農林水産委員会 第34号
- 発言数
- 239 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/06/24
会議録
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 まず、農林水産政策に関する調査を議題とし、乳価問題に関する件について質疑を行ないます。 質疑のある方は、御発言を願います。
○矢山有作君 まず最初にお伺いしたいのは、事務当局はよく御承知だと思いますが、最近乳価交渉をめぐってなかなか話し合いがうまくいかぬで、全国的に問題を起こしているようですが、その実態というのを一応できるだけ詳細にお知らせをいただきたいと思います。
○説明員(太田康二君) 御承知のとおり四月一日に、補給金制度に基づきます保証価格、安定指標価格、基準取引価格、限度数量の告示がされたわけでございますが、一方、この制度の根幹をなします指定生乳生産者団体でございますが、神奈川、新潟、埼玉、京都、この四県を除きまして、四十二の都道府県におきまして指定が行なわれて、補給金制度が発足いたしたわけでございます。指定団体が用途別取引価格ということにこの新制度でなりますので、この点につきまして、四月十五日ごろから要求乳価水準というものにつきまして、それぞれの生乳の受託販売委員会というものにおいて意見の調整をはかってまいったわけでございますが、たまたま四月二十二日に、全酪連が主催いたしまして、新乳価制度の懇談会というものを開いたわけでございまして、そこで要求乳価の水準は、飲用向け乳価につきましては百円以上とする申し合わせを行なったのを契機といたしまして、全国的に乳価交渉が開始された次第でございます。そこで、われわれ農林省といたしましても、加工原料乳につきましては、御承知のとおり基準取引価格というものを基準とした価格で取引すべきである。一方、飲用向けの乳価につきましては、現在の卸売り価格から平均的な処理加工経費及び平均的な利潤分を差し引いた価格、いわゆる市価の逆算方式をもって乳業者の支払い可能乳代にすべきであということで、たまたま中央酪農会議からわれわれのほうに資料の提示の要求もございましたので、五月の六日に、いま言ったような考え方に基づきまして、われわれのほうの調査をいたしました事例調査の結果を示しまして、これを乳価交渉の資料として各指定団体を指導するように通知をいたしましたし、引き続き五月九日に、県知事に対しましても、われわれは基本的に、乳価交渉にあたって、いま言ったような考え方で指導されたい。中央酪農会議に対しまして、いま申し上げたような資料を提示して、乳価交渉の資料として各指導団体を指導するように通知をしたというような旨も、あわせて県知事に通達をいたした次第でございます。 そこで、酪農関係、全国の農業団体及び指定生乳生産者団体の全国組織でございます中央酪農会議は、主要な乳業者に対しまして、市乳地域の飲用向けの建て値につきまして、卸売り価格からの逆算方式をとることが妥当であるという旨の申し入れをいたしたわけでございます。とにかく新しい制度でございますので、この際、市乳価格の形成についてのルールを確立するということで、中央酪農会議が先頭に立ちまして、いま申し上げた主要な乳業者との話し合いに入ったわけでございます。乳業者の側といたしましては、中央酪農会議提案の飲用向け乳価決定方式につきまして話し合いを進めてまいったわけでございますが、具体的な処理加工経費の価格につきまして意見が分かれたような結果になっておりまして、中央酪農会議の意図いたしております飲用向け乳価の決定方式に関する統一的な原則の確立という点につきましては、いまだ意見の一致を見るに至っていないという状況にあるわけでございまして、目下両者間におきましての折衝が続けられておるという段階でございます。しかしながら、地域的に見ますと、生産者と乳業者の提示乳価につきまして歩み寄りを見せているところもあらわれておりまして、今後中央における交渉と並行いたしまして、各地方におきましても、指定生乳生産者団体と乳業者の間で価格交渉を続けられ、妥結にもってまいりたいと、かように考えておるような状況でございます。 それから、畜産局といたしましては、これを側面的に援助するというような趣旨から、私は実は立ち合っていなかったわけでございますが、大手の乳業メーカーを呼びまして、局長から今回の制度の趣旨、さらに市乳価格についての価格形成のルールをつくるという意味で、指定生乳生産者団体の全国組織でございますところの中央酪農会議とルールの確立についての話し合いを進めてもらいたいという趣旨を十分話しまして、中央酪農会議提案の乳価形成に関する原則に従って早急に乳価を決定するよう指導してまいったわけでございます。なお、この点につきまては、中小乳業者につきましても同様な指導をいたしたわけでございます。 そして、この際、市乳価格の値上げを前提として原料乳価を取りきめるということは、現在政府が進めております消費者物価安定対策を阻害することにもなりますし、現段階においては妥当でない。少なくとも現行の市乳価格水準を維持することを前提といたしまして、乳業者が生産者に支払い得る生乳価格を取りきめることが妥当であるということで指導をいたしておる次第でございまして、こういった指導のもとに、先ほど申し上げたような形で中央酪農会議と大手の乳業者、地域におきましては、それぞれの指定生乳生産者団体と、乳業者間に乳価交渉が行なわれておる、こういう段階でございます。
○矢山有作君 いま乳価交渉の経過なり、それからその間農林省がとられた態度なり、あるいは考え方というものをお聞かせ願ったのですが、私もそれは承知しております。私が聞きたかったのは、乳価交渉を進めていく中で、全国的にメーカーのほうがどういう態度をとり、そして生産者団体の要求に対してどういうような回答をしておるのか。そしてまた、そのことが不足払い制度を堅持していく方向に出てきておるのかどうか。そういった内容についておそらく把握しておられるだろうと思うので、その点をお伺いしたいと思います。
○説明員(太田康二君) 現在までの段階におきます両者の提示乳価の問題でございますが、生産者側の要求で申し上げますと、加工原料乳につきましては、政府が定めました基準取引価格のキロ当たり三十一円八十一銭というものから、保証価格として定めました三十七円三銭、この幅において提示をいたしております。それから飲用向け乳価につきましては、提示乳価といたしましては四十円から六十一円という幅をもって、これは全国の各地における数字でございますので、幅があるわけでございますが、その幅は四十円から六十一円ということに相なっております。これに対しまして、乳業者側の提示価格でございますが、加工向けの原料乳価につきましては、三十一円八十一銭ということでございまして、飲用向け乳価につきましては三十七円から四十六円四十銭という幅でございます。で、両者間の価格差につきましては、飲用向けについてはまだ現在かなりの大きい開きがあるわけでございますが、以上申し上げたような形で現在の提示乳価が行なわれておるという実情でございます。
○矢山有作君 今度の乳価交渉の実態を見ておると、メーカー側が提示してきた飲用向けに対する乳価、さらに加工向けでまあまとまっておるもの等をプールして計算した場合に、総体的に言えることは、昨年の乳価よりも下がっておっても、上がっておるということは言えないのじゃないか。地域によってプール乳価が上がっておるところもあるようです。しかしながら、総体として見るならば、その上がっておるところのほうが少ない。大体昨年並み、ひどいところにおいては、大手が示してきた乳価は、プールして計算すれば昨年の乳価より低いところが出ておる。そういう実態だと思うのですが、それは間違いでありますか。
○説明員(太田康二君) 先ほども申し上げましたとおり、非常に非常識な数字と私たちも考えるわけでございますが、飲用向けで生産者、乳業者の側からの提示額で、三十七円というような、われわれが加工原料乳について定めました保証価格以下の価格を提示しているようなところもあったわけでございますので、先生のおっしゃたような実態のあるところもあるというふうに理解をいたしております。
○矢山有作君 しかも問題は、メーカーのほうで不足払い制度ができた、その発足の第一年度にあたって、用途別乳価というものを確立していかなきゃならぬときに、メーカーのほうがむしろ用途別乳価の確立を避けて、従前どおりの混合乳価のやり方をとろうとしておる、この傾向が非常に強く出ていると思うのでありますが、これは間違いございませんね。
○説明員(太田康二君) 乳業者の側から、そういった用途別取引を排して、従来どおりの混合乳価でやりたいというようなことを言っておるということを聞いております。
○矢山有作君 それから、いま一つの問題は、きのうか、おとといでしたか、東京市乳圏とメーカー側との交渉が、一応たしか決裂した形になっております。ところが、そういう交渉の場で示されておるメーカーの態度というのは、いわゆる団体交渉的な形をとった交渉には応ずることができない、こういう態度をとっておるようです。 そして、それだけならばまだしも、指定生産者団体を交渉の相手にすることを避けて、裏でそれぞれの単酪に対して手を回して、裏手の取引を進めていこうという動きが非常に強いということを私は聞いておりますし、現に私のところでもそういう問題が起こっております。そのほか各地でそういう実情を聞いておりますが、その点も間違いございませんか。
○説明員(太田康二君) 先ほど申し上げましたように昨日、中央酪農会議が乳業者と話し合いをしたことは聞いております。実はその中央酪農会議で乳業者と話し合いの場を持つということは、われわれといたしまして、新しい市乳価格の形成のルールをつくってもらいたい。その際に加工原料乳の価格を算出するのと同じような方式で市価逆算方式をとることが現在の価格をきめる場合の最も妥当な方式であるということで、そういったルールに基づいて市乳価格の形成のルールをまずきめてもらって、もちろん価格の交渉は指定生乳生産者団体と乳業者の間で行なわれるわけでございますので、ルールをまず中央の段階できめまして、それに基づいて各地域におきまして、いま申し上げた指定生乳生産者団体と乳業者の間できめてもらいたい、そのルールをきめる場としての交渉の場を持っているわけでございます。その際に、いま先生は決裂というおことばを用いられましたが、そういったルールなり、あるいは中央酪農会議が提示いたしました標準的な処理加工経費というものが不当に低過ぎるというようなことの反対があったということは聞いております。 それから、なお乳業者が、先生がおっしゃいましたように、指定生乳生産者団体との交渉はやっておりながらも、一方において、その下部組織でありますところの単協等に対しまして、いろいろに働きかけておるというようなことは事実あるようには聞いております。
○矢山有作君 そうすると、私は問題が出てくると思うのです。せっかく不足払い制度というものをつくって、用途別乳価を確立していこうと、そういうことが一つの中心の考え方であったわけであります。さらに指定生産者団体を通して、少なくとも乳価交渉をやらせようと、このことが一つの考え方であったわけです。その法の趣旨というものは、メーカー側によって完全に踏みにじられた。このことは大臣、どうあなた考えられますか。
○国務大臣(坂田英一君) この価格決定は、やはり指定生産者団体と乳業者の間において決定すべきものである。こう考えておるわけでございます。
○矢山有作君 ところが、大臣がいかにそうお考えになっても、現実の姿というものは、全く破られておる。メーカーは不足払い法なんかの存在というものは眼中にないという態度をとっているわけです。これは明らかに、ことばを尽して言うならば、政府なり国会に対するメーカー側の挑戦です。これは明らかに。こういうような不遜な態度に出てきているときに、大臣はただそれを守ってもらいたいと言っていることだけでは問題は済まぬと思うのです。一体法を守らせるために、あなたはどうするのですか。
○説明員(太田康二君) 先生のおっしゃいましたとおり、新制度のもとで用途別取引ということの道を開いたわけでございますが、制度発足のことでもございまして、乳業者あるいは生産者ともにこの関係にふなれでございまして、なお両者間に飲用乳価格の算定の基礎につきましての考え方の相違等もございまして、まだ妥結をみていないということでございますが、中小乳業者の間におきましてはかなり妥結の気運も醸成されつつありますし、大手のメーカーは、先ほど申しましたとおりやや提示価格に両者間に開きもございますので、残したままでまだ妥結に至ってないということでございます。われわれといたしましては、中央酪農会議を通じまして大手乳業者との間に乳価の交渉のルール、いわゆる市乳逆算方式による乳価交渉のルールというものをまずつくりまして、土俵をきめた上で各指定生乳生産者団体と乳業者との間の価格決定に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、何と申しましてもこの制度を円滑に運営いたすためには生産者の指定団体への結集ということが重要でございますので、これを極力推進いたしまして、先ほどお話に出ましたように末端の段階で乳業者に切りくずされるというようなことのないようにいたしたいと思っておりますし、こういったことによりまして新制度に即した適正な乳価水準というものが決定されることを期待いたしておるわけでございます。なお指定生乳生産者団体と乳業者との間で価格の交渉をしろという、いわゆる土俵に乗って価格の交渉をしろという点につきましては、先ほどの経過で御説明申し上げましたように、十分大手の乳業者にも私のほうの局長から話しておりますし、その点につきましてはもちろん相手方のほうも了承いたしておるような次第でございますので、われわれ今後側面的に中央酪農会議等を援助いたしまして、いま言った市価の逆算方式による市乳価格形成のルールというものをつくってまいりたい。かように考えておる次第でございます。
○矢山有作君 大臣、あなたのほうから答弁を聞きたい。あなたの責任にあることなんです。あなたから答弁してもらいたい。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど政府委員からお話を申し上げましたとおりでございまして、私といたしましても乳業者に対しまして十分誠意をもってこれらの問題の解決にあたっていきたい。かように存じておるわけでございます。
○矢山有作君 誠意をもって解決にあたることば、いままでだって誠意をもってメーカーを指導し、また生産者団体をあなた指導してきたわけでしょう。いまさら誠意を持たずに指導してきたとは言えぬはずなんです。ところが、誠意をもって指導してきても、先ほど来言っているように、なおかつメーカーは全然不足払い制度の趣旨というものをみずから踏みにじるような態度に出てきている。私はこのことを問題視しているのです。ですから、誠意だけをもってやることによって解決がつかない段階じゃないか。ですから、あなたにどうするかと言っているのです。 それからもう一つの問題は、先ほど制度にふなれだとおっしゃった、メーカー側も生産者団体も。確かに生産者団体のほうは制度にふなれだということも、生産者団体を結成するのにはいろいろなむずかしい問題があるでしょうから、それはある程度わかります。しかしながら、メーカーのほうは、私は制度にふなれだったとは言ってもらいたくないのです。なぜかというと、あの不足払い法案を審議しておったときに、森永乳業は、この不足払い制度に反対するための小冊子を堂々と発表したじゃありませんか。それであったならばこの不足払い制度というものについて、森永に代表される少なくとも大手メーカーはこれを十分に理解しておったということなんです。したがって、ふなれであるからこれがうまく実行に移せぬのだということは言えないのですよ、大臣。あなたどう思いますか。
○説明員(太田康二君) 私のことばが足らなかったかと思いますが、従来の取引が、先生も御承知のとおり、混合乳価取引であったわけでございますが、この新しい制度によりまして、加工原料乳と飲用乳に分けまして、それぞれ用途別の取引をすることになったわけでございます。そういった意味の価格形成のルールというものにつきましては、新しい制度に基づく価格の形成でございますので、そういった意味におきまして、私ふなれであるというふうに申し上げた次第でございます。
○矢山有作君 大臣、一体どうするのですか。
○国務大臣(坂田英一君) これはやはりいま申しましたように、新しい制度であるだけに、条理を尽くし、誠意をもって交渉にあたらせるように、乳業者を指導してまいりたい、かように考えております。
○矢山有作君 大臣、大手の乳業メーカーというのは、そんなに素直ななまやさしいものじゃありませんよ。なぜかというと、中小メーカーのほうは、大体、生産者団体の要求に近い線というのをどんどんのんでいこうとする傾向が、非常に強いのです。ところが、それに妨害をしておるのが大手の乳業メーカーです。私は伝え聞くところによると、中小メーカーの団体に対して大手メーカーのほうから、決して高い取引をしてはならぬぞという強い申し入れをやっております。こういう事実をあなたが一体どう考えておられるのかということなんです。こういうような大手のメーカーというのは、これは全く横暴きわまるのです。だから、これは大臣が言われるほど、問題は簡単じゃないのですよ。あなた、どうするのですか。これはあなたの責任ですよ。
○国務大臣(坂田英一君) そういうことを申してしまったのでは、これはたいへんな問題でございますから、私は、そうじゃないのであって、やはり新しい制度であり、相互のためにこれは固めてまいることは、結局において非常に秩序を固めるゆえんであり、有利なことであるという、そういう根本について、先ほど申しましたように、条理を尽くし、誠意をもって交渉にあたらせるということは、さように極端にそういう考えではなしに、そういうことであればあるほど、私はその点について誠意を尽くして進めたい、かように考えておるわけでございます。
○矢山有作君 そういう極端なことを申しておるのは、私じゃないんで、大手の乳業メーカーが申しておるわけです。しかも、中小メーカーが生産者団体の要求に応じようとすれば、これに妨害するのが大手の乳業メーカーであり、さらに生産者団体との乳価交渉を避けて、強力に拒否して、そして陰で単酪に対してこそこそと、陰険きわまる乳価交渉をやっておるのが大手乳業メーカーです。したがって、この実態というものを、私は大臣なり、また事務当局にはよく認識してもらいたい。これが、私先ほど言いましたように、不足払い制度に対する大手乳業メーカー自体の挑戦なんです。不足払い制度を大手乳業メーカーがみずから踏みにじろうとしておる。このことは、許される問題ではないのです。したがって、これに対する指導については、大臣、繰り返してあなたは、誠意をもってやるとおっしゃるのだから、その誠意のほどを実績の上で示していただくことを期待しております。 次の質問に移りますが、実は鳥取県で、四月十三日に生産者団体と乳業メーカーとの間の乳価交渉が行なわれました。で、この際に、四月から六月の間の暫定乳価として、市乳向けは一升八十五円五十銭、加工原料乳向けが六十九円四十一銭、学校給食向けが八十円、これで決定をいたしました。ところが、それがその後に、どういう理由かわかりませんが、五月の七日に至って、メーカーのほうから突如取り消されてまいりました。そうして、新しく市乳向けの乳に対しては、一升七十六円六十一銭、加工向けに対しては五十九円六十四銭、こういう回答が行なわれております。これが一つの原因でもありますが、いま鳥取の酪連は紛争状態が起きており、幹部の辞任問題が起きて、大騒動になっているのです。一体、メーカーと生産者団体との間で自主的に決定をされた乳価が、どうして急にメーカーから一方的に破棄されるようなことになったのか。その原因は、私は熱心に指導してこられた農林当局としてはよく御存じだと思うので、この点を承っておきたいと思います。
○説明員(太田康二君) 先生、鳥取の場合をお話しなさったわけでございますが、いま申されたような価格で、当事者間で価格が決定されたというふうには、われわれ実は聞いておらないというような次第でございます。
○矢山有作君 これは私が直接聞いたのですから、間違いありません。決定されて、それが突如として取り消された。それが一つの大きな原因になって、酪連の中に紛争が起きている、こういうことなんです。だから、その取り消された原因がどうしてかわからんとおっしゃるなら、それでよろしい。しかしながら、決定をみなかったということは、これは間違いです。
○説明員(太田康二君) どういう理由で——私のほうは決定があったというふうには聞いておらなかった次第でございまして、なぜそうなったかということにつきましては、その原因をつぶさに承知しておりません。
○矢山有作君 それは、ここに畜産局長が来ておられれば一番はっきりするのですが、私は五月の十二日のときには、この鳥取の乳価問題についてはあまり深く突っ込まなかった。ところが、そのときの畜産局長の答弁は、一応乳価の交渉が成り立った後に取り消されたということを前提にしての答弁をされているわけです。しかも、それが取り消しになった理由というのは、いろいろと乳価の算定について問題があったから、その算定のやり方について、一応の注意をうながした。その程度なことをやっております。こういう御答弁だったのです。ところが、私が、畜産局長が言ったような程度のことで、一たんきまった鳥取の乳価がくずれたのではないということを知ったから、あらためてこれを問題にしているわけです。
○説明員(太田康二君) いま先生がおっしゃったような事実が、この委員会であったことは承知いたしておりますが、特に基準取引価格の考え方について、いろいろ意見があったということも承知いたしております。
○矢山有作君 私は、ほんとう言うたら、個人の名前もあがることになり、いろいろお気の毒な面もあるから、本来なら、私はこういうことは言いたくない。しかしながら、一役人の問題であるとかないとかの問題じゃないので、これまた、事実そういうことがあったかどうかということは、私は私の伝え聞いているところだから、わかりません。なかったなら、なかったでいいのです。しかしながら、あることがあって、それが大きな原因で鳥取の乳価交渉の混乱が起きたと承知しておりますから、あえて好まぬことですが、個人の名前をあげて申し上げますが、鳥取の乳価が決定になったその後に、四月の二十日過ぎだったと思います。全酪連主催の新乳価制度懇談会というのが行なわれたはずです。そこに出席した畜産局の白井という乳業班長の方が、いろいろな不足払い制度の問題について発言をしておられる。その発言の内容を読んでみると、明らかにメーカーと生産者団体の自主的な交渉を妨害し、これに水をかけるような発言になっておる。そのことがきっかけになって、メーカー側は、せっかく妥結した乳価であったけれどもこれを取り消すと、こういうことに大臣なっておるのです。あなた御承知ですか、それを。御承知であったら、これをどう考えられますか。
○説明員(太田康二君) いま、酪農の団体の集まりで、私のほうの白井班長がそういう発言をされたために、いま言ったような混乱を招いたというお話でございますが、われわれの基本的な態度といたしましては、加工原料乳の基準取引価格というものにつきましては、御承知のとおり、この制度の生産者補給交付金の計算の基礎となるものであるということが一点と、それと同時に、御承知のとおり、この基準取引価格が向こう一カ年間の加工原料乳の現実の取引価格の形成にあたっての基準となるものであるということでございますので、おそらく白井君も、その席で、そういった発言をしたんだろうというふうに考えております。
○矢山有作君 ですからね、この間畜産局長がおっしゃったことと、われわれがその後承知した事実との間に、非常に大きな相違ができてきているわけです。畜産局長はどういうことをおっしゃったかというと、私はこれは参考のために読みます。今後の、あなた方が、メーカーなり生産者団体を指定していく上において重要な問題ですから。局長はこう言ったのです。「ただ鳥取の場合には、乳業者というものが農業団体でございます。加工原料乳という中に、はたしていわゆる法律上の加工原料乳というものと、それから飲用乳向けでもなく、法律上の加工原料乳でもない、その他加工乳というものがあるわけでございますが、それについての価格のきめ方はどうなっているのか、実ははっきりしていない点があるわけでございます。で、鳥取の場合、これは特殊な乳業経営の形をとっておりまして、乳製品を一度つくりましても、それをさらに二次加工品としてみずから加工をし直売をするという形態をとっておる。それから飲用乳につきましてもいわゆる卸売り段階というものがございませんで、工場が消費段階まで直接やる。したがって、この経営形態のもとでは通常の場合の経営とは違った一種の営業利益——まあ営業利益というのは広範な観念でございますが、取り扱い利益といいますか、そういう部分が相当の幅である、それの配分の方法をどうするかということについては、これはいろいろ考え方があるわけでございますので、私どもとしてはそういう用途別の価格の建て方をさらに合理的なタイプにする方法はないのかどうか。それから利益配分の方法を基準乳価として支払う方法が合理的であるのかどうか。そういう点は今後検討をされる余地があるのではないかということを指摘をいたしたのでございます。私も、ざっくばらんに申しまして鳥取の場合には交渉をされました総乳価の支払い能力というものは十分あるものと認めます。したがって、農家の受け取り価格総体が」——これは字がちょっと間違っているね。何とか「乳価」と書いてあるね。これは印刷の間違いでしょう。「乳価総体よりも下げてしかるべきだというようなことは全然申してないわけでございます。で、価格の、それぞれの用途別の価格の決定方法、利益配分の方法についてより合理的な安定的な価格をとることは可能ではなかろうかということを申しておるに過ぎないのでございます。」こう言うております。もしこの限りであるならば、この限りであるならば、これは、乳価のいろいろな算定の方法について、いろいろと忠告をしたというにすぎないでしょう。大した問題はない。ところが、私が承知しておる白井さんが言ったということは、こういうことじゃないのです。問題は。こういうことでなしに、ざっくばらんに言うと、基準取引価格というものがきめられたんだから、それ以上の取引を絶対してはならぬ、そういうことをやることは制度の根幹をゆるがすのだ、こういう意味のことを言っておる。さらにそれを裏づけするような松本課長からの指示も、四月の二十三日に農林省から出ておる。こういうことがメーカーを力づけた。メーカーはこれを踏み台にして、せっかく自分たちがもうかっておるのだから、このもうけを生産者に分け与えるのは当然だということで、生産者団体とメーカーの間にしごく平和的に自主的に話し合いをやったものがくずれた。このことの責任はこれはあなた農林省が負わなければならない。大臣どうですか、これは。
○説明員(太田康二君) 制度発足当初の指導といたしまして、従来の混合乳価を用途別取引に変えていく。その際、用途別取引の考え方といたしまして、加工原料乳につきましては、先ほど申し上げましたように、政府が定めた基準取引価格というものを一応の交渉の場合の基準とした価格でやるべきである。それから飲用向け乳価につきましては、先ほど申し上げましたように、現在の卸売り価格から標準的な平均的な処理加工費あるいは平均利潤分を差し引いた価格をもって乳業者の支払い可能乳代とすべきであるというような指導をいたしたわけでございまして、それは当初の乳価交渉にあたっての基本的な考え方としては、そういった指導をいたしたことは事実でございます。しかし、その後におきまして、いま先生の御指摘のあったような鳥取の場合も出てまいりましたし、乳価交渉の漸次具体化に伴いまして、われわれは、さらに先生が御発言になりました局長の発言というようなこともございますので、そういったことは十分承知はいたしておるわけでございまして、今後におきましては、そのような方法において指導してまいりたい。決して基準取引価格さえ払えばよろしいと言ったことの覚えはないわけでございます。
○矢山有作君 ただね、基準取引価格で取引したらいいのだと、それ以上の価格で取引することは、これは不足払い制度の根底をゆるがすからいかぬということをはっきり言うておるのです。ただそれをこの委員会で指摘されて、局長が、それは行き過ぎだったと、メーカーが現在の乳製品の市乳実勢等から見て、支払い余力があるとするならば、自主的交渉の中でその分を基準乳価の形でとることは問題があるかもしれないが、他に名目を変えて奨励金というような形でとることはこれはかまいませんというふうな言い方をなさってきた。したがって、私の言いたいのは、農林省がつくられた法の趣旨というものを十分に理解しないで、ただメーカーの利益になればいいのだという考え方、これは言い過ぎかもしれませんが、生産者の立場を考えないような四角四面な指導をやるというととんでもないことが起こるのだと。しかも一たん発生した事実は取り消すことができない。これはいまだにその農林省の指導官の言ったことがメーカーにとっては有力な足がかりになっている。それで断じてメーカーはあとへ引かない。だから私の言うのは、あなた方が指導なさる場合には、十分配慮しながらやらぬというととんでもないことが起こりますよと、誤りはなかなか直らぬぞということを私は申し上げたいのです。今後ひとつそういうことのないように厳に注意をしていただきたいと思います。そういう注意をするという決意があるならば、そのことを含めて次の質問の中に一緒に答えていただきたい。 次の質問は、飲用乳の取引価格を自主的にきめるのだということでありますが、それに対して何かの足がかりがほしいということで、中央酪農会議からいろいろと要請がありまして、そして農林省のほうでは御承知のように、飲用牛乳の製造販売費用等についてという会報を出して、一応の目安を示されました。しかもその目安については畜産局長がこう言っておりますね、「今回実施されます用途別価格の制度というものを実効あらしめる一助として、一つの資料として標準的な製造販売経費というものを示したのでございますが、この数字につきましては、私どもは乳価制度全体として妥当になるようにという考え方で謙虚に数字を出したつもりでございます」。と、わざわざ御丁寧にこういう付録まで国会で答弁をされながら、この会報というものを出された。ところが、この会報は一体メーカーによってどういう取り扱いを受けておるのですか。この会報がメーカーによって尊重されて乳価交渉が進められておりますかどうか。私は、進められておらぬ、会報は尊重されておらないと理解しておりますが、どうでしょうか。
○説明員(太田康二君) 私のほう、いま先生の御指摘のように、中央酪農会議に対しまして、飲用牛乳の製造販売費用等についてということで、これは畜産局で事例的に把握した結果を、それぞれ乳業工場の立地あるいは規模等各種の要因により対象工場ごとに相当な差異が見られるために、標準偏差をもって上下の幅を示して、そういったことを十分留意の上、実際の乳価交渉にあたってもらいたいというふうに示したものでございます。大手のメーカー等はこの製造経費が安過ぎるということで、直ちにこれを了承していないというような実情でございます。
○矢山有作君 しかも私が問題だと思うのは、ただ単に了承しておらないだけならいいのですね。乳価交渉の場で大手乳業メーカーは、あんなものはでたらめなんだと言っておりますね。でたらめだと。それで、現在このことについては文書で農林省に文句は言っていっていないようですが、口頭ではだいぶ文句を言っていっておるようです。私は畜産局長がわざわざ謙虚に計算をしたとおっしゃるのですから、常識で考えるならば、メーカーのほうにとってはありがたいような計算をやられたんだろうと思う。その計算すらメーカーによってでたらめだといって一切尊重されない、踏みにじられてしまう。これは一体指導官庁としての権威はどこにあるのですか。しかも、それだけならいいのですがね。私は五月十二日のときに、幾らそういうような指導をなさってみても、メーカーは聞かないことがありますぞ、それを無視して聞かれなかった場合には一体どうするんですかと言って聞いた。そうしたら、いや誠意をもって聞かせるようにいたします。それから、あれからだいぶ日にちがたちますから、相当誠意をもって聞かせるようになさったそのお返しが、農林省の計算はでたらめだ、こういうことです。そうすると、一体これは今後どうなさるおつもりですか。これは私は飲用乳向けの生乳価格の決定については非常に重大な影響があるから、これに対しては農林省としてのはっきりした答えを聞いておきたい。特にこれは農林大臣、あなたに責任があるのですからね、あなたのほうから御答弁を願いたい。
○国務大臣(坂田英一君) 畜産局が乳価形成の参考資料として中央酪農会議に提起いたしました飲用牛乳の製造販売費用は事例調査の結果の数値であり、乳業工場の立地、規模等の要因により対象工場ごとに相当な差異があるため、数値自体上下の幅をもって示しておる。したがいまして、これを利用するにあたりまして、これらの事情を具体例に応じて十分配慮する必要があり、一がいには言えないけれど、農林省といたしましては、さきに示しました数字が平均的、一般的製造販売費用として妥当な水準であると考えておるので、今後ともこれを資料といたしまして、生乳生産需要事情その他の経済事情を考慮の上、適正な乳価水準が形成されまするよう関係者を指導してまいる所存でございます。 なお、矢山委員が言われることは、ほんとうにこの問題がよく進捗することに非常な御熱意をもっておられるのでございまして、私も極力これが早く解決いたしまするように、また両者ともこれらを十分に理解していただいて解決が早く進むように一段の努力を払いたい、かように存ずる次第でございます。
○矢山有作君 いやいや、たいてい御答弁が努力、一生懸命やりますという話になるのですがね。問題はメーカーのほうが、農林省の案はでたらめだと言っているのですよ。でたらめだということになれば、これはあなたのほうが誠意をもって指導をしようと言っても、でたらめだということになれば、相手にしないということなんですから、一体どうしますか。これはてんで取り合ってくれない。何ぼそばに行こうとしてもあっちへ行けといってそばに寄せつけない。一体これはどうしますか。善処するだけでは片づかない。
○説明員(太田康二君) 実は私のほうで調査をいたしました、先ほど大臣から御答弁のございました数字につきまして、これを中央酪農会議に知らせたわけでございますが、その際、事前にメーカー等に連絡をとらなかったというような意味におきまして、メーカー側が非常にけしからぬというようなことを言っていることは承知いたしておりますが、実際にそれぞれの工場につきましての事例ではございますが、それぞれの報告に基づきましてやった数字でございますので、われわれはこの数字が正しいというふうに信じております。そしてこれによって指導をしてまいりまして、実際に飲用乳の価格が、こういったものを基礎にして形成されるというふうに持ってまいりたい。かように考えております。
○矢山有作君 まあ農林省が計算をされるときには、私は、局長の正直な答弁のように謙虚な気持ちで計算をされたと思うので、先ほども申しましたが、乳業メーカーにとっては、私は、満足のいく、むしろうれしい計算をされたんだろうと思う。ところが、それをしもでたらめだというようなわけのわからぬ大手の乳業メーカー相手のことなんで、私は誠意をもって交渉されるということはわかりますが、なかなかこれはむずかしゅうございます。そこで、はたしてこれをのますことのできる見込みがあるのかどうか、これは私はぜひとも伺っておきたい。なぜかというと、生産者団体は、私どもの地区でもそうですか、牛乳を川に捨ててでも今度の乳価闘争だけはやると言っているわけです。ところが、自分が夜の目も寝ないで苦労して育てた牛からしぼった乳を川に捨ててまで、どうしても今度の乳価だけはもらわなきゃならぬということは、これは悲壮な決意です。ということは、ただ単なる個々の酪農民がそういう決意をしておるというだけでなしに、最近の酪農の実態から見るならば、このままの状態で推移すれば、日本の酪農はこれは崩壊しますよ。たくさんの脱粉を輸入して外堀を埋められて、その脱粉が今度は還元乳になって出回って内堀を埋められて、酪農が崩壊する。そのことを恐れるから酪農民は真剣に立ち上がっていると思うのですが、そうすると、酪農民がほんとうに乳牛を捨てない前に、当局としてはこの問題を片づける責任が出てくる。一体その見込みがあるのですか。
○説明員(太田康二君) 先ほど大臣もおっしゃいましたが、条理を尽くし、誠意をもって乳業者を指導いたしまして、乳価形成が行なわれるようにやってまいりたいということでございますが、われわれもちろん調査に基づいて発表したものでもございますし、もちろんその具体的適用につきましては、工場の規模あるいは立地等の条件によって違うこと、その利用にあたってもそういった点を十分考慮して利用してくれというような趣旨はうたってあるわけでございますが、われわれは、こういった形の乳価算定方式というものによりまして市乳価格が形成されまして、結果として適正な乳価水準が農民に確保されるということに特段の努力を今後払ってまいりたい、かように考えております。
○矢山有作君 特段の努力に私は大きな期待を持って、ひとつ見守らしていただきたいと思います。しかしながら、先ほども言いましたように、中小メーカーのほうがよほどすなおですよ、これは。生産者の要求はのむし、のもうとする姿勢があるし、また政府が示された指導的な数値についてもこれを尊重しようとする前向きの姿勢がある。ところが、それを妨害しておるのは大メーカーですからね。しかもね、私はこの農林省が示されたものはストレートにのんでいいものだと思うんですよ。現実にのんでおるところもあるんですよね、これを。たとえば茨城の場合ですが、全酪連の東京工場はですね、東京工場渡しの値段をキログラム当たり四十七円三十三銭でこれは言うてきてるわけです。それから大分の場合、九州乳業はキログラム当たり四十八円六十六銭でよろしいと言ってるわけですよ。これらの工場がのめるのに、合理化が進み、しかも今度の三月期の決算で二三%から三六%という大幅な利益をあげた大乳業メーカーが、なぜこの農民のささやかな希望をのむことができないのかということなんです。これほど不況だ不況だと言われる中で、大乳業メーカーはもうけたいほうだいもうけているじゃないですか。それをなぜ酪農民の要求が聞けないのか。農林省が謙虚な気持ちで出した数字をそのままストレートに賛成できないのか。ここが私は問題だ。ここに日本の大資本の、露骨な、もうけさえすればいいという残虐非道な態度が出ている。このことを私どもはあなた方がよく認識して、徹底的に大乳業メーカーとの間に立って、強力な行政介入をやっていただきたい。そうしなければ、これは解決しません。大臣、その決意ありますか、あんた。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど私が申し述べた方途により、また数式によりまして、これらを徹底いたさしめるように努力を払ってまいりたいということを決意いたしておるのでございます。
○矢山有作君 しかもね、大臣、もう一つあなたに申し上げておきたいのは、いま東京の市乳地域でメーカーとの間に乳価交渉が行なわれております。これはまあ決裂のようなことになりましたがね。この中で、交渉の対象になっておる生産者側の要求しておる乳価というのはですね、すこぶるこれは控え目なものなんですよね。農林省が示した製造加工経費というものをもとにして普通牛乳向けの乳の値段を算出し、加工乳向けの乳の値段を算出し、それをそれぞれの比率で加重平均をして出しておる、その要求すら乳業メーカーはのもうとしないんですよ。しかも、この計算の中には、あの乳飲料という、わけのわからぬものでもうけちゃっておる乳業メーカーのこの利潤の還元というものは、全然入ってないんですよ、この中には。これも考えていくならば、まだ乳価はあがってくるはずなんです。一升当たりの乳価というものはまだあがってくるはずです。大かた四円から五円くらいあがるんだろうと思うんですがね。それくらいあがってくる。しかも、さらにもう一つ問題は、現在の乳製品市況から言うならば、安定指標価格よりも乳製品市況のほうがぐんと高い。脱粉の放出をやっても、その落札価格が乳製品市況を上回るくらい高い。そういう中で基準取引価格で加工原料乳向けの取引をメーカーがやるとするならば、現在の乳製品市況から逆算した場合、まだメーカーはもうけが出る。かつて畜産局長は、最近の乳製品の市況からいって、出たもうけはこれは奨励金というような形で出してもいいだろう、あるいは飲用向けの乳の上に上乗せしてもいいだろうというような意味のことを言ったことがある。だから私は、この乳製品市況からくる余分の利益というものも、当然市乳向けの生乳の価格を決定する場合には加えていいものだと思う。大臣、その点どうですか。
○説明員(太田康二君) 局長も先般お答えになったかと思いますが、われわれは安定指標価格から逆算いたしまして、基準取引価格というものを出しておるわけでございますが、現在の指定乳製品につきましての水準というものが、ある程度安定指標価格を上回って続くというような事態でございますれば、プラス・アルファというような形によってこれを乳価にプラスするということは、当然農民の要求としてしかるべき要求であるというふうに考えております。
○矢山有作君 そうすると、そういうようなものを加えていって、農林省が示した市乳の標準的な製造加工経費というものを元にして計算をしていくと、一升当たり大体九十七円から八円でメーカーは買っても十分もうかるという計算になるのです。したがって、東京市乳圏の生産者団体がメーカーに対して要求しておる、一升当たり八十八円七十銭というのは、これは決して無理なものじゃないのです。かえって安過ぎるのですよ。これも、この安過ぎる乳価要求までメーカーはけっておる。これはよくひとつお考えいただいて、ぜひともメーカーに要求しておるものだけは完全に実現される。これは、畜産局としても、大臣としても、あなた責任がありますよ、大臣。これはあなたの責任がありますよね。生産費の計算のときのあなたの態度から言っても、このくらいのことはあなたしなきゃ。やりますね。やりますか、それは。
○国務大臣(坂田英一君) その数字の問題は、これはまあ地方によって違うし、私もいまここでこれをどうということは申し上げませんが、先ほど申しました数式によって、また資料によって決定してまいることについては、でき得る限り早期にこれらの問題を解決してまいりたい、こう存じておるわけでございます。
○矢山有作君 そこで、私はまとめてひとつ最後に一、二、申し上げたいのは、いまのような強力な大乳業メーカーを相手に生産者団体が乳価交渉をやるというのは、これは容易なことじゃない、全く。大乳業メーカーのほうは農林省もまるでくわえて振っておるわけですよ。これは国会までくわえて振っておる。まるで国会も、農林省も、大手乳業メーカーにまるでくわえて振られっぱなしというのがいまの姿なんです。これを何とかして打破しなきゃならない。その打破する方法は一体何か。やはり私は生産者に、横暴な、非常な強い力を持った乳業メーカーと対抗できるような力を持たせる以外にないと思うのです。これは。ないと思う。したがって、その点について農林省が一体今後どういう処置をとられるか。これはもう差し迫った問題なんですから、乳価交渉だけに目を奪われている問題じゃない。もちろん乳価交渉、これは徹底的にあなた方で行政介入をやってもらって、生産者の要求を通してもらうと同時に、こういうことでほうっておくと、いまの乳業メーカーの力、いまの生産者の弱体、これをほうっておくと、こんな紛争がいつも起こる。だから、それを防ぐためには早急に指定団体を強化しなきゃならない。その強化の方向というものをどういうふうに考えておいでになるか。これはここで答弁したらそれで済むのじゃという問題じゃありません。答弁していただいたら必ず実行していただかなけりゃならぬので、大臣、それをひとつあなたのお考え方をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(坂田英一君) ただいまいろいろお話を申し上げた線に向かって私も極力これらの問題を早期に解決する努力をいたしたいと思うのでありまして、したがいまして、指定生乳生産者団体に対しまして力を十分与えていくことについても、なおよく検討を加えて進みたいと思います。私もここしばらくの間、非常に残念でございましたが、その点について十分まだ見ていなかったわけでございます。いまお聞きいたしまして、早くこれはやはり解決すべきものであるということを特に考え、いまいろいろの点を考えておるわけでございます。十分これらの問題を考えてまいりたい、かように存じます。
○矢山有作君 大臣、それは気のつきようが少しおそ過ぎますよ。去年、不足払い法案を審議したときに、この問題はさんざんやった問題なんです。あなた、そんなのんびりしておるから、火がついてきてからあわてるようなことになるのです。案外あわててないかもしれないけれども……。そこで、これは、あなたがわからぬということになれば、私は、渦中に入って四苦八苦しておるだろうと想像する当局、事務局側には、この案の考え方というものが多少まとまっているだろうと思う。どういう方向で指定生乳生産者団体というものを強化して、乳業メーカーと対抗しても適正な乳価が形成できるような方向に持っていこうとされるのか。ひとつ具体的な考え方を聞かしてください。
○説明員(太田康二君) まず、一般的な問題といたしまして、われわれといたしましては、指定生乳生産者団体の全国組織でございます中央酪農会議とも密接な連携をとりまして、指定生乳生産者団体の指導、監査、あるいは経営の診断、さらには助言、援助等を積極的、かつ計画的に行なってまいりたい。特に非常に弱い、そう言っては語弊がございますが、弱い指定生乳生産者団体もございますので、これらにつきましては個別的に重点指導を行なうということを考えておりまして、こういった線を通じまして、その育成強化をはかってまいりたいということが第一点でございます。それから将来の問題といたしまして、われわれはやはり指定生乳生産者団体はまさに酪農民の生産団体でございますので、われわれが今後酪農振興のために進めてまいらなければならない各種施策に対しまして、これを積極的に関与せしめる。たとえば、具体的に申しますと、今後進めてまいらなければなりません自給飼料の飼料作目の増産対策、これらの推進にあたって指導関与せしめる。あるいは政府で操作をいたしております飼料等の配分につきまして、これも十分指定生乳生産者団体の意見を聞く場を設けるというようなことにつきまして、検討を深めまして、指定生乳生産者団体の育成というものを財政援助の面から援助するほか、いま申し上げたような手だてを用いまして育成強化をはかってまいりたい、かように考えております。
○矢山有作君 それだけでは指定生乳生産者団体はさっぱり強くなりませんよ。生産者が力を持つことはできません。これはやっぱり私は生産者が力を持ち、生産者団体が力を持つためには、メーカーが横暴であるならば、それに対抗する実効ある手段というものを生産者団体に持たせなければいかぬですよ。その手段は何かということなんです。
○説明員(太田康二君) 御承知のとおり、現在の市乳のシェアは中小が四〇%、大手が約六〇%ということに相なっております。それで、今回の乳価交渉を通じまして、われわれが痛切に感じますことは、やはりわが国の市乳の問題に関しましては中小メーカーというものの地位を高く評価せざるを得ないということでございます。そこで、われわれといたしましては、一体飲用乳処理の工場の企業というものは、一体規模はどのくらいが適切であるかどうかという問題につきまして、検討を深めなければならぬということが一つと、現在、大分の九州乳業につきまして、政府が畜産振興事業団から出資いたしまして、調製工場をつくったわけでございますが、今後も政府や農業団体が経営の実態を把握できる工場の育成というものに配慮してまいらなければならぬというふうに考えております。
○矢山有作君 いまおっしゃった点は私は非常に大事だと思うのです。畜産振興事業団が乳製品を輸入して差益を積み立てて、それを不足払い財源に回すなんということはとんでもないことなんです。不足払い財源は将来一般財源から出すべきなんです。そこで乳製品の輸入から生じた差益は、これは全国の生乳生産者団体を強化するために、さらに酪農生産基盤を強化するための経費に向けるべきなんです。その場合の一つの方法は、いまあなたがおっしゃったような、かつまた三十六年に畜安法案ができたときに、衆参両院で附帯決議をつけられたように、生産者団体に工場を持たせるこれは絶対にやらなければならぬ。さらにそれをやるためには、生産者団体みずから集送乳設備を完備させる。これは絶対にやらなければ生産者団体というものは乳業メーカーに対してけんかができない。これはあなた絶対にそういう方向で将来進めますか。今日ほど乳価問題で紛争しておるときに、はっきり方針として農林省で立てていただきたい。将来それは財政措置のいろいろ問題はあるでしょう。問題はあるが、少なくとも酪農というものを選択的拡大の一番の作目としてかねて進めてきた、しかも飲用乳は国内で絶対に自給するのだ、さらに乳全体についての自給率を高めようということの前提に立って農林省がものを考えるならば、このことだけは絶対にやらなければならぬ仕事です。やれる、やれぬは、これはいろいろ問題があるでしょう。今後いろいろ折衝しなければならぬ面があるでしょう。しかし、事務当局がそういう決意を持たないことにはものごとは実現しないのです。あなた、そういう決意を持って将来やりますか。
○説明員(太田康二君) 先ほども申し上げましたように、中小乳業の育成という問題を含めまして、いま先生のおっしゃった方向に向かって今後検討を深めまして、その具体化をはかってまいりたい、かように考えております。
○矢山有作君 大臣、あなたが一番の偉い人だから、中小乳業の育成ももちろんですが、生産者に力を持たせるために集送乳設備を生産者団体に完備させる。生産者団体に牛乳の処理工場を持たせる、さらにそのためには将来事業団の差益の使途についてもこれは考えなければならぬ。不足払い財源に乳製品の輸入差益を充てるのはけしからぬと私は言っておるのです。あなたはそういう方向で進めていただきたい。それには今後障害があるでしょう。いろいろ交渉しなければならぬ面もあるでしょうが、農林省がそういう腹をきめぬ限りはそのことはできぬのです。そこであなたがその腹をきめたということを言ってください。
○国務大臣(坂田英一君) 私も常々それを考えておる一人でありますが、いまここで直ちにこの問題が……この早急にいまの時点についてお話を申し上げておったのでありまして、それはいま矢山委員の言われたるとおりに、何としてもこれは生産者が加工までやるということが根本的に必要なことであるということは言うまでもございません。これは日本の場合は非常におくれておる。その点は常々私もかように存じておるものであります。生乳の問題のごときはその方向にこれは進み得るものでもありまして、そういう方向にこれはぜひとも進んでまいらなければならぬことは言うまでもないと存じます。全くその点は同感でございます。かような気持でおるわけでございます。ただ、ただいまの問題を申し上げておりましたので、これらの点についての早急な解決を誠意をもって進めたいということをいま申し上げておったのでございます。根本的には先生と全く同感でございます。
○矢山有作君 これでほんとうの最後にしますが、大臣が力強く約束なさったので、この約束が再びほごにならないように、生産者団体を強化するためのあらゆる施策、特に集送乳施設を持たせること、工場を持たせること、これは強力にすすめてください。 それから、もう一つだけお伺いしたいのは、この乳価紛争でなかなか私は農林省もひどい目にあわれたと思うのです。そこで幾ら飲用向けの乳価について指導されても、なかなかこれは思うようにいかない、こういう苦い経験をなめられている。しかもそういう苦い経験の中であなた方は最善を尽くして生産者の期待にこたえようということをはっきりおっしゃった。このことも私はそういう方向で進めていただきますようにお願いをしますが、そういうような状態の中で、将来考えなければならぬ一つの問題は、飲用向けの乳についても何らかの強力な措置をとらなければならぬということです。法的な措置をも含めてとらなければならぬ必要がもう生じてきておるのじゃないか、このことを考えますので、すぐには、いますぐにはできませんが、将来の方向として飲用向けの乳についても強力な措置を検討されたい、このことは特に強く要望したいのですが、その点はどうですか。
○説明員(太田康二君) 実は毎度申し上げておるわけでございますが、飲用牛乳の卸売り価格というものは地域の需給に応じて異なりますし、飲用牛乳の製造販売経費というものにつきましては、先ほど申し上げましたように処理施設の規模あるいは内容等によって異なるわけでございまして、全国画一的な基準というものはなかなかきめがたいということでございます。 それから第二点といたしまして、指定生乳生産者団体というものを設立いたしまして、生産者の共販体制というものを確立いたしたわけでございます。したがいまして、乳業者との交渉能力というものは従来に比べますと相当強化されたというふうに考えるわけでございまして、なおかつこの指定生乳生産団体を通じまして一元集荷、多元販売、用途別取引ということもいたしておるわけでございまして、用途別取引の実行の結果、飲用向け生乳価格につきましては、加工原料乳につきまして政府の財政援助もございますわけでございますので、自主的交渉によって価格の形成の基礎がつくられるというふうに考えてまいったわけでございまして、制度発足当初のことでもございますので、ただいま先生の御指摘のとおり、いろいろ苦心もあるわけでございますが、今後の実行の結果を見まして将来の問題として検討したい、かように考えております。 —————————————
○委員長(山崎斉君) 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、農林大臣から提案理由の説明を聴取し、続いて政府委員から補足説明及び資料説明を聴取することといたします。坂田農林大臣。
○国務大臣(坂田英一君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 現行農業災害補償制度中家畜共済制度につきましては零細飼養が一般的であったという畜産事情のもとに有畜農家の維持を目的として昭和三十年死亡廃用共済と疾病傷害共済を一元化して以来、有畜農家の経営の安定と畜産の発展に相当の寄与をしてまいったことは御承知のとおりであります。 しかしながら、最近におきましては、酪農を中心に多頭飼養化の進行等畜産経営の地域的階層的分化が生じてまいりましたので、引き受け、給付及び国庫負担の方式等、制度の基本的な仕組みが多頭飼養農家の経営の実態にそぐわず、ために飼養家畜中の一部のみを加入せしめるものが増加し、これに伴い病傷の事故率の趨勢的上昇を招き農家負担を増大せしめる等好ましくない現象を生じ、各方面からその改正が強く要望されてまいりました。政府といたしましても、この間、各種加入奨励金の交付等の対策を講ずるとともに鋭意検討を続けてまいりました結果、生産性の高い畜産経営の育成に資すること及び共済事業の安定的運営をはかることを旨とし、家畜共済制度に改正を加えることとし、この法律案を提案いたした次第であります。 次に法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 まず第一は、引き受け方式の改善であります。 現行制度は、畜産経営の規模が零細であることを前提として一頭ごとに共済の引き受けを行なうことといたしておりますが、これを多頭飼養の実態に対応して、家畜の種類ごとに農家単位で引き受ける包括引き受け方式を設け、原則としてこの方式によることといたしました。他方、後に御説明いたしますように包括加入をした者に対しましては事故の選択または掛け金国庫負担の拡充の方途を講ずることといたしまして、多頭飼養農家の保険需要に合わせた制度の利用が可能となり、家畜共済制度が生産性の高い畜産経営の育成の方向に則したものとなることが期待される次第であります。 第二に、共済事故の選択制の創設であります。 現行制度は、死亡廃用及び疾病傷害についてすべての事故を共済事故とし選択を認めないこととなっておりますが、客観的にみて死廃病傷のすべての事故につき給付を必要としないと認められる者は、それぞれ自己の経営の必要性に見合った給付を選択できることとし、これに伴う掛け金の割引により農家負担の軽減をはかりました。 第三に、掛け金国庫負担方式の改善であります。 現行制度におきましては、掛け金中死亡廃用に対応する部分の二分の一につき国庫負担を行なつておりますが、今回の改正におきましては、包括加入をした者につきまして、疾病傷害に対応する部分をも国庫負担の対象とするとともに、その割合は農家負担の軽減をはかることを旨として定めることといたしました。特に、乳牛については、農家の負担力等を勘案して、頭数規模に応じて逓増せしめることといたしましたほか、肉用牛につきましては、乳牛と比較して多頭化がおくれているという現状にかんがみ、当分の間一律に国庫負担を手厚くするという措置を講ずることといたしました。 第四は、異常事故に対する政府の再保険責任の強化であります。 現在国と農業共済組合連合会は、歩合の方式により責任分担をいたしておりますが、これを、特定の異常事故に基づく損害は、通常事故に基づく損害の場合における国と農業共済団体等との責任歩合にかかわらず、全額国の再保険に付することに改め、農業共済団体等の事業の安定的運営がはかられるよう措置いたしました。 第五に、損害防止事業の強化であります。 現在家畜の損害防止事業は、農業共済団体等がその診療所を中心に自主的に行なっておりますが、そのうち特定の疾病に関するものにつきましては、国庫より交付金を交付する道を開くとともに、その実施については開業獣医師をも活用して、その強化をはかり、もって、畜産経営の安定と事業収支の改善に資することとした次第であります。 最後に、病傷給付方式の合理化であります。 現行制度におきましては、家畜ごと及び事故ごとに給付制限を行なっておりましたが、これを、農家ごとまたは家畜ごとの年間給付限度に変更することとし、重点的な病傷につき手厚い給付が受けられるよう措置いたしました。 以上が、この法律案を提案する理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(山崎斉君) 森本農林経済局長。
○政府委員(森本修君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。 第一に、引き受け方式の改善について申し上げます。 現行家畜共済制度は、立法当時一戸一頭飼養が支配的であったという事情により、家畜一頭ごとに加入の諾否を決定するいわゆる一頭引き受け方式がとられております。しかしながら、その後乳牛を中心として多頭飼養化が進むに伴い、主として農家の掛金負担の関係から多頭飼養者ほど飼養家畜のうち一部のみを加入させる傾向が強く、事故率ひいては掛け金率にも影響を及ぼすという好ましくない現象をみるに至っております。 かかる現状にかんがみ、改正法案におきましては、種雄牛、種雄馬以外の家畜については、家畜の種類ごとに一農業者の飼養するすべての家畜が一体として共済に付されることとなる包括共済関係いわゆる農家単位引き受け方式を創設し、原則的にこの方式によることといたしました。他方、農家単位に加入する者に対しては、事故の選択制の新設及び国庫負担の拡充の方途を講ずることといたしておりますので、現行制度より容易に全頭加入が可能となるのみならず、逆選択の防止による将来の事故率ひいては掛金率の低下が期待される次第であります。 なお、包括共済関係においてその農業者の飼養する家畜に異動が生じた場合には、新たに飼養せられることとなった家畜も当然に共済に付せられることとなる旨を規定いたしますとともに、死廃事故の発生した際のてん補率に影響を生じないようその者が共済金額の増額を申し出ることもできることとしたわけであります。 第二に、共済事故の選択制の新設について申し上げます。 現行制度は、死廃事故及び病傷事故について事故の選択を認めないいわゆる死廃病傷一元化共済となっております。これは、疾病傷害共済の普及徹底とこれによる家畜診療の普遍化を目途として昭和三十年度以来実施せられたものであります。 しかしながら、一方、この間特に近年におきましては、わが国の畜産事情の変ぼうは地域的にも階層的にもまことに著しく、一部には飼養管理技術の向上、飼料条件等外部の条件の変化に基づく経営方式の地域的分化等により死廃病傷事故のすべてについて給付を必要としない者がみられるに至っております。これらの者は、自己の必要としない共済事故に対応する部分の掛け金まで納めなければならないため、必然的に掛金を割高と感じ、制度から遠ざかる結果となり、多頭飼養農家の未加入ないし一部加入の要因となっております。 かかる現状にかんがみ、改正法案におきましては、客観的にみて死廃病傷すべての事故につき給付を必要としないと認められる者は、それぞれ自己の必要に見合った給付を選択できるように措置いたしました。選択し得る事故の種類につきましては、農家の需要に応じ、病傷事故の全部を除くもの、繁殖障害関係の廃用及び病傷事故を除くものあるいは病傷事故の全部及び繁殖障害関係の廃用事故を除くものの三種類のうち定款等で定めたものとする予定であります。また、事故の選択がさきに述べました趣旨に沿って行なわれるよう、事故選択は、飼養管理技術水準の高い者及び主として自給飼料以外の飼料により乳牛を飼養する、いわゆる都市近郊の搾乳専業型の経営を営む者に限り認めることとし、それぞれの要件については政令で規定することといたしました。 第三に、掛金国庫負担方式の改善について申し上げます。 現行制度におきましては、掛金中死亡廃用に対応する部分の二分の一だけが国庫負担の対象とされ、病傷に対応する部分は国庫負担の対象外とされておりましたので、掛金全体としてみれば国庫負担は二割強となっております。これは農家の零細飼養が支配的であった時代においては、農家にとって死廃事故が全損として重要な意味を持っていたこと、病傷については事故率が著しく不安定であったこと等の理由に基づくものでありますが、多頭飼養者にとっては死廃が全損であり病傷が分損であるという考え方は経営の実態にそぐわないと考えられますので、包括加入方式の創設、病傷給付方式の合理化等の制度的措置を講じ病傷危険率の安定をはかるとともに、病傷部分、死廃部分を通じて国庫負担の対象とすることといたしました。 国庫負担の割合につきましては、現行国庫負担割合を勘案して三分の一を下限とし、特に牛については多頭飼養化の進行と多頭飼養者の一部加入という実態に対処して、その加入を促進するという見地から飼養頭数区分に応じ五分の二、二分の一と国庫負担を逓増せしめることといたしました。この頭数区分は、畜産事情の急速な変化に弾力的に対応させるため政令に譲ることといたし、農家の負担力と加入の実績等を勘案して定める所存でありますが、現在のところ、乳牛につきまして三頭から五頭まで五分の二、六頭から二十九頭まで二分の一とすることを予定しております。 なお、主として自給飼料以外の飼料により乳牛を飼養する者につきましては、その経営の実態等からみて国庫負担割合を一律十分の三といたしました。また、飼養管理技術水準の高いという理由によって事故選択の適格が与えられた者につきましては、その者がみずからの判断によって必要のないと認めた事故を除外することによって相当大幅な掛け金負担の軽減が期待されることでもあり、国庫負担割合は十分の三とすることといたしました。 なお、肉用牛につきましては、基本的には右に述べましたような原則を適用することといたしますが、現在その多頭化が進行していないこと及び肉用牛飼養の低収益性等にかんがみ、肉用牛の多頭化につき乳牛と同様な実態が成熟するまで当分の間、事故の選択を行なった者を除き、一律に五分の二の国庫負担を行なうことといたしました。 第四に、異常事故に対する政府の再保険責任の強化について申し上げます。 現行制度におきましては、政府と連合会とは農作物共済及び蚕繭共済の場合と異なり歩合により責任を分担しております。これは、家畜の損害が農作物、蚕繭のそれと異なり年次変動が少ないという両者の性格の差違に基づくものと考えられます。しかしながら、伝染病、風水害等により特定地域に集中的に発生いたします災害につきましては、歩合保険の仕組みによりますと連合会等に負担力を越えた不足が発生し、しかも往々これが固定化する結果となります。よって、伝染病、風水害等の異常事故による損害につきましては全額政府の再保険に付することとし事業の安定的運営が確保できるよう措置するため、保険料及び再保険料、保険金及び再保険金の額等につき所要の改正を加えることといたしました。 第五に、家畜共済の損害防止事業の強化について申し上げます。 わが国の畜産経営は、その多頭化の過程において一般に事故多発の傾向がみられるのみならず、農作物、蚕繭と比較して各経営間の技術水準の格差が著しく、ために適期診療がおくれ事故が拡大する場合が多いかに見受けられます。一方、農業共済団体等はその組合員等に対し自己の費用負担において損害防止事業を指示することができるよう現行法に規定されておりますが、主として経営収支のいかんによってその実施状況に格差を生じているのが現状であります。 かかる現状にかんがみ、繁殖障害等農家の立場からも事業収支の立場からも重要と認められる特定の疾病事故につき、予防診療を計画的に実施することを内容とする損防事業を全国統一的な基準に基づき強力に推進するため、国が農業共済組合連合会に対し財政的措置を講ずることとし、その法的根拠を明定することといたしました。この損害防止事業は農林大臣の承認に基づき農業共済組合連合会の指示によって行なうものとし、その実務は農業共済団体家畜診療所、開業獣医師双方に担当せしめることを予定しております。 なお、本事業は、家畜保健衛生行政と部分的に重複する面も生じてまいるおそれなしといたしませんので、国、都道府県それぞれの段階におきまして保健衛生行政主管部局と緊密な連絡を保ちつつ、その協力のもとに効率的に事業を実施いたしてまいる所存であります。 本事業の強化によって、事業収支の改善が期待されることはもとより早期診療による事故拡大の防止によって農家の受ける利益も大きいものと予想されます。 第六に、病傷給付方式の合理化について申し上げます。 現行制度におきまして、家畜、ことに共済金額に応じて一事故ごとの限度が課せられておりますが、このため農家にとって特に重要と認められ、一般的に長期化する傾向のある繁殖障害等の病傷事故につき診療給付が徹底せず、かつ、家畜ごとに限度が課せられるため、特に多頭飼養者が全頭加入していた場合不合理と感ずる場合が多く見られました。 かかる現状にかんがみ、これを家畜の種類ごとに農家単位に年間妥当な水準に設定するよう改善いたしました。なお、この限度は現行料率への影響、農家の診療費の分布等を勘案し、料率に急激な変更を与えることなく相当部分の農家は自己負担なしに診療を受けられるような水準に設定する方針であります。 この結果、重点的な病傷につき手厚い給付が受けられることとなりますが、特に多頭飼養者については限度が農家の飼養する家畜全体を通じて利用できるよう設定されることとなりますので、その効果が大きいものと考えられます。 その他、最近の急速な畜産事情の変化を直ちに料率に反映させるため料率改訂期間を四年から三年に短縮すること、共済金の早期支払いを促進するため農作物共済及び蚕繭共済を除き損害評価会の事前審査義務を排除すること、多頭飼養者の包括加入を容易ならしめるため掛け金分納の道を開くこと等のため所要の措置を講ずることといたしました。また、利用状況が著しく低く、制度を設けておく意味の乏しいと考えられる生産共済は廃止するとともに、同様な趣旨においてヤギ、綿羊を共済目的から除外することといたしました。 最後に、現行加入奨励金は、国庫負担方式の変更を機会に廃止することといたしました。 以上今回の改正は、制度の全般にわたりますため、相当の準備期間を置くことが必要と考えられましたので、四十二年四月一日から施行することといたしました。 簡単でございますが、以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終ります。 続いて、お手元にお配りしております家畜共済の概要と実績という配布資料を御説明申し上げます。 第一ページは、現在の農業災害補償制度の機構でございます。これは御案内のとおり、組合員と農業共済組合、共済組合連合会、国の再保険特別会計という段階によってそれぞれ共済責任を負担しながらやっておるわけでございます。いずれも保険の方式をとっておりますので、掛け金を支払う、あるいは保険料、再保険料をそれぞれ上部の段階に支払いまして、事故が起こりました際に、それぞれ負担区分に応じて保険金なり、共済金が組合員に支払われる、そういうふうな仕組みになっておるわけでございます。 それから二ページへまいりまして、現行の家畜共済の共済目的と共済事故が書いてあります。 共済事故は簡単に言いますと、保険にかけることのできる家畜の種類でございます。 保険の種類といたしましては死廃病傷共済と生産共済というふうになっておりまして、死廃病傷共済のほうは、ここにありますように、牛、種豚、馬というのが右のほうに(注)をいたしてありますが、そういう年令以上のものが保険にかけられる、共済事故は死亡、廃用、病傷、こういうふうに分かれております。生産共済は胎児と幼児の共済であるということでございまして、牛、馬、事故としましては、死亡、廃用ということになっておるわけであります。 それから三ページへまいりまして、ここには加入頭数の推移を書いてございます。乳用牛、肉用牛、馬いずれも三十五年から三十九年の変化を示しております。乳用牛のほうは、三十九年でごらんいただきますとわかりますように、飼養頭数が百二十八万頭、一定の年令制限がございますから、資格のありますものが約百三万頭、加入しておりますのが五十万強、こういう関係でございまして、加入率は約五〇%弱というかっこうであります。 それから肉用牛につきましても同様なことが書いてございまして、加入率については六五%、それから馬の加入率が七一%ということで、馬、肉用牛に比べまして、乳用牛の加入率がやや劣っておるというのが特徴でございます。 四ページは、共済金額と共済価額が書いてございます。一頭当たりで——まん中辺にありますからごらんいただきたいと思いますが、乳用牛のほうは一頭当たりの共済価額、つまり家畜の値段、価値といいますか、価額が約十一万円、共済に入っておりますのが四万七千円ということで、付保率と一般に言っておりますが、付保率が約四〇%という状況であります。肉用牛が同じような指数でまいりますと四七%、馬が四三%、いずれも三十九年度はそういう状況でございます。 それから五ページは、共済掛け金の状況でございますが、これも一頭当たりで見ていただきますと、乳用牛の三十八、九年度は三行目にございますが、一頭当たり四千四百円というのが一年当たり一頭の掛け金であります。そのうち農家が負担をいたしておりますが三千四百八十円程度、従来の方式によって国庫が負担をしておりますのが九百五十九円ということで、国庫負担の割合が約二一%ということでございます。肉用牛につきましては、同様の数字が一八%、馬につきましては一六%、こういった状況でございます。乳用牛の掛け金が他の畜種に比べて高いというのがこの表に出た傾向でございます。 それから六ページへまいりまして、支払い共済、これは事故を起こした場合に、平均的に一頭当たりどの程度の保険金をもらっておるかという表でございますが、乳用牛につきましては、三十九年度を見ていただきますと、死亡、廃用の場合に約四万円、肉用牛は二万七千円、それから馬は三万一千円ということでございます。 それから(2)としておりますのは、病気になりました際の診療費が一頭当たりどの程度かかっておるかという表でありますが、三十九年度乳用牛が千七百円程度、肉用牛が一千円、それから馬は千四百円程度、そういうことであります。 それから七ページへまいりますと、金額危険率ということで、保険にかけております金額と実際に支払いを受けました共済金との比率というふうに御理解をいただけばいいと思いますが、三十九年度といいますか、乳用牛のほうは三%から四%程度、それから肉用牛のほうは一%足らずから一%程度ということで比較的安定いたしております。馬は三%前後ということでございます。 それから病傷のほうは下欄にございますが、乳用牛のほうがやはり四、五%、肉用牛が一%、馬が二ないし三%程度ということで、乳用牛の危険率が他の畜種に比べて高いということでございます。 それから八ページは、中家畜の実績でございますが、ヤギ、綿羊、種豚といのが一番上にありまして、先ほど御説明いたしましたようなことで、加入頭数がきわめて少ない、ヤギが三百頭、綿羊が千二百頭というようなことでございます。それから事故の状況は飛ばしまして、(3)の生産共済のほうをごらんいただきますと、乳用牛がそれぞれ三十四頭、肉用牛が二百三十頭、馬が七百四十頭というようなことで、これもきわめて、利用の状況は頭数が少ないということでございます。 それから九ページへまいりまして、家畜共済の収支の状況が書いてございます。連合会の収支でありまして、左のほうは黒字の額と連合会の数、右のほうは赤字の額と連合会の数というふうに分類をいたしております。傾向といたしましては、黒字を生じております金額あるいは連合会の数は、最近五年間の間に漸減しておる。それから逆に、不足金の額と不足金を生じておる連合会の数がふえてきておるというのがこの表にあらわれている傾向かと思います。 それから一〇ページへまいりますと、家畜診療所の状況を一覧表にしてございます。上のほうは家畜診療所の数でありまして、いろいろの経営主体によりまして営まれておりますけれども、総計としては、全国で約千四百ほど、家畜診療所がございます。そこで働いております獣医師の数は、約二千人ということでございます。最近の傾向としては、診療所の数及び獣医師の数、いずれも漸減傾向であるのが右のほうにあらわれております。それから、下は家畜診療所の収支の状況でございますが、全国一千カ所ばかり調べました表でありまして、一診療所当たり、ここにありますような収支の状況、それから支出の状況でありまして、赤字を示しておるというのがこの表であります。 それから一一ページ以降は、共済事故の種類別の、どういう事故が多いかということを表にしてあらわしておりますが、死亡廃用事故で、乳用牛においては、泌尿生殖器病が一番多い。次いで消化器病という状況であります。馬は、消化器病が一番多くて、あと外傷不慮といったのが次いでおります。それから役肉用牛は、消化器病が一番多く、次いで外傷不慮、馬と同様の傾向でございます。これが死廃事故の傾向であります。 それから一二ページは、病傷事故でありまして、これも大体、死廃事故と同じようなことでありますが、乳用牛においては、泌尿生殖器病、それから消化器病。それから馬及び役肉用牛は、消化器病が第一で、それぞれ表にのっておるような順位で、病傷事故が発生しておるという状況でございます。 簡単でございますが……。 —————————————
○委員長(山崎斉君) 次に、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案、野菜生産出荷安定法案を一括議題とし、質疑を行なうことといたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○森中守義君 野菜と果実と一緒にした質問だということでございますが、主として私は野菜についてお尋ねしておきたいと思います。すでに大臣の提案理由の説明並びに担当局長の補足説明なり、あるいはきわめて懇切丁寧なる資料の提出で、あまり質問をする内容はございません。実は質問をやれというので、無理をして質問をまとめています。非常に大事なこともあるやに思いますので、ひとつさらに懇切丁寧にお答えをいただきたいと思います。 まず最初にお尋ねしておきたいのですが、これによって、大体政令都市もしくはこれに準ずる都市の消費者にとりましては、なるほど法案のねらいからいけば、おおむね満足すべき結果が得られるであろうということを期待はいたしますが、そこで、私はまず最初に逆なことをお尋ねしておきたいと思う。つまりわが国における年間の野菜の総生産量は幾らであるか。それに対して、四十二年度中に完了せんとする、おおむね五百の指定産地の中で、どの程度のものが供給されるのか。要するに全体の生産量と指定地域における生産量、その区分けを最初に教えておいてください。
○政府委員(小林誠一君) お答えいたします。 野菜の年間の生産量でございますが、これは四十年におきます主要二十二品目につきまして申しますと、千二百八十一万四千トンでございます。 四十二年度中に五百指定いたしました場合に、どの程度のカバー率になるかということでございますが、四十二年度中に約五百の指定産地を指定いたします場合に、その出荷先の四大消費地域というものに、どのくらいのものが出荷されるかということになりますと、大体千二百万トンの中で三百万トン、約四分の一が四大消費地域に出荷されるわけでございます。四十一年度におきまして対象といたします六品目の野菜でございますが、そのウエートは、その中で約五割四分、お手元の資料にございますように、大体五割四分の野菜がその対象になるわけでございまして、それぞれの品目につきまして、おおむね七割以上指定産地から供給できるようにということを考えている次第でありまして、したがいまして、大体五百ぐらい指定いたしますれば、七割五分くらいのところまで四大消費地域についてはカバーできるというふうに考えている次第でございます。
○森中守義君 大臣にちょっとお尋ねしておきますが、この提案理由の説明並びに補足説明等によりますと、ほとんど満足すべきものだというようにも思うのですけれども、はたして実行に移された場合に、お説のとおりの法律効果があがるものでしょうか。これは、これをいろいろお尋ねせんとする内容等によって、必ずしも大臣あるいは当局の御説明のとおりに、満足すべき成果を期待することはできないような気もするのです。要するに、ないよりもましだという、こういう意見もありましょう。そういう意味では理解されないわけでもないのですけれども、しかし国会で法案を審議する際に、不十分である、あるいはないよりもましだという、そういう程度ではなかなかおもしろくもありませんし、要するに、法律の効果としてどの程度の御自信をお持ちであるか。まず、その辺を大臣から聞かしておいてもらいたい。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申します。 もちろん、これは法律だけではなしに、実際御存じのとおり、産地をつくってまいらなければなりませんし、その産地における、いわゆる出荷の関係あるいは生産関係の点も十分充実してまいらなければならない。つまり法律と、この産地の育成というものと、それから出荷関係の体制というものと、それを十分進めてまいることによって、結局これらの目的を十分達成し得るものでございまするので、したがいまして、今度は法律はもちろん重要でございまするが、それと同時に、御存じのとおり、予算においても従来の行き方よりもはるかに多い予算を獲得いたしまして、これらの産地の育成等について十分の力を注いでまいる。これによって効果を相当発揮し得るものである、かように存じておるわけでございます。
○森中守義君 すでに報告をされておりますように、三十八年からほぼこれと同様なものをおやりになっていますね。で、その実績というのは、あるいはまた約三、四年の間にやってみていろいろ欠陥もあったろうと思う。そういう意味でおそらくこの法案の中にも三十八年からの実績を基礎においてよかった点、悪かった点、つまり成果、功罪の上に立ってこの法案ができていると思うのですが、どういう点がよかったか、どういう点が悪かったか、少し実績を中心に説明をしてくれませんか。
○政府委員(小林誠一君) 指定生産地制度でございますが、これは三十八年度から発足いたしまして、四十年末までに百九十八の産地の指定を終わったわけでございます。従来この指定産地につきまして、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、これに対します生産、出荷の計画と、あるいはそれに基づく助成というものはほとんどなかったわけでございまして、わずかに一産地当たり約三十万円の補助額でございますが、それによりまして病虫害の防除施設でございますとか、あるいは自動かん水施設というものの補助、建設的な補助と申しますか、そのような補助しかなかったわけでございます。そういう意味におきまして、もちろん指定産地の中におきまして、それぞれ四大消費地域に出荷するという場合に、指定産地の出荷の協議会というのを農林省が場を設けまして、そこでいろいろ情報の交換なり、あるいはお互いの間の意思の統一をはかる。そういう意味で効果はあったと思いますが、それを計数的に出すのはむずかしいのでございます。 また、この指定産地の問題と離れまして、カンランと玉ネギにつきまして試験的に価格補てん制度を実施しておったわけでございます。二年にわたりましてカンランあるいは玉ネギの値段の暴落ということでその資金が枯渇いたしました。それをまた積み直して現在おるわけでありますが、今回はさらにその価格補てん制度を指定産地制度と結びつけまして、国の負担率も従来の三分の一から二分の一に上げる。 〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 それから、また対象品目も、新たに京浜地方の白菜を加える等の内容を改善いたしまして、新たな制度として指定産地の一環といたしましてこれを充実していくということによりまして、体系的にこの野菜対策を推し進めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、私たちとしましては、過去のいろいろの経験というものを生かしまして、本格的にこの野菜問題に取り組みたいというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 なるほど金が相当ものを言うことではございましょうが、ひょっとするとこれは勘定違いかもしれませんが、四十年度を例にとりますと、この種関係に用いられた予算は総額約一億一千万余りですね、四十一年度の場合に約六億三千万余り。それと、いま局長の言われる三十八年以降は百九十三である。今回はこれは五百余りになる。そこで、指定せんとする地域の数と金高、これを三十八年以降とこれからの分を一応勘定してみると、先ほどは一指定約三十万、こういうことでしたが、あまりこれは金高からみると増額にならぬのじゃないですか。それが一つの問題と、私は金によってものごとがすべて片づくとも思わないのですが、やり方としてはよかったのか、悪かったのか、その辺も成果、功罪として聞かしてほしい。金が多かったからよかった、少なかったからうまくなかったと、それもありましょうけれども、それ以外に、方法としていいのか悪いのか、それを実績として聞かしてもらいたい、こういうことです。
○政府委員(小林誠一君) お説のとおり、四十年の予算は一億余でございまして、四十一年度は六億三千万円でございます。その間に基盤整備の関係、これを農地局で計上しておりますものを入れますと約八億でございます。これの内訳といたしまして、生産出荷近代化計画に基づきます事業でございますが、これは四十一年度におきましては七十五産地を対象にいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、その初年度分としまして三、四、三、の三分を計上いたしておるわけでございまして、したがいまして、そういう意味で将来は、明年度はそれにつきまして四分を計上しますとともに、新たに明年度事業を実施いたします分に最初の三が加わるわけでございまして、そういう意味で、当初の出発でございますので、その金額は少ないということが言えると思いますが、将来非常に多くなるというふうに考えておるわけでございます。私たちが試算いたしましたところでは、大体一指定産地当たり補助額で千三百万円くらいの事業が行なわれるものというふうに考えておるわけでございます。 それからやり方ということについてでございますが、私は方法としましては、やはり従来やっておりました方法は決して間違っていなかった、むしろその内容を充実していく、またそれを総合的に実施していくということが必要だというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で従来のやり方が間違っていたというふうには考えてないわけでございます。
○森中守義君 そうしますと、いままでは一産地三十万であったが、これからは千三百万になると、こういうように理解をしていいということですね。
○政府委員(小林誠一君) さようでございます。
○森中守義君 それからこまかな内容もよくわかりませんけれども、一回千三百万の投資をやっておけば、そのあとは全然みないということですか、それとも必要に応じて各年次ごとに助成措置を講ずるということですか。その辺どうですか。
○政府委員(小林誠一君) この千三百万補助額と申しますのは、都道府県知事が指定産地につきまして生産出荷の近代化計画に基づきます事業で、大体千三百万円くらいの補助額になるだろうというふうに推算しておるわけであります。これを実施いたしますには、何ぶん五百産地についての計画でございますので、相当の期間を要するわけでございます。したがいまして、まあ五年ないし六年かかることになろうかと思います。その後またそのときの状況によりまして指定産地についてさらに積極的な補助をする必要があるかどうかという点につきましては、その時点におきましてもう一回これは検討しなければならない事項であろうかと考えておる次第でございます。
○森中守義君 そうすると、いまの局長の答えからいけば、大体ものの考えとしては推算一千三百万を投資をしておけば、あとは、その時点に立って必要があれば考える。まあこれを長期にわたって、千三百万の投資のほかに、あと二百万ずつ入れていくとか、あるいは三百万ずつ入れていくとか、金の高は別として、そういうことまでは考えていない、こういうようになるのですか。
○政府委員(小林誠一君) いまのところ、まだ考えていないわけでございます。
○森中守義君 まあ本来ならば、ここで、それならば一千三百万の積算の根拠は何なんだと、こういう、相当深みに入ったお尋ねもしたいところなんですが、要するに、当局の言われるように、一千三百万程度の投資をすればほぼ法律効果を期待できるような内容のものであると、こういうことなんですか。それが一つと、いま一つは、まあおそらく財政当局と折衝に入り、詰めになって、こういうふうになったと思う。当初概計に出した数字は幾らですか。まあこれは、次年度にも非常に大きな関係がありますからなかなか言いづらい点もあるかもわからぬけれども、一応概計の要求そのことも聞かしておいてください。
○政府委員(小林誠一君) 当初予算要求いたしましたときの数字でございますが、全体を含めまして約十億程度でございました。それで、予算的に歩どまりましたのが八億程度でございます。
○森中守義君 ちょっとその、八億と言われるけれども、私がいただいている資料からいけば、農地局計上の分を加えて八億だと。純粋な金は六億三千万余りですね。で、この農地局のを勘定すれば約一億七千万程度のものはこれは何か共同で使うような金じゃありませんか。この分として見ていいのですか。
○政府委員(小林誠一君) 農地局の一億七千万の金は農地局に計上してあるものでございまして、この計画に基づきまして優先的に支出してもらうという話し合いになっておるのでございまして、お説のとおり、園芸局計上分は六億三千万円でございます。
○森中守義君 じゃまあ、その予算の所掌はどこでもかまわぬけれども、総額八億というように理解していいのですね、いまの答弁からいけば。
○政府委員(小林誠一君) さようでございます。
○森中守義君 わかりました。 それから先に進みましてね、まあ一番この法案の味どころだといわれている価格の補てんの問題ですがね、これも最初の質問と同じように、指定産地以外のものはどうなります。こういう恩典に全然浴しませんね。そういうところのことはどう考えていますか。
○政府委員(小林誠一君) この価格補てん制度は、指定産地以外のところは対象になりませんので、そういう意味では、この制度の対象にならないわけでございます。
○森中守義君 それはそのとおりなんだ。そのとおりだから困ると、こう言っているわけなんですよ。あとのところも少々何とか考えてくれなければ困る。ということは、一体価格というものは、これはあとの議論にもなりますけれども、指定産地のものは一定の価格がきちんと整理をされている。それ以外のところにこの価格は準用されるのですかどうですか。また準用するとすればいかなる方法によって準用の方式をとろうとするのか。
○政府委員(小林誠一君) 価格補てんの問題でございますが、これはその他の地域には及ばないわけでございます。価格を準用するというお尋ね、ちょっと私意味を取り違えているかもわかりませんが、この指定産地につきまして価格補てんをいたします意味は、生産、出荷を安定させる、四大消費地域に対しまする生産、出荷を安定させるという目的の一環をなすものでございまして、その価格といいますものは、四大消費地の価格が他の地域の価格を指導するというような立場にございます。したがいまして、そういう意味で四大消費地域の価格を安定させることによりまして、その他の地域の価格もおのずから安定するということで、そういう意味の波及効果があろうかというふうに考えている次第でございます。
○森中守義君 いまの答弁ではよくわからない。まあそういうことは大体常識的に考えられるけれども、もっと具体的に系統的に組織的に行政的にどういう措置をとるのか、こういう点。そうしませんとね、なるほど指定産地の場合にはいろいろ問題はあるにしても、一定の価格できちんと整理がつきますよ。しかし、そうでないところは、もう大体指定産地の価格が六品目についてこれこれだからこれに見合うような価格になるだろうということでは、適正な私は行政指導にならぬと思う。だからそこに系統的に組織的に行政的に何かの方法をとってくれなければ、先ほどのお答えのように、野菜の全生産量の四つの消費地域に供給されるものとそれ以外のものとの比率を考えていけば、その余のものも相当これはきめこまかく考えていかないと、なかなか営農家の皆さん満足しませんしね。そういう意味でこの法案に関連をする問題として、組織的に系統的に行政的にどうするのかと、こう聞いているのです。いまその考えがないならないでけっこうですよ。
○政府委員(小林誠一君) この指定産地の野菜の価格、それから指定産地以外の野菜の価格ということでございますが、これは指定産地と指定産地以外の価格の関連は当然あるわけでございます。それで指定産地を指定いたします場合、この要件といたしましては、四大消費地域に出荷する数量がその総出荷数量の半分以上なければならぬという要件をつけておるわけでございます。したがいまして、その指定産地からも中央市場に流れるということは当然ございます。したがいまして、そこの価格というものはやはりどう申しますか、その生産が安定しておれば中央市場に出荷される数量も安定し、したがって、中央市場の価格も安定するということが考えられるわけでございます。まあ指定産地以外の野菜でございますが、これにつきましても当然その全国の流通量が一定でございますれば、四大消費地域の価格と同様に、やはり中央市場においてもこれが同じと申しますか、若干違いますけれども、その価格というものはやはり安定するというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、生産者サイドから見ましても、大消費地域でございます四大消費地域の価格が安定するということは、生産者の面から見ましても、やはり四大消費地域以外の生産者の価格というものを安定するという効果があろうというふうに考えておる次第でございます。 〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
○森中守義君 それは後日のことにいたしましょう。 そこで、いままで各都道府県で著しく価格が低落した場合、補てん金をつけたり、あるいは長期定期の融資あっせんをしたり、こういうことをやったところがだいぶあるようですが、実情把握でき得ますか。
○政府委員(小林誠一君) 都道府県で単独で価格補てん的な制度を実施しているのが三十数件ございますが、主としてこれはその県の特産的なものを取り上げている場合が多いわけでございます。その内容といたしましては、価格補てん的な制度のものと、もう一つ輸送保険的な考え方と、それからまた融資をそれによりましてやるという考え方、いろいろございますが、総じて申しますと、その対象はその県の特産的な生果物、これは野菜も果物も含めまして、それについてそのような制度をとっておるように調査の結果はなっております。
○森中守義君 いままでのそういう各都道府県の特徴的な措置というものはこの法律が施行されるということになれば解消するもんですか。
○政府委員(小林誠一君) 現在この制度の対象といたしまして考えておりますのは、玉ネギ、カンラン、白菜の三種類でございます。これは全国各地で生産されるものでありまして、多くの府県にまたがっておるわけでございます。したがいまして、そういう全国的なものにつきましては、なるべくこの法律に基づきます制度を拡充いたしまして、それに対しまして県でやっております県単位の事業を吸収していくということも考えたいと思っておりますが、それにしましても、やはり県で独自にやります分野はその三品目以外のものについては残るものというふうに考えておるような次第でございます。
○森中守義君 今回この補てん制度というものは、民法によれば一時的な保険制度だ、こういう筋合いにも解釈できると私は思っております。ところが、生産の向上であり確保である、しかも需要がどんどん伸びておる。これに対する供給体制が完全でないというところにこの法案のねらいがあるとするならば、私は一時的、便法的な保険制度的なものでなくして、やはり重要農産物の扱いに見られるような完全なる価格支持政策、あるいは価格保証政策、制度、こういったものが実はこの法案の内容に採用されてよかったのではないか、こう思うのです。それで、最初にずいぶんほめたたえましたけれども、こういう意味でははなはだ不満です。これはいまにわかに、じゃあひとつやり直そう、修正しようというのも時間的に間に合いません。間に合いませんので、そこまでは言いませんが、ねらいがその辺にあるとするならば、どうなんです。これはできるだけ早い機会にそのような重要農産物と同じように価格の支持政策というものに変える必要がありはしませんか。
○政府委員(小林誠一君) この法案で考えております資金協会の仕事でございますが、これは保険制度と申しますか、あるいは積み立て制度と申しますか、そういうことでございまして、五年に一回ぐらい、五年に一回程度非常に暴落の時期があるわけでございます。そのときにおいて、それによります農家の打撃を軽減するという考え方に立っておるわけでございます。お手元の資料にもございますように、最近の野菜の卸売り価格でございますが、これは三十九年が三十四円、四十年が四十三円、三十五年と比較いたしますと約二倍になっておるわけでございます。そういう意味で、もちろんその二倍になりました根っ子になりますものといたしまして、非常に労働集約的な作物であり、またそのために非常に費用がかさんで価格が上がるという問題があるわけでございますけれども、いまのところ野菜の価格につきましては、非常に趨勢としてそれが下がっておって、その価格を支持しなければならぬというような状況にはなっていないのではないだろうか。むしろ、年々の豊凶によりまして価格が非常に変動する、その非常な下落の場合の価格の補てんという制度を織り込めば、現在のところはそれで足りるのではないだろうかというふうに考えてこの制度を仕組んだ次第でございます。
○森中守義君 あえてそういうことを言いますのは、こういうことも——これは仮定の話ということになるかもわからぬけれども、一応想定しておいていいと思う。といいますのは、国が五割、都道府県が二割五分、生産者が二割五分、こういう出資で補てん金制度をとると、こういうわけなんですね。そこで、幸いにして法律効果が非常に上等なものになって、全く補てんの必要がなくなった。その際に、いうところの無事戻しというようなこと、また逆な場合もありましょう。五割、二割五分、二割五分の出資でどうしてもまかなえない、こういう場合も私は一応予定しておく必要があると思う。この二つの極端から極端の場合、どういうような考えを持っておりますか。
○政府委員(小林誠一君) この資金の積み立てでございますが、これは過去の五、六年の間に起こりました、暴落しました場合の価格補てんというのを頭に置きまして資金を積んでおるわけでございまして、そういう意味では十分その点で対抗ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。先ほども申し上げましたが、しかし、まだこの問題につきましては、保険制度的にこれを仕組むというのは非常にむずかしい問題でございまして、そういう意味で、むしろ積み立て的な考え方で現在処理しておるわけでございます。したがいまして、五年たちましてそれがさらに残った、その資金が残ったという場合につきましては、それはさらに将来にわたってその価格補てん制度を続けていく場合、その資金に充てるというようなかっこうで制度をしたいというふうに考えておりまして、保険的に掛け捨てということは考えていないのでございます。
○森中守義君 やっぱりその辺が少し甘いと思うんですよ。というのは、ないよりもあったほうがましだという答えがその返事だ。私はいまの局長の答弁では満足しません。というのは、先ほど申し上げた余った場合、足りなくなった場合、これは何といってもこの野菜法案が日本の経済全体を左右するわけじゃない、全体の経済の中で、どういう価格の変動が生じていくのか、すこぶる重要な問題だと思っている。だとするならば、いま、にわかにこれも改正はできないでしょうけれども、一応ものの考え方、あるいは新法制定の際に足りなくなった場合には、特別に援助措置を講じるという約束も、やっぱりこれは私はしておいてもらいたいと思うわけです。 というのは、いま普通でさえも都道府県は赤字で苦しんでおりますよ。あるいは耕作農民は耕作農民で、なかなか補てん金が足りないからさらに出してくれと言っても、そう簡単にいくものじゃありません。そういうように考えてくれば、相当暴落の時期が頻発をする、しかもその程度も高い、こういうことが予想される現状において、少なくとも消費者物価の基調は安定しておりません。今度政府が経済審議会に一応の答申を得ようというかまえのようではございますけれども、私は経済の基調がにわかに安定するとは思えない。こういう不安定な幾つも幾つもの要素が積み重なっておるわけですから、やはりこの法案を制定するにあたって、これ以上生産者に負担をかけない、あるいは都道府県に負担をかけない、補てん金に不足を生じた場合には特別に援助措置を講じる、このことは当然約束されておいてもいいんじゃないだろうか、こう私は思うのです。したがって、この法案の審議の一つの大きな項目として、どういうようにお考えになっておるか、これは局長の答弁もうけっこうですが、先々の問題ですから、大体、大臣の答弁聞かぬでもわかっておるが、善処する、努力するということであろうけれども、一応速記録に残しておいてください。
○政府委員(小林誠一君) 不幸にいたしまして、この資金が全部枯渇しました場合に、またその時点に立ちましてこれを積み直すということで、そのときにおきましては、国がやはり二分の一ということでこれを積み直す、常に暴落時に備えていくという考え方で善処いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○森中守義君 それはまあそのとおりだろうけれども、それでまかなえない場合が予想される、それは仮定の話だからそういうところまでは考えておりませんと言えばそれまでだけれども、しかし、そのことを裏づける今日の経済の基調、物価の基調というものはきわめて不安定な要素が多過ぎるから当然考えておく必要がある、そう思うのですよ。少なくとも、私はこの法案の内容の一つの大きな問題だと思う。だからたいへんくどいようだけれども、その際には都道府県にも迷惑かけません、生産者にもこれ以上の負担をかけない、国が責任を持つ、そのくらいのことは言い切っておいてもいいんじゃないですか。これはちょっと局長では答弁が重荷だろうから、大臣、善処する、努力すると言っておきなさい。
○国務大臣(坂田英一君) この点は一番大切な問題でありますから、私といたしましてはこれで事欠くようなことはさせないつもりでおります。その意味において積極的に努力をいたします。
○森中守義君 事欠くようなことがなけりゃけっこうだけれども、起こり得る状態が当然想像されるから、やはり慎重に考えたほうがいいんじゃないかと、こう思うのですが、しかし、大臣がそういうことは起こり得ないという保証があれば何をか言うことありません。しかし、あまり大臣も長くないようだから、あとの大臣が困りますよ、そんなこと言っていると。それはあまりはっきりした答えがないようですが、私はやはりそういうことは将来の問題として、当局は十分配慮されておく必要があるということを特に申し上げておきたいと思うのです。 次に、例の補てん金の原資の問題に関係することですが、今日、バナナ、あるいはタマネギの差益金がだいぶありますね。したがって、こういうものをこの辺の原資に振り向けるような考えは持っておりませんか。
○政府委員(小林誠一君) タマネギでございますが、タマネギの輸入は、これは大体台湾からのが多いのでございます。二十キロ当たり一ドル四十セントくらいでございまして、そういたしますと、ことしの場合でございますと、むしろ卸売り市場に出せば、場合によっては損をするというような価格でございます。したがいまして、一般にタマネギの場合は、これはほとんどその差益というものがないのが実情でございます。 それからバナナでございますが、これは大体年間二百億程度の輸入があるわけでございまして、それで七割の関税ということになりますと、百四十億程度の関税収入があるわけでございますが、関税収入は特別の目的でこれを徴収しておるわけでございまして、その税の性格上、これを直ちに補てん金に回すということには、なかなかこれはむずかしい問題だろうというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 私は、こういうものを幾ら資金が潤沢であってもあり余ることはないと思うのですよ。それは、先ほど大臣は事もなげにそういうことは起こり得ない、こういうことをおっしゃっておるけれども、実際補てんの限度、というものは相当慎重に考えなければならぬと思う。へたすると、この秋から、あるいは来年の春くらいにかけて、私が憂慮するような事態が起こり得ないという保証はない。これは、そういう際に、どれだけ暴落しても補てんをする、そういったような私は内容だというように受け取っておるんですが、補てんの限度、あるいはそういう時期が、補てんの必要が多発をするような場合に、一体どうなるかというようなことを考えると、なるほど新法ですから、ここにオールマイティというわけにはいかぬでしょうけれども、やはり財源確保の一つとして、ただいま局長答弁のように、タマネギが差益金がない、バナナではある、こういうことであれば、これはひとつ、これこそ前向きの状態でこの原資に振り向けるような話等はやってもいいんじゃないですか。
○政府委員(小林誠一君) バナナの関税を、特にこの資金の原資として充てるということにつきましては、これは私たちのほうで実は検討したこともないのでございますけれども、目的税的にこれに当てるということにつきましては、例もございませんし、そういう意味で非常にむずかしいのではないかというふうに考えておるのでございまして、むしろこの資金の原資につきましては、一般会計から必要に応じてこれをつぎ込むということのほうがいいものだと考えております。で、私たちは過去の経験にかんがみまして、それに必要な原資というものを計算いたしまして、それを積み立てておるわけでございますけれども、将来、非常に暴落した年が一年、二年というふうに続くということでございますれば、そのときにつきましては、またその事態に対処する考え方で問題を整理し、また必要な措置を講じていきたいというふうに考えておるような次第でございます。
○森中守義君 なかなかいい答弁です。そうしますと、さっき私が心配したそういう不測の事態に備えて、特別に援助措置をとる、こういうことですね、いまの局長のお答えは。
○政府委員(小林誠一君) まだ、いまのところそういう事態になっておりませんので、いま申し上げるわけにまいりませんけれども、そういうことで、非常に、どう申しますか、不測な事態が数年続くというような場合には、当然その点について検討を加え、必要なる措置をとらなければならぬというふうに考えておるのでございます。
○森中守義君 あまり深追いしませんが、いまのことは速記録に載っているから、そういう不測の事態の際には、農林当局は何ぶんの措置をとるということだから、まあそれは非常にけっこうなことです。その時期にはその時期でいろいろお話をいたしましょう。 それから、この法案を法制局と詰めに入る過程の中で、独禁法の除外例にすると、こういう話がありましたね。それがまただんだん後退をしてきて、結局勧告ということに状況が変わったようです。こういう後退をした線ではたして出荷調整あるいは計画出荷という保証ができますか。
○政府委員(小林誠一君) お説のように、当初原案をつくります場での過程におきましては、独禁法の適用除外ということも検討いたしたわけでございますけれども、結論といたしましては、農民の組織でございます農業協同組合系統の関係、あるいは中小企業等の協同組合の関係、この関係につきまして、縦の線ではこれは独禁法の適用除外になっておるわけでございます。そういうことから、農家の自主的な組織というものにこの出荷につきまして大きな役割りを果していただくという観点、その活動に期待し、その活動がなかなか行なわれない場合、あるいはそういう活動が行なわれても事態を克服できないというような場合に、農林大臣あるいは都道府県知事が出荷の安定につきまして勧告をするということを行ないまして、それによりまして出荷の安定を期していくほうがよりいいのではないかということになりましたので、そういうふうな原案にいたしたわけでございます。
○森中守義君 指定産地から出荷をして、それで消費者の手に渡るまでの、一口に言うと流通形態、これはどういうようなお考えですか。在来のやり方と同じであるのか、あるいは今回この法案によって新たな流通機構を考えているのですか。
○政府委員(小林誠一君) この法律案のねらっておりますのは、生産から卸売り市場までの段階を規定しておるものでございまして、それによりまして、卸売り市場価格というものを安定させるということでございます。したがいまして、出荷の段階におきましては、選別でございますとか、あるいは包装でございますとか、あるいは輸送というようなことを共同化いたしますことによりまして、そこの経費をなるべく節減をするということになります。卸売り市場段階までの中間経費というものをなるべく節減するということを考えておる次第でございまして、卸売り市場から消費者の段階まではこの法律の規定の範囲外でございます。で、野菜の特性といたしまして、卸売り市場価格が不安定であるということが一番大きな、生鮮食料品の中でも野菜の特性ではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、その野菜の特徴でございます卸売り市場価格の不安定ということをなくするということが生産者のためにもなり、消費者のためにもなるという考え方に立っておるのでございまして、卸売り市場段階以降の問題につきましては、一定の生鮮食料品の流通機構あるいは流通の経費という問題は、これは当然処理しなければならぬ問題でございますが、本法案の対象にはしていないわけでございます。
○森中守義君 大体、野菜の品種は百種類あるように聞いておりますが、正確にどのくらいあるのです。同時に、目下この法案では六品目を指定されるということのようですが、漸次追加の方向に進もうという御意思でしょうか。
○政府委員(小林誠一君) 中央卸売り市場で取り扱っております野菜の品目でございます。これは百二十品目以上にわたっております。もっともその品目が非常にウエートの少ないのもございまして、この六品目について東京卸売り市場の例をとりますと、大体五割五分くらいの程度カバーするわけでございます。重量から申しまして。またその六品目に続きますものといたしまして、ニンジンあるいは長ネギというようなものがその次に大きなウエートを占めるものでございますが、これらにつきましても、逐次その対象をふやすことによりまして、野菜全体の中に占める地位を高めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 この法案によりますと、先ほどもちょっとお話があったようですが、おおむね五年後には指定市場の全量の七割ないし八割を確保する、確保したい、こういうお話のようですが、間違いなくそういうことの保証がありますか。また、そのためには、私はさらに規模が拡大をされた助成措置が当然伴っていかねばできぬ、こういうように思うのですけれども、その辺の見通しといいましょうか、あるいは具体的な将来の方策というか、そういうものを少し聞かしておいてください。
○政府委員(小林誠一君) 先ほど七割と申し上げましたのは、各品目ごとに、たとえばキャベツでございますればキャベツの中央卸売り市場に対する入荷量のおおむね七割をカバーするということで、各品目ごとでございます。したがいまして、いまの六品目のカバー率から申しますと、五割五分の七掛けでございますから約四割程度になるのではないかと考えます。で、将来の問題といたしましては、その範囲を拡げていくということによりまして、これを野菜全体に、全体とまではいきませんが、そのカバー率を高めていきたいというふうに考えておるわけであります。
○森中守義君 それから、この前もちょっとこの委員会でお話したことがあると思うのですが、三十五年の国勢調査と四十年の国勢調査を比べれば、新産都市ないしは新工業都市、この法案で言われている政令都市もしくはこれに準ずる都市等は異常な膨張という状態になりますね。そこでどのくらい人口が膨脹しても巧みに各産地をこれに直結をして供給体制を確保をするというそういう仕組みになりますか。
○政府委員(小林誠一君) この四大消費地域を対象といたしますのは、非常にそこの消費量が多いということ以外に、県外から出荷する、入荷と申しますか、県外からの入荷が非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。その他の都市につきましては、大体まあその自県産の野菜がほとんど大部分を占めておるわけでございます。そういう場合には、県内の農業政策なりあるいはそこの消費者に対する政策ということで、野菜問題も解決できる面が多いのではないかというふうにも考えておるわけでありまして、将来の問題といたしまして、消費の動向が非常に増大する。しかも県外からの入荷も非常に多いというような事態になりますれば、これは当然四大消費地域以外にもその範囲を拡大していかなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございますが、いまのところ四大消費地だけを取り上げれば、この問題の大きな部分は解決するというふうに考えておるような次第でございます。
○森中守義君 それから労賃の問題ですが、大体保証基準価格と市場価格の関係はどの程度の比率に見るべきですか。それと、それに伴って大体野菜生産者の一日の労賃はどのくらいに見ておりますか。
○政府委員(小林誠一君) この資金協会と申しますか、価格補てん制度で考えておりますのは、異常な暴落に対処するという考え方に立っておりまして、現在の補てん制度では、過去五年の異常年を除きました、年平均の約三分の二を下回りました場合に、その交付金を交付するというふうなたてまえをとっておりまして、将来その問題を検討されなければならぬと思いますけれども、現在のところは従来の制度を踏襲していきたいというふうに考えておるわけでございます。 それから野菜の生産費の問題でございますが、これはお手元の資料にもございますけれども、これはサンプルの数が非常に少ないわけでございまして、そういう意味で、その生産費を正確にあらわしているということはなかなか言いがたい面があろうかと思います。幸いにしまして、農家経済調査、これは非常に戸数も多いわけでございますので、それで計算いたしますと、三十八年でございますが、それが一日八時間労働ということで、農家の所得が約六百円になっております。三十九年は、まだその部門別の計算ができておりませんので、むしろ野菜生産農家、他の水稲でございますとか、あるいは麦というものをあわせまして一日あたりの労働報酬は出ております。それによりますと、一日十時間という計算になっておりますが、約千円をこしておるわけでございまして、そういうことで、米の農家の労働報酬に比べましては低いのでございますけれども、その他のものに比べましてはそう低くないのではないかと考えておるわけでございます。四十年の数字はわかりませんが、四十年は先ほど申し上げましたように、これは卸売り市場価格が相当上がっておるのでございまして、そういう意味から労働報酬も三十九年に比較いたしまして、相当ふえるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○森中守義君 この面は非常に重要な問題でもありますし、いま幾つかの、他の統計によるお答えが出たようですが、これではやっぱり私もまずいと思う。せっかく指定産地をつくって、そうなればやはり農家というものはそれによって所得の向上が完全に保証されるような状態の中に、初めて生産性の向上というものが期待できるわけですから、いま言われる農業の臨時雇い的な賃金を引っ張り出して、これこれだからということではどう考えてみても納得できない。ただ残念なことに、いま野菜農業の家族労働賃金というものは出されていないようです。ここでそれを求めるのは無理でしょうけれども、これはひとつ今国会に間に合うかどうかわかりませんが、一回試算をしてみてください。できるならば標準賃金になるような、そういうかなり正確なものを私は望みたいと思うのです。これはひとつ資料ということで、一ぺん検討してもらいたいと思うんですが、できますか。
○政府委員(小林誠一君) 三十九年の数字は将来は部門別に数字が出るわけでございます。これは統計調査部のほうでやっておりますが、残念なことにいまのところ三十八年の分しか出ておりませんので、それが出ましたときには先生にお届けいたしたいというふうに考えます。
○森中守義君 それから消費地の指定の問題ですが、先ほどから申し上げておりますように、政令都市等が中心になっておるようです。しかるに、農林省の方針では、大体十五万以上の都市については中央市場をつくろうという行政指導を相当長期間やってこられましたね。であるとするならば、当然指定消費地域というものは、もっともっと拡大していいのじゃないか、十五万都市まで下げるということは、にわかにこれは困難でしょうけれども、四地域に限定をしないでもっと拡大をしていかないと、いろいろと困難な場面が出るのじゃないか、こういうように私は思います。たとえば指定地域以外の都市において、しかもその近郊が指定産地になっておる場合、周囲でとれた、生産された野菜というのは、ほかのほうに持っていかれる。もうそれ自体が指定消費地域以外のところでは相当大きな価格の変動を来たしたり、あるいは需給体制がくずれる、こういうことが予想される。で、そうなれば当然消費地域というのはもっともっと拡大をしていくべきじゃないか、こう思う。それにはやっぱり金だということになりましょうが、いま一応将来の構想として描いているその程度でけっこうですから、お答えいただきたいと思う。
○政府委員(小林誠一君) 先ほども申し上げましたように、この四大消費地域以外の地域におきましては、自県産の野菜が相当多いわけでございます。したがいまして、そういう意味では集団産地的なものが少ないわけでございます。で、それを政策の対象として取り上げますことは技術的にもなかなかむずかしい問題でございます。ただ、先ほどお話がございましたうちで指定産地でございますが、この指定産地からは単に四大消費地域だけに出荷されるのではございませんので、四大消費地域に出荷されます数量がその半分以上ということを条件にしておるのでございますので、その他の分につきましては当然地元の市場にも出回るわけでございます。そういう意味では、やはり指定産地というものは単に四大消費地域だけのものにはならないので、やはり地方都市につきましては当然その生産及び出荷が安定すれば地方都市の野菜の価格の安定にもなるということになるわけでございます。
○森中守義君 ずいぶん無理をして質問の要綱をつくってきましたので、まだあと二、三日やらしてもらわなくちゃいかぬのですが、だいぶ委員長のほうで急いでおられるようですから、あと一問でひとつ終わりたいと思う。 この前、本会議でもちょっとお尋ねいたしましたように、コールドチェーンの問題ですが、これは科学技術庁を呼んでおりませんから、直ちにそれ自体が農林省の所管でもございませんけれども、いつごろから実行に移す予定ですか。それと、それによってもたらされる効果、それと、それ自体がアメリカ流に一応仕組まれる内容でしょうから、直ちに日本にずばり適用するということもなかなかむずかしいのじゃないかと、こう思うのですけれども、その辺のお考えを聞かしておいてもらいましょう。
○政府委員(小林誠一君) コールドチェーンの問題でございますが、これが約一億九千なにがしということで、科学技術庁がその実験調査をやるための委託費が組まれておるわけでございますが、その中でやはり大きなウエートを占めますのは、一つは、コールドチェーンの事例実験ということで、野菜、果実を低温輸送する、また貯蔵するという実験でございます。また、もう一つは、生産地の冷蔵倉庫におきます品質管理、それからまた冷蔵倉庫の有効利用に関します実験でございます。それともう一つは、海上輸送をいたします場合の長距離輸送の場合の実験でございます。野菜につきましてはそういうようなものでございます。もう一つは、低温のスポット調査ということで、これは果実につきましては、カキでございますとか、場合によりますればナシというもののCA貯蔵に関します調査等を考えておるわけでございます。 これらの問題につきましては、農林省といたしましても科学技術庁に協力して、その技術的な問題につきまして十分これを解明していきたいというふうに考えておるわけでございます。 お説のように、日本の状況におきましては、生産者も非常に小生産者が多いわけでございまして、アメリカのようにすぐにこれがコールドチェーンというものの実用化が行なわれて、それによりまして野菜問題がすべてコールドチェーンで片づくということは、遠い将来のことであろうかと思います。やはりそういう近代的な貯蔵方法につきましては、いまからそれの調査をし、その将来の方向を見定めていくということは必要だというふうに考えておるわけでございまして、私たちもこの問題につきましては、科学技術庁と協力いたしまして、その方向を解明いたしたいというふうに考えておるような次第でございます。
○宮崎正義君 いま、森中委員のほうから、野菜を主として質問がおありになったようで、私は果樹のほうを主体としてお伺いしてみたいと思いますが、その前に、いまし野菜の六品目について、国民の声は、ジャガイモそれからニンジン等を対象としてもらいたいという声がありますので、特にこの点を強調しておきたいと思います。 果樹農業振興特別措置法の一部を改正する法律案の大臣の御説明の中で、「新たに果実の需要の長期的動向に即応した果樹の植栽及び果実の生産の計画的かつ安定的な拡大と果実の生産、流通及び加工の合理化をはかるための措置を積極的に推進すること」、こう言われております。そして、果樹農業振興基本方針を策定して、そして都道府県の果樹農業振興計画に関する規定を設けて、このたびこれを実施されようとしておられますが、両者の有機的な関連にどうも明確を欠いておるように私は思うわけであります。まず、この点についてお伺いします。 また、消費者のためと生産者の意図が県と国とにどう反映して円滑化してあらわれていくようになるのか。この点もお伺いしたい。 第三番目に大事なことが、なぜ本法案で価格安定処置が考えられなかったかということでありますが、価格対策を立てなければ生産が安定されるということはできないと私は思うのですが、まず、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) 従来の果振法でございますと、これは将来の需要の見通しというものと、それから植栽の見通しということで、これは単純見通しを立てるという考え方が従来の果振法の考え方でございます。それと、あとは果樹農業者が数人共同しまして果樹園経営計画を立てまして、都道府県知事の認定を受けました場合に、植栽資金につきまして公庫の低利融資が行なわれるというのが従来の規定でございました。で、今回は、資料でも御説明申し上げましたように、果樹の見通しにつきましては、全体としましてその植栽面積あるいは生産量というものについては、見通しどおりでございますが、中で、樹種によりまして、いまのままでいきますと、将来需給のバランスがくずれることが心配されるというような樹種もございますので、それにつきましては、やはりこの際には将来の見通しだけではなくて、将来の植栽なり、あるいは生産の目標というものを立てまして、それに沿って今後の果樹行政を進めていく必要があるのではないかというふうに考えまして、その問題を含めまして、果樹農業の振興方針というものを農林大臣が立てる、また、各県はそれぞれ県の実情に合いますように、県の果樹農業振興計画を立てるということ、さらに従来ございました果樹園経営計画につきましては、これはその県の計画に照らして適当であると認められるものについて認定もし、融資をするという縦の線を貫いたのでございまして、これはそういう意味で、やはりまあ果樹は永年作物でございますから、ここ一、二年の植栽の傾向が直ちにその生産量になってあらわれてくるわけではございませんが、相当長い期間を置きました以前からこの方向をきめていく必要があるということで、いまそのようなふうに改正をいたしたいと考えておるわけでございます。 で、現在のところ、果樹の生産の見込みでございますが、これは当初三十七年に考えました線に沿って順調に伸びておるわけでございます。従来の見通しでは、果樹はやはり消費と申しますか、需要の伸びが相当著しくて、生産が追っつかないという考え方に立っておったわけでございます。もっとも、リンゴ等においては、その点で若干将来は需要を上回る供給があるのじゃないかということもあったわけでございますが、現在のところそういうわけで、将来はまあ果樹の生産も順調に伸びております。 そういうことから、現在のところは価格は比較的堅調でございます。年々、お手元の資料にございますように堅調でございまして、昭和四十年の価格でございますが、これもミカンについて見ました場合に、歴年で申しますれば大体八十円ぐらいになっておるかと思います。まあそういうことから堅調でございます。しかし、将来の問題といたしましては、やはりミカン等については、価格は弱含みになり、あるいは若干下がるのじゃないかということも懸念されるわけでございます。 そういう意味で、野菜と違いまして、消費者行政の面から見ました場合は、将来果実の価格が上がったことによって消費者家計に大きな影響を及ぼすということはないと考えるわけでございますが、生産者の面から見ました場合には、やはり非常にこれは労働集約的な農業でございます。したがいまして、やはりその生産性を向上していくということが必要なのでございまして、国の基本方針におきましても、県の計画におきましても、また果樹園経営計画におきましても、高性能機械を導入いたしまして、なるべく共同作業でその必要な労働力を節減していくという方向で農家所得を上げつつ、しかも消費者にはあまり御迷惑にならぬという方法でこれを検討していく必要があるのではないかと考えるわけでございます。で、現在のところ、先ほども申し上げましたように、果樹の価格は比較的堅調でございます。その価格政策ということをいまここで取り上げる段階ではなかろうと考えるわけでございまして、将来そういう問題が起こりました場合には、そのときにまた検討を加えなければならぬというふうに考えておるような次第でございます。
○宮崎正義君 いま説明がありましたけれども、労力の集約的な問題であるというようなお話がありましたけれども、労働力が不足してきておる関係で、諸生産費等が引き上げられてきているということはこれは事実じゃなかろうかと思うんですが、そういう労働力の不足という面に、作業面においては病害虫の防除の作業だとか、運搬による労力がどれほど生産コストを高めていくか、私が申し上げることはないと思うんですが、こうした面から考えまして、説明がありましたように、そう私は価格の問題も堅調であるといういまの姿が、そういう時代じゃなくなるんじゃないか。こう思うがゆえに、そういう点から考えまして、質問をしたわけであります。と同時に、生産の目標という点につきましても、もう少し具体的にお答え願いたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) 三十九年の調査によりますと、ミカンにつきましては一日当たりの労働報酬が二千六百円ぐらいになっておるかと存じます。リンゴの場合ですと、千二百円くらいでございます。したがいまして、現在のところ、他の農作物に比較いたしまして、一日当たりの労働報酬は割合に高いということがいえると思いますが、しかし、将来の問題といたしまして、果樹につきましては非常に労働集約的でございまして、そういう意味で将来の問題としてはやはり問題が出てくるということが考えられるわけでございます。現在のところ、高性能機械を入れます——スピードスプレーヤーでございますとか、そういうものによりまして、防除の手間を省く、ことにリンゴなどはその回数が非常に多いわけでございます。また、出荷に関しましては大規模な選果、荷づくりの施設をつくる。この点につきましては、果樹は比較的そういうような大規模な選果によるコスト引き下げになじむものでございます。そういう点に力を入れていくということによりまして労働力を節減するという方向に向かっていきたいというふうに考えておるわけでございます。 それから生産なり、あるいは需要の見通しでございますけれども、この点につきましては、生産の見通しというのは、現在植わっております果樹につきまして、——いろいろ樹齢別に構成が違っております。その植わっております果樹が次第に成木になるわけでございますので、それを樹齢別にその生産量を積み上げていくことによりまして、現在の植わっております果樹の将来の生産量というものは推算ができるであろうというふうに考えておりまして、そういう方法をとりたいと考えておるわけでございます。 それから需要のほうでございますが、これは従来の三十七年に見通しを立てました場合でございますが、これは消費支出に対します弾性値を用いまして、将来所得が上がりました場合にどのくらいの消費が伸びるであろうということでそれぞれの品目ごとに計算をいたしたわけでございまして、まあそういうことで計算いたしますと、ミカンにつきましては、大体消費支出が一%伸びれば一・七%の増になる。消費支出の弾性値が非常に高く出ておるわけであります。しかしながら、四十六年ぐらいまでにそういうことで消費支出の弾性値は一・七ぐらいに伸びるかもしれませんが、将来にわたって永久に一・七というふうにも考えられないわけでございますが、そういう意味で、むしろそれぞれの所得階層別に、むしろ次第に消費支出がふえるに従って果樹に対する支出の伸びも減ってくるということも考えられるわけでございます。そういう点も考慮に入れまして、もう一回試算をし直しまして、審議会にもいろいろ御意見を聞きまして結論を出したい。その間、いまの生産、植栽というものによって埋めていくということを考えておるような次第でございます。
○宮崎正義君 いまお話がありましたけれども、機械化等によって、スピードスプレーヤーですか、によってやっていくというお話もありますが、ずっと広範囲なところならいいのですけれども、あっちこっち所有地が飛び地になっておるおるような状況等では、その機械力というのもあまり頼れないようなところもありますし、また価格の問題にいたしましても、輸入品のバナナ等の対象等につきまして、主としてミカンのお話等もありましたけれども、リンゴなんかにつきましては、そう一がいにもいえないと思うのです。リンゴ等のことについてはどんなふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(小林誠一君) お説のように、高性能機械を導入いたします場合は、これは飛び地であっては効果が上がらないわけでございます。したがいまして、果樹園経営計画におきましては、原則といたしまして十ヘクタール以上の団地につきまして経営計画を立てた場合にそれを認定するということを考えておるわけでございます。そういう意味で、いまの高性能機械の導入を前提といたしまして果樹園経営計画を立て、それに対して融資をする。また将来の果樹園を新たに造成いたします場合も、なるべくそういうことで集団的にこれを栽培してもらうように指導いたしていきたい。それをまた果樹園経営計画に乗せていきたいというふうに考えておるのでございます。そういうことによりまして高性能機械の導入を円滑にし、それによる効果を、これを十分発揮いたしたいというふうに考えておるわけでございます。リンゴにつきまして、これは昭和三十七年の見通しの場合にもやはり需要に対しまして供給がその当時のテンポで進めば上回るであろうという見通しが立ったわけでございます。したがいまして、三十七年以降、比較的価格が弱含みないし低落いたしたわけでございます。その点を反映いたしましてか、現実の面積の増というのは最近はほとんどないような状況でございます。ただ、ないと申しますのは、新値とそれから廃園と申しますか、改植と申しますか、差し引きいたしまして増ではないのでありまして、依然として新値は続けておるわけでございます。その内容を見ますと、比較的需要の伸びの少ない国光でございますとか、あるいは紅玉というようなものからスターキングでございますとか、あるいはデリシャス系統の比較的需要の強い品種に改植が行なわれておるような次第でございます。そういうことで、私たちといたしましてはそういう改植ガスムーズに行なわれますために、品種更新事業ということで共同育苗圃をつくりまして、そこで苗木を三年ばかり植えておるという場合に、どうしてもこれは経費がかかるわけでございますので、それについて補助措置も講じておるわけでございます。そういうことから需要の伸びの強いものに将来は品種を更新していくという考え方に立って施策を進めておるのでございます。
○宮崎正義君 需要の強いものといいますか、それは大玉になれば価格は高くなっていく、いまお話しのありましたような品種だと相当に価格が高くなっていくわけです。それから一般国民大衆からだんだん、リンゴというのはそういうふうになってまいりますと離れていくような形に追い込まれていくんじゃないかというふうにもいまの御説明だとそう感じられるわけなんですが、これではならないと思うのです。そういう点からもどうも納得ができないわけであります。特にリンゴなんかは、輸出をしていく場合には相当な厳重な規制と検査を受けて輸出をされていくということなんですが、そういうことと、それから厳重に規制されて検査されていくというのは、農薬を使われて、そのリンゴの中にどういうふうなものが含有されているかというような検査が非常にきびしい、こう言われているわけですが、この使用している農薬等の問題につきましてもどういうふうな研究をし、また実行されておりますのか、その点も、またどういう農薬を使われておるのか、こういう点も伺っておきたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) 実はこのリンゴの消費でございますが、国光でございますとか、あるいは紅玉というものの生産量を減らして、安いものを減らしてむしろ高いものに切りかえていくということを奨励するわけではございませんが、総じて申しまして、リンゴの消費量でございますけれども、これは現在日本とアメリカと比べまして、青果といたしましては大体同じくらいの消費をいたしておるわけでございます。やはりそういう意味で、食生活がだんだん変わってまいりますと、どうしてもそれにつれまして青果用のリンゴというものの消費というものが頭打ちになってくるという傾向があるわけでございまして、やはりその中でも高級品に対する需要が旺盛であるというような現実はどうも否定できないのでございまして、私たちといたしましてもそういう点で、リンゴにつきましては、これを果汁にして学校給食にいたしますとか、あるいはまた青果といたしましてこれを学校給食に回すということについて極力これは推進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。 輸出の場合の検査でございますが、これは農薬についていろいろ問題が出ておるわけでございますが、主として砒酸鉛を使いますものについて、輸出の場合に非常に検査が厳重であるということでございますが、もっともそれらについて、はたしてどのくらいの害があるかどうかという点については、実は私たちまだ検査の資料を得ていないわけでございますが、厚生省におきましても農薬によります果樹の有毒成分の分析等もやっておるわけでございまして、私たちといたしましてはやはりこれらの問題につきましては、なるべく低毒性の——無毒とまいりませんでも低毒性の農薬によって人体に影響の及ぼさない指導をいたしていかなければならぬというふうに考えるわけでございますけれども、何ぶんやはりそこには生産費の問題等いろいろの問題もございまして、その点につきましてはまだ十分なところまでいっていないのでございますが、将来の方向といたしましては、低毒性の農薬に切りかえることによりまして国民保健の上に重大な支障のないように検討しなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 農林大臣にお伺いいたします。農薬については、これは許すのは大臣だと思う、検査のほうは厚生省だと思いますが。この点について農林大臣の、どういうふうなものを今日防疫としての農薬を許可されているか、この点について伺いたい。
○国務大臣(坂田英一君) 農薬につきましていま問題になっておりますのは水銀剤でございまして、これをどうするかという問題は、私ども大いに検討いたしておったわけでございますが、いろいろの使い方等によってこの農薬の的確なところの結論はないのでございます。しかし、こういう問題について不安を持つような農薬につきましては、できる限りこれは早い機会に他の農薬にかえていきたい、かように考えておりまするので、幸いにして水銀剤を使わないもので効力の相当強いものができている関係がございまするので、できる限りこれを急速に普及せしめることにし、できればここ少なくとも二年間くらいのうちにこれを転換していきたい、こういうことですでに農林省といたしましては次官通牒を出しておるわけでございます。そういう方向にいませっかく努力をいたしておる最中でございます。
○宮崎正義君 農薬の種類を伺ったわけですが、その点はやめましょう。私どものほうで調べたものもだいぶありますが、いずれにしましてもこの農薬の問題は、前にも私は予算委員会、あるいはこの委員会等で申し上げたことなので、いま大臣の御答弁もありましたことですから、これ以上申し上げませんとして、現行の果樹園経営計画の認定の請求期間を昭和五十一年の三月三十一日までに延長すると、こう言われるのですが、この際、果樹の農業別の色分けといいますか、そういうものを反映された基本方針が必要じゃなかろうか、こう思うわけです。種類別だとか、あるいは地域別の政府の指導方針をこの際に明らかにすべきじゃないか、こういうふうに私は思うわけですが、この点についてお伺いします。そしてまた、もう一つは、違った面からいいますと、未墾地帯の資金、農林漁業金融公庫の貸し付け金が現行の三年を十年以内に改められるというのでありますが、現在借りているものはそのまま継続して、十年に継続されていくようになりますのが、この点も伺っておきたいと思います。 さらにわが国の場合のように気象条件が非常によくないということ等から考えてみまして、天災による被害、または集中豪雨だとか、あるいはひょうだとか、あるいは霜だとかの被害等も、相当一年間に被害を受けているわけですが、そういう被害を受けている間に、先ほど申し上げました取得資金等を借り入れているものが、そういうような天災被害等で痛めつけられただけに、利子を払い込んでいこうという期間、利子も払い込めなくなってくる。勢いその痛めつけられたことによって借金が大きくなっていく。また先ほど御説明がありましたように、永年性を要する果樹なんでありますので、特にこういう点については、私は十分なる融資、助成ということを考えなければならない、こういう点についても、この際はっきりどういうふうに将来はしていくのかということを伺っておきたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) まず樹種別にいろいろ指導方針を立てるべきではないかという御質問でございますが、これは先ほども申し上げましたように、果樹農業振興基本方針におきましては、樹種別に植栽及び果樹の生産目標を定めるというふうにしております。そこで、やはり将来の方向といたしましても自然的な条件に適合するような植栽が進まなければならないという考えのもとに、その自然的な条件に対します基準、これは従来果樹園経営計画で立てております降水量、降雨量でございますとか、あるいは気温の条件のほかに将来の問題といたしまして、やはり傾斜土というようなものにつきましても機械化を前提といたしました場合にそれを考慮に入れる必要があろうということで検討を進めておるわけでございます。 それからもう一つは、将来の方向といたしましては、防除機でございますとか、あるいはその他の機械を入れまして、高性能機械によります労働節約的な果樹園経営計画をやる必要があるということで、まあおおむね十町歩程度以上のものをもとにいたしまして、そこにいろいろな機械を入れ、労働節約的に経営した場合に、そのときの反当の収量、あるいは反当の労働時間というものをどの程度に考えるかというような点につきましても、これは基本方針で示したいというふうに考えておるわけでございまして、県計画もいまの国の基本方針に即しまして、県の実情に合いますように、さらに一般的な方針を県の実情に合うように、あるいは若干それを手直しするというようなかっこうで考えておるような次第でございます。 それから未墾地の取得資金の据え置き期間でございますが、これは今後、果樹園経営計画の認定を受けて、その結果必要といたします未墾地の取得資金の貸し付けについて、据え置き期間の十年というのが、適用になるわけでございます。従来の分につきましては、必ずしもその点で果樹園経営計画に基づく未墾地取得資金、あるいはその他の関係に基づくその他の制度融資によります未墾地取得資金であるかという点は明確ではありません。金融一般の原則といたしましても大体におきまして過去のものにはさかのぼっていないというようなことでもございますので、今後この法律に基づきます経営計画に必要な未墾地の取得資金についてこの特例が適用されるということになるわけでございます。また果樹につきましてはいろいろ霜でございますとか、あるいは降雪というような被害を受けまして、そのために償還金がなかなか払えないという事態も、他の農作物にも同じ問題があるのでございますが、果樹についてもその問題はあるわけでございます。それにつきましては公庫なり、あるいはその他の制度融資につきましては、条件緩和がそれぞれの業務方法書にもきまっておりますので、そういう必要な場合には園芸局からもそれぞれの主管局にお願いし、また公庫にもお願いして、災害による打撃によりまして償還金がなかなか調達できないという場合については特例の措置ができるように、ケース・バイ・ケースで特例措置ができますようにこれを努力いたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 ついでにお伺いいたしますが、いまの、助けていくほうの制度という、端的に言えばそうなんですが、また相互に助け合っていくという共済制度の考え方なんというものは、もうとっくに今日までにできていなければならないのでありますが、この共済制度についてはどんなふうに今日なっておりますか。
○政府委員(小林誠一君) 果樹についての共済制度でございますが、従来から非常に実施の要望も強いということで、私どもといたしましてもできるだけ早く実施をいたしたいということで、実は三十八年度から四十年度まで数種の果樹につきまして主産県二十数県で実地に調査いたしております。また学識経験者等に集まっていただきまして、どういうふうな制度の骨子にすべきであるかということについて昨年あたり研究をいたしてもらっておるわけであります。そういうふうな実地の調査並びに理論的な検討の成果が大体本年度あたりまとまってまいりますので、できれば本年中に成案を得るようにそういう調査結果等も十分参酌いたしまして努力をしていきたい。こういうふうに考えております。
○宮崎正義君 いまのことで大臣から、確認の意味において一言御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 果樹共済の実施の問題でございますが、なるべくこれは早く実施することにいたしたいと思います。本年は専門家の、いわゆる保険専門関係、果樹関係について検討を加えておるわけでございます。
○宮崎正義君 どうもこの問題については、これは納得できないのでありますが、時間等の関係もありますので、これ以上それを申し上げません。 ちょっとバナナのことについてひとつ伺っておきたいのでありますが、このバナナの輸入に関して不正輸入があったとか、問題点が非常に多いということで、三十九年の十月ごろに公正取引委員会等に取り上げられたことがありましたが、その後はうまくいっていることだとは思いますが、東京丸一商事とか、長江商事、あるいは東伸貿易等の関係のほうでは長期契約を締結しているということなんですが、この関係のものと、それから全芭連組合の四団体等のそれぞれの輸入状況といいますか、そういうことについて詳細御説明を願いたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) バナナにつきましては、これは大体年間三十五万トンぐらい輸入されております。で、果樹の国内の総生産量の約八%ないし九%でございます。戦前の昭和十年ごろのパーセントからいっても大体一割程度でございます。もっともそれ以後果樹の生産量は三倍程度に伸びておりますので、絶対量においては三倍程度には伸びておるわけでございます。その輸入でございますが、これは主として台湾からの輸入でございます。台湾からの輸入がございませんときに中南米ものが入ってくるような状況でございまして、これの輸入につきましては、いろいろ各輸入業者の競争がございまして、したがいまして、台湾との関係におきまして積み出し港でございますとか、積み出し期日あるいは価格の問題というような点で非常に、どう申しますか、輸入が円滑に行なわれない場合がございます。そういう点にかんがみまして、輸入組合が昨年設立されたわけでございます。輸入秩序をそれによりまして確立するという方向に進んでおるわけでございます。したがいまして、その価格等につきましても、若干従来の価格よりも輸入価格は下がっておる状況でございます。で、私いまこの関係につきまして、あるいは丸一でございますとか、東伸貿易というものの輸入について問題があるということについて、私ここで資料を持ち合わせませんし、またその点について実はまことに不勉強でございまして、その点についてここで詳細に申し上げるだけの資料を持たないのでございます。
○宮崎正義君 どうも私の尋ねようとすることが回答できないので残念でございますが、いずれにいたしましても、バナナは関税を食っているとも言われているわけでございますが、この関税の引き下げ等のことについてはどういうふうなお考えでしょうか。
○政府委員(小林誠一君) バナナの関税でございますが、これは現在暫定税率で七〇%になっておるわけでございまして、他のくだものに比しまして非常に高率の関税が課せられておるわけでございます。しかしながら、このバナナの関税、バナナとリンゴあるいはミカンというものの競合関係というものを考えました場合に、やはりその点でいろいろ問題があるわけでございますので、その税率の引き下げについては今後とも慎重に検討をしなければならないのでございます。関税の審議会におきましても、毎年問題になっておるわけでございますが、私たちといたしましては、国内産果実に大きな打撃を与えないように、その点についてるる説明を申し上げまして、本年もその税率を据え置くということになったわけでございます。現実の問題といたしまして、そのような関税がかかっているにもかかわりませず、大体三十五万トン程度のバナナが輸入され、それが消費されておるわけであります。そういう点から申しまして、いろいろ将来その税率が他のものに比べて非常に高いという問題が生ずるのであろうかと思いますが、私たちといたしましては、他のくだものに対します影響についていろいろ御説明をして御納得をいただいて、その引き下げについては慎重な態度で処理していただくことをお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 もう一点だけバナナのことについてお伺いしておきますが、台湾バナナと中共バナナとの価格は相当違うわけなんです。こういう点も、輸入組合等が昨年度からできたというのですが、この間の調整等はどうなっておるのでしょう。
○政府委員(小林誠一君) 輸入組合につきましては、これは台湾から輸入するものについての組合でございます。したがいまして、中共からの輸入については、その点が輸入組合の力は及ばないわけでございますが、総じて申し上げますと、台湾のバナナというものは非常にかおりも高く、日本人の嗜好に合うということから、台湾バナナが輸入される場合にはその量をできるだけ台湾から輸入をして、そうしてそれが輸入できない場合、あるいは需要を満たし得ない場合に中南米のものが入っているのが実情でございます。中共産のバナナもおそらくそういう意味において、台湾バナナとの関係におきましては、中南米と同じような関係に立つものではないかというふうに推測いたしておるわけでございます。
○宮崎正義君 御存じのように、中南米のエクアドル・バナナというのは、これはあまりうまくないので嗜好には合いませんけれども、中共バナナはおいしいわけです。これは非常に価格が安い、 〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 こういうふうな点も国民が知っておるわけなんですが、こういったようなことから考え合わしてみましても、バナナ輸入というものに対する政府のしっかりした態度というものは私は必要じゃないか、こういうふうに思うわけですが、大臣のほうからこのことについて一言御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 園芸局長からお答え申し上げます。
○政府委員(小林誠一君) この中共バナナでございますが、これは自由化をいたしておるわけでございます。そういう意味では、中共からは自由に入り得るような国内体制にはなっておるわけでございますが、ただ問題といたしまして、やはり中共からバナナが入りました場合に、台湾からのバナナがスムーズにその商社につきまして入ってこないというような問題等があるやに聞いております。
○宮崎正義君 長期契約をしておるということは御存じないでしょうか。
○政府委員(小林誠一君) 長期契約の点については、寡聞にして存じ上げておりません。
○宮崎正義君 そういう点にも十分に目を注いで監督等をしていただかなければならないと思いますし、国民の立場に立てば、安くてうまいものをやはり求めるわけでありますので、こういう点も、貿易の自由化という立場において、将来考えていただきたいということを要望しておきます。 なお、この問題についてはこまかく話していきたいところでありますが、時間等の制限がございますので、きょうは、このバナナの問題についてはこの程度にとどめておきます。 最後に、加工原料用の取引に関する取りきめの条項なんでありますが、この対象となった果実がどういうふうな種類であって、政令でこれを規定するのかどうか。政令でやっていく方法がよいかどうかということについて、大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) この点につきましては、加工原料用果実の取引に関する取りきめの対象果実として、政令で定めますのは第四条で、いまの予定で、果実についてはかんきつ類の果実、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃及び桜桃とするようにいたしたいつもりでございます。
○宮崎正義君 これ以外に予定をされないのかどうか、将来。その点も伺っておきたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) 先ほど大臣が申されました樹種につきまして、これは加工の度合が強いものでございます。加工に回る数量が多いのでございまして、したがいまして、これをその対象果実にしたいというふうに考えておるわけでございますが、そのほかの果実につきましては、現在のところまだそこまでする必要はないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございますけれども、将来の問題といたしまして、加工の度合が強く、しかも独禁法の適用除外をする必要があるというふうに考えます樹種につきましては、今後公正取引委員会とも折衝いたしまして、対象に加えることといたしたいと考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 従来の加工原料果実の取引実態とも関連されて、生産性の調整とか、あるいは出荷調整に、どうしてこれを織り込んでいくかということも、基本的に考えていくべきじゃないかと思うのですが、この点を最後にお伺いしまして、なお、スイカ、マクワウリ、メロン、イチゴ、こういったものは野菜のほうに入っているわけですが、果実のほうに入るべきじゃなかろうかというふうに考えるのですが……。
○政府委員(小林誠一君) 実は御質問の点でございますが、農林省といたしましても、スイカにつきまして、これは二つの行き方でやっておるわけでございまして、農業基本法の、果実の長期見通しの中には、スイカを含めまして、これを見通しを立てております。したがいまして、農業基本法の、果実の中にはスイカが入っておるわけでございます。果樹振興法の中には、これはむしろ果実を生産する永年作物を対象といたしておるわけでございますので、果樹園経営計画でございますとか、あるいは長期見通しとかいうようなことで、永年作物の施策を、この果樹振興法でやるわけでございますので、したがいまして、その年に実がなって、枯れてしまうスイカにつきましては、この対象としては考えていないのでございます。 加工原料等の果実でございますが、これは生産調整の中に織り込んでということでございますが、私たちといたしましては、これは将来の需要の見通しを立てます場合に、輸出用、あるいは加工原料用のものにつきましても、これを需要の見通しの中に入れるわけでございまして、それに基づきまして、生産の目標を立てていこうというふうに考えておるわけでございます。 ただ、加工の問題につきましては、これは主としてミカンかん詰めが一番大きなウエートを占めているわけでございますけれども、そのほかにも白桃でございますとか、あるいは洋ナシでございますとかというふうな果樹、あるいはリンゴでございますとか、あるいはミカンのジュース、ブドウ酒というような加工の需要というものもあるわけでございまして、将来の果樹振興の中におきましては、やはり果樹振興の点から見ました場合、加工に相当大きなウエートを持つ必要があると思うわけでございます。それからやはりこの加工品につきましては、非常に大きな輸出のウエートを占めているわけでございまして、ミカンかん詰めも約百億円ぐらい輸出されているわけでございます。将来の問題といたしましては、やはりその加工業を育成し、しかもそのコストを下げることによって、海外競争力をつけていくということによって、外貨獲得のみならず、果樹生産者のための施策として、これに力を注いでいきたいというふうに考えている次第でございます。
○宮崎正義君 品種の更新等、また種類等の研究等に関しましては、指導員をふやしていくとか、あるいは研究機関を拡充していくとかということをぜひお考えの上で、今後も進んでいただきたい。そうして一番最初に申し上げましたように、価格の安定措置というものをお考えあって進んでいっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○北條雋八君 関連。いま品種のことが出ましたけれども、品種改良につきまして、実は千葉県で花粉銀行というのをやっているようであります。人工授粉です。御承知のとおり、非常に農薬で昆虫類が少なくなりましたし、その結果が、非常に結実率がよくなったことが新聞にちょっと出ております。それについて、詳しいことをお調べになったことがあるなら伺いたいと思います。
○政府委員(小林誠一君) 昆虫が農薬その他でだんだん少なくなってきているために、果実の結実が悪いという問題が起こっているわけでございますが、そういう意味から、たとえば青森県の場合でございますと、養蜂業者にそこに来てもらいまして、そこで蜜を採取してもらうと同時に、花粉の授精をよくするというような措置も講じているわけでございます。私ども、千葉県の花粉銀行という問題について、詳しい内容は存じ上げませんけれども、将来の問題といたしまして、これらの点について十分力を注いでいかなければならないのではないかと思いますが、これは千葉県の場合。私のほうでいま存じ上げておりますのは、約一年間の間、花粉をストックいたしまして、それでこれを果樹園に配付するということ、構造改善事業等におきましても、それについていろいろ措置をやっているということでございますが、詳しい内容については、いまここで持ち合わしていないわけでございます。
○北條雋八君 一宮でもってやっているようなことを書いてございますが、ナシにやりまして、非常に結実がいいということを聞きました。これは非常に研究する必要があると思います。こういうような試験を、農林省でもって今後品種の改良とか、あるいは新種の栽培とかいうことをする必要があると思うのですが、現在はそういうような研究はどこで取りまとめておられるのでしょうか。
○政府委員(小林誠一君) この花粉の問題につきましては、園芸試験場あるいは県の試験場等で目下やっておるわけでございます。
○北條雋八君 各地で個々にはやっておられましょうけれども、それを総括的に、やはり総合的に研究する個所が必要だと思うので、そういう機関をつくる必要があると思いますが、その点は現在はどこで、やはり本省の何ですか、あなたのほうですね、報告を取って、いろいろ実地にそれを応用しているというわけでございましょうか、その点を伺います。
○政府委員(小林誠一君) その問題は私のほうだけでなく、技術会議の試験研究機関との関係もございますので、技術会議とも十分連絡をとりまして御趣旨に沿うように検討いたしたいと存じます。
○北條雋八君 私は、この問題だけのことでなしに、これはもうそういう果樹の万般にわたって試験をやっておられると思うのですが、それをやはり総括的に研究調査されるところが、ぜひこれは、ないならそういう機関をつくる必要があると思うので伺ったわけですから。
○政府委員(小林誠一君) 総括的にこの問題をやりますのは園芸試験場でございまして、園芸試験場のほうでそのような点につきまして毎年いろいろ打ち合わせをして研究をやっているわけでございます。総括的に申しますれば園芸試験場で現在やっておるわけでございます。
○北條雋八君 どうぞ、そういう機関が完備してないようでございますから、今後そういう試験、研究ですね、またそれがいいことならすぐ実地に施策できるようにしていただきたいと思います。これで終わります。
○国務大臣(坂田英一君) この問題は非常に重要な問題でございまして、人工授粉の関係でございますので、当然園芸試験場及び地方の農事試験場等でやっておるのです。
○矢山有作君 だいぶ長く質疑が続いておりますから、できるだけ重複を避けながら簡単にお伺いいたしますので、要領よくひとつ簡単にお答えをいただきたいと思うのです。 果樹農業がここ数年来非常に大きく伸びてきたということは、もう私が申し上げる必要もないと思うのですが、その伸び方を見ておるというと、三十七年に立てられた長期見通しの資料から比較して、三十七年——四十一年の間の年平均の新植見通しに比較して、それを大幅に上回って伸びているものがありますね、たとえばミカンだとか、クリだとか、それからまた需要の面で一方を見ると、四十六年の需要見込みに対して、需要のほうが生産見込みより上回っておるものもあるし、また生産のほうが需要に追いつかないものもある。内容を小さく見ていくといろいろあるようですがね。そこで、私は第一番にお伺いしたいのは、そういう情勢の中で、今後果樹農業というものを推進していくという上で、一体基本的な考え方というものをどこに踏まえてやるのか。四十六年度の需要見込みからいえば、ミカンの生産は、現在の時点で考えたならばたいした問題はないようですが、しかし、いま新植されておるあの面積を考えれば、需給上非常に問題が出てくるということもある。またその他いろいろありますが、そういうところで生産過剰になってくるというようなことが考えられるものについては、やはりこれは何とか積極的に輸出をするとか、あるいは消費の増大をはかるとか、こういうことを考えなければならぬだろうし、それから需要に生産が追いつかないものについては、どんどん積極的に生産を進めていくのか、それともこれを輸入にまとうとするのか、そこら辺の基本的な考え方というものが一応はっきりしてこぬというと、これからの生産農民というものは困るんじゃないかと思うのですがね。その辺はどうですか。
○政府委員(小林誠一君) お説のとおり、樹種によりましていろいろ伸び方が違うわけでございます。そういう意味でやはり需要に見合って生産の目標をきめていくという考え方に立たなければならぬと考えるわけでございます。で、現在のところはまだ生産過剰というところまではいっていないのでございますけれども、いまのままのテンポで進みました場合には、将来そういう需給のバランスがくずれるという場合には、そのテンポをスローダウンしていくという必要があろうかと思います。そういう意味におきまして、ミカン等につきましては、いまのうちから将来の長期の見通しを立てまして、それに合わせるように、生産の、植栽等についての指導を行なっていきたいというふうに考えておるわけでございます。で、生産が需要に追いつかないというものにつきましては、当然これはその生産なり植栽というものを需要に追いつくように、その伸びをテンポを早めていくという必要があろうと考えるわけでございます。 で、輸入によってまあその穴を埋めるのかということでございますが、実はバナナ等については、リンゴの穴を埋めるあるいはミカンの穴を埋めるということではなくして、むしろバナナとして入ってくるとバナナとしての需要があるとみる。もちろん競合関係はあるわけですけれども、その種類の違うものにつきましてはその代替関係というような問題を、競合関係とか代替関係とかいうものを十分に考慮に入れて、その輸入についての制限なり、あるいはその関税措置というようなものについて検討をしていかなければならないものというふうに考えておりまして、国内生産で十分間に合うものについては、なるべく輸入をしないという方向で対処をいたさなければならないのではないか、というふうに考えておる次第でございます。
○矢山有作君 ちょっと私も聞き落としたところがあると思うのですがね。ミカン等はすでにここ最近の非常な激しい新植の傾向から見たら、長期見通しで見るとたいした問題はないように見えますけれども、すでにいまから問題が生ずるということが予想されるんじゃないかということなんですね、一つは。それからリンゴだとかブドウだとかいうものは、長期見通しを見てもすでに生産のほうが需要を上回るようなことになっているようですしね。それからリンゴの最近の消費の傾向を見ると、消費がちょっと停滞しておるのじゃないかという傾向も見られるわけです。だからそういうことを踏まえて、積極的に輸出するまで考えながら需給の調整をとるのかどうかということなんで、ただ新植面積を押えるということだけで片づかぬ場合も出てくると思うのです。そのことなんですがね。
○政府委員(小林誠一君) ミカンにつきましては、最近の二、三年の間には毎年一万ヘクタール以上の新植面積があるわけでございます。そういう意味で、将来そのテンポでずっと伸びていくという場合にはやはり問題がありますので、植栽の目標を立てます場合には、そのテンポを落としていくという方向で、審議会等にもはかりまして、また県とも十分打ち合わせをしまして、進みたいというふうに考えております。 それからリンゴ、ブドウでございますが、やはりそれは、当初見通しを立てましたときよりはそのテンポがむしろ落ちておりまして、そういう意味では、リンゴにつきましては、三十七年の見通しを立てましたときよりは、四十六年の供給といいますか、生産というものは少ないのでございます。少なくなるであろうと予想されるのでございますが、そういうことでございまして、やはり、将来また生産が需要をオーバーする懸念のあるものにつきましては、これを十分加工等に回すということも考えなければならぬというふうに考えておりまして、将来の方向といたしましては、やはり加工等については意欲的にそれを伸ばすという、単純見通しではなくて意欲的な見通しでそれを立てていきたいというふうに考えておるような次第でございます。
○矢山有作君 国内における消費を伸ばすということでね、生食用の需要を伸ばす、また加工向けの需要を伸ばす、ここらはいまお話しになったのでわかるのですがね。私は、もっと積極的に、輸出の買い取りまでお考えになりませんかということをちょっと聞きたかったのです。
○政府委員(小林誠一君) 輸出問題でございますが、現在くだものの輸出は、かん詰めを入れまして百三十億円ぐらいになっておるわけでございます。ことしの状況を見ますと、ミカンのかん詰めの輸出でございますが、当初五百万ケースを予定したわけでございますが、どうもそこまで進みませんで、前年度の実績を下回ります四百四十万ケース台でとどまるのではないかと、こう思われるのでございます。その原因を見ますと、やはり原料ミカンの価格が高いということが一つの大きなネックになっておりまして、どうも一キログラム当たり原料ミカン代が五十円程度になっておるわけでございます。将来の問題といたしまして、輸出を伸ばしますためには、やはりその原料ミカンの代金というのが非常に大きなウエートを占めておるのでございまして、その価格があまり高くなりますと輸出が伸びません。したがいまして、その点につきまして、原料取引を安定させるというほかに、やはり原料ミカンにつきましても、将来はおそらく現在のような五十円台の価格にはならないのではないかと思いますが、それらの価格をできるだけまあ輸出に、できれば合理的な価格にする必要があろうかというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 その輸出の問題でね、ちょっとここで調べておったら、例の生鮮果実としての輸出もかなりやっておるようですがね。大体生鮮果実としての輸出は、しかし、傾向としては停滞しているのではないかと、こういうふうに思うのです。特にナシなんかは減少しておるし、それからリンゴ、ミカンこれらも停滞傾向が相当出ているように思うので、生鮮果実の輸出の場合には、もちろんいろいろ輸送その他の技術的な問題の解明が必要だと思うのです。その辺の生鮮果実としての輸出に対するかまえ方というものがどうなっておるのか、これひとつ聞かせていただきたい。
○政府委員(小林誠一君) 生鮮果実の輸出でございますが、これは年々若干ふえております。四十年は約三十億でございました。前年に比べまして二億四千万円ぐらいふえておるわけであります。まあそれは主として大きいものは、カナダ向けのミカンと東南アジア向けのリンゴ等でございます。ところがミカンにつきましては、やはり最近におきましてはアメリカ、あるいはスペイン、中共というところで生産が伸びておりまして、香港向け等につきましては、中共産が相当進出しておるのでございます。 そういうことから、将来の方向としましては、決して現在の状況では明るくないわけでございまして、やはりその点におきましても、生産性を向上することによって、なるべくコスト安にこれが輸出できるというような方向に努力いたしますと同時に、やはり東南アジアその他におきましてジェトロを通じます宣伝活動等を通じまして、私たちといたしましても極力海外の宣伝を行なっていって、そちらの需要を喚起するということにつとめてまいりたいというように考えている次第でございます。
○矢山有作君 生産性向上の問題については、後ほどお伺いしたいと思います。 それから果実加工品の輸出ですね、これは三十九年ごろからはちょっと好転しておるような統計が出ておりますがね。この場合にも特にミカン等については、外国との競合という問題が起こってくるわけですね。ところが、それらの問題をただ原料果実の価格の問題だけで処理するというふうないまのお考えだけでいいのかどうかということに私は問題があると思うのですがね。ただ単に、生鮮果実の原料の問題だけでなしに、やはり加工の過程における問題だとか、あるいは輸送の過程における問題、いわゆる総じて加工流通の過程における問題というものが出てくるのではないかと。だからこの辺のこともやはり十分検討されぬと、果実加工品だけでなしに、そういうことは生鮮果実についても言えることだと思うので、その辺の研究というものが具体的に十分なされておるのかどうかということが、私はひとつの問題だと思うのです。よくその点を存じませんので、教えていただきたいと思うのですがね。
○政府委員(小林誠一君) 先ほど私が原料の代金だけを取り上げまして、ことばが足らなかった点がございましたのでおわび申し上げます。加工の問題につきましては、当然その点についての合理化をはかっていかなければならないのでございます。御存じのように、日本の果実の加工業者、かん詰め業者でありますが、非常に零細な規模の加工業者が多いわけでございまして、その近代化をはかっていく、そしてそこに優秀な機械を導入していくという必要がございますので、中小企業近代化促進法に基づきます業種指定をミカンかん詰め業者に対しまして行ないまして、その企業の体質の改善及びそれに必要な中小企業金融公庫からの融資の道が開かれておるわけでございますが、今後ともそういう点につきましては、大いに力を注いでいかなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、またこの原料を中小企業が獲得いたします場合に、資金についてのいろいろの信用力がないというようなことでスムースに動かないという問題も懸念されましたので、それにつきまして原料を買い取るための資金について保証をいたします協会も設立されておるわけでございまして、それによります原料の確保がスムースに行なわれますことについても力を注いでおるわけでございますが、そういう二つの方法を用いまして、かん詰め業者の体質の改善、それから経費の節減ということをはかっていく一方、外国におきましても商品の宣伝ということにつきまして、将来にわたりまして力を注ぐことによりまして需要の喚起ということをはかることとあわせまして、輸出の振興について力をいたしていきたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 先ほど構想についてのお話がありましたが、現実の状態というのは、たとえば一つ加工技術の研究の問題を取り上げてみましても、案外これが進んでいないのではないかという感じがするんで、この点についてのやはり前進をはかっていくための積極的な姿勢というものがどうしても要るのではないか。 それからもう一つは、加工業に対する中小企業の近代化資金等を云々というお話がありましたが、これなんか見ても、食品加工業に対しての近代化資金の融資の状態というのは、私が承知している限りでは、あまり十分なものではないというふうに思っているのです。きょうは通産省の方がおられませんから、その点についての詳しい御質問を申し上げて御答弁をいただくのも無理だろうと思いますけれども、そういう点を含めて、その他にもたくさん問題があろうかと思います。ので、この辺は将来の果実の需要増大、さらにまた輸出の増大という面を考えて真剣に検討を進めていただきたいと思います。 それから次は、改正法案では、農林大臣が果樹農業振興の基本方針を定める、こういうことになっておりますね。その基本方針の中に定める事項というので、「果実の需要の長期見通しに即した植栽及び果実の生産の目標」、こういうことがうたわれておるわけです。これと、三十七年に長期見通しを立てられておりますが、これとの関連というのはどういうふうになっていくのか。ただ三十七年の見通しというものを、現状では需給が大体安定しておるというようなたてまえから、そのまま引き伸ばしていこうという考えなのか、それとも最近の消費動向から考えて根本的に再検討されるという立場をとっておられるのか、その辺の考え方はどうですか。
○政府委員(小林誠一君) 加工の問題につきましては、今後とも一そうの努力をいたしたいと存じます。 それから、農林大臣がきめます果樹農業振興の基本方針の生産ないし植栽の目標あるいは需要の見通しというものでございますが、これは三十七年に立てましたときには、これは現在におきまして大体果樹全体の植栽面積でございますが、それにつきましてはおおむね予定どおり進んでおるということが言えると思います。ただ生産量につきましては、最近数年災害等がございまして、九四%ぐらいの達成率でございます。将来の方向といたしましては、その四十六年の見通しというものにつきましては、おおむね三十七年のときの見通しを踏襲していいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、それ以後の昭和五十年でございますとか、あるいは昭和五十五年ということになりますと、そのまま四十六年の時点の見通しを単純に伸ばしていくということには相当危険性があるのじゃないかということから、将来の方向といたしましては、もう一回、三十七年に立てました見通しを再検討いたしまして、実態に合うようにこれを改定をいたしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○矢山有作君 いまの問題は、これは果樹農家にとっては一つの生産をやっていくための重要な目安になるわけですから、その点の見通しを誤られると大きな問題になってくると思うんです。したがって、これは各方面からいろいろと、もちろん資料を検討されて、できるだけ正確な見通しが立てられるだろうと思いますが、そういうふうにひとつ御努力をいただきたいと思います。 それから、同じく果樹農業の振興基本方針で、「果実の需要の長期見通しに即した植栽及び果実の生産の目標」が定められる、こういうふうなことになっておりますがね。私が一つ気にかかるのは、この果樹振興法全体を通じてみて、価格の安定ということについては、全然問題に触れられてないわけですよね。やはり生産の安定的な拡大をはかっていくということになると、価格対策というものが非常に重要になってくるのじゃないかと思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(小林誠一君) 将来の需要の見通しにつきましては、審議会等にもはかりまして、いろいろの先生方の御意見等を聞きまして、慎重にこれを検討いたしたいと思います。 それから植栽、生産の目標に関連いたしまして、価格の安定の問題でございますが、最近の動向を見てみますと、現在のところ価格は、三十七年、八年、九年と、わりあいに弱含みであったのですが、四十年は強含みになっておるわけでございます。 それからもう一つ、農家所得の面から見ましても、この価格でございますれば、価格の対策というものを、いま直ちにこれは講ずる必要がないのではなかろうかと思われるわけでございまして、将来の問題といたしましては、これはやはり価格が暴落しないように、現在から将来にわたります植栽を調整をしていくという意味におきまして、価格の暴落に至らないようにいまから植栽においてその調整をやっていくということが必要であろうというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 三十九年の十月に、果樹農業振興審議会の懇談会で、「果樹の植栽及び果実の生産についての長期見通し及び生産、流通、加工等の振興対策についての検討」というのがされておりますね。その中で、「果樹生産については、統一した基準のもとに地域を設定して、これにもとづいて奨励施策を実施することが望ましいが、実際には、自然条件だけについてみても、適地、不適地の幅がかなり大きい等、なお慎重な検討を要する問題がある。」と指摘されております。ところがこの点について、今度新しく立てられる果樹農業振興基本方針との関係でどういうふうになってくるのですか。
○政府委員(小林誠一君) 果樹の植栽につきましては、これは自然条件が一番根本になるものでございますが、やはりその自然条件をこの基本方針で定めますわけでございます。 先ほどお話しの、地域を設定してということでございますが、これはこの法律におきましては、濃密生産団地の思想がそれに該当するのではないかと考えるわけでございます。やはり現在の果樹の状況を見てみました場合に、地域を設定し、そこにおける果樹農業の振興をはかっていくということが一つの大きな方向ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、やはりその県で必要な果樹、たとえば東北におきますリンゴでございますとか、あるいは西日本のミカンでございます。相当集団的にこれが生産されておりますところにおきましては、その出荷を長期間にわたりまして市場に出していくということから、集出荷施設を重視し、あるいは東北の場合でございますれば集出荷施設のみならず、CA貯蔵というようなもの、あるいは貯蔵庫というようなものを中心に、一つの流通的な面、流通の観点から一つの地域を設定して、そこの集出荷施設を完備する、同時に農家におきます労働をなるべく出荷期間を長くすることによりましてこれを平準化していくというような観点に立って計画を進める必要があり、また場所によりましては農道でございますとか、あるいは販売施設というようなものを、その地域を頭において一貫した計画を立てていく必要があるというようなことで、むしろ自然条件のみならず、流通の面から一つの地域を設定してその計画を立てていくという必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○矢山有作君 次に、ちょっと個々の問題で聞きたいのですが、植栽に適する自然的条件に関する基準というものを示すことになっていますね。いままでは何か気象条件を基準にして一応示されているようですが、今後の果樹の栽培の場合、先ほどあなたが御指摘になったような生産性の向上等の問題を考えた場合に、気象条件だけの基準を示したのでは問題が起こってくるのではないかと思うのですが、そういう場合、自然条件に関する基準というのは、何かほかにまだ定められるような考え方を持っておいでになるのですか。
○政府委員(小林誠一君) 従来の果樹園経営計画にかかわる省令では、気象条件に関する基準しか設けてないのでございますが、今度この果樹農業振興基本方針を定めます場合に、自然的な条件という場合には、将来の機械化の方向等も考えまして、傾斜度についても基準を設けるという線で検討を進め、審議会にもはかって、そういう方向で検討を進めたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 次は、近代的な果樹園経営の基本的指標とこれを基本方針に示すことになっているようですが、この具体的な中身というのは大体どういうふうに考えておられるのですか。
○政府委員(小林誠一君) 近代的な果樹園経営の指標でございますが、これは高性能機械、トラクターでございますとか、あるいはスピードスプレーヤーというような高性能機械を導入いたします場合に、最低の面積としてはどのくらい要るかというその団地の面積を一応頭におきまして、その中で作業の共同化等によりまして労働生産性を上げます場合、その中の反当の生産量、収量といいますか、または反当の労働投下力というようなものについての基準をきめたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 その場合、果樹園の集団化状況というのを資料でいただいているんですが、これを見ると、五町から十町未満というのが、集団地の個所数で四千ですか、ですから非常に、集団化、集団化と言いながら、面積としては狭いものが多いのじゃないか。あなたのおっしゃった生産性の向上のために、高度の性能の機械を入れるということになると、この程度の集団化ということを基準に考えられて、はたして十分に経済的に成り立つのかどうか、こういう問題が一つはあるのじゃないかと思うのですがね。その点はどうですか。
○政府委員(小林誠一君) お手元の資料は、三十八年の調査の資料でございますが、将来の方向といたしましては、団地といたしましては十ヘクタール以上を原則といたしまして集団化を進めまして、それについて果樹園経営計画を立てて、それに対する助成をしていくという考え方に立っておるのでございまして、毎年、三十七年以降、大体七百地区程度のものを認定いたしておるのでございます。
○矢山有作君 私は、果樹園に使われる高性能の機械の問題についてあまり詳しくないから、これ以上突っ込んだ御質問はなかなかやりにくいのですけれども、たとえば、スピードスプレーヤーを使う場合においても、十町歩程度でペイするような状態なんですか、私が何か聞いておるのは、やはり二十町歩、三十町歩とならなければ実際上むずかしいという話を聞いておるんですが、その点どうですか。
○政府委員(小林誠一君) その十ヘクタール以上の場合にペイするかという問題でございますが、防除回数が多い場合は十分ペイするわけでございまして、たとえばリンゴの場合でございますと、年間十回以上防除をするわけでございます。そういう意味では、リンゴの場合にはペイいたしましょうし、防除回数の少ないものにつきましては、十町歩ではペイしない、そういう場合にはやはり隣りの団地との関係というようなものも考えまして、有効な利用をはかっていくべきではないかというように考えておるのでございます。
○矢山有作君 それから、次は、果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項を定める、こういうふうになっておるんですが、私、ちょっと見たところ、確かに流通及び加工の合理化に関する問題は非常に重要だと思うのです。たとえば、ここに表があるから、これで見ますと、生産費というのがリンゴの場合で、この統計で見ると一八%、ミカンで二四・五%、二十世紀ナシで三二・一%、こういう統計が出ておるんです。ところがそれに対して、いわゆる小売りの中間マージン、そういったものが一九・六%、これはミカンです。リンゴが三六四%、二十世紀ナシが三〇・一%、こういうふうになっているんですね。それから流通経費を見ると、ミカンで一八・四%、リンゴで二七・九%、二十世紀ナシで三〇・九%となっているわけです。確かに、私はこれは流通経費の節減というのは非常に大きなウエートを持っておるんじゃないか、こういうふうに思うのですよ。ところが、案外、農産物の問題を論議するときには、いわゆる小売り価格が高いのは、とにかく生産者価格が高いからだと、こういうような観点から、往々にして論議が行なわれるのです。そのことを私は問題だと思うので、むしろ流通経費のほうに非常に問題がある。この点をやっぱりお考えいただいて、この面に対しての施策というものが強力に展開されぬというといかぬのじゃないかと、こう思うのですがね。せっかく流通や加工の合理化に関する基本方針というものをきめられるわけですから、その場合にどういう構想を持っておいでになるのか。こういう法律をつくられたんだから、多少具体的な構想というものがおありになると思うのです。あまり先ほどの御答弁のように抽象的でなしにね。
○政府委員(小林誠一君) この流通経費の節減の問題、非常に大きな問題でございます。確かにミカンあるいはリンゴの場合の農家手取り率は野菜に比べては大きいのでございますけれども、それでもやはり五〇%程度の手取り率になるのでございます。その場合に、やはり流通経費をどう節減していくかという問題でございますが、その場合の大きな問題といたしましては、選果施設あるいは荷づくりの施設、荷づくりの経費というものが大きな要素を占めておるのでございます。で、最近では、マンモス選果場というオートメーションの選果場というものがミカン等については相当各地に行なわれておるのでございまして、それによります選果経費の節減というほかに、やはりそれに基づきます規格の統一ということによります荷主の大型化ということによりまして、市場に至るまでの経費が相当節減されるのでございまして、今後ともそういう点につきましては、流通施設の合理化という観点から力を入れて指導をいたしていきたいというふうに考えている次第でございます。
○矢山有作君 流通の合理化の問題では、大きな問題としてはやはり卸売り市場等の問題もこれは非常に大きな問題だと思うのです。これはしかし、何か中央卸売り市場の一部改正案が出てくるとかいうことですから、これはあらためてそのときにお伺いすることにいたしまして、もう一つつけ加えてお伺いしておきたいのは、果実の輸送の問題なんですね。輸送問題でいろいろ問題があるのじゃないかというふうに考えるのですが、特に生鮮果実の場合にはコールドチェーンの整備だとかなんとか、そういった問題も今後精力的に解決していかなければならない問題じゃないかと思うのですが、その辺の考え方といいますか、準備といいいますか、そういう点はどうなっていますか。
○政府委員(小林誠一君) 果実を鮮度を落とさず輸送するということは非常に重要な問題でございます。したがいまして、過去におきまして、四県につきまして、CA貯蔵ということで、その貯蔵施設について助成を行なったのでございますが、昨年はそれについて輸送施設、輸送車につきまして、トラックでございますが、それの補助を行ないまして、生産地から消費地に生鮮なくだものが入りますように補助をいたしたわけでございますが、今後ともこの輸送問題につきましては、力を尽くしていきたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 その問題との関連で、運輸省はきょう来ておらぬので、こんな話を持ち出しても直接お答えはしにくかろうと思うのですが、六月二十二日の日本経済新聞見ると、運輸省がコールドチェーンを育成するために冷蔵庫の近代化基準というものをつくるそうです。これはやはり日本の冷蔵設備なり、あるいは冷蔵技術というものはかなり私は立ちおくれておるのじゃないかという考え方を持っておるのです。三十八年でしたか、フランスに行ったときに、パリの近くの農業団体に行って、あそこの貯蔵施設等を見たときに、日本の貯蔵施設がいかにお粗末かということを感じたのです。これはやっぱり運輸省の計画ですが、運輸省まかせでなしに、やはり輸送面の解決の一つの方向としてこういったものも農林省考えていただいたほうがいいのじゃないかと思うのですがね。
○政府委員(小林誠一君) これにつきましては、コールドチェーンの一環として研究をいたしますと同時に、将来の問題としましては、くだものの貯蔵ないし輸送ということにつきまして冷蔵技術を解明いたしますとともに、それらの施設の問題につきまして研究もし、これについての指導もいたしたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 今度の法案では、一部改正案で、加工用原料果実の取引に関する取りきめの条項がありますが、この取りきめをするにあたっての適用団体の範囲だとか、あるいは数量、価格、取引方法等についての取りきめをやるわけですから、それらについての何か一つの基準とか、そういったものがおありになるのですか。
○政府委員(小林誠一君) この加工原料の取引に対します双方の農協その他これを売り渡します側、それから買い入れます側につきましての適用の範囲というものにつきましては、特に法律では規定していないわけでございますけれども、お手元の資料にもございますように、大体加工原料用の果実というのは、数県にまたがって取引される場合が多いわけでありますので、県内あるいは数県にまたがってその取りきめが行なわれるのではないかというふうに考えておるのでございます。
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
○政府委員(小林誠一君) 御質問の点は主として価格の問題でなかろうかというふうに考えるわけでありますが、価格につきましては、これは加工業者の側からも生産者の側からも、実はきめ手となる価格というのはなかなか見出し得ないのでございます。と申しますのは、加工業者の側から見ました場合に、果実の加工というのは、大体におきまして、年間の加工の中におきまして三カ月ないし四カ月でございまして、その他の時期におきましては、水産物でございますとか、あるいは畜産物というようなものをかん詰めにするというような場合がほとんど大部分でございます。そういう意味から、原価計算をしてその価格を幾らにするかというようなことはむずかしいわけでございます。それからもう一方の、生産者のサイドから見ました場合にも、たとえば民間を例にとりました場合に、これは一般の市場に生果用として出荷されるものが相当大部分でございます。もっとも、そのすそものが加工に回るという場合もあるのでございますけれども、むしろ生果用の価格に引かれる。昨年の例からいいましても、やはり生果用の価格が高いという場合には原料の価格も高いというようなことにもなるわけであります。また農家の側から見まして、生産費調査というような面から接近することも、その用途が加工用、原料用不統一でございますのでなかなか接近がしにくいというような問題もあるわけでございまして、したがいまして、価格水準を一時的にかくあるべきであるというようなものとして、これを設定することはなかなかむずかしい問題でございます。加工業者と出荷者がお互いの間に話し合いをして、なるべく安定した価格で長期的に供給ができるように取りきめを期待する。また、その実例等を見まして、指導いたしてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 むずかしいことは私もよくわかるのですが、ただ、むずかしいといいましても、これから果樹振興をやっていく場合に、あるいは生食用に向けていく、あるいは加工用に向けていくというような立場からの指導も行なわれるでしょうし、いろいろのことがあると思うんです。しかし、いずれにしても、ある程度そういう面についての検討をやっておきませんと、私は非常に問題が出てくると思うのです。なぜかといいますと、くせ者は、独禁法適用除外という規定があるわけです。これは、非常にくせ者の作用をする、というのは、現在生産者というものの力と、それから加工業者というものの力を比較してものを言っておるわけですが、牛乳と同じようにくだものなんというものは腐りやすいので、したがってそういうものをたくさん抱えておる者が、その加工業者に売っていこうという場合に、これはたたかれる可能性が多分に出てくるわけですよ。しかも取りきめをやるときに、そういう弱い生産者が強い加工業者と取りきめをやるのですから、しかも独禁法除外、こういうことになってくると、私は、生産者のほうが非常に不利な状態に追い込まれる可能性が非常に強く出てくるというような気がするわけですが、その辺どうですか。
○政府委員(小林誠一君) かん詰めの業者の実態を見ますと、非常に零細企業が多いのでございまして、しかも年間操業をやる必要があるということから、場合によっては、水産なり、あるいは他のかん詰めの原料がない場合は、採算を無視しても買いに向かうということもあるわけでございます。そういう意味から、一般に大メーカーというふうには考えられないわけでございまして、また生産者のほうといたしましても、たとえば洋ナシでございますとか、かん桃というような種類のものにつきましても、加工専用という場合が多いのでございますが、一般に生食用というのと両方に向けられるわけでございまして、そういう意味でかん詰め業者にどうしても売り急がなければならないというような事態もないわけでございます。そういうことから、必ずしも加工業者が非常に大きな経営であって、生産者を圧迫するというような実態ではないのではなかろうか。むしろお互いの間に非常に経営が苦しくて、無理な買いをする、あるいは安く売るというようなことのないように、安定して原料を供給し、その価格をお互いの間で合理的にきめていくというような道を開くために、今回の独禁法の適用除外という規定を設けたのでございまして、そういう意味では決して御心配になるような線にはならないのではないかというふうに考えております。もっとも、そういう点が現実に生じました場合につきましては、果樹農業、あるいは加工業の健全な発展を害するという場合は、その締結の禁止、あるいは変更という命令も農林大臣は持っておるわけでございますので、そういう事態が起こりました場合は変更命令というようなことで対処できるというふうに考えておるのでございます。
○矢山有作君 一般論としてはそういうことも私はいえると思うのです。ところが、かん詰め専用に栽培されている桃なんかありますよね。ああいった場合は、私はそう単純に割り切れぬ場合が出てくると、それからもう一つは、なるほど加工業者の実態というものは零細なるものが多い。ところが、たとえばかん詰めを例にとって、かん詰めというものは加工業者それ自体は零細であっても、それを流通に乗せておるのは、案外大商社のグラウンドでやっておる場合があるのですよ。そうなると、加工業者自体はなるほど零細ですよ。しかし、実際にかん詰めならかん詰め市場を支配しているのは大商社ですからね。そこに私は危険性があるような感じを受けるのです。その点が心配だからちょっと申し上げたので、そういう心配は絶対ありませんか。
○政府委員(小林誠一君) 必ずしもないとは申し上げかねるのでございますが、本年度の加工原料の価格でございますが、本年度の価格を見ますと、温州ミカンでは五十三円になっております。白桃は二十九円から四十二円の間になっております。で、桜桃は三十一円から三十七円ということで、白桃、桜桃が三十九年は十円から三十円、九円から十八円と非常に安かったわけでございます。で、本年はそういう意味で相当価格も強くなっておりまして、おおよそ倍近くになっておるのでございます。そういうことから見ますと、どう申しますか、単に圧力だけで買いたたくというふうに見ますよりも、その企業の操業度という点から、あるいはその企業が持っております在庫というような面が圧力材料になりまして非常に低い価格を現出したということではなかろうかと思いますが、今後ともそれらの点につきましては十分注意をいたして生産農家が不当に圧迫されないように配慮いたしたいというふうに考えております。
○矢山有作君 理事がやめてくれということですからこれでやめますが、しかし、質問はまだあとに残りますので、いまの点だけもう一度申し上げておきますが、もちろん、それは企業の操業度だとか、在庫量だとか、いろいろな要素による圧迫もあると思うのです。しかしながら、現実にかん詰め用のものが非常に価格が下落したという例もあるわけです。しかも先ほどいいましたように、価格対策というものがないわけですからね。したがって、まあ買いたたきというようなことはないとおっしゃったのだが、実際問題として買いたたきというような現象が起こってくる場合があるということがやはり心配なので、その点についてはいま十分気をつけるということですから、ひとつ気をつけていただいて、そういうことのないようにお願いしたいと思います。 それで、先ほどいいましたように、これでやめてくれということですから、全部質問をやめるということじゃないので、きょうの質問をこれで終わらしていただいて、まだ残ったのが二つ、三つありますから、それは今度の委員会のときに聞かしていただきたいと思うのであります。 —————————————
○委員長(山崎斉君) 次に、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。 質疑のある方は、御発言を願います。
○中村波男君 私は、入会林野の近代化法の質問を申し上げますにあたりまして、最初に農林大臣に御質問をいたしたいと思うのでありますが、法案第一条の、目的を見ますと、「入会林野又は旧慣使用林野である土地の農林業上の利用を増進するため、」に近代化を行なうことを規定いたしておるのであります。「農林業上の利用」といってもいろいろあるのでありまして、たとえて申し上げますならば、植林、造林あるいは果樹、採草地、放牧地等々いろいろな利用法があるわけであります。したがって、近代化する場合には、権利者の合意、同意によって民主的に運営をはかるということについては賛成でありますし、当然そう行なわなければならないと思うんでありますが、だからといって、その利用方法が最も高度に有効適切に利用されるような行政指導、また国の方針に適合するような今後の運営というものが必要ではなかろうかというふうに思うわけであります。私が考えますのに、入り会い権の近代化の方向といたしましては、もちろん地形が山林原野でありますから、 〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 林業の振興を中心にいたしまして、これを農業に結びつけて、高度の利用をはかることは当然でありまするけれども、それをさらに土地政策、地域開発あるいは農業政策、国土保全政策、加えて国民の保健衛生、観光等の、総合的な入り会い林野の活用というものをはかるべきではないかというふうに思うわけであります。それには、少なくとも国土の利用計画というものを立てなければならぬと思うのでありますが、それが立てられておらないし、農林省としてまず立てていただかなければならないのは、少なくとも全林野の利用区分計画というものを立てまして、そしてこれを総合的に利用し、その中で入り会い林野の近代化というものを位置づけていかなければならぬのではないかというふうに思うわけであります。したがって、目的は、抽象的な表現でございまして、それ以上の表現はできないと思いますが、そういう立場で今後運営をされ、また、そのための具体的な計画がなければなりませんし、その裏づけとしての助成策というものが用意されておると思うのでありますが、それらについて、ひとつ具体的にまず答弁をいただきたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(坂田英一君) この全国的な土地利用計画というものをこの際つくるということはなかなかむずかしいわけでございます。ただ、個々のケースについては、最も適合した土地利用の高度化をはかってまいる、まことに抽象的でございますが、さような方向で進むようにいたしたい、こう存じます。
○中村波男君 いまの大臣の御答弁では、方針としてはあるけれども、具体的な計画はない、だから、これを進めていきます手続としては、旧慣使用権にいたしましても、民有地の入り会い権の近代化の場合でも、同意なり、合意が前提になりますが、そしてその人たちのきまった方向でやっていくのだ、国としての高い立場からの指導というか、行政的な指導というものは全く考えておられないのか。そういう点、重ねてお尋ねいたします。
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、何も国として高い立場から云々という問題は、国としても、これらの問題がきわめて有効に合理的に進むように、もちろん指導してまいりたい。それからまた、地方、地方の情勢に応じて、その地方、いわゆるたとえば府県知事と連絡の上で、十分これらの問題ででき得る限り高度利用という問題についての指導は進めてまいりたいと、かように存じます。
○政府委員(田中重五君) 補足して申し上げますと、入り会い林野の土地利用計画につきましては、それぞれ入り会い権者あるいは慣行使用権者の意見を聞いた市町村長が、その個々の具体的な場所につきまして、その入り会い林野整備計画なり、あるいは旧慣使用林野整備計画なりを立てて、そしてその農林業上の土地の高度利用をはかってまいるというふうにいたしている次第でございますが、そういう権利者がこの整備計画を立てるにあたりましては、それぞれ農業あるいは林業におきますところの専門的なコンサルタントを配置をいたしまして、 〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 そしてそのコンサルタントが技術上の指導をできる限りきめこまかく行なうというふうに指導をいたしてまいりたいと思います。そうして、そういう技術上のコンサルタントにつきましては、国としてまた十分に指導をしてまいりたいという考え方でございます。
○中村波男君 いま長官から、コンサルタントを置いて適切な指導をするということをおっしゃいますが、その前に、コンサルタントのそれぞれの考え方、それぞれの能力に応じた指導ではなしに、やはり近代化をはかるということが、一口に言えばそのことばで尽きますが、さっき申し上げましたような立場で、もう少しきめのこまかい計画というものを農林省としては立ててやらなければ、ほんとうの効果があがらないのではないかというふうな立場で質問をいたしたわけであります。 また、あとの質問から関連いたしまして、さらに具体的に質問を申し上げてみたいと思うのでありますが、次の質問は、たしか昭和三十六年の二月に、入り会い林野の近代化に対しまして、林野庁の長官が、林野庁の諮問機関でありますところの部落有林野協議会に答申を求められまして、その答申がなされたと私は記憶しておるのであります。その後も、農業基本問題調査会の林業の基本問題等基本対策についての答申、さらに中央森林審議会に対しまする林業振興に関する基本的な施策という答申がなされておりまして、それぞれ入り会い林野の近代化の項があったと思うのでありますが、したがって、これらを受けてお立ちになって立法にかかられたという経過があると思うわけであります。したがって、それらの答申の趣旨といいますか、概要をこの機会に承っておきたいと思うわけであります。
○政府委員(田中重五君) まあそういう協議会の答申の趣旨は、一言にして申し上げますと、やはりこの入り会い権という古い封建的な権利関係を解消いたしまして、近代的な私権にこれを改変する。そうしてその権利の上に立って個々の農民がその土地利用の高度化に専念し得るように持っていくことによって、農民の所得の向上をはかり、ひいては社会的、経済的地位の向上をはかるというところに考え方があったと思いますが、いま提案申し上げておりますこの法案もそういう趣旨に立っているわけであります。
○中村波男君 いま御説明で、大体の答申の趣旨は了解がいたしたのでありますが、一口に言いますと、入り会い権というものは入り会い権者全員平等の私権である、こういう立場に立ってこれを近代化しようという、こういう答申でなかったかと思うのでありますが、それぞれニュアンスの違いはあるかと思いますけれども、三つの答申を貫いておりますものは、私権の上に立っておったように私は理解するのでありますが、違いますか。
○政府委員(田中重五君) それは私権論とか、あるいは公権論とか、そういういわば長い歴史にわたった学説がありますけれども、そういう学説の上に立った判断ではないわけでございまして、この答申なり、あるいはこの法案なりの考え方は、入り会い権あるいは旧慣使用権、それぞれの制度の上に立ちまして、それぞれの手続に従って、その権利関係を近代化していこうということにいたしておるわけでございます。
○中村波男君 ここに「自治研究」というのがありますが、自治省の加藤という人の書いておるのによりますと、いまでも自治省は公権論的立場をとっておりますので、これらの答申に対して強い批判をいたしますと同時に、林野庁の私権論のとり方について反論を加えておるのであります。そういういきさつから見ても、今回の立法というのは、いわゆる自治省の公権論に林野庁が押しまくられたといいますか、妥協されまして、その産物として立法されたのが旧慣使用権に対するいわゆる法文でないかというふうに私は思うわけであります。 そこでお尋ねをいたしたいと思いますのは、いわゆる今回の法文によりますと、地方自治法上の旧慣使用権は、一応入り会い権とは別なものであるという立場をとっておられると思うのであります。そうですな。
○政府委員(田中重五君) 別なものと申しますか、要するに地方自治法で規定しております公有財産というふうに考えていいわけでございます。
○中村波男君 そこで、なるほど二十条に、「それらの者が当該旧慣使用林野を旧慣使用権以外の権利の目的としていないことの確認を得なければならない。」、これは入り会い権というものがないのだということの確認をとって手続をとれ、こういうことになっておりますね。そこで、こういう規定を法文の中に設けること自体が、いわゆる違法といいますか、法構成の上で問題である、こういうことを専門家なり法務省の中でいわれておることを聞くのでありますが、そういう点からいいまして、こういう法文を設けてそれらの混乱を避けようとしておられると思いますけれども、悪くいえばあとに問題を残さぬように、君たちは判を押したのだから、もう入り会い権は返上したのだ、こういう役には立つかもしれませんけれども、これを裁判所に提訴して争うようなことができた場合に勝てるといいますか、間違いないというふうに自信を持って林野庁は言い切れるかどうか。またそういう点は研究されておると思いますが、そういう点に対する見解を、問題を引き起こさないためにも、この際承っておきたい、こう思うわけであります。
○政府委員(田中重五君) その点につきましては、まあいわば入り会い権確認の訴えということになりますし、この訴えを行なうことは当然認められておるわけでございますから、その訴訟が出てきた場合には、これは裁判所の判断に待たざるを得ない、こういうふうに考えております。ただ、この法案の整理といたしましては、いまも申し上げましたように、旧慣使用林野につきましては、地方自治法にいう公有財産のところで整理をいたしておりますように、市町村長の権限で市町村議会の議決によってその権利関係を改変あるいは廃止することができるというふうになっておりますのを援用いたしまして、その権利関係の近代化をはかろう。しかしながら、この旧慣使用権といえども沿革的にはやはり入り会い権と同じ歴史を持っておるわけでございますから、そこで、その入り会い権の近代化の場合に全員の合意によるというその趣旨を尊重いたしまして、旧慣使用林野の権利関係の改変につきましても、旧慣使用権者の意見を十分に聞いて、そうして市町村長がこれを行なうというふうに整理をいたしたわけでございます。
○中村波男君 さらに、旧慣使用林野整理の発議者は市町村長のみでありますが、そこで、法文を見ますと、その対象事業は、「農林業上の利用を増進するための他の事業で国若しくは都道府県の行なうもの又はこれらの補助に係るものの効率的な実施を促進するため、」と規定をいたしておるわけであります。国か県の事業または補助を受ける事業に限定しておるのじゃないかというふうに思うわけでありますが、広く農林業上の高度利用をするという場合に、国や県の事業あるいは助成のないものでやれるということはおそらく実態としてはないかもしれませんけれども、しかし、ないとは私は言い切れないと思うわけでございます。したがって、そういう事例というものが出るということは全くないのか、また出た場合にはこの規定があるから許さないのかということについて、具体的な問題として、この機会にお尋ねをしておきたいと思うわけであります。
○政府委員(田中重五君) その点につきましては、いまも申し上げましたように、歴史的には同じような流れの中で成立を見たものではありましたけれども、しかし、法制度のもとで公有財産というふうに整理をされております以上は、やはりその市町村住民全体のものであるというような意識も持つことが妥当であろうかと思いますし、そういう意味合いからいたしまして、特にこの公有財産であるところの旧慣使用林肝については、いまのお読みになりましたような法の上での一つの考え方を国の、あるいは県の行なう事業あるいはそういう補助の事業というような形に整理をしたということでございます。
○中村波男君 地方自治法の解説書を読んでみますと、慣行使用権は、明治二十二年の市制、町村制の土地市有、町村有または財産区有になった林野において慣行のあったものに適用され、それ以後に市町村が取得した入り会い権については民法上の入り会い権はそのまま存続し、慣行使用権ではない、こういうことを書いておるのを読んだのでありますが、これに対して林野庁としてどういう見解をおとりになるかどうか、お聞きをいたします。
○政府委員(田中重五君) 明治二十二年の市制、町村制の施行以後、いわゆる徳川時代からの入り会い林野が市町村有に組み込まれたことは確かでございます。また、その以後に、やはりその当時における公有林野整理統一事業というような政策からいいまして市町村有に組み込まれていったものもございます。それでその態様はいろいろ複雑ではございますけれども、とにもかくにも登記簿上、あるいはまた何らかの協議書によって公有財産であるというふうに確認をせざるを得ない、いわゆる旧慣使用林野につきましては同じように扱ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○中村波男君 なお、法文の審議からいいますと逆なことをお尋ねすることになると思いますが、たとえて言うなら、いわゆる公有地入り会い旧慣使用権を近代化する逆で、その使用権を金でいわゆる整理するといいますか、買い上げるといいますか、それで市町村がいわゆる市町村有にして、そうしてこれをやはり農林業上に高度に利用する、こういうこともこれを整理する過程で起きるのではないかということも考えてみたのでありますが、そこで、そういうことが起きたときには、もちろん全員が同意し、またその金額等に折り合いがつけばもちろんできることだと思いますが、農林省として、林野庁として行政指導上これを見ますときに、やはり私権化して、そうして高度利用をはかることがよろしいのか、あるいは村等にそういう力があり、またそういう方針が確立された場合には、いわゆる住民と市町村との間で話し合いがついた場合には、いわゆる金による決済によって入り会い権というものを村に移すということのほうがよろしいのか、そういう判断はどういうふうにしておられるかということを、この機会でありますからお聞きしておきたいと、こう思うわけであります。
○政府委員(田中重五君) そういう場合はあるといたしましても、相当まれではなかろうかというふうに考えられますが、この法案が考えております対象といたしましては、やはり現に入り会い林野として存在しますところの二百万町歩以上に及ぶ、現に入り会い林野あるいは旧慣使用林野として放置されているそういう地帯を政策の対象というふうに考えておる次第でございます。
○中村波男君 まあ特異な例であろうということで、それに対するお答えがないと思いますが、問題は、山をいかに高度に利用するかというところから入り会い林野の近代化ということが発想されておるのでありますし、進めなければならぬと思うのであります。そういう立場でいろいろこの私権化したあとに、私はまたあとから質問いたしますが、問題がたくさんあると思うわけであります。そういう立場からこれをとらえます場合に、こういう機会にそれを整理して、いわゆる大乗的な立場に立つところの、市町村有にするというような方法がいいのか悪いのかということをお聞きしておきたかったのでありますが、さらに一つの事例をあげて、こまかい問題でありますがただしておきたいと思いますのは、入り会い権といいましても、たとえば私の見聞しておるのによりますと、落ち葉をかく、あるいはかま程度でたきぎを取ることは許される、あるいは石取り——石といいましても採石をするわけではありませんけれども、山にある石等は拾ってきてもよろしい、こういうふうにいろいろな権利があるわけであります。したがって、これは部落有でありますけれども、そういうものがたとえば公有林のような場合に入り会い権というものが二つ、三つ重なっておった場合には、三つともいわゆる何といいますか、なくするということがあり得るのかどうか、一つだけ残すということはあり得ないのかどうか、こういう点はどうなんですか。
○政府委員(田中重五君) 三つともとおっしゃった意味はちょっとよくわかりかねるのですけれども、もともとこの入り会い権は、旧来の規約によれば、その全員の平等ということが普通でございます。そこに差が出てくる場合といたしましては、新戸と旧戸の場合であるとか、あるいは他村入り会いであるとかいうような場合にはそういう差が出てくるということはあると思います。いずれにいたしましても、そういう沿革的な歴史によるところの入り会い権の変貌につきましては、たとえば旧戸と新戸の差による入り会い権の差、そういうものはそういうものとして、まずその土地利用上の権利を大きく分けまして、この権利集団ごとに分けて、そうして分けられた権利集団の中では、平等というような分け方になるかというふうに考えるわけでございます。いずれにいたしましても、これは権利者の全員の合意の上で、その規約からきまってくる問題である。こう考えております。
○中村波男君 次は、私権化された場合に、衆議院でも質問があったのでありますが、いわゆる力のあるものに土地が集中する、これが一番問題だというふうに私は思うわけでありますが、なるほど法文にはそういうおそれのある場合には知事が認可をしないのだと、こう言っております。問題は、認可をしてから、所有権が個人に移ったのでありますから、売ろうと思えば、いままでは売れなかったけれども、今度は幾らでも売れるわけであります。これは私の近くにもそういう事例はたくさんありますが、私権化をしたために、十年もたたないうちに半分くらいの人にほとんど集められてしまった、こういうことを考えますと、今後の問題としてこれは私は重大な問題でなかろうかというふうに思うわけであります。これをどう抑制していくか。このことはいろいろむずかしさがありましょうけれども、この点を配慮しないと、私権化したことは結局、第三次地主をつくったということの結果になりかねないと思うのでありますが、これらに対する対策なり、今後の措置を具体的にどう考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
○政府委員(田中重五君) その点につきましては、普通考えられますことは、共同利用形態なり、あるいは直轄利用形態なりについては、おおむねやはり協業体の形でいくでありましょうし、それから個別利用形態というような場合には、そのままでは集中化されるというふうに、まあ考えざるを得ないと思います。そこでまず、いまもお話がございました、一部のものに不当に権利が集中していないかどうか。その点は県知事の手において厳重に慎重に検査をするという段階がまずございましょうし、それから政府の指導方針といたしましては、すべてでき得る限り協業体の方向でそれが経営をされるように指導をいたしたい。で、そのためには生産森林組合なり、農業生産法人なり、そういうものに移行していくように指導し、また先ほど申し上げましたコンサルタントの指導の段階でも十分にその点を配慮すべきであると、こう考えております。そしてまた協業体にそれが移行した場合に、いろいろ優遇措置を講じていくということによって、まとまってそれが経営されるというふうにもっていきたい。こう考えております。
○中村波男君 私権化をする場合に、具体的な問題としては権利の確定をめぐりまして相当紛糾といいますか問題が起きるのではないかというふうに思うわけであります。また具体的な例をあげますと、共有地だれそれほか何名というものとか、あるいは連名で登記しているような場合には、登記の名儀人がどこかいってしまってわからないとか、あるいは戦後死なれた分については均等相続になっておるとか、いろいろな問題がありますし、また権利の確定をめぐってなかなかむずかしいというような事態が出てくるであろうと思うわけであります。また割り山分割利用等について二十年ごとに変えるというようなところをどう処理するかというようないろいろな問題があろうと思うわけでありますが、こういう問題についてどういうふうに処理をされるのか。また登記手続については、そういう問題に対して手続が簡潔になるような方法が講ぜられておるのかどうか、お尋ねしておきたいと思うわけであります。
○政府委員(田中重五君) いま仰せのとおりに、権利関係の近代化をはかるにあたりましてはいろいろなケースがあろうかと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、結論的には、入り会い権あるいはその関係権利者のそれぞれの十分な納得がなければならないわけでございますから、そこで、入り会い権者の間におきましては全員の合意が成り立ったものでなければこれは使えないことになります。また入り会い権者だけの合意は取りつけられても、関係するところの利害関係人の同意を必要とするものについてその同意等がとれないものにつきましては、これもこの法案によるところの近代化はむずかしいということにはなるかと思います。ただ、入り会い権者がそういう同意を取りつけた場合に、たとえば所有権の移転の問題等につきましては不動産登記法の登記の特例等をこれに与えるということで、これは相当な優遇措置になっているというふうに考えておりますし、その他、県知事において登記の特例等はこれまた相当な優遇措置ではなかろうか。こういうふうに考えておる次第でございます。
○中村波男君 コンサルタントをおきめになるわけですが、いろいろな場合に処理基準といいますか、そういうものがつくられないとコンサルタントがおりましても私は限界があるのじゃないかというふうに思うわけであります。そういうものをおつくりになったのかおつくりになるのかしりませんけれども、たとえていえば、一方は造林をしよう、一方は採草地なり放牧地にしよう、こうなったときにどの基準で指導をし、どの基準でまとめようということをされるのか。結局は意見が対立すれば、近代化するということについては意見は一致するけれども、目的が違うためにまとまらないということにもなりかねませんし、また大臣にこの機会にお尋ねしておきたいと思うのでありますが、いわゆる原野というものが民有地に比べまして、外山である関係もあって相当大きな面積を占めておると思うわけであります。統計によりますと、入り会いの関係では四十五万一千町歩、民有林につきましては五十三万八千町歩でありまして、総体の面積から言うならば、入り会い林野の占める割合というものはものすごく高いわけであります。そこで、今回畜安法の一部改正とともに、和牛の増産対策を打ち出されたのでありますし、酪農については今後さらに振興される計画でありますが、入り合い林野に占めるこの原野を、そういういわゆる酪農、家畜増産に結びつける、そういう計画が一方にあって、そういう方向に指導するというような、こういう能力、こういう計画というものをこの際やらなければ、せっかく放牧地、採草地の用地に木が植えられてしまうというようなことになったといたしますならば、いわゆる採草地、いわゆる飼料の自給政策というものがこういう点からも壁にぶつかるのではないかというふうに考えるのでありますが、そういう点に立って、農林省として高度利用ということばだけでこれを進めるのではなしに、具体的に政策というものがやはり論議されなければならぬと思いますが、農林大臣の所信を承りまして、まだいろいろ質問いたしたいと思いますが、大体私の予定の時間がきたようでありますので、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。また続いて日にちをあらためてお聞きをいたしますので、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの中村委員のお尋ねでございまするが、これらの問題の高度利用に向かってこの入り会い地が利用されますように今度の立法ができたわけでございまするので、これについていま飼料のためにこれらを使ったらどうか、こういう御質問でございますが、これはもちろんそこのいままでの権利者の合意というものがありまするわけでございまして、必ずしも飼料生産にのみそれを使うというわけにはいかぬことは、これは中村委員も十分御了承の点でございます。どうしてもこれは立地条件において最も有効に使う——抽象的でございますが、そういう方向にいくわけでございます。もちろん飼料の面として利用できるものについては、これはやはりそういう方向に向かって進むべきものであると思うのでございます。 また原野につきましては、さっき申しましたように、飼料だけでなしに、畜産振興全体に向かって大いに利用していくことは当然そういう方向に進まなければならぬし、また進むであろうと、かように考えております。もっとも今度農地の十カ年計画におきましても、全体としてこのいわゆる草地の増強のために四十町歩十年間にこれを開発していこうという計画を立てておるわけでございます。その際においても、入り会い地の活用というものが相当部分やっぱり占めるように相なるものであろうと存じておるわけでございます。
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。 午後六時五十五分散会 —————・—————