法務委員会 第35号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/05/12
会議録
○大久保委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政に関する件、並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
○坂本委員 先般の四月二十六日の春闘に際しまして、全国でまず四十一人の検挙者を出しました。さらにその後も若干ふえているようでございますが、その経過について警察庁の御報告をお願いいたします。
○後藤説明員 御報告を申し上げます。 ただいま御質問の点は、先般四月二十六日に行なわれましたいわゆる公労協と交運共闘の共闘によりますストライキの際に起こりました事案でございます。これは東京、大阪、北九州の主要電車区と東海道本線、山陽本線等の主要機関区、運転所等六十四カ所を国労といたしましては指定いたしまして、おおむね四月二十六日の午前四時半ごろから八時ごろまでの時間にわたりまして時限ストを行なったのでございます。 事案は前日の夜半からすでに起こったのでございますが、私どもの調べでは、全国で約八万名以上の労組員を中心とします動員が行なわれまして、特に東京、大阪、北九州等のターミナル駅では相当な混乱を生じたのでございます。 事案の内容といたしましては、信号所の占拠であるとか、あるいは列車の前面線路上のすわり込みであるとか、あるいは列車の周囲を取り囲んで乗務員の乗車を阻害するとか、あるいは駅のホーム、線路上などでデモをやるとかいうような事案が大部分でございます。 これによりまして、東京、大阪、北九州あるいはその近郊の国電はほとんど麻痺状態となりましたが、全国では、私ども聞いておりますところでは、列車が千八百八十一本運休し、八百十四本が遅延をしておるようでございます。 それから、この事案に対しまして、警察といたしまして、当日現行犯で逮捕いたしました者が四十一名でございます。その後に今日まで九名通常逮捕をいたしておりますので、逮捕者はただいままでのところで五十名出ておるわけでございます。 事案のおもなものを順次申し上げますと、第一は佐賀県の鳥栖駅でございます。これは二十五日の午後六時ごろからすでに事案が起こったのでございますが、あそこに西信号所というのと戌信号所というのと二つございますが、西信号所の周囲に約五百五十名の者がすわり込んで、そのうち二十名が西信号所に侵入をして電灯を消し、内側から錠をかけたという事件がございました。これを警察部隊によりまして排除するとともに、信号所内に侵入しました十三名を建造物侵入で現行犯逮補し、さらに後、一名を通常逮捕いたしておるのでございます。 それから戌信号所につきましては、約二百名の者がすわり込みをいたしまして、信号所に勤務いたしておりました者を連れ出し、これの助勤として入ろうとしました助役の入所を阻害した事件がございました。この指揮者を威力業務妨害で二名現行犯逮捕いたしております。 それから、客操詰め所で休んでおりました操車掛二名を四、五名の者がかけ声もろとも無理やりに連れ出したという事件がございまして、これはただいま捜査中でございます。 それから、南福岡電車区の事件、これは福岡県でございますが、車庫の前の線路の上に約四千名がすわり込みまして、電車の出区を阻止した事件でございます。これは警察部隊によりまして順次排除いたしまして、指揮者を十一名現行犯逮捕いたしております。 それから次は、広島県広島駅でございます。これは二十六日の六時半ごろでございますが、駅の近くの踏切で約三百名が約十分間にわたりまして渦巻きデモを行なった事件。これにつきましては、公安条例違反で指揮者一名を現行犯逮捕いたしております。 それから次は、大阪府の森ノ宮駅事件でございます。これは二十六日の午前五時過ぎからでございますが、外回り線と内回り線両方のホームに約千四百名が侵入いたしまして、電車の発車を妨害した事案でございます。この事件では、一名を威力業務妨害で現行犯逮捕いたしております。 それから同様に、大阪府の玉造駅の事件でございます。これは同時刻ごろやはり外回り線のホームに約七百名が侵入しまして電車の発車を妨害した事案でございます。これにつきまして、同日五名を威力業務妨害、公務執行妨害、器物損壊の罪名で現行犯逮捕し、さらに後日七名を建造物侵入及び威力業務妨害で通常逮捕いたしております。 それから東京都の管内でございますが、下十条の電車区でございます。これは二十五日の午後十時ごろから事案が起こりましたが、約三百名の者が電車区の区長室前でデモを繰り返し、気勢をあげたのでございます。そこでこれを制止しようとしておりました公安室長に暴行いたしました。その一名を、これは公安職員が公務執行妨害の現行犯で逮捕いたしております。 それから同じく、下十条電車区で千名ばかりがすわり込んで、電車の出区を阻止した事案でございますが、これは警察部隊によりましてこれを排除するとともに、電車の下にもぐり込んで発車を妨害しようとした者一名を威力業務妨害の現行犯で逮捕いたしております。 それから次は、池袋でございます。これは改札口付近に三百五十名ばかりの者がすわり込みをいたしましたが、これを排除いたしますとともに、指揮者一名を不退去で現行犯逮捕いたしております。 それから次は、蒲田電車区事件でございます。これは二十六日の午前五時過ぎからでございますが、約三百名が山手線内回りの第二番電車の前面線路上にすわり込んでこれを阻止した事件でございます。これにつきましては警察部隊によりまして排除するとともに、指揮者一名を威力業務妨害で現行犯逮捕しております。 それから、次は品川駅でございます。これは二十六日の五時ごろからでございますが、西口の広場で、これは学生でございますが、九十名ばかりが渦巻きデモを行ないました際に、これに巻き込まれました警察官を救出しようとした警察官に対して傷害を与えた学生一名を公務執行妨害で現行犯逮捕しております。それからさらに後日、このデモを指揮しておりました学生一名を追加逮捕いたしております。 それから、同じく品川駅でございますが、京浜急行の改札口付近において学生約五百四十名がすわり込んだ事件であります。これも道交法違反、公務執行妨害で三名現行犯逮捕いたしております。 次は、和歌山と東和歌山の駅の事件でございますが、これはいずれも、和歌山のほうでは線路上に約三百名、東和歌山のほうでも線路上にやはり三百名ばかりがすわり込みないしは腰をかがめて列車の出区を阻止した事件でございます。これにつきましてはただいま捜査中でございまして、近く指揮者の検挙を見る予定でございます。 そのほか、警視庁の管内の小金井の駅で、鉄道職員が乗務員を保護しながら構内に入ろうとするのを三百名ばかりで阻止し、その際に当局側が十五名ばかり負傷している事案がございますが、これにつきましては目下捜査中でございます。 概略以上のものが四月二十六日の事案の概要でございます。
○坂本委員 四月二十六日からすでに日にちもたっておるわけですが、さらにこの春闘は妥結をして四月三十日のストは中止になっております。それですから、いまの御報告では、和歌山と東京の小金井が捜査中で、そのほかはもう捜査は大体済んでいるんじゃないかと思うのですが、なおこの検挙者の見込みはどうでございますか。
○後藤説明員 先ほど御説明申し上げましたように、鳥栖駅の事件につきまして、眠っていた、休んでおった操車掛を連れていったという事案がございまして、これはただいま捜査中でございます。それから和歌山と東和歌山の駅の事案につきましても、ただいま捜査中でございます。小金井も同様であります。 さらに大阪の玉造の駅の事案につきましては、その後の捜査の結果、今後においても若干検挙者を見ることになるだろうと思います。 それから森ノ宮駅事件、これは一名当日現行犯逮捕いたしておりますが、その後の捜査が進みまして、若干の検挙者を見ることになるだろう、こういうふうに予想しております。 そのほか私どものほうでは格別進行中の捜査というのは報告に接しておりません。
○坂本委員 そこで、もちろん悪質なのは別ですが、相当期間もたっておるし、あとの捜査も若干ですが、森ノ宮を加えまして、和歌山、小金井、このほかはほとんどもう済んでおるから、検挙者でなくて、参考人程度のものがあるかどうか。なお時間も過ぎておるからなるたけ任意出頭に切りかえてやるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、警察の段階ではどういうふうにお考えですか。
○後藤説明員 今回は、先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、当日現行犯で四十一名の逮捕者を見ておるわけでございますが、従来のこの種事案に関します捜査からいたしますと、今回は非常にスピードアップされておると申しますか、捜査は非常に早く進んでおるわけでございます。いままでの例でございますと、大体二週間ないし三週間過ぎたころに証拠固めをいたしまして、それから被疑者の検挙に当たるというのが通常でございますが、今回は当日の態勢もございましたが、現行犯で処理することができた面もたくさんございますので、そういう関係で、大体それで終結しておるというのが今回の特色と申しますか、従来と比較いたしまして特色をなしておるわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、従来の尺度からいたしますと、いま終結するというのは必ずしもおそいとは思っておりませんけれども、当日多数の現行犯逮捕を見ていることでもありますし、ストライキそのものも三十日は取りやめておるというような状況もございますので、できるだけ早く捜査は終結したい、こういうふうに考えておるわけでございます。いま申し上げました和歌山あるいは森ノ宮、玉造、小金井、こういうところを除きましては被疑者の検挙というのは大体目下のところないと私どもは考えております。ただしかしながら、これも確定的に申し上げることは必ずしも適当でないと思います。と申しますのは、その後においていろいろと出てまいりました資料もございまして、どうしても警察の立場として捜査をしなければならぬというものもないとは申せませんので、その点は何とも申し上げられないと思います。 それからできるだけ任意にということでございますが、これは被疑者の検挙をいたします場合に、できるだけ任意の方向でいくということは十分に考えまして、そういう点は連絡をいたしております。
○坂本委員 警察の段階は、なお質疑したい点は後日に譲りまして、今度は検察庁にお伺いしたいのですが、検察庁に身柄送検になりまして、大体釈放にはなっておりますが、釈放になっていない分があるかどうか。それから送検になった分についての起訴、不起訴の問題についてお伺いしたいと思います。
○後藤説明員 あとで津田局長のほうから御答弁があるかと思いますが、私のほうで把握しておる範囲でお答え申し上げます。ただいままで四月二十六日事件について起訴になりましたのは、品川駅におきますデモを指揮しました学生一名でございます。そのほかはまだ起訴を見ておりません。それから身柄の点では、大阪の玉造駅事件の事後に逮捕いたしました者が七名ございますが、そのうちの六名、これがただいま検察庁において勾留請求中でございます。それ以外は全部釈放になっております。玉造は七名のうち六名でございますので、一名は警察のほうでまだ送致をいたしておりませんので、ただいま警察のほうで身柄を拘束しておる、こういう段階でございます。
○坂本委員 そうすると、玉造の七名のうち一名が、まだ逮捕の予定が逮捕になっていない、こういうことですか。
○後藤説明員 これは一名はあとで逮捕いたしましたので、まだ送致の手続をとっておらぬということでございます。
○坂本委員 そういたしますと、玉造はこれで終わりというふうに了解していいわけですか。まだ別に被疑者があるかどうか、その検挙の問題です。
○後藤説明員 これは先ほど申し上げておるとおりでございまして、ただいま私どものほうで把握しておる範囲内におきましては、和歌山、小金井、玉造、森ノ宮、この辺の関係で若干の被疑者の検挙を見ると思っておりますが、それ以外につきましてはただいまのところはございませんが、今後将来とも絶対にないかということにつきましては、確定的に申し上げることはできない、こういうことでございます。
○坂本委員 そういたしますと、検察庁のほうですが、ただいま警察庁のあれを聞きますと、品川の学生一名が起訴になりまして、そのほかは起訴になっていないようですが、何名か送検になってきておりまして、全部釈放になっておると思うのですが、その起訴、不起訴はまだきまっていない、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○津田政府委員 現在検察庁で受理いたしておりますのは、大阪関係で六人、それから福岡関係で八人、それから佐賀の関係で十五人、東京の関係で九人、広島の関係で一人、こういうことになっております。そこで、そのうちで東京関係で、先ほど警察のほうからお話がありました品川駅におおきます公安条例違反の学生一名、これは今月の十一日に起訴になっておりまして、これは勾留中であると思いますが、そのほかは釈放されております。
○坂本委員 そういたしますと、現在の段階ではこの起訴、不起訴の点は、検察庁は勾留中でありまして、大体の見通しはどうなんですか。
○津田政府委員 この点は全く仰せのとおり捜査中でございまして、いま起訴、不起訴の点は未確定であります。
○坂本委員 終わります。
○横山委員 ちょっといまの話と関連をするのですが、質問に移る前に、いまの玉造のことについてちょっと聞きたいのですが、ぼくは森ノ宮、玉造まで行って、現地で感情的な、あるいはささいなことで紛争が起こらないようにということで、現地におったわけです。最初五名逮捕して、九日の日にまたいまのお話のように七名ですか、逮捕された。それで大阪の地検に参りまして、公安部長検事やあるいは次席にお会いして、次の六、七名を逮捕された事情を参考のために承った。参考のためではあるけれども、ぼくのしろうとながらの判断を率直に申し述べた。それは、事件があってからもうすでに十数日たった今日、六名の人を一挙に検束をしておる。任意出頭も何もなく、しかも二十から二十五歳くらいで、去年入ったのがほとんどである。そういう若い人たちを、何らの通告もなく、何らの任意出頭による事前調査もなく、一挙に勾留するとは何事であるか。現地の事情はわかっておるけれども、直ちにそういうことをしなければならない積極的な理由は何であるかと聞いたところが、言わない。言わないには言わないだけの立場が、それはあるとは思うけれども、しかし、私ども国会議員が三、四人行って、穏やかに、一体なぜ、まず第一に任意出頭をやって事情調査をして、それから必要あるならば勾留をするということに踏み切れないのかと言ったところが、私どもが人間的に考えても納得し得る理由がない。それで、検事のお話はきわめて意欲的といいますか、姿勢が高いといいますか、問答無用といいますか、きわめてけしからぬ雰囲気だと私は思う。それで、だれがどう考えても——いまのお話の千数百名の人たちか電車の中にガタガタしておる。そういう状況判断の中で、一挙に勾留をし得る客観的な証拠というものは私はないと思う。こう判断をする。しかも、最初の五名を、勾留期間が切れたからもう一ぺんと言ったら、裁判所からはねられた。はねられたことに対して、どうも多少感情的なような気がする、そんならこっちはというわけで、九日の日に至って、突如として若い者を六人検挙した。この扱いについてはいささか納得しかねるとわれわれは考える。その点はどうですか。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねで、外形的事実は仰せのとおりです。したがいまして、内部のいかなる経緯によりまして、またいかなる事情によりまして後の数名の者を逮捕したかということは、私はいま存じておりません。したがいまして、そうなれば、結局逮捕の必要があったからというふうに申し上げるよりしかたがないのですが、それではお答えにならないと思いますので、その辺の事情につきましてはなお調査をいたしまして、次の機会に申し上げたいと存じます。
○横山委員 あなたが知らないというならそれはしようがない。しかたがないけれども、どう常識的に考えても、事件が済んで十数日もたってから、任意出頭もかけないで、一挙に去年入ったような若い人間を、朝の寝込みを襲ってばさばさひっつかまえて、そして今度は警察を全部ばらばらに留置して、そして組合なり弁護士の人たちを奔命に疲らしめるような配置をするということは、私どもはしろうとながらに見て、やり方が少しえらくないか。検事さん、あなた、ちょっと気負い立っていやせぬか、どこに客観的な証拠が——があっとなっているところで、この鈴木なりなんなりというものを引っぱらなければならない客観的な証拠がどこにあったか。当時の事情からいって、事情調査もしないで一挙に勾留し得るということは、何人も予想できないということです。そうしたら、話ができませんとか、確信はありますと言うだけであって、そして——もちろん笑いながら話をし合っておるのですけれども、何というか売りことばに買いことば的に、われわれには権限がごさいますとか——歯車が全然かみ合わない。そういう言い方をするということは、裏を返していえば、私どもを納得させられる理由がいまのところない。したがって、歯車がかみ合ったら損だ、こういう感じを持っておるのではあるまいか。次席さんは、その辺は温厚で、一刻も早く調査を済まして釈放するようにいたしたい、こう言っておるけれども、そばにおる検事は——これもこの前一ぺん会った人間だけれども、もう何こくかという顔をする。よくない。早く釈放してやる。若いのですから。まだ二十歳ぐらいですから。
○津田政府委員 事情を聞きまして、検察庁にも善処するように申したいと思います。しかしながら、私としては、いまは事情を存じませんので、まず事情を知ることが大切だというふうに思います。
○坂本委員 熊本県の玉名市の選挙が四月の三十日に行なわれたわけでありますが、これに対して非常な悪質な選挙違反が出ておりまして、現在二十名逮捕者が新聞の報告によると出ておりまして、そのうちの十九名が当選した川原の選挙違反であり、一名が落選しました、当時市長であった橋本派の違反であるわけですが、この十九名の川原の違反は悪質な買収違反でありまして、新聞の報ずるところによりますと、玉名市会議員が中心になりまして九十万あるいは百万の金をばらまかれた。さらにまた、その金はどこから出ておるかと言いますと、医療法人に玉名病院というのがありまして、それの理事長が川原候補であるし、その会計が大矢健一郎というので、この大矢健一郎が留置されておるわけですが、ここからさらに数百万円の金が出ておる、こういうような新聞の報道が出ておるわけですが、これについてはさらにまた他の地区にも——大体大浜地区という地区が竹下市会議員のところでありますが、他の地区にもこういう違反がある、こういうふうに言われておりますが、刑事局長のほうでキャッチしておられますか、その点について承りたい。
○日原政府委員 玉名市の市長選挙における買収事件につきましては、川原派の違反で逮捕二十名、うち起訴八名、それから不拘束で取り調べいたしました被疑者が百五十二名、そのうち七十五名を送致いたしております。それから橋本派の違反で逮捕一名ということでございます。 事件は後援会長、それから婦人会会長その他玉名市内の各地区責任者に買収資金として相当な金額を供与した、そういう関係で買収の被疑者、被買収の被疑者を検挙いたしたわけでございます。現在まだ捜査中であります。今後の見通しとしてはまだ伸びると思いますが、特に買収資金の出所について現在重点を置いて捜査をいたしておる最中であります。
○坂本委員 問題は買収資金の出どころでありますが、先ほど申しましたように医療法人玉名病院ですね。これは気違い病院ですが、ここから多額に出ておる。さらに川原候補は蓮華院というお寺の坊さんですが、このお寺から相当の金が出ておる、こういうふうに新聞その他でもいわれておりますが、そういう点は捜査はいかがになっておりますか。
○日原政府委員 すでに逮捕いたしました者の中に、玉名病院の事務員が二名入っておりますという関係もございますが、しかし、それ以外の面につきましても、買収資金の出所ということで追及していかなければならない面もあると考えておりますので、必ずしもそれに限定しては考えておりません。
○坂本委員 時間がありませんから、最後に、現在逮捕されておる者の大部分は玉名市の大浜地区と申しまして、もともと大浜町の関係のようですが、そのほかに小田地区、三ツ川地区、築山地区、それから八嘉地区、それから伊倉地区、豊水地区、滑石地区、梅林地区ですが、こういうような地区にもやはり大浜地区と同じような金がばらまかれているんだ、こういうようなうわさがあるわけです。 そこで、このごろは捜査が少しゆるんだような考えがあるのですか、こういうのを早く捜査しなければならぬのですが、人員が不足のような場合は、これは人員をふやすとかその他の方法で、悪質の買収違反については徹底的に捜査を進めて糾明してもらわないと、次の選挙にも、こういうことを見のがすということになれば、またそういうことが神聖な公明選挙に影響をする、こういうことがありますから、ひとつ熊本県警のほうに督促していただきまして、そうして至急に捜査を進めて万遺憾なきを期してもらいたい、こういうふうに考えるのですが、それはどうです。
○日原政府委員 ほかの地区にも疑いがあるというお話でございますが、現在の熊本県警の捜査力でもって決して不足いたしておるとは思いません。お話のように大体一カ月くらいのうちに選挙違反事件は終息するのがたてまえでありますので、多少延びておりますが、さらに徹底的にやるように指示はいたしたいと思います。しかし、ただ問題はやはり証拠の関係がつかめませんとなかなか検挙が伸びません。その点に悩みがあるわけでありますが、十分に捜査を徹底してやってもらいたいと思います。
○坂本委員 もちろん、選挙違反の買収は捜査が困難であるということはわれわれも承知しておりますが、長くなればなおさら困難になるわけですから、ひとつ至急に捜査を進めるよう要望しまして、質問を終わります。
○大久保委員長 横山利秋君。
○横山委員 登記事務並びに青梅事件並びに飯塚事件についてお伺いするのですが、筆記事務につきましてはもう同僚諸君と実地の調査もいたしておりますし、政府委員で民事局長はじめ担当の方はよくわれら委員会の雰囲気を御存じのはずでありますから、主としていままで審議に参画をされなかった山本政務次官と大蔵省の小口主計官に意向をただしたいと思います。 まず第一に、私どもが現地調査をして最も感銘を受けたことばがございます。それは東京法務局長が、われわれに陳情したいことは山ほどあるけれども、忘れられるといかぬからこれだけは未来永劫忘れずに記憶にとどめてもらいたいと言うたことばがどういうことかというと、法務局はサービス官庁であるという理解であります。なるほどうまいことを言うと私は思いました。彼の説明によれば、法務省傘下におきまして、刑事局だとかいろいろなところがある。裁判所も一種の権力機構である。その中でただ一つ法務局は民事行政、それから人権擁護、訟務等々重点はほとんど国民に対するサービス官庁である。そのことが忘れられておる、こういう主張であります。確かに登記所を回ってみますと、われら痛感したのでありますが、お客が殺到しておるにかかわらず、すわるところがない、いつになってその仕事が済むかわからない、お茶一つ飲ましてくれない、そういうごった返しの中で、しかも私どもの調査したところによりますと、まさに先ほどの理事会で論争の焦点になったのでありますけれども、法務局職員が二万人、法務局の採用の臨時職員が千三百六十人、外部団体としての司法書士が約二万二千、外部団体としての土地家屋調査士が約二万、両団体の補助者、事務員が約数万、その他市町村職員の随時応援となって、まさに、実際の政府職員は一万で、あと数万人の政府職員にあらざる人たちが法務局の仕事をやっておるという実情であります。先ほども理事会で論争になりましたのは、かかるばかげたことはいかぬ。そして法務局は自分のところの仕事が満足にやれないくせに、人の仕事、大蔵省の仕事を手伝っておる。そして三千万円もらったといって喜んでおる。そんなばかげたことはないという意味で、いかにそれを執拗に決議の中にあらわすかについて与党諸君と大きな声でけんかをしたわけです。しかし気持ちは与党の諸君も——ここに温顔を呈しておられるのであるけれども、われらと全く同感であるという話でありました。そこで満場一致決議がされたのでありますが、法務政務次官は現場をごらんになったことがございますか。
○山本(利)政府委員 私は昨年の夏法務政務次官を拝命いたしまして、その後各地の関係官庁も見て回ったわけでございます。もちろん日本全国をというわけにはまいりませんけれども、相当数見たのでございますけれども、お説のように、法務局は全く国民に対してのサービス機関でございまして、民衆が一番近滞りやすく、実際に必要なことをお願いしに参るところでございます。ことに、最近のように各都市の地域が開発されてまいりましたりあるいは経済状態が非常に発展いたしまして、物の登記関係の事務が非常に多いのでございます。お説のように、法務省の職員の数というものも事務の増加に比較いたしまして全く少数でございます。四十一年度予算の編成の際におきましても、省内におきましてはこの方面でできるだけ多くの人員を増していただくようにという観点から、努力はいたしたわけでございますけれども、御承知のとおりに大蔵省において査定されます場合には、これも法務省だけのことでなしに、政府関係機関あらゆる方面から増員の要求その他がございますので、私どもの希望するような増員が得られなかったことはまことに残念でございます。またこの職員数のみでなしに、庁舎の関係におきましても、私は非常に粗末なものが多いように思うのでございます。地方の町村長から借り上げましたものや、あるいはそこから提供されましたものに住んでおるわけでございまして、最近各地方の郵便局舎であるとか、あるいは鉄道の駅の庁舎であるとか、電電公社の庁舎であるとかいうものが、漸次改善されていっておるのが地方では目に見えるわけでございますが、この民衆の最も必要といたします機関の一つである登記所の庁舎というものが非常に粗悪でございます。どの程度必要かということはお手元に差し上げました資料にもございますし、後ほど係官から説明をいたすと思いますけれども、私はこれはまことに残念なことだと思いますので、政務次官在官中はもちろんでございますが、これを引きましてからも、法務省関係のいまの点については、皆さん方の驥尾に付して十分に努力していきたいと考える次第でございます。
○横山委員 法務委員会へ来まして、事、予算に関するお話をいたしますと、いつもあなたと同じような答弁を大臣以下すべての政府委員がなさる。これを称してこじきのおかゆと言うのであります。こじきのおかゆというものは中に御飯がないから、「ゆう」ばかりであってちっとも実がないのであります。そんなばかげたことはないと私は思うのであります。聞くところによりますと、法務省の法務局登記事務で、年間五百億くらい税収がある。税務署に比較してみましょう。私も大蔵委員をやっておるわけでありますが、大体大都市の税務署は改築をされました。税金を取るから税務署に銭があるということではもちろんない。けれども税務署は、大体において大都市は改築をされて、いろいろ庶民からいやがられるところだから明るい雰囲気をつくりたいということで、大蔵省が一生懸命にやっておるわけであります。しかし法務局は、登記所はいやがられるところではなくて、必要に迫られてどうしてもひとつやってきて頼むというところなんです。いやがられるところでもないのに、しかも年間五百億も国庫収入があるのに、いつまでもこんなようにほうりっぱなしになっておるということは、とりもなおさず大臣や政務次官や民事局長の政治力がゼロであるということに結論せざるを得ないのであります。 大蔵省に聞きますが、小口さん、あなたは法務省担当の主計官ですね。——なぜあなたはもっと骨を折ってくれないか、あなたは登記所を見たことはありませんか。
○小口説明員 私は、登記所は非常に古いもの、それから新しいもの、あるいは人数の少ないいわゆる一人庁とか二人庁とかいわれますそういうものを全部見ております。
○横山委員 それにもかかわらず、税務署ばかりりっぱになって、何で登記所はいつまでもほうりっぱなしになっておるのでしょうか。あなたは古いものも新しいものもいろいろあると言いますが、新しいものなんかはほんとうに微々たるものでありまして、ことごとく、といっていいほどひどいものですよ。そしていま言ったように、法務局の職員でない数倍の人が仕事をしておるわけですよ。そんなばかげたことがあるか。先般も八王子の登記所であった事件でありますけれども、登記官は判こを押すだけであります。判こを押す原簿を写した書類、これはだれがつくるかというとみんな司法書士や土地測量士の職員が写して持ってきて、これに判こを押してくれというて判こを押すだけなんです。そのために間違いがあった。たくさんだからぽんぽんと判こを押したら原簿と間違いがあった、裁判になった、そうして強制執行ができないということになった。それで、弁護士は気の毒に思って、自分の弁護料は返すという、それだけではおもしろくないので、法務局に対して弁償してくれという話が出た。一体だれの責任か。それは登記官の責任である。責任であるけれども、責任のある職の人たちが写してこないから、そういう間違いが起こるわけだ。私は、司法書士の職員が粗雑だとかいいかげんだと言うつもりはないけれども、しかし、その人に責任はないですよ。そうでしょう。もしもその写すのがこの法務局の職員であるならば責任を感じていますよ。そういうような、本来自分のところでやるべき仕事をよその正規の職員でない人にまかすということは、いいと思うのですか、悪いと思うのですか、あなたは。
○小口説明員 先生おっしゃいますように、そういうふうな状態というものはむろん好ましい状態とは思いませんので、そういう点につきましてはやはり極力解消していかなくてはいかぬということは私どもも考えておる次第でございます。 職員の問題でございますけれども、四十年度、四十一年度を通じまして増員抑制というふうな方針がございまして、その面では非常に苦しい点もあったのでございますが、法務局につきましてはできるだけの範囲内で増員をはかった。四十年度八十名、四十一年度百二名ということで、必ずしも十分だというふうには考えられないかもしれませんけれども、極力増員をはかっている。増員でまかない切れない面につきましては、リコピーのような機械を導入いたしまして、これは四十一年度六百五十台近く入れておりますけれども、そういう面につきまして合理化をはかっていくというようなことも考えあわせまして、また庁舎の面につきましても、法務省のほうでは長期的な計画があるということを私どもも伺っておりますけれども、極力そのような計画に沿ってやっていきたいというふうな考え方でやっております。
○横山委員 人員抑制の点ですが、何か聞くところによれば欠員補充もさしてくれぬと、東京の法務局長は痛嘆をしておったのですが、それは大蔵省の方針ですか。
○小口説明員 欠員は、各省庁についてこれを補充するということにつきましては、内閣の方針で原則としては凍結をしておくということになっております。ただ、新たに必要であるという要請があるものにつきましては、増員の措置を講じていくというような考え方に立ってやっております。
○横山委員 あなたに聞きたいのですが、あなたが大蔵省の中でとにかく登記所の事情を一番よく知っておる、こう見ざるを得ない。あなたがうしろ向きでおるのか、前向きでおるのか、ちょっと聞きたいのです、妙な言い方をするのですが。あなたがほんとうにこの事情を知っておるとするならば、大蔵省の画一的な方針ではこの問題はあかんのですよ。現に国庫収入は五百億ある。これは取引の問題じゃないけれども、これだけの収入があり、さらに国民のサービス機関としてもっと充実しなければいかぬということであるならば、法務局に対してうしろ向きになって向き合っておられる大蔵省に、ちょっとこれは話が違うのだ、ここばかりは話が通うのだという立場になってもらわなければ、百年河清を待つようなものですから、その点はどっち向きにすわっておるのですか。
○小口説明員 どちら向きと申しますか、先ほどの私の説明がちょっと不十分だったかと思いますけれども、四十年度、四十一年度——四十一年度はことにそうでございますけれども、増員を抑制する、機構の新設も避けるという非常に厳格な方針があったわけでございますけれども、法務局の場合におきましては、登記所が中心でございますけれども、特に増員の必要があるということで、いわば例外的に百二名という増員をやったということでございまして、そういう点では、一般の増員抑制の線を破って、例外的に登記所については増員を認めておる、そういう結果になっております。
○横山委員 たとえばこれはリコピーですが、これはきれいにとれておる。とれておるけれども、われわれが現地調査をした感覚から言いますと、あのいろいろな台帳や原簿の古いやつを見たらぼろぼろになっていますよ。これは廃棄処分のものでないかという話もあったのですけれども、ほかのものをとって見ましても、非常に不鮮明で手あかでよごれたりなんかしていますよ。そんなものを普通のリコピーでやったところで、青の色や何かでごっちゃになって不鮮明になってしまう。ところが、ゼロックスでやると非常に鮮明になりますよ。何でゼロックスを採用せぬのかと登記所で聞いたら、ゼロックスは高いので借りている、借り賃は二十七万だという。二つやっているのを見ましても、何と考えても、ゼロックスのほうがいい。二十七万、いかぬのか、二、三十台並べてやったらどうだと言ったら、そんなことを何で許していただけるものですか、こう言う。もし人がふえなければゼロックスを数百台ずっと配置をしたらどうなんですか。こっちもいかぬ、こっちもいかんなんて言っておったらそれはできないですよ。ですから、そういう登記所へ行く人は、東京法務局の調査によりますと七二%までは司法書士のところへ行っちまうという。あと二、三〇%の銭のない人がやってきて、千五百円か二千円もうけなければならぬものですから直接やってきて、ひとつ頼むといって、待合室に腰かけられない人はぼさっと立って、いつ自分の名前を呼んでくれるかと思って待っておる、こういう事情なんです。しかも東京しかり、あるいは——登記所に用事のある人はみんな必要に迫られて、一秒でも早く持って帰りたい人ばかりですね。私の知っている名古屋の区役所では、いろいろな仕事が非常に機動化されまして、オートメでずっとうまくいくようになったというので名古屋ではたいへんな評判です。瑞穂というところですが、戸籍事務やいろいろなことでたいへんな評判です。それを登記所と比べると、全く月とスッポン、雪と炭です。しかも法務局長が言っているように、まさにおれのところはサービス官庁でありながら権力官庁と同様視しておるということが遺憾千万である、こう言っておる。もう予算要求もぼつぼつ出る段階になりますが、ことしは、わが法務委員の与野党の諸君が一致してひとつ改善をはからなければいかぬと決意をしたところでありますけれども、ぜひひとつ思い切った措置をとってもらえますか、大蔵省として。
○小口説明員 登記所の別状につきましては、まさに先生のおっしゃいますような現状であるというふうにわれわれも考えておりまして、ことに最近におきましていろいろな不動産関係の権利の移動とか、そういうふうなものがとかく登記所に対しましてしわ寄せになってきておるというような現状につきましても、私どももいろいろ伺っておる次第でございます。 予算処置といたしましては先ほど申し上げましたように、増員につきましても極力例外的にこれをふやすとか、あるいは増員でできない面につきましては、ゼロックスというようなお話もございましたけれども、いろいろ機械を入れて、そうして合理化して補っていくというふうなことでやってまいったわけでありますけれども、私どももいろいろ登記所の現状を伺いまして、この面につきましては、予算処置につきましても極力努力をしていかなくてはならぬというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、法務省の当局とも相談をいたしまして、予算面でも極力努力をしていきたいというふうに考えております。 —————————————
○大久保委員長 ただいま調査中の法務行政に関し、横山利秋君より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、登記所事務に関する件を本委員会の決議とすべき旨の動議が提出されております。 まず、その趣旨の説明を求めます。横山利秋君。
○横山委員 決議案を朗読します。 登記所事務に関する決議(案) 登記申請事件は、年々増大の一途を辿っており、そのため、登記事務の現状は大都市を中心として繁忙を極めているに拘らず、施設・人員等処理能力がこれに即応していないため、国民に著しく不便を与えている。 よつて、政府は登記所職員の増員、事務機器の整備増強、閲覧室、待合室等の増改築を図り、登記所職員が自らその職責を完遂し得るよう、速やかに改善措置をすべきである。 右決議する。 説明は、先ほど質疑の段で申しましたので、省略をいたします。
○大久保委員長 これにて趣旨の説明を終わりました。 おはかりいたします。 ただいま横山利秋君から提案されました登記所事務に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、決議するに決しました。 この際、ただいまの決議について政府より所見を求めます。山本法務政務次官。
○山本(利)政府委員 ただいま御決議のありました諸点は法務局の重要な懸案となっておるものでございまして、法務省といたしましても、従来特に重視して改善につとめてまいったものでございますが、今後におきましても御趣旨に沿いますように、一そうの努力をいたしたいと考えます。
○大久保委員長 なお、本件の関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○大久保委員長 裁判所の司法行政に関する件並びに法務行政並びに検察行政に関する件について質疑を続行いたします。横山利秋君。
○横山委員 青梅事件につきまして、法務省並びに最高裁の意見を伺いたいと思います。 先般、最高裁はまさに歴史的な青梅事件に対する判決をいたしました。この差し戻し判決の意義はきわめて重夫でありまして、特に特筆大書すべきことは、最高裁のこの判決が全員一致で行なわれたということだとまず第一に思います。 それから第二番目には、自白が最も有力な起訴のもとになっておるわけでありますが、その自白を明白に内容的に否定をしたところにあるのではないかと思うのであります。そこで、今度高裁においてあらためて審理が行なわれるのでありますが、この際、検察陣に私は一、二の点につきまして所信をただしたいと思います。 その第一は、弁護人から再三にわたって証拠調べの請求、事実取り調べの請求が最高裁の当時出ておるのでありますが、検察陣はこれに対して非常な非協力であります。たって、弁護団は裁判長に対して提出命令を出すように要求したが、最高裁判例があるので提出命令は出さないが、検察官は出したらどうですという妥協的な態度に出られたというのであります。この証拠物件につきましては三十八年の十二月二十六日に弁護人二十数名の連名をもって最高裁判所第一小法廷に証拠調べの請求書が提出をされたのでありますが、これによりますと、被告人の調書として被告人西村高見のものが十件、うち八件は昭和二十八年一月から二月に至る第一回ないし第八回の司法警察員によってつくられた供述調書、二件は検察官によって二十八年の三月ごろにつくられた供述調書、被告人池田信二のものは二十八年に司法警察員によって七回にわたってつくられたもの、検察官については二十八年一月につくられたもの、被告人宇津木作一の関係は、司法警察員によって二十八年の一月ないし二月に八回にわたってつくられたもの、被告人岩井岩金太郎関係は二十八年一月から二月に至る司法警察員によってつくられた七件、検察官によっても一月から二月までに二回にわたってつくられた供述調書、それから被告人中垣彌一関係は、同じく二十八年一月から二月にわたって司法警察長によってつくられた八件の供述調書、検察官は同じく二月ごろ二回にわたってつくられた供述調書、被告人石田春男関係は、司法警察員によって二十八年二月に二回にわたってつくられた供述調書、これがまず調書関係の請求であります。 第二番目には、十月一日河辺駅東方事件について昭和三十六年十月二日、司法警察員の実況見分の際発見採取された足あとの石こう。第三は、右事件について国家地方警察青梅地区警察署が同年同月、参考人中垣彌一について捜査した一件記録。第四に、十月三日事件足あと石こう、これらの証拠調べの請求をし、かつ検察陣がこれを提出をするように裁判長も要請をしたにかかわらず、検察陣がこれを提出をしないという点については、まず第一に、私は理論上の問題があり、第二番目には、一体検察官の真意那辺にあるか。人間的な心理那辺にあるか。単にこれは理論上当事者の——いまの司法制度の理論的な問題から出さないということでは済まされない問題であると考えられる。この証拠書類並びに証拠物一切を弁護陣に開示するようにという要望について、なぜ検察陣はこれを提出をしないのであるか。私の言う理論上の問題と道義上の問題と二点にわたって説明を求めたい。
○津田政府委員 本件は、御承知のとおり現在東京高等裁判所に係属中でありますので、内容にわたる事柄につきましてはとやかく申し上げることを差し控えたいと思うのであります。しかしながら、ただいま御指摘のような事実につきましては、これはまず理論的な問題といたしましては、すでに御承知のとおり供述調書につきましては取り調べの請求をしない書面についてはこれを開示することを要しないということは、これはすでに最高裁判所の判例できまっておるところでありますし、従来の解釈もそういう解釈をとってまいっております。したがいまして、理論的にはそういうことで法律的には解決されておると思うのでありますが、しかしながら、なぜしないかということにつきましては、これは訴訟構造の問題としていろいろ考え方があると思います。御承知のとおり現在の訴訟法につきまして、それぞれ攻撃をしあるいは防御をするというたてまえに立っております。あくまでもそれによって、検察官としては実体的真実をあらわしたいという意味におきまして、その訴訟におきまして実体的真実発見のために害があるという判断をされるものにつきましては、当然これは出さないで、あるいは閲覧をさせないでおかなければならないということは、検察官がかような事件につきまして処罰を求め、その処罰をすることが治安維持上あるいは将来の再犯防止上必要であると判断いたしておる結果でありまして、その判断の結果に基づいてその判断を裁判所に認めてもらいたいという意思から出ておるわけでありまして、その意味以外に何ら他意はない。被告人を困らせるとか、弁護人を困らせるとかいうような他意は全然ありません。 それから、その意味におきましてはこれは検察官の心情としてどうとかいう問題はもちろんございますけれども、さような目的のためには検察官の私情がいかようであるかということは場合によっては殺さなければならぬという問題もあるわけであります。その意味におきまして現在検察官はさような態度をとっておるものというふうに考えます。 なお先ほどお話の、足あとの石こうの問題につきましては、これは当時検察官としては送致を受けておりませんので、さようなものがあったか——あったということはほぼ聞いてはおりますが、そのものは国家警察と自治体警察の変わり目の際に紛失をしたというふうに現在聞いておるわけでございまして、もとより検察官は最初からさようなものを押収しておったという事実はございません。
○横山委員 私は弁護士でもございませんし、いまの刑事訴訟法の基本的なあり方について、しろうとながら批判を持っていますけれども、そのうんのうをきわめたものではない。しろうとの意見かもしれません。けれどもこの弁護人たちが主張し、被告が要望するこの書類並びに石こうを出してくれ、出せば、自分の無罪と信じておる証拠がその中に存在するという痛切な要望に対して、あなたのことばによれば、出すと真実を追及するに不利である。真実を追及するということについて何が一体不利であろうか、私は理解に苦しむわけであります。これを出したら検察陣が負けるということしか理解ができないのであります。また一歩譲って、これを出したならば裁判上のやり合いに混乱を生ずるかもしれないと思う。しかし混乱を生ずるか生じないかは出してみなければわかりません。同時に、混乱を生ずるのはあくまで検事の主観的なものにしかすぎない。私のような者が考えては恐縮でありますが、検事は一体いかなる立場であろう。公益の代表ではないか。これは刑事訴訟法の立法の趣旨以前に、公益の代表ではないか。公益の代表が何か罪にさせるという意味の代表というふうに、錯覚におちいらせる刑事訴訟法の運用のしかたというものは誤りではなかろうか。かつて松川事件におきましても、諏訪メモが出てまいりました経緯は御存じのとおりであります。証拠を全部開示して、双方が必要と認めるものを出し合って、それで堂々と議論を尽くして真実の発見につとめるということが今日最も必要ではないか。いわんや最高裁が満場一致差し戻しをやって、新たな角度からもう一ぺん検討してみろというのだから、新たな角度の証拠を出し合うということは、松川事件の経緯から考えても、検察陣がとるべき当然の態度ではなかろうか。何を出ししぶっておるのであるか。何を出すことがいやなのか。いかなる理由で出すことが不利であるか。私は理解に苦しむのであります。もう一回御説明願いたい。
○津田政府委員 ただいま御指摘のとおり、考え方といたしましては、検察官にいたしましても、被告人にいたしましても、弁護人にいたしましても、ありとあらゆる証拠を裁判所の前にさらけ出して判断を求めるということが望ましいことは当然であります。しかしながら、現在の刑事訴訟法はそこに一種のルールをつくっておるわけであります。刑事訴訟法におきましては、供述調書その他のものは全部一件記録として裁判所の前にあらわれておったわけです。ところが新刑事訴訟法になりまして、さようなことはいたさないというたてまえをとっております。どちらのたてまえがいいかどうかということはまたいろいろ批判のあるところでございます。しかしながら、さような意味におきまして、証拠についても証拠能力を制限しておる。証拠能力を制限しておるというたてまえをとると同時に、それではただいまおっしゃるように検察官はすべての証拠を出す、被告人や弁護人は自分に不利な証拠は出さなくても済むというたてまえをとって、そして当事者訴訟が成立していくかというようなことになるわけであります。そういう意味におきまして、検察官の手元に出てくる証拠はたくさんある。証拠はたくさんありますけれども、その証拠を総合判断して検察官としては真実は何であるかということを信じて起訴をいたしておる。したがいまして、その真実を裁判所に判断を受けるために必要な措置は当然とらなければならぬ。検察官だけ手を縛っておいて何でもみんな出せということでは、これは正当な当事者訴訟にはならないということが現在の訴訟法の構造でございます。したがって、そういう意味におきまして、検察官として自分の職責——職責と申しますのは、正当な法の適用を要求する意味において必要な措置をとることはもう当然のことだと思いますので、何も相手方を困らせるとかいうような趣旨でない。しかしながら、それでは被告人のほうは何をしてもいい、検察官はすべて証拠を開示しろということでは、現在の当事者訴訟の根本がくずれると私は思うのであります。
○横山委員 あなたの議論のマジックといいますか、次元が違うと思う。あなたの表現によれば、検察陣だけ手を縛れ、こうおっしゃるか、何を私が縛らせようとしているのですか。あなたの言い方によると、明らかにこの証拠書類は出したら検察に不利であるということをあなたはみずから告白しているようなものじゃありませんか。これを出すことによってなぜ検察陣は手を縛られなければならぬのですか。どういう理由があってそういうことになるのですか。ことばを返して言うならば、出したら検察陣に不利だから出さないということをみずから告白しているようなものじゃありませんか。どうなんです。
○津田政府委員 私は担当検察官じゃありませんから、この事実そのものは詳しくは存じません。しかしながら、検察官に不利だということを俗にいいますけれども、これは検察官の判断している法の正当な要求にたがう判断を受けるおそれがある。そういうことか不利だというふうに理解されて世の中でいっておられる。しかしながら、それはあくまでも真実に反する判断を受けるおそれがあるという意味であります。したがいまして、無罪であるものは無罪であるのが当然であるし、有罪であるものは有罪であるのが当然である。その検察官の判断に対して、その検察官が実体的真実と信じているところを裁判所に判断せしめるための証拠として有害であるということは当然考えられます。ある証拠を出せば、それは被告人に有利だということにもなりましょう。その証拠を採用されるということもありましょう。しかし真実発見のためにそうなるのはけっこうですけれども、真実発見に有害であると判断するものは、検察官としてもこれは出さなくてもいいということは当然なくちゃならぬ。不利益、利益ということは検察官自身の判断ということでなくて、この真実発見のために有害か無害か、有害か相当かということが基準になっておるわけであります。
○横山委員 そうすると、弁護人側が提出を求めているこの二十数件の供述調書並びに石こうを出さない、いま最終的に出さないときめておるわけじゃないのですが、いまのところは、まあ遠慮したいというようなことらしいですね。あなたの理屈を聞きますと、これを出させることによって真実発見のために害あり、こういう判断らしいというわけですね。らしいというのはよくわからぬが、これを出させることによって真実発見に有害であるということは、具体的には一体どういうわけでいかぬのですか。
○津田政府委員 その内容を申し上げることは事件の内容になりますから、これは申し上げることはできません。
○横山委員 そうであるとするならば、あなたは事実を知っておってそう言っておるのか、知らずにそう言っておるのか知りませんけれども、少なくともあなたの言うことは一般的論議としてしか言っていないわけですね。一般的論議としてあるけれども、かりにあなたの言うことを一歩認めて、具体的論議として、ではこれを出すことによって真実発見に有害であるか無害であるか、この問題についてはあなたも確証をもって私を説得をするわけにはいかないわけですね。
○津田政府委員 先ほど申し上げましたように、私はこの事件担当検察官でございませんから、証拠の価値判断は当然十分知っておるわけではございません。したがいまして、いまこの供述調書がいかなる理由によって出せないか、また、どういうふうに有害であるかということは私は直接聞いておりません。けれども、いまおっしゃいました一般論としてそういった姿である、そういう理屈である、こういうことでありまして、検察官がこの事件につきましてそれと違った判断のもとに立っておるというふうには私は考えておりませんし、現にその一般論は、私としては本事件についても承知いたしておりません。
○横山委員 あなたが知っておって一般論を言うのか、この事案の内容を知らずに一般論を言うのか私には説明してくれない立場で議論をやりとりしておっても、この質疑応答のためにはそれこそ有害ですから議論がかみ合わないでいかぬけれども、しかしながら、もう一歩考え直してもらいたいのは、私は何も松川事件をいつもいつも例に取り上げようとは思わないが、いま最高裁で差し戻しがあってもう一ぺん新たな立場で議論をしよう、そして真実発見につとめようという段階で、裁判官の職権をもって出させるという以前に、検察陣がこの真実発見のために新たな角度で審理を行なわせるという意味において、松川の例も含めて証拠を再検討するということがあなたの言った一般論以外の新たな角度で必要ではないか、この際考え直すべきではないかという点について、検察陣について、あなたの内部で考え直すということをおやりになったらどうですか。私は裁判長の職権を云々する前に、円滑に訴訟が行なわれるという意味においてこの際前例にならって、必要ということであるならば出そうじゃないか、それでフェアに裁判が行なわれるようにという段階ではないか、そういうことに協力をすべき段階ではないか。そうでなければ、同じことを繰り返すだけであって、一刻も早くしかも新たなる客観的態度で審理をするということがいま検察陣にとっても必要ではないか。何か私の聞くところによれば、検察陣はもう一ぺん新規まき直しで調査をするという、何といいますかえらいいきまいておられるという話が新聞でちらほら出たような気がいたしますけれども、もう十数年もたった今日に何を一体しようとするのでありましょうか。もう一ぺん十数年前の人たちに個別に当時の事情を聞こうとするのでありましょうか。そういうことは百害あって——私はやっていかぬとは言わないけれども、意味のないことである。それよりも、あなたのほうの必要な、証拠を弁護人に出せというなら出させたっていいじゃないですか。同時に、あなたのほうも、必要だと弁護人が主張するならば出さしたらどうですか。そうすることによって審理が公平公正に、フェアに、新たな角度で再開される、こう思われるのですが、一般論以外の私の言う気持ちで御協力を願えませんか。
○津田政府委員 本件が差し戻しによりまして新しい段階になっておることは、御指摘のとおりでございます。検察官といたしましても新しい審理にどう対処すべきかということは、当然十分考えなければならぬ問題であります。ただいま仰せられましたことの内容も含めて、当然考えるべきことだというふうに私は考えております。
○横山委員 先ほどのお話では、十月一日の河辺駅東方事件について昭和三十六年十月二日司法警察員の実況見分の際発見採取された足あとの石こうは紛失したとおっしゃいましたが、私もある方面から紛失したとあなたのほうが言っているということを聞きました。これは非常に意外なことです。こういう証拠書類が簡単に紛失するものですかね。最高裁で争うような重要事件の石こうを、国家警察へ移るときに紛失したなどという、証拠書類がそんなふうになるものですか。それと十月三日事件の足あとの石こうについては触れられなかったのですが、これはあるわけですね。
○津田政府委員 ただいま申し上げましたのは、十月二日、警察において、現場付近において存した足あとを採取した、これが検察官に送致されることなく保管中に、自治体警察から国家警察へ引き継ぐ際に紛失した、こういうふうに私は聞いております。
○横山委員 そんなことがあり得るのですか。
○津田政府委員 それは警察のことでありますから、私としては——検察官の手元でなくしたということではありませんから、警察のところでどうなりましたか、御承知のとおり自治体警察は非常に細分されておりまして、それがどういうようにされたかということは私は聞いておりませんが、本件については関係ないということで廃棄したのかもしれないし、その辺はよくわかりません。
○横山委員 十月三日事件の足あと石こうは……。
○津田政府委員 その点は私は全然承知しておりません。
○横山委員 十月二日、司法警察員が採取された足あとの石こうが非常に大事なものだと一方では主張しておるわけです。それがあなたの検察関係では知らぬ、警察のやったことは知らぬということかもしれないけれども、それではちょっと冷淡じゃありませんか。それはだれが紛失したか責任は別だ。しかし、事件の解決のためにこれが必要なんだ。論争の一つの焦点になっているのですから、検察庁としても何で失った、どういう経緯だった、だれがその当時責任者であったかということくらいは調査する責任があるじゃありませんか、事件の関係上。私は失ったから知らぬ、私の責任じゃないから知らぬ、警察のことだ、それはちょっと話がおかしくないですか。無責任じゃないか。十月三日事件の足あとの石こうは不敏にして知らぬということも納得できません。十月三日事件の足あとのことは聞いたことはないですか。
○津田政府委員 私としては聞いたことはありません。
○横山委員 これはあなた三十八年十二月二十六日に証拠調べの請求書で最高裁第一小法廷へ要求が出ている問題です。あなたはなくしたやつだけは知っている、なくしたということを。もう一つのやつは私は知らぬ、ちょっとおかしいですよ、どうですか。
○津田政府委員 それは調査いたしましてけっこうです。私は故意に知らないと言っているわけではありません。全く知らないのです。
○横山委員 知らないことがけしからぬといっているのです。
○津田政府委員 私といたしましては、と申しますよりは本省刑事局といたしまして、事件の細末に渡りまして調査するということは、これは全国に凡百の事件があるわけでございますから、国会の御調査の事件だって相当数にのぼっておりますので、そういうことをやっておりますと、私どもの仕事というものは非常に……(横山委員「失礼じゃないか」と呼ぶ)ただこの事件につきまして御要求があるから調査をいたしておりますが、私はこの事件の末端まで承知しているわけにもまいりません。御調査事項を御指摘になれば幾らでもいたします。
○横山委員 国会が凡百の事件をやっておるからそんなこまかいことまで知らぬ、これは失礼じゃないですか。私が青梅の証拠調べの問題について質問するということは、ちゃんと事前通告してあります。そしていまあなたの言うことは、石こうは紛失した、紛失した経緯については知らない。検察庁の問題でないから知らない、こういう言い方じゃないですか。そこで証拠調べの中に十月三日事件の足あと石こうが同じく出ている問題じゃないですか。出ている問題については、青梅事件の証拠調べのことを調査すると言ってあるのに——その石こうが二つあるということは歴史に隠れもないことだ、その一つについては知らぬ。知らぬ理由は凡百の裁判の問題があるから、そんなこまかい問題まで知らない、これから調べます。そういう人を食ったようなことを言うんじゃありませんよ。すみやかに調べてください。そうして紛失したと言っておるあなたは言う。紛失はいかなる条件のもとに、だれが責任者で、どういう経緯で、なぜ紛失したのかちゃんと詳細に調べてください。それから十月三日事件の足あと石こうについてはあなたは知らぬと言っているけれども、これはちゃんと出ている問題ですから、どうなったか、どこにあるか調べてください。いいですね。
○津田政府委員 その点は先ほど来申し上げておりますように、御指摘がありましたら調査をいたします。
○横山委員 ありましたのですよ。
○津田政府委員 ただし、その青梅事件についての御調査ということはこれは承知いたしておりますけれども、私自身としてはその点はいまはわかっておりません。 それから先ほど凡百の事件があると申しましたのは、全国に凡百の事件があるということでありまして、国会が凡百の事件を御調査になっておるということを申し上げたのではないので、その点は誤解のないように願いたいと思います。
○横山委員 次は、同じく四十一年三月十七日に最高裁第一小法廷に弁論再開の申し立てと事実取り調べの請求があった中で、今回の最も中心になりました事故報告ですね。事故報告に関連をしまして「二月一九日事件貨車流出原因に関する責任運転事故原簿については、これを裏ずけるべき詳細な運転事故報告書その他の資料が存在するはずである」ということを弁護人側は主張してきた。私も国鉄の人間でございますからよくわかっておるのでありますけれども、事故原簿に関係する運転事故報告書その他の資料は、何としてもこの真実を探求するために必要な資料だと私は思っているのです。これを最高裁判所なり、あるいは検察陣なり、あるいは弁護団なり、あるいはしかるべきところで国鉄に協力を求めて、何としても運転事故報告書その他の資料を入手されることが真実探求に非常に重要なことだと思いますが、この点について国鉄側にあらためて正式な協力を求めるということについてどうお考えですか。
○津田政府委員 ただいま御指摘のものは、私として聞いておるのは責任運転事故原簿ナンバーワンというものであろうと思うのであります。これにつきましては、これは検察庁としてはもちろんこの原簿を押収したという事実もありませんので、そのもの自体はないわけでありますが、これは現在鉄道関係において保管されておるものというふうに私は考えておりますので、それは裁判所におきまして、あるいは弁護人におきまして証拠にどういう扱いをなさるか、これは当然の権利としてできることですから、それについて検察官としてとやかく言う性質のものではない。ただ事故原簿の証明力自体に検察官は何とかということはあり狩ると思います。
○横山委員 最高裁からせっかく刑事局長が出ておられるのでありますが、私が先ほどから言っております点を聞いておられると思うのですけれども、何としても証拠書類並びに証拠物が法廷に出てくることが真実発見の非常な近道だと思うのでありますか、裁判官として——私は検察陣が自主的に証拠書類並びに物を出されることを痛切に望みたいのでありますが、裁判所としてもこの面に協力をされ、必要によっては職権によってなさるということが今日必要ではないか。また国鉄に対しても、この種の事故原簿の裏づけとなるべき必要なもの、それらを出さしめるべく裁判所としても努力することが必要ではないかと思うのですが、御意見を伺いたい。
○佐藤最高裁判所長官代理者 まず、先ほど来お話の出ております事故原簿でございますが、はたしてお話のものかどうかわかりませんが、これは最高裁判所における口頭弁論の期日におきまして弁護人のほうから提出がありまして、裁判所のほうでは参考に見るということで受理されているというふうに聞いておるわけでございます。
○横山委員 事故原簿じゃないのだ。事故原簿を裏づける運転事故報告その他の資料です。
○佐藤最高裁判所長官代理者 事故原簿と承ったのでそうお答えしたのでございます。 それから、先ほど御指摘のございました職権を発動するべきではないかというお話、まさに刑事訴訟法の二百九十八条の第二項では「裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調をすることができる。」補充的ながらその職権発動ができることになっております。先ほど来お話のございました問題、これは具体的事件でございますので、その問題に局限することを差し控えますが、実はこのお話の証拠の開示ということにつきましては、青梅事件に限らず、各種の裁判所におきまして実は訴訟上問題がございまして、そのために訴訟が渋滞するという事態も生じているのでございます。それはどういう形であらわれるかと申しますと、審理の冒頭におきまして弁護人側から検察官手持ちの資料を開示を求めるという形であらわれる場合もございますし、それから検察側のほうが特定の証人を立てて立証していくという場合に、当該証人の検察官調書の事前に開示を求めるというような形の申し立てとしてあらわれるというようなことで、実は裁判所といたしましても訴訟の運営上頭を痛めている問題なのでございます。この問題は、問題点といたしましては、そもそも検察官は証拠とするしないにかかわらず、一切の手持ちの資料というものを弁護人のほうに提供して防御活動に資するという義務があるかどうかという点が第一点でございます。それからもう一つは、特定の証人を立てて立証していこうという場合に、その当該証人のたとえば検察官調書、これは証拠として請求する意思はないのでございますが、そういうようなものも弁護側に許さなければならないかどうかという問題もあるわけでございます。これは従前からその問題がございまして、裁判所としても苦慮しているところでございますが、この二つの場合につきまして、刑事訴訟法におきましては規定がないのでございます。二百九十九条を見ますと、証拠として取り調べを請求するものにつきましては、それを相手方に知らせるという残務はあることになっておりますが、証拠として請求するしないにかかわらず、検察官手持ちの資料を相手方に見せなければならないということの義務づけの規定というものは実はないのでございます。それで、先ほど申しました事例につきまして最高裁判所の判例がございまして、そのような義務づけの規定もないということから、検察官といたしましては、相手方に開示する義務はないのである、こういうふうに判示しているものでございます。しかしながら、現実に、先ほど申し上げましたように、各地の裁判所におきまして、公判において弁護側からそのような開示の要求がございまして、訴訟も渋滞する場合もありますので、各裁判所としても苦慮しておる問題でございまして、弁護人の意見を聞きまして、裁判所としては、検察官のほうに、訴訟指揮の一つとしまして、開示方を促すという形で訴訟の運営をはかっているのでございますが、これも先ほどのように、規定もないこと、それから最高裁の判例があることから、ぎりぎりの問題といたしましては、検察官に法律上の義務がないということで、検察官のほうでその裁判長の促すことに応じて開示していただければいいのでございますが、検察官のほうで拒まれます場合においては、そこでその運用問題というものも限界があるということになるわけでございまして、この証拠開示の問題は、当事者主義に基づきます現行刑事訴訟法の性格をめぐって、非常にむずかしい問題となっておりますので、私どもとしても実は頭を痛めている問題なのでございます。
○横山委員 現行法制上の理論的問題は、専門家の批判にまかせるとしても、私のようなしろうとか当然直観的に感じますことは、たった一つですよ。もしもこの証拠が出ておれば無実になるかもしれない人間が、検察陣が出さないために無実が晴れぬ、こういうことを一体どう考えるか、そういうことなんですよ。それについては、いまお二人とも理論的なことしかお答えにならぬ。私のすなおな質問に対して、すなおにお答えなさらぬ。それは法律並びに検察陣の与えられた立場において、主観的な真実を追及するということしかお答えにならぬようですね。疑わしきは罰せずというのだけれども、もしも弁護人なりあるいは裁判官が、それを出せば無実になるかもしれない、あるいは、もちろんそれは有罪になるかもしれないけれども、それが一つの事件を解明するかぎだと、裁判官も弁護人も真実そうだと思って、お出しになりませんか、出してくださいというものを、出さぬといって言い張るだけの——これはむしろ法理上の問題よりも、人間的な問題を一体どうお考えになるだろうか。しかも、青梅の問題は、最高裁で満場一致差し戻しになって、新たな角度からいま議論をしなければならぬときだ。そういうときに、法理を楯にして、その職権を援用して出さないというようなことを、とことんまでがんばることは、私は世論を敵とするものだ。法理のことは国民にはよくわからぬ。わからぬけれども、国民は、青梅の人たちが、また裁判官が、お出しになりませんかといっているやつを、検察陣がいやだといってがんばっておるということしかわからないのですよ。刑事訴訟法がどうなっておるかということについては知らないのですよ。だから、その辺のことを考えて、この際お出しになったらどうだ、出して不利になるか有利になるかは、それこそ真実は壁を通してわかる、そう私は考える。いわんや、この出さない理由の一つに、起訴するまでの資料は一通も出していないそうですね。起訴してから大いに証拠をつくったのではあるまいか、起訴後に証拠調べが一体許されるのだろうかどうだろうかということまでも、重要な問題として議論がされて、検察陣の青梅に対するあり方については、批判の対象になっていると私は考える。よくこの辺を考えて善処なさるべきだと思うけれども、法務政務次官の御返事を得まして、次に移りたいと思います。
○山本(利)政府委員 こういう、今日までも一審、二審においてもずいぶん審理が行なわれ、また最高裁から差し戻されたような問題でございますので、特にこの問題等につきましては、ほんとうの真実がわかりますように、各方面において最大の努力が払わるべきものと考えます。
○神近委員 関連してちょっと伺っておきたいことがあるのです。 いま松川事件の問題が刑事局長の口から出ました。それから賠償の問題が出ました。だれでも知っているように、松川事件では、一億何千万かの補償が民事に出ているはずでございます。私、いまの証拠物件の話やいろいろからみ合わせて伺いたいことは、その補償あるいは賠償ということ、松川事件のように間違った判定が出て、裁判が決定して、長くああいうように引きずられて、仕事もできなかった、これに補償するということになったときに——まあ私とも補償しなければならない。吉田石松は二百七十万ですか、補償を受けましたけれども、そういう場合に、裁判をした人に責任をある程度——感情的にか、職務上にか、責任を負わせるということがあるのですか、どうですか、まあ吉田石松のような五十年も前の裁判だったら、責任者はいないでしょう。だけれど、比較的新しい裁判で、間違っていたということがはっきりしたときに、お金はどうせ大蔵省からこれは国費で出さなくちゃならないから、出ますけれど、たとえばその事実が起こったときに、国に損害を与えたという意味で、裁判官あるいは裁判長というようなものは、精神的にか、あるいはそう明確なものはないようですけれど、お互いの仲間の間で、あれはあの裁判が消されたから、それで国家の補償を必要とするから、あれはだめだった、こういうような感じが一体官僚の中ではあるのですか、ないのですか、それを伺ってみたいのです。
○佐藤最高裁判所長官代理者 むずかしい問題でございますが、もちろん、原審の裁判官といたしましては、究極におきまして、上訴審において異なった判断が出ました場合に、なぜそうなったかということを反省いたしまして、謙虚に検討を尽くすということは当然でございますが、その意味におきましては、もちろん裁判は独立だからといって平気でいるわけじゃございません。 それから、これは主として事実認定の問題におきまして、そのように裁判というものは、審級に従って異なった判断が出るということは多いのでございますが、御承知のとおり訴訟は発展いたしていくものでございまして、たとえば、一審において取り調べられました証拠に、さらに上訴審において新たな証拠が加わるということによりまして全体の資料の見方が変わってくる、価値評価が異なってくるということが大いにあるのでございまして、そのような場合に二審の上訴審の判断と異なった判断を一審でしたからといって、直ちにそれが責任があるということは言えない問題であると思うのでございます。理屈の問題といたしましては、故意にわたる重大な過失によりましてそのような結果を引き起こしたということでありまするならば、それは国家賠償法による問題とか裁判官分限の問題ということはあり得るわけでございます。
○神近委員 何だかあなたのおっしゃることは非常に遠慮して言っていらっしゃるので、はっきりわからないのですよ。だけれど、上訴あるいは最高裁でというような段階がある場合には、そういうふうにも考えられるのですけれど、いまの青梅事件のように、十人がそれに決定したというような場合、いま証拠を出せというのと、ないというのと争いになっているけれど、その証拠を出すことが裁判官にとって不利であるから出さない。国民の感情というものはそういうものです。ごく公平に考えて、ある証拠でもこれは裁判官に不利だという、身分保障に不利だというようなときには隠す。これはほかの場合にもよくあることらしいのです。それで伺っているんで、私は法規上のことをいま伺いません。だけれど、お互いに裁判官として、あいつへまをやったなというようなことが一体あるんじゃないか。そして、たとえば定期的に昇給するとか、あるいは地位が移るとかというのを、あれはへまやったからというので、これがおくれるとか、そういうようなことはないのですかということを伺っているのです。
○佐藤最高裁判所長官代理者 いまのお話の中に、特定の証拠を職権で採用すると裁判官に不利だというようなことを考えるのではないかというお話もございましたけれども、そういうことは全然考えられないことなんでございます。裁判官といたしましては、法律に従うということが義務でございまするので、それはもちろん具体的な条文だけに縛られるというのではございませんが、まず刑事訴訟法なら刑事訴訟法という条文、それからその法理的な解釈というもの、裁判官である以上、その法律に従って処理するということが裁判官的な良心ということであるわけでございまするので、それを逸脱してまで処理するということはもちろんできないわけであります。具体的な事件のことにつきましては、今後なお審理される問題でございまするので、とやかく言うことは差し控えさしていただきたいと思うのであります。
○神近委員 いまお伺いしているところは、たとえば補償が最終的に決定いたしますね。松川事件で一億二千万ですか、そういうような補償が最終的に決定する。そういう場合に、その最終の裁判をした人があやまちというか——裁判を間違うということははっきりあやまちですから、そういう場合に多少の精神的な責任をその人はしょうのではないかということ。それから、いま刑事局長が法文に縛られるというようなことばをちょっとお使いになったのですけれど、法文に縛られるということは、私も法律家でないから単純な考えとして、法律があるために国民の自由とかあるいは幸福とかということが縛られるということが納得できないんで、これはほかのところでお話しいたしますけれど、ともかく補償というようなことが最終的に決定した場合に、その責任が法文的になければ精神的な責任というか、そういうものが生まれることがちょっと想像されるんで私は伺っているんです。その点から御返事を願います。
○佐藤最高裁判所長官代理者 もちろん裁判官は確信を持って裁判をしているわけでございまするから、それが上訴審において変更を受けたということになりまするならば、もちろんその点について平気でいるわけではございません。なぜそういうことになったか、自分の訴訟運営について誤りがなかったかどうかということはもちろん深刻に反省するわけでございます。 〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○横山委員 時間がございませんから、飯塚事件については刑事局長は知っていらっしゃると思いますから簡単に聞きたいことだけ一、二聞きます。 三十九年の三月四日に飯塚事件が発生し事務所の事務員が四人逮捕された。五月一日に身柄釈放。三十九年五月一日第一回公判。以後三十人ばかりの証人が二年間にわたって呼ばれあと六十人以上残っておる。証人が三分の一しか済んでいない。理由は、裁判所並びに検事、弁護人、それぞれの理由があるのですけれども、非常に裁判が遅延しておるというところに私は問題があると思っています。 本事件はすでに大蔵委員会で、また本委員会でも津田刑事局長に私がお尋ねしたところでありますけれども、要するに本事件は、国税庁が飯塚税理士を告訴をしたけれども、飯塚税理士は結局は逮捕もできないし起訴もできないままに飯塚事務所の四人の人間が証拠隠滅罪でございましたかの疑いで裁判を受けておる。いわゆる首なし事件。主犯のない事件。そうしてその四人もなぜそういうことをしたのか犯罪の動機が不鮮明ということで、伝うるところによりますと検事側としても非常に苦慮をしておられるというふうに私は聞いておるわけであります。私がきょうここで裁判所側並びに法務省検察陣に要請をしたい、またこうあるべきだと思われるのは、一つには、検察陣が調書を弁護人に見せない。それにはそれだけの理由があるだろうけれども、今後この調子では、大した事件ではないと私は考えておるのでありますが、何か国税庁が告訴をしたために、役所同士の関係からいって処理を簡単にはできないし、さりとてそうどえらいことでもないというメンツにかられたようなことに結局なってしまって、次から次へと女中さんから番頭に至るまで約百人に近い証人を、納税者を次から次へと喚問し、くだらぬこととは言いませんけれども、本件の真相に関連のないことを裁判で、昼はひねもすやっておるという渋滞が目に余るのであります。そこでこの際、調書を弁護人に見せたらどうか。この前局長に要請をいたしましたところ、局長としては、できる限りのことは一ぺんやってみようというお話がございましたが、その効果がちょこっと出ただけで、まだいい意味での協力が検察陣にないようです。もし調書を見せて、弁護人がそのくらいのことだったら了解するということになれば、この証人の喚問の必要がなくなる、そうして裁判が促進ができる、こう考えられるのであります。この種の事案、まあそれはもちろん本人同士にとってはたいへんな事案でありますけれども、これはたしか脱税容疑ではないわけですね。事務員が証拠を何か隠したとか、あるいは作為的にやったとかいうことのようで、飯塚税理士それ自身が起訴をされたのでなくして、また今後起訴される見通しもいまのところはない。要するに首なし事件を、いつまでも持ちかかえて置いておるという感じがするわけであります。したがって、裁判の促進をはかっていただきたい。はかるためにはどうあるべきか、調書を検察陣が弁護士に見せることによって、相当数の証人の召喚をしなくても済むのではないかという判断をいたしておるのでありますが、その点、見解を伺いたいし、私の要望についての御意見を伺いたい。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの事件は、事実の概略は、ただいまお話しの会計事務所事務員四人が起訴されておるわけですが、その内容は、本人たちが、関係会社に対しまして、従業員等に対する仮空の別段賞与を計上する等の方法によって、偽りの確定申告を出すように指導し、その会社にそういう決意をさせて、実際所得額より過少の虚偽申告書を提出して脱税をした、こういう事件と、もう一つは、その脱税の発覚をおそれまして、仮空の別段賞与支払い明細書、利益還元別段賞与貸し付け承諾書、理事会議事録等を作成した、こういう証憑偽造の事件でありましてただいま仰せられますように、この事件は相当多数の証人が喚問されておりますし、現在の見込みではある程度まだこの喚問は続くということになっておるわけです。 そこで、先般も当委員会において、この件について御質問なりがございまして、私といたしましても、この問題の内容につきましては、相当現地検察庁と連絡して、意見を聴取したわけであります。 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、確かにこの問題はいまの供述調書の閲覧という問題もからんでおることは事実でございますが、どうも従来のいきさつ、それからここに御調査がありました点から考えて、いろいろ連絡をしてみましても、どうも関係者の間にすっきりしないものがある。ということは、要するに事前閲覧によって、いろいろ工作が行なわれるおそれが従来の経緯に徴して多分にあるということを、検察官としてはどうしても考えざるを得ないという立場に立っておりまして、調書の事前閲覧ということを非常に困難にしておるというような事実のように私は判断しておるわけです。そこでこの問題は、飯塚税理士関係の事件がどうかという問題はございますけれども、この事務員そのものは明らかにさような脱税指導をしておることは、検察官の認めておるところです。そこに争いがあるかもしれませんが、それについてのあくまで立証をしなければならぬ、そういう意味におきましてやっておるわけでありまして、特別に国税庁から告発があったからこれを特別な扱いをしているということはありません。検察庁といたしましては、他の官庁から告発のある事件は相当数ありますけれども、これは不起訴にするものは不起訴にしておりますし、起訴すべきものは起訴しておる、こういう現状でありますので、国税局の顔を立てるというようなことは全然ございません。ただそういう意味において、将来ともやはり弁護人と検察官あるいは裁判所のほうと十分連絡がとられまして、できるだけ迅速にこの事件が運ばれることは、私どもとしましても検察庁としても当然考えるべきことであり、また当然望んでおる次第でありまして、そういう意味合いにおきまして、関係のほうでは十分これは御相談にも応じたいということではございますが、従来のようないきさつがなかなか払拭されないところに問題があるようでございます。
○横山委員 もちろん先ほど言ったように、当事者自身にとっては有罪になるか無罪になるかが重大な問題であることは言うまでもないのですから、裁判を適当にやってくれという気持ちは毛頭ありません。しかしながらこの種の他の事案に比べましてそんなにむずかしい事案ではないと私は思います。それが三十九年三月に逮捕されて、今後の展望を見ますと、あと六十人検事の証人喚問が予定されておるのでありますから、あと三年でありますから四十四年か五年に至らなければ、この調子でいきますと地裁の結審が出ないということに勘定がされるわけであります。そのこと自身に実はおか目八目でいえば私はねらいがあるかもしれぬと思うのであります。そうすることによって、被疑者である飯塚税理士並びに四人の者に対する間接的な懲罰の意味を含んでおる。そんなことはないと思うのですけれども、客観的にはそんなようなふうにも見られやすいのであります。なぜこんなに九十人も、この種の事案に証人を呼ばなければならぬのか。もう少し検事もお考えになってもいいのではないか。ほかの事案と違いまして、いまおっしゃったような罪名の被疑事実について百人近い証人を、女中から看護婦から番頭から呼ぶということは、いささかこの証人喚問についても行き過ぎがありはせぬか。この際あなたのおっしゃるように、弁護人が当検察側あるいは関係者側と気持ちの交流がないためにこんなことまでやらなければならぬということであるならば、この際裁判所側にもひとつ十分配慮してもらって、いたずらな証人の喚問によって裁判が非常な渋滞を見せるということは遺憾なことでありますから、何かの方法をもってこれは善処をしてほしい、こう思いますが、最高裁判所側としても、こういう善処のお話を宇都宮裁判所に通ずる方法はございましょうか。
○佐藤最高裁判所長官代理者 お話しの事件につきまして私ども承知しておりますのは、すでに裁判所としても公判準備を四回くらい開きまして、検察官、弁護人に来ていただいてその促進をはかって、検察官に対して証拠を開示することを勧告しておるというようなことらしいのでございますが、先ほど津田局長のお話しのありましたように、それが検察官の立場からすべて開示ができないというようなことで、したがって訴訟もすみやかにいかないということ。それからなお担当の弁護人方いずれもお忙しい方でありまして、ひんぱんに期日が接続して入らないというような事情も聞いております。深くはこの事件について存じないのでございますが、いま申し上げたような点は連絡を受けておるわけでございます。
○横山委員 最後に、いまの最高裁側の話によりますと、裁判官もすすめておるという話なんですが、津川さん、さっきの青梅についても同じような結論になりそうなのですが、あなたとこうやって話をしていても、くつの裏から足をかくようなものですね。あなたはカエルにしょんべんのような顔をして、——まことに恐縮なんですが。あなたを隔ててくつの裏から足をかいているのですが、担当の検事さんにですね、青梅といい、飯塚といい、くつの裏から足をちゃんとかいておるということをちゃんと知らしてくれますか。国会側はこういうような非常な強い御意見がある、どうだということを、あなたここで答弁なさっただけでなくて、一般的なお話はなさったのですけれども、同僚委員ともさっきもぼそぼそ話しておったのですが、裁判所側としても、もうちょっと御努力を願いたいし、検察陣としても、私どもの意向のあるところを含んでもらいたいと思うのですが、そういうお役目をやってくれますか。
○津田政府委員 ただいまの飯塚事件と申しますか、係争事件につきましては、私どもとしては、この証人の人数はなるほどたくさんあるけれども、尋問の内容そのものはそんなに大きなものではない、そこでそういたしますと、かなり集中的に期日が入りますれば相当早くいくのではないかと思うのでありますが、一回期日があって、相当な期間たってまた次の期日ということになっていくことにやはり問題がある。これは担当弁護人が忙しいということもあるように聞いておりますが、そういう問題もあると思うのであります。そこで検察庁のほうとしては一日も早く審理を促進したいことは当然なので、ただ、いまの証拠開示という問題、それではそれに証拠開示をすればいいじゃないか、こういうことになりますけれども、その点は先ほど申し上げましたような従来のこの事件の経緯から見て、とても完全にそういうことはできないという判断をしておるのを、私どもとしてそう判断をすべきではないということはなかなか申しにくい。ただしここで御調査のありましたことは、すでに検察庁にも十分連絡をしておりますし、今回の御叱責につきましては十分連絡をいたしたいと存じます。 また青梅事件の問題につきましては、先ほど申し上げましたように新たな出発をするわけであります。そういう意味でさらにより高い見地から検察官の処すべき態度というものは当然この際考えなければならぬ問題であると思いますので、この御調査の点につきましても十分連絡をいたしまして、検察官の心がまえについてそれを考慮するということにいたしたいと思うのでございます。
○大久保委員長 本日の議事はこの程度にとどめまして、次回は明十三日委員会を開会することとし、本日はこれにて散会をいたします。 午後一時四分散会