予算委員会 第14号
- 発言数
- 382 件
- 登壇者
- 34 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1966/03/19
会議録
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、青柳秀夫君、増原恵吉君が辞任され、その補欠として八田一朗君、和田鶴一君が選任されました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、 以上三案を一括して議題といたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。 本日、三案審査のため、鎌田日本銀行理事の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) それでは、これより質疑を行ないます。田中寿美子君。
○田中寿美子君 私は初めに、豊かな家庭論争を大蔵大臣としたいと思います。 大蔵大臣は、しばしば豊かな家庭をつくるということをおっしゃっておりますけれども、一体、豊かな家庭とはどの程度のことをさしていらっしゃるのでしょうか。先般御発表になりました大蔵省の標準生計費、つまり五十八万六百九十八円、これを月割りにしますと、四万八千三百九十九円なんです。それに成年男子一日の食費百六十七円八十七銭、この程度はどういうふうにお考え になりますか、豊かな家庭とは、どのぐらいをおさしになりますか。−○国務大臣(福田赳夫君) 私は豊かな家庭ということは、各それぞれの家庭が将来希望を持って、そうしてその希望を実現するに足るたくわえを持つ、まあせつな主義というか、瞬間主義といいますか、その日その日をただ単に暮らすということじゃなくて、将来にビジョンを持って、そうして安定した気持ちで暮らし得るような家庭、そういうことをさして私は豊かな家庭、あるいはたくわえのある家庭、かように申し上げておるわけであります。
○田中寿美子君 たいへん抽象的なんですけれども、そうすると、収入で言ったらどのぐらいが現在の時点だったら豊かな家庭になるのでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 収入で幾らという、私はそういう収入ばかりを考えているわけではないのですが、心にそういう将来を見つめて、子供をどういうふうに教育しよう、あるいは何年たったらひとつ百坪でも土地を求め、また三十坪の家を建てて、そうして庭には芝生を植えて、バラの花でも咲かしてというようなことを夢見ながらそれを着実に実現していくという、心も、収入もゆとりを持った家庭、そういうふうに世の中をしていきたい、こういうことを申し上げておるのです。
○田中寿美子君 それは賛成なんですけれども、しかし、経済的基礎がないとそのビジョンを描かれないと思うのですが、いまの標準生計費男子一日一人当たり百八十六円八十七銭、これは成年男子の場合ですね。ですから、今回の大蔵省の計算で一体主婦は幾らになっておるのですか、子供は幾らですか、育ち盛りの十四、五歳の子供は一体幾らという計算になっておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) その中味は主税局長のほうから申し上げます。
○政府委員(塩崎潤君) ただいま御指摘の、私ど、ものいわゆるマーケットバスケット方式による食料費を基準にして推計した生計費でございますが、私どもの課税算定のほんとうの一つの参考資料としてつくっております机上の計算でございますが、二千五百カロリーは成年男子日の摂取量でございます。この成年男子は二十歳から三十九歳までを予定いたしております。したがいまして、おのおの年齢によって違っておりますが、五人世帯の標準世帯につきまして、夫は四十二歳二千四百カロリー、妻は三十八歳二千カロリー、十三歳の子供さん二千四百五十カロリー、十一こどもさん二千五十カロリー、四歳のこどもさん千四百七十五カロリー、全体といたしまして一万三百七十五カロリーと見ております。
○田中寿美子君 カロリーだけじゃなくて、たん白とか、カルシウムとか、その他の全部の栄養冠はいかがですか。
○政府委員(塩崎潤君) これは昨年、国立栄養研究所につくっていただきました献立を、今年度はそのまま変えないで、私どもは四十年度におきますところの総理府統計局の調査の家計調査の中にあらわれました食糧費の各項目につきまして、私どもが調査いたしました平均単価を乗じまして、計算してございます。
○田中寿美子君 たん白は幾らですか。
○政府委員(塩崎潤君) 単価は百カロリーあたり七円三十六銭になりますが、そのもとの米、あるいはみそ等につきましては種々の単価がございまして、多くの、無数の項目の単価が家計調査からはじき出されております。
○田中寿美子君 単価ではなく、たん白と言ったのです。たん白質です。ビタミン、カルシウムその他の栄養量が出ていないわけです。
○政府委員(塩崎潤君) そういったたん白質、ビタミン等につきましては、国立栄養研究所のカロリーをそのまま採用いたしておりまして、そこに盛られました食糧の項目を取り上げて計算されておりますので、詳しいことは、国立栄養研究所の方のほうが詳しいかと思います。栄養研究所の方は来ておられませんので、私からお答え申し上げます。ここに、栄養研究所の献立の基礎となりました、こまかいカロリー、たん白質、カルシウム、鉄分、食塩等がございます。非常にこまかい一数字でございますが、必要によりましたら、資料として御提出申し上げてもよいかと思います。
○田中寿美子君 ただ平均して、成人男子が一日に撮取しなければならないたん白質の量とか、カルシウム、ビタミンはわかるはずだと思うので・す。
○政府委員(塩崎潤君) これによりますと、二十歳から三十九歳までのカロリー、男は二千五百カ川口リーと申しましたが、たん白質は二十歳から五十九歳までの方は、男は七十グラム、女の方は同一じ年齢で六十グラム、カルシウムは男女ともに〇・六グラム、鉄分は同じ年齢層のところで男女ともに十ミリグラム、食塩、ともに十五グラム、こんなふうに見ておられるようでございます。
○田中寿美子君 大蔵省の標準生計費の計算はどういうふうにお出しになりましたのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 標準生計費と申しますが、これは私どもが所得税の課税最低限をいま御審議を願っているわけです。いままで五十四万円のものを六十一万円、平年度ベースで言うと五十六万円を六十三万円、一体その六十三万円平年度というのが、また初年度四十一年度の六十一万円というものが、家計から見てどんな関係になるだろうかということを検算をするという意味合いにおきまして一つの試算をいたしてみたわけです。それがただいま御質問のメニューを中心にした家計費、こういうことなんでございますが、その計算の方法を申し上げますと、国立栄養研究所で、昨年、メニューをつくってもらったわけです。二千五百カロリーということを基準といたしまして、どんなメニューができるでしょうかと、それを総理府の家計調査で一々調べまして、そのメニューを、これを実際のごちそうにつくりあげる、こういうためには幾らかかるだろうか、こういうことを計算してみた。そうすると、一日百八十六円、そういう数字になる。それを各いろいろ態様がありますが、標準家庭で申しますと、親と子三人でございます。そのエンゲル係数は四八%ぐらいになります。それで換算して、月の生計費はどうなるか、こういうふうに出しているわけであります。
○田中寿美子君 そのメニューの費用の算出の操作は、それでは栄養研究所でやられたわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは総理府の家計調査、これは非常にこまかい調査かあるわけでありますが、その一々に当たってみまして、そこから単価を抽出して、そうしてメニューにかけた、こういうことです。価格のほうには、栄養研究所のほうは関係はないわけです。
○田中寿美子君 いま二千五百カロリー−−カロリーのことだけがたいへん重点的に言われてていたように思うのです。それをエンゲル係数で逆算して出した。しかも、これは四十年度の物価でされたと思うのです。その点問題だと思うのですが、これが標準として大蔵省が出されたということでありますと、これは豊かな家庭をつくるだけの生計費だというふうにはお考えになってはいないでしょうね。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度の総理府の家計調査をもとにしてやっているわけです。しかし、いま御審議願っている税法の改正は、四十一年度、四十二年度に関係があるわけです。四十一年度について見るときには、私どもは、五・五%消費者価格が上がるというから、そのことをあわせ考えなければならぬ問題である、そういうふうに考えております。おりますが、その家計調査によりますると、五・五%の消費者価格の上昇がありましても、なお、ただいま御審議をいただいております課税最低限に若干の余裕があるということになっておりますから、私が申し上げておきたいことは、この課税最低限は、これはそのメニューを、また、メニューをもとにした家計、一年の家計費というものを基準にして設けているわけじゃない。財政上の事情を基軸といたしまして最低限六十一万円、また平年度六十三万円というふうにしておりますが、これが社会生活においてどういう関係の数字になるであろうかということを検算する、そういう意味合いにおいて参考資料として御提出をいたしているわけです。それが基準になっているのじゃないのだ、こういうふうに御了承願いたいのであります。 それからなおまた、ただいまお話しでございますが、私は豊かな家庭、あるいはゆとりのある家庭ということは、これとは直接関係のないものでありまして、将来に各家庭がみな希望を持って、そうしてその希望を実現するためにみな努力をする、たくわえをする、そういうことができるような家庭ということをさしているわけであります。
○田中寿美子君 御説明を聞いておりますと、課税最低限平年度六十三万円、これを合理化するためにエンゲル係数を、国立栄養研究所で出した栄養数に家計費で単価を出してエンゲル係数で逆算してきたというやり方、どうも私は納得がいかない。 それから、その豊かな家計、それはやはり家庭というのは豊かな家計がなければならない。それを具体的に大蔵大臣はおわかりになるはずだと思うのですけれども、昨日公聴会で日本生活協同組合の竹井二三子さんが発表されたが、大蔵省のメニューで十人ほどの主婦が料理をつくって一生懸命に計算してみた。生活協同組合の人ですから普通よりは安く物を買い入れているわけですが、それでも平均して二百十九円かかっている。これは子供も大人も全部含めて、一家族の平均で二百十九円かかっているから、百八十六円幾らからしますと、月四千円の赤字があの計算でも出てくることになるという報告をしていらっしゃいました。 で、そのほかにも実例を私もたくさん持っておりますが、もう十年も非常に克明に家計をつけていて、そうしてあるサラリーマン、これは五十八万よりももっとたくさん取っている、月五万七千七十円取っているサラリーマンの家庭の主婦なんですけれども、で、この場合、この中には四千幾らの主婦の内職であがった収入も入っております。その家庭で長年やっていて、エンゲル係数が昨年は三九・九%というように出ているわけですね。しかも、そのエンゲル係数を三九・九%に押えるためには、相当栄養をカットしているわけです。実際には八五%ぐらいしか取っておらないということを非常に克明に報告をしておりまして、もうこの作業につかれはててしまったと言っている。ですから、せっかく大蔵大臣が芝生でも植える気持ちのいい家庭を想像させようと思いましても、中間層ですら、つまりあの五十八万円何がし以上取っている者ですら、こういう状態ですから、やはりあれが標準生計費として出されるということは非常に問題だと思うのです。 で、その点について次に厚生大臣にお伺いしたいのですけれども、厚生省の立場からはいかがでしょうか。国民の栄養を所管していらっしゃる官庁として、あの大蔵省のメニューをどのようにお思いになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど大蔵大臣から御答弁がありましたように、あの献立は、また算定の基礎になりました献立は、昭和四十年の二月に国立栄養研究所で、おとなの一日一人当たりの栄養を十分確保するという前提でつくった献立でございますので、それを基礎にして算定をいたしました大蔵省の標準生計費、基準生計費は、私は栄養上差しつかえないものであると、かように考えております。
○田中寿美子君 厚生大臣にお伺いしますけれども、現在の国民栄養の現状、それから基準目標というものはどんなものでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和四十五年度を目途とした栄養基準量は、一人一日当たり熱量で、これは国民全体の平均でございますが、二千三百カロリー、たん白質が七十五グラム、脂肪が三十八グラム、カルシウムが六百六十ミリグラム、ビタミンAが一千九百国際単位、ビタミンB1が一・ニミリグラム、ビタミンB2が一・二ミリグラム、ビタミンCが六十三ミリグラム、これが昭和四十五年を目途としたわが国民の栄養基準量でございます。 昭和三十八年の実績でまいりますと、この基準量の九〇%程度を満たしておる。また、三十九年度につきましては、ただいま計算をまとめておる段階でございますが、おおむね二千二百二十二六カロリーというようなことになっておりまして、四十五年を目途にした基準栄養量にだいぶ近づいておると、かように見ております。
○田中寿美子君 三十八年度当時にお出しになったそのいわゆる栄養白書では、昭和四十五年で国民平均二千三百カロリーと出ておるわけですね。いま大蔵省もすでに二千五百カロリーが標準生計費で出ている。四十五年をオーバーしている。現状とはたいへん私は違うように思うのですけれども、その点。 それから、あの栄養白書では、その後の厚生省、白書だったかと思いますけれども、国民四・五人に一人は栄養不良だ、日本人の栄養の状況はきわめて不十分であるというようなことばがありますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大蔵省から御報告のありましたのは、おとなの一日の栄養の摂取量というものでございますが、私が申し上げましたのは、おとなから子供まで全部を平均いたしましたものが、昭和四十五年目途で二千三百カロリー、それに対しまして昭和三十九年度におきましては、最終的な集計は出ておりませんが、先ほど申し上げましたように、二千二百二十二・六カロリーというようなことで、だいぶ接近をいたしております。九十数%ぐらいにまで達しておる、かように見ておるわけであります。
○田中寿美子君 それでは、四十五年度二千二百カロリーでよろしいというのが目標でございますか。
○政府委員(中原龍之助君) お答えいたします。 栄養基準量の求め方といたしましては、国民の体位とかいろいろの問題、体格、そういうものをいろいろ参照いたしまして、栄養基準量というものを大体想定してまいるわけであります。したがいまして、体位が上昇してまいれば、それがずっと伸びていくという想定であれば、当然この基準量は伸びていくという形になってまいります。ただいまのところは、昭和三十八年にきめましたものが、想定いたしました四十五年のものでございますが、これはいずればやはり時勢に合ったように変えてまいることも必要であろうということで、検討をしようという段階になっております。
○田中寿美子君 つまり、その基準も変わっていくということでございますね。
○政府委員(中原龍之助君) お答えいたします。 基準は、そのときの国民の体格というものによって必要とする栄養量というものはだんだん変わってまいりますので、将来ともこれは変わっていくというふうに考えております。
○田中寿美子君 いまのところどのくらいが目標ですか。
○政府委員(中原龍之助君) いまのところ出ておりますのは、はっきり出ておりますのは、昭和四十五年度目標で国民平均一人当たり二千三百カロリーでございます。
○田中寿美子君 大蔵省の標準で二千五百が出ていて、昭和四十五年の厚生省の目標が二千五百というのは、非常におかしい。国民の栄養のほうを主として考えるべき立場にある厚生省が、より先に進んで、国民がどれだけの栄養をとるべきであるかというものを出すべきだと思います。三十八年度の栄養白書の中では、一人一日の食費が幾らかかるかというのを算出していらっしゃるのですが、あのとき幾らかかっておりますか。四階層に分けて出ておったと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 田中さんは、国民全体の平均と成人一人のやつを比較されて、どうも大蔵省は二千五百カロリーをすでに摂取しておるというのに、四十五年目途で二千三百はおかしいじゃないか、こういうお尋ねでございますが、おとなだけを比べますと、四十五年目途は二千六百カロリーでございます。
○田中寿美子君 さっきの問いがまだあるのですけれども。
○政府委員(中原龍之助君) お答えいたします。 四階層に分ける問題につきましては、ただいま計算中でございますので……。
○田中寿美子君 いいえ、三十八年度のときのをお尋ねしているのです。
○政府委員(中原龍之助君) 三十八年度のときには出ておりません。
○田中寿美子君 出ています。あのね、昭和三十八年度に厚生省が、国民栄養の現状という調査をなさいました。あのときの一人一日の食費。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和三十八年の国民栄養調査の結果、熱量で申し上げますと二千八十三カロリー、たん白質が七十一グラム、カルシウムが〇・四グラム、鉄が十三ミリグラム、ビタミンAが千四百五十二国際単位、ビタミンB1が一・〇三ミリグラム、ビタミンB2が〇・七九ミリグラム、ビタミンCが七十九ミリグラム、材料費が百五十七円四一七銭、一カロリー当たり七銭六厘、成人換算率熱量が〇・八八七という数字です。一〇田中寿英子君 ただいまの百五十七円四十七銭というのは、全体の平均だと思いますね。四つの一階層で見ると、消費者世帯の場合は百七十二円というのが出ているのですが、それは三十八年度前の物価をとってあると思いますね。それ以後、物価は約二〇%ぐらい上がっています。現在に換算したらどのぐらいになりますか、一日。
○政府委員(中西一郎君) ちょっと計算さしていただく時間がほしいのですが、三十八年を一〇〇とした資料がございませんので、年度別にいいますと、三十九年が前年に対して四・八、四十年が前年に対して七・五程度だと思いますが、なので、少し時間をいただいて、計算をすぐにいたしますから。
○田中寿美子君 四十一年度のを出してくださいね。四十一年度の五・五%という計算で。
○政府委員(中西一郎君) はい、あわせて出します。
○田中寿美子君 たいへん私は残念だと思うのです。国民の栄養をあずかる厚生省は、栄養の基準を出すだけじゃなくて、それが幾らかかるということがわからなければ生活の役には立たないわけです。私は三十八年当時の白書で、消費者世帯百七十二円何がし、常用労働者百七十四円余、その他事業経営者百六十七円、日雇い、家内労働者百三十四円というふうになっておりまして、さっき平均は百五十七円とおっしゃったのですが、その間の物価の上昇を加えますと、消費者世帯だけだって二百円近くになるのじゃないですか。大蔵省は、標準とおっしゃるから、大体中程度の家庭のつもりで発表して、百八十六円とおっしゃっているわけです。厚生省も、栄養の観点から考えても、それを実はオーバーしているのじゃないかというふうに私は思うのです。国民の栄養と健康を守る行政が、必要栄養量を権威をもって発表し、そしてそれにはこのくらいかかるのだというようなことを出していただくべきだと思います。そうしませんと、大蔵省は課税最低限のほうから逆算して出されたり、また農林省は全食糧供給量を人口で割って出したりするというようなことでは、ほんとうに国民の健康を守る豊かな家庭を築く基礎ができ一ないというふうに思いますので、ぜひその辺をお考えいただきたいと思うのです。 で、この際、総理に特にお答えいただきたいと思うのですけれども、たくさんの事例を家計簿をつけております主婦たちの中から見ても、そのほかいろいろの調査を見ましても、消費者米価が上がるということが一番実はこたえている。これは家計の中の計数は七%だから、たいしたことはないというお答えがいつも、総理や大蔵大臣、みんなから出てくるんですけれども、実はそうではなくて、低所得層ほど高いのですね。三万円から五万円の月収の世帯でも、家計簿をつけているのを見ますと、米代というのが一%から一九%にもなっております。総理府が出している低所得層の中には、家計調査で見ますと、月収一万円か一万五千円という世帯もあります。そういうところでは米代の比率は二五%以上になっている。それで、昨年一四・八%消費者米価を上げた、ことしまた八・六%、大幅な値上げなんですね。食管法の精神というのは、農家が米を再生産するのを守って一やる、他方、また消費者が家計を安定させるため一にあると思うのです。その精神をぜひ守って、ことしは絶対に消費者米価は上げないというふうに一お約束していただけないでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国民の食化活、これはいろいろでございますが、特にただいま言われる低所得層、これはいわゆるたん白質を非常にたくさんとってもらう、そういう意味で、米価を上げるということはたいへんな家計に影響がある。御指摘のとおりだと思います。私どももさような意味におきまして、消費者米価をいかにするか、これは重大な問題です。全体で見ますと、その消費者米価、消費者価格に与える影響、これは〇四だとか、あるいは〇・五だとか、〇・七だとか、非常に低いのでありますけれども、しかし、いま言われるような低い階層については特に考えなければならない、かように私も思っております。しかし、消費者米価をことしは上げないで済むかどうか、ただいまこれについて私が結論を申し上げるわけにまいりません。御承知のように、生産者米価をきめる、その際、消費者米価、これまた別に生産者米価とは別な時期にこれを決定していく、こういうようなことでありますので、全体の状態をもっと勘案してみないと、ただいま結論を、上げないということを申し上げるわけにはいかない、かような状態でございます。しかし、御指摘のように消費者米価が低所得層の生活に与えるたいへんな関係のあることは、これは軽視できない、これはよく私にもわかっておるつもりであります。
○木村禧八郎君 関連。先ほどの大蔵省の標準生計費と、厚生省の生活扶助による生活保護費ですね。それとの関係ですが、大体、厚生省は標準生活の何%ぐらいをこの生活扶助を行なう場合の基準と見ておるのか、その点が第一です。 第二は、最近、仙台市の社会福祉事務所で、生活保護費によってどれだけの栄養を取れるかという栄養の取り方の献立表を発表しているのですね。これによりますと、一日の、これは朝と夕方四人分、昼間は三人分です。総計一日三百二十七円六十九銭で、一人当たり八十四円八十銭というのが出ているのです。そして一日の一人当たりのカロリーが千四百八十七カロリー、たん白が五六・六です。これでは生活じゃない、生存ができるかできないか、こういうものを厚生省は社会福祉事務所を通じて、これで生活できるという行政指導をやっているのかどうか、これは厚生省がこういう指導をやっているのかどうか、常識から考えて、先ほどの二千三百カロリーが標準カロリーとして、標準生計と言いましたが、千四百八十七カロリーで一体、生活どころか生存ができるのかどうか、いまの厚生省がいわわる生活扶助で一体生活ができると考えているか。憲法で保障する健康にして文化的な最低生活、これは健康で文化的な要素も入るでしょうから、これでは健康も、あるいは文化的も全然問題にならぬですよ。しかも生活できるどころか生存さえあぶないでしょう。これでは。これは厚生省がほんとうに指導しているのかどうかということと、もしそうだとすれば、一体これで最低生活ができるのかどうか、そうでないとすれば、いまの生活扶助は変えなきゃなりませんよ。変えなきゃならぬと思うのです。 この二点について伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 生活扶助、生活保護費を決定いたします場合には、一般国民の生活水準を基礎にいたしまして、それを考慮しながら生活扶助、生活保護の基準をきめておるのでありますが、御承知のように昭和四十一年度の経済の見通しによりますと、一般の生活水準は一〇二%上昇することになっております。これに対しまして、一三・五%生活保護基準を上げることにいたしたのでありますが、これは三%程度格差を縮めていこう、こういう結果三・五%ときめたのでございます。 なお、御指摘の献立表の問題につきましては、一地方の福祉事務所でつくった献立であるということを聞いておりますが、厚生省がそういうものをつくりまして指導しておるということはございません。詳細には政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。 いま大臣からお話ありましたように、仙台の福祉事務所でそういうふうなものを出したということをごく最近に聞きまして、内容を調べていますが、報告によりますと、いわゆる低所得階層の栄養指導というものを何かせにやならぬということで、保健所と相談いたしまして一つのサンプルのようなものをつくったという話を聞いております。 ただ、中身はいまおっしゃいますように、どのくらいのものであったかということを、至急資料を取り寄せて検討したいと思っておりますけれども、本省といたしましては、そういう指導を、生活保護の家庭だけでこういうふうなものを食ったらどうだというふうな指導はいたしません。一番最初におっしゃいましたように、エンゲル係数も、生活保護におきましては毎年下げるように努力して五二・二九という数字に四十一年度落とすわけでありますが、これもできるだけ下のほうに下げるというふうな努力をして、格差を縮めたいというふうに考えております。
○木村禧八郎君 厚生大臣は私の質問に答えられていないですね。大体、生活扶助の場合、標準生活の何%くらい見ておるかということです。御説明がないのですよ。 それからもう一つ、さっき四十一年度の一般の生活は一〇・二%向上する。これに対して生活扶助については二二・五%、それよりも上回った引き上げをしているのである、こういうお話なんですよ。ところが、聞くところによると、この一三・五%には消費者米価の値上げ五・五%は入っていないというふうに聞いているんですが、どうですか。そこはまた問題ありますけれども、大体標準生活に対してそれが大体出る、それに対して最低生活の場合にはそれは何%くらいしませんと、一体それで生存できるのか生存できないのか問題ですよ。どうしてこういう質問をするかというと、ケースワーカーの人に聞きますと、いまの生活保護では絶対に生きられないと言っているんですよ。そのほかにあるやみ処理といいますか、やみと言っては語弊がありますが、ほかに所得があるからそれで生きているんだ、生きているのがほんとうはふしぎなんですよ、いまの生活扶助では。そういうやり方でいいかどうかです。物価がどんどん上がってくるでしょう、上がってまいりますとどうしてもやみ所得しなければならない、見つかればこれは削られるのですよ。ですから最近自殺が多いでょうが、最近の物価の値上がりと、それから最低生活というものともっと関連させて、具体的にそれで生きられるのか生きられないのか、私は生活を言っているんじゃないですよ、生存できるかどうかを聞いているんですよ。佐藤内閣は人間尊重の政治をやると言っているんでしょう、人間尊重の政治の最低の問題ですよ、これは。こういう点があいまいでいいかどうか、これは総理大臣も、この点はもう少し、田中委員の栄養価の御質問に対して、厚生省の御答弁も、何か一般国民が聞いて割り切れないような御答弁ですよ。なるほどそうかというような御答弁は一つもないのですよ。人間尊重の政治の一番最低線について、こんなあいまいなことで一体いいかどうか、これは総理大臣にも伺いたい。こういう点はもっとはっきりして、なるほど佐藤内閣は人間尊重の政治をこういう点でやってくれるかと納得のいくような御答弁を必要とすると思う。それと、厚生省、さっきの点ですね、御答弁願いたいと思うのです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和四十一年度の生活保護費の引き上げによりまして、国民全体の平均の生計費のおおむね四九%幾らになっております。それから消費者物価の値上げその他の物価の関係は全部織り込んで計算をいたしておるわけでございます。すでに御承知のように、一級地におきましては、生活扶助の関係は二万六十円でございますか、こえるようになり、それに教育扶助あるいは住宅扶助を加算いたしますと二万八千円ということに相なるわけでありまして、私は最低の生活はできるものである、かように考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま厚生大臣からお答えいたしましたように、最低の生活はできる、私もかように確信をしております。ただいま言われますように、しかしながら、現状でこれで満足だ、かように、もう一切改善、充実ははからない、こういうものではございませんから、なお今後とも努力は続けてまいるつもりでございます。
○田中寿美子君 実はいまの問題についても、昨日も公聴会でも出たのですけれども、大臣はどなたもいらっしゃいませんでしたものですから…。それで、私はいま最低生活ができるものだとおっしゃいましたけれども、実際にカロリーが千四百七十八カロリーこれは半分でございますね、標準の。そういう点で非常に社会保障に対して薄いということを御認識いただきたい。 で、さっき、米価のことも一つあれですけれども、いまの生活保護世帯の場合、これは厚生省の三十九年の調査によりましても、標準四人世帯で米代が一四・五%占めているわけです。それから、母子三人世帯で一二・八%。米代だけでそうですから、ですからエンゲル係数はもうたいへんに高く出てくるわけですね。そういう点で、ほんとうに人間らしい生活の最低量を保つことができないと思いますので、この点は、厚生大臣は大蔵大臣や総理大臣と違ったことをお言いになるのは言いにくいかもしれませんけれども、厚生大臣としてはこういう理想があるのだということを言っていただきたいと私は思ったわけでございます。 で、次に、私、家内労働、内職の問題についてお尋ねしたいと思うのですけれども、総理大臣、家計を埋めるのにたくさんの主婦が内職をしているという事実を御存じでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 知っております。
○田中寿美子君 大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 承知しております。
○田中寿美子君 それじゃ、勤労者世帯収入の中にどのくらいに毎年毎年妻のかせぎ出す収入がふえていっているのかということで、一体、内職している人の数はどのくらいあると思っていらっしゃいますか。御存じだったらまず大蔵大臣から。あとで労働大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 承知しておりませんから、政府委員から答弁させます。
○田中寿美子君 それじゃ、労働大臣からでけっこうです。
○国務大臣(小平久雄君) 家内労働全体としては一応八十四万、そのうち内職的な家内労働をしている方は六十七万、一応そういうことになっております。
○田中寿美子君 労働大臣は実態を把握していらっしゃらないと思います。それは臨時家内労働調査会がつかんだ数にすぎないのであって、ははるかにそれよりたくさんの者が、家内労働の中でも、特に内職が九〇%占めていると思うのですが、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。実態はどうだと推定していらっしゃるのですか。
○国務大臣(小平久雄君) いま御指摘のとおり、先ほど申し上げました数は家内労働調査会で一応とらえた数でございます。御承知のとおり、その実態というものは非常にとらえにくい関係もございますので、おそらく実数というものはもっと多いであろう、かように私どもも考えております。
○田中寿美子君 労働者を守る労働大臣が、多いであろうというんじゃなくて、大体このくらいというふうな数はつかんでいただかなければ困ると思うのですね。特に家内労働の中でも内職、いわゆる家庭の主婦たちのするものが九〇%を占めているのです。昨年来、主婦の内職大会というのがことしで二回行なわれております。そこでつぶさに実情の報告をしておりますけれども、その主婦たちの代表が、実は二月二十八日ですけれども、労働大臣のところに陳情に参りました。内職者は非常に工賃の不払いとか、非常に安い賃金その他たくさんの問題を持っているものですから、そのときに労働大臣が、あなたたちはアクセサリーを買うために内職しているのではないかと言われたそうでございますが、それは事実でございましょうか。
○国務大臣(小平久雄君) お答え申し上げます。別段アクセサリーを買うために内職をしているんじゃないかといったようなことは申し上げた記憶はございません。ただ、その際いろいろ話が出まして、一体、内職をする理由が、例の家内労働調査会の現状の報告の中でも、これはもちろん基本的には収入が非常に少ないから家内労働をやる方が多いんである。しかし、最近では一部の方には余暇もできたとか、あるいはまた、より一そう生活を向上したいとか、そういう理由からこの家内労働を、内職的な労働をなさる方もいると、こういうことがあの報告書にも書いてあったという話がたまたま出ただけなんでございます。
○田中寿美子君 さっきからも明らかになっておりますように、中流ぐらいの家庭の生活でも、非常に生活が苦しいから主婦たちの内職でそれを補っている。そしてこれはいろいろの調査でもそういう報告をされておりますが、主食費が上がっていく。それから副食費が、特に生鮮食料品が上がっていく。それを埋めるために、それから教育費が非常にかかる。サービス料金が上がっていく。公共料金が上がっていく。そういうことで、どうしても生活水準が上がれば上がるだけまた埋めていかなければならない。つまり収入のほうが追いつかないからそうしなければならないのでございます。もしかりに、アクセサリーを買うためにあなたたちは内職をするんじゃないかとおっしゃらなかったとして、それは一緒に行った代表団の報告でしたから、おそらくそういうことばが出たんだと思うのですけれども、私はアクセサリーを買う権利はあると思うのですけれどもいかがですか。ダイヤモンドではないのです。二百円か三百円のアクセサリーを女の人がつける。その費用が夫の収入から出てこないからやるわけなんです。労働大臣いかがですか。
○国務大臣(小平久雄君) 私は先ほども申し上げましたとおり、アクセサリーを買うために内職をやっているんじゃないか、そんな失礼なことを私は言った覚えはないのでありますから、そうきめてかかられることははなはだ不本意であります。そういうふうに、言ったこと以外のことを言ったということをされるのでは、うっかりこれはお会いもできないということになっちゃいますから、そういうことでないことにお願いしたいと思います。ただし、アクセサリーを買ったことが、人の収入から買ったのか、内職収入から買ったのか、それは私にはそういうところまではもちろんこれはわかりません、私には。
○田中寿美子君 ちょっと質問の意味に答えていただいていないんです。アクセサリーを買う権利もあるということなんですね。だから、そのために内職するのは悪いというふうにはお考えにならないんですか。
○国務大臣(小平久雄君) アクセサリーを買う権利というのかどうか、私にもよくわかりませんが、御婦人のことですから、お買いになることはけっこうだろうと思います。
○田中寿美子君 働く者の賃金が十分ない。それから、収入が不足するから、いろいろの意味で生活水準が上がっていくと、内職でこれを補充していかなければならないわけなんです。それを労働大臣はやっぱり守るという立場から考えていただかないと困ると思います。いま内職をしている人たちが、非常に内職先の工賃が安かったり、倒産不払いがあったり、契約をしておりませんから、中間で搾取されたり、いろいろ不当な扱いを受けておりますね。非衛生な状態であったり監督がなかったり、そのために家庭生活を破壊するようなこともあるわけなんで、非常に緊急で重大な問題だと思うんですけれども、特に工賃が安いというようなことについて、一体労働者の賃金一時間当たり幾らになりますか。それから、婦人労働者の賃金一時間当たり幾らですか。それから、内職の工賃一時間当たり幾らでしょうか。
○国務大臣(小平久雄君) ただいま先生が御指摘のとおり、内職の工賃につきまして最近不払い問題等が起きておることやら、あるいは内職の工賃が比較的安い、こういうような実態にあることは承知をいたしております。そのうち、不払い問題ですが、これにつきましては、労働省としましても、公共の内職補導所等を通じまして、それらの問題点が明らかになりますならば、これが解決をはかってやるとか、あるいはあらかじめ優良な委託者を選ぶあっせんをするということによってそういうことが起こらぬようにつとめるとか、そういうことはやっておりますのが、現実にどれだけの不払い問題が起きておるかというようなことは、内職それ自体の実態というものがなかなか把握困難である、こういったような実情からいたしまして、実は明確に完全にこれをとらえるというとろまでは遺憾ながら至っておらない、こういうことが実情でございます。 賃金につきましては、工賃につきましては、労働省の調べたところによりますと、大体一日の労働時間が五時間ないし七時間、一カ月の労働日数が二八・四日ないし二二・七日で、月間の平均の工賃収入が二千六百二十円ないし四千八百二円、こういう一応の数字が出ております。これが一般の女子労働者の賃金とどういう関係にあるかということにつきましては、政府委員から答弁させます。
○政府委員(村上茂利君) 家内労働に従事いたします女性の方々の収入と一般労働環境にあります女子の労働者の賃金とのストレートな比較はちょっと困難でございますけれども……。
○田中寿美子君 いえ、女子じゃないんです。家内労働、男子労働者、女子労働者、それから家内労働内職工賃……。
○政府委員(村上茂利君) 平均的に、四十年の四月に行ないました賃金構造基本調査によりますと、全産業平均で申し上げますと、男子の月にきまって支給される給与の額は三万五千五百円でございますが、女子のほうは一万八千二百円、こういう数字になっております。しかし、これは先生御承知のように、この全体の数字でございますが、年齢構成が違うとか職種構成が違うということはもう御説明申し上げるまでもないと思います。 それから、ただいま大臣から申し上げました一カ月の労働日数、平均一日の労働時間、それから平均工賃の月額を申し上げたわけでありますが、先生の御質問の中に一時間当たり幾らかという御質問がございました。これも統計的にはやや正確を欠くのでありますけれども、一応平均的に申し上げますと、これは労働省のほうで扱っております内職公共職業補導所の調査による数字でございますが、洋裁の内職では一時間当たり工賃額が四十五円五十銭、和裁の内職では三十三円六十銭、紙製品加工内職では二十二円七十銭、玩具、遊戯品加工内職では二十三円四十銭、刺しゅう内職では二十五円七十銭、以下そういったような形になっておりまして、洋裁内職が比較的高いと、こういうことでございます。ただ、時間当たりこれで十分かどうかという点についてはいろいろ問題があろうと存じまするが、実態は……。
○田中寿美子君 ちょっとポイントが違いますのですけれども、私は、つまり普通の労働者の一時間当たりの賃金と、それから女子労働者の一時間当たりと、内職をする者の一時間当たりの工賃、これを比べてお伺いしたかったわけで、全然違うことを皆お答えいただいているわけですよね。つまりいかに工賃が低いかと……。
○委員長(石原幹市郎君) 田中君、長いようでしたら正式発言にしてください。
○田中寿美子君 さっきから言っていることが全然お答えが違うのです。もう一度それじゃ質問を整理しますと、時間当たりの比較を伺っているわけなんです。
○委員長(石原幹市郎君) ちょっと答弁者が向こうにいるようですから、待ってください。
○政府委員(村上茂利君) 先ほど賃金構造基本調査の数字を申し上げまして、女子は全産業平均一万八千二百円、かように申し上げました。一方、その労働時間の平均は百九十六時間でございます。これを算術的に計算しますと出てくるわけでありますが、いま正式に計算いたしておりませんが、九十何円になろうかと思います。男子のほうは三万五千幾らと申し上げましたが、労働時間が二百十時間でございますので、これも割り算をいたしますと平均が出てまいります。約百五十円見当になる、こういう金額でございます。
○田中寿美子君 私がお伺いしたがったのはそういうことなんです。普通の男子労働者、これ総平均ですからいろんな条件がありますけれども、時間当たり百五十円、女子労働者は九十円、内職者は三十円、これは実態では時間当たり十八円ぐらいのものがたくさんあります。このようなひどい工賃で働きながら、しかも、これは生活保護者の場合も相当いると思いますけれども、普通の収入を得ている者の間でも、妻がずいぶんやっているわけなんですね。これに対しての救済保護の方法を政府はどう考えていらっしゃるか、労働大臣に。
○国務大臣(小平久雄君) 家内労働の工賃の安いことに対する救済方法でございますが、これにつきましては、御承知のとおり、最低賃金法によりましても標準工賃を設定する道が開かれております。そういう関係で、すでに労働省において標準工賃を設定したところもございます。その他何ぶんにも家内労働自体の性格上、全部について標準工賃を設定するということは困難と思いますが、労働省といたしましては、極力適正な工賃で作業ができるように、そういう方何に今後とも十分つとめてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○田中寿美子君 家内労働者を守るための家内労働法の制定についての見通し、それから、臨時家内労働調査会の答申にありました家内労働者のための審議機関の設置についての見通しは、いつそれをおつくりになるつもりですか。
○国務大臣(小平久雄君) 家内労働調査会から、今後の家内労働対策の進め方に関する見解というものをちょうだいいたしまして、その中で、法的措置を含めますところの総合的な家内労働対策を今後総合的に、また、継続的に審議する機関が必要である、こういう趣旨の見解の御表明をいただきましたので、労働省といたしましては、ぜひ家内労働審議会をつくりたい、こういうたてまえのもとに、行政管理庁とこれが設置について、鋭意目下協議いたしておるところでございます。これが協議がととのいましたならば今国会にも法案を提出いたしまして設置いたしたいと、こういう考えでいま進んでいるところでございます。
○田中寿美子君 いつごろそれをされるかというようなことについて行政管理庁長官にお尋ねしたいのですけれども、四十一年度は経費節約で新規事業を許さないというような方向があって、これをはっきりいま今年度のうちにつくる、来年度のうちにつくるというような見通しがありますかどうか。
○国務大臣(福田篤泰君) お答えいたします。 率直に申しますと、二百九十一の審議会、既存のものをいま極力整理中でございます。したがって、新設につきましては、よほど必要性がないと認めないという原則をとっておりますが、家内労働関係は社会性の強いきわめて重要なものである一という見地から、例外的に前向きにいま関係省と検討中でございます。結論が近く出ることと思います。
○田中寿美子君 それでは、内職問題については非常にいま緊急で、家庭にとって重大な問題でも一あります。総理も、この審議機関をつくり、それ一から、さらに保護していく、不払いなんかをなくしていったり、条件を守るために御決意を聞かしていただきたいのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま行管長官からお答えいたしましたように、十分前向きで検討するつもりであります。
○田中寿美子君 それでは、次に、私は日韓経済協力問題についてお尋ねしたいのですが、きょうの新聞によりますと、ソウル放送で、請求権の資金の使用計画が日本側と韓国側と大体話し合いがついた、そうして代表が帰ったというようなことが載っております。日韓経済協力の初年度計画実施のために日韓合同委員会が来週開かれるというふうに伝えられておりますけれども、実際開かれますでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 初年度の原案は韓国がつくってまいります。そうしてそれを日本に提示いたします。その際に合同委員会が開かれる。まだその日取りはさまっておりません。
○田中寿美子君 それに先立って、財界の方々が日韓合同経済懇談会というのを開いていられますけれども、それを構成している人たちがわかりましたら教えていただきたいのですが、その中の議題に、韓国労働力の導入の可否というようなのがあげられておりますけれども、これはどういうことですか、通産大臣。
○国務大臣(三木武夫君) 日本も労働力が逼迫の状態にあるといっても、欧米流に言う完全雇用という状態ではありませんから、そういうことの可否ということは検討されたでしょうけれども、韓国の労働力を日本に導入するということは考えておりません。そういうことは起こるとは思っていないのです。ただ、議論としてそういうことがあったのでしょうが、しかし、それは具体的な課題ではあり得ないと考えております。
○田中寿美子君 これは法務大臣だと思いますけれども、韓国から入国している人の数ですね、これは入管局を通じての数、昨年度、それからことしの一月十七日の法的地位が有効になって、発効してから後の入国者の数、それから、どういう種類の人で、どんな資格で、何をしているかというようなことをお知らせいただきたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 昨年の日韓条約ができましてから後の状態だけ申し上げたいと思います。それ以外の数字でしたら、また補足申し上げます。昨年の十二月、韓国から参りました数は千五百八十六名でございます。それから、本年一月参りましたのが千三百三十五名でございます。二月の数はまだ集計ができていない状態です。
○田中寿美子君 そうしてどういう種類の……。
○国務大臣(石井光次郎君) この人たちは、内容は、いろいろな親類からの呼び寄せでありまするとか、あるいは勉強でありまするとかいうような関係でございまして、あなたのお尋ねの趣旨の線に沿うております労働関係で日本に呼び寄せられた、あるいはそういう国的で来たというようなものはないように思います。
○田中寿美子君 まだそういうことはそんなにないと私は思いますけれども、たとえば技術研修というような形で各方面に入っていると思うのですが、入っている場所、配属先がわかりますか。
○国務大臣(石井光次郎君) そういうふうな形であるいはあるのじゃないかという疑点が生じ得るわけでございますが、しかし、それは親族の訪問というような形で参りまするようなものは、通常三十日を限度としてしか許していないのでございます。それから、技術の研修の場合でございますと、短期の場合は十五日、一番長くて半年でございまして、その研修の問題にいたしましても、研修先の規模でございますとか、信用度でありますとか、研修計画の内容等を十分調べてその期間をきめるのでございますから、どうもこれが日本に来て労働するという問題につながってはいないように私どもは見ているわけでございます。
○田中寿美子君 その入国者の中で、特定の在留資格を持って入ってきている人たちというのは相当数あるのですかね。これの御説明をいただきたいのですが。つまり、いま六カ月とおっしゃいましたけれども、三年まで在留を認められている人もありますね。それで、配属先について、法務大臣以外に労働大臣のほうからも……。
○政府委員(八木正男君) お答えいたします。 先ほど御質問のところで、十二月、一月の分について、各具体的内容をというお話でございましたが、十二月はございますけれども、一月以降、まだ項目別の整理ができておりません。そういう問題よりも、むしろ、私ども平素韓国人の入国について持っております根本的な考えを申し上げますと、私どもは、日本に低賃金労働者が外国から大量に入るということは、現に戦前、戦中を通じての朝鮮人問題のもとをなしたのを顧みましても、当然警戒しなければならないところでございます。しかしながら、日本には、御承知のとおり、数十万の韓国人が住んでおりまして、その近親者の訪問でありますとか、あるいは最近の日韓間の経済関係の増進に伴いまして、日本の技術の進出と申しますか、韓国人の技術研修という問題がたくさんまいっております。私どもは、低賃金労働の流入という点について、われわれの立場で一番警戒しなければならないのは、ただいま申しました過去二年間の月別、年齢別、性別による詳細な統計、これは先生のお手元に提出してございますが、これをごらんになりましてもわかりますように、実態は大部分は十六−三というのに入っております。これは特別に法務大臣が入国を認めたという事例でございまして、その内容はきわめて雑多でございます。しかしながら、私ども、常に入国申請に対して非常に神聖に扱っておりまして、いやしくも、労働力の流入という形になるおそれのある場合には、特に慎重に検討し、あるいは場合によって、われわれの判定のつかない場合には、労働省などに意見を伺いまして、極力そういうことのないようにしております。 大体、大きな注意をすべき点は、技術研修という点でございますが、日本からプラント輸出その他が行なわれましたときに、その契約によって短期間、小人数が技術の研修に参りまして、いま大臣が申しましたように、十五日あるいはせいぜい半年くらいの期間で技術を覚えて帰る、それ以上に居すわることのないように、われわれ、常に登録関係を通じて監視しておりまして、在留中においても十分注意をしておりますし、入国にあたっても、今後とも十分注意してまいりますので、そういう点はあまり心配ないと思います。
○田中寿美子君 労働大臣、さっきお尋ねしたのを……。
○国務大臣(小平久雄君) 韓国人を一般の雇用労働者として入国を認める、あるいは、そういう計画を持つというようなことは、目下全然考えておりません。そこで、ただいま法務省のほうからも御説明がございましたが、この問題につきましては、あくまでも研修をH的とする場合に限ってほしいということを中心として、私どもは法務省とも十分に打ち合わせしているところでございまして、御心配のように、特に低賃金の労働者が来るということは、これは一般の労働者もそうでございますが、そういう心配は全然ないものと私どもは考えております。
○田中寿美子君 たとえば炭鉱だとか、自動車業界とか、造船とか、電気会社に具体的に導入する計画があるというようなうわさが立っておりますので、その点はぜひ、いまおっしゃったような点を守っていただきたいと思います。 次に、初年度の韓国経済協力額なんですけれども、これは予算を見ますと、無償八十八億七千九百万円とってます。有償のほうが九十億とってます。合計百七十八億なんですが、ところが、報道されるところによりますと、韓国側の要求、初年度九千五百九十三万ドル、二百六十六億円になりますが、この請求権資金について合意ができたように言われてております。つまり、そうしますと、ことしの予算で組んであるよりはよけい結局要ると、こういうことでございますが、外務大臣…。
○国務大臣(椎名悦三郎君) はいわゆる項目一としてまとまったのは九千……。
○田中寿美子君 九千五百九十三万。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それを初年度にみなやるということは約束しておりません。それは初年度に割り当てられた限度内において支給し、残ったやつは翌年の分に繰り越すということになるのです。
○田中寿美子君 今日のソウル放送の新聞の報ぜられておるところによりますと、初年度九千五百九十三万ドルの請求権資金として合意ができたというふうに放送されておるところなんですが、供与限度額をそれじゃどこまで引き上げていくという見通しを持っていらっしゃるのですか。
○政府委員(西山昭君) 韓国側は約九千五百万ドルの初年度の案を非公式に日本側に提示してまいっておりますが、その九千五百万ドルの案は、いろいろの項目が入っておりまして、もちろん、無償と有償の両方にまたがるわけでありますが、御指摘のとおりに、協定に基づきます日本の一年間の支出額は約五千万ドルでございまして、その問に相当の数字の開きがあるわけでありますが、いろいろ物資を調達いたします場合には、その物資の内容、あるいは日本の生産の能力の関係その他もございまして、九千五百万ドルが必ずそのまま適用されるわけではないのでございまして、そういう意味で、向こうのいろいろの案に幅があるわけであります。それから内容的に見ましても、いろいろ日本側と先方の係官と話し合いを進めておりまして、まだ最終的な結論には達していないような状況でございます。
○田中寿美子君 そうしますと、その予算額をこえる場合には、補正をされるわけでしょうか。
○政府委員(西山昭君) 協定に基づきまする日本の供与額は、協定のとおり、無償につきまして年間三千万ドル、有償につきまして二千万ドルの範囲でございまして、それ以上、支払いは予定してございません。
○亀田得治君 ちょっと関連。ちょつと確かめておきたいのですが、初年度の請求権の金額につきまして、韓国政府は九千五百万ドルとして、そうして、いま御説明があったように、日本政府と内交渉をしておるようですが、大体それがまとまった内容、内諾を得たということを向こうは報道しておる。単にそれだけならいいのでありますが、九千五百万ドルとして韓国の国会に予算を出した、こういうふうに報道されておるわけなんです。そうしますと、韓国の国会の予算と、日本の側の予算の金額が、明らかに倍近く違うわけですね。非常に大きなやはり矛盾だと思うのです。単なる内交渉の程度であればいいのですが、大体了解を得たのでとして国会へ出しておるのですね。その点はどうなんでしょう。外務大臣なり、交渉の衝に当たっておる人は把握されておると思いますが、いかがですか。
○政府委員(西山昭君) 韓国政府が韓国の国会に出しました数字は、御指摘のとおりでございます。私どもが内々韓国の代表者等の説明を徴しました結果は、九千五百万ドルという数字はワクの話でございまして、それを一年間に全額日本側に要求することではない、こういうぐあいに了解しております。
○亀田得治君 韓国は九千五百万ドルというものを国会の予算に出しているけれども、必ずしも初年度で全部それを具体的に要求するのではないんだ、そういう説明がされておるのですか、外務省に対して。
○政府委員(西山昭君) 私どもが事務的に折衝いたしておりまする先方の責任者の説明によりますると、九千五百万ドルのワクの中で、具体的に年度内に調達するものが選択されるということに説明を聞いております。
○亀田得治君 大蔵大臣にもう一つ……。
○委員長(石原幹市郎君) これで終わりたいと思います、亀田君。
○亀田得治君 今回予算に出ておるのは八十八億ですね。八十八億何がしとなっておる。これをふやすことはありませんね、これが一つ。 それからもう一つは、韓国側が国会に出しておる九千五百万ドルの内訳ですね。これは外務省でおそらくいろいろ説明を受けておると思いますが、その中に民間補償というものが入っているというふうに伝えられておるわけです。そういたしますと、これは私は協定の違反じゃないかと思うのです、その点は。協定の第一条第一項の末尾に、「前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。」、こういうふうに性格が規定されておるわけですね。最初出発したのが、いわゆる補償という問題であったのだが、それが経済協力に変わった過程において、そうして正式の協定においては、いま私が読み上げたようなことになっておるわけなんです。もし民間補償というのにその一部が使われるということになりますと、私は、国会を通った協定の立場から言って大きな問題があると考えるのですが、一体、その点についての説明は、韓国側からどういうふうになされておるのか、その点をひとつはっきりしてほしいわけであります。
○委員長(石原幹市郎君) 亀田君、その程度に。
○亀田得治君 ついでにもう一つ言うておきます。
○委員長(石原幹市郎君) あなたの時間もまた別にあるだろうと思いますから……。
○亀田得治君 それじゃ、あと一つだけは残しておきましょう。その二つだけはっきりしてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 第一点だけをお答え申し上げますが、予算のワクをこえることはございませんです。
○政府委員(西山昭君) 韓国側が、韓国におきまして、いわゆる請求権資金を民間の請求権の補償に与えるという話があるようでございますが、日本側に提示いたしておりまする公式の具体案につきましては、そういう内容のものはございません。
○亀田得治君 もう一ぺん、大事な、非常に重要なことですから、外務大臣に聞きます。
○委員長(石原幹市郎君) 亀田君、これで終わります。
○亀田得治君 これで終わります。この協定ができる過程において、民間補償というものが問題になっているわけです。しかし、結果においては、それは形が変わっておるわけなんです。だから協定の表面から言うと、そういうものは、日本側に示す場合には、韓国としては出せないわけなんです。出せないわけです。日本側に説明する場合には、民間補償というものがないような形でなければ、これは説明がつきません。しかし、実際は違う。先方の国会で扱われておるのは違う、こういうことに現実はなってるんじゃないかと思うんですね。ともかく、日韓関係というのは、こちらで言うのと、あちらで言うのは再々違うわけなんです。おそらく私は、これもそういう実態になっておるんじゃないかと思うんですね。この協定の実施は、協定の第一条にもあるように、また、日韓条約のときわれわれが確かめたときに、これは日本政府と韓国政府の合意ができないとその実施計画はやれない、こう言っておるんですから、私は、その点を外務大臣のほうでしっかり確かめてもらいたいと思う。確かめてもらいたい。向こうの国会のものと、こっちのいま西山局長が説明したようのと違うというふうな場合には、そういう承認を与えるわけにはこれはいかぬわけなんです。だから外務大臣、その点どういうふうに理解しておるか。そういう報道がされてきておるわけですから、確かめておるのか、おらぬのか。あるいは、今後はっきりそれを確かめてくれるか、どうかはっきり答えてほしい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いずれにしましても、韓国との協定の趣旨に沿うて、そして韓国の経済建設のために役に立つというポイントで問題を取り進めてまいるつもりであります。御要望の点は、よく承知いたしました。
○田中寿美子君 ただいまの亀田さんがお尋ねになりましたことと関連あるんですけれども、経済協力の内容なんですけれども、これは大平・金会談で経済協力に切りかえた、もと請求権であったわけなんですね。それで、協定では、資本財、生産財及び役務をもって充てるというのが原則だと思うんです。で、韓国側は、請求権支払いに対して消費財を要求して、いまおっしゃったことと関連あると思うんですがね、民間の請求権支払いに充てるために消費財を要求しているんじゃないか。これに対応して、日本の側にもそれに応じる傾向があると思うんです。それで、盛んに韓国の経済協力に関して過当競争があるというふうに言われておりますけれども、一体、いま韓国に日本から行っております商社の数というのは、どのくらいありますか。それから日本人がどのくらいいるか、つかんでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府委員からお答えします。
○政府委員(高島節男君) 概数といたしまして、二十から二十五の程度であると思います。
○田中寿美子君 在留日本人は。
○政府委員(高島節男君) 日本人の数は、ちょっと私承知いたしておりません。商社の数だけでございます。
○政府委員(小川平四郎君) 商社関係の日本人の数は約百六十名です。
○田中寿美子君 商社関係だけですか。ほかに……。
○政府委員(小川平四郎君) ほかには、従来から残留している者がございます。これは約七百六十名ぐらいだと思います。
○田中寿美子君 その商社の名前は、少しいただきましたが、実際には非常にたくさんあって、相当やみでもぐって入っておるというふうなことを聞いておりますけれども、こちらの国内のほうでも、その過当競争の状況は、どういう資本が、どういう企業がひしめき合っているのか、通産大臣つかんでいらっしゃると思うんですけれども。
○国務大臣(三木武夫君) 商社は、日本の場合は、御承知のように、総合的な商社、いろいろなものを全部まあ外国にも珍しくやっておるわけですから、特に専門ということではなくて各種の商品を取り扱っているわけであります。過当競争−田中さんの御心配は、韓国に日本の過当競争を持ち込んで、そのことがかえって両国の国交の上において非常に弊害が起こるんじゃないかという御心配だと思うのです。われわれもそういう点は心配をいたしておるわけです。しかし、これについては、日本の業者でも、そういうことをやってはいけないというので、自主的な調整体制をつくろうといういろんな動きがあることは、御承知のとおりであります。これはわれわれとしても奨励して、まず民間で自主的に調整するような体制ができて、その過当競争の弊害を持ち込まないようにしたい。また、日本の政府としても、為替管理令等によっていろいろ輸出の場合は承認制度もありますし、そういうことでできる限りそういう弊害−−資本なんかに対してもむろんそうであります、そういうことで過当競争の弊害を持ち込まないような努力をいたしていきたいと考えております。
○田中寿美子君 少し私の質問の趣旨とは違うんですけれども−−。つまり、さっき亀田さんがお聞きになったことなんですが、協定によって生産財、それから資本財、役務を提供するというのが原則であって、これは韓国というのは長い間アメリカの軍事援助とそれから経済援助でやってきた国なんです。それで韓国自身の経済の発展ということができなかったというのが政府の側の説明でした、日韓条約を結ぶときに。それであるから、日韓経済協力というのは韓国が経済的に立ち直るために基礎的な建設をさせるためなんだという説明であったと思うんです。ところが、いま消費財を向こうもほしがる、こちらも出したがっている。一体どういう商品が出ていこうとしているのかということぐらいは通産大臣よく御存じだと思うので、もう少し具体的に、たとえば生産財、資本財というのだったら、どういう会社のどういうものが出ていこうとしている、競争がある、それから消費財のほうでは、たとえば滞貨していて困っているようなものが出ていくのか、その辺もう少し具体的にお話しいただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) いま、御承知のように、民間の資本協力としておもなるものは、塩化ビニールのプラント、セメントプラント、肥料プラント、ポリアクリルプラント、これが主たるものであります。まあ十一件、約八千万ドル民間の資本協力として輸出の承認をせられたものがあって、いま申し上げたのがこれから進出しようとしておるものでございます。
○田中寿美子君 消費財のほうは……。
○政府委員(高島節男君) ただいまの大臣のお話にちょっと補足いたします。 大臣のお答えになりましたのは、民間ベースでのプラント輸出の数字でございます。そのほかに日韓間に貿易がございますのは、御承知のとおりでございます。主として鉄鋼、肥料等が最近は好調に伸びておる状態にございます。それから、先ほどからお話しになっておりますいわゆる無償供与の中に、資本財以外の品物がどれだけ入るかということの具体的内容は、現在まだ外務省のほうも先方との間に具体的な検討を進めておらない段階でございます。したがって、現在日本から向こうへ出ている品物で資本財以外では、そういった通常貿易のベースにある肥料等の物資が目立つという状況にございます。
○田中寿美子君 そうしますと、消費財を経済協力の中には入れる意思はないということでございますか。
○政府委員(西山昭君) 協定によりますと、資本財その他両国間で合意する生産物及び役務となっておりまして、消費財ということばは必ずしも使ってないのでございますが、先方の計画は、いろいろ産業の開発及び発展に役立ちますような水産部門、農業部門、あるいはその他政府といたしまして非常に重要と考えるような面におきまする資本財ないしは原材料と申しますか、いろいろ部品だとか、そういうようなものを考えておるんでございまして、非常に経済価値の、建設的な意味で価値の少ない消費財は考えていないと私どもは了解いたしております。
○田中寿美子君 現在不況でありますところの繊維だとか、電気器具、そのほかトランジスタラジオだとか、そういういろいろ滞貨したものをこの際経済協力の中に突っ込むというようなことをしていただかないようにしていただかないと困ると思うんです。また、そのおそれは多分にあります。で、これは経済協力というのは、国民の税金で予算の中から出すわけですから、そういう資本が困っているのを救うために、日韓経済協力によって韓国というパイプを通して国民がその資本にまた支払うと、ふところに入れていくというようなことになってしまわないようにしてもらわないと困ると思うんです。 それで、次に、在韓日本人商社の韓国人労働者のストライキがありました。あのストライキの内容、それから要求なんかについてお知らせいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 一月に韓国の労働者から要求が出されて、三月の四日にストライキに入って、三月の十七日に解決をしたわけであります。要求は、従業員の給料を一〇〇%上げる、倍にする、それから賞与とかボーナス類はこれを日本人の商社並みにしろと、それから退職金制度というものを確立せよ、居残り手当を出せ、まあこういうふうな労働条件の改善ということが中心になったわけであります。まあ倍にしろというのは、二五%から三〇%これを引き上げようということで妥結になったものであります。それからボーナスについては、業績に応じてボーナスを出す。それから退職金の制度については、いままで、御承知のように商社の、いま日本人が行っておるというのは、みんなやっぱり出張員で行っているのですから、まだ商社が店を開くことは許されていないのですから、そういうことで、まあ退職金制度というようなものは、韓国の政府としても、これはいまのような状態ではぐあいが悪いんではないかと考えておったのを、この問題については了承するようでありますから、退職金制度も検討しようと、一年間は労使が休戦しようと、もうトラブルを起こさないということで、十七日に妥結して、十八日からみな働いておる、普通のとおりに働いておると報告を受けております。
○田中寿美子君 いま日本人との賃金格差を縮めろという要求もあったと思うのですが、その辺はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) その倍にしろという中には、縮めろということが背景になっておるわけであります。まあ女子、男子、いろいろ職種によって違うんですけれども、いま日本人との間には、御承知のように韓国の労働条件が日本と違いますからね、だから多少のやっぱり格差がつくということはまあやむを得ない。日本の商社の1商社といっても本式ではないのですけれども、そういうところで働いておる人たちが韓国の雇用条件から比べると非常にやっぱり飛び離れておるというわけにもいかぬでしょう。そういうことで、縮めろということが背景になっている。そして相当、二五%から三〇%というものを上げていけば多少は縮まってくる。そのままになったとは言い切れないものがあると思いますが、向こうの金で事務員なんかは二万五千ウォンというのですかね一から五万くらいの間だと見ています。
○田中寿美子君 今後、日韓経済協力、あるいは民間ベース、政府ベースでどんどん日本の資本が出ていきまして、向こうの労働者を使うわけなんです。それが日本の労働者に比べて三分の一、四分の一の低賃金であるというようなことから、日本の資本が、たとえば中小企業なんかも、非常に国内で困るので、向こうへ出ていくというようなこともうわさされております。印刷関係なんかでもあちらで鉛板をつくって持ってきたほうが安くつくというような考え方もありますし、それからこれは家内労働実態調査の中に出てきますけれども、京都の西陣織りの職人なんというのは月二万から三万であの技術を確保しているわけなんですけれども、それがもし、職人がだんだん減っていくから、韓国へ持っていけば五千円なり六千円でやってもらえるというような考え方があるのは事実だと思うのです。それで、そういうことは、韓国の労働者を非常に安い賃金で搾取してもうけるとともに、また国内の労働者の賃金を切り下げていくということになりますので、こういうことをしていただかない。先ほど労働大臣もチープレーバーを導入する考えは全然ありませんというふうにおっしゃいましたが、その点を注意していただかなければならないと思います。 最後に、韓国の貿易、ベトナム特需の問題なんですけれども、最近韓国の貿易が非常にふえているのですが、特にベトナム特需の状況を通産大臣に御説明願います。
○国務大臣(三木武夫君) 韓国との日本の輸出は、昨年度一億八千万ドルで、七千百万ドルほどふえたのです、去年。そのふえたものは、しかし、化学肥料、それから鉄鋼。化学肥料が約二千万ドルですか、これがふえた一番中心ですから。戦略的な物資というものはないのですよ、1少しも。やっぱり輸出の中には入っていないわけです。ただ、韓国に渡したものが一体ベトナムというものにどういうふうに、日本の輸出したものがベトナムに輸出されるという、これはチェックする方法はないのですけれども、韓国が一体ベトナムにどれだけのものを輸出しているかという韓国の統計で見てみますと、やはりベトナムに対して韓国からの輸出は千六百万ドル、一年で。たいした大きな数字じゃない。その千六百円ドルで、千百万ドルは亜鉛鉄板なんです。
○田中寿美子君 何年ごろですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは一九六五年、去年の。そういうことで、非常に韓国から戦略的な物資がベトナムにたくさんいっているというような数字は統計の上にあらわれていないと言っていいと思います。
○田中寿美子君 いえ、貿易統計月報によりますと、最近非常に韓国、台湾、それからフィリピンなどの東南アジア向けの貿易がふえております。ことにベトナムヘの貿易がふえているわけです。そうして特に最近韓国にはベトナム特需が出ているわけなんですね。この内容についてはもう御存じだと思いますけれども、いまほとんどそういう種類のものはないとおっしゃいましたが、米軍が調達します軍服百九万着のうち、韓国が八十四万着をほとんど取っております。入札しております。それからジャングルブーツ、これは百五十万足のうち、日本が五十万足、韓国が百万足取っております。そのほかベトナムへ向けての貿易額が急に非常にふえているのですが、これを日本の大手商社がねらっているのではないか。つまり、直接にそのベトナム特需として日本には入ってこないけれども、韓国との貿易が日本も非常にふえているわけですね。その関係で、つまり原材料は日本からいく、ジャングルブーツにしても、それから軍服にしても、材料は日本からいく、日本から出ていって加工して、そして日本から韓国に出て、韓国からアメリカに売られ、アメリカからベトナムにいくという、こういう関係になるのじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは、そういうことはあり得ると思うのですね。やはり、いろんな材料を日本から輸入して、それで韓国からベトナムへいくような場合もあると思います。これは経済の仕組みはやっぱり、それまでこちらがいけないというようなことは言う理由もないし、必要もないわけです、そういうことは。ただ、御承知のように、武器とか弾薬というようなものは、日本はこれを輸出しないのですけれども、それ以外のいろんな兵隊の着るような軍服がいったりあるいはくつがいったりするようなことは、これは貿易の型として、これは悪いとも言えぬし、悪いと考えるべきでもないですよ。これはどうにも方法がないと思います。
○田中寿美子君 私は、それは結局……
○委員長(石原幹市郎君) 念のために、時間が来ております、田中君。
○田中寿美子君 ベトナム特需、間接に日本に回って、戦争政策に間接協力をしているということになると思うのです。 それではこれで終わります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 田中君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に春日正一君。
○春日正一君 私、日本共産党を代表して、佐藤内閣の財政、外交政策について幾つかお聞きしたいと思います。 第一番にベトナムの問題ですけれども、政府はアメリカのベトナム問題平和解決への努力は真剣なものであるということを言っておるのですが、一体何を根拠にしてそのような断定をされるのか、この点からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 米国の平和への努力、これは真剣にやっております。しばしば声明もいたしておりますが、私がハリマン特使やハンフリー副大統領と直接会って、直接この耳で聞き、またいろいろ意見を交換したその結果が、かような確信を持っております。
○春日正一君 ところでですね、一月三日にホワイトハウスが「ベトナム問題の核心」という文書を発表して、例の十四項目の和平提案、これを解説しておるのですけれども、その最後の結びとして、「言いかえれば、われわれはすでに平和の条件の中に、南ベトナムを放棄すること以外のすべてのものを入れたのである」、こう言って、南ベトナムを放棄しないということをはっきり言っておる。そしてラスク国務長官も、二月の上院外交委員会の公聴会で、「中国との直接対決に直面してもベトナムから撤退しない」とはっきり言っている。そうすると、こういうことでアメリカがあくまでベトナム侵略戦争を継続し拡大するという腹をしっかりきめておきながら、いわゆる平和攻勢というものをやっておるというのは、結局人を欺く。ぺてんであるということであって、どうしてこういうところから平和努力への真剣な考え方というものがくみ取れるのか。つまり、ベトナム絶対引き渡さぬ平和解決というものはどういうものか、この点お聞きしたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ベトナムの問題につきましては、アメリカはいつでも相手方が武器をおくならば自分のほうも武器をおく、そして平和解決の話し合いに入るということを言っておる。ですから、これを片づけるためには、やはり北ベトナムのほうでこれに応じてまず武器をおいて、そして平和交渉に入る、これが解決の唯一の道であると考えます。
○春日正一君 相手が武器をおけばわしのほうも武器をおくとアメリカが言っておると。しかし、私の指摘しているのは、それは戦争はしたくない、やめようと思うけれども、しかし南ベトナムは渡さないんだと言っておる。こういうことで、どうして相手が納得するか。この点ではアメリカの上院外交委員長のフルブライト氏でも、公聴会の締めくくりでもって、米国は全面的勝利と相手の無条件降伏を求めておる、限定戦争のワクを越えているんじゃないかとはっきり批判しているんですね。そうすると、結局アメリカがベトナムに対して無条件降伏を要求しておる、そういう無条件降伏ということで解決するということが、平和解決の熱意と日本政府が考えてこれに協力しておいでになるのか、この点聞きたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 無条件降伏というのは、まず戦争をやめて、そして和平条件をすべて相手方の言うとおりになる、こういうことが無条件降伏であります。この場合は無条件降伏ということをアメリカが言っているわけじゃない。それから、南ベトナムの独立と平和のために、自由のために、アメリカがその要請によって北ベトナムの侵略に対抗しておるのでありますから、この関係を度外視しては、この問題を論ずることはできないと考えます。
○春日正一君 そんなあいまいなことを言っちゃだめですよ。相手が絶対に渡さない、中国と直接対決に直面しても渡さないとはっきり言っているわけですから、そうしたらまじめに相手が話にのってくる余地なんというものはありやしない。だからこの点では、私は八月の特別国会でもって総理に、仲裁しようというようなら道理を持たなきゃならぬ、そういう立場からいえば、ベトナム問題の平和解決というためには、すでに国際的に確立されているジュネーブ協定、これをもとにして、第一にアメリカが南ベトナムに対する侵略をやめる、アメリカとその従属国の軍隊、すべての兵器を撤収し、南ベトナムの政治的、社会的なすべての問題は、南ベトナムの人民に解決させるということ、第二に、北ベトナムに対する一切の戦争行為を無条件かつ永久にやめること、こういうことを私言ってきたし、同時に、最近では南ベトナム解放民族戦線、これがすでにベトナムの領土、南ベトナムの五分の四の領土、三分の二以上の国民を解放しておる。これを南ベトナム人民の唯一の代表者として承認する、これ以外に道理にかなった解決はない。民族自決の原則、ジュネーブ協定からいっても、それ以外の解決はないんじゃないかということをあなたに言ったのですけれども、いまになると、ますますそのことが明らかになってくる。あなた方ずいぶん努力したけれどもなぜ実を結ばないのか。結局あなた方がやることが道理にはずれているから、世界からもの笑いになっているんだ。この点で政府が真剣にベトナム平和解決を望むなら、この立場から努力すべきであって、いままでのような考え方を変えるべきであると思うのですけれども、どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 全然その見解を異にいたします。
○春日正一君 見解を異にするのはいいのですけれども、あなた方の見解からいえば、この前の国会でも、ベトナムの政府を倒そうとする勢力がある、これを北のほうが応援しておる、だからアメリリカが出ていくのはあたりまえだというような立場をとっておいでになった。いまでもそうですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いまでもこれを変える理由、根拠は一つもございません。
○春日正一君 北からの浸透だとか、武力による政府の転覆だとかいうようなことを言いますけれども、これは事実とも違っておるし、道理にもはずれておりますよ。第一、ジュネーブ協定はベトナムの統一、ベトナム民族の自決ということを前提とし、原則としてつくられた。しかも政府は、今度の施政方針演説では、奇妙なことにジュネーブ協定を引っ込めてしまったけれども、日韓国会のときのあなたの演説でも、ジュネーブ協定の精神に基づいて解決するということを言っておられるはずです。そうだとしたら、これに基づかなければならぬ。そうすれば当然、統一されたベトナムの中でベトナム人がベトナムを侵略するということが言えるのか。明治維新のときに佐藤さんの先輩である長州が日本を侵略したということと同じじゃないか。これは道理に合わぬことだ。第二に、歴史的な事実からいっても、アメリカがジュネーブ協定に反してゴ・ジンジェムのかいらい政権をもり立てて、歯ベトナムの愛国民主勢力、これを武力で弾圧して、大量な虐殺をやった。だからベトナム人民が自分の生命を守り、権利を守るために、自衛のために武器をとったんであって、そもそもの問題は、アメリカがそういうことをやったからである、歴史的事実はこういうことですよ。だからこういう点について、あなた方がはっきりした根拠を持っておられるなら、その根拠をはっきり示していただきたい。北の武力闘争がどういう状況で起こっておるか、北がどういうふうに浸透してきているか、どっちが先だったのかということを歴史的に証明する根拠を、あなた方お持ちなら出していただきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 歴史も大事でありますけれども、現実もまた大事である。南ベトナムの人民の大多数が北による浸透を好まない、その力によって政治的独立と自由を奪われることを好まない、こういう現実は一番大事だと思います。その現実に基づいてこれを判断しなければならない。
○春日正一君 現実は先ほど言ったように、ベトナム千四百万の人口の中で一千万以上が、解放民族戦線のもとに結集されておる。サイゴンやダナンのようなアメリカ占領地区でさえ、人民の多数が解放戦線を支持しておる、これが現実ですよ。そうしてあなた方はそういうふうに言うけれども、アメリカの言っておる根拠は、一体どんなものか。最近三月九日に、上院外交委員会に対して国務省が出した文書を見ますと、こういうことを言っていますよ。何千人もの軍人が北から侵入するということは、明らかに武力攻撃ということになる。いつベトナムのそのような侵略が武力攻撃になったかの時期については、多少の疑問があるかもしれないが、それは一九六五年二月、つまり北爆開始以前であることは確かである、この程度の根拠しか持たないわけです。それをあなた方うのみにしておる。それ以外に根拠がない。 私ここで指摘したいことは、去年の通常国会のこの予算委員会で、わが党の岩間議員が、この問題についてベトナム問題の歴史的な事実関係、これをあげてあなたに質問しておられる、椎名外務に。椎名外務大臣はそのときは、私はまだ勉強しておらぬと言っておる。一年たったんだから勉強されたはずだと思う。その勉強の結果をお聞かせ願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだよく勉強しておりません。歴史歴史とおっしゃるけれども、やはり峻厳な現実に従ってものを判断しなければいけないと私は考えます。
○春日正一君 まだ勉強してない、だから、ベトナム問題についてどれほど政府が自主的にものを考えないのか、アメリカの言い分だけに従っておるのか、これをいまの答弁ははっきり示していると思いますよ。 そこで、次の問題にいきますけれども、武力で政府を倒すのはいけないということを、総理はしょっちゅう言われる。それは確かにいけないけれども、しかし、ベトナムとか韓国とか、そういうような民主主義も選挙制度もまるきりない国で、それ以外の方法で一体やれるというのか。徳川幕府を、明治維新でもってあなたの先輩は何で倒した。特に蒋介石にしても、国民革命でもって武力によって権力取ったんじゃないんですか。朴正煕にしても、グエン・カオ・キにしても、クーデターによって政権を取ったんじゃないですか。こういうものと仲よくしながら、友愛親善の手を結ぶと言いながら、ベトナムの人民に対してだけ、それがいけないとどうして言われるのか。だれがそれを納得するのか。その点について総理の釈明を求める。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま春日君も、武力によって政権を転覆するということは確かによくないと、こういうことを言われました。これは別にことばじりをとるわけじゃないですよ。しかしながら、いま明治維新なり、あるいは韓国なり、あるいは中国なり、あるいは——ソ連は言われなかったが、それぞれの国が武力によって政権が変わっておると、こういう事実をいかに見るかと、こういうお話でございますが、私はどこまでも、武力による政権の交代、転覆、これはよろしくない、かように考えております。
○春日正一君 それじゃなくて、私のお聞きしたのは、よろしくないと言いながら、蒋介石や朴正煕やグエン・カオ・キとは友好親善を結びながら、ベトナム人民がそれをやるからアメリカが攻撃するのはあたりまえだと言う。どうしてそういうことを言うのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) その後の事態の推移もよく見なければなりません。私どもいまソ連とも仲よくいたしております。
○春日正一君 それではまるきり私の質問に答えてないじゃないですか。答えられないんじゃないですか。なぜ朴煕がそういうものと友好親善だといって、日韓国会であれほどの反対を押し切ってまで、あのクーデター政権と手を握りながら、これと手を握りながら、どうしてベトナム解放戦線に対してアメリカが攻撃するのはあたりまえだと、それがけしからぬからだというようなことが言えるのか、これはあなたのそんな答弁じゃだれも納得しませんよ。佐藤総理答弁に困ってあんなことしか言えなかったんだと、こういうふうにしか言いませんよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) ぼくはそういう自信のないように思われると困りますが、ただいま言われるように、それぞれのものが、政権が武力闘争、たとえば中国の場合、蒋介石政権、これをはっきり見ればよくわかるでしょう。中共政府からこれは締め出しを食った。しかし、ただいまの蒋介石政権あるいはまた朴政権、これはみんな民主主義の選挙によってこれが成立いたしております。またその点では、まことに平穏無事に円満にやっておる。この点を十分見ていただきたいのです。政権が成立したとき、そのときは歴史的にはきっと御指摘のような点がございましょう。しかしながら、今日の状況において変わってきておる。先ほども、春日君はどこまでも歴史を尊重しろというお話であります。しかし、私はソ連が革命をした。そのときにすぐにはソ連の新革命政権を承認はしなかったと思います。しかしその後におきまして、事実これが平穏無事に安定政権であると、こういうところで、私どもはただいま修好関係を結んでいるわけであります。ただいまベトナムの問題そのものを見ますと、これは流動的でありまして、まことに私は残念に思っております。一日も早くこの土地に近代的な民主政治の政権のできることを心から望んでおります。
○春日正一君 ベトナムの問題が流動的であると言っても、それは国内の問題−−アメリカが手を引けば国内の問題。明治維新のときにどっちがどうしようと、それは日本人がきめたので、外国から干渉される筋合いはなかった。このことはあなたもお認めになると思う。そうだとしたら、ベトナムにどうしてアメリカが干渉するのか。ロシア革命に干渉したということを言われましたけれども、確かに日本は承認もしないし、シベリア出兵もやった。しかし、あのことが決して正当なものではなかったということは、今日ではもうはっきり確定しておる。そういう点見れば、もういまアメリカのやっていること、政府がこれを支持しているということが、どんなに不条理なことかということは明らかですよ。 そこで、ついでですけれども、政府がグエン・カオ・キを招待するということですけれども、これは何の目的で御招待するのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 最初の話では、韓国への途中で訪問したいという申し入れがありましたので、御招待はいたしたいが、お立ち寄りは願いたいが、時期があまり適当でないというような心組みでおりましたところが、向こうのほうで気をきかしておやめになった、先へ延ばされたのです。それでその招待するということは、そういういきさつがございます、いろいろ外交関係がございますので、そうぶっきらぼうなことも言えないし、そこに微妙なものがあります。招待というような形にはなっておりません。
○春日正一君 私、何の目的でと言って聞いたのですけれども、椎名外務大臣、そこのところをお答えになってくれない。そこで私のほうから、もうめんどうくさいから言いますけれども、グエン・カオ・キが去年の十一月から韓国、台湾、タイなんかを訪問して、軍事的、経済的、政治的な援助を要請して歩いていること、それから反共戦線の結束を強化するということを呼びかけておるということは、もう今日明らかな事実です。そうしてアメリカもこの点については、近隣諸国が、韓国の例1つまり派兵したようなですね一にならうことを切望すると、こう言っている。こういう状況のもとで、日本政府がグエン・カオ・キを招待するということになれば、これはだれが考えたって、ベトナム侵略戦争の新しい段階に対応する援助の増大、侵略的な反共同盟の結集、こういうものについて話し合うためじゃないか、こう考えるよりほかに考えようがないと思いますよ。そう考えていいのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういう意図等については、何らの通告もありませんし、そういう意図を推察すべき何らの根拠もございません。ただおいでくださるというのならば、日本は自由主義政治経済の体制下において、こんなに繁栄しているということをまともに見せたならば、グエンカオ・キ将軍も非常に勇気づけられるのじゃないかということを考えますので、おいでくださるならおいで願いたいと、こう言っておるわけです。
○春日正一君 それは推測しないとかなんとか言いますけれども、たとえば中国の代表団が社会党の招きで来るというのに、いろいろ推測して、許可するとかしないとかそういうことだけはえらく推測される。ところがグエン・カオ・キのときには推測されない。そういうことじゃないと思いますよ。戦争の負けいくさをしている国の首相が、人の国に花見に来るわけじゃないのだから、当然そのくらいのことは推測できるはずですよ。だから結局政府の答弁、いろいろ言っているけれども、私ども、結論としては、ベトナム問題に対する佐藤内閣の立場というものが、アメリカ政府の立場と全く同じものであって、そうしてこれに協力するということだと思いますよ。この点ではアメリカのバンディ国務次官補がこの間来て、下田外務次官との会談で、椎名訪ソ、松井国連大使のあっせん、横山大使の派遣など、日本政府の和平努力を高く評価したと、新聞はそう報道していますよ。これはそのことをはっきり示していると思いますよ。結局佐藤内閣の平和努力というものは、ジョンソンの平和構想のぺてん、戦争拡大の政策、これに加担して、戦場で敗北し、国際的に孤立を深めているアメリカ帝国主義の窮状を救おうと、そういうものだと私どもは思います。で、現にアメリカは、平和を口にしながらベトナムで侵略戦争を急速に拡大しているじゃないですか。事実についてお聞きしますけれども、現在ベトナム戦争に投入されておるアメリカはじめ外国軍隊の数がどれだけになるのか、これひとつあげてほしいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 事務当局から。
○政府委員(小川平四郎君) 私どもが知っておりますところでは、アメリカから約二十万、オーストラリアから二千、韓国から現在のところ一万余、そういうふうに承知しております。
○春日正一君 もう少し親切に正確に言ってくださいませんか。
○政府委員(小川平四郎君) 正確な数字は発表がございませんので承知しておりません。
○春日正一君 そういう答弁じゃしょうがないです。発表されてないって、私どもが新聞に発表されるのを見ても、アメリカ地上軍二十一万五千、それに二万増派して二十三万五千にすると朝日新聞には書いてある。韓国軍が二万、さらにこれを四万に増強することがきまっておると新聞にも出ておる。そのぐらいのことをつかんでおりませんという不親切な答弁ないと思うですよ。もう一度答弁してくださいよ。
○政府委員(小川平四郎君) 私ども、新聞に出ております数字は承知しておりますけれども、正確に各国の発表というものがございませんので、承知しておりません。
○春日正一君 とにかく、そういった程度で国の外交なり何なりやっていこうということになれば、これは非常にあぶないことですよ。で、勧告軍二万、オーストラリア軍が千五百から四千五百にふやす、ニュージーランドが千五百から四千五百にふやすというようなことで、これに第七艦隊の七万、タイ派遣軍二万、グアム島一万、沖繩五万というものを入れれば−−沖縄まで入れれば四十二万です。増強軍入れて、沖縄抜いても三十八万というような軍隊が行ってる。これは朝鮮戦争のときの出兵に匹敵するほど軍隊を出している。そしてアメリカのベトナム戦費は、六六会計年度で推計して五十七億ドルと言われていたんですけれども、これについ先日百三十一億ドルの追加支出が承認されてます。六七年の予算には百五億ドルの予算が計上されている。百三十一億ドルといえば約四兆七千億円でしょう。日本の一般会計予算総額をはるかに上回る軍事費を組んで、これで戦争をやろうと言っている。そうして、軍隊を増派し、年内には三十万にふやすだろうというようなことをマクナマラ氏が言明しています。さらに、アメリカは、韓国軍隊二万の増派、その他従属国の軍隊を増強して、ベトナム侵略戦争を国際化する計画、これを進めていることも明らかな事実です。さらにタイのコラート、ウボンなどの基地を中心にして、米軍基地が急速に拡充され、これらの基地からベトナム、ラオスに対する爆撃が絶えず行なわれておる。これももう明らかになってる事実です。昨年十二月にアメリカ国務省が、アメリカ軍はカンボジア国境を越えて発砲することができるというふうに声明して、ベトナム侵略戦争をカンボジアにまで広げる、こういう意図を示したんですけれども、その後何回かの侵入事件が起こされております。こういう事実を見れば、アメリカ帝国主義が、ベトナム侵略戦争をインドシナ半島全体に広げる計画というものを着々と実行しておること、これは明らかだと思います。しかも、朝鮮の三十八度線でも最近、南朝鮮側からの挑発事件が頻発しておるし、在韓米軍家族の引き揚げが始まったというようなことまで伝えられておる。こういうふうにしてみれば、アジアの情勢というものは決して平和な方向、事態の安定する方向ということではなくて、非常に危険な方向に発展していっている。こういう状態の中で佐藤内閣が安保条約の義務を誠実に守る、こういう立場からアメリカのベトナム侵略戦争に進んで協力をしているということは、日本の安全と極東の平和にとって重大な危険をもたらすものだというふうに思います。これは国の進路と運命に関する問題ですから、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話は、共産党の所見を述べられた、かように思います。私どもは、この日米安全保障条約、これによりましてわが国の安全を確保している、また、これが安全確保のための基本的条約である、かように思ってこの条約を守っているのであります。条約であります以上、もちろんその権利また義務を履行すること、これは当然であります。したがいまして、ただいまのような共産党の御批判は御批判といたしまして、私どもは現状の考え方を変える考えは毛頭ございません。
○春日正一君 日本の安全を守るというふうに言って、安保条約というものをアメリカの極東政策から切り離してあなた方は問題にしておられますけれども、二月十八日のアメリカの上院外交委員会で、ラスク国務長官は、アメリカは共産主義の拡張を防ぐため、日米安保条約、米比相互援助条約、アンザス条約、米韓、米台の相互防衛条約、バクダット条約、東南アジア条約機構lSEATOなど、一連の軍事同盟条約をつくり上げたという経過を説明し、さらに、ベトナム侵略戦争はSEATOの条約によるのだ、こういうふうに証言しながら、条約上の保護適用国に対して武力攻撃が行なわれたとアメリカが決定した場合、他の加盟国の見解または行動にかかわりなく、共通の危険に対処するための行動をとる、こう言って、しかも、南ベトナムに対する公約はアメリカ自身の平和と安全を守るためのものだ、こういうように証言しております。これはアメリカの責任ある当局者が、責任ある場所での証言です。つまりベトナム侵略戦争というものがアメリカの極東政策の一環として、アメリカの利益のために、アメリカの決定に基づき行なわれているということであって、政府の言われるように、南ベトナム政府から頼まれてやっているのだというようなものではない。これは明らかです。だから、アメリカの都合が悪くなれば、何回でもクーデターをやって政府のがん首をすげかえるというようなことをやっているじゃないですか。だから、安保条約によってというものも、こういうアメリカの反共極東政策の一環として組まれているのだから、日本の政府がどのように考えようとも、結局アメリカのベトナム侵略戦争、極東におけるすべての侵略計画に、この安保条約によって全面的に加担し、協力する義務を負わされている、こういうことにならざるを得ないじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 春日君、あまり論理を発展させないようにお願いいたします。私どもは、日本の安全確保で日米安全保障条約を結んでおります。同時に、りっぱな憲法も持っておりますし、自衛隊法も持っておりますし、私どもがベトナムなどに出かけるというようなことはございませんから……。ただいまのお話を聞いていると、いかにも出かけるのが安全保障条約の義務の履行だというように言われるようですが、そんなことは絶対にございません。どうぞ論理の飛躍も適当におとどめ願います。
○春日正一君 総理は人の言うことをよく聞いてほしいと思うのです。協力、加担するということは、何も兵隊を持って出かけるだけじゃないでしょうが。じゃ、事実についていえば、ベトナム侵略戦争のために、在日米軍基地がどんどん使われているし、軍需物資が提供されている。しかも、これも日本の政府ではチェックできないというような状態になっている。航空機や戦車、そういうものの修理もやられているし、アメリカ輸送船への日本人の船員の提供もやられている。あるいは原子力潜水艦の寄港、基地の提供というようなあらゆる協力を行なっておる。そして私、がなくなったから飛ばしますけれども、たとえば米軍輸送機関のチャーター機が羽田の空港をどんどん使っている。そういうことをさせておいて、空港が狭くなった、富里とるなんたって納得しませんよ、国民は。富里をとれば、またそこへ来るんじゃないかということになる。この点、私もっと詳しく聞きたかったけれども時間がないから飛ばしますけれども、野戦病院までつくっているじゃないですか。私、中身も聞きたいけれども、それは省きまして、東京の周辺に野戦病院ができたということは、日本がベトナム戦争の一部に組み込まれたということじゃないですか。しかも、日本の首都ですよ、こういう恥ずべきことがやられておる。しかも、検疫がアメリカまかせ、どうしてこの伝染病の危険が防げるか。しかも、ここへ来る病人というのは、日本の安全のために傷ついたのではなくて、恥ずべきベトナム侵略戦争で傷ついた者ですよ。こういうもののしりを何でわれわれがしょわされるのか、なぜ政府はお断わりにならぬのか、これを聞かしていただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 米軍の入国につきましての検疫の問題でございますが、検疫港や検疫空港に入ってまいりまする場合には、当該地域を管轄しております検疫所長が責任を持って検疫に当たっております。また、日米行政協定できめられておりまする施設に対して入ってまいります場合、艦船あるいは飛行機で入ってまいります場合は、米軍の検疫官にこれをやらしておるわけでありますが、緊密に連絡をとりまして、伝染病等が絶対に入ってこないように、いままでも全然そのようなことはございませんが、入ってこないように万全の措置を講じておるわけであります。
○春日正一君 そういうことを言っても、もういままでの国会でも、どんな病人がどれだけ来てどうというようなことはわからぬことになっているのだから、私聞きませんけれども、さらにそういう便宜を供与しているだけでなくて、松町防衛庁長官は、海上自衛隊は将来必要となれば米原子力潜水艦と合同訓練をすべきだと思う、こういうことをこの国会でも言っておりますし、沖縄の新聞によると、防衛庁は自衛隊の幹部候補生、学生などを大量に最近沖縄に送って訓練しているということが言われております。こういうことは、アメリカのベトナム侵略戦争の拡大、中国、朝鮮民主主義人民共和国、ベトナム民主共和国などに対する侵略戦争を予想して、アメリカとの共同作戦を準備するのじゃないだろうか。この点ひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、日米安全保障条約、これで先ほどもわが国の安全が確保されておるということを申し上、げた。もうこれでただいまの答弁になっておると思いますが、そのために共同訓練をするとか、あるいは共同演習をするとか、そういう必要は私はないように思っております。この条約があります限りにおいて、戦争などは起こらない、それが私の確信でもありますので、これでお答えとしたいと思います。
○春日正一君 それじゃ答えになっていないのですよ、現に共同訓練、共同演習をやっているのだから。やる必要ないと言うなら、これは防衛庁長官は総理の意思に反してやっているということになる。特に問題になるのは、十六日の朝日新聞によると、防衛庁の西村友晴というのですか、海幕長が、十五日の記者会見で「各国海軍は自国の「生命線」を守るため全力をあげる体制だ。日本もその例外であってはならない」と述べ、「中東地域からわが国への原油輸送ルート護衛の必要さを強調した。すでに第三次防補力整備計画のなかに、中東から日本まで原油を運ぶ「オイル・ロード」を守る構想を織込む」云々といって、生命線ということばを使っているのですね。かつて満州を生命線として攻撃をし、日本の生命線だと言って、シンガポールからマレーまで攻めていった、その生命線が出てきている。こういうことを考えますと、総理が何と言われたって、日本の事態はそこに進んでいるというように見ざるを得ないのではないか、そこをみんな心配するんですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 春日君が疑念を持たれることが、ちょっと私にわかりかねるのですが、いま言っている西村といいましたか、朝日新聞に出たオイル・ロードの話、それでいわゆる生命線ということばが使われた、かつても生命線ということばが使われた、そのために、その二つが混同され、その危険があるのだ、こういう御指摘のようですが、私はかつての生命線というような表現は今日はない、かように思いますが、これを過去のような生命線におとりになったとしたら、それこそ時代離れがしておる、かように私は思いますが、どうかさような考えではないということを御了承いただきたい。
○春日正一君 そんなにお茶化してもだめですよ。総理自身がこの予算委員会で、沖縄が攻撃されたら兵隊を出すと、それは私の切実な気持ちだと言われて、それを取り消しておられないじゃないですか。それはどうなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖縄の論争は、もう過去におきましてすべてが終わったように私は考えております。率直な、素朴な国民感情を、これはどうしてもこれを払拭することはできません。しかし、あの中で申し上げましたように、沖縄が攻撃を受けるというようなことは考えられない。したがいまして、当方で兵隊を出すようなことは考えられませんから、どうか御心配のないようにお願いいたします。
○春日正一君 しかし、あの総理の十六日の答弁でも、自分の気持ちを言ったのだ、しかし、現状では自衛隊を出すというようなことはあり得ない、こういうようなお答えをしておられます。現状は確かにそうだ。しかし、アメリカが追い詰められてきて、施政権返そう、防衛権返そうというようなことになれば、引き込まれる条件になっている。また、そうならぬということはない、アメリカはあれだけ負けているのだから。そこでお聞きするのですけれども、これは大事な問題だからお聞きするのですけれども、総理が、沖縄が攻撃されれば、沖縄の同胞を見殺しにできない、だから自衛隊を出してもというその気持ちですね、その気持ち自体の中に、非常に大きな矛盾があるの、じゃないかということです。というのは、沖縄は現にアメリカの核戦争の基地として使われているし、もう戦後アメリカはずっと沖繩を軍事基地にするということでしてきておった。そういうことを承知の上で、このサンフランシスコ条約でもって、沖縄もアメリカに引き渡したということは、政府が沖繩の同胞を、アメリカの極東の最大の軍事基地、その中でアメリカの圧政と戦争の危険にさらさせる状態にほうり出したということですよ。こういう残酷な無慈悲なことをしておいて、攻められたら守ってやるということはおかしな話だ。ほんとうに沖縄の同胞を愛するなら、なぜこんな無慈悲なことができるのか。そこに矛盾がありますよ、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまさら平和条約締結当時のことを、歴史が非常にお好きのようですから、歴史的にお考えをいただいてもいいかと思いますが、そのことを議論する必要は私はないように思います。ただいま施政権はアメリカにある、私どもは潜在主権を持っておる、これはわが国の領土である、同胞である、このことだけはもういかように説明しようとも、はっきりしておるのでございます。先ほど来申し上げますように、沖縄が攻撃されたらと、こういう話がございまするが、私はただいまの状態では沖縄が攻撃されるというようなことは全然ございませんから、国N的感情は感情といたしまして、さような心配をなさらないでいいと、かように思います。
○春日正一君 沖縄が攻撃されることはないと言って逃げてるけれども、そういうことが簡単にきめられるものじゃないし、第一沖縄の県民は、攻撃されてから自衛隊に守ってもらうというようなことは望んでいないのですよ。米軍の圧政と戦争の危険で苦しんでいる。だから何とか早くのがれたいと思って祖国復帰を望んでるんですよ。だから総理が沖縄においでになったときに、沖縄をアメリカに引き渡した日本政府の処置に対する怒りというものかある。それから祖国に早く帰りたいという切実な要求がある。これを祖国の首相に訴えるために、十万の県民がデモをかけたと思うのですよ。ほんとに総理が首相として沖縄県民に対する、自衛隊を送ってまでもというような思い詰めた愛情があるなら、なぜあのデモに会わなかったのか、デモを避けてアメリカの基地にのがれられたのか、そこを聞きたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへん誤解があるようですが、私どもはただいま施政権が一日も早く返還されるよう最善の努力を払っております。これは政府の何でもございます。努力でもございます。そのことはしばしば申し上げましたから重ねて申し上げません。また私自身が沖縄を訪問いたしまして、そうしてほんとに沖縄同胞また日本国民、これは一体だ、一体でなきゃならないんだということをほんとにこのはだで感じたのでございます。とにかく沖縄に行って、そしてあの状態を見ると、これは東京などで想像するような状態ではない。ほんとうに同胞の一体感、それに基、ついて万一のことかあったら——というのが私の気持ちであります。これはおそらく日本国民全体の素朴なる感情だと、かように私は思います。だから沖縄は見殺しにしない、これはもうその感情でございます。しかし沖縄が攻撃されるようなことはございませんから、あるいは先ばしった言い方であったかと思いますけれども、これは私が出かけて、そして沖縄の同胞に接したときのその気持ちを率直に申したのでございます。
○春日正一君 潜在主権があるということは、潜在防衛力もあるということ、これが顕在化する危険があるということを含んでいますよ。だから問題は、沖縄が帰れぬというサンフランシスコ条約三条の問題と日米安保条約がからんでいる。だからほんとうに沖縄のためを思うならば、サンフランシスコ条約三条を廃棄して沖縄を祖国のふところに取り戻すことと、安保条約を破棄してアメリカ帝国主義の戦争と侵略の政策、これとの結びつきを断ち切って、沖縄と本土の米軍基地を一掃して、日本の真の独立をかちとるために努力をする、その方向で努力をすることこそ、沖縄同胞に対する血の通った政治というもんじゃないだろうか。ただ、いまの状態で施政権の返還といって、施政権が返還されれば今度は自衛隊を出す義務が出てくるというような危険が伴うわけなんだから、安保の問題と一体で解決しなければ、ほんとうに血の通ったものにならないんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) その辺になってきますと、私どもの考え方と日本社会党の考え方が違ってきます。失礼しました。日本社会党じゃない、日本共産党との考えが違っておる。これは申すまでもなく、私どもは安全保障条約によってわが国の安全を確保する、かように思っております。こういうものがないほうが日本の安全が確保される、これは日本共産党の言い分だとかように思いますので、ただいまの点では、これはもう根本に両者の考え方が違っておりますから、答弁の限りでないと思います。
○春日正一君 結局日米安保条約という状態のもとで……
○委員長(石原幹市郎君) 時間がまいっておりますから、御注意いたします。
○春日正一君 日本がアメリカの基地にされているということを考えれば、日本の安全、そして沖縄の同胞の要求、こういうものを含めてみて、やはり日米安保条約を破棄して、アメリカの戦争と侵略の政策との結びつきを断ち切って、日本の真の独立を実現する、こういう方向以外にないし、総理が安保条約をあくまで守る、七〇年の期限切れののちも長期に安定したものとして継続するということは、いつまでもアメリカ帝国主役に日本を従属さして、日本に軍国主義を復活し、戦争と侵略の道に進むという方向を日本政府がとっているということであって、独立と平和、民主主義と生活の向上を望む日本人民の絶対に容認するところではないと思います。私こういう意味で、日本共産党が安保条約の破棄、それをあくまで要求するということをここではっきりさせて、私の質問を終らせていただきます。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 春日君の質疑は終了いたしました。 午後一時四十五分再会することとし、これにて休憩いたします。 午後一時六分休憩 —————・————— 午後二時一分開会
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。先刻、古池信三君、多田省吾君が辞任され、その補欠として松野孝一君、北條雋八君が選任されました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算外二案を議題とし、を行ないます。市川房枝君。
○市川房枝君 最初に、国会議員の手当と税金の問題について大蔵大臣に伺いたいと思います。今度は国会議員の歳費、手当等がお手盛りではなく、第三者による調査会に諮問したことは一歩前進でありまして、国民の心を幾らかなごやかにしたと思います。もっとも答申案の内容は必ずしも国民感情を反映したものとは言えない。私自身も納得しがたい一、二の点がございます。その一つは、通信交通費を五万円値上げをして十五万円とし、これだけは無税とするというのですが、大蔵大臣はその承認をお与えになったのでございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 議員に支給される交通通信費は、議員がその職務を行なう上において必要欠くべからざる経費であります。したがいまして、これは課税の対象にいたさない。これは税の理論からそうなるわけであります。
○市川房枝君 必要欠くべからざる経典ということは言えるかもしれませんけれども、しかし、支給の形式は、いわゆる実費弁償ではなくて、渡し切りなんですね。そうしますと、いわゆる大蔵省の通牒によって、渡し切りは給与と認める、そうして課税の対象にしておいでになるわけなんであります。で、これは一昨年の田中大蔵大臣の時代でありますが、ちょうどそのとき議員の通信交通費が五万円のが十万円に上がりまして、それに対して大蔵省から国会に対して税金を払ってもらいたいという下交渉がまいりましたのですが、その対象の主たるものがこの通信交通費の十万円に対してであったという経過があるのでありますけれども、今度はそれと同じ通信交通費なんですが、それは今度は税金は要らない、こういうことになるというのですけれども、これは一般の国民にはやはり通用しない、国会議員に対する特別の扱いなんですか。その辺はどうなんですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、議員の職務執行上必要欠くべからざる経費である、そういうふうに考えますので、税法上これは課税の対象にしない、こういう実態でございますが、その支給の手続方法が、いまお話のように、渡し切りと、こういうふうになっておるのです。渡し切りの、一般の会社なんかに適用される場合に、渡し切りにいたしますと、それが給与に流れるおそれがあるというのでこれを課税の対象にいたしますが、しかし、国会が、これは国会議員の職務執行上必要な通信費だと認定いたしまして支給するものでありまするもんですから、これは実態に即して措置すべきものである、こういうふうに考える。ただその支給の方法が御指摘のように、他の一般の会社に支給される場合とまぎらわしいもんですから疑問が起きる余地がある。そこで、その支給の方法を合理化してみよう、こういうことをいま考えております。
○市川房枝君 私は、やはり一般の国民が納得する方法、やはり特別ではないんだ、一般の国民と同じような扱いだと思わせるようにしてやっていただかないと、私はやはりおもしろくないのじゃないか。だから、もし私に言わしていただくならば、これも税金をちゃんと払って、こうすればそれだけ議員の収入が減るわけになりまするから、あるいは今度すぐというわけにいかぬかもしれませんけれども、国民の納得を得て、歳費なら歳費のほうを少しふやして、そうして全部国民と同じように課税をする、このほうが私はすっきりする、こう思いますので、その点はひとつお考えおきいただきたいし、今後も支給の形式を国民の納得するような方法をひとつ考えていただきたいということを特に申し上げておきます。 それから自由民主党の総裁としての総理に、ついでにお願いを申し上げておきたいのでありまするが、今度の答申案には、値上げの問題だけでなくて、国会法の三十五条は廃止したほうがいい。あるいは今後国会議員の値上げをするときにはやはり第三者の機関に格間するほうがいい、あるいは今度のは国会議員に対しての答申だからこれを地方議会の議員がまねないように、あるいは国会議員自身が国会の正常化に努力をして国民の期待にこたえるようにというようなことがついておるのですが、だからそういうことも私はやはり実現をしないと、片一方のお金のほうだけですと、やはり国民の間で不満が出てくるのではないかと思いますので、これはお願いを申し上げておきたい。 次には売春の問題、性病の問題等について関係当局にお伺いをしたいと思います。 赤線の灯を消したいわゆる売春防止法が制定されましてからことしでちょうど十年になります。四十一年度には予算の上で総計六億五千六百八十七万九千円が計上されておりまして、関係各省が法律の施行に当たっておいでになるわけでございます。ところが、法律は十年間いわゆるざる法のままほうっておかれたのでありますので、新しい管理売春の形態が方々に広がって、そうして赤線がすでに復活されている、あるいは復活して国営にしろといったような記事が、雑誌やあるいは週刊誌なんかに掲載され、社会の注目を引いております。ところが、これに対して政府の関係当局の方はこれを否定もせず、まあ知らぬ顔をしておいでになるように私には見えます。きょうはひとつ関係の各大臣から、売春防止法を廃止して赤線を復活することに対しての御意見、賛成か反対なのかどうか。現在、どの方面を担当し、どんなつもりで法の施行に当たっておいでになるのか、お考えをひとつ伺いたいと思います。 売春防止法は政府案で、国会は衆参両院とも満場一致で通過したのでございまするが、提案者は法務省でございましたので、まず最初に、法務大臣から伺いたい。簡単でけっこうでございます。
○国務大臣(石井光次郎君) 売春防止法が実施されまして十年になるのでございますが、その間に売春の犯行がだんだん減っておるかどうかという問題は、見方があるようでございますが、私のほうとして、検挙された数から見ますると、だんだん減っておるんでございます。それは、昭和三十四年に二万五千あったのが、昭和四十年では一万五千という数になっておるのでございますけれども、なかなかその手段等が陰険になっておるようなことが言われまするし、また、これをいろいろ手伝う連中が非常に悪らつになっておりますので、必ずしも私は、うまくいっておるための数の減少とはいえないかと思うんでございます。しかし、何としても、これはなくなす方向に向かって努力をしなくてはならないことは間違いないことでございます。私どもは、だめなんだからまたもう一ぺんもとへ戻せということは、絶対考えてもおりませんし、そう考えるべきものでもないと思っております。人身売買、売春禁止の世界の条約に入ったこともそのためでありまするし、また、日本といたしましては、文明国だと言っている以上は、そんなものにまた振り返るべきものでもないと私は思っております。できる限りの力を尽くして、こういうことがなくなり、そうして、こういうことにおちいった婦女子の方を更正の道へ一生懸命努力をして導いていくということに力をいたさなければならぬと思っております。
○市川房枝君 次は厚生大臣、数字は要りません、簡単でようございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 売春行為は女性の人間としての尊厳を否定するものであり、また、社会の善良な風俗を乱すものであると考えておりまして、国がこれを禁止をするということは当然のことでございまして、これをもとに戻すような、また、赤線を復活するようなことは、断じてすべきではない、また、厚生省といたしましては、要保護の女子の更生保護、あるいは転落の防止というようなこと等につきまして、関係各省庁と十分緊密な連絡をとりましてやってまいりたいと考えております。
○市川房枝君 次は、国家公安委員長お願いいたします。
○国務大臣(永山忠則君) 赤線の復活のごときは、断じてそういうことを考えておりません。なお、取り締まりに対しましては、一そう厳にいたすつもりでございますが、しかし、権力的な警察国家になることは喜ばしい現象ではございませんから、国民の協力を十分求めたいと考えておる次第でございます。
○市川房枝君 それじゃ、次は労働大臣にお願いいたします。
○国務大臣(小平久雄君) 各閣僚から御答弁申し上げたとおり、同様に考えております。
○市川房枝君 じゃ、文部大臣にお願いします。
○国務大臣(中村梅吉君) 売春防止法の精神は、国民ひとしく守るべきであると思います。特に私ども教育上の関係からも、大いに深い関心を持ってまいりたいと思います。
○市川房枝君 赤線の復活は憲法違反だというふうに、大宅壮一氏は最近のサンデー毎日でおっしゃっておりますが、憲法の第何条に違反するのか、これは法制局長官から。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。 憲法の第何条にというお話でございますが、要するに、憲法の精神は、先ほど厚生大臣も仰せになりましたように、個人の尊厳というものを最も大事なものだとしております。で、たとえば十三条等をごらんになればわかりますように、「国民は、個人として尊重される。」ということが明示してございますが、要するに、憲法が、いま御指摘のようなものによって、そこに現出する社会というようなものを、とうていこれは容認することは考えていないものであろうということは言えるだろうと思うのでございます。むろん憲法のことでございますから、これは主として国と国民との関係を律するものでございまして、国、国民相互の間の、たとえば赤線とかいうようなものに必要な契約、それにはまあ人身を拘束するというようなものもございましょうが、そういうものは憲法の精神と相いれないというような意味から、公序良俗に反するというようなことで、その有効性が疑われるというようなことから、また同時に、法律上拘束を受けることにならないであろうというようなことが出てまいります。要するに、それは憲法の基底を流れる基本的人権尊重の精神そのものであるとお答えすればいいと思います。
○市川房枝君 これは、先ほど法務大臣がちょっとおっしゃっておりましたけれども、それから、日本は三十三年四月十一日に国会で、国際連合の人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約というのを承認をして、政府は五月一日に加入書の寄託をし、七月三十日から公布をしているわけでありますが、この条約の担当は、実質的にはこれは法務省だったと思うのですが、事務当局の方でけっこうですが、私はこの条約の第一条と第二条をちょっと読んでいただきたいと思います。
○政府委員(津田實君) 第一条は、 この条約の締約国は、他人の情欲を満足させ るために次のことを行ういかなる者をも処罰す ることに同意する。 1 売春を目的として他の者を、その者の同 意があった場合においても、勧誘し、誘引し、 又は拐去すること。 2 本人の同意があった場合においても、そ の者の売春から搾取すること。 第二条は、 この条約の締約国は、さらに、次のことを行 ういかなる者をも処罰することに同意する。 1 売春宿を経営し、若しくは管理し、又は 情を知って、これに融資し、若しくはその融資 に関与すること。 2他の者の売春のために、情を知って、建 物その他の場所又はその一部を貸与し、又は賃 貸すること。 以上が内容であります。
○市川房枝君 この条約の一条、二条の内容から見て、これは法務大臣のおっしゃいましたように、この条約がある限りは、売春防止法が廃止できない、赤線は復活できないとこうはっきり、さっきおっしゃっておりましたが、総理大臣、先ほどからお聞きいただいておったと思うのですけれども、関係各大臣とも赤線を復活する考えはないとおっしゃっておりますし、憲法あるいはこの条約の関係からもできないというわけですが、それだのに、現実はすでに復活しているじゃないですか。法はあっても励行されていない。予算は少ない、それも適当なことに必ずしも使われていない。こういう状態で放置しておいて、それでいいかどうか、ちょうど十年を機会に私は社会の変化ともにらみ合わせて、もう一ぺんここらで再検討をして、これは前向きに検討すべきだと思いますが、総理のお考えいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来各大臣からお答えいたしましたように、赤線を復活する意思は政府にはございません。そこで申し上げるまでもないことですが、私は人間尊重、かように申しております。この立場に立って政治を行なっていく、同時にまた、法を厳守する、法を守ることが最も必要だと、かように申しておりますので、どうかこういう考え方でこの問題と取り組んでいく、かように御了承いただきたいと思います。
○市川房枝君 総理のそういうお考えは当然だと思いますし、伺っておりますが、そこで、実はこの間、十周年に際しまして、先般の内閣の売春対策審議会委員並びに関係各省の人が集まって、そうしてこの際記念会を開こうじゃないか、それから売春白書といったようなものを発表しようというような意見が出たそうでありますけれども、ところが、何だか各役所が先ほど御答弁いただいたように、いろいろな役所に関係があるものですからみんな譲り合っちゃって、おれのほうじゃない、おれのほうじゃないというわけで、何だかまとまっていないようだ。それで五周年のときには各官庁が一緒になって、実は記念会をやったんであります。それで、このことについて関係のあるお役人の人が私に十周年記念のわずかな予算を要求したのだけれども、大蔵省に削られてしまった、その上に何だか十周年記念というのはちょっとてれくさい、こうおっしゃるのです。これは私やはり非常に良心的なことばだと思うのですよ。結局法律はあるんだけれども、結局投げやりでほったらかしてある。こういう状態で十年の記念も何もないものだと、こういう意味ではないかと思うのですけれども、総理どうなんですか、私は法律が、一つの重大な法律ができて十年がくるというのに、政府としてはっきり十周年の記念をやって、そうしてそれこそいま世間で復活しようと言っているけれども、これは復活できないのだと、前向きでしなければいけないのだということの政府の態度をはっきりさせてくださることが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 厚生省におきましては、この法律施行十周年を記念いたしまして、五月の二十四日に婦人相談員でありますとか、関係行政機関の職員とか、婦人団体の代表の方々のお集まりを願いまして記念大会を開き、また、研修会を行なうべく準備を進めております、こういう大会を通じまして、十分法の趣旨を徹底いたしまして、万全を期したいと考えております。
○市川房枝君 いま厚生大臣からやることになっているとおっしゃった、私も承知しているのです。だけどそれは、厚生省だけの、というか、厚生省に押しつけて厚生省はいろいろ機関をお持ちになっていますから、そういった人たちを集めようと思えば集まるということで、私それは良心的だと思っておりますが、ほかの役所は知らん顔していると言いますか、非常に消極的でございます。さっき法務大臣は非常に積極的におっしゃってくださったけれども、法務省が私は責任が一番あると思う。ところが、その法務省が逃げていて、非常に消極的だと、これは大臣からもひとつ他の関係の人におっしゃっていただきたいと、かように思うのですが、総理大臣からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの厚生省の話は、これはもう御承知ということで、ただいま法を施行して十年になる。そうして、各方面でいろいろ論議されている。しかも政府の意思が非常にはっきりして前向きだと申しますか、逆戻りはしない、そういう意味で法を守るべきだ、かように言っておるのでありますので、そういう意味で適当な方法があるかどうか十分研究してみることにいたします。
○市川房枝君 それじゃお願いいたします。 次に、トルコぶろのことについて伺いたいのですが、衆議院の地方行政委員会で、トルコぶろの規制が取り上げられており、それに対して厚生省が法の改正を計画しておいでになるやに伺うのですが、一体どんな内容か、これはこまかい点は必要はございません、簡単に大臣から伺いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) トルコぶろの風紀上の問題につきましていろいろ世論の批判もきびしいわけでございますが、ただいま公衆浴場法でこれを取り扱っておるわけでございますけれども、公衆浴場法におきましては風紀上の問題は十分やっていけない。環境衛生上の面から主として規制いたしておるのでありまして、風紀取り締まりの面からは公衆衛生法では不徹底である。かように考えておるのでありまして、ただいま衆議院の地方行政委員会等でせっかく御検討をいただいておりますが、国会の御意見も十分拝聴し、関係各機関の、警察でありますとか、その他の公務員とも十分相談をいたしまして、風紀上の問題につきましても何らかの適当な規制、指導ができるようにいたしたい。かように思います。
○市川房枝君 いま大臣がおっしゃいますように、トルコぶろの問題は、これは風紀の点で問題になっておるわけであります。ほんとうはこのトルコぶろのようなものが公衆浴場法の中にあるのが私はおかしいと思うのです。これは別個に規制するべきものだと思うのですが、そこで私はやっぱりトルコぶろの取り締まりについては、結局いまのような個室で、個室の中でまあ裸体の男子に対して、同じくほとんど裸体の若い婦人がサービスをする。そこで問題が起こらないはずないのである。だから個室をやめるか、あるいは女のサービスをやめたらいいので、世界各国どこへ行ったってそういう場合に女がサービスするというところはないのです。トルコはトルコとしての保健上の点からこれは離して考えなければいけない。このトルコを私どもは一種の赤線の復活だというふうに見ておりますので、そういう観点からひとつ考えていただきたいと、こう思っております。 次には性病の問題についてちょっと厚生大臣に引き続いて伺いたいのですが、最近性病がことに若い人の間に増加してきたというので、厚生省は性病予防法の改正案をお出しになったようでございますが、最近特にふえてきた。特に若い層の間にふえてきたという、その理由はどこにありましょうか。ある人たちに言わせますると、赤線がなくなったから性病がふえたのだと、こう説をなす人がありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 近年における性病の蔓延の状況、特に早期顕症梅毒の蔓延の状況は、これは日本だけじゃありませんで、国際的にもそういう傾向があるように報告されておるわけでございます。わが国におきましても近年蔓延の兆候が出てきておりまして、特に、若年層にこれが蔓延をしておるということで心配をいたしておるのであります。これは売春防止法ができたからというようなことではないようでありまして、性病予防法によって医師の診断の届け出があるわけでございますが、その届け出を見てみましても、必ずしも赤線だとか、そういうものを禁止した結果ふえたと、こういうことではないと考えておるのであります。原因につきましては、いろいろ言われると思うのでありますか、性病に対する正しい知識、性病のこわさということにつきまして十分な理解がなされていないということ、それから性病にかかりました場合に、医師等の正式な専門の治療を受けないで、何といいますか、こそくな家庭治療といいますか、自己治療といいますか、そういうようなこと等をやっております関係でこれが蔓延していっているのではないか、かように考えておるのでありまして、そういう観点から、今回、性病予防法を改正をして、性病対策を強化いたしたいと考えておるのであります。しかし、最も根本的なことは、性病に対する正しい知識、特に若い青年男女等に対しまして性病のこわさということを十分徹底をさせまして、日常の生活を正しくしていくということが大切ではなかろうかと、かように考えております。
○市川房枝君 高等学校の学生の中に性病患者が相当いるということが献血の検査の場合にわかってきたというので、新聞でだいぶ書かれたのですが、文部大臣はそれをお認めになりますか。あるいは、いま厚生大臣が性教育の大事なことをおっしゃっておりましたが、文部省は、一体、学校で性教育をどの程度やっておいでになりますか、その辺御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) 厚生省のほうで献血の際の血液検査等で若干のデータが出たということを聞きまして、私どもは、文部省自体もそういう資料をまだ持ち合わしておりませんので心配をしておるわけであります。そこで教育の面では、性教育などはしておるかということでありますが、これは教育課程の中に保健体育というのがありますが、この保健の中で保健衛生あるいは優生学あるいは性病関係、こういうようなことを取り扱い、また、学習指導要領にも明瞭にこれを入れまして、極力教育の面でもそういう弊害の起こらないようにつとめていきたいという処置をとっておるわけでございます。
○市川房枝君 教科書にもあり、体育のほうの先生がなさることになっているらしいけれども、実際はそこだけ飛ばしちゃって教えてないんだという話がありますけれども、この点、もう少し文部省はお考えをいただきたいと思います。 次は、政治献金についての東京高裁の判決及びこれに関連した問題についてお伺いをしたいと思います。東京高裁が去る一月三十一日に一審の判決を破棄して、八幡製鉄が自由民主党に行ないました政治献金は有益な行為で適法だという判決を下しました。自由民主党の総裁として、総理はどんな御感想をお持ちになりましたか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、私は、総裁としてはともかくとして、私、総理をしておりますので、裁判批判をすることは差し控えさしていただきたいと思います。
○市川房枝君 まあ裁判の批判をしていいのかどうか私もわかりませんけれども、この判決に対してはいわゆるその自民党はもちろん、社会党も財界も社会的慣習だと、常識的な判決だということで歓迎をしておいでになったようでありますが、選挙なり政治がだんだんお金によって腐敗をしていくということを心配しておりまする者たちの間では、この判決に対して不満であり、心配をしておるわけでございます。ことにこの判決の中で、政治献金は社会事業だとか慈善事業あるいは教育事業、災害救済、寺社の祭礼等への寄付と同様だということをいっていますけれども、これは国民の常識とは少し違うと思うのですけれども、総理、それに対する御感想もやっぱりおっしゃっていただけないものですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、判決の結果というものは、行政の立場にあるものからとやかく言うことはよろしくないのだと、かように思って実は差し控えたい、こういうことを申したのです。しかし、ただいまの一般の寄付等の問題についてどういうふうに考えるかというお話ですが、もちろん政治資金規正法というのがございますから、この政治資金規正法を守っておる限りにおいては私はとやかく言われる筋じゃないだろう、かように思います。
○市川房枝君 政治献金は、現在は政治資金規正法やあるいは公職選挙法で、お話しのようにちゃんと許されておるわけです。ただ、しかし、三十六年の第一回の選挙制度審議会では、二年間の猶予期間を設けて銀行、会社、団体等からの政治献金は禁止をして、個人の寄付だけを認める、そういう委員長案が実は提出されようとしておりました。ところが、当時特別委員として出席されました自民党の議員の方から、それは困るということでこれは取りやめになり、ただ原則として認める、こういうことになった経過がございます。それからもうすでに五年経過しておりまするが、総理は、その原則というものを、これはいつまで続くのか、その原則についてはもちろん御賛成だろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん政治活動をいたします際に金のかかることは、これは市川さんもお認めだろう、金なしでやるというわけにもいかないと思います。問題は、その金のためにいろいろな弊害をかもし出したり、あるいはそれがまた害毒を流す、こういうような事柄がどれだけ取り締まりができるか、そういうことがやめ得るか、こういうところにかかっておるのではないかと、かように私は思います。したがいまして、選挙制度審議会としましてもいろいろな意見が出てまいりますし、また私、この行政の府にあるほうから申しましても、選挙に金がかからないように、また、選挙は公正に行なわれるように、こういうことでいろいろ努力をしておるのでありまして、金自身の問題というよりも、そういうかもし出す弊害、そういう事柄についてどういうように正しく所要なものが調達できるか、こういうことじゃないだろうかと、かように思います。
○市川房枝君 まあ私は前からいま申し上げたような意見を実は持っておるものですから、で、私のむしろ意見から言いますと、ほんとうは政治資金規正法とか、選挙法で禁止しただけではだめなのであって、問題は、どうしてその一つの会社が一年に何億という金がいとも簡単に政治献金できるかというところに私は問題があるのだ、まあこういうように考えるのですが、これは法人税法において一定限度までは損金に算入するという制度がある。だから、むしろこれを廃止していただく、そうして、金の出る源をとめるのだ、これが私の強い主張なんですが、その法人税法の問題については、私はまだ総理の御意見をいままで伺っていないのです。この機会に御意見を伺わせてください。
○国務大臣(福田赳夫君) 政治寄付につきましては、他の一般の寄付と少しも扱いは違っていないのでございます。つまり一定の限度だけですね、これを損金に算入しない、こういうことになっておるわけでございます。そのワクの中で他の一般の寄付と同様に政治寄付も取り扱われている。政治寄付についてこれは悪であるとか、あるいはこれは禁止すべきものであるとか、そういう考え方をとらない以上、他のものと税法上において区別する理由はない、こういう見解を持っております。
○市川房枝君 今度の訴訟の対象になった八幡製鉄について、三十九年と四十年だけについて見ますと、主十九年は四億九千七百万円、この四十年は三億三千百万円という寄付の限度額があるわけなんですが、お話しのように、これは内容がどういう寄付かということでなくて、そこの中から政治献金も出ていくのですけれども、私はその中から一体どの程度政治献金が出ているか。総額で言うと、最近の三十九年の七月から四十年の六月までの一年間の大蔵省の推定によりますと約三百十三億の寄付限度額というのがあるわけですけれども、そのうち、私はかなりの部分が政治献金に行っているのではないかと考えるのです。そういう数字を大蔵省ではお持ちになっていないか。これは前に聞いたこともありますけれども、どうなんですか。やっぱりそれはわかりませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) その総体について具体的な数字を私は承知いたしませんけれども、個々の会社についてこれを見た場合におきましては、大体政治献金、政治寄付はその損金算入のワクの外になるようなケースが圧倒的に多いと思います。つまり、課税の対象になっている、それをおかしてまでも会社は政治寄付をしておる、こういう状況だと思います。
○市川房枝君 私が調べたところでは、寄付限度額が、ほんとうは少しあいている。その外などには出ていないのだというふうに思いますけれども、その大臣のいまのおことばは、おことばとして伺っておきます。 この問題はその程度にしまして、大蔵大臣についでに伺いたいのですが、会社には別に交際費というものがございますね。交際費は先ほど申しました一年間の寄付限度額どころの話ではない。その十七、八倍の推計五千三百六十五億円という金がつかわれているというのですが、その中からも政治献金に行っている金がだいぶ出ているらしいというふうに聞くのですけれども、それは大蔵大臣どうですか。そんなことはないとおっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) さようなことは寡聞にして承知しておりません。
○市川房枝君 交際費の全部じゃないのですが、大部分と寄付限度額というものは、いずれも損金に算入になりますね。そうすると、その両方合わせました金額が生産費のおおよそ何%くらいに当たりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員から。
○政府委員(塩崎潤君) お答え申し上げます。生産費と申しますか、売り上げ千円当たりに対しまして支出いたしました交際費と寄付金がどの程度の割合になっているかという観点からお答え申し上げます。三十九年度の実績におきまして、交際費は売り上げ千円当たり六円二十二銭、寄付金は売り上げ千円当たり三十六銭となっております。
○市川房枝君 そうしますと、この寄付金なり交際費が減れば、それだけ生産費のほうは少しコストが安くなりますね。経済企画庁長官には私はお願いしておかなかったのですが、どうでしょうか、おいでになりますからちょっと伺いたいんですが、物価の問題‐いまの問題は私は物価にはね返るんだと思うのです。そういう膨大な交際費とか寄付金というものが、もし半分に減れば、それだけコスト・ダウンができる。いわゆる卸売り物価というものがそれだけ安くなるのだ。これは私のきわめてしろうとの議論なんですけれども、大臣そういうことが言えますかどうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) いま大蔵省から御説明がありましたように、千円について六円何がしというのでございまして、これはおそらく全業種をひっくるめたものと思います。ですから、製造業等につきましては、若干高くなるかと思いますが、しかし、その程度の金額でありましたら、非常に大きく影響してくるかどうかということについては、個々の物資に対して判定しにくいところだと思います。ただ、交際費を全体として十分節減しますことは、これは大切なことでございまして、その点については経営者のほうも努力してまいらなければなりませんし、同時に、私はやはり日本の社会各層が——ずいぶん私ども会社をやっておりますと、寄付金以外のいろいろな雑費と申しますか、総会をやれば、総会に来て、金を取りに来るというように、いろいろ問題がございます。ですから、社会全体がやはりひとつそういうことについて留意をしませんと、会社経営者だけで節減しようと思っても、なかなかできない点もあろうかと思います。また、デパート等に行ってみましても、年末からことしにかけて売り上げが非常に減ったという、おもな大きな会社の売り上げ金が減ったということを言っておりますが、そういう点についても、やはり一段の社会的な慣習というようなものの改善が行なわれることがやはり大事なことだと、こう思っております。
○市川房枝君 続いて長官にもう一つ伺いたいのですが、四十年一月二十二日の閣議で、これは佐藤内閣の最初の物価対策として、物価安定のための総合対策というものが了解されました。ここに私はそれを持っているのですが、その中でこれは10の(1)というところにこういうことばが書いてあるのです。「まず現在弊害の最も著しい社用消費の大幅節減を求める必要がある。」とあるのですが、これはつまり交際費などをさすものだと私は思うのですが、そのために昨年の国会で、大蔵省のほうは、交際費の超過額に対する課税を少しきびしくなさいましたね。さっき言いましたように、五千何百億という交際費、これは前年度に比べると、一八%ふえているのです。そうすると、経済企画庁というか、政府のほうの、この物価対策は、はたして実際にどの程度御努力なさったか——かえって逆にこれはふえているということになりますが、その点はどうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) この社用消費、これは非常に節減しなければならないことでして、私は当然社用消費の節約ということは、すべてがあげてやらなければならないことと思います。したがって、そういう面につきまして、政府としても相当な関心を持ってまいらなければなりませんし、ただ、一々会社の経理内容に関与してどうこう言うわけにはまいりませんが、やはり経営者自身の心がまえを変えてもらわなければ私はならぬ。そういう意味において、政府も経営者と懇談し、政府も経営者を指導していくという立場に立ってやってまいらなければならぬと思うんです。今回の不況になりまして、各社、各経営者がそれぞれ必要なことは、自粛と反省を現在しておるところでございまして、そういう意味からいって、今回の場合には社用消費というものが非常に大きく減ってくるんじゃないか。むろん、不景気だから、売るためによけいにそういうものを使って売ってみようという場合もございますけれども、全体として経営の健全化をはかるために社用消費の節減をはかるということでございます。したがって、こういろ不景気を通じてその関心がさらに高まってまいりますように、政府としても十分指導もし、懇談もしていかなければならぬ。また、社会的にもそういう空気を出していただくことが必要だと、こう思っております。
○市川房枝君 次は、日韓恩赦並びに選挙に関係したことを質問したいと思います。 この二月から三月の初めにかけまして、一度消えてしまったと思っておりました日韓条約批准記念の恩赦による選挙違反の棒引き、あるいは公民権の復権等が問題になっておるようですけれども、これはどういうことになっておりますか、担当の法務大臣から伺いたい。
○国務大臣(石井光次郎君) 日韓恩赦の話はもう消えてなくなったはずでございます。まだ何かあるのでございますか、一向承知いたしておりませんが、昨年の暮れごろは話がありました。私もそれを研究をいたしました。しかし、それはこの際適当でないであろうと思っておりましたが、それは実施されずに終わりました。
○市川房枝君 もう消えてなくなったなら、これはたいへんけっこうなことでございます、新聞なんかで二、三書いておりましたので心配しておりましたものですから。三十一年に日本が国連に入りましたときに、いわゆる国連恩赦でもって選挙違反並びに政治資金規正法違反というものを全部棒引きにしたことがございました。そのときに国民の間から非常な強い反対がありましたので、私どもは恩赦が党利党略でかってに行なわれては困ると考えまして、緑風会と無所属で恩赦審議会というものを設置したらどうかという法案の改正案を参議院に出しました。これは委員会も本会議も通過をいたしましたが、衆議院で審議未了となって今日に至っております。今度の経験で、やはり法の改正をして、こういうものがあったほうが安心だと思いますけれども、総理はどんなふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 市川さんははっきり覚えていらっしゃるようですが、かつてそういうことがあった。そのときは、衆議院が解散になってその案が成立しなかった、こういうことだと思います。現在の制度で、それではほんとうに不都合かどうか、これは政府はもとよりよく考えていかなければならないのでございまして、まあ今回あたりは日韓恩赦というような表現で云々されておりましたが、しかし、政府の態度ははっきりいたしておりますので、これは国民の輿望にもこたえたもんだ、かように私は思っておりますが、ただいまの現状におきまして私はあまり不都合はないんじゃないか、かようにも思っております。しかし、せっかくそういう話がございましたので、法務大臣のほうで調べておれば、お答えさしたいと思います。
○国務大臣(石井光次郎君) 恩赦が非常に大事なものであるということから考えまして、これがいいかげんに扱われてはならぬ、その意味からいまのような声も上がるということだと思うんであります。しかし、そういうことを政府としても一番大事に考えておるわけでございます。だから、今度のような問題にあたりましても、いろいろな声はありました、いろいろ研究はいたしましたが、適正な判断が下されたもんだと私は思っております。ただいまのところ、わざわざそういうものを設けて論議する必要はないと思うておるのでございます。
○市川房枝君 次は、同僚の小林章議員は、不起訴になりまして、登院をしておいでになりますが、一般国民はどうしても納得がいかないようで、いろいろな人から私のところへ手紙が参ります。それで、その中で代表的なはがきが一通ありますので、時間をとりましてたいへんつらいんでございますけれども、やはり総理はじめ皆さんに聞いていただきたいと思いますので、ちょっと読ませていただきます。 「一月二十九日朝日新聞紙上に、やじ浴びて議場入りという見出しで、小林章議員のことが掲載されていました。これを読んで私はふしぎでふしぎでしかたのないことがあります。あれだけの違反者によって集められた汚れた一票の集まりによって当選した小林さんは何の罪もなくのうのうとしておられるのは一体なぜなのでしょうか。百名をこす違反者によってでも当選すれば、本人がうまく立ち回って法律に触れなければよいというのなら、選挙などまじめな人間は絶対に当選できない。とにかくどんな手段によってでも、罪は覚悟の上で、ただ本人に累を及ぼさぬように、買収・供応・地位利用、ありとあらゆる違反をしても、当選すればそれでよいということになりますね。私は今後一切選挙には参りません。何が清き一票なのでしょう。小林さんのような鉄面皮というか、それとも無神経というか、あるいは精神鑑定でもせねばならぬような人を議場に迎えて、平気でやじを飛ばしている議員・議会の神経にも全くあきれてしまいます。次に、自民党に早く復帰したいと言っていますが、一体何のために自民党を脱党したのか、これもさっぱりわけがわかりません。一時的にわれわれの目をごまかし、直接自民党に国民の批判が向かないようにしたとすれば、われわれを愚弄するもので、自局党も許せないと思います。小林さんは、人の意見を聞いて議員として残ることにしたと言っているが、一体だれに聞いたのでしょう。自民党のおも立った人に聞いたのでしょうか。とにかく私どもは現代の政治家に対し信用をしないようにしたのは小林さんです。政治家なんて悪者の標本みたいなもの。選挙なんかばかくさいです。」というんです。これは私の知らない人で、大阪の血婦の会の役員とだけあります。 総理、どういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。小林議員の問題はたいへん院内外でいろいろな批判が出ておると思いますが、しかし、これは司直の手で最終的な結論が出てきたんだろうと思います。私は、その立場に立ってやはり考えていかなければならぬだろう、また、今後とも選挙が公正に公明に行なわれるように一そうの努力をしていかなければならない、かように思います。ことに、国民から選挙そのものについて見放される、こういうことは民主政治のもとにおいては、これはたいへんな事態だと思います。どうしても国民の信をつなぐ、その意味におきましてさらにさらにわれわれ努力していきたい、かように思います。
○市川房枝君 時間がありませんので、もうそれに対する私の考えは省きまして、厚生省に伺いたいのですが、厚生省は選挙違反で公民権停止中の元和歌山県の衛生部長を放射線医学総合研究所の病院部長に任命して世論の批判をお浴びになったのですが、前にも同じようなことがありました。一度ならず二度までもということになるのですが、これはどういうわけでしょうか。厚生大臣のお考えを伺いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先般、科学技術庁の総合放射線研究所の病院部長の後任人事の問題がございまして、その推薦方につきまして両当局間でいろいろ話し合いが行なわれたのでございます。で、いまお話がございましたように、放射線の専門的技術者ということと、さらにまた、矢野尚二君が四年前に選挙違反に問われましたが、深く痛感いたしまして当時退職をいたしました。自来四年間、反省の生活を送ってまいったというようなこと等からいたしまして、厚生省のほうで御推薦を申し上げたということでございますが、これが世論のきびしい御批判がございまして、本人が自発的に御辞退をした、こういう事件でございまして、まことに遺憾であり、また、私といたしましても監督不行き届きの点がございました点を深く反省をいたしておる次第でございます。今後かようなことのないように十分戒心していきたい、かように存ずるのであります。
○市川房枝君 国家公務員が特に選挙違反で検挙され、それから起訴、判決という手順を踏んでいくが、その間の身分上の相違といいますか、人事院総裁にちょっとお伺いしたいのです。
○政府委員(佐藤達夫君) 公務員が起訴されました場合には、公務員法によりまして休職にすることができるようになっております。ただし、その休職は裁判の係属が済みまして、たとえば判決が下ったというような場合には、一応消えますから——休職原因が消えますから、そのままほうっておけばもとに戻る——復職するという形になっております。筋道はそうでございますけれども、そのほかに違法な行為、あるいは公務員にあるまじき行為をした人に対する処分という問題は、また公務員法上においてまた別にあるわけで、御承知のとおりに、懲戒処分、あるいはまた、その他の分限処分というものがあるわけです。それらを相兼ね合わせた上で人事の管理上の適切な運営がなされるべきものと、かように考えております。
○市川房枝君 公民権停止というのを非常に軽く、まあ厚生省というか、ごらんになっているのです。けれども、これは非常に私は重要だと思うのです。まあ個人的に言えば、公務員の方をほんとうは責めるのは気の毒でございます、ことに選挙の場合においては上から強制的にと言うか、させられて。そういう意味ではむしろ高級公務員の立候補を禁止すべきだと私ども思うのですけれども、しかし、公務員に対しても法としてきびしくすべきだ。現在欠格条項にはなっていないけれども、私はやはり将来欠格条項にするべきだ、あるいはまあすぐ法の改正はできないとすれば、少なくとも政府のほうとして、あのときの新聞で拝見しましたが、総理はすぐそういう事態は望ましくないからと言ってお指図をなすったようで敬意を表するのですが、私は今後もそれは厳格にひとつするようにしていただきたい。国家公務員だけでなく、専売公社なんかも同じことでございますけれども、それひとつお願いして私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 市川君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に小林武君。(拍手)
○小林武君 防衛庁長官にお尋ねいたしますが、陸上自衛隊の欠員状況について、一応本年度の資料は出していただきましたが、三十九年‐ほかのやつはありますから、三十九年はどういうことになっておるか、ちょっとお答えをいただきたい。
○国務大臣(松野頼三君) 陸上自衛隊の補充状況は、定員が十七万一千五百、それに対して四十年末で、多少の変動はありますが、八六、七であったと記憶します。
○小林武君 そこで昭和三十五年以降というものから現在までは連続的に大体八四%、三%、本年は若干上がったけれども、いまお話しのとおり。大体この欠員状況が慢性状態になっているという批評が多いわけですけれども、この点についての見通しはどうでしょう。
○国務大臣(松野頼三君) 昨年の十二月のお話をしましたが、一月になりますと八七・八、この二カ月間で約一・何%ふえました。三十五年以後多少八五%程度まで落ち込んだときもあります。しかし、今日はだんだん上がりまして、四十一年一月は八七・八、多少これはやはり人口あるいは産業に転業する事情、こういうものが非常に影響しておりますが、この上昇カーブはおのずから私はこのまま九〇程度まではこの一、二年に上昇する、九五ぐらいには四、五年で上昇する、これは十分私たちは自信を持っております。
○小林武君 だいぶその自信はちょっと怪しいと思いますけれども、それはまあ見方の相違ですからまあいいとして、そうすると、大体志願制度でいけるというようなことを考えていますか。
○国務大臣(松野頼三君) 十分志願制度でいける。資料で募集状況を御説明いたせば十分でございます。
○小林武君 陸上自衛隊は現在八十何%、こう言う。そこで定員のその充足されていないものを見るというと、わりあいに士というのは充足されていないですね。こういう状況だというと、いままではどうなんですかね、大体において一つの隊の構成というものがまともじゃなかったと、こう見てよろしいですか。
○国務大臣(松野頼三君) 非常に苦労している部隊もあるということは申せます。
○小林武君 これはしかし防衛庁長官のいまの答弁はちょっとお粗末です。数でやはり約三個師から四個師、大体目の子勘定で言ってそのくらいの不足になっている。十三個師のうち大体欠員がそのくらいになった場合に、それが士というようなもののところでもって非常に多いということになると、私は、やはり正直に言って、隊の構成上問題が起きていたという批判は的中していると思う。だから、これから、ことしの充足率はというようなことを言うけれども、現在とにかく、三十五年から現在までの間にはかなり変則な構成をやっていた、こういうことは認めていいでしょう。
○国務大臣(松野頼三君) 前線部隊においては非常に苦労しておる部隊がある、まあ小林さんのことばで言えば、変則であったということも、ある程度そういう部隊もございます。しかし、私の言うほうも聞いていただきたい。ということは、教育学校というものには一〇〇%以上実はとっておるのです。平均して八八ということは、ある場所には一〇〇とっていますから、ある場所には八〇しかないところもある。したがって、重要場面においては一〇〇%充足しておる。前線部隊においてはその期間非常に苦労させておる。教育が終わればまた八八の配員ができる、そういうような流動がありますから、おっしゃることも真理であるが、私の言うほうも真理である。
○小林武君 あなたのおっしゃることも気持ち的にはわからぬこともないけれども、これはやはりそういう言い方をすれば、現在はどうであっても、こういう批評もあるわけです。まあただし、お出しになった資料を見るというと、そういうことは是正されていますから、現在はそうでないと思うけれども、たとえば練馬のような、都市を守るというか、そういう師団というのは一〇〇%充足している、ところが、いわゆる第一線部隊というふうなものはとても欠員が多かったというようなことは、これは相当たくさんの本に書かれておるわけです。しかし、まあいまそれが直されているから、これはあなたのおっしゃることを信じてもいい。しかし、教育にやろうが何にやろうが、第一線部隊でやはり一番手足になる兵の数が一番欠員の問題点だとすれば、この点は何といっても私は何とか苦心してやれるとかいう問題じゃないと思う。私はそういう意味からいえば、もうとにかく下士官級くらいまでのが自衛隊だ、これはどこかから兵隊を連れてこなければいかぬというような状況になっていることは、これはそういう議論を吐く人は相当その方面に詳しい人たちの間に言われておる、こう思いますから、やはり事実は事実としておっしゃったほうがよろしいのです。
○国務大臣(松野頼三君) ただいま小林委員の言われたことは、その二面においては事実です。その次に、全然不可能だという論拠は、私は認められない。私のほうから申しますれば、ことしも二万数千の充足予定に実際志願者は五万何千人おりました。その中から二万数千人の補充をしたのです。二万数干の志望のうち二万人しか来ないというなら、おっしゃるとおり見通しはないのじゃないかという結論ですけれども、私のほうはことしも二万四千の採用に五万何千の志願者が来ています。しかし、適格条項が必ずしも適当でないから、その中から二万何千しか採用していない。ただ数を集めるならば、本年でも五万人の採用は不可能じゃありません。その意味で不可能、可能の議論がおのずから出てくる。小林委員の言われるとおり、現在において優秀な隊員が足りているかというと、不足している部隊が前線部隊にございます。これは東京近郊は教育部隊というものが中心ですから、東京近郊には比較的一〇〇%のものがおる。しかし、地方には七〇%程度の充足部隊がおる。その部隊についてはおっしゃるように足らない。こういう論拠は私は一面にあると思います。
○小林武君 そうすると欠員の二万四千二百九十三というのはたいした数ではないと、こうあなたおっしゃるわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) 相当な数であります。しかし、絶対不可能な数ではないと私は信じております。
○小林武君 絶対不可能な数とかなんとかいうことになりますと、これは議論が分かれましょう。しかし、能率的にあなたが自衛隊を編成しようとすれば、これはあまりほめた数じゃない。ただ私は、あなたおっしゃるように、二万の募集に五万とふえてきた、将来一〇〇%充足できるという自信たっぷりのお話であるから、これをかりに認めれば、将来そういう心配がないということになると思うけれども、なかなかそういくかどうかということは、これは過去四年、五年の経過の上からわれわれはなかなか信頼できない、こう言うんです。そこで、もしどうですか、あなたのおっしゃるように、どんどん優秀な者が補充できていくというなら、これはひとつあなたのほうではだいじょうぶだということになるだろうけれども、中途はんぱな三個師団も四個師団も欠員のままでいくというなら、むしろそういう変則なものをやめて削減をやったらどうかと私は思う。どうですか。将来欠員の補充ができないような状況にあるなら、むだなお金はつかわぬほうがよろしい。削減するというようなことできますか、師団の削減です。
○国務大臣(松野頼三君) 昨年の予算では八六%の充足定員を組みました。四十一年度予算では八八%の予算を組んでおります。これは来年になれば、この結論は、小林委員と私の意見がどうあろうと、結論が来年のいまごろは出てまいります。十分私は来年は八八にできる、その翌年は九〇になることは不可能じゃないでしょう、このカーブでいけば。したがって、この議論は、小林さんが言うような結論を出されるには早過ぎる。三十五年‐四十年の期間は、御承知のように、一般産業でも人手不足の期間であった。その影響は自衛隊も例外ではありませんでした。産業にばかり影響しないと私は思いますけれども、しかし、全部の国民の中の人手不足の影響を幾らか自衛隊は受けた年であります。したがって、私の言う論拠は、何も空論で私がしゃにむにというのではなくて、志願者の総体の数が大体定員の二倍はあるんだ、今年は二%ふやすんだ、来年のいまごろは八八が完成されるんだ、したがって、師団の数を減らすなんという根拠は私などは毛頭考えておりません。
○小林武君 人手不足の問題ありましても、大体アメリカでも、日本の動員というものは戦前は七百万くらいあった、そうすると、まだ日本の場合にはたくさんとにかく兵隊は出せるというような考え方持っている。これは見方の問題。であるから、人手不足という一点だけではなかなかこの問題解決つかない。あなたの御存じのように、昭和四十三年度は大体戦後のベビーブームのピークです。このあとはどうなるかという問題もあるでしょう。しかし、これは労働力をどうするという問題じゃないから、あまり議論しなくてもいいんですけれども、少なくとも単なる人手不足では解決できない問題だとすると、この問題は討論する必要が相当私はあるように思うんですけれども、これはひとつここらでやめておきます。 国防意識というような問題で、あなたたちはたいへん御心配になっておるようです。第三次防の中において、国防意識の高いところの青年でもってひとつ自衛隊を編成しようというような御意見らしいが、その国防意識についてどういうあなたたちは考えを持っていますか。
○国務大臣(松野頼三君) 日本が独立国たる以上、日本の国を守るという国民の意識、それに対する装備、それに対する部隊、それは平和憲法を念頭に掲げるならば日本の当然行なうべきつとめであると、私はこう思います。これが、言うなれば、国防意識の一部であろうと私は思います。
○小林武君 いや、それは自衛隊が高いと見ているか、低いと見ているか。
○国務大臣(松野頼三君) 国防意識は、自衛隊は私は一番高いと思っております。
○小林武君 まあ答弁のための答弁のようでありますが、あなたたちが非常に力こぶを入れているのは、国防意識の高い者によって編成しようという御意思のようであるが、私は、そういう観点から、いろいろ現状はあなたのように楽観論を持っておらない。そういうことになると、いまの人手不足の中に生まれた一つの自衛隊の幹部級というか中堅幹部ぐらいのところまでの養成ということを考えると、システムの上からいっても、これは兵というものの対象を広げていかなければならぬというような考え方も出てくるから私はたいへん心配しているんです、この点では。そこで、心配というのはどんな心配かというと、自衛隊に人が一ぱい集まらぬというようなことを心配しているんじゃなくて、どうも憲法論議の中にもたくさん出てくるように、徴兵制度というようなものに対する議論がたくさん出てきている。賛成論の方もだいぶおありのようだ。そこで、こういう点について私は総理大臣にお尋ねをしたい。徴兵制度というものに対してどういうお考えをお持ちであるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど松野君もお答えしたようですが、ただいま考えておりません。
○小林武君 ただいま考えておりませんというのは、なかなかくせものでありまして、これは自衛隊というのは将来どのぐらいまで一体拡張していくつもりであるか。これは、あなたの長期計画からお考えになれば、第二次防とか、三次防とか、さらに四次防も来るかもしれない。そういう発展の中で、日本の中においては徴兵制度というものはとるべきでないと、こういうふうに理解してもよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の表現の問題になっておるようですが、ただいま小林君の言われるとおりでございます。
○小林武君 それでは、お尋ねいたしますが、陸上自衛隊の問題なんですがね。陸上自衛隊ばかりじゃないんだけれども、陸上自衛隊を中心にして考えると、(自衛隊の任務)というようなものが自衛隊法第三条に書かれている。そうすると、陸上自衛隊の任務というものの中に「間接侵略」「直接侵略」ということばが出ている。間接侵略については政府の見解というものは、一応出ていますが、一体、その間接侵略をやる、教唆しあるいはこれを援助するといった場合に、援助され教唆される者はだれなのか、こういうことなんですな。
○国務大臣(松野頼三君) わが国において間接侵略とは、わが国内にいて一または二の外国が教唆あるいは扇動、援助をして日本の国内の秩序を組織的に乱すことであります。それがだれであろうと、日本の国民の平和を乱す者はこの対象になるわけでございます。
○小林武君 そういう対象になる国民というのはだれなんですか。
○国務大臣(松野頼三君) 日本の国民の平和を乱す者は、だれであろうと、この対象になるわけであります。
○小林武君 そうすると、自衛隊の目当てになるものは国民だということになりますね。国民は内敵として陸上自衛隊の場合には特に見られるということになりますか。
○国務大臣(松野頼三君) 乱す者がだれだというのじゃありません。日本の平和な国民の治安を乱し、秩序を乱し、生命を侵すものはこの対象になるということです。だれが侵すかと私は言ったのじゃない。侵す者はこの対象になるということでございます。日本の国民だと私は限定しているわけじゃありません。そういうものは、一般生活でも同じじゃないでしょうか。犯罪者は、日本の国民を対象にするより、その犯罪を犯す行為、その行ないをわれわれは罰しているんじゃないでしょうか。同じように、日本の国民の秩序と平和を乱すものを対象にする。この法律は、日本の国内において乱す者を対象にしている。
○小林武君 議論が違うんですよ。あなたは警察力というようなことをおっしゃるならば、ぼくも警察というものは認めている。自衛隊という兵隊が、軍隊が、いまの状況の中では国民を敵として考えているということになるのじゃありませんか。外部の第一あるいは第二の外国の者が教唆し、援助し、扇動するという、その扇動される者はだれかといったら、国民じゃないですか、あなたの目標からいくと。
○国務大臣(松野頼三君) 私の目標は、国民の平和と安全と独立を守ることです。これを侵す者をわれわれは対象とするのでありまして、これは少し三段論法が飛躍しているんじゃないでしょうか。侵す者が小林さんがだれだとおっしゃるなら、その者は国民の平和と秩序を乱す者ですから……
○小林武君 そう判定した国民……。
○国務大臣(松野頼三君) そういうことになるんで、小林さんのほうがだれだとおっしゃるなら、これは別ですけれども、私は日本の平和と独立を乱す者、日本の国の独立を危うくする者、これが治安行動における対象になると、こう言っている。
○小林武君 あなたのおっしゃることは、何だかぼかして言っているけれども、結局、あれでしょう、外国が教唆し、扇動する、その扇動された対象というのは国民でしょう。国民以外にそんなにいるわけはないんですから、日本の国内に。陸上自衛隊が外国へ行ってどうしようということは、この間の総理の答弁ではっきりしている。直接侵略に対してどうこうということをいま聞いているのじゃない。間接侵略という立場でいったら、あなたのおっしゃるのは、どこかの国が扇動したと、こう見たら、扇動された者として国民が内敵と見られるというようなことになるんでしょう。それを肯定していませんか。
○国務大臣(松野頼三君) ちょっと論拠が、観点が違うんで、善良な日本の国民、独立国としての日本の国民、平和な生活を求める日本の国民、これを乱す者に対することなんですから。私は、国民というのは、善良な平和を望む国民を国民ということばで言うならば、これは国民です。しかし、それに危害を加える、秩序を乱すという場合に、これを治安あるいは保護するのはあたりまえじゃないでしょうか。私は、日本の国民は、善良の国民を守る、独立を守る、平和を守る、これが日本の国民じゃありませんか。
○小林武君 どうも話がかみ合いませんし、これは先へ進まなければなりませんから、ひとつそれではこれはここで切り上げましてお尋ねいたします。 自衛隊の機関紙というものは、あれはどういう仕組みのものですか。
○国務大臣(松野頼三君) 機関紙というのをどれをおさしになっているか、自衛隊の広報をおさしになっているのか、機関紙という特別なものは私は見たことはありません。要するに、政府で行なっている広報、政府広報あるいは自衛隊の広報というものは広報活動の中にある。機関紙というそういう新聞的なものは、自衛隊では私はつくっているように思いませんけれども、できればちょっとお待ちいただきます。——政府委員から答弁させます。
○政府委員(島田豊君) ただいま長官から御説明がございましたように、広報のための雑誌は発行いたしておりますけれども、自衛隊の機関紙というものはございません。
○小林武君 あるんですな。ぼくはそれで聞いている。あなたはないと言うのだけれども、ある。しかし、ぼくはこれはどう受け取っていいのかよくわからないから聞いているんだけれども、「北部方面隊機関紙」と、機関紙と書いてある。
○政府委員(島田豊君) おそらく、それは部内の者に対する広報のために発行された印刷物ではないかというふうに考えます。場合によってはあるいは部外宣伝のためにそれを使うという場合があるかもしれませんけれども、正式に機関紙という名称のものは、別にそういう規定もございませんし、おそらくそういう部隊で適宜発行しているというものではないかと、こういうふうに考えます。
○小林武君 もう一ぺん確かめておきますが、機関紙を出したからといってどうこう言うあれじゃない。「北部方面隊機関紙」といって銘を打ったからには、これは編集は方面隊で出したものでしょう。いわゆる自衛隊のものだ、編集の一切の責任は自衛隊のものである。少なくともそこに書かれている記事は、自衛隊の隊員の諸君の教育とかその他一切のものを含んだものと、こういうことに理解していいんだろうね。——いや、見なくてもいいよ、答えなさい。
○政府委員(島田豊君) その現物を見ませんと、私も性格がどういうものであるかということは申し上げられません。広報機関紙的なものでありますならば、これはおそらくその部隊の広報担当者が執筆をし、あるいは編集をして発行したというふうに考えますが、現物を見ないとちょっとはっきりしたことは申し上げられません。
○小林武君 そのうち見せますよ。(笑声)そのうち見せますが、私はこの機関紙がそういう性格のもの——あ、その前に聞いておきましょう。そういうものを出してもいいんでしょうね。特に隊でそういうものを出していかぬとかなんとかというようなことのあれはないんでしょうな。それは、あなたが御存じなくても、相当各所で出ているらしいですな。この種のものは。
○政府委員(島田豊君) そういう機関紙発行に関する規定があるわけでもございませんので、各部隊におきまして、適宜、広報のため、あるいは部内の教養、教育をやるために、あるいは部外に対する広報宣伝のために発行しているということはあると思いますけれども、それもそれぞれの部隊が適宜出しておるというふうなものでございまして、各部隊がすべてそういう機関紙的なものを持ち、それを発行しているというふうには考えられません。
○小林武君 まあ念を入れて言えば、あるいはこれは「北部方面隊機関紙」といえども、秘密裡に出されたかもわかりませんし、何だかわかりませんけれども、「あかしや」という新聞の名前を使った方面隊機関紙ですね。発行所は「陸上自衛隊北部方面総監部第一部」と、こう書いてありますね。その中に、「社会党の眞姿を見よ」と、こう書いて、社会党についていろいろ批判をしている花見達二という人の意見をここへ記事として出している。ただし、この前のほうの見出し、「社会党の眞姿を見よ」という見出しは、これは自衛隊でつけたのでしょうね。そして、これは、長く読んでもしようがないから、読まないことにいたしまして、「日本の破壊と属国化」、社会党政府はそうやると書いてある。これは、しかし、あれですか、自衛隊の愛国心ですか、それとも自衛隊の許された防衛意識というものの発露でありましょうか。御不審があったらひとつここへ来て見てください。今度は見せますよ。
○国務大臣(松野頼三君) 自衛隊法、防衛庁法には、御承知のごとく、そういう特定な政党に対するものを規定もしておりません。したがって、そういうものが、自衛隊の発行として、あるいは、いろいろな人の意見を載せるでしょう。その一つの意見として花見さんに寄稿を頼んで、それが原稿として載ったかもしれません。しかし、「あかしや」と書いてあるように、必ずしも自衛隊そのものの責任というよりも、北部方面の中の一部の者が、「あかしや」という同人的な、部内の通信連絡という意味で載せたのかもしれません。自衛隊の法律そのものがそういうものを規定して愛国心を発揚するような思想というものは私は持っておりません。
○小林武君 一つだけ念を押しておきますが、これがもし自衛隊のものだったら、どういうことをします。
○国務大臣(松野頼三君) 自衛隊の、かりに自衛隊の一部の有志、同志、あるいはその中の機関で一部やったかもしれません。しかし、それは人の意見を、いろいろな学者の意見を、評論家の意見ですから、その方に寄稿を依頼してその方の寄稿を載せたということになれば、まあいろいろな影響はありましょうけれども、しかし、それだからといって自衛隊はけしからぬというものとは結びつかないのではないかと私は思います。
○小林武君 そう開き直るとぼくも文句があるな。これ見てください。あんた、その前の見出しを見てください。
○国務大臣(松野頼三君) 見出しは、自衛隊…。
○小林武君 自衛隊でしょう。
○木村禧八郎君 関連。
○委員長(石原幹市郎君) ちょっと待ってください。
○小林武君 これは、あなた、編集者は、それはあなたが言うように同人であるか何であるかわからぬ。ぼくは、これは少なくとも発行所を見るというと、そんな同人ではないと見ている。これはあなた責任を負わなければならない。どうするかということだ。
○委員長(石原幹市郎君) 質問者、いいですか、関連。
○小林武君 関連、いいですよ。
○委員長(石原幹市郎君) 木村君。
○木村禧八郎君 簡単なんですが、この筆者、花見達二という人はどういう人であったか、これは御存じのはずだと思う。これは、戦争中の軍との関係をお調べになればはっきりするわけです。ですから、その筆者自身も非常に問題があると思う。どうして花見達二のような人を選定したのか。これは軍国主義に協力した有名な人ですよ、あの当時の。これはだれでも知っております、あの当時の人なら。よりによって花見達二氏に頼むことは問題だと思う。ですから、花見達二という人はどういう人であるか、これは御存じだと思うのです。どういう人であるか言ってください。
○国務大臣(松野頼三君) 花見さんがどういう人であるか、それは別として、花見さんも、一般的に、諸般の一般雑誌、一般新聞にも寄稿されている方でありますから、それはその方の意見を載せたからといって、特に自衛隊がどうのという私は感じはいたしません。それはいろいろの方があるのですから。そういった花見さんも、自由に文筆をもって今日でも各所の新聞、雑誌に寄稿されている方であります。それをとやかく言うことは、これは個人的見解であって、それだからいけないという論点にはならないと思います。同時に、御承知のごとく自衛隊に対する寄稿とか自衛隊に対するものというものは、それはおのずから希望される方、自分が載せたいという方というものの中から載せなきゃ、載せたくないという方を無理に載せることはできません。おのずからそこには限界と流れというものはあるのじゃなかろうかと私は思います。
○亀田得治君 関連。長官に聞きますが、それじゃ、結局、「あかしや」の百三十四号、こういうものが自衛隊の中で出されていてもよろしいと。まあ積極的によろしいということは言わぬかもしれんが、まあ見のがしておかなきゃしかたがない、こういう御意見ですか、結論は。そこを聞きたい。
○国務大臣(松野頼三君) 自衛隊法の中では、自衛隊の規則、自衛隊の規律というもの以外のことについて責任を負ったり、それをいいとか悪いとかいうこと、そこまでは私は限定しておりません。自衛隊の基本的な運営、基本的な方向、基本的な精神というものの規定が自衛隊法及びその施行法にあるのですから、それ以外にいろいろなことを、部内においてのお互いの同人的なもの、部内における広報的なもの、その部隊における一つの広報、宣伝というものまで規定してどうのこうのと言われては、それは私としては責任が負えないと思います。
○亀田得治君 それじゃ、たとえば自衛隊法等を見ても、中立的な立場というものが非常に大事な問題として考えられておるわけでしょう。それが、明らかにこれは政治教育ですよ、中身は。ただ、人の論文をじょうずに掲載しておるというだけであってね。こういうことが、じゃ、どんどん各部隊においてやられていいんですか。防衛庁長官、法律の立場から言うと、どうも規制のしようがないようなことをこの公の席上で言われるのですが、それじゃ、えたりとばかりあっちでもこっちでもこういうことが行なわれていいんでしょうか。これは、総理大臣、どうなんですか、最高責任者として。これは社会党に対する誹謗ですよ。——いや、総理大臣にお聞きします、もう一つ。
○国務大臣(松野頼三君) 自衛隊法の第六十一条に政治的規制というものが明確にしてあります。それを守るということは、これは私の責任であると私は思います。しかし、往々にして部内限りのものというのは、各種の団体の中に部内限りで——一般にこれを流布したとか配付したというのなら、これはおっしゃるように、自衛隊が社会党を誹謗して国民運動をしているんじゃないかという非難を受けましょうが、隊員の部内限りのものというものはどこにも私はあると思う。どこにもあります。その広報の中の一つを取り上げて、これはけしからぬと。それは部内のものであって、これを一般に配付したというわけじゃありますまい、これは。各種団体にありましょう、部内限りのお互いの広報、宣伝ということは。いまの民主主義時代にはあり得ることなんです。それを一々言われるというのは、私として言うならば、自衛隊法の六十一条の政治的中立を侵しているというなら、これは別ですが、そういうものではないじゃありませんか。
○委員長(石原幹市郎君) 小林委員。
○亀田得治君 ちょっと待ってくれよ、総理大臣に私質問しているんですから、さっきのは。こういうものを出しても、自衛隊の中立性というものを侵したことにならぬという判断ですか。たいへんなことが起きますよ。冗談じゃない。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先はどの松野防衛庁長官がお答えしたのでございますが、私はどうもその実情をよくわかりませんので、それについての批判はできません。
○小林武君 まず、あなたのほうは早急にものをやれるのだから、北部方面隊にこういうものが機関紙として出ているかどうか、これを明らかにしてもらいたい。これはすぐだ。それから、何といっても問題なのは、花見達二が何の議論をしようが、ぼくはそれはかまわない。しかし、その論文の紹介につけている見出しは「社会党の真姿を見よ」というわけです。これは自衛隊の責任だ、これが機関紙であった場合には。そうでしょうが。論文の紹介はかってだ——とは、言いたくないけれどもね。まだあなたの議論をある程度認めてやっても、とにかく表面にあるこの見出しは許すことはできない。こういうことになると、社会党政府は日本を破壊し、日本を他国の属国化しようという、こういう規定だ。そうするならば、自衛隊の攻撃の対象になるということをここで明らかにしたものなんだ。これをもって政治的中立がどうだとかなんとかいうのはおかしいよ。
○国務大臣(松野頼三君) その見出しはあるいは花見さんの思想から出たのかもしれません。したがって、その見出しが自衛隊の責任であるということも、これもまだよく調査してみないとわからぬことでありますから、その見出しについてはよく調査して、そうしてそれはお答えいたします。しかし、だからといってそのものがどうだということは、それは私は結論が早過ぎると思う。見出しについては花見さんの御思想がそこにあったかないか、それは御疑問でありますから、調査の上いずれ御報告いたします。
○亀田得治君 どうなんですか。調査の上お答えするようなことを言われますが、認めるとも認めないとも、結論を多少ぼやかされたわけですか。どういう意味なんですか。非常に大事なことですよ。
○国務大臣(松野頼三君) ぼやかしておりません。本日突然この席上でお出しになりましたから——事前にこの御報告と御質問の用意をいたすならば、調査して本日お答えできます。突然いま出されたのですから、私も軽々に——事実調査をしてその上で明確にお答えいたします、これ以外ございません。
○亀田得治君 それでしたならば、先ほどはこういうものを出されても、一々部内のことだからやむを得ぬと、認めるようなことを言われましたんですよ。だから、これはたいへんだ、それじゃ、二号、三号とどんどんこれを出していってそれでいいのかという話にまたなるわけですよ。だから、まあ初めからきょうは突然見たので判断がつかない、十分調査してお答えになるということなら、別に私たちはそれほどいきり立つ必要もないわけです。こんなことがいいということになったら、たいへんじゃないですか。だから、私はこの際要求しておきます。これは百三十四号ですよ、「あかしや」の。いままでの一号から百二十四号まで全部念のために出してください。
○国務大臣(松野頼三君) それが機関紙であるかどうかを調査した上で、本日の記事かどういうものであるか、その上でまたただいま亀田さんの御質問はそのあとじゃないと……。私はこれが機関紙であると自信をもって答えているわけではないのです。機関紙であると答えているわけではありません。したがって、おそらく部内のものですから、実情を調査した上で、小林委員の御疑問、御質問に、本日の速記録がございますから、速記録を明快に見て、そうしてお答えいたします。
○小林武君 質問者はなかなか納得がいかない。突然なんというのは、そんなものは言いのがれですよ。そんなものは言いのがれなんです。そんなことを言ったら、いろいろな資料を集めてきてもあなたに質問はできないじゃないですか。そんなばかなことはない。しかし、これは「北部方面隊機関紙」と銘を打っている。それから編集は、「北部方面総監部第一部」と、こうなっている。もしこれが事実でないとすれば、機関紙でないとすれば、これはとにかく隊の名前を詐称したものだと思う。そういうことにもなるでしょう。だから、その点については、私はあなたたちの立場を認めて、とにかくこれを厳重に調査してもらう。 それから、書かれてあることついていいかげんなことを言ってもらいたくない。ここにとにかく見出しがあるんだから。私は花見達二の意見を載せたということについてもこれは重大な問題があると思う。こういうことは、内乱を引き起こすような思想的な教育ですよ。そういうものの考え方を自衛隊が持つということは重大なことだ、これは。私はこういうものを載せるということでも問題があると思うけれども、百歩を譲って考えた場合に、ただ出したというなら、これはまだ自衛隊のあれについて多少何とか考えてやってもいいけれども、「社会党の真姿を見よ」という見出しをつけたこの点は許されぬ。このことによって日本の破壊をはかっている社会党ということが生きてくるわけだ。自衛隊の隊員の中にこの思想ができた場合にはどういうことになるか。攻撃の対象はわれわれだろう。間接侵略というものに対するほこ先はわが社会党に向けてやれるようにあなたたちのほうで教育しているととっても、これは思い過ごしではないでしょう。どうですか。そういう考え方はどうですか。非常に思い過ごしですか。その点が納得しないうちはとにかくだめだ。
○国務大臣(松野頼三君) そういうことは、毛頭、現実問題として、事実として、ございません。それは社会党の方も自衛隊に接しておられる方はたくさんいらっしゃいます。また、自衛隊に対して内閣委員会では諸般の問題か常に出ております。したがって、実情を見て御存じなんです、社会党の方も常に。それはそんなことは私が議論するよりも、社会党議員の方が十分御承知だと私は思います。内閣委員会において常に自衛隊の姿をみんな見ていらっしゃいます。そうして、自衛隊とともに語った方もいらっしゃいます。その思想は、私が論ずるよりも、現実の姿を見ていただいているんですから、そういうことがあり得ないことは十分私は御承知であろうと思います。
○委員長(石原幹市郎君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(石原幹市郎君) 速記をつけて。
○亀田得治君 議事進行。あまり時間が、こういうことでたち過ぎても、なんですが、非常にまあ防衛庁の中身というのは、たるんでおるというか、電話で現地のほうに闘い合わせたところ、何かきちんとした責任者かおらぬような話で、そういう「あかしや」自身があるのかないのか、そういうこともわからぬような事務当局の話なんですが、ちょっと私は解せないと思うのです。部内の者としても、百三十四号というふうに出されておるものがあるかないかもわからぬと、そういうことでは、はなはだこれは不満です。だから、そういう態度に出るから、われわれとしては休憩してでも、ここで文書の存在そのものをはっきりしておいて、内容についての論議は、あらためてしたいと思ったんだが、その問題自身を、どうもうやむやにしようとしているのじゃないかというふうな感じを受けるわけです。はなはだそれは残念ですが、しかし、政府側では、ともかくそういうことじゃなしに、事実を調べてお答えをすると、こう言っているから、これはひとつ、うやむやにせぬように、ほんとうにこういうことがあれば、これは政府自体としても真剣に考えてもらわなきゃならぬことですよ。だから、私は、そういう意味で、委員長のほうでしかるべくひとつ善処されんことを求めておきます。
○委員長(石原幹市郎君) それでは、委員長のほうからも一言申し上げます。 ただいまの問題は、政府側において直ちに調査し、後日の機会に明らかにしてもらいたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 委員長の御趣旨のように取りはからいます。
○小林武君 それでは、この問題は、この予算の審議中にお取り計らいをいただくということにしまして、大蔵大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、山一証券の融資に対して担保を取ると……、これは、法どおりいけば取らなくてもいい。これを取ったのは、どういうことですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 御承知のように、昨年五月山一証券に対して特別融資が行なわれたわけです。あの特別融資は、今日、企業間信用がたいへんな規模で張りめぐらされてきた。どこか信用機構の一角で間違いが起こるというようなことになりますと、一波万波を呼んでこれが全国的な恐慌状態になるおそれもなしとしない。そういう事態において証券業界の不振という問題があったわけです。そうして証券相場は日に日に低落する、これがいつどこまでいくかもしらぬ、そういうさなかにおいて、その影響を最も深刻にかぶったのが山一証券である。これが破産寸前になった。山一証券がそういう事態になったら、これはたいへんなことになると、こういうことから、急遽日本銀行法第二十五条の発動、こういうことになったわけです。したがって、この融資は担保も何も取っておりません。富士銀行その他三銀行を通じまして山一に融資をした。しかし、この融資が確実に回収されるということについては、三銀行は意を用いなければならぬ、こういう立場にあるわけであります。後日、できる限り担保を取りたいという手続をいたしまして、不動産二十二、三億のものを担保に徴求する、こういういきさつでございます。
○小林武君 ぼくはちょっと理解できないのですがね。貸したこと、融資をやったことのいい悪いというのは、もうすでに議論されたことだからよろしい。それは抜きにして、担保を、まあ二十二、三億ですわね、二十二億幾らですが、これを取ったという理由がね、少なくとも融資した額以上の、普通の常識で言う担保を取ったというなら話はわかるけれども、二十二億というのは、どういうわけです。これはどういう意味なのかわからぬ。
○国務大臣(福田赳夫君) 特別融資は二百八十億ぐらいになるわけであります。しかし、これはただいま申し上げましたように無担保です。物的担保を取っておりません、非常の際だから。そういうことです。しかし、無担保で貸しましたけれども、その債権の回収には努力しなければならぬというので、後日、三銀行は担保を徴求した。一生懸命担保をあさったわけでありますが、担保をあさったところでは、これが限度である、ぎりぎり二十二、三億のものを担保として設定した。こういうので、二百八十億円の担保がある、初めからあるなら、何も特別融資する必要はないのです。したがって、二百八十億に及ばざる担保であるけれども、三銀行は全力を尽くした、こういう担保でございます。
○小林武君 まあ、そういう議論はひとつ抜きにいたしまして、私は、そこでひとつ日銀に希望するのですがね。要請するのですがね。その担保について、何といいますか、情報といいますか、投書といいますか、いろいろな申し入れというものがあるわけでありますが、この二十億円の担保というのは、言ってきているものを大体総括してみれば、二十億も山一の直接の財産ではないのだ、山一の傍系の法人のものだ、こういう言い方をしている。そしてそれらの山一の子会社というか、何というか、会社をここに書いてありますが、これは読みません。そういうことで出ておって、しかも、その一つに、日銀の命令によって会社をとにかくつぶさなければいかぬようになった、こういうことが再三再四にわたって強要されて、従業員、が、何とか会社を存続さしてもらいたいというのを、つぶされちゃった、こういう訴えがあります。私は、日本銀行ともあろうものが、そういうことはあり得ないと思うし、これは私は善意に解釈して、日本銀行がこういうことに対しては、やっぱりはっきりあかしを立てて、そういうあかしを立てることによって、事実そういうことがないということを裏づけしたほうがよろしい。そうすれば、これはもう、いままで衆議院の段階で資料として要求された、山一証券に対する特別融資担保不動産の資料は、いずれも、どうもこれだけじゃわからない、わからないことをここでかれこれ申し上げる気持ちはとうにない。だからひとつ登記の謄本を提出してもらいたい、その上に立って、われわれいろいろ議論したいと思う。それができるかどうか、日銀側の答弁をいただきたいと思う。
○参考人(鎌田正美君) ただいま参考人として御指名を受けました日本銀行理事の鎌田でございます、どうぞよろしく。 ただいまの小林先生の御質問にお答えをいたします。 山一証券としましては、御承知のような収支の状況にございますので、このこと来、鋭意収支の均衡をはかりますために、本社並びに傍系会社を含めまして合理化の努力をいたしておるわけでございます。合理化の内容といたしましては、あるいは時に人員の整理とか、あるいは会社の清算とかいうふうなこともあろうかと思いますけれども、日本銀行といたしましては、あくまで山一証券並びに傍系会社の自主的な判断にまかせておることでございまして、そういうふうな整理とか、あるいは会社の清算とかいうふうなことについて指示をいたした覚えは全然ございません。 それから後段の、世上いろいろなうわさが出ておる、したがって、担保の内容について明らかにしたほうがよかろうということでございます。御趣旨のとおり、私どももさように感じておりますが、これは御承知のように、今後の時点におきましてやはり処分を予定されておる物件でございますので、御要望に沿えます限り私どもとしては資料を提出したいと、かように考えております。ただ、実際の処分にあたりまして、あるいは価格等の面で支障を来たすおそれもございますので、その辺につきましては、特に提出します資料の範囲につきまして御了承をいただきたいと、かように考えております。
○小林武君 私は、そういう、何かある特別のものだけ出すというようなことでは了承できません。全部について出せないというわけは私はないと思う、出すべきだ、日銀は。それは出して、それによって日銀が、そんなことはないということのあかしを立てるべきだと思うから申し上げておる。これは出せない理由が特にありますか。写しでもだめだということになりますかな。どういうことですか。
○参考人(鎌田正美君) お答えをいたします。 ただいまのお話の登記簿の謄本ということでございますが、登記簿の謄本につきましては、なお内部において担保処分の際の支障等も勘案いたしまして、できる限り御趣旨に沿うようにいたしたいと思いますけれども、この点は、私ここで一存でもって、提出いたしますというふうにお答えはいたしかねます。内部で相談をいたしまして、なおまた、これには提供者あるいはまた直接の担保権者、そういうふうな関係者の利害もからんでまいります。そういう向きの同意も得ませんと、日本銀行だけの判断で提出するというわけにはまいりませんので、十分相談をいたしまして、できる限り御趣旨のように取り計らいたいと、かように考えております。
○小林武君 どういう事情があるか知らないけれども、あなたがここで単独で自分の意見だけで取りきめることができないということはある程度了承できます。しかし、出せないということは私はおかしいと思うんですね。いままで出したものは、大体だらしがないですよ、こんなもの。あなたたち銀行の仕事をやっておる人がこんなものを出して、一体われわれわかると思うんですか。だから、とにかく今度は出してください。出すべきだと思う。われわれがそういうことを心配するのはなぜかというと、これは非常にいろいろなところに流布されて、早晩とにかくたくさん目の前にあらわれるような事態もあるんではないかと私は心配するから、そういうことを言う。だから、この際とにかくあなたのほうでそういうはっきりした態度をおとりになることが、日銀の信用のために私はよろしいと思う。それだから申し上げておる。どうぞその点を理解して、出すようにしてもらいたい。答弁はいいですよ、答弁はいいけれども、出さないでいいというんではない。 最後に、一つだけ簡単にお尋ねいたします。これは通産大臣にお尋ねするんですが、私も実は行って見てまいりましたから、繊維貿易会館というものがだんだん建ちつつあるということは認めました。しかし、どうもこの話は十年前の話なんですね。十年前の話。この内容はおわかりでございましょうな。
○国務大臣(三木武夫君) 言われるように、昭和三十二年の十月に、日本貿易振興会に対して、財団法人繊維貿易会館というものを建てるということで、二億円の交付金を渡したわけですね。その背景になったものは、御承知のように、織物消費税、これで小売商が非常に損を招いたということで、まあこういう背景のもとに、輸出の振興、海外への見本市の展示場ということでもあったんだろうと思います。ところが、その間、いろいろ意見の調整に時間がかかったりして——用地は昭和二十四年に買っているんですね。それがなかなか本ぎまりにならなかったのが、昭和三十九年の十二月に会館を建設することを決定した。ところが、また立ちのきをしなければならぬ土地があって、始めたのが四十年の四月である。まあ、いまごらんになったというから……。私は見ていないんですけれども、七〇%になっている……。
○小林武君 七〇%にはなってない。
○国務大臣(三木武夫君) そういう報告を受けているんですが、まあ九月には完了するだろう、こういうことが、私が承知しておることでございます。
○小林武君 その二億円——当時の二億では建物が全部建つ金ですか。現在はどうなっていますか。その二億であの建築物は建つわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 当時は建ったでしょうけれども、いまは、もう二億円では、やはり足らぬと思いますが、それは繊維局長から少し説明をさせます。
○政府委員(乙竹虔三君) お答えいたします。 二億の金がジェトロから出たのでございますが、土地を買いますのに六千六百万円使っております。したがいまして、残金は一億三千四百万円ということになるわけでございまするが、これでは、九階建ての建物でございますので足りません。したがいまして、この差額——建物を建築いたしますのに不足の分は、受益者から権利金をもらう等によって、これは措置をするというふうに考えております。
○小林武君 これは政府委員でけっこうですから……。この金は、特定物資輸入臨時措置法による金なのですか。それとも何による金ですか。
○政府委員(乙竹虔三君) この金のもとは、昭和二十九年度下期バナナ及びパイナップルかん詰めの輸入外貨資金の割り当てにかかわる輸入差益金でございます。
○小林武君 そうすると、私が述べた法律とは関係ないわけですね。
○政府委員(乙竹虔三君) ございません。
○小林武君 この経理に対して政府は特段の責任はないわけですか。
○政府委員(乙竹虔三君) これば民法上の財団法人、公益法人でございます。したがいまして、通商産業大臣といたしましては——民法上の一般監督がございまするが、それだけではこの二億の金を政府から出しておりますので、出しております条件といたしまして、計画、それから実行の報告、これを徴するというふうにして監督をいたしております。
○小林武君 十年間見守っておったというのは、それはあれですか、監督したことになりますか。
○政府委員(乙竹虔三君) 仰せのとおり、非常にどうも遅延をしたのでございまするが、遅延をいたしましたのは、先ほど大臣も申しておりましたのでございまするが、この金について、だんだんまあ不足してくるというふうな点もあり、それからまた、この金で、織物消費税が撤廃される場合に関係業界に対してその損害を補てんしてもらっている——これは関係業界の解釈でございます。そういうふうな考えもあり、この財団法人を株式会社組織に切りかえるというふうな動きが内部にあったようでございます。で、この株式会社組織に切りかえるかどうかということで、内部に非常に論議が重ねられておりましたのでございますが、これは、申すまでもなく、公益法人に対して政府は補助金を出しておる次第でございますし、そういう点もございまして、公益法人でいかざるを得ないということに思い切ったその思い切るのに非常に時間がかかったというふうに聞いております。
○小林武君 まあ、建物がだんだんできかかっているから、その点については、あんまりあらためてものを言うというような気持ちもございませんけれども、しかし、少なくとも二億の金が政府から出ている、それが差益金であろうと何であろうと。そうして、その当時に繊維貿易会館というものができたら、少なくとも業界に大きな利益を私は与えたと思う。そうしてその十年間の手間どった間に何が起こったかといったら、訴訟事件——これについては、私はいまここで申し述べません。そういうまあ、いわばこの問題に関しては若干不明朗なところもこれにからまっているということになりますというと、私は政府の指導のしかたといいますか、監督のしかたに対して大きな問題を感ぜざるを得ない。こういうことが政治の全般に——やはり随所にそういう事態のあらわれているということも考えますというと、決して見のがすことができないような気もするわけであります。しかしながら、先ほども申し上げたように、今度は何だか実現しそうだということであります。この後においては、これにまつわるいろいろな問題が起きないように、厳重に通産大臣は御指導なり監督なりをしていただきたいということを希望いたします。 これで質問を終わります。
○委員長(石原幹市郎君) 小林君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。 総予算三案の総括質疑は終了したものと認めます。 次回は、二十二日午前十時から開会いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後四時二十七分散会