予算委員会 第11号
- 発言数
- 375 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/03/10
会議録
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 昨日に続き、質疑を行ないます。林虎雄君。
○林虎雄君 私は、主といたしまして地方財政の問題について、総理、関係大臣に伺いたいと思います。 その前に一、二点お伺いいたしたいことがありますが、人事院の給与勧告に関する時期等にあたりまして、昨年十月から、関係閣僚の検討が行なわれておるようであります。きのうも検討されたということが出ておるわけでありますが、その検討の状況を総務長官から承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 人事院勧告の時期につきましては、御承知のとおり、これが年度半ばになりますために、いろいろ予算編成上の難点がございまして、これをもっとスムーズにやる方法はないか。これは各国会でもいろいろ御議論ございます。また、政府部内でもいろいろと検討いたし、人事院とも相談をして各種の案を検討中でございます。いずれもまだ、これならすっきりいけるという案がございませんので、鋭意これを、なるべく早く結論を得るべく、目下検討を進めておる最中でございます。
○林虎雄君 新聞等で見ますると、いわゆる吉武試案なるものを得ておるということでありますが、その骨子なりその内容を承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 自由民主党で一試案として出されておりますいわゆる吉武試案たるものは、これは調査の時点を八月に置いて勧告の時期を十一月にする、そうして現実の支給は年度をまたがって翌年度に、その翌年度の予算を組む際その財源を盛り込んではいかがであろうか、こういう一つの試案でございますが、まあこれは、お聞きのとおりのいろいろ問題を含んでおります。まあこれがよろしかろうという結論にはなかなかなりかねておるような状況でございます。
○林虎雄君 人事院総裁に承りたいと思いますが、人事院の民間給与調査準備の関係もありますので、いま政府が検討しております実施時期等に対しては、結論を早く出さなければならないのではなかろうかというふうに思いますが、したがって、給与改定の勧告の方針は早急に決定する必要があろうと思いますが、大体人事院といたしましては、いつごろまでに決定をしてもらわなければ作業に差しつかえるか。この点を承りたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもが例年やっております調査の時期といたしましては、四月中に現実に支払われた民間給与、これをとらえて公務員の分と比較することをやっておるわけであります。したがいまして、従来のやり方でまいりますといたしますと、三月の末——本月末には、四月調査で例年どおりいこうというならば、もう三月末にはその方向の準備をきめなければならぬ、こういう段階でございます。
○林虎雄君 総務長官にお伺いいたしますが、いま人事院総裁のお答えもありますように、三月中ぐらいには方針がきまらなければ困るということであります。勧告方式の変更は、労働基本権の制限を受けております公務員にとっては、きわめて重大な事柄でありますが、この結論をいつごろまでに出すお考えでありますか、承りたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 給与に関係がある関係閣僚会議もたびたび開催いたしまして、三月中には何とか目鼻をつけたいと思っております。
○林虎雄君 人事院の勧告は、民間給与との格差をできるだけ早く解消すること、それから、労働基本権の制限を受けております公務員の経済的不利益を保護することにあると思います。つまり断交権、争議権の代償でもあることがその趣旨、ねらいであろうと思いますが、この点どうですか。
○国務大臣(安井謙君) お話しのとおりに、公務員の給与べースが、その一定の時点における民間の各給与べースと平仄を合わせていく、これが目標になっていることはお話しのとおりでございます。
○林虎雄君 政府は、従来この勧告の言う改定実施時期をいつもずらせて、完全実施を行なっていないというのがまあ現実でございます。いま検討しておりますものは、成果を得たとまあ仮定いたしました場合、勧告の言う改定実施時期は正確に実施しようという考えに立っているのか、勧告の言う改定額を確保して完全実施を行なうというお考えがあるかどうか、この点を伺います。
○国務大臣(安井謙君) 政府としましては、勧告はできるだけ尊重するというたてまえをとっております。また今後、時期その他につきましても検討の上、これができるだけ十分に勧告できるような方法が講じられることが好ましい。そういう方向で考えております。
○林虎雄君 問題は、この時期というよりも、むしろ勧告の完全実施でなければならないと思います。まあその保証がなければ、現行方式が改定をされましても、改善にはならない。むしろ改悪になるおそれもあろうと思いますが、勧告方式の改善が真に改善たるゆえんというものは、何といっても勧告の完全実施の保証という点にあると思いますが、この点いかがですか。
○国務大臣(安井謙君) できるだけ勧告が合理的なものであり、またそれを完全に実施できる方向をつとめて考えていく。また、それに今後もつとめていくというのが、われわれの考え方であります。
○林虎雄君 人事院の勧告では実施時期が大体五月であります。それで、年度途中だから補正予算を組む必要から財政難の国、地方団体等は毎年財源の捻出に苦しんでおります。年度中途は好ましくない、給与の引き上げは当初予算に組んだほうがよいという、こういう意見から、現在五人委員会でありますか、そこで検討していると思いますが、この財源難という点では、当初予算で組んでも、あるいは年度途中で組むことのほうが財源難だということは、これは財源難という点では全然見当違いではなかろうかと思います。年度当初でも年度途中でも財源難であるという以上は、その事態というものは何ら変わりはないと思いますが、この点いかがですか。
○国務大臣(安井謙君) 処理する財源そのものについては同じだと思いますが、その時期によりまして予算を組むときにこれを繰り込めるということと、年度途中でこの予算に大変更を来たす補正をやるということでは、かなり事情が変わってくるということは事実だろうと思います。
○林虎雄君 年度当初の予算化かあるいは中途の予算化かということは、これは財政上の便宜上の問題だけであって、改定の所要財源という点からは、また、いま申し上げたように、財源難という点からは、両者の間に本質的な相違はないと思います。要するに、人事院の勧告の制度を改善するということは、勧告の完全実施の保証、そういう仕組みを確立することが何といっても必要ではなかろうか、それ以外に制度改善はないと考えておりますが、いかがですか。
○国務大臣(安井謙君) その点はごもっともでございまして、勧告の完全実施ということが一番好もしいことであることはもう間違いないことでございます。したがいまして、勧告がいつの時点でどういう形で出されるかということも、これは実施をしていく上にもいろいろ影響があることである、そういうものをあわせて検討いたしておるわけでございます。
○小林武君 関連。この人事院勧告について、もういままで完全実施の問題は言い尽された問題だと思うのです。ですから、吉武試案にしろ何にしろ、新しいものを政府が考えるということになったら、完全実施ということをはっきりここで言わない限り、あまり意味がないと思う。だから、その点は一体どうなのか。なるたけ完全実施をしたいというような話はいままで何十ぺんも聞いている、尊重いたしますということもずいぶん耳にたこが出るほど聞いている。そういうことで労働者の基本的権利というものがいままでと何ら変わらないような形でいくということになると、私は問題があると思いますので、完全実施ということについてどのぐらいの決意があるのか。やりますならやりますということをはっきり言ってもらわぬといかぬと思う。 それからもう一つ、この民間との格差解消の問題は、やっぱりこの人院勧告の調査の主目的なんです。その場合、調査の時期、勧告の時期を引き延ばすということは解消とどういう関係にあるのか。格差を一体なくする上において有効なのかどうか。この点はやはり検討されたことでしょうからはっきりお答えをいただきたいし、また、人事院総裁も、この点について何ら労働者がそれによって損失を招かないというような確信をお持ちであるのか、あるいは問題があるのか明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(安井謙君) 勧告を尊重すると言いながら、常に全面的勧告を実施しないじゃないかというおしかりでございますが、いままでの歴史は大体お話しのとおりで、まことに恐縮です。しかし、毎年毎年少しずつでも、いまの現状でも進歩していっておることだけは確かでございます。その点は、努力の一端は一つ買っていただきたいと思うのであります。そうして、もっと具体的ないま御質問だと思いますが、この勧告を完全実施をするにはどうすればいいかというたてまえで検討しておることは事実なんであります。もっと砕いて言いますと、たとえば八月の調査、十一月、十二月勧告ということになれば、おそらく実施の時期は九月なら九月ということになるであろう、そうすれば、これは形式上の完全実施というものはできるんじゃないかということも考えられます。しかし一方から、八月時点と四月時点をとらえる場合には、かなり民間給与の水準も変わってきておる、こういう事情もあります。それこれ勘案いたしまして、いまそういってずらせば、形式上の完全実施ができるであろうから、直ちにそれをやろうという方向で必ずしもこれを進めておるわけじゃありません。ただ、何かいい方法をさがさなければならぬじゃないかということで、あらゆる点をいろいろあげていまそれを検討しておるというのが実情でございます。
○政府委員(佐藤達夫君) 現在まで、私ども民間給与の調査を大体四月ということに、春に求めておるわけであります。これはこれなりに相当の理由があるものと私どもは考えております。申し上げるまでもありません。日本における一般民間の賃金の変化、最も大きな変化をする時期が四月、五月、春でありますから、その時期をつかまえませんと、民間に合わせるというめどとしてははなはだ不合理なことになるということで、現在の調査時期というものが確立されておるという意味で、そういう点から申しますというと、やっぱり春の時期を調査に選ぶということは非常に合理的な行き方であろうと思います。かたがた、私どもがかねがね気にしております五現業関係、すなわち公労委の仲裁裁定のもとにある団交権を持っておる人々との関係から申しましても、やっぱりその辺のところは歩調は合うというふうに考えておるわけであります。
○小林武君 もう一点。ただいまの人事院総裁のお話で、時期をずらすということはかなりこれは重大な問題です。時期をずらすことによって、ぼくに言わせれば、端的に労働者が不利になるようなおそれが十分ある。それにもってきて、完全実施のほうはとにかくあまりはっきりした決意がない。これでは踏んだりけったりである。こういう角度で、人事院勧告の問題についていままで労働者と政府との間にいろいろやりとりをやってきておる。もうここらで労働者の意向を取り入れるべきだというような段階で、何だかあやふやなこういう案を出してきておる。勧告の時期をずらし、かつ、それでは完全実施をやるかといったら、やるのかやらないのかわからない。こういうような、こういうやり方は、ぼくは非常に問題があると思う。この点はやっぱり政府が労働基本権を取った——三権を取ったのだから、その代償としてやられているこの人事院勧告については、もっと前進的なひとつ態度をもって御回答願いたい。 それから、総理大臣に一つ私はお伺いしたいのですが、いまさらくどくど言うことはないと思うのです。ずいぶん長い間の問題で、幾らかずつ前進しておることを認めてもらいたいという、こういう総務長官の話は若干わからぬわけでもない。ないけれども、その程度のことではどうも納得がいかぬということで、ずいぶんこれは労働者との間に問題があるわけでありますから、そこらでやはり完全実施をするべきだというような、こういう態度をはっきり持ってもらいたいと思うのですよ。この点について、何だかあやふやな、ことによると、これによって労働君がさらにもっと後退した線でものをきめられるのではないかという心配もあるわけですから、総理大臣としてはどういう御決意を持っておられるのか、ちょっとお伺いしたいわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ論議されておるようでございますが、まだ政府としては在来の態度を変えておりません。したがいまして、私がお答えいたしますのは、人事院勧告はどこまでも尊重してこれを実施するように努力してまいります。
○林虎雄君 いま小林委員の関連質問がありましたが、現在検討されておる改正案ですか、それが何を目標としておるかというと、大体財政上の便宜主義というところに重点があるようでありますが、改善案である以上は、いまお話しになったように、前進的なものでなければならない。労働権を制限を受けております公務員にとっては、不公平であってはならないことは申し上げるまでもないのでありますが、現行法規に比べて公務員が不利になるようなものであってはならないと思う。改善する以上は、少なくとも有利な前進的なものであるべきと考えておりますが、この点どうですか。
○国務大臣(安井謙君) 主として財政技術だけを問題にしておると言われますが、問題は財政技術といいますか、財政問題にあるのでございまして、政府自身はいまの勧告をできるだけ尊重したいということでやっておりますが、国、地方を通じた財政の処理上、やむを得ず最近までのような実施になっておる。しかも、それはできるだけ毎年少しずつでも前進はさせておるような次第でございます。そこで、今度もそういうような意味で第三者機関である人事院が出した勧告が少なくともまるのみが一応形の上にできるようにというのがこれは一つの考え方だと思うのであります。そういう意味で、いまの試案なるものも検討の対象にはなる。これをやりますれば、一応形式上の完全実施というものはある意味では行なえるという可能性も出てくるわけでございます。しかし、それにはまた逆に難点がいろいろ出てまいります。これが不利になるとか有利になるとか、いろいろな点も出てきますし、にわかにそれだけ取り上げれば、すべての問題が、いま御心配になっておるような問題がすべて解決つく問題だとも思いませんので、その点について十分な検討をしておるのでありまして、いま総理がお答えのとおり、いまどの案をとるというたてまえでこれを進めておるという次第では決してございません。
○林虎雄君 次に、地方公務員の場合でありますが、財源措置は国家公務員に準ずるということになっておりますから、当然国の責任において行なうものであろうと思います。地方財政計画にも含まれておりませんので、国が措置すべきものだろうと思いますが、地方公務員の場合のことも現在の五人委員会であわせて検討しておると思いますが、ひとつ……。
○国務大臣(永山忠則君) お説のように、国家公務員に準じて行ないたいと考えておるのでございます。しかし、財源的措置に対しましては、非常に地方財政が窮乏いたしておるときでございますので、政府と一体になってこの財源措置を考えねばならぬと考えておる次第でございます。
○林虎雄君 なお、成案を得る過程のようでありますが、その過程でも、人事院の意見というものを十分尊重して進めるべきではないか。いやしくも政府の独断におちいることがあってはならないと思います。総理から総括的にこの問題のお考えを承ろうと思いましたが、いま小林委員からの質問でお答えがあったのでよろしゅうございますが、総務長官に承りたいことは、考案を得る過程で人事院の意見というものも十分に尊重して考えておるかという点を承りたい。
○国務大臣(安井謙君) 五人委員会には、特に人事院総裁にも出席を願いまして、そのほうの意見も十分に聞きながら検討いたしております。
○林虎雄君 人事院の勧告については以上でありますが、きのうのあとの五人委員会で、この勧告の問題とともに、地方公務員の定年制について検討されたということが新聞で出ておりますが、この状況を承りたい。
○国務大臣(永山忠則君) 地方公務員の定年制は、共済年金制度を勘案をいたしまして、その年金の完全実施を受けるまでに——年齢を引き下げてやることのないように、わかりやすく申しますと、いまの地方共済年金制度では五十五歳になっておりまするから、それ以下ではやらないようにということを制限をしまして、さらに特別職に対しましては特別な考慮をすることが必要であるというような関係を織り込みまして、そして定年制を実施をしていきたい。すなわち、それによって、硬直している行政の効率化をはかってやりたいという町村は自主的にやることのできる、条例をつくることができるという意味の定年制をいま検討中でございます。要するに、これは永年にわたりまして地方団体から強い要望がございますので、それらの必要なる町村にはそういう定年制の条例を設けることができるという案にいたしておりまして、決してこれは絶対干渉はいたさないのでございます。完全なる自主性に待つという考え方で話を進めておるような次第でございます。
○林虎雄君 この地方公務員の定年制のみを取り上げて、国家公務のほうは全然取り上げなかったという理由はなんですか。
○国務大臣(安井謙君) 私は、定年制というものは、長い目で人事管理をやっていく、計画性を持たせるという意味からは、国、地方を通じて、あったほうがよろしいという考え方を実は持っております。しかし、いま地方に出ておりますのは、御承知のように、三千幾つの各地方団体が自主的にそれぞれの事情においてきめてよろしいという大きいワクをきめるのであって、私はそれは非常に妥当なものであろうと思いますが、国できめます場合には、やはりその職種、あるいは年齢の線の引き方、あるいは地方の機関、中央の機関との考え方、そういったものすべてを整理いたしまして、正確に具体的なもののきめ方はそれぞれにしなきゃならない、こういう非常に準備と検討を要すべき問題が非常に多いものでありますから、いま直ちに、せっかちにこれを出すということは不可能だと思う。いまそういうことで、十分今後検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○林虎雄君 この法律案は、もし成案を得た場合に、今国会へ提案するおつもりがあるわけですか。
○国務大臣(安井謙君) これは膨大な仕事でありますし、相当慎重を要すると思いますので、この国会に間に合うとは考えておりません。
○林虎雄君 永大山臣に承りますが、地方公務員の点ですね、この法律に対しまして、今国会に提案するおつもりになっておるのですか。
○国務大臣(永山忠則君) 自治省といたしましては、提案をいたしたいと考えまして関係各省と連絡をとっておるのでございます。 なお、党のほうにおきましても、各部会との懇談会をいまいたして、内部の意見調整をいたしておるところでございます。
○林虎雄君 大体、案としては、五十五歳以下になってはならないということのようでありますが、そういう法律をきめれば、地方団体は条例で五十五歳ということになるだろうということはまあ予想にかたくないわけでありますが、五十五歳という年齢が老齢者と認めるのかどうか、この点どうですか。
○国務大臣(永山忠則君) 五十五歳を下ることを得ないということは、それ以下にやるようなことのないようにという保護規定でございまして、それを基準にするということとは関連はございません。したがいまして、地方の実情に即応いたして、あるいは特別職だけに対して公務員にありますようにきめたいという町村があれば、それもまた可なりでございます。一般職だけについてやろうという町村があれば、また可なりでございます。それは、勧奨退職にも応じない、あるいは、さらに非常に高年齢層で膠着いたして行政の効率化に支障を来たすというようなところの町村もございますので、そういったような町村が特別必要なところにおいて特別に考慮をすることでございまして、年齢については何らこちらのほうから指示をするようなことはいたさないのであります。完全に自主的態勢に待つという考えでございます。
○林虎雄君 五十五歳ということは、それに別に拘束はないと言いますが、実際問題としては、地方団体は五十五歳という法律ができれば、そこへ持っていくことは当然で、五十六歳、七歳、あるいは六十歳ということになることはおそらく少ないだろう、ないのではなかろうかと思うのであります。そこで、高級の公務員は、一定の年齢に達すれば、天下り的に高級の就職を得ることは可能でありますが、一般の公務員の場合は、非常に前途が不安になるわけであります。定年制を設けろという地方団体の強い、要請もあったと言いますが、これは財政的な立場からで、わからないではありませんけれども、高級公務員でない一般の公務員は、五十五歳で二次就職をしなければ、退職金や年金では生活ができないというのでありますから、こういう点は十分に考えなければなりませんが、政府は、その地方公務員の二次就職の状況、あるいはその収入が生活の上にどのように反映しているか、生活がその収入によってどのような状態であろうか、こういう点を退職した後の一般公務員の追跡調査というようなことをしたことがおありですか。
○国務大臣(永山忠則君) 現在の共済年金制で平均の退職年数等を抑えまして、退職金とそして年金とでは、大体におきまして平均が給料の九割を得るような体制になっておりますので、生活保障はできるものであるというように考えてそれらの計数をいま出しておりますが、必要に応じまして事務当局から説明をさしていきたいと考えております。 なお、一部の議論では、むしろ五十五歳ぐらいで退職して退職年金と恩給を受けながら必要な場所に職場を求めることが第二の人生開発の上において適当であるというようなことも言っておりますので、いまそれらの点について調査を進めておるのでございます。必要に応じましては事務当局から答弁をさせます。
○林虎雄君 退職した者で適当なところに二次就職ができておる者はまだよろしいのでありますが、御承知のように、最近の不況で、退職しても二次就職ができない。退職金などでどうやら自分の住みかぐらいはつくっても、年金では生活ができない。しかも就職の場がないというような気の毒な事例も私は承知しておりますが、そういう点について、退職した地方公務員のその後の生活実態というものを調査したことがございますか、どうですか。
○政府委員(佐久間彊君) 退職年金、退職手当の状況は、先ほど大臣がちょっとお触れになりましたが、現在相当改善されておりまして、民間の場合と比較をいたしましても遜色はございません。退職手当につきましては、かりに三十年勤続で勧奨退職をいたしました場合におきましては、国家公務員、地方公務員は四九・五カ月分が支給されますので、大体二百かから三百万近いものが支給されます。退職年金につきましては、三十年勤続で退職をいたし、退職時の給料が六万円といたしますると、年間約四十万の年金が支給されることになるわけでありまして、民間の場合でございますると厚生年金でございまするので、それよりも約三倍程度有利になるというふうに考えております。もっとも、先生の御指摘のように、これらのものだけで十分生活が維持できるとは考えておりませんけれども、私どもの調査をいたしましたところによりますると、現在、地方公務員で退職をいたしましてからあと再就職をいたしておりまする者が、これは府県、市町村でそれぞれ事情は違いますけれども、総体として見ますると、大体八割前後の者が再就職いたしておる状況でございます。
○小林武君 関連。労働大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、高年者層の就職難というのは、これはやっぱり一つの問題だと思うのですが、その高年者層の就職の状況はどうなっているか、そのことをひとつお尋ねしたいと思います。 それから自治大臣にお尋ねしたいのは、三十年勤続した場合は幾らかというような大体計算なんですね。しかし、退職する者がほとんどそういうことになっておるのかどうか。地方の公務員の中に含まれる教員の場合でも、教員の養成の学校を出て初めから教員をずっとやった者もありますけれども、そうでない者が相当多い。中学の教師とか高等学校の教師というようなことになると、他の仕事についてきた者が就職している場合もあるわけです。これは相当出ている。それらの人たちのことを考えますと、あなたがおっしゃるように、定年制というようなことを簡単にやっても、老後は九割に相当するような額をもらうのだから安心するというようなことはなかなかできないと思う。それで、一体、そういう点についてはどれだけの数字があるのか。一体、ほとんど三十年なり何なりのあれを持っておるのかどうか、明らかにしてもらいたい。どのくらいの率で示されておるのか。 それからお尋ねいたしたいのは、地方行政、地方団体が硬直しているということばを再々使われる。私が聞いておるところによると、硬直しておるということはどういうことなのか。高年齢層というのは、一体五十五歳以上で大体やめさせるというような——あなたのお話だというと、七十か幾らですか、そういうどうにもこうにもならないような人が就職しているような印象を与えるわけでありますけれども、地方自治体の資料の中に一体そういうものがあるのかどうか。あなたは、この前何かのときにそういう数字をあげておられましたけれども、自治労等の話を聞いてみるというと、具体的に一つ一つの職場に当たれば、そういう高年齢層の者がいて地方自治体が硬直しておるというような事実はないと、こう言っておる。その点は、的確な数字をつかんであなたのほうでそういうことを言われるのか、あるいは、地方財政が非常にいま困難な状況にあるために、財政的な面から人件費を単に削減するというようなところに目標を置いた定年制であるというと、これは重大な問題だと思うのです。こういう点について勘でお話しになるような話でなくて、事実一体どういう状態になっておるかということを数字をあげてはっきりしてもらいたいと思うのです。 なお、労働大臣についても、先ほど申し上げましたように、十分に資料をもってお答えをいただきたい。なお、こういうような状況ですというと、年功序列型でなければとにかく成立しない問題だ、定年制というのは。これで、一体、労働行政の立場から見て、定年制の問題はどう考えておるか、この点、労働大臣から御答弁をいただきたい。
○国務大臣(小平久雄君) 高年者の就業状況はどうかという第一点でございますが、労働省としましては、従来、中高年齢者の就職促進、こういうことでやっておりまするので、これは三十五歳以上の者でございますが、その間、特に高年者という範疇で別個に扱っておりませんので、特に高年者などと、こうなりますと、遺憾ながら中年者と区別しての御説明をいたしかねるのでありますが、御承知のとおり、中高年齢者合わせての問題としましては、さきに政府あるいは政府関係機関につきまして職種に応じましてその雇用率をきめましてこれが実現に努力してまいっておりまして、政府関係機関におきましては大体その雇用率を達成いたしておるのであります。それから地方公共団体につきましても、この政府の雇用率に準じてやっていただこう、そういうたてまえで今日まで来ておりまして、このほうも大体その率は達成いたしております。そこで、実は今回の定年制の問題等につきましても、昨日の五人委員会におきましても、私としましては、この雇用率というものはぜひ今後も確保していっていただきたいという希望を申し述べておいたわけでございます。民間につきましても、これは別段法律ではございませんが、雇用安定協議会でございましたか、こういう民間の協議機関によりましてやはり職種別に中高年者の雇用率を決定いたしまして、それに合うようにぜひ雇い入れをしていただきたい、こういうことで今日まで努力をいたしてまいっておるわけでございます。民間につきましては、まだ十分でない面もございますが、この点はさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。実は、いま突然言われたものでございますから、手元に資料がございませんので、遺憾ながら数字をいま直ちに申し上げるわけにいかないわけでございますので、この点は御了承いただきたいと思います。 なお、第二の定年制についてどう思うかというお尋ねでございますが、御承知のとおり、民間におきましては、大体、定年制を設けておるところでは、五十五歳というのが約半数ぐらいのようでございます。それよりも若干まあ年齢が上回っておるところもございます。しかし、最近は、御承知のとおりの人手不足の状況もございますので、一たん定年になりましても、そのまま会社を退くという場合ももちろんありますが、さらに何らかの形において引き続き会社に勤続すると、こういうことが大体の傾向のようにわれわれ承知をいたしております。 それから定年制は一体何歳ぐらいが適当かという問題が非常にあると思いますが、申し上げるまでもなく、国民の寿命それ自体が非常に戦後約十年伸びたと、こういうことでございますから、私はそういう点も十分考慮さるべきであると、こう思いますし、それからもう一つは、私はやはり日本の給与制度というものがいわゆる年功序列型になっておるということがやはり一つの定年制を設けた大きな理由じゃないか。もちろんこれは人事の刷新ということもございましょうが、給与制度自体も私はやはり考慮されて定年制というものができてきておる面もあるだろう、こう考えておるわけです。ですから、そういう点からも、給与制度そのものも今後検討する必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(永山忠則君) 大体におきまして三十年前後が普通の退職の点になっておりますが、この詳細はまた事務当局もしくは資料で出しましてけっこうでございますが、しかし、中途から入りましてそうしてどのくらいの年数がたっておるかということに対しては、十分まだ調査ができておりません。 なお、いま党内の各部会でいろいろ調整いたしておりますが、わが党の内部のある部会は、五十五歳を下ることを得ずということは、最低限はこれが基準線になる憂いがありゃせないか、したがって、これは全然触れないことが好ましいのではないかという議論もございまして、この点はいま調整中でございます。 さらに、なお、資料として出しましてけっこうでございますが、六十歳以上の関係、七十歳以上の関係、六十五歳以上の関係が何%を占めておるかという統計も出ておりますので、これらの統計を出して差しつかえないと思います。——出すべきだと思います。六十歳以上が一・八%でございまして……。
○小林武君 何に対して一・何%なの、六十歳以上が。
○国務大臣(永山忠則君) 一般行政職の率でございます。技能職に対しましては、六十歳以上は七%でございます。そうして、さらに、その団体関係も、府県団体及び町村団体の別も統計が出ておるのでございますから、これらの点も必要に応じては事務当局から説明さしていきます。 なお、各町村で特別な事例があるんですが、それはできるだけ差し控えたいと存じておりますが、一般職で六十歳以上が占めておられるのは一〇%、全職種では六十歳以上がやはり一〇%でございまして、六十歳以上を基準に三十四名について勧奨退職を行ないましたが、退職した者は五名である。成功率は一五%である。なお、職員組合が勧奨返上運動を行なっておる等の理由等もあって、これが実情は十分行なわれていないというような点も各町村の特殊なものについては調べておりますが、しかし、それはまあ特殊の事情でございますので、いろんな点を資料を集めまして、まあ必要なところだけは必要に応じてやる。 なお、人事の交流をいたして、そうして行政の効率化をはかっていくということは、今日地方行政の中心でございます。財源の地方移譲をいたして自主的な立場を強化いたしますにも、国民的に信頼のある地方行政を確立するということが必要でございますので、やはり人事の能率化をはかっていくことは最も必要でございます。人事の管理面から見ても、効率化の一面で見ても、能率の向上の面から見ましても、やはり必要であると考えておる次第でございます。
○小林武君 一点だけちょっと。
○委員長(石原幹市郎君) じゃ、簡単にお願いします。
○小林武君 まず、資料をひとつ出してください。私はいまの自治大臣のお話を承っておりまして、やはり資料はあまり正確なものによっておらないような気がするのです。重点はどこにあるかと言ったら、名前は人事交流による行政の効率化とかなんとか言いますけれども、現在のやはり地方自治体の置かれた財政面から来る問題が多いと思うんです。これであっては、私は国民の信頼に値するような地方行政の確立、あるいは教育の振興ということは、これは不可能だと思うのです。特に、今後、好むと好まざるとによらず、とにかく年功序列型賃金というものはくずれていくんですよ。そのときに、こういう時代おくれの定年制なんてことを持ってくるということは、あなたのおっしゃる人事の交流——必ずしも地方自治体のはえ抜きでなきゃならぬということにもならぬわけです。あるいは一般の業界からも入ってくるだろうし、あるいはいろいろなそういう交流をやろうとすると、なおさらこれはもう問題点が多い、こう思うのです。そういう時代逆行のやり方をおやりになることは、ひとつおやめになったらどうかと私は考えております。まあこれは答弁は要りません。しかし、資料をはっきり出して、そしてとにかくわれわれの納得のいくような説明をひとつしていただきたい。
○林虎雄君 もう時間がありませんから、この程度にしておきますが、定年制の問題は、地方財政の立場からも考えなければならない点は私もわかりますが、同時に、働く公務員の立場、その能率をあげるという意味からいきまして定年制をきめるというのには、いろいろな角度から慎重に検討を要する問題であろうと思いますので、そういう方針で慎重に臨んでいただきたいことを希望しておきます。 次に、地方財政について承りたいと思いますが、衆議院の予算委員会等でもかなり詳しく検討されたようでありますので、私はなるべく重複を避けて承りたいと思います。去る二月三日の当院の本会議で大蔵大臣は地方財政の点についてお答えをされておりますが、その中で、大臣は、従来はどうも地方財政が予算編成の過程で取り残されてきた傾向があったと思うと。そこで、今度は、中央、地方は一体でなければいけないから、先議的に行なったんだというふうに、かなり積極的に申されておるわけであります。そうしてまた、その中では、ことしほど地方財政に対して完ぺきな措置をしたことはないというふうに、だいぶ自画自賛されておりますが、超過負担等、かなり問題にされておりました問題の一部は確かに努力のあとが見えるわけであります。しかし、それも中途はんぱである。当然国が負担しなければならない千百四十三億でありますが、これに対して二百五十億程度しか措置しておらない。しかし、従来よりも一歩前進であることは認めますけれども、これは裏返しに考えれば、大蔵省がいままであまりに地方財政に対して第二義的に扱ってきたと、そういうことの裏返しではないかというふうに思うわけであります。端的に申し上げますならば、四十一年度の予算についてはいずれも中途はんぱでありまして、むしろ地方自治体本来の使命というものが後退しておるのではなかろうかというふうな印象を地方財政計画等で見るわけであります。 そこで、最初に伺いたいことは、地方自治の本質、こういうものでございます。私の乏しい経験と理解によりますと、歴代の政府の考え方というものは、地方自治の本質を全くとらえていないのではないかと、こういうふうに思うわけであります。四十一年度の予算編成においても同じことが言えるわけであって、その発想の基礎というもの、地方自治に対して財政の措置する発想の根拠というものは、どうも国が地方に恩恵的に与えておるというような、そういう考え方があるのではなかろうかと思います。そこで、承りたいことは、いま三割自治だと言われております地方自治でありますが、こういう点について、もっと地方自治の本来の、憲法で明らかにしておるように、自治機能を発掘するようなたてまえに持っていかなければなりませんが、この点について総理の御意見をまず承りたいと存じます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大所から考えますと、申し上げるまでもなく、民主政治を守る、そのために地方自治体の果たしておる役割、これは非常に大きいと思います。また、その自治体がりっぱな行政をするためにも、中央、地方が一そう密接な連携をとりまして、そして緊密な協力のもとにおいて政治が行なわれることが望ましい、かように私考えておりますので、ただいま一面に三割自治等の批判もございますが、一そう地方自治の行政の充実、そういう意味の財政の充実等につきましても十分考えていくつもりであります。
○林虎雄君 大蔵大臣に伺いますが、地方、自治を確立するということは、もう新憲法で明らかにされておりますように、民主主義の基盤をつちかうということでありますが、いつまでも七割を国に頼るということは、いつまでも地方自治の確立ができないというふうに考えるわけであります。この根本は何といっても財政制度に欠陥があるのではなかろうかと思いますが、大蔵大臣の御意見を伺います。
○国務大臣(福田赳夫君) よく三割自治というものがいわれますが、私は三割自治というふうな実態ではない、そういうふうに思います。つまり交付税のごときは、全くこれは地方が税の徴収の煩を避けて、地方で自主的に運営できる財源、こういうことになりますので、そういうことを考えまするときには、地方自治の自治能力というものは相当高い、こういうふうに見ておるわけであります。何としても地方財政の運営は地方財政法に準拠するということに相なり、地方財政法は地方自治という観点に立って策定をされておる、そういう観点から、地方が地方だけでまかなうべき経費、それから地方がまかなってはならないという経費、つまり国だけでやらなければならぬ経費、その中間において、中央、地方が協力してやらなければならぬ経費、その三段階の区分がされております。それで、やはり仕事をやる場合において、国がやりましても地方団体がやりましても、その影響を受けるものはひとしく同じ地方住民でございます。そういう関係から、どうしても中央、地方の事業の共同関係というものが出てくるわけであります。やはり私は地方の自治の精神を尊重しながら、地方財政法にのっとって一体感を持ってやる、こういうことで、逐次その理想に近づいていくということが財政においてもとらるべき方針かと、かように考えております。
○林虎雄君 大臣が言われるように、地方自治は地方自治であるから、中央にあまり頼らないでやるべきだ、国でまかなうものは国、地方でまかなうものはまかなうという御意見でありますが、それはそのとおりでありますが、問題は、国が地方財政法に基づいて、あるいは国が全体の政治の上から考えて、地方自治が一人立ちのできるような措置、制度というものが欠けておるのではないか、こういう点を承りたいわけであります。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう、ただいま申し上げましたような関係を、実際、これをどういうふうに具現していくかということは非常にむずかしい問題だというふうに考えておるわけであります。今日の制度、これが完ぺきであるというふうには考えておりませんけれども、今日までになってきた過程を考えてみますると、逐次私は前進していると思います。前向きの姿勢でどういうふうにこの地方自治の精神、それにのっとった地方財政法の精神、これを生かしていくかということは真剣に検討いたしていくべき問題だと、かように考えます。
○林虎雄君 地方自治の独立というか、確立という点は、自主財源をもっと弾力性のあるものに与えなければいけないが、財政においても、あるいは行政においても、依然として中央集権的な問題が残っておりまして、これを打破しなければいけない。たとえば今度の四十一年度の予算を見ましても、数字の上で明らかでありますけれども、地方の独立財源というものが、当主財源というものがだんだん減ってきておる。たとえば大型予算で国が四兆三千億、地方が四兆一千億の地方財政計画でありますけれども、国の補助事業費は伸びておりますけれども、逆に単独事業費の伸びがうんと少ないわけです。交付税を見ても、国の税収の伸び悩み等がありますけれども、交付税の額も前年に比べますと、だいぶ下回っておるというふうに、地方財政が順次縮んできておるのではないかというような印象が強いのでありますが、そういう印象をお持ちになりませんか。
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政全体の規模をごらんになりますれば、ともかく四兆一千億にいま拡大をされております。それで、いま地方交付税の額がどうも伸び悩んでおるというようなお話ですが、これは国でも同じなんです。税収が非常な伸び悩みであります。その税収に対しまして一定の率をかける、そうして交付する、そういう制度でありますから、交付税の額が従来の率でありますれば、これは伸び悩みというふうに言えますが、そこで昭和四十一年度には交付税率の引き上げも行ない、また、地方住民のたばこの消費量に伴う特別の配分も行なう、そういうようなことで中央地方の財源、配分という見地から考えますると、大幅に地方に傾斜をした考え方を取り入れておる、これはご了承願えると思うのであります。
○林虎雄君 具体的に申し上げますと 確かに新年度は交付税率も二・五%は引き上げたけれども、主税の減収によって実際の地方交付税というものは伸び方が少ないわけですね、前年に比べて四。七%しかふえておらない。これを四十年度を見る場合に、三十九年度に比べて一二%程度伸びておる。それが四十一年度は四・七%しか伸びておらない、こういうことは地方財政がかなり苦しくなったことも一面物語っておるものだろうと思います。そこで、先ほども地方自治大臣からもお話がありましたように、地方財政はだいぶ苦しくなってきておるというように言われますが、御承知の、昭和二十八、九年ごろには地方財政はまさに破産の危機に立ったことがありますが、これと今日との状況を比較して大蔵大臣はどのように見ておられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政が今日非常に窮況に立っておる、これは私もそのように思います。ただその窮況に立っておるという状態は、昭和二十八、九年のころとはだいぶ違う。といいますのは、今日の窮況というものは経済不況に原因があるわけであります。その影響を端的にかぶるということは中央でも地方でも同じです。ただいま御指摘のように、四十一年度は交付税が四%しか伸びないじゃないかというようなお話でございますが、四十年度といえども、ただいまお示しの一二%というのは、これは当初予定した数字かと思うのであります。実際は、その後経済不況で地方税収が減ってくる、数字を覚えておりませんけれども、相当落ち込んできておる、こういうふうに思うわけであります。ずっと大観してみますと、二十八、九年のころはたいへん窮境である。再建整備法が三十一年には発足しております。五百団体を上回る赤字指定団体というものができたわけですが、これは順調に財政整備ができ、貧弱県と言われる鹿児島でも相当の黒字を残すというような状態になったのです。それが三十九年から一転して悪化してきているのです。私はこの最大の原因は景気である、景気状況のダウンにある、こういうふうに見ているのですが、景気が回復するに伴いまして、地方財政もこれに伴って改善されていく。しかし、改善されるといっても問題が解決するわけじゃありません。幾多の問題があると思いますが、その状況ともにらみ合わせて今後の地方財政というものを考えていくべきだ、かような認識であります。
○林虎雄君 いまお答えになったように、二十八、九年ごろには制度的な欠陥といいますか、それが赤字の大きな原因であった、今度の赤字は景気が悪いために出てきたのだ、そうだろうと思います。現存はいわゆる高度経済成長政策の行き詰まったことが最大の原因であるというふうに思うわけであります。時間が少ないようでありますから少しはしょって急ぎます。 これは自治省に承わりたいと思います。事務当局でけっこうでございますが、四十一年度の地方財政計画は四兆一千三百四十八億という大きなものでありますが、一応計画であります。ところが、すでに都道府県においては予算編成をいたしまして、いまそれぞれ議会を開催中であります。その自治省の調べだと思いますが、一般会計の予算で見ると、都道府県だけで二兆八千七十億という概算になるようでありますが、したがって、四兆一千三百四十八億からそれを引くと、市町村財政の規模というものは一兆三千億前後ということになります。これは別にそれに縛られるわけではありませんが、大体の見当としてですね。そうすると、市町村予算の編成というものは一兆三千億円ぐらいではたしてできるかどうか。まだ市町村の予算は編成中でありますから、全体の把握はできないでしょうけれども、大体感じとして、府県の二兆八千億に見合う市町村の財政規模というものに見当がついたら承りたいと思います。
○政府委員(柴田護君) お話は日本経済新聞であったかと思いますが、三月二日に出ておりました当初予算調べだと思います。この調べによりますると、お話のように二兆八千億という数字になっております。ただ、この当初予算の中には、御承知のように地方財政計画に計上されないものが含まれておりますので、この予算を財政計画の規模から引くことにつきましては問題がございます。はっきり申し上げまするならば、超過課税に見合う財源、あるいは雑収入見合いの歳出、あるいはまた貸付金の回収金を見合いにした歳出、こういうものが含まれておりますので、この規模は財政計面上の規模からいいますると相当ふくらんでおります。また、中には地方債を目当てにして、つまり許可されるであろう期待のもとに組まれた歳出もあるわけでございますので、財政計画とはだいぶ違うわけであります。したがって、お話のような勘定には直ちにならないのでございます。どのくらいになるか、私どもも実は心配をいたしておりますので、予算の提案もすでに大体終わっておりますけれども、目下その中身と総額とにつきまして照会をいたしておりまして、その中身につきまして分析をしてみたい、かように考えております。
○林虎雄君 市町村財政の規模ですね、まだわからないと思いますけれども、大体推定はできるだろうと思います。前年に比較してどの程度の規模になるであろうかという、その点おわかりになりませんか。
○政府委員(柴田護君) ちょっと資料を持ち合わせておりませんので、後ほど資料で提出させていただきたいと思いますが、現在、財政計画の中身を両方振り分け作業を実はいたしております。普通では府県と市町村の規模は大体三対二ぐらいい、ないしは二対一ぐらいの割合でございます。
○林虎雄君 大体それでけっこうですが、地方財政計画なるものと、決算になりますとその差というものは相当大きいわけでありまして、おそらく四十年度も六、七千億になるだろう予想——私はそういう感じでありますけれども、したがって、四十一年度の地方財政計画も、決算になるとやはり七、八千億程度を上回るであろうと思います。そこで問題になるのは、その上回る財源というものは大きな穴があくわけですが、それはあとで申し上げたいと思いますが、あらかじめ申し上げておきたいことは、地方財政計画をかなり決算は上回るということを前提で伺ってまいりたいと思います。地方財政の現状は、必要とする一般財源の額がある程度あれば単独事業は行なえますけれども、不足をすると赤字が出て、事業の繰り越しになったり、あるいは支払い繰り延べ等ということになると思いますが、この点いかがですか、事務当局でけっこうです。
○政府委員(柴田護君) 財政が苦しくなってまいりますれば勢い単独事業を詰める、中には思い切って経常経費を詰めるというところもございまするけれども、大体は単独事業を詰めるというのが普通のやり方でございます。それで、詰め切れぬものは支払い繰り延べに残る、あるいは事業繰り越しという形における決算上の紛飾をするということも御指摘のように行なわれます。
○林虎雄君 四十一年度の地方財政計価は、地方財政については一般財源に不足がないものとして計算されておろうと思います。大蔵大臣は、十分であるというふうに確信をしておられるようなお答えをしておられますが、少しくどいようで恐縮でございますけれども、地方財政計画は、地方財政の一般財源に不足はないというふうな前提に立っておるかという点を一言承わりたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政計画を策定する経過におきましては、いろいろ議論があったのですが、結局、地方財政の昭和四十一年度における収支じり、歳入不足が二千五百億前後、こういうことに相なった次第であります。それに対しまして、御承知のように国のほうで二千二百億円の手当てをすると五百億ばかり足りないのでありますから、これは固定資産税の問題があります。また都市計画税の問題があります。そういうものを差し引きましても幾らか足らぬ。それは中央と同様に地方の行政努力、これで埋めていく、こういうように大体計画としてはまあ収支が合っている、かように考えております。
○林虎雄君 計画は、給与関係の伸びだけで申し上げますと、全体の伸びが千六百七億、給与関係の伸びがあるわけです。これは教職員の給与半額国庫負担という、そういう増加分もありますから、それを差し引いてみても地方の負担増というものは、これより少なくなる。大体千三百億内外と見ていい、千六百億のうちにですね。これが地方の一般財源、ところが、そのほかに一般の行政費を加えると、まあ大体において二千億程度の一般財源の負担増というものができると予想されておるわけであります。その反面においてのこの財伸の源びは、少し具体的に申しますと、財政計画の中に示してありますように、地方税七百六億を初めとしまして、一般財源と見られるものは大体千五百億程度あるわけです、千四百九十四億。でありますから、どうしても五百億は不足しておるということに一応なるわけであります。いま大臣からこれに対する措置についてお答えがあったわけでありますが、ここでお聞きしたいのは、いまお話のありました固定資産税であります。固定資産税は昨年の五十国会で私質問申し上げたわけでありますが、そのとき自治大臣は、まだ方針はきまらないが、閣内でいろいろの議論があるというような、諸説紛々であるというようなお答えがありましたけれども、私が指摘したように大きな問題となりまして、御承知のとおりであります。そこで、現在の段階においては、衆議院の地方行政あたりで与野党が修正を検討しておるというように言われておりますが、修正をされた場合には穴があくわけですね。どの程度あくか知りませんけれども、あいた穴は、それは国が責任を持って一般財源として補てんをしなければならないと思いますが、大蔵大臣のお考えはどうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) お話のように、ただいま衆議院の地方行政委員会で固定資産税の問題について与野党協議が行なわれておるわけであります。これがどういうふうに相なりますか、その状況を見ないと、どういうように措置いたしますか、まだきめかねる次第でございますが、いずれにしましても、自治省とよく相談をいたしまして善処をいたしたい、かように考えております。
○林虎雄君 まだ結論がはっきりしないので何とも言えないという話ですが、おそらく百億ですか、固定資産税と都市計画税、そのうちの固定資産税が七十三億程度だと思いますが、これを何かの形で下回ると予想していいと思います、結局。仮定には立っておりますけれども、いずれにしても、どの程度の差が、穴があいた場合には国がそれを補てんするというお考えを持っているかという点をはっきり承りたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政執行上に支障のないように善処をいたしていきたい、かように考えております。
○林虎雄君 ついでに少しお聞きしたいと思います。固定資産税についてはいろいろ意見が出たのでございますが、したがって、衆議院の段階でもまた参議院でも地方行政でいろいろ問題になろうと思います。これと同じ固定資産税は一般の固定資産に対する新評価によって課税をする、それがそのまま三年間ストップするというのが一年繰り上がったので問題になった。まあこれはこれといたしまして、政府の考え方として固定資産税を引き上げるということは最近の経済情勢の変化等にもよりますけれども、そうであるならば国にも固定資産と認めるべき国有資産があるわけですね。これは個人の固定資産と同じ性質のものだろうと思います。それがたとえば国有林野であるとか、その他各省にそれぞれの国有資産があろうと思います。これに対しては市町村に対する交付金を固定資産税に見合うものというふうな意味で交付しておるわけでありますけれども、これには全然手を染めておらないわけですね。一般の国民に対する固定資産税は増額するが、政府の出すべき固定資産税は、これはそのままほおかぶりしているという形になっておるわけでありますが、大体交付される当該市町村は貧弱市町村が多いわけです。ですから、むしろこのほうを先に交付金をもっと増してやる必要があるのに、ほおかぶりしているというのはどういうわけかお聞きしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 別にほおかぶりじゃないのです。よく気をつけておるわけでありまするが、国有財産につきましてはそれぞれ評価の方法がきまっておるわけであります。その評価の方法に従って実行いたしていきたい。こういうふうに考えておるわけであります。
○林虎雄君 評価に従うと言いますけれども、一般の固定資産は新評価が出ておりますが、国の国有資産ですね。この評価は一般の固定資産の評価と同一に行なっているわけではないわけですか。これは事務当局でけっこうです。
○政府委員(細郷道一君) 国有資産につきましては、御承知のように国有財産の管理というたてまえから帳簿に価格を登載しておるわけでありますが、それは原則として取得価格によって登載をし、その後五年ごとに時価の推移をみてこれを改定するというやり方をとっております。固定資産税のほうは、御承知のように全国的に一つの基準のもとに税の対象としての課税標準として価格をきめていく、こういうたてまえでございます。したがいまして、そのたてまえ自体は違っておるわけでございますが、現実に現在の評価のべースをみてまいりますと、固定資産税のほうは三十九年度に土地の新評価をいたしましたが、従来の価格の二割増にとどめておりますので、国有資産の交納付金のベースのほうが現実には高いという事態になっております。
○林虎雄君 この国有資産の評価がえというのは、それはいつおやりになる予定でございますか。一般の固定資産と歩調を合わせるというわけにはならないわけですが、この点承りたい。
○政府委員(谷村裕君) 国有財産法の施行令の二十三条によりまして五年ごとの評価をする。先般いたしましたのが三十五年度末でございまして、今回は四十年度末、すなわち、すぐ参ります三月三十一日現在で評価をし直す予定でございます。それによりまして評価がえされたものは、四十二年度の交納付金から適用になるわけでございます。
○林虎雄君 一般の固定資産は三年ごとの評価がえ、国のほうは五年ごと。経済情勢がだいぶいま激変しておりますから、これと歩調を合わせて、同じ三年というわけにはいかないわけですか。そういうふうに改めることはできないわけですか。
○政府委員(谷村裕君) 国有財産の評価の問題は、単に交納付金だけのためではなくて、全体のたとえば利用財産、たとえば貸し付けをしたりなんかしております財産の貸し付け料等との関係などもございまして、従来五年ごとにそれを改定する。まあ、おっしゃるとおり、過去の状況がきわめてその変化が激しかったのでございますが、今後の問題として、やはりそういう実績に徴して、いままでのような五年ごとというのを直したほうがいいか、それともまたやはり従来どおりでいいか、これは確かに御指摘のように、固定資産税の問題ともからめて、検討の問題ではございますが、ただいまのところ、それを改めようという考え方にはなっておりません。
○林虎雄君 これで打ち切りますが、この国有資産の交付を受ける町村は、おおむね貧弱町村が多いと、前に申し上げたとおりであります。たとえば、例を申し上げますと、長野県の西筑摩、木曾地方は国有林が非常に多いわけです。ある町村など、大体の町村がそうでありますけれども、はなはだしいのは当該町村の八割程度は国有林野であります。したがって、その交付金というものはその町村にとって大きな財源でありますが、それがほんとうに一握りの申しわけ程度に上から交付するという、それに対する不満があるわけでありますから、この点、十分に検討をしていただきたいと思うわけであります。 時間がないようでありますから、先を急ぎます。財政計画でありますけれども、一般財源の増加が、先ほど申し上げたように、増加が計画上の人件費の伸びととんとんくらいが四十一年度の計画であります。したがって、私は、まあ大蔵大臣はそんなに心配されておらないようですが、地方財政は年度中途において大きな財政難におちいるのではなかろうかというふうに思いますが、御見解はいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 収支相見合いました地方財政計画ですね、これが適正に執行されることを私は御期待を申し上げておるわけであります。
○林虎雄君 適正に行なっても、国が七千三百億というような大きな建設公債ですか、これを発行して事業を行なってまいりますためには、地方財政はこのあおりを受けるわけです。このあおりを受ける地方財政に対して、あまり配慮されておらないというふうに思うわけであります。たとえば七千三百億の、国債ですから、国債といえばそれまでですけれども、大体税収と見た場合に、これに対する地方財源というものは、大体六割程度与えているのではなかろうか。たとえば三税が七千三百億円増収になった場合には、それに見合うものが地方財政の財源になるわけでありますが、そういうことはない。しかし、事業は、先ほど申し上げましたように、国の補助事業というものがもうぐんぐんふえてきて、したがって、これに対応するために地方行政はもう大わらわであります。したがって、自主的な事業、単独事業というものが圧迫されてしまうわけです。ですから、地方財政の現状、地方自治の現状というものはますます膠着状態になるとともに、中央依存、中央集権的になる、こういうことにならざるを得ないと思いますが、その点のお考えはいかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国の財政が拡大されましたその影響は、地方財政に波及するわけであります。これはもう中央、地方一緒に仕事をしている関係から、当然そういうことになるわけですが、それを、その影響を地方財政計画では財政需要として考えているわけであります。それに対して、また財源対策を講じているわけであります。したがいまして、この計画が計画に従って執行されるという上におきましては、地方財政に支障はない、こういうふうに考えているわけであります。
○林虎雄君 これは今後の問題ですから、あるといって、ないといっても、水かけ論になりますけれども、私は、おそらく、年度途中とは言いませんが、年度半ば過ぎる頃には、地方財政は非常に危機におちいるのではなかろうかということを憂慮をいたしているわけであります。ということは、いま申し上げたように、一般財源というものにほとんど弾力性がなくなってきている。これはおそらくいまだかつてない現象ではなかろうかと思いますが、この点、自治大臣はどうお考えですか。一般財源と、それから給与費関係との伸びが、ほとんどとんとんである。したがって、弾力性がなくなってきているという点でありますが、事務当局でもけっこうです。
○国務大臣(永山忠則君) 国が公債を発行してやっているときでございまして、しかも、それは地域閥の格差を是正いたして、地方開発を非常に力強く推進していって、地方の経済の落ち込みを直していこうという計画でございますので、これに一体となりまして、地方も事業を推進する必要がございますのですが、お説のようなぐあいに、一般財源が非常に窮乏いたしておりますので、ここに地方の事業を伸ばすための特別債千二百億を、これを投入をいたしましたような関係におきまして、地方の事業の進捗をいたして、地方財政はこの場合やっていけることであると思っているのでございますが、ここにベースアップをまた中途やらねばならぬという問題が起きましたときにおいては、お説のようなぐあいに、地方財政の関係で非常に窮迫を告げる場合があるかと考えるのでございますが、これらの点につきましては、なおそういうような状態があるかないかは不明な事態でございますので、予算化はいたしておりませんが、そういう点については、今後政府と一体になって十分財政措置をいたす、地方の財政に執行上至難をいたすようなことは絶対あり得ないような処置をいたしたいと考えるのであります。
○委員長(石原幹市郎君) 林君に申し上げます。持ち時間が終了しております。
○林虎雄君 時間がないですから、最後にこれだけ。大蔵大臣に承りますが、特別事業債なるものが新たに計画されているわけですね、千二百億一円。これに対する問題は、いろいろ議論の余地はありますが、時間がないので省略いたしますが、特別事業債千二百億は一般財源によるべきものですね、大体公共事業の地方負担分に見合うもののうちの一般財源に見合うべきもので、財源がないから特別事業債というものを出すことにしたわけでありますが、これは将来元利償還に対してどういうお考えを持っておいでですか。国がすべて負担するというお考えのもとに計画されておるのですか、いかがですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 国が全部負担するというたてまえではありませんけれども、地方財政需要の中に織り込みまして、おおむね地方の財政負担を解消するというふうなことをただいま考えております。
○林虎雄君 では、これで終わります。いまの問題は非常に地方でも心配しておる問題であります。当然、従来の例によると、公共事業の地方負担分については一定割合で地方の一般財源を計上することになっておりますが、それがおそらくつじつまが合わなくなったために、苦しまぎれにこういうことを国のほうでは行なったのではなかろうかと思う。したがって、これに対する措置は当然国が心配しなければならないというふうに考えるわけであります。お答えもいまありましたが、十分に検討をお願いいたしまして、私の質疑は終わりたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 林君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 次に、村田秀三君。
○村田秀三君 私は、今日の日本における農業の問題が、大綱、次の三つによってきわめて重要である。その第一点は、よく自民党の方々が選挙の際に言うのでありますが、農村は民族の苗しろである、こういうことを言われておる、その農村が、今日非常に荒廃をしておる。そして農家の方々は塗炭の苦しみをしておるということは説明の必要がないのではないか。この塗炭の苦しみをしておる現状というものに対しまして、見るにみかねる、こういう気持ちがまず第一点であります。二点の問題といたしましては、これまた説明の必要がないほど国民の消費生活にきわめて大きな影響を与えるのが農業生産でございまして、その農業生産が今日重大な影響を与えておるということ、これも説明の必要はないと思います。第三点の問題といたしましては、輸入農産物の増大が逐年見られるわけでございまして、これを放置するならば国際収支に前大な影響を与えるのではないか、結果いたしまして、国民経済に大きな影響を与えるのではないかという、その三つの問題点にきわめて憂慮されるものがあるわけでありますので、私はここで政府の政策についていろいろと、追及をするという立場ではなくて、この現状をどのようにしたなら解決できるのか、こういう立場に立って質疑を行なってみたいと思います。 まず、昨日わが党の矢山委員が問題の核心に触れまして質疑を行ないました。この中で明らかにされましたのは、いわゆる農業基本法が制定されるときに、また高度成長政策の計画の中で経営規模を二・五町歩程度にするというのがあるのでありますが、これに関連をいたしまして、農相は必ずしもこれにはこだわらないと言い、また総理大臣はこれを捨てたものではないと言う。目標として置くことは置くけれども、しかし、兼業農家、いわゆる兼業農家の労働生産性と土地生産性の効果についても考えてみるべきではないか、まあこういうような二つの点が出されまして、いわゆる当時の政府の基本姿勢に対して若干変更が加えられてきておるのではないかというような気がいたします。したがいまして、その辺のところを明らかにいたしませんと、今日いまもって将来に展望を持たない農家の方々は非常に心配をしておると思いますので、その点についてさらに明確なるお答えを願いたいと、こう思います。
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたします。 ただいまの問題でありますが、昨日の矢山委員の御質問に対しての、農業基本法の問題が一つであると思うのであります。基本法については、私はいまのところ変更する必要はない、現状で十分であり、またこれは確信を持っておるくらいであります。 そこで、ただ問題は、二町五反、自立経営の問題のときに二町五反ということを申されたのであります。これについて方向が変わっておるじゃないかという問題でありますが、基本法において、昨日は時間もなかったわけでありますが、基本法の中では面積は指定しておりませんです。これはつまり農業だけによって生計を営むことのできるもので、そうして経営そのものも自家労力というものを十分に消化し得るという意味の、いまここに正確な法文は持っておりませんが、そういうものを自立経営として育てあげていきたいということを基本法でうたっておる。それを具現化するために二町五反がいいとか、いろいろの議論があるわけであります。そして一時は二町五反についていけばどうなるかという、そういうこともあったわけでございます。私も昨日、したがって、全般的にこれを見ていく場合に、大体平均的に二町五反というようなことでやってみたらどうかと、あるいはそういうふうにいわゆる抽象的には考えたことがありますけれども、これを具体的にこの二町五反というものをやりますと、たいへんな地方に誤解を及ぼすのでありまするがゆえに、私はこの点を具体的には言わないと、昨日申し上げたのはそれなのであります。別に計画の変更でもありませんし、基本法の変更でももちろんございません。たとえて申しますならば、この点は重要でございますから、少し私もはしょってものを言いまする性格を持っておるものですから、何でございまするが、たとえば広島県のごときは平均五反八畝くらいだと思います、いま正確に覚えておりませんが。そうかと思えば、北海道においては、これは畑地であるならば十町以上になると思う。これは平均でありませんが、これならやっていけるという面積。それも北海道は広いから、こちらの南から北にかけては非常な違いがある、こういうわけなんです。だから、広島県に二町五反をつくるんだと、こう言ってやったならば、広島県の人は驚きだろうと思います。たとえば北海道の五分の一をしなければいかぬのだから、そうでしょう。そういうことはたいへんな驚きだろうと思います。北海道では二町五反が理想か、おかしいじゃないか、こういうことになるわけでございまするので、私は具体的にそれを言うということは非常に弊害があるということを申し上げたのは、それでございます。で、基本法ではそういうことを申しておるのでありまして、決してその点は御心配はないと思うのでございます。 それから、二番目の兼業農家の問題についても、昨日も申し上げたわけでございますが、昨日はおもに土地生産力の問題について議論があったわけであります。そのときに、私としては、兼業農家のうちで第一種兼業農業と第二種兼業農家がある。そのときに、第二種兼業、いわゆる手間農業とも俗にいうのがその中には加わっているのです。全部とは言いません。こういうほうは生産力は弱い。したがって、生産の停滞はある。しかし、第一種兼業の中には専業に劣らざるものがあるのでありますから、それは北陸地帯の実例を私は昨日も申し上げたとおりでございまして、二町から三町であっても現に兼業農家になっておるのです。そういうことでございまするので、これは兼業をやらなくても、農業だけで生活できる。ただし、生産性向上がいわゆる米作についてうんと上がったということのために、そうすると、いわゆる生産性が上がって労働短縮ができた。短縮できた労働力を農業の中に使い得ないということが起こってくるので、それは兼業のほうへ向かうと、こういうことがあり得るわけでございます。しかし、そういうものについては、まあ一がいにこれは言えないのですが、もっと精農の、いわゆる農業に熱心な精農象は、そのあいた時間でやっぱり土地を肥やす、いわゆる土壌を培養していくということに力を入れるわけです。そうすると、あいてきた労働力は十分に農地へ注ぎ得て、しこうして所得はかえってそのほうが多い、こういう篤農、精農家もおるわけでありますから、それも一がいに全部一つかみに言えないけれども、そういうこともあります。したがって、これは余談になると思いますのでございますが、ついでに申し上げたのでありますが、そういう意味で兼業農家にも種類があって、その生産力一つだけとらえてみてもそういうふうに考えられるのであります。 それからなお、私が申しましたことにつきましては、兼業農家が非常に多いと、こういうときに、兼業農家をほうっておいては農業政策も何もない、こういうふうに思うのです。以前においても、小農首切り論を盛んに流布されたこともある。確かにそのとおりなんです。これはやっぱりこれらに対しては手を加えていく必要がある。それは協業によるなり、共同によるなり、集団経営によって進めていくということも一つの道である。それができないという場合もありましょう。また、地帯によっては、どこかにいい就職の道、あるいは就業の道があれば、その方向へ向かうことに対して尽力をする必要のあることもありましょう。地方開発をすることによって就業の機会を与えるということもできるでありましょう。こういういろいろ問題がありますから、やはり兼業農家に対しては、政府は多数の兼業農家というものを重視することは当然である、農政としての問題よりも、政治の問題として特に重要であるということを、昨日総理からもお答え申し上げたはすでございます。
○村田秀三君 それでは、兼業農家を認めておるということになりまするというと、ただいま農村におきましては、いま兼業問題が非常に大きな社会問題になっている。通勤可能な兼業農家であるならばともかくといたしまして、今日ではその数は、農林省も、あるいは職安におきましても、正確な数字は把握できないにいたしましても、すでに百万近い方々が、ある一定の期間家を離れて、そうして出かせぎに出ている。ついに帰ってこなかったという方もあります。さらには、最近におきましては、主婦が都会に働きに出てそのまま帰ってこられない、こういう状態にあるわけでございます。これをそのまま認めていくということになるわけでありますが、それでもよろしゅうございますか、お伺いいたします。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申しますが、つまり出かせぎの問題ですが、これは私どももこの出かせぎについてはいろいろの点において非常に検討をいたし、また対策も講じているのでありますが、最近はやや減りつつあります。総計において、いま手元に数字を持っておりませんが、約三十万ともいわれておるわけでございますが、その約半分が東北であるように思うのです。 それから、この出かせぎのうちで分けて申しますと、中程度の農家よりも小農が、小さないわゆる第一種兼業農家の中というか、小さな農家の方の出かせぎが比較的少ないという現象があるわけでございます。と申しますのは、小さい手間農業をやっているほうでは、もともとそれだけではやっていけないのでありますから、平生から就職の道を考え、そうして兼業の道をつけているわけでございます。そういうことで最近は減ってきておるのでありますが、この減っておることがはたしていいか悪いかという問題もありましょう。これはいわゆる経済界の不況という問題もあるのではないかとも思われるのであります。しかし、いずれにいたしましても、これらの問題に対しては、やはり根本的には、この農業の構造改善なり、あるいは基盤整備、生産対策、その他すべて現存やっておりまする農業政策を推進することが一番問題の根本であろうと思いまするが、さらに、出ていきます者につきましては、やはり秩序のある出方というようなこと、これらについては労働省とも関係を密にいたしまして、特に農業会議所等にこの調査ないしあっせん方を依頼して、それに対する助成をするなり、やらせているわけでございます。大体のところはそういう状況にございます。
○村田秀三君 私が聞いておりますのは、今日出かせぎに出ております方々に対する労働条件を確保するということ、このことももちろんやっていただかなければなりません。しかし、私がいまお伺いをいたしておりますのは、この出かせぎという兼業を認めるのか、認めないのかということであります。少なくとも農業基本法の線に沿って政策を進めるとおっしゃられるとするならば、この農業基本法は自立経営農家の育成強化、このことが一つの大きな目標になっておるわけでありますから、その点について明確にお答えをいただきたい。
○国務大臣(坂田英一君) 出かせぎの問題でございますが、いま申しましたように、東北地帯は一番多いわけでございまするが、それに対する根本方策といたしましては、先ほど申しましたように、基盤整備の問題あるいは構造改善あるいは生産対策等、一連の力を入れておりまする現在の農業に関する政策を徹底すると、できる限り努力を払っていくということに根本があると存ずるのでございます。しかし、先ほど申しましたように、どうしても小さいのはやはり何らか兼業を始めるということになり、そのうちでごく小さいのは、もともと固定的な兼業をその地帯において前もって準備しておるということがあります。しかし、出かせぎが全然ないというわけではございませんが、そういうので、それよりもちょっと大きい方面のほうの兼業にかえって出かせぎが多い、こういうこともあるわけでございます。最近はそれが減っておるということでございます。これらのほうのことに対する対策ということで——もう一つ申しますると、出ていくほうもそうでございまするが、都市その他における建設業その他が非常に多いわけでございまして、そういう方面の労働の要求というものが、つまり雇いたいというほうのまた力が非常に及んでおることもございます。そういう点があって需給関係でそういうふうに進んでおるわけであります。しかし、できることならばそれらは自分の家から通えるということにいくことが非常にいい。根本的には農業政策、それと並行して私どもとしては地方開発をやる、いわゆる地方で仕事がある、出ていかなくても就業できるという環境をつくることが非常に大事だと思う。それからもう一つ、農業上の基盤整備とかその他、労働力を要する仕事が非常に多いのでございまするので、これらの仕事の労働力をできる限りその村内の労働力を使うということに努力すべきものであると私は思います。お答えになるかどうかわかりませんが、大体そんなようなことを考えて、また努力もいたしておるわけでございます。
○村田秀三君 どうも話を聞いておりますと、あちらこちらになりましてよくわからないのでありますが、私が申し上げておりますのは、農基法には自主経営を育成強化する、このように明らかにうたわれております。しかし、兼業農家の労働生産性というものを考慮いたしまして、いわゆる都市の土建業の労働力が不足だから季節的に都会に労働力を移動させることはきわめて経済効果があると、こういうことで、もしも兼業を認めるとするならば、いわゆる今日の状態というものを固定化していくことになるのではないか。したがって、そこのところを明確にしていただきたいということであります。また、農家の所得、この問題は別であります。農家の所得につきましては、きのう矢山委員も言われていましたように、農業所得と農外所得、この二つに分けて考えねばならないのであります。私は、これから農業所得の問題につきましても推論をしていきますけれども、いまお伺いしておるのは、いわゆる兼業を認めて今日の状態というものを固定化していくのかいかないのか、農業基本法の精神を政策に移していくのかいかないのか、このことを聞いておるのであります。
○国務大臣(坂田英一君) 基本法の本質はでき得る限り自立経営をふやしていきたい、しかし、兼業をなくするとかどうと、そういう問題にはもちろん触れておりません。でき得る限り自立経営をふやす。また、たとえばこの兼業農家のごときについて農業の面からいえば協業あるいは集団栽培といったようなことによって経営の拡大をはかっていきたい、こういうことをうたっておるわけでございます。 それから、兼業をどうするかという問題でございまするが、現在兼業は八割、この第一種、第二種を加えますると八〇%に近寄る。これを認めるか認めないかという問題でなしに、われわれといたしましては、国際関係の問題、あるいは物価の問題その他を見まして、どうしても生産性の向上をはかってまいるということが大きい。これらの問題に全力を入れておるわけでございまするが、この現状の八〇%というものを認めるも認めないも、多数のものが、昨日も申しましたように、歴史的に零細農業があり、そうして歴史的にある日本の小農経営は発達しておらぬものではなくして、相当発達したものとして歴史的に存在しておるものなんです。そういう関係がございまするし、また、この兼業農家の立場から見ても、また、地方のいろいろの実態から見ても、この兼業農家というものがあながちこれを廃止——また一つの存在としての意義があるということもあり、いろいろございまするので、一つの専業農家としてすっぴーんとしてしまうということは、これは非常にむずかしい。また、むずかしいし、それはかえってよくない。現在アメリカのごとき非常な大経営のあるところにおきましても、きわめて小さなほとんど兼業的なものも介在しておるのは事実であります。これはアメリカばかりではございません。フランスに行きましてもドイツに行きましても、小さいいわゆる兼業農家が大きな農家の中に混在しておる。これがやはり必要があってそうなっておる場合が多いのでございます。ただし、それが余分にそうなって、そこに弊害が出るということを防いでいくことは当然でありまするので、われわれは一番根本としては生産性を向上することに努力をしておるというのがわれわれの根本の方針であることだけをつけ加えて申し上げます。
○村田秀三君 考え方はまあばく然とながらわかったような気がいたします。そういたしますると、どうしても現状を固定化するということではなくて、現状を認めながらもいわゆる自立経営農家をできるだけふやしていくのだと、こういうきわめて抽象的な表現にならざるを得ない、こう思うのです。そうしますと、農業基本法の精神は、まあいずれにいたしましても、これは社会党が反対をしたという経過はありますけれども、その目的と理想、このことは社会党といえども否定はしておらなかったと思うのであります。しかし、その理想が貫かれておらないというような状態ではないか、こう思うのです。つまり自立農家というものはできるだけ多くしていきたい、こう言いながらも、むしろ自立農家というものは減少の一途をたどっていくというこの現実、この点をどうお考えになりますか。
○国務大臣(坂田英一君) ごもっともの御指摘である点もございます。しかし、ここにまた考慮をしていただきたいことは、また、私どもとしては非常に大きな希望を抱くことは、そういう中におきましても一町五反以上の、これは平均の話でございますが、農家層が若干ではあるが年々ふえていくということ、それから金額にいたしましても、これはかりにの話ですが、かりに農業所得年額七十万円の農家層は農業の年次報告に報告申し上げておるとおり、三十九年においては一〇%、その前の年の三十八年は、いまここに数字は持っておりませんから多少の違いはあるかもしれませんがお許しを願いたいが、三十八年は七%、三十九年は一〇%、こういうぐあいに所得の大きいものが相当ふえていくということがございます。 それからもう一つ、二面、青年が農村を離れるということで非常にわれわれも心配いたしておるわけでございますが、その反面、非常に熱心にまた農業に非常な希望を持って、いままでかつて見ないほどの情熱を持って農業に突進しようとする多数の青年精農家もおるということでございます。これらの点を見ますというと、私どももそんなに大きくは心配をしないのでありまして、一面、非常にその理想に向かっての明かるい面を見ることができるのでございまして、私どもはその方向に力を入れて努力を進めてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
○村田秀三君 努力はしておるということを言われますけれども、しかし、その努力をしておるということであるならば、農基法が制定をされまして六年、現実に着手をいたしましてからでもすでに五年になるわけでありますが、今日、いま社会的に論議されておるような大きな問題は出てこないのではないか、私はこう思うのです。いま大臣がおっしゃられたことは、部分的にはそういうことがあるでありましょう。しかし、農村を歩いてみますとそうではない。自分のむすこをはたしてあと継ぎにしてよろしいのかどうか、こういう不安を持っておる、そういう方がたくさんおるわけでありまして、また同時に、出かせぎに出ておるという現実、まあ数が減少したというけれども、これは働きに行きたくてもいわゆる不況のために仕事が少ない、そのために来れないというのが実態であるわけでありますから、決していわゆる出かせぎの漸減をそれをもってよしとするわけにはまいらないと思うのです。現実がやはりどうしようもない状態にあるということを物語っておるわけでありますから、現実に五年たってそういう状態を克服できないというのにはやはりどこかに欠陥があったんではないか、私はどうしてもそう思えてしょうがないのでありますけれども、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申し上げますが、もちろんその結果はどうかというお話でございます。この結果について詳細にお話申し上げまするならば、やはり生産性は相当上がっておる、いま数字はここに持っておりませんが。それから農業所得も相当上がっております。おそらくこれは相当の上がり方です。ただしそれ以上に急激に他産業が伸びておるということであります。その他産業が急激に伸びておるということとの比較になりますると、昨日も御答弁申しましたように、格差の是正が若干縮小はしておるが小さい程度である、こういうこと、それから所得も上がっておるけれども、やはり格差は縮まらない、こういう実態であることは、私どもとしてやっているけれども、なかなかそう急にはいきかねるというところがあるわけでございます。なお、しかし、われわれにとってはできる限りの努力を払ってまいりたいということでまいっておりますので、御了承願います。
○村田秀三君 ただいま生産性は上がっておる、所得も若干ではあるけれども上がっておることは私も認めます。物価の値上がりや何かも影響しておりますからそれはありますけれども、しかし、根本的な原因というのは、これはきのう経企長官も答弁をなさっておったようでありますが、他産業の急激な伸び、これが格差を増大しておる結果になっておるということも私は了承いたします。 そこで、お伺いをいたしたいのでありますけれども、農業基本法には「農業及び農業従事者が産業、経済及び社会において果たすべき重要な使命にかんがみて、国民経済の成長発展及び社会生活の進歩向上に即応し、農業の、自然的経済的社会的制約による不利を補正し、他産業との生産性の格差が是正されるように」政府は責任を持つということが明確にうたわれておるわけでございます。これをなぜしないのか。
○国務大臣(坂田英一君) これをやっていきまする上において農業は自然的経済的社会的に非常に不利な制約を受けておるからして、みずから努力すべきはもちろんであるが、政府等においても総合的にこれらの制約を是正することに努力する、こういうことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、現在基盤整備、構造改善その他について生産性向上等に、あるいは生産政策等について相当多量の予算を計上して努力いたしておりまするのもその一つであります。
○村田秀三君 努力はしていないとは私は言わないのであります。ただ私は仄聞をいたすのでありますが、農林省のある責任者が、夢の島はつくったけれども渡し船をつくるのを忘れてしまった、こういうことを言っておるそうであります。まあ渡し船をつくったことはつくったかもしれないが、丸木船であったかということにあるいはなるかもしれませんけれども、いずれにしても格差を是正する責任を持っておるわけですね。これは即応するという表現を法律はしております。即応するということは、これは五年も間隔をおいてよくなりましたということではないと思います。そうすると、やり方に何か欠陥があるのではないか。理想像としてはよろしい、そしてまた努力することもけっこうでありましょうけれども、そこへもっていくための具体的な施策というものが何か欠陥を持っておるのではないか、私はこう思えてしかたないのでありますが、その間のことをひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) やはり農業の近代化をはかるということについては、相当長く、また、根気よくこれは努力を続けるべきものである、とは、諸外国の例においてもあることでございます。非常に早くできると思い過ぎた人がもしあるとすれば、それは間違いである、そういうことでございまして、したがって、生産性向上によって価格政策、この物価の問題にしても生産性向上によってこれを達成していくことは当然でありまするが、農産物についてはその中途においてどうしても価格政策というものを見なければならぬというので、農業基本法にもその点をうたっておることは御了承であろうと思います。
○村田秀三君 農業の問題は相当長期間根気よく見詰めなければならぬ、こういわれます。私も同感でございます。農村では桃クリ三年、カキ八年、ナシのばかやろう十六年、こういうような言い方がされておるぐらいに、私は農業の問題というのは非常に息の長いものであるということは了承できます。そこで、お伺いをいたしたいのでありますが、それほど息の長い産業であるとするならば、これはまあことし非常に天候不順であって、そして生産が減退をした、こういうような問題、それから明年あるいは外国から食糧が何かの都合で輸入することがきわめて困難になる、その際に、にわかにそれでは来年度必要とする量を直ちに生産をしようと思っても、これはできないのでありますから、さような意味では長期の計画が、これはしかも見通しというようなばく然としたものではなくて、的確な計画、立案というものが必要ではないか。これはきのう白井委員も何かそれに関することを言っておったようでありますが、その点についてはどうでありますか。
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、現在、三十七年に長期見通しをつくって発表をいたしておるのでございます。それから昨年の秋、この長期見通しの中間的な検討をいたさしてみたわけでございます。この検討の結果は、需要は非常にふえまするけれども、生産のほうは概して需要に追いついていないという結果を見ておりまするので、これらの問題についてさらに一段の努力をしたい。それから計画そのものはなかなかいますぐというわけにもいきませんので、さような長期見通しから中間検討、こういうことをやっておりますのでありまして、これらの問題については慎重な検討をいたしたい、かように存じているわけでございます。
○村田秀三君 私も三十七年の長期見通しにつきましては、一応拝見をいたしましたが、今日の実情といたしましては、これは訂正をする必要がある、こう思います。それと同時に、生産について考慮する必要があるということを考えておられるようでありますけれども、なぜそういう必要が出てきたのかと言いますると、私は、その生産性の向上、向上ということをよく言われますけれども、しかし、過去における農産物生産者価格の動向を見てまいりますと、生産は上がったけれども、価格が暴落をする。したがって、農家の方々は、次の年はこれをつくらない。これは野菜にしても、あるいは豚にしても言うことができるわけでありまして、これはどうしてそのような状態になるのでありますか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) いま御質問の豚についてでございますが、現在はもちろん、ただいま村田委員のお話のとおり、豚が上がったり、下がったりずいぶんいたしておりますが、現存はそういうことはないと思います。最近ちょっと下がっていますけれども、と申しますのは、畜産振興事業団法を制定いたしまして、御存じのとおり、これによって価格の最低、最高をきめる、安定帯をきめる。そうしてその安定帯の中に価格を存在せしめようということでいっておりますので、その制度ができましてからは——それは多少の変動はございますけれども、大体その範囲内にはまっているように相なっております。この制度をさらに完ぺきなものにしていきたいと、こう存じております。それから野菜の問題でございますが、この野菜の問題についてはいろいろあるのでございます。需要のほうはこれはきまっているわけでございますから、主として併給の面を確保することがまず非常に大事だろうと思いまして、指定生産地をつくり、また、暴落の場合においての価格補てん制度を中心にして、一貫の野菜政策を今度予算その他によって、また、法律も制定していただくことをお願い申し上げることに相なっているわけでございますが、こういうことによってそれらの問題を防いでいくようにいたしたい、こう考えております。また、中央卸売市場の問題、それからして小売り等の流通の面についてももちろん検討を加えることが多かろう、こう思います。
○村田秀三君 過日大蔵省は、一日当り国民の標準食費を発表いたしました。摂取量は二千五百カロリーということでありますけれども、三十九年度の実績を資料によって見ますると、二千三百十九カロリー、多少上がった計画がなされているわけであります。この二千五百カロリーの内容にもいろいろありましょうけれども、この二千五百カロリーを国民に摂取せしめるというための需給計画でありますか、こういうものはあるのでありますか。
○国務大臣(坂田英一君) ただいまここに手元にその数字を持っておりませんが、現在のところ二千三百何十カロリーということで、大体この食糧——米穀その他を包含してやっておるのでありますが、大蔵省のほうのその何は私は存じませんが、とにかくある程度理想的にやはりここまでいきたいという願望の点が入っておるものであるということに考えております。
○村田秀三君 大蔵省の発表は、これはまあこれだけは摂取せしめるという責任を持ったものではないと思いますね。これは確かにこれだけのものを食べても税金には関係ないのだ、こういうような言い方かもしれませんけれども、しかし、政府が、大蔵省であろうと農林省であろうとも、一つの資料を提出する際には、相当責任あるやはり発表をしてもらわなければならないと思います。で、二千五百カロリーを食べさせるということでありますから、この二千五百カロリーに基づくところの供給計画、これが当然私はあってしかるべきだと思うのでありますが、それはございますか。
○国務大臣(坂田英一君) 私のほうでは、先ほどその区別の数字を申し上げましたので、違いましたらまた大蔵省のほうからお答えを願いたいと思うのでありますが、現在の二千三百七十カロリーぐらいだろうと思います。ちょっとこの細部の 三音まで間違いありませんが、ちょっとここに手持ちがありませんが、そういうふうでいま進めておるわけであります。それから、カロリーという問題だけから申しますと、でん粉質をどんどんやらせるということでいけばカロリーを満たすことがわりかた困難ではありません。しかし、いま現在、日本のこの所得の向上につれて、非常に食生活が肉に多く傾いております。こういう問題がありまするので、肉の生産というものは穀物の生産のエネルギーに計算して六倍要るわけであります。したがって、イギリスのごときは、平時は畜産をうんとやり、そして、どうしてもこれは困るという特別の事態が起こったときには穀物中心に移っていったという歴史を持っておるわけでございます。したがって、カロリーだけで申す計算だけではいけないので、やはり嗜好の問題も考えていかなければなりませんので、これらの問題については、相当いろいろの面から計画を進めるべきものであるのに、酪農関係にいたしましても、酪農の基本方針を昨年の暮れ十二月につくりまして、そして必要関係各府県にこれを指示し、関係各府県におきましては、これに基づいてまた酪農振興の一千町村にこれを示達して、そして二カ年計画でこの酪農の計画を立てておるというようなわけであります。簡単にはできませんので、慎重にこれらの問題を検討を加えておるわけでございます。
○村田秀三君 私が聞いておりますのは、いわゆる食生活が偏向してきておる、こういうことはわかりますけれども、偏向したならばしたように、二千五百カロリーの内容を、いわゆるたんぱく質幾らなのか、でん粉質が幾らなのか、そのためには肉が幾ら、卵が幾ら、米が幾ら、そういう需給計画というもの、供給計画、これがあるのかないのかということを聞いておるわけです。
○国務大臣(坂田英一君) 私のほうでは二千三百七十カロリーの、これについての打ち合わせがあると思います。事務から説明をいたします。
○政府委員(大口駿一君) お答えいたします。農林省で発表いたしております現在のカロリーの一番最近の時点は昭和三十九年度でございまして、正確に申しますと、二三一八・九カロリーでございまして、その中で、でん粉質の比率は六四・六、それから一日一人当たりの摂取たん白質は七三・六、そのうち、動物たん白質が二九・六。そこで、これらの数字は、農林省の食糧需給表で、国内で消費をされておりますすべての食糧を人口一日当たりで割ったものでございまして、したがいまして、成年男子も老人も、赤ん坊も全部入った数も割っております。なお、先ほど御指摘になりました厚生省並びに大蔵省の発表いたしておりますものと申しますのは、厚生省のは国民栄養調査の発表だと思いますし、大蔵省のほうは標準の生計費の算出の基礎になっておる標準摂取カロリーだと思いますが、それぞれ算定の方法を異にいたしております関係で数字が違っておると思いますが、農林省のほうの発表は、ただいま申しましたような、すべての消費食糧を全人口一口当たりで割って計算をいたしたものでございます。
○村田秀三君 私がお尋ねをいたしておりますのは、いま三十九年の資料を申されたようでありますが、これは食べてしまったやつですね、放出してしまったものです。それでなくて、二千五百カロリーの標準食費に基づいて供給計画があるのかないのか、こういうことを伺っているわけです。
○政府要員(大口駿一君) お答えいたします。国民の将来の望ましい栄養摂取カロリーがどのくらいであるかということは、厚生省でいろいろ御調査になり、御研究になっていると思いますが、農林省といたしましては、現在私どもがいろいろ研究いたしておりますのは、将来の食糧需要の構造の変化なり、需要の伸びがどういうふうな姿になるであろうかという姿をいろいろの角度から想定をいたしまして、それに対して生産がどの程度伸び得るか、また、伸ばさなければならないかというような角度で検討いたしておるものでございますので、ただいまの御指摘のような、将来の望ましい摂取カロリーというものを想定をして、それに基づいての生産計画というようなものは、私どもの省といたしましては作業をいたしておるものはないのでございます。
○村田秀三君 そうしますと、大蔵省が発表いたしましたのは、それは単なる願望であって、その裏づけがないということですね。それは供給計画はないということですね。こういうことでよろしゅうございますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大蔵省で一日の食費が百八十六円となるということを言ってておりますが、あれは昭和四十年度の話なんです。それで二千五百カロリー大体摂取できるのではないか。それで、三十九年度でありましたか、に基づいて一応献立をつくってやっておりますが、あれは課税最低限が四十年度におきまして五十六万円である、それが一体適正であるかどうかという判断の一つの資料として試算をいたした資料でございます。それから、四十一年度におきましては、その課税最低限が六十二万円余に引き上げられておるわけでございます。その際の参考として四十年度の一日の食費はどうだろう、こういうことを計算してみたのです。一日の食糧がわかりますと、これは一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、五人世帯とありますから、世帯によって違いますが、エンゲル係数がある。そのエンゲル係数で逆算すると生計費というものが出てくるわけです。そうすると、その年の生計費と課税最低限というものを比べるとどういうふうになるか、こういう見当になるわけであります。昭和四十一年度にこれを直してみますると、四十年度の実績よりは消費者物価が五・五%上がる、こう見ております。そういう関係を考慮いたしましても、あの程度の標準食糧ということを考えまするときには、これは課税最低限に余裕がある、こういうふうに御説明いたしたいために出しておる資料であります。ああいう裏づけがあるかどうか、これは農業政策の重要な問題と思いますが、おそらくこれはああいう物資は調達し得るのじゃないか、食糧というものは調達し得るのじゃないか、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 ちょっと関連して。農林省は将来望ましい栄養を基準とした需給計画がない、こう言いましたが、そうでなく、現在すでに栄養基準量というものを厚生省で発表しているわけですよ。この栄養基準量というのは、その基準がとれなければ病気になるのですよ。それで、軽労働をしてそれで病気にならない程度という病気が五つくらい並んでいますよ。あるは腔角炎とか、すぐ貧血になるとか、そうしてすぐにつかれて頭がぼんやりするとか眠くなるとか、そうならない程度のカロリーは幾らである、あるいは脂肪は幾ら、たん白は幾らというのを、厚生省はちゃんとその栄養基準量というのを発表しているんですよ。将来の望ましい、たとえば諸外国と比べたそういう栄養じゃなくて、現在それを摂取しなければ病気になる、いわゆる最低の基準量というものがあるのですよ。それについての需給計画、こういうことを村田さんは質問していると思うのですよ。それは二千五百幾らカロリーですよ。しかも、それは労働人口が老齢化しているから低いといわれているのですよ。いまの栄養基準量二千五百幾らは低いのだ、だんだん年寄りが多くなってきておりますからね。赤ん坊までも含めての二千五百幾らなんですよ。ところが、だんだん人口が老齢化している。ですから、二千八百カロリーぐらいなければ実際は足りない、こういうふうにいわれている。そういう栄養基準量というものをもとにして考えなければいけない。大蔵省のあれだって、ほんとうは栄養基準量をもとにしなければいけない、医学的にいいまして。将来のじゃないのです。そういう基準量をもとにして需供計画ができている、こういう質問だと私は思う。それはいかがですか。厚生省、そういうのはあるのでしょう。厚生省で発表してください、栄養基準量。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国民の栄養の必要量につきましては、栄養問題の調査会等から勧告がございますわけでありますが、当面は所要のカロリーが確保されるように、政府の給食関係、あるいは病院の食糧費等はそれによって算定をいたしておるのであります。おむね二千四百カロリーから二千五百カロリーという線を確保いたしておるわけであります。木村さんのおっしゃるとおり、将来の問題といたしましては、二千八百カロリーというような目標に向かって、逐次改善をしておる次第であります。
○木村禧八郎君 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。
○委員長(石原幹市郎君) 簡単にお願いします。
○木村禧八郎君 答弁が違いますからね。厚生省は毎年国民栄養調査というものを発表しているのでしょう。その国民栄養調査がこの栄養基準に対して十分か不十分かということを毎年発表しているのですよ。そうして五人に一人が栄養欠乏だということを発表しているのでしょう。どうして栄養欠乏か、それは栄養基準量に達しないからだと発表しているのですよ。その栄養基準量は単なるカロリーだけじゃないんです。脂肪もたん白も、あるいはビタミンA、B、C、そういうものについて基準が発表されているのです。そんなものはすぐわかるわけじゃありませんか。厚生省が栄養基準量がすぐわからなくてどうするのですか。それで、国民五人に一人がいま栄養欠乏であると発表しておりますよ。その数字の発表を求めているのです。いまできなければ、あとで資料として……。
○委員長(石原幹市郎君) 木村委員に申し上げますが、村田君から厚生省は要求されていなかったものでありますから、ちょっと事務当局もおりませんので、また後刻もし参りましたら、あるいは資料でも出すようにいたしたいと思います。
○木村禧八郎君 農林省……。
○委員長(石原幹市郎君) 村田君に質問を続けていただきましょう。
○木村禧八郎君 はっきりさせてください。関連質問でぼくは要求しておるのです。
○委員長(石原幹市郎君) 後刻いたします。
○村田秀三君 いまの問題は、委員長のお扱いのように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 私は、厚生省がそのような計画を立てられて、そうして大蔵省もこれを保証するとするならば、その供給計画がなければならないのではないか、こういうことを言っているわけですよ。したがって、それがないんだということであればないで、論点を変えて私は意見を申し上げるわけでありますが、そこの点を明確に回答してもらえばよろしいのです。
○政府委員(大口駿一君) お答えいたします。農林省といたしまして、三十七年に、大体長期の将来にわたっての食糧の品目別の需要の見通しというものを一応試算をいたしまして発表をいたした数字がございますが、おもな品目で申し上げますると、米は一〇六・五ないし一一一・八——これは一人一年当たりのキログラムの単位でございます。小麦が二五・一ないし二九・六、大裸麦が二・二ないし三・二、それから、くだものが四五・九ないし五五・五、それから、肉類、これは鯨肉を除いておりますが、八・六キログラムないし一〇・九キログラム、牛乳乳製品が六四・六ないし八八・一、砂糖が一九・六ないし二一・九キログラム、こういう見通しを発表したことがあるのでございます。そこで、いま申しました長期の需要の見通しに対しまして、三十四年を基準年次といたしておりまするが、そのときの実績がどうであったかということを申し上げますると、米が二三キログラム、小麦が二五・八キログラム、大裸麦が一一・〇グラム、くだものが二二・六、肉類が三・三、牛乳乳製品が一九・八、砂糖が一三・二、こういう数字に対して先ほど申し上げたような需要を見込んでおるわけでありますが、このような将来の需要を算定いたしまする場合は、経済の成長率がどうであるかとか、国民の所得水準の上昇がどうであるかとかいうような、いろいろな前提を置いての作業でございまするので、そのような前提に基づいた試算であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○村田秀三君 まあ一応の見通しは四年前に立てられたということはわかりました。しかし、ただいまのものが、いわゆる厚生省が願望するものと合致しておるかしておらないかということになりますと、まことにこれは寒心にたえない、そういうことではないということであります。しかし、これは政治全体の責任といたしまして、国民に平等に生活させる義務がある、私はこう思うのであります。とするならば、いわゆる厚生省が相当いたしましてカロリー計算をいたしましたその需要量に対しまして、供給計画というものが、これが外国に依存するか、あるいは国内で生産するかは別にいたしましても、供給計画というものは当然付随しなければならない、こう思うのでありますが、総理どうでありますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる食糧の確保といいますか、そういうものが大筋といいますか、大局的につかんでおる。これをただいま言われるように、厚生省のカロリー計算で、そのカロリーの内訳を、たん白質や、あるいは脂肪やその他に分類してどういうようになっているか、こういうこまかな計算はまだしておらないと思います。しかし、ただいま言われますように、こういうことは必要なことでありまするから、今後の研究方法として大まかな、まあもう少し、ほんとうに非常な細分はできないにいたしましても、大方の計画を持つべきだろう、かように思いますので、各省の間でもっと連絡を緊密にいたしまして、そうして全般のあり方をひとつ考えてみることにいたしたいと思います。
○村田秀三君 ぜひ必要なことと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。 そこで、供給計画がないわけでありますから、それに対応する生産計画というものがないのではないかと、いままでの論議の経過からするならば、言わざる得ないわけでありますけれども、しかし、まあ私はそういう厳密なものをいまここで求めようとは思いません。しかし、供給計画ができますならば、当然生産計画というものが付随するわけであります。その生産計画は農林省の仕事でありますから、それが実際問題としてあるのかないのか、御回答願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) いまお話でありますが、栄養の問題との関連でありましたからいろいろ申したのですが、現実の問題、ないし、それらの問題については、たとえば米は今年どれだけの自給ができる、来年はどうかという見通しもつけて、足らざるものはどういうふうに、どこから輸入するというふうに、きわめて具体的に全部やっておるわけでございます。それは麦についても同様でございます。それから、えさ——トウモロコシやマイロ等の問題、濃厚飼料についても同様にやっております。それから、肉類についても、これは大体自給できまするけれども、牛肉については、やはり不足分を幾ら幾ら輸入するということは、正確にきちっとその数量をきめてやっておるわけでございます。それから、酪農製品等については、製品のほうについても若干まあ約二〇%くらいの輸入ということでいっております。ですから、重要なものについての具体的の進め方としては、少しも不安のないように、足らざるものは輸入ということで計画を立てておるわけであります。ここに手元に数字を持っておりませんから、必要なときにはなんでございますが、そういうことであります。
○村田秀三君 まあ明瞭でないのでありますが、事務局でもよろしうございますが、少なくとも三十七年度の需給見通しの中で、昭和四十一年においてはこれだけの需要が予想されるが、それに対応して四十一年度の各種目の生産はこの程度に上げたい、こういう計画があるのではないかと私は思うのでありますけれども、お答えを願います。
○国務大臣(坂田英一君) そこで、そういういま大体のことを申し上げましたが、なお、ここに手元にそれを持っておりませんので、数字的にはいま申せませんが、たとえば肉類の上需要につきましては、十年後にはやはり現在の二倍ないし二倍半に需要が伸びる、こういうことを予想しております。したがって、それに即応しての計画を立てております。そこで、特に酪農関係の牛乳関係及び牛肉というものでございますが、それらについては、それに即応しての草地の造成というものが必要でございます。そこで、たとえば可消化栄養分として草は幾ら国内で自給しなければいかぬかというところまで試算をいたしておるので、たとえば千百三十三万トンの草の可消化分を自給していくと、そのために四十万町歩の今度は草地の造成をやると、こういう点もやっておるわけでございまして、部分的ではございまするが、大体そういう点についてそれぞれ計画を立てております。
○村田秀三君 私は、もっときちっとした生産計画を求めたかったわけでありますが、それは実際無理なようであります。したがいまして、ここで希望しておきますことは、当然供給計画があれば生産計画というものは付随して出てまいる、これが農林省の私は責任ではないかと思う。したがいまして、次年度からは、少なくともそういうような計画が樹立できるようにやっていただきたいと思いますが、その点はどうでありますか。
○国務大臣(坂田英一君) いま手元に数字を持っていないから申せませんが、米、麦、それから飼料用の穀物、それから肉類、乳製品というものについては、はっきりと計画を立てて持っております。
○村田秀三君 その生産計画をどのようにして達成しようと考えているかということであります。そしてまた、生産人口といいますか、それを生産するに必要とする農業労働力、これをどの程度が必要であるとお考えになっておりますか。
○国務大臣(坂田英一君) それらの生産問題でございますが、一番重要なのは、やはりその土地でありまする農地の基盤整備になります。この基盤整備は、造成ばかりでなしに、改良問題、土地改良、それから田畑並びに草地の造成という問題が一番基本になると思います。これにつきましては、今年、十カ年計画を遂行いたしまして、進むことであります。今日までも、計画ができる前までにおいても、これはもちろんやっておったことでございますが、それをやってまいるわけでございます。 それから労働力については、先ほど申しましたように、非常に労働の流出がございまするので、この点からもやはり近代化をはかる必要がありますので、労働不足のいわゆる補完と申しますか、それらの点については、大型あるいは中型等の機械の研究並びに普及という面に力を加えておるようなわけであります。 それから今度、地盤力できてもその反当たりの収量を米にしてもふやしていかなければなりませんので、土壌の改良という問題、それから土壌保全の事業といったようなこと、そういう面について努力を払っていきたい。 なお、そのもっと根本でありまするのは、技術の研究、それから研究だけではいけませんので普及関係、いわゆる改良普及員によるところの普及関係、こういう面にも努力をいたしておるし、また、今年度も特にこの問題について、さらに一段の努力を加えることに相なっておるわけでございます。 それから肉類につきましても、それぞれの草地については、一応先ほど申し上げましたのでありますが、濃厚飼料については、国内での生産というものはよほど困難な情勢にありまするので、大部分これは輸入という問題でやっておるわけでございます。そして、この飼料の自給をはかってまいるということ、それからもちろんそれぞれに対するいろいろの技術的な施設、その他改良という問題はもちろんこれを推し進めておるわけでございます。 それから野菜等の問題については、先ほどもお話し申し上げたことでありますが、さらに今年は一段とそれを強化していく。 なお、これらの問題は、単にこれらの問題だけでなしに、やはり価格の安定ということが重要でございます。生産者にとっても重要でございまするので、価格の安定政策という問題も加えて進めておるようなわけであります。
○村田秀三君 答えが半分きりしかまだないわけでありますが、どのようにして達成しようとするかというその施策については、それぞれやられておることは承知をいたしました。それが効果的であるかということは、また論議のあるところでありますけれども、一応はここでは了承しておきます。ただ、それを達成するために必要な農業労働力、これをやはり、的確に押えるといってもなかなか至難ではありましょうけれども、これが出てこないと、私は、農業政策というものはまことにあいまいになるのではないか、このように考えておりますので、いわゆる今日の時点において、あるいは農村労働力の流出なりその他の事情も勘案しながら、ここ二、三年の間ないし需給見通しの最終年度では——三十何年でしたか、最終年度を目標にしてもよろしいと思いますけれども、農業人口をどの程度に抑えるのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
○国務大臣(坂田英一君) 労働の問題については、非常に流出が多いのでございまするので、これを補給する点もありまするし、あわせて生産性を向上させるという機会でもありまするので、こういう際においていろいろの機械類を使って強力的な対策という問題を進めておるということを先刻申したのでありまするが、なお、将来の問題といたしまして、この青年諸君が非常に流れてまいりまするので、これらの問題については、後継者の問題を非常に重視いたしておりまして、その後継者の養成という点についての努力を払っておるわけでございます。
○村田秀三君 時間がないので、もう少し農業の問題、あまり関心がないと言えばそれまででありますけれども、しかし、きわめて私は重要な問題だと思っておりますので、もう少し論議を煮詰めてみたい、こう思っていましたが、時間がなくなったようであります。 そこで、総理にお伺いをしたいのでありますけれども、私も国会に参りまして、しばしば総理の所信を開く機会を得たのでありますが、その中で、ちょっと気になるのは、現政府の方針は資本主義自由経済だ、よくそういうことを言われるわけであります。しかし、事、農業の問題につきましては、これは相当明確な計画を立てない限りは、ある場合には、また今日想定をされるわけでありますが、きわめて憂慮にたえない事態に立ち入るのであろう、こう思われるわけでありますけれども、この農業の問題、もちろん、国民の食糖問題とあわせまして、計画的にこれを進めるお考えがあるかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農業問題について計画経済をとらないか、こういうお尋ねでございますが、いわゆる計画経済はとりません。また、いわゆる統制的な考え方もいたさないつもりであります。ただ、非常に農業の弱いと申しますか、政府が特別に助成しないと、なかなかうまくいかないのじゃないか、かように思いますので、助成方策は積極的に農業の部門に対しましてとってまいります。また、全体の需給計画については、一体どう見ておるかと言われるならば、私どもの自由経済のもとにおきましても需給計画は立てておるのでございまするから、その点ではただいま御心配になるようなことはないと思います。 ただ、先ほど村田君からもお尋ねがありましたように、兼業農家がだんだんふえている、そういうような農業労働が他に移っておる、こういう状態を認めるのかどうかという話がありましたが、これは私は、どうも聞き方によってはそういうものを禁止しろとでも言われるのかと、かように思いましたけれども、私はそういう意味の統制経済や計画経済はいたさないつもりであります。誤解のないように願っておきますが、助成はいたしますから、国際の問題におきましても輸入をして、そうしてわが国の農産物が非常な打撃をこうむる、こういうようなことのないようにはいたしますが、また、国内におきましてもそれを助ける方法、それはとりますけれども、どこまでも自由経済でまいるつもりでございます。
○村田秀三君 意見を申し上げて質問を終わりたいと思うのでありますが、きのう来の論議を私も聞いてまいりましたが、努力はしておると、こう申されますが、それがほんとうに効果的なものであるかどうかということになりますると、はなはだ問題がある、一言に申し上げますと。もしも農基法がその理想と目的に向かって着実に施策をされておったとするならば、今日の農村の状態というものはなかったのではないか。こう実は考えますると、それがきわめて効果的ではなかったとするならば、これは農業基本法それ自体を内容的に検討しなければならない時期にきておるのではないか。検討というよりも私はもっと別な角度で是正をする、改正をする、そういう方向での検討というものが必要でないかと考えておりますが、この点ひとつお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御意見に対しては、私どもも心から傾聴いたしておきたいと存じます。
○村田秀三君 いままで論議を進めてまいりましたが、きわめて原則的なことのみでありましたが、私は、今日の農村の問題を解決するためには需給計画をまず立てるということ。もちろんこの需給計画につきましては、農林省が描いておりますような方向でのいわゆる需給計画を立てまして、そうして供給計画も立てる。もちろんその供給計画の中には、これは輸入が二割もこえる、こういう状態では将来憂慮されるわけでありますから、この自給率を高めるということに相当努力をいたしまして、そうして生産計画を立てる。もちろん生産計画を立てる際には将来の労働力の問題であるとか、生産性の問題であるとかいろいろ考慮はされましょうけれども、少なくとも必要労働力の問題が出てくる。そうしましたならば、いわゆる専業農家あるいは一種、二種、いま分類をされておりますが、これは政策のいかんによってはいつでも変わるわけでありますから、農政の中心をどこに置くのかということを明らかにして、そしてこの中心部分に対しましては、いわゆる食糧の確保ということは、空気や水を確保することと変わりがないわけでありますから、それだけに国家が相当な助成をする、こういう体制をとることが今日の問題解決のきめ手になるのじゃないか、私はかように考えますので、その方向での検討をさらに続けていただきたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 村田君の質疑は終了いたしました。 午後三時再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 —————・————— 午後四時八分開会
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を再会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日塩見俊二君、佐多忠隆君が辞任され、その補欠として内藤誉三郎君、小酒井義男君が選任されました。 —————————————
○委員長(石原幹市郎君) 午前に引き続き、昭和四十一年度一般会計予算外二案を議題とし、質疑を行ないます。稲葉誠一君。
○稲葉誠一君 総理にお尋ねをいたしますが、最初にいま沖縄から国会議員団の方がおいでになって、祖国への復帰、同時に日本の国政への参加を強く訴えられておるわけですが、これに対しまする総理の御見解といいますか、そうしたものを最初に承らしていただきたい、かように思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨年私も沖縄へ参りまして、沖縄の心からの願い、この身で、このはだで感じてまいったのであります。一日も早く祖国復帰、それを実現したい、こういうことでございます。このことが実現するように、またいろいろ私どももくふうし考えておりますが、この基本的態度につきましては アメリカと十分話し合って、その理解の上にかような事態を実現したい、かようにお答えしておりますし、また、私の考え方も声明しておりますが、この点ではおわかりだと思います。この施政権の返還ができないうちに国政に参加する方法ありやいなや、こういう問題だと思います。どうもただいまのような状態だと、それはやや困難ではないか、かように私は考えております。
○稲葉誠一君 その国政参加がやや困難ということではなくて、それは法律的に何なりいろいろ議論があるかと思いますが、そういうような非常に強い日本人の沖縄県民の要望があるわけですから、そういう点を十分研究をされた後に、国政参加が何らかの形でできるように私は切にお願いといいますか、お祈り、希望をしたいわけですが、再度その点についてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) ただいま総理お答えのとおりに、特殊の事情、環境に置かれておりますために、いわゆる正規の国政参加、これは現在事実上、不可能な関係にあると私は思っております。しかし、住民の方の非常に熱心な御希望、あるいは沖縄の全体の社会の動きというものにつきましては、日本政府も非常に注意を払っておる。密接なできる限りの情報連絡をとりまして、その住民の方の希望あるいは政治の方向というようなものについては、できるだけの応援をして差し上げる、そういうような実際上の積み上げをやっておるわけです。
○矢山有作君 委員長、ちょっと関連。 総理に伺いますがね、あなたは去年の夏、沖縄に行かれて、沖縄と本土との一体感をつくり上げなければいかぬということを相当強調されたんですがね、一体感というものは、ただ経済的に金をやればつくり出せるものではないと思うんです。もちろん本土への復帰の問題については、これは平和条約三条の問題、あるいは国連憲章との関連で、いろいろ法律上の論争はあると思う。われわれは平和条約第三条と国連憲章、あるいは国際法の原則に基づいて、これは、アメリカが現在沖縄を占有をしておる法律的な根拠は何もない。それは不法な占有である、こう考えておるし、それが私どもは通説だと思っておる。しかし、その法律論争はおくとしても、あなたが一体感を強調される以上は、これは、沖縄は日本の国土であり、沖縄の人が日本人であるということはあなたも認めておるし、これはだれも認めておる。そうすれば、施政権返還、本土復帰のことはしばらくおくとしても、これはやはり政治の姿勢としては、政治的に考えれば、ぜひ国政参加というものは実現すべきだと思う。これは、沖縄の問題はただ単なる技術的な法律解釈の問題じゃないですよ。これは技術的な法律解釈の問題じゃない。きわあて高い政治性を持った問題なんですよ。したがって、私は、国政に参加させたところで、そのことが直ちに施政権にどうこうという実質的な障害はないと思う。これは政府の姿勢ですよ、参加させるようにやるのかやらぬのかということは。そういう姿勢で今後問題を処理してもらいたい。どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 矢山君からただいま鞭撻を受けましたが、ただ、一体感、これを強める、これは、ほんとうに置かれておる沖縄同胞の立場、同時にまた、われわれの立場についても十分理解して、相互理解を深めるということが必要だと思いますし、また、沖縄同胞の願望もいかににして達成させるか、こういうことも考える、これはもう当然考えなければならないことであります。そこで、ただいま具体的な問題で、国政に参加する、参画する、こういう方法が具体的にあるかどうか、具体的にない場合に、この気持ちはわかった、おれもそのつもりで努力する、かように申しましても、それは実現しないもの、かように思います。私は、そういう意味で、ただいま一体感、相互のその立場についての深い理解を持つ、そしてほんとうに一体になりまして、そして祖国復帰を実現さす、これが今日の私どもの最も真剣に考うべきことだと、かように考えておる。ただいまこういう施政権下に、施政権が別になっていて、そして国政に参画する具体的方法がありやいなや。これもないうちに、いや私は努力します、こういうことは私は申せない。
○亀田得治君 ちょっと委員長、関連して。 これは法制局長官にお尋ねしますが、私は、国政に参加させようと思えば道はあると思うんです。そういう制度をつくることは可能だと思います。総理の考え方はどうもはっきりしませんが、可能であってもそうさせたくない、まだ時期尚早だとか、そういう意味なのか、させたいとは思っているんだが、そういう道をつくり上げることが制度上むずかしい、こういう、どちらなのか、総理にまずその気持ちを聞きたいわけです。総理に、まずね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどの矢山君に答えるのに、私は簡単に突っぱねたと、かように思われると、ただいまの亀田君のような質問が出てくるかと思います。私もこういう点、いま直ちにそういう名案を持っておりませんけれども、十分検討すべきことは、そういうことはもちろんやるつもりでございます。しかし、ただいたずらにこの席におきまして、努力します、どうします。こういうことを申すのは、私は、かえって不親切だと、かように思っておるわけであります。
○亀田得治君 長官、ちょっと制度上の可能性の問題について。
○政府委員(高辻正巳君) お答えを申し上げます。ただいま総理がおっしゃいましたように、国政参加という問題につきましては、要するに、その願望が十分に実現ができるような方法でどういう方法があるかということについて、十分な考慮をめぐらせて検討していくべきだということでございます。ただいまそれについて軽々しく結論を出すのもいかがかと思います。十分に検討さしていただきたいと思います。
○亀田得治君 あなたに聞いているのは、そういう政治的な立場を聞いておるのじゃなしに、専門的な立場で、そういう制度をつくろうと思えばつくれる道があるのでしょう。これを、あなたは専門家だから聞いておるわけです。初めからそういう、専門的に見たってそんなことはできないのだと言うなら、これは話にならぬです。われわれは、それは可能だと見ておるから、それで総理に、可能だからお願いしたい——これはさらに別個な角度になるわけです。あなたには、専門の立場から忠実に答えてもらわなければだめだ。
○政府委員(高辻正巳君) 法律技術の問題でございますので、具体的な問題として御指摘があれば、それについてお答えしたいと思います。実は法制局で、現在、これこれこういう方法について具体的に検討しておるという事実がございませんので、もしも御質問があるなら、その中身をお示し願って、それについてお答えをさしていただきたいと思います。
○亀田得治君 それでは一つだけ聞きましょう。たとえば、国会の議席を与える、これは可能でしょう。ちゃんとそういうように制度を変えれば、できるでしょう。
○政府委員(高辻正巳君) 国会の議席を与える、これは、通常から言えば、国会は国民の代表機関でございますので、そこの国民の代表者として出てくるというのが第一点。それから第二点としては、そこに出てきた人が議決に参加するということが当然のあれだろうと思います。その前提としては、選挙の施行によって選挙されてくるということが必要だろうと思いますが、その三段階についてもいろいろな問題がございましょうが、まず最初の、選挙の施行ということになりますと、沖縄において公職選挙法の施行ということが直ちにできるわけでございませんので、そういう意味で、それが直ちに法律上可能であるというお答えを、いま、するわけにはまいりません。
○亀田得治君 関連だから遠慮しておくけれども、そういう答弁ではちょっとぐあいが悪いな。
○矢山有作君 私は、法制局長官に、何も法律上のどうこういう解釈を聞こうとは思わない。問題は、総理に聞きたいのです。総理が祖国との一体感を強調するなら、当然、国政参加という問題を真剣に考えるべきだ。なぜ、国政参加をさして施政権に障害があるか。国政参加をさせるのだというあなたの腹がきまらぬのに、技術的な問題を検討することはできないでしょう あなたが国政参加をさせるのだという腹をきめさえすれば、あとは、どういう方法によって国政参加をさせるか、それは 高辻法制局長官が検討したら、いいのであって、あなたの腹がきまらぬうちに、法制局長官が国政参加の方向に向かって技術的な検討できるわけがない。その点で腹をきめなさい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 簡単に腹をきめるわけにいきません。御承知のように、他国の施政権下にあるその同胞を、それを私のほうの日本の国政に参加さすと、こういうことはそれは簡単にはまいりません。
○稲葉誠一君 いまの問題は非常に大きな問題ですから、また別な機会にあれするとして、ここのところ、一九七〇年に一応期限がくるといわれる日米の安保条約の問題が大きく出ているわけですが、そうすると、総理としては、これを十年たった後に、その後も存続をさせると、こういうような考え方なんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはたびたびお答えをいたしたのでございますが、私は、今日の国際情勢から見まして、わが国の安全を確保する、そのためには現存の体制をとっておくことが必要だと、かように私は結論を出しております。
○稲葉誠一君 しかし、いまは一九六六年なわけですね。一九七〇年の問題なわけですから、その間に世界情勢、ことにアジア情勢の変化というものは当然あるわけですね。それを十分考慮に入れてなおかっ一九七〇年になったときにそれを存続させたいというふうなことでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまもお答えいたしましたように、今日の情勢においてはと、かように断わっております。
○稲葉誠一君 そうすると、一九七〇年のときに、そのときに国際情勢が変化してきておれば、そうすると安保を続けないということもあり得わけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま稲葉君の言われるように、たいへんな変化があったと、こういう状態ですね、たとえばもうこれからは全面軍縮会議が実現する、こういうことも申し合わせができている。これは実現する。これあたりは非常にはっきりした情勢の変化だと、かように思いますが、そういうこと起きれば、こういうものももう必要でなくなる、かように私は思います。
○稲葉誠一君 いまの状態が続けばそれは必要だと言われるならば、当然一九七〇年ごろにおけるアジアの情勢、たとえばベトナムの情勢がどういうふうになっているだろうか、中国の情勢がどういうふうになっているかと、こういうようなことも当然判断の中に入って問題の結論が出ていなければぼくはいかぬと思うのです。この点についてはどういうふうに考えられておるわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 変化があれば当然考えることですが、ただいま非常に現状においてという条件のもとに申し上げておるのでございます。変化がないという条件のもとにおいてどうするかということでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、そういうふうな変化が起きるということをあなた自身は望んでおられるのですか。どうなんですか、その点は。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私どもは全面軍縮、そういう方向で努力しておることは御承知のとおりだと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、あれですが、自民党内閣が続いておる場合でも、安保条約を解消するということはあり得ることなのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも、そういう仮定の実情についてはお答えいたしません。
○亀田得治君 議事進行。この問題について……。与党の方だと総理はずいぶん丁寧にお答えになるのですが、もうがらっと稲葉君の質問が始まったらえらい、こう簡単にこう処理されるような感じでございますが、これは野党の質問に対してこそ、やはりいろいろ疑問点を提出しておるわけですから、丁寧に答えてもらいたいと思うのです。仮定といいましても、あなた自身の見解を聞いておりますると、ある意味では仮定が入っておる、われわれの立場から見ればですよ。当然一九七〇年までには中国情勢についても変化があるはずだ。たとえば国連の加入一つにしたってこれはもう世界的な常識ですね。来年ということはいろいろまだ問題あるかもしれぬが、一九七〇年になればこれは外務省にしたってほとんどもう常識ですわ。だから、むしろ現状というような総理のおっしゃることのほうがこれはむしろ仮定的に強いわけなんです、われわれから見ると。だから、そこで稲葉君のほうが逆の立場からのこれは一種の仮定という、しかもその仮定は現実に近いのですよ、われわれの言う仮定は。だから、そういう立場ですから、答えないというのは私は筋が通らぬと思う。答えてください、もっと親切に。
○委員長(石原幹市郎君) 内閣総理大臣。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのようなお話になれば、事柄が四十五年のことですから、ただいま私がいままで申し上げたことは、これは預っておいていただいてけっこうです。
○羽生三七君 ちょっと関連。いまのことは預かるにしても、それじゃ、きのうの答弁でわからぬことがあるから伺いたい。 総理はなるべくならば、十年の満了のときからあらためてというお話があったのです。外務大臣は必ずしもそうではなかった。そこで、あとで重ねて多田君が質問されたら、ニュアンスは違うが、本質的には同じだと、こう言われた。相当違います、これは。たとえばあらためて改定してもう一度十年の期限にするのと、何も通告なしに自動的に一年ごとにと言われましたが、そんなことはないです、条約上。それは通告しなければ何年かの延長ができますね、もちろん。しかし、そのときに期限満了後どちらかが問題を提起すれば、一方的に廃棄できるのです。でありますから、それは一年たったら、あらためてまた一年ごとに条約を更新していくということと、十年間の期限であらためて条約を改定することと根本的に違うのです。だからニュアンスの違いなんかではない。本質的にこれは違いがあるわけですね。でありますから、この点は外務大臣の言われたようなことなのか、総理が言うことなのか、これはいまの問題は追って稲葉委員から御質問があると思いますが、いまの私の質問に答弁してください。
○国務大臣(佐藤榮作君) きのうの問題ですが、私はニュアンスの相違だといまだに思っております。 先ほど来言われておりますように、私は一国の防衛計画は長期でなければならない、かように考えております。その防衛計画に沿ったものを考えていくという考え方でございます。また、外務大臣の申しておりますのは、現在の条約自身どうだとそういう考え方でありまして、わが国の防衛計画を、それを根本にしての話ではなかった。かように私は理解しております。したがって、私の考え方あるいは外務大臣もこの長期防衛計画は必要なのか、そういうことはやっぱり考えておると、かように私は思っておりますので、それで私はニュアンスの相違だということを申したのであります。別に食い違いがあると、かようには私は考えておりません。なおまた、そういう根本的な相違があるようにお考えならお尋ねをいただいてもちっとも差しつかえありません。
○羽生三七君 もう一ぺん簡単にやります。それで、それから稲葉委員の指摘の問題が重要になってくるのです。そうすると、あらためて十年ということになれば、国際情勢の変化があるとしてもどうにもなりませんよ。社会党は安保解消だということは御承知のとおりですが、これは別にします、原則論ですから。現実の問題として、自動的に、もし延長するようなことを政府がたとえ政府の立場でお考えになっても、あらためて十年の再取りきめをしない限りは、客観情勢が変わったらいつでも一方的な通告で廃棄できるのです。それとまた、世界情勢がこれだけのスピードで変化しておるのに、また長期の防衛計画の一環として再取りきめをお考えになるということは、いま稲葉君が指摘の点とだいぶ違うのじゃないか、本質的に違います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日も申し上げたと思いますが、そういうことをどういう方法をとるかということはまだその時期に来ておらないから、また、それまでの余裕があるから、その間に考えますということで、私は四十五年がきたらどの方法をとる、かように申したわけではない、その点は誤解のないように願いたい。
○稲葉誠一君 いま総理が、いままでの問答を預かるというようなお話があったのですけれども、預かるという意味がよくわかりませんが、そうすると、きのうなりおとといなり、この問題について質問があり、答弁があなたからありましたね、それも預かるという意味なんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 別に私は取り消すつもりはございませんが、ただいろいろ仮定でおまえも答えているのだ、こういうように言われると、それは仮定かもわからぬから、そういう意味なら、これはお断わりしたほうがいいかな、こういうふうに思ったわけです。いままでの事柄を、私自身が積極的に取り消すつもりはありません。またしかし、仮定の事実じゃないか、かような御指摘がございますので、さようにお考えならば預かっておいていただきたい、かように申したのです。
○稲葉誠一君 長期防衛計画というものの一環として考えるというわけでしょう。そうすれば、長期というんですから、あなたの言う長期がいつかはわかりませんけれども、おそらく私は一九七〇年までを見通した長期という意味だと思います。そうなってくれば、そのときの情勢が、ことにアジアの情勢がベトナムなり、中国なりあるいは日本を取り巻く情勢がどういうふうになっているかということを、当然その中に入って一つの予見といいますか、そういうものの前提の中に、条件の中に問題が考えられなければいけないんじゃないですか。だから私は、そのときどういう条件になっているのだろう、そういう判斯が当然あるんじゃないか、あった上での話ではないか、こういうようにお聞きしているわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあこれから先、四年もあることですから、いろいろの御意見も聞きますけれども、ただいま私はどうも非常な変化があって、これが改正するというような時期にはならない、かように私は一応の予見をしておるわけであります。その予見がとやかく言われるようですから、どうもこの予見は予見なんだから、そうしてまたただいまその問題じゃないんだから、ただいまの問題じゃないんだから、ただいまの状況において私は予見をしていると、それ以上の批判をされることに実はややわずらわしさを感じているのです。それを先ほど来申し上げておるわけです。
○稲葉誠一君 あなたはわずらわしいと言われるかもわかりませんけれども、国民はそうは考えないんじゃないですか。それはおかしいですね。あなたが予見されるというならば、その予見される、いまの情勢と変わらないと言うのでしょう。その変わらないという根拠をやはり示さなければ、国民はあなたのことばとして納得しませんよ。それをどう判断するかは別です。どういうあなたの考え方のもとに、いまの情勢と一九七〇年代、そのころの情勢とが変わらないのだという具体的な理由を示していただかなければ納得しないですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの三、四年の状態なんですが、とにかくアジアに非常な変化があると私は思わないのです。たとえば、私どもは核兵器は一切持たない、こういう立場で憲法の条章を守って、そうして、防衛的な立場で安全確保のために努力を払っております。しかしながら、各国の事情はそれぞれ違うのでございますから、現に隣の国中共では核武装もすると、こういうような状況になっている。これはもう明らかに私どもが期待する方向でない方向へ進んでいる。これは社会党の諸君もお認めだろう、かように思います。かような実情等を考えて、私はただいまこれを変更しなければならないような情勢はまずない、かように私は考えて、ただいまのような予見をしておる。これについての御批判は、これは御自由ですが、私はさように予見し、また、政府もそういう予見のもとに立ってわが国の安全の確保に最善を尽くしておるわけです。
○稲葉誠一君 そうすると問題になってくる。あなたの言われておる中で、一年ごとに、十年たって一年ごとに、何といいますかもどうこうというようなことは十分でないんだと、そういうようなあなたのお話がきのうありましたね。そういう意味じゃないんですか。どういう意味なんですか。十年たった後ですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうもお尋ねが私はわかりませんが、十年の間これできちんと一つの何で一切動かさないというものでもない。私はやっぱり十年たつうちにも、これは詳しく言えば刻々にも情勢が変わってくる それに対応していかなきゃならない、かように思いますから、その好ましい方向にすべてがいくならこれはまた別だ、かように私は思います もう 一ぺんきめたんだから、世の中がどんなにあろうともこの軌道でいくんだ、かように私は申しておるわけではございません。そこら誤解のないように願いたい。
○稲葉誠一君 いや、十年たってそのままでいけば、新たな期間のきめ方をしなければ、一年ごとに両方から通告できるわけでしょう、廃棄の。そういうことでは不十分だという意味のことをあなたおっしゃったんじゃないですか。そのことを聞いておるわけですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおり申しました。これはやっぱり一国の防衛計画は長期であることが望ましい。日本のほうは断わらないにしても、相手が断わるということもありましょうから、それではやはり防衛計画が立たない、かように私は考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、結局いわゆる自動延長という形でいかないで、ある期間をきめた形で、そして一九七〇年後に安保というものを考えたいんだと、こういうふうな意味にとってよろしいわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 期限がきたら、どういうような具体的方法で長期の防衛計画に対応する安保条約であるか、こういうことを考えようということでございます。これが、私はいろんな方法があるだろうということを申して、それがいろいろ誤解を招いておるようですから、それらの点はなお検討した上で、そして最終的に決定をするようにいたしますが、しかし、その方法がいろいろあるんじゃないかということを昨日は申したと、かように思っております。
○稲葉誠一君 誤解を与えているというのはですね、それはあなたの言われるように、期限がきたら新しくまた期限をきめたものを結ぶんだと、結ぶというか、そのときにどういう形でするかという意味のやり方に実はいろいろあるということは言っておられるんだけれども、あなたは自動延長という形ではないんだと、それでは一年ごとに廃棄ができるから非常に不安定なんだからそういう行き方はとらないんだと、こういう意味のことを言っているんじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、私は、どこまでも防衛計画としては長期なものが好ましいのだと、それに対応する防衛体制をつくるんだと、これに合致するようなものをくふうしていくわけであります。その点で、ただいまのようなものがどういう方法がいいのか、そのときに十分考えさしていただきたい、かように思います。
○稲葉誠一君 そのときに、十分考えるというときに、伝えられるところでは、いわゆる共同声明だとか、まあいろいろ出ておりましたが、どの程度あなたが考えると言われたのかは別として、国会の、これだけ重要な問題ですから、国会の意思を十分聞く、あるいは国民の意思を十分確かめるというか、聞くと、こういう行き方をして、安保の一九七〇年代のそのときに処するのがぼくは、法律論は別として、民主政治として正しい行き方ではないかと、こういうふうに思うわけです。それについての御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われる点は、私も最善の方法を尽くして国民の納得いくような方法をとりたいと、かように私も思います。
○亀田得治君 ちょっと関連。ほかの問題に移るようですから、一点だけお聞きしますが、総理の基本的な考え方は、安保のようなものはなくて済むものならいいというのが原則的な立場のように、せんだって西田君の質問でしたか、まずそのことを言われておるのですが、それはそういうふうに理解していいですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのはどういう意味ですか、世界の平和が確立されると、かような立場での御発言ですか、あるいはわが国の安全確保と、こういう意味から見れば、私はむしろ一国の安全確保はみずからの手でやる、これが本来あるべき姿だと、かように私は確信をしております。他国の庇護だとかいうことでなしに、独立国家としてはみずからの安全はみずからで確保していく、みずからの力で、これが望ましいことだ、かように私は思っております。また、そうあるべきだと思います。これは別に日本が好戦的だとか、あるいは戦争主義に堕すとか、あるいは拡張主義だとか、こういう意味では毛頭ございません。日本の憲法のもとにおいての防衛といいますか、そういうものもみずからの力でその防衛の任に任ずる、しかもこの国の安全を確保すると、こういうことでありたい、かように私は思います。しかし、ただいままでの戦後の状態では、日本自身の力で日本の安全を確保するというのには不十分を感じております。そういう意味においては、私は日米安全保障条約というものはないほうがいいんだ、みずからの力でこの国を守る、こういうことであってほしい、かように思っておる次第でございます。
○亀田得治君 私たちと多少出発点が違いますが、安定がなければ、なくて済むものならいいというその結論だけはやや近い点があるわけです、原則的な問題として考えた場合にです。そこで、総理のせんだってからの発言に私たち非常に疑問を持つんです。そういう原則的なことを総理自身が一方で考えておられる。腹の中でちゃんと持っておられる。しかも一九七〇年の事態についての情勢分析、これはいろいろあるわけですね、各方面のいろいろな意見が。総理はあまりはっきりそこの点の認識は持っておられなかったようでありますが、稲葉君から闘い詰められて、いや認識がはっきりしておらぬのだと言うたんでは、これははっきりしないままで何でそういうことを言うのかと、こうなるものですから、無理やりに現状とたいして変わりないだろうというふうなことを言われたようにどうも感ずるんです、このやりとりを聞いていて。だからその点もある程度私は間違いないと思うんです、その点は。それが第二。それからもう一つは、まだ四年先なんですね。そうして国会で承認を受けたのは、外務大臣が事務的な立場で説明されておるようなものは国会で承認を受けている。私はそういう三点を考えますと、この時点においてどうして総理大臣があのような進んだことを言われるのか。これは私だけじゃないですよ、政府の相当えらい人の中でも、どうしてああいうことを急に言い出したんだろうと、与党質問だったから多少気がゆるんだんだろうとかなんとかいうことを聞きますけれども、これは一様に不審、疑問を持つところなんです、疑問を。で、自民党内には二つの流れがある。この安保体制ではどうも弱い、もっと強いものにして、そうして核兵器の問題等についてもあまり制約を受けないような、そういう立場で考えるべきじゃないか、これはそういう意見がちゃんとあるわけです。しかし、それは大勢ではないだろうと思います。まあ現状のままでいいじゃないかというような意見もあります。いずれにしても、根本原則が、安保がないほうがいいということをせんだってもおっしゃった、ただいまも確認されておる。それから一九七〇年の情勢分析というものは、これはだれがおやりになってもなかなかむずかしい。総理大臣一方的にやむを得ず断定されましたけど、それはもうなかなかちょっと、そう簡単にはいきません、これはね。しかもこの国会を通り、国民が非常に、反対は一方ではあるが、一応命法的に通ったものは、その一九七〇年の段階では、外務大臣が説明したようなこと以上は言うてならない状態なんです、国会を尊重するとしたらね。そういうときに、なぜそういうことを言うのか、私たちの憶測でありますが、やはり安保の問題について徐々に国民に強い姿勢で改定していくことをこう、少しずつこう納得させていこうというふうな腹づもりが、これは自民党のそういう非常に強い意見を言うておる諸君は、絶えずそういう意味のことを言うていますよ。どうも総理大臣になる前はえらい強いことを言うておるが、なってしまうと、どうも少しこうやわらかくなるとか、そういうようなことを多少、しょっちゅう言っておるわけなんです。そういうことが響いて、ああいう発言になったものではないか、その辺のほんとうのこう心情、えらい人ですら、何でああいうことを言うたんだろうか、これはみんなそういうふうに思うておるのですよ、そうですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は断定的なことは言わなかったつもりです。いずれ速記をよく読んでいただいてですね、これはいずれ四十五年のことだから、そのどういう処置をするか、それはまた考えたらいい、こういうこともあり、ああいうこともあるということを申したと思います。しかし、私は一国の国防の計画は、これはやはり長期のものでなければならぬ、このことだけはぜひ理解してほしいというようなことは、このほうは断定的に申しましたが、ただいまの、四十五年になった、どういう処置をとるか、どういう手続をとるかというようなことは、私は断定的には申しておらないつもりですが、よく速記を読んでもみましょう。
○稲葉誠一君 いまの問題はですね、ほかに質問をして、また返ってくるかもわかりません。 そこで問題は、沖縄が攻撃を受けたときに、一体日本はどうするのかということですね、このことをお聞きしたいと思うんですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 沖縄が攻撃を受けた場合には、米軍がこの防衛に当たります。そうして民生の福祉の問題については、日本がこれに当たる、そういう立場になっております。
○稲葉誠一君 いまの答弁でいいですか、いいですか、念を押しておきますから、いいですね。 そうするとあれですか、あなたが、前にというか、沖縄がそれじゃ攻撃をされた場合には、日本としてはですね、それを手をこまねいて見ておるわけですか——ちょっと待ってくれ、総理に聞いているんだから、大事なことなんだから。そんなこと法律論じゃないですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは日米合意議事録で、日本が対処するということでございますから。私は、気持ちの上から申してですね、同胞、その立場について深い同情を持ち、また、一体的な考え方を持っておりますので、そういう点も、これは感情の問題でございますが、十分ひとつ目的を達するように、日米間で協議をしていく、かように考えております。
○稲葉誠一君 そんなこと聞いてるんじゃなくてね、あなたは前に勝岡田さんの質問のときに、日本国民らしき行動をとるんだと、こう言っておるんですよね、言っておるでしょ。それはどういう意味ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま答えたとおりであります。
○稲葉誠一君 あの、私がね、なぜこういう質問をするかということは、これはぼくはほんとうはね、いろいろ意味があるわけですよ。これはあなたは先のほうを読まれて、用心されておるのかもわかりませんけれども、日本国民らしき行動をとるということは、そうするとあれですか、全部それはもう米軍にまかせっぱなしになっちゃうわけですか、戦闘そのものは。それでいいんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま沖縄が置かれておる状況は、私が申すまでもなく、アメリカの施政権下にあるわけでございます。したがいまして、やはり第一次的にはアメリカということだと思います。私どもが、ただいま同胞だと、かように申し、あるいは潜在主権を持っておると、こういう立場でも、これは独自で独断専行というわけにはいかない、この点を申し上げておるわけです。
○稲葉誠一君 一次的にはアメリカが守るのは、まあ話はわかりました。そうすると、日本はどうするというのですか、そうすると。そこ大事なところなんです。これは沖縄の島民が一番心配していることです。それは横須賀や佐世保と違うわけですよ。あとで聞きますけれども、沖縄の場合はどうするのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来申しますように、私どもも日本人、また沖縄同胞もこれも日本人、そういう立場において私どもはこれを見殺しにするというわけにはいかない、私どもがこの日本人として当然なすべきことはする、しかし、この場所が第一義的に施政権下にあるのだと、アメリカの施政権下にあるのだ、こういうことを十分考えてわれわれは行動するということを実は申しておるわけなんです。だから、いまにも私どもは飛んでいきたいような気がする、そういう事態でございますよ。そういうことがさらに法律的にどうなるかということもありますから、法律的にもよく十分検討していただきたいと思います。その辺は法制局長官に答えさせます。
○稲葉誠一君 法律的に検討するのも必要だと思いますがね。沖縄は日本なんでしょう。日本の国土が攻撃を受けたときに日本は手を出せないわけですか。自衛権の発動ができないというわけですか。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。総理が申されましたように、沖縄の地位との関連を除いてこの御答弁をするわけにまいりませんので、私が一応お答え申し上げます。 御指摘のように、沖縄はわが領域であり沖縄の住民はわが国民である、したがって、そこに対する武力攻撃があれば、これはわが国に対する武力攻撃だということで、そこには自衛権というものが成立をいたします。しかし、御承知のように、これも十分に御承知のように、沖縄につきましては施政権がございまして、沖縄に対する武力攻撃に対処するというとともまたその一部をなしております。したがって、総理が言われましたように、その武力攻撃がありました際に防衛の衝に当たるのはアメリカ合衆国であるわけです。で日本は、実はいま申しましたような施政権がアメリカにあるというそこが日本の固有の領域とは現状は違っておる。そこで、アメリカ合衆国の施政権のもとにあるわけでございますから、アメリカ合衆国の施政権がこれを許せば、それは話はまた別でございますが、施政権のあるという前提において考えますときに、武力攻撃に対処するのはアメリカであるとこれは言わざるを得ない。もしもアメリカ合衆国がこの施政権の作用として日本国の防衛自体についてまた別段のあれがあれば、これは話は別でございますが、原理、原則としては、いま申し上げたようなことにならざるを得ない、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 これはいろいろ誤解を招いたりなんかするぼくは質問になると思うのですがね。ぼくも用心しておるつもりです。そうすると、あれですか、沖縄がかりに、沖縄の基地というのは、これは横須賀や佐世保と違うのですか、性質が。
○政府委員(高辻正巳君) 沖縄における施政権のもとにある状態と、それから日本の安全保障条約上の施設、区域にある部分と、それは言うまでもなく、当然に法理上の性格が違います。
○稲葉誠一君 そういう意味じゃなくて、基地としての性格、防衛的な意味での防衛上における基地としての性格……。
○政府委員(高辻正巳君) おことばの意味が十分に理解できないのですが、この沖縄における状態は、沖縄が施政権を持っておるという施政権の行使の作用としてそこには出てまいるわけでございます。日本の本土内における施設、区域は、これは安保条約の規定するところに従ってアメリカ合衆国の軍隊がこれを使用できる。これはまあ条文そのままを申し上げたようなものでございますが、要するに、そういう違いであると考えます。
○稲葉誠一君 そうすると、沖縄が攻撃されたときに自衛隊としては沖縄へ派遣、派兵というか、それはできないわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) 日本の国民の保護という立場で出動したいという態勢がございますが、法律、条約のもとにおいては直ちに、自衛隊が日本国内における出動命令のままで出動することはできません。
○稲葉誠一君 何か、いまの何ですか前のほうは、改正したいというのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 第一義的には自衛隊が直ちに出動するという態勢ではございません。
○稲葉誠一君 そうすると、なぜこういう質問をするかといえば、横須賀や佐世保はいわゆる補給基地なんだと、こう盛んに、言っているわけですね。だから、そこはある国、特定の国から攻撃を受けることはないのだ、こう言われている。いままでね、あなた方の言われるのは。沖縄は作戦基地なわけですわね。核基地になっている。これは議論があるとしても常識的にそういわれている。そこでそこから向こうへ飛び立っていけば、相手方から沖縄はやられる危険性がある。その場合に日本は黙って見ているわけじゃないでしょう。日本人らしき行動をとるということは、結局そこへ自衛隊が出動していって、そのことから日本が戦争に巻き込まれる危険性というものが出てくるのじゃないですか。そういう論理の発展になるのじゃないですか。そうでなくちゃおかしいじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖縄はただいまはアメリカが施政権を持っておる。横須賀や佐世保は日本がりっぱななにですから、これは迷いますね。だから、その施政権下にある、外国の施政権下にあるところとないところ、これはもう別だということがまず一つ。そうして、だから沖縄が攻撃された場合に、それじゃこれをわれわれは見過ごしているかというと、沖縄に対する潜在主権もあるし、沖縄住民はわれわれの同胞だ、こういう立場でございますから、それは私どももただ腕をこまねいて見ておる、経済協力ばかりだと、こういうようななまやさしいものじゃないと私は思います。だから、そういう意味で、これに対して第一義的にアメリカがこれを守るにいたしましても、私どもも沖縄同胞のために、日本人らしくその一体としての防衛の任に当たる、こういうことは考えられるだろう。それはアメリカと私どもが十分相談することだ、協議を遂げることだ、これを協議なしに、これは日本だということで私ども飛び出すわけにはいかない。しかし、この希望を述べれば、必ずアメリカも私どもを入れてくれるだろう、また、入れさすつもりでおりますよ。そういうところがやっぱり日本人らしきことをやると、かように私は思います。その点はそれでいいだろうと思いますが、そういう場合に、その結果、日本がそれに防衛をしたら、今度は日本が戦争に巻き込まれて攻撃を受けると、こういうことになるのじゃないか、こういう事態を御心配のようですが、それはそのときにならないと、これは私わからないと、かように思います。
○稲葉誠一君 そのときにならないとわからないということは、あれですね、あなたのお考えを突き詰めていけば、日本が戦争に巻き込まれる危険性があるということも考えられるということになりますね。ならざるを得ないですよ、あなたの考え方でいけば。当然ですよ。——ちょっと待って。総理の考え方だ。あたりまえですよ、それは。それは沖縄に核基地があるからですよ。核がないとしても、軍事基地があって、作戦基地があって、それからベトナムやなんかへ飛んで行っているからじゃないですか。そこに問題が出てくるのではないですか。当然ですよ、論理の帰結として。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの問題で、これはいろいろ御議論もあると思いますが、しかし私は、沖縄の同胞に対しまして、私どもそれを見のがすわけにいかぬ、かように考えております。したがいまして、同心にまた沖縄が軍事基地である、こういうことを御指摘で、これが戦争への危険だと、かようにも言われますが、同時に、これは軍半基地であることによるいわゆる戦争抑止力、これも見のがすわけにもいかぬ、私はかように思います。
○稲葉誠一君 問題が前の問題とあとの問題、二つあるわけですけれどもね。しかし、どうなるかわからないというのは、ぼくは総理として非常に無責任だと思いますよ。これはおかしいじゃないですか。ぼくは、沖縄に基地があって、そこでそれが攻撃されることから、だから戦争に日本が巻き込まれる危険があるんじゃないか、こういう質問をしたわけです。そうしたらあなたは、そのときになってみなくちゃわからぬ、どうなるかわからないと言うから、どうなるかわからないということは、それは場合によっては戦争に日本が巻き込まれる危険性があるんじゃないかと、論理の発展で私は聞いているわけです。そうなるんじゃないですか。——いやいや、総理と防衛庁長官と話は違うんですよ。あなたの話を聞いているとそうなりますよ。ならないんならならないで理由を説明していただきたい、わからないんならわからないで。——ちょっと待ってください。総理に聞いている。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私にはそこのところがわかりません。
○稲葉誠一君 わからないというのはどういう意味ですか。戦争に巻き込まれるかどうかわからない、こういう意味ですか。それならそれでけっこうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、そういう事態のときにどうなるか、それがわからないと申しておるのです。
○亀田得治君 委員長、ちょっと議事進行。これは稲葉君も一定の時間で大事な質問を非常にしぼってやっているんです。同じことを何回も繰り返しておると質問者が非常に困る、そんな、わからないというようなことでね。そういうことはないというのか、一部そういう危険性があるという意味なのか、これはやはりはっきりしてもらいませんとね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がわからないということを申しましたが、しかし私は、この沖縄に米軍がいること、これは戦争抑止力が十分にあると、かように私は確信をいたしておりますので、さような事態、私は戦争に巻き込まれるということはないと、かように私は思っております。
○亀田得治君 そうすると、先ほどの答えは訂正されるわけですね。さっきはわからぬ、わからぬと二回おっしゃっておるわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまあまりにも仮定的な話ですから、先ほどのように答えましたが、しかし、この点がもう仮定でないとおっしゃれば、ただいまのように最終的な結論を申し上げておきます。
○亀田得治君 そうすると、これは委員長、どうなんです。最終的な答えと、こうおっしゃるから、当然前のやつは不明確だからこれは間違っておると。正確に言えば間違っておる。取り消しというのは非常にかどが立つからそういうふうに言われたんだろうと思いますが、そう理解していいですね。——委員長からはっきりしておいてください。こういう大事な質問……。
○委員長(石原幹市郎君) それじゃ答弁がないようでありますから……。
○亀田得治君 私は取り消してもらったほうがいいと思っておる。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はまあただいま申し上げたように、戦争抑止力を確信しておりますから、そういう事態については心配はない、こういうことを申し上げました。これとぶつかるような答弁がありましたら、それはいかようにでも御自由にひとつしていただきたいと思います。
○亀田得治君 これは委員長に注文。議事進行。委員長どうする。御自由にしてくれ——委員長調べて訂正してください。
○委員長(石原幹市郎君) 総理が最終的に答弁をされたのでありますから、それが答弁であると私は解すべきであると思います。
○亀田得治君 矛盾するところがあれば適当に処理してくださいということをおっしゃっておる。速記録をちょっと調べてください。
○委員長(石原幹市郎君) 私、ただいま申し上げましたように、総理が最終の答弁をされたんでありますから、それが総理の答弁であると、こう考えていただいていいと思うのであります。
○小林武君 それはおかしい。総理があそこまで言ったんだから、その取り扱いは、委員長がやることですよ。
○委員長(石原幹市郎君) それじゃちょっと速記とめてください。 〔速記中止〕
○委員長(石原幹市郎君) 速記をつけてください。 ただいまの問題につきましては、私よりもお答えしたところでありまするが、なお速記録を調べて、食い違いがあれば善処いたします。
○稲葉誠一君 海外派兵ということが、憲法なりあるいは自衛隊法、国連軍との関係で問題になっているわけですね、近来。そこで私はやっぱりこの概念が非常に不明確なわけですよ。これはやっぱりいけませんから、議論が発展しませんから、だから佐藤内閣なら佐藤内閣として、海外派兵というのは、これはどういうことなのか、はっきりした統一見解といいますか、はっきりしたものを出していただきたいと思う。それに従って質問していきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 海外派兵というのは、武力を行使する目的を持って武装して外国の領土に出かけることだというのが、いままでの統一した見解であります。
○稲葉誠一君 そうすると、それに似ているけれども違うものというのは、どんなものがあるのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 非常に明快で、違うものはございません。部隊が武力行使を目的として外国領土に出かけること、これがもう明快で、これにまぎらわしいものとか、これ以外にいままで話をしたことはございません。
○稲葉誠一君 それでは、いままで国連軍という名前——これはいわゆる国連軍かもしれませんね、それで出ているのありますね。いや、日本じゃないですよ、朝鮮とかスエズとかコンゴとか、そういうふうなものに日本の自衛隊が——自衛隊法は別ですよ、自衛隊法は抜きにしてですよ、自衛隊法じゃできないとなっていますから抜きにして、憲法でそれに参加することができるのかできないのか。いわゆる国連軍として、いままでの具体的な例によって一つ一つ説明してくれませんか。
○政府委員(高辻正巳君) お答えを申し上げます。海外派兵という概念は、どうもはっきりしないというお話がございまして、ただいま防衛庁長官お答え申し上げましたが、お説のように海外派兵ということばを使いますが、その概念必ずしもさだかでない。ただ、御承知のことと思いますが、この海外派兵という概念の発達の経過をたどってみますと、これはもう御存じのように、自衛権の限界問題に関連して出てきた問題でございます。その自衛権の限界との関連で、何らかの武力行使を行なう目的を持って外国の領土に上陸することであるとか、いま防衛庁長官言われたような、そういうたぐいの答弁がいままでもございます。大体そこから推測されるようなことであろうと思います。ところで、御指摘の点でございますが、国連軍というのも、これはさだかでございません。いろいろなかっこうがございまして、一がいに何とも言いかねるわけでございますが、国連の関係で申せば、まず最初に出てまいりますのは、例のレバノンの監視団の監察機構に参加するというようなものが一つ出てまいると思います。これは個々の自衛官が、部隊を編成しないで、かつ平和的な目的のために海外に派遣される場合でございますので、自衛隊の海外派兵というような概念には、まず当たらぬだろうと思います。しかし同町にまた、たとえば朝鮮国連軍のように、国連の勧奨ということはあるにいたしましても、それぞれの国がそれぞれの意思と責任において武力の行使を目的とする行動をするというようなことになれば、これはやはり国連の活動と大まかには言えますけれども、やはりそれに参加することは、海外派兵に入るんではないかというようなふうに考えられます。そのほかにもいろいろなタイプがあると思いますが、典型的な二つの例について申し上げれば、そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 私の言うのは、朝鮮戦争の場合は別として、その他はいわゆる国連軍としての出動の形式がいろいろあるわけでしょう。スエズの場合もある、コンゴの場合と、いわゆる監視団という形で出ておるのは五つあるわけですね。それらに参加するということが、海外派兵になるのかならないのか。自衛隊法では、いまの段階ではできないことになっている、憲法でそれができるのかできないのかということを聞いている。朝鮮戦争の場合はできないというのでしょう。そのほかの場合はできるのですか。一つ一つ例をあげて、それに参加できるなら、憲法上許されるならば許されると、その根拠はこうなんだと、そいつを説明してください。
○政府委員(高辻正巳君) 国連の活動というのは、御指摘のようにいろいろあるわけでございます。ところが、わが国の関係におきまして、現実の政治面で具体的な問題になったということは、これはレバノンの例を申し上げた例が一つでございます。したがって、レバノンの監察機構の参加という問題については、現実問題といたしまして、これは一九五八年だったと思いますが、われわれも十分な検討をいたしました。で、その結論が、いま申し上げたとおりでございます。ところで、ほかのものはどうかということになりますと、これはどうも簡単にこれはこうであると言うには、かなりやはりものによって違うようでございまして、それをまあ、私どものほうの立場からして、一つ一つ例をあげて、きわめて正確に申し上げるのはいかがかと思っております。要するに具体的な問題について、それについて十分な検討を加えて、それに従って憲法との関係について判断を下すというのが必要なことでもあるし、それで足りるものであろうというふうに考えております。
○稲葉誠一君 それはあなたのほうがそういうふうに必要だと、こう言うだけの話であって、私どものほうでは、国連のいわゆる協力の問題が発展していって、それでいわゆる兵力提供の問題になる危険性が非常にあるわけですよ。ですから、いまの段階で、過去に起きたそうした監視団が五回あると、あとはいわゆる国連軍というものが何回かあると、それらのものに日本の憲法として、自衛隊が一体参加することが許されているのか許されていないのか、当然それらのことは研究してあるはずだと思うのですね。だからそれを一つ一つ、これは許されるのだと、こういう点で許されるのだと、こういう点で許されなかったのだと、こういうふうに説明を願いたいと、こう言っているわけです。
○政府委員(高辻正巳君) いまお話ししましたように、これについては許されなかったのだというような現実、具体的な問題がありませんでしたために、これについては憲法上疑いがないから出てよろしい、これについては憲法上大いに疑問であるから出てはいけないというようなことをやったことがないのでございます。それは先ほども申し上げましたように、現実の政治面における具体的な問題として出ておりませんので、そういう結果になるわけです。しかし、それでは御満足がいただけないようでございますから、ごく憲法の荒筋から申し上げれば、国連の一つの軍事組織として……。
○稲葉誠一君 だからね、一つ一つ例があるでしょう。一つ一つ例ごとに説明してください、と言っているのですね。
○政府委員(高辻正巳君) その中に実力の行使を要素として、その組織の任務と権限の中に武力の行使が入っているというのと入っていないのと、これで相違がつくだろうと思います。具体的な例につきましては、私は十分に承知いたしておりませんので、ほかの政府当局からでも御説明申し上げさしていただきたいと思います。
○政府委員(星文七君) お答え申し上げます。朝鮮軍のほかに、中近東派遣の国連軍というものが一つございます。それからコンゴ国連軍、それから西イリアンの保安隊、それからサイプラス国連平和維持軍、それから軍事監察団といたしまして、インドネシアに関する領事委員会の軍事監察団、インド・パキスタンの軍事監察団、それから国連インド・パキスタン監察団、パレスチナの国連休戦監視機構、レバノンの国連監視隊、イエメンの国連監視団、そういうものがございます。
○稲葉誠一君 それと憲法との関係だよ、日本の。そんなことを聞いてるんじゃない。
○政府委員(星文七君) 憲法との関係につきましては、法制局長官より……。
○稲葉誠一君 具体的に一つ一つ答えなさいと言っているんですよ。だめですよ、それは。一つ一つ答えてくださいと言っているんだから。例をあげて一つ一つ答えなさいと言っているんです。朝鮮戦争以外は、憲法上参加してもいいことだったんだと、こう言うなら、それはそれでも一つの答えですよ。これは大きな問題になってくるんですよ、これから。問題としてはっきりしてるんじゃないですか。
○政府委員(高辻正巳君) 要するにこの問題は、国連の組織の任務なりあるいは権限なりの中に、武力の行使、兵力の使用、そういうものが入っているかどうか。もしも国連の活動の任務、権限の中に武力、兵力の使用というものが入ってない、もっぱら平和的目的のためにするものであれば憲法、少なくとも憲法九条との関連は生じない。しかしまた反対に、その組織の任務や権限の中に兵力使用というものが入っているのなら、これは憲法九条との関係で問題になる、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 そういうことはわかっている、具体的に全部あげて、憲法との関係を説明しなさいと言っているんです。このぐらいの研究はしているはずですよ。
○政府委員(高辻正巳君) それは先ほど申し上げました。それだけ申し上げればおわかりになるはずだと思いますが、たとえば先ほどあげた朝鮮の国連軍、これはいいとおっしゃいますけれども、これなんかは……。
○稲葉誠一君 だれがいいと……。
○政府委員(高辻正巳君) いや、先ほど仰せになりましたように、朝鮮国連軍はよくわかったと仰せられましたが、その朝鮮国連軍の性格は先ほども触れましたが、そういうたぐいのものであるからいけないということになります。で、そのほかのものは、それぞれの任務と権限を調べれば、いまの尺度に照らして明瞭に答えが出るわけでございます。で、その中身がどうであるかということは、いま直ちに、この国連はこうであった、この国連組織はこうであったというのをあわせて申し上げなくても、それでおのずからわかるんではないかというふうに思います。
○亀田得治君 議事進行。大体、質問に対してもう少し、調べてないなら、調べて明日答えるとか、何も要らぬことを聞いてるわけじゃないんですから、重要な問題だから、原則だけをあなたが言うて、あとは応用問題だというような、そういうけしからぬ言い方はないですよ。一つ一つこの応用問題をやっていくと、なるほど原則も間違ってるという場合も出てくるわけですからね。それで厳密にこれは聞いてるわけなんです。これだけ問題になってる事柄ですから、何も数はそんなに多くあるわけじゃない、いま外務省から言ったようにね。それをあなた自身で自分の原則を適用してきちっと答えてください。そうしないと——質問者が立たないでしゃべってる、こんなことは不正常ですよ。委員長、そういうことを許しちゃいかぬ。(笑声)それは答弁者が悪い。
○政府委員(星文七君) ただいま法制局長官がお答えになりましたように、武力の使用を主たる目的とした国連軍、朝鮮戦争でございますがこれ以外は私はほぼ長官の言われたような尺度から申しまして、憲法に違反するものではというふうに考えますが、しかしそれでもたとえばコンゴ国連軍のごときは、途中からカタンガの進駐というようなことを始めまして武力行使をやりました。そのほかの、たとえばレバノンの監察団とかあるいはインド・パキスタンの軍事監察団、こういったものについては、長官のおっしゃったような尺度から言えば、憲法に違反するものではないというふうに私は考えます。
○稲葉誠一君 なぜ聞くかと言えば、いまあなたがお答えになったように、あなたもほぼということをおっしゃったけれども、ことばじりをとらえるわけじゃないけれども、それはたとえばコンゴの場合でも、あとからちゃんと戦争をやっているわけです。出て行くときは違うわけです。戦闘の目的で行っているわけじゃないのです。スエズの場合だって、あとからこれは戦闘任務が付加されて、現実に戦闘をやっているわけですよ。だから出て行くときには憲法違反でなかったとしても、それはあとからになってくると戦闘をやるようになってくるわけです。そういう問題が含まれているから、それを一つ一つ内容を検討して、それと日本の憲法との関係を明らかにしなくちゃいけないのじゃないかというのですけれども、最初からそれを言っちゃうとあれですから言わなかったのですけれども、(笑声)時間の関係があるものですからね。それで聞いているわけですよ。だからいま言ったように、じゃこれは資料として要求します。一つ一つの国連軍と称するもの、あるいは国連監視団が五つありますね。国連軍と称するものが大きく三つですか、その他にもあるかもわかりませんが、それのおのおのの態様、経過、あるいはそれの日本の憲法との関係、これらのものを法制局と外務省とよく研究して、的確な資料として出してください。それではいまその質問は一応これでほかへ移りますから、その点確かめてください。
○政府委員(星文七君) お答え申し上げます。いままでの国連軍ないし監視団あるいは警察軍、こういったものの事例につきましては、資料を提出いたします。
○稲葉誠一君 もう一つやはり一番大きな問題は、国連憲章の四十二条できめている、いわゆる強制措置——強制措置ということばがはっきり出ていませんが、いわゆる強制措置ですね、これと日本の憲法九条との関係ですよ。これが一番大きな問題になってくるわけですね。この点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(高辻正巳君) 国連憲章の四十二条は、例の国連の空軍、海軍、陸軍の行動を安全保障理事会がとることができるという規定でございますが、これは御承知のとおりに、その兵力の提供は、特別取りきめになっておりまして、それによって各国が兵力を出してやろうということになっておりますが、これもまた御承知のように、現実にはそういう協定は一つも取り結ばれておらなくて、四十二条が発動するという現在の状況ではないわけでございます。おそらくは、そうではあるけれども、もしそれがかりにできた場合には、憲法との関係はどうであるかという御質問でございますように想像いたしますが、まあ要するに、これもまた大きな仮定の問題で、現実の政治面から見れば具体的な問題ではございませんので、これを特にせんじ詰めて申し上げることもないようにも思いますけれども、御質問でございますのであれすれば、要するに国連の警察軍という中で武力の行使を中心とするものの範疇に入るわけでございます。ところでこれについては、たしか三十一回国会以来だったと思いますが、あるいはそれは違っているかもしれませんが、例の一方、憲法には、全世界の国民が「平和のうちに生存する権利を有する」ということがございますし、また一面、平和を維持しようとする国際社会において、日本国民は名誉ある地位を占めたいと願うという前文があることも御承知のとおりでございますが、そういうことから申しまして、もしも将来全国民の平和のうちに生存する権利を保障する国際団体というものができて、その国際団体が、その社会内における平和に対する破壊を回復するために兵力を行使するというような場合には、これに兵力を提供することが、必ずしも憲法九条に違反するというふうには当たるまいということも、実はかねがね申してまいっております。そうなりますと、実はそれとの関係がどうであるかという一点に帰着するように思います。ところで、いまの国連というものがそういうふうに見られるかどうかということにつきましては、これまた思いつきではございますが、安保条約の十条の一項に、安保条約の効力自体につきまして、「日本区域における」云々というような規定がございますが、ああいうものが実現されていると見ていない現在においては、少なくもこれと同視はできないというように考えるのが当然であろうと思います。ただし四十二条は、いまも申しましたように、現在時点においてそれが発動することがあるわけではなくて、将来において発動するわけでございますから、その時点においていまの点を考えなければならぬだろう、こういうふうに思います。
○稲葉誠一君 将来の問題と言いますけれども、国連に加盟するときに、国際連合の憲章は、日本の憲法とどういう関係になっているかということを十分に研究してないのは、おかしいはずですね。ぼくはそれをおかしいと思うのです。なぜ私がこういうことを言うかというと、政府の考え方を聞きたいわけです。これは総理に聞きたいのですけれども、国連というのは、武力行動をやります場合でも、それをいわゆる戦争をやっておる、こういうふうに考えてよろしいのですか。そこが非常にむずかしい問題なんですね。どう日本政府は、それを考えて国連に入り、いまでも考えておるかということです。国連の行動ですよ。これは戦争をやっているのかどうか。そこのところは、どうなのかということです。武力行動というものが、戦争とみなされるのかどうか。
○政府委員(藤崎萬里君) 国際連合が軍事的な強制措置をとりました場合に、国際法上の戦争として取り扱われたことはございません。
○稲葉誠一君 なぜ国連の強制措置は、戦争ではないのですか。
○委員長(石原幹市郎君) 条約局長。
○稲葉誠一君 ちょっと待ってください。外務大臣何か答えられませんか。
○委員長(石原幹市郎君) 条約局長を指名しましたから。
○政府委員(藤崎萬里君) 国連憲章には、御存じのように戦争とか中立とかという観念がございませんで、平和を破壊するもの、侵略者、それに対する強制措置ということで、まあ悪いことをするものに対してはこらしめるという立場で貫かれておりますから、伝統的な国際法上、まあ戦争というものを客観的に見まして、その戦争の当事者である交戦者と、それに加わわらない中立国というものを、冷ややかに権利義務関係を処理するというたてまえに、憲章全体がなっておらないわけでございます。
○稲葉誠一君 そういうことになると、この国連の強制措置に加入しても、入っても、日本は交戦権を行使したことにはならない、こういう解釈になるわけですか。
○政府委員(藤崎萬里君) いまの御質問の出発点になっております第四十二条が発動されます場合には、これは国連の行動でございまして、それぞれの加盟国の名における軍事行動じゃございませんから、各国が交戦権を行使しておると観念すべきものじゃないと思います。
○稲葉誠一君 なぜ私がこういう質問をするかというと、国連のこの強制措置というのは、これは戦争に参加するんじゃないんだ、交戦権を行使するものでもないんだ、それとは本質を異にするのだ、だから、それに参加しても日本の憲法に違反ではないのだという説があるのですよ。これは法制局長御存じでしょう。ぼくは普通の学者がそれを言っているのなら問題にしません。ところが、最高裁判所の長官の横田喜三郎さんがそういう説なんです。だからぼくは問題にしているのです。最高裁の長官が、国連のそういう強制措置に参加しても憲法違反ではないのだということを言っているのです。これは言っている論文は古い論文です。その後はちょっとニュアンスは変わっておりますけれども、大体そういうことを認めている。だからぼくは問題だと思う。こういう考え方で最高裁の長官がいて一体いいかどうか、大きな問題だと思います。これは、ここでの問題は別として、だから私は聞いているのです。だから、政府としては、国連のやっていることは戦争じゃないのだ、国際警察活動みたいなものなんだから、だからこれに参加をするということは、兵力であっても憲法違反じゃないのだという考え方をとっているのかどうか。それをはっきりさしてもらいたいと思います。
○政府委員(高辻正巳君) ただいま御指摘の説がありますことは、私はよく承知しております。それは、いまも言われましたように、横田さんがだいぶ前にそういうことをお書きになったことがございます。それのみならず、そのほかの、これは一部といったほうが当たると思いますが、そういう見解を持っておられる方もおられます。これもよく承知しております。しかし、国連の活動なら一切かまわないというのも一つの考えだろうと思いますが、少なくも、政府当局が従来考えておりましたのは、やはり日本の憲法の九条というもの及び憲法の精神というものに、そのほうの立場からいえば、かなり徹して、しかし、また同時に、学説としては、全然自衛権ですら問題にしているような学者の説もあるぐらいでございますから、自衛権の行使としての武力の行使、そういうものについても問題にしているようなこともございますし、私どもとしては、最も憲法の精神、平和に徹する精神からいって妥当な考え方であるというので、いままでそういう考えをとってきているわけでございます。しからば、国連の活動でも、さっき申したような理想的な形ならいいというのは、先ほど申し上げたような前文の趣旨等から推して、それはかまわぬことになるだろうということになるわけです。何でもかんでもいいという考え方はとっておりません。しかし、そういう御説があるのも、お考えも一つのお考えだろうと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、いまの日本の政府としては、国連の強制措置は、戦争というか、そういうものもあるし、そうでないものもあるのだ、あとのほうの場合には参加をしてもいいのだ、兵力を提供してもいいのだと、こういう考え方と承ってよろしいですか。
○政府委員(高辻正巳君) いま戦争とおっしゃいますのは、稲葉委員でいらっしゃいますから、これは法律的な概念としての戦争という意味だろうと思いますが、そういう意味では、憲法の九条には、戦争を放棄するということと並んで、武力の行使を放棄することも規定してございます。戦争と並んで規定がしてございます。したがって、武力の行使、兵力の使用というようなことになりますと、やはりわれわれとしては、かなり神経質にならざるを得ない。したがって、戦争でなければ、法律上の概念としての戦争でなければ何でもよろしいというのも一つのお考えだと思いますが、そういう考えはとっておらない、こういうわけでございます。
○羽生三七君 ちょっと関連。ただいまの場合、ずっと先ほど来の法制局長官と条約局長の御説明で、Aの場合、Bの場合、よくわかりました。そこで問題は、かりに憲法上差しつかえないという、そういう解釈で海外へ出ていった場合、その場合に、最初はそういうことであったけれども、先ほど稲葉君の指摘したように、具体的に戦闘行為が起こった場合には、日本の派遣部隊というものは帰ってくるのですか。その解釈だけ一言お聞きしたい。
○政府委員(高辻正巳君) 私はもっぱら理論上の問題を申し上げているわけでございますが、理論上の問題としては、国連の組織の任務と権限の中に武力の行使が入っているか入ってないかということによって——ほかにもいろいろ考えなければならぬ点があるかもしれませんが、そういう点が中心の問題になるだろうと思います。で、お尋ねの趣旨は、そういう任務と権限が入っていないものに、突如として任務と権限が加えられることになるという場合にどうかといえば、これはいまの理論の筋からいえば、途中でなったのだからしようがないということで武力を行使するわけにいかない。これは理論上の当然の帰結でございます。で、そういうものに兵力を出すことにするかどうか、それは政治的な判断によって決すべき問題でございます。
○稲葉誠一君 国連に加盟していて、いまは非常任理事国ですね、常任理事国になった場合には、いわゆる大国として兵力を提供する義務がそこに生じてくる危険性があるんじゃないですか。まあ危険性というか、可能性がね、これが直ちに法律的にそこに出てくるかどうかはぼくも問題があると思いますよ。過去にそういうふうな考え方のもとに国連が動いたことがありますね。
○政府委員(星文七君) ただいまそういうふうな事態が起こったというような事例をあげられましたけれども、私、そういう事態を承知しておりません。
○稲葉誠一君 ちょっとぼくもそこまで資料を持ってきませんでしたけれども、軍事参謀委員会というのがありますね。そこでこの案を練ってあったけれども、表決の結果は、欠席が多くて何かでまとまらなかったけれども、大国は、常任理事国は兵力を提供することが必要になってくるんだと、現実にそういう考え方が国連の中にあるんじゃないのですか。
○政府委員(星文七君) 五大国が軍事参謀委員会というものを使って、そして各国の提供する兵力と取りきめを行なうと、こういうことになっております。これは国連憲章が発効いたしましてからそういう問題が取り上げられたわけですけれども、結局合意に達しなかったというわけで、四十三条と思いますが、四十三条のこの特別取りきめというものは、全然死文化しているというのが今日の状態だと思います。
○稲葉誠一君 ですから、ぼくは直ちにそれを言うんじゃありませんけれども、常任の理事国になった場合には、そうした過去の国連の例からいって、兵力提供の義務がそこに出てくる可能性がですよ、絶対的にそうだというのじゃありませんよ、可能性なり、問題がさらに大きくなってくるのじゃないですか。現実の問題として起きてくるあれがあるのじゃないですか。
○政府委員(星文七君) まず日本が常任理事国となるというふうな可能性、私はいまのところ全然ないのじゃないかと思います。
○稲葉誠一君 それはあれですか、常任理事国になる可能性は全然ないですか。そういう考え方でよろしいですか。
○政府委員(星文七君) 全然ないと申したけれども、御承知のように、憲章改正ということが必ず起こってまいります。そうなってきますと、御承知のように、憲章が効力を発効するためには、常任理事国の批准が必要となってまいります。そういう事態でございますので、一国をふやすとか、あるいは二国を追加する、常任理事国として追加というような事態は、私は近い将来には起り得ないのじゃないかというふうに考えております。
○稲葉誠一君 海外派兵の問題がまあだんだんいまわかってきましたが、アメリカが日本に対して、自衛隊を海外に派兵をしてほしいというようなサゼスチョンといいますか、そういうようなものをしたことが過去にあるのじゃないでしょうか。ということは、いまの段階では、きっとそんなことないと答えるに違いありませんけれどもね。たとえばギルパトリックが三十八年の二月に来たと、いいですか、そのときに防衛庁長官と統幕の議長ですか、会っておるわけですね。そのときの内容は具体的に何かということを聞かれたら、これは札幌の恵庭事件をやっている田中前統幕事務局長、それが、許可がなければ申し上げられませんということを言っておるわけですね。そうして、ギルパトリックがアメリカに帰った後に言っているのは、日本はおそらく朝鮮半島の一部を含む区域を守るのに十分な監視戦力というようなものを持つと期待をしている、そうなれば、韓国にもう一度紛争が起きた場合でも、自分のほうとしてはアメリカの師団を再増強しなくても済むことになる、こういうような話を帰った後にアメリカでしているわけですよ。これは記事にあらわれているわけです。ですから、アメリカとしては日本の自衛隊を何らかの形で韓国なり何なりへ派兵をしたいということを当然考えておったというふうな意味のサゼスチョンがあったというようなことが考えられるのですよね。これはあなた方に聞けば、そんなことはないと、こう言うかもわかりませんけれども、これは常識的にもそういうようなことはぼくは考えられてくるのじゃないかと、こう思うのです。だから、ギルパトリックが来たときに、防衛庁長官なり統幕会議の議長が会っているのですから、具体的にどういう話がそこにあったのか、これは差しつかえない範囲で明らかにしていただければ、そういう要請があったことは出てくると思うのですよ、ぼくは。
○国務大臣(松野頼三君) ただいまお読みになった文句を見てもそういうことはあり得ませんし、私のほうの記録にもそういうものは全然ございません。ただいま稲葉委員お読みになった文句の中にも、いま私たちが海外派兵なんという疑わしいことばはなかったように私も拝聴しました。したがってあるわけが私はないと思います。
○稲葉誠一君 それでは、ギルパトリックと、あなたじゃない、前の志賀さんか、林敬三氏ですか、あれらが会ったときに一体どういう話があったのか。これは防衛上の機密だといわれるならば機密で出しにくいでしょうけれども、ぼくらはそういうふうな話があったと考えざるを得ない、こう思うのですがね。少なくともアメリカとしてはそういう要請を気分的に持っているということは認められるのじゃないですか。
○国務大臣(松野頼三君) おそらく個人的な話であります。しかし個人的な話でも一応メモをとっておりますので、そういうものは私も一応引き継ぎ事項では読んでおります。もちろん個人的な話は公表するほどのものでもありません。したがってそういうものはないと私は申し上げているわけであります。
○稲葉誠一君 それでは、いまここで議論をしていても、それは、あると言うわけありませんからあれですが、そうすると、自衛隊の間接侵略というものの定義というか概念、それを明確にひとつしていただきたいと、こう思うのですが。
○国務大臣(松野頼三君) ただいままでたびたびこの問題は自衛隊法創立以来、しております。それは外国の教唆あるいは援助によって国内に組織的秩序破壊行動が起こったこと、これが第一の間接侵略であります。
○稲葉誠一君 そうすると、その外国の使嗾ですか教唆ですか、それによってその間接侵略が起きた場合に、その外国をたたくことはあれですが、自衛権の発動として考えているわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) その場合の出動は治安出動ということでありまして、治安出動の定義にはそういうふうなことまで書いてありません。そういうものまでは治安出動の規格に入っておりません。それを鎮圧することだけであります。
○稲葉誠一君 いや、外国が日本に来ている場合のことじゃないですよ。外国が外国についての話の場合ですが、それを攻撃するということは自衛権の発動として許されるのかどうかと、こういうことです。
○国務大臣(松野頼三君) もう少しことばを通俗的に言えば、そういうことまで入っておりません。
○稲葉誠一君 日本の場合には、それは自衛権の範囲ではないというわけですね。
○国務大臣(松野頼三君) その間接侵略を鎮圧することまでが治安出動の範囲であります。
○稲葉誠一君 そうすると、その大もとである外国をたたくのは自衛権の範囲ではない。そうすると、アメリカがベトナムでやっておった間接侵略に対してそのものをたたくと、こういうことであると、それは国際法的に自衛権の発動ではないという論理になるわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) ただいま私が答弁いたしましたのは、わが自衛隊における間接侵略の限界についてお話を申し上げた。自衛権のお話の質問にお答えしたわけじゃありません。さらにおたがい話を進めて、時間の節約上、自衛権の範囲ということにもう一ぺん言及しますれば、自衛権の範囲というならば、日本の自衛隊においては、まあ言うなれば正当防衛権、日本の危機を救う正当防衛権が、自衛権の範囲に一番私は説明がやさしいと思います。またこれが正しいと思っています。
○稲葉誠一君 だから具体的に正当防衛といっても範囲が非常に広がる場合もありますから、だから特定の外国が使嗾して、教唆してきて、そして日本に間接侵略があったというときに、その外国が外国にいる段階においてそれを日本としてたたくことが自衛権の発動としてできるかというのです。できないのですか、どちらですか。
○国務大臣(松野頼三君) ことに、海外派兵をいたさないと、私が申し上げた限界をはっきり再び思い起こしていただけば、外国まで私のほうが追っかけていくという観念は今日はないということです。
○稲葉誠一君 海外派兵の問題で、しかしそれが自衛権の発動として海外に行く場合があるわけでしょう、現実に。そういう場合には海外派兵にならないのでしょう。
○国務大臣(松野頼三君) 自衛権の発動といえども外国にわれわれが出かけるということは今日考えておりません。ただ、一般的に自衛権というのは何だというのは、いろんな場合に今日想定があります。ある部隊の部隊長は、みずからの部隊が危険であるというならば、その危険を守る範囲というのはその指揮官の権限であるというひとつの規定というのが、世界中これは共通であります。その行為はどこまでであって、それがおのずから行き過ぎであるか、行き過ぎでないかという判断はあります。しかし、そこの部隊が危険にあるときにそれを守ることは、これは正当防衛権、自衛権だという……。ただ、その話と今日わが自衛隊、憲法における話とはおのずから違ってきております。世界一般にはそう言われております。しかし、われわれはもっと厳格に解釈して、外国まで派兵をするというような自衛権という拡大解釈はしておりませんということを言ってる。
○稲葉誠一君 だけれど、いままで日本がたたかれて、座して死を待つならば、相手方をたたくということはあり得るということは言っていたわけでしょう。その場合には海外派兵であるけれども、自衛権の発動なんだから、だから海外派兵ではあるけれども憲法で許されるのだとこういう論理になるわけでしょう。そうなってくれば、海外派兵という中でも、自衛権の発動だととらえられれば許されるものがあるのだ、そういうことになるのでしょう。
○国務大臣(松野頼三君) ちょっと稲葉委員の話は誘導的なところがありまして、そのときには海外派兵じゃないのです。日本の国を守るためにその基地をどうしてもたたかなければならない。そのときに、日本の国民の生命財産を守るためには、座して死を待つわけにはいかないから、国民の生命のために何らかの措置をとるというのであって、海外派兵と結びつくものではありません。
○稲葉誠一君 そうなってくると、海外派兵というものの概念なり範囲というものがだんだん明確になってきたと思いますね。これは非常に大きな問題になってくると思いますが、この程度にこれはしておいて、ほかの問題に移りたい、こういうふうに考えます。 それは、アメリカ軍が日本にいて、いろいろな権益というか、供与を受けておるわけですが、その一つの例としてあげられるのは立川の近所のところに稲城町というのですか、そこに米軍の弾薬庫があった。これをゴルフ場にすることにした、こういうことが伝わっているわけですが、その経過というのをちょっとお話願いたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 弾薬庫は米軍の提供基地として条約で確定された地域であります。そこに民間から借用しているある地域が今日ございます。旧昭和飛行機工場の地域、それは米軍の提供地でありまして、そこには宿舎及び厚生施設及び幾らかの倉庫というものがございます。民間の提供基地をなるべく早期に民間に返すというのが第一義的な今日までの基地問題の解決の方法でありますので、したがって、その基地を民間に返す、ついては、移転をしてもらいたい、その移転は住宅であり、あるいは厚生施設であり、その厚生施設の内容がゴルフ場であった、しかも、その地域は新たに日本政府が提供することはむずかしいから、米軍の今日使用している地域内に移転をしてくれという移転措置であります。
○稲葉誠一君 そのことは、ぼくはこれは特に問題にしているわけじゃないのです。そこでその土地を、ゴルフ場になっておるのは約二十万坪ですか。この土地をめぐって、これは直接かどうかは別として、厚生省関係のいわゆる重度心身障害児のコロニーの建設をしたい、こういう話があったはずなんです。その間の経過を御説明願いたいと、こう思うのです。
○国務大臣(鈴木善幸君) コロニーのモデルといたしまして、国立のものをとりあえず一カ所建設をしたいということで、その候補地をただいま選定をいたしておるわけでありますが、その選定の条件は、コロニー懇談会の各界の経験者の御意見を拝聴して、一つの適格条件をつくりまして、関東の各県の民生部長の方々に、候補地を推薦をしていただくように、調査をしていただくようにお願いをいたしたのであります。その結果、ただいままでに十四カ所推薦がございます。その中には、ただいま御指摘の多摩の弾薬庫あとはございません。その十四カ所のうち、いろいろ選考を進めてまいりまして、現在静岡県下に一カ所、群馬県下に一カ所、大体候補地が煮詰まってきておりますので、近く決定をしたいと思います。
○稲葉誠一君 そんな、伊豆の山の中か、あるいは群馬の高崎のところでしょう。そういう遠いところよりも、二十万坪もゴルフ場にするならば、そこを重度心身障害児のコロニーにしてほしいという話が——あなた方のほうから正式に各府県に出したものには入ってないかわかりません。しかし、島田療育園の小林園長あるいはその他の方から、ぜひそういうようなコロニーの建設をしてほしいという話があったのじゃないですか。これはあなたのところまでは行ってないのですか、その話は。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私のところには来ておりません。また候補地の一つに厚生省として考えておりません。
○稲葉誠一君 あなたのところに来てないというのは、それはぼくは話がおかしいと思うのですよ。あなたの部下のところには、そういう話が伝わっておるわけですよ。そういう話は聞いてませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) コロニーの候補地の選考は、先ほど申し上げたとおりの方式で選考を進めておりまして、私はさようなことを聞いておりません。
○稲葉誠一君 非常に場所も東京に近くていいということもあって、島田療育園の関係の方はですね、ぜひこれをコロニーにしたいということを念願をしておるということを私どもは聞いておるわけです。それで、その非常に遠いところに持っていくよりは、場所的にもいいんじゃないですか。だから、そういう要望があれば、してあげたほうが私はいいんじゃないかと思う。あまり遠いところに行くよりはと思うのですが、あなたは聞いておられないと言いますけれども、そういう話があるわけですよ。 ですから、これは総理にお尋ねするんですけれどもね、アメリカの軍のゴルフ場、それも必要かもわかりませんけれども——ぼくは必要でないと思っておりますけれどもね、あなた方に言わせれば必要かもわかりませんけれども、それはそれとして、このような重度心身障害児のコロニーというのは、もっと場所的にもいいところへ、わざわざ遠いところへ持っていくよりは、もっと近いところへ持っていって、望みをかなえてあげるほうが、あなたの言う人間の尊重だとか何とかということにも当てはまるんじゃないですか。アメリカ軍のゴルフ場よりは、コロニーに使ってあげたほうが、どれほど日本の国民が喜ぶかわからないんじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのお話ですが、厚生大臣先ほどお答えいたしました、二つ最後に煮詰まっておる。そうして、まあ場所も相当の広さ、五十万坪までいかなくても、相当の広い場所、もう一つ温泉の引けるということが心身障害児等にとってはいいんじゃないだろうか、こういう条件も一つ考えておるようです。で、私が相談を受けまして、私は、どうも温泉も利用できるということは一つのいい条件じゃないだろうか、そういう意味でひとつ考えてみろと、こういうことを申しております。しかし、新しいただいまの御提案でございますから、まあできるだけ広い範囲できめたらいいだろう、かように思います。ただいまのように、温泉というものをひとつ考えられたらどうか。
○稲葉誠一君 時間があれですから、別の問題に入ってまいりますが、これは総理の非常にお好きな憲法の話になって恐縮なんですけれども、これは端的にお答え願いたいと思うのです。あなたはあなたの在任中に憲法を改正しないということを国民の前に明確に断言できるでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これもまあたいへん条件の多い問題でございます。私はかねてから、憲法の問題は、国民の意思といいますか、国民の要望にこたえる、そういう意味でこの改正問題と取り組むのだ、私がどうこうするとか、こういう考え方はないということをしばしば申しております。私は今日もさような考え方でございます。
○稲葉誠一君 それは国民がどうするかというと、これは最終的に決定するわけですね。あらゆるものはみんなそうですよ。それは議会政治なんですから、国民主権なんだから。ですけれども、あなた自身が憲法に対して明確に、これは改正しないんだということを言わないわけですよ。言わないから非常に疑念が出てくるわけですね、国民の間に。守る、守ると言って、何を守るのかさっぱりわからない。どんどん違反の事実を積み重ねていくんじゃないかという疑念が出てきて、痛くない腹を探られて——腹ということばは悪いですけれども、おなかと言いますか、探られてもいけませんから、むしろあなたのためにも、あなたはもう自分の存在中は憲法改正はしないのだと、池田さんはそういうふうにおっしゃったわけですよ、あなたもそういうふうにおっしゃったほうが、ぼくは国民ははっきりして非常にいいのじゃないかと、こう思うわけですがね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 端的に申しますが、国民の意向に沿って私はします。
○稲葉誠一君 そうすると、あなたは自分の在任中憲法改正は、私はいたしませんと、こうは約束はできない……。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま申しましたように、国民とともにという、国民の意思に従ってと、私は行動するのはそれ以外にない、かように印しておきます。
○稲葉誠一君 それじゃ、その国民の意思はどうやっておはかりになるのでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの状態なかなかわからない、私は私自身でどうこうするという考えじゃございません。
○稲葉誠一君 結局は、あなたは自分では、憲法改正はしないと、在任中しないとはいくら私がおすすめしてもおっしゃらない、こういうふうに承らざるを得ませんな。これでよろしいですね。そのためにあなたのほうが変な憶測をいろいろされますね。されてもいたしかたない、こういうことでございますね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどお答えしたとおりでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、あなたの政党では、綱領の中でも、政綱の中でも言っておるように、占領諸法制を再検討するのだと、こう言われておりますね。その占領諸法制というのは、具体的にどういうものですか。どういうようにいままで再検討してこられたのでしょうか。
○政府委員(高辻正巳君) 占領下の諸法制は、これはこれから実はやるというよりも、占領後に例のリッジウエイ声明というようなこともありまして、占領下においてもその改正についていろいろやってまいりました。その後もまた、占領下における法規の改正というものは行なわれております。したがって、いま具体的にこの法律とこの法律が残っておるからこうだというわけにはまいりませんが、逐次改正をしてまいっております。現に相当数の改正がなされております。
○稲葉誠一君 いや、こまかい法律のこれこれを再検討したとか改正したということを聞いているのじゃないので、それは六法全書を見ればわかるんですよ。そんなことではないんですね。占領諸法制をあなたが再検討するというのは、国情に即してこれが改廃を行なうというのが自由民主党の政綱ですよ、ここにありますけれどもね。そうなってくると、具体的にじゃ占領諸法制で再検討すべきもの、おもなものは一体何なのか。国情に即するように改正するというのは、一体何なのか。おもなものを、大きなものを総理にお伺いしているわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま私、これは総理というよりも、総裁として答えますが、具体的には、具体化されたものはないようでございます。私は、具体化されると総裁に必ず意向を聞きますが、そういう話をまだ聞いておりません。
○稲葉誠一君 そうすると、占領諸法制を再検討するということは、まだ具体化していないわけですか。法制局長官によると、みんなもう大体やっているようなことを言っているじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 法制局長官の言っているこまかな法律は、これは稲葉君も相手にしないということですが、私どもがいま言っている、政党の総裁として具体的にそういう相談を受けておらない、このことははっきりいたしておりますので、さように御了承をいただきます。
○稲葉誠一君 じゃ、憲法の問題をもう一つやって、ほかの問題に移りますけれども、あなたのおにいさんの岸信介さんが——岸信介さんて気軽く呼びますけれども、この人はアメリカの雑誌に論文を書きましたね、憲法改正を中心とした。全部のものをぼくは見たんですけれども、これは一つの政党として意見を述べることはぼくはいいと思う。自由だと思うのですよ。ただ、その中に考えさせられるのは、おかしいと思いますのは、安保再改定問題には一九七〇年に必然的に直面すると。私は、憲法改正問題に積極的にいどむことが——いいですか、そのあとね、自民党の体質改善にも効果的であると確信していると、こういうんですね。憲法改正をするしないは、これはどうするかということは、これは政党としての問題としても、一つの党派の体質改善のために憲法改正を云々するということは、ぼくは絶対許せないと思うですよ。これは総理どういうふうにお考えでしょうかね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 絶対に許せないと社会党の方がおっしゃらないほうがいいかと思いますが、私の政党では、私総裁としていろいろ自由な濶達な意見をいま出しております。最終的に党が取り上げまして、そうして党議を決定する、その決定されるまではいろいろな議論が出ている、これは御承知だと思いますから、その上でどうなるか、さように判断をしていただきたい、かように思います。
○稲葉誠一君 それはわかりますが、だからね、自民党の体質改善のために効果的だから憲法改正に取り組むのだという、そういうものの考え方ね、これは一体あなたどういうお考えでしょうか。あなたのおにいさんで失礼だけれども、ぼくは単なる陣笠が言ったならいいと思うのですよ。陣笠じゃないわけですからね。大きな地位の、責任ある人が、しかも外国の雑誌にまでそう書いていて、自民党の体質改善のために憲法改正が必要なんだという言い方、ものの考え方、そのことがぼくはおかしいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) 岸の所論を、私ただいま十分読んでもおりませんので、批評する限りでない、かように思いますが、とにかく私の政党では、先ほど申しましたように、党議がきまるまでは自由濶達な意見をいたします。また、それに対して御批判は、党内にもあるだろうし、党外にもあるだろう、それでまた御自由だと、かように私思っております。
○稲葉誠一君 あなたとしても、こうした問題について、ここでまあこうだこうだとなかなか言えない条件があるということは、ぼくもわかりますけれども、それはぼくはあなたの立場になれば——ぼくはあなたの立場になれないのですけれども、(笑声)それはなかなかそういう気持ちになりますよ それは無理もないと思いますが……。 それはそれとして、話別ですけれども、選挙制度の問題に関連して、いまの選挙制度全体が、どういうふうに改正しようという動きがあるわけですか。それに対して総理がお考えになっているところがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 選挙制度審議会、ただいま非常に真剣に取り組んで、いろいろ御審議を願っております。 その第一は、もちろん選挙自身が公明に行われることを願って、制度の上からそういうものがないだろうか。そのためにはいろいろ区制の問題もある。同時にまた、個人本位の選挙よりも政党本位が望ましいのではないか。こういうような大筋の意見が交換されておる、かように実は伺っております。で、私は、実は選挙制度審議会でせっかく審議しておる際でありますから、まあ総理として、あるいは総裁としての意見は実は慎もうということで、ほんとうに私個人の考え方も、とかく誤解を受けるように思いますから、いままで発言をしないでおるのです。そういたしますと、今度は、たいへん慎重だ、だからあれはどうも賛成しないのだろう、こういうふうな話にもなっておるようですが、そこらの批判は批判として、とにかく私、せっかく審議会の委員にお願いしておる最中でございますから、それについては一切私の意見は出さない。ただ、その結論がどうできるか、その答申を待って、しかる上で政府の態度をきめようと、かように考えております。
○小酒井義男君 関連して総理にお尋ねしますが、いまお答えになった選挙制度審議会の審議をしておる内容に、参議院の選挙区あるいは全国区の問題ですね、あるいは地方区の定員の是正の問題等は含まれておりますか、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまやっておりますのは、まず第一衆議院、衆議院が済んだら参議院についてもというような意見があるように聞いておりますけれども、まだそこまで、衆議院のほうについての結論が出ておりませんから。ただこれはおそらく委員の間でそんな話があるだけではないだろうか、かように思います。
○小酒井義男君 総理御承知のように、現在の参議院の地方区の定員がきまったのは、昭和二十一年の四月の人口調査によって割り当てをしておるわけなんです。その後産業経済の非常な変化で人口もふえましたが、地方区の選挙区の状態もずいぶん変わってきておる。すでに衆議院では、定員アンバランスの是正ということは二年前にもう終わっておるのですね。ですから、いま問題になっておる小選挙区の問題等を議論をして、そのあとに参議院の問題をということになりますと、衆議院の定員是正が必要であってやられたものなら、参議院もやはり私は同様に考えて、定員の是正ということは、アンバランスがあれば、これは別に切り離しておやりになってもいいのではないかと思うのです。その点はどうなんです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私、その辺の経過を存じませんので、永山君から答えさせたいと思います。
○国務大臣(永山忠則君) 衆議院のほうは、別表に、「法律施行の日から五カ年ごとに、」「行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」と、こう書いてございますが、参議院のほうには別にこれは書いてございません。総じてやはり、全国区と地方区と分けておりますので、地方区的性格を持っておるのではないか、こういうように考えておるのであります。したがいまして、人口主義でこれをやりますと、たとえて申しますと、いわゆる東海道メガロポリスと言っておりまして、大阪方面から東京間のほうへ人口が四八・六%寄っておりますので、今後さらにこれが集中する傾向がございまして、人口主義でいきますと、地方区的性格がこれも非常に薄くなってくるのでありますので、これらの地域主義というものと勘案いたしまして考えるべきではないというように思われるのでございます。これらの諸点に対しましては、まだ方針がきまっておりませんけれども、衆議院の関係が調査会で済みませば、引き続き参議院についても御研究を願えればというように考えておりますが、まだそこまで方針を決定をいたしてはおらないのであります。 なお、ただいま御意見のある点は、十分ひとつ考慮をいたしまして、また、選挙制度審議会のほうへも御意見のある点は申し入れるように、総理のほうからもお話がございますので、そういうようにいたしたいと存じます。
○小酒井義男君 総理のほうでそういう点は考えるという御答弁ですから、参考までに、地方区の状態を、御承知ではありましょうけれども私は申し上げたいと思うのですが、昨年国勢調査がありましたから、遠からずこの結論、結果が出ると思うのです。そうすると、人口の状態がはっきりしますから、それがやはり基礎になると思うのですが、昨年の十二月二十日に確定しましたところの基本選挙人名簿登録人員調べという、有権者の調べです。これで見ますと、たとえば東京と北海道に非常に問題がある。これによりますと、北海道の選挙人は二百九十七万七千九百九十七人、東京都の選挙人は七百十二万六千百五十八人ある。約二・四倍になる。これが、この定員が同じだということは、これはやはり私はアンバランスだと思います。それから、北海道と大阪を比べてみますと、いま申し上げた北海道の二百九十七が七千九百九十七人に対して、大阪府は四百五万三千五百四人になっておる。こういうふうに百万以上多い大阪が、北海道よりも定員が少ないということも、これも非常にアンバランスです。また、福岡県と神奈川県を比べてみますと、福岡県が二百四十二万五千六百五十九人で定員が六人、これは半数選挙のときが三名、ところが、神奈川県はそれよりも四十四万人ほど多い二百八十六万四千七百五人ですが、これは川名区で、半数改選が二名です。こういう問題が出てくる。それから、一名区にたいへん問題が出てくるのですが、現在の半数選挙で二名の定員のところ、これの最低は栃木県なんでありますが、栃木県は九十二万一千九百四十三人、これも昭和二十一年の調査の当時と比べますと、ずいぶんふえておるのです。ですから、これを減らすというようなことは、とうてい考えられぬのですが、現在半数選挙の一名区で、定員を選挙人がこれを上回っているところが五つある。それを北のほうから言いますと、宮城県が百六万一千七百二十人、岐阜県が百五万三千四百四人、三重県が九十七万一千七百九十一人、山口県が九十六万八千三百十四人、長崎県が九十三万六千三百五十六人、これだけでありますが、栃木県は九十二万一千九百四十三人、ここらも一名ではとうてい無理だという選挙区に私はなると思うのです。こういうのが現実でありますし、すでに二十年前の人口調査でやったような状態でありますから、幸い、この国勢調査の結果が出れば、いろいろな意味において、これの是正をするべき時期に私は来ておると思うのです。そういう点を十分考慮されて、衆議院の結果が出てからというようなことでは、いつになるか、おそらく私はわからぬと思うのです。わからぬのですから、衆議院の定員是正はすでに終わったのですから、衆議院のほうも、近い選挙、四十三年の参議院選挙に間に合うように、定員の是正だけはやろうと思うならばやれると思うのです。総理大臣がこれに対して選挙制度審議会に諮問をされる立場にあるんですから、それをひとつやっていただきたいと思うんですが、どうでございましょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小酒井君のただいまの御要望といいますか、御提案というか、これは先ほども永山君にも申したのですが、選挙制度調査会のほうに直ちに是正をするようにということを申しました。これはやはり私としても、衆議院が済んでから、こういうような考え方で審議会が扱っておるだけではややおそいような気もいたしますし、どういうように扱われるか、これは別といたしまして、同町に並行してでも御審議願うような処置をとると。まあ、とにかく審議会のほうへ移しまして、そうして審議会のほうでの処置を待つようにひとつしたいと、かように思います。
○稲葉誠一君 だいぶ時間もあれですから、簡単にいたしますけれども、いまの選挙制度の審議会の結論は、普通の状態でいつごろ出ることになるわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体、いままで言われておりますのは、四月以降、できるだけ早い機会に結論を出したい、かようなふうに伺っております。
○稲葉誠一君 そうすると、その結論が出ない前に、総理がどうこうという意見を聞くのは、私は遠慮いたします、それは、それくらいの節度は守ります。きょうは非常に節度を守って質問しているのですから。これは守りますが、そこで問題は、小選挙区制の問題が非常に大きな問題になってきているわけですね。小選挙区制がいいとか悪いとかは、それはいまここではお聞きしません。それでは、なぜそういう小選挙区制の問題が起きてきたのだろうか、この程度のことは、いまの段階でも、あるいは総理がぐあい悪ければ、ほかの方でもお答え願えるのじゃないかと思うのです。
○国務大臣(永山忠則君) 選挙に金がかかって非常な違反等もございますので、金のかからぬ、違反のない選挙をする上におきましては、個人本位の選挙から政党本位の選挙へ移行することが望ましい。その政党本位の選挙には、もちろん、二名連記制等の関係もございますけれども、イギリスあるいはドイツ等の諸国の状態を見ましても、小選挙区制のほうが、政党本位の選挙をする上において適当なことではないかというような議論が非常に強く行なわれておりますが、これに対しましては、単純比例代表、あるいは単純比例代表制、あるいは単純小選挙区制、小選挙区比例代表、あるいは中選挙区連記制というような、二名連記というようないろいろの議論がいま論議をまだつくされておりませんのですが、そういうような関係で、区制問題が——政党選挙に移行する場合において区制の問題が取り上げられて論議をされておるところでございます。
○稲葉誠一君 この小選挙区制の問題が、いま言ったような、いわば選挙の技術というか何といいますか、そういう面から取り上げられるのではなくて、そうじゃなくて、いまの自民党佐藤内閣が、私が質問した海上派兵の問題から安保町改定というか、再改定ということばがあれならばあれですが、そういう方向に進んできて、最終的には、あなたのほうでは占領政策の再検討なんだ、自主的な憲法をつくるのだと、こういうようなことばをはっきり言っているのですが、あれはあなたの党としては、これは間違いないわけです。再三そう言っているわけです。あなたに何回お聞きしても、自分は憲法改正はやらないと。言わないわけですから、言わないということは、裏を返せば、やる気持ちがあると見られてもいたし方がないというふうにとる人もいる。ぼくはそういうふうにとりますよ。そういうふうにとられてもいたし方がないということをぼくは念を押したわけですから、そうなってまいりますと、憲法改正をするためには、現在の選挙制度ではやれない。だから、小選挙区制にして、そして自民党は三分の二以上をとって、そして憲法改正に持っていくための布石なんだという見方を私どもはするわけです。非常にその動き、見方が強まってきておるわけです。これはぼくのほうだけじゃありませんからね。たくさんの方が、そういう単に小選挙区制、それだけの問題ではなくて、全体のあなた方の流れの中で問題を把握しておるわけですから。ですから、ぼくはそういう党利党略に立ってこの問題を考えるべきではないということは、もうこれは当然過ぎるくらい当然ですから、そのことを申し上げているわけなんですけれども、それに対してお考えがあればお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) なるほど、先ほど憲法改正、あるいは、ただいま選挙制度の改正、これが実は全然関連のないことだと思って聞いていたのですが、お説によりまして、社会党のほうでは、これは関連を持っている、それでいろいろ誤解もあり、また、その……
○稲葉誠一君 誤解じゃないですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) やり方についての批判もしているのだ、かようなお話のようですけれども、実は、私はそういうこととは全然別に考えておりまして、国民の多数の方は、この憲法改正と選挙制度の改正、これは関連があるとは実は考えていないと思いますから、稲葉君のように頭のいい方もまだ国民の中には多数あられることですから、そういう誤解を持たれると思いますから、この機会に明確にしておきますが、これは全然関係のないことでありますし、また、憲法改正につきましても、また、選挙制度の改正につきましても、私自身の意向をはっきり申しておりません。この点が、両者に関係のないことがおわかりだろう。私は、憲法はどこまでも国民の意思が第一で、そうして、その改正と取り組むような事態になれば取り組むのだ、こういうように私は思っております。国民の意思が明確でない今日、これと取り組む筋はないのだ、かように私自身は考えておりますが、なお、その選挙制度につきましては、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、審議会におまかせしておる。審議会でどういう結論を出されるか、その上で、私の態度をきめるのだ、政府の態度をきめるのだ、かように申しておりますから、どうか両者を結びつけないで、そうして、ほんとうに選挙制度、選挙の公正を期するためにはどういう制度がいいか、また、金のかからない方法はどうだ、また、政党のあり方を今後、大事に考える民主政治のもとにおいては、選挙が公正に行なわれなければだめだ、こういうところから、選挙制度の改正についても真剣にひとつ御検討を願いたいと、かようにお願いをいたしておきます。
○稲葉誠一君 いろいろきょう質問をしていきまして、私は、まあ議論がすれ違ったところがあるし、私の力が足りなくて非常に不十分だったところも多いと思います、率直に言ってですね。これは私もよく勉強して、さらにこの問題について掘り下げた追及をしていかなければならない、こういうふうに考えます。 最初に沖縄の問題を質問いたしましたが、私は、沖縄が一日も早く祖国に復帰をして、そして完全な日本人であり、日本の領土となることを心から念願をして質問をしておるわけでありまして、それがちょっと誤解を招くような形になってはいけないと思いますので、最後にその点をあらためてつけ加えて申しておきまして、きょうの質問を終わります。(拍手)
○委員長(石原幹市郎君) 稲葉君の質疑は終了いたしました。 明日の委員会については、後刻理事会で協議し、公報をもってお知らせいたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後六時三十一分散会