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51回国会参議院1966/03/29

予算委員会第二分科会 第1号

発言数
281
登壇者
15
会派数
4
開催日
1966/03/29

会議録

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条によりまして、年長のゆえをもって、私が正副主査の選挙の管理を行ないます。  これより正副主査の互選を行ないますが、互選は投票によらず、選挙管理者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶものあり〕

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 御異議ないと認めます。  それでは、主査に北畠教真君を、副主査に北村暢君を指名いたします。(拍手)     —————————————   〔北畠教真君主査席に着く〕

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) ただいま、皆さま方の御推挙によりまして、主査をつとめることに相なりました。不なれでございますが、どうぞ御協力をいただきたいと存ずる次第であります。  速記をとめてください。   〔速記中止〕

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) では速記をつけてください。  本分科会は、昭和四十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府のうち防衛庁、経済企画庁、科学技術庁並びに外務省、大蔵省及び通商産業省所管を審議することになっております。  本日は、経済企画庁、防衛庁及び科学技術庁という順序で進めていただきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 昭和四十一年度予算中、経済企画庁所管を議題といたします。藤山経済企画庁長官から説明を求めます。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 昭和昭和四十一年度経済企画庁予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算の要求総額は二百六十六億二千九百五十二万四千円でありまして、前年度予算額二百二十億一千五百二十一万六千円に比較いたしますと、四十六億一千四百三十万八千円の増額となっております。  この増額となりましたおもな理由は、離島振興関係事業費におきまして二十億二千一百二十四万八千円、水資源開発事業費におきまして十三億八千一百四十一万三千円、国土総合開発事業調整費におきまして七億円、国土調査費におきまして一億五千七百六万三千円それぞれ増額になりましたことと、新たに豪雪地帯対策特別事業費一億円を要求しておりますことなどであります。  次に、経費の概略内訳を申し上げます。  第一に、経済企画庁の(項)では、要求額は九億一千九百七十五万四千円でありまして、前年度の七億四千三百十三万四千円に比較いたしますと、一億七千六百六十二万円の増額となっております。  この要求経費の内容を御説明申し上げますと、まず、一般行政事務に関する経費として六億九百一万円を計上しております。この中には人件費五億三千一百十七万円が含まれております。 次に、年次経済計画大綱及び経済運営の基本方針の策定並びに海外経済協力及びOECD関係事務等に関する経費として一千五百七十二万円を計上しております。  その日に、国民生活の向上、物価の安定等国民生活充実に関する経費として七千一百四十二万円を計上しております。この中には、昭和三十七年に設立されました国民生活研究所の育成、充実をはかるための同研究所に対する補助金が含まれております。  その(四)は、長期経済計画に関する経費でありますが、これには経済審議会等の運営及び長期経済計画、並びに地域政策の検討に関する経費といたしまして三千七百七十二万円を計上しております。  その(五)に、国土の総合開発に必要な経費といたしまして八千二百四十七万円を計上しております。  この経費は、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、地方開発の拠点となる新産業都市の建設並びに工業整備特別地域の整備を促進するとともに、離島、山村その他開発のおくれた地域の開発を積極的に推進することによって、地域格差の是正につとめ、国民生活の均衡ある発展をはかるためのものであります。  その(六)は、水資源関係の経費であります。  産業の急速な発展と都市人口の増加に伴う水需要の増大に対応して、水資源を開発確保するための経費、並びに公共用水域の水質保全に関する経費といたしまして四千六十九万円を計上しております。  最後に、内外経済事情調査に関する経費でありますが、国内及び海外経済の動向を的確に把握し、また、「経済白書」、「世界経済白書」等の報告書の作成並びに経済動向の調査分析を行なうほか、新たに経済資料の整備の機械化を行なうこととし、これらに必要な経費として六千二百七十二万円を計上しております。  第二に、国土調査費の(項)では、要求額は十億三千四百九十万八千円でありまして、前度度の八億七千七百八十四万五千円に比較いたしますと、一億五千七百六万三千円の増額となっております。  この増額となりましたおもな理由は、国土調査事業十カ年計画に基づく地籍調査の第四年度分の事業規模が増大したことにより、都道府県に対する補助金が増額となったためであります。 第三に、経済研究所の(項)では、要求額は一億九千二百七十九万四千円でありまして、前年度の一億一千四百八十三万円に比較いたしますと、七千七百九十六万四千円の増額となっております。  この増額のおもな理由は、大型電子計算機の運営並びに昭和四十年国富特別調査に関する経費が増額となったためであります。  第四に、豪雪地帯対策特別事業費の(項)では、新たに一億円を要求しております。  この経費は、豪雪地帯対策特別措置法に基づき指定された豪雪地帯において、積雪期の交通杜絶による障害を除去するため、多目的な用途に応ぜられる雪上車を地方公共団体が購入する場合に、その経費の一部を補助するものであります。  第五に、国土総合開発事業調整費及び地域経済計画調査調整費の(項)では、両者を合わせて五十二億円でありまして、前年度の四十五億円に比較いたしますと七億円の増額となっております。  第六、離島振興関係事業でございますが、離島振興事業費、農林漁業用揮発油税財源身替離島農道等整備事業費、揮発油税等財源離島道路整備事業費の三者を合わせまして一百十四億八百三十六万八千円でありまして、前年度の九十三億八千七百十二万円に比較いたしますと、二十億二千一百二十四万八千円の増額となっております。  四十一年度は、離島の後進性を除去するために、交通体系の整備と産業基盤の充実に重点を置いて必要な事業を推進し、これによってできるだけ離島と本土との格差の是正をはかることとしております。  第七に、水資源開発事業費の(項)では、要求額は七十七億七千三百七十万円でありまして、前年度の六十三億九千二百二十八万七千円に比較いたしますと、十三億八千一百四十一万三千円の増額となっております。  この経費の内容は、水資源開発公団が行なう印旛沼開発事業、群馬用水及び利根導水路の建設事業に要する経費、並びに四十一年度に完功予定の矢木沢ダム外五つのダム、利根川河口堰及び長良川河口堰の建設事業等に要する経費等であります。  以上、一般会計予算案の概要を御説明申し上げましたが、次に、当庁関係の財政投融資計画につきまして、簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まず、海外経済協力基金につきましては、最近における対外経済協力の量、質両面における改善の必要にこたえるため、一般会計から七十五億円の出資を受け、賃金運用部資金から七十五億円の借り入れをすることを予定しております。  次に、東北開発株式会社につきましては、東北地方の経済発展に貢献する産業の育成助長を目的として経営いたしてまいりましたが、年々赤字が累積している現状にかんがみまして、四十一年度においては四十年度に引き続き、会社の再建をはかることに重点を置くことにいたしております。  四十一年度に措置する事業資金は三十六億七千万円であります。  このため、産業投資特別会計からの出資金十四億円と公募債二十一億円のほか前期からの繰越金一億七千万円を計画いたしております。  次に、水資源開発公団につきましては、その事業量の増大に伴い、総事業費は前年度の二百十億円から、四十一年度は、四十四億円増の二百五十四億円を確保することにいたしております。このため、一般会計からの出資金一億円のほか、財政資金から六十億円の融資を受けるとともに、公団債の公募三十五億円を予定いたしております。 次に、北海道東北開発公庫につきましては、その資金運用規模は三百八十五億円であります。  これに要する資金源は、産業投資特別会計からの出資金五億円、財政融資及び公募債等で二百五十五億円のほか、自己資金一百二十五億円を充てることにいたしております。  なお、四十年度の予算規模は、新潟地震災害復旧関係を含めて三百七十億円であります。  以上をもちまして、経済企画庁関係の予算案並びに財政投融資計画について御説明を終わりますが、なお、御質問に応じまして詳細御説明申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上、御可決くださいますようお願いいたします。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 まず、私は、物価問題について質問いたしたいのでありますが、物価問題の担当官庁としての経済企画庁長官にお伺いしたいんですが、物価問題が四十一年の予算と関連して、非常に重大問題になっていることは御承知のとおりであります。すなわち、四十一年度の予算は不況対策として本格的な公債制度を導入いたしまして、大型予算を組んで、積極的な支出が行なわれた。そのことから卸売り物価が上がり、インフレになってくるのではないかという懸念が一つあるわけです。その上に、消費者米価とか、あるいは鉄道運賃その他公共料金の引き上げが行なわれておりまして、政府は四十一年度は消費者物価五・五%の値上がり程度に押えたいと、こういうふうに物価値上がりの目標を一応そこに置いておりますけれども、とうてい五・五%の値上がりにとどまらないのではないかということが非常に危惧されているわけです。  そこで、具体的にまず伺いいたいのは、最近の消費者物価、最近の時点における消費者物価ですね。二月の東京及び全国の消費者物価は前年同期に比べてどのくらい、何%値上がりしているかちょっと伺いたいのです。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 三月の東京はできておりますけれども、全国はまだ集計されておりませんが、その点事務当局から申し上げます。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 一月から申し上げます。全都市で対前年同月比ですが、一〇五・六でございます。それから東京が前年同月比で一〇五・〇、二月の東京が対前年同月比で一〇六・一でございます。それぞれ次の月が出ておるのですが、ちょっとお待ちください。——三月の東京は出ております、一〇五・〇でございます、対前年同月比が。三月の全都市はまだ出ておりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 前年同月に比べてですか。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) そうでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、四十年度の前年度に対する値上がりの上昇の予想は、現時点ではどのくらいになっておりますか。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 先ほど申し上げました東京の三月の指数が二月に対して幾ら伸びたかということをもとにしまして、三月の全都市を予想いたしまして、年度全体を予想いたしますと、七・四ないし七・五、その間に入る見当でございます。年度でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 年度ですね。三月の東京が前年同期に比べて五%の上昇率というのですか。全国のほうはまだ三月はわからぬわけですね。二月が前年同月に比べて六・二の上昇率と……。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 一月が一〇五・六でございます。全都市は二月は一〇七・〇でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 二月が一〇七・〇、全国が。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) そうでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうですが。それで、東京の分は、東京の二月はどうなんです。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 東京の二月は一〇六・一でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうですが。それでちょっと大臣にお伺いしたいのですが、全国が、いまお聞きのように二月で前年同期に比べて七%上回っておる。そうなりますと、この二月の時点、二月の指数がかりにずっと横ばいになったとしましても、四十一年度は四十年度に比べてかなり高い上昇率になる。横ばいとしてどのくらいになる見通しですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) いま私どもの見ておりますところでは、三月の東京と同じ傾向をたどるとすれば、全都市が先ほど申したように七・四あるいはすぐそれが上がってくれば七・五、その中間、その辺だというような予想をいまいたしておるわけです。四十年度問対前年度比七・四から七・五ぐらいのところじゃないかという予想をしております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それが四十一年度を今度は予想する場合、全国で二月が七%となると、平均で考えるのじゃなく、二月の時点が七%前年同期に対比して上がっているわけですね、それは。かりにずっと横ばいでいくとしましても、それは四十年度に比べてかなり高い上昇率になるのじゃないでしょうか、横ばいとしても。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体二月、三月というのは野菜がわりあいに高いときでございますね。ところがことしは三月はわりあいに思ったより野菜が下がっております、総体が。で、大体こういうような予想が立てられるわけでございます。で、四月の春野菜が出回りますれば安く例年なってくるわけです。二、三月高いのが、ただ、気候の関係でことしあたりは春野菜がどういうようにいくかということをまあ疑問に思っております。昨年は四月に野菜がある程度よかったわけですけれども、需要量その他でずっと飛び上がりまして、御承知のように対前年度比九・九でしたか、四月だけ。四十年度は三十九年度に対して飛び上がったわけです。まあことしはそれほどはいかないのじゃないか。四十年度は四月に九・九に上がりまして、それからずっと毎月の対前年度比は下がってきたから、結局七・四ぐらいにおさまるわけです。ですから四月になりましてどの程度にいくかということがひとつ問題でございます。しかし、先般来説明しているように「げた」もありますから、四月が一%ぐらいは普通なら下がらなければならない。同じような状況であっても、普通なら下がらなければならないというようなことでありまして、それからずっと野菜その他、夏になって出回ってくる。四十年度と三十九年度の対比と同じような状況になってまいりますと、そう非常に大きく本年度よりも上がろうというふうには、そこにわれわれも一生懸命努力してまいりますので、まあ目標はそのくらいに置いて努力していくことが適当じゃないかと、こう思っておるわけです。楽観を必ずしもいたしておりませんけれども、そう五・五というものに対して悲観しただけの見方でやっているわけじゃありません。ただ非常な努力が要るということは御存じのとおりです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私の聞きたいことは、政府は五・五%の上昇率にとどめたいと言っていますが、そこにとどめるためには、いまの値上がりの水準から考えて、むしろ引き下げるくらいの努力をしていかなきゃ五・五%にとどまらないのではないかと、その点を聞きたいのです。と申しますのは、たとえば、全国で二月がすでに七%、ずっとこう上がってきて、二月が七%ですね。この七%をかりにずっと横ばいするとしても、平均で五・五%に一体なるかどうかですよ。かなり引き下げ努力しなければ五・五%にならないんじゃないか、その点です。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 御質問の趣旨わかりましたが、昨年の四月からそれぞれその月が前年のその月に対して幾ら上がっておるかということで、先ほど来申し上げてきました。九・九と大臣がおっしゃったのも昨年四月の一昨年四月に対する指数でございます。いま先生おっしゃいました一〇七・〇というのもこれはことしの二月の指数ですが、昨年の二月に対する上昇率、この年度間の上昇率を全部平均しますと、先ほど申し上げましたように七・四か七・五だと、こう申し上げておるわけですが、三月になりまして、四十二年度を迎えるそのときの指数と、過去一会計年度の平均の指数のギャップは二・五%ぐらいになります。そこで五・五にとどめたいと、こう言っておりますことは、あと三%に年度内の物価上昇を押え込む必要がある、こういうことになります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いや、それでわかったです。ですから、そういう努力をされるのかされないのか、これまで一応予算を編成する場合に、その前提として経済見通し作業もやりまして、その中に消費者物価水準の目標も掲げるわけですよね。ところが、昭和三十六年を例にとれば、一・一%しか上がらぬという目標を考えた、ところが実際は六・二%も上がっておるのでしょう。三十七年は二・八%の上昇の目標であったのが、実際は六・六%ですか、上がっちゃって。三十八年もそうです。二・八%から六・七%まで上がっちゃった。ただ三十九年は一年ストップやりましたから、公共料金を。そこで四・五%が四・八%でとどまりましたが、今度四十年は四・五%がいまの七・四ないし五になると、このように非常なギャップがあるのですよ、政府の目標と。いまお話しですと、五・五に押えるためには大体三%程度ですか、それを落ち込ませる努力が必要なわけですよね。そこが問題であって、私はいまの状態から考えて、はたして五・五に押え得る確信があるのかないのか、私は、その点は国民が一番聞きたいところであり、五・五%自体だって上がったら高い水準なんですよ、上昇率ですよ、世界的に見ましても。それさえ維持できないということになったら、それ以上に上がるということになったら、これは非常な問題になるわけですがね。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) まあ物価が五・五%以上上がりますということは、木村委員御指摘のとおり、われわれも非常にたいへんだと思います。同時にまた、いまお話のように、五・五に押え込むということが、これまた非常な努力が政府として要ること、これも申すまでもございません。  しかし、何としても押え込んでいかなければならぬということでありまして、つまり上昇率を三%以内に押えていくという努力をわれわれは絶対にやってまいらなければならぬ。これは物価の上昇というものが、過去の傾向から見ましても、やはり生鮮食料品とか、中小企業の製品とか、あるいはサービス業というところに重点が置かれているわけで、過去五年間の平均六・二%の値上がりも、みな六・二%以上上がっておりますのは、みんなそういう種類のものが主としてでございます。したがいまして、他のものも押えてまいります必要が当然ございますけれども、これらのものに対して適当な施策が行なわれていかなければならぬのでございまして、その点については、農林水産関係の配給、あるいは指定栽培地の生産とかいうようなもので、できるだけの努力はして農林水産関係の問題については、前年度の上昇率を押えていくことをわれわれも考えてまいらなければ、むしろある意味から言えば、価格を下げていくようなことを技術改善のほうでも考えてまいらなければならぬと思います。それから中小企業の製品の問題については、これは中小企業のやはり近代化、合理化というものをやっていただかなければならぬ、サービス業についても、この合理化あるいは近代化等をやって、たとえば、クリーニングのようなもので、下げられるものは、それについてできるだけの措置をとらなければならぬと思います。そういうようなことで、私どもとしては全力をあげてまいりまして、その目標を達成するように努力をしてまいるわけでありまして、やはり重点的な施策をしてまいらなければならぬと思います。がしかし、そういうことをいたしましても、構造上の問題ですから、なかなか、直ちに翌日から効果が出てくるというわけにまいりませんし、そういう施策をやりますためには、若干の日にちが要するわけでありますから、それを急速にやって効果を上げるということについては、非常な政府としても努力をして、そしてやっていかなければならぬというところに、それができるだろうかというような木村さんのお考えでもありましょうし、あるいは世間もなかなかむずかしいのじゃないかということが、そこにあるだろうと思います。われわれとしては最善の努力をいたしてこれを押え込むということを考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 政府は、特に佐藤内閣、また物価担当の長官は、もう昭和三十五年下期、特に三十六年から消費者物価が急激に上がってきて、一体原因について徹底的に検討をされたのかどうか。そしてほんとうに物価の値上がりを押えようとしているのかしていないのか、もし値上がりの原因を真剣に検討されたとすれば、値上がりを押え得るような対策が出されなければならないですよ。私は参考のために、昭和三十六年のいわゆる物価白書というものを見たのですよ、「最近の物価動向」という題で、昭和三十六年四月二十八日、経済企画庁から出されているんですよ。このときには、消費者物価値上がり、一・一%の値上がりにとどまるという目標であったんです。で、その一・一%の値上がりという見通しに対する政府の考え方がどうであったかというと、これははっきり出ているんですよ。その場合、今日と非常によく似ている点があるんですよね。  そこで、こういうふうに述べてんですがね。第一は、昭和三十年ごろから消費者物価は比較的安定をしておったけれども、三十五年になると、生鮮食料品を中心にして消費者物価が上がり出したと。そういう生鮮食料品を中心として消費者物価が上がり出した。その上にですね、「三六年度の予算編成にからんで国鉄運賃、郵便料金、医療費等公共料金の値上げ問題が次々と起こったうえ、さらにその後バス、私鉄、電灯、公営水道、理髪、パーマ、クリーニング等の料金値上げがいろいろな形で問題となるに及んで、値上げムードの出現」が出てきた。これをみんなが意識するようになった。  それで、当時値上げムードとは何かと質問したんですがね。政府は、値上げムードというのは、次々と続いて国鉄運賃とか、郵便料金とか、あるいは水道料金とか、次々と続いて上げるということになると値上がりムードになる。だから、値上がりムードにならないためには、それを続いて上げないで、まあことし鉄道運賃を上げたら郵便料金はことしは上げないで来年にする、それから私鉄運賃は再来年にする、こういうように間隔を置いてやる場合には値上がりムードにならないと、どういう説明だったんですよ。値上がりムードというのは、一時に次々と上げていくと値上がりムードになる。また、心理的にも国民に、これじゃ物価がどんどん上がるんじゃないかという心理的な影響を与える、そういうことが三十六年物価値上がりの大きな原因になったと思うんですが、ところが、政府は何と言っているかというと、「最近の”値上げムード”の解消のためにも、十分の対策を講ずることにしておりますので、消費者物価が今後も最近のような早いテンポで上昇を続けることは先ずないものと考えられる」と、そうして、「最近の消費者物価の上昇は、そう神経質に心配する必要がないと同時に、その一部は国民経済全体の発展のためにやむをえないものである」と、こう言ってんです。そのやむを得ないというのは、大体経済成長のときに、摩擦的な物価値上がりは成長率の三分の一程度だと、こういう説明なんですが、それ以上にうんと値上がりしてるんです。最後に、一・一%の上昇は、これは低度に、低目に押えることは可能であると、こういうふうに言ってるわけなんですよ。ところがですね、全然はずれちゃったんですね。一・一%どころか六・二%。それから、こう言ってんですね。「今後も最近のような早いテンポで上昇を続けることは先ずないものと考えられる」と。それで、そんなに国民は神経質になる必要がないということを言ってるんですよ。それで、物価はどうして上がるかということを詳細に書いてあります。それから序文で迫水さんもちゃんと書いてあるんですよね。ところが、その後の事態はどうですか。全く政府の見通しとまるで違っちゃってんです。毎年毎年、少しぐらいの違いならいいですよ。非常な違いができちゃってんですよ。そうすると、国民は、一体政府は物価安定のために真剣に努力をしているかどうかに対して、不信を抱かざるを得ない。ほんとうに抱いているのですよ。そこで、この五・五%については、ちょうど三十六年のときと同じ条件ですよ。ただ違うところは、三十六年のときのように、非常な設備過剰、生産過剰という問題はあの当時にはなかった。むしろ設備投資をどんどんやる段階であったのでありますけれども、しかし、次々と、消費者米価を上げる、国鉄運賃上げる、郵便料金上げる、医療費上げるでしょう。私鉄運賃上げる、もうあの当時と同じですよ。だから、値上がりムードを政府がつくっているのですよ。値上がりムードをつくっちゃいけないと政府が物価白書で言いながら、政府が値上がりムードをつくって、そうして、どうして物価を上げないようにすることができるでしょうか。しかも、この五・五%は、過去の経験からいって、もう五・五%でどうしてもとどまり得ないじゃないですか。これはもう物価白書、今度おひまのときに——おひまのときじゃいけないですね。近々にもう一度これをお読み直しになってくださいよ。いまともう実によく似ているのですから、三十六年の状況は。ただ、設備過剰の問題を除いて。ただしかし、設備過剰の高率の操短をしておりますからね。操短のことを考えれば、三十六年と生産水準についてはそう変わらぬと言ってもいいと思うのですがね。その点ですよ。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私三十六年のときと、いまのときと、まあ御指摘のような問題については同じような状況が出ていると思います。ただしかし、物価問題の関心というものは、政府は無論ですが、国民の上でも、今日ほど私は非常に関心深くなったことはないと思います。三十六年のときには、どちらかというと、物価は少し上がっても、景気がよくなる、所得もふえる、それだからいいじゃないかというような考え方がわりあいに政府のうちにもございましたでしょうし、国民一般も比較的物価問題というものに関心が薄かったと思うのであります。したがって、今回の場合と、私は非常に違う。ですから、過去において、政府としても何べんも閣僚間で、経済閣僚でいろいろな対策をきめたり何かしておりましたけれども、それらについて必ずしも十分な施策が徹底したとは私は思いません、過去を振り返ってみまして。したがって、今回は国民的要望もございますし、お話しのような公債発行、景気を刺激するというような観点から見ても、政府としたって何としてもこれを押えてまいらなければ、再び同じようなことを繰り返してまいりますれば、私はやはり単に消費者物価の問題という問題だけでなしに、大きなやはり日本経済上の問題になってくると思います。ですから、そういう決意をもってやっていく、そこで政府が公共料金等をできるなら上げないで済ましたらどうだったのかという御議論になると思いますが、公共料金の今日の現状から申しますと、相当過去の累積赤字、もしくは現状に見まして、これから先の赤字というものがまだ非常に大きくなってまいりますので、ある程度これを上げていかなきゃならぬ。そこで、ある程度段階を置いて上げていくべきじゃないか。必ずしも私どももそういう問題について考えないわけではございません。したがって、ことしの場合でも、たとえば国立大学の授業料が著しく安い、バランスを失っているというようなことで、特別会計の大学会計の関係もございまして、これを上げたらどうだという御議論もあったわけですが、これも昨年の四月における教育費の値上がりというものは非常に大きいと考えると、せめてそういう意味でも、上げないで一年延ばしていく。その他そういうような事例が若干ございます。そして、いまおもてにあらわれておりますものは、もうやむを得ず上げざるを得ないものだけを取り上げまして、そしてしかも、その幅等についても十分われわれも審議をいたしましてきめたものでございまして、これを全然上げなければ無論やり易いわけですが、しかし、ストップをいたしてしまって、一年置いたあと、根本的にこれらの問題が解決するわけでもございませんし、したがって、そういう点から見れば、やむを得ず上げた、上げざるを得ない状況に追い込まれているものもございます。そういうことをかれこれ勘案しまして処置してまいったわけでございます。そういう意味から言って、全体の物価を安定させるということは非常に困難でございますけれども、しかし、今日のような状況下において、国民の皆さんとともに政府も協力体制を打ち立てながらやっていく。そうしてかりに民間において便乗値上げを——民間ばかりじゃございませんけれども、便乗値上げした傾向の中においては、極力これを押さえていくということだけはやってまいるつもりで、今日まで進めてきておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この三十六年物価白書を見ますと、これは迫水さんが長官のときですけれども、序文でこういうことを言っているんですね。「物価の問題は、今や世上話題の中心のようである。物を買いに行ったり、床屋に行ったり、パーマネントに行ったりして、これまで慣れていた値段が、思いがけなく上がっていたとすると、だれでも気持が悪い。昭和三十五年度中には、たしかに消費者物価は、近年にない上昇の傾向を示し、指数でも前年度に比して四・〇%の上昇を示している。ちょうど政府が、経済の高度成長を支持する政策をとり国民所得倍増計画を発表したのと時期が同じになったため、所得の増加に先だって、物価が上がるのではないかという懸念がおこり、そこを反対派が所得倍増よりも先に物価倍増といったような、うまいキャッチフレーズで逆宣伝したりしたために、急激に物価対する先行き不安が論議されることになった。」、こういうことを言っているんですね。これなんか認識不足もはなはだしいもんだと思うのですね。自分たちの政策の誤りによって物価値上がりを来たしている。それで、ここでは反対派が何か所得倍増よりも物価倍増だ、こういう逆宣伝をしたから一そう物価に対する先行き不安に拍車をかけたというような言い方なんですよね。ですから、私はここでやはり長官に言っておかなきゃならぬことは、この物価値上がりに対して野党も国会でいろいろ論議し、批判をするわけですが、しかもまた、四十一年度の予算においては、本格的公債政策を導入して、インフレになるのじゃないかということを懸念して論議するのですがね。そういうことをもって今後やはり物価値上がりの原因として宣伝することは、これは私はとるべき態度じゃないと思うんですね。前に戦争中はそういうことはありました。軍部にわれわれも——私もずいぶんしぼられたです。お前はインフレーションということばを使っちゃいかぬ、そこまで言われたのですよ、私は。それで価格ということばはいい、価格騰貴ということばはいいけれども、インフレということばを使っちゃいかぬと言われたのです。そういう時期もあったのですけれども、しかし、野党がインフレになるということを言うから、それで心理的に値上がりムードを高めていくんだというところに責任を転嫁してはいけないと思うんですよね。また、いたずらにわれわれは鬼面人を驚かすために批判したり、議論したのじゃなくて、実際にどうしたら、この物価安定をさせなければならないかというので、インフレの心配があれば、その原因をはっきり批判して十分に対策をとらせるように努力しなければいけないわけですけれども、そういう点で、一応長官にお考えを承っておこうと思うのですが、これから私はインフレがかなり真剣な問題になると思うのですが……。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私も実は将来の問題としては、インフレになってはいけないという心配をいたしておるわけであります。これは今日景気を刺激してまいりまして、景気をどうしても立ら直らせなければならぬということは、これは当然のことなんです。そして遊休設備が稼働してくるということをどうしてもやっていかなければなりませんし、貿易がさらに順調に進んでいく方向にもっていかなければならぬ。したがって、今後の景気回復の過程において、将来消費者物価の問題と、卸売り物価の問題とは、やはりわれわれが非常に注目して、経済政策をやっていきます場合に、それぞれの時期において細心な注意を払って、行き過ぎが起こらないように、あるいはある面においては、行き足りないために起こっておるような問題があれば、それを行き足りるようにやっていくというきめのこまかい経済政策をやっておいて、調節機能を発揮してまいりませんと、ただ安易に放置しておいたのではならぬと思います。ですから一番問題は、景気が回復したと申しても、三年や四年前の景気が戻ってくるわけではありませんし、世間一般からすれば、景気が回復したということは、三、四年前の景気が回復しなければ景気が回復したとは見ないかもしれませんけれども、そういうような状態になってきたときに、私ども経済政策、財政政策というものは非常に重要な役割りを占めて、そうして細心な注意をもって、それがインフレにならないように、また卸売り物価に影響し、また消費者物価に影響して、日本全体の経済に悪影響を及ぼさないようにしていかなければならぬということを、先を見通しながらやっているつもりでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 最近卸売り物価がずっと上がり続けております。昨年八月以来ずっと上がりっぱなしなんですよ。今後の見通しはどういうふうにお立てになっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 最近の卸売り物価の値上がりの主要な原因は、やっぱり銅を中心とした非鉄金属の国際市価が非常に高騰したというところにあると思います。それと米の問題、二つだと思います。したがって、他のものにつきましては、まだそれほど下がり傾向ではございませんけれども、それほど著しいものはございません。銅のようなものの国際市価が上がってくるということは、これはどうも防ぎようがない問題なので、実は困った問題だ。したがって、それだけに卸売り物価を安定さしていくためには、やっぱりそういうものを吸収して並行的にいけるようなふうに、他の卸売り物価についても十分な関心を持ってまいらんといかぬので、銅等について代替物を使ってやることは、これはむろん考えなければなりませんけれども、全体としての卸売り物価の高騰というものを考える場合には、やっぱり下げられるものはできるだけ下げてそうして銅等の市価が上がったものについては、それを吸収していくという形を考えていかなければならぬ、こう思っておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 やはり卸売り物価が上がり出してきている直接の原因として銅と米をあげましたが、その底流としましては、操短にあるのじゃないかと思うのです。生産制限ですぬ。ていさいのいいことばで言えば、民間会社の自主調整の努力と、そこにやはり卸売り物価の堅調とか、市況を堅調ならしめている基調があるのじゃないでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 若干そういうことが影響してないとは申し上げかねますけれども、これはいま不況のどん底にありまして、ある程度緊急避難的に、カルテルによって価格を維持しなければならぬということが行なわれておりますが、これはほんとうに緊急避難的で、景気が回復しまして、そうしてやってまいりますれば、こうしたカルテル行為というものはごく短期間に解除していくと。そうして普通の自由な競争の状況に持っていくと。それぞれの、いま不況カルテル等をつくっております産業におきましても、景気がある程度上がりまして生産量が拡大してまいりますれば、それが価格を上げない作用に影響してくることが考えられるのでありまして、また、そういうふうに政府は指導してまいらなければならぬと思います。生産性が拡大するということは、数量だけの問題ではございませんけれども、やはり現状のような稼働率であれば、当然数量からも影響されておりますので、そういうところにやはり十分な目を光らしていくというようなことを考えて、卸売り物価がやはり安定していくというような、少なくともそういう特殊な事情は別として、安定させていく。また特殊なそういう事情があっても、それを吸収するように、他のものが生産性拡大あるいは数量の増大というようなことによって吸収されていくように持っていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 物価白書を見ましてもね、当時の政府の物価に対する考え方はね、いま長官言われたようなことなんですよ、基本的にはですね。それは、迫水さんこういうふうに説明しているのですがね。経済が高度成長するときには消費が盛んで、市場では物が売れる情勢であるから、単純な需要供給の関係からは、物価が上がる傾向が出る。ところがもう一つの側面は、逆に物価が下がる傾向があらわれる。そのわけは、需要が盛んになると、供給側は大量生産が可能になる。したがって、生産コストが安くなり、ひいて値段も安く売ることができ、このことはさらに需要を呼び起こして、さらに生産性を向上し得て、値段が下がることとなる。こういうふうに説明している。これは、これまで高度成長の段階で、設備投資して、そうして非常に生産性の高い設備をどんどん導入して、コストが下がる。それによって卸売り物価が下がる。そうすれば消費者物価が上がっても、全体の物価水準は上がらないで済むと、こういうことであったわけですよ、所得倍増計画と物価との関係はね。ところが卸売り物価が下がらなかったということに問題があるので、今後の問題としましては、私は、卸売り物価は昨年八月からずっと逆に今度は上がり出してきている。これが今後はさらに私は、いま長官は、銅と米を主たる上昇原因としてあげましたが、これから私は、四十一年度の大型予算の関係から、これからセメントが上がってくるでしょう、おそらく。それから鉄が上がってくると思うのです。それは、この大型予算を上期に集中してどんどん使うわけでしょう。そしてしかも、それは公共事業中心ですからね。そうなると、セメントとか鉄鋼が上がってくる。そういうときに、通産省が行政指導で、操短を、物価が上がらないようにどんどん緩和する行政指導をするかしないかが、非常に問題だと思うのですよ。ところが、いまのところでは、そういう可能性がないのですね。むしろ、この間三木通産大臣に質問しましたが、依然としてまだ過当競争の状態にあるので、にわかに緩和することもいかがかと思うというようなお考えですよ。で、通産省は、産業家の代弁ですからね、私から言わせれば。しょっちゅう消費者の立場に立っていないのですから。政府は、大型予算で、公債によってまあ有効需要をそこに造出して、どんどん使うにつれて物価が上がらないように、通産省は通産行政を展開していくように、見えないのですね。ここが私は非常に今後の物価問題としては重要でないかと思うのです。  そこで、どうも操短を有効需要増加に応じて緩和しないために、卸売り物価がどんどんこれから上がっていくのではないか。卸売り物価が上がれば、小売り物価に反映し、その上公共料金が上がると、こういう情勢がはっきりわかっていますから、私はとても五・五%に押えられないのではないか。それにもかかわらず、長官はどうしても必ず五・五%に押えられると、そういう確信がおありになるなら、そういう通産行政の面にどういう手をやはり打つ必要があるかと、お考えなのですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) これは卸売り物価が上がっていく、それから同時に消費者物価も、まあわれわれは五・五%に押えられると思いますが、五・五%以上にでも上がっていくというような状況になりますと、これは単にいわゆる消費者物価問題というよりも、私は日本経済の大きな問題になっていくのではないかという考えをいたしているわけです。ですから、その意味からいって、卸売り物価が、まあ木村委員のおっしゃるように、下がればいいのですけれども、下がらないまでも少なくも横ばいに続く、横ばいに続くためには、いまの稼働率を上げていく、そして供給を出していくということだと思うのです。そこで、いまの緊急避難的な不況カルテルというものが、これが一日も早くその目的を達して、そしてカルテル行為はなくなって、各自に自由に生産活動をして、多量な競争の上に立って、お互いに多量な生産をやっていく。そのことは必ずしもいまの段階では、設備投資をやらなくてもいける状態なんでございますから、設備投資をできるだけ押えながら、その面からの生産性の向上ということを極力通産行政の上でやっていただくということが、一番大事なことだと思うのです。ですから、通産大臣にも私は常にそういうことを申し上げておるわけですが、そういうことの努力によってやってまいりませんと、もしこれが卸売り物価もどんどん上がっていくのだ、同時に消費者物価も上がっていくのだということになると、これは日本経済に対して相当な考えなければならぬ問題が、そこから出ていくのではないか、こういう考えでおりますので、今後、先ほど申し上げましたように、経済政策というものが非常に慎重に、そしてそういう面を見通しながら、いまから考えてまいらなければならぬ問題ではないかと、こういうふうに思っているのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これはね、前から言われたことなんでございますけれども、ほんとうに政府が物価を安定させよう、あるいはまた引き下げの方向に持っていとうとするならば、いわゆる管理価格ですか、寡占価格というか、独占価格というのですか、ここにメスを入れなければ、私はもう十分な効果を、全部それで解決するわけではないのですけれども、おさめられない。この物価白書でもこのことははっきりうたっているのですよ、昭和三十六年にはっきり。ただ、それが実行できないというところに問題があるのであって、これはもう議論じゃないのです。実行するかしないかです。  それからもう一つですね、その管理価格を下げろと言っても、困難な面もあることは、私、承知しているのですよ。というのは、非常な借金をして設備拡張をしているのですから、金利負担に追われているという点が一つあるのですね。それからこの減価償却が、これは昭和三十八年四月からの強制になって、その上に耐用年数がどんどん短縮されているわけですよね。ですから、非常に減価償却が多くなっている。いわゆる資本費が非常に多くなる。だからその点にもメスを入れないで、ただ管理価格を下げろ下げろと言っても、これは私はある面では無理じいの点もあると思うのですよ、いまの資本主義経営を前提として考えた場合。だからやはり資本費に対してどうして政府はもっと手を打たないのかということをふしぎに思うのですよ、私は。一つは金利ですね。これは長官も御存じと思うのですが、私は主税局に調査してもらったのですよ。それはもうものすごい金利負担ですよ。大体昭和三十九年で全産業の金利の支払いは二兆八百四十億ですか。ところが、三十八年で、別の大蔵省の調査があるのですよ。三十八年で二兆二千億という数字が出ております。そして、企業の全体の総所得が二兆三千億なんですよ。総所得と金利の支払いとがほとんど同じだ。こんなことは不合理ではないかと思うのですね。それで、自己資本が大体一九・九%で、八〇%以上が他人資本というようなところから、そういうことになるわけですから、ここにひとつやはり何かメスを入れる必要がある。それで、これ以上公定歩合を下げるということは、アメリカ金利も上がってきましたから困難かもしれませんが、もっと実勢金利を下げるように——まあ中小企業なり、両建て、歩積みの問題がありましょうが、銀行はあまりもうけ過ぎておりますよ。いいのですね。もう銀行の資産勘定ごらんになって、それは貸し倒れ準備金、価格変動準備金が資本金以上はるかに上回っておるのですからね。こんなに銀行をもうけさしても、蓄積ばかり多くさしても、それはすることはいいですよ、銀行が。この不況で中小企業者がどんどん倒産して、企業が非常に不況で困っているときに、銀行ばかりそんなに私はもうけさせる必要はないと思います。やはり金利の面についてもっと手を打つ。そしてコストをそれから下げて、それをやはり価格引き下げの物価対策に役立てる、そういう努力も必要だと思うのですよ。  それから減価償却も、これは非常に議論があるところでしょうが、私は、昭和三十六年の耐用年数の平均は十七年ですよ。それがもう三十九年では、いま一一・九年です。急にここで短縮しているのですね。ですから、賃金負担がひどくなっておりますから、それは減価償却を多くし、耐用年数を短縮する必要があることはわかっておりますよ。しかし、この不況期にこんな急激に耐用年数を短縮したために、企業のほうは金制には追われる、減価償却には追われる。そこで、価格引き下げのほうに努力しようと思っても、その面からも制約があるのですよ。だから、この二つにやはり手を打つ何かくふうがありそうなものですね。もっとこういうことを弾力的に私は考えるべきじゃないかと思うのだ。この減価償却もですよ。好況、不況のときですね。それから、物価対策なんか考えるときには、やはり減価償却も物価対策に役立つように、金制政策も物価対策に役立つように考えるべきで、どうも政府は、需給関係というものばかりじゃないでしょうが、われわれから見ると、何か需給関係ばかりから考えているように思うのですけれども、それで、しかも需給関係で供給をふやそうたって、もう実際に、たとえば土地価格の騰貴を防ぐために土地の造成をやるといったって追いつきっこありませんよね、幾らやっても。この点いかがなんですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) いまの管理価格の問題は、それは大きな企業ばかりでなく、中小企業に——われわれのほうで調べてみますと、千幾つの合理化カルテル、そういう価格維持ということが行なわれております。しかも、その中では十年もそのままになっておるのがあるわけです。それはやはり通産行政の上で十分構造改革と申しますか、近代化と申しますか、機械等の設備を新しく買い入れて、そして生産性を上げるというような方向に指導して、そういうカルテルを一日も早く解消していく、そして自由な競争の中で仕事をしていくという方向に押し進めていただかなければならぬと思います。  それから、いまの金融の問題でございますけれども、これは私も会社経営の上で非常に大きな金利負担を持っておりまして、それがやっぱり少し問題になっておることは、これは否定することできない事実でございます。そしてそのことは、自己資本と他人資本との比率が非常に大きくなっている。大きくなっているばかりじゃない、この五、六年、私のほうが気づいてからでも、まあ三〇%から一九%ぐらいに下がっちゃって、さらに悪化しているのでございまして、この問題は、何としてもこれからの健全な日本の経済の運営については、物価問題ばかりじゃございません、運営の上においてもやっていかなければならない。物価問題も、金利負担が非常に大きな要素を占めて値下げができないという問題もございますから、そこらの問題については考えていかなければならぬと思います。したがって、この金融面での考え方というものは、景気回復と同時に、きめのこまかいひとつ経済施策をやっていかなければならぬという中において、やはり金融の問題が私は相当大きな問題だと思います。いまお話しのように、1とにかく二十三兆も信用が膨張しているのですが、それはもう、目の子算でも一割とすれば二兆三千億という金利を産業が負担しているということなんであって、しかもその負担の割合からいえば、中小企業に対する金利が高くって、大企業と高低がある。ですから中小全業の製品が、合理化もされていない、金利負担も多いというような面で、物価を上げざるを得ない要因がそこに相当あるわけでございまして、それらの点については、やはり中小企業の金融、金利の問題という問題についてはもっと考えなければならない。  そこで歩積み両建ての問題等についても厳重な規制を考えて、銀行の反省を促さなければなりませんし、それから下請代金の問題等についてもこれが解決をはかっていかなければならぬ点がたぶんにございます。ただ、歩積み両建ての問題にいたしましても、銀行協会その他は、もうだんだんなくなっていくのだということが言われておりますが、地方に参りますと、先般も、おととい宇都宮に行っていたんですが、やはり歩積み両建ての問題が中小企業者のほうから出るわけでございます。それから下請についても、支払遅延等防止法がございますけれども、やはり利害関係の方もなかなかそういうものを活用して届け出るということが、自分たちの将来の受注関係に影響するというようなことで、容易に実態をつかみにくい問題でございまして、現に下請業者のごときはほとんど、防止法ができましてから公正取引委員会に届け出がないということでもございます。公正取引委員会のほうが進んで実情調査をしなければわからぬというような状況でございます。ですから、そこらはやはり業者の方々とも協力しながら、全体としての金利引き下げに持っていかなければならぬ。ただそれらの点については、大体私、木村委員とそう大きな違いはございません。ただ、耐用年数の問題については、私は木村委員と違った考えで、これは資本蓄積の上からいっても、自己資本の上からいっても、やはり近代化機械がどんどん進んでおります上からいっても、ある程度耐用年数を短縮していくということをとらなければならぬ。ただそれを、いまのような不景気のときにとらないでいいじゃないかというような御議論もあるかと思いますけれども、しかし、これは一日も早くやりませんと、やはり企業は安定していかないのじゃないか。そして同時に、いま申し上げたように、中小企業等においても新しい機械を入れて生産性を上げるとか、合理化をやっていくという方向に指導してまいらなければなりませんし、現実にそれをやっていかなければならぬと思うものですから、その意味においては、できるだけ耐用年数を短縮していく、そして若干その過渡期にあろうかと思います。金利負担については、しかしこれはどうしても本質的に日本の産業機構を堅実にし、そして将来のやはりコスト・ダウンということを考えれば、手をつけていかなければ、もういまでもおそいと私は実は考えておるのでありまして、そういう意味ではやはり今回、とにかく思い切ってやっていくということが必要だと、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は、たとえば設備近代化のための特別償却なんというのは五割もあるんですが、イギリスなんかでは、もっと税制面からの特別措置ですね、これを非常にもっと弾力的に考えていますね。日本の場合なんか一たん特別措置を設定してしまうと、もうずっと、臨時立法でありながら、毎年毎年ずっと続けて、ちっとも弾力的に運用しないわけなんですけれども、もっと不況時には弾力的に運用すべきだ。またいろいろな政策的にも、たとえば物価対策を考える場合にでも、そういう面も私は総合的に考えていいんじゃないかと思うんですけれども、それは業者としては早くもとをとったほうがいいんですから、また法人税も安くなるんですから、希望するのはあたりまえですよ。しかし、それは限度があるのであって、それはもう早くもとをとればいいに違いないのですけれども、あまり減価償却ばかりどんどんやることによって、価格の引き下げのほうにそれが振り向け得るのに、それまでも犠牲にして減価償却に向けてしまう。じゃ、減価償却というのは何になるかといえば、結局設備拡張になると思うのですよ。そうすると設備と生産力と消費との不均衡ができてくるんだ、こう思うんですが、これは議論になるからやめますけれども、次にちょっと具体的な問題を二つばかり伺いたいのですが、物価対策として流通機構対策が推進されていますが、四十一年度予算でも、その一つとしてコールド・チェーンを、何というか、本格的にやるわけじゃないでしょうが、一応試験的な費用として計上されています。これは科学技術庁の予算に計上されていると思うんですけれども、しかし、これに対して長官はどうお考えですか。 これは私は業界の人からいろいろ意見も聞きましたし、ずいぶんいろいろ問題になっているんです。いろいろな方面にいろいろなものが書かれております。しかし、われわれしろうと考えからいきましても、冷凍化を現在の一五%か二〇%にとどめるんならいいですけれども、七〇%、八〇%までこれをやったら、これはかえってなまのお魚を少なくし、そうして価格を恒常的に引き上げてしまうんじゃないか、こう思うんです。たとえばサンマなんか、最盛期のとき、ぐっと荷が入るでしょう。そうすると値段が安くなるんですが、この冷凍化を普及さして、なまをあまり市場に出さないで、みんな冷凍化してしまう。恒常的に供給されますね。だけれども、全体の価格は上がってしまう。ですから冷凍化については、これはよほど具体的に検討しなければ——冷凍化自体に業者も全部は反対していません。ある程度は必要だ。しかし七割も八割もしたら、これはかえってなまのうちに食べられないばかりでなく、供給が多くなったとき値段が下がるものまで下がらなくなってしまう。そういう点もあると思う。ですから、これはもっと十分に検討する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 冷凍化の問題は十分検討する必要がございますけれども、ただ、こういうことだと思いますが、従来の冷凍というものは、鮮度が非常に落ちる、あるいは味が非常に落ちるということですが、近ごろの冷凍、あるいはさらにこれから調査研究等をいたしましてやっていきますれば、必ずしも今日の段階では鮮度が落ちるとか、あるいは味が変わるとかいうようなことは、最近の状況ではない。ですからこれがもっと普及されることは望ましいことだと思います。 それから同時に、いまお話しのような、たとえばサンマならサンマというものが非常にたくさんとれたときに、それを冷凍化して、そうしてコールド・チェーンに一年じゅう流すことができるといえば、とにかくそういうものが従来なかった時期に、大量になかった時期に出てくるということであれば、他のやはり魚介類の値段を押えることにもなりますし、あるいは消費者としても選択の道が広がってまいりますので、そのもの自体は、冷凍の設備のために若干高くなりましても、全体の生鮮魚介の値段を押える上においては適当な方策だと思います。ただしかし、これを無理に急速にやりましても——たとえはきょうの新聞でしたか、冷凍に対して何か特殊の菌があるというので、厚生省がこれは研究しなければならぬという問題が出ております。いろいろな問題があると思います。それから十分消費者が訓練されてまいりませんと、現在魚屋さんでもって、冷凍して持ってきたものを溶かして、なまのような形で、なまと同じような値段で売るとか、いろいろな問題がございます。ですから、やはりそういうものに対する準備をしながらやってまいりますけれども、大きな目で見れば、これはやはり物価対策の面に非常に役立ってくるのじゃないかということを私どもは考えるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そこが根本的に違うのですね。コールド・チェーンは、むしろ価格を引き上げる。これは機会がありましたら業界の人に直接具体的にひとつお聞きになってみる必要があると思うのですよ。これは冷凍工場というのが必要になりますね。それから手間、運賃、冷凍賃に金がかかる。それから輸送のときは重装備された冷凍車というものが必要になるということですね。ですから非常に大資本を要することになるのです。ですから結局大漁業会社なんかにはいいと思うのですね。たとえば大洋漁業とか何とか、まあ、われわれからいう漁業独占資本というやつですね、大資本。ですから、大体そういう方面にはいいかもしれませんけれども、全体としては非常に価格が上がる。これはいままででも、たとえば昭和三十九年の東京市場に入荷の冷凍魚につきましても、サンマを例にとりますと、キロ当たり九月に六十三円が十二月に百二十五円になっている。イカが九月に七十七円が十二月に百十六円になっている。サバが九月に四十九円が十二月に十一円に上がっている。わずか三カ月で急に上がるのです。やはり冷凍によって供給を調整しておるのですね。いまそうたくさん冷凍されていませんけれども、これは七割、八割冷凍されるということになると、これはかえって全体の価格を上げるということになる。こういういろいろな実際的なデータが出されておるわけですね。結局、大資本の流通部門の支配によって独占価格が形成されてくる、こういう結果になるという調査があるわけです。  ですから、一応それはアメリカあたりに科学技術庁の人たちが行って、これは珍しいと、思いつきで——諸外国のそういう制度を学んでくることはいいと思うのですよ。それをすぐに、十分に日本の実情に合うか合わないか検討もせずに、なまのまま実行しようとすると、それは逆効果になるおそれがありますし、今度科学技術庁に計上された予算は大した予算ではないのですが、したがって物価対策の上から逆に物価が上がるということになれば、これは長官の趣旨と反するわけですからね、物価対策といいながら。ですからこの点は十分に検討される必要があると思うのですが、いかがですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 冷凍やったために上がったということになれば、たいへんなことでなんですが、コールド・チェーンをやったために。ただ全体として私は、魚介類ばかりでなく、野菜等の生鮮食料品を見ておりまして、やはり天候の関係でもって非常に野菜がよけいできたというときと悪いときと、値開きが非常に大きいのですね。魚介類においても、非常な豊漁と、それから漁がなかったときと非常に値幅が大きい。ですから、やはりそれがある程度そんな大きな騰落がなくて、一定の水準を持続してずっといけると、一番安いときよりは高い、しかし高くなっているときよりは安いということであれすれば、家庭経済においても一つの目標と申しますか、あるいは家庭計画の問題が計画的に考えられる、家庭の金の使い方につきまして。そういうようなことも私はやっぱり必要じゃないかと思います。それから野菜等についても、やはり保存がなかなか困難でございますけれども、保存されるものは、やっぱり大きく生産されたときには保存していく。いまでは捨てていくような——白菜等はほとんど農村からいえば捨てていくというような状態、そうかと思うと、年によってそれが著しく暴騰する。こういうものがあって、保存することのためには倉庫の費用とか、その他かかりますから、やはり相当な安いときの標準から見れば。しかし暴騰して困るというようなことがなくて、調節されれば、これは家庭設計の上で、私はそういう状態がやはり望ましい状態として現出しないと、消費者物価の安定ということ、そうして家庭生活の安定ということが計画的には考えられないんじゃないかというような点もあわせ考慮しながら、こうした問題について、むろん慎重に検討しながら、コールド・チェーンそのものの利害得失は、これはあろうと思います。ですからその利害得失を十分検討してやってまいらなければならぬのですが、現状においてはまだ、日本においても食品保存という問題、それから季節をこえてある程度融通さして供給していくことのほうが、価格政策にはなるんじゃないかというような感じも持っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連して。コールド・チェーンの問題については、私ども科学技術庁のときに詳しくお尋ねすることにしているんですが、いまの木村先生のおっしゃっておるコールド・チェーンをやった場合にかえって価格が上がるんじゃないか、本格的に八〇%も冷凍食品ということでやれば、私はやはり上がるというふうに思います。ただ、現状において一七、八%くらいの冷凍やっておるわけですけれども、おっしゃるように、物価対策としてやるんだったならば、これは大漁のときにおける生産地における冷凍ということは、もうすでに現在でも産地における豊漁のときの冷凍というのは実施しているわけです。それで価格調整はある程度やっておる。たとえば釧路なら釧路の例をとりますと、サンマが大量にとれる、その場合に、産地においてすでに農林省の補助による冷蔵庫というものはできておる。ですから、いままでは魚かすとかなんとかにして、大漁になったときにもう肥料にしておったのが、いまはりっぱに食料になっている状態です。したがって、これで私はある程度の物価対策としての安定対策はできているのじゃないかと思うのですね。それで現実に大阪、東京等には消費地の相当大きな冷蔵庫がすでにできておる。ここで問題になるのは、中央卸売市場における公正な価格というものが、この消費地における冷蔵庫があるために、かえって公正な価格というものは出てこないということは、特に鮮魚の場合は、これは木村先生もおっしゃったように、資本漁業がある。生産者が消費地に冷蔵庫を持っておりますと、実際問題として中央卸売市場でせりでもって公正な価格が決定さるべきものが、その冷蔵庫があるために思うような値段が出ないというと、荷を引っ込めちゃうのです。これは現実にそう行なわれておる。これが一つ大きな、物価を安定させるというよりは高くさせる要素になっておるのですよ。これは中央卸売市場に行ってごらんになればわかる。実際は、これは荷受けは卸売り会社ですから、委託に基づいて来た荷はそこへ全部出すということでいいわけなんですよ。ところが、この荷受けの卸売り会社というのは、ほとんど全部といっていいくらい漁業資本に系列化されていて思うようにいかない。その生産者である資本漁業に押えられて、いわゆるさし値という形で、思うような値段でなければ荷を引っ込めてしまって出さないということが現実に行なわれておるのですよ。したがって、そういうことが今日大きな生鮮食料品の値上がりの一つの——全部とはいいませんけれども、一つの要因になっておるというふうに私は見ております。ですから冷凍にいたしましても、おそらく、産地における大衆魚の冷蔵庫というものは、採算のとれている冷蔵庫というのはありませんよ。みな赤字です。赤字であってもなおかつ冷凍して、今日なかなか冷凍したものが安く売れるなんという形にならない。サバ、サンマなんて大衆魚ですから、値段の高いものじゃないのですから、置けば置くほど金利がかさんじゃって、冷蔵庫はもたないのです。赤字になっちゃうのです。  そういう状態が今日あるのです。ですからコールド・チェーンそのものが、直ちに物価安定対策に、大局的に見ていいというのは、私はちょっと考えられないのじゃないかと思うのですが、政策的には、やはり大漁のときに始末に困りますから、これは冷蔵庫へ冷凍する以外にない。そういうことの程度でいいのであって、これを冷凍に加工して生鮮度を保っていくということよりは、鮮魚にして出したほうが、値段はかえって下がっていくのじゃないか、こういう感じがしているのですが、どうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) いまお話しの点については、これは市場組織にも触れておるわけです。この問題は別の問題としてわれわれは考えなければならぬ。お話しのようにすべての大衆魚まで全部コールド・チェーンの上に乗っかるということになりますと、必ずしもお話しのように乗れないものが相当あると思います。ただコールド・チェーンの考え方からすれば、ある程度生産者から少なくも小売り段階に一定の価格で動いていくという考え方が一つの基礎になっていると私ども考えておるわけです。ですから定価売りというわけではございませんけれども、そういうような種類で、市場にある程度左右されないような形で消費者の手元に入り得るというような方法が、いわゆるコールド・チェーンの考え方の一つだと思います。これが全部に、いまのようなサンマであるとかイワシであるとかというような、ほとんど大衆魚、価格の安い大衆魚、しかも非常にとれてコールド・チェーンに乗せにくいものもございます。ですから、全部が全部コールド・チェーンが問題を解決するとは私どもも考えておりませんけれども、少なくもある程度の商品について、いまのような状態を改善する上においては、やっぱり相当程度コールド・チェーンの考え方を入れていくということが望ましいことじゃないか。ですからいまの状態も、もっとコールド・チェーンを八〇%に持っていくとか何とかということは、将来の問題として考えていかなければなりませんけれども、日本の流通機構の整備その他とあわせて、そういうような考え方をもうちょっとやはり入れていかなければならぬというようなことで、しかもそれが、コールド・チェーンの考え方がまだ十分一般にも徹底しておりませんし、また消費者自身も、コールド・チェーンに乗っておるような魚は何か鮮度が悪いんだ、あるいは味が劣るんだというような考え方でおりますので、もう少しコールド・チェーンの問題も広く一般に理解してもらい、それが生鮮魚介類の販売系統の中である程度の地位を占めていくということが望ましいことではないか、そしてそれが物価対策になるのだという見地に立って私どもは考えておるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 物価対策というけれども、このコールド・チェーンは、アメリカでも何十年もかかって今日きているんですよ。だから物価対策というのは、今年や来年じゃものにはならないのですよ。それだから物価対策として考えるというのは、将来の長い目で見れば、それは物価対策になるか知らぬけれども、今日の消費者物価の上がっているのに、コールド・チェーンで——一つの試験段階ですからね、それでコールド・チェーンというものを取り上げたから、物価に直ちに影響してくるというふうにはなりませんね、物価対策、物価対策と言いますけれども。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価対策は、実際われわれも一生懸命でやっておりまして、きょう手を打ったからあしたから解決するという問題は非常に少ないと思います。ただ、しかし物価問題というのは、今後とも三年も五年も、あるいは十年も先でも、これが安定していく全体の経済の発展過程で、一つのレベルがある程度上がるということは、これはやむを得ない。しかし物価が安定して、今日のような五年間に平均六・二%上がった、年によっては七%も八%も上がるというような状況を再び現出させては、私は三年でも五年でも先に相ならぬと思うんです。ですから、そういう問題をいまからやらぬと、また、いまやらぬでいいということになりますと、政府各省でもまあぎりぎりまた困ったときに持ち出すというようなことでは相ならぬので、やっぱり恒久的な対策を手を打っていかなければならぬ。当面の問題としてどうするかという、すぐにきくような問題もなかなかございませんけれども、それらの問題についても十分われわれは考えながら手を打っていくということで、両面から進めないと、これはなかなか将来解決できない問題だと、こう考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 コールド・チェーンの問題は、ただいま北村委員の言われたように、私どもいま当面の解決策としてどれだけ効果があるか。逆に、上げるようなマイナス効果、それと、日本は小さい魚屋さんがたくさんあるわけですね。何というのですかね、個人業種の人たちが。それらの方の対策も考えてからやらないと、これはたいへんなことになる。中小企業対策も考えつつやりませんと、単なる物価対策としてかりに効果があっても、これは総合的にもっと慎重に検討しませんと、これは非常な社会問題にもなりますし、ですからそういう点も十分考慮する必要があるのじゃないかと思うのですが。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価対策をやっておりまして一番私ども心配するのは、中小企業いじめになっちゃ困るというところなんです。現状の形でそのままいろいろなことをやっていきますと、先ほど来申し上げておりますように、中小企業の製品がやはり騰貴率が多いのですから、これをすぐに押え込んでしまうということをやりますと、中小企業いじめにともすればおちいりがちである。それで、やはり中小企業のあり方等について、もうこの際から基本的に考えていきながら手を打っていかないとならぬと思います。これはもうそういうふうに私どもも考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 で、もう一つ具体的な問題なんですけれども、これは食肉対策なんですけれども、これは私は陳情を受けたわけなんですけどね。中国から食肉はいま輸入が禁止になっているのだそうですね。ところがいままではヨーロッパ、ニュージーランドとかオーストラリア、アルゼンチン、アメリカ等から輸入されているようですが、最近、やっぱりヨーロッパ等でもだいぶ食肉の需要が増大してきて、対日供給能力が二十万トンをこえるととが困難になってきておると言われておるのですね。そこで、やはり中国から輸入をしたらどうかと、それで量的にいっても、価格の面から、あるいは質の面からいってもいいものがある。ただ検疫の関係から輸入できないというネックがあるのだそうですね。そこで、昭和三十二年に日本生物科学研究所の学術部長の高松泰人博士、四十年に日本食肉協議会ですか、大石武一会長その他八名の人が、二回にわたって中国の家畜管理状況の調査に行ったのだそうです。そして衛生管理をいろいろ調査したところが、最近では昔と違って非常によくなってきて、昔は中国に口蹄疫というのですか、家畜の伝染病が発生したのだそうですね、そういう疑いがあるというので禁止されているのだそうです。ですから、そっちのほうが心配なければ輸入をしてもいいのではないかというふうに言われて、いわゆるLT貿易の高碕事務所のほうにもいろいろ言われているそうです。そこで私は陳情を受けたのですが、もしこの点が解決されれば、中国からの食肉輸入——さっきヨーロッパのほうはだんだん供給量に不足を来たしているというようなことなんで、この点は何かお聞きになったことがございますか。あるいはまた検討されたことがあるのでしょうか。

中西一郎経済企画庁国民生活局長

○政府委員(中西一郎君) 農林省のほうでかねて口蹄疫の問題についての調査をしておると聞いております。で、そういうことで可能性ができれば輸入の道も開けると思いますが、現段階では国内のえさ資源のこともありますけれども、やはり国内での増産態勢に本腰を入れるということに重点を置いておるのが現状であります。役牛の数が非常に減りましたので、肉の供給も激減しつつありますから、その辺をせめてもとへ戻したいということでやっておるようでございます。世界的には先ほど御指摘がありましたように、食肉市場は窮屈になっておることも聞いております。なお、まだ十分な検討を私どもいたしておりませんけれども、検討いたしてみたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、全体の日本の輸入計画からいきまして、この伝染病の問題が解決すれば、輸入の可能性もあるというふうに理解してよろしいのですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 食肉とか、そういう種類のものは、緊急輸入ということを考えておるわけです。緊急輸入は普通の場合とも同じでございますが、いまのような疫病の問題が問題になっておる、外国でもこの問題はやかましい問題でございますが、日本としても当然国内資源を涵養する意味において必要だ。先ほど御指摘になりましたように、世界的にも肉の不足の状態になりつつありますから、緊急輸入をする場合に、そういうような条件が整って、範囲が拡大されることは、われわれ物価対策の上から言えば望ましいことで、やっていただきたいと、こう思っております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ちょっと関連して。いまの中西局長の国内の増産対策をとると言うのですが、確かに牛肉は、もう週刊誌に出ておるように、カズノコのような貴重品で、いまのうちすき焼きは食べておけと言うぐらいで、もうそろそろすき焼きも食べられなくなるという段階なんですよね。増産対策と言っても、これは大内力さんが予算委員会で公述人でこられたときにも言われておるのですけれども、大体食肉生産だけをやるとすれば、これは粗放な経営でなければ成り立たない。まあ伊勢牛とかなんとかああいう特殊なものは別として、大衆肉として安く食べられるというためには粗放でなければならない。そのためには現在の耕地面積ぐらい必要だと言っているのですよ。そうすると約五、六百万町歩必要なんですね。山をほとんど木をはやさないで草にして、これからそのままやらなければ実現しない問題なんですよ。したがって、国内の肉用牛の生産ということは非常に今後たいへんなむずかしい問題なんです、そういうような点から言って。それかと言って国際的に輸入がどこからでもできるかと言うと、もう国際的に資源が枯渇している状態で、もうあと中国しかないのですよ、実際は、輸入先というと。この問題はいま木村先生から言っている病気の問題ですが、もう市場として輸入する先は行き詰まっちゃって、中国しかない、こういう状況ですからね。これはやはり早急に検討してもらう必要があるのではないでしょうかね。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 中国からは米も入れておりますし、大豆も入れておりますので、そういうような必要があれば、当然防疫上の措置さえすれば日本が買って差しつかえないと思うのです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 あと簡単に一、二点伺っておきたいのです。  その一つは、四十一年度の経済見通しと不況対策との関連なんですが、質問の要点はこういうことなんです。  御承知のように、四十一年度の経済見通しですと、四十一年度の国民総生産を大体三十兆に見ているわけですね。この三十兆は四十年度の国民総生産に比べると三兆一千三百億の増加ということになっているんですね。これに対して四十年度の総生産の増加、これが二兆三百十九億ですね。そうしますと、四十一年度の総生産の増加は、四十年度の増加に比べて約一兆円多いですね。その四十年度の総生産の増加より一兆円多いところの三兆一千三百億の総生産の増加をもたらすために、今度財政のほうに非常に大きなウエートを置いて、それで政府の財貨サービス購入を大体七兆一千億にしているわけですね、これは国及び地方公共団体を含めて。それが一兆円ちょっとのような増加なんですね。このことはいわゆるデフレギャップが二兆円とか四兆円とか、あるいはもっとあるとかいろいろ言われておりますが、このデフレギャップを埋めるのに政府が積極財政を打ち出して、そして政府の財貨サービス購入を増加することによって、それをてことして三兆一千三百億の有効需要を増加させる、それは昭和四十年度に比べて一兆円増加だと、これから見ますと、どうもいわゆるデフレギャップはとうてい埋まらないのじゃないかという感じがするのです。そういう理解のしかたをしていいかどうかということなんですね。政府の四十一年度の経済見通しは、結局四十年度より一兆円だけ総生産をふやす。裏から返せば有効需要を一兆円よけいつける、全体としては三兆一千三百億四十年度よりふやすのですけれども、四十年の増加に比べれば一兆円の増加なんですね。そうしてみると、どうもデフレギャップを埋めるだけの有効需要はそれではつかないという勘定になるのじゃないか。あの数字だけから言いますと。それは私の理解のしかたが間違っているのかどうか、その点はどういうふうに……。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) こまかい数字についてはあとで御説明させますが、大筋で申しますれば、デフレギャップがことし一年では完全に埋まらない、こういうふうに私ども考えております。また、ことし一年で急激に埋めてしまうことが適当であるとは必ずしも考えておりません。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それはわかりました。福田大蔵大臣も、かなり低圧経済が続く、二、三年は続くというふうに言っておりますが、それでいろいろな説がある。公債発行七千三百億では少ない。一兆にしろというけれども、まあ七千三百億程度で。そうなると一挙にデフレギャップは埋ずまらない、こう言っておるのですね。ですから経済見通しが全部数字ですから、ですからその政府の不況対策を具体的に数字的に説明するとしたら、さっき言ったような説明でいいんですか。デフレギャップが二兆円、四兆円もある。あるいは最近福田大蔵大臣は、私はもっとあると思う、こう言っていますよ。四兆円ぐらいじゃないかと、こう言われております。それに対して政府は、もうほとんどわれわれから見れば、一〇〇%財政面から不況を打開していこうとしているわけですね。個人消費とか、あるいは設備投資とか、あるいは輸出増加とか、そういうものに景気打開の積極的要因をあまり見出だしにくい。そこでもうほとんど一〇〇%に近いほど財政に景気打開の主導的役割りを果たさせようとしておる。それにしてはどうも数字から見まして、デフレギャップを埋めるには非常に少ないように思うんです。そういうふうに理解していいんですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体大蔵大臣も私もそういう見方をしております。ただ、経済が直ってきたといっても、数年前のような好景気ということが一時に現出するわけじゃない。また現出されることが必ずしも適当じゃない、こう思います。そこで政府が財政需要であれだけをつけます。見通しにおきましても民間設備投資は四兆四千五百億、五百億しかふやしておりません。ですから民間活動がまだそれほど大きいとは予想しておりません。ただ、これは心理的な問題でございますけれども、景気がいよいよ直ってくるとなると、日本人の心理でもあり、あるいは企業家の心理的な影響で、また思わざる非常な民間投資みたいなものを活発にやっていくというような機運が出ないとも限りません。しかしこれは私の考え方ですが、あまりそういうときにうちょうてんになって、前のような考え方で民間設備投資がふえてくるよりも、民間設備投資のふえ方は少ない。しかもその内容を、私は従来のような大きく伸びた大企業が設備投資のし合い競争をやるんじゃなくて、その設備投資が中小企業にできるだけ回っていくようになれば、これは一番理想的じゃないか、こう私は考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一つだけです。これで終わりますけれども、もう一つ。どうも私の理解によれば、いま長官もお認めになったように、四十一年度のこの予算ではデフレギャップを十分に埋めるだけの有効需要をつくれないと、そこで上期に集中して大型予算を使うと、集中効果を求めるということだと思いますね。しかもまあ年間平均して七・五%の実質成長率を達成しようとすれば、かなり上期にもうウエートを置きませんと、四十年度非常に落ち込んでいますからね。上期に相当のウエートを置かなきゃならぬということもあると思うのです。しかし、その結果、上期において期待したほどの景気が効果があらわれない場合、また期待したほどの成長が実現されない場合、これはどうなるかというのですね。下期にいってこれは非常に大きな問題が起こってくるのじゃないかと思うのですが、その点はやはり読みとして読まれていると思うのですね。どういうふうに……。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十一年度の上期を迎えまして、成長率というものが、四十年度のほとんど半ばまでは成長率ゼロでございました。それでまあ本年二・六%ぐらいな成長にとどまるだろうと、こういう見通しですが、それはやっぱし下期が相当伸びなければ二・六%平均になりません、上期がゼロでございますから。ですから、まあ下期から上期に向って二・六%よりはもっと高い成長過程で移行していくと、それを受けていまのような政府の財政投融資というものも、まあ九月まで昨年は二九%ぐらいしかなかったものを、契約ベースで六〇%なり、支払いベースで四〇%なり出して、そうしてそれをつないでいくと、そうすればまあ大体平均していくのじゃないか。問題は、政府の財政投融資がほんとうに生きて上半期に出てくるか出てこないかというところに勝負がかかっているということでございまして、これは中央・地方を通じていま対策本部をつくって、大蔵大臣みずから本部長になって、陣頭指揮をやっておられるわけで、今日までの経過からいえば、まず順当に進むのじゃないかと、ただ地方段階において、県会その他市会等の予算編成にできるだけ間に合うようにやっておりますけれども、全部が全部というわけにいっておりません。いよいよ個所づけ、設計、工事というようなことになりますと、まあ予想より手間が取れるかもしれませんけれども、しかし、まあその目標に到達できるようにできるだけやっておりますので、まあ楽観するわけじゃございませんけれども、いまの状況ならばいくのじゃないかと、こう見ております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私、このほか、四十一年度の予算に関連して、長期経済の見通し、長期経済計画について質問したかったのですが、中期計画にかわる……。時間の関係上これはまあ他の機会に譲ることにいたしまして、私の質問はこれで終わりにいたします。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 他に御発言もないようでございますので、以上をもちまして経済企画庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。     —————————————

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、羽生三七君、春日正一君が辞任され、その補欠として亀田得治君、岩間正男君が選任されました。     —————————————

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 午後は防衛庁所管について審議を行なうことにいたします。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 休憩前に引き続いて、分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。佐多忠隆君が辞任され、森元治郎君が選任されました。     —————————————

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 昭和四十一年度総予算中、防衛庁所管を議題といたします。  まず、政府の説明を求めます。松野防衛庁長官。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 昭和四十一年度防衛庁予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、(組織)防衛本庁について申し上げます。  昭和四十一年度の防衛本庁の歳出予算の総額は、三千百九十六億五千二百九万一千円でありまして、これを昭和四十年度の歳出予算額二千八百六十九億七千百四十六万三千円に比べますと、三百二十六億八千六十二万八千円の増加となっております。  このほか、国庫債務負担行為として、航空機の購入について九十九億八百二十三万三千円、器材の整備について三百五十二億二千二百三万五千円、弾薬の購入について五十二億六千六百四十二万六千円、施設の整備について七億一千三百六十九万四千円、艦船の建造について十二億六百九十三万二千円、計五百二十三億一千七百三十二万円を計上し、さらに継続費として、昭和四十一年度甲型警備艦建造費について四十一億五千七百十五万五千円、昭和四十一年度甲II型警備艦造費について七十二億九千六百四十五万二千円、昭和四十一年度潜水艦建造費について四十一億七千十四万九千円、昭和四十一年度練習艦建造費について三十四億二千百五十一万八千円、計百九十億四千五百二十七万四千円を新たに計上いたしております。  また、職員の定数につきましては、防衛本庁の昭和四十一年度の職員定数は、自衛官二十四万八千二百二十二人、自衛官以外の職員二万七千八十三人、計二十七万五千三百五人でありまして、これを昭和四十年度に比べますと、自衛官において六百三十人の増、自衛官以外の職員において一人の減、計六百二十九人の増加となっております。  次に、防衛本庁の予算案の内容について申し上げます。  基本方針といたしましては、昭和四十一年度は、第二次防衛力整備計画の最終年度であると同時に、第三次防衛力整備計画につながる年度であるという考え方で、防衛力の整備を一段と推進し、今後における防衛体制の基盤を確立するという見地から、国の防衛力を実質的に強化するための各般の施策を着実に実施することを主眼といたしまして、特に次の諸点を置いております。  すなわち、まず、防衛意識の高揚をはかり、自衛隊に対する国民一般の理解を深めるとともに、隊員の士気を高揚し、かつ、自衛官充足対策の強化をはかるため、広報活動の強化、募集施策の推進、老朽隊庁舎の改築、宿舎の増設、その他隊員の処遇及び生活環境の改善整備を強力に推進することとしております。  次に、第二次防衛力整備計画の線に沿って、自衛隊の装備の充実、近代化を促進することとし、陸上部隊装備の充実、艦船建造の推進、航空機の増強、弾薬の確保、ナイキ、ホーク関係部隊の整備、バッジ建設の推進等に必要な経費を計上することとしております。  また、研究開発につきましても、重点事項の一つとして特にその推進をはかることとし、前年度に引き続き対潜飛行艇等の試作を行なうほか、新たに中型輸送機の開発等に着手することといたしております。  なお、基地問題を円滑に処理するための騒音防止措置、飛行場周辺の安全措置等の諸施策につきましては、昭和四十一年度から自衛隊関係及び駐留軍関係を通じて関連諸施策の一元化を一段と推進するため、関連経費を後ほど御説明申し上げます(組織)防衛施設庁に原則として一括計上することといたしております。  以下機関別に内容を申し上げます。 陸上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして一千五百億四百二十七万二千円、国庫債務負担行為におきまして百四十八億六千四百七十二万四千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、ホークの導入に伴う関係部隊の改編を行なうほか、隊庁舎等施設の整備、戦車その他の部隊装備品の充実更新、ヘリコプター等航空機の購入による機動力の増強等により防衛力の内容充実を一段と推進することとしております。職員定数につきましては、昭和四十一年度の自衛官は前年度と同様十七万一千五百人、自衛官以外の職員は一名の減で一万三千六百二十九人、計十八万五千百二十九人でありますが、予備自衛官につきましては、三千人の増員を予定しておりますので、昭和四十一年度における予備自衛官の定数は三万人となります。  なお、航空機につきましては、昭和四十一年度において新たに小型ヘリコプター七機、中型ヘリコプター十機、大型ヘリコプター六機及び連絡偵察機一機の購入を予定しておりますので、これにより陸上自衛隊の昭和四十一年度末における保有機数は三百十一機となる見込みであります。  海上自衛隊につきましては、歳出予算におきまして七百五十億九千九百七十二万九千円、国庫債務負担行為におきまして百三十四億三千九百八十四万五千円、継続費におきましては冒頭に申し上げたとおりであります。  その主要な内容について申し上げますと、まず、職員定数につきましては、昭和四十一年度において艦船の新規就役等に伴いまして、自衛官三百八十人を増員することとし、これにより職員定数は、自衛官三万五千九百四十一人、自衛官以外の職員五千三十五人、計四万九百七十六人となります。  次に、艦船につきましては、新たに警備艦二千トン型一隻、同三千トン型一隻、潜水艦千六百トン型一隻、練習艦三千五百トン型一隻、掃海艇二隻、支援船九隻、計十五隻、一万一千五百七十一トンの建造を予定しております。これにより、昭和四十一年度末の保有艦船は五百二十六隻、約十七万四千四百トンとなる見込みであります。  また、航空機につきましては、昭和四十一年度において新たに対潜ヘリコプター四機、双発練習機一機、救難用ヘリコプター一機及び輸送機一機の購入を予定しており、これにより海上自衛隊の昭和四十一年度末の保有機数は二百四十機となる見込みであります。 航空自衛隊につきましては、歳出予算におきまして八百五十三億三千七百十三万七千円、国庫債務負担行為におきまして二百十一億八千二百四十万一千円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、新潟救難隊の新編及び自動航空警戒管制組織要員の増強等に伴い、自衛官二百五十人を増員することとし、これにより職員定数は、自衛官四万七百三人、自衛官以外の職員五千三百五十六人、計四万六千五十九人となります。  また、航空機につきましては、昭和四十一年度において新たに救難用ヘリコプター四機及び救難用捜索機二機の購入を予定しておりますので、これにより航空自衛隊の昭和四十一年年末保有機数は一千八十八機となる見込みであります。  内部部局、統合幕僚会議及び付属機関につきましては、歳出予算におきまして九十二億一千九十五万三千円、国庫債務負担行為におきまして二十八億三千三十五万円となっており、職員定数におきましては、昭和四十一年度の増員はなく、前年度と同様自衛官七十八人、自衛官以外の職員三千六十三人、計三千百四十一人となっております。  次に、(組織)防衛施設庁について申し上げます。  昭和四十一年度の防衛施設庁の歳出予算の総額は二百九億八千三百三十八万三千円で、これを昭和四十年度の歳出予算額百八十三億九千八百一万九千円に比べますと、二十五億八千五百三十六万四千円の増加となっております。このほか、国庫債務負担行為として、提供施設の整備について二億一千万円、提供施設の取得について三十億円、計三十二億一千万円を計上しております。  また、職員の定数につきましては、防衛施設庁の昭和四十一年度の職員定数は、前年度と同様三千三百八十七人であります。  次に、防衛施設庁の予算案の内容について申し上げます。  昭和四十一年度の予算案の重点といたしましては、まず、基地の安定的使用を確保し、基地周辺の民生安定に資するため、前年度に引き続き、騒音防止措置と飛行場周辺の安全措置等の諸施策の推進をはかるとともに、特に基地周辺整備助成措置の強化に配慮する等、基地対策関連経費の充実をはかることとしております。  なお、基地問題を一そう適切、かつ、円滑に処理するため、従来防衛本庁に計上しておりました自衛隊関係の騒音防止対策事業費補助金、飛行場周辺の安全措置関係経費等を昭和四十一年度から駐留軍関係経費とあわせて防衛施設庁に一括計上することとしております。  次に、駐留軍要員の適正な労務管理をはかるため、離職対策の強化、健康保険組合の財政の健全化等の措置を講ずることとしております。  以下各項ごとに内容を申し上げます。   〔主査退席、副主査着席〕  施設運営等関連諸費につきましては、自衛隊及び駐留軍の基地対策関連経費百四二十億七千六百三十八万一千円を含めて百六十二億六千七百二十六万円となっております。  調達労務管理事務費につきましては、離職対策費一億一千二百五十四万五千円及び駐留軍要員健康保険組合臨時補助金七千万円を含めて、九億四千三百五十一万三千円となっております。 その他、相互防衛援助協定交付金四億一千五百四十万円、防衛施設庁費三十三億五千七百二十一万円を計上しております。  以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁の予算案の概略の説明を終わります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成くださるようお願い申し上げます。

北村暢日本社会党

○副主査(北村暢君) これより質疑に入ります。森君。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 委員の交代がありまして、私がかり出されてまいりました。まっしろい紙を持って参上いたしました。したがって十分ないい質問ができないかと思いまするが、二、三点伺います。  防衛力の実力は、どういうところにあるか、終戦後平和憲法を持ち、ところが朝鮮事変棒起きて警察予備隊ができ、保安隊ができ、そうして自衛隊に発展をしてきましたが、現在の実力というものはどういうものであるか、過去においてこれまでどのくらいの金をつぎ込んだのか。   〔副主査退席、主査着席〕  今日までどのくらいの金をつぎ込んだか、実力というものはどういうものであるか、実力の内容は軍人の、自衛官の数もありますし、軍艦、航空機の数もお知らせ願いたいと同時に、自衛力というものはやはり力でありますから、員数ばかりそろえても実力のないものもあります。質のよいものもなければならぬと思うが、質量から実力はどういうところか、これを伺います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 実力の定義をどこに置くかということはなかなか容易じゃございませんが、概略的に申せば、兵員の数、装備の内容、とれがさしあたり国防、直接国防の実力であろうと、私は思います。もちろん間接国防という意味もありましょうし、あるいは国防意識ということもありましょうが、さしあたり、本委員会で議論するならば、その直接的防衛実力、兵員が全部で二十四万であります。陸海空で二十四万、その中で陸が十七万一千、空が四万、海が四万、それで概略二十四万に計算が合うと思います。その中で飛行機が戦闘機としてさしあたり第一線級に使いますものを、104約二百機、多少減っておりますが、約二百機、F86約三百八十五機ぐらいで、合わせて概略六百機近いものがいわゆる一線級の戦闘機、海に至りますと、これは艦艇のトン数が十四万トンが主艦艇、援助艦艇を入れますと少しふえますが、大体十四万トン、これが概略的に諸外国に比べ一般的に直接防衛の実力というならば、これが各国の一つの基準になると私は思います。その装備におきまして、艦艇における装備は、これは日進月歩で、どこを比較するわけにいきませんけれども、大体艦艇はそのトン数と大きさが一つの基準になることは、これは論を待ちません。したがって、比べ方によっては実力はある、比べ方によっては実力は非常に少ない、これがさしあたり御質問に答うべき一番いいお答えではないか、自画自賛するわけではございませんが、その辺でひとつお答えを第一段階にいたしたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 費用ほどの程度になっているか、官房長でも大臣でも……。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 本年の予算が、大体三千四百億の予算を組んでおります。過去におきましては装備品の基準にいたしますと、大体一兆五千億円です。装備品の場合は、経済ベースじゃございませんから、減価償却はしておりません。その中で国産、いわゆる自衛隊そのものの予算で装備化したものが一兆円、あとの五千億は米軍からの供与品ですから、財政的負担は、支払いをしておらぬものが約五千億、政府の予算で支払うのが一兆、合わせて大体一兆五千億というのがいま現有の装備の内容で、また、こまかいことは経理局長に答えさせますが、大体概略、政治家の常識としてはこの辺で十分じゃないかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 二十四万は、これは定員だと思うのですが、これは充足されておるのか、どうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 十七万一千五百のうち八七・八%が現在員、海の三万四千の中で九五・三%が現有、空の四万の中で九五・五%が現有。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 いわゆる昔の予後備役に相当するものがこの中に書いてありました三万人ですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) いま現在は二万四千人で、今回提案をいたしまして三万にしたいという実は定員法の改正をこの国会で提案をいたしております。それが通過いたしますと三万、現在は二万四千でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ただいま伺いましたが、この飛行機にしろ、海のものにしろ、陸上の自衛官の装備にしろ、新しいもの古いもの取りまぜておるだろうと思うのですね。自分の所期するものが全部整とんしてはおらぬと思う。したがって、ただこの数だけを見て、これだけの力があるとは言えないのじゃないかと思うのです。  ところで、ベトナムの戦争などをどうも見ておりますと、あの損耗率はたいへん激しいものですね。そうしますと、これだけのものは消し飛んでしまうのじゃないか、いわゆる予備はない、これで全部ですから、持ちもの全部、予備がないとすると、侵略なり衝突の形式にもよりましょうが、どのくらい持ちこたえるのか。逆に言えば、どういうことを想定してこういう数字をいま現に整備しているのか、どういうことを想定してこういう数字を整備し、なおかつ第三次防衛力整備計画をこれからやろうとしているのか、およそ限度があるだろうと思うのですね。計画でありますから、この限度ではこれだけのポテンシャルを持っている。したがって科学兵器の発達もあり、国際情勢の変化もあれば、またこれを変えなければならぬが、一応目標というものはなければならない。どれくらいのものとの防衛、抵抗、こういうことか ○現在これだけの数字になっているのか、それを伺いたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 直接侵略の内容は、これは想定できませんが、現在ある兵器を最大限活用して、大体一カ月間はその兵器が使用できる。減耗率を考えると、これはわかりませんが、一応補給としては、一カ月以上はこれで活動し得る、これはすべてのものが破壊されずに補給だけで申します。弾丸とか、あるいは諸種の部品の整備とか、最大一カ月以上は大体持てると私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これも前提のとり方で大きな衝突、一撃でくるような大きな衝突であれば、一回戦、あるいは二回戦で吹っ飛んでしまうかもしれませんが、じみちにくるなら一カ月くらい、こういうことになろうかと思うですね。私は今日の時代でこれだけの実力、あるいは第三次防衛力増強計画をしても、なかなか力で防ぐということはむずかしくなっていくんじゃないか。やはりこの弱さを外交の面でカバーしていかなければならないということが大事だと思うのです。それは後ほど聞きますが、この一カ月間持つのだということは、日米間の了解でそういう検討ができたのでしょうか。お前、一カ月持てばいいんだ、それくらいのものでやってくれれば何とかするということなのか、どういうことになりますか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 日米の協定は、それについてはございません。いまのわれわれは、一カ月が三カ月、三カ月が六カ月、なるべく充実したいという方向で努力しておりますが、今日の現在の制度では、一カ月以上程度しかまだ整備ができていないということです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 きわめてどうも不安心というか、皆さんの努力はあるけれども、気の毒だと思うのは、何か目標がなければ、何とか一カ月なり三カ月は及ばずながら抵抗すると、あとはまたあとというようなのでは、これだけの自衛隊に大量にお金をつぎ込んでも期待が持てないわけですね。そういう点に対するどうも私は納得がいかない一つの理由はこうじゃなかろうかと思うのです。自衛隊が憲法に、われわれが終戦後、自民党の方々も含めて戦力は持たないのだと、あの新憲法が通ったときの気持ち、ところが朝鮮事変が起きまして情勢が変わってきた。やむを得ず警察にサーベルを持たせる。それが保安隊になってきたというような事実の積み重ね、抜け穴を通って大きくなってきたところに、そういう計画についてはっきりしたことも打ち出せない。また二十四万あるいはこれ以上にのぼるこの関係者も、ほんとうにこの自衛をやる、自衛のために命を捨てるという決心もできない、こういうふらふらした精神的なもの、こんなものが重なり合って、私は自衛隊の実力がないのだと思う。したがって、憲法が現在の憲法である限りは、やはり抜け道をやろうと思っても、幾ら数をふやしても、実力がついてこないのじゃないか。防衛庁長官が一生懸命つけようと思っても、正々堂々の防衛計画も国会に出し得ないし、働いている人も気がねをしている、こういう状況では、これはたとえ少しばかりの質あるいは量をふやしても、実力というものがついてこないのだ、こういうような認識を私は持っているわけです。  そこでこういう実力なり、いまお話しのような実力を持った日本が、隣の中共が核兵器を持ってまいりますと、これに対応しなければならぬ。これについては防衛庁長官も、しかるべき方策をもってこれに対抗できるような施策なり具体策を持っている、あるいはつくろう、こんなような意味の御答弁がほかの委員会であったと思うのですが、第三次防衛計画に関連するのでしょう。そういう腹ぐみをこの分科会でもっと具体的におっしゃっていただきたいと思うのです。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 中共の核装備、核兵器の開発ということは、アジアにおいていままで前例のないところであります。アジアのみならず、世界においてこれは非常な脅威とされております。まして身近なアジアにおけるその脅威は倍加するであろう、これが脅威の私は実態である。また、兵器を開発するということは、使う可能性を持つということであります。使う使わないは別として、使う可能性を持つ。逆に言うならばその可能性は受けるほうもあるわけです。私は、直ちに今日の問題で核戦争が起こるという感じは直接は持ちません。しかし、物心両面における脅威というものは、やはりこれは去らない。その意味において、その担当する防衛というのは、その物心の、ある意味においては物に対する対策というものを立てるということは、これは当然ではなかろうか。それが第三次防における装備計画に私は反映すると思います。これが今日考えられる私の世界情勢においての考え方であります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その物に対する対策というのを、それがまあ聞きたいわけなんですが。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核に対して、じゃどういう防衛を各国はしているか。これは諸外国では、核に対しては核でなければいけないという国もあります。また、その意味で開発された国が多いだろうと私は思います。一カ国が持つならばおれも持つのだ、かつてドゴール大統領はそういう演説をされたように私は記憶します。これも一つの核に対する核防御の自衛の一つの方法かもしれない。しかし日本の場合はその状況は当てはまりませんので、日本には核に向かって、核に対して防御するという方法はとれない。したがってそれ以外でどうしてとるか。今日は外務大臣が力説されている日米安保条約における抑止力、これも重要な場面、それだけでも日本の防衛は完全ではなかろう、みずからの国ですから。そこでどういう装備をし、どういう変化をするか、これが今日第三次防で一番苦心しているところであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その自分のことは自分でしなければならぬというので、どういう装備をしようかと苦心しているところで、この整備計画というものはまだ計画そのものはできておらないのですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 目下総体的には作業中であります。しかし一、二のものは、方向としてこうあるべきだという方向は出しているものもあります。しかし総体的な、総予算とかその内容とか、そういうものはまだおそらく二カ月ぐらいかかるのじゃないかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ここは国民のみんな知りたいところだと思うのですが、大臣がおっしゃったように、ものに対するものの対決ということ、これをもう一段お考えになっていることを明らかにしてもらいたいのは、もし日本、中国の関係というものが割れるならば、一般論として核の脅威を受けたものがこれに対してみずから守っていこうというような場合、どんなものが、諸外国の例でもけっこうですから、あるのか、この点を伺いたいと思います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核の破壊力に対して、その核に対する、破壊力に対する核を持つということも一つの方法としてとられています。日本の場合はそれはとらないというと、核に向かってどうやってこれを対抗するかということは容易なもんじゃありません。世界じゅうその安定的なものは開発されておりません。しかし、ある意味においては核が飛んでくるんだから、その飛んでくる手前で飛んでくる核ミサイルを打ち落とせばいいじゃないかという研究もされているように私は聞いております。アンチ・ミサイル・ミサイルということばがときどき出るのはそういう思想とそういう戦術からだと思います。これも日本にとっては防衛——これは唯一の防衛の兵器である。もちろん核弾頭をつけているわけじゃありません。核弾頭つけたものを核弾頭つけないもので打ち落とそうというのですから、非常にむずかしい議論であります。しかし、思想として、方向としてはこれなどは明らかに防御的なものであるということは言えると思います。  もう一つは、やはり核そのものが核戦争にならないような方向というもの、あるいはなったときはこうであるという抑止力というもの、これはやはり事前の、言うならば予防的なもの、このほうが今日やはり一番事前に危険を防げる道じゃなかろうか。しかし、それだけでもやはり自国というものは守れないというならば、どうすればいいか、まだ三次防の今度の計画の中にはそれが非常な研究課題として残るかもしれません。三次防決定以後にこれは残るかもしれません。それぐらい重要な長期的なものであると私は考えます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 地対空のミサイルをおっしゃったのかと思いまするが、どんな新聞、雑誌研究者の発表を見ても、飛んでくるものに対して受けるほうでは一〇%なり三〇%なりは受けられるが、それをはずされて入ってくる数のほうが、%のほうが多いというが定説のようであります。違っておったら訂正をしてもらいますが、こういうことだけで、ただ核ができたから、今度アンチ・ミサイルで落としていくんだという、その場その場の防衛体制というものは金もかかるし、効果もないし、いたずらにざわめくようなだけであって、私はそれではいけないというような感じがいたします。やはり根本的な問題を、中国をわれわれの話し合いの相手にするような方向へ持っていかなければ、防衛計画のほうも十分にいかないんじゃないかと思います。そこで、この中共の核兵器に対してここ二、三年で開発がされて、中距離弾道弾を持つようになり、日本は当然そのレインジの中に入ってくる。これに対しては、政府は、池田・ジョンソン、ワシントン会談のコミュニケにもあるように、あらゆる攻撃に対してアメリカは日本を防衛すると言っているからアメリカの核抑止力、これが働いて日本を守ってくれるのだ、こういうことを椎名さんもおっしゃっておりますし、去る外務委員会では防衛庁長官もさような発言があったと覚えます。そこで、アメリカが、日本が核でやられる場合、抑止力を働かすということはわかりましたが、この保障は、必ずやってやるということは、一体どこからそういう確信を日本は得ておるのか、単にジョンソン・池田会談のコミュニケによるのか、あるいは条約上の根拠によるのか、防衛庁長官、防衛の当面の責任者である長官はどういうふうに理解をされておりますか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 安保条約及びその基本精神、また今日までの安保条約下における日本の現状というものから推定して、私はそれを確信しております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、アメリカは日本を抑止力でやってくれる、しかし、そういう攻撃が、いわゆる核による攻撃あるいは核による脅威という場合もあるわけです。この脅威ということに対して、現実の攻撃というような場合に対して、ただアメリカに一方的にまかせていいものかどうか、やらないでもいいような場合も日本ではありましょう。そういう場合に向こうに核兵器の引きがねを引く権利一切をまかせてしまっていいものかどうか、そういうことになりますれば、場合によっては日本が、守ってもらう日本がなくなってしまって、アメリカだけが残るというようなことにもなります。一体ボタンをいつ押すかどうかということは、一切あげてアメリカに譲っておるのですか、この場合。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 専門家のあなたにいろいろ申し上げるのはあれでしょうが、安保条約というのは、御承知のごとく、緊密な連絡、協議というのが前提になっております、日本に関する限りは。したがって、日本に関する限り、その行動というものは常に事前の協議、密接な連絡、これによって安保条約の基本的な運営がなされると私は思います。全部アメリカの言いなりというわけでは安保条約はない、そういう条約と私は信じております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それはふわっとして、そういうふうにこっちが理解しているのは一向差しつかえないのですが、これは日米間、違う国と違う国の話し合いというのは、日本人が好きな一ぱい飲みながらのなあなあでは済まないのですね。やはりある基準に従って話を進めるのですから、こちらでばかり確信じゃなくて、いやその核兵器の使用については、アメリカともうすでに協議をしておるのだ。それでその結果、アメリカからその確信を得ているのだ。椎名さんのような外務大臣でなくて、防衛庁長官という専門家が向こうの国防省関係の人と当然そういう話し合いがあるから、大臣がただいまおっしゃったような確信めいた御答弁があったように、私は推測するのですが、何もないのですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核に対しての相談とか、核に対する戦術というものを相談したことはありません。しかし、すべての場合、日本の安全と平和というものは、御承知のごとく、安保条約における条項——過去五年間引き続いてまいりまするならば、緊密な連絡と連携、また、アメリカの考えというのはおのずからわかってまいります。年に何回かは、御承知のごとく、会議を開いております。そういうすべての印象、問題というのは、この条約、条項に照らし、正確に、忠実に守って今日まできております。したがって、今後も同じ路線であるということを信ずるというのは、ただ条文、条約のみならず、その実行過程において私たちは守り得る、またそうあるべきであろう。核戦術についてはまだ話し合いをしたこともありません。日本の安全と平和についてのみ、話し合いを常時あるいは定期的会議を持って話し合う、これが今日までのいきさつです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは大臣、重要でありますから、それは重要であるがために、ヨーロッパのNATOの諸国における、ドイツあるいはドゴールのフランス、あるいはまたソ連などが、核兵器の拡散などについて、たいへんとげとげしい、あるいは疑い深い議論が、ヨーロッパでは行なわれておるわけでありまして、日本としては、現在、大臣が、アメリカとの話し合いの過程の中で、お話が行なわれているということでありまするが、これははっきりしたものがなければ、日本の運命を一瞬にしてゆだねるかもしらぬような情勢が馴致される問題でありますから、やはりはっきりしたものを取りつけなければいけないと思うのです。ただ、そういうことになりますれば、日本の死命を人にゆだねてしまうというので、私たちは条約の精神とか、交渉の過程とかじゃなくて、はっきりしなければいけない。しかも、核のボタンを押す、いつ押すか、押さないか、こういう判断も——日本では言いたいこともたくさんあるのでしょう、われわれの判断として。ですから、これは当然、明らかな協約、協定、約束によってでない限りは、きわめて危険なものであると思います。もう一ぺん伺います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 安保条約に明言してあります。  もう一つは、先般、佐藤さんのアメリカ訪問の際に、なお明細な確認をされて、いかなる攻撃に対しても守る。この二つのことがあるならば、おそらく今日、信じられる、またわれわれが信じていい最大の論拠じゃないかと、私は思います。これ以上疑う余地は、私はないと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、第一点は、ジョンソン会談のときには、ジョンソン・佐藤会談後のコミュニケが——そのコミュニケの出た背景、そのコミュニケを出す前のところで、十分話し合っておるんだろうというふうに、了解してよろしゅうございますか。そういう話し合いがあるから、コミュニケというものは、それを土台に世間に発表するために出すんですから、前に話がないものをコミュニケで出すということは、しないのが通例であります。たとえば、国連安保理事会で日本の松井さんが、ベトナム政局収拾のために、一つの議長の取りまとめ案を出そうとして、努力をしましたが、ソビエトやその他の、フランスあたりからも反対されて流れてしまったのは、なるほど安保理事会の中には、早期平和実現の空気があることは確かでありますが、しかし、それを、現実に論議もしないのに、そういう空気と議長が見て取って、その結果を議長の書簡として取りまとめをするということには反対というので、消されたのでありましょう。ジョンソン・佐藤会談のコミュニケも、具体的に、その問題が前に行なわれていた——池田さんがワシントンに行ったときであるとか、あるいは前々からの話し合いをまとめたものを、佐藤・ジョンソン会談に入れたのか知らぬが、十分話し合ったと理解して、話し合った結果、あらゆる攻撃という表現になったのか、これを伺います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 直接話し合いをして、その内容を私は聞いておりません。しかし、要するに、そのコミュニケというもの、両当事者が一致してそのコミュニケを出すということは、そのコミュニケを守る、また、お互いの意見が一致したからコミュニケに出したのだ。そのコミュニケを信ずること、これが一番正しいのじゃないか。その内容とか空気というものではありません。そこに明文がうたってあるならば、そのコミュニケというものは、両国において十分一致したというのがコミュニケではなかろうかと、私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は、こういう大きな問題は、日本がもっと慎重にやらないと、日本の運命が、ちょっとした他国のミスのためにとんだことになるおそれがあると思うので、私は大臣の御答弁には、満足ができないわけであります。これ以上押し合ってもしかたがありませんので、次の段階に移ります。 いまのお話ですと、日本は、なるほど核兵器は持たない、入れない。日本の国に核兵器は持ち込ませない、自分で持たない。が、アメリカというパートナーを通じて、核兵器使用の参加、核戦略といいますか、核戦術というか、そういうものに間接的に日本が加わっているという結果にならないかどうか。あらゆる攻撃に対処するという場合に、先ほどおっしゃった、事前の話もあるだろうという表現にもありましたように、そうすると、自分では持たない、自分の土地の上には核兵器はなるほど持ち込ませないけれども、少し遠いところの核兵器を、日本の意思によってあるいは日本の意思をアメリカの意思に加えて、大きな中距離あるいはICBMの弾道弾でも使うということに参加することになりはせぬか。別な表現で言うならば、いま問題になっております核の拡散、こういうことに間接的になりはしないかと心配するものですが、いかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 安保条約の条文の中で、御承知のごとく、これは武力攻撃を受けた場合、あるいは固有の自衛権というのが前提でありますので、一般的に戦略、戦術というものには該当しない、自衛権の侵された場合、武力攻撃を受けた場合以外のものではないと私は思います。  したがって、世界の戦争に安保条約が関係するわけではない。日本の安全と平和が侵された場合、日本は、日本の個別的自衛権あるいは日米の集団的自衛権の発動をするのであります。一般的な世界戦争のワクでは、これは律しられないと私は思います。したがって、日本が受けた場合、これが安保条約の前提ですから、それ以外のことを、われわれはこの安保条約というものの中に規定していないと私は思います。もちろん、極東の平和に関心を持つということばもこの中にあります。したがって、自衛隊が発動する、戦闘力を発揮するというのは、侵略の場合の、武力攻撃を受けた場合しかないのであります。その場合に、個別集団的な自衛権というものの発動を規定しているわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の心配は、前から申すように、自分の意思というものが十二分に尊重され、貫徹されないで、たとえ攻撃があったときでも、引きがねが向こうに持たれているということは非常な危険であるから、核拡散のおそれも出てくるような、いまのようなあなたまかせ、アメリカにまかせ切りの核兵器を含む抑止力の発動ということには、賛成ができない。もっとはっきりした話し合いをしなければ、とんだことになるだろうと思います。  そこで、いままで安保条約には、日本に核兵器などの重要な装備の変更あるいは軍隊の——軍隊という場合は、私は一般的なフォースという意味でありますが、重要な配置の変更があった場合は、事前の協議をするということが書いてありますが、最近の核兵器の、アメリカ核抑止力、日本が攻撃された場合のアメリカ核抑止力の発動に関連しての政府の答弁では、もう向こうの遠くからやっていればいいんだと、どういうような印象を受けます。さすれば、あの事前協議の条項というものは、もう日本に持ち込まないということになるんだから必要がないような感じを受けるのですが、どうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 日本は核兵器持ち込み、戦闘作戦の基地または重要な配備については事前協議という条項を三カ条かぶせてあります。したがって、これを今日まで守っております。また、米軍からこれを特にいままでこのことについて要請があったこともありません。したがって、今日われわれはいまの条約で危険であるという考えを持っておりません。また不便であるとも考えておりません。今日の状況ではこれで十分やっていける。いずれにしましても、攻撃を受けた場合ですから、世界の戦略の中に安保条約が入るわけでもないですから、それは当然被害を受けたときにそれを守る手段というものは最善の道を尽さなければ国民の生命の安全はない。こういう気持ちから私たちは防衛力というものを考え、個別的、集団的なものはあるべきであるという、こういう観点に立っているので、非常に高邁な広範囲な世界情勢にはわたりませんけれども、やはり日本の国民を守るという立場から私たちは常にこれを解釈しております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 攻撃があった場合というのは、従来核兵器がこれほど発達はしない、またお隣の中共でもまだ核兵器の開発が結果を出さなかったときは、攻撃ということばの理解は、海の上をはってくるとか、おかの上を通ってくるとか、あるいは水が土地にしみるように入ってくるのが攻撃の形態であったように感じられましたが、今日では、攻撃ということになりますと、隣の国などの情勢から見ると、ちょっと攻撃の内容が変わってきやしないか。したがって、これに対応する形も変わってきて、軍事的な衝突、抵抗というものはたいへん悲惨なおそろしいものになると思うので、ただ攻撃があった場合はといって、うかつにおれないので、攻撃とはどういうものであるか、よほど検討をしていかないと、おそるべき結果になると思うのです。ただ攻撃攻撃とそう気やすく言うような内容形態ではないと思うので、私は、安保条約関係をやっておられる皆さんに対しては、さらに検討を要請することであります。日本の自衛隊は軍縮という問題についてどういうお考えをしておるのか。いまおれのほうは小さいのだ、予算にしても十億ドル足らずの予算だ、小さいんだから軍縮の目に入らないと思っているかどうかそれはわかりませんが、一般的に軍縮、核兵器の軍縮はもちろん、一般兵器の、あるいは一般軍備の軍縮というものに対して研究をされたことがあるのか、それを伺います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 外務省でたしか軍縮課とか軍縮室とか、あるいは軍縮主任ですか何か置いて研究をしようとしておるようであります。ただ、これは防衛庁の側から見るならば、軍縮ということに私は賛成であります。ただし、おっしゃるように、日本の自衛隊のいまの力が軍縮の網の目に入るものではない。これも私は両方とも確信しております。軍縮は賛成である。しかし、いまの自衛隊は、まだ軍縮の段階の網の目に入って、諸外国から、日本は大き過ぎる軍縮しろというような対象になるものではない。思想的には軍縮というものは私は反対でありません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 これは、いまは小さい小さいと言いますが、初めはゼロからスタートしてここまできたのですから、今後どれだけ大きくなっていくのか、私たちの予想を裏切るようなことになるかもしれぬ。いずれにせよ、いま核兵器のほうにばかり頭を突っ込んでおるようでありますが、核兵器がだんだん使いにくくなる、制約を受ける、こういうことになってきますれば、コンベンショナルな兵器によるものも大きな力になってくると思うのですけれども、そうなりますと、やはりこれも野放しにしておかないで軍縮を日本は叫ぶ。相対的に向こうも叫んでくる。そうすれば日本は大きくしないで済むんですから、日本はこれを世界に向かって声を大にして呼びかけることができるんですから、大いに軍縮はその意味からも促進をしなければならぬと思うのです。この点は大臣、いかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 世界の軍事国がおのずから軍縮に向かうという情勢は、残念ながら、今日逆な方向に進んでおります、したがって、声を大にして叫ぶだけでは軍縮の効果はあがらない。やはり軍縮というのが諸外国にみずから実行される、そこまではおのずから個別的な固有の自衛権を日本は持つべきだ、また持たなければその国の安全は保てないという情勢を正しく見るならば、私は自衛隊というものはもっと成長して、そして日本の国を守るべきだと、こう考えます。しかし、一つの方向として、軍縮というのが世界の共通の課題であることは、これは私も否定いたしません。また、それに反対もいたしません。しかし、今日叫びさえすれば安全かという情勢は、これは私が言うならば、あまり国民に対して責任がなさ過ぎる、そういう二つの面を私は今日持っていると思います。なお、核ばかりが戦争かというと、核戦争というのは、お互いに持ち、外交に使い、戦略的に使い、しかし、現実的には、まだ核戦争以外の、一般戦争といいますか、核戦争以外の戦争が各地に勅発しております。それに対応してわが自衛隊というものは存在すべきである。核を持っている国は陸軍は要らない、空軍は要らないという国はありません。核を持っている国でも、一般的な陸軍、空軍というものを整備しております。そうならば、核兵器を持っているという不幸な事態で、われわれ自身がみずからを守るという防衛力の整備ということが必要であります。核ができたから一般装備は要らないというものでは私はなかろうと思います。したがって、核戦争というものは、おのずから力を脅威とし、お互いの抑止力において力の均衡において今日世界がある。だから、日本は、核を持たない国は軍隊は要らないということでもなかろうと私は思います。そういう情勢を見るならば、日本の自衛隊の本年のまことに遠慮した予算というか、国民経済を圧迫しない、不当な多額なものを要求しない、そして内容を充実するというわれわれの堅実な歩みも国民は納得していただいておると私は思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 叫ぶだけではいけないとおっしゃいますが、日本はまだ叫んだことは一回もないのであります。まだ軍縮について日本はしっかり勉強しろということは外務委員会でもわれわれは盛んに前々大臣あたり以来大いに言っておるのですが、これもまだできないようなんで、叫んだことも一回もありませんし、遠慮した予算と言いますが、私たちの理解では、いまの憲法では遠慮した予算ではなく、遠慮しない予算のようにも受け取れるわけであります。よその国が核抑止力以外にも通常兵器を持っていると言いますが、それは、国のたてまえ、憲法のたてまえが軍備をやることになっておりますから、やれることになっておりますから、やるのがあって、日本と、その間の状況が少しく違うと思います。いずれにせよ、私の外から見ておった印象は、赤ん坊がおもちゃをほしがるように、あれもほしい、ヘリコプターの少し大きいやつもほしい、少しスピードがいいやつというふうにこうばらばらしていっても、これはその数は、員数はそろったけれども、たいした役に立たないような計画のように感ぜられまするが、間違っていたら教えてください。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) その道その道、その一つ一つのものには、それだけの計画とそれだけの準備の上に立っておるわけで、言うなれば、もう少し数がそろうならばなお効果的である。しかし、数がそろわないのでこの程度だというのが、四機だったり十機だったりします。したがって、そういう御心配のないように、三次防ではどっかとまとまった効果のあるものを組織的につくりまして計画をやりたいということで、三次防では、ばらばらでなしに総合的なものをひとつどっかと考えたいと、こう考えております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 関連して。  森さんの、中国の核武装に対する対抗措置としての核のかさの問題に関連してですがね。いま大臣は、アメリカの抑止力にもよるけれども、抑止力によるが、みずからも対抗措置を考えると、こうおっしゃられたのですがね。この内容を少し明らかにしていただきたいと思いますのと、それから、いまの、この核保有国における核戦略というものについてですね、いわゆる先制攻撃を——攻撃があってするということはどうもいってないですね、いわゆるセカンド・ストライクという、受けてそれにたとえて第二攻撃をするということを戦略の目標として置いているようですね。その場合にね、私は、アメリカの抑止力にたよっておるのだが、アメリカが直らに攻撃するということはやらない。中共も相当あれで、そこでお互いに牽制をして核兵器は使わないのだと、こういう方向にいま一つの考え方としていっているのだ。そうではなしに、私はここでお伺いしたいのは、中国がそういうふうに核武装をしてきた。攻撃があってそれに対抗手段をとるというのだけれども、もしきた場合に、これはアメリカ本土へ行くのか、東南アジアのいわゆるアメリカと協定を結んでおる韓国なり、あるいは台湾なり、特に沖縄はもう核基地があるとかないとかといわれておるときですから、そういうような意味で、この攻撃があった場合に対抗するという手段を考えなければならないというような、そういう考え方というものは今日成り立つのかどうなのか。核攻撃に対して対抗する要撃ミサイルなんというものは、もちろん先ほどの話にもあったように、ない。したがって、核攻撃に対して、核武装による攻撃に対して対抗する手段なんというのが一体考えられるのかどうなのかという問題ですね。私は、これは考えられない。いまの日本の自衛力なりなんなりではとうてい考えられないと思うのですが、その点、アメリカの抑止力によると同時に、日本としても、これに対抗策を考えなければならないという別の対抗策、みずからの対抗策というものは、私は、どういう規模のものを想定しているのか知りませんけれども、第三次防程度のものでは全然対抗はもちろんできない。したがって、やってもやらなくても同じようなものでないかと思うのですがね、どのような見解を持っておられるか、ひとつ承りたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核は、現実に攻撃をされるという前提だけで言うわけじゃありません。核の攻撃がないようにする。しかし、それ以外に、防衛力というのは、核だけが戦闘兵器であるわけじゃありません。一般的な兵器というものは、各国で装備、あるいは更新される。したがって、核に対しては、日本はまことに残念ながら、核に対抗する手段が直ちに私はできるとは思いません。しかし、対抗する手段、完全にできなくても、それに対応するだけの装備というものは必要であろうと私は思います。したがって、核だけが唯一の戦闘行為ではないのですから、それ以外の一般的な戦闘行為というものも多々あるのです。私たちは、やはり核の脅威を抑止力で防ぎながら、国内においては、その圧力というものから国民を守る装備力というものを使わなければならない。ここに基本的に私たちが第三次防を期待するのは、そのゆえんであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 どうもそこのととろがわからないのですけれどもね。中国が核武装をしたときとしないときと、戦力において変わってくるように長官の答弁は聞こえるのですよ。したがって、核を装備したものに対して対抗するには力がないからやらないのだが、そればかりでないから、ほかにもやるのだということで、現実問題として中国が核武装するという問題出てきているわけですから、それに対しては、それじゃあ対抗手段というものは考えない。先ほどは、中国の核武装に対しても対抗手段というものを考えるというふうに答弁されたと思うのですけれどもね、どうなんでしょうか、そこのところは。抑止力にもよるけれども、みずからも対抗手段としてやっていく。その程度の問題なんですよ、大体ね。三次防程度のもので、中国が核武装したときとしないときとでは、とんでもなく、戦略配置としては変わってこなければならないのですよね、常識的に言って。対抗するとすれば、変わらなければならないと思うのです。したがって——私は対抗するようにやれと言っているのではないですよ、言っているのじゃないのだが、長官はまあ対抗されると言われるのだが、対抗されるというなら、それじゃあ、核攻撃に対する対抗なんというものは一体どんなものが対抗なのかということを、これはだれでも疑問に思うと思うのですね。したがって、ICBMなりなんなりに対する、そうでなくても、中距離弾道弾というものに対抗するということは、これは不可能に近い。それはアメリカの抑止力によるのだというのですけれども、そういうものに対して日本が対抗するといえば、一体どういう対抗措置があるのか。これを防ぎ得るものはいま世界にないわけですからね、完全というものはないわけですから。それでどういうふうに対抗されるのか、どうもそこのところはっきりしないですな。もう少し具体的な内容で説明してください。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核攻撃に対応して防御兵器というのはなかなか世界じゅう開発ができておりません。おのずから核の抑止力とか、核のお互いの相対的バランスによってお互いの攻撃をみずから防いでいる。先に攻撃するとか、あとに攻撃するとかということよりも、おそらくそういうのが今日の核に対する核攻撃の各国の防御策だと私は思います。核が攻撃を受けて、核なしで防御しろということは、これは非常に不可能なぐらいむずかしい問題であります。三次防で、それについて私は核兵器だけに対応した装備をしようということを言っているわけじゃありません。核兵器が開発されるということは、やはり一つの脅威であります。その脅威を除くため最大限の国民の生命を守る装備をしながら、そうして三次防を充実していきたい。したがって、三次防の中に核弾頭を防ぐものが出てくるか……、それは世界じゅう容易なものじゃありません。それは安保条約に依存する以外にない。しかし、それだからといって、われわれが安閑としておるわけじゃない。やはり将来の防衛というものを、長期的に見るならば、一歩一歩防衛力というものを充実していく。また、近隣諸国に核装備ができるというなら、日本の防衛は格段努力、勉強をしなければならない、こういう話をしているわけであります。したがって、核兵器が飛んでくるものに対する核兵器がはたして生まれかどうか。生まれないとも断定できません。生まれるとも断定できません。これは未知数です。できないと断定もできません。できるという断定もできません。しかし、そういう方向に研究開発はされつつあります。日本じゃまだできませんけれども、この事実を見るならば、私のことばの内容というのはおのずからおわかりいただけるかと思います。これが三次防の、私が格段の充実をすべき時期だと言うのは、こういう気持ちから私は申し上げておる。

北村暢日本社会党

○北村暢君 どうも納得できないんですがね。核攻撃に対する直接の手段方法はないけれども、脅威に対する国民の安心できる防衛の体制をとらないといかぬ、こうおっしゃる。この脅威という抽象的なものでなしに、すでに核装備されるということが、六、七年か八年にはされるだろうということがすでに言われているわけですね。それに対しては、まあ方法ないと言えば方法ないでしょうね。脅威に対する、そういう抽象的なものに対する国民を安心をさせるものなんというのはあるんですか、一体そんなことは。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) それが防衛力の充実です。それが防衛力の充実です。

北村暢日本社会党

○北村暢君 これはまたいつかの機会にやりましょう。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ちょっと関連して。いま出ました抑止力ということばですね。抑止力というのはどういうことを言うのか。アメリカの抑止力にたよるという場合、ちょうど昔海軍の存在することが力である、フリート・イン・ビーイングという思想があったわけですね。だから、核兵器があるということが、相手がそれにこわがって、敬意を払って手を出さないだろうというのが一つ。もう一つは、相手側がそういうものでおどかしたり、あるいは使ってくるならばこちらも使うぞということ、こういう二つの意味があろうかと思うんですが、抑止力ということの意味。  それから大臣は、安保条約によってアメリカにお願いするように言いますが、一体抑止力が働くような場合、向こうの判断で、しょっぱなからアメリカのほうから撃ち出すということも是認するのか、アメリカの判断によっては是認するのか。よく世間で言うように、第一撃は待つ、第二撃でお返しをして攻撃には対抗するのだ、こういうことまでアメリカとの話し合いができているのか。第一撃は使わないでいきたい、こういうことなのか、その二つをひとつ伺います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) まだ核兵器問題については一ぺんも、その戦術、戦略というものを私は承知しておりません、したがって、相談を受けたこともありません。相談したこともないのです。将来予想される問題として、今日中共の核装備というのは非常な大きな衝撃でありますが、まだ今日戦略、戦術という段階までは受けてもいません。相談もしたこともありません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私が伺っておるのは、中共を相手にアメリカが抑止力を使ってくれということを言っておるんじゃなくて、いわゆるアメリカの抑止力にたよる、安保条約を通して抑止力にたよると言うから、抑止力というのはどういうふうに防衛大臣は理解をされているのか。第一撃などで 第一撃は使わぬとアメリカはよく言っていますが、そういうことも承知されておるのかどうか。やってきたならばこちらも損害は受けるが、報復で第二撃でいくんだといういわゆる通説を、アメリカとの話し合いで伺っているのかどうか、こういうことを聞いたわけです。大臣はいままでそういうことを話し合いの過程で理解をしているような答弁が、私の先ほど来の質問に対するお答えにあったのですが、いまは相談したことがないというので、前とたいへん違うと思うのです。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私の説明があるいは足りませんかもしれませんが、その前提条件としてあらゆる場面における緊密な連携、連絡、協議というのが安保条約の明文にあります。したがって、あらゆる場面における協議、その中にそのものが入るときは入る。しかし、まだその段階ではないので、内容的に相談したこともないと、こういうわけです。したがって、相談する道というのは、安保条約の中における明文、これに協議、密接な連絡あるいは個別的自衛権、集団的自衛権というものは、その緊密な連携、協議の中に入る内容であります。したがって、その内容についてはまだないと、こういうことであります。しかし、道は明らかに明文化されておると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、ちょっと私は理解が違ったのだが、もう一回伺いますが、先ほど来、条約の精神なり条文なりで抑止力を働かしてくれるだろうが、具体的な抑止力の使い方、抑止力とはどういうこと、それから、それらの点についての具体的な話し合いはまだしておらない、こういうことに了解していいんですね。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 安保条約全部が抑止力の効果は十分あると思います。あらゆる攻撃に対して日米共同して——日本が攻撃を受けた場合には共同してこれに対抗する。これはもう基本的な抑止力の効果がある。ただ、先ほどの話は戦略、戦術上、いつ撃つかとか、敵が撃ってからでなければ撃たないかとか、そういう具体的戦略戦術については協議事項というものはまだない、こういう二つの話を私はいたしました。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、その点はうっちゃっておいても、たいへんわれわれを囲む情勢はきびしいものがありまするから、これはやっぱり一応話し合わなければならない時期が来るだろうと思いますが、いかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 日本が不当な武力攻撃を受けた場合には、当然この条項というものが発動されます。まだ今日受けてもおりません。また、受けるべき危険が身近に予想される段階でもございません。したがって、相対的な抑止力ということがいまの私は状況じゃないかと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、具体的にあなたのおっしゃる攻撃があった場合、どんな攻撃か、これはむずかしい問題ですが、一応常識的に攻撃があった場合に初めて相談をすると、こういうふうに了解してよろしいですね。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 日本が攻撃があった場合に両国が協議するということはあります。したがって、まだその状況ではありませんが、しかし、緊密な連携、これは常時、随時やられております。しかし、これは作戦、戦略をお互いに話し合うという意味じゃありません。お互いに世界情勢の把握、日本の危険の度合い、こういうものが要するに緊密な連絡に入る。したがって、常時、随時その前提のもとに安保条約というものが緊密に運用されております。これが、言うならば、抑止力ということばに今日の状況ではちょうどいいことばに当てはまるのではないかと思います。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 次の質疑通告者、黒柳君お願いします。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私もまた中央の核のことで、ちょっとしつこいところがありますが、お願いします。  私は、別にこうしろとかああしろとか、これが悪いとかいいとか、こういうことじゃなくして、当然防衛という問題は政府だけが担当し、野党はやらなくていいと、反対ばかりしていればいいのだと、どういうものじゃないと思うのです。国民全体で考え、また国民が、ほんとうに将来のことですから、知りたいこともうんとあると思いますが、そういう立場に立って質問してみたいと思います。  先ほど長官は、中共の核の発展は世界の脅威だと、アジアではその脅威が倍増するというようなことをおっしゃいましたが、客観的に見てそういうことを言われるのか、あるいは防衛の最高責任者である長官としての意見でそう言われるのか、その点お伺いしたいと思います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) わが国の防衛は特定なものを想定しているわけじゃありません。しかし、いかなる場合といえども、いかなるときでも国民を守るというのが防衛の基本です。したがって、諸外国の兵器あるいは装備、あるいはその兵力の変更というものは、やはり日本にとってはいかなる場合にも常にわれわれは念頭に置いて国民を守らなければならない。その意味でアジアにおいて一つの大きな変化がある、また世界が脅威を感ずるというならば、やはり防衛の任務をになうものはそれが職務ですから、当然一般国民以上にわれわれはその脅威を感じながらその最善の防衛というものを考えるべきだ、この観点で申し上げておるわけです。ただ相手の国がどこだというそんな考えで私は申し上げておるのではない。しかし、やはり諸外国の兵力の動きというものは日本の防衛に直ちに影響する、その一番影響が大きいのはいまの問題だと、こういうわけであります。

黒柳明公明党

○黒柳明君 重ねてしつこいようだと思いますが、あくまでも中共の核の開発は非常に脅威である、非常にとは言わなくても脅威であると、このようなことを日本の国の防衛の最高責任者の立場においてそういうふうに感じられる、このように理解してよろしいのでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) どこの国でも同じように、やはり防衛というものが相対的なものですから、その相対的なものが、常に考えるならば、関心が非常に深いと私は思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 というのは、あした外務大臣の御出席がありますので、そこでもお伺いしたいと思いますが、外務大臣の場合は、あまり脅威じゃない、少なくともほかの国と比べて、アメリカの抑止力のもとにあるからにはそんな脅威は感じない、こんなことをおっしゃっておるわけですが、その脅威あるかないか、それはことばのあやであるにしても、この点から、しかも、何回もくどいようですが、国の最高の防衛の責任者であり、また対外的外交問題の責任者である外務大臣、防衛庁長官のお考えによって非常に国の核に対する考えというものも大きく変わっていくのじゃないか、こう思うわけですが、外務大臣としては、あまり脅威じゃない、このようなことを言われているわけです。防衛庁長官と、一昨日も私その点食い違っているんじゃないかと言ったわけですが、何かそこら辺をもうちょっとはっきりしていただきませんと。というのは、私は私的意見かもしれませんが、何かいまの日本の国の防衛問題は大きなビジョンがないのじゃないか。先ほどからのお話がありましたように、もっと大きなビジョンを踏まえての上での現実の問題を考えて手を打っていかなければならないのではないか。目先のことばかり手を打っていきますと、中共の核の開発をあるいは見落とす場合もあり、あるいはそれにまさるような核を持つような国も実現しないこともありません。そんなようなことを考え合わせますと、もっともっと将来の大きなビジョン、こういうふうになるのじゃないか。その立場に立ったならば、わが国はこうあるべきじゃないか、こういうものが何か欠けているような気もするわけですが、その根本的土台になるのが外務大臣と長官の核に対する意見、それが基本になってすべてのことが発展していくのじゃないか、こう考えるわけであります。しつこいようですが、もう一回御答弁をお願いします。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私も外務大臣とときどき席を同じくします、同じ委員会で。言っていることは、御殿場口で登るのと吉田口で登る差はあるかもしれません。しかし、頂点は同じことを言っている。ある場所に行くと一致する。言うならば、核の脅威は、核兵器の開発装備は脅威であるというのが私が常々申し述べているところで、外務大臣のほうは、仕事柄、安保条約があるからこの抑止力で危険とは思わない、危険は防げる。二つ突き合わせると、ちょうど一つの、脅威ではあるが危険は今日安保条約で防げる、二つつなげると、こうことばになります。頂上では一緒になるが登り口は私は吉田口の番兵くらいのところです。外務大臣は御殿場口の道案内というところです。ちょうど頂点は一緒になる、それだけ役所の性質が違うことはそれは当然だと思う。役所が同じことを言っておったならば……。性質があるから職務が違う。私は吉田口の番兵である、したがって、吉田口における非常に胸突き八丁に差しかかるから元気を出してくれと言うし、外務大臣は御殿場口ですから、道が長いからぼつぼつ行けばだいじょうぶ、頂点はあるところで同じになる。ニュアンスは、無理に言えば、そういう程度の差は役所柄ないとは私は言いません。しかし、言っていることが別々で富士山を身延山に登り間違えているわけじゃありませんから、その点は御心配なく(笑声)。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私も、外務大臣と防衛庁長官の性格をあらわしていることばだと、こう理解しまして、特別に食い違う、だからこうだと、こういうことは考えておりません。確かに同じ最高責任者として、国を守る、こういう愛国心には変わりはないと思いますが、ただ、ここで問題は、先ほども言いましたように、ここの予算案の説明にも書いてあります。「まず、防衛意識の高揚をはかり、自衛隊に対する国民一般の理解を深める」、これは自衛隊のことですが、自衛隊すなわち防衛、こういうことに当然通ずると思う。国民一般の理解を深めなくて、この自衛隊にせよ、防衛問題にせよ、幾ら討議しても討議したことにこれはならない、こう思う。また、国民の理解を深めるためには、この国会の討論を通じて、論争を通じて、国民に防衛意識を高め、あるいは理解をしていただきたい、こう思うわけです。その場において、少なくとも食い違っているようなニュアンスを与えること自体、何か国民に深い認識を与えるものだ、どういうふうなりっぱなスローガンを掲げながら、一方においては違っているんじゃないか、こういうようなことも感ずる場合があると思います。これはただいまの発言のみならず、一昨日も私が五、六の点をあげましたが、そういうことは、私はこうだからいい、外務大臣はああだからいいんだ、その頂上は一緒だと。総括してそうであると、だけれども私はそうでこうなんだと、こういうふうに説明をつけていただきませんと、私なんかも、何回か聞いておりましても、頭の悪いせいか納得できない。ましてや新聞、マスコミを通じて断片的にしかこの防衛問題を知っていかない国民、そういう人たちが過半数を占めているわけです。ほんとうに防衛庁長官として、国民一般の理解を深めて、愛される自衛隊、その自衛隊がほんとに国土を防衛していかなきゃなんないと、すべての面においてほかの国におくれをとっちゃなんないと、こういうほんとに深い意味があるなら、そういうところすらも最高責任者として十分にお考えになって、一つ一つの発言を慎重にしていただきたい。これは私の希望意見も含めてのことでございますが、これについて簡単なことでいいですから、所見をお伺いしたいと思います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) お説のとおりの印象を受けたならば、お互いのことばが足らなかったと思いますが、私は少しも違っていないと思うんです。私のほうの防衛という直接担当する第一線の問題、外交という、ある意味においてふんわりしたものを担当する大臣、おのおの感覚が多少ずつ所管庁として少しは違うところがある。しかし、基本が一致しておるならば、最後には調整すればいいことであって、また国民がそれによってもし御迷惑ならば、もっと早く調整しなければならぬ。今日、脅威問題については、私はいつも大体一緒におりますけれども、同じように、そう印象違ってないな。最近、外務大臣も非常に脅威、脅威と言いたしましたから、だから、外務大臣も、多少印象は違ったことを言うときもあります。最近も、たしか外務委員会で、森委員もおられますけれども、一緒に出たところで、脅威である、脅威である、あとになって、脅威であるけれども、だいじょうぶだということが二番目に出ております。基本的には差はない。人間ですから、たまにはことばが足らなかったり——あるいは基本的な点では私は差がないと。ただ、われわれは直接国民の防衛の最前線におる。それだけに他国の脅威的兵器の開発というものに対しては関心が非常に敏感に響く。奥座敷におるのとは違うという感じは、それはいたします。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それで納得をしてみたいと思うんですが、あくまでもいまお話、論争が繰り返されましたように、中共の核ということに関して、わが国は軍事力の面においては非常におくれをとっております。いまから核の開発と、こういうことは考えられない。それでは、いかにしてわが国らしく、唯一の被爆国として、核の問題を考えなきゃなんないか、こういうことになると思うんです。それはあくまでも外交——どういうふうにして日本は外交面で核の脅威というものを、日本の国民は、当然世界から除去していかなきゃなんないかということになりますと、あくまでも外交は力です。力ですから、単にアメリカのもとにくっついていればいいんだと、こういうお考えもないとは思いますけれども、そういう印象を与えること自体、うまくないと思います。少なくともアジアにおいてぐらいはアメリカをリードするぐらいな外交もしていかなきゃなんないし、またできるんじゃないか、こうも思うわけなんです。まあこれも私的意見ですが、最近はベトコンも非同盟化しようとアメリカも言っております。ソ連が入って、さあ、あとはチトー化をするんじゃないかという、こういうようなうわさもあります。これは将来のことでどうもわかりませんが、日本あたりがアメリカに、ベトコンを承認しろと、こういうような意見を吐露したとすれば、やがてベトコンが承認され、ソ連が入ってチトー化されるような傾向に行っている、そうなるんじゃないかと、こう思うんです。そうなると、非常に日本の外交的発言力も高まってきますし、また、日本の地位というものも非常にクローズアップされてくる、そういうふうに感じます。  また、もう一つの問題は、十七カ国の軍縮委員会、そこにおいて日本がリーダーシップをとって非核武装宣言をしたらどうか、こういうようなことも一つ提案をしてみて各国の反響を見る、こういうようなことも考えられると思うんですが、対外的に実際に核の脅威というものを、日本を含め、世界から除去させる日本の対外的外交、そういうものについてどのように、いま具体的な二つの例、これは私の私的意見ですけれども、そういうようなことに関して長官はどのようにお考えになっているでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) いずれこれは外務大臣がまた御答弁になると思いますが、やはりこの世界の外交にも力の実力がものを言う。といって、その兵力だけを私は言うのじゃありません。ある場合にはキャスチング・ボートを握った国が非常な力を発揮することがあります、大小にかかわらず。要するに、その状況に応じ応じ、私は外交における発言力は違ってくる。しかし、その時機を得る、その時を得なければその成果はあがらない。同時に、やはり実行する実力というものがなければ、外交の背景にはならない。したがって、核を持っている国の発言というものは、おのずから発言力というものはその力に依存する場合が多い。日本は核はなくても、工業力あるいは日本の政治的立場において力がないと私は言っているわけじゃありません。だから、やはり何らかの形において外交というものが進められて、その時期と場所によってその効果がある。これは何も日本を言うのでなしに、世界じゅうの外交の現実が私はそうあるのじゃなかろうかと思います。だから、私は何も防衛力をふやさなければ日本の外交ができないという意味じゃありません。そういう意味じゃありませんが、やはりみずからの国をみずから守る、固有の自衛権をみずからが守る、これは私はやはり権利であり、義務でなかろうか。その意味で、自衛というものが、どこの国にも権利義務としてある、そこにおのずから国際社会の生存というものが成立している、私はそんな考えでおりますが、お答えになるかどうか知りませんが、あとはひとつ外務大臣にどうか——あす来られましょうから、私の足らないところは、外務大臣の所管ですから。お答えだけいたしておきます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 次もまた外務大臣にお答えいただいたほうがいいような質問だと思いますが、長官にも御答弁願いたいと思います。  あくまでもアメリカが中共を封じ込める、これは武力による封じ込めですから、当然中共も反駁して核の開発に専念すると思うのですが、同じ一衣帯水のもとにあるアジアの国日本として、中共に対しての平和路線を、平和によるある意味の中共に対しての外交封じ込め、こういうことは考えられるんじゃないか、こう思うわけです。要するに、先ほども言って繰り返すようですけれども、十七カ国軍縮委員会に対して非核武装宣言をしようじゃないか、中共入らないか。あるいは米ソに呼びかけて核軍縮をしたらどうか、中共入らないか。こういう呼びかけ、あくまでも平和的路線の呼びかけをして、それでもなおかつ中共がいやだと言った場合に、中共は世界の敵になる、ある意味においては人類の敵になる、こういう意味において日本が平和的手段で外交政策をとり、中共というものを封じ込めていく。こういうようなことをやれば、中共だってそれはばかじゃない。世界だったってそのことを注目して、非常に興味を持っているわけですが、そういう外交手段というものを、結果的にはどうあれ、また、とるとらないはどうあれ、長官としてどのような御意見がございましょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 防衛を担当しておると私たちはいえども、戦乱というものを期待しておるものは一人もありません。防衛力が発動せずに済むならば、それは一つのわれわれは防衛の任務を達成したとさえ私は思っております。したがって、ただ戦う力を持つから年じゅう戦わなきゃいけない、そんなものじゃなしに、戦わずに済むなら、防衛力のその職務は、逆に言うなら、私は果たしたとさえ考えております。したがって、中共に対して平和路線というものが可能ならば、私は日本の外交として、これを少しも防衛庁というものは、また私自身、それをチェックしたりするものじゃない。しかし、できるかできないかということは、日本と中共だけのみならず、いろいろな利害関係あるいはいろいろな条約、いろいろな国際事情というものが伏在しておるのですから、そこで割り切るのは容易なものじゃないというのが私は外交のむずかしさじゃないか。ただ、重ねて申しますが、私たちの防衛庁では、そういう意味の防衛——ことばのとおりであります——外国に向かって攻める兵器も用意してありません。また、攻める準備もいたしません。したがって、憲法九条そのままを守っておるのですから、これは将来脅威を感ずるような、そういうものでは私はない。したがって、平和外交については、防衛力をいかに増強しても支障があるものではないと私は考えております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 これは若干言い過ぎるかわかりませんが、英国の戦略研究家によりますと、プルトニウム二三九をそのままその生産力を換算していけば、十数発の原爆がわが国に、日本においてもできる、こんなことを言っているのです。それをつくる科学者、技術者は非常に問題にはなると思うのですけれども、そういうこと、すでに日本はいま長官が言いましたように、核をつくるべき力はある。こういうことも一つの——それは当然つくるわけないです、また持っちゃならないです——しかし、ゼスチュアとしてそういう立場にあるんだと、わが国は何も弱い国じゃないんだと、こういうことも平和的面に利用していけば、世界の核に対する脅威をやわらげていくならば、それは何もマイナスにはならないのじゃないか、こう思うわけです。単に、弱いのだ、何も持ってないのだ、アメリカの核の下にいなきゃならないのだ、こういうふうな面だけの外交じゃなくして、ほんとうにゼスチュアにせよ、そういうもうパール・ハーバーのファースト・ストライクの経験は、これはわが国だけしか経験ございません。もし日本がそういう態勢になるとすれば、米中ソすべて日本をそれこそ仮想敵国だとにらむかもわからない。そういうようなことも、これは非常に話は飛躍していると思うのですが、ですから、非常に言いたいことは、平和外交とということも世界の諸情勢があります。当然核を持っちゃならない、武装しちゃならないですけれども、外交というのは何も、ゼスチュアを示すだけによっても一つのりっぱな外交を戦略からとることもできる、こういうことも考えられるわけですから、質問のほうもあいまいになりましたが、答弁のほうもあれなんですが、所感はいかがでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私は、日本は力の外交をやったという経験もなければ、体験もない。また今後そんなことはないんじゃないか。日本の場合は力の外交ということは当てはまらない、また、そういうことも実行不可能だ、また、そういうものもやる意思もなければ、やる方向でもないと私は思います。したがって、日本の外交こそ、ことばそのままで力のない、ある意味においては平和外交に徹していい国じゃないか、私はこう思います。ただ、平和であると同時に日本の国民の安全保障だけはやらなければならぬ、それが防衛力である、防衛力が力の外交にはなるべきものでもなければ、なってもいないと私は思う。ただ、御承知のような状況ですから、なかなか世界情勢は複雑なこともありますので、割り切るわけにまいりませんが、ただ、日本のことだけは私は言えると思うのです。

黒柳明公明党

○黒柳明君 この問題についての最後の質問したいと思いますが、防衛力についてわが国の将来の考え方ですが、これはあくまでも安保を問題にして長期固定化あるいは自動延長、こういうことが論議されましたですが、防衛力に関しては国際状況が当然変化しておりますから、将来においては選択の自由と可能性を十分に含めたものを残していかなきゃならない、このように思うわけですが、長官の御意見はいかがでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 選択の自由というのが何の選択ですか、ちょっと……いまの兵器の選択、装備の選択ならば、私どもは兵器の選択あるいは装備の選択は三次防期間といえどもある程度幅を持たしていきたいと思う。ただ、安保条約というものの選択というのは、いまの状況では、まだ日本の安保条約がより必要であるという度合いがふえてこそすれ、その逆に度合いが薄らいだという情勢は、残念ながらまだ日本には感じ取れないと私は思います。したがって、装備の選択あるいは三次防期間の中における兵器の選択、これはもう当然ある程度幅を持たしていきたいと私考えております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 質問の観点を変えたいと思います。一昨日の予算委員会で長官は、自衛隊の応募状況は非常に順調だと、二、三年はこのまま好調に続くだろう。きょうの報道によりますと、何か非常にそれがうまくないいきさつ、あまりうまくないというような新聞報道ございましたが、これはあくまで報道だけのもんか、それともこういう事実が将来あらわれる可能性があるのか、御答弁をお願いします。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) けさの新聞については人事局長から報告をいたさせます。

堀田政孝防衛庁人事局長

○政府委員(堀田政孝君) 実は昨日工業クラブで実業界の方々に対しまして、最近の募集状況と募集におきます問題について御説明を申し上げろという御依頼がございまして、私が実は説明をいたす予定でおったわけでありますが、ちょうど参議院予算委員会に出席を求められまして、私は出席できなかったわけです。それで事務次官から約七分間にわかりまして募集の状況、充足の状況、特にこれに関連をいたしまして退職もしくは除隊をした自衛官について、ひとつ就職をするのについて好意ある御配慮をお願いしたいという御依頼をしたそうでございます。で、どういうわけでああいうような記事が出たかよくわからないのですが、私どもいろいろ将来の適齢人口の変化あるいは産業構造の変化等からまいりまして、将来の募集は、やはりそう簡単にいくものではないというふうに考えておりまするようなことをあるいは新聞で御勉強になっておって、あのようにお書きになったのじゃないかと思うのでありますが、実態は、大体七分ほど、次官から、いま私が申し上げましたような、退職者の就職についての御依頼をお願いしたというのが事実でございます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 この新聞報道を見ますと、就職前において一年なり二年三年なり自衛隊に入れておいて、しかる後一流会社に就職させる、こういうことを含めて退職後のことも論じられているわけです。そうすると、この新聞に出ておる「産軍協同」とこのようなことばをここに使われて、若い層には逆効果じゃないか、ますます自衛隊に対する国民の信頼を失っていくのじゃないか、こういう評論家の意見が出ておりますが、はたしてこれが事務次官の責任ある見解としてそういう場で話されたのか、それとも事務次官の私的意見として話されたのか、またこれがじり貧になる応募対策に対して非常に影響を与えるこのように思うわけですが、いかがでしょうか。

海原治防衛庁長官官房長

○政府委員(海原治君) 私、昨日の懇話会に出席しておりましたので、ただいま御質疑の点を御説明申し上げますと、先ほど堀田人事局長から御説明したとおりでございまして、自衛隊員の退職後の就職その他に対しまして御協力を願うという意味のことを、これが批評されただけのことでございまして、そこにあるような発言はいたしておりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 そうすると、念のために、くどいようですが、私も自衛隊のことに関心がございますので、「1各会社の採用予定者を二年——四年間自衛隊に入隊するよう会社からあっせんしてもらい、会社はそのあとで採用する2自衛隊が各会社に就職あっせんした者と同数の人をその会社から部隊に送りこんでもらう方法を検討している」、この二点に関しては事実がないと、このようなふうに受け取ってよろしいでしょうか。

海原治防衛庁長官官房長

○政府委員(海原治君) 少しこまかくなりますが、退職後の就職も含めまして募集状況についてはいろいろ検討しておる、こういう意味の発言がございました。しかし、そこに1、2と書いてございますような個条書き的な具体的な発言じゃございません。そこで、一昨日でございますか、東京地区におきますところの自衛隊の協力会の連合会の発会式がございまして、その懇談会に出席されました方の御意見の発表等もあり、今後いろいろそういうことについて検討をしていこう、けっこうなことじゃないかということで話は終わっております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 私も、自衛隊退職したあと、当然就職がないと、こういうのじゃ困る問題だと思いますから、そういう退職後のことに関して、ほんとうにそういう産業界がめんどうを見ていこう、またそういうことをお願いする、こういうような話であるならば、これは大いに自衛隊に応募するほうも気強く思いますし、あとあとまでにそれに対してめんどうを見てもらう、けっこうなことだと思うのです。ですけれども、この新聞報道がうそである、こういうような、うそであると言わなくても、個条書きにあるような事実がない、こういうようなことがわかれば、これは安心するわけですが、こういうようなことを前提にして自衛隊が応募するとなると、またここでこの評論家の言っているとおりだと思う。もうこれはごらんになっているから私が一々あげる必要ないと思いますが、非常に若い層に対してはこれは逆効果であり、ますます自衛隊に対する応募はじり貧になり、また長官が、先行き明るいとこう言われたことは、ほんとうは明るくなかったのじゃないかと思いますが、別にその点はどういうことも言いませんが、先行きはますます暗たんとしてくる、こういうふうに思いますが、くどいようですけれども、1、2の、採用予定者を、二年から四年自衛隊に入隊するよう会社にあっせんするとか、あるいは、会社はそのあとであっせんしたものと同じ数を自衛隊に送り込むとか、こういうことはないと、発言しなかったと、これでよろしいでしょうか。

海原治防衛庁長官官房長

○政府委員(海原治君) 発言いたしておりませ  ん。

黒柳明公明党

○黒柳明君 また長官のことばじりをとらえるようになるわけですが、先日は、非常に見通しが明かるいと、こういうことであったわけですが、何かこの、きのうの次官の発言ですと、非常にじり貧になるおそれがあると、こういうふうなことが書いてありますが、新聞報道がこれはそういうニュアンスを与えたのか、あるいは、次官としてそういう意見を吐露したのか、その点いかがでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私も御承知のように昨日は「あかしや」問題でとうとう最後まで引っぱられて、その時間に出席予定がおくれました。しかし、私はその記事を見て、これは少し考えが、優秀な隊員を産業と自衛隊で奪い合うということはよろしくない。どちらも共存共栄と申しますか、共存できる立場じゃないのか。そういう観点から言ったんじゃなかろうか。一般的隊員の数をそろえることに今日苦労しているのじゃなくて、優秀な隊員というものは、産業界も自衛隊もともにほしい。それを両方で引っぱり合う、奪い合うということはお互いによろしくない。したがって、そういう場合には協定、協調ができるものじゃないだろうか。それが、そのおそらく記事の、私も拝見しましたが、記事の見出しの内容がその辺じゃなかろうか。おそらく次官の発言もそんな発言をしたと、こうわれわれは報告を受けました。そう特に具体的にどうこうというのじゃなしに、そういう気持ちで発言をした。それについていい案はないか。お互いに協調できるじゃないか。非常に賛成で、協調案については、後刻、今後研究しようというような話になっということを口頭で聞いたのです。けさ新聞記事を見て、ちょっとそれは、想定と申しますか、その中におった方がそういう印象を持ったかもしれません。特に次官が発表するわけはありませんし、官房長が終始おりましたから、官房長の発言が正しいと私は思っております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 そう私も信じたいのです。ただあくまでも新聞は、厳正中立、公平なる記事を伝えると、そういう性格から、また国民は、どうこう言っても、ここの論議よりも、これだけ新聞に大きく出ているわけですから、相当、何百万という人が読んだし、またこれに対する印象をつかんでおると思うのですから、少なくとも、全然そういう意見を言わなかったが新聞にこう出ちゃったんだ、こういうことはないと思う。事務次官としてある程度行き過ぎもあったのじゃないか。当然、書くほうも、それはどの程度正確に書いたか、とれも私はその場にいなかったわけです。官房長がいたから、私は、あくまでもそういうことはなかったという言明を信じたいと思う。それにしても、何かの面で事務次官が腹にそういう憂いがあって、あるいはそういう考えがあって、そういうことからこういう発言をされ、新聞紙上に報道されている、こういうことは当然考えられると思うのですが、ひとつそういう面、先ほども言った、くどいようですが、一般国民に理解をさせることからスタートしていかなければならないと思うのです。その理解をさせるという面によっぽど今後神経を使っていただきませんと、こういう新聞報道、さらには大臣と次官とのちょっとしたニュアンスの違い、そういうことが積み重なっていきますと、愛される自衛隊、国民総力をあげての国防体制というものはくずれていって、それで何だか与野党がけんかし、それから政府だけが日本の国を守ればいいのだ、自衛隊なんか台風のとき出動すればいいのだ、こういう感覚で積み重なっていく。そういう憂えが非常に強いのではないか。私はこう感じるわけですが、こういう点十分に、十二分にも、二十分にも注意をして、発言にも、あるいは施策にも反映していきませんと、この国民一般に対する理解を深めるということは空文になってしまうのですが、こういうふうな私の私的意見ですが、長官の所見はいかがでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 官房長に答えさせます。

海原治防衛庁長官官房長

○政府委員(海原治君) 昨日の懇話会におきましての次官の発言でございますので、私から再度御説明させていただきたいと思いますが、昨日は実は新聞記者の方は一人も入っておりません。その新聞の記事を拝見いたしますと、そこに出ておられた方から取材されたことになっております。したがいまして、先ほど大臣からも申しましたように、お聞きになった方の感触というものが相当入っているのではないかと思います。  それで、次官としましては、先ほど募集がじり貧というおことばがありましたが、一般的な事情を説明されまして、海と空については充足率も非常によろしい、ところが陸につきましては現在二万人程度の欠員がございます。この問題が非常に優秀な隊員をとるという見地で考えますと、いろいろと問題もございますが、今後努力してまいりますのでひとつよろしくお願いしたい。退職後のあっせんにつきましてもお願いいたしまして、二、三の会社の例もあげまして、ある会社におきましては退職自衛官を採用しているところもある。こういうことをしていただくことが、優秀な隊員を募集することの非常な刺激にもなると思いますので、事務当局でもいろいろ検討いたしております。今後いろいろとお力をいただくこともあるかと思いますがよろしくと、この程度のことを実は話された次第であります。お聞きになりました方が、先ほど申しましたように、前述の東京地区自衛隊協力会の連合会等におきまする話もありますので、いろいろとお考えになって、そのような趣旨の記事になったのではないか、こういうふうに推測する次第でございまして、先ほど来の、次官がそういうふうな悲観的な見積もりを言ったのではないか。同じ数でもって会社従業員と自衛官とを交換するということを言ったのではない。そのようなことは絶対ございませんので、そのように御了解いただきます。

黒柳明公明党

○黒柳明君 了解したいと思います。  同じく次官の発言なんですが、応募が急速にふえたので、質的——たとえば体力が弱い者が集まってきた、知識レベルが低い者が集まってきた、非常にうまくないことだという、こういう発言もあるのですが、これはいかがでしょうか。

海原治防衛庁長官官房長

○政府委員(海原治君) 昨日は、その点の発言はございません。いまおっしゃいましたような、体力が劣った者であるとか、知能がどうかということにつきましては、過去におきまして、この自衛官の募集問題に関しまして、いろいろと御質問、それに対する御説明の過程ではあったと思いますが、特に次官がその問題をとり上げての発言ということは、私承知いたしておりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 長官が、ことしは五万の応募者があって、その中から優秀な者だけ二万をとったと、こういうことなんですね。事務次官の場合は、そういうことをやったから、だから非常に体力的にも知識レベルにおいても低下してきた、こういうふうなことをおっしゃっているわけですが、いかがでしょうか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) それは少し時間的差がありまして、ことしは非常に順調なのであります。二、三年——三十五年から三十八年ぐらい、この三年間ぐらいが非常に募集に苦労した。その期間をとれば、事務次官が言ったというふうなことばが該当します。昨年——ことしぐらいは非常に順調なんです。これは時間とときによって影響します。三十五年から三十八年、九年ぐらいまでは非常に苦労しました。最近、四十年から四十一年、ことしになって非常に順調に伸びています。その時点によって、その話が食い違ったり、食い違わなかったりしているのじゃないですか。

黒柳明公明党

○黒柳明君 次官の発言は最近です。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) その次官が、その時点をとらえて言ったことと私は思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 以上、まだ質問はございますけれども、まだ岩間先生が残っていますので、私この程度にしたいと思います。くどいようですけれども、防衛、あるいは自衛隊は、さらに千歳でミスをやったり、岩国で犯罪が起こったり、いろいろがたがたしていますが、その問題もお聞きしようと思ったのですが、ともかくこのスローガンどおり、まず国民に理解を与え、そのためにこの国会の場において討議、討論、論争というものに明確な答弁をし、それに対して与野党あげて協力態勢をしいて国民の協力を得る、こういうふうな方向に向かっていかなきゃならない、こういうふうに私は思うわけでありますから、その点について十分考慮を払われていただきたい。以上です。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 次は、岩間正男君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私はまず最初にお聞きしたいのですが、防衛庁長官はきのう財界の諸君との懇談会、これは防衛懇談会の席上ですが、そこで三次防の計画について、ことに装備の国産化について話をされたということがきょうの新聞に伝えられております。まず最初に、この詳しい内容を御説明願いたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 昨日話をいたしましたのは、戦車四百両で三百億、輸送機五十機で約五百億、地対空ミサイル・ナイキ三個大隊四百億、ホーク四個大隊四百億、艦艇七万トン千五百億、輸送機以外の飛行機約五百機で四千億、こういう話をいたしたのであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはいままで例のないことだと思うのですね。防衛庁長官がこのような兵器生産の、しかも防衛懇談会に行って、公然とこういう話をされた。そしてこれがきょう公表された。そうすると、七千百億というこの装備費についての支出が大体いま予定され、検討されている、こういうことですから、三次防全体に対する輪郭というものは、少なくともこの骨格はきまっているだろうと思う。それがなければ、この装備だけの問題で七千百億というような、そういう数字は出てこないと私は思う。したがって、三次防の防衛庁で指向しているそういう計画全体について伺いたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) この数字で三次防がきまるわけでもありません。また、この数字が確定的なものじゃありません。動きます。一応こういうふうな国産化を推進したいが、国産ということが可能かどうか、諸君も大いに勉励してくださいという一つの基準に私は申し上げたわけであります。これが三次防に入っておりますとか、三次防の総ワクを説明した段階でもありません。まだその時期でもない。したがって、こういう程度のものは国産化したいという一つの希望の装備品として代表的なものを申しました。したがって、これがふえることよりも減るかもしれない、ふえるかもしれない、これは今後の問題であります。かりに言うならば、こういうものが国産化できますか、こういう会議なんです。したがって、との三次防の内容という意味じゃありません。こういうものが国産化できますか、できるなら勉励してください、そういう意味の一つの研究課題を与えた。したがって、これは三次防のときにどうなるか。もうそのうちわかりますが、ずいぶん動くかもわかりません。ただ研究課題として私が話した数字でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはしかし、日経連の防衛懇談会ですか、ここから意見書が政府に出されているでしょう。その意見書に対する一つの答弁というふうにこれは考えられるのですね。どうなんですか。最近出された意見書とやっぱり即応したように考えるが、どうなんですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 意見書は、こういう数字は具体的に意見書に出ておりません。なるべく日本の工業水準のために国産化をしてくれ、そして安定受注をしてくれ、そういうことであります。文句はそんなようなものです。内容について、戦車を何両つくってくれとか、そんなものは各業界から出るわけもございません。それは出ておりません。基本的に国産にしてくれ、安定受注にしてくれ、開発費をよけい組んでくれ、こういう項目です。したがって、それの答えじゃ毛頭ありません。ただ、大いに日本の産業界に対して期待する。ついてはこういうものを国産化できますか御研究願いたい。そのことばの中に、いまの数字をやはりある程度具体的に言ったほうが聞くほうも聞きいいし、また、そのほうが返事もしやすいかもしれない。したがって、あれが全部国産化できるかどうか、あれはいまからの問題です。私が議題を投げただけであります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはまあ数字は出していないでしょうけれども、これは要望として五項目に分かれておりますが、五項目の要望が出されておりますが、できればここで発表してほしいのですけれども、できなければ資料でいいですけれども、その防衛生産の委員会ですね、出している。そういうものに即応するような形でこれは出されたんじゃないかと考える。それは間違いないだろうと思う。  そこでお聞きしますが、これは国産化のほうは全体の装備の何割に当たるのですか。つまり、アメリカから輸入するなり譲り受けるなり、そういうものを含めていないわけですね。装備全体では三次防はどのくらいになりますか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 国産化率はこれはもう議会でたびたびお答えをしましたが、八〇%以上にしたいということを私は常々お話ししております。したがって、その数字で妥当だと思います。また、アメリカからもらうというふうな計画はいまのところございません。したがって、全部日本で調達する。その中で国産化は八〇%以上をぜひ期待したい。これはもう議会で何べんもお答えしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうしますと、大体一兆円前後の装備費を考えているわけですね。どうなんですか。この防衛庁のいままでの予算を見ると、その内訳ですね、人件費、それから運営費ということになりますかな、経常費ですか、それから装備費、こう三つに分かれると思うのですが、大略して。その内容はパーセンテージでいえばどんなふうになっていますか。

大村筆雄防衛庁経理局長

○政府委員(大村筆雄君) 四十一年度予算で申し上げますと、全体の防衛本庁の予算の中におきまして人件費が約四五%、装備費関係が約二〇%、そのほか維持費等ございますが、維持費等が三五%というようなぐあいになっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 むろん、この数字がそのまま私は三次防に持ち込まれるとほ考えられません。このパーセンテージで、大体の目安はつくだろうと思うのですね。装備費が非常にふくらんでくるだろうという一つの想定はこれはできるわけです。そうしますと、どうなんですか。大体三次防については、本年二次防の一年がダブって、それからあと五年、六年間あれして、大体いままで三兆円ということが言われてきたわけですね。そうして、結果は国民所得の二%。これは八月にもお聞きしたのですけれども、そのときは答弁ができなかったわけですが、大体そういうような想定のもとに三次防を進めていられると思うのですが、予算との関係で明確にしていただきたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 国民総生産または国民所得というのがどの程度か、これがきまらないときまらないのでございます。いま政府部内において、企画庁が中心になって国民総生産の作業を秋ごろまでには完成すると言っておられます。したがって、それが出ますならば何%という数字が出てくると私は思います。それが出ないので総ワクがなかなか出てこない、こういういま段階でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは私よくわからぬけれども、長官どうですか。本年度の総所得は幾らですか、国民総所得。

大村筆雄防衛庁経理局長

○政府委員(大村筆雄君) 四十一年度予算の編成に関連しまして、経済企画庁において先般発表いたしました四十一年度の国民所得の見込みは二十四兆八千八百億でございます

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これに対して、ことしは三千四百億ですか、防衛費は。そうですね。そうすると、これは何%くらいになりますか。

大村筆雄防衛庁経理局長

○政府委員(大村筆雄君) 国民所得に対します防衛関係費の占める比率は、一・三七%でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 所得の伸びはこれは計算できるのだけれども、最終年度あたりになると、これはもう三十兆をはるかにこえる時代が来るわけですね。そうすると、二%、六カ年、そういうことになると、平均値をとってみても、大体年間五千億というふうに見ても、約三兆というような巷間で言われているようなことが裏づけされると思う。そういう一つの予算的な想定の上に立って三次防が進められている、こういうように考えてよろしいですね。そう考えていいんじゃないですか、どうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) まだ、想定の前提がないと、結論が出てこないのです。したがって、その想定が、岩間さんは岩間さんで想定されるだろうし、私たちは私たちでまたそういうふうに想定できるかどうか、これはお互い想定ですから、議論するわけにもいかぬのですが……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 想定なしにあなたは七千百億と言う。これはできますかできないですかという質問にしろ、一応諮問するでしょう。諮問の裏づけとして一つはそういう予算の検討ということは必要でしょう。これは皆さん方防衛庁は防衛庁なりにいままでやってきただろうし、今度の三次防でも特に重大で、いままでのようにばらばらでない、統一してやっていく、そういうことでしょう。そういうことが重なっていっている。したがって、基礎をはっきり想定しないで、この積算を明確にしないで、そうしていまのようなこの計画はできないと思うのですね。だから、ここのところは議論をしてもなんですが、何か持っているのですか、防衛庁で。そういうような国民所得との関連の調査というのは当然これはやっているわけでしょう、三次防の中で。これはどうなんですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 防衛庁は経済庁ではありませんから、企画庁の数字以外に政府部内では権威あるものはございません。防衛庁では経済局がないですから、それは不可能です。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあいいです、その点は。そうすると、巷間で言っている三兆円ですが、それをはるかにこえるかもしれない、そういう基礎の上に立ってやる、こういうことになるのですね。そうすると、今後この国産化というのは非常に日本の産業のウエートを占めるという時代が来ると思うのです。それから国産化をやるということになりますというと、当然設備の改善もしなければならない。当然設備投資の問題がある。それからもう一つ問題なのは、朝鮮戦争の例でも明らかなように、戦争が終わってしまったら設備がだめになったというのでは、これはとっかかりがない。そうすると、こういう問題について、これはきのうの会談では話が出たか出ないかわかりませんですけれども、当然このような問題で防衛生産委員会と話し合いを深めておられるだろうと、こう推定されるわけです。この点はいかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) ちょっと岩間さんのほうの推定があまり先で、そんなことまでは私のほうではやっていません。かりにやるとするならば、通産行政、大蔵行政、経済行政あわせなければ、これはとてもできるものではないと思います。私のほうはそんな具体的なところまでいっていないのです。大いにまあ勉強しろというかけ声ですから、きのうのは。具体的な内容はだいぶ変わるかもしれない。また、変わってもいいんです。そういう秘密な会ではありません。大いに国産という意味で技術の進歩と研究をしろという、その一つのかけ声の会ですから、どう動こうが、その数がかりに二割動こうと三割動こうと、きのうの問題では責任はないわけです。議会における責任を感ずるようなきのうの会ではありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この三次防の計画は、数字はいつごろ固まるのですか。固まれば発表するのですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 国防会議で決定したときは当然発表いたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはいつごろになりそうですか。大体、作業をやるのだったら、めどがあるわけでしょう。そのめどでもいいです。いまどういうめどでこの三次防を固めてそれから打ち出すのか。いよいよこれは来年度から本格的になるわけですが、本年は過渡期とも言えるわけですが、これは今年中のいつごろですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 大体、五、六月ごろをめどにしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 先ほどの、どうですか、これ。日本の産業が、所得倍増計画以来、設備過剰で現在のような非常な深刻な不況におちいって企業の倒産が続出している。そういう中で遊休施設が非常に多くなってきた。そういう態勢の中で当然これは軍需産業というものはその上に乗っかってきていると思う。つまり、景気刺激、景気政策の転換、こういうような方向を非常にになっていると思います。それは非常に全面的なウエートだというふうにはいまは言えません。しかし、そういうふうな方向を目ざして防衛生産というかっこうでの三次防における兵器の国産化という課題がやはり打ち出されてきている。これはやはり私たちは非常に重要視しなければならぬ。そういう中で、どうなんですか、たくさん防衛生産委員会に入っている軍需産業の会社があるようですが、これなんかも実は資料を出してもらえばいいのですけれども、さっきの防衛生産委員会の意見書と、それから防衛生産に入っている会社ですね、こういう名簿はこれは提出してもらえませんか、資料として。どうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 防衛生産委員会に入っているメンバーは、それは別に資料でなくてもいつでも差し上げます。ただ、生産というのは、それ以外に下請があり、中小企業があり、たくさんありますから、その細部につきましてはこれは私たちもわかりません。なお、先ほどの財界、経済界からの要望もありますから、読み上げさせます、装備局長に。——持っておらないそうですから、資料というほどのことではありませんから、御必要ならいつでも差し上げます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 いや、これは資料で出してもらえばいいと思います。  それから防衛生産委員会の組織もあるでしょう。常任委員会とか、兵器委員会とか、艦船委員会、航空委員会、燃料委員会、それから電気委員会、火薬委員会、非常対策委員会等々の委員会がつくられ、相当組織的なものですね。そして、この顔ぶれを見るというと、ほとんど日本の重点的な基幹産業が入っている。その中にはやはり非常に不況の波にあえいでいるところがある。そういうところがこの兵器の国産に乗り出す、そういうことになってくれば、当然先行きのことを考えるわけでしょう。当然そうなると思う。私は、さっき話したように、朝鮮戦争のちょっと苦い経験がある。特需であおられて、だれもかれも特需に乗っかる、しかし、朝鮮戦争が終わって休戦になる、そういう態勢の中であとから皆が非常に困ったという苦い経験がある。そうすると、これはどうなんですか。いまベトナム戦争の問題でベトナム特需の問題が非常に大きく取り上げられている。それで、国会でも非常に問題になっている。非常にベトナム特需は急増しております。そうすると、これとつながるのですが、まあ心配するな、幾らでも特需はどんどんつくれ、そのあとの施設については大臣が責任を負う、これが第三次防のこの国産化の発展につながっていくように考えられるわけですけれども、政府の意向としてはこういう点についてどういう一体話し合いがなされているのか、この点を伺いたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) いろいろ高邁な御意見ですが、具体的に申せば、国民総生産の中に占める防衛費の比重をお考えいただけば、一コンマ以下です。零コンマにしか当たらない。これをかりに拡充しましても、一コンマに当たりません。それで急に倍になるとか三倍になるということでもなかろうと思います。  それから、朝鮮戦争のときの例を言われますが、あれは、その後においてやはり相当な動揺がありましたが、あれだけで日本の経済が今日あるわけでもなし、やはり国内消費、国内生産というものが基盤になっていることは、御存じのとおりであります。したがって、ベトナム特需というものと関係があるといっても、ベトナム特需というものは私は知りません。知らないというのは、膨大な数字が出たという数字を知らないというのです。日本の景気に影響するようなベトナム特需——ベトナム特需ということばはおかしいのですが、特需でしょう。特需というものは、少しも伸びていないと私は思います。わずかに伸びているかもしれないが、特に特需というふうな大きな変動は、私の承知している範囲ではありません。したがって、ベトナム特需というのは、私たちはないと言ったほうが正しいかもしれない。たいしたものではない。一般的な特需という中において、わずかに一割もふえていないんじゃないでしょうか。それは、一般消費物価が上がりますから、そのくらい自然に上がるものだ。したがって、三次防につながるもつながらないも、もともと、もとがないわけです。ベトナム特需というもとが私はないと思いますから、つながる心配もない。また、これによって日本の産業を復興させるというほど大きなウエートではない。純然たる、遠慮した防衛力増強である、こう私は考えるのです。これは、意見は相違するかもしれません。しかし、現実問題から話をして、あとの意見は最後にするほうがお互いの議論は正しいのじゃないかと思います。  まあこんなところで……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 何も、高邁な意見とか、そういうものじゃありませんよ。これは現実の話をしているので、ベトナムの戦争は、御承知のように、ますますふくれている。そういう態勢の中で、米軍の増強、アジア諸域のいわゆる反共諸国の増強があそこにずっとなされております。そして、しかも、この前、ハリマン特使ですか、やってきたとき、やはり日本に特需というようなものについて相当要請があったと思うのです。そういうふうに考えますと、これは非常にふえる傾向を持っている。そういうものに対する先行き不安というものも、これはいまの戦況から見るというと、ないわけじゃない。それに対して第三次防衛計画というようなものがやはりこたえているというふうに考えられる節がある。その問題でここで議論するつもりはありませんけれども。  そこで、どうなんですか、さりげなく兵器の国産化とかなんとか言っているわけですね。しかも、防衛庁長官が、公式にこのような業者の、いわばこれは独占の集約体でしょう、顔ぶれが。われわれの手にした資料だけで見ても。そういう席で公然と兵器の国産化を言っているわけです。しかし、日本の憲法との関連で当委員会でもいままでしばしば論議されてきたところですが、今度こういうものを公然と防衛庁長官の発言としてなされたというのは、何かやはり時期を画するものがあるというふうに考えざるを得ない。その背景は何だ。どうなんです、三次防をめざしてのこのようなことを公然と——どうも私は、日本の憲法との関連におけば、やはり兵器生産などということは、これは正道だというふうには考えられないわけです。ところが、国防のため、それで国産化ということを盛んにここで宣伝をする。しかも、三次防のはっきりした一つの性格になっていると思うのですね。こういう点はどうなんですか。どう考える。一体どこでとどめを打つ。私は非常に心配せざるを得ない。日本の産業構造が変わるのです。国民の生活に非常に重大な影響を持ってくる。日本の平和の問題と切っても切り離すことのできない課題があるのです。労働者がここに使用され、生活の資をこのような防衛生産の中からとる、こういうことになるわけですから、結局、戦争を肯定せざるを得ないという方向に追い込まれざるを得ない。こういう実態から考えてみるときに、この兵器の国産化ということが公然と今日論議されているということについて、これは当然あたりまえだというふうに受け流している、こういう事態の中で日本の憲法というものは実際は非常にゆがめられつつあるところにきているのではないか。この問題は私は単純に見のがすことのできない課題です。  昨日、いままでと異例の措置をとって、防衛庁長官がこのような談話を出産委員会の席上でやった。私が帰ってみたら、九時のなにでトップでやっていましたよ、あなたのを。あれは何かためにするところがあるのですか。その点はいかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 岩間委員も御出席であったと思いますが、皆さん方の参議院の本会議で、国産化率を増進しろという御質問と御意見がたびたび出ているのです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは自民党だろう。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) これは、与党だけではないのです。兵器は国産化しろというのは、これは、おたくは知りませんけれども、一般的に与野党の一つの通説なんです。通説なんですよ。その基本を、憲法九条を否定されるならこれは別ですが、基本的に装備というものは国産化しろ、これは与野党一致した、私は質問も受け勉励も受け、また、それが私に課せられたようなものなんです。それを否定されるというのは、それじゃ輸入しろということにしかならない、いまのを引っくり返せばですね。輸入しろということには私は賛成できない。なるべく国産化したい。これが国産か輸入かの問題で、そのほかに何も他意があるわけじゃない。輸入より国産化だというので、私は国産化を奨励しているのです。その先の話は、これは同じ文句でも読み方によって違うかもしれない。私はすなおに読んで、輸入するより国産化、その意味で国産化だ。なにも戦争の危険に巻き込まれるような国産化じゃないのです。  これ以上言いましても、なかなか聞いていただけるかどうかわかりませんけれども、与野党ともその声があるのです。不幸にして共産党の発言はなかった。私は一緒だと思って本会議で臨んだのです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 だから、共産党が発言することが非常に重大な必要なことになってきていることを何よりも証明しているのです。与野党などといって、そんなことを言うが、根本的に前提が違いますよ。  九条の解釈をここであなたとやっても、おそらく一日かかっても解決はつくまいと思うから、やろうと思いません。その点、あなたたちの憲法の九条解釈が、根底からわれわれと違ってきているわけでしょう。そういう中で、日本を防衛するために日本の防衛力を増強しなければならないという議論を、あなたたちはその上に立っているわけだ。最近は、中国の核武装、それとの対決策などということを盛んに言われている。むろん、これは質問ですから、その真意はどこにあるかわかりませんけれども、そういうことを言われている。それを、えたりかしこしと、あなた、にこにこして聞いているわけだ。松野さん、喜んで、わが意を得たりといわないばかりに。そうして、そのために日本の防衛力を増強するのだ。当然、そうなれば、どこかから兵器を持ってこなければならん。だから、日本がだめだったら輸入するほかはないというあなたの立論です。しかし、立論の前提が違っているのです、根本から。われわれがおそれているのは、いわばこれは、われわれのことばで言えば、われわれだけじゃない、死の商人といわれている。そうでしょう。兵器生産でここで大もうけをやる。これがどんなふうに——戦前からのわれわれの苦い経験から言いましても、これはどういう結末を来たしたか。単に、これは、軍隊があり、帝国主義の軍隊が増強して、そうしてあのような戦争をやっただけではありません。その背景にはこのような死の商人のばく大な利潤追求があったわけでしょう。だから、こういう点からの観点というものを明確にする必要がある。この点をはっきりさせておく必要があると思うのです。三次防は当然のなすべきことだというふうな前提の上に立ってあなたはやすやすと言っておられますけれども、この点についてはこれはまあ立場の違いもあるでしょうけれども、ここのところは明確にしておく必要があると思います。  そこで、私は、ここで議論を憲法問題までさかのぼってやる時間を持ちませんから、次にお聞きしますけれども、三次防のねらい——その前に、もう一つ聞きたいのは、国産化国産化と言っていますけれども、これはどうです、アメリカとの提携が一部分なりあるいは部分的なりなされるんじゃないですか。たとえば技術提携、これなしに国産化ということができますか。これはできないんじゃないですか、パテントの問題もあるだろうし。それから結局はまあ一種の合併でこれをやっていくというそういう背景、つまりアメリカの指導のもとにおける日本の国産化ということになるんじゃないですか。この点の性格はどうなんです。単に国産化国産化とあおっていっても、その正体というものは明らかでない。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 純然たる国産化のものがきのうの発表の中にちゃんと入っております、純然たる国産化のものが。願わくば純然たる国産を願いたい。しかし、技術導入というものもこの中にはあります。ライセンス導入というのもある。全部が全部ライセンス導入じゃありません。純国産的なものもあります。一つ一つやっていかなければ前進しないのですから、いつまでも国産化に反対すれば、永遠に日本はできません。その意味で、全部じゃありませんけれども、純国産化を進めながら最終的には全部国産化にしたい。しっかり勉強、努力しようというのがきのうの発表です。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはどんな割合になっていますか、現状で純然たる国産化は。しかし、技術導入、それからいろいろなやはり合弁、そういうものなしには現状ではできないのは事実だろうと思うのです。この割合はどんなふうになっていますか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 七割ぐらいはいま純国産化、今度はひとつ八割以上にしていきたいと思っています。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そこで、さっきの三次防の中心課題は何になるかという問題です。特に強調してきのうも言われた、ここで統一してもっと強力に打ち出す必要がある、そういうふうに言われている。これは、国際的、国内的背景というのはあるだろうと思う。これはどういうふうに考えておられるか。それからこの三次防の中で何をなそうとするのか、その中心課題は何なのか、その点をお伺いしたい。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 防衛の基本は、憲法及び自衛隊法に明記されている日本の安全と独立です。それに必要な装備をすること、それがその使命であります。三次防の中におきましては、一番早急に影響しますのは老朽化した兵器の更新、これが戦車などに該当いたします、老朽化しておりますから、戦車が。昨日言いました数字は、まず戦車の老朽化を防ぎ、艦艇も一部老朽化を防ぐため要求しております。航空機も相当老朽化しています。これも更新すること。昨日言いましたのは、ほとんどそれに該当するものなんです。今後の新たな施策というものは、まだ検討して発表しておりません。こういうものは当然片一方が老朽化するから必要なものだというので三次防におそらくどっちにしろ入るんであろうという、また入るべきものであるから昨日発表しただけであって、新構想を昨日発表したのじゃない。当然現有しているものの更新が昨日の大部分であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ナイキハーキュリーズの問題一つをとってみましょう。そこでハーキュリーズを国産化するというわけでしょうが、そうすると、アジャックスではもう間に合わない。しかし、ハーキュリーズは、私がくどくど申し上げる必要はないけれども、これは核・非核両用の……。そうでしょう。核は日本に入れないと言っているですね。なぜしかしこのような核をつけることのできるハーキュリーズを国産化に持っていくのか。そうして、これは何個大隊ですか。今度増強するのは四個大隊ですか。現在二個大隊——東京師団、九州師団、これを四個大隊かりに増強します。そうすると、この四個大隊を増強する配置の予定もあるんだろうと思います。これが一つ。  それから、なぜ核・非核両用のものをわざわざここでやらなければならないのか。いままでの政府の答弁では、核兵器は持ち込まない、核武装もしない、ひたすらにそう言ってきたでしょう。ところが、いざというときを想定しなければ、このような核弾頭をつけることのできるナイキハーキュリーズをつくる必要はないと私は考えます。「李下に冠を正さず」ということばがある。「瓜田に靴ひもを結ばず」、そうでしょう。なぜこんな疑いのあるものを今度のたとえば三次防の中で、あなたのきのうの発言の中でもはっきり出てきている。そうすると、単に老朽化などと言ったって、これはやっぱり承認できないところが出てきている。こういう説明はどういうことになるのですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 核の製造もしない、持ち込みもしないというなら、装備ができるわけがない。「李下に冠を正さず」あるいは「瓜田に靴を直さず」、冠もかぶっていなければ正すこともありません。靴もはいていなければひもを直すこともないのです。このぐらい私は明確なものはないと思う。持ち込みもしない製造もしないものに核をつけようがない。冠もかぶらない、靴もはいてないのですから、李下に入ろうが、あるいはどうしようが、疑われる余地がないと思う。このぐらい明確なものはない。疑えば疑うにきりがありません。これ以上疑うのは、疑うほうが無理じゃないか。ものごとには道理がある。限度があります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ここでこれは議論したって……。国民の批判を仰ぎましょう。わざわざ核弾頭をつけるものを入れておいて、そうして、いまのように、入れないと言っているから、それから武装もしないから、こういうものがあったとしたっておかしくないのだ、かえってそんなことを疑うほうがおかしいという議論が、これは国会内の議論では成立するか知らぬ。ここではあなた多数持っておるから成立するというようなことで成立させようとするかもしれないが、これは成立しませんよ。どうです。それなら、F4、F5、F111、YF12A、こういうものは三次防の中で当然出てくると思うのです、こういう飛行機は。これは全部核兵器を積んでやはり出撃できる、そういう機種じゃないですか。なぜこういうものが一体三次防の中の一つの重要なものとして打ち出されてきているのか。単なるナイキハーキュリーズだけの問題じゃありません。なぜそういうような疑いのあるものをわざわざ持ち込むのですか。なぜそうせざるを得ないのか。ここのところがいまの三次防の一つの焦点、全部だとは申しません、一つの焦点になったことは、これは明らかでしょう。迷惑じゃないですか。どうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) その御質問受けるほうが私のほうが迷惑で、そんなものは考えておらぬと私は思います。Fの111ですか、そんなものはとてもまだまだ議論になるものじゃありません。はなはだ御質問のほうが私には……。あんまり頭がいいから、先にどこでどうおとりになるか知らぬが、推定と申しますか、あまり頭がよ過ぎる推定で、当たっておりません。  それからもう一つ申し上げたいのは、核も持たない、持ち込みもしないのに核弾頭がつかぬと同じように、核をもって飛行機が飛べるわけがない。私たちは、もう全然李下にも瓜田にも、そんなものは関係なし。靴もはいてなければ、冠もない。ほんとうにガラス張りの自衛隊である。あなた方がこうやって毎日おられるのですから、もしそうだったら、さっそくおわかりになると思います。そんなことはまだ自衛隊はしません。また、核はそんなに容易に鉛筆のしんみたいに取りかえられるものじゃないのですから、そういう訓練もしなければ、使えない。訓練もしないんですから、持ち込みもできない、製造もしない。核なんていうものは、日本には残念ながら想像もできない。飛行機があろうがなかろうが、ナイキハーキュリーを入れようが入れまいが、核問題は日本はもうガラス張りの無色透明であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 松野防衛庁長官を私は信用したいと思う。しかし、いつまで防衛庁長官をやっておるわけじゃないでしょう。あなたがやめたあとで国会の証言になったら、そんなのは問題じゃない。それからあなたがどんなにかりに考えたとしても——考えているとかりに信じましょう、そうしたって、それで歯止めになるかというと、ならないものをたくさん知っておるんだ、私は。私も国会で十六年やっております。十七年目だ、いま。この経験がものを言っておる。そうでしょう。国会での証言が守られたものが一体幾つある。今度の極東の範囲を見たってわかる。あの極東の範囲なんていうのは、全く拡大解釈ですよ。だれがどう言おうが、拡大解釈ですよ。間違いありません。事前協議はどうです、事前協議。赤城防衛庁長官は、現にこの委員会ではっきり答えておる。補給基地の場合でも、途中で沖縄に寄っていく場合にも、はっきり事前協議の対象になりますと私に答えた。これは速記録をここでやっているひまはありませんが、ところが、今日ではどうです。どんどんやっているじゃありませんか。原子力潜水艦は八回も日本に入っているじゃありませんか。エンタープライズはこれは入るのだ、こういうことを言っておる。そうして、これはちゃんと包括的なそういう了承もあるのだということをあなたは八月ごろに答えたでしょう。私はそういう一つのはっきりした事実の上に立って論議をしているのですから、いまの国際的な情勢、ことにアジアにおけるアメリカの核戦略体制、こういう体制の中で三次防の果たす役割りは何ものかということを明確に引き出して、そして国民の前にこれを明らかにして国民の審判を抑ぐということは、非常に重大な段階ですよ。これを単に自衛隊のそういう一つの考え方だけでここのところをまかり通ることはできないと思います。これは海原さんもよく聞いておいてください。あなたはふところ刀になってやっているのだからよく知っておる。だから、だめですよ、これは。私はそこでお聞きしたい。こういうものの背景。とにかく、私は国会の論議を聞きましたよ、今度。そうすると、ずいぶんここで思い切ったことをいろいろ言っているわけです。画期的ですよ、そういう意味では。衆議院のほうは経済論議で終始したかもしれない。もう三十日たてば自然発効です。こっちでは宣伝の場ですよ、これは。政府の意図じゃないですか。そこで盛んにやりました。もう国連協力法の問題が出たと思うと、安保の延長の問題が出たと思うと、沖縄出兵の問題が出る。続々続々全く出てきた。この背景は一体何かということを今日国会で論議をしなければならぬ。これをしない論議だったら必要ない、実際。われわれの質問もそういうところでどうしても明らかにしなければならぬ問題を控えています。  大臣にお聞きしたいのは、第一に、一九六三年の二月、ギルパトリック国防次官補が日本にやってきました、御承知のように。そうして、そのとき、池田首相と当時の志賀防衛庁長官に対して五項目のアメリカの政策を示して受諾させた、こういうふうに聞いておるのでありますが、これは長官も受け継がれておると思う。これはどういうことです。これは御存じだろうと思う。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 何にも聞いておりません。何にも引き継ぎ事項にありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは非常に怠慢ですね。これを引き継がれていないということはいけないと思いますね。事務引き継ぎをやらぬのですか。もっとも、小泉さんが中に入っていたから、小泉さんが忘れたのか、そういうわけにはいきませんよ。私は、参考までに、これはこういうことをわれわれは耳にしておるのですから……。第一に、一九七〇年安保改定をいまから準備すべきだ。第二は、アメリカの核のかさをはっきり認めるべきだ。第三に、日米軍事共同行動、これを明確にすべきだ。これは、海原さん、去年やりましたね。当委員会でやったでしょう。それから第四に、中国は近く核装備するが、日本はこれを上回る軍事力をつくるべきだ。第五に、防衛費を国民所得の二%以上にすべきだ。この五項目が示されて、日本政府の当時の池田総理並びに志賀防衛庁長官は受諾をさせられておるはずであります。御存じないというなら、あなたたち否定もできないですね。そうでしょう。否定するのはおかしい。そうじゃないですか。どういうことですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私は何も聞いたこともなし、したがって、あなたのほうは御自由ですが、私は聞いたことはない。したがって、国の防衛計画の上には何も影響もなければ、参考にもしておりません。これはガラス張りです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 あなた、聞いていなければ、これは否定もできないわけだな、実際。そうでしょう。だから、これは検討しなさい。検討しなければだめですよ。そういう怠慢じゃだめです。アメリカに叱られますよ。  その次。ギルパトリック国防次官補は、ワシントンへ帰って、四月十七日に、オーバーシーズ・ライターズ・クラブで演説をしているのです。まあとこで演説を全部言うわけにいきませんから、簡単に要旨を言いますと、「アメリカの国防担当の長官たちは、日本が国際会議で発言権を持つためには、政治的安定と経済力だけでなく、軍事力を持たねばならない……ワシントンでは、日本が将来おそらく琉球及び朝鮮半島を含む区域を守る監視戦力を持つものと期待している」、こういうふうに演説をしております。特にこの中で朝鮮、沖縄への監視戦力をはっきり打ち出してこれを期待している、こういうことなんですが、どうも佐藤さんの今度の発言というやつは、決して単純なものではない。やはりこういう問題と関連なしには、現在のベトナム戦争の中で占めている沖縄の戦略的位置から考え、扇のかなめ——この扇のかなめの沖縄に対する監視戦力的な任務、また、朝鮮の果たしている南ベトナムと呼応した北の一つの拠点であるところの朝鮮、これに対する監視戦力、こういうものを当然アメリカとしては要請しているのだということが何より証明している。これはどうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私が知る限り、その演説には何も関係ございません。否定もしませんが、私には影響がないと、だれがどう演説されようが、国の防衛計画には関係がない。また、防衛庁にも影響ない。世界じゅうみんなえらい人が演説しますから、その演説を一々とられてこうだろうと言われても、これは頭のいい方の推定には違いないでしょうが、われわれには関係ない。世界じゅうの情報をお持ちですが、どうぞひとつそれは情報として……。われわれの国内問題には関係ないと私は思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあいまのような答弁ですけれども、もう少しやはり防衛庁長官ね、腹を割った話をされないから、日本の将来とかなんとか言っても、やっぱし信用できないところがありますよ。  その次。ギルパトリックは、それからその直後、アメリカの核拡散防止委員長になりました。核拡散防止体制を推進している、そうでしょう。これは委員長です。これが扇のかなめになっている。このギルパトリックが考えておる、アメリカの考えておる核拡散防止というのはどういうものか、これはちょっと念のためにお聞きしておきましよう。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) これは所管が外務省ですから、いずれあすでも外務省が来られましょうから、外務省からお聞きいただいたほうがいいと思う。とにかく、岩間さんの議論は、非常に高度なジェット機のような高いところで議論される。もう少しレベルを下げて——あまり高いところで富士山の上をBOACで飛ばれるから、われわれ日本の国の知識じゃ、もう少し下げて、プロペラ程度の話をしていただかないと、あまり高過ぎると思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私たちぐらい現実を踏まえてものを言っているものはないんじゃないですか。これは私たちの哲学ですよ。そうでしょう。現実の分析なくして抽象論をやっているわけじゃありません。具体的な例をあげております。  核拡散防止議会というものがつくられて、このことをアメリカは提唱している。これは核拡散防止ということを名前にして、実は核を持たない国を守ってやるということで、逆に核をずっと拡大強化していくというのです。この問題が当然アメリカの核安全保障体制、いわゆるアジアにおけるところのアメリカの核の支配のもとにアメリカの指導のもとに行なわれる、あるいは、諸国に対して核を配置するそういう体制、この中心にいるのがギルパトリックだ、こういうかっこうでしょう。これはもう明白なことだと思います。そういうような中で、さっきのたとえばナイキハーキュリーズの問題や、その他の核搭載機の機種の問題なんかというものは明確に出てくるじゃないか。だから、あなたはあくまで入れるということを言っていない、核装備をしないと言っているんだから、かりにそういうような可能性のある兵器を国内に置いたにしても心配はないんだ、そんな心配はないんだということを言われましたけれども、こういう背景があって、しかも具体的にこういう事実の前に動いているでしょう、ですから、私は非常に問題にしているわけです。  次にお聞きしたいんですが、どうですか、ギルパトリックの言ったさっきの五つの考え方というのは、ずっとそのままあらわれているんじゃないですか。もうはっきりそういうかっこうは出ていると思う。三矢作戦のことが問題になりましたが、この三矢作戦では、もう日米共同の軍事計画というのが中心課題ですよ。昨年も私はこの焦点になっている日米共同作戦行動についてお伺いしたところです。ギルパトリックのこれは三の問題ですね。それから一九七〇年の安保改定、これをいまから準備すべきだという第一のほうです。これはなぜ一体四年もまだ改定まであるのにアドバルーンを上げたか。ここにいる西田さんから質問があったと思いますけれども、これに対してあくまでも総理は答えられた。いまの延長の問題について外務省の意見、政府の意見が出されている。これはどうなんです。この課題は非常に重大な問題じゃないですか。安保を改定するということ——実は、ほんとうは、いまの形でいったって、あなたたちがもしもほんとうに安保が必要だというので安保をこのまま続けていくとしたって、これは改定なしにはほんとうにやれないでしょう。たとえば、日米共同作戦行動はどうでしょう。安保五条の発動なしに日本の自衛隊が行動できるというふうな協定ができているわけです。あるいは、事前協議の問題、極東の範囲、安保というものは全く拡大解釈で、今日五年前のものとは性格的に変わってきている。そうして、その背景の中には、はっきりやはり最近のアジアにおけるアメリカの戦略構想、あるいはベトナム戦争によるところの当然の要請というものが出てきている。これは明確でしょう。それから当然そういう中でアメリカの核のかさに入っている。これをはっきり認めるべきだ。しかも一九七〇年以後まではっきりアメリカのかさに日本が入っている、こういうことを認めるべきだ。そうして、現在どうでしょうか。中国は近く核装備をするので、これを上回る日本の軍事力をつくるべきだという第四の課題、これは国会で論議をされている。それから防衛費が二%、こういう問題がここに出てきておると思うのです。そうすると、ギルパトリックのこの発言というやつは、日本の政局、日本の防衛問題、平和と安全、したがって国民生活に対して、非常に深刻な影響を今日持っておる、今日、防衛庁の諸君は、第三次防を営々として計画を進めておられる。この計画の背景にはまさにかくのごときものがあるのだということを言ったとしてもしかたがないでしょう。符節があまりに合い過ぎておるじゃないですか。この点はどうですか、長官。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) だいぶ御意見を拝聴しましたけれども、私は何にもギルパトリックの申し継ぎもなければ、会談の内容も関係なければ、私独自で考えて独自で今日やっておるのですから、それはギルパトリックがこう言ったじゃないかときょう初めて聞いたくらいなんです。もうすでに三次防の作業を進めつつあります。二%というのは私がかってにしゃべっております。もう話を聞いたこともなし、見たこともないようなものを私が手本にしたのじゃないかというのはちょっと無理な話で、私見たこともないのですから、そうして私は私独自でやっておる。たまたま文句の一、二が合ったから、おまえはそれを見たのだろう、手本にしたのだろう、それはあまりに無理だ。それは全然見たこともないのですから。それは、どこかで言った話がどこかに当てはまるかもしれません。しかし、それが私の真意でもなければ、何にもお答えする義務もまた資格も私にはない。私は私独自のものでやっておるのです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、松野長官の頭はよろしいということになる。見たことも聞いたこともないがぴったり合っている、こういうようなことになるわけです。これは私の推量かもしれないといえばそれまでのことですけれども、あまりこれは合い過ぎて、頭がよ過ぎるお方だということを証明しておると思います。しかし、どうも同じような答弁ですが、そういうことでは日本の国民は納得しません。一九六三年の三月三十一日に結ばれた日米軍事秘密了解覚え書き、これはこの前も三矢のときお聞きしたのだけれども、それは一向に知らぬ存ぜぬと言っておるのですが、この中には、「日米共同作戦要項」それから「日米交戦規則」というものが秘密に取りきめられて、日米の協力関係というものを具体的に作戦上から取りきめになられておると思うのですが、それはどうなんですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 防衛長官になりましてから見たことも聞いたこともありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうして、どうですか、こういうような上に立って、三矢で問題になりましたあの核持ち込みの包括的承認の問題、それから自衛隊の海外派兵の問題、日本の核武装、こういう問題が出されたと思います。これはどうですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大屋(松野頼三君) 三矢の話は少し古いのじゃないでしょうか。また、現実にあの条項をお読みになれば、すべて前提が書いてあります。こういうことが許されるならばというのが全部入っておるのですから、計画と言うにはあまりに……。お読になれば違うので、前提があり、前とうしろにブレーキが入っております。三矢の問題は、中だけお読みになるとそうかもしれませんが、別に上げ底じゃないのです。もう一年半も古いことですから、それがいま生きておるというような考えは私ども何もありません。私も小委員長をやりましたから、岩間さんと同じ程度のものは議会ではやっておるのですから、そうそう議論になるほどのことじゃないと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 とにかく符節が合い過ぎるから、日本の国民も考えざるを得ないのですよ。三矢が死んだとか生きたとか議論しても、話になりません。どんどんやられているんじゃないですか。生きているのですよ。亡霊ではありませんよ。具体的に生きて、実行されている。私はそういう点で、名答弁ばかりされているのですけれども、そういうことにはなっていないと思います。  経団連の防衛生産委員会の勧告要旨は、あとで資料をもらえばわかりますけれども、その中で問題にしているのは、長期にやってくれ、ミサイル化の問題、独占の軍需生産、これに利潤を保証してくれ、そうして、そういう態勢の中で、日本の非常事態態勢、臨戦態勢のようなものが非常に要求されてきている。そうでしょう。こういう点が非常に私は重大だと思います。  それからさっきは核武装体制について私は空の問題、ナイキハーキュリーの問題をあげましたが、海でもサブロック、それから無人ヘリコプター、それから対潜航空機、対潜兵器、こういうものがやはり三次防の中で問題になってきているのではありませんか。陸では、さっきのナイキハーキュリーのほかに、ホークミサイル、こういうようなことになってきている。それからこれと関連して特別機動師団というものを考えておりますか。これはいかがですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 特別機動師団という趣旨かどうか知りませんが、いろいろな移動的な機動力のあるものを考えていることです。それからいまおっしゃったようなものは、まだそう核問題には関係のないもので、一般的な兵器であります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私、間もなく終わりますけれども、いまのはちょっと耳打ちしていて聞こえなかったのだけれども、特別機動師団の新設の問題はどうなんですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 機動力のある部隊をつくりたいという構想はありますが、それがそういう名になるのかどうなのか、これはわかりませんが、機動力を持たせたいという構想は持っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、これはアメリカの第一騎兵師団のようなものですか。これを小型化したものですか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 騎兵の師団というのは知りませんが、馬に乗るわけではありません。馬に乗るようなものは考えておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 アメリカの名前はみな変わっていますよ、アメリカの軍隊の名前というのは。海兵隊なんと言っても、これは何だと思ったら、陸のことを盛んにやっているのでわかりませんですが、名前にとらわれるわけですが、はっきりしておりますね。これは、言うまでもなく、ベトナム戦争の教訓から出てきたものでしょう。ゲリラ戦に対する人民の戦争対策、沖縄あたりでやったことを私は予算委員会で三年前にずいぶん明らかにしたことがございます。そういうことがある。  私は、こう考えてくると、今度の三次防というやつは、こういう観点からやはり国民の立場としては明らかにしなければならぬと思うのですよ。安保の再延長ということを言われている。しかし、安保条約そのものがすでに守られない。五年前のこの国会で議論された論議との食い違いが非常に出てきている。先ほどもありましたが、核兵器を日本に入れる問題、あるいは、核武装化の問題、事前協議というものは何一つこれはなされない。単なるこれは安保を通すためのあのときのゼスチャーにすぎなかった。結局、国民をだますような結果になっいます。そうでしょう。ですから、当然これは安保条約そのものを政府の立場としても改定するといって国会にこれを出すというような、そういうことをやるのかと思ったら、それをやると六年前の安保のような国民の下からの大きな反撃が出てくる。これはどうしても避けていかなければならない。それなら、いまのままで現状を延長しよう、それをいまのうちに国民に何とかPRをして、そういうムードをつくろう、そして四年後のそういうときには際会させないのだ、こういうことは、先ほど申しましたように、アジア、ことにベトナムにおける最近のそういう態勢の中で、アメリカから当然要請されている。これが一つ。  もう一つは、これは先ほど申しました独占的な要求の中にあるだろう。安保条約が今後どうなるかわからないというかっこうでは、国産化などといって協力させられない。できない。協力したとたんに、もう安保がおやめになって、日本は平和の方向になる、そしてそういうような防衛力の増強などという課題でないほうに国民がずっと動いていく、そういう態勢では、いまの防衛生産は根本から成り立たない。だから、したがって、安保延長をしろというこういう要求というものは、これは防衛生産委員会あたりに集中されているところの独占の要求でもあるのですよ。むしろそこからの要求が多いのじゃないですか。それを代弁して安保延長の問題が今日国会で論議されている。  私は、こう考えてみますと、この国会は非常に異常な国会だと思っているんですよ。防衛庁長官はどう考えているかわからないけれども、ことしは、三月になって、二月以来非常に気候の激動があった。これは季節的なたいへんな気候の移動であります。しかし、それ以上に実はもっと政治の変動期だというふうに考える。そういう態勢の中でこの三次防の問題というのは今日非常に重大な課題になっていると思います。私は、そういう点で、長官はどういうふうにお考えになっておられますか、これを最後に承って、時間がありませんから、質問を終わりたいと思います。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(松野頼三君) 私は、日本の独立と平和ということを中心に防衛力というものを考え、それに応ずる外交、条約を考えるということに終始しておるのでありまして、いろいろ憶測はありましょうが、その憶測が必ずしも当たっていない。どうぞ、現実の姿をみていただけば十分御理解いただけるし、その実証は上がると私は思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まあ終始そういう答弁で繰り返されて終わったのでありますが、これはいろいろあなたたちのやっている現実が何よりも雄弁に物語るのですね。この実態が国民の前に明らかになるということは私は非常に重大だと思います。まあ時間ですから、これでやめておきましょう。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 他に御発言もないようでございますので、防衛庁所管に関する質疑は終了したものと認めます。  速記をとめて。   〔速記中止〕

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 速記を起こして。     —————————————

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 次に、科学技術庁所管について審議を行なうことにいたします。  まず、政府の説明を求めます。上原科学技術庁長官。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) 昭和四十一年度の科学技術庁予算の概要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度総理府所管一般会計予算要求額のうち、科学術技庁の予算要求額は、歳出予算額が二百五億八百十三万二千円、国庫債務負担行為額が三十五億一千五百七十五万五千円でありまして、これを前年度予算額、歳出予算額が百六十八億二千二百十七万八千円、国庫債務負担行為額が十七億八千七百九万四千円、に比較いたしますと、歳出予算額で三十六億八千五百九十五万四千円、国庫債務負担行為額で十七億二千八百六十六万一千円のそれぞれ増額となっております。  次に、予算要求額のうちおもなるものについて、その大略を御説明いたします。  まず、歳出予算といたしましては、 第一に、科学技術庁一般行政費並びに科学技術会議及び原子力委員会等の各種審議会の運営費並びに資源の総合的利用方策の調査等に必要な経費をはじめとし、科学技術者の資質向上のための経費、発明実施化の促進をはかるための助成費、科学技術試験研究に対する助成費及び低温流通機構の調査等に必要な経費として十三億三千百四十八万二千円を計上いたしました。これは、前年度予算額に対し三億五万三千円の増額となっております。  第二に、重要総合研究推進のための特別研究促進調整費、潜水調査船建造費並びに原子力の平和利用を推進するための試験研究費及び助成費並びに放射能安全対策のための調査研究費等として二十一億三百五万九千円を計上いたしました。これは、前年度予算額に対しまして四億六千八百二万八千円の増額となっております。  なお、これらの経費のうち一部は、その執行にあたって必要に応じそれぞれ関係各省の所管に移しかえて使用されることになっております。  第三に、宇宙開発の推進、防災科学技術の促進、航空技術の向上、金属材料等の品質の向上、非金属無機材質の創製研究、放射線医学の総合研究等を実施いたしますための当庁所管試験研究機関の経費として四十億七千七百五十九万一千円を計上いたしました。これは、前年度予算額に比べ・まして四億三千六百八十七万三千円の増額となっております。  第四に、理化学研究所、日本原子力研究所、原子燃料公社、日本科学技術情報センター等、科学技術の振興に寄与させるため当庁の監督下に設けられました特殊法人に対し政府出資金を交付するため必要な経費として百二十九億九千六百万円を計上いたしました。これは、前年度予算額に対し二十四億八千百万円の増額となっております。 なお、潜水調査船の建造、核燃料物質の購入、航空宇宙関係研究施設の整備、原子炉その他の研究施設の整備、使用済核燃料の再処理施設の詳細設計等を実施いたしますには多くの日数を要しますので、昭和四十一年度において、あらかじめ国庫の負担となる契約を結ぶ必要がありますので、国庫債務負担行為の限度額として三十五億一千五百七十五万五千円を計上いたしました。  また、原子力損害を賠償することにより生ずる原子力事業者の損失を国が補償するため、原子力事業者とあらかじめ補償契約を締結することのできる金額の限度額を十七億円と予定いたしました。  以上、簡単でありますが、昭和四十一年度科学技術庁の予算について、その概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) これより質疑に入ります。  通告がございます。北村君

北村暢日本社会党

○北村暢君 まずお伺いしたいのは、ウラン濃縮の研究が現状どのようなことになっているか、この点から御説明願いたいと思います。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) ウランの濃縮は、ほとんど勉強をやっておるという程度でございまして、事業としてやるほどになっていないのでございます。実験ができるかできないかというところでございます。原子燃料公社でやっております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 われわれしろうとですから、しかもウランとか原子力というのは非常に無知なものですから、濃縮ウランの技術開発について若干の説明をしていただきたいと思います。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) 原子力局長からお答えいたします。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) ウランの濃縮技術といたしましては、世界的にも認められております方法が三つございます。第一は、アメリカ、ソ連、あるいはイギリス、それからフランスなどで実際に行なっておりますガス拡散法と申すものでございます。それから第二は、ドイツあるいはオランダ等で、それからアメリカも入りますが、研究を行なっております遠心分離法と呼ばれるものであります。それから第三は、これは非常に基礎的な勉強がアメリカで行なわれたということは聞いておりますが、まだ一般的に実際の研究開発が進んでおるということのデータはございませんけれども、可能性といたしましてノズル法という方法があるようでございます。  これら三つの方法にはそれぞれ特色があるわけでございますけれども、これまで米国、ソ連、あるいはイギリス等で実際に濃縮ウランをつくりますときには、種々の理由からガス拡散法を用いてやってきておる。最近フランスでも濃縮工場の運転を始めましたが、これもガス拡散方式によっておるという情報でございます。しかしながら、このようなガス拡散法は、本質的に相当大量の濃縮ウラン、しかも相当濃度の高いものを濃縮するのに非常に有効というふうにいわれております。従来、ほとんどもっぱら軍事目的の濃縮ウランの生産のためにこの技術が開発されてきたわけであります。  わが国におきましては、原子力の開発利用は平和目的に限定いたしておるわけでございますので、将来を考えますときに、ウランの濃縮技術というものをやはり勉強しておかなければいけないだろう、こういうことを原子力委員会が三十六年の二月に制定しました長期計画でも指摘いたしておりますので、その線に沿った基礎的な研究を、きわめて長期にわたる研究の一部として小規模ながら着手しておりますが、これは私が申しました第二の遠心分離法と呼ばれる方式に属するものであります。遠心分離法と申しますのは、ごく簡単に申しますと、ちょうど洗たく機に付属してございますような遠心分離機のようなものがございまして、ただ普通の遠心分離機よりも非常に回転数の高い、まあ遠心力の強いといいますか、遠心力による分離能力の高いものを開発する必要があるわけでございまして、したがって、研究の当初は、ほとんどもっぱら機械的な改良技術の研究開発ということに相なるわけであります。この点につきまして、わが国では、当初、理化学研究所におきまして、東京工大の教授等が参加されて、きわめて初歩的な遠心分離装置を一つおつくりになりました。が、将来のその長期的な研究につなげるという意味で、その後この研究を原子燃料公社に移しまして、原子燃料公社において第二号基をつくりまして、現在その第二号基を使った基礎的な研究実験が行なわれておると、こういう段階であります。  四十一年度におきましては、この二号基を一部改造いたしまして、その性能の向上をはかり、さらにそれらの経験をもとにした第三号基の設計研究をやりたいということで、そのための予算を若干燃料公社につけてございます。その額は約七百万円ばかりでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 濃縮ウランの平和利用のできるのは、先ほど、長期計画と、こう言われておったのですが、大体どのくらいの年限で平和利用できるようなことになるのですか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 濃縮ウランには、御承知のとおり、非常に濃縮度の低いものから非常に高いものまでございますが、まあ軍事目的には非常に濃縮度の高いものが必要だといわれております。しかしながら、平和目的には決してそのような高いものが必ずしも必要ではございません。たとえば、ただいま国内において計画が進められております原子力発電所用の燃料というようなものは、その濃縮度は、多くても五%以内、大体二・五%とか三・数%という程度の濃縮度のものでございます。これに対して、軍事目的のものは、九〇%とか、こういうような濃縮度のものを使っておるようでございます。それで、現在のところ、国際的に見まして、このような低濃縮のものでも、これを入手いたしますについては、生産しておる国が限られておりますので、主としてアメリカということになりますが、米国との間の協定によりましてその供給を受けておる。ただいま建設計画中の原子力発電所等に必要な燃料等は、日米の協定に基づいて米国から必要量を入手するということで進めておるわけであります。しかしながら、将来のことを考えまして、国内で生産する必要性が出てくる時期もあるように思われます。で、その時期がいつかということは、原子力発電の規模の増大等と関連いたすわけでございますが、長期計画では大体十五年ぐらいはまあかかるだろう。したがいまして、先ほど私が長期の研究計画と申しましたのも、その程度の長期のことを考えての研究計画として取り扱っております。その研究いたしております遠心分離法によります濃縮ウラン分離も、濃縮度は五%以下の低濃縮のものを対象とするというわけでやっておるわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そうしますと、原子力燃料公社でやっているいまの遠心分離装置の研究というのは、十四、五年ぐらい先になれば実際に平和利用の五%程度のウランの濃縮ができるようになる、国内生産ができるようになる、こういうことに理解してよろしゅうございますか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 平和利用でございますし、商業用の用途が主体でございますから、当然その価格が問題になってまいります。国際価格との比較において国産の濃縮ウランがどのくらいになるかということは非常に重要な要素になるわけでございますが、ウランの値段は現在非常に安いのでございますけれども、将来、需要が増大すれば、漸次上昇の傾向をたどる、こう見られます。まあ十五年という非常に長期になりますが、そういう長期の研究開発で、その時期におきまして国際的にも競争できるような濃縮ウランができるようになることを一応のめどといたしてやっているということでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこでですね、十五、六年先ということになると、相当先ですね。したがって、これはそういう長期計画でやらなければならないというのは、研究の速度の問題になりますけれども、それは、技術面からそういう長期を要するのか、それとも予算の面から制約があって研究速度を速めることができないのか、この点をひとつ御説明願いたいのですが。先ほどお話がありましたように、平和利用ですから、他の燃料と比較してべらぼうに高いものでは、これはお話にならないわけですけれども、まあそういうことを含めて、どういうところにこの長期を要するという理由というものはあるのか、この点をお伺いしたいのです。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 長期の研究計画としてこれを考えております理由は、大別して二つあると思います。  一つは、ただいま先生からも御指摘がございましたように、やはり、国産でありましても、価格が非常に高いものではこれを利用することはできかねるわけであります。また、そういう高いものを使わせて平和利用を促進するといいましても、実際に発展いたさないわけでありますので、国際的にも競争できるものをつくっていく、こういうことでございますが、ただいまの状況は、ここ当分の間の見通しとして、濃縮ウランにつきましても、低濃縮ウランにつきましては米国等からかなりの量が海外に平和目的のために供給されるということになっております。アメリカの場合でございますと、大統領が、諸外国に対して、平和目的に利用できる濃縮ウランの量を約束いたしております。これは一〇〇%濃縮ウランを二百五十トンという大量の量を供給できると約束いたしております。しかも、その価格は、アメリカにございます大規模のガス拡散工場を使いまして本来軍事目的でつくられましたものを転用してつくっておりますので、価格も非常に安いわけでありますので、これと直らに対抗するような国産濃縮ウランをつくるということは、はなはだ困難なわけでありますので、相当将来のことと考えなくちゃいかぬというのが一つあります。  それから第二は、ガス拡散法でもそうでございますが、遠心分離方式におきましても、やはりこれはある意味で軍事目的の転用ということにも通ずるわけでございますので、現在その技術は海外から自由には入手できないわけです。したがいまして、これこそ国内で自主的に開発していく、自分でいわばこつこつと基礎から積み上げて勉強を進めまして、そうして開発していくというしか手段がないわけでございます。海外ででき上がった技術を導入してそれを利用して早急にものをつくり上げるということが困難な分野でございますので、この点からも相当の長期の時間が必要だろう、こう見られるわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 いまお話しになりましたアメリカとの協定に基づく濃縮ウランを輸入するその際、一〇〇%濃度ですか、一〇〇%、二百五十トンとおっしゃったのですが、これは私その知識が全然ないわけなんですが、濃縮度の高いウランを輸入して薄めて使う、平和利用すると、こういうことになるんですか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 濃縮ウランは、使用の目的によりまして、先ほど申し上げましたように、濃縮度がいろいろ違うわけでございますが、わが国でこれから主として必要になります原子力発電所の燃料としては、先ほど申し上げましたように、五%以下の低濃縮度のものでよろしいわけでございます。一〇〇%濃縮度で二百五十トンと申しましたのは、したがって、五%濃縮のものでございますと、その二十倍の量が得られるわけでございます。実際にアメリカから協定に基づいて購入いたしますときには、こちらの発電所に必要な濃縮度のものを必要な量だけ購入する。アメリカのほうには価格のリストがございまして、濃縮度に応じて価格が違う。低濃縮のものほど安く、高濃縮のものほど高いという値段がついておりますので、たとえば五%のものでございますと、五%の濃縮度の濃縮ウランの単価に所要量をかけまして、それを支払って購入する、こういう形になります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこでお伺いしたいんですが、核燃料のいまの輸入によりまして民間の発電所の計画は最近計画されておるんですか。輸入のことと関連をいたしまして、どのような状況ですか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 米国とわが国の間には、すでに昭和三十三年に締結された日本原子力協定というものがございまして、この協定の中で、わが国に対しましては平和目的に使います濃縮ウランを、一〇〇%濃縮に換算して二・七トン、二千七百キログラムでありますが、あのワクの中で供給するという約束を米国といたしてございます。これを引き当てといたしまして現在いろいろ計画が進められておるわけでございますが、ただいまお話のございました原子力発電につきましては、日本原子力発電株式会社が福井県の敦賀半島の先にこの低濃縮ウランを使います原子力発電所の計画を現在進めつつございます。近く原子力委員会の安全審査が終わりまして設置の許可が出る手順になるかと思いますが、電気出力で申しまして三十二万五千キロワットの低濃縮ウランを使います原子力発電所が敦賀半島の先に建設される、こういう計画が現在進められつつございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 その輸入された濃縮ウランによる原子力発電所ですね、これは、他の火力、水力と比較して、経済的には成り立つような形なんでしょうか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) まだ原子力発電はいわば実用の初期段階でございまするから、いろいろの研究開発費というものが相当まだ原価計算の中に入ってくるわけでございますが、敦賀の発電所の試算によりますと、大体三十二万五千キロワットといたしまして、同じ規模の石炭を使います火力に比べればやや低目、石油専焼の火力に比べますとやや高目、つまり、石油専焼と石炭専焼の間ぐらいの発電コストになろうかと、こういう推定でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 ちょっと大臣がいないとぐあい悪い質問なんですが……。  敦賀の発電所の問題は大体わかりましたが、この協定による輸入量によるというと、どのくらいの発電能力が開発可能なんでしょうか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 発電所の型式あるいはそれに使用します燃料のつくり方等になりまして一がいに申せないわけでございますが、かつまた、この原子力発電でございましても、一度燃料を入れまして大体三年ぐらいはそれで燃えるわけでございますが、三年たちますとこれは取りかえることになります。したがって、取りかえ燃料というものも含めて考えますのと、最初に必要な燃料だけで計算するのとでは、たいへんどのくらいの発電量をまかなえるかということが違ってまいりますが、協定で現在入手可能とされております二・七トンのワクの中では、すでに今日もう使用済みのものもございます。たとえば東海村の原子力研究所にございます小型の出力一万二千五百キロワットのやはり低濃縮ウランを使いました原子炉にも、すでに二・七トンのワクから燃料をかえまして使っております。そういうことで、ただいまのところ二・七トンの中で可能な発電量と申しますと、ただいまの三十二万五千キロワットと、それに一万二千五百キロと、さらに若干を足した程度の原子力発電規模がまかなえるであろうというふうに見るのであります。  なお、申し落としましたが、ただいま計画を検討中でございますわが国の原子力第一船に必要な低濃縮ウランもこの二・七トンのワクの中でまかなう、こういう計画で進めております。

北村暢日本社会党

○北村暢君 先ほどの質問で、輸入する量でいま東海村でも使い、敦賀でもでき、ちょっと量がはっきりつかめなかったわけですけれども、それ以上にまだ専焼を建設することができるのかどうか、どの程度の能力を持っておるのか、それを伺います。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 二・七トンというワクの中でございますと、そう多くをまかなうことはできません。したがいまして、この協定は昭和四十三年までの有効期限でございますが、ただいまアメリカ側と折衝いたしまして近々にこの協定の改定を行なうようにいたし、そのような手順を進めております。協定改定の主眼は、ただいま申し上げました二・七トンというワクを拡大いたすということにあるわけでございまして、どの程度まで拡大できるかは、今後米国側との折衝によるわけでございますが、私ども事務的な見当といたしましては、およそ百トン程度まで拡大することにいたしたいと、こう考えております。この程度まで拡大いたしますと、これから数年間の間に建設されます規模にいたしますと約五百万キロワット程度の原子力発電所がその寿命の間運転できるという程度の燃料はまかなえることになろうかと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 それで、大体、濃縮ウランの状況、また、ウランの輸入の状況はわかったのですが、ここで大臣にお伺いいたしたいのですが、現在の安保理事会における核拡散防止の条約をめぐっていま問題が起こっておるのです。その際に、非核保有国に対しては攻撃しない、使わないというようなソ連の提案が出たりして、核拡散防止の問題が非常に外交上の重大問題です。その場合に、特にアジアにおける中国の核武装等とも関連をして、日本の外交政策の中で、経済的、技術的に核武装の能力を潜在的に持ちながら非核武装宣言をしたらどうかというようなことを言われておるわけなんです。日本の核の研究が一体そういうことを大げさに外交上に利用していいくらいの程度に技術が発展しているのかどうなのかということ、どうもそこら辺のところがはっきり私にはわかりませんので、これはもう有力な人が言っているわけなんです。したがって、潜在的にそういう力を持っているのだということが、いまの日本の原子力の技術の水準でこういうことが言えるのかどうなのかということについて、これは私わかりませんので、率直にお伺いしたいと思うわけであります。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) そういうことが外交上の話し合いの場合に言われておるという新聞記事などを見たことがありますけれども、私どもにはわからないのでございます。原子力は絶対に平和利用以外に用いてはならない、考えてはならない、持ってはならない、研究もしちゃいかぬ、こういうのでございますから、そういう能力があるかないか、先ほどウランの濃縮の技術の問題など局長が申し上げましたけれども、これらも全部平和利用が目的でございまして、先ほど局長が申し上げましたように、平和利用の核というものは一・五%とか二%とかいう濃縮度のものでございまして、とうてい核武装などに使えるものではないのでございます。そしてまた、そういうものができるかどうか、一〇〇%の濃縮ウランができるかどうかなどということは全然考えてもみませんし、実験もしてみませんから、何ともお答えができない。しいて言えば、そういうことはやらないのだからできないのだ、こう申し上げるよりいたし方ないと思うわけでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そういうことになれば非常に簡単で、あと聞く必要はないのだけれども、経済的にも技術的にも核武装能力というものが潜在的に力を持っているのだ、日本は、ということが出ているわけなんです。それで、いま言うように、平和利用しか考えておらないからそういうことは全然あり得ないことだと言われる、そのことはそのことだと思うのですよ。ただ、これを平和利用にするか軍事目的にするかは、これは使い方の問題であって、技術水準としてはこういうことが日本の現在の技術水準としては可能なのかどうなのかということですね。いま言う軍事目的の濃縮ウランは九〇何%の非常に濃度の高いものだ、こう言われたのですね。したがって、そういうものを目標にいま軍事目的のものは研究の対象になっていないからやっていないだけの話で、理論においても技術においてもやろうとすればできる能力というものがある、こういうふうに考えていいのかどうかという問題なんですよ。どうなんでしょうか。これは大臣の政治的な答弁は答弁としてけっこうですけれども、技術の専門家から見てこういうことが言い得るのかどうなのかということをひとつお伺いいたしたいと思います。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 核兵器をつくる技術水準の有無の点でございますが、大臣の御答弁にもございましたように、私どもとしましては、繰り返し申し上げるまでもなく、研究開発は平和目的に限定しておりますから、軍事目的のために必要な技術水準というのは過去十年来の努力によりまして相当程度高まってきているということは申し上げられるわけでありますが、それが軍事目的のときに必要な技術水準とどういう関係に立つかということは、これは検討いたしたことがないために、ここで確たる御返事を申し上げられないわけであります。ただ、申せますことは、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、諸外国で出しておりますいろいろの権威ありと言われる資料等でわが国が潜在的な核開発の能力ある国としていわばリストにあがっておるというようなことを私ども考えます際には、現にそのような施設なり能力を持っておるということではなくて、その国、つまり、わが国の場合なら、わが国の科学技術者の質、量、それからいわゆる一般的な技術レベル、工業能力、経済力、こういったものを一応ファクターとして考えたときに可能性ありとかないとかいうことを申しておるのであろうと推察いたすわけでございます。しかしながら、現実の問題としてこれを見ますと、核能力の開発がどのようなものをさしますか、私は具体的に申せないわけでありますが、しかし、一般的に見ましても、そういう開発をいたすためには、先ほど申しました科学者、技術者、それからそういったものを開発するに必要な施設、こういったものを動かすに必要な資金、その他というものが要りますが、同時に、一番大切なものは原料、その原料は何かと言いますと、ウランであります。そのウランは、現在わが国で使われておりますウランは、ただの一グラムといえども全部国際的な安全保障下に置かれておるわけであります。国際原子力機関というのがございまして、ここの安全保障下に置かれ、そしてその査察を受けております。したがいまして、そういうものを使いまして平和目的外に流用するということは絶対考えられないわけでございまして、そういう意味で、現実の問題としては、これをとかく能力あるとかないとか言うことができないのではないかと思います。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そういう点がはっきりすればいいわけなんで、そうすると、外交的にこういう経済的、技術的に核武装の能力ありと、潜在的に持っているのだというようなことを言うということは、これはほんとうに事実に反したことを言うということにならざるを得ない、技術者の立場からすれば、そう言って差しつかえないでしょうかね。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 現状においてはそのとおりだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この前もその問題を聞いたときに、村田さんからも御同様な答弁があって、そのときと今度と違うのは、それは防衛庁の所管ですと、こういうようなことをあなたおっしゃったのだが、行くえ不明になってしまうのですね、問題が。そこで、いまあなたのことばの中に、諸外国の権威ある資料によれば云々ということがあったのですが、これとこれとこういう条件がそろえばそんなものはつくれるのだという資料を専門家のあなたから資料を整とんしてくださってちょうだいできれば非常にありがたいと思うのだが、いかがですか。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) 私、先ほどそういうことを申しましたのは、私どもがたまたま目に触れたという意味で申しましたわけで、特にそういう資料を収集したわけでもございません。したがいまして、ここでそういうお約束はできかねるわけでございますが、私の記憶いたしますところでは、たとえばことしの一月の何日ころでございますか、ロンドン・エコノミストあたりにも若干の記事が載っておったかと思います。そのエコノミストあたりでは、核能力を持つに必要な設備がどんなものかということを一応エコノミストの記者がいろいろ推定して書いたような記事がございまして、それで、その記事の信憑性につきましては、先ほど来申し上げますように、私どもとしては判断の能力がないわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そのエコノミストはいつでしたっけ。

村田浩科学技術庁原子力局長

○政府委員(村田浩君) エコノミストは週刊誌でございますから、一月の十三日号か十五日号ぐらいであったかと記憶いたします。正確な日取りはちょっとここで持っておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 とにかく、世間では、アメリカでも、数日前にも、一番手っとり早くつくれそうなのはインドと言い、日本もやる気なら二年でできるとだんだん具体的に発言が出て、日本の工業力についてはわれわれよりも、技術能力についてもわれわれより知っているくらいの国がそう言うので、私は、国のたてまえからそういうものはつくる気持ちはございません、原子力の基本法でやっているというだけでは、説明が国民に浸透しないと思うわけですね。これは、やっぱり、内閣として、科学技術庁、防衛、外務その他、あるいは政府の見解としてはっきりしたものを出さないと、何かおそろしい力を持っているのだが政策上持たないのだというだけの答弁では、不安が非常に広がってくると思うのです。この点、大臣はどんなふうにお考えになりますか。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) どうも、せっかく世界じゅうで大いに日本の学問、技術を買ってくれているのでありますが、日本にそんな力がないと力説するのもどうかと思うのであります。これを力説し得るだけの材料もこちらにあるともないとも、力説し得るだけの材料がないわけであります。先ほど申し上げましたように、全然考えていないことですから、いま準備もなし、材料もなし、機械もなし、スタッフもなし、それについてはそういうわけで何とも言いようがないわけでして、結局、何とも言いようがないのだということで御勘弁いただくよりいたし方ないと思うわけであります。

北村暢日本社会党

○北村暢君 言いようのないことを聞いておってもしようがないけれども、これはまた別の機会に質問することにいたしましょう。  それで、次にお伺いしたいのは、宇宙開発の現状なんです。これを実は詳しく聞きたかったのですけれども、大臣も御都合があるようですから、ここで簡単にお伺いしますが、現状をちょっと御説明願いたい。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○政府委員(高橋正春君) 簡単に御説明申し上げますと、ただいまわが国で行なっております宇宙開発の基本的な構想は、去る三十七年の五月に宇宙開発審議会の答申にございます、平和目的に限りまして自主性の尊重、それから公開の原則、国際協力の重視、この三つが根本的な原理でございます。 次に、現段階におきます開発の重要な目標といたしまして、同じく同審議会が三十九年の二月に答申を出しておりますが、その中に述べておりますところの六項目、人工衛星の開発政策、気象等実用化ロケットの早期開発、ロケット能力の涵養、他国の衛星による宇宙利用技術の開発、観測ロケットによる宇宙科学の研究、並びに各種観測計器機器等の開発、以上が六重点開発項目でございます。  これらの重点開発項目に従いまして、たとえば人工衛星の開発政策につきましては、科学技術庁が従来とも検討を進めてまいりまして、一応昭和四十五年に実用衛星を打ち上げる目途を持ちまして人工衛星の基礎的な事項の開発を進めております。  それから気象等実用化ロケットの早期開発につきましては、同じく科学技術庁が昭和三十七年以降簡易化、低廉化、安全性等を目的といたしましてプラスチック機体のロケットその他の開発を進めております。  さらに三番目のロケット能力の涵養につきましては、先ほど申し上げました四十五年に人工衛星を打ち上げる目途を一応持ちまして、これに必要なロケットの開発、特に三段目の液体並びに四段目の固体のロケットの開発を進めております。  それから四番目の他国の衛星による宇宙利用技術の開発につきましては、お知りおきのとおり、郵政省が通信衛星を用いまして昭和三十一年以降種種の宇宙通信の開発につとめており、さらに、国際電信電話株式会社が、世界通信衛星組織に関する暫定協定に基づきまして、同じような宇宙通信の開発につとめております。気象衛星につきましては、これも御存じおきのとおり、アメリカのタイロスから雲の写真をとりまして天気予報の向上につとめており、当庁が過日特別研究調整費をもちまして開発いたしましたAPTの受信装置等を用いましてローカルの気象衛星から直接に予報を受波するというような開発を進めております。さらに、航行衛星につきましては、運輸省におきまして現段階では基礎的な研究を開始いたしました段階でございます。そのほか、海上保安庁、国土地理院並びに東京天文台が共同いたしましてアメリカの測地衛星を用いまして離島の位置等の決定を三十八年度以降行なっております。  それから観測ロケットによる宇宙科学の研究につきましては、東大の宇宙航空研究所が中心になりまして、各般の大学の共同のもとに、従来から、 カッパーロケット、カッパーラムダ等のロケットによりまして、宇宙の空間の科学的な観測を行なっております。ただいま、さらにミューロケットを開発しておる段階でございます。  それから各種観測計器並びに機器の開発等につきましては、ただいま申し上げました各省庁がそれぞれの開発を進めていきます段階におきまして、関連の機器の開発を進めておりますし、さらに、通産省が鉱工業技術研究費補助金を交付いたしましたり、あるいは、関連傘下の研究機関に対しまして宇宙開発関連特別研究というような特別な研究を行ないまして開発を進めております。  以上でございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 概要をお伺いいたしましたが、これがソ連、アメリカ——これは番外でしょうけれども、大体、世界の技術水準からいけばどこと比較するかということがあるでしょうけれども、日本の宇宙開発の技術水準というのはどの程度の技術水準にあるのか。たとえば、比較のしかたがちょっとむずかしくて説明しにくいかとも思うんですけれども、フランスや西ドイツやそういうところの技術水準とどのくらい、何年ぐらいおくれているのか、進んでいるのか、こういうしろうとわかりのする説明をひとつお願いしたいと思うんですがね。

高橋正春科学技術庁研究調整局長

○政府委員(高橋正春君) 先生の御指摘のとおり、宇宙開発技術は、関連いたします科学の技術分野が非常に広うございますので、一がいには申し上げられないと思うのでございますけれども、まずロケット、これは固体燃料の開発を含めてでございますけれども、お知りおきのとおり、東大でミューロケットを打ち上げるようただいまやっております。こういう点で、ロケットの打ち上げ技術という点につきましては、十分水準に達していると思います。ただ、問題は、誘導技術、要するに、ある瞬間におきまして必要な位置と速度がございませんと、正確な軌道に乗らないわけでございます。こういう点につきましては、やはり先進諸国に相当のおくれと申しますものがあると思います。私のほうで考えております人工衛星等につきましての誘導制御の関係の技術の開発がまず最も重要な点があろうかと思っております。  それから人工衛星を追跡いたしましたり、それから電波でいろいろデータを受信いたしますことでございますが、これは、先ほど申し上げましたとおり、郵政省等がいわゆる宇宙通信でオリンピックの中継等に成功いたしましたので、この点につきましては、日本におきましても世界的な水準に達しておるだろうと思います。  なお、人工衛星の本体に塔載いたしますところのいろいろな計器測器の類につきましては、なお数等おくれております。まあアメリカ、ソ連が一等地を抜きましてはるかにリードしております。Bグループの一員と思いますけれども、お知りおきのとおり、西欧諸国は、大体ロケットは共同で開発、あるいはアメリカのロケットを使用いたしまして衛星のほうの開発をいたしております。この前、フランスが、初めて自国の衛星を自国のロケットで、二月でございますか、打ち上げたのでございますが、西欧諸国との関連は、よいところ大体同じくらい、あるいはBクラスの少し下のほうというくらいに申し上げたらよろしいのじゃないかと思います。  大体そういうことでございます。

北村暢日本社会党

○北村暢君 そこで、もう時間が六時ですから、終わりたいと思いますが、大臣、宇宙開発あるいはロケットの技術、これはやはり平和目的の上において開発するということは条件つきでそういうふうになる。確かにそうですけれども、そういう技術面を伸ばすということは、これは普通のしろうとでは、宇宙ロケットを上げてどれだけの実際に社会に影響があり効果があるかというような点については、あまり知られていないのじゃないかと思うのですよ。そういうような点で、この理解のしかたにはだいぶん問題はあるのだろうと思いますけれども、しかし、この宇宙開発ということは、やはり相当政府としては力を入れて今後やっていくべきじゃないか。そのことが技術水準が上がるということが、これはまあアメリカとソビエトとが競争的にやっているああいう目的ではなくても、私はやはり非常に重要なことだと思うのです。そういう面で、予算的な問題、技術者の養成等について、これは相当力を入れてやるべきだと思いますが、そういう点についてひとつ大臣の今後の方針なり所信を伺っておきたいと思います。これで私の質問を終わります。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) ロケットは、ああいうものを打ち上げて何の実益があるのかというふうな御議論を承ることもあるわけであります。しかし、いまのように、これはぜひとも必要なものという御意見もよく承ります。何よりも大事なことは、ロケットというものはあらゆる方面のあらゆる面の学問、技術が要るのでございまして、ロケットが打ち上がる、衛星が打ち上がるということは、その国の学問の水準をはっきり示すことになりますので、この点は日本の学問の水準を世界に示すためにもぜひとも早く衛星が打ち上げられるようにいたしたいものだと思っているわけなのでございまして、このことのために政府も力を入れておりまするけれども、御承知おきと思いまするが、財政上の問題で、たとえば本年度の予算は従来の予算の三割をこえるような予算の概算要求をやってはならぬというふうなことで閣議決定のもとに予算が組まれると、こういうふうなことで、思うようにまいりませんけれども、ぜひとも衛星を上げる、ロケットを上げる、このことは国の誇りのためにも、また、国民を安心させるためにもやらなければならぬという覚悟で、これから先も努力してまいる覚悟でございます。  もはや軍事的のものはもうおしまいだろうと思うのでございます。とにかく何キロという差しかない精度であり、何千キロというものを飛ばすことができるということですから、もはやこれはおしまいだろうと思います。あとは平和目的のために——月に到達しましても、火星に到達しましても、これは軍事目的の達成にはなりませんのでございますから、各国ともせっかくその努力をいたしておるようでございますので、わが国もこれに劣らず努力してまいらなきゃならぬ、こういう覚悟でおる次第でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 科学技術会議設置法というのがありますが、私はこれから科学技術基本法が出てくるようになってきますと、ますます技術庁長官の立場は重要かつ強いものになると思うのですが、そこで、第六条に、科学技術会議の議員は大蔵大臣、文部、企画等がありますが、この中で技術庁長官が事務当局のような取りまとめになることが大事だと思うのですがね。それには、平じゃなくて、落として改正する必要があると思うが、どうお考えですか。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(上原正吉君) 議員といたしましての資格は、おっしゃるように平でございますが、担当大臣でございまするから、やはり多少の違いはございます。そうして、このことはやはり大事なことだと思いまするし、臨時行政調査会の答申も、科学技術庁の長官に統括的な責任を持たせるべきであると、こういうことになっておりまするから、今後そういう方向で改善されてまいると、こう考えておる次第でございます。

北畠教真自由民主党

○主査(北畠教真君) 他に御発言もないようでございますので、科学技術庁所管に関する質疑を終了したものと認めます。  明日は午前十時に開会いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後五時五十九分散会

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