農林水産委員会 第6号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/02/24
会議録
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 昭和四十一年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。 本件について、農林大臣に質疑のある方は、順次御発言を願います。
○渡辺勘吉君 わが国の農業は、現在、非常に重苦しい幾多の課題をになって、農業基本法が制定されましてからただいままで五カ年の歳月をけみしたわけであります。基本法制定前後のあのバラ色の農業というものは、いま農村のどこにも見受けられない実態である。日本農業が曲がりかどに立ったといわれてから、すでに久しいのであります。毎年毎年曲がりかどを曲がり曲がって、もはや袋小路に追い詰められた実態であると言わざるを得ないのであります。しかし、大臣はそうではないと、いろいろな、ダークエモーションの中にも明かるい面もあるということを、あるいは指摘されるでありましょうが、現に農村の若者たちは農村を捨て、米づくりは停滞し、あるいは一方、借金はふえ、そうして出かせぎ後家やこぶっ子というような、そういう事態が、守っておる農村の青少年が非行化に傾いている。家庭の団らんが破壊されておる。兼業農家は、いわゆる農業だけで食っていけない農家は全体の八割にも達しようとしている。しかも一方、安い輸入農産物は、米をはじめとし麦あるいは選択的拡大部門という果樹、畜産の品目に至るまで国内農業を脅しておる。去年の米価審議会である委員は、いまのわが国には農政がない、惰政があるだけであるという発言をしたことを、大臣も記憶しておるだろうと思うのです。この現実の暗いとばりに閉ざされている農村、この農村でかすかに光っている明るさを求めている農民に対して、将来あるべき日本農業の姿というもの、農業のビジョンというもの、そういうものをこの際国民の前に明らかにしてこれを発表する責任があると思うのです。最近の新聞には、四兆円予算と国民、という表題の中に、農業特集に掲げる副題は、手探りの農政、という標題を使っておる。現実にはビジョンすら描けぬ悲しい場当り農政を、こういう一部の新聞等を紹介すれば指摘しておると思うのです。で、去年は後半に至り、あるいは経済企画庁や財界から、農業の未来像と称するいわゆるビジョンなるものが四つも打ち出されておる。まあこれは夜空を色どる花火のようなものであるかもしれないけれども、しかし、肝心の農林省、農林大臣はこれはもう農民と直結した一つの最高責任者である。その将来の政策目標について臆病であってはならないと思う。勇気を持ってこれに立ち向かうという前提で、私はあとにも述べますけれども、政府は中期経済計画を昨年早々に修正しておる。新しい五カ年の経済計画を立てるという場合に、農民、農村を守る最高責任者の農林大臣は、まず、みずから将来の日本農業のあるべき姿というものを明らかにする責任があるのですが、この点について大臣の見解をまず伺います。
○国務大臣(坂田英一君) 農政の推進にあたりまして私の考え方の基本は、第一は、国民食糧の安定的供給をいかにして確保するかということでございます。第二は、農業の生産性と農業従事者の所得をいかにして向上させるかということであります。第三は、どのようにしてこの農村の環境を整備し、農業従事者の福祉の向上をはかるかということでございます。 その場合、食糧その他農産物に対する需要は、今後も国民経済の発展に伴いさらに伸びるものと見込まれておりますし、生産性の向上につとめながら生産の増大をはかっていくならば、わが国の農業には一部の先進国において見られるような農産物の生産過剰の問題はまず生じないと見てよろしい。これはわが国農業の将来の明るい面を示すものであると存じます。生産性の向上の問題は長期の努力を必要とするということを考えておるのでございまして、これは農業としての特性であると思います。兼業農家の伸展する反面、しかしながら経済規模の拡大、資本装備の充実、経営の専門化等によりまして生産性の高い農業を営んで高い農業所得をあげておる農家の数が、徐々ではあるがふえているということも事実であります。この意味において自立経営の育成という問題に努力いたしてまいる。また、農村は都会に比べて生活環境や社会環境の面で立ちおくれておる面もあることは御承知のとおりでございまするが、また、都会にはないというよさもまだございます。また、職業そのものを通じての、一貫作業を主とする作業でありまするということ等から見て、都会にないよさもあるわけでございまして、農村対策の充実と農家の努力が相伴いますならば、農村の生活は決して暗い面ばかりを見る必要はないと、かように思いまして、この三つの方向に向かって努力を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○渡辺勘吉君 三つの大きな柱を掲げて対応していくということはわかりましたが、その抽象的な考え方を踏まえて、具体的には一体どういう目標を掲げておられるのですか。 たとえば食糧の安定的な確保というが、やはり長期展望もさることながら、中期的な展望でもいいのでありますが、たとえば、後ほど伺いますが、今回所信演説で大蔵大臣がビジョンと思われるものに触れて、土地改良長期十カ年計画というものを所信表明の中で触れております。かりに、それをもととして、食糧の安定的確保ということは当然出てきていることと思うのであります。だとすれば、この十カ年計画の最終年度である四十九年度は一体どういう安定的確保の具体的目標を掲げて進まれようとするのか、その目標があってのあれは十カ年計画だと私は理解するのであります。また、その十年の間にさらに幾多の変遷もありましょうから、一般に言われる国民所得倍増計画の最終年度である四十五年は、一体食糧の安定的確保をどこにめどを置いてあらゆる施策をこれに集中しようとするのか、そのビジョンの具体的な構想は那辺にあるか、あるいは農業生産性及び農業従事者の所得向上ということを触れましたけれども、大臣も御承知のように、この生産性の推移につきましては、農林省が発表した農業及び農家の社会環境を見ましても、三十九年度の農業総生産はまあ端数を切り上げまして約二兆円であります。農業総生産は、これは名目で前年に比べて八・九%の伸びを示しておりまして、三十九年までの十年間には、この農業総生産の伸びは一・五倍になっておる。これはこれなりにすなおに理解できるのでありますが、反面、国民総生産はこの同じ十カ年間に三・五倍の伸びを示しておる。国民総生産に占める農業の生産の割合というものは、この過去十年間の足取りを見ても逐年低下の傾向にある。三十九年はもう七・八%、三十八年、前年の八・二%をもう下回っておる。相対的に低下をしておる。十年前は国民総生産に対する農業総生産の割合というものは一六・四%だったことに思いをいたしますと、この十年間の農政のわが国の足取りというものは、生産の占める比率というものは半減以下に低下をしておる。こういう傾向というものを踏まえて、一体、農林大臣は、農業生産性の向上あるいは農業従事者の所得の向上というものを具体的にはいろいろこれから伺いますが、各般の施策も踏まえてどういうふうに降下しておるカーブを、停滞から向上に持っていかれると思うのでありますが、向上という限りは。四十五年を目途として、たとえばそれがどういう一つの大きなビジョンを持って示されようとするのか、その点が私としては明らかにされなければ、抽象的なビジョンの発想では理解が具体的にはいたしかねるわけであります。過去の経過が経過であるだけに。それから農村における環境の整備なり、あるいは福祉の向上も、これは私は当然大きなわが国の掲げる今後の農政の柱であることに異論はございません。しかしながら、この農村の社会的な劣悪な条件というものに立ち向かうことは、すでに農業基本法の前文あるいは第一条でうたっておるところである。そのことにバラ色の夢を抱いたことも事実であるのですが、現在はそれがむざんに破れておりまして、いわゆる地域格差の拡大なり、そういう一連の問題の中に社会環境は相対的に一そう農村は低下をしておる、この低下をしておる従来の傾向の中に一体どういうふうにそれを整備するかということは、かなり大きな決意と勇断をもってあたらなければ私は従来どおり口頭禅に終わる懸念を持つので、その具体的内容の構想を伺いたい。
○国務大臣(坂田英一君) ごもっともなことでございます。この第一に申しましたことは、日本の国は人口がふえますし、また、食生活の内容も向上いたしております。いろいろの関係からいたしまして、増産に努力いたしましても過剰生産にならない、その心配はない。開放経済からくるいろいろの問題はもちろんございますけれども、本質的にはこれがない。その意味において、特に食糧の面においてそうであるということを先ほど申したのでありますが、そういう点からまいりまして、現在のところ食糧のほうにおいては、およそ現在は八〇%程度の自給をいたしております。私どもとしては、全体としてこの八〇%を、少なくとも八〇%は確保維持していく、さらに向上につとめてまいろう、こういうことを、これは全体の問題は別として相対的には申し上げられるのでございます。その一つ一つの問題については、米についてはまた米の政策はあります。これは国内産で自給していこうという考え方でありますし、畜産についても乳牛及び乳製品あるいは肉類というものについてもそれぞれの目標を立てております。たとえば酪農法なり酪農三法によって酪農計画を立て、それを実行に移すということで進んでおるわけであります。それから、そういうことで、なお後ほど申し上げたいと思いますが、そういう方向に向かって努力を払っていくということでございます。 それから、生計費の問題につきましては、これは先ほどもちょっと触れましたけれども、でき得る限り自立経営をふやしていきたい、こう考える。幸いにして現在やはり専業家は減っております、御存じのとおり。ところが、後ほどまたこれにも触れてもいいと思いますが、地方によって非常に実態が違います。これは渡辺さん専門家だからよく御存じだろうと思います。地方によって非常に実態が違う、こういうこと、これらについてはなお後ほどお話を申し上げなければならぬとは思いますが、とにかく専業農家は減っております。しかし、幸いにして、たとえば七十万以上の農家数というものを調べてみると、これは若干ながらふえる傾向があります。それからまた、この面積にしましても、これも地域的に非常に違いますけれども、全体からみますと、一町五反以上の農家が徐々ではあるがふえつつある、こういう面もありまするので、これらの面で自立経営をふやしていくという方向にもちろん進んでまいりたいというのでございます。 それから、なお、兼業農家が非常にふえるが、どうするかという問題もあるわけであります。これは農業の面のみではいけないと思います。農業の面で、それを所得の増強をはかるということができればけっこうでありますけれども、それだけではいかない。こういう問題は当然あるが、これらについてはやはり農業以外の面によって所得の増強をはかっていくということも必要であります。しかし、できることならば農業によってやっていきたい。特に単作地帯におきましてはそうだと思う。 それから、計数上において、兼業とあらわれたものについても、実質は自立経営と見なければならぬものが相当ありまするのでございます。そういうので、われわれとしては自立経営をできる限り増強いたしてまいると同時に、兼業農家その他についても、十分所得の増強を考えてまいるということでございます。 第三の問題にいたしましても、具体的に申しますといろいろございまするわけでございます。これは渡辺委員からも御指摘のとおり、確かに農村はこれらの問題については非常におくれております。道路にしても、住宅にしても、あるいは下水道その他にしても、さらにまた社会保障制度の面において、物的面以外にこれらの面が非常におくれておることは事実であります。したがって、私どもはでき得る限りの力をもってこれらおくれた面に対して可及的に努力を進めていこう、こういう考えを持っておるわけでございます。
○渡辺勘吉君 まあ大臣の構想はいま答弁でわかりましたが、少しく立ち入って伺いますと、農産物の自給度は現状を維持し、なお向上するとおっしゃったんですが、どっちに重点があるんですか。
○国務大臣(坂田英一君) これはちょっと抽象的で、非常にこの点は申し上げなければならぬと思うのですが、これは全体を通じてそう申したんでございます。すなわち現在の自給度の中にはいろいろ入っておる。たとえば日本の内地で生産されないものでコーヒー、ココア、まあ砂糖は若干生産されますが、そういったようなものが国民のやはり所得向上ということに即応いたしまして相当入ってまいります。これらが食糧の自給生産と輸入という点で比較いたしますと、やはり輸入のほうがふえてまいること、これも渡辺委員はよく御存じのとおりであろうと思いますが、そういう問題、それからえさの問題、家畜の飼料の問題といったような問題について考うべき点が私にもあると思います。また、渡辺委員もよく研究されておりますから、何を言おうとしておるかということは大体おわかりだろうと思うのですが、しかし、具体的に言いますと、たとえば米のごときものは、私はこれは国産でもって自給していきたい。現在も少ないといえども九六%の自給を持っておるのでありますから、相当の自給率であります。私は極端にいつも言うんです。日本の農業はだめじゃないかとよう言われるけれども、このちっちゃな領土において一億に近い人口に対して、主食としての米が九六%あるいは九八%自給できるという国は、私は世界に類がないと思っています。だから、その意味において日本の農業がだめだというて門外漢から言われると、私は非常に憤慨して——実はあまりそういうことは言っちゃ困るが、どうも渡辺委員はつり込むことがじょうずなものだから、ついでにそういうことまで言わなければいかぬことになりますが、そういう意味において、もう、少しの輸入でございます。それは日本国内で自給していく、これは見通しも立っておりますし、特に土地改良その他の問題からこれは力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、牛の問題は、これはやっぱりえさの問題等から見て、濃厚飼料はなかなかこれはむずかしい。自給もしていきたいが、正直なところ、これ以上に人間の食糧にプラスして、そしてなかなか——これはできるだけやりますぞ。だけれども、草はやれる。優良なる草は自給、できるだけこれはやっていかなければならぬ、またそれが必要なんでありますから、そういう点についてはこれは自給でいくというので、こまかくそれぞれの物資に当ててみますというとそういうことになりまするが、いま一面、日本でできないものが国内的に所得の向上につれて入ってくるというものがあったり、それから濃厚飼料はどうしても畜産の発達上補給せざるを得ないということがあったり、そういうことがありまするので、それらを総合して、そしてまあ八〇%は落ちないようにしよう、こういうことでございます。部分的に見るとそういうことに相なるわけでございます。
○渡辺勘吉君 それではよく詰めて伺うと、結局、三十九年に落ち込んだ八〇%というものは、今後は断じてこれを維持していく、白書にもまあそう書いてありますから、そのとおりあらためて確認をいたします。特に大臣が強調された農産物の王座を占める米について見ますと、減収にはいろいろな理由があるようだが、白書にも指摘しておりますように、十アール当たりの収量が逐年低下をしてきておる。三十七年は四百七キログラムであったのが三十八年は四百キログラムに落ち、翌三十九年は三百九十六キログラムに低下し、四十年には三百九十キログラムに低下をしておる。これにはいろいろな荒らしづくりその他の理由がありましょうが、こういう十アール当たりの収量が逐年とにかく低下をしておる。こういうものを一体どういうふうに上向きにし、四百十キロにし、四百二十キロにして反当収量を上げるということがまた米の自給度を高める大きなこれは政策課題だと思う。これをどういうふうに一体手を加えて、いままで低下してきておるのだから、これをまた低下をとめて向上させるには、従来の惰政ではこれはもう低下一方だと思う。若いエネルギッシュな労働力は逐年低下をしておる。経済不況によって老年層が還流をし始めておる。こういう経済の不況の中に、今後もかなりおくれて農村は影響する段階で、この問題はやはり大きく取っ組んでいかなければならない問題だと思うのですが、その点は、いま自給度を八〇%に維持するということも大きな問題の一つだと思うのですが、それは大臣自身大所高所から一体どういうふうな大きな施策をお持ちですか。
○国務大臣(坂田英一君) ごもっともな御指摘であります。私はときどき申しておるのでございますが、やっぱり大所高所でいきますと、現在の日本は、これは米は別として、全体を通じてでありますが、やはり一人当たり生産性が非常に落ちておる、こういうこと。土地当たり生産性は非常に高い、そういうことでございまするので、やはり労働生産性を上げるということが相当重要であるとは思いますけれども、労働生産性を上げることに熱心であるがゆえに土地生産性を無視していいかというと、そうではないのでありまして、それはいま渡辺委員が指摘されたとおり。私も労働生産性の問題に努力をすると同時に、やはり土地生産性を強く上げてまいりたいということでございます。二つ一緒にやれぬことは絶対ないと、こう思っておるわけでございます。そこで、この土地生産性、それから労働生産性を通じて申し上げまするならば——米についての話でございますが、たとえば長期地盤整備の問題、この大計画にいたしましても、やはり一面は土地生産性をねらっておる、しかし、一面は労働生産性をねらっている。これはまあ専門家の皆さんにあまり長く言うまでもないことで、圃場整備なりすべてのことによって非常に労力を節約して生産ができる、そういう意味において労働生産性を非常に上げる、と同時に、これは土地生産性を非常に上げる、こういうふうに私は見ておるし、また事実そのとおりでございます。で、それに加うるに——これだけではもちろんいけませんので、土壌の問題でありますが、これはやはり土壌改良というのは土地改良の一つと見ていいわけでございまするが、本質は違うと思うんです。——違うんじゃない、一緒だけれども、また綿密に土壌改良はやるということだろうと思います。で、私は、現在のような、へたに耕作だけをやっておるのを見ると、また、そこへ有機質を入れずに——有機質を入れることが少なくなっておる農業を見ると、いまは反収を上げておるけれども、三、四年後には生産力を——非常に土地生産力を落とすんじゃないかと心配をいたしておるわけでございますが、そういう意味から土壌問題、土地力保全の問題ということについて今度の予算にも、金額は大きくはありませんが、相当考慮を加えておるわけでございます。それからなお、従来のいろいろの品種改良、と言うと古いように思われますけれども、何と申しましてもこれはえらいもんで、私どもが冷害対策として陸羽百三十二号なんというのを私らの若い時分にはたいへんなもんじゃと思ったのが、いま見ると見る影もなく、別の進歩したものにかわっておるということから見て、非常にこれは重要——大問題であるし、いろいろな問題でございます。特に水田でありますから、水管理の合理化という問題についても特別にことしは予算も見ていこうということでございます。よく御存じの方々にあまり長く申してもかえって恐縮でありますので、それぞれなお加えて増産の問題については努力を払っております。なお、ついででございますが、東北の皆さんにはこんど、天明以来の凶作になるんじゃないかという御心配があって、非常に去年の三、四月ごろから問題が大きかったわけでありますが、農林省も県も、また農村の皆さん方が非常に協力一致して、一体となってこの問題を防いでもらったというか、冷害を克服していただいたように思うんで、私はいつも感激いたしておるのでございます。それから、なお気合いを一つ加えることによって非常に増産がいけるという一つの生きた事実として、佐賀県の新佐賀段階増産運動というのを一昨年以来やっておりましたが、もちろんこれは気候の関係もありましょうが、それが奏功いたしまして、非常に反収が落ちておった佐賀県が第一位にことし相なりましたということもありますので、力を加えてまいりたいと思います。
○渡辺勘吉君 これは大臣ではなしに、政府委員のどなたかにお尋ねをすることでありますが、大臣が触れられました農産物の自給率というものは、白書でも言うておりますように価値計算で出している。これをカロリーで計算した場合、あるいは数量で計算した場合は、一体三十九年度はどうなっているのか、この点を参考までにわかっておれば伺いたいのであります。
○国務大臣(坂田英一君) カロリーで計算いたしましたのは、後ほど詳細は説明をさせますけれども、七六%程度になるのじゃないかと思っております。なおその点については説明させます。
○政府委員(大口駿一君) 先ほど来八〇%という自給度の数字があげられておりますが、これはただいま渡辺委員御指摘のように、価格計算をいたしまして、農産物の総供給量で国内に生産をされる農産物からえさの輸入量を差し引いたものを割り算をして出したものでございまして、いわゆる価値計算による自給度でございまして、これが三十九年度に七九・八、約八〇という数字になっております。それからカロリー計算、これはやり方といたしましては、それぞれの種類別のカロリーを掛けまして試算をしたものでございますが、これでやりますと、いま大臣がお話しになりましたように、三十九年度の八〇というのがわれわれの計算では七六くらいになります。
○渡辺勘吉君 数量では。
○政府委員(大口駿一君) 数量でというのは、トン数か何かでやるわけでございますか——。数量のやつはちょっと……全部足し算をして総合で見ることがあまり意味ないので、品目別に見た計算は私のほうはいたしておりますが、それを申し上げますと、実はこの間発表いたしました白書の六九ページに品目別が全部載っておりまするので、時間の関係もありますと思いますので、省略をいたします。
○渡辺勘吉君 意見としては、この農産物全体の自給率を八〇%に維持するということには、私はまあ社会党の立場としては異論を申し上げておきます。ただ、大臣の言われましたように、八〇%を維持するという場合でも、かなりこれは精力的に、ということは精神的なことは別として、限られた国の予算なり、あるいは財政投融資をもっとつぎ込まなければ、維持すらこれは絵にかいたもちであるということについて伺いたいのであります。というのは、三木武夫氏が主宰している中央政策研究所で発表しました資料でありますから、これは佐藤内閣の枢要な地位にある方の主宰する研究発表でありますから、そのものをまあそのまま私は取り上げてみたいと思うのでありますが、昭和四十五年度を目途として、自給率農産物を八〇%に維持するためには、今後一体幾ばくの資本投下を必要とするであろうかということで計算をしますと、償却を別として、労働力が現在程度の流出状態であると仮定して、そういう前提の計算でありますが、四十五年までに、五カ年間に約三兆円の追加支出を必要とするという計算を出しております。五カ年間に三兆円でありますから、その中に農業内部の資本を約半分これに振り向けたといたしましても、財政支出は毎年三千億円を下らない、そういう一つの計算からいたしますと、ことしの財政投融資計画で、農林漁業金融公庫は、まあ大体一千億、こういうようなことで、はたして八〇%を維持するということができるのかどうか、私はこれを計数を踏まえて明確に御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) この中央政策研究所の発表というものによりますと、この自給率の計算は、オリジナルカロリー、たとえば畜産物一〇〇%をつくるのに、えさでいうと、それに必要なものが五、六倍必要であります。つまり畜物産の百カロリーを国内で自給するときには六百カロリー要る。こういう計算の上に立ったところのいわゆるオリジナルカロリーの試算であると存じます。この試算でいきますと、確かにこれは八〇%どころか四五%か五〇%かという程度に計算がなるんだろうと思います。で、私のいま申し上げますることはそれではないので、ありのままの、あらわれた、いわゆる自給率ということをいま申して八〇%ということで、だからオリジナルカロリーという点からの計算でいけば、それを八〇%に維持するということは、これは容易ならざる問題だと思う。しかし、できればそれはそれにこしたことはもちろんないのであって、その意味においては、中央研究所の発表というものは、飼料の、特に濃厚飼料を含めて、オリジナルカロリーで相当の自給率を高めるということは、また、維持していくということは非常に困難であるということを指摘してくれた意味においては効果のある発表だと思います。そういうふうに私理解をいたします。
○渡辺勘吉君 どうも、こんな枝葉に入るつもりはないんですけれども、いま日本の土地から幾ばくのオリジナルカロリーを生産するかというカロリー計算で八〇%を維持するにはと、そこを、私の質問とオリジナルカロリーを採用したということとすり違えた御答弁だと思うのであります。もとより政策研究所では、オリジナルカロリーを日本の土地から幾ばく生産するかというカロリー計算でいけば、農業生産の伸びを従来どおりの伸びとして今後見れば、価値計算では七〇%、いいですか、政府がいまいっている八〇%といういわゆる価格で計算した価値計算では七〇%、カロリーでは六〇%と見ておる、昭和四十五年に、それを八〇%というものを維持するには、これは価値計算でいっているわけですよ。したがって、大臣が先ほど答弁したような八〇%と同じベースで、これは私は伺っているのであります。そういう価値計算で八〇%というものを維持するためには、今後五カ年に三兆円の総資本の投下が必要であると言うておる。この計算が間違いであればお教えを願いたいが、私は、三木さんという自民党でもそうそうたる責任の地位に立たれる方の研究機関の発表ですから、すなおに三兆円と見て、その中に農業内部の資本を半分見たとしても、社会資本の投下が毎年毎年少なくとも三千億円を要すると言うておる。八〇%を価値計算で自給率を維持するために、それにこたえるために、四十一年度の一体財政投資はどれだけかといえば三分の一程度じゃないか、ということを中心としてお尋ねをしておるわけであります。で、これは私の質問からは少しそれましたから、この問題はこの程度にして、次に進みたいと思うのでありますが、まず、維持することは、私は維持することさえ容易じゃないんじゃないか。八〇%に維持することには、私は基本的にはこれは異論がある。もっとこれは国内で必要とする農畜産物で、水産物まで入れて、日本の農山漁民の手によってまかなわれる、そういう生産の条件にあっているものについては、もちろん一〇〇%などということはこれは空論でありますけれども、少なくとも八〇%を上回るということがわが国農政の基本の柱として示されて、それをサポートするいろいろな各般の施策が出てまいりませんと、私はいまのような農村の、冒頭に申し上げましたようなダークエモーションというものは、これは払拭されないということを言いたいのでありますが、これは議論になりますから控えます、これ以上は。そして大臣が言うような、八〇%を維持することも、従来の傾向から見れば、これはこのままでは、いわゆる惰政では、これは解決はできない。ますます政府が公約したことはうそになる。従来も結果的にはうそをついてきたことになっておる。ここでやはり考えなければならぬのは、もっと抽象的な話から具体的に、私は四十一年度の農林予算なり財政投資について若干触れてお尋ねをいたすつもりでありますが、その前に、過般、これは十六日の新聞に出ておりますが、米についてはとにかく九六%程度である、三十九年は。これは白書にも出ておる。これをもっと自給率を高めたい。私もこれは全く同感であります。しかるに、十六日分新聞では、外務省の構想として、長期契約を東南アジア、特にタイ、ビルマ、カンボジャ、戦火が終えんすれば南ベトナムというものと、日本の国民の嗜好に適する品種の技術指導、栽培指導等をやって、長期契約を結んで、日本の米不足というものを恒久的にひとつサポートしようという外務省構想が発表されたのでありますが、先ほどの大臣の意欲的な構想からいえば、これは一体どういうふうに大臣の先刻のお考えからいえば対処をされるのでありましょうか。この点をかなり不安を持っておる国民の前に、これは明らかにしてほしいと思う。
○国務大臣(坂田英一君) いまの問題については、私は外務省から何も聞いておりませんし、また、東南アジアのいろいろな問題も、農業技術の協力の問題については従来とも話はありますけれども、その問題については全然聞いておりません。
○政府委員(大口駿一君) いまの渡辺委員のお話しの問題は、公式の話として外務省から何も聞いておりませんことはいま大臣がおっしゃったとおりでありますが、新聞がどういうことを根拠に出したか、私も詳しくは存じませんけれども、私の仄聞するところによりますれば、近く開催の予定になっておりまする東南アジア諸国の閣僚会議の際に、どのような問題を議論すべきであるかというようなことを、外務省を中心に各経済官庁が集まりまして、事務的な段階でいろいろと討議をしている中で、全くのしろうとからの発想として、一体東南アジアに日本国民が食べるのに適したような米の品種の技術指導ができるものか、もしそれができた場合には長期契約等が可能なんだろうかというような話が出たことは出ただろうと思います。もちろん、私のほうは公式の話ではございませんけれども、一つの長期的な宿題として、農林省の部内で技術者がその問題の可能性について研究をしておりまするが、いま大臣が申されましたように公式の話は、外務省から農林省にそういう問題についての具体的な研究を早急にするような趣旨ではまだ何もございません。
○渡辺勘吉君 これはまあ正式にはもちろん話はないという前提で記事は出ているわけですね。大蔵、農林等にも折衝したいと、外務省のどっからか出ておる。それで、私はこれについて貴重な時間をさいて伺いますのは、わが国がIMF八条国移行の際に、政府が出した態度というものがこれは関連して気になるわけです。というのは、あの中には明らかに、国際分業の立場というものを政府が声明の中でうたっておる。日本からは重工業製品を輸出し、バーターとしてそれらから不足な農産物を輸入する、こういういわゆるIMF八条国移行に伴っての国際分業という政府側の発表がこれにつながる私は思想だと理解するからお尋ねをするわけであります。また、日本人が日常消費に値する準内地米が日本の品種と日本の技術指導でできるかということもまだ未知数なはずであります。そういう点について一体農林大臣は、相談あるなしは別として、基本的に主食の自給率を一そう高めなければならぬという大きな農政の柱の上に立って、これをいかようにそしゃくし、現実の政策としてこれを対応されるのか、その大臣の腹のほどをこの際伺っておきたいわけです。
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、米については、私はやはりいま申されたようなことはできないので、私としては国内の自給をはかっていくということは先ほど申したとおりでございます。なお、東南アジアの技術援助ということについては非常に考えていかなければならぬということは、私としても人後に落ちないのでございます。と申しますのは、これもおととしでございましたか、貿易会議がありましたときに、あそこの事務局長の参考の大きな資料として出ておりましたものを見ますと、東南アジア全体としては、四年後でしたか、いまじゃもう近いですが、東南アジアとしては食糧全体を七十六億ドル輸入しなければならない計算になっておることを事務局長が提示しておることは、これは皆さんも御承知であろうかと思います。そういう関係でございますのを見ましても、私はやはりでき得る限り技術援助という問題に向かっては相当私ども努力を払っていきたい、こう思います。
○渡辺勘吉君 ビジョンの中の、農業生産性の向上でありますが、これは毎年耳にする政府のキャッチフレーズでありますけれども、長期展望もいまの答弁の中からは具体的にはなかなかつかみかねる内容であるようでありますから、さしあたり当面は、四十一年度の予算というものの中にいま言った食糧の安定的確保と農業生産性、農業従事者の所得向上、農村の環境整備の問題というものを若干含めてお尋ねをいたしたいのでありますが、この四十一年度の現在国会に出しておられる予算案というものの考え方というものは、十二月の二十七日に発表した四十一年度の経済見通しと運営態度を閣議決定した、これにまあその性格があらわれていると思うのであります。この四十一年度の経済見通しというのは、かなり意欲的な性格を予算を通じて内容としてその見通しを立てているということでありますから、当然四十一年度の経済見通しというものが、これからの一年間を少なくとも支配する政府の構想であると理解をするわけであります。それで見ますと、国民総生産の実質伸びはあらゆる機会に使われているように七・五%アップである、四十年に比べて。それから名目では一一・三%の伸びをみる、こういうことであります。国民所得の中で農林水産の生産は前年に比べて三・一%の伸びをみている。鉱工業生産の伸びは八%の伸びをみている。そうしますと、この生産の向上というものは三・一%向上するとしても、鉱工業生産の伸び八%に比べてさらにその伸びというものの格差は解消できない、こういうふうなことで、大臣は、ビジョンとして掲げる農業生産というものの向上が相対的に見てこれは低下するという政府の経済見通しというものを、閣僚としてもこれは確認しているわけであります。はなはだこれはどうも全体からみて私は農業の生産の伸びというものが少な過ぎると思うのであります。いや、少なくないのだということであれば、その少なくないということをこの際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(坂田英一君) 農林水産物の生産見通しにつきましては、これはやはり天候と自然条件に左右されるところが大きいのでありますが、需要の強い、たとえば畜産物、果実、野菜等の生産においては、これは相当伸びておるわけでございます。全体としては農業のほうの四十年の伸びは一・六という伸びでございます。これは天候事情が非常に大きいということでございます。それから四十一年度は、これはこれからでございまするが、このままで行きますると、一応は三・五%という伸びになる、こういう予想でございます。
○渡辺勘吉君 いや、三・一%なんですよ。政府の発表は、前年に比べて、四十年に比べて農業生産の伸びは三・一%だ、鉱工業生産は八%だと、こんなことで大臣がビジョンと称する農業生産性の向上というものに値するのかということを伺っているわけです。
○国務大臣(坂田英一君) これは農業の面を申したので、これは三・五%、しかし、農林水産全体を入れますると三・一と、こう申し上げたとおりでございます。
○政府委員(大口駿一君) ただいまの問題、ちょっと私のほうから補足的に申し上げたいと思いますが、ただいま渡辺委員が御指摘になりまするように、農業生産の伸びを四十一年経済見通しで、総合で三・一と見ておりますが、その中で特に現在問題になっております農業は御承知のように三・五でございますが、これは最近の実績の伸びと比べてみますると、たとえば三十九年から四十年には一・六しか伸びておらない。それから三十八年から三十九年は五%という高い伸びを示しておりますが、これは実はその前の年の三十八年が天候の関係で、二%逆に前年から落ちました関係で、それを取り返したために五という高い数字が出たわけでありまするので、やはりそれらの事情を勘案いたしますると、この三・五の伸びと見込んでおりまする四十一年の見通しというものは、私どもからいたしましても相当意欲的な数字というふうに考えておりまするので、先ほど来御指摘になっておりまするように、こんな程度のことで一体いいのかということにつきましては、最近の二、三年の率との比較を中心に補足して御説明をさせていただいた次第でございます。
○渡辺勘吉君 その具体的な点に問題があるわけでありますが、いずれにしても、私は素朴に政府の発表を見て伺っているわけで、農林水産の伸びが三・一%で、鉱工業生産の伸びが八%だと、こんなことじゃ農業というものの生産性の向上というものは、それ自体の絶対的な伸びは確かにあるわけですけれども、総体的な国民総生産の中に占める割合というもの、そういうものが従来低減の傾向をたどっておって、これこそやはり惰政のしからしむる趨勢じゃないかというふうに思うから伺ったわけであります。 それで、これは質問をしても思うように御答弁がいただけないと思うから、私なりに一つの例を申し上げますと、大臣その他あまり好きじゃないソ連のことでありますけれども、ソ連では、従来の七カ年計画の反省の上に立って新たに経済新五カ年計画案なるものを発表しておる。で、従来の鉱工業の伸びと農業の生産の伸びというものがあまりにアンバランスであるという反省の上に立って、今後五カ年間に鉱工業生産の伸び五〇%と同じ伸びを農業に、これを経済の目標としてとらえて、それに対するいろいろな施策を盛り込む、そうして穀物生産に野心的な一つの方向づけを出しておるわけであります。国の政体その他が違うとはいえ、私は、これだけの勇気がやはりソ連にもあるわけでありますから、わが国でもこういう従来の惰政を追っていったのではどうにもならない袋小路に入っている現在、もう少し前向きに明るい一つの経済の見通しというものが農業になければならぬのじゃないか。数字のとり方その他はいろいろあるかもしれませんが、はだで感じる現実の姿というものは、こういう統計の示す以上にきびしい現実である。したがって、私は具体的にこの問題を解くかぎとして、四十一年度の農林予算なり、過般、大臣が説明された付属資料を中心として、およその点をお伺いをいたしたいのであります。 一体、佐藤内閣における農政の位置づけというものは那辺にあるか。これは経済見通しにおけるいまの問題もさることながら、私は具体的に裏づけとなる予算なり予算の使い方なり、あるいは一つのワクの中における財政投融資の計画なりというものが論より証拠で、これは厳密に四十一年度の農業というものを拘束する内容だと思うのであります。確かに予算の金額は四千五百八十四億ですか、膨大になっておる。これは私は当然認めるにやぶさかではないのでありますけれども、しかしながら、考えてみますと、四十一年度の予算というのはわれわれの理解するようにフィスカルポリシーとして従来の予算の性格を変えて、財政政策を従来のあり方から変えて、そうしてこれを大きな不況打破あるいは生産性——農業、中小企業、サービス業の低生産性の向上というものにスポットライトを当てるという政策金融に転換をしておる。そういう点から見たなら、私はこんな四千五百億程度のものでは、マクロ的に見ていけば、私はこんなことではフィスカルポリシーは農業政策にはスポットが当たっていない、こういうふうに私は指摘せざるを得ないのであります。せっかく大臣を中心として各役所の諸君が努力をされて確保された努力のあとは、これは尊重するにやぶさかではありませんけれども、遺憾ながらその予算が確定するに至った経過というものは、従来の農林予算の惰政の上に立って組まれたというにすぎない。繰り返しますが、フィスカルポリシーであるならばなぜこの機会に、佐藤総理も所信表明で言うておるように、農業生産性の向上こそが消費者物価を規制する基本課題の一つであるというふうに言うておるこの機会に、もっと大胆に四十一年度予算を政府みずからが——農林大臣が血道を上げて努力するということではなしに、佐藤内閣全体の中で私はこの農林予算というものが組まるべきものではなかったかと思うのであります。しかし、まあ非常に努力をされたというその努力は私はわかるのですよ。すなおにそれは感謝もし、敬意を表しますけれども、大局的に見たならばこういう予算の内容では私は、農政ではなくて惰政であると米価審議会で、ある委員が言うたことはやはりそのままちょうだいしなければならぬじゃないか。要するに、総花的で羅列的で、従来の項目を踏襲し——何か一体佐藤内閣の、新しい農業に希望を与えるビジョンが出ましたか。私はそれを数字の上で総括的に伺っていきたいと思うのであります。 全体の比率は、食管会計の不足額なり災害の分を含めても全体の予算の一〇・六%であります。しかしながら、三十六年に農業基本法ができたときは、たしか全体の一〇・九%であったはずであります。西ドイツが農業基本法を制定した一九五五年は、その翌年には農林関係予算は二倍にふえておる。翌年一九五七年には二・五倍にふえておる外国の話は別としても、昭和二十八年に当初予算は全体予算の一四・四%、あの年は冷害、風水害等があって補正予算を組んだ結果、全体の一六・六%である。あのときと比べて今日は比較にならないほどきびしい状態に農村は置かれておる、農業は置かれておる。そういうときに、私は一割台を多少こえたとかいうことで喜んでいられない。そういう予算の個々のケースの中に入れば、幾らかでもまあこれは予算がついたということで愁眉を開くわけでありますが、全体を見失っていはしないかということを、私は苦言を呈したいのであります。これは一体どういうふうに理解していいだろうかどうかということ、兼業化が進み、若い労働力がどんどん流出をする。経済の不況で還流するのは、中高年齢層がいま還流しつつある。昔のように経済不況によって農村は次三男対策という問題は出てこないでしょう。しかしながら、潜在失業者は中高年齢層にあらわれはじめておる。出かせぎによって家庭生活が破壊されておる。これは全国的な傾向でなくて、特に東北でしょうけれども、そういう状態の中で生産性の高い農業を築くべき国民経済の中における農業のあり方というものは、まあマクロ的に見れば、こういう四千五百八十億程度では、これは済まされぬきびしい事態ではないかというふうに考えるのであります。 それで、時間がありませんから続いて財政投融資の関係を見ましても、これもずいぶんと大臣を中心として農林当局が御努力をされて確保をされたことでありましょう。いただいた資料の六ページの財政投融資資金計画は、これは農林漁業関係と見ていいでしょう、全体は。だとすれば、四十一年度は一千三百五十三億、全体が二兆二百七十三億ですから、二兆二百七十三億の中に、このいわゆる社会資本の占める割合というものは、わずか六・六%である。四十年はどうかといえば、四十年は一兆六千二百六億の中で一千百三十九億だから、これは七%。絶対額は伸びておりますけれども、その中に占める農林漁業関係の財政投融資というものは〇・四%も低下しているのではないですか、それからもう一つは、去年の全体の財政投融資の規模が一兆六千二百六億円に対して四十一年度は二兆二百七十三億ですから、その資金の全体の伸びは二五・一%になっております。ところが、四十年度の農林漁業関係の財政投資が一千百三十九億で四十一年度が一千三百五十三億ですから、この農林漁業財政投資のワクというものの伸びがわずか一八・七%に過ぎない。この点から見ても、なぜこういう財政投資に対してもっと政府は意を尽さないのか、予算と財政投資について、私はそういうふうにいただいた資料を、ただそのまま読めば、そういうふうに理解するわけであります。これで一体生産性向上とか、格差の解消とは言わんでしょう、最近は。格差を縮小するということでしょうね。解消ということは、これは無責任なことばであって、解消なんということは現実には不可能に近い。だけども、縮小するということすらこれでは可能じゃないじゃないですか。たとえばこの四千五百八十五億というものを、これもこの表にもありますように食管繰り入れなり、災害復旧を除いた総予算から見れば、これは三千三十六億にしか過ぎない。これで見ますと全体に占める割合は七%にすぎない。私は、食管繰り入れの一つの数字の性格というものは社会政策的な性格を持つものであると思いますから、これは農林予算に入れようが入れまいが除外して計算すべきものだと思うのです。そういうことは別として、これらを除いた場合は七%、全部突っ込んでどんぶり勘定で見ても全体に占める割合は一〇・六%、廣川弘禪さんが大臣をしたときは、当初予算が全体では一四・四%だった。あのときよりもきびしいですよ、いまの農業情勢は。せめて一四・四%という大ワクを確保したならば少なくともそれで千六百億程度は、これはまだとるべき当然の予算ワクではないのですか。社会党は政権の座にないから無責任なことを言うというそしりを受けないために、私は自民党内閣の一つの経過の中で、具体的な例をとって大臣に尋ねているのですよ。あの昭和二十八年と昭和四十一年とでは比べにならぬでしょう、国民経済自体の中に占める農業の事態、追い込まれている事態というものは。二千億やその程度は、もっとこれはふやす必要があるのじゃないか。何にふやすかというあるいは意見もあるでしょう。私は後ほど伺いますところの、これこそは何でもほしい現在でありますけれども、最も重要なこれらの必要なものというものは、農業生産基盤の整備にもっと重点的に予算が充てられるべきものであるという意見を持っておるのであります。これは後ほど具体的なお尋ねの中に触れますけれども、こういう内容で冒頭にお話があった食糧確保、安定的確保、農業生産性の向上、農村の社会環境、福祉厚生の向上ということが一体できますかどうですか、農政ですが、これは惰政だと米価審議会で言うたある委員、これは大臣お気に入りの委員の一人であります。決して野党的な性格を持った委員じゃない。その委員が米価審議会で惰政だと言っている。手探りの農政だと朝日新聞でも言うておる。ことにあかりをともして国民に、農民に希望を与えるこれは予算であるかということを私は伺いたい。
○国務大臣(坂田英一君) 渡辺委員の、農業に非常な熱情を持っておられるために強い主張を持っておられることでありまして、その点については敬意を表するわけでございますが、今度の農林関係の予算にいたしましても、全体の経費の伸びが一七・九%の伸びに対して、農林関係は二三・九%の伸びを示しておるという関係でありまするが、いろいろ御批判は自由でありまするけれども、よくその内容を見ていただきますると、今日の行政に即応して、冒頭に申し上げました三つのあかるみを土台にいたしまして、それらについてこまやかな点にまで触れて予算が編成されておりまするのでございます。これらについてはいま事務当局のほうから逐一御説明申し上げたいと思います。 それから、資金の投融資の面につきましては、全体として一二九%、いわゆる二九%の伸びに対して農業の関係は一一九、これは御指摘のとおり伸びはこのほうが少ないのでございます。しかし、今度の農業の関係の資金の問題についていろいろ問題があります。そのうちでも資金の消化状況が昨年の消化の状態から見てそうふやしがたい一部状況もある。そこで、今度はそれらの問題をやはり打破していこうということで努力して、一九%の伸びをみておる。どこに問題があるかというと、いわゆる近代化資金の問題にいたしましても一つの例でございますが、信用保険制度の面で大体八〇%の保証をすることになっておりますが、そうすると、なかなか借りられないという形があるのです。それはよくおわかりだろうと思う。そこで、これらに対して一〇〇%を原則として——中にはそうはいかぬものもあるでしょうけれども、一〇〇%の、信用保険を再保険するような形を、これは実現する必要がある。そうして、これまた一面非常に伸びるというものがある。それから使途の面についてもいろいろ改正を加えるべき面がありまするので、そういう面に相当力を尽くしたつもりであります。それにあわせて融資もふやしていこう、こういうことでございます。それらの点についても詳細いま事務当局のほうから答弁させたいと思います。
○渡辺勘吉君 詳細はいいです。これはいずれ金融関係の法律も出るのですから、そのときに詳細は伺いまして、きょうはひとつおおよそのところで伺いますが、一八・七%上がったことは、その御労苦を多とするのですが、ただ、私は欲目で言うておると言われればそれまでですけれども、非常に心配をする一人として指摘せざるを得ないわけです。たとえば住宅関係の財政投資は四九・一%伸びております、去年に比べて。それから国鉄では二〇%伸びております。中小企業は二〇%、開発関係三二・一%、道路が三一、五%、電電関係が二六・一%、それぞれ前年より伸びているのに、農業の財政投資が一八・七%では、これは経済見通しとして言っておることも、また内容としても非常に少ないのじゃないかということです。いまよそに比較して、この一年間の伸び率を取り上げたつもりであるが、大体年間七万ヘクタールの農地が流動しているのです。十アールかりに二十万とすれば、これだけでも一千四百億の資金が要るはずでございます。そういうふうにこれは長期低利の資金を要する。そういう場合に、一体そういう措置を講じないで、農地管理事業団を赤城農政以来の大きなことしの農政として、政府では非常に重要視されている。私はその取り上げ方は本末転倒をしておるのじゃないかというふうに思うわけです。年々数千億円の資金と数百万人の労働力を流出して、日本の高度経済成長政策をささえてきたのは何かと言えば、これは結局農村でしょう。そうしたその結果出てきたものは何かというと、食糧の生産の停滞であり、農産物と林産物と、水産物を入れれば二十六億ドルもの外貨を支払って輸入しなければ、これらの国内の需要に充てることができない。これが高度経済成長に協力した農村の実態でしょう。社会勘定で見ましても、三十九年度で農家側が四百億円の対政府支払い超過を示しておる。そういう点から考えるならば、私はこの高度経済成長政策の反省の上に立って大きなフィスカルポリシーを掲げる四十一年度の予算の性格としてはいただけないと、こういうことをこの予算の中に現実の姿として読みとらざるを得ないわけでございます。その点は、大臣はいかようにお考えになっておるかお伺いしたい。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど申したとおりに、やはり相当今度はその点を、十分とはいかぬにしても、かなり加味いたしまして、できる限りの努力を払い、そうしてその結果として、先ほど申し上げましたように、全般の伸び、一七・九%の伸びであるけれども、農林関係に対しては二三・九%の伸びという方向に持っていくと、資金関係につきましても、先ほど申し上げましたように、もっと伸ばし得るし、伸ばしたいのであります。が、むしろ資金の消化状況から申しまして、その消化の可能な方面のその操作が特に必要であるというので、その面に特に力が入っておるというところを御了承願いたいのであります。もちろんこれで十分だということは、それは言い得ないでありましょうけれども、農業問題はそう一時に解決し得る性格でもない、こう思いまするので、たとえば基盤整備にしても、先ほどお話しのとおり非常に重要であることは、私も御指摘のとおり、そう思っております。しかし、これを短期にやり通すということには多少無理があるので、したがって、十年計画で二兆六千億を事業費としてやるということの計画を今度完成しているわけでございますが、これにいたしましても、従来の計画、過去における実績というものと比較すると、やはり二倍程度の進捗状態になると思うのであります。 なお、急速にそれをやるという点については、渡辺委員の御主張どおりそれができればそれでけっこうですけれども、なかなかそう無理押しもできない、そういういろいろな点がございますので、できれば早いほうがいいと思うけれども、そういう点から見て、やはり相当程度の時をかしていくというところへ持っていきたい、こういうふうに考えております。
○渡辺勘吉君 少しこだわるのですけれども、なかなか消化が不十分な点もこれありという御答弁ですけれども、私は、その不消化にもいろいろな理由があると思うのであります。たとえばいまの制度金融にしても、あるいは組合金融から出しているところの——大臣が具体的に触れられた農業近代化資金にしても、ああいう融資条件のああいう金利で、償還期限では十分な機能を発揮できないわけです。今度四十一年から六分五厘を六分に切り下げましたけれども、私は、最近仙台で旅館に泊ったところ、そこにちょっとなれないような女中さんが、部屋の当番に来たのですが、いろいろ、めしを食いながら聞いたら、農家のおかみさんで、農業近代化資金で借金をしてどうにもならなくなって、自分は、うちにはどこかの事務所につとめていることにして、一週間目ずつに日曜日帰って、実は女中をしているのだ、その話の中に、農業近代化資金というもののうらみつらみを一晩聞かされたのであります、最近。で、これは組合金融に対する政府あるいは県の利子補給で六分五厘、今度は六分であります。償還期限が短過ぎる。金利が高い。これではペイしないということで、そういう一つの哀話が出ているわけであります。もっとこれは制度金融自体にしても、政府の財政資金というものから長期低利にしていかなければ、これは採算が合わない実態は、これは大臣はよくおわかりのはずであります。そういう条件でありますから、あるいは消化が不十分だということにもなってくる。たとえば学校給食の問題一つとっても、なかなかどうもことしの予定どおり学校給食が進まない。なぜかと言えば、やはり補助単価が五円である、そういうところに問題がある、しわ寄せが父兄に出ている。したがって、これは補助単価を増さなければ四十一年度の百万石ということも、これも消化できないことを財政当局は読みとって、案外これは簡単に百万石にしたはずであります。ですから、これはもっといろいろな問題について手厚いやはり条件というものを農家が喜んで借りるかは別として、十分採算がとれて、返す条件が無理なく返せるような条件というものをつくらなければ、私は、消化不良というものは基本的には解決しないと思うのであります。 それで、こんなことをいろいろ伺っていると時間がたつばかりでありますから次に移りますが、いま大臣は、土地整備について二兆六千億円で基盤整備をやるんだというお説があったのでありますが、これは昭和四十年から四十九年までの十カ年で基盤整備をやるのに二兆六千億ということなんですね。ところが、これは一体、農林省でも実態を調査されて、そうして出てきた長期計画だと思うのでありますが、たとえば補助整備について伺いますと、私は、これは本会議で大蔵大臣に特に尋ねたが、非常に不徹底だからこの際明らかにするために伺うのでありますが、補助整備農地の水田だけをとってみましても、水田全体が三百四十三万ヘクタールです。その三百四十三万ヘクタールの水田のうちで区画整理を必要とするのは約二百万ヘクタールです。この二百万ヘクタールを四十年を初年度として四十九年までの十カ年で整備を完了するということですか。
○国務大臣(坂田英一君) この補助整備関係全体を申し上げますると、水田が三百万町歩、それから畑が百九十万町歩、こういたしまして、その水田のうち区画整理を伴うものとしては二百万町歩、こういうものを予定しておる。それから区画整理を伴わないものが百万町歩、合計三百万町歩、こう見た。その区画整理を伴わないのは、御承知のとおり傾斜が高い、いろいろな自然条件のむずかしい問題のあるやつであります。そこで、この二百万町歩のうちで八十五万町歩十年間にやろうと、こういう計画でございます。それからついでに申しますが、区画整理を伴わない百万町歩については、四十三万町歩というものを十年間にやると、こういうことで、これは水田についてはさようなことに相なっておるわけでございます。
○渡辺勘吉君 それではこまかく伺いますと、水田の区画整理の必要なものは約二百万ヘクタール、その二百万ヘクタールのうち八十五万ヘクタールだけをやるということですか。
○国務大臣(坂田英一君) これは十年間に八十五万町歩ということでございます。
○渡辺勘吉君 あとの残ったものは昭和五十年から何年でやるということですか。
○国務大臣(坂田英一君) これは十カ年計画ですから、十カ年計画を考えておるのでありまして、これは十カ年後の問題というものはこの計画以外になるわけであります。
○渡辺勘吉君 いや計画外だが、こういうことでないですか。まあ間違ったらこれはひとつ教えていただきますが、水田の区画整理を必要とする既存耕地が二百万ヘクタールあるのだと、その二百万ヘクタールのうちの半分の百万ヘクタールを十カ年計画で対象にするのだと、そのうち補助事業と非補助事業が四分の一と四分の三の割合であるのだと、また農道、かん排水その他の補助整備も百万ヘクタール、農地の半分についてやるのだと、こういうことじゃないですか。
○国務大臣(坂田英一君) もちろんこの中には、従来ともこの整理なり土地改良をやっておりまするから、その関係も見なければいけませんが、なお詳細は農地局長から答弁させます。
○政府委員(大和田啓気君) ただいま最近二、三年の区画整理の実績を申し上げますと、年大体三万七千ないし三万八千町歩でございます。それで四十年以降十カ年で区画整理を伴う水田の補助整備は八十五万町歩でございますから、要土地改良面積として、私ども水田で区画整理を要する補助整備が二百万町歩と想定しておりますけれども、この十カ年計画の伸び率でいきますと、二十年かからないうちに要土地改良面積の二百万町歩の区画整理ができると、そういう一応計算はできるわけであります。
○渡辺勘吉君 そうしますと、十年の計画では百万ヘクタールですね。
○政府委員(大和田啓気君) 十年の計画では区画整理を要する水田の補助整備は八十五万町歩でございます。八十五万町歩のうち補助事業として六十五万町歩、融資対象事業として約二十万町歩、そういう想定をいたしております。
○渡辺勘吉君 そうしますと、残るものは百十五万ヘクタール残されているわけですか。
○政府委員(大和田啓気君) 計算上そうなります。ただ、ただいま二、三年の動きを申し上げますと、三万七、八千町歩で今後十カ年の平均が年にして八万五千町歩、最近の実績に比べれば倍以上のスピードでだんだんこう年々の面積が大きくなっていくわけでございますから、その勢いで伸ばしていけば二十年はかからないで全部の要土地改良面積が仕事が終わると、そういうふうに考えられるわけであります。
○渡辺勘吉君 そうしますと、数字から見れば、四十年を起点として水田の区画整理を必要とする絶対の面積二百万ヘクタールのうち、補助事業と非補助事業合わせて八十五万ヘクタールをやると、残りの百十五万ヘクタールですね。やっぱり数字の上からはこれはあと十年足らずで、この伸び率から見れば消化できる。これは長期計画が立てられたのですから、昭和何年までに全体の二百万ヘクタールの水田の区画整理を完成する目途で十カ年計画を立てられたのか、十何年目までに二百万ヘクタールが全部消化されるという、その目標年次は何年におかれておりますか。
○政府委員(大和田啓気君) 長期計画はあくまで四十年から四十九年まででございますから、それ以後の数字は計画というふうには申し上げられませんけれども、先ほどから申し上げておりますように三万七、八千町歩から出発して十年間八十五万で、年八万五千町歩やるというわけであります。あとの残りの百五十万町歩をし終わるのは全体で二十年かかる。しいてその僧び率で伸ばすとすれば、十八年ないし十九年ぐらいで区画整理を要する水田の面積の区画整理を伴う圃場整備ができるというふうに想定いたしております。
○渡辺勘吉君 それで、従来の伸び率で今後の伸び率をごらんになっておるようですが、従来の伸び率が非常に期待するように伸びない理由は幾多あるわけですね。端的にいえば、そのうちで一番大きいのは受益者負担の割合が実は高過ぎる。私たちはこういう基本的な生産性の向上の基本である農地の基盤整備は、本来これは国の財政と責任でまあおやりになるべきものだというたてまえをとっておりますが、しかし、これはいまの政府にそれを申し上げても直ちに採用にはまあならぬことはわかり切ったことであります。しいて従来の補助率というものを引き上げて、逆にいえば受益者の負担をもっと低下して、そうしてこれをよりスピーディーに完成をさせなければ、既存の耕地の区画整理ですら十八年ないし十九年かかるという長期展望の中で、はたして国際農業に比肩すべき日本農業の体質というものが整備された時期には、また新たなる大きな課題がおおいかぶさってくるのじゃないか、もっとこれを、まあ私からいえば、全体を十カ年でやり得るようなダイナミックなやはりこれは長期計画であるべきじゃないかという角度から伺っているんですよ。そのためには、一番この計画を短期にやるために大きな阻害要件になっているのは、政府の予算なり、あるいは財政投資のワクの規制でしょう。それさえ農業に対してもっと基本的な政策課題のとおりやるならば、私はこれは十八、九年もかかるというような、そういうゆうちょうなことではなくて済むはずであります。そこで、私は先ほど予算の際にも若干全体の考え方についてまあお尋ねをしたつもりであります。こうなると、これは農地局長にお尋ねするのじゃなくて、農林大臣に伺う。もっとこれを五年でやれとか、そんなできもしないことは申し上げませんが、かなり譲歩して考えても、昭和五十五年というものを目途にして、いわゆる十六年です。昭和五十五年に欧米の一つの水準というものを目途として、これらの圃場整備というものを急いでやるべきじゃないだろうか。そういう構想が事務当局になくて、最初から財政の規制というものをおもんぱかって、こういうゆうちょうな計画でスタートされたのだと私は思わぬが、補助率の引き上げももっと事務当局としてはかなり意欲的な考え方もおありになったんじゃないか。そういうものをさらに叱吃激励して、より積極的に取っ組むのがこれは農林大臣の最高責任者の果すべき立場じゃないか。そういう点を期待してこの土地改良長期計画についての大臣の所見を伺いたいわけです。
○国務大臣(坂田英一君) 長期計画につきましては、ただいまお話しのとおり、でき得る限り短期間にこれを完了したいという気持ちは御同様でございます。ただ、これを実行する際において、今度の十カ年計画は従来の二倍以上のものであります。したがって、現在としては、この金融というか、財政面よりもむしろ——それもありましょうが、もっと根本的には、やはりこの計画を農家自身がいろいろの相談もする必要もあるし、いろいろやる必要のあることがずいぶんあります。そういう点もありまするので、この二倍以上をやっていくということは相当のことではないか、こう考えまするのでそういう十カ年計画を立てたわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、このことは結局段々とやった実績なり、いろいろの問題がほんとうに効果をあらわしてまいりまするからして、これらの事業が大きな勢いでふえていくだろうと思うんです。拡大されていく、一年の量が多くなっていくということを期待する思想になろうと思う。そういうことであれば、農地局長からもお話をいたしましたとおり、残りの分について計画を立てておりませんのでありますから、数字的にどうということは申し上げることはできませんが、でき得る限り短期間にこれが完成するということを私も希望いたしているようなわけでございます。
○渡辺勘吉君 どうも実際は予算が問題なわけで、たとえばいまの十年のうちにやるという内容を見ましても、二兆七千五百億を要するものだったとすれば、それが一千五百億円も、何か知らぬが消えてしまっている。十年の展望ですから、その間にさらにいわゆる労賃の値上がりその他が出てくる。どう見てもこれは、このこと自体もなかなか容易じゃないと考えるわけですね。もっと短縮する方法でこれは再検討するぐらいなひとつ気持ちで、必要なものは補正予算でさらに追加をするというぐらいな、これは大臣の大所高所からの姿勢が私は望ましいわけです。たとえばこの長期計画の中に農用地の造成計画というのがある。この中に開拓あるいは干拓というものがありますが、これは四十年から今後十年に水田十三万ヘクタール、畑三十万ヘクタールというものがある。どこからこの数字が出てきたかということを推定をいたしますと、従来の農地の壊廃面積に相当するものを新しく造成するにとどまっておる。じゃないんですか。そうじゃなくて、農用地の壊廃はもっと低いんだ、したがって、新たに今後十カ年に造成するところの水田十三万ヘクタール、畑地の三十万ヘクタールは農地のつぶれを上回る面積であるということであればわかるのでありますが、その点はどうなんですか。
○政府委員(大和田啓気君) 御指摘のように、十カ年の長期計画における農用地の造成は、水田約十三万町歩、畑二十二万町歩、合わせて農地三十五万町歩、それに草地四十万町歩でございます。で、この三十五万町歩を出す過程では、最近における農地の壊廃がどの程度であるか、そして将来十カ年間で農地の壊廃がどの程度に及ぶであろうか、少なくともそれを取り返すだけの農地造成でなければいけないであろうということが一つの根拠になっていることは確かでございます。で、三十五万町歩の農地と申しますのは、年平均いたしますれば三万五千町歩でございますけれども、現在、ここ数カ年の農地の造成の実績を見ましても、大体二万町歩前後、二万町歩より少し欠けるぐらいで、やはり十カ年を展望する計画としては私ども相当意欲的なもので、実際の開拓あるいは干拓その他の動きから見ますと、これをやるためにもよほどの努力が必要であろうというふうに考えております。
○渡辺勘吉君 多少上回った面積だということですね、壊廃の予定面積よりは。
○政府委員(大和田啓気君) いま御説明いたしましたように、大体三十五万町歩程度の壊廃が予想されておるわけでございます。したがいまして、三十五万町歩の壊廃がありましても、農地で三十五万町歩は取り返すし、それに草地四十万町歩が加わると、そういうことでございます。
○渡辺勘吉君 草地は四十四万ヘクタールじゃないですか。
○政府委員(大和田啓気君) 長期計画での想定は四十万町歩でございます。
○渡辺勘吉君 それでは、その草地計画は時間があればあとで伺うとして、これは畜産の関係でまた同僚委員がお尋ねするだろうと思いますから避けますが、水田十三万ヘクタール、畑三十万ですか、というものが大体農用地の壊廃面積に相当するものだとなれば、私はここに一つの問題があると思うんです。壊廃面積は、もう共通的に言えることは熟田、熟畑ですね。で、新たに開拓をした、干拓をしたというのは、まあこれは未熟な耕地なわけです。それだけでも、私は、十アール当たりの収量というものが低下するんじゃないか。いわんや、大臣が常に情熱的におっしゃるように、食糧自給度を維持していくというためには、この点でも私はもっと意欲的な農地の造成というものの長期計画——ですから私は伺うんです。来年だけの計画ならこれはまあいいんだけれども、十カ年をかなりこれは拘束する計画であるから、私は貴重な時間をさいて伺うのでありますが、その適当な農耕地がなければ別であります。これはもう言わずとしれた、草地は別としても、水田あるいは畑地適地の原野その他があるわけですから、何倍もの面積があるわけです。ないわけにはいかぬ。これは外国の全国土に占める農耕地の割合等から見ても、まだまだわが国はこの国土の高度利用ということに国をあげての政策目標を設定してかからなければならぬと思うのです。そういうときに、どんなに説明をされようとも、いままでつぶれる程度の傾向を見て、それに見合うものを新たに造成するという現状維持的な考え方では、自給度向上はおろか、自給度の維持すらこれは容易じゃない、こう思うのです。たとえば、きょう委員会が開かれる前に、千葉県の富里の飛行場敷地の関係で、農民諸君が陳情に来ました。これは陳情を聞いてみると、三ヘクタールあるいは四ヘクタール、二・五ヘクタールの農家で二人働いて、二人の労働従事者で年間粗収入を百二十万上げておる。これは政府でいうところの、いわゆる自立経営農家を地でいっているモデル地区です。そういう優等農地を飛行場につぶそうとする、また、私の関係する東北縦貫道のことでありますが、従来は奥羽山ろくに道路を通す予定であったものが、最近では建設事務当局で、国道四号線に百メートルないし三キロぐらいの並行線でこれを通そうとしておる。そういう一つの構想がある。これは国営土地改良のまっただ中を、農耕地をつぶす計画になっておる、こういうことで一体わが国の食糧自給度の維持ができるのかどうか。大臣はまだそういうことを御存じなければ、そういうものを閣議で相談があり、あるいは事前に担当大臣から相談があったときに、どういうふうに対処されようとするのでしょうか。
○国務大臣(坂田英一君) 壊廃の土地に見合った計画になっておるということでありますが、草地を合わせまして、大体七十万町歩以上これから造成しようというものですから、見方によって違うでしょうが、私どもとしても相当意欲的なつもりではおるのでございます。もちろん適地があれば、いろいろまた考えなければならぬことでありましょうが、そういうふうにかなりの意欲的に考えておるわけでございます。それから先ほど御質問の、優良農地としての富里地区のことだと思いますが、富里地区を国際空港にする、そういうことについてどう考えるか、こういう問題であろうと思う。もちろん富里地区は蔬菜、落花生等の畑作地でございまして、私もよく存じておりますが、経営規模も大きくて、非常に安定した農村地帯であることは御存じのとおりでございます。それでこの富里地区に、新国際空港を設置するという問題でございますが、この空港についても、やはり急いでこれらの問題を決定しなければならないという事態もありますことは、これはいうまでもございませんが、私といたしましては、もちろん空港の設定そのものは急がなければならぬ。この富里の土地は、非常に個人的に考えても惜しい土地である、こういうふうなので、適当な土地があれば、別の地帯にしてもらいたいということは、強く要請はしてきたのでありまするが、適当な地帯が、土地がないと、しかし、これが必要である、適当な土地がないということであるらしいのでございます。そうなれば、この際はまたこれらについてはどういたしますかという問題について、私も苦慮いたしておる次第でございます。これらの問題についてはもちろん慎重に検討配慮さるべき問題である、こう考えておりまする次第であります。 それから道路の問題につきましては、もちろんこれは私どもは地方開発の面からいっても、国土の開発という点からいいましても、絶対道路が必要である。そうでないと、たとえば蔬菜の栽培地帯ということになりましても、やはり簡単にというと語弊がありますが、これは早く輸送のできるということ、鉄道だけにこれはまつわけにいきませんので、特に蔬菜は主としてトラックによるのが非常に多いわけでございます。そういう点からいきましても、地方開発、農業の開発という点からいっても、道路の完備というものが非常に必要であることは、これは言うまでもないと思うのであります。そういうことでありまするから、でき得る限りいい土地はつぶさぬことは必要であるけれども、もちろんやはり建設上非常な迂回をして、いい土地をつぶさなかったけれども、道は非常に迂回したということになったんでは、またこれは目標を達しないわけでございまするので、そういう点はよく建設省とも話し合いをして、そうしてこれらの道路のやはり完成ということについては努力を払っていかなければならぬかと思うのでございます。
○渡辺勘吉君 それでは、生鮮食料品についてちょっと一、二大臣にお尋ねをするのですが、今度佐藤総理以下の所信表明では、各大臣共通して取り上げるのは、消費者物価対策の一還として生鮮食料品に力を入れた云々ということが共通して出ておるわけです。で、従来の行政的な措置から見れば、確かにまあ大きな前進であることを認めるにやぶさかではないのでありますけれども、その中で私は一、二お尋ねをしたいのでありますが、たとえば、出荷調整ということを一つ考えてみます。これを考えてみて、はたしてこれだけの急増する生産団地を指定し、その体制整備を期待し、その上で出荷調整ということを自主的な農業団体に期待するかのごとく構想は見受けられるのですが、これが一体十分生産者団体の協力を得て進められる見通しで進められるのかどうかということです。それからついでに伺いますが、生鮮食料品の中でもいろいろ数があるわけですが、野菜にしぼってお尋ねをしますと、野菜でも一番私は政府で欠けているのは、種子の対策というものがどうも見当たらない。たとえば畜産の場合、自給飼料のために原々種圃を国立畜産試験場に四十二ヘクタールですか、四十年も、四十一年も原々種圃についての継続事業をやっておる。原種圃については百五十ヘクタールという原種圃を畜産試験場を通じて進めておる、継続事業でやっておる。あるいは長野ですか、あるいは宮崎、岩手の試験場には、外国の一つの種子で、牧草の系統比較栽培をさせて、それによって外国産牧草の国内適応性を明らかにして原々種圃を造成するというような——一例ですよ、大臣所管の——そういう自給飼料の種子対策というものを講じておられる。これが一体蔬菜について、どういう種子対策を四十一年度講じているか、まずその規格の統一、品種統一と、出荷調整以前の基本的問題の一つだけを私は伺います。そのほかに畑地に対するかんがいの仕事とか、農民をしぼらないように、自由にそれを使えるような融通性のつくいろいろな施策とか、いろいろありましょう。ありましょうが、いずれこれは関係法律の審議の際に譲るとして、とりあえず伺うのは、そういう点は一体どうなのか。 それからついでに伺えば、いつですか、これは二十二日の新聞に、物価安定対策について藤山経済企画庁長官が卸売り市場を再検討しなければならぬということを言うていますね。私はこれがやっぱり流通のコストダウンの一番のガンだと見ておる。大正十二年来行きつ戻りつ、しかしながら、法律制定当時と、問題は一歩も解決されていないと言うておる。これは私の尊敬する勝賀瀬質さんの本をおとといとゆうべ見たが、そう書いてある。依然として中央卸売り市場に対する問題点は、現在もなお立法当時と変わらず残っておる。まあ基本的な問題の提起も、これはきょうは差し控えますが、藤山経済企画庁長官も、大都市では既存の卸売り市場が問題だ、築地や神田市場は、人口が九百万人にふくれ上がった東京にふさわしいかどうか、基本的に考え直さなければならぬということを経済企画庁長官が言うておる。私は、これは大臣みずからがかなり勇気を持って立ち向かわなければならぬ大きな政策課題の一つだと思っております。これは一体大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか。これは市場手数料の特権的な問題にもあるし、また現在の市場の黒いうわさもある、いろいろな問題が内在しているわけであります。いわゆる明治時代の非近代的な取引が、外観は近代的な装いをこらしながら実質的に前近代的な取引が行なわれておる。販売伝票を鉛筆で書いている会社がある、仕切り改ざんをして、農林省が監督をしてもなかなかその監督の意向どおり実行しようとしないような会社がある。生産者、消費者を欺瞞するもはなはだしいものである。いろいろな問題を内在しておる。これらの卸売り市場、地方卸売り市場とあわせて抜本的な施策を、この際、生鮮食料品の流通の一つの問題として、これは取っ組んでやらなければならぬ大きな問題だと思うんですが、以上、一体大臣はどういうふうにお考えになっておるか、これらの問題が明らかにされませんと、いたずらに生産団地その他に急激にその数をふやしてみたところで、実がついていない、出荷調整について政府はどれだけの責任をもってやろうとするのか、あるいは価格の保証について、わずかに一億円の基金の予算を見ている。従来のものをかき集めてみても、全体で十一億三千万程度、一体、これで、どれだけの基準取引価格を中心として価格保証されるか、いろいろ問題が多いわけであります。そういう点に最小限のやはり生産農民、特にこれは副業生産の零細な生産でありますから、納得するような、そういう政策の背景がなしに、私は恒久的な、安定的な蔬菜の供給というものは、お役所が考えたような実態には進まないと思うのであります。いずれ、これは後の機会に詳細にお尋ねをするとしましても、とりあえず、思いついた二、三の点について大臣の御見解をこの機会に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 蔬菜の問題について、まあ一番大事な点は、出荷調整の問題について、生産者団体をどうするか、こういう問題でございます。これは、私どもは、蔬菜のごときは圃場から市場という性格を多分に持っているものでありますから、これは、もう原則としては、出荷調整のごときは生産者団体というものとの結びつきが一番いい、こういうふうに考えております。ただし、この問題については、従来のいろいろな問題がまだ介在しておりますので、一挙にその方向に伸びにくいということもあると思うのです。ところによればそういう点ございますから、そういう点をよく注意いたしまして、私どもも進んでいきたい。現実をあまりこわして、そして目的を達せられないということでも困りますので、そういうことを加味しながら、しかし、原則というものはそこにあるということを考えてまいりたい。特に、今度は生産関係も育成していくために、いわゆる生産地の集団化なり、近代化なりをはかる、やって、しかも、計画的出荷、こういう問題もあるわけでございまして、そのために、指導員を設置するということになりますれば、やはり原則として、農業団体の生産者団体のところに宿がえというか、そこへ入り込むか、とにかく方法はいま検討している、あるいはきまっているかと思いますが、そういう方向に進んでいくわけでなければならぬと思いますから、御指摘の趣旨と私の考えとはそう違っていないと思うのであります。 それから野菜の種子対策は今度の計画にはあるかないかという問題でありますが、野菜の種子対策としては、特別に今度の計画の中には入っておりません。しかし、従来、園芸試験場あるいはその分場あるいは県の試験場等において研究はいたしております。しかし、この野菜の問題は、私もずっと以前いろいろ関連もしておったことがありますが、現在、非常にいわゆる種屋という、種苗業のほうで相当進んでおりますような関係から、施策として研究は試験場ではやりますれども、いろいろな対策としては役所のほうにはあまりいまこれは進んでおらぬ。今度の計画ではそれが入っていないのであります。あるいは入っておったらあとから説明させることにいたします。 それから、中央卸売り市場の整備の問題でございまするが、これは私も中央卸売り市場の問題、非常に大切で、大切というよりも検討すべき点があると思いますが、しかし、この野菜につきましては、今年も中央卸売り市場に対して五億五千万円農林省からも助成をし——これは東京ばかりじゃなしに、二十三府県を対象にいたしまして四十五億円余りなにを出すことにいたしまして、だいぶ設備等の問題については進んでおると思います。しかし、この内容等の問題につきましては、たとえば市場の取引の問題にいたしましては、上場の単位を少し上げるという問題、それからせりをする場合に非常に範囲が小さい、あるいはあちこちにあるというのじゃむずかしいから、共同的にせりをやるようにしたらどうか、こういった問題、その他手数料等の問題等については、上場のものは昭和三十八年の閣議決定以来と比較しますと、二倍くらいにやはり上場単位が上がってきており、それだけの効果は出ておるようであります。 それから、共同せりの問題は、なかなか進行等は十分ではありませんが、ある程度の進行を見ておる。 それから、手数料は、これはこの前、去年でしたか一昨年でしたか、手数料を減らしておるという、そういう点がかなり進んでおるわけであります。 それから、仲買い人もあまり小さくてもいかぬから法人化する、あるいは組合には一つの統一とれた形にするといったような点について、これは検討しなければならぬのであります。ある程度は進んでおるように思われます。こういうことであります。 ただ、野菜のほうはそうでありますが、肉の関係は——これはついででありますが、屠場、芝浦の屠場を中央御売り市場にする。そうして取引を公正にするという問題でございますが、これは昨年以来、東京都を中心に非常な努力を払ってきております。なかなかむずかしいのでございますが、最近の情勢を見ますというと、大体五月ごろに開設できるような目標をもって進めておるようでございます。これも非常に大切な問題であることはいうまでもございません。 それからなお、大都市以外にも必要な地帯というものが、現在のところ二十三県見ておりますが、なお十五万人以下の小さな——小さいというのはおかしいのですが、地方都市というものについてはどういうふうにするかといったような問題もあるわけでございますが、中央卸売り市場については非常に大事な問題でありますので、検討を加えて、そうしてさらに改善をはかってまいりたいということを念願しておるわけであります。
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(山崎斉君) 速記をつけて。
○渡辺勘吉君 大臣に伺いますが、当然のことだとお思いでしょうが、念を押して伺うのでありますが、大臣は、この国会における審議の内容、さらには具体的には法律が成立する際に、必要な場合は附帯決議等を全会一致で付しておる従来の慣例があるわけですが、そういう附帯決議を尊重されておられると思うが、その点はいかがですか。
○国務大臣(坂田英一君) 附帯決議については、よく尊重するつもりでございます。もちろんでございます。
○渡辺勘吉君 それでは、私が抄録をしました附帯決議の資料を中心としてお尋ねいたしたいと思います。時間もあまり私だけとっては恐縮ですから、委員長でおはからいをいただきたいのですが……。ただいま配りました参議院農林水産委員会における附帯決議の抄録、これは私の発言の一番あとにこれは記録にしていただきたい、この扱いを、委員長、まず御確認をいただきたいと思います。
○委員長(山崎斉君) ただいまの渡辺委員の御発言にありました附帯決議につきましては、これを会講録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山崎斉君) 御異議なければ、さよう取り計らうことにいたします。
○渡辺勘吉君 それではこれは一々読みません。この抄録はここにありますように、三十八年の三月七日に「農業改良助長法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」からずっと続きまして、四十年、四十一年、最近までのうちで私が抜いたものでございます。あわせて十二の法律に関する附帯議決であります。で、これを見ますと、三十八年あたりは特にこれはおもなものを抜いたものであります。三十九年から四十年に至っては、これは附帯決議を、全部抜いた附帯決議の全文をまあ一応ここへ写しとったものであります。 ただいま大臣は、当然のことながら附帯決議は尊重するという御答弁をいただきましたので、そのことについて、私は時間の関係もありますので二つの附帯決議について尊重された経過、その点をひとつこれから伺いたいのであります。あとの点は、いずれ後刻に私あるいは同僚委員からその問題に関連してお尋ねをするはずであります。 私が取り上げます、具体的な政府の検討あるいは尊重した経過を伺いますのは、この四ページにあります農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議についてであります。で、これはここにありますように、八項目をあげておるわけであります。その中に、たとえば六項目のようなものはかなり完全に消化されておると、私はまあ理解するのでありますが、特にこの中で、第一項の、「新法の給付を旧法組合員期間にも適用する」問題、第三項の「既裁定者の年金額を引上げる措置を講ずる」問題、第五項の、「整理資源は国が負担することとし、農林漁業団体及び組合員の掛金負担の軽減を図ること。」——いわゆる政府の補助率の引き上げ、この三つについて以下お尋ねをいたしたいのであります。 まず第一に、旧法と新法の問題であります。附帯決議は、新法を旧法期間にも遡及して完全適用せよという附帯決議の内容についてであります。これは大臣も尊重をするということでありますから、当然この内容は熟知されておるものと思います。そこで、私は要約して申し上げますと、新法と旧法とはどういう点が違うか、御承知のように三つあるわけです。第一は、支給率の問題、第二は、五万二千円頭打ちを撤廃して十一万円にするという問題、第三点は、標準給与の通算期間の問題、この三つが新法と旧法の相違点であります。 まず、支給率から伺いますが、旧法部分を新法にこれを認めるということになりますと、これは国家公務員共済組合よりよくなることは事実であります。しかし、それでは新法の四〇%の支給率はどうしてきめられたかということを審議の際にも触れたのでありますが、この点を大臣がどう御確認されておるかということであります。というのは、ILO百二号条約なりマイヤース勧告等が考慮されて、新しい社会的な要請となってこの四〇%支給率というものが法律の中に生きたのであります。としますと、旧法期間にもこの率を適用することは、社会保障の全体的の立場からこれは当然なことと言わなければならない。その見解に基づいてこの附帯決議を全会一致でつけた経過があるわけであります。この点について、政府の御見解は一体どうなのか、検討した結果それをどう理解しておるのかということをまずお伺いをいたしたいわけです。
○国務大臣(坂田英一君) この問題は、団体のほうからも要望されておりますので、私もよく聞いておりますけれども、この点については目下慎重に検討中でございます。前向きで検討中でございます。
○渡辺勘吉君 前は向いているわけですから、前進しなければもう話にならぬわけです。 それで、次に、この通算期間の問題ですね。これについては、退職年次から遡及して三年をとっていますね、新法は。旧法は五年でしょう、これを、新法を遡及すればはなはだしくこれは有利になる、他の制度と比べて、そういう誤った見解があれば、これは正していかなければならぬのでありますが、御承知のように、国家公務員あるいはその他の共済組合では、旧法の計算は退職時の最終俸給を対象としています。新法については、農林年金と同じように三年の通算でこれを、標準給与をとっているわけですね、だから、国家公務員、地方公務員等については、新法を旧法に遡及すれば不利になるわけです。旧法はすでに退職時の最終給料をもって計算の基礎としていますから。したがって、農林年金が三年を旧法に適用しても、これは他の共済組合と比較して決して不当に高いものではなくて、まだそれでも計算の上からいろいろ劣悪な条件に置かれておるわけであります。最近の諸物価の高騰等によって出てきますところのベースアップというような事態からしましても、この支給率の格差よりもむしろいま言ったようなこの三年というものを旧法にも遡及して適用するという問題点が三つの中で非常にウエートを占めているわけであります。また、三つ目の、この五万二千の頭打ちですけれども、この農林年金が初めて世に出る間、審議しているそのときに、すでに同じ国会で国家公務員共済組合法の大幅改正案が上程されて十一万円というものが出ておる、そういう点からいいますと、五万二千円の頭打ちというものを撤廃して、そうして十一万円にして旧法部分を新法と同様に適用するという五万二千の頭打ちの撤廃の問題も、これは当然、むしろ、おそきに失するという内容のわけですね。だから、この点からいいましても、当然新法を旧法にこれは遡及せよという、これは単に参議院ばかりではなくて、衆議院でも同一の附帯条件をつけておる。この点からいって、これは当然前を向いて、すでにこの国会で尊重した附帯決議に基づいて、政府としては法案を提案をされる段階に来ておるわけであると思うのであります。 その点について、以上三点は、一体、大臣は、どういうふうに前向きに理解されておられるんでしょうか。
○国務大臣(坂田英一君) この問題も、先ほどお答えいたしましたとおり、私どものほうでいま真剣に検討中でございます。
○渡辺勘吉君 真剣に検討中と言ったところで、検討の段階をもう終わっておると国民は期待しておる。 大臣、こういう説をなすものがあるんですよ。たとえば、大臣も御承知のように、農林年金は本俸プラス諸加算ですね。それから国家公務員共済組合、その他は本俸だけだ。だから、それだけでも有利じゃないか。こういう一つの説をなすものがあるんですが、したがって、もう制度的に差があるのだ、スタートから。そういうことがありますけれども、これは非常に問題なわけです。 それで、昭和三十九年度末に諸制度の給与を総理府の社会保障制度審議会に出した俸給年表で整理をしてみますと、農林年金はどの事業者年金よりも低いのです。そうして、具体的に言えば、農林年金が三十九年の年度末では二万一千四百円に対して、国家公務員は本俸だけで三万二千円、約五割高であります。厚生年金二万三千九百円ですから、これと比べれば約一割高い。したがって、総合給与と本俸との違いというものは、給付額にはね返るという議論は、これは観念的には言えても、実質的には低い。実質的には低いということが、こういう総理府で出した統計によっても否定することのできない事実です。そこで、いやそれは、その共済組合の——まあ農林年金は三十五万人をこしておりますが、それの全体の給与と国家公務員あるいは厚生年金の給与本俸というものは、それぞれの置かれておる組合員の年齢構成その他から書って、差があるのを比較して言うてもどうかという御指摘もあるかもしれません。私は時間の都合で質問を、まあ予想していろいろとお尋ねをしたいと思います。 そこで、それをより客観的に証明するために、同一年齢、同一旧歴の給与比較を三十九年九月のサンプル調査でこれをまとめたのでありますが、大学を卒業した三十才と三十五才という二つの年齢層を抽出しまして、農林漁業団体の本俸と国家公務員の本俸とを比べますと、大学卒の三十才は農林漁業団体が二万三千百八十円、国家公務員の場合は本俸で二万八千三百円、三十五才では農林団体は二万八千八百七十四円、国家公務員が三万八千九百円、こういう本俸の比較になります。しかし、これでは給与の基準であるところの諸手当を加えないと正当な比較にはなりませんので、農林年金で許されておる諸手当を加算しますと、大学卒の三十才の農林団体の退職給与計算の諸給与は二万五千十七円、国家公務員の本俸が二万八千三百円ですから、これを比較いたしましても、三千二百七十七円低いわけです。三十五才ランクで見ますと、農林団体の諸手当、本俸合計して三万一千六百七円、国家公務員は先ほど申し上げましたように三万八千九百円ですから、実に七千二百九十三円も低い。こういう劣悪な給与の実態に置かれておるわけであります。 そこで、具体的に実態給与で制度間の比較をいたしますと、これは仮定でありますから旧法期間が十年、新法期間が十年ということで比較をいたしますと、いまの附帯決議が実現されない現行法では、農林年金では七万八千六百円、私学共済では十万二千七百円、国家公務員で十三万三千三百円と格差があり、この実態給与によって完全通算をいたしましても九万五百円にしかならず、給与の低さが年金額にそのまま反映されておるのが実態であります。 さらに、一つの比較の方法として、同一給与で各制度間を比較して見ますと、退職する最終五年の給与月額は、やめる五年前が五万円、四年前が五万八千百円、三年前が六万六千五百円、二年前が七万五千六百円、最終年が八万六千九百円という一つの数字が出るわけでありますが、こういう実態に基づいて各制度間を比べて見ますと、農林年金が二十八万七千二百円、国家公務員が三十五万七千円、公共企業体が三十八万二千円となっておるわけでありまして、こういう点から見ても、実態というものは観念的な理解とは別に、この新法の給付を旧法組合員期間にも適用することの必要性というものは、検討中の大臣にもよくおわかりだと思うのでありますが、その点は私が申した数字に誤りがあるかないか。ないとすれば、そのことを御確認を願いたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(坂田英一君) いろいろ数字をあげてのお話がありましたが、ほんとうにこの農業関係に努力しておられる方々のために御尽力をいただいておることに私も心から敬意を表する次第でありますが、これらの事情につきましては、私どもも承知しておるのでございまして、先ほどから申し上げておりまするとおり、慎重に前向きで検討中であることを重ねて申し上げます。
○渡辺勘吉君 検討は何回も聞きましたから、検討されておるが、私がいま申し上げた、そこにも資料があるようでありますが、団体から出した……。大臣にいま資料が局長から渡ったようでありますが、その資料のほかに、同一年齢の同一経歴の大学卒に比べても、非常に諸給与全体を、国家公務員と地方公務員等々の本俸と比べても非常に劣悪である。したがって、検討をすみやかに終えて、これは附帯決議を尊重するとあなたはおっしゃっているのですからもういまごろ慎重に検討なさるという段階じゃないですよ。この機会にこれは検討を終えて、政府みづからが附帯決議を尊重するならば、これを政府提案の法案としてお出しになるべきである。それを出さないで、政府だけが都合のいいものだけをどんどん出して審議をせよといっても、私はなかなかすなおにそういう姿勢には応じかねます。 次に、この附帯決議の第五項の、国庫補助率の引き上げでありますが、これは大幅改正をいたしました四十六国会のあとに四十八通常国会が開かれました。この際に、五月十八日に同じ参議院の文教委員会で、私学共済について附帯決議をあげております。その附帯決議は、次のようにうたっておるのであります。「私立学校教育の重要性とその教職員の待遇の実情にかんがみ、政府は昭和四十一年度中に私立学校教職員共済組合の長期給付の補助率を百分の二十に引き上げるよう努力すべきである。」これが自民党、社会党、民社党全会一致で附帯決議をしておるのであります。私たちは、時点が多少前でありましたから、正式には全額政府でお持ちなさい、そうして団体と組合員の負担の軽減をはかれという抽象的な決議をあげましたが、そのあとの四十八国会では、私学共済、これは同じ公的年金制度の対象組合でありますが、四十一年度中にこういう長期共済についての政府の補助を百分の二十にしなさいよという決議をあげておるわけであります。こういう背景があるのでありますから、当然附帯決議を尊重するという大臣の言のごとくであるならば、今度の四十一年度の予算の中に政府のこの補助率、従来の百分の十五を百分の二十ということで予算を組まれたと思うのですが、その点はいかがですか。
○政府委員(和田正明君) ただいま渡辺委員からずっといままでの経過についてお話がありました点は、御指摘のとおりでございまして、本年度四十一年度の予算編成にあたりましては、私学共済と共同の歩調で補助率を上げることにつきましては、私どももこの後の趣旨に沿って努力をいたしたわけでございますが、諸般の国全体の財源の都合その他で、残念ながら四十一年度予算では実現ができなかったことにつきまして、私どもといたしましては、今後も引き続きその方向で努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○渡辺勘吉君 事務当局ではこれは話にならぬのです。今度の予算の経過からいってもそうでしょう。仄聞するところによりますと、百分の十六というものが組まれたように聞くのですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(坂田英一君) この点については、私もまたうんと努力はいたしたつもりでありますが、目的を達し得なかったわけでございまして、努力を続けることだけは御了承願いたいと思います。
○渡辺勘吉君 たいへん努力をされたが、なかなかそこまで行きかねたと、今後努力するということでありますから、これからの努力に期待するよりほかないのでありますが、ただ大臣、こういうことなんですね、厚生年金は、御承知のように、最初百分の十五であったものが百分の二十に直して成立しましたね。そこで、他の共済組合は全部百分の十五だと。だから私学共済がそういう百分の二十にせよという決議をあげても、農林年金も百分の二十にせよというても、他の共済組合の百分の十五というものを破って私学共済及び農林年金だけが百分の二十にすることが非常にその点でむずかしいというようなまあ解釈もあるようでありますが、私はそういうことは大臣は全然お考えになっていないと思いますが、念のため私なりに整理した点を申し上げて大臣の見解を伺いたいのであります。確かに表向きは、国家共済組合についても百分の十五ということでしょうけれども、長期給付に関する施行法第五十五条に、旧法期間について生ずる追加費用は、国が負担することになっていますね。この旧法期間に生じたこの追加費用は、申すまでもなく整理資源です。それは国が持つということで、昭和三十九年度に掛け金としての百分の十五のほかに五十二億円に及ぶ国庫負担が計上されておるわけです、三十九年。この事実は制度的な均衡論としてどう手当するか、百分の十五というものにこれは幻惑されて、実態的に整理資源を国が持っておるということを見のがした、これは表向きの解釈であります。事業主たる国と国庫補助を区別してやるのだというへ理屈もあるようでありますけれども、要は組合員の負担はそれだけ軽減されておるのであります、国家公務員は。同じ出どころは政府であります。事業主といい、国庫負担といい、同一の公的年金制度でありながら、一方には国が表立たない形で現実の負担率は三〇%になっておって、事業主分を含めますと、国の負担は六五%の多額に及んでおります。しかるに一方、農林年金は百分の十五にこれを押えるということでは国の補助のあり方がきわめて不公平である。厚生年金も先ほど申しましたように百分の二十に引き上げられたのでありますから、すべての制度を私は実質的に地ならしをする意味で、農林年金も同様にこの百分の二十に補助率を上げる。今後努力をするということは、そういうことでいずれ必要なものについては追加予算にこれを計上するというかまえで政府としては附帯決議を尊重して、今国会に法律を出していただけるものと期待するのですが、大臣の今後善処するという内容はどうですか。これは局長でなくて大臣に、事務的な関係じゃないのです。私は局長に聞いておるのじゃない、大臣に聞いておるのです。
○政府委員(和田正明君) ただいま御指摘がございましたように、国家公務員の共済制度におきましては、整理資源に対して国庫から支出がされておりますことは御指摘のとおりでございます。へ理屈だと渡辺委員おっしゃいましたですけれども、一応予算編成上の思想の整理としては、公務員の雇い主である国が整理資源を負担したという形で、国庫補助という形でそういう事業に補助したのではないという整理がなされておりましたことも御承知のとおりでございます。ただ、この農林年金につきましては、過去におきまして給付が先ほどいろいろと御指摘がありましたように悪かったこととからんで、掛け金の支払い納期もできておりません関係で、現在におきます組合員の掛け金負担がほかに比べて高いこともまた御指摘のとおりでございますので、そういう他の制度との関連等につきましても十分配慮をした上で、先ほど来大臣がお答えになっておりますように慎重に前向きで検討をし、必要な措置につきましては誠意を持って努力してまいりたいと考えております。
○渡辺勘吉君 私の要求した時間もないのでもうこれ以上伺いません。次の機会に伺いますが、大臣、この附帯決議にはスライド制というものをうたってあります。しかし、これは政府が提案された恩給法の一部改正に、当然特別措置として農林年金にも第二条の二に、年金額の改定として、この法律による年金たる給付の額は国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるためすみやかに改定の措置が講ぜられなければならない、こううたわれていますから、この点は当然解決が一応されたわけであります。したがって、このことに関連しましても、既裁定年金の引き上げという附帯決議に関連する意味からいっても、政府としては法改正の中にこれはうたっていかなければならない問題になってくるわけであります。そこで、これら附帯決議を尊重しいままで十分検討したということでありますから、今度の国会にすみやかに検討も終了して、もう見当は十分つけたはずですから尊重ということばに忠実であるならば、附帯決議——国会の意思というものを、役所の意思とは別に国会の意思、国民の意思というものを尊重するならば、今度の国会にこれらの附帯決議を十分盛り込んだ政府の農林年金法の改正として御提案になる御意思だと理解しますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(坂田英一君) この第二項の点につきましては、ちょうど恩給法の改正がございまして、その附則で農業団体の改正もあわせて問題であることに相なっておるのでありますが、私どもとして農林年金の問題につきましては、ここで先ほど申しましたように、真剣に前向きで検討中であるということを申しておるのでありますが、ここでいつまでということは、これは約束はできないのでございますが、できるだけ早く検討した上で結論を出したい、こう考えておるわけであります。
○櫻井志郎君 たいへん大臣もつかれておると思いますが、委員長から許可を受けておるのは一時間ということで許可を受けておりますから、五時半以内に終わります。簡単に尋ねたいと思います。 この前の通常国会の本会議に私質問した際に、赤城前農林大臣から、農地法の改正問題については目下鋭意検討中であるという答弁をもらっておるのですが、それからもうすでに満一カ年経過いたしました。農地法の改正の必要の点については、私はそのとき十分述べましたので、きょうはもう言うておる時間もありませんから省略いたしますが、たとえば朝五時半ごろですか、NHKの何とかいう名前の劇放送、あれを私は実は毎朝聞いておるのですが、あの中でも請負耕作の問題が盛んに出てくるのです。そうすると、あの劇放送を聞いている農民諸君にしても、請負耕作はどういう姿でもいいのだという解釈にたぶんなるでしょう。ところが、現在の農地法の形から言えば、こういう請負耕作ならいい、こういうのはいけないということが、一方には法律のたてまえ上あるはずなんですが、ああいう放送が、しかも公共放送として行なわれておる段階において、農地法の改正がそのままになっておるということは、一方には法の尊厳をだんだん軽からしめる、こういう実態を醸成することにもなる。これは改正の事由のほんの一端として申し上げるのですが、改正案を本国会に出される意思はないのか、それとまた、出されないとすれば、もう一カ年も鋭意検討中で断るということでおやりになったはずなんですが、坂田大臣は考えをあるいはお変えになったのか、その点をひとつお伺いします。
○国務大臣(坂田英一君) 農地法につきましては、ただいまお話がありましたとおり農業基本対策に基づく施策の一環として、昭和三十七年七月農地の権利移動についての最高面積制限の緩和、農地信託制度の創設、農業生産法人制度の創設という改正を行ないましたが、その後の農業の内外を取り巻く諸情勢に対応いたしました制度のあり方について、昭和三十七年九月から農地制度研究会を設ける等によりまして検討を現在続けておるわけでございます。特に自立経営の育成のために農業経営の規模の拡大を進める方策につきましては、農地、未墾地の権利取得の円滑化に関し必要な業務を行なう機関として、昭和四十一年度に農地管理事業団を発足させるために農地管理事業団法案を本国会に提出しておるわけでありますが、農地法ないし農地制度を現状のままに固定することは、日本農業の将来の発展をはかる上からも問題でありますので、若干部門について手直しをすべき段階にきておるのじゃないかと思うのでございます。農地制度は農業問題の基礎であるので、農地法ないし農地制度についての検討を進めておりますが、なお、各方面のいろいろな立場の人々の御意見も十分伺って、これこそ慎重に取り扱っていきたい、こう考えておるわけでございます。
○櫻井志郎君 慎重もたいへんけっこうですが、せいぜいひとつお急ぎ願いたいということだけ一言申し上げて、できるなら次の通常国会にはぜひこれはお出し願わないと、なかなか前進という問題は解決しないのじゃなかろうか。私は目下抜歯中でありますためにたいへん歯切れが悪くて、お聞き取りにくいことは聞き返していただきたいと思いますが、先ほど改正を要望する事由の一つとして、私はNHKの劇放送なんかも言いましたけれども、劇放送がいいとか悪いとかいうことを言っているのではない。私はあの放送なんかもたいへんおもしろく聞いておるのですけれども、現在の法律をそのままにしておくことは、法の尊厳をだんだん軽からしめるという意味で引例したわけでございます。どうかひとつ、大臣におかれては、積極的に改正の方向で御努力をお願いしたい。 それから、先ほど渡辺委員から、基盤整備の問題出ましたが、これに関連いたしまして、特に私は地方交付税交付金の問題、それから地方起債の問題、これに関係してお伺いしたいと思うんですが、基盤整備の総体の補助予算というものを含みまして、来年度の農林水産関係の予算案の策定には、非常に大臣御努力されて、その成果をあげられたことについては敬意を表しております。敬意を表しておりますが、実際にこれを地方が受け入れる場合において、非常に財政状態が各府県とも苦しくなる。その中において、たとえば基盤整備事業のあるものは適債事業と見ておる。たとえば防災事業等は適債事業に見ておりますけれども、これも基盤整備事業の全体からいえば、非常に少ないものです。全体の、たとえば今度長期計画で承認になって閣議決定されたあの二兆六千億という中におきましても、防災関係の事業は三千億以下だったでしょうか、二兆七千五百億という最初の農林省が策定した額のときに三千億でした。ですから、当然二兆六千億に圧縮されれば、三千億がもうちっと小さくなる、こういうことが言えるわけですが、肝心の県営基幹用排水とか県営圃場整備とか、こういうものについて適債事業として扱っておられない。あるいは交付税交付金の対象になっておるのかどうなのか、基準財政需要額の中に見込んでおるのかどうなのか、そういう点を少し、これはまああるいは局長からでもけっこうですが、そのあとの方針を大臣にぜひお答え願いたい。
○国務大臣(坂田英一君) この問題、ごもっともな御心配であります。私もきょう見まして、いろいろそういう点等もお聞きしております。ただ、特に農業県といたしますると、やはり交付税でいくというたてまえのほうが、適債事業としていくよりも、交付税の問題から言うと、やはり特に農業県などはその必要があるように思われる。そういうことで、原則的には交付税でいくということはよろしいと思うんです。しかし、現実の問題といたしますというと、予定よりもうんと、今年のごときは、基盤整備がやられまするので、普通見られる基準財政需要よりもうんと多いということになる地方が多いのであります。そういうところでは、非常に交付税だけではやりにくいという関係が起こるのは、いま御指摘のとおりであると思います。そこで、現実問題として、そういうふうな点が起こりますと思うのでございまするので、目下自治省とも交渉及び話し合い中なんでございまして、現実としてはそういうことでいっておるけれども、実際の事業をやる各府県の実情を見て、その間の調和をとっていこう、こういうふうで、いま話し合い中でございます。 なお、詳細は農地局長から……。
○櫻井志郎君 いまの大臣のお答えですと、交付税交付金のほうに見てあるのだというようなお話ですが、現実に見てあるなら、見てあるのだということを地方の財政当局に明確にされれば、あるいは財政当局もそれを理解するでしょうし、実際に農林省の基盤整備事業を行なう県の農地部あるいは耕地課というものは、それは交付税の中に入っておるのだ、だから財務当局何を言うかということが言えるはずなんですが、それを強力に主張することが全然できない。それで財政当局が、そんなものは入っておらぬ。ところが、たとえば同じ農林省でも、林野庁のを私が調べたところでは、林野庁のは、たとえば四十年度は、ある程度は交付税の対象になり、ある程度は起債の対象になる適債事業にしておったが、四十一年度は、全部適債事業のほうに持っていって、大体において林道の県費負担分を九五%適債事業にする、こういうようなことを明確にしておるわけです。農業の前進のために一番基本的な仕事である、特に価格政策、あるいは構造政策と、こう並べて、赤城前農林大臣以来、構造政策を強力に進めなければならぬということを農林省は言っておったのだが、ところが、実際支出面に対して、肝心の仕事をやる地方に行って、こうひっかかってしまう。これはあえて私の富山県だけではなしに、各県からそういう陳情を受けておるのですから、これは大臣ひとつ本気で考えてもらいたい。
○国務大臣(坂田英一君) ごもっともな御心配で、私も同様にそれは考えているわけですが、つまり適債事業ということになりますと、交付税という問題で行くものがそれだけ減るわけです。そうではなしに、そういうことでありますから、事業そのものというよりも、農村を主としている県においては、そういう適債事業で、それを控除される、利用されないということになると、非常にかえって財政上困りはせぬかという問題があるわけなんです。そういうことで、一応は交付税によってその問題を処理していくということの意味で、したがって、適債事業の中へこの主流を入れてないということに相なっておりますが、いまお話しのように、いよいよ事業をやるということになると、ほんとうにその県は、交付税と言われると——何も補助金じゃないのですから、御存じのとおりね。そこで、非常にやるときに困る問題が起こるということは御存じのとおりであるし、私もそのとおり心配するわけであります。そこで、この前の知事会議のときにもその問題が出ましたので、それは検討してやろうということで、そういう点については、この事業に差しつかえのないように、適債事業としてもその部分については考えていこうということについての話し合いを、これは大体できていると思うのですけれども、まあそれも、いまはっきりそれを言ってはいかんのか……。とにかくそういう趣旨でいま話し合い中でありまして、決して事業振興に御心配かけるようなことにはならないということに御了承願いたい、こう思うわけです。
○櫻井志郎君 大臣は、いま言うちゃいかぬけれども、大体話ができておるということですから、それを御信頼申し上げましょう。いずれにしても、農林省がほんとうに農政を前進させるためにこれをぜひ解決して、自治省の役人にああだ、こうだと言われないように、ほんとうに農政の前進のために大臣みずからが陣頭に立って、安心してくれということばを如実にひとつ生かしていただくことをお願いしますと同時に、それを私は信頼いたしておきますから、ぜひお願いします。 それから、いろいろありまするけれども、時間があまりありませんから、はしょりまして、飛び飛びになりますが、昨日でありますか、日韓経済懇談会が終了して、共同声明か何か出たようでありますが、実は私どういうのが出たのかまだ見ておらぬのですけれども、そこで韓国の米の問題が出たかどうか、それを御存じないか、お伺いしたいのですが、といいますのは、韓国があれだけ疲弊しておって、その疲弊をやはり立ち直らせることは、韓国の要求しておるような水産動向ということ、これはもちろん大切です。大切ですが、やはり第一次産業の中で農業に従事しておる人間が多いか、水産に従事しておる人間が多いかということだけ取り上げておる。何といったって農業の振興ということは、ほんとうに韓国を振興させる一番基本的な大事な問題じゃないかということを私思うと同時に、大臣は、わずか何%だと、少ないのだと、こうおっしゃいますが、だんだん最近米の輸入がふえてきますし、あるいはスペインへ行ったり、あるいはイタリアへ行ったり、アメリカへ行ったりというようなところからまで輸入しなければならぬという状態よりは、われわれの先輩が米を生産できる基本を相当整備していったはずの韓国において、まだまだ増産できる可能性がある、そういう問題を包蔵しておって、それは日本のためにもなり、韓国のためにもなる。そこで、私はこの第一回の経済懇談会に米の問題は出なかったのか、あるいは将来日本がこういう問題を韓国のためにも誘発するようなお考えがないか、あるいはその大使を交換する、そこであるいは優秀な農業アタッシェを韓国に派遣して、韓国のこうした問題をできるだけ改善することに日本がほんとうに善意をもって寄与するような場をつくる御意思がないかどうか、それをお伺いいたします。
○国務大臣(坂田英一君) 私もちょうど去年の十二月の暮れに韓国へ批准の問題で参ったわけであります。そのときに、韓国の農務長官にも会っていろいろ韓国の事情を聞いたり、お話をしたりいたしました。もちろんこの漁業協定だけでなしに、全般の問題も話をいたしたわけでございます。もちろん私どもとしては、その当時はまだ的確なことはきめてまいりません。しかし、でき得る限り援助は、この技術援助、主として技術援助になりますが、それは日本としてもいたしましょうという意味で話し合いをしてまいりましたわけでございます。で、それは単に漁業ばかりではないので、農林、畜産等についてもそれはできるだけのことはいたそう、御援助はいたしましょうという話し合いでございました。それは共同コミュニケのようにいたしましたわけでございます。それは漁業だけでありますが、その後、今度韓国の米についての話もございました。韓国は米は足らぬ年もある。余る年と足らぬ年とある。それで余る年でも、食糧全体からいうと、いわば米を輸出して雑穀を食うというような形が若干あります。そういうところでありまして、とにかくそういう関係であって、やはり少しばかり余るときには足らない日本がそれを輸入するということもそれはよかろう、こういうことでございます。しかし、それを契約——長い契約という、そういう問題じゃもちろんありません。したがって、二年か三年前でしたか、逆に日本のほうから、これは食糧庁から出したんじゃありませんけれども、日本があっせんしまして向こうへ米それから麦というものを救助いたしたことがございます。そういうわけでございますから、朝鮮のそういう食糧、主として米と、あるいはその他のものについて国内の需給、韓国内の生産という問題に対して私どもとしても協力していくことは必要であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○櫻井志郎君 おととしでありましたか、おととしの何月かに第一回日韓農業技術交流会議というものをやりました。私がそのとき農業基盤整備かなんかのほうの分科委員長かなんかにさせられたことを記憶しておるんですが、これは民間ベースで、そのとき、いろいろ韓国側の話を聞いたんですが、いま大臣は、わりあい韓国の食糧事情がまあいいようにといいましょうか、そう苦しくないようにおっしゃいましたけれども、私どもが聞いておる話ではあながちそうでもない。まあ大臣も若干触れられましたが、米を売って雑穀を食って云々ということも触れられましたが、そういうような状態がやはり相当深刻なんではないでしょうか。そういう点からいいましても、私は韓国の農業を振興することに日本が力をかすことが韓国にも役立ち、また、日本の米不足を補うのに世界のあちらこちら——世界商品でない米を求めてあちらこちらとあさって歩くというような状態を解消するためにも役立つのではなかろうか。これはぜひ大臣のほうでお考え願いたいと思います。これは答弁要りません。 それから輸出農産物のことでありますが、たしか現在二億ドルでしたか、二億ドル程度輸出農産物があったかと思うんですが、この輸出農産物についてあまり農林省が力を入れておらないと私は思う。特に輸出農産物ということになれば、相当国際競争は激しい。たとえば私の選挙区のことを申し上げては恐縮なんだが、私のほうではチューリップの輸出というものが相当いっております。しかし、これはオランダのチューリップと比べると圧倒的にアメリカ市場で安い。なぜ安いのかといえば、品種改良に対して非常に立ちおくれておる。オランダのほうが徹底的に進んでおる。国が非常に力を入れておる。輸出チューリップをつくる者に対しては国家試験までやっておる。そのくらいにオランダが力を入れておる。だのに、日本では国の試験場の分場さえも持たない、これに対して。こういうような状態をひとつ考え直していただいて、ほんとうに輸出農産物の品種改良等に対して国がもっと力を入れるのが当然ではなかろうかと私は思うんですが、大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(坂田英一君) 輸出農産物の点について大いに研究をやっていかなければならぬという見地では、私も同じ考えを持っておる一人であります。これはいまチューリップについてお話がありましたが、もちろんそれは必要でありまするし、それから除虫菊にいたしましても、以前は八割以上アメリカ市場へ輸出しておったのでありますが、この前の戦争当時からなくなっております。ところが、ケニアにおいては非常に発展して、ほとんどいまアメリカの除虫菊はケニア産でやっております。ところが、ケニアはイギリス領でありまして、非常に研究をして、そしてピレトリンの含有量も世界にないぐらい、日本の除虫菊なんか足元にも及ばぬというくらい進歩していったというようなこと、そういう意味において、輸出農産物に限らず、輸出をどんどん進めるものについて日本はもっと真剣にやるべきものであるということはよく存じております。そのとおりであると思います。ただ、このチューリップの問題については、非常にお話しの点については不十分かもしれませんが、いまのところ指定試験ですね、指定試験というのは、私もずっと以前こういう仕事をやりましたときに、国家事務として、いわゆる国家試験、国の試験としてやらしたいと。しかし、いまそれを国立にしますというと、県の試験場と離れるわけです。お互いに助け合うという問題というのが、やれぬことはないけれども、やりにくい。そういうときに県の試験場の中において、そして国家試験をやる、こういうことになりますと、県の試験場のほうの人々も共通的に援助し合うということもできるし、というわけで、普通の試験でなしに、指定試験というものは国の試験としてやるべきであるけれども、急激に研究者をふやされないようなときにおいては、むしろ指定試験のほうへ進むほうがいい、こういうような考え方からいたしまして、現在のところ優秀なチューリップの問題について進めておるわけでございます。富山県その他、新潟県も同様でございますが、非常に成績をあげておるので、日本の将来の輸出県としてきわめて有望であるということは、私も特にそう考えられるわけであります。さようなわけでございまして、現在のところ指定試験ということを中心にし、そのほか県の試験場に対していろいろそのほかの試験も加えまして、そして力を注いでいくということが、むしろ現段階においてはそれがいいじゃないか、こういうふうな見解に立っておるわけでございます。しかし、輸出農産物に対してわれわれはできるだけの努力を払って、そして形式のいかんを問わずうんと力を注いでいくということを、特別に私もそう考えておりますることを御了承願いたいと思います。
○櫻井志郎君 大臣のお話を聞いていると、どうもおまえの考えには同感だ、しかし、指定試験はいいんだというようにも聞こえるのですが、現段階では。私の考え方は違うんです。といいますのは、まあチューリップを例にとって申し上げたから、再びその例をとりますけれども、アメリカ市場において決定的に値段が違う。ということは、やはり品種改良等において向こうが圧倒的な進歩を見せておるということが最大の要因であろうと思います。ところが、圧倒的な進歩を見せておるということから、現在農林省でおやりになっておる指定試験が、大臣が言われるようにいいものであるなら、ああいう優秀な日本人、日本の技術者がそうオランダ人にひけをとるはずはないと思う。私はある程度肩を並べていけるはずのものであると思う。それだけの能力はあるはずである。あるはずだけれども、現実にそれだけ非常に劣っておるということは、やはりその試験のやり方が、力の入れ方が足りない、そういう組織の問題なり、何かが介在しておるからああいう格差が出てきておるのじゃないか。だからそれを解消するために、国の分場等をつくって、せいぜいひとつ農林省が力を入れてやるべきである、また、やってください、こういうことが私の主張なんです。それに対して、できるだけ早い機会にやるお考えは大臣におかれては持っていただけぬものかどうか、もう一ぺんお伺いします。
○国務大臣(坂田英一君) 基本的な考え方は全く同感でございまするが、ただ、いろいろそのほかにも問題があるというようなことで、研究員が少ないときにはむしろ県の試験場に入ったほうが能率があがらぬかということで、従来の指定試験はみんなそういうことでいっております。しかし、いまお話しのように、もっと力をうんと入れて、そんな県の試験場の助力を受けずにどんどんやったらいいじゃないかという、そういう段階までいくのがほんとうだろうと思いますから、そういう点について、十分御指摘の点に対して私どももでき得る限り早い機会に実現できるように努力したい、こう考えます。
○櫻井志郎君 大臣の御理解ある答弁で私満足しますから、それでひとつぜひお進めいただくようにお願いします。 農政についていろいろ尋ねたいことがございますが、渡辺委員からも相当広範囲に尋ねられたあとでございますし、私、時間もありませんから——若干、林野関係のことについてもお尋ねしたいし、農政についてはこの程度にいたしておきますが、ただ私、問題は一つ、これは重要なことですが、農民自体それから農業団体にも若干自主性が欠ける点がありはしないだろうか、このことを私非常に心配する。長い間農林省は、農業というものは苦しいものだ、貧困なものだということを、これを一つのたてにして、そして大蔵省に補助金を出せ出せということをやってきた。まあ手段としてもそれを多少農林省は誇張して言っておった感がないでもない。私はそういうふうにとっておるんですが、農業白書自体を見ても、これは一昨年でございましたか、たとえば生産性の問題につきましても、製造業と農業というものの生産性を比較するのに、年間の所得で比較しておる。こういう考え方自体が私は間違っておる。農業は、それは一年じゅう忙しい農業もあるかわりに、一定の季節だけ働いて、他の季節は農業以外に働いておるという者も非常に多い。それを年間の農業所得で生産性を考える。ところが製造業は、まあ日曜はあるいは休むかもしれないが、年間その製造業に働いている。こういう異質のものを比較して、いや農業は二八%にしかならないとか、二九%にしかならぬ、こういう考え方自体が間違っておるということを言って、時間当たりの生産性で当然比較すべきじゃないかということを一昨年か言って、農林省はそういうふうにこのごろそのこともつけ加えておられますけれども、一方においては、あるいは工業といいましょうか、製造業といいましょうか、そのほうの一人当たりの年間所得というものの見方も——実は私こういうことを申し上げるのは、たまたまこの間、京大の教授の柏祐賢君の著書を見たところが、私が思っておったことと同じことを書いておる。非常に意を強うしたわけなんですが、柏君の著書を見ても、工業の一人当たりの所得というものの出し方は違っておる。それは、大資本に対する資本支出というものを控除する、あるいは株の配当云々というようなことも控除する、そういうようなことは全然考えずに、工業全体の所得を工業就業者で頭で割っておる。それで工業部門における一人当たり所得としておる。ところが農業は、そういう大資本投下というものは、たまにはあるけれども、まずそういうものは非常にレアケースである。比較のしかたが、異質のものを比較しているんじゃないか、そうして農業が悪いんだ、悪いんだ、悪いんだということを自分たちで言っておる。こういうことはいたずらに農業者に劣等感を植えつける、あるいは他力本願ばかりに農業者の方々を追い込むようなことを農林省みずからやっていはしないか、もちろん第一次産業である農業に対しては、大きな政策の援助、でき得る限りの国の援助が必要であることは言うまでもありません。これは言うまでもありませんが、それと同時に、やはり産業人としての自主性もあわせて農家というものが持ち得るということを農林省としてお考えになる必要があるのではなかろうかと、私はそういうことを、農業指導者のごくじっこんな人たちとそういうことを何度も話し合ったことがありますが、ざっくばらんに言って、そういう多くの方はそのとおりだと言って賛成してくれるんですが、公の席になると、なかなかそういうことを言いにくい場合もあるわけですけれども、国が、だからといって私は国の援助を弱めていくということを言っておるのではさらさらないわけです。国の援助というものを極力強めていくと同時に、農業者に対しても高い誇りを持って進んでいってもらうということを、農林省がもっと真剣に考えてもらう必要があるのではなかろうかというふうに思うのですが、大臣の御見解いかがか。
○国務大臣(坂田英一君) これについて、私もいろいろ見解を持っておるのでございます。問題としては、いま櫻井委員の申されたことにも大きく加わってくると、まずもって申し上げたいのでございます。私は一番問題は、日本ばかりでなしに、農業が地域的に非常に違う、この問題が最も大きなことであって、それを平均的に論ずるところに多くの間違いを招来しておるというふうに思います。たとえば兼業農家の問題を一つとらえて見ましても、兼業農家はどこに一番多いかということになりますと、北陸地帯が一番多い。専業農家が一〇%以下になっておるというようなところは北陸地帯だけであるとこう思います。近畿地方でも二〇%ある、こういうのでありますが、北陸地帯は一〇%切れる、もう少し減るかもしれない。それは一つには、大体皆さんが御存じのことを言うようでたいへん恐縮でございますが、それは米の単作が主である。そうしてその単作地帯において、調製をするのにも非常に楽になっておる。昔ならば三月も、四月もかかった調製が、十日かそこらででき上がる。それから耕うんにしても、手で押すモーター耕うんが普及しておる。そのために非常な速度で早い耕うんができるというようなことで、生産性が非常に、その意味において上がってきた。そして、上がってまいりましたために、早く仕事が済んでしまう。それは小さい経営であるからでなしに、大きい経営も早い、同じことが早く済む。そうすると残りは遊ぶわけにいかぬ、こういうことになって、今度は三町歩もやっている人でも、やはりあとの残った時間を他の事業に使う、こういうことになると思います。もっとも、一番精農家は、その残りの時間を土壌、いわゆる地力を肥やすことに残りの時間を使うというのが一番上々であって、むしろそのほうが年間を通じての収益が上がるとさえ言っております。それはそういうこともあると思います。そういうことでありまするが、普通の場合はそういうことで半年以上出る。そういう地点においては米作プラス・アルファは絶対必要になることは言うまでもございません。そうすると、おそらくやはり兼業としてあらわれるわけでございます。そういうところが普通の場合では全く大きな相当進んだ、そうして豊かな自立経営と思われる実質を持っているものが、統計の上では兼業となってあらわれる。それで、単に所得が少ないから兼業で生活するというのも多いと思います。もちろん多いけれども、そればかりでなしに、いまのような状態が相当大きくあります。したがって、北陸地帯のごとき米作単作の最も代表的な地帯は兼業が非常に多くなって専業がほとんどない——ほとんどではない、一〇%を切る、こういう事態になると思うのでございまして、地域によって非常に違ってまいると私は思うのでございます。そういう関係から申しまして、私はでき得る限りやはり自立経営というものをこれはつくっていきたい、こう思います。そういう地帯においても、もちろんそうでないところはなおさら自立経営をできるだけつくっていきたいということであらねばならぬと思っております。しかし、さればといって、兼業農家をそのままにしておいていいかどうか。兼業農家が年々多くなる必然的傾向というものは、農政ができないからという理由以上に大きな原因であるところのこの情勢というものを見るときに、この兼業農家を放置できないことは当然でありまして、私どもは兼業、いわゆるいろいろの意味を含んだ兼業に対しては、私どもはやはり農業所得の少ないいわゆる兼業に向かっては、農業による兼業を加えていけば、統計上の、ほんとの統計上も農業者になるわけでありますが、米作以外の農業がないということである場合には、ほかの産業を持たせるほかにない。経営の大きなものであっても、余った労働力を遊ばせておいて、経営が、所得がいいから遊ばせておいていいわけのものでないので、やっぱり所得を獲得せしめなければならぬということがあることは言うまでもありませんので、私どもとしてはやはり小さい面の経営、いわゆる兼業というものについては、農業的には共同へ進んでいくということがやはりよかろうと思うのでありまして、それだけでなしに、農業以外のものの所得をふやすということは、これは当然やるべきことであると思う。少数の者を育成するということは何ら農政の目標ではないと、かように私は存じておるのでございます。さような関係からしまして、自立農、相当大きな、そういう経営者をでき得る限りふやすのはいいけれども、兼業農家、特に小さいものを他の方法によって、それらが所得をふやしていくということが、これがやはりその農政の面に入るか入らぬかは別として、これは非常に必要なことであると、こう私は思うのであります。そういういろんな点から見まして、私どもは今度の場合としても、十分ひとつこれらの問題を進めていきたいと思うのであります。政策としては、そのためにいろいろの政策を進めておる。したがって、一つはいわゆる……、短かい間にお答えしようとするもんだから、えらいこんがらがりますが、生産性向上を十分に上げてまいりますることは言うまでもございませんが、同時に、いわゆる兼業の農家というものも、十分所得を増強していくことに努力を払ってまいるということであると思う。それから、そういう全体の問題からいきまするからして、したがって、いままでの問題は、特に必要である点は村の充実、部落の充実ということが絶対必要なことである。一つの経営が非常にりっぱになったといって百軒の農家が二軒になった、こういうんじゃ、それは値打ちはありません、それは農政としては。やっぱり相当のものが存在することは絶対必要である。私はその意味において、これは少し言い過ぎであっても困ると思うが、私はやっぱり農業基本法の前文が非常に重要である。食糧を供給する点において、また経済界に対する貢献をいたしておる点において、いわゆる創造力、労働力の尊重を進めておる点において、そういうことの源泉としての値打ち、こういうものは今後もこれを続けなければならぬという主張をしておる点において、私は前文が必要であると思いますが、さらに、この農業を職業とする、この農民及び農業というものが相当量存在するということは、人類社会のやっぱり最も重要なことであると、こう思います。これがないと、なかなかよくいかない。こういうことを短かい時間でありますけれども、私は十分信念を持っておる、農林大臣としてよりも個人的に強い信念を持っておるわけでございます。ごくわずかなものが、百五十戸あった村が二戸かそこらになって、そしてそれが非常に経済的にはいいということがあっても、それはいいでしょう、なったその人はいいだろうが、そういうことは私はあまり価値がない、全体から見て、こうさえ思うのでございます。申し上げることがえらいつじつまが合わぬことを申し上げまして、たいへん恐縮に存じます。
○櫻井志郎君 大体、大臣のお考えもよくわかりました。大体、考え方同じのようでございます。 そこで、農政問題いろいろありますけれども、私やめまして、山林関係の問題を簡単に二つだけ伺います。 一つは、民有林の造林の問題ですが、造林補助単価、ちょっと大臣に聞くには小さいようでありますけれども、根本的な考え方が、たいへん私極端なことばを使えば、なっておらぬという感じがするために大臣にお伺いをして、考え方を改めてもらいたいと思うのですが、来年度の予算案の基本をなしておる民有林造林補助単価が、今度は六百円ですか、内地六百円、北海道六百五十円か、これだけに引き上げられたわけでございます。引き上げられてこれだけなんです。まあ林野庁に言わせれば、今年の単価も相当程度上げられたのだからというふうに言っておられますけれども、これは毎年単価は上げております。単価は上げておりますけれども、ということは、逆に言えば、いかに造林人夫賃というものを低く見ておったかということ、自家労力は補助しなくてもいいのだという昔の考え方が基調になって、まあ幾らでもいい、出せる程度に出しておけばいいわという考え方が基調になって、今日のような正当な労働に対しては正当な対価を払わなければならぬという考え方がここには浮かんできておらないということを私は指摘したい。六百円がどうだという問題よりは、労働に対する評価の問題が正当に行なわれておらないという点を特に指摘をして、これを改正してもらいたい。将来に、あるいは四十一年度のことはいま言ってもどうこうならぬかもしれません。しかし、四十二年度なり何なりに、この考え方というものをほんとうに是正して、造林が正当に行なわれるようにやっていかないと、われわれはこの狭い国土を持っておって、そしてそれをできるだけ高度に利用していこうという考えが十分ここで働き得ないということになってくるんではないかと思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(坂田英一君) 造林の予算単価の問題であると思いますが、先ほども櫻井委員みずからお話しのとおりに、今年は二〇%上げたわけです。その前の年もやはり二二%上げた。もと非常に安いものからだんだんと実際に近づけるべく非常な努力を払っておるということでございます。急激になかなかできませんので、実際に近づける努力を払いつつあるということ、また払っておるということを御了承いただきたいと思うのでございます。なお、造林ばかりでなしに、全般にわたってそのことがやはり完全に実態と沿い得ないものが相当ありまして、最近それを是正しつつありますし、また現に是正しておるわけです。この問題もそういう方向に近づけるべく努力を払いたいと思います。
○櫻井志郎君 最後に二点だけ。大臣が将来に向かってなお努力を継続するということでございますから、それを信頼をしてこの問題はおきます。 法律の名前は鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律でしたかね、これは私が委員長をやっておったときにいろいろ問題がありましたが、従来の狩猟法を改めてこの法律になったわけでありますが、そこで、この法律を改正すると同時に地方税法を改正いたしまして、いうなれば狩猟税の体系を従来とすっかり変えてしまって、そして各県ごとにその県でやれる許可を与えると同時に、入猟税を取り、その入猟税は法律の条項によれば、狩猟税は云々とあったのを、「狩猟免許税は、道府県知事の狩猟免許を受ける者に対し、当該道府県において課する。」というようなことに変え、そして入猟税としては「道府県は、鳥獣の保護及び狩猟に関する行政の実施に要する費用に充てるため、当該道府県知事の狩猟免許を受ける者に対し、入猟税を課するものとする。」、こういうふうに入猟税というものを、その使用目的をはっきりきめて入猟税を取ることに変えたわけであります。ところが、実際にその狩猟行政に金が使われるようになったのかといいますと、使われるようにもなっておりますが、県によりましては、従来いうなれば狩猟法官といいましょうか、狩猟官に該当する人に払っておった俸給は、これはいうまでもなく一般県費から出ておったのを、これを入猟税で人件費を払うということに県によっては組みかえてしまった。そこで、調査によりますと、これは昭和三十九年ですか、三十九年度では約一億一千万円が職員費に充てられてしまっておる。こういうようなことを私どもは期待して法律を改正したはずではないのです。ほんとうに狩猟行政をよくしていく。私は現にこの法律改正案がつくられるころには、西欧の進んだ国々の狩猟法を取り寄せたりして、私が読めない外国語については翻訳までしてもらったりして、外国の進んだ国々の狩猟法の研究もしたりして、この法律案というものについていろいろ農林省にも示唆を提供したわけでございますが、肝心のこうした法律ができても中身が人件費に一億以上も充てられてしまう。この法律ができなくても当然払っておったその俸給を、この目的税的に規定しているのに人件費に組みかえている、こういうことでは狩猟行政の前進が出てこないわけです。これをぜひ前向きの狩猟行政に使うように農林省がもっと強力に指導される御意思がないかどうか、林野庁長官はいろいろやっておられるとは思いますけれども、それでも現状こういうような姿ですから、やはり大臣から強力にこの点を指導してもらいたいという私は意見を持っているのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(坂田英一君) この入猟税は、お説のとおり、目的税でございまして、これの収入の使い方が非常に悪いということだけでなしに、一時、目的以外に使われておるのではないか、使っているのじゃないかという議論もありましたけれども、実際はここにございまするとおりに三億八千八百万円の収入がありまして、それに対して同額をやはり支出しておるわけでございます。なお、三億八千八百万円を支出しておるうちで、一億九百万円くらいが都道府県の職員費にあたっておるようでございます。もちろんそれ以上に、いわゆる目的とする方面にこれを使うことが一番大切なことでありまして、その点についてはいま林野庁でも改善の余地があるようでありますので、その趣旨に沿って改善をいたしたいというふうに考えておるわけであります。
○櫻井志郎君 ぜひ農林大臣にこのことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○委員長(山崎斉君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 明日は午前十時に開会し、引き続き本件について質疑を行ないます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後五時三十六分散会 —————・—————