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51回国会参議院1966/06/09

社会労働委員会 第20号

発言数
112
登壇者
13
会派数
3
開催日
1966/06/09

会議録

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、お手元に配付してございますように、三名の参考人の方々をお招きいたしておりますので、参考人の方々から、一酸化炭素中毒症対策並びに立法措置について忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。  参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日は、御多忙中にかかわりませず、本委員会のため御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日の議事の進め方といたしましては、まず、堤参考人から一応二十分程度御意見を開陳していただきたいと存じます。なお、必要があれば他の参考人の方々からも補足的に御意見を開陳していただきます。御陳述が終わりましたあとで、各委員からの御質疑に対し、お答えをいただきたく存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、堤参考人から御意見を拝聴いたします。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 私は三井鉱山株式会社常務取締役堤健郎でございます。  当社のCO中毒患者の問題につきましては、国会の諸先生方にはいろいろと御配慮にあずかりまして、この席上をお借りいたしまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  お手元に御配付いたしておりますように、四十一年五月末現在CO患者数は、入院、通院患者、職場復帰者別に御説明いたしますとこの表のとおりになります。  入院患者は、鉱員二百二十五名、職員四名、組夫七名、計二百三十六名でございまして、鉱員のうち、カッコ内は三池労組員の数で、内数になっております。  その内訳は、一症度——一症度と申しますのは、精神に著しい障害を残し、常に日常生活動作に他人の看護が必要なもの、または著しい神経症状を残し、ほとんど臥床状態にあるものを申します。これが鉱員八名になっております。二症度と申しますのは、精神、神経または身体に中等度の障害を残し、食事等、身の回りの動作が可能ではございますが、労務に服することができないものが入ります。鉱員十名、組夫一名、計十一名でございます。  三症度は、精神、神経または身体に軽度の障害を残すものでございまして、鉱員四十五名、職員二名、計四十七名となっております。四症度とは、精神障害なく、軽度の神経障害を残すものを申します。鉱員八十二名、職員一名、組夫四名、計八十七名となっております。五症度は、精神、神経または身体に比較的に障害を認めないもの、鉱員八十名、職員一名、組夫二名、計八十三名、合計で二百三十六名。通院患者は、リハビリテーション中の者が二百十七名、一般通院をしておる者が、鉱員百十九名、職員十二名、組夫七名、計百三十八名。職場復帰者、鉱員百六十二名、職員三十九名、組夫十六名、計二百十七名。二百三十六名、二百十七名、百三十八名、二百十七名、合計いたしまして八百八名のCO患者が現存しております。  次に、患者本人及び家族に対する扶助について申し上げますと、本人に対しましては休業補償費、労災法による補償費六〇%のほかに、会社が二〇%を給付しております。入院者、通院者に対し、三十八年十一月以降、一人一カ月当たり千円ないし一万円の範囲で見舞い金を支給しております。現職に復帰した者に対しては一万五千円程度の一時金を支給しております。患者の通院あるいは試験外泊に際しましては交通費を支給しております。家族に対しましては、患者に付き添う家族に対して給食あるいは給食費の支給を行なっておりますほか、大学病院に入院中の患者を見舞う家族に対しましては、月ぎめで交通費を支給いたしております。  CO患者に対しましては、概略ただいま申し上げましたような措置を講じておりますが、御承知のように、炭鉱ではCO中毒以外の一般項症、なかんずく、けい肺、脊髄損傷といった患者を一方では抱えております。私どもといたしましては、CO患者のことを考えます場合には、当然、同時にこれらの職業病患者のこともあわせ考慮せねばならぬわけでありまして、この点、会社といたしましては非常に苦慮いたしておるところでございます。CO中毒立法につきましては、当委員会におきまして御審議中のことと伺っておりますが、本法案に対しましては諸先生方の御慎重なる御審議の結論を待ちたいと、かように存じておる次第でございます。  以上、簡単ながら私の所見を申し述べさしていただきました。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) どうもありがとうございました。他の参考人の方々から補足的な御意見があれば発言していただきます。

稲田稔三井鉱山株式会社労務部長

○参考人(稲田稔君) 別にございません。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。これから質疑に入りますので、参考人及び政府に対し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、この際、委員の皆さんに御報告申し上げておきますが、政府からは小平労働大臣、村上労働省労働基準局長、森通産省鉱山保安局長及び井上通産省石炭局長がおいでになっております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ちょっとお尋ね申し上げておきたいと思うのです。現在で一症度から五症度までの人が二百三十六人、リハビリテーション、それから一般通院、職場復帰と、八百八名の人が出てきておるわけでありますが、私も入院治療されている方々を児舞いにずっと参りましたが、労働災害が起きて、そして災害の問題についてはあまり深くここで触ればいたしませんけれども、会社といたしましても、あのようにどうも精神、神経が麻痺してしまって、そして加療されている。家族の人がみなついていかなければ、患者を見守ってやらなければ何をやるかわからぬというような状態、だんだん少しずつはよくなって退院、そして現職に復帰された人があるわけですが、このような状態について、会社側としては、被害を受けられた方々の現職復帰、それから、復帰ができない人の生活、本人はともかく、これについている家族の生活を守りながら、この災害を受けた人をもとのからだに治癒していくということには相当の時間がかかると私たちも思うのです。会社側もそう思っておられると思うのですが、どういうぐあいにしたら一番よいとお考えになっているか、どうしたらよいか。いまお話しのように、その看護上要する家族の給食費と交通費、その他見舞い金、補助金というような形でお出しになっておるわけでありますけれども、このような状態をいつまで続けていくか、それから、このような方々、労働者は、どこであろうと、受けた被害というものは、家族についても本人についても、何とかなおしてもらわなければならない。それで生活ができるようにしてもらわなければならない。そうでなければあまり気の毒過ぎると私は思うのですが、会社としては、将来この方々の治療の問題や生活援護の問題その他についてどうしたらよいと思っておいでになるか、こころあたりの御意見を聞かしていただきたい。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 患者の療養とか補償のことについては、従来もできるだけのことはいたしておるつもりでございますし、今後のことにつきましても組合と十分話し合って解決をはかっていきたいと、そう考えておる次第でございます。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 速記を起こして。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 組合の労使関係、労働条件の問題だし、その労働条件、そして本人、家族の問題として労働者の納得のいくかっこうで団体交渉で問題をおまとめになるということでございます。それはそれで私はけっこうだと思うわけであります。しかし、私は、人間として、国家的に見て、こういうことになった場合に、負傷者の立場もあるでしょうが、人間個人として——個人というのは適当かどうか知りませんが、いずれにしても、生産についておられる本人、その家族の生活も本人の所得でみていく、こういうことになるわけでしょう。私はその医学的な問題についても、どうも十分にこの対策、治療の処置というものを十分だとは私の感覚では理解ができないわけです。そうなりますと、これから団体交渉をおやりになって問題を解決されると思うのですけれども、三井三池さんをはじめ、四つの炭鉱に中海が出ているわけです。だから、そういうものを含めて、治療の継続者の事後処置というものはどういうぐあいにしたらいいかということのお考えがあると思うわけです。たとえば、じん肺法ではああいう措置をしておりますが、いまの労災保険だけでは救済し得ない問題があるのではないか。会社は労使関係、雇用関係をはずせばそれでおしまいとはなかなか言い切れない問題があろうと思う。作業中に起きた労務者の事故はそういうかっこうでは簡単にできないと思うわけです。そうなってくると、会社側が国家的にどういう措置をしたらいいか、こういう方々の救済のためにそういうことについて御検討をなさっていると私は思う。そういうことをお話し願いたい、こう思う。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) この問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、当社におきましては、公傷の中でも、けい肺患者、脊髄損傷患者との均衡の問題もございますし、また、この問題は他産業への影響もあると思いますので、先ほども所見を申しましたとおり、先生方の御審議の結論を待つほかはないと存じ上げる次第であります。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 まあ何にもおっしゃらないで、よろしく頼むということだけでは私はないのじゃないかと、こう思うのです。私はあまりここであなた方と議論したくないものですから、遠慮してものを申し上げているわけですよ。むしろいまのCO中毒者の皆さん方をどう救済していくかというたてまえで、私は現地の会社側の皆さん方の意見を一きょうはたまたま三井さんのほうだけに来ていただいたのですが、昨年四つの爆発では相当な被害者が出て、なくなられた方は非常に気の毒でありますが、また、幸いにして死亡されなかったのですが、いまのような中毒症で呻吟されている、それは本人ばかりでなしに、家族も皆同じ苦しみで呻吟されているというこの事態を、二度と私はこういう事故を起こしてもらいたくない、それで、万やむを得ずこういう結果になったので、その中毒者の保護救済というものについては、国としても会社側としても私は最善の力を尽くすべき問題ではなかろうかと、そう思うわけであります。そういう意味で、会社としてはいま内容は一つも触れられませんが、団体交渉で何とか労働者を救済することに力を入れたいとおっしゃるのですから、その団体交渉でおまとめになっていただくことはけっこうでございます。そのことについては私は触れませんけれども、しかし、基本的に、やっぱしこういう災害が起きるということの根本は、いろいろの私は欠陥があったと思う。一般的に言えることは、災害責任は那辺にあるんだと、私はそういうことまで追及せざるを得ぬところまで議論を進めなきゃならぬと思う。しかし、できるだけそういうことじゃなしに、今日のこの被災者をどういうぐあいにして将来安心して生活ができるように、それで将来、家族を含めて、非常に災難であったけれども、何とかあとの人生を楽しんでいくと、何とか過ごしていけるような条件というものを私は社会全体でつくらなきゃならぬと、こう思っているわけです。そうなると、私は、社会全体といいましても、国がどういうぐあいにめんどうをみていくか、社会全体でどう進んでいくか、しかし、問題の焦点になるのは、やっぱし労使関係を持っておいでになる会社がまず先にというか、何としても中心になって救済のことは考えていくということでなければ私はならない。だから、災害責任云々という議論は私は控えているわけでありますけれども、それは皆さん方どうぞ御自由にというようなお話になると、この災害はどのような原因で起きたのか、ガスの状態がどうなったのか、安全衛生という法律にきめられていることが実際に守られておったのかどうか、この問題までさかのぼって追及しなければならぬと、またここで議論しなきゃならぬと思うわけでございます。ですから、私は、まあそういうことでなしに、その問題もあります、ありますけれども、いまわれわれは被災された方々をどう救済していくか、これは私は真剣でなくちゃならぬと思う。いまの常務さんのお話でありますと、どうぞまあひとつ御自由にやってくださいというような印象——そうおっしゃったかどうか知りませんけれども、私はそういう印象を受けた。そうすると、こういう処理の問題はどうなるんですかね。これじゃあ事故が起きたと、私のほうは私の中で経済ベースの中で処理をしますよと、あとはどうぞあなた方御自由にひとつ処理してくださいと、残ったその労働者、被災を受けている方々の心境というのはどうなんでしょう。これはたいへんですよ、そういうことですと。だから、この事故が起きて、会社側としても、何も事故を起こそうとして起こされたんじゃないと私思う。万が一ああいう結果になったんですから、遺族に対しても、また、被災者に対しても、最善を尽くしていくんだということが、そして自分らの範囲でこれだけのことはできるけれども、あとは社会や国家でどうしてもらいたいというお話があってしかりだと、私はそう思うのです。だから、そこらの辺を率直に御意見を聞かしていただきたい、こう思うわけであります。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 私は、国のほうで労災法で現在では十分やっていただいておりますし、会社のほうでもできるだけのことをやっておりますし、今後もまた組合と話し合ってやっていきたいと、こう考えておりますので、こういうことを言うとまた先生にしかられるかもわかりませんが、この辺でいいんじゃないかと、こう考えるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 この辺でいいというあなたの気持ちを推察するとこういうことですか。労災法がある、労災法で事が処理できるといういまのことばの端から出てくるのは、それだけでは処理ができないから、だからこの後遺症をはじめ、今日呻吟されている方々の一生については、会社は団体交渉で何とかみていくというかまえだから、そういうぐあいに理解しようと、こういうことですか。そんならそれで、そういうぐあいにはっきりおっしゃっていただくならば、われわれもこの問題については、いつか知らぬが、団体交渉をおやりになるのですから、それ以上のことをあなた方に尋ねようとは私は思いません。だから、私のほうとしては、それはそれでいいにしたって、これはやはり産業が発展する中に、いろいろな職業病的な傷害が起きてくる、被害も起きてくるから、国家や社会全体としてどうこれをみんなで包んで守っていくかというのを、われわれ社会労働委員会——国会というのは審議する機関ですから、いまのような常務さんの発言でしたら、労災法に足らない生活上、それから職業上のその他は会社がめんどうをみるのだ、こういうぐあいにおっしゃっているように私は感じるのですが、それでよろしゅうございますか。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 誤解のないように申し上げておきますが、この処遇の問題については、会社としてできるだけのことをやっていくと、こういう意味でございますから、念のために申し上げておきます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 できるだけというのは限界のないものでありますからね。だから、私の言っているのは、額とか何とかいう話をここでしょうとしているわけじゃないのです。一酸化炭素中毒というこの方々、犠牲になられた人間、お互い人間同士でありますから、私は会社で一〇〇%みんなこれで全部やりなさいという言い方をしているわけじゃない。将来この方々を救済していくにはどうしたらいいかということを思って、皆さん方の会社側が、まず雇用関係、労使関係がありますから、皆さん方が先頭に立って、国や社会や全体の中でこの被災者を救済していく方法というものをもっと積極的に、まあ積極的であるのか知りませんけれども、いまのお話の限りでは、どうもあなたまかせのような感じがありますから、これはどうしてもこの方々はいずれにしたって守っていかなければならぬのだという積極的な御意見の中で、その前提の上に立って、会社としてもできるだけのことはしたいのだと、こういうぐあいにおっしゃるなら私は理解のしようもあると思うのですよ。しかし、そういうことはおっしゃらないで、できるだけのことはしたいのだ、あとは皆さん方におまかせしますじゃ、ちょっと私はどうも理解ができない。私はここに聞いておられる委員の方皆さんそういう感じをお受けになっていると思う。だから、その点は、私はいまのようなことでは納得がちょっとできにくいのであります。  ちょっと労働大臣にも、基準局長や通産省もおいでになっておりますから、そのまず前提の問題をどういうぐあいにお考えになっているか。中毒者、被災者の皆さん方は、本人は申すに及ばず、家族の皆さん方まで生計が立つように、そうして、また、なおったら生産についてもらわなければならぬというのが私はみんなの願いだと思う。そういう問題は、まず被災者を守っていくということが前提だと私は思うのですけれども、その点についての労働大臣の御見解をお聞きしたい。それから通産省にもお聞きしたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 前提といたしまして、不幸にして災害にあわれた労働者の諸君自体はもとよりのこと、不幸な遺族の方やら、あるいは家族の方々、こういう方々までも含めて、その生活の保障ができるように、国においても、あるいは、また、もちろん労働者を雇用しておる経営者の立場においても万全を期していくと、こういう基本的な心がまえというものは私は当然であろうと、かようにもちろん考えておるわけであります。  そこで、ひるがえって、具体的にいまお話に出ておりまする三井三池の場合を考えますると、一方におきましては、現行の労災保険法によりまして、療養はもちろん、これはあらためて申すまでもございませんが、療養費は全部この保険でやっておる、あるいは収入の点につきましても六割の補償をいたしておる、その他特別看護料等についても保険の面で配慮をいたしておる。また、会社のほうでは、さらに給与についても二割方の配慮をいたしておられる、こういうこと。さらには、遺族の就業についても、当局としてもできるだけの配慮を今日までいたしてまいっておるわけであります。そこで、こういったことでもちろん十全というわけにはまいらぬかと思いますが、しかし、ある程度という表現が適当かどうか存じませんが、とにかく相当程度の補償をいたしておるわけであります。当局としては、これも毎々申し上げておるところで、ございますが、現行の労災保険において、これが運用につきましてはもちろん最大限の配慮をいたしまして、また、これが極力罹災者の実情に即するようにできるだけの配慮をいたしていこうと、こういう心がまえでかねがね組合等とも相談をいたしておるところでございまして、ある程度の話し合いも、実は御承知のとおり、できておる、こういう事情でございます。今後におきましても、もちろん一面におきましては、労使の関係において、いま会社当局が申されますように、会社当局にももちろん最大の配慮をしてもらわなければなりません。同時に、国の立場におきましても私は最大のこれまた配慮をいたし、冒頭申しましたように、遺族なり、あるいは家族なりの生活保障ということが十全とはいかぬまでも、とにかく確保をされるというところに向かって努力をいたすと、こういう決意でおるわけでございます。

森五郎通商産業省鉱山保安局長

○政府委員(森五郎君) 鉱山における一酸化炭素がなぜ発生するかということにつきましては、皆さん御承知のように、ガス爆発、あるいは炭じん爆発、あるいは石炭が自然に発火をいたしまして自然発火をする、その結果COガスが起きる、あるいは坑内における火災が起きまして、そのためにCOガスが起きる、こういうことが鉱山におけるCOガス発生の原因でございます。したがいまして、このCOガスによる災害を防止するためには、いま申し上げましたガス爆発、炭じん爆発等の原因を排除するということが必要でございます。そこで、われわれといたしましては、先生方御承知のように、山野炭鉱の爆発災害以来、中央鉱山保安協議会等の御意見も聞きまして、まず、いま通産省としてやっておりますのは、坑内の構造改善ということをやっておるわけです。四十一年度の予算におきましても坑内の整備、坑道の整備並びに機器の整備等に関しまして助成、すなわち、石炭鉱業合理化事業団から無利子の融資を出して坑内を改善する、そういう事業をやっております。また、同時に、そういうことをやりますとともに、監督の強化をいたしておるわけでございます。御承知のように、総合検査と申しまして、多数の監督官が参りましてそこの保安に関する問題点を摘出する、これに対しましていろいろな処置を、こうやったらどうかということを申しまして、それに対して追跡検査と申しまして、それが確実に行なわれておるかどうかという追跡検査をする、あるいは一般巡回というようなことで問題点をさがしていくというような監督のやり方をやっておるわけでございます。四十一年度から二十名の増員をしていただきまして、そういう監督の強化ということもやっておるわけでございまして、そういう片方、鉱山の施設の整備、監督の強化、あるいは保安教育、あるいは管理機構の問題、あるいは保安技術の向上の問題等々につきまして、目下対策を強化しておるつもりでおるわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 保安局長さん、私は申し上げますが、保安の強化、これはもう当然のことで、強化していただくことはけっこうなんでございます。しかし、問題は、それとあわせて、今後起きないという予防措置をすることは当然でありますけれども、その起きた被災者の皆さんについて、起きたからしょうがないと無関心でおれるわけは私はないと思う。だから、いま起きた被災者の皆さん方を救済するというのは労災法だから、労働省にまかしておいていいということの一語に尽きる問題じゃない、私はそう思うわけでございます。だから、将来、安全衛生の予防をおやりになっていくというかまえの中には、それは強度にやってもらわなければなりませんけれども、いま起きている犠牲者に対する救済というものも、もっと強いウエートでそれをみてもらわなければならないのではないか。これはやっぱり会社が石炭を掘って販売させているから、利益を上げているからいいというわけじゃない。日本の産業を動かすエネルギーの役割りをその石炭がしていくわけです。だから、労働者自身は石炭を掘ることによって日本の産業に貢献をしていくわけであります。その貢献している労働者がこういうぐあいになったので、将来起きないように最善を尽くしてもらわなければならぬけれども、万が一起きたときの処置というものをやっておいてもらわなければ、地下へ入って石炭を掘れなんといったってそれは無理だと私は思う。そういう処置をわれわれはどうしてもしなければならぬ。私は会社にここへ来てもらったのは、会社をいじめるために来てもらっているのでも何でもない。その被災者の皆さん方をどう救済するかというお考えを聞くために来ていただいたわけでございます。これは産業の発展するための犠牲者です。その犠牲者の皆さん方を社会全体によって守らなければ、その守る主導的役割りは使っておられた会社がおとりにならなければどうにもならぬじゃないかということを私は申し上げているわけであります。こまかいこと、具体的なことは団体交渉でおきめになったらいいと私は思う。しかし、この方々を、いま大臣も仰せになりましたように、何としても産業の中の犠牲者なんだから最善を尽くして守っていく、本人はじめ、家族を守っていくというこのかまえというものが一本くぎが抜けたら、労働者というものはどこをたよりにそれじゃ地下で働くかということになると、私はそう思うわけであります。そのことを申し上げている。そのことは会社側としてはどうもおっしゃりにくいような口うらなんですから、ここのところはひとつはっきりしていただきたい。そうして会社が起こそうとして起きた事故じゃないんですから、会社だけでたえられない問題は、国や社会でこれとこれとはこうしてもらいたいという、そういう発想が起きてこなければこの問題は解決をしないと思う。もう起きた労働者としては、いかにして自分の生活、自分の職業を、または家族を含めて、どうして補償してくれるか、このことを、私は責任の所在の議論をするより前に、この問題を一番願っていると私は思う。基本的な問題については言いたいことがあっても、私は最も原因的な問題の、ここでどうしたらいいかという議論を私はしていると思います。だから、そういう点について会社のほうも、もう少し私はどういう方向でどうしていくんだくらいのことはおっしゃっていただかなければ、四つの会社事業場があって、三井さんだけ来てもらったんだからそういう不満があるのか、私のほうも三井さんに来てもらって、経営者全体とはいいませんが、経営者の心境というのはどういうものかということを聞かしてもらおうと思って来てもらったのですから、その点についてはもっと率直に御意見をひとつ聞かしてもらいたい。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 私が先ほど申し上げましたのは、起きた被災者の家族の保護、その人をよくめんどうをみていく、手厚くしていくと、そういうことに関しては、これは会社も深く考えておりますので、ただ、先ほど申し上げましたのは、立法措置云々というお話になりますと、私のほうとしましては、それは先生方のほうにおまかせする以外にないと、こう申し上げたのでございまして、法律的措置のことを申し上げたので、内容その他を先生方に全部まかせるというわけではございませんから、あしからず御了承順いたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 どうも、それはそうでしょう、もっともな話です。立法のことまで自分らが口ばしを入れてはと、それはそのとおりだと思います。立法という問題は、現実をどう生かしていくかという集約が法律だと思うのです。法律をきめてこうやりなさいという、結果的にはそういう形になりますけれども、どうすれば一番よいかという、その全体の意見の集約が法律となってあらわれてくる。それに全体が従うというのが筋道だと、私は法律の立法措置だと思う。だから、どうすれば一番よいかという話を集約をして、それが立法になるわけです。それがいまのようなお話があればわかりますけれども、先ほどの話では、どうもあとはよろしくと、こうなりますと、それはどうもわれわれとしては理解ができない。だから、そういう点で、いまどうやれば一番よいか、法律のほうはあなたのほうで国会でやってください、しかし、われわれとしては使用者としての責任があるから、こういう事故の被災者についてはどういう処置をとったら一番いいか、その点についてできるだけのことはしたいというのは、まず私が大臣や通産省の保安局長に申し上げたように、この被災者をどうしても、本人はじめ、家族の生活を将来不安のないようにしからしめなければならぬという前提で、私は、会社側がその中心になって指導権をとるというとおかしいですけれども、中心になってそういう具体的な事実をつくり上げていく、その集約は法律になるでしょうけれども、そのことについてお尋ねをしているわけであります。どうすればよいかですね、そこの話がどうもちょっと私にはわかりにくいわけです。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 先ほどからるる申し上げましたように、処遇の問題は今後の団体交渉で十分に組合と協議してやっていきたい。  それから、立法措置の問題につきましては、他産業との関係もございまして、一会社の私のほうからこうすべきである、ああすべきであると、こう言うことはもちろんのこと、自分自体のところにも、けい肺患者との均衡の問題もございまして、この問題については、やはり先生方の御審議におまかせする以外にないと、こう御答弁申し上げる以外はございません。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 どうもしつこいようですけれども、じん肺の関係もございます。じん肺法のいまの水準がいいかどうかというと、これはもう社会の進展のために改善、改良をしていかなければならぬことも国会の任務だと、法律ですから。法律の改正については、いまあらゆる方々の御意見があって、それを集約をして、一生ああいう状態においでになる方々の保障や給付に関していま国会で議論をしているところでございます。で、それより私はひどいとか何とかということを申し上げませんけれども、地下の中でああいうかっこうに、たとえば爆発をして被災を受けたというのは、あの環境の悪い地下で日本の産業、日本の国民を守るために、エネルギー生産のために努力されている皆さん方について、私は、やはり鉱山の中においでになる方々の長年の蓄積のじん肺の問題より以上に、瞬間にして、何も自分が予防措置を講ずるとか講ぜぬとかということなしに、爆発で犠牲になった方々に対して手厚い措置を講じてあげるというのは当然だと私は思う。だから、具体的にどうこうということをあなたに申し上げるわけではないのですけれども、しかし、少なくともこの立法の均衡というような問題の御意見、おっしゃるとおり、私らもそういうぐあいに、どこが均衡するぐらいのことはいま考えているところでございます。しかし、私の印象ですね、あなた方が受ける印象が悪いのかどうか知りませんけれども、どうも自分のところの一これは間違っておったら訂正していただきたいと思いますけれども、どうも投げ出したような感じを私は受けるわけであります。業務上の災害責任というのは、やはり使用者の皆さんが中心になって、そうして社会や国に訴えて、そうして労働者を守っていくという、この熱意がなければこれはものにならぬのだと私は思うのであります。それが私は産業の経営者としての当然の任務だと、そう思う。そこらのところが少し印象として、そうでないのかもわかりませんけれども、あいまいのような気がするわけであります。ですから、私は、労働大臣がおっしゃったように、あのような犠牲になった方方は最大に守っていくという前提であらゆる努力をしたい、こうおっしゃるなら、私は、それじゃああとの問題をどうすればいいか、たとえば団体交渉でおきめになることもありましょうし、こういう国会の中で全体でつついて保障をしていくという法律事項の問題もありましょうし、そういうところに私は進めていかなければならぬと、こう思う。その前提が、私は、おっしゃっているのかわかりませんけれども、どうも印象として何かそういう感じを受けるものですからくどい質問をしたようなかっこうになっているわけですよ。そういうぐあいにひとつ理解をしていただいて、会社の決意のほどをお示しいただけば、私は具体的にあとの問題について少し労働省や通産省の皆さん方に、あと処理について、三者おいでいただいているわけですから、どうすればいいかという御意見を承りたいと、こう思う。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 決して冷たい考えを持っておるわけでもございませんし、先ほども申し上げた答えのとおりでございまして、これでごかんべん願いたいと思うのでございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 どうもそう言われてしまうと、私どもは会社側にお伺いする勇気を失うのでありますけれども、私は、あえて、この際でありますので、会社側に質問をしてみたいと思うのです。  皆さん御承知のように、この事件は三十八年の十一月九日、死者四百五十八名ですね、たしかそうですね、死者四百五十八名ですね。その当時入院された者が二百八十三名、通院の者が四百名で、合計一千一百四十一名というのが三井三池の炭鉱における死傷者の数であります。ところが、この事件が起こる以前に、すでに当該組合から、会社側の保安設備について不安を感ずる不備の点を指摘し、しばしばこのことについては改善方を会社側に申し入れされたそうでありますけれども、そういう事実がおありだったのかどうか、この点をちょっとお尋ねしてみたい。  それから、もう一点、いま一番最初に申し上げた一千一百四十一名という多数にのぼる会社側の従業員がなくなられ、あるいはいまも病床に呻吟されておるという、この現実の悲惨な姿をわれわれ見るときに、一日も早くこの人たちが生産の第一線に復帰されることを願うと同時に、いかに医者にかかろうとも完全治癒あたわずという方々も、私どもは先般皆さん方の従業員の病院を訪れまして、つぶさにこの目で見、この耳で聞いてまいりました。患者の皆さん方のるる訴える点、まことに私どもは同情を禁ぜざるを得ないのであります。したがいまして、この件については一日も早く国家が法的措置をとり、会社側がただいまのような冷たいような、あなたまかせのような消極的な、退嬰的な、投げやり的なそういう部下従業員に対するおことばであるならば、四百五十八名のとうとい人命を失ってなくなられた方々も、おそらくこの会社側の冷たい措置については恨むでありましょう。さらに、その遺族、現在病床に呻吟中の方、通院される方々、こういう方々は、ただいまの会社側の御答弁を聞きますと、さらに怒りを増すのではなかろうかと、私は心から憂えるものであります。したがいまして、こういう大きな事故を起こされた会社側の対従業員に対する責任、対社会に対する責任についての心証もまたあわせてお伺いしたいと思うのであります。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 三池労組のほうから保安の申し入れがありましたことは伺っておりますし、それに基づいて適切な処置を講じてまいりました。  それから、二番目の、こういうふうに事故が起きました責任については、世間をお騒がせし、御迷惑をおかけしたということはまことに申しわけなく思っております。これで前社長以下幹部の人が、この前の期に、昨年の五月ですか、責任をとってやめておりますし、それから、今後こういうことの再びないように万全の措置を講じて、環境をよくし、職場をよくしてやっていきたい、これが犠牲者に対する私たちのつとめと考えております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 先ほど藤田委員の質問に対し、会社側が責任を持って組合側と団交を行ない、しかる後にこれら被害者の方々については万全の措置をとる、このようなお答えと承りました。したがって、その会社側の前向きの立場を御信頼申し上げて質問をしたいと思うのでありますが、しからば、私も先ほど若干触れました、一定の期間がきましても治癒不可能の者、病床から立ち上がり、会社に戻り得ない者、こういう者については、先ほどのおことばをそっくり前向きの過程でいただくといたしますならば、全責任をお持ちということでありまするから、よもやちまたにほうり出すような冷たい仕打ちはなされないでしょうね。この点、常務さん、労務担当の部長さんのお二人さんから伺いたい。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) この長期療養に該当するものと認められた者に対しましては、けい肺患者、その他脊髄患者との関連もありまして、これは協約に基づきまして処理したい方針を持っております。しかし、これは組合からの要求がありまして、目下団体交渉で継続中の過程になっております。

稲田稔三井鉱山株式会社労務部長

○参考人(稲田稔君) ただいま常務が申しましたように、会社の労働協約、あるいは就業規則によりますと、これは他の公傷者と同様に処理することになるわけでございまして、組合から要求が出ておりまして、団体交渉の中でこの問題は解決をはかりたいと思っております。  なお、先ほどちょっと常務の申し上げましたことについて誤解があるのじゃないかと思いますが、実は三池において災害発生前に団体交渉の申し入れがあった云々の問題で、ございますが、常務から申しましたように、この問題は、組合から申し入れの点については十分配慮してやっておった中にああいう災害を起こしたわけでありまして、この点が何か多少誤解があったのじゃないか。もしそうでなければお聞き流し願いたいと思います。

森勝治日本社会党

○森勝治君 私どもはあくまで質問でありますので、もっと突っ込んだ隔意のないお話を承りたいと考えておりますが、場所柄でございますので、そういう点、私も御遠慮申し上げて歯がゆい質問を申し上げる次第でございますから、その点はひとつ会社側も御理解のある積極的な御答弁をわずらわしたいと思うのであります。  いま後段にありました、労務部長の方がお答えになりました、組合側の鉱山保安に関する、鉱山安全に関する申し入れを会社側が快く受けて万全の措置をはかろうとした御努力は私ども認めてあげたいと思うのであります。しからば、会社の鉱山保安というものは当時全きを期してあった、こういう理解が成り立つわけであります。ところが、会社側では、そのように万全を期して組合側の鉱山保安に対する意見を十分取り入れて実行したとおっしゃるけれども、現実には四百五十八名、総数では一千一百四十一名というとうとい人命を損傷しているという、この現実の姿を一体どうお考えになっておられるのか。会社の従業員に対する職場の安全ということは会社側に与えられた責務であります。職場の安全性の確保なくして労働者は一時間といえども安心して生産の第一線に立つことができません。これは経営者に課せられた責務であります。しかし、現実の場においてはそういう事故が起きた。しかも、この事故は労働者の全くあずかり知らぬ場における、労働者の一片の責任にも期すことのできない事故であります。したがいますならば、労働者の犠牲者に対する会社側の全責任があってしかるべきものだと私は考えます。したがって、団交によってきめるなどということを言わず、会社側が全責任を持って、会社側の責任によって確保しなければならぬ鉱山保安のそういう問題の欠陥によって生まれたと私は思うけれども、この席上は裁判所でございませんから、断定は申し上げません。私の見解であります。したがって、労働者の人命の尊重という立場、こういう面から見ましても全責任を会社側が負うべきではなかろうかと思うのであります。と同時に、そのことについての会社側の見解を承りたいと同時に、本件についての労働大臣の所見、すなわち、労働者が安心して働ける職場、これを労働省はかねてから指導をいたしてまいりましたけれども、いま論議されておりますような現実の悲惨なできごとが招来されました。このことはまことに残念でありますけれども、そうなれば労働者の責めに帰すべからざる鉱山の災害でありますので、経営者側の責任はもとより、国が本件についての責任のある処置がまたなされてしかるべきと私は考えておるものであります。したがいまして、この点についての労働大臣の所見を承りたい。さらに、きょうは森保安局長が来ておりますので、先般社会労働委員会でも、私は、鉱山の保安について労働省と二省にまたがるこの監督権の問題についての一元化についての主張をいたしたわけでありますが、この際、あらためてこの鉱山保安の、すなわち、鉱山事業場における職員の安全衛生というものにつきましては、鉱山保安法の指摘するところによって、労働省より通産省にということが八十年の歴史だということを先般おっしゃっておられますけれども、このように、とうとい労働者の人命をあずかり指導する監督官庁のこうしたこの行政というものが一貫性を欠き、本来ならば、労働省が誕生したわけでありまするから、当然労働省に移管されてしかるべきだと私は考えますけれども、通産省が依然としてこの問題についてはなわ張り根性を発揮して固執して譲らない。したがって、きょうはちょうどいい機会でありまするので、ひとつ労働行政の一貫という立場からも、率直に、この前のように、大臣でございませんからお答えはできませんなどということはもう言わないで、ひとつ担当者としての赤裸々な前向きな本件についての御答弁をわずらわしたいと思うのであります。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 労働災害に対する責任論でございますが、現在のわが国の経済組織、あるいは社会組織、そういう面から考えますならば、とにかく労働災害に対する第一次の責任者というものは、これはあくまでも私は使用者であると、こう思います。このことは総理府に設けられております産業災害防止対策審議会が先般出しました答申においてもこれは明らかにうたっておるところでありまして、第一次の責任者というものは使用者であると、したがって、使用者は、それぞれ業態は違いましょうが、とにかくそれぞれの従業員の安全を確保するということには最善の責任を感じて、それが十全を期してもらわなければならないということに相なると思います。  そこで、しからば国の責任者、あるいはこの災害面を担当いたしております労働省の責任ということでございますが、労働省といたしましては、まずもってかかる災害を起こさないように、あらゆる施策を講じて業界を指導する、あるいは啓蒙するということばが適当かどうか知りませんが、そういうことに大いに力を用いておることは御承知のとおりでございます。詳しくは申しませんが、そういう面で、四十一年度等におきましても、あるいは研究施設等の拡充というようなこともやっておりまするし、あるいは特にこの産業災害の多いところには、御承知のとおり、法律までつくりまして防災のための団体等も結成いたしましてこれが指導に当たっておる、こういうこともすでに御承知のとおりでございます。しこうして、何らかの原因によりまして災害が起きたという場合にどう臨むかという問題がもちろん最後にあるわけでございますが、この点につきましては、先ほど藤田委員に御答弁申し上げたとおりでございます。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 災害の責任については十分痛感いたしております。先生の御趣旨の仲はよくわかっております。会社といたしましては、できるだけのことをいたしたいと考えております。

森五郎通商産業省鉱山保安局長

○政府委員(森五郎君) 鉱山災害の責任につきましては、先生御指摘のように、もちろん鉱業権者にあるわけでございますが、しかし、何と申しましても、鉱山の保安につきましては、その山でその山の保安を守るということが原則でございます。したがいまして、労働者も法律では保安に関する命令を聞かなきゃならないということを規定されておるわけでございます。したがいまして、われわれは、労使がほんとうに一体になって鉱山の保安を守るということが先決でなかろうかと、こう思うわけであります。したがいまして、三池災害後法律も改正いたしまして、先生御承知のように、労働者の代表を監督員補佐員に選任をするという法律改正を行ないまして、現在各鉱山はこれをみなやっておるわけでございます。したがいまして、労働者もやはり保安を守るのだ、自分たちの生命を守るということに徹して、保安の問題について意見があればこれを大いに言ってもらう、あるいは保安委員会というものが法律で規定されておる、そういうところで労使がほんとうに一体となって保安を守るということについて話し合うという機構にもなっておるわけであります。われわれといたしましては、そういうことを通じまして、先ほど申しましたいろいろな施設の面、あるいは監督の強化の面、いろいろな前向きの政策をとって鉱山災害の絶滅を期したいというふうに考えておるわけであります。したがいまして、所管の問題につきましては、現在鉱山保安局で所管をいたしまして何ら不都合はないというふうに考えておるわけでございます。もちろん労働省との連絡、両方で相協力してやらなければならぬことはたくさんございますが、そういうことについては、そういうことに応じまして十分連絡をとってやっておりますし、将来もやっていくつもりでございます。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 ただいまいろいろ質問の中で私伺っておりまして、会社側の方々からの御発言の中にも、やはりこうした大きな災害であり、このあとにまだ療養中の方々に対しましても前向きの姿勢でいろいろとこれについては組合とも話し合いをしながら進めるという御意向のように伺いまして、私はこの際、質問を申し上げるのではなくして、特に要望として、そうした前向きの姿勢で、こういう非常な災害によって、特に中にはおそらく一生立ち上がれないかもしれない人もあるというような悲惨な状態であります。あるいは、また、こういうような方の家族の方の中にも、非常に経済の苦しい中で苦しんでおられる。これらに対してもいままでもいろいろな補償をされてきておるわけでありますが、なお一そうそれを前向きな団交の中でこれを進めていただくというお考えであることを私は明確に感じまして、将来ともそういう姿勢で、ひとつ会社側は、困っておられる労働者、被害を受けた労働者に対しては、どうかひとつ最後まで手厚い手を差し伸べてこういう人たちの救済をし、また、そういう救済の中で、あとの残った労働者も非常に安心をして就労ができるというような場をこしらえていただくということが根本であろうと思いますので、特にそういうことを要望さしていただきたいと思います。  それから、労働省側に対しまして、あるいは、また、会社の側の方々にもちょっと伺っておきたいと思う点、これはささいな問題ではありましょうけれども、二、三の点をお伺いしたいと思っておるわけであります。ことに私は医者の立場でこの間あの災害のところをおじやまいたしまして、病院でよく見せてもらってまいりました。そういう点の中で、私は非常に気の毒であるし、また、あの一酸化炭素中毒の患者さんはほかの患者さんとは非常に精神面で、あるいは、また、そういうふうなことで大きな障害がある。これが非常に表にあらわれにくいという点もあり、非常な悩みの点と聞いてまいりました。ほかの災害の場合以上に、なかなか精神面では苦しんでおられる状態じゃなかろうかということを見てまいったわけでありますが、そういう中で私はいままで行なわれておる様子を聞いておりますと、労災の大牟田診療所あたりへ入院しておる方が、もうだいぶいいから退院せよ、こういうような方が出てきている。こういうような方に対しましても、その患者に対する医師の意向がこうであるからということで、患者自身には非常に思いがけないような感じを持っておるというような場合も非常にあって、その話し合いの中で納得いかないというのが出てきておる。こういうようなものに対しても退院を強制されるというような場合もあるようであります。あるいは、また、九大の黒岩教授あたりの御見解も出ておりまして、あるいはこういうものによって中毒患者の様子がいろいろ考えられておるようでありますが、こういう点についても私は学者の間でもいろいろ意見が違うのではなかろうか。精神的な面を診断するのでありますから非常にむずかしい、私はそう思うのでありますが、あるいは、また、患者が起きたときの初めの治療、それがあとからこの事件を契機にしてやはり高圧な酸素の供給などもして、あとの事故のときには非常に経過がいい、こういうような面から考えましても、非常に大量な重症患者が出ている場合でありますから、そこらに問題があるように思うわけであります。私はこういう点についてもう少し、甲の学者がこういう意見であれば、またほかの意見も伺ってみるというふうにして、こういう悲惨な状態で入院している人たちもある程度納得のいけるような措置をもっと講じてもらいたい。そういう点はたくさんあるのじゃないかと私は思うわけでありますが、そういう点について会社側の方はどんなふうに把握しておられますか、あるいは、また、労働省のほうではどんなふうなこれについてお考えをお持ちになるか、聞かしていただきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 入院中の患者につきましては、労災補償保険の立場で医療を行なっておるわけでございますので、主として私どもの関係にあるかと思います。  先生御指摘のように、一酸化炭素中毒につきましては、その症状の医学的認定、治療基準、治癒状態の認定等につきまして医学的にも明確でない点が少なくないことは御指摘のとおりであります。そこで、できるだけ現在考えられ得る医学の最高水準でこの問題を処理したいという観点から、三十八年十一月九日に三井三池の災害が発生した直後に、現地におきましては、三池災害一酸化炭素中旬患者医療委員会を設けまして、とりあえず九州地方における専門家の御参加を願うと同時に、中央からも現在のわが国における最高と目される先生方をもお願いいたしまして、この医療委員会を中心にしていろいろな医学的な措置を講ずるということにいたした次第であります。したがいまして、たまたま大牟田療養所において行なわれる措置、あるいは特定の大学病院で行なわれる措置でございましても、それはこの医療委員会できめられました一つの基準によって措置されるわけであります。そのようにいたしまして、労働省としてもできるだけの配慮をいたしておるつもりでありますが、何しろ八百人に余る多数の患者がおったことでございますから、一々の措置につきましては争いが起こり得るということを私ども考えておる次第でございまして、すでに職場復帰された方も相当あるわけでありますが、そういった方々おも含めまして、今後の問題処理についてはできるだけこれを円満に処理いたしたいという観点から、実はそういったトラブルが生じた際にどうするかという、その措置のやり方につきましても総評、炭労等、関係方面と一応手順は話をつけておるわけであります。したがいまして、私どもはそういう個別ケースがどう処理されるかという点について争いが生じたときには、かねて打ち合わせております手はずに従って御処理願いたい、かように考えておるわけであります。ただ、基本は、あくまでも医学的な専門的立場から御処理願うということでありまして、一人の医師が認定をするという場合に問題があれば、さらに第三者的な医師に判断を願い、そこでもまだ結着をみないということでありますならば、わが国における最高の権威者によってまた判断を願うということで、十分医学的に問題を処理していきたいと考えておる次第であります。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 会社といたしましては、主治医の認定に従って職場復帰をやっております。専門の医者がおりませんときには大学の先生がまいりまして、その先生に主治医となって認定をしていただく。この認定の基準は、労働省のほうから示された御趣旨に従って実施いたしております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 このところにおきましては、結局重症患者は三つの大学の病院で治療をされる、それからだんだん軽くなった方が大牟田労災あたりであるいはリハビリテーションをお受けになる、また、回復がもっと進んでくれば回復指導所あたりでリハビリテーションと健康診断をやってもらう、そうして職場に復帰されるという段階だと聞いておるわけでありますが、これは最も当然な方法でございますが、私は、この過程におきましても非常に問題があるのではなかろうか。特に職場復帰された方が二百何十名いらっしゃいましたが、そのうちでも、ぐあいが悪くてまた病院に戻って療養しなければならぬ、あるいは、また、通院治療をして職を続けていくことのできないという方が百名以上も出ておられるという話を聞いておるわけであります。こういうふうなことは、先ほど私が申し上げましたようにCO中毒というものが非常に複雑で、精神面なんかの問題もあるからだろうと思いますが、その間に、たとえば療養所、あるいは病院あたりで、何と申しますか、ほかの政治的な背景というか、そういうものによって職場復帰をすすめられる。たとえばいまのうちに復帰をしておかないといい職場に帰られなくなるのだ、あるいは、また、解雇の対象になるのではなかろうかというようなことも含めて職場復帰を指導していくという面が医者のほうにもある。特に医療を担当をしている医者も、あるいはそうするのはまだ早過ぎはしないかという考えであるのにもかかわらず、そういうふうにしていく。個人的に職場復帰を願ってくるから、病院の先生としてもとめるわけにいかぬから職場復帰をさせたのだ、そういうケースがあるためにそういうたくさんの人が働けなくなって、病院にまた戻らなければならない、こういう例もあるというふうなことも聞いておるわけでありますし、また、五月七日ごろの朝日新聞に連載されておるものの中でもこういう問題がいろいろ考えられておるようであります。私はそういう点から考えましても、リハビリテーションというものをもう少し一本化をして、そしてもう少し具体的な労務に復帰してもいい訓練を体系づけてやる必要があるのじゃなかろうかということも考えるわけでありまして、特に労働省の労働基準局の考え方としては、もっと明確にこういうものを指導していただき、そして、少なくともこういう複雑な症状を持っている人たちに対するリハビリテーション、あるいは、また、職業訓練というものに対しては相当突っ込んだ指導をしていかなければならないし、また、会社側に対しましてもそういうことに対しての御協力をお願いをしなければならないのじゃなかろうかと思うわけであります。そういう点につきましても一言また所信をお伺いしたいと思うわけであります。  それから、もう一つは、時間があまりございませんから、質問を続けて申しておきますが、十一月の八日でこの基準の補償の期限は切れるわけのようでございますが、こうした問題は非常に精神的な影響を与えますので、いまなおって職場復帰した人も百名ほど帰ってくるというような現状であれば、これから治療を進めるに従って、あるいは、また、私が申し上げたように、リハビリテーションとか何とかいうものをもっと深く掘り下げていくことによって、こういう人たちが職場に帰れる条件がもっとできてくるだろうと思う。それは必ずしも三年以内にこないというわけでありまして、やはり労働協約あたりでこの解雇の期間も決定されておるようでありますし、そういう問題についても、やはり会社側はそうは一律にはいかぬのだから、こういうのは特別な考慮をしようというお考えもお持ちになっていただけるやにも聞いておるのでありますが、そういう関連も含めて、私はこの三カ年後に至っていろいろ処置をする、これはやはり先ほどお話にありましたように、災害の補償の責任は会社におありでありましょうが、同時に、また、私は政府に対しても、非常に責任を持って、こうした病気がそういうふうであるために、特別なケースとしてもっともっとこれを立法化すると同時に、解雇をしないで、そうしてまた職場復帰をさせるような考え方を会社側にもお願いをしなければならぬ。労働省としても特にそういう点は考えてもらわなければならぬのではなかろうかと思うわけであります。特に先般、労働大臣は安恒総評政治局長との間にお話があったところで、責任を持っていままでのこういう被害者の方々に対する補償をされていたわけでありますが、そういうふうな所得保障に対してのすべての問題を処理しながら、それを含めながら、いろいろな話し合いに対しては尽力するようにお話になっているようであります。そういう点につきましてのいまの大臣の心がまえとか、あるいは、また、会社側に対しましてのそれに対するお心がまえなんかを少し聞いておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 先生からいろいろお話がございましたが、最初に、職場復帰後にまた入院あるいは通院等もしなければならぬ事態も起きているのではないかということであります。このことは、もちろん私は、先生のお話のとおり、職場復帰等についても何らかの政治的な配慮といいますか、あるいはことばが適当でないかもしれませんが、圧力と申しますか、もちろんそういうことがあっては私はならぬと思います。そのことは職場復帰、あるいは退院ということもそうでしょう。また、退院等についても、まあどちらの側に立っても、これはやはり少なくとも今日の日本の医学界の最高の人たちに御判断を願う、結局はそういうことになっているわけですから、それをやはり一番お互いに尊重して、政治的な考慮などということは一切排すべきである、基本的にはお互いにそういう心がまえになってもらわなければならぬ、私はその点はかように考えておるわけであります。  それから、リハビリテーションの関係ですが、これも先生御指摘のように、ただいまやっておることが万全だとはおそらく言い切れないと思います。先生のただいまの御注意等の点は、十分労働省としてもこれを参考にさせていただいて、改善すべきものはもう謙虚な態度で改善をしていく、私はこういうことにするつもりであります。なお、現状等の詳しくは局長から御説明申し上げます。  それから、この十一月事故発生後まる三年になりまして、法的には使用者側は解雇することができるという段階に入るわけであります。この点につきましても、もう再三にわたりまして総評の諸君とも話し合いをいたしまして、ついせんだってもこの問題が話に出ました。私は、やはり先生御指摘のとおり、この問題につきましては、まずもって労使間の問題でございますから、労使間で話をひとつぜひ煮詰めてほしいということをかねがね申しておるわけでございまして、その上でどうしても話がつかぬという事態がありますならば、私は責任を持ってごあっせんというか、そういう努力はいたしましょう、こういうことを確かにお約束をいたしているのであります。せんだって見えましたときもこの話が出たのでありますが、その後一体労使間でどの程度話が煮詰まりましたかと私が聞きましたところが、どうも何かあまり明確でございませんでしたので、総評の諸君もなお話を煮詰めて出直してくる、こういうことに実は経過がなっておるわけでありますから、私は約束したことについては守るつもりであります。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 速記を起こして。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 じゃ、簡単に一言だけ会社側のほうにお尋ねしたいと思っておりますが、これはいま申したように、非常に病状が後ほどから回復してまいりまして、そういう点でやはり協約あたりでは三年くらいで解雇になるようなことになっているようでありますが、こういう問題については、特にそういうことでないように、特にお取り計らいを願いたいということと同時に、また、私は、これらの人が、たとえば坑内夫であれば、坑内に入る仕事は非常に何と申しますか危険もあるし、あるいは、また、非常な神経を使う、あるいは、また、働きが正常でなければまた危険を繰り返すという状態でもある。こういうことから考えれば、そういう人が復帰する職場というものは相当考慮してもらわなければならぬと思う。こういう点については会社側から相当十分な御配慮を願ってこれを進めていただきたい。また、解雇はしないで、ずっとその病気の療養をしている者は療養中であるという解釈のもとに、その長くかかる病気であるという特殊性から、こういう者に対しての特別な考え方を持っていただきたい。こういう点について少し会社側からお話を願っておきたいと、こう思うわけであります。

稲田稔三井鉱山株式会社労務部長

○参考人(稲田稔君) ただいまの三年経過後の解雇の問題、この問題並びに職場造成、いわゆる坑内に復帰できない人を坑外に適当な仕事をつくってそのほうに振り向ける、私のほうでは職場造成ということばを使っております。こういった問題につきましては労働組合から今般の団体交渉で要求も出ておりますので、交渉の中で十分審議して進めていきたいと思っております。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 私は、時間がないから、希望意見を申し上げて終わりたいと思うのですが、とかくこの種の災害になりますと非常に長期にわたっていますね、三年という長い月日になるのです。その当時は社会的にも、地域の近在の方もまた非常に同情等も私はあったと思うのです。しかし、あまりにも長期になりますと、得てして忘れられる形になりがちであります。それを守るのに会社はその全責任を負う、こういうふうに表現もしておられますから、いまさら私がここで申し上げるまでもないと思いますけれども、私は生活のできる範囲内のことは全力を尽くしてやってもらいたい。社会は遠ざかって忘れたような気運があっても、会社はやはり責任を持ってやっていただく、このことをひとつお願いいたしておきます。  なお、先ほど堤常務からお話がありました、けい肺とこの脊髄患者ですね、これらの問題も非常に重要な問題ですが、まだこの問題は日本ではこのけい肺の問題は医療設備も完全でありません。これは炭鉱だけでないのです。私がおります岐阜県ですが、岐阜県あたりでもけい肺がかなりおります。それでもまだ設備もありません。この点は政府が怠っていると私は考えているのです。したがって、けい肺も含めての問題でしょうけれども、会社としてはその均衡と言わないで、災害とけい肺は、またけい肺の病院の完備を進めていくなら進めていく。しかし、災害は偶然に起こった災害でありますし、これは会社の責任はけい肺以上に私は重大な責任があると思うのです。この点はひとつ会社はその立場に立ってやっていただきたいと思うのです。  なお、組合との協約上の問題もあるようです一が、むろん会社は三年で打ち切るというような、そういうようなことは責任を持った以上はお考えにならないと思いますけれども、私は、けい肺問題の均衡よりも、災害にあっておる人の立場をこの際どうするかということにウエートを置いてもらいたい。このけい肺やその他の職業病は、これはまた病院の完備をやるとか、こういうことで防止につとめてもらいたい、こういうふうに考えております。いま、このけい肺あるいは脊髄病患者がどのくらいおるのか、この点もあとでお聞かせ願いたいと思います。この点は強く私は要望を申し上げて質問を終わりたいと思います。  なお、これは大臣ですが、特に私は岐阜の問題を申し上げておるわけじゃないのですが、この脊髄、けい肺等の問題は、これは全く設備がないのです。愛知県にも一つだけ守山ですかにあるだけです。そして一カ月に一回というか、半年に一回ぐらいしかけい肺地である多治見、瀬戸ですね、こういうところに行かないのです。これは私は大臣のほうからも、厚生省と積極的にやってこういう患者の全快方法に別段の努力を払うべきだ、職業病を持つくらい国際的に恥ずかしい話はないと思うのです。私は、この点は十分にできておるのでありますから、この点はひとつ労働省が厚生省にもっと促進して、これを完備するという方向に労働者救済のためにやるべきだと私は考えております。これは御答弁は要りません。これも要望だけ申し上げておきます。  以上です。

黒木利克自由民主党

○黒木利克君 三井鉱山のどなたでもけっこうですが、お伺いをいたします。  いささか炭鉱会社の皆さまにお尋ねするのも筋違いとは思いますが、せっかくですから教えていただきたいと思います。皆さんは一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案の審議の参考としてお見えになったわけでありまして、何かこの法案に直接関係のないことをお尋ねするのも無理かと思いますが、実は直接関係があるかと思いますから伺いますが、この一酸化炭素中毒症というのは、たとえば会社の宿直室で冬に炭火に当たって部屋を密閉しておったというのでも発生をするわけであります。また、このごろでは自動車の排気ガスで交差点で交通巡査が中毒症にかかったということもありますから、非常に発生する場合が多いわけでありますが、ただ、この法案では、その辺をおもんぱかってでありましょう、「業務上の一酸化炭素中毒症患者」というふうに書いてありますが、一方、その業務上の一酸化炭素中毒症の発生の場合というか、あるいはそういう会社というのは、これは炭鉱に限らぬと思いますが、どんなものが考えられますか、ひとつ教えていただきたいのであります。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) ただいま先生御指摘のように、毎年発生いたします一酸化炭素中毒患者の状況を見ましても、一番大きいと申しますか、大部分は鉱業でございまして、その他の産業は年年百人ないし百五十人という数字でございますが、それはほとんどの産業に、わずかでありますが、分布されております。たとえば四十年について申しますと、建設業八十四、金属工業十二、機械器具工業六、化学工業七、窯業及び土石業三、紡績工業二、食品工業二、印刷及び製本業二等にわたっております。なお、ガス関係もございますが、十二、商業及び金融業十一、運輸通信業四、その他の産業二といったように、ほとんどの産業に分布いたしておるわけでございます。したがいまして、このようなほとんどの産業に発生する可能性を含んでおる一酸化炭素中毒の予防をどうするかという点につきまして、現在は、たとえば労働基準法による安全衛生規則等によりまして必要な施設について災害防止の規定を設けておるわけでありますから、こういった関係が、たとえば屋外でガス管の埋設工事をするといったような場合の措置をどうするかといったような微細の点にわたりまして実効性のある規制措置を講ずるということになりますと、相当これは技術的な検討を加える必要があるのではないかというふうに考えています。

黒木利克自由民主党

○黒木利克君 労働省に対する質問は制限されておるようですが、実は鉱山側にお尋ねをしておるわけなんですが、それでは、鉱山の方に一つ御見解を伺いたいのでありますが、この一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案というのは、炭じん爆発で悲惨な中毒患者がたくさん出た、これが予防措置なり事後措置については現行法では不備があるというようなことから立案をされたのではないかと思うのでありますが、しかし、いまの労働省のお話によると、この中毒症患者というのは、単に炭じん爆発だけじゃないのだ、こういうことがはっきりしましたが、私は、炭じん爆発は、この前たまたま悲惨な事故がありましたが、しかも、現行法ではいろいろな不備があって悲惨な結果になっておりますから、これが解決のために何とか単独立法をつくりたいというのは一理あると思うのであります。しかし、ただいまのお話のように、一酸化炭素の中毒症というのは、あらゆるというとおかしいですが、非常に広範にわたって各産業に発生をする、そうなりますというと、やはり包括的というか、基本的な職業病立法というようなものがあって、そうしてこういう炭じん爆発とか、たまたまございました中毒症患者に対する措置というものを考えていくというようなことにならないと、どうも炭じん爆発の善後措置のための単独立法というのでもなし、この法案は、あるいは先ほど申しましたように、基本的な職業病立法でもない、何か中途はんぱな気がしてならないのでありますが、会社の方でこの法案をお読みになっておればお答え願いたいのです。また、勉強なさっておられなければ御答弁はけっこうでございますが、せっかくおいでになったのでありますから、一体この法案について、私は以上のような考えを、ちらっと見ただけでありますが、感じたのでありますが、実際にこういう事故の起こる心配を持っておられる、また、いろいろ社会的な問題になりました炭鉱会社として、この法案につきまして、あるいは職業病の立法につきまして御見解があれば承りたいと思います。あるいは政府に対する御要望等もおありかと思いますから、この機会にございましたらお聞かせ願いたいと思います。

堤健郎三井鉱山株式会社常務取締役

○参考人(堤健郎君) 私はその条文は読んでおりませんです。それで、先ほども申し上げましたとおり、この問題は他産業の影響がありますし、私の会社自体にも、けい肺、脊髄損傷患者等の均衡の問題もありますので、立法措置についての見解を申し述べることは差し控えまして、立法措置は国会の先生方におまかせいたす、こういう考えでおります。

山本杉自由民主党

○山本杉君 最後に一つだけ伺わせていただきますが、きょうの御質問並びに三井鉱山の側のお答えを聞いておりまして、一酸化炭素中毒症に関する特別措置法という法律の範囲の中での御質問でございましたから、これは当然なことだと思いますが、先ほど大橋委員が少しこの範囲を出ていろいろと専門的な御質問があったのでございますけれども、私はちょっと方面を変えまして、私の手元に、三年で期限が切れて、そうしてどうなるかわからないというような家族の方からの陳情がたくさん届いておるのでございますが、それで、法律の中にはその家族に対する何らのあれは出ていないわけでございまして、これはもちろん災害法であり、労働基準法を範囲にしたものだと思いますから、これも当然だと思いますが、最初に堤常務取締役のお話の中に、家族に対しては手厚い措置を考えているんだと、こういうことがございました。この家族の方々はそういうふうな補償の期限が切れるというような切実な問題で悩んではいらっしゃるのですけれども、私ども思いますのは、もっともっと大きな精神的な打撃を受けて、それこそ私どものはかり知ることのできないような大きな苦痛の中にいろいろと直面しているのだということを考えますときに、この家族に対してどのような具体策をお考えであるか、その点だけをひとつ伺いたいと思います。具体的にひとつお考えがございましたら……。

稲田稔三井鉱山株式会社労務部長

○参考人(稲田稔君) ただいまの御質問でございますが、患者に対する措置は、すなわち家族に対する措置にも通ずるわけでございまして、家族だけは特別どうこうということはわれわれとして考えておりません。ただ、先ほども常務の申しましたように、入院患者の家族が患者をお見舞いするときの交通費を差し上げる、そういった措置をとっております。それで、家族だけの特別措置ということだけでなしに、家族を含めた患者の措置ということでわれわれは従来も考えておりますし、今後もそういう方向で進みたいと考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私はひとつ最後に意見を申し上げておきたい。要望になりますが、いま基準局長から、他のあらゆる産業にちょっとずつ中毒があるということの話がありました。私は、いまの炭鉱のガス爆発災害、COの災害、地下で働いている皆さん方が、原因はいろいろありましょうけれども、こういう悲惨な目にあっている、このことを私はやはりまず第一に救済するということ、これは社会的にどう見ても他の産業に一人や三人あるから、それも総合してまで云々というようななまやさしい問題ではないと私は思う。CO中毒の援護措置というのは、ですから、そこらあたりはひとつはき違いないように、先ほどからの議論のように、いまの最近の二千人の人が死んだ、それからまたたくさんの人が死んで、たくさんの人が爆発によって被害を受けているという悲惨な現実、突発的に起きた悲惨な現実というのを見てこの措置を講ずるというかまえを、他産業にも一人二人ずつ出るから云々というようなことでこの問題を進められるというなら、これはとんでもないことだと思う。国民の要望と違うのだということを最後に申し上げておきたい。そうでなければ、それは職業病として確立して、いろいろの角度から、炭火もあるでしょうし、密閉した部員から何らかのものが出てきての一酸化炭素中毒もあるでしょう、そういうことで、本人、家族も含めて、その悲惨な現実を私たちは直視してこの問題に対処をしなければならぬということだけを、特に強く私は労働省にも通産省にも会社側にも、そのことをもってきょうわざわざお忙しいところを来ていただいて、今後どうしたらいいかということの議論を中心にしてやっていくわけですから、そこはひとつその基本をはずさずにこの問題と取り組んで、十分に措置を講じてもらうように強く私は要望をいたしまして、われわれといたしましてもその問題の処理に取り組みたい、こう思うわけでありますから、そこらあたりをひとつ明らかにしておいてもらいたい、これだけを要望しておきます。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  参考人の皆さん方に申し上げます。  本日は長時間にわたり、貴重なる御意見の開陳を賜わり、ありがとうございました。本委員会といたしましては、皆さま方の御意見を参考といたしまして、今後十分検討いたしたいと存じます。どうもありがとうございました。  これにて休憩いたします。午後一時三十分に再開いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  労働問題に関する調査を議題とし、労働行政に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。

森勝治日本社会党

○森勝治君 最低賃金制の問題についてお伺いをしてみたいと思います。  先般の当委員会におきましては、林野庁に働く労働者の低賃金の実態と、これの救済対策について、藤田委員からるる質問がなされ、さらには大橋委員から一零細企業に隷属する家内労働の痛ましい姿などというものがつぶさに指摘されたわけであります。さらには紅露委員からは、紅露先生まことに恐縮でありますが、若干やわらかいことばで表現いたしますと、紅露先生は、名前は紅露でありますけれども、紅露ならぬ紅涙をしぼり出されて、まことにこのような低賃金労働者のために国の施策のいかにあるべきかについてただされたわけであります。このように三先輩からの御意見をもってしてもわかりますように、日本の労働者がいかに低賃金に据え置かれておるかということが、先般の質疑応答の中から見ましてもうかがい知ることができるわけであります。でありまするから、私は、これら先輩の御意見を拝聴してもわかりますように、なおさら最低賃金制の完全なる法の施行というものを一日も早く実施しなければならぬと、このように考え、しかも、これは抜本的な改正を必要とするものであることを心から痛感ずるものであります。昔から、どうも弱い者、貧しき者は、得てして社会のすみに追いやられて日の光を仰ぐことができない、国の施策の手の伸びぬその先に据え置かれる、これが要保護家庭となり、ボーダーライン層となって、まだまだ国の強力な施策を待つ人がちまたに大ぜい泣いておるわけであります。私は、こういう弱い立場の方々が一日も早く更生し、憲法で保障された快適な生活ができますよう、国のより一そうの強力なる施策を望むところであります。  ところで、かつて大橋労働大臣が、この最賃制につきましては全国一律制、そういう方法で実施されるのがしかるべきだということを言われておることを御存じだと思うのでありますが、大橋大臣から石田大臣になり、さらに小平大臣になりますと、それぞれの大臣の名前が変わるごとく、本件についてもだんだん後退した傾きを私は見のがすわけにはまいりません。したがいまして、最低賃金制というものは一体いかにあるべきか、正規な場における大橋大臣の答弁の趣旨から見ましても、その後々任でありまする現大臣は、当然この精神を受け継いで、すみやかにその具現化をはかるべきが正しいあり方だと思うのでありまするが、まず、この点からお伺いをし、次の問題に移りたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 森先生から、ただいま大橋元大臣のお話が出ましたが、当時の大橋大臣が組合との会見の際に最賃制について話が出た。しかし、もちろんそれもある程度の地域的な例外といったようなものを認めるならば、全国一律性も無理ではないと思うといったような趣旨のことを申したやに私も聞いております。ただ、その後石田労働大臣となり、私があとをお引き受けをいたしたわけでございますが、私も前任者の言として無視するわけでもございませんが、しかし、一方、また正式の最賃に関する審議機関もあるわけでありまして、中央最低賃金審議会からも、逐次、御承知のとおり、答申等も出ております。しこうして、その答申によれば、四十一年度末までは、現行制度のもとで重点業種をきめて、極力この適用の範囲を広げていくべきである、拡充していくべきである、こういう趣旨のことが出ておりまして、その後の最賃制の基本的なあり方については、これはあらためて検討をすべきだと、こういった趣旨の答申が正式の中央最低賃金審議会からあったわけでございますので、私は、この審議会の御意見を尊重いたしまして、目下のところは現行の最賃法のもとに極力適用範囲の拡充等につとめておるわけでありまして、昨年八月以来は、将来のこの最賃制のあり方について、現に御熱心な御検討を願っておる、こういう状況であります。したがいまして、私がいまこういう際に最賃制としてはどういう方式が一番いいのだというようなことをただいま申し上げるということは差し控えさしていただくことが適当である、かように考えておるわけであります。

森勝治日本社会党

○森勝治君 いまの後段の、大臣から答弁することは不適当だと、こういう御答弁でしょうか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 中央最低賃金審議会に御検討を御依頼しておるのですから、そこに頼んでおきながら、頼んだ本人と申しますか、立場にある労働大臣が先を回って、こういう方式がいいんだというようなことを言うことは、これは私は適当でないと、かように考えておるということを申し上げておるわけであります。

森勝治日本社会党

○森勝治君 私の質問の趣旨は、そういう御答弁の内容の趣旨と趣を興にしております。もう一ぺん申し上げますと、あなたの前のその前の大橋労働大臣が、最賃制はいかにあるべきかという議会側の質問に答えて、全国一律最賃制、こういうのが好ましいという答弁をなされたにもかかわらず、あなたの前任者でありまする石田さんでこの点が若干ぼけて、あなたになったら、今度はいまのように、審議会に諮問しておるからわしゃ知らぬというような、知らぬとは言わぬけれども、ことばを懐しみましょうと、こう言っておられる。ところが、やはり最賃のこの問題については、やはり大橋大臣のことばが一つの基本となりまして、前進のための基調となって、それから前向きの形の議論が今日までかわされておりますことは、大臣先刻御承知のとおりであります。そういたしますならば、やはり全国一律制という、こういう前向きの考え方をもって、審議会に、さてそうするならばどうするかと、こういう審議をゆだねるのが正しいあり方ではないかと、こう思うのであります。したがって、その点についての質問でありますので、重ねてひとつ恐縮でありますが、御返答をわずらわしたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 先生の御質問からいたしますと、最賃審議会に諮問をするにいたしましても、全国一律方式ということを前提にして、しからばどういう方法でやるかを諮問すべきだと、こういう御趣旨と拝聴したのですが、確かに審議会への諮問のしかたにはいろいろ前例があると思うのであります。まず、政府側で案と申しますか、要綱と申しますか、そういったものをつくって、これでいかがでございましょうかと、こう言って諮問しておる場合も確かにございますが、しかし、また、問題によりましては、白紙の状態といいますか、政府があらかじめこのような案でとか、あるいはこのような方針でとか、そういうことを示さず、審議会において自由に御審議を願って、審議会自体にそういう考え方なり案なりをまとめていただくと、こういう方法もあるわけであります。今回の諮問につきましては、この最賃制の方式として、どういうことがいいかということは別段言っておりません。全国一律方式がいいとか、あるいは産業別がいいとか地域別がいいとか、いろいろ御議論があるところであるからひとつ御検討を願いたいと、もちろんその間外国の例等も十分しんしゃくをしてもらいたいし、特にILO二十六号条約にも適合するようにぜひひとつ考えてもらいたい、こういうことは言っております。しかし、その方式については何ら言っておらないわけでありまして、一般的に見ると、先ほど来申しました第二の方式と申しますか、第二番目の諮問のしかたによって諮問をただいまいたしておると、こういうことであります。

森勝治日本社会党

○森勝治君 いま大臣は、はしなくもILO条約二十六号を持ち出されたわけでありますが、私はここで前の二点を質問しましたから、その問題についてはあとに譲りまして、深く触れようとはいたしませんけれども、あなたの前の前の大臣の大橋大臣が全国一律制が望ましいと言って、すでに担当大臣として言明されておることは明らかであります。だから、そのことについてあなたはさらにそれを基調として推進しなければ後任大臣としての役目はつとまらないのではないかと、私はよけいな心配をしておるわけであります。それはあとで御答弁をいただくといたしまして、いまILO条約第二十六号の話が出ましたので、私はこの点について質問をしてみたいのですが、一体大臣が審議会に諮問されたのはどういう趣旨なんですか。ILO二十六号の最低賃金決定制度の設立に関する条約に適合するように諮問されたのか、私をもって言わしむるならば、いま日本におけるこの最低賃金制度というものは、明らかにこれは業者間協定でありますから、業者が一方的にかってな値段を決定する。したがって、その中で労働基準法第二条の労使対等の場において賃金を定めるという考え方は全くじゅうりんされて、一方的に経営者側が決定するわけですから、これはILO二十六号条約に抵触することは明らかであります。にもかかわらず、あなたのほうから審議会に諮問されたのは、適合するかどうかということで諮問した、こういうふうにも聞いているし、いまもそういう意味の答弁をなされておるわけでありますが、私はそういう答弁をいただくということは、まことにどうも何をいまの大臣は考えておるのか、大体労働法をはじめ、他の問題につきましても、きのうよりきょう、きょうより明日にと、より完備された法案が出され、また、そういうふうに仕上げされていくのが、世の移り変わりと同じように、そういう動きがされるのかと思ったら、前々大臣よりも今日の大臣のほうが後退した考え方で行なわれているということになると、うしろ向きということになる。うしろ向きということばはまことに恐縮な失礼なことばかもしれませんが、私はそういう推量をしておりますから、おしかりを受けるならばまた別のことばをもっていたしますけれども、どうもその点は前向きな取り組み方だと私は理解ができないわけであります。したがって申し上げた。ILO第二十六号に明らかにいまの最賃制度は抵触するわけですから、この点をひとつ見解を明らかにしていただきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) この間の経過は私は労働基準局長として十分承知いたしておりますし、いまの問題もございますので、私から答えさしていただきたいと思います。  大橋労働大臣のときに、春闘の際に組合代表といろいろとお話がございました。その間にいろいろお話がございましたけれども、全国、全産業一律という方式も考えられるが、それは地域差等を考えるとか、いろいろな条件があるだろうといったようなことばのやり取りであったわけでございますが、速記録に残された労働大臣の発言として私ども承知いたしておりますのは、国会の速記録におきましては、全国全産業の一律を実施するという明確な答弁はないと私どもは理解しております。つぶさに私どももその点は調査いたしておりますが、全国全産業一律を実施するにいたしましても、若干の例外を認めざるを得ないのではないかとか、いろいろのことを申されておるのでございまして、大橋労働大臣がこのような御発言をなさいましたのは、当時昭和三十八年の中央最低賃金審議会の答申をいただきまして、実行性ある最低賃金を進めたい、そして、そのためには最低賃金を普及すべき重点産業の選定と目安の決定という作業があったわけでありますが、その作業が進行過程でありまして、まだ最低賃金を普及すべき業種も具体的な金額の目安もきまっていないという、いわば当面の課題が目前に迫ってその解決を迫られているというような過程の中におきまして御指摘のようないろいろな応答があったわけであります。その後、昭和三十九年に最低賃金制を積極的に普及すべき業種を選定し、最低賃金額の目安の決定があったわけであります。その三十九年に決定されました業種及び目安の額は、その後審議会においてもいろいろ検討されておりまして、最低賃金額の目安については本年の二月にさらに改定を見たわけであります。そのような過程の経過の中におきまして、小平労働大臣が就任されました直後に、御就任前の石田労働大臣と組合側との話し合い等を基礎にいたされまして、昨年の八月に中央労働基準審議会に正式に諮問されたわけであります。その諮問の趣旨を要約して申し上げますと、将来の最低賃金制のあり方については、全産業一律方式、産業別、職業別方式など、幾多の考え方がありますが、わが国の実情に即し、実効あるものでありますよう、今後における産業経済並びに雇用労働の動向、海外における最低賃金制の現状等、広い視野に立って御検討いただくようという趣旨を明らかにしておりまして、その際に、ILO第二十六号条約も、海外における最低賃金制の現状といったようなことばの中に含めたものとして私どもも考えておったわけであります。しかるところ、ILO第二十六号条約に関する問題も諮問しているということを明確にすべきである、こういう御意見がございまして、本年の二月十九日にさらにこの点について諮問をすることを明らかにしたわけであります。  ところで、ILO第二十六号条約に違反しているのではないかという考え方は明確になっていないのであります。そういう点もありますけれども、最低賃金法が制定されました場合に、俗称業者間協定でありますけれども、それは業者間協定そのものではない。三者構成の最低賃金審議会の議を経て労働大臣または都道府県労働基準局長がきめて告示をするものであります。告示をされた最低賃金というものは、まさに法律上の拘束力を持つ最低賃金でありまして、申請の過程におきまして、いわばイニシアチブをとるのは業者間協定であるが、でき上がったものは関係労使の意見を聞いておりますので、そういった形がILO第二十六号条約においても許容されるのじゃないか、このいう考え方をいたしておったわけであります。しかるに、その後の年月の経過の過程におきまして、先生御指摘のように、ILO第二十六号条約に違反ではないかという有力な意見も出てきたわけであります。したがって、適合するかいなかの是非論をここで云々するよりも、中央最低質金審議会に諮問しているわけでありますから、将来の最低賃金制の基本的検討においては、その問題をも含めまして、そういったような疑義がないようにひとつ検討していただきたいという趣旨を明らかにしているのであります。

森勝治日本社会党

○森勝治君 だいぶ詳しく昭和三十八年ごろの組合側との交渉の段階までさかのぼってのお答えでありますので、私もまねをいたしまして、その当時にさかのぼって、当時の組合と大臣のやりとりの問題に若干触れてみたいと思うのであります。局長もいまいみじくも言われました昭和三十八年、この問題については関係当局と交渉されておることは御承知のとおり。ところが、当時の大橋労働大臣はこういうことを言っておりますね、その席上で。若干の例外を設ければ、全国一律最賃制は可能である、昭和四十年度から通常国会にはこの改正法案を提案したい、こう明らかに言っておりますね。この点はお認め願えますね。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) それは明らかではありません。つまりそういうものは速記録には残っておらぬのでありまして、いろろいなやりとりはございました。私もそばについておって、私も発言しておるわけでありますが、その総体としての発電内容は速記にとってありません。したがいまして、いまのはおそらくそのときの組合側の筆記をしたものを事実というふうに御判断になっておると思うのでありますが、私は、大臣が会見されます場合には毎回その場におりますので、その状況を知悉しておりますので、そういう明確な形でお答えになったということはないと私は記憶いたしております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 それでは重ねてお伺いいたしますが、どういう回答をその席上でされましたか。あなたはそばにおられたというが、速記があろうとなかろうと、言われたということは一つでございますからね。その点をお忘れなくお答え願いたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 毎回相当長いやりとりをやりますので、それを私そらんじることはもちろんできませんが、全国全産業一律の問題について申し上げますならば、組合側のいろいろな御主張に対しまして、まず指摘されましたのは、根本的な改革を行なう必要性について、それをお認めになりつつ、全国全産業一律方式につきましては、将来の一つの理想と申しますか、そういった形としては考えられる。しかしながら、全国全産業一律といっても、地域差を設けるなど考慮する必要があるのではないか、そうして、また、そのような点を考慮に入れまして根本的な検討をするにいたしましても、これは労使の意見も十分聞かなければいけない。自分としては、できるだけ改正案を早く得るようにしたい。つまり先ほど申しました、昭和三十八年の中央最低賃金審議会の答申におきましては、昭和四十二年の末において総合的な条件を検討いたしまして、さらに根本的な検討をなすべきであるという——失礼いたしました。昭和四十二年三月でございました。そういう答申が出されておったわけでありまして、年数計算いたしますと三年という計算になります。それを大橋労働大臣としましては、できるだけ、それを短縮して結論を得るようにしたいという趣旨を述べられたのでありまして、中央最低賃金審議会があって、いろいろ、審議をされておるということは大橋労働大臣も御承知の上でございますので、数行でまとめ得るような明確な発言はなかったというふうに私は記憶いたしております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 あなたは速記がないとそういう強がりを言われる。  それでは、その次、大橋大臣のあとの石田大臣はこう言っていることを覚えておりませんか。それでは覚えておるかおらないかというふうに聞きます。速記がないとまたあなた逃げないでください。なお前段のやりとりがたくさんあったでしょう。五分や十分でここでかいつまんで申し上げるのはあまり時間が少ないから、私は、前段後段省きますが、石田労働大臣はこういうことを言っていませんか。全国一律最賃制が望ましい、基本内容は中央最賃審議会諮問の際明らかにする、こう言っておりませんか。御記憶を呼び起こしてください、ひとつ。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) ただいまのは組合との会見におけるやりとりであろうと思いますが、いろいろ感想を述べておられます。全国全産業一律方式が理想として考えられるのではないかとか、そういう御発言があったように記憶いたしております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 だから私は大橋さんのときもそういうことがあったかと申し上げているのです。組合との話し合いのときにと申し上げているのです。あなたが速記と言われたそのあとの話ですが、その話のときに、じゃあ今度大橋労働大臣、若干の例外を設ければ全国一律最賃制は可能である、そしてこういろいろやりとりがあって、四十年末から通常国会で改正法案を提出したい、こう言っておるのである。いいですか、この大橋さんの発言、全国一律の問題については、大橋さんの発言よりも石田さんのほうが弱い発言をされているのですよ。にもかかわらず、あなたの正確な御記憶では——皮肉じゃございませんよ、正確な御記憶では弱い発言をされておった石田前大臣のほうが全国一律最賃制が望ましいと言明されたように言われている。だから私は申し上げたい。大橋さんも言われた、石田さんも言われた。ところが、現大臣になってから全国一律ということばをことさら避けようとされている。だから私のような、こういうもうたくさん皆さんと討論を重ねた末にも、また同じような質問がされる。したがって、大橋さんも全国一律制が望ましい、前労働大臣も望ましいということならば、そのあとを受け継いで労働担当の最高の位置についた現内閣の大臣も、前大臣が前向きの形で答弁されておるのですから、自民党の政策が百八十度転換しない限り、この最低貸金の問題については答申をされてしかるべきもの、また、答申をされるのが一番正しいあり方だと私は思って質問をいたしておるわけであります。おわかりですか、局長、わかったかわからないか、それだけお伺いいたします。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 先生の前大臣、前々大臣の発言につきましては、その前後にいろいろなことばのやりとりがございます。そこで、現状はどうするか、将来の問題として、理想として何か考えられるかといったようないろいろなやりとりがあるわけであります。そして、その現状としては、重点業種に対して最低賃金額の目安を定めて、これをいま精力的に展開している。したがいまして、そういうものの、実績と申しますか、計画的に推進しておりますので、そういうものについて施策を進めていきたい。将来の問題としていろいろ議論があるという場合に、全国全産業一律方式が望ましいという断定的な発言を私は聞いておりませんし、そのような形での指示も得ていないわけであります。そこで、たとえば大橋元大臣の御発言の例としまして速記録に残っております発言を申し上げますと、「全国一律方式でいけるものか、あるいは若干の例外を認めざるを得ないか、例外とすればいかなる事項を例外とすべきか、」といったようなものを考えつつ、全国全産業一律ということを一つの理想として考えるといたしましても、そういった問題を考えざるを得ないだろうという前後に説明がついておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、全国全産業一律方式を否定するとか賛成するとかいったようなニュアンスを明らかにするということについて前大臣、元大臣の御発言がありましたことは承知いたしておりますけれども、昨年の八月から中央最低賃金審議会に政府として正式に諮問したという過程がございますので、発言の内容等につきましては、審議会に正式に諮問をいたしたところでありますから、意見表明は差し控えるという態度になっておるのでございまして、私どもは中央最低賃金審議会に正式に諮問いたしまして、その後基本問題小委員会を設け、いま鋭意検討を重ねておるということに私どもは事柄の実質的な進行なり発展を認めておるわけでございまして、そういった検討の進行ということに相当な事態の進展を認めておるような次第でございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 これ以上申し上げますと、知らぬ存ぜぬとおっしゃっているんですから、あげ足取りだというそしりを受けたのでは私は心外でございますから、違った角度から今度は申し上げてみたい。  前大臣も前々大臣も、全国一律最賃制が望ましいという意思表示をされたことは、あなたも前段、後段云々と言われたが、最終的にはその大田のそばにあって労組側と折衝した責任者の一人としてその席上でお認め願ったらしい。ですから、私はこれ以上このことについては深追いはいたしません。しかし、私がさっき若干触れました、ILO二十六号条約の違反ではないかという問題については、いま基準局長は違反ではございませんとお答えいただいたけれども、それでは労働者側との話し合いのときの大臣のお答えというのは食言になるのかならないのか。食言などという大げさなものでなくしても、ことば数が多かったのか足りなかったのか、私がその内容を申し上げて、お答えいただきたい。これは断わりますが、またあげ足取りじゃございませんからね。小平大臣は組合側との席上でこう言われているんですよ。最低賃金法については、その制度以後七年を経過し、新たな段階に到達したものと考えて、昨年八月中央最低賃金審議会に最賃制の将来のあり方について検討を願ったが、さらに本年二月、最賃法がILO第二十六号条約に適合するよう、第二十六号条約に適合するよう答申を賜わりたい旨重ねてお願いしたところであります云々。三度申し上げますよ、ILO第二十六号条約に適合するよう答申をお願いしたい、こういう希望を付託して審議会に出しておるわけですよ。ならば、労働省は、さらに、また、現大臣としては、明らかにILO二十六号条約というものにいま日本で施行されている最賃制というのは抵触しているという考えがあるからそういうお願いをしたのではありませんか。いかがですか。この言明は間違いですか。速記がないからということですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) これはおそらく春闘共闘委の話し合いの三月二十八日のメモを中心のお話と思います。これは参考までにこういうものをつくりまして、まあ思想統一と申しますか、言わんとするところを明らかにしたのであります。こういった文章の作成につきましてはいろいろな過程があるわけでありますが、それは省かしていただくとしまして、当日春闘共闘委の方々が見えまして、私どもがお答えすることにつきまして、いろいろの事情を考慮してこういう作文を作成いたしたわけであります。全文を読みますのも、先生の御質問の内容と重複しますから、避けたいと思いますが、この趣旨は、労働省としては、ILO二十六号条約に適合するのかしないのかという議論がありますが、その事実は認める。そうして、いま中央最低賃金審議会で審議中でありますから、そういったもう疑念がなくなりますように、この際すっぱりILO二十六号条約の関連につきましても適合するのだという形が、労使双方、公益委員も、もう疑いのないように処理されますように希望いたしております趣旨を間接に述べたつもりであります。ILO二十六号条約に適合するかいなかという点については、適合するという意見、適合しないという意見があるという、そういう事実を踏まえましてこういった考え方を明らかにしたものでございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 重ねて質問しますよ。それは小平大臣は、二月九日の衆議院決算委員会において最賃法の問題の改正の質問がなされましたときに、ILO二十六号条約に適合するものに改正したい、こういう答弁をしておるのですよ。適合したものに改正したい。ならば、不適合だから改正したいというのでしょう。そうならば、衆議院の予算委員会における答弁と組合側代表と会見の席上の答弁とは同じ答弁になるんですよ、そのいずれを見ましても。あなたは速記ないと言うが、衆議院の予算委員会の速記を見ても、速記のないと言われる組合側の代表との会見のその大臣のことばを集約いたしましても、いずれもこれは現行の最賃制度はILO二十六号条約に適合しないのだから、適合するものに改正したい、したがって、そういう形の答申を出してほしい、こういう要請をされておるんじゃないですか。ならば、いまの現行の最低賃金制というのは、いま申し上げた二十六号に抵触しているということをお認め願ったと申し上げても、いまの二つの会合における正規な大臣の発言を見ても、これはもう正しく評価できるのではないでしょうか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) いま先生は決算委員会とおっしゃいましたが、たぶん予算委員会だろうと思います。

森勝治日本社会党

○森勝治君 予算委員会です。だから二番目で予算委員会と申し上げた。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) それは私が御指摘のとおり答弁をいたしたのであります。これは先ほど局長から申し上げましたが、現行の最賃法というものについては、その立法の当時から、労働省と申しますか、政府といいますか、それはILOの二十六号条約に適合するものだという解釈のもとに今日までずっとやってまいったのでありますが、その間に、これでは適合しないんじゃないかという御議論も相当ありますので、いずれにしても、片や適合するといい、片や適合しないという、そういったようなあいまいな、何といいますか、不明確な事態にあることは、これは決して好ましいことではございませんので、その点を明確に、将来のこの最賃法をつくるにあたっては、二十六号条約に適合するんだということがはっきりするようにぜひ御検討を願いたいと、こういう趣旨で申し上げているので、いまの最賃法がもう明らかに違反するんだという、必ずしもそういうたてまえでなくとも、どうも疑義が多いし、現行法にそういうどうもいろいろ疑義が申し述べられるようでは困るから、そういう疑義のないように今後はしてもらいたい、こういうのですから、私はそれで筋が通っているのだと思っているのですが……。

森勝治日本社会党

○森勝治君 だいぶ筋が通ったと自負されたおことばをいただいたわけでありますので、私のほうはさらに筋の通った質問をいたします。ILO条約第二十六号と労働基準法第二条、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」という、この相対的な関係について御答弁をいただきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 法律上、別に直接の関係はございませんが、ただ、労働条件は労使対等の原則で決定すべきものであるというのは、これは労働法の最も重要な基本原則であります。それが労働基準法の場合には第二条といったような表現となってあらわれておるわけであります。ただ、最低賃金の決定につきましては、外国の立法例を見ましてもさまざまでございまして、たとえば法律で金額そのものをきめるアメリカのような形式とか、あるいは賃金委員会で決定するもの等等、いろいろあるわけでございます。その場合には、そういった公権力が関与する場合に、決定は国の機関なり委員会がいたしますけれども、その間に労使がどのような形で参加するかということが問題になるのではないか。普通の賃金を労使対等の立場で決定するというのとはやや趣を異にするわけでございますが、そういうふうな観点から、私ども、最低賃金の決定方式の問題と、それから決定機関の問題と、最低賃金額そのものをどうするかといった、そういった要素がありまして、それが総合的に考えられるのではなかろうかというような考えを持っておるわけであります。したがいまして、労働基準法なり一般労働法における労使対等の場で直ちに決定する、両者の話し合いで直ちに決定するものと国家機関等が関与する場合とにおきましては、多少趣を異にしますけれども、根本の理念は、先生御指摘のように、労使対等という考え方が貫かれることが理想であることは御指摘のとおりでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私、ひとつ関連して。いまの基準局長の話をずっと聞いていると、どうも私は少し、賃金部長もおいでになっているわけですから、法律論から話をしますけれども、たとえばILOの条約というのは十カ月、一年という経路をもって批准して効力が発効するということになる。で、勧告というのは次の条約の足がかりという解釈と、むしろ具体的な事実を書いて、その条約を推進するためにこれだけこうしたほうが実効があがりますよという、こういう形で勧告というものがILOの総会ではきめられているわけでございます。その二十六号条約というのと三十号勧告というのは同年の同日にきめられているわけでございます。そして最低賃金とはいかなるものかという内容に入っていくと、その労働者の生活や最低の生活を守り、生活を引き上げるために最低賃金をつくろうというのが二十六号条約だと思うのです。だけれども、いかなる最低賃金をきめるにあたっても、最低賃金の決定に関する一切の事項については、右使用者及び労働者の意見を求め、かつ、その意見に対して十分にして均等なる配慮を払うべしというのが、いまおっしゃった基準法二条の、労使が対等で労働条件をきめるという大原則に基づくものだと私は思うわけです。で、その手続も、労使の委員の両方の推薦の合意によって中立委員というものをきめて、全く団体交渉なら九分九厘まで団体交渉が進んで、あとの一厘か二厘を中立委員が最後の結末をつけるというのが、世界の民主的決定方法の三者方法の原則では、世界じゅうがILOを中心としてこれを誓い、そして推進してきたものと私は思うわけであります。ですから、このILOの二十六号条約と三十号勧告の手続、読みますと、二十六号条約は最低賃金制度の設立に関する条約である、同日きめられた最低賃金制度の実施に関する勧告と同じ当日に決議がされて、最低賃金をきめる民主的な制度の手続がここでうたわれているわけでございます。そうなってくると、いまの議論の中に出てくる業者間協定でやるのも、三者構成の審議会にかかっているからこのILOの原則に違反をしないというこの解釈は、どうも私は理解ができない。ですから、いま森委員が申されますように、石田とか大橋とか、また現小平労働大臣でも、ここらの原則が今日の日本の最賃法に貫かれているかどうかという疑問が多分にあるから、ですから、だれが読んでもわかるような最低賃金制度にしたいという御希望をお持ちであることは、労働大臣の今日までの発言に筋が通っていると私は思う。それが違反をしていない云々というような議論がここで出てくると、私たちはそこのところ自身を争っているわけじゃなしに、そういう方式をきめていこうじゃないか。というのは、国際機関ですから、みなが協力しなければこれはできない機関なんですから、そういう形でそのもの。ことがきまっていく、それに一つの経路を経ているからこれは適合しているなんという理屈は、私どもはどう考えても成り立たない理屈だと思う。だから、基準法の二条ですか、労働条件は労使対等であるという、この大原則に基づいて世界じゅうの国がそういう方向で動いている。なるほど、それは最低賃金のきめ方については、アメリカの公正基準法のようなきめ方もございます。議会でその金額だけきめるところもある。しかし、イギリスのように、産業別に上から下まで一本で何十という賃金を業種別にきめているところもあります。それから、最低一律賃金、その上に生産の強度によって産業別の最低賃金をきめているところもございます。しかし、いずれにいたしましても、労使が対等でその場をつくってきめていくという形が、原則的にILOが一つ基準を示しているようなところへいくことが私は最低賃金の法制のきめ方ではなかろうか。だから、そういうところにまず第一段の、労使が対等で最低賃金がきめられるようにいまの最低賃金を改めようというのは、われわれだけが言うているのじゃなしに、世界の良識ではないか。  それから、その次の問題として、そういうことをきめるときに、日本のように産業二重構造のような形の中では、業者間でかってにきめるというようなことではなしに、やはり全国一律の最低賃金というものをきめて底上げをして、場合によったら生産に対する強度の高い産業だけその上に産業別の最低賃金がきまっていくというなら、私はそれが自然の姿ではないか。それはいま議論したくないと思ったのですが、いろいろ話が出たから議論するのですけれども、政府は、何としてもILOの常任の理事国であります。戦前も常任理事国であります。戦後われわれやかましく言ってILOに加盟して、日本が入るために二カ国ふやして常任理事国になった今日、労働大臣の補佐役である労働政務次官が日本の代表として行って、ILOをいかに高めるか、ILOをいかに守っていくかという大演説をぶっておられるわけですよ、そこでは。そうでしょう。そうしておきながら、その解釈がだれでもわかるような解釈を、いや、適合しますというようなことをここで言っちゃ実もふたもないようになってしまうと私は思う。そこらあたりをもう少し筋を通して、そうしてどういうぐあいにして変えていくんだ、筋道を。これはひとつ大臣も腹をきめて明らかにしてもらわないと、ちょっと私は議論が前に進まぬのじゃないかと、私は聞いていてそういう気がします。だから、どうぞ日本が常任理事国の一等とは言いませんけれども、常任理事国の日本が、戦後日本が入るために、そう言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、ソ連圏がみな入るときに二カ国常任理事国をふやして、そうしてそのILOで厳然として最大の協力者をもって任じている。外にはそう言っておられる日本政府がそんなことじゃちょっと困るのじゃないですか。そこのところをもうちょっと筋道を立ててくださいよ。私は横から聞いていて、たいへんなんですよ、そんなこと言ったとしたら。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 藤田先生の御趣旨は、私ども事務の者としても十分よくわかるのでございます。ただ、二十六号条約のたとえば第三条にこう書いているが、これが違反かどうかという条文解釈の問題になりますと二つの御意見があるということを申し上げておるのでございまして、私どもはことさらにこれを抗弁し云々という気持ちはございません。むしろ問題はいま最低賃金審議会で御議論いただいておるのでございますから、こういった議論がもうある程度止揚されまして解決されるということがむしろ願わしいわけでございます。御趣旨はよくわかるわけでございますので、これ以上はひとつお許しをいただきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから、あなたはいま二つの解釈があるからと、まあそれはおっしゃってもいいですよ。私はそんなことはどうしても考えられないことだけれども、おっしゃってもいいけれども、政府としてはこうなんだと、きちっと労働大臣が言われたような疑問があるから、疑問のないようにするのだと、こうおっしゃるなら、そういう方向で政府は一生懸命にやるのだということをはっ きりそこのところはして、それから議論に入らないと森君の議論も進まぬのじゃないですか、そこのところだけ浮き上がってしまって。それはやっぱり姿勢はきちんと労働省にしておいてもらわぬと、私は何回も言いますけれども、常任理事国ですよ。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 藤田先生のお話のとおりの私も気持ちでありますからこそ審議会におはかりしたのですから、さよう御了承願います。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 いまいいところを質問されたから、私はする必要ないと思うけれども、最賃審議会に非常に依存して、答申が出るのを待っておられると思うのですが、なかなか私はまとまらぬのじゃないかというような気がしておるんだが、その見通しを聞かせてもらうことが一つ。  姿勢の問題ですがね、これは労働大臣に聞きたいのですが、現行の最賃の問題で一番問題になりますのは、私は、労働省が進んで姿勢を正してもらいたいことは、最賃の必要性というのは、この労働組合の協定に基づく最賃をきめるところはあまり問題ないのですね。しかし、日本のような中小企業、世界的にもまれに見る中小企業を持つ日本の最賃というのは、先進国がいかようなことをきめようとも、まずそれより優先した最賃をきめる必要があるのじゃないか、私はこういう見解に立つのですよ、世界でもまれに見る中小企業が多いのだから。そこで、雇用対策から考えてみても、早急に私は最賃の技術的なものを考える必要がある、こう考えておるのだが、そういう前提の上に立って最賃審議会の結論を待っておられるのか。いや、それは二十六号条約以上のことを考えておるんじゃないのだ、あくまでも審議会の答申があればそのまま受け入れるという考え方であるのか、これは労働省の姿勢だと思うのですよ。そのいずれの姿勢を持っておられるのか。日本のような中小企業をたくさんかかえておるところは最賃が必要だ、いまの最賃法ではてんでんばらばらで、これは全く最賃になっていない、時間がかかる。それよりも、将来の中小企業を考えたときに最賃をここで抑える必要がある、こういう観点に立っておられるのか、審議会だけに依存して、出た答申に対してそのまま法案にしていこう、こう考えておられるのか、これは私は労働省の姿勢だと思う。その点について聞きたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 審議会において検討されております状況と労働省の気持ちを申し上げたいと思いますが、中央最低賃金審議会には基本問題小委員会という委員会を設けまして、労使、公益の三者構成になっておりますが、相当回数会議を重ねて今日に至っております。そこで、労働省としても、また、審議会としてもお取り上げいただいておりますのは、最低賃金制度実施の根底に横たわる諸問題につきまして、いままさに先生御指摘の、中小企業についてどういう理解を持つか、それから、その中小企業の賃金事情がどうであるか、それから、今日まで、業者間協定とはいいながら、最低賃金額の目安を決定して、相当強力な引き上げ指導をやってきたわけでございますが、そういったものの効果及び影響いかんといったような実態認識につきまして、この際、あらためて総合的に検討し、その上に立ちまして、先ほどちょっと申し上げましたが、最低賃金制とこれは一口に申しますけれども、最低賃金の決定方式、決定機関、それから具体的な賃金額をどうするか、最も重要にして、かつ、むずかしい問題がございますので、そういった角度から解決をしたいというふうに考えているわけでございます。その間に、労働省といたしましては、全国全産業一律方式とか、ILO二十六号条約の基準といったようなものを十分御検討いただきまして御答申をお出しいただきたい。それにつきましては、もちろんでございますが、これらの答申を尊重いたしまして、できるだけ早い機会に将来の基本的体制につきましてこれを実現いたしたいと考えている次第でございます。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 審議会にはかってもなかなか結論が出ないんじゃないか、見通しはどうかというお話でございますが、私は、これは衆議院であったと思いますが、やはりお答えしたことがあるのですが、とにかくいま審議会で御熱心に審議を願っていることは事実でございますし、また去る三十八年に答申されました際にも、とにかく審議会自体が四十一年度の末までは現行制度でいって、それから先の最賃制度についてはあらためて検討すべきであるとおっしゃられておって、われわれはそのたてまえをいま尊重して進んで現におるわけですから、そこの三十八年の答申から察すれば、四十二年度以降のこの最賃制に間に合うようにおそらく御答申がもらえるであろうということを私は期待をいたしている、こういうわけでございます。  それから、審議会にまかせていては困るというお話でございますが、もちろん審議会は御熱心に御答申をいただくことですから、これを十分尊重すべきことは当然でございます。しかし、また、それでは答申があったならばそれきりで、あとはみんなあなたまかせ式のやり方かと言われますと、政府は政府としてもちろんそれをさらに検討いたしまして、できるだけ答申の線に沿うて善処するということは、一般の、審議会に対すると同様、これは何ら変わりはない、かように考えます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 諮問の話が出、答申の見通しの話が出ましたから、そうなりますと、答申は当分見込みはないということになりますか。さらに当分見込みがないということになるならば、前々大国の発言をまたここで引き出して恐縮でありますが、四十年末には改正案を提案したいといって言明されているわけです。だから、当分ことしじゅうやる見込みがなければ来年、さらに、また、この間も労働省の問題はそういうのがありましたね、大臣が言明しているのにもかかわらず、二年もたたなければ実現の見込みが立たない。本件についても、もうすでに三十八年当時——三十八年ということになりますともう三年有半の以前になりますから、その当時、四十年の末には国会に提案したいという時の労働大臣の言明であります。ところが、いまのお話を聞くと、答申はいつごろかということについては、何かあまり可及的すみやかな答申が見込まれないようなお話——そうじゃありませんか。それじゃひとつその点……。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 前任者が、現に開かれておるこの国会でございましょう、できればそれに提案したいと、こういう希望を述べたことも私も承知をいたしております。しかしながら、私は昨年六月に御承知のとおり就任したわけですが、続いて八月に諮問を審議会にしたと、こういうことでございまして、この国会に間に合うように答申を得られるというわけにはとうてい実際問題としていきません。そこで、先ほども申しましたが、しからば審議会は今後いつ一体答申が得られるのかと、こういう問題になりますと、審議会御自身が、三十八年の答申において、四十二年度以降の最賃制についてはあらためて基本的な検討をすべきだと、こうおっしゃっておられるのでありますから、それに間に合うようにおそらく御答申をくださることであろう、こう期待を申し上げておると、こういうことでございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 あなたはまじめな方でありまするから、まじめな御答弁として承ったわけでありますが、審議会はなるほど三十八年にそういう御答申をなされたか知りませんが、時の大臣は、四十年末に改正案を出したいといって労働団体に言明されておるのですよ、いいですか、時の大臣が言われている。審議会が何といおうとも、時の大臣がそう言われている。にもかかわらず、それが延び延びになって、改正案がいつ出るか見込みが立たないということになれば、一体労働行政というものは、大臣は言いっぱなしで、任期がくればさっと——任期がこないうちにやめさせられる大臣もいるけれども、その人がやめちゃうと、今度次なる大臣は前任者の発言は知らぬ存ぜぬ、これでは私はよくない姿勢だと思う。したがって、前々大臣が四十年末に改正案を出したいと言明されておるのですから、それが、それならどうしてことしもまた答申が出ないのか。そこに背景があり、客 観的な情勢があり、世の移り変わりという問題もその中に織り込まれるでしょうけれども、何かあるんだ、原因が。ですから、どうしてそういう労働省の問題については、時の大臣が発表したことが、さて具体的な問題で実施の段階になると二年たち三年たち、そのうちには見込みがないということになってしまったんじゃお話にならぬ。ですから、やはり大臣というものは定見があり、大臣の発言というものは尊重されなきゃならぬ、信用される発言でなければならぬと思うのでありますので、時の大臣が言明されたことがどうして簡単にくつがえり、先の見込みも立たないようなこういうことに一体なっておるのか。私は一年生でございますから、そういう点は大臣の発言は非常に尊重している。特に労働大臣は私の同郷で、生まれた家はわずか四軒しか離れておりませんから、あなたのまじめなことはよく知っております。そのまじめな労働大臣をして、なぜそういう煮え切らない答弁をさせておるのか。佐藤総理がよもやさせておるとは私は思わない。労働の問題の最高権威者はあなたでありまするから、ですから、どうかひとつもう少し積極的な御答弁をいただきたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) どうも前任者のことばが問題の端緒になっておりますので、なかなか微妙なんでありますが、先生の御質問によりますと、四十一年度からですか、やると、この現在の通常国会に法案を出すと言明したと、こうおっしゃられますが、どうも当時の速記録もございますが、そうしたいとは思うが、要するにこの問題は労使間の問題でもあるので、円満に運ぶように労働省としてはできるだけ努力いたしたいと思っておるわけでございますと、こういったようになっておるわけでして、何でもかんでももう出すんだと、こう言って言明したと、こうはっきり言ったわけでもないようでありまして、そこらのところを言ったと、なぜやらぬと、こうなるといかにも怠慢のようなことになりますが、先ほども経過を申し上げましたとおり、もちろんわれわれとしてはできるだけ早くという気持ちで積極的にこれは取り組んでおるわけなんでして、おくれても、まあ一年おくれるのはけしからぬといってお小言を受けるかもしれませんが、とにかくまあ審議会という正式な機関もあって、そこにも現にはかって極力審議を進めてもらっておるわけですから、その辺のところはひとつ、あえてなまけておるというお小言でなく御了承をいただきたい、かように思うわけであります。

森勝治日本社会党

○森勝治君 私は、まじめな大臣でありまするから、来たるうち、近い内閣改造でやめてしまったんじゃ、また新しい大臣に質問して二重の手間がかかりますから、そういうことのないようにいま実は申し上げたつもりであります。いずれといたしましても、私はこのように、ほかの問題は、昭和四十三年というと、じゃ二年繰り上げたというので、ことしより実施というような問題はほかにも例があるけれども、事、労働問題に関すると、時の大臣が言明したものが、さて作業の段階になると一年延び二年延びということになってしまうことがよろしくないということを指摘しているわけであります。本件もまたしかりであります。したがいまして、この問題は、昭和三十四年の四月に現行最賃法ができたわけでありまするから、当時の成立の経緯にかんがみましても、これは暫定的な措置だと私は考えております。したがいまして、暫定的な措置だといたしますならば、当然これはもう改定されてしかるべきだと思うのであります。そういう改定の見込みがあればこそ、三十八年のころに、すでに前のその前の大臣が言明され、さきの大臣も出され、いまの大臣もそういう意思をほのめかされておるんだと思うけれども、きょうの大臣の答弁、局長の答弁では、可及的すみやかなこの現行最賃法の改定というものの御意見は言われてない。審議会に付託中でございますからと、こういうことであります。それでは私はいけないと思うのです。審議会の答申待ち、もちろんけっこうでありましょうけれども、労働行政という問題の中のこの最賃の問題につきましては、これはもうかねてからの懸案事項であり、もう皆さん方はそういうあらゆる会合で約束されておるわけでありまするから、当然これはもう前向きの御答弁があってしかるべきだと思うのであります。したがって、今度は局長にお伺いしたいんだが、私がいま申し上げたように、三十四年四月に現行最賃法なるものが成立しましたが、これはあくまでも暫定的なものであると私は考えるが、あなたもそう考えられるかどうか、そして、一体担当局長として改定される意思が積極的におありなのかどうか、大臣がかわってしまえばまた同じような答弁をされるのか、まああとのことばはよけいなことばでありますけれども、とにかく御答弁をいただきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 暫定的であるかいなかは別といたしまして、こういった制度というものは、社会経済の発展とともに、そのつど成長発展するものではなかろうかという基本観念を持っております。したがいまして、いろいろ御批判を受けます現行最低賃金法につきましても、あれをつくるまでは相当な産みの悩みがあったわけでございます。その後長い年月を経まして業者間協定云々という批判をいただきながら、最低賃金額の目安を決定して行政的に指導を加えて引き上げる。業者間協定とは申しますけれども、その実質は非常に職権的な性格を持ってきておるのではないかという見解もあるような次第でございまして、私どもは、労働行政の熱意、あるいは怠慢ということではなくして、わが国の社会経済のいろいろな悩みの過程におきまして、それとともに進んでおる。できるだけそういうものに前向きの姿勢で対処いたしたいと思っておるわけでございまして、ただいまの森先生のお気持ちは私ども十分よくわかるわけでありまして、今回諮問いたしておりますものも、最低賃金制の基本的検討を求めておるわけでありますから、単に一時を糊塗し云云ということよりも、この際、基本的検討をお願いして、その結論を待って処置したいということでありますので、その期するものはおのずから御了解いただけると思います。基本的姿勢といたしましては、前向きで処置していきたいと念願しておる次第でございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 基本的姿勢は前向きの姿勢とおっしゃいますが、マラソンでも前向きで、用意ドンで走らなければこれは効果があがらぬわけでありますので、どうかひとつ早く、同じスタートでもスピードをあげて結論を出していただきたいと思うのであります。  それで、私はさらに質問をしてみたいと思うのですが、この二月十九日に、四十一年度の目安賃金として最低賃金審議会が出された金額というのは四百十円から五百二十円、月額で換算しますと一万二百五十円から大体一万三千円程度だと思うのであります。ところが、昨年の中学卒業生の最低賃金は、全国平均が一万三千幾らになりますね。この間のお話ですと、この間の前委員会では、男が一万二千六百四十九円、女が一万二千八百九十円、こういうようなどなたかの質問に御答弁をいただいたと思うのでありますが、そうなると一体どういうことになるかということであります。たとえば昭和四十年の去年ですらも、最低賃金審議会で出された目安賃金というものを全国平均が上回っていた。ことしの全国平均は大体一万五千円から一万六千円ということになると、はなはだしい隔たりができる。ここに私は現行最賃法は業者間協定である、したがって、基準法第二条の労働者側の意向は全然入っておらぬ、業者間協定に法律的な力を加えたものが現行の最賃法のような気がしてならぬわけであります。したがって、こういうものはどうお考えになられておるか、ひとつお伺いしておきます。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 中央最低賃金審議会において最低賃金額の目安をきめます場合に、一般労働者の賃金、消費者物価、中小企業の経営状況等、いろいろな条件を総合的に検討いたしまして目安をきめておるのでありまして、その際、中学校卒業者の初任給なども有力な資料になるわけでございます。ただ、先生御指摘の中卒の初任給の額にいたしましても、これは最低の額ではございません。平均的な額を示しておるわけでございます。したがって、新規学校卒業者の初任給の額を参考にいたしますにいたしましても、おのずからその平均と申しますか、採用のしかたがあるわけでございます。特に御承知のように、新規学校卒業者につきましては、若年労働力の払底の折から、初任給の賃金上昇が著しいという傾向をたどっておりますが、最低賃金のほうにおきましては、中高年齢層も含みます労働者全部についての最低賃金額でございますので、おのずからある程度平均額よりは低い、こういった傾向をたどらざるを得ないと存じます。しかしながら、一般の賃金上昇、その他先ほど申し上げましたような条件を考慮に入れまして適正に最低賃金額を保持しておくということは当然のことでありますので、本年の二月におきましても最低賃金額の改定を行なったわけでありまして、その引き上げ率も、甲地域におきましては目安下限の上昇率は一七・五%、これは甲地域でございまして、京浜地区とか阪神地区とか、そういった甲地域は一七・五%引き上げである。乙地域におきましては一六%、丙地域におきましては一四%という、かなり大幅の引き上げを行ないましたわけでございます。しかしながら、それにしても低いのではないかという御指摘はあろうかと思いますが、いわゆる最低賃金の額であり、法的な拘束力をもって順守さすという性格の賃金でありますために若干低目にせざるを得ないという傾向がございます。しかし、いずれにいたしましても、その最低賃金の額が実効性のありますように、実効性を保持するということが非常に大事でございますので、私どもといたしましては、たえず一般賃金の動向等を勘案いたしましてこの問題については対処していきたいと考えております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 いま最後に、実効性を保持するためにということをおっしゃっておるのだが、私はその点には多くの疑問を投げたい。なぜなれば、三十九年の十月に出されたこの最低賃金審議会の額は三百六十円から四百八十円でありました。御承知のとおりですね。この三百六十円から四百八十円というものが出され、行政的に指導された関係上、全国的には格差賃金と低賃金を固定させてしまった結果が生まれてきたのではないか。したがって、私がいま申し上げましたように、ことしはすでにもう中学卒業生が一万五千円から一万六千円が全国の平均賃金水準だといわれておるときに、ことしの二月に、いま申し上げたように、四百十円から五百二十円程度の目安賃金ということであるならば、私がいま申し上げた格差賃金と低賃金を固定させたそういう力が依然として続いておるような気がしてならぬわけであります。もちろん大企業、小企業、企業の中の内容の充実したもの、不安定なもの、それぞれあるでありましょうけれども、おしなべては、いま申し上げたように、昨年は一万三千二百八十円が平均、ことしは一万五千円から一万六千円ということになると、いいですか、最低賃金審議会から出した案よりも平均賃金がいずれもはるかに高いというこの現実の姿を一体どう考えておられるかということについてお伺いしたい。

渡辺健二労働省労働基準局賃金部長

○説明員(渡辺健二君) ただいまの先生の御質問は、この二月にきまりました五百二十円ないし四百十円の目安額が初任給から見ても低過ぎるのではないか、まあこういうような御趣旨であろうと存じます。昨年の中卒初任給にしても一万三千円をこえておる。それから見ても、いまの金額から見れば実効がないではないか、かような御質問であろうと思うのであります。確かに昨年中卒の初任給は一応一万三千円強になっておるようでありますが、これは全国の、平均でございまして、昨年の状況につきまして見ましても、これを地域別に見ますとかなりな差がございます。それから、地域別に見るだけではなしに、いま言いました平均といったような中位数を標準に比較しますと、新卒の初任給の人たちの半分が抵触するということになるわけでございますが、最低賃金制がどれだけに影響を持ったらいいのかということはむずかしい問題でございますが、労働者の半数がそれにひっかかるというようなことが実際問題として実行的にどうだろうかというようなことはいろいろ問題になるのではなかろうかと思います。したがいまして、中位数だけでとるやり方ではなしに、初任給を考える場合にも四分に分けてとるとか、いろいろな比較の方法があるわけでございますが、昨年の中卒初任給につきましても第一四分位、まずこの場合でも四分の一の労働者がそれにかかるわけでございますが、そういうような数字でとってみましても、全国的に見ますると、なお東北とか九州等から見ますると、二万円以下の九千円、八千円、一番ひどいところでございますと、県として平均が八千円に達しないというような県もあるわけでございます。したがいまして、中賃できめました目安に基づきまして現在最低賃金をきめておるわけでございますが、現在まで決定いたしております最低賃金におきましても、おおむね一〇ないし一五%の労働者がきめられた最低賃金よりも以下であって、それが最低賃金をきめることによって賃金が引き上げられた、かようなことに相なっておりますので、私どもそういう日本の現在の賃金の実勢から見るならばいろいろの御批判はあるかもしれないけれども、それなりの実行性を持って低賃金の労働者の皆さんの賃金がそれによって改善されていく面がある、かように考えておる次第でございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 それでは変わった問題を聞きますが、過去——そうですね、これが三十四年ですから、約六年間にわたって現行最賃法適用の労働者はどのくらいになりますか。

渡辺健二労働省労働基準局賃金部長

○説明員(渡辺健二君) 昔の毎年の適用労働者数の数字はちょっと手元に持っておりませんが、現在の時点で申し上げますと、本年三力三十一日現在で適用労働者は四百三十九万と、かように相なっております。

森勝治日本社会党

○森勝治君 時間がありませんから間もなく終わりますが、それではその四百三十九万という適用労働者がおるわけでありますが、その適用労働者四百三十九万のうち、日額四百五十円以下というのは七〇%も占めておるのでしょう。いま部長がおっしゃったように、一カ月八千円程度のものがおると言われた。ところが、二百五十円程度の最賃制は全国でありませんか。一日二百五十円というのはありませんか。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 金額の分布を見ますると、業者間協定について申し上げますれば、三百五十円未満というのが四件ございます。そのうち、これは丙地域におきましていま改定の指導をやっておりますが、いろいろ問題がありまして、まだ改定するに至っていない。近く改定されるであろうという期待を持っておりますが、それがある県におきまして四件ございますが、それ以外のものは、たとえば三百五十円から三百九十九円までのものが三百七十六件、四百円から四百四十九円のものが九百六十七件、これが一番件数として多うございます。その次に位しますものが四百五十円から四百九十九円未満のものが三百八十八件、五百円から、五百四十九円未満のものが百六十二件、五百五十円から五百九十九円未満のものが十五件、六百円以上のものが六件、こういうふうになっておりまして、先生御指摘のきわめてまれなケースとして四件ございますが、目安に近づけるように改定の努力をいたしておる次第でございます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 努力してくださるということですから、私はあまり申し上げませんけれども、少なくとも二百五十円か七十円、そんな程度の最低賃金制なんというのは全くナンセンスでありますね、これは御承知のとおりであります。昭和四十年度の労働科学研究所の成人一人当たりの月額必要額は一万八千円程度という統計も出ておる段階でありますから、そういう点はぜひとも、私どもは邪推をもって申し上げるわけではございませんが、この業者間協定が日本の労働者の生活をささえるに足る賃金が一番望ましいところでありまするけれども、業者間協定によって、しかも、労働者側代表の入らない、経営者の一方的な賃金の決 定でありまするから、これは基準法第二条に明らかに精神として抵触をいたします。と同時に、ILO条約二十六号にも抵触することは、これはもう明らかであります。したがって、今後とも、この昭和三十四年四月にできました現行最低賃金法は、私はあくまでも暫定的な処置とし、業界の協力、理解、受け入れ態勢が完全になり得るならば、おそらくこれが完全な労働者の生活をささえるに足る産業の興隆に役立つ第一線の産業の戦士を送り出す、しかも、その再生産のためにも十分な賃金が与えられてしかるべきだと思うのでありますので、そういう点で抜本的な検討がなされるだろうと思うのでありますので、そのことを期待して私のいままでの問題については打ち切りますが、ちょっと変わった問題について、特に変わりませんけれども、先般いただきました最賃業務統計ですか、これは従前ずっと出されておったけれども、何か大臣がかわるたびに、これまた毎月統計が出なくなって、もう昨年の秋ごろまでは毎月統計を出されて各方面に配っておったのが、このごろはもう三カ月に一回というふうになってしまったのですね。私は、局長の答弁から見ても、こういう面から見ても、いままさに最賃法の抜本的な改正が加えられようとしているやさきに、こういう従来よりもうしろ向きの統計を出されているということになると、これはどうも前向きで走っている前向きの姿勢だなんということは、あまりにも——信用しないわけじゃありませんけれども、ちょっとこういうこまかい具体的な事例をもってしても、どうも全面的に賛意を表しかねるようなふうに考えられてしょうがないのですが、どうしてこういうふうに統計をやめてしまったのですか。やめたわけではないですけれども、おろそかにしてきたのですか。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 大臣と同様、私どもも御信用を賜わりたいのでありますが、この統計は四半期に一回出しておりまして、出しておりますことは従来と全く変わりありません。何かの手違いで先生のお手元に届かないということがございますれば、さっそくお届け申し上げたいと存じます。私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、最低賃金を決定するには、審議会の意見を聞いて決定するのでありますから、かりに業者間協定をしましても、最低賃金額に満たないものは認めないとか、かなりの強力な指導をいたしておりまして、全国の最低賃金会長会議などを開きますと、行政指導の強さをしばしば指摘されるといったような事情もございます。いろいろ御批判もあろうかと思いますが、私どもといたしましても懸命の努力をいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

森勝治日本社会党

○森勝治君 もう時間がありませんから、私はこれはちょうど大臣がおいでになっておりますので、ちょっと変わったことで聞きたいと思うのですが、学生労働者と申しましょうか、勤労の合い間、向学の念押えがたく通学している諸君であります。この諸君の実態調査というものがなされていない。聞くところによると、労働省でも手をつけていない、文部省でもさっぱりこれだけはお手あげだそうであります。どうにもならぬそうでありますが、やはり最賃制を実施する場合においても、この勤労学年の産業動態というものが当然把握されなければならぬと思うのであります。したがって、もしあるならひとつ発表していただくし、私は、この間ありませんというお話ですからこういう発言になったわけでありますが、どうかひとつ向学の念抑えがたく、疲れたからだにむちうってせっかく勉強しようとするこれらの諸君のこの産業の分布状態を的確に把握していただいて、何らかの形でこれらの諸君を激励してあげなければなりません。と同時に、ほとんど若い若年層でありまするから、たいてい定時制と申しますから、御承知のとおり、高校です。そうすると最賃制の対象になる諸君なのであります。したがって、ひとつこの統計をとっていただきたいことが一点であります。これはお約束いただけますか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 遺憾ながら、労働省のほうでもそういう統計を持ち合わしていないものでありますから、なるべく急いでそういう調査をさしたいと思います。

森勝治日本社会党

○森勝治君 ここに過去五年間勤労学生の数字は出ておりますけれども、職業別の数字が出ておりません。したがって、私がお願いしたいのは、この職業別のひとつ統計をつくっていただきたいということでいまお願い申し上げたわけであります。と同時に、ひとつ大臣の考え方をお伺いしたいのでありますが、これはやはり勤務時間と賃金との関係がありますので、ひとつお伺いしたいのですが、ほとんどの学校が午後五時半ということになります。そうなりますと、いずれの会社、工場、事業場も、早くて五時でありますから、これらの学生は工場の油にまみれた作業服を着かえてマラソン競走でかけつけても学校の五時半の授業に間に合わない。これは全国至るところでこの悩みを訴えられているわけであります。したがって、このことについては、それは勉強する者のかってだと言ってしまえばそれまでですけれども、せっかく世の進展におくれをとるまいと思って労働のかたわら勉強するわけですから、こういう向学の念に燃えている諸君には、やはりあたたかい愛情の手を差し伸べてあげなければなりません。したがって、このことについては、その通学に差しつかえのないようにやはりしてやる必要があろうと思うのであります。そうなりますと、五時のところで四時半に、少なくともこれはもう五町半に授業が始まるということになりますれば、少なくとも四時半ごろにその仕事を終了させなければならぬと思います。そうなると三十分早退ということで賃金から引かれるということになりますと、ただでさえ生計を維持するにむずかしい現在の日本の低賃金に置かれている立場からいたしまして、よけい生計が困難になる。教科書や釣竿すら買えなくなりますので、たとい三十分早く帰っても賃金をカットすることのないようなそういう何か指導がなされてしかるべきだと思いますが、ひとつこういうことについては大臣の前向きの勤労学生に対する愛情のある措置の御答弁をいただきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○国務大臣(小平久雄君) 確かに先生の御指摘のような問題があろうと思います。私も実際問題も若干承知をいたしております。私も承知しておる限りでは、使用者と申しますか、経営者と申しますか、この側においては、このような夜間の学校に通うという者に対しては、相当私は今日では理解のある態度をとっておると思いますが、しかし、中には必ずしもそうでないものも確かにあるだろうと思います。いずれにいたしましても、先生御指摘のような問題については、労働省としましても機会をとらえまして、使用者側に理解のある態度で臨むように指導してまいりたいと、かように考えております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、この際、関連で一言だけお尋ねしておきたいと、こう思うわけであります。  この表を見ますと、ウエートから言って、四百五十円までの人が七割ぐらいあります。六百円以上の人が五件、それで適用労働者が四百三十九万人これの適用を受けておる。そこで、私は尋ねたいのは、失対労務者賃金が全国平均六百二十九円、石炭手当を引いて六百二十八円で、生活保護を受けておる人が非常に多い、世帯主でありますから。この最賃法の四百三十九万というのは、六百円以下がというか、むしろウエートは五百円までです、日給が。二十日働いて一万円。これが四百三十九万の大半でございます。そうなると非常に低い最低賃金で働いておられるということになります。今日の経済、先日政府の発表した一人当たり国民分配所得は二十五万円、これでは十二万にならぬ人が大半であります。半分以下であります。その人は子供さんとか奥さんを養っていくわけですが、賃金をもらって。分配所得は赤ちゃんもおじいさんもみな平均であります。そういう観点が現実の問題である。法律適用でいくと、第一表にあるように、九条関係、これは業者間協定であります。十条の関係、業者間協定の団体的な地域的な業者間協定、そのほかは十一条が六件で、 十六条の職権が二件、九条千九百十七件、十条二百二十三件、十一条が六件です。十六条が二件です。こうなると、いまの日本の経済のうち、いま森委員が言いましたような賃金情勢である中で、これよりもはずれている人があるかもしれない。もう一つ下の内職労働者の低工賃、そういう条件があるのに、政府はILO二十六号の精神に沿うべく、いま鋭意努力中だというのであります。そうすると、いまのこの姿を見てみると、九九%まで業者間協定で賃金が行なわれている。これがいま表に出ているような低賃金なんです。政府は全く前向きと申しましょうか、二十六号条約、三十号勧告の原則、ILO——世界の原則に基づいて最賃を変えたいという意欲があるなら、ほんとうに三百五十円や四百円で食っていくというのは、生活保護というものをプラスせぬ限り解決しないような条件なんだ。十六条関係の法律があって、法律の中に十六条という職権方式があるわけですから、職権方式で最低賃金を直にきめなさいというぐあいに各最低賃金審議会や労使に対して——労使に対する手続の問題は法律か何かわかりませんけれども、そういうものをなぜおやりにならないのか、私はそれが疑問なんです。これはだれが見ても私は疑問に思うところだと思う。だから、努力します努力しますと言うけれども、出てきた表の九九%まで業者間協定が存続している。この表を合理化していこうということであれば、なかなか世界の要求の中で、労働省の姿勢は聞きましたけれども、姿勢と現実とあまりにも違い過ぎるんじゃないか。だから、ここらあたりをどうするのか。先日も炭鉱の最低賃金が職権できまりました。しかし、私は、少なくとも労使関係というものは、職権で最低賃金をきめなさいと言わぬような労使関係をつくらなきゃいかぬのじゃないですかね。日本の組織がいまのような組織で、職業別の賃金統一というものがありませんからそれは何でしょうけれども、あまりにも最高六百円以上がたった六件で、ウエートは四百円ぐらいのところです。そんな賃金を業者間協定の九条、十条で九九%もやってるというふうなことは、みずからやっぱり労働省は姿勢を正して、そして政府の機関——最低賃金審議会というのは機関ですよ、機関の姿勢を正すようなことをなぜおやりにならないか。私は、四百二十円から五百十円とおっしゃるけれども、それ自身にも問題がある。しかし、そこまではいま言いませんけれども、どうももう一つわれわれはこれは理解ができない。賃金部長、これは賃金部をこしらえて、鋭意世界の賃金に見合ってやろうということで、しっかりやってくれと応援して賃金部をこしらえたんだが、どうでしょうか。これはひとつ大臣の補佐役ですから、それは基準局長も責任がありますが、賃金部というのはもっと世界の客観的な状態に立って賃金がいかにあるべきかということを出してもらわないと、これはちょっと私はふに落ちないと思うのだが、考えだけひとつ大田と賃金部長に聞いておきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) ちょっと私から……。  いま御指摘をいただきましたが、内容的には二つあると思うのでございます。一つは、十六条方式による職権決定がいかにも少ないじゃないか、いま一つは金額の問題であります。そこで、金額のほうから申しますと、お手元に差し上げました資料は三月三十一日現在の資料でございます。つまり最低賃金額の目安としては古い目安の額によるものであります。しかるところ、先ほども申しましたように、二月に最低賃金額の目安を改定いたしました。最低のものでも一四%くらい底上げになるはずでありまするので、おそらく相当期間経過いたしまするならば、この資料の三ページの下段にあります賃金の分布表は相当変わってくるのじゃないかというふうに私ども考えているわけであります。いま御指摘の点は私ども重々承知いたしているわけでございまして、目安額の改定に伴う結果として、この金額は相当上のランクに上がってくるだろうというふうに期待いたしておりますので、その点御了承賜わりたいと思います。  それから、職権決定方式でありますが、現行の制度といたしましては、職権決定方式が独走するという形じゃございませんで、九条、十条、十一条などの、「規定により最低貸金を決定することが困難又は不適当と認めるときは、」云々、こうなっているわけでございます。したがって、私ども十六条方式を活用したいという気持ちでございましたが、前提として九条方式、十条方式、十一条方式などがある程度進んでまいりませんとなかなか条件が整わない、こういう悩みがあったわけであります。しかしながら、すでに四百四十万に達します業者間協定方式等による最低賃金の適用を見ておりますので、すでに最近は地方最低賃金審議会の場におきまして、十六条方式による決定の機運が相当濃厚になってまいりました。この資料にあげております二件は、いずれも中央最低賃金審議会で決定した石炭鉱業と金属鉱業に関するものでありますが、このたび初めて千葉におきまして金属、機械製造業の最低賃金がいわゆる職権決定方式によって決定されたような次第でございまして、引き続きまして現在も、職権決定の動きがございます。いろいろ御指摘がございましたが、そういった順序、段落を経まして、漸次職権決定方式も拡大するだろう、こういうふうに考えているような次第でございまして、御趣旨の点は私ども十分体しまして今後促進につとめたいと考えております。賃金部におきましても、いろいろ有益な詳細な資料を集めるとか、種々研究をいたしております。漸次先生の御期待に沿うように私ども努力をしていきたいと考えます。

高山恒雄民主社会党

○高山恒雄君 大体質問されたようですから、私は局長にちょっと。さっきの局長のあげ足をとるわけじゃないのですが、最賃法をつくって、現状でも、その経営者のほうからはむしろ不満の態度がある、こういう表現をちょっとお使いになったと思うのだが、そうじゃないのですか。それでなければいいのですが、私は、最賃はこの法案をつくって格差をつくったと思っているのです。むしろそうした最賃の格差をつくったと私は思うのです。というのは、三者構成の中で地域労働者も最賃委員に入って、非常にがんばって最賃をきめるところと、業者間だけのような構成できめているような様相が多分にあるのです。このために私は非常に格差をつくったと思うのです。したがって、早く是正しなければいかぬという考え方を持っているわけです。  もう一つの問題は、地域開発が非常におくれている地域ですね、そうすると大都市に勤務しておって帰りますね。そうすると、こういう最賃の中小企業しか地域開発がおくれているところにはないわけです。最賃三百円か三百二十円のところしかないわけですね。そうして、一方では五百円なり六百円の賃金をもらっている者が帰って働こうといったって、働く気がしないわけです。そうすると、いや、それでもいけというわけにいかぬわけです。これは大臣お聞き願いたいのですが、先ほど藤田委員がおっしゃったように、失対の問題ですね、こういう問題から考えてみても、失業保険を適用する場合においても、本人が拒否すればそれはいけないですね。そんな安いところだったらだめだ、もっと高いところ、こういうことになるのですね。それで、私は、失業保険との関連から見ても、全国的な最賃というものは早く進めなくちゃいかぬ、こういう考えを打つわけです。したがって、都会と地域開発のできていないところの差があまりにもひどい。それは現行法の最賃法の欠陥がそこに出て、地方委員の構成によって変わってきておるのだ、こういうふうに考えるわけです。こういう点を局長あたりはひとつお考えになったことがあるのか、私はここが一番大事じゃないかと思うのですね。欠陥があらわれた場合においては、やはり早く是正をする。むろん答申案を待たれるということも賢明な方法であろうけれども、もっと労働省自体が調査をして、どうしてこういう欠陥が出ておるか、格差が出ておるか、さっきのように三百円を割るという地域も出ておる、いま是正しつつあるとおっしゃるけれども、どうしてこれが出たかという点を私はお伺いしたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 格差の問題は、結局は最低賃金額のきめ方の問題に帰するだろうと思います。できるだけ格差を是正したいという観点から、目安をきめますときにはそういった点をかなり考慮したはずであります。その結果といたしまして、実は逆に実態に沿わない、実態としては東京とか大阪の賃金は非常に高く、低開発地域の賃金は非常に低い。その格差を見ますときに、低開発地域のほうを底上げして、できるだけ格差の少ない目安をつくろうとしましたところが、逆に今度は大都市においてはやや低目になる。その結果、最賃の額に実態より低いような面があらわれるということがございまして、この二月の目安改定の際には、そういった点を考慮いたしまして金額改定を行なったものであります。したがって、実態と最低賃金額のきめ方の問題につきましては、考え方としてはできるだけ格差縮小という方向で考えたいというふうに進んでおるわけであります。しかるに、現実の面として非常に低いところがございまして、それをどうするか、そういったところで先ほど申しました数件のものが残りまして、現実にはこれくらいの賃金でやっているというのでなかなか改定に応じないというようないわば低開発地域があるわけであります。最低賃金を進めるにあたりまして一番困難な問題でありますけれども、そういった点いろいろ指導しておりますので、最低賃金審議会会長会議などを開きますと、労働省なり地方の労働基準局長、基準局、相当強力な指導をやっている。業者間協定といいながら、そういう形でなくなってきているのじゃないかというような御批判を会長から伺う機会が多いということは先ほど申し上げましたような次第でございまして、いまの先生の御指摘の点、私どもも十分御理解できるわけでありまして、そういった問題が審議会の場においても論議される目安決定のときにそういう考え方を持たせるということを申し上げまして、御了承を得たいと思います。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 私は、先般家内労働法のところで質疑をしたいと思っておったのですが、この最賃法の問題があるから、そのときに譲ったわけであります。ひとつこの際に一言だけその点について御質問しておきたい、要望しておきたいと思うわけであります。  先ほどから森委員の質疑の中で、九条方式の業者間協定について、最賃をやることは国際通念の上からも問題があるという指摘がありましたし、また、この間の労働省から出されているところの「労働時報」の四十一年度五号にも、九条方式と、これに地域的な拘束力を持たせたところの十条方式、先ほどから議論されておりますが、こういうものが相当大きくとり行なわれておる。こういう状態から見まして、私は、現行法に基づいても、第三章の最低工賃というものの決定は可能ではなかろうかと思うわけであります。このことについて、いままでに何か特定の業種について一つでも最低工賃というものが公示されておるとすると家内労働者の工賃の一つの標準となってくる、こう思うわけでありますが、この法に基づいたところの最低工賃の決定が可能でありながら、現在までモデル業種に対してのそうしたものがない。こういうことに対して労働省のほうではどうお考えになっておるか、それから、また、工賃の日額というものも最小限どの程度が適当であるかということも検討してもらいたいと思うわけであります。特に労働時間を八時間として、最小限はどの程度になるか、そういうことについてぜひとも考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。これについての御意見も伺わしていただきたいと思うわけであります。専業の家内労働というものもかなりこれは生活に直結しているものでありますので、相当低所得であって非常に困っておる。特に考えれば、生活保護以下であるというのがたくさんあるわけであります。こういう点からいえば最賃がいかに必要であるか、最低工賃がいかに必要であるかということは非常に考えられるわけでありますが、こういう点に対して放置されておるということは非常に私自身は不満に思うわけであります。こういう観点から、ひとつ特に御意見を伺いたい。家内労働に対しても審議会云々も出ておりますし、あるいは、また、答弁の中で、その答申を待って云々という御答弁もまたあるかもしれませんが、もう現況ではそういうことを言っている時期じゃないわけでありますので、現在のままでも何とかそれを処置すべきじゃないかと思いますが、こういうことを含めて、大臣並びに局長の答弁を聞いておきたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 先日も御答弁申し上げたはずでございますが、最低賃金法の二十条によります最低工賃は、いわゆる最低賃金が決定しておりまして、一定の地域内の事業場で使用される同種の労働者及び使用者にそれが適用があるという前提条件があるわけであります。今日まで地域的に、また、事業の種類別に対応してうまく合いまするものが少なかったので、なかなか最低工債の決定が困難であり、遺憾ながら、まだ一件もないわけでございます。そこで、最近の最低賃金の普及状況を見まして条件が成熟してきたというふうに私ども判断いたしまして、去る三月、局長通達を出しまして、最低工賃を決定するようにその促進方を指示した次第でございます。今後私どもとしては、この最低工賃が決定されまして、法的な拘束力を持つものとして家内労働対策に資するように努力していきたいと考えております。

大橋和孝日本社会党

○大橋和孝君 それでたいへんありがたいのでございますが、特に私が申し上げたいのは、京都の西陣あたりの家内労働、ああいうようなものは条件はみなそろっているわけですね、その地域的に。これなんかを進めるためにはそんなに障害ないと思う。どれでもモデルのやつを一つつかんでもらって、そうしてそれを早くつくってもらう。考える考えるじゃなくて、現行のままでモデルをつくってもらうことが、将来家内労働に携わっている人たちの目安になると思うわけです。どの業種ということを私は指定しないわけでありますが、京都だけを見ましてもそれに当てはまる業種はあるわけであります。私どもが見てもあるわけでありますから、専門的なほうから見ていただけばなおあるわけだと思うのでありますが、どれでもいいから、サンプルを一つつくってもらいたい。先に伸ばさないで、一つつくってもらうことが大きな意味があると思いますから、その点ひとつ早くつくってもらいたい。

村上茂利労働省労働基準局長

○政府委員(村上茂利君) 御指摘の点を十分体しまして指導したいと思いますが、ただ、筋道といたしまして、労働関係のない家内労働者として扱うか、労働者として扱って労働基準法などを直接適用するかという問題が実は特に西陣ではあるわけであります。ですから、最低工賃という家内労働者扱いにするか、そうじゃなくて、本来の労働者として扱いまして労働基準法その他の法律を適用いたしますか、どうするかという問題が実はからみ合っておるわけでございます。そういった事情も御了察いただきたいと思いますが、先生の意のあるところを私ども十分体しまして今後指導したいと思います。

千葉千代世日本社会党

○委員長(千葉千代世君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会は八月十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会

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