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51回国会衆議院1966/06/22

法務委員会 第48号

発言数
47
登壇者
5
会派数
1
開催日
1966/06/22

会議録

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 これより会議を開きます。  刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。鍛冶良作君

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 まず改正案の第一について聞きたいのですが、どうもわかりにくい条文でありまするので、一とおり刑事局長から、これはどういう意味でどういうねらいでやられたのか承りたいのであります。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 改正の第一点でございます刑法第四十五条関係の点でございますが、これは現在刑法第四十五条におきましては、確定裁判を経ない数罪を併合罪とするということになっておりまして、その後段に、ある罪につき確定裁判があったときは、ただその罪とその裁判確定前に犯した罪とを併合罪とする、こういうことになっておるわけでございます。そういたしますると、かりにA、B、Cという三つの犯罪を犯した者がありまして、その間のA罪とC罪との間に時間的にB罪というものがすでに確定裁判があったという場合は、今度そのA罪とC罪とが発覚いたしまして、それを裁判いたします場合に、A罪とC罪とは併合罪にならないで別々に刑を言い渡される、こういうのが現在の刑法のたてまえになっております。それはまさに刑法四十五条の後段がさような現定をしておるわけであります。それで、その現在の趣旨は、B罪という中間の確定裁判がありますと、それが犯人の人格に影響いたしまして、つまり確定裁判の感銘力というものがありまして、そのあとにC罪というものを犯したのであるから、C罪の評価は別にすべきである。確定裁判を経ざるC罪ではありまするけれども、C罪については評価を別にすべきであるという考え方から出発しているのが現行法の趣旨でございます。ところが、この中間のB罪というものが、それじゃすべての犯罪がそうであるかという問題になります。現在は科料でありましても、この感銘力というものがあるというたてまえで、A、Cというものを別々に評価しておるわけでございます。ところが罰金以下の刑につきましては、その感銘力をそれほど認める必要がないではないか、こういう意見が出てまいっております。これはすでに公表されております刑法改正準備草案におきましても、その中間のB罪が禁錮以上の刑に処した場合に限りまして、AとCとを別に評価すべきであって、罰金以下の刑であるときには別に評価する必要なし、こういう考え方を改正準備草案がとっておるわけです。それは、やはり罰金以下の刑の感銘力をその程度に認めないということ、認める必要がないではないかということと、もう一つは、やはり実質的にそのために非常に繁雑になると同時に、犯人に不利益になる、こういうことから起こる問題でございます。  たとえば、これは極端な例でございますけれども、強盗殺人を二回やりまして、その中間に道路交通法違反で他に科料になっておるという場合は、その人は、そのものがさばかれた結果はそれが死刑に当たるといたしますと、A罪について死刑、B罪について死刑という死刑の主文が二つ出るというようなことになるわけであります。現にその実例があるようでありますが、そういうきわめて奇妙なことが起こりますし、またこれがかりに十年だといたしますと、A罪について十年、C罪について十年ということがあり得るというようなこと、懲役十年というようなことがあり得るというようなことになりまして、その面におきましては犯人にとっては不利益でございます。合計して併合罪の加重をされる場合よりは、別罪を言い渡される場合のほうが結果的には不利益になるという考え方、これがすなわち感銘力を重く見れば不利益になってもやむを得ないのではないかということになると思います。  そこで今回の改正におきましては、その刑法改正準備草案の趣旨と同じように罰金以下の刑につきましてはこの併合罪を遮断しない。つまりB罪が罰金以下の刑であります場合は、A、Cは依然として併合罪として一つの刑を言い渡してよろしい、こういうふうにしようというのが今回の改正でございまして、まさに改正準備草案そのものと同じことであります。  それじゃなぜそういうことにするのかといいますと、理屈の上から申しますと、先ほど申しました感銘力をそれほど考える必要はないのではないかという問題と、今日年間五百万件の罰金あるいは科料事件というものが道路交通事件で起こっております。そういたしますと、その五百万件につきましては、すべてこれは前科ということになるわけでございます。その前科はもちろん検察庁で全部把握いたしておりますけれども、これは前科を索引することがきわめて困難であります。年間五百万件といいますと、三年たちますと千五百万件という数の前科になりますから、これは検察庁といたしまして、必要があれば調査をすればもちろん記録があるわけですからできるわけですけれども、即座にその前科を出してくるということは困難であります。そういう事務処理上の面もございまして、やはりその感銘力の点においてさような考え方をとり得るとすれば、今度は事務処理上の問題から考えて、罰金以下の刑についてはこの併合罪の関係を遮断しないとするほうがきわめて合理的であるということであります。現に、あるいはたしかお手元へ資料を差し出してあると思いますけれども、一審でその中間の道路交通法の罰金事件を見のがしたために、高等裁判所で破棄される事例が相当出てまいります。そういたしますと、実質的には非常に変わらないことでありながら、さらに破棄してこれを一審に差し戻して裁判するという、きわめて繁雑な手続を要するというような事例が出ておりますので、それこれを考えまして、少なくとも実質的に影響のないものについては、この中間で併合罪が遮断するということにしないほうがいいという結論に立って、今回の改正提案をいたした次第でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そうすると、このあとは条文はどうなるのですか。現在の四十五条を訂正されるのですか。それともこのままで、これに何か一つつけられるのですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 現在の四十五条の後段が「若シ或罪ニ付キ」とあります下に「禁錮以上ノ刑ニ処スル確定裁判アリタルトキハ」という、「或罪ニ付キ」の次に「禁錮以上ノ刑ニ処スル」ということを入れるという改正になるわけであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そうすると、交通違反の罪で、先ほどおっしゃった例から言うと、A犯罪を犯した、そこでほかのことでB犯罪が起きた、それからまた交通違反でC犯罪を犯した、こういうことになりますと、B犯罪が禁錮以上でなかったら、A、Cを別々にしてやる、こういうことですか。いずれも併合罪にならないのですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 Bが禁錮以上でございません場合は、B罪についてはすでに確定裁判があるわけでございますから、A、Cを併合罪として処断する、こういうことであります。B罪が禁錮以上の刑でありました場合は、A、Cはこれは併合罪にならないで別罪として別々の刑を言い渡す、こういうことでございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そうすると、いまの場合はAとCは併合罪になるのですね。これは前段によって併合罪になるわけですね。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 そういうことになります。前段が適用される、後段が禁錮以上というふうに制限をいたしますから、結局前段が適用されるということになります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 これはどうも私は、これだけくどく聞いたのは、交通違反というものはずいぶん多いものだから、それであまり重くない刑でいろいろのトラブルが起きては困るというので、この改正をやられたものでないかと思うのです。もしそうだとするならば、むしろ交通違反だけを別のことにしてやられたほうが簡明直截でないかと思うのですが、一般の中にそれを入れてやられるということはどういうわけです。これは私思い違いであるかもしれないが、私はそのほうがいいんじゃないかと思いますが、いかがです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 交通事件につきましていまの五百万件というようなことが起こってきたことは事実でございまして、今回の改正も、交通違反が動機になっておることはまさに事実でございます。しかしながら今回の改正は、禁錮以上の刑に処する確定裁判のみが併合罪を遮断するということになっておりますから、ほかの罰金ももちろん、道路交通法違反事件以外の罰金刑や科料刑も含んでおるわけです。しかしながら、そのおもなものは道路交通事件でございますから、道路交通事件の処理をいかにすべきかという問題もやはり波及してくると思うことは、ただいまお説のとおりでございます。そこで現在は、道路交通違反の犯罪そのものはすべてやはり刑法総則の適用される刑罰でありますから、現在としてはこれはいかんともしがたいわけであります。  そこで、それじゃ道路交通関係事件についてこれを行政罰に改めたらどうか、こういう問題が出てまいるわけです。そこでその行政罰の問題につきましては、これはいろいろ検討いたしたわけでありまするけれども、現在の状態において、少なくとも刑罰と行政罰を比較いたしました場合に、これは刑罰のほうが重いことは、その罰の性質から申しまして当然でございます。そこで、かように道路交通の違反が問題になっておるときに、行政罰にこれを全面的に振りかえるということは、これはやはり現在の罰を全面的に軽くするという問題になって、適当ではないのではないか。  そこで、次に考えられる問題は、刑罰ではあるけれども、行政処分を前置して、行政罰的にこれを運用することが可能ではないかという、現在の国税犯則取締方式のようなものがどうかということが問題になりまして、これは先般警察庁で公表されましたいわゆる特別手続と申しますか、その考え方は一応それに乗っかっておるわけです。かりに警察庁のあの試案のとおりといたしますと、道路交通法違反事件の約七〇%がその行政処分前置によって処理されるというようなことになるのではないかという見通しを立てておりますが、そういたしますると、残り三〇%程度のものは依然として刑罰でいくというようなことになるかと思います。その暁にはこの問題はかなり緩和されてくる問題ではあると思いますけれども、やはり五百万件に対する三〇%と申しますと、百五十万件でございます。百五十万件という数はきわめて従来に比べますと大きな数でございまして、五百万件というのはここ数年の数でございますけれども、これは昭和二十年代ないし三十年代初期から考えますと、百五十万件の数というものは、検察庁にとりましても裁判所にとりましても非常に大きな事件数でありますが、それらのことが行なわれました暁におきましても、やはりこの四十五条の改正は私どもとしてはぜひ必要だというふうに考えておる次第でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そこで私はこの疑問を出したのですが、もし行政罰にきまるということになりますと、そんなことはせぬでもいいんじゃなかったのですか、こういうことになりはしませんか。行政罰にしたら大半のものはいくんだ、そうすればいまのこういう改正はやらなくてもよかった、こういう結果になりはせぬかと思っておるわけですが、それはどうですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 たとえば、身近な例で申し上げたわけでございますが、行政罰にいたしましても三〇%は刑事罰に残るということ、それは道路交通法違反のうちでも、無免許運転でありますとか酒酔い運転というようなものは、この警察庁の試案の中に入っておりません。これは直接刑事事件として取り扱う。それから警察庁の行政処分前置に不服の人は当然刑事事件になる。そういうのをあれこれ現在推算いたしますと、現在の道路交通違反の約三〇%が刑事手続に残るという試算を警察庁はいたしておる。現在五百万件あるものの三〇%ということは、百五十万件ということでございます。百五十万件の事件について、それじゃ今度は的確にその毎事件ごと、処理前に前科を調べておくということが可能かと申しますと、これはきわめて困難なことでございます。百五十万件と一口に申しますけれども、個々の人の本籍その他は全国で違うわけでございますので、少なくとも主要な検察庁におきましてはその前科を同時に調べるということは、これは非常に困難でございますが、そういう意味におきまして、罰金以下の前科については、やはりこの四十五条の今回の改正のような処置をしなければ適切な運用ができないということが考えられるわけでございますので、その必要の度合いというものがきわめて緊急か、きわめて高度か、多少高度かというような違いは私はあると思います。今回の警察庁の改正に応じてやりますれば、それは多少緩和されるということはありますけれども、これが全然必要がなくなるということは考えられない。むしろ現に緊急に必要だということでございます。  それからもう一つは、警察庁のあの案といいますものは、早くても昭和四十三年から実施されるという計画でございますから、ここ一、二年はきわめて大きな数になるわけですから、そういう意味におきましてもここでやはり改正する必要があるというふうに考えております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 根本的に考えまして、道路交通に関する軽いものだけを別のやり方をやる、こういうことにして、この改正をやらずにおいたほうがむしろすっきりするのですが、やはりあえて一般にこれをやったほうがいいと思われますか、いかがです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 これは相当議論があるところだと思いますが、少なくとも刑法改正準備草案は、交通事件を前提にしたわけで、すでにもう数年前に公表されておるわけです。そのときにすでにもう議論をして、罰金以下の分についてはその感銘力をそれほど重視する必要はないという結論が出ておりますけれども、これは将来の方向としてはやはり事務の簡素化もさりながら、やはり理屈の上でもそういうふうにするほうがいいのではないかという意味におきまして、刑法の改正を一歩早くやる、この分については一歩緊急性が早いんだというふうに理解していいのではないかというふうに考えております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 次に、第二について承りますが、近来交通違反で被害の多いものがずいぶん出ます。したがって、世論ともいうべきもので、交通違反についてはもっと罪を重くしなければいかぬ、そしてなるべくこれを減らさなければいかぬという声がちまたにあふれたのでありますが、それを受けてこの第二の改正をやられたものでないかと思うが、いかがです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 近時交通違反の問題が、まあ交通戦争と申しますか、非常にやかましくいわれていることは、御承知のとおりでございまして、政府は、交通安全対策についてはいろいろな措置をしておりますし、国民会議も開いておるわけでございます。そこで、その一環といたしまして刑法の改正ということをもちろん考えたわけでございますが、今回の改正そのものは、昨日来申し上げております非常に悪質な交通事犯に対する法定刑を引き上げ、したがって量刑を引き上げるということによって、それらの人々の反省を促す、こういうことが主たる目的でございます。したがいまして、現在世に非難されておるものは、極度の高速度運転、あるいは非常に技術未熟者の無免許運転、あるいは酒酔い運転、こういうようないわゆる三悪と称するものに対する非難が非常に強いわけでありまして、その非難にこたえて国民の正義感情に訴えるという意味におきまして、この法定刑を上げることが必要であるというふうに考えた次第でございます。これによりましてさような悪質な事犯が減ることを私どもは望んでおるわけでございます。多数の交通機関があるわけでございますから、これはまことに残念なことではありますけれども、交通機関がふえるに従いまして通常起こり得る事故というものは避けられないということはいえる、必要悪というようなものになるかもしれませんけれども、そうでない、先ほど申しました三悪と称するようなものは、当然絶滅させなければならないという目的に邁進する必要がある。その意味におきまして今回の改正を考えたわけでございますから、これはやはり交通対策の一環にもちろんなるのでありますけれども、国民の正義感情に訴えた、それにマッチした改正であるというような考え方でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 交通犯罪がまことに目に余るものがあるから、それを業務としておる者に対して深く注意をさせようというところがねらいだ、こういうことになると、この改正から見るとそうじゃない。一般の業務上がすべて入ることになっているが、国民の世論とだいぶ違う、国民はそこまでいっておらぬのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうですが。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この業務上過失傷害致死、あるいは重過失傷害致死というものは、明治以来刑法上の犯罪としてまいってきております。これはいわば、そういうものについては取り締まり法規違反ではなくして、本来の刑法犯であるという考え方であります。そこでそういう本来の刑法犯であるというものが、たまたま自動車によって起こったということがもちろん動機であることは間違いございません。しかしながら、さようなものが自動車以外のもので起こったら、それではそれは軽くていいのかということと比較して考えますと、これは刑法一般の理論として、自動車以外のものでさようなものが起こったのは軽くてよろしい、自動車で起こったらいけないのだということはできない。そういうような区別をつけることは相当でないのではないかというふうに考えられるわけであります。それで、従来も私どもは申しておりますが、先ほど申しました酒酔い運転というようなものは自動車に通常起こるわけであります。列車、あるいは軌動車というものにはそういうことは起こり得ないということが考えられるわけです。またそれでは自動車でも、今度は路線バスにはそういうことが起こるかというと、これも起こり得ないと考えられるのが普通だと思います。そういう点で、それでは自動車がいけないのなら、路線バスは除くべきではないかというようなことに結局なるわけですが、たまたま路線バスにしても軌道にしても鉄道にいたしましても、もし酒酔い運転があって事故が起こったらどうするかということになりますと、これはやはり高度の非難を浴びるのはしかたがないのじゃないか、当然ではないかということになるのでございまして、そういう意味で刑法犯としてこれを区別することは適切でないと思うのでございます。この問題は交通問題ばかりでございません。たとえば医師、薬剤師等の過失にも当然適用されるわけであります。もしそういうものにして、それに似たような世の非難を高度に浴びなければならぬことが起これば、これは適用されるのもやむを得ないことである、また適用されて当然であるというふうに私どもは考えておるわけであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 立法を考えられた方としてはあえてなんだろうが、きのうも質問の中にありましたが、この間、朝日の「天声人語」にこのことを強く書きました。これは交通違反をこんな軽いものにしておいてはいかぬといっているのです。みんなそう思っている。したがって、交通違反を厳重にやらなければならぬからこういう改正が出たのでけっこうだ、こう思っておりますのに、このおかげで交通違反以外のものまでいっているのだ、——こうなると、交通違反以外のものはびっくりしますし、世間の人も、これはどうも巻き添えを食ってお気の毒だと思いやせぬかと思う。それは業務上だからすべて重くするほうがいいのだと言われればそれだけだが、国民感情というものもあるものですから、これらの点は十分お考えの上でやられたのかどうか、もう一点、それをお聞きしておきたいと思います。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この点につきましては、この立案段階の法制審議会でもいろいろ論議をいたしたわけでございますが、いま申し上げましたように今回引き上げた上積みの部分と申しますものは、先ほど来申し上げました自動車における三悪というようなものが主として対象になる、未必の故意と紙一重であるというものが対象になる、こういうことでございます。したがいまして、そういうようなことば鉄道、軌道あるいは船舶においてはほとんど起こり得ないことであるから、起こり得なければ当然適用されないということであるわけです。しかしながら、万一起こった場合にはどうするかということになると、自動車だからあれは重いのであって、鉄道、軌道だから軽くてよろしいのだという理屈はこれはどうしても出てこないと思うのです。したがいまして、要は、この立法の趣旨による適用範囲の問題に帰着する問題であって、さような三悪に匹敵するような事故が他の交通機関その他の業務において起こり得ないとはこれは保証できないことでございますし、また起こった場合には当然同列にやるのがむしろ刑の均衡を維持する意味にも合するのではないかというふうに考えております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 そうしますと、百十七条ノ二の罪を犯し、よって人を死傷にいたしたるときも、この規定が適用されるわけですね。百十七条ノ二は百十六条及び百十七条の罪を受けてやっておるのですが……。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この百十七条ノ二、つまり業務上の失火でございますが、その業務上の失火そのものによって致死傷が出たという場合におきましては、現在の考え方ではこれは一所為数法であると考えております。そうしますと、今度は重いほうの業務上過失のほうにいくということになるわけであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 これは失火及び爆発物の取り扱いに関するものであります。死傷にいたしたるときにえらい重くなったのだが、その前のは重くせぬでもいいのですか。私はそこいらにどうも均衡のとれぬものが出てくると思うのです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 百十七条ノ二の業務上失火につきましては、現在は業務上過失致死傷と同じ三年であります。ところが、これの科刑実績を見ますと、これはお手元の表に出してあると思いますが、科刑実績から申しますと、全然頭打ち、つまり禁錮三年のケースがないわけです。そういたしますとこの業務上失火について刑を引き上げるという必要性というものは現在出ていない。もちろんいまの致死傷が生じた場合には二百十一条のほうにまいるというせいもあるかもしれないと思いますけれども、とにかく百十七条ノ二だけでは頭打ちケースというものが出ておらぬわけであります。そういう意味におきましてこれにつきましてはいま直ちに引き上げる必要はないのではないかというふうに考えられる次第であります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 あまり議論ばかりしておってもいけませんが、酔っぱらって爆発物を取り扱った、そして百十七条ノ二に該当するものがあった、何も自動車だけが酔っぱらってやっていかぬのじゃない、かようなことも自動車以上に厳重に取り締まるべきものではなかろうか。こういうようなことを考えますと、どうも二百十一条との均衡がとれぬように思うのですが、どうですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 これは業務上失火で物件的な損失は非常に大きく出たかもしれませんが、人身については関係のないときの問題でございます。したがいまして、二百十一条の関係は人身事故の問題でありますので、そこはやはり違うと思うのであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 私の言うのは、それは人身ももちろんですけれども、やはり社会に影響の大きいものをやるべきだと思うものですから、酔っぱらい運転を重く罰するとするならば、酔っぱらいによって他の危険物を取り扱うべきものも罰せねばいかぬのじゃないか、私はこう言うのです。人身だけではない。ことに今後はいろいろなあぶないものが出てくるのですから、そういうところまで考えなければいかぬのじゃないか。そういうことから考えると、ここでこういうのをぽつんと出されたことがどうか、こう思われる。  そこで私の言わんとすることは、あなたたちからもらった参考書類を見ますると、外国では交通違反について特別の規定を置いておるものが多々ございます。それらの点からいうと、この二百十一条を全部改正せなんで交通違反に関する特別の条文を設けたほうが簡明直截でないか、こう考えて言っているのですが、この点はどうですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この刑法の体系といたしまして、資料に差し上げてあるたとえばドイツ刑法三百十五条のC、これは「道路交通において」云々というふうにこまかく規定されております。これが日本の刑法のていさいといたしましては、条文はきわめて抽象的であって、あとは解釈でまかなうという日本の刑法の形態でございます。そこで日本の刑法の立法形式は、ドイツ刑法を受け継いだのでありますけれども、かなり違ってきておりまして、条文の数から申しましても刑法はわずか二百六十条あまりですが、この規定そのものでもう三百五十条内外、全体の構成要件をこまかく規定いたしますれば、この日本の刑法でも全般的にかような規定ができると私は思うのです。したがいまして、問題はやはり刑法の立法形式の問題ということになると思うのでありまして、これは刑法全面改正の問題としてただいま法制審議会で検討中でございます。そういう立法形式の問題を考えます場合におきまして、今回の刑法二百十一条の改正につきましてさらに構成要件をこまかくして、自動車で云々とか、そのほかいろいろこまかくするというようなことはいかがであろうかということも十分検討いたしたわけでありますが、これはやはりそこだけ詳しいものにするということは、全体のつり合いがとれないという意味におきまして、刑法典の上においてさような取り扱いを個別にするということは差し控えるべきであるという議論になったわけです。それでは別に道路交通法とかその他特別法でやればいいじゃないかという議論になるわけでありますが、それに対しましては先ほどもちょっと触れましたように、今度のこの刑法というものは自然犯的なものでありまして、いまの明治以来の刑法、そのうち自動車だけを取り上げるということは、なるほどいまの動機は自動車から起こったかもしれないが、全体としてつり合いのとれないものになるのではないか、道路交通法でさようなものを取り扱うということは、まさに業務上過失の特別の規定を道路交通法に設けるということで、これは刑法の基本とする精神に反するのではないかということであります。  なお、外国の立法例のうち、自動車というものを特別に引き出して規定していないというような、日本のような形式のものも相当ございまして、たとえばフランスであるとか、イタリアであるとか、スペインとか、スイスとか、ブラジルであるとか、こういうようなところはそういうふうに区別はいたしておりませんので、やはりこういうものも立法形式としては当然あるということは考えられるわけであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 いま申し上げましたように、交通違反が動機であるにもかかわらず、一般の業務上過失罪を、まあ死傷があったからと言われますけれども、重く処置をすれば、先ほど言ったようになお重くせなければならぬものも出てきやせぬか。こういうことから考えまして、刑法のていさいにいたしましても、全部まかないきれぬものがあるならばこれは一条設けるのもやむを得ないんじゃないか、こう思うのでありますが、これは私の意見として申し上げておくことにいたしましょう。  次に、この参考資料を見て考えたのですが、ルーマニア刑法を見ますると、7と書いてあるところの、あとのほうに「この場合裁判所は刑に併せて刑法第七八条に規定する保安処分(職業又は営業の禁止)をその条件のもとに専門家の鑑定なしに言い渡す。」これはたいへんおもしろいと思うのですが、この交通違反だけを別にすると、どうも一般の業務上過失ではこういうことが考えられるのですが、こういうことは考うべきことじゃないですか。お考えになったのですか。お考えになったならば、これをやっちゃいかぬという結論になったのか。なったとすればどういうところからなったのか。その点、承りたいと思います。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 現在日本におきましては、御承知のとおり、道路交通法の運転免許の取り消し、あるいは停止というものが行政処分でございます。現在それでまかなっておるということになるわけでございますが、これは必ずしも刑事罰とマッチしているわけではございません。公安委員会がその独自の権限に基づいて、ある事故を起こしたということを前提として、あるいはその者の身体的理由とかなんとかいうことによってこういう行政処分をしておるわけです。そこで、このルーマニア刑法の場合は、これは刑事処分に付随した保安処分ということでございます。御承知のように、日本では、いろいろ議論がございますけれども、本質的に保安処分をやっておるものは、売春防止法の補導処分ぐらいのものでございまして、刑法そのものには保安処分に関する規定はございません。もちろん、没収の一部の性質が保安処分であるという議論はございますが、こういう身体的な保安処分というものは、刑法でやっていないわけでございます。  そこで、今度の改正準備草案におきましては、この常習者あるいは精神障害者あるいは酒癖等について保安処分をやったらどうかということが考慮されております。しかしながら、日本におきましては、まだ保安処分と申しますのは、まあ論議は相当行なわれておりまするけれども、これを実際に適応するという問題についてはまだまだ研究を要する問題が多々ありまして、刑法改正の法制審議会におきましても、この問題はどういう施設でどういうふうにするかということがいろいろ問題になっておるわけです。  そこで、これは別に施設に収容するわけではございません。営業の禁止というようなことになると思うのです。したがいまして、それじゃ判決の付随処分としてできるのではないかということも考えられるのでありまするけれども、これは、こういうことをやることによって本人を困らせるという性質のものではもちろんないわけでございます。とにかくそういう保安処分をして、再びそういうことがあり得ないようにしようというねらいであると思うのであります。これは典型的な保安処分になると思いますから、この問題はさらに刑法改正の一環として十分検討いたすべき問題であって、保安処分の通則と申しますか、そういうものが実はいま日本ではまだできていないというのが現状でございます。しかしながら、この実質そのものはいまの公安委員会の行政処分によって行なわれておりますので、それが適正に運用されれば、別に特にこれを設ける必要はないという議論にもなるかと思うのであります。現在のところは行政処分があるからということにおきまして、これまで保安処分ということは考えられていないのが状況であります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 私は、交通違反については刑罰を重くするよりも、このほうが一番きき目があるんじゃないかと思われるのです。したがって、一般の犯罪と同様にしないで、交通違反だけは特別に扱うほうがいいという考えが起こるのです。そこで、これはかりに司法処分で、行政処分をやらぬということにいたしましても、司法処分をやっておる上において行政処分をやってもらわなければ困るというものが多々あると思うのです。そういう場合には何か方法ないのですか。お互いに行政庁と検察庁なり裁判所等と連絡でもあるのですか、全然ないものですか、いかがです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 これは、問題といたしまして、たとえば運転免許者の事故が起こった。それが精神障害者であったというような問題につきましては、検察庁のほうでそれは措置入院を要するか治療を要するかという問題になれば、それぞれ都道府県知事に連絡をするというようなことをいたしております。しかしながら、単に事故を起こした、それは業務上過失だ、刑罰に値するということで罰するということにつきまして、その者に運転免許の停止、取り消しが必要かどうかという問題は、一々検討はいたしておりません。そういう精神障害者的な特殊の場合は別といたしまして、この者の運転の未熟さ等から行政処分が一体必要であるかどうかというような点は、検察官としてはそれを検討いたしておりません。これはむしろ検挙いたしました警察の側でその一定の基準を設けておりまして、それによって公安委員会の処分によって運転免許を停止、取り消しをやっておるのが現状であるというふうに私は承知いたしておりますので、刑事事件からそれを特に要求をするというようなことは検察庁としてはいたしておりません。むしろ要求をしないでも警察自身が独自の標準を立てて、そういうような処分手続を行なうというようなことが実態のようであります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 昨日大竹委員からの質問で、警察の側で答えられておったのを聞いておったのですが、犯罪を犯したその者が精神異常である。これは精神異常というからには病気ですから当然のことでございまするが、われわれはそんな精神異常の者に免許をやったことがほんとうは間違いだったんだと思うが、それよりも一番悪いのは、その人間の性格だと思うのです。何より悪いのは粗暴な人間です。注意の浅い人間、またちょっとしたことくらいは、こんなもの何だといってやる、そういう者が一番悪いと思うが、そういう者を見定める方法があるのですか、いかがです。病気になれば医者がわかりますが、これは医者でわからぬのじゃないかと思うのであります。その点どう考えておられるか、そうしてどういうことを実際にやっておられるか、その点を聞きたい。

丸山昂警視長(警察庁交通局運転免許課長)

○丸山説明員 御質問のように精神異常者につきましては、適性検査所で発見をする方式、その他新しい形といたしまして、新規の免許を受けます際に、そういう欠格の事由があるかないかということの診断書を付して申請をするというような方式、これは現在検討中でございますが、このような方法で道路上から粗暴運転をする状態を排除するというようなことが行なわれておるわけでございますが、ただいま御指摘のございました性格が粗暴で注意力が足りない、したがって違反を起こしあるいは事故を起こしやすい、こういう問題があるわけでございます。この点につきましては、ただいま各府県で設置をされております適性検査所の中で、本人のそういう性格により事故を起こしておるというようなことが発見されますような器具を逐次入れておるわけでございます。これについてはこの法律のたてまえからは運転免許を取り消すということはできないわけでございまして、その起こしました事故に対応いたしまして、その違反の状態によりまして一定期間の停止が行なわれるということにとどまるわけでございます。この点では、いわゆる運転を行なうに不適格な性格の者ということが非常に幅の広い概念でございまして、これをいわゆる欠格の事由と同等に扱うということにいろいろ問題があるわけでございまして、その性格を是正するための措置というものを別個に考えていくべきではないかというふうに考えておる次第でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 一番悪いのは累犯ですよ。何べんでも同じことをやっておったら性格だと見ていいじゃないですか。そういう性格の者だとすれば処分しなければいかぬのじゃないですか。処分ができないとおっしゃるが、もしいかないなら、法をかえてでもおやりなさい。だから、やるやつは何回もやっておるのですよ。やらない者は何十年やっても一代一ぺんもやらぬ者もおるのですよ。その人の性格です。そんな累犯を始終やっておるような者があぶないので、われわれから見ればこれほどあぶない者はない。それが処分ができぬということだったらたいへんですが、どういうわけでできないのです。もしできないなら法を改正してやってもらわなければならぬ。

片岡誠警視長(警察庁交通局交通企画課長)

○片岡説明員 いまの鍛冶先生の御質問にお答えいたします。  私どもは、先生のおっしゃるように、心理的に不適格、性格的に不適格な者を発見する方法を現在いろいろ研究しておりまして、二つの方法を現在考えております。  一つは、先生のおっしゃいますように、事故の累犯者、あるいは違反の累犯者の記録を警察庁に三カ年計画でいま電子計算機で記録さす計画を始めております。四十一年度から始めまして、四十三年度までの間にすべての運転者の違反歴、事故歴をすべて集めてみようと思っております。そういう具体的な違反または事実の集積によって性格を見ていこう。  それからもう一つの方法といたしまして、心理学者の協力を得まして、ペーパーテストで運転適性なり、運転の心理的な安定性だとか、あるいは粗暴性とか、そういう性格を見るテストをいま科学警察研究所の交通部で開発いたしております。やっと一つまとめまして、どの程度までそれが信頼性があるだろうかというテストを現在やらしております。その信頼度のテストが、現在で七割くらいであろう。これを九割九分なり、あるいは九割くらいまでに信頼度を高めていくという努力をいたしたい。したがいまして一〇〇%の信頼度はまだございませんので、運転させていい、いけないという判断を、そのテストだけにたよるわけにはまだまいらない。しかし、職業運転手のような場合には、雇用主の依頼を受けてそのテストをして、事故歴等と両方参照しながら、これはハンドルを握る位置からはずしたほうがいいんじゃないだろうかという相談に応ずる、そういう仕組みを現在やり始めております。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 累犯者——われわれからすれば常習者です。これは免許を取り消さなければいかぬものだと思うのですが、取り消されるのですか、されないのですか、いかがですか。

丸山昂警視長(警察庁交通局運転免許課長)

○丸山説明員 いわゆる累犯でございますが、これを評価いたしますのは、過去一カ年以内の違反歴、それからそれに伴います行政処分の適用を考慮に入れまして、それぞれ行政処分を行なっております。  現在の道交法のたてまえによりますと、その違反の性格、たとえば酒酔い運転で人を死傷させた者、こういう者についてはそれ一回で取り消しになります。ところがスピード違反というようなもので、これが事故を起こしませんで、違反を重ねておるというようなことでございますと、現在のたてまえでは取り消しというところまではまいりません。停止という処分にとどまるというような状況でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 スピード違反だけでほかになければいいが、ほかのものが起こってくれば、人を殺せばなおさらだが、人のうちへ乗り込んでいく自動車もずいぶんあります。そういうようなことをたびたびやられたのではたいへんなので、どういう場合には取り消しをされるという規定がありますか。それをちょっと聞かしてください。

丸山昂警視長(警察庁交通局運転免許課長)

○丸山説明員 道交法施行令の第三十八条でございます。道交法のほうには、政令の定める基準に従って、公安委員会が免許の取り消し、停止を行なうことができる、こういう規定がございます。  政令のほうで、三十八条の「免許の取消し又は停止の基準」によりますと、一つは、「免許を受けた者が次のいずれかに該当することとなったときは、その者の免許を取り消すものとする。」これは百十七条の二、酒酔い運転でございますが、これを行ないまして、「交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけたとき。」これは取り消しでございます。それとひき逃げでございます。その次は、スピード違反その他の関係で「交通事故を起こして人を死亡させたとき。」その次は、酒気を帯びまして、いまのスピード違反を行ないまして「かつ、交通事故を起こして人を傷つけたとき。」それから酒気を帯びまして、百十九条第一項第一号でいろいろ定めておりますが、その違反行為をいたしまして「交通事故を起こして人を死亡させたとき。」それから「過去一年以内に一回以上免許の保留若しくは効力の停止又は自動車等の運転の禁止を受けた者である場合であって、」最初の酒酔い運転を行ないましてけがをさせたとき、それから物を損壊したとき、また酒気を帯びてスピード違反をやりまして、交通事故を起こして物損がありました場合。それから「過去一年以内に一回以上免許の保留等を受けた者である場合であって、」先ほど申し上げました酒気帯び運転を行ないまして「人を死亡させたとき。」それから「過去一年以内に一回以上免許の保留等を受けた者である場合であって、」先ほど申し上げました酒気帯び運転で「人を傷つけた場合。」それから「過去一年以内に一回以上免許の保留等を受けた者である場合であって、」酒気帯び運転をいたしまして、法に定めております違反行為を行ない、「かつ、交通事故を起こして人を死亡させたとき。」それから「過去一年以内に二回以上免許の保留を受けた者である場合であって、」先ほどの酒気帯び運転を行ないまして、物損を起こした場合、それから、人を傷つけ、酒気帯びで物損、それから傷害がありました場合。以下、大体それに似たようなものがたくさんございますが、以上のようなことで取り消し処分を行ないます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 どうも聞いておりますと、結果の重いものに対してやることを主にしておられるようですが、私の言うのは、そういう犯す憂いのある者を厳格にやらなければならぬではないかという意味です。これは将来においてもとくと御考慮、御研究を願いたいと思います。  それから、これは累犯を及ぼして、そういう性格者だと認めてやることは当然でございますが、願わくは、初めからそういうものであればやらぬということをやってもらいたい。これはなかなか容易じゃございますまい。これが第一です。  その次は、結果にあらわれてそういう性格の者だということがわかったら、厳重にやってもらわなければならぬと思うのです。どうもいまのは重い結果が出たときにそれをやられるのですが、そういうことのないことを私のほうでお願いしておきます。  もう一つは、立法論として考えなければならぬのは、これは交通違反ではほかにもありますから、常習者というものに対して特別の取り扱いをするということを考えてもらいたいと思うが、法務省ではどうですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この道路交通法の問題といたしましては、常習者につきまして重く処罰するというような方式は、立法論としては可能である。しかしながら、業務上過失いわゆる過失犯につきましては、これは予見認識がなかったということでございまして、それの常習者を、常習者といいますか、それが何度も続いたという者を重く処罰するということがはたして適当かどうかという問題は、過失犯についてはあるわけでございます。そういう意味におきまして、過失犯の常習者ということをどうするかということにつきましてはかなり検討を要するのではないかと思っておりますが、故意犯につきましては、非常に常習的に犯しやすい者につきましてはそういう規定を設ける、つまり道路交通法関係の違反には、そういう規定をものによっては設けるという立法論もあり得るというふうに私は考えます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 その累犯というものに対しては、非常に重きを置いてやってもらわなければならぬと思う。いつの場合でもそうである。しかるに、この改正案の第一のほうを見ますと、どうも前科をさがすのはめんどうだからということになると、われわれが取り締まりのほうで重く考えなければならぬものがお留守になりはせぬか、——お留守になるということでもないが、軽く取り扱われるということになりますとはなはだ困ると思うから、この点も強く申し上げておきます。犯罪として罰するのにはどうか知らぬが、行政罰に対しては厳格にこの点をやらなければならぬと思いますが、これは私の意見として申し上げておきます。  その次は、二百十一条の罰金は変わらないでいいですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この規定は、先ほど申し上げた三悪についての最高刑を引き上げるという意味でございます。したがいまして、日常残念ながら起こるところの事故の刑をそれほど引き上げるということの必要性は、いま必ずしもないわけであります。そこで、罰金刑につきましては、現状を維持するのが相当である、むしろ上積みの部分は、現在悪質で頭打ちになっている法定刑を引き上げるということにとどむべきだという結論であります。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 いまだって罰金があるのですから、やはり体刑のほうに重きを置いたら罰金だって重きを置くのは普通だと思いますが、これもひとつ御研究願うことにしておきましょう。

大久保武雄自由民主党

○大久保委員長 次会は明二十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十四分散会

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