外務委員会 第17号
- 発言数
- 78 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/06/21
会議録
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 アジア開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行ないます。 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○森元治郎君 このアジア開発銀行に二億ドルの出資をするほか、日本の対外経済協力はたいへんな金額になっていく。遠からず国民所得の一%という十億ドル近い金が出ていく。これは非常に大きな問題でありまするから、みんなの意見を集中して、そうして、正しい、効果的な経済協力をすることが大事だと思うんです。そこで、この前の委員会で、審議会をつくったらどうかというような話をしたんです。そのとき三木さんから答弁がちょっとありましたが、外務大臣はこういうものの必要性、こういうものについてどんなふうにお考えになっておられるか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 内閣総理大臣を会長とする対外経済協力、審議会というものができております。これは関係閣僚それから財界のそれぞれの団体の長、それから卓識経験者、こういう者によって組織されておりますが、従来これは重要な審議会でございまするが、実際の運営があまり適当でなかったといううらみがありますが、あるにはございます。
○森元治郎君 あるにはあるが動いておらないという御答弁だが、大きな問題ですから、私はこのアジア開銀の問題を機会に、これを新たに後進国開発に関する対外経済協力及び後進国開発に関する審議会というように改組するなり新しくつくるなりすべきだと思うのです。必要性はお認めになるわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 対外経済協力ということになると、結局、重点は低開発国の開発というものがその対外経済協力の重点であることは説明するまでもないことでありますから、そういうことを特にうたう必要はない。実質上こういう審議会をもう少し役に立てる、活用する、こういうことにすればそれでいいのではないかと私は考えるのです。
○森元治郎君 従来総理府にできております審議会が活動していなかったというお話ですが、活動どころではなくて、これが政令で発足したのは三十六年の六月二十二日であります。それから、総会は一回も開かれておりません。部会をちょびちょび開いただけです。十七名の委員からできておりまして、そのうち六人が大臣、それから日銀、輸銀、経済協力基金の総裁——三銀行総裁と六閣僚、民間の委員としては、日本商工会議所会頭の足立さん、経団連会長の石坂泰三さん、小林技術協力事業団総裁、東畑アジア経済研究所長、梶井科学技術会議議員、それに外務省の奥村前大使と那須前インド大使、これが委員なんですね。学識経験者をもって充てると書いてあるが、みんな政府側の人々ばかりでできておるのです。一つも一般民間という概念にはまるような人が見当たらない。これがその実体なんです。しかも、四十年に七名の民間委員の任期が切れてしまって、後任の任命が行なわれていないんです。これでは動くはずはないんですね。一回も開かれない。民間委員は四十年からいなくなってあとも補充していない。政府の対外経済協力に対する熱意というものがいかに低いものか、無関心ですらあるというような感じがしてならないんです。活用するならばやはり改組を私はすべきだと思うんです。そうして、閣僚懇談会みたいな経済協力審議会ではなくて、ほんとうに広く見識を持った人々、政党人を入れることの可否は別として、社会党に関係する人々、学者、われわれと同じような考えの人も入るとか、大いに改組する必要があると思うんです。大臣はこの経済協力が動かない現状をお聞きになって、やはり本気になって改組をして、そして近い国会にあらためて改正の法律案を上程して発足させるようにされることが大臣の責任だと思うんですが、どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 対外経済協力の必要性は、これはもう問題ないところでありまして、ただそれに関連して審議会を活用しなかったということについては、一体どういう事情であったか、また、ますます重要性を帯びてくる対外経済協力というものに関して、かような審議会というものを大いに将来活用する点について一体どういう問題があるかといったようなことにつきまして、実はただいま関係各省とともに研究を進めておる状況であります。で、活用するについてはやはり現在の機構が適当でないのかあるのか。ただ、それは運営の方針だけで事足りるのか、そういったような問題も含みまして、ただいませっかく考究中でございます。こういうものは全く必要がないという結論になればともかく、そうじゃないとすれば、このままで運営をもう少し活発にやっていくか、それとも改組の必要があるか、いろいろな点につきましてせっかく考究中でございますので、その結論を待って適当に措置をしたいと、こう考えております。
○森元治郎君 もうこれは緊急を要する問題だと私は思うんですが、関係各省といいますから関係筋で御相談でしょうが、どの辺の時期を目途としてやっておられるか、これは大体日取りをきめておかぬと、いつでもいいでは困るので、七月中にとか八月中までに何とかせいというようなことはないんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは早く結論を出したいと思いますが、いまいつまでという日切りのお約束はできかねる状態でございます。この問題は、いま国際会議においても問題になっておるように、GNPの一%という資金の量のみならず、その資金の性質、内容等についても十分に研究しなければならないこと等、いろいろな問題が広範にわたっております。結論はそう簡単でございませんが、しかし、御指摘のとおり、緊急を要する問題でございますので、できるだけ早く結論を出したい、かように考えております。
○森元治郎君 その際、人選でありますが、先ほど申したような六人の閣僚、大きな銀行、政府関係銀行の三総裁とか、足立さん、石坂さんというような連中、家族うちみたいなもので、これでは、私はこういうメンバーだけでほんとうに経済協力の審議ができないので、われわれの推薦するような人、あるいは自民党なり政党の推薦する人々も加えたほうが、こう活気づくと思うのですが、そういう点についての大臣のいまのお考えはどんなものですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、構成メンバーをどうするかということにつきましては、まだそこまで考える段階に達しておりません。いずれにいたしましても、ただ看板だけではなしに、ほんとうに能力のある、実力のある、しかも公正な立場に立つ人、そういうような人を、もし改組する必要があるとすれば、考えなければならない、こう思っております。
○森元治郎君 そのような腹組みであるならば、われわれが推薦する者でもよい、あなたのいまおっしゃったような条件にかなうような人があればもちろん入ってもよい、採用してもよろしいわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どういうグループから推薦するというようなことになりますと、これはかなり問題が複雑になってきます。まあ結局、実力者である能力のある人、公正な立場に立ってものを考える人、まあ、そういったようなことで、それがどの門をくぐらなければならないとか、どの推薦によらなければならないというようなことは、あまりこだわらないほうがいいのではないか、こう思っております。
○森元治郎君 しつこいようだけれども、公平で眼界の広い人、りっぱな人であるならば、推薦のグループが政党であろうと何であろうと、それはいいわけですね、もちろん。どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どこの推薦とかなんとかいうことを全然抜きにして、そのものずばりのほうが非常にいい。いろいろな制約を受けると、かえって弊害が起きる場合がございますので、ただそういう人を集めたほうがいい、こう考えております。
○森元治郎君 工業クラブでめしを食うようなメンバー、そんなようなにおいを持った人を何人集めても、これは結論は同じ方向に出るので、心を広くしてひとつ天下に人を求める。われわれの推薦している人があったならばもちろん入れるのにやぶさかでない、そういうふうなお気持ちがあると、本案に対してわれわれの気持ちはたいへん違うのですね、大臣。ただいま審議中の案件に対しても、態度としても非常に気分がよくなるわけですね。そこらのところも大臣、政治的にいいものがあったらとるというぐらいのことは言えないことはないでしょう、考慮すると。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ですから、その推薦とかなんとかいうことではなしに、いい人は採用するということはすべての場合に当てはまる原則だと思いますが、とにかく、まだ改組するともなんともまだ結論が出ておりませんので、あまり先のことをいまから論じ合うということもいかがかと思いますので、原則論としては、実力のある能力のある、しかも公正な立場に立ってものを判断する人、そういう人が結局いいということになろうかと思います。
○森元治郎君 とにかく、改組するなりなんなり、いま関係方面でやっていることを促進して、そうしてりっぱなメンバーで、あまり政府の中ばかり何人集まっても同じことですから、そういう看板倒れの審議会ではなく、本当に有益な審議会をつくるということでは、大臣もつくるために努力しておるのだということを了承して、私のこの問題についての質問は終わりました。
○岡田宗司君 アジア開銀の問題について質問する前に、ちょっと二、三お伺いしたいのですが、実は、いま当面の問題として、歯舞、色丹の安全操業とその他漁業関係の問題が、イシコフソ連漁業相の来日により進められております。その問題、あるいはまた、日米貿易経済委員会の予備会議のようなものが進められておりますが、その問題、これはまあもう少したってからお伺いすることとして、すでに済んだことでありますけれども、ソウルで行なわれましたアジア太平洋地域閣僚会議ですか、この問題についてお伺いしたい。 椎名外務大臣その他外務省の幹部の方々が御出席になって帰られたわけでございますが、この会議に臨むにあたりまして、日本の態度は、この会議は反共的なものにしたくないということ、それから第二には、恒常的なものにしたくないということ、そうしてその主たる問題を、経済関係とか、文化関係とか、技術交流関係とか、人の交流の関係とか、そういうものに置くというふうに言われたと思うのですが、まず椎名外務大臣にお伺いしたいのは、日本がこの会議に臨む態度はそういうものであったということはいまでも間違いないわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、反共の気勢を上げるような空疎な会議にはしたくない。ほとんど、かえって新しい対立感を呼び起こすようなものであって、有害無益である、こういう考え方で臨んだわけでありますが、それはそのとおりになったと思います。それから、これを何かこう非常に固定的な会議にするということについては、そう強くはっきり申し上げたわけじゃありませんけれども、その必要性もそれはあまり認めておらないというぐらいの態度でたしか私は答弁をしておると自分で記憶しておりますが、この問題については、やはり事務局を設けて、そこに職員を置いて、恒久的な一つのかまえをするというようなことには、今度はならなかったわけであります。ただ、これをもう少し継続して、この会議を続けていこうじゃないかという提案がございました。多数がこれに同意いたしましたので、その程度ならばということで日本もこれに同調をした、こういうことになっております。
○岡田宗司君 じゃ、次にお伺いするのは、それじゃ今度の会議の結果は日本が期待したとおりであった、こういうふうにおっしゃるわけでしょうか。つまり、日本の椎名さんなんかの意見が勝利をした、こういうふうに解釈していいんでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは勝利ということの表現がどうですかわかりませんが、まあ、大体特定の勢力を意識してそれに対して気勢を上げるというようなそういう性質の会議でなしに、集まった同士が互いに連帯感を深め、そうしてアジアに起こっている対立というものをだんだん解消する、こういう建設的な性格の会議、そういう会議であったというふうに私は考えております。そういう意味において、やはりこの会議は、もし多数が欲するならば、やはり継続して開いてもいいのではないか、こう考えております。
○岡田宗司君 いまのお話ですが、この会議を開くことによってアジアの国々の間における対立を解消する方向に進めることができるようだ、こういうお話であります。これはどうも私たちは、韓国が提唱をしてそうしてできましたこの会議は、やはり共同コミュニケだけを見ましても共産主義国の侵略あるいは浸透ですか、それに対抗するものということもはっきりうたわれておりますしいたしまして、どうも共産主義国に対する一つの対立的なグループをつくるものである、あるいはまた、そのために集まった会議であるという印象がはっきり文字の上にもあらわされているように思うのです。これは私は、椎名外務大臣がいま言われた、アジアにおける対立解消ということと違うのじゃないか、あるいはそのいわゆる反共国家——この間の会議に集まった国家の中の対立解消という意味でおっしゃったのか、それとも、アジア全体の、共産圏の国もあるいは非同盟的立場をとる国々も、それからまた、反共的な立場をとる国々も、それら全部この対立解消の方向に行くと、こういうふうにおっしゃったのか、それはどちらなのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 現にアジアに存在する対立状態は、これはやはり認めざるを得ない。それをもし認めるなと、日本に認めるなと、こう言うわけにはいかないので、その程度の表現は見えて、出ておりますが、そういったような対立はできるだけこれを解消するという方向に向かうべきである、そういう基本の精神はにじみ出ているものと私は考えております。
○岡田宗司君 ぼくはどうも逆のものがにじみ出ているように思うのですね。 つまり、この会議は、やはり何と言っても、北鮮なりあるいは中国なり北ベトナムなり、そういうものに対抗するものというふうにしか考えられない。韓国なりあるいは南ベトナムなりあるいは国府なりというものは、そういうふうに動いておった。まあわずかに日本、マレーシアあるいはオーストラリア、ニュージーランド等の英連邦に加盟しておる諸国が日本と同じような立場をとっておったために、韓国だのあるいは国府だの、南ベトナムだのあるいはフィリピンの考えているようなものにならなかったというだけにすぎない。ここににじみ出ているものは、やはり共産主義の侵略と浸透に反対するということがこの共同コミュニケのまっ先にうたわれておるところから見ると、どうもいま外務大臣の御説明になったものと違うという印象を受けざるを得ない。私どもがそういう印象をこの会議から受けるといたしますと、今度は、この会議が今後どうなるかということについて、やはり心配をせざるを得なくなってくるわけでございます。先ほど外務大臣は、各国の間からこの会議を続けろと、こういう意見が多かったので、恒常的な組織を設けるというほどのことではないが、とにかく年々開かれることには日本も賛成したと、こういうことであります。この具体的なものとして、来年バンコクで第二回の会議が開かれるようであります。もちろん、この共同コミュニケに署名をした日本もこの第二回の会議に加わられるわけでございましょうが、先ほど言われた恒常的組織というものについて、どうも私ども、日本の言うように、はっきり恒常的組織でないと言い切れないものがあるのじゃないかというふうに思うのであります。それで、外務大臣は、恒常的組織はつくらなかったのだと、こう言われます。そしてまた、外務省のほうで発表されました共同コミュニケを見ましても、日本文のものには恒常的組織を思わしめるようなことばが巧みに省かれておるのであります。ところが、英文のテキストが、これがまあ正文であるようでありますけれども、この英文のテキストを見ますると、どうもその恒常的組織を思わせるようなものが出ておる。これは一体どういうことなのか、私どもどうも疑問に思わざるを得ない。で、この英文のテキストは、私、外務省のほうに要求して、まだいただいておりませんけれども、ジャパン・タイムズにそれが出ておるのであります。これは、この共同コミュニケの第八項ですね、第八項の終わりのほうに、ツー・パーミット・ファーザー・コンサルテーションズ・ペンディング・ザ・セカンド・ミニステリアル・ミーティング、イット・ウォズ・アグリード・ツー・セット・アップ・イン・バンコク・ア・スタンディング・コミッティ・コンポーズド・オブ・アクレディテッド・アンバサダーズ・フローム・パーティシペイティング・カントリーズと書いてありますね。このスタンディング・コミッティというのは、外務省のほうは何とお訳しになっておりましたか。
○政府委員(小川平四郎君) 外務省の定訳はまだできておりません。最後のコミュニケ作成がおくれましたので、できました分から逐次現地で訳して本省へ送っておりますので、まだ定訳と申すまでには至っておりません。もう一回見直す必要があると思いますが、さしあたり連絡委員会と訳しておられます。
○岡田宗司君 普通私どもは、スタンディングコミッティというと、常任委員会とか常設委員会とかいうふうに訳されていると思うのです。それが、外務省のほうでは連絡委員会とお訳しになっておられる。どうもたいへん意味が違うように思うのですが、外務大臣、そこはどうなんでしょうか。
○政府委員(小川平四郎君) これは先ほど大臣からもお話がありましたが、恒久的な事務局あるいは恒久的な委員会——パーマネント・セクレタリアト、パーマネント・コミッティ——というものをつくるのは時期尚早であるというのが全部の意見でございまして、そこで次回の閣僚会議に備えますために何らかの準備をするものが必要である、そういう点からバンコクに駐在しておる大使が集まってこの準備作業を手伝うためのコミッティをつくる、それをスタンディング・コミッティと呼んだわけでございます。先生は常設委員会あるいは常任委員会とおっしゃいましたが、常置委員会、常設委員会という日本語はまあパーマネント・コミッティということになります。したがって、そういう点の会議の雰囲気からいたしますと、常設委員会ということばは適当でない。そこで、最も機能的なふさわしい日本語を現地で判断いたしまして、連絡委員会としたわけでございます。
○岡田宗司君 国会法に実は両院の常任委員会というものがある。これの英訳ですね、これは政府でおつくりになったものであってオーソライズされたものだと思うのですけれども、スタンディング・コミッティ。私どもこの委員会のことを連絡委員会と言っていないのです。どうも最近の外務省のいろいろお訳しになるもの、もしくは新しく訳されるものを見ると、私どもふに落ちないことが多い。先ほどちょっと申し上げたのですけれども、コンテイソメント・ポリシーが今度は新たにせきとめ政策、こういうことにたいへん新しい訳語ができまして、外務省ではたいへんお得意のようです。これは新聞等でもだいぶ悪口を言われておる。今度は、普通は常設委員会もしくは常任委員会と呼ばれるスタンディング・コミッティ、これは一々随時に開かれるものというよりも、むしろ常設的な機関である。パーマネント・セクレタリアトという名前は使っておりません。しかし、常設的なものであることはこれは間違いないと思うのです。ときどきのものではないと思う。そういたしますと、今度もまた新しい訳語をつくられたわけであります。こうなってくると、外務省が最近お訳しになることは特別の辞書が要るようになるということをさっき申し上げたのですけれども、あるいは外務省用の特別の辞書をおつくりになっておるのか知りませんが、どうも私どもには解しかねる。やはり次の会議を開くためのバンコクにおける各国加盟国の大使が集まって、ときどきのミーティングでなくて、スタンディング・コミッティというものをつくるということは、これは恒久的な常設的な機関へ一歩足を踏み出したとしか考えられない。外務大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私はどうも英語の知識はあまりありませんが、スタンディングというのは、待っているというような意味があるんだそうです。それで、あそこの会議で、そういう固定的な事務局や何かを設ける必要はない。常設的な機関と言うのに適当でない、こういうことを何べんも論じたあとにスタンディングということばが入ったのです。それからまあ聞いてみたのですが、結局これはどういう意味かといいますと、今度バンコクに二回目を開こうということになったのですが、それで、今度の会議できめられた皆さんの意見で、この次の会議ではこれこれのことをもう少し突っ込んで討議し合おうじゃないか、意見を交換しようじゃないかということになりまして、そんなことも含めて、次回の会議というものを手ぎわよく運んでいくためにはやはり準備をしなければならない。その準備をするのはどこでやるか、こういうことになったのです。それはバンコクのタイの政府があっせん役になって、そうしてそこに今度は集まった多くの大使がおりますから、そのときどきの必要に応じて呼び集めて、それで話し合って、次の会議をスムーズに行なうようにいろいろなアレンジをする、こういうための、名称をつけないわけにはいかぬから、スタンディング・コミッティということになったようであります。だから、二回目が済んで今度は三回目になると、また別のところに持っていくということになり、そこにまた連中がそちらに行って、スタンディング・コミッティだがらといって常設だからということになると、三回目も四回目もいろいろ準備をするということになるが、そうではない。名前のつけようがないから私はスタンディングということばを使ったのじゃないかと思います。そういう軽い意味です。
○岡田宗司君 どうも椎名さんは国民に向かっては、いや、そういう常設的な機関をつくろうというのじゃないのだ、単なる連絡委員会だと言っておられる。次の準備にはタイの政府はワーキング・セクレタリアトというものを提供すると言っておる。これはパーマネント・セクレタリアトではないかもしれない。しかし、そのワーキング・セクレタリアトというものをタイが提供する。一面において、タイにいる各国の大使がスタンディング・コミッティをつくったということになりますれば、次の会合に対してタイ国はいろいろな準備をし、そうして、そこで各国の大使が集まって常時会議を開けるようにしているということは、もう私どもの解釈では、これは単なる連絡事項にとどまるとは思いません。連絡事項であるならば、何もわざわざスタンディング・コミッティと言わなくても、ほかに私は言いようがあるだろうと思うのであります。わざわざそれがスタンディング・コミッティということばがとられておるところにやはり問題があるのじゃないか。外務大臣が否定されるようなことではないように思われるのです。これは他の場所に、少し違ったところでありますけれども、第九項にもやはりスタンディング・コミッティということばが二カ所出ております。これらを見ましても、やはり何か恒常的なものをつくろうということがどうもあらわれてきておるように思うのですが、もしそういう恒常的なものが強く出てきた場合に、先ほど外務大臣の言われた恒常的なものはつくらないということと背馳するような事態が起こったら、この会議から脱退されますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そう急いで脱退する必要はないが、それはわれわれ約束が違うから、そういう固定的な機関を設ける必要はない、やめさせることがまず先決だと思います。
○岡田宗司君 そういたしますと、固定的な機関をさらに進めてつくるような場合には、日本側としてはそれに反対してそれをやめさせる、こういう考えであるということは明らかにされたわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 来年何月に開かれますか知りませんが、そういったような場合には、絶対に反対をする気持ちでおります。
○岡田宗司君 先ほど、第一のこの会議の目的である共産主義の侵略または浸透ということが目的にあげられておるわけですけれども、この点は、今後あるいはベトナムの諸情勢が変わって、たとえばベトナムの問題が何らかの形で解決される方向に行ったときには、これまたたいへんな矛盾が起こってくるわけですが、この会議をさらに共産主義に対決するためのものに持っていかないようにするという方針は依然として変わらないわけでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういう特別に、ある外部勢力に対して対抗する一つのグループというような意識を持ってこの会議を開催すべきではない、こういう考え方には変わりございません。ただ、いま御指摘の共産主義の侵略または浸透に対し云々と、これは朴大統領の演説の中に出てくる文句なんです。それで、その概要をここへぜひ共同コミュニケに出してほしいということでありましたので、これはもうすでに朴大統領が開会の劈頭において歓迎のあいさつの中にこういうことをしゃべっておりますので、それをただ掲げたにすぎない。 それから、第四項の、「閣僚たちは、アジア、太平洋地域の諸国民が、平和、自由および繁栄という共通の目的に対して献身していること、ならびに外部からの脅威に対し、各国の保全をはかり、主権をまもる決意であることを再確認した。閣僚たちは、この地域の自由諸国が各種の分野における共通の目的を達成するために、その連帯と協力とをさらにつよめるべきだと合意した。」、この審議にあたりましてある国から提案された原案によると、やはり共産主義云々ということになっておったそうでありますが、それはどこかの反対によって、「外部からの脅威に対し」、こういうふうになった。これは、たとえばマレーシアとインドネシアの紛争ですね、これは、まあインドネシアは左がかっているというようなことを言いますけれども、共産主義を看板にしているわけじゃない。お互いに戦争し合っておる。マレーシアからいうと、インドネシア——外部からの脅威、インドネシアにしてみれば、マレーシアこそ脅威を与えていると、こういうふうにお互いに思っておったんだろうと思いますが、そういうふうな事実は、必ずしも共催主義の脅威とか侵略とか云々ということは適当でない、こういうことばはできるだけ避けるべきであるというような主張でこういう文句になったということを私は聞いております。これ以外にはあとはどこにも出てこない。ですから、今度の会議がどういう旗じるしでやったか、その旗じるしの中に反共ということがあるなんということはどこにもないのでございます。御参考までに。
○岡田宗司君 もう一点お伺いしますが、そういたしますと、今度の会議にいろいろ出ました結果、これに対して日本の外交は重大な点において拘束されることがないと。たとえば、日本はいまソ連との間にいろいろ接近の状況が見られるわけであります。あるいは中国との間にも、政経分離とは言っておりますけれども、経済関係は発展しておりますし、人事交流も行なわれており、文化交流も行なわれておる。こういうような事態で、韓国とか、あるいは台湾、あるいは南ベトナムと日本とは非常に違うわけであります。この会議によりまして、日本が共産主義の国々との間にいま現存しておる関係、あるいは将来発展するであろう関係、そういうものについては何ら日本の外交は拘束されるところはない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘のとおりであります。何らの拘束も受けないわけであります。
○岡田宗司君 それじゃ私はこれで。どうもありがとうございました。
○杉原荒太君 きょうの議題は、かなり範囲がゆるやかになっているようですからお尋ねしますが、もう国会も会期が少なくなり、そうして、あと国連の総会が秋にはあると思うんですが、それまでにもう御質問する時間ないと思うから、ちょっと国連における中国代表権問題の基本的な点について若干質問したい。 第一点は、第五回総会から第十五回総会まで、議題とするかいなかを、また、第十六回総会から議題として、総会でずっとこの問題を審議しておるわけですが、私のお尋ねしたいというのは、この国連総会においての中国代表権問題についての決定があった場合は、右にならえで、国連の他の機関、たとえば安保理事会とか、あるいは経済社会理事会とか、あるいはその下部機構とか、そういうところにおいても総会の決定が当然に効力を及ぼしていくかどうかという点、その点を第一にお尋ねします。
○政府委員(滝川正久君) 法律的な点でございますので、かわって申し上げたいと思います。 国連総会の決定は安保理事会には当然に及ばないということでございます。それから、国連そのものの他の機関、これには及ぶわけであります。それから、国連とは別の主体性を持っております専門機関等には、当然には及ばないかもしれません。ただ、第五総会で一つの決議がございまして、国連関係の諸機関で中国代表権問題について決定をいたします場合には、国連総会の決定をまず考慮していく、まあひとつの要請でございますが、そういうものがありますけれども、当然に総会のものが国連に関係する専門機関その他、それから国連内部でも、安保理事会を拘束するというものではないというふうに考えております。
○杉原荒太君 そうするというと、安保理事会は安保理事会でその問題を、安保理事会における中国の代表権問題を安保理事会できめる。経済社会理事会もやはりそうなんですか。
○政府委員(滝川正久君) 経済社会理事会は、国連総会の決定どおりでございます。
○杉原荒太君 その根拠はどこにあるのか。
○政府委員(滝川正久君) 憲章上安保理事会は総会と別個の意思決定をこの問題についてなし得るわけでございますが、経済社会理事会につきましては、そういう保障はないわけでございます。経済社会の構成を見ましても、総会から選挙されるものでございます。それから一方、安保理事会のほうはそういうメンバーもございますけれども、別途保障された五常任理事国というようなメンバーもあることから、強い独立性を国連内部で認められております。したがって、信任状委員会が一つ問題でございますが、これなども安保理事会の場合は全員をもって同時に信任状委員会の機能を果たさしておるというようなことがございます。経済社会理事会はそうではございません。
○杉原荒太君 この中国の代表権問題については、この種のことの取り扱いについては、憲章自体には直接規定ないわけですね。したがって、新たにきめんならぬ事柄でしょう、新たに。そうして最初、たしかぼくのうろ覚えでは、国連の各機関における代表権はそれぞれの機関できめるべきもんだというたてまえをとっておった、国連の事務局、事務総長なども。そうしてあとで、たしか安保理事会でだったと思うが、中国の代表権についての問題の調整は総会できめるという決議を安保理事会でやっておったと思う。調整と言うからには、その前提としては、それぞれの機関にやはりそのきめる決定権があるということを前提にしているもんだと思う。それが違った場合などの調整のことを言ってるんだと思う。その安保理事会の決定に基づいていまやってるのが総会の審議だろうとぼくは理解してるんだが、そうじゃないの。
○政府委員(滝川正久君) いまのようなことがあったように私も記憶しておりますが、それを特に意識はしておりますけれども、もし総会で決定いたしましたら、そういういきさつがあるから、当然に他の独自性ある機関の決定を拘束するというものではないと……
○杉原荒太君 ぼくの疑問は、むしろ拘束しないのがほんとうだろうという前提で質問してるわけだ。
○政府委員(滝川正久君) そのとおりだと思います。
○杉原荒太君 それじゃまた安保理事会などでの代表権となると、また独自に安保理事会それ自体で決定せにゃならぬということが起こってくるわけだね。
○政府委員(滝川正久君) 法律的にはそういうことでございます。
○杉原荒太君 法律的も何もない、実際。法律的ってあんた言われるけれども、何も憲章自体には規定してないんだから。
○政府委員(滝川正久君) おっしゃるとおりでございます。
○杉原荒太君 それから第二に別のことをお尋ねしたいんだが、中共が国連における代表権を主張した当初の、四九年十一月ごろから五十年ごろ、当初のころは、国連における国府の代表権を否認するとともに、自分たちが出席したい、それをいつ出たらいいか知らしてくれ、もう代表まで任命して要求しておった。それだから、そういうこと以外に特別の条件というものはなかったように思う、中共自身の要求の中には。ところが、最近はそれ以外の特別のいわば条件というものが出てきている点が非常に違うと思う。その条件なるものは、日本の政府では一体何々と見ておられるのか。
○政府委員(小川平四郎君) 私の記憶では、国連が徹底的に改組されること、それから、中共の表現によりますれば、かいらい政府の代表とすべて関係を断つこと、この二点がおもなものだというふうに考えております。
○杉原荒太君 そのほかにも何らか条件としてアメリカ政府あたりでラスクなどの言ってるところの証言を見るというと、それプラスの条件として、朝鮮事変の際の中共侵略というものを取り消せと、またもう一つは、アメリカを侵略と認定せよと、こういうことも入っておるように思うが、この点はどうなんですか。
○政府委員(小川平四郎君) その二点も入っておったと承知しております。
○杉原荒太君 そうしますと、当初のときと、このいわゆる国連代表権問題を総会なら総会で審議する場合でも、前提条件が違ってきているわけだね。日本政府でも、よく一緒くたに国連の代表権問題と言うけれども、そういった条件などを前提条件として審議する、そういう審議の対象としてだね、そういう態度をとっておるかどうか。
○政府委員(滝川正久君) いま先生のおっしゃいました中共側の条件、いわゆる条件というものは、今後日本側が代表権問題を考えます場合の一つの考慮になっておることは申すまでもございません。
○杉原荒太君 一つの考慮と言うが、それを全然考えないでは、中共さんがどう言うかわからぬのだから、まず要求している側のなにをちゃんと確認してからじゃないと取り扱いがきめられぬでしょう。回答にならぬでしょう。答えにならぬでしょう。そうすると、何ですか、もう一つひっくるめて言うと、つまり、中共側としては現段階においては国連の代表権を要求をする、あるいは俗に言ういわゆる加盟を考慮するにあたっての前提の条件としてこれこれを要求している。その辺のところを確認してかかる必要があるのですがね。これはこっちだけでできぬことだけれども、その辺のところを、一体中共としてはこれを条件とするとかなんとか、その辺のところを正確にとらえることがまず前提だと思うのだけれども、どうなんですか。
○政府委員(滝川正久君) そのとおりだと思っております。
○杉原荒太君 そのとおりだけれども、それをどうとらえているのか、日本政府は。あるいはまだその点明確でない点があれば確かめる措置でもとるのかどうか、どうなんです。
○政府委員(滝川正久君) いま先生おっしゃいました中共側の条件というものは、中共側の責任者がある種の言明において行なったものが一、二材料になっておるわけでございますが、中共が正式に国連に入るということを現在申し出ているということはございませんので、いわゆる加盟という形での問題ではございません。
○杉原荒太君 そんなことわかっているんだから、そんなことじゃない。それだからぼくはいわゆるということばを使ったんだ。代表権問題というのはわかっているんだから。
○政府委員(滝川正久君) それで加盟の条件ということではないわけでございますが、加盟の条件という言い方をしているわけけではございませんのですが、こういうことが達成されない限り中共が国連の加盟国になるという気持ちはないというふうな意味におきましてのいわゆる条件、先生のおっしゃったようなそういったわれわれは公式のあれは持っておりませんので、正式にどういう条件を付しているかということはいまちょっと言えないと思います。ただ、おっしゃった点は、ある意味では条件だと申せる。それをわれわれは非常に重要な問題として考えております。
○杉原荒太君 それは日本だけでなくて、すべての国が、ほかの国がこの問題を考えるときなんかの先決要件でしょう。それなどは何らかの方法で、日本だけでなくて、たとえ国連の事務総長なりなんなり、この点を確認してかからぬと、ほんとうの審議にならぬでしょう。そういうことなどを国連の事務総長なりなんなりに要求してはっきりさせるとか、そうせぬと、前提条件があやふやのままでは答えになりませんよ。
○羽生三七君 そこのところ、委員長、いまの杉原先生のお話、その点は中共自身もいままでいろいろな国連加盟の場合の要件を出しているけれども、それは新聞とかいろいろな報道機関に伝えられておるだけで、現実に国連と何らかの接触の機会に述べられた公式見解ではないわけですね。だから、それを具体的に何らかの形で正確な意思を確かめるという、そういう事態が必要になってくるのじゃないですか。そうじゃないと、これは際限のないことですよ。
○杉原荒太君 私の言っているのはその点なんです。それをあやふやのままにしておいて方針が立つかというのです。
○羽生三七君 それは検討すればいい。
○杉原荒太君 それは何でもとれますから、国連の事務総長なりなんなりを通じて、当初は中共からちゃんと直接、事務総長に電報などよこしておって、はっきりしておったんですよ。いまはそれがはっきりしておらない。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いまいろいろ伺っておりますが、これは中共のほんとうの意味の加盟の条件であるか、それとも政治的発言にすぎないものであるか、こういう点については、まだ十分に確認されておりません。いずれ中共の国連加盟の問題がだんだん事実として迫ってきた場合には、御指摘のとおり、そういう問題についてはっきりさせなければならぬと、こう考えております。
○杉原荒太君 その考え方は、国連総会でこの代表権問題を討議するときに、すでにそれは前提条件として確かめておくことが必要なことだと私は思うんです。そんな、あとになってきまってくるからどうとかという問題じゃないと思う。そうせぬと方針も立たぬでしょうが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) この問題については、いま御指摘もございましたので、ことしの総会に臨むにあたって十分にこの点をはっきりさして、これに対する対処方針を定めたい、その上で適当な、必要な行動をとりたいと、こう考えております。
○杉原荒太君 ぜひそうしてもらいたい。それと直接関連するのだけれども、現在の段階において、中共が真剣に国連に加盟する意思ありやいなやという点とこれはうらはらをなしますからね、その点はどう見ておられるんです。現在不明だと言うが、一体中共が、当初と違って現在の段階において、真剣に国連加盟ということをいま要求し、熱望し、希望しておるととっておられるかどうか、その辺のところを向こうさんの意思を知らぬで、こっちでいろいろと、どうする、こうするということでは方針にならぬと思う。どうなんです。現在どう見ておられるんです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 一体中共の真意はどこにあるのかということを確かめることは、非常にこれはむずかしいと思います。できるだけその問題をはっきりさせると同時に、条件等を依然として真剣にこれを考えておると、単なる政治的発言ではないという点がわかりましたならば、その問題についても適当な対処方針を固めなければならぬと、こう考えております。
○杉原荒太君 まだあるのだけれども、大体このくらいにしておきますけれども、いずれにしても、私がいま言った、そのいわゆる条件云々なるものが条件なりやいなや、それからまた、ほんとうに現在、中共が真剣に国連加盟をいまのままで希望しておるのかどうか、これを、向こうさんの意思をこっちで、確認しないで、これで今度国連総会では加盟問題じゃどうするのこうするのとかという政策は成り立たぬはずだ。その点はぜひ何らかの方法で措置せられることが必要だと思いますね。
○黒柳明君 きょう大臣時間がお忙しそうで、この次に譲りたいと思いますが、この次には時間をとっていただけますか。——じゃあ、この次にお願いしたいと思います。
○委員長(木内四郎君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会 —————・—————