辞の不十分から、ことわざをちょっと引き間違えまして、李下に冠を正さずというふうに申し直します。それは大蔵省出身者としては、正しい行政、不当な慣行の取り締まりについては、だれからも言われなくとも、いち早く、えりを正しているべきだということでございまして、私の表現の妥当でないところは改めます。
○春日委員 大蔵省出身者であるがゆえに、格段の、李下の冠とかなんとかを正さぬならぬという筋合いのものではないのである。法律に基づいてすべての事業がなされなければならぬ。斯界の責任者はすべて公正でなければならぬ。したがって、大蔵省の出身者であるから云々ということは記録に残っておるから、もしそんなことが記録に残って、これが後日の実績になっては許しがたいことである。ほんとうにわれわれは聞き捨てがたいものである。大臣の所見をあらためて伺いたい。
○塚本説明員 私が先ほど申し上げましたことが誤解……(春日委員「誤解とは何だ」と呼ぶ)私はそういう真意で申し上げたのではございませんが……。 〔春日委員「誤解とは何だ、そっちが言いそこなったのじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕
○三池委員長 静粛にお願いします。
○塚本説明員 私は、官房長から申し上げましたように、人よりは人一倍きびしくやってもらいたい、そういう気持ちでおりましたので申し上げたのですけれども、はなはだ適当でないと思いますので、取り消させていただきます。
○春日委員 もっと君は釈然と言わなければいかぬですよ。村上君や大田の顔を見て取り消すという問題ではないのだ。君が言うたことから大蔵省行政に対して疑惑を与えたということは、大臣に対しても局長に対しても、君のはなはだしい不徳のいたすところ、顔を見合わせて取り消すというものではない。そこに半身低頭して、大臣に対しても、国民に対しても、本大蔵委員会に対しても陳謝をすべきである。即日辞表を提出して辞職するに値するものである。それをあっちを見、こっちを見て取り消すとは何事か。まことにひきょう未練な態度である。君がそういうような金融行政の責任的地位にあるということは慨嘆にたえない。すみやかに君は職を退きたまえ。強く警告する。何だ、あっちの顔を見、こっちの顔を見て取り消すとは。取り消すならば厳然として取り消せ。取り消す必要がなければ断じて取り消すな。それが責任ある立場の国家の行政官の権威ある態度というものだ。
○武藤委員 いま春日委員からも指摘されたように、やはり公務員というのは、大蔵省あっての公務員じゃないのですよ。国民あっての公務員なのです。皆さんは国民の公僕ということを誓約して就職しているわけなのです。銀行を守るためにやっているわけじゃないのですよ。すべての行政というのは、国民の福祉、国民の権利、これをできるだけ守ってやろうということで、そういう意識がないから、いまのような態度が私は出てくると思う。まことにけしからぬ態度ですよ。反省の色はみじんもないじゃありませんか。 大臣、いまの質疑の内容からだけでも、五月三十日のできごとは、中小金融課の役人のとるべき態度ではなかった、配慮が足りなかった、重大なる過失であった。この事実は見のがすわけにいかぬでしょう。大臣、どうお考えになりますか。軽率じゃありませんか。
○福田(赳)国務大臣 私は電話問答を初めて聞いたのでありますが、いま課長に聞きますと、ちょっと内容が違うようなところがある。つまり、久保から電話をかけたことは事実のようですが、その電話を受けた銀行当局は、久保事務官の趣旨をくんで適正な処置に乗り出そうと、こういうようなことで話を債務者にしかけた、こういうことのようです。非常にそこのところの善意であるのかどうかという点が、あなたのおっしゃることとだいぶ違うのでございますね。私がいままで報告を受けているところでは、非常に自信を持って、これはうまく解決するであろう、しなければならぬ、こういうことで、特に債務者の名前まであかして話をしたのだ、親切心から発したものだ、こういう報告を受けて、おるわけであります。
○堀委員 関連。 大臣にお伺いをいたします。私どもは、ともかく行政というものはルールに従ってやるものだと思っているのです。ルールをきめると、そこでショートサーキットにやるということは、片方で正規のルールがあるときに、その正規のルールを守っていては間に合わないとか、守ることが適当でないとか、何かそういうことがなければ、いたずらに私は恣意的な処置がされるべきではないと思うのであります。ですから、この問題は、田口事務官が親切に、その問題は財務局に苦情処理機関が設けてあるから、そこへ書類を持っていきなさいと言った。そこまでは適切な処置なんですよ。いいですか。私どもは、ここでこういう問題の処置をするために財務局に苦情処理機関を設けてくれ、こう言って、それができたのですから、それが大蔵省の基本的な考えでございましょう。大臣、いかがでございましょうか。
○福田(赳)国務大臣 正規なというか、普通ならば財務局へ行ってもらう、こういうことです。ただ、せっかく電話がかかってきた、あるいはおいでになった、こういうのを、そうむずかしい問題ではないのだから、しかも、知り合いの社長だからというので、その社長に電話をかけて、こういう状況だと言って、情をあかして円満妥結を頼む、こういうこともあり得るわけですね。これは排撃しているわけじゃないのです。
○堀委員 私、大臣にこの件で申し上げておきたいことは、私はこれまで大蔵委員を七年間やっておりますが、大蔵省の役人の問題について、その非を責めたことは一回も実は私はないです。いろいろと問題はありましても、私はそれなりにやはり立場もあろうと思って、責めたことはないのですよ、大臣。その私が、きょうのこの話を聞いて、これはもうがまんがならぬと思っているのです。どうしてもがまんがならぬ。私は代議士である限りは大蔵委員を続けていきたいし、一生懸命勉強して、大蔵省の諸君とも個人的にも気持ちよくやっています。だから、私はいまのいろいろな立場におる人に対して個人的な感情はひとつもないのです。それは理解しておいていただきたい。しかし、私たちは国民の立場に立って、大蔵省の行政というものが、やはり公平でなければならないし、特に歩積み・両建ての問題は、私どもは数年にわたってやってきているわけです。御承知のように、歩積み・両建ての問題については、春日委員とかあるいは与党の一部の方も、特殊指定にしてやれというような、いろいろな御意見もあります。しかし、私は、大蔵省が責任を持ってやるという以上は、大蔵省にまかしてその成果を期待したいということで、これまで私はそういう方向で処置をしてきておる。そうして、その中でいろいろ問題のあることも承知をし、苦情処理機関の取り扱いについても、われわれは問題を提起して今日に来たっておるわけです。ともかくこれは非常に相手方が弱い立場にあるから、それを守らなければいかぬということが、歩積み・両建ての問題の一番大きな問題なのです。それにもかかわらず、こういうことが起こるというおそれのあることを担当官は十分知っておったはずです。知っておったのなら、あわせて、もしあなたの言われるようなことなら、これから調査をするけれども、このことによって債務者に何らかのはね返りがあるようなことは一切やらないかどうかという点だけが確認されていなかったところに、私は重大な問題があると思う。だから、大臣も、あなたは大蔵大臣ですから、大蔵省の役人の立場に立って考えてやりたいというお気持ちはわかりますよ。しかし、それはかえって、私はこの際は大蔵省の諸君のためにならないと思うのですよ。もしあなたがここでこの事実をかばい通すならば、私たちは大蔵省全員に不信感を持ちます。そうじゃないのです。やはりあやまちはあやまち、悪かったことは悪かったこととして認めるところに、私は進歩や発展があると思うのです。だから、いまの一番最初の段階のところは、財務局に行きなさい、書類を持って行きなさいと言った以上は、その番数に基づいて財務局がちゃんと調べて、それに基づいてやるというのが現在の正規のルールなんですよ。そこがさっきから問題になっておる。大蔵省の出身者が社長だからというようなことが現実にあるわけですよ。課長の答弁はともかくとしても、そういう事実があるところに、私どもはよけいにこの問題について非常に不愉快な感じがしてならないわけです。ですから、その点は、特に大蔵大臣は大蔵省出身者ですから、十分われわれの気持ちを理解をしていただいて、やはり、みずからもきびしく律していただかないと、国民は非常に大きな疑惑を大蔵官僚全体に対して持つようになる。私も持ちます。もしこれがうやむやのうちに処置をされるようなことになれば、大蔵省という役所は、自分たちの内部で起こったことは、何が何でも自分たちで守り通そうとするのだ、そういう役所だ、そういう認識を私も持ちますし、国民も持つだろう。だから、この点については、要するに公正な立場で十分お考えを願いたい。
○福田(赳)国務大臣 おっしゃることはよくわかります。わかりますが、事実が少し違うように私は思うのですね。つまり、久保事務官から会社に電話がいった。そうすると、武藤さんのおっしゃるのでは、三十分後に取引取り消しの通知が来た、こういうのですね。いま課長に聞いたところでは、そうじゃないのです。取り消しじゃないのですね。歩積み・両建てで改むべきところもあるからというので、何か具体的な提案までしておるのですよ。(武藤委員「いや、それはあとなんですよ。それはあとでけんかになって、ぶんなぐられてからあとなんだよ、提案が出たというのは。」と呼ぶ)それが違うのです。あなたの理解では、妥協案というものがあとで出てきたようにおっしゃられますけれども、いま課長が言っておるのは、そうじゃないのです。(武藤委員「課長が言うのが違うのだ。ぼくは全部メモしてある。じゃ、もう一回事実を確認しましょう」と呼ぶ)電話を受けて、そうして電話を受けた会社側は、それは改めるべきところはある、こういう判断のもとに、ある具体案を出した、こういうようなことが事実のようですがね。そこが、出発点で違いますれば、結果は違ってくるのです。
○武藤委員 それは、全くその課長の報告は本人の申し立てと時間的ズレがある。日がすでに違うのです、妥協案を出したのは。いいですか。ただ、ここで問題にしておるのは五月三十日の段階ですよ。本人は五月三十日の一時ごろだと言うが、課長のほうは三時三十分ごろと言うのですね。いずれにしても、三時三十分ごろにしても、本人から、債務者から田口某に電話があって、こういう問題はどう処理したらいいのか、行く場所を教えてくれと言ったら、そのときはもちろん内容をしゃべったわけですね。自分のところはこういう銀行とこういう取引があって、債務はこうだ、六三%の両建てがあるのだ。そうしたときに、田口さんが、じゃ、大蔵省のほうで第一相互に話してやるというなら別ですよ。それなら何ら手落ちはない。財務局へ書類を持っていきなさい、秘密は守られるから心配はありませんよと言っておきながら、その日のうちに第一相互に電話したことは事実だ。さっき課長が答えたじゃないですか。そうしたら、すぐまた第一相互から返事の電話があって、貸し付けの内容が、四百万円の手形がどうのこうのという内容の電話が第一相互からあった。それは銀行局と第一相互の間はそうかもしらないが、その間に第一相互からすでに本人のところに電話がいっておるのですよ、その日のうちに。五月三十日にもうすでに、大蔵省に電話して三、四十分たったら、もう本人のところに電話がいって、百万円を借りると確定した話はパーになった。そのときに、第一相互の係が、ちゃんと本人のうちに、債務者のうちに行っていたのですね。百万円借りる話がついてよかったと思っておったところへ、営業部長から電話があって、その百万円はだめだ、もう大蔵省へ苦情に行くようなやつは絶対第一相互としてはめんどう見られない、終わりだと言って、その日の三十分のうちにぱちっとやられたのです。それが倒産の原因でないことはよくわかるけれども、それが原因して倒れたというのではなくて、もともとまずかったのかもしらぬ。 大臣はまだその辺の事実関係もよく認識していないし、政務次官も、当時の暴力事件のあった直後はお会いしておるが、いま私が申し上げた五月三十日の夕刻までの電話のやりとり、また相互銀行への本人の動きというものについては、事実の認識がたいへん食い違っておりますから、至急大臣、この点は調査をしてもらう。田口、さらに本人久保弘、これもひとつ調査してもらう。同時に、麹町警察署に、当時のいきさつはきちっと時間が入って、いつどこでだれがどういうことを言って何があったということが全部あるわけですから、それをもできれば銀行局が全部調べてみて、私の言うことがうそであるか、課長の言うことがうそであるか、時間の食い違いがあるが、明らかにしてもらいたい。 同時に、私はこの問題をなぜこんなに口角あわを飛ばして言うかといえば、歩積み・両建て問題というのは、冒頭に質問したように、中小企業者は一ぱいそれで苦しんでいるのだけれども言えないのですよ。いまみたいなことが一カ所でもあるから、こわくてできないのですよ、切られるから。それだけに事は重大なんです。しかも、この問題の処理について、後日本人が行って、何とかこれをひとつもとどおり相互銀行にしてもらえないかといろいろな話をしたり、歩積み・両建ての通達の中には一名でもいいということが書いてあるじゃないか、あるいは銀行に直接通報するかしないかは本人の意思を聞いてするということになっているじゃないか、そういう点についてどう思うかという質問をしたのに対して、課長補佐は、あの通達は総務課で起案したものであるからおれにはわからない、中小金融課の課長補佐ともあろう者がそういうことを言っている。おこるのはあたりまえですよ。たいがいかっときて、このやろうと言って、暴力をふるい出しますよ。(「暴力はいかぬ」と呼ぶ者あり)暴力をふるうことはいかぬけれども、そういうような感情にさせるというこの態度、これでは、幾らわれわれが歩積み・両建てを解消しようと努力をしても、中小企業者は申し入れもできない、銀行はあぐらをかいて、なかなかこれは進捗しないという結果になる。私が一番心配するのはそのことであります。 したがって、大臣、政務次官、ひとつこの問題については十分調査をして、公務員法第百条、百九条、これらの問題に照らして、巌正なる処分をすべきであると私は進言をしておきます。あとでまたもう一回、じっくりひとつ大臣のほうから経過の説明を願いたいと思います。 時間の都合がありますから、本日はこれでこの問題については質問を終わります。
○三池委員長 次会は、来たる二十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十四分散会