農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 133 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/02/25
会議録
○委員長(山崎斉君) ただいまから、農林水産委員会を開会いたします。 昭和四十一年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題とし、前日に引き続いて、本件についての質疑を行なうことといたします。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○森中守義君 きのう、農政全般にわたり、同僚渡辺君からの質問もございましたので、あまり重複しないように、特に私は水産関係に問題を整理いたしまして、大臣の御所見を少しく承りたいと思うのであります。 国際漁業の現状に少し触れてみたいと思います。三月の一日から第十回目の日ソ漁業交渉が始まるようであります。そろそろ新聞の報道等にもその内容等が出ておりますが、全権といいますか、代表団といいますか、こういう一行の選考は終了いたしましたか、あるいはいつごろ出発されるのか、まずこの辺から大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 一行は明日出発するのであります。
○森中守義君 質問の答弁漏れ……。代表団は……。
○国務大臣(坂田英一君) 代表団もきまりましたが、長官からお答えいたさせます。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 日ソ漁業の政府代表は在来から、大水の藤田副会長が数年前から政府代表に任命されております。それから私の役所の生産部長をやっております亀長というのが、これも昨年から代表を任命されております。先週末の閣議におきまして、外務省の参事官一名を推選をいたしまして、三名で構成されております。
○森中守義君 せんだっての読売、それから日本経済でしたか、こういう新聞等によれば、水産庁の発表ということで、交渉は例年にない難航状態に入る、しかもその内容は、ことしはことさらに不漁の年であるので、B区域への出漁船の隻数も、ぐんと制限される、あるいはまた漁獲量をいままでのように十一万トン台に乗せないで、これまた減少させたい、こういうソ連側の意向であるかのように、水産庁の発表があったようですが、その辺の状況は詳しく把握されておりますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 外交交渉でございますので、基本的には私ども政府の意向ということを、発表なり公にすることを差し控えておるわけでございますが、関心の強い問題でございますので、新聞の活動がなかなか活発でございまして、いろいろと記事が出てまいって、やや迷惑をいたしておるわけでございます。実態関係について御説明をいたしますと、昨年の実は両国の漁業の委員会におきまして、明年度のマスは、つまり今年度のマスでございますが、非常に不漁と考えられる、したがって、明年度におきましてはB地区——北緯四十五度以南の海域におきます地区をB地区と称しておりますが——これについて減船を研究してもらいたいという趣旨の意向を向こうが一方的に言いおいて帰っておるわけです。で、それはただ向こうの一方的な表明でございますので、日本政府としてはこれをのんだわけでもなし、何らの義務を負っておるわけでもございません。ただ、昨年そういう向こうの意思の表明がございましたので、今年におきましてはマスの不漁の年でもございますし、御承知のように二年目ごとにマスは川に入ってまいりますので、一九六四年のマスが非常に不漁でございましたから、六六年のマスが不漁であるということは大方の学者の認めるところでございます。したがいまして、マスの不漁は不漁として、不漁の度合いにつきまして一つの議論が激しく行なわれるであろう。それから不漁の度合いにつきまして想像されますところでは、ソ連側は非常に強く不漁と見るので、減船なり規制措置についていろいろの要請が出るのではなかろうか。そういう意味におきまして、その点をめぐって相当きびしいものがあろうという感想を関係業界その他議員団、顧問団の間でいろいろ話し合いをいたしておりますので、そういう関係の筋からも、いま申し述べられましたような新聞記事等が出ておるような実態でございます。実際問題といたしましては、私はそのような関係にあろうかと思いますが、明日出発いたします代表団といたしましては、主張すべきものは徹底的に主張しようという態度で出発することにいたしておるわけでございます。
○森中守義君 決してことばじりをとるわけじゃありませんが、新聞の報道等が水産庁としては迷惑である、こういうことは慎まれたほうがいい。決して新聞も単なる憶測で書いておるわけではなく、記事の中に水産庁の観測あるいは見方、こういうものが表現されておるのですよ。だから何も水産庁が黙っておるのに勝手に憶測を書いたということではないようですから、その点はひとつ御注意いただいたほうがいいと思います。 それから、すでに三十一年の第一回の鳩山全権時代のことに端を発しておるわけですが、大体昨年まで九回の交渉を重ねておるわけですが、それでいきなりモスコーに代表団が行かれて、そこで双方から議題を提供し合う、あるいはいきなり交渉に入る、そういう方式なんですか、それとも事前に二国間で双方とも今回はこうこうを考えるとか、こうこうを望みたいというような情報の交換あるいはまた議題の提供、そういうものはしていないのですか。全然相手の状態を手探りの状態で交渉に入っておる、そういうことなんですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 毎年の漁獲高の決定は、この条約に定められました委員会の場できめるということに相なっておるわけでございます。そこで、それはのっつけやるのかという御趣旨の御質問でございますが、現在やっておりますやり方は、その会議の約一カ月前から議題を、何を議論するかという議題の整理につきましては、外交ルートを通じまして整理をしております。向こうがこれを議題にしたい、これは私のほうは議題にしたくない、こういうものを議題にしたい、議題の整理はもうすでに出発前に外交ルートを通じてきまる。それから実質的な内容の問題でございますが、この代表団及び随員の中に科学者を相当数含んでおります。それからこの委員会では科学小委員会を持っております。したがいまして、三月一日から始まります交渉におきましては、まず科学委員会がスタートを切ります。これは両国の学者によりまして一年間の研究、過去の資料の整理等から純粋に科学的な立場で資源評価をやる、そしてその意見の整理の上に、それが約二週間程度でございますが、その上でそのデータの上にコミッショナー間の話し合いが行なわれる、こういう過程をとっております。
○森中守義君 そうしますと、予算の説明書の中でこの種関係、つまり国際漁業の調査の実施ということで四十年に四千五百十八万、それから新しい目下審議中の予算の中に計上されているのは約四千七百八十五万ありますね。こういうものが要するに交渉に臨むための資料の収集あるいは資源の状況の調査、こういうものに該当するということでしょうか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) さようでございます。結論的にはさようなことでございます。サケ・マスの資源に関しましては、北海道の水産研究所が中心になりまして、日本の沿岸を中心とする一つの資源の分析評価をやりますほかに、調査船が十一ぱいと記憶しておりますが、この十一ぱいがあの海域に出まして魚をとりまして、うろこの検査その他体長の検査等いろいろ行ないます。そのほかに、母船の中に監督官兼務でございますが、十一人の科学者が乗っております。これはとれました魚についていろいろの調査をする、そういう関係に伴います調査費がいま先生のあげられましたものでございます。これを積み上げてまとめました資料を持参いたしまして、先ほど申し上げました科学小委員会でいろいろと科学者間で議論をする、こういう形になっております。
○森中守義君 これは年間の調査でしょうからね、いま長官が言われるように調査の態様というのはいろいろ形はあると思うのです、形はですね。しかし、調査の集約としてはやはり交渉できめる、こういうことでしょうから、したがって、そういうできるだけ紛争を避けたい、あるいは意見の相違点はないように妥協点をはっきりしたいということで共同調査、こういうふうに出ていると私は思う。そこで、どうなんですか、実際問題として科学グループが日ソ両方とも一緒になって共同調査をやる、その結論が交渉にのせられるという場合に、各般の政治的な問題はともかくとして、あまり資源上の問題等については、完全な共同体制の調査が行なわれているとするならばあまり意見の相違というものはないのじゃないですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) たいへんむずかしい御質問でございますが、実はこの共同委員会ができまして初めに資源評価をやって適正な漁獲量をきめていこう、その際に、まず科学者が集まりまして、どういう形で資源調査をやるか、まあ方法がいろいろございまして、サケでございますから川にのぼったり下ったりする、そういう川にのぼったり下ったりするほうの調査は、やはり陸地を持っておりますソ連のほうが飛行機を使ったりその他の手段で実際に調べるわけでございます。それから海のほうの調査は、日本のほうが専門家でございまして、その海のほうにおきます諸データの調査の両方から資源を攻めていこうということが学者間で行なわれております。したがって、いまのところ主として海におきますところの諸調査、科学的調査は日本のほうが主として担当する。それから陸上の調査は向こうが担当して相互に資料を交換していく、そういう意味で、いま先生がおっしゃいましたように、サケの標識調査等もやっておりますから、回遊等とか魚群の傾向等につきましては相当意見が一致しております。ただ問題は、どの程度にサケをとったならばどういうことになるかという資源の、漁獲という角度から資源論になりますと、両国間に若干の差がある。しかし、たとえば明年度の西カムチャッカにおきますマスについては、資源がやはり相当少ないという基本的な方向は意見が一致するわけでございます。それをどの程度に評価、少ないと見るかという点からは、何としてもやはりその意見の差が多少出てまいるということで、いま先生がおっしゃいましたようにだいぶ歩み寄っておりますけれども、最終的なこういう行政、政治にからんでまいります具体的な数量の点に相なりますと、両国間の学者におきましても資源評価において若干の差があるというのが現在の実情でございます。
○森中守義君 これは将来の問題にもなりますけれども、せっかく共同調査により、しかも日ソ友好条約を基礎にして漁業条約ができたわけでしょう。いままで私どももおおむねこの種関係の交渉というのは決裂状態にいってしまった、あるいはそれにひとしいような険悪な状態で、交渉が進展したとは聞いておりません。したがって、そういう友好を基礎にした交渉であれば、いま少し共同調査の成果というものが直ちに交渉に生かされるような創意とくふう、あるいは日常在外公館等を通ずる一つの方法がとられてもいいじゃないか、こう私は思うのですよ。そこで、どうなんですか、いまのところ公館等を通じて把握されたソ連側の出方、そうしてそれに対応する日本の態度にどの程度の開きがあるのです。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先ほど申しましたとおり科学者が集まりまして、まず資源の話し合いを始めるという形でございますものですから、それを飛び越えまして外交ルートで一体お前のほうは結論としてどのくらいだというような形におきます打診は私のほうもやっておりませんし、ソ連大使館のほうも私どもに参って、あるいは人を介して等で打診は現在のところお互いにやっておらないのでございます。これはやるほうがいいのか悪いのかという問題がございますが、現実の状態ではやっておりません。あくまでその科学者が、集まった一年分の資料をぶら下げまして話し合いをしよう。で、漁獲のデータは一月の十五日に昨年の実績をお互いに交換をいたしております。資料を先に送っております。それから生物学のデータは二月の十日にお互いにすでに送っております。この漁獲データと生物学データで科学者がまず話し合いをモスコーで、ことしの例としてはやる。そういうことでございまして、いま先生おっしゃいますように、外交ルートなりその他の手段を通じて、ソ連が結論としてどの程度のことを考えているかというような形におきましては、現在におきましては、向こうもやっておりませんし、こっちもやっておらない。こういうような実情でございます。
○森中守義君 実はその辺を聞きたかったのですがね。先ほど私が言いますように、その代表団がモスコーに出発され、その前に政府としての交渉に臨む具体的な内容等がきまって、それを携行されるわけでしょうが、何せ相手のあることですから、こっちの思うどおりにいかぬと思うのですよ。で、そうなると、一々本国のほうに訓令を求めてくる。その訓令によって出先が動くということになると、なかなか煮つまる時間が長くかかるんじゃないですか。そういう意味ではわが国も大使館を存置しているし、また、ソビエトも日本に大使館を置いておることですから、前段的な交渉という意味で、少しパイプを通したやり方のほうがいいんじゃないですか。その辺外務省とどういうような話の打ち合わせをされているのでしょうか。外務省はあまりそういうことはしないほうがいいという意見であるのか、農林省自体がそこまで手を伸ばしておいでになるのか、その辺のところどうなんです。私は意見としては、やはり通じ得るならば、いろいろな形を通じての、パイプを通したほうがいい、そのほうが、手探りの状態で代表団が現地に行って、必要以上に苦労がなく、しかも大体お互いの胸中を察しながら交渉が前向きにいくんじゃないか、そう思うので、その辺のことを少し具体的に説明してくれませんか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 確かに先生のおっしゃる考え方も一つの方法かと存ずるわけでございます。昨日は御承知のとおり、両国の政府代表としてやっております。向こうのほうの代表も十年来で、私のほうの代表も八年くらいこれをやっております。結局、サケの裏表資源、その他に関しては、極端に言えば両国の一番の専門家でございます。したがって、その専門家同士が話し合うということが、結局は向こうの内部でも、おそらくその人の見解なり何なりということに相なる。そういう意味におきまして、まあそう言っては何でございますが、あまり魚のこと、その他のこと、外交ルートを通じての折衝ということにつきましては、これは私見でございますけれども、私はいまの形で、ひざ詰めで話し合ったほうがいいのではないか、長い間積み重ねておりますので、昨年は御承知のとおり一カ月少しで妥結を見ております、この交渉が。それからだんだん積み重ねられまして、お互いに資源の見方なり何なり歩み寄っておるわけでございますから、われわれは、やはり両国のこの形の話し合いが一番スムーズではなかろうかと私は存じております。
○森中守義君 外交のその方法論になるとなかなかむずかしいので、それ以上のことは申しませんが、いまの長官のお答えからいきますと、なるほどエキスパート中のエキスパートである。しかも熟練者である。そういう意味からいまのほうがよろしい。こういうことのようですが、裏を返して言いますと、大体交渉のやり方というのもよくわかっていると、ついては毎年のように漁獲量の制限とか、あるいは出漁隻数の制限、そういう条件等が出てくるけれども、最終的にはどっかに妥協点が見出される。つまり日本側といたしましては、そうことさらに憂慮するような状態には立ち至らない。若干時間をかけながらエキスパート相互間が話し合えばおおむね日本の主張は通る。そういう成算があり確信があると受け取っていいのですか、ことしの場合。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 外交折衝の方式についてはその形でいいのではないかと私見を申し上げた次第でございます。で、ことしの問題でございますが、率直に申しましてマス資源が歴年減少しております。おそらく昨年ソ連がああ言った意味は、相当考えた上での発言であろうかと思われる節があるわけです、マス資源に関しまして。そこで、ことしマス資源をめぐりまして、それはとりもなおさずベニザケその他を合わせた総鮭鱒の漁獲トータルにもからみますけれども、これは率直にいって、何と申しますか、そうなめらかに話し合いがつくかどうか。その点につきましては、これは明日出発するわけでございますが、私のほうとしては楽観はいたしておりません。と同時に、先ほど申しましたとおり、向こうの主張が不合理であれば徹底的に、時間がかかってもやっていこうじゃないか、こういう姿勢でございますので、いまの先生のお尋ねに直接お答えできないことになるわけですが、よろしく御賢察のほどお願いしたいと思います。
○森中守義君 御賢察ということになれば、私はいま申し上げたようなことを賢察したいのですが、具体的に、あまり包み隠されることなく、大体、日本としてはどういう条件を持ち出していきたいとか、この線までは譲れないとか、そういうことも明日代表団を送り出されるわけですから、政府としての内容が固っていると思う。それをひとつここで発表してもらえますか。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど来長官からお話を申し上げましたような実情にあるのでございますが、いま三月一日から始まるこの交渉の前に、日本政府がこうだということを発表するわけにはいきませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
○森中守義君 あまり大臣から正確に発表されなくても、おおむね想像はつきますが、それでどうしても話がまとまらぬ、先方のほうが隻数にしても量にしても制限を加えるということで譲歩しない場合どうします。どういう方法をとりますか。
○国務大臣(坂田英一君) いまのような状態でございまするので、科学的ないろいろな調査についてはまだそれは先ほどお話しのとおりにはっきりしない部面もないじゃありませんが、非常に接近してまいっておりますことは言うまでもありません。さようでありまするので、専門家で、よくわかっておる代表がそれぞれ話をいたし、その科学的基礎の上に立って十分交渉するわけでございまするから両方の妥結はいくと思うのでありますが、もしもそういうことがありまする場合には、やはり時間をかけてでも、これはどうしても話をつけなければいかぬのですから、そしてまた日本としてもいろいろの考え方もあるわけでございますから、その点については時間をかけても解釈をしていくようにいたしたい。かように考えております。
○森中守義君 ソ連の漁獲量を制限したいという一つの理由として、わが国の漁獲の状況があまりにも乱獲すぎる、そのために資源が減少しているから水産資源の保護、あるいはそれの育成、こういうたてまえから制限を加えたい、こういうことを相手側が主張しているようですが、その辺に対して日本ではどういうように判断していますか。はたして乱獲やっているのですか、約束どおりしているのですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御承知のとおり協定で、海上でとる数字をきめ、ソ連が向こうでとる数字は知らしてくる、それから実績も知らせてきております。そこで、その数字の範囲内でとっておるわけでございます。その数字を無視してとっておるかどうかという問題につきましては、ソ連の監視船も来ております。それからその調査の見た経過も委員会でいろいろ意見交換をされておるわけであります。そこで、いまのたてまえとしては、お互いに協定違反をやってとっておるという前提では両国とも議論しておりません。先ほど来マスが非常に問題であると言っておりますのは、率直に申しまして、五八年に日ソ合わせて十三万トンとっていましたものが、一年おきに八万、五万二千、五万と、こう下がってきておる。この事実の上に立ちまして、ソ連も自分のほうは、日本がマスについて思い切った規制措置をやるなら、自分のほうも思い切った規制措置をやる用意があるということを昨年言っておるわけであります。ただ、それはあくまでマスの資源が非常にお互いに心配ではないかという立場から出ているものでございまして、日本が乱獲しているからどうという立場からでは一応ないわけでございます。ただ、御承知のとおり日本でももちろん私企業として行なわれておるわけでございます。ソ連もコルホーズその他を下にかかえておるわけでございます。ですから、学者の資源論だけで問題を処理するというわけにいかない点はお互いにもあるわけでございます。そういう点を含めまして、どういう形でこの問題に対処するかということを、やはりひざを突き合わせてお互いに話し合う必要があるというのがことしの問題の中心点と、かように考えておる次第でございます。
○森中守義君 それから、これはちょっと愚論かわかりませんがね。昨年の実績は、日本割り当ての十一万五千トン、それから実績としてだいぶ上回っているという統計が出ているようですね。 それともう一つは、AB区域外で約一万三千トンぐらいとれていますね。こういうものは資源調査の際には、協定外のことだからもうおそらく私は問題はないと思うんですけれども、やはりある種の参考、そういう意味で資源の内容の中には区域外の漁獲量ということも一つの数字の基礎にあげられるようなことになっているんですか、全然これは別ものですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) まず、前段のオーバーの問題でございますが、御承知のとおりB地域、北の母船でとっておる地域外にはたくさんの船でとっておりますので、どんぴしゃりいかないということで、ソ連との間で一〇%のアローアンスがあるということでお互いに了解しておるわけでございます。先般新聞等に出ましたのは四・何%きめた数字から出ております。これは一〇%の範囲内の問題でございます。 それから現在、もともと日ソの鮭鱒は、御承知のとおり、いま言いますA地域、母船地域の鮭鱒の話であったわけでございますが、だんだん年の経過とともに四十五度以南も問題になって、それも対象になっておる。それから、それ以外に日本海の鮭鱒の問題がございます。それから、北海道の沖合いで小さい船でどんどんとっておるのもある。それらも参考としてお互いに通報しておるわけでございます。その資源論との関係では、たとえば西カムのサケだとか、北部オホーツク海におきますサケとか、日本海におけるサケとか系統が違うわけでございますが、どういう系統があるか、また、それぞれの系統が資源的にどういう変化を示しておるか、学者間で議論されておるわけでありますが、日本海その他は、まだ向こうとの間でオホーツクとか北部太平洋におきます鮭鱒ほど資源論として話が進められておりません。オホーツクとか西カムチャッカ、東カムチャッカあたりのサケが一番中心の議論になっておるわけであります。
○森中守義君 それから、本年の十二月の十一日で現行条約は期限満了、こういうことになるようですが、今回の漁業交渉の中でこの点についても代表団に権限を委譲するのですか、あるいはまた、単なる改定の前段的な話し合い、その程度にとどめるのですか、どうですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 三月の一日から開かれますのは、現行漁業条約に基づきますその上に立っての定例漁業委員会でございます。したがって、先ほど申しました議題の交換、整理におきましても、改定問題については議題にあげておりません。したがって、今回の交渉は、代表団は改定問題に触れる権限を持ってはいるわけではございません。ただ非公式にいろいろの話が出るかもしれません。それはお互いに感触なり感想を聞き合っていく、将来の問題、改定の問題でありますと国と国の委員会の問題でなく外交交渉の問題であります。その他としては権限なり議題のそとでございます。
○森中守義君 条約の交渉の方法としてはそのとおりだと私も思う。ただしこの際、ことしのうちのことだから、特に聞いておきたいのですが、いよいよ本条約の交渉にあたって、在来どおり日本では継承していこうというのか、あるいは若干の改定をしようというのか、あるいは破棄しようというのか、また、ソ連側のほうでは、新聞のこれまた報道によれば、改定の意図がある、しかもその内容は、先般の大陸だな条約の発効等を理由にして西カムチャッカのカニの漁獲規制をしたい、こういうようなことが指摘をされておるようですが、その辺の事情を、現状で述べられる範囲のことでけっこうですから、少し説明してください。
○政府委員(丹羽雅次郎君) この条約は、非常に大きな権限がこの委員会に与えられておりまして、委員会の決定でほとんど全部が動くような形になっておる。したがいまして、その条約には何か原則が入っておるということではなくて、資源保護のための委員会でいろいろ相談してやろうというきわめてニュートラルな条約で、実体は委員会にあるわけであります。したがいまして、条約を、たとえばいま御指摘がありましたカニの規制問題も委員会でやろうと思えばやれるし、昨年も若干大陸だなに触れてそういう議論が委員会でも出たわけであります。したがいまして、条約を変えない何かができないということはお互いの立場ではあまり——研究中でごさいますが、そうあるとも思えないわけであります。したがって、私どもはそれにしても、この際一つの機会だから、この条約をもう一ぺんふり返ってみて、条約改定のほうに考える必要があるかないかということは、いま事務当局としては研究いたしておりますが、改定しなければならぬという強い結論が出ておるわけではありません。 それから、ソ連のほうは、新聞等でも私も拝見いたしましたが、これは今回行ったときに非公式にでも、感想的にでも何か出るか出ないかということでございまして、正式には何も聞いておりません。なお、この条約はこの十二月になりますと十年たつわけでございますが、失効するわけでなく、それからあとは一年の猶予期間をもって廃棄するという条約でございますので、そういう意味におきまして、この十二月までに絶対合議しなければ、条約がなくなるという問題でもございません。それらの点を加味しまして、今回行ったお互いがフリー・トーキングの話が一つ、それから、先ほど申しました内部の研究、関係の業界その他の研究等を総合して、将来この扱いを判断をいたしたいと、かように思っておるのが、現在の段階でございます。
○森中守義君 それから、これは別のことですが、日本、アメリカ、カナダ、ソ連、四カ国の捕鯨会議がホノルルで開かれておるようです。ここでも、科学者グループは、資源が非常に減少しているから、この際検討の必要がある、こういうわけで、規制措置を講じたいという意見がずいぶん強いようですね。これに対して、ソ連は態度を保留したというようなことが伝えられておりますが、日本としてはどういう態度をとっているのですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御承知のとおり、南氷洋の鯨は強力な規制をいたしておるわけでございますが、北洋、北部太平洋の捕鯨は、ことにナガス、イワシ、マッコウ等につきまして特段の規制がない。日本は、大事な資源でございますから、在来自粛してとっておる。ここ数年の間に、ソ連が船団をふやして、相当鯨を、北部太平洋でとり出した。そういう現状下におきまして、学者間におきまして、北部太平洋の鯨資源が相当、将来を考えると不安があるということが、一昨々年のころから、ロンドンの捕鯨会議等で議題にいろいろ相なりまして、そのとき、関係四カ国でこの問題を話し合ったらどうかということが勧告された次第でございます。昨年は日本も、もっともだということで、当番国になって四カ国に呼びかけたわけでございますが、ソ連の都合でそれは実現をいたさなかった。本年はアメリカだったと思いますが、当番といいますか、呼びかけて、四カ国でやろうということでハワイに集まって、先般会議をもったわけでございます。その際に、これも先ほどの鮭鱒と同様に、初めに一週間ほど学者が集まりまして、お互いの資源論的立場から、データの提供をいたしました。そして、やはり資源論についてはおおむね四カ国の意見は一致をいたした。そこで、その一致をいたしました基礎の上に立って、四カ国の捕鯨の委員会の委員が集まりまして、規制措置について相談を始めたわけでございます。で、結論といたしましては、何ぶん一週間の会期でございまして、結論はその会議においては到達いたしませんでした。 ただ、非常に大事なこと、あるいは非常に有効な成果としては、その学者の資源の見方を四カ国が認めて、その上に立って、さらに話し合いしていこうではないかということまではたどりついたということは、いままで北部太平洋の鯨だけがほっぽりだしだったという現実からは、相当の前進であるわけです。 ただ問題は、したがいまして、現在母船でとっておりますのは日本とソ連、基地でとっておりますのはアメリカ、カナダ、日本という関係でございまして大物は、日本とソ連でございますので、ことしの七月から始まります国際捕鯨会議の前までに、この北洋におきますナガス、あるいは場合によってはイワシを含めた規制の問題について、日本とソ連で積極的に話し合いをしようという形に相なっております。私どもといたしましては、やはりこれは積極的な姿勢でソ連とも今後話し合いを続けていきたい、かように思っている問題であります。
○森中守義君 そこで、日ソ交渉にかえりますが、いま、捕鯨会議におけるソ連の態度あるいはわが国の態度、そういうものが、こういう交渉に、今回の日ソ漁業交渉等に多少の影響がありますか。 いま一つは、専門部門における外交交渉ですから、あまり政治的な、あるいは外交的な影響があるとも思えませんけれども、いままで九回の交渉の中で、交渉の時点ごとに国際情勢はいろいろ変わってきています。非常に流動してみたり、激動した時代が確かにあります。そういう交渉の時点における諸般の情勢というものは、この専門部門の交渉は影響なかったですか。ありましたか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) まず前段の、捕鯨の話というものにおきまして、最後に日ソ間だけでいろいろ話し合いしたことは、相当友好裏でございます。ですから、捕鯨の話が今度の鮭鱒の話に、そんなに働くというふうには考えておりません。これは、両国非常に紳士的に進んでおりますので、その点はないと思います。 それから御質問の第二点でございますが、これは私どもが答弁するのは適当かどうかとは思いますが、こういう専門的な委員会の仕事としての漁獲量の決定が、どうしてもデッド・ロックにのし上げて、政治的解決をはかられるというような事態——過去におきましてはそういうのがございましたが、そういうような事態におきましては、先生のおっしゃったような点が、これは私どものなかなか推測しかねるところでございますが、もっとハイ・レベルにおきます形において作用をしなかったとはいえないと思うのでございます。ただ、十年やっておりましたものでございますから、そうしてルールがだんだんできてまいりましたし、それからソ連も、これはこれとして、技術的といいますか、条約ルールでなるべく片づけていこうというムードのように、私どもも考えております。数年たちまして、だいぶルールができておりますので、ことしなどは、少なくともわれわれのいまの気持ちでは、委員会レベルで、委員会同士で話が、つけたいし、つくのではなかろうか。その過程におきましては、あまりいろいろの政治的なファクターというのは、向こうも学者でございます、作用する余地は比較的少ないのではないか、一応いまの段階ではさように考えております。
○森中守義君 坂田大臣、いま長官と私との間に若干のやりとりをしまして、ほぼ今回の日ソ漁業交渉の展望というのか、内容というのか、そういうものがおぼろげながらにわかってきました。 そこで、どうなんですか。先ほど私が申し上げましたように、非常に友好的なムードの中に話は進んでいくということが第一点であり、したがって、ソ連側がかなり、苛酷とまではいかないとしても、わがほうの主張に反する規制条項等を出してきても、先ほど大臣の、一度は言われましたけれども、時間をかけてじっくり話し合えば、わが国の主張は通る。したがって、四十一年度のわが国の漁業に、この結果がそう影響しないというような確信をお持ちですか。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほどもお話を申したとおりでございますが、繰り返して申しますと、この前の北洋の捕鯨の問題につきましても、結論はつかなかったけれども、日・ソ間であとから話をいたしましたような点につきましても、どちらかと申しますと、非常に友好的に話を進めておるようでございます。そういう関係でありますから、長官も先ほどお話がありましたように、そういうことが今度の場合には悪影響とか悪い結果を出すようなことはない。これは私も長官の申し上げたとおりだと思います。 それからなお、今度の日・ソ両国の三月一日から始まる委員会におきましても、だんだんと、だんだんというか、非常に科学技術的基礎の上に立ってお互いに懇談を進めるということに相なっておりまする関係でございます。また、専門家的な、こちらのほうも藤田代表、御存じのとおりでございます。ソ連もそうでございます。そのほか専門の者が皆寄って懇談することに相なります。そういう基礎の上に立ってそれぞれ話し合いを進めるのでありまするから、私はそんな心配する結果になるというようなことは考えておりませんが、もしもいろいろの点から見てこれではというようなことがかりにあるとすれば、とにかく両者の間の話を少しぐらいおそくなっても、十分ひとつ懇談させるようにして進めたいと、こう考えております。そうして、それによって大体円満に解決するようにわれわれとしても努力、その方向に向かって努力はしてまいりたい、こう考えまするし、また、その結果としてもそういうことを特に期待いたしておる次第であります。
○森中守義君 それでは日・ソ漁業交渉につきましても、いまの大臣の最後の答弁で非常にすっきりしましたので、代表団の労を多とし、しかも、その成功を期待しながら質問を終わりたいと思います。 次に、いままで日本が締約している二国間あるいは多数国間のこの種関係の条約交渉の経過あるいはまた、全体的な国際漁業の趨勢からして相当きびしい規制の方向に全体がいっていることは、もはやこれは疑い得ない事実のようであります。こういう世界の趨勢に対して、一体日本としてはどういう対策をもって臨もうとするのか、いうなれば、政府としての基本的な国際漁業に対する対策を聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御承知のとおり、過去におきまして、ことに戦後の漁業の飛躍的発展の段階におきましては、公海自由論ということをかざしまして突進をしてまいってきたわけでございます。 〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕 やはり世界的風潮といたしまして、原始的な公海自由ということでなく、関係国間で資源の保存という見地に立って、一番有効に人類が利用する形にしようではないかというのが世界の風潮でございますし、国際会議もその角度から何回か持たれておるわけでございます。で、ここ数年からは基本的にはどうかという御質問でございますれば、やはり資源の、人類の全体にとっての資源の有効的な利用、そのために規制は双方で公平な原則である限りにおきましては、その土俵に乗って日本は漁業を営む。そのために必要があれば積極的に協定を結んでいくというのが私どもの現在の姿勢でございます。で、もちろんこの際に、不当な沿岸国の権利の主張についてはあくまで反対し、ものによりましては国際司法裁判所でも争うという強い決心を持っておりますが、基本的には、いま申したとおりの立場で協定を積み重ねながら漁業をやってまいる。その際に十分実績なり日本の漁業の立場を守る、これが現在の基本的な姿勢であります。
○森中守義君 あまり私もその専門家でないから詳しいことはわかりませんが、概観的に見た場合に、これはあとで日韓問題のときに聞きますけれども、一体、日本の水産行政というのは、遠洋漁業に中心を置いておりますか、それとも沿岸漁業ですか、どちらともつかぬような中途はんぱな状態にあるような気がしてしかたがない。いま長官がごらんになっておる、これから講じようとする施策あるいはいままでの状態、こういうものを拝見しましても、総花式にいろいろなことが書いてある。その限りにおいてはけっこうですよ。しかしながら、受ける感じ、しかも多少中身に入った内容とすれば総花的である、悪く言うならば作文という、そういう気持を私は受け取っておる。大体どちらに中心を置いておるつもりですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 動向についての御批判、御意見は後刻また正式に承わることがあると思いますが、いまの御質問の、どこに重点を置いておるかという点でございますが、実は率直に申しまして、私の役所にも部が三つございますが、漁政部は沿岸並びに一部中小漁業、生産部は主として遠洋、国際関係をやっており、要するにこの両翼の問題としてこの仕事をやっておるわけであります。それから漁獲高等から考えてみますと、沿岸、中小というものは相当のウエートを占めており、ジャーナリズム等では遠洋、国際関係を非常に取り上げますが、日本の総漁獲なり所得の角度からいきますと、無視できないウエートを沿岸、中小が持っておるわけでございます。でありますからどちらにウエートを置くかという御質問でございますが、これは沿岸のほうが同時に独航船として、また鮭鱒についていえば母船についていっておるというような状態でもございます。妙な答弁に相なりますが、どちらに重点を置くというわけではなくて、全く両方に精根を傾けておると、こういうようなことでございます。(笑声)
○森中守義君 いまも韓国についてちょっと言いましたがね。最近ずいぶん西日本の水産界では、韓国の輸入をことさらに心配している向きがだんだん多くなってきましたが、現状はどういうことになっておりますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 韓国からの輸入でございますが、確かに三十七年が水産物が二十七億、それが三十億、五十七億とこういうふうに伸びておることは事実でございますが、ただ特に三十九年で伸びましたのは実はノリ、するめ等でございますが、一般的に増加の傾向にあることは否定できないと思います。ただ、いまの制度といたしましては、沿岸漁民に一番影響のございますアジ、サバ、ブリ、これは外割り制といいますか、輸入承認制をとっております。するめもそうでございますが、したがいまして、その外割り制の運用の上で調節をはかりながら、沿岸漁業との立場を調整をはかりながら、これを処理していこうという、まあ非常にむずかしい仕事を現在やっておるわけでございます。ただ、いま西日本のほうで非常に御心配になっておりますのは、韓国の漁獲努力が急激に高まって、一挙に、端的に言えば、怒濤のごとく日本に水産物が入ってくるのではないかというお立場の御懸念でございます。私どもは、率直に申しまして、また、韓国の水産の担当者ともいろいろ話をいたしておりますが、率直に言って、韓国はそんな大きな国力がない、むしろ援助をしても、極端に言えば、動力船もない、船は十年、十五年の木造の古いものを直していきたいというようなところが、当面の韓国の最大の政治でもあり、努力目標でもあるようでございます。 〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 したがって、基本的に、傾向的に韓国からの水産物がふえていくであろうということを否定するわけではございません。まあ度合いの問題については、若干私どもとしては、西日本の御懸念とはニュアンスが少し違うわけでございます。しかし、それにいたしましても、そういう傾向にある一方、沿岸の問題とのかね合いがある。そこで、むずかしいことでございますが、考え方としては、これはことばの上の問題でなくて、やはり日本の沿岸漁業の、片方では近代化の問題、それから輸入に対しましては、輸入のあり方を根本的に検討する必要がある、こういうことを基本路線といたしまして、現在、輸入のあり方の問題につきましては、遠洋漁業振興審議会におはかりし、かつそれが小委員会をつくり、専門委員会を設けて、現在積極的に御審議を願い、われわれもいま積極的にその対策をどうするかということを、掘り下げた立場からいまやっておるのが現状でございます。
○森中守義君 いま答弁の中でどうしても私はふに落ちない、というよりも、わが国の水産行政の最高責任者である長官が、ずいぶん事実を御存じないのじゃないか。また、もしそういうようなことで西日本水産の今日の状態を見ておられるとするならば、はなはだ危険だと思う。と申しますのは、なるほど、日韓の基本条約にしても、あるいは漁業協定にしても、もう、ずいぶん本質的な問題がありましょう。そこまで私はこの場では申し上げない。しかしながら、この条約あるいは協定の締結等により、一応操業の安全が保障された。まあこういうことで、ほっとした感覚上の気持ちは確かに私はあったと思う。ところが、だんだん日がたつにつれて、そういうもので済まされない状態になっておるようです。これは、水産業界のいろいろな刷りものとか、あるいはまた新聞の報道とか、まあ少なくとも、じかにそういうものに携わっている皆さんの意見として、いま長官の言われるようなこととは全然正反対のことが起こっておる。で、どういうことかといえば、操業の安全という点ではまあやや楽観的であるけれども、逆に韓国から中高漁が激しい勢いで入ってきた。そうなると、いままでは西日本の沿岸漁業というものは例外なく零細です。しかも小型船であって、極端に言うならば、一本釣りでしょう。それだけに、中高漁が一つのささえになっていたということのようであります。しかるに、私が把握した統計によれば、下関漁業の韓国の輸入の水揚げが、昨年の一月から十一月までで一万二千七百トン、金額に直して二十四億三千万円。これを前年同期に比較すれば、量増において約三一%、額増において四四%、こういう状況だという。これを心配要らない、将来としてもそうそう懸念することじゃないというそういうことは言えますか。私はいま懸念しているのではなくて、事実上、被害を受けている。そういうように見ている。だからそういう意味では、長官の答えと私の把握している西日本水産の状況というものは、全然相反するものがある。そのくらいに深刻な状態であるということを、私は水産庁が御存じないことはない。もちろん先ほど答弁の中に、韓国の漁業の状態は、わが国のそれに比べて著しい立ちおくれの状態にあるから、目標は目標として持っていても、いまにわかに韓国が日本に対抗できるような、あるいはそれを凌駕するような、いわんや日本の零細漁民、あるいは市場を撹乱するような状態でないという言い方は、まさにこれは甘過ぎるのではないですか。その辺のことをもう少し率直に説明していただきたいと思う。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 確かに下関その他におきまして、輸入がふえておることは御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたとおり、一番問題になります、かつ、あの地帯におきましてとれますところのアジ、サバは輸入させない。これは全然させておりませんのでございまして、あとそれ以外の自由な魚、活魚というようなものが鮮魚という形で入ってきており、これが増加の傾向にあるということも御指摘のとおりだと思います。私が先ほど申しましたのは、イカと——一番あの地帯におきまするところの主産物であるイカ、アジ、サバを、いまの体制をとっております段階におきまして、いまの時点で、西日本の漁業が決定的な韓国輸入によって影響を受けるというふうには、影響はなしとはもちろん申しません、その他にも自由に入ってきておりますから。そういう趣旨で私は先ほど申したのでございます。
○森中守義君 私がさっき申し上げた下関漁港の水揚げの統計は、農林省お持ちですか。繰り込しますとね、昨年一月から十一月までの統計で、数量において一万二千七百トン、金額で二十四億三千万、それを前年同期に比べた場合に、量増で三一%、額増で四四%、こういうことです。水産庁は日韓問題があれほど荒れ狂ったあと、しかもあの問題の内容に——一体漁業はどうなる、あれほど重要な議論の中にあの条約が生まれたわけですから、しかも漁業協定で影響を受けるのは、何といっても西日本の水産界だとするならば、月間の統計なり、あるいはまた漁価の変動なり、輸入の状況なり、こういうものは当然の任務として私は水産庁おとりになってもいいのではないか、こう思いますし、お持ちでしょう。数字が合うかどうか、ちょっと調べてみてください。
○政府委員(丹羽雅次郎君) いつも持参をしておったのですが、本日ちょっと実は持参をしておりません。
○森中守義君 いまの件は、水産庁長官と私の意見が全然異なることであり、しかも西日本水産関係にきわめて重大な影響がありますから、この委員会きょう五時ごろまで継続の予定ですから、その間にひとつ持参されていなければすみやかに手配をして資料として出してもらいたい、そうしないと、議論が先に進みませんので。よろしゅうございますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 用意いたしたいと思います。ただ、中央で取ります資料が、どこまで新しいのが入っておりますかという点が一点懸念になりますけれども、一番新しいものを持参いたしたいと思います。
○森中守義君 これはまあ大臣にお尋ねしたほうがいいと思いますが、八億五千万ドルの有償、無償の韓国供与の中で、水産関係はたしか一億三千万ドルでしたね。その一億三千万ドルの総額の中でどのくらい渡しましたか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 無償三億の問題については、現在日韓間で第一年度の実施計画につきまして協議中でございます。で、韓国側といたしましては、韓国の五カ年計画の関係その他ございまして、これを繰り上げてやってくれないかという意見がございまして、現在、大蔵省、外務省を中心にいたしまして、そのワクの問題で交渉が引っかかっております。したがって、その中におきまして何にどう使うかという問題については、韓国側からはまだ正確な提示がないわけでございます。
○森中守義君 この漁業協力資金の一億三千万ドルを韓国は受け取って、それで五カ年計画をつくる。しかも五カ年計画により、その内容は主として漁船の建造である。したがって、五年経過すれば、日本の沿岸漁業の内容からすれば、はるかにオーバーすると、こういう意気込みだということがしばしば言われてまいりましたが、その辺の事情はどういうふうに把握していますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、まず有償の二億は漁業、農業には使うという考えはないようでございます。したがいまして、三億が漁業、農業にからむと思います。それから民間信用供与の九千万ドルというのが別に一つ漁業の関係ではございます。 そこで、先ほど申し上げましたとおり、その全体の三億のフルプランは韓国からは正式にまだ出ておりません。そして明年度の計画として、先ほど申し上げましたとおり十分の一ずつでなくって、もう少しよけいに繰り上げ使用ができないかという角度からまあ出ておるわけでございます。 それから一年度の計画につきましても、全体が倍のような計画でございますし、日本国としては、倍をのむことに、おそらくいま折衝中ですけれども、これは大蔵省が中心でございますが、なるわけでございますので、総ワクがもめておりますので、中身が確定しない、こういうのが実態でございます。別途私どもといたしましては、漁業の立場から、韓国に対して有償、無償あるいは九千万ドルを含めまして、全体としての韓国のビジョンをひとつ話してくれないか、それによって私のほうの意見もあるんだ。それから、どういうやり方でこの問題を使おうとするのか、その辺の詳細を話してくれないかと、向こうの責任者と、私、直接会うてやっているわけでございますけれども、現在のところ、いまの全体の問題がつっかかっておりまして、そこまで話がまいらないというのが現在の実情でございます。
○森中守義君 その責任者間の話し合いはいまのようなことで前に進んでいないということのようですが、韓国側の漁業協力資金を基礎にしたビジョンというものは、もうほとんど一般に公開されたものと同じじゃないですか。それでもなおかつ責任者相互間の話し合いの中で確認をされないとそれはビジョンと認めがたい、こういうことなんですか、どうなんですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) これは要するに、大きな三億という金が韓国に供与される、その場合にいろいろの考え方が出てまいる。一次案、二次案というのも出てまいりましょうし、水産の関係のほうからは水産のほうに、こういうことをやりたいという案も出てまいる。問題は、それらが総合されて、韓国の政府の統一された意思の問題としての案でなければ、新聞報道で、私どもも何といいますか対策を講ずるということは適当でないという立場におきまして、責任あるビジョンを知りたいということを申したわけでございますが、やはり、いまのところ、御承知のとおりあそこは企画院ですか、日本で言えば経済企画庁のようなところでございますが、そこが中心でこれを取りまとめておりまして、現在のところ明確にこれでいくんだという形についてのお話はまだ言えないのでございます。
○森中守義君 私は政府からそういう正確な答えが出ないものだから、やはり新聞報道一つを基礎にしてものを言わざるを得ない。これははなはだ残念だと思う。いままでいろんな関係等でずいぶんこの話は議論になりましたよ。 そこで、私は具体的に一つ申し上げたいんだが、四十一年の二月十日、日本経済でこういうことを言っておりますよ。「“コネづくり”にやっき」「韓国向け漁船競う商社」。内容によるとこういうことなんです。「韓国向けの漁船と漁船建造資材の輸出契約をめぐって、わが国商社間の競争が激しくなっている。 これはわが国からの漁業協力資金(民間借款)と経済協力資金(無償分)の韓国側の受け入れ方式が決まる前に、各商社が韓国の漁業組合、沿岸漁業会社など借款対象業者との間に今後の取り引き関係を固めておこうとしているためで、最近では韓国側が取り引き関係を予約するにあたってかなりきびしい条件を出すケースもでてきている。 韓国政府はこれまでに、わが国からの漁業協力資金九千万ドルのほか経済協力資金三億ドルのうちから一億ドル、合計一億九千万ドルを漁業振興、特に沿岸漁業に振り向ける方針を明らかにしている。これにより底引き漁船、まき網漁船などが大量に建造されることになるわけで、わが国の商社、関係メーカーとしては韓国政府の支払い保証さえとれれば、かなりの有効需要となるだけに力を入れているわけである。 現在、伊藤忠、東洋棉花、三井物産、三菱商事、丸紅飯田などの大手商社をはじめ、日本漁網船具など水産関係の専門商社が力を入れているが、各社とも昨年末ごろから担当者を現地に派遣して各漁業会社や漁業組合の幹部と折衝させたり、有力者を日本に招いて造船所を視察させるなどして“コネづくり”にやっきとなっている。」。この内容から見ればこれはかなり具体的ですよ。これでもなおかつ、責任者間の確認がないから、韓国のビジョンがいま言うわけにいかぬ、こういうことですか。私はこれだけはっきりしておれば、これは新聞の報道だからと言って一笑に付するわけにいかぬ、かなり進んでいますよ。こういう事実を私は水産庁御存じないはずないと思う。
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答えいたしますが、有償、無償あるいは九千万ドルを通じまして、商社活動としていろいろな話が行なわれておる。むしろこれはまた行なわれるであろう、これは十分想像されるわけです。そこでございますが、結局最も端的に申しまして、私自身が向こうの責任者といろいろ話してどうなっているんだというのに対して、いま企画院ともいろいろ話をしているのだが、まだいろいろ詰まってないところがあるのだという話なんです。そこで、二つ話を分けまして、いま先生のおっしゃいましたような活動がやたらに行なわれるということはやはりまずいと思う。そこで、私どもといたしましては大日本水産会に日韓の経済協力の特別の委員会を民間を中心にしてつくっていただきまして、で、漁業でございますから商社だけがやれるはずがない、何らかの意味において漁業関係者その他に相談が出てくるはずです。そこで、その過程におきまして無統制あるいは望ましくない形が出ないように、いわば一種のセルフコントロールをやっていこうということで、二月の五日にこの委員会で発足し、現在それをつくってそういう商社による無統制活動は業界の実際のスクリーンになるべくかけて排除していきたい、これはこれとして考えていく。お話しの、韓国が三千万ドルのうち幾らを漁業、農業あるいは原資材、そういうものに分けて、さらにその細部として漁業におきまして前進基地だ、漁港だ、あるいは船外機、すなわち沿岸の手こぎの船に船外機をつける。いわんやいま先生のおっしゃいましたまき網を何ばいつくるという形にまでは、これは率直に言って、いろいろの試案が新聞等に出ておるようでございますけれども、正式にはまいっておりません。これは事実でございます。私ども早くお示し願いたい、これによって早く話し合いをして摩擦を避けたいという形でせっついているわけでございます。これは事実でございます。
○森中守義君 私は、話し合いの大筋というのか、責任ある筋としてはいま言われたことに異論もありません。しかし、だからと言って状況は停滞していないのですよ。まさにテンポを早めている。どんどんどんどん先に進んでいる。ところが、そういう政府間の話し合いがあるなしにかかわらず、ものすごいテンポで状況が変化をするのだから、そういうところに漁民の不安、ことに西日本地帯における水産界は一大恐慌を来たしている、こういうことをあなたに理解をしてもらいたい、これが私の言わんとするところなんですよ。 そこで、四十一年の予算の中に計上されている日韓漁業協定の実施に伴う措置として、四十年度が一億二千二百七十九万余、これに対して四十一年が多少上回りまして二億四百十八万余り計上されているようです。その内容をみればどれもこれももちろんいま長官の言われるような見解であれば韓国の輸入あるいは漁業の大型化、そういうものにいま直ちに対抗しよう、あるいは措置を講じようというお考え方はないようですから無理もないかもわかりませんが、内容を見ればどれもこれもきわめて消極的な、むしろ韓国に気がねをしたようなことを措置するための予算の内容しかなっていない。これでは私は西日本水産関係は助からぬと思う、そういうところにお役所仕事というのか、情勢の推移をあくまでも筋から筋に求めていこうとするまずさがあるのじゃないか。しかも、そういうことがぎりぎりのところにきたならば大事になってしまう、もう漁民は死んでしまう。そういう不測の事態を私は憂慮せざるを得ない。特に韓国の場合には、もっと高度なビジョンといいますか、そういう意味で、だれが言ったのかわかりませんが、韓国側においては漁業の国際分業論、こういうことも出ているということをよく聞くのです。つまりあの海域一体は、日韓の漁業協定によって一応規制は加えているけれども、全部、ひとつ日本の漁業というのは遠洋に行ってくれ、沿岸漁業は韓国がやるのだ、一口に言うならば、これが韓国側の言う国際漁業の分業論でしょうけれども、そこまでビジョンができているんじゃないですか。だから長官が言われるように、政府間の話ができていない、筋はこうなんだということでは、もはや取り返しのつかぬような事態が目の前に迫っているんじゃないですか、それでもいいんですか。私は日本の沿岸漁業の振興、特に先般の振興法の制定以来、何とかして沿岸漁業の助長育成を、政府の責任において、国の責任においてしなければならぬというのが、あの制定の趣旨でもあり、しかも今日の漁業の状態を考えるならば、こういう不測の事態がいま目の前に迫っているときに、単なる筋論、単なる政府間の話し合い、そういう時期を待っていいものですか、私はそれじゃあ国の責任としてはちょっとどうかと思う。その点いま少し具体的に御説明を願いたいと思います。
○政府委員(丹羽雅次郎君) お話を分けまして、民間ベースの九千万ドル、これは民間でいろいろ取りきめましたものを輸銀が金を貸して延べ払いをする。それから三千万ドルのほうは御承知のとおり実施計画をつくって両国が承認する、その実施計画の手続その他について、今月の半ばに外務省が参りまして、約十日ばかり前にその手続を、サインをいたしました。こういう段階です。それから、その次に、じゃあ初年度にどういう考え方でどういうことをやるか、融資計画の案というものについて向こうが持ってきて、それについてどうだ、これがまた総額が食い違っておりまして、総額論のところで話がもたついておる、まあこういうのが現状でございます。 そこで、それはそれとして、この三億の問題は、韓国政府がつくる計画でございます。韓国政府のつくった計画に対して、日本国として困るものは困る、応援するものは応援するということでこれがきまってまいると思うのでございますが、そこで、いま先生が再三お話がございますように、私も先生と同じだと思うのですけれども、そういうことなら全体を見せてくれ、その三億なら三億の中に、漁業を幾らか入れて、十年間なら十年間でどうしようとするのか、それから九千万ドルで、これは民間だけれども政府が何かタッチするはずだから、政府としてはどういうふうに考えるか。とにかく素案の素案でもいいからひとつ見せてくれないか、そこで、私どものほうでぐあいの悪いこと、あるいはあなたがおやりになってうまくいかないことは、先輩国として御注意申し上げる、だからそれをお見せになったらどうかということを現に私は申し上げておるわけであります。そこでそれに対して、どうしてもまだいろいろな話がございますが、はっきりしない面が多々あるわけでございます。そうでございますので、私先ほど来申しておりますことは、知らぬうちに進行するというお話でございますが、三億の問題は、これは政府が知らぬうちに進行しないわけです。でございますし、民間の問題は、先ほど申したとおり、大水会のほうでいろいろ措置をいまとっているわけでございます。もう暫時この関係は詰めさせていただきたい。また、そうしないと、何と申しますか、どういうことを向こうが考えているかをわからずに、何といいますか、議論を展開するのもどうか、こういうのが現状でございます。
○森中守義君 それじゃこういうことに理解していいのですか。韓国がいかに漁業の国際分業論を言ってみたり、五カ年間に大型船をつくって、日本の漁業よりもはるかに次元の高いものにすると言ってみたり、あるいは輸入をどんどんしようと言ってみても、とにかく金を貸すのはこっちなんだから、使い方はこっちで一応考えますよ、使わせる方法はね。つまり、その協力資金を出すのは出すけれども、わが国の漁業に迷惑を及ばさないようなことを根拠に置きながら、金の面で規制をしていく。したがって、先走った心配は要らない、こういうように理解していいのですか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 金を出す際に規制するから、そのときで押えればいいのだから、ほうり出しておけばいいというようには私も考えておりません。やはり計画を立ててやっていくわけで、その計画の面においてできるだけ調整を両国間でとるという立場であろうかと思うのであります。したがって、どういうふうに韓国が考えるかという考え方を早く示してもらいたいということを言っているわけであります。このことは、そこがわからぬうちに実施計画がはっきりしちゃって、その金がどんどん出ちゃうということには、三億に関する限りはまずないと考えます。
○森中守義君 非常にその辺が大事だと思うのですよ。私は先ほど申し上げたように、幾ら韓国がラッパを吹いてみても、いやそれはかってにやればいい、出すのはこっちなんだから、金のほうで規制をするから、何と言おうとそれは心配要りませんというお答えが出れば、何をか言うことはありませんよ。ところが、いまの長官の答弁だと、そこまできめ込んでいくと、いや必ずしもそうじゃない、とにかく計画を示せ、それによって政府間の話し合いをしようということになれば、やはり私はさっきの不安が除去されない。何となれば、すでに第七回にわたる、しかも相当長期間、十三年も十四年もかけた交渉の中で、たとえば請求権の問題にしても、いろいろなことが一方的にわが国は譲歩させられた状態ですからね。そのことを考えると、私はいまの長官の答弁ではやはり安心できないのですよ。だから、その辺がもう少しはっきりできるならば、私は、いま国際分業論であれ、あるいはその建造の五カ年計画であれ、そんなことはあまり意にも介しなくてもいいと思うのだけれども、ただ、計画を示せ、金の面で規制はどうもこれははっきりできそうもないというんじゃ、またまた、いよいよ向こうがプランを示してきた、しかもまたごね回されて、結局向こうの言うとおりに押えられてしまうということになると、いまぼこんぼこんと出されている韓国の主張というものが、おそらく資金を供与した場合には実行に移されるのじゃないか、そういう心配があるんですよ。この点、大臣どうですか。あなたも日韓の交渉でだいぶ苦心されたようだから。
○国務大臣(坂田英一君) 森中委員は、沿岸漁業に対し非常に御努力になって、強い関心を持っておられますので、御心配されておるということはよくわかるのでございます。また、現在日本の沿岸漁業という問題については、十分これは考えていかなきゃならぬのでございます。そういう関係からいたしまして、私が去年の暮れ韓国に参りましたときも、向こうの張長官にお会いしていろいろなお話をいたしたわけでございます。それは、向こうのいろいろな実態からいろいろお話がまあありまして、私どももでき得る限りの協力はいたすということ、これはもう言うまでもありません。それらについて、なるべくいろいろの問題について早く具体的に話をしたいという申し出もございましたけれども、まだ確定したものはもちろん向こうにもないわけでございます。そこでいろいろ、こういうこともしたい、ああいうこともしたいということはあるようでございまするけれども、先ほど長官が申し上げたとおりに、まだ韓国全体の確定した政策、いわゆる計画というものはできていないことは間違いはないわけでございます。そこで長官は、それができないと、それに対してどうするということはお答えできぬというのは、これはもう長官としてはごもっともな話で、私もそう思っておるのでございます。しかし、全般的に見て、協力はするけれども、それはなぜ協力するかと申すと、やはり韓国の漁業なり、それから一人当たりの漁業者の所得なり、あるいは漁船の姿なりを見ると、そこに、こう言っては何ですけれども、非常に微力なものでありますな。それはまあ森中さんもよく御了承だろうと思うのですが、そういう実態において、できるだけの御援助、御協力をいたしたいとは思うのでございますが、韓国を援助したために、日本の沿岸漁業が非常なことになるなんという、そういうことについては、私どももさような心配の起こるようなことはいたさないようにいたしたいということは、これは森中委員と同感でございまするので、その点はそういうふうに御了承を願いたい。ただ、計画に対してどうだという御質問があるものだから、長官が、それはきまっていないからお答えができないと、こう言うのですけれども、それは事実、向こうのまだ計画がきまっていない。だからそれについてどうかというお答えはできないわけでございまするけれども、日本の沿岸漁業に非常な支障を起こすようなことには私はいたさないということにいたしてまいりたいと思います。したがいまして、輸入問題がふえるといういろいろな問題がございましても、沿岸漁業審議会に、早くからこれらの問題について根本的な考えをひとつ審議をしてもらいたいという希望を申し込んであるようなわけでございまして、その点はよく、根本的なことはそういうふうにしていきたい。また、具体的にも、この輸入、いわゆる水産物の輸入等について、これは水産物ばかりでもないでしょうが、特に水産物の輸入につきまして、先ほども長官からお答え申し上げましたとおりに、非常に沿岸漁民に関係の深い魚介類については、まだ非自由化でございます。自由にいたしません。そういうことで外割りの制度というものがあることはこれは十分それは活用していくことは当然である、そういうことでありまするし、そのほか国内の受け入れ体制の問題等も十分考えていかなければならない。こういうので、さしあたりの具体的な問題等についてもさように進めていきたい、こう存じます。 それからまた全般のこの漁業の問題から申しますというと、国民の需要は、非常にたん白質の関係がふえまするようなことで、需要はふえまするけれども、生産からいいますれば、国内の生産が大体約六百万トン程度でございます。これはよく御存じであろうと思います。そのうちで国内のものでも、これは三十九年の統計で少し古いのですけれども、七十一万トンぐらいは、日本のほうから輸出しているやつが七十一万トン。生産が約六百万トン。そこで七十万トンぐらいが輸出する。輸入は五十七万トン。そういうことでございまして、総供給量としていきますと、それらを全部なにいたしましても六百五十七万トンということでありまするので、国内全体の需給関係からいいますと、そう非常に満ち足りたというわけでもないと思う。したがって、この韓国その他からの輸入という問題についても、十分その点問題でありまして、そこら辺はよく考えていく必要があると同時に、国民全体の食糧としての問題からいきますというと、これはやはり流通の過程において、これらをよく分配というのはおかしいんですが、よくいき渡らすということが、これはわれわれとしてもやらなければならない。そうすると非常に多い生産があって、いわゆる過剰であって困るという、そういう実態よりも、まだ供給量がふえるほうがいいという実態だと思います。しかし、それはある局部的に見ると非常にそこが困ることが出たり、いろいろの問題が起こるわけでございますので、それらについてはよくまんべんなくというか、あるいは大都市のほうにそういうお魚をよくいき渡らすような事柄、そういう問題もあわせて考えていく必要がある。そうすると、そういう点などをも考慮しながら進んでまいりたい、こういうことでございます。何かこうちょっとなかなかわかりにくいかもしれませんが、大体そういう意思は、言わんとするところはそういうところにありますから、御了承を願いたいと思います。
○森中守義君 いや、私はよくわかりました。近来まれに見る名農林大臣の御高説を拝聴して非常にありがたいのでありますが、ただ、私が聞きたいのはそういうことじゃなかったのです。そういう御高説じゃない。要するに九千万ドルの漁業資金、それから三億ドルでしたか、そういう政府から出そうというものを向こうさんが何といおうと出す側のほうで規制をする。規制ということは国内の沿岸漁業に迷惑をかけないような、そういう規制の仕方をするということが約束できるか、こういうことを聞いておる。その約束ができれば向こうさんがどんなラッパを吹こうと、国際的紛争を出そうと、何をしようとそれは問題ではない。それを私は言っているんですよ。そのことを、ここで長官でなくして大臣から、そういたしますという約束がいただけるならば、業界の心配もないだろうし、また、私ども国会としても、西日本関係を中心にした沿岸漁業の皆さん方が日韓の漁業協定によって致命的な打撃を受けずに済むのじゃないか、せめてひとつそのくらいのことはやってもらわなきゃほんとうに日本の水産業、どうにもなりませんよ。それが一つ。 さっきお話しの中に、韓国の漁業の状態、ちょっとお話になりましたね。なるほどそうでしょう。否定しません。しかし、日本の漁村をお回りになったことありますか、大臣は。一ぺんひとつ漁村をお歩きになってみたらどうです。第一、えらい韓国に同情されたようなお話だけれども、そのことに異論はないのですが、農林省が出された漁業の動向に関する年次報告の中に何といっております。これは作文ですか。漁村の生活の改善、住宅の改善とか、まあいろいろ問題を提起されております。私は、日本の漁村の状態を知らないで韓国の漁村が非常に困っておるという大臣の言い方は、ちょっとふに落ちない。一ぺん回ってごらんなさい、どのくらい困っているか。二次産業等との対比をした場合に、これはもうたいへんなものですよ。報告書自体が各産業別に農漁村の格差は著しい、しかも農業に比べてみると、漁業は立ちおくれている、こういうことを指摘しているじゃありませんか。だから、韓国の漁村、漁業をごらんになったこともけっこうだけれども、ひとつ国内においても漁村を一ぺんお歩きになる必要があるようですね、まあこれは蛇足ですけれどもね。要するに金を出す際に、日本の漁業が困らぬように規制をするという約束をひとつしておいてもらいましょう。それがあれば何も言いませんよ。
○国務大臣(坂田英一君) それは先ほど申したように、この問題のために非常な影響があって困るというような、そういうことになるようなことは私としてはいたしません。はっきり申します。しかし、たとえば協力をいたしますということによって輸入がある程度ふえるということの結果、それの影響が全然ないということは、これは考えられぬことであるので、私どもとしてはそれと同時に、日本の漁業についての施策を講じていくことは、これは言うまでもございません。しかし、さっきいったように、流通関係の問題も考えながらいくわけでございます。そういうことでありまするが、この協力の結果として日本の漁業に、特に沿岸漁業に対して致命的なことはもちろんのこと、ひどい打撃を受けて困るといったようなことになるようなことは私はいたしません。はっきり申します、それは。 それからなお、それはいま申したことでございますが、なお、つけ加えて申されました日本の漁業の問題でございまするが、ほんとうに最近は私もどこも歩かぬので、たいへん見て歩かぬので実に困っておるわけでございまするが、漁業に対して、特に沿岸漁業に対していろいろ施策を講じ、あるいは金融の面において各種の施策を講じておりまする点はここで繰り返して申しませんが、相当漁業に対しては、日本のもちろん沿岸漁業に対して相当の努力を払っており、まあ非常に十分だとはいえぬにしても、相当の努力を払っておるということだけは御了承願いたいと思います。
○森中守義君 あとの御努力の点はじっくりとまた聞きますから、そのときに答えてください。それで、さっき大臣がいわれる日本の漁業に影響が及ぶようなことはいたしませんということは、まあこれはやはり国会での話し合いのことだから、もうちょっと正確にしておきましょう。現在のことばで言う規制をするということですね。そういうように受け取っていいですね、ちょっとそこを。ただ、いたしませんではだめですよ。金を出すときに規制をするという答えをしてください。それが一番無難でよろしい。いたしませんとは。いまのはやりことばではないが、規制をする。
○国務大臣(坂田英一君) 規制というのは計画ですか。
○森中守義君 そういうことですよ。向こうが言うとおりにいたしませんと、こちらのペースでやる。
○国務大臣(坂田英一君) 向こうの言うとおりにはいたしません。しかし、話し合いでございますから、全然こちらの考えだけというわけにはいきませんが、それは政府計画でありまするから、政府がやはりよくその問題を検討いたします。 それから、先ほども申しましたわけでございまするが、協力して、全然何らの影響がないというようなことは、これは森中委員もよくおわかりだろうと思います。ただ、非常な影響を及ぼすことはないということであります。いわば致命的な影響はこれによって起こすことはない。反面、若干の影響は、多少の影響はあるでしょう、そういうことであれば。どれだけの程度かということはあれにしても、それはあります。だけども、致命的な打撃を与えるようなことはいたしません。それから、多少の問題については、また国内における政策によって、いろいろの援助、施策によってそれを埋め合わせていくということを、反面、それを講じていくということを先ほど申し上げたわけであります。
○森中守義君 大臣の気持ちはわかりますがね。私といえども、それは事情をわかってるんだから、そういうことのために、影響ゼロの時点でなければ承知しないと、そういうむごいことを言っちゃいませんよ。それは大臣のいまの答弁で、致命的な打撃という表現で、おおむね気持ちはわかる。しかしながら、一番最初言われたのとちょっと後退いたしましたね。いたしませんと言いながら、検討するということだから、ちょっと話は後退をしている。だから、金を出す際に、日本のペースに立って話をつける。船を、先方が五カ年かけて大型船をつくり、それで日本の沿岸漁業を凌駕するような状態にはしないとか、あるいはその他いろいろございましょうが、少なくても致命的な影響、打撃を日本が受けなければならぬようなことはしないということは、要するに規制をする、金の面で規制をする、そういうように理解をしていいんですか。だから、一口に言うならば、規制をいたしますと言ってもらえばそれでいいんですよ。金を出すときにね。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 委員長。
○森中守義君 長官じゃだめだ。大臣でなくちゃだめだ。長官、だめだめ。
○政府委員(丹羽雅次郎君) ちょっと御参考に申し上げたいんですけれども、この三億ドルの使い方でございますが、一件一件審査をして、この金は出さない、出すという形にはならない。実施計画をつくりまして、その範囲内においてその売買が行なわれ、銀行から引き出される、こういう形になる仕組みでございますので、私が先ほど来計画が大事だということを申し上げた点をひとつ議論の前提にお置き願いたいと思います。
○森中守義君 議論の前提にはそのことを承知して、いま大臣に、金を出すときに打撃を受けないように規制するか、しないのかと、こう聞いているのだから、もう長官の答弁はいい。大臣、ひとつ規制するかしないか言ってもらいたい。
○国務大臣(坂田英一君) そこで、いま申しましたように計画が向こうで、いわゆる韓国の計画ができます。それに対して、日本の政府がその計画に対して検討を加える、そこでその計画がきまる、こういうことに相なるわけであります。したがって、それがきまった後において、資金を出すときにいろいろの規制を加えるといったようなことは、これは私も言うのじゃありません。ただ、計画がこれはえらいその方面に対する膨大なことになって、これはこういう影響があるから困るというときには、私どものほうで、それらに対していわゆる規制——という文句は適当かどうか知りませんが、計画については十分審査してきめよう、きめるということの協議をいたすわけであります。そういう意味でございます。
○渡辺勘吉君 関連。私はこの点はやはり明確にすべきだと思うのは、韓国の国会でこの問題を李農林部長官が明らかにしている点は、これらの日本からの経済協力をかちとった前提に立って、これは去年の国会でありますから、今後三年の間に日本の漁業に追いつき、三年を経過すれば日本漁業を追い越すということを言うておる。なお、国会に韓国で出しておる漁業白書とでも称すべきものを見ますと、たとえば一例を言えば、ノリの日本に対する輸出は、従来の一つの為替規制のワクをこえて、年間五億枚というものを日本に輸出することを強くこれは意欲的なものとして出しておる。アジ、サバの世界における消費市場は日本が中心であるから、これをまた日本に輸出するということを年次計画で明らかにしておる。この韓国の漁業の将来の動向というものを考えれば、私はこれは単なる抽象論で応答するということではなしに、これらの日本の韓国に対する協力というものの前提においては、いま森中委員が指摘した点について、日本政府が毅然たる態度を示さない限りは、これは韓国ペースに巻き込まれることを非常に業界では心配しておるわけです。たとえばノリの五億枚の輸入というものは、絶対量からいって、これは沿岸養殖漁業者に非常に大きな影響を与えるばかりではなく、このことがまたその他の海藻類にも非常に価格的な影響を与える等々から考えましても、この基本的な政府の姿勢というものが、従来の日韓漁業協定の中に散見するようなことではなしに、もっとこれは毅然として沿岸漁業に影響を及ぼさないという姿勢がやはりなければ、これは韓国の言うとおりになっていく懸念があるわけです。その点を森中委員は、貴重な時間の中で繰り返しておるわけですから、規制をしてそういう沿岸漁業に対する影響を与えない。多少の伸び率はこれは認めるにやぶさかではないわけでありますから、これはお互いの国際間の関係もありますから。しかし、韓国が、その政治責任にあるものが言うことをそのままとすれば、これは由々しき重大問題であるので、私はやはりただいまの森中委員の問題に対しては、明確にこれは本質疑を通じて国民の前に明らかにする責任が大臣にはあると思うので、関連してお尋ねをしておきます。
○国務大臣(坂田英一君) 明確にしておるつもりですけれども、さらにはっきり明確にいたしますが、いわゆる三億ドルの無償の援助資金の計画の作成という問題については、韓国のペースに乗るということはいたしません。日本の情勢からよく見まして、そしてこれらの問題を協議していくのでありますから、韓国のペースに乗るということはいたしません。ただ、話し合いでありますから、こちらがもう一から十までということは、これは別の話ですけれども、これは韓国の、先方のペースに乗るようなことはいたしません。 それから、先ほど、ノリの問題について御質問がありましたが、韓国のほうで、五億とか六億とか、それはお互いに主張することもあるでしょう。しかし、これは日本の国内の需要にもよることでありますから、でき得る限りはその要求等も聞いてあげるということは、それはお互いに国際的にはいいことであろうと思いますが、これももちろんペースに乗るということはいたしません。たとえば、四十年度においても、一応の話し合いで二億ないし五億の範囲内において、四十年度の輸入という問題が、一応の話がございましたけれども、実行の面においては二億ということにいたしましたことも御了承のとおりでございます。そういう点はよく御了承を願いたいと思うんです。もっとも、韓国としても非常な勢いでもって復興をやっておるときでありますから、国内の世論というものは相当いろいろのことがあろうと思う。それは当然あっていい。でありますから、日本としては日本の立場があるわけでございますから、決してペースだけに引きずられるということはいたしません。その点は御了承願います。
○森中守義君 まだいろいろありますが、午後も続行のようでありますから、一応このあたりでちょっと区切りをしておきたいと思いますが、なかなか用語の用い方で非常に変わってくるのですが、規制という用語がちょっとむずかしいものであれば、いま大臣の言われたことでもけっこうですけれども、韓国の計画というのはわが国のものと見合いながらチェックする、そういうことですね、間違いありませんね。間違いあるかないかはっきり言って速記録に残しておかなければ……重要な問題だから……。
○国務大臣(坂田英一君) そのとおりであります。 —————————————
○委員長(山崎斉君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について運輸委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(山崎斉君) 速記を始めてください。 ここで五分間程度休憩いたします。 午後零時二十六分休憩 —————・————— 午後零時三十八分開会
○委員長(山崎斉君) 委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き質疑を行ないます。森中君。
○森中守義君 先ほどの国際漁業に関連した日韓の問題等、まだずいぶん質問したいこともありますが、委員会の運営上後日に譲ることにいたしまして、これより少しく漁業災害補償制度のことについて、大臣の所見を問いたいと思います。 すでに三十九年法律制定から二年度を終わろうとしておりますが、約七年間にわたる調査研究、しかも試験の結果あの法が制定されたわけでございますので、相当以上に成果をあげたものと思っております。もちろん法制定に至る経過の中には全国漁民の非願が込められたものでもございますので、一体どういうように成果をあげたのか。具体的にその内容をお示しいただきたい。しかも具体的なものの一つとして組合の結成状況を、漁獲共済、あるいは養殖共済、漁具共済、こういう種類別にまずお示しをいただきたい。それと全体的な運用の状況、そういうことをまず最初にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答え申し上げます。いま御指摘のとおり漁業災害補償法に基づきます事業は、三十九年の十月から例の組合及び連合会で行なうことに相なりまして、十月から始まったわけでございますが、三十九年度は年度の途中からの事業の実施でございましたために、その支払いの大部分が養殖共済のノリに集中した、そういうところが一つの特徴に相なっております。そして件数で二万三百件ほどの引き受けが行なわれまして、共済金額としては三十六億、支払いのほうでは一億八千六百万円の支払いが三十九年度は行なわれました。で、先ほど養殖に片寄ったと申しましたが、二万件のうち一万九千件が養殖でございます。したがって、漁獲共済は千数百件しかなかった、こういうのが三十九年の実態でございます。四十年は、いま現に進行中でございますが、十二月三十一日現在の状態を申しますと、引き受け件数は四万件にふえております。そうしまして、共済金額は八十億に相なっております。で、養殖、漁獲共済等問題があるわけでございますが、支払いの関係ではまだ年度途中でございますが、一億四千七百万円で九百六十六件についての支払いが行なわれた。で、年度末までにどのくらいの引き受けになるであろうか、団体としては二百数十億の引き受けを確保したいという努力目標をもって進めたわけでございますが、年度内はとてもここまでいかないで百二十億前後に残念ながらとどまるのではないか、かような現状でございます。
○森中守義君 長官の答弁からいきますと、大体成績といいますかね、全体の運営というのか、これは全体に対する何%ぐらいに該当しますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) まことに恐縮ですが、何の何に対するパーセントでございましょうか。
○森中守義君 要するに、支払い等は、これは規定上の支払いでしょうから問題ないにしても、たとえば三種類の加入状況とか、あるいは実際の加入が行なわれていなければ支払いもできないわけですから、そういうことを言うわけですがね。
○政府委員(丹羽雅次郎君) いま資料を取り寄せます。
○森中守義君 それじゃ、あとの時間がありませんから、そのことは資料が届いてからお答えいただくことにしまして、要するに、あれだけ騒がれ、しかも待望されたものであるにかかわらず、まだまだ普遍的に——この制度の特徴が理解されながら、最良の状態まで進んでいるとは思えません。そのことは私は端的に言って、やはり制度上の欠陥がずいぶん多いんじゃないか。具体的に言うならば、この法案制定の際に、参議院における附帯決議がついております。当時の状況をいろいろと調査してみますると、この附帯決議を、中でも附帯決議の第一、これについてはどうしても制定当時のものに組み入れなければ適当でない、制度としての体をなさない、効果が上がらない、こういうきびしい指摘があり、とうとう当時は法案に組み入れることなく、一両年度中に実現をはかるという当局の見解が公式、非公式に表明をされて、やむを得ず制定をしたといういきさつがあるようであります。しかるに一向に——一両年といえば、まさに四十一年度は一両年の後段になるのですが、本年あたりはこの再保険の問題等が具体的に実行に移さるべき約束であったと私は思う。これがないためになかなかこの制度の運用が特徴を持ちながら、しかも絶対必要でありながら、いまなお普遍化されていない最大の要因が私はあると思う。ついては、この附帯決議をどういうように取り扱ってこられたのか、そうしてまたこの制度の附帯決議の一項、再保険の問題はどういうようにお考えになっておるか、この辺ひとつまず最初にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 国会の御審議の過程におきまして、議院修正があり、附帯決議が行なわれ、参議院におきまして、一両年中に再保険の措置等の問題が決議されたことは十分承知いたしております。実務的立場から申し上げますと、先ほども申し上げましたとおり、実は再保険の制度をつくりますためには、当然再保険のための保険設計がどうしてもいるわけであります。先ほど御説明いたしましたとおり、試験実施の結果は、確かに三十二年から三十八年の分が一つございます。 それから、三十九年はいま申したとおり十月からやりました関係で、加入も、先ほど申しましたとおり養殖、特にノリ等に非常に片寄っておりまして、三十九年のデータそのものは片寄ったデータである。それから四十年は伸びを示しましたが、まだ四十年の問題は最終的には、もう少したたないと、整理の最終結果が出てまいらない、四十年も実はなるべく母集団を多くしたいという立場におきまして加入目標を広くすることについては、関係団体の格段の御努力を願ったわけでございますが、やはりこれは半分程度で、そこで、以上の三つのデータだけにつきましては、どうしても実は問題がございますので、四十年度におきましても、並行いたしまして、これは県に頼んでやっておるわけでありますが、過去十カ年の間に漁業の種類別、地域別の漁獲金額の変動その他保険設計上必要な資料の収集を急いでおるわけであります。 それから四十一年には、これの集まったものを再保険の制度に仕組むための仕組み方の問題になりますための学名への調査依頼、それから設計の前提になります被害率の年変動等を調査をして補強をいたしまして、データの片寄り、不足を、いま言った保険を実施しておったとすれば、どうであったかという形におきまして、これはやむなくさかのぼった調査でございますが、実行いたしまして、できるだけ早く資料を固めまして、こういうデータと、こういう設計のもとにおいて、再保険は十分成り立ち得るのであるという形の関係を十分整理をいたしまして、できるだけ早い機会に再保険の制度にはいれるように、私どもとしては努力をいたしておる次第でございます。
○森中守義君 長官の経過の説明で、大体まあ推移としては理解できます。また、そういう努力をいままで期待をしてきました。しかし、院の決議は、一両年に実施すること、これが第一義的である。また、次の問題は、六項の、限度額を上げろということが、これまた期待され、附帯決議になっている。当時の速記録を読んでみますと、大臣から、正確に、そのように取り計らうという答弁もあるんですよ。そこで、いま長官の言われる経過からいけば、全く異論を差しはさむ余地はございませんけれども、何といっても七年、八年という長い年月をかけた調査、研究、そして試験、こういう期間を過去に経ているわけですから、そういう意味で、私は一両年、つまりその最終年度としての四十一年度あたりには、二年間くらいの余裕をおけば、これは実行に踏み切れる、そういうものであったと、当時この法の審議に参加しておりませんけれども、私は考えておるのです。 そこで、たいへん前向きのお話のようではございますが、事実上、附帯決議は実現されていないということは、毎年法案を出され、審議をする。不備な点があるから、これとこれとこれについては実現をするようにという附帯決議をつけても、一向に実行されないということになると、少々これは問題が別になる、別な角度から問題をとらえなくちゃいかぬ、こう思うのですが、大体、院議というものを、どういうようにお考えになっていますか。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私も、本年度四十一年度予算編成にあたりまして、再保険問題について、過去の国会の御審議、それから附帯決議等も十分頭に入れて、いま御審議を願っておる四十一年度予算の、役所段階におきます要求段階におきまして、いかにすべきかということを、率直に言いまして、十分良心的に検討いたしたわけです。別に、三十九年の四月でございますか、五月かにいただいた附帯決議、四十年、四十一年と、まあなるわけですが、できれば、それは早いほうがいいという立場で考えておりますが、何ぶんにも事柄は、ただ補助金を出すとか何とかいうものと違いまして、恒久的な保険設計、制度でございまして、やはりこれは基礎を固めて、話し合いをいたしませんと、財政当局との間もなかなか腰だめでやるというわけにもまいらない性格のものでございますので、いま申しましたように、資料の整備を急いでやはりこれは臨むべきもの、国会のお立場、政治的な御判断は、重々よくわかるわけでございますが、保険設計でございますので、やはり私どもといたしましては、事務的に固めるものは固めてまいらなければ、これは政府内部におきましても、なかなか問題が進まない、こういう判断をいたした次第でございます。
○森中守義君 大臣に、この際、私はいまの附帯決議の取り扱いについて、一ぺん意見を聞いておきたいと思う。 昨年の暮、事業団をつくりましたね。あのときに、附帯決議をつけました。しかも、十億は債務であるという、こういう内容ですよ。そのときに、大蔵大臣と二人並ばれて、とっくりと相談をして期待に沿うようにいたします、こういう答弁がありました。そこで私は、すでに予算の編成の最中、査定の最中だから、タイミングも非常によろしい。ついては庁予算の計上の際に、当然事業団への出資金十億が債務として計上されている、こら思っていたのですが、ないのです、これは、どこにも。 そのことはまた、蚕糸局長も来ておりますから、後ほど伺いますが、要するに、国会の決議というものに対する政府の見解はどうなんです。ただ法律を通せばいい。もちろん、国会は立法府だから、法案の審議制定が私どもの仕事です。しかしながら、院議をもって、どうしてもこの法案についてはかくかくの点が十分でないから、その法がひとり歩きをする場合に、国民のためになるような方向へ行くことを手直しをしたらどうか、できるだけ早い機会に措置をとるようにということが、行政当局によって受け入れられないとするならば、これは、法案の審議については十分思いを変えねばなりません。どうですか、附帯決議の尊重ということは。ただ、法案を通してもらえばいい。その場限りに、何でもいいから空約束をしておけばよろしい、そういうおつもりですか。それならば、私ども、今回農林省から幾つかの法案が出されているようですが、そのつもりでやります、附帯決議を守ってもらえないとするならば。現実に守られていない。その責任はどうしますか。
○国務大臣(坂田英一君) 森中委員のおっしゃるとおり、私どもも、この附帯決議の趣旨をできるだけ尊重しなければならんことは言うまでもありませんので、その趣旨に沿うてすべてやっていこうという気持ちでありますが、いま漁業共済の関係については長官がお答えしたような実情であります。でき得る限り早くこれを改正と申しますか、この再保険の問題を解決いたしたいというふうに決意いたしているのであります。 それからなお、日本蚕系事業団の問題でございまするが、これにつきましても、農林、大蔵両省の間において話し合いを行ないましたのでありますが、新事業団の第一年度から直ちに出資金を増額することが必要であるという結論にも至らなかったので、さしあたり四十一年度の予算要求は行なわないことにいたしたのでございますが、これも附帯決議の趣旨に沿って、できるだけすみやかに善処する気持ちでございます。そういうつもりでございますから、御了承を願います。
○渡辺勘吉君 関連して。私は、きのうも附帯決議の扱いについて、具体的ないわゆる農林年金についてお尋ねしたのですが、ただいま問題になっております漁災法ですね、これに対する附帯決議というものの、いまの水産長官の答弁は、はなはだ私は、徹底的にこれは納得ができない。 当時、この附帯決議をつける際に、実際の経過を簡単にいえば、当時の水産庁長官も立ち合いでこの附帯決議をつけることを了承して、その上で正式に取り上げた経過がある。いいですか、当時の赤城農林大臣は何と答えていますか。さらに、政府の保険事業については衆議院で両三年中に実施するようにという、こういう附帯決議がなされて、これに対して善処する旨を答えたが、いまも御熱意のこもった御質問の趣旨がありました。で、私どもは明年ということをはっきり申し上げることはなかなか困難でございますが、今後すみやかに組織の整備と加入の確保をはかって、資料を収集して、一両年中に政府の保険事業を実施するように努力をいたしたいと、こう考えております。そうして全会一致で、一両年中というものは、衆議院の両三年中を一年繰り上げてこれは決議をしておる。そのあとにかわった松岡長官はその後、これはかなり検討しなければならぬというような無責任な放言をしておる。役人は、その地位がかわればそれでいいものじゃない。大臣がそのつどかわればそれで問題が新しくなるものじゃない。政府の責任ですよ。これは一両年中にやるということを当時の水産庁長官もこれは了承して、われわれは具体的に楽屋裏をいえばこれは取りつけた決議だ。それをこれから研究するの何の、そんな逃げ口上でこれは済まされぬ問題。自分らの都合のいいものだけはどんどん法律を出して審議を促進させ、国会の決議を完全に無視して、それで済むと思いますか、大臣。これは何も長官から入れ知恵を聞いて答える筋合いのものじゃない、ほんとうにそうであればですよ。こういうふうに当時の長官さえ了解して、事務当局が、そうしてつけた附帯決議も、長官がかわり大臣がかわれば、これから研究をするとか、そういうようなことであっては、私は少数党といえども社会党としてこれからの法案審議には重大なる決意を持って立ち向かう。大臣の答弁を求めるます。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど申しましたように、附帯決議の実行については、私どもはこれに従って十分誠意を持ってこれの実現を期する覚悟でありますことは言うまでもありませんが、いま漁業共済のこの問題につきましては、先ほど長官からもお答え申しましたように、保険計数にも関係することであり、それらの関係が十分得られないということであります。これを、その事情はなおもし御必要があれば長官からお話し申し上げまするわけでありますが、今年の実績等からもそれが、その資料等が、計数等が得られるか等についても検討したわけでございますが、さっき申しましたような実態に相なっておりますので、ほかの法律をどうするという問題ではなしに、どうしても正確な、相当正確な計数をもってかからなければならぬものであるだけに、非常に苦慮しておるわけであります。だから、その点をいま十分検討をして、その趣旨に沿うべくでき得る限り急速にこれを実現することの努力をいたしますることはこれは申すまでもありませんので、実情はそういう実態でありますることを御了承願いたいと、こう思います。
○森中守義君 この附帯決議のことは、特に私は、これから委員会の運営に関係があることですから、委員長及び理事諸君にも一ぺん協議をしてもらいたいと思う。要するに、いま渡辺君から話がありましたように、政府側としては出した法案だからつぶれちゃ困まる、思うままに、思いの日程に上げてもらいたい。そのために附帯決議が出ればそれを聞いておこうというような調子じゃ院の権威を落としますよ。私はいま渡辺君の話を聞いていて、当時もし私がそういう衝にあったならば同じようなことを言います。行政当局、水産庁長官が了承してつけた附帯決議を実行しないなどということは、これはもってのほかですよ。だから、これから漸次法案が衆議院からこっちのほうにくるでしょうけれども、そういう際には無条件に審議促進をしない、十二分に審議を尽くすということはもちろんですけれども、在来の附帯決議が生かされていないのだから。これは立法府は立法府としての権限があります。それで行政府当局が院議によってきめられたことを実行に移さないというならば、法律を直ちに審議を開始するが、いやしくも院のほうで満たされないような、もうつまり附帯決議を付さねばならぬような法律の案件等については、これは絶対に上げない。まあ一度そういうようなことを考えてもらいたいと思う。また、そのことは、政府側にも提案した法案を上げてもらえばいい、どういう附帯決議がつこうとあとはもう適当にのらりくらりと、委員会でやかましく言われれば、聞いておきましょう、検討しましょうということであとはいこうじゃないかという、そういうことであれば、先ほど渡辺君の意見のように、ひとつ立法府は立法府で考えてみたい。このことは特に大臣、あなたはお考え直す必要があると私は思うので、いまの附帯決議の件はそういうことで生かされていないということははなはだ遺憾である。院の決定、委員会の決定というものを無視したというように私は理解をいたします。しかもこの漁災法の内容については幾ら抗弁をされても抗弁になりません。それは前の長官が事務的に可能であるという認定に立って一両年度中に実施をするという約束であった由であります。それができないとするならば、明らかにこれは事務当局の怠慢なんです。私はそういうように断定をします。 そこで、時間がありませんからちょっと内容に入っていきたいと思うのですけれども、農林省の時別会計の中でこういう種類のものがたくさんあるのですよ。四つか五つありますね。農業共済とか、あるいは漁船共済とかいろいろある。そういうものは例外なく再保険をする。あるいはまた限度額にしても適当です。なぜ漁災だけ、そういう再保険や、限度額の問題等を附帯決議に照らしても実施しようとしないのですか。しかも相当長い年限を置いた調査、研究、試験の結果これができ上がったわけですから、いまさら私は調査ということはないと思う。それを保険計数の問題がどうだこうだという理由を付されておるけれども、そういう言いわけは成り立たぬのじゃないですか。ほかに全部再保険をやりながら、これだけは一向に実現の方向にいかぬというのは、ことばは悪いけれども片手落ちだと、もう私はそう思う。ことに船舶の、漁船の場合には、特別会計では十二億の余剰金が出ておる。だからそれを中央会に交付する、こういう内容に予算では出ておるんじゃないですか。その点どうですか、長官は。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 私も農業保険課長をやりましたけれども、農業保険は最初のころからのいろいろのデータを積み上げてつくりあげられたものでございます。私どもそのほかに、この再保険があるが、漁災について再保険をやる必要はないとは毛頭考えておりません。やるべくいかに資料をととのえ、制度をつくるかという立場で考えております点は、まず冒頭に申し上げさせていただきます。 そこで、私どもが事務的な立場で非常に困っております問題は、長い間試験実施をやったではないかという問題がございますが、一つは試験実施は定置とまき網とで全体の六〇から九〇%をそれでやった結果なんでございます。いま新しく始めたあの広範囲な漁獲保険のデータというものは、ほとんど利用しかねておるという問題が一つ。 それから、県も御承知のとおり、上位三県で五三%を試験実施しなければならぬ。再保険でございますから、国全体の危険分散をはかる制度でございますから、試験実施のデータの中から、もちろん使えるものは使う所存でございますけれども、試験実施の再保険の関係では、非常に残念ながら資料が不足であります。 それから、三十九年の六月に附帯決議をいただいたわけでございますが、一つは、実際に動き出したのは三十九年の十月でございます。で、先ほど申した地域の、特定の地域でやっているのはだめで、ともかく全体が、みんなが入るようにしないと母集団が広がらないという立場で、四十年度はとにかく加入促進ということで全国に網をはる、その仕事はよくやっていただいて、その意味の問題は著しく改善をされたわけです。しかし、三十九年のデータは、先ほど申したとおり、ノリに非常に寄ってしまった。ノリに寄ってしまったから、まだだめだと言っているのでは申しわけない。ノリではないものを四十年度で追っかけようじゃないか。これは保険をやったとすればどうかという形で、二十数県に頼んで、もしやったとすればどうなったかというのを四十年度追っかけておるわけでございます。その資料が集まりました場合でも、再保険というのはその下の団体が負う責任と上の責任を分担する仕組みでございますから、その分担の仕方、これは農業共済におきましても非常に苦しんだ問題でございますが、それをやはり計数的に整理した結果、保険設計として財政当局その他との間で議論をし、実現するというのに武器を欠くという立場がございました。したがって、その必要なこの制度を実施するための武器といいますか、基礎資料というものはやはり急いで集めよう。したがって、四十年度におきましても、附帯決議というものを頭に置きますればこそ、二十数県に頼んでしりをひっぱたいていろいろやっておる。こういう事情にあります。結論的に御趣旨に沿えなかった点はまことに申しわけないと思うわけでございますが、誠心誠意やっておる点だけは申し述べせさていただきたい、かように思うわけでございます。
○森中守義君 いま長官から、広がらないという話がありましたが、これは先ほど私が申し上げましたように、全国漁民の願望の結果でき上がったものですから、みんな待望していますよ。しかしながら、待望しているけれども、限度額が安い、加入しても魅力がない、これが私は問題だと思う。それがまた再保険につながるんですよ。そこに制度の欠陥がある、折角いいものをつくって、漁民の救済にならぬというのは。それを私は言っている。 そこで、いま財政当局の話も出ましたし、あるいは経過の中における努力も私は多とします。しかしながら、先ほどからしばしば言うように、長い年月を費やした調査、研究、試験、こういうものの集積ですから、いまさらそういうのをしなくちゃならぬのかと、私は具体的な仕事の内容はよく知らぬけれども、一応そういうことになるんじゃないかと、こう思う。 それで、時間がありませんので、もっともっと聞きたいんですけれども、どうなんです、こういうりっぱな制度——形をつくったが魂が入っていない。しかも他にはもうすでに限度額の問題にしてもあるいはまた再保険の問題も、全部完了しているのですから、これは来年度あたりから——来年度には間違いなく実施するという約束はできますか。来年度検討するなどということであれば、またこれは附帯決議を無視することになりますよ。いま、長官、無視したことはない、それを頭に描きながらやっておるというお答えでございますけれどもね、できねばこれは困るのですよ。さしずめ本年のようにノリ等が異常災害で相当ワクを出さにゃいかぬ、こういうことになれば、全くこれは制度の欠陥が重大な危機に直面している、こういうように言ってもいいと思う。それで四十二年度には間違いなく実施できるという約束をこれはやっぱりしてもらわなければ困る。一両年というから、来年はもうその時期じゃございませんけれども、一年延長して四十二年度から実施することを、大臣あるいは長官から正確に答弁してほしい。大臣、答弁してもらいましょう。
○国務大臣(坂田英一君) できるだけ早く実施するようにいたしたい。この附帯決議は、私どもは実現すべく極力努力をいたしておるのでありまして、無視するなんということは絶対ありません。これはその点はよく御了承願いたい。しかし、いま申しましたように、できる限り早くやるということであるが、来年どうだというと、またこれ、もう一つできぬ場合にはまた問題が起こるわけでありますから、それはでき得る限り早くこれの実現をやる、誠意をもって。そういうふうに御了解を願いたい。決して附帯決議を無視するというどころの騒ぎではない。心から、真にこれを実現すべく努力したい、また、やっておるわけでございますから、その点は御了承を願います。
○森中守義君 やっぱり得心できませんね、大臣。それはなるほど附帯決議を無視されたということにきめ込んでしまうのもどうかと思うんですけれども、いいですか、これは院の決定を、決議を、尊重せよということは、国民に対し、漁民に対して責任を持ってくれということですよ。これができたから、できないから、直ちに利益をこうむる、被害をこうむるという関係の者はここにはいないかもわかりませんよ。しかし、私どもは何としても国民を代表し、漁民を代表して、そういう人たちの利益をはかろうということですから、現実にそういう皆さん方が利益、恩典にあずからないということになれば、これはできるだけ早くとか、誠心誠意をもってということでは片づきませんね。私は今日の水産庁の人的な配置あるいは組織的な力、そういうものからして、できるだけ早く、誠意をもってという、そういう抽象的な表現でなくして、可能な限り精力を集中するならば四十一年度から実施できる、また、その程度の言明がなければ、院の決議を尊重するということにはならぬと思う。漁民は待っておりますよ、このことを。どうですか大臣。だから、人的な、あるいは組織的な力を結集して四十一年から実施すると言ってくださいよ。
○国務大臣(坂田英一君) これはできるだけ実施を早めるべく最善の努力を払います。しかし、必ず来年ということを、それは森中委員もよくおわかりなんで、あんまり無理をおっしゃらぬほうがいいだろうと思う。
○森中守義君 どうも、無理を言ったかどうかわかりませんがね。要するに、一両年という約束だから、もうことしで年限が切れる。だから一年間はおまけして四十二年からやれと、こういっているのだからちっとも無理じゃありませんよ。無理ですか、大臣。
○国務大臣(坂田英一君) 森中委員のおっしゃることも無理もないし、私の言うことも無理はないと、とにかく一生懸命にやりましょう。
○渡辺勘吉君 私は今の大臣の答弁は非常に不謹慎だと思う。大体、私たちが審議をして、漁災法が提案された際に、衆議院でも慎重審議をし、参議院でも慎重審議をして、衆知を集めて審議の結果を附帯決議をつけた、それが無理をつけたつもりは毛頭ないし、先ほど言ったように、政府当局もこの法律を成立させたいためからばかりと、私はそう作意的には解釈をしません。やはりよりよいものにするためには、当時衆議院で両三年という約束をしたが、参議院ではさらに熱心な意見もあるから一両年ということで実現するように努力しましょうと、当時の赤城農林大臣がおっしゃっておる。そこで、私たちは大臣のその答弁を体して附帯決議をつけた、そのこと自体が非常に無理で、さらにいま森中君が個人的にこれを一年延ばして四十二年ということすらなお無理だということは、当時の審議あるいは附帯決議がきわめて無理なことを意思表示をしたということにつながるのです。私はいまの大臣の、森中君の言うことももっともだが、自分の言うことももっともだというような大臣のお人柄のよさでこれを押し切ろうとすることには、遺憾ながらこれは賛同いたしかねます。無理でやったのではない、当時の大臣はそれを十分承知して参議院の意見を尊重した経過がある。あなたが農林大臣になってからこのことでどれだけの努力をされたのですか、大臣として……。
○国務大臣(坂田英一君) これは何べん申し上げても同じことで、お互いに早くこれを実現したいということでありまするので、御趣旨は何も反対どころの騒ぎではない。それから昨年この附帯決議をつけられたということについて何も無理はない、ただ、その後における結果として、それを実現する資料が整わないというところに問題があるのだから、それを極力整うように努力しておる、こういうわけです。整いさえすればもうでき得る限り早く実現するようにしたいということでございますから別に無理でもないと思う。しかし、附帯決議を大いに主張されまする点もこれは無理からぬことである、こういうことを申しておるのであって、そこはこれ以上どうも言いようがないと思うのですから御了承願いたいと思います。
○森中守義君 大臣ね、事務当局で一応整備ができたと、それで、もちろん財政当局との関係があることですから、その辺については大臣として責任を持ちますか。財政当局のことは責任を持つと、そういうことが言えますか。
○国務大臣(坂田英一君) 資料さえ整えばそれはもう必ず実行することにいたします。
○森中守義君 それから今年が養殖関係で異常災害の年であることはもう御承知であろうと思う。そこで早速漁済は相当額の支払いをしなければならぬと思うのですよ。私が仄聞するところでは、基金から約二億、こういう程度の借入金をしなければならぬようです。それで今年のように限度額が安い、再保険がない、そういう状態の中で、掛け金収入を中心にしている漁済としては、かなり五分五厘の利払いに困窮するのじゃないかと私は思うのですから、附帯決議が実施されていない、要するに制度の欠陥が依然として空洞をつくったままですから、その見返りというような意味では、少々変な言い方になるかわかりませんけれども、やはり五分五厘、約二億一千万余、その程度のものはたとえば基金に政府が金を出す、あるいは漁済に利子のめんどうを見る、その程度のことはお約束いただけると思うのですがどうでしょう。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 本年度のノリを中心とする養殖が不作のようでございまして、現況はいま調査をいたしております。それからこれに応じます対策を検討しなければならぬ。それからいま御指摘のとおり、そういう情勢がございますから、おそらく養殖共済の共済金支払いがふえる、したがって、この足らないところの用意に制度として基金制度がつくられておるわけです。基金制度から、したがって金を渡して保険を支払う、これが現在の制度でございます。いま先生の御指摘の場合は、その場合に金利が相当被害も大きいのでかさばるから、これに対して手を打つべきではないかという点でございますが、利子補給にいたしましても、その他の政府の財政支出をするということに相なりますれば、これは予算の問題でございますので、いま直ちにそれをやるということをここで申し上げるわけにはちょっと申しかねる次第でございます。その実態をよく見きわめまして、明年度、先ほど来の再保険問題ともからんでおりますし、総合して考えさせていただきたいと、かように思います。
○森中守義君 これは先ほどから申し上げますように、再保険限度額の問題等が片づいておれば全然問題ないのですよ。ですから、いま直ちにということを私は言っているわけじゃない、要するに異常災害その他の応急措置、そういう意味で借り入れ期間は三年くらい、しかも金利については政府がめんどうを見る、当然これは漁済が払わなければならぬ金利でしょうから、相当漁済の運営にも一千万余りの利払いというのは困るのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味で来年度の予算の編成の際に、特にこれは配慮を加える必要があると私は思うので、これは長官からでなくして大臣からその辺を正確にどうするこうするというお答えをいただいておきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 御趣旨に沿ってよく検討いたします。
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先ほどの御質問の点で漏れがありましたので、この際、簡単に御報告いたします。三十九年十月から四十年十一月までの加入実績につきまして、漁済がどの程度のシェアを占めているかということでございます。養殖共済では、ノリで三〇%、カキで五%、真珠で三〇%、ハマチで三五%、定置では二〇%でございますが、一般的には十トン以上百トンの漁獲共済につきましては、五・二%、十トン未満は一・六%という状況でございます。
○森中守義君 ちょうど約束の時間がきましたので、まだたくさんお尋ねしたいことがございますが、次の機会に譲ることにいたしますが、いろいろお尋ねしたり、あるいはまたお約束いただいた事項は極力誠実に実施されるように、特に大臣及び当局に要望いたしまして、きょうは私の質問を終わります。
○北條雋八君 私は約一時間ばかりでございますから、質問をしぼりまして、まず農地の流動化につきまして伺いたいと思います。構造改善が叫ばれてからもう五年になりますけれども、農地の移動率は一向に上がってきません。経営規模の拡大は、期待に反しまして遅々として進まないことは皆さんも御承知のとおりでございます。農業の構造改善をするには、産業構造、価格、流通のあらゆる分野にわたって総合調整された施策をやらなければなりません。構造改善に直接最も関係する経営規模の拡大をするためには、農地の流動化を促進して、かつその流動化を構造改善に資するようにしなければなりません。そこで、私は次の二点にしぼりまして、伺いたいと思うのです。 その第一点は、農地制度の改正であります。農地の流動化を阻害している要因はいろいろございますけれども、もちろん農地法だけではございませんけれども、その農地制度が一部分と申しますか、農地制度があるために、この流動化が妨げられているという点が一番大きな要因であるわけであります。これにつきましては、昨日櫻井委員から質問がございまして、お答えもいただいたのでございますが、私はなおもっと突っ込んだ大臣の今後の実施の方向のお考えを伺いたいと思います。このことは新聞なんぞに見ましても、政府のほうでも、この四月に経済閣僚会議をやって、そして食管制度の改正とあわせて農地法の改正を審議されるようなふうに聞いておりますが、政府もすでに相当のこれは検討をしたはずでありますから、問題は大臣の腹一つにあるというふうに私は考えております。で、今後の農業のあり方に即応した農地制度にすみやかに改正するかしないか、大臣のお考えをまずもって伺いたい。
○国務大臣(坂田英一君) 農地法の問題でございますが、なるほど現在の農地法については、国でも改正を要する点が相当あるというふうに存じております。それは特に農業経営の面から見た場合にそうじゃないかという気がするのでございます。しかし、また反面、この農地法の問題については、なおその他のいろいろな点についてなかなか容易ならぬ問題等をも包含しておりまするので、これは農地局長からも御答弁いたさせますが、これは一昨年からだと思いますが、この農地関係に対して、それぞれの学者あるいは実際の関係の人々に寄っていただきまして、農地法の研究を徹底的にやっていただいておるわけであります。だいぶ長いことかかって、また、いろいろのそれに対しての結論も得ておるのでございます。そういう事態でありまするので、この農地法の改正という点については、たくさん実現しなければならぬ点があることについては同様の意見を持っておるのでございますが、さような関係でいろいろ検討を加えておるのでございます。少し長くなりすぎておるきらいがありまするけれども、それほど重要であると私どもも考えておりますが、ただ、この際、現実の問題として、自立経営をでき得る限り拡大してまいりまする意味において、農地管理事業団の法律を制定して、皆さんの御協力を得まして、早くこの成立をいただきまして、そして現実の問題として、経営の拡大問題を進めてまいりたい、こういうふうにまあ一応考えておるわけでございまして、なお、足らぬ点につきましては、農地局長からその後のいろいろの点を申し上げることにいたします。
○北條雋八君 実は、私としてはそのお答えで満足できないのでございますが、農地改革の直後には、こうしたきびしい制限が必要であったにしましても、現在のように生業から企業への近代化農業に発展していくという農業基本法のもとで、農地法はあらゆる点でブレーキになっているのでございます。その上、地価は野放しにされておりまするために、農業収益と無関係にどんどん騰貴していますし、農地を必要とする零細農家には手が届かないのであります。また、農地法が実情に適さないことは、農地信託制度がほとんど有名無実で利用されていないこと、また、請負耕作が盛んになってきている、これは政府がどうすることもできない、農地法違反として取り締まることもできないということもありまして、このように、一方では信託制度の場合のように、農地法の特例を設けながら、また他方では農地法を存続して農地の流動化を妨げているというのはほんとうに筋が通らないと思います。で私は、農地法の昔どおりのきびしい制限のもとでは、せっかくの構造改善で打ち出した経営規模の拡大ということは、私はもう実現できないというふうに思います。いままで、農地法を改正する隘路だと、よう踏み切れなかったという理由は、結局生産者米価の算定にも影響してくることだし、また、小作人の立場に立って考えた場合には、いろいろやりにくい点がありましょうけれども、しかし、国家の大局から考えて、いずれが国益であるかという立場から、もうそろそろ踏み切って早く決定されることが私は至当だというふうに思います。もう現在は戦前のような寄生地主制といいますか、そういうふうなものも出てくる危険も少なくなった今日、農地法の規制を緩和して、大地主の発生を防ぐ必要だけに焦点をしぼった方向にいく法の改正を行ない、また同時に、地域によりましては土地の利用区分を確定しまして、そうして農業区域や、やはり農業以外の土地利用を制限したほうがいいのだというふうに思います。いずれにしても、今度の農地管理事業団、これも法案で提出されましたけれども、私はあの提出をするなら、まずもって農地法の改正を先にやってから管理事業団の法案を提出するというのが順序ではないか。むしろ私は逆じゃないかと思います。その点につきましても、大臣からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) ごもっともなところであります。私も別にそういう御趣旨に何も反対じゃない。ただ、農地法の改正という問題になりますと、その他のいろいろの問題がございまするし、また、一面自立経営をできる限り造成してまいる意味において、最近の情勢を見ましても、年々七、八万町歩の移動がございますので、それをできる限り有効にその動向をきめさしていきたいというような必要性もありまするので、事業団の法律をまず実行に移していきたい、こういうふうに考えておるのでございます。 なお、その点については農地局長から多少お聞きを願いたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) いま御指摘になりましたように、私どもも農地制度のある部分が相当古くなって現在の農業事情に合わなくなっているというふうに思います。たとえば一番典型的な問題といたしましては、小作制度だと思います。昭和三十年に小作料の統制をいたしまして、普通の水田一反歩を千百円で統制をしておりまするし、農地法の二十条によって耕作権の確立をやって、それ自体は私は歴史的な意味が非常にあったと思いますが、現状におきましては、一たん土地をなくせば小作農が承知しない限りはなかなか手元に戻らないという状態になったわけでございます。したがって、二種兼業が四割をこえ、その耕やしている土地が二割をこえているという状況で、二種兼業農家でも農業を一生懸命やろうというところもありましょうし、あるいは土地を売らなくても相当程度借して、せいぜい二、三反歩程度は飯米獲得のために残しておこうという人たちも、現在のような小作料と耕作権の制度のもとでは正規の賃貸借を結ぶことを非常におそれて、ある者は荒地づくりで非常に荒れた状態にしておりますし、ある者は請け負い耕作という形で、耕作者から実際小作料として一万円なり、一万五千円なりの小作料を取ると、あるいは来年も耕作権がどうなるかということは保証が全然ないという状態になっていることは私そのとおりだろうと思います。しかし、いま御指摘のように、もう農地法は現在の農業の情勢からいえば大いに制限をはずして、相当自由にすべきだという御意見には、私はそのとおりだというふうには申し上げられないわけでございます。たとえばいまの小作料の例に見ましても、小作料をかりに統制をはずすといたしますと、ところによっては一万円なり、あるいは一万二千円なりになる可能性があるわけであります。ところが一万円なり、一万二千円なりの小作料で、それでは耕作者の経営が安定するかと、それはそういうわけにはまいりません。農地の価格は完全に現在自由でございます。もしも農地の価格を農地改革以来ずっと統制をいたしておるとしますれば、農地の価格の値上がりは実態的にあったとしても今日のようには上がらなかったかもわかりません。しかし、農地価格というのは自由でございますから、水田で、純農村で中等の水田が現在二十万円程度しておって、それを買って、相当面積買って経営を拡大することが著しく困難な情勢でございますので、私ども、農地管理事業団をつくって、農業を一生懸命やって経営を伸ばそうとする人たちに、三分三十年という非常に有利な条件で応援して、ようやく経営規模の拡大をはかろうとする、そういう状態でございます。したがいまして、農地制度を自由にして、転用は自由である、あるいは農地の所有権の移転も自由である、あるいは小作料も自由であるという形で、私は経営の安定なり、自立経営の育成なり、あるいは農地の有効利用が確保されるというふうには考えておりません。したがいまして、問題は体制としての農地制度といいますか、農地の転用あるいは移動の制限、あるいは小作料の統制等々の体制は維持しながら、全体の農業の事情の変化なり、推進の中でいわば今日的といいますか、現在の需要に合うように、耕作者の側からいえば経営の安定、あるいは自立経営の育成、また、現在の農地の所有者からいえば、農地の有効利用ということが可能になるようなふうに、私ども農地制度なり、あるいは農地法なりの改定に取り組むつもりで、現在その作業もいたしておるわけでございます。 しかし、大臣からも申し上げましたように、農地制度は戦前はもちろん、現在におきましても日本の農業制度の根幹でございますし、これをそう簡単に変えるというふうにもなかなかいきかねる事情がございますので、私ども三十七年以来、学界、各界の意見を聞き、案を練りながらなお今後もいろいろな立場、いろいろの方面の方々の御意見も聞いて、練りに練っていきたいというふうに考えておるわけであります。 先生御指摘の、農地管理事業団と農地法との関係でございますが、農地管理事業団がねらっておりますことは、現在現実に土地が、農地が売買等の形で七、八万町歩動いておるわけで、土地は流動化していないという御主張もございますけれども、現実に七、八万町歩の農地が売買等によって動いております。ところが、その動き方を見ますと、必ずしも農業を一生懸命やって今後も農業で生活していこうという熱意のある農家の手に土地が十分渡っておらない現実でございます。まあ兼業農家の人たちは、兼業収入として金をためては一反二反程度買い増しをするということが相当多いわけであります。私どもそういう兼業農家の土地所得が非常に悪いからそれを禁止するというふうには考えておりません。それはいろいろな事情で土地の購入を必要とする人もあるわけでございますから、その全部の口をふさぐというふうには思いませんけれども、現実に七、八万町歩の農地が売買によって売られて動いている場合に、そこに着目して、できるだけ農業を一生懸命やるような、農家の手に渡りやすいように農地管理事業団があっせんする。それも農地管理事業団の職員が村に出張ってやるのではなくて、農業委員会なり、あるいは農協に事務を委託して、地域の実情において無理のない形で、自立経営、あるいは自立経営になろうとする人たちの手に農地ができるだけ多く行き渡るようにということを考えておるわけでございます。 したがいまして、農地法との関係がないとは存じませんけれども、農地法の改正をやらなくても、農地管理事業団はそれ自身の力で相当な威力を発揮し、また、経営規模の拡大といいますか、農業を一生懸命やろうとする人たちに勇気づけることは、私どもは可能だというふうに考えております。
○北條雋八君 私は小作制度を撤廃して自由にさせるという意味は毛頭ないんでありまして、現行の低い小作料の水準を、ともかくいまのあまりにも非常識といいますか、低いからその水準を適当なところへ上げたらどうだということであります。また、何もかも悪いんでなしに、権利移動の制限なんというものはずいぶんきびし過ぎると思います。また、賃貸権の解除の制限、これらを緩和し、そして農地信託制度は大いに利用するように持っていかなければ、土地を個々が自立でもってふやすということもできませんから、どうしても貸し地といいますか、信託制度に、また、今度できる事業団にしましても、その方法に力を入れてやっていかなきゃいけないというふうに思います。それにつきましては、もう別に答弁は要りません。 次に移ります。 なお、いまのは第一点です。流動化を妨げております一点でございます。 その第二としまして、農地を供給する側の問題としまして、農地を手放したがらない大きい理由の一つに、現在の他産業における就職条件がすこぶる不安であるということがあげられると思うんです。就業条件が不安だということにつきましては、政府もいろいろ考えておられるようでありますし、今度出ます管理事業団が当初に構想されましたときには、離農年金制度とか、あるいは職業のあっせん、特別の低利長期の金融、当時は利率が二分で四十年間の償還というふうに考えておられたそうでありますが、これが実現できなかった。できなくって今日に及んだわけでありますが、そういうふうに聞いておりますが、そのくらいの特別措置を思い切ってやらなければ、純農村地帯における農地の積極的な流動化を期待することはできないと思うんです。そこで、管理事業団も農地信託制度と同じように、このままでやれば、竜頭蛇尾に終わるんじゃないかと思います。政府は、石炭産業の離職者に対しましてはあれだけの特別措置をしたのでありますが、この国家経済を左右するわが国の農業の危機に対しまして、特別目立った措置がとられないということは、まことに私は遺憾だと思います。で、この離農者対策もあわせまして、今度はあまり目立った予算も取られませんでありましたが、大臣としてそういう点に対して今後どういう御構想を持っておられるか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) いまの御質問でございますけれども、事業団のそのものの構想につきましては、先ほど農地局長から御説明を申し上げましたように、現実に、ある程度の農地が売買をされております。その実態をとらえて、その売買が買手側として経営規模の拡大の方向に方向づけられるということの効果をねらっておるわけでございますが、このこと限りでは農業者を農業から離農させていくことを推進させるという趣旨ではもちろんないわけでございます。したがいまして、事業団の構想そのものと、離農を促進することとを直接に結びつけることは適当ではないとは思いますけれども、やはり農地を売りまして、農業以外に出ていくような人々の就業機会、雇用の安定ということは、当然この事業団の構想の推進にはつながるわけでございますので、たとえば労働力対策というようなことで農林省で予算をとっております就業相談等の推進とか、あるいは労働省が主管をしてやっておりまする中高年齢層の職業訓練でございますとか、あるいは各種の手当ての給付とか、さらには農地以外の農業の施設でございますとか、宅地とかいうものも手放すことが必要であれば、それを買いやすくいたしますために各種の制度金融をいたしますとか、そういういろいろな制度を活用いたしまして、農地を手放す側の農家が他の職業に就業する機会等につきましては、十分の手を講じてまいりたい、こう思っておるのであります。 それからもう一つ、離農を促進するということは、いろいろな意味で構造政策の推進上有意義であることは御承知のとおりだと思いますけれども、兼業というような形で農村に残りたい者もおりますほか、いろいろ複雑な事情もございますので、四十一年度予算には、離農の実態の調査の予算を計上いたしまして、その調査の結果をまちまして、今後さらに慎重に検討を深めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○政府委員(大和田啓気君) なお、農地管理事業団の問題として一つ補足させていただきますが、離農対策ということではございませんで、農地を売る人に対する優待といいますか、農地を手放す人に対して譲渡所得税の減免の規定を農地管理事業団の法案に入れてございます。これは昨年御審議いただきました法案におきましては、事業団に農地を売る者に限って譲渡所得の減税を認めたわけでございますけれども、今回は事業団の活動を多少広くいたしますことと同時に、租税特別措置法で、一条置きまして、事業団に農地を売る人ばかりではなしに、事業団のあっせんによって農地を売る人の土地の譲渡所得——大体八十万円までは税金をかけないということにいたしたわけでございます。この点は昨年に比べて相当な大きな変化でございまして、地価によっても違いますけれども、水田で、普通の水田でいいますれば、四、五反歩程度までは売っても税金はかからないということにいたしておるわけでございます。
○北條雋八君 いろいろ考えてはおられましょうけれども、私が伺いたいのは、当初この事業団が発足するときに、フランスでやっておりますような離農年金を考えられたことも事実あるそうなんで、私は話で聞いておるのですが、将来その離農金ということをやるんだという腹があるのかどうか、それを大臣から伺いたいわけでございます。これはほんとうに農村にビジョンを与えるといいますか、いま後継者がどんどん減っておるわけでございますが、この制度はそういう意味からいっても非常に私は大きい意味を持つ制度だというふうに思うわけであります。どうですか。
○国務大臣(坂田英一君) 農地局長並びに農政局長から大体お答えを申し上げたわけでありますが、なお、この離農問題につきましては、開拓地のごときは離農対策をはっきりさせてやっておりますことは御了承のとおりであります。それから、その他の地帯におきましても、農村の実態によって、やはりその必要性のあるところもあると思いますし、そこはいまのところ、地帯地帯によって非常に違うという気がいたします。そういう関係でございますので、現在私どもとしては、この離農の実態調査を十分やっておるわけでございまして、それによって問題の方向を見ていきたい、こう思います。 ただ、ここに申し上げたいと思いますのは、その実際の問題が進まずに、ただ離農離農ということだけが出てまいりますというと、むしろ弊害のほうが大きく出やせぬか。この前——これはこういうことを申し上げては何ですが、四、五年前でしたか、アメリカにおいて三百万人の離農政策をやったときに、現在の農務長官のフリーマンが絶対に反対いたしました。それは、結局非常に弊害がある、そしていい人も悪い人も一緒に出る、むしろいいほうが場合が多い。なるほど現在の山村の問題を見ましても、やはりいい人が先に出ますね。非常にそういう傾向もあるように思います。ということもございまするので、この点は実質を考えていきたいということを特に考えておりますので、私どもとしてはこの実態調査をいまやっているというところであります。
○北條雋八君 それでは、次に農薬の問題について伺いたいと思いますが、農薬は戦後の食糧増産の上に多大な効果をもたらしまして、これがために、最近では農村から流れ出した労働力の穴埋め、あるいは生産性を維持、向上させるためにも、農薬への依存度が非常に高まってきたこと、これまた御承知のとおりでございます。新聞で見ますと、日本の田畑には大量の農薬が投入されていて、単位面積あたり農薬の使用量を見ると、日本が米国の二倍半だ、世界第一の農薬国といわれておりますが、いままで国会ではホリドールのような農薬の誤まった取り扱いによる農民の死亡事故や漁業被害が問題になった程度であるのでありますが、有機水銀剤をはじめ有機燐剤あるいは有機塩素剤など、数年前から急に普及しました農薬につきましては、農政上だけでなく、国民の保健衛生上から、ほんとうに人道問題といってもいいくらいに非常に中毒症になって大きな問題だというふうに思います。厚生省の統計を見ますと、三十三年が一番多くて千七百三十七人、それがだんだん減ってきまして、三十九年度を見ますと、千百三十人になっておるのでありますが、この厚生省の統計というのは、保健所が確認しました大きい事故だけの数字でありまして、たとえば長野県の佐久総合病院の、十三部落についての調査を見ますと、農薬使用者の実に一七・二%というものが中毒症を起こしておるというふうにございます。そうなれば、これにかかる患者というものは非常に多い数字になるわけでありまして、非常にこれは問題だと思います。また、農薬によって自然界の生物を無差別に駆除するために、これら生物の生存競争がバランスを失いまして、そうして病害虫の農薬に対する抵抗性をかえって強めまして、繁殖力の旺盛な病害虫が発生を激化してくる。で、逆に農薬をそれだけよけい使わなければならないので、農薬の多量使用を余儀なくされるというような悪循環を来たして、土壌をますます悪くするというおそれも多分にあるわけであります。したがいまして、これらの農薬の有毒成分が農産物を通じて人体に入って、それでからだの中にたまって、そうして知らず知らずのうちに水俣病みたいに最後に命を失うような恐るべき中毒症状におかされるのであります。毒性の農薬を最も多く使います米を常食とする日本人の体内には、水銀が他の諸国の人と比べまして三倍多いということも記録に出ておるわけでございます。これが将来どんな影響を及ぼすか、人道上からいってもまことに憂慮すべき事態であるのでありますが、農林大臣はこの際いかなる手を打たれるか、その御構想を伺いたいと思います。これはできるだけ緊急を要する事態だと思いますので、一応その点をお答え願いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) ただいま農薬の被害につきまして、被害と申しますか、事故につきまして厚生省の統計をあげられましていろいろお話がございましたが、まことに御指摘のとおりだと思います。そこで第一には、やはり毒性の低い農薬を利用するということが第一の問題と思うのでございますが、最近はその開発にいろいろ努力をいたしました結果、たとえば昭和三十五年度では低毒性の農薬の利用率は五〇%弱でございましたが、三十九年度では約七〇%というふうに生産割合におきましても毒性の低い農薬をつくるように指導いたしまして、また、その普及にもつとめておるわけでございます。さらに、今後とも水銀剤等にかわるものとしては、たとえばいもちに対します抵抗物質の農薬等も一部開発されておりまして、今後とも一そうそういう低毒性の農薬の開発につとめてまいりたいというふうに考えております。それからあわせて残留毒性が、長期にわたってそれを食用といたします人間に作用いたしますときに国民保健衛生上重要な問題だということも御指摘のとおりでございます。すでに毒性の強いものにつきましては、三十六年度に通牒を出しまして、収穫前の一定期間には使用しないようにというような指導もいたしておるようなわけでございますが、昨年の秋から厚生省が中心になりまして残留毒性に関する研究会等も開催をいたしまして、使用方法等についても、今後十分検討を加えていくという面につきましても現在せっかく努力をいたしておる段階でございます。
○北條雋八君 こういうような非常に人体に害を及ぼす農薬の研究というようなことは、諸外国では非常に進んでおりまして、そうしてこれを禁止している。アメリカ、イギリスあたりでは有機隣剤の入ったものは禁止をしている。また、どの限界まではいいというその限界というものをちゃんと調べておりますが、わが国では厚生省がこういうことはやっているのかもしれませんが、もちろん農林省でもやっていると思いますが、そういう点に私は非常におくれていると思うのですが、現状はどういうことになっておりますか、その点をできれば伺って、あとはこの次の機会に譲りますから、時間の許す範囲でなるべく詳しくお答え願いたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 先ほどちょっと申し上げましたように、昨年の秋から厚生省と一緒になりまして残留毒性の調査をいたしておるということは、国連機構の中にございますWHOですか、世界保健機構等でもいまおっしゃるように使用の限界をきめました基準をいろいろつくっておるわけであります。それにまだ試案の段階でございますが、それに対応してわが国でもそういうものを作成をいたしますために、厚生省と一緒になりまして現在まで作業は進めております。それからあわせて残留毒性の問題なり、それ自体が誤用されたり散布中にいろいろ事故が起こったりいたしますので、現在では農薬の登録制度をしいておりますが、その登録の段階で毒性の検定が十分できますように、農薬検査所の職員の増員を明年度予算で計上いたしております。それから、そのほかに各種の試験場に低毒性の農薬を開発いたしますための研究施設等もすでにできておるわけでございまして、スタートがややおくれたのではないかという点については、御指摘の問題もございますので、今後スピードをあげて、いま申しましたようなことで検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○北條雋八君 時間がございませんからこの次に譲りまして、どうぞこの試験研究並びに農薬の製造等に思い切った予算措置を講じて、速急にこれは人体に危険のないような新薬をつくっていただきたいと思います。抗生物質のものが最近だいぶできておりますけれども、これらはやはり先ほどお話ししたように、免疫になるといいますか、また、天敵が——天敵といいますか、それを殺す菌が同時に死にますので、場合によるとかえって強くなるということもございますし、長続きがしないと思いますから、どうぞそういう研究に一そう力を入れていただきたいと思います。これで私の質問を終わります。
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後二時十七分散会