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52回国会衆議院1966/10/12

外務委員会 第4号

発言数
321
登壇者
16
会派数
3
開催日
1966/10/12

会議録

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。永田亮一君。

永田亮一自由民主党

○永田委員 椎名外務大臣には、国連の総会、それから南米、カナダとお回りになって、まことに御苦労さまでございました。お疲れのところを恐縮でございますが、その回られたことに関しまして、二、三御質問を申し上げたいと思うのでございます。  まず、国連の問題でございます。大きな問題はちょっとあとに回しまして、ひとつ先に御質問と私の意見もまじえて申し上げたいと思うのでございますが、実は、去年の国連総会でも外務大臣が御演説になり、またことしの国連総会でもおっしゃったことでございますが、日本の新聞なんかにはあまり出ておりませんでしたけれども、こういう問題があるわけです。それは世界の各地に、紛争の平和解決などをするために、何かの形の国連の代表部を設けたらどうかという御演説をされておるわけであります。私、去年の大臣がなさいました二十回総会の速記録を持っておるんですが、この中でこういうことをおっしゃっておるんです。ちょっと先は略しますが、「このような紛争の平和的解決の方途の一つとして、世界の各地域に何らかの形の国際連合の代表を設けることを示唆したいと思います。経済分野においては、国連の各地域経済委員会の事務局が、各地域の経済情勢を把握し、経済問題について各地域と国際連合との連絡を行なうに当って有用な役割を果たしています。しかし、政治の分野においては、国際連合は、臨時的なものを除いては、各地域にそのような役割りを果たし得るような触手を持っておりません。」以下いろいろ御説明がございまして、世界じゅうの各地域にこういう紛争解決の平和的な方法の一つとして国連の代表を設けたらどうかという御提案をされておるわけであります。ことしの国連総会の一般討論の中でも大臣は同じことを申されておるわけでありまして、この間大臣が演説されたんですから、御記憶だと思いますが、こういうように書いてある。「私は平和維持活動と関連して、昨年の総会において、紛争を平和的に解決するための前提となるべき方策の一つとして世界の各地域に国際連合の代表を設けることなどを示唆しましたが、今後ともこれらの方策について検討を行なうべきであると考えます。」こういう御説をされておるのでありまするが、私はそれに関連いたしまして、私自身、このことは非常にけっこうなことだと思い、こういうことが外務大臣の示唆されるように実現されることを希望しておるものであります。そうなりますと、世界の各地域にこういうものを設けたいというのであればまず外務大臣がおっしゃった隗より始めよということばがありますが、私は日本がアジアあるいは極東地域の国連代表部を設けるという申し出をされたらどうかと思うのであります。実は、近く大阪で万国博覧会が開かれるのでありますが、この建物、土地、そういうものについて、そのあとの利用についていろいろ話が出ております。たとえば大阪府はどうしたいとか、大阪市はあとの建物をどう処分をしたい、あるいは建設省なり大蔵省なりそれぞれの希望を申し出ておるのであります。この際外務省として、私は国連の代表部を大阪の万博のあとの建物を利用して日本に置いたらどうか、こういうことを御提案申し上げたいのであります。実は、これは私の考えではなくて、関西のある有力な新聞社がちょっと提案しておるのでありますが、こういう考えがあるものですから、ちようど大臣が御出張のときでありましたが、外務省の国連局を通じて国連の本部のほうへ打診をしてもらってあるのであります。その結果についてもまだ承っておりませんけれども、こういうやり方について大臣の御演説の趣旨に沿った行き方だと私は考えるのでありますけれども、積極的に日本に国連の代表部を招致すべきではないかということにつきまして大臣の御見解を承りたいと思うのであります。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私がニューヨークを立ったあとに日本の代表部から打診をしてあるそうでございます。九月二十四日、その旨を申し入れて国連の意向を打診しておりますが、まだその反響はございません。ございませんが、確かに私は二回の演説において御指摘のとおり世界の各地に、代表部とは言いませんが、代表を設けたらどうか、こういうわけであります。建物を必ずしも必要とするかどうか、国連がこれを取り上げてどういう形にするか、それもまだわかりません。大阪の万博のあとにという非常に御奇特なお考えだと思いますが、いずれにいたしましても、かような提案が実現した上でのことであります。御奇特な提案に対しては十分に敬意を払って将来考究いたしたい、こう考えます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 いま大臣から御答弁がございまして、まあできるだけそういう趣旨に沿いたいという御意思だと思いますが、実はこの建物を建てるときに、将来もし国連のほうでそういう意図に使うということであれば、建てるときに、そのあとの利用を考えて、それに合ったような建物を建てておくこともできると思うわけであります。これからいろいろの建物を建てるわけでありますから、できたら早いところ国連の意向を打診していただいて、オーケーということであれば向こうの希望もいれて、あとあとそういうものに使いやすいような建物を建てておくことが必要だと思いますので、なるべく早く国連のほうから返事をもらえるように大臣のほうからもひとつ督促をしていただきたいと思うわけであります。  次の質問に移りますが、中国代表権の問題についてでございます。この国連の大臣の御演説をずっと読ましていただきますと、中国代表権の問題についてはこの前と同じような態度をおとりになったわけであります。この問題は、自民党の中でも非常にいまやかましい議論のある問題であるということはもう御承知のとおりでありますが、自民党の中にこういう意見があるわけであります。この重要事項の指定方式の提案国になるといたしましても、何もいまからきめておかなくてもいいじゃないか、そのときになって提案国になるときめたってよくはないか、いち早くそういう宣言をしてしまうということがどういう利益があるのか、もう少し外交に幅を持たしてフリーハンドでしばらく様子を見ておって、重要事項の指定方式の提案国になってよければそのときにやってもよいじゃないか、こういう意見がだいぶあるわけでありますが、そういう問題について外務大臣はどういう御所見でございましょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 たぶんこれはことしも具体的に提案されるだろうと思うのです。それは十一月に入ってからだと思います。でありますから、最終的にはそのときに日本の意思をはっきり申し述べるということに決定するということになるわけでありますが、しかし大体の各国の意向というものは、それぞれ方向がきまっていなくちゃならぬのであります。そういうわけで、今回の一般討論の際の演説の機会に各国の代表者といろいろ話し合ったのでありますが、大体現在日本がどういうふうに考えておるかというような点についてはまだ何も考えていない、こういうことは適当でない、すでに二回提案国になっておるのでございますから、現在の時点においては、日本としてはこれを変更する必要も認めていない、こういうくらいの腹がまえはつくっておかないといかぬ、こういうわけで、出発の前にその点を申し述べまして、閣議あるいは党の意向を打診して、そして私は向こうに参ったわけであります。そういうわけで、ぎりぎりのところ、意思決定をしてこれを明確にするということは、まだ時間はあります、時間はありますけれども、大体この問題に対する心組みというものは、やはりあるゆとりをとって、そしてその方向だけはきめておく必要がある、こういうわけであります。

永田亮一自由民主党

○永田委員 それはたいへんけっこうなのでありますが、大臣が演説をされた速記録を拝見いたしますと、ことしも三分の二の重要事項指定の方式にするということをはっきり言われておるわけであります。私が申し上げたのは、外交問題とか、あるいは世界情勢なんというものは非常に流動的でありまして、どういうふうに変わってくるか近い将来でもなかなかわからないという状態でありますので、そのときに冒頭の一般討論演説ですでに態度をきめられたということが得であるか、損であるかということをお伺いしたわけであります。いままで、けさの新聞を見てみますと、十月の十日までにすでに国連に加盟しておる国の半分以上、六十六ヵ国が一般討論演説をやったようでありますが、六十六ヵ国の中で、こういうふうにはっきり初めから意思を表示された国がどのくらいあるか、事務局のほうでおわかりでしょうか。たとえばカナダなんかはどうでありましょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この問題についてはっきり演説の中で言っているのは少数だと思います。しかし、それは少数ではあるけれども、演説では述べてないけれども、大体重要事項指定方式をとるべきであるという国は、述べる、述べないにかかわらず、もっと多数あるはずでございます。

永田亮一自由民主党

○永田委員 それじゃ論点を変えますが、いま外務省の見通しでは、この中国の国連加盟の問題の票読みといいますか、そういう見通しはどういうふうにお考えになっておるでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これこそ非常に流動的でありまして、いまここではっきり申し上げるわけにはまいらぬと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員 私の約束の時間が短いので、それじゃ次の問題に移りたいと思います。  外務大臣は、国連総会の前後あるいは帰りなどに、ラスク長官あるいはグロムイコソ連外相と会談をされたようでありますが、ラスク長官とかグロムイコ外相とどういう話をされたのか、その話をここで、公開のところでしゃべっていい範囲にひとつお漏らしを願いたいと思うのであります。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御両人とはたびたび会って会談をしておりますので、今回はほんとうのもう儀礼的なもので、あまりそう突っ込んだ話も、十分時間がございませんでしたので、申しておりません。多少問題に触れた問題もございますが、ここでだれがどう言ったというようなことは申し上げにくい。

永田亮一自由民主党

○永田委員 ベトナムの解決の問題について、特に何かお話をされませんでしたでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 今度はあまりそういう問題に触れなかったと記憶しております。

永田亮一自由民主党

○永田委員 このベトナム問題は、現実に毎日のように多くの人命が失われ、悲惨な破壊が行なわれているわけでありまして、こういう事態をどうして早く解決するか、これは日本人ばかりじゃない、国際世論もここにあると思うわけであります。この九月二十二日に始まった国連総会の一般討論を、ずっと新聞をみておりましても、このベトナム問題は今度の総会の正式な議題ではないのでありますけれども、しかしどの国もすべての国がこのベトナム問題に言及しておるわけでありまして、国連にとって最大の関心事だと思うのであります。私はいまの世界じゅうのいろいろのできごとを見て、やはりベトナム問題を何とかして早急に平和に解決しなくちゃならぬ、これがもう人類の最大の使命であるというふうに考えるわけであります。椎名さんの御演説を承りまして、これはちょうどその前の日に行なわれたゴールドバーグ米国代表の発言を全面的に支持された、これも確かに私は一つの見識だと思うのでありますが、アジアに起こっておるこういう不幸な事件でありまして、これを日本も早く解決させるという熱意といいますか、ねばり強さといいますか、何としても平和に早く解決しなければならぬという意欲を、実は日本人はみんな欲しておったわけであります。最近の新聞を見ると、総評のほうで何かベトナム戦争反対のストを日本でやるということが出ておりますが、これは私ら考えると、ちょっと筋違いのような、まあ御苦労さまと言いたいのでありますが、しかしこういう気持ちが、善意に解釈すれば、やはり日本人全体、世界じゅうの人がこういう気持ちをみんな持っておるに違いない。  きのうでしたか、英国外相のブラウンが六項目の提案をしております。これなんか実にその努力をしておると思って、私はブラン外相に敬意を表するのでありますが、英国ブラウン外相の提案、これは六項目にわたって新聞にも発表されておりますし、すでにきのう演説される前に、英国でその大体の骨子を発表して新聞にも出ておりましたから、それを読んだわけでありますが、こういう非常な世界じゅうの人がみんな努力をしておる。大体この解決の方向についての考え方というものが出そろってきたような気がするわけであります。たとえば去年の四月の北ベトナムの四条件、それから六月でしたか、南ベトナムが四条件を出した。ことしの一月にアメリカが十四項目の提案をしております。大体似たりよったりになってきたような感じがするわけであります。ただ北ベトナムの四条件の中で一つだけ、南ベトナムの統治方式をベトコン方式でやるという、これだけはちょっとどこの国も受け取りにくいのでありますが、その他の条件を見てみますと、北も南もアメリカもあるいは今度のブラウン外相の六項目の提案も、大体歩み寄ってきておるような気がするのであります。この際、やはりこれはアジアに起きた不幸な事件でありますので、日本ももう少し積極的に平和に向かって努力をする必要があるのじゃないか。外務省を中心にして国民のわれわれの気持ちを、実はもっと積極的にこのベトナム平和というものにぶつけてもらいたかったのであります。しかしこのアメリカのゴールドバーグの意見と全く同じだというのもあるいは一つの考え方かとも思いますけれども、やはりアジアに起きておるこういうものについて、日本としての平和をもたらす方策といいますか、努力というものを、将来もう少し積極的にやっていただきたい。これが私どもの偽らざる日本人の気持ちだろうと思うのであります。外務大臣は今後も、ジョンソン大統領が旅行されるときにマニラかどこかでお会いになるとかいうことをちょっと新聞で見たのですが、そういう機会でもあるいはもっと積極的に日本が平和に寄与するという何らかの積極策をお考えいただけないものか、そういう点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 新聞にどういうふうに出ているか私知りませんが、ジョンソン大統領と旅先で会うというつもりはございません。それはありません。御質問の筋とはこれは違いますが、そういう意図はないということを申し上げておきます。それから、日本としては、たびたび総理が言っておるとおり、まず武力行動をお互いにやめて、そして平和のテーブルに着く、これが先決ではないか、そうした上でいろいろ言い分があればそこで両方で述べ合って、その調整を第三者によってはかるなりあるいは互譲の精神でやるなり、とにかく戦争をまずやめる、それでアメリカはいつでも北の浸透作戦がやめば武器を置く、そして平和のテーブルに着く、こう言っているのだから、肝心の北ベトナムがその気持ちになりさえすれば平和収拾の段階に入り得ると私は考えております。しかし、北越に対する日本の影響力はごらんのとおり決してあるとはいえない。でありますから、どうすれば日本が日本の立場において可能な範囲において寄与し得るか、そういう機会があれば、日本は進んでそれに努力をするというつもりであるということは総理が毎々言っております。私どもとしては、やはり日本の従来の主張は一つの行き方である、ただし今回国連の場においてゴールドバーグ氏が当事国の代表として国連において提案された問題、これは従来よりもやや柔軟性を示したものとして、これは大いに考究に値するということを私は国連の演説において述べたのであります。とにかく北ベトナムがアメリカによって示された柔軟性というものに対して何らの反応を示しておらぬということは、やはり平和の段階に一歩も進んでおらぬということになると思うのであります。できるだけこれに対する反応を示すことが先決じゃないか、こう考えております。

永田亮一自由民主党

○永田委員 終わります。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣、御苦労さまでございました。長い間外務委員会を開きませんでしたので、いろいろ問題がたまっておりますけれども、たくさんの質問者がございますので、ごく問題をしぼって質問したい、こういうふうに考えますので、外務大臣もおそれ入りますけれども、声を少し大きくして、はっきりと簡潔に答えていただきたい。こういうふうにお願いいたします。  いま永田議員からベトナムの問題についてお話がございました。そして日本の外務省は、というよりも外務大臣は、日本の国民が非常に心配しているベトナムの平和ということに対してもう少し積極的に何か努力をすべきじゃないか、熱意がないというようなことまで言われたと思います。私はそのことは全面的に賛成でございますけれども、いまの外務大臣の御答弁を伺っておりますと、じっとしていていままでのような形をとっていることがベトナムの平和に役立つかのような答弁をされておられて、私はまことに残念だと思うのです。もう少し積極的な平和政策というものを示してもらいたい。  そこでまず第一にお伺いしたいことは、外相が帰国されまして記者会見をされたときに、フィリピンが提唱したベトナム参戦国七ヵ国会議に日本が参加しないのは当然であるということをおっしゃいました。これは全く当然の答えであったと私は思いました。そこでその報道によりますと、何かそのあとに白と黒との間に灰色があるというようなことをおっしゃったようでございます。これは一体何を意味したのかと私は考えてみたのですけれども、灰色、グレーということばは、ロマンスグレーとかいうなら幾らか魅力のあることばでございますけれども、これは大体においてたそがれの色じゃないかと思うのです。そこで椎名外交というのは、たそがれの外交を意味したのかなということもちょっと考えてみたり、それとも日本はこれからベトナム問題に対して中立的な立場で積極的に平和解決に臨むという意味であったのかどうか、それにしてはちょっと灰色ということばはふさわしくないのじゃないかということを考えたのですが、この辺の真意を承りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 さあ、どういう場合に灰色と言ったのか知りませんが、たとえ話じゃどうもよくわかりませんから、問題の所在をはっきりさしていただきたい。白と黒の間に灰色があるかないかなんということは、あまりどうも……。(笑声)

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 椎名外務大臣がお答えになったらしいのです。答えておきながら、それを忘れてしまうほど灰色外交ではないと私は思うのですけれども、ともかくベトナムの問題に対して、マニラの会議というものはどう考えるかという質問かどうか私もよく知りませんが、そういう意味のことを聞かれたときに、それは日本が参加しないのは当然である、こうおっしゃって、そのあとで白と黒との間に灰色があるからとおっしゃったようなんです。ですから、その辺のことをどういう意味でおっしゃったのか私は伺いたいと思ったわけです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 マニラ会議に参加するかしないかということについては私はっきり覚えておりますが、白と黒との間に灰色がある、どういうことを言ったのか、私一々覚えておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣、おっしゃったことを覚えていられないといえばそれ以上この問題は進まないと思いますのでやめますけれども、やはり私たちは外務大臣が世界を回ってこられて、そして記者会見をされたときに、どういう知識を持って、どういう態度で日本の外交を指導していくかということをおっしゃるかということを一生懸命聞いているわけです。あるいは新聞で見ているわけです。それを軽い気持ちで、何かそっと言っては、あとで何を言ったかわかりませんじゃ私は済まされないと思いますので、今後におきましては、そういう点はよく注意をしていただきたい。これをまず要望いたします。  そこで、ベトナム参戦国が集まって一体何をするんだろうということを私たちは非常に疑問に思うわけです。椎名外務大臣もそうお思いになると思います。それでこれまで以上にアメリカを応援しようという決意を盛り上げたり、あるいはまたアメリカの北爆の罪を他の国の責任に転嫁しようとする会議になることを、全く私たちはおそれているわけでございます。ベトナムの平和解決というよりは、これに逆行するようなものが出てきはしないかということを心配するわけで、ニュヨーク・タイムズなどの批評を見ましても、平和解決というよりも、むしろ時期を誤ったための逆効果であるというようなことさえいっているわけでございますが、外務大臣はどういうふうにお考えになっていられますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 まだ会議が始まっているわけでもございません。とにかくその会議において一体どういう結論が出るのか、これはひとのことでございます。その上でこれに対する判断をいたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 なるほど会議は始まっておりません。しかしひとのことといって片づけられる問題ですか。問題はベトナムの問題ですよ。ベトナムの問題で、しかも参戦国が集まっていろいろと討議をするというのですから、やはり日本の外務大臣としては、ある程度の分析なり何なりをして、御自分としての考えなり何なりを持っていてしかるべきではないか、こういうふうに考えるのですけれども、ひとのやることだからベトナムのことを何を話そうがそんなことは知ったことじゃない、こういうふうに投げやり的なお気持ちで見ていられるわけでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 分析しようにもまだ事実がそこに存在しておらぬのでありますから。ただ私は、希望としては一日も早く平和収拾するための会議であってほしい、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 希望としてはそうあってほしい、これはだれでも願うことだと思います。しかし集まる国々を見ますと、なかなかそうはいかないのじゃないかということで、私どもはたいへん心配をいたしております。外務大臣自身が、まだ何をするかわからないのでということでございますので、この問題はその程度にいたしますが、先ほど永田委員からもおっしゃいましたように、今回の国連での日本の外相の演説、ことに中国代表権の問題とか、あるいはベトナム問題について世界の各国が日本に期待していただけに、独自性を出してよかったのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。ベトナム平和解決に対しては、さっきから申し上げているように、何ら傾聴すべき意見もないし、ただアメリカの提案を支持する、こういうふうな言い方をしているわけで、これでは国際の舞台においても日本にあいそをつかす国がふえるのみではないかと私は思います。新聞の報道によりますと、非常に低調であって、聞くべきことがなかったので、ぼつぼつ、ぼつぼつ出ていってしまったということですが、こういうふうなことであっては、日本の発言の権威というものが認められないのではないかいうことで、私は非常に心配をして記事を読んでいたわけです。そこで、もっと確たるベトナムの平和ということに対して日本はこうするのだというようなものを何か持っていただきたい。アメリカに追従しているということ、ゴールドバーグの言うのに従っているということになりますと、かえってベトナムの和平ということに遠ざかっていくような結果になるということを私どもは心配をいたしますけれども、そういう問題に対しても、もっとはっきりとした態度を外相はお持ちでなければならないと思いますが、いかがでございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ゴールドバーグ氏の演説は、その内容よりも、当のアメリカの代表の意見である、こういう意味においてこれは問題になる、こう思います。しかして、従来よりもベトナム和平の問題については柔軟さを示しておるというところに私は評価すべきものが存在しておる、こう考えたから私の演説においてこの問題に触れた、このことだけを御了承願いたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 先ほどからもはっきりいたしましたように、ベトナム問題の解決については、たとえばアメリカのやり方を支持するとか、南ベトナムに対していろいろなものを援助する、こういうふうな形をとっていて、日本は平和のために努力するのだと言ってみたところで、これは平和への前進は少しもないと私は思うのです。  そこで、今日政府のやり方にとてもあきたりない、どうしても国民をあげて、平和のためにやれるだけのことをやらなければいけない、こういうことで、十月二十一日には、平和解決への道を望むのだ、大々的に戦争への反対の機運を盛り上げていこうという、こういう大衆が立ち上がろうとしているわけです。当然憲法の精神に沿うての運動を起こそうとしているわけでございますけれども、日本の国民がベトナムの平和ということを望んでいる、そういう面から考えても、政府自体はこれに対して抑圧とかあるいはまたそれに対していろいろな批判を加えたりということはなさらないと思いますけれども、この点に対して確かめておきたいと思います。さらにまた、こういうような問題を通して外務省自身、外務大臣自身が反省をされて、アメリカに向かっていままでのやり方というものは大いに反省すべきである、このくらいの忠告をすべきだと思いますけれども、この点についての外務大臣のお考えを伺いたい。平和に対する一歩前進の考え方を私は披瀝していただきたいと思いますが、どういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 アメリカは、北越の浸透作戦がとまれば、したがって南ベトナムの独立と自由というものが確保されることになるのであるから、それで満足して武器を置く、そうして和平の交渉に入ると、こう言っておるのであります。相手方がしかしこれをがえんじない、あくまで力によって自分の政治的目的を通そうとする、そこに問題があるのであります。それをどういうふうにして平和収拾をするかということは、問題は一にかかって北越の出方いかんによるものである、こう私は基本的には考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いま外務大臣は、アメリカはこう言っております、こういうふうに答弁されました。このことばは、私はこの外務委員会で何度か聞いております。アメリカはこう言っております、それを支持しているわけです。これでは私はベトナムの平和への解決ということは決して前進はないと思うわけです。アメリカがまず手を引いたらいいじゃありませんか。それをいつまでもいるから問題は解決できないのです。ベトナムのあの少数の民族が、よくこうして必死になって自分たちの独立のために戦っていると私たちは敬意を表するわけです。やはりそういうことを考えたときに、アメリカの北爆なり何なりはしかたがないのだと言って支持をするような態度を改めない限り、日本が平和に貢献するなんということは決して言えないのじゃないか、こういうことを考えますので、ほんとうに真剣に私たちは基地のある日本、そしてこの基地からアメリカが飛び立っていく、そういう状態の中にある日本の国民が、どんなに今日平和を愛し、そうして戦争に巻き込まれることをおそれているかということをもう少し真剣に外務大臣も考えていただきたい。そうしていままでのように、アメリカがこう言っていますというような、そういうおざなりの答弁でないようにしていただきたい。もっと積極的に和平への努力を――アメリカにも言うべきことは言い、反省を求むべきことは求めて、そうして努力をしていただきたい。これを私は要望いたしますけれども、もう一度それに対するお考えを伺いまして、次の問題に入りたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 戦争をやめて和平のテーブルに着くということは、戦いの当事者がもう戦争によって自分の意思を遂げようとすることをあきらめて、そうして和平の話し合いに入るという気持ちに両方がなることが必要であると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アメリカがいつまでもひとの国に入っていたのじゃ、問題は解決しないのです。そういうことを冷静に考えていただきたい、私はこう思います。  この問題で押し問答をしていても進みませんから、次の問題に移りますが、次は九月二十二日の新聞報道によりますと、九月十九日の八時ごろ日本の貨物船が韓国の南岸の統営と巨済島の間を航行中に、韓国の海上電話線を切断、破損したというので、韓国側はこれを不法破損だ、すなわち故意に破損をしたのだといって、電気通信法違反で船員の四名、それから貨物船を強制抑留したということが報道されておりました。さらにこの船の他の乗り組み員はまだ日本に帰されておりません。その家族の人たちは、もういても立ってもいられないという事件でございますけれども、これは現在どういうふうになっているのでしょうか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 ただいま御指摘のような事件がございまして、現状におきましてはまだ船も船員も帰ってきておりません。現在の状況は、はたしてこの室戸丸が海上の電線を切ったか、切った際に故意によって切ったのであるか、過失によって切ったのであるか、あるいは故意も過失もなくして切ったのであるかというような点について現場検証等を行なっておる状況でございまして、したがって、現在韓国の検事局において調査中でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまその後の経緯について伺ったのですけれども、一体故意に切ったのか、故意でないか、あるいはどういうふうにして切れたかということの現場検証をやっているというのですけれども、事件は十九日ですね。それでもうすでに幾日たっていると思いますか。二十日ですよ。その間どんな現場検証をやっているのでしょうか、その点も私は伺いたい。  さらに、外務省も御存じだと思いますけれども、二十八メートルの高さのケーブル線で、マストの高さは十九メートル一一だったということを聞いています。そうだとするならば、その商船の乗り組み員がわざわざケーブルを切るなんということは、どんなことをしたって考えられないと思うのです。間違って切るにしても、そのケーブルがたれ下がっているか何かで切ったのだ、こういうようにしか常識的に考えられないじゃありませんか。それがまだ現場検証だ、現場検証だということになって、そのままにされているというのは、どうしても私は解せないのですけれども、それ以上のことは何もおわかりになりませんか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 ただいま御指摘のような点が現地において論争になっておるようでありまして、現場検証も面のみならず二回やって――十日に二回目の検証をやったようでございます。御指摘のとおり手続が非常に長いわけでございまして、普通のこの種のケースでございますればもう少し早く進むはずでございます。その点につきまして、在ソウルの大使館及び釜山の総領事館から韓国側に対して促進するように強く申し入れている次第でございますが、現在のところまだ解決に至っておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで確かめておきたいことは、第一に、政府の所有物に対して故意によらざる行為であるならば、その限りでは弁償の問題だけで解決するわけですね。これはいかがでございますか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 先方の電気通信法及び刑法に規定がございますが、これにつきましては故意及び過失ともに対象になると思いますが、御指摘のとおりもし過失でありますれば、たとえば起訴猶予というようなことで弁償によって解決することもできるかと思います。ただ問題は、いまの故意、過失あるいはその両方ともなかったか、すなわち船のほうでは故意、過失ともになかったという主張をしておるようでございまして、そういうような点が論争点になっている次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 故意、過失両方ともないという結論が出たらどういうことになるのですか。それでもなおかつ抑留されているわけですか。結論はいまは出ませんけれども、出たとしたならば、その間抑留していたことに対して何か補償を要求できるわけですね。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 それを先方の警察あるいは検事当局が認めますれば、初めから事件はなかったことになります。それにつきまして、はたして刑事訴訟法、補償法というようなものがありますかどうか、私現在承知しておりませんが、もちろんもし全然なかった事件をそういう手続によって長い間勾留したということになりますれば、先方の責任ということが出てくると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 聞くところによりますと、この船は六十六航海も続けていて、そして無害通航権も持っている。そして非常にベテランの船だそうです。それがわざわざケーブルを切るということはどう考えてもないわけですけれども、韓国側が何かの言いがかりをつけて、この船を返すためには何とかというような取引の材料にしているのじゃないかというようなことを言っている人もおりますけれども、この点はどうでしょうか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 御指摘のとおり、この船は何回か韓国に行っておる船で、付近の状況は承知しておるようでございますけれども、ただケーブルを切ったということは事実のようでございます。ただそれが、先ほどのように故意であったか過失であったか、あるいは故意、過失ともなく、全くわからないうちに切ったということであるかというような点が論争点であるようでございます。非常に手続が長くかかっておりますので、ただいまおっしゃいましたようなことも考えられるのでございますが、先方は他の問題に引っかけるというようなことはせずに、この問題だけを単独に処理するということを申しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 検察庁に回されたというようなことをおっしゃったわけですけれども、そうすると当然弁護士はお雇いになったのでしょうね。この方たちに対する弁護をするために、現地においての弁護士は雇っていらっしゃるのでしょうね。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 これは現地にその船の代理店がございまして、訴訟のそういう手続関係の一切は、代理店が本社の指示によってやっております。どのような弁護人を選定しておりますかどうか、私ただいまのところ承知しておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 小川さんがお立ちになったのですから小川さんに言いますけれども、どのような手続をやっているか知りませんじゃ、私は済まされない問題だと思うのです。日本の国の船が――おそらく私は無理にそんな電線を切ることなんかしないと思うのですけれども、とにかくあやまちにしろ何にしろ切った。そのことだけで二十日以上も勾留されておって、しかも船員が全部抑留されているのですよ。それで検察庁に回されて、それは現地に出先機関があるからそこで何とかするでしょうと、こういう問題で解決していいのですか。やはりそこに外交権というものがあるのでしょう。お互いに日韓条約を結んだ以上は、私たちはこういう問題を起こさないということで反対はしましたけれども、自民党の方たちはこういう問題が起きないようにということで賛成されたのじゃないかと私は思うのです。それを外交保護権も何もなくて、あっちはあっちでやるのだからしかたがないですよ、こういう形でこの問題が解決していいものでしょうか。私は非常に義憤を感じます、そういう態度に対しては。検察庁でやられたなら、弁護士ぐらい雇ったかとか、あるいは一体どういう態度を韓国のほうじゃとっているのだということを、領事なり総領事を督促してお聞きになるのが日本の政府の態度じゃないのですか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 御指摘のとおりでございまして、私が申しましたのは、訴訟手続等につきましては当事者がやっているということを申したのでございまして、ただいま大使館及び領事館におきましては全力をあげて先方の中央政府及び地方政府に折衝しておりまして、手続が非常に長くなる、この種の事件でありますればもっと簡単に片づくはずのものが長くなる、そういうような点ははなはだ間違っているという点は、毎日のように当方から先方に申し入れをしておりまして、強力に援護をしている点は、事件始まって以来現在まで続けている次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣もお聞きになっていらっしゃると思うのですが、これはたいへん不法な韓国の行為だと私は思うのです。それで、もう一つ、向こうからの人から聞いたことなのですけれども、一つは、弁護士を雇いたいと現地で言いましても、現地の日本の領事館のほうで、いや韓国側を刺激して困るから弁護士はいま雇わないでくれ、こういうことで雇わせないということも聞いているのですけれども、このことはどうなっているのでしょうか、はっきりさせていただきたいと思うのです。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 そういううわさがあったようでございます。しかしその点につきましては、現地から、そういう事実は全くない、自分らは全面的に協力しているのであって、はなはだ心外であるという報告を受けております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それじゃ、現地のほうでたいへん苦しいので何とかしてほしいと言っても、何か韓国側の意見をおそろしがっていて非常に消極的だということを私は聞いたのですけれども、そういうことはないわけですね。どういうことを一体やっているのですか、現地の領事なり総領事は。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 はなはだただいまの先生の御指摘は心外でございまして、私どもは先ほどから申しますとおり、事件発生以来現地の釜山の総領事館では警察及び検事局に常時接触いたしまして、先ほども申しましたように、なるほど刑事手続というものが必要ならば、手続を早く進めてくれ、そして何回も申しますように、この種の事件であれば当然早く済むべきものであるから、他の問題その他にひっかけるというようなことは万一ないと思うけれども、とにかくこの事件についての手続を至急に進めるようにということを申しております。同時に、これはソウルにおきましても、韓国の中央政府にも申し入れている次第でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 じゃ外務大臣にこの点の念を押してお願いしたいのですけれども、もう一度領事館のほうに外務省から指令をお出しになって、そしてもっと強く韓国の政府に、早く返してもらいたい、そしてもしどうしても必要ならばそのうちの何人か責任者と思われる人を調べて、早く帰すようにするのもいいでしょうけれども、何にも知らない乗り組み員全部をそこに残しておくということ、それから船も返さないということ、一体これはどういうことであるか、強く抗議を外務省として申し込んでいただきたいし、それから弁護士もはたして雇ったかどうか、この点もはっきりさせていただいて、あとからでけっこうですから、この点を答弁していただきたいと思いますけれども、外務大臣、いかがでございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いま小川局長からも申し上げたとおり、従来からも熱心にこの問題の解決のために出先の公館において最善の努力をしております。御希望の筋は十分に理解いたしました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 十分理解したのでなくて、私が申しましたことをやってくださるというお約束はしていただけるわけでございますね。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 従来どおり最善の努力をなお続けてまいります。  それから弁護士等の問題につきましても、十分に確かめてみたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣もよそへ行っていらっしゃったので御存じないかもしれませんが、従来どおり一生懸命やっていたということが、私は一体どういうことをやっていらしゃったかということがちょっとわからないのです。ということは、あまりにも長くかかっている問題でございます。しかも商船です。商船を拿捕して乗り組み員を拿捕してということなので、やはりそこに日本の政府に少し弱いところがあるのじゃないかと思ってたいへん心配いたします。はっきり申しますと、何か平新艇を返さないからその取引に使っているんだなんというようなうわさも伝えられておりますけれども、一体こういうことはないのですか、あるのですか。そのこともはっきりさしておいていただきたいと思います。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 先方は平新艇事件とからませることはないということを申しております。平新艇事件につきまして韓国側にいろいろ不満があるということは承知しておりますが、平新艇事件の処理につきましては最も厳正公平に処理したことでございますので、そういうことを先方が言う理由はないわけでございます。したがって先方も公にそういうことを言っておりませんが、本件事件が延びているという点につきましては、あるいはそういうような疑いを持つ次第でございますので、そういうことは絶対しないようにということを再三申し入れております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 平新艇の問題は厳正中立に処理したということばが出たので私は非常に残念に思うのですけれども、いろいろな法律的なことから照らし合わせても、決して厳正中立ではなかったと思いますし、この問題はいずれ石井法務大臣でも来られてからはっきりさしたいと思いますが、ただその話が出たので私は一言触れておきたいのは、あの平新艇問題が出ましたときに韓国から警備艇が日本の港に入ってきていますね。二隻入ってきたと思うのですが、それは日本に事前通告をして入ってきたのでしょうか。その点をまず伺いたいと思うのです。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 韓国の警備艇は港外まで参りましたけれども、日本の領海には入ってきておりません。これにつきましては通告がございましたので、当方はその必要はないということで断わっております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 どこからどこへ通報があったのでしょうか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 在日の韓国大使館から外務省に来ております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 公船でございますから、出先機関などでかってな形で通報すべきではないと思うのです。やはりそういうふうな公船が入港するときには、当然韓国の政府から日本の政府なり何なりを通して通告してこなければいけないと思いますけれども、ともかく大使館から公式な通告が入ったということでございますのでまああれですけれども、韓国のやり方というのは非常にそういうふうに日本に対していつでも威圧的に出ておりますね。不法不当なことを行ない、そうして非常に威圧的に出ていると思うので、こういうところをもう少し日本政府もしっかりしていただきたい、こういうふうに思います。  さらに、九月八日には韓国の漁船が築地の岸壁に入ってきて、そうして日本は、漁船が無断で寄港していいということを許していないはずであるにもかかわらず、特例を設けてお魚を買ってその船を帰した、こういうふうに新聞で報道されているのでございますけれども、日本の港にこの漁船が入ってきたのは、当時の状況から見ましても緊急避難ではなかったと思います。魚を売るという目的で入ってきていると思うのですが、こういうのは領海侵犯にはならないのですか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 外国漁船の入港にきましては、現在まで――関係の各省がたくさんございますが、現在まで規制する具体的な立法がございません。したがいまして、従来も外国漁船は入っておったわけでございますが、この点につきましては、最近外国漁船の入港につきまして政府としてある程度の規制をする必要があるということで、先般閣議によりまして、その方針でこれから具体的な処置をとるという決定があったわけでございます。この御指摘の漁船はその閣議の直後に入ってまいりました。まだ日本政府各省とも具体的な手続をきめておらないときでございましたので、韓国側にそういう通報もしてないときでございました。したがいまして、この場合には特にこれを退去を求めるということなく、ただ水揚げその他を禁止するという処置をとりまして、そのまま漁船は二日ばかり停留いたしまして、出港したわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 常識的に考えれば領海侵犯ですね。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 領海に入ったことは事実でございますが、侵犯ということで、当方が別に退去を求めているわけでございませんので、水揚げをしなければよろしいという許可を与えたわけでございますので、侵犯ということではないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 侵犯ではないんですか。今後これは私は問題になってくると思うんです。韓国の船が魚を持って、そして、別にその当時台風でもってしかたがなしに寄ったというんじゃない。明らかに魚を売りに来たんです。しかもそれを売っていったわけですけれども、それを、領海には入ってきたけれども侵犯ではないと言われる。じゃ、何なんでしょうか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 特別の、先ほど申しましたように、この際には禁止するのは水揚げを禁止しよう、その他の薪炭の補給その他についてはこれを許可しようということで、水揚げ禁止で入港を許したわけでございますから、わがほうから退去を求めるというような処置は別にとらなかったわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、今後そういうことがあったときには、水揚げを禁止して、そして補給をすることは許すということで、領海侵犯にならないわけですね。こういう例があっても、そういうふうにして解決できるわけなんですね。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 そういう点につきまして、先ほど申しましたように、外国漁船を、どのように入港を規制するかという点につきまして現在各省で検討中でございますので、今後たとえば、こういう漁船については一切入港を禁止する、あるいはこういう漁船につきましては入港は認めるが水揚げは許さない、あるいはこういう漁船については入港して乗員の上陸も許すというような具体的なこれからの措置につきまして、現在水産庁を中心に各省が研究しておりますので、その具体的な措置ができますれば、今後はそれに従いまして漁船の入港は規制されることになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は、漁船の入港を今後において禁止するとかなんとかというんじゃなく、この時点においては領海侵犯だったでしょうということを伺っておるのです。この時点でも領海侵犯でないという理論がどうして成り立つのか、ちょっと了解できないんですけれども、その点をもう少しはっきりさしておいていただきたいと思います。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 領海におきましては、一般国際法上、沿岸国が適宜外国船舶にも規制を及ぼすことができるわけでありますが、その規制に外国船舶が反した場合に領海侵犯に該当することになるわけであります。ところが、現在日本におきましては、そういう領海に入ること、港に入ること等について、これを規制する法令がございませんので、そういう法令違反という事実がございません以上は、領海侵犯ということには該当しないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 条約局長、伺いますけれども、日本一では漁船が日本の港に寄港していいという何か取りきめがありますか、いままでに。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 寄港していいという取りきめはございません。それは寄港してはいけないという一般的な禁止がある場合にだけ、ほかの国の、ある国の漁船は入っていいという取りきめをする必要が生ずるわけでございまして、初めからそういう禁止はございませんので、そういう入れることについての取りきめも必要がないということに相なるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いままでは常識的に無断で漁船が日本の港に寄港することは許されていなかった思うんですけれども、それは許されていたんですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 私は実態がどうなっておるか存じませんが、とにかく禁止する法令がなかったことは事実でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 小川さんは、いま水産庁を中心につくろうとしておるとおっしゃいましたね。そうすると、いままではそういうことがきめられておる法律がなかったのだから、いままではどうでもいいわけだったのですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 禁止するとか制限するとか、法令もございませんし、あるいは許すという意味の法令も何もなかった状態であるというふうに私は了解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると何もなければ入ってきてもいいわけですか。どういうふうに解釈するのですか、そういうときには。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 これはどうも一般国際法上は入ってきてもいいということになるだろうと思います。ただ、それぞれの国にはいろいろしきたりがございますので、法令上の根拠がございませんでも、慣例としてこうだとか、あるいは慣習法がこういうふうにその国としてなっておるとかいうことがございますので、実際上日本の港に外国の漁船が入ってくる場合のしきたり等については、私は詳しいことは存じません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうことってあるのでしょうか。領海の中に漁船がどんどん入ってきても主権侵害でもなし、これに対する規制の法律もない、許可してもない、こんなことでどうやって問題を解決しますか、問題が起きたときに。たとえば、それならば日本の漁船が韓国へ入っていってもいいのですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 国際法上は、領海に入ること自身が禁ぜられておるわけではないのでございまして、領海に入る場合には、その沿岸国の規制に服するということがあるだけでございます。日本の場合に、従来外国漁船の領海に入ることについて、これを規制する法令がなかったということは、実際上外国漁船を規制する必要が生ずるようなケースが少なかった。いま、たまたま起こってきて、それで新しくそういうものをつくろうということで検討中である、かように私は了解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それじゃ沿岸国の規制を持っておる国はどことどこですか――いま詳しくどことどこというふうにおっしゃれないかもしれませんが、それじゃ韓国は持っておりますか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 韓国は、この間の協定によりまして、漁業専管水域というものを設定しまして、日本との関係においては、この漁業専管水域には日本の漁船は入れないということにしたわけでございます。日本のほうもこれに対応しまして、法令をもちまして新たに特定の水域を韓国との関係において漁業専管水域として設定したわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 だから、韓国の船が日本の沿岸に入ってきたらば領海侵犯でしょう。ただ、それをこれはだいじょうぶです、何も規制がありません、日本には何の規制もありません、入ってきていけないという規制も、いいという規制もないのだから、これはしかたがないのだといって解決できる問題ですか。私、ちょっとわからない。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 漁業水域というのは、漁業活動を自国民にだけ留保して、その相手国の国民にやらせないという趣旨のものでございまして、それ以外の無害通航などは許される。これがまず第一点でございます。  それから第二点として、いま入ってきた港は、漁業水域として日本が指定した水域にあるというふうには私は了解いたしておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっとあとのところをもう一ぺん……。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 いま問題になっております韓国の漁船が日本の港に入ってきたという事件の港は、この漁業水域として日本が指定した水域ではないというふうに私は了解いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それじゃ漁業水域として指定しておる港でないところなら入ってきてもよろしいということなんですね。どこへ入ってもいいということなんですね。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 私が申し上げられることは、法令上これを規制するものがいままではなかったということだけでありまして、実際上の取り扱いが水産当局においてどうなっておるかということは、私は存じません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私、これは、藤崎さん、たいへん頭がいいので、うまいことばで逃げていらっしゃるのですけれども、私は納得できないのです。どうしても納得できない。このことは水産庁の問題ではないと思うのです。外交上の問題ですよ。日韓条約を結んだでしょう。そうしてそういういろいろな問題が起こらないようにしたのでしょう、政府としては。ところがどんどんそういう問題を起こしておるのです。日本の国民は、私いまのような答弁じゃ納得できないと思うのです。私だけじゃないと思うのですよ。どうしても納得できません。日本が規制した水域じゃないんだから、築地の中に入ってきても領海侵犯じゃありませんとなると、どういうときに一体領海侵犯ということになるのですか。もう領海侵犯というのはないのですね。さっきのことはわかります。さっきおっしゃったその法律論はよくわかりますけれども、こういうことも問題じゃないということになると、日本の主権はどうか、どういうときに注意ができるか、どういうときにあれだということは外務省として外交上きめておかなければならないことじゃないのですか、これは。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 外国の漁船の入港を許すとかあるいは水揚げを許すとかどうかということは、これは漁業水域の問題とは関係なく、したがって日韓漁業協定ができる前から、日本がやろうと思えば、またやる必要があれば、やれたことでございまして、いままで私の了解しているところでは、そういう必要が認められなかったのでそれを規制する法令が設けられていなかったというふうに了解しておりますと、かように申し上げておるわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると、いままではどこの漁船が日本の港へどんどん入ってきてもこれは問題でない、いままではなかった。しかし、これからは水産庁を中心にしていろいろ研究してこれを規制する。どこの沿岸には入ってきちゃいけない、どこの沿岸には入ってきちゃいけない、しかし、それに漏れた沿岸なら入ってきてもいい、こういうふうに結論づけていいわけですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 私も、その規制しようとする案の内容等を全然存じませんが、大体お示しのような方向であろうと存じます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いままでの問題も、私はいままでのような御答弁ではとうてい満足できません。よくこれを考えてみました。考えれば考えるほど私わからないと思うのです。これはもうちょっと研究もしてみたいと思います。  そこで、もう一点これについて伺いたいことは、やはりこの船はかつて日本の名前がついていたそうです。ところがその名前をペンキかなんかで塗って、そうしてそのままにしてあったということも聞いているのですけれども、そこで築地の人たちがみんなで、あれは日本の船だったといって大騒ぎをしたというふうに報道されていたわけですけれども、それをお調べにならなかったのですか、お調べになったのですか、この点も伺いたいと思うのです。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 その点につきましては承知しておりませんので、特に私どもとしては調査したことはございませんが、当時他の省において調べましたかどうか、調査いたします。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 いまちょっとあれしていたのですけれども、調べなかったとおっしゃったのですね。そうするとどこでも調べなかったのですか。全然日本の政府はノータッチですか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 ただいまお答えいたしましたのは、私どもとしてはその事実を存じませんので調べませんでしたが、他の機関において調べたかどうかを調査いたします、そういうことを申し上げました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 他の機関というとどこでしょう。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 たとえば水産庁とか入国管理局とかというところでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 もしもそれがかつて季ラインかなにかで拿捕された日本の船であったとしたならば、それを調べずにそのまま帰したということに対して外務省はどうお考えになりますか。

小川平四郎外務事務官(アジア局長)

○小川説明員 初めて伺います問題でございますので、ただいまお答えいたしかねます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういう問題が起きましたら、国民はみんな非常に関心を持っているのですから、もう少し積極的にお調べになっていただきたいと思うのです。外務大臣、いまお聞きのとおりの問題でございますけれども、大臣としては外交上の問題として、しかも日本と韓国との間に条約が結ばれた。季ラインでたいへん日本の漁船が拿捕された。こういう事件があったあとだけに、この問題が、もしも接収された日本の船であったとしたときには、どういうふうに処置すべきだとお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 仮定の問題の御質問でございますが、いずれにいたしましても、この拿捕をした、しないの問題は、協定ですでに解決済みの問題であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 協定で解決済みとはどういうことですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 いまの問題の船がいつ拿捕されたか存じませんが、もし、これが協定前に拿捕されたものであるとしますれば、御存じのように請求権に関する今度の協定によりまして日韓間の一切の請求権はもう消滅したものとすることになっております。その中には、合意議事録に示されておりますように、船舶の関係も含まれるということに相なっておるわけでございますので、かりにそういう昔向こうが拿捕した船舶というようなことであれば、いまそれを取り上げて現在日本が問題にするというような立場にはないわけでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ということは、あとの場合だったらば問題になるということですね。――いいです、そういうことで了解いたしますけれども、ただ私が言わんとすることは、日韓条約というものがあれほど反対をしたのにもかかわらず、わずか何秒間かでぱっと通してしまった。しかし、その場合に、日本の政府は日本と韓国の間の外交上の問題をうまくいくようにするのだ、こういうふうなことであの条約をお通しになったと思いますけれども、ちっともうまくいってないじゃありませんか。日本では不法、不当に拿捕されたり商船がつかまったりいろいろな難くせをつけられていて、日本に来た船に対してはまるで野方図にこれをカバーするような形で帰してやるとか、こういうふうな韓国に対しては全く無為無策の、対韓外交はなってないんじゃないかと私は非常に憤慨をせざるを得ないのですけれども、外務大臣、この辺で少し対韓対策というものをしっかりお考えになっていただきたいと思うのですが、その御決意を承っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 締結以来日韓関係は非常にうまくいっております。たまたまこういったような問題がありますが、こういったようなことは、あんまり憤慨するのは匹夫の勇であって、たいして問題にならない。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣、いまのおことばは私は黙って聞いていられません。もっと拿捕された漁船の人なりその家族の人の身になってお考えになったらば、そんな笑いごとで済まされない問題だと思います。そのふまじめな態度は私は直していただきたい。その家族の身になってもう少し考えてあげていただきたい。これをもう一度要望いたします。  森総務長官が何か時間がないようですから、いろいろ伺いたかったのですが……。森総務長官が就任早々熱心に沖繩の問題をいろいろと取り組まれているわけでございますけれども、御承知のように沖繩の問題で一番大事なことは、施政権の返還ということだと思うのです。そのことがおろそかにされては何にもならないと思うのです。さきごろ森長官が高等弁務官に対して日本の教育権の返還を申し入れた、こういうふうなことでございますけれども、この教育権の実体は一体どういうものであるでしょうか。立法、司法、行政の三権にまたがるものなのでしょうか、それとも教育行政に関する部分の返還でございましょうか。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 私、先般の内閣改造で総務長官を拝命いたしました森清でございます。外務委員会の皆さん方には初めてのごあいさつだと思いますが、よろしくお願いします。  ただいまの戸叶さんの御質問でございますが、私は就任早々に沖繩に飛びました。そして沖繩の人たちの実態をこのはだで触れて感じましたことは、何といっても本土復帰でございます。これはわれわれ内地に住む一億の国民もひとしくこいねがっておるところでございまして、したがって施政権の返還ということはわれわれの悲願ではございますが、今日の国際情勢並びに特に極東の情勢等からいって、私は、まあ地域別の返還とか機能別の返還とか、いろいろある中で、その機能別のうちから特に教育権を返還してもらうことが、これが将来の沖繩にとっても、あるいは日米関係にとっても、非常に有効適切なものではないか、こう考えまして、教育権の返還を――当然ワトソン高等弁務官は現地の司令官でございますから、その職権はないところでございますけれども、私は私の意見として率直に述べたわけでございます。したがって、私の考えます教育権の返還の中には、司法、立法、行政、三権含まれたものでありますが、ただ、これはたとえば人間のからだの一部を切り取るようなものでございまして、したがって、その手段、方法等につきましては非常に問題がございます。そこで、そうした問題を具体的に進めるにはどうしたらいいかというので、私は御承知のとおりしろうとでございますから、そうした関係のベテランといわれている方々にお集まり願いまして、沖繩問題の懇談会をつくったわけであります。そうしてこれらの人たちと鋭意慎重な検討をしながら、理想論としては司法、行政、立法の三権、三つを返してもらいたいとは思いますけれども、具体的な問題を目下検討中でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 具体的な問題は検討中ということでございますが、もう一度念を押しますと、森長官としては、立法、司法、行政――教育に関するものは返してもらいたいのだ、しかしそういうふうになるかどうかはまだわからない、もしもそうでないとするならば、これは施政権の中の教育権を返してもらう、教育権の中の行政の一部をやるということになりますと、結局施政権の返還、一部返還ということにはならないわけでございますね。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、理想論としてはその三つを返してもらうべきであるが、しかしこれは具体的に検討するといろいろと問題が出てくると思いますので、したがって、沖繩問題懇談会におきましていま検討を願っており、最終的な結果はもちろんまだ出ておりません。検討中でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 よくわかりました。理想はそうであるけれども、もしかしたらば教育権も行政の一部かもしれないわけでしょう。その司法、行政、立法三権でなくて、行政権の一部かもしれない。もしそうだとすれば、これは施政権の一部返還ということにはなりませんか。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 私はいまその仮定を置きたくないのであります。私が言い出してからまだきわめて短時日でございまして、たとえば教育権、施政権というふうに呼ぶことがいいかどうか、これは問題があるでしょうけれども、しかし私がいま考えておるのは教育権でございます。ですから、たとえば戸叶先生のおっしゃるような形で納得するかどうか、私はこれはまた別問題だと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 森総務長官の考えていらっしゃるところはよくわかりますけれども、私は施政権の分離返還ということが一体あるのかどうかということにちょっと疑問を持っているものです。その問題で私はいろいろと質問してみたかったのですけれども、きょうは時間がないようですからいたしませんけれども、ただ森総務長官が言われている理想と現実とが違うような場合には、結局それは施政権の一部返還でなくて自治権というものになるのじゃないですか。自治権の拡大ということになるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでございますか。施政権というものと自治権というものは私は違うと思うのです。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 当然違うと思います。私がワトソン高等弁務官といろいろ話し合いましたときにも、私は就任以来自治権の拡大についてはどんどん布令、布告を改廃しながら今日に及んでいる、しかし教育権と言われると、これは平和条約第三条にも抵触することであるから、それは私としては一言も批判はできない、こういうことばもありまして、私はそれに対して、それはよくわかっております、わかっておりますが、いま沖繩の置かれている立場、日米琉の関係、あるいは極東情勢からいって、民族の帰属本能というものをどうか重視してもらいたいということで、私はこの問題を取り上げ、かつ努力をしているわけでございますので、最終的に戸叶さんのおっしゃるように、場合によってはいわゆる自治権の拡大というふうなことで――これは相手のあることでございますから、半歩くらいあるいは一歩前進という形に落ちつくかもわかりませんけれども、私の今日掲げている目標はそういうことではございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 森総務長官の意図し、また願いとするところもよくわかるのですけれども、講和条約の三条の解釈からいいましても、私はやはり施政権の分離返還ということはどうもむずかしいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。しかし、自治権の拡大ということであるならば、それはそれなりに理由はつきますけれども、その自治権の拡大ということを私たちはとやかく言うものじゃありません。何とかして沖繩を早く日本に返してほしい、復帰させたいという気持ちですから、とやかく言いませんけれども、ただ今回の森総務長官の教育権という施政権の一部返還ということは、かつて昭和三十三年に岸首相が自衛隊を沖繩にやることによって、何か一つの施政権のへこみ論というようなものが言い出された、それに相通ずるものがあるように思いまして、それは間違いであるということを私は言いたかったのです。そこでまたさらに自治権の拡大というのを施政権の返還につながるかのような言い方をして、実際の沖繩の復帰というものがおろそかにされる、施政権の返還というものがぼやかされてしまうような、ごまかされてしまうような傾向に今日あるものですから、それを私は非常に心配いたしまして、自治権の拡大なら自治権の拡大というべきであって、施政権はそれだけ教育権を取ることによってへこんで取れるんだ、この次には何を取るんだと言いながら、結局一番大事な施政権の問題がうやむやにされるのじゃないかということを懸念いたしましたので、こういう点を追及したわけでございます。いま考慮中であるということで、いろいろと議論ができないのはまことに残念だと思います。  あと裁判移送の問題などにつきまして、穗積委員からも御質問があると思いますけれども、一体今度の裁判移送の問題について、沖繩の現地の人たちは非常に憤慨しておりますし、私どもとしても同じ国民同士をさばくのに、同じ国民同士でさばかれるというのじゃなくて、外国人によってこれが裁判されるというようなこと、そしてアメリカの大統領の布令というものが出されておりますけれども、一体今度の事件というものがアメリカの利益なり何なりを侵害することがあったのかどうかということをたいへん疑問に思うのです。この点の御所見だけを総務長官に伺いまして、私の質問を譲りたいと思います。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 現在の段階におきましては、沖繩の施政権がアメリカに握られていることは、これは冷厳なる事実でございます。そこで、そういう立場からアメリカがあの友利事件あるいはサンマ事件等についてああいう措置をとったということは、これはアメリカとしては場合によっては当然かもわかりません。しかしわれわれの国民感情からいえば、これは何か割り切れないものをたくさん持っております。したがって、私はこの沖繩を訪問した際でも、この問題の善処方を強く要望したのでございますが、結果においてはワトソン高等弁務官が離任に際しましてああいう措置をとられたということは、私もまことに遺憾でございます。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 きょうは久しぶりの委員会でありますから、緊急な重要な問題についてたくさんお尋ねしたいのですけれども、森長官が時間をお急ぎのようでございますから、関連いたしまして、先に簡単にお尋ねいたします。  ただいまの施政権の中の教育権を分離返還をしたいというあなたのものの考え方というのを、私は他党でありますけれども、いささか理解ができるような気持ちでおりますから、あなたは部分返還が可能であればそれを実現をし、三歩三歩前進をしてすべての施政権を返還をしたい、こういう主観的希望を持っておられることを発表されておりますし、私もそれを疑いたくはありません。しかしながら客観的なこういう行為、国際関係のできごとというのは法理的にかつ客観的に判断をいたしませんと、提案者の主観とは別個に、そのときの条約の解釈、あるいはまた政治情勢によりまして、はなはだしく歪曲されて、事、志と違った結果になる場合があり得るわけであります。そこでいま戸叶委員の質問に対してのお答えを伺いますと、ただいま沖繩懇談会において検討してもらっておるところであって、具体的なものはまだ確定をしていない、こういうことでありますけれども、ただこの問題を提案されるにあたりましては、一つの発想というか、アイデアがなくてはならないと思います。  そこで第一にお尋ねいたしますが、施政権の中の一部の、たとえば今度の教育権ですが、そういうものが分離して他の政府によって施行されるということが、国際関係上、可能であるとお考えになっておられるかどうか、それからお尋ねをいたします。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 私も、いま穗積さんのお考えになっているような点につきましては、非常に私自身も研究いたしまして、私は、可能であるという判定のもとに実は現地に参りましたときに、高等弁務官との話の中にこの話を出したのでありますが、しかしワトソンとその問題を話し合ったということを発表いたしましたところが、意外な反響を呼びましたので、したがって、私は、直ちに沖繩問題懇談会をつくりまして、それらのベテランの方々の御意見も拝聴いたして今日に至っております。そうした方々の御意見をいまこの段階に発表することは、あるいは道義上もよろしくないこととは思いますけれども、当時、冒頭に私のそのことが可能なりやいなやという質問に対しまして、委員の方々は口をそろえて、理論的には可能である、こういう結論を出していただいたので、私もその観点に沿ってこの問題を進めているようなわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私もそれは仄聞をいたしております。たとえばわれわれもその講義を聞いたことのある横田喜三郎先生、あるいは委員の一人である林前法制局長官、あるいは外では、たとえば入江啓四郎国際法の教授のごときも、分離返還可能だということを言っておる。ところが、外務省は必ずしもそういう考え方を従来持っていなかったと思うのですね。これは私は、いま政治的に聞いているのじゃありませんよ。法理上聞いておるのでございます。この問題は、後に重要な問題を次々に連鎖的に生じてまいりますし、他の場合にも影響いたしますから、私は、筋道を立てて法理上聞いておるのです。椎名外務大臣に、政治的判断は別といたしまして、法理上、施政権を分離して二つの政府がこれを施行することが可能であると外務省はお考えになっておられるかどうか、それをお伺いいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この問題はいままでかつて具体的に問題になったことはございませんので、外務省としてはまだ十分に研究しておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 外務大臣、森長官があれほど熱心に――しかも直接沖繩の民政の問題については総理府長官の所管でありますけれども、対米交渉については外務省の所管でございます。こういう問題がすでに具体的に出て沖繩懇談会が長官のもとに諮問機関として発足をし、その中で多くの意見が述べられ、やがて森長官はその判断がついたならば、場合によればアメリカ本国まで乗り込んで政府の責任者と談判をしよう、こういうことすら談話で言っておられるときに、外務省はいままでそんなことを考えたことがないから検討していないととぼけた御答弁では、われわれは納得ができません。したがって、考える、考えぬは別として、外務省の対外折衝というものは国際法または国際慣例に従って行なわれておるのでありますから、したがって、このことはいまから研究しなければならぬ問題じゃない。いままでにすでに明確であるべき論理でございます、外務省としての。だから聞いているのです。外務大臣、お答えください。――先にどうぞ。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 実はこの問題で外務大臣を責められると私はまことに……。(穗積委員「外務省が怠慢だからそういうことになるんだよ」と呼ぶ)一言事のいきさつを述べさせていただきたいと思いますが、実は私帰りましてから閣議におきましてこういう話をした。したがって、この問題については沖繩担当の総務長官が自分の全責任においてともかくその基礎固めをしたいと思う、したがってこのことが閣議決定とか閣議了解とかいう形でなくして、ともかく私にはそういう形があると重荷を背負って長いけわしい道を歩むような結果になるから、フリーな立場において沖繩担当の総務長官としてひとつある程度まで努力さしてもらいたい、実はこういう了解をしていただいておるのであります。したがって私が――これは穗積さんも御承知のとおり、まことに困難な問題であることは承知をしております。そしてまたこうした問題を軽々に取り上げることも、考え方によっては非常識だということもわかっておりますが、ただ私は沖繩の現状が坐視するにしのびず、何としてでも一歩でも半歩でも進めたい。しかもその民族の帰属本能というものはこれにふたをすればするだけいつかは爆発をするだろう。こういう危険な様相すら肌で感じたものですから、私はいまこれを真剣に取り組んでおるのでございまして、ある程度の基礎固めができましたならば初めて外務大臣とも相談をし、これを外交路線に乗せたい、こういう考え方で私はいるのでございます。したがって、本来ならば外務大臣に逐一御報告をし、御相談をし、協力の上でこの問題は進めなければならぬと思いますが、その段階にはまだ一歩あるということを御承知願いたいと思うのであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 先ほど言ったように、あなたの善意と思われる主観的願望について私はけちをつけたり疑おうとは考えていない。またそれを妨害しようと思っていない。ところがその善意に反する結果が生まれることを、条約上あるいは政治上間違いが起きることを懸念するから、だからこれをこの際明らかに事前にしておく必要があるというので伺っておるのです。  そこで外務大臣、いままで森長官のもとで取り上げられておる経過はまだ聞いていないということでけっこうですが、私はこの国際条約または慣例上、施政権を分離して二ヵ国でこれを管理、施行することが可能であるという法理に立っておられるかどうかという抽象的かつ原則的な解釈を聞いておるのです。どうぞそれでお答えください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これはひとつ条約局長から……。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 施政権のうちのある分野を限ってこれを他から切り離すことができるかどうかという問題は、国際法の問題というよりは、理論的には国法学の問題ではないかと思います。  先例の点でございますが、そういう分野を分離して二つの別個の主権に属せしめたいというような例は、私は承知いたしておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 この間の懇談会においては横田あるいは林委員は、たとえば保護国と被保護国との例、あるいはまた州政府と連邦政府間の行政権の一部の分離所管というようなことを例にあげておられますが、当の相手のダレス並びにワトソンは分離返還ということはできない、不可能であるという立場をいままでにすでに明確にしております。ただ、アメリカのこの諸君のできないと言っておることは、法理上の解釈のほかに政治的な判断が伴って、特に軍事的判断が伴って、一部返還をするとアメリカの沖繩における軍事基地の立場が弱められる、そういう政治的な計算も入れて、口には言わないが、それを大いに考慮の上で言っておると思うのです。  ところが、これは私個人の解釈でありますが、いま条約局長は、いままでの過去において慣例がないということを言われましたけれども、私は、慣例の有無にかかわらず、法理上、行政権、施政権というものを分離して二ヵ国違った政府が同じ住民、同じ地域に対してこれを支配、管理することは不可能であると解釈いたします。これは私の解釈が最良のものであるというふうに自負するわけでは決してありません。ただ分離返還だということを所論をされる方々の御議論を伺いまして、それをくつがえすに足る納得が私はまだできていない、こういうことであります。森長官は大体そのことを希望的には可能であるという観測によって出発をされたと思うし、あなたは、先ほど報告のとおり、われわれも新聞で承知しておりますが、この問題を取り上げるときには閣議で報告をされて――佐藤総理はじめ椎名外務大臣もおられたはずでありますが、佐藤総理から政府を代表して、まことに適宜な発想である、しっかりやってくれという激励まで受けられてスタートしておられるわけですね。ところがこの場合には、あなたの主観においては沖繩の住民とわれわれ日本国民とがまず教育の面からで一歩でも一緒になるという願望はお持ちになったとしても、一般的な原則となりますと、そうでない具体的な場合が出てまいりますから、そこのところは慎重に配慮していただきたい。  そこで第二にお尋ねいたしますが、もしあなたの願望されるとおり、あるいは委員の一部が言われるように、分離返還が可能であるとしたときには、もとより現在わが国においてすでに施行されております教育基本法をはじめとする諸国内法が沖繩の教育についてはそのまま施行されるわけですね。予算も当然でございましょう。それはそれで間違いありませんか。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 私の希望といたしましてはそのとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういたしますと、事の論理上、これから日本の国会において国内法として立法されます教育に関する諸法律が制定されましたときには、当然自動的に沖繩の児童並びに教育関係地域にこれが効力を発生いたしますね。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 教育権の返還となりますと、もしそれが可能な場合には当然そういうことが考えられるわけでありますが、先ほどもお答え申し上げましたように、施政権のうちの教育権だけを取り上げるということ、これは私のつくりました沖繩問題懇談会におきましては理論的には可能だということが出ましたけれども、しかしいずれにしても肉体の一部を切り取るようなものでございますので、したがって、具体的にこれを検討しますと、いろいろな問題が出てまいります。困難な問題もあれば可能な問題もある。そうしたことを検討して、私たちは最大の効果をもたらすように努力をいたしたいと思っているわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あなたの善意あるお気持ちはよくわかります。私の伺っておるのは、現在までの教育基本法をはじめとして施行されておる国内教育関係の法律が沖繩にも効力を発生するということであるならば、これから国会で将来審議立法されることの予想される教育に関する法律は、自動的に沖繩に施行され効力を発生する、そういうかまえでなければ論理一貫いたしませんですね、そのことを伺っているわけです。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 これは、申し上げるまでもなく、当然相手のあることでございますから、そこでそうしたことはわれわれがこれから、もしアメリカ側においてこれを受け入れられるような情勢になりましたならば、日本とアメリカと琉球政府との間、三者が合意でなければこのことはできないと思います。自動的にということよりも、むしろ合意の点でどの辺までいけるかということになると思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 もとより現在の施政権一部返還すら、相手のあることですから、あなたの願望どおりにいくとは限っていない。ただあなたの理解、あなたの願望はどうであるかといえば、当然将来立法されるものまで施行されることを予期しておる、当然な希望である、論理の発展である、こういうことであると思うのです。  そういたしますと、教育権の問題は、実は沖繩における立法権の一部がわが国会に移るわけですね。これは単なる行政権の問題だけでなくて、沖繩における立法権の一部が教育に関する部分に関しては日本のここの国会に移るということになるわけです。そうなりますと、問題は沖繩における行政、司法、立法のうちの立法の部分まで一部返還、こういうことに発展をしなければ首尾一貫をしない、功を奏しないということになると思うのですが、どうですか。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 お互いが合意の上でそういう形になれば、当然立法権というものはこちらに移ると思いますが、そうなるかならぬかはこれからの相談をした結果ではないかと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 相談をするにしても、自分自身の意見、方針を持たなければなりません。私は、あなたが実現する責任をとるかとらぬかということを聞いておるのではない。あなたがこれから交渉するにあたって、あるいはものを考えてコンクリートにされるについてのあなたの希望、御方針、それを伺うのです。結果について私はあなたの責任を問うておるのではありません。誤解のないように御答弁をいただきたい。  そこまで、すなわち教育に関する立法権は、日本本国に自動的に移ることがいまの教育権返還の実をなさしめるものである、そう自分は考え、希望しておる、こういうことでよろしゅうございますね。

森清自由民主党総理府総務長官・防衛庁長官事務代理

○森国務大臣 先ほども申し上げましたように、私が沖繩問題懇談会の方々と相談をしておりますのは教育権の返還ということでございまして、したがって教育に関する司法、立法、行政というふうな問題を返してもらうためにはどういうネックがあるか、どういう手続をとったらいいかということであって、これが全面的に相手の了解を得られるものならば、当然私はそういうふうな問題がここの国会でも問題になることと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは時間をお急ぎのようでございますから、あらためてまた少し討議が進まれたら当委員会に出てきていただいて、率直な御意見、御方針を伺いたいと思っておりますが、ここでお別れするにあたりまして、最後に一言私の希望を申し上げておきたい。  それは何かというと、先ほど戸叶委員もちょっと触れられましたけれども、ちょっとあなたの強い心臓にはこたえなかったかと思うので申し上げておきますが、この一部返還論というものは、実は施政権全体の返還という全島民の願望を一時的に緩和せしめ、あるいは沖繩の祖国復帰を不可能ならしめ、固定化していくという危険が生ずるわけです。もう一つは、これはあとで外務大臣に伺い、あるいはきょうは防衛庁長官も来ていただくようにお願いしておったんだが、外国に行っておられるそうですから、伺おうと思ったけれども伺えませんが、これは、もし行政権の一部がかの領土並びに人民に対してあるとすることになると、もしそこが戦争が拡大して何か事が起きましたときに、日本の自衛隊の行動の法律解釈について非常な違いが出てまいります。単なる自治権が向こうの内部で拡大されたというときと、日本本国の政府の施政権があそこの領土並びに市民に対してあるんだという場合とでは、すなわち自衛隊の沖繩への出動の法律的根拠ががらりと変わってくるわけであります。その点も、われわれとしては、いまの情勢から慎重に配慮しておかなければならないという意味で、私どもは法理上の政治的判断からいたしましても、あなたの願望は疑いたくはないけれども、結果的にはかえってこれによって祖国復帰の運動を緩和せしめ、そして祖国復帰の困難な状態、分離を固定化していく、そしてやがては日本が沖繩に対する武力出動の口実をつくっていく危険に発展、横道にそれていってしまう、そういうことを私は強く憂うるわけでございますから、その点は、これはあなたへの答弁を求めませんけれども、いずれ上林山さんがお帰りになりましてからも伺いたいと思うけれども、あなたがこの主務長官でありますから、したがって、これを進められるについては、あなたの主観的な善意だけでものを判断されないで、われわれがいま申しましたような法理並びに政治上の配慮というものも頭の中に置いてこれを慎重に処理していただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、きょうはこれで、どうぞお立ちください。  それでは、ちょっとあと先いたしましたが、久しぶりに椎名外務大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  実はあなたが国連総会に出席なさる場合に、特にベトナム問題と中国の代表権問題は重要なことであるというのでお考えを伺い、われわれ国民の希望も身につけて行っていただきたいということで再々この委員会の開会を要求いたしましたが、委員長並びにあなたのほうのサボタージュか不誠意のために今日に至ったことをはなはだ遺憾に思っております。これは御注意申し上げておきたい。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕  そこで、きょうは、私はいま申しましたように、ベトナム戦争の問題、中国代表権の問題、それから中国青年と日本青年との交流のための日本青年代表に対するパスポート拒否の問題、それから先ほどちょっと関連いたしましたが平新艇の問題、それから韓国に対する同様の人工甘味の密輸入、こちらからすれば密輸出ですが、この問題、それからあなたや愛知官房長官とかたい約束をしておりまして、一週間以内、長くても二週間以内には必ず案を皆さんに示しますと言ってそれがほごになっておる朝鮮帰国協定の政府側の案、これらについてぜひきょうお尋ねしたいと思っておりました。ところが、御答弁がはなはだ不誠意で、蒸し返し蒸し返しやりますから、おのずから時間がかかりまして、もう余すところあまり時間がありませんから、きょうは緊急な具体的な問題であるその中の第三の日本青年の中国訪問のパスポートを拒否されたことについて伺いたい。われわれはこれをはなはだしく不法かつ不当であるというふうに考えておることは、当時政府の皆さんに申し上げましたから御承知のとおりです。そこで、こういう決定がわれわれのあっせん案やいろいろな申し入れにかかわらず、これをついに拒否された。しかもわれわれ社会党は直接関係はありませんけれども、社青同を中心とする今度の青年交流については、政治的な責任を感じておったわけであります。その立場も御理解の上でこれから答弁をしていただきたい。  第一にお尋ねしたいのは、これは一体いかなる法律によってこのパスポート拒否の措置をとられたか、そしてまた、その理由は何であったか、その点についてまず最初にお尋ねをいたします。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 お答えいたします。今回の第二回日中青年友好大交歓会に参加する青年の渡航を拒否いたしました法律の根拠は、旅券法の第十三条一項五号によるものでございます。その項目は、「外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」この条文によった次第でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いまお読みになったのは、これは抽象的原則的に書きました第十三条第一項の五号でございますね。それが今度の場合に、この条項の中のどれにどう当たるのか、具体的に説明をしていただきたいのです。依拠しておる法律はわかりました。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 今回先方が招待しました意図は、日本の青年を大ぜい呼びまして一いま中国で行なわれております文化革命運動、これの革命教育をやろうという色彩が非常に濃厚でございましたので、そういう際に、これに多数参加することはわが国の青年が影響を受ける、したがって、ただいまの十三条一項五号に該当する、こういうふうに認定したわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 局長、どの条項ですか。どの部分、どのところですか。国家の利益ですか、公安ですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 国の利益または公安でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 両方でありますね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 はい。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それは法律ですから、法律によってのみ役人は行政権を握っておるのです。それを逸脱いたしましたものは職権乱用でありまして不法でございます。かつ、その行政措置は無効でございます。したがって、ここには何と書いてありますか。この解釈は、「著しく且つ直接」と書いてありますよ。一体今度申請をいたしました文書の中に、青年の意図の中に、著しくかつ直接国家の利益並びに公安を害する意図があったのですか。どこにありましたか。そうしてあったとすれば、相当の公安を害する行為を行なうおそれがあるというのはだれが行なうのですか。紅衛兵ではありませんよ。渡航しようとしておる日本の青年です。利益並びに公安に害を及ぼす行為を行なうおそれがあるとさらに丁重に書いてある。そう認めるに足る相当の理由がなければいけない。何らの理由は示していない。紅衛兵の思想並びに行動が日本のいまの保守党政権にとって好ましくある、ないなんていうことは問題ではない。そうではないのです。そうではなくて、中国へ渡航していく日本の青年数百人のその者の行為が利益並びに公安を害するおそれがあるとあなたは立証する責任があるわけです。相当の理由がなければこれは拒否することができないのが原則ですよ。申し上げておきますが、憲法並びに旅券法の基本的な法理並びにいままでの判例、これらは、すべて渡航は自由が原則です。居住並びに渡航は自由でございます。これが自由主義諸国、自由主義世界の自由の原則であって、パスポートなるものはその者の本人の生命または財産の安全を保護してもらうことを訪問する相手政府に委託をするということになっている。パスポートというものは昔の関所を通る鑑札とは違いますよ。それを説明してください。納得がいかない。これを説明できなければ不法かつ不当なる職権乱用でございましょう。この五号に依拠しておるならば、ここに書いてあるとおり、法律の精神に従ってかくかく具体的な直接かつ著しく公安を脅かす行為をこの数百人の日本青年がたくらんでおる、それを証明するに足る具体的な理由がなければならぬと書いてある。それをすべて説明をしていただきたいのであります。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 お答えいたします。十三条一項五号の解釈にあたりましては、もちろんその申請した者の地位、人格、渡航の目的、意図等その個別的な条件を審査すべきことはもちろんでありますけれども、外国への渡航という性質上、その渡航自体が客観的にわが国の利益または公安を害する場合もあり得るということで、その主観的条件だけじゃなく、客観的条件もその認定の対象になる、含まれるということでございます。(「客観的とは何だ」と呼ぶ者あり)その渡航自体が客観的にわが国の利益または公安を害する場合もあり得るので、そのおそれがある場合も含まれるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはどういうことでありましょうか。すなわち私はきょう愛知官房長官に来ていただくようにお願いをしておきました。愛知官房長官は所管責任者ではありません。所管はあくまで外務大臣であります。そこで外務大臣にきょう聞いておる。愛知官房長官はこう言われた。紅衛兵等をこちらから見ると、その判断が正確であるかどうかわからぬが、とにかく異常に見える。その中へ日本の青年をやると、革命思想の影響を受けてわが国に好ましくない結果があらわれるのではないかと思う、こういうことであったわけですね。それを具体的に言ってください。中国の革命思想のどこが悪いのか、そして去年は認めたけれども、ことしはなぜ認めなかったか。それからわが党の使節団あるいは自民党の使節団あるいは同じ年輩ごろの社会党の活動家の訪問団あるいはまた貿易商社あるいは文芸、芸能関係の代表団というものは現在の時点においても多数行っていますよ。なぜこれがいけないのか。その客観的、直接かつ著しく利益、公安を害するおそれのある行為が出てくるということ。行為は犯罪ですよ。国益を害し公安を乱すものは、これは犯罪でございます。公安を乱す犯罪になる。犯罪の場合において主観がなくて何ですか、犯意がなくてその者を審議できますか。それを審議、断定するとき、裁判するときに、犯意のない行為というものを、犯意を無視して審議をする。客観的な行為でこれは初めから殺人の意図を持っておった、革命の意図を持っておった、そんなことを役人がかってに解釈する。しかも主観的に一方的に解釈することが許されますか。それが法治国の行政行為でありましょうか。納得いきませんね。もっと具体的に一つ一つ説明をしていただきたいのです。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 先ほども申しましたとおり、この十三条一項五号の適用を認定いたしますときに、個人の地位とか人格とかそういうものをもちろん個別的な条件として審査されるわけでございますけれども、それと同時に、その渡航自体がわが国の利益または公安を害するおそれがあるわけでございまして、むしろ今回の場合はこの客観的条件、すなわちその渡航自体、多数の青年が今回の場合行くこと自体が日本の利益または公安を害するおそれがあるという認定でございまして、その具体的内容につきましては、先ほど御指摘のとおり、官房長官も言われましたとおり、現在中国におきましては、紅衛兵運動等もございますし、そのさなかにおいて強烈な革命教育を受けて日本に帰ってきたような場合、その影響するところは著しいものがある、こういう認定でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 このことを具体的に言ってください。おそれあると認めるに足る相当の理由がなければならない。何をもって相当の理由とされましたか、どこをもって。この青年たちが国益並びに公安を犯す行為を行なうおそれがあるという相当の理由がなければならない。相当の理由はどこでありますか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 ただいま申しましたとおり、紅衛兵運動のさなかにおいて行くことは、その向こうの革命教育を受けて日本に帰ってきた場合に、中共の革命方式を鼓吹するだけじゃなく、自分からもそれをやろうというようなことがあるおそれがあるということでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 何によってそれが相当の理由があると確認をされましたか、判定をされましたか。日本の青年は、八十の老人もあるいはこの間行かれたわが党の使節団あるいは自民党の使節団、その他の多くの行っておる人と、思想的自主性においてあるいは日本の法治国内における青年、市民の行動とがアンバランスなものは一人もおらぬ。何をもって区別して考えましたか。何によって自主性がないということを判定しましたか。なぜ区別するのですか。自民党の使節団は心配はない。社会党の使節団も心配がない。それから前進座の諸君も心配がない。それからその他の舞踊関係、バレーの諸君もいま行っていますね。その他貿易あるいは文化関係、学者関係、多数行っております。それらの諸君は国家の利益公安を害するおそれはない、影響を受ける心配はない。しかしながら今度の青年についてはその心配があるという、おそれがあると認めるに足る相当の理由はどこにありますか。区別する理由はどこにありますか、それを聞かしてもらいたい。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 先ほども申し上げましたとおり、行かれる方々個人個人のそういう問題じゃなくて、行くこと自身、特に今回いろいろの情報によりますと招待者側のほうでは、いわゆる現在行なっております文化大革命の革命思想というものを相当教育してやろうというような先方の意向、政治的意向がございますので、そういうところに青年が行くということ自体がいかぬ、こういうことでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういうでたらめな言いがかりをつけちゃいけませんよ。あなたは第一紅衛兵の実体を知っていますか。今度の招待はどこから来ておるか知っておりますか。招待状には何と書いてありましたか。そうして青年諸君が渡航申請の手続をとろうとして政府から要求された趣意書には何と書いてありますか。革命の学習に行ってきて、日本へ持ち込んできて、それを輸入して日本で革命をやるんだなんてどこに書いてあるか、そんな言辞を弄した者がありますか。第一紅衛兵の実体につきましては、日本のマスコミの一部が悪意的に書いておられる点が見受けられますが、かの地へ行ってつぶさに関心を持って見てこられた与党、野党の政治家たちがことごとくそれと本質は違う、非常に礼儀正しくかつ秩序正しくやっておる、しかも政治には関係しない、紅衛兵の任務というものは、思想、文化それから生活の習慣、風俗、この四つだけに限られて行動をとっておる、その路線はきまっておるわけでしょう、そのことを自民党の代表諸君も――いまの政府の与党ですよ、政治的な責任を持っておる与党の、いまの内閣の政治的な責任を持っておる与党の良識のある人々はそのように――ここにも鯨岡さんおられるが、そういうふうに報告しておる。それに何を言いがかりをつけるのですか。しかもこういうふうに書いてある。反対の理由、口実にそういうことが途中でちょっと漏れてまいりましたから、そこでわれわれが向こうからとりました情報によりますというと、紅衛兵の諸君が書いた壁新聞の中で、今度来る日本の青年に対してはまず礼儀正しく迎えなければいけない、第二は内政に対しては干渉してはいけない、日本の内政問題、内国問題については干渉してはいけない、第三は、心からなる友好の精神をもっていろいろな行事を行なって、盛大に友好の歓迎をしようではないか、これが三つの歓迎の原則です。そのことは私どもがかってに推測するのじゃない。歓迎に参加しようとしておるあれです。しかも今度の歓迎は廖承志氏を会長とする中日友好協会とそれから青年団体の責任で招待しておるわけですよ。紅衛兵が招待しておるのじゃない。しかもこの歓迎に協力参加しようとしておる紅衛兵も、いまのように内政干渉問題はきびしくこれに関係してはいけないと言っておる。しかも向こうの青年代表である銭大衛君、これは政府の妨害で第一回のときには入国できませんでしたが、社青同が呼んだときに来た。彼らの全国的な行動の中で内政に干渉したことがどこにありますか。内政問題については、これは私も全部ではありませんが一部参加してみました。それから公開されない座談会にも出てみた。日本の国内の政治情勢、内政問題にはたとえ質問が出ましても、それは国内の皆さんの問題ですといって非常に礼儀正しくかつ規律を持って内政問題には触れておりません。何をもって内政干渉のおそれがあると証明されますか。もっと具体的にやっていただきたい。行くこと自身がとは何事ですか。行くこと自身いけないなら、焚書鎖国で、共産主義の文書は全部焼いてしまえ、そしてわが国は中国からは一人たりとも出たり入ったりしてはいかぬという鎖国でしょう。何もつじつまが合わぬじゃありませんか。特に今度の青年だけを区別しなければならぬ、しかもこれは昨年は許しておる。ことし紅衛兵の異常な状態だなんということを言うけれども、それはあなた、小坂さんだって紅衛兵の諸君と座談会をやったり一緒に写真をとったりしてきておる。それが影響を受けないで、この青年に思想的自主性がないと言えますか。何をもって証明するのです。満二十歳以上の青年はことごとく日本の政治に対して平等に全部参政権がありますよ。判断力があるという国内のたてまえではないですか。自由主義はその信頼がなくして何で自由主義がとれますか。あなたのいままでの説明はすべてこの第五号によるものではない、かってな言いがかりである、不法不当な職権乱用である、こう解釈せざるを得ない。ここらで椎名外務大臣、あなたの責任だから、局長ばかり出してそう居眼ったような顔しておらぬで、ちょっとお答えください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私の言わんと欲するところをみな局長が言っておりますから、それで御了承願いたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私のさっきの説明では、この第五号に依拠する行政行為ではないんですよ。あなたも官僚の出身じゃないか。官僚の行為というものはすべて法律に依拠しなければいけない。法律から逸脱するものは職権乱用です。何も納得がいかない。一体今度の渡航申請が、その趣旨において、その背景においても、これに相当の理由があるという相当の理由は具体的にどこにありますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 諸種の情報によってこれを判断する。今回は特に革命的教育を施される、そういう色彩きわめて濃厚なものがあります。したがって、これを許すことは適当でないと、こう判断したわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 革命的教育をするかせぬかなんということは、内政干渉しないと向こうは言っておる。言いがかりではありませんか。それで全体の雰囲気が、一つは今度の新しい五ヵ年計画の実行の中で社会主義の政策をもっと発展させよう、もう一つは、アメリカ帝国主義の侵略がいつ中国に及ぶかもわからぬということで一致結束してやっておる雰囲気を革命的と解釈されるわけですけれども、それは中国の立場ですよ。わが青年というものはちゃんとした日本における思想教育を受け、日本の法律下における法治国の社会人としてのりっぱな市民としていままでやってきた諸君です。それが影響を受けると断定される相当な理由がどこにありますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 とにかくただ物見遊山で来るのではない、相当な覚悟をもって来いというようなことを言っておる情報も耳にしております。いろいろな点から総合いたしまして、革命教育を施そうという意図が多分に看取される。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 どこにあるか具体的に示してくださいよ、言いがかりをつけるなら。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 それは、あなた壁新聞を引用されたが、もし何でしたら、ここに持ってこないけれども、いろいろなものがわれわれの手元にはある。それによって判断するのにこれはもう明瞭です。これはただ遊びに来いというものじゃないのです。

永田亮一自由民主党

○永田委員長代理 関連質問の申し出がありますので、これを許します。岡田春夫君。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 先ほどから答弁を伺っておりますと、まず旅券を拒否したという法的な根拠は十三条の一項第五号であるということを言われたのですが、これは正式な決定でありますか、どうですか、外務大臣。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 九月二十日の閣議で拒否するという方針は決定されました。しかしまだ申請書は出ておりませんので、正式の拒否通知ということではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それでは先ほどの十三条の一項五号というのは、正式の拒否の決定ではないということですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 拒否することに政府としてきめたということでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 申請は出しておらないというが、受け取っていないのでしょう。申請は出しているじゃないか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 趣意書を提出している段階でございまして、まだ正式の旅券申請は出ておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 あなたのほうは申請の前に趣意書を受け取ってからでなければ申請させないでしょう。どうですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 趣意書はただ行政上の便宜のためにやっておるのでございますので、まず出していただきますけれども、申請書をどうしても出すということならこれは受理せざるを得ないということであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それではここでいまはっきり伺っておきますけれども、申請書を出したら受理しますね。それをはっきり伺っておきます。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 申請書をお出しになれば受理いたします。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 九月二十日の閣議の、これは決定かどうかという点も伺わなければならないのだが、その前に、そのことが行なわれたあとには趣意書さえも受け取ってないではありませんか。受け取っておりますか。どうです。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 その後趣意書は出てまいりませんので、受け取っておりませんが……。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 そんないいかげんなことを言ってはいけませんよ。私が立ち会って趣意書を出しておるじゃないか。うしろにだれか知らぬ、ちゃかちゃか言っておるのか知らぬが、あなた答えなさい。申請は出しておるじゃないか、趣意書は。いいかげんなことを言ってはだめですよ。でたらめ言ってはだめだ。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 九月二十日に趣意書を出してきたのが最後というふうに了解しております。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それでは趣意書を出したら受け取りますか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 受け取ります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 もう一度確認しておきます。外務大臣、趣意書並びに申請書を出した場合には、外務省は受け取りますね。これははっきりしておいてください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いま局長から言ったように受け取ります。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 先ほどの関係で、相当なる理由ということについて移住局長は、革命教育が行なわれることが非常に濃厚であった、こういうことを言われましたが、あなたはどういう根拠に基づいてそれをおっしゃるのですか。国交の未回復になっておる国との間にどういう根拠があるか。外交機関として何か取り得る情報があるのですか。単なる情報を、法的なる有力なる証拠ということに言えるかどうですか。この点、法的にひとつ御解釈を願いたいと思います。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 外交関係はございませんけれども、その他近隣在外公館からの報告あるいは外国の報道、その他中共関係の刊行物等々で情報を集めまして、総合的に判断したものでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 しかし、さっきから穗積君も質問しておりますように、認めるに足りる相当なる理由ですよ、単なる理由ではないのですよ。法律的には相当なるというのは、非常な意味を持ち、明確なるという意味ですよ。しかも、その前文において、「著しく且つ直接に」という具体的な制限もあるわけです。これは結局、なぜこういうことが書いてあるかというと、憲法の上では、渡航の自由ということを認めているわけです。ただこの渡航の自由に対して、ある一定の公益上の目的のためにこれを制限しなければならないという点については、私は憲法解釈上そういう解釈は正しくないと思うけれども、この規定に基づいているのは、そういう公益上の制限を、渡航の自由について一定の制限をつけるという意味で、法律上にはこのように限定した規定が設けられている。その限定した規定が設けられているとするならば、当然それに基づくところの根拠というものは明確でなければならないはずです。国交未回復の国の情報だけを聞いて、それを有力なる根拠とすることはできますか。そういう点については、あなた方は行政上これは明らかに憲法に違反しておりますよ。この十三条一項第五号というものを乱用して、渡航の自由を制限しているのです。こういう解釈にならざるを得ないじゃありませんか。椎名外務大臣、どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 諸種の情報等を総合してこれは適当でない、こう判断したわけであります。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 諸種の情報というものが、法的な有力なる相当なる理由になるかどうかということなんです。国交未回復の国にあって、情報だけを信じてあなた方そんなことやるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 直接政府から、そういう判断の材料にすることはもちろんできない。いろいろの情報その他の事柄を総合して、政治的な高度の判断を下した結果、これは適当でない、こう判断したわけです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 九月二十日の閣議でこれは正式に決定したものですか、どうですか。外務大臣、あなたは出たのだから……。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは官房長官から発言がありまして、そして閣議はこれに了解を与えたわけです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 了解というのは決定ですか、どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 閣議了解というのは、閣議決定に準ずるものです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 準ずるものですね。準ずるものであるならば、法的な手続をあなた方は正式に――先ほど移住局長が言ったでしょう。まだ正式に決定したものじゃないと言ったじゃないですか。あなたは正式に決定に準ずるものを行なったにもかかわらず、外務省は旅券拒否についての決定をなぜ行なっていないのですか。どういう関係があるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 個々の手続は、窓口で申請を受理してからやるわけです。方針としてこれを決定したわけです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 その閣議の際、あなたは賛成されましたか、反対されましたか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 了承いたしました。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 あなたは私に、九月の十九日に会っておりますね。そのときに、私に何と言いました。君はそういう事情を話してくれるならば、なぜもっと早く話してくれないか、情勢は非常に困難だけれども、実現するように努力するとあなたは私に言ったじゃないですか。閣議決定のあとの二十日の十一時半に、私のところに電話をかけてきたじゃありませんか。おれは努力をしたのだけれど、だめだったよ君、こう言ったじゃないですか。あなた自身は反対したのじゃないですか。うそを言ってはだめですよ。私は事実を知っている。あとで愛知官房長官に会ったときに、椎名外務大臣は私にこういうふうに約束したから、椎名外務大臣は努力したのでしょうねと言ったら、愛知官房長官は何と言った。それはとんでもないうそですよ、愛知官房長官は、石井さんが反対したら椎名外務大臣も、おれもそうなんだ、外務大臣ではない、国務大臣としてこれはやるべきではないと言ってがんばったんだと言っておるじゃないですか。あなた、いいかげんなことを言っちゃだめですよ。私に二枚舌を使うのですか、二枚舌を。どっちがほんとうなんだ、はっきりしてください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 とにかく閣議は全会一致でこれを了承いたしました。そのときに私も出席しておった。あなたはいろいろ二人の間のことをここでお話しでありますから言いますがね、しかし情勢はきわめて困難だということを言っておる。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 情勢は困難だと言ったが、努力してみると言ったじゃないですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 努力すると言ったかな。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それではあなたは努力しないと言ったのですか。私に会ったときに、努力しないと言ったのに、それで私は帰ってきたのですか、そんなばかな話がありますか。あなたは努力すると言った。だからあしたの朝早く電話をかけてくれと言ったから電話をかけた。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 あなたのせっかくの申し入れだから、ひとつ大いに考えてみようというくらいの程度のことは言った。考えた結果これはだめだと思ったから、実はあえて反対しない、了承したのです。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 関連ですからこれで終わりますが、あとは続いて関連してやりますけれども、一つ伺っておきますが、私はけさ新聞を見て、荒舩運輸大臣がやめたわけだが、あのときに「蝶理」とかなんとかいう業者を二人連れていった。これが大きな理由で、首になった原因の一つだ。ところがこの「蝶理」とかなんとかいう業者の人に対する旅券は、移住局長でも外務大臣でもいいのだが、あの旅券は適法なんですか。運輸大臣の随行という名目で旅券申請をして、それに対して旅券を与えたのでしょう。適法なんですか。移住局長がさっきから言っておる十三条の一項の第五号に該当する国家の利益に反しないのかどうなのか、利益に反していますか、反してないか、どうなんですか、はっきり答えなさい。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 いま御指摘の内海及び堀田何がし両名の旅券申請は、運輸大臣に随行ということになってございません。一般旅券で、渡航目的業務ということで申請されております。で、通常の手続によりまして旅券を発給した次第でございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 そうすると、あなたもきょう新聞を見たでしょう。出国のときには運輸大臣随行という、そういう理由になっておるそうですね。それは事実じゃないのですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 私の所管でないので存じませんが、連絡して聞いたところでは、フォー・エスコーティング・ミスター・アラフネというふうになっておるようでございます。しかし、私の所管事項ではございません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 あなたの所管であるかないかは別として、旅券を発給するのはあなたの所管でしょう。しかし入管の関係は法務省であっても、あなたはその旅券を発給したことについて責任はありましょう。もし不適当な旅券であったら、あなたは十三条によって撤回できるのじゃないですか。なぜ撤回しないのですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 旅券を発給する際の申請書には大臣の随行とかいうものがございませんで、通常の業務渡航でございますので、旅券を発給したわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それでは納得しません。あなたは、そういう首になるような業者を連れていくときには書面だけで審理をして、たった二日間で旅券を出すわけだ。事、中国の青年の交流の問題については、書面の上に書いてないことをいろいろ憶測をして、それによって拒否しているわけだ。日本の国民が聞いたら、これはおかしいと思いますよ。外務省はさかさまだと思っていますよ。運輸大臣が首を切られるような原因になったそういう汚職の事件の関係のは旅券を出している。そうでない関係については旅券を出さない。世の中がさかさまですよ。外務省というのは椎名外務大臣がそうだからかもしれないが、全部さかさまのことをやっているのですよ。それこそさっき灰色だとかなんとか言っているけれども、灰色どころではない、まっ黒ですよ、これは。そんなばかな話がありますか。いまあなたは確認をしたとおっしゃった。運輸大臣随行というのを確認をしたとおっしゃったのなら、十五条の手続に基づく旅券の発給の撤回という手続をおとりになっておりますか、どうですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 出国カードにそういうふうに書いてあるようでございますが、それのみをもって撤回理由、返納理由にはならないと思います。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 私関連ですからこの程度で一応とめておきますけれども、あなたそれじゃあの旅券は非常に妥当なものだ、そういう首が切られても、運輸大臣が首を切られるような原因になったようなことが事実いま明らかになっても、妥当なものだという御解釈で現在もおられるのですか。その心境を伺っておきたいと思います。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 旅券の発給に関する限り成規の書類を整え、成規の手続を経て申請したものですから、これは発給したのは間違いないと思っております。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 十九条の一項では旅券の目的に反する場合には、渡航の追加――それに対して判明した場合においては返納を命ずることができる。返納を命ずるというお考えもないのですね。返納を命ずるというお考えもないというならば、あれは国益に沿ったことである、運輸大臣に業者が随行したということは国益に沿ったことであるということをあなたは公然とお認めになるのだ。そういう解釈からいったら、運輸大臣の首を切ったのだっておかしいのだというあなたの解釈になる・じゃないですか。そこら辺の推論はともかくとして、十九条の一項で返却を命ずるお考えはあるのかどうなのか。いまになって、帰ってきたのだからしようがないとおっしゃるのは困りますよ。これははっきりしておいてもらわなければならない。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 すでに問題の両名は帰ってきておりますから、返納の問題は起きないと思います。すでに失効しているわけでございます。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 それじゃあなたはこの手続というものは――そういう事実はあなたはお認めになったでしょう、運輸大臣の随行という事実をお認めになったわけですね、さっき。そういうことなら旅券発給の問題とそれとが全然違っている、目的が。目的が違っておったのなら、これは適当ではないでしょう。適当なのですか、これは。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 旅券を発給した当時におきましては、その両名が大臣に随行するかどうかということは全然わかっておりません。だから発給の段階において違法のあれがあったというふうに考えておりません。

岡田春夫日本社会党

○岡田委員 私関連ですからこれでやめますが、また続いてお願いしたいのですが、あなた白いものを黒と言いたいのですね。ともかくも悪いものは何とでも言ってかばおう、いいものについては拒否する、それが外務省の態度である、こう言わざるを得ないじゃありませんか。常識で考えたらはっきりしているではありませんか。国民のだれにでも聞いてごらんなさい。そんないいかげんな話では外務省のやり方については不信感が増すばかりである。こういう点、はっきり申し上げておきます。関連ですからもう言いません。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 楢崎君。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 関連で三点ばかりお伺いしておきます。  今度の青年交流で旅券の発給を拒否する方針をきめられたのは、青年交流という目的であるからですか。中国に青年が、若い人が行くということが、そういう渡航するものが十三条一項五号の該当、こういうことになるのですか、どちらです。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 第二回日中友好大交歓会に参加するという渡航の目的で行くことについてでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 そうすると青年交流という目的が国益に反するというわけですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 その目的で参加することでございます――が国益に反する。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは日本の青年が中国に行って中国の青年とお話をするということがいけないのですか、どうなんですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 第二回日中青年友好大交歓会に参加するということ、そのために渡航するということが、この場合いけないということであります。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 青年交流の内容は、日中の青年が会っていろいろ友好親善を深めるわけですね。そうすると交流というのは中国の青年とお話ししたり会ったりすることが内容なんだから、それがいけないというのですか、国益に反するのですか。青年と会っちゃいけないというのですか、日本の青年が中国の青年に。与党の議員さんも私どもも参りました。私どもも中国の青年と会いました。大いに話をしました。議員だからそれがいいのであって、青年だからいけないというのですか、どうなんですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 今回の第二回日中青年友好大交歓会に参加する、その呼びかけ、中共側の意図が非常に革命教育的の色彩が濃厚であるということのためでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それではお伺いしますが、日本の青年が中国の青年と会っていろいろお話することは差しつかえないのですね。もし日中青年交流と名前がつかないでおればいいんですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 日中の青年がこの関係でなく話し合うということについて、今回何も決定されておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 閣議了承のことが問題になりましたが、三木通産相あるいは藤山経企庁長官等は、発給を拒否する方針をきめてもいいが、その理由が国民にわかるように配慮をしろという意見が出ておるはずです。椎名国務大臣、どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 よく御存じでございます。そういう話でありましたので、それで愛知官房長官の手元で一般にわかるように解説をつけるということになったわけであります。私はその日のうちに立ちましたので、どういうふうに発表されたか存じませんが、愛知官房長官のほうでそれを引き受けておった。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それではその拒否をした理由を解説するようにということであなたは立たれたという。そうするとその解説の責任はどなたにあるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 責任とかそういうかた苦しいことはどうでもいいが、とにかく愛知官房長官のほうでこれを発表する場合に十分に趣旨が徹底する、何のためにこれを拒否したかという趣旨が徹底するようにこれに解説を加えるということになっておりました。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 あなたはそんなかた苦しいことはどうでもいいがとは何ですか。旅券法の十四条は何ですか。ちゃんと拒否する場合にはその理由を明確にする、書面をもって明確にするということがきめてあるくらいですよ。そうするといままで移住局長が御説明なさったのは解説なんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私、手続のことはよく知りませんが、とにかく申請が正式に出た場合には、やはりなんでしょう、おそらくその理由を付記することになるのだろうと思いますが、よくその手続きのことはわかりませんから、局長から御説明いたします。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 申請書が出た場合に、外務大臣としては法務大臣と協議しまして、これを拒否する場合に、十四条によりまして、書面によって通知するわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、関連ですから、局長に念を押しておきますが、日中青年交流という目的でなしに中国の視察あるいは親善友好、そういう目的だったらこの拒否の対象にならないわけですね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 今回の第二回日中青年友好に実質的にもあるいは形式的にも同じものでない、違うものであるというならば、通常の例に従ってケース・バイ・ケースで審議されると思います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 日本の青年が中国に行って、中国の青年といろいろな交歓をやる、話し合いをする、それは差しつかえない。今度設定された第二回日中青年大交流というそのものが国益に反するということですね、確認しておきます。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 九月二十日の閣議で方針を決定されたのは、第二回日中友好青年会の参加の問題でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、手続について一点だけお伺いしておきます。あなた方の趣意書と申請書を持ってきたら窓口で受け付けるというその方針は、外務省の窓口に徹底していますか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 徹底しております。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 徹底しておるならば、二十日以降申請をしておりますよ。窓口が何と言ったかというと、二十日の方針がきまりましたから受け付けても意味がないと言っているのです。受け付けないですよ。それを知っていますか。局長、知っていますか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 二十日以後出してきたものはないそうでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 あなたはそんなでたらめ言っちゃいけませんよ。窓口をあなた徹底させなさい。もし窓口がそういう取り扱いをしておったら、あなたどうしますか。それは間違いですか。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 窓口がそういう扱いをしておりましたら、私の徹底が行き届かなかったことで、今後徹底させるつもりでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それじゃ確認をしておきます。各都道府県で本人の確認を終えて、趣意書と申請書を持ってきたら受け付けますね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 先ほども申したとおり、受け付けます。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 川上君、関連質問があれば許可いたします。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ちょっと議事進行で。――大臣と相談ですが、これは速記をとめてもらって……。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 速記を始めて。  それでは穗積君、発言してください。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いまの点、われわれすべてパスポート拒否のことについては、いままでの御説明では納得がいかない。そこで局長に、ちょっとこまかいことですが、お尋ねいたします。  実はなぜ一体こういうパスポートを出してもらえないのかといって申請者の代表が言ったときに、あなたの部下が、それは文書で質問書を出せ、そうすれば文書で答えてやるということで、そのまま切れておるわけですね。したがって、その質問書は、もう二十日ばかりになりますが役所へ出してあるわけです。それに対して、あなたはお帰りになってお耳に入っておるかどうか知らぬが、山下参事官とも相談されて、ぜひこれは文書で御回答をいただきたいと思います。よろしゅうございますね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 その書面を見ておりませんので、見た上で考えたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 見た上で考えるのじゃない。そういういきさつで、あなたの役所のほうから出しなさいと言われて出したのです。だからもう答えるだけで、それは内容についてはあなたのほうの自主的な判断で干渉しません。そうじゃなくて、出すということの約束でそれが履行されていないから、こっちだけ約束どおりに出して、お話しのとおりに出して返事がもらえないから、これは後々のためにぜひいただいておきたいと思うのです。よろしゅうございますね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 その約束した者からよく事情を聞いた上で考えたいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それはよくないですね。また要請いたしますけれども、ぜひ出してください。  それから最後に外務大臣にお尋ねいたしますが、これはいま言いましたような諸般の事情で云々ということですが、これが旅券を下付されるための必要な条件があれば、いままでのやつではいかぬが、こういう条件が整えばいいというなら、それを示してもらいたい。旅券を出していただける条件を示していただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 革命教育のにおいがきわめて濃厚であるというので、これを拒否する方針を決定したのであります。したがって、さような色彩のものでなく、純粋にただ他の適当な用件のために渡航するというのであれば、これは通常の場合と同じように取り扱う所存でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは革命思想の学習に行くんだということでなくて、日本の青年自身が信頼される条件を整えていけば、それでいいわけですね。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ただ表面の文句だけ変えたってだめですよ。そういう心証をわれわれが持たなければだめだ。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 いやいや、行政行為というものはそういうことは許されませんよ。法はすべての人に平等でなければなりません。すべての人に公平でなければなりません。主観的に、あなたが好ききらいで、いろいろなかってな判断で出したり出さなかったりということは、行政行為の原則に反しますよ。だから、それがないならばいいわけですね。革命思想の宣伝を受ける心配がないということであればいいわけでしょう。それだけですね。その一点ですね。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 申し上げたとおりって、どういうことですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 速記を見ればよくおわかりになるわけでありますが、もう一ぺん繰り返します。  そういう疑いがどういう点から観察してもない、そういう場合には旅券は出します。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それからもう一つ、実はこの問題について非常に雲行きが悪いという新聞報道を主にして、青年の全部ではない代表の少数の者が外務省へ行って、疑問の点があればよく聞き、その点について誤解に基づくものならばよく説明をしたい、そしてお互いの話し合いを一致させたいという目的で外務省へたびたびお伺いをしておるのに、この青年の問題については初めから、外務省の要請だと思いますが、外務省の要請によって警視庁の機動隊と思われるものが張り番をしておりまして、国民の役所であるべき外務省の構内に一歩すら入れない。面会を強要した覚えはありません。理屈を通してやるのに、初めから構内にすら入れない。  そこでお尋ねいたしますが、第一は、この機動隊の出動というものは外務省が要請されたものと思うが、それはどうですか。第二に、このことによりまして、われわれの仲間の議員の秘書ですらもけられたりなぐられたりして非常な傷害を受けております。そして、検挙者を四人出しておる。この四人というものは、何らの根拠がないということで抗議が行なわれますとその日の夕方には出さざるを得ないというほど、根拠の薄弱なものであって逮捕監禁したわけです。これは不当と思いませんか。その二点について。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 警官の出動は外務省が要請したものです。検挙者のお話ございましたが、何か構外で行なわれたそうで、外務省の構内ではない。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 構外じゃない。構内に入れてはいかぬということをやられるからこういうことになった。構内でやったんですよ。初めから入れないのだ。こういう理由で面会をしたい、その面会ならばできないとかできるとかということの受付すらしない。面会の申し出すら、そこの行為すらさせないのです。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 閣議の方針の決定がありました九月二十日に私どもの係官から皆さんに御説明したので、その後は面会を受け付けてない。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、先ほどは申請を受け付けると言われたわけだが、申請を受け付けに行くときには、こういうような不法な暴力行為はとりませんね。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 申請は都道府県を通じてやりますからどうぞなさるように。外務省には直接来なくてもいいわけであります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんなことありますか。いま大臣が言ったじゃないか。革命思想の汚染を受ける心配がないということであるならば、青年の諸君はそんな心配は御無用だという説明に行くのに何が悪いのですか。国民の正当な権利じゃないか。そんなものは不法行為ですよ、その行政措置は。

広田しげる外務事務官(中南米・移住局長)

○広田説明員 旅券の申請は都道府県でやるわけでございますので、都道府県にはそのように受け付けるように指示してございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 事務の書類の受付はそれでよろしい。それでいいのです。それでいいけれども、いま大臣もあなたも言われたように、革命思想の宣伝を受ける心配がないということが、形の上でも、内容的にも、背景から見ても心配がないということなら許可しますと言うているのだ。いいですか。それを立証するためには説明しなければわからぬでしょう。そのために役所を訪問する合法的な法治国の市民の行為をなぜ拒否するのですか。そんなものは不法な行為ですよ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 大ぜい押しかけて、そしていつまでも窓口で、これは行政事務の妨害になるので、そういう場合にはまた別です、これは。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 行政事務の妨害に行くなんということはだれも言ってやしない。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 そういう場合には、われわれはすなおには御接待申し上げない。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そんなことは誤りですよ。それは官僚の越権ですよ。だから、説明しなければ何がわかるのですか。相互理解は必要じゃありませんか。これは強く要請をいたしておきます。  あと質問者が二人ある。私は実は平新艇の問題について聞こうと思ったが、場合によれば大臣が帰ってからでも――笛吹さん、説明できますか。それから事務当局はいいですか、外務省の局長並びに条約局長は。大臣はどうですか、どうしても十五分以上はだめか。――それじゃあと二人ありますから……。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 川上君。

川上貫一日本共産党

○川上委員 私の質問は戸叶議員の質問に対する関連でありますから、そう長い時間はとりません。卒直にひとつ答えてもらいたい。  外務大臣に聞きたい。現在東京の立川の米軍基地にベトナムの侵略戦争に参加をしておる韓国の軍隊が来ております。この韓国兵は軍服を来たまま基地の外を歩いております。これにはりっぱな証拠があります。また公然と立川の一般の郵便局に集団で来て郵便物を発送しております。一週間ないし二週間ごとに来ておる。数十人集団で来ておる。さらにこの韓国軍はベリナムの作戦に参加しておることをはっきりと自分で言うております。そういうことを言うておるか、ベトコンに出会ったら発砲せずに逃げるつもりだ、こう言うておるのです。そればかりではなしに、服装をかえて観楽街に出入しておる事実があります。そこで、われわれにはわからぬものですから、このことは立川の人はよう知っておりますし、外務大臣も御承知だろうと思うのです。理解ができませんから次のことをお伺いしたい。  この韓国の軍人は何をしに来ておるのであるか、これを明確にひとつ外務大臣からお答え願いたい。第二に、ベトナムの侵略戦争に参加しておる韓国の軍隊が公然と日本に出入している、これをどういう根拠によって政府は認めておられるのか、これが第二点です。なるほど、国連軍の地位の協定というものはありますが、韓国軍は国連軍じゃありません。また在日米軍の地位に関する協定第五条があります。この第五条には、これは絶対に該当しません。この第五条は、外国の軍隊のことを規定してありません。出入国管理令というものが適用されなければならない。ところが、日本政府はこの手続をとっておらぬと思うのです。これは手続をとっても、七十二時間の問題なんです。それが数週間来ておるのです。これは韓国だけじゃない。タイの軍隊も来たことがある。フィリピンの軍隊も来たことがあります。これは、どういう根拠で政府はこういう軍隊を公然と日本の国に入れておられるのか。これをはっきり聞きたいのです。  それから第三点は、一体現在何人来ておるのですか。これを外務大臣からお聞きしたい。  それから第四点。前から来ておるのですが、ことしの一月以来何人来たか、そうして何日間滞在したか、これを数字的に明確にお答えを願いたい。このお答えが合点いかなければ、もう一ぺんだけ質問さしてもらいます。外務大臣の御答弁を願います。ほかの人は要りません。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 担当局長から答弁いたさせます。

川上貫一日本共産党

○川上委員 外務大臣は知っておるのですか、知っておらぬのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は知りません。

川上貫一日本共産党

○川上委員 外務大臣は知らない……。

安川壯外務事務官(北米局長)

○安川説明員 ただいま御指摘のように、韓国軍人は日米安保条約に基づきます地位協定の適用も受けませんし、また国連軍でもございませんから、国連軍協定の適用も受けないわけでございます。したがいまして、韓国軍人が入国いたしますときには一通常の出入国手続によるわけでございまして、従来韓国軍人が日本に入国いたします場合には、一々その手続をとっております。ただいま御指摘のベトナムに出動しておる韓国兵が日本に来ているという事実は、私は承知しておりません。もしかりに来ておるとすれば、成規の手続をとって入国しているはずでございまして、もし、とっておらないとすれば、これは明らかに違法の入国でございますので、そういうことはないと私は思います。したがいまして、いつからいつまで何人来たかというような事実は、私はいまここで承知しておりません。

川上貫一日本共産党

○川上委員 もう一問だけ……。  これは驚いた答弁です。外国の軍隊が日本に公然と来ておる。しかも一人や二人じゃない、常時、間断なく来ておるのです。郵便局へ行くだけでも二、三十人集団で行って、郵便物を出しておる。これは郵便局員が知っております。町を歩いておる。歓楽街に出入りしておるのです。これを外務大臣は知らぬと言う。こういうことで一体、問題は終わりますか。外国の軍隊が日本にかってに来ておる。それを外務大臣は知らぬ。それからいまの政府側の御答弁によると、これは国連軍の協定にも当たらぬ、在日米軍の地位に関する協定にも当たらない、これは一般外国人と同様に手続をとってやっておるのだという、これはうそです。この手続は七十二時間、理由を付して――政府はこんなことはしておらぬ、二週間も三週間も滞在しておるのです。これはタイも来ておるのです。フィリピンもかつて来たのです。現在立川に一ぱい来ておるのです。これをもし一々やっておるんなら数が言えるはずです。一月以来何人にその許可を出したか。これは何日滞在したか。この数が言えるはずです。この数を知らぬというのは、しておらぬ証拠だ。しておったら七十二時間でしょう。二週間も三週間もおるじゃないですか。これは出入国管理令の手続をとっておりません。私は、関連でありますから、これについての追及は、時間がないからあまりいたしませんが、もうこれはどういうことか。日本はベトナム戦争に参加しておる外国の軍人、これは野放しです。無制限に来ておるのです。もし大きく言うたならば、何千人来ようとも何万人来ようとも、外務大臣は知らぬ。政府当局は全く無責任にこれを入れておる。出入国管理令なんか実際適用していない。これはどういうことになるのですか。明らかに日本はベトナムの戦争、これに援助しておるというような問題じゃないです、加わってしもうておるじゃないですか。そればかりじゃないです。外国の軍隊がかってに入る。これを野放しにしてある。これで一体どうなるのですか。そういうことはしておらぬと言うのなら、これをはっきりとお答えを願いたい。しておるのですから答弁できないと思う。きょうは時間がありませんから、これ以上私は追及しませんが、この問題については、もっとたくさん聞かなければならぬことがあるし、追及しなければならぬことがある。必要によっては外務大臣に面会を求めたい。外務当局に面会を求めて、はっきりとこれを聞きたいと思う。さらに次に委員会がありましたら、続けてこの問題については、日本の国の重大な問題ですから、どうしても明らかにしなければならぬ。  最後に、私は一口言う。椎名外務大臣は知らぬとおっしゃる。これじゃ外務大臣はできません。日本が独立とかなんとかあなたはおっしゃっておるが、外国の軍隊がかってに日本に来よる。それを外務大臣は知らない。国会の答弁だからというて、こんなむちゃな話はありません。ほんまに知らなかったら外務大臣の資格がない。知っておってうそを言うなら国会侮辱です。どっちにしても承認できない。  時間がありませんから、あとはあとへ残します。次の委員会のときに質問をさせてもらいたい。  ありがとうございました。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 通産省の方に長くお待たせしてありますので、まずちょっとこちらへお寄りを願いたいと思います。  私はこの機会に、最近とみに増大しておるベトナム特需に関連して、若干お尋ねをいたしたいと思います。  まず、駐留軍調達機関等の特需契約でございますが、昭和四十一年一月から八月までの間に駐留米軍調達機関APAの公用調達による特需契約高は、物資契約が四千五百九十九万二千ドル、役務契約が三千六百五十万一千ドル、合計八千二百四十九万三千ドル。これは前年同期の三千四百七万五千ドルに比べて約二・三倍と著しく増加しておる。もちろんAPAの調達は、すべてベトナムだけではない。在日米軍あるいは在韓米軍使用分も含んでおるけれども、しかしそれにいたしましても、この程度に著しく増加したのは、これはやはりベトナム向けのためと見ても差しつかえないのではないかと思いますが、御所見を承りたいと思います。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 特需の契約高につきましての御質問でございますが、御指摘のとおり、昨年の末くらいから特需の契約高が漸次増加してまいりまして、最近に至るまで、昨年の上期あたりに比べますとかなり水準として高くなっております。現在八月までの契約高がわかっておりますが、それによりますと、最近では頭打ち傾向になってきておりますけれども、その内容につきまして、これは特にベトナム向け、あるいはどこ向けというような区別がございませんので、的確にお答え申し上げかねますけれども、ベトナム関係の影響を受けておるということは申し上げられると思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 私がいただいた資料によりますと、たとえばその内容でございますが、まずサンドバッグ、あるいはジャングルシューズ、あるいはランディングマット、これは滑走路用の鉄板ですが、それからセメント、アスファルト、建築用資材、木材、小型発電機、発電装置、浄水装置、さく岩機、自動車部品、電話電信機、電機製品、これはトランシーバーも含んでおるが、作業服、防水服、こういうものはだれが見てもこれは兵員そのものの装備、備品であり、あるいは陣地建設用、または基地建設のための、あるいはまた基地建設資材としてのいろいろな資料である。こういうように、品物がどんどん出ておるわけなんだから、これはやはりベトナム戦争における特需というものが大きな増加の役割り、――先ほど申しましたように、昨年同期に比べて、三・三倍になっておる大きな原因である、こういうふうに判断するのですが、いかがですか。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 御指摘のとおり、品目別に見ますると、たとえばセメントでございますとか、鋼材でございますとか、そういうものが数字としてふえてまいっておりますが、先ほど申し上げましたとおり、特需の最終仕向けと申しますか、これは区分しておりませんので、はっきりこれがベトナムということを申し上げるだけの根拠はないわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 金額の増加、しかも本年度における主要な調達物資の内容、その金額の合計というものを見ますと、ベトナム戦争の熾烈化に伴う、しかも軍需用ないしそれに準ずるものの需要が非常にふえておるということがはっきりしておるということなんです。それはお認めになりますね。  その次には役務の調達なんですが、これも大体昭和四十一年度の上半期、ことしの上半期を昨年の上半期に比べますと、それぞれふえておる。特に船舶の修理は五倍にふえておる。航空機の修理は、これもやがて五倍に近い。こういうような状態になっておるわけです。こういうように役務の部面においても、第七艦隊の艦載機、ゲリラ戦で消耗のはなはだしいヘリコプターの修理など、やはりベトナム特需というものの増加が、調達の契約高の増加に全く比例してふえておるということからも、役務もまた南ベトナム特需によってささえられておるということが言えると私は数字的にも内容的にも思うのですが、どうお考えになりますか。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 役務につきましても、ただいまお話しのとおり、おおむねすべての項目についてたいへん数字がふえてまいっておりますが、その中で船舶ないしは航空機の修理というものが著しくふえておりますことは御指摘のとおりでございます。これも物資の購入の調達の場合と同様に、ベトナムの分が幾らということが的確に把握できませんけれども、推定としまして、ベトナムの影響を受けておる部分があるのではなかろうかということは申し上げられると思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは、昨年の十二月の二十六日、クリスマスから北爆をやめました。二月から北爆が再開されました。一月における役務、特に航空機に伴う役務と、二月における航空機等の修理等に伴う役務とは、契約高はどれだけありましたか。ことしの一月と二月。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 役務の契約高の数字でございますが、ただいまここに月別の数字といたしまして、役務の総額の契約高がございますが……。

岡良一日本社会党

○岡委員 総額ではなくて、航空機を聞かしてもらいたい。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 ただいまここに月別にブレークダウンした数字を手元に持ってまいっておりませんので、後ほどお答え申し上げます。

岡良一日本社会党

○岡委員 私が調査したところでは、やはり北爆がやんでおった一月は、修理台数、機数だけで十八機、それから北爆が再開されてから二百機をこえておる、金額も相当な増額を来たしておるという資料を私はいただいておりますが、七月はそれでは航空機の修理に関しては契約高は幾らです。八月は幾らですか。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 本年の七月は航空機の修理に関する契約高が百十一万四千ドルでございます。それから八月は九百五十六万八千ドルでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 こういうふうにとにかく北爆がやまれば飛行機の修理台数、航空機の修理等に関する役務契約が金額的に減少する。しかも北爆が激化すれば、八月の九百五十六万ドル云々という数字は、これは昭和四十年度の航空機修理等に関する役務契約の総額に匹敵する、こういうふうに非常に伸びておる。  それでは局長、今度は第三国向け間接特需なんですが、第三国向け間接持需には、在ベトナム米軍等がベトナムの軍費または経済援助用のAIDの資金で第三国、韓国、タイ、フィリピン、台湾などで物資を調達する場合、これら諸国の供給力が不足だからわが国からも商品を輸入して供給するケースもある。これは具体的にはタイ、台湾、韓国などを経由してベトナムに向けられておるセメント、こういうものはなかなかとらえにくいものではあるが、事実そういう状態で行っておる。ただ第三国が特需物資を生産するための原材料、機械が不足しておる。そういうことからわが国のほうで原材料あるいは機械を日本から輸出をし、そこで特需物資を確保する契約、たとえばジャングルシューズあるいは軍服のきれ地、縫製のための工業用ミシンはずいぶん韓国に出ておる。こういうような状態で、南ベトナム、タイで、基地、港湾等の建設工事や軍需物資の輸送業務を行なっておる米国、韓国の業者から、わが国に建設資材、車両などが発注されるケースもある。あるいはさらに南ベトナム米軍が現地で物資を調達する場合で、その入札に応じたベトナムあるいは第三国の業者が、その特需物資をわが国に対して発注するケースはいろいろな形態があるわけです。こういう第三国向け間接特需というものは、いわばそれぞれの国への通常輸出の形態をとっておるから、数量とか品目、金額、こういうものを具体的に明確にとらえるということは非常に困難だろうと思いますが、大体通産省ではこれをどの程度のものだと推定されておられますか。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 いわゆる間接特需と申しますものの把握のしかたはたいへんむずかしいのでございますが、通常アメリカ合衆国向けの輸出、それから東南アジア向けの輸出と、この二つがベトナムの影響を受けて、いわゆる供給不足のために日本の商品が売れる、こういう意味の輸出増加があるのではなかろうか、こういうことでいろいろ検討はいたしておりますが、結論的にはなかなか的確なことは申し上げられませんけれども、現在までのところ、推定といたしまして、東南アジア――これは南ベトナム周辺の国でございますが、そういう国に対する輸出の増加のうち、ベトナムの影響を受けまして輸出が伸びておるというふうに想定されます部分が約一億ドル前後、それから米国に対しましての輸出増加のうち、アメリカの軍事費の支出によりまして調達が増加したものないしは米国の産業の生産能力が不足しておるために一時的に民需が不足して輸出が増加しておるというふうに認められます部分が二億ドルないしは二億五千万ドル程度ではなかろうか、合計いたしますと三億ドルないしは三億五千万ドル程度の増加があるのではなかろうかというのが一応の推定でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 APAは……。

今村曻通商産業事務官(貿易振興局長)

○今村説明員 そういうものも全部入りましての数字でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 私、まだあとこういうことをいろいろお聞きした上で外務大臣に少しお尋ねしたいと思いましたけれども、だいぶお疲れのようでもあるし、御所用もおありのようですから、きょうあと少し国連憲章との関連で条約局長なり国連局長にひとつおとどまり願って、あとまた政務次官におかわり願うことにして、どうぞゆっくりお休みください、敬老の日にちなみまして……。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 外務大臣、どうぞお引き取りのほどを……。

岡良一日本社会党

○岡委員 それで外務大臣もお疲れでお帰りになっていただきましたし、あまり政策的なことは、お尋ねをすることは次の機会にいたしたいと思いますが、若干国連憲章、安保条約等の関係において私ども納得のいきかねることがありますので、まず法律的な観点を中心に若干お聞きをさせていただきたいと思います。  通産省の振興局長もどうぞお引き取りください。  問題は、私どもこの特需の流れというもの、動きというものをずっと検討してみますと、やはりこれがだんだんと増加をしてきておる。しかも同時に、たとえば北爆が停止になれば飛行機の修理が少なくなる、それが再開されればとたんに十倍も契約額においても修理機数においてもふえてきておるというような資料を私ども入手をしておるわけであります。そういうような状態を見ますと、ひっきょうするところ、ベトナム戦争のエスカレーションが日本における直接間接の特需のエスカレーションと大体並行線をたどっておるというふうに言えるわけです。私は外国の新聞で、いわゆるエコノミック・アニマルと言われたりあるいはまたそういうふうな酷評を聞いたりいたしましたが、いまのこの状態で日本が演じておるいわばこのベトナムの戦争を通じて、日本が単に利にさといエコノミック・アニマルというよりも、むしろアメリカのいわゆる補給基地あるいは修理基地というような役割りを演じておるのではないか、あるいは北爆に参加した空母も日本へどんどん入港しておる、原子力潜水艦もやってくる、C130のような大型輸送機もやってきて軍輸送の中継基地を提供しておる、エンタープライズ号の寄港も承認する腹づもりだ、こういうような状態をひっくるめて申しますと、結局現在の日本のあり方というものは、これはもうとりもなおさず補給庫、修理庫、兵たん基地、こういうような立場に立っておる、こういうふうに言わざるを得ないと私は思うのです。この点これは大臣にかわってひとつ政務次官からお答えを願いたい。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中説明員 大臣がおりませんので、私からかわって御答弁申し上げますが、現在の状況からいたしますると、補給基地――フィリピンあるいは台湾あるいは沖繩等も有力なる補給基地になってりますが、日本も現在相当なる工業水準が高い立場になっておりますので、現在日本もある意味におきましては補給基地あるいは修理基地というようなことになっておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 率直に認められました。  そこで私はさらに近代戦というものの性格から見まして、よく参戦国会議などということがいわれておりますけれども、近代戦の性格から見ると、ただ兵隊さんの員数をやるということだけが参戦ではない。やはりそういう高い技術水準をもって戦闘に直接参加しておる船舶あるいは飛行機の修理をやってやる、あるいはそのための基地を提供し、彼らのために、必要とする重要な建設材料をどんどん補給してやる、こういうようなことをやっておるということ自体は、日本は事実上参戦をしておると同じじゃないかといわれても、私は返すことばがないのじゃないかと思うのです。そうじゃないでしょうか。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中説明員 お答え申し上げますが、現在のところ、日本は相当距離的にもございますので、アメリカの空軍、海軍その他が修理その他補給基地として日本を利用するという程度におきましては、ほかの基地とは非常に趣が異なっておるのじゃないかと私は考えております。ただ工業水準が比較的日本が高いものでありますから、そういう点を利用する意味におきましては、ある程度日本の工業というものが若干利用されているのじゃないか、そういうふうに私は推定いたしております。

岡良一日本社会党

○岡委員 私は事実について、たとえば韓国のジャングルシューズですね、これは大量な注文が米軍からあった。ところが韓国ではゴムもつくれない。二重底のジャングルシューズの中に入れる薄鉄板もつくれない。ゴムもない。そうすれば、日本がゴムをやる、薄鉄板をやる。台湾からセメントをくれといったって台湾のセメントプラントはまだ十分じゃない。だから日本からプラントを買っていって台湾でセメントをつくって、これがそれぞれの南ベトナムの戦争遂行のために必要な飛行基地なり陸上げ基地に利用されておる。だから事実上日本で生産された物資、日本にたくわえられた技術というものが、間接にか直接にか、事実上においてはアメリカにおけるベトナム戦争に対して協力をしておる。しかも近代戦というものは単に兵員がよけい行っておるから参戦しておるとかいう、そういう概念で律すべきものではない、そういうことであればわが国の持つ技術なり、わが国の持つ物資なりが、直接であれ間接であれ、事実上アメリカの軍隊に対する補給の役割りをなすものだ、兵たんの役割りをなす、修理の役割りをなしておるということは、事実上近代戦の性格から見たらわが国は参戦しておると同じじゃないか、こう常識的に言わざるを得ない、そうじゃないのでしょうか。

田中榮一自由民主党外務政務次官

○田中説明員 お答え申し上げます。  いろいろ米軍等が獲得できないような物資、そのほか他において修理できないようなものの修理、そうしたものを日本の基地においてこれを求めているわけでありますが、しかしこれもそのこと自体が直接参戦する行為ではないかというようなお考えのようでございます。そういう考え方もあるかと存じますが、ただ私どもがここでいま先生の御質問のようにどの物資がどの程度において日本で生産され、それがどこへ流れていく。それから先ほども通産省の局長がちょっと答えができなかったようでございますが、どの程度の爆撃機が、何月どの程度、何月どの程度に修理が増減しておるかというような数の調査、そうしたものが十分にできていないという状況で、物資別にどうなっておるかということも、私ども実はつまびらかにしておりませんので、直接にこれが参戦の形になるじゃないかというようなお考えでございますが、私どもとしましては、考えようによってはそうお考えになるかも存じませんが、補給し得る最小限度のものを日本において補給してあげておるのだ、こういう考え方で、直ちにそれが参戦に協力しているのだとか、あるいは戦争に参加しているのだという考え方ではない、私はかように考えておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 大臣がおられないから省略しますが、しかし次官の答弁というものは私は理屈は何も通らないと思う。条約局長はたしかおられたと思うのですが、ことしの六月一日に国会で大臣が答弁をしておられて、その一節にこういうことがあるのですね。日本が安全保障条約に基づいてアメリカ軍に施設、区域を提供しておることは、一般論として北ベトナムから敵視され攻撃をされ得る危険もあり得る、こう言っておる。このことははっきり政府自体、外務大臣自身が現在の日本のこのやり方、間接、直接の特需に応じておるやり方というものは、法律的にいえば戦時国際法規の中立義務というものに違反したことである、日本は事実上アメリカ側に立って参戦の行為をしておる、こういうことを認めたということになるのじゃないですか。いまいろいろ次官はおっしゃいましたけれども、そうじゃないのでしょうか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 ベトナムの紛争におきましては、御存じのようにいずれの側も宣戦いたしておりません。したがって戦争は法律上は存在しないわけでございまして、したがってその戦闘に参加してない国も中立国としての立場にはないわけであります。しかし、かりにこの戦争法規が適用ありと仮定して論ずれば、日本の現在の地位は中立国としての立場を相手側に主張し得る地位にはない、こういうことの意味合いであっただろうと存じます。六月一日の答弁というのは、私正確に記憶しておりませんが、そういう趣旨だろうと思います。しかし、そのこととまた軍事行動に直接参加するということとは別問題でございますし、またここで政府がいろいろなものを、物資を援助するとかいうようなことと、単に米軍が日本の領域内におきましていわば商行為で物資を調達するのを日本政府として特にそれを禁止するようなことをしないということとも違うわけでありまして、いろいろ段階があるわけでございまして、かりに戦時国際法が現在適用ありとすれば、日本は中立としての地位を主張し得べき立場にないということから飛躍して、日本はしたがって交戦国の地位に実質上ある、そういうふうには論理的にはならない、かように考えます。

岡良一日本社会党

○岡委員 何も法理論的に交戦国の立場にあるかないかということを私はお聞きしているわけじゃないのですよ。ただ大臣自身が、これは私、速記録を調べたことなんだから、速記録でそう言っておるわけですね。日本の現状というものは北ベトナムから敵視され、また一般論としてですが、攻撃をされ得るのだ、危険もあり得る、こう言っておるわけなんですね。そういうことになれば、それは局長は宣戦布告のない戦争だから戦争じゃないと言うが、しかし、このごろの戦争なんというものは常識から見ましてそう四つにかまえた宣戦布告の戦争なんというものはほとんどないでしょう。だから事実が戦争であるか、ないかということを証明をするのであって、宣戦布告をしたから戦争で、しないから戦争ではないのだというような、それこそ夢のようなほんとうの形式論理で規定すべきものではないと私思うのです。だからそういう、事実一日に二百数十回も爆撃が敢行されておる、一週間に二千名以上の人間が殺されている、こういう状態というものは、事実上、戦争以外の何ものでもないでしょう。ただ、あなた方は形式論理的に、これは宣戦布告されていないから戦争じゃないと言うが、しかし、事実においてはそれは戦争ですね。だから、その戦争がいま行なわれておる現在、日本がアメリカの相手国である北ベトナムから敵視をされ、あるいは攻撃を受ける危険も一般論としてはあり得るのであるということになれば、ことばを変えれば、日本はやはり何らかの形でいわば北ベトナムから敵視される行為を現実にやっておるということだね。行為はやっておるということは、さっきから申しましたように、要するに間接特需とか直接特需とかいろいろな形で、飛行機が痛めば直してやる。使い過ぎて早く期限が来ればオーバーホールもしてやる。あるいは陣地構築のサンドバッグもやる。あるいはヘリコプターからおりてジャングルを追いかけていく兵隊さんのジャングルシューズもつくってやる。あれこれそういうことをやっている。さく岩機で地ならしをして基地をつくる、そのために必要なセメントをやる。それはみんな法律的には参戦行為ではないかもしれません。それは純然たる商行為として、日本の商社がアメリカの調達に応じておるかもしれないけれども、しかし、事実上それが軍事目的に使われておる限りは、これは参戦に準じた行為だ、こう言わなければならないと思うのです。そうじゃないですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 朝鮮動乱のときは、日本はやはりもっと直接の補給基地として非常な貢献をいたしたわけでございますが、そのときも国際連合の軍事行動に参加している国としての取り扱いは受けなかった。だれもそうは日本を思いませんし、日本でもそういう主張はいたしません。したがいまして私に質問が向けられると、どうしてもこういう形式論みたいなことを申し上げることになるわけでございますが、今度の場合については、ましてそういうふうにすぐ交戦国とかあるいは参戦国と同一視さるべき立場にあるとは言えないと存じます。  それからもう一つ、先ほども申し上げましたように、日本国としていろいろ補給したり、修理したりしてやっているわけじゃないのでありまして、そういうことは、ソ連は北ベトナムに対してやっておるかもしれませんが、日本はやっておらないわけです。したがっていろいろな段階があるわけでございますので、日本で米軍がそういう行動をやっているから、直ちにもう日本は参戦国だというふうには論ぜられないということが、先ほど来申し上げている趣旨なわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 政策問答はやめまして、私どもも法律にはしろうとだが、しかしこれもこの前、いつか聞いたときには、この施設、区域等の提供は、安保条約の第六条に基づく地位協定に基づく日本の義務であるということを言っておられたのですね。国と国との条約に基づく義務として、これらのものが調達され、送られて、それが戦争のための資材として、施設として役立っているわけですね。そうすれば、事実問題とすれば、これはやはり戦争に対する協力行為ということに結果としてなっているでしょう。それはさっき貿易振興局長も言われたように、やはりベトナム戦争も間接、直接の特需が非常に増しておる。私が説明したように、北爆がやまっておれば飛行機の修理その他が少ない。二月から再開されて、十倍もふえてきておる。こういう動きを見ましても、事実日本というものが強力な、非常にたのみがいのある協力国として、いわば参戦ということばについて若干誤解があるとすれば、戦争に協力をしておるということは言えるのじゃないですか。またそうしなければならない義務をこの安保条約によって負っておるのじゃないですか。してみれば、それは国と国との約束の上に立った安保条約なんだから、だから地位協定によってやらなければならない義務があるのじゃないですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 安保条約、地位協定はベトナム紛争以前から結ばれておって、これはベトナム戦争のためにやったことじゃないことは御存じのとおりであります。しかし、そういう状態ができておったがために、アメリカ軍はそれによって非常な便益を受け、また日本は結果においてアメリカのベトナム戦争遂行に貢献するということになっておるという事実関係を否定するものじゃないわけでございます。ただベトナム紛争があったからといって、何か新たに日本国がアメリカ合衆国に国として協力するとか、そういうことではないということを先ほど来申し上げておるわけでありまして、現在の事実関係まで否定する趣旨じゃございません。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでいいんだ。だから問題は、国と国との、アメリカと日本との安保条約があり、第六条に基づく地位協定というものが従前からあり、したがって、地域、施設等の提供に対しては、向こう側の自由なる選択にまかさなければならない義務を負っておるわけですね。したがって、その義務を遂行することが、ベトナム戦争の実態においては、事実上アメリカのベトナムにおける軍事行動に協力しておるという結果を来たしておる。これはやはり国がそういう条約を結んでおるから、そういう結果になってくるわけでしょう。それはお認めになるわけですね。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 協力とかいうことばを使うと若干誤解が生ずるかと思いますので、私はそれが貢献する結果になっているというような言い方をしておりますが、内容は先生のおっしゃることと私の申しておることは同じだと思います。

岡良一日本社会党

○岡委員 それで、これも一つ教えてもらいたいのですが、この安保条約というやつを見ますと――いずれまた結論は大臣が来られたときに聞くとして、きょうは予行演習で、前提の知恵をお借りしたいと思うのだが、この安保条約の前文でも、これは私から一々読みません。あるいは第一条においても、「国際連合憲章に定めるところに従い、」あるいは「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」というふうに、国連憲章というものを絶えず優先させておりますね。そうすると、そうでありながら現在のベトナムにおけるアメリカの行為というものは、国連憲章の第二条三項、あるいは内政不干渉を規定しておる七項、これはこういうものと一体合致するものなのですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 日米安保条約が、旧条約では国際連合憲章のことにあまり触れておらなかったのを、安保改定をしましたときに、国際連合憲章との関係を明確にすることが望ましいということで、こういうぐあいに改定になったわけでございます。いまの憲章二条三項は、国際紛争を平和的手段によって解決しなければならないということでございますが、まさにそのとおりであるのにかかわらず、北側が武力によって南ベトナムに浸透し、介入したということが発端になっておるわけでありまして、アメリカがこの三項に違反したというふうには政府は考えておらないわけであります。  第七項の内政不干渉の規定は、これは元来国際連合が各国の内政に干渉してはいかぬという趣旨の規定でございますが、しかし内政不干渉ということは、国際法の一般原則としてあるわけでございます。ただ、いまのいわゆる分裂国家の場合には、国としては本来一つであるべきものが分裂しておるわけではございますけれども、その間において武力を行使してはいけないとかいうような関係においては、二つの国に準じて考えるべきものであるということがいまの国際的な常識になっておると思うのでありまして、たとえばかりに南ベトナムが北ベトナムに攻めていったら、これはやはり武力攻撃だ、あるいは侵略だと認められるだろうと思うのでありますが、それと同じことであって、こういう分裂国家の場合には、第七項はそのものずばりでは当てはまらない、かように考えます。

岡良一日本社会党

○岡委員 これは九月八日の日に内外情勢調査会でマクスウェル・D・テーラー、これは南ベトナムの大使をしておられた人だ、この人がこういうことを言っているのですよ。内外情勢調査会の講演ですね。「ちょっとお断わりしておきますが、私の見解は個人的なものでありまして、決してアメリカ国民や政府職員の正式のスポークスマンとして意見を述べるものではありません。しかし、私も現在のアメリカの政策決定に参画した一人ですから、現在の私の見解が政府の政策から大幅に離れているとすれば、これはおかしなことであります。」こういうような若干長い前置きをして言うておることは、手取り早くいえば、「われわれの駐留と援助を最初に求められたのは、一九五四年、ゴ・ジン・ジェム大統領からアイゼンハワー大統領に対してであります。」「前途の困難を認識したゴ・ジン・ジェム大統領は一九五四年、アメリカに援助を求めました。その要請が受け入れられ、この措置がアメリカの直接介入の発端となり、漸次拡大されて現在に至ったのであります。」こうですよ。あなたはいま北ベトナムからの兵力の浸透があったから、あたかも何か南ベトナムに駐留する米軍の自衛措置であったがごとき印象のことを言われましたが、ジュネーブ協定の結ばれた一九五四年にゴ・ジン・ジェムによって要請をされて、米軍は軍事的援助というものを決定をし、これを実行をしているのですよ。テーラーさんがそう講演しているのだから、間違いないでしょう。そういうような状態でありますから、そうしてみれば、これは、それが最初が顧問団という形になり、何回かのクーデターのあとでだんだんエスカレーションをして、いまは三十一万六千人いるというような状態になってきた。というようなことになれば、一体守るべきものはだれかということなんですよ。守られべきものはだれであるのか。だからこういう経過から見れば、やはり国連憲章第二条の、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」アメリカはこの国際連合の第二条第四項を、すでに一九五四年といえばジュネーブ協定のときに犯しているということを、テーラー氏は講演ではっきり言うておるじゃありませんか。何も北ベトナムの兵隊さんがやって来たというのは、それよりずっと前の話です。二年以内には南北一緒に民主的な統一選挙をやろうというときですよ。そのときにすでにアメリカのほうではこういう政策を決定し、実行に移しているわけじゃありませんか。これはどうなんです、法理論的に言って。これは明らかに国連憲章の第二条第四項というものは、一九五四年、いまから足かけ十二年も前にすでにアメリカは犯しておる。そのことの内容をよく知っておる、その間の経緯に最も詳しいテーラーが、講演会で日本ではっきり言うておるじゃないですか。そうでしょう。これはどう解釈されるのですか。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 私はそのテーラーの演説は知りませんから、それを離れて申し上げますが、武力による脅威または武力の行使という観念と、軍事援助ということとは全然別でございます。たとえば日本の安全保障にアメリカが寄与するために軍隊を置くというのも一つの軍事援助の形でございましょうが、これは武力の行使、武力による脅威というものとは全然別個の観念でございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 しかしこれが武力の行使の以前には、武力を置かなければならないでしょう。それが顧問団という形式におけるいわば戦いの指揮その他についてのアドバイサーとして置かれてきたというわけでしょう。それが事実上の武力の行使というところまで兵力が拡大されてきた。だからその端を発しておるのは、すでにそうしたことも含めての援助というものを決意し、それを与えることを行動に移したという、それが十二年前のジュネーブ協定のときであるということ、そのことが私は問題だと思うのですよ。そうなってくれば、その結果としていま現在武力による威嚇ないしその行使が直接に行なわれておるということになれば、これは経過から見て、国連憲章の違反ではないか。現在の時点だけをとらえないで、どうなんです。

藤崎万里外務事務官(条約局長)

○藤崎説明員 政府としましては、現在アメリカ軍がとっておる行動も国際連合憲章違反ではございませんし、五四年にベトナムの要請に応じてアメリカが軍事援助をやったことも憲章違反ではない、かように考えておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 この憲章違反がたくさんあるので、一々条約局長とやっても、まるでカエルの顔に水をかけているようなかっこうで、こっちもくたびれますからこれでやめます。今度一ぺんまた早い機会にぜひ開いていただいて……。

高瀬傳自由民主党

○高瀬委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会

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