農林水産委員会 第33号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/04/28
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 農地管理事業団法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。湯山勇君。
○湯山委員 昨日お尋ねしておいた残りのことをきょうはお尋ねいたしたいと思います。 いま、政府のほうで、農地を取得したいという希望と売り渡したいという希望、そういう調査をされておると思いますが、最近の資料はどうなっておるでしょうか。
○大和田政府委員 私ども、農村の実態調査等においていろいろな調査をいたしておりますけれども、まとめた全国的な資料といたしましては、昨年統計調査部の系統でやりました農業経営に関する意識調査というものに出ておるわけでございます。そこで、ここに出ております資料といたしましては、経営規模の拡大を希望する農家が全体の農家の三七%程度で、経営規模拡大に対する農民の要望、要求というのは非常に強いものがございます。これに対しまして、土地を売ってもいいという人の数は遺憾ながら——遺憾ながらというとおかしいわけですが、買いたい人に比べれば相当低い水準にあることは間違いございません。
○湯山委員 この三七%という数字の評価をどう見ておられるか、もう少し分析して伺いたいと思うわけです。
○大和田政府委員 私が考えますのは、現在、農家の数というのは五百五十六万戸ほどでございますが、戦後の農業の発展につれて、農家あるいは農民といっても、決して均一のものではございませんで、非常な経営並びに意識の変化があろうかと思います。このことは、一つは、第二種兼業農家が現在において四二%になっておるということにも反映いたしておりますが、すでに農業を離脱しようというふうに覚悟をきめる人たち、それからそれに反して、現在はもちろん、将来とも農業を自分の一生の仕事としてやろうと覚悟をきめておる人たちも私は相当なパーセントで農村に定着しつつあると思います。そしてその中間で、いわばどちらの道を歩もうかという層も相当あることは間違いございません。したがいまして、三七%の経営面積を拡大したいという希望は、私は、今後相当長く農業を一生懸命やろうという人たちの層をあらわす数字として大体無理のない数字ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○湯山委員 この三七%というのは、対象農家は一種、二種兼業を含めてでございましょうか。
○大和田政府委員 申し上げましたように、経営耕地面積の拡大をいたしたいという農家が全国で三七%程度ほどございますが、それをまず専兼別に分けますと、専業農家が約四六%、第一種兼業農家が約四三%、第二種兼業農家は当然率が低くなりまして、二一%というふうになっております。さらに、経営耕地規模別に申し上げますと、だんだん経営面積が大きくなるに従って、ふやしたいという希望のものが多少ずつふえていくという事情にございます。
○湯山委員 私は、この解釈がまた若干局長と違うわけです。現在専業農家は、日本の場合は、規模が大きいといいながらも零細経営だということは明らかなところでございますが、その専業農家が、なおもっと耕地を拡大したいという希望が半分もない、こういう言い方もできるのではないだろうか。商売をしている人が店舗を拡大したい、農業をしている者が農地の拡大をしたいというのが、かりに専業農家においては七〇%、八〇%あっても、いまの日本では、それは決して多過ぎる数字ではない。ところが、そういう人の中でさえも、半分足らずしか経営規模の拡大を願っていないということになれば、そういう解釈をすれば、その原因は一体どこにあるのだろうかという検討も必要だと思いますが、それについてはどのようにお考えですか。
○大和田政府委員 これはやや私見が入るかもわかりませんが、ただ統計調査部の専業農家、兼業農家、特に一種兼業、二種兼業の農家、これは形式的な規定でございますから、一種兼業、二種兼業の農家の性格をぴたりと言い切ることはなかなかむずかしい面がございます。したがいまして、専業農家といいましても、三反なり四反なりの農業を老人夫婦がやっていて、ほかに兼業の人がいないという専業農家がございます。また、三町歩の農家で、十分農家としてやっていけるが、娘一人が郵便局につとめているために兼業農家になっている例もたくさんございます。そしてその娘が嫁に行けばまた専業農家になるという、統計調査上ははなはだ妙なこともあるわけでございますから、私は、こまかい問題としてはいろいろ議論があると思いますが、大勢で申し上げますと、経営規模の拡大をしたい農家は三七%程度でございますが、一方、農業の将来性について、やりようによっては将来性があるというふうに考える農家が約四七、八%あるわけでございます。さらに、農産物の販売金額を増加したいというものが約六割ございます。したがいまして、経営耕地面積はふやしたいとは思わないけれども、農産物の販売金額はふやしたい、あるいはやりようによっては農業の将来に希望があるというものとの差は、これは畜産その他経営規模をふやさなくても販売金額をふやしたり、あるいはそれで農業を一生懸命やろうという人たちがいるわけでございますから、ふやしたいという農家が三七%で、しかも、専業のうち四五、六%が経営規模をふやしたいということで、あとの約五割の人が経営規模をふやしたいとは思わぬということから、どうも日本の農業のエネルギーが非常に弱いというふうにも私は思わないのでございます。
○湯山委員 素朴な質問をひとつ申し上げたいと思うのです。 いま局長の御答弁では、将来性があると見ておるものが半分足らずあって、あとのすなわち半分余りというものは農業の将来というものについては失望している、希望を持てない、こういうことにもとれると思うのです。そこで、いまどうしようかという判断をするときに、局長に、どうですか、日本の農業というのはこれで将来性があるんでしょうか、孫子の末までずっとやって、はたして見込みがあるでしょうかというときに、やりようによってはありますねという答弁では、ちょっと納得できない。こういう方向で、こういっておるのだから、農業の将来は明るいんだということでなければ踏み切れないと思うのです。そこで、現状をふまえて日本の農業の将来、何十年か先の農業というものについてどう御判断になっておられるでしょうか。やりようによってというだけでは、私は、政府の答弁としてはあまり説得する力がないというような気がしますが、その点はいかがでしょうか。
○大和田政府委員 いまのこの調査に関して多少つけ加えて申し上げますと、やりようによっては将来性があるという人々が四七、八%で、それ以外で、将来性がないという農家が三二、三%でございます。そのほかわからない、判断がつかないという農家が二〇%ほどございます。したがいまして、半分は絶望しているというふうには私も考えないわけでございます。これはアンケートのとり方でございますから、政府として、やりようによってはうまくいくなんという言い方はあるいは適当でないかもしれません。これはアンケートのとり方でございますから、そういう結果が出ておるわけでございます。私は、農地局長がそういうことを言うのもはなはだ妙なことですけれども、日本の農業の将来というのは、ある意味で現在岐路にあるといいますか、明るい道と暗い道が両方につながっているところに立っているという感じがいたすわけであります。明るい道としては、農産物の需要がとにかく日本では相当な速度で伸びておるわけでございます。アメリカ、ヨーロッパを通じて、日本のように農産物の需要が早いスピードで伸びている国はございません。各国の農政というものは絶えず農産物の過剰に悩まされておるわけです。そういう農産物の過剰の悩みを日本が持っていないということは、私は、大きくいえば日本の農業の非常に明るい一つの面であろうと思います。もう一つは、とにかく兼業化によって、日本の農業全体がいわば家庭菜園的なものになる危険を持ちながら、一方では自立経営といいますか、あるいはすぐれた共同経営を含めて、とにかく農業で一生懸命やれば食える農家が年々ふえて、その人たちの力が着実に伸びていることも、これもまた否定できないことだろうと思います。したがいまして、私は、いまの一町歩の農家五百六十六万戸が全部このまま農業をやって、農業で食えるようになるかどうかという問題は、きわめてむずかしいと思いますけれども、農業を一生懸命やって、ある程度の経営面積を得、さらに畜産、果樹等を組み合わせるならば、全体として、私は、日本の農業に対して決して失望しない、むしろ日本の農業の将来というのは、まさにやりようによっては十分産業として確立できるというふうに考えております。
○湯山委員 いまの御答弁について、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。 いまもおっしゃったように、日本の農業はある意味で岐路に差しかかっている。したがって、政府のほうでいろいろ施策をなさっても、基本政策が必ずしも思うようにいっていない。構造改善も決して思うようにいっていない。農地の移動についての信託事業、これもうまくいっていない。これはこういう岐路に立っておる農業の持っておる一つの性格だと思います。しかし、ただ需要が多いというだけで考えていっていいかどうかということもあるのであって、他産業と対応できるような所得をあげることが現在のような国の保護政策ではたしてできるかどうか。もっと言えば、基本法にあるような自立経営農家、そういうものがはたしてそれほど大きい希望を持って造成できるかどうか、あるいは法人の場合も同様に、他産業従事者と均衡する所得、しかも、農業で正常な能率を発揮しながらですね。しかし、なかなかできないのじゃないかと思うのです。というのは、私どもも構造改善の問題をずいぶん考えて見ました。どうしてもどうにもならないのは、いま日本の相当大きい部分を占める積雪地帯の農家が、農業に専念していって、しかも、他産業に匹敵する所得をあげる、そういう地域の法人がはたして農業だけで他産業並みの所得をあげることが一体できるでしょうか。私は、どう考えてもこれはできない、できないと断定するのでなくて、私の知恵では、その人たちにそういうような農業をやらせる、できるような施策というものが見当らないのです。その辺は一体どうお考えになっておられますか。
○大和田政府委員 私は、日本の農村地帯あるいは山村地帯を含めて、どこの地帯においても、その地帯に即応した農業の経営でうまくやれる道は決してないことはないと思います。それと同時に、また山村その他の住民全部に、農業だけで十分生活程度を上げ得るということもあるいは困難であろうかと思います。したがいまして、なかなかそういう低開発地域といいますか、後進地域の農業問題あるいは住民の所得問題、これは日本だけの問題でなくて、各国も頭をかかえている問題で、たとえばアメリカのグレートソサエティーの救貧計画なんかも、アパラチア山脈なんかの非常に貧困な農民に対していろんな職業訓練をしたり、あるいは所得の付与をしたりしておるわけでありますから、私は、そういうすべての地帯にわたって農業政策としてやるべきことはやると同時に、農業政策で不可能な面も十分あるでございましょうから、単なる生産の問題あるいは所得の問題ということばかりでなしに、道路あるいは医療の問題等を含めて生活環境の改善ということも大きな問題でございましょうから、やっぱり農業について一生懸命やると同時に、それ以外の、いわば社会政策的といいますか、厚生政策的といいますか、そういう面の協力を得て、だんだんそういう地帯の開発、進歩をはかるべきであるというふうに考えております。
○湯山委員 積雪地帯ですね、雪の非常に多い地帯、そういうところで、冬農業をやるといえばどういうことが考えられるでしょうか。
○大和田政府委員 私も決して農業について豊富な知識を持っておるわけでございませんから明確にお答えはできませんけれども、そういう山村で、しかも雪の深いところで、これからの農業として考えるとすれば、おそらく、いわゆる耕種農業の改善ということ以外に、果実でありますとか、あるいはクリでありますとか、あるいは肉牛でありますとか、豚でありますとか、そういう面で、私は、活路は決してないことはないと思います。
○湯山委員 私、こういうことを申し上げておるのは、こういうことなんです。日本で冬季農作業のほとんどできない地域というのは、県別にしても相当あると思うのです。ところが、そういう地域全体を一律に法律としてはおやりになろうとしておる。こまかい説明を見ますと確かにいろいろなケースがありますから、それに当てはまるのもあると思いますけれども、大きく見て、たとえば県単位でやっていくというときに、それじゃ、新潟県はどうするか、自立経営農家というのは、農業だけで所得が他産業と均衡する農家、こういう法律の規定がありますね、法人にしても同じような規定がある、それがこの管理事業団の目標だ、施策の目標はそこにあるのだ、そう言われても、じゃ、新潟県の県知事なりあるいは長岡市の市長なり、そういう人は一体これをどう受け取って、どうしたらいいのだろう、こういうことになると思うのです。その辺が、こう大ざっぱにやっておかれても、実際にその地域の農業委員会の人たちは、なるほど責任だけ負った、指定はされた、しかし何していいかわからない。そういうような人にも、こうだからこうだというようなことがなければ、法律は決して平等に適用されないということになるのじゃないかというので、お尋ねをしておるわけです。
○大和田政府委員 農地管理事業団なりあるいは農地管理事業というのは、自立経営の育成、あわせて自立経営に準ずるような協業経営の育成ということを、とにかく農地の経営規模の拡大という面を通じて接近しようとする一つの政策でございますから、この農地管理事業団によってすべての農業問題が片づく、あるいはすべての地域における農業問題が片づくというふうには私は思っておりません。したがいまして、農地管理事業団を受け入れても、その地帯においてはこういう事業を進めることが非常に困難である、あるいはその地帯における農業なり、山村振興のためには別の接近のしかたがあるべきだというところであれば、私どもは、この農地管理事業団をそこで大いに活用してもらうつもりであっても、押しつけることはいたさないつもりでございます。それで、農地管理事業団の事業実施地域に指定されてもどうやっていいかわからないというところについては、私は、事業実施地域の指定をする場合にも、頭から押しつけるわけでは毛頭ございません。とにかく村の人たちがきめて、知事を通じて農林大臣に言ってきた場合に受けて立つわけでございますから、村の人たちがどうやっていいかわからぬというような地域では、この指定を行なわない。私ども、もちろん啓蒙、宣伝といいますか、自分たちの考えるところを大いに県あるいは市町村等々を通じて農家に訴えるわけでございますけれども、農地管理事業団の事業実施にふさわしくない地域ではこれは行なう必要もないし、また行なうべきでもない、それは別の接近のしかたがあろうというふうに私は思います。
○湯山委員 そうすると、県全体がこれから抜けるという県が相当数あるということは、あらかじめ覚悟しておられるということでしょうか。
○大和田政府委員 私が県全体が抜けるというふうに覚悟いたしておりますのは、たとえば東京都とか大阪府というような、農業は行なわれておりますけれども、新しく経営面積をふやして、そこで引き合うような農業ができるかどうかというとはなはだ疑問であって、しかも、地方庁なりあるいは農業委員会なりもそういう意識がないという地帯が私は確かにあろうと思います。東京、大阪等々について今後事業実施の希望が出てくることが全然ないとは思いませんけれども、先日も申し上げましたが、私ども、いまの条件で四十一年度に事業実施地域として指定してほしいところはどのくらいあるだろうかという見込み調査をいたしましたら、六百五十六ほど出てまいりましたが、東京、大阪ゼロ、愛知県一ということで、ほとんど希望がないわけでございますから、そういうところは、私は、すっぽり抜けるということがあり得るだろうと思います。しかし、農業について相当熱心であり、また農業地帯と思われるような県では、一つの県がすっぽりこの事業実施地域から抜けるということは私は予想いたしておりません。
○湯山委員 大都市という特殊地帯、私もまた特殊な地域を申し上げておったわけですけれども、そういう段階的なものがたくさんあると思います。そこで局長の場合は、いまのような御答弁でいいと思いますが、この前に出た法律では、そのための駐在員を設ける、出先機関を設ける、今度は、そのかわりを農業委員会が大体やる、こういうことですが、当面して、実際に当たっていく者は一々いまのようなことの受け答えができなければ仕事にならないわけです。局長の場合のようにはなかなかいかない。駐在員を置かなくなって、農業委員のような人がいまのような段階的ないろいろな問題と取っ組まなければならない。そうすると、農業というのはこうだ、こうやればこうだという見通しが相当なければ、三十年先の約束ができないだろうと思います。そこで、この人たちが困らないように、ただ地元のケース・バイ・ケース、やり方によったらやり方があるのだ、それはあなた方の経験でわかるじゃないかというのでは済まないだろうと思うのです。現に私なら私が、では、うちの村でそういう家は幾つあるだろうといえば、それは二つか三つあります。いろいろアンケートして、いなかのことですから、だれもがみんな、あの家とあの家というのを思い浮かべて、ああ、あそこにもある、あそこにもある、あることはあると言いますけれども、しかし、そうだからといって、それが指定地域になってやれるという条件かどうかは疑問である、そこで、農業はこうやっていけばやれるのだという大筋、最大公約数がなければなるまいと思いますし、そのためには農地の担当者だけじゃなくて、大きい施策が必要だ、それが農業委員会の人たちによく理解されている、それによって理解さす能力を持っておるということでなければなるまいと思うのです。 そこで飛びますけれども、先ほど局長の言われたように、それらの地域については外国にも例があるということですが、農業というのは何といったって生産性の低い部門には間違いありません。これに対する国の助成といいますか、保護政策が相当強化されなければ、この事業団の仕事も、結局いまのように、農業委員の人たちも、突き詰めて自分の死活問題として相談を受けたときには返答ができない、それは自分じゃわからないといわざるを得ないところにくるのじゃないかと思います。そこで、この仕事を進めるにあたっては、いまよりももっと数倍の強力な国の保護政策を必要とすると私は考えますが、局長のお考えはいかがでしょうか。
○大和田政府委員 私は、農業を発展させるためには、農業の持っている社会的、経済的な不利な条件がございますから、相当国の保護、助成が必要であろうと思います。また、かりに自立経営が育成され、また自立経営に準ずるような協業経営が実現したとしても、そこで今後数十年にわたってそれが安定するというふうには私は考えておりません。それはおのずから、たとえばきょうの時点で農業所得七、八十万円の農家が形成されて、それで一応は人並みの生活ができたとしても、何年か、あるいは十何年か先にそれがやはり世間並みの生活をするためには、もっと農業経営の内容を充実させる必要もあるでしょうし、そういう意味で、自立経営ができたりあるいは自立経営に準ずる協業経営ができたからといって、そこで農業政策が停止するのではなくて、今後もそういう経営の、あるいはそういう経営を含めて農業全体の助長のためには国の財政支出は必要だろうというふうに思っております。
○湯山委員 いま御答弁いただいたように、本人のやり方によってはやっていけるのだということでは不親切であって、むしろそれについては、国がこういうこと、こういうことをやっていく、そこで、そういうことがあるのだから安心してやれというところまでは国がしておく責任があると思います。そういう観点から見ると、現状ではたしていいかどうか、現状の国の施策というものがそれにかなっているかどうかという問題です。それはどうお考えでしょうか。
○大和田政府委員 これはむずかしい大問題でございますけれども、私は、きのうもお答えいたしましたように、百点主義というのは言ってもなかなか望まれないことで、私どもといたしましては、日本の農業政策はそんなによその国に比べて劣ってしかたがないものだというふうには考えておりません。これは、たとえば価格政策等にいたしましても、とにかく農産物の価格の七割程度は国が何らかの形で助成なりあるいは支持をしておりますし、土地改良につきましても、国の支出としては、私は、よその国に比べてそんなに劣るものとは思いません。したがいまして、そういう農政の方向について、私ども今後一段と努力をしなければならないことは当然でございますけれども、事業団の事業を実施して、そこで自立経営あるいは自立経営に準ずるような協業経営をつくるような方向で農政を進める上に、私どものやっておる農業政策が非常に不十分であって、その農業政策全体の姿勢を正さなければ、自立経営の育成なりあるいはこれに準ずるような協業経営の育成というのはやるべきでないとか、不可能であるとかいうふうには私は思いません。これは、私どもが農林省全体として、あるいは政府としてやっておることが十分だとか完全だという意味ではございません。なお、今後十分努力して改善すべきではあろうと思いますけれども、どうも農政の姿勢全体がまずいために事業団の考えているような仕事はおかしいというふうには私は思っておりません。
○湯山委員 具体的にお尋ねいたしますが、基盤整備の事業は、全部個人負担でなくて国もしくは公共団体、そういうものがやる、基盤整備には個人の負担はかけないというような方針を将来とるべきだとお考えでしょうか。それはその必要はないというふうにお考えでしょうか。
○大和田政府委員 私は、土地改良事業というのは二面の性格があると思っております。一つは、国土の資源をよくする、あるいは国として必要な食糧をそこで生産する、そういう場をつくるという、いわばパブリックな面が一つございます。それと同時に、土地改良を通じて経営を改善する、あるいは農業所得をふやすというプライベートな面もあることは否定できないと私は思います。したがいまして、パブリックな面だけに注目をいたしますと、国あるいは地方公共団体による全額負担の土地改良ということも私は理論的に成り立ち得ないことはないと思いますけれども、プライベートな面をあわせて注目いたしますと、どうも全額国庫負担ということは十分の合理性がないというふうに考えます。その意味は、農地はあくまで個人の財産でございますから、土地改良を行なうことによって個人の財産である土地の質がよくなり、また農業経営の改善が行なわれるわけでございますから、ある程度の農家の負担というのは当然あってしかるべきだろうと私は思います。ただ、その程度の問題でございまして、プライベートな面があるからといっても、農業の収益というのは、ほかの産業に比べれば投資効率も十分高いものではございませんし、またパブリックな面も十分あることでございますから、国なり地方公共団体なりが相当な負担をして、その上で農家に適正な負担を背負ってもらうという形がシステムとしては正しいのではないかというふうに私は思います。そこで、私がいま申し上げたそのパブリックな面とプライベートな面の二面性があるということは、国営事業について見ますと、パブリックな面がかんがい排水事業にいたしましてもよけい多いというふうに思います。したがいまして、現行のやり方でも、一般会計によるかんがい排水施設は、国営のものは国が六〇%を負担し、県が二〇%負担し、農家の負担というのは残りの二〇%、しかもその二〇%は、事業ができてから十五年で償還するという形になっておるわけでございます。私は、国営、県営あるいは団体営等を含めて、今後の補助率の問題、あるいは償還期間の問題等について、農家の経営の実態に合わせてできるだけ適正化をいたすつもりで、そういう努力は十分いたしたいと思います。しかし、そもそも土地改良事業は農民が負担すべきものでないというその基本的なかまえ方には、私は多少の疑問を持っておるわけでございます。
○湯山委員 いまもパブリックな面とプライベートな面という区分でおっしゃいましたが、プライベートな面で、国と関係ない部分についてまでというわけではありません。ごちそうを食べるのまで持ってくれというわけではなくて、一番の農業の基盤である土地について、その分だけは国が持つというようなことは、これは私は考えてしかるべきではないかと思う。むしろ、そういうところに全力を注がないで、あちらこちらへ——こまかく役に立つ面もあるが、効率の非常に低い面へ国家資金が向けられておる。そういうものを整理して、基盤整備は国でやると言ったからといって、それが過剰サービスだということにはならないと思うのです。それは自分で労力も入れなければならないし、流動の資本というものは大部分自己負担で入れておるわけですから、ちょうど漁をする者が海で漁をするその区域を自分の金でどうこうしなければならないということがないのと似たような考えでいけば、基盤に関しては、これは国なり公の費用でやっていくということを言っても、決していまのプライベート、パブリックの区分でそうしなければならないというものではないと思うのですが、もう一度、その点は将来そうするというぐらいおやりになれば、事業団としてうんとやりやすいのですけれども、ひとつ思い切って御答弁願いたいと思います。
○大和田政府委員 パブリックな性格が非常に強い国営のかんがい排水事業につきましては、先ほども申し上げましたように、公共支出が八〇%で農民の負担が二〇%であります。私どもは、なお国の負担を実は五%程度引き上げることについての予算要求を四十一年度にいたしましたけれども、残念ながらそれは実現しないで、従来償還期間十年というのを十五年に延ばすことで話が落ちついたわけでございます。したがいまして、農家の負担を適正化するために今後努力いたしますけれども、それをゼロにすることが制度として望ましいというふうには、私は残念ながら考えておりません。しかし、農家負担を適正化することについては、今後も十分努力いたしたいと思います。
○湯山委員 願わくは全額国費負担、それから農家負担の適正化ということを、いまのようなお考えであれば、そういうものを先に示す、先にそれがあって、それからこの事業団は事業団で仕事をしていくということが望ましいと思います。ですから、ぜひひとつ早くそういう施策をおとり願いたい。特に私が申し上げたい点は、協業に対しての国の措置です。協業については、実際にやってみると、農地信託制度というものはあまりうまくいかなかったけれども、協業のほうは、あまり保護されない中で伸びてきています。もっと協業面に重点的に力を入れていいんじゃないかということを考えますが、その点はいかがでしょう。
○大和田政府委員 協業の問題は、別に農地局長の所管でございませんから、私見をひとつ言わしていただきます。 私は、今後の農業構造の改善に関連して、やはり自立経営の育成ということと協業の助長ということは、大事な二本の柱であると思います。私は、自立経営の育成ということだけで日本の農業がうまくいくというふうには思っていません。適当に協業というものを組み合わせる必要があると思います。協業の中には、これも釈迦に説法でございますけれども、共同作業的なものあるいは機械の共同利用的なものと、さいふを一緒にした協業経営と、二つあるわけでございます。それで協業の助長というのは、その二つの内容、協業経営と協業組織といいますか、その二つの内容を含めておるわけでございますが、私どもがやっております。たとえば構造改善事業を例にとりますと、構造改善事業というのは、自立経営の育成と協業の助長に資するというふうにいっておりますけれども、そこで行なわれていることは、まさに協業の助長であって、自立経営の育成ということでは必ずしもないというふうに私は思っております。そして、土地改良をして大きな機械を持ち込むということは、共同利用でございますから、農林省のやっていることは、自立経営の育成に力を入れて、協業を軽視するというふうな御批判がよくあるわけでございますが、私の感じといたしましては、むしろ逆であって、自立経営の育成については、具体的な措置をなかなか講じないで、協業の育成ということについては相当の力を入れているという感じを私は持っておるわけでございます。そこで、協業の助長という場合に、大機械の共同利用等を通じて協業組織の育成ということは、これは、私は、相当な力あるいは相当な努力を持って農林省としてやるべきだと思います。今後も一段とそういう努力をすべきだろうと思います。しかし、協業経営といいますか、さいふを一つにした協業経営を農林省が行政的に育成するということは、これは私は非常にむずかしい問題があるだろうと思います。これは農家がみなそれぞれ個々の事情において、自分で独立自営の農家でありますから、それを一緒にして農業をやれということを、上からといいますか、役所の立場で奨励するということは、非常にむずかしいばかりでなしに、私は、日本の農業にとってあまり利益であるとは思わないのです。したがいまして、個々の人たちが納得ずくで協業経営が行なわれる場合に、それをいろいろな形で、融資の面なりあるいは税金等の面でバックアップすることは当然やるべきであろうと思います。しかし、組織づくり自体を役所の力でやるということは、これは行政の限界を越えることになるというふうに思います。したがいまして、結論を申し上げますと、私は、協業の助長ということを行政として大いに進める方向で農林省はいままでもやってきましたし、今後もそういう努力を続けるべきでありますけれども、協業経営については、とにかくあるもの、生まれるものに対して、あたたかい配慮をするようにして、そううるさく口を出さない、協業の助長という面で協業組織の育成指導については、これは役所として相当力を尽くしてやっていいし、またやるべきだろう、そういうふうに思っております。
○湯山委員 非常に重大なといいますか、大切な御発言があったわけですが、農林省として、農事組合法人というようなものを認めて、それによって協業化を進めていこうという意図を示されております。特に農事組合法人というようなものが認められたのは、部分的な協業じゃなくて、全面的な協業、これは大切だ、そういう方向もとらなくちゃならないという意図のあらわれではなかったでしょうか。
○大和田政府委員 私が先ほど申し上げましたことも、協業経営を含めて、協業の助長はけっこうだし、行政の方向としてそういうものを進めるべきだと思います。したがいまして、協業経営が法律的に行なえるような、あるいは協業経営に対して農地の取得が可能なような協同組合法の改正なり、あるいは農地法の改正をいたしたわけであります。協業経営ができるような条件をつくることを行政としてとるべきだということを先ほども申し上げたわけでありますが、ただ、できるような条件をつくるということと——組織をしなさいというふうに農民を奨励といいますか、やることは、なかなかむずかしいことで、その協業経営の成立するような基盤あるいはできた協業経営を守るような行政をすることは、十分力を尽くすべきであるけれども、組織について、そう役所として口を出すべきではないということを申し上げたわけであります。
○湯山委員 少し言い回しがデリケートで、的確に把握できない点もあるのですけれども、つくったものを保護していく、あるいはつくったものが立っていくようにするということ、そういうものが望ましいことだと思います。望ましいことであれば、そういうものをつくることを法律で規定するとか、あるいは強制するとかじゃないけれども、そういう奨励——自然に生まれるのを待つというのじゃなくて、生まれてくるようなそういう積極さも、私は、いまの御答弁の論理からいえば、当然なければならないと思うのですけれども、その点がない。できたものは育てる、これは少し施策としては一貫していないのじゃないでしょうか。
○大和田政府委員 これは先ほどもお断わりしておるように、私の私見でございますから、私見としてお聞き取りをいただきたいと思います。 協業組織を育成し、助長することは、私は、行政としてやるべきことであると思います。しかし、さいふを一緒にしたり、共同経営につきまして、それを積極的に育成したり、あるいは結成を促したりすることは、どうも行政の限界を越えることにならないか。それはあくまで農家の自発性がなければ——農家は自分自身で農業をやることについては、きわめて熱心でありますけれども、完全にさいふを一つにして共同で農業をやるということは、なかなかむずかしいわけでございます。また事実、現在五千ほど協業経営ができておりますが、その大部分は部分共同であって、全面共同というのは数にして六%か七%しかございません。それもできては消え、できては消えるものが相当多くて、ステープルになっておるのは、数はそんなに多くないわけでございます。 そこで、私は、個別経営として伸びるものは、それはけっこうだし、伸びられないで、共同の力で伸びるのは、それはきわめて望ましいことでありますから、機械の共同利用を中心とした協業組織は、これはさいふは一緒でございませんから、また、いわゆる独立自営の気持ちの非常に強い農家にとっても受け入れやすいものでございますから、そこまでは育成あるいはそういうものが活動するように奨励することは、当然行政としてやるべきことだと思います。しかし、さいふを一つにして、農民が二戸なり十戸なり集まって、完全に共同経営をやるということを役所の力で奨励することは、これは非常にむずかしいばかりでなしに、どうも役所の仕事の限界をはずれることになるのじゃないかと私は思います。
○湯山委員 非常に大事なところなんですけれども、どうもうまく合わないので、繰り返しになって恐縮ですけれども、局長はさいふのほうから言われる。私はさいふからではなくて、土地から言いたいのです。さいふを共同にするのじゃなくて、土地を一緒に使っていく、ここが重要ではないかと思うのです。それができれば、あるいはさいふのほうはひとりでに一緒になるかもしれません。土地を共同で使っていく、土地の共同利用、これについては、そんなに力で、法律でそうしなければならないということを言わなくても、この零細経営をどう克服するかという課題の中では、そういう構想は当然あっていいと思うのです。ところが、それはあまり奨励なされない。そこで、どこか、山形ですか、共同経営するために、私たちは農業を廃業しますと、農業の廃業届けを出して、そして共同経営に移ったということも聞いております。というのは、いまのような共同経営というものを、さいふを一緒か土地を一緒か、とにかくそういうふうにやるのには、こういうふうにやればいいのだという幾つかのサンプルを示すとか、あるいはそれのうまくいったのをどんどん表彰するとか、そういうことについて特に便宜を供与するとか、そういった生まれやすい条件をつくる、そしてそれを指導する、こういうことをやらなければ、いまの状態で、ただ個人が土地を所得しただけで経営規模の拡大をはかっていく、それは限度はすぐくると思います。いままでの人がいろいろ質問なされた中にそういうことがありましたから、触れませんけれども、それでやろうたってなかなか容易なことじゃない。共同経営の中でこそ、あるいは土地が一緒になる、あるいはもっといってさいふまで一緒になれば、初めてそこから所得がどれだけというものがはっきりしてくる。その所得と一般の他産業の労働者の賃金の対応ということもよくわかってきます。ところが、ただ単に自立経営というだけで、それについて、米をつくればどう、野菜ではどう、果樹ではどうという安定した状態、それを完全につくっていないいまの状態では、ことしはたくさんもうかったけれども、来年はだめだ、スイカがことしはよかった、来年はだめだ、タマネギはことしよかったとか、そういう野菜も不安定だし、肉豚にしてもすでにどうも危険な状態になりかかっている。そういうことをずっと見ていきますと、むしろ協業経営こそが、対応する所得の比較もしやすいし、埋め合わせもしやすい、こういうことになるのじゃないだろうか。農家ですから、土地に対する執着の強いこともよくわかります。そう簡単に土地を共同化するということができるものではないということも、言えば言えないこともありませんけれども、無理のいかないような形で——世界のいろいろな例を調べてみますと、順次協業に移っていっている。初めはおっしゃったように部分協業から、土地を一緒に使う、土地に対する配当を初めは三〇%と見ておった。しかし、共同経営に対してうんと助成指導をしていった。そこで、その三〇%の土地に対する配当は一五%になり、五%になり、いまはそれはなくなって、ただ、その土地の配当なくして、共同経営で労働に応じた配分をしていって、それでけっこう他産業とつり合いのとれた農業を営んでいる。もちろん、それにはさっきおっしゃったように、非常に条件の悪い産地の農作物、それの買い上げ価格と平地とは違えています。そういったことを政府がやっていけば、共同経営の道はある。そしてむしろ、いまの零細な経営の日本の農業では、そういうことによって零細性を克服していく、こういうことはかなり力を入れて考えるべきことで、行政力の権限外だというようなものではないと思うのですが、議論でしょうか、どうでしょうか。
○大和田政府委員 どうもお話を伺っていて、私が協業経営と協業組織というふうに分けた中の、協業組織の中に、先生の言われる協業経営というものが相当入っているのかもわかりません。私は、相当厳密な意味でさいふを一つにするものを協業経営と言っておるわけでございますから、狭い意味の協業組織から狭い意味の協業経営の間に、いろいろな型のものがございまして、さいふは別だけれども、土地は共同で使うというような形も私はあり得るだろうと思います。また、そういう形につきまして、農地法等の関係で言えば、いままでは割合渋く農地法の運用をするたてまえであったようでありますけれども、私は、そういうものに対して、農地法をたてにとってそういうものが生まれることをあまりじゃまをしないということを、たしか国会でも申し上げた記憶があるわけでございます。しかし、私が申し上げているような、狭い意味でさいふを一つにするような協業経営、これを行政として育成することが適当かどうかという問題に限って申し上げますれば、私は、私が申し上げておることが正しいというふうに確信をいたしております。これは行政としてそこまで踏み出すことは、とてもできないというふうに思います。
○湯山委員 まあ確信をお持ちになっておる。確信を変えさせるということは容易なことではありませんから、何日かかるかわかりませんけれども、いま局長の言われたような、さいふを一つにする以前の段階ですね。そういうことがおのずからさいふを一つにするということにいく可能性は私はあると思うし、そこまでいかなければほんとうの協業経営というものにはならないだろうと思うのです。ですから、そういう経営になることが悪いというのじゃ局長もないと思うのですが、それは悪いのだ、自分の信念からいって、そんなのはだめだというお考えなのか、いまのように進めていけばそこにだんだんいく、こういうことなのか、それはどうなんでしょう。
○大和田政府委員 私は、先ほども申し上げておりますように、協業の助長という問題は大賛成なんです。決して個別経営だけを強くすればそれで日本の農業をやっていけるというふうには思いません。しかし、私が申し上げているような狭い意味で、さいふを完全に一つにしたような農業経営をつくることについて、役所が強力に働きかけるということは、これはなかなかむずかしい問題があろう。大きな機械を導入し、また三反歩区画で大きな圃場割りをして、そして機械の共同利用をすることを進めるということとは、私はどうも異質な問題があるのではないかと思います。したがいまして、特殊な例として、そういうことでなければ成り立ちがたいような場合もありましょうし、また特殊な地帯においてそういうことをやるということもあろうと思います。したがいまして、行政が、いわゆる協業経営の育成ということについても、全然ノータッチであるというふうにも私は強く言いませんけれども、大体の腹がまえとしては、農家が自発的に結びついて、そして自分たちの努力によって、政府がやることは法律的な、あるいは税制的な援護ということでありますけれども、農家が自発的に結びついて、そこでいい結果を出して、それがおのずと周辺に浸透するという形でなければ、どうもうまくいかない性質ではないかというふうに思います。
○湯山委員 食い違いの焦点が幾らかわかったような気がします。というのは、さいふを一つにするというのは、炊事も一緒にするんだ、それからもっとプライベートな生活も、共通面は共通にしていく、ですから映画を見に行くときには、その協業のそこからもらって行く、こういうことを言っているんじゃないのですよ。さいふを一つにするというのは、どうもことばはいいことばですけれども、誤解があるかもしれぬと思います。農業面だけで土地基盤を一緒に使っていく、それから労働はその基盤で労働していく、そしておいて、収穫についてはそれで配分をする、そこまでなんです。それから向こうまで申し上げておるわけではないのです。さいふを一つにするという意味は、いまの肥料なんかは共同の費用で購入する。それは、たとえば研究会なんかあるときには、共同経営の中から旅費をもらって行くのはあるでしょう。しかし、そういう協業なんです。生活も食べものも、今晩はみんな一緒に魚を食べる、次の朝は全部みそ汁、そんなことまで言っておるのじゃなくて、さいふを一つにするというのがそういう意味であれば、私はそうでない。つまり、農業の面で協業をしていく。これは局長の言われるように、道具を一つにすれば、当然基盤も一つにならなければ生産性が上がらないです。コンバインにしたって使えないし、大型トラクターも使えない。そうすれば、いまの土地を移動していって区画を大きくしていく。そしてそれでやっていく。収穫もまた同様にしてやる。売るのも共同販売していく。一緒に売っていく。自然に、そういう重要な段階の共同化というものが、おのずから私の言う意味の協業というものになってくる。そうなるのじゃないでしょうか。それなら、もっとそれに力を入れていいんじゃないでしょうか。それがどうも、私は根本的にそれはいかぬという信念を持っておると言われると、たいへんぐあいが悪いので、そういう意味でお尋ねしておるわけです。
○大和田政府委員 同じ協業経営ということばで、多少理解の幅が違うようでございますから、あるいは私の申し上げていることがおわかりにくいかと思いますけれども、私は、非常にぼんやりした、あんまり正確に規定しない協業、あるいは先生が頭に描かれているようなものも、その中に多少入るかもわかりませんけれども、協業経営について役所が全然ノータッチであるとか、行政として全然進めないというふうに申し上げているわけではございません。それは地帯により、また場所により、また場合によって、そういうことがあろうかと思います。協業の助長ということの内容として、機械の共同利用等については農林省はきわめて積極的で、大いにやるし、またやってその可能性もあるし、成功し得ると思いますけれども、農政の非常に大きな姿勢として、自立経営の育成と並んで協業経営の育成という形に打って出るには、協業経営の今後の運営について相当むずかしい問題があるのではないか。これは多少よけいなことで恐縮でございますけれども、たとえば自立経営の育成は非常にむずかしいから、協業経営の育成をすべきだとい、うふうにおっしゃる方々もおるわけでありますけれども、それでは自立経営の育成ということを放棄して、協業経営の育成ということで踏み出すとすれば、それはまたそれなりに非常にむずかしい。むしろ自立経営の育成あるいは個別経営の強化ということより、さらにむずかしい問題があろうかと思います。日本の農業についてよくする道は多様でありますから、別に一つの自立経営の育成ということに私は決してこだわっているわけでございません。しかし、現在の時点に立っての事柄の軽重あるいは問題のとらえ方からいうと、協業組織の育成ということをまず主眼にすべきであって、協業経営の育成ということは、私は、それを非常に厳密な意味ではさいふを一つにするという表現で申し上げましたけれども、それをつくることに非常に大きく踏み出すためには、まだ私たちの解決すべき問題は一ぱいあるのではないかというふうに思います。私は、繰り返して申し上げますけれども、協業経営の伸びることを望まないのでも反対であるのでも毛頭ございません。ただ、農政の接近のしかたとして、それを非常に強く打ち出すことは、どうもむずかしい問題があり過ぎるというふうに申し上げているわけであります。
○湯山委員 大体局長のお気持ちはわかりました。ただ、この法律にも、業務執行の方針はこれこれ、その中に、いまの農業生産法人についてこうと、つまり協業化の方向を指示しておられる。そこで、このことを特に重点的にお尋ねいたしました。局長の御答弁は、決して一方に偏するものではない、どちらも必要だけれども、現時点でその方向をすぐ強くやるということは困難性もある、しかし、将来考えなければならない問題だ、したがって、どちらに偏するというのではないけれども、この二つをそういう観点から進めていくというふうな御答弁と理解いたしまして、これで午前中の質問を終わることにいたします。
○中川委員長 午後一時に再開することとしまして、この際、暫時休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後一時十七分開議
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。中村時雄君。
○中村(時)委員 その前に、委員長に申し入れておきますけれども、この委員会の数は申しません。しかし、こういう事態がいつも常日ごろ行なわれるということになれば、これはいつの日にか、やはり国会法に照らして追及しなくちゃならぬという状態が行なわれてくるであろうと思う。だから、きょうは私は申しませんけれども、特にまた時間の制限が一時から二時までということに、農林大臣に対してなっておりますが、事実は、もうすでに一時十八分、一時間だから、十八分というものは、いずれまたこれは保留というかっこうになるだろうと思いますから、その点お含みの上で、私は質疑をやっていきたいというように思っておりますが、委員長、いかがでございましょうか。
○中川委員長 承知しました。注意します。
○中村(時)委員 まず第一に、農林大臣にお尋ねしたいのは、農基法とこの農地管理事業団との関連性、これはどういう考え方からこういうふうに考え方をまとめていらっしゃったのかをお尋ねするわけです。
○坂田国務大臣 農業構造改善の問題と農地の問題は、密接不離の関係にありますので、それを自然に放置しておくということでは、十分その目的は達成されない。しかし、年々七万五千町歩程度、また将来の傾向を見ると、それがだんだんふえるという傾向もありますので、その移動というものをでき得る限り合理的な経営の方向に持っていきたいということからくるわけでございまして、これは当然さような結びつきと申すか、関連性を持ってこなければならぬ、こう考えておるわけでございます。
○中村(時)委員 いまおっしゃったように、構造改善とこの事業団というものは、農地の移動に伴って、非常な関連性を持つ、こういう見解がはっきりされたわけですが、農基法と構造改善という問題が取り上げられたその当時においては、私はこう解釈しているのです。たとえば農基法を出されるときには、いままでの農業政策の基本として、これは大臣も御存じのように、農地と労働と資本、この三つがいろいろな形で錯綜をしてくるわけなんですが、そのうちの労働の条件が、いままでは人力労働を基礎にしておったものが、機械化労働という大きな転換期にあたって、その機械化労働というものが投下労働に変わってくる。そこで、一つの経営規模という問題を農地の問題として取り上げてこざるを得ない。それをバックアップする占めに、どういう金繰りをやっていくか、そういうふうに私は解釈しておる。そういうたてまえから、私は、農基法と構造改善との関連性が生まれてきたものだ、かように解釈しておる。そこで、構造改善がもし私の考えていることが当を得ているとするなれば、構造改善と今度はもう一つのいまの農地事業団の問題が、ここで初めて関連性を持ってあらわれてくる、このように解釈しておるわけですが、いかがですか。
○坂田国務大臣 いま申された点について、はっきりとは私もいま了解しかねておる点もありますが、大体の大筋から申しまして、構造改善とこの農地事業団との関連は、さような関連にあるかと思います。
○中村(時)委員 了解しがたいという点が多々あるとおっしゃいますが、了解をしがたいという点は、これは非常に重要な問題が出てくる。たとえば日本の農業政策が小農方式をとっていこうとするのか、あるいは大農方式をとっていこうとするのか、あるいは一般にいわれるアジア的停滞性といいますか、とにかく中農主義をとろうとしておられるのか、そこらのところの大臣自身の考えはどういうふうになっているのですか、おそらく私は、あなたが了解しがたいところもあるとおっしゃるのは、非常に基本的な点がその中に含まれてくると思うので、その点はやはり明確にしておいていただきたいと思う。
○坂田国務大臣 日本の農業が現在小農的に進んでおるわけでございます。これはまた、農地事業団の構想も、構造改善にいたしましても、やはり世界の農業全般と比較いたしましたときには、小農の方向であると思います。ただ問題は、小農であるにしても、経営の面においてもいかにも不十分であるという点がありますので、でき得る限り自立農業をつくろうということでございまして、いま大体目ざしているところは、やはり範疇からいえば、小農経営の範疇であると思います。ただし、日本の状態といたしましても、私は常に申しておるとおり、地方の実態によってその点は違ってくることは当然でありまして、北海道等の北部のほうになりますと、またその北部においても畑地帯ということになりますと、外国の大農というところまでいかぬにしても、相当大きな経営になる、こう思います。それから瀬戸内海その他いわゆる経済の発展の地帯というところになりますと、やはり大きな経営は成立しない、こういうことを私は確信を持って申し上げることができると思いますので、日本の国内においても、それらの問題をよく吟味いたしますと、さような相違があるとは思います。しかし、全般を通じて申しますならば、この事業団といたしましては、でき得る限り、いわゆる小農の範疇に属するのでありましょうけれども、いわゆる独立、いわゆる自立経営という問題、それは個人的であろうと協業であろうと、そういう方向に進んでいこうと、こう考えておるわけでございます。
○中村(時)委員 非常に抽象論になっているのですが、小農方式というものは、たとえば土地所有という面からくる小農のことを考えていらっしゃるのか、あるいは企業形態としての所得という面から小農方式を考えているのか、あるいはそれを援助する金融機構の中から小農経営としての規模別を考えていらっしゃるのか、いろいろな観点があるので、あなたの言っていらっしゃる小農主義というのは、北海道の土地のどこらがどうとかいうことで、さっぱりわけがわからないのだが、そのことを追及してみたってしょうがない。しかし、これは非常に基本的な問題なので、農林当局と十分打ち合わせをして、小農方式の定義は、一体何を求めているのかということだげの明確な線だけは持っておっていただきたい、これを要望しておきます。 それから、いまおっしゃったところではっきりしてきたのは、農基法に基づくところの構造改善である、それから農地事業団とも一連の関連性がある。一連というよりも、全面関連性があるというお答えなのでございますが、現在の構造改善事業のいままでの経過並びにその成果、それをどのように評価をしていらっしゃるか、お導ねしたい。
○坂田国務大臣 この構造改善事業については、現在農業基本法においても、一応この問題は重要な施策として進めておるわけでございますが、もちろん、この一つは、経営のいろいろの様式、と申しますと、労働力の減少する時代であっても、なおかつでき得る限り生産を増強する必要がありますので、そういう意味からして、この経営規模という問題をそれにあわせて改善していくということが一つだと思います。一つには、これは完全に構造改善とはいえませんが、非常に関連の深いという意味において、選択的生産を進めていくこと、こういうことになると思うのであります。ただ、いずれにいたしましても、これは土地にも関係いたしますけれども、この問題は、いわゆる上地面積という問題に関連する場合もあり、またところによりましては、資本構成という点に大きくかかってくるところもございます。それはいろいろな事態があると思います。
○中村(時)委員 私の聞いているのは、その関連性はどこにあるかと聞くのなれば、あなたの御答弁でけっこう。私の聞いたのは、構造改善事業の当初の目的と、その現在に至る間の効果率はどうなっているかということをお聞きしたので、その効果は非常にあがっているとあなたはお考えになっているのか、効果は十分でなかったと言っていらっしゃるのか、それをお聞きしている。問題のポイントの取り上げ方を十分把握した結果において御答弁願いたいと思う。わからなかったらいいですから、農地局長に聞いて、よく御相談の上で御答弁願ってもけっこうです。
○坂田国務大臣 構造改善事業のいわゆる効果というものは大体あがっておると思います。しかしながら、農業の改革というものは、現実問題としてはなかなかそう急激にいけるものではないのでございます。そこで、いろいろな問題が、そういう方向に進む際において、あまりに急であるというときには、その事業が予定どおり進まぬ場合もある。こういうことは、これは明らかであります。さようなことから、昨年の暮れ以来、構造改善の実績というものを特別に調査してみようということで、調査をいたしたわけでございます。中には、やはり失敗と申すのか、十分その目的を達成し得ないものもあったわけでございますけれども、大部分は所期の目的に向かって進んでおるというふうに私は見ておる。また、調査の結果もさように相なっておるということを申し上げておきます。
○中村(時)委員 それじゃ農地局長に一言尋ねたいのだけれども、そういうふうに所期の目的に十分前進しておる、そうおっしゃる。私は逆の見方をしているのです。所期の目的に非常に足踏みをしておるというふうに見るのがほんとうではないか。その結果が、農地管理事業団も前向きに大幅に広げていって、打ち立てていかなければならぬという、苦しい立場に追い込まれたんじゃないか、こう思っている。そこで、いまの大臣のお話からくれば、厳密にそれではどの地区はどうだ、この地区はどうだというところのことは、いずれ事務当局と話し合いをしてみたいと思っていますが、一体農地局長は、そのような所期の目的あるいは目標をきめてやっていらっしゃるのだが、大体そのとおりに進んでいるのかどうか。
○横尾説明員 先ほど大臣からもお答えを申し上げましたが、昨年の九月に、三十七年度、三十八年度に事業に着手いたしました地域及びパイロット地域を含めまして、三百十七地域につきまして調査を実施いたしたわけでございます。したがいまして、その調査の内容も含めまして、御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。 御承知のように、三十六年度から事業が始まりまして、現在まで、実施地域は四十一年度の予定地域を含めますと約千五百になります。それから計画地域は約二千五百という段階に至っております。いままでの事業の実施の過程から見ますと、当初、新しい事業でもあるというようなこともございまして、問題がなかったわけではございませんけれども、近年におきましてはほぼ軌道に乗りまして、大体において順調に進んでおるのではないかというふうに考えておるわけでございます。これは申し上げるまでもございませんけれども、農基法に即して申しますならば、農基法の第四章に、農業構造の改善等につきまして一章が設けられておるわけでございますが、土地の流動化あるいは経営規模の拡大、農地管理事業団等を通ずるそういった施策のほかに、二十一条におきまして、農業生産の基盤の整備、開発あるいは農業経営の近代化のための施設の導入等、構造改善に資するための事業をやる、こういうことで、構造改善に資するための事業の一環として、一部としてやっておるというたてまえでございますので、そういうたてまえから見まするならば、今日までの実施過程からしまして、ほぼ順調に進んでおるのではないかというふうに考えるわけでござます。 で、先ほども申し上げましたが、昨年の九月にやりました調査の結果に即して申し上げますと、総括といたしましては、事業を実施してよかった点としましては、土地基盤整備が促進され、近代的農業経営の基盤が確立され、労働の節約、作業の能率化、婦人労働の軽減がはかられた、あるいはまたこの事業を通じまして農家の協調性、共同意識が高まり、協業組織等が相当に確立されたというようなことで、全体としましては、この事業が相当に高く評価されるということで、実施地区にかかります農家の評判としても、ほとんどの農家が満足しておるという地区が大部分、八割程度になっておる、こういう状況でございますので、問題のある地区もございますが、これにつきましては、今後その地区の経営管理指導に力を入れますと同時に、いままでやってきた事業の方向をさらに強化しつつ、実施をしてまいりたい、こういうつもりで考えております。
○中村(時)委員 だいぶてまえみそを並べていらっしゃるけれども、問題のなかった地区のところがもっと重大な問題を多分に含んでいる。しかもその地域は、果樹地帯と平たん地帯と山林地帯と、そのおのおのによって特殊性があって、いろいろ違うのです。そのくらいのことは全部わかっている。果樹地帯にはある程度の効果があらわれていることもよく認めております。しかし、認められない地帯というものを摘発すれば、非常に問題がたくさん含まれておる。そういう点は十分覚悟して、てまえみそでなくして、そういうような実態が大事なことなんです。 そこで、お尋ねしたいのは、先ほどから言っているように、自立経営ということをおっしゃったが、あるいは協業化を助長するということをおっしゃったが、一体その自立経営というものと協業化というものと、どちらにウエートがあるのか、お尋ねをしておきたい。
○坂田国務大臣 これはやはりでき得る限り自立経営というものを育成してまいりたいということを念願しておるわけであります。ただし、それだけではないことは、これはもうすでに御存じであろうと思うので、つけ加えて言う必要はなかろうと思いますが、やはり協業も必要であり、共同も必要であるということでございまして、黒であるから白、白であるから黒、そういうことでなしに、もう少し大まかに包含してまいりたい。つまり、農村の実情に即応して進展させようとするときには、さように考えていかざるを得ないのでございます。
○中村(時)委員 そんなむずかしい、あなた、わかったようなわからないような答弁をするよりも、法案の内容からいったら、自立経営が主体になっているということははっきりしているじゃないですか。それを問い詰められると困るからとか、いろいろなことを考える必要はないと思う。そして協業化は助長すると法文にはちゃんとうたってある。そうでしょう。片一方は育成するとうたってある。片一方では助長するとうたってある。意味が違うんですよ、育成と助長は。しかし、そういうことを言っておってもしようがないから、次に進めていきたいと思います。しかし、そういうところはとらわれずに十分御配慮を願って御答弁願いたい。知らぬ人間を相手にしているんじゃないということをよく御承知の上で、御答弁願いたいと思います。 そこで、あなたのおっしゃる自立経営というものは、企業形態という考え方を持った自立経営を考えていらっしゃるのか、そこのところを明確にしておいていただきたい。
○坂田国務大臣 これはできればそういう方向に進みたいと思いますが、小農の現在の状態においては、おのずとその点においての違いはあると思います。
○中村(時)委員 これはそういうことに考えていきたいけれども、おのずから違いがあるとおっしゃいますが、それは企業形態に基づいて問題の解決を社会的にはかろうとするなれば、一体どこに違いがあるのか。
○坂田国務大臣 つまり、いまの問題をもう少し明確にひとつ御質問を願いたいと思うのですが、私にはちょっと……。
○中村(時)委員 企業形態にするということは、ある程度の余剰利潤というものが考えられるわけなんです。御承知のとおりです。そこで、余剰利潤を考えるという意味において、はたしていまの自立経営のかっこうの行き方をとっておって、農業経営が一般の他産業における経営と同等の立場がとり得るような条件を備えるような行き方がとれるかどうか。
○坂田国務大臣 いま中村委員の言われた方向に進みたいと思うのでございますが、これは現状においてはさようにはいきかねるというふうに考えておるわけでございます。
○中村(時)委員 そうしますと、先ほど言ったように、企業形態にするといったって、農業経営というものは、たとえば労働なら労働一つとってみましょうか。労働をとるときに、一体一般の所得を幾らに目標を置くか、たとえば七十万なら七十万に年所得という考え方を持つ。そうすると、農村においては粗収入が少なくとも百万円要るわけです。そうでないと拮抗しないという行き方になっている。そうすると、百万円の粗収入をとろうとするなれば、その中から割り出されたものがたとえば二町五反であるとか、あるいは三町であるというふうなものが、所有面積として土地所有の問題から生まれてくる、こういうかっこうになっている。そうすると、その土地所有がたとえば二町五反とすれば、その中における労働投下というものがどういう形になってあらわれるてくるか、その労働投下と実際の都市の一つの均衡を考えるならば、一般における労働者の生活水準がどのような形で、どういう変化があって、どういう質的な内容が違うんだということが生まれてくるわけでしょう。そこで、労働の条件一つでもいいですから、あなたが、実際の農業経営が企業形態として取り上げられる場合には、労働なら労働に焦点をしぼっても、どこの労働をどういうふうに直していけばいいんだというお考えがあるかどうか、これは基本的な非常に重要な問題です。そういう総合的な感覚が打ち出されない限り、口先でどういうふうに価格政策をとろうと、流通機構をとろうと、ほんとうの解決にはならぬということは、あなた自身が一番よくおわかりだと思う。そういう立場に立って一つの——それじゃ焦点を農業労働に合わしてみましょう。いまの農業の経営を一般の企業形態に持っていくためにはどうすればいいのか、その点をお聞きしておきたい。
○坂田国務大臣 これはそういう方向に進んでまいりたいとは思うのでございますが、現状からいきますと、そうはいきかねるという現状と、そこへ進むべき方向とを同時に考えておる私としては、さようにお答えするよりほかにないのでございます。
○中村(時)委員 大臣、そんなことはないですよ。考えてごらんなさい。それではもっと具体的にいきましょうか。一般に労賃を得ている者が年収七十万円と仮定しますか。そして片一方で、大体百万円の粗収入を得るために、やはり所有農地が二町五反と仮定しますか。そうした場合に、農業の投下労働というものは、一応五人家族のうちの三人が労働量を持っておると仮定します。ところが、都市におきましては、一ないし一・五くらいのものが労働に従事する、その役割りとみなしていきますか。一・五という問題は、都市においては年功序列をやっておる。そうすると、これは将来はだんだん減っていくわけです。ところが、農村においては家族労働としての取り上げ方をするから、その三人家族はいつまでたっても三人の投下労働量として生まれてくる。そこに労働の量としても大きな変化が生まれてくる。一つの希望じゃありません。収支が決定されていった一つの方向が、三人労働というワク内に押し込まれてしまうわけなんです。そうすると、実際に三対一あるいは三対一・五という労働投下になって、実際の所得の面において同じ七十万円であっても、形の変わった行き方になってくる。その結果が、あなたのおっしゃる協業という姿の中からその一部を引っ裂いて、そして一つのプラスアルファを農家につけようという考え方も生まれてくるであろうし、あるいはまたそのことが解決されない限りにおいては、御承知のとおりに、兼業農家という形がふえてくる状態も生まれてくる。あるいはよくいわれている農家に嫁が来ないというのも、都市の勤労者へ嫁に行けば、最初は苦しくても将来は楽になっていくだろうという夢と希望が生まれてくる。ところが、農村にとついでいったら、終身労働というかっこうが生まれてくる。そういうような欠陥が多々生まれてくるだろうということを私は考えておるわけです。いまのような状態ですから、欠陥は欠陥でけっこうですが、そういう問題の解決点をどういうふうに求めていくかということによって、それをどのような方式でどう直していくか、そこに農業政策の基本がなければほんとうの姿が生まれてこないであろうということを私は考えておるわけです。その点どうなんですか。
○坂田国務大臣 その点は、私もそう申しておるのであって、現状はそうはいかぬということをはっきり申しておるわけでございます。しかし、向かうところはそういう方向に向かって、政策といたしましても努力を進めてまいる、こういうことでございます。
○中村(時)委員 いや、それはよくわかっておるのです。現状はそうでないというその規定は、事実として私たちも受け取っておるわけです。しかし、それを直さぬ限り、そこに一つの希望がない限りは、なかなか思うように進まないのです。そうでしょう。だから、その希望を持たすためには、一体どういうような農家労働政策を考えておるか。いまのところ何もないのなら何もないとはっきりしてみたらどうです。
○坂田国務大臣 いま現実にそれがなかなか実現できないということを申しておるのでありまして、方向としてはそういう方向に向かって努力を進めておる、こういうことでございます。
○中村(時)委員 努力をしておるというその努力というのが、方向としてはそれは正しいのだとおっしゃるなら、その方向というものはどういう方向を示しているかということを明示されるのが大事なんです。それがなかったら何にもないということですよ。だから、労働政策としてどういうふうな方向をとっていらっしゃるかです。
○坂田国務大臣 この問題は、農業基本法にもうたっておりますとおり、一言で申しますならば、労働の生産性を上げるということであります。いままで日本の農業は——これは中村委員がよく存じておるのに、こういうことを申しては恐縮でございますが、いままでは土地生産力が非常に強い、これはもうそのとおりであります。ただ、労働生産性が非常に低い。こういうところに日本の農業として進むべき大きな方向があるのでありますから、農業基本法のほうは、もちろん、土地生産力をも上げることの重要性は、これはひいては労働生産性の向上にもなることでありますから、これも度外視することはいけないことでありますが、一言で言うと、そういういろいろの点を包含いたしまして、労働生産性を上げるということに帰着すると思うのでございます。
○中村(時)委員 だから、労働生産性を上げるために、どういうような施策方針があるかということを聞いておるのです。あなたに言っても、大臣としてのメンツもあれば、あるいは農林省としての立場もあるから何ですが、私はおそらく具体的な問題の取っ組み方はしていないと思う。しかし、これは将来の大きな問題ですから、ここで追及はいたしませんけれども、十分御配慮の上で、やはり農林政策を立てるその一環としての農業労働政策の一つの方針の打ち出し方だけは明確に考えておいていただきたい、これは希望です。 それから次に、離農者に対する問題ですが、少なくともいまの農地管理事業団を実施させるにあたりまして、私は二つの考え方がある。一つは、こういう考え方が出てくる。現在四百町村に対して利子三分で三十年間という基本原則を打ち立ててやっていらっしゃる。ところが、前は百町村だったですか、それがいつの間にか消えて、これは見方によって違いますけれども、現在は四百町村に拡大されてきた。私は逆説的に考えれば、少なくとも五十カ町村でもけっこうだと思う。一つのパイロットファーム的なものをもって、政府が全責任を持って、一つの農業経営形態のあり方、要するに、あなたが考えていらっしゃる小農経営から大農経営に移行する一つのモデルケースをどのような形でとるか、そういう事柄はだれが責任をとるのかということを明確にしておいて、そういったパイロットファームを地域的に明確にしておいてやってみる考え方があったのかなかったのか、また、大臣はそういう考え方に対していいと思うのか、悪いと思うのか、そういう点を明確にしておいていただきたい。
○坂田国務大臣 今度の農地管理事業団の昨年の案は百のパイロットでいったわけでありますが、その点、今年は、これに対する理解が十分行き渡ってまいりましたので、現在のように四百町村、できれば地方の農村らしい農村を全部包含して進めていこう、こういうことでございます。そういう点において、この事業団の行き方としては、これは現実に行なわれておるものをでき得る限りその方向に土地の移動を持っていくように助成をしてまいりたいということでございますので、先ほどお話しのような離農を積極的に進めるという問題とは切り離して考えていきたい、こう考えておるわけでございます。
○中村(時)委員 私は、農家の実態からいいまして、やはり農家というものは、いまの最低の生活を云々しておるわけなんです。そこへ助成金にしろわずかなものをもらって——金がないためにいま苦しんでおるから、俗世間的なことばで言えば、エビでタイをつるといいますか、それに飛びついてくるのが構造改善の一つの基本であったと思うのです。それと同じように、一つの問題がそこで確立されて、なるほどこれはいいんだとなれば、いかなる団体にしても農業に従事する者にしても、これは是なりという考え方があるなら、当然急速に進むものだと私は考えておるのです。ところが、逆説的に私の言うような考え方で進めて持っていけば、いまあなたのおっしゃることは逆になるわけですね。いまの四百町村を六百にしたい、八百にしたいということになれば、実は反対のことになっていくわけです。もし間違った場合には、私は、その危険率が非常に大きくなってくると思う。そういう点に関して一体農林大臣は——ここの委員会でどうとかこうとかいう問題ではない。あなた自身が考えている農業政策の基本は、一体どこに持っているのだという考え方にもしまいには落ち着きそうになってくるので、私はこれ以上追及はしませんけれども、やはり農村自身の前にモデルはこうなんだという行き方をとるべき筋合いが私は残されておったと思うのだが、その点に対するお考えはどうかを聞いているのです。
○坂田国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございます。私がいま申しましたことは、ずっと自分の主張を申しておるのでございますが、現実問題と離れるわけにはいかない。いわゆる政治は現実問題と離れるわけにはいきませんので、いかにしてそういうものを多くのものにいたさしめるかという現実問題があるわけであります。そこで、これらの問題は、農業政策だけでこれをやり得るものでもないのでありまして、人口、食糧、就職の問題からすべてにわたって、非常に大きな問題に関連していくことでありますので、それらの大きな問題と関連して考えなければならぬ、そういうことである。したがって、農業の問題はどこの国においても、理想を掲げていくのはもちろんいいけれども、現実と離れてそれをやりますときには、逆に恐怖感を引き起こすようなことさえあるわけでございます。つまり、経営を大きくするのだ、それは非常に大きくしてしまう、そうすると、いままでやっておる農村の人が、われわれは一体どうするのだ、こういう大きな問題にも逢着するというようなわけでございまして、理論的にいろいろのことを言っておればいいというのではなくて、ほんとうに真剣に農村がどうしたらよくいくかという問題を考えていく関係がありますだけに、その問題はそう簡単ではない。やはり相当の年数を経べきものであることは言うまでもない、こう私は思うのでございます。
○中村(時)委員 あなたの御答弁を聞いておると、逆なんですよ。みんなに聞いてごらんなさい。たとえば離農していく者に対して就職が云々だとか、ついでにそうなったら技術の習得であるとか、あるいは社会保障であるとか、そういう広範な問題まで云々されるのだ、こうおっしゃる。私の言っているのは、パイロットファームをかりにつくってみる。その一つの問題に対して全責任を政府がとるということは、農地の取得の問題にしても、あるいはいま言った技術の習得の問題にしても、あるいは離農対策にしても、そういう事柄を並行的に進めておって、政府が責任を持つということなんです。それさえできれば、ほかの方々はばく然たる考えでなくして、なるほど政府がこうしてくださるならば、私たちのところもこうなるのだろうというふうに、はるかに集約されてくる。あなたのことばを聞いておると、だんだんばく然としてしまう。あなたの御風貌がばく然としておるから、お考え方までそうなるのかもしれませんけれども、そこらのところは、自分自身がよく問いと答えというもののレールをきちっと考えてやっていただきたい、こう思う。しかし、これ以上深くこれもまた追及はいたしませんけれども、よほど慎重にやっていただかないと、私たちは基本的にこれに賛成だと言いながら、あなたの御答弁を聞いておると、反対せざるを得ないような質問がどんどん出そうでありますので、一応ここでこの問題は打ち切ります。 次に、お尋ねしておきたいのは、この取得の問題であります。現在おそらくあっせんあるいは先買い、そういうようないろいろな問題が中心になって、この事業団の骨子になってくるわけですが、その場合に、たとえばあなたのおっしゃっておる、日本はいま小農主義的な感覚だ、それは、私は、土地所有の問題からいっていらっしゃると、自分ながらに解釈しておきましょう。そこで、土地所有が非常に小農主義の行き方をとっていて、その小農のあり方の中で、今度は経営規模を拡大しようというのですから、おそらく、実際に困っている小農が、大きく経営規模を拡大するために、農地管理事業団を通じて土地の取得にやっていきたいという希望はあっても、私は、これこそ現実には不可能に近いのじゃないかと思う。逆に中農あるいは富農といいますか、土地所有の大きなところから、たとえば一町五反歩持っておるならば、五反歩だけほしいのだというような方法で、所有されていく者の階層の一定の限度がきまってきて、その結果が階層分化の方向をとっていくような危険性すらあると私は考えるのですが、この点に関してどうですか。——わかりやすく言いましたら、私がかりに一町五反持っている。農林大臣が三反持っていらっしゃる。そのときに、あなたが今度はわしは二町歩にしたいのだと言っても、自分の自己資金から考えてみて、とうていそこは不可能に近いという問題が出てくるのではないか。だから、この人たちが購入するというわけにはいかないでしょう。しかも今度は農協なら農協というものがあると、順位がだんだんわかってきます。顔の問題も出てくるでしょう。そういうととは別にして、大体一町五反くらいある、あと一町くらいやればちょうどよくなりはせぬかという考え方が常識的に生まれてくるわけなんです。そうすると、それを取得するものは一つの階層だけにわたってしまって、ある一部の農家ではそれが取得ができないというかっこうが現実的には生まれはしないだろうか。その結果が階層分化の方向をとりはしないかというおそれすらあるのじゃないかということなんです。もっと言いかえてみましょうか。もっと言いかえましたら、非常に小さなところの小農はなるべくそのままにしておこう。いま民主主義だから、これを切り捨てるわけにはいかないのだ。切り捨てということになれば問題が起こる。だから、それはそのままにしておいて、それから中農以上のものの所得をふやしてやろう。これは西ドイツのように明確にしているところもありますけれども、それを何とかごまかしてやってみようじゃないかという考え方、そういうお考えがなくても、現実の問題としては、そういう行き方が成り立ってくるんじゃないかということを私はお尋ねしている。
○坂田国務大臣 この問題は、やはり人間本位で行くべきだと思います。つまり、農業を続けるかどうか、あと継ぎがそれをずっとやっていくかどうか、こういう人間本位にきめるよりほかはなかろうと思う。そうでないと、それはたいへんな問題です。
○中村(時)委員 あなた、人間本位といっても、人間の見方の尺度をどうやってとられるのか。あなたは非常におもしろい新発表をされたのですが、その新発表の裏づけになる人間本位というのは、人間の能力の問題もあれば、資産の問題もあれば、あらゆるものがあると思う。最近佐藤さんが人間開発なんということを言っていらっしゃるから、それに飛んだのかもしれませんが、一体何を標準にそんなことを考えますか。それは新語で、私は非常に興味深い考えだと思うのですよ。一体どういう基準でそれを考えられますか。
○坂田国務大臣 それは村へ行ってもすぐわかるので、おやじが一生懸命で農業をやって、むすこも農業をずっと進めていこう、こういう農家をでき得る限り進めていくべきものであって、いかに機構がどうのなんと言っても、ほんとうにやるのは人間なんだから、それがうまくいかないものにどうしようたってしょうがないので、それはやはり当然人間本位でやるべきものであると考えます。
○中村(時)委員 こだわり過ぎても困るのですけれども、人間本位という問題じゃないのですよ。それはやっぱりその人の能力ですよ。しいて人間と言うならば、経営ができるかどうかという能力がその基本になる。だから、あなたのおっしゃることがさっぱりわからぬようになってしまう。たとえば、わからないようになるという現実を出してみましょうか。三十年間で三分の利子というのでしょう。三十年間ということになれば、二代にわたりますよ。二代にわたって農業経営をやるといっても、いまのような経済の変動の激しいときに、はたしてその子供の——あなた、自分の子供の生活すらはっきりつかめますか。その二代にわたるところの問題をひっさげて、ほんとうにこの人は百姓ができるのだ、このおやじにまかしておけばむすこも大丈夫なんだというわけにはいかないでしょう。だから、あなたのおっしゃることは能力の問題だと私は思っている。そう解釈していいのですか。 重要な点が多々あるので、これはぜひとも継続を委員長にお願いしておきたい。時間もすでに過ぎましたので、一応これでおさめておきます。 最後の質問の問題は、いずれ人間形成の問題として出てくると思いますが、私はそういうようなとらえ方で考えておる。それで大臣のほうはどういうようにお考えになっておるか。
○坂田国務大臣 中村委員の言われたことも何も間違いがないので、人間本位ということには能力が一番大事なんで、それはもうそう一つのことにこだわらずに、ほんとうに人間本位でこれはやるべきものであるということを私は確信しております。
○中村(時)委員 それじゃいま言ったように、土地を買う力もない、ただし、熱意だけは農業をやりたい。売れますか。——売れないでしょう。だから、そう簡単に、あなたのおっしゃるように、人間本位とか熱意だとか、そういう抽象論でこの問題は片づけられないものなんです。これは現実の経済機構としてどう片づけていくかということが大事なんであって、だから、そういう点は、次期に私は質問を保留いたします。
○中川委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時散会