P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
51回国会参議院1966/06/09

外務委員会 第16号

発言数
109
登壇者
14
会派数
3
開催日
1966/06/09

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  アジア開発銀行を設立する協定の締結について承認を求めるの件及び国際情勢等に関する調査を便宜一括して議題とし、これより質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 きょうは同僚議員からそれぞれ国際情勢についてだいぶ御質問があるようですから、私は簡単に二点だけお伺いをいたします。  それは、去る七日、アメリカの上院で、いわゆるバートレット法案という漁業専管水域を十二海里に延長するこの法案が可決されたようであります。さらにそれだけでなしに、これよりもさらに強い。ペリー議員の提案――これは大陸だなを問題にするわけですが、これもさらに近く問題になるようであります。そういう情勢になってきておる際、しかも、この問題は数年前当参議院においても本会議でこれは緊急質問もあったような問題でありますが、こういう情勢に対処して日本政府としてはどうされるのか。これは国際的には必ずしもジュネーブ海洋会議でもこれは成功はしなかったわけです、この十二海里というものは。それで、まだ一般的には、国際的にはそういう傾向にはあるけれども、確たるこの規制処置はとられておらぬわけであります。しかるに、今回米国が一方的にそういう決定をしたわけですが、これに対してアメリカの一方的決定でいいのか、あるいは日本の合意が要るのか、合意といいますか、相互の協議が要るのか、その辺はどうなのか。また、それに対して日本政府はどう対処しようとするか。報道によれば、まあ二国間協定が必要だというような説もあるようですし、あるいは近く日米合同委員会の問題にもしようというようなこともあるようですが、とりあえずこの問題に日本政府としてはどう対処しようというのかお伺いいたします。

安川壯外務省北米局長

○政府委員(安川壯君) ただいま御指摘のいわゆるバートレット法案は、現在のところ、上院の商業委員会を通過したということでございまして、まだ、これが法案として成立いたしますためには、上院の本会議を通りましてさらに下院の議決を要するわけで、その上にさらに大統領の署名がなければ法案としては成立しないわけでございます。で、御承知のように、この十二海里の専管水域をどこの国であろうと一方的に設定するということに対しては、従来から日本政府は反対の立場をとっております。で、この法案につきましても、従来の経緯を申し上げますと、昨年七月にワシントンで日米の閣僚の合同委員会が行なわれました際に、農林大臣からこの法案に対する反対の立場を明らかにいたしまして、アメリカ政府の善処を要望しております。それから、さらに本年四月に、わがほうの在米大使館を通じましてアメリカ政府に同様の申し入れをいたしまして、アメリカ側の一方的な専管水域の設定に対して反対であり、かりにそういうものが成立したとしても、日本の公海漁業の権利が害されるものではないという申し入れをいたしております。現在の段階ではまだ上院の商業委員会を通った段階でございまして、日本政府といたしましては、あくまでこの法案には反対であるという立場を貫く考えでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もちろん、まだ上院本会議も通っておらぬし、それから下院との関係もあるし、大統領の署名も要るでしょうが、しかし、そうなってからではおそいので、そうなってしまってからではもうあとの日本の対策といってもなかなかやりにくいことになるので、むしろ日本の政府で何か意思表示するならば、この段階でこそ重要だと思うわけです。そこで、政府としては最終決定を見る前に何らかの意思表示を明らかにすべきじゃないかと思うが、外務大臣いかがですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 従来の方針に従いまして、適当な機会を見てこれを阻止するような方法を講じたいと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは日米経済合同委員会で当然議題となるべきものと思いますが、さらに、この種の問題になるわけですが、イシコフ漁業相が近く来日される場合、あるいはグロムイコ外相の場合も出るのでしょうが、南千島の安全操業、これを対ソ交渉に持ち出すようでありますけれども、歯舞、色丹周辺は、これはよくわかります。それから、国後、択捉の場合にも安全操業を持ち出すということも聞いておりますが、これは私非常におもしろいことだと思います。これは領土問題と直接の関連性はありませんが、しかし、それがもし認められるならば、そこに敷かれる路線というものは非常におもしろい意味を私は持つと思っておりますけれども、歯舞、色丹のみならず、国後、択捉も含めてさらに安全操業問題を提起されるお考えがあるかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 歯舞、色丹あるいは国後、択捉地域の安全操業は、もちろん全般的に海上の安全性という問題を取り上げて折衝をしたい、こう考えております。詳細は局長から。

北原秀雄外務省欧亜局長

○説明員(北原秀雄君) 安全操業の問題に関しまして、申すまでもなく三海里、十二海里の領海の説、両国の主張が食い違っておる。それが根本の問題でございます。その上に歯舞、色丹、国後、択捉につきましては、領土問題との関連で、わがほうの主張がそれだけ前面に強く出るわけでございます。歯舞、色丹周辺につきましては、昨年の赤城農林大臣訪ソの際に、具体案をこちらから提示いたしました。先方は検討を約しておるわけでございます。今回イシコフ訪日の場合にも、赤城私案というものがおそらく検討の対象の一部になるだろうと考えております。国後、択捉につきましても、もちろんわがほうの領土に関する主張からして、大体同じような主張を行なう予定でございます。そのほか南樺太、北樺太及び北千島の問題でございます。これになりますと、どうしても領海に関する両国の主張の食い違いというものが非常に前面に出てまいるわけでございます。いずれにいたしましても、問題は、領土問題に関連しての先方十二海里の主張を排除しまして、どこまで中まで入り得るかということでございまして、それからもう一つは、戦後の特殊な問題でございます公海における操業の安全性というもの、この問題は例の海難救助の問題にもつながるわけでございまして、これらの問題を取り上げるつもりでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは希望ですが、いまの御説明でもわかりましたけれども、これは領土問題それ自身を直接ぶつけても、これはそれ自身必要なことではあるけれども、なかなかこれは簡単に解決する性質のものではないので、こういう形で、ずっと実際上の実益を拡大するということが非常に必要な措置だと思うので、今度の機会に十分これに対処されることを希望いたしておきます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 最近自民党の松村謙三さんが中国からお帰りになりまして、いろいろなところで松村さんの中国問題に対する考え方を発表されております。実は、けさほど私も直接松村さんからお伺いする機会を持ったのでございますが、松村さんははっきりと、積み重ね方式はもう限界に来た、そこで日中国交正常化に踏み切るべきであるという意見を発表された。この点については、いままでの政府並びに自民党の対中国政策と百八十度違ったものと見られるわけでございます。松村さんは自民党の長老であり、非常に有力な方でありまして、このことは政府並びに自民党にとりましても相当いろいろの点で影響するところがあろうかと思うのでありますが、この松村さんの発言されましたことについて政府がどういうふうに考えておられるか、また、自民党としてどういうふうに考えておられるか、これからお伺いしたいと思うのであります。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 官房長官も記者会見で話しているようでありますが、松村謙三氏の個人的な意見でございまして、まだ自民党の意見というわけでもなければ、政府の意見でもない。これから積み重ね方式をやめて国交正常化に踏み切るべき段階に来ているという意味はどういう意味か、とりようによってはいろいろに解釈されるわけであります。もちろん、外務省としては、いまの姿は決して正常な姿ではございませんので、これをより正常化する方向にどうすれば持っていけるかということについては、絶えず研究している次第でございます。何べんも申し上げたとおり、日本が一国でこの問題をきめるにはあまりにこれは大きな問題でありまして、アジア全体、あるいは世界全体の問題とも言える問題であります。国連の場において国際世論の多数の意見の一致を見るというふうなことが絶対に必要なことであると考えておるわけでありまして、絶えずいろいろな情勢の変化に従って研究を怠らないでおるような次第でございます。必ずしも、いま国交正常化に踏み切るべきときであるという、そういうふうな結論に達したわけではございませんので、松村氏のこの意見がどういうものであるかもう少し詳しく知ることができるならば幸いである、こう考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ただいまのお話ですと、まだ松村さんから佐藤総理なり椎名外務大臣なりは直接お聞きになっておらないように解されるのであります。松村さんが帰られましたのは先月の末であります。今月の初めから各所においていろいろ御発言になっておるわけでございますが、もし松村さんのような有力な方がこの中国問題についてそういう発言をされたとするならば、当然、総理なりあるいは外務大臣なりは松村さんから直接その話を聞かれる機会を持たるべきであったと思うのであります。まだお会いになっておらないようだとすれば、これは私はどうも政府並びに自民党にとって決していいことだとは考えられないし、当然お会いになるべきである、こう考えるのですが、あなたはこれから韓国で開かれますアジア・太平洋地域外相会議に御出席になる。これはアジア情勢一般についてのいろいろ検討がされるでございましょうが、その前に松村さんにお会いになって、その状況、松村さんの考え方について聞かれる。そうして、あなたがその会議に臨む場合に、日本側ではアジア情勢、特に中国問題についてこう考えておるのだということの足し――足しというのもおかしいですが、まあ足しにするというお考えはございませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだその段階に来ておるとは考えませんが、情勢の分析はしなければならない。その情勢分析の一環として松村氏の意見も十分に参照しておかなければならないとは思いますけれども、その機会をまだ得ておりませんし、訪韓の前にそういう機会を急いでつくるといういま意図は持っておらないのであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そういたしますと、対中国問題というのはもちろん政府並びに自民党にとっても重大な問題である。特に外務大臣といたしましては、対中国政策という問題については、常々所管事項として中国の動きについてあるいは中国に対するいろいろな政策について十分お考えになっておるとするならば、当然これは早くお会いになるべきだと思うのですか、松村さんのほうから総理なりあなたに報告がない限り、総理なりあなたなりは、お会いになりそして直接この問題についての意見を聞く、そういうことはお考えになっておらない、こういうことでございましょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは、私は個人的に松村さんとよくいろいろ御懇親を願っておりますが、個人の問題はしばらくおいて、ただいまの日本の政府なり与党の意見としては、対中共の方針というものはきまっております。しかし、現状は決して正しい姿ではないということはわかっております。その前提のもとに、しかし、現状においてはこれこれの方針ということがきまっております。でありますから、松村さんの今度の提案は、当然自民党の党員として、自民党に対して方針の変更を提案するとか、あるいは政府に対して同様の見解を述べるとかいうことが大事なことではないかと思う。これはどこの政党でもそういうやっぱり、たとえ長老であろうとも、とにかくそういうことが必要ではないかと考えております。そういう意味におきまして、おそらく松村氏といたしましてもそういう方法をとろうとしておるかろうと思います。こっちからお目にかかってお合いして、いろいろ個人的な意見を交換をするということも、私はそれを禁ずる意味じゃないし、また、それをやっちゃいかぬという考え方を持っておりません。ただ、実際問題としてひまがないものだからそういうことができなかった、そういう状況です。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そうすると、実際問題としてひまがない、ひまがないから、あなたのほうからお会いになって松村さんの意見を聞く時間がないということなんですが、もし、松村さんのほうからおなたに対して意見を述べる機会を持ちたいということでありましたならば、あなたはお会いになって意見を交換するつもりがあるのかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん、私はできるだけの時間をつくってお目にかかりたいと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 松村さんがいま国交正常化の方針をとるべきであるということを言われました理由としてあげられたことのその一つは、いままでの積み重ね方式というのは、内閣がかわるごとに非常に動揺する、そうして、そのためにいろいろなトラブルが起こる、そういうことにならないように、今後やっぱり一つのはっきりした目標、方針を定むべきだ、こういう意味と、それからもう一つは、中国の国連代表権問題、これについて一、二年の間におそらく国連総会において中国代表権が認められるというような事態が起こってくるであろう、その際に、日本としてはいままでの重要事項方式というものを続けていくということもできなくなるしするから、早く日本としては中国に対する政策をきめておくべきだ、こういうことにあるように説明されておるのであります。  この第一点のいわゆる積み重ね方式なるものについて、いま松村さんの指摘されたような、内閣がかわるごとにいろいろな動揺があってそれがトラブルを起こしておるということについて、外務大臣はどうお考えになっておるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 内閣更迭のたびに動揺するというのはどの程度のことを言いますか、非常に大きく動揺する場合もあるし、小さくゆれる場合もある。まあ、同じ自民党内の政権の移動でございますから、基本的な動揺は、実際問題としてございません。池田内閣のときの方針をそのまま佐藤内閣においても踏襲しておるという状況であります。でありますから、内閣更迭ごとに動揺するということは、動揺の程度にもよりますけれども、しかし、動揺するというようなものではない、こう考える。  それから、代表権問題につきましてはいろいろな見方がございまして、たえず国連大使を中心にして現地についていろいろな情勢を探って、これに対する分析もしておりますが、この問題についてはなお今後も非常な注意を払って観察をしたいと思いますし、それに対する対処の方針としてどれが一番正しいかということについては、ただいませっかく勉強中でございます。それとの関連でございましたならば、われわれとしては、あらゆる場合を想定してそれに対する処置を誤らないようにただいまも準備はしておるつもりでございます。しかし、それとはだいぶ、問題のとらえ方が、今度の松村提言なるものは違うじゃないか。もう決定的に積み重ね方式をやめて国交正常化に踏み切るということになると、これは非常に大きな前提問題がたくさんございます。これはなかなか簡単にいかない。松村さんはどういうふうにこれをとらえておられるのか、そういったようなこともよく伺った上でないとわからないと申し上げるにとどまると思います。まあ、大体こう達観してそういう時期に来ているという一つの警告というか、そういう信号を一つ上げられたのだとすれば、それ自身、私らも意味はわかるような気がいたしますが、現実問題としてこういうことをいまやるべきだということは、どうもそう簡単にちょうだいできない、そういうふうな感じでおることを申し上げておきます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 松村さんは、この問題と関連して、いわゆる保守第二党の問題を提起しておられるのであります。これは、日本の外交方針が近い将来において転換をしなければならない、その遂行者は現在の自民党の首脳部に求めることはできない、こういう考え方からではないかと思うのであります。松村さんが、日本の対中国政策がここに大きな曲がりかどに来ておる、こういう意味でその発言をされたとし、しかも、その保守第二党問題を提起されたとすれば、これは将来日本の政界に与える影響、あるいはまた、日本の外交方針の形成に与える影響というものは非常に大きいものがあろうと思うのであります。したがって、これは私どもは非常に重大だと考えておるのでありますが、この松村さんが日中国交正常化の方針をはっきり打ち出された先ほどの一つの原因としてのいわゆる積み重ね方式の限界でありますが、これは日中貿易拡大の方針をとりながら吉田書簡が出され、しかも、今度の佐藤内閣になりましてからも、初めは日中関係について前向きの方針をとりつつあったけれども、しかし、最近においてはまた後退したような形をとっているというようなことが、おそらく松村さんには非常に動揺と感じられたのでございましょう。この吉田書簡の問題については、松村さんが交渉に行かれましたLT貿易の今後の延長の問題、あるいは将来の日中貿易の拡大の問題と関連いたしまして、やはり一つの大きな障害になっておるわけであります。松村さんもこの点を指摘されておるわけでありますが、この吉田書簡の問題について、政府としては依然として吉田書簡は有効であり、そして、それは日本としては台湾に対する一つの約束であるとしてずっと守り続けていくという方針をおとりになるのかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは吉田書簡は政府の文書ではございません。ただ、たまたまそのときの政府の方針というものをあらわしておるというにすぎないと思うのであります。そのときの政府の方針というものは、しかし、未来永却変わらないものだということはこれはもちろんないのであり、書簡を保存していればいつでもこれは何百年も保存はできると思うが、書簡が破損してあとかたなくなるまでその吉田書簡の趣旨が有効であるというようなことは、どなたもお考えにならないはずでございます。日本の貿易政策も、絶えず世界の情勢の進展によって変わるのでございます。初めは共産圏に対して日本の方式は適用されておらなかった。しかし、今日においてはこれはもう事実上のことで適用されておるのであります。そういうこともございまして、日本の方式の適用を中共に認めないというのは偏狭な方針である、こういうふうにお考えになってしかるべきものだと思う。ただ、それをいつ実行するかということは、情勢いかんによってきまってくる問題だと、こう考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 松村さんは、将来の日中貿易の拡大について非常に期待をかけられておる、その大きな障害が吉田書簡であるということを指摘された。もし松村さんが総理なりあなたに対してこの吉田書簡の問題について意見を述べられるというようなことがあった場合に、諸般の事情を考慮されて、できるだけすみやかにこの吉田書簡というものについて政府として再考をする、こういう用意がありますかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは、この吉田書簡がたまたまその当時の政府の方針と一致するがゆえに、あたかも吉田書簡を政府が墨守しているように見えますけれども、そうじゃないことは、まあいま申し上げたとおりであります。これにあらわれた方針をいつ変えるかということは申し上げられませんけれども、これはまあ適当の機会にこの方針は逐次変更していくべきものであると、こう考えております。松村さんにそういうことを申し上げるかどうか、それはそういうふうにきまった場合にはそれは申し上げますけれども、何ともいまお約束はできません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 次に、まあその例の国連総会における中国代表権問題の帰趨でありますが、外務大臣は、この国連における中国代表権問題が、本年の総会あるいは来年、再来年、ここ数年間の総会においてどういう方向をたどるであろうかということについての見通しをお持ちになっておろうかと思うのですが、もし見通しなしに、その場限りでやるとすれば、これはどうも日本の外交無方針と言わざるを得ないわけですが、この中国代表権問題が国連総会においてどういうことになるのか、その見通しについて外務大臣のお考えを聞かしていただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは絶えず国連代表部において非常な注意を払って研究をしておるところでございまして、私がすべてこれを、その報告を受けて、そして外務省でこれを検討して、それをまあ取り上げるかいなかを決する、こういう状況でございますが、ただいまのところは、本年において代表権の問題がもはや限界に達したというまだ判断には到達しておりません。なお、よくこの秋までに十分見通しをつけたいと考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 本年は国連総会において重要事項方式が勝つ、そういう見通しのように思われます。それであなたは、したがって本年は重要事項方式を日本としては進めていくのだ、こういうことのようでございますが、この重要事項方式というものも、これは私はやはりいつまでも突っぱれるものじゃない、こういうふうに思っております。もしこれが敗れてから日本があわててその方針を転換するということであるならば、これは私、日本の外交は将来の見通しを誤り、あるいはまた、将来において対中国関係において一つの禍根を残していくことになろうかとも思う。そういうような傾向は、重要事項方式がもう通らなくなるであろうというような見通しのだんだんに濃くなる場合に、日本としては、それが敗北してから後に方向を転換するのではなくて、その前に、日本としては一つの確固たる方針を定めておくほうが適当ではないかというふうに考えられるわけでして、私どもは、まあ近い将来において重要事項方式もこれを突っぱり切れるものではないというふうな考えに立っておるのですが、その点について後手になってからやればいいのだというふうにお考えなのか、あるいは、重要事項方式というものはもう将来通る見込みはない、そうすれば、その前に日本として方向転換すべきであるのか、この点はどうお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、敗れてからあわてるということは、いかなる場合でも私はとるべきでないと思います。でありますから、情勢がだんだん悪くなりつつあるという場合に、その場合においてどうするかといういろいろな対処方針を立てまして、そうして、いずれをとるのが最も適当であるかというところまで間に合うように、十分に研究をしておく必要があると、こう考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 間に合うまでと言うけれども、こういうことはできるだけ早いほうがいいので、その基本方針なりなんなりを早く立てて、明確にされておいたほうがいいと思うのですが、その点はどうお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは、客観情勢というものに合わしていかなければならぬと思うのであります。早目はいいのですけれども、あまり過早にきめるということも、これは私は適当でないと思います。早目にきめるのはいいけれども、きめてしまってから情勢がまた動いてしまって、合わなくなってしまったということもよくあります。そういうことのないように準備をしたいと考えております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いままで私は、松村さんの発言について関連してあなたにいろいろ御質問を申し上げていたんですが、いままでの答弁から得た私の感じでは、松村さんの発言というものを、まああまり重く見ておらなかった、そうして、積極的に松村さんと話し合いをして、そうしてその見解を聞いていくというような姿勢もとっておられない、こういうふうに見られるのです。そうして、そういうような態度があるということを松村さんが見越されておるからこそ、保守第二党の問題にも言及されたのだと思うのですけれども、私はそういう印象を受けたわけです。やはり私は、自民党の有力者であり、しばしば中国にも渡られて、そうして中国の実情もよくごらんになっておるし、また、中国の指導者とも隔意なく話されて、相当深く中国の今後の方向についても認識されておるところの意見を、日本政府としては、あるいは自民党としては、十分に考えて取り入れらるべきではないか、私どもも、松村さんの発言に対してはいろいろな角度から検討をし、また、これを私どもとしても進めることが、もし日本の将来の外交方針にとって非常にプラスになるものであるとするならば、われわれはやはり松村さんの言われた事柄について、われわれ自身もできるだけ推進したいと考えております。中国問題について、私は、政府がすみやかに一つの基本的な方針を新たに立てられて、そうして日中関係をやはり今後打開されていくことを望みたい、こう思うわけです。すでにハンフリー副大統領も、昨日アメリカにおいても中国政策を変化さしていくという必要があり、またそうすべきであるというような意味の見解を述べられておりますし、アメリカ自身においても、かなり対中国政策について、いま、混迷のうちから新たな方向を見出したいと考えておるようであります。佐藤総理なりあるいは椎名外務大臣なりは、アメリカをかなりお手本にされておるようでありますけれども、アメリカにおけるそういうような動きというものも関連して、もっと日本はインディペンデントの立場から対中国政策、対アジア政策を進めていくことが必要だし、松村さんの発言は、それを日本政府なりあるいは自民党なりにさせる機会を与えるものだ、こういうふうに私は考えます。もしその機会をあなた方が逸しられるならば、松村さんが言われておるような保守第二党の問題というものも現実に起こってこざるを得なくなる、そして、自民党に対して一つの大きな衝動を与えることになるだろう、そういうふうに考えます。その点について外務大臣はどうお考えになっておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろん党の長老でありますし、最近しばしば中共を訪問されて、向こうの要人と接触しておる松村氏の発言は、これは普通の代議士の発言と違うのでありまして、直接松村さんに会う会わぬの問題は別問題として、もうほとんど相当な人々がこれに非常な注意を集中しているのでありますから、この一石が政府、与党それぞれに相当な刺激を与えておることは、これは事実でございます。でありますから、一そうこの対中共政策の問題に関して与党、政府とも勉強をしたいと、この際に勉強すべきであると、そう考えております。われわれとしても、直接お目にかかるかからぬは問題でございませんが、十分に松村さんの主張の内容について研究をして、重要な参考資料にいたしたいと、こう考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 中国は一つであるという考え方と、いや中国は二つである、あるいは一つの中国一つの台湾という形でなければ今後の中国政策は解決ができないというような意見があるようですが、現在政府としてはこの問題に対してどういう態度をとっておられるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは総理がしばしば国会においても申しておるのでございますが、中共も、中国は一つである、それから中華民国政府も、中国は一つである、そしてその主権はわれにあると、こういう対立した関係にあることは明らかである。これを他国が、いや二つであるとか、三つであるとかというようなことを言うのは少し越権ではないか、それだけに非常にこの問題はむずかしいのであると、こういうことを申しております。われわれはそれに対して、一つであるとか二つであるとかということは言うべき立場にないのではないか、こう考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 佐藤総理は、しかし、中国は二つであるという考え方はとらないのだ、一つであるということを明言をされているようですが、その点は外務大臣の見解とは違うのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 佐藤総理は、中共も中華民国も中国は一つである、こう言っているから、これにそういう異論を唱えるべきでない、両方が一つだと言っているから一つだろう、一つということを前提にして考えざるを得ない、こういう態度だと思います。私は、それでいいのではないかと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 しかし、中国は一つだということを、総理は明言をしておられる。しかも、中国は一つであるということの前提に立って台湾政府を認め、さらには、本土の中国は認めないというような重要事項指定方式で大陸中国は認めないというような形でいかれるならば、中国は一つだということは、あくまでも台湾政府が全中国の代表者であるという考え方を貫いておられることであって、これがほかならぬ中国大陸に対する敵視政策あるいは阻害政策というものになるのじゃないかと思うのですが、その点はどういうふうに対処しておられますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく、中国は一つであるという両方の主張があるわけでありますが、沿革的に中華民国を代表政権と認めていることは、これは現実の姿で、それによって日本としては対処してまいっておりますが、しかし、もうこの中共政権ができて中国大陸を支配してすでに十六、七年たっている。この事実というものは、またこれは認めざるを得ない。そこに、この問題が決して正常な姿でないということが出てくるわけであります。これを何とか解決したい、しかし、解決することは、これは日本一国の問題ではなく、全世界の問題である。こういうことで、大多数の世界の世論というものに従って解決されるのが当然であると、こういう考え方をしているのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、現実には大陸に一つの中国がある、現実の問題としてはこれを認めなければならないというふうなお考えであるとすれば、総理の言われる中国は一つだという考え方は、すでにもう消えてしまっている、二つの中国という問題をいつも考えながら対処しておられるのだというふうにとっていいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) そうはいかぬから、中共とは政経分離の方針でおつき合いをしている、こういうわけなんであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その問題は、もう一ぺんあとに帰ってくることにしまして、通産大臣がお見えになっておりますから、日中貿易の問題についてお尋ねをいたします。  日中貿易の最近の実績、特に発展の傾向、それを通産大臣はどういうふうに見ておられますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日中貿易は非常に拡大の傾向にあります。たとえば、昨年度は往復で四億七千万ドル、これを十年前に比べれば約十倍くらいになっておる。一昨年に比べても五〇%くらいふえておる。そういうことで、他の諸国に比べて中共貿易の伸びは非常に大きいということが言えるのです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 お話しのように、日中貿易は逐年非常に増大の傾向にありますが、昨年四億七千万ドルであったものが今度はさらにそれを倍近くにもしようというような意気込みで年頭早々に貿易使節団が参ってその話をしたときに、向こうの態度は非常にきびしいものがあって、今後はそういういままでのような発展傾向はたどらないことを覚悟してもらわなければならぬということを非常に強く言われてきていると思うんですが、その点をどういうふうにお考えになりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 日中間はいろいろ地理的にも近い関係もありますから、私は、日本も貿易の拡大をやって、日本自身でもこういう近い中国に対して貿易が拡大していくことは好ましいし、また、中国自身からいっても、一番近い隣の国に工業国があるわけだから、中国自身もその貿易による利益は受けるわけですから、私は長い目で見て日中貿易悲観論者ではない。これはいろいろ紆余曲折はあっても、しかし、拡大していく傾向にある。これは両国の関係は、いろいろの条件は、拡大をはばむ条件よりも拡大をやはり促進していくような条件が両国に多い。多少のやっぱり紆余曲折はありましても、長い目で見れば私は日中貿易楽観論者であります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 中国はことしから第三次五カ年計画に入っていて、それとの関連において考える場合には、日本に特別な障害がない限り、日中の貿易は飛躍的に発展しなければならない客観的な情勢があると思う。しかし、これが伸びられないのは、阻害するいろいろな要因があるからで、その阻害の要因の一つは、プラント輸出が相当程度出ることなしにはそういう飛躍的な発展は望めないという状態にあると思うんですが、そのプラント輸出が阻害をされて、いわゆる吉田書簡によって阻害されておるということになっておるので、そういう阻害要因を除くことなしには、いま大臣が言われたような発展は望めないと思うんですが、したがって、こういう障害はすみやかに除くべき時期、段階に来ている、こういうふうに思いますが、大臣はどうお考えですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは輸銀の問題なども、やっぱりプラント輸出については輸銀を使うということは国際的な常識になっております。しかし、新たな問題がいまは何も出ていない、日中貿易に関してそういう申請はないわけです。将来、そういう場合が起こってきた場合には、政府としてもいろいろな情勢を勘案して自主的に判断する。しかも、その判断ということは、いずれの時期かこの問題は解決されなければならぬ問題であることは明らかである。いずれの時期か――これはいつかということは、そういうケースが起こってきたそのときの政府の判断によるほかないわけです。しかし、日中間の問題としていずれの日かはこの問題は解決されなければならぬ懸案であることは私も承知をいたしておるわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 いずれの日にか解決しなければならない問題であるというようなゆうちょうな問題ではないと思うんです。特に去年からことしにかけて、西欧諸国が中国との間にプラント輸出の契約をかなりたくさん結んでいると思うんですが、これらの状況はどういうふうになっているか、御説明を願いたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 西欧諸国でわれわれの承知をしておるのは、数字がここで明らかになっておるのは、十四件、一億二、三千万ドル程度の西欧諸国からのプラント輸出、こういう成約分、こういうものは承知しております。また、最近新聞紙上にも出ております西独の鉄鋼の輸出については、そういう商談があるということは承知しておるんですが、その結末についてはまだ確報を得ていないわけでございます。六億マルクの鉄鋼設備の輸出については、結論的な報告はまだ受けていません。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 六億マルクのプラント輸出の問題については、アメリカがこれに抗議をしたにかかわらず、その抗議を受け付けないで、西独はその他の諸国を語らって、政府の輸出補償までやって、この問題を解決すべく努力をしておる、こう伝えられておる。のみならず、さらに西独の鉄鋼業者は鋼管プラントの輸出についても話し合いを進めているというような状況で、そういう有利なプラントは全部西欧諸国に取られてしまうというような現実の実情に直面をしておると思うんです。したがって、そういうものが全部西欧に取られるんでなくて、日本も相当程度そういうものを獲得をするためには、いつの日にかというようなゆうちょうな考え方でなしに、直ちにプラント輸出を認め、そうして、輸銀の資金援助を実現をするということが絶対に必要な時期にもうなっていると思うんですが、それをどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) これは、実際にそういうふうなケースが起こってまいりましたときには、いろいろな世界の情勢なども、政府の自主的判断という要素の中にはいろいろなものが入るわけです。こういう世界の情勢なども判断の材料の中に入れて、政府がこういういろいろなことを頭に入れて、そうしてこの問題に対して真剣に検討しなければならぬことは、私もそのとおりだと思います。しかし、直ちにということはどうか、これはやはりいろいろなよその国がやったから、日本が機械的にというものでもないわけで、日本は日本としての立場でいろいろなことを頭に入れて判断をする必要がある。これはやはり真剣にいろいろ検討する時期であることに対しては、私もさように考えます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 日本がいまに至るまで輸銀の資金を使うことをちゅうちょしなければならないという理由は、どこにあるんですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君)  御承知のように、いま何も要請は起こってないわけですから、ケースが起こってきた場合には、そのときの時点において問題を具体的に判断しようということで、いま輸銀を使うとか使わぬとかいう、いま新たなケースは起こっていない。起こりましたときには、これはやはり真剣に政府がどうするかということを検討いたしましょう、こういうことを申しておるのであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 いま現に起こっていないから考えていないんだとおっしゃいますけれども、 ニチボーのビニロン・プラントの輸出であるとか、日立造船の貨物船の輸出であるとか、こういうものが話があったにかかわらず、政府のほうでこれを許可されないために話が停とんをしている。いまでも政府の意向として許す気配がないから各業者はそういう問題を持ってこないのだという状況にあると私は思うのであります。どうしても、政府としていまになったらもうそういう障害は取り除くのだという態度を表明されない限り、この状態はいつまでも続く。そうであってはならないと、こう思うのですが、どうですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 政府の立場としては原則的にこうだと、中共に対してはこうだというような行き方ではなくして、ケース・バイ・ケースに処理したいという考えでございます。もう輸銀だって、全部どこの国の要請にも輸銀を使うという、これは単に中共に限らず、全部輸銀を使うというわけのものでもないわけですから、原則として一切何もかも中共貿易は輸銀を使うのだというような、そういうふうな原則論の立場ではなくして、ケース・バイ・ケースで処理をしたい、こういう考えでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 それならば、いまあらためてそういう要請が出たらプラスの方向で考える、政府はそういう態度だというふうに考えてもいいのですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) プラスとかマイナスとかいうのではなくして、出たら出たときの時点においていろいろな要素を勘案をして政府が判断をいたしますと、その上にプラスとかマイナスというのをつけたくはない、実質的に判断いたしまししょう、こういうふうにお答えするよりしかたがないと思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 その場合に、 ニチボーのビニロン・プラントなり日立造船の貨物船が出たときに、いろいろ勘案をしてとおっしゃいますが、これを許せないと思うような項目なり事項なりはどこにあるのですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) それは、いまはこの場合はまだそういうものの申請もないのですから、ここでいろいろ私が仮定して、許す、許さぬと言うのは、その出たときの場合ですから、それは政府は私ばかりの判断でもないわけでありますから、いろいろな政府としての判断をするのですから、ここで、許せないという前提で、許せない理由は何だということをお答えすることは、私は適当だとは思わないのです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。プラント輸出の問題は当面問題になっておりません。しかし、吉田書簡の結果から、その他一般の貿易に対して非常な障害があるということも一つの問題になっているのです。どうですか外務大臣、適当なときに、吉田書簡はすでに過去のものとなったとやったらどうですか、廃棄とは言わないでも。談話でも発表したら。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) さっき申し上げましたように、ただその当時の政府の方針に一致していただけでありまして、吉田書簡それ自身に別に効力があるわけではないのであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ないから、はっきり言ったらどうです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これにあらわれた方針は適当に改編されるべきものであると考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 関連して。通産大臣の御答弁はだいぶ思わせぶりで、何もそういう要求が出ていないじゃないか、それに答えはできないと、まあ、出すなら出してみろ、ケース・バイ・ケースで考えてやる。たいへん前向きですね。ですから、吉田書簡は取り消しなんということは言わなくても、事実上ケース・バイ・ケースでこの金を使えば消えたことになるのですね。それにしても、話がないのに何もできない――たいへんに思わせぶりで前向きで。そういうふうに解釈してよろしいですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 思わせぶりでも前向きでもないのです。しかし、実際こういう問題はいろいろな仮定を立ててお答えをするということはやはりよくないと思いますので……

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 出してみろと言うわけだ、あなたは。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 出してみろという奨励をしているわけではないのですけれども、いま、やはりそういうケースが起こってはいないわけですから、そのときに、いろいろとお話もあったように、いろいろな世界情勢なども、考える場合の要素に入ることは事実でしょう。そういうことが起こった場合に、その時点において、いろいろな要素を勘案して政府が判断をすべきだということで、これは前向きでもうしろ向きでもありません。現実に責任を持っている政府の処理としては、そういう方法よりほかにはない。出てない場合に、予定していろいろなことを言うことは……

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それをやれば総理だ。まあいいです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 出ないのにとおっしゃいますけれども、案件は、ニチボーの問題にしてもあるいは日立の問題にしても、出ているのですね。出たのを、政府がそれはだめだと言っておられるから、いまのところ引っ込んでいるだけであって、出ていることはもう継続しているのですよ、事実として。だから、政府のほうで、もはや吉田書簡は過去のものだという態度をはっきりされるならば、この二つはすぐ問題になるし、あと続々と出てくることは、これまでたくさんの業者が向こうに行って話し合いをしている事実から見ても、判断できると思うのですね。その点はどうお考えになりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) いろいろないきさつはあったけれども、まあそれは一応中断しているわけですからね、いろいろなものが。新たなる私どもは問題であると、今後出てくるなら新なる問題であるとして処理するという考えでございます。いままでの話は一応中断しているわけです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、いまにして新たに出てくれば、大体吉田書簡は過去のものとして、出てくれば許すことにやぶさかでないというふうに考えておいていいですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) それはオーバーですね。それは、私はやはりこの問題はいつか解決されなければならぬ日中間の懸案であるということは、私自身もそう思うのですよ、この問題は。しかし、いつどういう形で出てくるかという、この時点に立って政府がいろいろなことを頭に入れて判断をするという以外に、許すつもりであるとか許さぬつもりであるとか、そういうことは私は申し上げないのでございます。これは政府全体のやはりいろいろな判断が加わるわけですから、通産大臣だけの考えでもいかないわけです。そういうことで用心深くお答えをいたしておるわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、非常にこの問題が緊急であると、西欧諸国の進出の状況あるいは日本の業界のいろいろな要望から考えて、非常に緊急に必要な問題であるというふうに考えなければならない問題であるにかかわらず、政府はそんなに緊急な問題だとは考えていないということなんですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) そういう価値評価をされては困るのです。緊急でないとか緊急であるとかいう、そういうふうには思っていないのです。それはやはりそういうふうに言うと、たとえば、緊急でないと考えると――いろいろ具体的な問題が出ていないのに、緊急だとか緊急でないとか言うことも少し行き過ぎでないか。ただ、この日中関係というものは、将来日本と中国という関係は、これを両方とも無視しては両国は存立していけないことは事実です。日中関係はやはり打開されなければならぬ。そういう意味においてこの問題はできる限り――あんまり日中関係というものを短期な期間で見ることは私はあまり賛成しない。もっと長期的に日中関係というものを考えながらこの問題を処理していきたいという心がまえでありますが、しかし、いま言ったように、許すとか許さぬ、緊急とか緊急でないとかいう、何かこの問題の処理に対する価値判断みたいのを加えたくない。すなおに出てきたときに、どういう時期にどういうものが出てくるかということで政府全体で処理したい。しかし、日中関係は必ず改善されなければならぬ課題であって、これに目をつぶって日本も中国も私は生きていけるものではない、こういうふうに基本的には考えております。しかし、この時点での現実の処理の方法というものは、その出てきた場合にみんなで相談をしてこれは判断するよりほかにない。それに対していろいろな形容詞をつけることは、かえってやはりこの段階では適当であると言えないのではないか。これはなぜかといったら、外務大臣の意見もありましょうし、通産大臣一人できめられる問題でもないですから、非常に慎重にお答えをせざるを得ないのでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 通産大臣は、真意はなるべく早い機会にこれを解決すべきであるというふうに思っておられるのだけれども、外務大臣のほうで非常に渋いので、それに制約されて慎重な、特に隣にすわっておられると慎重にお答えになっているとしか考えられないのですが、外務大臣はこの問題をどういうふうにお考えになりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) いまの問題は、そういうことではありませんよ。外務大臣も、なかなか長い日中関係の将来というものを慎重に考えておられることです。これはだれでも、やはり日本の政治家で中国問題を考えないという者は一人もいないです。それをどういう段階でということの違いだけで、中国問題が最大の課題であることは、これは間違いのないことです。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 いや、その最大の課題であることは間違いがないということは、何年も言い続けてきておられるので、なかなか飛躍的な発展がされないというのが現状じゃないですか。しかも、第三次五カ年計画がいよいよ発足しようとすることしから来年にかけてこの問題が解決されなければ、長期見通しその他の点からも非常なマイナスになるというふうに考えられるので、われわれはこれを緊急な課題であると、こういうふうに考えるのですが、外務大臣はどうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 通産大臣の答えですべて尽くしておりますので、私は蛇足を加える必要はないと思いますが、私自身の真意といたしましても、なるべく早くこの問題を解決したいとは考えております。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうすると、外務大臣もなるべく早く解決したいと思っておられるし、通産大臣はさらにそれを痛感しておられるでありましょうから、早急にこの問題は解決されることを希望して私の質問を終わります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 アジア開銀の、幸い通産大臣もおられるから、通産大臣ちょっとおってください。問題は二つです。この対外援助というものは、アメリカあたりでは議会でたいへん問題になって、いろいろなクッションを置きながら慎重に援助額の算定、目的、その他を国会で検討するのですね。その援助費の審議にあたってはアメリカの外交政策さえはっきりわかるように、たいへんよい運営のしかただと思う。ところが、今度の日本のインドネシアに対する援助の三千万ドルというのは、これは国会の承認を経ないで政府が一方的に融資をするというのですが、これはもういつも昔から国会で、財政法との関連で問題になっておりますが、国民所得の一%というと約九億から十億の援助費がこれから出ていくという段階になってきますと、このような方式は私はもうやめて、やはりその事前あるいは事後なりに国会にかけて内容をすべて明らかにしていくのがほんとうだと思うのです。大臣いかがですか、この問題が根本問題だと思う。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) これはアメリカなどでも、たとえば大統領基金などを持っていますから、だから、全部予算のような、海外援助というのはそういう仕組みにもなっておりませんよ、アメリカも、大統領基金というのはやはり行政の権限にゆだねられておりますから。日本の場合は、これは輸銀を使うことになると思うのですが、こういうことで、借款ですから、だからあとでいろいろな御批判は、国会、国政全般の監督としての御批判は受けるけれども、予算を組むように、こういうふうなことで国会に提出してという性質のものだとは考えていないのでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 国民の税金、郵便貯金とか年金とかの金を使うのですから、その税金の使い方に対する態度が、向こうは、非常に一銭でも大事にしていこう、日本の場合は、もちろん大事にしているのでしょうが、アメリカと比べるとちょっと金の使い方は荒いのですね。しかも、事インドネシアに関しますと、もう黒いうわさばかり出て、日本・インドネシア親善は赤坂、新橋、柳橋あたりで親善ばかりしているようにしょっちゅう新聞、雑誌に書かれている。だから私は、これはやはり公の場で審議するように持っていくことがこれから大事である。ひとつ外務大臣に伺いますが、この問題を検討する気持ちがありませんか、国会の場で。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは国の資金といいましても、国が郵便局や何かを通じて預かった金が輸銀のほうに回っている。これは税金の金じゃないのです。それで、融資の問題でございますから、いま通産大臣がお答えしたように、国政全般としては審議の対象にもちろんなりますけれども、これを国会の承認をその前後において取りつけるという性質のものではない。  それから貸し付けの方針の問題でございますが、これはいかがわしいところで審議して三千万きまったわけじゃありませんので、きわめてフェアに両国で、しかも大蔵大臣が十分に検討した上で三千万ドルと、こう決定したわけでありますので、御了解願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日本の政治家、歴代の自民党政府がもう少しきれいに過去において行動していてくれれば、いまのままの制度でもいいと思うのだが、どうも黒い話ばかりがちまたにある、だから私はそういうふうにすべきだと思います。いずれまた機会を見て伺いたいと思いますが、第二点は、これに関連して、いまのままでするならば、審議会とか諮問機関とかなにか、東南アジアにきわめて神経を使い、同情的であり、理解の深いわれわれも参加させて審議会のようなものをつくって、政府もこの公平な各方面の意見を参酌しつつ後進国の開発に当たる、こういうことがいいのじゃないか、やるべきだと思うのです。もし、法律的な審議会をつくることに政府が真剣になってやるというならば、アジア開銀のこの委員会にかかっている問題についても、あながち反対ばかりでもないと思うのですがね。それでどんな審議会か――いま審議会は減らすという方向にあるようにも聞いておりますが、いずれにせよ各界の人を入れて、そうして大きな金をこれから使うのですから、十分な意見を聞き、政府の方針もここに披露する。そういうことを政府部内で検討したことはないのかどうか。なければ、一体いまの私の意見に対してどんなふうにお考えになるか。十分これは検討に値するものだと思う。もし検討に値するというのならひとつ検討して、来週、再来週くらいまでに御回答をもらいたいと、こんなふうに思うのですが、外務大臣いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) いま御承知のように、経済協力の基金に関連して経済協力審議会というのがあるのです。ただ、この活用が足らぬと思います。これは政府も反省すべきだと思うし、もっとこれは活用したらいいと思いますがね。お話しのようなこのやはり審議会はあるのです。これをもう少し活用するということを、やはり今後くふうしたら私はいいのじゃないかと思います。総理府にある、それをもっと活用する必要は私はあると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は通産大臣が進んでお答えになるから通産大臣に伺いますが、外務大臣を代表しているようだけれども、そこまでお考えならば、これを機会に、ふだんの抱負もあるでしょうから、こんなふうにしたものをつくってみたいということを、開銀の審議中にでも何とか提示してくれれば私たちも非常に理解が進むのですがね。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 私がいま申し上げたのは、すでにあるのですからね、審議会が。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 改組するなり……

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 改組じゃなしに、もっとこの審議会というものをひんぱんに開いてそして活用したらいい、運用面のくふうが要ると私は申し上げているので、もう一つ新しい審議会をつくるということではないのであります。いまあるものをもっと活用するという、運用面のくふうが私は要るということを申し上げておるのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 その運用面でも、はっきりひとつ案を立てて、たるんだような人でなく、若い元気な委員とか見識が広い人、利害関係につながる人ばかり集めても、あるいは名ばかりの会長さんクラスではだめですから……。  これで私は終わります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 通産大臣にお伺いしますが、先ほど松村さんのいろいろ発表されている御意見について外務大臣に伺ったのですが、通産大臣は前には松村・三木派ということでたいへん深い関係にあった方ですから、この松村発言についてどうお考えになっているかということをお伺いしたいのですが。特に松村さんが、今後の日本の対中国政策の問題を中心にしての日本の外交方針について、いまの内閣及び自民党に対して大きな提言をしておられる。それがいれられない場合にというようなことでしょう、いわゆる第二党の問題に触れられておるわけです。これは一つの警告でもあろうかと思うのでありますが、この松村さんの発言、それからそれに対する通産大臣の考え方、それをどういうふうに今後通産大臣としてはお取り扱いになるか。あるいはこの第二党問題にからむ発言について通産大臣のお考えはどうか。この点をひとつお伺いしたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(三木武夫君) 松村さんがLT貿易、これが期限が来年切れるものですから、これを原則的に延長するという、この原則的了解を取りつけられたということ、訪中、そのことについては高く評価しております。ただ、そのあとでいろいろ言われておることは、新聞紙で私は見るだけで、そういうことでそれが真意が伝わっておるのかどうかということはわかりませんが、いま、やはり自民党の必要なことは、団結をすべきである。自民党が二党、新二党なんということは唱えるべきではない。自民党はやはり政権を持って国民に対して重大な責任を持っておる党でありますから、もう党内が一致結束して国民の負託にこたえるということで、保守二党などを考える余地はないという信念でございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 開銀の問題だけについて伺います。  政府はしばしば言っておられる。私のほうも賛成なんですけれども、東南アジアを中心とするいわゆる開発途上にある国々に対する日本の援助が、国民所得の計算が変わってだいぶ一%というのがしんどい点もありますけれども、一%ぐらいは特に東南アジア中心の援助にしろ、これはもうわれわれは前から主張しておったところでありますが、そこで、この援助の内容ということが非常にやはり重要だと思うので、援助の内容を見ると、従来やっておったいわゆる贈与、それから賠償ですね、それ以外の政府の長期円借款、それからその他輸出に対する短期の金融、それからいわゆる、何といいますか、直接投資と申しますか、こういういろんなのがあるのですが、やはり先方が非常に望んでいるのは、何といっても、贈与ならなおけっこうでしょうけれども、長期の低利のやはり政府借款ということが一番中心だと思うのです。そういう意味で、なかなかこの問題はただ数字だけ合わせればいいという問題でなくて、やはり援助の内容ということが非常に重要だと思うのです。そこで、今度のこのアジア開銀が、どの程度その意味で日本のこれらの諸国に対する援助に実質的な寄与をするのか、また、どの程度の役割りを演じせしめるのかということが問題だと思うのです。  そこでまず第一に、日本の二億ドルの出資金がこの年度――たとえば一九六六年、今年度における日本の対外援助の中に計算されるとOECDあたりでは考えておるのか、それは全然別ワクに彼らは考えておるのか。一般的にはバイラテラルみたいな、特に直接ある政府に対する借款とかあるいは特定な国に対する援助ですね、もっともメコン川のような場合の開銀の援助のごときはこれは大体援助に見てくれるのでしょうけれども開銀に対する二億ドルの出資金とか、日本のいわゆる統計上といいますか、OECDあたりで言っている、あるいはこの間の東南アジアの開発閣僚会議で先方が希望した、国民所得の一%は日本に頼むよという中にこの二億ドルがちゃんと計算に入れられると見ていいのかどうか、その点伺いたい。

西山昭外務省経済協力局長

○政府委員(西山昭君) OECDの中の後進国の援助委員会、通称DACと申しておりますが、そこで各国の後進国援助の数字を毎年出しております。これの数字の出し方は、毎年現実に支払われた、あるいは支出された金額のネット――純支出額を計算いたしましてそれを出すわけでございますので、財政上開発銀行に出資をいたしましても、それが現実にその年に日本として払い込まれた、その場合はその金が後進国援助の金額に入ってきますけれども、約束だけの場合は、現実の統計には入ってこないわけであります。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 それはわかるのです。ただ約束でなくて、払い込みの方法とかいろいろあるでしょうけれども、そこに払い込めば、払い込んだ分はその年における日本の開発援助としてDACあたりでは計算に入れてくれるわけですか。

西山昭外務省経済協力局長

○政府委員(西山昭君) 各国のDACにおきます後進国援助の統計の内訳といたしましては、先ほど御指摘のありましたようにいろいろの項目がございまして、その中には国際機関に対する分担金の支払いも入っておりまして、そういう意味でアジア開発銀行に入るものも統計上含まれることになるわけでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 わかりました。そうすると、出資すればその額だけはその年の援助として認められるわけですね。

西山昭外務省経済協力局長

○政府委員(西山昭君) そうでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そこで内容ですが、開銀の目的等には、ここに条約にも書いてあるのですけれども、簡単に言って、大体いろいろのものがあると思うのです。投資もあるだろうし、融資もあるだろうし、融資の中でも長期だとかいろいろの問題があろうと思いますけれども、大体いまのところで主としてどんな事業に投融資をするのだという、裏話と言ってはおかしいのですが、かなりいろいろ、プロジェクトは別としても、大体の方向で、こういうものに対する主として出資あるいは融資なんだということは、いま私があげましたような、いろいろ、向こうのいわゆる事業に対する面接投資、それから政府の借款、融資ですね、そういうようないろいろなパターンがあるわけでしょう。大体どういういうふうなものに主としてやるのだということの話はあるのですか。

堀込聰夫大蔵省大臣官房財務調査官

○説明員(堀込聰夫君) 大蔵省のほうからお答えいたします。  アジア開銀自身につきましては、今後発足いたしまして、いろいろ理事会等でそういった運用の方向がきまっていく性格のものと考えますが、一つの同じような性格の機関として世界銀行があるわけでございます。これは全世界を相手にしておりますので、地域の開発銀行とは若干性格を異にするかとも思いますが、これらの前例によりますと、大体大ざっぱに申し上げまして、電力関係でございますとか運輸関係等が非常に金額的には多くなっております。そのほか一般の工業、農林漁業、その他いろいろ各般にわたって融資がされております。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そこで、さっきここで配られた、「東南アジア諸国の農業の現状と今後の農業協力」という外務省の、まだ全部読んだわけじゃないけれども、二〇ページあたり見ると、これは当然のことなんですけれども、東南アジアの農業開発に対して日本が大いにやってやらにゃいかぬというたてまえから、いままでの世銀なり第二世銀というようなものが東南アジアの農業開発あたり、どれくらいのパーセンテージをやっているかというと、この調査によれば、「世銀融資では、水産、林業をも含めて農業融資は件数にして一八%、金額では八%を占めるに過ぎない。」ということは非常に少ない。それから「第二世銀の場合は、農業の比率がやや高く、件数で三一%を占めているが、金額では二〇%である。しかも、世銀自体の東南アジアに対する関心はそう高かったとは言えず、世銀融資のうちこの地域に向けられたものは五・三%に過ぎず、」云々と書いてあるわけですね。こういうことでは困るので、今度アジア開銀ができるだろうと思うのです。むろんこれはプロジェクトを現に見てないのですからあれですけれども、やはりアジア開銀のこれは融資にしろ開発援助――投資も場合によってはあると思いますけれども、農業等に相当な重点を置くということがあってしかるべきで、ただ地域的に東南アジアというのじゃなくて、開発の内容というものはやはり東南アジア的の性格で、また、それの優先順位ということは十分考えられなければならぬと思うのですが、そこら辺のことは条約的には別にどこにも出てないと思うのですけれども、どういうふうにお考えですか。

堀込聰夫大蔵省大臣官房財務調査官

○説明員(堀込聰夫君) 農業の開発の重要性がアジアの経済開発において重要であるということは、みんなの共通した認識であると思うのでございますが、従来、世銀とIDAの制度があるわけでございますけれども、やはり従来世銀等での農林漁業に対する融資の割合が若干少ないということは、やはり農業の開発の採算性と申しますか、投資としての性格に起因する面が多分にあるかと思うわけでございます。アジア開銀の場合には、そういった一般の通常財源による貸し付けの場合には、同じような問題――採算性と開発の重要性という二つの問題に直面して、今後運用上その問題が議論されていくかと思います。当面、通常財源のほかに特別基金という非常に条件の緩和された形の融資が一割分について行なわれることになっておりますので、そういったものは、資金の性格上は農業開発等になじむ性格のものではないかというふうに一応は考えられると思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 これは根本的の方針の問題だと思うので外務大臣からも伺いたいのですけれども、むろん採算性を無視していいとか焦げつきになっていいという意味じゃないけれども、アジア開銀の意味は、単に採算性だけから考えられるべきでなくて、それだったら、それこそ西欧諸国の石油会社の投資かなにかに融資してやれば一番安全だということになるので、これじゃナンセンスですね。したがって、採算性とかなんとかいうことだけじゃなくて、むずかしいことであるけれども、農業関係その他の基礎的なサービス等に対する投資、融資ということに重点を置かるべきだと思うのですが、そこら辺のことについての政府の方針という意味で、こまかいことは要りませんけれども、大臣から伺いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) この間東南アジア開発の閣僚会議を開いたのでございますが、農業問題は、人口の増加に伴ってますます食糧が要ると、ところが、食糧増産の数字が非常に低いわけであります。でありますから、数年これをほうっておくと、だんだん半飢餓状態におちいるようなところも出てくるのではないか。そういうことで、問題をどこからともなく提起されまして、まず食糧増産をしなければならぬ、こういうことで、特別に、この間の閣僚会議が母体となって、専門家を交えた東南アジア農業開発会議というものを別に持とうということになったわけでございます。これはどうも、いろいろ私どももまだ勉強しておりませんけれども、とにかく、ああ太陽の光と熱と豊富なところであるにもかかわらず、二毛作をやっていない。結局、水が足りない。雨季と乾季があるところでは、乾季にはまるきりかすかすになってしまう。それで、かんがいということが何といっても大部分の国に必要なようであります。しかし、これは非常に金のかかる問題であって、そう簡単に取り組むわけにはいかない。こういったようなことがかなり共通問題として、アジア開銀などで長期低利の資金を融通して、政府の責任においてかんがい事業を実行させるというようなことが非常に必要じゃないか、こまかいことを言いますと、いろいろございましょうが、私はどうもさしあたりしろうとながら感じたことは、こういうことでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 もう一つこの点に関して伺いたいのは、一方において従来だったら政府からやるやつは輸銀ですがね、長期借款は。それと開銀からの融資とのかみ合わせばどういうことになるのですかね。というのは、せっかく二億ドルの出資はしたけれども、大体そっちでやってもらうからといって政府借款のほうは全然やらぬというのじゃ、これじゃ満足は買えないと思うのですね。まあ、いろいろケース・バイ・ケースですけれども、大体のパターンとしてはどういう点の、何か職務分担といいますか、こういう種類のものは政府の長期借款でやる、こういうふうなプロジェクトは、特に東南アジア諸国に共通のような場合には主として開銀でやるとか、何か有無相通じて、両方で協力し合う、補完し合うというならいいけれども、こっちを出したらこっちは減らすというのでは意味がないと思う。そこら辺のことはどういう考えなんですか。

西山昭外務省経済協力局長

○政府委員(西山昭君) 御承知のように、開発銀行の出資金はごく限定された金額でございまして、今日、後進国が経済開発のためにいろいろ必要とします資金の需要は非常に大きいわけでございます。OECDの統計によりましても、後進国が受けております援助額の九割以上が二国間で供給されているような現状でございまして、いろいろ国際機関を通じましてやるのは利点がございますので、漸次国際機関を通じてやる方向には行っておりますけれども、大勢といたしましては、まだなかなか国際機関だけでできるという性質のものではないわけでございます。アジア開発銀行にいたしましても、もちろん、従来の世界銀行、あるいは第二世銀等からのこの地域に対します融資を排除するわけではございませんで、いろいろ連絡をつけながら効果的にやる必要があるわけでございます。また、各国との関係におきまして、なかんずく日本との関係におきましても、それぞれ特徴を生かしながら、随時アジア開発銀行の運営方針、それから、日本が二国間ないしは多数国間との関係で、日本としてアジア開発銀行と別個に提供いたします経済協力の方向というものを、御指摘のように、矛盾しないように、あるいは重複しないように、かつ、効果的にやるように、随時緊密な連絡を保っていく必要があろうと思います。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 今度は、現実に開銀を運営するにあたっての、総務というのですか、それと理事会というような機関によって、たとえば本店は、いわゆる受け入れ国、つまり東南アジアの国のほうに設けるとか、総裁はやはりその域内の人から選ぶとか、それから理事会の構成等についても、いろいろ、結局、先進国偏重でないということの苦心をいろいろ工作をされておるわけですね。しかし、同時に、やはり出資の額に応じて、それに案分比例したような投票権の問題というようなのも、これも考案されておるようなんですけれども、なかなか投票権の計算のしかたがややっこしく書いてあるけれども、もう少し簡単に言うとどういうことなんですか。私の結局伺いたいのは、非常にうまく受け入れ国、域内国の利害関係を尊重するようになっているけれども、現実に、アメリカ及び日本は域外国であるけれども、先進国の与える側について見れば、そういうところから二億ドルずつ出して四割の発言権を持っちゃって、そのほかもう一つ域外国の金持ちが出したら、実際上は域内国の意見というものが投票上は圧迫されてしまって、出資に相応する発言権というものが強くなって、結局、大株主はやはり先進国なんだという結果になるおそれはないのかどうか。それから、機関の決定に当たっては、大体、単純多数ルールを守っているようですけれども、そういう点についてもそれでいいのかどうか。そこら辺のことをちょっと伺いたい。

大和田渉外務省条約局外務参事官

○説明員(大和田渉君) 御質問の、まず各国の持つ投票権の数でございますが、その仕組みを簡単に御説明申し上げますと、出資額に応じた比例票というのがございます。これは一万ドルにつき一票ということになります。具体的に申し上げますと、日本の場合二億ドルでございますから二万票持つわけでございます。その比例票のほかに、基本票というのを各国が持つことになっております。   〔委員長退席、理事長谷川仁君着席〕  その比例票と基本票の割合は一対四になっております。したがいまして、いま十億ドルの授権資本で発足を見ようとしておりますが、基本票の総計は二万五千票になるわけでございます。その二万五千票を加盟国の数で割ったものが基本票になるわけでございます。したがいまして、現在三十一カ国が署名いたしておりますから、二万五千を三十一で割ると、八百余票が出てまいります。で、具体的には日本の票は二万八百余票ということになります。アメリカも二億ドル出資を予定いたしておりますので、同じ票になります。その占めるパーセンテージでございますが、日本の場合、約一六・八%になります。したがいまして、もし、まあ先生御指摘のように、日本とアメリカが組めばという仮定でございますれば、三三・六%の票を占めるということになっております。票の点はそういうことでございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そうすると、つまり、たとえば十億ドル、そのうち二億ドル、二億ドル、だから、かりにそれだけの計算でいけば日米で四割と、そういうわけじゃないわけですね。もう少し大株主が、大出資者がやや不利になるような計算がされておるというのですね。

大和田渉外務省条約局外務参事官

○説明員(大和田渉君) その点を考慮して基本票というものを考えておるわけでございます。しかし、それにいたしましても、基本票の計算方法は、先ほど申し上げたようなわけで、日米合わせますと、出資額でいいますと四〇%でございますが、票の数は約三三・六%ということになっております。  それから、小国の意見が大国によって圧迫されるのじゃないかという点でございますが、確かに票の数だけから申しますと、そういう点があるかもしれませんですが、一般的に申しまして、会議の定足数というのがございます。定足数は頭数で過半数、総数で三分の二ということになっております。したがって、仮定の問題でございますが、もし小国が大国の専横を妨げたい、許さないという趣旨で出席を拒めば、その会議が成立しないわけでございます。総務会、理事会ともに定足数というのがまずございます。それから表決でございますが、一般的には過半数でございます。ただ、非常にたくさんの項目がございますが、この協定の各条文に規定してございますが、全会一致を要するというような項目もございますし、四分の三の多数を要するという項目もございますし、三分の二の多数を要するという項目もございます。したがいまして、定足数の問題でまずチェックできるということと、項目が重要である場合には、単純多数以上の票を規定が要求しておりますので、そういう面からチェックできるというふうに考えております。

長谷川仁自由民主党

○理事(長谷川仁君) 他に御発言なければ、両件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗