P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
51回国会衆議院1966/05/13

文教委員会 第23号

発言数
37
登壇者
5
会派数
2
開催日
1966/05/13

会議録

八田貞義自由民主党

○八田委員長 これより会議を開きます。  文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。野原覺君。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 中村文部大臣が、私学振興ということを教育政策の大きな柱にされておるようでございますから、私は、本日は私学の問題にしぼってお尋ねしたいのであります。  その前に、ちょっと大事なことを二、三お聞きしておきますが、新聞によりますと、橋本官房長官が、学校教育法の一部改正は、この国会には提出しない、こういう言明を記者会見か、議運の理事会でございましたか、されたやに伝えられておりますが、この国会、つまり第五十一国会、会期の延長があろうとあるまいと、第五十一通常国会には、学校教育法の一部改正は出さない、こういうことでございましょうか、これを明確にしていただきたい。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 実は私ども文部省の考え方としましては、今国会は見送りまして——法案の趣旨は、私どもずいぶん慎重に検討し結論をしぼってきたと思うのでありますが、まだ世間にはかなり誤解や曲解というか、相当われわれのしぼった結論とはそぐわないものの見方も多いようでありますから、しばらくの間、今国会の提出を見送りまして、職業教育をいたしまする各種学校に対する今後の考え方及びそれに伴いまする外国人学校制度の整備の問題、これらをとくと世人の理解のいくように趣旨の普及につとめまして、そしてできるだけ早い機会に制度を立法化したい。こういうように考えておりまする次第で、五十一国会には提出をいたさない目下考え方でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 まあ中村さんらしい非常に慎重なかまえ方で、私は、そういう御態度に対しては敬意を表したいと思います。何でもかんでもしゃにむにごり押しに、政府与党で法案ができますとこれを国会に提出して強行する、そういうやり方は、民主国会においては、そのために国会が混乱をしてきたことは、大臣、御承知のとおりでございますから、そういうやり方をやめて、そうして世間の誤解をできるだけ解いていこう、こういう方針であることは、一応私は了解をしたいと思います。  しかし、了解できない点は、世間の誤解ということばです。はたしてこれは誤解であるのか誤解でないのか、この点をまず明確にしておかなければ、私は意味がないと思う。いま大臣は、これはおそらく外国人学校教育制度についての世間の誤解という意味合いであったかと思いますけれども、はたしてこれは誤解であるか誤解でないか、やはり単に時間をかせということだけでなしに、そういった世間、国民の声をどこかの場で聞く必要がある、次の国会に提出するにしても引っ込めるにしても、私は聞かなければならぬと思いますが、その辺の御用意はありますかどうですか、承りたい。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 実はこの問題が世間に伝わりまして以来、各種の陳情、要望等がございます。これに対しましては、私をはじめ事務当局の関係官も、つとめて時間をさいてお目にかかって、そうしてわれわれの考え方なり、大体法案の要綱として骨子のまとまっておるものを説明をしておるのでございますが、そういう際に明らかに誤解と思われることは、何か民族教育を根本的に否定するように思って来る人が多い。あるいは北鮮系の朝鮮人学校を全部つぶしてしまうのだというような印象を受けて陳情に来る人がかなり多いのであります。しかしさような筋合いではございませんので、外国人全体について同一のワクで、これは朝鮮関係であろうと、台湾関係であろうとアメリカ関係であろうと、その他の国の外国人学校であろうと、みな同一の取り扱いをしていこうというたてまえであり、また日本の国内で民族教育を否定しようとするものでもないわけでございますので、そういう点を現在もわれわれとしては十分できるだけ時間をさいて説明をいたしておるわけで、御説明に当たってみますると、非常に根本的な誤解がかなり多いように思います。こういう点を極力解消をしてまいりたい。したがいまして法案要綱等もすでに与党としては各機関にかけて決定をいたしておりますので、できるだけそういう機会には配布をいたしまして、よく読んでいただいて、そうして何かお困りになる点がございますか、あったら言うていただきたいというふうに説明をしておるわけで、確かに誤解の向きも相当あるようでございますから、こういうものは解消するようにつとめてまいりたい、こう思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 問題は、政府与党にはないと思うのです。いま大臣の御答弁を伺いましてもわかるように、政府には誤解はない、与党にも誤解はない、誤解しておるとかりに仮定すれば、それは政府与党以外のところにある、そうなると、それがはたして誤解であるか誤解でないのか、私はやはりそれを聞く場がなければならぬと思う。これはこの国会に出さないということでございますから、ひとつ大臣のほうでも十分お考え願いたい。  そこで次にお伺いしたいのは、昨年の四月四日の朝日新聞でございましたか、こういう記事が載っております。日韓条約が批准をされた場合、在日朝鮮人の法的地位協定における教育問題を政策とするため、文部省内に在日外国人教育連絡会議をつくる動きがある、在日外国人教育連絡会、これはできておるのかできていないのか、いかがです。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 いまの新聞記事のことはよくわかりませんけれども、内容が省内のことでございますので、申し上げますが、ただいまお話しになりましたような在日朝鮮人云々の連絡会というのはございません。ただ、文部省で各国にまたがる仕事をいたしますときに、いろいろな組織をつくることがございますが、広い意味の外人教育、これはいま大臣が申し上げましたように朝鮮関係だけでございませんで、諸外国の問題を含めての連絡会はいまも形式的にはあると思います。各国にまたがっておる問題でございますので、そういう連絡会はございますが、名前を何と申しましたかちょっと忘れましたけれども、朝鮮の問題だけではございません。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 朝鮮人の問題だけではないということですけれども、形式的にでもある。形式的にでもあるとすれば、その連絡会のねらいはどこにあるのか、その構成、一体どういうことをそこではやっておるのか、承りたい。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 いま申し上げましたように、日本国内における外人の教育問題につきましては、文部省内といたしましてはいろいろな局課がタッチいたしております。そのために、それぞれの課でやっております仕事を、他の部課においても十分理解するような意味での連絡会でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 その連絡会で民族教育についての意見交換等なさったことがございますか。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 その会での仕事につきまして一々どういうことがあったか、私はいま記憶しておりませんけれども、たとえば各種学校の関係は管理局が所管しておりますし、公立学校における外国人関係の仕事は初中局の関係でございますし、対外的な窓口になりますと国際文化関係というようなことになってまいりますので、関係の各局の間の事務連絡会でございますから、政策的にそこでいろいろなことを決定するという組織ではございません。内輪の、先ほど申し上げましたような事務連絡の機関と申しますか、事実上の組織でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 政府においても慎重に検討されるそうでございますから、いずれ論議の機会があろうかと思いまするから、私はこれでやめますけれども、私どもこの問題については、これからやはり勉強していきたい、慎重に考えていきたいと思います。  そこで参考までに一点だけお伺いいたしますが、よく朝鮮人学校は反日教育をしておるおそれがあるなどと政府筋から流れてくる。そういう事実があるのかないのか、文部省は、もしあれば、これは国会ではっきりお示し願いたいと思う。今日五十幾つございますか、朝鮮人の学校、そこで何か日本の国家利益を害すると申しますか——これも抽象的なことになりますけれども、あるいは明確に日本の政治制度、社会制度を非難し破壊するがごとき反日的な教育をやっている事実があると考えておるのか、ないと考えておるのか。これは文部広報で私は読んだのですけれども、何かわけがわからぬのです。そういうおそれがあるようにもとれるし、それからまだはっきりした証拠を握っておらないようにもとれる。そういうことでは私は朝鮮の人たちが承知しないと思う。人をばかにするなと言いたいと思うのです。だから国民に示してもらいたい。文部省は一体どう見ておるのか、これをはっきり大臣から言ってもらいたい。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 私どももいろいろ声としては聞かされますが、われわれとして具体的にこういう反日教育をやっておるということを外部に言った記憶はございません。したがって、今度外国人学校という制度を制度化しようといたしましたのは、職業教育をやります各種学校の問題と、外国人学校の問題と、これらが一条しかない各種学校という条文におさまって雑居しておりますので、職業教育を行ないます各種学校等につきましては、一番底辺にある人たち、短期間の職業教育で生活の根拠をつくろうというけなげな人たちで、大体すでに何十万かの対象がおるわけでありますから、これを制度化して、職業教育をする各種学校の制度を制度化する、同時に今後適当な国の施策の中にもそれを織り込んで、援助すべき部分については援助し助成する、こういう道を確立したいということと、それに並行いたしまして、一条の中に雑居しておるわけでありますから、職業教育関係の各種学校がそういう一章を設けて制度化すれば、外国人学校のほうも制度化する必要がある、こういう観点から立案作業を開始したわけであります。  そこで、外国人学校につきましてはすでに文部広報に要綱を掲載いたしました。お読みいただいたようでありますが、御承知のとおり、何国人であろうと今後同一の取り扱いをしていく、こういうたてまえであります。ただそれには、いまもお話がありましたように、日本の国際親善を害するようなことや、あるいは日本の憲法上の諸機関が行ないまする施策に対して妨害するようなことをされては困りますので、そういうことは何国人にかかわらず規制の道を講じていく、しかしそれにはよほど十分のしぼり方をする必要がありますので、国際親善を害するような教育をされては困るという点については、著しく云々と、こういうしぼり方をいたしておりますし、また、日本の憲法上の諸機関が行ないます施策に対する妨害をする教育をされては困るという点については、ことさらにというしぼり方をいたしておりまして、われわれといたしましては十分細心の注意を払った立案をいたしておるつもりであります。したがいまして、これは朝鮮関係の学校が反日教育をしているとかいないとかの問題ではなくて、日本に在留する各国の外国人教育全般に通じての共通の施策でありまして、一つのものを目標としてやろうとしておるのではないわけであります。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これは大臣、母国語による民族教育を否定するものではない、なるほど広報にも書いておるし、ただいまもそういう御答弁があったわけです。ところが、そのお考えは従来の文部大臣の答弁とは違います。御承知ですか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 私が大臣になってからですか。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 従来のあなた以外の、あなたの前の文部大臣は、そういうことは答弁していない。同じ自民党内閣の文部大臣が、そう猫の目が変わるような答弁をされては困る。これは中村さん御存じですか。従来の文部省の方針がそうでなかったのです。だから今度の民族教育についてああいう反撃が旋風のごとく巻き起こってくるわけです。従来の文部省の方針はどういう方針であったか、御存じの上で文部大臣は母国語による民族教育を否定しないということをおっしゃるのか、これをお聞きしておきたいと思う。御承知なのか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 なるほど、政権は自由民主党が与党として続いておるわけでありますが、総理大臣もかわり、あるいはその行政の責任者である閣僚もときおりかわってきておるわけであります。私が就任いたしまして以来、国会等で質疑がありましたが、省内も十分に協議をして、一貫した答弁をしてきておるつもりでございます。したがって、文部省の方針という話でありましたが、文部省の、役所としての方針を十分に省内で協議をしないでこの問題について外部に打ち出したことはないのではないかと思うのです。それは閣僚により、人により、ものの考え方が、必要に応じて、国会等で、いろいろな委員会等で質疑等があれば、その人の感覚で答弁してきていると思いますが、私自身としては、就任以来一貫した答弁を申し上げてきておるつもりであります。今度の外国人学校制度の制度化につきましても、目下案をつくる段階でございますが、いままでできておる案としましては、省内の協議も十分に遂げ、また党との連携も十分にし、相談をいたしまして、御承知のとおり、母国語による教育等は何ら排除しようとするものではないということは、今日明らかになっておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 昭和三十九年の三月の、私は、衆議院文教委員会の速記録をつくってみた。わが党の長谷川委員の質問に対して、時の文部大臣灘尾さんがこう答えておる。速記録から拾ったとおり申し上げますと、この各種学校で行なわれる教育内容も——この各種学校でとは、朝鮮人学校ですが、永住者に対して母国語による民族教育を行なうことは好ましくない、と断言をして、という観点から、そういう各種学校の新たな設置等については、望ましいものではないという態度で取り扱っております。いま私は、これをこれ以上追及はしませんよ、いずれあらためて論議の機会がありますから。しかし中村さんによれば、これは灘尾さんの個人の見解だ。私は、そういう方針は間違っておる、私は、母国語による民族教育というものは否定すべきではない、世界人権宣言の精神からいっても、国際親善、友好の上からいっても、そういう考えなのだ、そういう考えでこの法案についても検討しているんだ、こういうことでございますから、触れませんけれども、そういう過去があるわけです。この流れがやはり与党の中にも文部省の省内にもあると私は思う。灘尾さんにこういう答弁をさしたのは、そのときの管理局長です。管理局長の答弁も読み上げたらいいのですけれども、時間がないから省きますよ。だからして、あなたがどんな答弁されても、そういった底流があるじゃないか、民族教育否定の底流があるじゃないか、かつてそういうことを国会で答弁しているじゃないかというのが、背景にあるわけです。だからこの辺も十分お考えの上に、民族教育という問題は、ひとりこれは朝鮮人の教育ではなしに、私も昨年の八月、東南アジアを回ってきましたが、商社の数百名の子供の親たちが、やはり民族教育を希望しておる。私は帰ってきてから福田大蔵大臣に面接をして、日本人学校をつくれ——もうインドのボンベイ、カルカッタでは六百名、それぞれ私は陳情攻めにあってほんとうに困ったわけです。日本人学校をつくれ、日本語の教育をやらないとこの子供たちはどうなるのだ、インドの歴史を習って何になるのだということで、東南アジア六カ国に、本年度の予算では、日本人学校をつくる予算を一億円ばかり計上した。これは朝鮮人であれ、日本人であれ、アメリカ人であれ、当然の叫びなんです。こういったことを一片の単なる誤解で簡単に片づけてはいけない、よほど深く掘り下げて、再検討した上で法案の提出をしてもらいたいと私は思います。これを要望いたしておきます。  それからもう一点は、私どもこの学校教育法の一部改正で、先ほど大臣が言われた職業技芸教育、洋裁、散髪あるいは体育あるいは簿記等の職業技芸教育を盛んにしなければならぬということは、全面的に賛成いたします。私もあの要綱を見て、これはいいと思う。だからして、私はこの際、いま問題のある外国人学校のところを切り離して、やはりよいものは早く成立させる。そして外国人学校問題が世間の誤解と申しますか、いろいろ私どもも意見をこれから申し上げますから、聞いていただいて、そうしてほんとうに国民が納得できる。それからしいたげられてきた六十万の朝鮮の人たちも、これならば納得ができるというようにして法案を出されてはいかがかと思います。これを切り離すわけにはいきませんか。しばらく時間をかけて、学者の意見を聞き、もう少し議論をやって、外国人学校問題は手をつける。職業技芸の各種学校のほうは、政府の原案、まことにけっこうでございますから、これを提出して、そしてやはりそういった学校関係者の要望に国会はこたえる。そうすることが最も望ましいと思います。私は、これは技術的にも不可能ではないと思う。やろうと思えばこれはできることです。いかがですか、大臣。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 先のほうの第一点について私の感じを申しますと、灘尾文部大臣がそういうふうに答えておる、これは私は、外国人学校というものを今度新しく制度をつくろうとするように制度化さない状況下において、たとえば今度の、俗に申します日本の、著しく国際親善を害するとか、あるいはことさらに日本の憲法上の機関が行ないます施策に対して妨害をする教育をしてはならぬというようなものさしがあればよろしいのですが、そういうような制度ができていないで、単に各種学校という一条しかない時代においては、私は灘尾文部大臣が答えたような感じもおそらく起こり得ると思うのです。ですから、外国人学校制度というものが制度化されていない状況下においては、そういう答弁をせざるを得ない事情があったと思うのです。ところが今度はこれを完全に制度化そうというのですから、もしその条項に反するようなことがあれば、是正命令ができるというような規定ができてくれば、私は、やはり母国語によるいわゆる民族教育というようなものは——民族教育ということばは、定義はどうなるかわかりませんけれども、俗にいわれておる民族教育、母国語による教育というものが行なわれても差しつかえないという見解を確立してよろしい、こう思っておるわけであります。  それから分離して提案、審議を求めたらどうか、こういうお話でございますが、これは事実上不可能なことは、各種学校という一条の中に職業教育も、外国人学校も雑居しておる現状でございます。一方を一章まで設けて制度化するとすれば、どうしても片一方をそのままに置き去りにするわけにいかないという現状にありますので、私ども学校教育法を改正するとすれば、同時にはっきりした改正をいたしまして、今後一条しかなくて制度化のできないまま置いてきぼりをするんじゃなしに、一緒に解決をするのが学校教育法の改正方向としては妥当であり、またそうせざるを得ないというように考えておる次第でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 当時灘尾文部大臣が母国語による民族教育は好ましくないとはっきり断言しておるのです。あなたは外国人学校制度ができればそれは考えられるじゃないかというお考えですけれども、この点は私はだいぶん見解が違います。しかしこれに触れておっては本日予定しておる肝心の私の質問ができませんから、これはおきますけれども、当初申しましたようにこれは国民が誤解しておるんだと一方的にきめつけないで、やはり誤解しておるとあなた方が考えておる国民の意見を広く聞く余地が文部大臣としてあるのかないのか、この点はいかがですか。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 実は私どもとしましては、今度つくりました骨子はずいぶん研究に研究を重ねて十分に万全を尽くしたつもりでおります。そこで実はその要綱については国会における各政党のほうにも、全部まだお配りしていないかもしれませんが、何十部ずつかは差し上げまして御研究をお願いしたいと申し上げておる次第で、まず第一は法律をきめます場合には、国会の審議が前提であり、根本でありますから、国会の各政党の方々にはまずひとつこれで十分に御研究をいただいて、この点は芳しくないという御意見があったら、その御意見を十分出していただいて、われわれも全体を含めて研究していきたいと思います。ただどうもいろいろないきさつや、新聞報道の見出し等の印象で、世間の考え方というものが起こるのは当然でしょうが、かなりわれわれの考えておることとは違った直感で陳情なんかにお見えになる方が多いようでございますから、こういう方面の理解を求めることについては今後機会あるごとにわれわれとしては時間をかけて御説明をして、理解を求めてまいりたい、こう思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 次にお尋ねしたいことは、東京都内に嘉悦学園という学校があります。これは明治三十六年に一代の女子教育家として名高かった嘉悦孝さんの創立にかかるものでありまして、六十年の伝統を持った学校であります。いわば私立学校の名門校であります。この名門校の嘉悦学園が一年以上にわたって非常な動揺と混乱を来たしておる。その原因はどこにあるかといえば、嘉悦康人氏——これは孝さんの親戚関係に当たるそうでございますが、この方が昭和二十四年でございましたか、嘉悦孝女史がなくなられて、この学園の理事長に就任をしておるわけでございます。この方が理事長になりましてから、この学園を私物同様に扱っておる。その経理、人事がもうめちゃくちゃであります。すでにわかっただけでも——これはあとで刑事局長にお聞きしようと思いますが、数千万円の使い込み、背任、業務上横領、こういうことで告発もされておるということでございまして、父母会が昨年の暮れから何回となく総会を開いて、この理事長にはやめてもらいましょう。それから教職員の皆さんも何回となく——二十回と言っておりますが、総会を開いて、この理事長にやめてもらわなければ嘉悦精神は死んでしまう。それからいまや生徒までが非常な動揺を来たしておる。これは一年以上にもわたっておることでございまするから、私学振興を教育政策の柱にしておられる中村文部大臣の文部省のことでございますから、しかもこれはへんぴないなかではない、東京都内の名門校の一年以上にわたる混乱、私はよもやこういうことが放任されておるとは考えていないのであります。だから何らかの指導、助言と申しますか、調査と申しますか、これは文部省においてもなされておると思うが、一体調査をしたことがあるかどうか、どういう指導、助言をこの学校にしてきておるのか、これを承りたいのです。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 嘉悦学園の問題でございますが、四月の十一日に学校の教職員の方が文部省においでになりまして、学内において経理上の問題を中心にして理事長の背任問題が起きておって、それに関連していろいろ問題があるという御陳情が私どもにございました。当時この話を受けました担当の係官から——一応これは陳情書の書類でも出ておるわけでございますので、よく内容を伺いまして、学校側の事情も聞いて調べてみましょうということをお答え申し上げたわけでございます。その後いまお話しのございました理事長の嘉悦康人氏においでを願いまして、陳情書の趣旨について理事長としての立場からの学校側のいろいろな事情をお聞きしたわけでございますが、やはり問題は経理上の問題に発端して理事長の辞任問題その他いろいろあることがわかったわけでございます。ただこの経理上の問題につきましても、陳情者側の意向と理事長の見解とは必ずしも一致しておらない点がございますし、それから理事長の退任につきましても、理事会で決定したという話に対して、理事長はそれは承知してないのだというような御意見もございまして、意見というか事実に対する見方も異なっているような点もございます。なお、私たちといたしましては、理事長から伺った点につきましても不審の点がございますので、さらに明らかにしていただきたい点等についてお話を申し上げて、再度御報告をいただきたいということを申しておるわけでございますが、理事長が来られてから後、五月の初めですか、理事者の構成を変更したということで新しい役員の届け出のことでおいでになりましたけれども、これにつきましても、前の理事会の構成、理事の方が辞任されたといういきさつ、それから新しい理事を任命されたといういきさつ等について、私たちとして若干明らかでない点があったりいたしましたので、そういう点についても説明をするような資料をあらためてお願いしているというようなことが、全体の状況でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 まだ調査をしてないようですね。私はこれはすみやかに調査をしてもらいたいと思う。私は質問をする以上は調べなければならぬと思っていろいろ調査をしてきたのでございますが、これはあなた方がこれから調査をされていく参考になる点だけ、ここで申し上げておきたいと思うのです。  経過を申し上げますと、昨年の三月末に経理部長の五味上さんという人が首を切られたわけです。やめさせられたわけです。そのいきさつはどうかというと、この五味経理部長は非常に清廉剛直な人であって、この理事長の言い分は間違っておる——これはつまり二千数百万円の使い込み、それからいろいろ経理上のことで金を出せと言われても、そういうものは出せないと突っぱねてきたものでございますから、これが意のごとくならないというので首を切ったわけであります。この首を切った理由も何も示さない。おまえやめろ、こういうことでやめさせられた。そこで教職員、用務員それから事務職員の皆さんが集まって、人の首を切るのに、こういう穏やかでない方法で理由を示さないでやめさせるということは、これはおかしいじゃないか。われわれは安心して教職に没頭することはできないじゃないかというところから、問題が起こってきた。  当時理事会はどうなっておったかというと、この嘉悦康人理事長のほかに、内海校長、これは官房長のお話によりますと、有名な学者だそうです。中高連の委員もしておったというようなことを局長も言っておる。それから嘉悦正人という理事長の弟、それから新井啓蔵、それから上塚さんという学外の五名であったようでありますが、すでに作家の立野信之理事は、この理事長の非をいさめたけれども、聞かれないので、立野さんは、こういう者と連帯責任をとらされてはかなわぬというのでやめられたようです。それから黒川武雄理事も昨年の四月に、こういうふらちな理事長のもとで理事をやっておってはとんでもない迷惑がかかるというのでやめた。ところが、立野さんがやめ、黒川理事がやめ、そういうように理事がやめておりますが、その欠員の補充を行なわない。これはたしか私立学校法の第四十条でございますか、五分の一以上の欠員が生じた場合には一月以内に補充しなければならぬという規定に違反しておる。補充を行なわない、こういう実にでたらめな経営をしてきておるわけです。しかも昨年の七月の、たしか三日だそうでございますが、残された四名の理事、この理事の方が集まって理事長の責任をきびしく追及した。これは昨年の七月です。きびしく追及をして、七月の初めに理事長の職務停止、理事長がそれでもやめなければ、四十一年の三月末をもってその職を退くことを決議をしたわけです。私はこの財団法人嘉悦学園の寄附行為を読みましたが、これは寄附行為を読むまでもなく、民法の規定によっても明らかなように、理事会の決議が学校法人の最高の決議なんです。その決議も聞かないわけです。  そこで、私はこういうことをるる申し上げてもどうかと思いまするから、簡潔に終わりますけれども、これは明らかに法令に違反しておるじゃないかと思う。五分の一以上の欠員ができても理事の補充を行なわない。理事会が昭和四十一年三月末日をもってやめるべし、そういう決議をしてもその決議が履行されない、こういうことは私立学校法並びに寄附行為その他の法令に違反をしておると思いますが、この点はいかがですか。これは管理局長でけっこうです。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 御指摘のように、私立学校法の四十条で、理事が定数の五分の一をこえるものが欠けたときはに一カ月以内に補充しなければならないという規定がございます。したがいまして五分の一以上の理事が欠けてそのままほうっておくことは、法令違反でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 七月の理事会の決議はこういうことです。理事長は「自らの責任に於て渋谷関係の貸借の整理にあたり」、これはかってに学校のお金で土地を買ってマンションか何か建てたようです。その「整理の完了次第理事、理事長の地位を辞任するものとする但し昭和四十一年三月末日迄にその整理が完了しない場合は同日を以て辞任するものとする」、これは昨年の七月初めの理事会の決定ですが、これは守られていない。こういう点について私はきわめて遺憾千万に思うのですが、父母会も昨年暮れから何回となく総会を開いていますが、その決議の一つを読み上げます。昭和四十年十二月二十五日の決議、これは父母会の総会です。「嘉悦女子中・高等学校に於ける学園・講堂・体育館建設資金のために集めたる寄附金は速時当父母会々長へ其の全額を引渡し保管を委任する事。」千五百万円の行方不明の金を理事長がつくった。これは父母が出した寄附金です。建設委員長は中村宗四郎さんという父母会の会長です。これを引き渡せということ。「尚、来る十二月三十日迄に其の引渡が行はれざる時は法的措置(告訴)等行ふものとする。」、それから「嘉悦学園理事長嘉悦康人君は其の職不適任と認め不信任とす。依って理事長及理事職を速時辞任する事を要求する。」「右二項目決定の上、吾々は挙げて嘉悦学園発展のため協力する事を約す。右決議す。」、こうなっております。  それから教職員の皆さん方も何回となく開いたわけです。その総会の決議その他要望書を読んでみましたが、今日までこれを外に漏らすな、学園の恥じゃないか、創立者の嘉悦孝さんに対しても申しわけないから、できるだけすみやかにこの問題は内部で解決しようというので、外のほうには漏らしてこなかった。だから極力押え、そして理事会を督励してきましたけれども、ことしの三月末日にやめるであろうという理事長は依然としてやめない。しかも裁判所のほうに前の経理部長から告発がなされる、こういうこともあるわけです。  そこで、これは文部大臣に伺っておきたいのですが、あなたは私学振興ということを非常に努力されてきておられて、私は敬意を表しますが、今日の私立学校法その他から見れば、監督その他不十分の点もあるし、またそこに私学のよさもあるわけでありますけれども、しかしこういった乱脈きわまりない状態を文部大臣としては黙認するわけにはいかない。これは当然私立学校法、文部省設置法でございますか、それに基づく強力な指導助言がなされなければならないと思うのですが、文部大臣の御決意を聞きたい。もういまや父兄の皆さんもそれから教職員、生徒の皆さんも、こうなっては国会の力、文部大臣のお力にすがるよりほかはない。いままでは恥を隠せということでがまんしてきたけれども、もう事ここに至っては英断を振るっていただく以外に嘉悦学園の再建はできないという事態にまできておるわけです。文部大臣の御決意を聞きたい。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 学校制度は、大体基本的には、学校関係者は良識の上に立ってやるものだという信頼の上に立っておりますので、こういうような学園の内紛等が起きました場合には、われわれ非常に思い切った措置が十分に行なえないうらみがあるわけであります。まず調査を十分にすべきであるという御意見もございましたが、現状の法律制度のもとにおきましては、文部省が力をもって調査をする権能はございませんが、報告を求める権能はございますから、そういうような諸般の報告等を求め、そして適当な助言の道を講じて、何とか事態が正常に収拾されるように文部省としても努力をするようにいたしたいと思っております。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 管理局長に聞きますが、調査はできませんか。こういうふらち千万な裁判ざたにもなってきて、学校がめちゃくちゃになっておるのに、調査の権能がないと大臣は言っておるのだが、できませんか、これは。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 現在私立学校法上、所轄庁としての文部大臣の権限は法定されておりまして、きわめて限られております。その中で第五条に、いわゆる行政処分的な権限がございますが、これは御存じのとおり設置廃止の認可というような権限でございます。第六条に「所轄庁は、私立学校に対して、教育の調査、統計その他に関し必要な報告書の提出を求めることができる。」という規定があるだけでございまして、特に経理等に関しましては、学校法人の管理制をとっておりますために、われわれのほうから学校経理についてそれを調査するという法律上の権限は与えられておらないのでございます。ただ一般的には、文部大臣の学校その他に対する指導助言という権限はございますので、私たち、こういうケースにぶつかりましたときには、できるだけ権限をどうこういうことでなくして、いま大臣が申されましたように、私立学校は当然良識でりっぱに運営されるはずだという前提のもとに立ちながら、いろいろ御協力を願って調査を進めている、あるいはその場合に、行き過ぎがないような形で指導助言を申し上げるというような形で私立学校にタッチしているのが実情でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 明らかに私立学校法第四十条に違反している。理事の補充を行なっていない。これが明らかであっても、もういかんともしようがない、法律に違反しておることが明瞭になっても、いかんとも手の施しようがないという意味ですか。

天城勲文部事務官(管理局長)

○天城政府委員 私立学校法の第五条第一項の二号という規定がございまして、「私立学校が、法令の規定に違反したとき、法令の規定に基く所轄庁の命令に違反したとき、又は六月以上授業を行なわなかったとき、その閉鎖を命ずること。」という規定がございます。しかしこれは極端にいえば、死刑宣告みたいなものでございまして、最後のことでございまして、簡単にできることではございませんが、なお学校教育法の十四条という規定がございます。これは一般に学校に対しましては、「設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規定に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。」ということでございますが、この学校教育法十四条は私立学校には適用しないということになっておりまして、きわめて自主的な良識的な運営をやるべきはずだという前提で現在の法律ができております。したがいまして、いま御指摘のような法令違反のケースがございましても、直ちに権限上これの是正をどうするというような形にはちょっとまいりませんので、先ほど申したような事実上の助言という形でこの問題にタッチするというのが限度でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 文部省設置法の十二条、「管理局の事務」として「私立学校に関する行政の制度について企画し、並びにこれらの行政の組織及び一般的運営に関し、指導、助言及び勧告を与えること。」、だから行政の組織上の一般的運営について指導助言は管理局の事務になっている。そしてこの事務を果たすためには、果たすために必要な調査をしなければならぬ。そうでしょう。これは当然法の精神ですよ。だから必要な調査ができないからというようなことではなしに、やはり強力な指導、強力な助言をするためには積極的な調査をしなければならぬ。それが私立学校の精神をじゅうりんするような介入では困りますけれども、指導助言に必要な調査というものはしなければ、私は指導助言はできないと思う。この点はひとつ十分お考えの上に調査をされて、それから一体どういう実態であったかをすみやかな機会に、この文教委員会において、文部省側の調査並びに今後嘉悦学園に対してどのような措置をとることが妥当と思っているか、その指導助言の内容等について御報告がいただきたい。これは大臣の御答弁をお願いします。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 いま御指摘のありましたように、指導助言あるいは勧告等を行ないますのには実態把握が前提であることはもちろんでございます。そこで、それにつとめることは当然しなければなりませんので、先ほど来御指摘がありましたように、そういう点を十分に調査し、あるいは報告を求めて善処いたしたいと思います。  ただ問題は、制度上強制調査権がございません。しかし調査ということは、非常に幅が広いので、権限をもって相手が拒んでも調査をするというのには、どうしても制度上法律の根拠がなければできませんが、学校へ担当官等が参りまして、よく話し込んで任意で資料を見せてもらい、あるいは実情を伺って調査する、こういうことは事実行為として法の禁ずるところではないと思います。そういう制度上さしつかえない範囲で文部省としましても報告を求めたり、あるいは調査をいたしまして、適切な指導助言の権限行使をして、何とかこうした学校内の不合理や内紛等のないようにつとめるのが、また大局的にはわれわれのつとめでございますから、そういう方向で努力をしてまいりたいと思います。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 これは、ひとつすみやかな機会に文教委員会に御報告願いたい。文部大臣、御用件がおありのようですから、けっこうです。  そこで、私は法務省の刑事局長にお尋ねをいたします。  本年の四月一日付で五味上という人が、ただいま申し上げてきた嘉悦康人及びその弟の伊藤哲生ですか、この二人を東京地方検察庁に告発をいたしております。告発状が私の手元にもあるわけでございますが、罪名は業務上横領、刑法第二百五十三条、中身として詳しい相当長文の理由がずっと書いてあります。そうして証拠には、証人として先ほど申し上げました東京都港区赤坂新坂町二十八番地の黒川武雄、それから内海幸作、これは前の校長であります。かつて理事をしておる。黒川さんも理事であったのです。それから作家の立野信之さん、それから上塚司という、これも前の理事であります。それから西田さん、こういう者を証人申請した告発状を本年四月一日に出しておりますが、この告発状に基づいてどのような捜査がなされたのか、できるならばお聞かせ願いたい。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいまお尋ねの件は、ただいま仰せのとおり五味上というものを告発人とし、嘉悦康人、伊藤哲生の二人を被告発人といたしまして本年四月一日に告発状が出されております。そこで、内容はもちろんこの嘉悦につきましての横領、それから伊藤につきましても横領という事実になっております。これにつきましては現在主任検事の手元におきまして、いろいろ出金伝票等その他の写し等も出ております。これを検討いにしまして、ただいま捜査方針を樹立するべく努力いたしております。具体的に関係者の取り調べには、現在まだ入っておりません状況でございます。

野原覺日本社会党

○野原(覺)委員 目下捜査中だとのことでございますから、これも私学園内の問題でもあるし、やはりすみやかに解決する意味でその捜査を急いでやってもらいたい。このことだけ要望いたしておきます。以上で終わります。

八田貞義自由民主党

○八田委員長 次会は来たる五月十八日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗