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51回国会衆議院1966/02/08

予算委員会 第8号

発言数
156
登壇者
18
会派数
3
開催日
1966/02/08

会議録

福田一自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 四十一年度予算案は、借金政策に大きく転換して、大型予算を組み、不況を克服することを大きなねらいとして編成され、実行されようとしておるわけであります。この意味において、国民は不況が克服されることはたいへんけっこうなことであるけれども、その副作用としてインフレの危険があるのではないか、インフレになれば、自分たちの生活の土台からインフレの波に押し流されてしまうという心配は依然として強いのであります。また物価の値上がりが連年のようにうなぎのぼりにのぼっており、政府がどのようなことばを費やそうと、物価の値上がりに対する心配は依然として強いのであります。いままでの本会議なり予算委員会における政府の答弁は、これら国民の心配にまともから答弁をしておらないように思います。したがいまして、私は、物価の問題を中心にいたしまして、これからお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  本日の新聞によりますと、政府は消費者物価指数を手直ししよう、こういうことが進められておるようであります。消費者物価指数が上がるのは、食料費を過重に認めておるからだ、ウエートを高くとっておるからだ、また、三十五年という基準年度は妥当でないということで、ウエート品目を内容を改め、基準年度を四十年にしようとしておる。これは事実であるかどうか、お尋ねをいたしたいと存じます。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 消費者物価指数の統計は、御承知のとおり、基準年度を五年ぐらいにしまして、そして改定していくことが適当じゃないかと考えられるのでございまして、その点に対しては検討をいたしております。  なお、消費者物価の中のウエートにつきましても、生活様式がいろいろ変わってまいりますような場合には、そのウエートが変化してまいりますので、それらの問題についても検討していく必要があるのではないか、こう考えております。ただし、まだそれは検討してみようという段階でございまして、そのものを全体変えて試算をするという段階には至っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 昨日の予算委員会におきましても、勝間田委員から来年度、四十一年度の経済見通しにおいて、成長率七・五%が確保できるかどうか、責任が負えるかどうかということでやりとりをいたしましたことは御承知のとおりであろうと思います。また私は、これから政府の出しております消費者物価指数五・五%を公約できるかどうかということに重点を置いてお尋ねしようとしておるのでありますが、そういうやさきに、これらの政府の経済見通しの基礎になっておるファクターがこういうふうに動くのでは、比較のしようもなければ、また、これからの政府の見通しについても基準が違ってきまずから、これは食い合わないことになります。そうした関係の政治責任なり、あるいは国民に発表しておる経済の指標の本命というものをどういうふうに調整されるか、また責任をお取りになるお考えであるか、明らかにしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 CPIの統計については、総理府の統計局で大体五年ごとに基準年度を変えてやっていこうという検討をいたしておるわけでして、われわれもその必要があろうかと思います。ただし、私どもが申し上げたような点については、何も従来のあれを破棄するわけでもないし、あるいはそういうものを出して御比較願うことも適当だと思いますけれども、将来にわたっての統計のとり方、あり方というものについては検討しておくことが必要だ、こう思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 消費者物価については、われわれも実勢を反映してないといううらみを持っております。三百三十二品目ですか、とってある品物は、聞きますと、あまり相場の変動のないようなものをウエートにとっておるということでありますから、国民の生活に反映しておりますいろんな物価というものは、安定的なところをとっておりますから、あまり反映してない。ところが、最近食料や公共料金がぐうっと上がってきた。そういうことで、この物価指数がだいぶ上がってきて、非難の的になるというので、これをずらそうとするのではないか。いまの消費者物価指数の中においても、総理が答弁されておるように、米価の値上がりは〇・八%より影響力はないじゃないか、あるいは鉄道運賃の値上がりは〇・三%ではないか、こういうふうに答弁されておるのでありますが、これは、われわれの生活の中における米の位置をきめて、そのウエートに値上がり分をかけたものが〇・八となり、〇・三となっておるのではないか、こう思うのであります。それならば、米の値上がりによってわれわれの日常の生活にどうはね返ってくるか、あるいは鉄道運賃の値上がりがどうはね返ってくるか、このはね返りの問題は、少しもここにあらわれておらない。こういうところに、われわれが米価の問題を考える場合でも、あるいは運賃の問題を考える場合でも実勢と合わない。また運賃にいたしましても、全国の運賃計算の平均をかけておるだけである。ところが、近距離から通勤しておる者は、二十円地区が三十円になる。十円地区が二十円になる。これは個人の生活の実勢から言いますと倍になっておる。あるいは鉄道運賃は、平均の運賃だけでありますけれども、あるいは準急券であるとか急行券であるとか、あるいは寝台券であるとか、座席券であるとか、そういったものはこの中に入っておらない。実際の生活ではそういうものが加算される。そういうものはこの消費者物価の指数には反映しておらないといううらみを持っておりますし、また、いまの指数の中には、くぎであるとかセメントであるとか、こういった資材の関係は、素材のままでこれはウエートをとっておるのでありますけれども、住宅として組み立てて、大工さんが手をかけてどのような住宅ができてと、こういつたようなウエートは少しもこの中に反映しておらないという、そういう消費者物価の関係については、そのようなわれわれの立場からしてもいろいろな批判はあります。しかし、そういうものはだんだん手直しし、直せばいいのでありますが、根本からこれを切りかえていくというようなことに対しては、政府は常に——四十年度といったら非常に物価の上がった年でありますが、その上がった年を基準年度にして、どれだけも上がらないじゃないかと数字的に説明しようとする。数字は間違いは間違いなりに正直なものであります。池田総理も統計数字がこうある、こういうことを言ってきたのでありますが、その意味において、この消費者物価指数なりあるいは卸売り物価指数なり、こういうものの中立であるべき統計行政というものが、それぞれの政府の便宜によって、政治的な目的によって扱いが左右されるということは、国民の立場から言うと断じて許せないと思うのであります。この統計数字における中立性というものをどのようにして守り、そうしてこれに取っ組んで、国民の経済的な行動なり生活の指針というものをどこに求めたらいいのか、そういうものに対する責任をひとつ聞きたいと思うのであります。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 統計が正確にとられることが大切であることは、私どもも御意見と同じでございます。したがいまして、正確な統計を将来とも完備していくということにわれわれも努力をしてまいらなければなりません。ただ、お話のございましたように、消費者物価の指数等についても、足りないものもございましょうし、あるいは生活内容その他の変化からいきまして、今日では必ずしも五年前のウエートが適当であると考えられないものもあるやに思います。したがって、それらのものを改正することは、これは私は当然のことでなければならぬと思います。それで、それらについて、むろん統計をわれわれの目的のために変更するということであれば、これは世間の非難もありましょうし、われわれもそういう考え方を持っておるわけではございません。したがいまして、正確な統計数字をそろえて、そうして参考にするということのためには、やはり正確な統計を、そのときに適応する統計を整備していくということが一番大事だと思いますので、決して政治的目的に利用する意味ではございません。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 佐藤総理にお尋ねいたしますが、政府は毎年国民の総生産、国民所得、経済成長率、投資、消費、鉱工業の生産指数、卸売り物価指数、消費者物価指数、国際収支などの数字を推計して予算審議の参考資料として国会に提出し、また国民にも公表しておるのであります。この経済見通しは閣議決定で責任のあるものであると思う。これらの数字に対して政府は政治的責任を負わなければならない性質のものであろうと思うのであります。  ところが、毎年のように景気観測の部面におきましても、あるいは政策運営の態度の部面におきましても、当たったためしがないのであります。三十九年度までは、まだ当たらないでも、見通しよりは成長率が高かった、経済の伸びが高かったということで現状を糊塗したのでありますが、四十年度からは急激に低下してきた。したがって、国民は政府の発表したこれらの指標を対象として経営を考え、生活を設計して行動していくわけでありますが、そういう関係について、このような大きな狂いを生じたということについては責任をとらなければならない性質のものであろうと思うのであります。その政治責任はどのように考えているか、これが一つ。  さらに、いまの政府が長期の政権を担当している関係からか、国会における答弁なり、あるいは国会内における言動なり、あるいは院内における政治家としてのいろいろな言動において無責任きわまる、また非常な社会からひんしゅくされるような問題を非常に多く発生しております。院内におけるピストルの問題であるとか、あるいは院外における新潟県知事の選挙違反の問題であるとか、あるいは大小の汚職事件であるとか、こういったいろいろな問題が提起されております。これらの問題は、政治家としての責任というレベルではなくて、これはもう社会的に見ましてもひんしゅくをし、その非社会性を隔離しなければならない性質のものであろうと思うのでありますが、これらを含めて、政府のこれらに対する政治の姿勢についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  これは単にことばだけの問題でなくて、真にその自覚があれば、行動の中にこれがあらわれてこなければならないし、ことに政府の与党の立場としては、政府が峻厳にこれらの問題を、規律を節制するという態度がなければ改まってこない、こう思うのであります。これらの点についての政府の政治責任を明確にしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  政府が予算を編成いたします際に、また同時に、経済の動向等をどちらの方向に、どういう形にしたい、こういう意味からいろいろデータを集め、そうしてそれを指標として予算を組んでおるのであります。お話にありましたように、過去におきましては、この指標どおりの経済情勢ではないが、いつも成長が上回っていた。したがってあまり問題はなかった。狂っていても問題はなかった。しかし、最近のように、その指標を達成することができないで、各方面にいろいろの問題が起こる、その責任はいかん、こういうお尋ねでありますが、御承知のように、私どもがとっております経済、これは自由経済のもとにおきまして、ただいまことばそのもので云々するわけじゃありませんが、いわゆる経済の指標、そのもとにおいて私どもが計画を立て、政治を進めておるのでございます。したがいまして、ときにただいまのように非常な狂いを生ずる、こういうこともありますが、そういう場合におきまして、政府は、どういうわけでさような狂いを生じたのか、そういう点を十分究明いたしまして、そうして国民に対して重大なる迷惑の及ばないようにいたしておるのでございます。  また、第二の問題といたしまして、最近の世評、あるいは政治の姿勢等に欠陥があって、どうも思わしくない事柄が至るところに起こるのじゃないか、国会のピストル事件というか、そういうことで秩序が破壊されるとか、また、その他の社会問題等につきましても、政府は、これが正常化、本来の姿であるべきもの、そういうものにしたいと非常な努力をいたしておるわけであります。そういう場合に、政府自身の責任、これは申すまでもなく、政府が、また私は政治遂行の最高責任者といたしまして、あらゆる問題について責任を負うものでありまして、そういう意味においてはみずからの姿勢を正していく、これは同時に私ばかりじゃなく、与党の諸君にもそれを要求しておるのであります。問題は政府・与党ばかりじゃなく、国民の決起を促して、そうして協力を得て、初めてこれらの秩序回復なりあるいは道義の高揚ができる、かように私は思いますので、この意味において、国民の協力を得るにふさわしいような態度を政府並びに与党がとる、これが私のただいまの態度であります。

福田一自由民主党

○福田委員長 この際、野原覺君より関連質疑の申し出があります。これを許します。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 ただいま永井委員から政治の姿勢につきましてお尋ねをいたしたのであります。昨日は同じくわが党の勝間田委員が政治の姿勢についてお尋ねをしたのでございますが、昨日といい、本日といい、佐藤総理が常に私どもに答弁をされておりますることは、政治の姿勢は正さなければならない、道義はあくまでも正さなければならない。この一語に尽きるかと思うのであります。ところが、遺憾なことに事実は逆でございまして、たとえば参議院における前副議長重政氏の秘書がピストルを密売した、治外法権的な場所においてピストルを密売したということで、これは非常に国民から糾弾をされたことは総理御承知のとおり。ところが、また私は、遺憾なことに、ここで二月三日の朝日新聞の記事を実は持ち出してお尋ねせざるを得ない。これは、あなたが任命した閣僚の中に該当する人があるとすれば、その閣僚の方には、個人的にはまことにお気の毒なことでありまするけれども、しかし、国民が佐藤内閣の政治に対して実は大きな疑惑を持っておる。あなたが何と政治姿勢を正すと言われても、こういう事実に直面いたしますというと、国民はまたかという感じを持ってくる。これは事実であります。二月三日の朝日新聞はこう書いておる。現閣僚の私設秘書短銃所持で昨年暮れ罰金、また暴力団に横流れ、こういう見出しなんです。当然この記事に対しては、佐藤内閣としては、これは重要なことでございまするから、朝日新聞に、これが事実でないとすれば、記事の訂正、取り消しの要求をすべきである。また、天下の大新聞朝日新聞が、佐藤内閣の現閣僚の秘書が短銃の不法所持で罰金刑に処せられたということの記事を書いた以上は、これは天下の大新聞でございまするから、まさか国民としては、これは事実を誤った報道でないことだ、これはそのように理解するのであります。ところが、政府は一度も記事の訂正をしたとも私どもは聞かないし、同時にまた、朝日新聞はその記事の取り消しをされたということも聞いていない。一体このことは事実なのか。私は総理にお伺いをする。これは事実なのか。二月三日から今日まで何ら記事の訂正も取り消しもされないが、佐藤内閣の閣僚の秘書が短銃の不法所持で罰金四万円の刑に処せられたのかどうか、これはひとつ国民の前に明確にしていただきたいと思う。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいま……。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 ちょっと待ってください。あなたより総理がいいんじゃないですか、総理にお尋ねしておるのですから。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私が一番よく知っておりますから……。  ただいま野原さんからお尋ねのことは、私のおいに関係することなんです。福田某というおいがおりまして、私は私の身辺の者の行動につきましては、特に身を持するに厳格にするようにかねがね注意しております。私が非常にうるさいものですから、この福田某というのは私のところへ最近寄りつきません。その福田某というのが、その新聞で知ったのですが、罰金刑を受けた、こういうことでありまして、この福田某が私の私設秘書でも、またもちろん公の秘書でもありませんものですから、私の正式の秘書をして、朝日新聞には、私とは関係はない者であるということを明らかにして、どこかの新聞にはそういうふうに出ておるはずでございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 福田某という方は福田大蔵大臣のおいだということで、私は何もあなたにそのことをお尋ねして、あなたからそういう御答弁をいただこうとは考えていなかったのでありますが、私はやはり佐藤総理が、あなたの内閣の閣僚がこのような新聞報道をされた場合に、これを黙認されておるということは、国民に対して大きな疑惑を与えることではないかというので、あえてこの機会に佐藤総理の政治姿勢というものを国民に明らかにするために、私はむしろ政府に協力するという立場で実はお尋ねをいたしておるのであります。どこに行きましても、重政前副議長の問題は、今日国民から騒がれておる。これはたいへんなことであります。あのような処置のしかたについても、国民の多くは非常に大きな不満を持っておる。私はこの日曜日に関西に帰りまして、ある座談会へ出ましたところが、さっそく二月三日の朝日新聞のこの記事で私に質問をされたのです。佐藤内閣はまたやりましたね、佐藤さんという人は、言っていることと逆のことなんだねと、こう言っておる。だからして、このことは何ら朝日新聞も取り消さない、それから政府は取り消しの要求もしていない。とするならば、これはやはり私は国民が大きな疑問を持つことは当然だというのでお尋ねをいたしておるのであります。何も福田個人が、そのおいの方がたまたまこういう犯罪を犯したから、福田大蔵大臣をここで追及しようと思って私はお尋ねをしておるわけではない。したがって、佐藤総理はこの新聞を知っておったはずなんです。どういうわけであなたは今日までこの記事に対して、これを黙って放任してこられたのか、あなたのお考えを聞きたいと思う。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣からお答えいたしましたので、福田某なる者についての現閣僚との関係については、これはもうはっきりしたと思います。私はそれより以上のことを何にもつけ加えて申し上げる必要はございません。ことに朝日新聞にはこの点においてはっきり出ておるようであります。私設秘書ではない、かように実は秘書官が申しておりますし、私はもうそれでこの事件はケリがついておるものだ、かように思います。  また、前副議長の重政君の問題につきまして、これは国会内の事柄でありますから、各党において十分協議をした、そうしてあの結論が出ておるのであります。私がとやかく申し上げる筋のものではございません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 私設秘書でありますというと、やはり問題がある。秘書であるということになれば、問題がある。これはそのことをやはり総理もお認めになっての御答弁であります。  そこで、私はその福田某君のおじに当たるとみずから名のって出られた福田大蔵大臣が実は答弁されたことでございますから、それほど追及はいたしませんけれども、総理は青少年に告ぐといったような施政演説をなさって、道徳教育の振興とか道義の振興とかということをえてして口にされる。ところが、実は残念なことに、あなたの周辺と申しますか、たとえば与党の中で政治道義に反したことをなさる方が次から次と出ておるわけである。だから私は、この際総理にお尋ねをしたいのでございますが、政治姿勢を正すということをあなたがおっしゃるならば、やはり身をもって国民にはっきりわかるようにしてもらいたいのです。たとえば選挙違反一つをとらえてもそうなんです。今日、現職知事で問題になっておる方もあるじゃございませんか。そういうことを、あなたはそれに対する何らの処断もなさらないで放てきされておるのではないかという疑惑を国民が持っておることはきわめて残念なことであります。この点に対するあなたのお考えを承って、関連質問でございますから終わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 新潟県知事の問題についてのお尋ねでございますが、この点はいろいろ私どもも調べておりますし、また、検察当局においてもいろいろ取り調べをしておる、かように伺っております。そういう点で最終的な結論がまだ出ておりません。したがいまして、野原君からのお尋ねでありますが、現段階において私どもが処置する、こういう考え方ではございませんけれども、いずれ事態が明確になれば、それにより納得のできるような処置をするつもりでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 昨日、勝間田委員から実質成長率七・五%が確保できるかどうかということについてここで論議があったわけでありますが、それについて資料を私は要求しておきたいと思うのであります。  政府は、消費者物価と卸売り物価指数の見通しだけを出して経済の実質成長率を公表しているのは私はふらちであると思うのです。これでは四十一年度の経済成長の内容も実質成長率計算の適否も判断ができないのであります。判断するだけの資料がないのであります。国民所得のデフレーターに関する資料を提示して、納得のいくような説明をしていただきたいと思います。消費者物価の上昇を五・五%以内に抑えようとすれば、実質七・五%の経済成長率の達成は困難であると思います。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 逆に、実質七・五%の経済成長率を実現させようとすれば、消費者物価指数五・五%は困難であると思います。これらの問題を明確にいたしますためには、昨日来勝間田委員の言われました問題を明確にいたしますためには、政府からただいま申し上げましたデフレーターに関する資料の提出が必要であろうと思います。これに対する藤山長官の答弁をいただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 きのう来の論議は、例のデフレギャップの問題だと思いますが、大蔵大臣が申されたように、これを測定する非常な正確な統計というものは得がたいものでございますから、その点は遺憾ながら資料として出しにくいと思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は、出せないはずだ、こう思うのです。なぜならば、その証拠には、四十一年度の経済見通しというのは、これは最初にしっかりした経済見通しを積み上げて、そして予算編成をしたものじゃないと思う。予算がきまらない前から、弔う前年度予算に対して、国と地方を合わせた財政支出を一五%増にするという結論がちゃんと与えられておる。たとえば消費者物価にいたしましても、これは預金の定期金利よりも上回れば説明がつかないというので、五・五%という定期預金の金利にこれは押えた。こういうような数字でありますから、私はいま言ったような正確な統計数字を出すということは困難であろうと思う。それならば、七・五%とか五・五%を堅持するとかなんとかいって、最初からこれはそんな考えはないのですから、絵にかいたぼたもちでなにしているんですから、政府から提出したこれらの数字というものは、これは単なる数字で表現しているけれども、中身は数字的な内容のものではないという価値評価によって、われわれはこれからいろんな問題を論議していかなければならぬ。そういうふうなあいまいな数字であるかどうか、この点を明確にしてほしい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 いまお話しのはデフレギャップだと思いましたけれども、そうでなくて、御質問の趣旨が、あの見通しの計算を出したデフレーターの問題なら、これは出すことはできまずから、それはお出しいたします。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それじゃ出してください。  それでは、これから物価の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  総理、このひなを御存じですか。これは国の伝統として、子供たちの楽しい桃の節句に飾るひなの変わりびなとして、背景にこの国会をなにして、「値上反対」「値上反対」とある。こういうようなひながずっと出ているのですよ。これほど物価の問題は深刻になっているのです。これは百貨店でずうっと売り出しているのです。いかに物価の問題というのはいま国民の関心事であるかということをよく御理解をいただきたいと思うのであります。  ことしの予算の執行にあたりましては、総理は、不況対策と物価値上げを抑制するということが大きな二つの柱だ、こう言われました。そこで、この不況対策の焦点をどこに置いておるのか、総理から明確にしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、ことしの政治課題、これは物価を安定さすことと不況を克服することだ、かように私は施政演説でも申し上げておりました。そうしてこの二つを同時に解決するというのが私に課せられた課題だ、かように考えております。一部におきましては、これは二つを同時解決はできない、矛盾するものだ、こういうことを申す向きもありますが、私はさようには思いません。これは必ず経済の安定成長ができる。そのときには物価も鎮静する。物価を鎮静さすために、経済のひずみを直す、そのことが不況克服だ、かように私は考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 そういうことではなくて、具体的に不況克服の焦点はどこに合わせておるのですか。具体的にひとつ説明してください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいままでの不況の生じました原因を探究している。そういたしますと、いわゆる設備投資過大、こういうことになっております。その意味におきましては、有効需要を喚起して、そうして供給力に相応する需要を喚起する、こういうことも一つの方法だ。また設備投資過大、かように申しましても、各事業間に非常な格差がありますから、その格差もなくする、こういうことも一つの課題であります。  そういう意味で、農業や中小企業等の生産性を拡大していく、こういうことも私どもは考える。また流通機構の整備、その他等々があるわけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 各業種別に供給と需要のギャップを明らかにしていただきたい。そうして四十一年度の予算によって年度内にどれだけの有効需要が喚起できるか。この二点をひとつ明確にしていただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまの政府の統計資料の状態では、いかなる程度の遊休設備、遊休生産力があるかということがはっきりいたさないわけであります。しかし通俗的に大観していわれていることは、三割くらい休んでいるのじゃないかというふうにいわれております。つまり七〇%の操業度だ。これも非常に大ざっぱな、しかも抽出観察の結果であります。これに対して昭和四十一年度において経済成長が七・五%ある、こういうのでありますから、それだけそのギャップが解消される、こういうことになるわけであります。つまり遊休施設に対する需要を充足さしていく。これはどこの国でも一〇〇%充足ということはありません。九〇%というと相当いいところでありますが、そこまでいくには一年じゃとても片づかぬ。二、三年はかかるのじゃないか。しかし、それに向かって堅実に昭和四十一年度は動き出す、こういうふうに考えている次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 不況の原因が設備過剰、生産過剰にあって、そうして品物はどんどんできるけれども、需要がついてこない、在庫がふえて、そこに不況の原因があった。であるから、不況を克服するには、この過剰になった供給力に見合う有効需要を喚起していく、こういうところに克服のねらいの重点が置かれておるのではないかと思うのであります。そうであるとするならば、この生産過剰あるいは設備過剰、こういう態勢がどうしてできたのかといえば、大企業が日銀の信用を膨張させて、市中銀行からどんどん資金を借りて、自己資金二〇%、借り入れ金八〇%というような、こういう資金でどんどん拡張した。あるいは開銀その他で政府がこれをてこ入れした。こういうことで設備が膨張してしまった。かってにふくれてしまった。このかってにふくれてしまった過剰設備を働かして企業を安定させようというようなことになりますと、これは重大な問題であると思うのであります。そうして不況の現実が出たのに対して、いままでこれらの企業はどういうふうにやったかといえば、カルテルを組んで、そうして物価の値下がりをしないように突っかい棒をやってやってきた。政府はこれに対してどういう手を打ってきたかといえば、資本費が非常にたくさんかかるから、これを何とかめんどうを見てやらなければいけないというところから、公定歩合の金利引き下げを三回にわたってやっておる。設備増強の段階では金をどんどん大企業に集中融資した。その結果膨大な設備過剰ができた。設備過剰ができてしまったら企業にはカルテルを組ませる、そうして政府は、公定歩合の金利を引き下げて金利負担を軽減してやる。こういうふうに手厚い措置を講じ、その上に今度は、国が借金をして、そうして有効需要を喚起して供給力を働かしてやる。とういうように一方的に大企業のところに国の不況克服の政策の焦点を合わせてやろうとしている。こういうところには、大企業はあるけれども国民はない、こう断言しても差しつかえないのでありますが、その関係を、どうしてそういうふうに大企業ばかり重点に事柄を運ぶのか、ひとつ明確にしていただきたいと思う。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 大企業だけに焦点を合わしているというわけではないのであります。経済を成長させる推進力は、何といっても一番大きいものは国民消費である。次いで政府の財政需要であり、また設備投資である、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、国民消費といえども購買力がなければできないのであります。購買力の根源を養うためには、何といってもいま冷え切ろうとしておる企業をして冷やし切ったんじゃ、それはできないのであります。つまり国民所得の根源をつちかうためには、今日冷え切ろうとしている企業に対しまして活を与えなければならぬ、こういう考え方でございまして、企業も、また国民消費も一体である、そういう考えに立っておるわけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 政府はどのように弁解しようと、雑誌や新聞やその他の評論誌を見ても、国の経済施策が大企業重点にしぼられておるという批評は、非常に多いし、強い。有力である。また日本ばかりではない。ロンドンのエコノミストが日本特集をやりましたことは御承知のとおりである。このロンドンのエコノミストが驚くべき日本と題して、日本の行なっていることは、イギリスの行なっていることの逆である、弱い産業はつぶれるにまかして強い産業は伸びるにまかして手放しである、そうして大企業に向かって、金融の面では開銀その他市中銀行から手厚い金融の流れをつけておる、予算はたっぷりつけておる、税金は、租税特別措置法その他の措置によって特別恩典を与えておる、まさに日本のやっておることは、大企業があって国民がないようなものだ、驚くべき日本だ、イギリスでやっていることの逆だ、こうまで、外からだってこれははっきりとわかるのですよ。こういう批評を受けておる。総理、この問題に対していかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど大蔵大臣がお答えいたしましたように、これは大企業ばかりに偏重はいたしておりません。ことに格差を生じておるその格差をなくするということが、今日の不況克服の最大の要務でもあります。そういう意味で、私どもが中小企業、また農業等にとっている今回の予算措置、あるいは財政投融資の計画等、また減税等、十分御勘案くださればおわかりになると思います。まんべんなく力をいたしておるし、ことに私は弱者の味方、そういう意味で今日の経済の不況を克服しよう、かようにしておるのであります。遠くイギリスから日本経済を見ますると、やはり実情に合わない批評も出てくるのじゃないか、かように思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 いま日本の産業構造が二重構造である、そういう時点に立って高度成長政策が進められたのであります。そうして高度成長政策のねらいは、二重構造をなくするんだ、こういうことでこの高度成長政策は進められて、大企業、重化学工業に重点を置いた。大企業はどんどんふくれた。二重構造が解消する方向ではなくて、拡大する方向で、はっきりと格差がますます拡大してきたことは、これは理論の問題ではなくて現実の問題としてあらわれてきておる。だから、たとえば消費者物価が上がるのは、生産性の低い面から出ているんだ、犯人は低生産性にあるんだ、だからここに何とかしなければいけないんだ、こう言うほどこの二重構造の格差は拡大していることは、総理みずからお認めになっているところであります。そうして、そういう高度成長政策の結果として二重構造は拡大した。拡大した時点に立って、その手直しとしての不況対策がいま行なわれようとしておる。その不況対策にまんべんなくと言っているが、まんべんなく行き渡っているのは総理の答弁です。口の先でまんべんなく、こう行き渡っておる。しかし予算はまんべんなくいっておりませんよ。もしいっているとするならば、大蔵大臣から、農業にはどのくらいの金をつぎ込んでおるのか、中小企業にはどのくらいつぎ込んでおるのか、サービス業はどのくらいなのか、労働賃金はどうなっておるのか、この予算配分をひとつ明確に、まんべんなく、片寄っていないと言うなら、その内容を予算の具体的な面からお示しを願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まず農業につきましては、約四千五百億円の農林省予算があります。その中で食糧管理特別会計に約千三百億円の繰り入れをいたしておりまするが、その残りのほとんど全部は農業の生産性を向上する、農林省はあげて農村の生産性の向上という仕事に取り組んでおると申しても過言でない、そういう性格の予算になっておるのであります。  それから中小企業につきましては、これは通産省の予算がおもになっておりまするが、ことしの予算は前の年に比べまして実に三六%の増加であるということになるわけであります。  なお、財政投融資におきましても、融資量を二〇%も増額をいたしておる、こういう状態でありまして、特にただいまサービス業というお話でありまするが、今回は国民公庫の中に二百億円の特別ワクを設けまして、環境衛生事業の合理化、近代化のための長期低利融資をやろう、こういうことを計画しておるような次第でありまして、低生産性部門の克服という問題には特に重点を置いておる。  さらに税制の面におきましても同様の考え方でございます。中小企業だけをとってみましても、七百二十五億円の減税を行なう、非常に大きなウエートをその面に充てておるということを御了知願いたいのであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 いま大蔵大臣の答弁で明らかなように、農業関係に四千五百億、食管会計の千数百億を差し引けば、生産性の向上その他農業の生産部面に使う金は三千数百億、国の予算は四兆三千億、そういたしますと、農業関係の予算は一〇%にもならないのですよ。中小企業はどうですか。二百九十何億ですよ。〇・五%にもならないんですよ。こういう予算を配分して、前年度に比べて三十何%の伸びだからというようなことを言ったって、これは国民は納得いたしません。中小企業は日本の全産業の九九・五%を占めているのですよ。二万一千が大企業であって、残りは全部中小企業ですよ。これほどの広範な、大量な中小企業に対して、年間予算が二百九十数億、これでたっぷり予算をつけたのだ、たっぷり予算だ、こういうようなことで口先でごまかすから、農業はどんどんしなびていっているのです。離農者がどんどん出るじゃないですか。中小企業はどんどん倒産ができていくじゃないですか。これが論より証拠です。現実の問題です。だから、こんな論議を議会の中でしていれば、これを聞いている院外の人たちはどういうふうな印象を受けるでしょうか。農民自身は、おれのところはちっとも潤わないぞ、これで十分だと政府は言っておるのかと、ますます政治に対する不信と、自分たちの生活に対する、まじめな努力に対する前途の希望というものを失うのであります。でありますから、今度の不況対策が、過剰になった設備に有効需要をつけてやろうと、こういうところに、すでにもうこれは大企業重点の不況対策であるということのルートがはっきりしているのです。大企業は生産過剰ですよ。農業や中小企業やサービス部門は、生産が需要に合わないんですよ。生産が過小なんですよ。需要が大きいんですよ。そうすれば、ほんとうに消費者物価なりあるいは物価対策、国民生活に取っ組むというならば、この生産の量の少ない、質の悪い農業や中小企業やサービスに重点的にやって、そうして消費者物価の安定をはかるというようなことが物価対策の主要なねらいでなければならないし、二重構造をなくするんだ、そうして同じような生活のレベルに引き上げるんだという経済政策のねらいを基本的に持つならば、目先の不況対策のやり方は技術的にはいろいろあるでしょうけれども、そういうものを通しながら、この低生産部門をいかに引き上げていくかということがそのねらいでなければならない。いまのような政策、予算の配分で、どうしてこの低生産部門が引き上げられますか。引き上げられるとするならば、その根拠をひとつ明確にしていただきたい。総理にお尋ねいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 結局日本経済全体の成長を確保するということ、これが問題だろうと思うのです。あとはその成長をどういう階層がどういうふうに分け合うかという問題に尽きるのであります。いま永井さんのお話をずっと承っておりますると、物価問題だけで、不況問題はそっちのけにしておけというような響きを私は感ずるのでありますが、それじゃ、ただいま申し上げますように、分け合うための成長、国民所得全体の向上というものがないのであります。私は、そういう縮小的な考え方をとるべきじゃない。国民経済全体を拡大して、それをみんながひとしく分け合うという形こそが、私は経済政策の目標でなければならぬと、こういうふうに考えるわけであります。そういうような角度から、有効需要の拡大をやる、そして所得の根源である生産を伸ばしていく、こういう考え方をとるのであります。同時に、ただいま申し上げましたように、農林省予算におきましても一割の国費を投入してその生産性の向上をはかる。また、中小企業につきましても、財政投融資なんか見てみれば、五千五百億円の資金を中小企業にさくわけでありまして、非常に大幅のものであります。政府関係の三機関だけでそれだけのものをさくわけであります。非常に力を入れておるのだということがおわかりだろうというふうに思うわけでありまするが、所得全体の根源をつちかう、この考え方は、私は片時も忘れてはならぬ、基本的な考えでなければならぬ、かように考えます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま大蔵大臣が大局的に話をいたしました。これで経済のあり方としては十分おわかりがいっておると思います。ただ、わからないとすれば、中小企業の業種並びにただいまの働きのぐあいから、なかなかただいまのような説明だけでは抽象的、大まか過ぎてわかりかねる、こういうお話があろうかと思います。中小企業は、一口にいわゆる大企業と競争の立場にあるのだ、かように定義づけるわけにはまいりません。これはときに大企業と協力関係にもある。そういう場合のものは、金属機械工業等に見るように、大企業自身でやはり中小企業にどんどん注文を出しておる。また、そういうような部門では、中小企業自身が、ぜひ注文を出してくれ、注文がないのが今日のわれわれの悩みなんだ、金融では十分処置をとってくれた、しかし、どうしても注文がないから、だから、有効需要を喚起すれば、かようなところの供給が動いてくるわけであります。また、大企業と競争をしておる中小企業もある。これは、同じ製粉事業の中に製粉の大手五社がある。同時に中小の三百社もある。これは大企業と競争しておる、こういう立場であります。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕  また、その他の運輸業にもそういうものがある。また、玩具等の輸出をやっておる中小企業もある。こういうものは、大企業にならないのです。したがって、大まかに、一口に話を片づけるわけにはいかない。これが中小企業の持つただいまのむずかしさであろうと思う。永井君も、これは先ほど言われるように、産業の九割は中小企業の範疇に入るだろう、こういうことを言われる。だから、その中小企業の実態を十分把握して、そうして、その中小企業に合うようなそれぞれの対策を立てていく、これが必要だ、かように思います。しかし本来の姿から申せば、経済自身が不況を克服して、すべての景気が回復して、そうして需要がどんどん出てくる、そうすれば中小企業も供給の面で活発になる、かようには言えると思います。これはおわかりだと思っています。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 総理の言われること、大蔵大臣の言われること、さっぱりわかりません。すれ違いの答弁と質問だと昨日来言われていますが、これは中小企業の実態や、それから価格形成の実態をよく知らないからです。政府はいろいろな機関を持っているのですから、実態をもっと正確に把握してもらいたいと思います。  それでは、私は通産大臣にお尋ねいたしますが、いま主要業種の稼働率はどういうふうになっているのか。ひどいのは三十何%という稼働率、五〇%前後の稼働率、こういうひどいのがざらにあるわけです。ひとつ通産大臣から、主要な業種の稼働率を明らかにしていただきたい。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 稼働率は業種によってたいへんに違っておりますから、企業局長から数字を申し上げることにいたします。

島田喜仁通商産業事務官(企業局長)

○島田(喜)政府委員 主要な業種の最近の稼働率を申し上げます。  粗銅が六八・五%、電気銅が八八・八%、石油精製業が八二・七%、セメントが六九%、それから塩化ビニールが六八・四%、洋紙が八二・六%、板紙が七九・六%、工作機械が四四・七%、軸受け八六%、カメラ五三%、標準誘導電動機五八・九%、標準変圧器六一・二%、卓上扇風機三二・二%、電気洗たく機が六五・三%、テレビジョン受信機が五九・七%、電気冷蔵庫五四・三%、おもなものを申し上げました。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 このような稼働率です。そうして親企業のところで仕事が少なくなったから、大体親企業のところでなにして、下のほうへは流す量を少なくしている。そういう面でも問題はありますが、大蔵省で出しております法人の売り上げ高と収益率を見ますと、資本金十億以上の会社が一千ほどあります。この会社の収益高は、その他の全法人の収益高よりも高いのです。十億以上の一千ほどの会社の収益高が。これは大蔵省の統計ですよ。景気が悪くなったといえども、収益額は高い。収益率は若干落ちたけれども、やはり収益はあげておる。資本金十億以下、こういうところはだんだん減って、大体中小企業の資本金五千万円以下、こういうところはぐっと落ちているのです。とういうところをもっても、いまの収益の状態がどのくらいであるかというととはおわかりでありましょうし、価格の関係にいたしましても、親企業が系列の下請中小企業に発注いたしますと、価格はたたきます。したがって、仕事がないから収益のない、とんとんという、まあ赤字は出ないだろうという限界の価格で発注を受けます。そして仕事をいたします。したがって、この中小企業は生活を立てていかなければならないから、親企業との系列の価格については、とことんまで上にしぼり上げられ、自分の残りの労力と残りの作業で、自分のプロパーの仕事の中で生活費をかせいでいる。したがって、中小企業の製品は、これは値上がりせざるを得ないのです。大企業が食い込んできて、そうして、その大企業がたたいて収奪していく。残りの仕事で中小企業は生活をしていかなければならないから、自分のプロパーの仕事は値上がりしていくのです。これはあたりまえのことです。たとえば北海道における木材関係のごときも、これは立木を処分します。立木を処分したときに、用途指定といってパルプには三分の一はやりなさいよと、こう言う。このパルプは、本州のほうの価格に比べますと非常に安い。北海道だけの安い価格に押えられている。売りようがないのです。でありますから安く売る。ここはもうとんとんです。三分の一はもうもうけのないとんとんの価格で取引する。あとの三分の二で生計を立てなければならないから、この値段が上がっていく。デパートあたりの取引関係だって、取引しておる小さなメーカーなんかは、一割以上デパートと取引したら自分が参ってしまう。もうけさしてくれないのです。ただ換金をしていく、資金の回転の必要上から取引するだけです。したがって、その残りでもうけなければならぬから、しわ寄せがくるから、中小企業の扱うものは高くなっていく。この事実を無視して、そうして中小企業のものは高いのだ。大企業のところでなければ、こういうふうな一つのビルド・アンド・スクラップという考えで、中小企業は切り捨てていけ、弱いものはどんどん切り捨てて、そうして能率の上がるところだけ残していけと、こういうような政策でやるならば、これはもう——いま物価の問題を中心にいたしまして、この構造的な問題にまでどんどん入ってきておるわけでありますが、その中において自民党政府は大きな誤りをおかす。中小企業を切り捨てろ、農民は、どんどん弱いやつは離農せい、こういう政策を押しつけていく結果になってしまうと思うのです。いかがでありますか。それでも、これだけの稼働率の中で大企業は収益をあげておるのですよ。そのしわ寄せはみな中小企業へ来ておるのですよ。  そうして、その反面において大企業はどういうふうに動いておるかといえば、日本の会社総数は四十六万、資本金上位百社について調べてみますと、資本集中の比率は、二十八年度は三二二%であったのが三十八年には三九・四%になっておる。系列会社数は三十一年が千八百六十社であったのが、三十八年は四千二百七十社になっておる。そうして資本の占むるところの比率は、三十八年度末現在五三・二%、半分以上大企業が押えておる。生産の集中度はアメリカよりも高いのです。板ガラスは四社で一〇〇%、これはアメリカよりずっと高い。アメリカより高いものをあげますと、板ガラス、ビール、合成ゴム、溶解パルプ、圧延薄鋼板、トランジスター、鋼管、製紙パルプ、これらの集中度はアメリカよりも高いのですよ。こういうところに需要をつけて、操業度が落ちておるから有効需要をつけて休んでおるやつを働かせよう。こういうふうにいたしますと、これは大企業中心になっていくでありましょう。イギリスでさえ、日本のやっておることは、イギリスのやっておることの逆だといっておるのですよ。それはわれわれだけじゃないのですよ。これに対して謙虚に事実を分析して、事実をつかんで、その上に立って政府の経済政策をはっきり立てていかなければ、弱い者いじめになってしまう。このときだ、このときに農民をもっと削らなければ農業の近代化はできないのだ、このときに中小企業を削らなければ、この膨大な中小企業を食わしていく方法はないのだ、時こそ来たれというかまえで大企業だけになにして、こっちのほうを口先だけでごまかして、そうして、わずかな予算をつけて迷わず成仏せいと、こういうお経をここで総理が何ぼ読んだって、そのお経はありがたく国民は感じません。ひとつ明確に、これだけの——時間の関係で、まだまだいろいろな資料はありますけれども、大企業がいかに急速に育ってきており、そうして収益をあげているか。その反面、そのしわ寄せを食って中小企業や農民がどんな状態にあるか。それは、離農、倒産を現実に見れば明らかである。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 永井君は自分の所説に都合のいい業種を選ばれたように思います。そういう点については、私はそういう点をよく御勉強になっていると思う。またそれも参考にして私どもの対策を講じたいと思います。しかし、たとえば造船業、これに対して一体中小企業はどういうような働きをしているか、これなどはいまの集中度の高いものの中に入っておりません。あるいは鉄道車両工場、こういうものは一体どうなっているか。あるいはまた今度特に私どもが電電公社の仕事も、数量をふやして、百二十三万個の架設をしようという電話、これなどは一体どうなっているのか。だから、やはり業種によって一口にこれを律するわけにいかないのだ。先ほど申しておるように、業種によって対策を立てる。またそれが中小企業を救うゆえんでもある、かように私は思うのでありまして、私は永井君のそのあげられたことが間違っている、かように申すわけじゃありません。それはそれとしてりっぱな資料である、かように思いますが、自分たちの都合のいいところの材料ばかりを拾い読みされては困る。だから、やはり事象というものは、全体を見てひとつ判断をしていただきたい。経済自身がそういう意味で活況を呈すればよくなるのだ、こういうことを私は申し上げたいのであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は自分の都合のいいところだけ拾ったのではなくて、短い時間にわかってもらうために、政府から出した統計の中から拾い出して読んだというだけで、もっと寡占の状態、いま企業の合同やあるいは合併によって、独占化が進んでおる、寡占化が進んでおる、それはすべて価格を背景にして動いておる、こういうことも総理はおわかりであろうと思いますから、私はこの消費者物価、あるいは卸売り物価に入っていかなければいけませんから、そう時間をとっておるわけにいきませんので、この程度にいたしますが、現実は明確に私は事実において証明されておると思うのです。  そこで、消費者物価でありますが、消費者物価がもうすごく上がっておる。この統計の基準をどう変えようと、国民の生活を圧迫する事実においては変わりはない、こう思うのです。物価対策に取り組むというのでありますが、消費者物価に対して政府はどのような取り組み方をするのか、時間がありませんからひとつ能率的な質疑を進めていきたいと思うので、お示しを願いたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 消費者物価の安定は非常に重大な問題でございまして、政府としましても極力これに対して今後対処していくわけでございます。  そこで、消費者物価の問題は、御承知のように、また御指摘もありましたが、やはり中小企業の生産性が上がってないというところに今日非常に大きな面があるものでございますから、したがって、その面について予算措置——農業もしくは中小企業あるいは流通過程の面について、基本的には予算措置等によって、また各省の行政指導によりまして、それらの年産性の向上という問題について、極力基本的には考えてまいらなければいかぬと思います。同時に、個々の物価の問題につきまして、われわれは物価に対して敏感に、これらの問題について一般の状況を観察しながら、上げるものについては時期等を勘案しなければなりませんし、また上げる率等については、それぞれ今日の状況下において考えられる範囲内のできるだけ少額にこれをとどめていく。また不当に便乗値上げ的な問題が起こりますれば、われわれとしてはそれに対して手を打っていくということを考えていかなければならぬのでありまして、これは、それぞれそれらの手を総合的に打ってまいりますことによりまして、いまの基本的な農業の構造改革なり、あるいは中小企業の対策とあわせて、今後の物価政策の基本として進めてまいりたい、こう考えておるのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 抽象的でなくて、消費者物価はここがきめ手だから、この物資はこういうふうにしていくのだ、こういうものを具体的に、簡単でいいですから、もっと国民はそういう具体的なことを聞きたいのですから、示していただきたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 大体今日の消費者物価の著しい上昇の原因がどこにあるかということを考えますと、農水産物の価格、これがやはり非常に大きな寄与をいたしております。それから同時に中小企業関係の製品、それらのものが大きな寄与をいたしておるのでございまして、その中でも特に加工食品というようなものが非常に大きなウエートを、突き上げの寄与をいたしております。それから同時に、農水産物と同じ程度に寄与されておりますものはサービス関係の料金でございます。したがって、これらの問題についてそれぞれ有効な手を打っていくということが、今日における消費者物価の上昇を鎮静させます道でございまして、したがって農水産、畜産物等につきましては、これは農林大臣から御説明いただくのが適当と思いますけれども、御承知のとおり、農産価格の安定資金であるとか、あるいは畜産その他の、将来の牛が足りなくなる、そういう問題についての増殖の計画でありますとか、あるいは流通過程におけるコールドチェーンの問題とか、それぞれの問題について具体的に手を打ってまいる考え方でございます。また中小企業については、農林省と通産省とがその体質改善をはかって、加工食料品の値段の引き下げというようなもの、あるいは加工食料品自体を消費者に使ってもらうというようなことによりまして、消費者物価の安定をしていくという方法もとってまいらなければなりません。またサービス料金の問題は今日大きなウェートを持っておりますので、それらの問題について十分な対策を込めてまいりませんければなりませんが、特にサービス料金の中で対個人サービスのウエートが、寄与率が非常に高いのでございます。これらの問題については、環境衛生の立場からも手を打ってまいらなければならぬのでございまして、そういう点について政府は予算的措置を十分して、今後それらのものに厚生省を中心にして手を打たれていく、こういうことが総合されまして、物価安定への方向に進めてまいる所存でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 そういう抽象的なことでなく、十分な予算があるなら、それでこういう予算できめ手になる、こういうことが言えると思うのです。いまコールドチェーンと言いましたが、コールドチェーンに幾らの予算をさいていますか。そうして、コールドチェーンというのは流通分野の一つの合理化でしょう、流通分野の合理化であるべきコールドチェーンの予算がどこについておりますか、科学技術庁についているでしょう。まだ技術開発の段階ですか。実際経済活動の段階まできていないのですか。科学技術庁にコールドチェーンの予算を一億何千万つけておいて、コールドチェーンが生鮮魚介類の物価の引き下げに役立つんだなんて、どこをついたらそんな大きな口がきけるのですか。コールドチェーンはどうなんですか。科学技術庁に置いたのは、一番物価の足取りを科学的に分析して明確にできるからと、こういうので、三木さんのところじゃだめだ、あるいは農林大臣のところじゃだめだ、こういうことなんですか。あまりくどくど言わなくてもいいですから、はっきりと……。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 いま申し上げたような問題は、先ほど来申し上げておりますように、基本的な問題としてわれわれが取り組んでいくのでございまして、コールドチェーンが決して私は物価に影響しないものでなくて、コールドチェーンそのものを完全に実施してまいりますことによりまして、牛鮮魚介類の対策になると思います。そうして、科学技術庁についているばかりでなく、農林省にも一億二千万円ほどついておる。詳しいことは農林大臣からお聞きいただければ、これらの問題についておわかりいただけると思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 コールドチェーンのセンターができたら、各家庭では、やはりそれに合わせて、フリーザーの冷蔵庫にずっと変わってこなければ、受け入れ態勢はできないのですよ。まだ技術的な開発の段階であるものが、一億数千万円の予算をつけたら、これで生鮮魚介の問題は解決するなんて、そんなことを言っているから、いかに消費者物価に対する政府のかまえというものが貧弱かということを言いたい。  さらにもう一つ聞きたい。これは総理から……。  中小企業の関係ですが、流通分野に非常に金がかかっているということは、問題点だと思うのですよ。それに対して、先ほど来総理は流通分野の合理化、こう言っているのですが、流通分野の合理化というのは、たとえば近代化の問題、資金の問題、あるいは工場団地の問題、助成対象団地組合の問題、高度化資金の問題、こういう問題だと思いますが、これは一体どれだけの数がどういうふうに全国に広がって、そうして、日本の流通分野において四十一年度の消費者物価に波及できるような効果をあげるような、そういう仕組みになっているのかどうか。ただ、こういうものがありますよという見本で話をしているのか、実際的な経済効果があるとして言っているのか、これを明確にしていただきたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 私どもは、申し上げておりますとおり、この二、三年の期間にそれぞれ手を打ちまして、基本的に消費者物価の安定に資していくようにしてまいりたいと考えております。したがって、コールドチェーンの問題も、あしたすぐにこれが効果があがるとは思いません。しかし、いまから始めてこれをやってまいらなければならぬ。それには技術的な面も検討してまいる必要がありますから、、科学技術庁においても検討してもらわなければなりませんし、同時にいまお話しのように、われわれもコールドチェーンの問題は、最終過程におけるフリーザーの問題も考えなければなりません。したがって、そういうようなことを逐次充実していくことによって、この数年のうちにいまの生鮮魚介、特に魚類等に関しております問題について基本的な立場をつくっていく、こういうことでございます。したがって、そういう意味で御了解願わなければならぬと思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 総理、よく聞いてください。中小企業工場団地は、昭和三十六年から始まっているんですよ。三十六年から始まってまだ六十六件よりできていませんよ。助成対象団地組合は三十六年から始まって、やはり八十カ所よりできていません。中小企業設備近代化資金によるものは、三十八年から始まって、いま七十八件です。高度化資金の貸し付け状況は、これは三十九年度までで、三十八年が十九億、三十九年が四十三億、これに都道府県の金がついている。これで一枚看板である四十一年度の借金による大型予算を消化していく上における二つの柱、不景気を直すのだ、物価を上げないのだ、こういうことあげしている物価の問題に取っ組む予算とかまえですか。いかがですか、総理の所見を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの工業団地の点で申しげると、永井君非常に御理解がいくだろうと思います。その個所も全部調べていらっしゃるし、工業団地がどんな活動をしているかも御承知のことだと思う。たとえばおもちゃ屋なんかの工業団地は、これはたいへん成功していると私は思っております。しかし金属工業部門の工場団地は、これは成功しておらない。どうして成功していないのか。みんな言っていることは、注文がまいりません、だからこれが不景気なんだ。だから、これに対してやはり需要を喚起するという処置をとれば、これが出てくるわけなんです。だから、その団地の性格にもよりますから、それぞれの対策を立てていく。やはり総体的に申せば、経済の不況を克服していく、その場合に、大まかな話でなしに、きめこまかな手を打っていくということがいまの段階では必要になっておる、かように思います。  そこで、政府もさような意味で真剣に取り組みますが、同時にまた予算も計上いたしますが、予算にも限度がありますし、また政府も全部に力はなかなか及ばない。今日、国の当面しておる問題が不況克服であり、物価の安定である、かように考えますと、これは一億国民が全部かような点で協力すべきだと、私はかように思います。今日の政府の施策が間違っていて協力できないというならば、これは何をか言わんや。しかし私は、を持ってただいまのような施策、不況克服と物価安定と真剣に取り組んでいるし、また最大限の予算を組んでいる。かようにして、これについての十分の協力を各界、各層の方にお願いをしておる。これが私の態度でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 態度と意気込みだけはわかりました。しかし問題は、態度と意気込みだけでは、声を大きくしたって問題は解決しないのです。それに、具体的にどういう組織と、どういう運営と体制で臨んでいるかということです。それほどの意気込みならば、それじゃ、具体的な内容において、従来とどういう点が物価対策について違うのか、その違いの点を明確にしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 それぞれ専門家の筋からお話をさせたらいいかと思いますが、一部にしかすぎませんが、私がこういう例を申せば、物価に取り組んでいることがよくわかると思う。  ただいま消費者物価のうちで一番問題になるのがやはり野菜あるいは鮮魚だ、こういう問題だと思います。鮮魚の問題は、先ほどコールドチェーンのお話等が出て、今後のあり力等についての大体の見当はついているだろうと思います。しかし、これも中央市場の改善の問題から、同時にまた耕作指導の問題が一つあると思います。野菜の集団生産を慫慂していることは、もうすでに御承知のことだと思います。また価格が暴騰、暴落するから生産者も消費者も困る。したがって、野菜の価格が小幅に動く、このことはやむを得ないけれども、大幅にこれが暴落、暴騰しないようなそういう処置をとる。また、私はしばしば感ずるのでありますが、アメリカのニューヨークで消費される野菜、これは高級野菜だというが、その産地は一体どこなのか、くだものは一体どこが産地なのか。ニューヨークで消費される野菜やくだものは、みんなカリフォルニアあるいはテキサス、ずいぶん遠方からニューヨークへ送っておる。そうして、ニューヨークの市民はそれを使っておるのです。このことを考えると、日本のような狭い地域では、もっと輸送の面で改善が加えられるのではないか。また、これが中央卸売り市場の改善方法として私どもが着目しておる点でもあります。こういうようなこまかな具体的な処置をとることによって、初めて当面する物価の問題の対策にもなるのだ、かように私は思っておりますので、そういう意味の具体的なこまかな処置をとっていく、とにかくきめこまかな処置をとらない限り・ただいま当面しておる問題は解決されません。そういう意味で御協力も願うのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 何も野菜やなんかの問題で、アメリカやOECDではどんなことをやっているかといってかけ回らなくったって、もっとまじめに国内の問題を追及すれば、外国と日本とは違うのだということを総理は常に言っているのですから、日本独特の物の流し方なんかできるはずだと思います。たとえば、野菜の関係で見ると、流通費用がトマトは六六・五%ですよ、キャベツは三八・二%、ジャガイモは六七・六%、これが野菜の場合。それからサバが六一・六%、アジが六四・一%、こういうふうに流通分野で非常に多くとられておる。だから、その流通分野の問題を処理しなければなりませんが、それとともに運賃の問題とかなんとかの問題もあります。それから、外国では乾燥するとか、あるいは野菜処理にいろいろなことをする。そうすれば高くなるんです。それを消化するだけの賃金を総理がみんなに上げて、生活水準を高くすれば、どんな高いものでもどんどん食えるのです。そういうことをしないでおいて、こっちの面だけやるからだめなんです。  それから野菜の問題だって、いかにも大臣はこの問題で解決するようなことを言っておられましたが、これは、野菜の生産出荷安定法の問題だと思う。産地を指定して、そうしてこの安定基金制度によって、本人と国と県とが三分の一ずつ危険負担をし合って、上がったときは積み立てておいて、下がったときにはそれを出す、こんなけちな安定法をやっているから——こんなことを幾らやったって、こんなものは役に立たないんです。それから出荷したものについてだけ安定法を適用する。値段が安くなって、こんなものは手間をかけるだけ損だといって畑でぶん投げたやつは、これの対象にならない。白菜なんか、去年は全部ぶん投げているでしょう。いかに輸送費が高いか。これは都市の周辺がずっと工場化、宅地化して、野菜をつくるところがどんどん距離が遠くなってきた、輸送費が非常にかかるということ、遠くなりましたから、そういう地帯では、野菜づくりは技術的に非常に高いなにを要しますが、そういうところはふなれである、だから、自然災害に対して弱いとか、いろいろな条件があって、運賃が高い、何が高いということになる。産地をいかに指定しても、農家におけるところの、主要農家はこの対象にならないんです。零細農家で、構造的にもう副業的にやっている農家だけを指定して幾らこの野菜の問題を解決しようとしても、これは解決できません。やはり野菜なり農産物の問題をほんとうに解決しようというなら、もっと構造的な改革をしなければ問題の解決になりません。そういう問題を別にして、そうして総理は物価の問題は大いに取り組んでいるんだと意気込みだけ言っているけれども、中身は何にもないでしょう。野菜の問題解決はこれが唯一の方途だと言うんなら、あまりに内容の貧弱なのに驚きます。でありますから、私は物価の問題については、総理は先日来手はないんだ、きめ手はないんだ、しかし経済が安定成長になれば安定すると、こう言っておるのでありますが、手がないということは、もう物価問題に対してはお手上げだということで、お手上げだということは、従来のようなことをやっているから壁にぶつかったんです。壁にぶつかって動きがつかないんです。行き詰まっているんです。政府の物価対策は、経済政策とともにもう壁にぶつかっちゃった。だから、壁にぶつかったらどうしてそこを破っていくかといえば、壁を何ぼ押したって、これは破れませんよ。政策を転換しなさい。政策の転換をして、壁にぶつかったということでそこから学ばなければ、幾ら言ったって物価の問題は解決しません。転換しなければいけないんです。その転換をするというのが、四十一年度の予算の執行にあたって物価を重点に取り上げるという政府の態度だと思う。従来のとおりずっとやってきて、どのように政府は約束してきましたか。三十六年は一・一%の値上がりだと言ったのに、実際は六・二%、三十七年は二・八%だと言ったのに、実績は六・三%、三十八年は二・八%だと言ったのに六・四%、三十九年は、これは四・二%という見通しに対して三・八%の実績、これは確かに下がりました。しかし、これは公共料金をただ押えたというだけだ。公共料金を押えて一年間何をしていたか。黙って見ていただけです。押えてその間に何の手を打ったか。何にも手を打っていない。だから、これが四十年度にいってはね返って七・七%あるいは八%にいくということになった。ずっと過去五年間の実績が、政府の国民に対する約束を全部実行していません。全部ひっくり返っております。だから、四十一年度においても、同じことをやるならば、このとおり同じことになりますよ。もう物価問題については、総理みずから言うように、これはきめ手がないのだ。壁にぶつかって押し合いしている。問題は解決しません。方向転換をして壁を遠回りして、そうして壁の外に出なければ問題解決の曙光にはありつけないと思う。この政策転換の用意がありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 永井君の政策転換は、何を要求していらっしゃるのか私にはわかりかねますが、私は、ただいまの政策を遂行していくだけでありまして、別に他のことを考えておりません。先ほどもだんだんやってみて、構造改革をしない限りだめなんだというお話がございましたが、構造改革が今日の物価の対策とは言えない。これは、先ほども御批判がありましたからお返しをしておきます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 どういう問題をお返しいただいたか、私は受け取りようがないのですが、はっきりしたものなら私は受け取りますし、ものによっては私はお断わりしなければならない。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまここで議論しておるのは、今日の物価対策でございます。だから、そういう意味でこのコールドチェーンというものをやっているということを言ったら、そんなものはいまの物価対策ではない、こう言ってずいぶん御批判がございました。しかし、先ほど来お話を聞いておれば、構造改造をするということが必要なんだ、こういうことを言われる。しかし、構造改善、構造改造がそんな右から左にできるのか、こう言って私は聞きたいのです。ただいま議論しておることは、今日の物価対策を議論しておるのだ。だから、ただいまのような構造改善というようなことは、これはお返しいたします。かように申しておる。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私の言っているのは、四十一年度の予算審議の中で、物価を押えるというから、政府の態度を聞いておるのです。コールドチェーンを科学技術庁で技術開発して、これからやろうというような、そんな遠回しなことでは四十一年度の物価対策にはなりませんよということを私は言うておるのです。それは、将来には問題になりますよ。構造改善だって、きのうきょう始まったのではないでしょう。総理が言っておるように、農業基本法がある、中小企業基本法がある、基本法に基づいてやっておるのだ、その効果があがっていないじゃないですか。だから私は、社会党としては対案を持っております。後ほどこれは言おうと思っておるのですが、社会党の案はちゃんと持っております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへん熱の入った質疑になりまして、やや私も脱線ぎみかもわからないが、先ほど来の問題で私は一、二の例を申し上げたつもりであります。それで、たとえば野菜をとってということで、私は野菜の話をした。野菜が物価対策の全部でないことは私も百も承知であります。だから、こういう点は誤解のないように、あげ足をとらないように、とにかく議論をしておることを、熱心に私どもお答えしておるのですから、そういう意味で御理解いただけばいまのような問題にはならないだろう、かように私は思います。また、いろいろ教えていただきたいこともありますから、そういう意味で、私も意見を十分落ちついて聞くつもりでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 農林大臣にお尋ねいたしますが、米は本年八・六%上げたのですが、来年は上げなくて済みますか。上げなければなりませんか。農業パリティからいえば、これは上げざるを得なくなると思うのですが、いかがですか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 米価の問題については、生産者米価と消費者米価の二つがございますことは御存じのとおりでありますが、その生産者米価については、これは、食管法によりまして、生産費及び所得補償方式によって定めるということに相なっておりますわけでございます。消費者米価のほうは、御存じのとおりに、家計の安定を旨として定めるということに相なっております。これらの問題については、それぞれの要素、つまり生産者米価につきましては物価、それから賃金、それから生産性向上、たとえば反収等がどうなるかという問題がしんしゃくすべきことでありまするわけでございます。それらの問題については、まだ要素が現在のところわかっておりませんのでございます。現在のところはどうという問題でなしに、定めるときの問題でございまするので、いまからそれを申し上げるところまでいっておりませんわけでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 一通り各大臣にお尋ねいたしたいと思います。  厚生大臣にお尋ねいたします。  日本の食品にはいろいろな色素をずいぶん使う。あるいは防腐剤を使う。一つの品物に対しては許容量があるのでしょうけれども、それをたくさん合わせて食べるということになれば、個人の被害が相当多くなる。こんなものは色をつけるだけで、ちっとも栄養を上げるものではない。加工賃だけむだにかかる。こういうものを何のために許可しているのか。これは、マグロなんか、腐りかかったら色を塗ってごまかすという生産者の立場はあるかもしれませんけれども、消費者の立場は少しもない。こういうむだなことを全廃するお考えはないか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 色素や防腐剤の使用が人間の健康に有害である場合が多い、こういうものはできるだけ使わないように、できれば全廃すべきではないかという御意見でございますが、永井さん御指摘のとおり、私どももこの色素や防腐剤の使用につきましては、厳密な許容量規制をいたすようにいたしておりまして、その弊害をできるだけなくするように努力を払っておりますし、現に色素につきましては、昨年度におきましても赤色色素を使用禁止をいたしますとか、いろいろの配慮をいたしております。今後におきましては、永井さんの御意見の方向で政府も考えていきたいと考えます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 次に建設大臣にお尋ねいたします。  公共事業をどんどんやるということでこの予算は始まっているのですが、その基礎となる地価対策はほとんどないようでございます。予算の中には用地買収として二割ぐらいの予算を計上してあるようでありますが、地価対策が整わないでこれをやりますと、地価が上がってくる。そうすると、事業量に食い込まれて、事業量が縮まる。あるいは地価問題で停滞していると事業は進捗しない。これは一つの大きな焦点だと思うのでありますが、この地価対策に対して、政府は公共事業の進捗とあわせてどのような対策をとり、また地価がいかに住宅の問題やその他の物価に大きな影響を与えておるかということについてどのように評価されておるか。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 地価の問題が非常に重要であるということは、いま永井さんがおっしゃったとおりに考えております。時間がないようでありますから詳細に申し上げることをただいま差し控えますが、大体私は、私というよりも政府は、地価の問題を根本的にこの際洗ってみたい、こういう考えで対策をいま立てておるところであります。といいますのは、地価の問題が影響するところは、先ほど来物価の問題等いろいろありますが、この根本に私は地価の問題が相当影響があるという考えを持っております。住宅建設の場合を考えましても、地価の問題がやはり家賃に響き、生活費に響き、それが賃金に響き、生産コストにつながる、これは当然のことであろうと思います。なお公共事業が年々増大する、これは国民的要請であります。ところが地価が上がるということで、そのいわゆる国費の効率がだんだん低下する、これはたいへんなことであります。したがって、地価が上昇しなければこの問題はありませんけれども、御承知のとおり、都市の地価の統計をとりましても、三十年を起点として、四十年当初まで全国平均で七倍以上も上がっておる。大都市周辺は十倍も二十倍も上がっておるという状態であります。こういうことを放任しておくということは適当でない。しかも、私は率直に申し上げて、土地と人間との関係というものをこの際根本的に、これは政府のみならず、国民全部がひとつお考え願いたいということを常日ごろ申し上げておるのでありますが、そういう観点に立って、この際根本的な地価の対策を考えたい。これは需給の関係がありますから、需給の関係からいいますと、特に宅地等の問題では大量に供給する、しかし、公共事業の問題では、これは需給の問題とは別の関係があります。したがって、根本的の考え方を申し上げますと、土地というものはいわゆる利益の対象にはならないのだ、こういう根本原則で、対策として土地収用法の改正をし・なお税制等によって、利益を国民あるいは社会に還元する、こういう税制等の改正をする、こういうことで国会に御提案いたしますから、ぜひこれは御協力を願いたいと思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 四十一年度に何をするか。総理の言っているように、四十一年度の予算審議ですから、四十一年度について聞いているのですが、何もない。——まあいいです。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 お答えいたします。  四十一年度から土地収用法の改正をして、地価の上昇をストップする。(「間に合わないじゃないか。」と呼ぶ者あり)間に合わないと言われても、これからの問題でありますからやむを得ない。それから土地の大量供給にかかる、こういうことであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 権力にだけたよるというやり方については、われわれは反対であります。しかし総理、四十一年度の話というより、各大臣はこれからやるというのですよ。これが四十一年度の物価にどれだけの影響をするか。−何でもだんだん聞いていきます。  文部大臣にお尋ねいたします。  いま私立学校は授業料の値上げの問題で大騒動をいたしております。しかし、学生の立場からいえば、また父兄の立場からいえば、大体文部省からいただいた資料によって見ますと、授業料が医師や歯科の関係では十九万円、その他が九万円、こういうような入学金が十四万円、施設拡充費が二十二万円、維持費が二十五万円、こういうふうに約百万円ぐらいの金を出さなければ初年度入学ができないというような状態、そのほかにおいても、少なくも二十万円以上の金を出さなければ入学ができない、こういうような状態に置かれていて、そうでなくても戦後のベビーブームで受験のために悩ましているのに、家庭や学生が学費の問題でこういうふうに頭を悩まさなければならないということは、問題が教育でありますだけに、私は重大な問題であると思うのです。ことに入学してからの学生のアルバイト、あるいは下宿におけるところの負担、こういうもので、アルバイトに追われてほとんど勉強ができないというような、こういうひどい生活状態にある。こういう問題をどのように考えるのか。  また国の関係では、小学校、中学校、高校と、教科書を一〇%内外上げておる。あるいは国立の学校における入学料、検定料、こういうものの値段も上げておる。あるいは学校におけるところの給食の関係におきましても、父兄の負担が相当にふくれておる。消費者物価の値上がりへの寄与率を見ますと、野菜とか生鮮魚介が第一。その次は教育費、あるいは教養娯楽費と、こういう一つは肉体的な食べもの、一つは精神的な食べもの、両面における国民の一番重要な部分がこの自民党の内閣のもとで大衆から収奪されて、使うのは、消費者は王さまだとおだてられて、そうして、しまいには大企業の利益のために何もかも全部個人の消費者のところに押しつけられる。その結果として、教育の問題にまでぐんぐんこれは伸びてきた。これは重大だと思うのです。これは、これだけ子供がふえたのに、国立ではどれだけも収容力がなくて、あとは私立に押しつけている。国の将来を考えますならば、これらの問題は国で処置すべきだと思うのでありますが、これらの問題に対して、このような負担がこれからの教育にどのような影響を与えるのか、またその結果が今後の私立の学校における教育の上にどのような影響を与えるのか。経済問題ばかりではなく、教育的な場におけるいろいろな弊害が幾つか出てくると思う。そういう問題等を考えますならば、これは国の見地から何とかしなければならないという問題が提起されておると思うのです。無関心では過ごせない問題であります。いかにお考えですかか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 お答えいたします。  私立大学の授業料その他生徒負担につきましては、これは国のほうで現在のところ管掌いたしておりません。したがって、大学によってかなり差がございます。その一部には長年据え置きになっておりました関係で、引き上げを計画しておるところもございますが、私どもとしましては、できるだけこういう際に授業料その他が大幅に上がらないことを期待いたしております。そういう関係で、国立大学にとりましては、今年国立大学と私立大学との格差が相当出ておりますが、しかし、この際国立大学が授業料を引き上げるということは、他の私立大学にも刺激を与えることにも相なろうと思いまして、大蔵省と相談をいたしました結果、国立大学については、授業料は据え置くということにいたしたわけであります。ただ、その間、検定料あるいは入学金というものが、国立大学は従来千五百円であったわけであります。これは、いかにも私立との差がありますし、千五百円を三千円ぐらいにしたからといって、生徒一人当たり、一回限りのことでございますから、そうたいした影響はなかろう、若干是正をする必要があろうということで、そういう処置を現在考えておる次第でございます。それから、教科書につきましては、御承知のとおり、過去四年間据え置いてまいりまして、教科書発行会社としても、人件費あるいはその他の物価上昇に照らしまして、どうしても是正をしてもらわなければ教科書の発行ができない、こういう事態に立ち至っておりまして、昨年来審議会にその諮問をいたしておりまして、結果的には、審議会で公正ないろいろ算出をし、積算をしました結果、二・何%の値上げがぜひ妥当であるという答申がありましたが、これにつきましても、できるだけの圧縮を努力いたしまして、結局一〇%の引き上げ、こういうことに落ちついた次第でございます。  この結果を見ますると、小学校において大体教科書費の値上がりは、各年度平均をしまして約年額七十円でございます。もっとも小学校のほうは教科書は無償になっておりますから、国費に関係はありますが、生徒には関係ございません。中学校で今度の一〇%の引き上げで年額百十一円、それから高等学校において百三十一円、こういう影響がある次第でございますが、これも、四年以上も据え置いた教科書の定価から見ますと、時代の変化に伴ってこの程度はいたしかたない、かような観点からこの引き上げを見ることに相なったような次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 時間がありませんから、総理によくお聞きいただきまして、物価対策は下げられるものは下げる、上げるものはやはり上がらなければいけない。そうして、その根本の出産を上げるところは上げる。適切な手を打たなければ、口先で、きめこまかい、きめこまかいと言ったって、これはだめだと思います。  そこで、二、三私はお尋ねをしたいのですが、福田大蔵大臣にお尋ねいたします。  銀行は、昨年末以来公定歩合の引き下げによって、ある銀行は生けた以上の利益をあげておる。百億以上の超過利潤をあげておる。膨大な利益をあげておるのですが、公定歩合が下がったのに市中金利は下がっておらない。これはどういうわけですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公定歩合が下がりますと、これに追随いたしまして、市中金利の改定も行なうのでありまするが、たとえば手形について言いますれば、切りかえのつど新しいものについてやる、こういうふうにいたしております。そこで、三厘公定歩合が下がったから三厘貸し出し歩合が下がるかというと、そういうわけにはまいりませんで、ただいまのところでは、そういう過程を経まして、一厘五毛程度の引き下げの状態になっております。今後もなお引き下げるように指導をいたしております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 銀行の金利は実情に合わせて引き下げるべきだと思います。  それから通産大臣にお尋ねいたしますが、通産省では、ガソリンの標準価格を指導価格として通達して、実際において値段を上げた。その価格が大体市中で協定価格のような形で実行する態勢になって、議会が始まった、議会が始まる面前にこの通達を取り消したということで、事実においてはガソリンの底上げを行政指導によって実行した、こういうことであります。そのほか鉄鋼にいたしましても、これは公開販売制度によって、三十三年以来ほとんど独禁法に穴をあけた行為をやっておる。繊維の関係も同様であります。あるいは東洋レーヨンがナイロンの特許をアメリカのデュポンからとって、そうして国内市場を独占した間は、これはぼろもうけをやった。ぼろもうけをやったものだから、ほかの繊維工場も、負けてはいられないというので、ずっとやって、生産過剰がきて、いま不況がきているというのでありますが、この独占価格でぼろもうけした時代、これを黙ってほおかぶりして、そうして消費者にそれをしわ寄せして、不況になってから盛んにカルテルを結んで、操短して、その操短分を消費者にぶっかけている、こういうようなやり方はひどいやり方ではないかと思う。また再販売価格維持契約制度についてどういうふうに考えておるか、通産大臣と、それから公取の委員長にこれらの問題をお尋ねいたします。  さらに、公取委員長からは、あわせて、北海道に北海道価格というのがあります。乗用自動車は本州に比べて五万円高い。セメントはトンについて一千円高い。酒は一升について十五円高い。これは北海道の価格だと称してこういうような協定価格が結ばれておる。これは独禁法に違反しないのかどうか、こういうのを、時間がありませんから一括して通産大臣と公取の委員長からお伺いします。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いろいろと例をおあげになりまして、いかにも大企業をもうけさすために通産行政をやっているようなお話でありますが、これは事実に非常に反します。御承知のように、不況カルテルをつくっておる業種、十七業種あるわけでありますが、これはいずれも生産費を割るわけであります。消費者の利益と申しましても、平均生産費を割るような値段で競争するということは、回り回って消費者の利益にはならない。やはり企業が安定して事業をやっていけるような値段であるべきであって、何でも安ければ安いのがいいということで、みながバナナのたたき売り合いをするような値段が消費者の利益だとは私は思わない。だから、不況カルテルなどでも、平均生産費のような、いわゆるリーゾナブルな市況に帰ってくるならば、永続的に不況カルテルを認める考えはない。直ちにやめるべきであって、これは緊急避難的な行為であって、とのことによって価格を維持するという考えはないのであります。ただ、しかし、いま言ったような状態のときに、日本の過当競争というものは、日本の企業の中で、欧米などに見られない過当競争である、損をしても売るということは、損をしてでも将来のシェアを予定して競争するということは、これは正常な競争の原理ではないわけです。しかし、そういう面が日本の企業の中にあるわけでありますから、したがって、平均生産費を割ってでも競争するような事態が起こる。これに対して、不況カルテルで正常な市況の回復をはかる、それができれば不況カルテルは直ちにやめる、こういう指導を行なっておるのでありまして、長い目で見れば、消費者の利益を守っておる。正常な日本の経済の運営をはかって、国民経済全体の安定した発展をはかりたい、こういうのがわれわれの通産行政の主眼点でございます。

北島武雄公正取引委員会委員長

○北島政府委員 不況カルテルの認可にあたりましては、公正取引委員会といたしまして厳重に注意、審査いたしております。ことに一般消費者及び関連事業者に対して不当な悪影響を与えるおそれがないかどうか、こういう点についての厳重な審査をいたしております。また、それがいたずらに長期化することのないよう、緊急避難的なものでございますので、十分注意いたしておる次第でございます。また、再販売価格維持契約につきましては、法律で認められており、また公正取引委員会で指定しております商品につきましても今後再検討いたしますとともに、認められてない再販売価格維持行為については、これを厳重に取り締まりたいと思います。  また、いわゆる北海道価格の問題につきましては、渡邊前委員長時代に一度調査いたしたのでございますが、その際におきましては、格別独占禁止法上これがカルテルに基づくものではないということの一応の結論を得たのでございますが、なお十分私どもといたしまして検討を続けまして、もしその間に価格協定等の事実があるならば、独占禁止法上必要な措置をとるつもりでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 三木通産大臣にお尋ねいたします。  先ほど消費者の利益のためにと、利益の押し売りをされたのでありますが、通産大臣がそれほど消費者の利益をお考えになるならば、ひとつこの問題はどういうふうにお考えになったのか。電力料金の問題です。中国電力は会社のほうから値下げをしてほしい、もうけ過ぎているからそのもうけを消費者に還元をしたいから値下げをしてほしい、こういう要求があったのに、まあ待て待てと、ほかのほうに影響するからというので、値下げを押えたのはどういうわけですか。それをひとつお答えを願いたい。そうして電力料金の場合は、これは原価主義です。この火力電力料金の算定は昭和二十九年の価格です。その当時から比べますと、火力発電の効率は非常に上がって、いま原価は非常に安くなっておる。だから値段を下げる条件は、いま非常にあるわけです。東京電力なんかも、これはこのままでいくならば会社はつぶれるのだ、こういうことで非常に最近値段を上げたのです。値段を上げた東京電力は、いま日本の会社のうちのトップですよ。そうして経営内容をごらんなさい。原価算定には定額法で償却することになっておるのに、実際はそれの倍もの定率法の償却をどんどんやっているのです。そうして、日本の全体の最高の利益をあげておる、こういうような実情であります。これは、中国電力が電力料金を下げるというのも、単に消費者にサービスをしようとするけなげな気持ちから発想したものではなくて、会社の自衛のためにこれは発想したものだと思う。このままの電力の料金でいくならば、大きな企業が出ると、みんな電力を買わないで、自家発電でやる、こんな高い電力を買っていたら損だというので、いま非常に火力発電が効率を上げていますから、コストが安くなっていますから、自家発電がどんどんできる。そのどんどんできる証拠には、もう各地とも大きな企業は自家発電をしています。これは、二十四時間平均して電力を使うわけではありませんから、余ったときには電力会社に売らなければならぬ。電力会社に売るときには二束三文にたたかれて、捨て値で買われているのであります。そのような処理をいたしましても、自分のところで電力持ったほうが利益だというほど、現在の電力料金というものはもう世間放れしたほど高い値段になっておる。会社からわざわざ言ったにもかかわらず、なぜ下げなかったのか。そうして、この電力料金は財政法第三条の特例法によって、これは当然国会できめるべきです。通産大臣が何ぼ口先でみんなの利益のためにと言ったって、国民の消費者大衆の犠牲の上に会社の利益をはかるような行政措置をとるのは、これは自然の成り行きだと思いますが、そういう問題についても考えるべきだと思いますが、いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 中国電力から料金の値下げの申請があったのを押えておるという事実はありません。これは、そういうことがあれば非常にけっこうなことでありますから、われわれはこれを許可する。これを押えておるというが、申請が出ないので……。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 出ようとするのを押えたでしょう。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 そういう事実は、私も在任中でございませんので、いま係の者にも問い合わせましたところが、そういう事実はない。そういうことはあり得ないのであります。私がここで言っておることは、要するに値段を、生産費を割ってでも競争するという事態をそのままにしておくならば、ほんとうの弱肉強食になる。背景に資本力を持っておる者は、その競争に耐える者はやっていくでしょうけれども、弱い者はつぶれていく。だから、そういう形は回り回って消費者の利益になるものではない。日本の経済が正常な競争の原理の上に立たなければ、一時は安くなって消費者は利益するでしょう。しかし、長続きはしないではないか。経済はやはり正常な運営の上に立ってやる必要があるということを申し上げたので、それは誤解のないようにお願いをいたします。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 これは、もっと公正な立場で答弁されればいいのですが、目的をおいて、そんなことはないのだと否定してかかって、それに自分の主張を通すために牽強付会な理由をつけるからおかしくなる。そういうことを言うならば、赤字を出して、一時的に赤字を出した価格で競争はしますけれども、永久に続くものではないのです。一時的にシェアの競争でやるけれども、長期展望からいえば、利益をちゃんとそろばんに置いている。いま価格形成がどんな状態になっているか、通産大臣はおわかりでしょう。いま日本の産業構造は、低生産の中小企業と近代化された大企業とが混在しているのです。ですから、同じ価格をきめます場合に、最低の中小企業を最低線としてものをきめます。そうすると、中小企業はぎりぎりの線で経営をします。しかし、それと一膳に生産する大企業は、同じ価格なら中小企業の底値で超過利潤をゆうゆうとかせげるのです。そういう価格が一ぱいあるのですよ。いま日本の価格で工業製品の三分の一はカルテルですよ。おわかりですか。工業製品の三分の一はカルテルなんですよ。自由競争の条件なんてどこにありますか。そういう中で、中小企業をえさにして、大企業はぬくぬくと、不景気だ、不景気だと言いながら、ぼろもうけをやっているのです。私は、このことを明確にしなければならぬ。もし時間があるなら、具体的に言えというなら幾らでも例を出します。  そこで、もう早くやめろといういろいろな催促がありますから、時間がありませんから申しますが、佐藤総理は、経済の成長が安定的になれば物価が安定する、こう言われましたが、安定成長になればなぜ物価が落ちつくのか、総理のお考えを聞きたいと思うのです。私は、安定成長というのは、経済の構造にアンバランスがなくて、国民の福祉と経済の成長が均衡をとっていくことにあると思います。これは単なる成長の問題ではないと思うのです。経済が安定しさえすれば、それで物価が安定するのだという条件ではないと思うのです。幾ら成長しても、もうかるのは大企業だけであって、そうして、勤労者大衆は勤労の成果を全部上へ収奪される、そういうような仕組みや運営の中では、決してこれは国民のための経済成長とは言えないと思うのです。物価対策には打つ手はないのだ、きめ手はない、安定すればと言うが、安定しただけではいけない。問題は、その安定をだれのためにどういうふうにするかという、それが最後の問題の分岐点だと私は思う。総理の、経済が安定しさえすれば物価が安定するというお考えを伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま永井君の言われるとおり、経済が成長いたしましても、経済にアンバランスがある、そういう状態だと、いわゆる経済の安定成長とはいえない。ある産業が安定成長する、こういうこととは違うので、ただいまお話しのように、これは一つの産業も成長いたしますが、同時に各業種間のアンバランスをなくする、それで初めて経済の安定成長ということが言えると思います。  今日、設備過大だ、かようなことを申しておりますが、それで先ほど来、また、きのうもそういう話があります。このギャップは一体どういうふうに埋めるかというお話になっております。設備過大が全部の産業間にある、こういうものでもありません。またそれが各産業間に同じような率で設備過大になっている、こういう状況でもありません。だから、設備過大がある事業にはあり、あるところではその設備がまず供給と需要とちょうど相応している、こういうようなものもあります。こういうような業種間の不安定をなくしていくこと、この不均衡をなくしていくこと、これが一つの問題であります。だから、永井君がただいまお話しのように、成長ばかりじゃないんだ、各業種間の不均衡をなくしていく、これが大事なことだ、かように思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それでは、応問も経過しておりますから、最後に一括していろいろお尋ねいたしたいと思います。  消費者物価の騰貴は、これはだれが何と言っても、生活実感としてわれわれのところに来ているのであって、国民負担の増は、消費者米価の値上がりによって四十一年度は五百億、国鉄運賃の値上がりによって千六百三十億、私鉄大手の値上がりによって三百億、地下鉄が三十五億、医療費が工百七十億、郵便料金が二百三十億、水道料金が百三十億、そのほかに授業料であるとか教科書であるとか給食費、航空運賃、こういうものをずっとあげていきますと、四千億以上の国民の負担増になってくると思う。そのほか物価の問題等についていろいろ言えばたくさんあります。たとえば、砂糖の値段で言いますと、いま砂糖の値段は、国際価格は一キロ二十二円です。一キロ二十二円の砂糖を国民は百何十円でいまなめさせられている。二十二円の原価の砂糖を百何円でなめさせられているのです。酒が高い、たばこが高いといったって、砂糖ほど高いものはいまないのですよ。そうして、これには消費税が十六円、関税が四十一円五十銭、課徴金が十何円、こういう七十円からの税金をしぼり上げている。甘い砂糖と思ってなめたら、とても毒が入っているほどのものだ。こういうふうに、電力料金も高い。あるいはバス運賃は、鉄道と並行して走るところは安いけれども、鉄道のないところのいなかのほうは高い運賃である。肥料は上がる、農薬は上がる、何もかも全部そういう個人の消費のところに集まって、そうして、農家は食うや食わずで働いても、いま価格の点ではたたかれている。こういうことで、この中小企業、農民、サービス関係の値段が上がるのはあたりまえです。賃金を上げていかなければ、この二重構造というものはなくすことができませんし、あるいは労働力の流動化というようなことを言ったって、現実に経済的に解決されなければならないのであります。こういうふうに何もかも全部個人消費のところにぶつけて、そうして大企業は知らぬ顔をしている。ことに電気会社なんかは、これだけもうけているのに、貧乏な開拓農民のところへは、おまえのところは採算が合わないから電灯を引いてやらないというので、そういう農家は一人当たり十五万円も十六万円もの自己負担をして電灯をつけなければならないというような、こういう政治の不公正、不正義、社会不義が公然と行なわれておる。そうして、電力料金は普通の料金の三倍も四倍も高くしている。こういう実情をそのままにしておくということは、これは国民の社会正義の上から許されないし、あるいはこの経済生活の上から耐えられるものではない。そこで、これらの問題を洗いざらいきちっと、ほんとうに物価の問題と取っ組んでやるというならば、いまのように経済企画庁が単にテーブルを設けて、さあどうかここにお集まりください、ここでお話し合いくださいという話し合い行政の中では、問題の解決はできません。でありますから、ここに集まってくる通産省なら通産省の所管の品物は、値下げするのじゃなくて値上げです。農林は農林でそうやりましょう。値上げの会議であって、値下げの会議にはなっていない。そうして、何もそこに権限がない。ほんとうに物価の値下げが今後の日本の経済に大きな役割りを占めるファクターであるとするならば、総理みずからがとの物価に対するオーソリティーとして指導権を握っておやりになるお考えはありませんか。アメリカのケネディは、鉄鋼を何にも法律的な背景がなくてもこれを押えた。ジョンソンはアルミ地金をばんと押えたでしょう。それから、フランスだって、ドゴールは一年間ストップをかけたでしょう。西ドイツにおけるエアハルトは、選挙のときの公約の三つの問題、これは物価に大きな影響があるからといって、これを延期したでしょう。そういうふうに、ほんとうに国民の立場に立って考えるならば、私は、総理みずから、経済企画庁でただ話し合いしてこうやっているのだと、口の先の弁解だけではなくて、ほんとうにおれがからだを張って取っ組むのだぞ、だから国民は安心しなさい、これだけの委任状を国民からとって、やろうとすればやる権限を持っている。その権限のある人がみずからの責任を回避するということはひきょうであると思う。責任をとらない態度である。したがって、いままでのような物価に取り組む行政というものは、何年間の失敗の結果なんだ。私は、これはおやめになったらいい、政策転換をしたらいいと思う。さらに行政権限で政府が許可する、政府が認可する、届け出させる、こういうあやふやなものはいけません。主要な公共料金というものは、これは法律できめて国会で議決する、国会の中で消費者代表がこれは議決する、こういう物価形成の体系を確立する必要がある。これらの問題について御答弁をいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへん激励を受けましてありがとうございます。私は、仰せのとおり、総理みずからが物価問題と取り組むということが必要だ、かように思って、内閣に物価問題の閣僚懇談会を持つことにいたしました。ただいまはそういう立場で、いわゆる総合的な施策として物価問題と真剣に取り組んでいく。まずその手始めに、最近行ないました製粉の値上げ、これを押えた。これは別に法規を根拠にするものではございません。またこの一事をもって私は自慢するわけでもありませんが、政府は真剣に、またこまかな手を通じて物価問題と取り組んでいく、この態度でございます。総合的な施策も十分考えていくつもりでございます。

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて永井君の質疑は終了いたしました。  午後は正一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時十一分開議

福田一自由民主党

○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十一年度・総予算に対する質疑の続行をいたします。春日一幸君。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、民社党を代表いたしまして、当面する重要なる内政、外交の諸問題について、その基本について政府の所見をただしたいと思います。  まず、冒頭にお願いをいたしておきたいのでありますが、私の質問時間は三時までと局限されておるわけでございます。本会議の関係で延引が許されぬとのことでございますので、私もあとう限り質問要旨を集約してお伺いをいたしますので、政府のほうにおかれましても、答弁は要点に限ってひとつ簡潔にお願いをいたしたいと思います。  まず最初に、現行日米安保条約の将来のあり方について、佐藤総理の見解とその方針をただしたいと存じます。ついては、この質問に入る前に、国際社会の現状について、政府の認識は何であるか。国際社会の現状は、残念ながら国連憲章の完全実施の理想にほど遠い状態にあるかのごとくに思われるのであります。さればこそ、昨年の三月でありましたが、あのベトナム危機解決提唱のために持たれた非同盟十七カ国の首脳会議は、その声明の中で、これをこのように指摘をいたしておるのであります。すなわち、国連がこの直面する行き詰まりのために平和の維持確保という責任を十分に果たせないでいることを遺憾とすると述べておるのであります。政府は、世界の平和と各国民の安全のために、国民に期待されているその安全保障機能は現在のところ万全のものであると思うか、はたまた不十分なものであると考えておるか。この際、政府の見解を明らかにいたされたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 日米安全保障条約のもとにわが国の安全を確保しておりますが、ただこの条約に依存するだけではなく。国力相応に自衛力を持つ、こういうことで自衛力を漸増さし、そうして足らない部分は、ただいまの日米安保条約、そのもとにわが国の安全を確保しておる、かような状況でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 冒頭に申し上げましたように、私も質問の要旨を集約してお伺いをいたしますので、お答えもそのものずばり的確にひとつお願いをいたしたい。  私が伺いましたのは、昨年の三月でありましたが、非同盟十七カ国首脳会議は、国連機能を批判をいたしまして、これは、国連がその直面する行き詰まりのために、平和の維持確保能力に欠けるものがあることを遺憾とすると述べておるのでありますが、かつはまた、世界の各地域において国連の重大なる関心事、またそれぞれの措置が取られておりますにもかかわりませず、さまざまな紛争が解決を遂げてはいない。このような現状を踏んまえて、政府は、国連の安全保障機能というものは現在のところ完全無欠なものであると考えておるか、なお不十分なものがあると考えておるか、政府の認識は何であるか、これをお伺いをいたしておるのであります。御答弁願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 国連が持つ安全保障機能は、現状において十分だ、かように私も考えておりません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 総理の御答弁のごとくであろうと思うのでございます。さればこそ、各国々はいずれも侵略より自国を防衛いたしますために、自衛権行使の手段を保持いたしておるのでございまして、わが党も、その趣意で憲法第九条の範囲内で最小限の自衛力は保持すべきものであると考えまして、これをわが党の防衛政策の基調にいたしておるのであります。ただし、このことは、自民党政府が志向するアメリカとの全面的な軍事同盟体制に賛同するものでは決してないのであります。したがって、現行の日米安保条約には、われわれは相当部分について不満であり、かつ批判的であるのであります。しかしながら、他面極東を含む世界の平和が、現状において東西両陣営の力の均衡によって維持されておるものであることは、これは否定いたしたがたい事実である。したがって、わが党は日米安全保障条約が現状においてはこのような情勢の中において有効に機能しておるものであることを、すなわち、これが日本の安全とアジアの平和のために有効に役立っておることを率直に認めるものであります。このような認識と判断に立って、自主共存を外交方針の基調とするわが党は、さしあたり現行安保条約の持つ対外的、国内的な矛盾とその弊害を除去するために、当面の措置としては、米軍の常時駐留をわがほうの要請と合意を条件とするいわゆる有事駐留に切りかえること、また貸与基地の原則的撤廃を求めるなど、現行安保条約は日米両国の相互信頼と理解のもとにこれを大幅に切りかえるべきである、改定すべきであると思うが、この点について政府の見解はいかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 部分的には賛成でございますが、私は、ただいま言われました安保条約を改定いたしまして、常時駐留を有事駐留に切りかえる、こういうことについては反対でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 重ねて質問をいたしますが、政府はわが国の安全保障のあり方について、何がゆえに現行安保条約を唯一無上のものと考えられるのでありましょうか。われわれは、現在の国際情勢と日本の置かれた立場から、日本の安全とその国民的利益のために、その手段として当面この条約の価値とその存在を認めようとするものでありまして、これは、決してアメリカの核戦力のかさのもとに身をゆだねて安易にわが国の安泰をはかろうとするごとき、卑屈な居そうろう根性に基づくものではないのであります。われわれの矜持は、われわれは独立国家の国民であるから、この安全保障体制のあり方については、これによってわが国の主権がそこなわれるようなことのありませんように、またわが国の自主性がこれによって侵害、制限を受けるようなことのないように、その条件と内容は厳に互恵対等のものたらしめなければならぬと思うが、この点に対する総理の御見解はいかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、まずこの国、自分の国は自分の力で守るという、自己の自衛力を増強して守る、万全を期する、これが本来のたてまえだと思います。しかしながら、日本の国力相応の自衛力を持つといたしまして、それで十分かと、かように申しますと、現状の国際情勢から申しまして、いわゆる集団防衛の形にならざるを得ないのだ。これが今日のいき方でありまして、一国だけが自分の国を守ると、かように申しましても、それは不可能に近い。ましてや日本の場合におきましては、戦後から非常なギャップがございますので、そういうことはできない。しかし、意気込みとしては、みずからの国をみずからで守るという自衛力の増強がありますし、集団的な考え方で、日米安保条約があるわけであります。これは、別にわが国の独立を侵害するものでもなく、またみずからがそれを放棄し、そうして安きについていると、こういうものでもございません。自衛力をみずからの力で完全なものにしていくその努力、これは十分に理解していただきたいと思います。ただいまのような安全保障条約というものによって集団的な考え方で安全を確保する、こうなった場合に、これは日米双方が、相互の理解と信頼によって問題と取り組んでいく、これは当然のことであります。ただいま御指摘になりましたように、その点では相互平等の立場において、互恵平等の立場で安全保障の権利、義務を履行していく、こういうことであるのが現状でございます。また、今後ともさような状態で進めていきたい、かように思っております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私が伺っておりまする条件は、われわれ民社党は、この安保条約がわが国の安全と平和に有効に役立っておるものであるという認識の上に立って、しかしながら、この安保条約の常時駐留の体制が、あるいはまた基地を貸与いたしておるというこの条件が、すなわちわが国の主権と自主性に大きな制限というか、あるいはそれが小さな制限、制約であるといたしましても、の問題として、貸与基地に対してはわが国の主権は及ばないのである、施政権は及ばないのである、そういうような立場において、事実上主権の権威、それからまた自主性の完全維持と申しまするか、そういうものが制約を受けておる。この現実にかんがみて、そのような部分を自主的に、かつはまた対等の立場において、相互信頼の関係に立ってこれを調整していくという、こういう必要はないかということを求めて質問をいたしておる次第でございます。  そこで、私はさらに論旨を先へ進めながらお互いに問題の解明をはかってまいりたいと思うのでありまするが、総理は先日の施政方針演説で、安保条約がわが国の安全を守り、平和的発展を助けたことは、事実が証明するところだと述べられておりまするが、一体その事実とは何をさすものでありましょうか。たとえば、この安保体制下の十数年間に、米軍の常時駐留兵力が日本に対する第三国の侵略に対抗して現実に活動したことがあったか、また日本にある米軍の基地が、日本の平和と安全のために現実に役立てられたことがあったか。あるならば、その事実関係をここに明らかにお示しを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 独立国として、自主というその立場で安全保障条約を日米間で相談しろ、こういうお話ですが、いわゆる米軍基地が自衛力の増強と同時にだんだん縮小された、こういう事柄は、その御要望に沿っておるものだと思いますし、また、わが国がそういうことでやった、わが国が対等の立場で権利を主張しておる、かようにも考えるのであります。また、アメリカ自身がその義務の履行において別に支障はない、かように思います。ただいま、米軍が駐留してから現実に侵略に対してこれを押えた、そういう事態があるかと、こういうお尋ねでございますが、日本は幸いにしてこの安全保障条約を締結し、あるいは戦後日本が侵略を受けるというようなことはございませんでした。私は、ただいまの日米安保条約そのものが、侵略があった際にわが国を守る、こういうことももちろんその米軍の義務でございますから、その効用も高く考えておいていいことだと思いますが、同時に、こういう日米安全保障条約があるということが、侵略を抑制する力があるものだ、この点も見のがしてはならないのです。私は、そういう意味で、わが国が繁栄への道をたどり得たことは、この日米安全保障条約のおかげだ、かように考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 そういたしますと、ただいまの御答弁によって明らかになりましたことは、すなわち常時駐留や貸与基地などの、現行安保条約におけるこれらの設定でございますね、これは過去十数年間においては、少なくとも日本の防衛と安全のためには特に役立ったという現象的事実関係はなかった、こういうぐあいに理解してよろしいか。問題があらば制圧する力はここにある。けれども、そのような事実関係は発生しなかった、こういうぐあいに理解してよろしいか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 事実関係は発生いたしておりませんが、侵略を抑制する力がある、侵略をとめる力がある、かように私は理解しております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それでは、現実にはそのような実力がアメリカにあって、そして、そのにらみをきかしておることによってわが国の平和と安全とに少なくともこの十四年間の経過においては役立ったもの、こういうぐあいに受け取ってよろしいか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 にらみと言うと、ちょっとことばが私は気に食わないのです。何か攻撃的な意味を持つようですが、この日米安全保障条約はどこまでも防衛的なものでございますから、いわゆる攻撃的なにらみは持たないものです。

春日一幸民主社会党

○春日委員 防衛的なにらみをきかしておったと理解すべきでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ことばの問題ですが、とにかく侵略を抑制する力があった、かように理解しております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 大体防衛的なそのにらみをきかしたことによって、そういう事態が起きなかった、こういうことでありといたしますならば、大体にらみをきかすということは、絶えずその現場にはおらないで、別のところにおって、その現場に対してその意思を絶えず通わしておる状態であると思うのですね。にらみをきかすということは、現場におってはむしろそのにらみをきかすことの意義が成り立ってこないと思う。これは本年一月のエコノミストの記事でございますけれども、あるいはすでにお読みになったかと思うのでありますが、「日米関係はどう変わる」、この中で、貴党の前参議院議員宮澤喜一君、元閣僚であられましたこの宮澤喜一君が、蝋山政道、岩佐富士銀行頭取などと対談されておりまする中に、この日米安保体制に言及されて、かくのごとくに述べられておる。すなわち宮澤氏の御意見によりますると、「つまり固定的な陸上基地は危険でもあり、やや時代遅れになっている。アメリカ核戦力の主体がポラリスになってきて、太平洋にも相当数のポラリスが配置されれば、基地問題というものはかなりなくなってゆくだろう。民社党は「有事駐留」といっているが、沖繩だって陸上基地じゃなくなって補給基地になってゆくのじゃないか。」というようなことで、基地を提供して、そこに米軍が常時駐留しておるという現安保体制のこれらの設定は、兵器の進歩の現状にかんがみてもはや時代おくれのものである、将来を達観するならば、漸次これがなくなっていくであろうと予見しながら、その所見を述べられておる。この意見に対する総理の見解はいかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 宮津君の意見を私批評するというのはいかがかと思いますが、ただいまの状況のもとにおきまして有事駐留と、こういうように切りかえる考えはございません。常時駐留が今日の国際情勢に処する適当な方法だ、かように考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、あなたに特に申し上げたいのでございまするけれども、とにかく政府は外交権を有する唯一者であられる。しこうしてわれわれがこのような所見を持つということは、単に不肖春日一幸が単独でここで思いつきでしゃべっておるわけではない。われわれ民社党が全国の党員から結集される大会においてその方針を定めながら、しかもこれらの見解は、学者、文化人あるいは防衛専門家、外交専門家等の意見も徴しながら、日本は独立国の独立民族としていかにしてこの安保体制に完ぺきを期していくべきであろうかという、すなわちこの日米安保条約が重要なものであればあるだけに、これを国内的にあるいは国外的にさまざまな条件を勘案して、そうしてかくあるべし、すなわち、日本国の安全、日本国の平和、アジアの平和、これを確保しながらこの安保体制の機能を確保していくためには、主権の拘束を受けたりあるいは自主性をそこなわれるようなきらいのありとされておるところの現体制を、この宮澤喜一君も指摘されておりまするように、兵器の進歩に従ってこれが必要の度合いを越えた形をたどっていると認識いたしますならば、必要の度合いを越えた余分の部分、その部分が日本の主権を何となく侵害しておるとするならば、そのようなものをなくするように努力をしていく、その努力のできる唯一者は政府である。われわれもあなたと同じように国家の主権者の代表であるから、その代表者がそのような意見を述べて、しかも、あなたの党の中におかれても、このような見解をお持ちになるのは、ただひとり宮澤喜一君ばかりではないと思う。多くの感覚の新しい、特にまた世界の平和、アジアの平和、日本の安全を真におもんみる自民党の議員諸君がいるから、ただひとり宮津君が特にこのような意見を立てられておる筋合いのものではない、私は、多くの認識と判断が、この宮澤君のような考え方をおとりになる方々も少なくないと思う。だから、私がこのように事を分けてこの理論を立てておりますれば、私は常時駐留を有事駐留に切りかえる意思はないのだといって、これは言うならば現状になずむというか、いまそういう状態だからそのままにしていくのだというようなマンネリズムに堕することなく、やはり日本外交百年の計、これをあやまたしめてはならない、そういう立場から、私は十分検討されてしかるべき問題ではないかと思う。その意思はないといったところで、この改定期は四年先なんです。一九七〇年、昭和の四十五年なんです。あの時点において、さまざまな国際情勢に変化もあらんし、さらに兵器の進歩・発達にも私は見るべきものがあるであろうと思う。国際情勢の変化もあるであろうと思う。だから、そのような改定交渉をする意思はないとここで言い切られるということは、いかがなものであろうか。やはり民主政治というものは話し合いの政治である。かくのごとき予算委員会においてお互いの意見を練り合わしていくということは、自分はこう思う、相手はそう思う。けれども、相手の意見の中にもとるべきものがあるから、自分の考えの中にもその意見を取り入れてと、こういうのでなければ、民主政治の共通の土俵場の意義はないではありませんか。あなたはそう思うのか、じゃ思っておれ。わしはこう思う、だから思っておる。こんなものは、実際の話、この貴重な予算委員会でただお互いに音響を発し合うにとどまるではないか。民主政治というものはそういうものじゃない。民社党がそういう研究をし、あなたの党内の中でも、宮澤君のごとき知性豊かな男がそのような見解に同調を示しておるというような客観的事実の上に立って判断するならば、私は、総理の御答弁は、もう少し慎重なもの、民主的なもの、話し合い政治の何たるかを理解した立場において答弁を願いたい。御答弁のやり直しを願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申し上げて、また御要望も、要点だけを簡潔に説明しろ、こういうことでありますから、お間違いのないような話をして、現時点において私が何を考えているか、これを変える考えはございません、かように答えておるのであります。  また、さらにただいまのようなお話がございますれば、私は本会議で民主社会党の西村君にお答えしたとおりでございますから、これは記録も残っております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 西村書記長にお答えをいただいた要旨は覚えておりまするが、私は、この問題は重要な問題でありますから、お手数でありまするが、重ねていかなる御方針であるか、御答弁を願いたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまの国際情勢のもとにおいては、これを変える考えはございません。しかし、これからまだ四年の先でございますから、その間に国際情勢がどんなに変わるか、これはまだ今日なかなか想像のつかないことであります。そういう国際情勢の変化に対処いたしまして、国の安全に万全を期す考えでございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私ども民社党がこのような論拠に立ってこの主張を強くいたしておりますゆえんのものは、それは現在この日米安保条約が、わが国の政治思想の上において、また労働運動の中において、さらにはまたこの議会政治の中で、国論を全く二分いたしまして、言うならばわが国内に政争の三十八度線を引いておるかの感がなくはない。これがわが国の政情を常に不安なものに脅かしておるのでありますから、したがって、政府がこのような現状を踏んまえて、国論統一の道、国民合意の道、これをはっきりして、そうしてわが国外交の将来にあやまちなきを期してもらう。顧みるならば、昨年の臨時国会は、日韓条約をめぐって国会はその機能を失うに至りました。この安保条約の持つそのボリュームからすれば、これを完全破棄をしようとする人々と現行体制をそのまま推し進めていこうという人々との相対立する意見が、ここで正面激突いたしまするならば、そのことは予測し得べからざるところの政治不安をかもし出すのおそれなしとはしない。だから、ここに言うナショナル・コンセンサスといいまするか、とにかくそのような事態を事前に避けることのためにも、どのような手段、方法を選ぶならば国論を統一することができるか、国民合意の道を発見することができるか、ここに焦点を置いてあなたがこの日米安保体制について再検討されるということは、外交権を持つ唯一者としてあなたに課せられたる至大の使命ではないか、この点について、あなたの所信のほどを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま春日君からたいへん真剣な、まじめなお尋ねがございました。こういう問題をめぐりまして国論がしばしば分かれる、そうしてたいへんな事態を国内的に起こしておる、そういう問題がございますが、この点が非常に大きく浮かび上がる、これは私はもちろんだと思います。内政の問題で、こういうことは非常に重大なことだと思います。しかし、その国論が二つに分かれるとか、あるいはどういう力で別になるといたしましても、なかなか統一するものがないときに一番私どもが心配なのは、わが国の安全ということで、一体わが国の安全はほんとうに確保できるのか。私はただいま政局を担当し、内閣総理大臣として頭を去来いたしておりますのは、わが国の安全をどうして確保するか、この一事に尽きるのであります。その意味におきまして、あるいは外交路線を間違えるとか、あるいは国内が二分するとか、こういうような事態を御指摘になりますが、私は、それより以上に、基本的な問題で、わが国の安全、これについて万全を期する、これが政治家お互いの認識であり、また決意でなければならない、かように私は思うのであります。だから、ただいま申し上げますことも、この日本の安全を確保する最善の道、これを私は考え、それによって決意いたしておるのであります。こういうことで国論が割れること、まことに私は遺憾でございますが、もちろんこの安全確保の方法について、それぞれの立場でそれぞれの意見を述べられるのでありますから、いずれの意見が間違っている、かように私は申すわけではありません。私はかような立場でわが国の安全を確保していくのだ、このことを実は申し上げておるのであります。私は、その点では国民の絶対支持を得ている、かような自信を持っておりますから、その確信のもとに、今日の安全確保の方途、その道を進んでいく、これが私の態度でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は申し上げたいのでありまするが、わが国の安全を確保するの熱意においては、われらこのような説をなす民社党といえども、断じて佐藤総理におくれをとるものではない。ただ私は、その可能の限界をどこに求むべきであるかということでございます。たとえば現在フィンランドとソ連との関係においても安保体制がございますけれども、これには基地供与がなされてもいないし、常時駐留はなされてはいない。先般私は、民社党内閣でありまするシンガポールのリー・クアンユー政権をたずねたのでありますが、あそこも一個の独立国であります。しこうしてイギリスの海兵隊でありまするが、五万数千名の駐留がありまするけれども、これは安全のために、現在マレーシアあるいはインドネシアの侵略の危険にさらされておると彼らが感ずるので、みずから求めてその駐留を願っておるという、こういう体制でございます。すなわち有事駐留の体制でございます。そうしてシンガポールの安全もフィンランドの安全も保たれておる。われわれは、このような、失礼ではありますけれども比較的小さい国柄とわが国とが同じ体制のもとにおいて安全の完ぺきが期し得るとは断じていないのでございます。けれども、可能な限界において、わけて宮澤君が指摘されるがごとくに、軍事情勢というものは大きく変わっておるのである、情勢は刻々に推移してとどまるところがないのである、こういう立場から、現行安保体制についても国論統一の道を求めて、同時に最もその熱意をわが国の安全確保の点に焦点を置いて、アメリカとの間に私は相互対等の立場でこの問題を論ずべきではないか、このことを強く要望いたしておるのでありまするから、どうかいま御答弁にありましたように、なお若干の時間がございましょうし、その間に国際情勢の流動もありましょう。あやまちなきを期していただきますることを強く要望いたしまして、質問を進めます。  次は、国連中心主義の外交方針と、政府の対中共対策についてお伺いをいたしたいと思います。  現在、国連に多数を占めるAA諸国のうち、その多くのものは自由主義陣営に属していると思います。それにもかかわらず、これらの国ははっきりと自国をその主張基盤としておる。そうして自国の利益と、平和への努力を尽くしておるのであります。わが国がこのように自己を主張基盤として世界の平和と安全のために独自の活動を行なおうとするのであるならば、政府としてなすべきことは、まず従来の外交姿勢を正す必要がありはしないか。政府の掲げる真の国連中心主義を実際に国連の場において具体化するためには、何をおいても対米追随と自国の自主性喪失のいままでの政策から脱却する必要があるのではないか。このことは、自由主義陣営の提携ということとただアメリカに追随するということとは異質のものでありまして、その国連中心主義外交という、いまの佐藤内閣の外交姿勢とその実態、これについて総理の御見解を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、アジアの一国であるということも忘れてはならない。同時にまた、国連が世界の唯一の平和機構であるという、その役割りも十分理解しなければならない。そういう意味で、国連加盟の日本は、国連中心主義だ。これは、国連が目標としておる国際正義の考え方といいますか、ちょうどわが国が外交を推進していこうという基本的態度とその点がぴったり同一でありまするので、そういう意味で国連中心の外交ということをただいま申しておるのでございます。  ただいま中国問題、中共問題をこの観点からいかに処理するか。中国代表権にからんで、国府を追放して、そうして中共の国連加盟を認めろ、こういう問題が展開されたことは御指摘のとおりでありますが、しかし私は、これにつきまして在来からわが国は、これは重要問題だ、かようにいわれ、さような決議もあったのでございますから、昨年も重要問題として取り扱うということを再確認した、かような態度でございます。わが国と中共との関係におきましては、いろいろの批判がありまして、最近後退したのではないか、かようにいわれますが、私は後退はいたしたつもりはございません。在来の方針をそのまま堅持いたしておる状態でございまして、いわゆる政経分離の関係におきまして、中共とは交際、交通を持つ。御承知のように、日中貿易も四億ドルをただいま大幅にこしておるような状況でありますから、貿易が非常に拡大された。その一事から見れば、日中関係は親善の度を増した、こういうことがいえるのではないか。私は別に後退したと、かようには考えておりません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 問題の在所を明らかにいたしますために、もう一ぺん宮澤君の意見を引例いたしたいと思うのでありますが、これまた「エコノミスト」本年一月号でございます。宮澤喜一君は、この中共問題で、日本が「「重要事項指定方式」に片棒かつぐなんて全くバカなことだと思う。六六年はまさかあんなバカなマネはしないと思いますが、あんなことを何のためにしたのか……。」と述べて、さらに宮澤氏は「国連という場で問題が解決されるとしたら、それに乗っていくのが政策としては賢明でしょう。「重要事項指定方式」などに何も加担する必要はない。国連で出た結論に従ってゆけばいい。その結果はおそらく一つの中共、一つの台湾ということになるでしょう。現実がそうなんだからしようがない。」、ここに「エコノミスト」がございますが、かくのごとく述べておる。かくのごとく宮澤君が民社党の意見にことごとく傾倒されておるということは、まことに注目に値する事柄ではあるが、いずれにしても、とにかく自民党の中にもこのような御意見を堂々と述べられる、ことほどさように国際世論は動いておるのである。現実の問題として国際世論は動いておる。さらに国際情勢も動いておるのである。この宮澤君の意見というものは、ぼくはただ一つこれを引例したにとどまるのでありますけれども、日本の学者、識者、外交評論家、政党人の中には、この説をなす者が全く多い。総理は、このような意見に対してどういう見解をお持ちですか。問題は、国連中心主義ならば国連で決するところに従えばよいではないか。何も日本が北京政府が国連に加盟することを妨害するというような、そんな片棒をかつがなくても、国内においては、多くの人々がこのような説をなしておる。隣国でもある。広大なる大陸である。七億の人民に対して有効なる施政権を行使しておる北京政府、これを国連に加盟せしめるということは、国連精神の普遍性——国連精神というものは、仲のいい気の合った者同士でやるというものではない。世界すべての地域に対等、平等の形において、普遍的な平和の理念によって紛争の解決と世界全人類の福祉をはかっていこう、こういうのが国連精神なんです。だから、多くの国々が中共を加盟せしめようと言ってきておるのです。国内においても、この宮澤意見に集約されておるかのごとく、多くの政党も、多くの国民も、このような説をなしておる。この中において、ひとり佐藤内閣が意地悪をせなければならないという積極的理由は何か、御答弁を願いたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 便宜私からお答えいたします。  宮澤君がどういうことを言っているのか存じませんでしたが、とにかく中共を国連に代表者として入れ、同時に中華民国を国連から追放する、こういう形の提案がしばしば国連になされておるのでございますが、おっしゃるとおり、国連の普遍性というところから見ると、何でもかまわない、とにかく世界じゅうの国がみな入るがいいという意見も、これはあり得ることであります。しかしながら、国連はあくまで現実の世界の平和維持機構であるという点から言いまして、アジアの勢力均衡と平和というような現実の問題も度外視することはできない。こういうふうに、ただ隣国の日本のみならず、アジア全体、あるいは世界全体の平和につながる非常に重大な大きな問題でございます。それでありますから、ただ普通の決議で、一票でも多いほうが勝ちだというようなきめ方をしないで、国際世論の大多数の動向というものに従ってこの問題をきめるということが正しいのではないか、こういうのがすなわち重要事項指定方式なのでございます。去る十六回の国連総会において、この重要事項指定方式が多数の賛成を得まして、これが重要事項であるということになったのであります。しかし、その後いろいろこれに関する動きがあるので、昨年の二十回総会においてさらにこれを再確認するということが実現したのでございまして、日本といたしましては、やはりこの問題を、ただ何でもかまわない、一票でも多ければそれでよろしいというのじゃなしに、重要事項指定方式によって国際世論の大多数を背景にしてこれがきめられるということをわれわれは期待したい、こういうのが日本の態度であります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 いま椎名外相がしさいありげなことを述べられたけれども、これはことばのごまかしである。ちょうどまま母がかわいいかわいいと口先で言ってぎりっとつねるようなものですね。重要事項指定方式が、重要問題だからわれわれはその方針に同調するのだというようなことを言ったところで、国際世論は、こんなものは妨害行為である、中共の国連加盟を妨害するための妨害行為以外の何ものでもないと言っておることは、もう国際世論ばかりでなく、あなた自体も御承知のことなのです。私はこの間「ナポレオン・ソロ」というテレビを見たけれども、あのおばさんはやさしいことばを言う。ローボイスでやさしいことを言うけれども、やることは手きびしいことをやるんですね。中共に対して総理は、去る国会において、これは平和愛好国家と思います。こういうふうに述べられておる。いま椎名外務大臣は、何となくそうでないからやはり慎重に検討する、そのためには重要事項指定方式に同調せざるを得ないというようなことを言っておるけれども、総理は、中共は平和愛好勢力か戦争勢力かという質問に答えて、平和愛好勢力、平和愛好国家だと思うと述べられておる。だとすれば、そのような国が国連へ入ってきて、そうしてあまねく国連の普遍的精神によって、国連中心主義の理念によって、そうして国連の場所でお互いの問題を議し、解決をはかっていく、こういう道を選ぶことが当然のことではないか。イギリスは常識があると思う。同じように自由主義陣営に属しておる盟邦である。イギリスだってフランスだって、重要事項指定方式の共同提案国になっていないのです。そのような提案には、ともにあずかってはいないのである。同調されたのはマダガスカルだとか、ニカラグァだとか、ノートを見なければ思い出せないような国々である。そういうような国々に同調をして、そして国際世論の正しきにっかないというその態度は、全く反省されてしかるべきだと思う。  この際、私は伺いますが、ことしの秋の国連総会において、中共の国連加盟問題に対する客観的な見通しは何であるか。その加盟を日本が反対したり妨害したりしても、もしそれ国連が多数決でその加盟を承認することになった場合、一体アジアの指導国として、また中国と密接な関係を持つ日本として、日本の立場はまことにその後は困難の度合いを加えることになることであろうし、北京政府に対しては全く面目次第もないことになると思う。これらの見通しをも含めて、総理の中共対策の中期計画、たとえばこの秋の国連総会では日本はいかなる態度をとるのであるか、その場合においては、日本の立場がアメリカとともに多数を制して否決されたとしても、その翌年は一体どうなるのか、あるいはその翌々年は一体どうなるものであろうか、この見通しをひとつ客観的に述べられたい。  その前に、この秋の国連総会における日本政府の態度は何であるか、御答弁を願います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 見通しといたしましては、去る二十回総会において、単独採決の方法によって中国を加盟せしめるべし、あるいはせしむべからずというような単独採決の方法がとられたときは四十七、四十七、タイでございました。重要事項の場合にはたしか六票の差であったのでありますが、この場合は四十七、四十七、そうして二十カ国がこれを棄権し、それから欠席をした国が三カ国あった、こういうことでございましたが、この内容をしさいに分析をいたしまして得た結論は、四十七、四十七であるけれども、この棄権の二十カ国及び欠席をした三カ国、合わせて二十三カ国は、おおむね中共に対して反対の票を投ずぺかりし国ないしは中共の国連加盟に疑問をいささかなりとも持っておるという国のみであったということでございました。そういうわけで、一年後の今度の秋の国連におきまして、この情勢が全く手の裏を返すように変わるものとは考えないのでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣から詳しくお答えいたしましたので、私から付け加えるものはないようですが、ただ、国際状態はただいま流動していること、これは御指摘にもありましたように、ことしはもしそれが実現しなければ来年はどうなるか。こういうように、まあどんどん変わっている。これに対処して日本が誤らないようにするにはぜひとも気をつけていかなきゃならぬ。これは御指摘のとおりでございます。この中国問題のむずかしさはどこにあるかと申せば、申すまでもなく、ただいま国連に出てくる決議それはいわゆる国府を追放して、そうして中共に代表権を与える、かような立場で国連加盟を認めよう、こういう問題でございます。したがいまして、私どもが今日まで国連のメンバーとして国連創設以来、相互信頼また親交関係を持つ国府が追放される、そうして取ってかわって中共政府が中国代表として乗り込んでくるんだ、このことが重要問題でなくてどんなことが重要問題と蓄えましょうか。とにかくこれこそがアジアの問題である。さらに国際的にも重大な影響を持つ問題である。かような立場、かような事情を考えますと、やはり今日まで重要問題としてこれを取り扱ったこと、これは御理解いただけるんではないかと思います。  また、単に一国が入ってくるとか人ってこないとか——問題は、入ってくるのじゃないか、そんなことちっとも問題じゃないじゃないか、かような意味のものじゃない。日本の国にとりましては隣国であるし、しかもただいまの国府を追放し、そうして中国代表権は中共自身がそれを取るんだ、取ってかわるんだ、こういうのでありますから、これこそ重要問題だ、かように私は考えておるのであります。ただいま申し上げますように、そういう間に処して、在来の方針を堅持するにいたしましても、流動する国際情勢に処して日本が誤りのないように、この上とも注意すべきだと思っております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私どもが主張いたしております北京政府の国連代表権の問題は、同時に台湾を追放しろというようなことを言っておるのじゃございません。これは、当時わが党がその説をなしましたときに、一つの中国、一つの台湾、これは国連の場所において適切妥当に民主的に合理的に解決をはかっていくという、このことについてはドゴールもその後、かくあるべし、これ以外に道はないと述べておる。当時西尾委員長に対して、イギリスのウィルソン党首でありましたか、やはり同調、共感の意思を述べられておる。だから、そのことは同時並行的に解決がなし得る問題であり、またその労をとるべきものが日本国政府であると思う。だから、私はあなたに申し上げたいことは、ただだめだ、だめだと言っておってはならないということである。ただ中共の国連加盟を阻止するという立場を堅持しておるだけでは問題の解決にはならないのであります。のみならず、もしそれ日本とアメリカがそのような態度をとっておったとしても、後日国連が多数によってこれを議決いたしました場合、アジアにおける日本の立場の特殊性にかんがみて、その後の日本の立場は一体どういうことになるのであるか。こういう問題を深くおもんばかりみるならば、中共に対するわが国の外交方針というものは、この時点に立って、かつはこのように目まぐるしいほどに流動する国際情勢の中にさおさして、あやまらなきを期さなければならぬから、よく慎重に再検討願いたいと、こういうことを申し上げておるのでありまするから、その趣意において十分に御検討あらんことを求めます。  次は、沖繩問題について質問を進めたいと思います。  政府は「琉球列島の施政に関する大統領行政命令」これをお読みになっておると思うが、特にその第十節、第十一節は冷酷むざん、辛らつ無類なものでございます。すなわち、他民族によって統治されておる沖繩同胞の心情がどのようなものであるのか、日本国民は何がゆえにこの施政権の返還を求めてやまないのであるか、この大統領の行政命令こそは、それらのことどもを日本国民にいやというほど思い知らせるに足る文章だと思う。  私はここで読みます。すなわち大統領行政命令第十一節は次の権限を規定をいたしております。高等弁務官はすべての立法案を拒否し、高等弁務官はすべての立法を制定後、四十五日以内にこれを無効にし、高等弁務官は、いかなる公務員をもこれを罷免し、高等弁務官は、安全保障のため必要があるときは、琉球列島におけるすべての権限の全部または一部をみずから行使することができるとある。他民族に対するこのような圧制、残酷理不尽な君臨が、民主主義と人権尊重主義の崇高なる国連憲章のもとにおいて今日許されてしかるべきものであろうか、総理の見解を伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま要旨を読まれましたが、いまお読みしげになりましたことと相違ございませんが、御承知のように、ただいまアメリカが施政権を持っております。その施政権のもとにおいていろいろ政治その他が行なわれておる。そういう意味で私ども政府といたしましても、そういう事実を承認したい、その上でいかにすれば自治権が拡大できるか、また公民権が拡大できるか、こういうようなことでただいま交渉しておるというのが現状でございます。ただいま一方的な御批判がございましたが、これについては総務長官からお答えいたさせます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 あとで答弁を求めます。  この沖繩では、いまお読みいたしましたような状態で、今日ではすでにもう博物館入りをしてもいいと思われるような、そんな治外法権の典型がここに残されておる、それによって政治が行なわれておる、米国は椛民地制度の極悪の権力を振りかざしてこの沖繩県民に君臨しておるのである。総理はかつて、沖繩の返還なくんばわが国の戦後は終わりはないと言われたのでございますが、いまだにその信念にお変わりございませんか。総理はいつ、どのようにしてこの戦後を終局させるというお考えでありますか、この際総理の所信のほどを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私が昨年沖繩で発言をいたしましたとおり、沖繩問題が解決しなければ日本の戦後は終わらない、今日も私はさように考えております。沖繩問題を解決するためにどういう処置をとるかというお話でありますが、私はこれをどこまでも日米の相互理解と協力によって祖国復帰、施政権返還、これを実現したい、かように考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 沖繩の地位の国際法上の根拠は、平和条約第三条にあると思います。平和条約第三条は、前段では、日本は沖繩を米国が唯一の施政権着たる信託統治に付するという提案が米国から国連になされたときは、これに無条件で同意する旨、これを規定いたしております。そうして後段では、その提案がされ、かつそれが可決されるまでは、米国が沖繩の施政権を行使することを規定しておるのでございます。したがってこの条文の法意は、沖繩における米国の施政権の行使は、米国は沖繩を米国の信託統治に付することを提案し、国連において議決を求める、このことを前提条件として、そうして信託統治に至らない間の米国の施政権の行使、そのような手続が完了しない間の米国の施政権の行使は、これは後日米国が国連で信託統治の議決を得ることを前提条件としたそれまでの暫定的経過措置、こういうぐあいに解すべきであると思うが、政府の見解はいかがですか。この条文で、第三条で読みますると、「このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」とあるのだから、いずれは信託統治に持っていくのだ、けれども、それまでの間は、米国がとにかくこれらのものをとりあえず統治していくのだ、こういう取りきめになっておる。だから現在の施政、この第三条にいう後段の米国の施政権行使というものは、前段に予約されておるところの国連への信託統治を求めるの手続が米国によってなされるまでの間の暫定的経過措置としてそれが当時認められたものである、法律の構成はそういうものになっておると思うが、いかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 法制局長官に答えさせます。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 ただいま御指摘がありましたように、第三条は前後二段に分かれております。内容を申し上げることもございませんが、信託統治に置くこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意するというのが一つであり、このような提案が行なわれ、かつ可決されるまで云々ということになっておりますので・先生御指摘のように、この合衆国の信託統治に付することが、この第三条の絶対的な前提条件であるかどうかということになりますと、解釈上そこには疑問があるだろうと思います。いずれにしましても、日本国としては、いままでの政府の政策として、これが信託統治に付されることを実は予期しているといいますよりも、施政権の返還というような方向でものごとを考えておるわけでございますが、その信託統治に付されることがこの条約三条の前提条件であるというふうに、しかく厳密に考えておるわけではございません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それでは伺いますが、ならば、米国はこの平和条約第三条に基づいて、沖繩に対する唯一の施政統治権者としてのその地位を確立するために、その後国連に対して所要の手続を行なったか。ここに書いてありますように、こういう提案をするということがここに予約されておる。そのためにこその条文の設定である。この条文に基“表合衆国は国連に対して、この地域を信託統治に付する旨の提案を行なったか。事実関係はいかがでありますか。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 私は、合衆国が沖繩の地域について、これを信託統治制度のもとに置く提案を行なったという事実を存じません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それならば重ねて伺うが、なぜ提案を行なわないのであるか。提案をすれば、当事国たる日本はこれに同意をする旨条約の中ですでに事前の了解が与えてある。のみならず、関係諸国は、この条約に署名をしておることによってあらかじめそのことを容認しておるのである。だから、米国がその提案を怠っておるのは一体なぜなのか。あるいは行ない得ないとするならば、それはいかなる理由、いかなる事情に基づくものであるか、この点を明らかになされたい。日本は、この条約によって提案に同意するといって、同意の意思表示を事前に行なっておる。関係諸国はこれに対して調印をいたしておることであるから、提案されれば異論はない。にもかかわらず、合衆国自体がこの予約しておる提案事項を、提案もしない、その手続をとらない、しかもこのような長期間にまたがって、このような暫定的処理の施政を行使しておるということは一体どういうことか。ともかく提案を怠っておる理由、あるいはし得ないとするならばその理由並びに事情、これをつまびらかになされたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、ただいまのアメリカが提案すれば日本はこれに承諾を与える、こういう問題はございますが、私が施政権の返還、祖国復帰を実現するという立場に立ってアメリカと話し合いをするのは、冒頭に申しましたいわゆる信託統治を考えないで、相互の理解と協力によってこれを実現しようというのでございます。現に、アメリカが占領いたしまして、アメリカが施政権を行なっていた奄美大島もすでに返されたような現状にございます。だから、いわゆる信託統治、これに必ず一応いかなければこれが返ってこないんだ、こういうようにこのことを考える必要はないのでありまして、私は相互の話し合い、相互の協力、理解、これによって実現すべきものだ、かように思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は日本国の政府として——私も反米的立場でこのことを述べておるのではございません。問題の解決が法律に基づいていかにはかられるべきであるか、また法律はいかに公正に運営せらるべきであるか、国民利益の立場に立ってこの問題を論じておるのでありますから、ただ客観的に事実関係をつまびらかにしていただけば、それでよろしいのでございます。だから、私の伺っておりますのは、この平和条約第三条に基づいて、米国はこれらの地域の信託統治を求めるために国連に提案を行なう、そのときには日本は同意しろよといっておる。それでよろしいということで平和条約が署名捺印されておるのである。そのように予約された行為を、なぜ合衆国は国連に向かって手続をとらないのであるか。とらないとすれば、とらないだけの理由があるであろうが、それはとり得ないからとらないのか、それは一体どういうことなのか。理論はあとに続いておりますから、そういう理由があるならば、政府が理解しておる理由が述べられたい。どういうわけでやってこないのか、アメリカのことだから、わしゃ知らぬというのであるならば、よくその事情はつまびらかにしていないと、事実に基づいて御答弁を願いたい。あとに質問が続いておりますから……。どうぞ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 アメリカが信託統治に踏み切らなければならないという強制的な規定もあるわけではございませんので、アメリカの考えによってこれは起こされる問題であって、しかる場合に日本がこれに同意する義務があるというだけの問題であると私は考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 いまの椎名さんの御答弁によって判断するならば、そういうことをそのときは手続をとるつもであったが、その後アメリカが手続をとっていない、こういうことにしかすぎない。そこで私は、国連憲章第七十八条を見ますると、「信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」ことを規定いたしておる、したがって、日本が国連に加盟した昭和三十一年十二月十八日以降は、この沖繩は日本固有の地域となった。したがって、この沖繩に対して、米国は第七十八条の定めにより、これを自分の信託統治に付したいなどと、そのような提案は国連に提出し得なくなったものではないかと見受けられるが、この点に対する見解はいかがでありますか。すなわち、国連憲章第七十八条は、「信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」ことが規定されておる。日本が国連に加盟したのは三十一年十二月十八日であるが、したがって、国連加盟国になったので、さすれば、ここにいう日本固有の地域である沖繩に信託統治を求めていくことは、平和条約第三条によってアメリカとの間に予約されておる事柄であるけれども、七十八条の制約並びに日本に対する加盟国たる身分の発生、これによって信託統治を求めるの手続をとることができなくなったと解すべきであると思うが、いかがでありますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 法制局長官に答えさせます。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 国連憲章の解釈問題といたしまして、七十八条について御指摘のような議論があることは私もよく存じております。ところで、この七十八条でございますが、この成立の経緯等から見まして、七十八条はここにありますように、「加盟国となった地域には適用しない。」この加盟国が、一定の地域社会としまして国連の加盟国となりました場合に、その地域には適用しないというわけで、シリアとかレバノンとかというような事例につきまして特にこの規定が設けられた趣旨のように私は聞いておりますが、その解釈といたしましては、従前から政府は、七十八条が、信託統治下にある地域が国家として国連に加盟するに至った場合の規定であるというふうに考えておるわけです。しかし、この考え方は政府のかってな解釈ではないかというふうに見られるかもしれませんが、これにつきまして、私どもがそう考えておりますのには、たとえば日本の学者の中にも、あるいは西欧の学者の中にも、そういう解釈をとっておりますので、いま直ちに先生の仰せられましたような解釈が唯一の解釈であるというふうには申し上げかねるのございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、あなたは日本国の法制局長官であられる、その立場を忘れないで御答弁を願いたい。私は、お互いのその主権を確立することのために、かつは総理がかねがね述べられておりまするとおり、沖繩問題の解決なくんば戦後は終わらないものであると害われておることは、日本一億国民のひとしく心の中に煮え返る思いであろうと思う。だから、その根源法である平和条約第三条をつぶさに読んでいって、関連する世界人権宣言、国連憲章、これなんかをずっと調べていくと——なぜ調べる必要があるか、いま法制局長官が述べられたごとく疑義がある。定説がない、そういうことだから、疑義のある問題については関連条章と照合することによって国連精神全体を総合的に判断をして、かつその法意は那辺にあるか、これを求めていかなければならぬと思う。そういう意味で私はその周辺の関係条章をいろいろ調べてみた。  まず第一番に国連憲章第一条第二項は、このことに関連をして国連の目的と原則、これを定めてかくのごとくに述べておる。「人民の同権及び自決の原則の尊重に基礎をおく諸国間の友好関係を発展させること並びに世界平和を強化するために他の適当な措置をとること。」これが国連の目的であり国連運営の原則である。だとすれば、米国施政のもとにおいて現益沖繩同胞が、はたして国連による世界人権宣言に基づくいわゆる同権を享有しておるかどうか。後に私は裁判権の問題について質問をしたいと思うが、これはあまりにも歴然たる例証がなされ得ると思うのでありまするが、たとえば人民の同権及び人民自決の原則、これは国連憲章第一条第二項に書いてある。沖繩同胞がはたして国連による世界人権宣言に基づくいわゆる同権を享有しておると思うか。  次には、日本国における国民的自決とは、沖繩同胞百万のこの沖繩を日本が含めることによって、初めて国民自決の条件を整えるに至るものではないか。沖繩にある百万の人間は日本の施政権が及ばない。国民自決というものが国連憲章の目的であり運営の原則であるとするならば、このような分離された形ではたして国連憲章第一条第二項の規定というものは達せられておるかどうか。さらに沖繩に対するアメリカの統治が、この後段にいわれておるような諸国間の友好関係を発展させるために必要な手段であるかどうか。このような原則はどうも愚かな事柄であると思う。ことごとく人権は非常な差別待遇である。異民族によって治外法権のもと、ひどい仕打ちを受けておるのである。そうして、日本国民は分離されることによって国民自決の体をなしてはいないのである。このようなことが日本国民の中に反米感情を絶えず根強く植えつけてやまぬのである。したがって、国連憲章のこれらの基本的原則に照らし合わせまするならば、すなわち七十八条にいう国連加盟国の地域は、これは信託統治に付さないものであるということが初めて明確に浮かんでくると思う。  さらに憲章第七十六条もいろいろ調べてみたのでありまするが、この信託統治の基本的な目的をここでは述べておるが、それによると、「自治又は独立に向っての住民の漸進的発達を促進する」ために信託統治に付するといわれておる。信託統治の目的がここにあるんですね。そうだとすれば、沖繩がアメリカの手によって自治または独立に向かって助成をしてもらわなければならぬ理由や必要が一体ここにはあるのか。もしありとするならば、その名目はいかがあれ、それは国連憲章も厳に禁止しておるところの内政干渉、悪質無頼な内政干渉である。だから政府は、沖繩に対する米国の統治は、国連憲章の精神並びにその条章に照らして歴然たるこれは違反行為である。この際日本国総理大臣の名のもとにおいて、これを内外に宣言してみたらどうですか。いわれなき施政権の強行である。信託統治に付するものであるならば、なぜその手続をとらないか。付し得ないものであるならば、これは国連憲章第一条第二項の規定に基づいて、許される事柄ではない。しかも、カイロ覚書においては、領土、権益不拡大の原則を、これは世界に向かって宣言しておるところである。だから、アメリカが沖繩においてこのような施政権を行使するということは、国連憲章の各条章の規定に照らしても、総合的精神から判断をしても、カイロ宣言のその宣言から照らしても、いわれなきことであり、不当な違法行為である。このことを明らかにすべきである。いかがです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 沖繩問題は、たいへんな基本的な戦後処理の問題であります。御承知のように、私ども日本が、潜在主権を認めてくれたというか、これが認められたのがきわめて最近だ。その以前においては、これはいわゆる占領統治をやっておる、こういう形であり、サンフランシスコ条約によって初めてアメリカがここに施政権を持つ、こういう形になったわけであります。その際に、日本に対しても、潜在主権は日本にあるのだ、これが岸内閣時分にはっきりしたと、私かように覚えておりますが、この立場でこの沖繩問題と取り組んでおりますが、そのときに、沖繩の独立だとか、あるいは自治、こういうものは実は考えられない。沖繩が日本に返ってくるというか、祖国復帰、それは考えられるので、沖繩の独立ということはないはずであります。私が昨年にジョンソン大統領と会いまして、いろいろ沖繩問題と取り組んだ場合に、アメリカは何と言ったか。極東の事情が許すならば、そのときには沖繩を日本に返す、こういうことを実は言っております。これが、私は日米の相互理解と協力によってこのことを実現したいという、実はその根拠でもあるのであります。ただいまそういう実情にありますので、祖国復帰が実現するまでの間、私どもは、沖繩の民生の向上に、この本土との間の格差のないように、あらゆる努力をする、援助をする。ただいまの態度はそのとおりであります。ただいまいろいろ法律論から春日君種々御説明になりましたが、そういう法律論も大事だと思いますけれども、私はむしろ、ジョンソン大統領と私とが共同声明で世界に声明をいたしましたあの共同声明、その中にあります沖繩に関する一項、これを取り上げるのが本来の筋ではないか、かように思っております。私は、そういう意味で、相互の理解と協力でこれを実現したい、かように思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、総理がいろいろの立場でアメリカに向かって精力的にその努力をされておるということについては、これは敬意を表するにやぶさかではございません。けれども、そのよって立つ論拠が誤っておっては相手に説得力を持たない。このことを私は心配するのであります。だから、法律のたてまえがいかがあれというようなことを言われましたけれども、社会の秩序は法によって保たれておるのである。法律をありのままに理解し、その法の権威にお互いが服従するのでなければ、その法による社会の秩序というものは保たれない。だから法律をありのままに、厳粛に、公正に判断しながら、主張すべきところは主張しようじゃありませんか。総理は、本委員会においてもしばしば言われておる、アメリカに対しても言わなければならないことは私はどんどん言うと荷われておる。だとすれば、どんどん言っていただこうではありませんか。  このような平和条約第三条の中において、信託統治に付するそれまでの間はアメリカが施政権を行使するんだと言うておいて、それまでの間というその前提条件、前提的基礎条件、それがなくなってしまった、もうすでに二十年にまたがってやっていないのですから。やっていないのは、これはやり得ないからです。やり得ない一つの理由は、国連憲章七十六条、七十七条、七十八条、いろんな関係でやり得ない。  それから、私は外務大臣にもう一つ伺いたいのでありまするが、かりに米国が平和条約第三条に基づいてこの沖繩を米国の信託統治に付したいとの提案が国連に提出された場合、国連はその議案を国連のいかなる機関に付託するか、これをちょっとお伺いしたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 条約局長からお答えいたします。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 戦略地域の信託統治でございましたら、安全保障理事会でございます。それ以外の一般の信託統治に付される場合には、総会でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それは、いま局長が述べられましたように、結局沖繩がかりにもしそれ信託統治に付し得るの要件を備えるものとする場合は、これは戦略上の見地から判断されてでなければならず、さすれば、その場合においては、付せられる機関というものは安保理事会である。安保理事会の構成メンバーは、そこの中にはソビエト・ソーシャリスト・ユニオンが入っておる。彼が拒否権を行使することは歴然たる事項である。だから、この問題は、なぜアメリカが第三条に基づく予約事項であるところの国連による信託統治の手続をとらないかということは、これは国連憲章にもいろいろと抵触するが、かりにそのような提案をされても、ソ連は平和条約に署名もしていないし、また米ソの対立の実態から判断をして、拒否権が行使されることは明らかである。なし得ないからやっていない。そういうような沖繩の統治である。そのような権威なき統治である。法律の違反。カイロ宣言においては、これは領土不拡大、自国の権益の不拡大、これを宣言しておりながら、米国がみずからの恣意にゆだねてこのような施政権を強行しておるということは、これは何としても不当なことである。すなわち、前提条件がかくのごとくにして失われておるのであるから、基礎が失われた上に立てられておるものすべては、これは除却されてしかるべきではないか。だから私は、このような見地に立って、総理、あなたはジョンソンたりといえども言わなければならぬことはずけずけと言うと言われたのでありますから、ひとつこの問題を取り上げて、平和条約第三条の規定に基づいて一体これはどうなっておるのか、国会においてこういう論議をなされたことにかんがみて、胸襟を開いて、施政権は全部返してもらわなくちゃ筋が立たないのだ、この立場から大いにひとつジョンソン大統領と話し合っていただくべき事柄ではないかと思うが、所信のほどを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もちろん事柄といたしましては、大統領と胸襟を開いて話をすべき筋合いのものでございます。ただいまの藤崎条約局長の説明でおわかりが一そう前進したと思いますことは、アメリカが沖繩を占領する、あるいは南方諸群島等を占領しておる。そして、それにいろいろの軍事基地その他を設けている。これは、やはり国際的な情勢で戦略的にあるいは戦術的にそれだけの意義があるのだ。逆に申しますならば、そういうことによってバランスがとれて平和の維持ができている、こういう状態でございます。したがいまして、私がジョンソン大統領と会って共同声明をつくりました際に、極東の事情が許すようになればそれは返す、またそういう事態の来ることを心から望んでおる、かようなことを実は申しておるのは、この点であります。いわゆる世界の平和に、またアジアの平和につながる問題だと、かように御理解をいただきたいと思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それはせっかくの御答弁でありますけれども、後日に重大な疑義を残す問題でありますから、あらためて御訂正あるいはしかるべく御調整を願いたいと思うのでありますが、加盟国はみずから申し出ればその地域を信託統治に付することができる、こういう条項もあると思うのでございます。ですから、共同声明で沖繩がいま返されなくてもいいのだという消極的容認、このような意思表示を共同声明でなされたということは、沖繩における施政権を全的に返還しろという国会決議に反する言動である、その疑いなしとはしない。そうですよ。これは返してもらわなければならぬのだし、よって立つ法的根拠はさまざまな疑義があるのであるから、ジョンソン——アメリカに向かっては、返してくれ、返してくれの一本やり、頭突き戦法でいくべき筋合いのものである。アメリカに、極東のいろいろな不安を除去することのために、さまざまな外交政策上、防衛政策上の必要がありとするならば、その問題は戦略的見地に立って、国連の安全保障理事会において論じられなければならない筋合いのものであって、そのような不安がなくなるまでアメリカが持っておっていただいてもよろしいという、そういうような暗に容認的語韻の漂う共同声明をなされたということは、私は問題があると思うのです。正確にあなたがおっしゃったことばの意味というものを、いまこれは質疑応答の受け答えでございますから、あるいは私が判断が誤っておるかもしれませんけれども、それは十分に検討されて、日本国総理大臣の沖繩に対する対米交渉は、施政権の返還、これを求めることに尽きるのである。極東の不安がなくなるまでアメリカが持っておってもらってもいいというようなことをほんとうに言ったのですか。そんなことを言われないでございましょう。明らかにひとつ訂正を願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は返還を強く要望した。それに対するジョンソン大統領の答えは、ただいま申すように、共同声明で表現したとおりであります。だから私は、今後ともアメリカと日本との相互理解と協力によってこれを実現する、かようにも申しておりますので、アジアの状態、国際状態、これが変わってくれば安心して返してくれるのだ、かように思いますし、そういう事態の招来に私どもも努力しなければならない。ただ頭突きで返せ、返せと言ったら、それで返してくれる、こういうものじゃない。私どものやるべき事柄もやらなければならない。これを私は申し上げておるのでありまして、誤解のないように願います。私が強く願望を述べたその結果、アメリカは、事実はこうなっているのだ、こういうようなお話でございます。これを了承した、こういうものではありません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 たしか国連憲章第十四条でありましたか、とにかくこの条約を平和的に変更を求めるの要件というものが定められております。現実の問題としてこの第三条は、その後アメリカが国連に向かって信託統治を求めるの議案を提出してこないということ、しこうして日本がその後国際連合に加盟することによって、日本固有の地域を信託統治に付せられるべき筋合いのものではないという立場を確保したこと、このことは、この平和条約の取りきめを平和的に変更を求めるの要件を備えるに至ったものであると理解すべきである。福田さん、わかるでしょう、あなたは頭がいいようだから。だから、この問題はあらためてよく判断をされて、確信を持たれたら、ひとつ国連に向かって堂々とその所論に基づいて公正な主張をしてもらいたい、このことを要求いたしておきます。これは大いに御検討を要する事柄でございましょうから、知謀をしぼってひとつ大いに御研究を願いたい。  そこで時間がありませんから質問を進めます。  次は自治権拡大の問題に関連して、裁判権についてお伺いいたしますが、大統領の行政命令の第十節では、沖繩では、民事裁判権は、高等弁務官が命令するなら、随時米民政府の裁判にかけられる。刑事裁判では、一方にアメリカ人が関係する事件はすべて米民政府の裁判権のもとに置かれる。沖繩政府の裁判権は米民政府の委任の名のもとに、その範囲内に限り、沖繩住民間だけの事件に限られる、こういうことになっております。世界人権宣言第二条第二項は、人権の無差別平等の原則について、特に「信託統治地域であると」と、イニシアを置いてそれを明示して、信託統治のもとにおいても、すなわち人権が侵害されてはならぬ。そのような地域においてこそ侵害のおそれがあるから、だから世界人権宣言二条二項は、特に「信託統治地域であると」と、これを明示して、政治上、管轄上または国際上の地位についていかなる差別も設けられるべきでないと宣言をいたしておるのでございます。ですから、もし沖繩において、世界人権宣言に基づいて法のもとの平等であるとか、法の公平が客観的に保障されなければならないとアメリカが考えるならば、また日本国もそれを考えるならば、私はこの大統領行政命令第十節、これは少なくとも撤回願わなければならぬと思う。  政府は、自治権拡大に努力することを国民にも約束されておる。沖繩県民にも強く約束されておるが、この裁判権のごとく実体的な内容のある自治権拡大に何も手がついていないということは遺憾である。沖繩同胞の基本的人権を法律上最低限の保障を行なうためには、少なくともこの際、沖繩における裁判権、これを拡大しなければならぬ。この問題について総理の御見解はいかがでありますか。実質的な基本的人権について……。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 裁判権につきましては、お話しのとおりに、現に軍事裁判、そのほかに民政府が持っております裁判権、それと琉球政府の裁判権と、三つあるわけでございます。しかも、その中で昂政府の持っております裁判権が相当重要なウエートを占めておることは、御説のとおりでございます。しかし、この運営にあたりましては、極力民主的に、琉球裁判所でやるべきものは残すというふうな方針がとられておりますし、また私ども自身も、この裁判権の移譲につきましては、従来とも強く主張して折衝を続けておるような次第でございます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 本年一月号の「世界」、ここの中で、沖繩民主党総裁、現琉球政府主席松岡さんがこのことを述懐していろいろ述べられておりますが、読んでみると、その要旨はこういうことです。「主席を公選制にしたところで、それは必ずしも自治権拡大にはならない。なぜならば、大統領行政命令のワクをはずさなければだめなんです。そのワク内でしか動けませんから。ただ任命が公選に変わっただけで、肝心の主席の権限は何も変わらない、結局、実質は同じなんです。だからわれわれとしては第一に大統領行政命令のワクをはずして広げること、具体的には軍事以外、民政に関する限りは一〇〇%琉球政府に権限を移す、その上で主席公選をやること、これ以外では意味がないのだ」と言って、あなたと同じ党の立場にあられる松岡さんはこのことを嘆いておられる。だから、いま総務長官がお述べなすったように、できるだけ沖繩の裁判所へ権限を移譲するように交渉するとかなんとかというような技葉末節の問題じゃないのでございます。そのような単なる行政技術上の問題じゃない。冒頭から述べられておりますように、これは大統領行政命令第十節、第十一節、これの廃棄処分を求めていく、撤回を求めていく、この根本的な交渉がなければ、私は何も自治権回復の実はあがらないと思う。真剣にひとつアメリカとの間にこれらの問題を中心として取り組んでもらう必要があると思う。決意のほどを承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまのお話は、基本的な問題としてはそういう考え方が正しいのだと思います。ただ、私は、先ほど総務長官がお答えいたしましたように、沖繩の現状というものは、ただいま言われるような状態を現出するまでにほど遠い状況にある。そこで、それまでの間、とにかく一歩一歩前進していくのだ、一歩一歩拡大していくのだ、かように考えておりますが、ただいま春日君からおしかりを受け、そんななまぬるいことではいかぬと、さらにまた政府を鞭撻されました。一そうその鞭撻にこたえる、こういうような意味でも、さらにスピードアップしていくように努力いたしてまいります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 まあスピードアップと言われるけれども、もっともスピードも必要ですけれども、とにかく、問題はその中身、質の問題なんです。私は、沖繩における米国施政というものの法的根拠についても、第三条の関係において述べました。それから大統領行政命令第十一節というものがいかに残酷無類なものであるかということ、これについても、いろいろと例示してこれを述べました。特に自治権の本質とも言い得る裁判権の問題、こういうような問題についても、あまりにもひどい治外法権である。こういう問題はテンポを早めて交渉するというのじゃなしに、こういう仕打ちを受けておるのであるということをよくアメリカの世論に訴えていただきたい。アメリカの責任者に対して、あなた方のやっておる法的根拠というものは、これは随所に疑義があるものである、だから大いにこの問題を論じ合って、国連憲章の原則とその精神に照らして公正な処理をしようではないかと、ほんとうに話し合ってもらいたい。その話し合うためには、これは端的に話し合って解決がつく問題ではないと思うのです。だから「沖繩問題については、現在日米協議会という機関がございまするけれども、これは主として経済協力を議題とする機関である。このような施政権返還でありまするとか、自治権拡大とかを含めた施政権全般の問題については、この日米協議会はその権限のらち外の事柄ではないかと思われる。だから私は、この際どうしても日米間に、沖繩問題の審議を主題とする特別の常設機関を設置して、常時日米がこの問題解決のために協議し得る体制を整えるの必要があると思うが、これについて総理の御見解はいかがですか。ありと思われたならば、アメリカに向かってそのことを呼びかけられ、提案されてはいかがです。——ちょっと待ってください。ぼくは、こういう問題は、いまの経済協議会というものではだめなんだから、もっとボリュームのある、権威の高い、そういう機関を設置せらるべきである、こう思うが、所見はどうか。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 事実関係だけちょっと申し上げまして、あとから総理から……。  御承知のとおり、日米協議会というものができておりまして、従来はこれは経済協力の関係についての協議事項に限定をされておりました。昨年の一月、佐藤総理がジョンソン大統領と会見されました結果、経済協力以外の一般の施政権、行政上の問題につきましても、これは協議委員会で交渉ができる、こういうふうな合議に相なった次第でありまして、私どもいま布告布令その他の問題につきましても、これを協議会の対象にするということで事を運んでおるような次第でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの事実関係は御了承いただけたと思います。私はかねてから申しておりますように、日米の相互理解と協力のもとにおいて施政権の返還を実現したい、かように申しておりますので、アメリカに対して十分当方の要望、願望をよく伝えまして、そうしてその理解のもとにこれを実現するようにしたい、かように思っております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 あとベトナム問題についてお伺いをいたしたいと思うのでありまするが、時間もだいぶ迫っておりますので、その重要なる二、三点について端的にお伺いをいたしたいと思います。  総理は、あらゆる手段を尽くしてベトナム和平のために立ち働く決意であるとこの間うち述べられておるのでありますが、まずベトナム和平を論ずるにあたって最も必要なことは、ベトコンというものをいかに見るか、問題はここに尽きると思うのでございます。アメリカ当局はこのベトコンというものを和平のテーブルに参加せしめることについて非常に否定的である。けれども、現在ベトナムにおきまする紛争の実態は——私もこれは九月末から十月の初めにかけてベトナム調査団を党が編成いたしまして、その一員となって現地に参りました。そうして政治、外交、軍事の各面からつぶさに実態を見てまいったのでありますが、現益ベトナムにおける紛争の実態は、南ベトナム政府とベトコンとが戦っておる。なるほどベトコンが北ベトナムの軍事援助を受けておる実態がありとはいいながら、戦争の実態は両者が当事者と見るべきである。したがって、その当事者の中の一方のベトコンを組手にしないということであっては、これはベトナム和平を取りつけることは全く困難ではないかと思う。総理の所見はいかがでありますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 お説のとおり、ベトコンがゲリラの主力となっておるようであります。しかし、その実勢はいまははたしてそうなっておるか、あるいは北越の軍隊がその実権を握っておるのか、その点はまだ明らかでございませんが、とにかく交戦相手であるという点は、これは見のがすことのできない事実であります。ただ、これが別に組織的な政府を形成しているわけでもない、所在すら明らかでないというような実態でございますので、主として北越が相手というようなことに相なっておったのでございますけれども、しかしながら、最近ではやはりベトコンの考え方をいずれにしても会議の際には反映せしむべきであるというようなことは、大体の定論になりつつあるのではないか、こう考えます。私どももそういう考え方に従うべきではないか、そういうものを重んずべきではないか、こう考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 とにかくベトコンを相手にしようと思っても所在が明らかでない、そんなばかなことを言っておられるけれども、ベトコンがいまや世界の多くの国々にその代表を送って、いろいろと外交交消も現実に行なっておるほどである。この「世界」という雑誌の中には、ベトコンの執行委員三十何名の写真と氏名と経歴まで載っておる。日本国政府がベトコンのあり個所がわからぬから、何とも相談のしょうがないなんというようなとぼけたことを言っておられるとすれば、これは重要な問題であると思う。問題は、われら民社党は、とにもかくにも共産主義には反対である。だから、国内においては共産主義、全体主義と対決して日々の政治活動を行なっておるが、外国においては、これはお互いの政治活動のらち外の事柄である。したがって、違った政治体制の国々とも共存共栄をはかっていく自主共存の外交方針をとっておる。だから、南ベトナムにおいてベトコンがどのような政治信条を持とうと、それは問題とすべきではない。われわれがいま問題にすべきことは、戦闘行為をやめさせて、すみやかにベトナムに和平を取りつけることである。そのためには戦っておる当事者の中の一方、これを和平の話し相手の対象としなければ、和平を取りつけようと思ったってできないじゃありませんか。ベトコンを話し合いの相手と認むべきであると思うか、認むべきにあらずと思うか、総理大臣の御見解を伺います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど外務大臣がお答えいたしたように、ベトコンの主張というものが、やはり会議においては何らかの形において考慮さるべきだ、そういう考え方で、ただいまの会議を持つという場合におきましても、どういう形か、とにかくベトコンの主張というものが協議の事項になる、こういうように私は考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 対象にするか、しないか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 対象になるものだと、かように考えております。ただいまの会議に直ちにだれを参加さす、こういう問題は別でございますが、その主張そのものが会議の対象になるものだ、かように思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私は、まことに失礼でありますけれども、現地へ参って、戦争の現地にも参りました。あるいは国内の民主主義体制がいかにあるか、その実態もいろいろ調べてまいりました。私は、現地におけるいろいろな調査の実感の上に立ってこのような判断をいたしておるのでございまするが、戦っておる両当事者の戦いをやめさして、これを和平のテーブルにつかしめることがいまアジアの平和を確保することのための第一要件である。そういうことであるとすれば、ベトコンの主張が何であるか、かんであるか、そういうことを聞くためにも、その本人をラウンドテーブルのところへ来たらしめなければならぬ。そのような者を相手にしないとか、そのような者の参加を拒否するとか、そのような形では、ベトナム和平という問題については、どんなに口先で言われても、その実をおさめることは困難であろうと思う。よく認識を新たにいたされまして、願わくは現地調査等をなされまして、ベトコンは当事者である、そうして南ベトナムもその当事者である。北ベトナムとアメリカはそれを援助しておる、軍事的援助をしておる従の関係に立つものである。これは実態がそうなんですから、したがって、われわれはもとより共産主義に反対するものであるけれども、しかしながら、これは大西洋憲章の中にも米英共同宣言の中にも、その民族がその国においていかなる政治体制を選ぶか、そのことは、その民族の自主権として、きちっと確立されておる事柄である。だから、そういう意味でよく認識を新たにして、判断を誤たれることなく、アジアの指導国として、ベトナム和平のために日本が有効な活動をされますることを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて春日君の質疑は終了いたしました。  次会は明九日午前十時より開会することといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五分散会

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