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51回国会衆議院1966/02/24

予算委員会第四分科会 第1号

発言数
207
登壇者
26
会派数
3
開催日
1966/02/24

会議録

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、昭和四十一年度一般会計予算中経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、昭和四十一年度特別会計予算中農林省及び通商産業省所管について、審査を行なうことになっております。  審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。  それでは、昭和四十一年度一般会計予算中経済企画庁、農林省及び通商産業省所管並びに昭和四十一年度特別会計予算中農林省及び通商産業省所管を議題といたします。  これより順次説明を求めます。  まず、農林省所管について説明を求めます。坂田農林大臣。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 昭和四十一年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  最初に、各位の御協力を得て御審議をいただくにあたりまして、予算の裏づけとなっております農林水産業施策の基本方針について申し上げたいと存じます。  まず、最近における農業の動向にかんがみ、農政推進にあたっての基本的な考え方について申し上げます。  その第一は、国民食糧の安定的供給をいかにして確保するかということであります。国民所得水準の向上に伴い、食糧を中心として農産物需要は堅調を持続しており、これに対応し、農業生産もこれまでおおむね順調に増大してきましたが、最近、一部に増大する需要に対し生産が必ずしも対応し得ない面も見られるのであります。今後の農業労働力の減少や兼業化の進行、耕地壊廃の増大等の傾向を考慮しますと、農業の生産性の向上をはかりながら総生産の維持増大につとめることにより、食糧その他農産物の安定的な供給を確保することが強く要請されていると考えるのであります。  第二は、農業の生産性と農業従事者の所得をいかにして向上させるかということであります。引き続く農業労働力の減少のもとで、機械化等省力技術の導入、基盤整備等により、農業の生産性はおおむね順調に伸びてきておりまするが、農業と非農業との生産性及び所得の格差は、三十九年度には若干改善されたものの、現在なおかなりの開きがあり、その格差の是正をはかるためには、国民経済各部門の均衡のとれた安定成長を確保するとともに、今後さらに農業生産性の一そうの向上をはかることが必要であると考えるのであります。  第三は、どのようにして農村の環境を整備し、農業従事者の福祉の向上をはかるかということであります。農村は、都市に比べて生活環境や社会環境の面でも著しく立ちおくれており、社会保障制度も十分に整備されているとは言いがたいのでありますが、他方、都会にない自然環境のよさもあり、農村対策の充実と農家の努力が相伴えば、農村の生活も決して暗いものではないと考えます。そこで、農業従事者の福祉の向上をはかるための施策と相まって、農村青少年が新しい農業経営について魅力と自信を持てるようその養成対策を講ずるとともに、農村環境の整備充実をはかる等、豊かな住みよい農村の実現を目ざして農村対策を充実する必要があると考えるのであります。  なお、開放経済体制への移行に伴って、農産物の輸入数量制限の撤廃、関税引き下げ等の国際的要請が一そう強まりつつありますが、これに対し、わが国農業の特殊性について諸外国の理解を求め、わが国農業に急激な影響が及ぶことのないよう慎重に対処するとともに、基本的には、農業構造の改善と生産性の向上をはかり、国際競争力を強化することが必要であると出与えるのであります。  次に、林業及び漁業につきましても、近年、増大する需要に対して生産が十分対応し得ない面が生じ、生産性及び所得水準はなお他産業に比べて低位にあり、いかにして総生産の維持増大と生産性の向上をはかり、所得及び生活水準の向上に資するかということが当面の課題となっていると考えるのであります。  以上申し述べましたように、農林漁業の動向とこれをめぐる内外の諸情勢のもとにおいて、農林漁業を近代化して、これを国民経済の健全な一環として育成するとともに、立ちおくれた農山漁村環境の整備をはかる等農山漁村対策を充実することは、単に農林漁業従事者の福祉向上の観点からのみでなく、国民経済の安定した発展と国民生活の調和のとれた進歩向上という観点からも、きわめて大切であると存じます。  このような考え方に立って、昭和四十一年度予算におきましても、これらに必要な経費を極力重点的に盛り込むほか、きめこまかい配慮も加えて予算を編成した次第であります。  まず、昭和四十一年度の一般会計における農林関係予算の総体について申し上げます。  農林省所管合計といたしましては、四千百三十三億円となっておりますが、これに総理府、大蔵省、文部省、労働省及び建設省所管を加えた農林関係予算合計は、四千五百八十五億円となります。これを昭和四十年度補正後の予算四千四十九億円に比較しますと、五百三十五億円の増加、また昭和四十年度当初予算三千七百億円に比較しますと、八百八十五億円の増加となっております。  以下、農林関係予算の重点事項について御説明いたします。  昭和四十一年度予算編成において最も力を入れましたものは、農林漁業生産基盤の整備、農林漁業構造改善の推進、農林水産物の生産、流通及び価格対策の拡充、農山漁村対策の充実、農林金融の改善拡充の諸施策であります。  第一に、農林漁業の生産基盤の整備に関する予算について申し上げます。  農業生産基盤の整備につきましては、昭和四十年度に策定いたします土地改良長期計画の趣旨に沿って、基幹かんがい排水施設及び圃場条件の整備、農地造成、草地改良、農地防災等の諸事業を積極的に推進することとし、総額千九十九億五千三百万円を計上しております。  これらの事業のうち、特に圃場整備事業及び農林漁業用揮発油税財源身がわり事業を中心とする農道整備事業につきましては、事業量の大幅な拡充強化をはかることとし、また、国営かんがい排水事業の負担金償還期間の延長、国営草地改良事業のうち公共育成牧場の国庫負担率の引き上げ等を行なうこととしております。  林業に関しましては、林道事業について総額七十六億二千万円を計上し、一般林道開設事業を拡充実施するとともに、新たに峰越し連絡林道の開設事業を行なうこととし、造林事業につきましては、五十四億九千六百万円を計上し、事業の推進をはかることとしております。  また、治山事業につきましては、治山事業新五カ年計画に基づき、民有林及び国有林の治山事業の推進をはかることとし、総額二百十六億九千八百万円を計上しております。  漁業に関しましては、総額百二十五億六百万円を計上し、漁港整備事業について、その計画的な推進をはかるとともに、漁港局部改良事業の補助率の引き上げを行なうこととし、また、漁港関連道整備事業、大型魚礁設置事業及び浅海漁場開発計画調査の拡充実施をはかることとしております。  第二に、農林漁業の構造改善の推進に関する予算について申し上げます。  まず、農地等の移動を農業経営規模の拡大へ方向づけ、自立経営の育成に資するよう、農地等の取得のあっせん、取得資金の融通、農地の買い入れ及び売り渡し等を業務とする農地管理事業団を発足させることとしております。  農地管理事業団は、昭和四十一年度においては、四百市町村において農地等の取得のあっせん、取得資金の融通等の業務を行なうこととし、同事業団に対する出資及び交付金等五億五千六百万円を計上するとともに、財政投融資四十億円を予定いたしております。  次に、農業構造改善事業につきましては、総額百九十四億六千七百万円を計上し、地域の実情に即して事業の円滑な推進をはかるとともに、事業終了地域の経営管理の指導等を強化することとし、また、農業経済圏における広域の農業近代化施設等の整備について、新たにパイロット事業を実施することとしております。  林業構造改善事業につきましては、二十四億二千九百万円を計上し、事業の計画的な推進をはかることとしております。  沿岸漁業構造改善事業につきましては、十五億四千五百万円を計上し、事業の計画的な推進をはかるとともに、新たに経営近代化促進事業の終了地域についてその補足整備対策に必要な調査を実施することとしております。  第三に、農林水産物の生産、流通及び価格対策の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、米生産対策につきましては、高能率、高反収の稲作経営を育成して、米の安定的供給の確保をはかることとし、このため、生産基盤整備の推進とあわせて、新たに稲作総合改善集約指導地の設置、地力保全対策診断事業等を実施するほか、引き続き高度集団栽培促進事業等を推進することとしております。  これらのほか、農産物種子対策、植物防疫事業、畑麦作改善パイロット事業等を継続実施することとし、以上を合わせ米麦生産対策に要する経費として十一億五千四百万円を計上しており、また、農業機械化の促進措置に要する経費として六億六千七百万円を計上しております。  また、米麦の管理制度につきましては、現行食糧管理制度の本旨にのっとり、その適切なる運用に十全の努力を払うこととし、このため、一般会計から食糧管理特別会計の調整勘定へ千二百十億円の繰り入れを行なうこととしております。  次に、畜産対策について申し上げます。まず、酪農対策につきましては、新たに加工原料乳不足払い制度の実施のための生産者補給交付金三十億円及び指定生乳生産者団体助成費等を計上するほか、引き続き国内産牛乳の学校給食の計画的拡大、乳用雌子牛の集団育成事業の拡充等をはかることとし、これら酪農対策に要する経費として八十五億九千万円を計上しております。  肉用牛対策につきましては、肉牛資源の維持培養とその飼養経営の改善をはかることとし、このため、新たに肉用牛繁殖育成センターの設置、繁殖用素牛の導入事業等を実施するほか、引き続き肉用肥育素牛の導入事業等を推進することとして、四億二千七百万円を計上しております。  また、養鶏対策につきましては、生産者による鶏卵の自主的な生産調整を促進して、その価格の安定をはかるとともに、鶏の品種改良等を推進することとしております。  次に、園芸振興対策について申し上げます。まず、野菜対策につきましては、野菜指定産地における生産及び出荷の安定をはかる施策を拡充強化することとし、このため、対象野菜の拡大、指定産地の増加等をはかるほか、新たに野菜指定産地における生産出荷近代化事業を計画的に実施することとし、また、野菜の価格補てん制度を拡充するため、野菜生産出荷安定資金協会に対する必要な資金の助成等を行なうこととしており、これら野菜対策に要する経費として六億三千二百万円を計上しております。  果樹対策につきましては、果実需要の見通しに即応した生産の安定的拡大と生産性の向上をはかるため、果樹園の計画的な造成と経営の合理化を推進するとともに、果実流通の合理化等をはかることとして、二億六百万円を計上しております。  また、甘味資源対策等につきましては、てん菜、サトウキビ、カンショ、バレイショ及び特用作物等の生産振興対策に要する経費十三億八千九百万円を計上するほか、国内産糖類の価格支持及び国内産大豆、なたねの保護のため交付金等二十八億三千万円を計上しております。  蚕糸対策につきましては、新たに集団桑園造成の合理化促進事業を実施するほか、引き続き生糸の需要増進事業等を実施することとして、八億五千二百万円を計上しております。  また、林産物につきましては、新たに素材生産の合理化促進事業を実施するほか、引き続き木炭、干しシイタケの出荷調整事業の助成等を行なうこととして、七千四百万円を計上しております。  水産物につきましては、新たに多獲性急につきまして冷凍保管と計画的出荷等を行なうことにより価格の安定に資するための事業を試験的に実施するほか、引き続き産地冷蔵施設の整備等を行なうこととして、三億五千百万円を計上しております。  また、以上の諸施策の推准のほか、生鮮食料品の流通改善等に資するため、中央卸売市場の施設整備等に必要な経費五億五千九百万円を計上しております。  第四に、豊かな住みよい農山漁村の実現を目標として、生産政策、構造政策の推進と並行し、農山漁村対策を拡充するための予算について申し上げます。  まず、農林漁業の後継者対策につきましては、次代をになう優秀な青少年等を育成確保するため、農業後継者育成資金の拡充、農業経営者等の養成のための研修教育施設の整備等を引き続き実施するほか、新たに都道府県に農村青年活動促進施設を設置し、また将来農村の指導者たり得る人材を養成するための中央青年研修施設を農林省に設けることとして、五億三千六百万円を計上しております。  次に、農山漁村の環境整備対策につきましては、都市に比べて立ちおくれた農山漁村の生活環境や社会環境の近代化をはかるため、農林漁業用道路の整備、農家生活改善資金の拡充、住宅金融公庫の農山漁村住宅資金の活用等をはかるほか、新たに生活環境の近代化に関する相談指導事業等を実施するとともに、農業近代化資金の融資対象に農村環境施設を追加することとし、さきに述べましたものを含め、総額八十八億七千九百万円を計上しております。  山村振興対策につきましては、山村における経済力の培養と住民の福祉向上をはかるため、振興山村における農道、林道等の整備について特に配慮するとともに、団体営土地改良事業等の採択基準を緩和するほか、二億二千六百万円を計上して新たに振興山村農林漁業特別開発事業を計画的に実施することとしております。  第五に、農林金融の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付けワクを千四百二十億円に拡大し、この原資として財政投融資千九十億円を予定するほか、一般会計から同公庫に対し補給金三十三億六千七百万円を交付することとしております。  次に、農業近代化資金融通制度につきましては、貸し付け資金ワクを八百億円に拡大し、融資対象を広げ、貸し付け金利を引き下げるほか、農業近代化資金にかかる債務保証制度の充実強化をはかるため、地方の農業信用基金協会の債務保証について保険及び必要な資金の貸し付けを行なう制度を新たに設けることとし、これに伴い設立される農業信用保険協会に対する交付金を含め、総額七十三億六千九百万円を計上しております。  また、農業改良資金制度につきましては、貸し付けワクを六十一億七千五百万円に拡大し、中小漁業融資保証保険制度につきましては、保険料率の引き下げ等を行なうこととしております。  以上のほか、農林水産業施策の推進のための重要な予算について申し上げます。  まず、農林水産業の試験研究事業につきましては、総額百四億九千九百万円を計上し、試験研究費の増額、試験研究体制の整備等により試験研究の拡充強化をはかるほか、熱帯農業に関する技術上の試験研親等を積極的に推進することとしております。  次に、農林水産業の改良普及事業につきましては、総額七十二億三百万円を計上し、引き続き施設の整備、機動力の強化等を行なうほか、普及職員の設置費について補助単価の是正を行なうこととしております。  農業災害補償制度につきましては、掛け金国庫負担金等を増額するほか、最近における畜産事情の変化に即応して家畜共済制度の改正準備を行なうこととし、総額二百七十九億四千五百万円の農業保険費を計上しております。  このほか、農業関係につきましては、開拓地の営農振興対策及び農業団体の整備強化対策として五十億六千三百万円を計上しております。  また、林業関係につきましては、森林資源の維持増強対策、入会林野の整備促進対策及び森林組合等の育成対策として十一億円を計上しております。  さらに、水産業関係につきましては、中小漁業等の振興対策、漁業災害補償制度及び漁船損害補償制度の拡充実施、水産資源の保護培養対策並びに国際漁業対策として総額三十億四千百万円を計上しております。  また、農林水産関係の災害対策公共事業につきましては、海岸事業、災害復旧事業及び鉱害復旧事業の推進をはかることとし、総額二百九十二億八千七百万円を計上しております。  次に、昭和四十一年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  第一に、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧の管理制度の適切な運営をはかるとともに、国内産でん粉及び輸入飼料の買い入れ等の実施のため、必要な予算を計上するほか、一般会計から調整勘定へ千二百十億円、輸入飼料勘定へ四十三億円を繰り入れるとともに、四十年度の砂糖類損失補てんのため農産物等安定勘定へ六十六億円を繰り入れることとしております。第二に、農業共済保険特別会計につきましては、農業災害補償制度の運営のため、一般会計から総額二百一億九千七百万円を繰り入れることとしております。  第三に、国有林野事業特別会計につきましては、最近における国有林野事業の収支状況等にかんがみ、できるだけ合理的な運営につとめることとして、これに必要な予算を計上しております。  第四に、漁船再保険特別会計につきましては、必要な準備金をこえて積み立てられている剰余金十二億円を漁船保険中央会に交付し、漁船保険振興事業を実施させることとしております。  以上のほか、自作農創設特別措置、開拓者資金融通、特定土地改良工事、糸価安定、森林保険及び中小漁業融資保証保険の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、昭和四十一年度の農林関係財政投融資計画について御説明いたします。  財政投融資の計画額としましては、農林漁業金融公庫、愛知用水公団ほか四機関及び二特別会計を合わせて総額千三百五十三億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しており、前年度に比し二百十四億円の増加となっております。  これをもちまして、昭和四十一年度の農林関係予算及び財政投融資計画の概要の御説明を終わります。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次に、経済企画庁所管について説明を求めます。藤山経済企画庁長官。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 経済企画庁の予算の御説明を申し上げます。  昭和四十一年度経済企画庁予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算の要求総額は二百六十六億二千九百五十二万四千円でありまして、前年度予算額二百二十億一千五百二十一万六千円に比較いたしますと、四十六億一千四百三十万八千円の増額となっております。この増額となりましたおもな理由は、離島振興関係事業費におきまして二十億二千一百二十四万八千円、水資源開発事業費におきまして十三億八千一百四十一万三千円、国土総合開発事業調整費におきまして七億円、国土調査費におきまして一億五千七百六万三千円、それぞれ増額になりましたことと、新たに豪雪地帯対策特別事業費一億円を要求しておりますことなどでございます。  次に、経費の内訳を申し上げます。  第一に、経済企画庁の項では、要求額は九億一千九百七十五万四千円でありまして、前年度の七億四千三百十三万四千円に比較いたしますと、一億七千六百六十二万円の増額となっております。  この要求経費の内容を御説明申し上げますと、まず、一般行政事務に関する経費として六億九百一万円を計上しております。この中には人件費五億三千一百十七万円が含まれております。  次に、年次経済計画大綱及び経済運営の基本方針の策定並びに海外経済協力及びOECD関係事務等に関する経費として一千五百七十二万円を計上しております。  その三に、国民生活の向上、物価の安定等国民生活充実に関する経費として七千一百四十二万円を計上しております。この中には、昭和三十七年に設立されました国民生活研究所の育成、充実をはかるための同研究所に対する補助金が含まれております。  その四は、長期経済計画に関する経費でありますが、これには経済審議会等の運営及び長期経済計画並びに地域政策の検討に関する経費といたしまして三千七百七十二万円を計上しております。  その五に、国土の総合開発に必要な経費といたしまして八千二百四十七万円を計上しております。この経費は、大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、地方開発の拠点となる新産業都市の建設並びに工業整備特別地域の整備を促進するとともに、離島、山村その他開発のおくれた地域の開発を積極的に推進することによって、地域格差の是正につとめ、国民生活の均衡ある発展をはかるためのものでございます。  その六は、水資源関係の経費であります。産業の急速な発展と都市人口の増加に伴う水需要の増大に対応して、水資源を開発確保するための経費、並びに公共用水域の水質保全に関する経費といたしまして四千六十九万円を計上しております。  最後に、内外経済事情調査に関する経費でありますが、国内及び海外経済の動向を的確に把握し、また、経済白書、世界経済白書等の報告書の作成並びに経済動向の調査分析を行なうほか、新たに経済資料の整備の機械化を行なうこととし、これらに必要な経費として六千二百七十二万円を計上しております。  第二に、国土調査費の項では、要求額は十億三千四百九十万八千円でありまして、前年度の八億七千七百八十四万五千円に比較いたしますと、一億五千七百六万三千円の増額となっております。この増額となりましたおもな理由は、国土調査事業十カ年計画に基づく地籍調査の第四年度分の事業規模が増大したことにより、都道府県に対する補助金が増額となったためであります。  第三に、経済研究所の項では、要求額は一億九千二百七十九万四千円でありまして、前年度の一億一千四百八十三万円に比較いたしますと、七千七百九十六万四千円の増額となっております。この増額のおもな理由は、大型電子計算機の運営並びに昭和四十年国富特別調査に関する経費が増額となったためでございます。  第四に、豪雪地帯対策特別事業費の項では、新たに一億円を要求しております。この経費は、豪雪地帯対策特別措置法に基づき指定された豪雪地帯において、積雪期の交通途絶による障害を除去するため、多目的な用途に応ぜられる雪上車を地方公共団体が購入する場合に、その経費の一部を補助するものであります。  第五に、国土総合開発事業調整費及び地域経済計画調査調整費の項では、両者を合わせて五十二億円でありまして、前年度の四十五億円に比較いたしますと、七億円の増額となっております。  第六は、離島振興関係事業でございますが、離島振興事業費、農林漁業用揮発油税財源身替離島農道等整備事業費、揮発油税等財源離島道路整備事業費の三者を合わせまして百十四億八百三十六万八千円でありまして、前年度の九十三億八千七百十二万円に比較いたしますと、二十億二千一百二十四万八千円の増額となっております。  四十一年度は、離島の後進性を除去するために、交通体系の整備と産業基盤の充実に重点を置いて必要な事業を推進し、これによってできるだけ離島と本土との格差の是正をはかることといたしております。  第七に、水資源開発事業費の項では、要求額は七十七億七千三百七十万円でありまして、前年度の六十三億九千二百二十八万七千円に比較いたしますと、十三億八千一百四十一万三千円の増額となっております。この経費の内容は、水資源開発公団が行なう印旛沼開発事業、群馬用水及び利根導水路の建設事業に要する経費、並びに四十一年度に完工予定の矢木沢ダムほか五つのダム、利根川河口ぜき及び長良川河口ぜきの建設事業等に要する経費等であります。  以上、一般会計予算案の概要を御説明申し上げましたが、次に、当庁関係の財政投融資計画につきまして、簡単に御説明申し上げたいと存じます。  まず、海外経済協力基金につきましては、最近における対外経済協力の量、質両面における改善の必要にこたえるため、一般会計から七十五億円の出資を受け、資金運用部資金から七十五億円の借り入れをすることを予定しております。  次に、東北開発株式会社につきましては、東北地方の経済発展に貢献する産業の育成助長を目的として経営いたしてまいりましたが、年々赤字が累積している現状にかんがみまして、四十一年度におきましては、四十年度に引き続き、会社の再建をはかることに重点を置くことといたしております。四十一年度に措置する事業資金は三十六億七千万円であります。このため、産業投資特別会計からの出資金十四億円と公募債二十一億円のほか、前期からの繰り越し金一億七千万円を計画いたしております。  次に、水資源開発公団につきましては、その事業量の増大に伴い、総事業費は、前年度の二百十億円から、四十一年度は四十四億円増の二百五十四億円を確保することにいたしております。このため、一般会計からの出資金一億円のほか、財政資金から六十億円の融資を受けるとともに、公団債の公募三十五億円を予定いたしております。  次に、北海道東北開発公庫につきましては、その資金運用規模は三百八十五億円であります。これに要する資金源は、産業投資特別会計からの出資金五億円、財政融資及び公募債等で二百五十五億円のほか、自己資金百二十五億円を充てることにいたしております。  なお、四十年度の予算規模は、新潟地震災害復旧関係を含めて三百七十億円であります。  以上をもちまして、経済企画庁関係の予算案並びに財政投融資計画について御説明を終わりますが、なお、ご質問に応じまして詳細御説明を申し上げたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の上、御可決くださいますようお願い申し上げる次第でございます。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 次に、通商産業省所管について説明を求めます。三木通商産業大臣。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 昭和四十一年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、昭和四十一年度の通商産業省所管一般会計予定経費の要求額は、輸出の振興と経済協力の推進、中小企業施策の拡充、技術開発の促進、石炭対策の強化等、現在特に強く要請されている諸施策を強力に推進していくため、前年度の当初予算六百十六億二千万円を百八十六億三千万円上回る八百二億五千万円を計上いたしてございます。  次に、重点別に内容の御説明を申し上げます。  第一に、輸出の振興と経済協力の推進をはかるため、八十九億七千万円を計上いたしました。これにより、日本貿易振興会等の輸出振興関係機関の活動の強化、輸出振興態勢の整備、海外投資の促進、技術協力の充実等をはかることとしておりますが、特に、わが国との貿易バランスの不均衡から長期的貿易関係の確立に問題を生じている発展途上国からの輸入を促進するため、これら諸国の割り高な一次産品の輸入を促進することとし、日本貿易振興会にそのために必要な三億円の基金を設けることにしております。また、昭和四十五年に開催予定の日本万国博覧会の準備費として二億六千万円を計上いたしました。そのほか、国際経済協力費八億四千万円等がおもな内容でございます。  第二に、中小企業施策の拡充浸透をはかるため、前年度を五十四億三千万円上回る二百二億八千万円を計上いたしました。これにより、設備近代化資金の貸し付け対象の拡充、高度化資金の貸し付け条件の改善、小規模事業対策の充実、中小企業に対する指導事業の強化等、従来の施策を引き続き拡充強化するとともに、新たに小規模事業者の協業化と設備の近代化をはかるため、中小企業の共同工場建設貸与制度及び中小企業者に対する機械類の貸与制度を創設することとし、それぞれ十六億円及び二億八千万円を計上しております。また、中小企業金融の円滑化をはかるため、政府関係中小企業金融三機関の貸し出し金利の引き下げを行なうこととし、これに必要な二十五億円を商工組合中央金庫に出資するとともに、大蔵省所管経費でございますが、中小企業信用保険公庫に対する七十五億円の出資を計上し、信用補完制度の運用強化を期することにいたしました。さらに、小売業者のチェーン化の推進、都道府県の総合指導所の設置の助成等、中小企業に対する各般の施策を拡充強化することにしております。  第三に、国際競争力の根幹をなす技術の開発を促進するため、技術開発の促進と特許行政の強化のための経費として、前年度の九十八億円に対し百二十九億五千万円を計上してございます。特に、四十一年度からわが国独自の技術を積極的に開発するため、技術的波及効果の高い大型工業技術につきまして、十億三千万円の研究開発費により学官民が一体となった研究開発体制を整備し、その開発を推進することにしております。なお、特許行政につきましては、出願等の処理の迅速化の見地から特許及び実用新案制度の改正を行なうための所要の経費を含め、二十二億二千万円を計上してございます。  第四に、産業の国際競争力の強化をはかるため、十三億七千万円を計上いたしました。金属鉱業の体質改善をはかるための金属鉱床の精密調査等を引き続き拡充するほか、新たに繊維産業の構造整備を促進するため五億五千万円を計上いたしました。  第五に、総合エネルギー対策を推進するため、前年度を五十七億二千万円上回る二百九億七千万円を計上しております。特に石炭対策につきましては、昨年十二月の石炭鉱業審議会の中間答申の趣旨を尊重し、合理化資金利子補給の拡大、保安坑道の掘進の促進、鉱山の施設等の近代化の推進等のため、石炭鉱業合理化事業団への出資の増額、安定出炭の確保のための炭層探査の助成等の諸施策を講ずることとしておりますほか、鉱害復旧事業量の増大、産炭地域振興対策の拡充等をはかっております。なお、鉱山保安の確保につきましては、監督検査の強化、保安施設の整備の促進等をはかることにしております。これらのほか、天然ガスの探鉱の拡充、電源開発の促進等、 エネルギー関係施策を拡充強化することにしております。  第六に、産業の適正立地環境の整備につきましては、八十三億三千万円を計上いたしまして、工業用水道事業の実施、産業公害対策の充実等をはかることにしております。  第七に、流通及び消費者行政の拡充につきましては、消費財の商品テスト等を行なう日本消費者協会に対する助成の拡充等、消費者行政及び流通近代化のための経費として四千万円を計上した次第であります。  以上、通商産業省所管一般会計のほか、特別会計といたしましては、まずアルコール専売事業特別会計でございますが、歳入として七十一億一千万円、歳出五十八億四千万円、専売納付金十二億七千万円をそれぞれ計上してございます。輸出保険特別会計につきましては、歳入歳出とも二百八億一千万円でございます。機械類賦払信用保険特別会計につきましては、歳入歳出とも十一億五千万円を計上してございますが、歳入のうち五千万円は、一般会計からの繰り入れを予定しております。中小企業高度化資金融通特別会計につきましては、歳入歳出とも八十一億三千万円を計上しておりますが、歳入のうち七十九億八千万円は一般会計からの繰り入れでございまして、残り一億五千万円余が償還金収入であります。  次に、当省関係の財政投融資計画について御説明をいたします。  昭和四十一年度の当省関係の財政投融資計画総額は五千九百三十一億円でございまして、これを昭和四十年度当初計画に比べますと、千百十一億円の増加となっております。  以下、機関別にその概要を御説明いたします。  まず、日本輸出入銀行でございますが、プラント類を中心とする輸出の伸長と経済協力を推進するため、運用規模を二千三百三十億円に拡大し、このため、出資三百七十億円を含め、千五百二十億円の財政資金を投入する計画でございます。  次に、中小企業関係政府金融機関につきましては、各機関の貸し出し規模を四十年度当初計画に比して約二〇%拡大するとともに、貸し出し金利を昨年九月の引き下げに加えて本年四月以降さらに年三厘程度引き下げることにいたしており、中小企業金融公庫千三百十億円、商工組合中央金庫六十五億円、国民金融公庫千百二十九億円の財政融資等を計画しております。なお、名古屋中小企業投資育成株式会社の業務の充実をはかるため、中小企業金融公庫を通じて一億五千万円の出資を行なうことにしておりますが、中小企業金融公庫にはこのための所要の財政出資を含めて計上いたしております。  日本開発銀行につきましては、施策の重点を産業の国際競争力の強化、流通、消費者対策の拡充、総合エネルギー対策の推進、技術開発の促進、地域開発の促進等に置き、従来の施策の拡充強化をはかるとともに、新たな施策といたしまして、流通機構の合理化をはかるため、小売り業者のチェーン化の推進に十五億円の融資を予定するほか、液化石油ガスの備蓄用タンクの整備、卸総合センターの建設、自動車タイヤ工業及び電線工業の体質の改善等の施策を促進するための融資を予定しております。このための運用総額は二千八十億円に拡大するものとし、これに必要な財政融資等千四百六十億円を予定しております。  電源開発株式会社につきましては、引き続き石炭火力発電所三基の継続工事と大水力電源開発の工事推進に主力を注ぐことといたしまして、出資十五億円を含め二百五十八億円の財政投融資を予定しております。  石油資源開発株式会社につきましては、引き続き海外における原油の探鉱を拡大するため、二十億円の財政出資を行なう計画でございます。  石炭関係の機関につきましては、石炭鉱業合理化事業団整備資金に五億円の財政融資を予定しておりますほか、産炭地域振興事業団が営む業務に新たに運転資金の貸し付け、工業用水事業等を加えるとともに、鉱害基金の業務につきましても、新たに鉱害復旧事業団に対する長期運転資金の貸し付けを加えることにより、両機関の事業の拡充をはかることとし、このためそれぞれ三十八億円及び十三億円の財政融資を行なう計画でございます。  金属鉱物探鉱促進事業団につきましては、探鉱融資規模を二十四億円に拡大し、このため出資二億円を含め二十億円の財政投融資を計画しております。  日本航空機製造株式会社につきましては、中型輸送機YS−11の量産事業に必要な資金として、四十八億円を政府保証によって調達することにしております。  公害防止事業団につきましては、本年四月以降、公害防止施設等の貸し付け金利の引き下げ及びこれらの施設を年賦払いで譲渡する際の金利の引き下げを行なうとともに、公害防止施設に対する貸し付け事業の対象として従来の共同施設のほか、新たに公害多発地域における個別施設を加えることにより、事業の拡充をはかることとし、このため四十五億円の財政融資を行なう計画としております。  以上をもちまして、通商産業省所管の一般会計及び特別会計の予算案並びに財政投融資計画の御説明を終わります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決されますことをお願い申し上げる次第であります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上をもちまして、全所管についての説明は終わりました。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これより各所管について順次質疑を行なうこととなっておりますが、この際分科員の皆さまに申し上げます。  議事進行の円滑をはかるため、質疑を行なわれます方は、あらかじめ政府委員等を御要求の上、主査に御通告をお願いいたします。  質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめたいと存じます。     —————————————

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中、通商産業省所管について質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 まず最初に、現状を把握するために、私は二、三の資料的な質問をしたいと存じますが、きのうの繊維市況をちょっとそこで発表していただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 ここにありますけれども、政府委員のほうから申し上げます。

乙竹虔三通商産業事務官(繊維局長)

○乙竹政府委員 二〇につきましては、大阪の前場が百二十六円七十銭、後場が百二十六円六十銭、三〇につきましては、大阪前場百四十八円、後場百四十八円二十銭、前日に比し三十銭上がり、四〇につきましては、前場百五十七円六十銭、後場百五十六円九十銭、前日に比しまして一円の下がり、東京取引所四〇につきましては、前場百五十七円七十銭、後場百五十七円六十銭、前日に比し六十銭の下がり、名古屋四〇につきましては前場百五十八円五十銭、後場百五十八円五十銭でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 お聞き及びのとおりでございまして、四〇に基準をとってみましても、せいぜい六万円台のものであります。これは明らかに一コリ一万円余の採算割れであります。不況といわざるを得ません。日本の産業は好況だ好況だと、こう総理も経企庁の長官もおっしゃいますが、あにはからんや、好況の陰に石炭と繊維だけは不況が続いているわけでございます。  そこで、もう一つお尋ねいたしますけれども、中小企業の倒産、これは去年は六千件の余もあったはずでございます。その六千件の余もありまする倒産のうちで、特に一番多かったのは何であったか。繊維の倒産は一体どの程度あったか、概算でけっこうでございます。

乙竹虔三通商産業事務官(繊維局長)

○乙竹政府委員 大体月五、六十件程度と思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 大体七十件平均あるわけでございます。これは同じ倒産の仲間でも最右翼のほうでございます。つまり繊維の不況は、大紡の出しまする糸も採算割れならば、中小の倒産もそれと相呼応してたいへんな不況のあらしが吹きまくっている、こういうことでございます。  さて、それに対しまして一体政府としてはどのような対策を持って臨まれようとしていらっしゃいまするか、まずそこからお尋ねをいたします。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 繊維も、一番というわけではないですけれども、やはり不況の影響を受けておる。中小企業の中では、倒産の件数も多い事業であることは御指摘のとおりです。これに対して、一般的には需要を喚起しなければいかぬということで、政府が不況対策の施策をとっておることは御承知のとおりであります。それから、繊維はやはり輸出の関係等もございます。こういう点でインドネシアなどの輸出については、政府は相当積極的に努力をしたわけですが、いまはインドネシア側の外貨事情で貿易がストップしたような形になっている。一方において、繊維産業それ自体としては、繊維工業審議会でも、構造問題というものが非常に大きな問題を含んでおるわけであります。イギリスでもアメリカでも繊維産業というものは、斜陽産業の域を脱して今日では立ち直っておる。こういう先進工業国の経験もあるわけでありますから、どうしても繊維産業というものに対しては構造改革というものが必要になってくる、そういう意味から、御承知のように繊維工業審議会で、こういう問題を含めて、いま構造上の諸問題について検討を加える、一般的な不況対策と繊維それ自体の構造上に含んでおる問題を解決するということが政府の一般的な態度でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 ただいま大臣も構造的不況であることをお認めになったようでございまするが、それに対する政府の施策、特に本年設けられましたところの繊維産業整備促進対策費として五億五千万円ですね。これは政府側としてはこれで多いと言いたいところでございましょうが、大臣に実態を知っていただくために、五億五千万円について一体一社当たり幾らに当たるかということを認識してもらうために私申し上げますが、第一区分ですね、千二百八十万錘の登録がございます。その会社の数を調べてみますると三百四十九社ございます。そのうちの七九%に相当するところの二百七十四社は、これは三万錘以下の小さな紡績でございます。三万錘以下というのは、これは御承知の採算ベースに乗らない仲間の話でございます。はたしてこの五億五千万円を一社当たりに割ると幾らに当たるか。また綿スフの織布部門について調べてみますると、これは三十七万台の織機を持っているわけなんです。一万三千七百九十一工場あって、その九六%に相当するところの一万三千百八十一工場は、これは百台未満でございます。これも採算ベースに乗らない小規模業者でございまして、これらのものに対して五億五千万円と申しますると、たいへんな金額のようでございまするが、これはもう二階から目薬にしかなりません。したがいまして、ほんとうに繊維産業の整備促進をする、構造対策を講ずるということであれば、たとえばイギリスが行ないましたように、一錘当たり日本金に直して二万円程度、一織機当たり三万円程度の構造対策費を盛らなければ、抜本的な構造改革ということはできない。あるいは大臣がおっしゃられましたように、アメリカも立ち直りを見ました。しかし、このアメリカは、御存じのとおり、購入綿花の二割に相当する金額を政府は一挙に放出しているわけでございます。さて、意気たるやまことにけっこうでございますが、はたしてこの金額でどこをどう直すおつもりでございましょうか。はたして直るでございましょうか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは構造上の問題を含んでおるわけですから、繊維工業審議会において、いま抜本対策というものを検討しておるわけであります。したがって、この五億円、これに業界自身も同額の資金を出しますから、十億ということになるのですが、この用途は中小企業の転廃業を対象にしておるわけであります。繊維産業の構造改善費としては、御指摘のようにこの金額は私も多いなどとは決して思っていない。まあ、しかし、これは政府としてもこういう問題に対して大いにやろうとしているのだという一つの意欲をちょびっと出してあるのが五億円でございます。したがって、根本的な問題は、加藤さん御指摘のように、日本の繊維産業というものは、根本的な構造改革を必要とすると考えております。この五億円というものは、まあその意欲の一端のあらわれであるという意味しか私はないと思う。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 意欲たるやまことにけっこうで、私も賛成でございまするが、それでは、その意欲を実現するために、今後この五億が五十億になり、あるいは五百億にとふえなければならぬと思いまするけれども、それに対しての意欲は一体大臣いかがでございましょうか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは繊維工業審議会などで案がいろいろ出ると思います。その案の中に、こういう考え方を将来やはり吸収していきたい。このことで、金額を次第にふやすという方式で、ずっと繊維産業の構造改革が行なわれるということではない。これはやはり抜本策というものができて——どうせこういうふうな考え方というものは、方法論は別として、そういうことをやらなければ構造改革はできないわけですから、そういう抜本策の中にこの意欲というものが生かされていくようになっていくことになるという考えでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この構造改革論につきましては、百家争鳴で甲論乙駁、しかも、まるっきり相反する論が、毎日のように新聞にうたわれているようでございます。そこで、ほんとうにこの不況カルテルがもう三月一ぱいでおしまいになるわけですが、さてその先、この百家争鳴をどこへ持っていこうとなさっていらっしゃるのでございましょうか。まあ、今日的な結論を大臣がおっしゃるということは、これは直ちに市況にも影響することでございましょうし、いろいろ及ぼす結果が大きいと思います。そこで今日発表し得る範囲でけっこうでございますから……。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 繊維産業は、やはり将来にわたって日本の産業の中に相当な比重を持っている。だから、これは斜陽産業にあらず、やり方によって、繊維産業というものは斜陽産業ではなくして、安定した企業として存立するものを持っていると思います。したがって、そのためには、単にこの不況カルテルというようなことを次々にやって、そういうことでその場をしのいでいくということでは、そういうことにならない。不況カルテルを存続する業界で、いまいろいろな意見を調整しておるようでありますから、不況カルテルを延長するにしても、その期間にやはり構造改革に対しての具体的なプログラムというものがなければ、ただ不況カルテルを延ばして一時をしのいでいくということでは、意味はないわけであります。したがって、不況カルテルを延長するにしても、その期間に繊維産業に対する構造改革という具体的なプログラムができて、この不況カルテルというものはどうせ緊急避難的な性質のものでありますから、そういうものがある期間に終われば構造改革というものが行なわれていくということでないと、意味をなさないと考えておる次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この不況カルテルに対するさしあたっての対策ですね、これはいつごろおきめになる予定ですか。三月末が期限でございますから、もうそろそろものが見えてよさそうな時期だと思います。甲論乙駁、百家争鳴ではございますけれども、一致する点がございます。それは、そのことを発表している方々が、一様に繊維を愛しているということでございます。同時に、自分の会社の存立をいちずに考えているということです。つまり繊維を愛し、おのれを愛しているというこのことだけは一致しているわけでございます。したがいまして、そこに最大公約数を求めれば、必ず対策は発見できると思います。同時にまたイギリスのランカシアの例、アメリカの例、すでに大臣御存じのとおりでございまして、そこらに例を求めれば決して困難な問題ではない、かように思うものでございますが、さしあたって、一体いつごろ御決定になりましょうか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 御承知のように不況カルテルというものは、業界自体で不況カルテルを存続していこうという意見が一致しなければ、これは決定といっても、通産省が決定というわけにはいきませんので、いま業界自体で、加藤さん御指摘のように、みなやはり繊維産業を愛し、また会社の経営者として自社を愛しておるということは、当然のことであります。その間に、やはりおのずから調整はできるものと、こう見ておるわけであります。したがって、業界自身が一致してそういうことにならなければ、不況カルテルの存続といっても、有力なメーカーが、自分はいやだというようなことが出てくれば、不況カルテルは存続できない。自分の利益、全体に対する関連性、こういうことを考えながら、これはいつだということはこっちできめるわけじゃないのですから申し上げられませんが、やはりおのずから落ち着くところに落ち着くもの、こう見ているわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この際、カルテルを存続するか、させないかという問題の奥にひそんでいるあまたの問題、そのうちの一、二を取り出して分析してみたいと思うのですが、御存じのとおりもしカルテルがなくなったら、廃止したら一体どういう状況があらわれるだろうか、おそらくや弱肉強食で、先ほど申し上げましたあまたの、群小の紡績屋、群小の機場は、事業上の競争でたいへんな打撃を受けるではないか。もう一つは、御存じの金融面から、たいへんな問題が起きるではないかと思われる。と申しますのは、制限があればこそ権利がついているわけでございます。その権利を担保に銀行が金を貸しているわけでございます。一台につきまして五、六万円ないしは、まあ機によって違いますけれども、機によっては平均して大体五、六万円、一錘にして大体まあ一万円から五、六千円まで、これが権利でございます。自動車のタクシーでも同じことでございます。自動車代金よりは権利金のほうが高いのですから。それを担保に貸している銀行は——あなたの一言でその権利金はゼロになりますからね。そうすると、金融機関として見れば、やむなく引き上げなければならない。それは群小のあまたの繊維業者を倒産に追い込むということでございます。ここらあたりは、政府としてはどのように分析していらっしゃいますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 加藤さんの御指摘のとおり、この問題に対しては、やはり一企業ばかりじゃなしに、それがどういう影響を業界全体に与えるかということは、われわれとして絶えず分析もしなければならないし、その影響を考えなければならないわけでありますので、業界自体に対しても、これが普通の正常な状態になれば、不況カルテルをつくるような事態でないときならば、それはみな自由競争の原理でやればいいのですけれども、いまの市況は、御質問があったように、四〇で百五十七円とか八円というような採算割れであることは事実でありますし、そういうことで、こういうふうな不況カルテルを、ある短期間、さらに延長を必要とするような事態であるという繊維業界の事態が問題でありますので、そのことによって非常な打撃を弱小の企業にも与えないで、この非常に困難な時代を乗り切って、構造改革をやり、繊維産業というものが安定した基盤の上に乗せられるように持っていくような努力をすることが通産行政としては必要なんだ、こう考えておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 大きな業態に対して大きな変革を行なわれまする場合には、何をするのでも経過措置ということが必要ではないかと思う。したがって、このカルテルをかりにこれでもうやめるとしましても、やめるまでの経過措置を怠りますと、必ずその断層のために倒産というものが一そう拍車をかけられるということは、過去の歴史から明らかな事実でございます。したがいまして、私は、このカルテルを行なうにしても、あるいはやめるにしても——やめたほうがいいに違いない。望ましいことは、ほんとうの自由競争をさせることである。しかし、直ちにそれに持っていくということは識者のとらざる道だと思いますが、その点はいかがでございますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 お説のとおりだと思います。いきなり急な変革があれば、その変革の影響をできるだけ緩和するような措置が伴わなければ、大変革をやって弱小企業が次々に倒れていくというようなことは、やはり産業行政としては考えなければならぬ点だと思います。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 外務省、来ておられますか。——外務省の答弁役が来てないようですから、次に進みます。  ちょっと、理論が飛んでしまうのですけれども、先ほどの五億五千万、これで糸口をつくるというお話でございまするが、まだ一つ政府自体で当然しなければならない問題で、お忘れになっている点があるのじゃないかと思います。それは御承知のとおり輸出保険制度でございます。この整備拡充でございまするが、この特別会計の資金は総額大体三十億ということでございますけれども、これは二十七年以来そのままになっておる。二十七年に三十億積んだのです。それ以後貿易額は五倍にも六倍にも伸びてきている。百億ドルになんなんとする時期に二十億ドルであったと同じ着物を着せているわけだ。これは一体どういうことでございましょう。

高島節男通商産業事務官(貿易振興局長)

○高島政府委員 お答え申し上げます。ただいまの点は、まさに加藤先生の御指摘のとおりに、三十億の政府出資で出発いたしました。ただ保険は三十億の元金を食いつぶすというよりは、やはり皆さんに保険料を納めていただいて、そしてそれに応じまして、事故がありましたら保険を払ってまいるというたてまえになってまいりますから、結局資本金というのはさそい水であった。幸いのことにといいますか、ここ何年間御承知のように大きな事故が起こっていることがなくて今日までまいりましたので、相当の留保もございまして、今日に及んでまいりました。しかし、最近、後進国の外貨事情が非常にあやしくなってまいりました。ちょっとお話の出ましたインドネシアとかその他の国についてもリスクがございます。したがって、これは来年度は必ず増資をしなければいけない段階に入らないと、かりにそういう後進国問題がうまく解決いたしましても、びくびくしていなければならぬということに相なります。したがって、来年度以降での増額はぜひしたいものと事務当局としては計算上考えている段階でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 おくればせながら、おやりになるならばけっこうですが、大臣に認識していただくために、私は実例をあげてみたいと思うのです。  たとえばインドネシア貿易ですが、スカルノ・川島会談で政府自体が約束したことなんです。行なってしかるべきなんです。ところがいまの説明のとおり、日本自体からこれはストップした。それは何かと言えば、向こうの外貨事情といまの保険金との関係なんです。これなどは日本政府が昨年八月に約束したことです。それが行なえない。もっともこれは日本だけでなく、債権国の関係国は全部一斉にストップしているから、何も日本だけの責任であるとは申しません。最大の原因は向こう側にある。けれども、なお保険制度とかあるいは外貨事情、あまたの問題が総合的に対策が立てられておりさえすれば、こんなに急にストップになるということはなかったはずなんです。船積みの用意までしてしまったものもある。それがストップになった。この損害というものはたいへんなことなんです。よそへ回すわけにいかぬ。インドネシア向けにつくった品物は、よそへ回すわけにいかぬ。これを在庫にしますと、倉庫料や金利やらで、これがまた中小の貿易商社の倒産の原因になってくる。  そういう意味からいきまして、輸出上の事故というものは、輸出額、貿易額がふえるにしたがって多くなる。特に発展途上にある国々の外貨事情は、大臣御案内のとおりで、そこでアラブ諸国の貿易もたいへんに難渋しているというのが実情でございます。これに対して大臣としては、いま事務当局が答えられただけでは安心できませんから、ひとつ確たる覚悟のほどをお聞かせいただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは貿易の仕組み上、向こうが払わぬということになれば、とまらざるを得ないわけですが、しかしそれは事務的に考えれば、それよりほかに方法はないので、ここにやはり低開発国に対しては政治的な判断を加えざるを得ない。政治的判断というものはどういうことかと言えば、一体そういう低開発国に対してコマーシャルベースだけでなしに、どの程度まで日本は経済協力をするのかということでないと、インドネシアのような問題が各国に起こる可能性を持っておるわけです。そういうことで政府自体としてもいま御承知のように真剣に出ていることは事実です。椎名外務大臣も私もOECDの会議に行ったときに、西独の政府などとインドネシアの問題について話し合った。そして、関心を持っておる国国で、インドネシアのいろいろな国内の建設計画と結びつけて、何かやはり協力しようではないかという国際的な雰囲気が生まれてきておるわけです。まだ具体化してはおりませんけれども、そういうことで、このインドネシアの問題なども、大きく解決をしなければ、急場しのぎにいろいろ小出しにものを考えても、インドネシアの外貨事情などから考えてみて、安定した両国の関係というものが確立されるとは思いませんので、これはやはり御指摘のとおり、ただ事務的な判断だけでなしに、政治的な判断を必要とする。それはやはり日本一国だけでもなかなか——インドネシアの経済事情などを考えてみますると、これは限界を越えるようなところもありますので、でき得べくんばインドネシアの経済再建ということに関心を持っておる国々と、国際的な規模で経済協力などが実行できるようなことが好ましい、こういう方向で努力をいたしておる次第でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 その努力が一日も早く実を結ぶことを期待いたしまして次に進めますが、輸出保険制度の改善の問題について事務当局が答えたのですけれども、大臣はどうお考えでございますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは、もし途中で輸出保険の資金に支障を来たすならば、予算の途中でも私は追加要求しようと思っております。ただしかし、これは保険制度でありますから、いままではたいして問題がなくて、これでカバーしてきたわけですが、いま局長が言ったように、来年は資金もふやさなければなりますまいが、しかし、途中であっても、そういう必要があれば当然に追加せざるを得ないと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 貿易額が二十億ドルからせいぜい二十五、六億ドル、そのころにきめた金額が三十億なんですね。いまや、通産省の方針では貿易額を百億ドルに伸ばそうという時期なんです。ものにたとえますと、これは生まれたばかりの子供に一つ身の着物を着せた、いっぱし成年になったのに晴れ着も着せぬ、赤ん坊時代の着物を着せておく、こういうかっこうなんです。これは矛盾もはなはだしいことなんです。同時に諸外国はガットとか、IMFとかOECDとか、いろいろの国際的な制約を打ち破って、イギリスも、ドイツも、輸出産業に対しては特別措置をとっている。税の減免どころの騒ぎじゃない、ほうびまでつけておる。かつて日本もそういう時代があった。Cリンクにしてもあるいは二〇%。プレミアムにしても二〇%、三〇%、そういう時期があったのです。私は、貿易が自由化されるにあたって、特に政府に考えてもらわなければならぬことは、その自由化の根回しである。その根回しの一つとして輸出奨励策をとらない限りにおいては、外地において諸外国との競争が激しいので、とうてい立ち行かない、非常に難渋するということを申し上げたことを記憶しておる。   〔主査退席、坂村主査代理着席〕  そのときの大臣は、お説ごもっともでございまするから、さようにいたしますと、こういう答弁だった。ところが、その後どうですか、そのままになっておる。その言たるやよし、実行たるや全然有言不実行、こういうことになっている。  そこで、もう一度確たる大臣の腹を、しからばことしのうちに何をやるか。この予算の途中でも追加するとおっしゃられましたが、それはけっこうなんです。もう一度はっきりした腹を承りたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 必要があれば追加をいたします。しかし本格的なものは明年度予算だと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 外務省を再三呼んでおるにもかかわりませず、来られたのは米国カナダ課長です。これは事務的な答弁しかできない。いまは予算をやっておる。政治的な姿勢を承らなければならぬ。  そこで主査に要求いたします。これはきのう、おとといから、ちゃんと要求を出した、にもかかわらず応じない。私は、政府に協力するためにここで一括して質問しよう、こう思っていた。ところが相手方の態度でそれができない。したがって、この質問を外務省の所属しておる分科会においてまた行ないまするが、そのときに時間が余分だとか、君は二へんやったとかいうことを言わないように、ここの主査は外務省の所属する主査に厳重なる申し入れをしておいてもらいたい。

坂村吉正自由民主党

○坂村主査代理 善処いたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは次に進みます。  アジア・アフリカ貿易——ナイジェリア、ガーナ、スーダン、ケニア、この貿易はきわめて不均衡になっておる。その結果、日本の貿易があがるべき素地を持ちながら成績があがらない。これについてどうお考えでございますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 御指摘のとおり、もう片貿易で各国とも問題が起こっているわけであります。そういうことで、将来の問題としては、一つには経済協力という形でいろいろクレジットを与えるという問題もありましょう。これもやらなければならぬが、第一次産品に対して日本がもっと買い付けられる仕組みをつくらなければならないのではないか、そういうことで、御承知のように、本年度の予算に、これは加藤さん、なんだと言われるかもしれませんが、三億円という金額ですが、しかし、これは金額よりも、ものの考え方が出た一つの芽であります。第一次産品の輸入促進策という点で、一つの将来のアイデアの芽が出ておるというところにこの予算は注目すべき予算だと考えております。こういう仕組みで、来年度からはもう少し本格的に第一次産品の輸入促進のための機構を考えながら、今年は一つの過渡的な措置として、ああいう措置を掲上したわけであります。そういうことでなければ、現に経済発展の過程が違うのですから、これを貿易でバランスといっても、何らかの仕組みをつくらなければ、ただバランスをとるとるといっただけでは問題は解決しない。そういう点で、できる限り日本も世界貿易開発会議などで、国民所得の一%は低開発国の援助に向けるべきだという非常な勧告を受けておるわけです。むしろ日本の努力は足らないということで、被告席に立たされるような場面もあるわけですから、そういう点で海外に対する援助をふやしていく、これが一つ。もう一つは、第一次産品の輸入を促進するための、それが促進できる仕組みを考えていくということで、このバランスをできるだけ是正するよりほかには方法はない、こう考えておる次第であります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 それでは特に声を大にして、貿易促進のネックとなっておる問題の除去等をいま言うべき時期だと私は思います。それは設備ができ過ぎた、でき過ぎたというのですけれども、輸出が行なわれておったら、その心配はないわけです。今日の不況の最大の原因は設備過剰、操短率三割以上、ここにあるわけなんです。それを解決する一番いい方法としては、輸出促進あるいは内地需要の喚起、この二つしかないわけです。  そこで目をアメリカに向けてみたいと思いますが、これも日米綿製品協定、これは時期が来ているですね。これについて私はこう思う。もはや日米の綿製品協定の必要性の基本問題は解消した、したがってこれはやめるべきである、廃止すべきである、名目は日米友好、貿易額増進、こうなっておりますけれども、その具体的事実はその逆になっているわけでございます。したがって、これは日本人であるならばやめるべきであります。その最大原因が解消したと申しましたが、それは先ほどもちょっと触れましたけれども、アメリカがこれを要求してまいりましたところの一番大きな原因は、日本が安い綿花を買ってこれを加工してアメリカへ輸出してくる、同時にチープレーバー、レーバーダンピングがこれに加わってくる、だからこれを結ぶべきである、こういうことであった。ところが、アメリカの綿加工業界は、政府から二割のさやをいただくことになっている。これはケネディさんの大英断によってできたわけなんで、その後アメリカの繊維産業界は非常に盛り返してきている。毛製品業界も同じことで、非常に盛り返している。ただ、あちらにも倒産があった、こちらにも倒産があったとアメリカ側は言われる。しかしそれは倒産じゃない、吸収合併なんです。整理統合なんです。なるほど会社の数が減った。ところがその内容は非常に向上している。いまやいんしん産業になってきている。日本の繊維製品が向こうにいったからといって、決して向こうの同業者が困るというようなことはなく、むしろアメリカの国民は、日本の品質のよい、値段の割り安な繊維を歓迎しているわけなんです。輸入業者もこれを歓迎している。私は、この問題について、できるならば近々のうちにアメリカへ渡りまして、向こうの政府の要人とも話し、特にこの中心的な推進役をやっていらっしゃるパストーレ議員、この方にも会おう、そしてほんとうにこの問題を詰めてみたい。かつてお目にかかりましたときに、君を再び三たび歓迎するからぜひ来てくれ、こう言うておられました。この問題は、私がここでやりますと、必ずアメリカの上院で取り上げられるのです。ですから、そのつもりでひとつ覚悟のほどをきめてお答え願いたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 加藤さんの御指摘のように、国際貿易の自由というものは日本の大原則でありますから、こういう国際的な綿製品の取りきめ自体というものが本来不要であるという説にはそのとおりだと思います。しかし、加藤さん自身が百も御承知のように、いろんな事情で国際綿製品のとりきめができておるわけでありますから、その有効期間がある間、日米の綿製品のとりきめについても、運用面でこれを改善してもらいたいという申し入れをいたしまして、そうしてそのもの自体が要らぬものだといえば別でありますが、それがあるという現実の上に立っては、相当な改善が行なわれたことは事実でありましょう。そういうことで、この問題は、いまジュネーブにおきまして、御指摘のような関税一括引き下げ等の問題とも関連して、検討を加えているような事情にあるので、こういう推移なども見ながらこの問題にも対処していきたいと考えております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 事、外交上の問題でございますから、ここで最後的な結論を大臣に要求することは無理だと思います。また、私もそれは要求いたしませんが、とにもかくにもこの二国間協定なるものは、決して日本にとって有利ではございません。なおかつこの問題は、いろいろなトラブルを生んでおります。同時にまた、これがやがてこの日米の友好通商航海条約に反するのみならず、友好関係を阻害することを私は非常におそれるのでございます。アメリカから買った綿花材料を加工して、より安く、よりよいものをつくって、アメリカさんに買ってもらおうと思うのに、それを拒否されるというならば、それじゃ中共貿易をやろうじゃないか、ソビエト貿易をやろうじゃないか、生きる道はそれしかないじゃないかということになってくるわけなんです。私は、この問題から、日米の友好が阻害されることを非常におそれるわけでございます。この点は、アメリカのその筋の要人の方々もよく御理解をしていらっしゃるはずでございます。パストーレ委員会に所属されまするところのケネディさんの弟さん、あるいは大統領候補であられた方、この方々も、この意味だけはよくおわかりだと思います。ねばならない原因が喪失したのですから、この際、日本政府としては、それを強調して、ほんとうに日米の友好の線に沿ったところの取りきめをすべきであると思いますが、もう一度念のために伺います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 先ほど申し上げましたように、関税の一括引き下げ、国際綿製品の取りきめがジュネーブでいろいろ検討されておるわけでありますので、この経緯なども見ながら、日米の綿製品の取りきめの問題については、今後弾力的に対処していく方法を考えてみたいと思っております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 この取りきめが、やがてカナダに、アメリカ州諸国にも及ぼす影響は非常に大きい。したがって、ぜひこの日米友好を促進するというたてまえから日本の態度を明らかにしていただきたい。  次にお尋ねしたい問題は、日韓のあの条約から生まれてまいりまする有償無償、それからクレジット、この中に一体繊維機械はどの程度含まれておるのか、外務省が来ていらっしゃるからお尋ねしましよう。

高島節男通商産業事務官(貿易振興局長)

○高島政府委員 外務省直接の所管ではございませんので、私かわりまして得ております知識の範囲でお答え申し上げます。  現在のところ、有償無償の経済協力の内容にいかなるものを入れるかということは、先生御承知のとおり、いろいろ新聞紙上等には案が出ております。繰り上げの話等も出ておりますが、まだ正式には、中身はこういうものだというものがまいっておりません。ただ現在までに、韓国との貿易で、繊維機械が有償無償にかかわらず輸出されておるということは事実であると思います。有償無償の経済協力とは別に、繊維機械が日本から向こうへ出ておるということは事実でございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 どの程度だと把握していらっしゃいますか。

高島節男通商産業事務官(貿易振興局長)

○高島政府委員 先般、一年か二年ほど前にできました日韓間の緊急援助がございまして、それに基づきまして現在約八百万ドル程度のものが出るように承知いたしております。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 大臣、これはよく聞いてください。日本の産業に及ぼす影響がどの程度であろうか、どんな大きい影響を及ぼすであろうかということを認識してもらうために数字を申し上げますが、そちらでどのように把握しておられますか。紡績の錘、機場の数、織機の数など、把握していらっしゃらなければ、いらっしゃらなくてけっこうですが……。

乙竹虔三通商産業事務官(繊維局長)

○乙竹政府委員 これは直接通産省がまだ調査しておりませんので、ちょっと数字が間違っておるかどうか、まあ、ほかにございませんので申し上げます。もし間違っておればお教えいただきたいと思うのでありますが、一応私たちのほうでつかんでおります数字によりますと、一九六四年、韓国の綿紡績の錘数は六十万六千六百八十錘というふうにつかんでおります。増設の計画を含みますと、一九六六年末には九十七万六千六百八十錘になる見込みであります。会社数にいたしますと十五社、工場数では十六工場ということをつかんでおります。それから織布のほうの設備でございますが、若干数字が古くて恐縮でございますが、六三年には一万六千七百五十七台、ただ増設の計画を含みますと、六六年末には二万台弱になるのではないだろうか、会社数にして十二社というふうにつかんでおります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 さすが繊維局長だけあって、詳細に調べていらっしゃる。けっこうなことであります。私のほうの把握いたしました資料と近似値でございます。要は、大臣、約百万錘になりますよ。織機で二万台です。いますでにこの製品は、アメリカ市場において日本の製品と競合しております。そのあらわれがシャークスキン問題であります。はね返ってまいりました。大臣、御存じのとおりです。人ごとじゃありません。問題はそれよりももっとひどいのは、日本の生産性本部と朝鮮の生産性本部とがしっかりと打ち合わせをやりまして、この有償無償、クレジット、これをうまく利用して、日本から船と繊維機械、これを持っていって、向こうで生産性を向上する。朝鮮のほうの生産性を向上する。それで逆に日本へ売り込むという計画までができておる。それは御存じでございますか。おそらくや、そんなことを生産性本部としては、通産大臣には言わないでしょう。言わないでしょうが、行なわれておることは事実です。阪本紡を中心にして、金大使のところで着々進んでおる。この事実は決して対岸の火事じゃないです。日本ではあり余っているからこれを制限しよう、スクラップダウンしょうというやさきなんです。それと同類のものがすぐ隣でできて、市場は同じ市場、同じシェアを競争して荒らされている。日本へ逆輸出されますよ。どうしてか。機械がただ、二十年払い、外務省もこの間言うておりましたが、最低で七年、そんな有利な機械の買い方は日本の工場は一つもしておりません。賃金は、御存じのとおり、女子工員の賃金は三分の一から七分の一なんです。ただみたいな設備で安い工賃でできておる。逆輸出をされるのはあたりまえの話なんです。これをまたはんとうに計画している日本の商人もあるわけなんです。これについてどうお考えになるか。  と同時に、私は、これでもう時間のようでございますからやめますが、日韓会談が行なわれておりまする最中に、この業者たちが総理大臣にも陳情をしたのです、外務大臣にも陳情をしたのです、これは困りますといって。ところが名前は言いませんが、与党内のさるりっぱな最高の肩書きを持っていらっしゃる人が、そっちのしり押しをしておる。そこで、やむなく総理やら外務大臣は何と答えたか。おまえらいま騒いでくれては困る、おまえらまでが社会党に行ってくれては困るじゃないか、共産党と同じようなことを言うな、これがうまく通ったらあとでちゃんとめんどうを見てやるからしんぼうせい、こう言われて、口封じをされて帰ってきた。ところが、この委託加工貿易、保税加工貿易は、依然として進んでおる。そのために内地では、ある業界——あえて「ある」と言っておきましょう。非常に難渋して困ってしまって、さあどうしてくれますか、もうこうなれば私らも社会党に入りましょうか。こういう陳情が私のところへたくさん来ておる。資料がたくさんあります。こういう問題があるのですよ。設備を向こうに渡して、生産性を向上して逆輸出するという問題と、いまの保税加工、委託加工貿易の問題、これをどうお考えでございましょうか。私は答弁のいかんによっては、実態を——生きておる、さるりっぱな人の名前をここであげてまで——その人は一体だれのために骨を折ってくれるのか、だれのためにこの地位を利用していらっしゃるのか、私はふしぎでかなわぬことがあるから、答弁のいかんによっては、追って質問します。   〔坂村主査代理退席、主査着席〕

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 各国とも、やはり産業発展の過程がある。そういう点で、韓国に繊維の産業が興ってくるという、このことは、もう当然のことだと思います。重化学工業というよりか、繊維産業というものは、日本の明治以来の産業発展の過程を見ても、そういうのが一つの大きな発展の過程である。したがって、韓国が経済的にも安定してもらいたいというのが願いでありますから、そういう産業発展の過程で興りかかってくるのを、みな芽をつんでいくということが日本の立場であってはならない。そこでどうしても日本のほうとすれば、イギリスでもアメリカでもちゃんと国際競争力を持つような繊維産業として再建がなったのですから、日本の繊維産業というものが、やはり構造改革を通じて、もっと高級な産業として永久に生き残っていくような構造改革というものが伴わなければならない。ただすぐに、そらたいへんだ、——多少競合することがあると私は思いますね。それはやはりある程度工業先進国の払わなければならない一つのの犠牲だと私は思う。しかし、それまでの過程において、急激に日本の産業界に打撃を与えるということは、これは考えなければならない。しかし、いろんな方法としては、まあ関税などの保護もありましょうけれども、しかしそれは日本の業界自身というものが、そういうものを、いま言ったもうけのためには何でもいいんだというような態度でなくして、韓国も日本も、経済的にあまり両方で摩擦が起きないような、韓国に対する企業の進出の態度というものも私は必要だと思う。要は、日本がやはりそれと競合しないだけの繊維産業の構造改革というものをなし遂げるということが基本であって、その過渡的な処置については、いろいろ弊害が起こってくれれば、その弊害を除去する最小限度の方法としては、政府が考えなければならぬということはあると思います。しかしそれは、そういう場合に、そういうところまでまだ私はいくとは思わぬ。起こった場合においてはそういうことも考えざるを得ないが、大きく見れば、韓国の繊維産業が興ってくるという事態、その芽をつむべきではない、それに対して日本は競合しないように、自分の繊維産業を高度化していくことが基本だと思うのでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)分科員 与えられました時間がまいりました。まだ緒論でございますから、残余の質問は次の機会に譲りたいと思いますけれども、この際、この場合の結論として申し上げておきたいことは、私も、何も韓国が繊維産業に熱心で、取りついてくるということについて反対ではない。まことにけっこうなこと、後進国あるいは発展途上の国が工業化しようという、その意欲は慶賀すべきことである。しかし、そのために日本の同業者が犠牲にならなければならぬことはない。アメリカ国のようなりっぱな、しかも経済力の豊かな国でさえも、なお自国の同業者を守るためにはあのような協定を次から次へと結んでいくでしょう。私どもは日本人です。与党、野党の違いはあっても、日本の産業を守るのがわれわれの任務であると思うのです。特にその日本が指導して発展途上の国々より発展させてあげるというその反対給付が、日本の産業を倒産させるということであってはならないと思う。するのはいいけれども、その経過措置がやはり行なわれてしかるべきだと思う。  それから繊維産業は決して斜陽産業ではないと大臣もおっしゃられましたが、決して斜陽ではございません。生きとし生ける者が衣料を必要とする間は繊維産業は発展いたします。ただ持っていきよういかんなのです。私は思う。ほんとうの世界の人の三大快楽は何かといえば、日本の衣料と、中国の料理と、洋風の建物に住む、こういうことだと思う。日本の衣料、安くて高級な、りっぱな、その衣料によって世界じゅうの方々のはだを包む。そこにほのぼのとしあわせを感ずる。その衣料の多きがしあわせのもとである。日本の繊維産業が世界じゆうに行き渡ったとき、それがほんとうの平和と友好の基本だという私はかたい信念を持っている。決して斜陽ではありません。これからの発展産業です。ただ戦後のどさくさに構造が少し乱れただけのことなんです。これを直すのが政府です。特に大もの大臣のあなたならこれができるから、ぜひやっていただきたい。小もの大臣では絶対できません。大もの大臣、やがて総理になられるあなたなら、総理のステップとしてこれをぜひ解決していただきたい。あなたがおやりになるのだったら、野党も決して反対はいたしません。協力を惜しみません。以上。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 これにて加藤清二君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時四十分開議

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算及び特別会計予算中通商産業省所管について質疑を続行いたします。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 通産行政の中で、特に石炭の問題とそれから国連の経済制裁に関連をする問題について、通産大臣の所見を少しお伺いをいたしたいと思います。  そこで、まず第一に、石炭の斜陽化というのは世界的な傾向であるけれども、ヨーロッパ諸国においては相当前進した政策が行なわれて、日本ほどの危機感が石炭労働者その他には及んでいないと私たちは考えておったわけです。ところが、最近の新聞報道その他を見ますと、最近ベルギーの東部の炭鉱地帯で暴動が起こって、そして軍隊が出動するという事態が起こっておるわけです。この事態というものを一体通産省としてはどういうように見ておるのかということですがね。

井上亮通商産業事務官(石炭局長)

○井上政府委員 ベルギーの暴動の原因とかその実情につきましては、率直に申しまして、私まだつまびらかにしておりません。おりませんけれども、やはり西欧各国におきまして、ただいま石炭問題は、日本における問題点と同じように、石油との競争力の問題、エネルギー革命の問題、そういった問題から相当に深刻な影響を受けておりまして、そのために各国ともその対策にあげて懸命な検討を続けておるというような現状でございますので、やはりそういった問題に関連する問題ではないかというふうに考えております。しかし、まだ詳細な事実については私存じませんので、この程度にしていただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 われわれ、ヨーロッパの状態というのは、斜陽の中でも相当の安定を持っておると実は思っておったのですが、そうしますと、たぶん日本と似たりよったりの出炭だと思いますが、ベルギーのようなところで、これはツアルトベルクという炭鉱で、四千人働いている炭鉱を閉山をする。それは非能率が理由ですが、そのために暴動が起こって軍隊が出動した。そこで政府としては閉山を延期をする。延期をする対策として、年金と転職というようなものを、きちっとなるまではひとつ閉山を延期しよう、こういうことになっておるわけです。そこで、このことは大臣御存じのとおり、ヨーロッパは石炭・鉄鋼の共同体をつくっているわけです。こういう石炭と鉄鋼の共同体をつくっておったヨーロッパの、しかもベルギーというああいうそう大きくない、わりあい安定をしておると思われておった国で暴動が起こるということは、これはやはりヨーロッパの石炭の情勢も、私たちが当初考えておったよりか相当に深刻になってきたんじゃないか、いまあなたが御指摘のように、石油なり天然ガスに相当押されてくるということになると、共同体内部においても、これは減産傾向というものが非常に著明になってくるということを示すんじゃないかと思うのですよ。減産傾向が著明にならないとすれば、これはそういう暴動化する労働者を何らかの形でなだめる方法があったと思う。ところが、先行きが必ずしもそうでないという情勢が、石炭・鉄鋼の共同体諸国に起こってきていると見なければならぬのじゃないかと思うのです。そういうことと考えていいかどうかという質問を実はしたかったのですが、まだ石炭局長は十分御調査になっていないということでございますから、これはどうせもう一回、私次回に石炭の特別委員会ででも質問さしていただきますが、少し詳細にひとつ調べていただきたいと思います。これはいまから私がお尋ねをしようとする日本の石炭対策をとる上に非常に微妙な関連を持つから、実はそれをお尋ねしているわけです。これは石炭局長、まだ御勉強になっていないならひとつ勉強していただきたいと思います。  そこでヨーロッパ諸国でさえそういう状態ですが、昨年の暮れ以来、政府のほうでは石炭鉱業審議会の中間答申等を基礎にして、鋭意石炭政策について情熱を傾けておられるわけです。その場合に、問題は二つの側面を持っておるわけです。一つは石炭政策について抜本的な政策を立てようということ。いま一つは、日本の全エネルギーの中で、抜本政策と関連をして石炭の位置づけを行なおう、これはうらはらの関係で非常に密接不可分のものだと思う。しかし、そういう二つの側面を同時に解決しなければならぬと思う。これは三木大臣御存じのとおり、昭和三十七年以来、いやもっと前から言えば昭和三十三、四年ごろから、石炭政策というものは抜本的にやらなければいかぬと国会でも幾度か決議をしたのです。しかし、抜本政策というのは、真理が一つしかないように、そうたくさんあってはならぬと思う。何回も抜本的政策、抜本政策と言っているうちに、客体のほうがどうもリンゲルではもう間に合わないようになってしまうということではどうにもならぬと思うのです。  そこで、一体、三木通産大臣が言う、今度の抜本政策というものはどういうものなのかということですね。何回も抜本政策があると、オオカミが来た、オオカミが来たと言っているうちに、ほんとうにオオカミが来たときには、だれも助けに来なくなるわけです。いままさに石炭はそういう状態ではないかと思うのです。われわれもまた抜本政策と言うのだが、どうもこれもまゆつばではないか、こういう気持ちになりつつあるわけですね。だから、そういう気持ちを払拭をするためには、この際、抜本政策とは何ぞや、三木通産行政における石炭の抜本政策は何かということをここで一応お示し願うことが必要ではないかと思うのです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 一つのいま滝井さんの言われたような面があると思いますね。前のときも抜本というようなことを言ったんでしょうね。私も言っているが……。そういうことで、それはやはりどういうところにそういう政策の欠陥があったかというと、日本の総合エネルギーに対しての、単に石炭だけでなしに、あるいは石油、原子力、こういうものを入れて、問題は一つの長期的な日本の総合エネルギー政策の欠如だと思うのです。だから、そのとき抜本、抜本ということになったのだと思うのですが、今度はやはりもう少し長期的な、日本のエネルギー資源というものに対してどういうふうに考えていくかという、これは何十年というのは滝井さん無理ですが、少なくとも十年なら十年、十五年、それぐらいの期間にわたる日本のエネルギーというものをどういうふうに考えていくか、エネルギーの、石炭なら石炭の位置づけというものを考えていくか、そういうことで総合エネルギー調査会なんかも、これは法律によって御承知のようにできておるわけです。これはいまやっておるわけですから、こういうふうなものの答申も期待しておるわけであります。そういう石炭の位置づけというものも頭に入れながら、しかも、少なくとも十年なり十五年なりの間は、それに対する抜本策というようなことはまたあまり言わなくともいいような一つの対策を講じなければならぬという点で、今度の場合は、これは本物の抜本策である、また繰り返さないで、ある期間はこれで安定した企業として石炭がやっていけるような抜本策を講じたいというのが心がまえで、それなら内容はというのは、いま審議会でも研究していますから、いろいろな構想は出ておるけれども、こうやるということをいまここで申し上げられるような段階にはなっていないが、しかしそういう心がまえで取り組んでおるのだということは申し上げておきたいと思うのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 抜本政策は今度が本物だということでございます。しかも、その抜本政策というものは、そう長期のものはできないでも、十年とか十五年、こうおっしゃるのですが、私は五年でいいと思うのです。三十七年に有沢調査団ができてから、三十八年にはもうその答申がだめになってしまったのですからね。池田さんの所得倍増十カ年計画というものはもうだめになってしまって、中期計画に直したら、中期計画は去年やってもうことしはだめなんですからね。だから私は、三木通産大臣に十年、十五年は望まない。五年でいいですよ。五年でもいいから、たとえば昭和四十五年までには日本の石炭というものは安定するのだ、こういう具体的なものでけっこうだと思うのです。もうわれわれは、そんな大それた長期計画をやっておったって、いままでできたためしがない。日本では長期の見通しで合ったものはたった一つある。それは何かというと、人口問題研究所から出てくる日本の人口増加の傾向です。これだけは合っておる。あとのものは全部間違っておるのです。したがって、このエネルギー革命の激しいときに、石炭を十年先まで安定さしていただけば一番いいのですが、しかしこれは過去の経験からいって不可能だから、まず五年くらいは確実に安定をさせる、こういうくらいのところをひとつ目標にして、ことしきめたらもう来年それを変えるということでないようにしてもらいたい。いままでは抜本策が全部だめになっておるということです。  そこで、この前石炭の委員会で、三木さんが石炭が非常に不振だ、それから労務者も非常に不安定、企業の資金繰りも悪い、それから合理化過程でたくさんの借金を背負ってどうにもならぬようになっているというような大きい石炭の現状について四つくらいあげたのです。私はやはり問題はここが出発点だと思っております。したがって、私は具体的な内容をここで問いません。しかし、一体日本の石炭というものを他のエネルギー、特に油ですが、それと競争させる意思があるのかどうかということです。これが一番ポイントだと思うのです。そのナショナルインタレスト、いわゆるエネルギーの安全保障をやらなければいかぬというようなことをよく言うのですよ。しかし、その立場も、口では言うけれども、絶えず不安と動揺の中にあるわけです。だから日本の国内産の石炭、一般炭なら一般炭というものを、一体他のエネルギーと競争させるのかさせないのかということです。まずこの点がはっきりしてくると、政策の内容というものはあんまりわからなくとも、一つの方向が出てくると思うのです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私はやはり純然たる競争は無理だと思うのです。これは一つには、大きく言えば、むろん競争の原理は否定いたしませんけれども、エネルギーという場合に、単に低廉という面だけで競争さすということになってきたら、石炭に分があると私は思っていない。やはりどうしても国内の唯一といってもいいエネルギー資源ですから、エネルギーの安定に確保という面から問題を考えてみる必要がある。ことに日本の油の場合は、もうほとんど中近東ですけれども、やはり非常に輸送路が長いわけですから、そういうエネルギーの安定確保という面、それからまた 長い間日本のエネルギー資源として日本の産業をささえてきたわけですから、地域的な開発というものも、石炭がやはりある地域によったらにない手になってきたわけで、地方の経済というものも、そういう石炭を中心にしてできておる土地が相当にあるわけです。こういうものを、地域社会との関係ということも無視できないし、また炭鉱の労務者も、むろん他方面に転業という問題もありましょうけれども、やはり相当年齢もいってくるし、簡単にはそれの転業ができるとも思えないし、雇用の面からも問題を考えなければならない。そういうことを考えてみると、純然たるコスト主義で、自由競争のほかのことは何にも考えないで、コストだけで自由競争というもので石炭政策の抜本策が講ぜられるとは私は思っていない。それに対してのエネルギーの安定確保とか、地域社会との関係とか、雇用の問題とか、そういうことを頭に入れて総合的な対策を講じなければ、自由にそのままほうっておいて石炭が相当長期にわたって競争力を持つとは私はとても思わない。そういうものを頭に入れて考えれば、それはやはり大きな競争の中で競争はできるでしょう。一体それをどの程度国民経済の中でウエートを置くかということによって、いま言ったコスト以外の条件というものを考えれば、競争力はありましょう。それをみんな除いてしまったら、競争力は、自由に競争させたらない、そういう意味で、そういうことを頭に入れながら石炭政策というものを考えていかなければならぬというのが私の認識でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 純然たる競争はさせないということですが、御存じのとおり、競争の相手というのは当面はやはり油なんですね。だから油との競争をさせるのかさせないのかということです。油との競争をさせないということになれば、ある程度石炭というものは燃料として優先的に国内で使う、こういうことになってくるのです。他のものとの自由競争、野放しの自由競争をやれば、これはもうすでに第一次の有沢調査団のときから出ておったように、二千万トンかそこらしか使うところはないわけです。そうしますと、日本の炭鉱で二千万トンくらいなら、北海道と九州で少し残しておったらいいことで、あとは全部スクラップしたらいいということになる。そうでなくて、油との競争というもの、重油なり石油との競争というものを、ある程度チェックをしていくということになると、ことばをかえれば、純然たる競争はさせないということは、石炭をある程度優先的に使っていくという形になると思います。そういう形と理解して差しつかえないですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 理解してけっこうだと思います。そうでなければ、競争になれば、いま言われたように、二千万トンもあやしくなるですよね。そういうことでは、石炭の抜本策といっても、立て直しようがないと私は思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 大体これでわかってきたわけです。  そうしますと、大体そういう形になれば、これは四十五年までに見ても、五千万トンくらいの石炭は使えることになるわけです。そうすると、大体いまの出炭ベースは、努力すれば五千万トンはいきますから、五千万トンベースで四十五年までくらいいける、こういう一つのあれが出てきたわけですね。そうしますと、今度、この使うところをどこかに主力を置かなければいかぬ。使うところはもう電力と鉄鋼くらいしかないですよ。あとガスとか国鉄炭とかありますよ。しかし、国鉄はこのごろ運賃を上げなければやっていけぬということになると、合理化してくるから、石炭はだんだん使うのが少なくなるし、あの引いていく機関車も少なくなるのですからね。そうすると、やはり油との競争をある程度チェックして、石炭を優先的に使うとして、そうすると、一体どこに使うのかというと、もう電力以外にない。電力がふんどしを締めれば、五千万トンのうちの半分以上は使えることになる。だから使う場所は、これは一体、大臣はそういうところに政治力を発揮して、やれるだけのものをするという方針でいくのかどうかということです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 五千万トンという出炭目標は、これはいろいろ検討してみたい。しかし、やはり御説のように、電力、鉄鋼だと思います。そういうところに、いま言ったようなエネルギーの単純なるコストだけでなしに、いろいろ全般のエネルギーに対しての、いま申したような国家的な見地から、電力とか鉄鋼というものは、コストだけでなしに、石炭をやはり継続して使ってもらうということでないと、ある程度の出炭目標は達成できないと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 電力の場合もやはり石油との関係なんですよ。だから、さいぜん、これは前提で、石油との関係というものはある程度チェックするということになれば、相当石炭に重点を置くという火力発電がある程度出てくるわけですね。大体三木さんの考えはわかりました。  そこで、結論的に言うと、石炭というものを燃料としては相当優先的に考える、それから使用する場所は、やはり電力にいかざるを得ないということはわかりましたから、こまかい内容はまた石炭特別委員会でやります。大綱だけここで御言明いただいておけばいいです。  次は、石炭離職の問題に関連をして二つだけ、簡単な質問ですが、一つは、炭鉱労務者が非常に不安定な状態にある。これは一つは賃金の面もあります。たとえば管理炭鉱は三%ぐらいしか上げることはならない。一般の炭鉱でも七%である。他のものは一割とか一割二、三分もベースアップができるのに、これが七%だということもあります。しかし、きょうはこの問題は別にして、年金の問題です。  ことしの通産省の予算を見ますと、炭鉱労働者特別年金制度調査費二百三万四千円というのがあるわけです。いままで私たちは、厚生省なり労働省にずいぶんこのことを要求したのですが、私はこれは厚生省か労働省に予算が計上されるかと思ったら、通産省に計上されておる。これは労働大臣や厚生大臣よりは通産大臣が年金については熱心であったという一つの証拠にはなっておるわけです。証拠になったのだが、二百三万四千円で一体どういう構想を描きながらこの予算をおとりになったのかということです。

井上亮通商産業事務官(石炭局長)

○井上政府委員 ただいま御指摘のように、通産省に厚生年金に関する調査費といたしまして予算を計上してもらったわけでございますが、これは額は非常にわずかでございますが、これは、厚生年金をいろいろ炭鉱について何か特別の措置はないかということで、今後検討していくわけでございますが、その際研究資料といいますか、検討資料の整備が必要でございます。たとえば、滝井先生も御承知のように、炭鉱では従業員の移動が非常に激しい。単なる移動だけではなしに、非常に高年齢層の人も多いし、それから転々と職場をかえられるというような関係もありますし、それからもう一つ困難な問題としましては、将来の炭鉱労務者の構成といいますか、今後の石炭の生産構造のあり方と関連いたしましての労務者の状況、こういった点につきまして、相当綿密な調査をしませんと、新たに炭鉱について何らかのそういった施策を検討いたしますときに、現在、的確な基礎資料はございません。したがいまして、まずそういった調査から始めてまいりたいというふうに考えております。ただ調査だけで日をかすわけではございませんで、もちろん並行的には政策論も厚生省、労働省、私ども、三省の間で——これは主体的には厚生省の問題になろうかと思いますが、広く三省の協力によりまして今後検討してまいりたい、こういう所存でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、二百三万四千円というのは、炭鉱労働者の移動が激しかったりなにかするので、炭鉱労働者の実態の把握をやって、その上で年金制度をつくろう、こういうことだそうですか、われわれも再三にわたってこの問題は炭鉱労働者と一緒に強く要求しておったのですけれども、厚生大臣もこれは何とか検討します、検討しますと、幾度も言っておるのですが、何か具体的な、こういう方向に持っていったらいいという構想でもおありですか。

曾根田郁夫厚生事務官(年金局企画課長)

○曾根田説明員 ただいま石炭局長からお話しいたしましたように、この問題は通産、労働、厚生、三省三位一体となって事務的に検討を進めておるわけでありますけれども、私どものほうといたしましては、年金制度でございますから、ある程度長期にわたる数理計算も必要となりますので、その計算の基礎資料、特に将来の労務者の年齢構成あるいは離職、そういうものがどうなるか、そういう最新のデータがございませんと、精密な計算ができないので、そのデータのそろうのを待っておるという段階ではございますけれども、しかしながら、データがそろえばすぐ計算にかかり得るように、幾つかの考え方の整理はやっておる、そういう程度に事務的検討を進めておるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 御存じのとおり、炭鉱労働者は、他の労働者と違って坑内労働というのが優遇されている。五年だけ早くもらえるわけだ。したがって、五年だけ早く年金を差し上げるようにするということについての過去のデータなり、その後の動きは、絶えず厚生省の年金局はやっておるはずです。やっておらないと、年金の支払いその他にそごを来たす可能性が出てくる。だから、それがいまになって、すでに昭和三十年から合理化は始まっておるのですから、十年の年月が経過してやるというのでは、十五年で坑内労働は年金がつくのですから、そうしますと、これではあまりにも怠慢です、いまのような話では。調査費は計上してもらっておるけれども、何も構想はない。目標がなくて、ただばく然たる調査では、いつ目的の達成ができるかわからないわけです。だから、これはやはりある程度年限を切ってやらないと、石炭の寿命は、ヨーロッパでも暴動が起こって、どんどん減産方向に向かっておるときに、これからそこに働く労働者の年金を暗中模索しながらつくってあげますというのでは間に合わない。問に合わなければ不信感が起こって、ますます離職してしまう。だからこの点は、二百三万くらいの金ですから、一挙にできませんけれども、厚生省なり労働省にそれぞれ炭鉱離職者の実態を調査した資料があるはずです。それをもらって、できればことしか来年のうちには年金制度の構想をまとめるくらいのことをやってもらわないと、いまから資料を集めてぼつぼつやるというのでは息が切れてしまう。大臣どうですか、ここ二年くらいのうちにやれるという言明ができますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは結論をそれくらいに出さないと——いろいろ三省にまたがっているから、やるということをここで言明することは、三省との相談もしなければならぬが、結論はいつまでも長引かすことではない、二年以内くらいに結論を出すべきであるという御意見には私賛成です。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 ぜひひとつ二年くらいには、いまの御言明のとおり努力をしていただきたいと思います。  次は、これは労働省にも関係がありますが、まず労働省にお尋ねしたいのですが、去年とことしでけっこうです。一体、国家機関に炭鉱離職者をどの程度雇用したか、それをひとつ御説明願いたい。

広政順一労働事務官(職業安定局雇用調整課長)

○広政説明員 政府関係機関におきます炭鉱離職者の採用計画並びに実績でございますが、閣議決定に基づきまして、毎年総理府を中心といたしまして、私どもも介添えという形でお願い申し上げてきております。三十八年度には、計画の二千七百五十三名に対しまして、実績が二千五百三十名、三十九年度が二千二百名ほどの計画に対しまして、実績が一千四百名、四十年度はまだ集計が最終的にとれておりませんが、計画といたしましては、九百七十名ということになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、二千人以上の計画に対して、三十八年は二千五百三十人、三十九年は千四百人、こうなっているわけですね。この人たちは、こういう国家機関に就職をするときには、給料もいいし、住宅もみんなすぐやる、だから来い、こういうことになっているんですね、大体その住宅をうまくやられておるのかどうかということです。御存じのとおり、炭鉱離職者を雇ったものについては住宅確保奨励金というものが出るわけです。官庁が雇った場合には、住宅確保奨励金をその雇った官庁に、御存じのとおり四十万円を頭打ちとして、その半分の二十万円を差し上げます。去年の四十年度予算では三億五千九百三十八万六千円、四千五百三十戸、ことしはちょっと減りまして二億二千五百二十万三千円、千五百三戸ということになっているわけです。これは役所が炭鉱離職者を雇ったときに、住宅確保の奨励金をその雇った役所に差し上げて、そうして住宅を建てさして入れるようにしておるのかどうかということです。

広政順一労働事務官(職業安定局雇用調整課長)

○広政説明員 役所の場合につきましては、住宅確保奨励金は考えておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そこが問題です。そこで、官庁の中でも大体炭鉱離職者をよく雇っていただいて、よく新聞に出ておるのは郵政省です。郵政省はいままで炭鉱離職者はどの程度雇用いたしましたか。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 ただいま労働省からお話のありました割り当ての中で希望いたしまして参りました者は、四年間にわたりまして千二十五人おります。そのうち現在おります者が六百二十五人でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 千二十五人も雇っていただいたけれども、四百人くらいやめて六百二十五人になった。なぜこれはやめたかということです。これは約束違反なんですよ。住宅があるから来いというので行ったわけですが、住宅をくれないのです。炭鉱離職者は国もとに奥さんや子供さんを置いてきておるわけです。そうすると寮か何かに入れるわけです。そうして、すぐに住宅をくれると言うけれども、くれないわけです。なぜくれないか、郵政省も、御存じのとおり、一般の雇用した職員がたくさんおるわけです。だからその人たちにも住宅をやらなければならない。炭鉱離職者は郵政省でなぜ一体優先しなければならぬかという議論が他の職員から出てくるのです。そこで郵政省としては、おそらく炭鉱離職者にそういう約束をして雇ったので早くつくってあげたいんだが、いま言った二十万円は官庁にはやらないわけでしょう。だから、これは郵政省予算のワクがないからできないわけです。こういう形になっているのですよ。いま言った住宅をやるという約束をしてやれていないのは、郵政省にどのくらいあるのですか。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 お答えいたします前に、私の説明がちょっと不足でございましたので補足いたしておきますが、千二十五名の希望者の中で実際に採用いたしました者は六百四十七名でございます。つまり残りの数は身体検査の結果とか、あるいは色盲とかいうような関係で、郵政省の仕事に不適当でございましたので採用しなかったわけであります。六百四十七名のうちで六百二十五名残っておる。したがって離職率は一般に比べますと非常に低いわけです。  なお、いまのお尋ねでございますが、私ども六百二十五名のうちで郵政固有の宿舎を与えておりますものが約四十名でございます。御指摘のように、残りの職員につきましては、ほとんど全部が雇用促進事業団がつくりました宿舎に入っておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 御存じのとおり雇用促進事業団の住宅、パイプハウスその他に入っているわけです。これは暫定的に入れておる。すぐに向こうの住宅に入れるからということを言っているので、そこでここに不満が起こってきたわけです。約束と違う。少なくともわれわれの官庁に入れるから来なさいというので、もとの炭鉱に比べると給料は安いけれども、喜んで行った。ところが、行ってみると、雇用促進事業団のパイプハウスの中に入れたままで、ほんとうのあれにしてくれない。しかも当初は郵政省の住宅に入れるワクの中にさえ入れなかったのですから、他の職員と差別したのです。そこで、この離職者たちが団結して、けしからぬじゃないかということで、ようやく同等に取り扱うということになっているのだが、やらないのです。だからこれは私はせっかく炭鉱離職者を郵政省に雇っていただいたんですから——これは郵政省にしてみれば、いわば政策的な恩情を炭鉱離職者に与え、政府だから協力するのは当然だけれども、協力したわけです。ところが、大蔵省のほうで、やはり郵政省の職員に建設する住宅というのは、他の省との関係から締められる。ところが、炭鉱離職者も他の省よりよけい雇っておれば、いまの二十万円を郵政省にやるべきだと思うのです。そうすれば、郵政省はそれが呼び水になって、他の職員に対しても、炭鉱離職者にはこの金が特別に来たんだからやらなければならない、こういう理由が立つわけですね。それがやられてないのですよ。この前私が指摘したように、雇用促進のために住宅を民間の企業に奨励金として出す。そうすると、それをもらうと今度それが所得になって税金がかかるのです。これはやめなさいと言って、石炭局長なり労働省なり主税局に話し合って善処いたしますという答弁をもらっています。それがどうなったか答弁はありませんが、そのうち善処してくれるはずです。だから、この問題もやはり善処すべきだと思うのですよ。そうしないと、炭鉱離職者は政府の政策に信頼しないですよ。せっかくわれわれは郵便局に雇っていただいたんだけれども、住宅をくれぬのはけしからぬじゃないか、これでは公約違反だ、先生、われわれにこんなところに行け、行けとすすめたじゃないか、われわれは雇用促進事業団の住宅に入れられて追い立てられる、どうするのだと言うのです。そこで、私たちはいま、雇用促進事業団に追い立てられるな、しばらく待っておれ、こう言って圧力をかけて待たしておる。雇用促進事業団にしてみれば、あとから来る離職者の住宅がなくなるわけですね。こういう矛盾が起こっておるので、この問題は一体どう解決するかということですね。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いまお話しのように、何かワクでもできると非常にそれは解決しやすいので、よく検討いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 したがって、私労働省のほうに言いたいのは、あなたのほうの政策は、去年が四千五百三十戸あるのに、ことしは千五百三戸に減ってきてしまっておるでしょう。こういう減ることもおかしいのです。少なくともこれは、郵政省あたりにやはり三百戸なら三百戸、百戸なら百戸のワクを毎年思い切って与えるようにしてくださいよ。何も官庁だから与えてはいかぬという法律はないはずです。あなたたちが自身で政令でやっておるのですから、行政のベースで変えられると思うのですよ。炭鉱離職者を雇用したものには、住宅確保奨励金をやってもいいのだから、それが官庁であろうと何であろうと、やったそのワクだけはやるようにする必要があると思うのです。いま通産大臣が検討すると言っておるのだから、労働大臣に話していただいて、ひとつ郵政省と通産省と労働省の三省が話し合って、一定のワクをやるという方向で検討できますか。

広政順一労働事務官(職業安定局雇用調整課長)

○広政説明員 住宅確保奨励金につきましては、これができました当初からいわゆる民間企業というのが大前提でものを考えてまいっております。したがいまして、いま先生が御指摘のように、一般的には雇用促進事業団のパイプハウスなりあるいはその後移転就職者用宿舎というものに入っていただきまして、それからあとは各事業主がそれぞれの立場でいろいろお考えいただく。新規にお建てになるときは、先生が御指摘のように二十万円、その他借家を確保していただいた場合等、四種類あることは御承知のとおりでございます。私どもといたしましては、この雇用促進事業団の建てております移転就職者用宿舎、これにつきまして、期限が来たからといってそうにべもなく冷たく追い出すというようなことは考えておりません。やはりこれは各事業主、民間事業主の場合は住宅確保奨励金で、あるいはそのほかの方法でお建ていただく、あるいは各省の場合には、それぞれ各省のお持ちの住宅というもので御処理いただけるということとの関連で、移転就職者用宿舎の入居という問題を考えさせていただきたい、このように考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 民間だけしかやっていないということはよくわかっておるわけです。また、一番初めの御答弁でもわかったわけです。ところが、それではいま言ったように、郵政省の立場になると、私聞いた限りでは、郵政省が炭鉱離職者だけを最優先的に、新しく郵政省が建てたワクの中の住宅に入れるというわけにはいかないわけですよ。これは当然組合としても、なかなか納得しないだろうと思う。ところが、いま言ったように、二十万なら二十万の金が、炭鉱離職者を雇ったことによってひもつきでいくということになれば、郵政省は他の職員に言いわけができるわけですね。そのワクを炭鉱離職者用として、あなたのほうからやっぱり移しがえをしてやることが必要なんですよ。それがない限りは、いまの六百二十五というものが片づかないわけです。いま言った住宅、四十人かそこらぐらいでしょう。これは片づかないわけです。それを何らかの形でやる必要があると思うのです。あなたが御答弁できなければ、ひとつ労働大臣、隣におりますから、呼んでいただきたいと思うのですがね。これはここで御言明いただきたいのです。できれば労働担当の主計官もちょっと呼んでいただきたいと思うのです。そしてここではっきりさせたい。これは簡単な問題ですよ。それまでちょっと、来るまで次に進みます。一番大事なところですから……。それでは、ちょっと保留をして次に移ります。  いま一つは、最近問題になっております国連協力の問題についてです。私は、きょうはここで国連警察軍に日本の自衛隊を出す、海外出兵の問題を言おうとは思いません。しかし、いまから御質問する問題は、その問題と非常に密接に関連を持つ問題なんです。御存じのとおり、最近においては外務省もそういう考えを持ち始めておるのですが、国連の経済措置に対して、一体日本政府としては、どういう協力体制をとるかということです。さきにアフリカのローデシア問題が起こったときに、イギリス等から日本政府は相当非難されたわけです。日本の業者がどんどんローデシアに貿易をやったわけですから……。国連で決議が行なわれる。そうしますと、日本の政府が国連の決議に同一の歩調をとるということは、これは国際的な一つの信義として、国連加盟国として、当然のことだと思うのです。しかし、それは、もし将来国際的な紛争に発展をするおそれのあるような場合にも、やはりそういうことをやらなければならぬことが出てくる可能性があるわけです。そこで、最近外務省においては、御存じのとおり、国連の決議が行なわれた場合には、それに協力するような何か立法をやりたいという動きが、きょうの新聞あたりにも出ておるし、ずっと前からそういう底流が出てきておるわけです。これに対して、経済協力、輸出振興というようなものを中心に、世界的に平和経済外交を推進しようとする三木通産行政としては、一体どういう態度でこういうものに対処しようとしておるのか、これをひとつお聞きしたいのです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 外務省のは何かきょうの朝刊かに出ておったのですが、直接私は外務省の案を聞いてない。だから、賛否はここで申し上げるわけにはいきませんが、国連の決議に対しては協力すべきものでありましょう。しかし、その協力というものは、日本の国の利益と合致する形において協力すべきでしょう。だから、国連で決議があったならば、国内法に優先して何でも決議が国民の権利義務を束縛するような、そういう何か総動員法みたいな法律が必要だとは私は思っていない。やはり今度のローデシアのような場合でも、あれは全部輸出入に対して承認制にしましたから、目的は達しているのです。だから、どうも外務省はどういうことを考えておるのか知らぬが、決議があったら自動的に国内法に優先するような立法というものに対しては疑義を持つ。詳しいことは聞いてないので、賛否は聞いてからお答えするのが適当でしょうが、しかし、そういうものでは非常な疑義が起こってくると私は思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 問題は、当然外国為替管理法なり輸出入の管理令等があるわけですね。ところが、そういう一つ一つの法律では、外務省としてはまだるっこいので、一本の法律に統一をしたいというような意欲があるように見受けられるわけです。それは椎名さん等の発言の端々を見ていっても、何かそういうニュアンスが感じられるわけですね。そういうことになりますと、これは必ず、もうすでにそのはしりがベトナム等に出ておるのですが、たとえば医療の緊急援助ですね。それから、そうなると今度は、治安出動なんということになるわけです。それで、国連で決議が行なわれる、そうすると、経済制裁で、一本の法律にしたもので日本の国家全体が動かなければいかぬというような可能性が出てくるわけです。それではとても、そういう形に今後の日本がなるということになると、平和な経済外交なんというものは、あるいはアジア諸国に通産省で経済協力をやろうということになっても、これは非常な疑念を持たれる可能性が多いわけです。賛否は明らかにしないということですが、いまの態度で、大体自分たちはそういう国家総動員法的な一本のものにやることについては納得いたしかねるという御発言がありましたが、ぜひひとつそういう方向でしていただきたいと思いますが、再度通産大臣の御言明を得ておきたいと思うのです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いま外務省から正式にいろいろこういう考えがあるのだということで連絡を受けてないので、内容々一よく知らないうちに賛否を言うことは適当でないが、しかし、一本の法律で何もかもというところには、やはり無理があるのではないか、やはりケース・バイ・ケースで、国連の決議というものに対して、それに協力すべきであるということは、われわれとしてこれは異存はないのですけれども、何もすべて自動的にというところには疑義があるのではないか。やはりケース・バイ・ケースに、日本の国の利益、国連協力という方針、こういうものを頭に入れて処理することが、現実の処理のしかたとしては適当でないのかというのが、これは通産大臣個人の意見でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 ぜひひとつそういうように弾力的な態度で臨んでいただきたいと思います。  それでは、前の問題に返って、郵政省のほうに先にお尋ねしておきますが、郵政省のほうとしては、この四十万円を限度としてその半額の二十万円というものを、もし郵政省の予算のほうにひもつきで回していただけるということになれば、郵政省は優先的に炭鉱離職者についての住宅を確保することはできますね。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 ただいま二十万円の交付金をやったらどうかというお話でございます。実はただいま建っております宿舎、一月当たり二十万円ではとうてい建設できませんで、最低百五十万円かかるわけでございます。したがって、それをいただきましても、十分かということになってきますと、十分でないということを申し上げざるを得ないのでございます。  いま一番問題になっておりますのは、雇用促進事業団の宿舎の家賃と郵政のほうの家賃とに、非常にではございませんけれども、若干差があるということが不満の種でございます。それからもう一つは、雇用促進事業団の宿舎は、同じ家賃の安いところに建てておられましても、東京都内の郵便局に通うには非常に不便なところがあるようでございます。そういったような方々の中で、特に、たとえば通勤に一時間半以上かかるといったような方々が御不満をお持ちのようでございますけれども、私どもといたしましては、そういった点につきましては移しかえをする、つまり通勤距離の近いところに移しかえを願うというようなことを、雇用促進事業団に対しまして促さざるを得ないと思います。また、そういうふうにほんとうに不便な方につきましては、全逓組合員も、先生のおっしゃるように、いまは不満を持っていますけれども、お互いに同じ郵政職員である以上は、足りないものは分かちあっていこうじゃないかというふうになだめていくということで、したがって、そういう方は郵政の宿舎に入れてもいいじゃないかというふうに考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 郵政のほうの宿舎に入れてもいいじゃないかとおっしゃるが、郵政の宿舎に入れるような状態になっていないわけです。したがって、こういう問題が起こってくるわけです。だから、二十万円くらいの金をもらっても、おれのほうの住宅は二月百五十万円かかるんだからだめだということになれば、これは話にならぬわけです。しかし、やはりそこに二十万なら二十万の金が来れば、優先的に入れる理由は立つわけですよ。だから、その場合には、あなたの御指摘になったように、雇用促進事業団の住宅に住んでおって、通勤その他に非常に困難をしている人から優先的に二十万円もらって、その上に、あなたのほうの住宅の規格が百五十万円なら百三十万円出さざるを得ないけれども、しかし、それは二十万円を他の人よりも出したということで、炭鉱離職者にある程度の優先権を与える理由にはなると思うのです。しかし、いますぐに六百人入れなさいとは言わないが、困難しているそういう人たちを優先的に入れる理由はりっぱに立つわけですから、いまそれだけのことは言明をしておかないと、通産大臣や労働省から言明を取ったって、あなたのほうでやってくれなければ何にもならないのです。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 その点につきましては、おっしゃるとおりだと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 わかりました。それでは、郵政省がある程度そういうように優先的にやっていただくということになれば、今度は通産大臣は、当然これは検討しなければならぬというふうにおっしゃっている。雇用促進事業団を管理する安定局長のほうですが、大臣に来てもらいたいと思ったけれども、有馬さん、実力があるからだいじょうぶだろうと思うのです。それで、あなた方の御努力によって、炭鉱離職者を郵政に雇用していただいたわけです。ところが、これは、あなたのほうの所管の雇用促進事業団の住宅にお世話になっておるわけです。これはいつか、みんな長くおってもらっては困るから出てくださいという意見があったわけです。それでわれわれは、それは労働省なり雇用促進事業団にお願いをして、待った、そう出てくれと言われても困るからということで、実はこれは政治的に待ってもらっておるわけです。あなた方も、郵政省に勤務することになった炭鉱離職者が、五年も十年も雇用促進事業団の住宅におることは本意でないと思うのです。そうしますと、これは正規の郵政のほうの住宅に移転しなければいかぬことになる。ところが、その炭鉱離職者だけを郵政内部で優遇するわけにはいかぬという理由もやはりあるわけです。同じ郵政職員を、炭鉱離職者であるがゆえに優先するならば、繊維から来た人も、鉄鋼から来た人もしてくれと言わないとも限らない。ところが、そこに二十万なら二十万住宅確保奨励金があるわけですから、この中から、たとえば五十戸分とか二十戸分というようなものを毎年差し上げれば、その分だけは向こうに入れざるを得ないということになるわけです。それだけのことをやる必要があるんじゃないか。ところが、民間の企業が炭鉱離職者を雇った場合には、これは四十万円を頭打ちとして、その半額の二十万円を出すということになっておるが、官庁はやることになっていないわけです。そこで、この際思い切って官庁にもやったらどうだ。その額はそう多くなくても、まあ十軒か二十軒ずつでも、これはやっておけばいいと思うのです。というのは、そういうことをやらないと——御存じのとおり去年は四千五百三十戸見てもらったでしょう。それがことしは千五百三戸に減っている。三分の一になってしまった。だから、こういう形でだんだん減っていって、炭鉱離職者は満足しているかといえば、役所に行った人は不満ごうごうですよ。みんな、われわれのところに、何回大挙して陳情に来るかわからない。その不満は、せっかく就職して喜んでいた人が、家族に別れておったり非常に通勤が不便であるというようなことではいかぬということなんです。だから、この際、ひとつ有馬さんの政治力を発揮して、思い切って官庁にも差し上げましょう、ワクは少ないけれども、まず隗より始めよだ。郵政省には二十戸なら二十戸上げましょう、三十戸上げましょうということになれば、その分だけ解決していくわけです。その分だけ郵政省は百三十万円追加しなければならぬ。出血するかもしらぬが、これは郵政省が大蔵省に要求する一つの足場ができるからいいことになるわけです。そこであなたの言明をもらったら、主計官に来てもらって、一つ一つ落としていくよりしようがないと思う。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 労働省で設置管理しております移転宿舎の問題でございますが、これは宿舎の性格上、先生御指摘のように永住するというたてまえにはなっておりませんので、二年間の期限が一応ついております。私どもは、住居でございますので、二年たったら機械的に追い出すというようなことは絶対にいたしません。引き取り先がはっきりした場合に出ていただくという形で、公営住宅あるいは社宅というところへお引き取りを願っておるわけでございます。  ただいま御指摘の郵政につきましては、居住者も非常に郵政のケースが多いわけでございまして、かねて御指摘のような問題がございましたので、私どもも郵政当局に、できるだけ早く郵政の宿舎のほうへ引き取ってもらいたいということは申しておったのでございますが、きょう人事局長の御答弁もありましたように、できるだけ引き取るというふうな御趣旨でございましたので、私ども、離職者のめんどうを見た立場におきましても、そこまで十分めんどうを見ていきたいという考え方でございます。したがって、追い出さないし、早急に引き取るというロジックになりますと、二十万円の問題は実はなくなるかもしれませんが、これはかねて先生から御指摘になった問題でございますので、私どもとしましても、通産省その他とも相談をいたしまして、検討はしてみたいと思います。しかし、何ぶん奨励金の問題は、民間が中心であって、民間にという考え方でやっておりますので、資力のある官庁あるいは公共団体の場合は、自力で宿舎を建ててそっちへ移っていただくというたてまえでできておりますので、そのたてまえとあわせ考えながらひとつ検討さしていただきたい、かように考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 有馬さんのほうは追い出さぬと言うし、郵政省の人事局長の曾山さんのほうは早く引き取りますと言うけれども、実際問題としてできないんですよ。もう過去四年間に六百何十人かお雇いになったんですけれども、実際は住宅は四十人ですかしか入っていないんですから、一割入っていないんですよ。しかも、通勤その他に非常に不便な人がおるというわけです。これは政治ですし、みんな炭鉱離職者は何と言うかというと、私たちにうそを言ったというのです。天下の郵政省がわれわれにうそを言うとは何事だと、こう言うてきておる。みんな来ましたよ、何回もやってきて、一体、国会議員は何をしておるんだ、あなた方、官庁はいいから行けと言ったじゃないか、それがパイプ住宅に長く住まわして、ほんとうの住宅に入れてくれないというのは何事か、君らもぐるかと言われているんですよ。だから、これは約束は守らぬといかぬですよ。こういうことが、ひいては三木さんの石炭行政に影響してくるんですよ。炭鉱にうまいこと言うけれども、全部うそだ、そんなものをあてにしたらだめだといって、結局三木通産行政に対する不信感になっているわけです。郵政省と労働省が実行してくれないから、三木さんにしわが寄ってきている。しわはみんなで背負ってもらわなければいかぬ。三木さんは、ひとつ閣議でがんばろうと言っている。あなた方、二十万出そうということになれば、三者が一体になって、大蔵大臣が郵政省に百三十万円とってやれば万々歳なんです。そこをあなたのほうで郵政省に二十万円出すということに踏み切ってください。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 事情はよくわかりますので、御趣旨に沿って検討させていただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 あと主計官に一つ言っておきたいと思います。平井さん、郵政省は、炭鉱離職者を過去四年間に六百四十七人雇って、身体検査その他の結果、現在六百二十五人雇用しているわけです。これを雇用するときに、山元から出てくるときに、郵政省に入れば、給料もいいし、住宅もすぐやるから、みんな行ってくれ、こういうことで、みんな来たわけです。ところが、四年間になるけれども、四十人しか住宅をもらえないのです。あとはみんなどこにおるかというと、労働省の雇用促進事業団の住宅にまだおるわけです。そこで、雇用促進事業団は、御存じのとおり、二年したら出なければならぬ。ずっと前に一ぺん出てくれという事件が起こった。そこでわれわれが中に入りまして、それは待ってくれ、何とか郵政省に建てさせるから、こうなった。ところが、郵政省にしてみると、これは鉄鋼の離職者を雇おうと、石炭の離職者を雇おうと、郵政省の職員はみな平等です。だから、炭鉱離職者だけを郵政省の新しくできた住宅に優先的に入れるわけにはまいらぬわけです。こういう矛盾が出てきたわけです。そこで、何とかしてくださいと、何回もいろいろな手を通じてやるけれども、片づかないわけです。そこで、それを片づける方法はただ一つしかない。それは住宅確保奨励金というのを、二十万円を限度として、炭鉱離職者を雇用した雇用主に差し上げておる。これを郵政省に差し上げたらどうだ。そうすると、いままで官庁にはやるあれがない。官庁にはやることにはなっていないけれども、昨年の予算と今年の予算を比べると、昨年は四千五百戸程度あった。ことしは三分の一の千五百戸に減らされてしまっておるわけです。むしろこういうことを減らすことが問題であって、これは昨年と同じ程度にしなければいかぬという主張なのだが、ことしいまそれを直せと言ったって無理でしょうから、千五百戸なら千五百戸でいいから、そのうちから、ことし、たとえば二十戸とか五十戸を郵政省に差し上げる、そしてその上に二十万円をつけてやれば、これは郵政省としては、そういうことになれば炭鉱離職者優先を考慮しようというのです。労働省も二十万円については、滝井さんがそんなにやかましく言うなら考えましょうというわけだ。通産大臣は、通産行政の、石炭の離職者をつくった責任者ですから、当然考えなければならぬ、こう言っているのです。あとは大蔵省の主計官が、じゃ、私もひとつ皆さんと協力して二十万円を考えましょう、こうなれば、この問題は解決します、私も質問をやめます、こういうことなんです。どうですか。

平井迪郎大蔵事務官(主計官)

○平井説明員 私、その問題はただいま初めて拝聴いたしました。正直申しまして、国が国に対して補助金を出すという形の問題でございまして、少なくとも従来の考え方からいたしますと、そういう制度はございません。したがいまして、非常に新しい問題でございますし、国から国への補助というものが、一体、制度的に可能かどうか、さらに可能であるとして、一体、制度として妥当であるかどうかというような問題もございます。したがいまして、実際的に炭鉱離職者の方々の住宅を確保するという点については、私どももできるだけの考慮をしたい。その点については、滝井先生と見解を異にするものではございませんが、それがいまのような形で炭鉱離職者用の応急住宅に長く入っているのは望ましくないということも事実でございましょうが、かといって、受け入れ先の国営企業のほうで優先的に受け入れるという問題も必ずしもそのままできるかどうかということも、いま申し上げたような点で問題でございますので、十分慎重に検討いたしてみたいと考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 国営企業に国が補助金を出すことができないことはわかるんです。そこで、この千五百三戸のことしの予算のワクから、五十戸なら五十戸というものを郵政省に差し上げることができないとすれば、それはたとえば郵政省のワクにプラスアルファ五十戸分を上積みしてもらうことも一つの方法です。それができないとすれば、郵政省は雇用するときに約束しているんですよ、労働省も約束しているんですよ、あなたたちが来たら、住宅は優先的に差し上げると言って、雇用しているわけです。だから、われわれはみな詐欺だと言われている。国会議員はああいうことを言ったが、詐欺ではないかと言われる。聞いてごらんなさいよ。全部優先的に住宅を差し上げますと言っている。今度の政府の中高年齢者の流動化政策というものをごらんになっても、みなそういうことになっている。住宅を最優先にしますということです。ことしの予算でも、住宅が一番波及効果が大きいから、住宅だといっているじゃないですか。だから、これは解決してもらわぬ限り、ぼくは了承しない。われわれもみな炭鉱離職者にうそを言ったことになっておるんですよ。だからはっきりしてください。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 ただいま、郵政省で雇用いたしますときに、宿舎をやるという約束は、先生のおことばでございますがへどの職員にもいたさないわけでございます。ただ、お入りになります炭鉱離職者の方々の事情等を考えまして、私ども内部で余裕がつけば、できるだけ早い機会に宿舎をお世話して差し上げようということは申したかもしれません。そこで、あすこの段階におきまして、約束したんだということで最後まで詰め寄る方もあるやに聞いております。  私ども、問題は具体的に解決することが先決でございますので、さきに申しましたように、非常に遠いところに住んでおられて、不便をされておる方々等につきましては十分考慮いたしまして、いま申されました交付金の問題以前に片づけたいと存じます。  さらに、郵政省全般といたしまして、実を申しますと、三十一万の従業員がおりますが、そのうちの二万三千人くらいの者はいわゆる住宅困窮者でございます。その二万数千人の中には一時間半もかかる非常に遠いところから通っております者が約五、六%おりまして、何とかその人たちのことを考えなければならぬ。古い人たちで非常に困窮しております。炭鉱離職者の方々は、官舎に入っております郵政省の職員よりもまだ高い家賃を払っておりますが、いま私の申しました二万数千人の中の相当部分の困窮者に比べますと、もっと安い家賃を払っておるのでございます。それの均衡を考えていく必要がございまして、これらの均衡上、私は、先生がおっしゃいますように、できるだけ優先的に炭鉱離職者につきましては考慮を払っていきたい、今後ともさように考えておりますので、御了承願います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 実績はそうなっていない。過去四年間に実践しなかったから、そういう実績ができなかった。郵政省がいまここでにわかに御期待に沿うようにやりますと言ったって、できるものじゃないですよ。これはやはりいまより違った刺激を与え、政策を与えなければならぬわけです。いまより違った方法は何かというと、炭鉱離職者というその名目に従ってその二十万円を移しかえる以外にはない。その二十万円を移しかえないとするならば、大蔵省が郵政省の予算の中に二十万円をやるということです。国家が国家でできなければ、もう初めからひもつきの予算をやるということです。それ以外にないわけです。これは、補助金の形といったって、予算さえつけばいいのです。大蔵省が予算を出せばできるわけです。これは、うその政策というものは、私たちはとらせたくないのです。いまあなた方のほうに詰め寄ってきている人たちもあります。みんな詰め寄ってきている。それは宣伝するときにそうなっておるのだから、労働省の政策はみんなそうなっておるのだから、炭鉱離職者を雇った人たちには一万五千円までの給料については半分出しますよ、住宅は四十万円を限度として半分出しますよ、そうすれば住宅はすぐ建ちますよ、住宅は必ず確保します、こういったことで、筑笠炭田なり、北海道から連れてきているのですから、それがいまになって、四年もたって、六百人雇用したのに四十人くらいしか住宅を与えていないというような政策じゃ納得できないわけです。だから、これはわれわれ産炭地の議員としても絶対に納得できないのです。これは言明してくださいよ。あとの時間をせき立てられているのだから……。どうしてくれるのですか。通産省もよろしい、労働省も考えますと言っておるのに、平井さんのところだけがんばっておってもしようがない。だから、もし国家が国家の補助をすることができないならば、予算をつけてもらうという以外にないのです。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども職員全般をできるだけ一視同仁いたしまして、その中にもいろいろ配慮をいたして、炭鉱離職者の場合はできるだけ優先的に考えよう。そこでいま実績の問題をおっしゃいましたので、私どものほうの東京で申しますと、一時間半以上かかって遠いところから東京管内の郵便局に通っておる炭鉱離職者の方が四%ございます。この人たちのほうにつきましては、先生のお話もございますので、私のほうはほかの職員よりも優先いたしまして、早期に解決することをお約束してもいいと思うのです。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そうしますと、たとえばまあ四%、端数がありますが、三十戸なら三十戸というものは今年優先的に確保できますか。

曾山克巳郵政事務官(人事局長)

○曾山政府委員 四%の具体的な数は三十戸ではございませんが、東京管内におきまして具体的な計算の結果出ましたその数につきましては、今年度内にお約束しても差しつかえないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 そこまで郵政省が誠意を示せばいいです。そうすると、これはひとつ平井さん、いま来ていま返事をするのはきついでしょうから、来年度、四十二年度の予算においてはひとつ郵政省のワクの中に炭鉱離職者用のワクをひとつやれますか。

平井迪郎大蔵事務官(主計官)

○平井説明員 四十二年度の郵政省予算の問題になってくると思うのでございます。正直に申し上げまして、私、厚生労働担当でございまして、郵政省を担当いたしておりませんので、いまの段階で来年度の予算のワク内で考慮できるかどうかという御質問に対しては、残念ながら、私ども担当主計官に伝えますが、お約束はいたしかねるという次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 三木通産大臣、いまの答弁で担当の主計官には伝えるということです。そこで、これは大臣からひとつお骨折りをいただいて、せっかく炭鉱離職者を筑豊なり常磐なり北海道から移動させて東京に連れてきて、そしてやはり雇用促進事業団の住宅に二年しかおることができないというのを三年も四年もおらせるというのは、非常に不見識だと思う。そこで、郵政省が諸官庁の中で一番雇ってくれているんだし、しかも炭鉱離職者に最も適応する職種が多いわけです。だからその分だけひとつ、また私も別の機会に申し上げますけれども、大臣からぜひ大蔵大臣なり労働大臣に言ってこれをやっていただきたいと思いますが、どうですか、大臣。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 実際に炭鉱離職者が住宅が非常に不安定でしょうから、やはりこれの住宅を確保せよということが滝井さんの趣旨でしょうから、方法論は政府としてもいろいろ検討しなければならぬ。しかし確保せよということに対しては、何らかの方法を講ずることに努力をいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井分科員 じゃ、これで終わります。ありがとうございました。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上で滝井義高君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷治嘉君。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 きょうは、実は科学技術の問題につきまして、科学技術庁との関係も含めて御質問いたしたいと思っておりましたけれども、ここは通産省の席でありますので、次の機会に科学技術庁のほうはやりたいと思うのでありますが、けさの新聞を見ますと「4兆円予算とあなた」という記事の中に「足踏みの産業政策」という見出しで記事が書いてございます。その記事の中に「銀色のタンク群、その最新の石油化学工場さえ、実は一皮むけば借りものの外国技術でがんじがらめだ。生産と消費のアンバランス、相も変らぬ」云々、こういうふうな記事が載っておりまして、その中に今年度予算の産業政策関係費の記事が出ております。そこで私は、時間もありませんから、昨年の十月に通産省が発表をいたしました政府と民間協力で大型の技術開発をやるんだ、いわゆる大型のプロジェクト研究開発、この問題に大体しぼりまして、幾つかの点について質問をしたいと思うのです。  今日、日本の技術は、ノーベル賞を受賞した人が湯川、朝永と二人おりまして、基礎的な、あるいは理論的なそういう問題についてはかなり進んでおりますけれども、いまの新聞記事に書いてありましたように、技術の開発ということになりまずと、ずいぶん立ちおくれておる。たとえば技術問題についての輸入と輸出というものを見てみましても、たいへんなアンバランス、五百数十億以上の支払い。入ってくるものはその十分の一にも満たない、こういう状況でございます。何といってもやはり日本独自といいますか、創造的な技術を開発するということがこれからの日本にとっては非常に大切でありまして、そういう状況下に通産省が大型プロジェクト研究開発というテーマを取り上げたことについては、私は賛成なんです。ところが、この問題について今年度の予算は大体二十億程度の要求をしたようでありますけれども、この通産省が考えました大型プロジェクトの研究費総額というのは三百八十六億という見込みだそうであります。ところが、今年度は二十億の要求をしたのでありますけれども、最後のどん詰まりでようやくのことわずかに十億円が認められた。こういういきさつでございます。新聞に書いてあるように、技術の開発、あるいは研究方面に対する政府の熱意不足、これはもうこの今度発表されました科学技術白書というのを読んでみましても、先進国と比べますと格段に研究費が少ない。国の予算に対してもわずかに一・何%程度、それもだんだん毎年ウエートは滅ってきている、こういう状況であります。私は、通産省がこの時宜に適した大型プロジェクト研究開発ということをやったのに対する予算の結果、わずかに十億、三百八十六億の中でわずか十億、ここに熱意不足があると思うのでありますが、まず通商産業大臣のこの問題についての決意をひとつお伺いしたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 細谷さんの言われることには全く同感でして、やはり今後の日本の産業発展のために、技術開発というものは非常に致命的な影響力を私は持つと思う。だから、みながいろいろな競争の場合においても、やはり今後の競争の中心というのは技術の競争になる。国際的にも国内における企業同士においてもそうだと思う。ところが、いままで技術開発に対しては相当努力はしてきておりますけれども、基礎研究などの点では相当努力もしておるけれども、これが実用化という面になってくると、なかなか日本の努力は足りない点がある。そういう点で、今年度金額は少ないけれども、これはいままでにないことですから、もっと多いにこしたことはないけれども、政府が大型のプロジェクトに対してみずから予算を計上して、民間の研究機関も動員してやろうという、これは一つのアイデアとしては今度の予算で特徴のある予算だと思うのです。金額はお説のとおり少ないけれども、最初の要求のときにはもっと研究の対象を、六つくらいあげておったのですが、それを一ぺんにということも、研究体制の問題もあって、三つにしぼったということで、予算を減らしたのもそこに一番大きな原因があった。今度こういうことで、民間だけということでは、やはり研究に対してのリスクの負担も民間企業だけでは背負い切れないものもありますから、せっかく出たこういう新しい政策上の芽を今後伸ばすことによって、お説のような方向に持っていきたいと考えております。むろん民間もやってもらわなければならぬが、政府のほうも、今後一そう力を入れていきたいと思います。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 いま大臣のおことばの中に、昨年の十月ごろの計画では六つであったけれども、人的な関係等もあって、最終段階においては三つにした、こういうおことばがあった。そうなりますと、私が承知しております範囲では、最後まで大蔵当局と六つで予算折衝したのだけれども、最終の十四日の朝になってようやくその半分の十億が認められたとお聞きしておるわけでありますけれども、いま大臣から、とにかく六つであったけれども、いつか知りませんけれども途中で三つに引き下げたんだ。それは研究者、人的資源の関係だ、こういうことでありますが、それが現実でありますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは、主として私が最終的にはいろいろ折衝したわけですが、予算の編成については、新しいものに対してはきわめて厳格なものがあるわけです。これはよくないくせだと私は思っています。しかし、実際はそうなんです。そういうことで、こちらのほうとしても、これでどうしても技術開発の上に支障があるということならば、引き下がることはしなかったのでありますが、しかし、こういう新しい構想を、六つだったと思いますが、一ぺんにやるということについては、研究体制の問題もあって、そして三つということで最終的に妥協したわけであります。こちら側のほうから進んで引き下がったということではなく、大蔵省とも相談の結果、こういうことに最終的にきまったというものでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 大蔵省との折衝の過秤で、最終的には結果として三つになったということでございますが、これに関連してまずお尋ねしたいのは、いろいろ開発しなければならぬ問題がたくさんございますが、最初にどうしてこういうふうにこれこれの六つを選んだのか、そういう経過が一つ、それから大蔵折衝の結果として三つになって、こういうふうに三つだけがあげられたその経緯、これをひとつ承ってみたい。

馬場有政工業技術院長

○馬場政府委員 ただいまのお尋ねに対して経過を御説明申し上げます。  先生御指摘のように、また大臣から御説明ございましたとおりに、最初に私ども考えましたのはMHD発電、高性能の電子計算機、石炭の地下ガス化、エチレンの新製造技術、大型重油火力発電所の排ガス中からの脱硫の問題、それから高圧直流送電に関する研究、この六つをあげたわけでございます。このテーマを選びました手順といたしましては、約二年前になりますが、二年前に私のほうの工業技術院の院長の諮問機関といたしまして、工業技術協議会というのがございます。そこで各般の技術的問題について、諸般の事情を考えて、どういう点が一番重要であろうかということにつきまして諮問をいたしまして、そのときに、こういったテーマが現在の状況として最も重要であるという御答申をいただいたわけでございます。また、これと並行いたしまして、現在産業構造審議会と申しておりますが、その中に技術部会というのがございます。そこからもほぼこの範囲に属する技術が日本の将来のために非常に重要であるという御答申をいただいたわけでございまして、それを取り上げた次第でございます。  その後六つが三つになりました経緯につきまして、もちろんいま大臣から御説明のございましたとおりでございますが、技術的の観点からいたしましても、広い意味の体制、人的はもちろんでございますが、研究開発していく体制がまだ十分に整っていない。つまり成熟度がまだ十分でないという問題がございまして、それが落ちたわけでございます。したがいまして、現在残っておりますのは、MHD発電と電子計算機と、それから火力発電所の排ガス中からの脱硫でございます。その他の問題につきましても、そういう意味からこの大型プロジェクトの中には入らなかったわけでございますが、私どもとしては今後とも各般の研究を推進しようという考えでおります。たとえば石炭の地下ガス化におきましては、従来とも私どものほうの資源技術試験所におきまして基礎的な研究をやってまいったわけでございますが、また補助金を出しまして、民間でもやってもらったわけでございます。さらにこの点につきましては、石炭局の所管でございますが、石炭技術研究所に対して補助金を出し、また私どものほうの基礎研究も問題点がまだ残っております。その点につきまして、経常研究費と申します予算のワクがございますが、経常研究費につきまして、この場合は人件費を除いておりますが、消耗品とか、あるいはそういった物件の費用といたしまして、五百万円を来年度に充てる予定で現在計画を進めております。  それから高圧の直流送電につきましても、電気試験所におきまして特別研究といたしまして、基礎的な研究をなお続けるということにいたしております。  エチレンにつきましては、その他の問題も含めまして調査をもう少しやってみようということで、この大型プロジェクトの中に調査費というようなことで、調査のための費用を取り組んでおります。  以上がこの経過でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 私は、研究開発の課題としていろいろな議論があろうけれども、一応六つに昨年しぼったことについては異議を差しはさむものじゃない。ところが、六つが三つになったという段階で、どうしてその三つを選んだのかということについて納得できないものがある。たとえば、いまお話がありましたけれども、昨年の一月下旬に、石炭の地下ガス化について本腰を入れるのだ。四百八十万円かの予算が昨年確定いたしまして、そして、昨年の課題はどこの地点で地下ガス化の実験をやるのか、そういう調査をするというのが課題であったはずなんです。たまたま調査員が、九州大学なり、あるいは東京大学なり、あるいはその他の専門家が調査を始めた段階で、御承知のように筑豊の炭鉱の爆発、昨年は引き続いて大きな炭鉱の爆発が三つあった。これは、ひとつ炭鉱保安という観点からも地下ガス化ということを本気に技術開発をしようじゃないか、こういうことになって、私は当時の新聞切り抜きを引っぱり出してきたのでありますけれども、一月の二十九日の記事、あるいは六月の八日の記事、あるいは六月の十四日の記事、あるいは六月の十五日の記事、あるいは六月の二十九日ごろ、あの筑豊の炭鉱の爆発の前後に通産省なり福岡通産局等が中心になってかなり熱心にやって、今度こそこの問題を研究開発するんだ、こういうふうになっており、しかもプロジェクトの六つの課題の中にこの地下ガス化が入っておりますから、今年こそ実験研究、開発研究がほんとうに軌道に乗るものだと期待しておった。ところが全然ない。おそらく五百万円近いものが、これもやはり同じように昨年と引き続いて調査段階ということで足踏みしております。これはおかしくてしようがない。どうしても理解できない。いままでやってまいったもの、なるほどMHD発電、直接発電というのは、電気試験所等に委託して、二カ年ぐらいやってまいっておるわけであります。これは地下ガス化だって同じでしょう。ソ連あたりでは実用化しておる。いろいろな論点がありますけれども、これが原理的にまだはっきりしていない点があるというお話でありますけれども、はっきりしていますよ。いかに技術的に開発するかという問題がある。あなたはその辺についてはずいぶん詳しい専門家なんでしょうが、これは落としたのはおかしいと思う。それでは六つのプロジェクトの課題として入れたのに、あなた方に問題があったのではないかという疑問さえ差しはさまなければならぬと思う。その辺のいきさつをひとつ納得いくように、あるいは大臣のお考えもお聞きしておきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは、ソ連では実用化されておりますし、日本の場合も重要な研究題目だと思います。これは、今年はこういうことになったのですけれども、将来次々に追加されていく場合に追加されていくことにしなければならぬわけです。その場合には、やはり特にこれは取り上げるべき課題の一つである。それに対しては一ぺんにみなもいかぬものですから、こういうことの順番がつけられたわけだけれども、それはやはり取り上げるべき研究の題目であるということについては、しかも重要な題目であるということに対しては、私もさように考えるものでございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 取り上げるということでありますけれども、もう昨年もやっておる、四十年もやっておる、四十一年もまた足踏みをしてやろうというのです。何年からやるということを約束できますか、何年からやるということだけでも約束してください。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私の申し上げるのは、大型プロジェクトとして取り上げる中には入っていないわけですから、今度その問題は、追加する場合には優先的に取り上げるようにいたしましょう、こういうことを申し上げたわけであります。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 まあ地下ガス化の問題につきましては、優先的に取り上げるということでありますから。せっかくいままで調査をしたことでありまして、この問題は幾多の開発すべき技術的な問題点がありますから、幸い工業技術院長、その方面については非常に深い造詣もある方でありますから、ひとついままでの調査費をむだにせぬで、これを生かしていただくように強く要望をいたしておきたい、こう思います。  次に、残った三つのうちのその一つであります、大型火力発電所の排ガスの脱硫問題、これについて、京都の宮津の新鋭火力四十五万キロの四基、百八十万キロという計画がありまして、やはり産業公害という面から住民がかなり関心を持って熱心にその実態を突きとめようということを、私はせんだって現地を視察して感じてまいったのでありますけれども、まあこの問題については、早急に技術開発をしなければ、これもやはり発電所をつくるにしても、たいへんな地元との摩擦というものは起こるわけであります。これをどういう方向でどういうふうに解決しようというお考えなのか、これをひとつお尋ねしたいと思う。

馬場有政工業技術院長

○馬場政府委員 この発電所の煙の中の亜硫酸ガスを除去するという問題は、御指摘のように非常に重要であり、また緊急を要する問題でございます。現在いろいろな方法が開発されておるわけでございますが、そのうちにある段階、進展の度合いまできましたものに三つあるわけでございます。その一つは活性酸化マンガン法、あるいは酸化マンガン法といわれておりますが、そういった固体によりまして煙の中の亜硫酸ガスをつかまえまして、硫酸マンガンの形にいたしまして、それをたとえばアンモニア水のようなもので加水分解をいたしまして、硫安と、それから再びマンガンの、先生もよく御承知のとおり、そのときはマンガンのハイドロオキサイドになるわけであります。それをさらにマンガンのオキサイドの粉にいたしまして、それを再び使う、循環して使う、こういう方法が最も進展をいたしております。これはかつて昭和三十七年でございましたか、工業技術院が研究の補助金を出して、三菱と——三菱重工でございますが、三菱と中部電力との共同開発をしたものでございます。ただし、現在のところは、まだフルサイズのものにはなっておらないわけでございますが、それでも相当規模のパイロットプラントも現在できております。それを一そうさらに実用規模まで持っていくという研究をこの大型プロジェクトの一つに取り上げておるわけであります。  その次に進展しております方法といたしましては、活性炭を使いまして、活性炭の表面に亜硫酸ガスを吸着いたしますと同時に酸化を起こしまして、亜硫酸ガスがSO3になります。こうなりましたものを別のところに持ってきまして、水で洗い流して再生する、その活性炭をかわかして再び使う、こういう方法でございまして、これは工業技術院の資源技術試験所と工業開発試験所という財団法人の研究機関がございますが、それとが、科学技術庁の特別研究促進調整費というものがございますが、それをいただきまして共同開発をいたしたものでございます。ただし、この開発の段階は、現在のところまだ一時間に数千立方メートル、二千とか三千、その立方メートル程度の規模のものを開発した段階でございます。したがいまして、これもプロジェクトの一つに取り上げておりますが、これは、さらにまず一万近いところまで大きくすること、これも大型プロジェクトの一つに取り上げておるわけでございます。これは、大体いまのところ、メーカーといたしましては日立製作所がいままでも実はやっておったわけでございますが、それと電力会社との共同でやっていこう、こういうふうに考えておる次第でございます。それからもう一つございます方法に、これはまだ研究室の段階にあるわけでございますが、バナジウムの酸化物を触媒にいたしまして、これをやはりSO2排気と接触させまして、触媒の作用によってSO3に変えまして、それを再び別のところでキャッチする、こういう方法が研究室の段階にあるわけでございます。これにつきましては、まだ大型プロジェクトに取り上げるところまで進展しておりませんので、ほかの方法でこれを推進するようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  そのほか、同様に工業技術院の資源技術試験所で開発いたしました燃焼の際に石灰石を吹き込むという方法がございます。これは非常に簡単でございますが、亜硫酸ガスの取れる量が大体三〇ないし四〇%の限度がございますので、この点、容易な方法ではございますが、十分ではないという状態にあるわけでございます。したがいまして、この点は試験所の研究室の段階で問題をさらに解明するように進展さすようにいたしたい、こういうふうに考えております。  なお、ここには大型プロジェクトには取り上げておりませんが、油の中から硫黄を燃焼する前に取っておけば問題はないであろう。これは最も徹底した方法でございますが、現在の技術開発の段階におきましては、まだ検討を要する問題がたくさんございますので、この問題につきましては、来年度も約八百万円を予定しておりますが、八百万円の特別研究費を投じまして、私どもの試験研究機関で研究を進めたい、こういうふうに考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 いま火力発電所の亜硫酸ガスを脱硫するということについて、いろいろな方法があるわけでありますけれども、大型プロジェクトとして取り上げたのは、いわゆる中部電力と三菱系統に委託してやろうという活性マンガンの方法、それと活性炭の方法、こういう方式をとっておるようでありますが、どうしてこの二つに限ったのか。私は、この点についても疑問を持っておる。たまたま昨日の新聞に、いまお話しのありました重油を直接処理する水素化法というものについての記事と、すぐ並んで中部電力と三菱重工がやっておる、今度この大型プロジェクトでかなり大きな、三億円程度の委託費を出そうというこの名古屋の開発技術プラントの記事が出ておる。ところで、たとえば五酸化バナジウムを使うという方法は、いまあなたはそうおっしゃいましたけれども、東京工業大学の清浦雷作教授が長年の研究で、もうパイロットプラントの段階を越えて、実用的な段階になっておるとかというぐらいにいわれておる方法なんです。この問題についてなぜ全く手を触れないでおるのかという問題が一つ。もう一つは、昨日の科学技術庁の——きょう科学技術庁はおりませんが、科学技術庁の資源調査会の会長である元の東京工業大学の内田俊一さんが、水素化法が最適だ。いわゆる重油を直接水素添加をいたしまして硫黄を除くというのが最適だ、この記事には一キロリットルあたり一%を除くのに五百円という書き方がしてありますが、一%取るのに五百円ということだそうでありますから、三%取ろうとすればいまのところ千五百円。五百円程度の経費というのを目標にするのならば、これは気体じゃないのです、液体ですから、ボリュームが少ないのですから、こういう問題の技術開発、千五百円が五百円になれば実用化するわけです。しかもガスを扱うというのじゃなくて液体を扱うのですから、非常に小さな施設でいけるのじゃないか、こういうことが考えられるわけです。あるいは五酸化バナジウムの接触法でも建設費の一割程度でできる。そうして、その建設費を一割程度出してつくったこの施設に副産物ができますから、大体九年ぐらいで償却できる、こういわれておるのですね。そういう接触法なり、あるいは内田さん自体が、直接水素化法が最適だと科学技術庁に調査報告しておる内容については目もくれないで、中部電力と三菱が開発しておる活性マンガン法に飛びついておる、これだけに飛びついておる。これは一体どういうことか。私には若干技術的な経験もありますので、そういう経験からいっても理解できない。ひとつはっきりと解明していただきたい。

馬場有政工業技術院長

○馬場政府委員 ただいまの最初の問題の五酸化バナジウムを使います清浦先生の方法でございますが、現在の進捗度は、先生は大学におられることもございますので、その規模はまだ小そうございます。試験の開発の規模がまだ小そうございまして、私どもは、これをさらに——これも先生御承知のとおりで、こういった大型の装置はスケールアップと申しますか、規模を拡大して数段階を経ていくのが通常でございますので、この清浦先生の方法につきましても、私どもといたしましては、まず、できれば補助金というようなものでもう少しスケールを大きく、一時間に二千とか三千立方メートルの試験装置で試験をするということが適当じゃないか、こういうふうに私どもは判断をしておるわけでございます。この五酸化バナジウムを使います方法は、もちろん清浦先生のお考えになりました方法もございますが、同時に、これは諸外国におきましても検討されておる問題でございます。したがいまして、そういった点をいろいろ考え合わせまして、もちろんこれを全然取り上げないというわけではございませんで、もう一つ、もうワン・ステップを置きたい、そのための努力をしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それからその次の重油の水素化法によります脱硫の問題でございます。この報告は二月二十二日に発表されたものでございまして、私ども現在この内容につきまして検討をいたしておるわけでございますが、これは、この報告にございますとおりに、油から油の中のサルファをとる方法にいろいろな方法があるということがまず指摘されておるわけでございます。そのうち水素化分解ということで、水素化脱硫ということでやれば一体どういうことになるだろうかということを検討しておられる報告でございます。この問題につきまして検討しております内容は、主としてアメリカで開発されました方法につきまして、その後日本で、このアメリカの技術を持ってまいりましてやりましたときに、どういうふうなことになるかという点が書いてございますことは先生御指摘のとおりでございまして、一%あたり五百円の費用がかかる、こういうふうな結論になっておるわけでございます。  なお、そこで技術的な問題として考えておりますことは、この報告の中にも書いておりますとおりに、この方法では、日本で適用いたしましたときに水素の値段が高いということ、これは、水素をつくります方法はいろいろな方法がありますことは御存じのとおりでございますが、たとえば日本におきましては、天然ガスを原料にして水素をつくるということも十分でございませんので、やはり油を原料にして水素をつくるということを考えますと、水素の値段が高い。それからもう一つは触媒が高価である。触媒の研究をさらに進むべきである。技術的にはこの問題にしぼられてくると思う次第でございます。先ほど申し上げました、私どもが何を意図しておるか、この八百万円で何を研究しようとしておるかということを御説明申し上げれば、私どもの考えがもう少しおわかり願えるのではないかと思いますので御説明申し上げますと、この水素の値段というものは、日本ではアメリカと違った事情にございますので、どうしても高い、アメリカと比較しては高い値段である。したがいまして、水素の消費量をできるだけ少なくして目的を達するということが重要ではないかと考えまして、そこでもっとよい触媒を見つける、現在ございますよりももっとよい触媒を見つける、また触媒のききと申しますか、できるだけ選択的な脱硫作用を営めるような触媒アクティビティを、触媒の活性度を上げるという研究、それからもう一つは、重油の中にございます硫黄がとりやすいような状態にする方法、そういう三つのところに焦点をしぼりまして、この技術的な問題の解決にあたろうというわけで、先ほど説明申し上げましたような八百万円というような経費を予定しておる次第でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 触媒の問題とかなんとかというのは、これは理論の問題というよりも、やはり開発の問題なんですね。私は大臣にお尋ねしたいのですが、なるほどいまおっしゃるように内田俊一さんを会長とする資源調査会は、新聞の見出しは「水素化法が最適」と、重油を燃す前に硫黄をとっちゃうというわけでありますから、これが最適だ。いろいろな方法があるけれども最適だ、報告はこういう結論ではありませんけれども新聞の見出しは、新聞社のほうは非常に何というか、勘と言いますか、最適だと、こう書いてある。詳しく報告を読みますとそうなっておりませんけれども、いろいろな方法がありますけれども、今日のこの産業公害の重大な問題になっている亜硫酸ガスの問題の解決のやはり将来一番有望な、最適な方法というのは、水素化法にあるのではないかという、この新聞の記事と同じような考えを私は持っておる。それからいま五酸化バナジウム法というのも、これは硫酸接触の問題——まあ水素の問題が出ましたけれども、水素、水素とおっしゃるんなら、日本は硫安なり尿素の生産では世界に冠たる技術と生産量を持っている。水素の問題が未解決なんて言えませんよ。ですから水素の問題なんていう理屈ではなくて、水素の問題は、これはもう解決できるものだ。しかも硫安のように、すべてについてその水素を多量に使うわけではないのですから、コストにそんなに決定的なウエートを持っておらぬと思います。あるいはこの報告等を読みますと、清浦教授が開発した技術というのも非常に有望じゃないか、こう私は思っている。  ところで大臣にお尋ねしたいのは、そういうふうに思っておりますので、まあ工業技術院のほうはしゃにむにその二つだけ選んであるのですが、そして、それに基づいてこのプロジェクト計画というものができて、研究費としては四カ年間で十四億円というのを投資しよう、これはいまの活性酸化マンガン法なんです。いま言った直接に重油を処理しようとか、あるいは接触法という問題は考えておらない。どの方法がいいかわかりません。私は直接重油を処理するのが一番いいんじゃないか、こう思っておりますけれども、これは、やはり開発段階において技術的に結論を出さなくちゃいけないと思うのですが、そういう場合には、この大型プロジェクトの計画というのは当然変えてこなければならないと思うのですが、いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは技術的な問題ですから、自分が考えておったことに対して他から非常に有力な意見が出たら、それは謙虚でなくてはならぬわけですから、この問題については、技術的にはよく検討すべき問題だと思います。私としては、いままで自分がこういうふうに考えておっても、大体いろいろな有力な意見が出てきて、そのほうが非常に効果があがるということならば、それに謙虚に耳を傾けるということが国費を使って研究する者の態度でなくてはならぬというふうに考えますが、具体的な問題については、これは検討してみないとお答えしにくいと存じます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 私が申し上げておる点は、これは大臣の判断をお尋ねしたいと思っている。私が心配しているのは、技術者というのは、自分がこうと思ったのが一番いいと思っている。ですから、はたから言うのはなかなかわからないという一つの突っ込み過ぎるくせがありますから、ひとっこれは大臣の高度の判断という形でやっていただく、私はそういうふうに考えている。むろん私よりもこれは技術院長さんのほうが技術的にはハイレベルでありますけれどももしかし岡目八目、他山の石ということがあるのですから、私はそう思っているのですから、私はそういう場合には技術院長の、こだわったというそんなことばじゃありませんけれども、ひとつこの問題を完成しようという形で突っ込むだろうから、どうもこういう問題の開発は後手後手と回るのじゃないか、こう思うので、もうしかし目前にあるのですから、もう一億円かけて、もう少しスケールアップのものをやろうという計画さえもあるのですから、ひとつことしはともかくとして、その辺のめどがついたら来年ででもこの計画にプラスするという、こういうことが当然行なわれなければならぬので、これはやはり大臣の判断だろうと思うのです。私は特に大臣にお聞きしている。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私もさように考えています。あまりとらわれないで考えなければいかぬというお考えと何も違ったものではありません。そのようにすべきである。だから、いろいろ他に意見を持った人に対しては、謙虚にその意見も聞いてみて、そして、これが専門家の意見もそういうことだと言ったならば、従来の考え方と違っておっても、その研究の方向は変更すべきである。それは私が責任を持つことにいたします。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 そこで、院長はこの問題についてどうお考えか、院長のお考えも伺っておきたいと思います。

馬場有政工業技術院長

○馬場政府委員 ただいま先生並びに大臣のおっしゃいましたとおりでございまして、こういう問題の速急な解決をはかるためには、当然謙虚な心と同時に、自分のやっていることの判断と申しますか、研究の成果の評価というものをときどき十分厳密にやりながら、新しい、もっとすぐれた意見のものがあれば当然取り入れるべきであると私は考えております。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 この問題につきまして、いま産業公害は何かといいましたら、これは、やはり亜硫酸ガスの問題というのが一番大きな問題です。自動車なんかの一酸化炭素というような問題がありますけれども、これは自動車から排気するのでありますから、通産省の予算の中にもぽつんぽつんと見えておりますけれども、通商産業省が本格的に取り組むべきものは、やはりこの産業公害の筆頭であり、しかも技術的に一番困難だといわれる亜硫酸ガスの脱硫の技術を開発してこれを完成する。そして国民が安心できるように、発電所に来てもらっても、四日市の問題なり、あるいはいま宮津で起こっているような、そういう住民の心配というのは起こらないのだ、こういう保障を技術開発によって解決してやることが大切だろうと思うので、この問題は非常に重要な課題でありますから、通商産業大臣、この問題についてはひとつ十分に対策を練っていただきたい、こう思うのです。  最後に一つ。いまのエネルギー調査会等で、日本のエネルギーの安全保障という問題が非常に真剣な問題として取り扱われておるわけなんです。おそらく数年後には七〇%を越すだろうという輸入エネルギーにたよらなければいかぬ。これは国際収支にもたいへんな影響を持ってくる。そういう段階において直接発電、MHDというのを取り上げたことはたいへんけっこうなことであろうと思う。しかし、この問題は、いまのところは技術開発という点については七年計画か九年計画、いままで二年間研究所等でやってきたので、これから七年間で完成するのだということであります。これをやりますと、もう間違いなく熱効率というのは、いまの四〇%そこそこというのが六〇%くらいになるわけでありますから、日本のエネルギーの安全保障という点からも、あるいはエネルギーのコストという点からもたいへん重要でありますし、これを取り上げたのはたいへんいいことだと思いますが、この開発はなみなみならぬものがあると思う。同時に私は、この問題を開発するにあたって一つの問題点は、何といいましても無機材料をどう開発するかということが並行的に解決しなければならぬ問題だと思う。この無機材料の問題は通産省の問題じゃなくて、予算折衝の中では科学技術庁の問題として調査費的なものが六千万円か何かつけられたようでありますが、この問題についての見通し、それから科学技術庁との連携、こういう問題についてどういうふうに進めていかれるのか、大臣なり院長からお聞きしておきたいと思う。

馬場有政工業技術院長

○馬場政府委員 ただいま御指摘のとおりに、このMHD発電を完成いたしますために一つの大きな問題点といたしまして、いろいろな材料の問題があります。特に無機材料につきまして開発すべき非常に多くの問題点がございますので、私どもといたしましては科学技術庁にできます無機材研につきまして、こういうものに期待するところが非常に大きいわけでございます。  なおこれの応用につきましても、すでに私どものほうの研究機関で、たとえば名古屋や大阪の工業技術試験所で、こういう材料をつくるという研究をやってまいりました。それらとも十分協力をして進めていくということにいたしておるわけでございます。  なお、この大型プロジェクト全般につきまして、科学技術庁からも全面的な御支援をいただいておるわけでございまして、今後とも科学技術庁関係と十分協力いたし、また御援助を得ながらこういうものを完成していきたいと思っておる次第でございます。  なお、聞くところによりますと、科学技術基本法というものが出されるように聞いておるわけでございますが、これらと関連いたしまして、あの中にもございますとおりに、こういうものについて国としての長期の計画をつくるということになっておりまして、その中にも当然こういった問題は組み入れられるものと考えておる次第でございます。

細谷治嘉日本社会党

○細谷分科員 時間も過ぎておりますからこの程度で終わりますが、私は最後に大臣にお願いしたい点は、この六つの問題を完成するということも容易ならぬことであろうと思うのですけれども、冒頭申し上げましたように、日本の産業は第一線だといっておりますけれども、その内容は全部輸入ものであって、しかも、今日の段階では、単にパテントを買うなんということではなくて、産業自体を握られていく、こういうたいへんな傾向も出てまいっておるわけでありますから、こういう問題を一つ一つ解決するように、そして問題が時宜に適して進行するようにひとつ格段の努力をお願いしたい。そして、ほんとうに日本独自の創造的な工業をつくり上げるのだ、それでなければ勝てないのだ、こういう決意でやっていただきたい。これを特に要望いたしまして、私の質問を終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上で細谷治嘉君の質疑は終了いたしました。  次は永井勝次郎君。   〔主査退席、坂村主査代理着席〕

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 最初に国民金融公庫の関係のお尋ねをいたします。  国民金融公庫では去る十九日、就業時間に食い込むストが行なわれました。まだ話し合いがつかないで継続中であると思うのですが、これらの争議の問題点は何であるのか、そしてその解決のめどはどうなのか、これらについて簡単に要点だけお話しを願いたいと思います。

吉田信邦国民金融公庫副総裁

○吉田説明員 お答え申し上げます。ただいまのお話のとおり、先週の土曜日、一時間の勤務時間内のストがございました。私どもとしては非常に遺憾に存じている次第でございます。従来、組合側との論争点と申しますか、組合側は昨年の十二月から十数項目にわたりまして要求事項を掲げて、いろいろと団体交渉等を行なってまいりました。ボーナスの問題、あるいは職務給与を新たに設置いたしましたので、その問題等につきましては、昨年末妥結をいたしました。本年に入りましては、残りの問題ということで、主としてベースアップの問題あるいは通勤手当の問題等につきまして団体交渉を重ねてまいった次第でございます。それで非常にひんぱんに交渉を行ないました結果、話は非常に詰まってまいりました。先週のストの直前までの問題としては、賃上げ問題、それから勤務評定のやり方に関する問題、通勤手当の問題というところに問題はしぼられてまいりました。しかも賃上げ問題も、当初は一律七千円アップということで要求が掲げられておりましたが、現実問題として、われわれのところには、予算上、公務員と同様の現給与に対する六・七五%の賃上げ予算しかちょうだいできませんでしたので、その範囲内——範囲内というか、その予算を全額使用するという範囲でのベースアップということで、話がだんだん詰まってまいりました。そのストの前日までには、賃上げ問題につきましては、ほとんど大部分の問題が解決しておりまして、私どもとしても、最終的な答えを提出するような状況でございました。その他通勤手当等の問題についても同様でございます。実は、もうほとんどそれで妥結するということを信じておりましたところが、土曜日には、ついに先方の予定どおりストを行なうということに相なったわけでございまして、その後、今週に入りまして交渉を重ねました結果、大体そのストの前日にこちらが提示した案で組合側と妥結することになりまして、昨日一応話が終わって、あとは文書の確認を残すだけという段階に達しました。したがって、いろいろ議論になりました問題も、お互いに今後の問題としてまたさらに検討しようというような問題は若干残ってはおりますが、当面の問題としては一応解決したような次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 国民金融公庫の融資対象は零細、小口、したがって資金コストは高い、それに対して仕事がどんどんふえて、昨年は農地報償関係の仕事が持ってこられた。ことしはまた環境衛生ですか、その関係の仕事が持ってこられた、原資も幾らかふえておる、こういうふうに仕事の分量は相当ふえてきておりますが、一面金利の引き下げも行なったが、経費の増と金利の引き下げを企業努力で吸収するといっても限度があると思う。そういうような関係で、そういう無理なしわ寄せが従業員その他に相当負荷されておるのではないか、そういうことが今度の争議の発端になっておるのではないかと私は思う。金利を引き下げたり、それからそういう余分の仕事をどんどん加える場合には、人とその金が付随していかなければいけない。それにはやはり無利子の政府出資をふやすということが並行して行なわれなければいけないと思うのですが、国民金融公庫当局では、現状で十分満足している、もっといろいろな仕事を持ってこられても余裕はある、こういうふうな状況なのか、相当苦しく、ぎりぎりの線でやっておるか、そういう実際の状況を簡単に御説明していただきたい。

吉田信邦国民金融公庫副総裁

○吉田説明員 ただいま御指摘の点、私どもも非常に重要な問題として、予算その他について折衝も重ねてまいっておる問題でございます。確かにお説のように、私どもの貸し出し対象は非常にふえております。そしてまたこれは国民の中でも最も零細な事業に対する融資でございますので、私どもとしても極力その需要に応ずるように努力しておるところでございます。そういう意味で、昨年の第三・四半期には追加資金を三百億ちょうだいいたしまして、融資の増加をはかったような次第でございます。それだけ確かに仕事も多くなっている。ただ一面におきましては、一件当たりの金額も相当伸びております。仕事の件数としては増加しているわけではございませんが、しかし毎年件数でも一割以上の増加を期待しておりますし、ことしの申し込みの数も、年末等には対前年三割増というような形で急激な増加をいたしております。したがって私どもとしては、本年につきましては、また今後もそうでございますが、極力、事務の簡素化、いろいろな手続を簡素化するとともに、事務の計算機その他の機械を極力導入して、人的な過労になるようなことがないように努力してまいっておるところでございます。しかし一方、金利の引き下げの問題につきましては、これはすでに昨年の九月以来三厘の引き下げをいたし、さらに来年度の四月から三厘の引き下げをいたすことになりますので、収支は償わなくなってまいります。それに伴いまして、来年度の予算規模といたしましては、私どもとしても百億程度の出資の要求をいたしておったわけでございますが、財政が非常に苦しい状況であるということで、いろいろ御相談した結果、これは実質的にいえば足らず前を補てんしていただくという形で、来年度につきましては七億円の補給金をいただくということに相なりました。したがってまた経費の面におきましては、それゆえに特別に埋めるというようなことはいたしておりません。大体人件費も従来どおり、ベースアップに基づく財源ないし昇給の財源をちょうだいいたしまして、また物件費等も必要なものを大体まかなう程度に認められております。しかし人員等につきましては、極力事務の合理化によって詰めるということで、当初の希望どおりの人員増加は認めていただけませんでしたけれども、私どもとしては、事務の簡素化というような形によって、職員にも過労にならないように、また同時にそういうことのために大衆の方々に御心配や御迷惑をかけないように、これは今後もますます努力してまいりたいと考えておる次第であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 しろうと考えでも、金融機関が企業努力でうんと利益を出すのだといったって、これは内部の経費を節約するとか、人件費を節約するとか、労働強化をするとか、それはおのずからきまったワクの中の問題だと思うのです。したがって、百億からの赤字が出る、——百億と言いましたね。

吉田信邦国民金融公庫副総裁

○吉田説明員 利子のつくお金を借りるかわりにでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 まあそういう状況であります。金融機関の従業員というのは大体非常におとなしい、従順な、事務能率のあがる人が多いし、またそういうおとなしそうな人を人選して選ぶのですが、ストなんというのはよくよくでなければやらないわけです。その金融機関がストをやるというのはよくよくのことだと考えるわけです。金利を引き下げる、金利を引き下げると言っても、金利を引き下げるための条件をどういうふうに整えているかというと、何にも整えない。政府の出資なんかそうふやさないでやるのですね。それが積もり積もってこういうストになってきたと思う。  そこで銀行局長にお尋ねいたしますが、来年度の予算では人件費百六十六人の増、資金量は史上最大、人件費の増は史上最低という、こういう非常に極端なやり方なんですが、こういう人件費で十分だ、あるいは金利引き下げやいろいろな仕事を公庫にぶつけてもその中で処理できる、こういうふうにお考えになって、こういうような運びになっているのか。したがって、そういう考えが正しいとするならば、ストをやったのはふらちなことだということになるし、ストをやったのはやむにやまれない内部の労働強化に対する反発だとすれば、皆さんのほうでもう少しまじめに考えなければならない問題だ、こう思うのです。その金利を引き下げる、引き下げると言いながら何も措置をしない、人もあまりふやさない、そういう事柄についてどういう基礎に基づいてこれをやっているか、その点をお伺いいたします。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 金利引き下げの問題でございますが、この点につきましては先ほど副総裁からお答え申し上げましたように、つまり七億円の交付金というものを入れることによりまして資金余力をそこへつけてあるわけであります。この点は出資によるか、そういう交付金によるか、これは技術的な問題でございまして、要は公庫としての実際の引き下げ可能の状態をつくるということであれば足りる、かように考えております。  第二点の人員の問題であります。人員の問題につきましては、確かに先生の御指摘のように、私どももこれが必ずしも満足すべきものとは思っておりません。しかし、今日のいろいろな財政の実情その他いろいろな点もございますので、その点は極力合理化あるいは事務の簡素化といったようなことによりまして乗り切っていく。決して職員が労働過重ということにならぬように、先ほどもその点は副総裁からお答えがありましたような状況でございます。極カベストを尽くす、かようなことに実は考えておるわけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 あなた方の答弁は、ここで合理化をやる、ベストを尽くす、簡素化すると簡単に口の先で言いますけれども、貸し出しの内容は、金額がふえればそれだけ口数がふえるのでしょう、でたらめなところに貸すわけじゃないのですから。そうすると、事務量がどれくらいふえているということはわかります。それに次々と環境衛生であるとか農地報償であるとか、そんな仕事をどんどん持ってこられておるでしょう。そういう仕事の量のふえ方とそれからいまの節約の限度、限界、そういうものをなにしてみれば、差し引き勘定してみればはっきりわかることです。簡単にここで言いますけれども、国民金融公庫の副総裁だって、これで満足していないのだと思うのです。もっとほんとうのことを言えば、労働組合の気持ちに立って、もっともっと内容をすぱっ、すぱっと言うべきです。おていさいのいいことを言っていて、陰でこれじゃやれないと泣き言を言ってもだめです。こういうところではっきり言うべきことは言って、そうして問題を明るみに出す態度でなければいかぬ。これは時間がありませんから、私はまた次の機会に公庫関係の問題については根本的にやりたいと思いますが、自分の手軽にできるからといって金利を下げて、外に向かってはいい顔をする、そうして事務の合理化だと答弁してお茶を濁して、実際は内部では労働強化をずっと押しつけている、これが実態だと思います。  それで、ことしは選挙の年だと思いますが、ずっと例年選挙の年になりますと、こういう公庫関係が政治資金、ひものついた資金を追加して、そうして仕事の分量がぐんとふえるのが例年です。ことしはみなで手配して相当監視しなければいけないと思うのですが、副総裁、労働組合との団体交渉の中ではこの政治資金が毎年選挙の年はふえるのだ、その事務量もうんとふえる、こういうことが団体交渉の中になかったですか、どうですか。

吉田信邦国民金融公庫副総裁

○吉田説明員 そういう意見を組合側から出されたことはございますが、これは公庫の対象の問題というべき性質のものでもございませんし、また私どものほうとしては必ずしもそうだとは考えておりません。やっぱり経済の動向なり、ことに昨年なんかも実はいままでのうちで最大の追加資金をいただいたわけでございます。これはそういう意味でも選挙には関係はなかったかと思っておりますので、私どももそういうこととは無関係に実際の実需に応じてお願いをし、そうして必要なときには極力即刻お願いをするように努力しておる次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 おていさいのいい、よそ行きの話として——労働組合からそういう問題が出るだけ、実際の事務を扱っている者はわかるわけです。そうして無理な貸し出しをやらなければいけない、無理な仕事をやらなければいけない。そうでなくたって労働強化をされておる。その上に選挙の手先までやらされてはかなわない。そこで国民の金がこういうところにこういうひもつきで使われているということに対して、行員として、国民の一人として正義感を持つ者は、きんたまを下げている男はこれは若干の義憤を感ずるのはあたりまえだ。ですから、そういう問題も含めて、そういう金で無理に使おうというときには、人件費を少しぐらいふやしたりベースアップをするぐらいな思いやりをせずに、やらずぶったくりで選挙の手先にだけ使わす、こういうことになるからストライキが起こるのです。副総裁としても人を使うにはそのくらいの思いやりがなければならぬし、そうして労働組合にそういう反発をさせないで、総裁や副総裁のところで、そういう金の扱いは困りますと言うくらいな見識を持ってしっかりやっていただきたいと思います。それで金のこれからの動きについては、われわれは各公庫について相当監視の目をもって、従来とは違った立場で少し目を光らそう、こう考えております。——時間がありませんから、きょうは御苦労さんでした。  次に、通産大臣にお尋ねいたします。中小企業の問題は、いつでも時間がありませんので問題を軌道に乗せてじっくりと話す時間がないわけです。きょうもないわけですが、しかし事柄は非常に重要だと思う。そうして問題の違いは、予算はこれだけつけました、融資はこれだけつきました、こういう措置をしております。こう項目だけは並べるのです。項目だけは並べるのですが、中小企業というものの日本の産業の中に占めるその量と質とそれから社会的な影響、こういう一つの問題の評価をしないで、ただ一般的な数字だけを並べる、前年に比べてこう、こういうことでお茶を濁している、そこに私はやはり問題があると思う。ですから、いまの中小企業は、やはり高度成長の中で大企業がどんとふくれていった、そしてその反面、融資がつきませんから、金が回りませんから、だんだん格差が拡大していった、そして数字的に示しますならば、三十一年度に系列会社が千八百六十社ほどあったのが、三十八年度の末には四千二百七十社になって、全体の五三%が系列なり下請なりそういうものの中へ入っているわけです。これはやはり大きな構造的な変化があるわけです。一体日本の中小企業というのは、こういうふうに大企業がくしゃみすればかぜを引くというようなそういう関連で浮き沈みしていっていいのかどうか、もっと自立的な態勢、自主的な動きをするような位置に育て上げるべきではないか、こういうふうに思うのですが、これに対して基本的に通産大臣は中小企業をどういうふうに把握されておるのか。そして中小企業の近代化なりあるいは二重構造の解消なり、こういう抽象的な目標をあげているのですが、もっと具体的に、中小企業に対するビジョンをどういうふうに持っておられるか、そしてその持っておられるビジョンを実現するためにどのような過程と手段とによってそこに導き入れるのか、こういうことを具体的に聞きたい。これは三木通産大臣が単に通産行政をあずかっている大臣、一省庁の長官として聞くのではなくて、やはり保守党内閣における実力者であり、もっと広い、高い見識においていろいろ行政をあずかっておるという立場において、中小企業の問題をほんとうに掘り下げて把握して、そして目先の問題だけでなしに、日本の重要な経済問題であるとともに社会問題なわけですから、これらの問題をどうするのかということをひとつ明確にしていただきたい、こう思うのです。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 系列に入っておるものが多いという御指摘ですが、しかし系列に入る中小企業も私はあっていいと思う。要はその系列というものが、大企業がくしゃみをすればかぜを引くというような関係でなしに、やはり中小企業は中小企業としての実力をもっと持って系列に入るような関係であるならば、系列へ入ることはいいじゃないか。全部が全部系列ということではないでしょう。やはり下請関係などは、親会社との間に非常に密接な関係を持っていますから、一つの下請のグループの中に入るような、そういう中小企業の傾向が出ることはやむを得ない。ただしかし、要はやはり中小企業自体が力を持たなければならぬわけで、これに対しての問題点は、やはり中小企業の持っておる、抽象的にいえば生産性の低さにある。生産性がなぜ低いかという問題については、設備の問題もあるし、技術の問題もあるし、いろいろな雇用の条件の問題もあって、この辺にメスを入れる。中小企業の規模の大小というのは、ものによれば小さいほうが労務管理もあるいは工場の管理もよくできていい場合もある。だから規模の大小ではなくて、やはり生産性というものが大企業に匹敵するだけの力を持たなければいかぬ。それを阻害している条件をやはり中小企業対策というもので一つ一つ除去していくじみちな努力が、これからも必要だと思うのでございます。今年度の予算などの中にも、そういう観点から近代化とか高度化の資金は、貸し出しの条件なども相当緩和したし、金額もふやしましたし、あるいはまたある意味において中小企業対策費の大部分は、やはり生産性を高めたいという政策目標の中から出てきていると思う。あるいは政府の三金融機関にしても、大部分の資金というものは近代化のためという大きな目的のために使われる。ただしかし、どうも私自身が中小企業の問題をいろいろ取り扱いながら、いろいろ羅列的に政策は出ているけれども、どうも中途はんぱになっている。これをもう少し生産性を高めなければ、社会政策として中小企業問題を考えるということだけでは、これはもういつまでたったって力ができないのですから、産業政策として考えられるような中小企業対策でないと——これは社会政策ということならば別になる。そういう点で、もう少し目的に向かって太い線で中小企業対策というものが将来講ぜられなければならぬという反省は、私自身がやはり予算編成に携わりながら、今日持っているということは申し上げておきたいと思うのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 中小企業の量の問題をどういうふうに評価されておりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 中小企業は、数からいえば非常に圧倒的に多いですね、工場の数などからいえば、あるいは商業の面においての店舗からいうと。しかしこれは、だからといって、私は登録制みたいなことにして、営業の許可制というものには反対だ。やはり多いけれども、一つの何か職業の自由というものを持っているという形は、それを奪わない。もう許可制で、店をつくるのにはみな許可を受けなければ小売り商も店を持てないのだ、工場でもそうだという形は私はとらない。だから、どうしても数が多いということは、ある程度やむを得ないと思うのです。その数の多いのをもう少し組織化できないか。たとえば小売り商でも、今度のやはりボランタリーチェーンというのも、これはささやかな一つのアイデアのあらわれでもあるわけで、だから独立した小売り商がたくさんあっても、倉庫を持ったりして、共同仕入れをやったり、お互いに共同行為を通じて、経営の合理化はできないか。あるいは小さな工場が工場団地をつくって、そして一緒にその工場の団地で工場の経営というものが、共同行為によってもっと合理化できないか。だから数を減らすということでなく、おそらく中には時代に対応できない企業というものが転廃業していくということも相当ふえてくる、こんなに大きな変化があるのですから。しかしそれはそれとして、現存する企業に対しては、これを間引いていくような考えではなしに、いまある企業というものがお互いに協業化といいますか、そういうものを通じてもっと生産性を高めるというような方向に持っていけないのか。いわゆる組織化ということですね。しかし中小企業は、みな一城のあるじのような気持があって、一つの共同でやろうということに非常に欠ける点があるが、しかし欠けるからといって、そういうことをそのまま放置すれば、あまりにも零細な企業が乱立しているという状態は、いま言った生産性向上という面からも好ましくないのですから、これはいろいろな面から政府が助成策を講じて、一つの共同行為による経営の合理化、これは中小企業対策の方向の一つだと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 そうしますと、通産大臣のお考えは、流通分野では卸、小売りの全体の数は百九十五万、この量は減らすという方向ではない、これを総括して質的に盛り上げていく、向上させる、生産性を高める、こういう方向をおとりになる。製造の面においては六十一万あるわけですが、これを量はそのままにして、そうして共同化なり、あるいは近代化なり、そういうひとつの質的な向上によって吸収していく、生産性を上げていく。生産性を上げるということは、先ほどのお話では、大企業と肩を並べて、大企業から独立して、こういうようなお話でありましたが、そうすると一体、通産大臣のお考えになる青写真ではどんな形になるのでしょうか。大企業のほうは設備を相当近代化し、あるいは何していく、非常に過剰だ、かようなことが不景気だということになっているのです。そこで、大企業のほうは需要をつけて、需給のバランスをとって、そして不況を克復しよう、おくれている中小企業のほうは、数ばかり多いのだが、内容を充実してどんどん上げていくのだ、こういうことになると、生産性の面、供給の面はどうなり、需要の面はどういうバランスになるか、そうして大企業と中小企業との関係の経済的な位置づけはどんな形になるのか、ひとつ青写真をはっきりしてもらいたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 永井さんの御質問は、なかなか一口に言えば非常にむずかしい御質問ですが、私が言っておるのは、政府が大上段に振りかざして企業整備をいたしますというような方針は私はとらない。しかしながら、数が多いことは事実ですから、合併も中小企業の場合にはあってもいいだろうし、あるいはいろんな業務提携もあってもいいだろうし、そういう形で経営の単位というものが大きくなっていくことは歓迎するのです。ただ、どうも数が多過ぎますから、戦時中にあったような、企業整備をいたしますというような、旗を政府が振りかざして整備をするような方針はとらない。しかし、いま御指摘のように、零細な企業が乱立しておることから来る非常な過当競争の弊害、これにはもう少し新しい秩序ができていい。ですから、そういう意味においては、協同組合あるいは下請の形における系列化、あるいはまた小売り商が独立しておっても、それがやはり共同行為をするとか、そういうことで、零細な企業が乱立しておることから来る非常に不合理な面がありますから、これをもっと規模を大きくするというような形における合理性というものを追求していきたい。だからいろんな協業化に対する政府の補助、助成というものをやっておるわけであります。ただ頭から整備するんだという方針はとらぬということであります。そうして、できれば協同組合なり、あるいは下請の組合なり、何かこういうことで——お互いに全部が合併するということは、それだけの条件がないわけですから、なかなか容易にできるわけはない。協同組合とか、あるいは下請の組合などを通じて何か共同的な経済行為をする、これはやはり中小企業の場合においても、経営をささえていく上において、個々の小さな企業よりもいろいろな点においてずっと合理性があるし、政府が中小企業対策をする場合にも、そういうことのほうが中小企業対策がやりやすいのですね。そういうふうな指導、組織化というものは、これはやはり中小企業対策の大きな方向である。近代化、組織化、これはもう大きな方向であって、そういう形でいけば、どういうふうな青写真になるかということはなかなか申しにくいのでありますが、中小企業というものが日本の産業の上において今日持っているような一つの大きな地位というものはやはり維持していけるのではないか。生産の面においても、ものによっては違いますが、五、六割の地位を占めている。こういう地位というものを維持していくことが、日本の国情からすれば均衡のとれた経済の姿ではないかというふうに私は考えているわけでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 そうしますと、この中小企業の経済環境というものは波風が立たないように穏やかにしておく、そうして共同化しなさい、近代化しなさい、こういう指導力で引っぱっていこうというお考えのようにいまの御説明では聞いたわけですが、しかし、幾ら共同化しなさい、何しなさいといっても、現在の住み心地がぬるま湯であろうと何であろうと、一応生存ができていくという環境の中では、なかなかそういうことはできません。通産大臣がいつも言うように、保守党は自由競争の中でそういう目的を達していくのだ、自由競争こそが、自由主義経済こそが、そういう勝ち抜き競争こそが、いいものが、強い者が勝ち抜いて、弱い者が負ける、その自然のセレクションの中でできていくのだ、こういうふうに言う。それじゃ、自由競争というものはどういう形で持ち込むのですか。——持ち込まないのですか。自由競争は中小企業の中にはやらせない、勝ち抜き競争はやらせない、こういう考えですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 われわれ自民党の立場は、競争の原理というものは、これは経済の一つの基本原理になるわけです。ところが、時代とともにその競争の原理の内容には変化がある。いわゆる弱肉強食で、自由経済の非常に悪い面が出ておった。今日では、競争といっても、その競争はいろいろの社会的制約を受ける、一つの社会的均衡のとれたものでなくてはならぬ。だからそこには、いろいろの競争というものに対して公正な競争が行なわれるような社会的制約というものは幾つも幾つもできているわけです。だから、プリンシプルとしての競争の原理というものは、これはわれわれは否定しないが、その競争の原理の中には、いろいろ社会的な要素が今日加わっている。そういうことも加わって、なおかつ大きくは競争の原理が働かなければならぬ。だから、中小企業もそのままに温存といっても、政府が中小企業に対して全般の責任を負っているわけではないのですから、政府がやれる政策はやはり近代化とか、あるいは組織化というものに対して補助金を出したり、無利子の金を出したりして誘導的なことをやるのが政府の役割りであって、それは時代のおくれに対しての指導の面もあるでしょう。総合指導書みたいなものをつくって、こういうふうに時代は変わっているから、いつまでもこういう事業ではどうも将来性がありませんというふうな指導の面もあるでしょう。しかしながら、やはり根本は、中小企業自体、事業を経営している人自体がその気になってやらなければ、全部政府が責任を持つといったって、そんなことはできないのですから、政府のやれる中小企業対策というものはおのずから狭い限界がある。だから、そこは、やはり中小企業者自身がこういう大きな激変の中に住んでいるのだし、競争の原理というものも社会の中には非常にきびしく存在しているのですから、、そういうことも考えて、やはりイニシアチブをとるのは中小企業それ自身でなくてはならぬ。政府の行政というものは非常な狭い限界を持っておると思っております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 誘導するというのは、そこにしっかりした目標を与えなければ誘導にはならない。灯台がなければ、これはやみ路に迷って難破してしまいます。そこでやはり大企業と中小企業の関係、これはやはり現実の問題として私はこれを経済活動の実勢から分析し、把握し、その問題が秩序を立てていくということが必要だ、こう思うのです。中小企業は今日なぜ停滞しているか。伸び悩んでおるか。そうしていろんな仕事の吹きだまりのように、枯れ葉のように吹きだまって社会の片すみにただ気息えんえんとして生きているか。これはやはり大企業から収奪されている、吸い上げられている、そうしてかすだけ与えられている、いのちだけがなにされている、こういう関係にあると思うのです。だから中小企業の問題を考えるときにはやはり大企業の問題も相関的に考えて、その相関の上に一つの経済の秩序というものが立ち、そうして目標というものが与えられる。そうしてそこに各自の努力というものがなされなければいけない、こう思うのです。そうしますと、大企業の関係はいま、この政府のいろいろななにで、鉄鋼関係ならば、住友金属が言うことを聞かなければ石炭の割り当てをやらぬぞ、こういう権力的な力まで出して押えつけてとうとうなにした。あるいは繊維の関係でいえば、日レ、三菱あるいは鐘紡、こういうのでひとつなにする、あるいは工作機械なら第一グループ、第二グループ、第三グループ、こういうふうにつくってだんだんなにする。大企業に対しては、国際競争力に対抗するという一つのにしきの御旗を掲げて、事実は、これは寡占化、独占化の体制へどんどん持っていっておる。そういう中に一体どういうねらいがあり、まとめていく中に、一体どういう自由競争の原則が公正に行なわれて、その上に外のほうから助けをするだけの行政力を出しているか。行政機関が、ついてこい、こういうことで、者ども続けと、血刀を振り上げてやるような勇ましいかっこうが、いまビッグビジネスにおける一つの合同、合併、こういう一つの指導原理になっているのではないか。まあ言ってみれば官僚統制の強化という形が出ている。中小企業のほうは、こちらのほうに非常に力を入れているわりあいに、スローガンだけ掲げて中身は何もないことでみんなをささえていくのだ、カバーしていくのだ こういうことで、しっかりおやりなさい、共同化しなさい、こんなうわごとの、たわごとのようなことを言っていたのでは、いまのような深刻なこの世の中の吹きだまりのようになっている中小企業の中に、この大阪や東京の貧民窟のように、マッチをつければ火がつくような問題を常に何かはらんでいるということになると思うのです。そこで、大企業のビッグビジネスに対しては一体どういう指導原理——指導原理というとことばが過ぎますが、どういう誘導理念を持っておやりになっているか。中小企業に対してはそれとの関連においてどういうふうななにを持っているか。そうして、そういう二つの関係を指導していく中に、一体どういう経済秩序を確立しながら秩序ある競争を展開させて、そうして公正な一つの結論を相互の競争の中で実らせていこう、こういうお考えなのか。どうも政府の中には混迷というものがあり、その場、その場のことばだけがあって、何も一貫性がないのではないか、こういう心配があるわけです。ですから、指導がそのときどき狂ってきて、何を言っているんだか、結局だんだん言っているうちに円周を回っているようで、何だか前へ進まない感じがするのですが、そういった感じをひとつ明確にしていただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 永井さんの御発言、いかにも通産省が絶大の権力を持っておるように言われますが、そういう絶大な権力はあまりにも持ってない。それはまた持つことが適当だとも私は思わない。われわれとしては、日本の産業の健全な発達のためにやむを得ない場合には通産省が出ていってはおりますけれども、しかしそのたてまえが、やはり日本の産業の発展のためには自己責任、自主的な創意、こういうものがないと、役所が一々乗り出していって、産業界にああせい、こうせいと言うことは、やはり役人はそれだけの実際の事業経営をやっておるわけじゃないのです。通産省の場合は、全体の国の産業政策という非常にマクロ的な見解、見識というものは通産省は持っていますが、個々の企業については、これはやはり業界自体の自主性というものを尊重しながらいく。あまり役人が個々の企業にくちばしを入れるべきではないと私は思う。くちばしを入れるときは非常な事態である。普通の事態の場合は産業界の自主的な責任というものにまかしたほうがずっとうまくいくんだ、こういう考えであります。だからどういうことを言っておるかというと、産業構造審議会などで業種別に日本の産業の構造、将来どうだ、設備投資とかあるいは生産とかあるいは技術とか、各方面にわたってやっておる。民間のいわゆる学識経験者が出てきて、そうして産業構造審議会などで業種ごとにやっている、こういう方式のほうが好ましいので、これを役所が出ていってこうだああだという指図は、やはり日本の産業の健全な発展にはならない。  そこでわれわれが願っておることは、国際競争というものはこれから次第に激化していくでしょう。資本の自由化だっていつかはやらなければならぬ。日本はまだまだほんとうの開放経済体制にはなってないわけですから、いろいろな点で、資本の面においてはもうみなチェックしているわけですから、これもやがてはやはり自由化されるでしょう。いつまでも日本の中小企業に対する影響とかいろいろ言って永久に延ばせるものではない。ほんとうの開放体制がいつかは来るんだ。これに対して体制を整備しておくことが必要である。その体制整備ということは、中小企業も大企業も、体制整備というものについては同じような内容を含んでおる。それはたとえば何かといえば、一つにはやはり商品の規格の統一という問題もある。同じようなものをたくさん種類をつくっておる、こういうことはいろいろな意味において、経済の国際競争の上からいっても、国内においての工業の発展からいっても非常な障害になる。規格の統一であるとかあるいは生産の分野の調整であるとか、中小企業も大企業も同じような分野にみなが集中してくれば、これは過当競争の弊害が起こるわけです。やはり分野の調整も要る。それからまた共同の施設、みな自分が工場の設備を持たなければならぬという考え、これもやはり捨てたらいい。ものによったならば、共同の施設あるいは共同の投資というものがあってもいい。中小企業でも大企業でもやはり共同施設、共同投資ということ、今後のきびしい国際競争に日本がうちかっていくためには、そういうこともあっていいのではないか。あるいは業務の提携も、あるいはまた合併も、こういう一連のものが、中小企業も大企業も——大企業だからどう、中小企業だからどうという問題ではなくして、いま私が言ったように共通の課題がある。こういうことで、体制の整備をしていくことが、今日の日本の産業としては、将来のこと々考えてみるとやはり非常に大きな課題ではないか。こういうことをわれわれができるだけ誘導していくということで、イニシアチブをとるのは産業自体である。国が全面的に乗り出していくというようなことは、われわれの考えておる産業政策の方向ではないのであります。だから、いまおまえが青写真をここに示せと言っても、それはやはりわれわれの場合は計画経済的な考え方ではないわけですから、——計画性は尊重しますよ、しかし計画経済のようなきちんとした青写真というようなものではない、やはり産業自身のイニシアチブというものを尊重するほうがよろしいという考えでいっておりますから、いまきちんとした計画経済のような青写真を出すということは困難でございますが、基本的にはそういう考え方で、今日の体制整備、その結果としていろいろ合併なども行なわれる。あるいはまた、きようの新聞にも日本レイヨンや鐘紡、三菱化成などの業務提携で行なわれたということが出ておりますが、こういうこともわれわれとしては歓迎すべきことである。三社の業務提携によって、それが独占のような体制になってきたならばわれわれは歓迎しませんよ。しかし、この三つが業務提携しても、シェアの上においてはそう独占的な弊害はないということならば、こういう傾向もやはり歓迎すべき事態だ、こういうふうに考えておるのであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 私の尋ねておるのは、計画経済的な立場で言っておるのではなくて、自由主義経済、大臣のよく言う保守党のよって立つ基盤の上に立ってのたたずまいというものは、それならそれでもっとはっきりしたものであるべきじゃないか、その姿をお示しなさいと、こういうふうに言っているのです。われわれは、自由主義経済で野放しでいけば、弱肉強食で勝ち抜き競争になる、ほったらかしておけば、むだな投資をして、少ない資本でむだなことをやる、そういうむだなことを廃して計画的にやればこうだという考えは持っておりますけれども、いまはそういうことを並行的に議論をしておらないのです。たとえば政府といえども、長期計画あるいは中期計画というものを出して努力目標を出すわけですから、努力目標を出す以上は、生産性はここまでいきますよ、あるいは農業生産はこういうふうになりますよ、重化学工業は重点的にやっていけばこうというような目標を出しているのですから、そうすれば努力目標はこういうふうになる、こういうものがあるはずです。それならそれで、企業自体の努力でこういう目標でいくのだというなら、その灯台をはっきりしなさい。それから、それがなくて、あるいはほっておけばなんだから、秩序を保ちながら競争をさせる、オーソドックスな競争ではなしに、一つの時代の動きを反映したようなものをやるというならば、行政が指導するというなら、どういう態度でどういう範囲で指導するのか、こういうことを私は聞いておるのです。そうでないと、たとえばいまダイナマイトに匹敵する何とかというものができて、この企業を許可するときに、これはその付近の君たちより売ってはいけないという制限をして許可を与える、これが伸びてきたら圧迫を加えていく、そんなことは自由主義経済の上からいえばおかしな話です。大臣の言うのはとんでもない話だ。たとえば硫黄なら硫黄の生産の足取りを見てごらんなさい。そのときどきのなにで、力もないのにその制限をやって指図をする。あるいは鉄鋼の関係で言えば、千葉に川鉄ができるとき、いまになにしたら過剰な設備になる、過当競争だからといって、あの当時はあれをずいぶん圧迫した。それがいま、もう当時から比べれば四倍にも五倍にもふくれている。そういうふうに、だめならだめで自由におやりなさいと言えば、これは弊害がない。あるいはこの程度に参加するというそのけじめ、ただずまいがきちっとしていれば、それでいいのです。ところが、そのときどきのなんで、そういうことを言うのならがんと輸入するぞ、あるいは外貨を割り当てないぞとかなんとか、そういう権力をふるってなにするから、企業がほんとうに安心して努力ができないというのがいまの政府の経済に対する取り組み方ではないか。でありますから、口では中小企業のことを言いながら、実際にどういうことばで言おうと、流通部門なら百九十五万という数をそのままの状態に置いて維推するのだということでは、これはできっこないです。なぜ低生産かというと、過度の競争で食うだけでようやっとだから、生産の近代化とか何ぼ言ったって、そんなことで伸び得ないのです。共同化といったって、ゼロが何ぼ集まったってゼロなんですから。そうでなしに、そういうものをなにするというなら、一つ柱を立てて、そういうものをそこに吸収して育て上げるという、もっと具体的な政策がなければならぬ。そういうものなしに、ただうたい文句のように言っているから、何ぼ言ったってこんなものではあすの希望というものをそこに国民は見出せない、こういうことだと思う。ですから、大企業だけははっきりした話し合いがついてこうやっていますから、一歩一歩——一歩どころじゃない、かけ足でがっと進みますけれども、中小企業は何ぼ口先で言ったって、都合が悪くなればほったらかされていくから伸び得ないというのが実情であろうと思います。われわれは予算が多いとか少ないとか、あるいは融資のワクがどうだとか、あるいは下請代金がどうだとか、そういう一つずつのことは洗い立てればたくさんありますけれども、そうではなくて、根本的に、一体、政府は中小企業とどう取り組むのか、大企業にはどう指導するのか、そうして大企業と中小企業の関係はどういう力関係とどういう経済秩序を立てるのか、こういう関係が、いま聞いていてもちっともまだわれわれには理解できるような形でお示しがない。何も計画経済でやれと言っているのじゃない。自由主義経済が能率的だというなら、それなら能率的だと理解できるような話でないと、能率がいいのか悪いのか、さっぱり中身がつかめないというのが実情でないかと思う。その点、大臣、御答弁をしておりながら、大臣は十分そういう問題ほそしゃくして、わかり切った問題として御答弁になっておるのか。答弁しながらも、全貌は把握できない、何だかさっぱりわからないが答弁しておる、こういう事情なのか。その点、私が頭が悪くてそしゃくができないのか、要するにこれは根本問題ですから、はっきりとしていただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 永井さんの言われること、よくわかるのですが、一つには、計画経済でなくても、一つの努力目標といいますか、政府の長期計画を持つべきだということは、私も同感なんです。私も、計画性はやはり持たなければいかぬ、計画経済でなくても、自由経済の中にも計画性があることが一つの目安になるということで、長期経済計画というものはあるほうがよろしいという意見です。ところが、中期経済計画がああいうふうな形で、いまあの計画は廃止になったわけですから、いま政府が五カ年間くらいの長期計画を、中期経済計画にかわるものを策定するために作業をいたしておるわけであります。大体その成長率は七、八%の経済成長を見込んだ長期経済計画を立てようということであります。これはやはりいろいろな点で今後の産業構造を考える場合の大きな目安になっていく。そして各企業ごとに、私が言ったような産業構造の審議会などで、もっと将来の需要、輸出の伸び、こういうものを考えて、それは計画経済でもありませんし、世界各国の経済状態の影響も受けますからきちんとはいかないにしても、ある一つの将来の需要を見込んで、日本の産業のあり方というものに対してやはり一つの目標があってつくるべきだということを、私もその必要を非常に感じておる一人でございます。そういうことで政府の長期計画と見合った日本の産業のあり方、その中における中小企業というものをもう少し長期計画とにらみ合わして、このことが、日本の産業界の大きな参考になるような青写真を示せというあなたの要求が無理だとは私は思わない。それは一応の目標であっても、そういうものを持ったほうが、私は、自由経済の中においても一つの目安ができて、そのほうが便利である、そういうものをつくりたいと考えておる次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 最後に、製造分野でなくて、流通分野は、これは特に考えなければいけない日本の特殊な問題であり、特殊な政策を持たなければ対処できない問題だと思うのですが、コールドチェーンといい、あるいはボランタリーチェーンといい、あるいはフランチャイズチェーン、呼びかけはいろいろしてみたって、量的に百九十五万というようなものを抱えて、そうしてそこで合理化とかなんとかと言ったって、なかなか私はそこに——それがやはり量的にも適正に配置されるということであれば、そこに政策はどうそれを転換し、どうよりよい職域に移動をするかということも、自用主義経済の中だってそれは当然考えていい問題だ、そういう問題にほおかぶりしながら、上つらのことだけ何ぼやっていたって、根本的な解決にはならない。  時間がありませんから、また機会をあらためてこの問題には触れていきたいと思います。本日はこれで終わります。

坂村吉正自由民主党

○坂村主査代理 以上で、永井勝次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 商工関係のベテランの永井さんのあとに私がやるのもどうかというふうに考えますが、私は通産行政の問題につきまして、大臣にまずお尋ねをいたしてまいりたいと思います。  先ほどの永井さんの質疑、それに対する大臣の答弁を聞いておりまして、大臣がマクロ的な立場から日本の経済、特に国民経済全体の立場から問題に取り組んで、そうして個々の産業ルールの原則とか、あるいはワクというようなものは、広い立場において業穂別に設定をしていかなければならない。一つの誘導目標というものを持ちながらやらなければならないというふうにお話をされるのを聞いておったのでございます。ところが、われわれが新聞やあるいは現実に見るところによりますると、どうもそういうような高い立場からではなくて、通産行政というものが個々の事業、業界の動きにあまりにも密着し過ぎているのではないか、介入し過ぎているのではないかという印象を受けるのでございます。  そこで私たちは、そういう立場からではなくて、個別企業あるいは産業人の視野の中に入らないような国民経済全体の立場から、そして社会的なコストを合理化すると同時に、国民の私的なあるいは社会的な消費生活の水準の向上のために経済はあるんだ、こういう立場から、現在通産省がやっております生産調整、それと業界の新秩序の展望の問題について私ただしてまいりたいと思うのでございます。  住友金属やあるいは出光興産、さらに日清紡、鐘紡等に見られますそれらの生産調整体制が非常に大きな動揺を来たしておる。この動揺を来たしたのにはいろいろの理由があろうと思うのでございますが、その状態を分析してまいりますると、われわれが非常に表面的に見ておりましたものとは相反しまして、大企業間のいわゆる高圧的な相互依存関係の形成という面においても、これは未成熟の状態が業態の中にある。さらにシェアが流動化しているその余地がきわめて広い。さらに、生産調整というのはきわめて深刻な不況が到来をするという、そういうような段階でなければなかなか継続ができない、こういうようなことを見てとったのでございます。ところが、これらの中におきまして、通産当局の行政指導方式をわれわれが純粋にながめてみました場合に、これは第三者的な介入であるとは思われない、そういうふうに国民に受け取られているのではなかろうかと思うのであります。さればこそ、通産省は業界の完全な代弁人ではないか、こういうようなことも言われるような状態に相なっている。しかも、経済の不況に伴いまして、それとは反比例して物価は上がるという中においてこういうような行為が行なわれてまいりますると、きわめて通産行政に対する国民の信頼を喪失するのではなかろうかと思われますので、これらの点から、私は、一体どういう方向を通産行政は指向をしておるのかという点を大臣からさらに御答弁をいただきたいのでございます。  それと同時に、いわゆる生産調整、そして行政指導によるところのカルテル行為という共同行為がきわめてあいまいであるということも、この事実の中から明らかにされてきたように私は思うのでございます。それにつきましては、現在の独禁法の不況カルテルというのは、アウトサイダーに対しは規制措置がないから、かえってわれわれの通産の行政指導のほうが実効性があるのだということをおっしゃる方も中にはありますけれども、しかしながら、その共同行為がきわめてあいまいなものであるというふうにわれわれは受け取ったのでございます。それから業界の協調体制のあり方についての基本的な問題が提起をされたというふうに受け取るのでございます。こういうような角度からこの数年間の動きを見てまいりますと、通産省の優秀な官僚諸君並びに財界の指導者たちがやっておりますものの考え方という中には、過当競争というのは悪だ、これは悪ものだ、だから競争にかわるところの協調という立場で集中合併の必要な点を大いに力説してまいりました。私は、こういうような問題のとらえ方をするねらいは、現在の産業の体制を寡占的体制の方向に確立をする方向を描いているのではないかと思うのであります。そうして、それは寡占的な協調システムにほかならないのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点について、通産省の責任者として大臣はどういうふうに事実認識をしておいでになるのかという点をまず第一番にお答えをいただきたいのでございます。  それから、これは公取が四十一年の一月十四日に「大企業による系列化と資本集中の実態」というのを発表いたしております。これを見てまいりますと、三十八年度末において資本金から見た上位百社、これは金融、保険を除きますが、それの全資本量に対する割合は三九・四%ということになっておる。これは三十三年末の三四。七%、それから二十八年末の三二・一%からずっと上昇をいたしまして、三九・四%という比率までいっているようであります。その支配下にある系列会社の資本額まで含めてまいりますならば、五三・二%にすでに達している。上位から百の会社で総資本の半分以上を実質的に支配をしているという体制が生まれてきている。こういうようなところから、独占段階から日本の経済は一歩進んですでに寡占体制に移行を示しているという分析をしています。これはやはり経済不況の中におきましても、今日ではさらにそれらの方向というものが強化されている。政府の行政措置あるいは財政、税制の面におきましても、金融面におきましても、あるいは市中銀行の動き等を見ましても、業界の動きを見ましても、そういうような方向が私たちには受け取れるのでございますが、そういうような方向から見てまいりました場合において、通産省とか公取は、企業の合併集中については慎重に配慮すべきであるということを十一月に発表をいたしているようでございます。私たちはそういう立場から、通産行政の方向というものと公取が指摘をしております方向というものとの間には、同じ政府の行政官庁でありながら食い違いがあるのではないか、こういうことを感ずるのでございますが、これに対する公取の見解並びに通産省の見解をお知らせを願っておきたいのでございます。  それから、大臣はそうおっしゃらないかもしれませんが、あなたのところの事務次官をはじめ官僚の人たちが言うのには、今日日本の産業というものを考えた場合には、国際的な比較において日本の大企業といえども非常にこれは過小規模の存在である。そして、自由化の暁においては、今後における競争の原理というものによって、日本の企業の体質を改善をしなければならない。そういうような考え方の中から集中合併の必然性、その必要性というものを強調をされるようであります。しかしながら、これも理論的な根拠というものがどの程度通産省の指導原理の中に入っているのか。指導方針の中において、これらの集中合併の必然性、それの必要性の理論的な根拠というものがあるのかどうか、ばく然たるものしかないのではないかという印象を私たちは受け取るのでありますが、それについての大臣なり、あるいは通産当局の考え方をお示しを願いたいのでございます。  それから、最近経済の不況が深刻化していくにつれまして、独占禁止法違反のケースというものは、個々の企業というものは独立して行なうことは非常に少ないようであります。しかしながら、その企業連合というような形において、そして業界の団体なり連合会がこういうような独占禁止法の違反事実というものを犯しているように統計の上で見るのであります。大体三十件のうち二十件程度は、種類別をすればそういうようなものになるのではないかと思うのでありますが、これはやはり一つの団体の指令によって、私たちはこうしております。こういう言いわけをしているのではないかと疑われるのでございますが、この実態について、件数別でなくてよろしゅうございますが、その業態別の連合体、あるいは単位企業体というそれを明らかにしていただきたいのであります。  そこで、私はそういうような立場から今日まで行政当局でやってまいりましたこの経済政策の中において非常に矛盾する点があるのではないかと思いますのは、最近工作機械にいたしましても、あるいは特殊鋼にいたしましても、グループ化といいますか、一つの大きな会社の系列下に入っていくようなかっこうが出てまいりました。まさにカルテルからトラストの方向に移動をしておると私は見るのでございますが、その中において、今度の特殊鋼の場合等におきましても、八幡系の四社が合併をする、富士製鉄関係も同じような傾向をたどっていく、そして、大手普通鋼の業界の指導体制の中に入っていくというかっこうでございます。ところが、私が問題提起をいたしたい点は、いま資本構成がきわめて悪くなってきた、もうすでに二〇%を自己資本比率は割った。これは何とかしなければならないというので、今度税制の面においても、あるいは指導行政面においても、それぞれ対策を立てておられるようであります。ところが、この資本構成の是正策という問題を考えてみますと二つの方法しかない。それは、第一に資本調達をするという方法が一つあるわけであります。それからもう一つは、資本の蓄積をやるということしかないわけであります。そういたしますと、この資本調達は、国債発行等によりまして非常に金融市場というものが狭まってきておる、しかも現在の株価の状況は、たな上げ株を放出したら、これはもう株価は下落をするにきまっているというような、しかも企業の採算はよろしくないというのですから、そのような増資をやろうとしても、その分に振り向いてくるものがない、こういうのが実情であろうと思う。といたしますと、これは資本の調達も非常に困難。しかりとするならば、資本の蓄積というものは一体どうする、こういう点から考えてまいりましても、これもまた資産の再評価をやりまして、そして減価償却をやる。そして、減価償却をふやすことによって資本の蓄積をやって、借り入れ金の返済をやり、他人資本の減少をはかるという方法ぐらいしかないだろう。しかしながら、その一面において、いわゆる大企業がその系列化を進めてまいりますと、あるいは資本の集中を進めてまいる中において、勢いその系列下にあります不良採算部門の会社までかかえなければならない、そうなってまいりますと、ますます自己資本の構成比率というものが悪くなるのではないかと思うのでありますが、この点は、資本構成の是正策を掲げておられる通産行政の方向と、現在、集中化、合併化の指導をしておられるその方向との間における矛盾点をどういうふうに解決をしようとお考えになっておるのか、この点について、たいへん長くなりましたけれども、与えられた時間が時間でございますから、これだけを質問を申し上げまして、答弁を承りたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 第一点として、通産省の行政指導というものについてどういう考えでやっているかという御質問があったのであります。御承知のように、通産省でやっている行政指導は、通産省は全体としての世界経済の動向、あるいは将来の需給関係について、わりあいにいろいろな統計資料も持っておりますし、出先の機関もありますし、そういう点で情報を提供するということも、これは一つの行政指導の一面、あるいはあっせんをするというようなこと、これもまた行政指導の一面でありますし、住金のような場合は非常に例外中の例外でありまして、これは粗鋼減産に対しての割り当てをしたわけでありますが、これは、しかし平常な場合における通産行政とは言えないわけです。非常な不況カルテルでもつくるべきだけれども、なかなか話がまとまらない、そのままに置いておいたならば、基幹産業の鉄鋼業界というものに混乱が起こってくる、弱小メーカーの倒産が次々に起こるようなことも考えられて、そうしてああいう勧告操短のようなことをしたわけですから、行政指導としては非常に例外中の例外である。常にはいま言ったような均衡のとれた日本の産業の発展がはかられるようにあっせんをし、情報の提供をして、そして民間の自主的な判断に対しての材料を提供する、これがやはり行政指導というもののあり方であると考えておるわけであります。しかし、どうしてもほかに方法がないというときには、これはやはり住友金属の問題が起こった場合のようなああいう行政の介入のしかたというものもやむを得ないと考えております。しかし、それは例外中の例外である。  それから二は、独占段階に日本の産業界の状態が入ったのではないか。私はそうは思わない。そういう事態は日本には起こってないので、むしろ欧米諸国に比べてみると、日本の企業は非常に企業の数も多いし、自由化もほとんどされてきましたし、あるいはまた日本の場合は、新規に操業しようというものに対しての制約というのはあまりないですからね。そういうので、日本の経済を独占段階であるという見方には私は同意はできない。  次に、最後に合併、集中、そういうことで寡占体制のようなことになっていくではないかということでありますが、やはり実際問題として、日本の企業ごとに、たとえば自動車なら自動車、石油化学なら石油化学で、一つの工場としての最低の生産の単位というものは、私は世界的にあり得ると思うのです。自動車なら、少なくとも一カ月にこれくらいの生産ができない工場はなかなか世界との競争力をつけていくわけにはいかない。こういう点で、なるべく世界との国際競争力のつく単位にまで日本の企業が合併し、あるいは業務提携をしたり、そういう形で企業の単位が世界と競争のできる企業単位に拡大していくということは、私はむしろ好ましいことではないか。その結果として、いままで十の企業があったものが、あるいは三つ、四つになるというような場合も起こり得る。しかし、一つの企業が、もうほとんどのシェアを独占するというような弊害が出てくるならば、そういう企業の合併、集中というものに対しては、これを何らかの制限を加える必要は私はあると思う。そういう形の独占というもの、いわゆる独占形態に入るときには非常な弊害がある。これは、やはりそれを阻止することを考えなければならない。しかし、いま行なわれておるような合併、あるいは資本の集中というようなことは、むしろ歓迎すべきものであって、こういうことで国際競争力がついていきつつあるので、これを弊害が出てきておるとは言えない。ただ、企業が国際競争力をつけるには、合併というものが、あるいは資本の集中が唯一無二の方法だとは私は思わない。細谷君がさきに質問された技術開発などはたいへんに重要な問題である。企業が合併も必要でしょうが、みな合併したらそれで国際競争力がつくのだという考え方は非常に甘い考えで、むしろ技術の研究開発などに今後の国際競争力というものの重要な一面があるのではないか。だから、何でもかんでも合併だ、合併だという行政指導はしておりませんし、合併といっても、これは企業自体がそういう気持ちがなければ、頭から通産省が提携、合併しなさいと言ってすべき性質のものではないが、日本の企業があまりにも乱立しておる状態は、国際競争力の弱みになっていく、やはりある一つの単位としての経営の規模を持つことが非常に国際競争力の強みになりますから、現在の段階では、合併とか、業務提携とか、資本の集中などが行なわれることは、弊害よりも競争力をつける面において歓迎すべきものである、こういうふうに考えておる次第でございます。

北島武雄公正取引委員会委員長

○北島政府委員 企業の集中、合併に対する通産省の見解と公正取引委員会の見解と食い違うことがないかという第一の御質問のように伺いました。この点は、公正取引委員会も企業の合併というものを決して否定しておるものではございません。ただいま通産大臣のお話がありましたように、中小企業者が体質を改善するために必要な場合もございましょうし、あるいはまた過剰設備をかかえておる業界が体質改善、経営の合理化のために合併することが必要なこともございましょう。あるいはまた国際競争力を強める、こういう意味において合併をすることが必要なこともございましょうし、そういう合併そのものについては、個々の場合に判断しなければなりませんが、全体として公正取引委員会が合併というものを否定するものではもちろんございません。ただし独占禁止法上、これによって一定の取引分野における競争を自主的に制限することになる場合、すなわち独占をもたらすような合併はいかぬということでございまして、この点は、ただいま通産大臣もお話しになりましたように、業務提携にしろ合併にしろ、独占をもたらすものはいけないのだ、こういうお考えであります。この点についても、私は全然そごはないと考えております。  第二点は、違法な価格協定等の独占禁止法違反事件、これは、事業者団体の名で行なわれることが多いのではないか、こういうお話でございますが、事実事業者団体の協定が多うございます。これは、もちろん違法なカルテル、同業者が協定して価格を引き上げたり、あるいは生産数量を決定したりするという行為と同等の行為でありますから、事業者団体がある場合には事業者団体としてなされることが多いことに基づくものでございまして、業界の方が、自分の行為がなくて業者団体のだというふうに転嫁するためのあれとは私は考えておりません。実質上やはり業者が団体を組織しております場合には、業者団体としてなされる行為が多いというのが実際でございます。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 大臣、今日の段階ではまだ独占でもなければ寡占でもないという認識のようであります。昨年の十一月の十五日に、これは公取が発表されたのが新聞に出ております。それには「合併問題はより慎重に」という表現のもとに記事が出ていることは御承知のとおりです。だから、これらの問題については、きょうは時間がありませんのでこれ以上論争をいたしませんが、具体的な例として、あなた方がこの前からメスを入れておいでになる明治、森永、この粉ミルクの不当な協定ですね。これらの問題にいたしましても、明治、森永、雪印の三社で、御承知のように、市乳については大体半分のシェアを押えておるわけでしょう。そして乳製品については九〇%を抑えております。その中において話し合いが行なわれておる。私は、問題が出てきていると思うのですよ。こういうような状態が独占段階だというのです。それがもう森永一社になってくる。これは独占段階じゃなくて、もう寡占を通り越して、ほんとうに産業を専断をしていく唯一の企業だということになるのですから、やはり独占段階から寡占段階に移るそういうような形、これはもちろん望ましいことじゃありませんし、われわれが言うのは、大企業がシェアをどの程度押えているか、資本力をどの程度握っているのかということによって問題を考えていかなければならない点ですから、この点は、通産大臣はよく知っておられるのに、そういうようなごまかしといえばおかしいですけれども、まやかしの答弁をされたんだろうと私は考えるのでありますが、きょうは時間の関係でその点は触れません。  最後にもう一点だけ、時間があと二分ぐらいしかありませんが、不況対策と物価の関係です。これを総理は、同時に解決をするとおっしゃる。ところが四十年十二月の十六日に福田大蔵大臣が産経か日経の座談会において、いまやらなければならないのは何といっても当面の不況脱出が最大の任務だ、それは物価対策とは矛盾することもあり得るだろう。そして、ある程度の矛盾が露呈することは必要悪なんだ、だから、この不況が解決をして、そのあとで全力をあげて物価に取り組むんだという政治の姿勢を出された。私は、三木通産大臣はこの不況対策、物価の問題をどういうふうにとらえておられるか、この点だけはぜひ明らかにしていただきたいのであります。  それから第二点は、不況カルテルがいま十七ございます。三月末で切れるのが十二。この不況カルテルについて、通産省としては、構造対策を含めて、条件をつけながら三カ月ないし六カ月再延長をする必要があるとお考えになっているのかどうか。それに対して公取はどういうふうに考えているのか、その点を明らかにしていただきたいのでございます。というのは、もうすでに独禁法による不況カルテルは、御承知のように、三十五年段階におきまして、工業製品出荷総額の十四兆四千七百五十二億のうち、二八・四%を占めておる。四兆五千八百億の出荷品を支配をしておる。しかも中身は、これは四十年度になりますと鉱工業生産指数の伸びをもちまして計算をしてみると、出荷額は大体二十三兆だ、こういうふうに押えられると思いますので、それらの中における約三〇%のものが影響下に置かれている。これを調べてまいりますと、不況カルテル、合理化カルテル——合理化カルテルの中には、大臣も御承知のように、繊維関係などは、昭和三十年からずっとそのまま合理化カルテルでその協定をやっているのがある。それから中小企業団体関係のもので不況カルテルは六百二件今日あるうち、十年以上やっているのが百十二あるわけです。六分の一は十年以上たっているわけです。そういうふうにして、たとえば砂糖なら砂糖の場合でもそうですか、きわめて景気のいいときは六割の配当をやり、設備投資はじゃんじゃか、じゃんじゃかやって、不景気になると不況カルテルに逃げ込む、こういうような形の中で、私は物価に与えている影響というものはきわめて重大なものがあろうと思う。こういうような立場から、この不況カルテルその他合わせますと千五十二、それに通産省が勧告、指導等によってやっておりますのが十四、こういう実態の上から見てまいりますならば、今日の物価の上にもたらしている影響度合いというものはきわめて大きなものがあろうと思うのです。ところが、これにつきましても通産省は、工業製品は需要価格であって管理価格ではないのだ、こういうような見解のようでありまして、鉄鋼、板ガラス等について価格形成の調査をする、そうして管理価格ではないという証拠を示してやるんだというような意気込みであるようであります。ところが、これは管理価格というものの解釈の問題になってくると思うのですが、管理価格が横行をいたしてまいりますと、そのコストの増加分は当然価格そのものにはね返ってくる、こういうようなシステムになろうと思います。その場合に注意しなければならないのは、最近の卸売り物価指数ですね。これは消費財だけではありません、生産財も、もう六旬にわたりましてずっと十月から上げ続けであります。まあ上げ幅は小さい、微騰であるが、続騰をしているわけです。そういうような面から考えてまいりますならば、これは明らかに問題があるのではないかというふうに考えるのでございますが、そういうような立場からひとつこれに対する再延長の問題の見解をお尋ねしておきたいのでございます。  それから具体的な例ですが、たとえば東洋レーヨン、帝人関係の寡占支配の背景の中で、ナイロン、テトロンというのがございます。この東洋レーヨンの場合等におきましても、いわゆる三十八年の九月の売り上げが五百七十四億円でございますが、利益は三十五億です。これを三十四年の三月期に比べますと、売り上げが五倍にふえているのに利益は三十五倍にふえている。そうしてほとんど償却の半分ぐらい、一千五百五十億の償却を五割は回収をしてしまう。また帝人におきましても同様でございますが、四七%の償却を完了している。しかも、値段は三十六年から三十九年にかけて一円も下がっていないのです。価格の硬直化が起こっておる。これはなぜそういうふうになっているかといえば、そのほかにナイロンの新製法によりまして三〇%から四〇%のコストダウンができたにもかかわらず値段が下がっていない。そして寡占生産をやり、管理価格のもとに加工販売面の系列支配をやっているのに、いま膨大な化学産業資本を投入して、その中に割り込むだけの勇気のある産業資本家というのはない。そういうような寡占体制というものが具体的な例として私はあげられると思うのです。もちろん片一方において、スフとかその他綿関係のほうからのマイナスの部面が作用をしておるとは思うのですが、部門ごとに見たならばこういうようなものがある。とすれば、これは当然テトロンなりナイロンは下がらなければならない品物である。にもかかわらずそれが下がっていない。こういうような問題については、やはりこれは公取だけでなくて、通産行政の上から一つ一つの品目について指導をされるのが必要ではないかと思うのでありますが、その点についてお答えを願っておきたいのでございます。  応問がございませんので、これで質問は終わりますが、答弁だけはひとつ正確にお答え願います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 最初に、物価問題と不況対策、これを総理と福田大蔵大臣の発言を引用されていろいろお尋ねでありますが、私は両立するものである。不況対策と物価の安定ということは両立するものであるし、されなければならない。たとえば、生産調整などをやるにいたしましても、何でやるかといったならば、供給過剰という状態でありますから、生産調整、在庫調整をやる、この不況というものの原因を深く掘り下げれば、いろいろ原因がありましょうけれども、現象面としてあらわれているのは供給過剰ですから、これに対してこの生産調整などをいたして、そうして経済を正常な状態に持っていこうということは、これはやはり物価問題と非常に反するものではない。また中小企業の問題をとらえてみても、中小企業として近代化、高度化などに力を入れて中小企業の構造改善に力を入れるということは、やはり物価問題との関連においてやらねばならぬことである。そういう構造上の問題というものが日本の物価値上がりの一つの背景もなしておるわけでありますから、これは両立するものである。また、されなければならぬ。ただ、この際は不況、次は物価と、そういうふうな考え方では私はないのであります。これをできる限り両立しながら、安定的経済の発展、安定成長といいますか、そういうように持っていくということが経済政策のあり方でなくてはならぬと私は考えております。  それから、いま日本レーヨンや鐘紡、三菱その他繊維の業務提携についていろいろお話がございました。卸売り物価については最近多少値上がりの傾向もありますが、しかし、それはパーセンテージから言えばほとんどものの数ではないので、横ばいという状態で、これは問題としてとらえ上げるような値上がりではないと思います。しかし、いま具体的にいろいろお話があった点については、繊維局長からお答えをいたすことにいたします。

乙竹虔三通商産業事務官(繊維局長)

○乙竹政府委員 ただいま先生からナイロン、テトロンの価格について御質問がございましたので、御報告を申し上げます。  ナイロンでございますが、御承知のとおり、これは東洋レーヨンと日本レイヨンの二社で出発をいたしましたのでございますが、その後帝人、旭化成、鐘紡、呉羽紡などが参加いたしまして、現在東洋レーヨンと日本レイヨンの先発二社の能力は二百三十五トンでございますが、全生産量は三百二十一トン、こういうことで、企業数六というふうなことになっております。  それからポリエステル・テトロンでございますが、これも東レ、帝人二社で出発いたしまして、現在おのおの百一トンずつでございますが、その後日本レイヨン、倉敷レイヨン、東洋紡が参加をいたしまして、総合力二百四十七トン、企業数五、こういうことになっております。  なお、価格の点でございますが、ナイロンは三十八年ごろまでは、お説のように確かに横にはっておったわけでございます。百十デニール、ナイロンの長繊維、これは三十八年十二月に千三百五十円、大体ここまでは確かに横にはっておりました。それから三十九年からどんどん下がり出しまして、三十九年六月に千百五十円、十二月千百五十円、四十年の四月には九百円、八月には八百七十円というふうな数字になっております。それからナイロンの短繊維三デニールのものでございますが、これは同じく三十八年十二月に七百七十円、それから下がり出しまして四十年八月に六百七十円というふうなことで、四十年の七、八月になりますと、相当各社とも膨大なナイロン在庫をかかえまして、これに対する自主減産というふうなことを積極的にやりましたために、北陸三県の機業地は実は非常に大きな混乱といいますか、打撃を受けたのでございますが、それはともかくといたしまして、海外に対します秩序ある輸出も非常にむずかしくなり、値段が崩落したというふうなことで、急拠輸出振興会社をつくりまして、価格の秩序維持、つまりダンピング的な価格の秩序維持をはかっておるということで、現在どうにか若干戻しておる、こういう状況でございます。そんなことでございますので、この値段ないしは在庫で御推察いただけますように、東洋レーヨン、それから帝人等も相当苦しい決算、経理状況になっております。

村山喜一日本社会党

○村山(喜)分科員 現在はそういうふうな状態だということですが、当時においてはそれだけの利益をあげたことは事実ですね。私はもう質問を申し上げませんが、この前公取がセメントの捜査をやった。これについてはせっかく協調生産というのですか、協調体制というものをやっておるのに、公取はつまらぬことをやっておる。公取と一戦まじえてやろうというのが新聞に出るわけですね。そういたしますると、国民は、公取がやったのは、これは物価対策の上からやったわけではない、しかし現物が非常に品薄になって、その値段をつり上げた、そういうような動きがあったから事件を捜査したのだろうと思うのですが、国債まで発行して、公共事業を柱とするそういうような新しい有効需要政策をやろうとしておる。その一番大きなものはセメント、鉄鋼、こういうことになる。ところが、それがなかなか、生産協定を結んでいますから、一向に値下がりをしないというようなことで、国が前借りであるところの国債発行をして、そういうようなことで不況対策に取り組んで、しかもそれは新しい有効需要が与えられて、産業界は潤ってだんだんに黒字になってくるのに、そういうような形のところで品薄になる、価格協定の違反があるということでメスを入れられた。それを今度は協調体制にひびを入れたというようなことで見られるということになりますと、なるほど通産省というのは業界の味方だなあというふうに世間では見ると私は思うのですよ。そこで、大臣にお願いをしたい点は、この三月になりますと、期限が切れるものがある。自動車タイヤ等については不況カルテルは認めないで、合理化カルテルだけを認めようということで、通産省でも公取でも腹が一致しているようであります。そのほかにもきわめて業績のいい——いいといいますか、いままでは悪かったけれども、持ち直した、石油なんかにしてもそうであります。そういうふうなものをどういうふうにとらえるかということが、私は、特殊鋼の場合などは、きわめてこれは問題があると思うのでありますが、これらにつきましても、一体いいのかどうかということも検討を願わなければならないけれども、品目ごとにずっと当たってもらいまして、そうして不況カルテルをどうしても結ばなければならないようなものは、今後のいわゆる構造政策というものを立てると同時に、もう短い期間にしてもらわなければいけないと思うのです。そういうような決意で、ひとつ物価の上に及ぼす影響度合い、これは感覚的に国民は鋭敏になっておりますので、そういうような線から通産行政も努力をしていただきたいということを要望申し上げまして終わりたいと思います。

坂村吉正自由民主党

○坂村主査代理 以上で村山喜一君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本孫一君。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 私は、第一に政策の重点、第二に予算の繰り上げ使用の問題、第三には中小企業近代化促進法の問題、この三つの点について簡単にお伺いをいたしたいと思います。   〔坂村主査代理退席、角屋主査代理着席〕  最初の政策の重点化の問題でございますが、これは政府委員の方から御答弁いただければけっこうなんですけれども、現在通産省には内部の部局が幾つあるか、外局が幾つあるか、これをちょっとお伺いいたします。それから概算でけっこうですが、課が全体で幾つくらいあるか、それだけ伺いたい。  同時に、大臣にお尋ねいたしたいことは、昔の大政治家であります野田卯太郎——野田大塊先生が大臣になられたときに、こういうことを言われたということを聞いて感心をいたしております。それは、おれが大臣をそういつまでもやるわけではないが、おれのやっている間に片づけなければならぬ一番大きい問題を三つほどに整理して持ってこいということを、次官以下局長を集めて言われたそうであります。これはなるほど大きな政治家らしいステーツマンシップがあっておもしろいと思うのです。通産省の各局、各課、それぞれ大事な仕事を受け持っておられますが、三木通産大臣には、われわれは大臣の新しい感覚と実行力に国民全部大いに期待をいたしておると思うのですけれども、野田さんの故知にならって、三木通産行政としてどうしてもやりたいと願っておられる三つの政策を、もし御指摘をいただけばありがたいと思います。

吉光久通商産業事務官(大臣官房長事務取扱)

○吉光政府委員 本省の内部部局でございますが、一官房十局でございます。内部部局の課の数は百一でございます。  それから、外局でございますが、外局は、中小企業庁、特許庁の二庁がございます。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 通産大臣がやりたいと思っている三つをあげろ。やりたい、やりたくないにかかわらず、どうしても解決しなければならぬ問題は、石炭問題、繊維問題、これはいずれもいろいろと問題が起こっております。それに私は、日本の中小企業というものが、これはお考えになってもわかるように、なかなかむずかしい問題です。多種多様、業種も多いし、企業の数も多いが、しかし中小企業というものがもう少し安定してやれるような状態に持っていくために、いまやっておる羅列的な政策、これを中途はんぱにならぬように、もう少し太い線で、中小企業対策というものを推進したいということを考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 中小企業の問題は三つのうちに入っておるような入ってないような感じでございますが、まあこれは、時間がありませんので、次へ参りたいと思います。  第二番目の問題としまして、予算の繰り上げ使用を、政府は新年度予算をきめてわずかに半月後に、大体六割くらいを上期中に使って、不況のてこ入れをされるということをきめられたようでございますけれども、お伺いしたい点の第一は、六割というのは何の六割かということです。たとえば、通産省の場合で申しますと、予算全体の六割であるのか、あるいはまたいろいろの工事関係等につきましても、繰り上げの全然できないものもありましょうし、でき得るものもありますが、どの範囲をとって六割であるか、基準と、金額と、そのパーセンテージを教えていただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 政府が言っておる六割というものは、政府が契約する一年の契約を六割程度やろうということで、実際の財政的な支出ということではなしに、契約を中心にしたものです。それから通産省関係では工業用水の事業がございます。これは従来やっておる、昨年度のテンポより二カ月程度早めて、六月下旬までに補助金の支払いの計画を伝達することにいたしております。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 そういたしますと、一般に新聞で受け取る国民の印象から申しますと、まあ予算が四兆三千億になった、たいへんな予算を使って、景気の落ち込みは財政のてこ入れをしてフィスカルポリシーで乗り切っていくのだ、こういうような印象を受けております。しかも、その六割を上期に使うということで、非常に財政はてこ入れとして大きな役割りを持つように思いますけれども、いま通産省でお話しになりました工業用水だけをとって考えてみましても、一体通産省の全体の予算の何%くらいになるか、非常に国民の期待と事実が違うように思うのでございますが、どのくらいになりますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 政府委員からお答えいたします。

佐々木学通商産業事務官(大臣官房会計課長)

○佐々木(学)政府委員 工業用水道の四十一年度予算が八十二億でございます。通産省の一般会計四十一年度予算は八百一億でございますので、大体一〇%近くになります。  それから今度の公共事業費繰り上げの、全体の対象の公共事業費は約二兆五千億でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 そうしますと、一〇%の六割と申しましても、従来四割は使っておったわけですから、一〇%の二割だけが繰り上げ使用になる、こういうことで、景気の全体の有効需要の造成という問題から見ると、ほとんど問題にならないように思えますが、そう考えてよろしゅうございますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは、通産省は公共事業費として工業用水だけなので、建設省とかその他、通産省以外の省で公共事業費を持っておるのはまあ建設省が中心ですが、これはもうばく大な金額になるわけでございます。通産省関係ではそんなに大きな金額ではない、これは公共事業費として工業用水だけしか持っておらないからでございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 時間がありませんから要点だけ承ることにいたしたいと思いますが、まあ通産省は特殊な事情もありますし、その辺でどうも一般の期待とあまりかけ離れておるように思うのでございますが、今度は国務大臣としての立場でひとつお答えを願いたいと思うのですけれども、まあ建設省が中心になりましょう。その場合に六割上期に繰り上げて使うということが可能であるかどうか、技術的にもいろいろ問題があると思いますが、しかしかりに可能であるとした場合に、そうすると下期には四割しか使わないということになりますと、その四割で、非常に過剰な設備がある、落ち込んでおる、だから六割使って何とか調子を合わせていこう、こういうことになりまして、あとは四割になる、こういうことになると、それじゃ下期は一体どうすることになるかという点がわれわれ非常に心配でございますが、政府全体としてのお考えは、六割上期に使用した場合に、下期は四割でどうするつもりなのか、その辺伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 これは先日も知事会議などをいたしまして、そして予算の早期実施、繰り上げ実施に対しての地方、中央、万遺憾なきを期すような意味において、中央の知事会議をやったわけです。だから政府の考え方は、政府の契約ベースとして六割、実際の財政的な支出は四割、こういうことでありますから、下期のほうにやはり財政の支出は六割いくわけですから、そういうふうに混乱が下期に起こるとは考えてないわけでございます。契約として六割でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 かりに契約であっても、繰り上げなければ意味がないから、繰り上げてしまえばあとはなくなるわけですから、私が伺いたい点は、そうすると、あとは要するに補正予算でも考えておられるのか、補正は考えないで、繰り上げて使ったものはもうあとはなくなってしまったのだということで行かれるつもりなのか。これは、通産大臣もよく言われるように、全体としての経済の調和ある発展ということから考えると、繰り上げて景気を出すということも、この際非常に適切な手段でありますけれども、繰り上げられて残りはからになってしまう。からではありませんけれども、繰り上げただけは少なくともなくなるわけですから、それで経済は全体としての動きが常に問題でございますから、その次の落ち込みは一体どうするつもりなのか、その辺を伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 御承知のように、日本の予算のいままでの状態から言えば、第三・四半期、第四・四半期に集中しておったのです。第三、第四・四半期というものに集中して、第一、第二・四半期といったらもうほとんど計画なんかで日を暮らして、ことに第四・四半期に集中しておる予算の使い方、これは、これだけ政府が気合いをかけまして、そういうことで不況の克服の意味もあるのでこういうふうにしたのですから、それでバランスをとろうということで、いままではバランスがとられていない。下期にあまりにも集中しておるから、これでバランスがとれるので、下期にはああいう補正予算でも組まなければ仕事がないような、そういうのではなくして、日本の財政の支出のあり方がバランスを取り戻したという形になる、こういうふうに考えておるわけであります。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 この問題は、数字的に検討しなければ十分理解できないのですが、時間がありませんので、第三の最後の問題に入りたいと思います。  中小企業近代化促進法についてお伺いしたいのでございますが、まず最初にこの第二条でいわれる適用範囲の問題でございますけれども、抜本的にすべての中小企業の近代化をはかろうという場合において、特に今日の物価高を重大な問題として考えた場合に、流通機構の整備、近代化ということが問題になる。そういった場合に、近代化促進法は商業をどういうふうに取り扱っておるのか、あるいは、これからどういうふうに取り扱っていこうと言われるのであるか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 近代化促進法に基づきまして、従来業種指定をやってきておりますものが六十八でございます。   〔角屋主査代理退席、主査着席〕 従来は主として製造業の合理化ということに主眼を置いておりましたので、流通段階の問題はこちらの促進法の関係では取り上げてまいっておりません。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 そこで、私は通産大臣にお願いもいたしまして、ひとつ質問をしておるわけですが、商業をなぜこの中に入れないか。確かに一応の説明を聞けば理屈はありますけれども、今日の物価の重要性を考えてみると、商業は適用範囲の中に入れなければいかぬというのですけれども、お考えのほどをもう一度あらためて伺いたいと思います。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 近代化促進法に基づきまして指定をいたします場合には、まずその業種の重要性ということを考えるのでありますが、同時にまた、指定をしたあとの実効があがるということをどうしても考慮に入れなければならないわけでありまして、近代化計画というものを作成することになるわけでありますが、その場合には、たとえば五年後にその品質をどのくらいよくするとか、あるいはコストをどのくらい下げるとか、そういうことをきめまして、そして業界全体としてまとまってその計画を推進するという一つの実現性ということが必要でございますので、正直申しまして商業にはそういった実効性を期待することがなかなか困難であるということで、実は取り上げあぐねておるというのが実情でございます。なお、商業自体の近代化、合理化につきましては、そのほかいろいろな制度がございますので、ほかの制度を活用してやってまいっております。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いまなぜ商業が入らないのかと私自身も疑問を持ったのでございますが、いろいろと促進法の内容の中に、商業としてなかなかむずかしい点もあるから、いままで商業が入らなかったと思うのです。そのかわりに、商業の近代化には近代化促進法によらないでいろいろな施策を講じておりますが、これは将来の検討の題目にいたしたいと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 大臣も私と同じようなお考えのように承ったのでございますが、いま事務的なお話としては、重要性とともに実効性を重点に考える。しかもその実効性の確保とか、あるいはあとでの調査ということから見ると、商業はむずかしいということでありますけれども、これは大臣、私率直に申しますと、いわゆる事務官的な感覚であって、そういう考えだから商業はいつまでたっても日本の経済の大きなガンをなすのだ。このような物価問題、そして流通機構の整備、近代化ということがいわれるこの際に、近代化促進法制定の趣旨から考えてみても、やはり商業はむずかしいから工業のようにはいきませんけれども、しかし、指定業種の中からはずしておくということは間違いである。むしろ指定することによって商業の近代化を推進する機運をつくる、またどうすれば推進ができるかということについての具体的な条件を積み重ねていく、これがやはり政治解決だと思うのです。もう一度その意味においての大臣の積極的な御答弁を願いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私もいま商業が入ってないというお話を初めて聞いたわけです。これは今後検討することにいたします。何か入れることがあれば入れておいてもいいのではないか。しかし、これは、どうせこういう議論が近代化促進法ができたときいろいろ出たと思うのですよ。そういう議論が出て、結局こういうことになったのには、いろいろな理由があるし、これはいろいろのお話の趣旨もあるので、今後の研究する題目にいたしたいと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 ぜひ御検討願いたいと思います。事務的にめんどくさいとか、むずかしいとかいうことでこの問題を第二義的に考えてはいけないと思います。  次に、現在、先ほどお話のありました六十八の業種が指定をされております。ところが、われわれが聞いておるところでは、その基本計画が作成されたのはわずかに半分以下の二十九業種にすぎない。先ほど来物価の問題等を取り上げられておりますが、物価抑制と、それから不景気による落ち込みをひとつ回復していこうという景気回復政策とは、特に中小企業の近代化の分野等については一致しておる。これは政府もお認めになっておりますし、われわれも同感であります。そういうことになりますと、通産行政の一つの重点に中小企業だけは近代化するということも取り上げていただきたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、中小企業の分野からの合理化のために、六十八の業種が指定を受けて、いまなお二十九業種しか基本計画ができていないというその経過と、それからいつまでにどのくらいの指定業種を出そうという計画なのか、その辺をひとつ伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 長官からお答えいたします。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 いままで指定をいたしました業種の数は六十八でございますが、その指定は、三十八年度に二十、三十九年度に二十四、四十年度に二十四というふうに逐年指定をしてまいっておりますので、だんだんに前に指定したものから計画ができておりまして、現在三十九業種は基本計画ができております。あとの分もいま作業中でございまして、漸次実現をする予定になっております。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 時間がありませんのであまり議論はいたしませんが、大臣、これは先ほど申しましたような物価政策をも含めて、やはり三十九とか二十九とか、三十九でちょうど半分ですから、もちろん四十年に指定してすぐ基本計画を出せというのは、事務的にむずかしい面がありますが、少なくとも三十八年、三十九年に出たものは、これは政府が手伝ってやってでも、とにかく基本計画だけはつくらせるということでなければ、ただ法律ができましたという申しわけだけに終わってしまうではないか。その辺についてひとつもう少しプッシュするような大臣のお考えはないかどうか伺いたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私もこれは督励します。そうして、ただ指定しただけでは進まないですから、できるだけ早く基本計画が促進されるようにプッシュをいたします。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 事務当局にお伺いいたしたいと思いますが、近く指定業種に指定をするという計画がおありですか、あるいはどういうものを考えておられますか、できればお伺いをいたしたいと思います。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 四十一年度の計画といたしまして約二十五の業種を指定する予定になっております。業種ごとに、先ほど申し上げましたように、その業種の重要性、それから指定をするにいたしましても、まず業界の実態調査をし、そして計画ができて、それが実施し得る見込みがあるかどうか、その辺のところをいま検討中でございまして、新年度早々には指定をいたしたい、かように考えております。ただいまの段階では、まだ業種ごとの検討途中でございますので、具体的にどの業種ということは申し上げられない段階でございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 二十五業種とおっしゃいましたか。——それから今度大臣、一番基本的な問題でございますが、四十三年度末に近代化を指定し、基本計画を立てて、そして近代化の目標はどこに置いておるか、これがまた私は非常に大きな問題だと思うのです。品質について、生産費の引き下げについて、生産規模の適正化について、いろいろ事務的なお考えがあるようでございますけれども、時間もありませんので簡潔に努力目標、四十三年の終わりにおける目標をひとつ御説明いただきたい。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 実は先ほど商業の問題について申し上げましたのですが、指定をいたしましてからたいへんな実は作業があるのでございまして、その業種として四十三年にはどういう姿になるかということが、業界の代表を加えまして、あらましの議論ができるという可能性が必要なわけでございます。したがいまして、その場合には生産額がどのくらいになるか、そのうちの輸出がどうかとか、あるいは国民生活、物価に関係あるものですとどの程度コストダウンができるか、こういう見通しを立てるわけでございまして、その目標は各業種ごとにかなりきめこまかく作成をいたしております。したがいまして、業種ごとにつくっております。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 大臣、よくお聞き取りを願いたいのですけれども、いま御答弁が、ごまかしたとは申しませんけれども、抽象的ですから、私のほうから申し上げますが、大体六・五%から七%程度のコストダウンをねらっておられる。おおむねその辺だと思いますが、違いますか。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 業種によりましてかなり実はまちまちでございまして、私ちょっと平均をとった数字を記憶いたしておりませんですが、大きいものは二割くらいのコストダウンをねらっておるものもございますし、それからコストよりもあるいは品質の向上をねらっておるものもございます。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 具体的に申しますと、二割というのはほとんど例外的なものであって、大部分は七%くらいだと私は思うのです。それはどうですか。ほんとうに二割が全体として相当多いのでありますか。いまの御答弁だけ聞いていると、何だか二割下がるような感じがしますけれども、私はせいぜい、大体大づかみにして七%が精一ぱいだと思いますが、どうですか。もう一度……。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 業種ごとに非常にこまかく規定をいたしておりますので、ただいま私その具体的な近代化計画の内容を持っておりませんので、ちょっとこの席で申し上げかねますが、もし必要でございますれば、あとで資料として詳細提出いたしたいと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 それでは裏からお尋ねをいたしますが、かりに二割コストを下げるといいましても、その業種について下げていくのに、近代化の目標を第一にどこに置くかということなんです。これが通産行政、通産省のお考えでは、われわれの見るところ、はっきりしない。たとえば品質をよくする、これはけっこうなことです。生産費を下げる、これもけっこうです。規模を大きくする、これもけっこうですが、そのまたねらいの基本は何かということになりますと、私の考えでは、やはり開放経済に備えて、国際競争力をつけて十分競争できるようにするということが一つのねらい。それからもう一つのねらいは、御承知のように大体年に七%くらい賃金がアップされます。その賃金コストの上がりを合理化、近代化によって解消していく、吸収していく、この二つがねらいでなければならぬと思うのです。ところが、通産省の示されておりますところの近代化の計画を見ておると、一体これで労賃の値上がりだけでもカバーできるだろうかという点がまず心配。それからいわんや国際競争力になりますと、大臣よく御存じのように、わが国のものは二割から三割コストが高いのです。でありますから、二割もしくは三割下げなければならぬのに、七、八%下げて、これで近代化の法律が通って一応かっこうがついたというようなことでは、一体何をやっているかということについて目標がはっきりしない。そういう意味で、近代化の目標はどこに置かれるつもりであるか。また、現在考えられておるところの、四十三年度末に達成をねらっておられるその努力目標は、その基本的なねらいに対してどの程度こたえ得るものであるか、お考えを承りたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いまお話しのとおりだと思います。最終的には、中小企業が近代化されて国際競争力がつく、国際的な競争でも太刀打ちができるというところが目標だと思います。そういうことで、そこに政策の目標を置いて、一ぺんに達成ができなくても、これを計画的にそこへ持っていくということが政策のねらいであるべきであるということは、私もそうだと思うのでございます。四十三年にどこまで持っていくのかということについては、いま中小企業庁長官も、個々によっていろいろ違うので、最終目標はそこであっても、四十三年なら四十三年という目標には、個々の企業によって、一ぺんに国際競争力がこれでつきましたというふうに持っていけない企業もありましょうから、やはり資料のような形で出すことが適当で、いま私が申し上げることは、いま資料も持っておりませんし、ちょっと適当でないと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 ぜひこれは四十三年における努力目標と、そのときにおける国際競争力がどの程度についておるものかということを、その三十九業種もしくは六十八の業種について、これはやはり通産行政の立場においても、大臣のところで総合的に検討していただきたい。いずれまた機会をあらためてこのことは御質問をしたいと思います。  最後に一つ。資金計画の問題でございますが、四十年度の特別融資は五十億円だったと思うのでございますが、その消化状況はどういうふうになっておりますか。

山本重信中小企業庁長官

○山本(重)政府委員 いまちょっと手元に資料がございませんが、私の記憶では、若干ワクを残したのではないかと思います。しかし、一つには近代化全体が不況その他の影響もあっておくれたということもございますので、四十一年度はこのワクをふやしまして、一応いま八十億にふやす予定にしております。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 そこで、それではまずその八十億の問題のほうに入りますが、私は、大臣、この数字のまた算定の基礎がはっきりしないと思います。私、計算してみましたところが、大体わが国の中小企業の近代化に、数字を一々申し上げませんけれども、全体として二兆円くらいの金が要ると思います。中小企業といわれるものの全部がやや近代的な姿に切りかえていくのに二兆円かかる。これを民間が半分金を出し、政府が半分めんどうを見るということになると、一兆円になります。それを五カ年計画で達成するということになると、おおむね毎年二千億円くらいな膨大な数字になるのです。しかしこの二千億は、先ほども申しましたように、日本の中小企業の近代化、国際競争力を造成していく、また不景気に対して有効需要を造成していくということになれば、ある程度思い切った施策をやってもいいのじゃないかというふうに考えますが、ことしの五十億に比べて八十億ということになれば、これはパーセンテージからいえば相当ふえておりますが、しかし、これは六十八の指定業種だけが問題じゃありません。まだ指定されないでたくさんのものが残っております。そういうものも含めて、やはり通産省としては、先ほど大臣のお考えでは誘導以上にいってはいけないというお考えでありますが、それでけっこうでありますけれども、少なくとも土台だけは近代化をさして、その上でほんとうの意味の自由経済の本質をはっきりさせる、こういうところまで持っていっていただきたい。それはやはり中小企業全体の近代化計画というものをやらないと、いまはつまみ食いですね。とやかく言ってきたものを指定してやって、それについて具体計画を出させるということで、まあ極端な例で、ことばは悪いのですけれども、促進法ができて、促進法の実施を中小企業庁がやっておられる。その範囲で出てきたものに対しては、こういうふうに指定をして若干の援助をしてやる。ことし五十億、来年度八十億と、この程度では全く申しわけであって、やはり意欲的な面が一つもないと思うのです。そういう意味で、ひとつ中小企業全体の近代化計画を立てられる意思はないか。その中で、資金的に見ても、やはり五カ年計画くらいのところで近代化の計画を推し進められるのでなければ、いわゆるつまみ食いの積み重ねでは、いつになったら日本の中小企業は近代化されるのか、国際競争力ができるのか、その点が私は全然見通しがないんじゃないかという点を心配いたしますので、大臣のお考えを承りたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 全体としての中小企業の近代化計画は必要だと私は思っております。そういうことで取り組んでみたいと思っております。私自身も……。

竹本孫一民主社会党

○竹本分科員 以上で質問を終わります。

植木庚子郎自由民主党

○植木主査 以上をもちまして竹本孫一君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午前十時から開会し、経済企画庁及び農林省所管について質疑を行なうことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会

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