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第51回国会衆議院1966/01/31

本会議 第11号

発言数
19 件
登壇者
8 名
会派数
2
開催日
1966/01/31

会議録

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣の演説に対する質疑

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。成田知巳君。   〔成田知巳君登壇〕

成田知巳日本社会党

○成田知巳君 私は、日本社会党を代表して、佐藤内閣の過去一年有余にわたる施政のあとを追いながら、施政方針演説に対し若干の質疑を展開するとともに、われわれの考え方を明らかにしたいと存じます。(拍手)  佐藤内閣成立当時、私は、本議場で、佐藤総理の政治路線に国民は多くの不安と疑惑を抱いておることを指摘したのでありますが、その後の施政のあり方は、残念ながら私の杞憂を事実をもって裏づけいたしております。(拍手)  総理は、かつて「国民が求め、時代が真に要求しているものを勇気をもって実行する」という名文句を吐かれたのでありますが、施政のあとは、国民が求めず、時代に逆行したものを、総理は権力主義的やり方で強行してきたという一語に尽きるのであります。(拍手)自信のない政治ほど強権を用いやすいというのは、古来の政治の定説であります。時の政治が国民の支持を得ているならば、強権の必要はないはずであります。(拍手)国民の支持を心から信ずることのできない政治ほど、強権により、みずからの政治目標を達成し、権力の座を維持しようとつとめるのであります。  さきの臨時国会における無法の一語に尽きる強行採決がそれであります。(拍手)院外における大衆行動に警察の装甲車とこん棒で臨んだのがそれであります。(拍手)  総理は、施政演説でも、議会制民主主義、多数決原理の尊重を説いておられますが、議会制民主主義といい、多数決原理といい、それは国会で多数を占めれば何をやってもかまわないということではないはずであります。議会が多数の意思を尊重しなければならないことは当然でありますが、同時に、その前提として、立法過程において慎重な討論を繰り返し、国民の前に問題の実体を明らかにし、少数派の意見を謙虚に受け入れて、国民の批判を最大限に反映さすことにより、初めて審議の場としての議会の機能が発揮できるのであります。(拍手)  だとすれば、前国会におけるがごとき、野党の議論を制約し、少数派の意見を抹殺する態度こそは、国会の多数は一切を決定する万能の力を持っているという発想からきたものであって、多数決原理のはなはだしい歪曲であり、多数の名による一党独裁だといわなければなりません。(拍手)  言うまでもなく、国民の批判を直接国会に反映さすためには、院外の請願行動その他の大衆行動に理解を持たなければなりません。請願行動は、選挙と並んで、国民と国会を結ぶパイプの役割りを果たすという現代的意義を持っております。院外の大衆行動を圧力と受け取り、これに力で対処しようとする政府・自民党は、明治憲法下の感覚からいまだに抜け出ていないことを示すものであります。(拍手)  賢明な政治家は、自分を支持する人々よりも、自分に反対する人々を愛するといわれております。自分の味方は自分を扇動し、冒険をやらせるが、反対派は自分の前途に危険な暗礁があることを注意してくれるといわれております。このことは、反対意見から貴重な教訓をくみ取ることが政治の要諦であることを教えておるのであります。(拍手)  総理は、臨時国会における強行審議の経験から何を学び取られたか。議会制民主主義と多数決の原理をどのように考え、今後の国会をどのように運営されようとしておられるのか。ことばの上だけではなく、総理として、総裁としての真摯な答弁をお願いしたいと存じます。(拍手)  自信のない政治は権力政治に傾斜すると申し上げましたが、佐藤自民党内閣の政治が国民の信頼を得ることのできない原因は、一つには財政経済政策の失敗にあり、一つには外交政策の行き詰まりにあるといっても誤りではないと思います。  昨年は不況と物価高に明け暮れた年でありました。ことしは少しでも暮らしは明るくなるだろうかと、新しい年を迎え、家庭の主婦は家計簿を前に深刻に考え込んでおります。施政演説で総理は不況と物価の同時解決を約束されましたが、昭和四十一年度予算案は、景気刺激政策を主とし、物価政策をたな上げした、国民の期待をはなはだしく裏切った予算案となっております。本格的公債政策の採用でインフレは激化するのではないかという国民の不安に対し、政府は、過剰生産の今日インフレを来たすことはないと弁解しておられます。しかし、政府は重大な事実にみずから目を閉ざしておるのではないでしょうか。いや、あえて政府はこの事実を見ようとしないのであります。それは、言うまでもなく、今日日本の経済はすでに深刻なインフレ状態にあるという事実であり、国民は毎日の生活体験を通してこれを知っておるのであります。(拍手)私は、このような政府の問題意識の欠除を国民とともに憂うるものであります。  統計の示すところによっても、昭和三十五年から四十年四月までに消費者物価は三七%上昇しています。そのため、勤労者の賃金は、名目上三二・六%ふえておりますが、実質上三・九%の減収となっておるのであります。また、総理府統計局最近の発表によれば、昨年の消費者物価の値上がりは実に七・六%で、過去十年間の最高を示しておるではありませんか。(拍手)調査なくして政策なしといわれておりますように、現状の正しい把握なくして正しい政策決定は不可能であります。総理は、現状をいかに認識され、そのよってきたるところはどこにあるとお考えなのか。また、その上に立って、四十一年度の経済見通しをどのように立てられているのか。特に、消費者物価を五・五%の値上がりに押えると言われるが、その自信をお持ちなのかどうか、具体的根拠につき責任ある答弁をお願いしたいと存じます。(拍手)  政府は、四兆三千百四十二億七千万円の膨大予算を編成し、「ヨサンデイイヨニナル」などとごろ合わせを楽しんでおられるようでありますが、ここにも政府の問題意識の安易さがうかがわれるのであります。(拍手)ごろ合わせならば、国民の間では、「ヨサンデイイヨニナル」というのではなく、「ヨサンデ一億シニニナル」とか、「シンデサイシニナカレ」とも読んでいることを総理はお忘れないように願いたいと存じます。(拍手)  政府は、本予算案を不況打開のための万能薬のごとく宣伝しておりますが、本予算案の特徴は、七千三百億にのぼる本格的公債政策を取り入れた、戦後初めての膨大予算だという点であります。しかも、この公債政策が財界筋の強い圧力と要請により採用されたという経緯が示すように、本予算案の内容は、一部資産階級には至れり尽くせりの文字どおりすき間のない予算であり、声の小さい、圧力の弱い国民大衆にはすき間だらけの予算となっておることを、国民の前に明らかにしたいと存じます。(拍手)  私は、まず昭和四十一年度予算で初めて発行される建設公債の性格を問題にしなければなりません。財政法第四条ただし書きで認められておる公共事業の財源に充てる公債とは、その公共事業から直接生まれる収益によって公債の元利償還ができるような生産的、収益的な公共事業でなければならぬことは、次の理由で明らかであります。すなわち、財政法第四条第二項は、建設公債を発行した場合「償還の計画を国会に提出しなければならない。」と規定しておること、また、第四条ただし書きに、公共事業と並んで貸し付け金、出資金の財源についてのみ公債の発行が許されておるという事実から、このことは当然類推できるのであります。しかも、この種の生産的、収益的事業は、ほとんど一般会計にはございません。したがって、七千三百億の公債を発行し一般会計の財源に充てるのは、財政支出の膨張に対し、税収の伸びがこれに伴わないので、その穴埋めのために行なおうとするのであって、建設公債という名の、実は赤字公債の発行であります。(拍手)このような公債発行は直ちに取りやめるべきであり、どうしても発行するというならば、四十年度の公債発行と同様、財政法の特例に関する立法措置をとることが当然であります。  もし、政府の見解のごとく、一般会計の非収益的公共事業をも建設公債の対象とすることが許されるならば、この公共事業という観念はまことにあいまいもことしています。政府の恣意的解釈で幾らでも拡張解釈され、公債発行は無限と言っていいほど増大し、その結果、公債の元利払いは将来において国民に過大な税金倍増という負担を課することとなるでありましょう。(拍手)  このように、公共事業と公債発行の間に政治算術が自由に入り込み、建設公債に限ることは、政府の言うごとく自動的歯どめにはなり得ないだけではなく、建設公債の名のもとに赤字公債発行を無制限に許すことになると思うが、総理はどのように理解しておるか、明らかにされたいと思います。(拍手)  政府は、公債発行を市中消化のワク内にとどめると言っておられますが、公社債市場が確立されていない今日、金融機関への割り当てによる形式的な市中消化で有効な歯どめができるなどと考えることは、無意味というより、危険な気休めにしかすぎません。(拍手)  すでに日銀総裁は、公債担保の貸し出しあるいは公債買いオペレーションを口にしていますが、これは実質上公債の日銀引き受けであり、追加信用の膨張であります。現に、四十年度発行赤字公債のうち、七百億円の市中消化にあたって、金融の最もゆるむ一月にもかかわらず、金融市場は逼迫し、日銀が六百億円の緊急貸し出しを行なっている事実を総理は一体どのようにお考えでありましょうか。(拍手)貨幣の番人であるべき日銀の政府に対する立場は至って弱く、その自主性と中立性が保証されていないことは、総理御承知のとおりであります。  現在の日銀は、他国に例のない、わが国独自のものであります。何が独自かといえば、昭和十七年、戦時下において日本銀行法が定められてから、今日まで日銀券最高発行額屈伸制度がとられておりますが、最高発高限度は法定されず、政府によって自由に決定されるという点で、他国に例のない独自な制度なのであります。戦争第一主義に基づき、インフレのためにつくられ、どこにも健全貨幣主義の精神のないアナクロニズム、時代錯誤のそれが現行日銀制度であります。(拍手)  申すまでもなく、通貨価値の安定なくして経済の安定成長はあり得ません。総理がほんとうに国民生活の安定を願うならば、まず金融民主主義の精神に徹し、隷属的日銀制度を根本的に改正し、自主的中央銀行制度を確立すべきであります。もししからずと総理言うならば、その根拠と歯どめのための具体的方策を明らかにされたいと存ずるのであります。(拍手)  いま世間では、不況下の株高ということばが使われております。株式は経済の先見性を持つものといわれておりますが、不況で企業の実体が悪いにもかかわらず株価が高いというのは、本格的公債政策導入によりインフレ必至と見込まれておる結果であります。来年度を初年度とする公債政策に乗り出した政府は、今後三カ年間は公債発行額を高水準に保ち、その後も第三次防衛計画遂行のため十数年は公債発行を続けなければならぬという見通しが行なわれております。総理は、財政政策の根本的転換を行なわんとする以上、綿密に計画された長期見通しをすでに立てておられると思うが、今後の公債発行見込み及びこれと第三次防衛計画との関係を、この機会に国民の前に明らかにしていただきたいと考えます。(拍手)  政府は、七千三百億の建設公債発行を中心にした大型予算で、財政面から景気に浮揚力をつけようとしておるようでありますが、この政府の景気対策に対し、われわれの立場を明らかにしておきたいと存じます。  総理も御承知のように、昭和四十年度においては、約三兆円から四兆円の過剰供給能力が存在し、その圧迫が現在の不況をもたらしております。昭和四十一年度においては、さらに、四十年度の民間設備投資の六割程度が生産能力化するでありましょう。したがって、かりに政府見通しのように、今次予算をてこに三兆円の新しい有効需要がつくり出されましても、なお膨大な過剰供給能力を解消することは不可能であります。のみならず、信用インフレ、財政インフレの結果、勤労大衆の消費購買力は大幅に減殺され、かえって現在の不況を長期化する結果となるでありましょう。  政府は、昨年に引き続き、消費者米価、国鉄、私鉄運賃、健康保険料、郵便料金等を値上げし、また、値上げしようとしておりますが、この集中豪雨を思わせるような公共料金値上げで、国民生活は押し流されようとしております。(拍手)そのための国民負担は、実に三千五百億以上にのぼると見込まれております。政府が鳴りもの入りで宣伝した減税も、企業減税中心であり、初年度わずか千二百億の所得減税は、この公共料金値上げだけで完全に帳消しされてしまうでありましょう。(拍手)減税による購買力の底上げで新しい有効需要をつくり出すという政府の不況対策は、この一事だけをとってみても、完全に矛盾撞着におちいっていることが明らかであります。物価の上昇と過剰生産の併存という現実に目をおおい、明年度経済成長率を七・五%と安易に見込むことは、何ら合理的根拠を持たないばかりか、国民に幻想を与える以外の何ものでもないと思います。(拍手)七・五%の経済成長といい、消費者物価を五・五%に押えるといい、総理は、この見通しに確たる自信をお持ちなのか、もし大きく見通しに狂いが生じた場合、政治責任をとられる用意ありやいなや承りたいのであります。(拍手)  本予算案は、物価政策不在の予算案だといわれております。今日の不況下の物価高という最悪の事態をもたらした政府・自民党の責任は、幾ら追及しても追及し過ぎることはないと思いますが、国民の期待する不況の克服と物価安定のための具体的方策を打ち出すことが、いまわれわれに課せられた重大な任務であります。(拍手)  私が総理に端的に申し上げたいことは、いかに景気対策を唱えても、おそるべき消費者物価の上昇を押えることなくしては、景気対策は効果をあげることができず、結局、それは一部資本家を利する結果にしかならないということであります。(拍手)すなわち、物価上昇を押え、物価安定をはかることに、政府は第一義的努力を集中すべきであり、これこそが現在何よりも有効な景気対策であります。したがって、物価政策を推進するにあたり、これに背反するような公債発行、公共料金値上げが許されないことは当然であります。さらに、われわれが見のがしてならないことは、不況下で、しかも、企業の近代化、合理化が進められてきたにもかかわらず、卸売り物価が横ばい状態を続けておるという異常な事実であります。(拍手)これは、言うまでもなく、最近の公取委員会の発表でも明らかなように、ほとんどの業種で、合理化カルテル、不況カルテルによる自主調整、価格協定が行なわれ、独占価格、管理価格化が進行しておることを示すものであります。(拍手)  福田大蔵大臣は、財政演説で、卸売り物価が長期にわたって安定し、わが国経済の競争力の維持強化に貢献したなどと言っておられますが、一国の蔵相として、思わざるもはなはだしいものといわなければなりません。(拍手)  政府は、消費者物価安定の前提として、この独占価格、管理価格にもっときびしいメスを入れるため、法的、行政的措置を講ずべきだと考えますが、総理にその御意思ありやいなや承りたいと存じます。(拍手)  消費者物価上昇についていえば、その大きな要素をなしておる消費者米価、電力料金、国立学校授業料、私鉄運賃、たばこ等の値上げは法律事項とするとともに、野菜、水産物、サービス料金等については、農業、中小零細企業の生産性向上と経済二重構造の解消、流通機構整備のために、思い切った法的、予算的措置を講ずべきでありますが、本予算案では、残念ながらこれにじっくり取り組んだあとが少しも見受けることができません。(拍手)  特に、予算全体として、地価対策に見るべきものがないことを強く指摘せざるを得ないのであります。(拍手)物価上昇の牽引車だといわれている地価、財政効率を減殺する地価対策に無策であったことは、歴代保守党政府の最大の失政の一つだといっても過言ではございません。(拍手)しかるに、総理も、大蔵大臣も、施政演説でただ一言、宅地の供給をふやしたいと言っているにすぎません。この演説を聞いて、失望の念を禁じ得なかったのは、私一人ではないと思います。土地の持つ公共的性質から申しても、国民は、政府が地価安定のため、強い政治力を発揮することを心から望んでおります。総理は、この国民の要望にどのようにこたえようとしておるのか、その具体的方策を国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  私から申し上げまるでもなく、国民の最大関心事は、物価の安定と並んで、いつごろ、いかにして経済不況を克服できるかということに尽きると思います。不況克服の道は二つある。その一つは、大資本の利益を優先し、大衆生活の犠牲において進められる上からの道であり、他の一つは、勤労大衆の生活安定、向上を基本とする下からの道であります。政府の進めておるのは、言うまでもなく、上からの道であります。佐藤内閣は、無計画な設備投資を行ない、好況期には過大な収益をあげ、不況の現在でも、なお一割前後の配当を続けている大企業の圧力と要求に屈服して、不況対策の名において、公債発行と企業減税を行なわんとしておりますが、これは先に指摘したように、経済合理性を持たないだけでなく、著しく社会正義に反するものであり、われわれは断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)  われわれは、下からの経済成長、景気回復の道を選び、次の方策を強力に進めんとするものであります。  第一に、大企業や高額所得者からの税収と、防衛費等の大幅削減による財源で、所得税、住民税を引き下げ、砂糖、たばこ、酒等、間接税の大幅減税を行なうとともに、全国一律の最賃制の実施、及び生産費所得補償方式による農産物価格の安定をはかることであります。  第二に、予算の重点を社会保障の充実、農業、中小企業の近代化と格差解消、地方財政の拡充に向けることであります。  第三は、政財投融資資金の中の住宅資金を拡大し、生命保険、損害保険等の民間資金を活用して、政府施策の住宅を年八十万戸建設すべきであります。問題の地価対策としては、宅地法を制定し、公営の宅地開発を進めるとともに、標準地価の設定、土地譲渡所得税の増徴、大規模個人所有地に対する固定資産税の累進課税等により、遊休宅地の解放と地価引き下げを断行すべきであります。(拍手)  第四には、中国、ソ連を中心とした共産圏貿易の拡大、特に悪名高い吉田書簡を破棄して、中国へのプラント、船舶、重機械等の輸出を飛躍的に拡大すべきであります。  これこそ真の日本経済安定の道であり、国民大衆の期待する不況打開への道であります。しかも、総理がほんとうに経済の安定成長と人間尊重の政治に徹する決意をお持ちなら、これは直ちに実行可能な道でございます。(拍手)総理の所見いかがですか、明らかにしていただきたいと存じます。  次に、外交政策を中心に総理の見解をただしたいと存じます。  まず第一にお尋ねいたしたいことは、総理は一九六六年の世界の動向、特にアジア情勢をいかに認識し、いかに対処されるかということであります。  アメリカは、昨年の暮れからベトナムに対する和平工作を展開しておりますが、同時にベトナム戦争の軍事予算を中心に国防費の大幅増大をはかり、ベトナム戦争拡大の準備を進めておることは世界周知の事実であります。アメリカの和平工作は偽りの和平工作であり、その衣の下から戦争拡大のよろいが見えておるのであります。(拍手)現にアメリカは日本政府に北爆再開の旨を伝えてきておるとのことであります。この事実でも想像できるように、ベトナム戦争はインドシナ半島全域に拡大され、米中の衝突という最悪の事態さえ予想しなければならない情勢にあります。このような事態に処して、日本政府がアジアの平和のためにどのような有効な努力と発言をなすかは、日本国民だけではなく、世界の人々の重大関心事でございます。  佐藤内閣は、椎名外相訪ソにあたり、ソ連に北ベトナムや南ベトナム民族解放戦線への和平説得を依頼したところ、ソ連から、たちどころに拒絶されたと伝えられております。なぜこのような不手ぎわな結末になったのか。答えは至って簡単であります。和平説得の方向が正義に反し、道理にさからったものであったからであります。(拍手)  ベトナム民族は、約百年にわたるフランスの植民地支配のきずなを断ち切るために多くの血を流し、ついに一九五四年のジュネーブ協定をかちとったのであります。しかるに、アメリカは、フランスにかわって直ちにベトナムに乗り込み、ゴ・ジン・ジエムかいらい政権を打ち立て、南ベトナムを武力で押えようとしたのであります。このアメリカの武力による内政干渉に対し、再び民族解放のための戦いが南ベトナム民族解放戦線によって展開され、今日の事態となっておるのであります。だれの目にも明らかなように、ベトナム民族は被害者であり、加害者はアメリカであります。(拍手)アメリカがジュネーブ協定を尊重し、ベトナムにおける一切の武力行使を取りやめ、軍隊を南ベトナムから撤退させるならば、ベトナムには直ちに平和がよみがえってくることは、疑いの余地はございません。  もし佐藤総理のアジアと日本の平和を守るということばに偽りがないとするならば、被害者に向かって和平を説くという筋違いの道を歩んではなりません。(拍手)自主的解決の方法を持たずして、ベトナム和平工作のためと称して特使を派遣するなど、ベトナム巡業サーカスの道化のような役割りを演じてはなりません。(拍手)いわんや、被害者ベトナム国民を非難するがごとき総理の施政演説は、直ちに取り消すべきであります。(拍手)  総理は、この際、勇断をもって、加害者アメリカに対して、日本の基地使用を拒否し、ベトナムから手を引くことを要求すべきであります。こうしてこそ、初めて日本のベトナム和平の提案は、自主的な提案として、アジア諸国民の支持と共感を得ることができると確信するものであります。(拍手)  佐藤総理は、アメリカのレストン記者との会見で、非核保有国に防衛の保障を与えるような国際条約の締結が必要だと言っておられます。また外相は、安保条約の義務を忠実に履行すると強調されましたが、この発言が、日本みずから核兵器を保有しないが、日本をアメリカの核のかさの中に置こうとする核安保体制を進めることを意味するとするならば、たとえ日本みずからが核兵器を持たなくとも、日本はアメリカとともにアジアの核戦争の責任を免れることはできなくなるのであります。(拍手)世界でただ一つの原爆被害を受けた日本国民が、原爆の加害者になることは断じて容認できないところであります。(拍手)  私は、日本国民の悲願を代表して総理に要求いたします。政府は、日本の非核武装を宣言し、アメカの原潜、近く来ると伝えられておる原子力空母などの寄港を断固拒絶し、沖縄を含めて、日本からの核兵器と軍事基地の撤去を要求すべきであります。(拍手)そして、米、英、ソ、仏、中の核兵器所有国に対し、核兵器は絶対使用しないことを要請すべきであります。すでにソ連も中国も、自分のほうから先に核兵器を使うことは絶対しないと内外に向かって宣言しておることは総理御承知のとおりであります。核兵器所有五カ国が、核兵器を使用しない約束ができるならば、核兵器の全面禁止、完全廃棄、軍縮への道を切り開くことになるでありましょう。世界から核戦争の脅威をなくするという人類普遍の崇高な目的を実現する道は、これをおいてほかにないと思うが、総理の決意をこの機会に内外に明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)  現段階でベトナム問題を平和解決する一つのかぎは、日中関係打開のための自主外交を推進することであります。歴代自民党政府で、日中関係を前向きに処理すると公約しなかった政府はございません。そして、多少とも日中関係が前進し始めると、必ず台湾からの圧力がかかり、自民党政府は動揺し、日中関係は再び後退するという循環を繰り返してきたのであります。国民だれもがふしぎに感ずることは、フランスの中国承認に見られるごとく、その国際的地位についてはすでに評価済みのあの台湾の圧力に、なぜ日本はよろめかなければならないかということであります。(拍手)それは言うまでもなく、台湾の背後にアメリカがいるからであり、台湾の圧力とはアメリカの圧力にほかなりません。(拍手)日中問題はすなわち日米問題であります。国連の中国代表権問題がこのことを明らかにいたしております。自民党政府は、アメリカと通じ、中国の国連における正当な地位の回復に反対してまいりました。しかし、だれの目にも明らかなように、中国の国連代表権を認める国が多数を占めるのはもう時間の問題であります。そのとき、日本は、国際政治の舞台で、あたかも手がつぼから抜けなくなったサルと同様、全く進退に窮することになるでありましょう。(拍手)サルはつぼの中で握った木の実を離せば手は抜けるのであります。自民党政府も、六億五千万の人口を有効に支配している中華人民共和国が、中国を代表する唯一の政府であるという、この簡単な事実を認めさえすれば、袋小路から抜け出ることができるのであります。(拍手)中国の国連復帰と日中国交の前進、回復をはかり、日中は再び戦わないことをお互いに約束することは、ベトナム情勢をめぐる米中衝突の危険を確実に回避する道であり、アジアの平和にはかり知れない重みを持つものであります。  政府は、常に、日本はアジア最大の工業国だと称しております。この日本が平和への指導権をとれば、アジアの情勢は大きく変わり、平和と安定へ向かって前進するでありましょう。(拍手)日本が戦争の協力者になるか、それともアジアの平和の指導権を握るか、その歴史的選択の前に立って、日本は、いまこそ日中打開への勇断をもって踏み切るべきときであります。(拍手)これこそ、総理の言う「国民が求め、時代が真に要求しているものを、勇気をもって実行する」ことにほかなりません。総理に、その決意ありやいなや、明確な答弁を承りたいと存じます。(拍手)  最後に、私は、対朝鮮政策と日ソ外交のあり方について、総理の所信をお尋ねいたします。  あの無謀な強行採決を行なった日韓条約が批准されたとき、両国では条約批准を喜ぶような慶祝気分は、街頭でも家庭でも一向見受けられなかったのであります。このことは、日韓条約の本質を両国民が鋭く見抜いておるからであります。(拍手)もし政府が、ほんとうに朝鮮民族との友好親善を考えるならば、佐藤内閣としても、北朝鮮との経済、文化、人事の交流を活発化さす努力を払うべきでありますが、一向にそのような姿勢は見えません。それどころか、われわれが日韓条約審議の際指摘したように、政府は、日本が国連安保理事国になったことを機会に、国連待機軍をつくり、自衛隊を参加さし、海外派兵の道を開かんとしているとも伝えられておりますが、はたして総理は国連待機軍の構想をお持ちなのかどうか、この機会に国民の前に明らかにしていただきたいのであります。(拍手)  政府は、日韓条約批准後、にわかに対ソ外交推進に力を入れ、椎名外相の訪ソが行なわれました。ソ連との会談で、北方領土問題も討議されたようでありますが、ソ連の壁はきわめて厚かったと伝えられております。われわれ社会党も、日ソ友好を促進することに賛成であります。また、北方の固有領土返還のためにも努力を続けてまいりましたし、今後も努力をいたしたいと存じております。しかし、そのためにも、重大な事実を見落としてはなりません。すなわち、現在日本とアメリカとの間には軍事同盟が結ばれており、日本領土は全体としてアメリカの軍事基地となっておるということであります。このような状態のもとで、ソ連が唯々諾々と領土の返還に応ずると期待することが許されるでしょうか。もし政府が一日も早く北方領土の返還を実現しようとする熱意を持つならば、かのサンフランシスコ平和会議で、吉田政府が北千島と南千島の歴史的条件の相違を説きながらも、南千島を含めて北方領土をも放棄した経緯をあわせ考えて、この際日米安保条約を廃棄し、国連憲章違反のアメリカによる沖縄、小笠原の占領を終結させ、日本を真に平和と中立の国にするための最大の努力を払うべきであります。(拍手)この意味において、日ソ関係はやはり日米関係だといわなければなりません。総理は、日ソ関係の展開、特に北方領土問題をめぐる平和条約の締結につき、どのような見解をお持ちか、明らかにしていただきたいと存じます。  以上、私は、護憲、民主、中立の立場から、内政、外交、経済の各般にわたり質問をいたしましたが、これを一言で言えば、現行憲法を守り、これを完全実施するということに尽きると思うのであります。政府・自民党は、今日まで、憲法でなさねばならぬときめられたことは、これをなさず、憲法でしてはならないということは、憲法に違反して強行してきたのでありますが、いまや成文憲法の存在自体を、自民党は、手かせ足かせと感じておるのであります。そのため、日韓のあとは小選挙区だということばにも見られるように、小選挙区法を制定し、一挙に憲法を改悪し、一党独裁をねらっておることは、だれの目にも明らかであります。(拍手)最近の選挙の得票率が示すように、自民党は、すでに国民大衆の中においては、多数派ではなく、少数派に転落いたしておるのであります。(拍手)国民の中で少数派でありながら、議会内では絶対多数を確保しようという党利党略が、すなわち小選挙区制のねらいであります。われわれは、平和と民主主義の名において、自民党のかかる陰謀を絶対に許すことはできません。(拍手)総理は、一体小選挙区制の制定をどのように考えておられるのか、この機会に総理の考え方を国民の前に明らかにすることを強く要求するとともに、祝祭日法の制定、国防省設置についても、いかなる取り扱いをなされようとしておるか、あわせてお尋ねするものであります。  いまや、長年の保守支配のもとで、日本の政治経済は、ますますその矛盾を拡大、激化し、自民党政治は完全に行き詰まりを見せております。(拍手)佐藤自民党内閣は、この矛盾からの脱出口を、さきには日韓条約の強行に、いままた公債発行、インフレ政策という冒険政策に求めようとしておりますが、このような政策の大転換を、総選挙の洗礼を受けてない佐藤内閣の手で行なうことは、責任政治の原則からも絶対に許すことはできません。(拍手)もし総理にして、民意をおそれず、議会制民主主義を尊重する意思があるならば、当然解散により国民の信を問うべきであります。総理に、はたしてその良識と決意ありやいなやお尋ねいたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  私の政治姿勢につきましてまずお尋ねがございましたが、施政演説で詳しく私は説明をいたしておりますので、ただいまは国民の皆さまは御了承を得ておると思います。  昨年末における国会の状況につきましては、まことに遺憾、残念であります。与野党双方におきまして、国会の正常化についての申し合わせができたばかりであります。ただいま私自身が、議会制民主政治を守る、かように申しておりますし、また、昨年申し合わされたそのこと自身は、各党におきまして責任をもって国会の正常化に努力すべきことだ、かように思います。当時言われましたことは、もちろん言論の府であります。したがいまして、少数党の意見も尊重されなければならない、同時にまた、物理的抵抗はこれをしてはならない、こういう申し合わせがあります。私は、過去の国会の成績を見ますると、いわゆる修正された案件は非常に多い。申すまでもなく、少数党の意見が取り入れられ、多数党が、いたずらに多数決のみによらないで、十分話し合いをして、修正意見で法案を成立さしておるのであります。しかし、まことに残念なことは、重要案件につき、ことに外交の問題につきまして、しばしば与野党の間において話し合いがつかないということ、まことに私はこれが残念であります。今後におきましては、こういう事柄は申し合わせの線によって解決されることだと思います。ことに院外の運動、請願運動自身も、成田君の言われるように、私どもは尊重しなければならないということもわかりますが、この院外の運動にはおのずから限度のあることを十分理解しなければならないのであります。(拍手)いずれにいたしましても、私は、いわゆる権力主義に堕することなく、また強権を使うことのみを目的とはいたしておりません。十分与野党とも審議を尽くして、そうして国会の正常化にこの上とも努力すべきだ、かように考えておる次第であります。  次に、経済問題につきましてお話をいたします。  お尋ねの順に従ってお答えをいたしますが、まず第一は、今回の予算ではインフレになる危険が多分にあるのではないかという御指摘であります。私が申し上げるまでもなく、今日当面しておりますのは不況でございます。この不況が非常に長く続いておりますので、何としてもことしは克服しなければならないと思います。同時に、国民生活を圧迫しておる物価問題と、両者を鎮静、これを妥結いたしまして、そうして国民生活の向上、確保をはかっていかなければならないのであります。この意味におきまして、私は、克服と躍進ということを申しておりまして、大型積極予算と同時に、減税を大幅に取り入れることによりまして有効需要を喚起して、そうして不況を克服していくつもりであります。同時に、物価問題に対処いたしましては、生産性の低い部門については生産性を向上さす、あるいは流通機構を改善していく、あるいは公正取引委員会の機能を十分働かしていく、あるいはまた、輸入政策、関税政策等をもあわせて物資の円滑な供給に努力をして、価格を鎮静させていく努力をするつもりでございます。この意味におきまして、今後、ことしの目標といたしましては、物価はおおむね五・五%程度にこれをとどめるように、最善の努力をしていくつもりであります。現状がすでにインフレだと、かような御指摘でありますが、私は、現状自身がインフレだというようなことは、認識として必ずしも正しい認識だとは思いません。  次に、建設公債につきまして、建設公債は財政法第四条に違反するものであるという御指摘でありますが、私どもは財政法第四条に違反しておると思いません。御承知のように、財政法第四条で認めております、いわゆる債務の見合いとして国民の資産をつくり出すことができる、同時に、この国民の資産は、経済社会の発展向上に貢献するものだ、かような意味で建設公債が認められておるのであります。この公共事業の範囲をいわゆる償還性のある事業ばかりに限るという、かような説は間違っているのでありまして、私はそれをとらないのであります。十分御理解をいただきたいと思います。(拍手)四十一年度に出します公債は、すべて財政法第四条に基づくものでありまして、決して違法ではございません。また、先ほど言われますような、いわゆる赤字公債ということばを使われますが、赤字公債ということばの内容、意味がたいへん不明確でありまして、この点はもう少し説明されないと、私には理解ができません。  次に、日銀について申し上げますが、結論から申しまして、日銀法をただいま検討はいたしておりますが、この国会会期中に改正案を提案するというところまでは至っておりません。もちろん、この日銀が持つところのいわゆる通貨調整の機能、これは日銀自身が、公債発行の際におきましても、十分に通貨調節の機能を発揮するように働くのでありまして、このことば最も大事なことでありますし、ことに、先ほど来御指摘になりますように、インフレになる危険があるのだ、こういうことを御指摘でありますが、それこそ日銀自身が金融政策の面でインフレにならないように協力するのでございますから、日銀自身は通貨調整の機能を十分に発揮するようにいたしたいと思います。私は、先ほど来お話しになりました、今回の予算がインフレになるのだという御指摘、これにつきましては、私自身が施政演説で申しましたように、絶対にインフレになる危険はございません、かように申し上げておりますので、十分御注意の点も気をつけてまいりますが、私が申し上げるまでもなく、インフレになる危険は、財政が経済事情に即応しない非常に過大であるとか、あるいはまた、物資が極端に窮乏しておるとか、かような状態だと、インフレになる危険がございますが、今日の日本の現状をもってし、また、今回私どもが策定をいたそうとする予算規模等から見まして、この危険は絶対にないのでございます。御安心をいただきたいと思います。(拍手)  次に、長期にわたってその公債発行計画を持っておるのではないか、持っているならばそれを説明しろ、こういうことでありますが、御承知のように、財政自身の力は、経済が停滞ぎみの場合においては下ささえをする、また、過熱の場合におきましては抑制的効果を発揮する、これが財政そのものであります。したがいまして、ただいまのように、今回この不況を克服するために私ども公債を発行して、そうして社会資本あるいは社会保障の充実等をはかっていく、これによって不況を克服するのでありますが、かような考え方でおりますから、いわゆる財政の規模というものは、その年々の経済情勢に応じて考えていくべきものであります。また、税収入等とも勘案し、財政の需要に即応して財政計画を立てるのであります。公債発行などは、長期にわたって計画があって、機械的に公債が発行される、かようなものでは絶対にございません。この点は誤解のないようにお願いをしておきます。よほど社会党の方は統制経済がお好きかと見えますが、かような考え方はございません。  また、第三次防衛計画と今日の公債の発行とは全然関係がありませんから、これもまた気をもまれないようにお願いをしておきます。  次に、公債を発行すれば、逆に不況が長期化するのではないか、こういうお尋ねであります。御承知のように、私どもが今日公債を発行し、不況を克服していこう、これは申すまでもなく、経済を安定成長、しかも、できるだけ安定成長の大きさ、その大きさに努力していこう、こういうことでありますので、いわゆる不況を克服すること自身が今日の目的であります。ただいま言われるように、これによって長期化するというようなことは、これは全然考えられません。ただいま、あるいは、やすきにつくから、その結果不況が長期化するのではないか、こういうことではないかと思いますが、これこそ国民の協力を得、また国民自身が立ち上がることによりまして、できるだけ早い機会に不況を克服することが、私どものつとめであります。また、今年こそは不況を克服するんだ、かように私も約束いたしておりますから、御心配なしに、この点も私どもの公債発行に御協力を願いたいと思います。  申すまでもなく、いままでの経済は、いわゆる供給力が超過しておる、これは申すまでもなく設備投資、その設備投資によりまして経済が左右されていた、いわゆる設備投資主導型の経済でございましたが、今回は、これを財政と個人消費と、その二つに移行していく、比重をそちらに、財政と個人消費のほうに持っていく、いわゆる民間の設備投資主導型がかように変わってくるのであります。そして経済が安定し、公共資本や住宅や、その他立ちおくれた部門を取り戻し、そして国民生活の向上に寄与していこうというのであります。  次に、かような意味で公債の発行と大幅減税を断行するのでありますが、先ほど来、大幅減税は公共料金等の値上げによって全部帳消しになる、かようなお話でございましたが、ただいま手元に持っておりませんが、公共料金である米価等が消費者物価に及ぼす影響は、わずか〇・七%程度ではないかと思います。一%にもならないのであります。また、国鉄運賃も同じように〇・三%程度の数字ではないかと思います。かように考えますると、私は、大きな減税をすることによりまして、国民の貯蓄もふえ、豊かな家計ができ、いわゆる個人消費、これは増していくものだと思います。ことに、今回御協賛を得ようとしております物品税の軽減などは、必ず役立つことだ、かように私は思います。  次に、物価の安定が今日大事なことは、御指摘のとおりであります。これは経済安定をさす上におきまして、このことが最も大事であります。物価政策不在の予算をつくった、かような御批判でございましたが、これはよく施政演説をお読みくだされば、物価政策不在の予算でないことはおわかりできるだろうと思います。  卸売り物価等につきましても御批判がありましたが、いわゆる工業製品につきましては、卸売り物価は、ごくわずかではありますが、これが安くなっております。非工業生産あるいは農水産物等の卸売り価格は、これが上がっておるというのが現状であります。したがいまして、生産が向上しております部門におきましては安くなるのでありますから、今後とも一そうさような意味で努力してまいるつもりであります。先ほど説明をいたしましたように、生産性を高めるとか、あるいは独占禁止法、あるいは輸入政策、あるいは関税政策等をあわせ行なって、これらの問題と真剣に取り組んでまいるつもりであります。  同時に、地価対策についてのお尋ねがございましたが、地価対策につきましては、いずれこれまた御審議をいただくことになるのだと思いますが、土地収用法の改正であるとか、あるいは農地の転用であるとか、積極的に宅地を造成するとか、いろいろの措置をとっておりますので、この地価対策自身がほうってある、かような状態でないことを御了承いただきたいと思います。  また、消費者物価のうちで、生鮮食料品等につきましては特に意は用いておりまして、野菜や魚肉あるいは食肉等につきましては、十分その供給について注意してまいるつもりであります。これは輸入政策、同時にまた、関税政策等ともあわせまして、供給に万全を期し、消費者物価が国民生活を圧迫することのないよういたしたいものだ、かように考えております。  問題は、この物価対策は、社会党方式だとか、あるいは自民党方式だとか、簡単に片づけていらっしゃいますが、さように簡単なものではございません。物価対策につきましては、これは総合的に十分諸種の対策を立てまして初めて物価対策ができるのであります。先ほど来言われるように、上からくる物価対策、下からくる物価対策、かように簡単には仰せられないようにお願いをいたしておきます。  そうして、先ほど、社会党ならばこうする、こういうお話のうちに、大幅減税、私どもが考える以上の大きな減税を並べられました。また、公債にはその趣旨から見て絶対に反対だと言われております。しかも財政支出はどんどんふやしていくのだ、かようなことを言われたのであります。私は、この点がただ共産圏貿易の拡大程度ではまかなえるものではない、かように思いますので、この点もさらに教えていただくと私はしあわせに思います。(拍手)  次に、外交問題について申し上げます。  申すまでもなく、ベトナムを中心にいたしますただいまのアジアの情勢は、まことに困難な状態であります。だんだん国際的にも多元化し、緊張もアジアに集中されておるように思います。ベトナムばかりではなく、インド、パキスタンとの関係だとか、あるいはインドネシアの問題だとか、いろいろ問題が集中されておるように思います。しかしながら、米ソの力の均衡によりまして平和は保たれておる、かようにも言えるかと思いますが、最近中ソの間の対立なども、これは見のがすことのできない状況ではないかと思います。したがいまして、ベトナムをめぐる国際世論の動向というものにつきましては、この上とも一そう私どもは注意していかなければならないと思います。アジアにある日本といたしまして、この問題が非常に頭にきておるのでございます。私が申し上げるまでもなく、アメリカの和平工作につきましては、ハンフリー副大統領やハリマン特使などが出てまいりまして、米国の真意を私は十分つかんでおります。昨年のクリスマス以来北爆を停止し、一カ月以上に及んでおる、そうして和平を呼びかけておる。このくらいいいチャンスはないのであります。お互いが世界の平和を確保する、平和への道を努力する、こう考えますと、この機会が一番いいチャンスだと思います。私は、さような意味におきまして、椎名君がソ連にも参りますので、ソ連にもよく実情を話をし、そうして協力方を求めた次第であります。しかし、今日まで共産側からのこれについての反応がないことは、まことに残念に思う次第であります。  御承知のように、アメリカは、しばしば申しておりますが、北からの侵略が停止されればいつでも撤兵すると、かように申しておるのであります。この点が非常に大事なことであります。この点が、実情の認識上、社会党の方も十分実情を把握していただきたい、かように思います。(拍手)私は、被害者はベトナムであり、加害者は米国だと、かような意味で米国を非難なさいますが、御承知のように、米国が出兵をいたしましたのは、南ベトナム政権から頼まれてそうして出ていったのであります。その点を考えますと、加害者は米国だと、かようにきめつけることは、お互いに慎むべきことではないかと思います。(拍手)  次に、核保有体制へ日本が組み入れられるというお話でありますが、私は、日本は外部からの侵略に対しましては、日米安保体制でこれに対処するという、はっきりした基本態度を持しておるのであります。私がアメリカを昨年訪問いたしまして、ジョンソン大統領と話し合ったときも、その共同声明にも、日本が外部から侵略を受ければアメリカはこれを防衛するのだということをはっきり申しております。この外部からの侵略、これは通常兵器によるばかりではありません。核兵器による場合でも、外部からの侵略があれば、安保体制、そのもとにおいて私どもはこれに対処していくということになっておるのでありまして、この点では誤解はないだろうと思います。したがいまして、いわゆる核安保体制ということはどういうことを意味されるのか、私にはわかりかねますけれども、ただいま申し上げるように、日本自身が外部からの侵略にはあらゆる場合にこの安保体制が働くのだということを御銘記願いたいのであります。  同時にまた、かような意味におきまして、日本がそれならば核武装するのか、あるいは核兵器の持ち込みを許すのか。かようなことは絶対にないのでありまして、この点は、しばしば説明いたしましたように、核武装はしない、核兵器の持ち込みはしない、また核基地には日本はしない、こういうことをはっきり申しておりますので、これらの点も誤解のないように願いたいと思います。多角的核戦略体制の一員になるというようなことも全く考えておりません。  また、私どもは、核兵器の製造、貯蔵等の禁止を含めまして、核兵器の分野の軍縮を心から願っておるのであります。日本自身が持たないばかりでなく、さような意味においてもこの呼びかけをいたしております。したがいまして、ただいま成田君の言われましたように、核兵器を使用しないことの要求をしたらどうかという、これの前に、やはり製造、貯蔵の禁止、同時に軍縮、こういうことをわれわれは考えておるのでありまして、じみちな軍縮管理の方法への努力をしなければならない、かように思います。  また、ただいまの核兵器の問題でございますが、米国が核政策について友好諸国と協議するというような話もございます。これなどは私は当然のことだと思います。これは十分協議をして、核兵器のあり方等についての相談をしたって、これはちっとも差しつかえない、かように思います。  また、ただいま原子力潜水艦がわが国に寄港する、かような点は日本自身が安全保障条約によりまして負う義務、これはもちろん私どもが義務を履行しなければならない。憲法九十八条だって、条約を守る義務、これははっきり命じておるのであります。皆さん方がお好きな憲法にもそのことが書いてあります。かような意味におきまして、私は、補給基地であることにちっとも差しつかえないものだ、かように思っております。   〔発言する者多し〕

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 御静粛に願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君)(続) 次に、中国問題につきましてのお尋ねがありました。勇断をもって中国問題を解決しろ、こういうお話でございますが、中国問題は従前同様の関係を続けていくつもりでございますので、さらにつけ加えるべき何ものもございません。   〔発言する者多し〕

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 御静粛に願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君)(続) 次に、日ソ友好条約とその領土との関係について申し上げます。歯舞、色丹、これはソ連も平和条約締結の際にこれを返すと言っておりますが、国後、択捉、これは私どもが日本の古来の領土だ、かように申しておりまして、この両島を放棄いたしたことはございません。社会党からお話がありましたが、何らかの間違いではないかと思います。この北方領土と沖縄あるいは小笠原諸島と結びつけることはソ連でもしないのです。どうして皆さん方はこれを結びつけて議論なさるか、(拍手)たいへん私はわかりかねております。領土の問題は日ソ間の問題であります。この日ソの問題が日米間の問題に発展するというようなことは、了解ができないことであります。この点は、私どもはアメリカに対しては私どもが主張すべきものを主張していく、ソ連に対してはわれわれが当然主張すべきものを主張していく。これを米、ソを一緒にして話をすべき筋のものではないこと、この点は誤解のないようにしておきたいと思います。(拍手)  日韓の問題につきまして先ほど来お話がございましたが、ただいま条約ができ、これが善隣友好関係、また平和の条約として両国間がますます親善友好を増しておるように思いますし、漁業などもたいへん円滑に進んでおるように思います。  ただいま国連軍の構想等のお話がありましたが、かような考え方は実は持っておりません。  また、ベトナム出兵を云々されたと思いますが、ベトナムの問題は、韓国とベトナムとの問題でありまして、わが国の関与するところではありません。  最後に、小選挙区制についてお尋ねがありました。ただいまこの問題は選挙制度審議会にかかっておって、委員諸君がせっかく御勉強中でございます。まだ答申を得ておりません。そういう際に私の考え方を申すことは何かと誤解を受けるかと思いますので、この点はしばらく保留さしていただきます。(拍手)  その次に、国防省を設置する考えありやいなや、かようなお話でございますが、これなどもいろいろ研究されておることだと思います。ただいま私は、そのような点がどうなっておるか、十分把握いたしておりません。  次に、解散についてお尋ねがありましたが、民意に問え、こういう意味で解散をするかということでありますが、ただいま解散するという考え方は私持っておりません。(拍手)   〔発言する者あり〕

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 内閣総理大臣佐藤榮作君。   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 国連待機軍というお話でございましたが、先ほど、国連軍という構想はございませんということを私は申したのです。この中に国連待機軍も含めたつもりでおりますが、お尋ねになったことばどおり使わないというので、ただいまもう一度立ったわけであります。御了承いただきたい。  次に、私は、皆さんの好きな憲法、これはたいへん皆さま方を侮辱したような言い方になりまして、たいへん恐縮いたしますが、憲法の問題をいつも引き合いに出されるものですから、ついかように申したわけであります。私どもも憲法自身を守っておるのでありますから、さような点はユーモアに御解釈を願いたいと思います。(拍手)     —————————————

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 倉石忠雄君。   〔倉石忠雄君登壇〕

倉石忠雄自由民主党

○倉石忠雄君 私は、自由民主党を代表して、政府の施政方針につき、若干の質問を行なわんとするものであります。  現下、内外の情勢を見まするに、まことに重大なものがあります。世界の大勢は、人類多数の願望にもかかわらず、いまなおきわめて流動的であり、ことにアジアにおいては、ベトナム紛争をはじめ、緊張と不安の様相はきわめて深刻なものがあります。それがわが国の恒久的な平和と繁栄に深い影響のあることはもとより、世界の平和にも大きな不安を投げかけていることは、申すまでもないのであります。国内においては、経済の不況と消費者物価の上昇を中心として、高度成長に伴う構造的ひずみが集中的に顕在化した感があり、わが国経済が一大転機に直面している事実は、何人も否定することのできない事実であります。  いまやわが国は戦後最大の歴史的な関頭に立っておると申さなければなりません。この難局をよく克服し、祖国とわが民族を新しい希望と発展に向かって一大躍進させることは、単に政府、自由民主党の厳粛なる責務たるにとどまらず、いやしくも政治に一端の責任をにのうすべての政党、すべての政治家の責任であり、また、国民各階層の崇高なる使命であると存ずるのであります。(拍手)私は、いまこそ国民が無益な対立抗争を避け、繁栄と平和と民族永遠の発展のために総力を結集して前進すべきであると信ずるものであります。(拍手)この趣旨において、政党及び政治家は、与党たると野党たるとを問わず、互いに国を愛し、民族を愛し、平和をとうとび、繁栄を求める共通の理念に立って、政治の姿勢を正さなければならないと存ずるのであります。(拍手)  寛容と調和はもとより大切であります。しかしながら、その前提として現在最も望まれることは、各政党及びその背後にある国民各層が、現実的意義の少ないイデオロギーの対立抗争から脱却し、真の平和と繁栄をもたらすために、そのエネルギーを最も効果的に発揮することであります。このことは、決して一朝一夕にして到達し得ることとは思いませんが、いまや、わが国が国政の歴史的転換、躍進を必要とするときにあたり、すべての政治家が、冷静にして真剣に考慮すべき基本的な課題であると思うのであります。(拍手)私は、賢明なる野党の諸君の反省と共鳴とを切に期待するとともに、政治に実際の責任をにのう政府・与党も、長い政権の座に安住して独善と停滞におちいることなく、虚心たんかいに野党とも語り合う、そのような襟度と努力が必要であると考えるのであります。(拍手)  内閣総理大臣は、施政方針の中で、「国会審議の過程を通じて、おのずから国論の統一が醸成されることこそ、議会民主主義の真髄である」と申されましたが、そのような方向に誘導する具体的な行動こそ、内閣総理大臣としての重要なる責任であると信ずるのであります。このような政治の基本的課題に対して、総理大臣の御所信を承りたいのであります。  現下、わが国の重要課題の一つは、安全保障の問題であります。世上一般に、現行の日米安全保障条約は一九七〇年にその改定期であるとの説が流布され、またそのように信じておる者も多数あるのでありますが、その時期になれば当然改定しなければならない理由は少しもないのであります。政府は、かくのごとき世上一般の誤解を是正する努力をなすべきであると存ずるのであります。(拍手)このような流説こそが、一九七〇年を期してわが国に政治的危機をつくり、政権を奪還しようというような野望もそこから生まれてくるのであります。現在の国際情勢のもとにおいて、わが国が今日の平和と繁栄を享受し得られるのは、日米安保体制が大きな力をなしておるところでありますが、わが国としては、現状のごとき国際情勢の続く限り、ことに中共が二回にわたって核爆発の実験をあえて断行した今日、日米相互防衛協力体制の重要性がさらに一段と強調せられなければならない段階であると存じます。(拍手)このことについて、世上一般の深い理解を求めるために、政府は一段の努力を傾倒すべきであると存ずるのであります。もとより、日米安保体制は、日米両国が民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを共通の目的として、国連憲章の目的、原則に従うことにより、平和のうちに諸国家が生存していくことを願望して締結されたものであります。そのため、わが国が外部からの武力攻撃を受けた場合に、米国はこの日米相互にとって共通の危険に対処するよう行動するのであります。昨年一月、内閣総理大臣が訪米されました際、あらためてジョンソン大統領との問に、アメリカは日本に対するいかなる武力攻撃に対しても日本防衛の義務を順守することが確認されたのであります。この共同声明の中に、いかなる武力攻撃という字句が新たに加えられたところの重要性を、われわれは見のがしてはならないのであります。  わが国は、現在、非常にむずかしい地位に立っております。隣国の中共政府は、部分核停止の条約に反対しているのみならず、昨年の十一月、国連総会において、賛成百十二、反対ゼロ、棄権一で決議されました世界軍縮会議の招集にも、中共政府は反対の態度を表明いたしておりますことは、諸君よく御存じのとおりであります。また、ベトナム紛争についても、アラブ連合をはじめ非同盟諸国十七カ国が、無条件で話し合うというアピールをいたしましたけれども、やはり中共は極力これを拒否いたしておるということも御承知のとおりであります。  このような客観情勢のもとにおいて、佐藤総理大臣は、昨年一月訪米の際、ワシントンのプレスクラブにおける記者会見において、日米安全保障体制はわが国の国家利益であることは日本人の圧倒的多数が承知していると説明しておられるのでありまするが、政府は、さらに積極的に国民を啓発し、真の国家利益が那辺に存するや、この点を明らかにすべきであると存ずるのであります。(拍手)  また、中共政府の核武装は、アジア諸国に対して無言の圧力を加えておるのであります。わが国は、技術的に、経済的に、核兵器を生産する能力を持っておるのでありまするが、われわれは、どこまでも核平和利用、ロケット平和利用の研究に全力をあげ、一日も早く人工衛生を完成して宇宙開発に乗り出し、アジア諸国民の持っておる卑屈感を払拭してやるべきであると信ずるのでありまするが、これらの点について、内閣総理大臣の御見解を承りたいと存じます。(拍手)  沖縄についてお尋ねいたします。  昨年八月、総理大臣は戦後現職の総理大臣として初めて沖縄を訪問され、みずから現地の実情を把握して、今後の施政に資せんとする積極的姿勢を示されたのでありまするが、私は、この困難な問題に正面から積極的に取り組もうとする総理の意欲に対して、深く敬意を表するものであります。  ひるがえって、国際情勢の現実を直視いたしますれば、現在のアジア情勢のもとにおいて、わが国を含む極東の平和と安定のために沖繩の果たしておる役割りはまことに重要なものであります。佐藤総理大臣が沖縄において述べられたごとく、沖縄の安全がなければ日本本土の安全はなく、また、本土の安全がなければ沖縄の安全もないのであります。この意味において、私はいたずらに沖縄における米軍施設の撤廃、米軍の撤退を叫ぶことは、沖繩問題の現実を直視し、その解決に真剣に取り組もうとするものの態度ではないと思うのであります。(拍手)沖縄と日本本土の安全は不即不離の関係にあるのでありまして、祖国復帰の実現するその日までの間においても、住民の福祉、経済水準の向上、その他すべての問題は私どもの一日も放置し得ない問題であります。私どもは、沖縄住民の置かれた立場と負担を十分に理解して、民生安定のために最大限の努力をなすべきは、日本政府の責務であると存ずるのであります。今年度の沖縄に対する援助が、昨年に比べ大幅な増額を見ましたことは、この意味において当然の施策でありまして、わが国としては、沖縄の経済基盤強化のため、本格的な援助をなし、復帰の日に備えて万全の対策をなすべきであると存ずるのでありますが、総理大臣の御所見を承りたいのであります。  次に、海外経済協力について、総理大臣はじめ関係閣僚の御見解を承りたいのでありますが、発展途上にある諸国に対し、資本的、技術的な経済協力を行ない、これら諸国の民生を安定させることは、世界の平和を維持する上に重要であるのみならず、わが国の平和と繁栄にも直接の好結果をもたらすものであることは申すまでもありません。この意味において、政府が経済協力の問題を特に重要視しておられることに対しては、敬意を表する次第であります。ことに、外務大臣が、本年をアジア地域に対する経済協力拡大強化の第一年としたいとの決意を表明されたことを多とするものであります。  わが国の経済協力を拡大強化するにあたって考慮を要するのは、その量と質との問題であります。経済協力に要する資金、技術の供与は、いずれの型において行なうにせよ、いずれにしても政府の予算的措置の裏づけが必要であるのであります。経済協力拡大の第一年にあたり、政府がこのように財政資金の面においていかなる決意を有せられるのでありまするか、担当大臣の御意見を承りたいのであります。  さらにまた、非同盟諸国との関係についてお尋ねをいたします。  アラブ連合をはじめ、非同盟諸国の存在は、世界においてきわめて大きなウエートを持っておりますし、また、これら諸国の動向は国際関係に大きな影響を及ぼすのであります。このたび自由民主党の川島副総裁はナセル大統領の招きに応じてアラブ連合を訪問せられる模様でありますが、この機会に非同盟国とわが国との関係をさらに一そう緊密なものにいたすことは、国際平和のためにも非常に有意義であると存ずるのでありまするが、非同盟諸国に対するお考えについて、総理大臣の御所見を承りたいと思うのであります。  次に、ソビエトロシア及び中共等共産圏諸国との接触についてお尋ねをいたします。  ソビエトロシアは、近年、平和共存ということばを外交の基調としていると称しておりまするが、日本政府はソ連首脳の口にする平和共存ということばをどのように理解しておられるかということであります。フルシチョフ氏は平和共存とは階級闘争の一手段であると申しております。平和共存を唱えることによって、共産主義の本質、すなわちその世界共産主義化の目的に少しの変化も生じていないのであります。ブレジネフ、コスイギン氏の時代になってからでも、平和共存のおかげで資本主義国における階級闘争はますます激化している、日本においても政治的ストはますます増大していると申しておるのであります。また昨年の五月一日付ロシア共産党機関紙プラウダ紙上に、ソ連が日本の総評議長太田薫君にレーニン賞を与えた報道記事を載せておりますが、その中には、太田が日本の反米革命闘争に功績があったのでレーニン賞を与えたと公然と発表いたしております。(拍手)このように、平和共存とは熱核戦争を伴わない程度にあらゆる手段方法をもって、世界の諸国の、すき間のある国々に混乱を生ぜしめることを手段とする共産主義の方式には、何らの変化も断じてないのであります。  中共首脳部においては、さらに一段と露骨であります。中国は日本の解放を重視している、世界の第一の革命はロシア革命であった、これは歴史を変えた、世界の第二の革命は中国革命であった、これもまた歴史を変えた、第三の革命は日本の革命である、これは歴史をさらに変えるだろう、アメリカは、日本を失うと東洋、ひいては世界を失うことになる、日本革命は非常に困難であろう、しかし日本人民は革命をなし遂げるだろうと、これは中共の毛澤東氏が日本の労働者教育協会代表団の一行に与えたことばでありまするが、これに類することは枚挙にいとまないほどであります。  外務大臣は、外交方針の一つとして政経分離という単純な方式を固執しておられるようでありますが、中共側は政経分離などということはあり得ないと相手にしておらないことも御承知のとおりであります。私どもは、対ソ連、対中共と平和のムードをつくり出すこと、そのこと自体はけっこうなことであると存じます。しかしながら、国の指導者、相手国の政府の本質と実体を十分把握した上での接触を行なうべきであると存ずるのであります。(拍手)  共産主義者には平和は敵なのであります。周恩来中共首相がアフリカ諸国からことごとくボイコットされた事情はよく御存じのとおりであります。世界の至るところに火をつけて混乱せしめなければ、共産主義国は成り立っていかないのであります。(拍手)ベトナム、カシミール、または現在の北部タイにおける共産ゲリラの活動等、いずれも中共の魔の手であることは世界周知の歴然たる事実であります。(拍手)  対共産圏に対する腹がまえについて、総理大臣の御所信を承りたいと存ずる次第であります。  共産圏のことを論じている間に、先ほどの成田君の御演説を思い出しました。成田君の御演説をことごとく拝聴いたしまして、遺憾ながらわれわれは彼らとの間にその世界観が全く異なっておることを嘆かわしく思ったのであります。(拍手)  成田君は議会制民主主義を論ぜられました。先日の、第二十七回社会党大会において決定されました議案を拝見いたしますると、先年社会党によってつくられました社会主義日本のプログラムがございますが、これに比べますと、今回のものはやや針を真綿で包んだようには見受けられますけれども、その裏面にあります考え方は、産業政策にしても農業政策にしても、政権獲得の構想にしても、少し前のロシア政府がやっておったことに非常によく似ておるということを、何人も否定することは不可能であります。(拍手)  本年の一月一日の社会党の機関紙社会新報に、党活動家の座談会の結論が出ておりますが、この中には、まず第一に、すぐれた党員とその活動を、どんどん党内に広げていく方針が必要であること、第二は、幹部がマルクス、レーニンの学習にきちんと取り組んで、思想性を高めていくことですと教育をいたしております。皆さんも御承知のように、マルクス、レーニンは、いずれも議会制民主主義などというものは頭から否定しておるのであります。(拍手)  また、同じ社会党の機関紙社会新報では、社会主義理論委員会、教育宣伝局、党学校の学習文献の広告が出ておりますが、そのほとんど全部が、この学習用教科書二十数点を調べてみれば、ことごとくマルクス、エンゲルス、レーニンの著書であり、なかんずくわれわれが目を引きますのは、レーニンの有名なる「国家と革命」が名前を連ねております。皆さん御承知のように、レーニンの「国家と革命」は暴力革命の方法、手段を教育する共産主義者のテキストであります。(拍手)議会民主主義をほんとうに理解されるならば、何ゆえに若い活動家にかくのごとき教育をなさるのでありましょう。私は、今日の日本の議会政治をほんとうの価値あるものにつくり上げるためには、一般の国民に政策を理解せしめ、また政党の本質を知らしめることが、日本の政党政治をりっぱなものに立て直す道であると存ずるのであります。(拍手)一般国民に各政党の政策、政党の本質を徹底的に知らしめるためには、どうしても選挙制度の改革をしなければならないと思うのでありまするが、せっかく議会政治の完成を熱望しておられる内閣総理大臣は、日本の議会が政策の争いになり、政策本位、政党本位の競争ができるようにするための選挙制度の改革に対して真剣に取り組む御意思はないかどうか、内閣総理大臣の御意思を承りたいと思うのであります。(拍手)  さらにまた、わが国現下の重要課題の一つは、不況の克服と消費者物価の安定にあることは、政府の施政方針演説にも指摘されておるところであり、佐藤内閣の重大使命の一つであると申して過言ではないと存じます。現在は、不況と消費者物価の上昇という一見相矛盾する様相を露呈しているところに、現下わが国経済の特異性があり、そこに問題の困難さ、複雑さが存するのであります。  当面の不況の克服は、総理大臣の申されましたように、昨年夏以来の一連の景気対策と、本格的公債政策を取り入れた積極的な四十一年度財政及び、画期的な大幅減税等によって、着実に達成できるものと確信して疑わないものであります。むしろ問題は、財政のてこ入れによる当面の不況克服から本格的な経済の安定成長の路線に誘導するために、どのような具体的な方法と目標をもって進むかということであります。特に国民の最も関心の深いことは、すでに慢性化の傾向にある消費者物価の上昇を、具体的にはどのようにして長期的安定に持っていくかということであります。昭和四十一年度予算と財政投融資計画においては、これらの問題についてなみなみならぬ苦心と努力を払われていることは、私もこれを認めるものでありますが、率直に申して、決して十分とは言いがたく、きめ手となるような施策はないのであります。現下の消費者物価の上昇がわが国経済の二重構造の解消、すなわち大企業と中小零細企業との間の大幅な賃金格差の是正という、すなわち農水産業、中小企業、サービス業の近代化、合理化に施策の徹底を期すること、立ちおくれた流通部門の能率化に思い切った改善策を加えること、また労働力の流動化を促進すること等に求めなければならないのであります。  日本社会党や総評は、消費者物価の上昇を政府の責任なりと非難いたしておりまするが、私は、むしろ毎年毎年、年中行事的にスケジュール闘争を展開し、生産性に何らのかかわりなく、大幅な賃上げを要求する総評とこれを無批判に支持しようとする社会党こそ、物価上昇の一半の責任をになうべきことを指摘せざるを得ないのであります。(拍手)この根源をつかざる限り、物価の長期的安定はとうてい期待できないと信ずるのであります。(拍手)さしあたり、本年もまた春闘が展開されようとしております。例年の例によりますと、春から夏にかけて民間企業とともに公共企業体の賃金が上がり、九月には公務員の賃金が上がる、それにつれて中小企業、零細企業、農業の賃金も上がり、これが消費者物価にはね返るという悪循環を果てしなく繰り返しておるわけであります。(拍手)  私は、政府も国民も消費者物価の安定を真に望むならば、この生産性に見合わない賃金上昇との悪循環を何とかして遮断する強い決意が必要であると信ずるものであります。(拍手)そのためには、政府がみずから責任を負い得る公務員給与ベースの引き上げについて、根本的に再検討が必要であると存ずるのであります。  政府は、景気回復からどのようにして経済の安定成長に誘導しようとなされるのでありますか、また、消費者物価対策と賃金対策等について、具体的にはどのようなお考えをお持ちになっておられるのであるか、政府の御所信を承りたいのであります。  次に伺いたいと存じますことは、財政上の問題であります。  戦後一貫して続けてまいった超均衡財政は、四十一年度からは大きく転換いたしまして、本格的な公債政策を取り入れて積極的な大型予算を編成するとともに、平年度三千六百億円という画期的な減税を断行することにいたしましたことは、わが国財政史上まことに歴史的な意義を持つ転換、前進であり、しかも、現下の時局にこたえる最善の道でもあると確信し、政府の勇断に敬意を表するものであります。私は、このような財政政策の新たな躍進が必ずや景気の回復を促進し、立ちおくれた社会資本と社会開発の充実を早め、また公債政策によって実現のできた三千六百億円の画期的減税が民力を著しく涵養し、将来の国力発展に大きく寄与することを信じて疑わないものであります。  反対党の諸君は、公債政策が直ちに不健全財政を意味し、あるいはこれがインフレーションに発展するかのような議論をもって反対いたしておるのでありまするが、それは錯覚であります。(拍手)わが国はすでに明治初年以来終戦の年まで国債の発行を続けてまいった歴史を持っておる国でありまするが、満州事変の前、昭和五年度末には一般会計予算規模の約四倍、国民総生産のほぼ半分に近い国債残高を持っていたにもかかわらず、財政が不健全ということはありませんし、決してインフレーションにはならなかったことは、御承知のとおりであります。世界のおもな国々の実例を見ましても、イギリスは国民総生産の一一〇%以上、アメリカは同じく六〇%以上の国債残高を有するにもかかわらず、これがインフレーションの要因となる心配は全くないのであります。国力に応じた適度の規模であり、臨時的かつ資本的支出に充当する限り、また、市中消化を原則とする限りにおいて、国債の発行が何ら不健全なものでもなく、いわんや、インフレーションを誘発するものでないことは、世界の実績がこれを証明いたしており、わが国の財政法も、これを許しておるところであります。(拍手)野党の諸君の反対は、財政の国民に奉仕する任務と、公債政策の妙味を理解し得ない幼稚な議論と申すほかはありません。(拍手)  しかしながら、大幅な公債政策に踏み切る以上は、財政の節度を一そうきびしく守り、その運営の徹底した刷新合理化をはからなければならないことも当然なことであります。公債政策は、起死回生の妙薬であるとともに、一たびその運用を誤れば、財政を破滅に導くような毒薬にも変ずるものであります。今回の公債は、戦時公債とは根本的に異なるものでありまするが、国民の一部には、戦時中の公債を連想して一まつの不安を持っておる者も少なくないのであります。そこで私は、数点の問題点について、特に財政当局の見解を確かめておきたいと存ずるのであります。  その第一点は、今後の公債の発行は、あくまでも現行の財政法の規定に従い、その対象を公共事業と出資、貸し付け金の財源に限るとともに、市中消化の原則を貫くべきであると信ずるのであります。昭和四十年度は、異常な不況による減収のために、特例法を設けて赤字公債を発行いたしたのでありますが、今後はこのような赤字公債は発行せず、あくまで公債の発行は建設公債に限るべきであると思うのでありまするが、この点について政府の所信を承りたいのであります。  その第二点は、従来のごとき年度途中における一般経費の予算補正は原則として行なわず、特に公務員給与ベースの引き上げのための予算は避けるべきであります。そのため、人事院勧告のあり方及びその時期等を再検討する必要があると存ずるのでありまするが、これに対する政府の見解を承りたいと存ずるのであります。  その第三点は、年々大幅に増加する人件費を抑制するために、行政事務の簡素化、能率化と真剣に取り組み、予算の中に占める人件費の比率を、思い切って引き下げることであります。ことに財政硬直の限界にきておる地方行財政については、勇気をもって刷新、整理を断行し、地方財政の再建と、実質的な行政水準の向上に資すべきであると考えるのでありまするが、政府の御所見を承りたいのであります。  第四点は、国債、政府保証債、その他の公募債の大幅な増発が、今後景気回復とともに増加するであろうと予想される民間企業資金の需要を圧迫する結果にはならないだろうか、もしそのような気配が見えた場合には、どのような措置をおとりになるお考えであるか、以上の諸点について大蔵大臣の明快なる御答弁をお願いをいたします。  次にお尋ねいたしたいことは、社会開発政策の若干についてであります。  昭和四十一年度予算が、住宅をはじめ、社会保障政策、ガン対策、重症心身障害者対策等、人間尊重の精神に立脚する社会開発対策に特に行き届いた配慮のなされていることは大きな特色でありまして、私もまた満腔の賛意を表するものであります。  この際、私が特に伺いたい第一点は、宅地政策であります。住宅問題の根本が、いまや宅地取得難の打開にあることは常識であります。十年間、七倍以上にもなるという異常な暴騰を続ける市街地の宅地価格をそのままに放置しておいたのでは、五年間に六百七十万戸の住宅建設は、とうてい困難と思われるのであります。これに徹底的にメスを入れる必要があることはすでに世論となっておるところであります。政府においても種々御苦心をなされておるようでありますが、要は、勇気をもって強い施策をためろうことなく実行することであります。多くの人々が住宅難に嘆いておるときに、限られた一部の人々のみに不当なる利益を許すようなことは、社会正義の理念にもそむくものであります。私は、この際思い切った土地収用制度の強化や農地転用の自由化等を断行すべきであると考えるのであります。また、公団、公庫等による宅地造成もさらに大幅に拡大する必要があると存ずるのであります。  第二に伺いたいことは、国民健康保険の根本的な改善についてであります。国民健康保険税や保険料が年々引き上げられ、減税の恩恵にも浴することのできない零細所得者層の負担を重くしている事実は、せっかくの国民皆保険制度を怨嗟の的とするおそれさえ生ぜしめておるのであります。四十一年度予算において、療養給付四割補助という画期的な改善に踏み切った政府の勇断は、この問題の根本的解決に大きく前進したものであり、私はこれを高く評価するものであります。  私は、このような国庫補助の大幅な改善を機会に、さらに一歩を進めて、国民健康保険制度のあり方に対して根本的検討を加える必要があると存ずるのであります。少なくとも現在の市町村単位の制度は、より広域的に広げ、医療内容や保険税負担の公平をはかることはできないものだろうかと考えるのであります。  さらに伺いたいことは、青少年問題についてであります。青少年問題について強い関心と決意を表明されました内閣総理大臣の施政方針演説に対しては、まことに意を強ういたすところであり、今後さらに適切なる施策が強力に推進せられることを期待いたすものであります。  私が最も憂うることは、次の世代をになうべき青少年の一部が非行に走り、次第にその数が増加するとともに、非行が悪質化しつつある傾向であります。これは現代社会の最大の病根であると申してもあえて過言ではないと思うのであります。その根源をさかのぼれば、学校教育、家庭教育のあり方、教師の資質についても問題はございますけれども、もっと直接の原因は、あまりにも俗悪なる映画、刊行物、テレビ等の影響にあると存ずるのであります。近時、社会の良識がこれらの害毒に対して、きびしい自衛の手段をとりつつある傾向も見られまするけれども、政府におかれましても、もはや業界の自粛や社会の自衛にまつばかりでなく、勇気をもって積極的な環境改善に乗り出すべきであると存ずるのであります。(拍手)  最後に、国会はいよいよ再開されました。国民諸君は、時局の重大性をそのはだにひしひしと感じつつ、政府の施策について注意深く見守っておるのであります。佐藤内閣総理大臣及びその与党の責任はいよいよ重大であります。巷間伝えらるる社会党の衆議院解散論などは意に介することなく、国民の願望にこたえるために鋭意諸施策の実行に真剣に取り組むべきであると思うのでありまするが、内閣総理大臣の政局担当の御決意のほどを承って、私の質問を終わるものであります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  まず第一、政治の姿勢についてのお尋ねでございます。先ほどもお答えいたしたように、私自身が、議会政治、民主政治を守る、こういうことで、ぜひとも勇気をもって、また、与野党ともに議会政治を完成さす、こういう努力を続けていきたいと思います。また、言われるまでもなく、政治家自身がその姿勢を正すことがまず第一に基本でございますので、この点も御鞭撻を得たい、かように思います。  次に、外交問題につきましてお話がございました。日米安全保障条約についての御批判ですが、その期限にかかわる問題はお説のとおりであります。この点では、いわゆる七〇年の危機ということがいわれており、そうして、これを無理やりにどうしても改正しなければならないのか、かように申しますが、一部でさような説もありますが、私はさようには考えませんので、ただいま倉石君の言われるとおり、この点は、今日の状況において、また、現在の国際情勢が続く限りにおきまして、私は、安保体制を堅持することが、日本の平和のため、また、繁栄のために必要だ、かように考えます。この点では、別に改正の要はございません。(拍手)  また、この場合におきまして、先ほどもお答えをいたしたのでありますが、米国は、安保体制で、外部からの武力攻撃に対しましては日本を防衛する義務、これをはっきり申しておるのでありまして、昨年アメリカに参りました際に、この点は共同声明でも明確にされております。いかなる攻撃——先ほどもお答えいたしたのでありますが、これは、通常兵器によろうが、いわゆる核兵器によろうが、その区別はないのであります。そういう意味におきまして、日本に対する外部からの攻撃に対しましては、安保体制のもとにおいてわが国の安全を確保していくように、アメリカもこれに協力するということであります。  この場合におきまして、やはりわれわれも、ただ日本を守ってくれるとか、日本の利益の点だけを主張しないで、同時に、安保条約の持つ、それから課せられているわれわれの義務もこれを履行するという、との点も注意しなければならないと思います。私どもがこの安全保障条約から課せられておりますのは、アメリカにいわゆる補給基地としてこれを提供するとか、また、ベトナムの戦いから、出征いたしました兵隊その他がいわゆる休養等に日本に帰ってきて休養するとか、こういうようなことを拒むべき筋のものではない、かように思います。こういう点におきまして、なお、安保体制、この権利を主張するばかりでなく、義務も十分完全に実施するようにいたさなければならない、かように思います。この点では、国民にさらにこの点を理解していただくように、十分説明するの要があるのではないか。一部におきましては、いわゆる補給基地としての原潜の寄港に反対をしたり、あるいはまた、休養等でわが国に立ち寄ることについて、これを反対するという、こういう運動がございますので、国民に安全保障条約の持つ意義を十分理解し徹底するように努力する必要がある、かように思います。  また、わが国は、この原子力の利用につきましては、いわゆる平和利用ということに徹しておるのでありまして、これは法律もそういうことを要求しておりますから、核兵器等は考えられないのであります。また、ロケット等につきましても、これが平和利用という、こういうことにはわれわれは科学技術の進歩を望んでやまないのでありますけれども、いわゆる軍事的にこれを使わないということでありますが、ただいま御提案になりましたように、宇宙開発に積極的に乗り出して、アジアの民族、またわが国が科学技術の水準においても世界の最高水準にあるんだ、こういうことを計画しろという、この御提案は、私は、たいへんいいことだ、ただいまの青少年に対しましても希望、夢を与える、こういう意味におきまして、ぜひやりたいことだと、かように思いますし、ことに、わが国の科学技術の水準をもってすれば、この困難な宇宙開発に参加することも、これはできるんだ、かように私はかたく信じておるような次第であります。  また、沖縄問題についてお触れになりましたが、沖縄同胞が祖国復帰を心で念願しておりますことは、私自身、昨年参りまして、このはだに沖縄同胞の期待、また熱願を感じた次第であります。一部におきましては、いわゆる軍事基地反対だとかあるいは反米闘争によりまして祖国復帰が可能であるかのような説をなす人がありますが、私は、沖縄が祖国復帰へのそれを実現するためには、日米間の相互信頼と協力を通じて実現すべきものだ、ただいまいう軍事基地反対や反米闘争でこれが実現するものではない、このことを皆さま方にもはっきり申し上げる次第であります。  非同盟諸国と日本との関係についてのお話でありましたが、非同盟諸国は今日国際世論を形成する上におきましても非常に大きな役割りを果たしております。また、アラブ諸国がAA会議の指導的立場にあることをも考えますと、私は今回の川島副総裁の訪問についてたいへん期待を大きくいたしておる次第であります。わが国のように軍備、軍事的行動を否定しておるこの国自身、いわゆる防禦的な力は持っておりますが、攻撃的な力は一切放棄しておるこの国から申しますと、アラブ連合の諸国とも十分話し合いをつけまして、親善関係のもとに、国際世論の形成に今後とも努力すべきではないか、かように思います。  次に、ソ連あるいは中共等の共産国の内情等についてるるお話がありまして、これらの共産圏とつき合っていく上において政府はどういう考えをしておるかというお尋ねでありますが、私自身は、いままでしばしば申し上げておりますように、いかなる国とも仲よくしていくんだ、いわゆる敵国を考えないんだ、わが国の立場を理解してくれる、相互に独立を尊重し、内政不干渉である、こういう立場に立って、どこの国とも仲よくしていくんだ、こういうことをしばしば申し上げております。しかし、倉石君が、国によってはいろいろ考え方が違うから、よく真意をつかんでつき合えと言う、この点も十分注意してまいるつもりでございます。  次に、選挙制度の改正についてのお話でありますが、選挙制度は、申すまでもなく、政党政治あるいは民主政治達成のための手段でございます。方法でございます。したがいまして、選挙制度の適否が政党の発達にも、また民主政治の達成の上にも影響のあることは申すまでもないところであります。今日、選挙制度審議会に、選挙制度の改正すべき点、あらゆる点を含めての審議をお願いしておる状況でございますので、いずれ答申が出てくると思いますので、しかる上に政府の態度をきめていきたい、かように思います。これも先ほどお答えしたとおりであります。  経済の問題につきましては大蔵大臣から答えていただきたいと思いますが、ただ、先ほどのお話のうちに、消費者物価対策と賃金との関係についてお触れになりました。最近の状況のもとにおいて、いわゆるサービス業であるとか、あるいは生産性の低い部門が、労働の流動化が十分できておらないためにどうしても賃金を上げる、こういうところでそこらの価格の高騰を来たしておる、こういう御指摘であります。御承知のように、生産性については各産業によって格差がある。しかしながら、片一方で賃金あるいは所得の平準化ということが強く要望されております。その結果、生産性に見合わない賃金あるいは所得が高騰するという事態も起こるのでありますので、これが物価をつり上げる、こういう結果を招来する。したがって、これらの点について、生産性に見合う賃金にしろ、こういうお話もございます。私は、生産性に見合うと申しますか、いわゆるもうかっておる事業が賃金を上げること、これは当然だろう。しかしながら、もうからない事業、そういうところにおきましても、賃金の平準化というその理論一点ばりでこれを上げていくことは、私は、ずいぶん無理だ、かように思います。また、利益のある事業におきましても、これを賃金利潤だけに還元するのでなしに、最終需要者にその利益も均てんさす、こういう意味で価格を下げることは望ましいのだと思います。(拍手)ただ、かようなことを考えますが、政府自身がこのことに関与することがいいとか悪いとか、こういう議論もあるのでありますし、大まかに申しまして、いわゆる民間の賃金の問題は民間にまかしていいのではないか、かように思います。しかし、全体の物価形成上の一つの大きな問題でもありますので、経営者と労働者だけにまかすことなく、いわゆる良識のある解決が双方の間でできることが望ましい、かように私は考えておるのでありまして、政府自身といたしましても、これらの賃金のあり方等について十分注意してまいるつもりでございます。そうして初めて健全な経済の発展が期せられるのではないか、かように思います。  公務員の給与について、これは中立的な第三者である人事院の勧告等についてこれを尊重していくのが当然でございますが、ただいままでのところ、御指摘になりましたように、その勧告の時期等、これが不適当ではないだろうか、こういうことでいろいろ議論されておるのであります。しかし、簡単な結論はできないようでありまするから、今後とも、さらにこの点について検討してまいるつもりであります。  次に、土地の問題についてのお話でございました。政府自身は総合的施策を講ずるようにいたしておりまして、先ほどもお答えいたしたのでありますが、土地の取得方法、いわゆる収用法についても所要の改正をするとか、あるいは税制の面でひとつくふうをしてみるとか、あるいはまた民間の宅地造成の助成をするとか、市街地の高度利用等もはかっていくとか、いろいろ総合的な考え方をもってこれが対策を立てていくわけであります。そのうちに、ただいまの農地の転用の自由化という問題がありますが、これはなかなか、実際問題といたしまして、よく考えてまいらないと、ワクをはずすだけでは、ときに弊害を生ずるのではないか、かように思いますから、農地転用の許可の場合に、十分実情に合って、公益を進めていくようにくふうすべきだろう、かように思いますので、転用の自由化、これは大幅にはなかなか進めかねる、かように思います。  次に、青少年の問題についてお触れになりました。マスコミの与える影響がまことに大である、かような点を私どもも注意いたしておるのであります。放送、あるいは映画関係、出版関係、あるいは広告等、この四部門につきまして、特に青少年に悪影響を与える、こういうものにつきましては、関係者の反省も求める、また、将来これに対する対策等も立てていきたい、かように思います。いわゆる適切なる施策を講じたいと思います。ただいたずらに法律をつくるだけが能ではない、かように思いますので、国民運動等展開いたしまして、青少年の育成に今後とも努力してまいるつもりであります。  最後に、解散についてお触れになりました。先ほどもお答えいたしたとおりでありますが、解散など考えないで、政府がやるべき政治を勇気をもってどんどん推し進めていけ、かような激励を受けた次第でございますが、ただいまは、私、解散ということについては考えておりません。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。  日本がアジアの先進工業国として対外経済協力をもっと強化すべきである、それには、資金の量と、それから性質、この両面にわたって強化していくことが重要ではないかという点につきまして御質問がございました。  まず、経済協力の量の問題でありますが、政府としては、その総額をなるべく早い機会に国民所得の一%に近い線まで持っていきたいということを国際会議においてもこれを言明しておるような次第であります。さような線に沿いまして、四十一年度の予算におきましては、外務省はじめ関係各省の海外経済技術協力の予算、海外経済協力基金及び日本輸出入銀行の資金などにつきまして大幅に拡大されたのでございます。これは政府のこの方面に対する積極的な態度を示すものと御了承を願いたいと存じます。  次に、援助資金の条件でございます。すなわち、金利とかあるいは貸し付け期間、そういう点について大幅にこれを緩和すべきであるというのが、日本に対する国際の世論でもございます。この点につきましても、鋭意、ただいま申し上げました開発援助委員会の勧告にかんがみまして、この線に沿うて大いに改善をしてまいりたいと存じます。ただ、国内の経済上の種々の制約もありまして、直ちにこの条件を最終的に改善するということはなかなか困難な事情がございますが、漸次この条件緩和を進めてまいる所存でございます。  以上、お答えいたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇〕

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公債発行政策を運営するにあたっては節度をもってやれ、まことにごもっともなお話でございまして、そのとおりに心得ております。大事なことは、公債発行によって、それを財源として、いかなる予算、財政を運営するか、その規模と内容にあると思うのであります。さような見地から、昭和四十一年度予算においてはもとより、将来といえども、予算の規模、質ということに最も重点を置いてまいりたい、かように考えております。また、発行する公債につきましては、財政法第四条の条件に従ってこれをやる。四条国債という性格を堅持してまいります。昭和四十年度のような特例法を用いる考えは持っておりません。  また、公債まで発行する財政でありますので、経費の使用にあたりましては特に厳粛にやっていかなければならぬというふうに考えております。人件費など大いに抑制せよ、ごもっともなことでありまして、昭和四十一年度の予算におきましても、そういう考えで、行政定員はわずかに百六十三名を増加したにとどめた次第であります。また、機構につきましても、これを新設せず、政府関連機構も一切これを新設することを取りやめた。お話しのような趣旨に基づくものであります。  公債消化にあたりましては、事業債、また政府保証債、地方債等の消化もあわせ考える国債の消化をやるということを申し上げておるのでありますが、それはひとり国債だけのことじゃありません。これと並行して、国の経済を進めていく一切の債券につきまして、同時にこれを消化してまいる、かような方針でありますので、御安心願いたいと存じます。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○国務大臣(鈴木善幸君) 国民健康保険につきましては、従来の国庫負担金、補助金等を整理統合いたしまして、今回国庫負担四割を実現をし、また、事務費につきましても、一人当たり二百円を二百五十円と改善をいたしまして、国保財政の強化をはかろうといたしておるのでございます。  なお、今後の国保制度のあり方につきましては、ただいま政府におきましては各種の医療保険制度を根本的に再検討いたしておりますので、その際に国保の経営主体等につきましても十分研究を進めたいと考えております。(拍手)      ————◇—————

海部俊樹自由民主党

○海部俊樹君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二月一日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口喜久一郎自由民主党議長

○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君      ————◇—————

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