予算委員会 第10号
- 発言数
- 326 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/02/10
会議録
○福田委員長 これより会議を開きます。 昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際申し上げます。ただいま参考人として日本銀行総裁宇佐美洵君の出席をいただいております。 宇佐美参考人には御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとう存じます。 なお、宇佐美参考人の御出席は、おおむね一時間程度であります。また、同君の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしますので、御了承を願います。 それではこれより質疑に入ります。加藤清二君。
○加藤(清)委員 宇佐美さんの御都合があるそうでございますので、質問の順序を変えまして、最初に日銀総裁に質問を集中したいと存じます。 まず最初に、中小企業の倒産が歴史始まって以来最高の率を示したわけでございまするが、この中小企業の倒産の実態について御説明を願いたいと存じます。
○三木国務大臣 中小企業の倒産は、昨年度約六千件ほどの倒産がございまして、一月には三百数十件ということで多少減少の傾向はございましたが、依然として中小企業の倒産はあまり減らない。その原因というものは、資金の面においては、できるだけの手配をいたすことにいたしておりますし、各通産局においても、臨時不況対策本部を設けて、そしてきめこまかく相談に乗るように、まじめにやっておる中小企業が倒産するようなことはできるだけ防止するようにという強い指示を行なっておるわけでありますが、何ぶんにも全体として一番困っておるのは受注が減ったということ、仕事がない、こういう訴えが相談室に対しても多いのでございます。したがって、これは全体の日本の景気の回復ということとも、中小企業の対策としては非常な関連性を持っておるというふうに考えております。
○加藤(清)委員 ただいま通産大臣にお答えをいただきましたように、去年の倒産の累計は六千件の余でございます。一日二十件の余ずつ倒れておるわけでございます。まさに交通事故の死傷者と中小企業の倒産は日本の不名誉な名物の一つになっているわけでございます。このことが不況の端的なあらわれでございます。これを解消するために、すでに、本院は与野党一致して、この倒産の状況を一日も早く解消するようにと院議をもって議決しているわけでございます。小川平二さんがその趣旨説明に立っておられることはすでに御案内のとおりでございます。そのときの覚悟のほどをもう一度佐藤総理にここで披瀝していただきたいと存じます。
○佐藤内閣総理大臣 今日の不況克服、また、物価の安定、この二つが私どもの内閣に課せられた政治的課題だ、かように考えておりますが、その不況克服、特に中小企業の方々が非常な圧力を受け、また、圧迫を受け、倒産件数が非常に多数出ている、まことに痛ましい限りでありまして、私は経済の不況を一日も早く克服しなければならない、かように考えております。院議をもって決議もされたことでありますし・また、かねてから中小企業の振興のために、中小企業基本法も制定しておることでありますし、各般の問題はそれぞれ整備されておる、かように思います。この上は、総合的な対策に力を入れ、また、その成果が一日も早く上がるように一そう努力してまいるつもりでございます。
○加藤(清)委員 その覚悟たるやもって壮とすべきでございまして、私も大賛成でござ知ます。院議をもって決議されたこのことを具体的に実現していただきたいと思うのでございます。あなたの施政演説にもございましたように、今国会の目的が不況克服にある、国民生活の安定にあるんだということでありとするならば、まず第一番に、この不況に悩むところの、中小企業倒産旋風にあおりまくられるところの中小企業、これの対策を施し、倒産をなからしめてこそほんとうの不況克服だと思うのです。しからずんば揚言不実行ということに相なるわけでございます。 さてそこで、その原因を探求するまでもなく、ただいま通産大臣のおっしゃられましたとおり、仕事がないということが第一の原因なんです。その次は金がないということでございます。ところが、銀行を調べてみますると、オーバーローンということばが歴史的にはやっているわけでございます。したがって、日銀の総裁にオーバーローンの実態と今日の状態を御説明願いたい。
○宇佐美参考人 この中小企業の問題につきましては、私どもも、ただいま御指摘がございましたとおり、倒産が過去一年間におきまして非常な高水準に起こっておるということはまことに遺憾に思う次第でありますが、これはいろいろの理由がございまして、当面私どもとしては、金融面から何とかしてこれを緩和してそういう事件の減少を極力はからなければならぬと思いまして、金融面の緩和については、御承知のように、昨年当初からつとめてきたつもりでございます。 オーバーローンの状態でございますが、確かにいまでも銀行のオーバーローンは続いておりますけれども、その内容は少しずつ変わってきておるのであります。すなわち、輸出の振興あるいは証券に対する貸し出し等がございまして、各銀行のそれらのものを除きましたほんとうの意味の銀行貸し出しのオーバーローンは、だんだん減少いたしてきておるという次第でございます。したがって、現在、金融面からの倒産は、むろんその理由の中に大きくは占めておりますけれども、しかし、だんだん緩和してきているのではないか、かように考えておる次第であります。
○加藤(清)委員 公社債市場が近々に再開されると聞いております。その前提条件としても、金融不正常であるところのオーバーローンは解消してかかることが最も必要なことだと思われます。したがって、私が承りたいのは、中小企業は銭がない、金融引き締めである、そういうやさきに、どうして銀行ではオーバーローンという貸し出し過ぎた、逆な現象が起こるだろうかということであります。その額は一体今日ではどの程度であるか、数字でお示し願いたいのでございます。
○宇佐美参考人 ただいま日本銀行として金融機関に貸し出ししておるのは約一兆二、三千億、かように考えております。
○加藤(清)委員 公社債市場はいつ再開されますか。
○宇佐美参考人 公社債市場は、七日から上場いたしております。
○加藤(清)委員 次に、この中小企業のいわゆる金欠病、中小企業にとっては、仕事は食べものと一緒でございます。金は血液と一緒でございます。食べものが足らぬ、血液が足らぬというのですから、これは倒れるのがあたりまえでございます。その血液が足りない、金が足りないという原因の一つに歩積み・両建てという問題があるわけでございます。さて、この歩積み・両建てにつきましては、古くて新しい問題でございまして、池田総理が蔵相のころから非常に苦労された問題でございます。私は、これを解消することが池田前総理の悲願を達成させてあげる供養の一つになることだと思うわけでございます。そこで、中小企業に対する歩積み・両建てについて総裁はどのように把握していらっしゃいますか。
○宇佐美参考人 歩積み・両建てにつきましては、私どもも非常に遺憾に思いまして、大蔵省とともに時々検査をいたしましたり、あるいはまた、協会に対しましてその改善を望んでおることは御承知のとおりだと思います。したがいまして、現在、私どもが調査した結果につきましては、普通銀行におきましてはかなり改善を見たと考えております。また、中小企業の金融機関につきましても、漸次改善を見ておることと思うのであります。ただ、この問題は非常にデリケートでございまして、銀行の検査だけではなかなかいかないと思いまして、日本銀行としても、そういう非難の起きないように、また、銀行協会もそういう問題についての苦情のないようにつとめるように常時指導いたしておるつもりでございます。ただ、まだ個々にいろいろの事例があることを耳にいたしておりますが、これらのことにつきましては、今後も極力改善いたしてまいりたいと考えておるところでございます。
○加藤(清)委員 極力改善するというおことばでございまするが、これは過去十二回にわたって大蔵省から銀行協会に対して注意が行なわれているわけでございます。にもかかわりませず、依然としてこれが解消しない。これが中小企業倒産の原因であるということはよくおわかりでございまするから、今後これがあったら、日銀総裁としてはこれに対してどのような態度で臨まれようとなさっていらっしゃるのでございますか。
○宇佐美参考人 非常に多くの金融機関の数がございますので、極力検査を進め、また、検査の及ばないところにつきましては、大蔵省ともよく御連絡いたしまして、少しでもこの減少につとめなければならない。また、起こった事例がはっきりしましたときは、われわれとしましてそれぞれの機関を通じ、あるいは直接に厳重なる警告をいたして解消につとめなければならないと思っております。全体としては改善に向かっておると思いますが、個々にはなおいろいろの問題があるやに聞いております。
○加藤(清)委員 次に、山一問題についてお尋ねいたしますが、山一証券に日銀から直接貸し出されている金額はいかほどであるか、もう一度念のためお尋ねいたします。同時に、それはいかなる目的で行なわれたか、いかなる法律的根拠によって行なわれたか、この三点でございます。
○宇佐美参考人 山一証券に対する特別融資は、現在二百八十二億になっております。 ところで、どういうことでそういうことをやったかということにつきましては、当時、昨年の五月二十八日に発表いたしまして、大蔵大臣に日銀法二十五条による認可を得て、二十九日にこれを実行に移したわけでございます。 当時の状況を回顧いたしますと、この証券界の非常な不安につきまして、特に山一につきまして、一昨年からいろいろのうわさを聞いておりまして、これが改善につとめてまいりまして、御承知のように、一昨年の十一月には社長の更迭もいたしまして、人事の刷新と同時に合理化を進めてまいったのでございますが、その後、この問題がだんだん世間にも問題になってきまして、特に五月になりましてから、御承知の証券会社十九社がやっております運用預かりという問題につきまして、当時その残高は二千九百三十億、約三千億に、それは十九社の合計でありますが、なっておりまして、そうして運用預かりに預けております件数は百八十万件にのぼったのであります。つまり一口当たり二十万足らずという少額であったわけでございます。これが非常な不安のもとになりまして、山一証券をはじめ各社にその解約、引き出しがだんだん起こってまいったのであります。そこで、私どももその状況をしさいに注意いたしておりましたが、だんだん深刻になってまいりまして、各方面でもこれを論ぜられるというふうになりまして、二十五日あたりになりますと、かなりの激しい引き出し、現実には引き出しが起こらなくても、引き出したいということで解約に行きますと、これの延期をいろいろ説得しましてやったわけでございますが、各社にかなりの影響を及ぼしてきました。 〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 私どもは、普通の場合と違いまして、こういう多数の人が比較的少額のものの運用預かりで不安を起こしますと非常に危険であるというふうに考えたわけでございます。したがって、山一をどうするということでなくて、証券界の不安を除かなければならない、証券界の不安が非常に起こりますと、ひいては一般金融界にも及ぶ。この運用頂かりを山一だけがやっておりましたならば簡単でございますけれども、ほとんどの有力な証券会社が全部やっておる。しかも、その総額は三千億になっておるということで、その影響するところ非常に大きいと思いまして、特別融資の扱いを大蔵大臣にその認可を申請してやったわけであります。したがって、この五月の末にそれをきめましてやりましてから、これは次第に鎮静をいたしまして、運用預かりの不安、あるいは証券に対する不安がおさまりまして、八月、九月という月にはもうほとんどその不安が鎮静した、こういうことになった次第であります。そういうわけでございますので、これは、われわれとしましては山一証券の救済というよりも、これをほうっておくと証券界全体の問題になるという認識のもとに、大蔵大臣に申請した次第でございます。
○加藤(清)委員 この問題は、いずれ大蔵、商工ないしはこのたび特別に設けられました物価対策特別委員会等々において深く掘り下げられる問題だと思いますから、その意見の相違はそこで開陳するとして、承っておきたいことは、この前の中澤君の質問に対しては、これは全体のためにやったとおっしゃいました。ところで本日は、証券界の不安を除くためにやったんだとおっしゃられました。全体のためということばは、これは証券界全体のためであって、そこへお世話になっている大衆投資家のためではなかったのですか。いずれでございますか。
○宇佐美参考人 ただいま申し上げましたとおり、全体のためということは、証券界のためであり、ひいては金融界のためということでございますが、そのためということは、結局その会社を通じてそれに取引されておる大衆全体のためであると御解釈を願いたいと思います。 さらに、私どもが申請しましたのは、二十五条をごらんくださいますとわかりますとおり、信用秩序を保持する、こういう広い立場から申請したように思い、また、大蔵大臣もそういう立場からこれを認可されたものだと信じております。
○加藤(清)委員 それこそ国民にわかるような御説明をお願いしたいわけですが、全体のためにやったとおっしゃられても——山一は確かに立ち直りました。ディーラーか第二会社か知らぬけれども、新しいものをつくってどうこうといううわさも出ておりますけれども、とにかく一応立ら直ったようでございます。しかし、ここへ投資をしております大衆の資金、すなわち特に問題になります点は、投資証券の元本割れでございます。五千円が五年先には七千円余にならなければならないものが、今日は三千五百円から四千円でございます。投資証券でございます。これがはたして守られているのかいないのか。もし私がいま山一へ行って、あなたのところは政府のおかげで立て直してもらったのだから、さあ私のこれも立て直しでください、解約するから一万円札にしてくれと言うたら、一体元本は戻ってくるのかこないのか。大衆はこの点において守られているのかいないのか、この点はいかがでございましょうか。
○宇佐美参考人 山一がとにかくいま再建計画を進めておりますけれども、ただいまお話し申し上げましたとおり、株式市場、証券市場、金融市場がだんだん落ちついてまいりましたので、もしもあのときそういう処置をとらなかった場合は、たいへんなことになっただろうといまでも私は考えております。したがって、この処置は、いまおっしゃいましたとおりいろいろの面でなお問題があると思いますが、しかし、御承知のように、株式市場もだいぶ立ち直ってまいりましたし、金融もだんだん緩和状態になってきまして、今後それらの問題を含めまして回復の方向に向かっていくことは間違いないことだと思っております。
○加藤(清)委員 それはまたあとの委員会で行なうことといたしますが、この際特にその点についてお尋ねしたいととは、運用預かりの将来性でございます。授権資本よりも大きな数の運用預かりをするということは、すでにそれ自体が間違いでございます。オーバーローンは銀行だけのことかと思ったら、証券界までがこの運用預かりという手を通じてオーバーローンの道へと突っ込んでおったのでございます。ここに問題があるのです。そこで、オーバーローンを解消したいとおっしゃられるあなたは、この証券界の運用預かり、しかも、自分のずうたいよりもなお大きなものをしょい込んでかってな行為をするというこの運用預かりを、将来あなたはどうなさろうとしていらっしゃるのか、今日どうしようとしていらっしゃるのか、これを承りたい。
○宇佐美参考人 この問題につきまして、きょうは参考人でございますので、参考人という立場から申し上げますと、やはりこの金融界のことは、そこまで入っておりますと、急激に全部これを直すことは容易ではございません。直す方向に進めていくということが大事だと思うのであります。したがって、運用預かりの問題につきましても、これは政府におかれて御検討になっており、われわれもまたその問題について研究しておりますが、漸次いま御指摘のような点は改善していかなければならないと考えております。
○加藤(清)委員 これは改善するというお答えでございますので、至急それをやっていただきたいのでございますが、総裁としてはいつごろからおやりになる御予定でございましょうか。
○宇佐美参考人 参考人としての意見は、いつごろという時間を限って申し上げられませんが、その方向に進めていくということでございます。
○加藤(清)委員 わかりました。それでは、この際大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大蔵大臣としては、この大きな間違いをつくったところの最大原因である証券界の運用預かり、これにつきまして、総裁はいま改善させなければならぬと一おっしゃられました。あなたの御所見として、もしあなたも同様な御意見であったとすれば、いつからおやりになるか、これを承りたい。
○福田(赳)国務大臣 運用預かりは金融機関における預金と同じような性格も持っておるわけであります。さようなことから、運用預かりというものにつきましては、非常に厳格にこれを見ていかなければならぬ、かような考え方でございます。したがいまして、いっそういう考えで容動いていくかというお話でありますが、すでにそういう考え方で行政の指導に当たっております。
○加藤(清)委員 すでに行なっているとおっしゃられますが、運用預かりというとことばはよろしゅうございますけれども、これは、人の財産を預かった人間がかってに使うということなんです。人の財産なんです。国民の財産を預かった連中がかってに使って、それを担保にしてまた借りるということなんです。そこで大きな穴があいた。明らかに、いわば不正事件だ。民間でこんなことが行なわれたら、これはたいへんなことなんだ。人の財産を預かっておいて、かってに使って欠損させたなんといったら、これはあなた、たいへんなことなんですよ。だから、すでにやっておるのでなしに、きょう心を新たにして、どのような態度で臨むかをもっとはっきりしてもらいたい。
○福田(赳)国務大臣 すでにそういう考え方で行政に当たっておるわけでありまするが、さらにこの問題については気をつけていきたい、かように考えます。
○加藤(清)委員 それでは、最後に総裁にお尋ねいたします。 人の財産、預かった人の財産をかってに使って大穴をあけるような山一に対して、あなたは二百八十二億という国民の金をお貸しになったわけでございます。さてそれについて、金を貸した以上は担保をお取りになったと存じまするが、担保の物件は一体何であったか、その物件の内容の一覧とその時価、評価価額をお示し願いたい。
○宇佐美参考人 山一の整理状態につきましては、ただいま再建計画につきまして進行中でございますので、数字をあげて申し上げるわけにいきませんが、担保の点につきましては、すでに日本銀行として、関係銀行を通じて時価約二十億ぐらいのものを、現在われわれが知っている限りのものは全部提供を受けて、これを日本銀行の債権といいますか、手続をいたしたわけでございます。
○加藤(清)委員 二百八十二億に対して二十億の担保物件とおっしゃられましたか。それはほんとうでございますか。もう一度お尋ねします。二十億でございますか、二百億でございますか。
○宇佐美参考人 二十億でございます。
○加藤(清)委員 はい、わかりました。
○宇佐美参考人 追加さしていただきます。当時山一の状態は、日本銀行に差し入れてもらうものは、極力つとめました結果それくらいでございます。ただ、当時の状態は、先ほど申し上げましたとおり、山一の運用預かりは、全体として三千億ということを申し上げましたが、そのうち六百億以上ございました。そのうち幾ら引き出しが行なわれ、解約が行なわれたかということは計算ができませんでした。したがって、なるべく少ない数字にいたしたいということでございましたが、二十五条を申請いたしました理由は、当時担保の点で、おそらくこれくらいでは問題にならぬだろうということで、そのすべてのものは再建計画に譲るということで大蔵大臣に申請したわけでございます。これは、全体のためにこれをやらなければ——まあ、いろいろの見方がございますが、証券界、あるいは他の見方をいえば大衆が非常な損害を受けるということに私どもは考えまして、担保の点は、不十分だということは初めからわかっておりまして、また、担保が十分ございましたら二十五条の申請は必要がないのでございますので、その意味において、証券界といいますか、大衆のためにやむを得ずこの処置をしたことを御了承願いたいと思います。
○加藤(清)委員 私は、最後にとんでもない御答弁をいただいたと思うのです。中小企業が金を借りまするおり、金が足りないで金欠病になって死ぬ、倒産するというやさきに、金を借りたいというときにどういう条件をつけられるか、あなたは銀行マンでございますからよく御存じのとおりでございます。最良の場合でも八八、六十四で、六割四分にしか見られません。すなわち二倍近い担保を取られるわけでございます。いわんや倒産直前の会社であれば、三倍、五倍と銀行は要求するのでございます。にもかかわりませず、あなたはいま大衆のためだとおっしゃられましたけれども、日銀の金それ自体が大衆の金なんです。国家の金なんです。それを、何と二百八十二億貸すにあたって、その十四分の一の二十億の担保物件で、それでかんべんしてやったということになったら、これを聞いたら中小企業は何と言うでございましょう。大衆のためだとおっしゃられました。日銀の金は、大衆の金であり、国家の金でございます。その権威を保つのがあなたの責任でございます。そういう立場にいらせられる方が、片や中小企業に貸すときには三倍、五倍の担保を取らなければ貸さない、金はあるけれども貸さないというのが今日の実態なんです。そういうやさきに、片や十四分の一の担保物件で貸して、それで大衆のためになると、私はこの感覚がわからない。 そこで、それは済んだことですからやむを得ぬとしても、なおその二十億の内容を明らかにしていただかなければ、私どもはとてもついていかれません。その内容さえも不明瞭であるということであれば、国民の疑惑、いや疑惑よりは、中小企業の恨みはここへきゅう然として集まって、国会不信任の材料になると思います。今日の政府不信任の材料になると思います。この際二十億でもいい、百円のカタにあみがさ一蓋であったならば、あみがさ一蓋の内容をはっきりとお示し願いたいのでございます。
○宇佐美参考人 前から再三申し上げましたとおり、この山一の問題をきっかけにしまして、証券界はむろんでございますが、日本全体の秩序が乱れるということは一むろん私も中小企業の問題が非常に大事である、倒産が非常に起こっておるということはよく存じております。しかし同時に、それだからこの信用秩序の危機になった場合に、これはさらに大問題に発展するということでございますので、われわれは信用秩序を守るという立場から、まことに異例でございましたが、緊急に大蔵大臣に特別融資をお願いしまして、そうして、とにかく信用秩序を守って、その上のことだというふうに考えております。これは決して中小企業をほうっておくということではございません。それに対しましては、大蔵省も同様でございますが、われわれも直接あるいは間接に、中小企業の問題につきましては、金融面から極力これに協力するように常に指示しておるところでございます。
○加藤(清)委員 ねばならぬ理由はよくわかりましたから、せめて私どもが国民に向かって、あのような膨大な金を貸したけれども、実は担保はこれこれあったんだ、ずさんな貸し方ではなかったということをはっきりさせるためにも、担保物件の内容一覧、それの時価相場、何と何が幾らと見積もられて二十億という設定になったか、これを明らかにしてもらいたい。これを示されぬ限りにおいては、これは納得することができません。示されますか、示されませんか。
○宇佐美参考人 いま再建計画を進めておりますので、これらの問題を含めまして、決定するまで御猶予を願いたいと思います。
○加藤(清)委員 決定されたら内容はお示しになりますか、なりませんか。
○宇佐美参考人 その内容よりも、その二十億の担保をわれわれが要求したということで御信頼を願いたいと思います。その内容は、必要に応じて再建計画のうちでおのずからわかるようにいたしたいと思っております。
○加藤(清)委員 それは納得できませんよ。世間では一番いい条件で八、八、六割四分にしか見られないということをいっている。倒産直前の会社だったら三倍、五倍の担保をとられるということをいっている。それが国民の常識なんです。国民はそう思っているのです。にもかかわらず、山一だけは十四分の一の担保でこれを許可したということになれば、よほどその内容がりっぱなものであった、でなければ納得ができないのです。ですから、再建計画、それはけっこうでございます。再建計画は当然です。再建計画が終わったら示すとおっしゃられましたが、再建計画はいつでございます。その終わるのは。
○宇佐美参考人 私どもは、二十億担保があるから二百八十二億を出したのではございません。むろん考慮の中には入っておりますけれども、それよりも大切なのは、そのときの信用をいかにして維持するかという点でございます。したがって、信用を回復し、そうして、御承知のように非常に不安の人気がありました問題をとにかく食いとめるというためにこの問題が起こったのであります。しかし、この委員会全体が問題というならば、これは検討して御返事を申し上げたいと思います。私は、再建計画がいつ出るかということの御質問もございましたが、これは極力早く出したいと思いますが、非常に複雑でございますので、もうしばらく時間がかかるのではないか、かように考えております。
○加藤(清)委員 もうしばらくではわからないのです。あなたも銀行マンです。期日が命取りであるということは、あなたはよう御存じなんです。だから聞いている。いつでございますかと聞いている。
○宇佐美参考人 それは、ざっくばらんに申し上げますと、いまの株式市場の状態から考えまして、これを急ぐよりも、拙速よりも、やはり十分いろいろ考えてやったほうがいいのではないかと考えておりますので、何日まで出せということには、私は参考人として御返事できません。
○加藤(清)委員 私は何日までに出せと言うておるのではない。あなたがすみやかに出すとおっしゃられたから、それで、それはいつでございますかとお尋ねしている。そうしたら、今度は、あわてちゃいかぬ、こうおつしゃる。前の答弁といまの答弁とが矛盾しております。 そこで、まあそれはいいとして、山一が再建できなかったらどうなるかという問題について。どんどんまたこれから日銀の金をつぎ込んでいくのか、再建できるまでどんどこどんどこつぎ込んでいくのか。(「そうはいかない」と呼ぶ者あり)それとも、そうはいかないという声がいまあります。ごもっともな声です。そうはいかなかったら、再建できなかったら、一体その欠損はだれが補うのか。もう一つ、その際の経営者の企業責任についてあなたはどう思っていらっしゃるのか。経営者は、一体有限責任であったのか無限責任であったのか。自分の私有財産は投げ出したのか投げ出さないのか。私も、実は銀行を倒したという悲しい経験を持っておるものでございます。私ではありませんが、持っております。いかにそれが悲劇であるかということを身に体して知っております。だから、私は責任者を殺せとか罰せよと言うわけではございません。しかし、当然の義務として、国民に対する申しわけとして、自分の私有財産、これは責任を持って国民に納得のいくような措置をとらなければならぬと思いまするが、これについて日銀としてはいかなる御指導をなさったのでございますか。いかなるサゼスチョンをなさっていらっしゃるのでございますか。
○宇佐美参考人 再三申し上げましたとおり、私どもは全体の金融秩序を守るということを最大の問題といたしております。したがって、今度の特別融資も全体のために行なっておるということをどうぞ御了解を。私は、あるいはことばがまずいかもしれませんけれども、そういう気持ち、そういう方針でやっておりますから、どうぞ御了承を願いたいと思います。 なお、ただいま重役の問題もございましたが、これは、やはりわれわれとしてはできるだけの提供を求めまして、これは法律的措置ではございませんが、経営者自体、重役自体がみずから進んで出してきたものが約一億五千万か八千万か、ちょっといまここで——一億八千万、全体でそれくらいのものを提供したと思っております。
○加藤(清)委員 私は、この際、参考人でいらっしゃいまするから、質問はこの程度に打ち切りまするが、総裁の過去のキャリアとあなたの人格を信頼しておまかせいたしまするけれども、先ほど要望しましたところの担保物件の内容、これだけは可及的すみやかに資料として御提出のほどをお願いします。どうも御苦労さんでございました。どうもすみませんでした。 さて、これについて大蔵大臣は一体どうお考えでございまするか、大蔵大臣の御所見をお願いします。
○福田(赳)国務大臣 昨年の五月に政府、日本銀行が山一証券の処置についてとりました措置、これは当時の経済界の動きから見なければいかぬと思うのです。あのころは、株価がもう低落の一途である、どこまでいくかわからぬ、各証券会社ともいずれも戦々恐々たる状態であった。また証券会社に対する債権者、また証券会社に対するいろいろの関係を持つ大衆、これも非常な不安の状態であった。もしああいう際に山一証券の倒産というようなものが起こりますれば、一波万波を呼びまして、これはひとり山一証券のことじゃない。これは証券界ばかりの問題じゃない。日本の金融機関の中枢に異変を起こし、これがひいては日本経済全体に大きな影響を及ぼすだろう、こういうことであの非常の措置がとられたわけでございます。その結果、もしそういうことがなかりせば大衆にも非常な迷惑が及んだであろう、その迷惑が非常に局限されて事は済んでおる、これが今日の実情かと思うのであります。 問題は、今後山一証券の処理をどういうふうに進めていくかということでございまするが、これは、目下関係者の間で話がぽつぽつと進行の過程にあるようであります。まだ私はその方向につきまして報告は受けておりませんけれども、要するに、結局大衆を保護しなければならぬ、これはもうもちろんでありまするが、そういうたてまえに立ちまして、先般中澤さんからもお話がありました、またきょう加藤さんからもお話がありましたが、大債権者たる銀行、また経営責任者である株主、みんなが責任をしょって、そしてその山一の再建が円滑にいくように、しかも、この再建が国民全体から見て納得される形で行なわれるようにという方向でいかなければならぬ、さような考えでございます。
○加藤(清)委員 大蔵大臣は気が楽ですよ。なぜかならば、あなたはこれを指図なさって二十五条の許可をなさったんじゃないんですからね。これは気が楽です。しかし、いまおっしゃられましたように、これが救済策、これが再建策については、ひとつあなたの全力をしぼって、可及的すみやかに処理していただきたい。同時に、国民が納得してくれなければなりません。それでなければ公債に影響がきます。あなたが七千三百億出そうとする公債に影響がある。これの市中消化に影響がございまするから、したがって、あなたとしては、せめて十四分の一の担保の内容ぐらいは国民に示すべきだと思います。 同時に、企業の責任が非常に軽視されている。操短率三割以上、この責任は企業家の責任なんです。オーバーローン、やっちゃいけない法律違反、これは銀行マンの責任なんです。それをてんとして恥じない。労働組合に向かっては、工場を一時間とめたらその責任者は首ものでございます。ところが、企業のあやまち、自分の計算のあやまちで設備の三割を、四割を、半年も一年も十年もとめていても、この企業家の責任は問われない。こんなばかげた責任の所在、そういう考え方、そういう企業に対する姿勢、そのまた姿勢を許しているところの政治家の姿勢、これがあやまちなんだ。これについて総理の御所見を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 最近の経済不況がどうしてできたか、それをいろいろ私どもたずねてまいりますと、ただいま言われるような責任の所在が明確でない。この点は、もちろん今後の問題として姿勢を正す。政治家が姿勢を正すことももちろんですが、企業家の責任において処理していくということでなければならないと思います。
○加藤(清)委員 公取にお尋ねいたします。 歩積み・両建ての実態の御説明を願いたい。 〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕
○北島政府委員 お答え申し上げます。 公正取引委員会といたしましては、ただいままで四回にわたりまして歩積み・両建て預金の実態を調査いたしました。第一回は三十九年三月末現在、第二回が三十九年九月末現在、第三回が昨年の三月末現在、さらに第四回は昨年の十一月末現在をもって調査いたしております。調査の方法といたしましては、中小企業者に対しましてアンケートによりまして調査いたしたのでございまして、この点は大蔵省の御調査と必ずしも一致するものではございませんが、それによりますと、昭和三十九年末における一切の拘束預金の貸し出し金に対する割合、すなわち貸し付け金に対して、そのうち何割があらゆる種類の拘束預金になっておるかという数字で申し上げますと、三十九年三月末が二九・三%、それから三十九年九月末は二八・九%で、この間ほとんどたいした改善はございませんが、昨年、四十年三月末現在の調査によりますと、これが二一・五%になっております。ただ、昨年の十一月末現在の調査につきましては、目下集計中でございまして、数字が出ておりませんが、ただいままでの調査の結果は、数字的にはそのようになっております。
○加藤(清)委員 やや少なくなる傾向にはあるけれども、なお依然として三割近い拘束預金がある。中小企業に関しては、貸し金の六割から五割が預金されている、大体現在はこういうことですね。
○北島政府委員 昨年の三月末現在で、ただいま申しましたように二〇%、すなわち貸し付け金に対して二〇%程度のものが拘束されているということでございます。もっともその拘束の内容につきましては、これは大蔵省の御調査と内容が違いますし、また、一切の拘束預金についての調べでございます。
○加藤(清)委員 大蔵省の本件に関する調査報告を求めます。
○福田(赳)国務大臣 銀行局長に答弁いたさせます。
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。 大蔵省におきましては、先生御承知のように、三十九年五月以来今日まで、毎年五月、十一月末現在をもって金融機関からの報告を徴しております。最も最近の報告は昨年の十一月末現在でございます。これは、加藤先生御要求の資料で、すでにお手元へ差し上げてございますが、四十年十一月末現在におきますところの自粛対象預金の額は、これを金融機関別に申し上げますと、都市銀行におきましてはおおむね解消いたしております。それから地方銀行におきましては、ごくわずかながら残っておりますが、ほぼ解消、相互銀行におきまして六百四十二億円の残高がございます。さらに信用金庫におきましては五百四十七億円、これを合計いたしまして、約千百九十億円程度になるわけでございます。この自粛対象預金の整理に取りかかりましたところの三十九年五月末現在におきましては、整理さるべき預金額というものはほぼ一兆円近いものがあったわけでございます。それが、昨年十一月末においてほぼ千二百億円見当に減少をいたしてまいりました。先ほどの貸し出しに対する債務者預金の残高も逐次減少をいたしまして、都市銀行におきまして、三十九年五月末当時は五〇%ございました。それが、昨年十一月末にはわずかではございますが減少して四九・四%、地方銀行におきましては、これが三十九年五月末四九・五%でございましたが、昨年十一月末には四六・七%に減少をいたしております。さらに相互銀行におきましては、三十九年五月末当時五七・七%のものが、昨年十一月末において五三・一%、また信用金庫におきましては、三十九年五月末五五・九%のものが、昨年十一月末において四九・一%と、それぞれ実は減少をいたしておるわけでございますが、御承知のように、都市銀行、地方銀行を含めました普通銀行におきましては、昨年五月末を目途に整理完了ということでまいりまして、銀行の報告によりますと、ほぼ完了の計数が出ておるわけでございます。また、相互銀行、信用金庫につきましては、その業態の特殊性から、本年の五月末を目途に整理を行なうようつとめるべし、かようなことで指導をいたしてまいっておりますので、相互、信金につきましては、まだ若干の余裕期間が残っておりますため、かれこれ千億円程度のものが残存をいたしておる次第でございます。しかし、重ねて申しますと、これは各金融機関からの報告を集計いたしたものでございます。
○加藤(清)委員 両方の調査とも一致する点は、だんだいと減りつつあるということでございます。これはまことに喜ばしいことだ。特に中小企業の倒産を救うにあたってはたいへんけっこうなことなんです。しかし、両方の調査の結果を見ますると、最も期近同士で、片やなお二〇%余の拘束預金があるという報告であります。片や大蔵省のほうは、完了した、ゼロである、ゼロという報告でございます。わずか相銀、信金に至って二・五、六%残っておる、こういう報告でございます。総理、あなたはいずれを是とし、いずれを非となさいますか。あなたのほうの報告は二つある。——いや、私は総理に聞いておる。たまにしか聞かぬのですから、私は総理大臣に。
○佐藤内閣総理大臣 いずれもそれぞれ実情に合っておるものだと私思いますが、その対象の取り方なり、調べ方なり等が相違いたしておりますと、しばしばかような結果が違うということもありますので、御了承いただきたいと思います。
○加藤(清)委員 じゃ、いずれをおとりになりますか、あなたは。いずれが信憑性がある、いずれが真実に近い、だからこちらをとる、こういう答えをいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は、信憑性の問題よりも、ただいままで金利を下げてまいりましたが、なかなか実質金利は下がらない、そういう声が非常に多いのであります。そういう意味から見まして、この問題を、実際に金利を下げる、この政府の態度から見まして、なお十分注意したい。ただいま申し上げますように、全部がなくなっておるなら金利は下がっておる、かようなことが耳に入るわけです。実際の問題では、なお実際の金利が下がらない、こういう不平がございますので、十分気をつけてまいりたいと思います。
○加藤(清)委員 これはさきの渡邊公取委員長の悲願であると、この経済雑誌にもうたっております。特に池田総理も、あなたの腹心であった田中角榮氏も、この問題については非常に熱心であり、本委員会もことで議決をし、あるいは、荒舩委員長のときには、これについて徹底的なメスを入れ、そうしてりっぱなものにしようというので、いまそこにいらっしゃる松澤さんなんかにも非常な御協力をいただいて、それはもう与野党一致した問題なんです。党利党略で言うておるのではございません。少なくとも中小企業を救おうという気持ちのある者ならば、必ず一致するはずでございます。 そこで、お尋ねいたしますが、認識が違いますると今後の対策が違うわけなんです。したがって、私は、この際認識をはっきりするために、今後の対策にあやまちなからしめるために、一体それでは、あなたからは大蔵省のが間違っておると言いにくいだろうから、大蔵大臣のほうから発言を求めます。
○福田(赳)国務大臣 公取の調査と大蔵省の調査は、ただいまお聞き取りのように、調査の対象が違うのです。大蔵省は、自粛対象預金について都市銀行がゼロになった、こういうふうに申し上げておるわけであります。公取委員長は拘束預金について言っておるのでありまして、結論が違うのは当然でございます。
○加藤(清)委員 そんな答弁じゃ引き下がりませんよ。調べ方が違うんです。対象が違うんじゃない。中小企業に対して片やアンケートで取った。これの取り方が一番正しいんです。なぜかならば、私は歩積み両建てをやらされましたということを大蔵省へ言うてくる人がどこにあります。江戸のかたきを長崎で取られるんです。中小企業は。そんなことを言うてくる人がどこにあります。だから、これは名前も何もすべて秘密裏にアンケートをしたのです。ここに真実に近い声が出てくる。それでもなおひょっとしたらかたきを取られるという気があるから、差し控えた人があるわけなんです。ところが、片や大蔵省のほうは——こっち向いて聞いていらっしゃい。そんなところで相談する必要はない。大蔵省のほうは何をやったかというたら、銀行の報告をまるごとうのみにしておる。言うなれば、加害者に対して、おまえは悪いことをやったやないかいと言うて聞いて、いいえやったことありませんと言ったら、そうかそうか、そのとおりじゃと、こう言っておる。どっちが信憑性がある。この点について、お答えのいかんによっては私は具体的事実をここに披瀝せんけりゃなりません、みえや酔狂でやっているんじゃありませんから。
○福田(赳)国務大臣 ただいま加藤さんの言われる点も、そのとおりでございます。調査の方法において違いもあるわけであります。それはそのとおりと承知します。
○加藤(清)委員 そこで、総理、いずれが是でいずれが非かと言えなければ、いずれが真実に近いとあなたは思われますか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来お答えいたしましたように、実質金利は下がっていないという声が依然として私の耳に入っておりますから、ただいまのような公取そのものの数字がそのままですと、かように私は申しませんけれども、なおただいまの状況において歩積み両建てが相当行なわれている、かように思って、取り調べていくつ承りであります。
○加藤(清)委員 私もそうだと思う。私は今国会初めて総理の良識をちらっとべつ見したような気がする。(笑声)確かにそうなんです。実質金利は下がっていないんです。 そこで、今後の対策、これについてどう処置なさいまするかということを承りたいわけだが、御参考に申し上げます。 私の知り合いが銀行へアルバイトで三ヵ月雇われました。何をやらされたかといったら、三ヵ月全部定期預金を普通預金に切りかえる作業だった。つまり某銀行は、歩積み両建て、拘束預金、定期預金の拘束を表向き普通預金に切りかえてしまった。しかし念書が入っている。これは全部念書を取ったそうですから。その念書がまた別な金庫へしまってある。その念書にいわく「この預金は普通預金にいたしましたけれども絶対引き出しません。」なるほどこれじゃ自由意思です。確かに形式上は預金者の自由意思です。しかし、その自由意思はどこから出てきた自由意思かといったら、銀行に強要された自由意思なんです。そういうことによって解除していった。 最もひどい例を私は披瀝することはやめまするけれども、こういうことだけはやめてもらいたいということを一例だけ言います。 中小企業金融公庫、ここから一千万のひもつき融資が出ました。直貸しではないけれども、代理貸しで十月の十四日に出ました。十一月になったら五十万しか貸してもらえない。十二月になったらまた五十万しか貸してもらえない。土地の支払い代金なんです。金利はというたら、月々十三万円ずつ取られた。これは一千万の金利ですな。なぜそうなるかと言ったら、銀行の支店長いわく、返済計画はおれが立ててやるから、おれの言うとおりにしたら向こうの地主のほうは納得するんだ、それでいいんじゃ、月々月賦払いをやればいいんだ、一挙に払う必要はないと。この結果は、この中小企業の工場設営に非常な難儀を来たしてきた。金は国庫から一千万来ておるのに、五十万、百万貸して、そうして金利は一千万分を取っておる。どうなんです。これは。名前をあげろとおっしゃるなら、支店長の名前から親銀行の名前ふら全部あげます。一例を言います。 こういうことがやがて中小企業の心理状態に影響を及ぼしてくるんだ。その結果、せっかくあなたのところが苦情処理機関をおつくりになっても、なおこれを専門に扱っている某々団体が商売が成り立っておる。それが政治に影響してきておる。選挙に影響してきておる。したがりて、私は、この際蔵相に、今後どのような態度でこれに臨まれるか、あの苦情処理機関、つくっただけの看板、これをどうなさるのか、どうしたらこれが解消できるのか、実質金利が安うなるのか、ここをお尋ねしたい。
○福田(赳)国務大臣 先ほど大蔵省が銀行から報告を受けました数字を申し上げたんですが、これはあくまでも報告でございます。したがいまして、この報告が一体適正であるかどうかということは、大蔵省の検査行政を通じまして的確に把握し、もし報告に間違いがあれば、これを矯正していくというために大いに努力していきたい、かように考えます。 なお、加藤委員の昨年夏本席におきまする御提案に基づきまして、歩積み両建て苦情受付所というものを各都道府県につくったわけであります。ところが、なかなかこの受付所にも苦情は集まらない。十月から開設になったのでありますが、まだわずかに十八件くらいしかないのであります。これはまあどこかにまだ欠陥があるのだろうというふうにいま頭をひねっておるところでありますが、もし何か適切なるお考えがありますれば、あなたが御提唱なさった機関でありまするから、この際承りまして、なおこれが改善に努力をしていきたい、かように考えます。
○加藤(清)委員 決して私が提案したものではなくして、あの際荒舩委員長を中心とした本委員会がこれをなしたので、決して私の力ではございません。ですから、私はこれをりっぱに育てたい。決して社会党だけの問題でもなければ、与党だけの問題じゃない。与野党一致してきめたことなんだから、これはひとつぜひ実らせてもらいたい。そうして、中小企業の実質金利を安くして、中小企業の倒産を救うてもらいたい。そのために言うておるのです。だから、至急本委員会において、いまの苦情処理機関の育成方策、これを立てたいと思いまするが、そこで、立ちましたら、あなたはそれを実行に移すお約束はできますか。総理にお尋ねいたします。
○佐藤内閣総理大臣 十分尊重いたします。
○加藤(清)委員 悪質手形がなお横行いたしております。この悪質手形については、一罰百戒ということばも聞いておりました。一罰百戒をやられた例があったら承りたい。
○福田(赳)国務大臣 手形が非常に経済の運営上重要なものであることは、これはもう申すまでもないところでありますが、同時に、その反面において、悪用をされて善意の第三者に被害を及ぼしておるという事例も多々あるのであります。そういうケースは刑事事件となって、非常に大きな戒告というか反省を求められている。これは多々その例はあるわけであります。
○加藤(清)委員 一罰百戒と言ったのは、司直のことを言うておるのではございません。本委員会においてのお約束を聞いておるわけです。すなわち、下請代金支払遅延等防止法によるところの罰則を加える、いや、加えるだけじゃ足りないから、この遅延防止法を修正しようじゃないか、問題はすでにこういうところまで来ている。その例があるかと聞いておる。
○福田(赳)国務大臣 いかなる手形サイトが適切であるか等を中心といたしまして、手形制度をどうするか、非常にむずかしい問題であります。その手形サイトだけのことをとりましても、これはなかなか一がいに結論を出しがたいような問題であります。いま政府各機関、また公正取引委員会等において検討いたしておりますが、結論を出しておらないというのが率直なるところであります。
○加藤(清)委員 揚言不実行のよき例でございます。ここですると言われた。大蔵省がその姿勢でいくと言われた。公取の例をほんとうはここであげて認識を新たにしていただきたいのですが、時間の関係上私は簡単に申し上げますが、下請代金支払遅延等防止法によれば、六十日以上はいけないことになっておる。それ以上は親が払わなければならぬということになっているはずです。目下のところそれが実際に行なわれているとお考えでございますか。
○福田(赳)国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの支払遅延等防止法に基づく要するに支払い条件の改定、改善という問題につきまして、実は、昨年来、企業間信用改善のための協議会というような場において、関係各省間においていろいろ相談をいたしました。ただ、問題は、何分にも業者間の問題でございます。そこで、昨年の法律改正におきまして、いわゆる下請代金として支払われる手形というものが、これが金融機関において通常割引もしくは貸し付けの対象になるものでなければそれを支払いとみなさないという改正が行なわれたことは、先生先刻御承知のとおりでございます。問題は、それではそういういわゆる通常割引もしくは貸し出しの対象にならないものというのは一体どういうものかということでございまして、その基準をきめなければならない。そこで、公取なり通産なりが中心になりまして、関係業界といろいろ話を進めておるわけでございます。これは先生御承知のように、実に千差万別でございまして、その業種業態によりましてなかなか一律にそういうものをきめがたいというために、実は今日まではっきりいたしておりません。そういうのが実情でございます。
○加藤(清)委員 この際状況を聞いているのじゃないのです。そんなことは百も承知の上の話をしているわけなんだから。知らぬから聞いているのじゃないのです。 法律によれば六十日となっている。しかし、実際行なわれているのは、台風、お産、七夕、それが依然として横行しているということなんです。どこに欠陥があるか。欠陥は複雑怪奇じゃないのです。しごく簡単なことなんです。親企業が下請企業にしわを寄せているということなんです。自分の金融難を、下請に信用の押し売りをして、自分が生き延びている、こういうことなんです。その結果中小企業は倒産に追い込まれておる、こういうことなんです。したがって、この法律を完全に履行したってなおだめなんだから、この法律を親が実行しなければならぬように修正する必要がある。それが長年の懸案なんだ。これも徐々に改正されてきておる。もう一歩踏み込んで改正する勇気があるかないか、大蔵大臣。
○福田(赳)国務大臣 中小企業に対する親企業の支払いの問題でありますから、これは、結局、法という問題もそれはありましょう。ありましょうが、経済の今日の状況というものがそうさしておるという面が非常に大きいんじゃないかと思うのです。つまり、経済が活況を呈する、これが最大の解決策だ、こういうふうに考えまするが、法的になお欠陥があるかどうか、あればどうするかというような点は、今後もひとつ検討をいたしたい。さように御了承願います。
○加藤(清)委員 本件について、通産大臣。
○三木国務大臣 業種間において下請と親会社との協議会をつくって、下請代金の支払い促進等もそういう協議会を通じて、話し合いで、そういう下請にしわ寄せしないような努力をしておるわけであります。まあ、要は、いま大蔵大臣も言ったように、とにかく親企業も苦しいということが非常にそのしわが多く寄せられる原因でありますから、経済の回復、また、一面においては、親企業が下請企業にしわ寄せをするという安易な方法をとらないような行政指導、それでもなおかっ下請にしわが寄るというならば、それは立法的な処置も講じなければならぬ、こう考えます。
○加藤(清)委員 ぜひ大蔵大臣のいまの御所見を実行に移していただきたい。揚言実行していただきたいと思います。 もう一点、中小企業金融につきましてお尋ねいたしまするが、日銀総裁の答弁によれば、公債の買いオペはいたさないと、こういうことでございます。公債は買いオペの対象にしない、だからインフレは御懸念に及びません、こういうことでございます。これは、大蔵大臣としても確かでございますか。買いオペの対象、借担保にはしない、だからインフレにはならない、これは大蔵大臣も意見が一致しておりますか。
○福田(赳)国務大臣 日本銀行総裁のこの間の中澤さんに対する答弁ですね。それは、公債も最も有力なる証券でありまするから、これを日本銀行がオペレーションの対象にしないということはあり得ません。対象にするわけであります。ただ、日本銀行総裁が申し上げましたのは、今度発行する公債、これを四十一年度におきまして対象にするということは考えておらぬ、こういうことであります。それは私もそういうふうに存じております。原則は、あくまでもあなたがおっしゃったようじゃない。公債というものは有力なる証券として日本銀行オペレーションの対象にする。しかし、四十一年度はしないのだ、こういうことです。
○加藤(清)委員 四十一年度はしない、そのとおりです。四十一年度に発行される公債に類似したもの、たとえば政保債とか地方債とかあるいは金融債、それは合わせてことしはいかほどございますか。
○福田(赳)国務大臣 国債が七千三百億、それから政府保証債が四千億、それから地方債が五百六十億。
○加藤(清)委員 あなた途中でやめてしまったのですけれども、合わせてどれだけになります。
○福田(赳)国務大臣 まだ事業債のほうのことははっきりしませんが、事業債が四千億内外はあるかと思います。
○加藤(清)委員 合わせてどれだけですかと聞いた。
○福田(赳)国務大臣 合わせて一兆五千億程度であります。
○加藤(清)委員 そうじゃない。それは、金融債を入れる、それから米穀のあれを入れると幾らになります。
○福田(赳)国務大臣 米穀証券のことなんかもありますので、事務当局からお答え申し上げます。
○谷村政府委員 発行ベースで、昭和四十一年度における民間資金に依存するような数字を一応申し上げますと、国債では七千億、うち金融機関は実は六千三百億と見ております。それから政保債は四千億でございます。一応金融機関のことはやめて民間全体で申します。七千億、四千億、それから、地方債関係は、七百二十六億というのが発行のほんとうの姿で、償還等を除きますと、さっき大臣のおっしゃった五百六十億という数字でございます。それ以外に、御承知のように、住宅公団が借り入れたりするようなものだとか、あるいは非公募とかいうものもあり、地方債の非公募のものや、縁故のものや、そういうのもございまして、これはいろいろに見方がございますが、いわゆる政府関係のものとして、中央、地方を通じましては、私の手元にある資料によりますと、民間資金に行くものが約一兆九千億ほどになるかと思います。
○加藤(清)委員 わが党の調査によりますと、二兆円をこえるのでございます。一兆九千億よりもふえます。 さて、その二兆円でございまするが、これは、ことしの公債を買いオペの対象にしない、市中強制割り当てで銀行に買わせる、こういうことになりますると、銀行は目下、先ほどの総裁のお話のとおりオーバーローンでございます。余裕金がどんどん出るとこの間総理も大蔵大臣もお答えになったようでございまするが、オーバーローンでございます。預金よりも貸し出しておる金のほうが多いのでございます。これを銀行にシンジケートで割り当てして消化させようということになりますると、日銀からは出てこない、では預金から吸い上げるか、それもちょっと二兆となるとたいへんなことだ、それじゃコール市場から持ってくるか、その三つしかないのですから。一体、引き受けたシンジケートはこれをどうやって消化するのか。その結果はどうなるか、大蔵大臣。
○福田(赳)国務大臣 先般も申し上げたのですが、預金の伸びの状況が非常に良好でございます。昭和四十一年度においても、おそらく六兆ないし七兆の預金の伸びがあるだろう、こういうふうに確実に予想いたしておるのであります。そういう中におきまして、ただいまお話がありました二兆円前後の消化、これについては不安を持っておりません。
○加藤(清)委員 それじゃお尋ねいたしまするが、預金の伸びが、過去とことしと比べて飛躍的にどの程度増しますか。
○福田(赳)国務大臣 昭和四十年度におきましても、預金を含めまして、金融機関の資金は非常に増加をいたしておるわけです。その伸びの状況等をよほどかたく見ましても、四十一年度には六、七兆を下るまい、かように考えるのであります。
○加藤(清)委員 預金の伸びは毎年毎年伸びつつある。来年度飛躍的に伸びるところの材料というものは別に見当たらない。 そこで、あなたにお尋ねしますが、いまオーバローンなんです。これから景気を刺激するとあなたはおっしゃる。ますます上向いて投資意欲が出てきたとします。資金需要は伸びていきます。オーバーローンは解消できないと、さっき日銀総裁がおっしゃった。急にはできませんと言われた。私はそのほうが正直だと思う。オーバーローンが解消できない時期に二兆円も消化されなければならない。そうしたら、どこへどうなるか。過去の例を申し上げましょう。コール市場が三銭の余の金利になって、ここで資金量を求める競争が行なわれた。そのときにどういうことが行なわれたか。蔵相に聞く。
○福田(赳)国務大臣 私は、そういう預金の状況等を考えまして、今回発行いたしまする公債、政府保証債、地方債、事業債、金融債、そういうものは順調に消化されると思うのです。ただ一つ問題になりますのは、公債政策等の効果が出てくる、その時期には民間の資金需要が起こってくるだろう、こういうふうに思います。この資金需要に対しましては、これは日本銀行が通貨の供給をいたす、これは、私は経済の成長に見合うものである、一向心配するには当たらない、かように考えています。
○加藤(清)委員 私の質問に答えていただけなかった。オーバーローンになった、なお資金需要が旺盛で、銀行は金がほしいといったときに、コール市場が沸騰した。そのときにどういうことが行なわれたかということを聞いているのです。申し上げましょう。中小金融の専門の機関、相銀以下信金は強制的に割り当てを受けて、コール市場へ供出を命ぜられた。それは一体どのくらいの金額であったかといえば、政府から出ているところの中小企業金融公庫をはじめとする三公庫、それの代理業務を扱う金額に匹敵しておった。それを全部供出させられた。なお、もっとひどいのは、限度外貸し出しになってはかなわぬから、都市銀行を通じて、そのパイプを通じて別な金がまたコール市場へ出たのです。まあしかし、これはやらされるほうも、短期高利のホット金利がもらえるから文句は言わなかったけれども、そのおかげでどうなったか。中小企業専門の金融機関の資金がたいへんな枯渇を来たした。それがやがて中小企業に金が回らぬという原因になったのです。これについてどういう認識をしておられますか。うそだというなら実例をあげましょう、何銀行が何々相互、何々信用金庫にいつの幾日にどう命じて供出させたかというのを。
○福田(赳)国務大臣 そういうような実態があったことは、私もそのとおりと思います。つまりコールの金利が高いものですから、したがって、中小金融機関が、貸し出しに回すよりはコール市場に出したほうがよろしい、こういう考え方をとるのは自然だと思うのです。そこで、国債政策をやっていく上におきましては、やはりコールのレートを安定さしていかなければいかぬ、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、先ほど申し上げましたが、多額な公債は出ます。出ますけれども、金融政策の基調は緩和基調、これを堅持する。そして、コールのレートについては特に注意をいたしまして、これが安定につとめていく。こういう考えでございます。
○加藤(清)委員 どうもあなたの答弁を聞いていると、今日の状態をうまくカバーして、悪くいえば、言いのがれをしてこの際済まそう、こういう感覚があるような気がしてかなわぬ。そんなものじゃないのです。与党も野党も一致して難局に直面したらいいでしょう。そのときには、ほんとうに腹の底を割って語り合えばいい。そうすべきだと思う。それが共通の場というものではないかと思うのです。何か、こう言いのがれする、言いのがれじょうず、答弁じょうず、それがりっぱな資格だなどとお考えにならないように、話を進めていただきたい。 先ほど聞きましたあれも、二兆円を割っておる。それはそうでしょう、二兆円をこえておると言うたらちょっと及ぼす影響が大きいから。ところが、全銀連の実態の調査によりまするというと、二兆八千二百億になる。それから問題は、あなたは六兆から七兆と、こうおっしゃった。これはどういうことなんです。その内訳を示してもらいたい。内訳を聞かぬことには、これは納得できないですよ。
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。先ほど大臣がお答え申し上げました六兆ないし七兆、これは全金融機関の四十一年度中における資金吸収の見込みを申しておるわけでございます。
○加藤(清)委員 そういうふんわかとした、言うなれば架空的な数字、おとめの祈りに似た数字を持ってきて、そうして国民をごまかしていく。だから、その六兆から七兆の内訳を示してもらいたい。
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。ただいま申し上げましたのは、決してふんわかとしたという意味ではなくて、全金融機関と申しましたそれは、単に銀行だけではございません。先ほど先生御指摘のは、おそらく全国銀行だけの分と存じます。私どもは、そのほかにさらに相互、信金あるいは農中、生命保険等々の全金融機関総合いたしまして、それらの全体としての預貯金を中心とした資金吸収を見ております。これにつきましては、これの精密な数字は、本来経済企画庁におきまして総合資金需給の試算をいたしておるわけでございます。私どもといたしましても、過去の実績、あるいは最近までにおける預金の伸びの趨勢等々の事情を勘案いたしまして推定をいたしておるわけでございます。
○加藤(清)委員 あくまで、はっても黒豆とあなたが言い張るなら、その六兆、七兆の内訳を示してもらいたい。内訳をここへ出しなさい。出しなさい。 それからもう一つ、違うのです。あなたは吸収見込みを言うておる。預金でこの公債はまかなわなければならぬ。預金増加なんだ、これは増加分ですから。したがって、その六兆、七兆とおっしゃったその内訳を、ここへ明細を示してもらいたい。
○佐竹政府委員 吸収と申しておりますのは、ちょっと私のことばが足りませんために、あるいは十分に正確にお伝えできなかったと思います。これは借り入れ金とかなんとか、そういうものはもちろん含んでおりません。あくまで預貯金を中心としまして、ただ、その中には債券発行銀行もございますから、そういうものを含めておるために、吸収ということばを実は総合資金需給の計算上使っておるわけでございますので、これは一応の推定、見通しでございます。あくまで見通しでございます。そこで、先ほどの約六兆をこえるというものの中で、やはり全国銀行の預金が一番大口かと思います。これにつきましては、大体今日約三兆円強と見込んでおります。それから、そのほか相互銀行、信用金庫その他農林中金、生命保険等々を総合いたしますと、二兆六千億をこえるものでございます。さらにそのほかに債券発行銀行の債券、金融債というものもございまして、それらを全部総合いたします。さらにもう一つ申し落としましたが、いわゆる政府関係機関から支出されますところのものが、回り回って市中に出てまいります。そういうものを全部総合いたすわけでございますが、その結果、先ほど大臣が申し上げましたような、大体六兆円をこえる資金吸収が可能であろう、かように実は見込んおるわけでございます。
○加藤(清)委員 はっきりしないです。あなたはあくまで吸収見込みを三兆、二兆六千億と三兆片や二兆と、こうおっしゃってみえるんですけれども、あくまでそれは見込みの上に立ってのおとめの祈りなんです。私が聞いているのは、実勢預貯金の増、これは一体幾らになるかというのと、もう一つ、あなたの吸収見込みがそれほどりっぱなものならば、正確なものならば、信憑性があるならば、この吸収見込みの内訳、もう一つは実勢預金額、これを本委員会へ、この予算の審議が終わる前に書類にして提出願いたい。なぜかならば、市中金融が圧迫されるという心配があるからなんです。その心配を解消するために、あなたのほうがあくまでこれだけあるとおっしゃるならば、はっきり出してもらいたい。委員長——君を指名してない。私の質問はあなたを指名してない。総理に聞いておる。
○福田(赳)国務大臣 私は、先ほど来六兆ないし七兆ぐらいの資金は集まるだろうというふうに申し上げております。これは、お話しのとおり見込みでありまして、四十一年度のことでありまするから、見込み以外の何ものでもありません。しかし、この見込みが一体確実性があるのかどうか、こういうことなんだろうと思いまするが、その見地から申し上げますと、三十九年度、昨年度におきましては、四兆八千億円の資金の増加があるわけであります。そのうちで預金は四兆円であります。四十年度は、まだこれも三月まであることでありますから、これは見込みになります。見込みになりますが、大体この資金は一兆円くらいはふえるだろう、こういうふうに踏んでおります。つまり五兆八千億くらいにはなるだろう、こういうふうに見ておるのであります。そういう趨勢から勘案いたしまして、四十一年度が一体どのくらい集まるだろうか、こういうことになりますると、六兆ないし七兆、こう見るのは手がたい見方である。つまり、四十一年度におきましては政府の会計が相当膨大化するわけであります。これに基づく支出、それが預貯金となって還流してくる。そういう要因まで考えますと、六兆ないし七兆と見る見方、これは相当手がたい見方である。私はそういうふうに見ております。
○加藤(清)委員 手がたい見方で自信があるならば、私の要望にこたえて、そのあなたのおっしゃる吸収見込みの内訳の明細、それから実勢預金増の内訳、これを先ほど申し上げたように本委員会で審議の終わる前に、審議の資料として御提出が願いたいと私は申し上げておる。あなたの言うておることをうそだとは言ってない。確信があるならば御提出願いたいと言うておる。
○福田(赳)国務大臣 これは御納得いくような資料を提出いたします。
○加藤(清)委員 それでは次。もう時間がありませんから簡単にいたしますが、行政管理庁にお尋ねします。 あなたは繊維局を廃止するといううわさが立っているようでございます。業界ではもっぱらそういううわさが行なわれている。あなたの御所見を承りたい。
○福田(篤)国務大臣 繊維局の廃止の説でありますが、ただいま通産省といろいろ話し合い中でございます。かつて出されました臨調の趣旨は尊重いたしますが、私どもとしましては、長い伝統もありますし、特に不況下という特殊事情がありますので、繊維局は何らかの形で残したい、こう考えております。ただいまの案では、繊維雑貨局というのが一応まとまりかけておる案でございます。
○加藤(清)委員 いかに行政整理が必要だからというて、繊維局にその白羽の矢を向けるなどということは、これはみそもくそも一緒にするというたぐいなんです。なぜかならば、石炭産業と繊維産業は日本経済の功績者なんです。それがいま不況に向かっている。だから本院におきましても、石炭を何とかしょうというので特別委員会まで設けてやっている。アメリカをごらんなさい。ケネディが国をあげてこの強化策をしたので、斜陽産業といわれた繊維産業が今日の隆盛を見ておる。イギリスのランカシアをごらんなさい。総理大臣が先頭に立ってこの不況対策をして、国家が、平年予算額の半額にもなんなんとするものを投入してランカシアの立て直しをやったのです。そのおかげで今日の隆盛がきたのです。一体日本経済の功績者であるところの石炭産業と繊維産業を、もはや斜陽だなどというよこしまな理論におどかされて、これを廃止しよう、とんでもない話なんです。あなたは、残そうとしておる、何を言っているのか。これこそ隆盛におもむかさなければならぬ。あなた、外貨をかせいでおるものは何が大宗だと思います。終戦後いままで毎年毎年十億ドル以上かせいだものは何です。ほかにありますか。冗談じゃないですよ。通産大臣の御意見を承りたい。
○三木国務大臣 繊維局を廃止する意思はありませんから、御安心を願いたい。
○加藤(清)委員 総理の御意見を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの通産大臣と同じ考え方です。また、ただいま加藤君が指摘されるように、繊維局あるいは石炭局、これはただいま業界自身が再編成の最中でありますし、こういう時期において局を廃止するというような考え方はいたしておりません。
○加藤(清)委員 総理は、きょうはなかなかいい答弁をされる。いま不況で非常に難渋している。言うなれば病気になっている。その病気になっているときだったら、医者とは言わぬが、せめて看護婦ぐらいはつけるべきなんだ。そいつをとっぱずしちゃって、もう早よう死ねと、こう言う。そんなむざんな残酷物語がありますか。これこそ女工哀史じゃなしに、繊維局哀史なんだ。さて、その綿糸、スフ等を中心として現在結成されておりまするカルテル、にもかかわらず、繊維相場はいま幾らになっております。通産大臣。
○三木国務大臣 四十番手で一円五十銭前後になっておると思います。
○加藤(清)委員 経企庁の長官。
○藤山国務大臣 私、承知しておりません。
○三木国務大臣 ボンド百五十円前後です。
○加藤(清)委員 あなたのさきの答えが正しいか、あとの答えが正しいですか、もう一度。
○三木国務大臣 あとです。
○加藤(清)委員 ポンド百五十円、一コリ六万円でございますね。採算持てますか、経企庁の長官。
○藤山国務大臣 一々の繊維の相場あるいはその採算ということについて存じておりません。しかし、繊維工業そのものが不況であるということは私も承知しておりますし、過去の倒産件数を見ましても、金属産業、繊維、それから土建というのは一番大きく倒産しておりますので、そういう実態から見て、私はそうだと思います。
○加藤(清)委員 四十番手一コリ六万円では、これは採算割れでございます。これが二十番手あたりでとんとんと言いたいところなんです。少なくとも、これは七万円をこえなければならぬ。ところで問題は、多量生産して安うなった、これはけっこうな話なんです。需要と供給ですからけっこうなんです。ただし問題は、これが三越、松坂屋に並んだときの値段が問題なんだ。このときには、どこへやらそのダウンしたものが食われていってしまって、消費者は、依然として三品市場の安値の効果を何にも受けていないというところに問題があるわけなんです。さあ、これについて経企庁の長官。
○藤山国務大臣 おそらく流通過程におけるいろいろな問題があると思います。したがいまして、これらの原因というのは一つではないと思います。あるいは生産性の問題もございましょうし、あるいは流通過程の上の問題もあると思います。加工した場合の加工賃、その他加工に要する費用というようなものもそこにあると思います。あるいは販売業者における利潤という問題も考えられるのでございまして、それらのものが総合してそういう状況になっているものではないかと考えます。
○加藤(清)委員 この問題は、物価委員会においてきめこまかな質問をいたしたいと存じますが、繊維産業は先進国がともに大改造をいたしました。それこそ、産業革命の最初のにない手が繊維であったと同じように、第二産業革命の最初のにない手がまたこれ繊維産業ということになっている。ランカシアしかり、アメリカしかり、先進国はみんなやった。そのためにたいへんな国費を投入して行なったわけなんです。完成した。いま隆々たる勢いにある。逆輸出ができるようになってきておる。さて、これについて大蔵省としてはどうお考えか、日本の繊維産業の構造問題について。これは、やがてこの問題が提起されてまいります。各委員会でわんさと出てまいります。大蔵大臣は、その際、せめてスクラップダウンの問題について十億をと言うたのを、五億に削ってしまっておる。大蔵大臣はどうお考えです。
○福田(赳)国務大臣 繊維産業は、今日の経済情勢から見ると、非常に多額の過剰設備を持つに至っております。しかも、この繊維関係企業が非常に多い。過当競争という一面も持っておるわけであります。それらのまた施設が老朽化しておるという面も多々あるわけであります。さようなことを考えまして、繊維業界の要望等もありますので、昭和四十一年度予算におきましては、政府が五億円出す、また業界で五億円出す。そういう形で、十億円の基金をもちまして繊維業の整備促進協会というような名前のものができ上がるわけであります。このでき上がります協会は、そういう経済情勢に対応いたしまして、老朽化した施設をスクラップダウンをするという任務を持とうかというふうに考えられるのでありますが、その協会の事業運営につきましては、大蔵省といたしましても、これは適切ないき方であるというふうに考えますので、協力してまいりたい、かように考えております。
○加藤(清)委員 最後に、日米貿易、特に繊維産業を中心としたところの日米貿易の状況についてお尋ねいたしまするが、一体日米の貿易収支、これは最も期近なこの二、三年はどういうかっこうになっておりますか。
○三木国務大臣 一九六一年ごろは十億ドルぐらいの輸出貿易であったのが、最近は二倍をこえて、昭和四十年度は、輸出二十二億ドル、輸入二十一億ドル、六千六百万ドル程度の黒字になっております。
○加藤(清)委員 日米貿易の帳じりは赤字が慢性的でございます。ことし初めて、二十年ぶりといいましょうか、戦後初めてといいましょうか、黒字になりました。その黒字になったのは、過去にたった一度あるだけです。ことしの一度は、これは鉄の問題なんです。鉄の輸出の伸びなんです。 ところで、この日米貿易について、日本は自由化したけれども、自由化は自由化でも、買いの自由は許されたが、売りの自由は許されていない、これが実質実務を扱っている人々の声でございます。一体、日本の品物がアメリカに輸出をされまするおりにどのような状態に置かされているか、外務大臣。
○椎名国務大臣 国際的な長期協定がございまして、これの改善はつとに叫ばれておったのでありますが、新しい協定の改正を迎えるに際しまして、日本の業界の主張が正しく取り入れられまして、従来よりも非常に改善された、そういう状況にあります。
○加藤(清)委員 いいかげんなことを言ってはいかぬ。アメリカが日本の輸出品に対してどのような制限と注文とクレームをつけてきているか、外務大臣。−外務大臣に聞く。
○椎名国務大臣 詳しいことは事務当局から申し上げます。
○加藤(清)委員 冗談言ってはいかぬ。あなたが心得ていなかったら、会合には臨めないじゃないですか。日米の経済会議にあなたは出ないのですか。外務大臣に聞く。外務省には資料がないのです。私が要求したけれども出さないのだから。数字じゃないのです。どのような制限を加えてきておるかと聞いておる。数字を聞いておるのじゃない。そんなことがわからぬで三月に行なわれる会議に出られますか、あなたは。そういう感覚だからいけないのだ。——何をぐずぐずしておるのです。
○椎名国務大臣 繊維問題につきましては、いろいろ国内の事情もありまして、従来制限を加えてきておりますけれども御承知のとおり、ケネディラウンドの問題もあり、アメリカとしてもその制限を漸次緩和しつつあるという大体の状況であります。
○加藤(清)委員 チンプンカンプンなんです。そのいい証拠を申し上げましょうか。こんなに大きく新聞にでかでか出ておる。私はこの資料を要求した。そうしたら、これは秘密事項だから出せませんという。そこで赤澤正道氏に依頼をして、赤澤氏が顔を出したら、とたんに態度が変わってきた。秘密とは何だ。内容ではなしに、相手を見て言うかくれみのなのかと私は言いたくなる。しかし、そんなことを追及しておるときではない、これが外務省のくせなんですから。この前、横路君の要求について、大蔵省は気楽に出しておるのに、秘密だと言っておる。このたびもそうです。通産省も大蔵省も、はいと言って出しておるのに、当の担当当局であるところの外務省が、これは秘密でございますと言っておる。何が秘密であるか。ちゃんとこれに出らやっておるんだ。国内の新聞にも向こうの週刊雑誌にもみんな出ておることを私は聞いておるんだ。それだから、あなたは秘密で言えなければ、秘密だと言いなさい。秘密で言えなかったら商売はできないのだ。貿易上の向こうの規制は、アメリカがどのように日本の製品に対して規制を加えてきておるか。
○椎名国務大臣 何のことか、順次内容をひとつ明らかにしてください。何を秘密にしておるか……。
○加藤(清)委員 それでは逆にお尋ねいたします。私が尋ねておるのは、アメリカが輸入をする場合に日本製品に対してどのような制限を加えてきているかということを聞いておる。それを別な筋違いの答えを言うから、私も別な筋違いのことばで言わなければならぬようになる。
○三木国務大臣 加藤君の質問は、通産省のほうがこの点については詳しいと思いますので……。これはバイアメリカン法、アンチダンピング法、関税法等のいろいろな制限があって、概略を高島貿易振興局長から説明をさせたほうが御理解を得られると思いますので、高島局長から説明をいたさせます。
○高島政府委員 お答え申し上げます。 アメリカが制度としまして現在持っております輸入制限措置で、日本に対して現実にかかってきておるものの概略を申し上げますと、まず、御承知のバイアメリカンの法律がございまして、これによって、アメリカの政府機関が物を買います場合に、たとえば値段の差が五割以内でありますと、これはアメリカの製品が優先的に買われるという制度があります。 それから、アンチダンピングの措置がございまして、輸出価格が国内価格より著しく低いというような、いわゆる観念としてダンピングだということになりますと、高率の関税を賦課するという制度がございます。この制度は現実にぶつかっていることは比較的少のうございますが、御承知のように、ダンピング容疑というようなことが起こりまして、それが輸入制限の牽制みたいな形になってくる、こういう面があるかと思います。 それから、関税の関係で評価制度がございまして、これはいわゆるASPと申すのが一つございまして、関税の評価をいたします際に、輸入価格でなくて、アメリカの国内価格を基準にいたしましてやっていく。現実に安いということに対する対策でございます。 それから、関税法の四百二条のaというのがございまして、これは関税評価の基準として、輸出価格か、輸出国の国内販売価格か、いずれか高いほうをとるという形で、いずれも関税の評価増しになってくるものでございます。 そのほかに、通商拡大法に基づいてエスケープクローズがございまして、日本といたしましてもこの点にはかなり問題があるかと思いますが、外国に譲許を与えました結果アメリカの国内産業が被害を受けた場合に、関税を引き上げることができるというたてまえになっております。 概略そういうものでございますが、そのほかに綿製品等の制限が現実にございますことは、加藤委員御承知のとおりでございます。
○加藤(清)委員 お聞き及びのとおりでございまして、アメリカが日本の商品を買い付けますおりに、二十数種類にわたるところの制限の法律、規制、これをつくっているわけでございます。品目に至っては、当初は百八十品目の余あったのでございます。だんだん減ったけれども、なお銘柄別にすれば百品目の余に相なっておるわけでございます。こちらは九三%も自由化をしておきながら、なおアメリカは、それ以上自由化せよ、農産物に至るまで自由化しろと、OECDやIMFやガットの会合において言われる。そのつど外務大臣が責任者として出るから、よう認識してもらいたいから、私は外務大臣に聞いておるわけなんです。すでにこの問題は空論じゃないのです。三月に行なわれるのです。日本の問題がたたき台にされて、まな板にのるのです。だから聞いておるのです。知らぬと、これがおとぼけですみますか。冗談じゃないですよ。 さて、それでは承りますが、国際法と国内法が競合した場合に、いずれが優先いたしますか、外務大臣。
○椎名国務大臣 国際法とおっしゃるのは、条約のことだろうと思うのであります。大体条約が優先する、これは国際法上の原則でございます。しかし、これを円滑に取り運ぶためには、やはり国際条約に基づいた、順応した国内法の改正をすべきであるというのが、これはまあ常識であろうと存じます。
○加藤(清)委員 中川条約局長時代からのこれは定説なんです。国際法のほうが優先する、これは世界の定説なんです。にもかかわりませず、実際行なわれていることは、国内法優先でございます。すなわち、いま読み上げられたところのものをあげるまでもなく、日本品が制限されているところの法律は、何によって制限されているかというと、アメリカの国内法、州法なんです。日本の場合、IMF十四条国になった。にもかかわらず、ガット三十五条の援用が欧州では盛んに行なわれておる。けれども、これはガットの法律でやられておるから、まだあきらめもつきますが、アメリカの場合は、アメリカの国内法であり、州法である。常識はずれもはなはだしい。これに対して、外務大臣、交渉したことがありますか。
○椎名国務大臣 これは、日本の外務省といたしまして、常にアメリカに対して抗議を申し入れて、これの是正を要求しておる。私はこの問題に事務的には直接関与したことはございません。
○加藤(清)委員 じゃ、あなたが国際会議に出なさった場合に、相手のこの不当性を述べたことが、いつの会合のどこで行なわれましたか、そのつどやっておるというのだったら、一番期近にどこで行なわれましたか。
○椎名国務大臣 いや、外務省としては、この問題に当面して常にアメリカに対して強く要求をしておるのです。しかし、私個人はこの問題を取り扱ったことはない、会合に出たことはない、そのことを申し上げておる。
○加藤(清)委員 あなたはやっておると言った。何べんもやっておると言った。知らずにようできるなと私は思ったんだ。さっき、何があるかと言ったら、知らぬと言っておきながら、やったとおっしゃるから、ようやれたな、やったなら、いつの、どの会合であなたはどういう発言をしたかということを聞きたい。
○椎名国務大臣 私の言ったことは、外務省といたしましては、年来この問題に対しては日本として強い要求を出しておる。しかし、こういう特殊の問題に対して、私は不幸にして出席したことはなかった。ただ申し上げますが、日米合同委員会においては、経済閣僚がそろって出席いたしまして、特に通産大臣からこの問題は折衝しております。
○加藤(清)委員 あの際も通産大臣だけだった。これは委員長の福田さんがよう御存じなんです。箱根会談のときだって。冗談じゃないですよ。あなた、知らずにそんなことができますか。知らずにものを言うものだから、東独のプラント輸出まで断わられてしまうのです。あほうなことを言うものですから。そういうことがめぐりめぐってアジア開発銀行の所在地まで取られてしまうのです。 そこで、私がお尋ねしたいことは、すでにおわかりのとおりなんです。総理、三月に日本の貿易自由化の問題がたたき台になるんだ。このときに総理としては一体どういう態度で臨まれるのか。あるいは自分が臨まれぬにしても、部下に対してどういうサゼスチョンをなさるおつもりでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまのは対米貿易についてのお話かと思いますが、私自身も昨年アメリカに参りまして、日米間の貿易について当方で話する予定は実はなかったのです。もっと大局的な話をするつもりでしたが、ジョンソン大統領自身も非常に関心を持っている問題にぶつかりまして、当時私のほうとしては当方の主張を十分説明してまいったつもりでございます。また、最近の状況から見まして、すでに対米貿易がわが国の貿易の二分の一に当たっておる。まことに重大なる意義を持つ貿易でございます。しかもその間の問題は、相互の理解と相互の協力ということが日米間の問題でもありますから、こういう点においてわがほうの権利を主張すること、これは私ども当然の責務でありますので、十分そういう点でわが国益を確保し増進することに遺憾なきを期してまいりたいと存じます。
○加藤(清)委員 あなたは保守党なんですね。総理は保守党です。私は社会党です。党は違うのです。しかし、波打ちぎわから向こうへの問題は、どんなに内輪で議論しておっても、いざ立ち向かうというときには社会党は協力をしておるのです。たとえば列国議会同盟を見てごらんなさいよ。列国議会同盟に出た社会党の議員が反対したことがありますか。そこで私は申し上げたい。あなたも私も、党は違うけれども、一致するものが一つある。それは日本人ということなんです。日本人が向こうに向かったときにどういう態度で出たらいいか。それをなぜ言わなければならぬかといえば、すぐ次に綿製品協定の取りきめが行なわれるからなんです。その綿製品協定の取りきめに当たってどのような過酷な状態に置かれているか、外務大臣、認識の程度を承りたい。
○椎名国務大臣 日本は決して満足すべき状態ではないと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いまでも、外務省ももちろんパイプでありますが、通産大臣が主たる責任を持って綿製品協定に乗り出しておると思います。私自身がただいま立ちましたのも、私が通産大臣時分に、当時の繊維局長とともに綿製品協定をわがほうに有利なようにいたすために数回折衝いたしましたので、この点を申し上げる次第であります。
○加藤(清)委員 お説のとおりでございまするが、問題は、すぐ次にことしから来年の間、いま行なわれている暫定措置を取りきめなければならない、永久なものにしようと相手がしてきているから。そこで、外務大臣、認識を新たにしていただきたいことは、日米綿製品協定の取りきめは、表向きは穏やかにできております。しかし、内容たるや、ほとんどが日米友好通商航海条約違反でございます。その内容を簡単に申し上げますると、最初のクォータがきめられておる。それは、アメリカオール生産の五%、その五%のうちのわずか二四%、これが日本の最高の占拠率だった。これがけしからぬということで協定を結ばれて、縦に六十何品目の制限を受けて、スイッチができなくしちゃった。季節の割り当てをやった。シップアメリカンで、船積みでまた制限を加えた。その結果どうなったか。日本の占拠率二四%はだんだんだんだんと下がる一方。六三年には全体量の二〇%も下がり、六四年には一〇・五%、こういうふうな下がり方をしてきて、総トータルでかつて二四%あったところの占拠率は二二%以下に減ってしまった。この材料は一体何かといったら、アメリカから入れた綿花なんです。この綿花を加工して送る量は一体どれだけかといったら、総輸入量の三十分の一にも満たない。向こうで使う幾日分かといったら、五日分ないのです。それが文句をつけられておる。それがクレームをつけられておる。あなた、日本人だったらこれが黙っておれますか。そのおかげで倒産が繊維産業は最高なんです。機械ととんとん。倒産の半分は繊維産業だ。繊維産業と鉄鋼で占めておる。なぜこんな過酷なことに追い込まれなければならないのか。そこで、この問題をほんとうに認識してもらうために私は実物を出します。この間も人形が出たそうですけれどもね。これは何製品ですか、おわかりになりませんか。かばんについております。この黒いところに白く光っていますね、これは何製品ですか。外務大臣、これは何製品ですか。——このチャックは何製品ですか。だれが考えてもこのチャックは金属製品だ。なぜかなら、主たる目的が金属のところにあるから。ところが、これは綿製品として与えられたクォータの中へ入れられておる。二億八千万スクエアの中のこれは一部という勘定になる。 もう一つ、これはチルドレンの使うドール。おとなの使うドールじゃない。向こうのプレゼント。こういうかっこうで向こうへ行く。これは何製品ですか。これが綿製品だという。この中から綿を抽出してクォータの中へ入れろという。こんな過酷なやり方がどこにありますか。総理大臣、あなた、ここから綿製品をどうやって抽出しますか。スクエアで勘定してくれ、こういうわけだ。できますか。できない相談まで押しつけられておる。それを踏まえて外交に立たぬで、どうして地についた外交ができますか。具体的にものを言うのは社会党ではございませんか。空理空論を言うのは、事いまのこの問題になると、ちょっと失礼ですけれども、椎名さんだと言いたくなるが、それは別として、こういう過酷な問題を課されているのが日米綿製品協定という名の友好条約なんです。それが三月に いや、三月とは言わぬ。三月にもたたき合になるでしょうが、ここ一年のうちに取りきめなければならぬ。だから、国内の当該の業者たち、あるいはそこの従業員たちは、これにもう全く心を奪われてしまっている。こういうのが今日の状態なんです。総理、これについてあなたはどうお考えになりますか。
○佐藤内閣総理大臣 実情を十分把握いたしまして対策を立てたいと思います。ただいまのお話は、これを綿製品として取り扱うこと、まことに私は不適当だ、かように思っておりますので、十分当方の主張をいたしたいと申し上げておきます。
○加藤(清)委員 ジョンソンといえども、日本のために言うべきことは言うとおっしゃった。意気たるや、もって壮とすべし。私はそれを期待してやみません。 最後に一つだけどうしてもお尋ねせんければならぬ問題がございます。それは、輸出振興という名目をもって政府から出されました金、金二億円なり。この二億円は、貿易会館をつくることに相なっておりました。同じころ大阪に出されたものはりっぱに建ちまして、ただいま非常に貿易に利便を与え、協力している。ところが、東京で行なわれるはずになっておりましたその二億円は、十年たった今日といえども、建物用に充てられたその二億円、いずこへ消えたか知りませんが、柱一本も立っていない。こういうことがあったら、これは正しいと言えましょうか。国家から二億円の金が出ている。しかも、それはかくかくに使えと出ている。このように使いなさいと出ている。しかも、もらったほうは、こういうりっぱな建物をつくりますといって出してきた。総理、見ておいてください。ところが、十年たっても、この三月にはもはや時効になるのだが、柱一本も立っていない。どなたでもいいから答えてください。
○三木国務大臣 本件に関しては、加藤議員は経過をあるいは私よりも非常に詳細に御存じだと思うのですが、昭和三十一年に織物消費税というものが廃止されて、卸・小売り商が三百億ほどの非常な損害を受けたというようなことで、この措置をいたす必要から、政府が二億円、三十一年の七月でしたか、閣議決定をいたしておるのであります。それは輸出振興のために、あるいは展示場、意匠の改善、輸出振興のために繊維の卸・小売り業者のために会館を建てる、この補助金であります。 そこで、その後内部においてなかなか意見がまとまらない。ようやく三十四年になって土地だけは買ったわけです。それから建物がなかなか建たないで、ようやく本年から着工して、明年の春ですか竣工するということを聞いておるのでありますが、こういう会館を建てるというために出された資金が、十年もかかってようやく建物ができるということは、いずれにしてもこれは怠慢のそしりを免れないと考えております。
○加藤(清)委員 私は、いまの通産大臣が怠慢だとかどうだとか、そんなことを言っているのではございません。なぜかならば、あなたの時代にできた問題ではないからです。しかし、この問題に関する人たちは、いまやほとんどなき人になったのです。この問題は、決してその数人の者の私腹を肥やすために出されたそんな金ではございません。国家の貴重な二億、いまから十年前の二億というのは大金なんです。これは輸出振興の非常に大切さ、いま言うような問題、アメリカへの繊維輸出が最もきびしい状態に置かれたときに、これをどう解決したらいいだろうかというので、寄り寄り相談して、せめて政府から金をいただいてそれの寄り合い所なりをつくろうと、なくなられました牧野良三先生、高碕達之助先生、杉道助先生、ここらあたりの方が良識をしぼってこれに協力なさったわけです。いまや、悲しいかな、生き残ったのは私一人になったのです。ところで、まかせておいたらこういうことなんです。まかせておいたら、十年たっても柱一本も立たない。責任問題どころの騒ぎではない。この資金は、われわれは政府から金を出さすときに努力しただけで、そこから先のことはわれわれは知らない。ところが、この金が不正に使われているといううわさが流布されている。しかも、いま写真に出しましたようなあの契約は、死人が契約していることになっている。杉道助先生の契約になっている。請けた間組も、幾ら気がよくても、皇室の建物なら一万円でもつくりましょうが、そんなものは、きちっと金をもらわなければつくれませんと言っております。はたしてできますか。
○三木国務大臣 加藤君がたいへんこれに尽力されたことはわれわれも聞いておるのでありますが、その間の不正の事実については、通産省でもいろいろ、書類上でありますが、監督をいたしておるのですが、書類の上において不正の事実は認めていないのです。ただ、この工事が、いま十年もほうっておくことはよろしくありませんので、繊維局長が現場を見ましたので、これが竣工の予定も立っているようでありますから、繊維局長からお答えをいたしたほうがもっと具体的だと思うので、繊維局長をしてお答えさすことにいたします。
○乙竹政府委員 二億の金が出ましたのは、三十一年七月の閣議了解に基づきまして、三十二年の六月に繊維貿易会館財団法人が設立されまして、三十二年の十月にジェトロから二億円が交付になっております。この閣議決定におきましては、輸出品及び海外見本品の展示並びに意匠改善の相談等を行なうための施設を設立し、繊維品の輸出振興をはかるために設立される財団法人に交付する。なお、繊維品小売り商団体等が、織物消費税廃止以来、政府に対し損失補償を要求していた問題は、上記措置を考慮し、今後一切取り上げないこととするという閣議了解がございまして、いま読み上げました閣議了解の財団法人が繊維貿易会館でございます。この二億円によりまして、昭和三十四年、会館建設用敷地を六千六百万円をもって購入いたしました。残余の一億四千万弱をもちまして、鉄筋コンクリートビルを建設するという予定でございましたが、これは、金が足らないというふうなこと、また、この際に大きな規模でつくりたいということで、公益法人を株式会社に改組いたしたいというふうなことで、公益法人の理事の間でいろいろお話があったようでございます。これが主として建設決定のおくれた理由でございますけれども、この公益法人を商法上の営利法人に組みかえますことは困難でございますし、特に、閣議了解できまっておることであるというふうなことで、三十八年の三月に会館建設が理事の間において決定をいたされました。これは三十八年三月二十二日の評議員会及び理事会で決定されたのでございまするが、その後設計その他の建設準備を進めまして、当初、三十九年秋着工という予定でございましたが、若干立ちのき問題等もございまして、四十年の四月に着工いたしております。現在は、四十一年秋完成の見込みで建設が進行中でございまして、私も現場を見たのでございますが、四十一年二月一日現在で工事進捗率は約六〇%ということでございました。土台から地下の建物はすっかりでき上がっておる次第でございます。
○加藤(清)委員 与えられた時間がもうぎりぎりになってしまいましたので、これはいずれ詳細に再質問に立ちたいと思いますが、柱は、ごらんになれば、一本も立っておりません。地下工事はセメントの打ち込みができて、その上へおおいがされてしまって、中止になっておるのでございます。私は現場を見てきて言っておるのです。柱一本も立っておりません。 さて、そこで問題は何かといえば、これに資金の不正があるといううわさが流布されている。資金が別なことに流用されているといううわさが流布されている。それで、これは検事局の問題になた。訴訟事件になった。しかし、ちょねちょねとやって和解して下げた。こういう経過がある。だから、だんだんおくれていくわけなんだ。同時に、そのいまの役員たちはどういう人がなっているかというと、戦前の織統、九・一・八価格、昭和九年以前、その当時の肩書きの人がやっておる。現役の小売り商連合会の人たちは関知していない。こういう問題があるわけでございます。私は国会正常化は賛成でございますから、時間の引き延ばしはいたしませんが、かかる問題があるということ、それから、これはどうしても完成させなければ、なくなられた杉先生や牧野良三先生や、このことに御協力いただいた人に相すまぬと思う。そこで、これについて通産大臣の御所見と総理の御所見を承って、私の質問を終わります。しかし、答弁のいかんによっては何べんでも質問しますよ。
○三木国務大臣 この会館は輸出振興に対して役立つと思いますので、われわれとしてもできるだけ早く完成して——十年もものごとがきまらないということは言語道断でございますので、督励をいたすことにいたします。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま通産大臣のお答えしたとおりであります。
○加藤(清)委員 私は、この問題についてはまだ審議が不十分でございまするので、本件は留保いたしまして、委員長の命に従って本日はこれでやめます。
○福田委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。 午後は一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————◇————— 午後一時五十三分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和四十一年度総予算に対する質疑を続行いたします。川崎秀二君。
○川崎(秀)委員 佐藤総理大臣は、施政方針演説の締めくくりにおきまして、日本の次代をになう青少年に多大の期待をかけられております。その熱意は国民にもよく受け入れられるものがあると私は思います。しかし、奮起を促すからには、それに対応する政府の施策とイメージ、あるいは壮大なるビジョンというものがなければならぬ。ところが、本年の予算を見ますと、歳出項目では他の費用は相当に盛り込んであるけれども、青少年対策費というのはかけ声に比して私は十分ではないと思っております。むしろそれは貧弱だと思っております。 そこで、私はまず、青少年よ奮起せよ、あるいは、青少年よ立て——どこへ立ったらいいのか、どういう方向へ向かって青少年は大きな望みを抱いて前進をすることができるのか、この点について総理大臣の御所見を承りたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 私が施政演説で申しましたように、民族発展の源泉とでも申しますか、さようなものは青年に期待するものだ、かように私はかたく信じております。この意味において青年の奮起を願っておるわけであります。 ただいま、予算が少ないではないか、こういうおしかりでございますが、御承知のように青少年対策としての予算、これは内閣に青少年局をつくったとか、こういうようなものではございません。申すまでもなく、学校教育あるいは社会教育あるいは家庭教育その他の教育の場を通じて青年の奮起を求める、青年の協力を求めるのでありまして、ただいまそういう意味で予算を検討されれば非常な多額のものが計上されておる、かように御理解がいくだろう。問題は、やはり何といっても青少年諸君が、昔からいわれておりますように、体育、知育、徳育、この三本の柱がそろって十分成果をあげるようになる、そうすればりっぱな日本人であり、同時に、りっぱな世界人、国際人になる、かように思うのでありまして、私どもは戦後新しい民族的な理想を持って立ち上がっておるのであります。これは平和に徹する考え方であります。同時にまた、戦後私どもが民族的使命、これを十分考えて、そうして活動しよう、ここに発展の基礎を置こう、かように考えておりますので、どうかいわゆる青少年局をつくった、それで予算が幾らふえた、かようなものでないことを御了承いただきたいと思います。
○川崎(秀)委員 早手回しに、青少年局のことについて私質問しないのですが、お話があって、そういう御答弁をいただくと恐縮ですが、きょうの一質問は、佐藤内閣の金看板であります人間尊重という一つのラインを、あらゆる政策、あらゆる部面にわたって切ってみまして、その意味でずっと最終まで質問をしたいと思っております。 私は九番バッターです。九番バッターというのは、大体ピッチャーが打つ順番なんです。ですから、いろいろ考えてみて、きょうは打たずに投げてみようか——投げるというのは、閣僚が思い切っていい抱負と自信をどんどん私の、ときにはスローボールであるかもしれぬけれども、たまにはスライダーもいくかもしれぬ。そいつを打ってもらいたいと思っておるのであります。 青少年問題についてマイナス面をいかにだんだん是正をしていくか、こういうことから質問をしてみます。 最近青少年の犯罪が激増しているのはまことに嘆かわしいことであり、このことについては倉石君も、また予算第一陣の質問で立った西村君もここで触れられたとおりでありまして、中には現代社会の最大病根だ、あるいは少しオーバーであるかもしれぬけれども、そういう表現を使った人もある。私は、この俗悪なる映画、テレビ、刊行物の影響がその原因であるという所説には大体賛成ですが、これを粛正するためにどんな具体的な手段を政府は持っておるのか、この点についての総理大臣のお話を聞きたい。 そして、それと並行して、二、三日前に出てきた新聞によると、少年法の改正の問題ですね。これについて最高裁判所は法務省とまっこうから意見が対立をしている。教育主義でなければいかぬ、厳罰主義はいけないといっている。そこで、これはどちらがいいか悪いかは国民並びに政府・与党あるいは野党の意見なども聞いておもむろにきめなければならぬことですけれども、ああいう白書がどうして出てきたものか、法務大臣はどういう見解を持って少年法の改正を取り扱わんとしておるのか、総理大臣に伺って、後に法務大臣に伺ってみたい。
○佐藤内閣総理大臣 川崎君は九番バッターだと言って、たいへん遠慮しておられますが、野球では、九番バッターすなわち一番バッターにつながるもので(笑声)かような意義を持つものであります。そういう意味で、その九番バッターの役目を十分果たしていただきたい。かように思います。 このことはさておきまして、ただいま青少年の非行についてのお話がありました。私もこの非行を無視するものではありません。しかし、青少年対策は積極的な面であってほしい。いわゆる非行をなくする、また非行を矯正するとか、こういうようなことは、どちらかというと消極の面であります。青少年がすくすくと育つためにも、社会環境を整備しなければならぬことは御指摘のとおりでありますが、私はそういう意味で非行を見のがすつもりはございませんが、先ほど来説明いたしましたのは、積極的な前向きの姿勢でお答えをいたしたのであります。 ただいまの非行少年の非行防止その他についての具体的な問題につきましては、石井君からお答えをいたさせます。
○石井国務大臣 少年法の改正問題に関連いたしまして、このごろ新聞でちょっとにぎやかに取り扱われ、きのうきょうの論説等にも載っておるようでございます。少しく誤解があるようでございますから、この機会に、ちょうどいい質問をしていただきましてありがとうございます。 これは、私どもは、少年法をいまのままでは満足していないのでございます。これは、私どもも、最高裁のほうでも、一般でも、みんな同じことだと思うのでございます。いまの非行少年をりっぱなほうに導いていくのには、いまのままでいいかというと、どうもいまのままではいかぬではないか。いまの現行制度ではいかぬではないかと思うのでありますが、しかし、それをどうするかというのには、いろいろな意見もあり、いろいろな案もあるのでございまして、私どもは、いま複数の案を持って、そしてそれを近く世に発表いたしまして、こういう案とこういう案とこういう案とあるが、これに対しては皆さんはどうお考えになるかということで、有識者また一般の方々の意見を聞くつもりでございます。 そういう段階でございますから、私どもは、これでなくちゃならぬというかたくなな意見をまとめておるものでもなければ、また、そういう状態でございますから、最高裁のほうに持っていくというような段階でもないのでございますから、最高裁に意見を徴したこともなく、また最高裁と意見を戦わしたこともないのでございます。ただ、意見として聞かれれば、こういう場合はこうだ、ああいう場合はこうだという、各個各個の人の意見は言うている場合があると思うのでございます。しかし、最高裁のほうでも、私のほうでも、何とかしていまのままでなしに、もっとよくしようという心持ちでは一致しておるものでありまして、新聞で伝えられるがごとく、こういう点、ああいう点というようなことで、何だか法務省と最高裁との縄張り争いのようなところまでも入っておるようなことは全然ないのでございまして、おおらかな気持ちで、どうして青少年をりっぱな道に導いていくことができるか。内閣が旗じるしにしております。青少年をりっぱな方向に引っぱっていこうという一翼をになって、非行青少年をどうやっていくかということについて、これは最高裁も私どもも同じことを考えておる状態であるということにお含みおき願いたいと思います。
○川崎(秀)委員 総務長官にあとで聞きますから、続けてやります。 さらに続けて伺いますが、少年法の改正について、しかし、改正の骨子である、たとえば二十歳の適用範囲を十八歳に引き下げるというようなものが原案として出ようとしておる。それと全く否定的な考え方が出る。あるいは、厳罰主義というものに対して、いやそれは教育徹底主義でなければいかぬとか、そういうような考え方が出るということは、やはり相当司法部内において大きな対立があるように一般の世人から見ればそれは映るのですよ。じゃ、ああいう白書を出す前に、もう少しお互いが調整し合って、そして出るという形であるならばいいけれども、ばあっと出てくると、われわれは非常に奇異の感じがするわけであります。 それで、私は、続けて伺いたいけれども、どちらに軍配をあげるか。いろいろ見方があるでしょう。たとえば年齢の引き下げなどについては、今日の青少年の体位あるいは成長ぶりからして多少下げなければならぬという意見が強いかもしれぬ。しかし十八歳から二十一歳の間は、これを少年でなしに青年と見放して、これは青年裁判所をつくれなんというような考えは、なかなか多数にはならぬだろうと私は思うのです。そういう意味で、こういうふうに意見が出てきた際には、なるべくすみやかに各方面の意見をまとめられて、落ちつくところへ落ちつかしていただきたい、こういうふうに思うのです。もう一度あらためて、私がいま述べましたような個所に触れて御答弁願いたい。
○石井国務大臣 いろいろ新聞には具体的に、いまおっしゃったような点が羅列してあります。そういうのが問題の点になっておるのでございます。しかし、さっき申しましたように、どの点をぜひやらなくちゃならぬ。たとえば青年裁判所を設けなくちゃならぬ、あるいは、それには十八歳以上二十二歳とか三歳までを一つのグループとして認めなくちゃ、非行少年の扱いにはどうしてもいかぬとかいう、これはぜひやらなくちゃならぬというようなものをはっきり私どもは打ち出してはいないのであります。こういう場合はどうだ、こういう場合はどうだ、それがさっき申しました複数で案を出して、みんなの意見を聞いて、そのうち最もみんなが賛成して、そうしてすぐ実行し得るようなもの、議論ばかりしておって二年も三年もたっては何にもなりませんから、私どもは、直せるものからどんどん直していくというような方向でぜひやっていきたいというつもりでございます。非常に柔軟性のある態度でございまして、どれも必ずこれをやらなくちゃならぬということはきめておりません。
○川崎(秀)委員 総理大臣にさらに伺います。 青少年問題を憂えて道徳教育や取り締まりを強調する人は非常に多いですけれども、先ほどのお話のように、私は、何々すべからずということでは青少年は育成されない、そういうものはむしろ小さくていいと思うのです。これはやはり歴史の発展を考えると、もともと何々すべからずというのはモーゼの十戒から始まっている。そのころはそういう考え方が強かった時代、いまは、青少年育成政策というものは、むしろ何々をしようではないか、環境を整備してやろうではないかという積極面で対策を立てるという考え方に変わらなければならぬと思います。その点では、先ほど総理大臣の言われたことは私は賛成ですが、今日の青少年の大多数は、青少年犯罪がふえているにもかかわらず、きわめて健全で、多くの常識を持っておる。ある意味では、総理大臣が若かったころ、あるいはわれわれが若かったころよりも彼らは世界情勢というものをよく知っておるです。それから、はるかにバランスのとれた教養というものを持っているように思うのです。もしこの青少年の団体、あるいは青少年の指導者みたいなものに接してみると、非常にそういうことがわかります。しかし、反面、欠けているところがあるとするならば、それは私は、わりあい祖国の歴史に対する愛着と熱情、こういうものがあるいは現在の青少年に欠けておるかもしれぬ。また、青少年たちが、これからの日本の世界に果たす役割りというものに対して、その未来像を模索しておる状態であります。考えてみると、それらはしかしどういうところに原因があるのか。私は、むしろ青少年が熱情を傾けて国づくりに挺身できないのは、その方向を指導する政治家や指導者の側から具体的な構想が出てこないというところにあるのではないか。むしろそういう面にもあるし、青少年に夢を与えようとしておっても、ぶちこわすような事例がだんだん多く出ておる。この一、二週間前のできごとを見てごらんなさい。この院内外に起こった事情、一々具体的にあげない。失礼な部分もあるか毛わからぬからあげないけれども、全日空機の墜落以外の重大なニュースといえば、青少年の夢をぶちこわすような、おとなのほうが悪いことをしているじゃないかという感じを大体受けておるのではないか。そういう意味では、政治家や、ことに佐藤総理大臣をはじめ閣僚、さらには、政治の第一線に立つ人が、身辺を身ぎれいにして、そして青少年に注意を喚起する。この意味では、指導者層の身辺を正すということについて、総理大臣はいかにお考えでありましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 身辺を正すこと、これはもちろん大事だ、かように私は思います。
○川崎(秀)委員 さらに伺えば、この一、二週間前に起こった事件などについて、どういう感想を持っておられるか。
○佐藤内閣総理大臣 この青少年の問題につきまして、また青少年がただいまどういう状態にあるか、こういうことにつきましては、もうすでに私など年代もよほど違っておりますから、青少年の気持ちをそのまま私が表現するわけにいかないものがあるだろう、かようにみずからその青年についての理解の点について心配をいたしております。 しかして、青少年は何といっても非常に感受性が強い。この感受性の強いということ、また経験の浅いということ、これなどもその特徴だと思います。したがって、こういう点に十分思いをいたして、先ほどお尋ねのありました映画その他非常にマスコミ等が青少年に影響を与えるだろう、健全に成長していく上にこういうものが害毒を流す、こういうことにきっとなるだろう。これらはもちろん慎まなければならない。そういうことを考えると、いわゆる指導階級といっておられる諸君がみずからの身辺を正さないで、青少年にだけいろいろの要求をする。これでは青少年諸君がなかなか奮起できないのじゃないか。ただいまの青少年諸君はりっぱな判断力もすでに持っております。批判力もあるわけであります。そういう意味で一億国民総ぐるみ決起する、こういう立場でないと、なかなか青少年だけに呼びかけても成果があがらない、かように私は思います。 もう一つ、ただいま青少年に夢を与えろ、こういうお話でございますが、私はよく申すのです。いわゆる夢は人から与えてもらうものじゃないのだ。夢は自分自身が見るものだ。もう子供のときから親から与えられた夢は実はないのだ。どこそこで遊んだというような夢から、また自分自身で何になりだいとかいうようなことも全部みずからが持つものだ。私は、そういう意味で、「青年よ大志を抱け」というこの呼びかけが最も望ましいのではないか、そのこと自身が夢ではないか、かように思っております。したがって、ただいま御指摘がありましたように、指導階級たる者みずからを正せ、みずからが清くなれ、これはむうお説のとおりでございます。
○川崎(秀)委員 質問ばかりするよりは、やはり私の考え方も示して、建設的にこういうことはどうだろうかということで総理大臣それから安井さんにお答えを願いたいと思うのであります。 私は、世界の中の日本としての将来の構図については、この質問の最後に外交姿勢と関連して首相のお考え方を聞いてみたいし、私の考え方も述べてみたい。 それはあと回しにしまして、青少年の環境改善について一つの提案をし、兼ねて首相の答弁を伺いたいと思うのであります。 これは日本だけの傾向でなくて、世界的な傾向ですけれども、特に日本で言えることは、青少年がエネルギーを発散させる場所がない、施設がないということが非常に大きなものであります。特に日本には現在相当多くの大学や高中等学校に運動場もあれば室内体育館もあります。しかし、多くはもう選手が使っておるし、面積が限られておる。都会にはあき地がない。一般の青少年、学生たちは若いからだをのびのびと伸ばして、大いにエネルギーを発散させようと思っても場所がない。また体育だけでなしに、先ほど知育のお話があったが、教養を求めても図書館は満員です。純粋な教育センターというものが少ない。実はこれが病根の一つの根源ではないかと私は考えておるのです。勢い不健全なところに青少年がだんだん集まる。映画館やボーリング場、こんなものはまだ周囲の環境さえよければ健全な娯楽ですね。それからだんだんジャズ喫茶とかパチンコ、エレキ、こういうものに集まる。こうなるとだんだん健全とは言えなくなる。いただけなくなるのですな。これは鈴木厚生大臣もよく聞いてもらいたいけれども、厚生年金の還元融資で、全国至るところに室内体育場というものができた。実にりっぱだ。あれは世界的水準を越えているのですよ。ところが、あの体育場というものが、実際には勤労大衆あるいは青少年に利用されておるかというと、そうではないというほうが多いですな。やはり体育館を維持管理する、つまりペイしていかなければならぬ。収支のバランスをとらなければならないというので、プロレスに貸したり、あるいは音楽に貸したり——音楽はまだいいが、流行歌手、エレキというものに貸す。そうすると、高校生の、女の生徒のほうが多いですが、流行歌手が来るとキャーキャー言って騒いでおる。超満員ですよ。西郷何とかという歌手が鹿児島でやったときには、一万人も集まって、収容能力六千人の体育場をこして、十数名も死傷者が出たということがあって、本来の目的を逸脱しておるというのが私の指摘したいところであります。 そこで、これを政治で何とかもっと救えないのか、政治で救える部分が相当あると思います。いままでは室内体育場であったが、むしろ太陽を浴びて青少年が愉快に戸外のレクリエーションを楽しむ、こういうやり方はできないか。わりあいに費用も少なくて済む。もちろん壮大な四百メートルのトラックをつくったり、何万人も入れるスタンドをつくれば困るけれども、そうではなしに、小さなトラックやあるいは児童の遊園地をつくるということは、やはりこれから先の非常な目のつけどころだと思います。安井長官、たとえばなくなったケネディ大統領は、一九六二年に、今後アメリカは世界の各国の援助をし、また同時に防衛もするけれども、自分の国内では偉大な社会を建設するためにレクリエーション的施設というものを三倍に拡大しよう、青少年のためにスポーツ、レクリエーション施設を三倍に拡大しようということを国務省に命じて、その計画は着々と進行しておる。西ドイツでもゴールデンプランというものがある。これはやはり同じような計画です。そういう計画、ブループランをひとつ立てて、たいした費用ではないから、やるというだけの決意を固めれば、私は現在の青少年対策の積極面として相当なものが解決していくと思うのです。青少年対策に三十八億、これではどうにもならない。オリンピックで使った金の、ことに東海道新幹線とかあるいは道路とかを含めれば一兆でしょうが、三百四十五億という施設運営費の十分の一でもそれに投ずることができたならば、こんな青少年対策で足りないじゃないかという質問は出ないで済むし、相当解決の方向に進むのではないかと思うのですが、これらについて総理大臣の御答弁がいただければ総理大臣、あるいは総務長官でもよろしゅうございます。
○安井国務大臣 お話のように、青少年問題が非常に大事であることは、佐藤総理が年頭のあいさつ、また衆参議院における施政方針演説にもお述べになったとおりでございます。ただ、これに対して政府の予算がいかにも足りないような印象も、これも御説のとおりないことはないかと思いますが、青少年問題は、御承知のとおり各方面にわたっております。あらゆる方面で、学校の教育、家庭、いまのレクリエーション、環境浄化、あるいは生活補導、その他いろいろな部門にわたっておりますので、予算としても非常に分散をいたしております。ここにひとつまとめて、これだけ一発やればこれでこの青少年問題は片づくというふうには、実はできていないことは御承知のとおりでございます。しかし、いま御指摘のような、ひとつ集約的なレクリエーションセンターをふやす、こういうことはぜひともいま以上にやらなければならぬというふうに考えております。また、これは建設省方面でも河川敷を利用するとか、あるいは文部省では学校の校庭を夜間開放する、その他いろいろな手が現在も打たれつつあるわけでありまして、各省にありまするその関係のいろんな施設、政策を総合調整することが、また非常に大事じゃなかろうかと私ども思っておるような次第でございます。 なお、マスコミ対策等につきましても、ここでこの間西村委員にも御答弁申し上げましたが、非常に大事だと思っておりまして、昨年来マスコミ部分を出版と広告と映画と放送とこの四部門に分けまして、総理府にありました中央青少年問題協議会の委員が中心になられまして、各界の代表者、学識経験者をそれぞれ部門でお集まりをいただいて、これの対策についても鋭意検討もいたし、また進めてもおるというような次第でございまして、私どもこれからもそういう面につきまして、大いに先生方の御鞭撻をいただいてやらせていただきたい。また青少年に対する国内だけの問題じゃなくて、海外青少年との交流といったようなものも、私どもこれからの希望を持たせる青少年にとっては大事なことであろうと思います。これも大いに振興させていくつもりでございまして、昭和四十一年にはガールスカウトの世界大会も、東京といいますか日本で開かれ、またWAYの会議の総会も開かれる予定、あるいは川崎先生御自身がやっていらっしゃる、あの西ドイツあるいはハンガリーその他の国々との団体交流、こういうようなものもあわせて大いに振興していただきたいと思っておる次第でございます。
○川崎(秀)委員 たいへん御丁寧な御答弁ですけれども、われわれ聞いておるところとはだいぶ間口を広げてお話がありました。ちょっと文部大臣、あるいは安井さんでもいいのですけれども、青少年がほんとうに優遇されているか、あるいは青少年が遊ぶ場所、あるいは大いに鍛練する場所をおとなが占領しているかという問題ですね。 そこで、私はゴルフはきらいではないし、いいことだと思う。けれども、日本でゴルフ場とプールの数とどっちが多いと思いますか。別に話の泉じゃないけれども、大体のところは……。ゴルフ協会の会長さん、知りませんか。石井法務大臣、体協の会長でもあるんじゃないですか。これは私のほうから言います。ゴルフ協会の調べによると、驚いたことに、全国に四百二、三十ヵ所ありますね。四百ヵ所といっておるが、いまつくっておるところもあるのです。ところが、これに対して五十メートルプールが二百六十四、二十五メートルのプールを入れると若干多くなるけれども、こういう数字が出ておる。それから、じゃ四百メートルのトラックは何ぼあるのか、これは調べてみると四十六しかない。これでは陸上競技でメーンマストに日章旗も上がらなければ、メキシコで水泳もなかなか挽回困難でしょう。しかし、私はそんなことを言っているんじゃない。老人かあるいは中老年——ゴルファーには若い者もいるでしょう。いるけれども、これは商業ベースですからしかたがないにしても、ゴルフのほうがプールの数より多いなどという国は、そんな国はないですよ、いま世界じゅうに。こういうことを放置しておくということは相当な問題で、何もゴルフ場をこわせなどということを私は言っているんじゃない。そういうものが先に大きな面積を取っておるということをここに強く指摘をしておきたいのであります。いま大切なのは、オリンピック対策ではなくして、わが国民の健康増強体力づくり——古井さん会長だ。その基盤である青少年が、見るスポーツではなく、みずからやるスポーツとしての場を与えることだと私は思うのです。それは、中央のスタジアムなどというものはもう要らないから、むしろ全国の人口三千あるいは五千くらいの町村を単位として小さなトラックをつくってやる、小さな児童公園をつくってやる、二十五メートルのプールをふんだんにふやすということで、スポーツの面からだけでも相当解決の方法があるんじゃないか。これを政府はやる気はないのか。あるいは、なくなった河野一郎氏は、やはり昔とったきねづかで、この方面のことについては非常に明るかったのですね。去年ひまだったからの点もあるけれども、相当思い切った構想を示した。それは体育施設、レクリエーション施設の増強のために、競馬法の一部を改正して指定競馬をやり、益金を国民体位の向上に回そうという構想を考え出した。これはあの人の、どういうものですか、実行力に伴うやはり多少の誤解もあって、残念ながら日の目を見なかった。河野さんの考え方は、国有林などを切りさばいて、その中に人造湖などをつくって、青少年を大自然に親しませる、あるいは多摩川や荒川にある河川敷というものを利用して、そうして緑の川原で青少年が遊べるような環境をつくってやろうということであれを提案したのですが、惜しいことにいまだに流れておる。けれども、これはギャンブルであるからいろいろ非難もあるでしょう。非難もあるけれども、競輪の益金というものはすでに合法的に使われておる。こういうことにも着目して、そうして新しい構想を生かしてみる気はないか。政府がまず国費でやる、足らない分はそういうものを活用するという考えはないか。文部大臣、伺いたい。
○中村(梅)国務大臣 御承知のとおり、河川敷をそういうスポーツの場所に利用したらどうか、これは、今年度は建設省の予算に計上されまして、初めて実行に移ることになりました。もちろん十分の経費ではないと思いますが、逐次これを活発に実行していただくということは、われわれとしては非常にありがたいことだと思っております。ただ、御指摘の競馬の益金を活用したらどうか、この点については、当時も問題でございましたが、おそらく現在も、競輪の利益金がスポーツ関係の助成にも使われておる、これは現実の既成事実でありますから刑でありますが、新たにこういうギャンブルからスポーツの資金を捻出することを考えるよりは、もっとほかにくふうすべきではないかという議論が強いようで、私どももその意見にも傾聴しなければならないという立場に現在あるわけであります。 〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕
○川崎(秀)委員 もっとほかにというのはどういうことでしょうか。それはそのほうがいいと思います。何かありますか、具体的に。
○中村(梅)国務大臣 結局、国の予算上の計上を増強していく、これは年次の予算編成の都合もありますから一ぺんにはまいりませんが、逐次増強して目的を果たしていくということ以外にはないのではないかと思っております。私どもとしましては、学校の運動場を開放する等、照明施設あるいは掃除をいたしまする経費——多少でございますが、こういうことも推進をいたしまして、昭和四十一年度の予算にはこういうものを計上して、逐次青少年のそういうスポーツや運動や体育のために利用される場所のふえていくように実は努力を続けておる次第でございます。
○川崎(秀)委員 ゴルフ場とプールあるいは青少年遊園施設というものとの対比の問題については答弁はなかったけれども、大体同感だという顔をしておられたから質問しないことにしますが、いま早手回しに青少年の交流のお話を御答弁がありました。これからしょうと思っておったのですが、あれはこのごろ非常に希望者が多いのですね。大宅壮一氏もきのうサンデー毎日か何かに書いておって、青少年の夢というものは海外旅行だ。しかし、これにはばく大な経費がかかるわけですから、すべての者に海外旅行の機会を与えるというわけにいかない。やはり青少年団体が選抜したり、政府が選抜したりして、そうしてなるべく多くの者をやろう。自費で行く者は別です。青少年海外旅行というものを調べてみたら、慶応は去年十数チーム、ヨーロッパに行ったのですね。千何人行っているのです。いいことだけれども、金を持っている者はいいけれども、金を持っていない者は、実際指をくわえておらなければならぬというので、これはやはり何とかくふうをしてそういう機会を中産階級の子弟及び貧乏な青少年、しかも有能な青少年に与えなければいかぬ。総理府も、七、八年前からやっておるのですけれども、あれは非常にいままでは効果があった。しかし、もう限界線に来ておる。なぜならば、各国をずっと視察して歩いたって、前の年の報告と大体同じですよ。やはりこれは、先進国同士は交換でなければならぬ。そうすると血が通い合う。お互いに国情を十分に知り合う。今度行ったときは、来た者の世話になるというような形式がいい。後進国はやはり呼ぶのです。外貨がないですから。そういうような方式で、今度青少年局ができたことを機会に、やはり青少年交流というものも相当検討すべき段階に達しておるのではないか。現に外務省の椎名外務大臣の手元には、日本から出ておる各国の大公使から相当手紙や伝言が来ている。もう漫然たる旅行をしょっちゅう世話するけれども、とても困る、何とかこれは交歓形式というものに変えてもらいたいという希望が来ておるのです。それから、やはり東南アジアやアフリカの地帯では、青年が相当に日本の発展現状を見ようと思っており、逆にあこがれておるのです。しかし外貨がないから行かれない。こういうものは呼ぶような新しいプランをつくったらどうですか。そういう点で何か考え方がありますか。
○安井国務大臣 御説のとおりに、海外との青少年の交流というものは非常に大事だと思いますし、いまお話がありましたように、政府としても年々数組、二、三十人を一団といたしまして、りっぱなリーダーをつけた各旅行団を出しております。その成果は相当にあがっておりますが、これも限られた数でございます。また、いま言われますように、団体同士の形の交歓ということも非常に大事だろうと思います。ことに東南アジアからのそういう希望者に対しましては、いままででも政府も若干の国内におけるその滞在費を見るといったような若干のことはやっておりますが、今後もできるだけそういう機会をふやしまして、先ほども申しましたように、来年はこれでもガールスカウトなりWAYの大会というのは、それぞれ数百人の青少年が外国からやってくるような予定にもなっております。また、いまのそういった一定の国との今度はまとめた交歓、これも幅広くやるように努力をやっていきたいと思っておる次第でございます。
○川崎(秀)委員 運輸大臣、ちょっと所管のことで伺いたいのですが、あなたは十二年前にドイツへ青少年のリーダーで一ぺん行かれたことがあります。ことしの一月の元日のテレビ対談か何かで、将来、でかい貨客船をつくって、青少年に世界を一年ぐらいかけて見させてみたいなんていう話を、私は直接聞かなかったのですが、そういうお話をされたというのですが、何かありますか。
○中村(寅)国務大臣 私は昭和三十年に西ドイツの青少年運動を視察にいきましたときに、向こうの政府当局から聞きましたことばが非常に強く印象に残っておることがあるのでございます。それは、日本でも終戦後青少年が非常な虚脱状態になって、青少年がどこに行くかというようなことが非常に心配せられた。西ドイツでも、戦争に負けて、昭和三十年ですから十年ばかりたっているころでございましたが、西ドイツでは青少年が虚脱状態になるというようなことはなかったのかというて聞きましたのですが、そのときに、西ドイツでも青少年はみんなそうなった。それは、戦争というものは青少年の夢を全部奪うのだ。そこで、それじゃどうして今日の健全なドイツの青少年をつくり上げたのかというて聞きましたときに、戦争というものは青少年の夢を奪う、そこで、戦争が終わってからは、青少年の本能的に欲するものをすべて与えていくということをやってきておるのだ。運動の好きな者には運動をやらせる場所をつくってあげる、あるいは水泳の好きな者には水泳のできるような場所を、あるいは音楽の好きな者には音楽の楽しめるような場所を国の力でたくさんつくってあげる、それから旅行の好きな者には全国を自由に旅行のできるような機会を与え、あるいは補助をしてやっておるんだ、そういうことで青少年というものを健全な方向に誘導していっておる。青少年というものは説教ではよくならぬということを非常に強く聞きました。それが私の頭の中には強く残っております。日本の青少年の問題等につきましても、いつもそういうことが頭にあるのでございますが、私は、先ほど川崎委員も言われましたように、青少年がやはり世界の各地に行きたいという大きな夢を持っておる。それには十人とか二十人とかを、あるいは百人ぐらいを一年やるというようなことでなくて、これは一つの私の夢ですけれども、千人か千五百人乗るくらいの船をつくって、そうして、港々にとめて、たとえて言えば十五日か二十日間か一つの港にとめて、その間その国を視察させる。そして次の国の港にまた持っていって、そこでその国の事情を知らせるというようなことで、一年くらいかかって、次の世代の指導的な役割りを果たす有能な青少年に、世界各国を見せて回るというようなことをひとつやったら、青少年のためになるのじゃないか。私は、そのためには、百億や二百億の金が要っても決して惜しい金じゃない。先ほど川崎委員も言われましたが、私も、やはりおとなが自分たちの遊ぶ場に一ヵ所で五億も六億もかかるようなゴルフ場を四百幾らもつくって楽しんで——楽しんでおることはそれはいいと思うが、そういうことをやはり青少年に考えてあげるということができるならば、私の夢も、決して夢として消えていかない、こういうことで元日に話したのでございます。
○川崎(秀)委員 これは、運輸大臣より青少年大臣をつくって大臣になったほうがいいので、全日空機でお通夜ばかりされておるときになかなかいい話を聞きました。ぜひこれを参考にしてもらいたい。 そこで、大蔵大臣に、こういう公式の席上を通じて、やはり私が調べた青少年対策費というものの各国のデータがあるのです。しかし、それは国によって取り方がだいぶ違いますので、わが国がやっておる青少年対策費と項目をぴちっと合わしてみてどのくらい違うかというのを見ました。そうすると、大体ドイツでは百三十五億から百四十億ぐらいと計算されます。イギリスが九十億。わが国のは三十八億ですから、これが財政の規模、人口その他の関係から見て、やはり三分の一ぐらいの比率になってきておるので、それで、どこが足りないのかということをまたずっと見ると、項目別には、やはり青少年団体の社会奉仕的な活動、これをやることをバックアップしておる費用が一番足りないですね。青少年団体が社会奉仕をしよう、あるいは無医村などに行って医療救助をじょうということに対して、政府は協力しているわけですね。それから、第二がいま出た青少年の国際交流、第三番目が青少年のスポーツ活動、野外訓練に対する助成、四番目が学校以外の教育面の中央の施策、青少年にいい図書を見せ、映画を見せる、そういう施設をつくるということに、ほぼ日本の四、五倍の施策をしているように数字の上では出ているのです。ことしはしようがない、こういうことですから。今後こういう点に注意を払って、それは圧力団体の要求でもないし、青少年の団体の声などというのは小さいですから。しかし、そういう声をよく聞いて善処をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
○福田(赳)国務大臣 次の世代をになう青少年のことでありますから、できるだけのことをいたします。
○川崎(秀)委員 中村文部大臣に一つ伺っておきたいことがある。これは、一つは私どもの非常に責任もあるのです。それは、早稲田の今日の現状であります。二週間ほど前に、社会党の某議員あるいは自民党の某議員が非常に心配して、学校の先輩として、いまの実情を放置しておくわけにいかぬじゃないかと言うておるのです。けれども、とにかくまるで分極化して、大学は私立大学の応援もあるんでしょう、一歩も引かぬ。片方は、共産党同士は割れておるけれども、えらいものすごい共産党で、てんで話にならない。どうしたってはしにも棒にもかからぬものですから、なかなか調停するということのチャンスというものもないわけです。しかし、幸い、この一週間くらい前から、一般の学生はあきらめムードというか、非常に着実に、大学の財政も知りつつ協力しようという空気が出てきておるんですから、何とか先輩において調停をしてみたらどうかというような動きもあって、あすあたり、院内に与野党の先輩が寄るということの段取りにきておるわけです。文部省では、こういう問題については調停機関というものはないのですが、どういうことを望まれるかということを聞いておきたいです。それから、もう私立大学援助法、私立学校振興会に財投二百四十二億出したとか、いろいろなことを言っておりますけれども、とてもスズメの涙、今後、私立大学の助成については、根本的なやっぱり検討も要るし、同時に、私立大学をむやみと多く許可するという文部省の方針にも重要な誤謬があるんじゃないかという議論が出ておるのです。私立大学の経営の内容を見ても、ピンからキリまであるのです。今度の早稲田の紛争というものが、非常に両方にとって天王山といわれているだけに、どっちも引かぬ。こういう問題もひっくるめて文部大臣の御見解を承れればしあわせであります。
○中村(梅)国務大臣 たいへん、いろいろこれはむずかしい問題であると思います。私ども文部省としましては、心配はいたしておりますが、これに対してかれこれうっかり口出しもできませんし、いまお話がありましたように、私も一番いい方法は、やはり校友の方々が御相談をいただいて、そして、学校当局と学生との間の話に、仲裁といいますか、ごあっせんを願うということが一番いいと思いまして、懇意な一、二の早稲田出身の方に私どももお話しいたしましたが、これもやはりいろいろ時期があることでもありましょうし、情勢がいろいろあると思います。早稲田大学としましては、ここ四、五年の間、授業料をよそは上げても上げないできまして、たとえば文科系にしますと、一番大学のうちで授業料の安い大学にいままでなっておったわけです。これらが、やはりよそのやるときに逐年変わっておればよかったのですが、がまんしておって、一ぺんにということになったものですから、これが非常に影響するところが大きかったのじゃないか。ようやく慶応の金額に追いつこうというのが今度の学校当局の案のようですから、無理からない点もありますが、しかしまた、学生のほうはああいうような状況になってくる。ですから、私は今後の私立大学の経営の上から見ますと、近来見ておりますと、私ども自身も感じておるんですが、どうも大学と卒業生なり校友とのつながりというものはだんだん希薄になっておる。もっと昔は自分の母校に対して愛着があったと思うのですが、これは学校の当局も、やはりだんだん大学がマンモス化してくるにしたがって、そういう配慮が足りなくなってきているのではないか。ですから、現在私学振興調査会を設けまして、私学に対する援助はどうあるべきか、——これは政府だけでうっかり親切なことと思ってやっても、反撃を食う場合もありますから、この調査会を通して、学識経験者の方々に慎重に、掘り下げて御検討をいただいておる段階で、いずれ成案を得て、われわれも実行に努力をする時期がくると思いますが、またその反面、学校当局でも卒業生とのつながりなどについてはもっと配慮をして、学校の経営管理上くふうする点があるんじゃないか。早稲田の今度の場合などは社会に対する一つの非常にいい刺激であり、参考にもなったと思いますが、早く解決をすることを私どもは心から期待をしておるような現状でございます。
○川崎(秀)委員 三木通産大臣、緊急の課題としてのベトナム特需について、昨日の高田委員の質問とは違った角度で少々伺いたいと思うのです。 ベトナム戦局は、平和か、あるいは和戦両様の岐路に立っておる。一九六七年度アメリカ会計年度では、かなりのベトナム戦費というものが計上されておる。百三億ということです。その前触れというか、本春に入ってかなりの特需がきておるように聞いておるのですが、この数量というものについて御承知あらぱ承りたい。
○三木国務大臣 昨日もそういう質問があったのですが、実際にベトナムの影響が特需にあるということはあまり統計にあらわれてこないのです。大体今年度の、暦年で、特需全体で二億何千万ドル、一年にすれば三億ドルぐらいのもので、大部分がやはり在日米軍の消費物資ということです。したがって、ベトナムであれだけの膨大な戦費を使っているので、そのことが日本に対する特需として非常に出てくるだろうと、みなそういうふうな角度から御質問を受けるのですが、統計の上ではそういうことはない。やはりアメリカがバイアメリカン政策などによって自国の物資を使っておる。従来、朝鮮の戦争などに見られない傾向でございます。格別、ベトナム特需が日本の産業に大きな影響を与えるというような、そういろ数字は出てきていないのです。
○川崎(秀)委員 これはちょっと驚いたですね。通産省にはベトナムの特需の係官というのはいないのですか。それをにらんでおる者は……。
○三木国務大臣 特需係というのは置いてないのですけれども、しかし、これは三億ドルといえば相当かなりな金額でもありますし、したがって、どういうものがどういう動きを示しておるかということについては、絶えずわれわれ関心を持って見ておるわけでございます。
○川崎(秀)委員 武器弾薬などは……。
○三木国務大臣 そういうものは、われわれとして輸出はできないことになっておるわけであります。
○川崎(秀)委員 佐藤総理大臣、私が三木さんに質問するのはちょっと勝手が悪いのです。いろいろと。けれども、いまは相撲でも部屋別総当たりという時代になってきておるのだから、遠慮なくいきますぜ、遠慮なく。 あなたのいまの情報というものは、それは去年の十一月ぐらいまでの情報です。本年初頭にあたって、すでに相当莫大な買いつけが行なわれています。やれと言うなら私のほうから資料を出しますが、あとでやりますけれども……。特需の係がない。どこから情報を得ているのです。それは。どこから情報を得ているのですか。三木通産大臣、私は一つ警告しておきます。それは、あなたは国会へ来ているでしょう。そうすると通産省のある高官、名前は言わない。女の秘書と二人でおいちょかぶをやっておるという情報がある。そういう綱紀の粛正のことについても摘発をしたいけれども、まあとにかくそれは別の話です。——どうですか。これはそんな数字じゃないですよ。いま新しい資料が出てきたなら言ってみてください。
○三木国務大臣 いまのようなお話があれば、これはもう許しがたいことです。綱紀の粛正は、これはもう現内閣としても非常にきびしく考えておるわけであります。 それから、特需の件については通商局の次長からお答えをいたします。
○今村説明員 特需の契約高の数字につきまして、昭和三十九年度は四千八百四十一万九千ドルでございます。四十年度につきましては、四月から十二月までの数字がここにございますが、その数字によりますと、五千百四十九万六千ドルということでございまして、特に最近統計上非常に数字が激増したというようなことにはなっておりません。
○川崎(秀)委員 それが、いままでにもそれだけの数字はあるのだが、最近伸びたことがないというのは、一月以来の情報不足ということになるのです。これはどうしてそういうことになっておるかというと、戦略物資は違いますが、兵たん物資にしても、あるいは補給的な物資にしても、そういう数字があらわれないのは、これはアメリカのAPAという在日米軍調達本部がかってにやっておる。かってに買い付けるのはいいのです。今度はそのできた荷物を検査する権能というものが日本にないところに問題がある。私は社会党と違うから、兵器弾薬というものについていろいろ高田委員が御質問になった、それは党の立場が違いますから、それは聞かぬ。しかし民間物資でその流れもわからないというのでは、通産省はどこへ目をつけている。私の調べたところによると、通産省はこういう問題について、いまの次長はどこからの情報でそれだけのことを言うたか知らぬけれども、しょっちゅう見ておる者は女の秘書——さっきの女の秘書とは違う。おばちゃんだというのですな。一人でやっておるので手が足りず、わからぬという。こういう状況がわからないということは、非常に日本としては困るのです。こういうことがわからない仕組みになっておるのはどこに問題があるのかということを、私ども日本国民にわかるように言ってみてくれませんか。
○三木国務大臣 御承知のように、貿易は一々承認制になっていないわけですから、商社の報告をとるわけであります。全体としての統計であらわれてくればこれはわかるけれども、しかしそのつど、一月に——いま二月早々で、一月にふえたというようなことについては、やはり商社の報告を求めて、そしてこれを集計をしておるわけであります。
○川崎(秀)委員 商社の報告だけではないでしょう。ベトナムの問題は、結局そうだろうと思うのです。けれども、正常の貿易については税関というものがある。輸出、輸入の関門というものがあるわけです。それがベトナムの場合ないところに通産大臣の情報不足というものが出てきておる。朝鮮特需のときにはアメリカの大使館に特需部というのがあって、それが通産省の特需課というものと連絡しておった。今日は、ベトナムの問題は、過去三年は在日米軍の調達という形で行なわれておったので、それはどこまでがベトナム向けのもので、その他はアメリカ軍が日本の国内においてどれだけ調達するかということはわからなかったけれども、このバランスがだんだん変わりつつあるのですよ。そして、今度の会計年度のベトナム戦費百三億のうちの六十億というものは、大体ベトナム戦の補給兵たん費ということに推定されているわけですから、そのベトナム戦費のうちの五%ないし六%は、これはアメリカの消息通が言っているところでは、必ず日本で兵たん買い付けをする、調達をするということです。そうなると、佐藤総理大臣、これはまあ喜ぶべきことか悲しむべきことか知らぬけれども、とにかく一時的には不況産業のカンフル注射みたいな役割りを演じてきておるわけです。その際に、兵器弾薬というものとどういう関係に立つかということは、これは私が聞くところではない。社会党さんが聞くでしょう。私が聞いておるのは、その出口を押える関門がないということ、それは在日米軍の調達のものについては法律があるのです。安保条約に伴うところの政令というものがある。この政令も知らないのでしょう、あなた方、ほんとうは。それはあるのです。しかし、これを拡大解釈しておるところに問題がある。それで、日本の通産省は何も知らぬ。ベトナム物需はふえておりません、むしろ減っておる、——とんでもない話だ。だんだんふえてきておる。三木先生、いかがですか。
○三木国務大臣 それは、われわれとしても、貿易に対してどういう状態かということですから、これは絶えず関心は持っておる。どこから川崎君は情報をとって言われるのか知らぬが、アメリカ大使館、あるいはまた商社、あらゆる方法で——御承知のように貿易は自由化されているのですから、いろいろな物資別の統計は出るけれども、やはりこれがどこへ行くかということについては、いろいろ制限を受けた物資はともかく、普通の物資では、こちらのほうが努力をしないと、なかなかすぐに統計は出にくい。今日においても、アメリカとも連絡をとり、商社とも連絡をとり、できるだけの統計はわれわれ正確を期して、貿易の推移をわれわれは見守っておるわけであります。
○川崎(秀)委員 大蔵大臣、ベトナム向け物資というものと別にして、常時在日米軍が日本で調達をするものについては、どういう法律でそれは調査ができない、あるいは免税になっておるというものがありますね、御存じないですか。
○福田国務大臣 よくここで承知しておりませんが……。
○今村説明員 ただいまのところ、米軍が日本国内で物資を調達したり、役務を調達いたしましたりする場合に、特別に法的に制約を受けて、政府がこれを制約するというようなことはございません。
○川崎(秀)委員 それじゃないのですよ。それは調達をするのは自由でしょう。けれども、それを今度は、調達したものはどこかへ持っていかなければならぬ、あるいは納めなければならぬというような場合に、何か制限の法令なり政令はあるか。あるのですよ。あるから日本側は数量がわからぬのだ。
○今村説明員 輸出につきましては輸出貿易管理令というのがございまして、輸出承認をあらかじめ受けなければならないというふうに定められた品物につきましては、日本の国外へ通関いたします以前に通産大臣の承認を受ける、こういうことでございます。しかし、それ以外のものにつきましては全くフリーでございます。
○川崎(秀)委員 もう一度質問しますよ。調達をすることは、これはまあ米軍がかってにやるのだ。その品物を今度は受け取る、あるいはその受け取ったものを今度は外国へ出す。それがベトナム向けであるか、沖繩向けであるか、それはわれわれはわからぬですね。しかしその場合に、輸入貿易管理令あるいは輸出貿易管理令で税金をかけなかったり、あるいはその品物を精査をすることはできないという、合衆国軍隊の司令官の権限にあることであって、日本がそれにタッチすることができないという規定はないかと言っているのです。
○今村説明員 ただいまの御質問は、米国が特需として調達した物資を日本国外に輸出する場合に、政府がこれを規制できるかどうかという点についての御質問だろうと思います。これにつきましては、安全保障条約第六条に基づく地位協定、これの実施に伴う外国為替管理令等の臨時特例に関する政令というのがございまして、合衆国の軍隊あるいは軍人用の販売機関等が物資を輸出する場合、輸出貿易管理令による輸出の承認を受けるという義務制限を免除されることになっております。
○川崎(秀)委員 非常に明快でございます。ずいぶん時間がかかった。そこで、それで出ていく場合も、何ぼ出ていくかわからぬ。商社の情報やなんかでしかわからぬという仕組みになっておるところに一つの問題点が私はあると思うのです。それは、在日米軍が日本に駐留をしておって、その作戦目的というものは別ですが、ベトナム戦争が起こって、ベトナムのための補給ということに対して相当ばく大な特需が発せられてきておって、それが輸出のときに何もわからぬ。だから、その数がわからぬということなんですね。これは、本年一月からすでに私どもの調査しておるところでは、一千万ドル以上の特需があって、それはすでに競争入札にされて、第二次発注というものも行なわれようとしておる。これは明らかですよ。そこに問題があるのでありまして、これは何とか日米合同委員会等において、ベトナム向けの物資というものに対しての拡大解釈というのをやめる方法はないか、少なくともその数量というものに対して通産大臣がキャッチしておくだけの必要はあるのじゃないかというのが私の質問の趣旨なのであります。こういう問題でアメリカ側と御協議になったことはないのでしょうか。
○三木国務大臣 それは、いわゆる日本の国内法において制限を受けておる以外の物資については、特にアメリカと相談をして、これを抑制するというような目的で相談をしたようなことは、したことはありません。
○川崎(秀)委員 いずれにしても、こういう情報不足がある。で、私が調べたところによると、APAからこの一月だけでも軍服が百十万着。百十万着というのは少し多過ぎるなとわれわれ思っておると、これは寸法が短いというのです。ははあ、日本人より小さいなら南ベトナムの政府軍の軍服かと思っておる。たぶんそうでしょう、約三百三十万ドル。それから合繊サンドバッグというのが五百万袋、冷凍プレハブ、ディーゼルエンジン、電機部品、くぎ百二十万ポンド、これで一千百万ポンド程度です。こういう発注がすでに行なわれて、第二次発注が行なわれておる。これは別に悪いと言っておるのじゃないのですよ。そういう事実があるのを通産大臣が何とかチェックできないか、情報がとれないというところに問題点があるということを私は指摘をして、それをひとつ研究課題にしていただきたいという意味で質問をした。 それからもう一つ質問をしておきます。それは、佐藤内閣の人間尊重、人命尊重という見地にもあるのですけれども、こういうものを何で運んでおるかというと、大体この間川崎で事故を起こしましたLST、上陸用舟艇、いまから二十二、三年前にウエーキ島やサイパン作戦、あるいは硫黄島の作戦で使った米軍の上陸用舟艇です。そのころは新鋭船であったけれども、いまはほとんど老朽船、そこで、それを輸送する人間が相当に徴集されておる。これはどのくらいLSTに乗り込んでベトナムに行っておるか。私は、人命尊重というのは、ときには沈没もすることもある。その場合の補償はアメリカ軍がしてくれるのか、あるいは日本政府が関連をして、どっかの保険会社で生命を保障するような仕組みになっておるのか、その点について防衛庁長官、知っていませんか。
○松野国務大臣 LST乗務員は運輸省の所管でありまして、防衛庁関係でございません。
○中村(寅)国務大臣 まだ聞いておりませんから、あとで調査して、わかればひとつお知らせします。
○川崎(秀)委員 その人間の数はわからない。それからもう一つは、どういうふうに補償しておるかわからないというけれども、この間の川崎のドッグで起こした相当な事故については、どういう補償がされておりますか。
○中村(寅)国務大臣 船員法による船員でございませんので、運輸省でまだ承知しておりませんし、この間ドッグの中で死んだのは、あれは運輸省所管の人でないようですから存じておりません。
○川崎(秀)委員 私は注意を喚起して、そうして、そういう問題があるということを提起をして、いずれ分科会なりででもお伺いしたいと思っております。 それでは物価の問題については、もうずいぶん各委員から御質問がありましたので、私は、むしろ少しこまかい質問ですけれども、消費者物価の値上がりについての実態的なものですね、その数字を、この予算委員会でかなり論戦がされておるけれども、昨年から本年にかけてどのくらい上がっておるかということ、それと所得の関係はまだ突き詰めた論争はないように感じておりますので、その点をお尋ねをしたいと思っております。 所得倍増政策がスタートした昭和三十五年を一〇〇といたしまして、昨年の十一月は、消費物価の上がり方は、総合において一三六・二%という数字が出ておるわけですが、これはどういうところに一番大きな値上がりの原因があるかというと、何といってもやはり食料品ですね。食料品が一三九・二%、その中で日本人の食生活の中でパーセンテージが非常に高い魚介類——この間農業白書が発表されたが、世界じゅうで一番日本人は食を魚っておるわけです。デンマークの第二位をうんと引き離しておる。これが一七七・一%という最高率のほか、家賃、地代が一六九・八%、それから肉類が一五一・四%、野菜が一四〇%、教育費が一七一%、ここらがやはり問題だと思うのです。これが子弟をかかえた中産階級以下の生活に非常に大きな、ずっしりした重みを、過去五年間の統計を見ても与えてきておるのですが、ここで私がいま論じたいのは、藤山経済企画庁長官でも大蔵大臣でもけっこうでありますが、この一年における東京なら東京の主要商品の小売り価格の推移というものを見ますと、非常な驚きですね。十二月とか一月とかいうのは、やはり各家庭が財政膨張をする。だから、そういうのは単位にならない。私は十一月でとってみたのです。そうすると配給米が一昨年の十一月に比べて、昨年の十一月が一五・四%の値上がりです。それから食パンが一一・三%、マグロが二四%、かつおぶしが一一%、牛肉が一四・八%。これは毎日の食事に相当影響のあるようなものばかりいまあげてみます。豚肉はそう上がらない、三・四%、卵が一一・七%、みそが一〇%、たくあんが三一%、こういう数字があらわれてきて、下がったものはミカンとキャベツだけだ。主婦にとっては非常な驚きです。そしてガス代、水道料金の値上がり、パーマネント、理髪料、洗たく代というのは全部軒並みに一〇%弱上がっている。下がっているものもさがしてみました。電気洗たく機、テレビ、これは飽和点にきているのですから、第二次にかかっているのですから、それは下がっているけれども、こういうもの、教育費、文教費、教養、娯楽といったものがまず二〇%近く上がっているところを見ると、これは、だれの目にも、今度の予算との関係で、非常に先行き不安を国民に与えておる。ことに主婦に与えておる。中産階級以下の主婦に与えておるというのは決定的じゃないか。 そこで、もう一つ決定的なのは、昨年の十一月の東京における標準世帯を前年の十一月のそれと対比すると、どのぐらい違っておるかというと、これは一番的確な数字ですが、おととしが一カ月で五万四千百五十二円、昨年十一月は六万二千三百八十一円、八千二百二十九円という支出の増です。一五・一%違っているわけです。そこで、所得の伸びは昨年は八%−九%ということでしょうから、したがって、おととしはやりくりをしなくても済んだ家庭が昨年は決定的に赤字になってきておる。だから、世論調査を見ても、やりくり家庭がほとんどだというこの数字、これは一体どうでしょうか。これでことしは、あなたのお考えによれば物価を五・五%に押える、片一方は二・四%ですか、そこまで所得を上げる、こういうのですけれども、ちょっと議論が出ているように、不況下で上がったのだから、これから先もさらにたいへんだ。去年は、とにかく東京の四人世帯で八千二百二十九円という支出の増がある。これはなかなか容易ならざることじゃないかと私は思うのですが、これに論拠を合わして御答弁願いたい。
○藤山国務大臣 いま川崎君の御指摘のように、上昇したもの、その金額を拾ってまいりますとお話しのような上昇でございます。ただ、私どもが出しております消費者物価の指数というものは、これに生活費の中における寄与率をかけて、そうして今年は七・五%にいくか七・七%にいくかということをいっておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように、確かに季節商品である野菜その他の値上がりが著しい、あるいは個人サービス、教育費というものが表を見ましても著しく高いのでございます。ですから、これらに対する処置をしていかなければなりませんが、それは上昇率の点からいえばそうでございます。そこで、生活の費用に対してどれだけそれが寄与しているかという寄与率というものがあるので、それでやってまいりますと、いま申し上げたような年間通じて七・七%あるいは七・五%というような数字になる。その七・七%なり七・五%なりを、来年は五・五%に消費者物価の水準として持っていこう、こういうことなのでございます。
○川崎(秀)委員 一番しまいの持っていこうということなんだということで聞いておきます。そういうことばのニュアンスからすると、努力目標であって、なかなかこれは達成できない。そこに私は悩みがあると思う。佐藤総理大臣、福田大蔵大臣、三木通産大臣、藤山長官、この前にずっといいところ並んでおられる、私はきょう言いたいと思っておった、つまり、そこに並んでおる人とこっち側にいる人と、感覚は違うと思うのです。なぜ違うか、それは言わないですけれども、大体わかっておる。それは、庶民の生活にわれわれは近いということです。これは別に議員の歳費が値上がりしなくて、家計が苦しくなったということだけではない。けれども、大体歳費だけぐらいを中心にして生活をしておるものは、わりあい庶民の感覚に切実感がありますよ。佐藤総理大臣、ちょうど並んでおられる四人の実力者が、たまたま経済閣僚である。もっと家庭生活の不安というものに切実感を持って対策を練ってもらわなければいけないのじゃないかというふうに、私はほんとうに心からお願いをするわけであります。 そこで、異常に上がってきた物価抑制に対しては、異常な決意をしなければならぬ。これを押えるために諸外国の指導者や何かのやった例を山花君などもここで指摘をされておりまして、私どもよく拝聴いたしました。しかし、一番新しいのは、ドゴールやアメリカの大統領のことでなくして、この間選挙で勝ったエアハルトのことですね。選挙の際に、生活保護費を増額するとか、あるいは妊婦の保護費をやるとか、あるいは農民の改善費をやるとか言って約束した。しかし、その間にドイツの消費経済がずっとのぼってきて、何としてもこれは物価を安定さすことが大事だというので、これを抑えた。エアハルトは西ドイツ経済を奇跡の復興に持っていった人だというけれども、やはり経済政策だけは非常に確かで、しかも国民の人気を失うような政策を思い切って大手術をしてやる。これは、私は日本の政界の指導者にも要る心がまえではないかと思う。支持団体や圧力団体というようなものにこびないで、実際に国民全体のためを考えて、断固として政策を貫くというかまえをぜひとも大蔵大臣や総理大臣にとっていただきたいと思うのです。いま、そういう物価戦争に対する悲壮感、あるいは真剣に取り組んだという感じが露呈をしておらないところに、相当の国民の不満というものもあると思うのです。そういうものがなければ、やはり人々に訴えることに迫力を欠いてくるのではないか、私はこういうふうに思うのであります。たとえば賃金問題でも、賃金と物価のイタチごっこというのは、昭和二十二、三年のあの時代にもあった。時の石橋蔵相は、かなり勇断をもってこれに対処したことは御承知のとおりであります。やはりどこかでこれを断ち切らなければならぬ。いま再びこの過度成長の中で賃金と物価のイタチごっこが行なわれたらたいへんだというのが、私がいまから申し上げんとするところでございます。私は、合理的な賃金値上げに反対じゃないです。所得が伸びたのだから西欧的な水準にしろ、理屈はそのとおりである。しかし、やはり企業の合理化というものが達成をされて、そうして物価を押え、賃金は上がるというならいいけれども、去年の総評のスローガンのように、賃金上げろ、合理化反対、物価は下げろ、この三つはどう見たって歯車は合わないですよ。そういうことに基づいた要求というものに対しては、やはりしっかりした態度で進んでいただきたいと私は思うのです。まあ別に総評の悪口を言うつもりで言ったわけじゃないが、あのロジックだけは合わないですな。賃金上げろ、物価は下げろ、合理化反対、どうすればいいんだ。そんな手品みたいなことはできるわけはない。そこで当時は主婦連にかみつかれて相当困られた。そこで、企業の能力と賃金ということにも深い検討が経営者の側にも労働者の側にも望まれるところでありまして、本会議で倉石議員が申しましたのも、あれは経営を改善する、——倉石君が言うと相当強く響くけれども、そういうことに論点があるのではなくして、やはり目下の物価上昇の悪循環を断ち切るためには、みんなで考えようじゃないか。本年は特別の労働対策を立てようではないか。そのためには、政府みずからが責任を持ってまず物価を抑制する。次には、民衆に訴えるために、公務員ベースの給与改定を根本的に考えてみたい。 〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕 こういう意味で倉石君は提案したんだろうと思うのです。総理大臣は、迫り来る春闘を前にして、どういうお考えで物価と賃金の問題を考えておられるか。大蔵大臣からも御答弁を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 物価と賃金との関係につきましては、しばしば当委員会において質問を受けました。そのつどお答えをいたしております。もちろん直接関係があると、私はかように申しませんけれども、少なくとも心理的その他の関係で循環的な形をとっておる、このことだけは見のがすわけにいかない。したがいまして、強く一部で要求されておる物価と賃金との悪循還を断て、これは私どももその警告に十分耳をかすつもりでございます。もちろん政府は、民間賃金のあり方等につきまして積極的に関与するわけにはまいりません。しかし、あるべき姿、かような点については、私どもも当然率直にわれわれの意見を発表するつもりでございます。また、ことに公務員の給与等につきましては、人事院という中立的な機関が勧告をするということになっておりますので、この勧告は政府自身尊重して、そして実施していく、かような立場でございますから、ただいまの一般論としての物価と賃金との関係、これは私どもも十分伺って、そして今後の私どもが対処していくその基準にしたい、かように考えます。
○福田(赳)国務大臣 ただいま川崎議員のお話、まことにごもっともなことだと思います。われわれは経済の不況の回復、これも一生懸命やらなければならぬと思いますが、同時に物価の安定、これも解決すべき問題として真剣に取り組まなきゃならぬ、そういうふうに思うわけであります。私はそういう角度から、賃金が上がっていくということを否定するものじゃありません。しかし、これは合理性を持たなければならぬ。生産性の範囲内でなければならぬ。しかも、生産性を全部賃金にという考え方をとることがどうであるか。私は、やはり生産性が上がった、それは一部は消費者である一般国民、これにも還元さるべきものである、そういう考え方が打ち立って初めてこの物価の安定問題というものが解決されるのだ。つまり勤労者も農民も、すべての国民が同時に消費者なんですから、やっぱりみんなが一緒になってこの賃金と物価の問題を真剣に考えていかなければならぬ、まさにその時期にきておる、かように考えます。
○川崎(秀)委員 海外からいろいろな日本経済に対する見方があります。それは、日本経済の発展というものは、軍備がなくて、そしてやらずぶったくりで伸びたのだというような批判もあるのです。われわれはその批判にこたえるためには、やはり後進国アジア地域の開発というものに対しては、自分の身を多少切ってもこれに協力するかまえがないと大きな効果を得られないのではないか。 前に私はアジア開発銀行の東京誘致の問題についてこの予算委員会で質問したときに、閣僚はだれも知らなかった。非常に残念だったので、後に田中大蔵大臣に進言をした。それから非常に一生懸命になられたけれども、時すでにおそかった。いろいろとその案を出したときには、十分考えて、そしてこのアジア経済開発などということについては積極的な姿勢をもって進んでもらいたいと思うのです。いま、あるいは外務省でも知らないかもしれぬけれども、元来ニューギニアのパプア地域の開発ということについてオーストラリア側から提案があったという話を聞いているのですが、あなた、御承知ないでしょうか。
○椎名国務大臣 そのお話は初めて伺います。
○川崎(秀)委員 大蔵大臣、知っていますか。
○福田(赳)国務大臣 公式な話といたしましては全然承知しておりません。
○川崎(秀)委員 これは、まあこういうことです。 昨年の何月であったか、オーストラリアと日本の経済提携委員会というものが東京であった。その席上でオーストラリア側の委員長のサー・エドワード・ワレンという人が、これは州会議員をしている、りっぱな人です。また商工会議所の会頭か、しておられるが、突然ニューギニアの経済開発を日本と共同にやろうじゃないか、それはどういう形で今後進んでいくかは別にして、相当に魅力のある話であり、何ら人種的な恩怨関係のない土地だけに、日本の将来にとって非常な大きな明るさを感ずる話じゃないかと思うのです。方々からこの情報を聞きまして、日本側も対案を出せ、何でもワレンという人は、キャンベラである会議に自分のドラフトを持ってくるからということでありますが、最初は木材とかあるいは漁港の問題でしょう。しかしあの無尽蔵の資源というものを開発することにおいて、他の国とは違ってパプア人種という原住民がおるだけであって、それも日本とは何ら恩怨関係はない。日本軍はあそこで、相当瘴癘の地で苦労はしたでしょう。しかし、何も現住民をいじめた覚えもないようですし、これは非常にいい話だと思うので、御研究を願いたいと思うのです。これは相当ほかの話よりもいいと思うのです。 それから、国連信託統治地域というのがあそこにある。ここではやはり石油のフランスとの共同開発というものが考えられて、すでに石油資源開発株式会社ですか、一部やって、政府の予算にも出ておる。これをもっと来年、再来年において開発をすることは、日本にとって非常に魅力があるように私は感ずるのです。これはまあ注意だけを喚起しておきます。 それから外務大臣、このほうは答弁資料があると思うのですが、シベリア開発のほうはどうなっていますか。それから樺太の天然ガス。
○椎名国務大臣 これは資料がございますので……。シベリアと申しましても非常に広いのでありますが、西シベリアの開発問題について日本に呼びかけがきておるのは、いわゆるチュメーニ油田でございます。これはいまゴスプランの議長であるバイバコフ石油採掘工業大臣、この人が植村使節団が訪ソの際に提案したものでありまして、いわゆるパイプラインを非常に長い地域にわたって日本が敷いてほしい、そして極東まで、そのキロ数が七千キロメートル、こういう長大なパイプライン敷設の提案でございまして、これに対する返還の方法としては現物を差し上げたい、こういうことであります。 それからアムール州の鉄鉱石開発計画、これは一九五八年ソ連側から非公式に打診があったものでありますが、その後、一昨年ボイコ鉄鋼大臣が来日した際に、あらためて提案されたものであります。開発に必要な採鉱、選鉱及び焼結設備の対日買い付けと、その見返りとして鉄鉱石を日本に供給しよう、こういうのであります。 それから極東林業の開発計画、これは開発に必要な運搬施設である鉄道、港湾の設備を日本側に期待する、それから木材伐採及び加工の設備、それから製紙プラント、そういったようなものを日本が見てほしい、それの見返りとしてはやはり生産物をもって返還したい、こういうのであります。 それからチタ州の銅山の開発計画、非常に大きな鉱床でございまして、シベリアの幹線から北方三百キロくらいの奥にある地点でございますが、日本側がこれに協力してほしい。以上であります。 それから、いまお話しの北樺太の天然ガスの油田の開発でございます。これはもう詳しく申し上げぬでもよく御存じのはずでございますが、これはやはり開発の一切の準備的な資材及び建設材料、これに関連する加工設備、そういったものを全部日本が供給して、そしてこれを建設し、やはりその対価として天然ガスを適当な方法によって日本に供給するというのでありまして、これは場所の関係からいいましても、どうしても日本に使ってほしい資源であろうと思う。向こうが非常に意欲的でございます。しかし、これについてはいろいろ研究しなければならぬ問題が多々ございますので、ただいま両国の関係者が鋭意その研究に当たっておる状況であります。
○川崎(秀)委員 この天然ガスの問題については、ソ連側は頭金なしで延べ払い二十年くらい。そうして日本から消費物資も買おう、設備も日本側でやってもらいたい、そのかわり一年間に二十億立方メートルですか、日本の消費量の相当な部分を天然ガスで出す。田中幹事長は非常に熱心ですね、新潟の関係もあって。とにかく悪い話ではない。しかし天然ガスをそう日本が入れて、都市ガスとの消費量の関係がどうなるか、あるいは延べ払いの問題がどうか。いろいろな問題があるので、問題は、ソビエトロシアというものが後進国的な形で日本と貿易をするという形がはたしてどういうものだろうかということも、これから先の問題点ですね。答弁はありますか。よろしゅうございますか、指摘だけしておきましょうか。
○三木国務大臣 まあソ連の貿易は非常に延べ払いが多いわけです。しかも長期の延べ払いをソ連が要求する。ソ連は、国力からいえばああいう大国でありますから、そう長期の延べ払いもいかがかと思うのですが、現在は開発途上にあって外貨が不足しておるから延べ払いにという強い希望があるので、樺太の問題も、これは日本としては魅力のある提案でありますが、延べ払いの条件、日本の受け入れ態勢、こういうものに対して現在検討を加えておる最中でございます。
○川崎(秀)委員 外交問題に入ります前に、一つ建設大臣に伺っておきたいのは、人命尊重というのは、単に全日空機の事故だけじゃなしに、交通戦争の問題もあると思うのです。歩いている者が事故を起こすのは、存外、歩道がないということに大きな原因があるのです。中小都市などで歩道が全くない。それから、日本には自転車道というものがない。そのために事故が多発しているのです。その統計がここにありますけれども、もう申し上げない。歩道、自転車道の整備ということは、今後建設行政の、道路行政の一つの大きな人命尊重、内閣の高く掲げた人間尊重の精神であろうと思う。歩行者は優先だといって、歩行者は突き飛ばしてもかまわぬという今日の状況は、非常に残念です。私は歩け歩け運動をやっておるから、よっぽど目立つというのではない。これは人命尊重ということで、東京の道路でも、どうか歩道というものを整備していただきたい。とういうものに対する年次計画というものがありますか。
○瀬戸山国務大臣 お説のとおりでありまして、新しくつくります道路はいわゆる近代的にやりますが、まだまだ日本には既存の道路がたくさんあります。自動車時代になりまして、いまお説のようなことがあるわけでありますから、従来ともある程度やっておりますけれども、そういうことでは間に合いませんので、新たに緊急整備三ヵ年計画を立て、約六百億余りかかります。それを三ヵ年計画ということで、今度法律を国会にお願いしまして、計画的に歩道あるいは歩道橋、ガードレール、照明その他を整備する、四十一年度はさしあたり百億あまりの予算を投入する、かようにしております。
○川崎(秀)委員 佐藤総理にベトナム問題につきまして、私の所見も交えつつお聞きしたいと思うのであります。 日本のベトナム和平の工作努力ということについては、その効果には限界があると思うのです。しかし、このたび安保理事国になった。そこで佐藤総理は、この間からずっとの御答弁を聞いておると、また施政方針演説にも明らかなように、ハンフリー副大統領やハリマン特使が来られて、米国の、アメリカの肚裏というものがわかった、意思というものがわかったので自分は動いた。何かそれから動き出したような感じがするのですが、私は、過去のことは聞かないから、このチャンスに、日本の自主的なベトナム平和対策というものを立てて、安保理事会というものでとにかく一つの収拾のめどをつけようと努力をされる気持ちがあるか。それはどういう具体的な構想を持っておられるか。昨日、ホー・チ・ミン大統領のインドに対する書簡も発表されて、非常に日本としての役割りの重要な時期です。きょうが重要である、明日が重要であり、この一週間というものが私は非常に重要だと思うので、伺っておきたいと思うのであります。
○佐藤内閣総理大臣 私の外交の基本方針は、たびたび申し上げましたのでよくおわかりだと思います。この基本方針に沿ってただいまベトナム問題と真剣に取り組んでおる、かような状態であります。また、松井安保理事会の議長に対しましても、さような意味におきまして、とるべき態度を指示しておるわけでありまして、これはどこまでもわが国の国益を守る、またこれを確保していく、そしてこれを増進する、こういう立場でただいま主張をいたしておるのであります。もちろん日本が当事国ではございませんけれども、アジアに位する日本、同時に日本の安全、平和に多大の影響のあるベトナム問題だ、かように考えますので、ベトナム問題の双方の関係者が無条件で停戦して話し合いに入ること、これが私の願いでもあります。
○川崎(秀)委員 停戦して話し合いに入る。それにはやはり無条件ではあるけれども、当事者全部を含めた停戦でなければならぬ、停戦であれば、私はそう思うのであります。この点についてアメリカの状況を見ると、この一ヵ月ほど、アメリカの政府よりもやはり議会というものは相当高く評価されていいと思うのです。政府はペンタゴンに引きずられておるけれども、だんだんアメリカ議会の様相というものは変わってきて、相当平和への希望を大胆に表現し始めたことは、私は注目すべき現象だと見ております。アメリカの上院の外交委員会の方々の中には、長い間の政治訓練、あるいは民衆の動向に対する対応というものを非常に早くに受け取るところの感覚というものがすぐれておるように私どもは見た。去年ちょうど機会がありまして、上院の外交委員会の方々にお目にかかる機会があったが、なかなか将来の中国問題、ベトナム問題についての深い見識を持っておられて、どうしても最後には、ベトナム問題を早く片づけて、そうして世界の最大の問題である中共問題と取り組みたいというような気分が濃厚であった。そういうものがいつあらわれるかと思っておると、この間の北爆停止あるいは北爆再開の間を縫って、かなり上院の議論というものが盛んになってきている。それはやはり当事者全部を含めた停戦、和平交渉をしなければならぬじゃないかというような考え方に変わってきているのです。私はこの際思うのですが、日本は大胆に、と同時に慎重である必要はあるけれども、大胆に、平和への道はしっかり固めていかなければならぬ。その考えというものは、フルブライト上院外交委員長が持っておる考え方よりアジア的でないということではいかぬ。もっと前進した姿勢でなければならぬ。フルブライト上院外交委員長は、かつて北爆の停止ということを考えた。そのときには、アメリカ政府から相当に非難をされておったけれども、ついにそのことは一たんは実現したわけです。今日同氏はやはりベトコンを当事者、相手として認めようということを言っておる。しかし私は、これは見通しとしてそうなると思う。必ずなる。その後のことについては、これは当事者間のことであるから、テーブルについた以上は、それは南ベトナムの自由の確保のために、アメリカの主張もあろうし、南ベトナム政府の主張もあろう。しかし残念なことには、共産主義勢力でないものの側から見ても、ベトコンというものは、今日は当事者であるということだけは認めざるを得ないのではないですか。私は、そこに今日の日本の外交というものの根があって、そうしてアメリカの上院の外交委員会の論議よりはアジア的で、そうして解決的でなければならぬというふうに思うのですが、もし松井大使が訓電を発してきて、無条件交渉、あるいはテーブルにつけだけではどうもまとめがたい、ベトコンをどうするかということについて訓令があった場合に、この当事者を入れるかどうかということについての総理大臣の御意見を承っておきたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 アメリカの上院でいろいろな議論をしておるという御紹介でございますが、同時に、北ベトナムでどういう動きをしておるか、あるいはまたソ連がどういう考え方を持っておるか、非同盟諸国がどんな考え方を持っておるか、フランスがどうしておるとか、いろいろ目は四方八方にらんで動静を把握するという、その必要なことはわかりますが、同時に、ただいまのベトコン自身をいかに扱うかという具体的な問題です。これにつきましては、過日もこの席上において答えました。しかし、その形がどうあろうとも、とにかくベトコンの主張というものを全然話からはずすというわけにはいかぬだろう、かように私はお答えいたしたのであります。今日も同じような考え方を持っております。
○川崎(秀)委員 ベトコンをはずすわけにはいかない……。
○佐藤内閣総理大臣 この前にもお答えをいたしましたように、ベトコンの主張というものを全然はずす、かようなわけにはいかないだろう、どういう形になるか、これは関係者で十分相談すべきことだ、かように申しました。
○川崎(秀)委員 もう少しはっきり伺っておきたいのですけれども、そのくらいのところでけっこうであります。しかし私は、現在のベトナム問題も、結局は中国問題というものが全然未解決であるというところに大きな原因がある、胚胎するところがあるという見方をとっておるのであります。日本でもアメリカでもこういう考え方はだんだん多くなってきておる。しかし、ベトナム問題が解決してから中国問題だという考え方の人のほうがやや多いようですけれども、ベトナム問題のその過程においても、道中においても、中国問題というものを放置してはならぬ。むしろアジアの今日の問題は、ひっきょう中国の存在から切り離して解決できないところへきておる。私は自分の思想を申し述べて、あなたの考えを伺いたいのであって、そう問い詰めたお考えを聞こうというのではありません。しかし、ぜひこの質問を通じて、総理大臣のやはり今後の日本の進み方というものについてもお聞きしておきたい。最後の前段の質問であります。中国問題は、その意味では、多くの人が二十世紀後半の最大の政治問題だと考えておると思う。それは、中国の持つ領土、人口、資源、軍事力、あるいは将来の経済的発展の予測が、大陸全体に深い影を投げておる、影響を投げておるということだろうと思うのです。といっても、われわれは決して中共を過大評価するものでもなければ、おそれるものでもない。あなたの言う内政不干渉の線で、ひとの内政に干渉したり、あるいは誤った政策を続けて、あくまでも好戦的国家としていこうなどというようなことがあれば、これはたいへんなことであります。けれども、革命以来、中国の置かれておる今日の国際環境というものを静かに考えると、それはみずからつくったところもあるけれども、みずからつくったものよりも、むしろ外部の国際勢力というものが中国を長い年月において国際場裏から隔絶したというところに、今日のいろいろな波紋というものが起こってきておると思うのです。われわれは、もちろん中国問題を考えるときに、日本の利益、国益というのが第一です。しかし、その次にはやはり世界平和というものを考えなければならぬ。日本の置かれておる環境から見ると、国益と同時に、世界平和ということは非常に大きなウエートであって、総理大臣は、自分自身施政方針演説の中で、世界の各国はあまりにも自国の主張を述べ、これにこだわり過ぎていると指摘をされておる。中共もそうかもしれぬ。けれども、中国七億の民衆が国際社会からとにかくほうり出されて、発言権がない。発言権を外で強力にあらゆる形でキャンペーンする、こういう形がいつまでも続くことは、私は二十世紀の非常な悲劇だと思う。ここに二つの悲劇がある。七億の人口の代表者が発言権がないということが一つ。東西ドイツの分裂が第二。ウエートは、中国問題のほうがはるかに世界に与えておる影響は大きいわけであって、そこに思いをいたして今後の政治の目というものをつけていかなければならない。日本も、考えてみれば、過去何十年いろんな苦難をなめてきたですな。もとは何かといえば、もとはみんなシナ問題ですよ。シナ問題から始まって、大陸へ遠征して、膨張政策で何百万というわれわれの先輩や戦友が死んだんです。シナ問題がもとなんだ。中国問題を素通りするわけにいかぬ。私は、対ソ外交というものに対して非常な熱意を総理が入れられておることは、今日の国際場裏で、いいことだとは思うけれども、しかし国民が切実に考えておるのは、物価をどうするか、国民生活が安定するかである。その第三番目は、中国問題に対してこの内閣はどういう姿勢をとるかということを彼らは心の中で感じておるのですよ。中国問題です。その中国問題にただ慎重で対処するということは、これは私はどうしても割り切れない。何としても割り切れない。われわれはこの質問をする前に、党内のいろんな人の意見を聞いてみた。中共が国連加盟するのはどうだ、大かたにおいて、時期と方法だけの問題で、中共はいずれは承認せざるを得ないだろうと考えておるのが党内の多くの方々の意見です。中共の国連加盟について党外交調査委の昨年の国連総会への決定は、重要事項指定方式ということであった。これはしかし、だんだん日にちがたつにつれて、世界の情勢が変わっておる。私は中共の強硬路線ということには反対だ。しかし、これをどうしてもやはり日本がアジアの先頭に立って、中共を国際場裏に引き込まなければならぬ。イギリスの「オブザーバー」の編集長がわれわれに向かって言った。中共問題は結局日本の世論がきめる、その世論をきめるのはやはり自由民主党の指導者たちじゃないかというふうに言うのですな。これは総理大臣、どういうふうに思いますか。 それから私は、特に総理大臣にきょうはおみやげを持ってきた。どういうおみやげかというと、内閣総理大臣というものは明治十七年、十八年ですか、内閣総理大臣令というもの、内閣制というものができて始まった。首相ということばはいつから始まったか。これはずっと淵源を調べてみると、総理大臣の淵源というものは、岩倉具現が内閣制の発議のときには宰相ということばを使っておる。大隈重信が明治十七年に国会の制定の発議で、首領ということばを使って、首相ということばは出ていなかった。首相ということばはどこから出たか、これは非常にこれから先の私の質問と関係があるのです。これは冗談ではないが、やまと新聞が一番先にこれを取り上げて、明治二十年四月に総理大臣官邸で伊藤博文が夜会をやった、そのときに、「民主主義の化けものが集まって首相官邸で踊り明かした。」その当時のやまと新聞というものは国粋主義だったと見えるですな。それが一番の始まりだが、正式には明治憲法制定会議のときに、明治二十一年六月井上毅が「イギリスのしかるゆえんのものは、首相、内閣の全権を受け」やはりあの当時はイギリスの憲法をまねてつくった関係もあって、首相ということばを使ったのが、これが一番初めだ、明治二十一年四月、プライムミニスターの翻訳、あるいは日本古来のかしらという文字と、それから宋の時代に首相ということばが昔一ぺん出たことがある、ずいぶん古いことばです。そういうものをつけ合わして、このときに初めて首相ということばを使ったんだが、それを宰相としないで首相としたのは、やはりその人のイニシアチブというものを大きく認めていくべきだという考え方がひそんでおる。首相は言うまでもなく首だ。首がどっちに向いておるかということについて日本国民は一番心配しています。首がどっち向いているんだ。——首がどっちを向いている。首は外交上の懸案が片づいた今日、やはり中国本土、東南アジアに向け変えられなければならぬ。これが今日の外交の基本ではないかというのが私の質問であります。 もう少し申し上げれば、吉田、鳩山両氏によって、片一方は西欧と手を握り、自由主義国としてサンフランシスコ条約ができた。鳩山さんは、次に日ソ協定を締結して国連加盟というものができた。その二人だけがりっぱな仕事をしたが、あとの総理大臣はまだ画期的な仕事をしておらぬ。佐藤総理大臣は、それは日韓条約をやった。これも玄海の波濤を越えた相当なできごとです。けれども、これはアジア問題におけるところの最終局点でもなければ、単なる回り道にすぎない。何とかしてこの中国問題というものを解決しなければならぬのが、あなたのつとめではないか。首はどうか中国本土並びに東南アジアのほうに向いてもらいたいというのが私の切なる願いであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、たいへん川崎君、学のあるところを御披露になりました。首相の起こりから、一体首はどちらへ向いているか、こういうお話でございます。川崎君のお話にもありましたよろに、外交の基本、また同時に私が当面しておるアジア外交の基本、これはおことばにもありましたように、どこまでも日本の国益を守るのだ、国益を確保する、そういう立場が一つと、もう一つは世界の平和に貢献することだ、この二つを強く言われております。私もそのとおりだと思う。この二つが、今後の外交をこれから私どもが動かしていくそのもとの方向を示すものだ、かように私は思います。 そこで、ただいま中国問題、これを取り扱ってみたいと思います。中国問題、またこれについてはしばしば申し上げますように、中共政策が別に私は後退したとは思わない、在来と同じ考え方をとっておる。ただいまもベトナムから同時に発して、この話に入っておられます。ただいまは、国際的にすべてのものが関係を持つその時期になっております。ベトナム問題と中共政府が一体どういうような関係があるのか、かような点についてさらにせんさくすれば、いろいろ問題があるだろうと私は思います。しかし、少なくとも御指摘になりましたように、ベトナム問題を解決するために、やはり中国というものを無視してはいけない。そのことは抽象的に私にもわかることであります。しかしながら、一つわからないのは、私が日ソの関係でソ連との交通を、修好を改善していくとか、こういうことでいろいろ話を詰めてまいりますと、これが日中の問題に悪影響あり、かように一部で言われる。このことは私は非常に迷惑の至りであります。申し上げるまでもなく、国際的視野に立ってすべての外交はいたさなければなりませんけれども、それぞれ具体的な問題は具体的に両国の間で、二国の間で片づけていく、こういうことでなければならない。そうして、それが同時に世界の平和に寄与するかどうか、これは、私は、両国が仲よくなれば世界の平和に寄与する、かように考えて進めておるのであります。これをさらに日中関係に影響を与えるのだ、あるいは日米関係にどういう影響があるのだ、かように考えることは、私のいわゆる国益を中心にして外交を展開しようというその点から申しますと、私どもが考えるべき、またとやかく言われる筋ではない、かように私は確信をいたしておるのであります。 中国問題につきましては、在来からの考え方どおりで、別に変わってはおりません。ただいま言われますごとく、中国問題についてはなお流動的な動きがございます。だから、この流動的な世界情勢に処して私どもが誤らないように、そういう意味で慎重だと、かような態度をとっておるわけであります。私は、しかし慎重ということは何にもしないのだ、かような御批判もございますけれども、さようなものではない。慎重な態度でこれに処しておる、なお流動的に国際情勢が動いておること、このことは、もちろん私は無視するものではない。ただいま言われるように、中国の国連加盟の問題になってまいりますと、私どもが台湾を放棄したその立場で、中国の問題について二つか一つか、さような点は私どもがとやかく言う筋のものではないと実は思っておる。その代表権の問題をめぐって国連加盟の問題が起きておる、かような状態でありますだけに、この点で私どもは非常なむつかしい立場に立っておるのだ、在来から申し上げるのも、そのとおりであります。また、国際情勢の各国の考え方も、この点に実は非常に割り切れないものがあるようでございます。中共を中国の代表者とする、かような意味におきましても、一部のものは勇敢に、国府を追放して中共を中国の代表者にするのだ、かように申しておりますが、これに反対する国、並びに棄権したり、あるいは欠席したりした国は、こういう点について十分まだ納得しないものがあるようであります。私どもも、こういうような点について十分動向を見ると同時に、こういう際に、態度についていかにとるかということが慎重であるべきことは、これは当然であります。私は、重ねてわが国の態度をこの機会に声明しておきます。
○川崎(秀)委員 私は、質問を終わるにあたりまして、いまの点はわれわれと意見が交錯をしたままで終わるわけでありますが、この問題に対しての基本的な考え方は、そう違いはありません。けれども、国連加盟は重要事項指定方式ではなかなか守り切れるところではないのではないかということも静かに反省をされて、日本が将来の中国民衆というものとの深い関連のもとに政治を進めていかなければならぬのじゃないか。これはもう御異論のだいところだと私は思うのです。その意味での御考慮をわずらわすときがだんだんに迫っておるというふうに思うのです。佐藤総理は、このごろなかなか漢詩をやられるというけれども、「歳寒くして松柏おくれて枯るるを知る」という孔子のことばを知っていますか。これはたいしたものです。これは、やはり値打ちのあるものはあとから枯れる、いつも松柏のごとくに平和を愛さなければいかぬということを、あの古い年代のときにも言って、先人の戒めとしておったと思うので、どうかそういう御心境で今後平和に徹して政治をしていただきたい。 私は、この間の施政方針演説を聞いておりまして、これは最後ですが、一番総理大臣が謙虚に反省をされたのは、日韓国会における姿を一あれは触れないのかと思ったら触れたのは、われわれとしても敬意を表します。しかし、あれが事後の反省であってはならぬ。やはりあのごうごうたる世論の非難というものに対して与野党ともに反省しなければならぬということであれば、事後の反省で、また何か大きな事件があれば繰り返すということを防止するための積極的な国会運営の対策というものをあなたは考えて、党の幹部諸君とともに御研究を願って前進を願いたいというふうに私は思うのであります。 それで、ひとつ御提案を申し上げて総理大臣の善処を願いたいのは、やはり与野党の首脳部に不信感が生まれるということが一番いけないです。これは、イデオロギーや主張ではわれわれは徹底的に対立しているのですから、それはかまやしないのです。けれども、人間的な信頼感というものは、与党と野党との首脳部、特に総理大臣との間ではあってしかるべきではないか。戦前にも、政友会と民政党あるいは革新倶楽部が相競った。しかし、超然内閣の出現というものに対しては、犬養さんも高橋さんも加藤高明も、みんな一緒になって友情を吐露し合ったのです。それから最近でもあるじゃないですか。鳩山総裁というものと鈴木社会党委員長とは、日ソ条約の締結のときに、立場は違ってもやはり友情が流露していた。ああいう感じを出さなければだめです。これからの政治は。私は、その意味では、与野党の首脳部会談というものは、幹部が演出したらその上に乗るというのじゃなしに、ふだんからもっとお話し合いを願って、国際情勢に対してはどうしたって野党側が情報不足になるのですから、いろいろ情報を提供して話し合ったらどうかと思うのです。外国からハンフリー副大統領が来た。佐々木委員長は招待されていますか。それは、政府と政府の話し合いのときに入っては困るでしょう。けれども、晩さん会とか懇談会とかには、佐々木社会党委員長、西尾委員長を呼んで、そしてやはり超党派外交というものが今日ほんとうにできないならば、そういうものからだんだん解きほぐすくふうというものをぜひ総理大臣にお願いしたいと私は思うのです。戦前にそういうことをやったことがある。このごろまた途絶をしておりますから、その点をひとつぜひ復活をしてやっていただきたいと思うのです。 議会制民主主義の擁護については、自由民主党は総本山です。議会政治の法灯を守る本流であります。であるから、総理大臣を中心にして党員全体が脈々としてこの制度を守ろうということで一致しておるから、この点についてはわれわれは大自信を持って前進しよう。超党派のこういう仕組みについては、今後一そうお考えをいただいて御前進を願いたいということをお願いしまして、私の質問を終わる次第であります。ありがとうございました。(拍手)
○福田委員長 これにて川崎君の質疑は終了いたしました。 次に角屋堅次郎君。
○角屋委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、主として第一次産業である農林水産関係の諸問題について、基本的な立場から総理並びに私が名ざしした場合における関係大臣から、所信を明らかにしてもらいたいと思います。きょうは、たまたま加藤わが党の先輩並びに川崎同県の先輩と、東海勢の日でありまして、私は予算委員会は今回抜てきされて初めてでありますけれども、先輩に負けずに、きわめて重大な問題である農林水産の諸問題について、政府はこれから当面の困難な農政をどう打開をして第一線の農山漁民の要請にこたえるか、こういう立場から率直にお伺いをいたしたいと思うのでございます。外務大臣は所用が後半期あられるということでありますし、労働大臣も所用があられる、文部大臣も要請がございましたので、本来プログラムがあるわけでございまするけれども、前後いたしますが、総合的に御判断をいただきたい、かように思います。 そこで私は、わが党の水産政策委員長という立場もございまして、まず国際漁業の関係の問題から簡潔にお伺いいたしたいと思います。 御承知のように、わが国の水産関係は、戦後の壊滅的な状態から、今日、国際的に、ペルーに追い抜かれましたけれども、第二位という位置を占めておる。これは水産日本と言われるのにふさわしい国際位置を持っておるわけでありますが、しかし沿岸、沖合い、遠洋漁業を含めて、今日のわが国水産業の実態を見るというと、国際漁業の舞台では、御承知のような日ソの問題にせよ、日米加の問題にせよ、あるいは最近強行された日韓の問題にせよ、あるいは民間協定を通じてやられておる日中間の問題にせよ、さらに海外基地漁業その他各般の問題を通じまして、今日国際漁業にも多くの制約と問題を持っております。また、こういう戦後の壊廃の中から資本漁業重点の水産政策が行なわれたために、今日沿岸漁業は全く根本的な対策を必要とする実態に置かれておるわけであり、これは同様に沖合い漁業においても言えるわけであります。そういう状態の中で、わが党はかねてから国際漁業の問題については、それぞれの案件について個別的にどう対処するかということの前に、総合的な国際漁業に対するいわゆる権威ある審議会を持って、国際漁業の対処に万遺憾なきを期すべきであるという提言をしてまいりました。私は、まず具体的な問題からお伺いをいたしたいと思います。 御承知のとおり、三月一日から日ソの漁業交渉の第十回目の会議が持たれるわけであります。これは、ことしの場合においては相当に難航をするのではないかということが予想されております。従来の経験からいたしましても、去年は比較的順調でありましたが、ことしはサケ・マス関係については不漁年にあたっているわけであります。そういう関係から、業界関係においては十一万トン以上の漁獲量の決定、さらにこいねがわくは、毎年漁獲高をきめるという考え方ではなくて、少なくとも二、三年間の大体の取りきめができないか。これは河野さん以来いろいろ努力した経緯もございまするけれども、そういう要請等についても出ておるわけであります。ことしは、特にソ連側からは、資源の問題等とも関連をいたしまして、B地区の規制問題というふうなことについて強い提案があるのではないか、したがって、交渉は相当に難航するのではないかというふうに予想されております。しかしながら、最近椎名さんが訪ソをされ、日ソ間の問題については、航空協定あるいは貿易の折衝等を通じて、両国の友好関係は促進される段階でもありますので、われわれといたしましては、なるべく早期に日ソのことしの取りきめができまして、操業に万遺憾なきを期するような形で政府が全力をあげて努力をしてもらいたいと思っております。この機会に、農林大臣から本年度の日ソ漁業交渉に臨む基本的な考え方について、まずお伺いをいたします。
○坂田国務大臣 日ソ漁業条約につきまして、お話しのとおり三月一日から委員会があるわけでございます。確かに今年は不漁の年に当たっております。したがって、いろいろ問題もあろうと思いますが、しかし、数年来の慣行といたしまして、この問題は科学的に基礎を置いて十分審議を進めるという慣行がついてまいりました。したがいまして、今度の交渉におきましても、漁業協約の要綱により、そして科学的基礎によって、資源の保護ということに十分力を入れながら、十分な審議を進めていくという方向に進んでいきたいと存じます。 なお、今年の十二月十二日に、御存じのとおり漁業協定が終了するわけでございます。そのときには、この破棄を通告しないときには続くのでありますが、破棄を通告したときは、御了承のとおりに一年で切れるわけでございます。さような関係がございますので、この場合いかにするかという問題についても、ただいま検討中でございます。 なお、A地区、B地区の問題についても、十分の検討を加えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○角屋委員 日ソの漁業交渉の問題については、本年の十二月に改定期が来ている問題等についても触れられたわけでありますが、これはおそらく日本の政府といたしましては、日米加における自発的抑止原則のような不平等な条項がなくて、今日までいろいろ交渉の過程では苦労はいたしましたけれども、しかし、まず根本的に改定をしなければならぬ内容を含んでいない。したがって、おそらく政府としては、今度の改定期にあたっては、現行条約のより適切な運営、こういうことで臨まれるのであろうと思いますが、しかし、最近の資源状態その他いろいろなことを理由に、ソ連側からは特にB地区の規制の問題あるいは監視船の取り扱いの問題等を通じて、十二月の段階ではいろいろ苦労する折衝等も出てくるのではないか。私は、それらの問題についても、日ソの友好親善という立場から、今度の会議を通じて、当面の本年の漁獲量について水産界の要請にこたえるとともに、十二月に想定される改定等の問題についても、日本漁業の立場から最大限の努力をされる準備をいまからされるように、特にお願いをしておきたい。 さらに、日ソの漁業交渉の今後の問題を円滑に進めるためには、何といっても長期的な安定的漁獲を確保するために、資源保存あるいは資源調査という面においても、従来から日本政府も努力してまいりましたけれども、さらに一そう努力をされるように希望しておきたいと思います。 次に、日米加関係の問題でございますけれども、この点については、これはかつて私が本会議で、池田総理当時に、日米加の漁業条約改定に臨む政府の基本的問題についてお尋ねをいたしたことがございます。三十八年の六月四日の衆議院本会議でございます。この機会に、総理はいわゆる日米加の漁業条約の中における国際的に認められておらない自発的抑止原則、こういう不平等な点については、あくまでも撤廃をしていきたい、こういう強い見解を表明され、また当時の重政農林大臣もそれを受けて、その方針を確認されたわけでございます。昨年の七月にオタワにおいて日米加の条約改定交渉が行なわれる予定でございましたが、これが今日までそのまま遷延をされているわけでございます。おそらく日本政府としては、国際漁業における不平等な関係についてはあくまでも是正をしなければならぬ、こういう立場で、今後ともこれが是正に根本的に努力をされると思うのでありますが、この機会に、日米加の漁業条約交渉の遷延の理由は何であったのか、さらに、これから日米加漁業条約の根本的な是正のためにどういう考え方で臨まれようとするのか、この点について、農林大臣から承りたいと思います。
○坂田国務大臣 お答え申し上げます。 日米加漁業条約の問題でございまするが、昨年まで三回にわたって協議を進めてまいりまして、各自の主張がだいぶん近くはなってまいりましたのでありまするが、四回目の交渉を昨年末までにやることに相なっておったわけでございます。ところが、これが一つはカナダの選挙の関係がございましたことと、もう一つはアメリカの準備が十分でない関係、それは主として産地における世論の固まり方がまだ十分でないというようなことから、昨年の十二月末に行なう予定のものが延びておるわけでございます。さような関係でございまするので、外交交渉を通じて、日本としては早くそれらの協議を進めることを交渉いたしておるような次第でございます。 それからこの条約の問題は、御存じのとおりに、今日までの条約は自発的抑止原則によっておるものでございまするが、これを停止いたしまして、今度の改定につきましては、やはり資源の科学的基礎に立っての主張ということ、それからまた公海における日本、カナダ、アメリカの三国間の公平なる漁業ということを原則にしたことに進めていきたいということを、われわれは考えておるわけでございます。
○角屋委員 この機会に、総理にお伺いをいたしたいと思います。 先ほど申し述べましたように、日米加の漁業条約については、国際海洋法の関係その他から見て、いわゆるアブステンションといわれる自発的抑止原則というのは、日本の立場から見てまさに不平等なものであります。池田総理は、したがってこのアブステンションについてはあくまでも撤廃をしていかなければいかぬと言われた。水産日本の立場としても、それは当然でございます。日米加漁業条約ができたのは、占領下の制約の中でできたわけでありまして、当時の衆議院の本会議、あるいは参議院の本会議においても、与野党を通じてやはり大きな批判を呼んだ問題であります。したがって、先ほど加藤委員からも、綿糸関係の協定の不平等、これが是正という問題について触れられましたが、やはり日米新時代、あるいは日米対等の立場でやるのだという方針を堅持されるならば、こういう点については、あくまでも日本の国益の立場、というよりも、国際的に客観性を持った立場で、自発的抑止原則は撤廃をされるのだ、われわれはむしろ条約の終了期が来たときに、十年が来たときに、こういう不平等条約については破棄すべきである、こういう強い姿勢で、白紙の立場から日米加関係における合理的な、平等な条約締結をやるべきである、こういう強い姿勢を示したのでありますが、その立場は別にいたしましても、あくまでもいま言った、従来池田総理以来とってきた強い姿勢で目的の完遂をされる、こういう方針であるかどうかを総理にお伺いをいたします。
○佐藤内閣総理大臣 日米加漁業条約に関するわがほうの態度でありますが、池田内閣と私になりましてから別に変わっておりません。在来の方針で折衝を重ねておるのでございます。ただいま問題になっておりますのも、一昨年来の交渉がただいまも続いている。たいへん長引いておりまして、一時いまにも妥結するかのような機運にあったと思いますのが、今日もまだ妥結しないでいる。まことに残念でございます。在来の基本方針をぜひとも今回は実現するようにいたしたいと、せっかく努力中であります。
○角屋委員 私はこの機会に、漁業に関係のある問題で、油による海水汚濁防止条約の批准及び関係国内法の制定問題について、お伺いをいたしたいと思います。 これは御承知のとおり、日本はこの条約については昭和二十九年に本条約に署名をいたしまして、条約そのものも昭和三十三年に発効いたしまして、今日まで関係四十五カ国が批准を終わっておるのであります。総理はよく社会開発ということを言われる。今日、経済の伸展の中で、公害問題というのは一つの大きな社会問題になっております。私は、昨年中、公害対策特別委員会の中で公害の実態に触れる機会が多いわけでありましたけれども、この国際条約の批准並びに国内法の整備の問題については、通産省の関係では石油業界の関係とか、あるいは大蔵省の関係では予算措置問題とか、いろいろなそういうところの抵抗があったか、なかったかは別として、そういうこと等も加わって、今日まで見送られてきておる。よく言うように、今日日本が経済も発展をし、国際的に十分競争できる態勢を持った、こういうふうに政府みずから言われるのであれば、やはりこういう国際条約の関係については、すみやかに批准をし、国内法の整備をするのが当然である。これは沿岸の漁業関係において——私は三重県でありまするけれども、しばしばこの問題については、コンビナートその他からの海上投棄の関係、あるいは市民の娯楽である海水浴をやるというようなところにおいても、こういう問題が出ておる。数年前には、千葉におけるアメリカの油送船の座礁ということからの大被害の問題について、私も関係したことがございます。やはりこういうふうなものを合理的に国際的に処理するためには、あるいは国内的にも処理するためには、すみやかに本条約を批准をし、そしてまた関係国内法の整備をやるべきである。これを今国会においてやるという、そういう方針にぜひ立ってもらいたいと思うのでありますが、この点について、社会開発を言われる総理からお考えを承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 海水汚濁防止条約、これをぜひこの国会で批准するように手続をとれ、かようなお話でありますが、この条約自身を批准することに私ども反対ではございません。しかしながら、なかなか国内産業の状態が、ただいま直ちにこれを批准するという状況にはなっておらない、かように思いますが、なお、これらの点については、通産大臣から詳しく説明さしたいと思います。
○角屋委員 ほかの大臣でもけっこうです。外務大臣でも農林大臣でもけっこうです。いつやるつもりかということを明確にしてもらいたい。
○坂田国務大臣 ただいまのなににお答えいたします。 油による海水汚濁防止条約の批准の問題でございますが、これは私どもとしても早くこれを批准して実行に移したいと思うのでございまするが、現実の問題といたしますと、廃油投棄行為の取り締まりの問題があり、それから船舶内における油と水の分離装置の問題、陸上における廃油の受け入れの問題といったようなことについての設備その他の点が十分でありませんので、私どもとしては早く批准はいたしたいのでございまするが、そういうような設備その他についての準備が十分できておりませんので、関係各省といろいろ相談いたしておるようなわけでございます。
○角屋委員 さっきの十年も建物が建たないというふうな問題、これは通産関係に関係がございましたけれども、いまの条約批准の問題は、現実に日本の沿岸の海域において、零細な沿岸漁業者が絶えず沿岸の養殖その他の関係で苦悩しておる問題であります。あるいは魚の関係でも苦悩しておる問題です。これはやはり農林大臣は、一刻も早く漁民の立場からやるべきであるということを言うべきではないか。くどくどいろいろな理由を述べておりましたけれども、むしろそれは通産関係から従来からの抵抗の問題として意見が出るならともかくも、私はこの問題について多くの時間をとるいとまはございませんけれども、総理としても、いままでこういう問題が放置されておる、このことによっていかに零細な沿岸漁民が苦悩してきたか、これはもう詳細な資料がございます。また、国際的にもこの資料を提示しております。ぜひひとつすみやかな機会に、この条約の批准と国内法の整備をやってもらいたい。再度ひとつ総理から御所信のほどを承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 油による海水汚濁の問題は、各地でその不都合がしばしば叫ばれております。ただいま沿岸漁民のお話が出ておりますが、同時にまた、海水浴をやる客などもしばしば油には悩まされておるということであります。ただいまのわが国の状態からもっていたしまして、できるだけ早くこういうことのないように、ただいまの条約も批准でき、また国内におきましても、文化生活のできるような、またきれいな海水であるように一そう努力する、こういうことをこの際申し上げておきます。私は、各省の関係も調整をする役にある、かように思いますので、一そう検討し、これが早期実現を期するようにいたしたいと思います。
○角屋委員 私は、この機会に佐藤総理、福田大蔵大臣、坂田農林大臣から、農林水産関係の問題に対する認識の一つの出発点として、きのう三食どういうものをいただかれたか、これを簡単にひとつ総理と大蔵大臣、農林大臣からお話を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 朝は、私牛乳とパンを食っております。きょうの昼間はライスカレーを食べた。かような状態でございます。
○福田(赳)国務大臣 朝はラーメンです。昼間は洋食です。夜は和食でございます。
○坂田国務大臣 お弁当でございます。
○角屋委員 私が、重要な中心にあられる総理、大蔵大臣、農林大臣に何を食べられたかということを聞いたのは、お互いの生命を維持するかては、これは額に汗して働いておる第一線の農業者あるいは漁業者が、今日の非常な悪条件の中で生産をした、そういう生産の結実をわれわれがいただいておるからである。単にそれは総理や大蔵大臣のみならず、国民全部がそういう生産農民、生産漁民に対するまず感謝の気持ちから農政問題を考えるべきである。今日まで予算委員会でいろいろな論議が行なわれてくる過程で、ことしの物価の値上がりというものは、これは野菜の高騰によるのだ、魚の高騰によるのだ、こういうことで、まるで第一線の農民や漁民が物価値上げの加害者であるかのごとく聞こえる。また、最近の経済学者が使うからそのまま使うのかもしれませんけれども、中小企業、農林漁業を低位生産部門という表現をされる。学問的にはそうかもしらない。これは私は、農業べつ視の思想に通ずるのじゃないかと思う。私は、今日農林水産関係の諸問題を考えるにあたって、まず生命のかてであるお互いの食糧をつくっておる生産農民、漁民の実態がどうなっておるか、今後日本の農業、漁業がどうなっていくだろうかというよりも、どうしていくのだという立場から、農林水産関係の諸問題に考えがつかなきゃならぬ、こう思うのであります。 今日第一線は、農業白書が指摘しておるように、あるいは漁業白書が指摘しておるように、特に池田内閣の高度成長の政策の破綻の大きな波動を受けて、兼業はどんどん進行する、農業労働力は老齢化する、婦女子化する、こういう悪条件下の中で、生産は停滞しておるということばであらわされておりますけれども、そういう苦悩の中でこの生産物ができてきておる。東北その他の出かせぎのところでは、主人が都会に出ておる、子供をかかえて主婦が農業をささえる、こういう苦労の中から今日の日本の食糧が確保されているのだ。この気持ちを抜きにして、物価問題を論ずるときにも、あるいは農林漁業の問題を論ずるときにも、農業は斜陽産業である、あるいは農業に対する為政者のいわゆる観念というものが農業べつ視の方向で考えるということがもしあるとすれば、断じて許せない、私はそう思うのでありまして、この点については、私どもも含めて謙虚に、政治家のみならず、国民全体の農政問題に対する認識を率直に変えていく必要があるのじゃないか、こう思うのであります。この点について、総理の農林漁業問題に対する基本的な見解、こういうものをまず承りたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 申し上げるまでもなく、私どもが農業、農家のおかげで今日生活している、こういう状況であります。先ほど農業は低生産性部門だ、こういうことは農業べつ視に通ずる議論だ、意見だ、かようにおしかりを受けましたが、私はさように思わない。農業が大事ならばこそ、今日もっと生産性を高めて、それに従事しておられる農家の所得、農業所得というものをふやすようにしなければならない、かように私は実は考えておるのです。私どもの年配は、これは角屋君も含めて——角屋君はもちろん私よりお若い方と思うのですが、私どもが子供のときから教育を受けたものは、お米の一粒一粒これ粒々辛苦のあとだ、こういうことで、御飯をいただくときには、もったいないというか、これをむだにしないという、そういう考え方で真剣に感謝の意を持って実は食べております。またそういう意味で、金額にすればきわめてわずかなものでありましても、どうも御飯に対してはもったいないという感じがある。きょうも、ちょうど昼間そういう話をしていた最中であります。ライスカレーをみんな食べている。どうも量が相当多い、わざわざその量を、最初きれいな、はしをつけないうちから、半分に減らしてくれ、こういうことを言っている。これは、どうもお米だけは昔同様にもったいないという感じがするのだ、この気持ちが私はとうといのじゃないかと思いますし、またその考え方で農業自体を見ていく、漁業自体を見ていく、これが実は必要なんです。最近のような経済合理性だけでものごとを判断していく、農業を見ていく、このことは、私は誤りだ、かように思います。もちろん経済合理性も必要なことでありますが、しかしながら、基本的な考え方が、角屋君もそういう意味でただいま御批判になったのだと思いますが、その見方自身は、私どもの年配にはある、これは間違いない。だから、そういう意味で農業を大事にする、また農村の方の苦労も身にしみて御同情申し上げる。そこで、経済性も豊かになるようにするにはどうしたらいいのか、また漁業、ことに沿岸漁業等についてもくふうをするというのが、ただいまの政府の態度であります。でありますから、ただいま気持ちの面ではおそらくこれは角屋君のお話と通ずるものがありましょう。具体的な施策でこういう点が間違っている、かようなおしかりを受けるならば、これは受けますけれども、ただいまのように農業自身の見方がけしからぬ、こう言われましても、どうもはっきりしないような気がいたします。
○角屋委員 私が農村育ちであるという気持ちからの率直な農政関係者としての気持ちを申し上げたのでありますけれども、これは国民全体がそういう意識にならなければならぬ、私はそう思うのです。 そこで私は、今日の日本農業の現状はどうあるか、あるいは特に地域格差のひどい山間部の実態がどうあるか、あるいは戦後の荒廃の中から資本漁業を中心に世界的に伍するようになった中で、大きな政治の谷間に置かれてきた沿岸漁業の実態がどうあるか、こういう今日の実態を直視して真剣な農政を考えなければ、これはやはり政治とはいえないと思う。政府が今度出しました農業白書は平面的であり、総花的であり、もっとやはり核心に触れた姿勢が必要である、私はそう思うのです。そこで、そういう今日の農政の実態はどうかという上に立って、これからの日本経済の均衡ある発展を考えていくというためには、私はやはり今日の第一次産業の総合的な近代化、開発について、いわゆる農林漁業近代化総合計画、こういうものを地についてつくるという姿勢が必要ではないか。これは何もわれわれが社会党であるから計画的にそういうものをつくれというふうに——総理は常に計画経済と違うと言われるのですけれども、そうではなくて、そういうもののビジョンというものを明らかにすることにおいて、農村労働力の流動化の中で質的に非常に憂うべき状態にある、そういう問題の中で優秀な後継者を確保し、また国民には安定的な食糧を供給する、あるいは所得格差を是正するのに大きく貢献をする、また今日農山漁村の問題に総合的な立場から近代化計画を立て積極的に取り組むということが、都市化傾向、過密化傾向というものに対して逆にこれが調整弁になる、私はそう思うのであります。国土の総合開発という観点からそういうものをやはり重視しなければならぬ、こう思うのでありまして、私はこの機会に所得倍増計画、経済の中期計画、これの破棄を通じて、新しく経済計画を立てられるというときに、全体の成長率がどうである、その中での農業生産はどうであるということにとどまらずに、今日の現状から十年後に農業はどういう姿にするのか、沿岸漁業はどういう姿にするのか、また、そういう近代化の過程を通じて、山の関係ではどういうふうに開発をされていくのかというふうな諸問題が地について論じられなければならない。今日一億の人口がさらに拡大をされていくという場合には、生活の場というものを広げる必要がある、こう思うのでありまして、農林漁業近代化総合計画というものを、新しい計画を立案をされ、そして、それを進められるときに、政治の大きな課題の一つとしてこういうものを生み出していく必要がある、とう思うのでありますが、この点総理並びに大蔵大臣の所見を伺いたい。これは財政的裏づけをどうするかという問題とも関連するのでありますが、そういう金の問題でなくて、考え方の問題として、かって昭和三十四年当時に農林大臣としてお手合わせをいたしましたが、なかなか勘のいいさばきを持っておられる大蔵大臣として、いま言った問題について、どう考えられるか。
○福田(赳)国務大臣 角屋委員のただいまの考え方につきましては、私も賛成であります。さように考えます。 現に昭和四十一年度からは、農林省におきましても土地改良十カ年計画というものをつくって、土地改良を計画的に進めていこう、こういう考え方をとっております。しかし、土地改良のみならず、今後農業問題、しかも曲がりかどに来たといってもう時すでに久しい今日におきまして、農業ばかりではない、農村を一体どうしていくのだ、こういう問題には総合的な立場から取り組んでいかなければならない、そういうふうに考えます。
○角屋委員 経済企画庁の長官に簡単にお伺いいたしたい。 企画庁のある職員が「二十年後のビジョン」というのを出された。私はこの機会にこの内容について深く触れようとは思わない。しかし私は、今日経済関係を論ずる場合の基本的な考え方として、わが国の農林漁業を日本経済の発展の中でどう正しく位置づけをやるか、こういうことがたいへん大切なことだと思う。ややもすれば経済理論から農業軽視、また考え方としては農政べつ視というふうな考え方が企画庁全体の立案の中で出やすいと思う。そういうことはあくまでも避けなければならぬ。今日の食糧の需給関係、あるいは食糧の輸入の増大、こういうことの中に私はその一端が出てきておると思う。ここでやはり真剣に反省をして、これからの十年間の経済の総合開発をやる場合に、農林漁業の正しい位置づけ、これをやる必要がある、こう思うのであります。戦後は引き揚げ者の多い中での食糧増産ということに追われてまいりましたが、経済の高度成長の中で、今日、農村、漁村、山間部を通じて、荒廃の実態が出てきておる。この際、もう一回農林漁業の問題に政治全体の中で真剣に取っ組む、こういうことがこれからの十年間の中でぜひ必要である、こう思うのでありますが、経済企画庁長官の考え方を承りたい。
○藤山国務大臣 農業の問題は非常に私は重要な問題だと思います。私は農業にはわりあいにしろうとでございまして、あまり経験がないのでございますが、しかし日本全体の経済を見ておりまして、そして私がしろうとなりに判断してみますと、いま非常な大きな曲がりかどに来ているのじゃないか。しかも、これは農村自身、農民自身の力でなかなかできないところに来ているのじゃないか。たとえば技術改良の面なぞにおきますと、農村の技術改良というのは、昨年も非常に温度が低くて、それにもかかわらず、それを回復するだけの技術的改良をやった。たとえば青森県で昨年リンゴの人工授精をやって、そうして収穫量をふやした。あるいは渥美半島に参りまして、私はビニールハウスの園芸を見てまいりましたけれども、そこにおける栽培方法なぞは技術的には非常に私は進歩したものじゃないかと思います。ですから、農村の方々の技術的な面における努力というものは、私は相当だと思う。それにもかかわらず、農村の経済性が十分でないというところに問題がある。 そこで、それらの問題は、要するに農村人口が非常に減る、にもかかわらず、必ずしも耕地面積が拡大されていないというところにも一つの問題があろうかと思う。あるいはまた、かんがい排水等の施設等についても十分万全を期しておられないような地方があるのではないか。これは輸送の関係もさらに続いてあると思います。そうした面につきまして、やはり根本的に国家がある程度の施策を進めてまいらなければ、農村の技術改良の努力とあわせて、日本の農業が東南アジアその他の国際環境の中にあって進めていく場合には、非常に困難な問題が複雑に存在し、またそれが引き続きそういう状況が継続していくのだと思います。したがって、そういう面につきまして、われわれとしては今後農業問題というものを相当真剣に考えてまいりませんと、工業の場合におきましては、大中小の格差はございますけれども、小企業においてもみずからの力である程度できますけれども、農業は土地というものの上に立ってやるだけに、政府の施策が相当重要じゃないか。したがって、御意見のような総合的な開発計画のもとにわれわれは将来を期して着実に進めていくことが必要であろう、こう考えております。
○角屋委員 農林漁業関係の問題を考えるときに、これからの十年間のプランというもので、まず国内における食糧自給体制というものをどう目標を立てるかということが一つの重要な問題であります。御承知のとおり、今日食糧の自給率というものは後退をしてまいりまして、過般のFAOに対する報告の中では、昭和三十九年においては初めて八〇%台を割った、こういう状態に来ております。経済の中期計画では、四十三年の段階までに八〇%以上を確保するというプランでありましたけれども、現実に八〇%を割っておる。こういう状態の中で、外国からの農林水産物資というものは、二十億をこえる貿易全体の中で三割近くを占めるという、いわゆるそういう大きな圧力を加えてきておる。一体これからの日本の食糧確保の自給率をどういう方向で考えていくのか、これが基本的な問題であります。現にこういうことを考える場合に、従来財界あるいは従来の実力閣僚であった人々の中には、いわゆる国際分業論というのがございます。日本は工業的にどんどん発展をしなければならぬ。第一次産業である農業面については、安い外国のものを入れたらいいのじゃないかという農業軽視の考え方というものが、ややもすればあるわけであります。国際分業というのは、必ずしもそういう意味に使っていない場合もありまするけれども、ややもすれば、一般にはそうとられやすい。現にヨーロッパ、アメリカ等の先進諸国を見ても、アメリカの場合には食糧の自給率は一〇〇%以上であります。ヨーロッパの先進諸国においても、戦後農業関係には非常に力を入れて、イギリスの自給率の四五%を除けば、フランスにおいてもドイツにおいても、あるいはイタリアにおいても、八〇%をはるかにこえておる。デンマークにおいても一〇〇%以上である。こういう状態でございまして、やはり食糧の自給率というものは、これからも確保していかなければならない。これは厚生大臣にも関係しますけれども、今日、国民の一日の摂取食糧のカロリーは二千三百カロリーの台をこえた、こう言っておる。しかし、アメリカの一万三千カロリーから見てはるかに低い、あるいはヨーロッパの先進諸国から見れば、はるかに低い。所得の向上に伴ってこういうカロリーの向上ができてくるということになると、よりやはり自給率に影響を持ってくる。そういうことも考える場合に、国内の食糧に対する自給体制に即応した農政の推進ということが非常に重要である。そういうことも含めて、これから食糧の自給率というものをどういうふうに考えていくのか。坂田さんは農政の先輩でありますけれども、少し興奮すると、ちょっととちることがございますが、農政の問題でありますので、まず農政に熱意を持っておる坂田さんからお伺いをしたい。
○坂田国務大臣 お答えします。たいへん大きな問題で、どちらから申し上げていいかわからぬのでありますが、とにかく食糧については、米のごときは現在、戦争が終わって十年にして二千万石増産しておるわけで、こんな小さな国に一億の人口を養っておるということは驚くべき生産力である。これは世界無比です。これはもう実に大事な問題なんです。ここの問題を基本にして考えていかないと、日本の農村が大それたことになることがあるのです。だから、私は基本的にこれを思うのです。しかしながら、最近米が少し減りつつございます。しかし、これは気候の関係もいろいろありますが、できるだけ自給に向かって進みたいと存じます。したがって、農地の十カ年計画もやったようなわけであります。 それから、肉類の需要は非常に多いのでございます。これはやはり十カ年計画で、大体二倍ぐらいの需要がありますから、それまでに到達させたいと私どもは思っております。そのときには、豚、鶏の肉は可能である自信があるのです。まあこれは自信があっても、どういうふうに世の中が変わるかわかりませんが、しかし牛肉はちょっと困っておるわけです。しかし、これらに従って本年は肉牛の増産という問題について力を入れて第一年でございますが、相当予算——あまり大きいものではありませんが、初年度としてはまず相当なものであると思います。それから野菜でございますが、これはどうしても国内で自給せざるを得ない。ただこれは非常に動くものでありますから……。大体こんなことで進みたいと思います。
○角屋委員 これは総理に聞きたい。日本の食糧の自給率というものをどこにめどを置くか。これは経済の計画を立てる場合に、十年間なら十年間のプランを立てる場合に非常に重用な問題です。坂田さんは後ほど触れる問題にまでさらに発展をされましたけれども、基本的にどう考えるか。ややもすれば食糧は、工業的なところでは、後進国の経済援助開発と関連して、そこから取ればいいじゃないかという議論があるけれども、現実の先進国の実態はそうでないし、また非常に自給ということに対しては努力をしておる。日本の場合に、この高度成長の中で大きく非常に憂うべき状態の出てきたこの農政の再建という立場も含めて、自給率の問題をどう考えるか、明確にしてもらいたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま農林大臣からお答えいたしましたが、主食はできるだけ自給度を高める、こういうことでございますが、食糧、これはお尋ねにありますように、肉や野菜や果樹等、全般の問題としてどういうところを目標にしているか、かようなお尋ねだろうと思います。米だけではなくて。まあできるだけ、これは八〇%程度の自給度を確保したい、かように思っておりますが、しかしもちろん今日までも時に割ったことが、ありますし、また今後も経済の発展ではどんなことになるか十分わかりませんけれども、一国の食糧として、大体八〇%程度は何とかして確保する、こういうことでありたい、かように思っております。
○角屋委員 この機会に、今後の総合的な計画を立てる場合に、いわゆるIMF八条国の移行とか、あるいはOECD加盟ということに伴って、今日開放経済体制に入った、こういっておる。現実にそういうふうに進みつつある。しかしその場合に、貿易自由化の問題に対してどういうプログラムで今後進むのか。今日、自由化率は九三%強というところまできた。特に非自由化品目の中には、米麦をはじめ肉類あるいはまた乳製品等々、農林水産関係の基幹的なものが非自由化品目の中に含まれておる。今後十年間のいわゆる農林水産関係の近代化の総合的計画を立てる場合に、貿易自由化のプログラムというものと即応して、どう国際競争力をつけていくかということは重要である。私は、基本的に申し上げますならば、今日の歴史的な所産として、また戦後の経済復興の過程における農林漁業軽視の中において出てきた現状においては、軽々に貿易自由化の問題を、これからの重要品目については論ぜられない。まず国内的な力をつけて、その上に立って自由化の問題を考えるというのが今日の現状であろう、こういうふうに思うわけでありますが、これからの全体的な問題は全然抜きにしてもらってけっこうです。農林漁業の自由化問題、こういうものに対して基本的にどう考えていくのか。これは通産大臣から承りたい。
○三木国務大臣 御承知のように、七十五品目、水産、農林関係が主たるもの、肉類あるいはくだものから、あるいは水産ではアジ、イワシ、それからコンブ類に至るまで、非常に広範な非自由化品目があるわけです。国際的には、この自由化の圧力は、御承知のように非常に強いわけです。しかし、これをいま自由化するということになれば、農林水産業に対する打撃は非常な致命的な打撃を与えるわけですから、容易にこれは自由化はできない。しかし、自由化できないということで、そればかりでただ自由化をとめるということだけではこれはだめなんで、いま御提案になっておったような農業近代化の総合計画のようなものを立てて、自由化をしないというこの時期に構造改革をやって、国際競争力をつける。それがつくまでの間は容易に自由化すべきではない。しかし、ただ自由化しないということだけでいつまでも温室の中にいるわけにはいかない。できるだけその期間に農業の、あるいは水産業の近代化をはかっていく、かように考えておる次第でございます。
○角屋委員 この機会に大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、大蔵大臣は、施政方針演説を承っておりました際に、国際分業ということばを使われた。私はさっき、国際分業問題について、ややもすれば誤解されやすい面を指摘したわけですけれども、同時に、今日まで農政に対する財界からの提言、あるいはその他の学者からの提言、いろいろなものを見た場合、特に財界からの提言の中には、私がさっき指摘したような考え方のもとにおける国際分業論というのが前面に出てきておる。そういう点で福田大蔵大臣は使われたのではないと思いますけれども、福田大蔵大臣が考えておる国際分業というのはいかなる意味であったのか、簡単に承りたい。
○福田(赳)国務大臣 世界の経済はいまや開放経済であり、自由化の時代になってきておるわけであります。そういう環境に処して、日本経済の全体の運営をどうやっておるかといいますと、この資源の乏しいわが日本とすると、大いに輸出し、大いに輸入して、そうしてわが日本全体の能率をあげていくことを考えるべきである。そういうことから考えますと、わが日本が特に持っておるその能力です。私は、日本の特色は、高い教育水準とそれからすぐれた機械技術能力である、こういうふうに存じますが、それを最高度に発揮するというたてまえで、この世界貿易環境の中で立ち働いていかなければならぬ、そういうふうに考えるわけであります。今日、テレビだ、ラジオだ、カメラだとか、あるいは自動車に至るまでどんどんと輸出されるようになっております。そういう方面にこそ大いに今後力を入れていかなければならぬ、こういうことを申し上げた趣旨でございます。国際分業で、農業を軽視するというような意向は毛頭ありません。 私は、ただいま総理からお話がありましたが、日本は、食糧を今日十八、九億ドル輸入しておる。七十億ドルの輸入の中で、それだけの輸入をしておるわけです。これは食って消耗してしまうだけのものであります。そのかわりに石炭だ、鉄だ、それを輸入すれば、これは再生産で大いに日本の経済の発展に役立つものでありますが、そういうものを輸入しないで、そして消耗してしまうだけの食糧を輸入する。これはばかげた話である。経済の大きな一つの柱としてはどうしても八〇%ぐらいの自給度を維持していかなければならない、こういうふうに考えておりますので、私の演説がただいまお話しになりましたような響きがありとすれば、それは私の思い及ばざるところである、かように御了承願います。
○角屋委員 質問に入ります前に、文部大臣からの御希望もありましたので、途中になりまするけれども、後継者確保と農業教育関係の問題について、さらに、学校給食は後ほどの問題にもなるわけですけれども、こういう問題について文部大臣の見解を承っておきたいと思います。 過般成人式のときに、私もテレビを見ておりましたが、山陰のほうの女の方が受賞されましたけれども、その他「私は農村に生きる」という立場からお話をされた農村の青年の意見というのを聞きまして、非常に力強く感じたわけであります。今日の悪条件の中において、農村に生きる使命感に徹して、日本農業を守ろうという、そういう人の期待にこたえなければならぬ。 そこで、教育の問題については、かねて文部大臣は、大型農業高校——新年度は、予算の関係等もあって、大型は二年でやられるということのようでありますが、さらに小型農業高校というふうなことで後継者確保を力点としながら教育関係をやりたい。単に後継者確保の問題は学校教育にとどまりませんけれども、そういう人々が農村に帰ってからの社会教育という面でも、今日の通勤労働者のふえている状況の中で農村をささえていこうとする人々に対する青年学校教育あるいは社会教育というものは、国際競争力をつけるという意味からも、教育の果たすべき役割りは非常に重要である。私も農業教育を受けた立場からそういうふうに思う。私をして言わしめれば、今後の国際競争に耐える日本農業を育てるためには、むしろ農業教育については国が全額めんどうを見てでもやる、これだけの情熱が必要ではないかというふうにさえ思う。この際、学校教育あるいは社会教育を通じての後継者確保の問題と関連して、文部大臣の見解を承りたい。 なお、学校給食の問題については、僻地における無償等の問題にさらに前進をしておりますけれども、ことしは学校給食の量は去年の七十万石から百万石まで前進をした。完全に実施をするためには三百五十万石程度にいくわけですから、政府としては五ヵ年間と言っておりますけれども、われわれは三カ年でそれを実現すべきであるというふうに提言してまいりましたが、これからの学校給食、特に父兄負担の増高でなくて、そういう問題についても、軽減から国がめんどうを見る方向にまでの発展をすべきである。これらの問題も含めて簡潔に御見解を承りたい。
○中村(梅)国務大臣 御指摘の農業自営者といいますか、後継者の養成、こういうことを目的にした農業教育というものは非常に大切でございまして、この点は御承知のとおりすでに十校この学校ができまして、私も見学をしてみましたが、非常に希望に燃えて高校年代の者が自営者農業の勉強をして、しかもそれは近代的な農業経営というものに志を抱いてやっておる姿で、大いに私はこれを助長して発展してまいりたい。昭和四十一年度は御承知のとおり大型を四校、小型を三校、七校の予算計上をいたしまして、さらに今後日本農業の後継者を養成し、しかも、その後継者が希望に燃えて新しい角度に立った近代経営をやるように、これは農地改良とかいろいろな農業近代化がありますが、やはり人の近代化の頭の切りかえというものが私は非常に根本的に必要だと思いますので、今後文部省といたしましては大いに力を注いでまいりたいと考えております。 なお、御承知の学校給食のなま乳の問題でございますが、本年は七十万石から百万石にいたしましたが、これは私ども文部省としましては、脱脂乳よりはできるだけなま乳で満配にしたい気持ちでございますから、情熱を傾けておるわけでございますが、わが国の酪農の進度との関係もございますから、これは農林省ともよく、とくと相談をいたしまして、できるだけ計画に合っていくように、なま乳の学校給食が達成できるように推進をしてまいりたいと思っております。
○角屋委員 食糧自給度の問題で、先ほど農林大臣が米、肉、野菜等々の問題に触れられたわけですが、米の問題についてまずお伺いをいたしたい。これは農林大臣でけっこうです。 豊葦原瑞穂の国といわれた日本の場合に、今日百万トン近くの輸入をやらなければならぬ。しかもことしは、佐藤総理は好きであるかどうかわかりませんけれども、お隣の中国から三十万トンを入れる、こういうことであります。けっこうであります。それからタイ、ビルマ、アメリカ、大体中心はそうでありますけれども、そのほかに、スペインからも入れる、こういうふうな関係で約百万トン近く米を輸入する。ところが実際問題として国際的なこれからの米に関する状態を見てまいりますと、国際市価の関係は別として、いわゆるわが国の買う米の値段というものは堅調ぎみである、こういうことが言われておる。これはFAOの関係あるいはその他のいろいろな統計の予測から見ても、そういうことである。先ほど私は国際分業論の問題に触れましたけれども、正しい意味における国際分業ということを考える場合には、平和共存体制でなければ国際分業というものは本来成り立たない。そこで不足の場合には外国からも買わなければならぬということであるけれども、むしろ日本としては、事、米に関する限りは、日本の国内の米の必要量というものは日本で確保する、こういうことが基本であろうと思う。そういう意味で、米の問題についてこれからの米作に対する方針、さらにことしの九月の端境期において食糧不安の状態というものはないのかどうか。去年は新米の早食いあるいは緊急輸入ということで、やっと急場をしのいだわけであります。今日は米不足時代ということで不安感を持たれる。ことしはすでに五十万トンの外米の買い付けを終わりまして、これから朝鮮、台湾等との交渉もやられるというふうなことを聞いておりますけれども、端境期における不安をなくし、安定的な供給ができるのか、さらに今後における米の位置づけをどう考えるのか、こういう点について坂田さんは米の専門家でありますが、簡潔にひとつお答えを願いたいと思います。
○坂田国務大臣 端境期の需給はどうかという問題について簡単に申し上げますと、御心配はありません。それは輸入が、先ほどお話しのとおり、大体五十数万トンだけは買い付けておりますし、残りまだ買い付けることになっております。合計で準内地米で八十二万トン、そのほかに砕け米とかあるいはくさいやつですな、くさいというと、ちょっとおかしい。(発言する者あり)そういうものを加えますと、——これはちょっと語弊がありますが、わかりやすく……これは取り消します。——そういうものを、加えまして、約百万トン弱になります。でありますから、端境期においてはことしは少しも心配はございません。そういうことでございます。
○角屋委員 私は端境期の問題を含めて、ことしの米の需給実態というものについて深く触れることは避けますけれども、他国依存という状態からすみやかに脱却するという姿勢が必要である、このことを強く米の問題については申し上げておきたい。 そこで、この問題と関連をして、基本的にやはり制度として今後の位置づけをどうするかという問題に食管の問題がございます。私は農業基本法の議論をしたときに、時の池田総理に食管制度の問題をどうするんだ、どう考えるのかと言ったときに、食管制度の基本はあくまでも堅持する、こういうことを明言をされました。今後の食糧自給、その中における米の位置づけという面から見て、一部財界等の考えておるような方向で、最近は財界も変わってまいりましたけれども、食管制度の今後の問題については、あくまでもこの制度を維持してやるということに変わりはなかろうと思いますが、その点、総理からお伺いいたしたい。
○佐藤内閣総理大臣 池田内閣時代と今日変わりございません。
○角屋委員 そこで、ことしの生産者米価の問題であります。私は生産者米価の問題にしろ、あるいは近くきめなければならない乳価の問題にいたしましても、一体農林関係の価格制度、価格政策というものを基本的にどう考えるかということが政府としてなければならない。私は、きのう座談の中で福田大蔵大臣と話しておりましたら、われわれもなかなか勘のいいところを持っているというお話がございましたが、財政問題とも関連をしますので、大蔵大臣から農産物の価格制度というものに対してはどうあるべきだと、かつての経験も含めて御見解を承りたい。
○福田(赳)国務大臣 今日農産物の中の主要なものですね、特に農産物の半分を占める米については、国家がその生産、配給、価格、そういう面に深く介入をいたしておるわけであります。特に価格決定につきましては、その生産者価格は生産費所得補償方式、つまり都市賃金を農家の現実の賃金と置きかえる、こういう制度をとりまして、これを決定いたしておるわけでありますが、そういうような考え方がとられておるということは、私は妥当な制度である、こういうふうに考えております。 それから一般の、政府があまり関係しない農産物につきましては、少しずつ値上がりをする傾向を持つであろうし、また生産性の低い今日の農村の状態では、これはやむを得ないことじゃないか、今日はそういう理想的な形になっておりませんけれども、長い目の、将来の理想とすれば、農産物の価格が多少上がって、ほかの価格が、鉱工業生産品の価格が下がって、その農産物の価格の漸騰を吸収して、そこで物価が安定するという形をとる、これが私は少し長い目で見た物価体系の理想的な形じゃないか、そういうふうに考えております。
○角屋委員 勝間田先生以来の物価問題と関連をしたことしの米価問題のときに、総理も農林大臣も今日の物価の状況あるいは労働賃金の状況、生産資材の状況、いろいろなものから見て、当然生産費所得補償方式の考え方に立って、指数化方式等の問題——去年いろいろ議論に出ましたけれども、いずれにしても、ことしの生産者米価というものは上がることになる。また上がるべきそういうものについては、先ほど大蔵大臣の話じゃありませんけれども、全体の中で物価対策と関連をして、これが当然上がるべきものが犠牲にならないようにする配慮というものが当然必要である、こう思うのでありますが、いままでの議論の中では、総理も物価対策の関係と関連をして、生産者米価は計算の結果上がるであろうということまでの話は一歩も出てないわけでありますけれども、そういう言明にまではいかないのでありますが、いかがでありますか。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろの希望をも含めてのお尋ねだろうと思いますが、ただいまの状況で生産者米価はいかにあるべきかということをきめるわけにはまいりません。ただいま大蔵大臣からお答えいたしましたように、この決定方法、それについて重大なる変更を加えないということはお約束できますが、ただいま一体どうなるのか、かように仰せられましても、そのときにならないときまらないと、御了承いただきたいと思います。
○角屋委員 ただ、この機会にお伺いしておきたいのは、物価対策ということに籍口して、当然上がるべき係数が出てまいりましてもこれを押えるという考え方は基本的にない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか、大蔵大臣。
○福田(赳)国務大臣 生産費所得補償方式で出た価格をもって生産者価格とする、こういう方針に変わりありません。
○角屋委員 農林大臣にお伺いしたい。近く畜産物価格安定法の関連において乳価の基準価格等をきめなければならぬ。 〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 予算的には六十五円程度だと思いますが、これでは生産費及び所得を補償しない、こう思うのでありまして、これらの問題については実態に即して考えるべきだと思うのです。さらに、ことしから不足払い制度が発足をして、三十億の予算を組まれた。これは今後さらに充実をしていかなければならぬ、こういうふうに思うのでありますが、元来一人一日一合という牛乳を飲むためには、国内でやるとすれば、少なくとも国内で三百万頭からの乳牛を飼わなければならぬ。いま大体百二十万頭程度だと思うのです。 そういう点で、先ほど川崎先輩からゴルフ場の話が出ましたけれども、四百幾つあると言われましたが、日本の農政を真剣に考えておる諸君の中では、あのゴルフ場の中から、場所も非常にいいし、せめて六、七十を酪農センターにしたらどうか、そしてそこに一千頭の乳牛を飼うことになれば、条件のいいところが多いわけでありまするから、農政との関連で考える場合には——娯楽も必要でありましょう、ありましょうが、そういう点にまでやはり考えをいたしてはどうかという、そういう建設的な意見もございます。私は、それを直ちにやれという意味ではございませんけれども、そういう農政に対する前向きな考え方というものも含めて、今後の食糧自給度の確保のためには、米を中心にした穀類、それから畜産、果樹というものはまさに戦略的なものである、それに日本の養蚕、お茶、特用作物等を総合的に考えていかなければいかぬというのが、これからの生産政策であろうと思う。そういう点で、さっき述べた点を農林大臣からお伺いしたい。
○坂田国務大臣 面積ですね。この農地十ヵ年長期計画において、草地を四十万町歩十カ年でつくるわけですが、いままで、三十九年度までに十二万三千町歩できておりますから、全体で計画としては五十二万三千町歩になるわけです。それから既耕地におきましては五十一万町歩飼料作付反別があるわけです。それを十年後に百十二万町歩にしよう、こういうことでございます。そういきますというと、大体こまかい計算をいたしておる——計算というものは当たったり当たらぬだりということもあるかもしれませんが、まことに精密な計算をいたしまして、可処分換算にいたしまして、千百三十三万トンの可処分のなにができる。そういたしますると、大体乳牛で二百五十万頭、肉牛で二百五十万頭、牛乳でいたしますと八百八十万トン、それから牛肉は十八万トン、こういうことで、大体計画としては相当思い切ってやったつもりでございまするが、なお時勢に応じて、また進み得るものは進んでいいと思いますが、十カ年の計画の中はそういうことになっております。
○角屋委員 先ほどから、しばしば土地改良長期計画という問題が出てきておるわけであります。私は、この点について基本的な考え方を承りたい。 先ほども私は、これからの経済の長期計画をつくる場合に、今日の農村、漁村の実態から見て、農林漁業の近代化総合計画というものを真剣に考えたらどうだということを提言をいたしました。その意味は、たとえば土地改良十ヵ年計画が出ておる、あるいは第三次漁港整備八ヵ年計画というのがある、あるいは治山治水の林業に関する十ヵ年計画もある、あるいは構造改善が現に実施をされておる。しかし、考えてみると、そういうものが、ある意味で総合的なつながりなしに、ややもすれば個々ばらばらにやられていくという、そういう感じがなくはない。受け取るのは農民、漁民である。この相手一つのものに対して、農林漁業の近代化というものは、総合的にこうやる この場合には、もちろん土地改良も必要でありましょう。総合開発も必要でありましょう。農地造成も必要でありましょう。それと同時に、生産ばかりでなしに、構造政策上の問題もある。流通近代化の問題もある。価格政策の問題もある。またさらに言うならば、今日までややもすれば物動的な農業政策におちいりがちなのを、農民政策、漁民政策に考えていくというのが政策として非常に必要である。そういう意味では、社会政策を一体どうやるのか。あるいはまた、教育の問題がありましょう。環境整備の問題がありましょう。そういうものまで含めた農林漁業近代化総合計画というものがなければならぬと私は思う。それがまさに新しい将来へのビジョンである。総理は二十一世紀を栄光に満ちたものにしなければならぬというようなことを口だけで言われるのではなしに、今日最も苦悩しておる農林漁業の関係者にどうこたえるかというためには、いま言った考え方のビジョンを明確に出す必要があろうと私は思う。こういうものがある、こういうものがあるというのがばらばらに出ておる、こういう感じが、私は専門の立場から見ても率直にそう思う。それが一つ。 そこで、たとえば土地改良長期計画というものを考える場合に、二兆六千億で十年間にやろうという。内容には触れない。この前期に一体どれだけのことをやるかというプランを見ますと、一兆一千五百億、半分もやらない。半分ということになれば一兆三千億である。農林大臣は、景気刺激のためにとにかく公共投資を前半期になるべくという考え方があるように、格差是正という点からいったならば、基盤整備ということは非常に重要である。この問題をなるべく前半の時期に相当な部分をやろうという意欲がまず出なければならぬ。ところが、前半のすべり出しは非常におくれておる。後半にやろうというのでは、いわゆる格差是正というものはなかなか進まない、また、農業に対する公共投資という問題で従来も議論したことがございますけれども、所得倍増計画の中で、二十六兆円近くのいわゆる公共投資の中で、農業関係はわずかに一兆二千億にすぎないというプランである。これではだめだと思う。私は、こまかい数字を申し上げませんけれども、今日商工業を含めた社会投資の中で、農林漁業の投資というものは非常に停滞をしてきておる。大体五、六%程度でありましょう。ほんとうに農林漁業の近代的な総合計画をやるためには、政府が出す予算の面でももっと思い切った考え方をとらなければならぬのじゃないか。土地改良の長期計画においても、前半における計画というものをもっと前向きに考える必要があるのではないか、こういうふうに思うのです。水田畑地の造成面積等は、おおむね今日のつぶれ地ととんとんになる程度にしか組んでない。草地造成は四十万ヘクタールということであるけれども、十年間に四十万ヘクタール程度では、今後十年間に予想される畜産関係に対する国民の需要にはとても即応できない。こういう面で、私どもはもっと国土総合開発の観点から積極的な農用地の造成というものを考える必要がある、こういうふうに思っておるわけでありまして、これらの点について農林大臣から今後の問題をお伺いしたい。
○坂田国務大臣 いま十カ年計画の前半が非常に小さいじゃないかというお話でございますが、これは現在四十年から五カ年ということになっておるので、その伸び率からいうと前半のほうが大きい。だんだんと大きく伸びていくのであります。これはやはり実行上の面もありますから、伸び率からいうと前半を大きな伸び率で進めておるわけでございます。 それから今度、こまかい話ではないかもしれませんが、つまり壊滅、いわゆるつぶれ地とどうなるかという問題でございますが、大体この十カ年計画で造成されるものは、草地の造成を除いて田と畑だけで申しますと、大体いまの傾向でいうととんとんでございます。しかし、最近非常に多いということもありますが、草地の分だけはそれはふえていくわけでございます。そういうことであります。 もちろん前半のこの計画の問題は、土地改良も重要でございます。これはそうでないと構造改善等も非常にやりにくいのでございますから、これも非常に急いでやらなければならぬのでありますけれども、増産はこれだけではいかない。これはもう角屋さんはよく御存じで、技術の改良、品種改良その他、そのほうがむしろ大きな効果をあげるべきであり、また、あげさせるべきでありますので、土地改良だけでは論じられないものでございます。そういう意味でございますから、土地改良の十カ年計画を立ててうんと力を入れると同時に、これに関連していろいろ水管理の問題とか、すべてにわたって総合的に技術の発展をはかっていくということで進みたいと存じております。
○角屋委員 私は、決算の問題にも関連いたしますけれども、国民の税金をいろいろ財政上配分をして、そして予算を立てる。これを実施に移す。会計検査院は、予算の運営が適正であるかどうかということで抽出調査をされる。そこで国会に、ことしの場合でいえば、昭和三十九年度決算検査報告というのを出される。これで見ると、不当事項というのは農林省関係で相当多い。一番多いのは農林省である。次に多いのは大蔵省である。次に多いのは建設省である。私は、そういう個々の内容に入ろうとは思いませんけれども、やはり特に土地改良関係で不当事項に指摘されておるものが多い。年々指摘されるけれども、なかなか改まらない、こういう状態である。実際にテストして調べてみると、工事の中身が空洞状態である、あるいはコンクリートの配合がきちっといっていない、要石を入れるべきところが入ってないとか、具体的にそういう指摘がある。こういう不当事項の根本的原因というものは一体どこにあると農林大臣は過去の検査の結果思っておられるか、まずそれをお伺いしたい。
○坂田国務大臣 お答え申します。 この会計検査院の不当関係のものは、全体で報告を受けたのは三百六十でございます。そのうちで二百八十が公共事業になっております。その公共事業は、補助金によって地方団体なりあるいは土地改良区の団体その他の小さないわゆる地域の団体がやったものでございます。そしてそのうちの九割が、災害復旧に関係するものでございます。 そういうような関係がございまして、その間に私今度の場合でも、災害のときに急いで査定をすることを非常に強く農政局等に要請をし、県の当局にもこの査定を早くしなければ、ぐずぐずしておってはだめだというので強く要請をいたしたのでございまするが、要するに、そういういろいろな関係から十分うまくいきにくい、そしてまた業界の間にもうまくそれがいかないということもあるのでございましょうが、事業が小さいということ、それから、その災害でもって非常にそこの関係が、うまく早急にやろうとするといろいろの問題があったりするということで、たいへん——しかしながら、こんな言いわけばかりしてはいかぬので、私も非常に恐縮に存じておる。農政局、それから関係府県に対して十分監督するように申し出ておるわけでございますが、事情はそういうこともたいへん関係があるように思われるのでございます。
○角屋委員 予算委員会における与党の西村さんの質問のときにも、いわゆる国から補助金を出すような関係の上部機関が事業費のピンはねをやっておる、こういうふうなことで、具体的には触れませんでしたけれども、そういう御指摘がございました。私はこれから十年間に土地改良長期計画に基づいて二兆六千億からの事業をやろうという、もちろん国費はこれがまるまる二兆六千億ではありません。この中にいろいろなものが含まれるわけでありますが、とにかくそういうことで相当な国費が第一線におろされていく、そして仕事を遂行していく、この際に、全国土地改良協会というものが従来事業費の一部を上部に吸い上げる、こういうことがよくいわれるのでありますけれども、農林大臣、その実態をこの際説明していただきたい。
○坂田国務大臣 土地改良関係の団体においていろいろの設計をしたり、それからまた土地の登記が非常に時間がかかるわけで、登記の仕事をやったり、いろいろ相当経費のかかることをやっておるはずでございます。そういう関係であるんじゃないかと思いますが、なお農地局長からその点御答弁させたいと思います。
○大和田政府委員 お答えいたします。土地改良事業につきましては、県にそれぞれの県の土地改良連合会がございますし、全国に全国の土地改良連合会がございます。全国連合会におきましては、事業費を吸い上げているということはおそらくないと思います。それは、それぞれの県の連合会におきましては設計等の実務をやっておりますけれども、全国の連合会においては設計等の事務はやっておりませんから、事業費の一部を設計等のために吸い上げるということはないはずでございます。
○角屋委員 連合会の予算というもののここ三年間の資料というもの、あるいは県段階における連合会の、大体全国のうちのモデルのものでよろしいが、そういうものの予算が、収入がどういう実態であり、支出がどういう実態であるか、こういうものをやはり明らかにしてもらいたいと思う。本日準備を十分してなければ、これはやはり資料を提示してもらいたい。私どもは何も土地改良の全国連合会の関係なりというものは、会長以下、農政研究会等でも親しい人たちでございますけれども、しかし、私もそういう方面は専門でございますが、そういうことがややもすればいわれる。国営、県営については、少なくとも事業費の五%程度吸い上げているのではないかということがいわれる。そこで第一線の土地改良区としては滞納状態に一部ある、こういうことがいわれる。事実私は、これからさらに調査に基づいて明らかにしなくてはならぬと思いますけれども、土地改良の長期計画に基づいて土地改良をやることはけっこうである。われわれはもっと積極的にやってもらいたいと思う。せっかく国民の血税を事業に使うわけであるから、当然いささかの疑念もあってはならない。われわれは土地改良法の一部改正を論ずるときに、それぞれの公的に必要な機関が必要とする事務費については、国もそれなりのめんどうを見るべきであるという附帯決議を土地改良法ではつけた。もっとやはり会計は明らかにすべきであるし、明朗にすべきである、こう思うのでありまして、この点については、これから長期、計画をやられようとするまず出発点にあたって、全国、県段階のモデルでもけっこうでありますが、会計内容を、ここ数年間、少なくとも三年間の収支の問題については、資料を要求いたします。
○坂田国務大臣 資料を提出することにいたします。
○角屋委員 一日論じたいところでありますが、時間がたいへん……。 そこで、坂田農政というものの特色は何か。これは私は、大臣がかわるごとにそれぞれの名前を冠したいわゆる農政の特色というものが別にあることを望まない。しかし、今日のようなこういう現状の中で、別に坂田農政ということをいわなくてもいいけれども、これからの農政展望に立った柱が必要である。坂田さんが受け継いでおられるのは、構造改善事業というのを受け継いでおられる。これは現に進行しておる。私は数年前に農業白書に基づく本会議の代表質問をしたときに、当時池田総理やあるいは重政農林大臣に対して、農業構造改善問題に触れた。そのときに、政府が今日実施しようとする農業構造改善事業というものは、これはまさに当てられた一市町村の数部落について箱庭的にやるにすぎない。 〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕 こういうことでは、真に日本農業、農村、農民の近代化というものは総合的には生まれてこない。もっとやはりそういう点で総合的な構造改善計画と、それに基づく年度的な構造改善事業の推進というものをやる必要がある、こういうことで、政府のいま進めておる箱庭的な構造改善事業を指摘したことがございます。私は、この機会に、今日までやってまいりました農業構造改善事業について、農林省は、実施したうちで大体どの程度が成功であった、どの程度はまずまずであった、どの程度については問題あるいは失敗があった、こういうことを率直にひとつ明らかにしてもらいたいと思う。農林大臣。
○坂田国務大臣 お答え申します。 まず、坂田農政なんというものはございません。また、そういうものがあってはならないので、もしあるとすれば佐藤内閣の農政でございます。 それから、いまいろいろ問題といたしましてはありまするが、私どもとしては、やはり近代化をはかってまいるといろこと、いろいろその間において、たくさん、いま申し上げておるようなことが大事なんでありますが、私として一番大切なことは、やはり年次報告によりまして、毎年毎年どういう変り方をしておるかということを、感情を抜きにして、率直にその変わり方をながめて、そうして、振り返ってやってきた政策をみずから批判し、また批判してもらうということが一番大切なのではないかと思います。そうでないと、これは抽象的にいろいろの理論を立ててみても、世の中のことはそう簡単にいくものではないのでありますから、それが非常に大事だと思います。したがって、構造改善にいたしましても、理論は私は非常にいいと思うのでありますが、やはりたいへん成功したのもありますし、中にはやはりはっきり悪いのもございます。私は九月に、全国に行なわれております構造改善全部について調査を命じました。いまその調査の結果ができております。だいぶ大部なものでございますので、全部申し上げることはたいへんめんどうでございますが、しかし、この調査の結果から見まして、やはりこの基盤整備をやって非常に生産力をあげるという問題、あるいはまた青年がこれらに対して非常に意欲的になってきたという問題、その他数えると、調査にみな出ておりますが、たいへんけっこうなものが相当結果として出ております。全体として大体いいと思う。しかし、中に悪いのもあるというのは、地方の実情に即しないことをできるだけ抽象的にやろうとしたところが、ごくわずかな例でございますがうまくいかない。それから、道もないし基盤整備もやらぬところに大きな機械を入れるというのは、順序が間違っておりますね、これなんかやはりよくないという、そういう悪い例も中にございまして、いいことと悪いこととがよくわかってまいりました。 それから、箱庭的云々と申しますけれども、もちろんそうでございます。これだけをやっておるのではございません。全般の農政の中にこういう見本ができ上がっていくということでございますので、これで全体をやっておるというものであってはならないことは言うまでもないと思いますので、その点御了承願いたいと思います。
○角屋委員 農業構造改善の実施の状況についての行政効果というものを、やはり農林省みずからもいろいろ見きわめる必要があるが、農業と他産業との所得均衡であるとか、あるいは地域格差の是正であるとか、そういう全体的な経済の均衡発展ということで、時の内閣が重点的に掲げる政策については、具体的に農業でいえば構造改善事業——われわれとしては率直に言って意見はございます。意見はございますが、そういうふうな重点的な問題については、やはりそれぞれの役所というのはあまり、いいところ、悪いところとなかなか言いにくい。今日予算委員会においても多くの先輩諸君が論じられたように、内閣としての総合的な指導力ということがよくいわれるわけでありますが、こういう重点的な問題について、具体的に成果をあげておる点、あるいは普通にいっておる点、あるいは問題点というものについての行政効果というものを、率直に現地について把握をすることが別の角度から必要ではないか。それは、会計検査院は予算がうまく使われておるかどうかということをやられる。行政管理庁は、政策にまではなかなか入りにくい。むしろ判こが多いとか少ないとか、あるいは中央からの権限が、約束どおり十分おりておるとか、おりておらぬとかいう範囲内にとどまることが多い。問題はやはり国が予算を使って具体的に政策をやっていく、この行政効果というものが第一線の国民にどういう受けとめられ方をしておるか、どういう効果をあげておるか、それはやはり今後の予算運営の中でも生かしていく、こういう点に、率直にいってやはり内閣の指導力として欠ける面が出てきているのじゃないか、こう思う。同時に、私は農林省の行政について考えます場合に、農林省の行政をほんとうに効果的に進めるためには、農林省の中央、地方を通じての機関、それから県、市町村の自治団体、それから農林漁業の諸団体、そして末端の生産農民、漁民、この四者一体の姿の中で、真に農林漁業政策というものが成果をあげる、一体どこが強くてどこがひ弱いのか、どこにパイプの詰まりがあるのか、こういう点も含めての行政効果の判定というものをやらなければならぬ。私は、単に構造改善についてだけ言っているのではない。ほんとうに農林漁業政策を重点とするんだという場合には、そういう問題も含めての行政効果の総合的な判断、それでこそ初めて格差の多い農林漁業について、他に追いつかしていくことが少しでも前進していくことだろう、こういうふうに思う。こういう行政効果の総合判断という面については、総理としても今日もっと前向きに考える段階にあるのではないか、こう思うのでありまして、総理の見解を承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま角屋君の御高説を拝聴いたしておりまして、私も関係各機関並びに関係者が一体となって、そして総合的な成果をあげるように努力しなければならないものだ、かように思います。そういうことを総理と申しますよりも、まず第一は農林省におきまして、ただいま言われたような方向で十分成果を見ていくということで農政を引き上げることにさらに努力してまいりたいと思います。
○角屋委員 私は、総理大臣の答弁にはまことに不満でございます。農政の問題ということで具体的に触れましたけれども、これは農政に限りません。厚生省、あるいは建設省、労働省、全体でけっこうでございます。重点的政策について末端まで通してみて、具体的に今後の政策の指針にするというためには、そういう行政効果の総合的な判断というものを、やはり内閣自身がひとつ考える必要がある。単に予算権の問題について、大蔵省に置くか、内閣自身が握るかとか、いろいろ臨時行政調査会の答申とからんだ議論の問題がございますけれども、そういう問題の中に含めて、いま言った問題というのは、国民のための政治という立場から見て、私はこの視点は重要である、こういうふうに思っておりますが、さらに深く触れることは避けます。 そこで、構造政策の問題でさらに発展をさせたいわけでありますが、総理は今日、自立農家の育成、協業の助長、こういう中で、所得倍増計画の中で十年間に百万戸の自立農家育成と池田内閣の当時に言ったこの問題は、グリーンレポートの結果を見てもなかなか停滞ぎみである、そこにいかない。また現実に協業の助長ということで政府はいっているけれども、自発的な創意に基づいて、畜産、果樹、最近は稲作関係も含めて協業は前進をしてきておる。私はそういう点において、いわゆる経営の構造改善という問題について、これから十年間でどろやろうとするのか、その問題の中で自立農家あるいは協業、われわれは共同経営の発展ということを言っておりますけれども、そういう問題をやはりこの際再検討して、これからの十年の中で、今日の農村の実態に即してどうやっていくかということを考える段階に来ておる。この点でひとつ総理のこれからの構造政策上の考え方の判断を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 農林漁業は、ただいま言われるように専業化していく、同時にまた協業化、共同事業化していく、ことに水産の面におきましてはこういうことは非常にはっきりしている、かように私は思います。まだなかなか思うように参っておりません。これは一体どういうところに原因があるのか。やはり農村と農民と土地との関係、これはなかなか離れにくいものがあるようです。したがいまして、第二種兼業農家がよほどふえておる、こういう現状も見のがすことはできないのだ。したがいまして、一方で専業農家の育成強化をはかるという意味で、農業所得をふやすこと、これはもちろんでございますが、同時にまた兼業農家のふえておる実際も考えまして、いわゆる農家収入をふやす、こういうことを政府が考えておる、こういうことで、もっと農村振興本来、また農業のあり方等にも力をいたしていきたい、かように私は思います。
○角屋委員 数字の具体的な中身に入りませんから、お互い抽象的で終わるのはやむを得ないと思いますけれども、時間の関係上基本的な考え方で終始せざるを得ません。 そこで、この構造政策の問題という点では、やはり現実に即して自発的にふえてきておる協業化、この問題も構造政策の重要な目として見ていかなければならぬ。ただ最近請負耕作の関係、あるいは父子契約の問題、今後の農地法の、現行農地制度をどうするかというふうな問題、あるいは本会議で倉石自民党代表の質問で出た農地転用の自由化論とか、いろいろな問題も含めて問題はあるわけであります。しかし、基本的に構造政策として自立農家、あるいは協業の今後の発展の問題の比重をどう考えるかということは、十年計画の展望の中では重要であります。 その場合に、一つは農村の実態から離れてはいけない、農民の受けとめ方も考えていかなければならぬ。同時に、一方では国際的な競争のできる日本農業の構造政策とは何であるか、こういう立場も十分考えていかなければならぬ。 そこで、機械化問題を一つとらまえましても、今日までの農林省の機械化の導入というのは、一体大型機械化の問題に力点があるのか、あるいは中型機械化の問題に重点があるのか、こういう機械化体系の一貫的な樹立と、そうしてその比重は、日本農業に立脚をして、どれが力点を持つであろうか、これは機械化研究所等でもいろいろ研究しておる問題でありますし、また農業用資材との関連において言うならば、農機具を製造しておるところにおいても、いわゆる国内にそういうものを提供をしていく立場として、構造政策、その中での機械の導入というものはどういうものに力点が置かれるのか、こういうことは非常に結びつくわけであります。これらの諸問題は、いわゆる農業における生産の向上、その場合にいま言った機械化の問題は、労働生産性の向上につながる問題であります。しかし最近一部には、農林省の農政の基本というのは、労働生産性の向上から再び土地生産性の向上、つまり土地生産力の増大というところにウエートを置きかえているのじゃないか、こういう見方もございます。これは最近の荒づくり、荒廃の状況等ともからんで、あるいはそういう機械の導入について、まだ一貫した体制というものが確信を持って立てられていない、こういうことも関連するかと思いますけれども、ここですぐ農林大臣として、機械化の問題についてはこちらに重点がいくということは即断できない。しかし、そういう問題も含めて重要な問題であるという立場から御見解を承りたい。
○坂田国務大臣 お答えします。 たいへんむずかしい、また大切な問題だと思います。たとえば、経営面積の問題でいきまするならば、これは北海道とかいわゆる交通の非常に遠いところ、あるいは地力の悪いところ、こういうところは経営面積が大きくならなければならない。ところが、都市近郊であったり、また近郊でなくても、近くであって交通の便利のいいところは、大きな面積の経営はできない。これは資本力による拡大はできても、面積による拡大は不可能であると私は思っております。こういうことは、現に日本の状態をながめてみると、はっきりそれがあらわれておるのであるし、理論的にもさようであると思います。でありますから、かような問題に即応してこれらの問題を進めていく必要があろうと思うのでございます。 機械の問題にいたしますると、便利のいい機械ができたのを使わないでいるという道理はございません。汽車ができたら汽車に乗らなければなりません。飛行機ができれば当然でございます。ただし、その乗り方と、それからその受け入れ方の問題であると思うのです。つまり、汽車ができたから、だれでも汽車を持って汽車を使えと言ったら、日本じゅう三人か五人しか持てない、こういうことはだめなのであります。でありまするからして、現在の汽車はどんな貧乏人でも利用できます。それと同じことに、機械の発達したものを、それを使うことに、どういう体制をとればその発達した機械を使えるであろうか、こういうことになろうと思うのでありますがゆえに、これは大きな機械であるならば大きな団体、小さな機械であるならば小さな団体においてそれぞれ手配をしていくということになろうかと思うのでございます。それからまた、もっと小さければ個人が一人持ってもよろしい、いろいろな問題がございまするが、そういう問題ははっきりとやっていかなければならぬと思います。 それからもう一つの問題は、労働生産性と土地の生産性の問題でございまするが、労働生産性は日本はおくれておる。土地生産性はきわめて高い。でありまするがゆえに、私はやはり労働生産性を上げることに力を注ぐべきものである。しかしながら、それかといって土地生産性をおろそかにすべきものではない、こういうふうに思うのでございます。 そのほかいろいろございまするが、またこれは機会を持って大いに論じていきたいと思います。
○角屋委員 農政の問題は全国一律にはいかない。地域農政ということが言われるように、あるいは霞ヶ関農政ということが批判をされるように、やはり第一線に即してやらなければならぬことは仰せのとおりでありますが、国際的視野に立って、日本農業の構造政策というものをどうやるかということは、同時にやはり一つの問題として考えなければならぬ。私は機械化等の問題についてもさらに触れようとは思いませんけれども、機械化の問題についても、一貫作業の整備と同時に、将来の日本の農業の実態に即する機械化とはどうか。私どもは機械化貧乏からの解消のために、いわゆる機械化サービス・ステーションというふうなものを中央、地方を通じてつくって、もちろん個々に求めるのはけっこうでありますけれども、できるだけ機械化貧乏の解消をはかるべきであるということを一つの提唱として持っております。固定資本投資の中で、いわゆる農機具の比率というのが三八%近くを占めておる。土地造成二六%、建物が一七%、家畜一一%というのが数年来の統計の一つの比率として出ておりますし、あるいは流動資本財の中では、えさが三四%、肥料が二八%、その他の諸資材が、農薬その他がございますけれども、そういういろいろ必要な資本形成の内容、あるいは流動資本の関係から見ても、農業政策と関連をして、やはり関連した政策としてどういうふうなものがあるか、それをどういうふうに持っていくかということも同時に考えていかなければならぬ問題であります。私は、この機会に、国土の総合開発からする、いわゆるこれからの国民の生活の場を広げるという意味では、国土の七割を占めておる山の問題についても触れたいと思います。 すでに林業基本法というのを、われわれとの間でいろいろ委員会等を通じて議論をし、そうして発足を見ておるわけでございまするが、やはり国土総合開発の中における山の問題というのは非常に重要である。そこで、現実の山はどうなっておるかということになると、外材がどんどん増加をする、あるいは林業関係の関連の中小企業の倒産が出てきておる。全般的に山が荒れる傾向にある。実際に伐採ができても、やはりあと地の造林というのは、労働力その他の関係からできない。そういうふうな関係で、治山治水上からも重要な問題を持ち、外材輸入をできるだけ少なくして必要量を供給しようという山の使命から見ても、大きく問題が出てきておる。数年前に官行造林を廃止して、森林開発公団にやらせるということをやったときにも、われわれはやはり治山治水の重要性から見て、はっきり基幹労働力を持った造林能力というものを持つべきであるということを当時も言いましたが、今日その指摘は当たってきておる。そういうふうな林業政策全般の中で、われわれは国土総合開発の観点から農用地に使うべきである、こういうふうな点については農用地にこれを使う。これは国有林たると民有林たるとを問わず、国土総合開発の観点から、農用地に使うべきであるところは積極的に使わなければならぬ。また山としてもっとやはり効率をあげていくという意味では、そういう面の伐採によるところのあと地の造林その他についても積極的に進めなければならぬ。最近の山の荒れた状態から見て、今後の林業政策をどうするかということは重要である。そこで、国有林のあり方の問題に関連してでありますけれども、従来大山林地主が財産保有的に山を持っておって、必ずしも国民経済の木材需要にこたえ得ないという、そういう一面がございました。そういう点から、ややもすれば国有林が需要にこたえるために過伐傾向が出ております。そのために、国有林の問題については、独算制の制約にあおられ、また同時に木材需給に対する過伐という傾向でとの問題が出ております。私どもはそういう点において、正しい意味における国有林のあり方というものをもう一回やはり再評価をしなければならない。要するに、経営第一主義あるいはいま言った民有林に問題のあるのを国有林でカバーをするという意味において、実際の伐採の適齢期を越えた過伐をやる、こういうふうなことがあってはいけない。林業基本法の中では、国有林、民有林を通じた、木材の需給計画に基づくところのいわゆる施業案等を含めた指導がなされるはずである。残念ながらそれは積極的に総合的になされていないというのが今日の状況であると思うのです。そういう点で見て、山の問題については、いま言った山村振興法に基づく奥地開発という面が一つの問題としてこれから発足をするわけであります。同時に山の問題については、これからの三十年、四十年の木材の需給状況から見るというと、必ずしも楽観を許さない問題もございますので、この際林業政策についての基本的な考え方、同時に国有林については、いままで数年来行なわれていました過伐主義というものから、あるいは収益、経営第一主義という点から、本来の姿に基づいて国有林の正しい役割りを果たすべきではないか。同時に自民党の一部の諸君が国有林開放というようなことで、地方の自治団体といろいろ協力をしてやっている向きもございますけれども、私どもはいままで申し上げますように、国土総合開発という観点から、国有林、民有林を含めて、生活の場を広げるために、農用地として使うべきところは使っていくという姿勢は、これはわれわれも考えている。しかし、そういう立場でなくて、観光資源や、あるいはかって国有林を市町村合併当時数十万町歩払い下げたけれども、これはほとんど大山林地主の中に帰していっておるというような姿から見ても、十分やはり国有林のあり方について誤った運営をしてはならない。大蔵大臣は、国有林については、これは国有財産として保有しておる責任もございます。この際、答弁は総理からいただきたいわけでありますけれども、狭い四つの島の中に一億国民が生活の場を求めておる。これをさらに人口増加につれて広げていかなければならぬ。そういう面で、国土総合開発は非常に重要である。同時に、山の問題は、日本の地勢から見て治山治水面というものを無視することはできない。それらの調整をやりながら林業政策全般、特に国有林の問題についての最近の弊害というものをどう是正してこれからやっていくか。また同時に、その中では国有林、民有林を通じての正しい労働力の確保ということも重要である。われわれ社会党としても、そういう意味におけるまず第一歩として、国有林労働者の雇用安定法というものを数年来出してきておる。こういう問題も、挙家離村が長野その他で続いてきたり、あるいはまた山がどんどん荒れんとする傾向の中に、奥地山村の振興を含めて、奥地における林業政策というものをどう進めていくか、国有林の位置づけをどう評価するか、こういう問題について総理の基本的な見解を承りたいと思う。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま林業政策あるいは林業全般についてのお尋ねがございました。もちろん私は、国土総合開発の観点に立ち、同時に国土保全ももちろん必要でございますが、この総合開発の観点に立って林業政策は進められるべきだ、かように信じております。そこで、特に問題になります国有林野についての問題であります。もともと国有のものでございますから、利用はもちろん上げていきたい、かように思いますが、一部でいわれておりますように、この国有林野の払い下げ等については、一そう慎重な態度で臨みた、い、かように思っております。 労働力その他につきましても、十分の管理をしなければならないと思いますが、ただいままで季節労働の面がやや私は不十分ではないか、かように思っております。こういう点では、国有林野行政の点でも特に注意していくつもりであります。
○角屋委員 労働大臣に少しお伺いしたいのですけれども、すでにあらかじめ御連絡申し上げておりましたが、多くの時間をさくことができませんけれども、やはり今日の兼業化傾向の中で、出かせぎ問題——今度出しました農林白書の中では、不況の中では若干停滞ぎみであるということはございますけれども、農業の所得の実態から見ると、兼業収入というものは五〇%をこえている。またそうせざるを得ない。本来出かせぎの方々は、出かせぎしなくて実際に生活のできる農政、こういうことを望んでいるわけですが、現実には出かせぎ問題というのは依然として続いているというのが実態であります。この際、労働政策としての立場から、従来労働省は、出かせぎ者問題を含めてのそういう問題について——労災問題もございましょう、失対の失業保険の問題もございましょう。さらに現状と今後前進させる見解の問題について、率直にお伺いしたい。
○小平国務大臣 出かせぎの問題につきましては、従来とも労働省におきましては、大体出かせぎの中で正常な職業紹介のルートに乗らずに就職される者が相当数あった、こういう関係からいたしまして、まずもって職業安定所を通じました正常なルートで出かせぎをしてもらいたい。そのことによって派生的に生じまする賃金不払いであるとか、もちろん労働条件そのものも問題はありまするし、そういったいろいろな問題をまず解決するのには、まずその道を選ばなければならない。そこについての事前の指導をやる。あるいは出かせぎ労働者が就職いたしました場所に、また相談所等をつくりまして、その相談相手になってやるということ、それが一つの問題でありますが、同時にこの出かせぎの問題と関連しまして、先生も御承知のとおり、あるいは失業保険等の問題もございます。そういう問題もありますので、これは単なる出かせぎということでなく、でき得べくんば通年雇用制に逐次持っていけるようにひとつ努力いたしたい。こういう見地から、明年度の予算におきましても、雇用促進事業団で行なっておりまする雇用促進融資につきまして、その一つの種類として通年雇用融資という道を開くことにいたしました。これは、まあ主として建設業者等が冬期の間工事ができないというような向きに対して、冬期間においても仕事ができるような施設をさぜる、そのために融資を行なう、こういった制度を新たに明年度は取り入れることにいたしておるわけでございます。
○角屋委員 いずれ今後の一般質問、あるいは分科会を通じて掘り下げていくことでございましょうから、私はこの程度で……。 厚生大臣、先ほど食糧自給率の問題で、いわゆる当面、昭和三十九年のFAOの報告では、二千三百カロリーをこえた。しかし、国際的に見れば欧米先進諸国にはるかに及ばない。中進国程度である。こういうことで、今後の所得の向上に伴ってこれはふえていく。そうすると、食糧の自給率というものは機械的なものでない。これはさらに相当な生産を伴わなければ、八〇%以上——われわれはもっと自給率を上げなければならぬと言っているが、そういうものを確保するということはなかなかむずかしくなる、こういうことだと思うのですが、その点が一つと、十年後におけるところの日本の国民全体のカロリーの引き上げを、どこに厚生省としては目標を置いているか、それが一つ。 それからもう一つは、農民、漁民に対する社会政策、こういう問題があるわけです。今日、生産性において農業と他産業では、農林漁業の関係は、いわゆる商業、工業の三分の一以下である、こういう実態を十年後にどこまで近づけることができるかというのが一つの大きな問題であります。同時に、それに近づくまでの過程においては、社会政策というものが重要視されなければならぬでしょう。あるいは税制問題もございましょう。いろいろそういう総合的な問題でささえをしながら、実際の農業に定着をし、将来に発展を求めるという態勢をつくっていかなければならないと思う。今日、国民健康保険あるいは国民年金という程度にとどまっておると私は思うのでありますけれども、生産農民や漁民の立場からいえば、国際的ないろいろな状況から見ても、農民年金——数十年、額に汗して働いた諸君が、今日の国民年金程度でなくて、いわゆる勤務者に相等するような、そういう形の農民年金というものを前向きに実現の方向で考えてもらいたい、こういう要請も強いわけであります。フランスにはフランスの例がございましょう。あるいはその他の国々にはそれぞれの例がございましょう。こういう問題も含めて、今日いわゆる格差の現実に存在をしておる第一次産業の社会保障政策というものを前向きにどう考えていくか、この点の御見解を厚生大臣から承りたい。
○鈴木国務大臣 国民の栄養の確保、これは国民の健康と体位の向上の上からきわめて大切な問題でございます。戦後わが国の食糧事情、栄養関係の改善によりまして、逐次食生活も向上し、国民体位も向上しておりますことは御承知のとおりであります。しかし、まだ欧米先進国に比べまして見劣りのありますことは御指摘のとおりでございまして、今後はさらに栄養の問題につきまして努力をしてまいる所存でございます。 さらに、農村の社会保障の問題についてでございますが、御承知のようにわが国は、国民皆年金のもとにおきまして所得保障をやっております。また、国民皆保険のもとに医療保障をやっておる。この医療保障と所得保障が社会保障の二つの大きな柱でございまして、これに環境衛生、公衆衛生、その他お気の毒な立場にあります人たちに対する福祉施策を総合的に推進をしておるわけであります。農村におきましては、国民年金によりまして——御承知のように、国民年金の三八%以上は農民世帯でございます。私どもは、この国民年金を農民の所得保障の中心として考えております。今後さらにその内容を充実してまいる所存でございまして、四十一年度におきましては、御承知のように、夫婦一万円年金の改善をしたい。今後も、その方向でさらに改善を進めてまいる所存であります。また、農民の年金につきましては、国民年金の附加年金の制度もございますわけでありますので、そういうものとの関連において、さらに検討を進めていきたいと考えております。
○角屋委員 次は、科学技術庁長官。——今日、技術革新の時代だということがいわれる。先ほど機械化の問題について少しく触れましたけれども、科学技術庁として、農林漁業の技術改善、こういう問題についてどういう考え方を持っておるのか。私はかって試験研究機関の研究単価の問題について、これは数段階ございまして、農林省については二分の一係数というようなことでいろいろやっておりました。私がこの問題を指摘して、是正されましたけれども、ややもしますと、この試験研究機関の問題一つを考えても、予算をつけるときに、工業とかなんとかいうそういうはなやかな問題には単価も高くつきやすい。農林漁業の問題は、国際的な水準に上げるためには、試験研究というものも非常に重要である。これは技術革新の要請にこたえるようにしなければならぬ。ところが、そういう予算の問題のときには、いつもやはり低位に置かれる条件が最近は出てきておる。一体農林漁業の近代化に即応する科学技術の立場からどういうふうにいまやっておられるのか、今後どういうふうにやられようというのか、簡潔にひとつ見解を承りたい。
○上原国務大臣 お答えいたします。農林漁業に関しまする科学技術の開発研究は、農林省が担当しておいでなのでございます。そうして、科学技術庁は、各省庁にまたがります研究を調整をいたしまして、これを開発、推進しておるわけでございます。そしてその研究機関が各省庁にたくさんございまして、その研究機関によりまして、おっしゃるようにランクがあるわけでございます。このランクが……。
○角屋委員 詳細は要りません。
○上原国務大臣 このランクが農林漁業に対して特に低いのではないか、こういうおしかりだと思うのでございまするけれども、これは、昭和三十九年までのことでございまして、四十年度から、つまり現在の年度から、またいま御審議をいただいておりまする四十一年度からは、この半分にするという格差は消滅いたしました。ただ、Aランク、Bランク、Cランクと三つございまして、しかし、これは業種によって格差があるのでなくて、研究いたします研究課題によって格差ができるのでございます。たとえば資材とか器具とか、そういうものにたくさんの金のかかるものがAとランクされ、それからそれの少ないものがBとランクされ、それから単に検定とか検査とか、そういうものだけやります機関がCとランクされる、こういうわけでございまして、決して農林漁業に関しまする研究機関が低くランクされて、不当な扱いを受けるということはございませんので、どうか御安心を賜わるようにお願いをいたします。
○角屋委員 私は試験研究機関のいま言った単価の問題だけに触れておるのじゃない。技術革新に即応して、科学技術庁の長官として農林漁業面の技術革新、これは農林関係には技術会議もございます。私は詳細知っている。知っているが、全般的に言いたいのは、第一次産業の試験研究一つとらまえても、はなやかな工業とかいろいろな面の試験研究のほうに脚光を奪われてしまって、重要であるけれども、そういうものがややもすれば予算査定の中でも低位に取り扱われてはいけない。いま言った一人単価の問題はきまっておりましても、ランクの問題が数段階に分かれておる。そういうような問題は具体的に触れません。これはかって触れたことがございます。 この科学技術庁の問題と関連をして、地元で直接起こっておる問題をこの機会に簡潔にお話しをして、総理の見解を承りたい。 これは、今日原子力の平和利用ということが言われる。総合エネルギーの一環として、いわゆる原子力発電というものに日本も着手をしておる。これは昭和四十五年までに百万キロワット以上、四十六年以降十年間で八百五十万キロワットというふうなところに原子力平和利用の一応の目標を置きながら、現実に原子力開発株式会社ができ、東海村に第一号あるいは敦賀に最近第二号、さらに原子力研究所をつくり、これから燃料の再処理をどうするかとか、いろいろな問題を含め、また九電力の関係では、東京電力、中部電力、関西電力というものがそれぞれ二十五万ないし三十万キロワット程度のものを着手しようとしておる。問題は、私の地元の三重県の場合に、中部電力がやろうとする問題について、詳細には触れませんけれども、問題が現実に起こっておる。特に三重県の熊野灘の候補地というのは、総理も御承知のように水産日本の中では三大優良漁場の一つのところであります。また、かつて昭和二十年には南海地震、あるいは昭和二十八年の大災害、昭和三十四年の伊勢湾台風、あるいはその後のチリ津波、相当大規模な自然災害の経験もいたしております。そういう点から見て、この原子力発電所の設置問題について、私は基本的に原子力の平和的利用ということには賛成である、しかし、具体的にどこにそういうものを置くかということについては、原子力発電の安全性あるいは現地におけるところの経済的諸条件、こういうようなものを十分やはり考えていかなければならぬ。いわば原子力の平和利用の段階においては、今日まだ第一歩というべき段階である。国際的には相当進んでおる国々もありますけれども、そういうところにおいて特に大きな紛争が起こり、問題になっておる三重県の場合においては、この際白紙に還元をして、他に候補地を求めるべきではないか、こういうふうに基本的に私は考えておるのでありますが、そういう問題も含めて、総理の見解を承っておきたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 具体的に原子力発電所をどこへ設置するか、こういう問題は私は批判をいたしませんけれども、本来わが国の原子力につきましては、平和利用ということに限って原子力を使っていい、こういう法制のもとにございます。そこで原子力研究所等におきまして特に検討し、研究しておりますものは、原子力発電でございます。大体原子力発電も見通しができた、その安全性等におきましても、十分信頼に足るデータも出ておりますので、そういう観点から各電力会社等も設置に踏み切った、かように伺っております。ただいま言われますように、三重県のどこに置くとか、こういうことについての私は批判はいたしません。これは通産省におきまして、おそらく関係者の方々の理解、また同時に協力のもとにおいて初めて決定するものだろう、かように思いますので、ただいまどういう状況になっておりますか、その点は私は知りません。
○角屋委員 通産大臣。その前に、原子力発電の具体的な問題というのは、それぞれの場所における問題になるわけです。私は、この問題では現地側が相当大きな県政上の問題になっておるということも御承知だと思いますし、政治的な問題になっておることも御承知だと思うのでありまして、やはり民主政治の世の中でありますから、富里の問題をどう考えるかという問題は一応抜きにして、やはり地方住民の民意というものを抜きにして上からこれは押しつけるという問題ではございません。また同時に、そういう民意が起こるということには、その地域におけるところの経済的諸条件、たとえば真珠の主産地であります。そういう点で百何十億からの外貨の獲得をやっておる地帯であります。養殖あり、沿岸漁業あり、漁船漁業あり、そういう地帯であります。そういうふうな点と自然的条件、いろいろな面等を考えて、この問題は十分やはり現地の実態に即しながらやってもらいたいと思うので、答弁の前に申し上げたい。
○三木国務大臣 将来は日本のエネルギー源として原子力発電に対する依存度は私は非常に高くなると思う。一九七〇年代になってくると、原子力発電の時代に入る、コストもやはり火力発電に匹敵するようになっています。しかし、原子力ということでなじまないために、地元の人が必要以上な危惧の念を持つような場合があるわけであります。これに対しては、もう原子力は平凡なものになったのだ、諸外国においても町のまん中のようなところにやるのですから、そういうことで、地元の人たちにもこういう大きなエネルギー革命の実態を啓発して、そして協力を求める。しかし、それでもなおかついろいろな立地的な条件でそこが都合が悪いということならば、これはやはり地元の協力がなければ事業はうまくいきませんから……。ただいろいろな誤解に基づいた反対、反対ということは説得しなければならない。説得をすれば、まあたいていの場合はその問題は解決するのではないかと楽観的に私は見ておる。しかし、それでもどうしてもいかぬということならば、立地的にまた別の方法を考えざるを得ないことは、こういう時代としては当然のことだと考えます。
○角屋委員 私は、冒頭から農林漁業の今日の現状、あるいは将来に対する総合的な発展の態度というものについて、農業、林業、漁業それぞれの分野にわたりながら、しかも今日政府が計画をしておるいろいろな個々の計画、それをもっと総合的に考えるべきである。また格差の是正、これは生産性の問題にせよ、あるいは地域格差の問題にせよ、そういう問題も含めて政治的課題として取り組む場合に、農林水産問題については特に積極的な態度がやはり必要である。食糧の増産時代から、いわゆる低迷期、後退期、今日再び躍進態勢を考えているという、そういう時期に、中期計画を廃棄して、これから十年の長期計画を立てようとする、その場合における国の財政投融資から予算あるいは総合計画の内容の問題等も含めて、農林漁業の問題は、御承知のように、単に農林漁業の視野だけにとどまらない、総合政策の重要な一環であるという立場から、これは労働省にも関係があれば、あるいは建設省にも関係があれば、厚生省にも関係するというほど総合的な問題である。こういう点で、今日の佐藤内閣が農林漁業の犠牲の上に立って経済の高度成長をやるということでなくて、安定成長という限りにおいては、まず第一におくれをとってきた農林漁業について、スピードを早めて積極的な総合対策をこれから実際具体的に進められるように強く希望したいと思うのです。最後に、総理の見解を求めます。
○佐藤内閣総理大臣 角屋君の御意見、拝聴いたしました。全く農林漁業、これからの中小企業等にいたしましても、各省にまたがる、いわゆる総合的な施策によって初めて成果があがる、かように考えますので、ただいまの御趣旨のように進めてまいりたいと思います。
○角屋委員 以上できょうは終わります。
○福田委員長 これにて角屋君の質疑は終了いたしました。 次会は明十一日午前十時より開会することといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十四分散会