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51回国会衆議院1965/12/24

予算委員会 第4号

発言数
309
登壇者
32
会派数
4
開催日
1965/12/24

会議録

青木正自由民主党

○青木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。まず大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、今日までの社会党の各委員の質問を受けまして、主として、非常に微々たるものですが、減税の影響を受けない、逆に物価の値上がりあるいは公共料金の値上げの追い打ち、そういうものの深刻な影響を受ける国民の低所得階層、これらに対する具体的な政策についてひとつ質問をいたしたいと思います。  この問題については、総理の御答弁にも、あるいは福田大蔵大臣の財政演説にも、あるいは藤山経済企画庁長官の御答弁の中にも、これは重ねて出てきておる問題であるわけであります。したがって、これはおざなりの議論で、私どもは、いまのような重大な生活問題について国民が関心を持っているときに、これを見のがすわけにはいかないと思います。総理大臣あるいは福田大蔵大臣は、いままでの議論の中で、物価というものは経済の一現象だ、こういうことを言われたわけであります。この中にはいろいろな意味があると思うのですが、しかし、物価は雨やあらしや地震とは私は違うと思うのであります。これは政策の帰結であります。つまり政治、政策が失敗をしたか成功したかというバロメーターが私は物価であると思うのであります。これは天然現象のような考えで、一現象だ、あるいは部分的な現象だというふうに考えることは私は根本的に間違っておるのではないかと思うのです。佐藤総理大臣は、昨年七月に総裁立候補されまして以来、池田さんの高度成長政策、格差の拡大、ひずみに対して、社会開発を非常に重視されてスローガンとされました。社会開発、人命尊重、歩行者優先、こういうことを今日まで——今日はぐあいが悪いからほとんど言われませんが、立候補当時には非常に声を大にして言っておられたのであります。そういう人間尊重の政治という中には、私は具体的にはこれは物価の問題があると思うのであります。私は、そういう観点からいいますと、佐藤内閣の十五カ月予算といわれる補正予算、来年度を展望いたしましての財政、金融、経済政策というものは、全く初心を忘れたそういう政策に走りつつあるのではないか。羊の肉を掲げて犬の肉を売るような、そういう政策の実態に突き当たっておるのではないか。私は、今日までの質問を通じまして、そういう国民の疑惑が出ておると思うのであります。この点に対しまして、最初私は、これらの問題に対しましての政治道義あるいは公約、そういう観点から、総理大臣のお考え、決意をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。大原君、別に誤解していらっしゃるとは思わないのでありますが、物価が経済の一現象だ、かように申したからといって、物価を等閑視するという考えではないのですから。もちろんこの物価の問題と真剣に取り組む、そのためにも経済の立て直しが必要だ、そう考えておるのでありますから、その点は誤解のないように願いたいと思います。  ただいまお話のありました人間尊重、さらに歩行者優先、この政治姿勢は、今日もなお私は堅持しておるところであります。ただいま御指摘になりましたように、減税は納税者には幸いするが、納税しない、またそれだけの力のない者にとっては、これは意味がないじゃないか、高い物価に生活が悩まされるだけじゃないか、かような御指摘も、私もそのとおりだと思います。だからこそ、私は、この荷物価に悩む、また国民自身の生活を圧迫しておることについて十分対策を立てていかなければならない、それがためにも、経済自身を安定化し、安定成長の方向へ基礎づけることが何よりも大事だ、同時にまた、個々の物価に対しては、生活を圧迫しないように、重圧を加えないように、あらゆるくふうをしていこう、こういうことを実は申しておるのであります。消費者物価について、私どもが流通機構、あるいは生産性を向上するとかいうようなことを申しておるのもそれでありますし、ただいま公共料金等の値上げにおきましても、その時期なりまた上げ幅等につきまして十分の考慮を払って、そうして生活に悪影響を及ぼさないように、できるだけそれを最小限度にとどめるような努力を実はしておるのであります。これらの事柄が今日まで実を結んでおらない、こういう点は、まことに私も残念に思っております。今日の私どもに課せられた課題は、経済の不況克服であり、同時にまた物価の安定にある、かように考えます。そういう意味で真剣に取り組んでまいるつもりであります。  また、底辺の方々、一千万に及ぶ納税をしない人たち、それらに対します対策としての社会保障の充実というような点も、十分考えていきたいものだ、かように考えておる次第であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 佐藤内閣は実行力のある内閣であるとか、有言実行とかということをいわれるわけですが、私は、国民は、社会開発、人間尊重、物価安定、そういうふうな国民生活に直接結びついた政策で有言実行をやってもらいたいと思っておるのだと思うのです。何も日韓会談や農地報償で有言実行をやってもらおうとは思っておらぬと思うのです。私はそう思っておる。ですから、私は、日韓会談をあのように強行されたり農地報償をやられたということは、これは放漫財政の一つの基礎になっておると思うけれども、公債発行の原因になっておると思うけれども、このことは、私は何も佐藤内閣が自慢をすべき問題ではないと思う。問題は、私は、議会における与野党共通の場は、これは国民生活の安定だと思うのですよ。このことで政策や議論をして競争するのであります。だから、これについて有効な政策を示し得ないものは、これは落第であります。うそも方便ということがありますから、ときどきは、立候補のときなんかはいろいろなことを言われるでしょうが、私はこれでは政治不信を招くだけだというふうに思うのであります。  そこで、具体的に私は質問いたしたいと思うのですが、これは経済企画庁長官でもお答えいただきたいと思うのですが、いまちまたにはジングルベルが鳴っているわけです。年末であります。一年間の佐藤内閣の政治が終わろうとしているのですが、この一年間八%近く物価が上がったということは、いままで議論をずっとされたわけですが、これは家計の立場、消費の立場からいうと、戦後最悪の政治だったと私は思うのです。池田内閣は、所得倍増ではなくして物価倍増だ、こういうふうに言われたのですが、しかし、それを越えて私は戦後最悪の政治であったと思うのです。私がお尋ねいたしたい点は、この一年間で、最近の資料に基づいてやってもらいたいと思うのですが、都市の勤労者の実収入ですね、大多数を占めておる勤労者の実質所得、これは昨年よりも下がっておる、マイナスになっておる、こういうふうに私どもは理解をしておるのです。これは昭和二十九年以来なかったことです。戦後未曽有のことです。これを政府はどのように把握をしておられるか。ひとつ経済企画庁長官のほうで、数字的な問題もありまするから、私が申し上げる点についてお認めになるかどうか、その点を御答弁いただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 全都市勤労者世帯の実収入で申し上げます。  名目で、四十年の一月から六月までが七・六%アップ、四十年の七月か八・五%アップ、八月が八・三%アップ、九月が七・五%アップ。実質で、一−六月がマイナス〇・四、それから七月が〇・六です。マイナスじゃございません。八月が〇・七、それから九月がマイナス一、大体こういう数字です。

大原亨日本社会党

○大原委員 いま御答弁のように、ことしの一月から六月までをとってみますと、実質所得、実収入はマイナスの〇・四であります。つまり昨年を一〇〇といたしますと、九六であります。そしてまた、一番最近の統計で、九月にまた落ち込んでおります。そういうことであるわけであります。  それからもう一つ、やはり数字に基づいて私は議論を展開をしたいと思うので、質問をいたしたいのですが、消費支出ですね。消費支出は、昨年に比較をしてどういうことになっておるか、こういう点について、ひとつ企画庁長官のほうからお答えいただきたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 消費支出のほうは、四十年の一月から六月まで、名目で六・六でございます。それから四十年の七月八・二、四十年八月七・九、四十年九月七・四、三十九年は、大体名目で一〇%ということです。ですから下がっております。それから実質でいきまして、四十年の一−六月がマイナス一・三、それから七月が、マイナスじゃございませんけれども〇・三、八月も同じく〇・三、そして九月が実質マイナス一・一、大体そういう数字です。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり消費支出については、昨年を一〇〇といたしましたならば、一月から六月までは、いま御答弁がありましたように、実質的に一・三%下がって、そして七月、八月にちょっと是正されたごとく見えたけれども、九月にはまたマイナス一・一というふうに下がっておるわけです。つまり昨年の生活よりも本年の生活は実質的に下がっておるわけであります。製造工場がわりあい健全な賃金体系ですけれども、平均賃金が三万三千円というふうになっております。これは物価が八%上がるということになれば、約三万円近くに下がるわけであります。実収入が三万円に下がるわけであります。少々の賃上げがございましても、物価値上げ、プラスアルファによって実質的には昨年よりも生活は引き下がっておる、こういうのが実態であるわけであります。私、けさ手元に資料をいただきました。いま時間の関係で申し上げるのですが、たとえば国民健康保険は四千万人の国民を大体対象とし、また保険料をとっておるのですが、その九〇%近いところが年間六十万円以下の所得なんです。私は大蔵大臣に端的にお尋ねするのですが、来年度の予算編成で、所得税の免税点は標準家庭で大体どれだけにされるのか、これは関連がありますので、ひとつお尋ねしておきます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 六十万円を若干上回るということを標準といたしまして、ただいま相談をいたしております。

大原亨日本社会党

○大原委員 まあ六十万円を若干上回る。六十三万円ともいわれ、平年度六十五万円ともいわれておるわけですが、大体六十三万円ぐらいには免税点をされるのですか。いかがですか。もうきまっておるのでしょうから、はっきり言ってもいいでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 最後の打ち合わせをしておるところでありまして、まだ正確なことを申し上げる段階まで至っておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり免税点を標準家庭で年間六十万円といたしましても、これは影響を受ける人員数でいいますると、全国民の五〇%以下だろうと思うのです。所得税を納めない人は大体五〇%はいると思うのです。昭和四十年度の免税点以下の所得の人は五五・九%ですから、少々免税点を上げましても、そのくらいではないかと思われるわけです。つまり国民の半数は——非常にてれ隠しのような減税でありまして、企業減税をやるための減税のような気がしますが、ともかくも減税という期待に対しまして恩恵を受けない人々は、私は国民の中に半数はあるのではないかと思うのです。だから、減税を受けないで、しかも物価値上がりの飛ばっちりを受けて、さらに公共料金値上げの追い打ちを受けるような所得階層に対しまして、どのような政策をとるのであるか。公共料金は、これは国鉄でも、私鉄にいたしましても、郵便料金にいたしましても、食糧にいたしましても、広義にいえば医療にいたしましても、保険料にいたしましても、やはり実質的には間接税のようなものであります。これは避けて通るわけにいかないものであります。具体的な例はきのう堀委員からもお話がありましたが、私も具体的な例は用意いたしておりますけれども、ともかくもそういう人々に対して政府としてはどのような政策をとるのか。私は、予算編成についての大蔵大臣の心がまえといたしまして、補正予算は十五カ月予算と言っておるんですから、公債発行の問題を含めて、収入支出の問題を含めて、この問題についてどのような配慮をされるのか、そういう具体的な問題を私は数字によって提起をいたしておるわけですが、それについてあなたの考え方をお答えをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 本会議でも申し上げておるわけですが、今後、財政としては、社会保障の問題、また社会開発投資の問題、そういうことが非常に重大になってくる。昭和四十一年度におきましても同様でございます。ただいまお話しのような、減税の恩典にあずからぬという階層に対しましては、特に社会保障政策をもって立ち向かわなければならぬ、かように考えておるわけであります。あるいは生活保護世帯の問題でありますとか、あるいは失業者の問題でありますとか、あるいは母子家庭の問題、あるいは老人の問題、あらゆる角度から社会保障の質を厚くするという方面に努力をすべきものだ、かように考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私が逐次触れていきたい問題についても、抽象的にお話がございました。関係大臣もおることですから、これは当面非常に重要な政策と結びつけて質問をひとつ続けてまいりたいと思うのです。  このように大多数の勤労者、特にその中の労働者についても、給与で生活しておる人々は、非常に大きな行き詰まりや生活難におちいっておる。この先どうなるのかということを、私は非常に考えておると思うのです。そこで、たとえば労働運動の面におきましても、総評やあるいは同盟、中立を問わず、海員ストも非常に熾烈になってまいりましたが、そういう各系列、系統を問わず、私は年末から来年は早々賃金の問題がどうしても大きな問題となってくると思うのであります。賃金政策について、政府はどういうお考えを持っておられるのであるか。たとえば日経連の一部等では、早々と賃金ストップを言う人があるわけであります。これにつきましては、私は経済全体の問題として、経済企画庁長官から、あなたはどういうお考えを持っておられるかという点について、純粋に政策上の立場をとっておられるわけですから、比較的そうですから、ひとつ御所見を明らかにしてもらいたい。

藤山愛一郎自由民主党経済企画庁長官

○藤山国務大臣 言われております賃金ストップというようなことがいま適当であるかどうかということについては、私は必ずしもいますぐにこれを取り上げるというあれは適当でない、こう思っております。しかし、いわゆる所得政策というものについて、あるいは日本の企業制度そのものについて、相当年功序列型のものを改正していかなければならぬところ、考えていかなければならぬところもございます。またいまの賃金そのもののあり方等についても、いろいろ考えるべき点はたくさんあるんでして、そういう問題については、経営者、労働者、組合の方々と、やはり忌憚なく皆さんが話し合って一つの方向を出していく、そして新しい時代に適応した賃金のあり方というものを考えて、その中において賃金というものはできるだけ高く、生活の安定を得るように、翌日の再生産に資していくようなことになっていくことが望ましいことだ、こう思っておるのでございまして、今日何か所得政策というとすぐ賃金ストップというふうに考えがちですが、そういう点、もっと広く所得政策というものを考えるべきだと私は思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 労働大臣にお尋ねしたいのですが、労働大臣は、労使間については、腹の中はどうかわからぬが、一応中立ということになっておる。労働政策プロパーであります。労働大臣として、これからの、春にかけての賃金問題に対する考え方の基本をひとつお聞かせ願いたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 わが国の賃金は、ここ数年来のいわゆる経済の高度成長によりまして、大体名目的には、御承知のとおり年間約一割程度ずつ上がってまいりました。これを実質賃金で見ますると、昭和三十五年に比べまして昨年は大体二割アップというところにきております。しかし、本年に入りましてから、確かに実質賃金の対前年比というものは、若干増加の傾向がにぶってまいっておるということも争われない事実だと思います。そこで、今後、特に春闘等を控えてどういう考えで臨むかというお尋ねと思いますが、元来、賃金は、やはり国民経済全体の趨勢なり、あるいは国民の各層の所得の趨勢なり、そういうものと均衡をとりながら伸びていくということが一番望ましいことでもありまするし、特に、何と申しましても消費者物価の影響というものも、もちろんこれは重要な問題でございます。その点につきましては、政府全体として物価対策を強力に展開していく、こういう必要があるわけでございますが、現実の問題としての春闘に対する考えということになりますと、申し上げるまでもなく、賃金は、特に民間の賃金というものは、労使間の話し合いによって自主的に解決さるべきである、決定さるべきであるということがたてまえでございます。したがって、労働大臣として、これはどの辺が妥当であるとか、そういうことを申し述べることはむしろ不適当ではなかろうか。要するに、労使双方が、さっき申しましたとおり、国民経済の状況なり、あるいは他の国民各層の所得の状況なり、それらを考慮に入れながら自主的に解決をしていただきたい、かように考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ここでの議論は、小さい数字なんかは別ですが、役人が書いた原稿はできるだけ読まぬようにしてください。これは議論をして政策を生み出していこうというのですから、そういうふうにしてもらわぬといかぬです。  通産大臣、おられますか。——では経済企画庁長官。けさの新聞によりますと、通産大臣は、閣議において、これはあとで総理にも質問いたしますが、中小企業が昨年は六千件以上も倒れて、五千数百億円の負債だ、これは未曽有のことだ、これに対する対策を集中的に立てようじゃないか。五千億円ぐらい大蔵大臣は救済金を無担保、無制限に出そうというようなお考えかどうか知りませんが、その点はあとで聞きたいが、これは山一証券の例があることですから、そういうことを期待するかも知れませんが、それは別といたしまして、その中にやはり需要を喚起していこうということがある。これは財政需要も何割かはあるでしょう。しかし、中小企業のこれを救済していこうという場合には、これは消費物資が多いわけです。消費物資がほとんどを占めていることは、御承知のとおりです。そういうことになれば、消費水準を上げていかなければならぬのです。経済企画庁長官は、賃金については、勤労者の収入については、できるだけ上げていくという方針がいいと思うというお考えを述べられたのであります。私は、需要を起こしていくという景気対策からいえば、財政支出よりも、中小企業対策はやはり税制・金融政策と一緒に需要を起こしていく、消費水準を上げていく、労働者や農民や中小企業全体の消費水準を上げていく、手っとり早いのは賃金収入を上げていく、こういうことが社会保障の引き上げと一緒に、安定した需要を満たして、中小企業を軌道に乗せる一つの大きな政策のポイントになるんじゃないか、こう思うのですが、これは経済企画庁長官——ちょっと待ってください。これは総理大臣から御答弁いただきましょうか、閣議で問題になったのですから。その面からも私は考えていくべきじゃないかと思うのですが、総理大臣、いままで相当議論があったのですし、だまし討ちのような質問ではありませんから、ひとつ御答弁いただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 きのう経済閣僚懇談会の席におきまして、中小企業の問題が出たことは確かでございます。しこうして、これらのただいまの中小企業について言っておることはいろいろございます。中小企業の振興のためにいろいろ要求しているところはありますが、いわゆる金融の問題ではもうなくなっているようです。金利もよほど下げてまいりましたし、また資金の量もふえております。金融がゆるんでおる。それよりも金が使えるといいますか、そのためにはどうしても需要を喚起してほしい、こういうことを言っておるわけであります。需要喚起には、ただいま言われるように、お互いの消費経済を進めること、これも一つの方法だと思いますが、ものによりまして、一番不況で倒産の多いのは、たとえば金属加工業、こういうようなところでございますので、そういうところに対しては、やはり設備投資などが進められるということが望ましい。これでいわゆる消費需要、需給関係のバランスがとれるわけです。でありますから、一がいにこの消費性向を高めるだけでいい——広くは消費性向ということになりますが、企業別にそれぞれの対策を立てていかないと効果があがらないのではないか、かように思うのです。昨日会議を開きましたのは、実はこの前の経済懇談会の席上で、どうも中小企業の実態がわかりかねる、こうことでございますので、特に私が実は発言をし、注文をつけて、そうして中小企業の業種別にどういうような形になっておるか、それをひとつ見てくれないか、そうして、その原因を追及して、それぞれの対策を立てることをしようじゃないか、こういうことを実は発言をしたその結果が昨日の会議になっておるのであります。でありますから、中小企業でもものによりましては、たとえば外国輸出をしている、あるいは双眼鏡であるとか、あるいは電気機器であるとか、これは電話のほうですが、このほうはたいへん需要がありますので、在来どおりいい成績をおさめておる、これは電電の政策などが実は成功しておるということでありますが、ただいま申し上げますように、金属工業等が困っておる。これはむしろ機械、その部品のメーカーというようなものが困っておるということでありますから、これはやはり設備投資というような方向に進んでいかないと、なかなか直らないんじゃないか。そこで、そういう場合に、系列産業としての整備をするとか、あるいは中小企業そのものがお互いに助け合っていくような方法を考えるとか、いろいろ対策があるのです。ただいま言われますように、食品工業等に中小企業が携わっておる、それらのものは、確かに積極的な消費が進められれば、これはよくなるということでありますし、また中小企業のうちで零細企業これらのものが、昨日もここで取り上げられて、韓国ノリの話から出て、生産者、同時に仲買い人、それらの手のときはたいへん安いじゃないか、そのものが出てくると、今度は一枚二十円にもなり二十五円にもなる、かような状態だというような御指摘もありますので、物価問題は、これは中小企業だけが背負うわけでもないわけですから、そういう点についてはやはり流通機構を改善していく、あるいはどういう中間マージンをとられるか、それなども十分精査する必要があるわけであります。ただいまお話しになる点も、私は中小企業対策は簡単なものでないこと、これは大原君も御承知のとおりであろうと思います。そういう意味では、確かに消費が進むこと、これも一つの方法です。  そこで、賃金の問題になりますが、賃金の問題についての私の意見を聞かれれば、私はやはり賃金の平準化、また収入の平準化ということがいままでいわれておりますが、ここらにやや現在の経済状態のもとでは無理があるのではないか、かように実は思うのであります。たとえば同一産業は同一賃金、石炭鉱業においては同じような賃金を払え、かように言われますけれども、やはりできのいい炭鉱とできの悪い炭鉱ではどうしてもその間に差等が出てくるだろう、私は、賃金を上げることを全面的にストップだ、こういう説はとりませんけれども、生産性が非常に上がって給料を支払い得るような、そういうような産業でみんなあってほしいと思いますが、極端に賃金の平準化がいわれている、そういうところに無理がかかっているのではないか、ことに産業間、産業別の間におきましても、収入の平準化がはかられる、これが叫ばれる、そのためにその生産性も上がらず、能率が不十分でも高賃金ならざるを得ない、こういうことで、この前も、中小企業は労務者を確保するのに非常に困ったはずだ、こういうようないろいろの問題があるのでございますから、賃金問題についても、十分実態に合うようにこれから指導していかなければならないと思います。ただいま大原君自身が、いわゆる賃金の理論的な、原則的な、定型的な主張をしておられるとは思いません。思いませんから、その辺は誤解はないのですが、消費を進めるということについて、それぞれ私どももくふうしていかなければならぬ、かように思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 池田さんは、所得倍増でなしに物価が上がるじゃないかということで責め立てたら、物価よりも賃金が上がっておりますよという。つまり高度成長は、産業構造が変わって労働の層が多くなるのですからね。これはやはり一つは消費水準をきめるのですよ。農民と一緒です。農民も加えてこれを一緒に考えたら私はいいと思うのですが、池田さんは、物価よりも賃金が上がっているじゃないか、これをごらんなさいと言って数字を並べて示したものです。これは、私は同じ広島県だからよく言うわけではないけれども、一つの一家言です。あなたは山口県だから悪う言うわけでもないけれども、それは一家言ですよ。一つの家言だ。その過程において、高度成長の過程において中小企業その他の賃金が上がるということによって若干のはね返りがあることはしょうがないじゃないか、こういう議論も池田さんはいつもしたのだ、ぼくはそれは一つの一家言だと思うのです。だから、私はコストインフレ論について大蔵大臣の考えも逐次あとで聞いていきたいと思うのですが、生産性の向上と賃金の上昇率をこう見てみますと、短期的に、たとえば昭和三十九年は生産性が一六%で、賃金が一二%なんです。それから、私はいま別のところに資料がありますが、昭和三十三年を一〇〇といたしますと、それ以後の生産性は確かに一四六ぐらいで、賃金は一四〇そこそこであると思うのです。長期的にも短期的にも、若干時間的には生産性が下回るということがあるわけですけれども、長期的にも短期的にも生産性を上回って賃金が上がったというふうな例はないわけです。これを合理化をして生活を引き上げていくのと、物価を安定させるのと、景気対策を同じようなところにおいて解決をするのが、同一次元で解決をしていくのが政治なんです。だから、賃金については、池田さんはずいぶん積極的な発言を経済論理的にしたわけであります。これは私は一つの一家言だと思うのです。しかしながら、そのわりには実質賃金は上っがておらないということもあるのですけれども、今日のこういうことになったということもあるでしょう。ともかくも私は、これから賃金論争がやかましいわけですけれども、この問題については明確に、何でも賃金というものは押えればいいのだというふうな考え方を持って問題を処理するということは、こんなにとんでもない政策はないと私は思うのですが、あらためてもう一回総理大臣の御答弁をいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 賃金問題につきましては、ただいま私が申し上げましたように、極端な平準化はいけない。私は賃金を上げ得るようにして上げることはちっとも差しつかえない、しかしながら、上げ得べからざるところにおいても同じようにしなければならないという、いわゆる平準化の理論だけでこの賃金を扱うわけにはいかないということを実は申しておるのであります。  また先ほど、いろいろ実質賃金についての本年の月々のお尋ねがございました。先ほど企画庁長官が御説明いたしましたから、私はそれで間違いないと思いますが、これは内閣統計局の調べです。九月が実質賃金が落ちた、これは御指摘のとおりであります。しかしながら、十月の月、あるいは八月の月等は実質賃金は上がっております。これは、十月を申すと一〇二・五になっている。かようなことを考えますから、これは月々でとやかく言わないで、まあ全体としてどういうような動きをしているか、これをひとつ気をつけてみたいと思います。ちょうど九六・三になりました際に、私は非常に心配をいたした一人であります。初めてこういう数字が出たということで、今後どうなるかというので、当時それを注意いたしましたが、この十月の数字も、ただいまのように報告を得たわけであります。御了承いただきます。

大原亨日本社会党

○大原委員 消費支出についても、勤労者家庭の実質支出についても、これは議論いたしませんが、一月から六月までやや若干長期的に見てみましたら、平均しますと、前年よりも下がっております。その後は一進一退がありますけれども、全年を通じてはどうなるかということは、ごれからの問題であります。これはもう年末ですから、近くわかるわけでしょう。  そこで、具体的な問題に入っていきますが、労働者の中でも、勤労者の中でも、あるいは国民生活の中でも、最底辺といわれているのは、大体生活保護者と失対労働者であります。失対労働者の賃金や生活保護の基準というものは、これは国民生活の水準を左右する上においては非常に大きな役割りを果たしている。最底辺ですから、底辺が上がっていきましたら、ずっと上がっていくわけです。  そこで、私は失対の問題についてひとつ端的に御質問するのですが、いまは確かに一日が五百六十一円です。平均家族は三人以上であると思うのですが、これはいろいろな余分な内職その他の収入があるでしょうから別にいたしまして、五百六十一円で昭和四十年を出発いたしましたが、物価が八%上がっておるとすると、そうすると、やはりこれでも西十四、五円は実質的に切り下がっておるわけです。購買力はなくなっておる、消費水準が下がっておるわけですから。だから、これが非常にひどい。ふろ代の話がありましたけれども、私はひどい賃金だと思うのです。ひどいと思うのです。生活保護については、一月一日の消費者米価引き上げに伴うて若干の米価補正もあったのですが、こういう政府の施策が、低所得階層に対して具体的に物価補正的な、そういう減税の影響もないし、物価の飛ばっちりは、今度は次には公共料金の引き上げの飛ばっちりを食う。失対で働いておる家族であっても、国鉄や私鉄を利用せぬわけにはいかぬし、あるいは郵便を出さぬわけにはいかぬだろう。こういう負担によってしわ寄せになるようなそういう階層に対しては、やはり公平なあたたかい配慮を具体的にしないといけないのではないか。労働大臣はそういう問題についてどういうふうにお考えになっていますか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 失対の平均賃金は、御指摘のとおり、四十年度におきましては全国平均で五百六十一円、こういうことに相なっております。これが必ずしも私はもちろん高いとも思いませんが、しかし、御承知のとおり、緊急失対法の定めるところによりまして、失対事業に従事する者の賃金は、同種の作業に従事する者の賃金というものを考慮しながら、地域別に定める、こういうことに法律がなっておりますので、実は物価そのものと直接関連してということでなくて、同一地域における同種の作業に従事する者の賃金、これと見合って審議会の意見を聞いて労働大臣が定める、こういうたてまえに相なっております。したがって、明年度の賃金をどうするかということにつきましては、目下審議会におはかりをいたしておるところでございまして、近く答申があると思います。したがって、それを尊重して最終的にはきめたい、かように考えております。  それから米価の改定に伴いましては、これが失対の者にどういう影響があるであろうということを検討いたしまして、実は労働省といたしましては、目下大蔵省とこの米価の値上げに見合う分についての賃金の値上げを目下交渉中でございまして、ここ近々のうちにきまるだろう、かように期待しておるわけであります。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕

大原亨日本社会党

○大原委員 大蔵大臣、大蔵大臣は私が最初に御質問いたしましたときに、生活保護とか失対とか老人とか母子家庭とかというふうに具体的に指摘をされたのです。私はそれはいい答弁だと思うのですが、問題は中身であります。中身が悪ければ何にもならぬわけであります。失対の賃金については労働省から要求があるはずですから、米価補正を含めまして、私はどういう考え方であなたはなたを振るわれるのか、または上へ積んだってかまわぬですよ、どうされるのかという点をひとつ具体的にやはり議論いたしましょう。その点でお気持ちをはっきりと御答弁いただきたい、せっかくあなたいい答弁をされたんだから。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまお話しのいろいろな項目につきましては、あるいは厚生大臣、あるいは労働大臣等からこうしたいという要請を受けております。その要請に対してどうするかということにつきましても、私はいろいろ検討いたしております。この補正予算が通りましたら、その話し合いを始めよう、こういうふうに思っておるわけでありまするが、とにかく前向きで対処していくということだけを申し上げておきます。

大原亨日本社会党

○大原委員 一月一日に米価を上げておいて、それで最低ぎりぎりで生活している人について何も施策がないということになると、これはやはり不公平ですよ。補正が済んでからというような気を持たせぎみな答弁をされるのはおかしいです。前向きということで私は若干了解いたしますけれどもね。私はこういうところに具体的な配慮をしない政治というようなものは、そうして党派的な、単なる立場とか、そういうことだけということになると、やっぱり政治献金したのが一番政治に厚みがかかるというような、そういう印象はぬぐえないですよ。弱肉強食ということになる。それじゃ私は政治ではない、政治不在だ、こういうふうに考えてよろしいと思うのですね。  そこで次の問題ですが、問題がたくさんありますからずばりいくのですが、人事院総裁、まあ昨年は、八月、九月から、かけまして、人事院勧告の問題が非常に大きな問題になったのですが、これはドライヤー報告を見ましても、代償機能が代償機能としての役割りを果たしていないところに根本原因があるのだという点を指摘しているのですよ。何カ所もそういうことを指摘しているのですね。だから憲法二十八条で労働三権が保障されているのは、地方公務員、国家公務員、教職員、全部公務員は勤労者の中に含まっておるのですから、その代償機能として人事院があるわけです。あなたの責任は重大なわけですよ。あなたは人事院勧告の完全実施について、ことしの八月に勧告されて以来どういう努力をされましたか。あるいはもう一つ、どういうことをすればこの問題について解決ができるか。これは衆議院の内閣委員会においても、三党共同提案で、人事院勧告を完全実施しなければ筋が通らないといって決議している。この二つの点につきましてひとつお答えいただきたい。

佐藤達夫人事院総裁

○佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。人事院が公務員に対しての団交権の制約に対する代償的機能を営んでおるということは、ドライヤー氏のことばを待つまでもなく、以前から私どもはさように確信して、その職務に当たってきたつもりでございます。したがいまして、毎年勧告をいたしておるわけでありますが、たとえば給与の勧告等につきましても、これが完全に実現いたしますようにあらゆる努力を重ねてまいっておるわけです。ことしも申すまでもなく特段の努力をしてまいったわけであります。その努力の内容について、一々何月何日どうしたというようなことはここでは申し上げませんけれども、これは御了察いただけることと思います。ただ遺憾ながら今日まで完全実施の結果をおさめておりません。したがいまして、この点について、たとえば勧告の時期が悪いからやむを得ないというような批判もございますが、私どもは、時期が悪いから当然そういう結果になるとは決して思っておりませんけれども、しかしながら、その時期の変更その他によってもしも完全実施をスムーズに実現する方途があるならば、これにこしたことはないわけでございますから、これもあわせて鋭意検討してまいっておるわけです。これは、率直に政府当局ともお互いに知恵を持ち寄って、いろいろな案を考えてまいっております。しかしながら、残念ながら今日の段階では、これならもう絶対完全実施はだいじょうぶだとわれわれが安心できるような案は、まだ得ておりません。ただしかし、何につけても思われますことは、やはり当初予算をお組みになりますときに、いずれ当初予算の中では、たとえば歳入面等におきましては、来年の一般の給与の上昇などもある程度見込んでいらっしゃるわけでありますから、それに相当するようなものは、やはり歳出面において、たとえば公務員の給与の引き上げというような面についてもある種の含みをお持ちいただいて措置をされる方法というものが、私どもの立場から申しますと一番手近な方法として要望されるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ここは内閣委員会でないから一々一問一答はしませんが、つまり四月現在で実態調査をして、民間給与との差額を係数的に縮小していく、いろいろな規模で、組合側と政府側に議論はありますが、埋めていく。問題は、その調査の期間を圧縮することはできないか、これが一つです。問題は一つある。八月勧告というやつを、それは民間給与との開きを是正して、物価その他生活条件を考えるというのですから、調査期間を圧縮することはできないか。もう一つは、大蔵大臣、いま人事院総裁は、財源措置について、年度の当初そういうことを含んで、これは予算も大きくなるし、あるいは賃金も上げていく、生活も上げていくというのが、政府の政策ですから、ましてや物価が上がって公共料金が追い打ちをかけて、さらにその追い打ちを、公債インフレということはあなたは了承されぬだろうが、そういう問題を控えて、信用や通貨の膨張が予想されるというときに、貨幣価値が下落するときに、一番そういう手元で働いている人々が納得できるように、憲法の精神に従って、私は、たとえば予備費を増大するとかその他の方法をもって、全部が全部やることはできないけれども、そういうことは毎年のことなんですから、ことにいま経済が安定しく物価がどんどん下がっていくようなことではないのですから、その点について、私は財政上の予備費の増加その他においての措置を当然とるべきではないか。そのことをやらないで、そして公務員の統一行動がどうの、実力行使がどうのということを議論しても始まらないのではないか。公共企業体の当事者能力も問題がありますが、私はそのことを政府が一丸となって考えなければ、民主主義のルールは確立できないと思うのですよ。いみじくも人事院総裁の対策の中で、ちょっと財源措置の問題がありましたから、大蔵大臣は、その点について明快なお答えをここで明らかにしてもらいたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今日の公務員給与の制度は、人事院勧告に従って、これを尊重して措置する、こういうたてまえになっておるわけであります。来年人事院総裁がいかなる勧告をするか、これは予見できません関係もありまして、そのための財源ということも、したがってこれを予定しがたい、こういうふうに存じておるわけであります。したがいまして、人事院総裁の勧告が出ましたときに、それをできる限り尊重する、そのときどきの財政事情もありましょう、しかし、できる限り尊重するというたてまえで善処していくほかはない。制度の根本を変えれば格別でありますが、今日の制度下においてはさように考えておるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまりそれは法律の表面の議論であって、実質的にはやはり予備費で——緊急事態かどうかというようなことについて、予備費の制約はあるだろうが、予備費等で考えて、たとえば経費を節約しろとか、人事院勧告が出たらどうのこうのといって締めつける、こういうことは初め予算編成するときにやっておけばいいのであって、やはり公務員の生活を守るという一つの大きなことが、公務員だけの問題ではなしに、日本の全体の消費需要をふやしていく、生活水準を上げていくという一つの問題でもあるし、そして、しかも民間に先走ってやるわけではないのですから、その点については、私は政策を持って十五カ月予算あるいは当初予算の編成に臨み、今日以後の政治を弾圧一方の政治にしないというふうにする、そういう具体的なことが国民が納得できるようなルールをつくる道ではないか。この点は総理大臣にお答えいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 人事院の勧告を完全実施する、こういうことであらゆる努力をしてまいっておると思います。御承知のように、いままでの人事院勧告の実施状況をごらんになると、人事院勧告のできたときからよほど改善されてまいったと思います。しばらく十月実施が続きましてまあこれで固定化するのじゃないか、かように考えましたが、昨年はこれを九月に一カ月繰り上げた。いまの財政状態は、たいへんつらい状態であります。ことに地方財政などは非常に困難を訴えておりましたが、昨年から後退するようなことは、これは人事院制度のある限り、またそれを尊重していく政府のたてまえからもたいへんなことだ、間違いだ、かように考えまして、昨年同様の処置をとったのでございます。ただ財政の都合だけから申せば、九月実施はたいへん困難な状況だ、かように私考えておりますけれども、幸いにして大蔵当局も自治省もこれに同調してくれて、今日、九月実施ができるわけであります。今後の問題につきましても、基本的な態度に変わりはないし、また人事院制度ができておるその趣旨を十分考えなければならないという、大原君のただいまの御指摘はそのとおりでありますので、私どもも努力するつもりでございます。ただいま予算編成の時期と、あるいは勧告の時期等に食い違いがありますために、途中におきましてこれに応ずることがいつも困難だ、かように考えるのでありますが、しかし、これを一緒にするくふうは、いままでもいろいろ議論されましたけれども、これはなかなかいい結論が出ておりません。今後ともこういう方向におきまして、どうすれば完全実施ができるか、そういう方向で努力したいものだ、すべきものだ、かように私は思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 趣旨には賛成だが、といって、あとが悪いわけですが、しかし大体具体的な御答弁がないわけです。ぼくは人事院総裁を含めまして、これはやり方の問題ですから、もう少し真剣に議論しなければだめですよ。いま人事院総裁から私はたまたま聞いたのですが、財源措置等について配慮できないものかということを言っている。五月実施という問題は、これはもう動かすことができないのです。完全実施という問題は、ドライヤー報告を見ましても、代償機能というものを果たすことに欠けるところがあるということを繰り返して指摘しているのだから、この問題については閣内において明快な議論をして、安井総務長官は担当大臣ですが、早急に意思統一をして、来年度の予算編成をする予算委員会までには結論を出してもらいたい。来年度の予算委員会は来年早々一月に始まるでしょうが、結論を出してもらいたい。その点についてもう少し真剣に、安井総務長官はせっかく大臣になられたわけでありますから、つまり総務長官は大臣ではなかったけれども、あなたは大臣になられて責任があるわけですから、その点については積極的に努力してもらいたい。東京都のことが心配になるだろうと思うけれども、これはあなたの職務を果たしてもらいたい。総理大臣に対しまして具体的な献策をして、閣議で決定してもらいたい。来年度の予算編成までにそういうことについて具体的な結論を出してもらいたい。このことをあなたにひとつお尋ねいたします。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 御指摘のとおりに、人事院勧告を全面実施することについて非常にいま制度上の難関があることは、いま御指摘のとおりでございます。また総理あるいは大蔵大臣からもお話しのように、いろいろとこの方途については検討をいたしております。いまお話のあったように、予備費に組むという問題も一つの考えだろうと思いますが、現にすでに予算に四%の定期昇給というものを財源は見込んでおる。その上にそういうような予備費のような形で組むことははたして妥当であるかどうか。それよりなお前に、どういう目安でそういう金が組めるかというような問題につきましても、非常に難関がございます。また実施時期を動かすというような問題につきましても、これが翌年度から完全実施をするということになりますれば、十一月なり何なりに勧告をもらうということも非常にやりやすい方法になるかと思いますが、これじゃまた人事院勧告の当該年度にさかのぼるという精神からおよそ逸脱をするということになります。したがいまして、そういう方法につきまして、実は与党のほうでもいろいろ御検討願っておる。また私ども、あるいは大蔵省、また人事院でも鋭意前向きの検討をやっておるわけでございますが、まだこれに対するはっきりとした名案が浮かばないというので、今後もひとつつとめて努力をして、できるだけ早く結論を得たいとつとめたいと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは次の通常国会で議論をいたしますから、予算審議のときにきちっとできるようにしてもらいたい。安井総務長官に続いてお尋ねいたします。  公務員制度審議会が、私ども世上新聞その他で承知いたしますと、大体四回くらい開かれておるようであります。しかしながら、審議すべき議題についてたな上げ事項、つまり条約批准に伴うて一年間、来年の六月十四日までを一応のめどといたしまして政令できめてありますが、たな上げ事項を先にやるか、あるいは労働基本権、団体交渉権等の問題について先にやるかということが議論になっておるようですが、しかし、これはドライヤー報告その他ずっと今日までの議論を見てみましても、この二つは、私はこまかな議論は知りませんけれども、一体のもりではないか、いまの人事院制度、代償機能、あるいは公務員の権利、そういうふうな問題に関連をして一体のものではないか、これは公共企業体も全部入っているわけですけれども、当事者能力その他の問題がある。とにかく、ですから、これらの問題を私は二つを分けて議論をしないで、一体のものとして議論をするように政府が積極的に意思表示をして、そういう方向で諮問をして結論を得るということが、このことについて民主的な討議を軌道に乗せて実効あらしめる道ではないか、こう私は思うのですが、いかがですか。

安井謙自由民主党総理府総務長官

○安井国務大臣 審議会の審議の方法につきましては、政府がとやかく言う筋ではなかろうと思って、御一任をしておるわけでございます。政府といたしましては、基本的にはいまの労働の基本関係に関する事項を全体として御審議を願う。しかし、そのうちでもタイムリミットなる六月十四日までに解決の必要である部分については、早急な御審議を願いたい、こういう態度でお願いをしておるわけでございます。したがいまして、いま御見解の基本問題等、そういう具体的問題とあわせて検討すべきものではなかろうかという御趣旨に私どもは決して異存を持つものじゃございません。

大原亨日本社会党

○大原委員 これはたな上げ部分と基本問題についてこれを一体的に審議を進める、こういうことに異議はない。そこで、ドライヤー提案では政府のイニシアチブによって労使関係の正常化を求めているのです。政府のイニシアチブによって、定期会談もその一つとして政府は承諾をいたしましたが、労働側は、どうも政府が当てにならぬというようなことで保留をいたしておるようです。しかし、ともかくも政府としては、ドライヤー報告で提案を彼が帰るときにやられましたことについては了承をし、そうして、その後ドライヤー報告、ILOの報告をこちらに受理いたしておるわけであります。そこで、そういう点から言いまして、私は端的に御質問をするのですが、これから六月十四日なり五日なりというたな上げの期限がありますね。これが私は問題になってくると思うのであります。私はそういう点について、いまの労使の慣行を正常化する意味において、公務員制度審議会の審議を実効あらしめる意味においで、政令できめることになっておりますから、この実施の時期については、政府のイニシアチブによってきまるわけであります。これは三党の修正、議長のあっせんという経過があったわけでありますが、その点については、そういう政府のイニシアチブ、政府の責任という点を十分配慮いたしまして、このことが運営をされるであろう、こういうふうに私は確信を持ちますが、その点についてそのように理解してよろしいかどうか、総理大臣、お答えをいただきたい。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。ただいまの六月十四日は、一年たつから条約が発効する、したがって国内法も整備しなければならぬじゃないか、こういうことだろうと思いますが、ただいまドライヤーの報告、またその勧告によりまして、私どもが指摘され、もっともだと思ったことは、労使双方が不信を持っておる、この不信をなくすることだ、これが最も大事なことだというのでありまして、私どももさように思って、しばしば定期会合その他の会合を続けておるわけであります。しかし、まだなかなかお互いに信頼する状態になっておりません。ただいまも大原君自身からご指摘になりますように、政府がなかなか信用ならぬ、こういうようなお話がまだときどき出てまいるのでありますので、こういう事柄を実は早くなくして、お互いにフランクに、率直に話し合えるような間柄にぜひともつくりたい、かように思います。さような状況でないと、なかなか政府の責任において政令を整備するというようなことになりましても、これまたたいへんな問題だろうと思いますので、一日も早くお互いに不信をなくする、それに最善の努力をする、こういうことで、安井君のところでもいろいろあっせんをし、また官房長官自身もいろいろ苦労しておるのでございます。このことはわが国の一つの宿命的な悲しい状態でもあろうかと思いますので、お互いにぜひとも両者の間に不信がなくなるように努力したいものだ、かように思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 できるだけ早く軌道に乗ることを期待するけれども、必ずしも六月十四日云々ということに拘束されておるわけじゃない、こういうお気持ちというふうに理解をいたしますが、よろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは事務的に困るわけで、冒頭に申しましたように、条約が発効する、そうすれば当然国内の関係も整備するわけでございますから、それらのものは政府がイニシアチブをとってこれを片づける、しかし、その前にどうしても両者の間でもっと話を詰めることが必要だ、かように私は申しておるのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 まあこれ以上時間の関係で申し上げませんが、とにかく政府のイニシアチブによって労使関係の正常化をはかっていけ、これが国際慣行に基づく意見だということでドライヤーが提案をいたしまして帰って、政府は承認いたしたわけですから、この点は、ひとつ誠意をもってこの問題は進めてもらいたい。これは国際注視の中でやられておるわけです。これは長い目で見ましても、短期的な展望から見ましても、きわめて重要な問題である。こういう点を指摘をいたしたいと思います。  それから、佐藤内閣の数々のいろいろな政策によっていろいろな問題が起きているわけですが、次に私は社会保障の問題に移っていきたい。端的に問題を進めていくわけですが、先ほどから言っておりますように、約百六十万人の国民に影響を持っている生活保護の問題です。生活保護の水準をどうするかということは、所得保障や年金制度その他万般に影響がある問題であります。国民生活の水準にも関係のある問題であります。国民生活の安定に非常に関係のある問題であります。そこで、いま東京が一級地で一番高いわけですが、東京で標準家族で生活扶助料が一万八千八十四円になっております。この一年間で七%、八%物価が上がったといたしますと、千四百円は実質的に切り下がっておるのですから、千四百円の購買力が吹っ飛ぶということは、非常なぎりぎりの生活をしておる生活保護者にとっては、家族をかかえてこれはたいへんなことであります。米価補正を三百四十五円、これは一月一日から実施するように私は理解をしておるわけです。これではとても追っつかない。だから、大蔵大臣も生活保護その他について触れられたわけですけれども、厚生大臣は一二%ぐらい要求されているというふうに私は理解をしておるのですが、こんなことではなしに、もう少し大幅に生活保護を上げていくということをやらなければいけないのじゃないか。たとえば大内報告といわれておる西欧の社会保障に近づけようという昭和三十六年から四十五年までの十カ年計画によりましても、生活保護は非常に大切であるから、やはり社会保障に欠陥のある日本としては、本質的ではないけれども、補完的な問題としては重要であるから、実質的に三倍くらいに昭和四十五年を目標に上げるべきであるという点を報告いたしまして、国会においてもいろいろと議論をいたしまして、政府はそれを尊重するということになっておるのです。生活保護について思い切った要求をしてこれを上げなければ、いまのような戦後最悪の物価高のような状況におきましては、これは政治ではないと私は思うのですが、あなたはどういう考え方を持っておられるか、その点を明らかにしてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 生活保護基準の引き上げにつきましては、国民の最低の生活を保障するという観点からいたしまして、私どもこれを非常に重視いたしておるわけであります。今回の補正予算におきまして、明年一月一日から消費者米価が上がることを予定いたしまして、三億一千二百万円の補正をいたしました。  なお、昭和四十一年度の生活保護基準の問題でございますが、この問題につきましては、明年度の経済見通し、あるいは物価の動向、その他経済指標をただいま整理いたしておりまして、十分そういう点を検討いたしまして、一般の国民の生活水準に見合って保護基準を改善いたしたい、かように考えております。  なお、ただいまお話がございました社会保障制度審議会のほうから、昭和三十六年度を基準として昭和四十五年度までに実質三倍程度に引き上ぐべきであるという答申の趣旨につきましては、私ども鋭意その方向で努力いたしておるわけでありまして、昭和四十年度におきましては、御承知のように昭和三十六年度を基準にいたしまして、一七八・五程度になっております。平均いたしまして、年率一五%程度ずつ向上いたしておりますので、今後もその方向で努力いたしたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 四人家族を東京でかかえまして一万八千円というのでは、とても生活にならぬわけです。それで、一二%の引き上げを要求されているということについては明らかにされませんでしたが、私はこれでは足りないと思う。もう少し大幅にやってもらいたい。総理大臣が幸いにうなずいておられますから、総理大臣、どうですか。生活保護について思い切って引き上げていただきたい。大蔵大臣の生活保護を上げるという気持ちはわかりましたから、総理大臣に伺います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまのは具体的な問題として十分取り組んでまいります。現に米が上がっているのですから、これだけは何としても上げなければならない。その他の問題につきましても、十分実態について考えてまいります。

大原亨日本社会党

○大原委員 典型的な大臣答弁ですが、そこで、私は具体的に質問いたしたい。  大蔵大臣、いま生活保護者に対していろいろな努力がありまして、もち代というのが出ているのです。これが昨年は一千二百五十円でしたが、今年は千四百円、ちょっぴり上がったわけです。やはりクリスマスから年末、年明けにかけて相当いろいろ出入りがあるし、子供もおれば要るわけです。いろいろな出費があるわけです。日本の慣例でもあるわけです。借金その他の締めくくりをつける慣例でもあるのです。この点について、これほど物価を上げた政府ですから、一時的支出でありますし、もう少しこういう点については思い切って増大をすべきじゃないか。年末か、年末に間に合わなければ、時間がおくれてもいいが、年明けにやはりそういう点を考えるのが、経済企画庁長官や総理大臣が言われているきめのこまかい配慮のある政治じゃないですか、いかがですか。具体的に提案いたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 そういうことも配慮いたしまして、年末のもち米の引き上げということは特に除外してあるのです。なお、もち代の点につきましては、私も詳しい知識を持っておりませんが、十分検討してみます。

大原亨日本社会党

○大原委員 十分検討いたしまして、上がって千四百円というのでは、これはちょっと問題にならぬと思います。  それから、年寄りのことも配慮するという話がありました。御承知のように平均年齢は七十になったのですから、八十、九十の人も相当いるわけです。これは五十五とか、六十で定年退職いたしましても第三の人生が西欧並みに始まるわけです。だから老後の保障ということは、特にこういう物価の高いときにはきびしいわけです。そういう点からいうと、老人は肩身が狭くて、小づかい銭もないというようなことでしょう。国民年金はといえば、五十円に上げるのだというふうに厚生大臣は言われるけれども、それは二十年、二十五年先のことであって、上がるのは掛け金が上がるのです。百円と百五十円が百円ずつ、倍くらい上がるわけでしょう。国民年金が上がるのではなく、掛け金が上がるのです。あなたの国民年金の案では。これでは物価を上げておいて間にも尺にも合わぬということでしょう。問題は福祉年金です。無拠出年金をどのように上げるかということですが、厚生年金のフラット部分は五千円になったわけです。一万円年金といわれた中で、フラット部分は五千円になった、だれにも最低保障として。だから、無拠出年金のいまの月千三百円を思い切って上げなければいけないと私は思う。これは年寄りだけ——一応身体障害者、未亡人、全部ですが、年寄りを大蔵大臣が言われたので集中して言うわけですが、これを上げなければ、ここ五年、十年の間に解決できる問題ではないわけです。巻き上げて使うだけになっちゃって、物価は上がる、公債を発行する、貨幣価値がこの調子で下落していったら、二十年、二十五年後には二千円やる三千円やるといっても、かすみたいになるわけです。だから私は、老人をいたわる、そういう意味からも、第三の人生という実情からも、老人を中心とする無拠出年金について思い切って考えていただきたいと思うが、この点について、大蔵大臣の抱負経綸をひとつこの際明らかにしてもらいたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 拠出年金につきましても無拠出年金につきましても、昭和四十一年度については、これが改善についていま厚生大臣のほうから要請を受けているわけであります。ただいままだ相談をしようとする段階なのでありまして、その結論について申し上げるわけではございませんが、十分相談したいと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり、物価が上がった、税金も払えない、それから恩給をもらっている、年金をもらっていると言ったって、どんどんこれは金の数のうちに入らなくなった。国民年金といえども所得制限がある。もう年寄りはよりどころがない。  いまこういう実情です。物価はどんどん上がるし、他の家計のほうが詰まりてくれば、何と言ったって、年寄りのほうに回らないわけです。だから、寿命が伸びたと言いながら、私は非常にたくさんの問題があると思うのですが、具体的な政策を、これだけはひとつやろうじゃないかということでやればいいわけです。できるわけです。やる、やると言うただけで何もやらないのじゃ、これは話になりません。政治の信頼がなくなってくるわけですから。総理大臣にお尋ねするのですが、もう一回、第三の人生、年寄りの無拠出の年金を増額することを中心に、やはりそういう思いやりのある政治を、いまのようなときにおいてさらに努力をするべきではないか。この点について総理大臣の所信を明らかにしていただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 そのとおりだと思います。ただいま厚生大臣もそういう点を考え、大原君の御指摘になったような意味合いで大蔵省にただいま要求している。大蔵大臣も、そういうことは財政的に許せる範囲において片づけていこうと、非常な積極的な意図を持っております。私も同じ考えであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは、これも最初総理大臣からお答えいただきたいのですが、医療保険の問題に入ります。  これは、御承知のように、ことしの一月一日にさかのぼって職権告示がありまして、その後いろいろ議論をいたしておりまして、田中大蔵大臣と神田厚生大臣、神田・田中メモというふうなものも議論をいたしました。中央医療協や社会保険審議会、利害関係者その他について、これは諮問機関を吹っ飛ばしておいてやったわけですが、それで非常に問題になったわけです。私は、医療の問題は、今日までの歴史もありまするけれども、これは一厚生大臣にまかせないで、佐藤総理大臣が先頭に立って、全閣内が一致をして、ある意味においては与党あるいは野党一致をして解決するならば、これは災いを転じて福とすることができると思うのです。いまやそういうチャンスが来ていると思うのです。そのチャンスをのがさないように。これは国民医療の問題ですから、各方面が一致しないはずはないわけですよ。命と健康にかかわる問題ですから、これは一致しないわけがない。各方面の一致する点が必ずある。そういう点で、政府は政治力をかけて、国民皆保険で全国民の命と健康を守る問題ですから、これは社会開発からいいましても、これを除いてないわけですよ、これはいままで議論してきたことですが、この点について医療問題を内閣をあげてこの際国民の要請に沿うように解決をするのだ、こういう決意について、この際最初に明らかにしてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 大事な国民の健康、保健に関する問題でありますから、ただいま言われるとおり一致しないはずはないと、かように私ども考えて実は取り組んでまいっております。ようやくことしの春の事態、この険悪な状態を脱却することができた。ただいま言われるとおり、お互いに努力すれば必ず一致が見出される。かように思っておりますが、まだしかし十分の状態ではないのではないかと、かように思いますが、詳細はひとつ厚生大臣からお聞き取りいただきたい。私もただいま言われるとおりの意気込みでこれと取り組んでおります。

大原亨日本社会党

○大原委員 健康保険の改正案が、標準報酬制で五万二千円を十万四千円、千分の六十三を飛んで千分の七十、一千万余りの加入者の政府管掌だけでも二百九十億円、三百億円の負担増、こういうことで、公共料金の問題、しかも、これは免税点以下の人に間接税をかけるような、税金をかけると同じような頭割りの負担にたてまえからなっておるわけですから、これは重要なわけでもあります。しかし、赤字対策の一つとしてこれをやらなければならぬというふうなことで、やっておられると思うのであります。私は、この際ひとつお聞きをするのですが、この法律案については、これは臨時国会に出されるというようなことはないと思うのですが、いつお出しになるのであるか。それから、いままで出されました健康保険三法案の改定案でありますね。簡単に言うと総報酬制、薬代の一部負担、半額負担、こういう政府が前に部内でつくっておりました案、この問題についてどのような考え方で臨まれるのか、こういう点につきまして、国民ひとしくこれは関心を持っておる問題でありまするから、厚生大臣、この際明確にしてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 医療問題は、大原さんが御指摘のとおり、わが国の社会保障の大きな柱でございます。私は、この医療問題は、支払い側、診療者側ともによく御理解なさる線でこの医療保険制度が今後円満に運営されることを期待いたして、せっかく努力をいたしておるわけであります。  先般、神田厚生大臣時代に諮問いたしておりました総報酬制及び薬価の一部負担、この諮問に対しまして審議会のほうから答申がございました。この答申の趣旨を体しまして、当面の悪化いたしておりまする保険財政を何とか立て直したいという観点に立ちまして、保険三法の改正案を政府として決定をいたしたのでありますが、いまお話しのように、答申が、総報酬制及び薬価の一部負担は制度の根本に触れる問題であるから、これは今後の検討事項として、今回は見送るべきである、こういうことで標準報酬制の上限を五万二千円から十万四千円に引き上げる、保険料率を現行法にございます千分の六十五として、現在とっております六十三を千分の二上げて六十五を取る、また国庫から大幅な国庫負担をすべきである、こういう趣旨の答申でございます。そこで、この趣旨を体しまして努力をいたしたのでございますが、標準報酬の上限につきましては、その答申のとおりにいたしました。なお、国庫の大幅負担につきましては、大蔵大臣、党首脳部といろいろ折衝をいたしました結果、昭和四十年度におきまして、御承知のように三十億の国庫負担でございましたが、この答申の趣旨を体しまして百五十億国庫で負担することにいたしたわけであります。ただ、保険料率の問題につきましては、このように昭和四十年度末までに七百八億の累積赤字が生ずる、またこのままでまいりますと昭和四十一年度には七百二十億円の赤字がまたさらにその上に出る。千四百二十八億の大きな赤字が出るという際でございます。そこで、政府も苦しい財政の中から百五十億負担するのでございますから、保険関係者の面におきましても、せめて国民健康保険の被保険者並みに負担をしてもらいたい。それが労使で折半いたしますと千分の三十五、これはちょうど国民健康保険の被保険者の負担に見合うものでございます。そういうようなことで今回保険三法をつくった次第でございます。この点を御理解を賜わりまして、ぜひ早い機会にこの三法の改正案を御承認いただきたい、こう存ずるわけであります。  なお、提案の時期につきましては、党のほうの国会対策におまかせいたしておるわけでありますから、近い機会に提案になるものと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 千四百二十八億円の赤字が来年度このままでは出てくる、こういうわけですね。しかし、それにいたしましても、そのことを十分討議した上で保険料については千分の六十三を千分の六十五にしていくことについては、社会保険審議会は了承して答申をしたはずです。だから、ここで抜本的な対策について考えながらこのことをやろうということで——あなたのいまの答弁ははっきりしないのですが、薬の一部負担、半額負担の問題や、総報酬制の問題はそれらと総合的に検討する、こういうことなんですから、総合的な赤字対策の中から見れば、四十一年における百五十億円の政府負担、これは相当の努力のあとが見えますよ。二百億円という答申だったけれども百五十億。しかしながら政府管掌とか、日雇とか、国民健保のような低所得階層の保険に対して、政府が金をつぎ込んでレベルを上げていくということは、保険制度全体を総合する上からも、これは重要なことですから、これは必ずしも多い金額とは言えないわけであります。そこで、私はもう一回ちょっと厚生大臣にお尋ねをするのですが、一つは、この問題は答申どおりに千分の六十五にとどめておいて、そして他は一生懸命内閣をあげて努力をされて、抜本的な対策の中で総合対策、均衡ある対策を立てるようにされるべきではないかということが一つ。それから医療問題についての問題点は煮詰まっておるわけですから、抜本対策についてどのようなお考えをあなたはお持ちになっておるか。そういう解決すべき問題点、そういうものについて、新聞その他では伝わっておりまするが、もう少し国会を通じまして具体的にひとつこの際お示しをいただきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 政府管掌の健康保険の財政事情につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。現在大きな赤字をかかえておりますが、支払い等に渋滞を来たしてはいけないというようなことで、資金運用部から一時借り入れ金八百二十億をいたしまして、この支払いに支障のないように努力をいたしておるような現状でございます。そういう財政事情でございます関係から、私は、やはりこの際国庫でも大幅な負担をするけれども、被保険者の方々にも、せめて一番支払い力の低いと言われる国保の被保険者並みまでは御負担を願いたい。そして政府と被保険者がともに力を合わせてこの社会保険制度を守っていきたい。こういう気持ちでおるわけでございます。  なお、根本的な対策につきましては、今回の保険三法の改正はきわめて当面の臨時的、応急的な対策でございまして、制度の根本的な改善、また医療報酬体系等の問題もいろいろ検討せなければいかぬという段階にきておると思います。三制度につきましても、国民健康保険あるいは組合健保、政府管掌保険、その他の医療保険制度が、保険料の負担の面でも給付の面でも非常にアンバランスになっておるわけであります。こういう点につきましてもう一ぺん見直して、再検討を加える段階にきておるということで、ただいま厚生省の中に医療問題の対策委員会を設置いたしまして、事務当局に検討を急がしております。いずれ成案を得ますればこれを諮問いたしたいと考えておるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたは国民健康保険と言われるのですが、私がしばしば言っておるように、たくさんの健康保険、共済組合保険、私学共済に至るまでたくさんずっとあるわけです。しかし、その中にももちろん所得税を納めるだけの収入がなくて、保険料がだんだん上がっていくという現実もあるわけです。しかし政府管掌の中は、これは五人以上の中小企業を中心としてですから、非常にそれが多いわけですよ。ですから、こういう物価の高いときでもあるし、政府の総合政策からいっても、できるだけ負担を少なくしながら、他の低いところの国民健康保険その他を上げていくことによって全体の底を上げていく。底になっておるのは政府管掌と国民健保と日雇健保である。他のほうにも日の当たらない、あるいは間接税的に頭割りに取られるというふうな、そういう制度の中の法制もあるけれども、制度全体としてはやはり何といっても低所得階層は三つだと思う。その底を上げていく、ということは、金を持っておる国のほうで、できるだけ所得再配分という観点を保険の中においてとりながら全体のレベルアップをしていくことが、いま物価が上がっておるし、いまの政治の現実に合うた総合的な配慮ではないか。赤字だけを見ておいて国民健保を下と下と比べていくという、そういう政策はとるべきでない。あなたは、そういう点については、せっかく支払い者側その他社会保険審議会において、千分の六十三の現状に対しまして千分の六十五の、そういう理解案を示したわけですから、これをやはりもとにして総合対策を考えていくのだという観点に立って、大所高所からいまの現状から考えてみて、きめのこまかい配慮をすべきではないか。大蔵大臣、いかがですか、あなたが大体実権を握っておられるらしいですから。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 千分の七十、これは少数意見なんです。しかし、これは中立委員といって、両者の間で中正な立場に立っておる人の意見で、それを採用した結果でございます。これは、もう申し上げるまでもないのですが、今日の状況では、ほうっておきますれば一日に二億円ずつ赤字が出る、こういうような状態であり、千分の一違いますと五十億前後の改善ができるかどうか、こういう問題であります。そういう状態でありますので、これは財政的な面から保険制度全体が危機にきておる、そういうようなことで、少数でありますけれども、中立の委員がそういう状態を見て、ともかく当面そうしなければならぬということをせっかく言っておられる、そういうことも考えて、とにかく暫定的にこうしておく。そうして、いま厚生大臣が申されたように、来年一年かけて、ほんとうに根本的にどうするのだということをきめて、そして、四十二年度からは明かるい展望を持って保険制度というものが全面的に動き出す、こういうことにいたしたい、かように考えるわけであります。何としても、崩壊寸前というか、なかなか重大な時期にきておりますので、いろいろ御意見もありましょうが、ぜひとも御協力を得たい、かような考えであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 私の手元にあります国民健康保険の被保険者の階層別、所得別を見てみますと、これは政府の資料ですが、二十万円以下の所得の人が国民健康保険では五三・六%ですね。免税点の六十万円ということになりますと、六十万円プラスアルファというニュアンスを言われましたが、六十万円以下の人が国民健康保険は何と九〇何%ですね。つまり零細な自営業者や農業、あるいは退職者、退職して年をとった人、失業者、そういうふうな人々が国民健康保険に集積しているわけですね。それを去年、ことしというふうに保険税を五割以上も上げているわけです。保険税は強制執行するわけですよ。差し押えできるわけですよ。その保険税の中身というのは均等割と応能割です。これが五〇、五〇でしょう。つまり最低生活費に食い込むような、そういう物価高の今日のきびしいときにおいて保険税はあるわけですよ。ですから、国民健康保険について、私は時間の関係がありますから具体案をずばりと言うのですが、この際低所得者に対する保険税の減税をやはり具体的に実施をすべきではないか……   〔発言する者あり〕

青木正自由民主党

○青木委員長 お静かに願います。

大原亨日本社会党

○大原委員 全部が全部ということはできないけれども、低所得者に対する保険税の減免制度はあるわけですが、それを拡大すべきではないか、厚生大臣、いかがですか。具体的にどういう政策があるかということを私は一々聞いてまいりますから。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 現在の国民健康保険制度におきまして、低所得階層に対する減免の道が開かれておるわけでございます。生活保護世帯、市町村民税非課税世帯に対しましては、保険税の減免を行なっておりまして、その財政の補てんにつきましては、国のほうからも財政調整交付金でもってこれを手当をいたしておる、こういうことにいたしておるわけでありますが、今後減税の問題その他の関連しながら、この保険税の減免の問題を検討いたしてまいりたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 保険税について、やはり低所得階層から保険税をどんどん上げて取っていくというふうなことは、それはひどいです。だから、そういう低所得階層に焦点を当ててきめのこまかい施策をするという話であるから、言うだけか、やるのかということについて、私はそういう問題をずっといま拾って、こういう政治のしわ寄せを受ける人々の健康や生活や命の問題について逐次質問をしておるわけです。  そこで、保険税を上げる一つの大きな原因は、これは大蔵大臣ですが、国民健康保険は国の固有事務である、これを集団委任をしておる、こういうことです。その事務費については、だれがいっても一人について一年間二百八十八円なければできないというのに、相当の努力は見えるけれども、二百円しか実際にはやっていない。そこで、やはり持ち出しをしなければいけない。持ち出しをすると、いま厚生大臣は誤解をされておると思うが、自治大臣おられるけれども、調整交付金ではこない、交付税ではこない。この事務費の問題ですね。国の仕事をやっておいて、しかも山間僻地が多くて、担税力のないところで、医者の機関もないところで、そういう事務費までも負担をしておる。こういうようなことは、結局は保険税のほうへしわ寄せがくるし、町村の持ち込み、住民税のほうへしわ寄せがくるのではないか。その事務費については、やはりそういう保険金全体の配慮の中においてこの際完全に政府のほうで、国の事務としてあるのでありますから、法律上の責任を果たす、そういう点について大蔵大臣の御意見を聞きたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま事務費は二百円になっておると思いますが、これは、本年度の予算で非常に大幅に引き上げたように承知をしております。まだいろいろ厚生大臣のほうからも要請がありますが、適正を期してよく協議をする、こういうふうに御了承を願います。

大原亨日本社会党

○大原委員 具体的な方向においてもなかなか政策の中身がないわけですが、もう来年度予算の編成をしておられるのだから、腹はきまっておるわけです。補正予算を含めて十五カ月予算、そういうことだから、私はそういう腹がまえを聞いておるのですが、それは前向きの御答弁ではありますけれども、これはなかなか私が期待するような具体的な問題でない。きわめて遺憾だ。  低所得階層を対象とするもう一つの保険で日雇健康保険があるわけであります。これは、言うまでもなく赤字が相当あるわけであります。これは景気、不景気による不安定雇用、あるいは低所得階層、たとえば失対のような一律五百六十一円というような実情もあるわけですから、これは、全体の制度の中において政府が負担することは当然だと思うのですが、傷病手当やお産手当その他の給付の内容について、私はこういうときでありますから十分配慮をすべきではないか。日雇い健康保険の現状に対して、そういう給付の改善という点に対して厚生大臣の御所見をひとつお伺いしたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 日雇健康保険につきましては、いろいろなむずかしい問題をかかえております。そこで、ただいまお話がありましたところの給付の改善をも含めまして、答申にも御意見がございましたので、今回はこれを見送ることにいたしたわけであります。これは、医療保険制度全般の根本的な改善の際に考えていきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは、まだ具体的な問題についてあるわけですが、具体的な政策になりますと、私は相当妥当な意見を言っておると思うのですが、具体的な回答がないですね。総理大臣、それはうなずいておられるからそのとおりらしいけれども……。そこで問題は、政府与党は大きな責任がある。あるけれども、全国民的な立場に立って解決すべき問題があると思うんです。それは、厚生大臣が言われたように診療体系の問題もあるし、制度上の問題もあるのです。これを私はこそこそやらんで、大いに論議を起こしていって、そして、国民がだれでも納得できる医療の問題、命の問題について解決点を見出すべきである。このめどについて、厚生大臣は論議すべき問題点と一緒にもう少し具体的に明らかにしてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この基本的な問題につきましては、先ほどもお話を申し上げたのでありますが、医療体系の問題、さらに医療保険制度の統合、あるいは調整の問題、いろいろ基本的なむずかしい問題があるわけでございます。私は、年内に厚生省としての大体の諮問案、考え方をまとめまして、来春できるだけ早い機会にそれぞれの審議会、あるいは中央医療協等に諮問をいたしまして、昭和四十二年度の予算編成にはそういう抜本的な対策の上に立った制度の改善を実現いたしたい、このように考えております。

青木正自由民主党

○青木委員長 滝井義高君より関連質疑の申し出があります。これを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 さいぜん大原君の質疑に対する答弁の中で、政府が今年度の当初予算を編成するときに、当予算委員会で非常に強く主張しておりました総報酬制と、受診の場合の薬価の二分の一を徴収するという医療保険の抜本改正の政策は、今年度においては放棄をした、こういう考え方に立ってよろしいですね。これはひとつ大蔵大臣から答えていただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 審議会において御採用にならないので、やむを得ず今回は見送っておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、御存じのとおり、政府はこの昭和四十年度補正予算(第3号)を出すにあたって、これは、ことしの法人税を中心とする税収の見込みが違って、そして、そこに二千六百十億の穴があいた、したがって、その穴を埋めるために赤字公債二千五百九十億を発行することを中核にして歳入を補てんをしたわけです。そして千四百十二億の災害、給与等の歳出をまかなうことになったわけです。一般会計を税収が不足をしたということで補正をしたわけですから、それならば政策を放棄した厚生保険特別会計の補正もして出さなきゃならぬわけです。一体これをどうして出さないのです。厚生保険特別会計の補正をどうしてやらないのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 それは歳入の見積もりですね、これだけで違いがきたという関係は、この場合は何もこれを修正する必要はないのです。厚生保険の場合におきましては、これは借り入れ金でできる、こういうことになっておりますから、それで支障はない、こういう考えです。もし支出項目につきまして何か変動が生ずるというようなことがあれば、これはもう補正をいたしまして御審議を願わなきゃならぬわけでありまするが、歳入の見積もりに変化があった。しかし、変化がありましたが、その差額は借り入れ金でやるというたてまえになっておりますので、今回補正は御審議をお願いしない、こういうことにいたしたわけです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 歳入面だけの変化は、これは現状でよろしい、歳出に変化はないのだ。歳入だけだ、こうおっしゃるわけです。総報酬制というのは、これは歳入面です。薬価の二分の一の政策をやめたことは、歳出に重大な影響がある。窓口で取るものが取れなくなるわけですから、それだけ歳出が多くなるわけです。だから変化があるのです。これを変えないわけです。どうして変えないのかということです。  もう一つある。もう一つ何があるかというと、御存じのとおり、ことしの二月の国会で政府は厚生年金法の一部を改正する法律を国会に出したわけです。そして与野党の合意によって一般勤労者、いわゆる坑内以外の坑外の一般勤労者については国庫負担一割五分を二割にした。坑内労働者については二割を二割五分にしたわけです。国庫負担をこんなに修正をしたのですから、当然今度の補正は国庫負担をよけいに出さなきゃならぬわけです。これは給付に見合って出すわけですから。毎年出すわけです。積み立て金を出すわけでしょう。これも出してないのです。それから料率の改定もやったのです。政府原案の千分の五十八を五十五に修正したのです。与野党一致で修正して、六月一日から実施で保険料を取っておるんですよ。そういう厚生保険特別会計の修正を全然やっておらぬじゃないですか。なぜやらないのです。いいですか。一般会計は国債まで発行をして、しかもその赤字は法人税ですよ。税金を取りそこなっておるのはあなた方の怠慢ですよ。見てごらんなさいよ。ことしの交際費は幾らありますか。五千三百六十五億の交際費があるんですよ。それだけ大会社は飲んだり食ったりして使ってしまっておるのです。もし財源が不足ならば——その交際費から幾ら取っておるか。たった一割しか税金を取っておらぬでしょう。もしそれを二割取れば、こんな厚生保険特別会計の赤字なんて一挙に埋められるのですよ。あるいは鈴木さんの言うように抜本改正なんか、その二割を取ったら千億あるんですから、一挙に取れるわけですよ。そういうことはやらないでしょうが。だから、私はこの段階になって、こういう大事な、いま日本の内閣の運命にかかわるような大問題でしょう。医療問題というのは。それを政府がほおかぶりをして黙っておって、われわれをめくらかと思ってこの予算を通そうなんということは、そんなことはまかりならぬです。修正しなきゃいかぬです。どうして修正しなかったのですか

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 主計局長に説明いたさせます。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 大臣が先ほど一般的に申されましたように、予算のたてまえといたしましては、国会で議決していただく事項に変更があるような場合には、たとえば国会にその事項に関して歳出権なりあるいは予算総則なりその他の事項なりを提案して補正をお願いするということに相なります。いま御指摘になりましたような点で、たとえば厚生保険特別会計の面でありますと、これは歳出の面において、特に国会の御議決をいただくような面において本年度の会計としては移動を生じませんので、さような扱いにしたわけでございます。  また次に、この春の国会で修正になりました例の年金のほうの関係で国庫の負担のふえた分の始末の問題でございます。これは率直に申しまして、本年の補正で一体始末とするのがいいか、それともまた来年の予算で処理するのがいいか、どっちでやってもこれはよろしいわけでございます。考えましたが、ちょっと資金がいろいろ足りませんので、来年の会計でその跡始末はするつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはおかしいです。国会が議決をして意思が決定しているんですよ。そうしてあなた方は、あの厚生年金の法案を審議するときにどう言ったかというと、滝井さん、これを通してください。通してもらわなければことしの資金運用部の積み立て金に重大な影響が及びますよ。月に八十億ずつあれが通らなかったら欠陥が生ずるのでしょう。だから、したがって保険料を取らなければならぬ。八十億の穴が資金運用部にあいたらたいへんです。だから絶対これは通してもらわなければならぬと三拝九拝したじゃないですか。だからわれわれは通したのです。通したところが、今度は、労働者側の国庫負担については一割五分のそのままでほおかぶりしておるじゃないですか。これは、これだけ積み立て金が運用されるのですから、利子がつくから労働者は得することになる。自分の出すほうは出さずに、佐藤総理、取るほうだけは取るんですよ。毎月八十億だけ運用部にいって、そしていわゆる独占企業に金がいくことになる。労働者にも幾ぶんきますが、それはわずか二割五分しかこない、こういう予算の組み方なんかないですよ。これはもう全くわれわれをごまかしておる。そうして予算を修正し、あるいは法案を修正するときは、予算の数字に影響を及ぼすからこのことは修正してもらっては困る、困る、こう言うわけでしょう。そうして修正を拒否しておる。ところが、意思決定したものは、当然これは組まなければならぬわけですよ、みな組んでいるわけですから。だから、今度は自分の都合の悪いときは、法人税その他が穴があくと、それは国のいわゆる国債ででもやろう、こう言う。あまり身がって過ぎるですよ。これは通らないです。これはどうします。直しますか。直ちに直してもらわなければ困る。特に厚生年金なんか直してもらわなければ、これは積み立て金に利息がつくんですよ。これだけでも二十億になるんだから。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 国の会計の間の処理は、法律の許される範囲において、いつどういうふうに処理するかということは、直接予算にもちろん関係はございますけれども、そのときの判断でやってよろしいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはそういうわけにはいかぬです。それならば、予算というものは審議する必要はない。厚生保険特別会計なんかやる必要はないわけです。何のためにわれわれにこんなものを配って、そうして、たとえば厚生保険特別会計の年金勘定を見れば、一般会計からの受け入れ五十六億六千七百二十五万八千円ということを審議さしておるのですか。これは一割五分と二割で組んでおるんですよ。これが二割と二割五分になったら、当然補正するときには書きかえてこなければならぬわけですよ。それをやってないじゃないですか。しかも一番大事な——人数が多くなったり減ったり、あるいはその行政努力で保険料を九割五分取る計画を立ったのが九割四分しか取れなかった、そのために歳入に欠陥ができたというようなときには文句を言いません。しかし、大事な総報酬制と薬価の二分の一というのは、あれだけ二月の国会を大騒ぎさせたものでしょう。しかも与野党が夜を日に継いで折衝した問題でしょう。こういう政策を政府が放棄をしたからには——たとえば、そのときには保険料の収入が二千八百四十三億あることになっておったのです。一体いま幾ら保険料の収入がありますか。言ってごらんなさい。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 本来、特別会計を所管しております所管のほうからお答えするのが筋かと思いますが、私が手元にあるので申し上げれば、今回の改定を予定したところで、保険料収入は例の六十六億程度の増を含んだところで、二千二百七十億ほどになるかと聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私、いま二千八百億と言いましたが、二千六百二十七億、当初総報酬制をとるために二千八百二十七億の収入があることを、ちゃんとわれわれのところに承認を受けてきているわけであります。ところがいま言ったように、今度の法律の改正をやっても二千二百億しかないでしょう。やらなかったらもっと少なくなるのですよ。いまの情勢では年度内にできないです。一月、二月、保険料を取ることはほとんど不可能です。そうすると、年度内に保険料が取れないのだから、二千二百億がぎりぎりです。当初の見積もりは二千六百二十七億見積もっておって、そこに四百二十億の穴があくのでしょう。そうすると、当然これはあなたの言うように借り入れ金をふやしたらいいということになるわけです。その操作はやるべきですよ。大臣の答弁のように、借り入れ金でやりますというなら、借り入れ金はいま四百六十二億きているのです。四百六十二億を八百億なら八百億になおしたらいいのでしょう。なぜそれをなおさないのですか。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 所管のほうからお答えするのが筋かと思いますが、私が便宜申し上げれば、おっしゃるように、確かに借り入れ金を予定しておりました。そのほかに予備費を予定しておりまして、それから、歳出の面では、そこに見込んでおりましたよりも減ってくる面もあるようでございます。それこれいたしまして、本年度のこの厚生保険特別会計の政管健保勘定におきましては、ほぼいままで想定しておりましたところによってやる得るという見通しを一応持っております。しかしながら、予備費を取りくずしたりいたしましても、いま滝井委員のおっしゃったように、健康保険のほうの保険料の収入があるいはまたうまくいかないかもしれないというお話がございました。それは、私どもはいまのところはそういうふうにならない見込みで予算を考えておるわけでございますから、そうなりました節はまた別な話でございます。しかし、厚生保険特別会計としては、別途それは借り入れなりの道はそのときにあるかと思いますが、いまの段階では、私どもは保険料は直していただくつもりで考えておりますので、さっきから申し上げたようなわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならば、あなたが保険料を直していただくということならば、直したことで、二カ月分の保険料が入るということでこれを修正してください。というのは、当初この予算を審議するときに通したのは、総報酬制と薬価の二分の一が実現をするということで、与党は強行してこれを通したのですよ。私たちはそれを反対したのです。しかし与党はそれをやった。あとでまた社会保険審議会その他の意見を聞いて変えることはあり得る、しかし、当面はこれ以外には変えられません、これよりいい案があったら教えてくれというのが、当時の神田厚生大臣がここで言明したものなんです。田中大蔵大臣が言明したものなんです。なぜならば、大原君が言っていたように、田中・神田のメモがきちんときまっておったからなんです。政府は一貫してこの方針で貫いてきたのです。貫いてきて、いま大原君の質問で明らかになったように、総報酬制と薬価の二分の一を放棄したのですから、放棄したら政策の転換ですから、予算が変わってくるのは当然じゃないですか。しかもそれは、変わっできたのはなんで変わってきたかというと、千分の六十三を六十五に引き上げるということ、五万二千円の標準報酬を十万四千円にするということ、こういうことで変わってきておるわけです。だから、変わってきた収入をここに見込んでもらって、その不足分を借り入れ金でやる、これが常道ですよ。一般会計はもうきわめてシビアーに公債まで発行して赤字を補てんしでいく、しかし特別会計は野となれ山となれ、あとはおそらく議員が気づかぬだろうといってほおかむりをしていくことは許されぬと言うのです。そんなことはインチキですよ。われわれは絶対了承できない。これは、予算が通るか通らぬかの問題ではない。国会の重要な審議権、予算編成上の大問題です。直さなければ応じられぬです。直すことは簡単にできるのです。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 冒頭に大蔵大臣が申し上げましたとおり、確かに歳入の見積もりは、当初に考えておりましたのに対して遺憾ながら違ってきておるわけでございます。しかしながら、それは歳出と申しますか、あるいはその他のいわゆる国会の議決事項に影響を及ぼす場合ならば別でございますが、歳入が減ったということであれば、それは議決事項に関係のない程度においては、特に修正しないというのが例でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 議決事項に影響がと言うが、厚生年金の一部改正の法律を通すときには一割五分の原案ですよ。それを二割に修正しているのですからね。あなた方の原案は、料率は千分の五十八なんです。それを五十五に下げているのですから、したがって国会の議決によって意思が決定しておる。国の意思は決定しておるのですよ。決定したとおりに予算を修正して、補正で出してくるのは当然じゃないですか。それを出していない。ところが、それをいま言ったように、いやそれは、金の都合がありましていまできませんから、来年度でもやりとうございますというならば、来年できなければ再来年でもいつでもいいというならば、労働者の年金の積み立て金は一体どうなるのですか。それだけ減るじゃないですか。労働者の保険料を取り立てるのは、もう緊急に、今度通らなければ、もう予算で財投の中に組んでしまいました。月に八十億も穴があいたらもうたいへんです。世界銀行から金を借りるのに借りられぬようになります。こう言ってわれわれをせき立てたのですよ。そこで、そんな重大な事情があるならばわれわれは目をつぶろう、そのかわり、この企業年金だけについては、ひとつ労働組合の意向もあるので話し合ってくれというので、そこだけは話し合いをして決定するということで延ばしておるのです。そういう歴史的な経過のあるものを、大蔵省なり厚生省は十分知っておるわけです。町の内閣の田中大蔵大臣みずから来て、この一割五分を二割にするかどうかということは、みずから乗り出して解決したのですよ。大蔵省がみずから乗り出してやった。そんなものをやらぬのはけしからぬ。厚生省はほんとに弱いですよ、赤字の手をねじられるようなものだから、こんなことは言い切らぬですよ。みなもう大蔵省から言われると、これは泣く子と地頭には勝てません、こういうことですよ。言えません。これは私は了承できません。  それからもう一つありますよ。いま社会保険審議会の答申を尊重する、こういうことを言われました。ところが、いま一つだけは少数意見をとっておるのですね。六十三を七十にする。もう一つあなた方がやっていないことがある、それは、いま大原君は来年のことを言いましたが、ことしは一体どうするのだということ。ことしなぜ国庫負担を入れないか。社会保険審議会の十月二十日の答申を見てごらんなさい、ことしも国庫負担を入れなさいと書いてあるのですよ。ことしなぜ入れないのですか、ことしは一文も入れてないじゃないですか。ことしはいま累積赤字が七百八億あるのですよ、なぜことし入れないのですか、大蔵大臣、なぜ入れないのですか、答申は書いてある。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 当初の予算に、三十億であったと記憶しておりますが、入っておるはずであります。公債まで出してやっていかなければならぬ状況でありますので、ことしは借金でいく。しかし来年は百五十億入れます。こういう打ち合わせになっておるのです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 答申はそうなっていない。読んでごらんなさい、こうなっておるのですよ。暫定対策実施期間につき平年度分二百億円に相当する国庫負担を追加計上し、残金は借入金でまかなうべきである。また四十一年度においてもこれに準じて措置すべきだ、こう書いてある。追加計上しなさいと書いてある。三十億にプラスアルファをつけなさい、二百億つけなければいかぬ。この二百億つけないというならば——なくとも韓国と同じです。十八日に日韓の批准書の交換をやった政府が、もう間髪を入れず十八億円、二カ月分も組んでおるでしょう。それと同じでしょう。もしあなた方に一片の良心があるならば二カ月分、二百億の六分の一、三十四、五億余り組まなければならぬ。それも組んでいないじゃないですか。こういうように、あなた方は何か自分たちに関係することはほとんど力づくでも何でも、社会党を踏みつけてでも、たたきつぶしてでも十八億組んでいく。しかし、大原君の言うような日本の零細な大衆のためには、こんなものはほおかぶりでいっておるじゃないか。  それでは委員長、関連質問ですからこれでやめますが、納得できません。こんなものを通せと言ったって、めくら判を押すわけにいきません。われわれだって九千八百万の国民を代表しているのですから、了承できません。  問題は二点です。社会保険審議会でそういう答申をしていないということ、いまのような国会の議決のあったものを厚生保険特別会計に計上してない。政府が財政的な政策を放棄したものを依然として貫いて今年を終わろうとしておる。そういうことでは国会の審議というものはあってないことと同じだから、了承できない。これは、十分ひとつわが党の理事の諸君と相談をして善処してもらいたい。

大原亨日本社会党

○大原委員 いま滝井委員から指摘されました点について、補正予算あるいは政策に大きな問題がある、こういうことがはっきりいたしましたので、この点は私もひとつ補正予算が通るまでに了解、納得できるような措置をとってもらいたい。  それから、時間も相当迫りましたが、厚生大臣は昭和四十二年実施を目途にいたしまして、総合対策、抜本対策をひとつつくり上げていきたい、こういう相当具体的な重大な言明があったわけであります。問題点について十分議論を深めたいのですが、その前に、私はそういう抜本対策以前の問題として、時間の関係があるからずばり申し上げるのですが、薬務行政の問題があると思うのです。この問題は神田前厚生大臣も小林元厚生大臣も、私は意見は相当一致いたしました。たとえば、きょうは上原長官が見えておるから悪いけれども、強力パブロンなんか、アンプル入りのかぜ薬なんか、いろいろな議論を通じて中止したんだ。一年間に一億本も売れておったそうだけれども、とにかく自主的な規制から中止にいったわけですよ。一億本ですから、私の推定では、百円といたしましても百億円、原価は薬九層倍ですから、安いから、そういうことはないのですが、申し上げないが、私の手元に専門家の計算した資料があります。とにかく抜本対策の前提、それ以前の問題として、薬務行政が間違いなしにあるのです。日本のように、前田のクラッカーや日清ラーメンではあるまいし、それと同じようなでたらめな誇大広告を許して、ビタミン剤であるとか強肝剤であるとか、そういうようなものが保健剤と称してどんどん売れているというような例は外国にはないですよ。大体新聞やテレビに広告するような薬は、外国ではインチキだということになっている。インチキだから、だまそうとして宣伝しているんだということになっているんだ。正しい薬であるならば、医者が自分の良心と技術に従って、学問に従って運営していけばよろしいわけだ。薬万能のそういう考え方を今日まで流布しているところに、私は、いろいろな問題があるけれども、それ以前の問題として重要な問題があると思う。これは、いままでも総理大臣は聞いておられたのですが、あなたは抜本対策をやろうとされるのでありますけれども、薬務行政についての抜本対策についてあなたが決意を持っておられるならば、簡潔でよろしいからひとつ明らかにしてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 医薬品の価格の問題、あるいは広告宣伝の行き過ぎの問題、この問題につきましては、私も就任以来特に重視をして、改善に努力をいたしてまいりました。先般、中央医療協議会の答申に基づきまして、昭和三十五年以来改定をされておりませんでした薬価基準を四・五%引き下げる。これは総医療費一兆円に対しまして四百五十億に相当するわけであります。これだけの薬価の引き下げを実現することができたのでありますが、今後も実勢薬価に即応いたしまして、薬価基準の改定を毎年やってまいりたい。また、必要に応じては年に二回でも三回でもやっていきたいと考えております。  また、誇大宣伝の問題につきましては、私も相当目に余るものがある。御指摘のとおりでございますので、製薬業界あるいは販売業界に対しまして、しばしば警告を発しております。新聞雑誌等に対するところの広告の行き過ぎは、だいぶ改善をされてきております。ラジオ、テレビ等の問題につきましては、厚生省、東京都あるいは大阪、三者が連絡をとりまして、三度にわたって会議を開き、この是正方につきまして努力を傾けておるわけでございまして、行き過ぎの面につきましては、そのつど具体的に警告を発して是正方に努力しておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり、佐賀事件といわれておりますが、北陸製薬という製薬会社が、ニクビタンを医者の中に売り込む際に、実績が上がったならばハワイや香港に連れていきますよといって、四人連れていった。ブルーバードを上げますよといって、六人に上げた。これは公取の委員長にも聞きたいとごろですが、そういうことをして売り込んで、実際には保険に使えないニクビタンという、表面はアリナミンと同じ薬をアリナミンに振りかえて医者に請求をさせる、医者が請求する、こういうひどいことをやって、巷間言われるところによると二千万円くらいは、これは藤川という医師であって、いま逮捕されて調査中であると思うけれども、保険料の中から横領している。振りかえ請求して横領している。公文書を偽造して、こういうことをやっている。この事件は佐賀だけの問題ではなしに、福岡、長崎その他全国にあるように私の資料ではなっている。つまり、表面はアリナミンと同じだけれども、中身は全く違うニクビタン、成分もここにあるけれども、これを患者に施しておいて、薬価基準に載っているアリナミンとして請求する。そうして、一覧表をつくって、薬価基準に載っているこの薬に対応しては、うちのこの薬を売ったならばもうかりますよ、値引きいたしますといって売って、薬価基準をたてにいたしまして暴利をむさぼっている。こういう事実がある。これは一体どういうところに原因があってこういう現象が起きているのか、こういう点について、厚生大臣は、相当これはこの道においては大きな問題になっている問題でありますから、お考えを持っておられると思うけれども、どうしてこのことをなくするのかという点について、私は端的に具体的な問題に触れてあなたの見解を聞かせてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 北陸製薬のニクビタンの問題は、御指摘のとおりまことに遺憾な事件でございます。ただいまこの問題につきましては、医療機関等の詐欺事件として取り調べも進んでおるわけでございまして、また、この医療機関につきましてはその他の問題もございまして、医療機関の指定も取り消しをした、こういうようなことで、厳正にその措置を講じておるわけでございます。また製薬会社の側につきましても、厚生省からさっそく厳重な警告をいたしまして、新薬の保険薬としての収載等の際にあたりましては、その反省が見られるまでこれを認めないという等の具体的な措置を講じて、今後かような事態が再び起こらぬように努力をいたしておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 その考え方は、気持ちはわかるけれども、政策としては全然納得できない。  これは、私は引き続いて別の機会に追及するといたしまして、最近薬禍事件というのがたくさんあるわけであります。人命とか健康を守る薬を使う場合において、それを飲んで死ぬるという場合があるわけです。ショック死を起こす。これは、上原長官は直接の当事者ですから、よく知っておられると思うのだが、強力パブロンの問題もあったわけであります。ショック死を起こしたわけであります。急死しておるわけであります。サリドマイドとか、最近どんどん——これは、ここに資料がたくさんございます。ある程度医学、薬学が進歩するということによって、新薬が発見されるのですが、副作用というものが化学薬品には必ずあるわけですけれども、このことをほおかぶりして売りつけまして、異常体質の者が死んでいくという場合があるわけであります。  これは上原さんのところの薬でありますが、プレトランという二日酔いの薬として売っているやつを飲みまして、広島の私の知人の弟がつい最近、死んだ後に生まれた赤ちゃんを含めて二人の子供を残して死にましたが、プレトランを飲みましてショック死を起こしました。解剖いたしましたならば、薬物中毒でありました。これは、県当局や警察当局に対して私は言い分がたくさんあるのですが、それは別にいたしまして、そういう薬禍事件等もあるわけであります。つまり副作用を明記しないわけであります。副作用を明記しないで、そしてビタミンをちょっと入れておけば何にでもきけるような宣伝をするわけであります。科学技術庁長官、せっかく科学技術庁長官の栄職に立たれたわけでありますが、あなたに深い関係があるわけですが、そういう問題を含めまして、私は日本の薬学研究とか、医学教育、薬学教育の問題を含めまして、そういう体制についても私は抜本的に考え画すべき問題があるのではないか。あなたは科学技術庁長官ですから、ひとつ自分の反省を含めまして、すっぱり国民が納得できるような御意見をひとつここで拝聴いたしたい。いかがですか。

上原正吉自由民主党科学技術庁長官

○上原国務大臣 お答え申し上げます。  この薬禍事件というものは、たくさん発生をいたしましたように皆さま方……(発言する者あり)どうぞお聞きください。せっかく御指名でお答えしているのですから、お聞きください。  昔からあることでございまして、ことに強力パブロンのごときものは、アンチピリンの誘導体を含んでおります。アンチピリンという薬は、発見されてから百年近く使われておりまして、かぜ薬としては非常によくきくものでございまして、これがなくてはかぜの薬はきくものができない、こういうものなのでございます。しかし残念ながら、まず数万に一人、二万人に一人とも、三万人に一人ともいいますが、そのくらいの割合で特異体質という体質をお持ちの患者があるわけでございまして、この方は飲むといわゆるピリンシンという中毒を起こす。これはもう百年近くも前から公知の事実でございまして、それにもかかわらず、いかにも非常に愛用されておる薬なのでございます。そこで、普通はアンチピリンの特異体質の持ち主の患者は、患者さん自身がよくそれを御承知なんです。それからまた、これを販売する薬屋さんも、自分のお得意さまの中にピリンの特異体質をお持ちの方があると、これもよく御承知なんでして、それからまた、アンチピリンをどれだけ含んでおるかということは、厚生省の規則によりまして、薬事法によりましてちゃんと製品に明記してあるわけでございます。そういうわけで、薬禍がまれに起こることがあるということを承知の上で、厚生省も免許し、製薬業者も製造し、販売業者も販売しておるわけでございます。こういうわけで、私どもの強力パブロンばかりでなく、これを、わかりやすくいえばまねてつくったアンプル入りのかぜ薬がたくさんあるのでございます。これらもみなそれぞれアンチピリンまたはその誘導体を含んでおるのでございまして、それがなければきかないので、薬はきかなければ売れませんから、そこで入っているわけなのでございます。  そこで問題となりますのは、私どもの強力パブロンの含有量が、厚生省の許可を得た分量以上に含んでおったかどうかということなのでございます。それからまた、あるいは夾雑物があたったかどうか、これだけが問題になれば問題になるわけでございまするが、これは、厚生省の国立衛生試験所並びにわれわれ自身の研究所、試験所、それから私どもでも各大学の先生方にお願いしまして、厳重な試験をあのときにやりましたが、どこで試験したものも全部厚生省で免許を得たとおりの品物だったということは証明されたわけでございまして、これは、大原さんも御存じではないかと思う次第でございます。そういうわけで、これはまことにやむを得なかった薬禍でございます。  それから、ただいま例にあげられましたプレトランという二日酔いの薬でショック死を起こしたという事件があるのでございますが、これは、やはりアンチピリンの誘導体で、イソプロピルアンチピリンという薬を含んでおるのでございます。そして、これはかぜ薬の薬禍事件以後、御承知のように、厚生省で厳重な省議を経、あるいはまた学界の権威を集めて意見を聞いて、アンチピリン並びにその誘導体の含有量はこれ以上ではいけないということをきめてあるのでございます。私どものプレトランは、そのきめた分量より少ないのでございます。この厚生省で定めた基準は一回量が二百ミリ、私どものは百五十ミリしか含んでいないのでございます。しかも、それでショック死を起こしたというのでございますから、実にふしぎに思いましたけれども、解剖の結果は、大原さんおっしゃるように、薬物によるショック死ということになっておるのでございますが、しかし、それに付帯報告がついております。これはたいへん肝臓の悪い人であった、それからまた胃腸も非常に弱っておる、からだが非常に衰弱しておるという人であった、こういうように報告されておるのでございまして、(「大臣、簡単に」と呼ぶ者あり)もし御疑念があるといけませんので、せっかくの機会でございますから、どうぞひとつお聞き取りを願いたいのでございます。  こういうわけで……(「簡潔に」と呼ぶ者あり)じゃ、簡単にいたします。そういうわけで、なくなられた方に対しましては、まことにお気の毒でございまして、深くお悔やみを申し上げますけれども、会社といたしましては——私どもに限りませんよ、製薬会社といたしましては、一つも違法ではなかった。これは試験の結果証明されておるのでございますから、どうかひとつ御了察をいただきますようにお願い申し上げまして、御回答といたします。

大原亨日本社会党

○大原委員 時間がなんですから、問題点だけ申し上げておきます。  あなたはそのことがここでも議論になったことの問題点を知っていないのです。あなたは会社の立場で宣伝したわけですが、あなたは人命を守るという立場では理解をしてないのです。簡単にいいますと、かぜのビールスには学問上アンチピリンやその他ピリン系の劇薬は関係ないのです。私はしろうとですけれども、いろいろな学者の意見はそうなっておるのです。それから異常体質というものは、アレルギー体質というものは、自覚症状がない場合がたくさんあるのです。それから強力パブロンの場合は、アンプル入りのかぜ薬で私は申し上げたいのだが、新薬についての製造、販売の許可あるいは承認という薬事審議会その他の制度がだめなんだよ。だから、自覚症状のない者は解剖しなければわからぬと医者が言ったから、私の関係者は、それは解剖すべきだと言って、自分で金を出して解剖した。そうしたら、薬物中毒だということになった。あなたは一人や二人は死んでもいいようなことを言っているけれども、そんな——あなたの答弁はそういうことだけれども、科学技術庁長官として、人命を守るという立場で私は議論しておるのだから、反省すべき点については反省しなければいけない。  厚生大臣に聞きたいが、厚生省は強力パブロンを含めて、そういうアンプル入りのかぜ薬については、非常に甘いジュースなんかが入っておるからがぶがぶ飲んだり、誤って飲む、分量を誤る、そういうこと等でこれは製造禁止したのだ。このことはここで議論しておるのです。あなたはそういう議論をまるで無視して、会社の宣伝をしていることは許せない。私は一つ一つについて時間をかけてやればいいが、薬事審議会における新薬の製造、販売、許可——これは諮問いたしまして許可、あるいは厚生大臣がじゃんじゃん承認する、こういうことについて、たとえば薬事審議会においては、二カ所で六十の臨床例があって、書面を出して、書面審査だけで新薬が許可されることになっておる。そんな国は文明国にはないですよ。特に医者の診断なしに、こういう劇薬を使っておるところに、あなたが答弁しておるとおりに、こういう原因があるのですよ。これは医薬分業とも関係がある。甲乙一本化とも関係がある。薬価基準とも関係がある。いまのニクビタンとの関係があるのですよ。そういう総合的な点について、科学技術庁長官、私はあなたの高邁な自己批判を含めて御見解を聞いたのに、全くあなたは会社の宣伝をしたじゃないか。それならば私は考えがありますよ、あなたの会社は二十割も配当をしたことがあるでしょう。最近十割配当しているでしょう、かってだけれども。政治献金だって、昭和三十八年のを調べてみたら、三千万円が表面に出ておるけれども、その他巷間にいわれていることは億単位だ。選挙だって金がかかっていると言われているんですよ。大臣についての云々のこともあるんですよ。私は、大所高所から科学技術庁長官として自己批判を含めてあなたが発言することを望んでいたのだ。その場所を与えたのだ。何です。あの答弁は。一人、二人死んでもかまわないような、これは違法ではありません、違法ではありませんと言っても、その問題を含めて私どもは議論したのだから、そういう国民の命と健康に支障のあるような問題については、やはりメーカーが誇大宣伝と一緒に十分責任を持って、皆保険下においてそういうふうにして、そして薬に対する誤った国民の考え方を是正をしていく、そうして新薬の製造販売許可から薬価基準の登載に至るまで——薬価基準に登載したものは誇大宣伝を許さないとか、専門紙以外許さないとか、そういう方法等について万全の手配をする。医療三法の保険について千分の六十三を千分の七十にぽんと上げておく、とにかくとれるところからとっておくという、そういう小手先のことではなしに、抜本的な問題をこの際えりを正してやるべきではないか。誇大宣伝と暴利をむさぼっているそういうふうな薬業界においても、良貨が——良貨はあるのだ。悪貨が良貨を駆逐することがいけないのだ。医師会においてもそうですよ。悪貨が良貨を駆逐することがいけない。売薬的な医療に走らざるを得ない。薬でもうける。こういう医者並びに医者の制度、そういう特定の人が悪いのだ。これには制度の欠陥があるのです。制度の欠陥があるのですから、これは国民の前において堂々と議論をして、この問題については問題点を究明すれば一致点がある。技術を尊重する。そうして必要な薬を医者が診断する。そしてお医者さんは、身近な国民の健康相談の相承として、もう少し密着をする。そういう形において総合的にやるべきだ。その前提は、日本での世界じゅうにないでたらめな誇大広告や、その他薬務行政にある、こういうことを私は指摘をしておきたいのです。  このほか私はたくさん問題がある。科学技術庁が最近発表した中性洗剤から何から全部ある。疑わしきは許さずということを私はこの前の国会で言ったことがあるんだ。事人命と健康にかかわる問題については、疑わしきは許さず。ビタミン剤や強肝剤、それは日本だけだよ。こんなものは外国に売れてないのだよ。肝臓をよくするどころか肝臓を悪くするのだよ。そういうふうな問題について、やはり国民の命と健康、社会開発、人命尊重ですよ。私は、これだけのことを言う以上は、しろうとではあるけれども、勉強していろいろな資料に基づいて言っているのだ。あなたは一方的に言っただけだ。私は時間がないからこれで終わるわけだが、この重大性について私は指摘をしておく。絶対に私はそういう答弁について許さない。そういうことを申し上げておきまして、そういう点について姿勢を正すという点について、総理大臣、ひとつ全体の総合問題について、これは、その問題を含めて全国民の力によって十分討議によって納得できる形で、ほんとうに国民に奉仕する医療というものを確立することが今日の急務であると私は思うのですが、総理大臣の決意を伺いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  大原君、たいへん真剣に、またまじめな資料に基づいて論旨を進められまして、そのうちで特に御指摘になりましたのは、最近、過大広告、それによってしばしば国民が迷わされておるのではないか、そういうことで過大広告の一つとして薬の問題を取り上げられた、かように思います。これは、過大広告はひとり薬ばかりではなく、各方面で実は今日問題になっております。私は、こういうような事柄で国民が迷わされるということはたいへん残念なことでありますし、ことに、ただいま御指摘になりましたように、大事な生命、保健、健康、こういうことに関しましては最も慎重でなければならないし、最も良心的な扱い方がされなければならない、かような御指摘だと思います。政府におきましても、同じような考え方を持っておりますので、今後とも、国民を守る、国民の生活を守る、こういう立場に立ちまして、これらの事柄は十分注意していくつもりでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これで終わりです。それで、これはよけいなことだけれども、私もいろいろ議論をした。命にかかわる問題だから、議論をしたいことがたくさんあるわけですが、この問題は将来とも議論を続けていきたい。そして、そういうことの姿勢を正す。だれもかれも悪いと言っているのじゃないですよ、医薬品業界においても、医師会においても。私は目のかたきにして言っているのじゃない。私は、悪貨が良貨を駆逐するというのは政治の責任だと思っているのだ。そういう面において、そういう全体の姿勢を正さないで、小手先のことだけ言って国民に迷惑をかけるようなことはいけない。特にいま滝井委員も指摘されたような予算上の措置については、根本的な、厚生大臣としても大いに突っぱってもらわなければならぬところが欠けておる。こういう非常にきずのある法律案、補正予算案である。そういう問題点を指摘しておきまして、今後に問題を残しまして、私の質問を一応終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。  午後は二時から再開することといたします。暫時この際休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後三時五十二分開議

青木正自由民主党

○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十年度補正予算三案に対する質疑を続行いたします。永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 昭和四十年度は不況に明けて不況に暮れようとしておるわけであります。この不況は中小企業にしわ寄せされて、中小企業が今日塗炭の苦しみにあることは御承知のとおりでございます。一家心中とか、自殺とか、こういう非常な社会悲劇が起こっておる。この事例を見ましても、中小企業が今日いかに苦しみにあえいでいるかということの具体的な表示であろうと思うのであります。総理は、二回にわたって中小企業の重要であることを強調して対策を確立するように指示を与えたということが新聞に見えておるのであります。きのうの新聞にも出ていたわけでありますが、どうような立場でどのような方向で政策を樹立し、具体的にこれを進めるための指示を与えられたのか、その内容についてお示しを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 不況に明けて不況に暮れようとしておる、こういう表現をしておられますが、佐藤内閣が政局を担当いたしましてこの不況克服、これが一番大事な課題だ、かように思い、また物価問題とも真剣に取り組んでまいりました。七月末以降、私どもが経済の不況克服のためにとってきた対策は、この際に重ねては申し上げませんが、これは御承知のとおりでございます。それらの点が、ようやくこの十二月に入りまして、最近は支払いもだいぶ活発になった、かような話を聞くにつけましても、効果が出てきたのじゃないか、かように実は思っている次第であります。  しかし、産業界と申しましても、一口にかように申しますが、その中でもわが国の二重構造である中小企業の面におきましては、よきにつけ、悪しきにつけ、たいへんな影響をこうむっておること、これはただいま御指摘のとおりであります。御承知のように月々五百件以上の倒産がある。年にすれば六千件をこす、これは、しかも三十九年、四十年と実は二年も続いておる、かような状態であります。その中にはもちろん大企業もありますが、いわゆる中小企業もあり、零細企業もあるということで、これらの対策こそ私どもに課せられた一番の責務だ、かように思っておるのであります。  一口に中小企業対策は金融だ、かようにいわれて、いわゆる金利を下げる、政府関係機関三機関の金利を安くする、あるいは量をふやす、かような措置もとってまいりました。しかしながら、なかなかそれだけでは事足りないようだし、中小企業対策はもっときめこまかにそれぞれの対策を立てていく必要があるようであります。  そこで、特に関係官庁に頼みまして、中小企業と一口に言うが、業種別にどういうような産業の面が一番今日の不況をこうむっておるのか、こういう点をひとつ詳細に調べてみてくれないか、そうしてその原因を探求し、これに対する対策、妙薬というものはないか、それを見つけていこうじゃないか、こういうことで実は調べさせておるのであります。だんだん明らかになってまいって、ただいままで——この産業の面でも好景気なものもありますが、いわゆる機械関係のもの、あるいは非鉄金属の加工の面であるとか、こういうような機械に関する部品メーカー、こういうものが一番不況に悩んでおるようであります。また倒産もそういうところに非常に多いようです。また、それと逆に、輸出に大部分たよっているような双眼鏡等の問題も、これは大体何ら不況をかこっておらない、こういうような状況にもあるのであります。まちまちでありますから、そこで経済対策もいわゆる需要を喚起する方向で取り組んでいくが、そういう場合にどういうような系列産業やあるいは関連産業に影響が及ぶだろうか。これはいわゆる波及率といっておりますが、波及率波及効率の高いような産業の面に特に力を入れるべきじゃないか。いま次の来年度予算等におきましても、住宅建設あたりに力を入れるというのもその一つのあらわれであります。また、鉄道や電電公社やあるいは造船などについて特に特別な配慮をするというのも、ただいま申し上げる波及効率の高い事業だ、そういうことで需要を喚起することにつとめておるのであります。詳細はそれぞれいま資料も参ったようでありますからお答えしてもよろしいのですが、大体の方向として、ただいま資金の面の手当ては一通り済んだ、今後はその方向で需要を喚起する。その需要喚起は、影響度の高いものからひとつ取り上げてみよう、かように実は思っておる次第であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 ただいまの総理の御答弁は、不況一般論としてならばそれでけっこうだと思うのであります。しかし、中小企業の場合は、昭和三十八年に中小企業基本法をつくり、基本法に関連する幾つかの法律をつくって、今後はこの基本線に沿って政府・自民党の中小企業の政策を実行していくのだ、実行する目標は、格差の是正、二重構造の解消、こういうのを大きな柱にして発足してきておるわけであります。でありますから、不況一般論ではなくて、そういう一つの経済の施策の中における中小企業基本法に基づく政策の成果は、今日倒産という形で具体的に表現されてきておると思うのです。その意味においては、われわれは今日の倒産というのは、単に不況の現象としてとらえるのではなくて、政府・自民党の中小企業対策の帰結として、その具体的な表現としてこれをとらえ、その立場においてわれわれはこれを分析し、対応しなければ、正しい倒産の把握のしかたにはならない、こう思うわけであります。いまの経済一般論ではなくて、そういう施策を実行してきたという立場に立って今日の倒産というものをもう一度分析していただきたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われる中小企業基本法があることは、もうすでに承知しておりますし、また、その線でいろいろ施策をやっておることも御承知のとおりであります。私は、ただいま一、二の例をとって申したのでありますが、この中小企業の全般の問題としていかにあるべきかという、その姿を考えた場合に、中小企業自身も育成強化し、同時にまた、安定した価格形成であるように、そして消費者にもそれが便するようにありたいものだと思います。しかし、ただいま不況に悩んでおる中小企業と、かように一口に言われるその状態において、最もただいま需要の減退を受けておるのはどういう業種か、こういうことでございますが、それについては、たとえば金属工作機械、鍛圧機械、工具類、銑鉄鋳物、銅合金鋳物、板紙業、合成樹脂成型加工、これらのものが一番困っておるようであります。さらにまた、個人消費需要の減退によるものとしては、家庭用電気機器、綿スフ織物、人絹織物、合成繊維、こういうものがあげられるようであります。しかし、一般に不況の中でも好況を続けるものが先ほど双眼鏡ということを申しましたが、金属玩具、双眼鏡、これなどは輸出のものでございますので、これらはうまくいっておる。さらに社会党からも言われる官公需に関連するようなもの、たとえば電話機であるとか交換機であるとか、こういうところの産業は別に困ってはおらない。また、季節的需要によるものとしてメリヤスあるいは製材、みそ、しょうゆ、これらのものがあげられるようであります。そこらでいろいろ一口に業態と言っておるが、その中でも、とらえ方もまた零細企業を中心にとらえる場合、あるいは中をとらえる場合、また、ただいま私が指摘いたしましたように、産業別にもそれぞれの対策を講じていかなければならない、かように私は思うのでありまして、これらの事柄も全体としてやはり勘案すべきじゃないか、いまのお尋ねは、あるいは私が理解したところで申し上げたので、その答えになっておるかどうか、あるいは御要望と違うのかと思いますが、以上のように私どもは考え、それぞれの対策を立てていく、いわゆるきめこまかな処置をとらなければ中小企業対策にはならないというのが現状ではないか、かように思います。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私のお尋ねいたしましたのは、本年十一月現在で五千七百六十七件、五千三百六十五億の負債総額の倒産の実績があがっておるわけです。そうして、ことしの見通しとしては、大体六千件の倒産がある、こういう数字が出ておるわけであります。総理の答弁は、その対策を重点にお話しになられておるのでありますが、私は対策の前に、この倒産の事実をどういうふうに分析し理解しておられるのか、それを中小企業の立場でどうとらえておるのか、あるいは中小企業基本法に基づく新しい政策の結果として、その政策の実りとしての倒産というものをどういうふうに把握されておるのか、この分析を伺いたい、こういうふうにお尋ねをしております。対策については、なお後刻お尋ねをしていきたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 中小企業の倒産がどうもなかなか減らない。それに対していろいろと対策を講じておるわけでありますが、業種別についてその傾向を見ますと、やはり機械関係が一番多いわけであります。件数からいっても一番多い。それから、鉄鋼、金属、次に繊維、建設関係というのが主たるもので、その中でも圧倒的に多いのは機械関係でございます。  しかも、この原因については、販売の不振というものが二五%程度で、やっぱり仕事が少ないということが一番の原因で、放漫経営というものは、これは相当な数で調査をしたわけでございますが一五%、その次には売り掛け金の回収が困難になったもの一四%。だから、受注の減少、回収金の不能、こういう景気の沈滞による打撃というものが四〇%程度で、圧倒的に多いということでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 そういうことを聞いているのではないのでありますが、それならばあらためてお伺いをいたします。  いま日本の全産業がどのくらいあるかといえば三百九十万であります。そのうち大企業が幾らあるかといえば二万一千、これは全体の〇・五%、残りの九九・五%は全部中小企業、こういうふうに、日本の産業構造というものは圧倒的に中小企業が多いわけであります。これを業種別に見れば、製造業が六十一万、このうち大企業はわずかに三千六百、卸売りが全部で百九十六万、大企業はわずかに一万、こういうふうに大企業はきわめて少数であって、残りの大部分は中小企業だ。こういうふうな中小企業が圧倒的に多い中で、中小企業は慢性的な過当競争に悩んでおる。そしてお互いに共食いをやっておる。  こういう実情の中で、中小企業対策の問題が政治的に経済的に提起されて、そこで中小企業基本法というものが生まれて、政府はその中小企業基法本に基づいて二重構造をなくしていくのだ、そうして、その中から中小企業の力のあるものを育成していくのだ、こういうことで今日出発してきているわけです。そういう政策がいまの自民党の政府によって推進されてきておるわけであります。この中小企業基本法が生まれた基盤についてのこれらの数字は明確に御承認を願えるかどうか。政府の発表した統計に基づくものでありますから、これは承認するもしないもないのでありますが、一応これから話を進めていく上の前提条件として、総理と通産大臣から、現在の日本の産業構造についての事実についてお認めを願えるかどうか、これを御答弁を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま私が手にしているこの資料だろうと思いますので、この資料はお説のとおりであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 しかも圧倒的に多い中小企業の中で、小規模企業というのが八五%である。でありますから、小規模企業が圧倒的に多い部分を占めておるわけです。そういう条件の中で二重構造を解消していくんだということで出発している。二重構造が三十八年からの三カ年間の実績の中で解消する方向に動いているのかどうか、この格差がますます拡大する方向に発展していっているのではないかと思うのでありますが、その点についてはいかがでありますか、通産大臣。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 最近の経済の高度成長、これはいろんな点においてひずみも生じておりますけれども、全体として日本の経済は、この水準を高めておることは事実であります。そういう点から見て、中小企業が大企業との間に格差がますます開いておるとはわれわれは思っていない。格差是正というものについては努力をこれからしなければならぬ面はたくさんありますよ。しかし次第に格差が拡大していっておるというふうには見ていないのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それならば、具体的に拡大していっていないという事実を示していただきたい。大企業は高度成長の中で設備投資をどんどんやったわけであります。過剰設備、過剰生産になった現在の段階では、大企業の間で合同あるいは合併、こういう動きが現在強く動いておることは御承知のとおりだと思うのです。でありますから、大企業の間における寡占化、独占化というものは、これは高度成長以前より、中小企業基本法が出発した前よりは相当に大きな企業が、大企業が寡占化し、独占化し、そうして大規模な規模に発展していっている、これは事実だろうと思うのです。いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 ある部門においてはそういう面がございます。大企業のある部分においては合併等が行なわれて、経営の規模が大きくなった企業も相当にある。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 これらの大きな企業は安い賃金で製品をつくる、企業の危険を転嫁する、あるいは自己企業の資本を節約する、こういう意味において大企業が中小企業を利用し、その中から収奪をして大企業がますます太っていっているというこの事実は、お認めにならなきやならないはずだと思うのですが、これはいかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 ことばの収奪という、そういうふうにはわれわれは考えていない。大企業と中小企業というものは両々相まっていかなければならない。中小企業をいじめて大企業というものが栄えていくということにはならないわけであります。大企業は全部つくっているわけではないのですから、やはり相当下請を使い、あるいは部品を使っておるわけでありますから、何かこう中小企業と大企業とを対立さして、その収奪関係の中に大企業が発展していくという考え方にはわれわれは賛成をいたしかねます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 賛成するかしないかということは別問題として、事実の問題を没価値的に検討しているわけです。そこで安い賃金、危険転嫁、資本の節約、こういう立場で中小企業と大企業との関係は中小企業基本法が出発した以前よりも系列化が強まっておる、下請化が強まっておる。そうして大企業が設備投資によって大きな設備になったので、それに適合するように系列下請に設備を強要している。したがって、いやいやでも系列のほうは設備を拡張しなければいけない。こういうことで、系列化、下請化、こういうものが進み、それに伴って大企業への従属化というものが前よりはずっと強まっておると思うのです。総理は頭を振っておられますが、そうでないというならば、一体大企業と中小企業の中で、先行きの明るい、あるいは金融機関から金の借りられる一つの条件としてどういう企業の系列下にあるかということ、これが有力な条件になるほど系列化、下請化、こういうものを強化する方向に動いておることはもう明らかである。これは前の二重構造よりももつとはっきりした形で、構造的な形において親企業系列化している。こういうものが二重構造のみぞをあけつつあるというふうに学者も分析しているし、事実もそうになっておるのです。賛成、反対は別の問題として、事実を正しく見ますならばそういう方向です。いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 下請の場合でも、従属化——むろん大企業との立場は中小企業であり、下請のほうが弱いですけれども、私は中小企業と大企業との関係を、永井委員のように収奪、隷属化、そういうふうには見ないので、やはり下請にしても、下請の間にいろんな下請全体が一つの団体をつくって、そうして大企業との間にいろいろの団体で話し合いをして、そうして下請というものが不当に圧迫されないような仕組みも生まれつつある。こういう傾向というものは助長したい。やはりいろんな点で弱いのですから、そういう下請の組織化を通じて、あまり大企業から常に中小、下請の企業がしわ寄せを受けないような、下請などに対する組織化というものは今後指導して、それが対等の立場で大企業から無理な、いろんな点でしわ寄せを受けないような配慮は、今後の行政指導の面においてしていきたい。そういう弊害を防止する努力をしていきたいと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は、まだ経営、運営の問題にまで入っていないので、組織の問題、構造の問題の段階でいま話をしているわけであります。日本のこの系列は、外国と違って専属系列です。日産自動車会社という親企業にはどういう部品工場、トヨタにはどういう工場と、専属系列の形でこれがあるのです。これを従属と言わなくて何でありますか。外国ではこれは産業系列です。ベアリングならベアリングとしてトヨタのもつくる、日産のもつくる、ほかの自転車のベアリングもつくる。こういうふうに、産業構造の中で活動分野を持っておるのでありますが、日本の系列というのは専属系列ですよ。この従属化ということは、使いたいとか使いたくないとかいうことは別として、現実においてこれは従属ではないですか、いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 ことばのそのことは別として、大企業も、自分たちの下請企業が生産性を高めて、いい部分品をつくって、両々相またなければ製品の品質というものが私は向上しないと思う。だから、それは日本的と言えば日本的と言えるのかもしれませんが、大企業と中小企業との間をそう何か敵対関係のように考えないで、大企業と中小企業とがお互いに提携しながら日本の産業を発展していくような仕組みを日本の産業は考えなければいかぬ。それをいかにも収奪、隷属、それは、見方によったらそういうことばを使うような面もあるのかもしれません。しかし日本は、このようないろいろな条件が悪いのですから、これで国際競争をつけていこうとするならば、日本的な中小企業と大企業とのあり方というものをわれわれが今後つくり上げていくところにやはり通産行政の責任があると私は考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 そういう期待の問題と現実の問題とをごっちゃにしてはいけないと思うのです。現実の問題として、それならば今日中小企業の倒産が非常に多い、あるいは不況の中で受注が激減して非常に困っておる、こういう実情をどういうふうにとらえておるのですか。親企業がいままで下のほうへ、系列なり下請へ出したものを親企業の中で処理する、腹一ぱい処理する。そうして下のほうへ流さないという形で、現在は受注の関係を下のほうをとめておるでしょう。あるいは取引の中における検収の問題はどうなっていますか。下請代金の支払いの問題はどうなっていますか。親企業と中小企業との系列、下請との問の労働賃金の格差はどうなっていますか。これは事実の問題ですよ。格差は拡大していっているのじゃないですか。決して三木通産大臣の言うように、格差が縮まっている方向にあるのだ、こういうことではない。私は、その点において事実関係の問題として、私見を入れない一つの事実の分析として通産大臣のはっきりした答弁を願いたい。下請代金はどうなっているのだ、受注の関係はどうなっているのだ。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 永井君の言われるような、確かにいままで下請に回しておったのを自分のところでそれをやっておるような企業がありますが、われわれとしての大企業に対しての指導は、やはり中小企業には中小企業としての分野があるわけだから、中小企業の仕事をみな取り上げて、それは経営の合理化といったところで、やはり中小企業が生きていくように、日本経済の中に中小企業が永久になくなるというわけにはいかないし、ある意味において日本の経済の発展というものは中小企業に負うところが多いと私は思うので、そういう点で大企業に対しても、下請代金の支払い、あるいは受注に対しても、特にいままでも行政指導という面で、大企業に対してそういう圧迫をしないような注意をしておるわけです。しかし、そういうことでなかなか目的を達せられないとするならば、われわれはやはり中小企業の擁護をもっと抜本的に考えることにやぶさかでない。中小企業を守り立てていかなければ、日本の経済というものはとても均衡のある発展は遂げ得るものではない。そういう意味で、何でも立法措置によらないで、大企業の良識によって中小企業を育てあげるような産業体制ができないかということで、われわれも行政指導という形において腐心をいたしておるのでございます。  また、大企業と中小企業との格差ですが、生産性の面においては、昭和三十五年に大企業を一〇〇とすれば、生産性が中小企業は四一%、ここに持っておる統計は三十七年ですが、四七%、こういうふうに生産性は向上しつつある。労働賃金も、三十五年は大企業に対して五六%、三十七年のこの統計では六三%。だから、生産性あるいは労働条件、賃金格差などは、やはり大企業と中小企業との間ではますます格差が拡大しておるということではない。統計の上では格差は縮まりつつある。しかし、これで満足しておるということじゃない。われわれはもっと中小企業というものに産業政策の重点を置かなければならぬという反省はしておるけれども、あなたが御指摘なさるように、賃金も生産性も格差が拡大しておるという統計の数字ではないということでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それならば、私はその現象面でなくて、大企業と中小企業との格差をなくしていくというたてまえの、そういう目標に対しての政府の施策というものが具体的にそれじゃどういうことが行なわれていますか。たとえば中小企業の上層部に対しては、中小企業投資育成会社法をつくって、そうして第二部上場会社をつくるんだということで、中小企業のほうの上層部にはそういう法的措置と経済的な助成をしておるでしょう。また中小企業の中堅層に対しましては、これは中堅企業の育成だという一つのねらいをもって、中小企業近代化促進法あるいは中小企業近代化資金助成法、こういうようなものをつくって、あるいは工場団地等の共同化、高度化、こういう立場においてそういう措置をやっておるでしょう。こういう措置、これが大企業との間の格差を是正する政府の具体的な政策なんでしょう。そうじゃないですか。このような政策が格差を是正することに役立っておるのかどうかということです。このことをお伺いしたい。具体的にこういうことをやっておるのですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 私は、中小企業の問題はこういう点だと思う。一つには設備、技術、こういう面で近代化をやらなければならない。そのために近代化資金というものは相当な役割りを果たしつつある。まだこれは十分だとは思いませんよ。いろいろと永井議員はそういう欠陥を御指摘になるのでしょうが、しかし、これは改良を加えつつ、とにかく民間の設備を近代化しようという一つの助長策になっておることは事実です。それで、まだそれだけでは十分でないので、今年は機械の貸与制度、こちらから新しい機械を貸与して設備を変えなければ、大企業に比較してその生産性の差をもっと縮めていくことはできないので、設備の近代化、また組織の面というものが大事である。中小企業があるいは協業化あるいは共同という形で零細な規模というものをもっと適正な規模のものにしていく必要があるので、高度化資金というものも創設いたしましたが、なかなかこれは条件がきびしくて利用度が、少ないので、反省をいたしまして、検討を加えてこれを改良した。現に零細企業に対してはあまり配慮が少ないではないかというお話ですけれども、いま御審議を願っておる信用保険制度に対していろいろな改正を加えて、無担保の二百万円までの新しい金融の道を開いたり、あるいは小口特別保険を三十万円を五十万円にして、条件をずっと緩和したり、全部の人に政府が金をくれてみなを回るわけにはいきませんから、多少の条件はつけなければならぬが、零細企業に対してもそういう心を配っておるという点は、永井議員もお認めを願わなければならぬと思うのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それは、大臣から替われるまでもなく認め過ぎるほど認めております。それは小口保険とか何とかいうのでなくて、小規模企業のためには小規模企業共済法をつくって、共済事業団をつくって、ここに金を積み立てて、やめていくときにはここから見舞金を出そう、葬式をここから出してやろうというこんなにありがたい案をつくっているでしょう。小規模企業に対して金をくれてやるのではなくて、金を積んでおいて、葬式をここから出してやろう。早く死なないかと言って葬式料まで用意してくれている。小規模企業に対しては親切過ぎる、こういう施策がちゃんと法律的にも具体的にも進められている。だから、大臣の言うように、認め過ぎるほどその冷酷な意図は、皆さんの配慮というものはわれわれは認めているんですよ。ですから、中堅企業に対して——私が前提に言いましたように、九九・五%は中小企業なんです。そして二重構造なんです。非常に後進性なんです。そういう後進性の中小企業の中に、そのうちの力のあるもののところを政府が助長して中堅企業を近代化していく。近代化した場合、生産は上がっていきます。そうすると、この生産は大企業との間の競争として発展するのではなくて、二重構造の中における弱い羊の仲間を食いつぶして、その排除の中にこの近代化された生産を維持する、こういう役割りと働きをしていくのです。そうしますと、当然大企業は大企業の中でシェアの競争が激しくて、設備投資の競争でいま設備過剰になって、企業の合同なり何なり、大企業は大企業の中で寡占化が進んでいる。中小企業は中小企業の中で近代化されたものが弱いものをつぶしていくのです。それが、生産がずっと上がっただけ需要がふえていくなら、これは需要の中に吸収されていきます。しかし生産が上がったほど需要は起こらないのです。そうすれば仲間を食いつぶす以外にはないじゃないですか。そこに倒産の問題が構造的に起こっているんだ、景気不景気の問題じゃなくて、自民党の中小企業対策の成果として倒産の問題が起こっているんだ、こういうふうにわれわれは評価するのです。いかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 根本的に永井議員とわれわれとの考えの違いは、やはり自由経済というものを原則にしていきたい、多少の経済の波動はやむを得ない、だからといって計画経済、統制経済、こういう形が日本のような零細企業がたくさんある場合に——そういう形にいけば永井議員は需給の関係がもっとバランスするとおっしゃりたいのでしょう。私どもは、日本のようにこんなに零細な中小企業が大部分を占めておるときに、一つの統制経済のような考え方はとらない。だから、そこでいま申したように、中小企業というものがみなできる限り自己のイニシアチブでやる、全部政府がこうせい、ああせいという、これだけの中小企業に対してそういう中小企業政策というものはやれるものでもない。だから、みな中小企業者が自己のイニシアチブで設備を近代化して、技術も向上したり、労働条件もよくしたりして、近代的な企業として立ち上がれるように政府がこれを助長していくという考え方で中小企業政策をとっておるので、多少は需給のアンバランスが起こる。その弊害はありますよ。あるけれども、統制経済よりもその弊害のほうをまだわれわれはとるというのがわれわれの立場でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 三木通産大臣、私の言わないことを先ばしっていろいろなことを批評しないように。私は統制経済も計画経済も何もまだ言っていないのです。自由経済も言っていないのです。現在の動いておる一つの事象の中でそれを評価しているわけですから、言わないことはひとつ言わないようにしていただきたい。  そこで、いまのように中小企業の上層部は第二部上場の会社にしていくのだ、中堅はそういうふうにして近代化していくのだ、それから小規模企業は共済法によって共済事業団をつくって、ここから葬式を出してやるのだ、こういうふうにはっきりと政策が縦分けしてちゃんとできているのですね。こういうやり方で、こういうものの運用とこれに基づく経済活動の中で、大企業との間の格差が是正されるか。私は、是正されない、だから現実に格差が拡大しているのだ、こう言っているのですが、是正できるのだというならば、これを明確にしてください。また、中堅企業の近代化をやれば、それによって企業の安定と結びつく、こういうふうにわれわれは考えておらないのです。設備を大きくすれば、したがって食べものが大きくなります。受注がうんとこなければならない。受注を多く受けるためには、独立の企業ではやっていけないから、どうしても大企業と結びついて系列に入っていく、こういうことで、二重構造はますます構造的に固定的に発展していく、これははっきりした事実です。だから、先ほど来事実の関係に立って質問しているのですから、それに立って格差は解消するのだというならば、小規模の企業共済制度はこれによって格差が是正されるのだというならば、そういうことをひとつ答弁の中ではっきりと証明してください。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 個々の企業についてはいろいろな変遷がございましょう。しかし、全体として中小企業の生産性あるいは労働賃金なんかの格差は、統計の上にあらわれておることは申し上げたとおりでございます。そこで、この近代化資金あるいは高度化資金、こういうものばかりでなしに、いろいろ中小企業の関係金融機関の金利などもできるだけ引き下げていこう、また融資のワクも拡大していこう、こういうことで、そのものずばりで中小企業が非常によくなっていくのだという政策は、だれが考えてもございますまいが、しかし、あらゆる面で中小企業が全体として生産性を高めて——生産性も低いしいろいろな条件が悪いのにただこれを維持していくということになれば、救済ということになるのですから、救済ということであっては、いつまでたっても中小企業の問題は片づかないので、規模は小さくてもやはり生産性の面において大企業と匹敵するようにしなければ、前向きの中小企業対策ではないので、まあ近代化資金とか高度化資金、その他の税制、金融などの措置も、十分とはいきませんが、しかし今後はますますやる、自民党としても、産業政策の中心は中小企業政策である、私はそう思う。だからこれは、いろいろ立場を変えて御批判になればまだまだ十分だと思ってない。私、通産大臣でも中小企業対策は十分だと思わない。しかし、これからもっと徹底して中小企業対策というものは政党として産業政策の最重点に取り扱っていかなければならぬという必要を感じつつ、何か中小企業が安定する方法はないか、いままでやっておる上に新しい方法はないだろうかということで努力をしておる。この努力はお認めを願いたいと思うのでございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 それならば、角度を変えて私はお尋ねをいたします。  全産業の九九・五%を占めている中小企業、この中小企業を、中小企業基本法によってこれから発展させるのだ、二重構造を解消するのだといって動き出しているわけです。そういう一つの目的的にレールを敷いて動いておるこの政府の中小企業に対する予算は、現在幾らですか。四十年度における当初予算は、労働省から大蔵省から、そういうところにある予算まで含めまして、総額二百十七億です。三兆六千五百億という予算の規模から言うならば〇・六%ですよ。この予算で、お話のように、日本の産業政策は中小企業対策だという。中小企業対策としてのその予算は二百十七億だ。口で何ぼ言ったって、具体的にはこういう数字では、政府がほんとうに力を入れておるというふうにわれわれは理解できないのです。この予算の関係はどうですか。これは、三、四年前はまだ二けたの予算だったのですよ、中小企業といえば。佐藤総理が通産大臣になって、あの時代に初めて三けたの予算になったと言って喜んだのです。それまでは二けたなんですよ。三けたになったってまだ二百十七億です。こういう三兆何千億という予算を使う中で、日本の全産業の九九・五%を占めている中小企業対策関係の予算がこんな数字で十分である。十分でないまでも、中小企業のキャパシティーに対して不足であっても、これでもう——不足も不足問題にならないほどの予算ではないかと思うのですが、これはいかがですか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 確かに言われるとおり、中小企業関係の予算はやはり少ない、もっとふやさなければいかぬと思いますが、これだけではないわけです。財投もございますし、あるいは税その他ございます。これだけでもう中小企業対策の費用が全部だということではございません。千六百億円をこえる財投もございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 私は何も予算だけが全部だと言っていない。これからいろいろなことを聞こうとしている。  それならば、大臣の言うような金融の面はいかがですか。中小企業に対して政府は金融を緩和する緩和すると言いながら、都市銀行のそれは年次ずっと少なくなってきています。これは大蔵大臣もおわかりであろうと思いますが、都市銀行は中小企業に対して貸し出し量の一九%です。二〇%にならないんですよ。地方銀行は三三%ですよ。大企業はわずかに二万一千ですよ。これから中小企業は三百八十八万ですよ。そういう中で、金融の関係は、政府三機関はあるでしょう、三機関はありますけれども、金融の面から見れば、比較にも何にもならないほどの格差があるではないですか。この点はどういうふうに御理解なさいますか。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 いま永井委員の御指摘のとおり、全国の金融機関で中小企業金融は二七・三%、政府の関係の金融機関を入れていたしますと四二%、しかし、これは金額が多いというわけではない。金融の面で中小企業の比重はもう少し高くあってしかるべきと考えます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 また、税の面から中小企業はどういう位置に置かれているか。これは、青色申告で明らかでありますように、基礎控除があり、専従者控除がある。専従者控除がありますけれども、現在税制の改正の中でいろいろ動いているのは、実際に給与をやっておる金を専従者控除で認めてもらいたいというのがいまの願いですよ。いま家族の者が自分のうちで仕事に従事すれば、年間十八万円の控除より認めない。月一万五千円です。そうしますと、むすこや娘が自分のうちで仕事に従事したいと思っても、それは従事できません。そういう税の仕組みになっているでしょう。法人税ではどうかと言えば、三百万円以下が三一%でしょう。大企業のように租税特別措置法等の恩典がありません。通産大臣、大企業と中小企業の格差を是正するような措置が金融の面でもない、予算の面でもない、税金の面でもない。どうですか、税金の面でそれを縮めるような方向にありますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまお話がありました所得税の専従者控除、これは中小企業のほうでは、いま永井さんのおっしゃるように、そういうことを言うのです。制限をとっぱずしてしまえ、こういうようなことをおっしゃいますが、これをとっぱずすことになれば、中小企業の所得税というのはつぶれちゃうようなことになる。実際問題として所得税法は動きません。それからもう一つの問題は、やはり専従者といいますが、これは扶養家族的な一面があるわけでありまして、そういうようなことも考慮いたしましていま専従者控除制度、こういうことになっているわけなんですが、だんだん経済も変化してくる。ことに今日中小企業は長期不況で、大企業に比べますとなかなか困難であろう、こういうようなことも考慮いたしまして、今度改正いたします減税計画の中では、この専従者控除というものを大幅に引き上げていきたい、こういうことを考えておるわけです。そればかりじゃない、諸控除、これは一般の給与所得につきましても控除の引き上げを行ないますが、同時に、事業を行なう中小企業者の諸控除も引き上げたいと思います。  それから、いままだこれは税制調査会に審議をお願いしているのですが、私どもは、ひとつここで中小企業というものの減税を大きな柱となるようにやってもらいたい、こういうお願いをいたしております。お願いいたしておりますことをここで申し上げてみますと、一つは、ただいま申し上げました基礎控除、それから配偶者控除、扶養控除、そういうようなものの引き上げ、それから専従者控除額の大幅な引き上げ、そういうことを考えています。それからもう一つは税率ですね。中小企業については、お話しのように軽減税率が適用されることになっておりますが、これも特に大幅に引き下げていきたい、こういうふうに考えております。それから、経済界がこういうふうに変動する際でありますので、債権回収が困難となっておるような場合に備えまして、貸し倒れ引き当て勘定への繰り入れ率を引き上げるようなことも考えております。また同族会社の留保所得への課税の控除額を引き上げるということも考えておるわけであります。また、中小企業の海外市場開拓というようなことも考えまして、市場開拓準備金の繰り入れ率を引き上げるというようなことも考えておるわけであります。なお、中央ばかりでなくて、地方税でも減税が行なわれるという際には、中小企業に特別のことを考えてみるべきだというふうに考えて、税の面ではできる限り中小企業の処遇が格差がつくようにということを配慮している次第であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 しかし現状は、税の面から中小企業と大企業との問の格差を縮める具体的な施策は何もない。現状は、税の面から言えば、かえって格差は、自己蓄積ができないような税の仕組みになっておるということは明らかであると思うのです。  それならば、労務の点でどうですか。私は労働大臣に聞きたいと思うのですが、雑貨であるとか、あるいはおもちゃであるとか、いろいろなこまごましたものをつくるところの内職関係、こういうところは実にひどい労働の条件の中で働かされている。さらには中小企業の関係で、高い賃金を出さなければ人が雇えませんから、最近は賃金がわりあいに上がってきました。何かいうと格差是正というので、賃金がだいぶ縮まってきたということを一つの例によくとるのでありますが、そば屋の出前さんの賃金が上がった、ふろ屋のかまたきの賃金が上がった、大企業との労働賃金の格差が縮まっているというような例の引き方は、私はこれは妥当でないと、こう思うのです。  最近の労務費の関係を調べてみますと、一つのコストに占める労務費でありますが、鉄鋼の関係で申しますと、アメリカは六二・七%、ドイツは三五%、日本は二四・六%です。そうして、これらの労働の分配率の関係を見ますと、先進国では五〇%、日本では三〇%、また福利厚生の面からこれを見ますと、イタリアは四二・四%、日本は二・八%、どこから見ても、日本の鉄鋼なんといったら一番いいほうの条件のところでありますが、それでさえ国際的に見るとこういう低い労働賃金である。でありますから、労働大臣にお伺いしたいのですが、こういう一つの労働賃金というものの中に、大企業と中小企業との間には非常な格差があると、われわれはこう認めておるのです。それが縮まる方向にあるのかどうか、そして縮まる方向にあるということは、単に初任給が高いということではなくて、その人の長期の賃金生活の中で縮まるのかどうかということをも含めて、ひとつ明確にお答えを願いたいと思う。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 先ほど来、中小企業の労賃と大企業の労賃との格差が、永井先生のお話によると、むしろ拡大しているというお話がございましたが、統計の示すところによりますと、この格差というものは逐次縮小をいたしておるのでございます。数字にわたってはなはだ恐縮でございますが、若干申し上げますならば、従業員五百人以上の場合を一〇〇といたしまして、一番小規模の、いわば零細企業といわれる五人ないし二十九人のを比較してみますと、昭和三十五年には一〇〇対四六・三であったわけであります。それが逐次一番小さいところが上がってまいりまして、三十九年におきましては一〇〇対六〇・四となるし、本年の一月−十月の平均を見ますと、一〇〇対六五・三、この間に百人以上四百九十九人というものが、これは本年の一月−十月でございますが、八一・二、三十人ないし九十九人というものが七二・六、こういうぐあいに、ますますこの差は縮小しつつあるということに相なっておるのでございます。  最近における賃金の上昇の特徴は、御承知のとおり、若年労働者を中心とする雇用市場の窮屈ということもありましょう。それが主たる原因ではありましょうが、とにかく特に中小企業の場合、規模の小さいほど大きな率で年々上がっておる。特に初任給等に至りましては、このごろは大企業よりもむしろ中小規模のほうが高いという現象すら示しておるわけでございます。それで、規模別によります付加価値の構成のうちで、人件費の占める割合等を見ましても、主要な企業、主として大企業でございますが、そこにおきましては大体四五、六、最近におきましては特に四〇程度ということになっておりますが、中小企業の場合におきましては、大体五三ないし五六%程度を人件費の率が占めておるわけでございます。確かに御指摘のように、これを外国のそれと比べますと、外国においては、大企業と中小企業との間の賃金の格差というものが大体二割五分以内程度におさまっているようであります。先ほど来申しますように、わが国においても格差は縮小しましたが、大体一番大きいところと一番小さいところと比べました際には、三割五分ぐらいの差がありますから、まだ外国ほどには及んでおらぬと思います。しかし、とにもかくにも、将来のやや長期的に見れば、人手不足というものがいよいよ激しくなる、こういう情勢であるのでありますから、やや長い目で見まするならば、大企業と中小企業との賃金の格差というものは、逐次ますます縮小をしていくものであろう、さように私は見ておるのでございます。もちろんこの間において、最低賃金制を実効あるものにしていくとか、いろいろ中小企業の労働条件、特に賃金を適正なものにしていくということには最善の努力を払っていく決意でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 先ほど来予算の問題、金融の問題、税金の問題、労務の問題、こういうふうに一つずつ具体的に当たってきた。そういう面から、労働賃金は上がっていることはわれわれも認めます。これは比較的な話ですが、縮まるという方向ではなくて、人が来ないから上げておるという関係だと思うのですが、具体的に大企業と中小企業との間の二重構造が解消するような、そうした具体的な裏づけが、口で言うだけで、何もないじゃないですか。法律的に見たって、先ほどのことのようであり、具体的な経済的な裏づけから見たって、いまのような話で、私はいいところはどこにもないと思う。さらに最近の大企業が中小企業の領域、分野に割り込んでくる実例というものは、これは相当にひどいものがある。これは、何といったって大企業は設備を拡張した。そして輸出がどんどん伸びればいいが、それに対応する以外に、国内でやはりシェアを拡大しなければいけない。そうすれば、多角経営と称し、もうかることなら何でもする、こういうことで、中小企業の開発した技術の分野にもどんどん入ってくるし、中小企業の領域にどんどん入ってきて、大企業がそれを横取りしていく、こういうような関係が顕著に出ておることは、総理も大臣も認めになることだと思うのです。たとえば作業工具、これは三菱重工がこういう小さなものの分野にどんどん入ってきておる。あるいは建築金物、これに対しては、カメラシャッターのメーカーのコパルが、アメリカのイエール・タウン社と折半出資の合弁で、外国資本と一緒に、従来中小企業がやっていた領域にどんどん入ってきている。あるいは魔法びんは、早川電機、日本アルミニウムがこれに入り込んできている。あるいは機械すきの和紙、これに対しては大昭和がトイレットペーパー、あるいは十条キンバリー、山陽パルプがこれに入っている。あるいはグローブやミットには、三井物産が外国資本と提携して入り込んできておる。あるいは潤滑油の関係に対しては、外国資本のアメリカのサン・オイルが日本漁網と共同出資して、石油工業協同組合の三十社の中小企業に対決していろいろやってきておる。あるいは研摩紙、アルミニウムの圧廷、もう数えあげれば外国資本もどんどん入ってきておるし、大企業もどんどん入っている。こういう中で、中小企業を守っていくという面から、ある程度正当な活動に対して公正な経済活動の分野を与えるというような配慮というものはほとんどないのではないか。これはいろいろ調整をやっております。調整をやっていますけれども、仕事を始めるのを半年くらい延ばすとか、タイミングをおくらせるとか、あるいは一定の量に制限するとか、こういうことで許可しておる。そういうことで出発してしまえば、オオカミとヒツジよりも格差が大きいのでありますから、これはだんだん時間をかけて食いつぶされてしまうのはあたりまえですよ。こういう関係を一体どういうふうに通産大臣はどう考えるか、先ほど来私が私見を加えないで、事実の関係に立って、こういう中で中小企業の格差が是正されますかということを一つ一つ事例をあげてお尋ねをしておるのですが、こういう関係の中から格差是正が生まれてまいりますか、伺います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 中小企業の中においても、なかなか生産性の高い特徴のある専門メーカーというものは、将来とも発展していく余地があると私は思う。大企業といっても、大企業だから何もかも中小企業よりも大企業のほうが便利だと私は思わない。中小企業の独特な製品で、しかも大企業に太刀打ちができぬわけではないわけです。必ずしも資本力ばかりでもないでしょう。そういう点で、もう大企業に日本の中小企業というものは全部やられてしまうのだというふうに、悲観的には見ていないのです。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 ただしかしその中小企業が、やはり何か自分のところで特徴があり、しかもその製品というものの品質が優良であるということが必要であって、そういうことに対しては、いろんな資金の面においても、政府だってそういうものを育てようというためにいろいろ政府関係の金融機関もあるわけですから、私は中小企業をそう悲観的に見ない。ただしかし、御指摘のような大企業が中小企業の分野にまで進出する傾向は確かにあります。これは今後とも大企業と中小企業との分野を、できるだけ大企業は中小企業の分野に入らないように、これはやはり法律で強制ということもなかなかむずかしい。あるいは企業許可のような場合に対しては、われわれはそれをチェックすることは可能であります。しかしいろいろ行政指導の面においても、今後中小企業の分野にまで大企業が進出しないような行政指導をいたしたいと考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 総理は、先ほど来居眠りしながら、聞いていたのかもしれないが、居眠りしていたのですが、通産大臣との質疑の中で御理解をいただいたと思うのです。私は今日の倒産というのは、単に景気の波動の中から出てきただけの現象ではないと思う。やはり政府、自民党の中小企業基本法に基づく施策の実りとして、予期したか予期しなかったかは知らないが、そういうひとつの帰結として倒産が出てきたんだ。そうして、そういう倒産の出てくる過程には、いま言ったように、大企業と中小企業との領域における収奪関係の中から追い込まれてきたんだ、こういうふうに事例をあげて、常識のある人なら私見を加えないで、すなおにこの事実はお認めいただけると思うわけです。それが証拠には、この戦争によって何もかも破壊した日本の産業が、企業が、戦後二十年の間にこのように大きな発展をした。膨張をした。しかし、日本の企業は、御承知のように自己資金をよけい持っていない。大企業だって二五%くらいでしょう。あとはみな借り入れ金である。借り入れ金の金利は世界じゅうで一番高いほうでしょう。そういう高い金利の金をたくさん借りて、何もなかった焼け野原の中から柱を立てて、今日のようなあのような大きな発展を遂げた。そうして企業の収益率は、世界でも有数の収益率をあげておる。その収益率の原動力は一体どこから持ってきているのか。大企業が天からしぼりとってきているのではないのです。労働者からしぼりとっているのです。系列企業からしぼり上げているのです。下請から吸い上げているのです。そうして、こういう高い収益率をあげて大企業はぐんぐん伸びてきておる。これが現実でしょう。その半面に中小企業も若干は伸びたけれども、しかし全体の中ではやはり比較にならない。そうして、企業の安定というものはなくて、あすの見通しというものに対して不安が常について回る、こういうような格差がどんどんできてきている。これが現実だと思うのです。いかがですか。総理大臣の御意見を承りたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、永井さんはもっとすなおにものごとを見ていらっしゃるのではないか、かように思っていたのですが、ただいまの収奪論を聞いて、やや私の認識が違っていたのではないか、かように思うのです。と申しますのは、私どもは自由経済のたてまえにおりますが、いわゆる弱者必ず強い者に負けるのだ、強い者に何もかも奉仕するのだ、こういう形では実はないように思うのです。私どもはわれわれなりにやはり中小企業基本法を設けたり、また中小企業の育成強化をしたり、あるいは維持にそれぞれの努力をしておるのです。完全なものと見まして、完全な自由経済に置かれておれば、それはただいまお説のようなことになるかもわからない。いわゆる強い者勝ちで弱い者から収奪する、そういうことになるかもわからないが、われわれはやはり大企業と中小企業との間の相互の関連性、相互の協力関係、共助関係、こういうものを大きく見まして、そこらで調和をはかった政策を実はとっておるのであります。たとえばいまのお話にいたしましても、中小企業が一生中小企業で終わるものでもないだろう。中小企業から抜け出て大企業になったものもあるだろう。これは一体どういうように説明なさるか。零細企業から中企業になるものもある。こういうことを考えますと、完全に自由経済のもとで行なわれているのだ、かようにきめつけられるわけにはいかないと思います。私はいろいろだだいまのお話を聞いていまして、これは構造的な面もあるし、またお互いに助け合う面もあるのだから、それぞれの政策よろしきを得れば、それぞれの地位を得ていくことができるのではないか、かように思います。そうして、御指摘になりましたように、中小企業が大企業に比べて何が弱いのか、生産性が低いのだ。だからこそ中小企業の生産性を上げるべく近代化を積極的に進めておる。そうして、これがうまく行なわれれば大企業とも競争もできる。小さくはあっても、小さいなりに競争はできるのだ、こういう点を見るのがしてはいけない。われわれ政治をやっているほうから見れば、中小企業のよさをとにかく見つけて、そうして、その欠点を補ってやる、こういうことでこれと取り組んでいくというのでございますので、これはやっぱりただいま言われるように、理論的に、完全な自由で放任されておる、こういう状況ではないのですから、もうちょっと見方を変えていただくとたいへんしあわせなのですが、いかがなものでしょう。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 いかがなものでしょうと相談を受けても、自由主義経済はけっこうですとは言われません。それは現実に倒産が非常に大きく起こってきておるし、中小企業は今日のように過当競争の中であえいでいるこの実情、これは笑いごとで見のがすわけには私はいかない。やはり何か原因がある。三木通産大臣は、ことしは倒産が六千件ほどあるそうだという。六千件といったって、これは東京商工興信所の調べで、負債額一千万円以上という、こういう条件です。どこかの新聞で、きのうの記事には、零細企業まで入れて年間六千件からの倒産がある、こういうふうに書いていた新聞がありますが、これは大きな間違いで、負債額一千万円以上の倒産が六千件だ。零細のほうに至っては何万あるか、これは調査してないからわからないわけでしょう。そういうような倒産が現在どんどん起こっておる。それに、三木通産大臣はこの六千件の死亡診断を書いて、そうしてその死亡診断が、原因が何かということを良心的に究明しないで、ああきょうも倒産だ、きょうも倒産だ、死亡診断を投げやりに書くだけでは私は通産大臣としての職責は果たせない、無責任だと思う。そうして先ほど、特殊の技術を持てばいい、あるいは特殊の商権を確保すればいい。そんなことはわかり切っていることです。そういうことを、いま現実に生活をする中で戦っている者にそんな夢物語を言ったって、それはできるものじゃありません。そういうことは大きな一つの長期の展望の中で育てていかなければならぬものでしょう。現在当面している中でいろいろな圧迫がここにきているのだ、いろいろな血を吸うものが一ぱいここにくっついているのだ、貧血症状を起こすから、それを何とかしてやらなければならないというのが今日の三木通産大臣の立場ではないかと私は思うのです。これは深刻な問題ですよ。先に希望の持てるような、これだけのわれわれの苦しみがわかってもらえるなら、われわれはまたここでひとつふんばりができるというなら別ですが、これは自由主義経済の結果であるからしかたがないのだ、大企業との格差はだんだんなくなっていくんだ、大企業はそんなに中小企業を圧迫はしていないのだ、こういうそらごとを言っていたのでは私はいけないと思うのです。そうして現実に、交際費なんかを使うのは大企業ですが、年間に五千億以上の交際費が損金に落とされる、必要経費で落とされて、一方のまじめに働く家族専従者が月一万五千円より認められない、こういうような一つの税の上の問題だって、これは一般庶民は決して納得できるものではございません。そこには公正な一つの行政がなければならぬ、こう思うのです。その意味において私はもう少し——一年に六千件も倒産があるんだ、そこには何人かの一家心中があるんだ、この中には自殺者があるんだ、あすの路頭に迷っている深刻な人たちがあるんだ、こういう一つの倒産を通しての社会時相というものをほんとうに見るならば、私は倒産の問題については真剣に取り組まなければならないし、また佐藤総理が言われたように、これは重大だから何とか措置しなければならぬ、こう思惟しなければならない問題だと思うのです。  そうして、このことは単に中小企業だけではございません。農業の面だって同じです。農林大臣にお伺いいたします。  農業のセンサスによりますと、農家戸数は三十五年に六百七万戸でありました。これが本年は五百六十六万戸に減って、三十九万戸が減りました。これは年率にして一・三%の減です。それから農家人口は、三十五年に千四百五十四万人ありました。本年はこれが一千百五十一万人、五年間に実に三百三万人が減って、この減り方は年率四・五%であります。平面的にこの数字を見たって相当重大な問題でありますが、数字の陰にある具体的な時相をもっと高い見識をもってこれを価値評価しますならば、私はいろいろな政治上の問題、経済上の施策が出てこなければならないと思う。農林大臣は、どんどん農村がさびれていくこういう農業政策に対してどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思うのです。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 ただいまおっしゃったとおり非常に減少が続いております。しかし、かつて農家の二、三男の問題が農村の大問題であったことは、これは別に遠い過去ではなかったと思うのでありますが、最近はいまお話しのとおり農家戸数及び農業人口、特に農業従事者が非常に減っておりますことは、これはお説のとおりでございます。統計が示しておりますから。このことは、生産力の非常に少ない一部の開拓地とかあるいは貧弱な生産力の農村では、人口減はある意味においては必要であって、幸いであるというところも少なくないと思います。しかし、このことは地方の実情によって異なることでありますことは言うまでもございません。農業就業者の著しい減少の地方地方に及ぼす影響は、これは永井さんも研究されておりますからよく御存じであると思いますが、その良否は別といたしまして、その原因の一つは、農村の住宅、道路、上下水道、生活条件、その他のために環境の不備ということ、二つには学校、家庭をはじめとし、その他一般社会における農業を実質以上に悪いとする最近のムード等、幾多の原因もあると思いますけれども、何と申しましても経済成長に伴う他産業における雇用機会の増大とか、しこうしてまた過重労働ということがおもなる原因であることは、これは永井さんも同様お認めのことであろうと思うのです。したがいまして政府といたしましては、農業労働力の減少に対処しながら農業生産性の向上と総生産の増大をはかることにつとめておりますし、このための基盤整備、技術の向上、及び機械類等の資本装備の高度化をはかり、小農には必要な共同を進める農業構造の改善をその地方、その時期に即応するよう推進するための諸施策を講じ、特に畑作振興につとめて、あわせて農業の問題は、これは早くいきませんから、どうしても価格の安定が重要であると存じます。今後もその拡充強化につとめてまいる所存でございます。一面、幸いにして、永井さんも御了承のとおりに、農業に情熱を持つ青年もまた少なくないのでありまするから、農村の社会の環境を改善し、後継者養成、生活改善の施設、社会保障を進め、行き過ぎのムードを是正して、楽しい農村の建設に立ち向かいたいと存じておる次第でございます。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 農村の青年の情熱で、ムードで問題を解決するといういろいろな話でありますが、やはり農村問題は冷厳な現実の問題として経済的に処理しなければならぬ問題です。その点からいたしますと、中小企業との関連において、製材工場の問題であるとか、あるいは乳製品における原料乳、農民のつくる原料乳はたたいておいて、そうして製品はうんと高く売って、乳業会社が増配をするほどにもうけている。あるいはビートであるとか、イモであるとか、こうした価格の問題等においてもいろいろな問題がある。これらはみんな自民党——佐藤総理はいやな顔をされるかもしれませんけれども、農業の分野でも労働の分野でも中小企業の分野でも、一貫してそこに流れているものは大企業の利益をできるだけ伸ばして、そして弱いものを押えていく。乳価なら乳価、農産物の価格なら価格、あるいは豚なり牛なりの肉なら肉、こういうものと工業製品と、それからこの原料を扱う加工業者、製造業者の利益、こういうものを比較したら、これは明確に出てくる問題だ、こう思うわけであります。しかし、きょうはできるだけ議事の促進に協力をいたしたいと思いますから、こういう問題は省略をいたします。  佐藤総理にお伺いしたいのでありますが、先年佐藤総理が通産大臣をやっていたときに、北海道の零細な農民が陳情に来まして、人里離れた農家に電灯がつかないんだ、あるいは電灯がついても、最初補助によってその設備をしても、十年たち十二年たってその設備が腐ったら、その建てかえのための金がどこからも出ないんだというので、設備更新に対する国の措置を何とかしてもらいたい、こういう願いを農民が持ち込んだときに、佐藤総理は、これは十一月であったか十二月の初めであったかと思いますが、予算要求を追加して直ちにやろうということで、農家の電灯の設備更新に対する補助を直ちにつけていただいた。こういうことで関係農民は非常に喜んで、佐藤総理が総理に就任したときに、農家の人が一升ぐらいずつバレイショを持ち寄って、総理のところにお祝いのイモを贈った、こういう誠意のあるなにがあったんです。そのように佐藤総理にしても各大臣にしても、いろいろな問題を分析して、これは間違っておる、これは不当である、これは均衡を欠いておる、こういう所見が成り立つならば、やろうとするならば直ちにやれるだけの権限とその位置にあると思うのです。そしてそれを、ただ口先で中小企業の振興を叫びながら、金融の面でも税金の面でも、ただお茶を濁すだけで、実際の裏づけを実現しないというならば、それは誠意のない証拠である、こう思うのです。総理はいま何でもやればやれる立場にある。そういう立場において、私は最後に、中小企業に対するいままでの問題の集約として、日本の全産業を対象とする重要な中小企業庁が年間二百十何億というような予算では、何としたってこれは少ない。これでは少ないといったって、できる限界があります。限界を越えている少なさだと思う。これは来年度の予算の中で、ことに年間六千件からの倒産がある。来年も続くであろう。さらに現在負債一千万円以下のところには何万という倒産があるかもしれない。こういう実情をにらみ合わすならば、予算の編成なんかは、通産大臣と大蔵大臣と総理とがほんとうに中小企業の現在の立場を思うならば、予算の措置はできるはずだ。来年度の予算編成に対する決意をひとつ伺いたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たびたびの機会に私は御披露しておるのでありますが、私の内閣の課題は、ただいまの不況を克服するにあるのだ、もちろんその不況克服には、中小企業もその大きな中心の問題であることも承知の上でかように申すのでございますが、不況を克服するにある。そういう意味で、各省とも真剣にこの問題と取り組んでおります。ただいま御指摘になりました中小企業の問題については、中小企業庁はもちろんですが、通産省あげて大蔵省と予算折衝している最中だと思います。この問題の取り扱い方については、誠意のある扱い方をいたしたい。これを、私の決意を御披露いたしまして、お答えといたします。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 次は金融の問題ですが、大蔵大臣に伺います。  歩積み両建ては、銀行側が自粛して、おおむねそういう形はなくなってきたと思うのです。しかし、それにかわる方法として、拘束預金がやはり依然として新たな手としてかわって出てまいっております。定期預金を要求する、あるいは当座預金の残高を確保させる、あるいは通帳をよこすけれども、引き出しを押えるというような、歩積み両建てにかわるやり方をしておる。これは何としたって私は公正なやり方ではないと思います。これらの拘束預金に対する大蔵大臣の、これを取りやめる措置をする決意を伺いたい。  それから、金融が現在ゆるんで、金の面はわりあいに借りやすくなったというけれども、やはり限界企業の関係については選別融資が相当に強化されている。なかなかこれは借りられません。零細小規模企業や何かのところは、金は縁なき衆生です。こういう関係については、リスクを全部銀行に持たせるということはできないと思いますけれども、信用の補完措置を講じまして、もう少し実情に合うような、金融の公共性の立場におけるなにをやっていく道を開かなければ不況対策にはならない、こう思うのであります。また、先ほど来検討しましたように、何といっても都市銀行、地方銀行等は中小企業に対して門戸を閉ざしております。もう少しさいふをゆるめなければならぬ。これらの三つの点について大蔵大臣の決意をお伺いしたいと思うわけです。  また、続いて税金の問題ですが、税金の問題については、法人税の三一%を二九%ぐらいまで下げるということ、大体先ほどのお話にありました青色申告等の完全給与の問題、あるいは共同事業を行なった場合、それに対する出資であるとか、あるいはそれらの問題については非課税にするとか、いろいろこまごました問題があります。やはり中小企業を振興させて安定させるというのには、税の面からも金融の面からも、いろいろな特別な措置が、配慮が必要であろう。これはあわせてひとつ大臣からお答えを願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 中小企業に対しまする基本的な考え方といたしましては、今回の不況が長期化いたしております。大企業はそれに対して何やかと抵抗力がありまするけれども、中小企業については、その力が非常に弱いと思います。そういうようなことを基本的な考え方といたしまして、中小企業につきましてはあらゆる努力をいたしていきたい。  ただいまお話しの拘束預金というお話でありまするが、これは最近、相当拘束預金という傾向が高まってきているわけです。しかし、一般の商業信用でございまするから、これをやっていくための必要最小限というものがあるわけであります。そういう意味の預金というものは、これはどうしたって認められるべきである。これが適正なる拘束預金であります。その適正な基準を越えて拘束を受ける預金、これが非難をされるところの歩積み両建てであります。歩積み両建てにつきましては、大蔵省といたしまして、これを整理するという根本方針を立てまして、銀行等につきましては、大体この五月に整理が完了いたしたという報告を受けておるわけです。それから、その他の中小金融機関につきましては、来年の五月ごろまでに整理を行なうというので、ちょうどいま進行の過程であります。ところが、そういう報告は受けているんだけれども、実際われわれ当局に対して苦情は相当ある。そこで、この苦情のあるところを見ますると、まだ問題があるのじゃないかというので、この前の通常国会におきましても、本委員会において、問題があると、加藤委員からもお話がありまして、全国都道府県に歩積み両建て苦情相談所というものを設けまして、実情を把握すると同時に、これが調整につとめるというような措置もとっておるわけでありまするが、いま資料もありまするから、必要なら申し上げますけれども、相当過当な拘束預金、つまり歩積み両建ては整理をされてきておるのは事実でありまするが、今後ともこの問題には真剣に努力をいたしていきたい、かように考えております。  それから、資金は余っておるが、信用を受ける状態ではない企業に対してどうするか、こういう問題は、これは全く御指摘のとおりであります。今日、金融緩和の情勢でありまするから、金のほうはある。しかし、どうもあぶなくて貸せないというようなものが多いわけであります。そういう際に、特に選別してふるい落とされるのは中小企業に多い。そこで、無担保、無保証というようなものも零細企業に対して始める。また、今回は、この補正予算でも御審議をお願いしておるわけでありまするが、無担保中小企業金融を始めるというので、信用保証制度の拡大を考えておるわけであります。  それから、さらに、金融は緩慢であるというが、資金の量を拡大せい、これも同感であります。そういう意味におきまして、下半期におきまする中小三機関の貸し出しワクを八百二十億円追加をいたす。また、さらに、一般の金融機関に対しましては、年末も控えておりますので、八千億になりましたか、程度の資金を用意するようにという指導も行なっておるわけでありまして、できる限りの努力はいたしておるというつもりでやっております。  それから税の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、これはいままでもやっておりますが、来年度の減税として、大きな柱としてこれを取り進めるという考えで、ただいま検討をいたしておるところであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 中小企業の困っておる実情についての抜き取り調査によりますと、現在は金よりも仕事がほしいということであります。仕事さえあれば、今日金もついてくる、こういう実情だと思うのであります。先ほど総理は、仕事をあっせんするいろいろなことも考えるというなにはありましたが、これは、何としても親企業がまずたくさん取って、下に流す流し方が少ないのです。この間の取引の不公正を直さなければいけない。これを是正することが必要です。  それからもう一つは、官公需の発注の問題でありますが、これは、政府のやり方によって、中小企業へある程度発注できるわけであります。ただ、どんな形でどういうふうに流すことが中小企業の仕事の需要になるかということについては、これはいろいろなお考えがあるでありましょうけれども、まずそうした関係で、官公需の関係に特に力を入れていただきたい。それから建設関係なんかは、やはり仕事をいろいろやるには、今日機械が必要だ。一つの仕事のために機械を買っておりますと、機械の償却や金利に倒されてしまって、その仕事をやるために企業が倒れてしまうという実情にある。したがって、大きなところが仕事を取って、一割なり一割五分なりピンはねして、そうして下のものにやらせるということが、これはもうあたりまえに行なわれているのでありますが、こういう不況の克服のときであります。それらの問題について、特に配慮を願わなければならないと思うのであります。これは、仕事を中小企業に与えるという面において、いろいろな万般の施策があると思うのでありますが、これらについて、総理が中小企業の不況は何とかしなければならないという決意を持っていられるのですから、ひとつその指示した立場において、決意を表明していただくとともに、これを実際にお運びになる三木通産大臣から、これらの問題についてお答えをしていただきたい。さらに、三木通産大臣については、先ほど来お話もいろいろありますが、もう少し虚心になって、事実を検討していただきたい。そうして、少なくも下請代金のサイトの問題ぐらいは、法律も裏づけにあるわけですから、ほんとうにやる気になればやれるはずだと思うのです。そういうサイトの問題、それから不況を種にして単価の切り下げをやる、こういうことが横行しております。こういう問題と、不公正にわたる領域については、もっと通産省が断固たる行政指導、行政措置をとるべきであると考えるのでありますが、これらについての決意を加えて、お答えを願いたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 締めくくりのようですから、お答えをいたします。需要の喚起、これは確かに各方面で叫ばれております。また、ただいま御指摘のように、中小企業も、特殊の面においては、需要の喚起が特に必要のようであります。したがって、ただいま御指摘になりましたような、一般としての需要の喚起はもちろんでありますが、そういう場合に、親企業と下請企業との間の業務の整理というか、これをよく指導していくことが中小企業庁の仕事でもある。また、大企業が中小企業の場において競合するといいますか、そういうようなところへ進出しないように、中小企業が親企業と競争の場に立たなくても済むような、そういう環境の整備、これも注意しなければならぬことだと思います。また、官公需等について特別な配慮をすべきであると思いますし、そういう意味では、たとえば鉄道車両等の発注、あるいは電電公社の電話等の発注等について、特に中小企業もその相手方に加え、そして円満な実施がやれるように注意すべきだと思います。その中におきらいな防衛庁の仕事もあろうかと思いますが、こういう点では、中小企業に役立つのでありますから、お許しを得たいと思います。また、建設関係においても、たいへんこまかな御注意で、機械など整備することは小企業者としては困ることだから、そういうものの貸与をするように、こういうようなお話があります。とにかく中小企業対策は、特に中小企業の味方をするというあたたかい気持ちでこれと取り組まないと成果が上がらないように思いますので、いわゆる大企業と中小企業を並列して、そうして経済の活動を見るのではなくて、中小企業にウエートを置いた態度で事業を指導する、こういうことにいたしたいものだと思いますし、この点は中小企業庁を中心にして十分今後注意してまいるつもりであります。先ほど来のお話も官庁に対する鞭撻あるいは注意を喚起された、かように思いまして、ありがたく拝聴した次第であります。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 きょうは永井議員といろいろ論争みたいになったのですが、何か現実の中小企業の状態をわれわれがあんまり軽視しておるような印象をお持ちになったら、その印象は是正してもらいたい。毎日のような中小企業の倒産、こういうこともわれわれも非常に憂慮しておるわけです。だから、地方の通産局などに対しても、不況相談室というものを、不況が深刻になるような状態でありましたので設けて、局長が一線に立って、中小企業の仕事、資金、こういうものの相談に乗るように、大企業がいま言った中小企業を圧迫するような点があれば通産省として出向きまして、下請、大企業との懇談会のようなものをして、そして中小企業に対してしわ寄せがいかないような努力もしておるわけであります。今後ともこういう努力は、もっと積極的な努力を積んで、こういう不況な、非常に苦しいときに、中小企業の倒産がますますふえるような傾向に対しては、全力を傾けて努力をいたしたい、かように考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井委員 最後に、私は論争と一つの課題を残しておきたいと思うのです。  最初からお尋ねをいたしましたとおりに、今日の倒産というのは、これは単なる不況のあらわれではない。それは政策を実行した結果としての帰結である。したがって、倒産の事実からさかのぼって、いろいろな施策を謙虚に検討し、吟味し、そうして反省することがあれば反省をしなければならない。それほどの重要な課題である、こういうふうに思うのであります。  さらに、そういうふうな結果に至った原因は、やはり中小企業のキャパシティに対応する予算、金融あるいは税金、そういうものではない。中小企業振興、中小企業振興と口では言っているけれども、その中身は何にもないのだ。だから、今後は中身を充てんして補っていかなければ、こういうことはますます発展するだろう。またいろいろな施策がありましても、中小企業の構造的な改革というもの、これを徹底しておきませんと、金を中小企業に流す、この金が大企業のほうに吸い上げられる。あるいはいろいろな仕事を流す、それがまた大企業のほうへ間接的に吸い上げられる。こういう形になって、中小企業の安定なり発展なり、そういうものに定着する形にはならないであろう、こういうふうに考えるわけであります。その意味において、政府はいろいろな機関を持っておるのでありますから、これらの問題を十分に検討させて、早い機会に、いまのような大企業に奉仕させられる中小企業、大企業に収奪される中小企業というものの政策転換を一日も早くすること、そういうことが少なくも倒産を少なくする原因であると固く信じて、私は問題を提起しまして、質問を終わる次第であります。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長代理 これにて永井君の質問は終了いたしました。  この際、滝井義高君より発言を求められております。これを許します。滝井君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 さいぜんの大原委員の質問に関連をして、厚生保険特別会計の問題について御質問を申し上げましたけれども、当時の政府の答弁に私満足することができません。したがって、再度ここで政府の明確な意思をもう一応確認をして、最終的な態度をきめさしていただきたいと思います。  まず第一に、繰り返すようですが、政府が健康保険に対する根本的な政策をこの国会において変更したということが明らかになってきたわけです。すなわち、ボーナスから保険料を取るという総報酬制、それから、医師にかかった被保険者本人から薬価の二分の一、頭打ち二千円、これを徴収するということを放棄したことになるわけであります。したがって、政府は、そういう二つの政策を実施することによって、厚生保険特別会計の中の現行勘定で保険料収入二千六百二十七億円を予定しておったわけです。しかし、両制度を放棄して、今度新しく社会保険審議会から答申が出ました保険料率を千分の六十三から千分の七十に引き上げていく、それから、標準報酬を、五万二千円頭打ちを十万四千円に切りかえるという政策をたとえば一月と二月取り得たとしても、これは実質的にはもう取り得ない客観情勢は明らかですが、一応取り得たとしても、これはさいぜん主計局長が御説明になったように、二千二百億ちょっとしか取れないわけです。そうしますと、厚生保険特別会計の歳入面に約四百億円程度の穴があくことになるわけです。同時に、歳出においてもこれは変動がくるわけです。ただ、その歳出における変動は、保険給付費が当初予算で二千八百四十三億程度でございましたが、これがいまの見通しでは二千七百億程度になるのじゃないか。したがって、歳出面については、非常に引き締めをやったために受診率その他が減って、幾分減る可能性がある。したがって、歳出面では、あるいは歳出面に大きな四百億円の欠陥があっても、この保険は何とかやっていける可能性はあるかもしれないけれども、これも非常に不確定です。しかし、歳出面における数字が変わったことは明らかです。このように大きな政策の転換のために、厚生保険特別会計の現行勘定の中に歳入歳出ともに大きな変動が起こってきているわけです。したがって、私たちとしては、これを組みかえて新しい政策のもとに当然補正をやるんですから、やって出しかえてくるべきであるというのが私の主張なんです。これに対して、一体大蔵省はどう対処するつもりなのか、さいぜんの答弁では満足ができないわけですが、ここにひとつ明らかにしておいていただたきいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 厚生保険特別会計の健康勘定につきましては、歳入の面において当初予算で見込んだものに異動を生じます。お話のとおりであります。歳出の面では、既定の歳出の権限の範囲内で処理できますので、この際補正をいたしませんでした次第であります。  なお、別途その事情を記述したものを、資料として当委員会に配付することにいたしたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いまの歳出権の範囲について異動がないからということでございますが、実はわれわれ国会は、なるほど歳入というのはこれは予定ですけれども、歳入と歳出を一緒に審議をしているわけです。歳出だけ変わらなければ、もはや国会は何も言う権限はないんだということになりますと、国会の審議というものは非常に制限を受けることになるわけです。こういう点については、われわれとしてはどうも納得がいかないわけです。  そこで、もう一つ政府にお尋ねをしておきたいのは、もし歳出に変動が起こる。いまの歳出権の範囲内でならば、これは支払いの遅延その他が起こりません。しかし、それを越えた場合には、支払いの遅延が起こってくることになるわけです。したがって、政府はいまの言明に基づいて、健康勘定において歳出が増加をして、支払いの遅延その他が起こるような事態は絶対起こさせません、そういう場合には借り入れ金その他において処理をする——借り入れ金をふやせば、それに対する利子の補給を増加させなければならぬという問題が出てくるわけです。ところが、利子はこの保険では十六億しか組まれていないのです。したがって、借り入れ金をふやすというわけにはいかないということになる。これは歳出に異動が生ずる。そうすると、結論はどこに落ち着くかというと、一切政府は国庫余裕金によってこれを泳いで、歳出に影響を与えないという言明が、ここにない限りにおいては、いまの論理というものは納得することはできないわけです。それは、そういう国庫余裕金で全部泳いでまいります。心配は要りません、こういうことに了承して差しつかえないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 この会計の運営に支障を生ぜしめることはありません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 支障を来たすことはないと言っても、来たさない具体的な名案を示してもらわないと困る、いま私は案を出しておるわけです。この厚生保険特別会計は借り入れ金によるか、国庫余裕金による以外にないのですよ。そうすると、借り入れ金をふやせば歳出に異動が生じてくる、なぜならば利子をふやさなければならぬ。したがって、国庫余裕金で全責任を持ってまかなっていくという言明をしない限りにおいては……

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国庫余裕金でまかなってまいります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならば、国庫余裕金でまかなうという言明が出ましたので、厚生大臣はおらぬですが、厚生大臣は安心をしてひとつしっかりやってもらいたいです。  同時に、いまの厚生保険特別会計における政策の変更については、それを予算説明の補足として全議員にひとつ配付をしてもらいたいと思うのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 全議員ですか。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 全議員にこれは配付しておりますから。当委員会でない、全議員に予算の説明を配付しているのです。もう一度はっきりしておいてください。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 全議員に配付いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それでは、全代議士に配付することになりました。  次は、この点はなかなか納得のできないところですが、さきの通常国会において、厚生年金法の一部を改正する法律が提案をせられた当時において、われわれは、この一万円年金の中には多くの疑問点があり、しかも企業年金というものも含んでおるので、当時の通常国会を通すわけにはまいらぬという強い主張をいたしました。当時大蔵省は、この厚生年金法の一部を改正する法律の中に千分の三十五の料率を千分の五十八に上げることによって、三千二百六十億の財投資金が出てくることになったわけです。それを上げないと、月に八十億ずつの欠陥が財投に出てくる。したがって、ぜひこれは通さなければならぬというのが当時の田中大蔵大臣の強い要望であったわけです。それほどまでに政府が言うのであれば、われわれはその政府の意向をくもう、しかし、二つ大きなわれわれの主張をのんでもらいたい、その一つは、企業年金については、これは労働組合が直ちに受け入れ体制をつくるためには相当の準備が要るので、この部分については政令で措置するようにして、施行と同時にやることにしてもらいたくない、よろしいと、こうなった。これは参議院で最終的にきまりました。いま一つは、国庫負担の一割五分というのがそのままになっておる。この一割五分を二割に上げてもらわなければ困る、上げましょうということになった。国庫負担の一割五分を二割にするように引き上げますとどういうことになるかというと、千分の五十八の保険料率は千分の五十五に下げていいことになる。それで計算が合う。そこで五十五に下げた。そうして三の目減りはございましたけれども、財投としては三千億をこえる財源を確保するということになったわけです。そうして、いわば今年の一兆何がしの財投は順当に動くことになったわけです。そこで私たちは、当然政府は一割五分を二割に修正した——一割五分では予算額は幾らかというと五十六億円、そこで二割に修正すれば、その五分の分の差額の約二十億程度の金が、ここに当然に補正の機会に入ってくるという了解をしておったわけです。これはほんとうは六月に同時に予算修正をしなければならぬ部面です。ところが、そこはやはり社会党もおとなですから、よろしい、そのくらいのことは大乗的な見地から譲ろうと、譲ったわけです。ところが、今度の補正になったら——前の臨時国会でもぺん補正を出しましたよ。そしてそれが流れて、また今度、二度出した。二度ともそれをいじってないのです。他の特別会計はみんないじっているのですよ。しかし、それだけはいじっていない修正をしてこない。補正をされていない。なるほど、金が足らぬようになったらその分を補正しますと言うけれども、この会計は一兆円の積み立て金を持っているのですよ。金は足らなくならないのです。いま言ったように三千億円もの保険料が集まるのですから、そんな給付は一挙にはないのです。はるかかなたの、三十年、四十年先になったらばく大な給付が出ますが、いまはうんと積み立て金が出ておる。一兆円をこえていますよ、積み立て金は。これは足らなくはならないのですよ。だから、足らなくなったら、約束どおり、主計局長の答弁のように、次の当初予算の改定のときに入れますということでは、これは足らなくならないのです。だから、私としては、これは直ちに入れていただきたい。筋なんですよ。国会が意思を決定をして、入れることになっておるときに、会計が足らなくなったら入れますという論理はないわけです。これはちょっと前のようには簡単に、よろしゅうございますと、こうは言えないのですね。もう意思が確定をしておるから。だから、私がいわば勘ぐれば、政府は予算のやりくりに困って、これはちょうど十五億から二十億——十七、八億だから、韓国に二カ月十八億回さなければならなかったからこれを削ったのだろうと、痛くない佐藤さん腹なり、あなたの腹なり、外務大臣の腹を探らなければならぬことになる。しかし、まあ、おそらくそういうことはないだろう、わずか十八億かそのくらいでそれならば、この際政府は、大乗的見地に立ってこれを入れるべきなんです。どうですか、大蔵大臣。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまお話しの国庫負担の増加につきましては、厚生保険特別会計に一般会計から繰り入れるのですが、四十一年度の当初予算で処理するという考え方をとっておるのでありますが、お話もありますので、もしそれまでの間に同特別会計の運営に支障が生ずるときは、予備費の状況をも勘案いたしまして善処をする、そういう考えでございます。何とぞ御了承のほどお願いいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 四十一年度の当初予算で善処をする、しかし、その間にどうしても金が足らぬで必要ならば予備費でみていくと言う。いま申しますように、この会計はたくさんの金を持っておるので、予備費でやってもらわなくていいのです。保険料がたくさん入るのですから。ただ、その紳士的な約束をした、政治家同士の約束した政治的な問題をやらないというのがいけないのですよ。日韓のような問題は、十八億円はたちどころにおやりになった。ところが六月に国会の意思を決定しておるのをやらないということがいけないと言うのですよ。私はその政治的な取り扱いの不均衡、不平等というものについては了承できないと言うのですよ。だから、いまのような大臣の答弁では、残念ながら私としては了承はできません。そこで、これは非常に重要な問題です。これは簡単にそういける問題じゃないですよ。議決をしておったものを、政府が予算に計上しないというようなばかなことはない。そんなら日韓もはずしなさい。来年度の当初予算でやったらいい。ところが、日韓の十八億は間髪を入れずにやっておるのですよ。そういう不公平なやり方があってはいけない。だから、したがって、私はこの問題については党と党と話し合ってもらいたい。これは非常に重要な問題だから、これは一滝井義高が質疑応答の中で「よろしい」と言うわけにはまいらぬ。したがって、党と党と話し合って、そしてひとつ納得のいくような形で処理をしていただきたい。これは私の希望です。私個人としてはいまの御答弁では論理的にも政治的にも簡単にが納得できない。こういうことです。

赤澤正道自由民主党

○赤澤委員長代理 次に、中井徳次郎君。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 社会党を代表しての質問は私の前に八名済みまして、私はしんがりだろうと思うのであります。いろいろ熱心な討議もあって、したがって、できるだけ私は前の八名の討論を聞いておりましたから、重複を避けまして、おもに地方財政と国家財政との関連についてお尋ねをしたいと思いまするが、それに入ります前に、実は昨年のちょうどいまごろの臨時国会、あるいはその前の国会で、私が佐藤総理、当時の田中大蔵大臣、さらにまた前内閣時代の池田総理にお尋ねをして、そうして、それを契機として動き出したこともあるし、また一向そのままになっておる問題等もありまするので、これを一、二点お尋ねいたしたいと思うのであります。  まず最初に日ソ関係につきまして、最近ソ連と日本との経済交流が従来に比べますとたいへん活発になってまいっております。そのことにつきまして、現状について、あるいは去年、おととしからことしにかけてどのような変化になっておりますか、通産大臣三木さんに概括をお尋ねいたしたいと思います。

三木武夫自由民主党通商産業大臣

○三木国務大臣 ただいまソ連からスパンダリアン氏が見えて、貿易の折衝をやっておる次第であります。これは、五カ年程度の長期的な貿易協定を結びたい、こういうことで交渉を始めておるわけでございますが、日ソの貿易は、最近、一九六〇年から六四年の四カ年に二・七倍貿易がふえております。昨年度の通関ベースで往復四億ドルをこえた程度の貿易量になっております。おそらく今年度は五億ドル近くなる。非常に顕著な拡大の方向にあるわけでございます。ことにシベリア開発という問題が起こっておるわけであります。日本は地理的にも非常に近いし、またソ連自身が極東地域には相当な資源を持っておるわけでございますから、この開発に日本は協力をしたい、そういうことになってくると、これはさらに日ソ間の貿易拡大にも影響を持ってくることになる。シベリア開発に関しては、具体的にどのように日本に協力してもらいたいかということは、ソ連の五カ年計画などとにらみ合わして、具体的な提案はまだ行なわれておらないわけであります。しかし、これは日本が協力していいシベリア開発、こういうことでありますので、これもまたプラスの貿易拡大の要件にはなる。現在はそういうものを除いても、日ソ間の貿易は非常に顕著な伸びを示しておる。これを拡大して、その貿易を安定的な拡大に持っていきたいというのが、貿易交渉に臨むわが国の政府の態度でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そういたしますと、ここ二、三年非常な勢いで伸びておるが、しかしながら、シベリア開発等については、まだまだ具体的なところまでには至っておらぬ。日本から、私どものほうからも行っておりますし、財界代表等もこのごろは向こうによく行っておるようでありますが、まあ現状においては向こうも非常に熱心である、こういうふうに了解いたしておきます。  それと関連をいたしまして、去年わが党の成田書記長が団長になりましてソ連に参りましたときに、日ソ航空の問題がありました。このことにつきましては、もちろん政府にもその後正式な相談等々もございまして、いまシベリア上空を飛ぶという問題については、ほとんど協定の仮調印ができたかに承るのですが、中村さん、どうですか、運輸大臣、いままでの経過等を伺いたいと思います。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 日ソ航空の航空協定は、ことしの十月七日から東京で、両代表の間で交渉を進めてまいったのでございます。ようやく妥結の機運になりまして、両代表問におきまして、近く年内を目途といたしておりますが、合意文書に仮調印を行なうという予定になっております。合意文書の内容は、骨子を申しますと、大体首都間相互乗り入れの原則に基づく本協定を締結いたしますが、当面シベリア上空が開放されませんので、日本航空とアエロフロートが対等の立場で、共同してソ連機をチャーターいたしまして、日ソ間の直通航空業務の運営に当たるという方式でございます。  それから、シベリア上空開放の時期につきましては、二年以内の開放をぜひという日本側の希望をソ連側が了承いたしまして、シベリア上空開放後は、直ちに日本人乗員でモスクワに乗り入れることができるというような内容でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 いまお話によりますと、たいへんこれはソ連側も積極的でありまして、いまだかつて開放したことのないシベリアの上空を、二年以内に日本の飛行機に開放する、こういうことであります。調印は私はもう済んでいるのではないかと思っておったのですが、まだ仮調印ですか、それは年内にやることは確実ですか、もう一度その点……。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 仮調印は年内にやりたいということで、ソ連代表がソ連政府に最終的な請訓を仰いでおるようでありますが、その返事が近く来るという大体予定でございます。そういう状況であります。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 ちょっとまだ怪しいところがあるんだな。  こういうふうに、非常にソ連圏あるいは中国圏とわれわれとのこういう交渉というものは、これまでの例によりますと、非常に長時間かかっておる、しかるに、今度はこのソ連上空を通過というふうな問題にまで積極的になっておる。しかるに、自民党政府の皆さんにおかれては、これまで非常に親しいいわゆる日米間の航空協定の関係が、どうしたことか、サンフランシスコあるいはロスから東のほうにはさっぱり延びない。これはどういうことなんですか。私は、日本のいまのたてまえからいって、ソ連さえこういうことである、そうして、そのことによってわれわれはシベリア上空を飛んでいきますというと、現在のルートよりも非常に距離は近いし、しかも料金がすこぶる安い、こういうことであります。それだのに、東のほうはどうなんですか。安保条約を結んでおるアメリカさんのほうは、何か文句をつけて、一向まだ日本の飛行機による世界一周なんということができない。アメリカがぐずぐず言ってできない。この事情はどうなんです。中村さん。どうも私どもすなおにすっと考えて、私は航空問題はしろうとですよ、しろうとですが、どうもおかしいなと思う。どういうことなんですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 アメリカとの航空協定の改定は、ソ連の場合よりも非常にいろいろ複雑でございまして、時間をとっておるのでございますが、大体両国の間に交渉は大詰めに来ておるという状態でございまして、これもそう遠くない機会に日本の意思が通りまして、交渉が妥結するようなことになるものという見通しを持っておる段階でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 何が複雑なのですか。複雑な事情を話してください。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 複雑ということばは、お聞きになって疑問を持たれたかと思いますが、そういうことではございませず、こちらから要求しております要求が、向こうでは相当大きな要求だというふうに解しておるということでございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 どうも私は、やはりそういう利害関係の問題になってくると、アメリカは皆さんが考えている以上に非常にシビアーだということだと思うのですよ。こんなことでのんびりとやってもらっては困ります。もっとしっかり私はやってもらいたい。  このソ連との関連で、去年私は、佐藤さんでしたですか、領事館を相互に置くという問題について、平和条約、友好条約ですか、結ばれましたときに、鳩山さんが行っての調印なり、条約の中にそういうことがあるので、積極的にあなたがやろう、こういうことです。その後何か二、三回会合を開かれているようでございますが、その経過並びに現在どういう程度にまで来ているか、どこでひっかかっておるか、それをひとつ総理から簡単に伺いたい。あなたが約束したことですからね。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 外務大臣から説明をいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 お答え申し上げます。今年の七月の上旬から領事条約の折衝に入りまして、その後きわめて順調に話が進んでおりまして、年を越しますけれども、春早々にこの問題も正式調印の運びに至るものと考えております。それで、領事館をどこに設置するかという問題は、条約が発効いたしました後にあらためて折衝したいと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 大体新潟と大阪、向こうはナホトカ、ハバロフスク、そういうふうに了解してよろしいですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 その点は、ただいま明確にお答えする段階に達しておりませんけれども、大体それに近いものと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 ちょっと語尾がわからぬのだ。大体そういうふうになるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 見当をつけられたところが近いだろうと思いますが、まだはっきりしたことは申し上げられない。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そこで、きょうの新聞を見ますと、大使の中川君が昨日ソ連の首相と会いまして、そうしてあなた方の訪ソの問題について向こうと意見の交換をしているようであります。この間からこの委員会で椎名さんが、来年ソ連へ行くのかと言ったら、わかりませんというようなことを言って、あなたは返事をしておりますし、総理もまだわからぬ。きょうの新聞を見ると、総理はできれば来年下半期、後半期を望んでいるというふうな記事でありますし、私はこういうことで来年行きたいと思っておる、しかし事情によっては行けぬかもしれぬというふうにさっと答えられたほうがいい。行けるか行けぬかわかりませんというふうなことでは、国会の議論として私聞いておりまして、非常に不愉快だったのです。何か外交上の秘密ということはわかります。わかりますが、こんなことは別に秘密でもなんでもないのですからね。行かなかったら行かなかっただけの話で、それでどうだというふうなことではない。何か皆さんの外交問題に対するかまえ方が怯懦で、失礼だけれども、積極性がないというか、あつものにこりてなますを吹くというか、そういう感じがする。戦争に負けたのだから、十年ばかりはそうであったほうがいいかもしれぬが、もうだめです。そんなことではいかぬと思う。大いに来年行きたい、行きたいが、予算の都合やらいろいろな都合で行けなくなるかもしれぬというのじゃないのですか、どうですか、椎名さん。これはもう一ぺん確かめておきます。先ほどから経済交流の話、三木さんの話を聞いたら、たいへん積極的である。中村さんの話でも、もう般空協定の仮調印はことしじゅうに済むと言う。椎名さん、あなたが行って本調印をしてくるのでしょう。行くか行かぬかわからぬというような、そんな返事をすべきではないと私は思う。どうです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 少し遠慮をして話しておるのかもしれませんが、とにかく向こうと日取りを打ち合わせておりまして、まだ返事が参っておりませんものですから——そういう意味で大体御推察がつくと思います。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そういうふうに言ってくれるといい。行きたいので交渉しておるが、向こうから返事がない、こう言えばみんなよくわかる。今後ひとつそういうふうに願いたい。椎名さんも相当とぼける答弁をするのだけれども、きょうはいいですよ。わかりました。  それからもう一つ、これまたちょっと変わったことだけれども、先ほど申したような懸案事項でありますので、私は伺いますが、去年の春でしたか、夏でしたか、私は日本銀行の資本金のことを尋ねました。資本金は幾らだと言ったら、一億円だと言って、みんな満場の人が笑いました。事実一億円なんです。そういうものでいいのかどうかという問答をいたしまして、当時の山際日銀総裁も、このことについては十分研究をしてくるという返事でありました。その後何か研究をしておったようでありますが、その結果をひとつわかっておれば聞かしていただきたい。どういうことになりましたか。私の聞くところによれば、資本金などは問題でないのだ、それもそうかもしれませんが、それならば、いまの一億円の資本金をやめちゃったらどうか。何かその辺のところを片をつける必要はありませぬか。こう思います。率直に言ってそう思いますので、大蔵大臣の意見を伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 日本銀行の資本金が今日一億円だというのは、これは非常におかしいようなかっこうになっているわけです。日本銀行につきましては、日本銀行法全体につきまして、いずれ本国会に改正案を提案するということに相なるだろうと思うのですが、ただいまどういうふうにいたしますか、検討いたしておる過程でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 何か一案ができておるようなんです。あなたは検討しておると言うが。これと関連して、日本国有鉄道の資本金だ、これは幾らですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 日本国有鉄道の資本金は、名目的には大体八十九億円となっておりますが、再評価いたしますと、大体一兆三千億円ぐらいになるものと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 中村さん、どうも公社の会計を御存じない。再評価といって何を再評価するのですか。資本金ですよ。どうなんです。再評価といって、国鉄の財産を再評価したら三兆も四兆もあるだろう。どうだ。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 誤解しておりました。大体名目的には八十九億円となっております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 総理、聞かれたですか、あなたが総理大臣になられてから景気がぐっと悪くなって、今度不況を克服するのが私の大きな政治的な目的である、こう言うのですが、こういうものからやはり私は手をつけて、目をつけてやってもらいたい。何か目先のことで、今度の補正予算を見ますと、二千五百九十億かの赤字公債だというのですが、何か足らぬからちょっと公債だ、ほんとうに足りるか足らぬか。さっきの滝井君の話の逆になりますが、収入の見通しですから、大蔵官僚の諸君が計算して二千五百九十億足らぬと称しておるのですが、実際そうなるかどうか、三月三十一日にならぬとわからぬ。そういうようなものだけを何かあわてて現場をいじるというかっこうで、どうも終戦後の予算は、敗戦後の立ち上がりの影響があり、それから池田さんの、自分だけが一人かってによくわかっておるというふうな思い上がり的な思想もなかったわけではない。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕  加えて、何か場当たりですね、ここ四、五年。ことに田中大蔵大臣になってからは非常にそういう傾向が強くて、長期的な観点でものごとをとらえていかない。その場だけよかったらいい。金が足らなかったら貸してやろうかという。国有鉄道といって国が持っておると書いておるが、八十九億円しか国は出しておらぬと言う。あとは貸しておると言うんでしょう。大蔵省預金部に借りる前に、銀行で借りたって、利子がもつともし安ければそれでもいいわけでして、ちっとも国有でも何でもない。こういうものこそやはり思い切って資本金として出したらどうですか。当分の間資本金として出したらいい。そうして、一応の整理がついてバランスもとれるようになったら、配当したらどうです。それまでしんぼうする。そんな何でも貸してやるといっても、終戦後は利子は高いのです。そういうことをいつまでやっておりましても、なかなか不況の根本的な解決にはならぬと私は思う。奇矯なことを聞くようですが、私が日本銀行の資本金が幾らですかとか、国鉄の何だとか言っても、奇矯ではありません。インフレに応じてといっても、戦後のインフレですよ、戦後のあの猛烈なインフレに応じた対策がまだなされていない。そのままずっときておるという。そこで、非常に公社などは弾力的な運営ができなくなっておる。いまかりに政府が三千億資本金を出してごらんなさい。これで貸し付け金のほうは、六分の利子にして百八十億違いますよ。五年間ぐらいそれでしんぼうするというふうなものの考え方をもうする時期に来ておるのじゃないか。こういう話をしますと、大蔵省預金部にそんな余裕はないとか、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うということだけであって、ちっとも本質的なものではない、これを私は特に申し上げておきます。  次に、時間を考える必要はない、十分に慎重に審議をするということになってはおりますが、私もその辺のところは勘案をしながら、最後でありますからはしょりまして、はなはだどうも残念ですが、次に移ります。  今度の補正予算の歳入の面をちょっと見ますと、罰金というのがありますね。どうも罰金を補正予算で実に八十二億という。たいへんな額だと私は思うのですが、この内訳はどうですか。どうもいよいよここまで追い込まれて罰金に目をつけた。ところが、自動車事故や何かが多いので、急にふえて八十二億あった。それ書いてくれ、こういうことですかね。どうです。この八十二億について伺いたい。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 罰金の内訳とおっしゃいますが、大体において交通違反や何かのようなものがふえているのが内容であるというふうに聞いておりますが、もし必要とあらば、主管の法務省のほうからお答え申し上げます。

勝尾鐐三検事(大臣官房経理部長)

○勝尾政府委員 お答えいたします。  罰金の総額のうち、道路交通取締法違反、すなわち、自動車等の違反による罰金額が総額のおおむね八〇%でございます。罰金は、本年度に入りましてから、四月からここの九月までの間に百二十五億四千百三十六万七千円の実績が出ております。  件数にいたしますと、道路交通取締法違反の件数が二百五十万件でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 金額……。

勝尾鐐三検事(大臣官房経理部長)

○勝尾政府委員 金額は百二十五億四千百三十六万七千円でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 当初予算に計上したのは幾らですか。

勝尾鐐三検事(大臣官房経理部長)

○勝尾政府委員 当初予算は百六十七億八千九百八十三万四千円でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そういたしますと、罰金だけで二百五十億という。これはどういうことでしょうか。物価騰貴、とうとう罰金に至るという、どうもちょっと驚きました。  道路交通の問題について、こういうことについて警察庁、永山さん、どういう御感想ですか。この二百五十億円の罰金……。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 いま建設省と相談いたしまして、道路の安全保障に関する整備を十分にいたしたいと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そんな抽象的な返事をしても実はものの役には立ちません。こういう問題につきましては、おざなりではなく、もつと積極的なものの考え方をしてもらいたいと思います。  それから、もう一つ歳入の点で伺いたいが、これは大蔵大臣、専売益金が今度の補正予算で追加をされております。しかるにまた、税金のほうを見ますと、酒税がだいぶ減収になっておる。私ども国民の側から考えますというと、たばこの税金が増収になって、酒の税金が減収になる、これはちょっとわかりかねるのです。どういう理由でありますか、伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これまでの実績の傾向を見てみますと、酒のほうは減る傾向です。ビールなんかもそうであります。ただ、専売益金のほうは、多少増収が見込み得る傾向の実績でありますので、さような歳入を計上する、こういうことにいたした次第です。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 実績主義だとおっしゃるが、現実はどうですか。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村政府委員 たばこは、最近いろいろと嗜好が変わってまいりまして、御承知のようなあのフィルターつきのタバコが非常に好まれるようになり、しかも内容的にはわりと高級品、まあ中級品より上のほうが好まれるようになりましたので、その傾向がおかげさまで続いておりますのと、一方また、たばこは全体的に見てわりとずっと値上げがなくて続いております関係もあり、消費の趨勢は、われわれが見込んでおりましたよりも、ただいま大蔵大臣が申しましたとおり、わりあいと順調にいっております。そこで、当初予定いたしておりました分よりも三十億この際増収が見込めると判断いたした次第であります。

塩崎潤大蔵事務官(主税局長)

○塩崎政府委員 お答え申し上げます。  酒税につきましては、本年度の経済見通し等に基づきまして、特にビールにつきましては一六%の蔵出し増を見込んでおったのでございますが、現実は、景気の影響と、さらにまた夏場の天候不良によりまして、現在までの実績は、大体前年の横ばいでございます。したがいまして、ビールが約三百億ばかりの減収になる見込みでございますが、その他五十億ばかり増収がございますので、酒税につきまして差し引き二百五十億円ばかりの減収が生ずる見込みでございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 酒につきましては、酒税の取り方を少し変えたんじゃございませんか、徴収方法を。

塩崎潤大蔵事務官(主税局長)

○塩崎政府委員 酒税法につきましては、三十七年に税率等の改正がございましたが、その後改正はございませんので、徴収方法の改正はないと考えております。ただ、本年三月の歳入不足に対しまして、間接税全般につきまして、繰越しておりましたものを繰り上げて調定いたしたということはございますが、これは政令の改正によりまして、間接税全般につきましてどういうふうに歳入調定をすべきか、いままではそれを翌年度に繰り越しましたものを本年度に繰り上げて調定した、こういうことでございます。これは、徴収方法の改正とは関係はございません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 この点は、私は、先ほどビールがことしは夏場が涼しかったので減収になったということはわかりまするが、しかしながら、先ほどもお話があったように、ことしの三月の取り方が多少変わっておるということ、それから、先ほどもたばこが上等品が売れるようになったと言っておりまするが、酒も同じような傾向にあるということ、それから、世界各国どこでも酒が急に売れなくなってたばこがうんと伸びたなんていう例はございません。以上のようなことを考えますると、酒の減収ということは一応わかるが、たばこは実はもっともっと増収すべきものを、ことしの当初予算において、専売公社の予算におきましてかなり甘い計上をしておる。こういうことが、この不景気にもかかわらず専売益金だけは実績として入る、こういうふうに私は考えざるを得ないと思うのであります。この辺のところのことを私はきょうは具体的に何がどうだとは言いません。しかしながら、同じ嗜好品であります酒、たばこ、ことに最近は肺ガンだ何だと言いまして、むしろたばこをやめるということがはやっておまするが、酒についてはそんなことはございませんので、この辺のところは、まあ私の意見として、ちょっと皮肉かもしれませんが、申し上げておきたいと思うのであります。  次にお尋ねをいたしますが、歳入減が二千五百九十億ある、こう言うんですが、ことしは、それはいつの実績を基本にしてはじき出されたのか。もう一つ、これは大蔵大臣の見込みですが、歳入減はこれからまだふえるのか、あるいは幾ら歳入減になってもとにかくこの程度にはとどまるのか。その辺のところをお聞かせをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 法人税につきましては、九月期の決算を基準といたしまして今後の見積もりをいたしております。それからその他の税につきましては、ただいまもお話がありましたように、最近までの実績を見て今後を推定いたしておるわけであります。今回だいぶ間違いをして申しわけなかったのですが、今度の見通しにつきましては、狂いのないということにつきまして細心の注意を払っていますから、まあこの程度でいくだろうと思っております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 これは、またあとに結論的に申し上げるときに触れますから次に移りまするが、公債発行の条件であります。六分五厘ですか、六分五厘の九十八円五十銭、こういう条件、これはたいへん甘いように思うのですが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまお話しのように、表面金利を六分五厘、発行価格を九十八円六十銭、償還期間を七年、こういうふうにいたしております。そうしますと、応募者利回りが六分七厘九毛五糸、こういうことになるわけであります。政府保証債をこれで大体三厘方下回るわけであります。まあ政府保証債といいますと、これは国債に準ずるような価値のあるものでありますが、それから三厘下回るというのでありまするから、相当低目にはなっておるわけであります。まあ一般の常識といいますかでは六分九厘だ、こういうふうな見方もあるわけでありまするが、私は、国の財政というようなものを考えてなるべくこれは低目にきめたい。ずいぶん努力に努力をして、まあ国の立場も節約をするという立場が貫かれる。また同時に、そういう利回りをもって市中消化が完全にできるというその一線に求めたわけでありまして、私の考えでは、利回りは一般の利回りよりは相当安いし、また常識的に流布されておったものよりも一厘方引き下げておる。まあ消化もできるし、国会にも説明ができる程度である、かように考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 これは、シンジケート団の組織はどういうメンバーですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 都市銀行、長期信用銀行が十六行、それから地方銀行が五行です。信託銀行が一行、証券会社が四社、それから相互銀行が一行、それから信用金庫が一金庫、生命保険会社が一社、それに農林中央金庫、三十の機関をもってシンジケートのメンバーとしております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 証券会社四社の内訳を言ってください。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 野村、山一、大和、日興(「山一はそんな能力はないじゃないか」と呼ぶ者あり)その四社でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 いまもうしろで言っておりますように、四大証券、四大証券といいますけれども、この際は、私はやはり山一のようなものは二、三年は抜いておくのが政治の常識ではないかと思います。それを私は強く要求をいたしておく。  それから、あなたは先ほどからまあまあと言いますが、この金利の問題ですが、あなたは最初六分を主張しておられたように私は聞いておる。大体日本が国債を発行いたします昭和の初期から、そんな六分以上の国債なんてありやしません。そうでしょう。過去の実績はどうでございますか。大正から昭和にかけての国債の利率をちょっと聞かしていただきたい。したがいまして、ことしは六分五厘、しかし、もう来年からも同じようになるなんというふうな、そういう甘いムードを流さないように、これはまた要望をいたしておく。  さらに、こんないい条件でありましたら——あなた方は何か市場に出しても、引き受けることについて、消化についてたいへん心配しておるようだ。この間堀君の質問に対する答弁を聞きますると、一般公募一〇%ですか、あと九〇%はこのシンジケートその他で、堅実に考えて、日銀引き受けはないけれども、まあこういうものでやると言うが、このシンジケートの諸君はすぐ担保であちこち持って回るわけですから、これは、ほんとうのことを言えば一般の一〇%をふやすべきだと思うのです。そういうものと関連しまして、大正、昭和にわたりましての国債の利率、そういうものを一応聞かしていただきたい。

中尾博之大蔵事務官(理財局長)

○中尾政府委員 国債はしばらく発行いたしておらないわけであります。昭和の初期の例を申し上げますと、昭和八年ごろが表面金利が四分でございます。応募者利回りはやはり四分一厘二毛といったような水準でございます。その後一時表面金利は三分五厘に下がっております。戦後は今回が初めてでございますが、昭和二十年以後特殊な公債が若干出ておりまするし、それから借りかえ債が出ておるのでございます。それで、昭和二十年ごろには三分三厘でございますが、四分、五分、五分五厘、最近は五分五厘、応募者利回りで六分四厘ということになっております。しかし、これは全然流通はいたしておりません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 とにかく皆さんが赤字公債はことしきり出さぬ。しかし、建設公債は出すというようなことなんだが、その建設公債は、来年は七千億と聞きまするが、これは利子だけでどうなるのです。もう初年度から六七、四十二、ちょっと五百億ぐらいの利子がかかってくる。私は、こういうものを安易に考えていかれること、特に金融業者その他の皆さんの言うままになって、彼らは七分と言い、こっちは六分と言う。手を打ってそれじゃ六分五厘だ、こういうようなことで戦後初めての国債を発行するということについては非常に不満であります。こういう交渉についてはもっと政府当局は熱意を持って、もっと猛烈な勢いでやってもらわなければいかぬ。この間ちょっと金を出した山一にまで引き受けさすというふうな、そういう甘い考えが私はこういう問題の条件などにも出てきておると思います。この点だけからでも、私どもは今回の公債の発行なんかについては賛成するわけにはいかないわけです。  これはまたあとで触れますから、ちょっとその前に、地方財政との関連もありまするので、伺いたいが、今度の予算でも義務教育の国庫負担の不足分が計上されておるわけであります。それに関連をいたしまして文部大臣にこの際お尋ねをいたしたいのでありまするが、終戦後二十年間、地方自治体は教育の関係につきましては実際言うに言われぬ苦労をいたしております。そういたしまして、自分のほうで財源がないものですから、これをPTAに押しつけたりあるいは父兄の負担にいたしたりしておるわけであります。しかも憲法には、義務教育費は全額国が持つというふうなことをうたっておる。これは、教育の直接の内容であるという議論もありますが、いずれにいたしましても、非常にこの問題は陰気で、陰にこもって複雑であるわけです。しかもきわめて重要で、絶対この問題は何とかしなくちゃいかぬ問題だということであります。それで歴代の文部大臣におかれても、それは努力をされておるようではありまするけれども、私の調べたところによりますと、まだまだ不十分。そこで、児童一人当たり大体一年間どれだけ父兄が負担をしておるのか、おわかりであれば御発表が賜わりたいのであります。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 お答えいたします。  ただいま手元に一人当たりの計数は持ち合わせておりませんが、三十八年度の調査によりますと、父兄負担が大体百七十七億円ぐらいに相なっております。これは、当然父兄の負担すべき学校給食等もございますが、内容はいろいろ複雑になっておると思っております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 どうも中村さんのお話はよくわからぬが、私の資料では、小学校で直接負担しておるものが大体六千円、間接費を入れると一万円、中学校では一万五千円というふうな数字が出ておる。それから、これはまた別の観点からいたしまして、当然地方自流体が出すべきもので出しておらぬ、それでPTAがこれを負担しておる、そういうものもたいへん多額になっておりまするが、幾らぐらいですか。それ、わかりますか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 こまかい点は事務当局からお答えさせます。

齋藤正文部事務官(初等中等教育局長)

○齋藤政府委員 教職員の給与あるいは補助職員の給与費、教授費、あるいは施設の維持管理等ので、先ほど大臣がお答えいたしましたPTA等の負担が、三十八年度の調査で百七十七億となっております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 たいへん多額な金額でございますが、こういうことについて将来どういうふうな方針をお持ちでありますか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 父兄負担の軽減につきましては、極力努力を今日も続けておるわけでございます。したがって、そういう中には教科書の無償給与あるいは学校給食の実施、また、その中では要保護世帯、準要保護世帯等に対しての無償の学校給食あるいは就学奨励、こういうようなことを進めておりますが、なお、この父兄負担の最も本質的に重要な点は、学校の教材費の整備、こういうことにあると思います。したがいまして、来年度以降におきましてもこの教材費の整備、こういうことは少なくとも公費で負担を完全にするようにつとめなければならない、かように考えまして、その方向に向かって努力を進めてまいりたいと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 教材費の経費というのはなんですか、例の教科書の無償配付のことですか、どうですか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 教科書の無償配付とは別に、教育用の諸材料あるいは実験の道具、理科関係の設備、こういうようなものでございまして、これらも、学校によりましては公共の施設だけでは不十分で、父兄のPTAを通しての寄付などで購入している面も現在あるようでございますから、こういうものは、少なくとも公費で全部をまかなうという方向に進めてまいりたいと思っております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 教科書の問題はどうなっております。もう大体五カ年計画で来年が終わりじゃないかと思うのです。義務教育で来年は中学に入ると思うのですが、これは来年で全部片がつくのですか。大蔵大臣、どうです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 五カ年計画によりまして、それを基準としまして文部大臣からいま私どもの手元に要求を受けております。これは、本国会が終了いたしましてから、それをどう扱うかを相談するという段階でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 全部片をつけますね。いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 なかなか財政も困難なおりでありまするから、はっきりした答弁はここではできませんが、とにかく文部大臣とよく相談してきめたいと存じています。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 文部大臣、いまの大蔵大臣のような答弁であなたいいのですか。これは国会で約束しているのだ。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 私どもといたしましては、現在概算要求において予算要求をいたしておりますが、予算編成はこれからでございますので、予算編成段階におきまして財政当局と十分に相談をして、結論を得たいと思っております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 こだわるようですが、それでは大蔵大臣に伺うが、来年度の予算はことしの予算と規模においてどれぐらいふくれるのです。どれくらいのパーセンテージ……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 本年度の予算が前年度に比べまして一二・四%でしたかふえております。その伸び幅に比べますと相当大幅に増加すると思いますが、ただいままだ何%というふうに申し上げるまでに至っておりませんです。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 私は、不況からはい出すためにどうするか。ことしの五月には、あわててさがして予算を一割削った。それで二月ほどたって、あなたが大臣になって一月目に今度はまたふやそうというので、ことしの秋にはもう景気はようなるだろうなんと言って、秋になったら十二月ごろには何とかなると言う。いまだにちっとも何ともならない。しかし予算は、そういうふうに積極的にやるというのならば、あなたの言うように、やはり一割ないし一割五分の範囲内でふえるでしょう。そういう場合に、私が言いたいのは、基本的な、もうきまったような問題は、いまの文部省の義務教育の教科書なんか、こんなものは議論の余地がないと思いまするので、私は念のために尋ねたわけだ。どうですか。こんなことをどうなるかわからぬと言うなら、来年度の予算なんてふやさぬでいい。私はそう思う。こういうどうも場当たりのことが行なわれて、そうして、きちっときまったことがいつの間にかごまかされていくということは、私は国の信用のためにはなはだけしからぬことだと思います。ここ二、三年、予算の編成についてどうもそういう問題が出てまいりまするので、この点は強く私は大蔵大臣及び文部大臣に要求をいたしておきます。  それから、教育関係を申しましたから、一言、これはいつも言われることではありまするが、明日ですか、朝永君がノーベル賞をもらいましたので、この国会で表彰がある。前には湯川君がノーベル賞をもらう。たいへんけっこうなことでありまするが、かの二人は、その業績はいまから二十年ほど前の、あるいはそれよりももっと前の、湯川君のごときは昭和十二、三年の事績であります。しかも内容は、頭と紙と鉛筆というふうなことで、ようやくノーベル賞というふうなわけで国民全部が喜んでおるのですが、最近のいわゆる科学技術はそういうことではいけない。したがって、科学技術の振興というふうなことをやかましく言われておりまするけれども、現実には、たとえば大学の研究費などというものはまことに零細なものであるということを私は聞いておるのであります。いま一体、大学の理学部の教授一人当たり一年どれぐらいの研究費になっておるのか、文部大臣からその辺についての報告と将来の考え方を伺いたい。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 大学の特別研究は別といたしまして、一般研究費といたしましては、講座制あるいは学科目制というようにいろいろ部門が分かれております。そこで、この講座制で申しますると、一講座当たり約三百四十一万円というのが昭和四十年度の積算の計数でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 ちょっとわかりかねるが、それは総合大学、地方大学みんな含めてですか。どうです。

杉江清文部事務官(大学学術局長)

○杉江政府委員 総合大学ですが、講座制の実験講座につきまして、理工系ですが、一講座につきまして三百十四万円になっております。これは教授一、助教授一、助手二というのが一講座になっておりますが、その一講座当たりの教官研究費が三百十四万円、こうなっておるわけでございます。新制大学等におきましては、これは学科目制という組織をとっておりまして、そこにおいては、実験の学科目につきましは、これは教授一人につきまして六十万円、こういうことになっております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 講座一単位四人で三百十四万円、四つに割ると一人当たり八十万円、地方大学にいきますと、教授一人六十万円、月五万円、これでもう出張から材料の購入から何から全部やる。とってもこんなものでは私は足りるとは思いません。現に、一例ですが、電電公社あたりでは、見るに見かねて、もう使い古した弱電機器などを一年に一回か二回か払い下げをやる。たいへんな騒動で、大学教授の皆さんが、服まで着かえて、ラクビーの競技のように機械の取り合いをやる。札を先張ったやつが勝ちだというような、まことにどうも政治家として聞くにたえないようなことさえやって、熱心に研究をされておる。私は、このような数字をそのままにいたしておいては、幾ら文化国家だなんだと言ったって問題にならぬと思います。この点について、私は、大蔵大臣も新任だから、思い切った施策をひとつ考えるべきだと思う。ちょっと見解を伺っておく。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 一般研究費のほかに特別研究費というのもあるわけでありますが、科学技術の振興は、わが国としてはこれはもう非常に大事なことだと心得ておりますので、できる限り適正に考えていきたい、かように考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 できる限り適正とか、そういう抽象論でなく、具体的に、たとえば五カ年以内に六十万円を二百万円にするとか、三百十四万円を一千万円程度にするとか、そういう具体的なものが——何もいまここで返事をしろとは言わぬが、私は、やはり学者の意見というものは尊重されるべきものだと思う。こういうことに対するこれまでの日本の政治のやり方というものについて、この際大いに私は反省をしてやってもらいたい。適正にやります。予算全部一割増しなら、これも来年は六十六万円だというふうな形では処置にならぬ、こういう意味で申し上げておきます。  次に、本論に入りまして、地方財政の関係を二、三総合的にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  今回の補正予算を見ますと、地方交付税におきまして、所得税、酒税、法人税のいわゆる三税の減収による補てん分を、特別にそれは返さぬでよろしいというふうな形になり、さらにまた、三百億円ですか、借り入れ金を許すというふうな形になって、一応はなはだつじつまが合っておるようなことなんでありまするけれども、実際は、この国の予算と地方の予算との関係は、地方税は、税金ですから国会がきめてしまいます。交付税は、これもまた率を毎年ここできめてしまう。補助金、地元負担金というようなものもここで大体きまってしまう。したがいまして、交付税を、少し足りなくなったから今度それだけめんどう見ようというんですが、それじゃ地方税はどうなるかということになると、国税が減税になるごとく、地方税もちゃんと減税になるというふうなわけでありまして、どうも国の財政というものと地方財政との接点ということばを使って私は去年も質問を申し上げたが、この辺のところがちっとも明らかになっておらぬ。そこにすべての問題があるように思うのです。  昭和三十六年から下降状態に入りまして、地方財政は、ことしあたりはいわゆる富裕都市といわず、貧弱県といわず、軒並みに非常に困っておるわけであります。こういうものを、地方財政の全体の形の中から個々の問題をあげていくと、たとえば借り入れ金の問題等につきましても、これはいろいろ私は理屈があると思うのです。こういう問題は、人事院が勧告をいたしまして、そうして地方団体はそれに右へならえでありますから、右へならえの財源措置をする、その財源措置について政府はあとでめんどう見るというふうなことで、最初一年いったようにも思いますが、このごろは三百億というふうな、非常にこまかい数字まで計上しておりますし、とにかくあなた方の説明書の二ページの(2)の(ロ)を見ますと、その三百億の借り入れ金を返しますのに六カ年にわたって、どうもまことに詳細な規定をいたしておる。どうしてこういうことになるのか一国家財政と地方財政との関係の中で、どうしてこういう問題だけがこまかく出てくるのかということを、まず私は最初に大蔵大臣と永山さんから伺っておきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 中央財政、地方財政、これは一体として考えておるわけであります。もとより、一体と申しましても、地方の自治という問題につきましては、これは尊重しなければならぬが、しかしながら、財政を考える場合におきましては、中央財政が一体どうなんだ、地方財政が一体どうなんだ、国の予算は一般会計、特別会計、政府関係機関とありますが、地方財政におきましても公営企業もあります。さらに都道府県、市町村というふうに分かれておる。それを地方財政一体として大きく観察をいたしまして、それが国との関係が一体どうなんだろうかということから、まず中央、地方の問題というものが出発をいたすわけなのであります。そういうことで両者のバランスというものを考えておるわけでありますが、しかし、同時にこの二つの会計は非常に交錯をいたしておるわけであります。中央財政からは交付税を出す、こういう問題もある。また特定の事業につきましては補助金を出すという問題もあります。また政府の関係で、財政投融資を地方団体に回すということもあるわけであります。非常に深い関係でつながっておる両会計でありますので、これを一体的にながめるということはぜひ必要であるという考え方でやっております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 一体的に考えるというのですが、その一体的の考え方がどうもふに落ちませんから聞いておるのであります。まず第一に、今回二千五百九十億の減収であるということで、それをカバーするために、この減少額に相当する金額を特別に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れるというふうなことをせずに、あっさりと交付税率を改めたらどうです。永山さん、どうです。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 会計年度の中途でございますので、税率引き上げを今回やることが妥当でなかったのでございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そうしますと、四十一年度からは税率を改められるわけですね。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 この点に関しましては、いまいろいろ大蔵当局と相談をいたしております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 どれくらいに税率を改められる。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 一般財源の拡充に関しましては、まだ交付税率を上げるとか、どういうようにするとかいうような問題には進んでおりません。各種の財源処置がございますので、総合的にやらねばならぬと考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 少しおかしいじゃありませんか。いま五百十二億か減収になる。それを改めるために税率を直しゃいい。直しゃいいじゃないかと言ったら、年度の途中だから直されぬ。それじゃ初年度から直したらどうです。初年度だったら直したらいい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 地方財政の問題は、国の減収に伴う交付税額の減少の問題ばかりじゃないのです。地方財政自体でも減収を生ずるという問題がある。また国で相当積極的な建設投資を行なう、それに伴う地方費の負担という問題もあるわけであります。またさらに地方固有の費用がふえていくという問題もあるわけであります。これはベースアップなんかの影響を受けるわけであります。そういうようなことでありますので、中央、地方の間には非常に広範な財源調整問題が起こってくるのでありまして、ただ単に交付税の落ち込みというだけの角度でその始末をするというわけにいかない次第でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そんなことぐらい、あなたに言われぬでもわかっています。わかっていますが、中核はやはり交付税です。過去二十年。総合的な調整をする必要は、われわれこそもうやかましくこれまで言っている。あなた方、いま総合的に国家財政と地方財政と見合うと言いまするが、毎年出ますあの地方財政計画、あれとそれじゃ実際の実績とどうなんですか。あなた方が見合っておると言うのは、地方財政計画とその年の国の予算とを総合的に判断をしておるのでしょう。しかし、実績はどうですか。それからだけでもずいぶんずさんきわまるものだと私は思う。その点はどうなんです。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 実績は、お説のように非常に差額がございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 そういう差額のあるずさんな地方財政計画と国の予算を総合調整するといったところで、なかなかしにくいでしょう。しかも、これまでは東京都とか愛知県、大阪、兵庫、京都、そういう府県や大都市では何とかやってきたが、このごろはそれも赤字になっておる。そうでしょう。あの大大阪市は、去年の決算で約百億の赤字だという。それはどうするつもりなんです。その場その場で何かつじつまを合わしているだけというのがいまの国の方針のように私は思うのですが、その点はいかがですか。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 お説のごとく、大都市も赤字になっておる状態でございますので、これが財源措置に対してもいま検討をいたしておる次第でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 この間も、これと関連のある話でありますが、国税の減税の話で、佐藤総理は、大体来年は年間三千億ぐらいの減税をしたいというようなふうに伺っておるのですが、この減税の中には地方税も入っておるのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの計画では入っているだろう、かように私ども思います。これは国税、地方税を通じてということを申しておりますので……。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 地方税はどれぐらいの減税ですか。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 まだ内容的には固まっておりません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 どうもあなた、何も内容のある…。三千億の減税で、国税と地方税とあって、地方税が入っておる。その地方税は金額がどれぐらいでどんなものだったか何もわからぬ。それじゃどうも内訳なしの三千億ですか。総理、どうです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 中央、地方を通じて幾らというような趣旨におきまして、いま税制調査会に諮問をいたしておるわけなんです。税制調査会が近く答申をされると思いますが、それを尊重しながら政府案をきめていく、こういう段階でありますので、まだこの席で幾ら地方税を、どういう形でというまでに至っておらぬ、こういう次第でございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 大臣、住民税を減税するとはっきり出ておるでしょう。どうなんです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 大体、税制調査会の意向というか、雲行きを見てみますと、住民税の減税を三百億程度いたしたいというようなことですが、まだ雲行きでありまして、はっきりした答申をいただいておるわけではないのであります。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 地方交付税につきましては、大体毎年これは改定されておるのだ。それで毎年だんだんふえていっておる。これは何も地方自治体が大いにぜいたくをやって、かってを言うてふえきておるわけではなくて、近ごろはほとんど国の施策の下請機関みたいになってしまって、三割自治なんて言われておるのだから、そういう意味でふえておる。したがって、あなたは来年どうなるかわからぬとか、ことし五百十二億さえ助けてもらったらもういいのだ、そんなことではこれはたいへんですよ。こんなことで、来年度の地方財政なんて、ちっともそれは全国的に府県、市町村予算を組めない、あなたのようなのんきなことを言っておっては。どうですか、もう少し具体的に積極的な意見を言ってください。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 まだ中央の減税関係その他方針が十分きまっておりませんので、地方財政に対してどういうように持っていくかということもきまっておりませんが、地方財政の確立に対しては一大決意をもって努力する考えでございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 決意はけっこうだが、内容がなかったら何にもなりませんよ。先ほどの財政計画と実績の差を参考までに私ちょっと一調べてみた。大体六千億開いたり、五千七百五十億開いたり、三十八年度は二兆六千億の地方財政計画、実績は三兆三千億、こういうことの中で、今度の補正予算の中に三百億や五百億を入れてつじつまを合わして何になるというのが私の基本的なあれです。からだが全体弱っているのに歯だけ直しているのです。それでつじつまを合わしているのだ。話にならぬよ。特にこの三百億の返し方が、これ何ですか、こまかく、来年は十億、再来年は三十億。六千億も間違っておるのですよ、実績は。こういう問題をもっと基本的に改めてから、地方交付税なり地方税なり負担金なり——大体地元負担、補助金、地方税、地方交付税、四つ五つの国と地方との問の接点があるわけです。その接点をいつまでたっても場当たりで勝負をするからわからない。建設大臣おられるが、あなた国道を方々に建設なさっておるが、だいぶ地元負担がかかるので困っておるところもございます。この地元負担が地域によってまた違うというふうなことも聞いておるのですが、実情をちょっとお話を伺いたい。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 ちょっといまのお話の趣旨がわかりかねておるのですが、国道について地方負担に差異があるということはないはずでございます。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 たとえば一本の国道をつくると、大阪府を通るときには地元負担が四分の一、奈良県のときには八分の一、滋賀県に行くとやはり四分の一というふうに、府県によって違うように私は伺っておる。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 御承知だと思いますが、道路法によりますと、国道のときには四分の三の国費を出しております。四分の一は府県の負担になっております。そういうことでありまして、その点には差異はありません。ただ府県によりましては、道路法によっていわゆる地元の負担をかけることができるという規定がありますので、府県の財政事情によって市町村に負担を一部かけておるところがありますけれども、これは原則ではありません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 これは、建設大臣は御存じないので、具体的に地方交付税や何かのいろいろなやりくりでもって実質上そういうことになっておる。貧弱府県と富裕府県との間に区別をつくっておるのです。私が言いたいのは、そういう小細工ばかり毎年やって、毎年いじる。四、五年前は東北六県が非常にひどいからというので、交付税がたくさんいきました。そのうちに中流府県が、これは困るというのでまたそっちのほうに回ってくるというふうな形、そして東京とか大阪とかいうところは交付税なしだ、富裕府県だ。しかしそうなると、こういうところは仕事がたくさんできてきて、大阪のように赤字だ。東京の今日の議会の様子を見たらよくおわかりであります。そういう問題を場当たりで解決するのではなくて、もっと基本的に考えていただきたい。地方財政と国家財政との関連について、私はやはり内閣においてそういう基本の調整をする一つの審議会のようなものをぜひつくってもらいたいと思うのです。去年もこういうことを要望いたしました。しかし、これは終戦後神戸博士が主体になりまして一時できたことがありますが、その後すっかり変わっております。おりますから、私は委員会なんかよけいつくるのはきらいなんだが、この点だけはぜひ希望いたしておきますが、総理、いかがですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいませっかくの御提案でございますが、私はいまのままでいいんではないか、かように思っております。ただいまそれをつくる考えはございません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 いまのままでいって、一年たって行き詰まってからまたつくったらいいでしょう。  最後に、三千億の減税を来年はおやりになって、再来年はどうですか。ここ二、三年お続けになるつもりでございますか、減税は。いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 減税を少し長期的に考えてみたいと思うのです。三年にしますか、五年にしますか、この後におきまする税のあり方というものを、大体大見当ですが検討してみまして、それに向かって毎年毎年努力していく。その努力をどの年度でどういうふうな程度にするかということは、そのときの財政事情できめていきたい、かように考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 来年度の公債は七千億、そうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 新聞紙あたりではそういうふうに伝えておりますが、大体そんな見当になろうかと思います。まだ固まってはおりませんです。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 新聞どころではない。あなたはおとつい七千億と言っていましたよ。減税を三千億、公債は七千億。それから、これは国債でしょうから、七千億の建設公債を発行するというと、地方債のほうも、相当これははね返ってくるでしょう。幾らくらいはね返りますか。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 減税の内容等も、まだきまっておりませんので、相当な赤字が出ることはわかっておりますが、金額的にはまだ明瞭でございません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 建設公債のはね返りです。地元負担その他です。どうですか。

永山忠則自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○永山国務大臣 公債の数字がまだはっきりいたしませんので、十分わかりません。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 永山さんに聞いても、これはさっぱり答弁にはならない。三千億減税をして、七千億の公債。地方債は、過去の実績によりますと、大体建設公債七千億というと、三、四千億要るようであります。ですから、国債を七千億といったら、まず地方債を合わせて一兆。再来年はどうなるか、予算は一割ずつふえていく。一割ふえれば四千億ふえる。減税は三千億する。来年七千億。再来年七千億では、これは足らぬので一兆。地方債を合わせると、再来年は一兆五千億。これは四、五年すると、私は膨大な公債になると思う。三兆円になれば利子だけが二千億円、これは減税しても追っつきません。減税三千億分くらいは、すぐ四、五年で追っかけてくる。私は、こういう計画にはどうも根本的に賛成ができない。いまのままでいったら、二、三年たったらどうなるか。いま景気停滞をしているという、停滞ということばを使っておりますが、停滞ではなくて、不景気でしょう。そういうことばはもうお使いにならぬで、停滞なら、予算も全部停滞したらどうです。  そういう面におきまして、やはり皆さんの説明が場当たりである。再来年の予算は、結局景気の回復を待つ以外は全然見当がつかぬというのが実情であるし、そうして、その景気が回復するかせぬかは全くまだわからぬというのが実情である。私はそういうふうに判断をしているのですが、大蔵大臣、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま財政といたしましても経済といたしましても、二つの問題に当面しておるのです。一つは、どうしても刻も早くこの不景気の状態から抜け出なければならぬという問題です。それから、抜け出た場合に、いままでジグザグになっておりましたこの経済や財政の歩みを正常化しなければならぬ、こういう問題でありますが、とにかく当面景気回復対策を大いにやろう、またそれが可能であり、実現できる、こういうふうに考えておるわけであります。そういたしますと、租税の自然増収等もだんだんとふえてまいる。そういう過程を通じまして、少し時間はかかるかもしれませんけれども、ただいま御指摘の公債の善後処理というような問題も解決される。  いま、毎年公債を発行するとたいへんなことになるというお話でありますが、どこの国でも公債政策をとっております。アメリカでも国民総所得の四十何%でしたか、公債を保有しております。あるいはイギリスにおいても九〇%も国債の累積額を持っております。わが日本はわずかに今日、特殊な公債でありますが二%、ここで景気また経済の変動に対応しまして公債を若干発行して、それが正常化に役立つというのならば、これは何も心配は要らぬ、こういうふうに考えております。

中井徳次郎日本社会党

○中井委員 どうも福田さんは、アメリカやイギリスと日本を同じように考えておるようですが、私は冒頭申し上げたように、日本の経済基盤については、まだまだ敗戦後の立ち直りがちっとも整理されておらぬようなことがたくさんある。そういうことをほっておいて、そうして、あわてて補正予算は財源をさがしてやる。今度の補正予算だって、さっきも滝井君が言ったように、われわれが国会や何かできめたことさえほおかぶりしていく。何も今度の補正予算で二千五百九十億の赤字公債を急いで発行する必要はない。大蔵省証券の一時借り入れ金の二千億を四千億にする、五千億にする、それでもって三月までいったらどうだ。収入の見通しじゃありませんか。入らぬにきまっているというようないやなことを言うて、さっきの滝井君の質問のときには、予算の収入のほうは見込みだと答弁しながら、本補正予算では収入は確実に入らぬから補正せねばならぬようなことを言って補正予算を組んでいる、全く逆であります。そういうふうなことは、何も急いで補正予算を組まなければならぬことはない。いわんや赤字公債を何も一月に急いで発行しなくちゃならぬことはないし、さらにしたがって、何か特別何とか法案なんというものを急いで通す必要は私はない、そういうふうに考えております。  以上のことを申し上げまして私の質問を終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。次に、加藤進君。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 私は日本共産党を代表いたしまして、佐藤総理並びに関係大臣の皆さんに質問をいたしたいと思います。  最初に、ベトナムをめぐる最近の情勢についてお尋ねをしたいと思います。御承知のように、今回アメリカはベトナム侵略戦争を拡大するという方針のもとに、カンボジア領への侵入の意図を明らかにしております。現に、タイにはいはゆる第二戦線をつくり、すでにラオスに侵入しております。北ベトナムに対しては、ハイフォン地区にまで爆撃を拡大しておるのであります。しかもそればかりではありません。アメリカ国防総省の内部では、北ベトナムに対して宣戦を布告するということまで検討中であるという事実があります。これは、アメリカがインドシナ全域を戦場にするということは言うに及ばず、全アジアに戦争を拡大せんとする重大な意図のあることを示すものでありまして、事態はまことに容易ならぬものがあると言わなくてはなりません。  そこで、私は総理に質問をいたします。このようなきわめて重大な事態に当面いたしまして、日本の政府はあくまで従来どおりこれに協力し、この戦争遂行の片棒を引き続いてかつがれるつもりであるかどうか、この点を明確に答弁をお願いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 日本の考え方は在来の方針に変わりはございません。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 その在来の方針を重ねて簡潔にお願いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 アジアの平和のために、一日も早く平和がここにもたらされることを心から願っておるのでありまして、無条件で関係国が会談を持ち、そしてその会談の場を通じて解決したらどうか、かように私ども提案しておるのであります。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 いま総理は、アジアの平和のために努力するとおっしゃいました。しかし事実は、いまおっしゃられたことばとはおよそ反するものであります。周知のとおりに、日本は、現にアメリカによってアジアにおける戦争の重要な拠点にされております。すなわち、国内にある軍事基地と港湾は、アメリカの侵略戦争に公然と使われていることは周知のとおりであります。特に佐世保に至っては、ベトナム海域で作戦中のアメリカ原子力潜水艦が相次いで入港しております。最近さらに能登半島沖における米韓合同演習に参加した航空母艦、原子力潜水艦、駆逐艦など十五隻からなる艦隊が、おくめんもなく入港しておるのであります。さらに東京都内の赤羽、埼玉の狭山には米軍の野戦病院さえつくられております。また昨日、本委員会においても問題になりましたように、ベトナム爆撃の軍用機が相次いで日本本土に運ばれ、政府の協力によって修理補給を受けておるという事実がはっきりしておるのであります。こうしてベトナム戦争がますます日本に持ち込まれ、あなた方は平和のために努力するとか、安保条約がある以上は当然やむを得ないことだなどと称しておられますけれども、これはまことに容易ならぬことであります。あまつさえ前国会では、アメリカの指図により、日韓台の反共軍事同盟のために、あれだけの暴挙を繰り返して、日韓条約を採決したと称して、何らの反省もしておられないのであります。  そこで、私はお聞きします。もし総理が平和のために努力するとおっしゃるならば、以上のように私が申し上げたことに対して、もはやこのような協力はやめるとはっきり断言されるかどうか、この点をはっきりお答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 条約上の義務、さらに協定等は、私どもは憲法の命ずるところ、九十八条によりまして十分これを順守していく、かような立場にございますので、ただいまやっていることは変える考えはございません。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 そういう答弁も私たちはたびたび聞いております。しかし、これは国民が絶対に納得し得ないことです。戦争か平和か、日本の国が滅びるか、安全が守られるか、こういう重大なせとぎわにあるときに、一国の首相たる者が、そんな簡単なことで国民を十分に納得さすことができるとお考えになったならば、これはたいへんだと思います。しかし、時間が十分にございませんので、きょうはこの問題の追及はこれにとどめますけれども、今後その点は引き続いてこれからお尋ねしたいと思います。この点は保留させていただきます。  次に、この二十八日にアメリカのハンフリー副大統領があなたを訪問される予定ですね。これはどういう目的なんでありましょうか。私はあえてこの目的について、第一には、かかるアメリカのアジアにおける侵略戦争拡大に日本を一そう深く引きずり込もうとするものである。こういったねらいがはっきりあるということをここではっきりさせたい。第二に、その上にまたアメリカの核兵器を中心とする安全保障体制への参加を日本に強要しようとするものである。このことは、私がここで申し上げるだけではなく、新聞報道のすべてはこのように言っております。したがって、もはやこれは隠れもない事実であります。  そこで、私は総理に質問したい。政府はアメリカの企てようとしておるかかる核戦略体制に参加されるつもりであるかどうか、これはまことに重大な問題でありますから、イエスかノーか、はっきり答弁されたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへんなお尋ねですが、どうもそのような内容を聞いたことはございません。ハンフリー副大統領が日本に立ち寄りますのは、私が申し上げるまでもなく、フィリピンの新大統領の就任式、それに出かけるその途中日本に立ち寄るのでありまして、ここへ来てみないと、どんな話をされるか私にもわからないのです。事前にこういうような話し合いをしようというような申入ればまだ受けておりません、全然関係ございません。なかなか共産党はニュースが早いようです。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 そういうふうにお逃げになるであろうと私も予想しておりました。そこで、現に次のような事実があることをここで皆さんにお伝えしたいのです。この当のハンフリ一側大統領が去る十一月一日に言ったことがあります。どう言っておりますか。いまやアメリカにとって核戦力と核政策の中に友邦諸国を加えるべきときがきた、日本もこれに加わるべきだ、こうはっきり言っておりますよ。続いてまた十一月五日の日にラスク国務長官は、アメリカの核のもとでの安全保障体制をつくることを言明しております。さらに、日本を含めて目下協議中であるとさえ言っておるのです。これについて、いま総理は御存じないように言われましたけれども、橋本官房長官は、このような言明のあと直ちに記者会見を行なわれて、このような会議が行なわれる際に積極的にこれを参加すると言明されておるんじゃないですか。佐藤さんは笑っておられますけれども、その佐藤さん自身が、このような会議に招かれれば参加するという意思表示をされておるんじゃないですか、どうですか。これは、アジアにおけるアメリカの核戦略体制に参加するということを公に表明されたものでなくて、一体どう理解したらいいんでしょうか。重ねて答弁をお願いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申したとおりでございまして、私どもただいまさような申し入れを受けておりません。また外務当局も全然さようなことを受けておらない、かように申しております。官房長官がどういう事情でさような話をしたか私は知りませんが、おそらく記者諸君にいろいろ聞かれ、ああも聞かれこうも聞かれてそういうことがあって、それに招かれれば日本も出かけるだろう、こういうような意味のことを申したんじゃないか、具体的なものではございません。その点を御了承いただきます。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 これは今後も追及したいと思いますけれども、新聞報道その他で、一、二の新聞でなくして、多数の新聞がこういうことをはっきりと報道しております。したがって、根拠があるといわなくてはならぬのでありますが、これに対する佐藤総理の答弁はまことに不十分であり、ふまじめです。私は、この点についてぜひとも真剣な政府を代表する答弁を今後要求したいと思います。政府からこうして答弁の中で最も大事なことについてまじめな御答弁をいただけないのでありますけれども、前国会であれほど広範な日本の人民が反対した日韓条約を、議会制民主主義の根本まで踏みにじってあのような暴挙を繰り返してなぜ強行をはかられたのか。このこととも二連の関係が明らかにあると私は考えております。われわれはすでに明確に指摘しておるように、日韓条約こそアメリカの指揮のもとに巧妙に結成をはかる東北アジア軍事同盟であるということ。かの三矢作戦の計画の中に、来たるべき朝鮮戦争に核兵器の使用まで計画しておる事実がはっきりしております。こういう事実が示しておるように、ハンフリー副大統領の来日は、核安保体制へ日本を組み入れること、そうして、日韓条約の具体化をさらに進めようとしておることは明らかではないんでしょうか。  以上、私が質問いたしましたように、まことに重大な情勢のもとにあります。そのとき政府が財政法第四条を踏みにじるような財政政策をこの国会に提案されたのであります。一体これはどういう考えに基づいておられるのでありましょうか。そもそも財政法第四条の精神は、過去の侵略戦争の苦い経験からして、赤字公債の発行による戦費の調達、インフレによる人民生活の破壊、独占資本へのばく大な不労所得の集中などを防ぐという財政民主化にその精神があることは御承知のとおりであります。だからこそ第四条は、通常歳出をまかなうための公債発行を厳に禁止しております。この原則を破ることは、わが国を再び過去の侵略戦争の道に引き込む財政上の条件をつくることを意味するものです。ところが政府は、今回財政処理の特別措置法によってこの財政法の原則をくつがえして、財政政策の根本的な転換をはかろうとしておるのじゃありませんか。すなわち、今回の公債発行の総額は二千六百億円程度であります。年間四兆円という膨大な予算の中で、この程度の財政処理ができないはずは絶対にないと私たちは確信しております。にもかかわらず財政法の原則をくつがえそうとするねらいは一体どこにあるのか。それは、将来何らの制約を受けることもなく公債を発行し、それに伴って財政規模をほしいままに拡大する道を開くものであると言わなくてはならぬのではないでしょうか。この点につきまして福田大蔵大臣の答弁をお願いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまお許しを得て食事のほうに出かけたと思います。それで、私がお答えいたします。  ただいま、公債が軍事公債につながるのだ、こういうような御意見ですが、これはとんでもないことでございまして、理論的にはどうしてもさような結論にはならないのです。ただいま侵略国家とかあるいは侵略戦争だとか、こういうようなお話が出ておりますが、これは公債と関係はないので、ただ政治的な問題だ、かように御理解をいただきます。今回公債を出しますが、さような心配は全然ございません。たびたび明言したとおりでございます。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 いまの御答弁では私は納得いたしません。私がいま質問したのはそういう点じゃないのです。いま広範な日本の人民が憂慮しておることがあります。すなわち、この非常に重大な財政の基本法である財政法の原則をひとたびくつがえしたならば、将来これを前例としてどのような公債でも発行できることになるのではないか、こういうことを憂慮しておるのです。  念のために私は言いますけれども、私は今回の二千六百億の赤字公債が多いか少ないか、また来年度のいわゆる建設公債の規模がどうのこうのということを問題にしているのではないのです。政府が今回の措置によって今後無制限に公債発行を行なう根拠を開くこと、これは許すことができぬことである、こう言っておるのです。かつて昭和十二年、福田大蔵大臣の先輩といわれますが、馬場蔵相は、何と言って公債発行の道をつくったのでしょうか。すなわち、生産力を拡充すればインフレにはならぬ、公債は民間銀行で消化するなどと言って大規模な赤字公債発行を開始したことは御承知のとおりです。その結果は一体どうなったのでしょうか。それこそ中国侵略戦争、太平洋戦争におけるあの膨大な軍事費の調達の前ぶれになったことは周知の事実じゃないのでしょうか。  さきに述べたごとく、いまやアジアの情勢は、その当時に比べても比較にならないほど重大であり、かつ深刻です。アメリカの強圧のもとに日本が大規模な戦争に巻き込まれるという危険が日に日に迫っているのです。かかる情勢のもとで赤字公債発行の道を切り開く、ここに問題があるということを私は指摘しておるのです。  それだけではなく、あなた方はすでに第三次防衛計画においては、強大な軍備を画策しております。国防省の設置がたくらまれている。三矢作戦計画をつくり上げている。海外派兵のための憲法改悪さえたくらみ、人民の反対に対しては治安行動計画を進めている。最近においては日韓台軍事同盟を着々進めて、アメリカの指揮のもとに軍事体制、反動政治体制をますます強化しておられるのじゃないでしようか。こういうときにあなた方がこれに呼応する経済体制づくりを始めたところに問題がある。これが佐藤内閣の経済政策の根本にある。こういうことを私はどうしても指摘せざるを得ないのです。その点につきまして、いま着席されました福田大蔵大臣に一言御答弁をお願いしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公債を軍事目的に活用するということは絶対にいたしません。公債を財源として行なう事業は、軍事費を除いた公共的投資だけにこれを使う。したがって、軍事目的と公債の発行とは何らの関係のないということをはっきり申し上げます。

加藤進日本共産党

○加藤(進)委員 ただそれだけの御答弁では、私をはじめ国民は納得しません。私たちは、いま申し上げたような危険な事態と、さらにその中であえて財政の基本法さえ転換されようとする、しかもその額において二千六百億程度の金の出どころのためにあえてこれをやられるということ、このことについての懸念に対して、私は政府を代表する政府の代弁者として、真に国民が納得できるような御答弁をぜひお願いしなくてはならぬと考えております。したがって、わが党はこのような政府の財政政策に対しましてまっこうから反対の意思を表明します。しかるに、しかもこのような重大な問題について、この予算委員会ではどうでしょうか。たった四日間の審議しか行なわないじゃありませんか、このようなことは、私たちは絶対に容認できませんよ。  最後に、私は結論として申し上げます。以上のような事実と観点に基づいて、私たちは直ちに佐藤内閣の退陣を要求する。国会の解散を直ちに行なうことを要求いたします。  私の質問をこれで終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十年度補正予算案に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————

青木正自由民主党

○青木委員長 この際、日本社会党の川俣清音君外十四名より、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)及び昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。

青木正自由民主党

○青木委員長 これより本動議について提出者の趣旨弁明を求めます。中澤茂一君。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 私は日本社会党を代表し、昭和四十年度第二次補正予算の組みかえ案の提案理由を説明いたします。  昭和四十年度第二次補正予算は、その形式においては本年度予算の補正にすぎませんが、その財政的、政治的な意義は、その形式を越えてまさに画期的なものであります。なぜかといえば、それは本補正予算が、その財源措置として公債発行を含んでいるからであります。これは、昭和二十四年度予算がいわゆるドッジ均衡予算として編成され、以来実に十六年ぶりのことであり、わが国の戦後財政史上一つの転機を画しております。しかも、この公債発行の方針は、明年度予算にそのまま引き継がれ、わが国財政は、この補正予算を契機として再びインフレーションの方向に突入しようとしているからであります。わが国の財政史を振り返ってみるならば、公債インフレ政策は、軍事的膨張と切っても切り離せないことが明らかであります。今度の公債政策の転換が、日韓条約の強行突破と期を同じくしているのは、決して偶然ではありません。日韓条約によってわが国かアメリカを中心とした日本、韓国、台湾を結ぶ実質上の軍事同盟の網の目に組み入れられたことであります。そして昭和四十一年度から始まる第三次防衛力整備計画は、総額において二兆数千億にのぼることを予定しております。政府は、今度の公債は、建設公債に限るなどと申しておりますが、これがやがて軍費調達の財源として利用されるおそれが十分にあります。公債政策がとめどないインフレーションを巻き起こし、物価値上がりによって国民を苦しめたことは、戦時中及び戦後の体験によって国民は痛切に感じております。この補正予算は、公債発行と並んで米価値上げを予定しており、そのあと国鉄運賃をはじめとして、一連の公共料金の値上げが予定されております。本来公債は、もっともらしい理屈をつけても、結局は日銀券の増発となって物価値上がりをもたらすことは、わが国及び諸外国の経験に照らして自明の理であります。その公債発行と期を同じくして、一方では日韓条約の強行突破、他方では公共料金の一斉引き上げが実施されるのでありますから、国民がこうむる被害がいかにはなはだしいかはだれでも容易に想像がつきます。  以上述べた立場に立って、社会党は本補正予算を、抜本的な組みかえによって国民生活に安定をもたらすようその性格を変えることを主張いたすものであります。  この組みかえ案には……   〔発言する者あり〕

青木正自由民主党

○青木委員長 御静粛に願います。

中澤茂一日本社会党

○中澤委員 三つの大きな柱があります。一つは、言うまでもなく公債発行を中止させることであります。もう一つは、公共料金の値上げを押えることであります。第三の柱は、地方財政の基盤を確立することであります。この三つの大きな柱の上に立って公務員給与改善、災害対策をはじめとして、国民生活安定のため一連の施策を実行いたします。ここで当然財源が問題になります。もともと本年度第二次補正予算において政府がついに公債発行に踏み切ったのは、本年度の経済見通しと歳入見通しとを誤り、三千億円に及ぶ歳入欠陥を生じたからであります。しかし、事ここに至った原因はさらに根深いものがあります。政府は過去数年間、いわゆる高度成長政策の名のもとに、大企業本位の放漫な経済政策を続け、その結果一方ではインフレーションによる物価値上がり、他方では過剰生産と不況を生じました。そのため財政は必然的にふくらむのに、税収のほうは大幅に減るという事態に立ち至ったのであります。これは政府の経済政策の失敗を集中的に表現したものであります。これだけ一つとっても、佐藤内閣は総辞職に値するものがあるといわねばなりません。ところが、政府はこの責任をとろうとはせず、この補正予算において公債発行によって切り抜けようとしておりますが、わが社会党は、この方式には絶対に反対であります。  財源は、はたしてほんとうにないのでありましょうか。過去のいわゆる経済の高度成長によって、大企業は巨大な利益を得たのであります。それに対して国が思い切ったメスを入れれば、財源確保は決して困難ではありません。さらに防衛費をはじめとし、不急不要の費用を思い切って削減し、これを国民生活安定のための費用に充てれば、全体として公債発行なしに三千億円の財源を調達し得ることは困難ではありません。要は政府の決意と、その決意を実行する一連の思い切った施策であります。  さきの臨時国会において、政府は、国民生活に深い関係のある補正予算を早く提出せよというわが党の要求を無視して、日韓条約を先に提出し、しかも衆参両院において法規、慣例を無視した暴挙を相次いで行ない、議会政治そのものを危機に直面させました。そして、それが一段落したあとになってやっと補正予算を提出し、国民生活に大きな影響があるから早くこれを審議して通してほしいと言うことは、身がってもはなはだしいといわねばなりません。それほど政府は国民生活のことを気にするなら、なぜもっと早く補正予算をつくって国会へ提出しなかったのか。かつて社会党は、災害対策と公務員給与改善とだけが大きな柱となっている補正予算に対しては、積極的に審議に協力しただけではなく、これに対して賛成投票さえいたしました。今回も、もし補正予算がその内容さえ充実したものであるならば、わが党は決して反対を唱えなかったでありましょう。  ところが、これほどまでおくれてでき上がったこの補正予算の内容は何かといえば、さきにも述べたとおり、公債発行、公共料金値上げという国民生活を圧迫する内容であります。このような補正予算を、どうして衰弱した日本経済と国民生活とに与えることができるでありましょうか。もし社会党が、このような補正予算について、その危険な内容を国民に明らかにすることなくこれを通過させるならば、それは野党としての責任を果たしたことになりません。だからこそ社会党は、さきの臨時国会において補正予算の成立を阻止したのであります。これによって政府は予算不成立という前代未聞の窮地に立たされましたが、しかし、それにもかかわらず、真剣な反省のあとは見られません。ただわずかに国民からのあまりにも強い批判をおそれて、国鉄関係の項目を分離しあと回しにしただけではありませんか。  社会党の組みかえ案は、日本経済の基本的な繁栄と国民生活安定に重点を置いた組みかえ案であります。  以下、その主要な内容について簡単に説明いたします。計数はお手元に配ってありますから省略いたします。  第一は歳出面であります。組みかえ案は、まず国家公務員給与について、人事院勧告完全実施のため、その引き上げを五月にさかのぼって支給します。災害対策、出かせぎ農村の不況対策としての土木事業のための支出を増加しております。消費者米価の引き上げを取りやめ、その赤字は明年度予算において一般会計より補てんいたします。現在重大な危機に直面している医療保険に対しては、健保料率の引き上げを行なわず、国庫補助を増額します。地方財政の赤字解消のため交付税率の引き上げを実施します。韓国への無償協力は、日韓条約そのものが不当である以上、その根拠はありませんので、この計上を取りやめますが、李ライン捕獲漁船見舞い金は、本来韓国政府へ請求すべきものでありますから、日本政府の代理補償としてこれを増額します。また、防衛関係費、補助金、公共事業費、不急不要の支出の大幅なる削減をし、これを財源に振り向けます。  第二に歳入面であります。大企業、高額所得者に対しては、税法を厳正に適用して、超過利益、脱税を徹底的に捕捉します。また外為特別会計の一部を取りくずします。これによって得られる歳入増とさきに述べた歳出減とを財源に充てるならば、収支相償い、赤字公債の発行は不必要となり、均衡財政は維持し得るのであります。  最後に財政投融資について説明いたします。この組みかえ案において、資金運用部余裕資金、生保、損保、農協系統資金の活用によって財源を捻出し、これを災害対策、中小企業年末対策、地方債の増加、住宅対策などに振り向けます。  以上、社会党の具体的な組みかえ案を明らかにして提案理由の説明を終わります。(拍手)

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて趣旨弁明は終わりました。     —————————————

青木正自由民主党

○青木委員長 これより討論に入ります。  昭和四十年度補正予算三案及び川俣清音君外十四名提出の編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。八木徹雄君。

八木徹雄自由民主党

○八木(徹)委員 私は、自由民主党を代表しまして、ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)外二案に対し、賛成の意を表明し、日本社会党提案の編成替えを求める動議に反対をいたすものであります。  本論に入る前に、まず今国会は、与野党の話し合いと前議長、副議長のとうとい配慮と犠牲によって打ち立てた国会正常化の試金石ともいうべき国会であります。そして、それにこたえるように、短い期間ではありますが、昼夜真剣に審議がなされたことは御同慶の至りであります。しかし、公務員給与、災害対策、特に景気刺激対策等、歳末を控え特に緊急を要する重要課題をかかえた予算審議としましては、質問は必ずしもその緊急性にこたえるものばかりだとは言い切れないものがあったことは残念でなりません。歳末の今日の一日は、平常時の十日にも一カ月にも匹敵することを思うとき、今後お互いに自戒せねばならぬ問題であろうと思うものであります。何はともあれ、今後われわれは、これらの反省と自戒の上に立って、せっかく育たんとする正常化の芽を大きく育成することに努力いたしたいと思います。  さて本論に入りますが、私は、まず本予算の特色と思われる二、三の点について触れてみたいと思います。  第一は、大幅な歳入欠陥を補てんするため、特に財政法の特例を設けて公債発行に踏み切ったことであります。戦後われわれは均衡財政を堅持し、公債を認めず、財政は景気に対して中立主義を貫いてきました。そして、そのことは歴史的に見て正しかったと思うのであります。今回の経済界の不況が、いままでのような景気循環の一現象であるならば問題はないのでありますが、すでに論議し尽くされているように、単なる景気循環現象ではなく、設備の過剰に伴う需給のアンバランス、すなわち高度成長に伴う構造的欠陥によるものであって、景気の自律的回復は望み得ないと思うのであります。この事態に直面し、歳入不足に対し、単に財政の均衡を維持するという観点のみにとらわれて歳出を減らすということは、経済不況を一そう深刻化するものでありまして、とるべきではありません。この際は、財政は積極的に需要喚起につとめるべきであり、公債発行は時宜に適した措置といわなければなりません。社会党の組みかえ案によれば、公債発行はインフレの発生と軍事公債へ発展するおそれがあるとして反対しておりますが、生産力に比べ需要が著しく不足する場合には、需要を補足する限度において公債を発行しても、インフレにならないのみか、かかる場合にはむしろ積極的に公債を発行し、需要を喚起し、雇用を促進すべきであるということは、経済学者の通説となっておるのであります。わが国経済の現況は、供給力に見合う需要が伴わず、このため企業は操業度を落とし、勤労者は労働時間の削減を余儀なくせられ、新規学校卒業者は就職の機を失ないつつある実情にある際、このたびの公債発行措置は、企業の遊休設備に活力を与え、景気を押し上げる作用となるのであって、インフレの発生は絶対にあり得ないものと確信する次第であります。  なお、この際申し添えたいことは、このたびの公債は日銀引き受けによるものではなく、資金運用部資金による引き受け及び市中公募によることといたしていること、また追加経費一千四百十二億円については、公債以外の財源でまかなうことといたしたことは、今後公債政策を導入しても、資本的支出を除いた通常の歳出は通常の財源によってまかなうという財政処理の原則を堅持し、公債発行の歯どめを示唆したものとして、この際特に敬意を表する次第であります。  さて第二は、今回の補正予算は、景気対策について格段の配慮をいたしておることであります。景気対策については、政府は本年七月以来財政の繰り上げ支出等一連の措置を講じてまいっておりますが、このたびの補正においては、さきに申し述べました公債発行とともに、約一千億円に達する国庫債務負担行為の計上等を行ない、年度内の公共事業等の契約額の増加をはかることとし、また財政投融資についても、二千百億円の大幅な資金の追加を行ない、住宅、道路等の建設を一そう促進することといたしておることは、時宜を得た適切な措置と存ずる次第であります。  第三は、地方財政についての配慮であります。まず地方交付税交付金については、所得税、法人税及び酒税の収入見込み額の減額にもかかわらず、約五百十二億円の減収補てんをいたすとともに、公務員の給与改善の財源としては、資金運用部資金より三百億円の融資を行ない、さらに地方税の減収に対しては、総額四百億円の地方債の手当てをいたしたことであります。  最後に、社会党の組みかえ案は、例によって実現性の乏しい架空財源にたより、その歳出は場当たり的人気取り政策に終始し、全体のバランスを乱すものでありまして問題になりません。  以上、若干の見解を申し述べ、政府原案に賛成、社会党の組みかえ案に反対をするものであります。(拍手)

青木正自由民主党

○青木委員長 次に、辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度補正予算(第3号)、(特第2号)及び(機第2号)に反対し、並びにわが党がただいま提出説明をいたしました補正予算の組みかえを求める動議に対し賛成の討論を行ないたいと思います。  まず、私が政府案に反対いたします理由の第一は、このたびの補正予算提出に至る政府・自民党の政治の姿勢についてであります。  さきの臨時国会の開会にあたり、わが党は、当面する経済不況打開のための必要な経済対策、あるいは物価対策、中小企業の年末対策、さらには公務員給与、また災害対策など直接国民生活に関連を持つ補正予算の審議を何よりも先議すべしと強く要求してまいったのであります。ところが、政府・自民党は、こうした当然のわが党の要求、いや国民の希望と期待をたな上げし、ひたすら日韓条約の通過のみを念頭に置き、これに終始したのであります。あまつさえ、そのために強行、だまし討ちと、全く手段を選ばず、議会制民主主義を否定する史上未曽有の暴挙をあえて行なったのであります。その結果は国民の痛烈な批判を浴び、国会は麻痺し、補正予算の成立を見ることができず、醜を天下にさらしたのであります。  再び提出された政府案を見ますると、その性格はきわめて重大であり、異例ともいうべき赤字予算であります。当初予算に比して約二千六百億にのぼる多額の歳入見積もりの誤りは、単に歳入欠陥が起きました、間違っていましたと言って済まされる簡単な問題ではありません。この一事だけでも内閣が責任をとらなければならない重要問題であります。  ところが、その責任を感ぜず、また現下深刻な経済危機を招いた施策の誤りをほおかぶりし、そのしりぬぐいを赤字公債と公共料金引き上げによって表面を糊塗し、国民にインフレと生活圧迫を押しつけようとすることは断じて許せません。政府・自民党にはたして政治における国民に対する責任感、また良心ありやといわざるを得ません。  特にここで申し上げなければならないことは、今日のような経済、財政の破綻をもたらした直接の要因は、特にここ数年来の政府・自民党による放漫、無計画、無定見な経済政策とその運用による無軌道な高度成長、それを柱とする、不健全な財政膨張を繰り返したところにあります。毎年の予算編成にあたっては、金づくりと称して税の自然増収をぎりぎり一ぱいに見込み、減税を極度に押え、予算規模を大幅に拡大し、のみならず、財政投融資においても財政膨張の弱異を背負わせてきたのであります。このような経済の実勢を上回る放漫財政が早晩行き詰まりを来たすであろうことは明らかであり、わが党は、従来の予算審議の過程でこのことを繰り返し指摘し、警告してまいったのであります。  ところが、政府は、高度成長のうたい文句にみずからも酔い、正論に耳をかさず、投融資を含む財政支出と信用創出によって破天荒の投資拡大が強行されてきたのであります。その結果、いまやわが国経済は、構造的な経済危機に直面し、あらゆる面においての格差がますます拡大し、政府の先行楽観放送にもかかわらず、景気は一向に好転せず、国民に多大の不安を与えているのであります。のみならず、窮余の一策として特ち出した公債発行は、とどまるところを知らない物価騰貴に一そうの拍車をかけ、本格的なインフレを予見し、国民は不安におそれおののいているというのが実相であります。  このような政府の経済政策と経済見通しの誤りによって引き起こされている事態に対する政府の責任は、きわめて重大であると申さなければなりません。特に赤字公債発行という事態は、まさにドッジライン以来わが国財政運用の基本としてきた健全均衡財政の放棄であり、財政政策の重大な転換であります。そのような重大な問題を、わずか二日や三日の論議で足れりとする政府・与党の態度は、後世軽率のそしりをまぬがれないばかりか、悔いを千載に残す結果となり、現在並びに将来の国民に対する政治責任はきわめて重大であると申さなければなりません。  さきにも述べたように、赤字公債は、いかに政府が陳弁これつとめましょうとも、直接間接を問わず、結局は日銀引き受けによらざるを得なくなり、大きなインフレ要因となることは火を見るよりも明らかであります。ところが、この心配危惧に対する政府の説明は、何ら当委員会においても説得力を持つものではありませんでした。  さらに重要なことは、赤字公債が事実上の軍事公債の性格を持つに至るであろうというのであります。それは、公債発行と軌を一にしておる第三次防衛計画の政府の構想を見れば一そう明らかであります。財政における公債発行は、かりにそれが政府の言うとおり建設公債であろうとも、それ自体では決して歯どめにはなりません。公債政策それ自体が麻薬であり毒ガスであります。やがては必ず国家財政の中枢を侵し、国民生活を危機におとしいれることは過去の歴史に徴して明らかなところであります。わが党は政府の公債発行政策は断じて認めることはできません。  次に指摘しておかなければならない点は、内容そのものが政治不在を暴露しており、国民生活の窮乏化に対処するにきわめて不十分であり、かつまた根本に触れていないということであります。今日、わが国経済すなわち国民生活にとって喫緊の課題は、何といっても物価対策であります。政府は、口には物価安定を言うけれども、事実はそれに反しているのであります。今次補正の内容は、各般の公共料金の引き上げを前提といたしております。昭和四十年度の消費者物価の上昇は、すでに政府公約の四・五%を二倍以上上回っております。にもかかわらず、さらに消費者米価を来年一月より八・六%、続いて国鉄運賃、医療費等々、軒並み引き上げを予定し、新たなる物価騰貴の要因を政府みずからがっくり出そうとしていることは本末転倒もはなはだしく、われわれの絶対に認めがたいところであります。  今次補正の重要項目である公務員給与引き上げについては、政府は、公務員の労働権の代償機関である人事院の最低とも言うべき五月実施の勧告を無視して、これをずらし、わずかに九月実施の計上にとどめていることは、ILOの精神に照らしてもきわめて遺憾千万なりと申さなければなりません。特にこの中で、地方公務員に対する財源措置については、完全な財政措置をとらず、起債でもってつじつまを合わせようとしておりますが、このことは窮乏の一途をたどっている地方財政にさらに重圧を加える結果となり、国の措置としては、これまたまことに無責任であるといわなければなりません。韓国に対する供与金十八億を本予算案にいち早く組み込んでいることに対して、給与費や地方財政にかくほど冷淡であるということは、佐藤内閣の性格の一端がうかがえるものとして、きわめて対照的であります。そのほか災害対策も、予備費からの振りかえ程度にすぎず、深刻な中小企業の危機、農村不況に対する措置はほとんど見るべきものはありません。これでは人間尊重、社会開発は全くの空念仏と申さなければなりません。  これに対し、わが党の組みかえ案は、先ほど同僚中沢委員が詳細に御説明申し上げましたとおり、赤字公債発行を行なわず、不急不要、有害な経費、すなわち韓国への無償供与費、防衛関係費、各種補助事業の適正化等による既定経費の節減をはかって財源を求める一方、歳入面においては、外国為替資金特別会計の資金の一部を取りくずすとともに、大企業、高額所得者に偏している税制を適正化することにより二千五百九十億の財源を求め、あくまで健全均衡予算の原則を貫き、赤字公債によるインフレの危険を除去しようとしているのであります。かつ、これらの新しい財源をもって人事院勧告の完全実施、冷災害対策費への追加支出、中小企業の年末対策、医療保険会計への国庫負担の増額、さらには地方財政の強化、また消費者米価の引き上げを取りやめることによる食管会計への補てん等々、各般の国民待望の経費に充てんといたしているのであります。これこそ真に財政、経済の危機を克服し、国民生活を擁護する予算であることを確信し、ここに各位の御賛同を求めるものであります。(拍手)

青木正自由民主党

○青木委員長 次に、永末英一君。

永末英一民主社会党

○永末委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提案による昭和四十年度補正予算案三案に対して反対をいたします。  今回の補正予算案の特徴は、追加財政需要に対しては税外収入や経費節減をもって充てようとするものであります。また、租税等の収入減に対しては、公債で埋めよう、これが今回の補正予算案の特徴であります。  追加財政需要につきましては、わが党は公務員給与の改善や、あるいはまた地方財源不足額の補てん、さらにはまた災害対策費等については、ぜひとも政府・与党の責任において本年度中に成立せしむべきものだと考えてまいりました。もっとも公務員給与について人事院勧告を値切ったり、また消費者米価値上げを前提とする内容につきましては、賛成いたすことはできません。  しかし、問題点は、歳入減を赤字公債で埋めようという点にあります。私どもはこの点について反対であります。  政府は、第一に歳入見積もりが減額をいたしたということについて一体どういう責任を感じておるか。この責任を感じておる度合いが本委員会の政府答弁においては明確になっておりません。不況の波はすでに昨年の秋から始まっておりました。政府自体が本年三月にはすでに行政費の節約を命じ、また七月二十九日には景気刺激対策を決定いたしましたことによっても十分承知をしておったといわなければならぬと思います。それに今度の補正予算案の説明にあたって、不況だからしかたがないなどということを口実にして、財政政策の失敗や、また予算編成の責任を免れようとする態度には、われわれは承服できないのであります。いわんや、戦後初めてこのような大幅の歳入減を生じたことについての問題のありかというものを、佐藤内閣はしっかりと国民とともに研究をし、どのような判断で立ち臨むか、このことを明確にすべきであったと思います。  もともと歳入を筒一ぱいに見積もってきた当初予算の誤りがここにはっきりと出たのでありまして、それは、同時に、歳出を総花予算、総づけ予算として組んだところに責任があります。もっとも、こう申したからと申しまして、福田大蔵大臣に責任があるなんということを私は申すのではございませんが、しかし、同時に、歳出構成に対するきびしい反省、これを修正しようとする態度というものが今回の補正予算案の提出については必要な態度であったと私は思うのであります。  なぜかならば、高度成長から安定成長へと佐藤内閣は方針をとる以上、いままでとってまいりました景気刺激策すなわち借金経済を、国民生活を安定せしめるために、まず国民の経済力に地力をつける、このような角度で安定成長の方向と実態とを明らかにすべきであったとわれわれは考えます。  なお、重要な点は、今回政府がとろうといたしております公債発行の態度が、来年度とろうとしておる公債政策との関連においてきわめてあいまいであるという点であります政府は、本年度の赤字公債は財政法第四条に抵触するので、特例法を用いてこれを発行すると言っております。来年度の建設公債は財政法第四条に基づいてやるのだと言っております。一見二つの公債は政策をたがえるように見えるのでありますが、しかしながら、ともに市中消化を条件とし、そしてまた、公債の性格上これは継続的に続いていく一環として考えられなければならぬと思います。  そこで、もし来年度からとろうとしている公債政策が佐藤内閣のたてまえであるとするならば、本補正予算中におきまして、歳出中公共事業費部分につきましては、公債金を充てることも私は必要であろうかとも思います。しかしながら、その他の部分につきましては、税外収入の増をはかる、こういう努力をして処置すべきではなかったかと思うのであります。  もちろんわれわれ民社党は、公債政策について一がいにこれを排斥しようとするものではありません。政府予算の立て方からすれば、建設公債といえども本質は赤字公債であります。したがって、経常的な収入の用に公債金を充てようとするならば、以下述べるような準備が必要であったと思うのであります。  その第一は、政府の経費の中で消費的経費は別として、生産的意味を持つ投資的経費につきましては、長期計画を立て、財政法を改正して単年度主義を是正し、これに借り入れ金ないしは、公債を充てる、こういうことを私は方針としてとり得るものだと考えております。しかし、このためには減債基金制度を改正して、一般会計からの経常収入の一定割合を積み立てる方針を明らかにすべきであります。また公社債市場を確立して、市中公募を貫き得るようにすべきであります。この場合、民間資金や地方債への圧迫とならないような金融財政政策と制度とを準備すべきであります。さらに市中公募を貫くためには、所得者減税を大幅に行なって、国民に経済的地力を与え、この地力の上にこの公募の消化をはかる、この態度が必要であるとわが党は考えております。今回のように公債引き受けのシンジケート団をつくりましても、他人資本に依存している私企業や、あるいはまた日銀からオーバーボローイングをやっている銀行に完全消化を期待するということであっては、市中消化の完ぺきを期することはきわめて困難であり、その結果は、回り回って日銀引き受けにならざるを得ないのではないかということを私どもは憂慮するのであります。  しかしながら、最も重要なことは、歳出予算の規模を筒一ぱいにしないという態度が必要であります。もし来年度以降筒一ぱいの予算を当初に組むとするならば、再び補正予算を必要とする場合に赤字公債にたよらざるを得ない、こういう結果を生ずるでありましょう。その場合には、そうやってとられた赤字公債と当初とられている公債の性格との混淆を来たすのであります。私どもは、この点をはっきりと佐藤内閣は準備をしてかかるべきであろうと考えます。  佐藤内閣は、現在の不況対策に眼を奪われるあまり、景気刺激政策に走り過ぎ、これを公債によってまかなおうとするならば、結論は、物価の高騰、インフレに結着せざるを得ません。私どもは、安定成長というのはまず家計の安定から始まらねばならぬと考えます。このためには何よりもまず政府の税、財政政策の転換が必要であります。  このような準備をして初めて公債政策は意味を持つのでありますが、今回のごとく、このような準備が完了していないままに歳入欠陥を財政法の原則をねじ曲げて赤字公債で埋めようという安易な態度は、わが党のとるべきところではございません。本年度の歳入欠陥は外為会計のインベントリーを取りくずす、あるいはまた資金運用部保有の金融債を使用する、さらに行政費の節約をはかる等の組みかえによって補てんすべきであるし、またこれが可能であったはずであるとわれわれは考えます。この意味合いにおきまして、政府提案の補正予算案三案に対して民社党は反対をいたします。  なお、社会党の編成替えを求めるの動議につきましては、このままでやろうとすれば予算執行に重大なる混乱を惹起いたしますので、民社党は反対をいたすものであります。(拍手)

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、川俣清音君外十四名提出の編成替えを求めるの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

青木正自由民主党

○青木委員長 起立少数。よって、川俣清音君外十四名提出の編成替えを求めるの動議は否決されました。  次に、昭和四十年度一般会計補正予算(第3号)、昭和四十年度特別会計補正予算(特第2号)、昭和四十年度政府関係機関補正予算(機第2号)、以上三案を一括して採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

青木正自由民主党

○青木委員長 起立多数。よって、昭和四十年度補正予算三案は、いずれも原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、おはかりいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木正自由民主党

○青木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕

青木正自由民主党

○青木委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。  補正予算三案は、慎重審議を尽くし、円満に審査を終了いたしました。  ここに、連日審査に精励され、かつまた、委員会の正常な運営に御尽力くださいました委員各位の御労苦に対し敬意を表しますとともに、委員長に対し賜わりました御協力につきまして衷心より感謝の意を表する次第であります。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。    午後八時四十二分散会

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