予算委員会 第23号
- 発言数
- 178 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1966/04/02
会議録
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に続き、質疑を行ないます。 まず、三木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三木通産大臣。
○国務大臣(三木武夫君) 対米の鉄鋼輸出の問題について、いま、関税法違反の疑いを受けて調査中でありますが、一段落をすればこの委員会に御報告するという約束をいたしたので、最終日の予算委員会でありまするので、できれば報告をいたしたいと思ったのでありますが、現在まだ調査中で、内容が具体的に判明いたさないのであります。調査の結果が判明次第御報告を申し上げて、この機会にできないということを冒頭に申し上げて、御了承を得ておきたいと思います。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 木村禧八郎君。
○木村禧八郎君 私は、物価と減税問題に焦点をしぼって、経済問題の締めくくり質問を行ないたいと思います。 国民の最大の関心事が依然として物価値上がり、インフレーションの問題にあることは、読売新聞が三月二十二日に発表しました佐藤内閣にいますぐやってもらいたい政策は何ですかという世論調査に対しまして、五九%が物価の安定と答えているわけです。また、同じ世論調査では、生活が昨年十月の調査よりも苦しくなっているという人もやはりややふえている。その大きな原因は、やはり物価の値上がりにある。しかも四十一年度は、米価をはじめ公共料金の相次ぐ引き上げと、本格的な公債政策導入による積極大型予算によって、物価は卸売り物価、消費者物価とも一そう値上がりして、国民生活をさらに圧迫しようとしているわけであります。それにもかかわらず、政府の今国会における——経済国会と替われて、物価問題が非常に重大視され、いろいろ論議されましたが、どうも一向に政府の物価対策は明らかでありませんし、また、どうも物価問題に対する取り組みが積極的でないというような印象を強く衆参両院の物価問題中心の論議を通じて感じたわけです。 そこで、私、その理由をこれから六つあげますから、この国会でこの重大な物価問題について政府の考え方あるいは対策が非常に消極的のような感じを与えた理由をあげますから、その理由について政府は具体的に答弁をしていただくとともに、特に総理大臣は物価問題に対する態度を明らにしていただきたい。われわれは、単に野党であるから政府を攻撃すればいい立場じゃないのです。いわゆるコンデムネーションじゃないのです。非難ではなく、クリティックをやる。批判でありますから、批判には半分は助言というものも含まれているわけです。そういう意味でお聞き取り願って、国民としては、ただ政府をやっつければいいのじゃなくて、実際問題としてこの物価値上がりを食いとめて、安定してもらいたいということがほんとうの念願なんですから、現実において物価が安定しなきゃならないのですから、そういう意味で、この機会に、もうこれで予算委員会は終わりになりますから、総理はほんとうに積極的にこの物価安定のために取り組む姿勢をここではっきりさしてもらうとともに、これからの物価安定のための段取りの具体策を明らかにしていただきたい。それから、総理だけでなく、物価問題に関連のある各閣僚も、この物価問題に対して取り組む姿勢を私はやはり明らかにし、今後の関係大臣としての物価問題に対する具体策を明らかにしていただきたい。つまり、総理は総合的にまず述べていただき、それから大蔵大臣、経済企画庁長官、それから通産大臣、それから農林大臣は特に生鮮食料品についてありますから、農林大臣に御所見を伺いたい。 まず、私は、なぜ政府の物価対策が消極的であり、国民にどうも不信感を与えているかというと、第一の理由は、これはもう昭和三十六年ごろからずっと消費者物価は六%以上上がってきたんですが、政府の最初の見通しと実績とにうんと開きがあるんですね。三十六年は、政府は一・一%しか上がらぬと言った。特に、三十六年には、物価白書というものを政府は出したのであります。そうして、次々と公共料金を値上げすることは、値上がりムードを刺激するからよくない、そういうことはよくないとはっきり書いてあるんです。それで、一・一%しか物価は上がらぬと政府ははっきり言っています。ところが、実際は、六・二%上がった。三十七年は、政府は、二・八%しか上がらぬ、その目標でいくと言ったのが、実際は六・六%。三十八年も、二・二%で安定させると政府が言ったのが、六・七%ですよ。ただ、三十九年だけは、公共料金の一年ストップをやりましたから、四・五%の政府の目標に対して、実際は四・八%だったわけです。ところが、この四十年は、四・五%の政府の目標に対して、七・何%という大きなまた開きが出た。そこで、四十一年についても、政府は五・五%に押えると、言っても、過去のそういう経験から、国民は最初から五・五%ではもっと上がるのではないか、倍ぐらい上がるのじゃないかと、こういう考えを持つのは当然でしょう。いままでの政府の目標と実績が開きがありますからね。ここに不信があるということ、これに対して、総理大臣は、はっきり今度は五・五%でこの目標を必ず——多少まあ一%くらいの狂いはあるかもしれませんが、大体そこで押える重大な決意を表明されるとともに、全力を各省関連あるところを総合して総動員してそれに努力するということをしませんと、またいままでどおり、政府の言うのと倍ぐらい、倍以上ぐらい上がるのがあたりまえだ、こういうことになります。この点、第一ですね。 第二は、福田大蔵大臣は、不嫌気対策と物価対策とは相矛盾するということを言われて、政府は不況対策に第一義的にウエートを置くような印象を与えたんです。物価対策は第二義的なような印象を与えてきている。その後、同時に物価対策も不況対策も必要だと言いましたけれども、実際はどうも不況対策のほうが重点で、積極財政も公共事業のそっちのほうにうんと支出する、そうして物価対策のほうは第二義的だと、こういう印象を与えています。ですから、そうでないならば、そうでないということを具体的にやはり明らかにしませんと、われわれは佐藤内閣は物価対策が第二義的だというように印象を受けるわけですから、これはまたはっきりしていただかなければなりません。そうして、具体的に不況対策に第一義を貫いているのでないならば、そうでないということを具体的に明らかにしていただきたい。 第三は、総理大臣は、いまはインフレでないということを言われているんです。これは国民が納得しないんですよ、なかなか。公共料金や何かどんどん上がって、昭和三十六年以後ずっと毎年六%以上、定期預金の一年物五分五厘以上に物価が上がって、貨幣価値が下がっている。これがインフレでないということを政府は言いますが、国民は納得できない。なぜインフレでないか、これも、そうでないとおっしゃるならば、国民が納得いくように説明される必要があると思う。 それから政府は、物価安定政策を講ずると、言いながら、政府みずから公共料金や米価を上げておる。そのために、政府が本腰でもって物価対策に取り組んでいるのかどうかに対して疑問が持たれるわけです。政府みずからが上げているのじゃないかと。この点も明らかにしていただきませんと、国民は政府の物価対策について信用できないと思うんですね。 それから第五です。公債発行をしても、市中消化するからインフレにならぬと、こういう御答弁でありましたけれども、公債の市中消化については抜け穴のあることがこの委員会を通じてはっきりしたわけです。たとえば、四十一年度に発行する七千三百億円につきまして、一応市中消化しても、それを一年間日本銀行が担保あるいは買いオペの対象にしない、それだから通貨の膨張にならないかというと、そうではなくて、金融機関はほかに有価証券たくさん持っているんですから、それを日銀に持っていけば、担保貸し出しなりオペの対象になるんですから、尻抜けであることがはっきりしたわけです。そこで、その尻抜けの状態でもインフレにならないのだということをやはり明らかにされる必要があると思います。 この点についてはっきりと政府の考えをこの際に表明をする必要があると思うのです。その御答弁を聞きましてから私はまた具体的な提案をいたしたいと思うのでありますが、まず、その点についてお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ問題を具体的に指摘されまして、今日の物価問題と取り組む政府の態度について、御注文を含めての御意見だと思います。ことに大事な点は、最初に話をされましたように、物価問題こそは政府の施策がどうあろうと、国民が信を置いてそうしてこれに協力しない限り実効は上がらないんだと、こういうお話については、私もほんとにそのとおりだと思います。政府は、しばしば申しますように、国民とともにこの問題を解決するために協力を求めるんだと、こういうことを申してまいりましたが、そのためには、政府のやることがやはり国民から信用されない、こういうことではこれはいけないと思います。したがいまして、第一点に、いままで政府がやってきたこと、また発表したこと、これがみんないつも違ったじゃないか、こういうところに信用しないものがあるんだと、これは私どもも深く反省しなければならないと思います。ただ、弁護がましいことを申しますが、過去の場合におきましては、これが経済成長率を低目に政府は考えたが、より以上経済は成長した。したがって、その経済拡大も、望ましい方向の拡大であったんだから、まず国民も了承してほしいと。また、そういう事態であるから、国民の所得もどんどんふえたんだから、物価が少々上がったこともこれまたがまんしてほしいと、かように実は申してまいりました。これは、ただいま申し上げますように、いわゆるいいほうの間違いであった、予想が狂ったということでありますから、あるいは当時の説明でも国民は一部納得したかと思います。しかし、今度は、私どもも真剣に物価をひとつ安定させようと、かように申しておるのでありますので、いい方向、拡大の方向だったからいいとか、あるいはそれが内だから困るとか、こういうようなことでは許されなくなる、かように私は思います。で、いま物価そのものの動向、これを四十年度の数字を十分詳細に御検討願うと、政府の検討いたしたものそのとおりではございません。ただいまの経済成長率の場合も、これを上越したと、こういうことであります。また、四十年度の物価の動向が、公共料金等、あるいは米価等も上げましたが、そうしてまあ七・七になるだろう、かように申したのが、七・七ではない。これは七・四程度になるんじゃないか、あるいは七・五になるか、かようにも考えますけれども、少なくとも七・七よりか物価はもっと下になる、かように私どもはいま見込んでおるのであります。こういう意味では、どうも今日の物価との取り組み、これはやや目的を達しつつあるんではないか、かように思っておるのであります。しかし、経済の問題は、一つの数字で直ちに全貌を判断するわけにはまいりません。ことに、長期の展望に立ちまして、来年は五・五にする、さらに行く行くはこれを三%にするとか、こういうようなねらいを持っておるといたしますと、とにかく国民が信頼のおける、また信じて差しつかえないと、こういうところのものをまずつくること、これが一番大事だと思います。そういう意味で、私は七。七のことしの見通しが、ことしと申しますのは四十年度の見通しが、七・四、よほど悪くても七・五におさまるだろう、こういうことは、国民に信を与えるゆえんではないだろうか、まず一安心されるんではないだろうか、かように思います。また、これは政府の考え方だけではなくて、ぜひとも国民の協力があって初めてこれができるんですから、国民から信頼を受けるような施策をとりたいと、かように私は思っております。いずれこの点は経済企画庁長官からさらに詳しく説明もさせたいと思います。 第二の問題として、物価と不況対策とのその関係が、どうも説明では物価は二義的のように考える、そういう印象を与えたと、かように言われますが、これはもう大蔵大臣も経済企画庁長官も、さような印象を与えたとしたら、これはたいへんな不本意でありまして、政府はこれはもう一体、全部が同じ考え方であります。不況を克服することがすなわち物価を安定するゆえんでもある、物価を低位にとどめるゆえんでもある、かように考えておりますので、いわゆる同一の対策、施策だと、かように考えております。物価を安定さす、そのためにはどうしても不況も克服しなければならない、不況を克服すれば物価も安定すると、こういうような私は考え方をしておるのであります。ただ、いわゆる不況克服、これが高度経済成長と、こういうことになりますと、必ずしも経済成長と物価とこれは同時に解決ということにはならないと思います。しかし、いま政府が考えておりますような、不況克服が安定経済成長、こういう考え方に立ちますと、物価に対する対策も同時にそこから生れてくるのであります。ただ、いままでしばしば言われることでありますが、あるいは物価対策としては積極的にむしろ増税をしろ、あるいは公共料金等も引き上げることによってこの物価対策は終息するんだと、これはもう学者の考え方で、しばしばそういう議論を聞きますけれども、私は、ただいま申し上げますように、政治家としては、いわゆる経済学者のとっているような政策にはくみしないんだ、不況克服、経済立て直し、同時にそれが物価を安定さすゆえんである、そのゆえんを十分実例について説明をしたい、こういうことでただいま取り組んでおるのでありまして、その印象が、物価のほうが二義的になっておるということはまことに残念でありますけれども、私の真意は、ただいま申し上げるように、これは同一のものなんだと、かように実は考えております。この点でさらに御意見も聞かしていただきたいと思います。 その次に、第三は、現状はインフレだと、こういうお話であります。まあ現状をいかに見るかということがいろいろ問題があろうと思いますが、しかし、いわゆるインフレでは私はないと思います。先ほど冒頭に申しましたように、七・七の物価の予想が、七・五、七・四になる、こういうような状況を見れば、いわゆるまあインフレ的なものではない、かように見てもいいんじゃないか。これはだいぶ議論があると思いますが、いわゆるまあインフレというのは、ややもう少し違った、しろうとの大衆の理解するインフレはちょっと違うんじゃないだろうか、かように私は思っております。 その次に、政府が公共料金や米価などを上げた、物価対策に非常に熱心だと言いながら、最も生活を圧迫するような公共料金、米価を上げるということは、これはけしからぬじゃないか、これが物価に真剣に取り組んでない証拠だ、こういうような御説明でございます。しかし、私は、しばしば申し上げますように、経済も、この物価対策にいたしましても、経済の原則を無視してそして各企業があるわけじゃございませんので、こういうように企業が成り立たない非常な困難な状況になる、それにメスを入れること、このことが経済の不況克服のゆえんでもありますし、そうしてそれが安定成長になってくるということでもあります。だから、公共料金が生活に及ぼす影響が非常に大きいと。御指摘のとおりでありまして、しかし、それをさらにやりましてもなおかつ先ほども申すような七・五以下の上昇になるということでありますから、これは同情し、理解していただけるんではないだろうかと思います。 公債についてのお話がいろいろございましたが、公債等については、これはもう大蔵大臣、企画庁長官から木村君としばしば論戦をかわしたところだと、かように私は思います。私どもは、公債を発行してもいわゆるインフレにならない、こういう観点に立ちまして今日公債の発行に踏み切った、同時にまた、大幅減税にも踏み切った、こういう状況であります。問題は、これから先に実際にどういうふうに動くか、これも現実の問題で解決ができるんじゃないだろうかと、かように私は思います。 ただいま、インフレの問題についても、私は絶対にないと、かように確信はいたしておりますが、もちろん経済のことでございますから、安心は、楽観はいたしておりません。もちろんその動向等について十分注意してまいるつもりでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんからもう何回もお聞きするんですが、私が不況対策と物価対策は矛盾すると、また、不況対策を優先せしむべきもんである、こういうふうに申しておるというんですが、これはもう木村さんが非常な勘違いをされておる。私は、もう数年前から、三十六年から、消費物価の上昇傾向があるその直後から、これを放置することはたいへんなことだということを言い続けてきております。現に、私が大蔵大臣になる前、昨年の一月に、自由民主党を代表して新佐藤総理に質問演説をした。そのときも、経済対策の主軸は物価問題だ、佐藤さん、物価を安定してください、これは国民の声であります、佐藤さんがこの国民の声にこたえなければ佐藤内閣が出現した価値がないんだとまで言っておるのであります。また、大蔵大臣になりましてからも、今日われわれが当面している問題が二つある。一つは物価安定を主軸とした安定経済政策の路線をしくことである、もう一つは不況を克服することである、こう言うておるわけであります。決して物価問題というものをおろそかにするどころじゃないのであります。これを、二つの問題の一つの重要問題である、こういうふうに観念をいたしましてやってきておる。現に、私は、今度財政政策においては非常な転換を試みたわけであります。すなわち、公債政策を導入した。公債政策を導入するに際しましても、いわゆるデフレギャップ論というものがありまして、一挙に一兆円あるいは二兆円の公債を発行してこのデフレギャップを埋め尽くすべしという議論もあったわけであります。私はそれを退けているのであります。つまり、そうなったら、これはあなたの心配されるインフレ問題、あるいは消費者物価のさらに上昇、こういうふうにつながってくるに違いない。これはあくまでも避くべきである。これは漸を追うて解決していくほかはない。しかも、物資の需給、労務の需給、あるいは資金の需給、これとにらみ合わせまして、決して刻下のそういう諸問題についてアンバランスの起こらないようにということに最大の関心を持ちながら転換の幅というものをきめておるわけであります。 また、あなたが、どうも物価対策と不況対策が矛盾するじゃないかということでございまするが、これは私は矛盾しないと思う。つまり、今日の物価問題、これと景気問題、これは質が違う。景気がよくなければ物価は下がる、これは経済の常道です。景気がよくなれば物価が上がりぎみになる、これも経済の常道だと思う。それが今日そう動いていない。不況下において消費者物価が上がるという状態になっておる。したがいまして、その好況、不況の原因と、それから消費者物価が上がるという原因とが、別に存するわけであります。消費者物価が上がる要因というものは、主として構造的要因に根ざすものである、こういうふうに観念しております。したがいまして、これに対する施策というものも、これはおのずから違っていい。両立し得るのです。ただ、経済のことでありまするから、一がいに完全にそういう性格であるかというと、言い切れません。交錯する面もある。たとえば、不況カルテルをいまやっております。これは物価政策と矛盾しないとは言えない。あるいは、私は、いま長期に見まして貯蓄ということが非常に重大な問題である、こういうふうに考えております。しかし、貯蓄貯蓄と言いますと、国民の消費をディスカレートするというふうな面におきましてこれが景気対策と相矛盾をすると、こういう面があるので、これは差し控えております。そういうことで、両々相まって、完全にこれを矛盾なくやりとげるかというと、私はそこにはむずかしい点がある。しかし、そのむずかしい点を克服して、これを両々解決していくことこそが、経済政策のねらうべきところである、また、それをやることが政府の任務であると、こういうふうに観念いたしまして施策を進めているのでありますが、また、国家財政の運営そのものにつきましても、私は、企画庁の施策に協力をいたしまして、物価問題には今後とも真剣に取り組んでいく、こういう考えでありますので、どうか私が物価問題を軽視しているというお考えは本日をもってひとつ御清算願いたい、かように考える次第でございます。 なお、公債政策には抜け穴があるんだというお話でございますが、抜け穴はありませんです。私どもが公債の幅をきめるにあたりましても、ただいま申し上げましたように、これが民間の資金や物資や労働需給、これの均衡をそこなわないようにと、こういうようなことを考えているわけであります。適正な規模において財政が運営されるという限りにおいて、インフレを誘発するという要因は絶対あり得ない。しかも、そういう上に、さらに技術的なことになりますけれども、これは技術的なことだと思うが、公債の発行目的は建設的な性格のものにこれを限定する、また、日銀にこの公債は引き受けせしめない、こういうことを堅持していこう。要は、財政が幅が拡大される、そうして公債の消化ができない、そのしりが日本銀行の通貨の増発と、こういうふうになってあらわれてくるかこないかという問題です。私どもは、日本銀行の通貨は適正通貨量に厳に限定をすると、こういうふうにいま考えており、この結果を見てこの問題は御批判を願いたい、かように思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御指摘の点、御質問の点は、関連あるように思いますので、個々でなしに、総括的に申し上げたいと思います。 不況対策と物価対策でございますけれども、元来、今日の物価上昇が引き続き起こってきたということについては、これは私はもう経済の成長発展過程におけるゆがみ、ひずみの問題がそこにあるから起こってきたんだ、単に需給問題から起こってきたものではない、こういう前提に立ってこの問題を認識いたしているわけであります。したがって、物価対策の根本的な対策というのは、ことに長期にわたってこれを安定さしていかなければならぬ。引き下げて安定さしていかなければならぬとすれば、それぞれ構造上の問題を解決してまいらなければ、一時何か足りない物資に対する緊急輸入をやったからといって、それで物価問題全部が片づくものではない、こういうような考え方でいるわけでございます。 そこで、そういう認識の上に立ちまして今日の物価問題を扱ってまいりますれば、不足物資に対する緊急輸入というような点は、これは当面の急速な対策としてこれはやってまいらなければならぬことでございますけれども、それを除いては、私は一服の薬をもってそうして物価全体を安定させるというような頓服薬は、これはないと思っております。ですから、若干気長と申してはおかしいのですが、これをいつまでもこういう状態に放置しておくわけにいかぬとなれば、二、三年のうちに、いまの構造上の関係をすべて個々に解決しつつ、経済政策全体をそこに持っていかなければならぬ。ですから、今後、経済政策において、私どもが安定成長、少なくも七・五%前後の成長で当分の間続けていきたいというのも、物価問題というものが経済政策の結局の終局の問題でございますから、そういう点に力を入れているわけでございます。 そこで、不況対策と物価の問題でございますが、今日不況で昨年来あることは、これはもうどなたにもおわかりいただいているとおりです。したがって、この状態を解決してまいりませんければ、物価問題も解決できないことは当然でございます。と申しますのは、今日の不況というのは、御承知のとおり、設備投資の過剰によりましてその稼働率が非常に悪くなっている、そうしてそれぞれの事業主体が影響をこうむっているところに問題があるのでございますから、そういう意味で、景気をつけまして、そうして設備投資によって過大な設備が出ていたものを、できるだけ稼働さしていくことによって景気の回復をはかっていくということだと思います。そこで、不況対策をやってまいります場合に、民間でもって今日のような状態で民間の設備投資を民間の資金によって刺激してまいりますということは私は適当だとは思いません。それでございますから、やはり政府がこの際、財政支出によってこれらの刺激をやっていく。しかも政府の財政支出というものが公共事業その他今日までのゆがみ、ひずみが起きておりますところに集中して出てまいることによりまして、私は不況対策と物価問題との基本的解決の線が一致してまいると思っております。私は、この前の委員会でも申し上げましたように、いわゆる所得倍増計画を最初にスタートいたしましたときに十三兆六千億の国民総生産、それが三十兆にも名目なろうという今日でも、それだけの大きな生産が行なわれているにもかかわらず、それでは社会投資としての道路であるとか、港湾であるとか、輸送関係であるとか、流通機構の改善というようなものに十分なそれに対応するような私はものになっていなかったところに一つは大きな根があると思っております。ですから、今回の景気刺激の対策をその面に集中してまいりますことによって景気刺激にもなりますし、同時にまた、一方では物価対策の基本的な問題である構造上のゆがみ、ひずみの改善ということにも役立ってまいりますので、不況対策と物価対策とは並行して行なわれて今日の場合差しつかえないし、また、今日の政府のとっております政策そのものがその線に沿ってやっておりますので、私は矛盾することなく、これが将来安定成長の線に乗せてまいりまして、まあ進んでまいりますれば物価の安定と経済の活況を呈する。むろん活況を呈すると申しましても、一九%も実質にあるいは名目に拡大したというような状況になることは私は必ずしも好ましいことだとは思いません。したがって、やはり七・五%を前後にしたような線でもって安定的に成長していくことが一番望ましいと思っておりますので、そういう線に沿って今後の経済政策が運営されてまいりますれば、不況対策と物価対策というものは並行して行なわれて、両々相まってその結果をあげてまいると思います。ただ問題は、不況対策によってある程度、七・五%程度の景気が回復するような状況になりました以後のやはり政府の政策というものが過熱におちいらないように、あるいはその民間設備投資が従来のような状況に質的においてなっていかないように注意していくということは、これはもう非常に大事なことでございまして、それは将来半年なり一年先のわれわれの大きな課題だ、こう考えております。 そこで、私どもとしては、物価政策というものは、いま申し上げたように、経済政策の基本の上に立ってゆがみ、ひずみを面しながら、当面起こっております事態を考えてみますと、三十五年から平均六・二%の上昇のうち、多くの部分が野菜の、生鮮食料品の値上がり、あるいは中小企業の製品の値上がり、あるいはサービスの関係の値上がりということになっておりますので、重点はやはりそこに置いて各省の施策をやっていただかなければならぬと思います。したがいまして、農水産物の対策等につきましては今回の予算においても相当重点を置いていただいておりますし、また、流通過程の問題、あるいは中小企業の合理化対策等について積極的に予算を盛りますと同時に、それに対する通産省の努力が行なわれつつあるのでありまして、そういう面からいって今日まで物価の上昇の主たる原因になっている問題に直接手を触れていくことが必要であろうと考えております。 政府はそういう意味におきまして非常な決意を持ってやっておりますが、ただいま御指摘の、それではなぜ公共料金を上げるんだ、こういうことでございますが、私はいま申し上げたように、物価というものが今日、本年度下がっても来年度再来年度上がっていっては何にもなりません。やはり二、三年先に漸次安定していきまして、私が三%と申したところまでいくように持っていかなければならぬ。それにはやはり公共事業等につきましても、今日の現状から申しますと、公共料金、経営主体、公共団体等の経営あるいはそういうような立場に立っております仕事を見てみますと、非常な大きな経営上の赤字その他無理がございます。したがって、これらのものも合理化していただかなければなりませんし、同時にある程度の料金を上げて、そうして経営の改善ということをやっていただかなければ物価問題に将来影響ないのでございまして、ただ単にここでストップしたからといって、そのこと自体が将来それではいい結果をもたらすかといえば、必ずしも私はいい結果をもたらすとは思いません。ただいま木村委員が御指摘のように、三十九年には公共料金をストップしたからそれで下がったのだ、しかし、ストップがやまればやはり同じような状況が現出してくる。したがって、今日公共料金を必ずしもストップしないでも、最小限度の範囲内において、これらについて手当てをしていくということによって、将来二年、三年の後の効果を私どもは期待してまいらなければなりませんから、したがって、公共料金等につきましても、むろん内容を精査して最小限の値上げは認めて、そうしてその経営企業の合理化あるいは生産性の向上というものに従事していかなければ、将来にわたってこれらの公共企業体のやっております仕事がさらに悪化して物価問題に悪い影響を持つ。その他社会万般の問題に影響してくると思いますので、やはりそういう面についても、ある程度の処置はせざるを得ないのではないか、こういう立場に立って私は問題を考えておるのでございます。消費者物価が高騰しているのはインフレじゃないかという御議論がございます。私は、日本の経済というものを今日までのところ、最近の状況から申せばデフレ的要素とインフレ的要素とが併存していると申しておるのでございますが、ただインフレということばがはたしてどういうふうに解釈されるかということは問題でございまして、たとえば従来の観念からいえば、円の国際比価の変動ということが、私はやはりインフレの大きな要因ではないかと思います。そういうものによって代表されるものが一つの従来の観念からいえばインフレ。ですから、そういう意味からいいますと、国際比価というものは保っていながら国内的に消費者物価が上がっていくということは、いわゆる従来の観念のインフレとは若干私は違うのじゃないか、こう思います。したがって、そういうことでいま必ずしも私は全面的な日本の経済がインフレ状態に入っているとは認めない。ただしかし、将来物価政策を完全にやってまいらなければ引き続き上がっていけば、あるいは木村委員の御指摘のような状況に私は入りはしないか、入ることは危険でありますから、今日それに対する十分な対策を尽くしてまいって、そうして不況を克服する、物価が安定する、そして今日のような輸出状況が続いてまいりますれば、円の国際比価も保っておりますから、言われておるようなインフレ状態にはおちいらぬのじゃないか。ですから、今日の国内物価だけ見ておりますと、インフレ的状況がありますけれども、日本経済全体として見れば、私は必ずしもインフレが、日本の経済がいま直ちにインフレの状態にあるという断定はいたしておらぬのでございます。 公債発行等につきましては、私は大蔵大臣と同じ考え方で今日おりますので、特別に申し上げることもないと思います。 最後に、冒頭に言われました政府の決意について申し上げますが、私は、企画庁長官として、今日、物価安定に対して最大の努力をいたさなければならぬ立場におります。それはいままで申し上げましたことで御了承いただきますように、物価問題というのは、単なる家庭主婦の問題だけではございません。この問題も非常に大きい問題ですが、一歩誤りますと、将来御指摘のような円の国際比価を変動させるようなインフレ状況におちいってはたいへんでございます。そうすれば家庭主婦の上にも大きな影響が出てくることは申すまでもないのでございまして、そういう意味からいいまして企画庁長官として、物価の安定というものに最大の努力をしていきたい。したがって、こういう基本問題につきましては、先般閣議の物価対策閣僚懇談会もつくっていただきましたし、また、企画庁に学識経験者あるいは各界の代表を集めて、物価問題の懇談会を開きまして、そこで根本的な掘り下げた意見を出していただくようにお願いし、各委員も非常に熱心にそれらの問題に取り組んでいただいておりますので、私はそれらの点を十分佐藤内閣の政策の中に入れながら努力してまいりたいという決意を持っておる次第でございます。
○国務大臣(三木武夫君) 大蔵大臣、企画庁長官から非常に詳細な御答弁がありまして、基本的には私は異存はないんです。通産省関係としてやはり物価問題に関連することは非常に多い。第一番に、中小企業問題、これは労働の需給関係がこのような変化を遂げたという、低賃金の上に中小企業がその基盤の上にやっていくわけにはいかないのでございます。どうしてもやはり生産性を向上することによって大企業との格差を是正していくよりほかにはない。それでなければ消費者に転嫁される。したがって、今年度の予算をごらんになっても、中小企業の近代化、高度化、まあ全体としての金額はいろいろ少ないのではないかというような御批判もあるかと思いますが、従来の中小企業庁の予算としては画期的な予算であると、そうして生産性を向上していこうということが一つ。また、流通機構の面においては、卸売りのセンターであるとか、また、新しい試みとして小売り商というもののもっと合理化できないかということで、まあボランタリー制度なんかも今年度から始めて、小売り商の連鎖方式というものを考えてみたいというようなことで、まあ流通機構についてもこの改善に手をつけていく。また一方において不況カルテルなんかによる、いわゆる価格をそういうことによって価格をつり上げるというようなことがあれば、これは物価カルテルの目的に反するものでありますから、その平均生産費を下回るようなことのない状態が起これば、すみやかに不況カルテルはこれを無期限に延ばしていくということはとらない。できるだけ正常な状態に帰れば、不況カルテルとか、生産調整とか、こういうものはやめて、正常な状態に返すと、こういう一連の通産行政を通じて、物価の安定ということに努力をしていきたいと考えておる次第であります。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申します。 農産物関係に相なりまするが、先ほど企画庁長官等から大綱をお話しになりましたとおりでございますが、農産物につきましても、やはり根本的には申すまでもなく、農業の構造改善という面に向かって努力を進めてまいらなければならぬのでございまして、そういう面に向かっての努力は数年来、農業基本法制定以来、これらに向かっての努力を進めておる次第でございます。しかしながら、この根本的な問題となりますと、非常に小さな農村、農業が現在日本の特徴として発展したものであるだけに、なかなか急激にはこれは行ない得ないという、そういう実態を持っておるのでございまするが、しかし、それらの事情をも勘案しながら、できる限りその面に向かっての努力を進めておるということでございます。なお、この現実的の問題といたしましては、御存じのとおり、米価の問題、米価はこれは御存じのとおりに、消費者米価と生産者米価に分かれてまして、生産者はやはりその生産を可能ならしめる問題を中心にして進めておりまするし、消費者米価は家計米価を越えないと、家計米価の範囲内においてこれらの消費者米価を決定するようにつとめておるわけでございまするが、なお、この青果物、いわゆる野菜の関係とか果実の関係という、いわゆる青果物の関係、それから水産の関係、それから畜産の関係、最近の甘木の食糧は、全般の生活向上ということも関連いたしまして、穀物だけでなしに、御存じのとおりに、農産物といたしましては果実、それからまた、水産物あるいは畜産物が非常に需要も増強いたしておるのでございまするが、これらに対しましては、具体的に現実の問題としてですね、畜産物については肉類その他牛乳等について生産を増強することなく価格を安定せしめるという意味でそれぞれの施策を講じておりまするので、現在その安定という、価格の安定ということを中心にして、そして生産を増強しながら、価格もそういう点から見て十分考えていくというそういう方向に向かっておりまするのでございます。 それから、野菜等につきましては、これは非常に生産のむらのあるものでございまするので、非常にその点はむずかしいわけでございまするけれども、今年特にこの問題に重点を置きまして、野菜、青果物の安定のための施策を講じておるわけでございます。 水産につきましては、冷凍その他の問題が非常に重要でございまするので、それらに関連しての特別の施策を講じつつあるわけでございます。 なお、これらのいろいろの全般の問題として、この生産者に対する施策と同時に、やはりこれらの流通機構の面についても十分これは考えなければなりませんことは言うまでもありませんので、卸売りの問題、それから小売りの問題というものを通じてそれぞれの施策を講じて、でき得る限りの努力を傾倒いたしておる次第でございます。
○木村禧八郎君 特に物価の問題が最近重要になってまいりましたのは、総理も御承知のように、総理府統計局で発表しました四十年の実質所得が物価値上がりのために下がっておるのですよね。これは近来にないことです。しかも、企画庁から資料もらいましたが、五分位の所得階層別を見ますと、低所得の人と所得の多い人との格差が、実質賃金において非常に開いてきているのですね。こういう点も非常に重大なんです。ところで、いままで、これまで政府の物価対策に対して、どうも信頼できないと思われる理由も述べて御答弁を願ったんでありますが、どうもいままでの御答弁では、ほんとうに反省されるかどうか疑わしいと思うのです。と申しますのは、過去の経験を学ばなければいけないわけです。三十六年から急に消費者物価が上がったんですね。なぜ三十六年に急に消費者物価が上ったかと、この理由に立ってもっと突っ込んで研究する必要があるのです。その一つとしてはっきりここに書いてあるじゃないですか。値上がりムード、次々とですよ、国鉄運賃、郵便料金、医療費、公共料金の値上げが次々と起こった上、さらに、バス、私鉄、電灯公営水道、理髪、パーマ、クリーニング、次々と値上げが起こっておる、三十六年にですよ、その上に生鮮食料品の値上がりもあった、だから一・一%押えることができなかった、ここですよ。公共料金の値上げ、かりにわれわれ譲るとして、国鉄だけだったら値上げムードとは言えないですよ。国鉄も上げる、私鉄も上げる、郵便料金も上げる、医療費も上げるでしょう。三十六年と同じじゃありませんか。形は同じですよ。だから、政府は五・五%で抑えると言ったって押えられないのじゃないかと思うのは当然じゃないですか。なぜ過去の経験にもっと学ばないのですか。 それからもう一つ。五・五%を出したらこれを守る決意、これを総理、もっとこれを上回らんとしたときにはどういう決意を、どういう対策を講ずるか、この点をひとつはっきりしてもらいたい。 それから福田大蔵大臣は、私が物価と不況対策は矛盾すると言っているように、あなたは逆に言っているのですよ。切り返しているのですが、あなたがそう言っているというのですよ、あなたがそう言っていたのです。ですが、これはさっきの釈明でわかりました。両方一生懸命やるということなら、何もここで議論する必要はないのですが、それはいいのですが、一応いまの点についてもう一度御答弁を願いたいのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のとおり、物価上昇ムード、これは一掃しなければなりません。過去の苦い経験、これをまた重ねてやるようではいけません。私は、その意味で国民各界各層の協力が最も望ましいといいますか、これは必要なことなんで、これは経営者も、また従業員も、従事者も同じように協力するのだ、最終にはすべてのものが消費者だ、だからお互いの利益を守るためにも物価を上げることは得策じゃないのだ、この点に十分思いをいたして、そうして物価の値上げ等についてはお互いに一切やらないのだ、こういう意味の協力が望ましいということを申しておるのであります。木村君から御指摘になりましたように、政治自身が信を失うとそういう各界の協力は得がたい、だから、この点が一番大事で、私は特に総理として、政治を遂行していくその責任者といたしまして、政治が国民から信を得る、こういうことでこの問題も対策を立ててまいるつもりであります。 また、ことしの状況におきましては、物価が思わしい状況ではございません。先ほど来あげられました内閣統計局の資料等から見ましても、生活の実情はなかなか苦しい状況にあります。私は、一そうこれは下げていくことを考えなければならない。しかし、一どきに、一ぺんにこれを急に理想的な三%、あるいは二・五%程度にする、こうは実はいかないものですから、先ほど経済企画庁長官から御説明いたしましたように、政府としては順次望ましい方向に持っていくのだ、その意味においての最善の努力をたゆみなく繰り返してやっていくのだ、こういうことを申しております。私、もちろん政治の姿勢といたしまして、また経済問題と取り組むその考え方といたしまして、十分国民から信頼されるように、そういう政治姿勢をつくって、そうして経済問題を国民ともどもに克服していく、こういうことで進めていきたいと、かように考えております。
○羽生三七君 関連。木村さんほかの問題に移るそうですが、いまの問題、最後のところで、四十一年度の予想物価上昇の五・五%でおさまらなかった場合はどうするかという問題があるわけですね。実はこれは、皆さん御承知のように、この問題については物価問題では三十八年、三十九年、四十年に同様この問題を指摘したわけです。さらにこの数年来の予算編成を見ておって、これでは結局公債を発行せざを得ない状況になるのではないかということも三十九年、四十年に当委員会でそれぞれわれわれ社会党関係議員が指摘してきたわけです。ところが、そのつど、これ速記録にはっきりしておりますが、御心配は要りませんという、安定成長路線に乗って予定どおり税収は確保できますからそのような御心配は断じて要りませんと、こう答えられてきた。ところが、実際には四十年度に公債を発行せざるを得ない状況になり、四十一年度は御承知の次第、ところが、私はこういう問題の、つまり経済政策における政治責任というものをすぐ解散とか総辞職に結びつける考えはいまございません、全然。別の話です。しかし、いつも経済は動くものであって、流動的なものであって、予想と違ったのはやむを得ないということで簡単に片づけられている。これは非常に遺憾なことであります。そこで、四十一年度五・五%でおさまらなかった場合、これの見通しの狂ったのは経済の動きでございましたということで、わずかな違いならいいですが、もし七%、八%というようなことが起こるような場合には、そのときにはどうするかということをいま木村君が言っているわけです。ですから、この場合に、四十二年度予算に対してどういう基本的な変革を示すかということ、あるいはどういう財政金融上の、重大な変化を示すか。物価対策では根本的なもう一度やり直しをするのか、そういう基本的な決意の表明がないと、経済は動くもんだから、五・五%でおさまらなかったらやむを得ないということでは困ると思います。そういう意味で木村委員が特に、五・五ということを明確にして御指摘があったので、関連してお尋ねします。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、あるいは私、木村君のお尋ねにやや誤解をしていたと思いますが、ただいまのような重ねての関連質問でこれは明確でございます。私ども政府の態度といたしまして五・五%、さらにそれを三%にする、こういう計画をもちまして、その意味の物価対策また長期経済見通し等も立てるつもりでございます。ただいまその作業を経済企画庁においてすでに行ないつつある、かように私は理解いたしております。いずれにいたしましても、まず四十年度が、私どもの予定したといいますか、想定したよりも下回っておる。つまり、私どもがそういう方向に実績をあげた、かように実は私は確信をいたしておりますので、ただいまの五・五につきましても、もちろん楽観はしておりませんが、これは経済安定成長への基調に乗せる、そういうことで不況の克服と同時に物価の安定も必ず実現できる、かように実は確信をもちまして、さらに詳しく各界の協力を得るような具体的な案を作成中でございますから、しばらく時間をかしていただきたい、かように思っております。
○鈴木強君 関連。私が、先ほど木村委員のこの物価対策に対する基本的な問題に対する質問をいたしましたのにお答えいただきましたが、木村委員がおっしゃっておるように、どうも私たちはぴんとこないのですね。そこで、具体的に二つだけ問題を取り上げて伺いたいと思います。 きのう、東京都が発表した「都民生活白書」というのを拝見しますと、三十九年、生活が苦しくなったという人たちが二七%であったのでありますが、ことしは五一%にこれは上がっているわけですね。ですから、生活が苦しくなったということ、これは事実であります。そこで、たとえば、この原因が木村委員指摘のように、公共料金の点もあるでしょう。あるいは流通機構の問題もあるでしょう。いろいろあるでしょうが、一つ私は公共料金でお尋ねします。それは米価、私鉄、国鉄と上がりまして、さらにまた郵便料金の値上げが七月から予定されております。そこで、この郵便料金の値上げは私は郵政大臣と総理に承りたいのですが、七月から二八・八%引き上げを考えております。ところが、小包郵便料金は四月一日から二〇%を上げております。これは私は非常に重大な問題だと思うわけであります。公共料金について政府が非常に慎重な態度をとらなければならぬのにかかわらず、何か安易な考えで上げているのじゃないか。郵政事業についていま六十億近い赤字のあることは私たちも知っております。しかしながら、その赤字がはたしてどういうところに原因があるかということをわれわれはこれから郵便法の改正の中で十分に究明をし、明らかにしようとするのであります。ところが、そのやさきに、四月一日から、政令できめられるとはいいながら、郵便小包料金だけを先に上げたということは納得できない。一体どういうわけでその小包郵便料金を四月一日から上げなければならなかったのか、公共料金の一環の対策として、私は納得できませんから、ここで明らかにしてもらいたい。 それからもう一つは流通機構の問題でありますが、農林大臣は非常に抽象的におっしゃいました。しかし、いま私はここに一つのデータをとってみますと、たとえば東京都の生活白書の中でも言っているように、生鮮食料品の値上げが非常に家計を圧迫しております。そこで、これについては消費行政というものが非常になっておらぬ。たとえば、東京の郊外部に団地に直結した流通センターをつくって、その輸送網を確保することすらできておらない、こういう状況を述べておりますが、たとえば千葉県産のトマトをひとつとってみますと、これは農林省の経済局の資料ですよ、トマト一キロで生産者価格が十九円、出荷経費が十三円、中央卸売市場の卸売りマージンが三円、結局卸売り価格は三十五円なんです。それに小売りマージンが二十一円、小売り価格は五十六円七十銭で、中間マージンが三十七円七十銭あるのです。 それから牛乳をとってみましても、庭先価格で七円ですね、酪農農家から買い上げておる牛乳が、実際にわれわれが消費する場合に、普通牛乳で十八円、ホモで二十円、コーヒーで二十一円、フルーツで二十二円、ヨーグルト二十一円となっており、最低十一円から最高十四円のマージンを取られております。しかも、最近牛乳の需要がふえまして、消費が伸びまして、供給が追いつかない。そういうことからして粗悪な牛乳が出回っているのじゃないかということを心配されているわけですけれども、一体、流通機構というものが、物価に非常に影響がある。その流通機構の改革について、一体何をしているんですか。私はよくわからない、農林大臣の御説明では。ですから、この点を一つ明らかにしてもらいたい。 それから、もう一つは公共料金です。北陸電力がいよいよ申請をしております。これは通産大臣所管ですが、経済企画庁長官でもいいですが、とにかく申請どおりに認めるのかどうなのか。これも公共料金の一環としてわれわれは非常に重大視しておりますから、この際、明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(郡祐一君) お答えいたします。小包料金については、鈴木さん御承知のように、政令でも国鉄小荷物等々の料金と比例をいたします考え方で料金を定めるように規定いたされております。すでに国鉄の料金が三月五日から引き上げられております。それで、独占して扱っておりまする一般の郵便物については考え方は別でございますけれども、政令で規定しておりますように、国鉄小荷物と他の同様のものとの間に大体比例した数量を扱っております小包郵便物といたしましては、なるべく時期を同じくいたしまして料金を改定したほうが適当と、こういう考え方ですでに政府が料金の改定を決定いたしましたときに、小包については四月一日からいたすということを決定しておりまするし、ただいま御審議を願っておりまする四十一年度につきましても、一般の郵便物については七月一日から、小包については四月一日から、こういうことで提案の当時からお願いいたしておる次第でございます。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申し上げます。 青果物、それから水産物その他の生産者の価格と、それからまた、それを最後に実際の消費者が購入する値段との間に非常に差のある実情に相なっております。しかし、たとえば牛乳の問題について、いろいろこれらの点について検討を加えてまいったのでございまするが、結局小売りの販売の点において、消費者のところに配るのに一合ずつ配っていくといったような、その間において、小売りのほうの費用がずいぶんかかっておるという実態があるわけでございます。さような関係からいたしまして、現在は、ドイツ等に行なわれておるように、一軒一軒配るというのでなしに、できる限り一カ所に寄せて、そこへ牛乳をもらいにいくとかいうようなことにするということになりますと、非常にその間の費用がなくなるというようないろいろの実態があるわけでございまするので、それらの問題については、一歩一歩進めてまいっておるのでございまするが、なかなか十分これらが進み得ないという実態でございます。したがいまして、現在はこれらについて、小さな一合びんでなしに、五合びんを配るようにするとか、いろいろな点について検討を加え、また、一部実行に移しているというようなこともございます。なかなかこれらの問題は困難な問題でありまするけれども、一歩一歩これらの格差のないようにでき得る限り努力を進めていかなければならぬと存じます。 それから、野菜の問題につきましては、これも非常にその点についての問題があります。しかしながら、これらについては、まずこの卸売市場の整備が非常に重要でございまするので、これらについて努力を払っており、しこうして、その間におけるいろいろの手数料あるいは仲買い人の関係等については、逐次整備に向かって進んでおるわけでございます。また、手数料等も引き下げを若干実現いたしておるのでございます。 小売りのほうへまいりますというと、これもやはりたくさんの小さな小売り商が存在しておる現実でございます。これらの問題は、やはり農業において多数の小農が存在しておりまするのとある意味においては似た現象でありまするので、これらのいわゆる小売り商の問題については、通産大臣ともよく連携をとりながら、でき得る限り合理的な方向に進まなければならぬと、かように存じておるわけでございます。
○国務大臣(三木武夫君) いまお話しがありましたように、北陸電力は三月の十八日、電燈七・五四%、電力八・六七%の値上げの申請を出してまいったのでございます。北陸電力は、昭和三十二年に当時の豊富な水力の供給源をベースにして、全国でも一番安い電力料金であることは間違いない。ところが、その後需要が非常にふえてまいりまして、新たなる電源開発をいたしまして非常に電力のコストが高くなってきている。四十年度の上期だけで実質八億円の赤字を計上して、このままでは改善される見込みがないので、どうしても値上げをしたいということで申請をしてまいったのでございますが、目下の経済状態、それから、電力の産業界に与える影響などを考えて認めるにしても、できるだけ小幅にとどめたいと、いまこの申請に検討を加えておる最中でございます。
○委員長(石原幹市郎君) 木村君。
○鈴木強君 ちょっとまだです。もう一つ。
○委員長(石原幹市郎君) 木村禧八郎君。きょうの日程の都合もありますし、この問題は、またいろいろな委員会もございまするし、そこでやったらどうでしょう。
○木村禧八郎君 最後ですからどうぞお認めになってください。
○委員長(石原幹市郎君) それじゃ簡単に。
○鈴木強君 いま、農林大臣から御説明を伺いましたけれども、わからないのですよ、言っていたことが。私は具体的に例をあげて、この流通機構について、あるいは牛乳の問題について尋ねたわけですが、一つも的を答弁していない。着々やっているとか、一歩一歩やっているとか、具体的にどういうことか一つもわからないのです。 そこで、まず牛乳の問題ですが、いま、この価格をつり上げているのは中間マージンの多いということと、森永、明治、雪印等、大手は協定値段でもってやっている。こういったことが物価をつり上げている原因になっているわけですから、そういう点に対するメスを入れなければいけないでしょう。 それから、もう一つ聞きたいのは、非常に最近消費量が多くなっております。供給が足りない、そういうことからまた牛乳の値段が上がるだろう。上がらなければ、水をたくさん入れて悪質の牛乳が出回るだろうと、こういうことを率直に心配しております。これに答えてくださらないと、それをひとつ答えてもらいたい。 もう一つは、郵便料金の小包料金ですけれども、これは郵政大臣の答弁は非常に事務的な答弁ですよ。私は、内閣が公共料金の引き上げをやることによって、木村委員御指摘のように、他の物価も必ずこれは誘発して引き上げておりますよ。だからこれは積極的に押えなければならぬでしょう。しかも、郵便料金というのは、七月から普通郵便を上げることになっているのだから、郵政会計の赤字が、これはどういうことに原因があるのか、われわれも十分これから検討しようとするやさきなんです。そうでしょう。だから、それと合わせてやるならば、おやりになったらいい。それを政令でできるからといって、四月一日からやったことはおかしいじゃないか。こういう点を聞いているのですから、郵政会計がこういう状態だということを話してくれて、やむを得なかったとか、あるいは物価上影響がないからやったとか、こういう御答弁でなければ、国民は納得しませんよ。それを的をはずさないで答えてください。総理大臣にも、私は、そういうあなた閣議でもって小包料金値上げのときにもおったのですから、そういうことが公共料金の値上げの問題にも関連して答えてもらいたい。こう思って答弁を要求したのです。
○国務大臣(郡祐一君) 小包は他の一般郵便物と性質が異なっておりまして、国鉄がこれを扱いますもの、また一般の運送事業者が扱いますもの、そうしたものとそれぞれ競合しながら事業を営んでおります。したがいまして、それぞれの間にそれぞれ一定の部分を扱っておるのであります。そういたしましたならば、国鉄の料金と大体似た時期に扱いまするべきことは、すでに政令が一般のそういう同種の料金、ことに国鉄の料金について、これと参酌し、比較してきめますることを規定しておりまする以上、むしろそれと時期を同じくいたしまして扱いますほうが正しいことと考え、そのようにして予算も編成し、従来も御説明申し上げているとおりでございます。
○国務大臣(坂田英一君) いまの牛乳の問題でございますが、現在は市内において大体競争して売るくらいでございまして、生産がだいぶ伸びておりまするようなわけで、そういう点については漸次改善されて、価格については改善されてまいるだろうと思います。それから、なお、この原料乳と飲料乳との関係がありまして、これらの問題のルートをはっきりさせる必要があります。そういうことによって原料乳と、それから飲料乳との関係もありますので、今度原料乳については、いわゆる不足払いの制度によって、現在安定をはかっていくことにいたし、そして多くは飲料乳のほうにこれらのものを向ける方針、これも直ちにこれを行なうことは、急速にはそれはやれませんけれども、漸次飲料乳のほうに重点を置いて進めてまいりたい、こういうのでございます。いろいろの問題ありますけれども、そういう原則に向かって進んでおります。現在小売りのほうとしては、先ほど簡単にいろいろの点を申し上げまして恐縮でありまするが、さような関係でございまするので、現在のところは、むしろ小売りのほうで競争をしておるくらいで、実際の問題といたしましては、この協定価格といったようなものは、もちろん消費者の間ではないわけでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君は小包郵便のことを、これは気にしておられますが、よく御承知だと思うのは、類似の、たとえば鉄道小荷物、これが値段が高くなった。そうして、小包郵便が従前どおり安い値段でありますと、小包郵便に今度はかわってくるのです。小荷物のそれがどんどん小包郵便にかわる。そういたしますと、郵政省では、これをはかすわけにいかない。たいへんな混雑を来たすわけであります。それで、これは御承知のように年末だとか、あるいは盆暮れ等につきましても小包郵便が殺到する、あるいは小荷物がどうなっておる、こういうようなことで、一々あんばいしていることは、これは御承知のとおりでございます。ことに郵政省におきましては、小包郵便がふえること、それは収入の面から見れば喜びにたえないだろうと思いますが、しかし、現実にはなかなか配達ができない、さばけない、こういうことで困るのです。だから、ただいま申しますのは、収入の面ではなくて、料金の面からきている処置でありまして、私どもあまり進みはいたしませんけれども、在来からこの小包と小荷物との関係等があって、これはやむを得ない処置であったと、かように私は理解しております。 また、第二の牛乳の問題、これは鈴木君が御指摘のとおり、最近は牛乳の需要がどんどんふえております。また、これから更に向かいますので、ただ単に飲料として需要がふえてまいりますから、一そう注意しなきゃならぬことだと思います。いろいろ農林省におきましても具体的な対策を立てておるとは思いますが、さらに御注意のありました点を十分考えるようにいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 次に、私はいまのインフレの現状認識の問題、これをはっきりさせるためには、まずインフレの意味ですね、インフレーションという意味、これはさっき企画庁長官も、日本の現状はインフレとデフレが混在している。そういう混乱した認識ではいけないと思うのです。そこでこの際、いろいろインフレーションという意味が個々によって違うといけませんから、定説をはっきりさして、そうして問題の意味をはっきりさして、そうして現実にこれからも非常に問題になるのですから、はっきりさせないと、対策もまた的はずれになりますから、この機会にはっきりとインフレの規定、どういうところが問題か、伺いたいと思うのです。私はもう前からこういう、自分でまとめて書いてありますから、時間ございませんから、一応総理にあとでこれを差し上げます。読んでおいていただきたいと思います。 まず、インフレーションということばの語源からお伺いしたい。これが一体何を意味するものか、どなたでも。
○国務大臣(福田赳夫君) インフレとは、学問的な意味におきましては通貨価値の下落でございます。また、通俗的な意味におきましては悪性インフレということばにつながる意味において理解されておると思うのですが、これは通貨価値が下落し続けましてとめどもない、そういう状態をインフレと俗称しているかと思います。
○木村禧八郎君 その語源は、時間がないので残念ですが、これはきまりきって、インフレーションとは、英語のインフレーションを呼んだわけですが、これは一つは医学上の問題です。インフラチオンといいまして、こぶですよ、こぶとか、正常ならざる状態なんです。これが一つですね。医学上の問題が一つ、もう一つは、これは昔、牛を目方をふやして高く売るため、牛に塩づけの草を食べさせた。牛がのどがかわくから水をどんどん飲むのですね。そうすると目方がふえるんです。こういうふえ方をインフレーションという。これは正常なふえ方じゃないです。ごまかしです。最初はそうなんです。 これが通貨のほう、お金のことに初めて使われたのは一八二六年、ずいぶん前のことなんです。これはイギリスでそういう——それからアメリカでもそういう問題がやはり、これはアメリカでは一八六一年ですけれども、ずいぶん前からこのインフレーションということばがお金のことに使われだした。この特徴は正常ならざるということが一つですね。それから物価が上がるということが第二です。しかし物価値上がり必ずしもインフレじゃありません。スズメは鳥ですが、鳥必ずしもスズメではないですね。だから、物価値上がりは必ずしもインフレではないんです。しかし物価値上がりは、通貨が、お金が原因になっている場合に、これをインフレーションというわけです。日本の現情はどうですか。物価の値上がりは異常でしょう。定期の一年もの五分五厘以上に六%も上がっておることは異常だと思うのですが、大蔵大臣は異常とお考えにならぬかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、インフレということは通貨価値が減少することである。通貨価値とは何ぞやというと、対外並びに対内的意味のものである、こういうふうに理解しております。今日の日本の現状はどうかというお尋ねでございますが、対外価値においては微動だもしない状態であります。また、対内的にはどうかというと、これは卸売り物価と小売り物価の問題がある。卸売り物価は、これも大体安定をいたしておる。ただ、問題になるのは消費者物価です。これは確かに、木村さんおっしゃるように異常な状態である、こういうふうに観念をいたしております。これは真剣に取っ組まなけりゃならぬ。しかしその対外、対内、また卸し、消費者、そういう物価全体を通じまして、日本のいまの経済状態が、通貨価値が日に日に下落して、そうしてとめどもないと、こういう状態ではない。しかし警戒はしなけりゃならぬ消費者物価の動向がある。これに関心を大いに示さなければならぬ状態に置かれておるというふうに理解をいたします。
○木村禧八郎君 それは、対外価値はいま一ドル三百六十円とフィックスしているんだから、これは問題にするのはおかしいですよ。それからインフレーションというのは整理して考えなければいけないので、インフレーションとは何か、何によって起こるか、それによってどういうように発展していくか、そのプロセスがある。どうも、最近日本では、賃金が上がるから物価が上がると、それは通貨がふえて物価が上がって、そのプロセスの一環として賃金が上がって物価が上がっていくんですよ。全体のプロセスをつかまえないで、たとえば群盲ゾウをなでるようなもので、ゾウの足一つとって、賃金が上がるから物価が上がると思っているけれども、そうじゃない。総合的にこのインフレーションというものは見なければいけないんです。そのインフレーションの起こりは通貨の膨張からくるんですね。 そこで、日本の現状を検討してみますと、通貨、これは現金通貨と預金通貨です。昭和三十年を一〇〇として、三十四年は一五四、五四%ふえています。ところが、鉱工業生産は、三十年を一〇〇として一七〇にふえている。ですから、三十年から三十四年までは通貨のふえ方よりも生産の増加のほうが大きいんですね。ところが、三十五年からは全く様相が違っているんです。三十五年通貨を一〇〇として、三十九年は二一四にふえている。これは預金通貨も含めてですよ。それから鉱工業生産は、三十五年を一〇〇として、三十九年一六二です。生産のほうは六二%しかふえないのに通貨のほうは二倍以上にふえている。ここに三十五年を境として通貨と生産との間にはっきりした違いが出てきているんです。通貨の膨張が、これが物価の値上がりをもたらしている。それが、企画庁長官はよく構造的変化と言いますが、インフレを起こすときは必ず構造的な変化々伴うものなんです。それがかけ離れてあるのじゃないのです。賃金の値上りもそうなんです。これは総合的に考えなければならぬのを、部分的に構造的な変化だとか、あるいは賃金が上がるから物価が上がる。そうじゃないのです。インフレの原因と発展と、その発展の過程とその影響とを総合的に判断していかなければいけないわけなんです。そして、戦時とまた平時に分けて考えなければいけませんね。平時においては過剰生産のときに出てくるのですよ。負債過剰から必ずインフレが出てくる。ですから、今度そうでしょう。現在非常なデット・デフレーションですよ。つまり企業は非常な負債過剰なんです。そこで、この負債を軽減するために資本はインフレを要望するんですよ。これは資本の本能であり、資本の原理なんです。だから、インフレが問題になってくるのですよ、いろいろ言ってもですね。そうしてこの不況を、利潤の低下をインフレによって解決しよう、そのかわり物価が上がって大衆が犠牲になる。ですから社会党はこれに反対しておるわけですがね。こういうふうにつかまなければならないと思うのですが、ですから現状は、いま私が具体的に指摘したように、はっきりインフレーションなんです。最初は通貨の日銀貸し出しから来て、そうして物価が上がった。これは信用インフレというのですよ。その信用インフレを今度財政インフレに転化しよう。福田大蔵大臣は、企業は借金をしているから国が借金をしてやる、肩がわりです。これがインフレなんですよ。どうですか、この現状認識は。
○国務大臣(福田赳夫君) 確かにあなたがおっしゃるように、昭和三十五、六年のころから通貨が増発の傾向になっておる。しかし、これはあなたがおっしゃられるように、通貨が増発になっているそれ自体はインフレ——インフレと言うか、消費者物価の高騰ですね、これと関係がないとは私は断定はできないと思います。しかし、その多くの原因は何であるかというと、やはり生産活動、日本の経済の成長、それに関連をしておるわけであります。どちらかといえば、通貨の増発というものはしりがそこにあらわれてくる、こういうふうにまあ考えるわけであります。日本の経済が成長するその過程において設備投資が行なわれる、そのしりが通貨の増発となってあらわれてきておる。また、国民の消費水準も進んでくる、そのしりが通貨の増発になってきておる。これは私は通貨の増発によって産業設備が行なわれたという面もあると思いまするが、同町にそのしりが通貨の増発になってきておるというふうに考えております。したがいまして、今後の金融政策の運営、これは日本銀行の通貨が一体どうなるか、こういうことを非常に神経質に見ていかなければならない、こういうふうに考えますが、あなたがおっしゃられるように、通貨が増発される、それが消費者物価上昇の原因であると、こういうばかりに断定はできない、かように考えております。
○木村禧八郎君 それは全然通貨論を知らない議論なんですよ。通貨の過剰発行というのはあるのです。不換紙幣とか不換銀行券は過剰発行が可能なんです。しりがくるというのは、これは貨幣論を勉強すればすぐわかる、貨幣論。もしみんな通貨というものは生産活動にくっついてくるものなら、信用膨張とか財政膨張はあり得ない。しかし、不換銀行券とか不換紙幣には過剰発行というのがあるのです。だからインフレが問題になる。これは通貨論をもう少し勉強しなければだめですね。(笑声) 最後に、時間がなくなりましたが、減税の問題で、総理は、戦後最大の減税だと言う。しかし、戦後最大の公共料金の値上げをやって、差し引きずると、実質増税になるのですが、これはどうなんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんは、公共料金の値上げだとか、あるいは米価の値上げだとか、そういうものが三千億以上になるじゃないか、それに対して三千億の減税じゃこれは意義がないじゃないかと、こういうことをおっしゃられておると思うのであります。しかし、確かに公共料金の値上げ、これが物価に影響をいたしてくると思います。つまり、国鉄について言いますれば〇・三%の影響があると、こういうふうに申し上げられるのであります。また、米価は上がるだろうと、これが〇・七%くらい影響しておる。そういうふうに影響はしますけれども、私どもは、昭和四十一年度における消費者物価の上昇は五・五%程度である、こういうふうに観念をいたしておるのであります。公共料金の値上げがなぜ問題になるかというと、あなたが問題にしているのは、これは消費者物価への影響だと、こういうふうに結論されることかと思います。 で、消費者物価の影響はただいま申し上げたとおりでありますが、一体、減税がそういう状態下においてどういう関係を持つかと、減税の評価の問題ですね、その時点における。それになりますると、私は木村さんが見落としておる点がある。それは所得の増加であります。昭和四十年度は所得が横ばいである、あるいは下がった人もある、そういう状態、率直に私はそう考えます。そういう状態でありますから、昭和四十年度減税というものは、私は国民生活にとってこれははだに感ずるところの減税という響きはなかったと思います。しかし、一体昭和四十一年度の減税はどういう影響を持つであろうかということを考えてみまするときに、とにかく消費者物価が公共料金の値上げ等を含めまして五・五%上がるんだ。しかし、それにもかかわらず、名目的な所得の増強というものが、昭和四十年度においては低位であったものが、今度は一一%以上上がるだろう。実質に直してみると、昭和四十年度においてはほとんどなかった。それが今度は七・五%は上がる、私どもはそう確信をいたしております。そういう状態下において減税が行なわれるのであります。 しかも、この七・五%実質所得の上昇というものは何によってもたらされたか。これは経済の成長でありまするが、公共料金の問題もその一環をなしておるわけなんです。国鉄の料金を上げる、これは一体どういう作用を及ぼすかというと、これは国鉄職員の賃金を上げる、また国鉄の輸送力の増強となって、あるいは安全輸送とかあるいは過密輸送の訂正だとか、いろいろそういうふうに働いてくるわけであります。で、資材の注文も行なわれている。その注文はことごとくこれは人件費となって末端においては消化されていくわけであります。つまり、それが国民所得の増強となってあらわれてくるわけなんであります。米価はどうだ。これだって別に政府はそれをかん詰めにしておくわけじゃない。生産者へ対する米価の引き上げというふうになって、農村の所得を向上させるのです。それが寄り集まって、それは六月からやりますが、実質七・五%の経済の発展、所持の上昇となってきておるのであります。 そういう際に今度三千六百億円の規模の減税が行なわれる。つまり、七・五%の生産所得の増強がある。そこにそれだけの大幅な減税が行なわれている。つまり、可処分所得がそれだけ増強するという意味を持つのであります。いま減税がきのうから実施をされる、その実効があらわれるのは来年のいまごろなんです。ことしの昭和四十年度のことを頭に置かれて、ちっとも影響はない、ないとおっしゃいますが、来年のいまごろになると、私は形勢一転、はだ身に感ずる減税であったということが認識されるであろう。よく私が言いまするのは、所得の増強ということを抜きにして減税の評価をなすことはできない、こういうことであります。
○委員長(石原幹市郎君)木村君、時間が済んでおりますので、簡明にお願いいたします。
○木村禧八郎君 時間がございませんから、ただいまのことにつきましては、これは大蔵委員会でまた論戦いたしますが、大蔵大臣は、所得は増加と言っておるが、減税というものは、所得がふえないということを前提にして減税なんですよ。これをお忘れなんですよ。所得税がふえたら、また累進課税で税金がふえるのですから、その議論はごまかしの議論が含まれておりますから、これは大蔵委員会でまた論戦いたします。 それで、最後に、わが党が今国会に提案しております、特に重大な決意をもってその実現に努力しております国家公務員、地方公務員と、それから公共企業体職員関係の共済組合法の改正の問題でございますが、これについてはすでにわが党の林委員、鈴木委員が十分にこの質問をし、政府にもいろいろ御要望を申し上げておりましたが、この点について特に政府の積極的な御協力を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○北村暢君 関連。なお、いま木村委員からの要望もありましたが、答弁は要りませんから、私もひとつこれについて要望いたしたいと思います。 同法が改正されるにあたりまして、衆議院の大蔵委員会、地方行政委員会におきまして、附帯決議がつけられております。その内容は省略いたしますが、簡略に二点だけひとつはっきりさせておきたい。生活水準の向上、物価の上昇並びに現職公務員の給与に即応して年金を引き上げ得るよう措置すること、短期給付については医療費の増加に対処し組合財政の健全化及び組合員の負担が過重にならぬよう国庫負担制度について検討すること等の附帯決議が行なわれているのであります。政府はこれに対してすみやかに検討の上、善処する旨の答弁が行なわれているのであります。しかしながら、その後何らの処置がなされておりません。組合財政は困窮し、二百五十万の組合員は現在強力な院外の行動を起こしてその実現のために戦っております。政府は、私が前の国会においても、予算委員会において指摘いたしておりますように、常に国会の附帯決議というものを無視している傾向が非常に強いのでありますが、この問題については、政府の措置を待ち切れず、いま木村委員が申されましたように、わが党はすでに衆議院に三法案の提案をいたしてその実現に努力しておられるのでございます。この点について強く政府の猛省を促し、すみやかに協力態勢を整えられますように強く要望をいたしたいと思います。
○亀田得治君 関連。答弁は要らないというたいへん議事進行に協力した発言のようですが、非常に重要な問題でありますので、こまかいことは抜きにして、これはもう正式に附帯決議がつけられてずっときている問題でありまして、附帯決議の趣旨は尊重されるかどうか、これを総理からひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 附帯決議の趣旨は尊重するのは当然でございます。
○委員長(石原幹市郎君) 木村君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に、向井長年君。
○向井長年君 私は総括質問を行なうのでございますが、非常に時間が短時間に制約されておりますので、主として総理にお聞きいたしたいと思います。 まず第一に、先般来問題になっております韓国の拿捕問題につきまして、特にわが党は日韓条約に賛成した立場でございまして、かかる事件の惹起したことはまことに遺憾しごくでございます。今後こういう事犯が絶対起こらないために真相を究明し、これに対する措置をとらなければならぬ。先般の予算委員会におきまして、外務大臣はこれに対して来週くらいに賠償を請求する、こういうことを言われておりますが、この点、当然かと思います。したがって、外務大臣なり総理の決意のほどをまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 繰り返して申し上げますが、この問題は結局、新しい両国の間でつくられた秩序というものをいかに守るかということに対する努力が十分でないというところにその原因があると思います。それで、今後はこの新しい秩序をあくまで厳守するというたてまえをとって、そうしてお互いに励まし合い、協力してまいるということが必要でございます。 なお、この問題に関連して、どちらに手落ちがあったのかということは漸次明らかになるでありましょうし、また、それをしなければならぬ。そうして将来再びこういうことの起こらないようにしなければならないと思いますので、損害等につきましても、これを含めて十分に対処してまいりたい、こう考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの外務大臣の答弁でいいかと思っていたのでありますが、私は、民社の諸君もよく御存じだと思いますが、この大韓民国と親善友好の関係を樹立しよう、これが本来の目的でありまして、その意味で日韓の諸懸案を解案する、こういうことで条約を締結いたしたわけであります。そうしてその実施に入りまして早々においてこの種の事件が起きた、こういうことはまことに私は残念に思っておる次第であります。これらの事柄については、当委員会においてもお答えをいたしましたが、この条約そのものがいかによくできておりましても、やはりこれの運営の衝に当たるのは人であります。この人に趣旨、全文がよく理解されないと、いろいろ問題が起こりやすいのであります。そういう意味で、取り締まりをするほうにもまだまだ研究してもらわなければならぬものもありましょうし、また、漁業家自身にも両国関係の親善をそこなうようなことは一切しない、こういうことで事前に十分の理解のある処置をとることが望ましい、かように実は思うのであります。しかし、起きたことは起きたので、その処置についてそれぞれあと始末をしなければなりませんけれども、しかし、こういう事柄をひとつの苦い経験、それを同時にとうとい経験に生かしていく、こういうことで両国の関係者においても一そう緊密な連携をとって、そうして重ねてこういうような事件は起こさない、こういうことで本来の親善友好の姿、これを実現するように最善を尽くしていくべきだ、かように実は思っております。 当方におきましても、外務省はもちろんのこと、関係省等においてそれぞれ具体的な注意を促しておるのであります。韓国政府におきましても、おそらく私と同様の考え方で、本来の親善友好関係を樹立する、こういう大局的立場に立ちまして、そうして円滑な運営のできるよう一そう努力されることを心から願っておるような次第であります。
○向井長年君 いま総理から、今後の問題としての基本的な考え方を述べられましたが、ちょうど三十一日の予算委員会で外務大臣はいわゆる損害賠償、これを要求するということをはっきり言明いたしております。きのうの新聞——きょうの新聞でしたか、韓国の外務部長官は、とんでもないことだと、おこがましいと、こういうような言で発表されているようでございますが、この点についてどういう処置をとるんですか、その点明確にしていただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) やはり事実関係をよく明らかにして、しかる後そういう問題について考究する必要があると思うのであります。まだそういう手順を経ないうちに、私は損害賠償を必ず要求するというようなことは、そう申し上げていないはずでございますが、損害があって向こうに非があれば、それは勢い損害賠償ということになり得る、こう考えております。ただいまからどういう賠償要求をするかということは、まだその段階ではない。ただいま厳密に事実関係を取り調べておる、こういう次第でございます。
○向井長年君 この問題は非常に国民も関心を持っておりますから、政治的にうやむやにされるのではなかろうか、こういう危惧をいたしております。したがって、これはき然たる態度で外務省あるいはまた総理も臨んでいただきたいということを、この問題につきまして要望いたしておきます。 次に、先般の委員会におきまして、私が特に安全保障基本問題について政府の態度をお尋ねいたしました。その集約的課題は、今後のわが国の中国対策いかんということに問題がかかってくると思います。中国の核武装と核外交に、なおベトナムをめぐる米中ソ、この三国の権力闘争の中にあって、わが国が今後中国にどう対処していくか、こういう問題が最も大きな問題であろう。で、その道は二つしか私はないと思うのであります。それは何かというと、一つはいわゆる力と力の対決、一つは融和政策、こういう二つだと思います。で、力と力の対決は、これはアメリカがおそらくそれをとっておると思う。しかしながら、イギリスでは大体融和政策の方向をとっているんではないか。わが国はどちらを選ぼうとするのか、総理からひとつ答弁を願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは何度も申し上げたのでございますが、私の基本的態度は、自由を守り平和に徹する、そうしていずれの国とも仲よくする、いわゆる平和国家として特別な国を敵視する、こういうような政策は絶対にとらない したがいまして、そのためには日本には日本の行き方があるんだから、どうか独立を尊重し、お互いに内政に不干渉に、こういうことでありたい、こういうことを申しておるのであります。ただいま力の政策あるいは融和政策と、こういうような表現をされておりますが、ただいまの平和国家、この日本、これはもう力の政策でないことはよくおわかりだと思います。また、融和政策と、こういうようなことば自身が、特別に一つの優位性を認めるようなことばではなくて、私は平等互恵の立場において国際的な親善友好が進められる、また平和が維持されるということを念願いたしておる次第であります。
○向井長年君 そうすると、ただいまの中国、いわゆる中共でございますが、これはアジアにおいての大国として厳存する事実、これは総理認められますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、社会党の佐々木委員長にも実はそういう話をしたのですが、なるほど中国——中共、これは大きな国である、人口七億を持っておる、こういうことです。こういう大国主義というのは、しばしばいずれのところにか誤解を生じやすい、かように思います。国が独立する以上、大国も小国も、また低開発国も先進国も、そういうことは別に評価をかえるものではございませんので、どんなことがありましても互恵平等、そういう態度でなきゃならぬ、かように私は考えております。
○向井長年君 しからば総理、大体大国として認めるということであるならば、中共を一つの国家としてまず承認し、それから国連加盟の原則的な立場を打ち立てるべきであろうかと思いますが、この点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 中共の承認問題あるいは国連加入問題等はしばしば申し上げたのでございますが、ただいま私は別に在来の説明を変えるような考え方にはまだなっておりません。しかしながら、今後の問題につきましては、在来のとおりの考え方で押し通すのか、こう言って反論されれば、それらの点につきましては慎重に態度を決すると、こういう考え方でございます。
○向井長年君 いま私聞いておるのは、いま直ちにの問題を聞いておるのではなくて、原則的にどうだということを聞いておるんですから、原則論でひとつ答弁願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 原則論も直ちにもございません。とにかく現実論として私が日本の態度を申し上げておるのでございます。
○向井長年君 中共の国連加盟は、この秋、国連総会において最大の問題であろうと思います。で、政府のこれまでの重要事項方式ということを出しておられるわけでございますが、私たちの計算でいくと、これは必ず敗れる、こういう立場に私たち立っておる、見ておるわけです。少なくともそういう危険が非常に多いと思います。で、もしそうなってくると、国際舞台の中で日本が恥をかかなければならぬと、こういう結果になるかと思います、そういう結果になれば。ですからそういう意味から、政府は次の国連総会であくまでもこの問題を踏襲していく腹がまえを持っておるのか、それとも再検討を行なう気持ちがあるのか、この点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどもお答えいたしましたように、ただいま慎重に流動しておるその状態を把握しつつあるわけであります。
○向井長年君 その慎重というのは、いろいろな要素を含めて検討しておると、こういうことになるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 慎重はもう読んで字のごとく、これは御承知だと思いますが、これはまことに重大な事柄でございますし、特に隣国との問題でありますし、また条約上の権制義務もある国府と関連をすることであります。たいへん重大な意味を持つものでありますから、日本のきめ方はこれは慎重でなきゃならない、かように私考えております。そういう意味であらゆる点から考えておる。これは他の北欧における一国、あるいはアフリカ等における中共問題の見方と、私どもの見方はよほど違うのでありますから、そういう点も十分考えなきゃならぬ、かように思っておりまして、ただいま慎重な態度でこの問題に臨んでおるという状況でございます。
○向井長年君 これ、きょうの新聞に、イギリスで労働党が大勝いたしまして、この秋には英国の首相を招いて、そうして中国問題などを話し合いたい、こういうようなことが新聞に出ておりますが、これは事実ですか。外務省。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういうようなことも考慮のうちにあったのでございますが、新聞は少し先走って書いたのじゃないかと、こう思います。まだ決定しておりません。
○向井長年君 これは新聞が先走って書いたか知らぬが、いいことだと私たち見ておるのですがね、歓迎しておるのですがね、これは。これは大いに話し合っていただきたいと思います。ところが、特に中国問題につきましては、今度代表権の問題では、わが党は常に一つの中国、一つの台湾、こういう問題を出しておりますけれども、これはもう事実世界の自由陣営においてもそういう傾向があらわれてまいっておりますね、御承知のように。特に英国、カナダ、スカンジナビア諸国あるいはエール、フランス等におきましては中共を承認しておりますよ、これね。したがって、そういうような有力な国がそういう立場に立って、そういう一つの台湾あるいは一つの中国の分離という問題を、こういう形を持っておりますが、この点についてどういうふうな考え方をもって進もうとされるのか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いま総理がお答えになりましたとおり、きわめてわが国にとっては特に重大な問題であります。それで、結局まあ慎重にこれに対処するということになったのでありますが、これは何度お聞きになっても、それ以上出るわけにまいりません。最近そちこちでこの問題について、まあアメリカなんかでも論議が少し高まってきておるようであります。しかし、アメリカのこの問題に対する考え方がまだ変わったように私どもは見ておりませんけれども、とにかく二十年近い現実というものに立脚した論議が出てきておるということは、それ自体意味のある問題ではあると、こう考えております。わが国の立場に立ってこの問題を考えると同時に、国際の情勢にも十分に注意をして検討する上の参考にしたい、こういう態度でこの問題に対処している次第でございます。
○向井長年君 現に外務省ではそれを検討しておるでしょう。検討しておるでしょう。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 検討はいろいろなことを検討しております。この問題に限って急に検討し始めたということはございません。
○向井長年君 一つの中国、一つの台湾問題で検討しておるのじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) すべての問題をあらゆる角度から検討しております。
○向井長年君 もちろん心配は、中国も国府もこれは賛成しないだろうと、こういうことでいろいろあるかと思いますけれども、これはそういう考え方はおかしいと思うのですよ。これはそういうように承認さすような形にならなければうそだと思う。そのためにはやはりこれは分離をはっきりしてしまうのじゃなくて、一応そういう形をとって国連へ加盟さす、国府の存在という問題も認めなきゃならぬ、そういう中から将来一緒になり得る態勢をつくっていくと、こういうことでなければならぬと私は思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 貴重な参考意見として承っておきます。
○向井長年君 ちょっと、そういうことを検討していますかと聞いておるのですよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まああらゆる——この問題に関しましては、もういろいろ今後激しい流動状態に入るかもしれません。簡単にこの問題を割り切っていまからこれに対処するということは少し早計でございます。十分に慎重に問題を考慮いたします。
○向井長年君 私は、早晩、中共の国連代表権が実現すると思うのですよ。そういう場合に、国府の存在について総理はどういう考え方を持っておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどもちょっとお答えしたかと思いますが、国府は、御承知のように、私ども条約で国際的に権利、義務のある国でございます。この条約を締結しておる以上、国府に対しての国際的な権利も主張しますれば、同時に私どもの国際的義務もある、これは十分わきまえておるつもりであります。
○向井長年君 わきまえておるということは、そういう場合には国府の議席も確保しなければならぬ、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 問題がただいまのような結論になると、これはまたたいへんなのであります。そこをいま慎重に考えておるのでありまして、ただいま結論を出しておらないということを申し上げておきます。さらに私が申し上げたいのは、民主社会党は非常に勇敢に、一つの中国、一つの台湾ということを言っておられますが、日本は台湾並びに澎湖島を実は放棄したのであります。したがいまして、このことについてのいろいろな発言権が実はあるわけじゃございません。その分はぜひわきまえた行動をしなきゃならないと、かように実は私は思っておるのでありまして、この台湾、澎湖島というものを、日本がかつての領土であったこれを放棄した、こういう関係にあることをやはり念頭に置いて外交問題は処理していかなければならないと思うのであります。
○向井長年君 総理は、ことしの一月の一日に、朝日新聞の編集局長、鈴川さんですか、この人と対談を行なっておりますね。この中で、中共が国連加盟をすることは非常に望ましいというふうな歓迎のような談話ですよね。これを読んでみますと、結局、中共が国連の権威と機能を尊重し、そういう意味で中共の国連加盟が実現することは非常にいいことである、こういうようなことを言われておるわけですよ。それでよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私もこれはよほど考えて慎重にお答えしたつもりであります。ただいまのは、国連の権威、さらにこの趣旨に賛成して中共が入ってくるということが望ましいということを実は申したと、かようにいまだに記憶しております。
○向井長年君 そうすると一定の条件が整って進んで入るということであるならばいいと、こういうことですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) この正月に答えたとおりでございますが、私はただいままだ国連に対する加盟の結論を出しておるわけじゃございません。だからそれは抽象的な問題だと、かように御了承いただきたいのであります。
○向井長年君 歓迎されておるのじゃないですか、こういう条件であればいいことであるというふうに歓迎されておるように私はとるのですが……。
○国務大臣(佐藤榮作君) その条件が満たされるならばという、そういう条件つきのものであるということを十分御理解いただきたいのであります。
○向井長年君 条件というのはどういうことですか。どういう条件ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一月に申し上げましたとおり、国連の権威を承認し、国連の趣旨に賛同することが必要でございます。
○向井長年君 そういう場合に、先ほどのことですが、国連の存在あるいは国連の議席というものはどう考えられておるのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまさような満たされた状況でございませんから、仮定のことはお断わりいたしておきます。
○委員長(石原幹市郎君) 向井君、そろそろ時間が来ておりますからまとめる方向で……。
○向井長年君 総理、先ほどからいろいろ意見伺っておりますけれども、これは事実上一つの中国、一つの台湾と申しますか、そういう状況が欧州各国においても、あるいはまたアメリカの一部においてもそういう意向が強くなってきている。そういう中で若干容認したような、あるいは容認しないような答弁に私は聞こえるわけです。しかし、総理の心の奥底には、少なくとも今後その方向をとっていかざるを得ないであろう、こういうことを私は断定したいんですが、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君が断定されることは、右だろうが左だろうがけっこうでございます。しかし、私は先ほど来何度も申し上げておりますように、この事柄については慎重な態度で臨んでおります。誤解のないようにお願いいたします。
○向井長年君 どうして日本政府はそんなにその問題を慎重慎重と言うんですか。今度、秋ウィルソン首相を招いて、英国は中共を承認し、あるいは国連加盟賛成という立場でおると思いますが、こういう点についていつまで慎重でいくんですか、外務大臣。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだ最後の結論を、案として、この問題が一体どういう形においてことしの国連で展開されてまいりますか、そういうこともまだこれは未定でございますが、おそらく重要事項指定方式の問題も限界に来つつあるのではないかという議論もあります。これと反対の議論もある、むしろ反対の議論のほうが現実的である、こう言われてすらおるのであります。でありますから、この問題にこちらの考え方をまとめてこれに当面するという機会は、おそらくことし来ないだろう、じゃいつ来るかというようなまだ状態でありまして、これについていまから固定した考え方を定めるということは、私は何としても尚早である、こう考えます。この問題をめぐって、おそらく千変万化するような流動状態にだんだんにはなっていくと思うのであります。そういう問題を十分見きわめた上でこれに対処する、それが正しい行き方であると、こう考えます。
○委員長(石原幹市郎君) 向井君、質問まとめるほうに向けてください。
○向井長年君 大体その答弁が非常に不満足でございますが、結局、中国問題につきましては融和方向でいく、常にどの国とも仲よくする、こういう立場で総理はいつも答弁されておりますが、やはりそういう融和方向でいくとすれば、いま言うそういう問題もあわせてやはり日本政府として取り組まなければならぬのではないか、こういう感じでおるわけでございますが、この点について総理に最後にお願いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま中国問題はいろいろ流動しておる、国連におきましても先ほど向井君が御指摘になりますような議論がある、これは私どもも承知いたしております。しかし、ただいま、まだ結論出すべき段階で実はない、まあ出すべき段階でないということは取り消しますが、私自身まだ結論出さないで、ただいま慎重にこれと取り組んでおるところでございます。そうして、ただいまの態度といたしましては、いわゆる融和政策というような考え方じゃなく、政経分離の考え方と申しますか、その原則に立ってただいま交渉も持っておるわけであります。経済的にも交流は進める、あるいは文化的な交流もぜひとも進めていく、将来そういうようないわゆる積み重ね方式、こういうようにもいわれておるようでありますが、その善隣友好の関係を積み重ねで進めていこう、こういうような考え方でございます。
○向井長年君 時間がございませんので、最後に、ここに公取の委員長も来ておられますが、こういう不況時において、特に公取の機能を十分発揮しなきゃならぬ、こういう中から、先般も三十名の増員をいたしましたが、その点について、こういうことで十分機能が発揮できるのか、この点、公取委員長からお聞きしたいと思います。
○政府委員(北島武雄君) まだ十分とは存じておりません。
○向井長年君 総理府総務長官、先般三十名の増員をいたしましたが、この点、少なくとも一つの構想としては、いまは三十名増員いたしましても三百名程度、いまの構想としては、少なくとも六百名ぐらいにしなければならぬということをわれわれは聞いておるわけなんです。この点、責任ある長官の考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 来年度の予算で三十名増員ということは、いまの政府の予算編成のたてまえから見れば、相当思い切った措置をとったと思っております。しかし、いまの委員長のお話のように、現在まだ不十分であるという点は私どもよく認めております。漸次これは補充していきたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 向井君、すでに三分超過しましたので、終わりたいと思います。
○向井長年君 これで最後にします。 そこで、大蔵大臣、一応この機能を十分に発揮しようとするならば、約六百名程度、そういうことがいまの構想のようでございますが、公取委員長、あるいは、また、総理府総務長官も、これに対してはさらに増員を確保したい、こう言っているわけですが、少なくとも、他の公務員は縮減方向をとっているにいたしましても、こういう不況の中で不況カルテル等がたくさん各所にある。こういうすべての状態の中で、少なくとも、あと三百名ぐらいは、たいした人件費にならぬと思うのですよ、このくらいは早急にこれをつけるべきだと思うのですが、大蔵大臣の所見をお開きしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 三百名ぐらいは簡単かと言うが、金とするとそうむずかしい問題じゃございません。しかし、これはりっぱな人を集めなきゃならぬ、この要員の確保という点に非常にむずかしい点があるのでございます。もしこれが粗雑に行なわれるということになりますると、これはまたたいへんなことになる。公取は、御承知のように、きわめて重大な任務と権限を持っているわけでございます。それを行使する人というものはよほど吟味して集めなければならぬ、こういう問題があるのです。でありまするから、要員確保計画、そういうものとにらみ合わせながら私も協力をいたしていきたい、かように考えております。
○委員長(石原幹市郎君) 向井君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に、春日正一君。
○春日正一君 総括質問の最後に、政府の東南アジア政策についてお聞きしたいと思います。 第一番に、近く開かれる東南アジア閣僚会議に臨む政府の方針、参加国の名前、おもなる議題について御説明していただきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まず、参加国から申し上げますが、招請国としては、インドネシア、それからマレーシア、ビルマ、タイ、シンガポール、それから仏印三国、フィリピン、この九カ国に招請状を出したのであります。この九カ国をねらったのは、大体この地帯が非常に気候風土、その他万般にわたって共通点がある、こういうこと。そこで、この共通の問題に立脚して、お互いに連帯感を持って経済開発のために協力するという部面もかなりある。そういうわけでこの九カ国を問題にしたのであります。あとは、インドにしましてもパキスタンにしましても、あるいは台湾、 〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕 韓国、おのおのそれと違う点があるのでありまして、九カ国のうち、ただいまのところ、ビルマは非常なかたい態度で、多数国間の会議には一切出ないという態度をとっております。そうして事柄自体には賛成であるけれども、そういう会議に出ることだけはどうしても参加しないとしている。カンボジアは、政治的な考慮だろうと思いますが、これも日本との経済提携の問題については双手をあげて賛成しているが、今回の会議には出ない。インドネシアは、新政府になりましてから従来よりも柔軟な態度を示して、オブザーバーを送るということになっております。結局正式参加国とオブザーバーを入れて七カ国が集まることになっております。それの議題は、それぞれ経済開発の目標及びこれに関して、これをはばんでいる状況、主として開発の方法、手段というような問題になるかと思います。そういったようなことを議題とする予定であります。
○春日正一君 次に、朴政権が提唱しているアジア外相会議の性格、議題、参加国並びに日本政府のこれに対する方針、これをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 一昨年ぐらいから韓国が熱心に提唱している問題でありますが、昨年は終局的な参加を保留して、われわれは準備会議にオブザーバーを送ったわけであります。昨年はついに本会議開催に至らなかった。本年になって再びこの問題が提起されてきておりまして、日本といたしましては、国交を正常化したことでございますから、なるべくならばおつき合いをしたい。しかしながら、会議の議題、あるいは運営等、内容いかんによってはあるいは参加を保留しなければならぬかもしらぬ、こういう考え方でございまして、近く、五月バンコクにおいて開かれる準備会議には出席いたしますので、そこで十分に議題、運営その他の内容等を承知した上で最後の態度をきめたい、こういう考え方でございます。参加国ですが、これはオーストラリア、ニュージランド、それからフィリピン、タイ、マレーシア、国民政府。
○春日正一君 それで、けさの新聞を見ますと、この会議にベトナム問題を中心とする集団防衛常設機構が提案されたというようにいわれておりますけれども、こういう提案をされた場合に、日本はこれに参加するかどうか、この点をお聞きします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは結局準備会議において責任のある人々から、はたしてそういったような問題が出るということになるのかならぬのか、準備会議でありますから、そういう問題について突き詰めた論議はもちろんないと思いますけれども、準備会議に出た上でそういうような問題の取り扱いについて何かわかるような空気がそこにでき上がってくるかどうか、それもわからないのでありまして、こういうただ新聞に報道されたというぐらいの程度で、この問題についてはお答えは差し控えたいと思います。 〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕
○春日正一君 これは新聞でも書き立てておるし、もうしばらく前に韓国系の新聞もそういうことを書いておるし、これは非常に日本のこれから先の問題として大事な問題なんで、これから出るか出ないか、出たとこ勝負じゃなくて、そういう安保条約のほかに、さらに集団防衛体制というようなものに深入りしていく方針なのかどうか、そこを何なら総理大臣からでもお聞きしたいのですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それはいまどう追及されても、これ以上はお答えできません。
○春日正一君 答えられないというと、何かそういうものに入っていこうとするのじゃないかという疑いは、これははっきり残ると思います。そこで、こういう会議に、いまあげられた三カ国のほとんどすべてがアメリカに軍事基地を提供したり、ベトナム戦争に派兵し、あるいは協力しているいわゆる反共国家ばかりなんですね。だから、こういう会議が、結局事実上、一方は反共経済会議になるし、一方は反共政治会議になるのだというふうにいわれておりますけれども、この点について政府はどう考えておられますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 共産主義でない国が集まれば反共気勢をあげると限ったわけではないと思います。まだまだ建設主義に考えなければならぬことがたくさんあるのでありまして、今度の韓国の提唱する会議が反共の気勢をあげる会議になると、こう即断してかかることはいかがかと思います。それから、東京で開かれる東南アジア開発の閣僚会議は、これは全然政治的な意味はありません。したがって、反共経済会議などということは、とんでもないこれは見当違いの批判であります。
○春日正一君 では、去年まで足踏みておったアジア会議が急に発足することになったのですが、この事情を聞かしていただきたいのですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これはもう数年前から提唱された問題でありまして、結局いろいろエカフェを中心にしてこの問題を研究して域外に訴えた結果、自然に気運が醸成して今回の設立ということになったにすぎないというふうに私は承知しております。
○春日正一君 去年の四月七日のいわゆるジョンソンの提案、あれから具体化されたというように私ども考えているのですが、そこで、政府は、ジョンソンの東南アジア開発計画を非常に歓迎し、支持するという態度をとっておられますけれども、しかし、これと日本政府の進めておる東南アジア開発計画とのからみ合いですね、これはどうなっているか、そこのところをお聞きしたいのですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 開銀の問題と思いますが……。
○春日正一君 開銀でなく、政府が、ジョンソンの去年の四月七日のあの開発計画を歓迎しておられるのですが、これと日本のいま進めておる開発計画とどういうからみ合いになっているか、その関係ですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは純粋に、まず、当事国である東南アジア、これが、しかも、いろいろ気候、風土をはじめとして、非常に共通の面があります。産業もそのとおりであります。そういうわけで、連帯感を深くして、そしてお互いに励まし合って協力して開発の問題に取り組もう、こういうことがいかなる場合でも、これはスタートの根本だと思います。ただ、他動的にいろいろな経済協力を受けて、そしてそれをその場その場で使い果たしてしまうというようなことでは、これは開発にならない、まずもってみずから助ける、こういう体制を整える、日本も開発先進国とはいいますけれども、東南アジアに依存する部分が相当多いのであります。まあ同じ仲間で、その仲間同士でひとつ忌憚のない意見の交換をして、そして東南アジアみずからが立ち上がっておくれを取り返そうじゃないか、根性をひとつ確立して、そしてお互い知恵を出し合って、りっぱな開発上のアイディアをつくり上げていく、そうしていくということが何といっても何より必要である、こういう趣旨のもとにこの問題を取り上げてまいったような次第でございまして、ジョンソンの十億ドルの問題を横っちょににらみながらそれに食いつこうというような、そういうような気持ちでやったのではない、全然関係はございません。誤解のないようにお願いします。
○春日正一君 それではもっと具体的にお聞きしますけれども、ジョンソンの東南アジア開発計画、あるいは昨年四月七日のいわゆるベトナム和平の提案、つまりベトナム戦争の戦略転換といいますか、それとからみ合わせて打ち出されたものですよ。そしてこの特徴になっているのは、第一番に、アメリカが、アメリカ独自の計画の中に、エカフェの重点事業であるアジア開銀の創設だとか、ラオスのナムグムダムの建設というような、そういうものを組み入れて出してきている、これが一つの特徴だと思う。第二に、開発の重点として、南ベトナムの農村開発であるとか、米軍基地周辺の農村の電化、対ラオスの道路、ダムの建設、あるいはナムグムダムの建設というように、ベトナム侵略戦争の最前線になっておる地域、これが対象にされておる。そういう意味では、単なる経済開発ではなく、ベトナム侵略戦争と深い関連を持った計画だと思います。そういう立場から見ると、このジョンソン提案というものが、国連の機構、エカフェというもの、あるいはその計画をアメリカの東南アジア侵略戦争の道具にして、ベトナム侵略戦争の経済的基盤を強めていこうというようにしか考えられないですが、この計画に対して賛成しておいでになる政府の考え方はどうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) われわれは、夢にも考えたことのないようなことをいまお聞きするわけでございますが、そんな問題一切関係ありません。
○春日正一君 しかし、去年の七月の日米貿易経済合同委員会でラスク国務長官が、四月七日のジョンソン提案に対するアジア諸国の反応をつくり出す上に日本が主要な役割を演ずることを期待するという演説をしていますよ。これはあなたもお聞きになったのです。そうして、日本がジョンソン計画を支持したことに感謝しているということなら、これは知らぬとは申せませんよ。しかし、私は先へ行きます。 結局、それ御承知の上で、佐藤内閣の東南アジア政策というものが、このアメリカの期待にこたえる、つまり、アメリカが言ったんではアジアの諸国民があまり信用しないから、日本というニューフェースを出して、そうしてアメリカの計画を進めよう、こういう形でアメリカ帝国主義を助ける、そうしてその代償として東南アジアに日本の独占資本が進出していこう、こういうことになるのじゃないですか、その点どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ますます意外なことを伺うものであります。
○春日正一君 じゃ、別の話を聞きますが、四十一年度予算でナムグム・ダム開発の拠出金三億六千万円が計上されているのですが、これは贈与するのですか、あるいは投資、借款というようなものですか、性格はどういうもんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは借款でございます。
○春日正一君 昨年でしたか、一昨年でしたか、世界銀行の調査では、メコン開発計画は採算が合わない、だからやめるべきだというふうに発表されておったと思います。ところが、いまこれがそういう形で金を出してやろうということになると、採算が合わなくてもやるということなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま借款ですと申し上げましたが、間違いで、これは贈与でございます。アジア諸国に対しましては、借款で協力をするものもあります。あるいは贈与でやるものもあります。贈与でやる場合におきましては、やはり他の国のこれに対する出方というようなものを見るわけでありまするが、ナムグム・ダム、それからラオスの問題があります。それから最近ではインドの問題がある。またインドネシアの問題があります。それからベトナムの問題、そういうようなものがあります。それから借款で行ないます場合には、返済の計画等を十分検討いたしまして、条件はいろいろ違いまするけれども、回収を期待しながらやっております。
○春日正一君 ナムグム・ダムの資金ですね、これはジョンソンが、他の諸国が半分出すならアメリカも半分出そうと言っているのですね。そうすると、椎名外務大臣が御存じないというのはおかしな話です。それからこのナムグム・ダムをはじめとするメコン開発計画の対象地域ですね、これは御承知のように、いま戦争が行なわれておる地域、あるいはその隣接地域ということで、非常に危険なところですが、現に日本工営の調査団の連行事件、あるいは何とかいう、あの地域ではそういうものが起こっている。こういうような地域で開発計画が安全に進められるという保証があるのかどうか、この点政府はどうお考えですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 経済協力局長から。
○政府委員(西山昭君) 全部が現実の戦争地域ではございませんで、私どもはそういう危険なところには極力派遣しない。メコン川の流域におきましては、非常に広大な地域がございまして、サンボール計画とかその他、各国も調査団を出しているようなところもございまして、私どもはそういう点を念頭に置きまして、長期的な基礎で開発の計画の調査をやっておる次第でございます。
○委員長(石原幹市郎君) 春日君、時間が来ましたので、まとめる方向へひとつまとめていってください。
○春日正一君 去年の一月にアメリカがカンボジア政府に提示したメコン開発計画によりますと、計画の安全性を保つために国連軍の援助が要求される、それによって、アメリカは名誉ある撤退をし、この目標実現のため国連軍にあとをまかせることになろう、こう言っております。つまり、国連軍に治安を維持させながらそれをやろうという計画をはっきり出しております。椎名外務大臣が、昨年九月にニューヨークで、自衛隊の国連軍参加を検討すべきだというふうに発言されておるし、そうしてまた、この国会でも問題になって、国連協力法案をつくる必要があるというようなことを外務省筋から一番先に火の手が上がったということを考えてみますと、この国連軍派遣の問題というのはアメリカのこういう考え方に深い関係があるんじゃないかというように思うのですが、どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本が加盟国の一員として国連軍に協力し得る現実の問題としては、まあローデシアの経済対策、そういったようなものでございますが、これも法律がなければはっきりした処置は非常にむずかしい。それから憲法問題として、自衛隊を派遣し得る問題——しかし自衛隊それ自身の制約がございますけれども、憲法問題として考えられるのは、軍事力を用いないで、軍事上の知識を持った人が平和ラインを監視するとかというような場合の派遣がようやく考えられるけれども、しかし、これは憲法上許されるが、現実の国内法というものがあるから、これも非常にむずかしい問題である、こういったようなことを私は折につけて国会において答弁を申し上げておるのでありまして、いまあなたの言われる、アメリカ軍が引き揚げてそのあとを国連軍にというふうなことは、私は考えてみたこともございませんし、そういうようなことは、いわゆる監視員を派遣するぐらいがせいぜい考えられるところだという日本の状態から言うと、まるでかけ離れたことでございまして、何らの関係はない。のみならず、さようなことは全然われわれは情報として知っておりません。
○委員長(石原幹市郎君) 春日君、もう一問で結論を出してください。(「結論はだめだ」と呼ぶ者あり)
○春日正一君 民社は四分超過しているから、それはいいことになっている。 この問題について、政府は、いかなる名称を問わず、自衛隊の海外派兵を断わると、国会で統一見解を発表されたのですが、その際、やはりあいまいさが残っておったと思います。法制局長官の解釈その他からいっても、まあ自衛隊の派兵は困るけれども、しかし監視団その他への参加、派遣なら差しつかえない、いまの法でもできるという解釈だったと思います。そこに非常にあいまいな何かあぶないものが残る。椎名外務大臣もいまの答弁で、まあ監視団ぐらいというふうに言われておりますけれども、さっき言ったような状況、そういうことを考えてみますと、たとえ少数の自衛隊であろうと、それが監視団という名目で出ていこうと、やはり事がだんだん広がって派兵ということに発展していく、この危険というものは絶えずつきまとうわけであります。だから、そうした意味で、政府はこの際、国連軍あるいは国連監視団というようないかなる名目によっても、そういうところへは自衛隊を派遣しないというようにはっきりしていただきたいと思うのですけれども、どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういうことはできません。
○委員長(石原幹市郎君) もう三分超過しましたから、これで終わります。
○春日正一君 まあいままでの質問した状況証拠によりますと、佐藤内閣の東南アジア政策というものが、日米安保条約によって日本に軍国主義を復活し、アメリカのベトナム侵略戦争、中国封じ込め政策に進んで協力しながら、これを通じて東南アジアへ進出をはかろう、そういうものだというふうに思います。これは、独立、民主主義、平和、生活の安定を求めておる日本人民の要求にそむき、将来必ず日本に大きな災いをもたらす、必ずそうなるというふうに思います。だから、アジアの平和と日本の安全を守る、そうして当面の経済困難を打開していくというためにも、やはり安保条約を守っての東南アジア対策ではなくて、安保条約を破棄して、中国、朝鮮、ベトナムなどアジアの社会主義諸国との国交の正常化もやり、貿易も発展させるという方向をとるべきだと思います。このことを特に指摘して……。
○委員長(石原幹市郎君) 春日君、もうはるかに超過いたしました。
○春日正一君 私の質問を終わらしていただきます。
○委員長(石原幹市郎君) 春日君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に石本茂君。
○石本茂君 私は、医療政策上のことにしぼりまして質問をいたします。 まず初めに総理にお尋ねしたいのでございますが、総理はしばしば国民の生命尊重の政治をと申されておりますけれども、これを政治、政策の面でどのようなところに重点的に置かれておりますのか、お伺いしたいのでございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 人間尊重、また生命のとうとさを十分にわきまえて、そうしてこれを確保する、これが政治の基本理念でございます。したがいまして、あらゆる面においてこれが具体化されるように進めております。
○石本茂君 あらゆる一面にとのおことばでございますが、現在多くの国民の皆さまは、せめて病気になったときぐらいは安心をして治療も受けたいし、よい療養の生活もしたいと申されております。ところが、現実はなかなかそうはいっておりませんで、むしろ反対に、最低と申しては語弊があるかもわかりませんが、そういう治療の中で、もっともっと安い看護を受けておりますのが現実の医療の現場の実態でございます。しかもこれは、その医療現場にあります看護婦等の犠牲の上に立ってその程度のことしかできないというような状態にありますが、これは政治政策ではなくして、むしろ経営者の考えがきまっているということでございましょうか、重ねてお尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 具体的な問題で、医療制度についての御意見でございますが、私ども国民皆保険を実施しておると、これがまだまだ不十分だと、こういう御指摘でございますが、この上とも内容を充実するように努力してまいりたいと思っております。
○石本茂君 厚生大臣にお尋ねをしたいのでございますが、いま総理も申されましたように、国民皆保険のたてまえからしましても、現在の保健衛生、特に先ほど申しました医療現場のこの混乱した実態につきましてどのように考えておられますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国民の医療に従事いたしておりまする保健婦さん、あるいは助産婦さん、また看護婦さん等の看護職員の方々、こういう方々は、非常に重要なお仕事をしておるのでありますが、ただいまのところ、数におきましても十分確保されておりません。そのために、しばしば労働条件等につきまして御無理をお願いせにゃいかぬ事態も起こっておるのでございます。また、待遇の面につきましても、私ども従来から、一般の公務員等に比べまして給与改善の際にはできるだけの改善をいたしたいということで努力を重ねておるのでありますが、今後ともこの努力を重ねてまいりたいと存じます。
○石本茂君 いま厚生大臣も、医療従事者が非常に不足をしているということをおっしゃいましたが、この不足の対策等につきまして、四十一年度予算の背景でどのように配慮されてありますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 保健婦さん、助産婦さん、看護婦さん等の養成確保をはかりますために、四十一年度の予算におきましては、施設整備費及び教材整備費といたしまして一億八百万円、また、これらの方々の、看護婦さんの就学資金としまして七千万円を計上をいたしております。また、医学、医術の向上、進歩に即応いたしまして、十分な看護職員の資質の向上をはかりますために、専任教員の養成、これは六カ月程度の研修でございますが、そういうことにも努力を払っておるのであります。また、現在就業されております看護婦さんの再教育、研修、そういう意味で、講習会等を従前からいたしておるのでありますが、四十一年度からは、開業の助産婦さんにつきましてもそういう講習会等をやってまいる考えでございます。
○石本茂君 いま教育等のことにつきましてもいろいろ配慮されておるということでございますが、現在、保健婦、助産婦、看護婦等の教育でございますが、これは、大臣も御承知のように、各種学校と申しましても、高等学校を出た者が三年ないしは四年の教育を必要としているのでございますが、この教育がこのようなままで放置されてよろしいものかどうかという御見解を一つ。もう一つ、こういう学校の教師のために何ら現在のところ国家の措置をしていない。ただ同じ、同等、同権、同格の者が、ただ年功で、できるということで教えておりますけれども、こういうことでたとえ各種学校でありましてもよろしいものかどうか、その辺の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 看護婦等の養成のためには、国立の病院、あるいは療養所、また都道府県の公立の病院等におきまして、養成所を付置いたしまして養成をお願いいたしておるのであります。また、民間の養成機関に対しましては、設備をいたします際には、その施設費につきまして長期低利の資金を融資をするというようなことで、その助長をはかっておる次第でございます。
○石本茂君 このような教育の関連におきまして、文部大臣にお伺いしたいのでございますが、医師、薬剤師、歯科医師の方々とともに国民の保健衛生について非常に重要な末端行政の面で役割りをいたしておりますのが保健婦、助産婦、看護婦等でございます。先ほど申しましたように、高等学校を出てさらに三年以上の教育を受けなければ、その仕事に従事することが困難な状況にございますが、これらの人方を文部省の学校教育法第一条によりますところの大学教育等に将来お乗せいただく意思がおありでございますかどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) 現在は、御承知のとおり、各種学校は大部分で二百七十校ほどございますが、短期大学あるいは大学等も一部ございます。私どもとしましては、現在高等学校に数多くの衛生看護科をつくって准看を養成しておりますが、これらの教師の確保ということもありますし、それから同じ高校を出て各種学校に三年からの勉強や修業をなさる、こういう状況にございますから、これを高等教育として今後どういうぐあいにしてまいるべきか、こういう点につきましては、十分に研究をいたしたいと思います。実は四十一年度におきましても、予算概算要求の際には、東北及び東京、九州等に大学に短大設置を計画してみたのでありますが、まず実行されておりませんけれども、今後そういう点については十分に研究をしてみたいと思っております。
○石本茂君 ただいま文部大臣が、これらの教育のために相当程度意を用いておられますけれども、四十一年度予算におきましても、その教育はゼロの査定に終わったということでございますが、私はここでもう一つすでに四年制大学あるいは三年制の短期大学として正式な条件において設立されております看護学校が十指を数えていると思います。ところが、こうした学校の専門の教育をいたします看護婦等につきまして、それらの学校に見合う教師の育成が全然なされておりませんのでございますが、これにつきまして文部省、国の責任においてどのように考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) 看護婦さんの養成は、基本的な問題もございますが、同時に相当実習等も幅広くやりませんとできませんので、したがって国立あるいは公立、私立等の大学に付置された各種学校でおもにやってきておりますが、将来としては、そういう看護婦養成の諸学校の教師を養成するということをどうしても考えなきゃなりません。そこで、本年の計画としましては熊本大学に看護学科を設けることにいたしましたが、将来もこういう点についてはなお検討をしていかなければならない、かように考えております。
○石本茂君 次に、労働大臣にお尋ねしたいのでございますが、現在女子労働者の労働条件は非常に改善されまして、たいへん喜んでいるところでございますが、最近労働力の調整ということもあってと思いますが、若年の退職、いわゆる非常に若いうちに退職の勧奨がありましたり、あるいは採用の制限などが出てきておりますので、これにつきまして労働大臣どのようにお考えになっておられますか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(小平久雄君) 女子の労働力というものは、現在非常に比重が大きくなってまいりまして、全体の労働者の約三分の一が女子である。しこうしてそのうち家庭を持った人がまた約三分の一、年齢的に申しますと、逐次平均年齢は上がってまいっておる、こういう概要になっております。そこで、その間若い方の退職の率というようなものも、これは全般的に最近は実はこういう経済状況の関係もありましょうが、比較的移動率が鈍化したと申しますか、そういう傾向に一般的にあるようであります。今後の課題としましては、先般の雇用審議会でも、女子の労働力というものは単なる男子の代替物というような考えを捨てて、今度御提案申し上げております雇用対策法においても、女子の労働問題というものを、一つの柱として別個に考えるべきである、こういったような答申もいただいているほどでございまして、私どもといたしましても、女子が安定した職場で能力を十分発揮できるように、また家庭を持っておられる御婦人に対しましては、職場の責任というものと家庭の責任というものが調和し得るように、そういう点に留意しながら、雇用対策その他女子の就労について各般の施策を強力にやってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○石本茂君 関連でございますが、女子労働者の中で業務の特性に従いまして、現在深夜勤務、あるいはせっかくきめてございます労働時間、あるいは休憩、休息というようなものが十分にまともにとれないで、非常に劣悪な労働条件下にあります職種もございます。そういう女子労働者も相当数おります。特に例をあげますと、現在の病院等におります看護婦などが、非常にみじめな状態の中で仕事をしているのでございますが、これらの一部特定な職種にあります女子の労働者につきまして、現在あります関連法規、たとえば深夜勤務等の割り増し賃金等でございますとか、そういう関連的なもので労働条件の改善をはかりますためのものについて、抜本的に改正なさるような御意思がございますかどうか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(小平久雄君) 現行法の改正の意思があるかということでございますが、たとえば看護婦さんの夜勤というようなことが、労働省が行ないました実態調査から申しますと、大体五回以上、多いところでは月に十回をこしているというようなケースもあるようでございまして、こういう点から考えて、女子の夜勤というものが健康上どういう影響があるかというような点は、産業衛生試験所等においてこれを研究いたしまして、この結果によっては、あるいは法の改正ということも必要かと思いますが、当面といたしましては、むしろ現行の基準法を正確に守ってもらうということがまず必要であり、そこに力を入れることが大切なんではなかろうか。労働省でもこの保健衛生関係の施設に対しましては、特に監督指導というものを厳粛に従来もやってまいりましたが、その結果によると、必ずしも現行法すら正確に守られておらぬといううらみも現にございます。こういう点では、厚生省とも十分連絡をとりまして、当面これが励行をぜひやってもらいたい、かように考えておるところでございます。
○石本茂君 厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、昨年の八月に人事院が勧告いたしましたのが、公務員であります看護婦等の労働条件の改善についてでございました。このことは今年度四十一年度予算の背景におきまして、国立病院、国立療養所等の看護勤務待遇にどのような御配慮をされましたか、お伺いをしたいと思うのであります。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま御質問がありましたように、主として看護婦の夜間勤務の改善につきましての人事院の判定があったわけでございます。私どもはこの人事院の判定の趣旨を尊重いたしまして、直ちに改善できますものから逐次これを実施に移してまいりたいと、このように考えておるわけであります。 そこで、この夜間の勤務体制を整備いたします前提といたしまして、緊急時の連絡設備あるいは仮眠室の整備等、そういう夜勤体制を整えるということにいたしたいと考えまして、その整備費に三千三百三十四万円を計上いたしております。それから従来から夜勤手当が出ておるわけでありますが、四十年の八月から特殊の勤務手当といたしまして、夜間看護手当を一回につきまして百円ずつ支給をする、こういうことにいたしておるのであります。そこで判定に対してでございますが、まず夜勤回数を逐次減少してまいりますために欠員補充はぜひこれを行ないたいということで、その確保をはかっておるのであります。 それから第二の点といたしまして、一人夜勤の改善策の問題でございますが、一人夜勤でどうにかやっていけるこういう看護単位につきましては、先ほど申し上げましたように、勤務環境を整備をするということにつとめまして、その勤務がやりやすいように改善をしてまいるのであります。それから二人勤務を必要とする看護単位につきましては、適正な職員の配置、患者の合理的な収容、こういうことをはかることにいたしまして、二人夜勤体制を整えてまいる考えであります。 それから第三の休憩休息時間の明示についてでありますが、これは昼間の勤務の場合あるいは二人夜間勤務の場合には明示するように指導をいたしておるのであります。一人夜勤の場合も業務の繁閑等を縫いまして、実質的にこの実があがるように指導してまいりたいと考えております。 それから第四の点は、産後の方の夜間看護を禁止するという問題でありますが、これは昼間の勤務その他に配置転換をいたしまして、夜間の勤務がなされないように指導をいたしておるところでございます。
○石本茂君 いろいろお話を承りましたが、まず百円という単価がどのような条件において、どのような調査あたりにおいて出ましたものか、それをひとつ承りたいと思いますことと、それからいろいろ措置しようとなさっておることはわかりましたが、人員増加がない限りは、神さまでない限りは、とてもできない現状だと思うのでございますが、人員の増についてはどのように配慮されましたか、この二つお伺いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国立病院、療養所全体で見てまいりますと、現在千五百七十看護単位がございますが、その中で変則二交代制を実施いたしておりますものが百七単位ございます。これは施設の数でまいりますと二百六十五カ所のうち二十四施設が変則二交代制をとっておる、こういうことでございますので、私どもできるだけ早急に人員を確保いたしまして、この変則二交代制をなくするようにやってまいる所存でございます。
○石本茂君 最後に、私一言総理大臣に御見解を承りたいと思いますことは、近年盛んに国土開発でございますとか、産業開発でございますとか、あるいは社会開発でございますとかいうことで、開発ということが非常に叫ばれておりますし、事実そのことによって多くのことが進展しておりますことは承知しております。おりますが、これら開発ということの原動力でありますと同時に、最大の基礎的な資源とも考えられますのは、いわゆる肉体的にも精神的にも健全な国民の一人一人ではないかと思うものでございますし、これは何人も否定なさるものではないと私は思うのでございますが、人間の生まれましてから死ぬまでの一生におきまして、最も幸いな状態といいますのは、常に健康であるということだと思います。こうした意味合いにおきまして、国民の健康管理の責任を持っておりますところのわが国の医療の現場の実態、それをつぶさに見ますと、実に寒心にたえないような事実が山ほどあるわけでございます。で、こうしたようなことを政治の中で、保健衛生あるいは医療そのものが非常に軽視されているということにほかならないように思うわけでございますが、またそういう保健衛生そのものの行政の厚さと同時に、この仕事に従事いたしますところの人々、いわゆる医師、歯科医師、薬剤師をはじめといたしまして、特に保健婦、助産婦、看護婦等第一線の現場の中で先兵として働いております者の身分、待遇、そうして教育、あらゆるものがいまのような状態に置かれておりましたのでは、国民は決してしあわせに医療そのものをお受けになることは困難であろうかと信じておる一人でございます。そういうような意味合いを含めまして、どうぞ国家の円満な完全な発展をはかっていただきますためにも、こうした方面にも特別の配慮をちょうだいしたいと思うのでございますが、このことにつきまして御見解のほどを一言承っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 ただいま最も大事なことは健康ではないかと、申すまでもなく人間尊重、またその才能を十二分に発揮する、開発する、こういうことが最も大事でございます。そういう意味で、健康は特に注意しなければならないことであります。厚生行政のうちで特にそういう意味で力をいたされておりますいろいろの保険制度なりまた保障制度なりも、ただいま申し上げるような点に集中されておると思います。しかしこれらに従事される、まあ聖職に従事されるといいますか、本来の仕事に従事される方、医師、薬剤師等はじめといたしまして、その待遇が充実するように特に気をつけなければならないと思います。私は医師、薬剤師とただいま申しましたが、比較的これらの職種にある方はまだ恵まれているんじゃないだろうかと、かように思いますが、しかしさらに保健婦、助産婦、看護婦等になりますと、なかなかその待遇も十分ではございません。ことに最近のこれらの方々の担当される職業、その地位について、私どももいろいろ同情するのでありますが、ほんとうに人のきらうような、病気によりましては、ずいぶん不幸な病気もございます。最も言われておりますものは、かつてのらい病というようなものになれば、ほんとうにみじめな病気でございます。こういうものについて、これがやはり看護される、また手当てをされる。ただいまインドにおきまして救らいに挺身をしている日本の医療団には、同時に看護婦さんも出かけておられますが、非常な評判で、こういう事柄もほんとうにいとわずに献身的に努力しておられる。また、最近問題になりました重疾心身障害児、これらの看護等になりますと、これも普通の者としては、非常に特別の理解あるいは人類愛に徹しないと、十分の看護が尽くせないものだ、かように思います。こういうような事柄に、こういうような職業に従事される方々、これに対する報酬と申しますか、そういうものが、はたして、われわれも感謝をしながらも、これで十分だとはまだ言えない。ことに私の心配しておりますのは、病院その他をつくることは、金をかければできますが、ただいま申し上げるように、普通の者としてなかなか、選ぶなら他の職業を選びたい、もっと自分たちも普通の状況で、また、清潔な状況で、まあ看護自身も楽しめるような方向にいきたいという、まあ職業選択の自由はございますが、しかし、ただいま申し上げるような病気、あるいは心身障害児等の看護等、これはどうしても必要がございます。そういう人たちを確保すること、これはたいへんな悩みでございます。厚生大臣、厚生省におきましても、特に留意をいたしております。しかし、それが先ほど来の話しを聞いてみましても、待遇も十分ではないし、また、これらの者を確保するための教育等においても、なお不十分だ、こういうような御指摘がございました。今後とも、一そうそれらの点について特別な考慮を払うべく、担当者を督励したい、かように私は思っておる次第でございます。十分すぐ御期待に沿うようなわけにはなかなかいかないだろうと思いますけれども、ただ私どもは皆さま方にぜひ理解していただきたいのは、政府もこういうような事柄について、不十分ながら考えているのだ、また、理解を持ってこれに取り組んでいるのだ、このことはひとつお考え、御理解をいただいて、そして政府を鞭撻していただきたい、かようにお願いをいたしておきます。
○委員長(石原幹市郎君) 石本君の質疑は終了をいたしました。 以上をもちまして、締めくくりの総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって、総予算三案の質疑は終局したものと認めます。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) これより三案の討論に入ります。通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。 まず、亀田 得治君。
○亀田得治君 私は日本社会党を代表して、四十一年度予算三案に反対するものであります。 政府は不況打開の名のもとに、一般会計では七千三百億円の国債、財政投融資では四千億の政保債を含めて、一般会計で前年度比約一八%増、財政投融資で二五%増の大型予算を編成したが、これは放漫な物価値上げ政策とともに、一そうのインフレ、物価高を刺激し、実質上の景気回復に役立たないばかりか、経済と社会のひずみを激化させ、矛盾を拡大するにすぎません。この予算案は、独占価格の維持、弱小企業の整理、賃金ストップと合理化によって産業再編成をねらう財界の不況脱出に奉仕し、不況のしわ寄せを労働者、農民、中小零細企業者に押しつけようとするものであります。この予算は、一部資産階級には富民予算であり、国民大衆には窮民予算であると言わなければなりません。 以下、特に五つの点を指摘したいと思います。 第一は、建設国債の実質は赤字国債であるという点であります。 政府は、建設国債と称し七千三百億を出すわけでありますが、しかしながら、河川、道路、住宅など、いわゆる公共事業費の増額は、全体で一千四百億円にすぎないのであります。すなわち、国債による新しい財源の大半は、防衛費とか対韓債務の処理まで含めて、歳出の各項目に総花的に割り振られ、建設とは名前だけであって、実質的には赤字国債であると言わなければなりません。 第二に、日銀引き受けは必至である点について申し上げます。 大蔵大臣は、四十年度の歳入補てん国債及び四十一年度の建設国債の市中消化を約束いたしております。しかし、貸し出し過多となっておる現在の市中金融機関の状況では、四十年、四十一年度国債九千九百億円を中心とし、増大する政保債、地方債などを消化する余裕資金を持たないのであります。特に日銀からの借り入れとコール資金の取り入れで二兆五千億にのぼると言われる外部負債を背負っている都市銀行には、その余裕がありません。もし市中消化を忠実に行なえば、民間産業資金需要と競合して、金融は窮迫し、結局、買いオペや貸し出しで日銀の信用を膨張させ、実質的には日銀引き受けと異ならないことになることは必至であると言わなければなりません。 第三点、物価対策について。 政府は物価抑制の熱意が足りないだけでなく、逆に計画的にその引き上げを行なっております。そのため、貨幣価値の減価によって、企業の負債は軽減されるが、国民の貯蓄は収奪されることになります。物価は昭和四十年度は約七・五%上昇し、四十一年度も、現在のごときやり方では、政府の言うごとく五・一五%に押えることはとうてい不可能でありまして、このような物価上昇は、予算規模拡大の大半を吸収し、期待される需要増の効果を減殺するでありましょう。ことしに入って、すでに消費者米価、国鉄旅客運賃の値上げが行なわれ、さらに医療費の引き上げ、私鉄通貨や郵便料金などの値上げも加えれば、国民負担の増加はそれだけでも四千億をこえるのであります。わずか千二百億の所得税の減税も全く無意味なものになってしまうのであります。 第四点、減税について。 昭和四十一年度の国税収入見積もりは、これを四十年度補正による税収修正後の見積もり三兆二百八十七億円に比べると、四十一年度減税前の税収見積もり三兆三千九百五十四億円は、実に三千六百八十七億円の自然増を見込んでいることとなって、四十一年度は大減税どころか、実質的には大増税になると言わなければなりません。なるほど、企業課税は四十年度において千四百億が減収となり、四十一年度も政府は法人税のたいした伸びを期待していないとすれば、この膨大な自然増収の大半は所得税、間接税など、大衆課税にその多くを期待する結果となるのでありましょう。この自然増収をささえるものが、物価上昇による名目成長であるとすれば、政府の減税政策なるものは、企業には確実な減税、大衆には名目減税、実質大増税を意味するものとなるのであります。 最後に、地方財政につきまして。 政府の七千三百億円の国債発行による減税と公共事業費増額は、一方では、地方自治体の税収を減少させ、他方では、地方自治体の公共事業費負担を増加させ、四十一年度において三千億をこえる地方財政赤字が避けられないのであります。しかるに、政府の地方財政対策は、臨時特例交付金四百十四億の計上と、地方交付税のわずか二・五%引き上げにすぎず、その他を特別地方債によってお茶を濁しているにすぎないのでありますが、このようなどろなわの対策では、地方財政はいよいよ自主性を失い、住民福祉は犠牲にされること必至でおります。 以上、五点だけを特に指摘をいたしまして、本案に反対するものであります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 次に、白井勇君。
○白井勇君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十一年度一般会計予算ほか二案に対し、賛成の意を表明するものであります。 本委員会においては、数々の重要な審議が行なわれたのでありますが、特に感銘を受けました一つは、総理が昭和四十年代というより、新たに迎えんといたしまする二十一世紀のわが日本の目標を示されたことであります。すなわち、「繁栄と平和に満ちた光輝ある日本の建設」、「繁栄と平和に満ちた光輝ある日本の建設、この目標のもとに、各界各層ともどもに手に手を携えまして邁進しよう」と、全国民に呼びかけられたことであります。総理のこの目標、この願望のもとに、国民がひとしく希望にあふれて、日々の生活をたくましく築きあげられますような政治でありたいと、ひたすらにこいねがうものであります。しかし、この高い理想を目標にするにいたしましても、まず何よりも足もとを強固にしなければなりません。それには、久しく続いた現下の不況を克服いたしまするとともに、経済、社会各部門の均衡のある発展をはかりながら、物価の安定を主軸とする安定成長路線の確立こそが、今日の緊急事であります。したがって、政府から提出されました昭和四十一年度予算案は、わが国経済が直面しているこれらの課題に正面から取り組み、かつて見ない積極的な、かつ、きめのこまかい諸施策を盛り込んだものであります。 すなわち、第一に、戦後初めての本格的な公債政策を導入することにより、財政規模を積極的に拡大していることであります。 第二には、国税、地方税を通じまして、平年度三千六百億円に達しまする未曾有の大幅減税を断行していることであります。 第三には、現下の国民生活及び国民経済の要請にこたえ、予算及び財政投融資計画を通じまして、当面の緊要な政策に対し、財源の重点的な配分を行なっていることであります。 第四は、物価対策でありまするが、当面の重要な物価対策といたしましては、流通機構の整備、機雷水産物の安定的供給、地価安城対策、公正取引の確保、消費者行政の強化等の総合的な施策を推進するとともに、構造的な物価対策としましては、輸送手段、農林漁業、環境衛生関係業等の近代化、合理化を企図しているのであります。 以上、四項目のねらいと、その内容の詳細につきましては、当委員会におきまして、繰り返し繰り返し述べられました政府側の説明で明らかでありますので、私からさらにことばを重ねまするむだは避けたいと思います。 この画期的な政府の予算案に対しまして、一部に誤解と批判があるようでありまするが、たとえば、公債の発行はインフレと物価の騰貴に拍車をかけるものでありまするとか、不況の克服どころか、一そうの不況の深刻化、長期化を来たすものであるとか、公債の発行は年々拡大の一途をたどり、軍事公債の性質を持つに至るであろう等々であります。こうした批判も、国の将来を憂うるあまりのものと敬意を表する面もあるのでありまするが、これらに対しましても、政府側から明快にして懇切丁寧な説明があり、大かたの誤解は消え去ったようでありまするので、私からこれらに対しまする解説、反駁を加えることも、この際は省略いたしたいと思います。 重ねて申し上げまするが、政府は時局の動向にかんがみ、今回、従来の均衡財政から脱皮して、公債発行によって、社会開発を中心とする諸施策を推進するとともに、国民大衆の税負担を軽減して、現下の不況を乗り越えて、経済の安定成長と国民生活の充実向上を企図したものであり、まことに適切な予算でありまして、心から賛意を表する次第であります。 最後に、私は、次の三点を強く政府に要望するものであります。 その第一は、申すまでもないことでありまするが、政治は美辞麗句にとどまってはならないことであります。あくまでも行動であり実行であります。幸い、現政府におきましては、多年の懸案でありましたILO、農地報償、日韓問題等を解決されました。国民はその実行力を高く評価をし、また、今後に大きく期待をしておるのであります。この期待にこたえて、特に物価対策等につきましては、国民のはだに感ずるあたたかい政治を実行してもらいたいのであります。 第二番目は、フィスカル。ポリシー、いわゆる補整的財政政策の展開に踏み切った今日、今後の財政と金融の調和のとれました運営が肝要であろうと思うのであります。それには、広く聞くべきは聞き、衆知を集め、先下先手と適時適切な措置を講じまして、いやしくも、当委員会において危惧されましたような事態を惹起することのないように善処せられたいのであります。 第三は、物価対策についてでありまするが、いたずらに物価問題の分析に明け暮れ、きのうも検討、きょうも検討、あすもまた検討ではどうにもなりませんし、言いわけに終始しても始まらないのであります。各省、各大百は物価対策に対しまする総理の強い御決意のほどを体しまして、勇断をもって事に当たり、一つ一つその解決をはかってもらいたいのであります。特に、政府の管掌下にありまする事業につきましては、その近代化、合理化を断行して、範を天下に示すべきものであると考えます。先ほど大蔵大臣は、物価問題は本日をもって解消することにしたい、と宣言されたのでありまするが、そうだといたしますれば、今後物価対策上必要な経費は、惜しみなくお出しくださるものと期待をいたしまして、私の賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 次に鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十一年度一般会計予算案外二予算案に対して、反対の立場から討論を行なうものであります。 反対の第一の理由は、予算の性格についてであります。政府は、今回の予算編成にあたり、政治課題はいわゆる不況克服と同時に物価安定にあると称しており、そのために、思い切った積極的な大型予算を編成し、公債導入あるいはまた大幅減税を断行し、有効需要を喚起し、現在の不況克服に取り組んでいると、このように説明しているのでありますが、そのため、新年度の日本経済は財政の力によって景気を回復しようというフィスカル。ポリシーに初めて着手し、経済史に画期的な一ページをしるそうとしているのであります。しかし、このようなフィスカルポリシーは、一面には計画的に予算規模をきめ得ることが大前提でありますが、現在のわが国の予算編成の実情は、相変わらず予算のぶんどり競争、圧力団体の横行を許して、たとえば復活折衝の段階で恩給増額などが突然飛び出し、相当額を獲得するなどの例があるのであります。結局、フィスカルポリシーの名のもとに、従来にも増して放漫政策への道を開いたにすぎないのであります。ここで一つ一つ批判することは時間がありませんので省略いたしますが、真に財政を通じて国民出活を守るというのであれば、圧力の弱いもの、声の小さいものへの配慮を除外して、選挙含みの予算がまかり通る無為無策は許せないのであります。ともかく、不況を克服し物価を抑制して、経済を順調な成長軌道に乗せることが財政政策の中心であるというなら、これを明確に予算の中に示し、盛り込むことができなかった四十一年度予算は最大の欠陥を持ったものであり、大男総身に知恵が回りかねるという惑を呈しておると言ってよく、これが本予算案に対し反対する第一の理由であります。 反対の第二の理由は、減税が少ないということであります。政府は、史上最大の規模と自賛しておりますが、なるほど国税地方税合わせて初年度二千四百三十七億円、平年度三千五百八十二億円という減税は、額では史上最高かもしれませんが、その実情は政府が宣伝するほど大きなものではないからであります。 その第一は、かつて政府は、昭和三十年度の一兆円予算のとき、一千億円の減税を行なったことがあり、それより考えると、今回は四千億円以上を減税規模にして初めて史上最大と言えるはずであるからであります。 その第二は、現在個人支出は約十五兆円と見られ、かりに消費者物価が七・五%上昇したとすれば、約一兆円の減税をしなければ、実質消費支出を維持できない計算になるからであります。 その第三は、巨額な公債発行により、そのマイナス効果、公共料金などの値上げにより、たとえ初年度一千二百八十九億円の所得減税が行なわれたとしても、逆に三千五百億円余余分に収奪される結果となり、実質的に大幅な増税となったと見られるからであります。 このように見てまいりますと、今度の減税は、選挙含みであちこち顔を立てた形跡が濃く、所得税減税による国民消費の底上げという根本的なところにじっくりと取り組んだ姿が見えないのであります。 最後に、反対の第三の理由は、物価対策があいまいなことであります。物価安定に最重点を置いていると政府は説明しておりますが、各省庁の一般会計のうち、物価安定につながるものを集計してみますと、わずか百五十七億円であり、これだけでどれだけの物価安定への対策ができるのか、はなはだ疑問であります。さらに、政策的に大企業製品のうち、数十品目を選び出して値上げストップ令を出す等の強硬な対策もなく、国民をして全く失望させていると言わざるを得ません。 さらに、社会保障費、住宅、文教、中小企業、農業対策についても、はなはだ大衆の期待からはずれたものと言わざるを得ない実情であり、かかる大衆不在の国民生活に密着しない予算に対し、大衆擁護の立場から反対の態度を表明するものであります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 次に向井長年君。
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和四十一年度予算三案に、次の理由から反対の討論を行ないます。 反対の第一の理由は、政府の予算編成方針が、当面する経済政策上の最大の課題であります不況と物価高の克服について、正しい認識を欠き、何らの反省もなかったことであります。すなわち、口先きでは現在の構造的不況を認めながら、実際施策の面では 不況のもたらした租税収入減を補うために、安易な公債政策を取り入れ、他方では物価高に対していたずらに歳出予算を膨張させて顧みなかったということであります。私は、昭和四十一年度予算こそは、わが国経済の構造的欠陥を是正し、バランスのとれた計画的経済成長に導くかてでなければならないと思います。私は、政府がこのような認識の上に立たない限り、今日の不況を克服する施策は生まれてこないと確信いたします。したがいまして、安易な短期刺激策を目的とする予算の編成に賛成することはできません。 反対の第二の理由は、確固たるビジョンと計画性を持たない国債発行と、これが実質的には赤字国債であるからであります。特に国債を含む財政の運営については、きびしい財政節度と制度的準備が必要であります。しかるに、政府は、減債基金制度の改正はもちろんのこと、何ら国債管理政策を実施いたしておりません。また、予算の実態を見てまいりますと、公共事業関係費、出資金、貸し付け金合計の対前年度比は約二千億の増額でありますから、残り五千億円は赤字公債と断定するほかはありません。 次に、私の憂慮いたしますことは、現在総合的資金計画も立てずに市中消化を貫くということであります。このことは、とりもなおさず民間金融を大幅に圧迫し、勢い成長通貨の美名のもとに通貨増発、信用インフレを招くことは必至でありまして、とうてい私どもの納得し得ないところであります。 反対第三の理由は、政府の物価政策について誤った姿勢と、これが克服のための熱意を欠き、民生安定を軽視しておる点であります。消費者物価は昨年七・六%も上昇し、卸売り物価に至っては、三カ月間に二・一%も上昇しております。政府はこれを景気回復のきざしとみなしておりますが、これこそ忍び寄るインフレのあらわれであると言わなければなりません。 さらに私がここに指摘しなければならない問題は、米価、国鉄運賃、郵便料金等の公共料金の引き上げや、物価高に追いつけない減税政策、はたまた物価高の調整に終始している社会保障、その他の民生対策がいずれも羊頭狗肉の感を免れないのであります。したがいまして、今回の政府案は、まさに噴火口上の舞踏ともいうべき危険きわまりない財政操作であります。あやつるのは政府でありますが、やけどするのは国民であります。 私は、以上の見地に立ちまして、政府案に反対の意向を表明いたしまして、討論を終わります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 次に春日正一君。
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、四十一年度予算三案に反対するものであります。 第一に、これらの予算は池田内閣、自民党の高度成長政策のもたらした日本経済の深刻な矛盾——不況を人民の犠牲で乗り切ろうとするものであります。すなわち、歳出においては、一般会計四兆三千億円、財政投融資二兆三百億円の財源をまかなうために、七千三百億円の赤字公債をはじめ膨大な公債の発行と、消費者米価、国鉄運賃その他四千億円をこえる公共料金の値上げを行なうものであります。公共料金の引き上げは直接人民を収奪するものであり、赤字公債の発行は必ずインフレを高進させ、人民の生活を一そう苦しくし、また、地方自治と地方財政を破壊することは明らかであります。いわゆる三千億減税も、主として独占資本の企業減税であり、所得減税は初年度わずか千二百五十五億円で、公共料金値上げ分の三分の一にすぎません。 他方、二兆円をこす公共事業費の大部分は、道路、港湾、国鉄、新産都市などの建設費で、これは重化学工業や建設産業、その他の独占資本に大規模な市場を提供し、独占資本の産業基盤の整備と軍国主義復活の経済的基礎の強化をあわせて行なうものであります。これが本年度予算のきわ立った特徴であります。 この予算では、低賃金と労働強化に苦しむ労働者、独占資本の搾取と不況のしわ寄せによって困難な状態にある農民や中小零細企業家、物価値上がりの重圧を最も強く受けている貧困者などに対する必要な援助は全く行なわれず、反対に、労働者に対する合理化、農業構造改善対策の強化、中小企業の高度化、流通機構の近代化などの名による農民や中小零細企業家の多数を没落させる政策、社会保障の改悪など、人民の生活を深刻な困難におとしいれる政策が強められています。 第二に、この予算は、日米安保条約による対米従属のもとで、軍国主義復活と対外侵略の政策を新たな段階に推し進めるものであります。 本国会の冒頭で佐藤総理は、日米安保条約の堅持と東南アジア外交の積極化を強調しましたが、政府は現在、アメリカのベトナム侵略に軍事基地と軍需物資を提供するにとどまらず、日韓条約の不法な批准、東南アジア閣僚会議の開催、反共国外相会議への参加など、反共、戦争勢力の結集に積極的に乗り出しています。ジョンソンの侵略的な東南アジア開発計画を支持し、これの推進につとめています。これは、佐藤内閣のアメリカのベトナム侵略戦争への全面的協力を通じて、帝国主義的な東南アジア進出に乗り出したことを示すものであります。 本院で問題になった安保条約の長期固定化、自衛隊の海外派兵と沖縄出兵、核安保体制などの問題は、紀元節の復活、小選挙区制などとともに、佐藤内閣、自民党の政府の危険な動向を示すものであります。 本年度予算に計上されている総額二兆円をこえる第三次防衛計画の初年度分三千四百億円、東南アジア特別援助その他を含む対外進出費二千二百億円は、佐藤内閣の軍国主義復活、対外侵略の政策を財政的に裏づけるものであります。 わが党は、アジアの平和と日本の安全を守り、人民の生活安定と向上を実現するために、アメリカと日本の独占資本のための財政経済政策に反対し、物価の引き下げ、社会保障の拡充、公営住宅の大量建設と生活環境の改善、全国一律最低賃金制の確立、賃金の大幅引き上げ、農民と中小零細企業者の経営と生活の安定、地方財政の確立など、人民の生活を守り向上させることを主張します。アメリカのベトナム侵略に反対し、日米安保条約を破棄して、日本の真の独立を実現することを主張します。 この立場から、わが党は、四十一年度、予算三案に反対し、佐藤内閣打倒、国会解散を目ざして、人民大衆とともに戦うものであります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、総予算三案の討論は終局したものと認めます。 それでは、これより三案の採決に入ります。 昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して問題に供します。三案を原案どおり可決することに賛成の方の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○委員長(石原幹市郎君) 起立多数と認めます。よって、三案は原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき三案の報告書につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後二時二十七分散会