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51回国会衆議院1966/02/17

予算委員会 第16号

発言数
259
登壇者
22
会派数
3
開催日
1966/02/17

会議録

福田一自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第三号)を議題とし、質疑を行ないます。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 私は、同和問題、部落解放問題について総理大臣並びに関係各閣僚に御質問を申し上げたいと思うわけであります。  最初に申し上げておきたいと思いますが、この問題は全国民的な課題でございまして、憲法の第十一条、第十四条、第二十二条、第二十四条、第二十五条、第二十六条、第二十七条というような条文が守られていないという問題になるわけでございます。非常に重大な問題でございまするので、私も一生懸命に御質問申し上げますが、どうか総理大臣はじめ各閣僚の皆さま方も、野党が攻撃をするから、それを防ぐというような意味ではなしに、全国民的な課題を与野党一致して、政府が主体となって解決をするというような心組みでぜひ御答弁を願いたいと思うわけでございます。  ことに総理大臣は、こちらのほうをごらんになって、まじめに答弁をしようという気組みを見せておられますが、各閣僚は少し雑然として非常にふまじめな態度であります。閣僚がみんな粛然としてこの問題を聞かれることを要望いたします。  特にそれを申し上げますのは、この問題は西日本において非常に重大な問題でございまするが、東日本あるいは北陸あるいは北海道に至っては一つもこの問題がない。したがって、そこで育ち、そこで活動しておられる方は、非常にりっぱな政治家であっても、この問題に対する関心が薄いのであります。しかし、問題は全国民的な問題であって、政府が一体となってこの問題を解決をしていただかなければならないのであります。でございまするから、北海道とか、あるいはその他問題が薄いところの方は、この総理大臣の御答弁中にその問題の認識を深められるという気持ちで、自分の管掌の行政官庁に直接にそう関係はなくても、この問題は一緒に考えて、総理の御答弁に従って、私どもの要望に従って問題を解決するという決心を固めていただきたいと思います。  まず第一に、内閣総理大臣の佐藤さんから、部落解放の問題、未解放部落の問題、同和対策の問題についてどのようにお考えになっておられるか、総括的にひとつ御意見を伺っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この問題は、もうすでに百年近くなろうとしております。問題が起きて、また平等の待遇を要求され、また、しかあるべきだ、かようにいわれてもうすでに百年になんなんとしておる。いまなおこういう問題について、国会のこの場において論議しなければならない、こういうことはほんとうに恥ずかしい次第のように私は感じております。  との同和の問題は、そういう意味で全国民の関心の的であるが、同時に、こん然一体として相互の理解を深めるということが根本の問題だと思いますので、そういう方向に一そう努力をしていく。ことに、昨年同和対策の調査が完了して、そしてりっぱな答申も出ております。もう今後行くべき方向、これは非常にはっきりしておりますので、その線について政府も予算その他において努力してまいりますが、問題の基本は、やはり理屈ではないんだ、いまなお感情的なものが一部に残っておる。しかし、代がかわっておる今日、冒頭に申しましたように、百年近くになっている今日、いまなおそういうようなことがあるというのは、まことにこれは恥ずかしい次第でありますので、全体が一そう努力することによりまして、この問題を本来の姿に返すということであってほしいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 総理大臣の御答弁は、総理大臣として熱意を込めてこの問題に取り組もうということを総体的に御披瀝になった、その点はけっこうだと思います。しかしながら、御答弁だけでは非常に不十分でございます。と申しまするのは、こん然一体となって相互の理解でこの問題を解決をしていこう。ところが、相互の理解がなかなかいかないというところに歴史的な大きな背景があるわけであります。たとえば、この同和地区に住んでいる人、未解放部落の人たちの中には、極度に貧困の人が非常に多い。その場合に、たとえば生活保護法の適用を受ける人が多い。あるいはまた失対の仕事をしている人が多い。その場合に、なぜその人たちがそれほどの貧困の状態になったかということを一般の人たちが理解をしない。あの人たちはなまけたからそういうことになった、そうして、そのために国費なり、市町村費を使わなければならない、その税金はわれわれが負担をする、そういうことは迷惑だというような、非常に無理解な問題がございます。一番問題は、結婚の問題や就職の問題でございまするが、問題を全部前から考え起こして、そうして、いわゆる未解放部落の人たちにはその差別を受けている現状、極度に貧困である現状について一切の責任がない。その責任は徳川幕府以来のすべての政権を担当した者の責任である。それを解決をすることが全国民的な課題であるということを、全国民が理解をしなければ問題は片づかないわけであります。したがって、歴史的にその問題をぜひ、総理大臣は御研究になっておられると思いますが、総理大臣はじめ各閣僚の方は研究をし、ほんとうの信念をもって、決心をもってこの問題に当たっていただきたいと思うわけであります。  この未解放部落の問題の淵源はいろいろの説がございます。しかし、その問題は、ずっと前の問題はいまの政治には影響がありませんので、いまの政治に影響のある部分から私なりに研究をしたことをかいつまんで申し上げて、御理解を深めていただきたいと思います。  私は奈良県の出身で、奈良県に居住をいたしております。奈良県においては未解放部落民の居住の率が全国で一番高いわけであります。しかも非常な差別と貧乏に苦しんだ人が、大正年間にそれに耐えきれないで決起をした、いわゆる水平社運動の発祥地でございます。したがって、浅学非才の者でございまするけれども、この問題については、ほかの方に負けないだけの熱意をもって研究をし、またその解決の方策について一生懸命に考え、努力をしたものでございます。  この問題の具体的な近代的な起こりは、徳川幕府にございます。徳川幕府が長い間の武家政治を確立するために、経済的な基盤を確立をしなければならない。したがって、そのときの主要産業である農業をしている人から収奪を継続的にしなければならないということを考えたわけであります。それがいわゆる本多佐渡守の、百姓をして飢えしむべからず、食わしむべからずという政策であります。そのようにぎりぎりまで農民、おもな産業のにない手である農民をしぼるためには、いろいろの方策をしなければならない。しぼり過ぎたならば一揆が起こる、しぼり過ぎなかったら武士が栄耀栄華ができないという問題で、極度までこれをしぼろうと考えました。そのために農民に栄誉を与えて、国の宝と称しておだててしぼりとる方策を一つしました。それと同時に、他の階層の人たちと分離をして、国民を分断をして、農民が孤立するような状態にして一揆を押えようというふうに考えたわけであります。そのために、身分制度を故意に確立をいたしました。士農工商という身分制度を確立いたしました。支配階級である武士、その次に農、工、商であります。技術者の工の部分に当たる人、あるいは実業家の商の部分に当たる人は、農民よりもある意味で力を持っている人がずいぶんあったわけでございまするけれども、それを故意に下に置いて、士農工商という序列をつくった。それでもあきたりないで、あと、えた、非人という階級を無理に置いた。そういうことにして、百姓に栄誉を与えてしぼり取ろうとしたわけであります。  その身分制度、その徳川幕府の制度の犠牲を受けたのが未解放部落民であります。したがって、人間外の扱いを受けて、たとえばどんなに経済的に進出をしようと、縄の帯しか締めてはいけない。同火同席は許さない。百姓のうちに立ち入ることは許さない。たばこの火を借りるのも、直接に借りてはいけないというような、非人間的な扱いが徳川時代に数百年行なわれてまいったわけであります。  ところが、その後明治の時代になりまして、太政官布告が出まして、そのような身分制度はいけない、不平等なことはいけないということで、太政官布告が明治四年に出ました。以後、全部の国民を、大部分の国民を平民と称するということになったわけであります。したがって、そのような身分制度は一応形式的になくなったかに見えました。しかしながら、従前からあった位階勲等というものがそのまま存続をいたしました。新しく公侯伯子男という華族をつくりました。士族という名前を残しました。そのように、人よりもとうといとされる階層をつくったがために、国民が一視同仁でない、国民が同じでない、とうとい人があれば、逆に卑しまれる人があるという風潮は、そのような不完全な改革ではなくならないわけであります。そのようなことのために、昔の身分制度は抜けましたけれども、ほんとうの意味では、そのような差別観は明治時代もずっと同じく継続したわけであります。  ところで、しかしながら、名目的に平民という通称で全部呼ばれるようになったことは悪いことではございませんけれども、明治時代に徳川時代よりも悪いことが起こりました。というのは、徳川時代は身分制度で差別をしたけれども、おのおのが経済的には何とか食える制度をつくってあったわけであります。いわゆる未解放部落民には斃獣処理権という経済的な特権がございました。武士の馬、百姓の牛、それが死んだときには直ちにもよりの部落民がこれを処理をする。そうして馬具をつくるというような経済的な独占権があったわけであります。非人間的な扱いに対して、逆に、いささかの経済的な特権を確立をいたしておりました。ところが、明治解放で、それは一切職業選択の自由ということで、経済の自由ということでそれは取り払われました。身分制度はなくなって、いろいろの身分が大きく変わったのは、一つは武士の制度があります。武士は俸禄制度を持っておりました。五十石とか三百石、千石というようなものを世襲的に受け取ることができる制度でございましたけれども、これは明治改革でなくなりました。そのために、武士には当時の金で二億一千万円、現在の金に換算するとどのぐらいになりますか、数千億から一兆ぐらいに当たると思います。そのぐらいの秩禄公債という公債をこれに支給をいたしました。武士階級が新しい時代に成り立ち得る、そういう措置を明治政府はとったわけであります。  ところが、部落民に対しては、何もいたしませんでした。いままでそれだけ人間外の扱いを受けて、差別を受けている。ほかの経済界に発展する要素がないというのにかかわらず、明治の農地解放のときに、ただの一寸の土地も農村居住の部落民にこれを分け与えなかったわけであります。しかも、そのような身分制度が実際的に続いておりますから、差別が非常に続いております。新しい資本主義経済の中で、たとえばある町の国鉄、あるいは私鉄の駅前で、そこで商売をすれば繁盛をする。商業として成り立とうと決心をしても、その家を貸してくれない、土地を貸してくれない、もちろん売ってくれない。間々何とかしてそこで商売をしても、差別概念があって、その店の品物は買わないというような状態が続きました。商売人としても成り立たない。同様に、工業をすることも成り立たない。しかもまた、非常に差別が強いので、労働者として働く道をふさがれておったわけであります。武士のほうは、大部分新政府の官吏に登用をされました。逆に部落民のほうは、下級官吏どころか、一番末端の臨時工のようなところにも、その当時は差別概念があって雇用をしなかったわけであります。労働者として成り立たず、農民として成り立たず、そうして中小商工業者として成り立たない状態に明治政府は置いたわけであります。  そのために、それ以上に、いままでなかった、徳川時代にはそのような差別を受けておりました関係上税金というものがありませんでした。徴兵制度というものがありませんでした。ところが、新しく税金もかかるようになった、徴兵制度にもかかるようになったわけであります。経済的には不利な点だけが明治改革においては行なわれたわけであります。したがって、非常な貧困がそれから続きました。ところが、明治以降の資本主義の伸展期において、そのような膨大な半潜在失業群があることは、低賃金の体制によって搾取を強化して、資本家がもうけるためには非常にいい状態でありました。したがって、明治から大正にかけて、この問題を解決するための具体的な措置は何もとられないで放置をされたわけであります。  そのような貧困のために差別はますます助成をいたしました。身分的な観念からくる差別でございましたが、そのような状態において非常な貧困がある。貧困のために差別が助長をされてきたわけであります。そのような状態のもとでがまんしきれなくなった人たちが、結局米騒動のときに——これはほかの経済的に苦しんでいた人々と一緒にやったことでございますが、決起をいたしました。その後、自発的に問題を解決をしなければならないということで、水平社運動が大正十一年に起こりました。それに対して、当時の政府は、ようやく事の重大なことに気がついたか、またはいままでわざと忘れておいたのを、それではいけないということで、昭和十一年に十年計画というものをやってこれを解決しようということに当たりかけたわけであります。ところが、あのような支那事変から大東亜戦争に突入をいたしまして、これは一切実効を発揮することなくとだえてしまいました。その後、戦後を迎えたわけであります。戦後を迎えて民主主義の時代になりました。このような平和憲法、民主主義憲法ができたわけであります。しかしながら、いまの部落の人たちは、この憲法のほんとうの恩典を受けておりません。先ほど申し上げましたように、憲法の諸条文のあらゆる点に違反をした事実がいまの日本の国にあるわけであります。  戦後の民主憲法において、基本的人権を尊重しなければならない憲法下において、戦後の政府は、戦前の政府の百倍もの勢いをもってこの問題の解決に当たらなければならないのに、残念ながら最初の政府はそういうことではございませんでした。そして、その間に農地改革が行なわれました。農地改革が行なわれたけれども、その農地改革においても、部落農民はその均てんはあまり受けておらないわけであります。というのは、この農地改革は、小作権を持っておる人に自作農創設の道をつくるという方策をもって行なわれました。ところが、農村居住の部落民は、明治から大正にかけて最初は小作権を一つも持っておりませんで、一生懸命に農業労働者として働いて、わずかに一番悪い土地、山の陰で実らない、川のそばで、台風が来たら流れてしまうというような劣悪な土地の小作権を、わずかに二、三反もらったというにすぎないわけであります。したがって、農地解放によって、農地居住の部落民は、わずかに一部の人が農地解放の利益を得ましたけれども、それはほんとうにわずかでありました。いまの部落農民の平均反別は三反半ぐらいであります。全国の零細農中の零細農であります。そうしてまた中小企業は、皮革とか、あるいはげたとか、そういうものが伝統産業としてございましたけれども、これは大きな皮革産業に侵略をされる、あるいは様式の違いでげた産業等は凋落をするということで、伝統の産業も衰微の一途をたどっております。  また労働問題においては、そのような差別が実際にありました。関西以西のいわゆるしっかりとした、安定した企業においては、就職試験を受けても、身元引き受け能力の問題を口実にいたしまして、実際、部落出身の子弟については、そのような大きな産業では採用をいたしておりません。したがって、非常に不安定な中小企業、あるいは臨時工、社外工あるいは失対労働者というのが、この部落居住の労働者として働く人たちのいまの状態であります。  このような状態のために、非常に貧困が加重をされております。その環境は、総理大臣御承知のとおり、見て、これがわれわれ日本国民の居住であるかというようなところが非常に多いわけであります。衛生環境も非常に悪い。それがまた差別を助長をいたしております。そこの地区に入った人は、環境は悪い、非衛生である、そのことでそこに近寄らない。したがって、その居住の人たちとは交際はしないというような状況であります。若い青年が一生懸命に勉強をして中学校を出る。ところが、自分よりも成績が悪い、その事業に不適当であると思われる人が大きな企業に就職をする。一生懸命やっても、このような差別で就職ができなければ、その人たちは虚無的になります。虚無的になった青年のある一時的な言動をとらえて、粗暴である、したがってつき合うことはやめておこうというようなことで、差別が貧乏を生み、貧乏が差別を助長しているわけであります。  この問題をほんとうにあらゆる角度から解決をしていかなければなりません。その解決の方法は何か。いま総理大臣がおっしゃったように、お互いの理解で民主主義の観念に従ってやることが大事であります。しかし、その問題のもとは何か、生活の根源が成り立っておらないことにあるわけであります。雇用の問題であります。零細農業の問題であります。零細漁業の問題であります。零細工業の問題であります。そして、そのようにいままで農地を分けられず、最初から雇用の差別を受けた、中小企業は成り立たないようにされている。その問題をこれから急速に解決をして、ほかの国民と同じく、自分の努力によってその生活を向上する、そういう道を、その基盤をつくることが大事であります。そのことのためには非常に大きな強力な政策が必要であります。そのようなことのために、政府がこれにほんとうに本腰で取っ組んでいただく必要があろうと思うのであります。  少し長くしゃべりまして恐縮でございますが、そういう問題で一般的な差別言辞を弄する、そういうことをなくする、差別的な態度をなくするということをしなければなりませんが、それを根本的に直すためには、そのようなよって立つ経済的基盤、劣悪な環境の条件、そして劣悪な教育の条件、そういうものを政府の強力な政策によって解決をし、そして、民主主義理念の進展とともに、これを急速に解消するという問題が必要であろうと思うわけであります。その点について総理大臣の御所見を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 八木君は詳しく実情を調べてただいまのようなお話をされました。私もやはり山口県の出身でございますので、こういう部落問題、これはほんとうの身近な問題として今日も取り組んでおります。そうして、これはもう御承知のことだと思いますが、明治四年に出た基本人権の尊重、こういう形でものごとが進んでおりますから、私どものような明治生まれの者はともかくとして、大正あるいは昭和の生まれの諸君は、こういう問題についてはあまり関心はないだろう、かように私は思いますが、それにいたしましても、この部落を形成しておるそこに一つの問題がある、かように思いますので、この同和対策の基本として、生活環境を変えるというこの問題が一番先に取り上げられておると思います。私どもが、解放、同時にまた、一般お互いに基本人権を持っておるのだから、どこでも職業選択の自由もあるし、また居住の自由もあるから、どんどん出かけて雑居していく、こういうことが望ましいと思いますが、やはりお互いに過去の土地というものには特別な執着がありますので、どうしても雑居はなかなかしない。そういうところに一つの問題があると思いますから、生活環境の整備をすること、ここに私どもも入り、また衆議院選挙の際に出かけましても、ほんとうに楽に話ができるような、そういう環境をつくることがまず第一だと思います。  同時にまた、ただいま御指摘になりました職業選択の自由はあるといいながら、どうしてもいまのような特定地区に住んでおると、就職の場合においてもいろいろな制限を受けるとか、あるいは阻害されるとか、こういうことがあるように思います。最近は、私久しぶりに選挙区へ帰ってみますると、戦争直後私どもが感じたような状態ではなくて、よほど変わっております。ことに都会に出かけておる諸君も非常に多いのでありますので、もうりっぱな実業家になられた方もあるようだし、あるいは大学の先生にもなる、そういう方もありましょうし、また、みずから社会的地位も高まっておる、かように私思いますので、こういうことはおそらくその他の面におきましても、同じように、落後者は生活に苦しむ、同時にまた、成功する者もあるというように、よほどその間は差別がなくなってきたと思います。しかし、積極的に政府自身が職業選択の自由、これを助け、また就職の場を提供する、あるいは教育の面でも特別にくふうをしまして、そうしてお世話するとか、これは別に同和の問題ではございませんが、昨日、産炭地の振興の問題で多賀谷君からもお尋ねがございましたが、長く貧困、また就職の道をふさがれておる、こういうようなところの家庭の子弟の教育、これはまたたいへんな問題だと思いますので、もう古い者はともかくとして、これから育っていく者、これにはいまのような差別的な感情を残さないように、基本的人権をそこなわないように、伸び伸びとした教育を提供する、こういうことを特に努力していかなければならぬと思います。こういう意味では、先生はもちろんのこと、そういう理解がなければなりませんが、同時にまた、村の長老諸君が、青少年の教育の場においても、あとにあとくされの悪いものを残さないように、そういう努力をしないと、今日の状態ではなかなか御期待に沿うようなわけにもいかないのじゃないかと思います。  それからもう一つは、特殊な病気等があればなおさらのこと、これについての対策を立てなければならぬと思います。病気といえば、多く眼病、トラコーマ、こういうものがあげられるように思いますが、そういう点について特に留意していって、そうして、部落と一般との間の待遇あるいは差別、これをしなくても済むような自然な状況をつくることが何よりも大事だ。だから、いまの同和対策のねらいは、そういう意味の具体的処置に真剣に取り組んでいくことだ。しかも、これは一省だけの問題では実はないのでありまして、各省にまたがる問題だ。ただいま、たいへん農地解放のときの処遇なども御指摘になりました。確かに農林行政の面におきましても、こういう取り残される農民というものができないように特に注意しなければならないことだと思うし、中小企業におきましても、ただいま職業の選択の自由がございますから、在来のように皮革業だとか、特殊な事業だけに携わるということでなしに、これは独占的な地位が与えられたといって喜ばれるかわかりませんが、それはかえって逆で、むしろ一般と何らの区別なしに職業の選択が自由にできるのだ。そうして、しかも政府が、それがどこの出身であろうが、中小企業の育成強化をはかっておる。また零細企業の確立に政府自身が金融その他をつとめておるのでありますので、まあお世話をするほうから見まして、これはどこの出身だからということで差別待遇をしないようにすべきだ、かように思います。そういう意味で、ただいま言われたとおり、各省にもまたがるし、総合的な対策も必要だし、そこで全国民の問題として取り上げていく、こういうことでないとこの問題はいかないと思います。  私はまことに残念に思いますのは、冒頭に申しましたように、非常に古い問題をいまなお取り上げなければならない、こういう実情にある。お互いの頭はよほど進みましても、社会的にはなかなか進まないものがある、かようなことを思うのであります。しかし、ただいまお話がありましたが、水平運動、水平社運動ということを言われました、けれども、ただいまはそういうようなことばも私どもは最近は聞かないようになっております。私は大学を卒業して鉄道に入りましたが、その当時は、ただいまの大正年間あるいは昭和の初め、そのころはただいまの運動がなかなか強くて、そうして至るところで荊冠旗も見受けた。しかしながら、最近はそういうこともないようであります。よほど平静に帰したと、かように私思います。同時に、同和対策を進めるのはいいが、意識して同和あるいは部落対策だと、こういうことで考えるところにまだ十分のものがないのじゃないだろうか。もっと徹底すると、同じようにスラム街はなくするんだとか、あるいは病気は片づけるんだとか、あるいは貧困と真剣に取り組むんだ、これはもう全部が同じように扱うんだ、こういうところまでいかないと十分の効果をあげない、かように私は思います。  たいへん長い御質問に対してまた長い答弁をいたしまして恐縮ですが、私もかように思っておるような次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 総理大臣が比較的時間をかけて御答弁をしていただいた御誠意は認めだいと思います。ただ、いまおっしゃった中に、ぜひもっと理解を深めていただかなければならないと私は思う問題があるのです。実はおっしゃったように、大学の教授になった人も、相当の実業家になった人も、あるいは国会議員とか県会議員にどんどん進出している人もいます。ところで、眠った子を起こすなという声が世の中に一部あるわけです。これが非常な間違いであります。(発言する者あり)この辺でやじっている連中もそういう考え方を持っているようですが、そうではないのです。実は眠った子を起こすなと言う人は、だれが言うか、それは、部落の出身で実業家になり学者になり議員になり、みずからが相当の社会的の地位を獲得した人がそれを言うわけであります。その人たちは、部落に生まれても、すでに社会的には先生ととうとばれ、社長といわれ、人を使い、人を指導し、自分は解放されているわけです、その人たちは部落の出身であっても。そういう人たちは、昔の自分たちの苦労を忘れたいがために、それを言ってもらいたくない。ところが、世の中の理解が深いと称する一般の人たちのつき合うのは、その部落の指導者であるという、そういう部落から社会的に地位を得た人、そういう人に会う人が多いわけです。したがって、そういう人の意見を聞いて、眠った子を起こさないほうがいいというようなことを言う人がございます。そのために、ほんとうに底辺にある部落の人が置き去りにされておるわけです。百人のうち九十九人までの部落民が、総理大臣も御承知ですが、各大臣はほとんどそこの中心地に入った方はないと思いますが、それは言語に絶する生活環境であります。したがって、それで非常な差別を受けております。  結婚の問題については、関西以西においては非常な問題であります。当人が相思相愛になる、どうしても添い遂げたいといっても、親がこれを許さない、親が許しても、おじ、おばが許さない。おじ、おばが許しても、それより横の親戚が許さないというような状態で、結婚に関しての自殺者の半数以上は部落の関係の人だと私ども理解をいたしておりまするが、そういう状態であります。したがって、そのようにだんだん解決しているという問題ではないのであります。ほんとうの根本的解決をしなければ、通称三百万といわれ、この同和対策審議会の答申においても、確認された者が百数十万人といわれるその人たちの人権が、完全にじゅうりんされたままになるわけであります。憲法の各条章がそのような日本国民に確立をされていないわけです。したがって、だんだん直るだろうという考え方を世の中の人が言うときには、それはものを半理解、部落の差別を増す言辞であると私は思います。総理大臣はそのことはおわかりだと思いますが、各閣僚にその点はしっかり考えておいていただきたいと思います。  ところで、この問題を解決するには、一般の労働政策、一般の社会保障政策、一般の零細農業対策、一般の零細漁業対策、そういうものがすべてが浸透することがまず第一に必要であり、一般の教育対策を浸透することが必要であります。しかしながら、これは総理大臣も否定をなさらないと思いますが、たとえば中小企業の問題では、中小企業対策で、その中の小企業が実際上には対処されていない。その中の零細企業が実際的には対処されていない。零細企業の部落産業が中小企業対策といっても全然その均てんにあずかっていない。零細農業対策も、一番の零細農に対しては行き届いていないわけであります。ですから、その一般行政だけではこの問題は解決をしないわけであります。一般の行政は徹底的に下に対して浸透すると同時に、その問題を解決するために特別な対策を国が強力にしなければ、問題は解決をしません。経済的な問題が解決しなければ、民主教育をいかにやっても、民主主義をいかに伸展をしても、人間の中に差別感が残る。残念ながら、世の中の人は貧乏な人に対しては同情はしても、あそこは貧乏だという差別感が一般的にあるわけです。極度の貧乏と身分的な差別とがぶつかったときに、その差別は一そう助長されるわけであります。そういうことではいけないので、その問題が国会において討議をされた昭和三十三年の三月十一日に、佐藤さんのお兄さんである岸内閣総理大臣の時代に、この問題に政府が根本的に取り組む、徹底的に取り組む、これは自分の内閣はもちろん、これからいかなる政党の内閣だろうとも、何びとが総理大臣になろうともあらゆる政府の責任である、この完全な、そして至急な解決が必要である。その解決の方法には、そのような民主主義の伸展だけではいけない、ほんとうに生活の根源が成り立つためにやらなければならない。何百年の残滓が残っているのを短期間で解決をするときには、一般行政だけではだめだ、一般行政に加えて強力な施策が必要である、そういう意思統一がされまして、その問題を総合的に決定をするために同和対策審議会が昭和三十五年に設置され、四十年の八月十一日に答申が出たわけであります。多賀谷真稔君の本会議の質問に対して総理大臣は、同対審の答申を尊重いたします、そして、その中の重要事項である同和対策特別措置法の立案を早急に急ぐ、多賀谷真稔君の要望は二月以内に提出をしていただきたいということでございましたが、それに間に合うかどうかは確約はできないけれども、至急にその提出の準備を政府としては強力に進めたいという御答弁が総理大臣からございました。その前向きの姿勢は非常にけっこうだと思いますが、それがほんとうのものでなければ、この憲法をじゅうりんしている問題、ほんとうに数百万の大ぜいの人間が、大ぜいの日本国民が完全に人権をじゅうりんされる問題を早急に解決をすることはできないわけであります。したがって、ぜひ総理大臣には、この同和対策審議会の答申を尊重する意味において強力に進めていただきたいと思います。その審議会の答申を全部お読みをいただきましたならば、この審議会はこれを一生懸命やったけれども、まだこれでは不完全である、これ以上に施策が必要であるけれども、緊急な問題だからここまで討議したところでこの答申を総理大臣にお出しをする。こういうことで、したがって、これだけでは完全ではないわけです。それ以上に考えられるあらゆることをつけ足していかないと、この問題は解決できないわけであります。それと同時に、この問題は至急に解決をしなければ、その間、人権のじゅうりんがずっと続くわけであります。総合的に年次計画を立てていかなければならないけれども、できるだけ至急にその完成をしなければならないと思うわけであります。そして最後に、その年次計画をつくって、総合計画を策定してやるというところにいろいろなことがございます。  そこで、具体的に御質問をしますが、私はこの年次計画、総合計画をできる限り政府が努力をされて、短期間で完成をするということが必要だろうと思うわけであります。昭和十一年に、その年のまだ無理解の政府であっても、完全解決のために十年間でこれをなし遂げるという計画をして、戦争でつぶれたわけでございます。民主主義の時代で、この民主主義憲法の時代で、この問題を一生懸命考えなければならない内閣としては、それ以内の短い期間でこの問題を解決する、その問題の具体的なものをやっていくという決心をなさらなければならないと思うわけでございます。佐藤内閣総理大臣の前向きの、私より以上の前向きの決意をぜひお聞かせをいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この問題は八木君が御指摘のように、国民全体の問題として取り組んでいく、ことに政府は、岸内閣以来の問題でございますので、ぜひとも仕上げするような意味で、できるだけの留意をしたい、注意してまいりたいと思います。予算の編成にあたりましても、四十一年度では十分だとは申しませんが、その方向をあらわしたように思います。  また、同和対策協議会、この設置の問題も、もうすでに閣議で、国会で御審議をいただく法案の決定をいたしておりますので、あとは特別措置法の問題が残っておると思います。なかなか特別措置法には各省ともいろいろの考え方があるようでございます。しかし、これも先ほど来言われるように、そっとしておくのでなくて、積極的に国会の総意に沿うような問題をぜひとも取り上げたいと、かように思っております。ことに、これは保守党も革新政党も同じことだと思いますが、わが党におきましても、同和対策についてはたいへん熱心に、また真剣に取り組んでおりますので、ただいまの特別措置法の制定にあたっては十分党とも相談の上、御満足のいくような方向で、前向きで検討したい、かように思います。ただ、この機会に、いつ出すかと、かように言われますと、まだそこまではまいっておりませんけれども、十分審議いたしまして、そして前向きにこの問題と取り組む、このことだけ披露しておきます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 非常に前向きな御答弁でけっこうでございますが、問題を進める意味において一つ、二つ明確にしていただきたいと思うのです。  先ほど申し上げましたように、前の——新憲法じゃない、昔の政府、基本的人権がそれほど尊重されていない政府ですら、問題解決のために十年間で完全に解決をするという計画を立てて、戦争でこれが中止になったわけであります。したがって、基本的人権を重んじなければならない、憲法を重んじなければならないいまの政府としては、それ以内の短い期間でこれを解決をするという熱意を持って当たっていただきたいと思いますし、特に最初の五カ年間で、いまできる、いま考え得る有効な政策はどんどんやる、あとの五カ年間でその後に考えられた、あるいは補完するものを完成するというような勢いでぜひやっていただきたいと思いますのと、同和対策特別措置法について、二月以内には無理であろうとも、少なくとも三月、そのくらいまでにぜひともお出しになるということを御披瀝を願いたいと思いますのと、その内容について、与野党のことをおっしゃいましたが、与野党ともに同和対策審議会設置法は出したわけでございます。その問題について協力をいたしておりますので、私ども社会党の意見なりあるいは民社党さんの意見なり、あるいは自民党の皆さま方、特に秋田さんとか灘尾さんとか、非常に熱心な方がおられます。そういう方々と一緒に御相談をして、政府のほうにもこのようにやったらよかろうじゃないかということを、積極的に意見を申し上げて、内容をりっぱなものにして、全国民的に解決をする方策をとらしていただきたいと思うのです。その点について総理大臣から、各官庁やあるいは総裁であられる自民党のほうに、全国民的にほかの人と協力をして、いいものを急速につくろうということをぜひ御決意をしていただきたいと思いますのと、それを十年以内、五年に大体完成するということと、措置法を三月以内にお出しになる、そのことについての御決意をぜひ前向きに御披瀝をいただければ非常にしあわせだと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま八木君から、長期計画を立てろ、同時にまた、特別措置法の取り扱い方について、自分たちも協力するからぜひ早くつくれという重ねての御要望がございました。十分心してただいまの御要望に沿うように最善の努力をいたします。

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。  この際申し上げます。ただいま参考人として前臨時行政調査会会長佐藤喜一郎君の出席をいただいております。  佐藤参考人には、御多忙中のところ御出席をいただきありがとう存じます。  なお、佐藤参考人の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしますので御了承願います。  それでは吉田賢一君。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 私は、去る三十九年の九月に答申が出ました臨時行政調査会、これは略称して臨調と申しますが、臨調の答申を中心に政府並びに関係閣僚の御意見を伺うのでございますが、その前に、臨調の会長として二年半余にわたって、かつまた戦後最大の構成、規模をもって努力をせられた臨調の会長であった佐藤喜一郎さんが御出席になっておりまするので、佐藤さんによって臨調が答申をいたしました趣旨、内容、大体の目標、骨子、こういったところをひとつ率直に伺いたいのでございます。ただし時間の制約もあることでございまするから、でき得るだけひとつ要点だけをお述べいただきたいとお願いしたいのであります。どうぞひとつお願いいたします。

佐藤喜一郎前臨時行政調査会会長

○佐藤参考人 お呼び出しがございましたので、私から申し上げたいと存じます。  臨時行政調査会の性格でございますが、時の政府、池田内閣のときに任命を受けまして、二年半にわたって鋭意調査をいたして、一昨年の九月末日でございましたか、政府に答申をいたしたのでございます。そして調査会の規定の中にも、臨時調査会のほうで希望すれば、総理大臣は国会に報告しなければならないと書いてございましたが、私どもも、答申にあたりまして内閣に、この答申はぜひ国会にも報告を願いたいということをつけ加えて答申を終わったのであります。したがって、国会の皆さん方には御報告があったんだろうと、私はそれを前提として申し上げます。  何ぶんにも調査会の答申は非常に膨大なものになっております。したがいまして、よほど御熱意のある方でないと全部をお読みくだすったとは私考えてはおらぬのでありますが、しかし、総論的のものを設けてございますので、どうかひとつおひまのときに読んでいただきたいと思うことが私どもの熱望でございます。  さらに、この調査会は、国家の行政のあり方について調査を依頼されましたので、これに関連のあります場合には触れておりますけれども、地方行政に触れておりません。また国会の運営とも、行政の能率化等の関係がだいぶございますが、しかし、国会の運営について調べろという御依頼は受けておりませんので、それは権限外であるというふうに考えて、直接には国会の運営に対しては答申がされておらぬのであります。  かような前提のもとに立ちまして、——なおもう一つ御留意を願っておきたいと思うことは、この答申に出ましたことは、七人の委員の全会一致の意見である。つまり多数決で、七人委員でございますが、三人、三人になった場合に会長あるいは委員長がきめるというようななにではございませんで、全会七人の委員の意見の合意を見たものだけが答申されておりまして、実際上におきまして、われわれが答申したいと思ったことの中でも、意見の相違がありましたものは答申になっておらない。この二つだけ御留意を願いたいと存じます。  次に、方針をどういうふうにやっておったかと申しますと、大体行政の問題は、運営の問題と機構の問題とあるわけでありまして、機構が悪いと運営がなかなかうまくいかないという面もございますが、機構のほうはなるべく触れない、何と申しますか、最小限度にこれをとどめて、主としてなるべく運営でもって実際の改革ができるようにというような気持ちで七人の委員は調査に当たったのでございます。  さらに、もう一つの問題は、いままでたびたび行政審議会もありましたし、行政の改革が企てられたのでございますが、それが、答申は出るけれども実施に移されていないという結果が遺憾ながら出ておりますので、どうしたらばこれが実施を促進するか、これは、やはり国民の世論に訴えないと、世論の支持がないというと、政府のほうも、また国会がこれに協力していただくにしましてもやりにくいだろうというので、八回にわたりまして各地方へわれわれが出かけまして、各方面の方の意見を懇談会という形で伺ったのであります。公聴会式の意味を持った懇談会であったのでございます。そうして、それは「国民の声」として別冊に収録してありまして、かなり大部なものになっております。また、調査会の発足にあたりまして、広く国民の声を伺いたいといって呼びかけをいたしました結果、その公聴会を開きます前から、多数の一般の国民の方の中からたくさんの投書をいただいておるのであります。これらを集めまして、別冊として収録してございます。  それから、方針として、さらに実証的の調査、研究を前提といたしまして、わりあいにと申しますより、ほとんど政策の面には触れておらないのであります。たとえば、いま緊縮政策をやるときであるとか、あるいは公共事業が港湾に集中すべきであるとか、そういうような政策的の面には全然触れておらないのでございます。そして、これを大ざっぱに分けますと、大体四つぐらいのところに分かれておったのであります。  第一は、先ほど申しましたように、行政の運営面に数々の問題がございます。なかんずく、この公聴会及び投書等によって見ますと、公務員のあり方、あるいはお役所行政という、仕事という面で非常にたくさんの批判やら注文やらがこの投書できております。したがいまして、運営、なかんずく公務員のあり方というものについて、かなりたくさん国民の不満があるということを承知いたしました結果、この運営及びなかんずく公務員のあり方ということにかなりの重点を置いてやっておるのであります。  もう一つは、先ほど申し上げましたように、機構の改革ということはなるべく避けたのでございますが、世の中の進歩いたしますに伴って行政事務の配分ということは非常に重大な問題になりますので、これを合理的の配分と、われわれわかりにくいことばで称しておりましたが、この行政の事務の配分ということにもう一つの重点が置かれておったのであります。しかし、最も重要と思われましたことは、いわゆる各省がばらばらの行政をおやりになる傾向がある。内閣というものがあるのだから、そこで総合調整ができるはずだというふうにわれわれは外から初め見ておったのでありますが、いろいろ実態、実証調査をいたしますと、必ずしもそういってない。閣議において総合的なお話し合いをするような機構ができていないのじゃないかというふうに考えまして、内閣の総合調整機能の発揮、なかんずくこれが予算編成に関連しまして非常に重要であるということに気がつきまして、内閣の総合調整機能の発揮できるような、この面につきましては機構改革というものにかなり重点を置いてやったのであります。  それからもう一つ、当時東京都におきまして水飢饉その他行政上の非常なそごが生じておりまして、これは広域行政というものに欠陥があるというふうに見まして、首都圏行政というものにつきまして特別の答申をいたしております。これは緊急を要すると思いまして、一昨年の九月に全体の答申をいたしますに先立って、約一年少しばかり前だったと記憶いたしますが、首都圏行政について答申を別途いたしておるのであります。  大体がこういうところでございますが、たいへん恐縮でございますが、行政答申の中に「改革意見の実現に対する要望」というわずか二ページばかりのものがございますので、それを私ここで読ましていただきたいと思います。  「以上は、当調査会が改革の必要を認めた問題点とその改革の方向を示したものである。」というのはこの「総論」でございますが、「その項目は多岐にわたっているので、直ちに実施できるものと若干の日時をかけて計画的に実現することを期待するもの」とに分かれるかと思います。「しかし、これらの改革意見は相互に関連性を有するものであるから、全体としての調和を保ちつつ、可及的すみやかに実現されることを望みたい。特に、強化すべき部門は縮小すべき部門よりの配置転換により、全体として拡大しないように配慮する必要がある、行政改革は、過去の経験から明らかなように、きわめて困難な問題である。行政組織内には現状維持的空気が強く、民間にも利害関係団体等で同様の立場から改革をはばむ方向に力を貸すものもあり、政党方面においても、行政改革については必ずしも大局的見地から行動するとは限らない。それに口実を与えるものは、欠点の多い組織制度といえども多少の存在理由はあるものであり、改善にはいくらかのマイナス」を必ず伴うものであるということであります。「また、行政改革は決して単一の理念で割り切れるものではなく、いろいろの矛盾する要素をその時代の実情に適応するように調和させることが要点」であります。たとえば、行政が専門分化していくと同時に統一をよけいしなければならない、能率の向上と公正の確保の関係、責任の明確化と協力の関係等がそれであります。「このような傾向のなかで行政改革を行なうためには、およそ行政に関連を持つ者が、おのおのその立場で全力を尽して協力されることが望ましいのであるが、まだ、各省庁は自己の立場に固執せず積極的に改善の努力をするように期待する。行政改革は、なんといつても、国家的要請であることの認識を持つた最高指導者の強いリーダーシップの発動に期待する以外にはない。政府はもちろん、国会もこの行政改革を実現するために最大の努力を」払っていただきたい。こういうことを申し上げているわけであります。「なお、行政改革には国民の強い関心と支持が必要であるので、その意味において政府は、毎年行政の実態とその改善の状況を明らかにする」いわば「「行政改善白書」ともいうべきものを」一ぺんは少なくも発表することを考慮してもらいたい。さらに、行政改革は不断の努力を要する難事でありますから、われわれがやりました調査会の報告をもって終わりというわけではございませんので、常に各種行政の実態を調査して、実証的資料を持って改革に備え、そうして今後も継続的に努力を重ねることを要望いたします。こういうふうに結んでおるわけであります。  大体におきまして私が申し上げたいことの要旨はそこに尽きるのでございますが、調査会ができましたときに、総理大臣の池田さんが、初会合の席上で申したことがあるのであります。民間企業においては技術革新が着々と進められ、企業の能率化、近代化、生産性の向上は著しい、行政の組織や運営は、この社会の進展にふさわしい能率的なものでなければならない、行政の体質改善が刻下の急務である、こういうふうに述べておられるのであります。  そういうわけで、先ほども申しましたように、国会の運営につきましては、われわれは諮問を受けておらなかったという意味で触れてはいないのでありますが、この文章の中には、必然、一般の行政との関連におきましていろいろな事項が述べられているのであります。  そのうち一、二を申しますと、国会及び政党の中に存在しております常任委員会というものが各省別にできておりますので、これが各省と個別に接触しておりまして、国の行政の統一性を妨げていやしないかという記事がございます。それからまた、非常に申し上げにくいことでございますが、国会の開会中に行政の重要な管理職の多くが国会にくぎづけになっておる。このために行政の渋滞をやや来たしている面がありはしないかということでございます。それからもう一つは、この予算委員会のように、予算につきましては非常に慎重なる御審議が行なわれているのでありますが、いま少し決算委員会のほうで、予算の済んでしまってからの検討を重要視なすってはいかがであろうか。つまり民間の企業で申しますと、株主総会が一番重要なる問題になりますので、決算委員会のほうの問題を多少触れております。  まあこういったような趣旨でございまして、なおほかに御質問のことがございましたらば申し上げますが、私のただいま吉田さんからのお話に対します答弁は、一応これにいたしたいと思います。ありがとうございました。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 ちょっと佐藤さんに引き続いてお尋ねいたしますが、要するに、調査会の設置法の法律の趣旨、成立の経過等にかんがみまして、調査の対象は行政にあったわけですね。政治を対象にしなかった。ところで、行政というものは政治をはずして存在しないものとも考えるのですが、政治が行政を取り巻いているとも言えます。たとえば国会を政治の一つの象徴といたしましたら、国会と行政の関係は切っても切れませんので、したがいまして、そこに政治にやはり言及し、調査の対象がそこにまでいかなければ、なかなか問題の解明ないしは目的の達成は困難と、こういうふうなことはお考えになりませんでございましたか。

佐藤喜一郎前臨時行政調査会会長

○佐藤参考人 ただいま御質問の、行政と政治の関係でございますが、答申の中にも、行政の欠陥というものは、行政だけの中に存在してなくて、外部からのいろいろな要因によって行政がゆがめられている面があるということも、触れておるのであります。ただ、先ほども申し上げましたように、一応行政自体の、狭い意味の行政にしぼりまして、政策やら政治の問題に触れませんでしたことは、ちょっと例を申し上げますと、この臨時行政調査会が多少モデルにしたと思われるアメリカのフーバー委員会でございますが、第一回のときには、やはりわれわれがやりましたと同じように、狭い意味の行政の能率化、合理化ということに重点を置いて調査を進めたようでございます。フーバー委員会は二回ございましたのでありますが、二回目の答申を見ますと、今度は相当ポリシーを入れているというふうに書いてございます。したがいまして、政府のほうのお考え、あるいは国会のお考えで政策を入れたものをまた別におやりになるというのであれば別でございますが、一応われわれとしては、時間的の制約も多分に受けておりましたということもございまして、そういうふうに政策面は取り上げなかった。なかんずく、また非常にめんどうでございました地方行政のあり方なども取り上げていないという事情は、多少時間的に足りないという面もあったのでございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 佐藤さんになお伺いますが、この臨調は、劈頭申しましたように、私ども調べたところによりましても、日本におきまして戦後最大の行政調査会であったと思います。また、各界の代表、財界、新聞、あるいは学者、労働組合、司法界等の一流の方が全会一致をもってきめた意見、それからまた、この答申が出ました前後の全国の日刊新聞を調べてみますると、社説、投書等によりまして絶対的な支持をしておるというのが、例外がなかったように思われます。こういうような情勢のもとに答申はせられました。そこで、今日一年半たっておりまするが、委員長として心血をそそがれたあなたの感想としましては、このような状態に対しましてどういうふうにお考えになりましょう。これは、やはり当然こんなものだというふうになるのでしょうか。それともどこか抜くことのできないような妨げる力があるのであろうか。もしくは、ほんとうは国民が知らなかったので、これを実現することは国民は欲しないというのがほんとうであるのであろうか。この辺につきまして、最も事情に精通しておられるあなたは、ことにアメリカまで行ってフーバー委員会の実績等についても詳細に御調査になったとか聞き及んでおりまするが、そのようなお立場から顧みまして、いまのこの進展の状況にどのような感想を持っておられましょう。

佐藤喜一郎前臨時行政調査会会長

○佐藤参考人 いま御質問の点でございますが、アメリカのフーバー委員会の答申の出ます前後から、アメリカでは市民委員会というものが発足いたしました。発足の当時は、六十人余りのワシントンにおきます有力者が組織したそうでありますが、やがてそれが各州に広がりまして、最盛期には八万人の会員があったといわれております。一部ではまだ続いているというふうに聞いておるのでございますが、各方面の方から、この行政改革答申はせっかくしたのだから、これが実行できるように日本も何かやらなきゃなるまい、こういう御意見やらおすすめを私はいただいたのでございますが、これは、調査会としては、調査会自身としての職務ではありませんので、民間がこの必要を感じたならば——現に民間団体の中には、この行政改革促進委員会というものをつくっているものもございます。またわれわれとしましては、これがなるべく行なわれるようにするのにはどうしたらいいかというので、先ほどもちょっと朗読いたしましたように、年に一ぺんは少なくも行政改善白書というものを書いていただきたいということで、必ずや政府としても促進せざるを得ないような立場に置かれるのではなかろうか、こういうふうに考えて、勧告の中に要望として入れてあるのであります。また、市民委員会を日本でやってみるかという考えもあったことはあったと存じますが、いろいろ国情も違いますし、市民委員会は、聞いてみますと、国会の議員が選挙区に帰りましたときに、この市民委員会の連中が国会議員にいろいろと、早くあの行政調査会の、フーバー委員会の勧告を実施すべしということを要望したそうであります。そういうような事情に日本があるかどうかという点も考えまして、必ずしもアメリカのまねをする必要はないけれども、一つのきめ手はないと存じますので、われわれとしては決していまの状態が満足すべき状態とは考えておりませんが、非常に各方面に広範囲にわたっている改革でありますだけに、必ずしも一年や二年でこれが達成できるとは思っていないことは事実でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 どうもその辺が、佐藤さんともあろう硬骨漢といたしまして、少し私としては食い足りない御発言のように思うのですが、一体国会は国民を代表したものと憲法にはなっておりますし、国会にこれが報告せられ、時の内閣に報告せられ、そうして二億円の国費が使われ、百三十一名ほどがほとんど常動的にこれを担当せられ、全国で八カ所という広範な国民の声を集約せられて、等身大の資料がここにできております。日本といたしまして、池田前首相も、選挙区制の問題と行革の問題は命をかけてでもやるというようなことを漏したとか言われておるのであります。そのような背景もあり、そのような熱意があり、そのような事情のもとにできたものが、いま行政監理委員会等も若干できておりますけれども、しかし、あなた御自身も心血を注いでおやりになった立場としましては、感無量というようなところがあるのじゃないかと思うのであります。何が一体これをはばんでおるのか。日本におきましては、行政改革というものはしょせんはできないものかどうか、一体、することは国民のために不利益なのかどうか、できるだけ行政経費も節約して、能率的に親しみやすい行政を国民のためにというようなスローガンのもとに、じゃんじゃんとみんなの賛同を得てやって、実はふたをあけたらそうじゃない実態なのか、そうであるけれどもどこかがはばんでおるのか、ここをやはり端的におっしゃってもらいたいのです。それが、われわれ国会の立場といたしましても重要な参考になります。私にいたしましても、きょうのあなたに対する、また総理その他に対する質問にしましても、きょうすぐにこの情勢下におきましてこれが実現するとは思いません。しかしながら、この国会におきまして、事の重要性と、事の真相と、事の経過というものにつきましては、どうか一億の国民に知ってもらいたい、その先がけの一役を買いたい、こういう気持ち以外にありません。この辺につきまして、通ずるものがあるかと思うのですが、あなたとしまして、何がこれをはばんでおるのか、どうすればいいのかということについて、きょうはひとつ率直な御意見を聞かせてもらいたいと思うのですが、その点、いかがでございましょう。

佐藤喜一郎前臨時行政調査会会長

○佐藤参考人 いまお話しのような希望というものを私が持っておることは、吉田委員に劣らないと思うのでございますが、ただ、どうやってこれをやるかという手段では、私としてきめ手というものをまだ持っておりません。ただ、これは一つの手でやれるものじゃないので、機会あるごとに、いかなる団体にでも、ほかの問題は別といたしまして、この行政の問題でもあれば、必ずいつでも私は出かけて話をする。国民も漸次行政改革の必要性というものは悟ってきたのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。何にいたしましても、政府はもちろんでございましょうが、国会のほうも、吉田さんのように御熱意を持っていただく方が一人でもふえれば、私は非常に喜ばしく感じるわけでございます。どうもありがとうございました。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 最後に、佐藤さんにもう一点伺っておきますが、この行政改革の課題を原価計算的に測定するということは、なかなかどうもむずかしいらしい。アメリカあたりにおきましては、フーバー委員会の後の実践団体である市民委員会は、これによってアメリカの国民は行政費の膨大な節約ができる、最も能率的な行政が行なわれると言ったことが市民にぴったりときたらしい。ところが、わが国のこの場合におきまして、その方面の可能な節約の限界、もしくはこれによって冗費が相当省ける——さっきもおっしゃった予算の執行あるいは決算等の段階をもっと重視しなければならぬということは、これも答申の中にも書かれておりますが、率直に国民の経済的負担が相当軽くなるといったような面、相当経費の節約ができるといったような面、こういうことは、これは数学的に測定はできないものであったのでしょうか。深く研究はいたしておりませんけれども、十六項目にわたる答申を通覧いたしまして、経済的に国民の負担がこのように軽くなるといったような辺が、どうも集約されてまいりませんです。しかし、いまの日本の国民といたしましては、あらゆる政治、行政の問題にこれはつながってまいりますので、その辺が解明されましたならば、非常に俚耳に入りやすい、こういうように思うのですが、その辺についてのお考えはどんなものでございましょう。

佐藤喜一郎前臨時行政調査会会長

○佐藤参考人 フーバー委員会におきましても、十九ほどの項目について勧告が出ておるのでありますが、それぞれにつきまして、アメリカでは勧告のある部分につきましては何億ドルの節約になるというようなことがよく出ておりまして、私どもも、これが一番わかりやすい、また国民に訴えやすいので、何かこの点につきましてそういう数字でもってこれをあらわすことができないだろうかということは考えたのでございますが、何ぶんにも、それは先ほども申しましたが、ほとんど時間的余裕もなし、また今日においても、これは意見の相違になるような問題がございます。ただ、専門委員会の中には、この行政改革の答申を十分にやっていただいたならば一兆円の節約になるであろうということを言われた方があるのであります。しかし、その一兆円というのは、おそらく時間の節約でありますとか、民間のこうむっておりますむだな経費、そういうものまで含めての数字であろうかと思いまして、これは非常に勇ましいわかりいい数字なのでありますが、この根拠を突きとめることができませんので、私はめったにこの数字は言わないのであります。しかし、いま吉田委員の何か数字にあらわせぬかという御質問がございましたので、そういう意見もあるのだということでございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 いま諸外国におきまして行政の組織運営の議論をするときに、よく行政の生産性ということがいわれるのでありますが、この辺につきましては、ひとつまた専門家におかれまして、でき得る限りその方面とのつながりにおいて行政の組織・運営の改革問題が展開せられるように御努力を願いたい、こう思うのであります。佐藤さんにおかれましては、何か世界の支店長さんを集めておるということでありますので、きょうは時間の約束もしておりましたから、これ以上はもうお尋ねしないことにいたします。  総理にお尋ねいたしたいのであります。五十一国会の男頭の例の施政演説におきまして、最後の段階におきまして、「最少の……。

福田一自由民主党

○福田委員長 それでは、佐藤参考人には御退席になってけっこうでございます。ありがとうございました。  吉田君、発言を続けてください。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 「最少の行政費による最高の能率こそ、国民の最も希望するところであります。」これ以下二、三行にわたりまして、公団、公庫の新設を認めずとか、あるいは部局の新設、人員増加等についても最小限度にとどめたとかいったようなことが、やや臨調の行政改革に対する施政演説の御趣意かとうかがうのでありますが、私は、一体最少の行政費をもって最高の能率ということは、これは何か臨調もそのような答申の趣旨が随所に出てくるのでありますが、大体同じ思想をもってこう要約しておられるのであろうか、もしくはそうでないのであろうか、この辺をちょっとまず聞いておきたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは、基本的な行政のあり方ですから、臨調におきましても私と同じ考え方だろうと思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 総理大臣は、臨時行政調査会の設置法の第三条の趣旨によりましても、当然意見もしくは答申は尊重する法律上の義務がございます。したがいまして、従来当委員会におきまして、社会党の勝間田君やらわが党の西村君の質疑に対してお答えになっておりましたが、答申を尊重するということは、よく繰り返しておられるのでございます。もっともなことでございます。尊重以上のものもなければ以下もないと思うのでありますが、しかし、問題は、やはりこの答申を実現するかどうかは、一にかかって総理の決意にあると私は思う。総理の内閣のリーダーシップの問題につながってくるのでないか、こう思うのです。この辺につきまして、ほんとうにあなたのお覚悟をひとつ聞いてみたいと思うのです。もうすでに組閣三年目になるのでございますので、ようやく国民はあなたが総理大臣としていろいろと板についた独自の行政をやっていかれるというふうに信頼もしておりましょうから、このあたりでもっと私は積極的に臨調の答申に対する態度を明らかにする必要があると思うのです。と申しまするのは、たとえば、池田首相の三十八国会、三十六年の一月ですが、この臨調のできる直前の施政演説には、「今回行政の画期的な体質改善を行ない、国民へのサービス向上に寄与すべく、各界各層の知能を結集して、権威の高い行政診断機関を設けることとし、近く関係法案を提出して御審議を願うつもりである。」ということを述べて、続いてこの臨調ができました直後、三十七年の一月の施政演説を読んでみますると、「政府は、綱紀の維持と行政の効率的運営に不断の努力を払っておりますが、今回新たに臨時行政調査会を設けるゆえんは、行政の機構と運営の根本的刷新を期し、国民の願望にこたえんとする配慮に出ました。」ということを言っております。さらに、さっき佐藤さんも述べましたように、臨調の発足の第一回の会合におきましては、これはもう熱烈な態度表明があります。いわく、「行政の体質改善はまさに国家の急務であります。調査会は、わが国行政全般に関する権威の高い診断機関として、まず行政の実態を調査され、行政の民主的かつ統一ある実施を確保し、行政機関の所掌範囲を合理化し、行政事務を能率化するために、その組織、運営のあり方について改善案を御提出下さるよう切にお願いいたします。行政全般の抜本的刷新を実施することによって、広く国民の声にこたえ、国家発展の基礎を固める決意を有するものであります。」というふうに述べております。このようでありまして、あなたの場合は、四十七国会、四十八国会におきましても触れておいでになりまするが、四十七国会の場合は、「行政制度の改善につき検討を加え、行政の組織及び運営の能率化を実現したいと考えておる。」また、四十八国会におきましては、「行政制度全般に検討を加えて臨時行政調査会の意見の趣旨を尊重して実施可能の部門から行政の改革を逐次実現したいと思います。」というふうになっておりまするので、これは手がたい行き方のようでありまするけれども、もしほんとうにあなたが決意と熱意と力を発揮してこの臨調実現に突進するというような態勢になくして、単にことばだけということになりましたらたいへんでございまするので、したがいまして、この機会に内閣の首班として、総理大臣として、あなたのこれに対するほんとうの御所信を聞いておきたい、こういうふうに思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 吉田さんからいろいろ詳しくお尋ねでございます。私は、長い経験から申しましても、政治、行政——行政そのものは簡潔なものでないと国民に理解されない。また国民のお世話をするにしても、十分の成果をあげ得ない、いわゆる繁文褥礼になる、ここに官僚制度の欠陥がある、かように実は思っております。幸いにいたしまして二年有半の調査の結果、臨調がすばらしい報告をしてくだすったのであります。これを尊重することはもちろんであります。ただ、この問題はなかなか直ちにできる、こういうものでもございませんので、やはり緩急よろしきを得とでも申しますか、それぞれ可能なものから手をつけていくということが望ましい、かように思っておりますので、そういうように身近なもの、可能なもの、それとひとつ真剣に取り組んでみよう、こういうことでございます。ことしの予算編成にあたりましても、そういう意味で、たいへん消極的な態度のようではございますが、まず予算編成上可能なこと、これは、この機会には公社、公団等はつくらないということや、あるいは局をつくる場合にはどこかの局を一つ整理してこい、そうして新しいものも考えるが、おそらく在来の機構でもすでに目的を果たしたもの、あるいは一局にしておく必要のないもの等々があるだろうから、そういうことを勘案して機構自身が膨大にならないように、こういうことでまずその可能なものを取り上げてまいったのであります。幸いにいたしましても、関係団体等におきましても十分私ども政府の意のあるところを理解してくれ、また与党はもちろん積極的にこれを支持してくれまして、今回の予算ができたわけでございます。たいへんむずかしい問題でございますが、政府自身が根気強く、また国民のほんとうの利益のためにどういうことをすればいいか、こういうことでこれは取り組んでまいりたいと思います。申すまでもないことですが、ただいまは積極的に人員を減らすとか、あるいは整理するとか、こういう時期でないことは、百も私承知いたしておりますので、同じ経営の合理化にいたしましても、これは補職あるいは転勤その他等によりまして、実際現実にあまり犠牲者の出てこないような、そういう仕組みでこの問題を処置したい、かように思っておる次第でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 公務員の人員を整理しないというような問題は、これは設置法ができるときに両院で附帯決議で明確になっておるのであります。したがいまして、その趣旨は尊重して答申も出ておることには間違いない。けれども、一局を設けるとか設けないとか、あるいは公社、公団をつくるとかつくらないとかということは、今日のこの重大な情勢の根本的な組織・運営に取り組むという段階におきましては、むしろ末梢的なことではないであろうか。もっと重要なことがあるんではないか。項目は十六になっておりますけれども、とてもわれわれとして読み切れないほど実に多岐にわたっております。あるいはまた、各省から出ました照会に対する回答にいたしましても、ずいぶんと多岐にわたっておりまするが、そのような多くの問題があるときでありまするので、これらが前進しないというのは一体何であろうかということを、まずそこをよくお考えになってしかるべきでないか、こう思うのです。これは、総理といたしましては、同時に自民党の総裁でもありまするので、一面におきまして、やはり国会が積極的な態勢にならないというのは一体どういうわけだろう、こういう点につきましても、やはり率直に意見の表明があってしかるべきでないかと、私はこう思うのです、何がそうなしておるのであろうかと。答申に対する各省の意見を一応読んでみますると、なかなか賛成意見が出てきておらぬ。なかなか出てきておりません。そういうのは一体どういうわけだろう。そうすると、一体行政組織がほとんど本能的に反対しているのであろうか、また国会自身もこれに同調しているのであろうか、こういうふうにさえ国民は感じるんではないであろうか。それなら、これをはばむのは一体どこなんだろう、行政官庁自身なのであろうか、組織自身であるのであろうか、あるいは国会自身なのかどうかというようなことすら考えざるを得ないのでありますが、あなたのお立場といたしまして、これが予算にも盛ってあるとおっしゃいますけれども、それは順調に進行しておるというような御判断なのであろうか。なかなか容易でない、大きなはばむ力が作用しておるということを率直にお認めになったほうが、私は正直な佐藤さんのお立場としまして国民は納得すると思うのですが、その点はいかがでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはたいへんむずかしいことなんですが、思い切った改革は、実情を無視して進んでいくというか、一つの構想のもとに新しく考える、これは非常に徹底した行き方です。ところが、これについてはやはり現実の問題として、実際にそれがはたして適当なりやいなや、こういう批判が出てくるわけであります。必ずしも、いわゆる官僚機構がこれをはばんでおる、私はかようには思いませんけれども、ただいま申し上げますように、できるだけ現実的な問題で非常な変化を与えないように、徐々に改革が行なわれるように、こういうことをやはり現状においてはみんなが望むのであります。ただいまも、国会等において附帯決議をしておる、人間を減らさないように、こういうようなことを考えておるといわれますが、これもやはり現状に対して大きな変化を与えないという、その考え方だろうと思う。しかし、徹底する考え方から言えば、これは理論的にもずいぶんおかしな問題だと思います。仕事が現に減って、仕事がなくなって、そうして人だけは従前どおりいるという、これはおかしなことなんで、これは結局あまり重大なる変化を現状に与えないように徐々に改革をしていこう、こういうことに落ちるのだと思います。ただいま各省庁がこういうことについて積極的でないというのは、そういう意味においてある程度理解できないわけではない。だから、私が申し上げますように、総理自身がたいへん根気強くこういう問題と取り組んで、そうして摩擦を起こさないように、しかもその改革の実をあげるように、したがって、これは相当の時間がかかるものだ、かように私は思っておるのであります。  いずれにいたしましても、膨大な調査報告を受け、そうして巨額の費用も投じて結論を得た、しかもこれはたいへんりっぱなものなんだ、かように思いますが、ただ、いますぐ右から左というのは、吉田君もそれはむずかしいだろうと言われますように、重大な変更を与えることは、これは現場にいる者がその地位を守るというだけではなく、国民自身にいたしましても、非常な変化を受けるということについては、これは必ずしも賛成しないだろう、そういう意味で、長期にわたる根気強さによって初めて成果をあげるものだ、かように思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 そうしたら、少し具体的な問題に触れていきまするが、たとえば答申の第一に掲げてありました内閣機能の強化の問題でありますが、これは予算編成の過程をめぐりまして、この問題が大きく打ち出されておるようでございます・が、いまのあなたのお立場は、自民党の総裁であると同時に行政機関の最高府の閣議の首長であります。そこで、内閣の機能をこの際もっと強化いたしまして、そして予算編成におきましても、予算編成は大蔵省が事務的にはこれを扱うにいたしましても、もっと内閣の意向、まず方針が予算編成の基礎的なものになるというような、そのようなところまで内閣を強化するということが答申されておるのでありますが、そういうことについて具体的に取り組んでいかねばならぬということはお考えにならぬでしょうか。なぜその質問をするかというならば、予算の編成におきましても、毎年年末になりますと、全国的に猛烈な陳情のあることは御承知のとおりであります。一応は内示されまして、あと、最終的な復活要求という段階になりましたならば、北海道から九州の果てに至りますまで東京に向かって殺到してまいりますということは、御承知のとおりであります。予算案の編成の最終段階において、このような情景を呈しておるということは、何が一体こうせしめておるのであろうか、どこに一体この原因があるのであろうか、こういうことにつきまして、もっとすっきりとすべきものではないであろうか。編成の方針が総理によって示される、これによって予算はさらに具体的な案がつくられるというふうな順序を追うべきものではないのでしょうか。年末になりまして、どさくさと一週間くらいの間に方針も示されて、また、最終の復活の猛烈な激しい取り合いができるということは、世界に類例がないというふうにも思うのですが、これをもっと規制していくには、内閣の強化が必要である。この点が、答申の内閣強化の骨子であります。案といたしまして、方法といたしまして、補佐官を設けるとかいろいろと仮定したものはございますけれども、いずれにしましても、いまのように総理を助ける機関が弱体では、指導力はありません、統率力はありません。むしろ大蔵大臣が総理にかわって予算編成方針を閣議で述べる、あるいはまたその予算を編成する、これをかわって首相が国民に報告するという立場でないかというふうにさえ実は思うのであります。そうならば、これは本末転倒であります。この点におきまして、もっと内閣を強化するということ、これが行政の筋目をとおしていく、内閣そのものが行政組織全体の統率の中核になっていくということを事実に示していく、要するに、これはもっと言うならば、内閣の強化は即総理大臣のやはりリーダーシップの強化ということになるのかわかりません。総理大臣自身の権限は、憲法でも明確でありますし、法律上はもう明らかである。しかし、事実上はこのような状態でありますので、こういったことは、やはり根本の問題としまして、重要な課題として、内閣はあげて取り組んでいってもらわねばなるまい、こう思うのですが、この点につきましてはいかがでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 臨調の問題で、二つ大きな問題がある。一つは、ただいまの予算編成にあたって、予算局をつくるか、予算局をつくらないまでも、予算閣僚会議を積極的につくったらどうか。もう一つは、内閣補佐官の制度だ、かように思います。ずいぶん古くから予算局をつくれという主張がございます。これは、今回の臨調の報告だけではございません。またそういう意味で、もう自民党におきましてもずいぶん古くから研究されております。しかし、なかなかこれも結論が出てこないんです。これは、私が吉田君に申し上げるまでもなく、たとえば歳入のほうを別にして歳出ばかりの予算局をつくって、それではたして動くだろうかとか、こういう問題に実はぶつかるのであります。今日までのところ、一省だけでこれを持っていて、ただいま言われるように外核団体あるいは圧力団体等に屈するようなことがあって、編成にたいへんな混乱を来たす、こういうようなことがありはしないか、こういうことで、いまの予算局を内閣に置くということは、そういう意味で実際的ではないだろうというので一応引き下がり、また外核団体に責められるとかどうとかいうことなら、これは内閣にあってもどこにあっても同じだろう、こういうことに実はなるのであります。ただ、この予算編成にあたりましては、御承知のように、第一次に内示いたしましたものが、いろいろふやしたようだが、最後にその金額でおさまっておるのでありまして、これはまあ編成のいろいろの途上におきまして、一案も二案も三案もある、どの案をとろうかというようなことで、大蔵大臣はいろいろくふうするんだと思います。ただ、いわゆる圧力団体で曲げられるということがあっては困る。しかし、民主主義の時代ですから、政党の時代ですから、政党支持の団体があり、そういう政党支持の団体が、政党をして自分たちの主張を通さすというか、実行に移さす、こういうことも、これは民主主義の時代にはあり得ることだと思います。私は、それを圧力団体だと、かように一がいに言ってしまうことはいかがかと思います。ただ予算編成そのものが、主体性を持って、政府あるいは党というものが、主体性を持って編成するかどうか、こういうことが国民から批判を受ける一番の問題だろうと思います。私は、今回の予算編成にあたりましては、そういう意味の圧力団体で予算編成が曲げられた、かような印象を与えないようなあらゆる努力を実はいたしました。事柄によりましては、その団体の希望にも沿わなかったものがある。たとえば今回のなにでは、特別な公庫をつくれ、こういうのが非常にある種の団体からは強く要望されました。しかしながら、公庫はつくらないということで、これは結局圧力団体の指図は受けなかったということが言えるのであります。こういうような問題もありますけれども、とにかく民主主義の時代ですから、支援団体、それと十分連携を緊密にすることは必要だと思います。私ども政府自身とすれば、政府自身が責任を持って予算をつくる、そういう場合に、党員の要望すら実はいれられない、政党自身の要望だっていれられない、こういうこともありますので、はたでいろいろの批判はいたしますが、私は、現在の予算編成では、ただいま言われるような点はいずれも当たらない、かように実は思っておるのであります。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 少なくともことしの予算編成にあたりましては、そういう意味で強くその主導性といいますか、それを発揮したように私は考えておるのであります。政府自身が責任を持って予算編成をした、また、もちろんそれまでに党の協力を得るとか了解をとるとか、同時にまた、党を支持している各種団体の意向も十分反映さしたつもりですが、やはり予算編成は政府の責任においてこれをやるということでございます。  ただいま言われますもう一つの臨調のポイントである内閣補佐官の制度、これはいろいろくふうをいたしまして、もう法案も出したかと思いますが、こういう点でも御審議をいただきたいと思います。ただ私が非常に心配いたしますのは、こういう臨時行政調査会、これが安い、あまり費用のかからないものをといっておりますが、どうも取り上げて実施するものが人間をふやすほう、その方向のものはわりあいにできるが、人間を減らすほうの努力というものがなかなかされない。こういうところに国民から見まして納得がいきかねるものがあるだろう、かように思います。先ほど言われました、積極的に人員を整理するというわけじゃないが、時間的にこれをなしくずしで片づけていく、こういうことでないと、チープガバメントというものにはならない。安い政府にはならない。いわゆるそういう方向の指導をしていく。だから、許可認可事項、それらのものを整理することはこれは可能ではないか、かように思いますし、また各省間の協議事項、各省が協議する、こういうようなこともどんどん減らしていくというような努力をすべきだと、かように私は思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 その問題につきましては、たとえば予算編成の過程における混乱という問題につきましては、また別の角度からわれわれは心配しておるのです。と言いますのは、一面国民の側からしましたら、東京へ来ざるを得ないんです。来ざるを得ないというところに日本の政治の本末転倒した面があるのじゃないだろうか。それは何であろうか。それは過度な財政の中央集権がこうせしめておるのではないだろうか。なぜもっと財政を地方に配分をしないのであろうか。それは、地方は信用できないからと、要するに信を地方公共団体等に置かないという根本の日本の官僚制度があるのではないだろうか。こういう面で、ともかく遠くから国民は引きつけられておるという半面も無視できません。むしろ、これに使っておる経費は一体どのくらいであろうか。十年も前に、大蔵省の連中とこんなことも話し合ったこともあるのですが、おそらく今日は千億円では足りません。それほど国民は予算編成のどさくさに東京に来ざるを得ない。公共団体その他の代表も引き寄せられるというところに、一体何がそうなさしめておるかということをお考え願いたいのであります。だから、その問題は二つの面からであって、一つは、やっぱり行政の中央部における内閣そのものの機能を強化するという面と、一面国民がばく大な経費を負担さされておるという、この経済的、人間的な浪費というものと、両方をもっとすっきりとさせなければなるまいと思うのです。こういうことについて、なるほどそれは与党の支持者、支持団体が来るんだから、与党として政策実現のために連絡をとってやるんだというような御説明もあるいはつくかわかりませんけれども、いずれにしても、こんなような情景は世界じゆうにないのですから、異常現象であります。まさにそれは一種の病的現象であります。それはどうにかもっとすっきり改めなくてはいかぬ。そうしなくても予算の配分は受けられる、必要なところには肥料は流されていく、水は流されていくというふうにするのが行政の筋道なんだ。そこを私は言うておるのでございます。だから、その辺について、どうしてもこれはもっと簡単な予算作成、紛争、混乱がなくなるという何らかの方法を、手を打っていかねばいくまいと思います。その一つの方法として、内閣の強化が今日答申として爼上に出たわけでございますけれども、私はもっと広い角度からこの問題を憂慮もし、解決はどうしてもしなければならぬというふうに考えておるのであります。  大蔵大臣に伺いますが、やはり大蔵省といたしまして、予算作成についての事務当局として重要な役割りを果たしておられるのでありまするが、この予算編成期における混乱というものが実に異常な現象であって、どうすればこれがなくなって、どうすればもっと静かに予算の原案も作成されて、そうして必要なところへ国民の求むる経費が流れていくというふうにできるであろうか、こういうことについて具体的な、現象とこれに対する対策の方法はどういうふうにお考えになりましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいままでの吉田さんのお話、行政を簡素能率化、近代化しなければならぬ、これは敬意を持って拝聴したわけですが、現象といたしましては、ただいま総理からお話がありましたように、圧力団体というものに別にそう左右はされるわけではないのであります。大蔵省では、予算はみんなの意見を聞いてとりまとめたということでいたしたい。そういうようなことで、大蔵省が閣議に出す原案と別に、この辺でおさめるという案もまた用意をいたしておるわけです。その編成の一週間、十日の過程におきまして、みんなの意見を総合する。そして、それで手直しをする。結局多少の出入りはありますが、大蔵省が予定をいたしました別の案の線にまとまる、こういう形になっておりますので、実質的にはそう混乱はいたしていない。ただ、その混乱の様相だけが残っておる、こういうふうに思うわけであります。しかし、秩序正しく、諸外国のように何とかやっていかなきゃならぬ、これが政治を近代化する一つの大きな主眼点だと思います。そういうようなことで、今後ともその努力をいたしていきたい、こういうふうに思うわけです。私は、財政をめぐる運営について、諸外国に対して日本が非常におくれておるということは、日本の議会政治そのものが、その水準において諸外国にまだおくれておるんじゃないかという感じを持つわけです。つまり、財政というものは、これは国民のものであります。これを運営する、これにはどうしたって国民が租税の形においてその財源を負担をする、国会はその納税者の代表であるという一面を持っておるわけであります。私が大蔵大臣として予算の編成に携わっておりますと、予算の歳出のほうの要求というものは非常に大きい。大きいが、さてその財源を一体どうするんだ、これが国民の税負担になっていくんだという意識というものが非常に私は低いように思うのでありますが、国会全体が納税者の代表である、こういう思想が普及する、徹底するということが、この財政の運営を近代化していくかなめである。わが国におきましては、議会制民主政治が外国から輸入されてきたものである、ほんとうにはだまでそれが国民の一人一人、またその代表である国会にしみ通っていないという点があるんじゃないか。われわれもそういう点を反省しながら、政治の、そして財政の近代化にさらに努力をしていきたいと思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 国会がヨーロッパ諸国に比べて、先進諸国に比べて見劣りがするんじゃないかという辺は、実は私もみずから顧みて恥じる次第なのでありまするが、やはり納税者の代表であるというような感じが、どうも国会と政府のいろんなやりとりの上にあまり出てこないというふうなことを、率直に実は感じるのであります。のみならず、一体行政官庁自身も、予算が通ったならば、いわゆる予算をもって一つの既得権祝する。自分のふところから金を出すかのような感じを相手に与える。相手もありがとうございますというような、個人的なそういうものをはさむような余地があるというふうに思う。これは、やはり帰するところ自分の腹が痛まぬからですよ。自分の腹が痛まぬから、社用族が温泉遊びをするというのと同じことになり、親方日の丸で、幾ら使っても破産することがない。だから、予算を取るときにはともかく猛烈な運動であることは間違いありません。新聞等によりましても、主計官の前で最敬礼しておるある省の役人が写真に出ておりました。あんなものを見たらぞっとします。一体そんな根性で日本の行政を担当し得るんだろうか。たとえば日本の行政官、公務員は、個人個人は西洋のそれには私は劣らぬと思います。一人一人は優秀ですよ。またその公正さにおいても善意におきましても、私は高く評価していいと思います。ところが、何がそれをそういうふうにせしめるのか。あなたも、また総理もそこは触れたかと思うのだが、やはりこれは行政だけに責任を負わすべきでなくして、行政と政治と、国会と行政が両方責任を持っていくというのが大体議院内閣制の本来で、また、いまの憲法政治もそうあるべきなのです。だから、そういうふうな、そこに問題の一つが横たわっておるということは、どうしても抜きがたいものがあるのではないだろうか。私は、これは別の機会にまた論ずるといたしまして、財政が、特に財源が中央に集中され過ぎておるということを、どうも感じてならないのであります。これは、そこへいくと横道にいくから触れませんけれども、いずれにしても、それすら調整できない、筋が通せない。なぜなら、それは大きなえさですから、大きな肉ですから、うまいものですから、これは持っておらなければ仕事にならぬということになります。予算を取るときは、まさにその心理がみんな躍動しておると思います。私は、必ずしも陳情に来る人を圧力団体だと思いません。未亡人の代表者が、母子家庭の代表者が泣きの涙でこうしていただきたいと言って、なけなしの金をしぼって東京へ来ておる代表を見ますときには、やはりこういうことをさせずに、電話一本で事が済むようにさしてあげたいということを感じます。そういうのは、いわゆる公然たる圧力団体とは違います。だから、雑多ですわ。雑多ですけれども、いずれにいたしましても十二月になって、ことしの一月の六日以降一週間ばかりのものすごい東京の陳情団というものは、これは何としても私どもには解せないのであります。これは、やはり予算編成をめぐっての一つの行政の欠陥にあるのではないだろうか。同時にまた、国会自身も重大な反省をしなければならぬ点であるのじゃないだろうか。ともにこの点は大きな問題として扱っていくべきで、いま臨調は政治には触れておりませんけれども、政治はわれわれ自身が反省すればいいのでありまして、われわれ自身の問題ですから、私がこんなことを議論をすることは、おのれの面を見た上でということに実はなるのであります。けれども、それほど共同の責任を感じて、いまのその問題の悪現象に対しましては、どうかそれがすっきりすることをこい望んでやまぬ。その一つの手段として、ともかく臨調はああいう答申を出しておるのだから、この答申を出しておるのにつきましても、私は、与党の総裁としてのお立場で伺ってみたいのですが、フーバー委員会が勧告を出しましたときには、アメリカ連邦の議会におきましては、議会みずからもその案件について案をつくっております。そして、それを比較しております。こういうような、国民の代表である以上は、委員会にまかすだけじゃなしに、調査会にまかすだけじゃなしに、政府に突きつけられた、国会にも出たというときには、やはり政党内閣の与党といたしましては、少なくともこの問題に対しましては一から十六まで、それはノーかイエスか、どうだというような、相当決意を持ってこれに意見を表明されるというところまでいくことがほんとうの政党のあり方で、ほんとうの議会政治のあり方で、かくして行政と国会が、両者相ともに議会政治を運営していくことができる、こういうことに思うのですが、その点につきまして、一は内閣の首班として、同時に党の代表といたしましてどのような御感想を持っておられましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの吉田君の御意見、私もさように思います。また今日も、政府と与党の関係におきましては、与党は政府の提案する予算その他の政策について、イエスかノーか、それだけを出すのでは実はございません。それぞれ具体的な案もちゃんと、ものによりましては積極的に、政府がつくらないうらから、与党のほうが先に進んでまでも具体的な案を提示する、こういうことがありますが、これは、ただいま言われた御趣旨のように、政府・与党の間でお互いにやっております。ただ、それだけでなしに、今度はもう一つ進んで国会、超党派でそういう問題を審議したらどうかと、こういう御提案かと思いますが、ものによりましては、そういうことがしばしば行なわれておると、私はかように考えております。こういうような事柄の非常に重大なもの、しかも各党がひとしく関心を持つもの、こういうようなものは、国会におきまして、そういう議がまとまること、また具体的な案を検討すること、これは望ましいことだ、かように考えております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 次に、具体的な予算制度の問題でございまするが、予算制度のうち、最近事が固まったらしいのでありまするが、例の事業別予算と言われておりますが、実績予算とか業績予算とか言っておるようでありまするが、特別会計などによく行なわれておるようでありますが、もっとこれを一般会計の面にまで相当広げまして、そうして予算の執行の業績を明らかにして、そして決算を尊重して、重視して、次の予算作成にもその事業が計数的にも相当明確に掌握ができて、予算の効果をあらわしていくという制度は、もりと日本では積極的に取り上げてはどうか、こう思うのですが、この点も臨調は強く勧告をいたしております。もちろんこれは一から十まで全部というわけでありませんけれども、投資的経費のごときは、いろんな、ことに社会開発等に対しまして大きな政策を実行しようというおりからでありまするから、この制度はもっと真剣に各方面に取り入れていくということを、これこそ大蔵省が中心になって検討していかれるべきであろうと思うのであります。もうすでに一年半にもなっておりまするが、どういうふうにこの問題と取り組んでいかれるのであろうか。いつかの機会に、前田中蔵相からは、調査検討しておるというふうなことをちょっと聞いたこともあったのですが、その点はいかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 さような行政調査会の答申のあることは承知しておりまするし、またそういう意見がその他の方面にもずいぶんあることも承知しております。いま、たとえば利根川の総合開発事業をやる、こういう際には、利根川の総合開発にはあるいは建設省が、あるいは農林省が、あるいは厚生省がいろんな立場から関係するわけでありますが、それを一本化するということは、これはなかなか今日のこの予算編成の仕組みからいうと非常にむずかしいのです。しかし、この事業別予算の考え方というものは適用できないかというと、これは適用できる面もあるわけであります。全面的にこれを取り入れるということはむずかしいが、部分的にできる限りこの考え方を先かしていくということは、私は可能と思うのであります。そういうようなことから、今後も予算の編成におきましても、そういう配意でやっていきたい、こんな考えをいま持っておるところであります。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 私の申し上げるのは、むしろ進んで事業別予算が、予算の業績を明らかにするという上において、すでにアメリカにおいても大きな経験を経ておりまするので、日本のように投資的な事業がずいぶんとございますし、ことにいまおっしゃった河川の改修のごときは、一級河川が直轄工事でございますけれども、たとえば上流は、植林はこれは農林省の所管になっておる、河川改修自体は建設省である、海に注ぐ場所は、これは海岸法等によって運輸省であるというふうに、それぞればらばらに所管をいたしておりますので、計画も一致いたしません。こういうときに予算の面から、制度も相伴ってせにゃいけませんけれども、やはりできるだけ予算を効率的に使うという上におきまして、計画をすっきりするという上におきまして、全体的にこの事業別予算をとり入れるという態勢で、どれにどう適用するかということは、これは漸次漸進的にやらなければいくまいと思いますけれども、何もかも一本にはいけぬと思いますけれども、いずれにしても予算をもっと、予算の執行そのものが生産の効果という面を考えるというようにしなければ、そうして、原価を計算するということにしなければ、金は使ったらいい、人間何人使ったというような、そういうような大福帳式な考え方がまだ一般にあるのでありますから、つとめて事業別予算を取り入れるということに積極的にするということが、これがやはり行政改革の一つの大きなねらいになって当然だろうと私は思うのであります。のみならず、日本の財政制度も、その面から一歩前進するのではないかと思うのであります。だから、これはそのようなお考え方をもっと具体的に、さらにどう実施すべきかということを検討する必要があるのじゃないか。私は、やはり臨調が内閣の強化、機能強化の問題とひっつけてこの予算制度の問題を取り上げ、ことに事業別予算のことをうたっておりまするゆえんは、これは重大な問題が提案されておるというふうにお受け取りを願いたいのであります。したがいまして、これは大蔵省中心に、この問題はどの程度日本においては採用できるか、そうすることが財政、予算制度全体の上に有益か、有効かということを、これこそ根本につながる問題でありますので、速急に私は調査を進めてもらいたいと思うのであります。これらの点につきまして、どうも各省から来ておる回答などをちょっと読んでみますると全然触れてない、一向触れてないというのでありまするので、もっとこの問題につきましては、アメリカではすでに試験済みでありまするから、積極的に取り上げるという方向へひとつ調査を進められんことを希望したいのでありますが、いかがでございましょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 お話しのような考え方は、極力生かしていったほうがいいと思うのです。でありまするから、たとえば利根川総合開発といたしまして、各省が関係します。しかし、各省が関係いたします関係で、予算といたしましては各省別になり、それがさらに部局別になる。これはやむを得ないと思うのでありまするが、別にその総合表というようなものも整えて、その効果を検討するとか、とにかくその精神は私は非常にいいと思います。この精神を生かすような方向でやっていきたい、かように思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 官庁の機構の問題でありまするが、やはり内閣関係が非常に重要になってくるのでございますが、中央官庁がほんとにしっかり中枢的な指揮命令の実をあげていくというためには、これはやはり何といっても閣議、閣僚、各省の大臣というところがもちろん中心でございます。特に各省の組織形態、神経系統、運営の神経というものを見ましたときに、私は、やはりこれも臨調が言っておりまするように、もっと大臣の地位というものが、言うならばほんとうの、ともかく中枢的な力を発揮し得るようにすることが必要であるのでないか。大臣の任期の問題も提案されておるのでありますが、これはもっともな話であります。いま戦後の統計を調べてみますと、大臣の任期は大体平均九カ月であります。大臣が九カ月一省の長となって一体何ほどほんとうに省務に通暁できるんでしょうか。万般の膨大な組織をかかえて、多数の部下を持って、九カ月、十カ月はまたたく間にたってしまう。しかも、その間国会が五カ月、六カ月も続くというのであってみれば、何のことない、走馬燈のように変わっていくということになるんじゃないだろうか。こういうところにトップマネージメントの体制が問題に当然なってくるのでございますので、何とかこれはもっとほんとうの権威があり得るようにできないものであろうか。これは、やはり政党政治の現段階においては、いろいろと矛盾する条件がてんめんしておりまするので、直ちにということにつきましては、事実上は困難かしれませんけれども、しかし方向といたしましては、そこに重大な欠陥があるということは、やはりわれわれは指摘せざるを得ないのであります。したがいまして、たとえば当委員会におきましても、各省の局長は相当出ておられると思うのです。局長も出てくるわ、課長も出てくるわというようなことで、一体各省はがらんどうではないんであろうか。もしこれが企業会社であったらどうします。企業会社が社長会談をやるというようなときに、やあ、課長も出てこいと、それぞれの重役会談のときに中間の者は出てくるということになりましたならば、それはもう会社は倒産しちゃいますというようなことがありまするので、やはりこの点は、もっと中核、首脳部、トップが安定してその力を発揮して、いうならば、その神経系統が末梢にまで直ちに打てば響くようにしていくことが、全体の行政組織運営をほんとうに生き生きとしたものにするゆえんであろうと思うのですが、一体これはどうしたものなのであろうか。どうも手がないのであろうかどうか。政党政治がもっと伸びて、成長しなければとてもどうにもならぬものというふうにお考えになっておるのであろうかどうか。この点は、一体総理、どういうふうにお考えになっているのでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま、閣僚の任期が短い、また国会と政府との関係において、国会にみんな引っぱり出される、足どめしている、これでは仕事がうまくいかぬだろう、こういうようないろいろの御意見を伺いました。ただいまの政治のあり方として、また行政のあり方として納得のいく点もあるし、また今日直ちにそれの改善もできない。とにかく御指摘の点は政治遂行上、あるいは行政遂行上問題の点であることだけは確かでございますので、私も、そういう意味で、今後十分御意見も参考にいたしまして考えてみたい、かように思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 行政機構の統廃合の問題に触れてみたいと思うのでありまするが、いま総理は、  一局をふやす、ふやさぬの問題を非常に重視しておられるようでありますが、その問題も大事でありますけれども、かえって今日国民の立場からしましたら、やはり現場、末端、地方のあらゆる行政組織、機構の問題についてもっと真剣に取り組んでいって、そしてむしろ、あるいは新しい行政需要の諸問題に対しましては、たとえば農林関係における生鮮食料品の流通過程の諸問題であるとか、あるいは公害対策防止の問題であるとか、いろいろな社会経済の変転、進展に従いまして行政需要が増加してくることは申すまでもないことでありますので、そういった辺についてもやはり大胆に充実していかなければいかぬ。ただし、依然として古いものは、これはずいぶんとたくさんに具体的に指摘されてありますので、一々私はここで読み上げる時間もございませんが、ともかく戦時中にできたり、戦後無用になりかけたり、あるかなきかのようなものもずいぶんとございます。これはずいぶんとたくさんにわたっておることも臨調も指摘しておりますが、こういう一つ一つについても、これは郷愁もありましょう、じっとそれを守っていきたいという欲望もありましょうけれども、やはり改革とか改善とかいう以上は、前進するためには、いずれにしても整理統合、廃合についてもっと大胆にやらねばならぬ。こういうことにつきましては、これは各省にわたる問題でありますが、やはり各省が横に連絡をしなと、協議をしなと、もしくは最高閣僚会議において方針を決定しなと、臨調がそれをのむかのまぬか、突き返すか、切るか、それを尊重するかどうするかというようなこと、何かこの行政機関の統廃合の問題ももっと具体的に日程にのぼってこねばいくまいと思うのであります。去年、私のほうの西村君の蚕糸局の問題でありましたか、あるいは金属の部の問題がありましたが、こんなような干からびたような存在については、いまはもうたいして議論はございませんですが、それよりも、生き生きとしたものに対しては充実していく、要らぬようなものは、中途はんぱなものはのけてしまう、もしくは併合するということに、公務員も忠実にこれに応じていくというようにするのが、これが生きた行政であります。統廃合の問題というものは、要するにさっきのトップマネージメントの問題につきましても、中央自身がしゃんとしておりましたら、地方に対してそれはできると思うのです。だから、そういう企画にしても、方針にしましても、おろすことが可能であろうと思います。だから、こういうことにつきましても、これは何としても大事な一つの重大な課題であると思いますので、これはしっかりとひとつ総理のお覚悟も聞いて、でき得ることならば、私は、各省と何らかの方法でもよろしいから具体的に取り組んでいくというふうにしてもらいたい。一々全部あげません、たくさんに、よけい出ておりますから。どうお考えになりましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの吉田君の御意見、私は全面的にそういう方向で考えるべきじゃないかと思います。御承知のように、ただいまもう統制経済ではございませんし、自由経済のもとだ、そうして民間の創意とくふう、それが十二分に生かされて、そして効率をあげる時期にきております。しかしながら、どうも日本の場合におきまして、政府が干渉するというか、あるいは政府をたよるというか、こういう問題があるようでありますので、できるだけ民間の本来の創意とくふうでやるべき事柄は民間にまかす、こういうことであってほしいと思います。政府はただ環境を整備するとか、十二分にそういう機能を発揮できるような、そういう状態をつくるのだ、かようにまず考えてみますと、仕事もよほどしかたが変わってくるだろうと思います。また、ただいま御指摘になりましたように、もうすでに目的を達したとか、あるいはもうそこまでめんどうを見なくてもよろしいとか、こういうような問題は、事務をはずし、同時に整理をしていく、こういうことであり、新しい分野についてはどこまでもめんどうを見ていく。これも、新しい分野がなれてくれば、もう必要がなくなった、こういうときには、さっさとそれが整理される、こういうことでないと、国民の期待にはこたえられない、こたえることができない、私はかように思います。そういう意味で、行政がほんとうに国民の欲するところのものに沿うように努力していくべきだ、かように思います。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 三十九年の九月に臨調の答申が政府並びに国会にきたのでありまするが、十月の末から十一月ごろにかけまして各省庁に向かって、行革本部長の名によって、これは増原本部長でありましたかの名によって、各省庁に対して、臨調の答申に対する意見を出すように照会をいたしております。これに対しまして各省庁から来たものもあり、来ないものもあるのであります。これは相当重大視すべき問題でありまするので、私は一々各省庁にこの機会にそれぞれの諸問題に対する所見を伺うちょっと時間がなくなりましたので、やむを得ませんから、これはひとつ名を読み上げまするので、文書にしてお出し願って、そして、それはひとつ会議録につづっていただくようにお計らいを願いたい、こう思うのであります。  会計検査院、人事院、公取、警察庁、土地調整委員会、首都圏委員会、宮内庁、北海道開発庁、防衛庁、経審庁、科学技術庁、法務省、外務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林省、通産省、運輸省、郵政省、労働省、建設省、自治省、国鉄、電電公社、専売公社、以上であります。  そこで、この第一の内閣の機能に関する問題、二は中央省庁の問題、三は共管競合、四は事務配分、五は許認可、六は機構統廃合、七は公社公団、八は首都行政、九は広域行政、十は青少年行政、十一は消費者行政、十二は科学技術行政、十三は事務運営、十四は予算会計、十五は行政手続、十六は公務員制度、以上でありますが、これに対して、あるいは反対、あるいは白紙、あるいは賛成、あるいは要検討、あるいは検討しつつあります、あるいは何かそのほかに若干の意見、こういうふうになっておるようでございますが、手元にある資料によりましてはきわめて要約したものでありますので、よく詳細がわからぬ。そこで反対なら反対の理由をもっと明らかにして、検討を要する、検討中というのであるならば、検討の経過、結果はいかんというようなこと、その他付記した意見等をいずれも明らかにして、いま申し述べました各省庁は当委員会に至急に文書をもって提出するように申し入れておきたいのですが、皆さんよろしゅうございますか。——よろしゅうございますね。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長代理 吉田委員の御要望は、理事会で協議の上、御期待に沿うように善処いたします。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 これはどこの委員会でも先例もあることですから、この際委員長のお計らいでそのようにしていただけませんですか。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長代理 理事会の協議の上で御期待に沿うようにいたします。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 そうですか。まあどうぞよろしくお願いいたします。  それからこの許認可の問題でありますが、これにつきましては、調査しましたのは、総理府以下十一省にわたって、二千項目からにわたっておるようであります。  私どもの手元へ参っておる資料だけによっても三百三十からにわたっておるのでありますが、これにつきましても、これはひとつできるだけその後の経過について、若干許認可は改めた報告が来ておりまするけれども、相当重要と思われる窓口行政的な面が多いのでありまするので、これは、やはり国民生活の上から非常に身近に感じる問題が多いのでありまするから、この点につきましても、同様にひとつ文書をもってお答えを願いたいと思います。委員長、これも同様にお計らいをお願いいたします。  それからもう一点、ちょっと時間の関係がありますので、公務員制度についてまず伺っておきたいと思います。  この公務員制度につきましては、これは、行政の推進役は要するに公務員でありまするので、したがいまして、膨大な予算執行も公務員であります。でありまするから、この公務員のあり方、公務員の制度というものは、これが行事の重大な対象になったことは当然であります。それとともに、公務員が公務員としてその職責を果たして、その職分を全うするということをどうすればいいかということにつきましては、種々問題があろうかと思いますが、この公務員制度につきまして臨調の述べております幾つかの項目につきましては、これはどなたが御担当になりまするか、あなたのほうで、公務員制度についての臨調の答申に対する態度について、これは大体見当はつきますけれども、重要と思われる個所につきまして一応の御説明を願っておきたい。ちょっと時間の関係がありますので、要約して御説明いただきたい。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 公務員の制度につきましては、公務員のまず全体の管理を強化していくという臨調の趣旨に沿いまして、昨年中に人事局が総理府に設置をされたわけでございます。さらに公務員制度全般の問題につきましては、公務員制度審議会を置きまして、これによって根本的な検討をいたし、その結果によって政府はこれを善処するという方針で昨年公務員制度審議会が発足いたしまして、いま鋭意御検討を願っておる最中でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 公務員の膨大な組織が、公務員自体が臨調の答申を全面的に実現するということはあまり喜ばない。なぜならば、それはやはり統廃合等によって権限の縮小等が伴うのではないかという、そのような懸念もあるかもしれませんが、いずれにしても公務員自身が足を引っぱっておるというような、こういう観察も一面においてされておるのでありますけれども、そういうふうな考え方、感じはございませんですか。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 この問題につきましては、先ほど総理からも全面的に御答弁があったと存じますが、私どもはそれぞれ職務に熱心のあまり、公務員がいろいろな主張をする場合もございますが、それはそれといたしまして、合理的な解決をいたす決心でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 この一月の十一日の閣議でありましたかに、この四十一年の新年度から各省の人員の配置転換等について、何か相当閣議で御協議になったということが、朝日、毎日に報道されておったのでありますが、公務員の人員の配置転換問題、こういうようなことがあったのでございましょうか。閣議了承の事柄として伝わっておりますのですが……。

福田篤泰自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○福田(篤)国務大臣 先月の閣議におきまして、各省庁間における配置転換という原則を了承を得たわけでございます。  吉田委員よく御案内のとおりに、現在具体的にはまだ申し上げる段階ではありませんが、ある部局によりましては、緩急の程度がだいぶ激しくなっております。相当世論の批判もございますので、この際省庁間で、一つの省、一つの庁内だけの配置転換だけではなくて、中央、地方を通じての広範な配置転換が行政の合理化のため必要ではないかという考えで、総理の強い指示のもとにいま検討中でございまして、なお先般の総評の臨時大会におきましても、その趣旨は了承されたようであります。私どもはこの点を大胆に、かつ迅速に思い切った計画案をつくりたいと考えております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 この中央の公務員、国家公務員、地方の公務員の交流の問題でありますが、やはり公務員が、中央であろうと地方であろうと、待遇並びにその地位あるいはまたその他の仕事に専念し得るような基盤を整備するということができ得ましたならば、もっと交流をいたしまして、地方に人事の活を入れるというようなことも必要ではないであろうか、それがむしろ日本の行政機構全体の運営の上において、今一つの課題になっておるのでないか、こう思うのでありますが、この点につきまして、自治大臣、見えておりますか、見えておりませんですか。——この点につきましては、特に自治省におきましては、相当関心を持っておられるべきだと思うのでありますが、要するに中央、地方の人事交流をもっと大胆に、内閣の公務員対策として大きく打ち出していってはどうであろうか。これもやはり行革の一つのあり方といたしまして、相当重大な課題と思うのですが、いかがでございましょうか。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 お説のとおり、中央、地方の人事交流を合理的に進めることは必要であると考えて、行ないつつあるのでございます。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 それはまた別に聞きましょう、時間がありませんので。  それでは、国鉄の補正予算のことでちょっと伺いたいのでありますが、これは、何か一日五億円の損がいくとか欠損になっておるとかいうふうに聞くのでありますが、補正予算が延びるとどうするかということはあちらこちらで懸念をいたしておりまするが、これは当然しかるべき方針、対策は立てておられるのだろうと思うのだが、もし補正予算の上がることが相当延びるというような事態になってしまったときには、この点はどういうふうになることでありましょうか。一応数字と、それから対策、これにつきまして、ひとつ運輸省でありますか、御答弁願いたいのであります。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 予定の期日からあまり延びないように審議を進めていただくように努力中でございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 大蔵大臣、どういうふうに思いますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 一日四億円の収入が減る、こういうことになるわけであります。そういうことになりました場合に一体どうするか。まあ私どもは、数日間の遅延でありますれば、何とか差し繰りをやっていく、こういうふうに考えておるわけですが、それ以上になりますると、なかなか容易ならざることでありますから、そういう事態はただいまのところ予定しておりませんです。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 予定しておらぬけれども、予測しがたい事態が起こることは、去年以来の国会の、これこそ常態なんでありますので、やはり一国の大蔵省は、この面につきましても、しかるべき考え、あの場合はこれ、この場合はこれということをお考えになっておきませんといくまいと思うのであります。いまの事態は、直ちにそう簡単に将来を予測しがたいのが実情でございますので、重ねてあなたのもっとしっかりとした、この場合に対する対処はこれ、こうならばこうというふうなことがあってしかるべきだと思うのでございますが、どうでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 運輸省ともいろいろ相談いたしておりますが、ただいまのところは、そうそうおくれるということは全く予想をいたしておらないのであります。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 終わりに臨みまして、総理に申し上げて、なおひとつお考えを聞いておきたいのでありますが、きょうは時間もありませなんだので、臨調の答申をめぐりまして、ごく簡単に概要だけ掃いて通ったようなかっこうになっておりますけれども、この問題は、やはり相当発展性があるというふうにお考えをいただきますことと、それから一つは、やはりだんだんと国民のうちから燃え上がってまいりましたならば、相当な決意を持ってこれに臨んでいただかなければならぬ課題でございますし、これは、実情を知れば知るほどみな重大視してくることでありまするから、この臨調の十六の答申につきまして、各省からそれぞれさらに詳細に意見が当委員会に出されまするので、出されましたならば、それらをあわせまして、内閣としまして相当な決意を持って取捨選択、あるいは検討、あるいはそれをいれるとか、何かこれに対しまして積極的なかまえでこの処置をせられるようにひとつぜひせられんことを望みたいのであります。これがあなたのお立場としまして国民に対するほんとうの誠意のある態度であろうと私は思われますので、その点は強く御要望を申し上げておきたいと思いますが、いかがでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたように、臨時行政調査会、これは各界の方々にお集まりをいただき、二年有半にわたる長年月、しかも多額の金を使って調査を完了したのであります。したがいまして、政府といたしましても、当初の意気込み、初心忘るべからず、その意気込みで真剣にこれと取り組まなければならない、かように思います。  私がしばしばお答えいたしましたように、政府といたしましては、実行可能なものから順次これに手をつけてまいります。また非常に根気強くこの問題と取り組まなければならない、急激な変動は避けていく、これが私どもの基本的な態度でありますので、今後とも御鞭撻を賜わりますようお願いをいたします。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 終わります。

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて吉田君の質疑は終了いたしました。  午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後二時六分開議

福田一自由民主党

○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、理事の補欠選任についておはかりいたします。  委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっております。つきましては、その補欠選任を行ないたいと思いますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認め、竹本孫一君を理事に指名いたします。      ————◇—————

福田一自由民主党

○福田委員長 昭和四十年度補正予算に対する質疑を続行いたします。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 最初に、近く日本寄港がうわさされておりますエンタープライズの問題について、若干お尋ねをしてみたいと思います。  聞くところによりますと、すでに政府側は、このエンタープライズが日本の港に入りたいということを申し入れてきたならば、これを認めるという態度をきめたということでございますが、間違いございませんか、外務大臣にお尋ねいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 第七艦隊に原子力空母が配属されたそうであります。それにつきまして、自然日本寄港が必要になる場合があると予想されるけれども、あらかじめ御通告をする、こういう断わりがございましたが、しかし、その後具体的にこの問題についてアメリカ側から申し出がございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは、外務省としてもいずれ寄港の申し入れがあるものという判断をしておられると思うわけですが、それに関連いたしまして、エンタープライズあるいはこれを護衛する立場にありますフリゲート艦のベーンブリッジといったようなものの性能といいますか、能力といいますか、そういうものについてはある程度の知識を外務省としてお持ちになっておられますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 防衛庁のほうで十分にそういう問題については専門的に調べておられると思いまして、われわれのほうは特別に突っ込んだ研究をしておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そうすると、このエンタープライズやベーンブリッジの能力といったようなものについては防衛庁まかせである、こういうことになるかと思うのですが、そのような態度にも若干疑義を感じますけれども、一応この際、どういう能力を持っているのか、いわば脅威的な能力を持っているわけですが、その能力をひとつここで明らかにしてもらいたいと思うわけです。これは、防衛庁の専門家でけっこうですが、防衛局長になりますか。ひとつこの能力について詳しく御説明を願いたいと思います。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。御質問のエンタープライズ号は、基準排水量七万五千七百トン、速力が三十三ノット、最高三十五ノット、航続距離が三十ノットにおきまして約四十万ノーチカルマイル、搭載の飛行機は、各種の飛行機でございますけれども、約七十機から百機程度でございます。それから誘導艦のフリゲート艦ベーンブリッジの性能につきましては、基準排水量が七千六百トン、スピードが約三十ノット以上、航続距離が二十ノットにおきまして四十万ノーチカルマイル以上、搭載兵器といたしましては、テリアの発射機二機、そのほか魚雷発射管アスロック等を装備いたしております。現在原子力推進の水上艦艇として東南アジアに配備されておりますのは以上の二隻でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 性能のほうだけお答えになったのですが、私は性能と能力についてと申し上げているわけです。このエンタープライズ、ベーンブリッジが第七艦隊に編入されることによって、飛躍的に質、量の両面にわたって強化されたと思うのです。このことがベトナム作戦の遂行能力を強めたと同時に、いわゆる核抑止能力というものも強めておると思うわけです。したがって、この能力という点で、特に核兵器の部分についてお答えを願いたいわけです。どういうものを積んでいるか。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 エンタープライズにいたしましても、ベーンブリッジにいたしましても、核兵器は、現在そういうものとしては装備しておらないというふうに考えます。ただ航空機につきましては、御承知のとおりに核爆弾を搭載できる、そういう能力を持った飛行機は搭載いたしておりますけれども、それが現に核を装備しておるということは私どもとしても確認できませんし、飛行機以外の装備につきましては、いまのところ核兵器であるということはわれわれとしては承知いたしておりません。したがいまして、搭載しておりますところの飛行機が核爆弾を搭載できる可能性を持っておるということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたのいまの説明によりますと、核の抑止力というものは持たぬということですか。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 ちょっともう一度質問願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたのいまの答弁によると、エンタープライズもベーンブリッジも核の抑止能力というものは持たないという考え方ですかと言うのです。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま申しましたような搭載兵器の範囲内におきましては、核抑止力としての力は持っておらないというふうに考えます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私はせっかく専門家にと言ったのに、専門家らしからぬお答えです。  それじゃ私のほうからお尋ねします。あなたがいま認めました、約百機ばかりの最新鋭の攻撃機を積んでいると言いましたが、この攻撃機は通常ブルパップを積んでいるというふうにいわれておりますが、積んでないと判断していますか。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 航空機の中にはブルパップを搭載できる飛行機はあると存じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 搭載できる攻撃機は積んでいる、しかしいまは核のほうは積んでおらぬだろうという判断が一体どこから出てくるのですか。そういう独断がどこから出てくるのですか。あなたもいま認めたように、F4GIIやA4Cといったような最新型のジェット攻撃機は、ブルパップを積んでいるというのは通説じゃないですか。あなたも認めている。しかし、いまは積んでおらぬだろう、何を根拠にそういう独断をあなたは下すのですか。  それからベーンブリッジ、近く同じく第七艦隊に編入されるだろうといわれております原子力巡洋艦のロングビーチ、こういったエンタープライズを護衛する任務を持った軍艦には、核の対空ミサイルあるいは核のサブロック、それからあなたがさつき認めたアスロック、こういうものを積んでいることも認めますか。

島田豊防衛庁参事官(防衛局長)

○島田(豊)政府委員 ブルパップの搭載につきましては、積んでおることも考えられますし、われわれとしてはその確認の方法がございませんので、一応そういう可能性があるというふうに申し上げました。現地ベトナム等におきましては、ブルパップを使用しているということも報道されております。  それからベーンブリッジなりあるいは巡洋艦のロングビーチには、アスロックあるいは御指摘のテリア、これは搭載いたしておりますけれども、サブロックを積んでおるということは私承知しておりません。アスロックは積んでおりますし、またテリアも積んでおるというふうに思われますけれども、それを積んでおるということが直ちに核装備をしておるということにはならないわけでございまして、たとえばアスロックの場合におきましては、核、非核両様の装備でございますので、核をすぐ現に装備しているというふうな事実、情報というものは私どもは握っておらないのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 第七艦隊自体が核の抑止力を十分に備えたものだというようにいわれておるわけです。それが一段とこのエンタープライズやベーンブリッジの編入によって強化されたということはいわば常識なんです。あなたもいまブルパップを積んでいるだろうということはお認めになりました。そういった核兵器を明確に積んでおるエンタープライズが日本に来たいというのです。しかも、南ベトナムの作戦終了と同時に直接日本の港に入ってくるというのです。これは非常に問題なわけですよ。外務省が防衛庁におまかせしておきますといったようなことで済む問題ではありません。いまの佐藤内閣、保守党政府が一貫して言っております。核兵器の持ち込みは許さないという立場を堅持しようとするならば、徹底的に解明されなくちゃならない問題なんだ。それを外務省として何ら解明する努力もしないということは、無責任きわまりありません。いま防衛局長が認めましたように、少なくともこのエンタープライズに積んでおる攻撃機は、核兵器であるブルパップは積んでおると思われると言っているのですよ。それを簡単に、入港の申し入れがあったら受け入れるつもりだというようなことは、言えた道理じゃないと私は思う。この点について何か積極的に外務省は解明する気持ちがございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この問題についてまだ具体的に向こうの申し入れがありませんので、その際には、まずもって原子力潜水艦の場合と同じように、この推進に使う原子力というものが無害であるかどうかという問題について十分に解明しなければならぬと思います。その次は、原子力空母そのものはいいが、核兵器を積んでおるならば、これは事前協議の対象になるのでありますから、これは許さない、こういう方針に変わりはないのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 核兵器を積んでいることはもう常識なんですよ。いま防衛局長も、一部ですが、認めておるわけです。そういうものが日本に入ってくるときに、どこかでほかの船に移しかえるなんという芸当はできないのです。洋上でそんなことはできません。軽々にこのエンタープライズの入港などを認めてもらっては困る。  この問題に関連して、総理の態度もどうも何か不明確であります。最初は、首都の近くには来ぬだろうといったような、横須賀入港を牽制するような発言をしておりましたが、このごろは横須賀も佐世保も同じだ、どっちでも入りたいほうにいらっしゃいというような態度に変わっておられる。もう少し外務省を叱咤してでも、このエンタープライズというものがどんな軍艦なのかということを総理自身も把握して、慎重に扱っていただきたいと思いますが、そのおつもりはございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 言われるまでもなく、慎重に扱うことは当然であります。ただいまも言われておりますように、外務大臣からお答えしたように、一つは原子力の推進による船、その安全性の問題、もう一つは核武装の問題と、この二つに分けまして、十分慎重に取り扱っていくつもりであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは、この問題はこの程度に終わりまして、本論に入りたいと思うわけですが、最初に総理大臣にお尋ねをしておきたいと思うのです。  海上保安庁の巡視船が大砲や機関銃を搭載しておる、最近は実弾も常時積んでおるという事実を御承知でございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は知りません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 総理大臣は知らないそうです。所管大臣の運輸大臣は知っておりますか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 海上保安庁の拳銃及び自動小銃につきましては、海上保安庁法第十九条により、海上保安官は武器を携帯することができることとなっております。また砲及び機銃については、海上保安庁法第四条により、海上保安庁の船舶及び航空機は、海上における治安を維持するのに適当な構造、設備及び性能を有する船舶及び航空機でなければならないこととなっております。砲及び機銃は、海上治安を維持するのに必要な設備でありますので、この規定に基づいて装備しておるのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 えらい法律に自信があるようですから、法律論争は、それじゃ運輸大臣といずれゆっくりやります。  私が聞いているのは、法律的にどうこうということをまだ聞いていないのです。巡視船が大砲を積んでおることを知っておりますか、最近は常時実弾を積むようになったことを知っておりますかと聞いておる。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 承知しております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 運輸大臣は知っておるそうです。総理大臣は知っておらない。最近巡視船がいわば軍艦のような形に変わりつつあります。海上保安庁が海上自衛隊の予備軍的な色彩を非常に強めつつあります。私は、このことを装備の面と実際にやっておる行動の面から、質疑の過程を通じて立証していきたいと思うのです。  自衛隊に対する監視といいますか、批判といいますか、これは非常にきびしいものがある。そこで、自衛隊にやらせると目立つようなことを巡視船にやらせるという奇怪な事件が最近起きているのです。これは、あとで事実をあげて私は申し上げますが、いわば非軍事的なものとして盲点にある海上保安庁巡視船というものを、防衛計画のワク外で予備海軍的なものにしようという動き、まことにけしからぬと思う。このことは明らかに海上保安庁法第二十五条に違反することです。試みにここで二十五条を紹介しておきます。関係がいろいろ出てきますから。「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員の軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」明確に書いてあるのです。ところが、実際にやっていることは、この海上保安庁法二十五条に違反する。しかも憲法にすらもとるような行為を次々とやっておられます。  私、質問するに必要でございますから、最初にいま巡視船が積んでおります大砲、それから機銃、こういうものの性能なり数量を明確にしておいていただきたいと思います。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいまお尋ねの砲、機銃等の問題でございますが、現在巡視船に積んでおります三インチ砲は二十五門でございます。それから四十ミリ機関砲は二十七門でございます。二十ミリ機銃は四十八門でございます。十三ミリ機銃は十門でございます。その他、小銃、拳銃等を積んでおります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 性能……。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 性能につきましては、三インチ砲で、射程距離としまして二千七百ないし三千六百メートル、四十ミリにつきましては約千八百メートル、二十ミリ機銃につきましては千三百五十メートル、十三ミリ機銃につきましては四百五十メートル、かようになっております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 この大砲や機関銃は、いつごろ、どこから入手しましたか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 三インチ砲等につきましては、米国から入手したわけでございます。初めに入手しましたのは、搭載いたしましたのは、二十八年から二十九年にかけてでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 実弾を実際に常時積むようになったのはいつからですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 お尋ねの御趣旨は、三インチ砲等、比較的口径の大きいものについてと存じますが、三インチ砲等につきましては、訓練時には従来から積んでおりましたが、訓練のために常時搭載するということは四十年の五月からやっております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 小銃、機銃及び砲使用規則というのを海上保安庁訓令第十四号で制定しておることは間違いないと思いますが、その確認と、これはいつから効力を持っておりますか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 いまお尋ねのございました海上保安庁小銃、機銃及び砲使用規則につきましては、四十年六月一日に訓令でもって制定してございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 砲は二十八年ないし二十九年から積んでおる、実弾は四十年の五月ごろから常時積んでおる、実際の使用規則は去年の六月一日にできた、その辺、矛盾をお感じになりませんか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 実際に実弾を積みましたのが昨年の五月でございまして、それの使用規則を六月一日に正式にきめたということで、この点は私は特に矛盾を感じておりません。それから、砲そのものはそれより以前に巡視船にあった。訓練時のみ実弾を積んで訓練をしておった。昨年の五月、六月の候にかけまして、実際にたまを積み、またこれの使用規則というようなものを制定したという点につきましては、特に矛盾は感じておらないわけでございますが、これは、やはり以前からいろいろな問題がございましたわけですが、巡視船艇等につきまして、訓練その他を強化する必要があるというような点から行なったものでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 大砲は二十八年、二十九年ころから積んでおります。しかし実弾を常時持っておりませんから、使うことはありません、それで使用規則は要りませんでした、いよいよ実弾を積む段階に昨年の五、六月ごろからなりましたので、実際に使うことがあり得るので使用規則をつくりました、これなら矛盾はありませんよ。そのとおりですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は少し違った考えを持っております。それは、訓練をするということで実弾を積もうということでございますが、訓練用の実弾といえども、巡視船に積む以上は、これの使用規則というものを定めておかなければならない。実際に乗り組み員もいろいろ戸惑うこともありましょうし、そういう点が考えられますので、訓練用の実弾を積む以上は、いままではっきりしておらなかったところを明確にして積む、こういうような措置を講じたわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたは、今度できた使用規則は訓練用の使用規則だと言うのですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 実弾を積みますのは、何回も申しますように、前には訓練のつど積んでおりましたが、常時積みまして訓練のために役立たせるということをもちろん考えておるわけでございますが、たまを積む以上は、訓練以外に使うということも絶対ないわけではないであろう、もちろんそういうことを欲するわけではございませんが、そういう場合に遺憾な点があってはいけないからという意味で、使用規則を定めたわけで、訓練のやり方のための使用規則と、こういうわけではございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 この使用規則には訓練のための場合なんか一つも書いてありませんよ。実際に実弾を発射する場合、それが威嚇であろうと、空砲であろうと、そういう場合の規則を規定しているのじゃないですか。訓練と何の関係があります。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、使用規則は訓練をやるためのいわば操典と申しますか、そういう性質のものであるとは先ほどから申し上げておりませんです。実弾を積んでいる以上、実際に使うことが、望ましくはないけれども、かりにあった場合には、明確な基準が必要であろう、そういう意味で使用規則を制定したというふうにお答えしたのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 詭弁もいいかげんにしなさい。使用規則の第二条に何と書いてありますか。「訓練、試験及び危険物等の処分のための射撃は含まない」と書いてあるじゃないですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 第二条には、いまおっしゃいましたように、「訓練、試験及び危険物等の処分のための射撃は含まないものとする。」と書いてございます。したがって、それ以外の目的のために武器を使う、——武器を使うことは、いろいろな意味で非常に危険な問題がございますので、こういう規則を制定したということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたはまともなんですか。訓練のためにたまは積んでおるのです、使用規則も、訓練の際にたまを使うのに必要だから使用規則ができているのですと言わぬばかりに答弁しておるじゃないですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、以前には訓練のつど積んでおったが、最近においては訓練のつどでなく、常時積んでおるがどういうことかという御質問でございましたので、昨年の五月、六月の候にかけまして、そういうふうに訓練のつど積むということじゃなく、常勝積むというふうにしたということを申し上げると同時に、訓練のために積んだたまであっても、万一何らかのために訓練以外に用いるという場合には、この使用規則によるということで、この点も使用規則について御質問がございましたのでお答えした、こういうわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたは訓練のほうが主のように言うのですよ。そうじゃないじゃないですか。実弾のどこに訓練用と書いてありますか。常時積んでいるということは、使用規則に基づいて、いつの場合でも使えるということですよ。その使用規則というのは、訓練の場合を規定しているのじゃない、訓練の場合を除いてある。実際に威嚇射撃その他をやる場合、その場合の使用規則ですよ、これは。それを、たまのほうは訓練用だ、使用規則は実際に使う場合だ。おかしいじゃないですか、そういう説明は。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、訓練用のたまが訓練以外の目的に絶対に使わないということは申してはおりません。ただ、そういうことは好ましくないことであるということを申し上げただけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 この使用規則の細部にわたっては、あとで私は順次お尋ねするつもりなんです。特に総理は知らないというようなことが陰で行なわれておる。運輸大臣、一応知っていると言っていますが、どの程度知っているか、いまから馬脚をあらわしますよ。この使用規則によると、非常に危険なんです。あなたは、使われることがあり得ると渋々でも認めました。実際に使うことがあり得るという前提で使用規則ができているんです。こんなものを使用規則というものでつくること自体がすでにおかしいんですが、これもあとでやります。  巡視船の大砲が、もしどのような場合であろうと外国の公船に対して使われるというようなことになったならば、これはたいへんな問題です。自衛隊でもやれないようなことを巡視船がやれるということになるんです。使用規則はそういうふうになっております。これはあとで指摘します。明らかに巡視船というものが国際紛争の種をつくる。そういう危険性を持っておる。  内容に入ります前に、先ほど運輸大臣が聞きもせぬのに先ばしって答えておりましたが、法律的な根拠から確めていきたいと思います。あなた、詳しそうですから自分で答えてください。三インチ砲を搭載できると判断をした法律的な根拠を、運輸大臣、それではあなた、知っているそうですから明確にお答えください。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 政府委員から答えさせます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私が聞きもせぬときあなたは答えておって、あなたを名ざしで聞いたらなぜ答えないんです。さっき読んだとおり答えなさいよ。さっき読んだじゃないですか、聞きもせぬのに。何かわからぬで読んだんですか。いま私が質問していることを、あなたはさっき答えたんですよ。あれをもう一回読みなさい。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 先ほど大臣から御答弁しましたとおり、三インチ砲につきましては、海上保安庁法第四条の規定によって積んでおるというふうに考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 さっき運輸大臣は、私が聞きもせぬのにこれを答えたんですよ。読み違えたんです。いま読むんですよ、あれを。あなたがさっきお読みになって、いま保安庁長官が言ったのは、海上保安庁法第四条で認められているんですというとんでもない説明をしております。これは、皆さん方に知っていただくために読んでみますよ。この第四条のどこから大砲を積んでいいということが出てくるか、いいですか、「海上保安庁の船舶及び航空機は、航路標識を維持し、水路測量及び海象観測を行い、海上における治安を維持し、遭難船員に援助を与え、又は海難に際し人命及び財産を保護するのに適当な構造、設備及び性能を有する船舶」でなければならない。ここから大砲がどうして出てくるのです。武器の規定は第十九条に「海上保安官及び海上保安官補は、その職務を行うため、武器を携帯することができる。」とあるだけですよ。第四条の目的、海上保安庁の任務といったようなものを、武器装備の根拠規定にするなどというまやかしものをいつから始めたんです。いつからそういう解釈をとり出したんですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 第四条、それからいま引用なさいました十九条でございますが、十九条のほうは武器の携帯ということになっておりまして、船に載せてある三インチ砲のようなものは含まれていない。三インチ砲につきましては、治安を維持するために必要な構造、設備というふうに私どもは考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 こんなところから大砲が出てくるんだったら、それじゃあなた、飛行機も機関砲を積めるのですか。海上保安庁が持っている飛行機に、必要とあれば、第四条を引用して機関砲を積めますか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、この設備というものは、やはり妥当な範囲でなければいけない、かように考えております。現在三インチ砲を積んでおることは、治安維持のために妥当な範囲である、かように考えております。飛行機につきましては、現在何もそういうものは積んでおりませんし、今後も積む考えを持っておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたのへ理屈、三百代言でいくならば、必要とあれば飛行機にも機関砲が積めますか、こう聞いているのです。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 飛行機につきましては、機関砲を積む考えは全くございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 積めるかと聞いているのですよ、法律的に。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 機関砲は積むべきではない、私はかように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 法律的に積めますか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は積めないと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 海上保安庁の船舶及び航空機は、適当な構造、設備及び性能を有する船舶でなければならないというわけですね。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 適当なという判断につきまして私はお答えしたわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それじゃいいです、最初の私の質問に答えてないから。いつからそういう法律解釈をとりましたか。この第四条で大砲が積めるという解釈はいつからおとりになりましたか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私はいつから積めるかというか、この三インチ砲を積むというときに、おそらくいろいろ議論があったと思いますが、そのときに、三インチ砲を積むことが四条の規定から見て適当であるという判断をしたのであろう、かように考えております。したがって、そのときからであろうと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そのときからであろうでは困るのです、いまから私質問するので。大砲を積んだのは昭和二十八、九年とあなた言いましたね。それじゃ少なくともそのときにさかのぼって、この第四条に基づいて大砲が積める、こう判断したと考えるのが常識だと思いますが、間違いないですか。思いますではないですよ。そんないいかげんなことが許されますか、役所が。法律の解釈をかってに役所ができますか。実際に大砲を積んだのは、昭和二十八年ないし九年だとあなたは言った。そうすると、当然法律的な根拠はどこかということになるでしょう。法律的な根拠なしに積んだということになりますか。ないでしょう。ないとするならば、その時点で第四条が大砲を積める根拠であるという結論になったということでしょう。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、その二十八年、二十九年の候に三インチ砲を積んだと申し上げました。そのときにこの解釈によって積んだというふうに私は考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 大臣、確認してください。昭和二十八、九年に大砲を実際に巡視船は積みました。そのときに根拠法規をどこに求めるか、海上保安庁法第四条、その設備という項目で許される、こう判断を下した。それが法律の趣旨であると、こういうふうに判断をしたので積みました、——間違いないですね。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 長官が答えたとおりであると思っております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それじゃ、ここに昭和三十六年に海上保安庁が出しました書類がございます。これは原書、原文です。どこで出されたのかはっきり申し上げますと、当時使用規則の草案が海上保安庁でつくられておりました。その草案の説明会を各管区本部でやっておられるわけです。これは昭和三十六年十一月十日、七管本部において行なわれた説明会のときの書類であります。いいですか。文書は、海上における武器使用規則及び武器の使用の制限に関する訓令説明会摘要事項抜粋、七管本部にて、三十六年十一月十日、警備第一課、本庁から出向いて説明をいたしております。ここにどういうふうに書いてあるかと言いますと、最初に、巡視船艇に砲、機銃、小銃を搭載することについては庁法第十九条を根拠規定とする。その使用については庁法第二十条を根拠規定とする。明確に書いてあります。そして注として、従来拳銃以外の武器を巡視船艇に搭載及び使用することについての根拠規定に疑義を生じている向きもあったが、この規則の立案制定にあたって本庁においてその見解を統一したと書いてあります。いいですか。昭和三十六年のことですよ。海上保安庁は砲を積む根拠は庁法十九条だ。あなた、さっきせせら笑いましたが、十九条というのは「海上保安官及び海上保安官補は、その職務を行うため、武器を携帯することができる。」というやつですよ。これを根拠規定とする。その見解を統一した。そして、幹部を集めて説明会をやっているんですよ。何ですか、これは。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいまお読み上げになりました書類そのものは、私自身は見ておりませんが、いま拝聴いたしましたので、大体の趣旨はわかりました。私が聞いておりますところでは、いろいろな議論があったということでございますが、確かに内部でもっていろいろな議論があったということは事実でございますが、公式にきめたということは、先ほどから申し上げておるとおりでございまして、いろいろ議論があったところまでは私も聞いておりますけれども、正式にはやはり四条ということで解釈しております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そんなばかなことがあなた許されますか。これはあなた、海上保安庁から、警備第一課から出向いて、各管区ごとに全部幹部を集めて、そうして説明会をやっているのですよ。そのときに、砲を搭載することについては庁法第十九条を根拠規定とする、いままでいろいろ疑義があったけれども、統一見解をここに求めた、こういう立場で、全幹部にあなた説明しているのですよ。少なくとも法律というものは、ある場合には立法者の意思を離れていろいろと解釈されることはありましょう。しかし、これから私説明していきますけれども、巡視船に砲を積めるか積めないか、重大な問題なんです。私は大砲を積んでよろしいなんというのが、第四条の構造、設備なんかから出てくるはずはないと思う。そんな趣旨で法律なんかつくった者は、国会にはだれもおらないのです。お役所の当のあなたたちも、最初はこういうふうに十九条だと言っているじゃないですか。あるときには大砲の積める根拠を十九条に求め、あるときには四条に求める、そんなえてかってが行政官庁に許されますか、大臣。これは一役人の問題じゃないですよ。許されますか、そんなことが。そんないいかげんなことが許されますか。はっきりしてください。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 政府委員から答えさせます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 これは、大臣、役人が行政権の範囲を逸脱しようとしている。役人が恣意的に法律解釈をねじ曲げているのです。所管大臣として明確な態度を示しなさいよ。あなたの責任ですよ。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 内部の会議におきましていろいろな議論がされるということは、これは役所の内部で日常のことでございます。私は、海上保安庁としての統一的な解釈はどうかということにつきまして、先ほどから四条によるということを申し上げておるわけでございまして、内部の会議におきましていろいろな立論がなされる、あるいは討議がなされる、こういうことはもちろんあるわけでございますが、私は四条ということで考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 こんなばかなことが許されますか。あなたが言ったように、大砲はすでに昭和二十八、九年に積んでいるのですよ。積む前に論議したというならまだ話は別です。それでも問題はありますよ。二十八、九年からすでに大砲を積んでおって、三十六年の当時にはまだ固まらぬで、庁法十九条を根拠規定にもしておった。そうして全前線幹部にそれで説明をしている。それがいまごろになったら、今度は四条のほうにひっくり返っている。十九条じゃどうもおかしい、これじゃ切り抜けられない、四条にしよう、そんなえてかってが許されるかと言うのですよ。法律を何と心得ていますか。あなたたち役人たちが、かってにそんな判断を下せますか。ある場合には十九条、あるときには四条、国会をばかにするのもほどがありますよ。法律を無視しているじゃないですか。私は大臣に明確にしてもらいたい。あなた答え切らなければ、総理大臣の見解を求めますよ、こんなことが許されるなら。大臣、明確に答えなさいよ。わかるでしょう。昭和二十八、九年から巡視船は大砲を積んでいるのです。ところが法律の根拠がどうもない。大砲は積んだけれども、大砲を積んでよろしいという法律的な根拠がない。積んでおきながら一生懸命さがしたわけです。どれにひっかけようか、多少良心があったから、武器については十九条だけだから、十九条で割り切る以外にないだろう、ある事態にはそれで割り切って、十九条を根拠規定とした。それで全幹部に説明会まで開いた。ところが、これを追及されるとどうも自信が持てない、えい、めんどうくさい、四条にしておこう、こんなことが許されるかというんです。特に政治家として許されますか。あなた答えられないなら、総理大臣に答えてもらいますよ、どうです。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 一応海上保安庁法の解釈問題でございますので……。私、ただいま海上保安庁の政府委員から御説明申し上げたことと、ただいま石橋先生がおっしゃっていることを伺っておりまして、十九条がこの海上保安庁の船舶の、御指摘になっているような武器の携帯の根拠になるわけにはまいらぬと思います。これは、海上保安官及び海上保安官補は武器を携帯することができるというわけで、武器の携帯の主体は保安官なり保安官補になっておりますので、これの規定であると仰せられるわけでもないと思いますが、いまお話がありますように、二十八年ごろから搭載しておるというのは、政府の行政庁がやっていることでありますから、むろん法律の誠実な執行としてなされているはずのものでございますが、それは第四条をおいてはないだろうという結論になると思います。この解釈は、確かに、石橋先生がおっしゃいますように、砲が積めるということは書いてございません。それは確かに書いてございませんが、しかし、海上保安庁の船舶は、海上における治安を維持するのに適当な設備を有する船舶でなければならないというふうになっております。そこで、いま仰せになるようなものが、はたしてそれに適当なものかどうかということは、あるいは出るかもしれませんが、この四条の文言から、適当な設備でなければならぬといっているうちから、いまのようなものは特に砲と書いてなければ乗らないのだというのもいかがなものかというふうに考えるわけでございます。とにかく十九条は無理である。四条の規定の適当な設備というふうに読むのが至当であろうと考える次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 役人の解釈はもう十分に聞いたのですよ。あなたが答えなくったって、海上保安庁長官が答えているのです。しかし、実際に大砲を積んでしまったあとにおいて、一時的にでも根拠規定を十九条に求めた事態があるのです。全国の管区本部に出かけていって説明会をやっているのです。明らかに十九条を根拠規定にする、いままでいろいろ疑義があったけれども、これで本庁の見解を統一した。十九条に求めた時期があるのですよ。それをまた四条に引きかえるということが許されるかと聞いている、法律解釈の問題じゃないですよ。内閣として、政府として、政治家としてそういうことを役人がかってにすることが許されますかと聞いている。巡視船に砲を積むなんということは軽々にやるべき問題じゃないのですよ。しかも、それは明確な法規定がないのにやったというのと同じじゃないですか。おかしいと思いませんか、運輸大臣。あなた、指揮監督するのでしょう。指揮監督していますか、しっかり。どうです。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 内部にいろいろの議論というようなものがあったというようなことは別といたしまして、第四条の規定によって装備しておるものでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたは矛盾を感じませんかと聞いておるのです。全幹部を集めて、十九条が根拠規定だという説明までやっておるのに、いまになって四条にすりかえるというようなことが、あなた政治家としてすなおに理解できますか、それを聞いておるのですよ。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 第四条の規定によって装備しておることに矛盾を感じません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 まともに答えなさい、まともに。昭和三十六年の段階においては、少なくとも十九条に根拠規定を求めた。それがいつからか知らぬけれども、四条に変わった。全国の海上保安庁の職員に、十九条が根拠規定だと説明会までやっておりながら、いつそれを取り消しましたか。いつ、どういう経過を経て取り消しました。いつの間にかすりかえられておる。そういうことが許されるか。——あなたには聞いてない。何ともないですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 政府委員から答えさせます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 政府委員の説明はもう要りません。わかっております。何回聞いてもしようがない。あなたが矛盾を感ずるかどうか。こんなことを役人がかってにやっていいとお思いになりますかどうか、大臣としての見解を聞いておるのです。所管大臣としての指揮監督の権限を持ったあなたの見解を聞いておるのです。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 私は第四条の規定によって装備することは適当であると考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 十九条から四条に変わったことには矛盾を感じませんかと聞いているのですよ。そんなことを役人がかってにやってもよろしいと考えていますかと聞いておるのです。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 政府委員から答えさせます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたは感想はないのですか。私にこれだけ言われても何にも感じないのですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 内部のいろいろの議論とこの規定との間に矛盾は感じません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 内部の意見と言うが、これは本庁においてその見解を統一したのですよ。昭和三十六年にそういう見解に統一したのです。それで全職員に説明をした。というのは、実際に巡視船に乗っておる諸君が疑義を感じておるのですよ。おれたちは海上における警察業務に従っているのだ。庁法二十五条でも、軍事的なものではないという明確な規定がある。警察行為に大砲なんて必要ない。それなのになぜ大砲なんか積むのだ、うつぼつたる不満が実際に巡視船の乗り組み員の間にある。だからあなたたちは、何とかしてこれを説明しなければならぬ、納得させなければならぬ、どういうふうに納得させようか。鳩首相談のあげく、庁法十九条で大砲を積めるんです、だから心配するな、こう言って納得させたつもり。海上保安庁の職員はばかじゃありませんよ。ばかなことを言うなという反発が出てきた。そうしたら、今度は四条。四条で納得したかというと、ますます納得してない。士気に影響しますよ。しかも、たままで持たしているのです、実弾まで。使用規則までつくっているのです。法律的な根拠も不明確な大砲を積ましておいて、実弾も常時持たしておいて、さあ、こういうときには撃てという指令まで発した。実際に荒波の上で警察業務に携わっている職員のことを考えなさい。法律的な根拠もあいまいなことを押しつけて、士気に影響を与えておることを考えなさい。それが政治家の立場じゃないですか。あるときには十九条という説明をし、あるときには四条という説明をし、それで職員が自信を持ちますか。あなたのような職員ばかりだったら、上の言うとおりだということかもしれないけれども、もっと能力のある職員がたくさんいるのです、あなたの下には。みんな矛盾を感じ、悩んでいるのです、これは警察行為の逸脱だ、われわれの与えられた任務からはずれておる、こう言ってみんな悩んでいる。その悩みを解くのが政治家じゃないですか。責任を感じませんか、運輸大臣。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 海上保安庁の職員は、自分の本分に真剣に取り組んで全力をあげておると信じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 あなたが信じたってだめだと言っているのですよ。大砲まで積ませ、実弾まで常時持たせ、そして、いざというときにはたまを撃てと言う。みんな悩みを持っているのです。そんなことが許されるのか。われわれは公務員である以上、法律に準拠して仕事をするのだ、その根拠法規があいまいなのに、おれたちはどうしていいのかわからぬという声が一ぱいきているのです、私のところに。それに明確に指針を与え、自信を持たせ、悩みを解消してやるのが政治家のつとめ、政府のつとめじゃないですか。承知できません、そういう不明確なことは。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 関連して。大事な問題でございますから関連をしてお尋ねをいたします。  いま石橋委員が質問いたしておりますことは、海上保安庁の巡視船に大砲を搭載しておる、実弾も載せておる、この法的根拠について疑問があるからお聞きをいたしておるのであります。総理、特にお聞き願いたいのでございますが、石橋委員はここに具体的な事実を指摘したのであります。砲搭載の根拠法規としては庁法の十九条ではないのかと、こう指摘してお尋ねをした。その説明に庁法十九条を根拠法規とするための説明会が持たれたではないか、こう尋ねておる。私はこの質疑応答を聞いておりまして、一体、説明会が持たれたのか、持たれていないのか、この点がいまだに御答弁がない。運輸大臣にお尋ねいたします。石橋委員の質問いたしております庁法十九条、これを根拠法規にして、巡視艇には砲を搭載するのだという説明会が持たれましたかどうか、そういう事実はございませんでしたか、これをお伺いしたい。——運輸大臣に聞いておるのだから……。君は運輸大臣じゃない。   〔中村(寅)国務大臣「政府委員から答えさせます」と呼ぶ〕

福田一自由民主党

○福田委員長 運輸大臣、発言を許しておりません。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、説明会を何年にやったかという点につきましては、私は現在何年にやったということの資料を持っておりません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 お聞きのように、これでは全く答弁にならぬのであります。石橋委員はその事実があると言っておる。ないとは言わない。あるとも言わない。その資料がないというのであります。私どもはその事実があると、こう言っておる。運輸大臣、あったかなかったか。これは調査すればわかる。だから、調査をして、いつその事実があったのか、なかったのか、まずこの点を明確にしてもらいたい。したがって、よく調べて答弁のあるまで審議は進行できませんから、お待ちいたしております。待っていますから、これは調べて答弁してください。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいまお尋ねのございました件について、現在までわかりましたところを御報告いたします。  いまお持ちになって引用しておられる書類そのものにつきましては、いままでのところ、まだ三十六年のそのものをさがし当てておりませんが、当時の経緯につきましては、大体の事情がわかりましたので、それにつきまして御説明いたします。  三十六年十一月に、当時改正されました犯罪捜査規範というものの説明会を第七管区で行なったという事実が判明いたしました。その際に、武器使用規則案につきましても、現地に携行しまして討議を行なったということがわかりました。ただ、この武器使用規則案というものが、いま委員の引用されたそのものと同一のものであるかどうかという点は、私はわかりませんが、そういうものの説明、検討が行なわれた。ただ、その規則そのものはいろいろ問題もあるということで、その直後におきまして正式に決裁を受けて各管区に流したというようなことはないようでございます。私のいままで調査いたしましたところでは、そういう経緯があったということでございまして、いま引用されました文書がこのものであるか、あるいはどういう関係になるかという点まではわかりません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 関連でございますから、あとは質疑者の石橋君に譲りたいと思いますから、私は簡単にお尋ねをいたします。  私は、関連でお尋ねをしたのは庁法第十九条、これを根拠法規として巡視船に砲搭載をしたのかどうか、そういう説明会をしたではないか、こういうことです。それに対するただいまあなたの御答弁は、そういうような説明会を持ったというように私は受け取ったのでございますが、その説明会は事実やっておりますね。これははっきり言ってください、はっきり。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいま申し上げましたように、当時、犯罪捜査規範の説明会を七管でもって三十六年十一月行なった。その際に、武器使用規則案についてもあわせて現地で討議をしたということでございまして、そのものが、いま議論になっておる文書そのものであるかどうかは、私は存じません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 その日は、保安庁長官、昭和三十六年十一月十日だ。これは、あなたのほうの記録を調べればわかることだ。三十六年の十一月十日に、武器使用に関して——あなたは付随的に行なったといったようなことで、つとめてごまかそうとしておりますが、私どもはこれは許すわけにはいかない。武器使用に関して、その三十六年の十一月十日にはどういう説明をしたのか、記録によってここで明らかにしてもらいたい。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいま、初めにお話ししましたように、そのとぎの書類そのものというものは、現在までさがしておらない。ただ、その当時そういう事情があったという経緯をいま報告を受けましたので、御説明したわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 まだ何とか逃げ道をつくろうとしておりますけれども、この海上における武器使用規則及び武器の使用の制限に関する訓令説明会というのをやっていることは、間違いないのですよ。私、この書類を、先ほど申し上げたように持っているのです。しかも、法律解釈に、秘密ですよ、マル秘、ナンバーまで打っているのです、だれに何番のものを渡したかわかるように。法律解釈に極秘なんて、全くナンセンスじゃないですか。恥ずかしいわけでしょう、こんな解釈が表に出れば。そのほかに何の秘がありますか、法律解釈に。しかも、あなたはこれを付随的にやったようなことを言っていますけれども、実は使用規則の案なるものが昭和三十五年の十二月にできている、訓令案が。これはとうとう日の目を見ないで、やや手を加えられて、昨年初めて正式に訓令で出たんですけれども、最初の案が三十五年十二月にできた。その案を持って説明会に行っているのですよ。逃げ口上はよしなさい、もうはっきりわかっているのだから。この書類そのものが見つかりません。——何が見つかりません、ですか。やったといえばわかる。このときの書類であることは間違いない。いま休憩中に議員の皆さんも、法律解釈にマル秘って何だ。表に出たら困るということだろうという。そんな見識のない説明会をやっている。しかし、これ以上あなたと押し問答をしても始まりません。  私は、総理に、いままでの質疑応答を聞いておられて、やはり政治家として、内閣の責任者としてどういうふうにお感じになったかという所信をお伺いしたいんですよ。  先ほど申し上げたように、とにかく毎日荒波の中で苦闘をしておる乗り組み員の人たちは、たいへんな御苦労をしているんです。その人たちに自信を持って仕事をさせなくちゃならないはずのもの、そういう立場にある人たちが、実に不明朗なことをやるものですから、たいへん士気に影響しています。私のところにたくさん来ているのです、こんなことでいいのかと。法律的な根拠も明らかでないのに、本庁でぐらぐら変わるような根拠で、大砲は積め、実弾も持て、さあ使用規則をつくって、こういうときにはぶっ放せ。そんなことで、われわれ安心して仕事できない。こういう不安を解消してやるのが、私は政府の責任者の任務だと思う。特に担当大臣としての指揮監督権を持った運輸大臣がき然としなければならぬのに、何か逃げ口上ばかり言っている。やむを得ませんから、私は総理にひとつきらっとした所信を述べていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま石橋君から、海上保安庁の現場にいる諸君の実情について訴えられました。私も、これはたいへんなことだ、かように思います。また、三インチ砲搭載の根拠についての御議論をしばらく聞いておりまして、庁法十九条、これはいかにも無理があるように思います。やっぱりやっているのは第四条、それが法律的な解釈としては適当なのではないか。私も専門ではございませんが、皆さんの御議論を聞いておりまして、さように実は感じたわけであります。ただいま、そういう点も明確になり、またその上で、海上保安庁の現場の諸君がたいへん心配しておるということですが、その不安は一日も早くなくさなければならぬ、かように私は思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 まだほかにお尋ねしたいことがたくさんありますから、やむを得ません、この程度でとどめます。しかし、いま言った問題だけで不安が解消するわけではないのです。これからあげていく幾つかの問題、いずれも重大な職員の関心の的になっておるわけですから、もう少し所管大臣も、あるいは保安庁長官も、真剣に、まじめに取り組んで答えていただきたいと思います。  昨年の六月一日に、初めてこの海上保安庁小銃、機銃及び砲使用規則というものが訓令十四号でできたわけですが、この使用規則の根拠になるのは、法律のいかなる条文なんですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 これは警察官職務執行法でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 条文まで正確に言いなさい、あなたもお役人ならば。警察官職務執行法の何条ですと。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 警察官職務執行法の第七条でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 これにも問題があるんですね。初め先ほど申し上げた三十五年の十二月につくった草案の中では、第一条に根拠規定を明らかに書いておった。ところが、去年正式に出されました訓令には、この根拠規定が省いてある。何げなく見えるけれども、重大だと思うのです。この辺にも自信のないあらわれが出ているんですよ。  それじゃ、参考のために、これは国家公安委員長にお尋ねしますが、警察官職務執行法第七条というのは、警察法第六十七条を受けて設けられたものと思いますが、間違いございませんですね。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 間違いございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 間違いございません、非常に明確でございます。そうしますと、警察官職務執行法第七条は、警察法第六十七条から出ている、間違いない。それじゃ、その警察法第六十七条というのは何か「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」であります。いいですか。これを大砲の使用に準用しようというのが、一体どういう根性です。大砲は小型武器ですか、いかがです。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 海上保安庁法第二十条で、警察官職務執行法を準用するということになっております。この規定によって武器の使用をやっておるわけでございますが、私は、この二十条の解釈ということで現在の三インチ砲の使用ができるというふうに考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 庁法二十条において「海上保安官及び海上保安官補の武器の使用については、警察官職務執行法第七条を準用する。」というのは、十九条を受けるんですよ。十九条に「海上保安官及び海上保安官補は、その職務を行うため、武器を携帯することができる。」これを受けて二十条があるんだ。第四条から何で二十条が出てきますか。出てくるというならば、いま言ったように小型武器の規定を準用するということになりますよ、大砲が。こんなばかなことが許されますか。大砲が携帯できないから、あなた無理やり四条を根拠規定にしたのじゃないですか。ところが、今度は使用規定になると、小型武器を前提にした規定を持ってくる。これはおかしいですよ。大砲が何の小型武器ですか。ところが、皆さんは笑いますけれども、お役人はそういう詭弁を弄するのです。ここに政務課長の若尾宏という人、警備救難部の管理課長の貞広豊という人の見解が出ております。いいですか、みんな笑って聞いてください。「要するにこれは陸上の警察官がピストルと弾丸を持っているのと同じだと考えていただきたい。ただ巡視船は海上を警備するのだから、そのピストルが少し大きいというだけのことである。」これが本庁の責任ある役人の説明ですよ。あなたの説明もそれと同じだ。ピストルがらよいと大きい、そんな常識が国民に通用しますか。ばかにするにもほどがある。ここにも根拠法規のないことが明らかだ。だからこそ矛盾を感じて、十九条をとりやめたのじゃないですか。そうして、無理やり船舶の設備だ、四条にひっつけたじゃないですか。ひっつけたって矛盾は出てきます。警職法七条を持ってきたって、これはいま国家公安委員長が明確に答えたように、小型武器の扱いについての準用規定なんです。大砲を使うのに、こんなものが使えますか。大砲を持ってよろしいというのならば、海上保安庁法そのものに武器の使用規定が、使用条項が入ってこなければいかぬ。自衛隊法を読んでごらんなさい。自衛隊のようなところでも、法律に基づいて武器は保持を許され、法律に基づいて武器の使用が許されているんですよ。一海上保安庁が、何も法律に基づかないで武器の使用ができますか、大砲の使用が。しいて探せば、ピストルの使用に使えるものしかないじゃないですか。大砲を使う場合の規定がないじゃないですか。あなたは二十条と言うけれども、二十条はピストルだけじゃないですか。小型武器だけじゃないですか。一般国民に恥さらしですよ。ピストルが少し大きいというだけです、何が少し大きい。出てきなさい、こんな恥ずかしいことを書いたやつは。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 海上保安庁法におきまして、いま御質問がございました武器の使用は二十条で解釈しているということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、海上保安庁が海上における治安を維持します場合に、陸上の警察官が携帯している拳銃のみをもってしては十分ではない。したがって、さらに拳銃以上の武器を必要とするというふうに考えておりますので、それではこれがどこまでできるかというような問題はもちろんあると思いますが、二十条における準用という意味は、海上における治安維持のために必要な、合理的な範囲内の武器というものは準用でもって使用することができる、かように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 大砲を海上保安庁が持つことができるという規定がもしかりにあるならば、どういうふうにして使ってよろしいという規定なくちゃならぬのですが、ないのです。小銃とか拳銃とか、小型武器のみに関してしかないのですから、使用規則を訓令でつくりますなんという行為が許されますか。法律にないから、海上保安庁長官が訓令で出すなんということが許されますかと言っているのです。これほど国会をばかにした話はないじゃないですか。大体、海上保安庁の関係者が国会や国民をいかに侮辱しているかという典型的なあれを出しましょう。  これは、海上保安大学の講習会でぬけぬけと言っていることですよ。大臣や政治家はよく聞いてもらいたいのです。主任教授の飯田忠雄という人がおるでしょう。何と言っておりますか、大砲は漁船の前後左右に撃ち込んで停船させてもよいのだ、それはちゃんとした法的根拠がある、こんなこともわからぬで、追及した代議士も、答えられなかった長官も、法律的には頭がなく、無知なのである、当庁はもともと予備海軍的なものであり、それは公安局法草案をつくり、GHQと折衝した私が一番よく知っている、こういうことをぬけぬけと言っておりますよ。これがあなたたちの感覚だ。法律をいじくっているやつの感覚だ。国会を何と心得ている。質問している者も答えている者も法律がわからぬとは、なんという言いぐさだ。とにかく国会で審議をし、そして法律が生まれ、その法律というものの解釈に関してはわれわれが第一人者だ。代議士や大臣に何がわかるか、長官に何がわかる、こういう感覚で、えてかってに法律をいじくり回されてはたまらぬですよ。だから私はおこって、きょうは質問しているのだ。あなた自身、こうして私に尋ねられて矛盾を感ずるはずだ。聞いておられる方はみんなわかるはずだ。大砲を持ってよろしいというならば、使ってよろしいという場合の規定も法律にあるはずなんです。ないのです。ないならどうする。新しく法律をつくるか、つくらないで海上保安庁長官訓令、なまいき千万だ。法律にゆだねてもおらぬことを、あなた、かってに訓令を出せるか。そんな権限があるか。この点についても、指揮監督の権限を持つ大臣は何と心得るかと私は言いたいのです。あなたはそれを許した。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 法律によって準用されておる規定の範囲内で長官がきめたことでございます。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。——静粛に願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 法律で委任された範囲内できめたと言うけれども、根拠規定がないじゃないですか。いま聞いたら二十条だと言う。二十条は、警察官職務執行法の第七条の準用規定なんだ。警察官職務執行法の第七条というのは、さっき国家公安委員長が認めたように、警察法の六十七条から出ている。それはどういう武器を想定してできているかというと、小型武器、これを使用する場合。大砲を使用する場合に準用なんかできませんよ。だから、根拠規定が法律にはない。ないからこそ訓令というもので大幅に、小刻みにいろいろと、こういう場合に使用できる、こういう場合に使用できると、かってに役人が法律めいたものをつくっている。これは国会無視ですよ。その海上保安庁訓令第十四号というものの中身をちょっと検討してみましょう。時間がありませんから、おもなものだけにします。一番問題なのは、先ほど指摘しました、昭和三十五年十二月にできました草案の段階におきましては、比較的まだ歯どめがきいておったのです。なるべく大砲は使わせないという歯どめがきいておった。ところが、実際に昨年六月制定された訓令によると、ほとんど歯どめはないのです。たとえば第四条の犯人逮捕のための使用、これにあたっては、三インチ砲による威嚇射撃は草案のときには除かれておったにもかかわらず、今度は使える。事件に無関係の旅客が乗船しているときは、砲や、機銃や、小銃による威嚇射撃も禁じられていたのを、これも今度できた訓令によると、規則によると使える。めちゃくちゃじゃありませんか。また、草案の段階では、外国の艦船や公船への使用はほとんど全面的に制約されておったのに、今度は全部除かれているじゃありませんか。たいへんな問題ですよ。犯人逮捕の際に、ほかに何も関係のない者が船に乗っておってもぶつ放せる。さっき言った飯田とかいう主任教授が言っているように、じゃんじゃん撃ち込める。外国の艦船や公船に対して使用したらどういうことになります。それも許している。こんなことが一海上保安庁長官の訓令なんかでやられたらたまらぬです。自衛隊でもできないようなことを、あなたは巡視船の乗り組み員にやらせようというのか。あなたたちが火をつけて、そうして大きな紛争、ことによっては戦争に発展するおそれすら、使い方によっては出てくるのです。使用規則で許されているのですよ。こんなばかばかしいことが一体許されますか。これは、どう甘運輸大臣に聞いたってろくな返事はないでしょうから、総理大臣、こういう根拠法規もあいまいな大砲の使用が一海上保安庁長官訓令で規定されて、いま申し上げたように、事件に無関係な人たちが乗っておる船に対してでも大砲をぶっ放すことができるということが許される。あるいは外国の艦船や公船への使用も許されている。こういうことが適当だと思いますか。いかがです。所信をお伺いします。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま石橋君から、この武器使用について非常に拡大したお話が出ておりますが、どうも無制限ではないのだろうと私は思いますが、法律のことですから、その根拠法規や、また解釈等、法制局長官からよく答えさせたいと思います。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 法律関係について補足して申し上げさしていただきますが、ただいま海上保安庁当局から御説明がありましたように、例の保安庁法の第四条の規定、これについてはむろん御批判があるところでございますが、第四条の規定によって、現在ある装備の根拠は第四条であるということで、はたして第二十条がそれにかぶるといえるかどうかということでございます。これについては、確かに第十九条の次に第二十条がありますし、警察法にはただいま御指摘のような関係の規定もございますので、御疑問がお出になるのもごもっともな点もあると思いますが、しかし第二十条は、前条の第十九条の海上保安官と海上保安官補の武器の使用だけについて警察官職務執行法の第七条を準用するというのであって、そうでない第四条のほうの装備については第二十条が働かないのだというふうには私どもはとうてい解されないわけでございます。やはり第二十条が警察官職務執行法を準用しているゆえんのものは、これはお詳しいことでありますから申し上げることもないと思いますが、警察官職務執行法の第七条を見ますと、武器の使用については一定の条件が規定されております。そういうふうに、やはり第四条の装備における武器の使用についても、当然法意としては第二十条の規定によって第七条の規定の制約を受ける、これはもう法の解釈としては当然ではないかというふうに考えます。  それからもう一つ大事な点でございますが、警察官職務執行法の第七条の根拠は、警察法の第何条ではないかというふうな仰せがございましたが、これは、確かに警察法の規定には武器の携帯の根拠規定がございますが、第七条は、これもはなはだ恐縮な言い方でございますが、やはり法律でございまして、ここには武器の使用ということについての規定が書いてあるわけで、むろん関連はございますけれども、根拠法規というような関係ではないものだと思います。  それからただいま申し上げましたように、海上保安庁法の解釈として、この第十九条の武器の携帯のみならず、第四条の装備における使用についても第二十条がかぶる。したがって、警察官職務執行法上の制約があるということを申したわけでございますが、しからば、海上保安庁長官ですか、ただいま問題になっております訓令の根拠はどうかといいますと、むしろこれはただいまの第二十条を根拠とする、そこから出てくるといいますよりも、武器の使用についての制限規定は第二十条である、その制限の中で、大臣なり各庁の長官がそれを執行するについて、命令または示達するために訓令を発することができるというのは、御承知のとおり、国家行政組織法の第十四条の第二項に規定がございます。その規定によって訓令を出しておるものだと私は理解をいたします。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 非常にじょうずにごまかしたつもりでしょうけれども、まず第一にそれじゃ問題が出てきます。先ほど国家公安委員長が答弁したことをあなた否定されるのですか。それじゃ小型武器以外に護察法で認められた武器は何がありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 第六十七条に武器のことがありますので、第七条がある。これは言いようでございまして、むろんけっこうなんでございますが、その根拠がそれだと、いわゆるわれわれが言っております何か立法上の根拠がそれであるというふうな意味では、そうではないということを申し上げただけでございます。ほかに他意はございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 警察法で認められている小型武器以外に武器はないのです。ただ警察官職務執行法で規定されている武器の使用規定は小型武器に限る、あたりまえじゃないですか。もっともらしいことを言うのはよしてください。それから四条で出てきた大砲が二十条でカバーできるなんというのは、詭弁もいいところですよ。そんなことを法律家のあなたがおっしゃるのはおかしいです。十九条と二十条が隣合わせだから——私は隣同士だからといっておるのじゃない。しかし、だれがこの法律を読んだって、二十条で許されている武器というのは、これは十九条でいう武器だな、常識的に解釈できるのですよ。四条の設備から大砲が飛び出してくるなんてだれが想像しますか。とにかく法律に根拠がないものですから、海上保安庁長官訓令などというものをつくって、事こまかに大砲の使用ができる場合の規定をやっている。これは国会を無視し、法律を軽視するものです。それだけではなくて、警職法の七条で、確かに犯人逮捕の際に武器を使うことが許されている場合が二つあります。しかし、これも厳格に規定がされているのです。こういう場合にしか拳銃を撃ってはならぬぞと厳格に規定されておる。にもかかわらず、ピストルをちょっと大きくしたかしらぬけれども、大砲を撃ち込む際に、何の罪とがもない者までがそばづえを食う危険のあるような使い方を許しておる。これは憲法違反ですよ。憲法の三十一条、読み上げなくったっておわかりでしょう。「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」罪とがのない者が犯人と同じ船に乗っておったからというだけで大砲をぶっ放されてたまりますか。そんなことを法律のどこが許しています。それをこの使用規則は許しているのですよ。しかも、先ほど言ったように、飯田何がしという男は、漁船の前後左右にぶっ放せ、法律的に許されていると放言している。こういう感覚で警察の任務に当たられてたまるものですか。人権はどこにあるか。権力を持ったらこのようにまでのぼせ上がるものかと言わざるを得ないのです。しかも、先ほど申し上げたように、外国の艦船や公船に対しても使用ができる。どういう事態がかりにあったか知らないけれども、正当防衛の名をもって外国の艦船や公船に対して大砲をぶっ放したらどういうことになりますか。自衛隊でも、政府の説明によれば、自衛権の行使というものは厳重なワクの中に入っているんだ。あなたたちは、自衛隊に許されたいわゆる自衛権と同じか、あるいはそれ以上のものを考えているのですか。そんなことで日本が国際的な紛争に巻き込まれるという事態になったら、一体責任はだれがとるのか、しかも、そういう懸念のある行為を現実にやっているということを、後ほど私は事実をあげてお尋ねします。  時間がありませんから次に移りますが、要は、この海上保安庁法二十五条に規定された「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」という厳重な規定が無視されようとしておるところに問題がある。そして、この規定と明らかに矛盾するような条文が自衛隊法八十条にあるところにも問題がある。自衛隊法八十条によると、防衛出動とか命令による治安出動の段階にあって、自衛隊の全部または一部が出動する場合には、必要があれば、海上保安庁を防衛庁長官の統制下に入れることができる、こういう規定があるところに問題があるのです。一方では非軍鶏規定というものを持っておりながら、一方では、いざというときには防衛庁長官の統制下に入る。そういう性格を海上保安庁に持たしておるところに問題がある。だから、防衛庁長官の統制下に入ったときの準備をしておこう、大砲も積んでおこう、たまも常時持たしておこう、そういう準備的行為が出てくる。私は、昭和三十九年、内閣委員会でこの問題を取り上げたことがございます。そのとき、この八十条なんというのは改めなさい。そうしなければ誤解も生むし、海上保安庁職員の士気にも影響を与えるから、八十条を改正して、いざというときに海上保安庁を防衛庁長官の統制下に入れるなんという規定はなくして、八十六条の規定と同じように扱いなさい、こういう問題を提起したのです。すなわち警察消防機関と同じように、連絡及び協力の義務だけを負わせなさい、せめてそれが最低の条件ですと私言った。そうしたら、当時の福田防衛庁長官は、「本日新しい御意見として承りましたので、今後の問題として検討させていただきたいと思います。」と言っております。検討したかどうか聞きたいところだ。福田さん、あんたおるから、ここで松野さんの前に、あなた検討したかどうか、検討の結果を答弁しないか。現職の松野さんに譲ってもいいです。こういう不明朗な、二十五条と矛盾した規定があるから、いろんなトラブルが出てくるのです。松野大臣、どうです。この八十条を改正して、一般の陸上の警察消防機関その他と同じように、統制下に入れるのではなくて、連絡、協力義務を持たせるという形で検討いたしましたか、あるいは検討する意思がございますか。いかがです。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○松野国務大臣 検討したかどうかは、私の引き継ぎ、私の記憶の中にはございません。私が就任してからは検討したという実績はございません。その以前検討したかどうか、これは私は記憶しておりません。そこで、新たな御意見で、それではそのほうがいいじゃないかという御提案ですが、即答はできませんが、概略的に考えまして、海上というのは、石橋委員御承知のように、日本の国内でも、陸上部隊とは違い、非常に守備範囲が広い。その上では相当連絡を密にしなければ、海上の勤務、正常な勤務においても非常に支障がある、あるいはある場合には公海に出る。こういう意味でありますので、陸上部隊と同じようにその問題を同一視するには多少状況は違うのじゃなかろうか。しかし、せっかくのお話ですから、なおこれを機会に検討するつもりで私自身はおります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 福田大臣のように、検討しますと言って、検討したかどうかもわからぬというような、そんないいかげんな国会答弁はよしてもらいたいと思います。責任を持ってひとつ検討してもらいたいと思う。いま一つの大砲という事実をあげて私いろいろお尋ねしたのですが、こういう問題が出てくるのも、これにつながりがあるのです。こういう不明朗なものがあるものだから、いざというときに備えようというような妙な気持ちが働く。それが大砲を積ましたり、実弾を常時持たしたりというようなことになるわけです。海上の警察業務に携わる保安庁にそんなことをやらしてはいけません。明確にこの二十五条の規定に準拠して、ひとつ海上保安庁は突き進んでもらいたいということを強く申し上げたいと思います。  次の問題に移ります。  海上保安庁の第一管区、北海道方面ですが、この一管において特別哨戒業務をやっております。その実態をまず御説明願いたい。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 第一管区における特別哨戒任務というお尋ねでございますが、御質問の趣旨は、おそらく日本の漁船が北海道周辺において拿捕されないようにという意味で、海上保安庁の巡視船がこれを指導しておるという点だと思いますが、この点につきましては、現在におきましても、随時巡視船を派遣しまして、指導を行なっておる次第でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 どういう仕事をしているのか、具体的に説明をしてくださいと言っているんです。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 この点につきましては、日本の漁船が、第一管区の関係におきましては、ソ連の船につかまえられるということがございまして、この点は領海の幅員の問題、その他いろいろな議論があるし、あるいは領土問題もあると思いますが、現実的につかまることはふぐあいでございますので、つかまらないように指導している、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それはいわゆる一般的な特哨任務です。そのほかに特別な作業をしておらないかと聞いているんです。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 特別の任務という点につきましては、現在私はいまのような点を注意してやっておるということでございまして、その他の点につきましては、以前に、私が海上保安庁と全く関係のなかったころに、新聞で何か読んだというようなことはございますけれども、現在は、そういうことは私は承知しておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 新聞で何を読んだんですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 これはたいへん昔の話でございますので、私がいま申し上げましたような、漁船がつかまらないようにというようなこと以外に、だれか外国人が来たとか来ないとか、その点は私も記憶しておりませんが、そういうことが新聞に出たことを記憶しておるのでございますが、これは、私が前に読んだことがあるという程度でございまして、私は承知しておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私が言いたいのは、特別哨戒という名のもとに海上保安庁の巡視船がスパイ活動をやっているということなんです。それも、それを任務としてやっているということです。主たる任務は、宗谷海峡通過のソ連艦船の写真撮影、偵察、これが一番の任務です。これだけを任務にしてやっている特哨というのがあるじゃないか、通称「×作業」というのが。毎年やっているじゃないか。これは、運輸大臣、あなた知っておりますか。一人一人念を押しておきます。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 私は、海上保安庁は、海上保安庁の任務以外の特別のことをやっておるということは、承知いたしておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そういう仕事は、海上保安庁の本来の仕事ではないということをあなたは確認し、したがって、知らないと言いました。それは間違いないですね。  そうすると、海上保安庁はほかの省の仕事をやることができるようになっております。それは法律的に間違いないですね。どうですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 海上保安庁は、他の省との協力というような点をやることはございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 そんなことを言っているんじゃないのです。海上保安庁法の第十条、よく覚えておいてください。「海上保安庁長官は、運輸大臣の指揮監督を受け、庁務を統理し、所部の職員を指揮監督する。但し、運輸大臣以外の大臣の所管に属する事務については、各々その大臣の指揮監督を受ける。」こういう規定があるでしょう。だからほかの省の仕事もできるでしょう。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 たとえば税関関係の仕事について大蔵大臣の監督を受ける、こういうような点がそうです。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 できるかできないかと聞いたのです。十条でできるのですよ。  そうしたら、念のために今度は防衛庁長官に聞いておきます。  防衛庁長官の所管事務で海上保安庁にやらせようと思えばできるわけですから、いまの対ソ・スパイ行動、こういったものを防衛庁で海上保安庁の巡視船にやらせているというようなことはないでしょうね。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○松野国務大臣 ございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それじゃ、防衛庁長官も知らない。運輸大臣も知らない。それじゃいよい海上保安庁が、かってにどこかから指図を受けてやっているとしか考えられない。この作業に従事しておる巡視船は次のとおりです。いいですか。稚内海上保安部に所属する「ちとせ」、「ほろない」、紋別海上保安部に所属する「そらち」、小樽海上保安部に所属する「てしお」、ときとして留萌海上保安部に所属する「いしかり」、こういう巡視船はほとんどいま私が申し上げたような作業を唯一の主任務として特哨の名のもとに出動しているじゃないですか。もちろん一年間を通じてじゃないけれども、ソ連の艦船の非常に動きの激しい春と秋に重点を置いてやっておることは間違いない。数年来継続してやっておるじゃありませんか、知っておりますか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 海上保安庁がスパイ行為をやっておるということは、私は承知しておりません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 これはソ連側もすでに知っておるところなんです。あとで事実をあげますけれども、ソ連側が知っておる一つの例として申し上げますが、従来漁夫の引き取り作業を巡視船がやっておりましたが、これを拒否された、この事実はございますね。まず農林大臣にお尋ねしましょう。最近は漁夫の引き取りは、巡視船がソ連側に拒否されて行けないものですから、あなたのほうの水産庁関係の船が行っておる。間違いありませんね。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 そのとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 長い間巡視船がやっておったのです。ところが、海上保安庁の巡視船がスパイ行為をやっているということをソ連側に知られて、入港を拒否されているのです。そのときの電文内容も持っております。それで、やむを得ず、ひとつ水産庁の船で漁夫を引き取りに行ってくださいということになった。農林大臣は認めた。私は、具体的に、どういう実施要領に基づいてどういう形でやっているか、いまから逐次あげていってもいいのですが、その前に、そういうことをやっておった事実があるならば、運輸大臣、あなたは責任をとりますか、いかがです。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 海上保安庁は本来の任務以外のことはやっておらないと信じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 だから、私はいまから、やっている実証をしていきますが、もしやっておったら、指揮監督の権限を持つ運輸大臣として当然責任をとりますと明確にお答えができますか。自信があるならおっしゃってください。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 私は、本来の任務以外はやっておらないとかたく信じております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それだけ自信があれば、そんなことをやっておれば責任をとりますとなぜ言えないのですか。言明してください。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 私は、本来の任務以外はやっておらないとかたく信じておりますから、いま申し上げるようにお答えいたしておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 自信があったら、言ったらよさそうなものですね。ここに保安庁から出されております作業実施要領というのがあります。「本作業に従事する巡視船は次のとおり」、これは先ほど申し上げました。いいですか。「稚内保安部長は本作業期間中、所定の海面に巡視船一隻以上を昼夜にわたり配備し、巡視警戒せしむること、巡視船の交代は洋上の現場において交代せしむるものとする。四、本庁、一管本部及び稚内保安部においてはそれぞれ関係機関との連絡を密にし、本作業に関する情報の早期入手につとめるとともに、入手した情報は下表の系統に従って通報、報告するものとする。本庁から一管本部→稚内保安部→巡視船、一管本部から本庁、一管本部から稚内保安部→巡視船、稚内保安部から一管本部→本庁、稚内保安部から巡視船、五、通信連絡は下記により行ない、用語はすべて所定の略号を使用するものとする。(1)本庁、一管本部、稚内保安部相互間は有線電話によるものとする。(2)稚内保安部から稚内港所在の巡視船に対して行なう指示、通報は口頭をもってし、出動中の巡視船に対して緊急連絡を要する場合には無線電信を使用するものとする。(3)行動中の巡視船から稚内保安部に対して行なう視認関係報告は、別紙(1)に定める項目についてのみ無線電信を使用し、その他の項目については稚内帰投後直接報告するものとする。」  別紙(1)というのをここで読んでおきます。「視認報告項目、(1)発見者 (2)発見時間 (3)発見位置(4)艦種及び隻数 (5)進路及び速力 (6)写真撮影の有無」いいですか。「六、前項に必要な略号は一管本部において作成するものとする。」この暗号文もあとで紹介します。「七、視認した艦種については、写真撮影するとともにスケッチを行なうものとする。なお写真撮影に関しては別紙(2)に定めるデータを必ず記録しておくものとする。」別紙(2)も全部ここにありますが省略します。「八、本作業における報告は、下記により行なうものとする。(1)巡視船は帰投後直ちに別紙(3)に定める項目について、所属保安部に報告するものとする。(2)稚内保安部は本作業の実施状況について、その都度一管本部経由本庁に有線電話をもって報告するものとする。但し撮影済みフィルムはすみやかに一管本部経由、本庁宛て撮影データを付して送付するものとする。(3)本作業に関する詳細な報告は作業終了後別紙(4)の様式に取りまとめの上、文書にて報告するものとする。九、本作業は極秘に実施する必要があるので、関係者を極力限定するとともに、報告、通報等連絡に際し、あらかじめ担当者を定めておくものとする。十、本作業実施にあたり、特に相手側に適度の刺激を与え、あるいはきわめて危険と思われる際の行動は慎むものとする。十一、その他必要な事項についてはそのつど指示する。」  暗号電報は、保安部から巡視船に連絡する場合、全部読み上げておれば時間がかかりますから例をあげます。「目標に対する情報があり知らせる場合、例、本部からの情報によれば目標は西向中、十三時の位置、北緯四十二度三十五分、東経百四十五度十分、速力十ノットという場合には、暗号、欠員中の甲板員は網走十三時発、速軽乗りかえ、二時三十五分稚内五時十分着にて赴任、荷物十ないし十二個、こういうふうに電報を打て。巡視船から保安部に連絡する場合、艦種、隻数、速力、方向を知らせる場合、ペイントの残量次のとおりと言って打て。艦種の暗号、巡洋艦は赤、駆逐艦は白、潜水艦は黒、潜水母艦は青、観測船は黄、特殊艦は緑、」以下いろいろ書いてあります。とにかくソ連の艦船の行動を監視することだけを任務として巡視船が四隻ないし五隻常時出動しているわけです。このようなことをやっていないとあなたはおっしゃいますか、海上保安庁は……。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 いまおっしゃいましたのは、拝聴しておりましたが、私はそういう文書その他、見たことはございません。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それじゃ、その作業に従事しておりますある巡視船の航海日誌を披露いたします。自信がおありならその航海日誌を出していただきますから、あとで要求いたします。  昭和四十年十月のある日の巡視船の航海日誌です。「五時〇五分、ソ連警備艇百六十五号発見、接近す。五時十分、北緯四十五度四十四分東経百四十一度四十三分にて針路百六十五度に変針。両舷機、半進〜原進、五時二十五分、ソ連警備艇反転す。五時三十分、両舷機、半進〜撤進〜停止。五時三十三分、航海灯滅す。十一時四十五分、北緯四十五度四十一分、東経百四十一度四十五分にて針路三百二十度に変針、両舷機、微進〜平進〜原進。十二時、警備艇百六十五号視認。十二時二十五分、北緯四十五度四十七分、東経百四十一度三十七分にて針路百七十五度に変針。十三時六分、警備艇百六十五号右舷三百メートルに接近、同航す。北緯四十五度三十九分、東経百四十一度四十一分にて針路百十度に変針。十三時十分、警備艇百六十五号左舷四百メートルに変更、同航。十三時三十五分、北緯四十五度三十八分、東経百四十一度四十六分にて針路二百七十度に変針。」以下ずっと書いてあります。とにかくソ連の艦船を追尾し、これを写真撮影し、スケッチし、そのことだけを任務にしてやっている。こういうことが許されますか。あなたやってないというならば、いま私があげました巡視船の航海日誌をここに出す自信はございますか、いかがです。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 私は、いまの御質問あるいはお読みになりましたものを読んでおらない、自分自身見ておらないということは、先ほど申し上げましたとおりでございます。航海日誌にどの程度のところまで周囲の事情を記帳するかというような問題もあるかと思いますが、航海日誌がいまここにございませんわけですが、あるいは国会として、委員会として航海日誌を出せということでございますならば、いたしたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それじゃ委員長において、航海日誌と先ほど私が申し上げた作業実施要領を出していただくようにひとつ取り計らっていただきたいと思います。

福田一自由民主党

○福田委員長 この問題については、国際関係のこともこれあり、後刻理事会において必要性を認めた上で、必要ということになれば御趣旨のとおりに取り計らいたいと存じます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 議事進行。ただいま石橋委員は海上保安庁の巡視船の船名をも指摘し、それから行動についても、明確に石橋委員の調査による資料に基づいて指摘してお尋ねをいたしておるのであります。したがって、もし石橋委員の指摘した資料が間違いであるとするならば、これは私ども党にとっても重大であるし、したがって、いま石橋委員は、自分の提出したこの資料に基づいて、これは間違いであるかどうか、海上保安庁が当然資料を持っておるはずでございますから、その資料だけは出していただかなければ、この問題は審議ができないのであります。いま委員長は、後日理事会を開いてその資料については検討すると言われますけれども、私ども質問をするときに、いまお尋ねしなければ次の質問ができないじゃありませんか。したがって、質疑をすみやかに続けていくためにも、石橋委員から指摘されておるところの資料をただいま出していただきたい。海上保安庁は東京にあるはずだ、外国にはない。この種の資料は、出そうと思えばいつでも出せるわけでございますから、ただいま出していただきたい。巡視船が海上保安庁の庁法に適合した行動をとっておるかどうかは重大であります。日本の巡視船が国際的なスパイをやっておるのではないか、海上保安庁の庁法にそむく行動をしておるとすれば、国会としてもこれを厳重に監督をしなければならぬ責任を私ども感ずるわけでございますが、石橋委員はなお次の質問を用意しておる、その質問ができないのであります。したがって、私は資料の提出を強く委員長に要求をいたす次第であります。

福田一自由民主党

○福田委員長 議事進行についてただいまの御発言がありましたから、委員長から見解を申し上げたいと思います。ただいまのようないわゆる航海日誌のごときものについては、直ちに現場から取り寄せるということは非常に困難だと思います。したがって、こういうような事実があってその調査をいたしたいのであるならば、私は、質問者はあらかじめやはりこういう資料が必要であるということを先に通告していただければけっこうかと思うので、私は先ほど申し上げたようなことをお答えをいたしたのであります。したがって、私はこの問題はあとの問題として今後審議をしなければならないことがあるかもしれませんが、私は、質問者としてはそのことを事前に通告しておいでにならなかったのでありますから、続いて質問を継続していただきたいと思います。   〔野原(覺)委員「委員長、私の議事進行に対する発言に委員長が発言したのだから、発言させなさい。議事法にのっとって私は発言を求めている。」と呼ぶ〕

福田一自由民主党

○福田委員長 野原君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私は議事進行で申し上げましたことは、昭和四十年、昨年の十月の航海日誌なのです。これが出せないはずはない。これは航海日誌として石橋委員が指摘したのでございまするから、これが出せないはずはない。現場にあるのではない、海上保安庁にある。同時に、単に航海日誌だけではないのです。石橋委員はその行動の要領をいろいろ申し上げておるのです。これは、運輸大臣も保安庁長官もお聞きのように、その海上巡視船の行動について、しかもその暗号についてまで指摘して出しておるわけでございまするから、石橋委員の発言しておることが間違いであるのか、間違ってないのか、当然資料をもって政府のほうは答弁すべきじゃございませんか。したがって、委員長が理事会を開くということは私も一応了解できます。したがって、委員長、直ちにこの場で、いまそこで理事会を開いて、資料について協議されるように私は要求いたします。

福田一自由民主党

○福田委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔私語する者、臨席する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 速記を始めて。  静粛に願います。着席してください。  石橋君は、私のこの議事進行に対する答弁について、あるいはその事前に何か発言を求められることがありますか。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私は先ほど資料の要求をしたのですが、もう一つ具体的に、体験をした人たちの例を私はあげようと思っているのです。それをあげたあとで、この体験をした乗り組み員の中の幹部の人たちを証人として喚問してもらいたい、こういう要求を出すつもりです。

福田一自由民主党

○福田委員長 その発言もありますが、これは、私は、委員長はここでそれについての意見を述べることは差し控えます。  いずれにいたしましても、この際暫時休憩をいたしまして、そして理事会を開き、この問題をすみやかにいかに処置するかをきめたいと存じますので、暫時休憩いたします。    午後五時六分休憩      ————◇—————    午後七時三十三分開議

福田一自由民主党

○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 休憩前に私は特別哨戒という名のもとに海上保安庁の巡視船が特殊な任務を帯びて勤務についておる問題を取り上げたわけでございますが、政府においては、休憩中にいろいろ調査検討されたことと思いますので、その結果の御報告をひとつお願いいたしたいと思います。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 巡視艇は近海を哨戒し、情報について報告する任務を持っておりますが、行き過ぎた行動が外国に不快の印象を与えているとすれば重大でありますので、事実をよく調査し、かかることのなきよう善処いたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 総理にお尋ねをしたいわけですけれども、先ほどの質疑の内容もお聞きになっておられたわけでありますが、いま運輸大臣から答弁があった点についてどのようにお考えになっておられるか、所信のほどを伺っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま運輸大臣が答弁したとおりでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 私も、この問題を取り上げるに際しましては、ずいぶん配慮をしたつもりであります。事、国際問題でございますし、特に今回の総理大臣の施政方針演説の中でも「最近わが国とソ連との間に各方面にわたって善隣関係が積み上げられており、このほど椎名外務大臣が日ソ国交回復後わが国外務大臣として初めて訪ソしたことによっても実証されるところであります。相互の立場の尊重と内政不干渉の原則にのっとる限り、あらゆる国と平和的に共存することが可能であり、また、わが国もそのために努力を惜しむものではありません。」と二言触れておりますし、外務大臣の演説の中ではもっと積極的に「両国の善隣関係の発展は、アジアにおける緊張緩和、ひいては世界の平和に寄与するものであるとの信念をますますかたくした次第であります。」と述べておるわけです。こういった点をも勘案したわけでございますが、とにかく、こういった仕事に無理やりつかせられております海上保安庁の職員の諸君は、非常に不安と緊張の中に生きているわけなのです。たまらないという気持ちなのです。こんなことをするくらいなら、大砲を向けられるということはもうしょっちゅうなのですが、一発見舞わされたほうがましだ、そうすれば日本政府もやめるだろうといったような、非常に思い詰めた気持ちにもありますし、また国際的な慣行からいっても、国際法の面からいっても、許されることではないと思いましたので実は取り上げたわけであります。  しかし、これで十分に解明されたわけでもありませんし、ほかにもまだ海上保安庁関係で問題点もありますので、今後本委員会なりあるいはほかの常任委員会なりにおいて、懸案の問題を処理してまいりたいと思うわけです。  ただ、もう一点だけ確認をしておきたいと思うのは、前段で私がお尋ねをいたしました巡視船に大砲、実弾を積んでおるということは、これはどう見ても不穏当であります。しかも法律的にも明確ではありません。この点について私は、ぜひ大砲、実弾を早急におろす措置を講じてもらいたいと思うのですが、これについての総理の御見解を聞いておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 石橋君のただいまの質問につきましては、慎重に検討いたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 それでは最後に、運輸大臣と海上保安庁長官に一言答弁を願いたいと思うのですけれども、先ほど申し上げたような事情から私はこれを取り上げたわけですが、今後いたずらに出所その他等をあせくって、枝葉末節な行動に出ないことをここで確認していただきたいと思います。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 承知いたしました。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 大臣の御趣旨に従っていたします。

石橋政嗣日本社会党

○石橋委員 終わります。

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて石橋君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十年度政府関係機関補正予算に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————

福田一自由民主党

○福田委員長 引き続き、これより昭和四十年度政府関係機関補正予算を討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。楯兼次郎君。

楯兼次郎日本社会党

○楯委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和四十年度補正予算(機第3号)に対し、反対の立場に立って討論を行なうものであります。  この補正予算(機第3号)は、一言で言えば、要するに国鉄運賃値上げを内容とするものであります。本予算委員会における審議を通じて、物価問題が論議されるたびに、政府閣僚は答弁に窮し、佐藤総理に至っては、いたずらに真剣にということばを一日十数回も連発するありさまでありました。国民は、総理の真剣にということばのかわりに、国鉄運賃の値上げ分を政府が肩がわりすることを熱望いたしておるのであります。物価値上がり問題は、現在もはや単なる経済問題ではなく、重大な政治問題になっております。佐藤内閣の評判は、国民の間では必ずしもかんばしくないのでありまするが、その不人気の最大の原因は、言うまでもなく物価値上がりであります。  ところで、この物価値上がりに対し、佐藤内閣は今日までにどんな手を打ったのか、いな、手を打つどころか、さらに値上げを誘発する政策を実施しようとしております。国鉄運賃を上げれば、どんな理屈をも乗り越えて物価が上がることは当然のことであります。佐藤内閣も、国鉄運賃を上げればほかの物価も上がるという事実を認めないわけにはいきません。そこで政府はやむなく、この程度の値上げでは物価に及ぼす影響は〇・四%にすぎないという数字をばはじき出し、それによって国民の不安を静めようといたしております。しかしながら、国民はパーセンテージによって生活しているわけではありません。国民は、毎日乗る電車の運賃が上がり、定期券が上がることは、諸物価高騰に拍車をかけることを生活実態からしみじみとはだに感じとっているのであります。  ところでこの〇・四%という数字は、アメリカのある学者がつくりました産業連関表をもとにしてはじき出したものでありますが、この産業連関表のつくり方そのものが日本の実情に合わないとして、わが国の学者から批判されております。したがって、この数字は、学問的見地から見ましても大いに議論の余地のある数字であり、国民の生活の実態からかけ離れたものであるといえます。学者の間でも議論のあるようなこの数字で、どうして国民を納得させることができるでありましょうか。  政府は、国鉄運賃引き上げを合理化するために、昭和十一年を基準とすると、他の諸物価の値上がりに比べて国鉄運賃の上がり方は少ないから、値上げするのが当然であるかのような説明をいたしております。しかし、これもまたおかしな理由であります。もともと昭和十一年当時は、国鉄は完全な国有事業として、公社ではなく、その運賃は全く政府の政策の一環としてかってにきめられており、したがって、国鉄運賃と他の諸物価との関係は、現在のそれとは同一に論ずべきではないと思うのであります。この相違を無視して、機械的に昭和十一年と比べること自体が誤りであります。もしそういうことを言うならば、一体地価についてはどういうことになるでありましょう。そしてまた賃金は一体どういうことになるでありましょうか。こういう全体的な問題の検討を行なわずに、いたずらに機械的な比較を行なっても、それは運賃を引き上げる理由とはなり得ないのであります。  国鉄運賃の値上げは、単に国鉄だけの問題ではありません。それは自民党政府の全経済政策の破綻を示す赤信号であります。そして佐藤内閣は、この破綻を国民への負担転嫁という形でこれをとりつくろおうといたしております。こういう一時、的なびほう策は、その場しのぎとして何とかやりくりはつくかもしれませんが、しかし、それで問題は決して根本的に解決したわけではありません。問題をただ先に繰り延べただけで、将来また国鉄運賃の値上げという問題が起こることは、火を見るよりも明らかであります。殺人的な通勤地獄、続発する事故という毎日の新聞をにぎわす記事一つを指摘しただけで、国鉄がどれだけ深刻な問題をかかえているか、何人の目にも明らかであります。  この問題は、国鉄のワクの中だけで簡単に解決できる単純な問題ではございません。どうしても政府の総合的な経済政策が必要であります。この点で、一体政府は今日まで何をやったか。社会党は、国鉄問題を根本的に解決する方策の一環として、一方では地域開発に対するその方針を明らかにし、他方、国鉄が直面する緊急問題を解決するために、国鉄整備緊急措置法案を提案をいたしております。しかし自民党の諸君は、これを真剣二検討しようという気は毛頭なく、問答無用、これ、ただひたすらに運賃値上げだけを急いでいるありさまであります。こんなことで国鉄の直面する諸問題がどうして解決できるか。国鉄は公共企業体として独立採算制のたてまえの上に立っておりますが、陸上輸送の上においては、もはやその独占的地位を失いつつあります。この状況のもとで、独立採算制のワク内で運営される結果、もうかる線には投資の集中と列車の増発が行なわれる一方、ローカル列車と貨物とは時代の動きに逆行しつつあります。そして根本的な地域開発の計画がないために、東京、大阪などの過密都市はますますふくれ上がり、そのための過密ダイヤは国鉄職員に神わざといわれるほどの過重労働を強制いたしております。また国民は、毎朝毎夕通勤地獄の中で生命の危険に身をさらし、心身をすり減らして働いているのであります。その上にまた運賃値上げで乏しいふところから金をしぼり取ろうとする。一体日本に大衆のための政治はあるかと疑われるのは当然であります。  社会党は以上の理由に基づき、本補正予算案(機第3号)に対し反対をいたします。  これで討論を終わります。(拍手)

福田一自由民主党

○福田委員長 次いで三原朝雄君。

三原朝雄自由民主党

○三原委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)に対し、賛成の意を表明するものであります。  本補正の内容は、日本国有鉄道が、本年二月十五日以降、運賃改定を行なうこととしてもなお生ずると見込まれます運輸収入の減少額二百六十二億円を鉄道債券の発行等によって補てんいたし、修繕及び改良等の予定工事を着実に遂行しようとするもので、適切妥当な措置と信ずる次第であります。  ところで、本補正と関連する運賃の改定でありますが、御承知のとおり、最近における国鉄の財政状況は、三十九年度においてすでに三百億円の欠損を生じ、このまま推移するならば、本年度は約一千億円の欠損が見込まれ、経営状況は、いまや極度に悪化いたしているのであります。  他方、国鉄では昭和四十年度を初年度として、通勤輸送改善、過密ダイヤの緩和、保安対策の強化を主眼とする第三次長期計画の実施に入り、その所要資金につきましては大部分借り入れ金によることといたしておりますものの、もし現在の運賃水準のままでまいりますならば、昭和四十六年末には国鉄の借り入れ残高は四兆数千億円という膨大な金額に達するのであります。  このような状況にかんがみ、国鉄経営の健全性を保持しながら、長期計画の円滑な遂行を期するため、この際運賃の改定を行ない、運賃収入の二五%の増加をはかることといたしておるのであります。もとより運賃の改定は消費者物価抑制の見地より慎重な取り扱いを要するところでありますが、経営上の大幅な欠損、さらには過密ダイヤの現況、大都市近辺における通勤輸送の目に余る混雑ぶり等に思いをいたすとき、この際、必要最小限の運賃是正を行ない、所要の措置を講ずることは妥当なものと申さなければなりません。  運賃値上げにつきましては、当委員会におきましても、消費者物価と関連して、種々論議されたところでございますが、値上げ反対の理由として、国鉄の資本金は八十九億円という過小であり、また、国鉄の投資の中には、保安対策のような本来収益を生まないもの、あるいは通勤対策のごとき収益の増加をもたらさないものがあるから、政府は大幅に出資すること、また、運賃の特別措置等により年間約九百億円の公共負担をしているが、その分を国が補償すること等によって、運賃値上げを押えたらどうかというのであります。これらの御意見には傾聴すべきものなしとしない点もございますが、独立採算制をたてまえとする公共企業体という国鉄の性格からして、輸送サービスに対する対価は、受益者である利用者が負担すべきが原則ではなかろうかと思う次第でございまして、経営上の赤字の穴埋めや、改良工事等のための必要な資金を政府出資の増大によってまかない、運賃値上げを押えることは、運賃の負担を、国鉄を利用しない者をも含めた一般国民の租税負担に転嫁することであり、このような措置は、社会保障費のごとき場合には許さるべきでありましょうが、国鉄の利用者は常に低所得者とは限らないし、また国鉄運賃そのものが他の物価水準に比べ格別安く押えられておる現状より見て、妥当を欠くものと考えるのであります。  たとえば、昭和十一年の一般物価水準を一とした場合、昭和三十八年の卸売り物価は三四三、都市消費者物価は三九一であるにかかわらず、国鉄運賃は旅客一六〇、貨物二一七であり、また最近の消費者物価について見ても、三十五年を一〇〇とした場合、四十年の消費者物価総合では一四〇であるにかかわらず、旅客運賃は二四という低位にあり、今回の値上げも消費者物価に対する影響は〇・三%で、きわめて僅少であり、また欧米諸国の運賃水準の三分の一という低位にあるのであります。このように低く押えている運賃を、この際正常な姿に近づけようというのが今回の改定の趣旨であります。  もとより、国鉄が公共的使命を持っていることにかんがみ、運賃についても、生活必需物資等につき特別措置を講じ、また産業文化の発展のため多くの赤字路線を経営していることも事実でございますが、他面、国としては利子負担の軽減をはかるため多額の財政資金を投入していること、法人税の非課税、固定資産税にかわるに、同税額の二分の一相当額を市町村納付金として納付していること、国の出資については配当を求めないこと等々、一般私企業に比べ特別の扱いをいたしており、公共性と独立採算制との調和について、慎重な、考慮が払われているのでありまして、かかる意味から今回の運賃の是正については、野党の諸君もこれを容認されることが妥当ではなかろうかと存ずる次第であります。  なお、この運賃改正法案がいまだに本院で審議中で、予定の施行日を経過してしまったことはまことに遺憾のきわみであります。当予算委員会における政府の答弁によれば、運賃改定による増収分は一日四億数千万円が見込まれるから、改定の実施日が予定より数日程度の遅延であれば、何とか内部の操作で処理もできようが、それ以上遅延する場合には、国鉄業務の運営に重大な支障を来たすとのことでありますが、私どもはこの際、法案の可及的すみやかな可決成立を強く望んでやまないところであります。  以上をもちまして私の討論を終わります。(拍手)

福田一自由民主党

○福田委員長 次に竹谷源太郎君。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度政府関係機関補正予算案(機第3号)に対し、反対の討論を行ないます。  本案は、国鉄が四十年度において旅客と貨物との輸送量の減少による運賃収入減に伴う予算の補正であって、これが資金確保のため、平均二五%の運賃値上げと二百六十二億円の鉄道債券の発行を行なわんとするものであります。  われわれは、まず、運輸収入の減少を安易な運賃値上げによって補おうとする政府と国鉄当局は、はなはだけしからぬことをするものと思うのであります。国鉄運賃が厳密な意味で原価主義をとり得ないことは、国鉄の持つ公益性という性格から当然であります。しかも国鉄が公益性のために年々負担する金額は三十九年度で八百六十八億円に達しますが、なお四十年度は九百億円、四十一年度は千百億円と見込まれております。かかる膨大な公共負担は当然国家が負担すべきものと考えます。運賃値上げという措置をとる前に、まず政府が国鉄に大幅な財政支出を行ない、国鉄の公益性をさらに高めるべきものと考えます。  また、政府と国鉄当局の説明によれば、国鉄運賃値上げは国民空活に及ぼす影響きわめて軽微であるとしていることは、大きな誤りであります。なお、国鉄運賃値上げの予報が伝わりますや、私鉄運賃値上げが一斉に申請され、一月二十日から実施されました。メジロ押しに公共料金の値上げがあとから続いております。諸物価高騰の大きな波紋を投げておるのであります。値上げの時期、幅におきましてもきわめて不当であり、政府の物価政策の無責任さを糾弾ぜざるを得ません。  この予算案は二月十五日国鉄運賃値上げを織り込んだものであり、二月十七日の今日、すでに三日分の減収で数字が合っておりません。  わが党は、現時点における運賃値上げに反対するとともに、当面国鉄事業計画に支障を来たす資金の不足については、国鉄の経営合理化とともに、政府の財政支出によってまかなうべきものであると考えます。  以上の理由によりまして、この補正予算案に対しまして強く反対を表明するものであります。(拍手)

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第3号)について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

福田一自由民主党

○福田委員長 起立多数。よって、昭和四十年度政府関係機関補正予算は、原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕

福田一自由民主党

○福田委員長 次会は明十八日午前十時より委員会を開会し、昭和四十一年度総予算に対する一般質疑を続行いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時二分散会

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