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51回国会衆議院1966/02/07

予算委員会 第7号

発言数
222
登壇者
10
会派数
2
開催日
1966/02/07

会議録

福田一自由民主党

○福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算、昭和四十一年度特別会計予算、昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。勝間田清一君。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました四十一年度予算案に関連いたしまして、経済、外交並びに政治姿勢につきまして、佐藤内閣の基本方針についての質問をいたしたいと思います。  つきましては、佐藤総理に二点お願いをいたしておきたいと思うのであります。その一つは、私は国民の側に立って質問をいたすのでありますので、佐藤総理も、単に言いのがれをうまくやるという態度ではなくて、やはり国民に対してわかりよく説明をする、答弁をする、こういう態度でお答えを願いたいと思うのであります。また・もう一つは、きょうは佐藤内閣の基本に関する問題でありますので、佐藤総理にお答えを願いたいと思うのであります。  さて、第一の問題は経済に関する問題でありますが、特にその中でも第一の問題は、物価に対する問題であります。  まず、私は一年前のこの予算委員会を想起いたすのでありますけれども、佐藤内閣は、本年の物価を四・五%に押えるということを国民に公約をしたのであります。しかしながら、四十年度の物価の上昇は七・七%にものぼる、まさに最近の最高記録であります。これは単に見通しが間違ったからというのにしては、あまりにも大きな差であります。一体、こうした大きな差が生じたのは、佐藤内閣の物価政策が誤ったのか、失敗したのか、また佐藤内閣は物価政策をサボタージュしてきたのかと、国民はここに大きな疑惑を持っておるのでありますが、この疑惑、この不信に対して、佐藤総理はどうお答えになりますか、まずこの点をお尋ねしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。御承知のように、消費者物価を四・五にとどめる、これが計画であったということは御指摘になるまでもなくそのとおりであります。この四・五が七・七あるいは七・五、そういうような数字になる。まず第一にこの責任を追及されておるのでありますが、昨年の一年どういうような物価の動きを示したか、これは勝間田君も御承知のように、特に春野菜あるいは生鮮食料品等が非常な値上がりをした、これが非常に大きく響いて当時八・四にものぼった、かようにいわれております。この生鮮食料品、野菜なり魚が非常に上がった、これが確かに影響しておる、かように私は見ております。ただいまは一体どうなのか、こういう点につきまして十分の対策が講ぜられた。だから、食料品、野菜あるいは魚からきた値上がり、これは一部のものである、かようにお考えいただきたい。私はさような意味におきまして、国民生活に影響を与えている消費者物価、こういう意味でこの問題と真剣に取り組んでいく。だから、野菜の集団産地などを計画して、あるいは流通機構の整備もできるだけの改善をはかっておる。魚などについては、冷蔵倉庫その他輸送の面でもくふうしていく、こういうことで最近は落ちついてまいったようであります。しかし、いずれにいたしましても、弁解がましいことでありますが、物価全般の問題というよりも、これは非常な野菜あるいは魚と、こういう一部において問題があった、そういう意味の点を特に注意して、今後物価が鎮静するように努力したいと思います。  なお、専門的な問題でありますから、必要があれば経済企画庁のほうで物価のパーセンテージその他についてお答えをしたいと、かように思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 総理は野菜にその責任を転嫁したようでありますけれども、この値上がりの問題については、さらに私はこれからも追及したいと思います。ただ、七・七も物価が値上がりするということは非常に重大なことでありまして、今日国民は生活に物価高から非常な脅威を受けております。それだけではありません。たとえば日本の国民は世界一貯金をする国民だといわれます。日本銀行の調査によりましても明らかなとおりに、金があり余るから貯金をしておるのではないのであります。老後の安定のために、子供の教育のために、万一のことがあってはならないから苦しい中から貯金をしておるのであります。いわば社会保障、教育制度が完備していないので、国民はみずからの生活を防衛するために、苦しい中から貯金をしておるのであります。その貯金をしておる人たちを考えてみてもわかるとおりに、最高の利回りがついても銀行の一年定期で五分五厘、しかし物価が七分七厘上がったのでは利息もふっ飛ぶ。元金に食い込んで価値は下がる。この勤勉にして誠意ある国民に対する責任ある態度をとっておるのは一体だれでしょう。今日の日本の状態で政府も責任はとらない。本来その役目に立つべき日本銀行さえその責に任じようとはしない。そういう不安な状態と無責任な状態の中で、一体、国民生活の安定をすることができましょうか。金の値打ちを維持する責任が今日日本のどこにもない。そういうことを考えると、私は、国民が今日の物価問題に対して非常な不安と不満を持っておるであろうということは想像にかたくないのであります。私は端的にあなたに質問したいのでありますけれども、あなたは国民に貯金をしなさいということをどう説明しますか。お尋ねします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま金利と物価の上がる率とこの両方から、これは均衡がとれてないじゃないか、ただいま言われるように、貯蓄をすすめたからって、その金利を上越す物価の値上げ、これでは一体どうなるのだ、こういう意味のお尋ねでございます。  私は、物価全般について、これはもうしばしばお答えしておりますが、まず卸売り物価にはあまり変化はない。むしろ最近の傾向では、卸売り物価、工業生産品の品物については下降ぎみですらある。しかし、これがどうして消費者物価の場合に上昇の形になるのだ。これはしばしば今日指摘しておりますように、経済の発展が急激に行なわれた。そのためにいわゆる平均した、安定した成長が、また各業種間における均衡のとれた成長が行なわれておらない。そういう場合に、生産性の低い部門におきましても労働の流動性を十分欠くとか、あるいは賃金そのものも、やはり所得の平準化なり賃金の平準化なりが叫ばれて、そうして上がっていく。今日問題は、いわゆる不況を克服するとか、経済を正常化するとか、こういう立場で、そのよって来たるところの病根は一体どこにあるのか。いわばただいまも申し上げるような各生産性の相違にかかわらず、そこらに無理があるんだ。だから、農業だとか、あるいは中小企業だとか、あるいはサービス業だとか、こういうものが軒並みに上がらざるを得ないような状況になっておる。こういう点に病根がある。だから、物価の問題、同時にまた国民生活を守るという立場から申しますと、かような点にメスを入れて、そしてこれを正常化するということがまず第一に必要なことなのだ。政府自身が真剣に取り組んで経済の正常化をはかる、そのために不況を克服するのだ、かように申しておるし、同時に、この点を通じて物価の安定を期するのだ、目途とするのだ、かような説明をいたしております。この実情を十分ごらんになればおわかりができるだろうと思います。  ただいま貯金をいたしましても、いわゆる金利と物価の値上がりというものに格差のないようにする、こういう意味の努力、それこそはただいま申し上げる経済の正常化だ。ここに問題があるわけであります。これは一時的な問題なんだ。これが非常に長期にわたり、数年にわたるような状態だ、こういうことだと、ただいまの御批判も出てくるかと思いますけれども、しかし、これは昨年一年についての批判なんだ、こういう点から申せば、ただいまの賃金そのものの実際をごらんになっても、まだ実質賃金のほうが生産性をこしておる、かように私は見ておりますから、実質賃金も上がっておる、かようなことが言えると思いますので、ただいま金利の問題についても、これは短期的な問題だ、かような現象だ、かようにお考えをいただくと、今後の私どもの努力の目標、また政治のあり方というものについて期待がかけられるのではないか、かように私は思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私の質問に答えてくれないわけです。あなたは一時的と言われるけれども、御存じのとおり、三十六年から今日まで物価は平均に六%上がっております。しかも例年上がる傾向が強くなっております。そうして、佐藤内閣に至って七・七%という最高記録を発揮しております。そうして、あなたがここで言う、本年度は五・五%に押えますということが、もし額面どおり行なわれたとしましても、四十一年度は五・五%であることは言うまでもない。私はそうした物価高と金利との間には著しい差があるじゃないか、一時的現象じゃないじゃないか、こういう状態を考えてみるときに、私はあなたに、どうしてあなたが国民に貯金をしなさいと説明をされるのですかということを聞いておるわけです。それについてお答えください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま申し上げるように、これは一時的な現象だ、長期にわたる形ではない。ただいま政府の考えておりますものは、ことしは物価は七・七だ、あるいは七・五だ。しかし四十一年になれば、これは五・五にする。さらに二、三年のうちには三%程度にとどめる、かように申しておるのであります。かような状況になれば、ただいま言われますような点は、金利のほうがそれを上越すという状況でありますから、貯蓄を奨励することとちっとも矛盾をしない。問題は、かような物価の高い状態が非常に長期にわたって物価上昇の形をとる。あるいはこれを短い期間において克服することができるか、こういうことになるのではないかと思います。だから、ただいま申し上げるように、政府自身が将来二、三年後にはこれを三%に下げる、この計画をごらんになれば、ただいま貯蓄をしてもちっとも心配はない、こういうことがおわかりだろうと思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、三%の問題は、さらに後ほど追及をしたいと思うのでありますが、政府に注意を喚起したいと思いますのは、先ほど申し上げたとおりに、国民が血と汗で働いた成果の価値を維持することに対して、政府も責任を持たない。そうして、今日のいわゆる管理通貨のもとにおいて、その本来の任務とする日本銀行も、その責任を全うすることのできない状態にある。こういう状態で、いわゆる責任不在の状態で国民が働かされておるという状態に対して、私どもは心から不満、怒りを感ぜざるを得ません。これをいかにすべきかという問題について、私は後ほど質問をいたしたいと思うのでありますが、しかし、いまの佐藤総理の答弁にもかかわらず、やはり今回の四十一年度の予算編成方針についても、物価対策軽視、不在の精神というものは変わりはないのではないかということを私は感ぜざるを得ない。あなたが何万べんここで述べても、それはかって一年間幾つとなく物価対策を作文しても実行できなかったと同じように、あなたの根本的な考え方に間違いがあるんじゃないだろうか。ここに私は非常な不安を実は感ずるのであります。  たとえば、一つの例でありますけれども、あなたはこの前、一月の二十五日でしたか、記者会見をしておられました。私はテレビで聞いておりました。私の聞き間違いではないかと思って、さらに新聞をも見させていただましたが、こう言っておるわけであります。物価政策にはこれといったきめ手があるものでなく、理論的に言えば、経済そのものが安定基調に乗れば、物価は自然に落ちつくものだ。この発言はあなたには身に覚えがあるでしょう。私はこの考え方だと思う。きめ手がないのだともうきめておる。そうして理論的には経済が安定基調に乗れば、物価はその結果自然に落ちつくものだ、これがあなたの考えなんです。私は、今日後ほどいろいろ質問をしたいと思うけれども、たとえば五円のノリが二十円に売られるという問題について、きめ手はあると思う。高い砂糖を安くするきめ手はあると思う。また小麦粉の値上がりを押えることができた。きめ手はあると思う。だが、あなたがきめ手がないときめ込んでやらないところに第一の今日の原因がある。  もう一つは、あなたの根本には、まず不景気を打開して財界のごきげんをとって、物価はその後にしよう。不況克服に名をかりた一つの政策があなたの前面に出ておるのじゃないだろうかと私は思う。理論的に言えば、安定基調の上に立って、やがて物価は自然に落ちつくという考え方、この考え方があなたの根本にあるんじゃないですか。これはお隣にいらっしゃる福田さんだって同じだと思う。福田さんが十二月の二十五日の参議院のわが党の木村委員に対する答弁におきまして、こう言っております。「私は、当面問題が二つあるのだが、一つは、日本経済を不況から脱出させなければいかぬ、同時に、日本経済を安定成長路線に乗せなければいかぬ、」そうして若干言いまして、「しかし、今日の時点で何が一番ウエートを置いて考えなきゃならぬ問題であるかと言えば、これは経済の不況を脱出する、」ことである。いわゆる不況脱出論というものが優先的にここに考えられる。ここに私は佐藤総理の考え方と福田大蔵大臣の考え方というものが一緒になって四十一年度財政方針というものができ上がっていると思う。ところが、今度総理の施政方針演説を見ると、さすがはそうは言えないので、物価安定と不況克服の同時解決なんという作文をあとからつくった。まあこれは、橋本官房長官がおつくりになったのかもしれない。そこらあたりはなかなか如才のないものをつくられた。しかし、それはことばで国民をごまかすことであって、今日のこの四兆数千億の予算というものが何で組まれているかといえば、あなたは物価をうしろにやって、ある意味では物価は犠牲にして、不況克服第一だ、こういう考え方で臨んでいるから、物価のほうはどんどん上がる。そして、物価が上がってもしかたがない、まず景気を立て直すことである、そして佐藤内閣の人気を出すことだ、ここにあなたの本心があるのじゃないでしょうか。総理大臣の答弁をひとつお願いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 勝間田君のただいまのお尋ね、これを一貫して私が理解いたしますと、いわゆる不況の克服と物価安定とはこれは別なんだ、こういう考え方からただいまのような質問をしていらっしゃるのじゃないかと思います。私ども政府は、物価の問題とそれから不況克服、これは同時にできる、実はかような考え方をしておりますので、根本に実は対立する考えがございますが、いかに勝間田君の考え方が間違っているかを、この機会に私は説明したいと思います。  ただいま仰せになりますように、物価問題はいわゆるきめ手がないと言った、かような点を取り上げて、きめ手があるじゃないか、現に製粉の業者に対し小麦粉を押えたじゃないか、これなどははっきり対策があることを示している。また公営事業等について、この値段を上げて、これを認可している、こういう点から見ると、物価に対して影響力を持っている、かようなお話のように聞けるのであります。しかし、私がまず申し上げたいのは、私どもの経済の基調、これはどこまでも自由経済のもとでこれを正常化するという考え方であります。統制経済は、これは特別な場合、ただいまの公共料金のような特別なものについては政府が権限を持っておりますが、その他の問題には権限そのものを持っておらない。ただいま製粉業者のお話がありましたが、これなどは行政指導でいたしたわけであります。現にこれは下がったのであります。これは、しかし行政指導でやったのです。だから、この点は御理解をいただきたいのであります。やはり自由経済のもとで経済を進めていく、これは、もう何といっても安定基調に乗せる以外の方法はないのです。しかし、物価そのものがそのつど国民生活に与える影響の非常に大きいことを考えると、物価そのものを私どもは野放しにはしておかない。だから、行政指導の面に私どもの努力があらわれてくる。また物価を上げなくと弔いいようないわゆる経営の合理化、これについて私ども政府が協力しておる。現に生産性の低い中小企業や農業の生産について、政府が補助なりあるいはその他の予算的措置をとっておりますのも、ただいま申し上げるように、物価について放任的な考え方ではございません。  しかし、もともとこれは経済の一つの現象でございますから、本筋から申せば、経済そのものを安定基調に乗せること、これが何といっても大もとであります。今日の物価の変調なりあるいは不況が生じたのも、過去の経済自身の非常な急激な発展によってかようなひずみを生じた、各業種間において格差を生じた、その結果が今日のような状態をあらわしたその原因だ、こういってしばしば指摘されております。私は、確かに経済自身が安定成長でないところにただいまのような結果を生ずるのだと思います。これが安定基調に乗って、そうして各業種に格差がなくなる、これはもう物価なども物殊な現象を起こさないで、いわゆる落ちついた物価形成になってくると思います。だから、この点では、やはり本筋から見ればどこまでも経済は安定基調に乗ぜること、これがまず第一の問題であります。このことは不況を克服するゆえんでもあり、同時に物価を鎮静さすゆえんでもある。したがいまして、私は大筋において十分おわかりがいくのじゃないかと思います。もちろん、ただいまの物価をそのままほっておくつもりはございませんから、あるいは物価形成上の必要から見れば、公取の機能も強化するとか、あるいは流通機構の点でも、これを整備していくとか、あるいは生産性を向上する、その意味の予算的あるいは融資、財投等でもそういうめんどうを見るとか、こういうことを実際いたしておるのであります。ただいま言われるように、根本においていわゆる経済の不況克服と物価、この二つは両立できないのだ、かような考え方で立論されると、ただいまの勝間田君のようなお説になるのですが、もともと経済の不況の克服と物価の問題は同時解決ができるのです。この点を十分御理解をいただきたいと思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 ことばの魔術はどうでもいいですが、総理自身がいままで物価安定と不況克服とを分けて考えて、そして、まず不況克服に重点を置かれているし、福田さんは、まずウエートをここに置くのだと言っておられるので、私が分けて考えているのじゃない。あなたがそう考えておるのだから、私はあなたにそれを質問しておるわけです。しかし私は、そういう問題をさらに理論的に追及するのもいかがかと思いますから、とにかく私の見解を申し上げておきたいと思う。  こうしたフィスカルポリシーというものを採用してきたのは、言うまでもなく国家独占資本主義形態というものが資本主義の支配的形態になって、そしてケインズの理論を取り入れて、財政面から経済刺激政策をとっていくという形で再生産過程に政府が介入していくという形態がとられてくるようになってきた。しかし、そういう形態をとっていく場合に常にとられた方法は、物価も下落するし、過剰生産ができてくるし、工場の遊休設備がないというときにおいてそういう措置がとられた。これがフィスカルポリシーというものの最も典型的な形であります。しかし、一面、不況的現象が起こり、他面において七、八%の物価の値上がりが生じておるという状態のもとにおいてフィスカルポリシーがとられたという面は、私はいまだかつて聞いたことがない。そういうときは物価政策を先にとっていかなければ、景気刺激政策、経済安定成長路線に乗ることもできぬし、できてもその効率が著しく低下する。早く言えば、生産回復も物価上昇によってそれだけ消されていく。だから、まず物価を安定させていかなければ、こういう状態のもとにおいての景気回復はできるものではないという考え方が、常識的な、また理論的な考え方だと私は思う。したがって、今回において予算編成方針をとるなら、まず第一に物価の安定をして、その基調の上に経済回復を行なっていくという態度をとっていくというのが私は当然だと思う。その問題については、また後ほど私はいろいろ実証的にひとつ追及したいと思うのでありますが、私はそういう考え方でいくべきだと思う。この考え方についてあなたはどう思いますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 勝間田君のお考え方と私どもはずいぶん違った点があるのでございます。御承知のように今日設備過剰、いわゆる供給力が需要をオーバーしておる、そういうような状態のもとにおいて、いわゆる物価を安定して需給の調節をはかるという、これが可能だとお考えになるところに無理があるんじゃないかと私は思います。今日は、たいへん供給力が旺盛で過剰でありまして、需要がそれを下回っている。そういう状況のもとにおいて適正な価格の形成はできないことも、これも勝間田君は御理解だと思います。だから、本来から申すならば、そういうような状況ならば物は安いんです。これが普通の考え方だと思います。ところが、そういう状態でありながら、物が安くない、こういうところに問題を持っておるのであります。したがって、普通の形でこれは説明のできないものであります。むしろこういう供給過剰の状態に対しては、有効需要を喚起することによって需給のバランスをとる。それによって初めて価格形成が本来の姿に返るんだ、かように私は考えるのであります。だから、政府自身が、今回公債まで発行し、同時に減税までし、そうして有効需要を喚起しておる、この姿が供給力が過剰な場合においてはとるべき政策だ。こういうことは経済学理的にもこのことがいわれておりますし、また外国の各国ともに、財政政策としてこういう際にとっているのは日本と同じような態度であります。また実際にも、この点が説明できるのであります。だから、ただいま言われるように、下からの需要を喚起することによってこれがささえられるということは、これは社会主義理論ならともかくも、私どものような自由経済のもとで経済の発展を競おう、そういう考え方から申せば、ただいまとっておる政策は当然でございます。私は、この点では勝間田君がいかに説明されようと、立っておる基本が違うのでありますから、この点を十分理解していただきたいと思います。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 結局過剰設備があることはあなたも認めますね。過剰設備があるならば物価が下がるべきですね。ところが物価が下がらないですね。その物価が下がらないのは一体何か。その物価が下がらないのに対して、経済企画庁長官は、これは低生産部門の生産性格差のある中で所得倍増政策が行なわれたためである。すなわち、二重格差が日本にある中で無謀な倍増政策が強行されたので、ひずみがここに出てきたんだから、いわゆる過剰生産イコール物価低下という傾向をとらなかった、ここに今日における大きな特色が一つある。  もう一つは、そういう自由経済の原則が今日生きないのは、独占カルテルという自由競争、公正取引を妨げている条件がある。そういう条件があるから自由価格は形成されていないのだ。その点に今日メスを入れずして、今日の物価安定政策というものは立てられないじゃないか。こういうときに日本の経済政策をとっていく場合に、その政策を先行させずして経済の刺激政策を先行させたら、それはちょうど池田内閣の、物価は多少上がっても所得がそれ以上上がればいいじゃないかという議論と全く同じであります。だから私は、佐藤内閣と池田内閣の政策の相違はない、全く同じだ。池田さんは設備を拡張した、佐藤さんはその設備に国民の負担と公債で需要をつけてやった。いわば池田内閣の不況版が佐藤版ではないか。そうでしょう。これを繰り返していて中小企業も国民もみな苦しんでいる。池田内閣も佐藤内閣も全く同じだ。本質を究明し、それに取り組もうとしないで、まだ過剰生産に財政上の有効需要をつけてやろう、そして物価はあと回しだ、こういう体系が四十一年度予算の実態ではないか、どう思いますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えをいたしますが、経済現象を一定の時期、一定の点だけで考えるのは、これはたいへんな間違いだと思います。だから、この点が私と勝間田君の意見の相違であります。たとえば、ただいま、いわゆる設備投資が非常に池田内閣のときに旺盛だった、それが今日の状態を現出したのだと言われる。それは一部そういう点もありましょう。しかしながら、設備投資が過去において盛んであったために、その結果として経済が非常に繁栄を来たしたこと、これも認められるだろうと思います。これは繁栄であったと思います。賃金もどんどん上がってきた、お互いの所得もどんどん上がってきた、確かに繁栄だと思う。しかしながら、その点だけをつかんで申すならば、これが成功していたときもあるし、同時に、一昨年来のように不均衡といいますか、急激な発展がその弊害をあらわしてきた。その弊害をあらわしたから、この過去の設備投資政策が失敗だ、こう言われることは、私は当たらないということを申すのであります。だから、そういう際において、設備投資が先行する、そういう場合におちいりやすい状況に対する十分の対策が講ぜられたならば別に問題はなかったはずであります。そのことが言える。ただいま私どもが政局を担当して以来、真剣に取り組んでおりますものは、ただいま申すような設備過大による経済の非常な急激な膨張、そしてかもし出された各業種間あるいは各地域間の格差、それを生じたのであります。これを一体どうしたら克服し得るか、こういうことと真剣に取り組む事態になってきた。したがって、やはり経済は一定の期間、長期にわたる期間でこれをとらえてみないととんでもないことになる。点ではないのである。ポイントでつかまえて、ただいま出ている現象を云々することは間違いだと思う。先ほど、たとえば貯蓄を奨励しておるが、貯蓄はどんどん——金利がどんどん下がるわけでもないですが、金利と物価の上昇とを比べてみると、物価の上昇率のほうが大きい、したがって貯蓄することは意味をなさない、こういうことを言われましたが、それに対して私は、それは期間的な問題だ、長期にわたれば問題である、しかし短い期間ならばそういうことは問題でないのだということを申しました。現在国民の皆さまは一体どうしておられるか、どんどん貯蓄はふえておる。勝間田君のような警戒、また忠告をされても、国民はしゃんと経済は安定するものだ、かような意味に考えているから、貯蓄性向は高い、どんどん貯蓄はふえている。これは後ほど大蔵大臣から説明さしてもいいことなのですが、どんどんふえている。だから、経済そのものを、社会党のように一部的に見て、そして現在はこうなっているじゃないか、これはけしからぬではないか、こういう批判はできましょうが、必要なのは、やはり経済の継続性に立って、いかなる態度でこれと取り組むのか、どういう点をやっていくのか。社会党の方も、ただいま言われるように、経済の成長、経済の長期的な観点に立って公債政策に踏み切ったことに賛成だとか、あるいは大幅減税に踏み切ったことに賛成だとかおっしゃるならこれでわかる。これはまた反対なんだ、減税も反対だ、また、そうはおっしゃらないが、公債発行には反対だ、かような状況になってくると、はじめて長期的な計画、経済の長期性というものを無視した議論になってくる、かように私は思うのです。だから問題は、やはり長期的観点に立ってどういうようにしたらいいか。私は申し上げたい、物価の問題や、あるいは不況克服の問題とことしこそ真剣に取り組む、そういう意味で予算を編成しておる、そして、これは一年限りの予算編成方針でもない、いましばらくはこういう方向で続くでしょう、かように説明をいたしておりますから、長期計画というものはわかる。経済の現象はやはり長期的観点に立って、そうしていまはどういうことになっているか、これは不都合だからこの点は改正していく、またその改正の方法が、自民党のような、あるいは政府のような考え方では改正されない、ここで初めて議論が分かれてくる、かように私は思います。現状において設備が過大であること、これも御指摘のとおり、私も承認いたしております。各業種間において格差のあることも、これまた私も承認いたしております。おそらく勝間田君も、生産性の低い部門における賃金の上がりも、これも了承しておられるに違いない。ことにそういうのが、サービス業その他に、中小企業や農業におきましてそういうととろの価格が高騰しておることも、これも認めておられるだろう。なぜそういうものが起きているのか、どうしたらこれが直るかということで、今日私どもが公債政策や大幅減税に乗り出して有効需要を喚起していく、これが私どもの行き方であります。だから、ただいま言われる御議論を聞いておりまして、一番の相違点は、この経済現象を点でとらえられる、一点でとらえられる。私どもは長期の観点に立って経済現象を見ておる。その相違が、ただいまのようなおわかりにならない点が出てくるものだ、かように思います。   〔「長期計画を出しなさい」と呼ぶ者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 静粛に願います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、佐藤総理のいま言われたことを非常に遺憾に実は思います。社会党が、また私の質問が、過去数年間にわたっての反省の質問であり、これから私が質問をするのは、おそらく数年にわたっての展望について質問をするでしょう。ましてや今日の状態を見まして、私は現時点の点における質問をしているのじゃない。あなたこそ今日瞬間的にものをやっていこうというのじゃないですか。しかしそれは、これからひとつ質問によって明らかにしていきましょう。  私は、あなたも認めておられるように、現在の物価高の大きな現象の一つは、言うまでもなく過去数カ年における通貨面、特に信用膨張によって出てくる通貨面からきている問題があると思う。この問題は、今後における公債政策のいかんにまたかかってきていると思う。これは認めるでしょうね。それなるがゆえに、後ほど公債論について私は質問をいたします。  もう一つの問題は、価格形成に関する問題でありましょう。その価格形成の中で一番大きな問題は、自由価格あるいは公正な価格形成を阻害している独占あるいはカルテル等の諸問題であるに違いない。特にその中に占める国家の役割りというものが、おそらく全品目の中で二七%を占めていると私は思う。この大きな一つの問題を、どう解決するかということであると私は思う。  もう一つが、言うまでもなく低生産性部門の生産性が立ちおくれたために、ここに所得の平準化を吸収し得ないところがある。この問題については、近代化の問題が必要であり、また高度化の問題が必要であるということは、今日異論のないところだと私は思う。したがって、この三点についての明確な対策というものが、今日短期、長期にわたって実施されていかなければ、今日のこの異常な物価高というものは押えることができないし、物価高を押えることができなければ、経済の安定化などということも期することはできない。この見地に立って今後の政策を実行しなければならぬと思うのだ。そこで、今回見ますと、あなたの主張にもかかわらず、中小企業の近代化に直接寄与する予算というものはきわめて少ない。たとえば工場を貸与するとか、機械を貸与するとか、あるいは団地を形成するとか、いろいろな題目は載っているけれども、結局わずかに総額百三十五億円、昨年から比較しての増加額はわずか十八億円、これで一体日本の中小企業の近代化が促進し、化産格差の解消に貢献し得るなどと考えているのでしょうか、はっきり答えてください。おそらく大蔵大臣なりあるいはあなたが言うでしょう、いや産業投資会計がありますと。中小企業の金融公庫から何を出します。今日それらの資金というものは——月々五百軒から中小企業は倒産をしている。これは、その事態の救済と、現状維持にきゅうきゅうだる資金なのであって、前向きで物価に貢献し得る積極的な寄与として見た場合に、これしかないと私は遺憾なく指摘せざるを得ない。これでどうして日本の中小企業を近代化、高度化して、日本の産業構造の体質が変わりますか。池田総理が、最後は仏心になったのかもしれませんけれども、革命的施策を講ずると言った。革命的とは、私はどういうことを考えていたのか知らぬけれども、日本の中小企業の体質を基本的に変えるという考え方であったとすれば、私は敬意を表したいと思う。だが、そういう日本の産業構造を変えて生産格差を解消して、二重構造を解消して、そうして物価安定に寄与するなどと大きなことを言いながら、実は依然として今日行なっていることは、現状維持でも足りないほどのことと、わずか十八億の近代化、高度化の予算。これでどうして期待することができますか。見解を問いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来のお尋ねで、ようやく価格形成の本筋に入ったような気がしますが、先ほど来御指摘になりましたとおり、やはり価格が公正な自由な形成をする、どうしたら価格が公正でまた自由に形成されるかということになるのであります。この点では社会主義の勝間田君にしても、また私ども保守党の立場におきましても、価格形成の方法としてはこれは同一であるように思います。その中にあるいは管理価格、あるいはカルテル等にも言及されましたが、ことに生産性の低い部門、中小企業においてやはり所得の平準化、賃金の平準化が行なわれる。これは生産性が低いのだから、こういうところはどうしても生産性を上げるために近代化、高度化をはかっていかなければならない。近代化、高度化をはかっていって初めて中小企業の生産品等の価格も軌道に乗るといういわゆる経済の正常化についての御議論が展開されました。これは私どもの先ほど来お答えしたとおりでございまして、私もその意味においてはただいまのお尋ねを歓迎するものであります。やはり経済そのものがその価格形成の面から所得の平準化、賃金の平準化等について、これにこたえるためには、やはり近代化、高度化を進めていかなければならない。そういう意味から見て、中小企業の近代化、高度化が非常に程度が低いじゃないか、おくれているじゃないか、こういうように論旨を発展された、かように私は聞いておるのであります。  中小企業に対する対策について、特別なものを抽出されて、非常に金額が少ない、かように言われておりますが、私どもは、ただいまのこの中小企業の持つ近代化、高度化の意義というものを非常に高く評価いたしております。先ほど言われるとおり、わが国の二重構造を改善しない限り、また、こういう中小企業に対する格差をなくしない限り、現在の不況の克服もできないし、ことに中小企業の扱っておる製品等の価格を安定さすこともできないという意味で、非常にこれと真剣に取り組んでおります。したがいまして、この中小企業対策の予算、あるいは財政投融資におきましては、中小企業基本法を基幹にする各種の施策をこれに講じておりますし、また、今回の減税におきましても、特に中小企業向け減税に力を入れたつもりでございます。それらの詳細については、必要ならば大蔵大臣からお答えいたさせます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、詳細にも追及したいのでありますけれども、基本でありますから、同僚諸君にさらに追及をおまかせすることにいたしまして、遺憾ながら今日の中小企業の近代化は、わずか百三十五億、しかも昨年度の予算に比してわずか十八億、この、こうした財政でやっていこうなどという考え方自体に、私は問題があると思う。  さらに、今日の農業政策についても、私はお尋ねをしたいと思う。今日まで日本の農業は、低米価、低賃金、これが基本になって、日本の資本主義というものは原始的蓄積を遂行してきた。その意味では、日本の農産物価格というものは、常に低位に押えられてきた。だから、今日まで対外的には保護政策をとる。関税政策、あるいは貿易自由化に対しこれは除外例を設けてくる。この政策は正しかったと私は思う。しかし、同時に、農民に対して、しからば今日生産費と所得を補償しているか。農民に対して生産費、所得は補償しておらない。常に米価審議会等において鋭い対立が出てくるのはそこにある。しかし、国民は低賃金、低所得で押えられているから、ここに農民の利益と消費者の利益が対立をする。その対立の中で国家がいかなる役割りを果たさねばならぬかというところに、今日までの農業政策というものの一番の苦しみがあったわけです。その苦しみを、二重価格制度に見られるように、国家が一般会計からそれを負担して、これを補っていくという方法を今日までとってきた。だが、この方法が永久に続くものであるかということになると、決してそうあってはならないということも、財政をとる者等としては当然考えていかなければならぬ問題である。しかし、同時に、その問題を解決する上においては、今日の農業生産の生産力を飛躍的に発展させる以外に道がないということは、これは明らかな事実である。これに重点を置いていかなければ、いまの矛盾というものは解決されるものじゃないのじゃないか。ところが、その矛盾を解決されるべき農業生産性の発展という問題を考えてみると、農民は、長男は百姓はやりたくない、嫁には来ない、老人が三ちゃん百姓をやっていなければならぬという状態にある。そうして無理をして一台二十五万円もする高価なトラクターを買って、わずか五反歩や一町歩程度のものを、非能率的にこのトラクターを動かして、高い農機具の費用を負担しているという状況にある。生産構造はまさに破綻に瀕しているという今日の状況だ。  そこへ農林省は何をやるかといえば、構造改善だと称して、富農政策をとろうとしている。そうでしょう。選択的拡大だと称して、もうかるものをつくりなさいとやっている。これが今日の農業政策の実態ではないでしょうか。そうではなくて、日本の食糧生産の全体的な生産性をどう高めていくかという問題に、制度的にも、また同時に、日本の農業政策の基本をそこに持ってこなければ、今日の食糧生産と一般消費者との関係の問題というものも、農村のなにも解決されないのではないか。その基本を一体佐藤総理大臣はどう考えてやっているのか。唯々として、今日の状態をただ保護政策でやっていっていいのかということもあわせ考えたときに、佐藤内閣の農業政策に対する基本というものが今日ぐらついている。混迷している。むしろ間違っている。そうして、その日暮らしをやっているというのが今日の食糧生産政策の実態だと私は思う。総理大臣、どう思いますか。はっきり示してください。どうしてこの問題は解決がつきますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの経済と取り組む、そうして不況を克服する、こういう場合に問題になりますのが低生産性部門であります。先ほどのお尋ねで中小企業に対するお答えをいたしました。中小企業と並んでただいま問題になりますのが農業問題だ、だから、これと真剣に取り組んでいる。政府におきましても、すでに社会党その他の御協力を得まして、農業基本法を制定しておるのであります。これは、御承知のとおりであります。この農業基本法が今後の農政のあり方というものの大筋をきめている、かように私は理解いたしておりますが、しかし、ただいま御指摘になりました点等におきまして、いわゆる食糧は特別に食管会計で扱っている。米麦等を中心にして、農産物の骨子である米麦中心の農政が展開されておるが、その状況のもとにおきましても、食糧の自給度は低い、これをもっと高めなければならないだろう、こういう御指摘があります。しかし私は、いわゆる自給度を高めて、これをフルに一〇〇%国内で比産しなければならない、かようには私も思いません。おそらく勝間田君もそういう主張ではないだろうと思います。これは適当に価格政策を取り入れ、また保護政策も必要だし、同時に関税政策も必要だ。だから輸入政策等におきましても、極端ないわゆる経済合理主義で農業問題を律しようとしておられないと思います。私どもも、いわゆる経済合理主義だけでこの農政を規律する考えのないこと、これは私どものとっておる政策をしさいに点検なされば十分御理解がいくだろうと思います。その点から、今日のようないわゆる食管会計を続けてまいりますし、また同時に、輸入政策、関税政策等もこれを踏襲いたしまして、保護政策も適当に織り込んで、そうして農業の問題と取り組んでまいるつもりでございます。  その場合に一番問題になりますのは、御指摘にもありましたように、農産物価格が暴落したり暴騰したりする、暴落、暴騰、非常に価格に変動のあること、そのために生産者もまた消費者も非常に迷惑を感ずる、できるだけ価格が安定することが必要だ、こういうことが指摘されるのであります。そういう意味では、先ほど来の保護政策、あるいは価格政策、あるいは関税政策、輸入政策などでただいま申し上げるような暴落、暴騰をないようにする、そうしてできるだけ落ちついた、上下の幅が狭まったような状況のもとにおいてこの農産物の価格が形成されることが望ましい、かように私は思います。  そこで、そういう立場で考えて、ただいま言われます政府は富農政策をとっておるのじゃないか、こういう点でございますが、私は必ずしも富農政策だとは思いません。いわゆる専業農家を育成強化する、これが農業基本法も指摘するところのものでありますし、目標とするところのものであります。そこで、そういう意味の専業農業をつくる、こういうことで非常な努力をしておる、これはおわかりのとおりであります。しかし、何と申しましても、農民と土地——これは農民に限りませんが、すべての人たちが、国民が土地に対しまして特別な感覚といいますか、感じを持っておりますので、この土地と住民、これを分離さすことは非常にむずかしいのであります。そういう意味で専業農家を育成強化し、そうしていわゆる相当大規模の農業経営を奨励いたしましても、実際はいわゆる兼業農家がどんどんふえている。兼業農家が、依然としてその数も農村、農民の大きい部分を占めておる。こういう実情がございますから、私は、こういう意味で、いわゆる農業所得をふやすという観点に立っての施策ももちろん必要でありますから、そういうことに力をいたしますけれども、同時にまた、農家所得をふやす、こういうこともあわせ考えていく、いわゆる農業所得ということと同時に、農家所得というものを区別して考えるべきではないか、そうして農村に対する必要な施策を並行してこれでやっていくのだ、いわゆる兼業農家が所得を確保し得るような道を確保していく、そういう意味で交通を整備するとか、あるいは学校教育等も農村において行なえるようにするとか、いろいろな対策をとっておるわけであります。  ただいまお尋ねになりましたものに対する私ども政府の考え方、これはただいま申し上げますように、いわゆる富農政策、かように申すことは当たらないだろう。いわゆる全部の農村、農家が富裕になればたいへんけっこうですから、そういう意味の富農政策には私賛成でありますが、一方で専業農家が非常に規模が拡大して、そうして兼業農家が負担に苦しむ、こういうような状態にならないように、農村全体の振興のためにも役立つような、いわゆる兼業農家も所得の道を確保できる、いなかにおいても確保できる、そういう政策をとる、これが今日の政府の態度であります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 さっぱりわかりません。私は、この問題もわからぬの一語に尽きますが、しかし、同僚諸君のさらに追及をひとつお願いをしたいと思います。  そこで、具体的にひとつお尋ねしますけれども、ことしは去年に引き続いて消費者米価を上げました。上げましたにかかわらず、食管会計は一般会計から千二百億でございましたと思いますけれども、繰り入れをしなければならぬという状態にある。ことしの財政の問題については、私はまた後ほど究明をいたしますけれども、この千二百億もの食管赤字会計を一面に持ち、しかもいままで二回も消費者米価を例年上げてきた、ことしどうなるだろう、この問題は私は深刻な国民の関心事だと思う。一面農民は、生産費、所得は補償されていない。その意味においては、生産者価格について強い要求をするだろう、これは私は当然だと思う。ましてや、今日の物価が五・五%も値上がりするという状態のもとにおいて、農民の要求というものは相当のものだろうと思われる。これは、特にことしの米穀年度に至って、四十一年度産米の価格の決定の際に当然起きてくる。私は、今日の状態のもとにおいて一体これをどう処置をするのかということを、実は聞きたい。依然としてこの二重価格を国家がやはり今後とも一あなたは一時点で考えるなとこう言われるから、特に将来のことを言いましょう。将来にわたって二重価格をこのままずっと続けていくのか、何か生産性の向上によってこれが吸収されていくのか、そうでなくて、あなたはこれを消費者に漸次転嫁していこうとするのか、一体どういう方針でいま農業政策は進んでおるのか。そうして同時に、ことしは消費者米価を値上げせざるを得なくなるのではないかと私は心配している。政府はどういう態度をとるかお尋ねをしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、農業基本法の命ずるところを忠実に政府はその目標を遂行しておる。いわゆる農業の生産性を高める、これが今日の努力目標でございます。先ほど来説明したことでおわかりだと思います。そのためにいわゆる専業農家もつくるし、また兼業農家も現実の問題として多いのですから、これらの所得の増加の方法を考えていくということであります。  ことしは一体どうなるかということに対してでございますが、ただいまのような特殊な二重価格、こういうような状態がいつまでもいつまでも続いていくということは、これは望ましい状態でないこと、これは御承知のとおりであります。しかしながら、生産者と消費者と、その中に立ちまして双方が満足のいくような方法がはたしてできるか、双方を満足さすような方法をとりたいというのが、ただいまの私どもの考え方であります。したがって、ただいまことしの問題についてまだ具体化しておりませんその際に意見を申し上げることは差し控えますが、ただいま申し上げる生産者と消費者と、その中に入りまして双方に納得のいく、こういうのが米価決定の基本でございますから、そういう意味で政府は処置していきたい、かように考えております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 また不思議になりました。先ほどあなたは、ことしの物価は五・五%に押えるということを言いました。ことしの消費者米価を予定せずしてことしの物価は考えられますか。まだ考えていないじゃおかしいじゃありませんか。五・五%がどうなるかは、消費者米価がどうなるかということが決定的な影響を及ぼします。関係を持っています。なぜ物価が先にきまっていて米の値段がきまらないんですか。政府の方針はなぜきまらないんですか。物価が五・五%なら消費者米価は幾らになる予定だということは、はっきりわかっておるはずじゃありませんか。はっきりしなさいよ、はっきり。わかっていないなら五・五%も実は間違いだということになるじゃありませんか。どっちがほんとうなんですか。   〔発言する者あり〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま、これは不規則発言ですからお答えする必要はございませんが、勝間田君のお尋ねが、五・五の中身を示せ、こういうお話で、ただいまの米価の問題をお尋ねになりますならば、さようなことは私どもは考えておらないと、はっきり申し上げておきます。ただいま申し上げるのは、あるものは上がる、あるものは下がることもありましょう。その全般をくふういたしまして、そうして五・五にする、こういうことでありますので、ただいま五・五の中身を示せ、こういうことなら、これはただいまの状況で、との時点におきましてそれをきめるわけにはいかない。ただいまの米価の問題にいたしましても、この時点でこれをきめろとおっしゃることは、これは私はできません。お答えはいたしません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私はまことに奇怪な答弁だと思う。私が何も米を五・五アップしろと言っているわけじゃない。御存じのとおり、おそらく四十年度は七・七になるであろう、これは経済企画庁の報告でしょう。七・七、今度は五・五に押えたいと、こう言う。そのときに大きな問題になるのは、たとえばこれからの国鉄運賃がどうなるかという問題も、これから郵便料金はどうなるかという問題も、これから何がどうなるかという問題もあるが、同時に消費者米価がどうなるかということが、これが重大な波及効果を及ぼすのであって、その波及効果を及ぼすところの消費者米価の前途がわからずして五・五%ができるかできないかということをまだきめていないなどということでは、私は五・五%がまことに不安定なことになると思う。そうでしょう。五・五%というものについては、米がどうなっても五・五%にするというのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは、勝間田君も御承知のことだと思いますが、ことしの米価はもうすでにきまっております。また、ことしの鉄道運賃もいま御審議をいただいておりますが、これが予定どおり御審議を得られれば、また実行できれば、これなども織り込み済みであります。また、五月以降に実施しようという郵便料金も問題なしに織り込み済みであります。ただいま御指摘になります。ここで議論しております米価、これはことしの暮れ、あるいはもっと早くきめるにいたしましても、その実施期がいつになるかという問題であります。大体いつも消費者米価をきめますと、これは暮れに実施する、あるいは年があけて実行すると、こういう状況のものでございます。ただいまの五・五に対して直接の関係があるように私は思えませんけれども、ことしの、本年度のものは織り込み済みでありますから、この点はおわかりだと思います。したがって、ただいま申し上げますのは、今度の年度の、四十一年度産米の価格決定、これなどはいずれそのうちきめることでございましょうが、まだ消費者米価をきめるのは一年先、大体そういうように御理解をいただいておいていいんじゃないか、かように私は思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 ことしも一月から上げましたし、昨年もそうでありました。四十一年度というのは来年の三月三十一日まで。米穀年度はことしの暮れからもう始まるわけであります。したがって、あなたがそういう詭弁を弄することはどうかと思うが、しかし端的に私お尋ねします。来年の一月、一体消費者米価は上げますか上げませんか。どうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 来年の一月の問題でございますから、これはただいまお答えはできない、かように先ほど申したのであります。しかし、そのときになりまして、十分生産者と消費者の中に立ちまして、双方が満足のいくような処置をとりたい、かように申しておるのであります。ただいま上げるとか、あるいは上げないとか、かようなことは申しておりません。ただいまそれを申すことは、これはたいへんな問題だ、かように思っております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 経済企画庁長官に一つお尋ねしますが、五・五%に四十一年度を押えるのに、一体、消費者米価を上げてできますか。どうです。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 五・五%をきめましたのは、必ずしも個々の物価を積み上げたわけではございません。本会議等でしばしば御説明申し上げましたように、来年度に移行します場合に、本年度と来年度とのげたが、三十九年度と四十年度とのげたから比べますと一%ぐらい下がっておりますから、かりに七・七%なり七・五%とした場合に、それからくる影響として一%は下がる。そのほかに一%ぐらいはわれわれが努力目標としていくわけであります。したがって、その努力によりまして、五・五%というものをわれわれは目標として立てているわけでございます。したがって、そういうような今年の物価情勢にかんがみまして、われわれが押えるものは押え、あるいは上げざるを得ないものは上げるというようなことは、そのときどきの判断によってやってまいりまして、そうして、それが努力目標の中でおさまるようにいたしていくのが適当な処置ではないかと私は考えております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 まことにおかしな話でありまして、いまの五・五%の話を聞いておりますと、四十年度と四十一年度との価格の問題には約一%のげたがある。だから、これは労せずしてまず楽で、これだけハンディがある、だからこれはまあもうかるだろう、あとの一%だけ努力すれば五・五になるだろう、こういう計算で五・五は出した、こういう藤山さんの御意見。これは全く統計上の操作、ごまかしにすぎない。政策の裏づけがあって、こういう政策をとるからこういう物価になるのだという政策ではない。まことに私は遺憾だと思う。こういう態度があるから四・五が七・七になる。しかしいずれにいたしましても、消費者米価についてお答えがこれ以上なされないので、今国会においてさらにこの問題は明確にしてもらいたいと思う。  中小企業や農業のこうした問題とあわせてサービス部門に対する問題がある。しかし、サービス部門の内部で一番大きな問題は、何といっても公営企業だ。この公営企業が今日ごらんのとおりに六百五十九億赤字をかかえている。そのおもなものは水道と交通だ。その水道と交通というものを見ると、皆さんはよく賃金のことを言いたがるようでありますけれども、実態を見るとそうじゃない。たとえば都市の強大化、急激な膨大化に伴って先行投資をしなければならぬ。大きなダムをつくらなければ水道ができない。急速度に高い地下鉄を掘らなければ交通の緩和はできない。しかも路面電車や、そういうものはのろのろ歩くから、利用率は急速度に低下している。こういう状態のもとで独立採算制が要求され、公益性がまた逆に要求されている。そういう状態のもとで、政府はただ事業債をめんどうを見るという程度にすぎないのが今日の政府の態度だ。こういう態度でどうして今日の公営企業を救うことができるか。みんな水道料金を上げにやならない、バスその他地下鉄等々を上げにやならない。こういう混迷に実はおちいっておるわけです。国家がこれに対して役割を果たさにゃならぬと思うのだけれども、どうしてこの事態を解決していこうとしているのか。佐藤さん、物価、料金の立場からはっきりお答えください。どういう努力をしているから押えられるのかはっきりしてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 地方団体の経営する公共事業、その点で水道あるいは電車、バス等のあり方等を一体どう考えているかというお尋ねでありますけれども、すでにこういう公共事業のあり方がいかにあるべきか、こういうことで民間各界の学識経験者等のお知恵も拝借いたしまして、いわゆる調査会、審議会と申しますか、そういうものができて、どうあるべきかということに真剣に取り組んでおります。その問題の根本は、これらの事業の持つ公共性、これは完全に果たしていかなきゃならない。しかし、最近のように都市が過大都市化するとか、あるいはまた建設等にも非常に巨額の資金を必要とする、こういうような状況のもとにおいて、ただ単に独立採算制だけでもなかなかやっていけないのじゃないのか。独立採算制だけでこの公共企業の職責を果たさせるということは、あまりにもきついのじゃないのか、こういう意味だろうと思いますが、そういう意味でいろいろ検討された。しかしその結果は、いわゆる企業としてはやはり独立採算制を基本とすべきだ。そうして、その他の点においてできるだけ政府、公共団体自体が経営の合理化をはかっていく、そういうことでくふうすべきだ。その点では長期低利の資金の融資をするとか、あるいは経営自体におきましても、経営費がかからないようにあらゆるくふうをしていく、これがその審議会の答申の結論だ、かように私は理解しております。問題は、なおかつそういうような状態において、いわゆる利用者の便益を十分はかることができない、こういうのが現状でございます。したがいまして、その点は望ましい形ではないが、やはり料金をある程度上げざるを得ないのではないか、そうして事業の基礎も強固にする、そうして公共のサービスの使命を果たしていく、こういうことにいたさざるを得ない、こういうのでございます。この値上げ自身が市民あるいは都民生活を圧迫する、国民生活に影響のあることは、私どもももう十分認識しておりますので、その影響ができるだけ少ないようなくふうはないか。経営自体が合理化されることは経営者にまかすといたしましても、国民生活を守るという立場で、その上げ幅なりあるいはその実施の時期なり等につきましては十分考うべきだ。国民生活を守る、こういう立場で取り組んでいきたい、かように私は思っております。ただいまとられておるのは、この線に沿ってとられておりますので、現状においてはやむを得ない状態ではないか、かように私は思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 この線に沿ってという、その線というものは独立採算制の線に沿ってということである。そこに根本的な誤りがあると私は思うのです。地方公営企業法第三条、「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進する」、本来の目的は公共の福祉にある。しかし、それは乱脈におちいってはならないので、経済性もあわせて考えろよということだ。これがあたりまえな解釈じゃありませんか。独立採算制が本来ではなくて、本来の目的は、地方自治体の市民に対するサービスとして行なわれている公益性ということが主体であって、しかし、それは乱脈におちいってはならないということも確かであるから、そこに経済性も考慮せねばならぬぞというのがこの自治体の公営企業法の精神だと私は思う。そういう精神であるならば、公益性というものを優先的に考えていくというならば、公益性に対する義務というものが当然出てくるし、それに対する制度というものが出てこなければならぬと私は思う。たとえば今度の予算についていえば、再建債を二百億、それから公営企業金融公庫に対する出資金が二億円追加してあります。あとは地下の高速鉄道に対する補助金が八億ほど計上してあります。これがおそらく今回の公営企業に対する政策の全貌だと私は思う。早くいえば、借金をしてやる、その利子補給をしてやる。むしろ今日の地方自治体の財政を考えていきますと、まず一つには、公営企業体については地方の一般会計で負担するということが当然ではないかと私は思う。また、その一般会計で負担するということができない場合が多いであろうから、その一般会計の負担について国家がまたこれを援助してやるという制度、この制度を私は当然実施すべきだ。水をどうする、交通をどうするということは自治体の行政の一つだ、こういう考え方に基づいて、私は一般会計でこういった公共企業体の財政というものは補てんしてやるべきだという原則を認むべきだと思う。どうですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま一般会計で補てんしろ、こういうお話が出ておりますが、これは市であろうが都であろうが、また国であろうが、この一般会計は一体だれの負担でできておるのか。申すまでもなく国民、市民の負担であります。こういう場合に、特別な公益事業、公共事業の受益者がある場合に、一般の負担においてこれをやれ、こういう議論はなかなかむずかしいのではないか。最終的にはやはり受益者負担というのが本来のたてまえではないか、かように私は思います。今回の問題で、大蔵省におきましては、公共事業の各都市における実態等につきまして、それぞれ詳細に各事業別の実情を掘り下げてみまして、そうして対策を立て、ただいま国においてあるいは市において補助をすべき、あるいは一般会計で持つべき、持ち得る、こういうようなことについては、それぞれ指示しておるようであります。しかし私は、最終的にはやはり受益者負担というのが本来のたてまえだ、かように思いますから、いままでとってきたその方向は、この際に大きくこれを改正するような考え方はございません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 受益者負担という考え方が非常に大きな間違いだと実は私は思う。これは、たとえば過密都市ができた。しかし、大東京に地方の観光団が来る、何団が来る、そして非常な交通の繁忙になる。そういうことをいろいろ考えてみると、これはあらゆる国民の一つのサービス機関になって、一般会計で負担をする。その一般会計で負担できない部分については国が負担をしてやる。この意味において、この前のあれは四十三通常国会における附帯決議でありますけれども、私は非常に正しい附帯決議だったと思う。こういう国会の附帯決議をほんとうに尊重してやるならば、当然この方向でやるべきである。しかし、そういう国会の附帯決議は軽視して、相変わらず独立採算でやっている。現にやっているのです。少しは。だから、こういう公共企業体は特別会計にして、そうして一般会計で負担できるようにして、それはまた同時に国がその補てんをやれるような制度にして、ほんとうのサービス機関としてこれを確立していくという制度が私は望ましい。そうあるべきだ。  もう一つの問題は、先行投資が非常に膨大になっているということ。この際に、やはりイギリスやその他で考えているように、また日本の制度でも許されておるように、永久公債ということを考えるべきだと私は思う。この永久公債の考え方というものを日本でそれこそ導入をして、そして「この先行投資というものを私はほんとうに完成をしてやるということがほんとうの行き方だと実は思う。総理大臣、どう思いますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど私が申したのに誤解がないように願いたいのですが、最終的には受益者が負担するのだということを申しましたが、やはり可能な範囲におきましては個々の事業について大蔵省において査定をし、そうしてできるだけのことはした、けれどもなおかつ最終的に残っておる部分について、受益者、それを利用する者が負担するのです。いわゆる料金を上げるのです。こういうことにならざるを得ないのであります。  また、いまの長期低利の資金を必要とする、こういう点で、英国式なものを考えろ、ロンドン式のものを考えろ、こういう御発言でございますが、私どもも、いまの長期低利の資金の獲得とか、あらゆるくふうをしたい、かように思いますので、今後十分検討してみたい、かように思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 工業用水道に国家の補助ができて、人間の飲む水道には国家の補助がどうしてできないのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま融資を政府がやっておりますから、融資そのものだって、政府が全然恩恵を与えていないのだ、こういうことは言えないだろうと思います。ただいまは融資の方法で人間の飲む水にやっておるというように御了承いただきます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私はここにも国民軽視の立場があると思う。工業用水のほうには補助金は出します。国民が飲む水のほうには補助金は出しません、傘は貸してやりましょう、こういう態度だから、われわれは、水道料金が上がっても、みんなそれが受益者負担ということばでごまかされている。こういうまことに人間軽視の思想といいますか、私は保守党の性格がよくあらわれていると思う。しかし、こういう議論は国民が批判すべきことでありまして、自民党の態度が正しいのか、われわれの態度が正しいのかは、国民におまかせすることにいたしましょう。  私は、もう時間もなんでありますから、独占価格その他の問題についても追及したかった、しかしこの問題は特に同僚にひとつおまかせをすることにいたします。  ただ私は、日本の特に保守党内閣の性格として、決定をすべき問題があると思う。それは何か。政府は、独占禁止法を骨抜きにして、企業の集中、集積をはかって、対外競争力を増大するのだと称して、常に独占を強化している。しかし、この独占は、いわゆる独占価格をつくり上げて販売市場のシェアを大きく確保して、一社や三社や三社や五社や、数社で日本の市場を独占している。すなわち、日本の対外競争力の増大だとか、いろいろの美名に隠れて、そういう形成が行なわれている。またその次に、不況対策だというので、今度は独禁法からこれを除外して不況カルテルをつくった。中小企業のために不況カルテルをつくることは、われわれはやむを得ないと思う。だが、今日の不況カルテルの統計を見ると、九年、十年たったものが百五十一もある。不況カルテルというものは、私は不況を克服すればそれは解消されるものだと思う。神武景気があっても岩戸景気があっても不況カルテルがあるなんということは、私には理解できない。そうでしょう。まさに合理化カルテルだ、不況カルテルだ、協同組合の事業の共同行為だ、脱法行為等を行なって——いや、脱法行為というのはやめましょう。とにかく独禁法からこれを除外して、通産省中心に、ただ価格の維持、あるいはつり上げ、あるいは生産調整ということにすべてが置かれて、近代化というものに重点が置かれていない。また、商店に行ってみれば、御存じのとおりに再販価格維持なんといって、薬や化粧品やその他のものが不当に価格の維持を行なっている。これ以下に下げてはならぬという契約をやっている。明らかに不当な価格といわなければならない。しかし、われわれがテレビやその他を見て明らかなとおりに、そういう商品をつくっている会社は、やれ旅行だ、香港だ、ハワイだ、まことに言語道断な話であります。こういう再販価格の維持ということをやって、価格の維持、つり上げにだけ努力をしている。いわば、日本の佐藤内閣、そのもとにおける各省行政は、あらゆる名目で価格を維持するかつり上げるかという安易な政策の中で、消費者国民を犠牲にしている。この全体系というものをぶちこわさなければ、今日の日本の消費者は保護されない。これに対するメスを入れなければ、物価が上がって景気が出ないなどという、こういう現象が起きてくる。私はこの意味において、現在公取委員会の諸君が、あるいは製粉業者なりその他にメスを加えようとしたり家宅捜索を行なったりしておる、私はその意義は称賛すべきものがあると思う。しかし、それだけにまたおそらく抵抗も激しいだろうと私は思う。特に通産省のほうなどはその傾向が強い。ここに私は、今日の政府が、先ほど来申し上げたとおりに、物価値上げはきめ手がないなんといってあぐらをかいて、国民に高い品物を売りつけて消費者を犠牲にしている態度があらわれていると思う。この体質、この政治を改めなければ、今日のこの物価の問題は解決がつかない。私は、佐藤総理、公取委員長にこの際明確なひとつ回答を求めたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 物価の問題について、ただいま公正に価格が形成される、こういう意味から公正取引委員会の機能を強化しろということだし、また法の命ずるとおりの働きをしろという、この御要望でございますが、政府自身が物価の問題と真剣に取り組む、こういう立場に立ちまして、今回は公正取引委員会の増員や、あるいは機構の整備などもはかってまいります。これは、新規増員を非常にやかましく言っておる際におきましても、価格が公正に形成されることを願うという立場から、この公取の機能の強化について格段の留意をいたしたわけであります。今後の活動等につきましても・十分御期待に沿えるものだろうと思います。  私は、この機会に申し上げたいのでございますが、いまの不況カルテルだとか、あるいは組合の共同行為だとか、こういうものについて、中小企業の場合は了承できるがということでございますが、私は中小企業だろうが、また大企業だろうが、とにかく言われるとおりの不況の状態だ、こういうのであるならば、そういうことに遠慮する必要はない。また不況カルテルなりやいなやということも十分に公取におきまして審査もいたすでございましょうが、そういう意味においては別に公取が働くからといって、今日不況の状態のものは不況カルテルをつくるにちっとも遠慮することはないと思います。ことに繊維関係あるいは紡績関係等は、これは事業自体が長い不況の状況にあるのでありますから、こういうものに対する政府自身が十分めんどうを見るということは、これは当然あってしかるべきだと思います。また、もう一つ大事なことは、業界自身に秩序が保たれることは何と申しても必要なことであります。ただいま自由な状態のもとにおいてということで、出血輸出をしょうがどうしようが、そんなことはかまわないんだというようなことで、この貿易上に悪影響を及ぼしたり、あるいは国内におきましても、いわゆる不当あるいは過当の競争をする、こういうようなことがあってはならないと思います。だから、私どもは、一面におきましてやはり業界の秩序を守る、これは国内だけの問題ではない、国際的にも必要なことだ、かように私は考えております。だから、そういう意味では必要な処置をとられて、また不当な競争を防止するように、これまた努力していかなければならないと思います。  また、今日私どもは、今回の予算におきまして非常に多額にのぼる物品税の減税も計画いたしております。いずれ皆さんの協賛を経てこの案が成立するだろうと思いますが、現実に物品税などはそれだけ価格が安くなるといいますか、当然、少なくともその限度におきましては安くなるのがこれは筋でございますから、そういう意味で、価格がどういうように形成されるか、減税実施後においてどういうような変動を来たすか、これは十分監視したい、かように私は思っております。この物品税の減税も、ただ単にそれが関係者だけを利益するということのないようにしたいと思います。  それからもう一つつけ加えて申し上げますが、今日までのところ、特殊な不況の産業は別といたしまして、いわゆる工業製品そのものは大体下降の状況をたどっておる。きわめてわずかでありますが、これは安くなっておる。そうして言えますことは、いわゆる卸売り物価というものは安定し、またそれも、横ばいというよりも少し下降の状況だ。しかし、これが同時に消費者に移る場合に、その後の価格が変動してきている。これなどが、いわゆる生産性の伴わないもの、あるいはサービス業等が、指摘されるようないわゆる賃金高騰等の理由から必ずしも物価が下がらない、こういうようなことでありますので、ぜひとも各界各層の協力を得ないと物価問題は実効をあげるわけのものではないと思います。物価そのものを取り扱うほうにおきましても、十分最終消費者にどういうように利益を与えるか、こういうことをくふうしてもらいたいし、また消費者自身もやっぱり物価の公正なあり方というものについて十分留意していただく。ただいまの物品税の減税なぞは、これは確かに消費者の御協力を得たい問題でもございますので、それで十分監視する、そういうことで初めて物価を安定さすことができるのだ、かように思いますので、政府の施策もさることですが、大事なのはやはり国民全体の御協力、これが  一番大事だと、かように私は思っております。

北島武雄公正取引委員会委員長

○北島政府委員 公正取引委員会はもともと価格統制を行なっておる機関ではございませんが、独占禁止法の運用上、価格に関係あるものが多々ございます。現在の物価事情にかんがみまして、公正取引委員会といたしましては、そのなし得る権限、なすべき職責の範囲内において、価格対策に関係あるものについてどしどし推進いたしているつもりでございます。  まず第一にカルテルの問題についてお話しでございましたが、不況カルテル、これは、独占禁止法上の不況カルテルは現在十七ございますが、これは公正取引委員会が認可いたすわけでございます。この認可いたす場合におきましては、独占禁止法上の要件を十分に吟味いたしまして、ことにそれが一般消費者及び関連事業者に不当に悪影響を及ぼすおそれがないかどうかという点について厳重に審査をいたして、ただいま十七の不況カルテルを認めているわけでございますが、これがいたずらに長引きますと、ややもすれば安易に、常態において業界があぐらをかくことになりますので、こういうことのないよう厳に注意をいたしたいと思います。  なお、不況カルテルと広範囲に申しますと、実は中小企業団体法、これは通商産業省の御主管でございますが、中小団体法に基づくカルテルが非常に多い。約六百ございます。大部分中小企業に関するものでございます。私どもの独占禁止法で直接取り扱っておりますのは、ただいま申しました不況カルテル十七件でございます。カルテルにつきましては、法律上認められました不況カルテルにつきまして厳重に審査いたしますほか、法令で認められておらない、いわゆるやみの価格協定による価格の引き上げあるいは価格の維持、これについては厳正な取り締まりをいたさなければならぬと思っております。この点につきまして公正取引委員会といたしましては、現在力をあげてこの点に当たっております。  なお、再販売価格維持契約の問題でございますが、これは独占禁止法上、再販売価格維持契約というものは認められております。これは日本の独占禁止法だけでなく、英米仏、各国ともこういう形態があるのでございまして、ごく一例を申し上げますと、新聞、雑誌等の著作物、これは当然のことで認められております。その他の商品につきましても、これは独禁法とは私は異質の考えと思いますが、各国で認めておる。で、私どものほうといたしましては、公正取引委員会で現在認めておる商品がございますが、これについての再検討を十分いたさなければならぬとともに、この法律の認めておらない商品についての再販売価格維持行為が相当広範に行なわれているのじゃないか、こういう感じがいたします。私といたしましては、この点について厳重にメスを入れまして、今後その方面の規制を十分に行なっていきたいと考えております。  第三は、管理価格の点について先ほどちょっとお触れになりましたが、管理価格の問題、いわゆる大企業の下方硬直しておる管理価格の問題につきましては、今後十分に力を入れまして実態の究明にあたり、もしそれが独占禁止法上の価格協定によるものであるというような場合においては、独占禁止法上の措置をとりたいと思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 物価問題については、以上で一応終わりたいと思います。  次に、公債問題についてお尋ねをしたいと思います。  政府は四十一年度の予算案を出すにあたりまして、予算総則において、財政法第四条に基づく公共事業費の範囲というものを出しております。との公共事業費の範囲を見ますと、私の計算が間違いでなければ、おそらく八十八ぐらいになる。実に広範囲な公共事業を対象にいたしておる。財政法の四条は、言うまでもなく公共事業費でありますが、しかし、こうした公共事業費の対象を八十八も予算総則で列記する上においては、また、歯どめになるんだという議論からいえば、当然これを選ぶ基準、またそれを裏づける理論、根拠というものが私は明確にあるはずだと思う。どういう見解に基づいてこの八十八費目をここに列挙さしたのか、ひとつそれを大蔵大臣から聞かしていただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 歳出の中で、国家、国民の財産としてあとに残るものである、さような性格のものを公共事業等と、かように考えたわけであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 要するに公共事業費としてあとに資産が残るもの、これが基準ですね。そうすると、公共性という範囲はどうなりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国家、国民の資産として残るのでありますから、ひとしくこれは公共性の非常に高いものであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 国家、国民の利益と福祉として残るもので、しかもあとに資産が残るものという範囲でありますと、たとえば兵器でもそうなりますか、軍隊の兵器、平和を守るということでそうなりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これは除外をいたすことにいたしております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 それはどういう論理に基づくわけでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これは、国家、国民の資産として残るというよりは、結局消耗的なものになる、こういうふうに考えるからであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 兵舎の建設は、そうしますとこの公債発行の対象になりますね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公債発行の対象にはいたしません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 いまちょっと失礼しましたが、答弁をもう一度お願いします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公共事業費等という中には入れておりません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 しかし、あなたの見解から言うならば、これは入り得るのですね。国家公共の福祉のために残る設備、資産ということであれば、また消耗的でないという考え方からいけば、論理的に対象になり得ますね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 結局、兵舎等の施設といえども、これは防衛という消耗的なものに連なるものである、かようなことから除外をいたすものであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 学校を建てる、その学校も同じ建物である。それからここに載せてある給食施設、これも公債の対象としての公共事業であるとしてここに載せてある。しかし、兵舎は同じ建物であるけれども、これは万が一にもなると、戦争でこわされるかもしれないからこれは消耗的だ、だからこれは対象にしないんだ、こういう論理は一体どういう論理ですか。おかしいじゃありませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 防衛費ということ自体が消耗的な性格を持つと思うんです。そういうものに連なる、関連をする性格を持つ、こういうことから、これを一般の公共事業費等に準ずることは適切でない、かように考えておるわけであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 これは防衛庁長官にひとつお尋ねします。一体兵舎、防衛は消耗的だと、こう言うのですけれども、それでよろしゅうございますか。

松野頼三自由民主党防衛庁長官

○松野国務大臣 消耗品だという考えは私は持っておりません。これはもっぱら財政的見解ですから、私のほうの主観的見解ではありません、これは財政的見解。私のほうの主観的見解は、消耗だとは思っておりません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 大蔵大臣は消耗品だ、防衛庁長官はそうは思いたくない。総理大臣、一体どっちなんです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへん申しわけのない話ですが、私はいまちょうど席を立っておりましたが、しかし、ただいま結論のところだけは伺ったのであります。私は、大蔵大臣が財政的にとっておりますその態度から申しまして、やはり償却の考えられるようなもの、こういう意味じゃないだろうか。そういう意味で大蔵大臣の今回の見方、これを私は支持するのであります。先ほど防衛庁長官が言っておりますのも、大蔵大臣的な考え方でものごとを見たい、こういうような答弁ではないか、かように私は理解しております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 実にわからない議論でありまして、しかも大蔵大臣が公共事業費等と、等を入れている。そこにも私は一つ問題があると思う。しかし、いずれにしましても、一番大事な点は、たとえば従来収益性とかあるいは資本回収性とかいう問題が議論になっていた。ところがあなたは、あとに資産が残ればいいんだ、そういうものを考える、その論理からいくと、消耗的だ、あるいは総理から言えば、減価償却が必要でないようなものがそうじやないのか、こう言われる。早く言えば、あとに資産が残るもの、そうして、これは国家公共の福祉だ、これは実に膨大な解釈ができますよ。おそらく防衛庁長官は、われわれは平和に寄与するためにあるのであって、これは国家、公共の福祉の最大の貢献者だと考えているに違いない。そういうことを考えていきますと、この基準というものは、私はもう全く壁のないものだ、限界がないものだと思う。  それからもう一つ、大蔵大臣、あなたはそういう資産だというけれども、私はよくわかりませんけれども、これは資産になるのですか。経済企画庁の地域経済計画調査調整費——調査調整費というのは、何か建物にでもなるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 調整費は、これはあるいはどこの川とどこの山に一つ手を入れるというような、そういう一種の公共土木事業的な経費に使われるのです。国民の資産としてあとへ残っていくという意味におきましては、河川費等々と少しも変わりはないわけであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 とにもかくにもここに非常なべらぼうな、非常に拡大解釈できる、しかも、もうワクなど、限界などのない公共福祉、あとに資産が残ればいい、こういう見解でこれが組まれている。私は、これで一体財政法第四条の、いうところの公共事業費に限るというこの規定が、歯どめになると考えられますか。総理大臣、どうです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 今回は公債発行、これはしばらくやらなかったものをやろうというのでありますから、十分検討いたしまして、財政法第四条違反の行為ではございませんし、またこのこと自身が、これは歯どめになるものでございまして、私ははっきり申し上げますが、十分検討した公債発行でございますから、財政法四条に違反するようなものでない、これはりっぱに歯どめになりますと、明確にお答えしておきます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 まことに不明確な議論でありました。私は、これが財政当局の責任ある態度かと思うと、まことに残念に思う。しかし、いずれにいたしましても態度はきわめて明白でありますから、この明白な態度は、徹底的に追及しなければならぬと私は思います。  それから、政府はここに七千三百億円の公債を出されました。見ますと、財政法に基づく償還計画なるものが、ここに出ております。これは、私はそれ自体まことに重大な欠陥があると、実は考えております。同時に、公債を七年において償還をすることを考えてみますと、今後の財政計画というものは当然あるべきだ。ところが、その財政計画というものは出されておらない。私は、ここで佐藤さんにひとつ伺いますが、今後の財政計画というものを出す用意がありますか。これがなければ、私はとうていこの審議はできないと思うのだけれども、どうですか。いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの公債償還計画、将来にわたる減債基金制度、そういうものについてはいかにあるべきか、これは財政制度審議会にただいまはかっておる状況でございますので、その結果を待ちたい、かように私は思いますが、問題は、公債を発行した、それがりっぱに償還できるかどうかという問題にかかっておる、かように思いますので、ただいま申すように、減債基金制度についてはいかにあるべきかということを、答申を得るように審議していただいているのでございます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 総理、この前閣議決定で、少なくとも三年後においては物価は三%、経済の成長率は、七、八%が安定成長であるということをおきめになったのじゃないですか。安定成長は、どのくらいの成長率でありますか。あなたはどう考えておりますか。何%ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政府におきましていろいろ審議しておりますものは、七、八%、かような表現をいたしております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 藤山経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、この七、八%の経済成長というものは、何か根拠があってつくられたものですか。さもなくて、頭の中でこのくらいが日本ではふさわしいという、いわばあなたたちのビジョンなのですか。どっちなのですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 もちろん今日の段階におきまして、財政の問題につきましても経済の動きにつきましても、十分な、完全なデータをそろえるわけにまいりませんし、また、それぞれの五カ年計画あるいは七カ年計画というようなものも、今後策定されましょうし、あるいは策定中のものもございます。したがって、それらのものを整備しますのには若干時日を要しますので、この将来の見通しというものを秋ごろまでにはつくっていきたい、こう考えておりますけれども、さしあたりといたしましてわれわれがこういう方針でやっていったらどうだろうかという問題につきましては、いまお話しのように、経済を安定成長に乗せていくという立場に立ちまして、七、八%程度の状況が一番適当じゃないか。また、当面の本年度予算その他から見まして、財政投融資なり、あるいは設備投資なり、あるいは個人消費の量なり、それらのものを勘案しまして、ここ二、三年は七%であることが適当であろうという、ビジョンと申しますか、一つの理想的な運営をしていきたい。したがいまして、非常な高い成長になりますと、またゆがみ、ひずみが出てきてもいかぬ。その高い成長のあり方にもよります。今日、かりに民間設備投資が四兆五千億台以上にどんどんのぼっていった場合に、その設備投資自身が中小企業に回ってまいりますればよろしいのですが、過去のように大きな企業だけに設備投資が集中いたしますと、現状のような関係が起こってまいります。したがって、七、八%の内容につきましても、それぞれ今後の政策の上でそれらの指導方針は私どもはきめていかなければならぬ、こう考えております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 佐藤総理大臣、七%ないし八%の経済成長でありますと、国民総生産は幾らになりますか。ことしは三十兆でしょう。一年ずつ七、八%ずつ伸びていけば、私は数字がはっきり出ると思う。その数字をよかったら私のほうから御説明してもよろしい。あなたが七、八%が安定成長である、それを今後の経済施策の基本にしたいというならば、たとえば八%といたしましよう。一番大きく見積もりましょう。大きく見積もって、GNPは幾らになるかといえば、四十一年が御存じのとおり三十兆、四十二年が三十三兆三千億、四十三年が三十六兆、四十四年が三十八兆九千億、四十五年が四十二兆、これがあなたのビジョン、これがあなたたちの理想だ、おわかりですね。大蔵大臣、これから一体幾ら租税及び専売益収入がとれるか。弾性値は一体どうですか。弾性値は、ことしは一一ですね。これは不況型ですね。この弾性値を一・二にしましょうか。無理じゃないでしょう。弾性値を一・二にして——これが過ぎるかもしれません。一・二にしてみて、自然増収は幾らになりましょうか。現在の税体系でですよ。あなたが改正した税体系でですよ。そうすれば、四十二年の余剰財源、いわゆる自然増が四千七百三十二億円、四十三年が五千四百億円、四十四年が六千百六十億円、四十五年が七千億円、これが安定成長における租税収入の超過分、わかりますね。それから予算規模は一体どうするのか。大蔵大臣は調子よく、いいときには押えて悪いときにはふくらましてと、ゴム風船のようにあなたは言われますけれども、日本の財政規模は、いままで平均にして一四%ずつ拡大してきました。ことしは一七・九ですけれども、いままでの財政規模は、一四・五%増大しているじゃありませんか。それをあなたの政治力に期待してもっと押えましょうか。もしそれを押えて財政規模を一二%増ぐらいに押えるとする——これはとても押えられないと私は思う。予算が硬直して、しかも公共事業費というものは継続事業である。刺激政策は一年間だけでおさまるわけにはいかぬから、来年もとらなければならない。しかし、財政規模を一二%ふやしたときに、一番皆さんががまんをして——まあそうでしょう、一兆円公債があり、五千億減税なんということを押えたり、圧力団体をぐっと押えたり、うんと抑えて、どうです。予算規模を一二%増にしましようか。そうしましたらば、財政が幾ら要るかということがわかるでしょう。ことしの四兆三千億に対して出てきますね。そうすると、あなたの八%の経済成長率の安定成長をやりましても、これから漸次出てくるのは、御存じのとおりに四十二年に一兆円、四十三年に一兆三百億円、四十四年に一兆六百億円、四十五年に一兆一千億円の財政欠損を生じます。毎年ですよ。こんなに高く土産を見積もり、こんなに予算規模を小さく見積もっても、これだけの財政欠陥が出てきますよ。今後五ヵ年の展望ですよ。その展望を見ると、ここではどうしても公債を縮めることができるなんということは考えられないし、返済も考えられないし、これは公債の累積じゃないか。累積を考えてくれば明らかなとおりに、わずか三年、四年にして四兆、五兆。しかもそれ以外に政府保証債、短期債の大蔵証券がある。またこれらの利子のほかに、民間資本の導入をやっておりますが、そのために金利の補給が必要となり、利子補給をやっているでしょう。これも金利負担に加算しなければなりません。こういうふうに借金を膨大にして、それであたかも日本の経済は健全であるかのごとく、私はインフレを起こしません、佐藤は責任を持ってやりますなんといって腹をたたいてみたところで、一体われわれは賛成できますか。一体財政規模の今後の状態というものをこの国会に出してもらわないで、七千三百億円やりますという公債の発行だけを出して、あとはこっちのほうで四十八年には返すことになりますなんという償還計画を書いただけで、それでこの国会にこの予算を審議してくださいなどということができますか。私は国会を侮辱していると思う。こういう意味で、私はもっと真剣な財政討議というものをしてほしい。ここに、われわれの納得のいくように、今後の財政規模がどうなるのか、はたして公債発行に不安がないのか、明らかにしていただきたい。どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま勝間田さんのお話ですね、七、八%の経済成長とおっしゃいます。しかし、これは実質の話なんです。ノミナルなものはもっと高い。一〇%ぐらいになりましょうか。それから租税の弾性値の見方ですが、一・五というくらいの見方も、これは経済成長期にはあるのです。そういうようなことを考えますと、租税収入は相当ふえる、こう見ておるわけです。しかし、お話のように、この三−五ヵ年の間は、経済低圧期だと思います。したがいまして、財政の規模は、これは維持しなければならぬ、その維持をするためには、七千三百億円の公債ではたしていいかどうか。私は、これは多少ふえると思う。ふえる傾向を持つと思うのです。しかし、経済がよくなるに従いまして、この額は逐次減少をする、こういうふうに考えておるわけでありまして、たとえば昭和初期に高橋財政というものが行なわれた。これは昭和七年です。歳出規模の三割にも相当する大規模な公債発行を行なったのですが、それぶ三、四年しますと相当効果をあらわしてきまして、昭和十年には公債漸減方針がとられ、これが実行されるようなことになっております。私は、今度の公債発行による日本経済回復、発展、このコースは間違いない、こういうふうに見ておりますが、そういうことが今後の財政の保証であり、担保である、そういうふうに考えております。低圧経済のもとにおいて公債を発行いたしましても、何らの不安はない。確信を持っております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 これは非常に論理のごまかしでありまして、私が実質をたまたまここにとったわけでありますけれども、それがノミナルで計算されることは当然であります。だから、私はここで弾性値を一・三なり一・二なりに求めておるわけであります。そういうことをあなたがここで言われることは、私はたいへんな迷惑な話であります。また同時に、低圧だから、あるいはよくなれば、高橋さんのように三年間たったら景気がよくなるから、そのときは少なくなるだろう、こう言われるけれども、そうじゃなくて、あなたたちは、少なくとも七・八%程度を安定成長だと考えておるわけだ。だから私は、実質安定成長八%のときに、一体日本の財政収入は幾らになるか、現在の税体系で幾らになるか、こういう最高の計算をしておるわけです。あなたは、それじゃ過熱を考えておるわけですか。一二%も二一%も出てきて、それで公債を発行しなくても済む世の中を考えているのですか。そうじやないでしょう。そういう経済はむちゃだから、七、八%に安定したいということを考えておるのでしょう。だから、七、八%の安定した経済が妥当であるというならば、そのときにおける財政規模は幾らだということを考えるならば、私の論理が正しいじゃないのですか。何か高橋さんのように、インフレが起きて、もっと過熱が起きて、そのときには縮めることができるだろうなんというようなことと比較するということは、非常な皆さんの論理のごまかしだと私は思うのです。そうでしょう。しかも私は、むしろ高橋さんにそういうことを学ぶべきではなくて、高橋さんが最初に日銀に引き受けさせて、そして売りオペでこれを漸次減少させていこうとする政策をとって、景気が回復するようになっては、もう売りオペも困難になったから、どうしても財政規模を押えなければならぬ。財政規模を押えるために努力をしたが、軍部の抵抗に抗し得なかった。それで高橋さんも、あなたの先輩の藤井さんも、結局片方は凶弾で倒れ、片方は病気で倒れたわけです。そうでしょう。佐藤さんや福田さんが二年も三年も内閣におられる方とは、私は思えない。だから、将来のことを云々するのもどうかとは思うけれども、しかし、いずれにしても高橋さんが二・二六で倒れてさえ、なおかっこの予算というものを押えることができなかった。むしろその政治的圧力にこそ、われわれは学ぶべきものがあるのである。そうでしょう。そういうことを考えてみると、私は、この財政規模というものをここにだれでもが計算できる。あなたたちの言う八%でいけば、少なくともここ数年は一兆円ないし一兆一千億の公債を発行しなければなりませんね。あなたもそれを認めるでしょう。数年は公債累積ですね。どうですか、福田さん。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 低圧経済下におきましては、私は、公債政策を維持しなければならぬ、ことしの、昭和四十一年の七千三百億円、これを上回るくらいの公債がこの数年は出ていくのじゃないか、そういうふうに考えます。それでよろしいのだ。しかし、その累積を考えてみます。かりに四十五年まで幾ら累積するか。四兆かそこらでしょう。そのときの財政規模は一体どうなるのだ。おそらく七兆はこえる状態だと思う。七兆をこえ、しかも国民所得はどうなる。あなたは七、八%で計算して、四十二兆ですか、言っておられますが、これはノミナルの計算、これを使わなきゃいかぬ。そうすると、これは四十五兆円をこえる状態になる。そういう際に累積四兆円、一割の公債が残る、これは私は何らの不安はない。それによって経済が発展し、回復し、公債漸減方式がとれる状態なら、これで私はいいんじゃないかと思う。これは全く見解の相違というほかはないのであります。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 あなたは国民総所得における一割ということをいわれましたが、私はこの問題については、また議論をいたしましょう。ドイツが現在八%、一割に及ばない。御存じのとおり。よくイギリスの場合をどうのこうの言いますけれども、この場合においては、政府保証債その他が加わって、そういう計算になります。私は、日本の場合この計算の基礎という問題を抜きにした議論というものが行なわれていることを遺憾に思う。また日本の場合、一番重要なことは、財政に弾力性があるかどうかという問題なんです。アメリカは租税に弾力性があればこそ、ああいう政策がとれた。日本は、それがとれないところに日本の特性がある。ここを考慮せねばならぬところも、私は問題だと思う。しかし、いずれにいたしましても、あなたはここに圧力が加わって、いわゆるデフレギャップというか、経済の低圧状態のもとにおける予測をされておるし、起債の累積をある程度見通されているようだ。しかし、そうならばそうなるほど、私は今日、中期経済計画のない社会で——この計画もやめたというのである、八%の計画が頭の中で考えられ、七千三百億の公債がこれまた何らの計画もなしにどさっと景気回復という形で出され、償還計画はわれわれに少しも納得のいくだけの説明を与えない。そうして今日の国民に対して、おれを信用しておけ、こういう形で審議をさせられても、私は国会を軽視している以外の何ものでもないと思う。  私は、時間もありませんから、はなはだ残念でありますけれども、償還についても申しましょうか。償還計画について、やはり予算総則について出ております。そうでしょう。四十一年では七千三百億、これが七年目には返すことになる。これが計画だそうであります。ところが今度は、木村委員の反撃にあって説明をつけた。説明を見ますと、この七千三百億は、財政法第六条による財源——財政法第六条における財源というのは、あなたも御存じのとおりに、剰余金が生じた場合においては、その翌翌年度においてその二分の一でしたか、云々を繰り入れなければならないというものです。これからあなた、これで日本の財政に余剰金が出ると思いますか。ことしの剰余金の繰り入れは五十三億でしょう。三十九年以来、日本の財政構造というのは変わってきている。剰余金が出てくる、それに多くを期待するということが事実上不可能な状態になっているから、今日は財政法六条の財源というものは、むしろこれは空文化している。これは認めるでしょうね。もう一つの財政繰り入れの財源をあなたはどこに求めているかというと、国債整理基金に充てるべき資金の繰入れの特例に関する法難、この財源はどうです。これは三十六年以前においては、一万分の百十六の二分の一とか五分の一とかいわれました。この当時においては、義務的な財源が、一万分の百十六とかその何分の一とかというものを入れることが、当然義務づけられている。ところが、今日それは停止されている。そうでしょう。停止されているのだから、ここからくる財源というものは、そのときの政府の任意にまかされているといっても過言ではない。これは確実な余剰財源ということにはならない。そうすると、ここに最後に出てくるのが、国債整理基金特別会計法第五条の規定に基づき借りかえのための起債によるのだということになってくるのではないか。それで最後に、状況によっては、期限前償還または買い入れ消却をやります。七年たつ前にこれを期待し得ますか。佐藤さん、こういう方法があるということで、こういうことをいま予測ができますか。これもごまかしでしょう。作文でしょう。そうなると、どうしてもここで繰り越しをもう一ぺんやらなければならぬとか、繰り越しをやるなら、またいわゆる繰り越しのための借りかえ公債の発行はできないと思う。そこで、問題がたくさん出てくる。だからこそわれわれは、ここで償還計画なりに対して明確な答てをもらわなければ、この予算の審議はできないじゃないか、私はそう思う。だから、私はここで時間もなんですけれども、今後における経済の見通しは、経済計画はどうなるのか、財政計画はどうなるのか、償還計画の見通しはどうなるのかということを十分にここに提出してもらいたい。資料を要求する。これなくして、今日われわれがこの予算を審議するとするならば、私は国民に十分な責任を果たしたことにならない。総理大臣、どうですか。国民に責任を負うというなら、これだけの責任を負いなさい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 元来私どもが考えております国債は、これは先ほども申し上げたのですが、国民の財産として残るものを見合いにしておる。つまり国民の貯産の耐久年数ぐらいに応ずべき性格のものだと思うのです。つまり十五年とか二十年、そういう公債を出すというのが、私はあり得べき姿だ、こういうふうに思うのです。ところが、市中の情勢等を考えますと、そういうことは不可能である。そこで七年ものということにいたしたわけでありまして、いま償還計画の説明に、いろいろな方法があるということが書いてあるのですが、これは、そういう方法があるということを書いたのであって、現実にそういうものじゃないのじゃないかというお話でございますが、確かにそういう一面があります。私は、七年後になりまして、この国債が租税収入によって償還できるかというと、これは困難である、そういうふうに思います。これは、借りかえの方法なんかが相当取り入れられなければならない、かように考えておるわけです。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、総理に一つ聞いておきたいと思う。いまお願いしました財政計画と、今後の償還の見通しと、それから先ほどあなたは減債基金の制度の問題を言われましたけれども、どうしてもその制度はどうなるかという方針を、この予算委員会の審議中に私は明確に決定して出してもらいたい。この三つについて約束しますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この予算委員会の審議中にと、こういう条件をつけられるのですが、できるだけ早い機会にただいま要望されました各点について成案を得るようにしたい、かように私は思っております。ただいま中期経済計画、これはこの前つくりましたものが、公債発行ということによりましてそのまま実施するわけにいかないということでございますので、経済企画庁におきまして、この中期経済計画にかわるものをつくる、こういうことでいろいろ準備をいたしております。いままで私が伺ったところでは、私どもが最善の努力をいたすにいたしましても、この審議中にはどうも間に合いそうにございません。この点は私が冒頭に申しますように、あらゆる努力をいたします。かように申しますが、ただいまの審議の途中においてこれに間に合うということは、なかなかむずかしいのじゃないか、かように私は思っております。  また、減債基金の問題につきましても、償還の問題につきましても、大蔵当局におきまして十分これと取り組んでおりますが、ただいま申し上げるように、審議の途中にそういう成案が出てくればたいへんしあわせだ、かように思っております。いずれにいたしましても、ただいま要望されます資料等は、政府におきましても誠意を持ってこの問題と取り組むと、この点で御了承をいただきたいと思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 私は、いまの問題は、これだけの膨大な借金を国民の負担において行なうのですから、財政計画についての資料、またその経済的な計画の裏づけ、それから重要な償還計画に重大な関係のある減債基金制度を、これをいま審議、研究中だというなら、この減債基金制度はどうなるかということを私たちは絶対に知りたい。そこへどういう制度が設けられ、どういう財源がそこにぶち込まれるかということが、私は重要なことだと思う。よって以上の二点は、私はこの予算委員会の審議中に絶対に出してもらいたい。これは委員長、委員会の権威においてやってもらいたい。これが底抜けになるようだったら、予算委員会の権威はなくなると思う。やってください。委員長の答弁を聞きます。

福田一自由民主党

○福田委員長 お答えをいたします。  ただいまの質問と答弁の内容について委員長が了解しておるところでは、いささか少し食い違いがあるように考えられます。ついては、この問題について理事会において十分検討した上でお答えをいたしたいと存じます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 次に、外交についてお尋ねをしたいと思いますが、今日の問題で一番重要な問題は、何と申しましてもベトナム問題である。  このベトナム問題について佐藤内閣は、ハンフリー副大統領あるいはハリマン特使が来て以来、あるいは外務大臣がソ連を訪問した際に、この問題を提起してソ連側の協力を求める、あるいはまた横山特使を派遣するという態度をとっておるようであります。しかし、私はここで佐藤総理にお聞きしたいと思うのは、あなたはベトナム問題の平和的の解決をする上において、アメリカに何を要求しているのか、この点をはっきりお聞きしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 今日、世界の平和を維持し、あるいは特にアジアの平和維持、そのために必要なのはベトナム問題であり、この重要性を十分認識いたしまして、そうして解決をはかる。この際に、ベトナムの関係者一同といいますか、お互いに戦っておる国々が一ヵ所に会合を持つ、そのことが一番望ましいことだ。その会合を持つことによりまして、会談することによって、平和への探求をすべきじゃないか、かように実は私は考えておるのであります。したがいまして、アメリカのハンフリーあるいはハリマン特使等が次々に来日した際に、一番先に聞きたいことは、アメリカ自身が真に平和を探求しておるのかどうか、一部でいわれるごとく、アメリカはそうじやないのだ、これはやはり戦争遂行、そういう考え方でいろいろ話し合っているのだ、この平和への努力というものは、これは欺瞞的なものだ、こういうような説がございますので、私はハリマン特使、ハンフリー副大統領と会いました際も、アメリカの真意をつかむということ、それがまず第一の問題であったのであります。私が聞き得たところでは、また私が結論を出しました点は、アメリカも心から平和を要望しておる、また平和への努力に最善をいたす、かような意味でわざわざ来日した、かような実態といいますか、アメリカの真の考え方を理解することができましたので、たいへんしあわせだ、そういう意味の努力を今後続けていこう、こういうことで、冒頭に申すような、ただいまは関係者がそれぞれ十四の条件であるとか、あるいは北ベトナムから四条件、あるいはベトコンからは五条件だとか、いろいろいわれておりますが、とにかくそれらの話し合いの条件は双方合致はいたしておりませんけれども、しかし、平和への努力をする、こういう意味で戦闘を停止して協議に入る、これが今日一番望ましい方法ではないかというので、さような意味の努力をいたしてまいったのでございます。したがいまして、アメリカ自身が、北からの浸透、これに対してただいま北爆をいたしておりますが、しかし、この北爆停止、こういうものが可能かどうか、またこれを停止すべきだ、かような意見を申したのに対して、北からの浸透が停止されれば、自分たちは北爆を停止することにももちろんやぶさかではない、これはすぐやめるべきだ、かように申しておりますし、さらにまた、この会議を持ちます場合におきましても、関係者がその席に連なることについて、それぞれ表現のしかたとしては違いといいますか、ややゆとりがある、弾力的な表現はいたしておりますが、関係者が集まって会議をしよう、いわゆるジュネーブ会議開催といいますか、そういう形の方向に動いておる、かように私は考えておるのであります。その点では、その後国際連合の安保理事会にこの問題が提案され、そうしてその安保理事会の議題として協議されておるその状況を見ましても、ただいま私がハリマン特使やハンフリー副大統領が来日されたとき感得した、そういう結論でアメリカは行動しておる、かように私は思っております。したがいまして、現在の状況におきましては、この安保理事会が所期の目的を達して、そうして本格的な関係者一同の会合ができるように、これを心から願っておるような次第でございます。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 本格的な関係者の会議が持たれるということは、ジュネーブ協定の参加国のそのジュネーブ会議のようなものが持たれる、こういう意味ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ジュネーブ会議のようなものが持てる、こういう表現、これが適当ではないかと思います。ジュネーブ会議が再開されるというものでもないでしょうし、またその後、参加国もさらにふえるだろう、かよう私は思いますので、必ずしもジュネーブ会議が開催される——ジュネーブ会議のようなものだ、これが適当な表現かと思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 あなたの見ておる姿を見ますと、要するにアメリカの考えていることをそのまま使い走っているという印象を強く受ける。外国は少なくともそう皆受け取っておるのじゃないか。あなたがどう主観的に考えようとも、また残念ながらわれわれ社会党が考え、見てみましても、要するにソ連へ出かけていくのも、どこへ出かけていくのも、アメリカの政策をそのまま伝える、使い走りをする。日本の自主的な態度でベトナム問題を解決しようという心がまえがないのです。もしそうでないとあなたが反発するなら、一体アメリカのベトナム政策と佐藤内閣のベトナムに対する見解の相違はどこにあるのか聞かしてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまベトナム問題を解決する、こういう場合に、アメリカ追随ではないか、アメリカ一辺倒ではないか、こういう御批判がございますが、先ほど申しましたように、私は日本の独自の立場でただいまの結論が正しいものだ、かように考えて行動いたしておるのであります。社会党の御批判は御自由です。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 社会党の批判は自由だと言うけれども、私が最初に言うたのは、国民の立場で私は御質問しますので、国民によくわかるような説明をしてください。おそらく国民の大部分も、佐藤さんは結局アメリカの使い走りではないでしょうか、どこが違うのでしょうか、あれで一体ベトナム問題についての仲介の労なり、あるいは何か有力な主導なりが発揮できるのでしょうかという心配を持っている。その国民に対する疑惑にあなたお答えしなさいよ。何も勝間田が憎らしいからというのでなくて、国民にやりなさいよ。これをはっきりひとつ……。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 別に憎らしいから申したわけではございません。しかし、私が申し上げますように、私は日本の国益を増進する、日本の国益を守るという立場で外交を展開いたしております。それをアメリカ追随一辺倒だとか、追随外交だとか、かような御批判は御自由だ、かように申し上げているのであります。  それで、アメリカと私のほうの主張がそれではどこか違っておるかどうか、こういうことでございますが、ただいままでのところ、私が日本の国益増進の立場で判断をしたことは、アメリカも私どもも同じ考え方をしておる、かように私は思っておりますが、これから先にどういうような違いが出てくるか、それは私の関するところではございません。ただいまのところ、私はアメリカと同じような考え方でアジアの平和のために、世界の平和のために努力しております。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 それを言えば初めからわかっているわけです。社会党の批判が自由だというのじゃなくて、やはりあなた自身も認められたわけです。アメリカと同じです。こういうわけです。  私は、そこで大事な点は、今日の状態で一番大切な問題は、やはりアジアにおける日本の地位を考えてみたときに、日本の自主的立場だと思う。その自主的立場の中で一番大事なのは、ベトナムに、あるいは中国に、ソ連にものを言うのもいいけれども、今日アメリカにこそ日本が最もよく主張すべきだと私は思う。しかも今日のアメリカにおいて、御存じのとおり、アメリカの上院、下院を通じて、非常な大きな論争が巻き起こっている。アメリカのこの国内における世論の大きな対立と申しましょうか、動きというものを私どもは決して軽視してはならない。こういうことを考えてみると、日本がアメリカに要求することは、少なくとも佐藤内閣としてできることだ。北爆を永久に停止する、これをなぜ言い切れないのか。これを押し切れないのか。これを主張し続け得ないのか。私は佐藤内閣といえども、北爆の永久停止の主張はできるはずだと思う。どう思いますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 北爆の停止、これももちろん一つの問題でございますが、アメリカ自身が、北からの浸透がやむなら自分たちも爆撃をやめるとはっきり言っている。したがって、これは双方で二つのものがこういう事態を起こしているのでありますから、アメリカだけにただいまのような要望をいたしましても、これはいかぬと思います。だから、その双方に対して初めて事態の鎮静化のために努力すべきであり、それは双方に対して私どもの主張をはっきりさせることだ、これが必要だと思います。しばしば言われることでございますが、アメリカに対して私どもはただいまのような点も明確にはいたしております。しかし、北からの浸透が続く限りにおいてアメリカ自身がただいまのような自衛的な立場でこういう行動をやること、これは私どもも社会党が言われるように、アメリカはどんなことがあろうとも北爆を永久にやめろ、こういうような主張は私はいたしません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 これもうまく、巧妙な逃げ方でありまして、北がやるからこっち方もやむを得ないという論理に通ずるわけでありまして、これもアメリカと全く一致しております。まことに自主性がない話だと私は思う。また、私は佐藤内閣が安保条約の拡大解釈をやって、そしてベトナムを対象地域だとして今日いろいろの協力をやっていることを知っている。しかし、日本の憲法の立場からも、今日のアジアの立場からも、武力を行使することに対しては絶対に協力はできないという態度を日本政府としては主張できるはずだ。たとえば私の記憶がもし間違いでないならば、フランスは御存じのとおりにSEATOに加盟している。しかし、ベトナムの問題については、これの協力を拒否しておる。このフランスのき然たる態度というものが、今日のフランス外交というものが、ベトナムについても特にそうでありますけれども、大きな有効性を発揮していると私は思う。だが、逆に今日日本は軍事基地を提供する、労務を提供する、資材を提供する、そして拡大解釈をして、安保条約の履行を理由にベトナムに対する種々の武力支援を行なうというそういう状態で、今日のベトナムの平和的な解決ができようはずがないし、日本の役割りが果たせようはずがない。  私は、だから第二に、今日日本憲法の立場に従って、ベトナムに対する武力攻撃に対して日本は協力はできないという、このき然たる態度を表明できないのか、フランスの例に従ったらどうですか、総理の見解を聞いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、日本憲法、自衛隊法、これはりっぱに守っておると思います。したがいまして、ベトナムに対して軍事的協力はいたしておりません。ただいま軍事的協力をしておる、かようなお話でございますが、日本はあそこに出兵もいたしておりませんし、軍事的にアメリカに協力している、かような事態は全然ございません。どこまでも平和憲法を守る、憲法を守る、また自衛隊法を忠実に守る、それらの点におきまして違法は一つもございません。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 時間もまいりましたから、やはりお約束を守らなければならぬと思いますので、最後に、二点ほどの質問で終わらせていただきたいと思います。  それは、一つの問題は、あなたが昨年いわゆる川島氏のジャカルタ訪問でいろいろ指示をされて、川島・周会談をなされた。当時これはスカルノ大統領の非常なあっせんであったことを私も知っておる。しかし、そのときの内容については、もとより私はここでお話ししょうとは思いません。やはり私も参加した以上、その信義にはこたえたいと思います。しかし、その後における佐藤内閣の外交を見ておりますと、中国との外交というものは非常に低下しておる、後退しておる。逆にソ連とは非常に接近している。そして結局各種の外国電報なりあるいはラジオなりその他を見ますと、たとえば中国のごときは、これはアメリカの中国封じ込め政策の一環であるという評価をしている。その及ばずところはきわめて重大である。私はこの中国問題に対する後退と、またソ連に対する接近というものと、それが及ぼしている外国への影響というものを考えてみますると、佐藤内閣の政策について私は非常な不安を感ぜざるを得ない。中国に対する外交方針というものを積極的に進めるべきだ、これについてどのように考えているかということがまず一点。  それからもう一つ私が質問をしたいと思う点は、あなたは青少年問題を扱っていらっしゃる。だが私は、今日、たとえば早稲…の問題などを見ておりまして、昨年の慶応、ことしの早稲田、しかしこれは決して一慶応、一早稲田の問題ではないと私は思う。おそらくやがて全私立大学にこのことは及ぶのではないかと私は思う。この重大な問題を考えてみるときに、おれは今度若干の基金をふやした、育英資金の金を云々したということであなたは答弁されるかもしれないけれども、そのことも大切だ、絶対にやらなければならない、やらなければならないが、それだけでこれだけ深刻な私学の問題が起きているかというと、そうじやない。学生を見てみれば、苛烈な入学試験、入ってみればマイクロホンで三百人も五百人も一ぺんに教育されるようなマスプロ、したがって、教授と学生との接触などは思いもよらない。また教師は教師で、小さな低い教育費で、給料で、研究もできない。だから日本で現在一番欲している優秀な学者は、ほとんど外国へ行っちまう。国内へ残らない。そして大学は自治制度というものが認められないで、あなたは早稲田大学に警官を動員する、慶応にも警官が入る、結局警官という権力を使う。またそれで卒業すればどうです。私学と官学の差別待遇だ。なくなったというが、そうじやない、明らかに私学と官学の差別がある。私は官学を卒業させていただいた者ではありますけれども、遺憾ながらこういう私学と官学との差別というものを認めざるを得ない。そうした中で出てくる今日の学生の深刻な不満、そうした学校の教授たちのほんとうに深刻な今日の悩み、それらから出てくる今日の大学そのものの権威の失墜、もう大学などというものから出てきた学生が、そんなに日本というものを指導するだけのエリートではないんだ、もうそのものの権威というものが今日失われている、こういう一連の今日の大学教育に対して、根本的に反省と改革をすることなくしては、今日の問題は解決されないと私は思う。こういう問題について、一体佐藤内閣はどう取り組むのかということを私は聞きたい。  そうして、今日の国会で一番重要な問題として論じられてきたことは、あなたは常に国会の運営で、少数とか多数とかいう運営であったが、私は議会制民主主義というものの一番の大きな問題点は、国民の側から見て議会制民主主義をどう擁護すべきかということだと思う。国民の側から見たときに、一番大事な点は主権在民である。園児はみずからの代表を正しく選ぶ権利がある。正しく選ぶ権利、それをどう保障していくかということが一つ。国民はみずから要求し、意見を述べる権利がある。だから今日公聴会であるとか、請願権というものが認められているけれども、それは今日空文化している。もう一つは、国民は政治を知る権利がある。この正当に選ぶ権利、意見を求め、自分を要求する権利、政治を知る権利というものが今日における主権在民で、みずからの代表を通じて政治するという、この議会制民主主義というものの精神だと私は思う。議会の運営という、多数、少数という問題に問題をしぼって考えていくのではなくて、それも大切だが、こういう視野からものを考えていくと、今日の小選挙区制なんという考え方も間違いだし、また今日の公聴会、請願権に対する軽視の態度というものは、最も議会制民主主義を阻害している状態と私は思うし、現在の広報活動に至っては、政治を知らせしめる国民に対する権利の保障の行為としては、きわめて不完全だと実は思う。こういう点についての佐藤内閣の考え方というものをただしたかった。そして議会運営の問題の内容として一番大切なことは、何と言っても請願権は国民が持っていらっしゃる。同時にあなたたちは提案権を持っていらっしゃる。だから私は、一つあなたに提案します。あなたが提案権を持っているものは、予算でしょう、条約でしょう、予算ができてからこういうわれわれが質問をするのじゃなくて、できるまでの過程でもっと与野党の意見を求める議会の運営をしょうじゃありませんか。あなたたちが予算編成大綱をきめる前に、お互いの政党の間で予算編成大綱を十分に考える、あるいはわれわれの意見を述べる。予算編成大綱以前においてわれわれの意見を具申する、述べる、そういう制度をやろうじゃありませんか。あなたたちの持っている提案権の、この議案についての意見、また、あなたたちがとっているもう一つの問題は、条約でしょう。条約締結以前に、野党の党首に対してあなたは情報を提供していますか。意見を求めていますか。この事前の処置というものについて、あなたはどう考えていますか。こういう点を私は考えて、日本の議会制民主主義というものを国民の側から見、そうして議会の運営は、提案権を持っている、この二大問題に対する処置の問題として私は重要視したいと思う。  たいへん恐縮でございましたが、二つと申して三つになりましたけれども、以上三つの問題について、質問をさしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 まず第一に外交の点で、勝間田君は昨年は川島副総裁と一緒に出かけられ、そうしてインドネシアにおいて周恩来首相との会談等を通じて、中国との間にも話し合いの機会を持たれた、かように思います。そうしてただいま、中国に対しては後退をし、ソ連に対してはたいへん近づいた、こういうことはどうも外交のあり方としてふに落ちない、こういうような第一のお尋ねでございます。私はしばしば申し上げたので、私の外交方針については誤解はないと思いますが、いずれの国とも仲よくしていくのだ、そうして特別な敵国祝するとか、こういうようなことはないのだ、そうして、私はどこまでも平和外交に徹する、それにはお互いに独立を尊重し、そうして相互に内政に干渉しない、この態度でつき合っていきたいのだ、こういうことをしばしば申し上げてまいりました。したがいまして、この考え方で今日私は各国との間に友好関係は進められておると思います。  ただいまお尋ねになりました、ソ連とは最近航空協定やあるいは貿易協定、領事条約その他の面で、とにかく話し合いができるようになっている。これなどは、一部に、日米安保条約を締結していると外国とどうしても仲よくできないのではないのか、ソ連とはうまくいかないのじゃないのか、かような御疑念があったかのように思いますが、いや日米安保条約のもとにおいても、ソ連との友好関係は現実にこのとおり続けることができるので、こういうのを現実の問題として実は示しておるのでありまして、日米安全保障条約というものは偏狭なものではない、このことはおわかりがいただけるのではないかと思う。また、日本自体はいずれの国とも仲よくするのだ、こういう態度で取り組んでおるということも、これは現実の問題でおわかりができるのではないかと思います。  中国との関係においても同様なことが言えるのでありまして、最近中国との間の交流等にいたしましても、貿易なども四億ドルをはるかにオーバーしている。このことはいまだかってないことだ。貿易自身の状況等から、日本と中共との間でも在来にも増して貿易が進んでおる。どうしていわゆる中国に対して後退だ、中共に対して私どもが後退だ、かように言われるのか、私はふに落ちないのであります。そうして、これはアメリカの封じ込め政策、これと一体となって中国に対しての特別な差別的待遇をしている、こういうことをしばしば言われますが、貿易が拡大されておるこの一事をもってしても、中共との間の交流は次々に行なわれておる、これははっきりしておるのであります。アメリカに追随もしておらないし、アメリカ一辺倒の状況でもない。このことは、私が昨年アメリカを訪問いたしました際に、ジョンソン大統領との共同声明で実ははっきりいたしております。日本は、アメリカがどんな政策をとろうが、アメリカの政策とは違って、中共は隣の国なんだ、歴史的にも過去において非常な深い関係を持っているのだ、地理的にもほんとうに隣なんだ、また、民族相互が文化的な交流をいたしておるのだ、アメリカがどういう政策をとろうと、私のほうは政経分離の考え方でこれとっき合っていくのだ、こういうことを実ははっきり申しておりまして、そのとおりをやっておるのであります。ただいま申し上げるように、貿易額などもふえておる、かような状況であります。私は、一部におきまして、この問題についてあるいは後退をしておるとか、あるいはアメリカの封じ込め政策によっているのじゃないか、こういうようなことを言われますが、これはとんでもないことだと思います。国民の皆さんはよくおわかりをいただいておる。私の共同声明で日本の立場ははっきりさせておる。また、貿易自身がただいま申し上げたとおり金額がふえておる、こういうことであります。  もう一つ気になりますのは、ソ連とは仲よくして中共とは疎遠にしておる、そのためにソ連と中共との関係もうまくいかない、何か日本が特殊な外交路線をとっているのじゃないか、こういうような誤解でございます。私は、先ほど来申しますように、いずれの国とも仲よくする、これが私の態度であります。私自身がソ連と仲よくすることによって中共との間を仲よくすることをはばむとか、あるいは日米が相互に親交関係を結ぶために、あるいは中共に対しても疎遠にするとか、あるいはソ連に対しても疎遠にするとか、こういうものではないので、それぞれの国々とそれぞれの関係におきまして親交の度を増していく、これがいわゆる平和に徹した私の外交方針であります。その点では、中共におきましても、日本がソ連やアメリカと仲よくしているから、おれのほうを虐待するのではないか、かように気を回されることのないよう、この点をお願いしておきます。わが国の国民自体はどうか、私どもが善隣友好の外交を遂げる、こういう考え方でやっておるので、外交そのものが他に特別な悪影響を及ぼすようなものではないこと、これをひとつ御理解をいただきたい。  第二の問題といたしまして、早稲田大学の最近の紛糾、紛争に触れられました。そして、青少年問題と取り組んでおるのだが、ただいまのような学校状態をそのままにしておいて青少年の教育でもないじゃないか、こういうおしかりを受けております。私は、私自身も勝間…君と同じように官学で勉強したものでありますが、しかし、私学につきましては、私は官学の弊害も同時に知っておりますので、特にこれから先の教育においては私学の果たすべき役割りは非常に大きい、かように思っておりますので、私学振興会等につきましても特に意を用いてきたつもりであります。また、育英資金、育英制度等につきましても、官学と私学との間の差別や何かは特にしないようにくふうをいたして、それぞれ教育の目的を達するようにいたしたいものだと、万全を期しておるつもりであります。  ただ問題は、学校教育そのものが、いわゆる大学の自治ということが叫ばれておりまして、政府自身がこの種の段階においてくちばしをいれることは、私は適当でないように実は思うのであります。どこまでも大学自体におきまして、教授団、同時に学生との間でかような問題が良識のある話し合いによって結論を出していくことが望ましい、かように私は思っております。政府自身がこういう一、二のできごとを見まして、これはどうもけしからぬといって気をもんで、こういう問題にタッチする、容喙すること、これはそうあわてるべきものじゃない。容喙するにいたしましても、その方法なりその時期が非常にあるのではないか。とにかくまず第一は自治にまかすべきものだ、かように私は思っておるのであります。いずれにいたしましても、これらの点は、国民の各界各層の方々の良識ある逸書あるいは批判等でおそらく鎮静するものではないかと思います。いろいろ伺えば伺うだけに複雑な問題が介在するようでございますけれども、それらのことをも克服して、そうして話し合いができるようにぜひともあってほしい、かように思います。私は、ただいま御指摘になりましたような官学偏重、こういうようなことはもちろん慎しむべきだ。これは就職の際におきましても、また就職後の待遇等におきましても、そういう点では各会社とも気をつけておるようでありますから、一時、私ども若い時分のような非常に片寄った待遇なぞはないようでありますので、その点では、私はまず現状が望ましい状況ではないかと思います。ただしかし、御指摘にもありましたように、ただいまの状況のもとには、志願者が非常に多いとはいえ、大学で学ぶ者が狭隘な教室で、しかも先生の十分お世話ができないようなそういうもとにおいて学習する、そうしなければならない、こういうような状態にはほんとうに心から同情するものでありますから、教育のあり方、また教育の機会等につきましては、今後とも十分これらの点について考究もし、また実情に合うような措置をとるべきではないか、かように私は思います。ただいままで御指摘になりましたような、いたずらに経営偏重、こういうような批判を受けるような学校経営もあるようでございますから、そうではなくて、本来の教養第一、そういう方向において考えらるべきだ、これは御指摘のとおり、私も大事なことだ、かように思います。教育問題については、青少年に、特に次代を背負う青少年に多くを期待しておりますだけに、この教育問題とは真剣に取り組むつもりで、ただいま御指摘になりました、それも指摘したものはきわめて小部分、ごくわずかな部分だ、かように思いますが、全般として正しい方向であるべきだ。また青少年、りっぱな日本人、同作にりっぱな国際世界人ができるように、そういう方向で勉強するように、勉強のできるような学校制度を一そう研究してまいるつもりであります。  最後に、国会の運営についてのお話がございました。私はしごくごもっともなお話だと思います。全部を肯定するわけではございませんが、とにかく昨年の臨時国会、この姿では深く私ども反省をいたすのであります。幸いにいたしまして各党間において申し合わせができ、その方向で問題を掘り下げて、そうして進んでいこうというわけで、これは、私は国民の期待にこたえたいという各党の熱意のあらわれだ、私どもかように思いまして、その成果を期待しておるわけであります。その点で、いまの状況のもとにおいては、わずかにその入り口に到達して、これからひとつ本格的な正常化をはかろう、こういうのでございますから、一そう各党におきましても検討すべき問題がある、かように思います。それにつきましては議会制民主主義、これをして悔いなからしめる、また国民の期待に反することのないようにしたい、そういう意味で、主権在民の姿から申しまして、国民自身がそれぞれの権利があるんだ、三つばかりあげて権利を指摘されました。もちろんまず大事なことは、今日国民の、自分たちの代表者、これを正しく選ぶということだと思います。そういう意味で代表者を選ぶ権利があると同時に、それが正しく選ばれる、そういう方法を考えるべきだ、こういう意味から選挙制度審議会等におきまして、ただいまちょうどそういうことを掘り下げ、研究されておると思います。これもただいまいろいろなことがいわれておりますけれども、私自身は答申を待ちまして、しかる後に私の考え方を明確にいたしてまいりたいと思います。  また、お話しになりました国民の請願権、これは国民自身が政治を知る権利がある、同時に請願権を持っておる、こういう意味で請願権の行使、あるいはこの国会等が参考人を呼ぶとか、あるいは公聴会を開催するとか、こういう意味で国民に実態を十分知らすような態度をとられておる、かように私は思いまして、これらの点もただいまではあまり不平はないのではなかろうかと思います。ただ私は、その請願権の行使につきましてひとつ希望いたしたいことは、組織化されたる請願権の行使、こういうものがいわゆる憲法で大体予定したことであったかどうか、この点は少し考えてみる必要があるのではないだろうか、ただいまの請願権という名のもとにおいて、ときに圧力を加え、国会の審議を妨げるというようなことがあったり、あるいは威力を加える、それは多くの場合において請願権を組織化しておる、こういうところにずいぶん無理があるのではないかと思います。私は、勝間田君の言われるのは、いわゆる国民の正しい請願権の行使だろうと思いますので、かような意味の特別な組織化された請願権の行使などは、あまり念頭に置いておられぬのではないかと思いますけれども、私のこれは希望でございますから、一言触れておきます。  そうして、最後にお話しになりました政府の提案権、そういう意味で予算や条約についての政府の提案権は認める、同時に国民の代表である各党ともそういう点について、その提案をされる前に関与する方法はないのか、こういうようなお話でございます。この点は、私は、予算の審議等を通じましたり、あるいは国会の運営等あらゆる機会が、いわゆる野党の予算審議についての御意見ではないか、ただいままですべてが予算の編成についての野党側の強い具体的な要望だと思います。私どもは、民間団体、ときにはいわゆる圧力団体というような表現でその民間団体が登場してまいりますが、このことこそ、民主政治のもとにおきましては、政党が各団体の意見を聞く、そうして予算編成等にこれを参考にする、こういうことは望ましい姿ではないかと思います。私は、政党自身で、社会党の方が私どもにいろいろな意見を述べられて、予算の編成はかくあるべし、これこれのものを計上するように、こういうような御要求、御要望があれば、私どもそれは一切取り上げない、こういうようなものではございませんから、そういうものがあればどんどん話をひとつ聞かしていただきたい、かように思います。ただ、もちろん、私ども政府自身が予算の提案権を持っておるのでありますから、お話があったからといって、全部が取り入れられる、こういうものでないことは御承知願いたいのでありますが、私は野党の方々の御意見を聞かないで全部を抹殺するというような考え方でないことも御了承いただきたいと思います。  また、条約の問題につきましては、いままでもしばしばいわゆる超党派外交という形におきましてこの問題がいわれております。今日までのところは、超党派外交、これを推進するのにいたしましては、あまりにも各党がそれぞれの自己の主張にこだわり過ぎておる、かように私は思いますので、超党派外交はただいまその時期にあらず、かように思いますけれども、ただいま仰せのように、将来外交交渉、条約締結、こういうような場合においては各党の意見を聞け、そして問題を起こさない、ことに昨年の臨時国会などの日韓国交正常化等について、これははっきりは言われなかったが、ああいう態度は困る、こういうような御意見をも含めてのただいまの条約締結についての御要望かと思いますが、私はそういうように重要国策、国内であろうが、また国際的な条約であろうが、そういうような問題が、とかくそれぞれの政党の主張というものがはっきりいたしておりますために、なかなか話し合いの場が持てない、そのことがわが国の政治の非常な悲劇をかもし出しているのだ、かように私は思っておりますので、ただいま御指摘になりました予算編成あるいは条約の締結等につきましても、今後とも野党等の考え方をも十分念頭に置きつつ、しかもこれは話し合いができる問題だとか、これは話し合いがどうしてもつかないのだから、これは単独で処理して、最後は国民が支持する多数決の方法でこれをきめていく、こういうようなことにならざるを得ないかと思います。しかし、いずれにいたしましても、国内の重要問題、同時にまた国際的な条約締結等の重要案件につきましても、いわゆる話し合いの場を持たない、そういうような方向でなしに、とにかく話し合いの場を通じて最小限度にそういう摩擦を食いとめていく、こういう努力をすべきだ、かように私は思います。

勝間田清一日本社会党

○勝間田委員 最後に私は、いま総理の答弁がありました早稲田大学の問題については、当事者の話し合いによって解決をされたいというお話でありましたが、それはそれなりにいたしましても、今日の事態で非常に憂慮されるべきことが予見されますので、警察権を絶対に入れてはならないということをまず強く指摘しておきたいと思います。  それからもう一つ、私は最後にあなたに強く申し上げたいと思うことは、参議院におけるピストル事件、新潟県の知事選挙におけるああした事件、今日はまことに国民の信を失うような事態を、政府・与党が行なっている。この姿勢を正さなければ、政治の権威や国会の権威を回復することはできない。総理の決意と、こうした問題に対して一体どう処置されるのか、この点を最後にお尋ねして、私の質問を終わります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 第一の早稲田の問題、警官が入ったという問題は、警官自身が要請を受けて入ったのだ、私はかように思いますが、しかし、治安の維持は政府の責任でもありますから、事態につきまして十分よく検討をいたしまして、そうして間違いの起こらないようにいたしたいと思います。  また参議院の議員秘書の問題についての御批判がございました。同時にまた新潟の選挙等について御批判がございました。この点については、もうすでに各党で十分話し合いをいたしておるような次第でございますから、その話し合いの線で政府も御協力するつもりでございます。

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて勝間田君の質疑は終了いたしました。  午後は二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一瞬三十四分休憩      ————◇—————    午後三時八分開議

福田一自由民主党

○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十一年度総予算に対する質疑を続行いたします。  この際、申し上げます。ただいま参考人として日本銀行総裁宇佐美洵君の御出席をいただいております。  宇佐美参考人には、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとう存じます。厚くお礼を申し上げます。  なお、宇佐美参考人の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしますので、御了承願います。  それではこれより質疑に入ります。中澤茂一君。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 冒頭、運輸大臣、若干所用のある予定のようでございますから、総理と運輸大臣に質問をいたします。  国鉄運賃の値上げ問題について、御承知のように、いまこの改正案が運輸委員会にかかっておるようでありますが、総理が総裁をしておる自民党側で四、五日前からこれを強行採決しようというようなかまえがあるのでございますが、これは、御承知のようにこの補正予算はまだ当委員会にかかっておるのでありまして、補正予算が通らないのに運輸委員会で審議の強行突破をやるというようなことは、この際慎んでもらいたい。もしそれをやるならば、ここからまた当通常国会の不正常化の問題が出てくる。少なくとも当予算で補正が通過するまでは運輸委員会の強行採決は慎んでもらいたいと思います。この点について総理と運輸大臣の御所見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この問題は、運輸委員会におきまして各理事相互間でいろいろ話し合っておると、かように私は伺っております。もともと議運でこの問題が運輸委員会にかかり、そして、これの審議につきましても御協力を得るようないろいろの手段を講じておる、かように思っておりますが、なかなか理事会における申し合わせどおりにもいかないかのような節もあるように伺うのでありますが、とにかく今後とも各党の協力を得まして、そしてぜひとも審議の円満なる遂行を期したい、かように私は思います。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 運輸委員会で強行するというような意思は毛頭ございませんが、できるだけ早くから慎重に審議していただきたいという気持ちを持って、早く委員会を始めていただきたい、補正予算と同時にきめていただきたいという気持ちでございます。補正予算が二月十五日実施を前提として出しておりますので、一日も早くきめていただきたい、そういう気持ちで急いでおるのでございまして、強行採決をするという意思は持っておりません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 いま一つ、運輸大臣と総理にお伺いしておきますが、汽車のお弁当とお茶は幾らか御存じですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 お茶は十五円で、お弁当はいろいろありますので、一々私は承知しておりません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 これは小さい問題で、ここに日本のインフレの大きな問題があるのです。汽車の弁当の価格、これは若干運輸大臣の言うように相違がありますが、お茶の価格は十五円ではないのですよ。一日から二十円に上がっておるのですよ。一体お茶の価格が、十五円のものが二十円に一日から値上げしたということは、ここに私は大きな問題を含んでおると思うのです。  藤山経企長官、汽車のお茶の値段は、物価指数をとっておる四百六十七品目ですか、あの中へ入っておりますか、入っておりませんか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 承知はいたしておりませんけれども、汽車のお茶は入っておらぬと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 閣僚諸公で笑っている人があるが、これは失敬な話です。一体、このいまのインフレの事態というものを真剣に、佐藤内閣の閣僚は危機感を感じておるのかどうか、ここに私は大きな問題があると思うのです。閣僚が一致して、全部が危機感を感じて、夜も寝られないくらいみんなが心配するのでなければ、何でこの物価政策が乗り切れますか。不謹慎な、笑っておる閣僚がおるが、とんでもない話です。  そこで、日本のいまの経済状態というものを総理は一体どう考えているのか。先ほどの勝間田委員の質問に対しても、物価の値上がりは、それは野菜と魚だと言うが、もっと基本的な問題が財政、経済、予算全体の中にあるのではないか、そういうことを総理は真剣にお考えになったことがあるでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 消費者物価の問題が野菜と魚に限られると、かような説明をした覚えはございません。私は、物価を安定さす、同時にまた、不況を克服する、これが私に課せられた、またこの内閣に課せられたことしの課題だ、かように思っておりまして、真剣に取り組んでまいります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 午前中も総理は、真剣真剣ということを七、八回言われておりましたが、原因がわからないのに真剣に取り組むと言っても、取り組む方法はないのではないか。原因は一体どこにあるのか。もちろん私は、物価上昇指数の中で生鮮食料その他の値上がりが大幅であることを否定するものではありません。しかし、より根本的な問題があるのではないか。ということは、明らかに日本経済というものはインフレーションの段階に突入しておるのだと私は判断しておる。昨年、当予算委員会で、この予算からたいへんな事態が出てきますという私の警告に対して、総理も田中大蔵大臣も、健全均衡、通貨維持でございますから、そんなことは絶対ございませんという答弁をしている。ところが、事態は一年たったらどうでしょうか。それがちょうど昨年の五日の日であります。きょうは七日であります。  七・七という物価というものは、これは一体インフレーションじゃないのでしょうか。その辺を総理はどのように判断しておるのでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 現在の段階で私はインフレーションではない、かように思っております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 ただ総理が国会の答弁でインフレーションじゃないと言うだけでは、国民の皆さんは私は納得しないと思う。何ゆえインフレーションでないかということをいま少しこまかに御説明を願ったらどうですか。そうすれば国民は納得すると思うのです。これこれの事態だからインフレじゃないのだ、来年度は政策努力で必ず五・五%に下げるのだということを、総括主宰者である総理からひとつ御答弁願わないと、これは困りますね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 けさほども、いろいろ経済問題についてお話しいたしました。ただいまのは、経済、物価の動向等の数字の問題も多分にございますし、その点から説明をする必要がある、かように思いますので、企画庁長官をしてお答えさせます。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 今日の物価騰貴は、私ども検討いたしまして、やはり構造上のゆがみ、ひずみからきている面が非常に多いと思います。むろん賃金の平準化のために、合理化ができていない場面におきます若干のコストインフレ的傾向はございます。しかし、これは合理化をやりますれば吸収されるものだと私ども考えますので、そういう面から考えまして必ずしもインフレ的状態じゃないと思う。今日の物価を見てまいりますと、やはり一番物価上昇に寄与しておりますものは農水産物、あるいは中小企業の製品、サービス業、こういうものでございまして、これらのものが、いま申し上げたように、合理化を進めることによって生産性の向上をはかって吸収できるものでございますから、いわゆるコストインフレ的様相よりも、むしろそういう面と現段階においては考えて、中小企業の合理化なり、あるいはサービス業の合理化なりに全力をあげていくことによって吸収できるのじゃないか、かように考えておるのでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 国民はそれでは納得しないと思いますね。そういう御説明をしても、国民は、長官がそう言ったから物価は上がらぬだろうというような納得はしませんよ。現に私はお茶の例を申し上げたように、経企庁の物価指数の間に入っていないものがこういう暴騰をしておるのです。  それから、このごろ主婦の方々が陳情に来まして、政府は、物価はことしは七・七だと言っておるが、われわれ主婦の実感では、どうしても一割五分くらい上がっておるということを主婦の諸君が述懐しているのですよ。それは、たとえば一例で洗い張りの問題を取り上げましたが、三十五年のときの着物一枚の洗い張りの代金と——これももちろん物価指数に入っていませんよ。いまの代金では、洗い帳り一枚が二倍半に上がっておるというのです。そういう物価指数に入っていないものの上昇というものを勘案すれば、いまの段階は、明らかに日本経済は、昨年警告したように、インフレーション段階に突入しておるのじゃないか。だから、そのことを国民がほんとうに納得するように、そうじゃないんだという説明がつくならば、私は国民は納得すると思う。だから、そういう点において、いまの経企庁長官の御答弁だけでは国民は決して納得しない。ましてや、今度の予算を見ても、物価対策費というものは百五十二億組んだが、これは経企庁が最後になって、物価対策に充てる費用がどこかにないかといって拾い出して集めたものが百工十二億でしょう。だから、あの予算をもらって、役所によればどうやって使ったらいいかなんという役所があるらしいです。もらってはみたものの使いようがないということです。これがはたして佐藤総理の言う真剣な物価対策であるかどうか。私は、それでは国民がどう考えても、佐藤内閣を信頼しろ、おれは真剣にやるんだとあなたが幾らおっしゃっても、なかなか国民は信頼できないと思う。  そういうことで、これは国内ばかりじゃない。国外が一体日本の経済状況というものをどう判断しておるか、外国は一体どう判断しておるのか。いまや全く外債の起債は困難になったのは、この昨年の、私がああいう警告をした直後三月、直ちに例の山陽特殊鋼の破産がある。それから山一証券が続いて信用恐慌状態を起こしてきた。そこで外国の新聞は、その当時のものから私拾ってみますと、どう日本経済を判断しているか。まず山陽特殊鋼の倒産のとき、ロンドンのエコノミストは、借金経営の招いた悲劇であり失敗であるときめつけておるのです。それから五月の山一倒産——倒産ではないが、これはあとでお伺いするが、政府が手を打たなければ完全に信用恐慌を起こした。このときロンドンタイムスはどういうことを社説で取り上げたか。ついにシャボン玉は破裂したという社説を掲げて取り上げておるではありませんか。シャボン玉はついに破裂しらやった、こういうことをロンドンタイムスは社説で掲げておる。それからフランスのル・モンド紙はそのときどう言っているか、経営態度がなっとらぬと言っている。こういうふうにきめつけておる。それからフォーチューン誌はどう評論しているかというと、つくれば売れる時代が終わったにもかかわらず、気づかないあほうさには驚いたと言っておる。これがもう信用を落とした日本経済に対する外国の新聞論調である。そこで、七月二十六日にニューズウイークはこういうことを言っている。まことにこれは適切な表現だと私は思うのですが、日本経済はプロパンガスを充満させたタンクのようなものである、万一マッチが投げ込まれたら大爆発を起こす危険に満ちた経済であるとニューズウイークは評論しておるのです。  そのほか、幾多外国の新聞が日本経済の危険性を言っておる中で、特に一番日本経済に対して把握した評論をしておるのは、USニューズ・アンド・ワールド・レポート紙であります。これはカードのうちという表題で評論しております。カードの家、私は実にこれは微妙な表現だと思います。日本経済はカードのうちだということです。それは日本銀行という印刷したカードの経済だという評論をしておる。その中で、ずっといろいろ取り上げておりますが、要約しますと、第一に、銀行借り入れば別として、日本の会社が他の会社から借りた金は六百億ドルをこえており、日本の国民総生産に匹敵するものである。要するに企業間信用の二十二兆をここで取り上げておるわけです。その次に何を取り上げているかというと、日本の本年度の経済成長率は四%をこえないと見られており、それにもかかわらず、物価はその倍にも急上昇を続けておる。これはいまの物価上昇を取り上げておるのです。それからその次には、日本は慎重に均衡を保った予算を維持する戦後の政策から逸脱して、政府支出をふやす道を開くことになるだろうと予言しておる。公債発行をもう七月の二十六日に予言しておるのです。その次には、米国の銀行家たちは、日本へ貸し出した多くが堅実なものかどうかについての再検討を始めた。またアメリカ政府も、海外投資抑制計画に基づいて、危険な信用膨張を押えるために検討されなければならないと、これは社説で意見を述べておる。それから次に、日本の会社は、長期にわたってのみ採算のとれる投資を短期の信用借り入れに依存している、その債務増大のために利潤率は低下してきた。これはもういまの日本経済の欠陥というものを余すところなくえぐり抜いておるのです。  ここに私は日本経済の危機の問題がはらんでおると思う。昨年も私は外国の論説を取り上げましたが・こういうふうに日本経済が、外国人が外から見ていて、これだけの酷評を受けなければならないということは、これはまさに危機の様相であると私は思う。これに対して総理は一体どういうふうに考えるのか。おそらくこれから長期外債などの募集を幾らやっても、こういう世論や事態がある中では、私は今後の外資の問題に対しては大きな影響を受けてくると判断しておるが、どのように考えておるか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 昨年のわが国の経済に対する外国の経済界また新聞論調等を御披露なさいました。たいへん示唆に富んだ批評であり、またその中にも、中澤君自身が酷評を受けなくて済むようにという——私はいわゆる酷評というか、過大な表現のしかただ、かように考えますが、とにかく昨年の経済におきましてはさような批判を受けていた。私ども政府も、かような状態について経済の安定化、健全化をやらなければならないということで真剣に取り組んでまいったわけであります。ことに昨年の七月以降の一連の経済対策については、私どもも効果が上がったと、かように考えておりますが、外国におきましても、最近の状態ではよほど見直してきておる、かように思います。最近の外債の発行等についても十分理解してくれておる、かように私は思っておりますので、昨年の状態と今日の状態ではよほど違っておる、この点を認識していただきたいと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 総理、そう言われるけれども、現在貿易の凝滞収支のこれだけの黒字が——ユーロダラーは金利を追って歩くものだからどうでもいいとして、これがどのくらいになるか、あとで三木通産大臣に伺いたいが、一つもプラスになっていない。しかも貿易は、三十五年から比べればまさに倍になっておる。通貨は、日本のドルは依然として合わせて二十億ドルを低迷しておる。こういうことは、総理がいまおっしゃられたけれども、かつてのように日本を信用して、外資をどんどん貸し付ける段階ではないのじゃないか、私はそう判断する。たとえば東京都の水道の問題にしても、料金の値上げの問題はもちろん世界銀行としてはあるかもしらぬが、いち早く頭から電報で断わってきたというのは、日本の信用に対する問題が一つそこにあるのではないか、私はそう思っておる。  そこで、外国論評はいいとして、私は政府のいまのやり方に対して非常に不満を持っておる国民の投書をひとつここで——これは実によくえぐってある。これはエコノミストへ投書されたものです。こういう投書を十月二十六日にしておる。なさった方は、中野区の教員の佐藤さんという方です。「政府・財界に一言」という表題で、「政府の景気対策が、なかなか効目がないため、財界ではまたもや政府に、つぎの景気対策を打出せと、しきりに催促している。これまで政府は、財界の要望どおりに公定歩合をことし三回も引き下げたし、財政投融資の繰上げや追加、さらには公債の発行まで約束してきた。都合の悪いときには自由経済を主張し、都合のいいときには政府の尻を叩く、このような財界のやり方には大いに批判を加える必要がある。自由主義経済をいうならば、企業が責任を負うのが原則である。その原則を捨てるなら、自由経済という看板はおろすべきである。自分の失敗をタナに上げて、政府は景気対策に真剣になれとは、よくいえたものである。大体、不況下の経営者は、これまでどんな手を打ってきたか。シリはすべて労働者に転嫁して、これで万事足れりとのうのうとしているのが多い。労働者の賃金は減らすが、自分の分はそのままというのではスジが通らない。経営者につきものの芸者遊びも、依然として続けられているという。口ではうまいことをいっても、経営者が襟を正し、自ら姿勢を正さなければ話にならないではないか。政府も政府である。佐藤首相は財界のいいなり放題。過剰設備による不況下では、短期的な景気刺激策をいくら重ねても、限度というものがある。財界のいうことは聞く、国民のいうことは聞かれないでは、政府とは一体何なのか。もう少し国民の声を聞く、ましな政府になってもらえないだろうか。」こういう投書をしておるが、私はこれはまさにいまの政府の態度、日本の経済界の態度、これに対して率直な愚見を投書で表現したものだと思う。これに対して政府は、総理はどう思いますか。政府ももう少しましな政府になったらどうだと言っているのです。どういうふうに考えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま私どもが経済運営の基本にとっております態度は、御指摘にありましたように自由経済、そのもとに経済の繁栄、発展を期しておるわけであります。この自由経済、資本主義経済とでも申しますか、その立場だと、ただいまの投書が指摘しておりますように、経営者の自己責任、これが大きく出てくるはずであります。私どもも、しばしばそういう意味で、経営者自体が自己責任を持つ、こういう態度でなければならない、こういうことでしばしば反省を求めております。  また、そういうような場合に、政府は一体何をすればいいのか、かように考えますと、経済の繁栄をする、そのために経済界が自己の責任を果たす、またその才能を十二分に発揮できるような環境をつくることだ、かように考えます。そういう意味で、ただいまは財政的な面でぜひとも公債も発行し、減税もし、そして金融緩和の処置をとる、積極的な予算を組む、こういうことでいわゆる経済活動の十二分にできるような環境づくりをいたしておるわけであります。これが私どもの基本的態度である。いわゆる統制経済ではございません。またその意味においては強力な政治というか、強権を用いる指導というものではございません。行政指導によってただいまのような経済環境をつくって、そのもとで十二分に自己の才能を発揮していただく、かような立場でございます。したがいまして、ただいまの投書に答えるのは、私のこの経済に対する基本的態度であります。こういう際に、財政自身が持ちます一つの機能というものがありますから、そういう意味で大型、積極予算をつくった、かように御理解をいただきたいのであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 まあ昨年は四条の特例法をつくって公債を出した。これはまさに赤字公債だ。ところが、本年は七千三百億は建設公債であるから赤字ではないと、これをばかに大蔵大臣はこだわっておるのですが、どうして赤字じゃないのですか。国民の納得するように説明してもらいたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 四十年の公債につきましては、これはいろいろ実務家、また学者の間にも議論がありまして、これは建設公債という理論づけをしたらどうですかというような意見もずいぶんあったわけであります。しかし、私は考えまするに、年度途中で税収が落ち込んだ、それに対して公債を出す。ですから、これを建設公債というふうに、四十年度の中に建設費があるからといって、それの見合いであるという考え方をしてはならぬ。そういうこじつけ的なやり方をしてはいかぬ、これは率直に歳入補てんの公債であるという理論をとるべきである、こういうふうに考えまして、財政法第四条の特例として御審議をお願いいたしたわけなんです。  ところが、今度四十一年度に採用いたします公債は、これはそのおい立ちと申しますか、出てきた発想の過程が違うのであります。四十年度の歳入補てん公債、これができる前に、すでに四十一年度からは公債を出そう。これは、今後の財政の推移を考えてみると、財政需要というものが相当大きくなってくる、景気の情勢から考えますとさらにそうだ。また、それに対して増税をしてこれにこたえるかというと、これは適切ではない、むしろ減税をすべきである。そういうことを考えまするときに、これは公債発行ということに踏み切るべきである。なお今後の経済を安定的に持っていくためには、やはり公債がその調節弁として適切である。つまり、非常に景気がいいときには財政の規模を消極的にする、公債の額を縮小せしめるわけであります。また、悪いときにはこれを積極的にする、こういう民間の経済と政府の財政とを通じての国民経済の総和、これがでこぼこなしにいける、これがすなわち安定成長の基本である、こういうふうに考えまして、四十一年度は公債政策に踏み切ったわけでありまして、四十年度の歳入補てん的な臨時的な措置と、四十一年度のこれで財政を運営していこうというやや長期にわたる考え方とは根本的に違う。でありますがゆえに、これは厳に区別しなければならぬと、かように考えておる次第であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは大蔵大臣、詭弁というものですよ。四十一年度は、建設公債でも赤字であることは間違いないでしょう。どうしてあなたはその赤字にこだわるのか。ばかに赤字公債というのにこだわっている。赤字であることには間違いないでしょう、どうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 会社経理でもそうなんですね。経常収支が不足をするという際には、これは赤字赤字と言う。しかし、建設費のために金を借りる、これを赤字と呼ぶ人は一人としてありません。国の会計におきましてもそういう考え方をとろうとしておるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは全く財政法の基本から踏みにじっているですよ。要するに会社の経理と、財政法という法律によって国家予算を組んでいるそれとごっちゃにして、建設公債だから赤字はないのだ。赤字の定義というものはそんなところにありますか。財政法の赤字の定義というものはそんなところにありませんよ。そういう詭弁を、福田さん、知っていて弄さぬほうがいいですね。あなたは午前中いろいろ正直に答弁されたが、いま少し正直に答弁していただきたい。私はなぜ赤字を明確にしろと言うか、というのは、それをもってあなた方を責めようとかいじめようという角度でものを言っているのじゃないのです。国民に訴えろということを私は主張したいのです。たいへんになってきたのだ、赤字公債まで出さなければいけなくなってきたのだから、この際国民も協力してもらえないかということを、総理から打ち出させるために私はそう言っているのですよ。同時に、赤字だということになれば、プレッシャー団体もプレッシャーを遠慮するでしょう、これ以上出せないのだと。ところが、いまのようなあなたの考えでいけば、幾らでも出せという議論になってしまう。圧力団体が、どうせ公債を出すんなら、紙っべらじゃないか、そんなもの幾らでも出るじゃないか、福田さん、おれのほうにもちょっと出せ、こっちからもちょっと出せということになる。だから、むしろ政府は国民に対して、経済はたいへんな事態になってきた、国の財政もたいへんになってきた、だからひとつこの際協力してくれないか、赤字の公債まで出さなければならない段階に来たんだということを、正直に申したらいいじゃないか、そういう財政法からいったら全く八百長詭弁みたいなことは、おっしゃらぬほうがいいと思う。そういう意味に私は赤字ということを確認したいんですよ。また財政法からいっても、一般経常支出を租税以外でまかなうときは、これは、もう赤字ということはさまっているじゃないですか。それから午前中に勝間田委員が言ったように、それは財政の学問だって、そう規定しているじゃないですか。回収性、これが基本だ。回収性があり、収益性があり、すなわら自償性のあるものは、これは赤字じゃない。政保債とかいまの公団公社で出しているものは、収入を得て、それで元本償還をしているんだから、これは赤字じゃないですよ。広義の公債の中には、財政学からいってこれも入っていますよ。しかし国債という意味から言えば、これは入っていません。純内国債という意味から言えば、やはり長期内国債の今度出す。千三百億、これは赤字ですよ。そういう詭弁を言わないで、もう少し正直に言ったらどうですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 よく赤字公債ということを言う人がありますが、これはいろいろな意味があるようです。つまり経常収支の差額を補う意味の毛のをもって赤字公債と言う人もある。また日本銀行引き受けで、つまり通貨増発の形で発行するという公債をさして言う人もある。これはいろいろまちまちでございます。また、さらに広い意味で、一般に歳入不足を補てんする公債だ、公債といえばみんな赤字だと言うような人もありまして、それにこたえまして、赤字公債とは一体何だということは、私からは答えにくいところなんですが、したがって、私は赤字公債、赤字公債ということは使っていないのです。歳入不足補てん公債、あるいは建設公債、こう言っておるわけでありまして、いま非常に中澤さん御親切に、国民に訴えろというお話でございますが、政府も非常に意を決して、今回国債政策に踏み切った、これは何かといえば、政府は借金してまでも政府をささえる企業と国民に富を持たせたい、こういう一念である。大いにこれにこたえて、ひとつ協力してもらいたい、これに尽きるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 総理、どうです。あなた、午前中の質問を聞いても、ばかに社会党に食ってかかるようなことばかり言った。そう言わずに、この際困るんだ、借金もしてやるんだ、ひとつ国民もこの際協力してくれぬか、こういうふうにはっきり申されたほうが、私は一国の総理として国民に頭を下げて協力を頼むということが筋だと思うんですね。だから、それは福田さんが、赤字といえばいろいろ大蔵大臣の立場もあるし、それは私はわからぬでもないが、しかし腹の中では、あなただって赤字だということを承知しているんでしょう。借金は赤字じゃないなんという理論はどこにもありませんよ。そして、それが今度は公共投資という財政法のワクを、法律のワクを越えない、こういう覚悟というけれども、実際はあなたの腹の中はそうじゃないんでしょう。建設公債というワクをはめれば膨張しないという考え方があるんでしょう。だから、それははっきり、ワクがむしろ問題なのであって、建設公債そのもの、法律上の問題じゃないんだということを、もっと国民に正直に言ったほうがいいのではないだろうか、私はこう思うわけです。  そこで、赤字だと言うのがいやならば、いずれ個人的な話ででも赤字だということばを聞き出すことにしまして、次に、この公債に歯どめがかかるという。どうして歯どめがかかりますか、歯どめがかかる理由をひとつ明らかにしてもらいたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 昭和四十一年度並びにそれ以降においてとろうとしている公債政策による公債は、これはそのときどきの経済情勢に応じまして発行の規模を調整していくという考え方であります。つまりその根底では、財政の規模を常にそのときの経済情勢に見合ったものにしていきたい、これが最大の歯どめと申して差しつかえないと思うのです。その歯どめの下に、さらに二つの歯どめを置く。つまり、これは建設費、公共事業費等の対象のワクを越えてはならぬこと、それからもう一つは、よく検討して、これが必ず市中で消化される額にとどめなければならぬこと、こういうふうに思っているわけでありまして、この三つを厳格に守っていきますれば、これが弊害を生むこともなし、また乱に流れていたずらに膨張するということもない、かように考えておる次第であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうあなたおっしゃるけれども、午前中勝間田委員の質問に対して、ちっとも範囲が明確にならなかったでしょう、ただ、防衛庁がどうかと言ったら、これは消費支出だから認めないと誓われるだけで。だから、それはワクになりませんよ。あなたがそういう御答弁をなさったって、これは八十何項出ておりますけれども、広げればまだとのほかに幾らでも広がりますよ。だから、それは歯どめになりませんよ。じゃ、次の市中消化が一体歯どめになるか。これも歯どめになりません。現に歯どめにならぬじゃないですか。現在歯どめになっていますか。なっていないでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まず公債を発行する対象としての公共事業費等をどういうふうに規定するか。これは午前中も申し上げたのですが、はっきりしておるわけであります。お手元にも提出してあるわけでございますが、それで七千六百億というものがあるわけであります。さらに私が午前中説明しておきましたように、国民の資産としてあとに残るものが予算の中で四十一年度に幾らあるかというと、官庁施設、こういうものがそこには載っておりません。さようなものを乗っけますと、さらに六百億追加されるわけでありまして、八千二百億ないし三百億くらいになるわけであります。この公債発行の対象となるべき公共事業費とは何ぞやと申します際に、これに伸び縮みはないのであります。これがいかようにも変えられるということはないのでありまして、そういう面からいって、きわめて厳格な制約がある、かように御承知願いたいのであります。  また市中消化、これは長い間金融界とも話し合いまして、七千億程度のものは市中で消化できる、こういう見当のもとにこれがきめられたわけでありまして、この額につきましては、もしそれが実行できなければ日本銀行の通貨増発ということになってあらわれてくるわけでございますが、さようなことは、私どもはただいまゆめゆめ想像いたしておりません。必ずこれを市中消化でやって、日本銀行は成長通貨以上の通貨増発はしない、こういう方針を堅持してまいるつもりであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 だから、それがワクだと言っても、さっき質問したら、それはワクにならぬでしょう。たとえばいまの八十の中をどのくらい出しても、幾らでも額を増額していけるでしょう。だからワクにならぬと言っておるのです。じゃ来年度の七千三百億で、ことしつけた以外は絶対つけないのですか。それならワクになりますよ。あるいはそれを振りかえをしてもそのワク以外は絶対ふやさないなら、これはワクですよ。そういうことですか、あなたの御説明を聞いていると……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 財政法第四条にいう公共事業費等であります。これは四十二年度でそれを総ざらいしてみますと、八千二百億くらいあるのです。ところがことし発行する公債は七千三百億である。そこで、国会に御審議をお願いする材料として出すのは、七千三百億円あればそれで十分なんだ、ただそれをちょっきり七千三百億というわけにいきませんものですから、約七千六百億円に相当する費目を提示いたしておる。しかし財政法第四条のたてまえからいいますれば、これは八千二百億円あります。これが限度である。来年のことを考える場合におきましては、それが天井である。数字は違ってきます。経費の伸びがありますから。しかし財政法第四条における公共事業費というものはどうにでもなるのだという性格のものでは絶対にないことをよくひとつ御理解願いたいのであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 やはり公債は借金ですからね。それは、そういう見合いでものを判断してはいけないと私は思う。やはり税収との見合いで、財政でどう押えるか。税収がこうだから、これだけ発行しても七年後からこういう償還が立っていくのだ、こういう税収の見合いでワクを考えないと、午前に勝間田委員が言ったような計算ででもたちまち膨大になってくる。ところがその辺も、あなたの御答弁を聞いていると非常に安易に考えている。そのころは大体予算が七兆になるだろう、七兆になったときに四兆くらいの公債を持ったってそんなものはたいしたことはないというような言い方なんですね。それは大蔵大臣として非常に危険だということは、このことがインフレーションにつながっているという理論をこれから私は展開するのですよ。財政膨張と予算膨張が信用膨張になって、インフレーションになっている。昨年も私は当委員会で申したような、そういう形で日本の経済危機が来ているということを私は考えている。だから、そういう安易な考え方ではいけないと私は思う。やはり税収と見合ったところの公債、これならば償還計画はきちっと立ちますよ。税収はどうなっていく、だから税収の伸びに見合ってこれだけの公債を発行して、七年後からこう償還していくのだ、これが健全な公債の発行のしかたですよ。まずそれをあなたはどのように考えておるのか、そういう軽率な考えで公債発行をすることは厳重に慎しんでもらいたいと私は思う。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 この政策をとっていきますれば、二、三年で景気は非常に活発になってくると思うのです。これは現にわが国の歴史がそう示しておる。午前中も、五年後にはどうなるのだという話でありましたが、五年後には国民所得はおそらく四十五兆、場合によっては五十兆くらいになるのじゃないか、そういうふうに想像されます。国債のほうはどうだというと、ことしは予算の中で占める比率が一七%というふうになるわけでございますが、予算もそのときにはおそらく七兆をこえるであろう、そういうことから考えますると、今後当分の間公債政策が続く、五ヵ年続いた、その累積が四兆円になったといいましても四十五兆、五十兆の中の四兆である。これはアメリカで国民総所得に対する国債の累積額が、長期国債だけについてみても四〇%をこえるのです。あるいはイギリスのごときは一〇〇%近い保有をいたしておるわけであります。そういうことから考えてみましても何らの不安はない。むしろ政府の基盤となっておる企業と国民が栄える、これのほうがむしろ大事なことである、こういうふうに考えておるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは大蔵大臣、外国を引き合いに出すけれども、外国の公債の場合と、日本の公債発行の場合とは、前提条件が非常に違っておるんですよ。そこに問題があるんですよ。要するにいままで企業が信用インフレだけでどんどんあおってきた。政府もそのしり馬に乗ってどんどんやってきた。このインフレの前提要件が日本経済の中にあるから、公債発行をわれわれ社会党は問題にしておるのです。外国の場合は、物価上昇率を見ても、こんなインフレ物価に上昇している国はどこかありますか。一つもありませんよ。いままでずっと見ても、欧州でもアメリカでも大体最高で三・五%くらいしか物価は上がっていない。そこにこの公債発行が契機になってインフレ経済に突入する危険がある。それを外国の例だけであなたがものを考えるということは、それは非常に大きな判断の誤りをおかすと思う。その辺はもっと慎重に考えてもらいたい。  そこで、これは公債の範囲も明確でない。まだまだずっとふえるものであるということを私は確認したい。同時に、財政の歯どめがそういう考え方では非常に危険であるということを警告したいのです。  そこで、日銀の総裁の宇佐美さんがおいでになっておりますからお伺いしますが、いま議論申し上げましたように、これは財政上の歯どめ、そういうものはもうとうていかからない。そうなると、このいまの経済危機の状況を押えるのは、もはや日銀以外にないのだと私は判断しておる。  そこで宇佐美総裁にお伺いしたいのは、日銀としてこれに対して歯どめをどうかけるか。公債の乱発に対して歯どめをどうかけるか。これは宇佐美総裁が腹をきめて、国民の経済を守っていこう、通貨価値の維持をどこまでも守っていこうというならば、私は日銀総裁は守り得る立場にあると思うのです。ただし所与のいろいろな条件を考えると、困難ではあるが守り得る立場にあると思うのですが、その辺について、この公債増発を防止していくというお考えがあったらひとつお伺いしたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 現在の日本の状態を見ますと、御承知のように経済は非常に不振の状態にあります。私は一昨年の暮れ日本銀行にまいりまして、その後の状態を見ておりますと、これはなかなか容易ならぬ状態であると感じておりました。  そこで金融面からも、従来の経験からいいますと、金融をゆるめますと、いままではすぐに短期間に回復してまいったのでありますが、今回の場合はそうまいらなかったのであります。その理由は、私はやはり今度の不況といいますか、それは二つ考えておりまして、一つはやはり構造上の問題と、もう一つは景気循環の狂いといいますか、それが違っていたと思うのであります。それで、その循環の狂いというものは、いままでの経済の不況は多く在庫投資に問題があったものですから、わりあいに回復が早かったのでございます。今度は設備投資というものが主導型でありましたので、これは回復に相当の時間がかかるということを感じたのであります。したがって、これを長くいまのような状態にしておきますと、問題が無常にむずかしくなってきまして、御承知のような不渡り、倒産もふえてまいりますし、また企業間信用も先ほどお話しのとおりなかなか高水準からおりない。そこで現在の金融情勢を見ますると、資金的には非常にゆるんでおります。また民間の資金需要も非常に鎮静しておりますので、こういう際には、やはり国の財政から、景気を長く放置しないで回復するほうがいいんではないか、かように考えまして、そうしますと、財政の面からそれについては資源の関係上国債を出さざるを符ない、かように考えまして、私もいまの現状は、国債発行ということが至当だろうと思っておるのであります。  ただ問題は、この国債発行につきまして、消化の問題でございますが、いろいろ検討いたしまして、いま予算に出ておるものの程度は、これは確かに御承知のように、一年間、日本の金融状態というものは平静でございません。時によって非常に財政の払い超が多かったり、あるいはまた引き揚げが多いのであります。そういう点からいいまして、われわれがその間の調節をいたしましたならば、この七千億の民間のものは、年間を通じて何とか消化できるんではないかと、かように考えて、いま努力をしようと検討いたしておるところでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 宇佐美総裁に私いま御質問申し上げたのは、午前中の勝間田委員の質問にもあったんだが、計数を並べて、公債がどんどん膨張していく、いまのような政治的風土、いまのような政府の財政の取り組み方では、政府はどんどん膨張政策をとっていく、その場合、これの歯どめを総裁のほうでかけていただく、こういうことについてお考えがあるかどうかということをお伺いしたのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 御質問を少し脱線いたしまして申しわけありませんでしたが、確かにおっしゃるとおり、財政がもしもいまおっしゃったような政治的風土というようなことで伸びていったならば、これはまず政府のほうで、あるいは国会の予算審議の上においても直していただかなければならないと思うのでありますが、私自身といたしましては、やはり民間の消化、限度ということを年間を通じて守っていけば、そうやたらに、無制限にふえるとは思っていないのであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私、じゃ宇佐美総裁にお聞きしたいことを申し上げますが、もし総裁のほうで歯どめをかけるとすれば、日銀の直接公債引き受けは絶対やりません。いまは引き受けられる方法にはなっておりますが、これは絶対やりません。いかに佐藤総理大臣、大蔵大臣が頭を下げてきても私は拒否しますと、これを実はお聞きしたがったのです。  いま一つは、公債担保の貸し付けを制限する。公債担保ではいま一年間の禁止規定がありますが、一年たてば公債担保で幾らでもおたくのほうで出さなければならないのです。この担保貸し付けに対する制限をどのように考えるか、これがまず第二であります。  その次には、おたくの保有高の制限をする、国債をこの点まで持てるが、これ以上は持てないという保有制限をしちゃう。そうすると、それ以上はおたくのほうは持てないわけですからね。だから、その点が一つ考えられるのです。保有制限をする、と、ある一定の限度が来たらそれ以上は公債の貸し付けはいたしません、これがまず第三点に考えられる。  その次は、何かこのごろ総裁の新聞の発言によれば、これをオペレーションに使わなければだめだというような御発言をなさっているが、これはオペレーションに直ちに七千三百億の公債をお使いになるのかどうか。この四点についてお伺いいたしたいのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 第一点の、おまえは直接引き受けをしないかという御質問でございますが、日本銀行としては直接の引き受けはいたすつもりはございません。私としては、総理も大蔵大臣もそのお考えだろうと思っております。  それから第二の問題の担保の貸し付け、あるいはオペレーションを込めてでございますが、これは国債だから、国債消化のためにするというのではなくて、やはり金融調節のためにはいろいろの方法がございますが、そういう方法をやっていく。ただし、これは短期的のものでございまして、長期的に見ますと、やはり金融正常化という見地から、たとえば日銀の貸し出しが非常に累増していく、逆に言いますと、金融機関のほうが非常に日銀から借り入れが多い、いわゆるオーバーローンの情勢は、長期的に見ましてぜひとも避けなければならない。短期的にはいろいろな日本銀行の操作がございます。御承知のように、月によって払いが四千億もあったり、あるいは揚げが四千億もあったり、あるいは払いが二千数百億、三千億近くあったり、もう毎月毎月違うのでありまして、その間の操作、いわゆる金融調節というものは、これはぜひ必要だと思っております。   〔発言する者あり〕

福田一自由民主党

○福田委員長 委員外の発言を禁じます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 非常に大事な点ですから確認しておきますが、来年度発行していく七千三百億の公債を買いオペの対象にするのですか。いつからするのですか。これは非常に大事な点ですから確認しておきたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 オペレーションをやります場合に、そのときの金融情勢によっていたしますが、いまのところ、いま発行されようという国債については考えておりません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 これは、新聞の誤報ならはなはだけっこうでございますが、新聞で見たところによると、総裁談話で、場合によれば公債もやるのだ、新聞がこういうふうな書き方をしている。これは新聞が悪いのか、総裁が事実その考えでおるのか。もし事実その考えでおるとすれば、これはたいへんな事態が出てくる。こういうことを心配するので御質問申し上げておるのですが、そうすると、来年度発行の公債はオペレーション対象にはしない、ただし、おたくのほうの内規に一年という禁止規定がございますね。ですから、一年たてば、これはやるのでございますか。それとも、この一年の規定を半年に繰り上げて、そうして半年たったらやるのでございますか。一年は絶対やりませんか。その辺、いま一度確認させていただきたいのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま申し上げましたとおり、いま公債がこれから出ようといたしております。すでにスタートしておりますけれども、それについて、公債が出たからそれを担保にとるという考えはいまございません。金融調節として現在いろいろのものがございます。それらのものにつきましては今後も調節の場合に考えてまいります。  それからもう一つ申し上げておきますが、これはいろいろな、オペレーションというものは買うときもございますが売るときもございます。それは当然のことでございます。短期的にものを考えないで、年間を通じてひとつごらんください。  それからいま御質問の四十一年度の発行は、いまのところ少しもそういう相手にするつもりはございません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 たいへん安心いたしました。禁止規定一年間は絶対に相手にしない、これを確認しておきます。たいへんそれで国民も安心すると思います。この禁止規定の一年を半年に繰り上げて、買いオペレーションの対象にするようになったら、これはインフレになる。こういうことは学者諸公も多く言っておられる。ですからその点は、総裁から、一年の禁止規定期間中は新公債は絶対オペレーションの対象にしない、こういうことを確認しておきたいのであります。  そこで大蔵大臣に伺いますが、市中硝化は歯どめだというが、一体いまのは市中消化なのか割り当て消化なのか、いずれなんでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 市中消化でございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 じゃ、あなたのその市中消化の定義というものは一体何ですか。銀行へ割り当てて、銀行がいま会社をみな持ち歩いている。私も二軒の会社から聞かれた。弱っちゃった、公債を買ってくれというのだけれども、あんな安いものを買って高い金利を払って合いやしないということを私は二つの会社から聞いておるのですよ。そういうことが市中消化なのですか。戦争中と同じじゃないですか。戦争中もそれをやりましたね。強制割り当て、県知事によこして、市町村へよこして、区長へよこして、そして二戸二戸の農家の経済状態を見て、おまえのところは滅私奉公だから幾ら持てということで、まだたんすの中に寝ていますよ。これをやりましたね。これと一体どこが変わるのですか。これが市中消化というのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 企業たるとを問わず、あるいは個人たるとを問わず、自発的に国債に応募しようという人に応募していただくのが、これが市中消化であります。ただいま銀行が持ち歩いておるというお話ですが、私ちょっと想像できません。銀行が持ちたいというのは、銀行自体が預金を原資といたしまして、銀行の資産として保有する、そういう場合を私どもは考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、あなたの市中消化の定義は、いまのような形が市中消化なんだ、シンジケート団をつくらして、逆ざやになる、私に言わせれば背任行為をやっているのだ。相銀や信金や農協というのは、私に言わせれば背任行為ですよ。明らかに農協の系統金融なんかは、コストは八分二厘くらいネットでしているのです。それを最終利回りで六・七九ですか、これを現に消化するというのは、私に言わせればこれは背任行為なんだ。だから、そういう農林金融全体を見ても逆ざや、信金を見ても逆ざや、相互銀行を見ても逆ざや、こういう逆ざやなものまで引き受けてやるということが一体市中消化ですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 決して割り当て、強制をいたしておるわけではないのであります。各種金融機関の自発的な申し出に基づきましてこれが保有される、こういうことになるわけでございます。  なお、逆ざやがこれは法規違反だ、背任だというようなお話でございまするが、逆ざやになります中小の金融機関におきましても、あるいは預金準備というような形において国債を保有するという場合もありまするし、また国債は非常に安全性の高いものであります。高利回りの安全でないものに貸すという投資の方法もありましょうし、また低利回りであるけれども、安全性の商い国債をという場合もあります。もう総合して当該金融機関の経理を考えていくというのが、これが常識だ、こういうふうに考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 今度発行するのは、まだこれは確定してないようだが、新聞を見ると、大蔵省の意向として出ておりますが、大体七千三百億のうち銀行七〇%、証券三〇%、大蔵省はこういう割り当てをしたいという考え方を持っておるようですが、これは明らかに割り当てですよ。まあ、その問題はことばのやりとりになりますからよしますが、しからば、一体都市銀行がこれを消化する能力はありますか。あるのですか。私はないと思うのですよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今回相当大規模の予算が決定されんとしておるわけであります。それに基づく政府の資金放出が非常に多い。これは回り回って貯蓄に相当額がいくわけであります。貯蓄の見通し、昭和四十一年度におきましても、これはもう相当のものがあるだろう、こういうふうに考えられます。その多くの部分が都市銀行にいく。したがいまして、都市銀行は四十年度債も五〇%消化するわけでございまするが、おそらくそういう見当のものを消化し得る力は十分にある、かように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは消化するにはしますよ。するにはするが、それはいま手持ち保有債をどんどん売り出している、七千三百億受け入れるために。それがみな日銀へいまかぶさっていっているでしょう。しかし都市銀行が実際消化する能力があるかということは、公債は他の保有証券で振りかえの買い方はできないわけですね。現金で必ず買わなければならぬところに問題があるのですよ。都市銀行に現金がありますか。ありませんよ。いまのオーバーローンのパーセンテージは一〇四でしょう。一〇四で現金があるわけはないじゃないですか。現にどれだけ一体都市銀行が外部負債をかかえているか、調べてみたのです。去年の十二月末で三兆四千九百四十四億の外部負債を都市銀行がかかえておるのですよ。二兆四千九百億ですよ。二兆五千億の外部負債を都市銀行は持っているのですよ。その内訳は、日銀から借り入れが都市銀行が一兆一千三百六十三億借りていますよ。それから金融機関の借り入れ、金融機関同士のまあ融通手形みたいなものだね、これが四千三百二十九億、それからコールマネーからどれだけ取り入れているか、九千二百六十二億取り入れているでしょう。ローンで十億出しておるから、差し引きして計算してみたら、二兆四千九百四十四億借りておるのです。これだけの外部負債をしょっておる都市銀行が、現金で公債を買う余力はありますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 昭和四十年度でも、都市銀行の貯蓄の増強状態は実にすばらしいものがあるわけであります。この趨勢は、大型予算の実行によりましてますます私は高まっていく、こういうふうに見ております。都市銀行において新しい貯蓄の増加、これを原資といたしまして、国債を消化し得る力、これは相当のものがあるだろう。かように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 相当のものがあるだろうとか、そういうことを言っていたってだめですよ。現にないものだから、手持ち公債ばかりじゃない、保有証券やなんか、どんどん売り出しておる。現金がどうにもならぬから、発行の日に宇佐美総裁のほうで六百億出したでしょう。二百五十億と三百五十億を日銀から短資業者に、資金余裕をとるためにぶち込んだものだと私は思うのですよ。それは、現金をつくらなければ公債が引き取れないという現実があるから、宇佐美総裁のほうでも六百億発行当日に出しているのでしょう。それが証拠じゃないですか。あなた抽象的に、そんなことありません、相当な力がありますという。じゃ相当な力があるんなら、預金増がどれだけあって、現金がいまどれだけあるということを証明してくださいよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 中澤さんは、一月の二十七日に日本銀行が約六百億円の貸し出しをした、それをとらえて、ちょうどたまたまその日が国債の払い込みの日なものだから疑惑を持たれるのじゃないかと思うのですが、一月という月は海運スト、ああいう関係で国際収支がよくない、思ったよりょくなかったのです。そういう関係で政府資金の引き揚げ超過が三、四百億ばかり狂っておったのです。日本銀行が貸し出しいたしましたのは、そういう政府の引き揚げ超過、これが予定よりも多かったというものに対する通常のオペレーションなのであります。決して日本銀行のほうから公債の消化資金を注入した、こういうことじゃございませんです。公債消化につきましては、もう昨年国会で御審議を願っておったような状態で、すべての銀行が昨年中に手当てをしております。新しい事態ではなかった。たまたまそのオペレーションの日と国債の資金の払い込みの日が一致しておったということから、いろいろうわさを呼んでおりまするが、さようなことはございませんです。私どもとしては、そういう日本銀行の貸し出し、あるいは売りオペ、これは今後といえどもしばしば行なわれることでありまして、そういうことをもって国債の消化がどうも怪しいという根拠とされることにつきましては承服いたしかねるのであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 大蔵大臣の答弁としてはそうでしょうな。それは最初からわかっていてお聞きしているのです。消化が困難だなんて言ったら、ますます売れ行きが悪くなりますから、それはわかっています。だけれども、来年度の予算からくる、これだけの膨大なものが一体消化できるのかどうかという大きな疑問を私は持っておる。たとえば四十年度の政府証券の全部を合わせてみて一兆三千七百四十一億です。ところが、本年度は国債が七千三百億でしょう。政府保証債が四千億でしょう。地方債が公募分で七百億でしょう。それだけ合わせても一兆二千億です。そこへ事業債が四千五百億加わって、利付金融債が四千億加わるでしょう。これを足してみますと二兆五百億という政府証券が発行されるのです。そこへまだ地方財政−あとで自治大臣に伺いますが、地方財政がこの早期支出繰り上げでかぶって至急やらなければならない、公募債七百億以外のものが相当あるのです。これは四千億とも言われているし、四千五百億とも言われている。こういうものが一体消化できるのかどうか。そこには、一つは資金偏在の問題もあります。都市銀行と地方銀行その他の資金偏在の問題もある。だから、地方におけるものは私は案外消化できるかもしれないと思う。しかし、これだけ膨大なものが消化できないとなると、やはりこれは日銀しょい込み以外に方法はないのです。いかにあなたが詭弁を弄しても、日銀がかぶってくれなきゃ方法がないのです。日銀がかぶれば、これは通貨増発につながってくるからインフレになるとわれわれ社会党は主張しているのです。これに自信があるのですか、資金計画はどうなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 四十一年度におきましては、膨大な予算の施行の結果といたしまして、相当貯蓄がふえるという見当をつけておるのです。そういう状態から考えまして、預金その他の金融機関の資金量、これは六、七兆円の増加となるだろう、こういうふうに見当をつけておるわけでありますが、その中におきまして国債の消化、これにつきましてはいささかの心配も持っておりません。お話しのように偏在の問題があります。そういうロスを考えてみましても、完全に消化ができる、かように考えておる次第であります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 本年度の財政の基本方針としても、日本の財政の大転換が行なわれたわけですね。要するにいままでは自然増収を中心にした財政運営方式が行なわれてきたわけです。福田財政になってから田中財政と変わって、公債によるところの財政の運営方式に変わったということは、これはまさに日本の財政史に残る歴史的な問題だと私は思うのです。しかも、それは減税をかかえた公債依存財政、こういうふうに言えると思うのです。減税というものをかかえている。そうして公債を発行してこれに依存していく。自然増収が公債に振り変わった、こういう財政転換が行なわれたわけですね。そうすると、減税をかかえた公債依存政策というものは一体いつまで続くのか。来年度も減税しますか。再来年度も減税を続けていきますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 減税はねばり強くこれを進めていきたいというふうに考えております。しかし、減税ができる財政状態であるかどうか、それはそのときどきの財政、特に減税の原資となる租税収入の状況がどうなるか、こういうものを検討しなければならぬけれども、目標といたしましては減税はねばり強くこれと取り組んでいく、かような考えであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると福田さん、あれですか、公債発行をしなければ減税できない、その辺はどうなんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公債発行と減税とはたてまえ上区別して考えておるわけでございます。つまり公債はこれを経常費の財源としない、公共事業費等の財源とする、こういうふうに考えておりますが、減税のほうはそうじやなくて、一般経常費におきまして収入が支出を超過する、こういう状態でありますれば減税をなし得る状態にある、かように見ておるわけでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 総理、いま議論しておるように、大体おわりかでしょうが、減税をかかえた公債政策、公債依存の財政運営方式、日本の財政はこう変わってきたわけですね。そうすると、減税と公債が結びついているわけですね。七千三百億公債発行をしなければ、三千六百億円減税は財政事情からいってできないわけですね。その場合は明らかに公債が減税とからんでいるわけですね。その点は、総理、どうお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま大蔵大臣からお答えいたしましたように、このたびは減税、同時に公債発行をしておる。その間に関連があるようにお考えでしょうが、しかし、これはそれぞれの立場において減税は減税、公債は公債、こういうことできめていくのであります。普通減税だと、公債のないときの減税は、私が申し上げるまでもなく、自然増収、そういうものが減税の財源になるようであります。今回はそれとはまた別に、自然増収ということにかかわりなく減税計画をいたしたわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 しかし、それが将来大きな禍根を残していくと私は思っている。では一体景気刺激の効果対策として、今回の減税は価値ある減税ですか。景気刺激をまず第一にやるのだ、不況克服で脱皮していくのだ、これが政府のいまの時点における一番大きな課題でしょう。そうすれば、不況脱皮をしていく、景気刺激をやっていくという中で、減税の位置というものはすなわち不況打開の一翼であると見なければならぬ、そういうことでしょう。その減税が景気対策として効果があるのですか、ないのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 不況対策といたしまして考えた場合におきましては、公共事業費等の支出は、これは相当乗数効果の高い効果を持つ、こういうように考えています。しかし減税のほうも同時に、たとえば所得税の減税、こういうふうなごときは、一般国民の消費力をつけるという意味において効果があると考えますが、しかし、公共事業費のような高い乗数効果ではないと思います。私どもが減税を考えますのは、低い高さではありますけれども、景気対策的の意味も持つ。同時に、減税は今後国民の生活にゆとりを、あるいは企業に蓄積をと、そういうふうな国民、企業を通じての体質改善という上において大きな意味を持つだろう、こういう両々の意味を持つものでございます。景気対策だけからいうと、同じ財源でありますれば、公共事業費のほうがより高い効果を持つであろう、こういつたように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それは矛盾しておるのですよ。しかも今度の減税内容というものを見れば、企業減税というものは決して消費購買力の増大にはなりません。これは全部内部保留になってまいります。  それから、午前中もカルテル問題で問題になったように、物品税税減というものは、これは、もし公正取引委員会がほんとうに厳格にやれば、若干の需要効果を持つだろうと私は思っているのです。しかし、これをルーズにしたら、例のカルテルの再販価格の問題で、末端にいって下げませんよ。そうすると、この減税は景気刺激の効果はないのです。ただあるのは所得税の減税なんです。これだけは景気刺激効果があると見ていいと思う。あなたはさっき乗数効果ということを言われたが、じゃ今回のこれだけの膨大な公債を発行し、財政をふくらましてどれだけの景気刺激の乗数効果があるという判断をされておるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これはなかなかむずかしい問題で、学説がいろいろありますが、たとえば電信電話、国鉄なんかやると二・五倍の乗数効果でありますとか、あるいは二・七とか言いますが、公共事業費全体といたしまして、これはかなりの効果がある。私はまだこういう国会で責任を持ってこれだけの効果があるのだということを申し上げるだけの調査を了しておりません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私は非常にいま危機に来ている中で、本年度の予算、財政というものは非常に問題をはらんでいると思う。公債発行もそうであるが、予算のただいたずらな膨張というものが、景気刺激を急ぐために、不況克服を急ぐために、大きな物価という目的を政府は忘れておるのじゃないか。そこに本年度の予算の一つの特質があると私は思う。しからば、あなたがおっしゃったように、乗数効果のその結論は、いろいろ意見があるから不明としても、いまのデフレギャップというものは常識的に三兆だといわれておる。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕  じゃ、そのデフレギャップというものは、本年度の七千三百億の公債を含んだ財政、すなわちフィスカルポリシーに転換した財政でこの景気回復というものは可能であるかどうか、三兆円のデフレギャップというものをどの程度埋められるかぐらいな見当をつけないで本年度予算を組んだとすれば、これは私は経済の専門家であるとしてあなたを尊敬していたが、それさえも見通しがつかないとすれば、ただでたらめに公債を出したのだという以外には方法はないと思う。その見通しはどうなんですか。本年度中にデフレギャップをどれだけ詰めるのだ、こういう確信があって予算を組んだと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 昨日も申し上げたところでございますが、デフレギャップを全部埋め尽くすのには、これは相当時間がかかるであろう、こういうふうに見ているのです。景気は一体どうなるのかということにつきまして、言う人によって意味合いが違う。一つの見方は、このデフレギャップが埋まれば景気がよくなるのだ、これが景気回復だ、こういう見方であります。それからもう一つの見方は、それはそう簡単にはいかぬだろう、しかしそれに向かって景気が成長し出したのだ、その堅実な歩みがそういうふうに動き出したのだということをとらえて、景気が回復に向かったのだというという二つの見方があります。私は、デフレギャップを完全に埋め尽くす、これは容易じゃない。いま完全な統計がないのではっきりしたことは申し上げられませんが、おもなところを拾ってみて、大体三〇%ぐらいの設備が遊んでいるというふうにいわれておるのです。それを成長七、八%の速度をもって埋め尽くす、これは一〇〇%埋め尽くす必要はないと思いますが、九〇%埋めるというだけでも三年はかかるのです。しかし、この状態になれば、私は一つ一つの企業が、例外はありましょうが、大体において収益状態を上げるということになってくるのだと思いまするが、それは容易じゃない。また、そういう二〇%の成長を一年間でやり遂げるというようなことを考えても、それはできることでもありませんし、またやったら過去の高度成長、それ以上のまたひずみを生ずるということにもなるので、私はとるべきことじゃない、こういうふうに考えます。したがって、まあ二、三年かかるでしょう。そういうデフレギッャプを埋めるという目標に向かって、昭和四十一年度は七・五%の成長で力強く歩み出すのだ、そのために起動力としての力を財政が与えるのだ、こういう意味合いにおける予算編成になっておるわけであります。つまり、この予算を施行することによってデフレギャップはおおむね七・五%埋まっていく、かように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私は、それは大きな甘い判断であると思います。なぜ甘い判断であるかというと、ことしの設備投資は横ばいとして、どう見ておりますか。十銀行が経済調査室でいろいろ調べておるあれを見ても大体四兆六千億、高く見ているところは四兆八千億、安く見ているところで四兆三千億くらい見ておりますよ。平均をとって四兆五千億の新規の設備投資が行なわれるでしょう。そうすると、大体三割の生産力効果が出るとすれば、四兆五千億と見て一兆三千五百億の新規供給力というものがここへ出てくるわけですよ。新規供給力が出てくるでしょう、三割と見ても。新しい設備投資の年内稼動を三割と見るのです。その場合四兆五千億の設備投資に対して一兆三千億の新規生産力効果というものがここへ出てくるのです。それならば、そこでいまの減税を含めて、すべてを刺激効果に使った乗数計算がどうなるかは知りませんが、それを埋めるのが精一ぱいじゃない一か。あなたの言うように、二、三年かかったら何とか埋まるじゃないかという判断はとれないのじゃないか。もしそういうところに盲点があるとしたら、やはりここで設備投資規制というものにある程度政府は踏み切る以外にしかたがないのじゃないか。さもないと、乗数効果が一兆三千五百億で、有効需要が出ていった、新規生産力は一兆三千五百億ここで積み重なっていったといえば、どこまでいったって、依然としてこれは追いかけごっこなんですよ。そこに一つ政府としては施策の重点を置いて考えなければいかぬのじゃないか。これがいまは生産調整という形でやられておる。しかし、一たん誘導政策で景気が出てきたということになったらどうなりますか。これは福田さんたいへんなことになりますよ。いまから警告しておきますよ。ただ、循環論の一部の学者は、景気は出るには出る、大体三月から六月が底入れだろう、七月ごろから上がっていくだろう、しかし、これは十月ごろへいったらまたかくんとくるのだ、こういう見方をしている人もあります。循環論からいっても、ずっと日本の岩戸景気、神武景気からこう見てみますと、上がって、山の間が非常に詰まってきているということをわれわれは判断しなければならぬと思うのです。山の間が詰まってきているのです。かつては、循環論では十年周期説があった。それが山の間があれだけ詰まってきたということは、いまの循環論学者の一部では、上がるには上がるが、まあ四ヵ月か五ヵ月だろう、それでまたかくんといくだろう、こういう説もあるわけだ。この説が当たるか当たらぬかは別ですよ。別として、そういうあおりにあおってまた落ちるならいいですよ。あおりにあおって、もしそれが安定成長に乗らないで突っ走ったときはどうしますか、突っ走る危険だって私はなきにしもあらずと見ているんですよ。そういうことをどういうふうに一体判断して来年度予算を組んだかということです。その判断の見通しがないと、何でもふくらませばいい、公債を出せばいいという組み方をすれば、これは国民に対して無責任きわまる組み方だと思う。その点はどのように見通しの判断を持っておるか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 この二、三年は、いわゆる低圧型経済、つまり設備過剰状態が続くであろう、こういうふうに見通しておるわけであります。少なくとも四十一年度におきましては、その状態が非常に顕著にあらわれてくる状態である。したがって、新規の設備投資は、まず横ばい程度の状態を持続するであろう。そういうことになりますと、日本経済全体としての成長、これは非常に低いわけであります。そこで、財政が、この設備投資にかわって景気推進の力をつとめなければならない、さように考えまして、来年度の予算の全体の構成というものができておるわけでありますが、この全体を貫く昭和四十一年度予算の構成、この状態というものが、少なくとも私は二、三年は続いていくのじゃないか、そういうふうに見通しておる次第でございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 低圧経済が二、三年続いていく、そういう判断で予算を組んだということですね。そうすると、安定成長には乗らぬということになるじゃないですか。このままずっと低圧経済が二、三年続くんなら、安定成長には乗らぬということじゃないですか。どこかで一度山をつくらなければいかぬのでしょう。そうしてこう持っていくのでしょう。本年度二・七ですか、二・八ですか、経企長官、本年度はどのくらいですか。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 大体本年度、四十年度は二・六前後じゃないかと思っております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それはどうなんです。二・六でしょう。そうすると、これを七・五まで上げるというのでしょう。それを見通しとして、年内に七・五まで上げるのか、来年のいまころまでに七・五まで上げて、上げたところから安定成長に持っていく、こういうようなスケジュールでしょう。だから、その上げるのは、どこで七・五に上げるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 七・五というのは、年間を通じて平均しての話でございます。したがいまして、昭和四十一年度として見ると、初めのうちから相当高い成長でスタートしなければならぬ、かように見ております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 どうもその辺は、大蔵大臣ははっきりしないけれども、それは年間七・五、わかっていますよ。そうすれば、六月までことし上がらないとすれば、六月から——年度でいえば下半期二期に一五に上げなければ、七・五にならないですよ。もし下半期九月から上がるのだというなら、九月から三月までに、財政年度からいえばこの間に一五に上げなければ年率七・五にならないのです。一五に上がったら、たいへんな事態ですよ。その辺が、どうも大蔵大臣の答弁と考えていることが、国民の前にはちっとも明らかにならないのじゃないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 年間七・五%の成長ということを考えますると、お話のとおりです。これは上半期横ばいだとすれば、下半期六カ月間に一五%の成長をしなければ、そういうふうにならぬ。でありまするから、私は、年度初頭からかなりの高さで成長が始まらなければならぬ、こういうふうに申し上げておるわけであります。それをどういうふうに達成するかという問題でありまするが、やはり財政が指導性を持つ四十一年度経済でありますので、この財政支出を上半期に集中的に行ないたい、こういうふうに考えておるわけであります。これをきっかけとして日本の経済が七・五%ペースで動き出す、こういうことをねらっておるわけであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 幾ら議論してもしかたがない。いずれまた一年後の予算委員会ではっきり実証が出ますから、絶対上がりませんということを断定しておきますよ。上がっても、それは短期間にまた下がっちゃう、こういう事態が出てくるんではないか、私はそう判断しておる。  そこで、これはどこまであなたと議論しても水かけ論になってしまうが、そこで問題はインフレだ。私は本年度予算の一番問題になるのは、いよいよインフレ経済に日本経済が突入したということだと思うのです。インフレ経済じゃないですか。インフレ経済に入ったのですか。これは総理、どっちなんですか。絶対インフレではないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 インフレということを非常にかたく聞かれますると、答弁に弱るのでございますが、学問上の意味におきましては、通貨価値が下落することがインフレと理解します。しかし、国民が実感としてインフレ、インフレということを言う場合におけるその意味合いは、通貨の価値が下落してこれが底止するところを知らないような状態になるのじゃないか、こういうようなことかと思うわけであります。前者の学問的な意味におきまして、通貨価値が一体下落しているか、していないか、こういう問題につきましては、これは今日の非常に複雑な経済状況を受けまして、答えも複雑になるわけでありますが、卸売り物価の面におきましては、インフレートしておりません。消費者物価の面におきましては、インフレートしておるのです。しかし、国民がインフレかどうかという意味におきまするこの意味のインフレ、これは、つまり将来の通貨価値に不安があるのかないのか、こういう意味であります。こういうことにつきましては、全然私はそういうことはない状態である、かように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 これは佐藤総理にお伺いしますが、一体七・七という物価上昇、世界に類例のない物価上昇を、これはインフレであるとかないとかという議論をすること自体が、私はおかしいと思う。先ほど申したように、あらゆるものが関連して値上げをしてきているじゃないですか。国鉄の運賃がまだ国会で通らないうちに、国鉄の中で売っているお茶は、どうせ十五日に運賃が上がるならお茶も上げておけと、ぽっと二十円に上げてしまったでしょう。先ほど言った御婦人の洗い張りが、三十五年から二倍半に上がっているでしょう、物価指数に入らないものが。これは明らかにインフレじゃないですか。アメリカでは、本年度の国会でこれから大議論になるのは、インフレ論だ。もちろん、ベトナムの軍事予算の問題がからんでいるから、当然出るだろうが、わずか上がった物価は二%じゃないですか。二%上がってインフレだ、こういうことを明らかにアメリカでは問題にしておるじゃないか。七・七%上がっても、主婦の実感としては一五%上がっても、そういうものはインフレではありません、通貨価値は維持されておりますと言えますか。物価指数からだけ見たってそうじやないですか。三十五年の一〇〇が、いま一四〇でしょう。三十五年のとき千円出して買ったものは、いま千四百円出さなければ買えないのですよ、現実に。そうすると、四百円というものは、明らかに通貨価値の下落じゃないですか。これはインフレじゃないですか。しかも、それを途中で切断するという道が、いまのところないじゃないですか。これは明らかにインフレじゃないですか。まあ学者にいろいろ議論はあるけれども、インフレーションの定義については、大体〇から二%まではクリーピング・インフレーションだ。これはアメリカの大学の学者が言っている議論ですがね。次の段階になれば、大体二から五、これがトレッティングだ、かけ足のインフレだ、こう言っておるのでしょう。それから、五から一〇になれば、これはギャロッピングだ。もう日本は明らかにギャロッピングの段階じゃないですか、この学説がいい悪いは別として、一〇をこえればハイパーで、本格インフレだ、こういうふうにアメリカの学者は規定しておるのですよ。これのいい悪いは別ですよ。しかし、七・七上がったということを、汽車のお弁当の値段も、そして汽車のお茶の値段もわからないで、いや、インフレじゃありません、物価は上がっていませんという、その感覚自体を私は問題にしておる。そういう感覚で政治をやるのなら、あるいは本年度は七・七でおさまらぬかもしらぬ。ある人によれば、まあ一割上がるだろうなんて軽く言っている人もいる。そういう事態になっても、なおかっ政府は、インフレではございません、通貨価値の下落ではございませんと言い切れるのですか。物価対策というものは、佐藤総理の言うように、ただ真剣に取り組む、取り組むというだけで、原因がどこにあるのか、これが究明できないでは、真剣に取り組みようがないわけです。明らかに日本経済はインフレーションの段階に入りつつある。もしこのまま、この六兆三千億に及ぶ膨大な財投と一般会計の予算を通過さしたならば、ここからまた財政インフレが出てくる。信用インフレで、池田高度成長で、三十五年から物価が六%以上上がってきておる。通貨増発量と物価の上昇率というものを比べてごらんなさい。ちゃんと比例をとっていますよ。三千億が成長通貨だなどというが、成長通貨というものは日本経済では三千億だという規定は、一体だれがしたのですか。私はとんでもない話だと思う。そういうふうな、明らかにインフレの段階に入ってきた場合、だれが被害を受けるかといったら、国民大衆でしょう。被害を受けないのは財界であり、資本家は被害を受けませんよ。インフレになったってそれだけ財産が上昇していくのだから、被害を受けませんよ。逆に、した借金を返すのに便利になってきますよ。私はそう悪意には解釈したくないが、本年度の公債発行は、全く財界に一方的に福田大蔵大臣が押し切られてきた、こういうふうに私は見ておるのです。彼らは、逆にインフレになることによって、膨大な企業借金というものを返すのが非常に楽になってくる。むしろインフレ経済を望んでいるのは、日本の財界であり、日本の資本家側である。そうして被害はだれが受けるかといったら、国民大衆全部がその被害を受けるところに、このいまの物価上昇、インフレの問題は重大な危機をはらんでいる。これを真剣にもし大蔵大臣や総理大臣が考えたら、夜なんか寝られないはずですよ。佐藤さん、そんなに太っていられないですよ。もっとぺちゃんとやせなければおかしいのだよ。どう考えますか、大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 本年度の予算は、決して財界から示唆を受けたり、押し切られたりというような性格のものではございません。率直に申し上げますと、財界のほうじゃ、むしろ先ほどお話がありましたようなギャップ解消論、デフレギャップを埋め尽くせという議論が、実は高いのであります。  〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕  私は、しかしそういうことは非常に危険である、こういうふうに考えまして、四十一年度は安定成長速度で経済が運行されるように、そのためには財政がいかなる役割りを果たすべきか、こういうことできめたわけであります。したがいまして、国の中で最大の消費者である財政が、まだそういうデフレギャップを全部埋め尽くさぬという状態における財政を編成する。これが物資の需給、資金の需給に対して民間に圧迫を与えるという要因は、一切ありません。したがいまして、財政から、四十一年度の予算からインフレが刺激せられるであろうという御見解は、私は当を得ていないのではないか、さように考える次第でございます。これがデフレギャップも全部埋め尽くす、そして民間資金も、民間の労働需給に対しましてもあるいは物の需給に対しましても大きな刺激を与えるという際には、私はこれは心配すべき事態になると思いまするが、今日この程度の規模の財政が運営されるということは、景気の回復に貢献する効果はありまするけれども、インフレへ刺激をしていくということにつきましては、私は何らの危惧は持っておりません。ただ、お話のように、消費者物価が七%以上も上がるということは、これは異常な事態であります。私もこれはほんとうに心配なことでありまして、これが解決されませんと、長期にわたる公債財政、これの運営にも支障が血ずる、こういうふうに考えますので、私は中澤さん以上の熱意を持って物価問題には取り組んでいきたい、かような決意でございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 時間の制限がないというはずなんだけれども、ばかに時間だ時間だと言いますが、そうせかれては問題がひとつも煮詰まってこない。  そこで、きょう日銀の総裁においで願いましたが、実は山一証券、まさに信用恐慌、証券恐慌を起こそうとした山一証券の問題に対して、補正予算の審議において佐々木副総裁がおいでになりまして、参考人として御答弁をいただいたわけでございます。そのとき、担保はとるのだ、いまいろいろ手続をしておるのだ、こういうお話でございましたが、その後担保はどういうことになったのでございましょうか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 山一問題につきましては、当時非常な証券界の問題でございましたが、幸いにも御承知のような状態に回復いたしてきております。これの問題につきましては、われわれとしてもいま鋭意再建をはかるべく努力いたしておるわけでございますが、情勢がだいぶ変わってきましたので、いま検討中だという以外に申し上げられません。  それからいまの担保の問題でございますが、私は当時出ておりませんでしたが、役員の担保の問題でございましたか、御質問は。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 いや、不動産を担保にとるのだ、こういう御答弁をなさっております。日銀として担保をとるのです。だから、その担保をいま手続中だ、何をとるのですかという小松君の質問に対して、それは不動産や何かをとります。こういうお話なんで、いま手続中だからしばらく待ってくれという御答弁だったのです。この速記録にありますが……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 それは何でございますか、担保というのは、山一の持っておる不動産でございますか。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 それにつきましては、不動産会社、山一の子会社でございますが、それらを調べまして、そして適当にとっておるところでございます。  なお、その問題につきましては、一つの会社の内容の問題になりますので、再建計画ができました上でお答えをいたしたいと思っております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私は、総裁、何で山一の問題を取り上げたかと申しますと、これは担保をとるとらないの問題よりか、中央銀行のあり方として一体どうだったのか。こういうことは、世界じゅうの中央銀行で私企業に対して金を出したという例はないのです。ただ、昨年イングランド銀行が船会社に若干の融資はしたようであります。低かには例がないのです。私は、公債発行とからんで、日本銀行のあり方というものが一体そういうことをしていいのかどうかということを総裁、お考え願いたいと思う。もしそういうことがいつも野方図に行なわれるとすれば、先ほど私が申し上げた歯どめというものも、日銀では全然かからない、こういう結論になる。だから、その点について、日本銀行の中央銀行としてのあり方、その問題をどうお考えになっていらっしゃいますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまお話しのとおり、これに特別融資をいたしましたのは、山一の問題をきっかけに証券界が非常な混乱になるのではないかということで出したわけであります。山一を、一つの会社を助けるというよりも、証券界全体のために、あるいは金融界全体のための考えでやった次第であります。それで、ただいまお話しのような点につきましては、鋭意いま研究いたしておりますが、まだ申し上げられません。ただ、われわれとしては、こういうことを、いろいろな問題についてこういう考えで常に対処しているということは全然ございません。これは特別の例であるということを申し上げておきたいと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そうすると、まあ山一と大井証券でございますが、このほかの大きないま四大証券といわれるものの一つなりにああいう事態が出たら、またすぐ日銀さんのほうではどんどんお出しになりますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまお話し申し上げましたとおり、これは山一を、あるいは大井証券を助けるということではございませんで、全体のためにやったことでございます。したがって、もう一つ何か出たらどうするかという御質問に対しては、その一つの問題を、そのときの日本全体の問題として取り上げるかどうかということできまることだろうと思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 しかし、これはたいへんな悪例を日本の銀行史に残した。こういうことは世界に、発券銀行が私企業に金を貸すということは、これは全くあり得ないことです。法律違反ではございません。それは二十五条の信用保持育成の条項があるから、法律違反とは私は言いません。しかし、中央銀行のあり方としてこれは問題がある。このごろジョンソン大統領とマーチン議長がけんかをしたのは、御承知のとおりであります。マーチン議長は、ジョンソン大統領が公定歩合の引き上げは絶対まかりならぬという低金利政策をとっているのに対して、そのまま置いたならばこれはインフレになるじゃないか、その危険が出ているじゃないか。だから、公定歩合はここで引き上げねばならぬのだというので、ジョンソン大統領の政治圧力をはね飛ばして〇・五引き上げたことは、御承知でございましょう。ドイツのプレッシング総裁にそれがあるし、かつてのフォッケ総裁がついにヒトラーに抵抗して、通貨価値を維持し守るために、断じてヒトラーの言うことはきかないということで、ヒトラーに上申書を出した。これ以上引き受け公債をよこされては、いよいよドイツ経済の崩壊だ、そういうことは私はできませんということで、彼の意見を率直にヒトラーに出してヒトラーに首を切られたのが、あの終戦後ドイツ再建をやったフォッケ総裁でしょう。そこに中央銀行のあり方を総裁に真剣に考えてもらわないと、総裁は三菱からおいでになって産業界のことはよくおわかりだろうが、産業界のことと金融界のこととは話が違うし、特にその中で日本銀行という発券銀行の役割りというものはどういうものか。全国民大衆のために通貨価値の安定と維持をはかっていくのだという、この最高の使命が日本銀行にないとしたならば、もはや日本銀行は市中銀行と変わらないものになるじゃないか。そこに私は山一の問題とからんで、発券銀行、日本銀行としてのあり方、これは法律上は政府の圧力にいま抗せません、抗せない仕組みになっておる。しかし、あなたはあのマーチンとジョンソンの対立、そして強引にマーチン議長が〇・五%引き上げたことをどういうふうにお考えになっておりますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 あのときの情勢は、私が判断いたしまして、このまま放置しておくとたいへんなことになるのではないか、こういうふうに判断いたしまして、大蔵大臣に申請したものであります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 しかし、あのとき、一体日銀がかぶるのが正しかったかどうかです。日銀がかぶらざるを得なかったかどうかであります。どういう判断のもとに総裁はおかぶりになったか知らぬが、あの場合日銀がかぶらないで——総裁が断固たる決意を持ったら、日銀がかぶらないで済んだのじゃないか。その点はどのようにお考えですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 あのときの情勢は、とにかくこの不安を除去しなければならない、こういうふうに考えまして、あの処置を大蔵大臣に申請したわけであります。したがって、むろんこのあとの処置については、いま検討しておるところでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 あなたの頭取をなさっていた三菱銀行は、いま貸し倒れ準備積み立て金その他でどのくらい内部保留をお持ちですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 いま私は日銀に参りましてから一年以上たっておりますので、したがって正確の数字を申し上げかねます。しかし、相当あることは事実でございましょう。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 三菱銀行は、大体内部保留が、私の調べたところでは、たしか五百億ちょっとあったと思います。それから富士銀行の内部保留は、おたくよりかちょっと少なかったと思います。興業銀行の内部保留も、いまちょっと数字メモが見えませんが、相当な額です。三行の内部保留、貸し倒れ準備金、積み立て金その他の保留を合わせると、大体千二百億くらいのものは私はあったと思います。これを一体どうして使わせなかったのかということを私はお聞きしたい。何も日銀がかぶる必要はなかったのじゃないか、こう思うのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまおっしゃった数字は、私もおそらくそれくらいだろうと思うのでありますが、これは山一のためにだけあるのではございませんで、山一の整理の段階におきまして、これをどうするかということをいま検討いたしておるところでございます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 総理大臣、当時福田さんは大蔵大臣じゃなかったから、総理にお聞きするけれども、どういう経過で日銀に一体これをしょわせたのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま日銀総裁からお答えしたような経緯でございます。根拠の法規は日銀法二十五条、かように私は覚えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そこに問題がある、政府のほうにも。それは世界に類例のないことをやったのです。もしこういう悪例が——二十五条の存在によっていつでもできるという悪例を開いたわけです。通貨価値維持安定の重大な使命を持っておる発券銀行が、法律二十五条にあるから問題がないのだという。しかし、その主要三取引銀行、親銀行において事実それを見る金がなかった場合は、私は話は別だと思う。しかし、かつての震災のときも、日銀はしょっていませんよ。震災手形のときもそうであるし、昭和二年恐慌のときも、日銀はしょっておりません。震災のときは一億を範囲に政府がこれを保証する、それから昭和二年大恐慌のときも、五億を範囲に政府がこれを保証する、こういう形をとっておる。しかも三行には千億以上の内部保留金があったというのに、何でやすやすと二十五条を抜いたのか。この三行になぜ一体支払いをしなさいということを政府は強硬に言わなかったのか。そこに政府が日銀を私有化しておるような私は感じを受けるのです。だから、法律違反だとは私言っておりませんが、このごろ調査してみれば、山一二百八十二億、それから大井証券五十六億、現在これだけ出しております。これの支払い能力が三菱、富士、興銀、この親銀行三行になかった場合は、どうしてもなかったからしかたないというなら私は納得しますよ。さもないと、国民は納得しませんよ。しかも佐々木副総裁が言った、担保をいま手続中でございますというが、いま総裁に聞けば、担保なんか、評価しておるけれども全然わからないという話で、そういう大きな間違いをあなたの股肱の臣である田中大蔵大臣がやっておる。中央銀行のあり方というものを総理は一体どう考えるか。今度の山一の場合、なぜ千億以上あるところの三つの銀行に協力命令を出さなかったか。法律上協力命令を出せることになっておる。なぜそれを出さなかったか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどの三菱銀行その他三銀行、これが貸し倒れ準備金をちゃんと用意しておる、これをまず使え、これも一つの考え方かわかりません。しかし、日銀総裁が先ほど申しておりますように、それだけのものを直ちに山一や大井だけに使うということは、これは適当でないと考える。また中澤君も御指摘のように、別に法律違反とは言わない、こう言っておられます。だから、その法律違反でないという点に私はことばじりで議論するわけでもありませんが、とにかくあのときの日銀の処置、それによりまして信用保持ができた、かように私は考えておりまして、今日適当な処置であった、私はかように考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 総理、あなたはとんでもない答弁をやってますよ。そういう考え方で今後日銀を使うとしたら、私はたいへんなことになると思うのです。中央銀行と政府というのは違うのですよ。世界にない悪例をやって、これが当然な措置だなどという考え方は、全く順逆を誤ってますよ。そういう考え方は全くおかしいですよ。そこに国民は、公債発行も何をやり出すかわからぬ、いまに日銀へ全部おっかぶしていくのじゃないかという不安を持っているのですよ。中央銀行は中央銀行として、中立性と独立性を保証されているのですよ。それを、山一に対してとった白銀の態度が正しかったなんという考え方は、国民は納得しませんよ。そういう考え方では、今後にどんな危険をやるかわかりません。ちょっと宇佐美総裁を呼んで、おい、今度出すのを五千億、おまえのほうで直接引き受けてくれ、そうはいかないとあなたは言うけれども、それならばなぜ一体山一のとき、——あなた総理大臣ですよ。田中君はあなたの股肱の臣だ。木村禮八郎さんはこの前参議院の予算委員会で、戦後最悪の大蔵大臣だと言ったが、私は日本の財政史始まって以来最悪の大蔵大臣だと思っている。これに対してあなたはなぜ、それはまずい、中央銀行がそういう私企業の借金を見ることはまかりならぬ、それは三行に一時でもいいから仮払いさせろ、処理は時間をかけてやろうじゃないかと御命令なさらなかったのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来お話をしておりますが、日銀から申請があった、そこで政府はこれを許可するかどうかという問題になるわけです。これが一部でいわれておるように、政府がこれを命じたとか、こういう状態だと中立性を侵した、かようなことにもなるでしょう。しかし、先ほど宇佐美君からお答えいたしましたように、日銀自身から政府にそういう申請をした、そこで政府はその処置は当然——あたりまえとは申しませんが、私は可能な処置だ、かように考えて、日銀法の二十五条で処置をつけた。このことが、それじゃ非常にいい前例になるのかどうか、こういうことについては、いろいろの議論があるだろうと思います。最近の金融政策のあり方なり、また政府自身がこういうものに積極的にタッチしない、そのたてまえから申しますと、当時かような処置をとったことは、山一なりのあり方等から見まして、また証券取引の実情等から見まして、やむを得ない処置だった、かように私は思っておるのであります。先ほど私が、これは当然のことだ、かように申したようにお聞き取りだと、この点は私も訂正さしていただきますが、これはやむを得ない処置だった、かように思います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 それじゃ総理、そのとき田中君に調べろと言ったのですか。内部保留がどれだけあるか。三行が主力親銀行でしょう、富士、三菱、興銀が。貸し倒れ準備金というのは、税金をのがして何のために積ませるのですか。貸し倒れ準備金というものは、そのとき三行で一体どのくらいあるのだ、とにかく三行がそれをあと押ししろ、話はそのあとだ、これが総理として大蔵大臣に命令すべきことじゃなかったですか。三行に支払い能力は、当時だって千億をこえてあったのですよ。それをそのままにしておいて、これは日本銀行がかぶるべきだ、それが二十五条の発動で当然だ、そういう考え方で財政運営をやられるとすれば、これは国民は、信頼しろといっても信頼できません。しかし、無制限に、もしまだこれで株価が暴落という事態が来れば、まだ山一に出すでしょう。まあ新会社構想なんかができて、これは時間がないから聞けないけれども、とにかくまだ出すでしょう。大井証券へもまだ出すでしょう。日銀がそういうことをするところに、国民は問題を疑問に思うのです。その当時の三行に対して、内部保留の貸し倒れ準備金の調査をしたら、その当時五百億やそこいらの貸し倒れ準備金はあったはずですよ。これは税金を取らないで何のために一体政府は積ましているのですか。税金を取らないんじゃないですか。そこに総理大臣、山一問題というものは重大なミスをやったということを率直に、国民に、悪かった、今後そういうことはやらないのだ、——こういうことをやると、これじゃまるで市中銀行と日銀との区別がどこにあるのか、全然つきません。だから、いまからでも私は、新山一の発足がいよいよきょうの新聞に伝えられておるが、新山一の発足のとき、政府は断じてこんなものを簡単に許してはいかぬですよ。まず三行の責任追及をやるべきです。いま千二百億以上の貸し倒れ準備金、積立て金、内部保留を持っている三行が、何かちょっと読んでみると、出したのを引っ込めて、また出して、何か振りかえ処置でもってやる。そうして日銀へその三つの銀行はそのままそのしりを押しつけようとしているじゃないですか。こんなことは断じて許しませんよ。国民の税金ですよ。だから、どうしますか。今度新発足をする、いま「日銀、大蔵省の意見煮詰まる」などといってきょうの新聞に出ておりますけれども、こんなことで煮詰まったとすれば、これは問題ですよ。日銀の融資だけは三行が肩がわりしろ、そのあとでどういう構想か出せ、さもなければもう山一はこれで破産だ、そのかわり多数の債権者に迷惑をかけちゃいけないから立法措置をとる、山一に関係した債権者に対しては政府が補償してやる。要するに震災手形のような、かつての恐慌のときの補償のような形の補償をしてやる、そのかわりもう山一には営業許可はしない、ここまで政府が勇断を持たないで、どうしてこの困難な今後の財政状況の中を乗り切っていけますか、どうお考えですか、総理。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 最近の状態を私は存じません。したがいまして、ただいま大蔵大臣並びに日銀総裁もいることですから、最近の状態はどういうようになっているか、また十分調べまして、私自身もこういう問題に対処する態度をはっきりさしたい、かように思っております。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 最近の山一の状態は、いまここに数字は持っておりませんが、御承知のように、証券界が非常に回復してまいりまして、出来高もふえておりますので、経常収益、いわゆる営業収益は黒字になっております。したがって、それに基づきまして、また将来の見通しを立てまして、いま再建計画を立てております。新聞でごらんになったそうでありますが、まだきまっておりません。  それからもう一つ、当時の状態でございますが、あの緊急の事態に、もしも銀行、いわゆる主力三行に問題を波及しては、かえっていけないのではないかと私は考えております。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 主力三行に波及する内容はあのときなかったはずです。なぜならば、そのとき政府がもっと冷静に、こういう悪例を残すべきじゃないという判断で総理が対処していたら、こういう事態にはならなかったはずです。貸し倒れ準備金の三行のものを洗ってごらんなさい。山一の二つや三つは十分つぎ込む金があったはずです。しかもいま総裁は知らないというが、きょうの新聞で、「山一構想、資本金八十億、七月発足」これを見ると、日銀には異議があるようです。「特融返済で新提案」としてある。しかし、これは日銀の問題じゃないです。政府の問題です。国民の税金を一企業に貸して、そして、今度は新山一の構想が出てきたら、そのまま国民がかぶったままでこれを認めていくなどということは断じて許されません。断じて許されません。三行からまず日銀へ返済しろ、三行から貸し倒れ準備金で日銀に返済をやれ、そのあとで構想をつくれ、その構想をつくったものに対しては証券の認可をしてやろう、さもない限りは断じてしない。どうです。総理。そのくらいの腹がまえで臨まぬと、中小企業などこれはどれだけうらんでいますか。当時盛んに新聞に投書が出たでしょう。無担保、無制限、そんなばかな金を貸すなら、われわれ中小企業は三万か五万で鉄道自殺したり何かしなくてもいいのに、一体そういうものにそういうばかな金を貸すということができるのだろうか、という当時の新聞投書をごらんになったでしょうが。この際、山一問題のケリをつけましょう。断じてこの新発想というものは政府は認めない、証券許可を与えない、三行がまず日銀の、国民の税金を返せ、そのあとから話をしようじゃないか、このきぜんたる態度を総理はとってくださいよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、この新聞に伝えられておることで中澤君なかなか興奮していらっしゃるようですが、私はまだ実情をはっきり把握いたしておりません。十分把握いたしまして、そうして政府がこれに対処していく、このことをはっきり申し上げておきます。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 ただ対処するだけじゃだめですよ。大蔵大臣、当面の責任者はあんただよ。どう考えているか。断じてこんなものは営業許可を取り消しなさい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私も最近の状態については承知しておりません。これは非常に重大な問題でありますから、適正に処理をいたします。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 だめです。総理は事情がわからぬ、そう言うが、あんたは当面の責任者ですよ。あなたのやったことじゃない、それは田中君のやったことのあとふきだけれども、しかしわれわれ社会党とすれば、政府は自民党一本ですよ。田中君のやったおそまつなやり方に対して、未来のホープと任ぜられるあなたがこれでき然たる態度をとれないのなら、大蔵大臣の資格はありませんよ。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 き然たる態度で処置いたします。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 じゃ、こういうふうに確認しておきますよ。き然たる態度というのは、三行の貸し倒れ準備金を洗って、そうしてまず日銀返済をしろ、特融返済をしろ、その後に山一問題は新しい構想で進め、それならば政府は営業認可をしてやろう、こういうふうに確認してよろしいですね。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 その確認をいたすまでの検討を私はいたしておりません。よく検討いたしまして、適正に、峻厳な態度で処置いたします。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 そういういいかげんな答弁をしては、ますます国民は信頼しませんよ。七月発足じゃないか、きまったんだよ、ちゃんと書いてあるんだよ。日銀、大蔵省了承だ、大体話はついたんだよ、事務段階では。あなた方は知らぬけれども、つかないものを新聞になんでこんなに大きく出すか、ついているんですよ。このついているのを、内容を読んでみると、全くおかしいんだ。そこで日銀のほうは若干むくれて、これじゃいかぬということで、日銀に若干異議があるんだ。これも、しかし若干なんですよ。特融をみんな返せという意味じゃないんだよ。若干なんですよ。私は宇佐美総裁が三菱の頭取であったからという、そういう悪意な勘ぐりはいたしたくありません。しかし、けじめだけは日銀総裁としてもつけてもらいたい。けじめをつけないでやるということは、日本の銀行史にたいへんな汚点を残しておるのですよ、この問題は。中央銀行史にはたいへんな汚点を残しておる。だから、これに対しては、はっきりけじめをつけるところからあなたの総裁としての御出発があると思うのです。これがもしつかないとすれば、これから国会でこの問題は大きな問題になると思う。だから、その点について、日銀の総裁としてはっきり取るものはお取りになって、あとは政府のほうで処理してくれ、こういうお考えですか、どうですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま新聞記事をいろいろお話がありましたが、全くまだ日本銀行として最後の結論に達しておりません。お話しのとおり、私もこの問題を非常に重大に考えまして、その処置につきまして、ただいまおっしゃった点もよく考えまして、御納得のいくように善処するつもりでおります。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 まあ御答弁を聞いておると、総理も知らぬ、大蔵大臣も知らぬ、総裁も何だかわからぬ、そういうことになると、これは間違い記事を日経が書いているということにもなりかねないのだが、しかし、ここまで、三行の二十億増資引き受けまでこまかにこの内容を書いているのは、新聞記者諸君の私は間違いと思いません。ただ、たびたび新聞に誤報があるから、これが全部そうだとは私は言いませんよ。全部だとは言わぬが、おとりになるのかならないのか。まず、山一問題は三行の責任でケリをつけて、特融はいただきますという基本態度で総裁はお臨みになるのか、ならないのか、この点をお聞きしたいのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 まだ結論に達しておりません。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 結論はどう出てもいいとして、総裁の考え方として、もう宇佐美さんは三菱の頭取さんじゃないのですよね。重大な責任を持った日本銀行総裁なんですよ。国民大衆のために通貨価値を完全に維持していくという、通貨護持が発券銀行の任務なんです。だからこそ、マーチン議長がジョンソンとけんかをしても、独断で〇・五引き上げる、そういうふうに重大な役割りを持っているのです。かつてマーチン問題を新聞が報じたときに、あなたの感想が新聞に出ている。私ならいま少し話し合いをしてやるほうがいいと思う、こういうふうにあなたは述べられている。これも誤報かもしれませんよ。これもね。そういうことをあなたのことばとして新聞で拝見しておる。その考え方自体が私は問題だと思う。通貨価値の護持といい、国民全体のための貨幣価値の下落を防止するのだ、通貨価値の安定をどこまでもはかるのだ、インフレにはさせないのだ、それが日銀総裁一人の使命なのだ。こういう考え方をお持ちになっていないと、話し合いでいったならば、全部佐藤さんに押し切られますよ。全部押し切られますよ。法律上違反でないものは、必ず佐藤さんはみんなあなたに押しつけますよ。それをはね飛ばす勇気があるのかどうかは、この山一問題があなたの試金石なんですよ。これのケリをつけるかっけないか。貸したものは取る。たしか五百四十何億三菱はあるのですよ。だから、うちの銀行も百億ばかり出せ。まずこれをケリをつける。そこを、私は日銀総裁としてのあなたの腹がまえを伺っておるのですよ。そのくらいなき然たる態度でないと、今後公債はどんどん累増していく。先ほど、午前中の質疑で、大体四兆円くらいにじきなるだろうと大蔵大臣は言っているのですよ。そういうものを端からどんどん、宇佐美さんをちょっと呼んで押しつけちゃおうじゃないかとやられて、一体通貨価値の護持ができますか。だから、山一問題であなたの腹がまえのケリをつけてもらいたい。こういうことを私はあなたにお願いしておるのですよ。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 いろいろ政府から押しつけられるだろうというお話でございますが、私は、政府はそんなにやたらに押しつけてくるとも思いませんし、また、まいったら、これは私どもの考えをよく述べて、反省を求めるつもりです。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 やはりいまの御答弁が日銀総裁としての立場で、どこまでもあなたはそれを堅持されなければ、たいへんなことになる。だから、先ほどの歯どめ論でもこまかくお聞きしたのは、そういう事態になった場合、あなたは大蔵大臣に、それはだめです。私は通貨価値護持の番人です。貨幣価値を下げるわけにいきません、いまのような物価上昇とインフレは私の力で防遏いたしますというような、マーチン議長のような信念を持ってもらいたい。そのことによって初めて国民は、ああ日本銀行は信頼できるとなる。いま国民は、日本銀行なんかだれも信頼しておりませんよ。あれは、困れば無担保、無制限、幾らでも銭を出すじゃないかと、そういう感じを持っていますよ。(「それは暴言だよ」と呼ぶ者あり)中小企業などで聞いてみろ、君がそう言うなら。国民の声ですよ。  だから、そういう点において、私はいまの御答弁で一応了承いたしますが、しかし、政府も政府で、中央銀行の中立性というものは政府も守るんだという考えがなければだめです。かつてドイツのだれでしたか、大蔵大臣が、われわれの言うことを唯々諾々と聞かない中央銀行を持っておることは、たいへん大蔵大臣としてうれしいのだ、私が押しつけても聞かない中央銀行なんだ、だから国民は信頼しておるのだ、だから私は大蔵大臣としてうれしいのだということを、ドイツの、あれはどなたか知らぬが、申しておるのですよ。だから、そういう日銀の中立性というものを政府が侵しちゃいかぬ、侵すこと自体が、政府の政治圧力によってインフレをますます進行させていく。そして通貨の増発はどんどん進んでいく。こういう事態が国民のためにたいへん不幸な事態であるから、私は最後に、時間も来たようでありますから、政府側においてもそういう心がまえでなければいかぬ。日銀総裁としても、政府の言うことが国民のためにならぬというときには拒否する、この腹がまえで今後の公債発行問題に取り組んでいただきたいということを最後にお願いをいたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)

福田一自由民主党

○福田委員長 これにて中澤君の質疑は終了いたしました。  宇佐美参考人には、長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。  次会は明八日午前十時より開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会

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