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51回国会参議院1966/02/02

本会議 第9号

発言数
35
登壇者
15
会派数
3
開催日
1966/02/02

会議録

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。  去る一月二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。椿繁夫君。    〔椿繁夫君登壇、拍手〕

椿繁夫日本社会党

○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表して、主として佐藤総理の政治姿勢を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  総理は、昨年に引き続き、本年もまた、施政方針演説において、次代をになう青少年に対し、「未来に向かって輝かしい理想を求め、真理と平和を愛し、公共に奉仕する豊かな人間性を備えて成長すること」を強く望んでおられます。ところが、その演説と日を同じくして、本院前副議長重政庸徳君の秘書藤野某が、郷里の岡山において、暴力団にピストル売買をあっせんをした件について送検されているのであります。この事件は、二つの大きな問題を内包いたしております。その一つは、一般警察権の及ばない院内、特に院内警察権をつかさどるべき副議長室において行なわれた犯罪行為であるということであります。その二は、さきの日韓批准国会の過程においても暴露したことでありますが、自民党の広報委員長が暴力団の会議に出席をして、PRの協力を求めた事実と、無関係ではありません。政府・自民党と右翼暴力団との関係の深いことを証明しているからであります。(拍手)およそ、議会制民主主義を本旨とする憲法のもと、国権の最高機関たる国会を舞台として、かくのごとき犯罪が行なわれたことは、断じて許すことのできない一大不祥事であります。(拍手)総理は、行政府の長たるとともに、自民党の総裁として、いかにその責任を感じ、日韓国会のたび重なる強行採決とあわせて、全く国会の権威は地に落ちた、国民に由来するその信頼を、いかにして回復するつもりでありましょうか。さらに、その責任の所在と進退を明らかにして、国民の前に謝罪する謙虚さなくして、青少年への呼びかけも、順法を説く資格もなしとするものであります。(拍手)  このような内閣なればこそ、昨年、政府の委嘱を受けて、中央調査社が行なった世論調査によると、佐藤内閣に対する支持率は、十一月には四四・八%であったのが、十二月には三九・二%と急低下し、佐藤内閣を支持しないと答える者の率は、二三・八%から二七・六%にふえているのであります。この調査を政府は公表できないでおられますが、政府自身のアンテナにも、このように佐藤内閣不信の国民的な動向が如実に映し出されているのであります。そのよって来たるところは、佐藤政治の根本に触れる根深いものなのであって、一見、耳新しいキャッチフレーズの乱造や懸賞募集、果ては、勲章の大安売りなどといった、小手先細工によって解消できるような、なまやさしい事態ではございません。そんな小細工を弄する前に、総理は、まず何よりも、何ゆえに佐藤内閣がこれほどまでに不評であるのか、人気回復にあせればあせるほど、世評がかえってきびしくなるばかりであるのかを、胸に手を当てて反省すべきではありませんか。  組閣の直後、公約された中国問題にしてしかりであります。前向きでやると言いながら、実は後退しております。国民は、自分の発言に責任を持たず、きょう言ったことを、あすにも反古にして省みない、誠意のない首相を欲していないのであります。  国民は、調和の政治などということばを口にしながら、議会政治のルールの第一歩を踏みにじることを許すような、こうかつな首相を欲しないのであります。  国民は、いまや、総理に対し、アジアの、平和と日本の安全とが非常な危機にさらされていると感じているとき、日米安保体制のしがらみに縛られ、国民大多数の願いに沿った自主外交をき然と進めることのできない、定見と勇気なき首相を欲しないのであります。  国民は、不況と物価値上がりの進行する中で、何ら有効な経済政策を実行できず、日本経済を今日のごとき混乱と生活の不安をもたらした、策なき首相を欲しないのであります。  国民は、いまや、総理に対し、一大決意を要請しているのであります。  外交について申しますれば、全国民が平和への祈りを込めて注目していたベトナム戦争は、一昨日のアメリカの北爆再開によって、再びどろ沼へ引きずり込まれ、国民の期待はむざんにも打ち砕かれました。クリスマス休戦以来三十七日、アメリカの北爆再開によって、総理の意図していたベトナム和平工作は、いまや全くくずれることとなりました。それにもかかわらず、アジアの平和、世界の平和のために、ベトナム戦争の拡大を阻止することは、これこそ今日、世界が当面する最大の課題ではないかと思います。  そこで、総理にお尋ねしたいことは、直ちにアメリカに対して、北爆の再停止を強く要求する決意がございますか。さらに、国連安保理事会が開催され、わが国が安保理事国として、しかも、初の議長席についたこの機会にこそ、文字どおり、ベトナム戦争拡大防止と、真の和平確立のために奮闘する絶好の機会ではありますまいか。この際、まず冒頭に、国際的にも批判の強い偽りの平和ではなく、真のアジアの和平のために、総理の決意のほどをただしたいのであります。顧みますれば、政府はベトナム和平について一体何をやってきましたか。幾ら日本がアジアの平和のために働きたいと思ってみたところで、ハノイとも北京とも正常な関係がないありさまで何ができましょうか。今日のこの情けない状態こそ、自民党政府積年の外交、アメリカ一辺倒の外交が生み出した結果であり、このアメリカの手のひらの上でしか踊ることのできない状態を、アジアの一員として、国民は恥ずかしく思っておるのであります。  佐藤総理は、昨年一月訪米の際、ニューヨークで行なった演説の中で、「われわれは、中国の侵略的傾向に対し、アメリカと同じくあるいはアメリカ以上に不安の念を抱いている。われわれは、中国が隣接地域に軍事的に進出することを防止するというアメリカの政策を十分に理解し同意するものである」と、言われましたが、しかし、現在のアジアにおける平和への脅威の最大の根源は、北京政府がアジアで軍事的進出をたくらんでいるとアメリカがかってに断定し、これに対する予防戦争のかまえをもって中国に武力の脅威を与えている、アメリカの独善的・硬直的なアジア戦略にあるのであります。これを取り除き転換させるのでない限り、アジアの平和は保証されないと思います。  そして一方、日本は、補給の中継や飛行機その他兵器の修理などの面でアメリカの軍事行動を間接的に助けており、沖縄に至っては、いまやアメリカの極東における最大のかなめとなっていることは、あまりにも明白であります。また、アメリカの一そう長期的な中国封じ込め強化のもくろみの中で、佐藤内閣は日米安保体制の強化を急いでおります。アメリカの原潜の佐世保寄港が恒常化しつつあるのはその一つのあらわれであり、明年度予算案にすでに顔をのぞかせている第三次防衛計画は、いま一つのあらわれであります。原潜の横須賀入港は時間の問題でありましょう。先ごろ第七艦隊に配備された原子力空母エンタープライズ号の日本寄港についても、政府はすでに準備を進めておるのではないか。そうして、ついにはポラリス・ミサイルを装備した原子力潜水艦の日本寄港をも認めることが、日米軍事協力の具体的な日程にのぼっているのではないか。かかる方向の中でアジアの平和を語るというのは、無知でなければ、たいへんな偽善であります。別に明確な目的と準備もなしに、ちょこちょことただ特使をあちこちに送るのが、この際の日本の外交ではないのであります。いまアジアの平和のために日本がなすべき、また、なし得る最大の寄与は、日本でなければ果たし得ない独自の役割りとは、アメリカに向かって、独善的な中国観、共産主義観の上に組み立てられたダレス以来のアジア政策が、もはやアジアの現実に全く合わなくなったことを率直に告げ、同時に、日本自身、アメリカの反共・反中国冷戦体制のワクから抜け出した、真の平和共存のアジア政策に、勇敢に踏み出すことであります。総理は、このような大方向に向かって踏み出すつもりはございませんか。総理は、ニューヨーク演説で表明したごとき中国観や、アメリカの中国封じ込め政策に対する理解と同意を、いまでも同じように持っておられるか。日本政府は、南ベトナム解放民族戦線の将来あり得べき和平交渉における地位について、同戦線の代表者にも、アメリカ、ハノイと並んで、一個の対等の「いす」が与えられるべきだと考えませんか。総理は、原潜のかくも恒常的な寄港を今後も認めるおつもりですか。エンタープライズ号の寄港を認めるつもりでありますか。また、総理は、核兵器の日本領土への導入は認めないとの自民党内閣が繰り返してきた国民に対する公約を、今後とも厳守できる自信がありますか。願わくば、ここで総理は、ポラリス潜水艦の日本寄港を、アメリカからいかに執拗に要求されても、これを断じて拒否する旨確約してもらいたい。その拒否は、また、日米安保条約の附属文書及び岸・アイゼンハワー共同声明に基づく日本政府の明白なる権利であることを、この際、総理から確認してもらいたい。政治的たると、経済的たると、軍事的たるとを問わず、日本政府は、アメリカの中国封じ込め政策に加担せず、追随せず、アジアの民衆の願いをおのが心として、アジアの真の平和達成に邁進するとの一大決意を、総理はこの際言明できないか。以上の諸点につき、総理の明確なる答弁をお願いいたします。  佐藤内閣に対する国民の不信をさらに決定的にしているのが、経済政策の失敗、その混乱と無定見たることであります。国民の生活をますます耐えがたく圧迫している物価問題について、総理は何一つはっきりした見通しを語ることができないでおられます。そのやさき、正月元日には消費者米価の値上げ、一月二十日には私鉄運賃、引き続き今後国鉄運賃、四月には授業料から国民健保、七月には郵便料金と、文字どおり国民は公共料金値上げの集中攻撃を受けておるのであります。  消費者物価は、所得倍増計、画の進展とともに、三十五年度ごろより上昇し始め、その対前年比増は毎年六%をこえ、三十九年度のみ四。八%と比較的小幅にとどまっているのは、同年の公共料金値上げストップの影響でありまして、四十年度は、年初の米価引き上げが大きく影響して騰勢を盛り返し、七・六%と過去十年間最高の上昇率となり、これを正直に発表した総理府の役人がお目玉を食うような結果になったのであります。  私は、佐藤総理御出身の国鉄の運賃のごとく、物価に至大の影響を持つ事業に対しましては、財政投融資が二兆三百億にも達しておるのでありますから、思い切った長期低利の金を回し、料金の値上げを当分ストップすべきであると考えますが、いかがでしょうか。  国鉄が現在の組織に改組されてから今日まで十数年たっておりますが、国からはわずか四十五億前後の金が利子補給の形で出されておるにすぎません。これでは私鉄と何ら選ぶところはない。国鉄の名にも値しないとお考えになりませんか。運賃値上げ案をストップしておき、早急に建設計画と資金、国と国鉄との関係など調整を急ぐべきだと思います。  また、四月から予定されておる授業料の値上げについても、昨今多くの学園において問題を生じております。貧しい青少年が、国立と同様に、私学においても安んじて学業を続けられるよう、国の援助が考えられるべきではありませんか。佐藤総理の決断を求める次第であります。  外国における物価に対する姿勢は、まことに厳粛なるものがあります。昨年一年間にわずかに一・八%しか値上がりを見なかったアメリカにおいて、アルミ価格引き上げをめぐり、政府と業界が衝突し、統制経済への逆戻りだという不評を押し切って、値上げを撤回させた事例、さらにさかのぼれば、ケネディ政権時代の六二年に、鉄鋼価格の引き上げを取りやめさせた事例が想起されますが、一部の不満を押し切ってでも貫徹する政府の姿勢がなければ、物価を押えるという難事業はとうてい達成不可能と思われるのでありまして、日本の現実から見れば、独立採算制をたてまえとする公営企業においても、経済性を一時犠牲にして、公共性の見地から建設資金を財政でみることにより、一時的に料金の引き上げを延期させることは十分可能な方法ではありますまいか。また、主要国で行なわれているがごとき、かなりドラスチックな地価抑制対策をとることにより、政府の物価対策についての熱意が示されますならば、それが値上がりムードの鎮静に大きく役立つと思われます。総理のお考えを伺いたい。  総理は、先日の記者会見において、今年の消費者物価上昇率は五・五%程度に抑えられるだろうと言っておられますが、提出されている予算案を拝見いたしますと、物価対策費は百五十七億と、去年に比べれば二三%の増加を示しておりますが、これは長期対策の一端がわずかに示されたにとどまり、当面の物価引き下げに効果があるとは思われないのであります。すなわち、いろいろ言われておりますけれども、内容を検討すると、肉牛の繁殖育成センターの設置、野菜の指定集団産地の増大は、いずれも効果を来たすには年月を要する問題であり、水産物のコールドチェーン・システムも試験段階の経費に過ぎず、ボランタリー・チェーンの育成も流通機構の抜本的改革にはほど遠いもので、政府の真剣な熱意をくみ取ることができません。したがって、国民はだれひとり、そんないいかげんな総理の物価上昇見通しを信じていないのであります。物価騰貴の現状こそ、大企業偏重と無計画性の二つの重大な誤りによって特徴づけられる、自民党政府累年の経済政策がおちいっている矛盾と、その国民生活に対するしわ寄せとを、最も集中的に映し出すものにほかなりません。  政府は、昨年六月までの段階では、経済情勢に格別の心配はなく、不況対策の必要はないと言い続けてこられました。それどころか、安定成長への切りかえという名のもとに、弱小企業淘汰と国民消費の抑圧を目ざすデフレ政策に傾きつつあったのであります。かくして昨年六月以降、企業倒産は毎月およそ五百件をこえ、労働者の首切りや一時帰休が続出し、新規採用の削減あるいは停止など、雇用の動向も不安の度を強くしてまいりました。不況の影響と消費者物価の上昇によって大衆の生活が困難を加え、それがまた不況を一そう深刻にするという悪循環が、今日の日本経済の落ち込んでいる姿であります。  さらに悪いことには、こうした失敗、政策の根本的誤りをまじめに反省することもなく、佐藤内閣は、公債発行において無定見と無計画の誤りをさらに繰り返しつつあるのであります。公債発行という重大な政策転換が、一貫した計画性も明確な目標も国民に示されることなしに、実に卒然と、安易に、場当たり的に行なわれております。そもそも、佐藤総理みずからこの壇上において、中期経済計画の期間中は公債発行はしないと言明されたことを、国民はまだ忘れておりません。いまや、肝心の中期経済計画そのものがお払い箱になるありさまで、公債発行の基礎に一体どういう長期見通しが用意されているのか、かいもくわかりません。佐藤総理の御都合主義もここにおいてきわまれりと言うべきでありましょう。  赤字公債は麻薬と同じだといわれ、一度経験すれば身が破滅するまでやめられない危険性を持つのが麻薬であるが、赤字公債も、一度発行に踏み切ると、とめどなく膨張し、インフレにつきまとわれるものである。政府は、建設公債もともに日銀には引き受けさせない、担保にも取らせない、市中消化を堅持するから、心配は不要であると説明してこられましたが、その後公約は守られておりますか。赤字公債の発行は四十年度に限ると再確認できますか。予算案にあらわれたところでは、政府は依然大企業偏重と無計画性の二大病弊から脱していないことは、一月二十二日自民党の大会に来賓としてあいさつを述べた中小企業団体の代表が、「政府、自民党は適切な中小企業対策をやっているだろうか。現実はまさに弱肉強食の状態である」と言ったと報道されておりますが、これなども、佐藤内閣の経済政策がいまや国民のいかに広範な層に苦痛を与えているかを物語る、一例ではありますまいか。また、史上最高の減税と、政府は自賛しておられますが、所得税についていえば、依然上に厚く下に薄い減税案であり、また、法人税の改正案は大資本を一そう強化をもたらす性質のものであります。所得税の減税割合がまことに小さい。何ゆえか。昭和三十一年から四十年度を通ずる減税は、その八割を所得税が占めていたのでありますが、今回の政府案によると、この割合はおよそ六割に過ぎない。この程度の所得減税では、物価値上げ要因山積のおりから、その効果はたちまち相殺されてしまわざるを得ないのであります。これでは不況克服の一つのかぎである国民大衆の消費の拡大には何の役にも立たないじゃありませんか。政府の経済政策のもたらす苦痛を最も深刻にこうむるのが、低所得者層、心身障害者、老人、母子家庭など、社会の底辺層の人々に対する配慮も、総理の言われる人間尊重の政治とはほど遠いものがあります。(拍手)生活扶助の基準が明年度予算案では一三・五%引き上げられるといいましても、減税の恩典を受けることなく、物価の値上がりで帳消しにも足りない結果になる人々のことを忘れてはなりません。  さらに、地方財政の危機もたいへんな問題であります。国の財政支出増大のはね返りを受けて、地方財政は一そう逼迫するものと見込まれます。地方財政は、いまや地方債の大増発によって、かろうじて存立を続けることができる状態で、その消化も国債の大量発行に食われて一段と困難になることでありましょう。ことに池田内閣の高度成長政策以来、設備の過剰投資に拍車をかけ、大都市においては地代が高く、土地狭隘のため、周辺地域への工場疎開が進み、高額所得者は排気ガスやスモッグをのがれて郊外に居を移しました。自治体の限りある財源のうち、固定資産税、市民税など伸び悩んでいる上に、人口の加速度の集中を呼び、このため、上下水道、道路を初めとする都市計画の立ちおくれが目立って、その財政需要は著しく膨張を来たしているのであります。長年富裕団体といわれた大阪市のごときでさえ交付団体になり下がっている現状であり、大都市の再開発、過密対策の見地からも、指定都市には、税制の改正など、特段の配慮が必要ではありますまいか。特に総理の御見解を伺います。  最近、生活苦に耐えかねた船員労働者の賃上げを要求したストライキが長く続き、また、近く春闘共闘委員会が中心となって、大幅賃上げの動きが活発になる情勢にあります。この機会に政府の所信をただしておきたいと思います。  物価高騰の原因を賃金の上昇に求める見解もありますが、これは正確には妥当でありません。物価騰貴の寄与率で見ますれば、農水産食品、対個人サービス、中小企業製品の三つの値上がりが九〇%を占めており、高度成長下の労働需給の逼迫から、これら部門の賃金が上昇し、それが消費需要の増大にささえられて価格に転嫁されたことがその原因でありまして、これは従来不当に低位にあったこれら部門の賃金の平準化のあらわれでございまして、日本の場合は、西欧に見られるごとき賃金の高騰、物価上昇、コストインフレの段階には、まだ達していないと思います。巷間言われている生産性と賃金の関係を数字的に見ますと、日本生産性本部の発表によれば、三十九年度の労働者一人当たりの生産量は、前年比一四・二%の大幅な伸びを示し、これに対して名目賃金の伸びは一〇・八%にとどまり、生産性の伸びに、はるかに及ばないのであります。過日、総理は記者会見において、「春闘が落ちついた推移をたどれば、政府の経済見通しのとおり、五・五%の物価上昇に押えることができよう」と語っておられ、この総理の発電の裏には、春闘で労働者が大幅賃上げをすれば物価はもっと上がる可能性がある、もし小幅の賃上げで済めば物価はそう上がるまいという考えがあるようであります。物価と賃金の関係について、基本的には日経連の考えと同じなのではないかというように受け取られます。このことは、人間尊重の政治を説く総理のことばらしくないのであります。繰り返し申し上げますが、物価安定策として重要なことは、最もおくれている農業経営の近代化を急ぐことであり、労働力の流動化を促進することであり、地価の抑制であるはずであります。今や賃金問題は、労使間の問題でありますとともに、政府の重要な経済政策の問題ではありますまいか。総理の御見解を特に求めるものであります。  さらに、いまや社会問題化している石炭問題についてお伺いします。池田前総理は、三池爆発当時、「今後は人命尊重を第一義とする」と公約し、佐藤総理も、夕張、伊王島、山野と、相次ぐ災害ごとに全く同様のことを公約されました。しかし、炭鉱の殉職者はあとを断たず、石炭政策は依然生産第一主義で、三池にはまだ一酸化炭素中毒患者が多数、廃人同様の悲惨な病院生活をしております。政府は安心して働ける炭鉱をいかにしてつくるつもりでしょうか。所信を聞きたい。ことに石炭労務者は縮小再生産の犠牲にされようとしています。物価上昇にもかかわらず賃金の引き上げは困難である上に、国内市要燃料資源たる石炭の総エネルギーに対する位置づけが縮小されるという、うわさに、首切りのおそれさえ生じているのであります。この際、位置づけは、むしろ五千五百万トンよりも拡大できる方策を考え、もって労働者に安心を与え、災害対策の徹底、犠牲者遺家族の救済、炭鉱労働者の年金制度の確立等をあわせて労働者の不安を除くことこそ、石炭政策の抜本策と思うが、政府の具体策を承りたいのであります。  以上で私の質問を終わりますが、国民の大多数が内外の重大なる事態に遭遇し、非常に不安な念を抱いているときでありますので、総理並びに関係大臣の明快なる御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 冒頭に、今回の藤野某の犯罪についてお触れになりましたが、これは私、総理でありますが、同時に自民党の総裁でもあります。そういう意味で、これについてまことに遺憾に感じておりますので、率直に私も遺憾の意を表明したいと思います。もちろん、わが自由民主党といたしましても、在来から特に、特殊の団体等と特別に関係があると、かような非難を一部で受けている、一部の誤解もあるようでありますので、特にこれらにつきましては注意をしてまいりました。ことに、さきの日韓条約、日韓関係の正常化等に際しまして、広報委員長が外郭団体との会合を持った、こういうようなことも当時十分御説明をしたとおりでございます。かような意味におきまして、まことに今回の事件を遺憾に思いますし、全く御指摘のとおり、警察権の及ばないこの国会、また最高の機関である国会、これが犯罪の場であったということは、前代未聞であります。私もまことに遺憾に思う次第でございます。今後国会の正常化については、かねてから私も所信を表明しておりますが、この運営につきましても、さらに党におきまして十分に案を審議いたしまして、そうしてこういう問題に対処してまいりたいと思います。また、このたびの問題につきましては、関係各党におきまして、良識のある結論が出されることを希望する次第であります。    〔議長退席、副議長着席〕  次に、佐藤内閣に対する国民の支持率その他につきまして、いろいろ御批判がございました。御批判は、これまた御自由でございますが、私は、新年になりましてから行なわれました地方選挙等の実績を見まして、わが党の支持はまことに強い。本日開票の京都の市長選挙なども、圧倒的な勝利をおさめておるようでございます。これはわが党の支持の確実さを示すものであります。私は、いたずらに人気回復などについてとやかく考えない。国会の正常化と真剣に取り組み、また中国問題などは、わが国の国益を増進さす、こういう見地に立ちまして真剣に中国問題と取り組んでいく、この態度をはっきりさしておきたいと思います。  また、アジアの平和を考えます際に、一番大事な問題は、御指摘のとおり、ベトナムの問題である、かように思いますが、今日北爆が再開された、かような状態にただいま当面しております。この点は、いろいろの理由はあるにしろ、とにかく平和への努力をしております際に北爆が再開されたことは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。この点について、アメリカに対し直ちに北爆を停止するように強く要望したらどうだと、こういう御提案でございますが、お話の中にもありましたように、安保理事会の議長国である日本、そうして安保理事会におきまして、ただいま、きのう、きょうとこの問題と真剣に取り組んでおります。どういうような結論が出ますか、これはしばらく時間をかけて経過を見なければわかりませんけれども、私は、その安保理事会の状況いかんでは、ただいまのような点も当然考えていいのではないか。具体的に申しますならば、安保理事会におきまして、平和への方向で話が進められると、こういうことが申し合わせができるなら、その際に北爆を停止すること、これまた当然であります。そういう場合には、北からの浸透もまた当然とどめられるべきものだと、かように私は考えます。  次に、中国の侵略的傾向云々という、ことにつきまして、私に対する御批判がございましたが、私は、中国の今日まで公式に発表されたものが、しばしば外部に対する膨張政策であるようにとれるのであります。これは陳毅外務大臣その他が申しておるところによりまして、これは、はっきりしておると思います。私は、かような状態では、中国と話をつけるという場合におきましても、中国自身においても十分考えていただかなければならないのだと思います。アメリカの封じ込め政策というものをいかように理解しておられるか私にはわかりませんけれども、これがいわゆる中国の軍事的膨張策に対する対策だと、かように理解するならば、封じ込め政策なるものもわかるのではないか、かように思います。お互いに独立を尊重し、お互いに内政不干渉、そしてお互いに平和で共存していこうと、こういう考え方であるならば、私も、中国と必ず仲よしになれると、かように思っておるのであります。アメリカが中国に対し、中共に対してどういう考え方を持つかは別としまして、アメリカと私——ジョンソン大統領と私との間のいわゆる共同声明では、日米間の対中国の政策の相違がはっきりしておると思います。この点では、もう誤解はないと思いますが、私どもは、ただいま申すようなわが国の国益を守り、そうしてお互いに独立を尊重し、お互いに内政に干渉しない。こういうことで、経済的な交流も、また人的な交流も進めていこう、かように実は申しておるのでありまして、いわゆるアメリカ式の封じ込め云々という非常に極端な政策ではないということは、はっきりおわかりがいただけると思います。また今後とも、この中国問題につきましては、在来の考え方で私はその態度を堅持してまいるつもりであります。わが国の国益をどこまでも確保し、増進する、そういう立場でつき合っていくということを御了承いただきたいと思います。  次に、原潜の寄港、ことに空母エンタープライズ号の寄港等の問題に触れられました。そうして寄港を拒否しろとまで言われたのでありますが、ただいま日米安全保障条約におきまして、私どもは権利を持ちますが、同時に義務も持っておる。この義務の範囲内においての事柄は、これは忠実に履行すべきだと思います。問題は、こういう原子力潜水艦なりあるいは空母なりが、推進力がただ単に原子力ということだけでなくて、核兵器の持ち込み、こういうような問題になりますと、私のほうにも基本的な考え方がありまして、お尋ねになりましたように、日本自身が核武装もしなければ、また核兵器の持ち込みも許さない、また核基地にもしない。かようなことを申しておりますから、この立場に反しない事柄であるならば、日米安保条約の義務を私どもは忠実に履行すべきだと思います。ただいま問題になっております航空母艦の問題は、具体的な問題ができました際に、はたしてこれが核の持ち込みになるか、その他の点も十分考えて、具体的に対処してまいるつもりでございます。  次に、ただいまの安保理事会における北越あるいは中共の取り扱い方等と同時に、ベトコンについても、取り扱い方をはっきりさせたらどうかというお話でございますが、安保理事会におきまして、こういう点が、次の段階で種々議論されることだろうと思います。私は、いわゆる政府ではないが、ベトコンそのものも一つの団体として考えるべき点があるのではないだろうか。かような意味で、やや弾力的な考えがあってしかるべきではないか、かように思いますけれども、ただいままだ問題がそこまでは進んでいないということをつけ加えておきます。  次に、物価問題についてお尋ねがありました。公共料金の値上げについての御批判がありました。ことに国鉄運賃の値上げについての御批判がございましたが、御承知のように、国鉄運賃その他の政府関係の公共事業の料金をそれぞれ改正する、値上げする計画を持っておりますが、しかし、できるだけこういう事柄は、国民生活に圧迫を加えないようにということで、くふうをして——時期なども、同時にならないように、実は、くふうをし、また値上げの幅も、最小限度にこれをとどめるようにいたしておりますが、またその前には、御指摘になりましたように、国家の財政投融資でこれを支援し、経営の合理化を進めるべきではないか。これも全くそのとおりでありますので、今日まで財政投融資などにおきましても、見るべきめんどうは十分見てまいったのであります。しかしながら、最終的に、やはり公共料金を改正しなければ、それぞれの分野における健全な運営ができないと、かような事態に立ち至っておるのでありますので、今日最小限度の値上げはこれまたやむを得ないと、ぜひ御了承いただきたいと思います。この物価の問題は、政府自身が積極的に種々の対策を立ててまいりますが、国民各界各層の協力を得なければ、これは実効のあがるものではありません。政府の施策だけでやれるわけではありませんので、ただいま物価の問題が大事でありますだけに、各界各層の協力を心から望んでやみません。  また、ただいまの地価対策について、地価こそは物価に影響を与える一番大事な問題だと、かような御指摘で、地価対策にドラスティックな対策を立てろと、こういうことを言われておりますが、これも私もさように考えます。したがいまして、今回、土地収用法にも改正を加えるとか、あるいは税制の面で特別な、くふうをするとか、また民間の土地の造成についても特別な助成をするとか、あるいはまた、農地の転用等についてもくふうをするなど、地価対策を積極的に、具体的に進めてまいるつもりであります。土地収用法の改正などは当然皆さまの御審議をいただかなければならないのでありますので、こういうものが出てまいりました際には、ぜひとも十分御協力願いたい、お願いしておきます。  次に、物価と賃金の問題についてお触れになりました。私は確かに、御指摘になりましたように、春闘相場が今後の物価問題に重大な影響を与えるということを申しましたし、また今日もなお、さように考えております。これについては、日経連の考えと同じではないかということでありますが、私、必ずしも同じかどうかわかりませんから、皆さまによく御批判をしていただきたいと思いますが、私は、物価と賃金と密接な関係がある、これはだれしも否定はしないだろう、物価形成上、賃金が大きな影響を与えておる、これは、はっきりしておると、かように思います。そうして、物価を上げることは好まないから、賃金も一切上げてはいかぬ、かような議論を私はしておるのではありません。もうかっている事業で、もうかっているところが、賃金を上げるとか、あるいは配当をふやすとか、さらにまた、価格も下げて、最終消費者に生産性の上がったところを分配する、こういう考え方は望ましいことだと思います。しかしながら、いわゆる所得の平準化という議論だけで、もうからない事業まで賃金を上げるということは、これは少し無理ではないか、私はかように思うのです。所得の平準化、たいへんけっこうなことであります。たいへんけっこうなことでありますが、もうからない事業まで、その所得を、賃金をふやしていく、これは無理な話ではないかと思います。そうして、このことは、私自身が、政府自身が関与するというのではございません。もちろん、民間の事柄でございますから、民間の賃金決定は労使双方にまかすべきことだ、かように思いますが、私は、関係者もこの点を十分考えられ、そうして、ただ賃金を上げるとか配当をふやすというばかりでなく、お互いに最終消費者でありますから、そういう意味から、やはり価格も引き下げる。こういうように、もうかっている事業でも、くふうされれば、物価問題なぞは起こらなくて、これはたいへん平静な、静かな世の中になる、お互いが生活が楽しめることになるのではないか、かように思います。  次に、炭鉱問題についてのお話がありました。全く炭鉱問題は、今日の産業のうちで、このくらい苦しい立場に立っておるものはない。心から同情いたしております。したがいまして、今日まで、調査団等におきましても、これを私企業として経営していけるように強化しろという、その強化の方法などもいろいろ示されております。また、一部に国有国営論の起きておることも承知いたしております。この問題は、結局、各方面の知恵も借りまして、そうして根本的な対策を立てるべき段階に来ているのではないか、かように私は思います。まだ、それまでの段階に至らないまでも、今日まず第一に、経営上においては、保安第一主義で臨んでほしい。御承知のように、昨年は、御指摘になりましたように、多数の災害が起こりまして、とうとい人命を失っております。そのつど、私は、まことに遺憾に存ずるということを申し上げましたが、今後とも、この保安第一主義、このことは炭鉱経営の基本になってほしいと思います。また、炭鉱年金制度や退職金の支払いなどにつきましても、特別のくふうをしろということでありまするが、ただいまいろいろ検討しておる最中だと思います。また、一酸化炭素の中毒についても、特別立法をしろというお話でありますが、これは特別立法よりも、現行のままで、これらに対する対策を立てるべきではないか、私はかように思います。  次に、公債発行あるいは減税、社会保障等についてお話がありましたが、これらは、それぞれの所管大臣の答弁に譲りたいと思います。  ただ、地方財政につきまして、特に私からの所見を求められておりますので、地方財政について申し上げます。確かに、御指摘のとおり、ただいま地方財政は非常に苦しい立場になっております。今回、交付税率を高めましたのも、非常な大蔵当局の理解の結果だと、かように思いますが、御指摘になりましたように、都市の再開発、新産都市の計画、あるいは都市そのものの上下水道の整備であるとか、あるいは道路の整備等々、非常に金もかかりますし、また、過密都市対策も、私ども積極的にやっていかなければならない、こういう際でありますので、この地方財政につきましても、必要なる点を、税制等におきましても考えるべきものは考えてまいりたい。しかし、いずれにいたしましても、これは地方制度調査会等にもいま審議をお願いしておるような関係もありますので、その審議の結果等を待ちまして、そうして都市開発、同時にまた過密都市対策、これに万全を期していくようにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 外交問題についての御質問に対しましては、ただいま総理の御答弁によって、すべて尽くされておるのでございまして、私から特につけ加えて申し上げることは実はないと思います。しかし、議長の御指名でもございますので、少し補足して申し上げたほうが、あるいはよいのではないかと思いますので、南ベトナムにおける民族解放戦線の代表者の取り扱いについて、総理が概括的に申し上げたことは、とれでよろしいと思うのでありますが、なお砕いて申し上げたいと思います。  安保理事会において、アメリカの提案がもし採択されるということになりますれば、その次は、国際会議を開く上の準備会議を開くということになるのであります。その準備会議において、どういう会議を構成して、そして、いかなる議題について審議をするかということに、だんだんなるのでありますが、結局、民族解放戦線を呼ぶか呼ばぬかということは、安保理事会においてアメリカの提案を取り上げて、平和収拾の方向に一歩進むという段階において初めて問題になるのでございますから、その段階において、民族解放戦線の考え方を、その後の会議において、これを取り上げるかどうかというようなことが初めて問題になると思うのでありますから、ただいまのところは、まだこの問題を具体的に申し上げる段階ではないということになると思うのであります。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 今回、公債政策を取り入れましたのは場当たり的じゃないか、こういうようなお話でございますが、これはそういうことじゃなくて、計画的に取り入れ、また今後もやっていくつもりでございます。すなわち、わが国は、社会資本の立ちおくれ、これが非常に大きな問題だと思います。また、社会保障制度はできましたけれども、その厚みというものが非常に少ない。これを充実していかなきゃならぬ。そういうことを考えますると、国費は今後逐次増大していく、こういう傾向にあることを覚悟しなきゃならぬと思うのであります。そういう傾向に対しまして、一体どういう財政対策をするか。他の歳出を大いに削減するというようなことをするか。これは、なかなかそういうわけにはいかぬだろうと思います。されば増税をするか。私は、国民の税負担が今日すでに非常に重いんじゃないか、そういうふうに考えております。税源を涵養し、減税を粘り強くやっていかなきゃならぬ。これが、財政の当面している一つの任務じゃないか、かように考えるのであります。そういうことを考えますと、どうしても、この際、公債政策を取り入れ、当面の経済不況、これを克服するということもしなきゃならぬ。また同時に、財政に与えられたそういう任務、つまり、社会資本、社会保障体制の充実、さらには国民負担の軽減、こういうことを実現し、そして、将来国民みな富む、国をささえる企業も、個人も、みんな富んで、そしてその富から出る租税収入によって国の財政がささえられるという根源をつくり上げなきゃならぬ、さような考え方に立っているわけであります。決して唐突な考えでないことをはっきり申し上げます。したがいまして、この考え方は、昭和四十一年度ばかりじゃございません。ここ当分の間——つまり、経済が今日のような低圧型である、したがって、財政が経済の落ち込みを補う必要があるという状態下におきましては、このような財政政策を進めていきたい、かように考えるのであります。  また、この公債政策によって、回り回って減税が可能になるわけでありまするが、この減税におきましては、大体個人に六、企業に四というウエートで立案をいたしておるのであります。企業に四のウエートを与えたのはどういうわけかというと、今日、御承知のような経済情勢です。これを打開するということは、つまり、またこれが回り回って個人の所得につながるのであります。そういうことを考えますときに、まず、個人の所得をふやし、税源を養う基礎を固めるという意味におきまして、六対四で、企業に対しましては四の比率を与えるという考え方をとった次第であります。  さらに、地方財政につきましては、総理からもお話がありましたが、従来、地方財政がややもすれば軽んぜられるような傾向にあったことは、私も率直にこれを反省をいたしております。今回の予算の編成におきましても、従来のように、地方財政の問題が最後の最後にきまるということでなくて、地方財政先議という方針を貫き通し、現在、国の財政の置かれておる力といたしましては、これは最善の努力を尽くした、このことは地方公共団体におきましても了解をいたしておる、かように確信をいたしておることを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価問題につきましては、総理から相当お答えもございましたので、私は総理から言われませんでした五・五%で来年はいけるかという御質問に対して、お答えを申し上げたいと思います。  来年度五・五%を想定しました考え方は、いわゆる会計年度における三十九年度の平均物価指数と、会計年度末における指数を横ばいにしたものとの差が三十九年と四十年には三・四%ございます。今回の場合は七・五%と想定いたしまして、それが二・五%程度になるということで、その面から一%の低落をみることになろうと思います。そこで、かりに本年七・五%で終始するとすれば、それから一%引きますると六・五%でございますが、物価問題に対処していきます以上は、さらにそれから一%くらいは政府の努力で絶対に下げてまいらなければ、政府の物価対策がなっていないということになろうと思います。私どもは、その気合いを持ちまして、必ず一%ぐらいは努力目標で下げていく、したがって、五・五%でおさまるようにやってまいるという決意を持っておる次第でございます。(拍手)     —————————————

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 古池信三君。    〔古池信三君登壇、拍手〕

古池信三自由民主党

○古池信三君 私は、自由民主党を代表しまして、佐藤内閣総理大臣並びに関係大臣に対しまして、若干の質問を行なわんとするものであります。  本日は、主として、当面する財政経済問題を中心に質問を進めてまいりたいと存じますが、それに先立って、内外の情勢に対処する佐藤総理の基本的なお考えについて一、二お伺いしたいと存ずるのであります。  政府は、昭和四十一年を不況克服の年として、画期的な国債の発行、大幅な減税の断行など、一連の財政経済政策を決定せられ、当面の景気の回復と、長期的には経済の安定成長に、積極的に取り組む姿勢を示され、国民はこれに対して大きな期待をかけておるのでございます。申すまでもなく、わが国の経済は、戦後の灰じんの中から出発して、驚異的な躍進を遂げ、現在に及んでおるのであります。今日、不況下にあるといわれながらも、なお、経済の成長率は実費七・五%と、相当に商い水準を示し、また産業の基幹ともいうべき鉄鋼生産は、イギリス、ドイツを抜いて、米ソに次ぐ世界第三位の地位を維持し、経済全体として将来への大きな発展性を蔵していることは疑いありません。かような経済的繁栄は、国民の生活水準を高め、その生活内容もきわめて豊かになっているのであります。  しかしながら、一方において、かような経済的繁栄にふさわしい精神的・道義的進歩がこれに伴ったかどうか、私は、はなはだ疑問を感ずるのであります。最近の凶悪犯罪の頻発、青少年の非行の激増、公衆道徳の低下、綱紀の弛緩、風俗の退廃など、現代の世相はまことに憂うべきものがあるのであります。これは、戦後の国家意識の希薄化と相まって、単なる社会的病理現象などというべきものではなく、一般に国民的モラルの低下を示すものではなかろうかと思うのであります。古来、国貧にして滅びた例は少なく、国民道義の退廃によって国家の衰亡を招いた例はまことに多いと思うのであります。民族の繁栄と、これを通じて世界平和の実現を理想とするわが国として、国民の倫理性、道義精神の高揚こそは、その経済的発展と並んで、あたかも車の両輪のごときものと考えるのであります。わが国の財政経済政策を、新たなる構想のもとに推進せられようとしている佐藤総理は、国民の精神の作興、特に次代をになうべき青少年の問題については、いかようにお考えになっていられるか、まずこの点についてお伺いをいたしたいのであります。  次に、今日アジアにおける最大の問題は、申すまでもなく、ベトナム平和の問題であります。これについては、昨年のクリスマス休戦以来、一カ月以上にわたってアメリカが北爆を中止し、四十カ国に特使を送り、また、百余の国々との間に会談を行なうなど、和平への熱意を示したと伝えられているのでありまするが、北ベトナムの反応は依然として冷たく、アメリカが今日北爆を再開せざるを得ない事態に立ち至ったことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。しかしながら、昨日のアメリカ大統領の特別声明を見ましても、また、今朝の国連安保理事会におけるアメリカ代表の発言を見ましても、アメリカの和平に対するその熱意は、なおかつ正しくこれを評価すべきものと考えるのであります。また、わが国がソ連に対してベトナム説得を呼びかけ、近くはインドシナに対して特使を派遣するなど、その他、わが政府の和平への積極的努力に対しましては、私は、これを大いに多とするものであり、今後引き続いて、平和への道、このために、じみちな、たゆまざる努力を重ねられることを心から要望いたすものであります。昨年十二月には、多年の懸案であった日韓国交が正常化し、また、一月には、日ソ航空協定並びに貿易協定の調印が行なわれ、わが国の善隣友好の外交が着々と実を結んでおりますることは、まことに御同慶にたえないところであります。特に、ソ連とは、異なる政治体制と社会制度を持つ国家の間におきましても、互いに相手の立場を尊重することによって平和共存が可能なことを示したものであります。平和共存は、いまや世界の多くの国々の是認するところであり、昨年、中共の外交が、アジア・アフリカなどにおいて後退せざるを得なかった原因も、まさにここにあると思うのであります。革命的なアジアの赤化をねらうような対外政策は、すでに時代おくれと言わざるを得ないのであります。(拍手)中共のあくまでもかたくなな態度が変わり、平和共存の方向に転じてまいりますならば、今日、アジアの平和を脅かしているベトナムの問題を初めとして、諸懸案の解決も促進され、アジアの平和と安定は、ここに大きく期待されるものと信ずるものであります。佐藤総理は、中共問題を含めて、アジアの大局をいかにお考えになって、今後いかに対処されんとしているか、所信の一端をお聞かせいただきたいのであります。  次に私は、当面する財政経済の問題につきましてお尋ねをいたしたいと存じます。  まず質問の第一は、「経済の高度成長から均衡ある安定成長へ」、かようなことばで表現されております経済成長のあり方、その形態の変化についてであります。わが国の経済は、戦後の復興がほぼ完了し、正常な軌道に乗って発展するようになりましてから、年々非常なテンポをもって拡大を続けてまいりました。その原動力となったのは、盛んな投資活動、とりわけ民間の設備投資でありました。いわば民間の設備投資が主導的な役割りを演じた経済成長であったと言ってよろしいかと思います。しかるにここ二両年来、設備投資によって生み出された巨大な生産能力は総需要を上回って、多くの産業部門においてかなり高度の操業短縮も行なわれ、労働力も帰休制度その他によって縮小する事態に立ち至ったのであります。最近ようやくにして回復のきざしが見え始めたものの、いまだに供給力過剰の経済を脱却することができない状態であります。しかも、公定歩合の操作を中心とした金融政策の景気調整の力も、今日の不況時代においては、その効果を著しく弱めておる点が特に注目されるところであります。ここに至って、財政の景気調整機能、これに対する大きな期待が生じてきたのも、けだし当然と言わなければなりません。昭和三十七年度の経済白書によりますと、当時の日本の経済を「転型期」ということばで表現をしております。それは設備投資が経済成長に主導的な役割りを果たした経済の姿から、財政支出と消費と輸出がより重要な意義を持つ姿へと移り変わりつつあるという意味でございます。確かに三十七年以降、総投資の中で公共投資の占める比重は、それ以前よりも重きを加えてきましたが、三十九年までは、転型期の特徴は、全般的に必ずしも顕著ではなかったようであります。たまたまこの不況に際会いたしまして、四十年度の設備投資が前年度よりも低落し、さらに四十一年度もほぼ横ばいを続けるであろうと予想されるに至り、一方においては、財政は公債発行によって積極性を帯びることになり、初めてここに経済の転型期の様相を明らかにしたように思うのであります。福田大蔵大臣は、先日の財政演説の中で、これからは「民間設備投資に主導された経済成長の姿が、より財政に比重を置いた成長の姿に移っていく」、かようにお述べになりました。この趣旨は、いまやいわゆる転型期が来て、経済の基調そのものに長期的な根本的変化が生じたという見方のようにも受け取られるのであります。しかしながら、その前の個所でお述べになったところから判断しますと、必ずしもそうでもないようであります。すなわち、「今日のような供給力超過の経済の基調のもとにおいて、経済成長の要因を企業の投資活動の盛り上がりに期待することは困難」であるから、「当面の不況脱出のためにはもとより、その後においても、しばらくは……財政面から有効需要の拡大をはかっていくことが必要である」、かように述べられておるのであります。これによると、供給力が需要を上回っているうちは、財政による有効需要の拡大にたよらなければならないが、しばらくすれば供給力の過剰もなくなるであろうから、その際には再び設備投資が経済成長の主導的要因となり、財政の役割りは小さくなる、かようなふうにも考えられるのであります。すなわち、今日の日本経済は、公共投資と国民消費と輸出とが、経済成長の最も重要な要因となるべき姿に変わっていくと見るのであるか、あるいはまた、当面の財政政策では設備投資の中だるみをささえる一種の応急的な策にすぎないと考えるのか、これは今後の日本の経済運営の上に非常に重要なことであると思うのであります。これについて政府の御見解をお伺いしたいと思うのであります。  質問の第二は、公共投資が経済の発展に果たすべき役翻りについてであります。大きく成長した日本経済の規模に比較して、社会資本がはなはだ貧弱であることが、経済の均衡ある発展を妨げていることは事実であります。今日、政府が大いに公共投資を行ない、社会資本の充実をはかろうとすることは、きわめて適切な措置であると考えるのであります。同時に、公共投資は、当面の景気刺激策としても、また財政の生み出す有効需要の増大という長期的観点から見ましても、経済の発展の上にきわめて重要な役割りを演ずることは明らかであります。そこでお尋ねいたしたいのは、民間の設備投資と中央、地方を通じての公共投資とは、今後いかような比重を持つことになるかということであります。経済への国家の介入を強めるという意味では、今後国民総支出の中に占める公共投資の比重を高めていき、これまで経済成長に寄与してきた民間設備投資の一部を肩がわりさせることになると思うのでありますが、この点、政府はどのようにお考えでありましょうか。もし公共投資の比重を急速に高めるということになれば、その財政負担が問題となってまいります。民間の設備投資にかわって経済の成長をささえ得るほどまでに公共投資を行なうとすれば、財政の規模は年々相当大幅に膨張を来たすことになりましょう。したがって、そこにはおのずから一定の限度があるのではないかと思われるのでありますが、これらの点について政府の見解を承りたいのであります。  質問の第三点は、公債発行の問題であります。公債発行が今日強く国民の関心を引いておりますその理由の一つは、過去において公債政策によるインフレーションの苦痛を身をもって経験したからであります。国民の中には、公債発行はすなわちインフレであるというような、一種の先入観が見られるのであります。したがって政府としては、インフレーションは決して起こさないという断固たる決意を持ち、またその理由を明確国民に納得させると同時に、インフレ防止のための方策を十分に講ずる必要があると思うのであります。公債の発行につきましては、一つは、日本銀行引き受けをやめて市中消化によるということ、いま一つは、公共事業等の範囲に限定する、いわゆる建設公債に限るという、この二つの条件が設けられております。しかるに、世上においては、今日いろいろの議論が行なわれ、たとえば、景気がよくなって民間の資金需要が増加すれば、金融は逼迫して、結局、日銀の買いオペレーションが必至となる、すなわち、日銀引き受けと同じことになるのではないかというような議論、あるいはまた、建設公債といっても、その資金に色がついているわけではないから、経常収支の不足を補うためのいわゆる赤字公債と変わりがないではないか、かような議論も行なわれておるのであります。こうした見方に対しまして、政府はどのようにお考えになっているか、お尋ねをいたしたいのであります。  次に、大蔵大臣は、過日、本院の委員会におきまして、日本銀行法の改正について再検討する考えを漏らされております。その改正の方向について、この際、できますならば、その内容についてのお考えをお聞かせいただきたいのであります。  なお、公債の市中消化と不可分の関係にある公社債市場の育成の問題、さらにそれに関連して、金利の自由化というような問題についても、あわせて政府の御所見を伺いたいのであります。  政府が、かねて、インフレになるかどうかは、要するに国民経済に対して財政が適正な規模を維持するかどうかによってきまる、かように言明されておることは、私も全く同様に考えるのであります。ただ、将来、適正な財政規模を維持するのに妨げとなりはしないかと懸念されることは、財政のいわゆる硬直性であります。歳出の当然増は年々ふえていくばかりであります。特に昭和四十一年度予算においては、不況対策の関係から、かなり多額の債務負担行為も含まれており、これも将来の財政の硬直性を強めて、今後新規事業の財源はますます窮屈になるのではないか、かような点が心配されるのであります。将来の財政規模を適正に維持するには、まず、既定経費を徹底的に検討して、すでに使命を終わったような補助金の整理、行政機構の簡素合理化、その他、不急不要の経費の削減につとめることが特にこの際重要と考えるのであります。さらに、今後数年間に財政規模がどのくらいのものになるかという見通しを立てることも、ぜひ必要であると思うのであります。政府は、中期経済計画が現状に沿わなくなったという点を考慮して、最近、新しい長期経済計画をつくることを決定されましたのは、適当な措置であると思うのであります。それには当然に財政の長期見通しというものも含まれるものと考えるのであります。今後の公債発行額はおよそどのくらいであり、また、いつごろになれば公債の発行はその必要性を失うか、また、将来にわたって減税の規模はどのくらいにする考えであるか、かようなことが国民によく理解されますならば、インフレーションに対する国民のいたずらな不安は、おのずから解消するであろうと思うのであります。これらの点について、政府の御所見を伺いたいのであります。  質問の第四は、政府の物価対策についてであります。最近までの卸売り物価の動きを見ますと、きわめて安定した推移をたどってきました。卸売り物価が安定しているということは、まことに心強いことでありまして、ことに輸出が順調に伸びている理由の一半は、まさにこの卸売り物価の安定にあります。わが国の大きな生産余力を考えますと、今後、卸売り物価が上昇に向かうとは思われないのであります。私は、総理が申されたように、生産性向上の利益がやがて消費者にも配分せられ、物によっては価格の引き下げが行なわれるものもあろうかと考えまするし、またそれを期待するものであります。問題は消費者物価であります。景気が悪くなると物価は下がる、これが従来の常識でありました。しかるに、このごろは、それと逆の現象があらわれているのであります。消費者物価と最も関係の深い部面は、農業、水産業、中小企業並びに個人サービス業等であります。これらはいずれも労働生産性の低い部門であります。いわゆる高度成長に伴って労働力の不足が生じ、まず生産性の高い企業の賃金が上昇し、それがこれらの生産性の低い部門にまで影響をしてまいりまして、価格やサービス料金を押し上げた、これが実情であろうと思うのであります。労働生産性の高い部門の賃金の上昇が低い部門に波及する、さような点から見れば、物価高騰の根源は生産性の高い部門の賃金の上昇にあるということになるのであります。しかしながら、これらの企業におきましても、物価が高騰している際に賃金引き上げの要求をしりぞけるということは、なかなかむずかしいことであると存じます。すなわち、賃金と物価の悪循環が生じてくるのであります。特にこの傾向は今後ますます切実になっていくおそれがあると思うのであります。そこで、この物価と賃金の悪循環をいかにして断ち切るか、この点について政府のお考えをお尋ねしたいのであります。  物価対策として政府が取り上げておられるものの中では、生産性の低い部門における生産性の向上と、もう一つは流通の改善ということが大きな柱になっておるのであります。中小企業と農業の生産性の向上、すなわち、その近代化については、かねてから政府がその努力を傾けてきた問題であり、新年度の予算においてもその熱意が見られるのでありまするけれども、何ぶんにもこれらの部門における労働生産性の向上ということは、一朝一夕で目ざましい効果をあげ得るものではないと思います。常に、たゆまざる努力、また根強い政府の援助が必要であると考えるものであります。しかるに、一方、流通の改善のほうは、この中には、流通機構のみならず、物資の輸送の関係等も含めて考えねばなりませんが、このほうがはるかに速効性のある対策であると思うのであります。各種の流通機構の整備、たとえば野菜の指定生産地、品目の増加、いろいろと、四十一年度予算には見るべき施策が盛られており、物価安定に取り組む政府の積極的意欲は十分うかがわれるのでありますけれども、私はこの際、政府に対して、その実効が急速にあがるような行政上の真剣な努力を要望してやまないのであります。これらについて政府から、具体的な方策をお伺いいたしたいと思うのであります。  最後に、質問の第五といたしまして輸出貿易についてお尋ねいたします。昭和四十年度の輸出はきわめて好調に推移し、政府の予測によりますと、前年度に比べて二〇%をこえる増加となり、貿易の収支は十五億五千万ドルの黒字になると見込まれております。まことに心強いことでありまして、輸出のこの好調がなかったとしたならば、経済界の不況はさらに一そう深刻さを加えたでありましょう。わが国の経済をささえてくれたのは、実に輸出であったと申しても過言ではないのであります。健全な国内消費を伸ばすということと、さらに輸出を拡大するということとは、決して矛盾するものではないと思います。わが国の今日の経済力は、この両者を並行して伸ばすということを可能にするだけの実力を備えていると思います。もし国内の消費を伸ばすことによって、輸出の伸びがとまるようなことがあるとするならば、それは関係者の努力の不足と申しても過言ではありますまい。昭和四十一年度の輸出見通しは、通関ベースで九十六億ドルとなっておりまして、四十年度の実績見込みに対して、一〇・六%の上昇率であります。四十年度の伸び率に比べますと、ようやく半分の伸び率でありまして、これは、アジア、アフリカ諸国の外貨不足並びに政情の不安、アメリカその他先進諸国の予想されるところの成長率の鈍化、かつまた国際競争の激化、かように輸出の今後の環境というものは非常にきびしいものがあると思うのであります。予定される輸出の増加を達成するだけでも、なみなみならぬ努力を必要とするでありましょう。しかも、最近に至って、輸出の伸び率が鈍化の傾向を示しているということは、大いに警戒を要するところであります。この輸出の鈍化の傾向に対処して、いかにして輸出の増進をはかるかは、最も重要な課題であります。政府の輸出振興のための施策は、はたして十分であるかどうか。新聞の論調などを見ますと、政府は、財政金融を中心とした景気回復策に熱心なあまり、輸出振興は第二義的な扱いをされている、かような論評を目にするのであります。かりにも、かようなことがあるならば、不況からの回復がいまだ十分でないうちに、早くも国際収支の壁に突き当たるというような事態に立ち至ることになりましょう。私は、この際、輸出振興に対する政府の決意と、その具体的方策をお尋ねしたいのであります。  以上数項目にわたりまして質問をいたしましたが、いまや国際情勢はきわめて微妙な段階にあり、国内においては、不況の克服をはじめとして、緊急に解決を要する多くの問題をかかえているのであります。外交にしても、内政にしても、国民の理解と協力なくしては、りっぱな成果をあげることは至難であります。佐藤内閣の政策が、国民のよき理解と全幅の協力を得るために、今後なお一そうの指導性を発揮されまして、格調高く、しかも、きめのこまかい政治の実現に努力されることを、この際特に要望いたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  最近、新しい経済政策が立てられ、そうして戦後のわが国の繁栄はまことにすばらしいものがあります。こういう意味では、各国とも日本の前進について驚異の目を見張っておるわけであります。しかしながら、一面、御指摘になりましたように、一部の外国からの批判でも、わが国はあまりにも物質的に流れておるのではないか、道義の点において欠くるものがあるのではないか、かような指摘をされております。最近私が見ましたものの中にも、「魂を失った繁栄」と、こういうような批判で日本の経済を紹介しておる向きがあります。私はまことに残念に思います。今日、古くしてまた新しいもの、これは精神の面だろうと思います。道義の高揚、もちろん必要であります。特に、私は施政演説におきましても、青年諸君にぜひとも倫理道徳の高揚をはかるべきだということを申しましたのも、かような点からであります。この点につきましては、国民各界各層の方々がぜひとも精神の面、これも大事なことだ、かように考えて、そうして精神の作興をぜひとも力強く推し進めていくべきではないか、かように私は思います。  第二の問題といたしまして、中共を含めてのアジア外交、これをどういうように考えるかということでありますが、この点はしばしば申し上げますように、私は平和に徹する考え方でわが国の外交を進めてまいります。また、いずれの国をも敵としない、これは私の考え方でもあります。それにはぜひとも、相互に独立を尊重し、内政に干渉しないという共存の上に立って、そうしてお互いに繁栄の道をたどっていこう、こういうことであってほしいのであります。また、わが国がアジアにおける先進国として果たすべき役割り——申すまでもなく、経済協力なり、あるいは技術援助等々でありますが、この果たすべき役割りを十分尽くしまして、そうしてアジアの繁栄、また、諸国民の生活の向上に協力すべきだ、かように考えます。  いろいろお尋ねがございましたが、その他の点につきましては、それぞれ所管大臣からお答えさすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 戦後二十年の日本の経済の発展成長がすばらしいものであり、その成長は民間の設備投資がこれをささえてきたという見方につきましては、私も古池議員と同感であります。ただ、これを今日の時点に立って反省してみますと、この成長があまりにも速度が激しい。その結果、いろいろなひずみ現象というものをかもし出しております。また同時に、この成長の過程におきましては、何回かの景気の循環を経験してきておるのであります。しかもその景気の山と谷の開きがあまりにも大きい。したがいまして、国民経済的なロス、これはばく大なものがあると思うのであります。そういうことを考えてみまするときに、これはいろんな原因でそういう景気循環の激しさというものがあったと思うのでありますが、一つは財政の働きがあったと思います。つまり、民間が非常な好況である、したがいまして、国におきましては租税収入が多額になるわけであります。したがって、国の財政を拡大することができる。そういう過程を経まして、民間の好況と政府の財政の拡大とが相協力して景気を過熱させる。また逆に、景気が悪い、したがいまして租税収入が少ない。国の財政は縮小せざるを得ない。さようなことで、民間と政府とが一緒になって景気をより不当に深刻にするという一面があったことは、私は、いなめないと思うのであります。今後、経済がそういうふうな激しい循環を経ないで、安定的に成長発展をするということを期するためには、財政は不況のときには大いに拡大されなければならないが、好景気のときにはこれは収縮する。そうして民間の経済活動と政府の経済活動との総和が、でこぼこなしに毎年成長していくという道を選ばなければならない。その方式を進める調節弁として、公債政策というものが取り入れられたのであります。  この公債政策を応急的のものと考えるか、あるいは恒久的なものかというお話でございまするが、ただいま申し上げましたように、経済が落ち込んでいるという際には、いつでも財政が出動いたしまして、そうしてこの落ち込みを補い、そうして経済の成長率を維持するという意味から言いますれば、これは恒久的な考え方であります。ただ、当面、この数カ年間のことを見てみますると、どうしてもこれは経済は、民間活動が弱い時期と、こういうふうに判断いたしております。したがいまして、この三、四年の期間におきましては財政は膨大化し、その財源といたしまして公債政策が大幅に取り入れられる時期である、かように御了承願いたいのであります。  また、そういう際の財政と公共投資との比重はどうかというお話でございまするが、これは一定の比重というものはございません。民間の投資活動が停滞しているというのを補って、安定経済成長率を維持するに足る規模の財政を編成する、そのときどきにおける国民負担の状況等を見、また、経済の公債消化力等を見て、その公債の発行額をきめていくという考え方に相なると存じます。  また、公債を発行した場合におきまして、市中消化はできるかというお話でありまするが、これは完全に市中消化をいたす計画のもとに、綿密にこれを進めておるわけであります。つまり、これは国の公債を消化するというばかりじゃございません。国と関連をとりながら、同時に、国の経済の発展の推進力となるその資金源、つまり政府保証債、地方債、その他民間の事業債、一切を含めましての完全消化をはかる、かような計画で進めておるのであります。  また、この公債が市中で消化される結果、民間の金融を圧迫するのじゃないかというお話でございまするが、そういうことはないのであります。つまり、租税によって均衡財政をとる場合におきましても、公債によって財政を運営する場合におきましても、民間から資金を吸い上げる——税の形であるか、公債市中消化の形であるかの違いはありますが、これは吸い上げて、またそれを放出する、この限度においては何らの違いはないのであります。ただ、今回のように——税によろうが、あるいは公債によろうが同じでございまするが、財政の規模が拡大される、そういう際におきましては、税または公債の形によって資金が民間から政府に吸い上げられます。それを政府は使うわけでありますが、その使うまでの時間的ギャップに対しましては細心の注意を払わなければならぬ、かように考えます。これがため、政府は、日本銀行を通じまして、あるいは売りオペレーション、買いオペレーション——日銀のマーケットオペレーションをやります。また、貸し出し政策を巧みに使っていかなければならぬ。同時に、今回御審議をお願いしておりまする予算案におきましては、大蔵省証券の発行限度を、従来二千億円のものを五千億円に引き上げております。つまり、金融情勢によりましては、まず大蔵省証券を発行する。この大蔵省証券は、おそらく日本銀行が保有することになると思います。政府は、それによって得た資金をもって歳出を行なうわけであります。そういう過程で、金が民間に出回るという過程を経て、その状況に応じてこれを国債にかえていくということも考えている次第でありまして、国債を発行するから民間の資金が圧迫されるということはない。また、かりに、そういう資金が圧迫されるという事態があれば、これはこういう場合なんです。つまり公債政策の結果、景気が回復された、そして民間で資金需要が新たに出てきたという場合であります。それは非常にけっこうなことであります。この公債政策の所期の目的が実現されたわけであります。そういう際におきましては、日本銀行が成長通貨として適正な通貨を供給することで一向差しつかえない、非常にけっこうなことになるのだ、かように考えております。  また、建設公債は、あるいはこれは赤字の財源となるのじゃないかというようなお話でございまするが、これはあくまでも経常財源としては使用いたしません。将来とも、財政法第四条による公債のみを考えるのでありまして、昭和四十年度特例法をもって御審議をお願いしたような公債は一切考えておりません。  また、日本銀行法の改正を考えているかというお話でございまするが、かつて日本銀行法の改正が計画されたことがあります。しかし、今回、公債政策の採用ということで、大きく方針が転換いたしましたので、この実施の状況等を見まして、これが改正を進めてみたい、かように考えておるのでありまして、今国会に日本銀行法の改正を提案する考え方はありません。  また、公社債市場を育成すべきじゃないか——ごもっともでございまするが、これに対しましては、この七日に公社債市場を再開をいたします。そして、政府保証債、地方債等の上場をいたす考えでございます。国債につきましては、店頭値づけを行なった後におきまして、四月以降においてこれを上場していくということを考えておる次第でございます。  なお最後に、長期的な財政ということのお話でございまするが、特に私は、税につきましては、これをねばり強く軽減をしていくための努力をいたしていきたいというふうに考えておるのであります。その長期減税政策の目標はどうかという点につきましては、これもそういう私の考え方を示しまして、税制調査会とも十分連絡をとりながらこれを進めていきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 消費者物価と賃金の悪循環ということにお触れになりましたが、日本は今日ドイツのような超完全雇用でございません。したがって、労働の流動性を高め、あるいは潜在労働力の活用をいたしますならば、労働力はまだ相当にあると思います。そういう状況から考えまして、私は賃金と物価の関係は、特に生産性の向上にあると思います。したがって、中小企業あるいは農業は、流通過程における合理化、生産性の向上、こういうものが高度成長の陰において立ちおくれておりますので、これらのものの合理化と生産性の向上をやりまして、そうして吸収していくことができるのでありますし、また、そうしなければならぬと考えております。現に、合理化ができました、あるいは生産性の向上ができました大企業において、耐久消費財等が値下がりをしておるのも、その例でございまして、そういう意味におきまして、私どもは、今日、力を尽くして、従来行き届いておりません中小企業もしくは農業の生産性の向上あるいは流通過程の合理化、こういうことに取り組んでまいらなければならぬと、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 古池議員の御指摘のごとく、物価問題の解決の見地からも、中小企業の生産性——農業もそうでありましょうが、生産性を高めなければならぬということは、御意見のとおりだと思います。したがって、われわれの考えておる中小企業対策の基本は、中小企業の持っておる非常に生産性の低いというこの事態を、いかにして体質を改善することによって近代化していくかということに、中小企業対策の基本が置かれているわけであります。今年度の予算も、予算の伸び率が一八%程度の中に、中小企業対策費は三七%と、相当大幅な増額をいたしましたのも、こういう中小企業の近代化ということに重点を置いて施策を進めていきたいという考え方から、このような予算等になったのでございます。したがって、予算の重点は、たとえば近代化資金、高度化資金、これに対しては条件を思い切って改善をいたします。資金のワクも拡大するし、あるいは年限も延長するし、あるいは貸し付け単価も引き上げをして、できる限り近代化、高度化を促進していく。また一方において、零細企業のためには、初めて機械貸与制——機械をこちらから貸す、共同工場を建てて貸す、こういう新しい制度も本年度から創設をいたしたのでございます。税制の上においても、構造改善準備金という制度を四十一年度から創設をいたしたのでございます。  この一連のわれわれの中小企業対策のねらいは、困れば単に救済するということだけでは問題の解決にはならない。やはり中小企業自体の体質を改善して、これを近代化していくところに中小企業問題の解決があるんだということで、政府と一体となって、中小企業自体が構造改善、近代化、高度化を促進してもらいたいというのが、明年度予算のわれわれの主たるねらいで断るわけでございます。古池議員と同様な考え方で、われわれも中小企業対策を考えておる次第でございます。  次に、輸出の増進について、今日まで輸出が伸びたことが、日本経済の唯一の明るい面である。ところが、これはまあ海外も好況でもあったし、日本の企業が国際競争力を持っておったことからもきたのでありますが、だんだんと海外における合理化投資も進んでまいりますし、あるいは金融引き締めの政策を先進諸国がとり始めた。あるいは低開発国における外貨不足ということが出てまいりまして、古池議員の御指摘のように、輸出の前途は必ずしも私は楽観できないと思っております。よほど努力しなければならぬ。そのためには、われわれとしても、先進国に対しては市場開拓——これは日本の貿易振興会などを通じて、市場開拓に一段と力を入れていくつもりでございます。しかし、今日の日本の貿易は、先進国よりも低開発国の比重が重くなってきておるのであります。その低開発田は、いずれも外貨不足に悩んでおる国々でありますから、これに対しては、輸入の資金を思い切って拡大をいたし、延べ払い輸出を促進する、また、低開発国における第一次産品というものをわれわれができるだけ買えるような状態に持っていかなければ——これは常に何かクレジットでも与えなければ、貿易は拡大しないという結果になりますから、初めて、第一次産品輸入促進費というものを明年度予算に計上いたしました。この一連の運営を通じて、これは根本的な対策を将来考えなければならぬ問題だと考えております。あるいは税制の面においても、ガットの規約、規則などに反しない限り、きめこまかく税制の改革を行なって、企業家に輸出に対する積極的な熱意というものを持ってもらうような措置は講じておるのでございますが、今後、日本経済の発展の規模を輸出の伸びというものが決定いたしますから、われわれも、貿易の拡大、ことに輸出の振興については、今後通産行政の最重点な施策として努力をいたすつもりでございます。(拍手)     —————————————

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 渡辺勘吉君。    〔渡辺勘吉君登壇、拍手〕

渡辺勘吉日本社会党

○渡辺勘吉君 私は、日本社会党を代表し、政府の所信演説に関し、総理並びに関係大臣に対し、農業並びに社会保障問題等を中心に、若干の質問をいたさんとするものであります。  わが国経済は、高度経済成長下、第三期症状の経済不況の中でも、卸売り物価は下がらず、消費者物価は天井なしに騰貴する主要原因の一つに、私は、わが国農業生産の停滞と食糧供給の不安定にありと指摘せざるを得ない。これは農業の構造的矛盾たるにとどまらず、高度経済成長政策がこの段階で遭遇した矛盾であり、その根源は、独占寡占資本にのみ奉仕するわが国政治経済構造の矛盾につながる構造的危機に、いまや直面していると断ぜざるを得ないが、総理のこの点に関する見解はどうでありますか。また、これに対する基本的政治理念について責任ある見解を求める。  農業政策を促進するにあたって、重大な前提要件があります。その一つは、単に農業の生産性を高めればよいという物質本位のものであってはならず、個人の自由と創意が尊重され、農民の持つ能力が公平に評価され、生産された富と余裕が正義に基づいて配分され、農民が社会機構の奴隷ではなく、その主人公となるようなあり方が、政治の姿勢でなければならない。しかるに、現実はこれがさか立ちしている結果、農業近代化の進行は農民に一そうの借金の重圧を加え、出かせぎ農家の激増は家庭を破壊する等、人間不在の農政であると言わざるを得ない。(拍手)したがって、何よりも農民を人間として尊重することを、農業政策の基調とすべきであると考えるが、総理の所信はどうですか。  第二点としては、国土の高度利用とともに、地価を総合的に抑制することが、たとえば道路、住宅、都市、農地づくり等に先行して実施されなければならないということであります。国土は、科学的かつ総合的な基本調査に基づき、土地の利用区分を設定して、全国土を余すところなく高度に利用すべきなのに、実態はばらばらで、場当たり行政の混乱あるのみである。これとも関連して、地価の高騰は、各般の施策に要する社会資本を土地部分に過当に奪い、また、物価安定対策の中心な、ゆさぶる禍根となっている。このことについて、昨年三月、本会議で、私の質問に、総理は次のように答えております。すなわち、「目下建設大臣を中心として、この地価対策について、さらに積極的、具体的に、真剣に取り組んでいく」と言明したが、自来一カ年を経た今日、いかなる検討がなされ、いかなる抜本的施策となったかの経過と、その具体的内容について総理の答弁を求めます。  四十一年度予算編成と関連して、政府は去る二十七日、「四十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」を公表しました。これによれば、四十一年度の国民総生産は三十兆八千五百億円で、前年に比べて名目一一・三%、実質七。五%の成長を見込んでいる。その中で鉱工業生産指数は八%の伸び率を見込んでいるのに反して、農林水産業生産指数はその三分の一程度の三.一%、国民総生産の半分以下の成長にとどまるとしている。また、別の資料から見ると、四十一年度農林水産業所得を二兆三千七百億円とし、前年比五・三%アップを見込んでいるが、一年前の伸び率八・四%からすれば実に三・一%も成長の低下を示している。経済企画庁長官に伺いますが、これは、あなたが所信演説で触れた「農業と他産業との均衡のとれた発展」と、はたして言えるのかどうか、以上の経済指標に基づき具体的に解明してほしい。  政府は、昨年一月に閣議決定したばかりの中期経済計画を廃棄したが、これは計画の前提となる政策を政府みずからがサボタージュした結果にほかならない。今回、新たに五カ年程度の経済計画を立てても、再びかかる醜態を惹起しないと、あなたは確約ができますか。わが国経済の長期展望もない今日、新経済計画を樹立するにあたって、わが国政治経済の構造的矛盾をいかに克服し、ひずみを是正せんとするのか。経済企画庁長官の基本的構想について明らかにしてほしいのであります。  低位部門に放置されている農業の生産性を臨め、国際競争力を培養する基本的な政策課題が、農業生産基盤の整備にあることは、大蔵大臣の所信にも明らかなところであります。しかし、問題は、これに取り組む基本的姿勢と内容そのものである。  第一は、土地改良長期計画の設定のしかたにあるのでありますが、既存耕地のうち、圃場整備を要する水田三百万ヘクタール、畑百九十万ヘクタールに対して、今後二十カ年という気の遠くなるような長年月でやる構想のもとに、さしあたりその半分を十カ年第一期として計画化し、予算化していることである。日進月歩の今日、低位生産性にあえぐわが国農業が、これでは一そう国際競争力を喪失することはもとより、農業の所得格差がさらに拡大することは必至であります。全圃場整備事業をなぜ十カ年完成計画で予算化しなかったのか、大蔵大臣の答弁を求めるとともに、主管大臣の見解を伺いたい。  第二点は、これに対する国庫負担の問題である。そもそも農業基盤整備という国家的事業は、国営、県営、団体営たるとを問わず、政府の責任と財政負担において実施すべきものであります。つとにわが党は全額国庫負担を主張してきたのでありますけれども、政府は、受益者負担と称して、農民を借金奴隷化し、農業近代化の本質をじゅうりんしている。大蔵大臣及び農林大臣の見解はどうですか。  第三点は、今後十年で四十四万ヘクタールの草地を造成するほかは、この期間中潰廃する見込みの農地面積に見合う分として、水田十三万ヘクタール、畑三十万ヘクタールの造成計画にとどまっておりますが、国土の高度利用と食糧自給度向上のたてまえからしても、単位当たり収量が近年伸び悩みになっているという実情からしても、全国の田畑の総面積を今後も現状維持に押えるという計画には断じて賛成できないのであるが、農林大臣の具体的な答弁を求めます。  食糧供給の不安定な現状を克服することは、わが国政府に課された基本政策の一つであります。しかるに、農産物の自給率は大体八五%水準が維持されてきたのだが、三十八年には八一%に低落し、三十九年に至っては、ついに八〇%の大台を割るに至りました。農産物の大宗たる米について見れば、連年の豊作にもかかわらず、逐年外米依存度が高まり、四十会計年度について見れば、外米の輸入量は玄米換算で約百二十万トンに達し、国内配給二カ月分を上回る輸入米で需給を操作している実態であります。小麦に至っては、三百三十五万トンの輸入で、自給率はわずかに二七%にすぎない反面、経営経済的理由から、冬の作付を放棄している面積は全耕地の三一%に当たる、実に百六十万ヘクタールの広さに及んでおります。これがまた、わが国貿易収支にも大きな影響をもたらし、三十九年度農林水産物の輸入は三十二億ドルで、食糧はその半ばを占めている実態であります。わが国食糧政策の基調はどうあるべきであるか。  食糧自給度を政策目標として設定するには、大体次の四項目をどう認識するかが問題でありましょう。第一は内外の食糧需給の動向、第二は世界平和の帰趨、第三は国際収支の見通し、第四は雇用の産業間配置の動向であります。  まず、内外食糧需給の動向について国連本部が最近発表した一九六五年度の白書を見ますと、「現代は、世界人口の急増と農業生産の伸び悩みというギャップの点で、歴史上最も危機の時代に突入している。世界人口の半数までが飢餓状態か栄養不良か、あるいは、その双方になっている。今後三十五年間に、全食糧供給量を現在の四倍、畜産物供給量は約六倍にしない限り、重大な危機が爆発するおそれがある」と警告し、国際協力を強く求めているのであります。豊葦原の瑞穂の国・日本の食糧国際協力の責任たるや、重大だと思うが、この点に関する農林大臣の所信を明らかにしてほしい。(拍手)  第二の、世界平和の帰趨の問題でありますが、遺憾ながら、ベトナムを中心に、アジアの緊張は一そう激化し、アメリカの北爆再開は、東南アジア、さらには、全世界を戦争の不安にかり立てている。平和憲法を持つわが国が戦争に巻き込まれず、さらに世界の平和に積極的に貢献するためには、自主中立の姿勢を確立すべきであって、このためには、食糧の多くを外国に依存する政策は、断じて避けるべきであります。  第三の、国際収支について見れば、最近の貿易収支は黒字とはいえ、西欧諸国の経済成長の鈍化、世界貿易量の伸び率の低下傾向の中で、国際輸出競争は一そう激化する一方、わが国の資本収支は赤字で、支払いは増加する傾向にあり、断じて楽観を許しません。かかる状態のもとで、農産物輸入が激増していくことは、国際収支、ひいては、国民経済全体に重大な影響を及ぼすものと言わざるを得ない。  第四の、雇用配置の面では、食糧輸入依存政策は、農業を衰退させ、農業の場での雇用を縮小させるばかりか、国内市場の狭隘をも来たし、経済全体に与える影響はきわめて大きいのであります。最近の経済不況の中で、農村への還流人口がふえるという状態を考えるとき、この問題は特に重視すべきであります。  以上あげた四項目は、わが国食糧政策基調の前提条件なので、大局的見地から、各項目につき、総理の具体的見解をまず伺います。食糧自給度の測定について、三木通産大臣の中央政策研究所で発表した「農業の長期展望と長期政策」の中で、昭和四十五年度において、わが国食糧需給のバランスは、現在程度の生産力水準だとすると、自給率は四五%以下に落ちる計算になると言っております。きわめてこれは注目すべき展望であるが、政府は一体これをどうそしゃくしているのか。また、政府の昭和四十五年度を目途とする食糧自給度をどう策定しているのか。この点につき具体的な答弁を願いたい。  今回の所信表明には、わが国の将来あるべき農業の長期展望もなく、その説くものは、こま切れで、場当たりの感を深くしている。農林漁業予算案や財投計画も、平面的、総花的で、重点に欠け、何よりも現状の農業に対する危機意識が何ら見受けられないのであります。この際、食糧自給度の目標とあわせて、わが国農業のビジョンについて、政府の見解を明らかにしてほしい。  次に伺いたいのは、特にここ数年来、政府の農政指導理念の中で、とみに比重を強めている経済合理主義的な考え方についてであります。すなわち、農産物の価格政策は、需給均衡の水準に安定させるべきで、農民の所得上昇の役割りは農業構造改善が果たすべきであるという考えや、農産物価格は国際価格にさや寄せすべきであり、その水準にたえ得る農家だけを残し、国際分業のたてまえから、輸入できるものは輸入せよという経済合理主義的考えが、政府の農政理念の中で支配的になりつつあることは明らかであります。そして、その背景には、三十九年四月、IMF八条国移行に際して行なった政府声明で、「国の内外を通じ、保護、干渉のない自由な体制のもとに効率的な経済を営み、国際分業の長所を、より一そう発揮する」と述べた考えが、そのよりどころとなっております。だが、農業の場合、かかる経済合理主義が、今日の情勢下で正当なものと、はたして言えるでありましょうかどうか。  第一に、十九世紀中葉のリカードの自由貿易論は、資本主義勃興期の理論であって、これを実現し得た英国でさえ、十九世紀の末葉から農業保護政策に転換せざるを得なくなり、今日では、世界各国とも、国内農業の保護は重要な政策となっております。イギリスのEEC加盟がいまだに実現できず、西独とフランスが対立しているのも、農産物価格を簡単に国際価格にさや寄せできないからであり、EECは内部に対立をはらみつつも、域外に対しては農業保護を一そう強めようとしております。  第二は、すでに述べたように、農産物輸入が国際収支に及ぼす影響、あるいは最近の経済不況下での農村への還流人口の増加傾向、さらには、農業生産性の向上が逆に農家の経営費を増大させ、零細経営のもとではコスト引き下げに限界がある等の事実を見ましたならば、経済合理主義農政の押しつけは、ますます農家の生活を苦しめ、農業の生産を後退させ、日本農業を破綻におとしいれるものであると断ぜざるを得ないのであります。  政府は、かかる経済合理主義の思想を農政の指導理念から一掃し、大規模な農業生産基盤の整備を前提として、価格、税制、金融、技術指導等、各般にわたって国の援助を強化しつつ、農業共同化の方向で農業経営の高度化をはかる、新しい農業保護政策の基調を確立すべきであると考えるが、これに対する農林大臣の具体的な答弁を求める。  この際、政府の、主食に対する国家管理の今後の動向について明確なる見解をただしておかなければなりません。政府は、昨年六月、農産物価格政策の総合的検討の結果について閣議決定をしておりますが、その中で、小麦について、価格政策上、不足払いのごとき、開放経済体制に調和し得る方式を検討する必要を強調しております。これは明らかに、麦を現行食管制度からはずして、自由流通市場に追い出す構想にほかならない。麦は、かつて米と同様、政府の直接統制品目であったのが、その後、間接統制に移行し、その際、政府の買い上げ価格算定基準も、生産費所得補償方式から指数化方式に切りかえられて、現在に至っております。麦の国内需要が逐年増加していく反面、国内生産が減退する理由の一つは、指数化方式による政府の買い上げ価格が安きに失して、農家は逐次麦つくりを放棄する結果にほかならないからであります。かくして、麦を現行の、政府による間接統制から自由取引へ移行することについての検討は、昨年の米価審議会において、農林大臣は、その方向を確認しながら、その実施時期についての言明を避けました。その後どんな検討がなされ、その結果、麦を食管制度からはずす時期は、いつごろを想定しているのか、具体的な答弁を願いたい。  米についても、すでに米価審議会の意に反して、生産者米価の算出は昨年度から指数化方式を強行しております。現行食管制度の中で直接統制を実施している米に対して、政府は、将来にわたり、麦をして歩ましめた道筋を今後強行させないと断言できるかどうか、四十五年度までの展望をとりあえず明確に答弁していただきたい。  最近における政府の、米価審議会の意向をはなはだしく軽視している態度には、看過し得ざるものがあります。生産者米価の決定しかり、米審におけるわが党の意見を完全に無視した消費者米価の値上げ強行またしかりである。国民の声を聞き、官僚の独善を規制すべき役割りを持つ審議会に対する政府の態度かくのごときであり、今後、国民生活に至大の影響を与える、政府で全量を管理している米の消費者に対する配給価格の決定は、国会の議決をこれは経べきものと主張するのであります。このため、政府は、すみやかに関係法律を整備すべき責任ありと思うが、主管大臣の見解はどうでありますか。  わが国漁業の生産高は、昭和三十七年の六百八十六万トンをピークとして、自来漸減の傾向をたどり、三十九年は六百三十五万トンにとどまり、水産国の王座をペルーに譲って今日に至っております。このような生産の縮小傾向を反映して、水産物の輸入は最近激増し、三十九年は前年に比べて五〇%以上も輸入が増加をしております。わが国の漁業生産がこのように縮小の傾向を示すに至ったのは、一つには、国際的な規制が強化されたことにありますが、さらには、政府が漁場の改良造成を怠り、その上、政治的許可によって過当競争を招き、資源の枯渇を結果しているためと断ぜざるを得ません。しかも政府は、先般の日韓条約の批准に際して、韓国漁業の急速な発展に協力をするため、きわめて多額な資金を、きわめて低利な条件で提供することを約束した結果、必然的に、韓国漁業を日本漁業の強力な競争者たらしめるばかりではなく、韓国水産物の大半がわが国に輸入されることになり、水産物価格を暴落せしめ、生産の減少を価格の堅調によって、かろうじてしのいでいるわが国漁業、特に零細な沿岸漁業に、致命的な打撃を与えることは、最近の事実が証明してあまりあります。かかる現状に対し、日本漁業の利益を守るためには、わが国漁業と競合するおそれのある外国水産物の輸入を規制すべきであると考えるが、農林大臣にその意思があるか。意思があるとしたならば、どのような規制措置をとろうとしているのか、明確、かつ具体的に答弁をしていただきたいのであります。  この機会に、減税について一つの提案をしたい。それは、農民に対する酒税を全免せよということであります。農村、特に辺地では、オッホを飲んで、夜なべ作業の過労をいやしている。オッホとは、フクロウの鳴き声をもじった濁酒のこと。フクロウは、昼は出歩けず、夜の世界を飛び歩きます。収税吏の目をかすめて、税金のかからない密造酒をひっかけて、農作業の重労働を農民はほぐしているのです。三十九年度全国の密造酒は、原料米納八万トン、醸造高十二万キロリットル、この税相当額七十億円と推定されております。現行法からして、これは許すべからざることはもとよりでありますが、自分でつくった原料を、自分で加工して、自分で飲むことの自由を禁止することは、憲法違反の疑いありと思うのであります。二級酒一升四百四十円には百五十四円もの税金がかかっている。ビール一本百十五円に五二%の税金がかかっている。だから農家が、二級酒を飲んで二口酔いをするのも、不当な税金を飲むからで、ビールを飲んであわを食うのも当然でしょう。もとより、私も、保健衛生上からいっても、密造酒を認めよと主張するものではありません。しかし、農家の自家醸造を認めるかわりに、農業労働をいやす手段として飲む酒類には、年間一定量を免税すべきだと思うが、大蔵大臣の所見はどうでありますか。私は、先ごろ、欧州の農業事情を調査して回りましたが、東欧諸国は申すに及ばず、フランス、スイスの農家を訪れた際、酒蔵から芳醇なブドウ酒を出して、私たちを接待してくれた。これは全部無税のブドウ酒であります。アメリカでも、自家用のブドウ酒は年に二百ガロン、日本に換算して四石二斗に相当する分までが酒税から免除を受けております。これら先進国における農民に血の通った政治の実態を踏まえた上で、また農林大臣の答弁を求めます。  最後に、社会保障について若干のお尋ねをいたします。わが国憲法第二十五条は、世界の最も新しい民主主義の理念に立って、国民には生存権があり、国家には生活保障の義務があることを規定している。国民に漏れなく、その所得を保障し、必要な医療を無償で提供することは、近代福祉国家の責務と言わなければなりません。総理は、愛情のある政治で、社会的なひずみの是正を公約したが、所得の再配分による社会的ひずみ是正こそが、いま政府のとるべき、社会保障の喫緊の政策課題でなければならぬと思うのであります。総理の見解はどうですか。  昭和三十七年の社会保障制度審議会は、国民の最低生活水準の保障のたてまえから、生活保護基準を、四十五年度までに、三十六年度水準の実質三倍にすべきことを勧告しております。しかるに、四十年度において実質の上昇率は、わずか三六%にすぎず、目標上昇率の半ばにすら達していない。一方、一般勤労者世帯と生活保護世帯の消費支出の格差は、三十九年度で四七%と、人並み以下の低生活を余儀なくさせられております。かかる実態にもかかわらず、政府は、四十一年度予算案では、わずか一三・五%の基準引き上げにとどめた理由を、厚生大臣、計数をあげて明らかにしてほしい。  次に、現在五十六歳以上の老人の六六%は、自分の収入では暮らせない実態で、年金制度の拡充に寄せる国民の期待はきわめて大きい。政府は、これに対し、今回の国民年金法の改正にあたって、あたかも、夫婦一万円年金があすにでも実現するような幻想を国民に振りまいている。しかし、今日、暮らせるだけの年金を必要とする高年齢加入の老人に対し、現行法によれば、五十四歳で加入し、十年間保険料を完納しても、六十五歳になって支給される年金は、月にわずか八百円、七十歳から千二百円という実態である。政府は、法改正にあたり、これらの人々に対し、一体どのような措置をとろうとするのか、具体的に厚生大臣の答弁を求める。  国民の生命と健康を守るために、医療行政の果たす役割りはきわめて大きい。しかるに、その最高責任者である厚生大臣は、全く財政的な姿勢に振り回されて、保障主義にとらわれていることは、断じて納得のできないことであります。さらに、このことに関連して、国民の医療を守るために不可欠な、医療の供給体制の確立、社会保険診療報酬の適正化など、医療制度全般にわたって山積した諸問題に対して、ただ、つじつまを合わせるだけで、何ら本質的な反省が行なわれていないが、厚生大臣は、医療保障の本質を一体どのように考えているのか、その見解を明らかにしてほしい。  生活水準の底上げと格差是正を考えるときに、母子世帯や心身障害者への対策はきわめて重大であります。大部分が年間三十万円以下という低所得層の母子世帯の人たちに支給される母子福祉年金は、月わずか千五百円、来年から千七百円にすぎません。また、心身障害者の障害年金は二千円、改正後でわずか二千二百円、これでは軍人傷病恩給の十二分の一以下、公務員の公傷障害年金の十一分の一以下にすぎません。この年金間の激しい格差をどのように縮小するのか、厚生大臣の具体的な見解を求める。  以上が、総理並びに関係各大臣に対する私の質問ですが、国民の納得に値する、責任ある具体的な答弁を重ねて求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  現在の不況の原因に、農業の生産性の低いこと、さらにまた、食糧需給が不安定であること、こういうものを御指摘になりました。いわゆるいままで経済のひずみとして指摘されたものが、ちょうどお説のとおりの問題であります。この生産性を農業や中小企業等において高めていく、そうして、いわゆるひずみがない、均衡のとれた経済発展をすること、それが私どものねらいであり、かくして不況の克服もできるのであります。そういう意味で、農業ではどういうことが考えられるか、かように申しますと、いわゆる農業の近代化として言われ、あるいは構造改善として言われている具体的施策などは、その対策であります。このことを重ねて私この際に説明をしようとは思いませんが、問題は、一面におきまして、専業農家をつくることに非常に努力をしております。しかしながら、この実績は、なかなか十分だというような状況ではありません。御承知のように、兼業農家もまた非常にふえているのであります。ここに私どもが、いわゆる農業の所得をふやすということばかりでなく、いわゆる農家所得をふやす、兼業農家に対する対策といたしましても、そういう方向で、ものを考えるべきではないか、かように思いまして、いわゆる農業、農村の工業化、あるいは工場誘致、あるいは新産都市計画、あるいは道路の整備など、ただいま申すような農家所得のふえる方向も同時に検討をいたしておるわけであります。そうして現状についての御批判では、いわゆる人間尊重、そういう意味から、人間不在の農業だ、農政だ、かような御批判を受けておるのであります。これまた、私どもも非常に注意をしなければならない点だと考えまして、いわゆる農家所得が他の産業との間に非常に格差があること、こういうことを、まず解消すべきじゃないか、かように思いまして、あらゆる機会に、農家の所得がふえ、農業所得がふえる、こういうように努力いたしまして、人間不在ということの言われないような形において農政を進めてまいるのであります。今日、いわゆる農家の家計支出額というものは、都市のそれに比べまして、なお相当の差額を生じております。こういう点が御指摘になりました点だと思いますので、一そう注意していくつもりであります。  次の地価対策につきまして、これは建設大臣から答えさしてもいいことでありますが、先ほど来、また前質問者にもお答えいたしましたように、土地収用法の改正を御審議いただく、また、土地を売却した際の所得等についての税制のあり方等も十分考えていく、あるいはまた、土地を造成することにつきましての民間の助成、あるいは公団、公庫等において積極的に地価を抑制するような効果のあるような金の使い方をするとか、また、農地の転用等につきましても、くふうをいたしたいと、かように思います。もちろん、農地の転用の問題につきましては、もしもこれを自由にいたしますならば非常に弊害が生ずると思いますので、公団等を利用することによりまして、転用等も十分考えて、潤沢な宅地の供給というものにつとめたい、かように思います。  次に、食糧政策の基調についてお尋ねがありました。四つあげられましたが、申すまでもなく、それぞれの問題は、今日特に食糧政策の基調として考うべき大事な柱だと思います。  その中で私が特に指摘したいと思いますのは、お触れになりましたように、農業自身が経済の合理主義だけでは片づかないのだ、この点であります。私もさように思います。いわゆる経済合理主義で農産物等を簡単に扱うわけにいかない。したがいまして、適当な管理あるいは統制方式なり、さらにまた、その価格等についての保護政策、あるいはまた、特別な関税政策、こういうようなものも、とっているわけであります。いわゆる簡単な合理主義だけでは片づかない。しかし、やはり経済合理主義の基本的なたてまえがあるでございましょうから、その合理主義は貫かなければならない、こういうふうに思いますので、おくれた部面ができるだけ早く成長し、近代化ができて、そして外国の第一次産品あるいは農業、農産物と競争のできるように、体質の改善を、もちろん、はかっていかなければならないと思います。現状におきまして、直ちに経済合理主義だけで片づけるわけにはいかない。この点は、お説のとおり、私も賛成であります。  また、食糧の自給度の問題でありますが、今日、わが国の食糧は、食肉、魚肉、果実、すべてを含めまして、大体八〇%前後が自給されていると、かように思います。そういう意味におきまして、外国から輸入するものもあるわけでありますが、問題は、やはり、この供給の安定性というか、それをつかまえて、どの辺を目標にして進めていくのかということが農政の根本ではないだろうか、かように思います。また、国際平和がなければならないことは申すまでもありません。事が起これば、この食糧計画にも非常なそごを来たすのだということは、お説のとおりであります。  また、国際収支の問題でありますが、先ほど申すような供給度から申しまして、わが国が食糧を輸入しておりますものは、全体の一六%あるいは一七%、その程度ではないかと思います。一昨年などは十三億ドル以上の輸入をしておる、こういうような状況でありますから、一面に、工業生産の輸出を増強いたしまして国際収支も改善をはかっていかなければならない。私は、この点には、ただいまあまり心配はいたしておりません。この程度の食糧を輸入いたしましても、十分輸出は強いのでありますから、国際収支といたしましては黒字だ、黒字が残る、かように私は考えておりますけれども、先ほど来申し上げますように、食糧の供給度、それはどの辺に目標を置くかということを考えていきたいと思います。  また、雇用の問題についてお触れになりましたがも農村から労働者がなくなる、いわゆる農村は女だけ、あるいは年寄りの労働だけで経営されておる、こういうことが指摘されております。いわゆる計画といたしまして農業が産業間において適正に配置されるように、そのためには、やはり賃金そのものにつきましても格差がないように、いわゆる生産性が高まるように、そういう方法をとるべきだ、かように思います。  最後に、社会保障制度についてお尋ねがありました。詳しくは厚生大臣からお話しいたしますが、基本的に、経済が成長して繁栄いたします、そういう場合に、この経済の成長に対応する社会開発というものが、ぜひ必要であります。また、そういう意味におきまして初めて社会保障制度も充実し、国民その他に対しましても所得の再分配というようなことがはかられる、かように思いますので、経済開発に対応した、相応した社会開発をする、これが基本的態度であります。  また、その他のお尋ねに対しましては、それぞれ所管大臣からお答えをいたすことにいたします。(拍手)    〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(藤山愛一郎君) 経済計画を樹立しまして将来長期にわたる経済運営の方針を定めます場合には、お説のように、中小企業あるいは社会資本の充実ということとあわせて、農業が重点になることは申すまでもないのでありまして、そういう心組みでわれわれも策定してまいりたいと存じております。また、今回の見通しの中で、農業水産所得五・三%、これは低過ぎるじゃないか、そういうことでは他産業とどうであろうかという御質問でございました。この五・三%だけでは、人口移動その他の問題がございますので、総収入、総所得としての五・三%でございますから、必ずしも他の場合と比較しにくいのでございますが、農業生産性の比較生産性を考えてみますと、三十八年が、他産業を一〇〇として、二八・八%でございます。三十九年度は、近く農林省から発表される予定だそうでございますが、これを上回った数字が出ています。四十年度は、農産物価格の堅調その他でもって、おそらく私はさらに若干の上回った数字が出てくるのじゃないかと予想いたしております。    〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 土地改良十カ年計画を策定するにあたりまして、考えられるあらゆるプロジェクトをそこへ入れるべきではないかという御見解のようですが、特に圃場につきましての御見解かと存じます。御承知のとおり、土地改良事業は、国、それから地方公共団体、さらに受益者、この三者が協力をしてやるという体制になっています。したがいまして、国の財政事情あるいは地方公共団体の財政事情、さらには受益者の負担能力、そういうものもことごとく勘案いたしまして、これを現実的にきめていかなければならぬ、かような必要があるわけであります。さようなことで、いろんなそういう条件を考えまするときに、特に圃場につきまして、これを全部この十カ年計画に収容することが不可能であると、こういうことから、一部をあと回しにしたということにいたした次第でございます。  なお、土地改良計画につきましては、補助率を引き上ぐべきじゃないかというお話でございます。また、農民の負担をなくすべきじゃないかというお話でございまするが、まあ理屈の問題ではありまするが、土地改良事業は、結局において個人の資産を形成すると、こういうことに結着するわけであります。そういうようなことを考えまするときに、全部が全部、これを国、地方公共団体の負担とするという考え方でなくて、今日のように、一部は受益者が負担するという考え方、これが私は適正であるというふうに考えます。ただ、受益者である農民の負担ができる限り少ないほうがいい、それは同感でありますので、四十一年度におきましても、草地改良、土地改良につきましては、補助率の引き上げ、つまり負担率の引き下げをはかることにいたしておる次第でございます。  また、農民に対して、その飲むところの酒について酒税を免税したらどうだと、こういうお話でありまするが、これは、たばこ耕作者に対して、たばこを安く売れというようなものでありまして、そういう差別的なことはできない。しかし、農家の置かれておるこの低位生産性というような見地からは、たとえば供出米に対して所得税を免税するとか、その他できる限りの対策はとっておる。また今後もとり続けていくということをもってお答えといたしたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕

坂田英一自由民主党農林大臣

○国務大臣(坂田英一君) 土地改良の長期計画については、大蔵大臣がただいま答弁申し上げたとおりでございます。結局、でき得るだけ多いほうがいいのでありまするが、今回は十年間で相当の分量をやはりやることにいたしまして、従来よりもはるかに進捗率の多い、いわゆる数量を多く事業をできるようにやっておるはずでございます。その負担等については、先ほど大蔵大臣が述べたとおりでございます。それから、もっと多くやったらどうかということについては、これはやはり農民との相談もありますし、それから地方地方との負担の関係等もあり、いろいろありますから、そう短兵急に、十年で全部やってしまうというわけにもいかぬので、でき得る限り努力をするということで御了承を願いたいと思います。  次に、先ほどこれも総理から御答弁を申し上げておるのでありますが、世界の食糧関係はどうなるかということについての前提、いわゆる食糧問題の前提としてのお問い合わせでありますが、それは、全くいろいろの問題がございます。たとえば、FAOの年次報告によりますと、セン事務局長のなにによりますると、三十五年後には、やはり計算のしかたでありますが、普通は四倍くらい増産を要するだろう、畜産物については六倍ぐらい要るだろうということ、もちろんそれは低開発国についての話でありまするけれども、相当食糧を多く増産しなきゃならぬという材料はいろいろあるわけでございます。もっとも、そういう点については、その数量そのものは、的確にそれがよろしいというわけにはいかぬので、いろいろ議論もあるわけでございまするが、とにかく、将来人口もふえるし、食糧はそう一緒になってふえていけないのであるから、これはやはり不足する傾向は多分にあると思うのでございまするので、その点は、お説のとおり、十分増産問題は考えていかなければならぬことは言うまでもございません。特に東南アジア等に対しては、技術的な援助を、わが国としてもやっていかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。  それから、先ほど中央政策研究所のお話がございましたのでありますが、これらについては、なお申し上げることはたくさんありますが、これは時間もかかりますから、委員会のときにまた申し上げることにお許しを願いたいと思います。  それから、合理主義の問題、農業の合理主義だけによるということについてはどうかという問題は、総理からのお話にありましたことであって、私も同感でございます。ですから、なお詳細については申し上げたいことは多々あります、これは。たとえば農業基本法の問題にいたしましても、単に合理主義だけをうたっておるのでありませんので、農業基本法の前文を読んでいただければ、十分その全体の問題を包含しておるのでありますから、その点もお含みの上で、私どもも十分その点を注意しながら農業施策をやってまいりたいということでございますから、その点、御了承を願いたいと思います。  それから、農産物の価格の総合的検討について、いろいろの、麦の価格の問題はどうとかということがございます。もちろん、それについては、この総合的検討の中には不足払いの制度をとったらどうかという論も出ているのでございます。もっとも、それは長期的に検討すると、それも悪い説ではないと、こう思います。しかしながら、現在しからばどうかということになるわけでありますが、私は現行どおり当分進めていきたい、こう考えておりますので、その点、御了承を願いたいと思います。  それから、米についての問題について、渡辺議員が御心配の上でお話があったと思うのでありますが、米についての直接統制のことでございますが、これはやはり、いろいろの点について、改善すべきものは改善してまいりたいと思いまするけれども、この制度の根本を堅持してまいりたいということを、この際はっきりと申し上げます。  それから、米価審議会に対して、えらい不親切ではないかとか、あまり尊重しないのではないか、軽視しているのではないかというお話がございましたのでありまするけれども、私どもとしては、でき得る限りこの審議会の答申を尊重していくのでございまするし、なおまた、この米価審議会があるということによって、当初、政府において考える場合も、うんとこれは慎重に考えるということでございまするから、前とあとを考えていただきますと、非常に慎重に考えているというふうにお考えを願いたいと思うのでございます。  次に、わが国の水産保護のための、韓国の水産物の輸入の問題でございます。これはやはり、正常化になりますと、輸入はだんだんふえるであろうと思います。これはまた当然そうすべきであるとも思うのでございます。しかし、日本の沿岸漁業に対してそれが非常に大きな悪い影響を与えるということにならないように、十分注意をしなければならぬことは言うまでもございませんので、現在のところ、さようなものについては、非自由化のものも相当多うございますし、それからして、自由化しているものにつきましても、輸入割り当て制度の運営によって、これを調整してまいりたいという考えで進んでおるわけでございます。しかし、なお根本的の問題といたしましては、沿岸漁業の審議会がございまするので、その沿岸漁業審議会において、この問題を十分慎重に検討を願っておるようなわけでございます。  それから、農業のビジョンとか、その他の問題につきましては、委員会において十分御説明申し上げたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣鈴木善幸君登壇、拍手〕

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) お尋ねの第一点は、生活保護についてでございます。生活保護基準の改善につきましては、国民生活水準の向上や社会生活全般の進展を考えながら、毎年の予算編成にあたりまして、この基準の改善に政府は努力をしてまいったところであります。昭和四十一年度の予算編成にあたりましても、特に低所得者対策といたしまして、この生活保護基準の改善に意を用いまして、一三・五%アップすることにいたしたのでございます。その結果、昭和三十六年度を標準にいたしますと、名目約二倍、実質一・五二倍というところまで改善ができたのでございます。政府におきましては、今後も、生活保護の問題は社会保障の基盤でございますので、特に努力を払ってまいりたいと考えております。  第二のお尋ねは、国民年金についてであります。国民年金につきましては、さきの国会で改正を見ました厚生年金との均衡を考え、また、最近における国民生活の実情等を勘案をいたしまして、今度の国会でこの給付水準を二倍半程度に改善をしたい、そして夫婦合わせまして二十五年拠出いたしました際には、月額一万円の給付ができますように改善をいたしたいと考えております。なお、今後におきましても、この所得保障の柱といたしまして、その充実強化をはかってまいる所存でございます。  第三のお尋ねは、医療保障制度を今後どういうぐあいに進展さしていくかというお尋ねでございますが、これは、御承知のように、医療保険制度あるいは特殊な疾病に対する国庫負担あるいは環境衛生の制度、こういう各般の制度を総合的に強化拡充をする必要があると考えるのであります。特に医療保険制度につきましては、今回も、国民健康保険につきまして、七割給付を達成いたします市町村に対しましては、国が国庫負担四割を定率化するという改善を加えたのでございますが、各種の医療保険制度の間には、御指摘のように、給付水準におきましても、また国民の負担の面におきましても、アンバランスがございます。私どもは、これらの医療保険制度の抜本的な改正を今後も努力してまいる考えでございます。また、診療報酬体系の問題につきましても、中央医療協の御意見を聞きながら今後改善をしてまいる考えでございます。  最後に、各種の年金と軍人恩給との格差の解消を御指摘になったのでございますが、各種の年金制度におきますところの遺族年金あるいは母子年金、障害年金というものにつきましては、さきに行なわれましたところの厚生年金法の改正、この国会に御審議をわずらわしますところの国民年金法の改正によりまして、相当大幅な給付の改善ができると考えております。年額最低六万円の給付を実現するようにいたしたいと考えておるわけであります。政府といたしましては、今後もその給付水準の改善に一そう努力をしてまいる所存でございますが、国の補償的な性格を持っておりまするところの軍人恩給と、これを一がいに比較することは適当ではないのではないかと、かように考えております。(拍手)

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河野謙三自由民主党副議長

○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。  これにて休憩いたします。    午後二時四十六分休憩      —————・—————    午後三時二十一分開議

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  この際、おはかりいたします。  亀田得治君から、海外旅行のため、来たる九日から二十日間、請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) このたび、議員重政庸徳君の秘書が、院内において、銃砲刀剣類所持等取締法違反を犯したという容疑により逮捕されましたことは、議院の権威保持の上からまことに遺憾に存じます。議長といたしましても、深くその責任を痛感いたし、今後かかる不祥事が再び起こることのないよう、議院の秩序保持につき一そう留意し、遺憾なきを期する所存でございます。議員各位におかれましても、御協力あらんことを切望いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  横川正市君外一名発議にかかる 議員重政庸徳君の議員辞職勧告に関する決議案は、発議者要求のとおり、委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって本案を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。横川正市君。    〔横川正市君登壇、拍手〕

横川正市日本社会党

○横川正市君 私は、成規の手続を得まして、ここに、議員重政庸徳君の議員辞職勧告に関する決議案を提出いたしております。  まず、最初に決議案の本文を朗読いたします。なお、あわせて、その理由を申し述べます。    決議案   本院は、議員重政庸徳君の議員辞職を勧告する。   右決議する。     理 由  議員重政庸徳君は、昭和三十七年八月から、昭和四十年六月一日に至るまで、参議院副議長としての任にあること三 ヶ年の長きに及んだのであるが、この間重宗議長とともに、参議院の代表者として、識院の秩序を保持し議院の事務を 監督すべき最高の責任者であった。  議院内部警察権は、国会法及び議院の定める規則に従い議長及びこれを補佐する副議長が、これを行なうことになつており行政権はこれに及ばない。それだけに正副議長の院内秩序と品位保持の責務はきわめて重大である。  最近、重政庸徳君の副議長在任中に一心同体的立場にあり、常に側近にあつて副議長を補佐した秘書が、その地位を利用して副議長室へ暴力団を引き入れ拳銃を売買するなど、およそ民主国会においては想像もできない不法行為を行なつていたことが明らかにされた。  この問題は、国権の最高機関たる国会の品位をはなはだしく失墜させるものであつて、この責任はあげて重政庸徳君が負うべきものであり、今日すでに、副議長の任を離れているとはいえ、その責をまぬがれることはできない。  この際、進んで議員の職を辞し、国民の前に深く陳謝の意を表すべきである。    —————————————  私は、本院議員としての立場や地位を考えながら、そして、人間のほんとうの価値が決定されるということは、その人がどの程度に、また、どの方向に自我から解放されていたか——すなわち、自分の考えというものを滅却しながら公の事に奉仕するかという、解放されたその度合いというものを検討することが基礎であるという、ガンジーのことばのごとくに、議会的な人間としてのあり方をきわめたいと考えつつ、提案の理由を説明をいたしたいと思うのであります。  本院が、通常、議案審議に際して、それがはなはだしく対立する、賛否いずれかの立場に立っていても、正々と論議する問題であるのなら、公的にも、また私的においても、かりに人間性の問題に触れることがあっても、やむを得ないこととして許されるものと考えるわけであります。しかし、本件のごとく、本質的に議会の権威に関する問題に対しては、いかなる立場にあるとしても、正しい議会のあり方や、権威ある議会を守るために、また、国民の議会として信頼されることを優先第一義として、党派を越えて意見の一致を期すべきものと考えておるのであります。ことに、政策上の対決の場合、これらは多くの問題をはらんでおりましても、今日までこの議場においての審議は、結果的に多数の意思に従ってまいったわけであります。しかしながら、本件のごとき問題は、多数決によって、ものを決するのではなく、また、党派心によってこれを決するのでもなく、すなわち、かくのごとき問題は、多数決の限界として、すなわち、政策以前の問題として、私は、院の信を回復するために断固たる道を選ぶべきだと考えるのであります。(拍手)  ことに、二月一日の各紙の報道は、国会の参議院副議長室を舞台とするピストル不法売買の不当性をきびしく追及いたしております。これらは一党を名指したのではないのであります。国会というところは、暴力団のためにピストルの仲介までやるところかと指摘をし、議会全体の問題として責任が問われているわけであります。国権の最高の府たる国会が、暴力団に凶器をあっせんするやみ市に堕落し、近ごろの政治の不潔さは目に余るものがあると言われるに及んで、私どもは、国民に対して何と答えればよいのでしょうか。(拍手)議会の責任は市大であると考えるのであります。  また、ピストル所持の暴力団の取り締まりに命をかけている第一線の警官が、死地に入る危険さえおかしているというようなときに、国会が凶器のやみ市化して、警官の捜査がそのことのために力が抜けてしまうかもしれないと言われるに至っては、議会の立場というものを真剣に考えるべきときに至っていると言わなければなりません。ことに、この問題がこの議場において解決されない限り、国民は、信頼しておった議会の一端をにらみながら、泣くことも、おこることもできないで、ふんまんやる方ない思いをしている、その国民に対して、私は最善の努力と方法をもって、最高の答えを出すことが当然であろうと思うのであります。  さらに新聞では、恥ずべき選挙違反を起こし、世論の非難を浴びながら議席にしがみついている小林議員の問題等が関連されておるわけでありまして、ピストル取引を行なう議員秘書、この二つの事件が重なって、参議院の良識の府としての信頼は、全く失墜をいたしておると言わなければなりませんので、明快な答えを出さねばならぬと思うのであります。このときにあたりまして、私ども、議院に籍を置く者として、その党派は別にいたしましても、名誉を回復させるために、最善の答えを出さなければならぬと考えます。しかして、世論にこたえて、今日こそ、その責任の重大さを自覚し、院全体の意思を正しく決すべきときであると思うのであります。  ことに、重政庸徳君は、事件発生にたいへん周章ろうばいされ、あちこちへ陳謝いたしているようでありますけれども、その中に、十二年間自分の秘書をしておったという、その秘書の一身上の問題、思想の問題、行動の問題について、全く関知していなかったという態度は、これは、ふしぎな態度と言わなければならぬと思います。彼が暴力団の幹部としてリストに載っていたことは証言されないまでも、松葉会の重要幹部との間に交友関係が、議員秘書となる前から保持されておったということは、これは議院運営委員会における警察当局の証言によって明らかであります。いわば、議員重政を隠れみのとして、公然と副議長室で非法を行なっていたこと、これは隠れもない事実であると言わなければなりません。  しかも、思い出しますと、去る安保条約改定をめぐって、議会内外に反対者の声が充満をいたしておりましたときに、わが党の山本伊三郎議員が、この国会の正門前の路上において、自由民主党の秘書数人によって殴打された事件が起こっております。その事件発生当時の目撃者の言によっても、自民党の宣伝広報車によって乗りつけた自由民主党議員秘書数人がこの暴行を行ない、そのリーダーが藤野であったことは、間違いないと言われておるのであります。その事件が告発されたにもかかわらず、証拠不十分として不起訴とされたのでありますけれども、私は、検察当局の措置が暴力団放置の結果となったと言わなければなりません。しかもそのことが、今日このような重大な問題を起こさせ、その素因をつみ取ることのできなかった結果になり、議会に組織暴力団の侵入を許したということになろうかと思うのでありまして、これは国会史上に例のない不祥事だと言わなければならぬと思います。暴力に屈するがごとき検察当局の弱体を露呈し、国民から不信を買うというような遺憾な事態が起こったことも、またあわせて、われわれは指摘をいたしておかなければならぬ問題だと思います。  さらに、近代における暴力組織の死活は、保守的支配層から、資金の援助または仕事の片棒をかつがされる等、これらが基盤となってばっこいたしておるのでありまして、今日、取り締まり当局の徹底的な暴力撃滅をはかれない原因ともなっているということは明らかであります。行動的な暴力団の操縦は、実はこれらの広範な背景によって利用されていると言っても過言ではないでしょう。このために、すでに今回の事件に対しても、私ども仄聞するところによれば、保守的バックを利用して警察権に介入しようといたしておる等々を仄聞するのでありまして、こういうようなことは厳に排除いたさなければならぬと思うのであります。本件のごとき問題の発生に、当面の議員が何ら関知しないということはあり得ないと断ぜざるを得ません。  私は、重政君が四十年の改選にあたって、副議長を辞任し、院の構成についてかりにも支障を来たすおそれのある問題で、本院は、党派の別なく、良識ある者は、当然辞任の申し出があることを期待したが、にもかかわらず、自己の利益のため、本院の経営を犠牲にして、副議長のまま選挙を行なった行為がありました。その性格の一片をあらわしているものと思うのであります。かかる議員自身の自我が、院の権威を失墜せしめるこういう事件が当然のごとく起こってきた原因であると言っても過言ではないと思います。  暴力は、これは憎むべきものであります。私どもは、かつて、院の中におけるところの野党の抵抗さえ、これを暴力と称した意見を聞いております。かかる意見を吐かれた方が、この議会の名誉を全く失墜せしめるような、こういう問題が起こったことに対して、その政治の姿勢を国民から強く糾弾されているときに、一体これに対して、どういうものの考え方と姿勢によって答えを出されるのか。(拍手)私は、不問題に対して、それぞれの意思表示を刮目して見ておきたいと思うのであります。  さらに、議員のそれぞれが、暴力団の祝いごととか、何かの葬祭等に対して、花輪を贈って、それが世論のきびしい批判にあうと、自分の関知しないところで、秘書がかってに議員の名前を使ったのだ等々の弁解をもって、世論を無視したという事実が、過去にもずいぶんありました。そういうような問題を放てきして、そして関知しないということだけで言いのがれをするということの慢性化が、今日このような問題を起こしているのではないでしょうか。私は、こういうような事実について、きびしい自己批判と反省がなければならぬと思います。  ことに、本件の調査の中に、藤野と密接な連携を持ったといわれております中心的な人物である若林は、公然と自分の名前を記載をいたしまして、しかも、議員重政君の紹介により、三十八年十一月に三回、十二月に七回にわたって、副議長室に公然と出入りをいたしております。かかる事実から考えてみますと、公的な立場にある副議長の部屋には、公用による通行証が発行されているのでありますから、この院内における警備、警察の目をくぐって、どれだけのこの種の暴力団が往来いたしたかという点について、私は全く寒心にたえないような思いがいたすのであります。  今日、院の権威を保持するために、警察権は議長と副議長にあるわけであります。しかも、国会法第十九条、第百十四条、これによりまして明らかなごとくに、院内の秩序保持は、外部との間の問題について、これは警察の介入を許さない。すなわち、独自の警備体制下にあるのでありまして、かかる責任ある地位にある議長、副議長が、かかる事件を起こしたということは、まことに遺憾のきわみだと思うのであります。  私は、重政庸徳君が、その一身上の措置を党に一任されたと聞いております。これは当然でありましょう。人一生のこと、その進退を誤らせないということが、私どもはほんとうの友情であろうと思うのであります。皆さんの良識が、しかも、自由民主党の幹部諸君の良識が、このことを明確に答えとして出されることを切に期待をいたし、満場の賛成を求めて、提案の理由といたします。(拍手)

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。植竹春彦君。    〔植竹春彦君登壇、拍手〕

植竹春彦自由民主党

○植竹春彦君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました「議員重政庸徳君の議員辞職勧告に関する決議案」に対し、遺憾ながら賛成することのできないことを表明するものであります。  私は、このたび、議員重政庸徳君の秘書が、かつて副議長秘書として重政君を補佐いたしておりました期間に、議院内において短銃取引事件に関与したという疑いにより逮捕されましたことは、本院の権威を失墜せしめたものでありまして、きわめて遺憾しごくに存ずる次第であります。ことに、国民の期待する暴力犯罪の一掃については、国会が積極的に努力しておる際にかかわらず、このような不祥事件を引き起こしたということは、何としても看過することのできない問題であります。秘書の行為とは申しながら、これを選任監督の責めにある議員重政君の政治的責任は、まことに重かつ大なるものがあり、その責任を追及せられるべきことは当然でありまして、その点においては、本決議案の趣旨に全く同感であります。  重政議員も、みずからその責任を痛感せられまして、その進退をわが党に一任せられましたが、わが党といたしましては、このような遺憾きわまる事態に対処して、党としての姿勢にも厳粛な反省を行なうととにも、重政君に対しましては、本人もつつしんで陳謝の意を表し、自発的な意思によって自由民主党の党籍を離れ、当分の間、登院を遠慮し、懲罰事犯の登院停止処分に相当する謹慎の実をあらわしたいとの申し出を了といたしまして、本人に対する重大な反省と責任を明らかにせしめることとして、議員の辞職を強要いたさないことにいたしたのであります。  議員の地位は、選挙を通じて、国民の意思によって得られたものであり、その身分は、憲法上きわめて高度の保障がなされているのでありますから、これが辞任は、自発的であるといなとにかかわらず、慎重を要するものと考えるものであります。本件が懲罰事件に問擬せられるには、若干の疑いがあり、院議をもって辞職を勧告することは妥当を欠くと考えますので、遺憾ながら賛成することを得ないのであります。  自由民主党といたしましては、これを契機に、さらに一そうの反省を加え、各党各派の諸君とともに、さらに国会の権威を高め、国民の信頼にこたえたいと念願いたしておるのであります。  以上をもちまして討論を終わる次第であります。(拍手)

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。  討論は終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 少数と認めます。よって本案は否決せられました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 重政庸徳君から発言を求められております。この際、発言を許します。重政庸徳君。    〔重政庸徳君登壇〕

重政庸徳各派に属しない議員

○重政庸徳君 このたび、私の秘書が、銃砲刀剣類所持等取締法違反容疑によりまして逮捕されるような事態を引き起こし、参議院の権威を失墜せしめましたことは、私の監督不行き届きのためでありまして、議員各位のみならず、国民の皆さまに対しましても、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。私といたしましては、常々彼の言動につき意を用いなかったわけではありませんが、今回このような不祥事件を引き起こしましたことは、何といたしましても私の不徳のいたすところであります。弁解の余地はないのでありまして、この点、まことに申しわけなく、重々おわび申し上げる次第でございます。  私は、この際、自由民主党の党籍を離れ、当分の間、登院を遠慮いたしまして、謹慎いたしたいと存じております。  ここに、つつしんで陳謝申し上げます。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 次会は、明日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十九分散会

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