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51回国会参議院1966/04/15

産業公害対策特別委員会 第8号

発言数
61
登壇者
10
会派数
3
開催日
1966/04/15

会議録

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。  理事の辞任についておはかりいたします。  黒木利克君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に植木光教君を指名いたします。     —————————————

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 産業公害対策樹立に関する調査を議題とし、公害対策の基本施策に関する件の調査を進めます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。  なお、政府側から、鈴木厚生大臣、舘林環境衛生局長、中川産業立地部長が出席いたしております。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 大臣、お忙しいところを出ていただきまして、感謝いたします。衆議院の本会議が開会されるまで、基本的な問題について、二、三お尋ねしたいと思います。  先般の新聞によりますというと、厚生大臣、いよいよ公害基本法の制定ということを目途として積極的な検討を省内に指示したということでございますが、当時新聞で報道されているような、たとえば次期国会に提出するということをめどとして基本法の立案に入られたのかどうか、その辺のところを、ひとつ最初にお伺いしたいと思います。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 公害の問題は、近年、大気の汚染、水質の汚濁、また騒音等、国民の健康を保持する上から放置できないような段階に進んでおるのでありまして、厚生省といたしましても、公害対策を、国民保健の上から、また環境整備の面から、非常に重視をしていかなければならない、かように考えておりまして、厚生省設置法で昨年の九月末に公害審議会を設けまして、四十名の委員の方を委嘱をいたしまして、公害対策につきまして、公害に関する基本施策、環境基準設定の方途、こういう問題につきまして目下諮問をいたしておるのでございます。委員の方々は、民間の各分野におけるそれぞれの専門家であり、有識者でございますので、私は、この公害審議会からの答申に大きな期待を実は寄せておるのであります。  現在、公害審議会は四つの部会からできておりまして、公害部会、生活環境部会、下水清掃部会、水道部会、こういう四つの部会がございますが、なお、この公害部会を、大気汚染、水質汚濁、未規制の三つの小委員会に分けまして、鋭意審議を進めておるのであります。私は、だいぶん熱心に審議が行なわれておりますので、今年の九月末ごろには第一回の答申が出るのではないか、このように期待をいたしております。この審議会の答申を十分拝見をし、検討をいたしまして、そして現段階で樹立すべき抜本的な公害対策を確立をしたい、かように考えているのであります。  大気汚染や水質汚濁につきましては、御承知のように、すでに規制が行なわれている面もございますが、しかし、もう今日の実情に沿わないような事態にまで発展しておりますので、すでに規制いたしております基準等につきましても、再検討を要するものもございます。また、騒音でありまするとか、自動車の排気ガスでありまするとかというような未規制の公害に対しましても規制措置を講じなければならない、このように考えております。また、産業開発地域等における公害の予防策あるいは環境基準の設定の方策、それから国及び地方公共団体における公害行政の分担の原則、それから公害防止についての責任の明確化、さらに公害防止施設整備のための助成策、こういうような重要な諸点を中心といたしまして、公害対策の抜本的な施策を講ずる必要があると考えているのであります。  私は、この審議会の総会にも出席をいたしまして、審議委員の多数の御意見も、政府として早急に公害防止基本法というようなものを制定をして、そうして今日の公害対策に対する基本的な方向を明らかにすべきである、こういう御意見もあり、私も、先ほど申し上げましたように、公害の問題は、国民の健康と生命を守る上からいたしまして、今日きわめて緊急重要な問題になっているという観点から、この公害審議会の答申を待ちまして、それを尊重いたしまして、できるだけ早く基本法を制定するという方向で諸般の準備を進めたい、できますれば、昭和四十二年度の予算編成と、また、政府部内の協力と問題の調整をはかりまして、基本法の制定を、できることなら次の通常国会に提出をしたい、このように考えている次第でございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 いま大臣の御答弁を承りますと、大体において、公害審議会というものを中心にして、その諮問事項の中に「公害に関する基本的施策について」という、公害の根本的な政策なり、あるいは企画なりということを諮問をしている、この諮問の結果によって、基本法ということになるか、あるいは基本法というものにならないかということは、諮問の結果によって明らかになることであって、新聞で伝えられておりますような、省内各方面に、基本法を制定するための省内の検討を積極的に推進しておるということではない、このように考えてよろしいですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 審議会と厚生省の環境衛生局、事務当局は、緊密な連携をとりつつ、公害対策に対する基本的な考え方を検討を進めておる段階でございまして、私は、先ほど申し上げましたように、公害審議会から答申が得られる段階には、それに即応して厚生省としても公害基本法を、できれば次の通常国会に提案をするという前向きの方向で事務当局も検討を進めておる、こういう段階でございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 そこで、やはり問題は、おそらくこれは衆議院でも同様と思いますが、参議院におきましても……。各省の間におきましてそれぞれやはり意見の未調整な部分がある。で、公害審議会は、もちろん厚生省の所管にかかる公害ということが中心でありまして、したがって、厚生省の所管の公害に対してその基本的な政策について諮問するということは、審議会設置の趣旨からいいましても当然でありますけれども、それでは、厚生省の所管でない公害に対してはどうなんだと、そういう問題が起こってくるんじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) お説のとおりでございますが、この公害審議会には、先ほども申し上げましたように、大気の汚染でありますとか、水質の汚濁でありますとか、いろいろの問題を中心に諮問をいたしておるのであります。したがって、公害審議会におきましては、厚生省の行政分野に限定するということでなしに、国民の健康を守る、国民の生活環境を公害から守る、そういうような基本的な態度で、この公害対策の御審議を願っておるのであります。したがいまして、産業公害というような、通産省の行政に当然関連する大気の汚染の問題であるとか、工場から出ますところの工場排水による水質の汚濁でありますとか、あるいは運輸省関係の、自動車等からの排気ガスによる大気の汚染、そういうような問題等も、当然この審議会で検討されるのでございます。私は、この公害審議会につきましては、現在の段階でも、中間的に各省に緊密に、その資料であるとか、審議の経過であるとか、そういうものを報告いたしまして連絡をとっておりますが、答申が出ますれば、これを各省とともに十分検討をし、行政的にもこれを調整をいたしまして、国として総合的全体的に公害対策を確立する、こういうことで、この公害審議会を活用してまいる所存でございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 やはり、根本的な行政権限と申しますか、そういうものについてわれわれは心配を持っているのです。内閣には公害対策推進連絡会議というものがあるわけで、この公害審議会で論議されたことは、この連絡会議を中心として各省に報告され、あるいは通知されていることだろうと思いますけれども、しかし、それはただ通知しっぱなしでありますし、報告しっぱなしでありますし、他の官庁の意見というものは返ってこないわけなんですね。そこで、公害審議会は、事務的に一応、連絡会議に参加している他の官庁の方々とは、そういう意味で連絡がとれますけれども、最終的な答申ができるまでは、他の省庁から意見というものが、厚生省なり、あるいは公害審議会なりというものに入ってこない。でき上がってしまったときに、あるいは通産省であるとか、あるいは運輸省であるとか、あるいは農林省であるとか、あるいはその他の官庁から意見が出てくる。せっかくの公害審議会の答申というものが、そこでゆがめられる危険はないだろうか。  端的に申しますと、私は、閣議等におきまして、厚生省の公害審議会というものが、公害対策、特に国民の健康とか、あるいは環境の改善とかということを中心にして、公害の問題については厚生省及び諮問機関であるところの公害審議会というものに一切の権限をまかせる、ということはちょっと言い過ぎかもわかりませんけれども、これを中心として、その公害審議会の答申があったら、これを厚生省が受けるというよりは、むしろ内閣自体がこれを受けるというような——私、まあそういうことばよく知りませんけれども、権限の委譲といいますか、あるいは内閣から公害審議会に対してオーソリティを委譲あるいは確認してもらうということが公害審議会の答申の出る前に必要なことではないかと、このように考えますが、そのオーソライズドという、そういう必要は法制的にはないものでしょうか。その点はどうです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど松澤さんからお話しになりましたように、この公害審議会が厚生大臣の諮問機関でありまするために、厚生省の分野におけるものに限定をしたり、あるいはそうでなく、私が申し上げたように、かりに公害全体に、ついて、産業公害なり、あるいは交通公害なり、そういうものまで含めたものとしては、厚生大臣の諮問機関という形においては、十分これが内閣全体の問題として権威を持ち、その答申が尊重されないのではないか、こういう御心配のようでございますが、この運用にあたりまして、私は十分各省とも随時審議の経過は報告をし、連絡をとっております。また、内閣にあります連絡会議を中心にいたしまして、この答申が出ました際におきましては、国民の健康を守る、国民の生活環境を整備する、こういう観点に立ちまして、各省庁の連絡協調を十分はかってまいりたい、そういう面に力をいたしたい、このように考えております。また、厚生大臣の諮問機関でありますけれども、この公害審議会の人選にあたりましては、経済界、産業界の有力な方、そういう分野の専門家の方にお入りを願っております。また、交通その他大気汚染、排気ガス等の面につきましても権威のある方々を委員に委嘱をいたしておりまして、各界の御意見が十分これに反映をされ、その御意見を総合し、総合的な答申が得られるように、人選におきましても配慮をいたしておるのでございます。したがいまして、この答申は単なる公衆衛生とか、環境衛生とか、そういう医学的、環境衛生的な、そういう限られた観点で出されるものでなしに、総合的な観点でその答申がなされるものと、こういうぐあいに期待もしておりますし、その答申は、各省庁、内閣全体がこれを十分尊重し、参考として施策を進める有力な答申になるものと、私はこのように期待をいたしておるのであります。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 たいへんけっこうなんです。厚生省の方針に私がけちをつける考えは毛頭ありません。どこまでも前進させていただきたいと思うんですけれども、ただ、通産省のほうには産業構造審議会の産業公害部会ですか、そういうものがあったり、あるいは経済企画庁には水質保全法による水質審議会があったりしておりまして、厚生大臣の諮問機関であります公害審議会がいろいろ答申を出し、審議をしている、また一方では、産業構造の面の専門家がやはり別の機関として審議をし、またその結論を出そうとしているということでは、せっかく大臣が非常に前向きに、積極的に公害審議会を中心として結論を得ようと思っているのに、出た暁に、またいろいろと各方面から水をぶっかけられまして、あっちへ曲がったり、こっちへ曲がったりするようなことはないかということを心配しておりまして、何か事前に、権限ということを内閣で認めて、内閣の諮問機関のような形にまで実質的に尊重されるような方法があったならば一番いいと、こういうことを考えているわけなんでありまして、別に文句を言う考えはありません。そして、すでにこの国会には、自民党からはまだ出ておりませんけれども、民社党と社会党からはそれぞれ公害基本法というものが出ているわけなんであります。自民党のほうとしては、議員立法という形で公害基本法を現在出そうとする考えはないんですか。主として厚生省、それから公害審議会というものを中心にした、その結論が出てからというお考えでございますか。この点をひとつ。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 政府と与党である自民党は一体でございますので、私どもといたしましても、政府でいませっかく審議会等におきまして各界の御意見を承っている段階でありますので、政府と党が一本になって公害対策につきましての基本的な法制化をやろう、こういう方向で現在進んでいるわけでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 公害審議会の委員の中には、財界方面あるいは産業界、経済界の方々も入っておられるようでありますが、財界方面では、公害基本法というものは時期尚早であるというまとまった意見が出ているようでありますけれども、これにつきましては、大臣はお聞きになったことはございますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 前には、そういうような時期尚早論というようなものも伺っておったのでありますが、最近に至りまして、公害問題が非常に深刻化いたしまして、社会問題にもこれが発展をしてきている。現実に地域住民の健康を阻害するというような事態も発生しかねないような状況になっている。こういうようなことから、三木通産大臣も非常にこの公害問題に対しましては関心を寄せられ、熱意をもって公害対策を推進しよう、こういうお考えを持っておられるようでありまして、閣議等におきましても、先般公害問題につきまして私が発言をいたしましたのに関連いたしまして、産業公害については、あるいはこの公害を発生させるような工場の建設については認可制度をとる必要があるのではないか、そういうことは制度的にもよく検討を加えたいという、非常に積極的な御意見も実は述べられているのであります。また、総理府にあります連絡会議等におきましても、通産省の代表から、通産省においても通産大臣から公害基本法制定について前向きで検討するように、こういう御指示があったというようなことも公式に承っているのであります。  私は、こういうような情勢でございまして、経済界、産業界におきましても、もうそういうような御意見は一部にはあるかもしれませんが、全体としては、公害問題につきましては十分な認識を持ち、産業公害等につきましては進んで対策を講じよう、そういう方向に向いているものと、かように考えているのであります。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 今回の予算委員会におきましても、公明党の小平君が公害基本法の問題を取り上げて質問をし、それに対しまして、厚生大臣なりあるいは三木通産大臣なりが、はっきりとした態度で、公害問題に取り組んでいくという決意のほどが明らかになったわけでありまして、これは確かに一つの進歩だろうと思うのであります。  この際、通産省のほうにもちょっとお伺いしておきたいのでありますけれども、先ほど私が心配し、この委員会におきましても、絶えずそういう心配が出ております各省庁にまたがる公害の問題につきまして、厚生大臣がいま申されたように、公害審議会というものを中心にして公害の問題に取り組んでいくんだ、その諮問を待って、あるいは公害基本法というようなものを次期国会にできれば提案したい、そういう考えであるようでありますけれども、通産省の部内といたしましても、そういうただいまの厚生大臣の御答弁というものに、御同意といいますか、確認できますか。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) ただいま厚生大臣からおっしゃいました公害問題の前向きの解決という態度からいたしまして、現状において未解法である、したがって、おのずから、答えと申しますか、対策と申しますか、考え方と申しますか、そういうものを出さなければいかぬ問題がたくさんあるということは、通産省といたしましても十分に考えております。ただ、私どものほうの担当は産業公害という分野でございますので、たとえば騒音に例をとりました場合に、土木工事、建設工事等の際の騒音だとか、広告その他の宣伝的な騒音だといったものについては、所管上関係がございません。私どもの関係しております産業公害というものは、厚生省が公害審議会等で審議の対象になさっている公害一般問題という見地からいたしますと、ウエートは大きゅうございますけれども、全部ではないわけでございます。さような状態でございますので、私どもが検討をし、勉強をしておりますことも全体をカバーするものではございませんので、私どもの分野において真剣に検討すると同時に、私どものほうに意見がございますならば、厚生省にも十分申し上げるということに相なろうかと思うわけでございます。また、そういう意味で、厚生省の審議会と別個に、私のほうも産業構造審議会に産業公害部会というものを持ちまして、産業サイドから対処し得る問題、いわば公害を発生源において処置します場合の技術的な問題、あるいは制度的な問題といったものを検討しておるわけでございます。ただいまのところ、冒頭に申しましたように、公害問題というのは歴史のごく新しい問題でございますために、率直に申しまして、答えの出ていないものがずいぶんあるわけでございます。その意味合いにおきまして、公害を基本的になくする上での総合的な施策、あるいは基本的な考え方というものにつきましては、私どもも私どもなりにいろんな対案をいま検討しておるわけでございます。先ほど厚生大臣からお話がございましたように、大臣も非常に御熱心でございまして、私も両三度現状を御報告すると同時に、大臣からの指示を受けておりまして、先ほど厚生大臣がおっしゃいましたような産業立地につきましての規制もしくは調整というようなことを、特定の地域におきまして特定の業種について考えざるを得ないという事態であろうかという認識でございまして、この点での検討もいま進めておるわけでございます。

松澤兼人日本社会党

○松澤兼人君 まあこれで、公害審議会を中心とした公害の基本的な施策というものについての厚生大臣に対する概略の質疑が終わったわけでありますけれども、われわれの心配は、やはり各省庁にまたがる、俗なことばで言う縄張り争いというような問題が、この公害の基本的な施策及び公害基本法の立案に対して絶対に入らないようにということが委員の共通した考え方だろうと思いますので、この点さらに留意願いたい。  きょうは、衆議院の本会議においでになりますので、われわれの考えております基本法の考え方、あるいは民社党の提案しております公害基本法の考え方、これに対する大臣のお考え等を質問する予定でございましたけれども、私はきょうはこの程度で打ち切っておきまして、いずれ、大臣の御出席のありましたときに続いて質問をいたします。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 関連して大臣にお伺いしますが、いまの公害行政のあり方から申しますと、どうしても内閣に公害審議会が設けられて各般のものを調査すべかりしものを、厚生省が審議会を設けてやられておるということはわかりましたけれども、これは公害対策推進連絡会議等の議を経て、それでは厚生省でやったらいかがか、ということでできたものでございますか、どうですか、それをちょっとお尋ねいたします。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) これは、内閣に連絡会議がございまして、その連絡会議でいろいろ公害問題を扱っておりまする段階におきまして、環境の基準等を国民の健康を守るような観点からまず明確にする、そういうところから、各省がそれぞれこれに対して所要の規制処置等を講じていただく——たとえば、大気汚染の問題にいたしましても、ばい煙規制法というものが従来あったわけでございまして、個々の煙突から吐き出しますところのものにつきましては、ばい煙規制法で規制をされておりますけれども、それが集まりまして大気の汚染度が非常にひどいものになってくる、これが地域住民の健康に非常な悪影響を及ぼす、というような面につきましては、やはり環境衛生や国民の健康を守る行政をとっておりまする厚生省から、これを十分明らかにいたしまして、警告を発し、また各省がそれぞれ必要なる規制措置をとっていただく、こういうような必要がそこに出てまいったわけでございます。そういうような観点から、連絡会議等におはかりをいたしまして、そうしてこれを法律によって——法律をつくります場合には、御承知のように、関係各省と協議を遂げるわけでありますが、そういう合意の上で、厚生大臣の諮問機関としてこの公害審議会がつくられた、こういう経緯になっておるのであります。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 それでは、この審議会で答申された事項については公害対策推進連絡会議というものが忠実にこれを取り上げて善処するというふうに解釈していいんでございますね。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) この連絡会議が中心になって、そうしてこの答申をどういうぐあいに生かしていくか、また各省の連絡調整を、この連絡会議ではかっていただく、ここを中心に関係各省間の緊密な連絡調整をはかりまして、施策を総合的に進めてまいりたい、かように考えております。

植木光教自由民主党

○植木光教君 先ほど産業界、経済界の反対について松澤委員から御質問がありましたけれども、正式に経団連かどこか、団体から時期尚早であるという申し入れが政府になされたというように聞いたのですが、そういう事実があったのかどうかということと、それから先ほど、いまはそういう心配はなくなったというようなお話でありましたが、もし前に正式にそういうことを言ってきたものであるとするならば、正式にまた、公害防止基本法をつくってもらってもいいというような積極的な意思表明がなされなかったのかどうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) いま植木さんからお話がありましたように、経団連から、昨年の十一月でございましたか、公害政策に関する意見書が出ております。その意見書をよく読んでみますと、公害についての十分な科学的解明が行なわれておらない段階で、公害問題に対する基本的な考え方が確立をされておらないのであるから、基本法をいま直ちにつくることはと、こういう前提の上に立っておるわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、産業界、経済界の代表も——代表といいましては語弊がございますが、産業界、経済界の有力な方も審議会のメンバーに加わっていただきまして、そうしてこの科学的な解明、また基本的な公害に対する考え方、こういうものを鋭意審議検討を重ねておるわけであります。そういう前提の上に立ちまして誤りのない公害対策を確立をしようと、こういうことでございまして、このことは、産業界と一番接触の深い産業行政を指導監督されておる通産省におきましても、もう今日の段階では、早くそういう科学的な解明なり、あるいは基本的な対策というものを確立をして、そうして公害に対する対策を強力に推進すべきだ、こういう方向を三木通産大臣もはっきり打ち出しておるのでございますから、私は、経団連等におきましても十分協力がいただけるものと、かように考えております。

瓜生清民主社会党

○瓜生清君 ちょっと一点だけお伺いしますけれども、いま厚生省の諮問機関である公害審議会でいろいろ案を練っている。それから通産省のほうは、産業公害部会ですか、そこでいろいろなことを検討しているということなんですが、そこで政府のねらいは、公害基本法というようなものが出てくる場合に、厚生省なり通産省なり、いろいろ各省に分かれておりますね。そういったものが集約された形で、一つの法律として制定されようとしているのか、それとも、通産省は通産省の立場から見た法律というものをつくる、厚生省は厚生省という、そういう限界の中で、公害審議会の答申に基づいて法律をつくる、そういうふうな形になるのか、一本にまとまって出るのか、そのねらいはどこにあるのです。どういう形になりますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、御心配もあるようでございますけれども、決して矛盾をしたり撞着をしたり、そういうことはないと実は考えておるのであります。通産省の例をお引きになりましたが、通産省に産業構造審議会があって、そこに産業公害の部会があります。ここで御検討なさっておる問題は、先ほども通産省のほうから御答弁がありましたが、産業公害の発生源に対してどうやって公害を防止するか、そういう技術的な研究、あるいはそういう施設の開発、そういうようなことに重点をおかれて検討をお進めになっておる、こういうことであります。厚生省の場合におきましては、国民の生活を公害から守る、こういう観点から、十分、大気の汚染度であるとか、水質の汚濁の状況であるとか、あるいは騒音その他による生活環境が非常に国民の健康を害する、こういうような科学的調査をやり、これに赤信号を発しまして、そうして、それに対する適切な規制を効果的に行なってもらうというようなことを、各関係省庁等に、そういう面でこれを受け取っていただく、こういう考え方でございますから、厚生大臣が直ちに各省の産業行政なり交通行政なりに関与するということではございません。国民の健康上、もうこうした段階にあります、大気の汚染は調査の結果はこうだと、こういうことを明らかにいたしまして、そうして、それに対する各省のそれぞれの、公害の発生源に対する防止施設その他をやっていただく、こういうたてまえになるわけでございますから、私は決して厚生省の、国民の健康を守るという全体的な立場から出しますところの公害に対する基本的な考え方、施策というものは、各省庁の施策と撞着したり、矛盾したり、対立したりというようなことは、ないものと確信をいたしておるのであります。また基本法は、基本的にはそういう方向でつくっていくのが正しいのではないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 都合によりまして、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 次に、産業公害対策に関する件の調査を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。  なお、政府側から、厚生省、通商産業省のほか、総理府及び運輸省航空局当局も出席しております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 公害防止に関する三つの法律は、水質関係と工場排水関係は三十三年から、それからばい煙規制法は三十七年からでございますが、その間、厚生省、通産省その他関係官庁におきましては、かなりの期間にわたりまして、わが国の公害の一般的傾向について、調査なりいろいろな研究なりを遂げておられますが、わが国の公害は一つの特徴を持っておるようでございますが、どういう判断をされておるかを、まずお聞きいたしまして、私の質問を続けたいと思います。どうぞ、厚生省からと、それから通産省、両方から。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) まず、今日のわが国の大気汚染の現状をながめてみますと、大別いたしまして四つぐらいに分かれておるかと思います。一つは既成の大工業地域、次いで地方の工業都市、第三には新しい工業の開発地域、第四にはごく小さい局地的な公害の問題、こういう四つに分かれておるわけであります。この四つの地域におきまして、それぞれ態様が変わっておるわけでありますが、大気汚染を概括的にながめてみますと、まず、いわゆるばい煙規制法として法対象の中で大きな要目になっておりました降下ばいじん、大きなばいじんでございます。大きなばいじんは、あまり変わりがないか、やや少なくなる傾向にございます。従来は、ばい煙の多い都市におきましては、一カ月に一平方キロメートル当たり二十トンないし三十トン程度の降下ばいじんがあったわけでございますが、最近では十五トン前後、従来の半分くらいに下がってまいっております。しかし、いいものはこれだけでございまして、そのほかの浮遊粉じん、——下に落ちてまいらない非常にこまかいちり、こういうものは一立方メートルあたり〇・四ミリグラム程度で、従来よりはむしろ五割程度ふえております。  それから一番人体に害がございます亜硫酸ガスの現状は、一日百平方センチメートル当たり大工業地帯では一ミリグラム、これは酸化鉛の方法によって調べた数値でございますが、ことに川崎では三・六ミリグラムという非常に高い数値を示しております。そのほかの容量法、電気伝導法というような方法ではかりますと、京浜、阪神地区では、冬になりますと一カ月の平均は〇・一PPMを上回るところが多くなりまして、中には一日平均〇・二PPMをこえる、すなわち〇・二PPMをこえるということは、かなりよくない状況でございます。最高濃度のときには〇・五PPMになる。現在、法律に基づきまして警告を発するというのは、〇・二PPM以上が三時間以上という基準をつくっておりますが、その〇・二をこえることがときどきあるという状況でございまして、昭和三十七年当時に比べますと、今日は二倍程度濃厚になっております。ただし、この汚れぐあいは、ロンドンに比べますと、まだ七割ないし八割、ニューヨークに比べますと、まだ約半分程度と思われます。四日市は、従来局地的には非常に汚染の濃いところがございました。すなわち磯津という地域でございますが、それが、発生源で装置をつくりまして改善いたしまして、最近では、そういう汚染のひどいときの三分の一程度に減少いたしまして、今日では特段にひどいという数値ではないようになったわけであります。  このほか、大都市では、自動車の排気ガスの問題が、このごろ非常に大きな問題になりまして、先般東京で、はかりました、大原交差点におきます一酸化炭素の汚染量は、交差点の中央部におきましては相当濃度の高い、五〇PPMをこえるという状況でございまして、交差点の四つかどあたりでも一〇ないし二〇というような数値でございます。また、交差点より五十メートルほど離れた地域でも数PPMの一酸化炭素があり、その交差点の周辺における住民も被害を受けておる、こういう実態があったわけであります。この自動車の排気ガスによる汚染の程度は、一酸化炭素におきましては、むしろニューヨークあるいはロサンゼルスよりはやや多いくらいな傾向でございまして、私は、実は測定する前におきましては、これほどひどいと予想していなかったのであります。日本の自動車の台数はアメリカ等に比べてそれほど多くないので、このような高い数値が出るとは想像してなかったわけでありますが、測定してみて相当濃厚であることに驚いたわけであります。その理由は、自動車が停滞しておる、すなわち、早い速力で走っているときよりは、むしろストップ、ゴーストップのストップがかけられて待っておるときが一番一酸化炭素の発生量が多いということでありまして、日本は交通事情が悪いために、すなわち立体交差等が行なわれていないためにこういう現象が起こっておるわけでございまして、自動車の改善もさることながら、同時に、立体交差等が進めばかえって減ってくる、自動車の台数がふえても一酸化炭素の量は減ってくるものと思っております。  それから次に、まだ明確ではございませんけれども、その中には、ガンの原因になるものがあるかもしれないと言われて問題視されております炭化水素の量におきましては、日本はおおむねアメリカの大都市並みでございます。ただ、ロサンゼルスにおきましては、この炭化水素が原因で大気の中に有害物質を生じまして、オゾンと共同に作用いたしまして、非常に刺樹的な、粘膜を刺激する状況が起こっております。したがいまして、炭化水素に対する自動車の装置の規制というのは、外国では非常にきびしいわけであります。この点は、わが国は、まだその範囲はそこまで——まあそれにようやく近いけれども、大気の中にそういう有害オゾンを生ずるという状態ではないようであります。  次に河川の、水の汚濁でございますが、従来、工場排水が相当重要視されておりまして、したがいまして、隅田川あるいは最近におきましては多摩川、その他の多くの河川を水質汚濁防止法に基づきまして地域指定をいたしました。水域指定をいたしまして、工場から排出する排水の汚濁程度を規制をいたしてまいっております。まあ、その効果もあらわれまして、隅田川も漸次きれいになりました。多摩川は最近規制したばかりでございますので、将来はこの効果があらわれる時期がまいりますれば、漸次水質もよくなるかと思うのでございますが、片や、規制対象にむしろなっておらない家庭用水、下水、あるいはABS、問題のABSというようなものが汚濁の大きな原因になってきているわけでありまして、これに対しましては、最近、河川の流域に下水道を普及するとか、あるいは中性洗剤のABSのハードのものでない、分解しやすいものにかえるというような措置をとることによって、今後河川の汚濁が減るものと、かように思っておるわけでございます。これに対しましては、昨秋、経済企画庁長官から厚生建設両省に対しまして、下水道促進に特段の努力を願いたいという要請をいたしておりまして、本年度あたりから非常な大馬力で下水道の普及をはかっておるわけであります。  騒音、振動でございますが、実は、住民のクレームの最も多いのは、この騒音でございます。実際に住民が一番困るというふうに感じておるのは騒音でございまして、いわゆる苦情を寄せられたものの経計をとってみますと、五〇%以上が騒音であります。で、最近、特にジェット機の騒音、新幹線の騒音、これは実は予測してなかったことでございましたが、新幹線の沿線の学校で授業ができないということもあったわけでありますが、建設に際する騒音、あるいは特殊の工場の騒音というような問題が起こってきております。正直に申しますと、この騒音というのは一番やっかいな問題でございまして、従来は、騒音に対しましては、アメリカ軍並びに自衛隊等におきましては、学校等に防音の施設をつくるような措置を講じてまいったわけでありますが、民間航空あるいは民間の事業、新幹線等に基づく騒音に対する対策が非常におくれておりますので、目下のところ、この方面を努力する必要があるということでございまして、今般、公害防止事業団におきまして、神戸、岸和田付近の特別騒音を発する工場を一カ所に集めまして、工場アパートをつくるというようなことに融資をしようということで、そういう造成事業をしようということを、いま進めているところでございます。また、悪臭という問題もございまして、最近、従来はあまり住宅がなかったようなところへ住宅ができるために、豚を飼っている、あるいは鶏を飼っている、そういうところで悪臭が出る、あるいはけだものの廃物を処理する場所のところへ住宅がだんだん近づいてくるということで、そういうところの人は、くさくてしようがないということで、こういう悪臭の処理ということもだんだん問題になってきている現状でございまして、こういうものに対しましては、公害審議会で、未規制公害特別対策の小委員会を設けまして検討を行なっている現状でございます。  なお、長くなりますので、省略いたしますが、工場からの水銀による汚濁問題、あるいは農薬の水銀問題というようなものが、公害の一部として最近大きな問題になってきている点がございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 大体発生源その他の状況については、一応承っておきまして、次に進みたいと思いますが、いま御説明になった中で、最も法によって規制しておられます、ばい煙規制法によってやっているような、当初ねらったばいじんの降下量などは、やや減少か、あるいは現状維持の状態になっている、亜硫酸ガスはふえている、自動車の排気ガスは非常にふえて、人間の生活にも影響する、というような状態になっておりますが、いま厚生大臣から、いずれは近く公害基本法を制定する考えであると言われましたが、現在のこの公害三法の中には、いま御説明になった大部分の公害というものはこの範囲に入ってない。特に自動車排気ガス等の問題は、運路運送法上の問題になって、将来の公害基本法の中に入るか入らないかわからないというような問題があるかと思いますが、ぜひこの公害の範囲を拡大し、これらを全部網羅する法律が早くでき上がることを希望してやまない次第でございます。  次にお伺いしたいことは、産業公害の関係でございますが、公害の対応措置については何とかやる段取りができつつあるわけでありますが、公害の発生予防措置については、厚生大臣もちょっと触れましたが、まだ関連法との関係が確立されていないようでございます。四日市の石油コンビナートができたときには、石油の精製業者を許可する場合に、ほとんど企業局のほうには合議がなかったように聞いておりますが、最近におきましては、少なくとも通産省内部においては関連がとれておると承っておりますが、都市計画法あるいは新産都市建設促進法あるいは建築基準法の地域指定の問題等、非常に重要な都市建設に関する法令と公害との関係は、ほとんどないように見えますが、これらについてすみやかに何らかの手を講じなければ、常に公害が発生してからそのあとを追うようなかっこうになると思いますが、産業公害を担当されておる通産省の御意見を承りたい。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) いま柳田先生御指摘になりましたように、地域的な開発法もしくは全国的な土地利用の基礎法であります都市計画法あるいは建築基準法といいましたものにおきまして、具体的なと申しますか、個々の工場等について処置をするという事柄は、本来この法律の性格からいって下向きでございまして、むしろ、土地の利用区分というような考え方で、工業地帯、準工業地帯、住宅地帯あるいは遮断緑地という大きなワクをかませますことが基礎的な考え方でございます。私どもが先ほど松澤先生の御質問にお答えして少しく申しましたのは、それはそれなりに産業の立地についての大ワクを示す基礎的な法律として、私どもも今後建設省に御協力申し上げて、なるべく各地について土地の利用計画というものが、さい然とした姿になることを期待したいのでございますけれども、個々の工場をどういう場合に認め、どういうものにつきまして調整をはかるかということにつきましては、現在私どものほうには、残念ながら法律的なものを持っておらぬわけでございます。これは、運用といたしましては、立地調査法に基づきまして、私ども事前に、工場立地につきましての資料を法律的に収集することができるようになっておりますので、その上に立ちまして事実上の行政指導をやっておる。それから石油業法なり電気事業法におきましては、業法という立場から施設の許認可の権限を持っておりますので、その際に具体的な工場に即応しまして、公害的な見地を加えた指導がやり得ると、こういうことでございます。ただ、かようなことでは、いまの亜硫酸ガス問題その他を考えました場合に不徹底であるというきらいは確かにあるのではないかという角度で、先ほど厚生大臣がおっしゃいましたように、大臣の御指示もありましたし、私どもも前から考えておったことでありますので、特定の地域について特定の業種についての立地規制もしくは調整、さらには誘導というととが可能になるような立法の準備を、産業サイドを調整するものとして検討すべき段階に来ておるというふうに私は考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 いまの関係法令の中には、公害に関する特別の考慮を払うことになっておらないのでございますが、最近できました工業整備特別地域整備促進法という法律の中には、その四条の二項に、公害の防止について特別の考慮を払わなければならないという規定がございまして、地域指定なり、その他の諸施設をする場合に、必ず公害というものを念頭に置いてきめるようになっておるわけであります。ところが、他の施設、地域を定める法令は、公害が問題化しない前にできた法律でありますから、これらについてはすみやかに改正法案を考えて、やはり考慮を払うようにしたほうが全般的にいいと思いますので、意見として申し上げておきます。  それから次に、厚生大臣は、非常に自信を持って公害基本法の問題を述べてお帰りになりましたから、いまさら申し上げてもなんですが、きょう総務長官がおいでになれば、私はやはりこの公害防止の行政機構というものは、いずれ一元化をしなければうまくいかないのじゃないかという意見を持っております。諸外国の例を見ましても、アメリカでも、イギリスでも——アメリカは御承知のとおりに、公衆衛生局という厚生関係が主体的に持っておって、他の関係各省がこれに協力するという体制でありますし、イギリスでは御承知のとおり住宅・地方行政省が公害関係を持っておって、他がこれに協力するという体制をとっております。わが国だけが、この重要な問題を連絡会議のようなテンポラリーに類するような行政組織で、これを受けつける。地方に行けば、どこが扱っているかわからない、しかも職員は兼務が多い。これは二十世紀の後半における都市建設のねらいは、人間尊重ということが大きなねらいになっておるのであります。ばい煙規制法の第一条に「生活環境の保全と産業の健全な発展との調和を図り、」という目的がございますが、これはかつては、産業の健全な発展に重点がありました。最近においては先進国は、どこでも、緑と太陽の町づくりとか、あるいは住みよい、住みたくなるような町づくりと、生活環境に重点を置いて考えております。しかし、くどくは申しませんけれども、たとえば厚生省の主張する生活許容限度の亜硫酸ガスの量と、産業立地のほうから考える許容量とは、かなりの食い違いがありまして、どうしても、そこにかなりの意見の衝突が出るのは、これは当然でありまして、厚生大臣は非常に自信を持ってお述べになりましたけれども、私は、あとで数字をあげてお聞きしたいと思いますが、おそらく厚生省の言われる排気ガスの許容量と、通産省あるいは財界、あるいは産業界が考えておる排出基準量とは、かなりの懸隔がある。したがって、こういうような調査研究を、厚生省所管の公害審議会のようなものだけでこれをやったんでは、法制化する場合に、非常にこれが問題化する心配があるということを、繰り返し私は申し上げておきます。したがいまして、すみやかに、これをもっと単位を広げたものになさることを希望してやみませんし、また、きょうは荒川参事官もお見えになっておりますが、総務長官に、いつまでも何か頼母子講の寄り合いのようなかっこうで話し合いをせずに、やはり大切な行政の担当でありますから、行政機構を設けられるように考えられることを、ぜひお取り次ぎを願いたいと考えております。  次に、中央がまだ十分に公害対策機構が整っていない。たいへん失礼でありますが、そういうような状態でございますから、まして地方は、非常にばらばらになっておるようであります。私の過去において知るところによりますと、都道府県では、三十六年には九団体が公害防止条例に類する条例を持っておりました。それから百七十万人の地方団体の職員のうち三百人くらいが公害関係の職員でありました。ただいまはどういう程度にこれが伸びておりますか。たぶん厚生省、通産省の御努力によりまして、かなり地方行政機構も整っておると思いますので、ここで御報告願いたいと思います。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) 地方におきまする公害行政の体制の、最近におきまする私どもが把握しております内容を申し上げますと、公害に専念する部課、あるいは室というようなものを持っております都道府県が十でございます。それから市で言いますと七市、公害に関しまする条例をつくっておりますのが十五都道府県、それから公害防止条例という形のものが十二都道府県で、騒音防止条例というのが五県、ばい煙防止条例というのが東京都だけ。ダブっておるものがございますので、それらを整理いたしますと十五になる。こういうことでございます。  それから、そのほか市といたしまして、川崎市が公害防止条例を持っておりますし、二十余の市及び町が騒音防止条例をつくっております。職員の数は、先生は数年前は三百人とおっしゃいましたが、ちょっと私ども、いま数は把握いたしておりません。  それから、公害に関しまする調査研究の中心をなしておりますものは、多くは各都道府県の衛生部の地方衛生研究所がやっております。そのほか工業試験所あるいは水産試験所、農林省の試験所というようなところが活動いたしております。それから地方自治体におきましては、地元の大学試験研究機関が専門団体の協力を得て、このごろだいぶ努力をしてまいっております。  それから監視の制度は、現在非常におくれておる制度でございまして、国にも、あまりはっきりした監視員立ち入り検査というような形はございませんけれども、地方におきましても、あまり公害に対します監視、消防のような監視の制度というものは、どうも不十分なように思っております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 この「大気汚染」という雑誌を見ますと、最近は地方団体の専任職員が七百余人と記録されてございますので、まあ三、四年間に約倍数にはなったと思いますが、非常に人数が少ないということと、予算そのものが、この直接費は非常に軽少でございます。したがって、ばい煙排出の届け出の受付審査、それに対する計画の指導あるいは改善命令、常時監視、緊急時の措置という地方団体に課せられました義務が、履行されるのに非常に困難な情勢であろうと思いますので、これについては、特段の指導が必要であろうと思います。  それから、この官公民をもって組織する公害対策審議会とか、公害の連絡協議会とか、そういうようなものと、この指定区域の問題とをお聞きしたいと思いますが、大体指定された地域にはそういったものができておると思いますが、皆さん方のところで情報をつかまれておるものでは、どの程度そういった末端組織ができておるというふうに見ておられますか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) 現在のところ、約十五の地方自治体が公害審議会とか、あるいは公害協議会というようなものをつくって、地元の学識経験者、あるいは民間団体の方々の協力を得て公害対策を進めております。その中で非常に顕著なのは宇部でございまして、宇部は非常に長いこと、ばい煙対策特別委員会をつくりまして、りっぱな成果をあげてきております。これによりまして、昨年総理大臣賞を受けております。  そのほか、千葉に京葉地帯整備協議会というのがございまして、これは地方公共団体と民間の協力の形がとられて、それによってあの地域の公害対策というものが進められております。  そのほか、民間の協力といたしましては、大学試験研究機関、医師会あるいは社会福祉協会、そういう住民組織、あるいは法律の専門家、弁護士、人権擁護委員会というようなもの、あるいは産業界の団体、そういうような団体が従来地方公共団体の行ないます各種の打ち合わせ会、協議会等に協力をして、いままでやってきておる現状でございます。また学界におきましては、厚生省の関係としましては大気汚染の特別の学者の協議会がございまして、全国のこの方面の学者を打って一丸とした協力団体ができております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 地方団体におきましては、公害が発生した場合に、どこが受付の窓口になるかわからないというようなところが、まだ過半数でございます。したがいまして、すみやかに一つの係あるいは課、あるいは部局の設置を要請し、指導するとともに、ただいまお話にありました官民合同の連絡協議会というようなものをつくるように御指導なさる気持ちはございませんか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、国としましても公害対策の基本を特別な学識経験者の方々にお願いをして、その御協力を得て、御意見を拝聴して、進めておる段階でございまして、地方におきましても公害対策に対して非常に積極的な都道府県におきましては、そのような形をとっておるわけでありますが、今後ともそのような体系を中心として、地方においても進めていくように私どもはいたしたいと思いますが、一番問題は、先生のお尋ねの、窓口がないという点でございます。しばしば公害で住民が迷惑をする場合に、どこへ持っていったらいいか、多くの場合は保健所へまず持ち込んでいくわけでございますが、必ずしも保健所ですべてを解決するものではございませんで、遂に警察署あるいは区役所——区役所にいたしましても、区役所の窓口が非常に困るという実態があるわけでございます。行政運営の地方庁の、たとえば公害課とか部とかいうことではなくて、むしろ末端の窓口がない。こういう問題も一般住民にとっては一番大きな問題でございますので、、これらの点はどうしても早く整備をいたしまして、窓口を明確化し、責任の所在をはっきりさせたい、かように思って、進めてまいるつもりでございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 次は、ばい煙の排出基準のきめ方についてお伺いしたいと思いますが、現在はばい煙の排出基準を四日市その他一カ所、程度は異なっておりますが、他は大部分同じ率になっておるようであります。これは気象なり、あるいは季節風なり、地形なり、工場の数なり、原材料の材質なり、あるいは住居地域と工場地域の距離なり、非常にそれぞれ特殊性があるので、この排出基準を一律にきめておるということは非常に実態と合わない事態が出ておると思われますが、どういうぐあいに解釈しておられますか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) 元来、ばい煙規制法に基づきます排出基準は、その指定地域の特性に応じてきめられるべきものでございまして、その点は先生の御意見のとおりであります。ところが、実態は必ずしもそうではございませんで、ほとんど全国一律であるということも御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましてはできるだけ地域の実態に応じて、特にばい煙規制の必要なところはきびしく、まだそれほどの段階になっていないところは、それに応じた規制基準にすべきものと思っております。ただ、現在そのような区別がつけてありますのが、無水硫酸及び亜硫酸ガスにつきまして四日市を特にきびしく——すなわち、東京その他の地域に比べて〇・〇四程度きびしくいたしております。それからカーバイド類につきまして、四日市と大牟田とやはり規制の基準を違えておるという、ごくわずかな違いが現在あるだけでございまして、これは御指摘のように今後十分地域の事情を考慮して考えてまいりたいと、こう思います。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 それではお伺いいたしますが、一日八時間か六時間の労働を中心とするいわゆる労働衛生基準の場合と、日常生活を基準にする場合の、ばい煙の排出基準というものは、著しく違うべきものだと考えておりますが、厚生省のほうでは、亜硫酸ガスの例をとってみますと、スモッグの警報、注意報が出されるときの基準は承知いたしておりますが、生活環境の許容基準濃度は大体、亜硫酸ガスはどのくらいの。パーツ・パー・ミリオンを考えておられますか。

橋本道夫厚生省環境衛生局公害課長

○説明員(橋本道夫君) いま先生がおっしゃいましたように、排出基準をきめますときに、どの程度の環境になるかということを中心にしてきめるべきであるというぐあいに、私どもは、ばい煙規制法を制定する当時においては考えました。ところが、非常にいろいろの変化する要素がございまして、それをやっていては、水質保全法のように四、五年たっても、おそらくまとまらないということでございまして、その当時の技術段階で可能な最高のものであって、しかも、経済的に強制し得るであろうということで判断したものを、排出基準としてきめたものでございまして、そういう意味におきまして、通産省の側の調査、経験が中心になったことは事実でございます。ただ環境基準をその当時置きざりにしたのかという問題でございますが、討論をいたしましたが、その当時は、どうしても技術的、法制的に無理があるという結果になりました。しかし、それをそのまま置いておくというわけにもいかないというので、ばい煙規制法第二十一条に緊急措置というものを法律でつくりまして、非常によごれてくる、しかも、それが持続する、しかもそれが健康に対して影響を及ぼすか、あるいは及ぼすおそれがある段階というものをきめまして、この第二十一条の措置を発動することにいたしましたが、これは厚生、通産両省の完全な共管の法律に基づきまして、両省が完全に合意した数字が、先ほど局長が申しました〇・二PPM三時間、〇・三PPM二時間、〇・五PPM一時間でございます。これを一つの歯どめとしてやりましたわけでございますが、環境基準がこれであるかどうかということは、私どもまだ最終的な断定はいたしておりません。現在、厚生省の公害審議会におきまして、環境基準の認定の方途ということを議論したしておりまして、その中で一体どの程度の環境条件をわれわれは基準とすべきであろうか、基準とする場合には、それがもしも権利の規制にかかるものとするならば、それは日本の場合にどういうように考えるべきであるかということで、幾つかの段階を設定いたしまして、そのどれを選ぶかということを健全な常識で判断をしていただく、そのために必要な学問的な資料や実態の資料は全部提供いたしまして、その結果定めるということにいたしております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 個々の場合に、いわゆる煙突その他、ばい煙排出施設から出るばい煙の排出基準をきめるわけですが、厚生省がいま言われるのは、その総計を言われるわけなんです。したがって、個々の煙突からは非常に少量であっても、逆転層があってスモッグをかけた場合には、それが集積されたときに非常に大きな量になる。そうすると、通産省としては、あとでお伺いしたいと思いますが、燃料その他の関係もあって、かなり排出基準量を高いところに持っていくほうが生産者のために非常に有利である。厚生省はなるだけ下げなければならないというので、ここに一つの非常な意見の相違が出てこざるを得ない。医学的にはどうか知りませんが、一九五二年にロンドンで四千人ばかりの人が死なれたときには、十二月の七日、八日の二日にかけて最高一・三九九PPMという亜硫酸ガスがロンドンの市中にあった、継続して……。四千人ばかりの人が死んだというのですから、その人体に及ぼす反応というものは、生体実験によってある程度出ておるわけです。そうすると、ここで、御研究になっておると思いますが、今後厚生省と通産省との間で、労働生産あるいは産業生産の面と、日常生活の面で許容されるところの基準について、公害基本法ができるときに十分なる研究をしていただきたいと思います。  次に、排出基準は、民間事業の免責限度ではないことは明らかでありますが、われわれは一度現地を調査いたしますと、これはばい煙規制法の排出基準の範囲内でやっておりますということで、非常に民事情の免責事項を覆行しておるかのごときことをおっしゃるところがかなり多いわけであります。これは、よくPRをいたしませんと、やはり排出基準の以内でありましても損害を及ぼした場合の免責事項にはならないのでございますから、よく御指導を願いたいと思います。  次に、燃料の問題に触れてみたいと思います。これは、きょうは石油業務課長さんもお見えになっておるようでありますから、お伺いいたしますが、わが国の現在の燃料は主として石油に依存し、しかもその八〇%以上は中近東から輸入される。これは世界的に最も硫黄分の高い石油であるわけで、いわばわが国の公害の中での一つの特徴をなすものでございます。そこで、電力の場合におきましても、発電コストによりまして電力料が各電力会社ごとに違っておることは御承知のとおりであります。しからば、スモッグが発生したり、あるいは公害の著しい大工業地帯においては、季節、期間を定めて、ローサルファの石油以外は売ってはならないというような、ロサンゼルスでやっておるような強い規制措置がともに行なわれなければ、中小企業の末端までが煙突を高くしたり、脱硫装置をしたりしても、この亜硫酸ガスを取るということは困難でございます。したがって、新しい公害基本法を考える場合には、燃料自体を所と時期によって規制するような着意までも考えなければならぬと思いますが、これは日本の宿命的なものと思いますが、どういうぐあいに考えておりますか。

小幡八郎通商産業省鉱山局石油業務課長

○説明員(小幡八郎君) ただいま柳田先生から御指摘のありましたように、わが国の輸入原油の八五%以上が中近東に依存しております状況で、そのサルファは中には一・五、六%という低いものもございますけれども、概して二・五ないし三%という高いサルファの原油が多いわけでございます。したがいまして、わが国で生産されます重油のサルファも平均いたしますと——これは別に統計の数字ではございませんが、二・九%はあるのではないかということが言われておるわけでございます。現在ローサルファの重油といたしまして、米国あるいは南方地域から、年間で約三百万キロリットル程度の重油を輸入しておりまして、これを特定用途の、ローサルファを必要とする鉄鋼その他の用途に供給したり、あるいはハイサルファのブレンド用といたしまして重油のサルファ・コンテントを低くするために、それをまぜて供給していると、こういう状況にございます。ところが、このローサルファの輸入重油にいたしましても、これはやはり数量が幾らでもあるというものでございませんで、ある限度がございます。したがいまして、まあ、ある地域についてローサルファの重油を供給するということを、今後考えていきます場合には、やはり重油の脱硫ということを検討していかなければならないかと思われます。現在、石油業におきましては、軽質油の脱硫につきましては、これは水添方法により行なっておりますが、技術的に従来重油の水添脱硫ということがかなり困難視されておりました関係上、まだ重油の脱硫ということは、わが国におきましても、もちろん世界におきましても、まだ、これを企業規模で実施しておりますところはない状況にございます。ただ最近、米国で開発された重油の水添脱硫方法というものは、これは技術的に有望な方法と考えられるわけでございます。しかしながら、まだ、これも実験例で、あるいは小規模のテストプラントによる稼働試験ということでございまして、企業規模における実施例がなく、またコストの問題もございますし、それから大量に副生いたします硫黄をどうするかというような問題がありまして、なお検討を要するものでございます。しかし、これらの問題を早急に詰めることによりまして、重油の脱硫を必要とする限りにおきまして、石油精製工場が、こういった方法を採用し得るように、前向きに検討を行ない、かつ指導していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 石油の問題につきましては、かつて日本が低品位炭を粉炭としてこれを燃焼させ。しかも、それをばいじんをコットレール電気集じん機で集める方法を非常に開発したために、低品位炭が使われて、降じん量も減ったわけでございますから、いま石油業務課長のおっしゃった脱硫装置も、努力によってはできると思いますし、一民間企業でさえ五十億程度のテストプラントをつくって、これをやろうという時代でございますので、政府においても、思い切った試験研究をするべき時期がきているのではないか。これは日本の産業の死命を制する問題でございますので、ぜひ、もう少し試験研究に費用をかけていただきたいと思います。  次に、排出基準を定める場合に、ばい煙発生施設について届け出を受け、そうしてその届け出が不適当であれば、計画を変更することができるように、ばい煙規制法の八条できまっておるわけであります。したがいまして、煙突の高さであるとか、煙突の一番先端におきます煙のスピードであるとかいうようなことについては、受け付け個所においてこれを指導することができるし、計画変更を命ずることができる。これに従わない場合には罰金刑をもかけるようになっておるわけでございますが、いまだかつて、罰金刑をかけたという話を聞いたことはございませんが、また、そういうことを奨励するわけでもありませんけれども、どうしてもローサルファじゃなくて、いまのように高い硫黄分の石油を使わなければならない宿命を持っておるわが国の大企業、中小企業を対象として、考える場合に、脱硫装置がうまくいかなければ、煙突の高さと、そのスピードをどうしても増さなければならない。あるいは石油精製業が精製する石油の何%はローサルファのものをつくらなければならないというようなところまで、将来いかなければ、個々末端の小さいクリーニング屋、ふろ屋や、その他を取り締まるということは事実上困難であります。ばい煙排出基準を考えるときに、そういった方面に今度、鉱山局のほうで特段のひとつ考慮を払うようにお願いして、次に進みたいと思います。  次に、ばい煙発生装置の設置の届け出、これに対する計画の変更あるいは改善命令でございますが、新聞の報道するところによれば、都道府県がそれを受け付けて、いまだかつて、これの違反について処罰をしたことはないということでございますが、事実そうでございますか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) あるいは通産省のほうからお答えいただくかと思いますが、私どもとしてはまだ聞いたことはございません。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) 御承知のように、ばい煙のほうは都道府県が監督をいたしております。それから排水のほうは、一部を都道府県がやりまして、その他は各省がやっているのであります。私どものほうの通産局がやっております排水関係につきましては、木曾川について一件、石狩川について一件、隅田川の荒川甲地区について昨年の十月に十一工場、それから十二月に五工場といったように改善命令を出しております。  ただ、ばい煙のほうにつきましては、いま先生御指摘のとおり、都道府県で計画変更を命じたり、改善命令を出したといったことは、いままではないようでございます。ただ、届け出の前段階で相当の指導をいたしているものと、私どもはかように考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 このばい煙規制法ができて、二カ年間の経過措置を認めて、その二カ年間は従来のとおりにやってもよろしい、それが過ぎた場合は改良しなければならないようになっていることは、御承知のとおりであります。しかるに、あとでお伺いしようと思いましたが、たとえば大谷重工業のように、すでにその期間を経て、なお、ああいうような状態になっているところが、単にあそこだけではないわけであります。それであまりにもルーズな法の実施状況になっているということは、将来にわたって公害基本法を設ける場合におきましても非常に弊害があることでありますから、もしこれが実行できなければ、改正をする指導態勢をつくることに特段の考慮を払うべきであると思います。  次に、ばい煙濃度の測定と記録であります。これは大企業の場合は、ばい煙の濃度の測定と記録はほとんどやっていると考えております。これを記録せず、また虚偽の記録をした場合には三万円以下の罰金という、これまた罰金刑があるわけですが、中小企業のほとんどがこれをやっていない。しかも、それを放任している。で、たまたま昨年の十二月十三日から五日間、東京都で大田区の産業会館で公害防止展というのをやりまして、三十一社のいろいろな機械の展示をしたことがある。これは非常に東京都としてけっこうな企てであると私は敬意を表するものでございますが、この降下ばいじんを測定するデポジットゲージであるとか、リンゲルマンスモークチャートであるとか、硫黄の酸化物測定機であるとかいうものを見たこともない、買おうとさえ考えていないようなところが大部分でございます。しかも、政府の予算を見ますと、こういった測定に対する補助というものは一体幾ら見てありますか、非常に少額で個所数も少ないように思われますが、ちょっと説明をしていただきたい。

橋本道夫厚生省環境衛生局公害課長

○説明員(橋本道夫君) 非常に少額でおはずかしい数字でございますが、厚生省の場合には、地方衛生研究所の備品整備費補助金といたしまして二分の一の補助で約二千三百万円ということで出しております。現在、私どもの持っているワクに対して、それをはるかに上回る要求が出ておりますが、十分こたえ得ないという状況でございます。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 通産省のほうは……。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) 何かあったと思いますが……。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 それでは調べて下さい。  次に移りますが、この中小企業には、ほとんどそういう測定機と記録を持っていないのでございまして、こういう状態では、個々の煙突に対して排出基準を守らせましても、それがスモッグが発生したり、あるいは逆転層が生じてスモッグが下に下がってきたというような場合に、その小さい煙突が集積された場合に人体にもおそるべき被害を及ぼすのでございます。私、先に申し上げました、計画変更なり改善命令を出さないとともに、記録もとらしておらないという事態、しかも監視制度も不十分であるという事態では、いまのばい煙規制法も全くざる法になっておるのであります。このざる法になっておる事態の中において、いますでに、社会党、民社党の皆さんから公害基本法の原案が一つ出ておるわけでありますが、もう少し政府が誠意をもって真剣に人権尊重の立場からこれをやる考えでなければ、ただ法整備だけをすることでは、これはうまくいかないのじゃないかと憂慮をしております。  ただ、ここに、朗報として、新聞の報ずるところによりますと、この例の公害対策推進連絡会議で、公害防止事業団の融資が、大企業について七分と考えておったのを六分五厘、中小企業について六分五厘と考えておったのを六分にするということを、政令で出すのだと新聞に出ておりましたが、そういうことは事実でございますか。

舘林宣夫厚生省環境衛生局長

○政府委員(舘林宣夫君) 中小企業に対しましては、従来七分を六分五厘にする、それから大企業に対しましては、七分五厘を七分にする、この引き下げは、当初、貸し付け当初の三年間ということでございまして、前年度に比べて五厘引き下げたわけでございます。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) 先ほどお答えができませんでした、ばい煙関係の測定機具についての国の補助その他のことでございますが、企業そのものに補助をいたすたてまえには相なっておりませんので、いま私どもの制度として持っておりますのは、測定機具の整備補助金といたしまして、ばい煙規制法による指定地域になりました、その指定地域を所管する都道府県に対しまして、取り締まり用の測定機を搭載する自動車、測定機具一式、これの購入費の三分の一を補助いたしております。昭和三十八年度で五件分六百八十三万三千円、三十九年度で四件分五百四十六万七千円、四十年度で四件分五百六十四万七千円、かようになっております。  それから、いま厚生省からお答えのございました公害融資の金利でございますが、これは事業団だけではなくて、開銀、中小企業公庫とも、そういうことになっております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 このばい煙濃度の測定と記録とは、政府関係の計画立案にも非常に重要な参考資料になるものでございますので、できるだけ助成の方法を、都道府県にも慫慂されまして設定させるとともに、東京都のおやりになりましたような展示会をやられて、推奨するようにお願いをするとともに、各学校区単位ぐらいに公害測定とか、あるいは公害連絡協議会というようなものを——小さい協議会をたくさんつくらせることによって、これの励行をぜひやっていただきたいと考えております。  時間がないので次に移りますが、次は、緊急時における都道府県知事の措置でございます。これは、年々スモッグの日数が多くなって、危険度が加わってくることは、まことに憂慮にたえませんが、さて、この亜硫酸ガスが千分の二が三時間、あるいは千分の三が二時間に達したときには注意報を出す。その場合、警報は千分の五になったら出すと言われておりますが、そうした場合には大企業その他については、協力方を要請する。これの排出量の減少について協力方を要請することになっており、その要請に応じなければならないわけですが、事実上、監視機構のない現状におきまして、ただスモッグ警報だけをテレビやラジオで出して、そしてじっと見ておるのが現実に近い姿だと考えております。これは発電所のほうは、報ずるところによりますと、一・何%以下のローサルファの重油を用意して、いつでも切りかえるというように、好意をもってやっておられますが、大部分のところはスモッグの中において従来どおり操業をやっておるわけであります。これはローサルファの、第一、第二、第三段階の警報の場合のように自動車さえもストップさせて、パトカーとか救急車以外は通さぬというところまでやっておるのですが、ほんとうにスモッグ警報を出し、これをやらせるならば、不徹底なやり方をいまからいたしておりますと、もし亜硫酸ガスが致死量に近いものになった場合に警報を出されましても、これが徹底せず、被害を非常に起こすものでございます。これは現在不安定な状態において、まねごとのようなスモッグ警報は絶対に出されないほうがいいんでございます。やるならば徹底しておやりにならないと、これは将来大騒ぎになる原因になりますので、注意を促しておきます。のみならず、このローサルファの石油をある程度の個所までこれを備蓄させる。これは発電所は持っておりますが、その他のところにも持っていただく。同時に、鉱山局のほうではスモッグの発生する時期には、その地帯には高いサルファのものを販売させないような方法も考えられる。これは事実、そういうことをしておる国もありますから、ぜひお願いしたいと思います。緊急時における措置を誤りますと、これはロンドンやニューヨーク、ベルギーのブラッセル等にも事故を起こした尊い経験があるわけでございますから、ぜひひとつ、これは厚生省のほうで考えていただきたい。  それから次は、東京都のほうにお願いをしたいと思いましたが、東京都はきょうはおいでになりませんが、参考のためにお調べ願いたいと思いますのは、四十年度で東京都は、みずからが一億、それから銀行を通じて十億円の公害関係の四分利融資の計画をいたしておりますが、都直接融資の一億円は消化したけれども、あとの十億に対しては二億八千万円しか消化することができない。ほとんど七割以上の融資額は消化不良になって残った。したがって、いかに民間にこの公害に対する受け入れの力と熱意とがまだないかということの証左でございます。これは監視機構もなければ、あるいは、そういった末端区以下において協議体もできていない等、いろんな事情もあると思いますが、これは都のことでございますから回答は要りませんけれども、この理由をよくお調べになって、しかるべき機会に御報告願いたいと思います。  次に、今度は最後に大谷重工の問題を聞いておきたいと思いますが、これも東京都がおいでになっておりませんから、お調べ願いたいと思いますのは、この届け出の排出基準の範囲内であるのか、どうなのか。そうして範囲内でなければ、これに対して改善命令を出されたかどうか。なお一昨年から酸素注入に改めた——その燃焼方法を変えておりますが、その変更の届け出が出ておるのかどうか。電気炉が三つと平炉が四つございまして、煙突は四本ございます。御承知のとおり色のついた煙が出ておるわけでございまして、外国の航空会社からもこれに異議が出ておる状態で、スモッグの場合には少なくともこれが羽田近くに影響を与えておることは、いなめない事実でございます。東京都の最も大切な国際空港に、依然として、こういうものを残しておいて、これは政府の責任ではないということは、これは筋が通らないのでありまして、都を十分指導してやらせるべきでございましょうと思いますので、これも御報告願いたいと思います。

中川理一郎通商産業省企業局産業立地部長

○説明員(中川理一郎君) ただいま柳田先生から御指摘がございました羽田地区の大谷重工業でございますが、これは実は法律的には東京都の指導、監督ということになっておりまして、東京都からは直接の話はまだ聞いていないのでございますけれども、あすこのばい煙が羽田へ離着陸の行飛機にたいへんな障害になるということで、昨年でございましたが、思い余って、羽田の空港長が大谷重工業に警告文書を出し、その写しも私どもはちょうだいいたしました。それで、たいへん心配いたしまして、東京都を介しておりますと、また時間がかかるので、私のほうで直接——たまたまその産業の所管は重工業局の所管の業種でございますので、重工業局と通産局のほうからたびたび指導をいたしまして、いまのところ御指摘の電気炉につきましては、集じん装置をつけております。ただ一番多くばい煙を出します平炉につきましては、去年の秋以降、出たばい煙の資料を取りまして、これをうまく集じんするための機械設計に入りまして、ばい煙の測定と、それから機械の設計とを終えまして、ことしの十一月ころには、どうにかこれで防除設備ができるというところまで来ている状況でございます。それから非常に黄色い煙を出すのは、酸素を含みましたときの問題でございますので、これもなるべくスモッグ等の状況のときには入れさせないというようなことも指導いたしておるわけでございます。これは私といたしましては、問題になるまで役所が承知していなかったということは、はなはだどうも体制上おもしろくないことだと思っております。この辺に、都道府県を通じてやらせる監督というものではございましょうけれども、そういう問題の場所についての目の配り方というものは、やはり中央官庁といえども注意をして置かなければいかぬという、いい例だと思いますので、今後の参考として考えなければならぬものを多々持っているのではないかと考えております。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 最後にお伺いをいたしますが、油による海水汚濁防止国際条約は四十二カ国が参加して、日本も調印に参加したと言われておりますが、批准をされていない。これは衆議院でも相当もまれた問題でありますから、ここで私はその答弁を求めませんが、もし資料をお出しになって、これが当然批准すべきものであるということになれば、ぜひ当委員会でも、ここで一回御審議を願いたいと思います。委員長に申し上げておきます。

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) 承知いたしました。

柳田桃太郎自由民主党

○柳田桃太郎君 これは要するに、わが国の公害防止対策というものは、まだ、まことに緒についたばかりでございまして、一九二一年ころのイギリスの文献を読んでみると、まことに現在の日本の状態とよく似ておるのでございます。どうぞ早く実態を把握されて、実施段階に移されて、大きな災害にならない前に、かなりの予算をかけてこれを未然に防止する体制をつくっていただくように切に希望を申し上げ、私はきょうの質問を終わりたいと思います。

横山フク自由民主党

○委員長(横山フク君) それでは他に発言もなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時十九分散会

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