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51回国会参議院1966/04/19

外務委員会 第7号

発言数
75
登壇者
8
会派数
4
開催日
1966/04/19

会議録

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、第二次国際すず協定の有効期間が本年六月三十日に満了するので、それにかわるものとして昨年ニュー・ヨークで開催された国連すず会議で採択されたものでありまして、わが国、英、仏等十六のすず消費国及びマレイシア、インドネシア等七のすず生産国が署名を行ないました。  この協定の骨子は、すずの国際価格を協定で定める最低価格と最高価格との間に安定させるようにするため、すずの供給が過剰となったときに生産国に輸出統制を課する制度のほか、生産国がすずの現物及び資金を供与し合って緩衝在庫としてプールしておき、市価が上昇ぎみのときはこの緩衝在庫の現物を市場に売り出し、市価が下降ぎみのときは緩衝在庫の資金で市場のすずを買い上げる制度を設けることであります。このように、価格安定措置は生産国側の義務として行なわれるものでありまして、消費国側に輸入量、輸入価格等について具体的制約を課するものではありません。なお、この協定は、若干の技術的改正を除き第二次協定の規定をそのまま踏襲するものであります。  すずの国際価格の安定は、需要の九割以上を輸入に依存しているわが国にとって望ましいことであるのみならず、また、すずの価格安定を通じて開発途上にある生産国の経済発展に寄与することとなるので、わが国が第二次協定に引き続いてこの協定の締約国となりますことはきわめて有意義と存じます。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 本件に対する自後の審査は、後日に譲ることといたします。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決をいたします。  在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。  〔賛成者挙手〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  これより、当面の国際情勢について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 先日来、日米安保条約に対する外務省の統一見解が出たり、それからまた自民党自身としても、これに対処する何か特別の委員会を設ける構想等が発表されておる。また昨日は、下田外務次官の、核に対するものと安保との関連性についてまた重ねて見解の表明があったわけですが、この種の問題は、ここでわずかな短時間に簡単に論議して片づく性質のものではないと思いますので、これはいずれ時間もあることですから、長期にわたって本格的に政府、野党が十分に取り組みをすべきものと思いますが、それにしても、とりあえずそういう見解が一応示されましたので、二、三これについてお尋ねをしておきたいと思います。  この種の、安保というような重要な問題は、政府の最高首脳部が十分な検討をして、それから案を練って、その上に見解を発表すべきだと思うのですが、外務省がそのつどひんぱんに見解を表明されておる。私はこれはどうかと思う。むしろ高度の政治的な判断に基づいて日本政府自身が取りまとめた意見を述ぶべきだと思いますが、それはともかくとして、まだ時間が十分あるのに、どうしてこんなにも急いでこの問題についての見解を発表されるのか。むしろ、私どもから言うならば、時間があるのだから、その間に安保を必要としないような客観的な条件、国際情勢、それをつくり上げることこそ、いまの日本の政府にとりまして一番重要な問題があると思うのですが、それを、そういう緊張緩和や安保を必要としないような情勢に取り組むのがむしろおろそかになっておって、しきりと安保長期固定化のPRをする、いまからPRする、こういうことは私たちは合点がいかないのです。まだ先に日が長いのにどうしてこんなにPRしなければならぬのか、この点からひとつ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これはただ外務省で従来の国会の審議の経過等を取りまとめたものにすぎないのでございまして、要約したものにすぎない。それで、今後日米安保条約というものをどういうふうにしていくかということについては、御指摘のとおり、高度の政治的判断の問題でございまして、十分に時間もありますので、研究を重ねてそうしてタイムリーに結論を得たい、こう考えております。特別にこれを長期固定化するというような考えが固まっているわけでも何でもございませんし、また、そういう方向でPRしているわけです。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 この問題は、いま申し上げましたように、日本を取り巻くアジアの国際情勢、特に緊張緩和に重点を置いて、対中国問題あるいはベトナム問題、これらの取り組みの中にこそ解決の指標が見出されるのであって、そういう問題を度外視して、一方的に長期固定化というようなのが出てくるのは私たちは納得できませんが。  そこで、ごく具体的な問題になりますけれども、一、二伺っておきたいことは、この統一見解ではこう書いてあります。「もし米軍が日本の基地を使用していることを理由にして、ある国がわが国にある米軍基地を攻撃したとすれば、それは安保条約第五条にいう日本に対する武力攻撃を意味するものにほかならない。従ってこのような武力攻撃を行なおうとする国は、安保条約第五条によって日本防衛にあたる米国との間の、武力衝突を覚悟しなければならない。」こううたっておるわけです。日本の基地を使用して第三国に対する攻撃が行なわれない限り、相手国が日本に攻撃をしかけてくるはずのないことは、これは当然のことであります。そんなことはあり得べからざることだ。問題は、そうではなくて、日米安全保障条約によって結ばれたこの日米というものが、特に日本が米国との協力次第によってはかえってアジアの緊張を高めて、そうして相手国の防衛力あるいは軍事力を一そう強めていく。その結果として相手もまたさらにそれに相応する体制を強めるわけですから、事と次第によっては、その結果として、日本が、基地使用あるいは日本からの発進を認めざるを得ないような矛盾をさらに深めていく。そこに問題があるわけです。ですから、何も問題がないのに相手が攻撃してくるはずはないのであって、むしろ、この安保があることによって、あるいは日本が今度のような考え方をとることによって、それでアジアの緊張が弱まるかというならば、逆に強まる場合もある。それなら、相手もいっそ核の開発を積極的にやろうという国も出てくるかもしれない。そうなれば、日本のアメリカの核に対する依存力は一そう強化して、そして終局的には、基地の使用は認めない、その場合には事前協議と言っておりますけれども、認めざるを得ないような条件が出てくるのじゃないか、際限のない矛盾を繰り返していくんじゃないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) あくまで防衛の趣旨を持っておるのでありまして、米軍の基地が緊張を高め、そのためにアジアに無用な混乱を巻き起こすというようなことは考えておりません。むしろ、まる裸でおるということがかえって主観的にも客観的にも非常に安全を脅威されるというような状況になるのでありまして、日米安保条約によって米軍の基地が存在するということによりましてそういう不安というものを未然に防止することができる、いわゆる抑止力の存在ということによって主観的にも安全感を強めることができます。客観的にもそういう情勢を招かないということになる、こういうことをわれわれは考えておる次第でございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そういう点は、根本的に意見が違うのですから、それはとにかくとして、もう一つ、この統一見解ではこう書いております。「核抑止力をいかに配備管理するかについて、日本がこれに参画し、または協議に加わることを、米国から求められたことはないし、また日本が米国に対し、このような意味での核戦略に対する参画ないし協議を求めたこともない。」こう言っておりますが、そうすると、これは核に関する限りは、一切の権利権限、その配備、戦略みなアメリカにゆだねることになるのですが、いざ有事の場合には、当然そういう問題が起こってくると思いますから、いまは参画しておらないにしても、実際に何もなければいいのですよ、ないために、核抑止力ということで、つまり、何らの問題が起こらぬことを予想してあるいは政府としてはこの核抑止力ということを言っておるかもしれませんが、しかし、かりに何かあった場合には、日本が核戦略にも参画しないし、配備の管理に関して何らの意見をアメリカから求められたことはないと言っておりますけれども、終局的には、すべての権利権限をアメリカにゆだねるということを意味するのじゃないのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは、言うなれば、ありそうもないことを予想してのいまの御質問でございますが、とにかく現実問題としては、核の持ち込みはこれは方針として認めない方針を堅持しております。それからまた、わがほうの領域外の核戦略の諸問題について、日本側が相談を受けたこともないし、また、その要求を日本から出したこともない、こういう事実をそのままうたっているのでございまして、これが将来どうなるかというようなことにつきましては、私は、あまりにどうもありそうもない事実に立脚する御質問でございますので、この際としてはお答えいたさないほうがかえって誤解を生じないと思うのであります。お答えできません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 大臣、お断わりしておきますが、私もあり得べからざるようなことを特に問題にして論議しておるのじゃないのですよ、私はそういうことは大体きらいな性分ですから。だが、外務省の統一見解に、参画を求められたこともないし、日本も参画する意思も何もないと言っているでしょう。しかし、アメリカの核防衛に依存すると言うんでしょう。それはことばのあやで言ったのならいいのです。それが日本の基本的な防衛政策であるなら、それじゃ、あり得べからざることだと言うなら、安保は要らぬわけです。もし起こったならどうするというのですか。すべての権限をゆだねるのですか、核戦略についても、核の配備についても。それまで説明しなかったら、こんな統一見解を出すのは迷惑です。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく、いかなる外部の攻撃であろうと、アメリカが日本との間に集団防衛条約を結んでおるたてまえに立って日本の安全をあくまで防衛する、その責任を果たす、こういうことを言っておるのでありまして、問題は核ばかりではありません。一般通常兵器における戦略構想等についても、日本が絶えずアメリカと相談して、戦略構想を練っているというような事実はないのであります。アメリカはアメリカとしての独自の戦略というものによって条約上の責任を果たそう、こうしているのであります。核戦略についても同様であると、こういう事実を申し上げておるわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはわかっているのですよ。そこはわかっているのです。それはそこまではわかった上でこういう質問をしておるので、だから、こういうことは、いま申したように、私の性にあまり合わないのです。合わないけれども、しかし、そういう事態がかりに起こったような場合に、日本は寝ころんで御自由に、そんなことで済まされるのかどうかということですね。しかも、そんな先のことを予想して議論するのはおかしい話ですけれども、外務省の見解が明らかにそういうことは、日本に何も関係ないと言っているのだから、質問せざるを得ないだけの話です。いまの外務大臣のお答えなら、そこまでのことはわれわれも承知の上で言っているのです。全然そういうことが起こり得ないものだと言うなら、核柳止力があるから起こらないとおっしゃるけれども、そういうことが起こらないなら、私たちはむしろこんないまの現行体制を長期固定化する必要は毛頭ない、そう判断せざるを得ない。起こった場合にはどうなさいますかと言っているのです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく、そういう日本が攻撃を受けたという場合には、日米の間で絶えず協議が行なわれるわけでございます。その協議の内容は、私は、事戦争に関する問題でございますから、どういう協議が行なわれるはずであるというようなことはちょっと申し上げにくいのでございます。いずれにしても、日本は日本としての自主的な防衛力を持っておるわけでありますから、それをどういうふうに日本がやるのが適当であるかということを判断するために、アメリカと——米軍と絶えず協議する、そして自分の防衛上のなすべき問題を発見してこれを実行するということになると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 これは結局は、先ほど来申し上げておるように、日本自身がこのアジアの緊張を緩和するために、対ベトナム、対中国問題等、具体的にどういう施策を、しかも、それを積極的に緊張緩和に役立つような政策を進めて、そして一九七〇年には安保を必要としないような条件——われわれはいまでも必要としないと思うけれども、政府の立場からいっても、安保を必要としないような条件をできるだけつくっていくという、そのために日本が全面的な、日本の外交が全力をあげて努力を積み上げていくということであるべきだと思うんですね、私たちは。ところが、もうそういうことについてはほとんどそれはもう、ベトナム問題で平和解決に努力するとかなんとか言っておりながら、実際にはアメリカの政策を支持しており、対中国の問題についても、解決の糸口はほとんどない。依然として昔ながらの立場を堅持しておる。そういう一方の緊張緩和に対する努力をおろそかにしながら、それで他面においてはこの安保の長期固定化だけを問題にしておる。だから、いまこそ日本は全力をあげて、この日本の置かれた環境をよりよいものにするために、安保を必要としないような条件をつくるために最善の努力を払うという、そういうことがいまの、これから一九七〇年までの、日本の外務当局はもとより、日本政府に課せられた至上の課題ではないかと思うんです。そういう努力を幾ら政府がやってもなかなか成果があがらないという場合は、これは別ですよ。しかし、そういう努力は全然見えないじゃないですか。むしろ、ただいま、昨日から始まっておる韓国主催のアジア外相会議等、これは日本の立場はいろいろ言われましても、むしろわれわれが要請しておる問題とは逆行するような方向に進みつつある。ですから問題は、今後数年間を目ざして日本外務省あるいは政府が全力をあげて国際情勢の緊張緩和のために努力することが当面日本外交に課せられた任務で、いまからその長期固定化をPRするなんていうことは論外だと私は思うんです。時間もあることですから、私は、こまかいことはこれから先何年も論議せぬならぬのですから、多くを申し上げませんが、そういう点は外務大臣としてひとつはっきりした考え方を持っていただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、安保条約を必要としない環境を日本がつくることができれば、これはたいへんなことだと思うのであります。結局、そういう環境は国際世論というものによって漸次つくり上げられるものであると思うのであります。日本はしかし、その間に処して何もしないのかということでございまするが、そういう点では日本としてはみずから核の開発をしない、それからまた、海外派兵もしない、日米安保条約は日本の安全を保持するための最小限度のものであって、核の持ち込みもこれはまあ認めない方針を固めておる。核拡散防止の問題についても日本はこれに賛意を表しておる。しかし、これに参加しようという態度を示しておらない国があるのでありまして、核拡散防止ということはそういう面からも非常にむずかしいのではないか。日本自身といたしましては、とにかくまあ平和外交という基本線に沿うてしっかりした信念に基づいてたびたび対外的に声明も出し、それからみずからも守るべきところは守っておる。これはまあ日本としては努力の最大限ではないか。しかし、情勢いかんによっては、また日本のできることは今後もやっていかなきゃならぬと思うのでありますが、何もしないということはこれは当たらないのではないか、こう思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 日本がですね、下田次官の見解によれば、日本が史上初の被爆国としての立場にある。同時に、核開発能力を持ちながらも核を保有しないと、こういう立場に立って、積極的に大国——核保有国に対して核軍縮を迫っていくというそういう立場であるならば、むしろ、日本自身がこのアメリカの核に依存するというようなことを公然と表明しないことのほうが、より効果的であり、説得力を持つのじゃないですか。日本はアメリカの「核のかさ」にあるのだから——まあ「かさ」ということばはとにかくとして、そういう立場をとりながら、そうして、一面でいま下田次官の言われたようなこと言いましても、これは説得力がない。この問題どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、国の安全は理論では片づかない問題でありまして、もう何もしない、無防備、平和中立主義、それでは、まことに遺憾なことでありますけれども、現実問題として安全感は得られない。そういう現況でございますから、日本自身としては、国の安全ということはどうもかえられない。理屈だけ通って国の安全が脅威されるというのでは、これは大多数の国が承知しないのではないかと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 そういう議論をされると、こちらも大いに議論があるのです。それはね、防衛の方法の問題なんですよ。これはもう、ずいぶん私、日韓のときに総理や外相とやりとりしましたから多くを申しませんが、防衛の方法の問題ですね。ですから私たちは、いま私たちが考えておるような立場のほうがより多く日本の安全に役立つという立場をとっておるのでありますから、無防備といいますけれども、おそらくアジアでは、韓国あるいは台湾あるいは中国本土のこの地上部隊を別にすれば、最強の軍隊でしょう。それだけのものを持っておる。それは、いま社会党がかれこれ言ったところで自衛隊がなくなるわけでもない。そういうものを持っておるわけです。そういう中で、特定な国に依存するような外交政策はとらぬほうがいいじゃないかと言っておるだけで、裸で寝ころんでへ理屈を言っておるということじゃないのです、それは。まあしかし、こんなことはそれは水かけ論になりますから多くを申し上げませんが、先ほど来外務省は、何もしないと言うけれどもと言われましたが、積極的に中国問題についても打開の道はない。それからベトナム問題についても、今日までのところ、ただアメリカの立場を、北からの浸透に対してはやむを得ないということでアメリカの立場を支持しておる。だから、結局力の均衡の拡大でしょう。だから、均衡を縮小させるような努力というものはほとんど払われておらない。そこに問題がある。何もやっておらぬというのはどうかと言われましたが、やるにはやるけれども、力の均衡を拡大することをやっておるわけですね。やり方が違うわけです。確かにおやりになっておる、いろんなことを。しかし、それはわれわれの指向する問題と全く異質のものであるということです。まあ、そういうことでありますが、安保問題は先ほど来申し上げて、時間のあることでありますから、これは機を見てゆっくり申し上げます。  そこで、これに関連してアメリカのラスク国務長官が議会で対中国問題についていろいろ具体的な証言をされたし、あるいは武内駐米大使と会談をして、かなりベトナム問題あるいは中国問題について突っ込んだ会談が行なわれたのではないかといわれておる。これは来たるべき日米経済合同委員会においてもこれらの問題はさらに深い論議がかわされるのではないかとも伝えられておりますが、この後に予想される日米経済合同委員会等ではどういうことを議題として討議されるお考えを持っておるのか。まだ時間もあることですが、武内大使とかなり突っ込んだ意見もかわされたということであるし、それからラスク長官もいろんな意見を議会で証言されておる。これらと関連して、日本がもしアメリカのこれらの多数の閣僚を迎えて会談をするというならば、どういうことを中心に討議をされるのか、この機会に伺っておきます。

安川壯外務省北米局長

○政府委員(安川壯君) 閣僚委員会の議題、日取りもまだ確定しておりませんし、どういう議題を取扱うかということについて、まだ先方と協議いたします段階になっておりません。いずれ日取りが確定いたしましてから先方と協議いたすことになると思います。ただ、この会議それ自体は、その名のとおり経済貿易委員会でございますから、その会議の議題として、たとえば、ベトナムの問題でございますとか、中国政策というようなものそれ自体をこの会議の議題として討議の対象にするということは、この会議の目的から申しまして、あり得ないと思います。ただ、これはことしに限りませず、毎年、ラスク国務長官も見えますので、この会議と別に、外務大臣と国務長官との別個の会談というものは、例年の例もございますので、今回もおそらくあるかと思いますが、ここでどういうことを議題にするかにつきましても、まだ具体的に先方と協議する段階に至っておりません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 もう一点だけ。議題が何であるかは実を言うと私はそうたいした問題じゃないのです。そのときに一体椎名外相としてどういうことでアメリカのラスク長官その他の閣僚と話し合いをされるのか。対中国問題、ベトナム問題、特にベトナム問題などは最近の情勢はいままでの事態と全く違っておるのじゃないかということもいわれておる。そういう情勢の中で、議題を何にするかということはとにかくとして、外相としてはたとえばベトナム問題の積極的打開のためとか、あるいは対中国問題の前進のために積極的に取り組む意思を持っておられるのかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) この合同委員会の性格からいってどういう議題に限定されるかというようなことは、いま北米局長から申し上げたとおりであります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いや、個別会談でもいい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 個別会談等においては、やはり両国の関心を持つ国際情勢について問題を取り上げることになるのでありますから、したがって、東南アジアの動乱しておる今日の情勢に対して、やはりどうしても話はそちらのほうに入ることになると思いますし、また中共の問題、これはきわめて国際的に重要な問題でございますから、これらの問題についても話し合うことになると思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 ただいま羽生委員のほうから、ラスク国務長官がもし日本に来るような場合において、中国との問題、あるいはまたベトナム問題が問題になるであろうというように言われたんですが、最近のベトナムの情勢を見ておりますというと、とにかく南ベトナムにおける政変の徴候がある、そしてグエン・カオ・キ政権の将来はもはやきまっておるように見えるわけです。今回のいろいろな仏教徒によってリードされましたデモンストレーション等を見ますというと、かなり反米的な色も出ておる。その底に流れるものは一つの厭戦的な、何でもいいから戦争をやめてほしいというような南ベトナムの国民の考え方であります。これがグエン・カオ・キ政権に非常に大きな動揺を与えることになっておる。おそらく今後総選挙が行なわれて文民政府ができたといたしましても、戦争継続ということは非常に困難になってくるであろう。アメリカの一人相撲ということの色彩が濃くなればなるほど、南ベトナムの国民は離反する、こういうことになっていくんじゃないかと思います。こういうような事態になってまいりますというと、アメリカの対ベトナム政策というものはだんだんジレンマにおちいってくる。戦争政策を強行していけばいくほど、エスカレーションを拡大していけばいくほど、南ベトナムの国民のアメリカに対する態度は離反をしてくる。もし南ベトナムの民衆の要望にアメリカが応ずるということになれば、アメリカの戦争政策というものはその目的が失われていく。こういうことになろうかと思われるのであります。もはやベトナムにおける戦争においてアメリカはその戦争の意義、目的というものをすでに失いつつあるように見えるのであります。こういうような事態になってまいりました場合に、私ども周辺におる者としても、一日も早く戦争を片づけなければならぬ。戦争の状態というものを終息させるための国際的な努力というものがされなけれならぬ。いままでのところ、日本政府は平和解決を望む、望むと言いながら、実はアメリカのシリ馬に乗ってというか、アメリカのやり方を支持ばっかりしてきておる。これは私はもはや捨つべきではないかと思う。現にラスク国務長官でさえ、もし南ベトナムで新しい政権が非同盟的な立場をとるというようなことになれば、アメリカも手を引かざるを得まいというような意見も発表されるようになってきておるわけであります。日本といたしましても、日本だけではできないが、各国とともに積極的に戦争状態を終息さして、ベトナムにおける平和の確立のために積極的な行動を打ち出すべきときが来たのではないかと思うんですが、この点について外務大臣は日本もまた各国とともに積極的に動き始める用意をお持ちかどうか、その点からお聞きしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 仏教徒のデモの背景をなしておる考え方というものは、いまのベトナムの政権をかえようという以外に、基本的なあり方というものを否定するという考え方じゃないようであります。それで、やはり軍事政権を適当な機会にこれを切りかえて文民政権にかえるということについては、私はこれは情勢が許せばやっぱりやるべきじゃないかと、こう思うのであります。その新政権が多数の国民の支持を得て誕生し、その新政権がどういう一体南ベトナムの現状に対して判断をするか。そういう事柄は十分に尊重されなければならぬと私は考えます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 しかし、すでに各種の徴候からして、アメリカがあまり南ベトナムに干渉する、南ベトナム国民不在の戦争をやっているというようなことが大っぴらに論議されるような事態も生まれてきておるし、北部においてはそういうことに反対するデモも行なわれておる。文民政府ができて、これがいまの軍事政権と同じようにアメリカ側と協力して戦争政策を遂行する。それ以上に強くアメリカとともに北に対して戦うというような徴候を私どもは見ることはできない。これは判断の相違になりますが、もし南ベトナムの政府がその態度を変えて、たとえばアメリカがあまり積極的に北との戦争に突っ込んでいこう、そして南ベトナムの独自の立場なり政策なりというものと矛盾してくる、こういうことになってきた場合に、アメリカ側でも言われるように、アメリカが手を引くというような事態が起こってこないとも限らない。そういうような状況が一方において予想される場合に、やはり日本側としてはそれに対して何らかの方策を考えておかなければならぬじゃないか。日本は何もバスに乗りおくれるとか乗りおくれないとかということは別としましても、とにかく近い地域において戦争がある。それがいま一つの大きな曲がりかどに来ておるというような事態にあるとすれば、私どもは、政府としての考え方というものも、それに対処してやはり各国とともに片づける方向で努力をすべきではないかと思うのですが、重ねてそういう努力をされるのかどうかお伺いしたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これも、まあ情勢をよく見詰めまして、それに対する自主的な判断を下した上でとられる行動でございますから、いまから予断をするわけにはまいりませんが、とにかく新政権が事態を収拾して自主的な判断を明確にした場合には、私は尊重されなければならぬと思います。そういう事態に当面して、日本としては、日本自身の国益のために何が賢明であるかということを十分に判断をして外交行動をとるべきであると考えます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 そういたしますと、ベトナム問題については、十分に情報を集め、そうしてそれに基づいて適当な判断を下して、もしできるならば他の国と一緒になって早い機会に何らか解決のために日本も手を打つ、こういうことであると解釈してよろしいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 大体の考え方はお説のとおりでよかろうと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 五月の十一日ごろに、ソビエトのグロムイコ外相が日本に来る。もちろん領事条約の調印ということが行なわれるわけでありますけれども、その際にやはり国際的な問題を論議される。そうしてベトナムに関する問題も論議されるだろうし、また、核拡散防止条約に関する問題も論議されるでありましょうが、日本側としては、このベトナムの情勢に関してソ連が何らかの手を打つ、動き出すことを、日本としては期待しておるのかどうか、また、日本側としては、ソ連が動きだすことを求めるのかどうか、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ちょっといま、どういうふうに問題を取り上げるかということにつきましては、ちょっと予断を許さない問題だと思います。いずれにしても、両国関心の問題について個別会談において取り上げるということになろうと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 次に、昨日からバンコックで、韓国が提唱しましたアジア外相会議の予備会談が行なわれておる。で、日本から粕谷大使が出席しておりまして、外務省のほうでは、この会議が反共的な目的を持った会議にしないようにすること、そして、経済的、社会的、文化的な協力をするようにすること、この会議が恒久的なもの、あるいは定期的な会合、そういうものにならないようにすることという訓令を出したように新聞では伝えられておる。そのとおりでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これはたびたび国会におきましても私が申し上げておるところでございまして、ただ空疎な宣伝的な決議をするというようなことでは意味がない。これは過般の第二回のAA会議が開かれようとしてとうとう成功しなかったのでありますが、AA会議に臨む場合においても、ただ空疎な宣伝をするというような場であってはならぬということをわれわれは考えておるものでございまして、同様にこの問題につきましても、反共のから宣伝をするというような、そういうことはたいして意味がない、こうまあ考えておりますので、そういったような線に沿うて訓令を出してございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それからシンガポール、ビルマ、カンボジア、インドネシアに対しても会議に参加するように招請をするということも提案したようですけれども、これはやはりそのとおり会議で認められたのかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的国名は指示しておりません。ただ、広く会議のメンバーをなるべく広くやって、そしてあまりこり固まらないというような考慮をすべきであるというような趣旨において訓令を出しております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いま私があげました四つの国がもし会議に参加すれば、その性格は変わると思います。というのは、この会議が招集されたのは韓国によってでありますが、この韓国の意図はしばしば朴大統領や丁総理、李東元外務部長官が明かにしておったように、反共戦線の強化拡大というような意味のようなことであります。しかし、いま言ったような国がもしこれに参加するならば、会議の性格が変わることになるわけでありまして、なかなかどうも参加しそうにもないわけです。日本がその基礎を、この会議の性格を反共的なものにしないということを実際に世界に示すためには、やはりこれらの国々が現実に参加することが望ましい。これについて日本は、すでにいま招集されている以外の国々に対して何らかの積極的な働きかけを行なったのか、そして、それらの国々が参加する見通しをつけられたのかどうか、その点はどうでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本としては積極的に働きかけてはおりません。これはまあもともと日本が提唱した問題でもない、まあ、おつき合いをしようか、しまいかという程度のことでございまして、そういう積極的な働きかけは今後もやる意思はございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 初め韓国が反共的な会議にしょうとし、また、参加国のうちにもそういうような考え方を持っておるのに対して、日本がこれを反共的なものにしない、こういうことであるならば、やはりこういう国々の参加を求めてその性格を変えさせるか、それでなければ、もっと何か別な積極的な手をもって、これが反共的な会議でないというふうに持っていく以外にないと思うのですが、その参加国が断わった場合に、ほかにどういうふうな方法をもってこの会議を反共的な会議でないものにしようとされるのか。そういうこともしないで、ただ自分のほうで提唱したものでないからというこでありますというと、ずるずるとこの会議に引っぱり込まれ、そしてアジアにおける日本の今日の地位からいたしまして、自然にこの会議のやはり主要メンバーということになってまいりますというと、外相の言われるような、反共的な団体にしたくない、会議にしたくないと言いながら、日本はそれに引きずり込まれて、日本自身がそれの主要的な役割りを演ずるという結果になりかねないと思います。その点はどうお考えですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まず、準備会議といたしましては、招請案内を出す国の問題を取り上げるよりも、この会議の中身ですね。建設的な会議の中身を重視すべきだと私は考える。そういうことによって、初めて今度は招請国の範囲を広げるという問題が次に出てくる、私はこう思います。そういう趣旨において現地の大使に指示をいたしております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 まあ、予備会議が終わりましてから、一体今度の会議の性格がどうなるかということもわかるので、その上であらためてお聞きすることにいたしまして、今度は、過日行なわれました東南アジア経済閣僚会議が終わりまして、各国の代表もそれぞれ帰国をした。あのときには特に具体的なプランというものが何らなかった。しかし、農業開発会議というものが設けられることになったわけですが、この農業開発会議がどういう具体的な構想を持っておるのか、そのことが一つと。  それから、外務大臣、通産大臣その他が各国の代表とそれぞれ個別に話されて、タイやあるいはマレーシアからそれぞれ金額あるいは向こうの計画を示して日本の協力を求められた、参加した各国はそれぞれ日本に対して具体的な計画を示し、金額を示して話し合いを持ち出してきた。そうして、それに対してどれだけの金を出す、あるいはどういう計画を援助するということについてすでにきまったものがあるかどうか、その点お伺いしたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだそこまでいっておりません。会議が二日間でございまして、どうも時間が足りなかったようであります。その後思い思いに各国の首脳者がそれぞれの用向きのある省を訪れて、そうして二国間の従来の問題の取り扱いであるとか、あるいは将来の経済協力問題等について大体話し合った程度でありまして、そのあとを受けて事務的にただいま各省において協議をしながら問題を研究しておるという段階だと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一点だけ。  インドネシアは今度の東南アジア経済閣僚会議でオブザーバーだった。それからさらに、インドネシアから緊急援助を求められておるが、このインドネシアから求められておる緊急援助、それについてインドネシアから有力なデレゲーションが来るようでありますが、このインドネシアに対する援助というものは、今度の東南アジア閣僚会議の結果の一部としてそうなったものであるのか、それとも、別個のものとして、インドネシアだけのものとして考えられておるのか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは別個のものとして考えられ、取り扱われております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 インドネシアに対する大体日本側の援助ですね、援助の構想、金額等はどういうことになっておりますか。

小川平四郎外務省アジア局長

○政府委員(小川平四郎君) さしあたりの緊急援助につきましては、二百五十万ドル決定しております。これから先の経済再建その他につきましては、まだ具体的にはきまっておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 それは、向こうの経済使節団が来たときに、今度は東南アジア経済閣僚会議のプランの一部として援助計画を、そのときやはり話し合いをし、きめることになるんですか。

小川平四郎外務省アジア局長

○政府委員(小川平四郎君) これはおそらく、今回の閣僚会議とは関係なく、むしろインドネシアの経済情勢を主として考えられることになると思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 その点ちょっと。  いまの点ですが、齋藤大使がいま来ておるようですが、その要請がどういう種類のものか、もしわかっておったら。現地の実情に即応して何らかの具体的な一ただ情勢報告だけなのか、そういう要請があったのかどうか、具体的な内容についての要請があったのかどうか。

小川平四郎外務省アジア局長

○政府委員(小川平四郎君) 具体的な要請はまだございません。おそらく来ると予想されております経済使節団がある程度具体的な案を持ってくる。齋藤大使は具体的な案を持ってきておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 インドネシアの債権国ですか、このインドネシアの債権国会議を持って、インドネシアの経済援助等に新たなる構想を持っておる。これについて日本は積極的にそういうものを設けて、そしてインドネシアを経済的に立て直すために努力をするというようなことも伝えられておりますが、そのためにすでに各国を打診しておるのかどうか、また、それの結果、幾らか見通しが出てきたのか、その点はどうでしょう。

小川平四郎外務省アジア局長

○政府委員(小川平四郎君) 各国とも似たような状況にございまして、輸出がとまっておる、あるいは債権が焦げつきになっておるという、似たような状況の国がございますので、単独でやるよりも、各国共同して整理及び再建の援助をしたほうがいいということをおのおの考えております。現地におきましても、またその他におきましても、そういうおのおのの感触の打診もしておりますけれども、これを具体的にどういうふうにまとめていくかというところまではまだ行っておりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 時間がございませんので、一、二質問したいと思いますが、外務大臣はたびたび、この安保の問題については、まだ早いと、あるいは考えないと、こういう御意見を私伺っておりますが、それにもかかわらず——国会における答弁をまとめたものだという趣旨だとは思いますが、安保についての問題点を、見解を発表しております。ですから、安保についてはまだ時期が早いといっても、当然検討しなきゃならない時点が来ると思いますし、何か逃げるような、あるいは回避するような態度じゃなくして、外務次官あたりは積極的に見解をたびたび発表しておりますが、外務大臣としては、時期的に、あるいはこの安保の問題について発表し、あるいは政府の確固たる意見も吐露しなければならない時期が来ると思うんですが、そういう面に対して——国内の問題についてだっていろんなビジョン、計画というものが打ち出されています。まして対外的、外交政策というのは、早目に態度なんかをきめておかなければ、国際状況の変化に伴って、さらにそれに対応しなければならない、こういう性格のものだと思うんですが、その点安保条約について検討はし、あるいは考えていらっしゃると思うんですが、いつごろそういう見解というものを、しっかりした考えというものを発表するお考えがあるか、あるいはそういう検討はいまどの程度までなされているか、その点はいかがでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) この間政府でまとめて新聞に発表したのは、現在の時点においてこういう点が問題点になっているということを整理したものにすぎないのでありまして、一九七〇年に一応十カ年の期限が切れる。その際に一体これをそのまま一年の予告で廃棄し得る状態のままで自然にこれを継続するという方法をとるか、あるいはまた、あらためて確定期限を付していくか、それともまた、根本的にこの問題に対して再検討するということになるかということになることは、これは四、五年先の問題であろう。でありますから、いまかりにきめましても、いよいよその時期に近づくと、それはやはり手直しをしなければならぬということにもなりましょうし、いずれにしましても、いま固定した考え方で七〇年を迎えるということは、何といっても早過ぎる、また適当でないと、こう考えております。それで、十分に国際情勢も見きわめ、十分に念を入れて、間に合うように案を固めてまいりたい、ただいまの状況では、その見通しとかあるいは考え方等について発表するまだ段階になっておりませんので、御了承願います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 何か私のこれは私見かもしれませんが、こういう見解が発表されるたびに、なしくずし方式で長期固定化の方向に向かっていくのじゃないか、自衛隊がつくられ、あるいは核武装はしない、持ち込まれないと言いながら、徐々にハーキュリーズができ、あるいはエンタープライズが入る、こういうようなことになりますと、核武装もできたあとになって、なしくずしに、もうこうなっちゃったのだからしかたがないと、こういうような弁解もあるような気がします。この安保の場合も、いま言いましたように、なしくずしで固定化の方向に向かっていく、こういうニュアンスを受けるのですが、その点、大臣、いかがでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いずれにしましても、これは国会において問題にされなければならぬ問題でございまして、いつの間にか、なしくずしで既成事実ができ上がったというような、そういう性質のものではないのでありまして、その点はそういうものでないということをひとつ御了解願いたいと思います。

黒柳明公明党

○黒柳明君 それから、先ほど大臣は、これは現時点においての安保の問題点をまとめただけだと、こうおっしゃいましたが、現時点においても、アメリカの中共に対する考えというのは、非常に変わっているのです。二つの中国を認めざるを——固定化しなければならないと、こういうふうに、またこの次の指導者が穏健派が出れば、またアメリカの対中国外交も変わるだろう、こういうような意見も出ているのであります。そうなると、あくまでも日本がこういう安保体制というものを、追従、追米外交というものを固持するような見解を発表し続けますと、いつかは、今度はほんとうに、政府は、対米追従外交はやってないとはいいながら、アメリカの態度が徐々に変わっていく。日本はそれに対していつまでも態度というものを変えない。少なくともアジアにおいてはアメリカをリードするくらいな外交を、先手、先手の外交を、手を打つと、また打てる段階にあると思うのです。そういうふうにやっていきませんと、やはりアメリカの言いなりになっていたじゃないかと、こういうような結果が出るようなときが近々来るのじゃないかと、こういうふうに思うわけですが、少なくともアジアにおいて日本が自主外交——もっと積極的な外交政策をとる、こういうふうな考え方に対して、いかがでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) アメリカ追随と、こう言われますけれども、意見が一致すりゃ同じ方向に向かっていくのです。意見が違えばこれはまた別な方向に行く。ただいまのところは、日米安保条約体制というものに対しては、アメリカと日本の意見が全く完全に一致しておりますが、これは日本の固有の国益から割り出した結論であって、何もアメリカが言うからそれにくっついていくというのではございません。よく七〇年の期限というものをにらみながら慎重にこの問題を研究していきたい、こう考えております。

黒柳明公明党

○黒柳明君 最後に、この問題点の中に、要するに、アメリカの基地が日本にあるからといって攻撃される、そういうふうに考えるのは矛盾だ、こうおっしゃっておりますが、また、この一番最後には、「一九七〇年においても、国際情勢に基本的な変化がない限り、現在の日米安保体制が維持されることが望ましい」、「基本的変化がない限り」はといっても、もう国際状況というのはいまがいまでもどんどん変化しております。当然四年後に変化がないなんということは考えられません。いま外務大臣も、当然変化があるからいまは見解は出せない、こういうふうに言っております。これこそ非常に矛盾があるじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その点いかがでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあいまの時点で考えると変わりそうもない、こういうことを言っているだけの話であります。そのときになってみなければわかりません。

黒柳明公明党

○黒柳明君 以上でございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 いま羽生委員や黒柳委員が問題にされた外務次官の名において発表されたものが、これはわれわれが受ける印象からいうと、外務次官の意見発表のようにとられるのです。大臣の説明によると、これは外務省の従来の見解あるいは政府の見解を整理したものだと、きわめてさりげない御説明なんですが、しかし、これは私はやはり今後の問題として相当考えていかなければならない。大体、外務次官は従来から、慣例上国会の政府委員にはなっていないのです。外務次官の名においてやられたものについてわれわれがほんとうに審議しようというのなら、外務次官をここに参考人じゃないでしょう、政府委員かどちらでもいいですけれども、来ていただいて論議するのが私は筋だと思うのです。良識のある参議院外務委員会に関しては、従来の慣行もあるので、まあまあ大臣が特に来ておられるのですから、大臣は最高なんですから、大臣に伺えばいいだろうというので、大臣を中心に議論をかわしていると思うのです。もしそれ、政府全体の安保なり核武器に対する基本的な政策ならば、さきに羽生委員が言われたように、もっと時間を取って十分に実は論議しなければいかぬのであるが、しかし、発表の形式として私はこういうやり方がはたしていいかどうかということは、相当考えなければいけない。これは外務省のやり方を制限するつもりはありません。しかし、もし答弁資料と言うのならば答弁資料として、あるいは従来の政府の発言を整理したものとして、そういう、何といいますか、前文つきで文章で発表されたらいい。そうでないと、やはりこれが現実には政策に触れていると思うのです。これは各位が述べられたとおりです。  たとえていえば、これは私ごく一点だけをあげて問題にしたいのですけれども、あの中で、有事駐留なんかというのはいわばナンセンスだ——ナンセンスということばは使っておりませんがね——そんなに信用ないのだったら、平時に断わっている、一朝事があるときには来てくれというのは意味をなさないのじゃないか、そんな信用できないなんというのなら、有事駐留というのは大体あまり例がない、こういうお話です。私は有事駐留ということにこだわるのじゃない。何となれば、民社党の正式な発表では、有事駐留ということばは使っていない。われわれの考えはあまり長くしゃべる時間もありませんが——羽生さんのように、安保がないこと自身が私は望ましいことだと考えているのじゃない。安保がなくても、日本の政治独立なり、あるいは日本の領土が侵されたり、あるいは日本が中立なったとして重武装をして、ついには核武装をしなければならないということは避けたい。要するに、日本の安全がはかられるならば、方法が他にあるならば、安保を固定的に考えるのはナンセンスだ、これは確かです。そういう意味からいえば、外務省の文章には苦心があるだろうと思うけれども、いまの佐藤さんあたりが軽々しくいわゆる安保固定だと言われる。安保をいまの形で絶対延ばさなければならぬとか、あるいは、自民党の一部にあるように、一年の予告でどっちかが破棄されたらあぶないから一定期間、かりに十年なら十年という期限をつけたほうがいい。そんなことを言うのは、これこそ羽生さんも黒柳さんともその点ぼくは意見が一致している。いまの段階でそういう固定することは避けるべきだ。私は、外務省は苦心をしておると思う。そういう政策に関連する大きな問題で、一体われわれが考えているような、何らかの意味のアメリカの日本に対する安全保障の約束は必要だ。しかし、同時に、常時駐留している形だけが安全保障のタイプじゃない。常時駐留なき防衛約束ということも頭からこれを否定し去らずに、そういう形におけるやはり日本の暫定的安全を考えたらどうか、こういう意向を、有事駐留ということばにからんで、それを何かやっつけてしまうというようなそういう政策的論議をああいう段階でするということは、これは私は単に従来の見解を整理したというだけでは済まない。これは一例にすぎません。その他、核兵器の問題と安全保障の関係において、これはいわゆる下田意見の中にわれわれが同意できる面もあります。必ずしも中国が核武装するという事態がなくても、これは現状においてはやはりアメリカというか、両陣営のバランスの上に日本の安全が保たれている。そういう現実を考えたときに、一方的に破棄というのは私は無責任だ。しかし、それはそれとして、これだけ重大な、真剣に論議される問題を、そう、さりげなく資料としてお出しになるなら、外務次官の発言、あるいは意見発表のごときかっこうは、私は当然避けるべきじゃないか。もし、そういうふうに政治論争になってもいいというなら、外務次官がここに、両院に出てきて、それでわれわれの質疑に対して答弁するという習慣を確立されるか、私はその点はぜひお考え願わなければならぬと思う。特に発表ぶりを見ていると、たとえば、別の問題ですけれども、イギリスのウィルソン首相を招く問題でも、これはむしろ官房長官のほうが功を急いだかどうか知りませんけれども、先に発表したのじゃないかと思う。ロンドンでは、まだ招待を受けてない。いま内交渉のような事態に一国の総理大臣が来るということを一国の官房長官が先にしゃべるなんというのは、私はでたらめだと思う。そういうふうに、外交の重要点についての発表の形式やあり方が乱れている。最高の責任者である外務大臣はそんなことでいいんですか。私はその点について、従来——私も病気しておったからあまり大きなことを言えないのですけれども、従来、かなり非常に重要な政治的な問題について——その意見の内容のいい悪いは別ですよ——従来外務次官発言という形の発表があったが、はたしてこれでいいかどうか、こういう問題についても、やはり私は、正式の発表なら外務大臣の名においてやられるとか、あるいは外務省のスポークスマンの名においてやられるのがほんとうだと思う。そういうことを含めて大臣の御見解を伺いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは下田次官の意見としてでなしに、外務省の事務当局が、従来国会において質疑応答の経過を、それを取りまとめたものなのでございます。それをたまたま次官の記者会見の際に北米局長がやった、外務次官から発表したものじゃないそうでございます。私もどうもうっかりしておりまして、その事情についてよく安川北米局長が知っておりますから、局長から事情をひとつお聞き取り願いたいと思います。

安川壯外務省北米局長

○政府委員(安川壯君) 事実だけを申し上げますと、「この日米安全保障条約の問題点について」という文書は、土曜日に私から発表いたしまして、それが日曜日の新聞に報道されたわけでございます。  それからいま、次官の発言とおっしゃいましたのは、おそらく昨日でございますか、次官が記者会見をいたしまして、私の文書とは別に、次官が記者会見をいたしましたのが、たしかけさの新聞に出ていると思います。これはそれぞれ別個の発表でございます。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 そこら辺のことはさらに理事会等で研究願います、本委員会の取り扱いとして。  外務大臣に伺いますが、外務次官をここに出してくれますか。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 速記をつけて。

曾禰益民主社会党

○曾祢益君 イギリスの首相の問題の真相は、どうなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、御指摘のとおり、一国の総理が訪日するということは非常に大きな問題でございまして、これは十分に了解を取りつけて、そうしてその時期等についてもほぼ明確に打ち合わせが済んだ後に同時発表をするというようなことに従来取り扱ってきておるのでございまして、いまでもその線に沿うて事を運んでおります。今度のウィルソン訪日の問題については、どうも新聞の観測記事と思われるのでございまして、政府筋は何らの発表も行なっていない、こう承知しております。

木内四郎自由民主党

○委員長(木内四郎君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十三分散会

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