農林水産委員会 第7号
- 発言数
- 128 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/02/23
会議録
○中川委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 前会に引き続いて質疑を続行いたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。西宮弘君。
○西宮委員 若干の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、実は私はかつて農林委におりまして、その後しばらく、二、三年留守にいたしておりまして、出戻りなわけであります。したがって、最近の事情にはなはだうとくなってしまいましたので、そういう点について、いろいろお尋ねしたいと思いますので、ほんとうにイロハに属する基本的な問題が多いかと思いますが、そういう点は先輩あるいは同僚の委員の皆さんには御迷惑かもしれませんが、しばらくお許しを願いたいと思います。 そこで、私はいままでよそに参っておりまして、よそから見ておりました農林行政、そういうものを考えてみますと、農林行政は何となく目標というか、そういうものがはっきりしない、いわゆる混迷を続けておる、こういう点が他の行政に比べて最もひどいのではないか、つまり、何となく目標がはっきりしない、どうしたらいいんだというようなことが歯切れのいい言い方ができない、こういう面が他の行政に比べて特に顕著ではないかという感じがするわけであります。たとえば、ことしは国の政策全体としても、いわゆる社会開発の中で、住宅政策というのを取り上げておるようですが、これなども一世帯一住宅というようなことで、何年までにどうするんだというようなことがかなり明白になっておるわけです。もちろん、予算の規模で左右される点はたくさんありましょうけれども、とにかくそういう目標は目標として非常にはっきりしているように思うのであります。それに比べると、どうも農林行政というのは、いま申し上げたように、混迷の度が強いのではないか。たとえば食糧増産というようなことは、やるのかやらないのか——やるのかやらないのかという言い方はおかしいかもしれませんが、やることはやりましょうけれども、たとえば選択的拡大というような問題と並べて議論する場合には、どっちにウエートがあるんだというような問題等もはっきりしないようであります。あるいは自立農家を育成するというのであるか、あるいは現在の零細農家ないしは兼業農家、そういうものまで含めての農家の所得を引き上げる、そういういわゆる農家所得を引き上げることをねらいにしておるのであるかどうかというような問題、あるいはまた構造政策と価格政策というのがその間で行ったり来たりしておるというような問題がある。あるいは現実の労働力が非常な勢いで農村から流出しておる。そういうのに対して、これは大いにけっこうなことだといって、ますますその勢いが助長されることを期待しているのか、あるいはそれともこれでは困るということで、何かこれを防ごうという態度であるのかどうか、そういったようなことをいろいろ考えてみますと、何となくはっきりしない。人に聞かれても、明確にどんぴしゃりで答えられないというような問題が多い点は、農林行政が最もその傾向が強いのではないかということを、私はよそにおりまして痛感してまいったわけです。したがって、きょうはイロハで失礼でありますが、まず、そういう点からお尋ねをしてみたいと思うのであります。 そこで、第一にお尋ねしたいのは、いわゆる食糧増産の問題であります。これは私も、いま申し上げたような立場から、ぜひこの点をお聞きしたいと思っておったのでございますが、はしなくもこの前の委員会で、私どもの同僚松井委員がこの問題についてお尋ねをいたしました。しかし、私は、このことをもう少し掘り下げてお聞きをしたいと思うのであります。すなわち、昨年の十月二十二日でありましたか、農林省では幹部会を開いて統一見解を発表された。そこでいわゆる食糧増産ということを大きな看板にされたわけであります。このことを報道いたしました日本農業新聞では、これは農林行政の質的変化か、こういう大きな見出しで報道しておるわけです。私は、この日本農業新聞の——一つの新聞ではありますが、とにかく専門紙が大きな見出して、農林行政の質的変化かというふうに取り上げておることは、やはりそれなりの理由があると思うのであります。私は、そこでこのいわゆる食糧増産を今回大きく取り上げてきたということは、農林行政にとっては、いわば質的な変化を意味するのかどうかということをまずお尋ねしたい。
○坂田国務大臣 西宮さんからいろいろの御質問があったわけでございますが、その前段としてのなには、あるいはお答えは別にしなくてもいいのかもしれませんが、農政に関しまして、いろいろはっきりしないじゃないかというお話でございますが、確かに、昭和三十年前後から、非常にいろいろな意味において変わってきております。したがって、それらに対処してどういう方向に進むかということは、これは非常に検討を加えましたことは御存じのとおりでございます。農政の方向としては、農業基本法をつくって、農業基本法の線に沿って進む、こういう方向をはっきり出しておるわけでございます。ただ、工業のように、それがたとえば一つの工場を建てるとすれば、資金を持っていろいろのことをやれば、すぐ——すぐというわけにもいきませんが、わりあいはっきり建っていくというのと違って、農業の場合は、その程度が、どこにいくかという、そういういわゆる方向等ははっきりそこできめて進んでおるわけでございますが、それに対して対応していく姿というものが、農業の特質上、いろいろそこに、あるいは見る人によっては、はっきりしておるように見る人もおりましょうし、いろいろありましょうが、そういうふうに感じられるということもあるのじゃないか、私もそう思うのであります。 そこで、いま御質問の食糧の増産の問題でございますが、これは別に従来の方針を変えておるわけでもなければ、別に農政の質を変えたというわけでもございません。ただ、昨年は非常に気象の異変がありまして、天明以来の凶作、いわゆる冷害にあうのじゃないかということが国をあげて心配されましたのは、御了承のとおりでございまして、それに対応して、この冷害対策、異常気象に対する対策というものに、農林省はもちろん、各県とも、また農民自身も、非常に力を注いだ、そういうことがございます。ただ、従来のように、米にいたしましても、一人当たりの消費量はわずかながら減っておりますけれども、人口増、それから加工品の増ということがございますので、相変わらず需要の増。それから生産は、反収がやや減少の傾向を二、三年見ておる。それも異常気象ということも大きな原因であり、あるいは第二種兼業の増加といったような問題も原因しておるであろうと思うのでございますが、そういう関係がありますので、食糧の、いわゆる米の増産というものについて、特にひとつ力を入れなければなるまい、こういうことに農林省としても一生懸命力を入れる方向にいっておるわけでございまして、少しもそういう質的な変更ということはございません。食糧の自給というものができ得る限り——それは非常な無理をしてというのじゃなく、食糧の自給が可能であるならば、でき得る限りその方向に進むということは、これは質的の変更でも何でもないのでございます。
○西宮委員 いま大臣の御答弁でありますと、昨年は特に非常な異常天候で、天明以来の飢饉である、こういうことがおそれられたので、食糧増産に非常に力を入れることにしたということでありますが、四十一年度の農業政策として、その食糧問題を取り上げた、あるいは言いかえれば、さっき申し上げた、昨年の十月いわゆる統一見解を発表して食糧増産を取り上げたというその理由、動機は、それは昨年の不作ということですか。
○坂田国務大臣 いま、昨年の異常気象がここしばらく続いておりましたような関係から、米についていえば反収がわずかばかり減じておる、そういう点の原因を申したわけでございます。そこで米についてどうするとか、米の問題と選択的拡大でいくのと非常に違うという問題はおかしいので、私どもは、それはどうしても食糧全体をどうするかという問題に帰着するのであって、そういう点からいって、いまでもやはり日本の場合は、御存じのとおりに、たん白質であるとかビタミン関係が非常に少ないという関係がありますので、需要の増加、伸びの大きさは、たん白関係、つまり肉類とか、それから脂肪関係、そういう方向にありますから、畜産の政策、それからしてビタミン関係でいえば、果実とか高級野菜といったところに需要の伸びの大きさがありますことは、これはもう言うまでもございません。それに対して生産がどうかというと、追っついていませんから、それに対してでき得る限りの努力を払うということは当然であると思います。しかし、さればといって、日本の米は国内で自給させ得るということがあるのでありますから、それをほったらかしにして、そしていわゆるたん白質とビタミンだけを追っておればいいという理由は何もないのであって、そこに何らの区別はないので、でき得る限り食糧全体を通じて増産をし、可及的に自給度を上げていきたいということについては、これは従来もそのとおりでありまして、今後もそういう方向でいきたい、こう考えております。
○西宮委員 私がいまお尋ねをいたしましたのは、いわゆる食糧、特にその中の主食、米ですね、米の増産を重大問題として取り上げたということは、昨年非常な飢饉が予想された、そういう昨年の単なる一時的な現象ですね、そういうことだけが誘因であったのかどうかということです。私は、そうではなしに、大臣もさっき言っておられたように、年々続いてくる反収の減少とか、あるいは耕地面積の減少とか、そういう問題がずっと続いているわけです。それは単に昨年の異常天候ということだけではなしに、いわばそういう根本的な問題に、最近の傾向が非常にはっきりあらわれているわけですね。そういう反省あるいはそういう認識から、特に昨年の十月には、そういう政策の転換を必要とするという決定をされたのではないかと思いますが、その点もう一ぺん聞かしてください。
○坂田国務大臣 この点ははっきりしておるのであって、私、何べんでも繰り返して申しますが、食糧の自給度をでき得る限り増強していきたい、こういう考えであります。食糧はたん白質とビタミンだけではない、主食の米が入っておることはあたりまえのことなんです。ふしぎでも何でもないことなので、それらをでき得る限り全般を通じて自給度を上げる、そういうことであります。それは従来ともそうであるのであって、それらが変わったということは少しもございません。ただ、いま申せば、いわゆる天明以来の冷害が起こるのじゃないかといういろいろな問題があったときには、よけいにそのほうに力が入ることは、どなたでもおわかりのことであって、そういう関係でありまして、国民に必要な食糧の自給というものをでき得る限り——完全に自給せよという意味ではないが、もちろんできればそれにこしたことはないが、可及的に自給度を上げていきたいということであって、その方向に向かって政策を進めておるということは間違いないことで、別にはっきりしないとかするとかいうことは毛頭ないので、きわめてはっきりしておるつもりであります。
○西宮委員 私は、その点は従来の考え方とちょっと違うと思うのです。たとえば昭和三十六年の農林省年報の中に「基本法制定の背景」という一項目があるわけです。その中にこういうふうに言っている。「農産物需要の面では、でん粉質食糧における需要の停滞ないし減少と畜産物、高級野菜等の需要の増大が進んでおり、これらに対処して主穀中心の伝統的なわが国農業の行き方を改め、需要に即した生産の選択的拡大を図ることが必要となってきている。」こういうふうに書いているのです。いわゆる農業基本法をつくった当時の、あるいは農業基本法をつくった根本の動機に、そういう問題が重大な問題としてあったわけです。それを大臣は御承知ないはずはないと思う。その点はどうですか。
○坂田国務大臣 それはこういうことであろうと思うのです。従来はあまり畜産物とかビタミンの問題とかということに——もちろん、従来といえども相当やっておったであろうけれども、それはそういう問題よりも、特に戦時中のごときは、食糧の質の問題よりも、量という問題がきわめて必要であったという時代においては、それは軽重は主食にあったと思う。そういうことから、所得が増強をしてまいるというようになってくると、そこに食糧上のいろいろの変化が起こることは当然です。そこで、三十年以後においては、多少前からは、畜産とかビタミンの需要、こういうものが非常にふえたということ、これは当然です。そのふえ方も大きなふえ方です。そのふえ方に応じて生産もやっていこう、こういうことがいわれることも当然です。当然であるからといって、何もすぐ米の増産をほったらかしでいいということは、もしそういうことを書いておるとすれば、たいへんな間違いです。
○西宮委員 米をほったらかしていいというようなことはどこにも書いてありません。たとえば基本法をつくった当時のいわゆる「農業の基本問題と基本対策」、その中でも、米をほったらかしていいというようなことは書いてないけれども、これから生産を減らすものとそれから生産を特に引き上げるものと、その二つに分けて、米はその中間だという位置づけをしていることは、だれも御承知のとおりです。しかし、いままでの政府の態度が、米を粗末にしてきた、ほったらかして減ってもいいとは言わないかもしれないけれども、そうであったことは明らかだと思う。いま申し上げた昭和三十六年の農林省年報の中の「基本法制定の背景」として指摘されている点は、明らかにでん粉食糧を押えて、主穀中心の伝統的な農業を改めて、その行き方を改めて、いわゆるたん白なりビタミンなりの生産を重点にしているんだということをいっておるわけです。私は、何も去年そういうふうに政策を転換したということを悪いといって責めているのではない。むしろ、そうであることを私は念願している。だから、その点は、大臣、もう少し歯切れのいい答弁をしてもらってけっこうです。どうですか。私どもは、そういうふうないわゆる統一見解として、食糧の増産あるいは米の増産ということに力を入れるようになったという農林省のいまの態度を大いに歓迎しているわけです。だから、それをもう少しはっきり言っていいのではないか。ただ従来と少しも変わらないんだ、何も変ってないんだということでは、われわれはどうしても理解できないのだが、その点どうですか。
○坂田国務大臣 それは、そういうことが農政の転換でも何でもないのです。一番大事なことは、食糧全体を通じてできるだけ食糧を自給していくという態度で、そうしてその中身は、そのときどきの状況によって、どのほうへ力を入れるかということの力の入れ方が違ってくることはあり得るだろうと思うけれども、それは政策の転換でなしに、色どりの違いです。
○西宮委員 食糧全体を増産する、その中で内訳の違いだ。その内訳の違いなるものも、実は重大な問題だと思うのです。私は、なぜならば、選択的拡大ということで、米麦を疎外してきたということは、これは明らかな事実だと思う。たとえば毎年大臣が所信を表明される演説で、農業基本法ができた昭和三十六年のときの農林大臣の説明を読んでみますと、ただ一項目米の管理は継続するということを言っているだけである。つまり、現在の食管制度はそのまま継続する、管理は継続するの一言があるだけで、そのほかは、米のこの字も言ってないわけです。ことしの演説を見ると、明らかに主食の「国民食糧の安定的供給」、こういうことで、その少し先のほうには特に米の問題を取り上げて言っている。こういうことしのような態度は、昭和三十六年の記録、それから以後四十六回、四十八回等を見ても、ほとんど全くない。特に基本法のできた昭和三十六年などは米のこの字も言ってないわけです。そういう時代と比べれば、ことしは明らかに大きな変化をしていると思う。食糧全体をふやすその中で、単に内訳の違いだと言っても、その内訳の違いなるものは相当な意味を持っておると思う。だから、その内訳の違いということ女少なくともその点では大きな転換をしたのかどうかということをはっきり言ってください。
○坂田国務大臣 それは解釈する人におまかせしたいと思います。私は本質の違いでなしに、色どりの違いだと見ておりますので、西宮さんはまたいろいろ解釈をしていただくことは、別にやむを得ぬというよりも、それは当然でしょう。私は、これは農政の本質的な違いではない。それは、畜産が非常に需要がふえたというときには、そのほうに当然政策上力が入る場合があるでしょう。それから、米がふえると思っておったのにちょっとこのごろは少し変だというときには、これは少し力の入れ方が足らぬぞということで、色どりがそこへ入っていくということはあり得ることなんで、それは農政の本質というものの違いではない、こういうふうに私は解釈しておる。しかし、西宮さんはまたいろいろ御解釈になることは御自由でございます。
○西宮委員 そういうふうに突っ放されてしまっては、全く何とも言いようがないわけですが、私は、このことは非常に大事なことだと思うのですよ。何といっても、米が日本の食糧の中心でもあるし、同時にまた、農家所得からいっても、これが重大な役割りを果たしていることは申すまでもないのであります。したがって、米に力を入れるか入れないかという問題は、日本の農民にとっては非常に大きな関心事だと思う。もちろん、米をつくらない農家もありまするし、それはそのとおりだけれども、しかし、少なくとも日本の農業にとって、米作をどういうふうに評価をするか、どういうふうに認識をするかということは、重大な問題だと思うのです。私は、農林省が今度統一見解を発表してそういうふうに認めたということは、たいへんけっこうなことだと思うのです。その点大いに称賛しているわけです。ですから、もう少し歯切れのいい言い方はできないものですか。
○坂田国務大臣 農政の本質的な違いでないかと言われ、あるいは新聞等の論調がそうだというようなことがあるとすると、私は、それに対しては敢然として戦うという気持ちが出るのです。なぜかというと、それは農政の本質的の違いではないということをはっきり言いたいのです。ただし、いまお話しのように、米作は日本の国にとってきわめて重要なものであるという点については、西宮さんと全く意見が一致するのでございます。
○西宮委員 つまり、基本法のできた当時、米のこの字も大臣の演説の中に言ってなかったということは、要するに、あのときの見通しは、今後米が余るのだ、そういう見解に立っておったわけですね。それは大臣も御承知のとおりですね。その点の狂いじゃないですか。つまり、私がさっき言ったように、昨年転換をしたというのは、単なる昨年の異常天候が原因であったのではない。むしろ、米が足りなくなってくるということが、その当時の予想を裏切ってきた、そういうことから出たことじゃないか。どうですか、その点。
○坂田国務大臣 もちろん、先ほども言いましたように、気候の異変という問題もありますし、それから第二種兼業もふえているというような、いろいろの農政の面もありまするし、いずれにしても、ごくわずかですけれども、ここ二、三年反収が少し減ってきておる。一人当たりの消費は若干減っておるけれども、人口はふえております。加工としての需要はふえておる。こういうことでありますから、全体においては、需要に対して非常に生産が比率からいうと減ってきておる、こういうことになるわけです。だから、先ほど申しましたように、食糧のうちでも最も重要なる米作について特に力を入れていかなければならぬ、こういうことになることは当然のことであると思います。
○西宮委員 もうこれ以上この問題については押し問答を繰り返すことはやめたいと思うのですが、いずれにしても、農民にとって非常に強い関心事でありますから、その点を大臣に明確に伺いたい。わざわざ昨年の十月に幹部会を開いて、統一見解を発表しておられるというようなことから、その点はもっと明確であってほしいと思うのです。それでけっこうじゃないかと思うのです。その点をもう少し明快にしてもらいたい。大臣はえらく従来と変わりがないということにだけ固執しているけれども、さっき申し上げたようないままでのたくさんの文献は、そうでないことを明らかにしているわけです。 そこで、私は、それじゃ、食糧全体の生産が大事なんだ、それならそれでもけっこうでありますが、農林大臣が言っている国民食糧の安定的供給をはかる、こういうことしの目標は、これは内閣全体としてもそうでありますか。
○坂田国務大臣 もちろんさようであります。
○西宮委員 私は、その点が、せっかく農林大臣の所信表明の中にはそういう点がうたわれているのだけれども、総理大臣の施政方針の中にはそういう点はみじんもないわけですよ。私はそういう点非常に不安を感ずる。それから、農林省はなるほどそういう政策を決定したかもしれぬが、内閣全体としてはそこまでいっていないんじゃないかということを懸念するわけです。
○坂田国務大臣 その点は御安心をいただきたいと思います。
○西宮委員 だんだん声が小さくなってきてしまうので、あまり声を落とさないように願いますよ。その点は、せっかくのことしの総理大臣の施政方針の中でも、そういう国民食糧を確保するというような点については、もちろん一言もないわけです。たとえば農地管理事業団ができるとか、後継者の養成、育成をするとか、生活環境の整備をするとか、そういう点が指摘をされているだけで、国民食糧を確保するというような問題が一つもない。そこで、私は、せっかくの農林大臣の構想が内閣全体の政治を決定しているんじゃないんじゃないかという点を心配する一つの理由は、これは政府とは関係がありませんけれども、たとえば経済同友会などの出しておるのは、つい最近の米が足りなくなってきたというような情勢下においても、なおかつ米は南方から買えばいいんだ、こういう考え方がはっきりしておって、そのことを明らかに提案として打ち出しているわけですね。これは大臣もよく御承知のとおりだと思う。だからそういう考え方が、日本の政治というか、日本の指導者の考え方の中に根強くあるわけですよ。そうすると、いまの政府はもちろん農林省だけではないんだから、全体を通じての政府の態度、内閣の態度というものは、やはりそういう点も考えにあって、食糧増産というようなことに内閣全体として大きく踏み出してない、踏み切ってないということが想像をされるので、お尋ねをするのですが、どうですか。
○坂田国務大臣 これは従来いろいろの議論があったり、あるいはいろいろの方面からいろいろの意見が出てくるということは、これはやむを得ないことであると思いますが、そういう点については、でき得る限りそういう間違った意見は正していただきたい、こう私は思います。
○西宮委員 農林大臣としてそういう間違った考えを訂正していきたいというのはよくわかります。それは農林大臣として当然だと思うのだけれども、しかし、こういう説に同調する、つまり、内閣全体の中においてそういうセクションもあるわけですね。だから、それをひっくるめて内閣はでき上がっているわけだから、内閣全体としては、せっかく昨年十月統一見解を発表された農林省の態度が、内閣全体の中には反映してないんじゃないかということを懸念するのですが、その点どうですか。
○坂田国務大臣 その点はおまかせを願いたいと思います。
○西宮委員 おまかせを願いたいと言われてしまうと、農林大臣の不信任でもしない限り何とも言いようがないわけですが、私は残念ながら、いまの内閣全体の中にはそういう姿勢がないと思う。それは再三再四、いわゆる経済同友会みたいな団体が次から次へとそういう見解を発表しているわけです。そういうことが相当に大きくいまの政治の中に影響を与えておるということを否定することができない。その点を特に強調しておきたいのだけれども農林大臣がそう言われるのなら、何ともそれ以上言いようがないから、その点はそれじゃその程度にとどめまして、それではお尋ねをいたしますが、その最初見通しておった、将来——将来というのは十年後だが、十年後には米が余るというふうに見ておったのが、逆に今日足りなくなってきた。それはどこに原因がありますか。もっと別な言い方をすれば、たとえば米の消費の増、生産の減、そういう二つに理由があると思うけれども、そのいずれに大きな理由がありますか。
○坂田国務大臣 米に関する点は、需要の面にしても供給の面にしても、わりかた変更は少ないのですけれども、先ほども少しこれに触れて申しましたように、需要のほうも、一人当たりのいわゆる需要、消費は少し減っておる。これは、それも気持ちから言う程度に減った。しかし、人口がふえていますし、それからもう一つは、加工食品がふえていますから、そこで、需要はそういう点からいってふえておる、こういうことになりますが、数字はもし何ならあとから申し上げます。それは需要のほうです。 それから生産のほうはどうかと申しますと、生産のほうは、ここ二年か三年前まではふえておりました。大体量は上のほうへのぼっていく。ところが、ここ二年か三年は反収が少しばかり減っておる、こういうことでございます。その理由等については、一つは、生産のほうからいいますと、これはさっき申しましたように、気候の状況というものが、わりあいこのごろ、ここ二、三年続いてよくない、異変が多いということが一つありますし、それから労働力も減ったり、いろいろの関係もあり、それからそれに対しての手当て等が、やはり第二種兼業等も非常にふえ方も大きいといういろいろの点から見て、それらの問題からの理由もあろうと思います。そういうことで反収等が減っておる、こういうことであります。
○大口政府委員 ただいま大臣の御説明になりました問題を数字を補足して御説明申し上げたいと思います。 まず、米の需要の面でございますが、内地米、外米を含めましての一人当たりの消費量は、昭和三十四年が一一三・四キログラム、それが逐次ふえてまいりまして、三十七年に一一七・二キログラムになったのでありますが、これは年間の消費量でありますが、その後三十八年にそれが一一六・三、三十九年に一一四・七というふうに、わずかながら一人当たりの米の消費量が減っておる。さっき大臣が申されましたのを数字で申しますと、以上のとおりでございます。 それから次は生産の面でございますが、生産の面で、先ほど大臣が反収が若干停滞ぎみもしくは減っておるということを申されましたが、十アール当たりの収穫量で申し上げますと、三十五年に三百九十一キログラムでありましたのが、昭和三十七年には四百七キログラムになっておりますけれども、最近の三十九年にはこれが三百九十六キログラムというふうに、十アール当たりの収穫量が若干減っております。 それから、さらに若干こまかい点を補足いたしますると、一平方メートル当たりの粒数で申しますると、これは三十四年を一〇〇といたしまして、毎年着実に伸びて三十九年で一〇六になっております。しかしながら、米の千粒当たりの収量ということになりますと、三十四年の一〇〇に対しまして、三十九年は九五というふうに低下をいたしておりますので、単に十アール当たりの収量が停滞ぎみもしくは減っているということを、さらにこのような数字に基づいて若干分析をする必要があるのではなかろうかというふうに考えております。総生産量で申しますると、昭和三十七年度が千三百一万トン、昭和三十八年産米が千二百八十一万トン、昭和三十九年産米が千二百五十八万トン、昭和四十年産米が千二百四十一万トンという推移を示しておりまして、これは先ほどの十アール当たりの収量の変化あるいは面積の変化等もありまするが、異常気象等によりまして、総生産量はこのような推移をたどっておるのでございます。
○西宮委員 需要の一番新しいのは一人当たり幾らなんですか。
○大口政府委員 百十四・七キログラムであります。
○西宮委員 いまの話の中で、その生産のほうがだんだんに減っているというのは、耕地面積も減っているし、反収も減っているしということになれば、当然そうならざるを得ない。ところで、その需要のほうでありますが、需要のほうは、昨年は若干減ったけれども、その最終年次の前の年まで年々一人当たりの需要はふえておるわけですが、昨年のその最終年次の数字も、たとえば昭和三十四年に比べれば、わずかながら高いわけです。私はそこに大きな問題があるのではないかと思う。つまり、一人当たりの米の消費量が減らないというところに大きな問題があるのではないかと思うのです。というのは、たとえばその米にかわる食糧は、いわゆる畜産物なりビタミン食料なり、そういうものが代替をするということになるだろうけれども、それが減らないというのは、明らかにそこに問題があるのではないか。それで大臣、たとえばパン食の場合と米食の場合とでは、その消費者の側から見ると、どっちが得だとお考えですか。
○坂田国務大臣 それは消費者の一人一人の嗜好にもよるし、いろいろあろうと思いますが、私はやはり米であると思います。それからもう一つは、やはり日本の国土は米作に非常に適しておると思います。きわめて適しておる作物であるものが主食であるということは幸いである、こう考えておるくらいでありますから、私は、米食というものに非常にあこがれを持っておることは人後に落ちぬと言ってもいい。しかし、問題は、いろいろ健康上の問題もありましょうし、いろいろそこに消費の姿というものもありますので、一がいにそれは言えないのであります。
○西宮委員 私がお尋ねをしておるのは、大臣の嗜好を聞いておるのではない。大臣が米食に非常にあこがれたり、人後に落ちないというようなことはどうでもいい。そうではなしに、私が問題にしたいのは、大臣も、いまどっちが得だというお尋ねをしたら、米だと言ったわけですね。そうですね。私もそうだと思う。だから、せっかく政府がいわゆる選択的拡大と称して、将来は畜産食糧なりあるいはくだものなり、そういう方向に向けていきたい、あるいは向かうであろうというふうに期待をしておったことが、容易にその期待どおりにいかないというのは、要するに米が安いからですよ。つまり、米のほうが得だからですよ。ということは、もっとさらに言いかえるならば、要するに、国民の収入が少ないから、いわゆるたん白食糧なりビタミン食糧にはかわりたくてもかわれない。そういう実情にあるのだ、こう思うのですが、その点どういうふうに認識されますか。
○坂田国務大臣 畜産物なりビタミン、特に野菜なんかにしても、高級野菜というものも需要は非常にふえております。数学的にもし必要があれば申し上げますが、需要は非常に増えている。それは、国民所得全体がふえまするときには、やはりたん白質なりビタミンという方面の需要がふえていくということは、これは必然であろうと思うのです。そういうわけで、それらの需要は非常にふえておる。こういう実態でございます。でありまするので、そのふえる需要に対してでき得る限り生産をつけていきたい、増強をさせていきたい、こういうことで、そういう畜産ないしビタミン関係のいわゆる生鮮食料、果実という方向に伸びていくことも、これも当然のことと思います。
○西宮委員 その野菜等の需要もふえていくということも事実でしょう。ただしかし、米が減らないという現実から見ると、そういうビタミン食糧なりあるいはたん白食糧なりが米を減らすまでに伸びておらない。言いかえれば、米を減らす程度にまでいわゆる食糧構造の変化、 つまり食糧の内容の近代化とか、そういうことが進んでおらないということなんです。つまり、私の言いたいことをもっと簡単に言うならば、要するに、その食糧の需給、米の需給の見通しが大きく狂ってきたというのには、生産の言ということもあるけれども、それと同時に、あるいはそれ以上に需要が、つまり、米を食わなければならぬという実態にある。もっとさらに簡単に言うならば、要するに、いまのいわゆる低労賃あるいは低収入、そういう国民の収入が低いという点が、食糧の構造を変革するということの大きな妨げになっているのだということを私は言いたい。だから、いわゆる低賃金とかそういうことが、結局において食糧の見通しを誤らした原因になっているのだ、こういうふうに私は考えるが、その点はいかがですか。
○坂田国務大臣 これはもう非常にこまやかな分析をしなければいかぬわけでありますが、所得が非常にふえまするときには、これは日本ばかりでない、どこの人種もそうでありましょうけれども、やはり所得がふえるときには、たん白質、ビタミンのほうがふえていく、それからでん粉質のほうはやはり少し減る、こういうのはどこの国の趨勢を見てもそうなんです。日本の場合もやはり同様でありまして、たん白質はふえる。それから蔬菜等のビタミンもふえておる。しかし、でん粉質は減っておる。しかし、そのでん粉のうちで、王座を占めておる米はわりあいに上におるが、そのほかのでん粉質、合計におけるでん粉質というものは減っておる、こういう姿が現在の姿であろうと思います。
○西宮委員 それでは私は、その点は問題を指摘したにとどめておきます。農林大臣だけで解決のできる問題ではない。つまり、いわゆる国民所得が低いあるいは低労賃というような問題は、農林大臣だけで解決のできる問題ではありませんから、問題として指摘をするだけにとどめておきたいと思うのです。 そこで、主食あるいは大きく食糧といってもいいと思いますが、その食糧の国内自給ということをどの辺までを政策の目標としているか、それを聞かせてください。
○坂田国務大臣 現在、国の自給の目標、というわけでもないでしょうけれども、一応でき得る限り自給したいということでありますが、いまのところ八〇%くらい——これは米だけじゃありません、全体を通じてそういうところにきてもおりますし、これより下げるようなことはしたくない、最小限度これを維持していくようにしたい、こういう考えであります。
○西宮委員 八〇%そのものにも大きな問題があると私ども思うのでありますが、しかし、このままの状態でいけば、次第次第に八〇%も割ってくる、こういう現実を見落とすわけにいかないと思います。たとえば中央政策研究所ですね。これは御承知のように、三木通産大臣が会長をしておられる、いわば自民党の別働団体といってもいいのじゃないかと思いますが、この中央政策研究所で一昨年の春発表されたところによると、こういうふうに書いてあるのです。いまのままでいけば、十年後における日本の食糧自給のバランスは、現在程度の生産力水準であると仮定すると、自給率は四五%に落ちると書いてある。しかも、これは非常な自信を持って、この報告は、少なくともこれからの数年間、特別の事情の発生しない限り、この報告に盛られている内容は大きな変更や修正を必要としないであろうというふうに、非常な自信を持って発表した三木さんのところの研究の結果なんでありますが、これによると、十年後には食糧の自給度は四五%に落ちる、こういうことを予言をしておるのですけれども、そういう懸念はありませんか。
○坂田国務大臣 先ほど八〇%と申しましたのは、全体を包含してであります。かりにその中の——これはもう西宮さんもよく御存じであろうと思うのですが、そのうちの米だけを出していきますと、これは現在でも——あとで計算をしてみますが、九六%いっている。米だけでいきますと九八%ないし九六%。 〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕 しかしながら、私はこれは一〇〇%に持っていきたい、やり方によっては一〇〇%というところにまでいきたい、こう思っておりまするが、そう困難ではなかろう。しかし、将来問題をそう——これはいろいろ問題があるわけでございますが、正確に言いますと、三十九年度は、米だけで言いますと国内で九六%、全体を含めて八〇%と申しました。その八〇%の中には、コーヒー、ココアというものが入っておるわけです。バナナとかそういうものも入っている。国内で生産されないものも入っておるわけです。砂糖も入っています。まあ砂糖は若干国内で生産されますけれども、そういうものも入っております。一面はえさが入っておる。飼料ですね。濃厚資料が非常に入っておる、こういうことがある。それから米については、パーセントからいうとわずか四%くらいですが、国全体から見ればごくわずかなものでございますけれども、数量からいうと大きゅうございます。それから麦等は、ある意味においてはえさの問題とも関連いたしまして、相当輸入されておるというような、そういう分析をすると、そういうものがいろいろ入って、そして八〇%であるわけでございます。だからして、その内訳から申しますと、そういうぐあいに国内でもっと自給できるというものがあります。生鮮食料品、たとえば蔬菜のごときは、あるいはくだものもそうでありましょうが、蔬菜のごときは、特別のことがない以上はやはり自給すべきものであり、しなければならぬと思います。それからまた、肉類については、牛肉はここ当分非常に困難であります。むしろ種、もとが減っていくので、非常に心配しておるわけでありますが、しかし、豚やその他のものはやり方次第によって増加されていく。ただ、そのときにはえさのほうが輸入ということになると思います。この問題については、牛のように草を食べる、いわゆる草による飼料は、これは自給しなければならぬと思うが、濃厚飼料的なものをことごとく自給できるかどうかという問題は、これは小さな日本の国ではそうはいかない、私はこう思います。人間のえさもようやくやっておるのだから、そう簡単にはいかない、こう思いますが、草飼料はでき得る限り自給に進みたい、こう考えておるのであって、その内部をいろいろ洗ってこまかく申し上げますと——そういうことで申し上げなければ実態に間違いが起こる、こう思います。しかし、西宮さんはよくその点は御存じだと思うので、初め簡単に申し上げておったのであります。
○西宮委員 いわゆる三木研究所ですか、これはもちろん、先ほど私が申し上げたのは食糧全部を言っておるので、大臣の言っているのと全然変わりがない。それが十年後には四五%になるだろうということを指摘しているということは、実に重大だと思うのです。だから、もし大臣が最低八〇%だというのであるとすれば、それをするためにはどういう施策を必要とするか、そういうことを明らかにしなければならぬと思うのです。だから、ただできるだけ高いほうがいいというような希望、願望を述べているだけでは何の意味もない。そうするためにはどういう具体的な対策が必要であり、またそれをやる決意であるかということを明らかにしなければならぬと思うのです。そういう点について何か明確にするという用意はありますか。
○坂田国務大臣 これはかりに土地の問題にいたしましても、今度十カ年の圃場整備の問題もあります。十カ年で二兆六千億をやろう。そのときに、もちろん防災の問題あるいはかんがい排水の問題等も含めておるわけでありますが、圃場の整備という問題、それから農道の問題全部入りますが、田畑の造成という問題、それからあわせて草地の造成という問題を大きく取り上げておるわけでございます。いわゆる土地改良というものを、農業の基盤整備というものに非常に力を加えてまいりたい、これがその一つであると思います。 それからそのほか、いろいろ所信表明のときに申し上げましたように、これは申し上げますといろいろ長いことになりますが、土地の問題、技術の問題、それから構造改善の問題、したがって、構造改善に関連していろいろありましょうが、能率の高い防除機とかあるいは耕うん機というものの導入の問題も、これは関連しておることでありますが、あります。そういう問題、それから今度は土壌の改良の問題、土地の保全の問題というようなこと、それから今度そういうことで連関をとって技術全体、すべてそういう問題に触れておるわけであります。 それから労働の問題とか、そういう関係がいまの問題で触れておるわけでありまするけれども、やはり生産性をあげるということが非常に重要であります。さっき申しましたように、構造改善の問題ということ、それからそのほかいろいろございます。しかし、それだけではいけませんので、やっぱり気持ちよく労働に従事できる、また家庭上の労働力を非常に軽減していくというか、非常に気分をよくしなければいかぬことは、これは当然でありますから、農村の環境をよくするという方向に力を入れていきたいという農対対策、これは従来のとおりであります。それに関連して、農村のほうはどうしても社会保障制度がどちらかというと非常におくれておるように思うのであります。したがって、年金の問題とかあるいは労災保険の問題、そういったような面ももちろんわれわれ努力をしなきゃいかぬ。 こういったような各方面を、総合的にこれらの問題に取り組んでいきたい、こう考えておるわけであります。しかし、これは別にことしが特別にどうというわけではございませんが、従来もやっておる点が多いのでございますが、それらに対してなおさらにこれを拡充強化をしてまいる、こういうふうにお考えを願えればよかろうかと思うのであります。
○西宮委員 つまり、いま大臣がるるいろいろな問題をあげたけれども、それはあえてことしだけの問題ではない、従来からそのとおりやってきたんだというお話なんだけれども、従来からそのとおりやってきている間にだんだん食糧の自給度というものが低下してきているわけです。要するに、いまのような状態を続けていくならば、将来は十年後には四五%になるであろうというのは、自民党の三木さんが指摘をされていることなんですよ。ですから、そういう点について十分な反省を加えて、いまあげられたような問題について十年なら十年の年次計画を立てて、これだけやれば八〇%は確保できる、そういう対策がなければわれわれとうてい安心できないと思う。その中で十年計画というようなものが、年次計画というようなものがあるのも若干ありますけれども、それはほんとうにただ断片的にあるだけで、全体を総合して、少なくともいまのその八〇%なら八〇%というものを維持するためにはどうすればいいんだということが明確にならなければ、とうてい安心できないと思う。その点についてどうですか。そういうものをこれから作業するとか用意するとか、そういう考えはありませんか。
○坂田国務大臣 いま大体米の問題とか、部分的に一つ一つ重要な問題で申し上げましたが、たとえば畜産の問題にしましても、酪農近代化計画、これはできております。それから、これとえさの問題と関連させまして、これらについても、大体十年後に乳牛二百九十万頭、それから肉牛は二百五十万頭、肉牛は最近非常に弱っておるので、問題はずいぶんありますけれども、これに関連して必要なところの草資源として、可消化栄養分から換算して千百三十三万トンのものが要るだろう、こういうこまかな計算もいたしまして、それらについてはどれくらいの面積が要るかという計算もいたしておるので、そういたしますと、大体草地としてはいままで十二万ヘクタールくらいやっておりますが、さらに四十万ヘクタールをやって五十二万ヘクタールにする。それから、それだけではもちろん足らぬのでありますので、飼料作物として青刈りトウモロコシとか青刈り麦とか、そういうものもいろいろ加えまして百十万ヘクタールくらいの飼料作物をやっていこう、こういうことも計算に入れて、こまかにこれらについても計算を加えておるわけでございます。大体そういうことであります。
○西宮委員 与えられた時間がわずかになりましたので、もう一つ別な問題をお聞きしたいと思うのですが、いわゆる構造改善、いま大臣もだいぶ構造改善の問題を力説をしておられたが、その構造改善事業はどういうふうに評価をしておられるのですか。非常にうまくいって所期の目的を達成しているというふうに見ているのか、あるいはいろいろ反省する点を反省しているのか、その点はどうなんですか。
○坂田国務大臣 構造改善は私はぜひやらなければいかぬと思うのであって、その意味においては強く高く評価しております。しかし、いままでやりましたことについては、私も率直に申しますと、ずいぶんうまくいっていない部面もあるやに考えております。そういうことで、去年の八月に、構造改善をやり出してから四年になりますので、その計画なり成績なりの調査を命じてやったわけでございますが、その結果によりますと、やはり大部分はそう悪くはないのみならず、非常によろしい。そして特に青年諸君の非常な希望をつなぎ、その点においてはたいへん効果を上げておる。中にはやはりよくないのが若干あります。これは一つには、方針が悪いというのでも何でもないのでありますけれども、たとえば簡単に言いますと、土地基盤整備ができない、あるいは道がないというところに、大きな機械類を持っていってもだめなことは、これはもう当然なので、そういう問題があったり、そういう順序を間違ったという問題があったり、あるいは地方の実情に即するということにおいて若干欠けておる点があったのじゃないかと思う。これは西宮さんもよく御存じだと思う。農業の地域的な相違というものは、ほかの工業と違ってたいへんな違いがあるということは言うまでもございませんので、そういう点について若干のズレがあったということが言えるだろうと私は思います。そういうので、さっそく調査をいたしました。しかし、いま申しましたように、その企図するところ、方向及びその問題、それからまたいままできておる全般的な傾向、これは私も思ったよりよくいっておるという結果を見て安心をいたしたわけでございます。しかし、中には、そういうわけで変えなければいかぬ。変えなければというのじゃなく、その線に沿っていくという必要のあるものも、若干ございましたことをここで申し上げることができると思います。
○西宮委員 大臣がこれはぜひともやらなくてはならぬとも言われたし、あるいは思ったよりもよくいっているということで安心したとも言われたが、それはどういう点をさすわけですか。つまり、いわゆる構造改善事業なるものは、土地基盤の整備、それから近代化経営による主産地の形成、おそらくその二つが構造改善事業の目標だと思うけれども、よくいっているというのはどれをさすわけですか。
○坂田国務大臣 これはいろいろございまするが、たとえば基盤整備にいたしましても、基盤整備の結果、なかなか生産性も上がり、労働生産性ももちろん上がるし、それから土地生産性を上げる上においても効果があったという問題、これは言うまでもございません。それから、このあとのいろいろの操作——操作というのはおかしいのですが、たとえば手で耕作するという非能率的な問題に対して、やはりその地方地方に即応した機械力を使っていく、こういう問題であります。これにしても、機械の受け入れ方を間違っておるところはやはりよくいきません。非常に進歩した機械をどんどん使うということはいいけれども、受け入れ方を間違えるともうだめです。これはこまかいことを申し上げる必要もないと思うのでございまするが、一言で言いますれば、受け入れ方がよくないと思います。たとえば百五十町歩ぐらいあるところならば、大きなトラクターが二台あれば大体いい。これはまあところによって違うが、一人一人持ったのじゃこれはもうだめなことはきまっておる。(「そんなことわかっておる、答弁を簡潔にやってくれよ」と呼ぶ者あり)いや、そうじゃなしに、いま西宮さんからどんな点がよかったかということでお話があったから、ちょっと申し上げておるのだが、そういうようなこと、いわゆる労力の節約をはかっていくということ、それから婦人の労働も非常に節約になった事柄、そういういろいろの点について、非常に効果があったということでございます。悪いことであった点は、先ほど申しましたことであります。
○西宮委員 本来の構造政策、たとえば農業基本問題と基本対策、あそこで論議をしているような本来の構造政策について、成果が上がっている面はありませんか。要するに、私が一番冒頭に取り上げたのだけれども、いわゆる構造政策と価格政策というのが行ったり来たりしているということ一を先ほど言ったのだけれども、本来の構造政策というのは、まあ私が言うのもおかしいけれども、いわゆる耕地を拡張する、あるいは経営規模を拡大して、自立農家を育成する、そういう点にあったわけですね。その成果は上がっているか、いないかということです。
○坂田国務大臣 本来言えば、やはり生産性拡大、生産性の向上ということでいけると思うのですが、やはり生産性向上という点については、相当効果がもちろんありましたということをお答えすることができると思います。
○西宮委員 そのいわゆる生産性の向上ということは、少なくともあの当時考えられた構造政策なるものは、いまの零細経営では生産性は上がらない、だから規模を拡大して、それで生産性を高める、そういう点にあったわけです。だから、そういう規模の拡大、つまりいわゆる農業構造改善は、そういう成果はあがっているかいないかということをお尋ねしたい。
○坂田国務大臣 もちろん、それはあがっておるところが多うございます。ただし、問題は、地方によって非常に違うという問題があって、これは繰り返しての話でありますが、一律に論ずるわけにはいかない。北海道のごときは、規模も相当大きくなっていくし、またその必要があると思う。しかし、都市近郊の蔬菜地帯なんというものは、大きくしたのではこれはできない。これはむしろ資本の装備によって大きくするということはできると思うが、そういうことであって、ただ単に面積をもってこうだと一律にこれを言うわけにいかないということを特にひとつ、これはおわかりであろうと思うので言う必要もなかろうと思いますが、非常に大事な点でございますので、私も常にこれを申しておるわけでございます。
○西宮委員 時間がありませんから、簡単にお尋ねをいたしますが、いわゆる構造政策としては見るべき成果をあげてない、これはだれが考えても明らかにそうだと思うのです。そこで、価格支持政策、こういうことが当然にとられなければならぬわけですが、そういう点については非常に不徹底だということが常に指摘をされておる点なのですが、そういう点について、実は基本的な問題をいろいろお尋ねをしたいと思ったが、時間がありませんので、一つ二つだけ価格問題に関連してお尋ねしたいと思います。 たとえば米価について、この前予算委員会で佐藤総理は、生産者、消費者双方から満足されるような米価を決定するということを言っておったが、これは内容的にどういうことを意味するのですか。
○坂田国務大臣 米価については、長い間検討を加え、研究されたのであって、生産者米価については、生産費及び所得補償方式の趣旨に沿ってきめていく、これは長い間の研究の結果でございまするので、この点は農林大臣のみならず、全閣議こぞって決定しておるところでございます。それから消費者米価については、御存じのとおりに、これは家計米価、いわゆる家計の安定を旨としてきめてまいりたい、こういうことでございます。そうすると、両者の間に隔たりが来るのは二重米価ではないか、こういう意味のお話があるわけでございますが、その間をふさいでいくのは、生産性向上でふさいでいきたいということであることは申すまでもございません。ところが、農業の場合は、なかなかそれが容易に急速にいきにくいという性格は、これは農業の性格であるとも言えると思う。そういう関係がございまするので、やはり価格政策というものが当分の間重要に相なってくる、こういうことであると思います。
○西宮委員 お尋ねしておるのは、生産者と消費者の両方を満足させる価格というのはどういうのかということです。
○坂田国務大臣 それは私も速記録を見ないと、どう言ったかはっきり記憶はありませんが、おそらくいま申しましたようなことであろうと思います。
○西宮委員 どうもいまの大臣の答弁では、生産者も消費者も両方満足するというわけにはとうていいかないと思う。これは私のほうの勝間田清一委員が質問したときの答弁ですから、速記録を見てください。いま私が申し上げたとおりのことを答弁している。そういうことになれば、それは徹底した二重価格をとる以外にないと思う。もちろん、生産性の向上でその穴を埋めるということは、そういうことができればけっこうですが、しかし、これはとてもできないということは明らかです。ということは、いま大臣が言われたんだから、そういうことであるとすれば、私は思い切った二重米価をとる以外にはないと思うが、それを言ったのだろうと思うけれども、念のためにもう一ぺん言ってください。
○坂田国務大臣 私が申すことは、生産者米価については、食管法にもちゃんとあるのです。生産費及び所得補償方式によるとは書いてないが、再生産を確保することを旨としてきめる、こういうことで、どうしてきめるかという問題については、長らくの間検討を加えまして、そうしていまのところ、生産費及び所得補償方法というところへ結集しておりますから、そこで生産者米価は生産費及び所得補償方式によってきめてまいるということを申しておる。それから消費者米価については、さきにも申しましたように、家計の安定をはかることを旨として、経済事情その他をしんしゃくして決定すると書いてあるのであるから、それに基づいて決定されているのが現状でございます。そうすると、それは長い間のいろいろの検討の結果として、家計米価の範囲内においてきめる、こういうことに、長い間の研究の結果そこへきているということで、そういう決定を見ておるわけでございます。そうすれば、生産者米価も消費者米価も、同様生産者にも消費者にもという問題になるのではないか。総理のなには、私は速記録を見ないとわからぬが、私の見解をいまはっきり申しますと、そういうことでございます。 しかし、それは二重米価に通ずるかということになりますと、そうではないと私は言う。現状はそうなっております。しかし、それは実際の問題と現状は、とにかくそういうことになっておると思いますが、米価はやはり米の値段ですから、あまりひどく隔たって、それが何でもないんだというわけにはいかないと思うのです。そういうことがありますから、この米価は米価として裏表あるのですから、できるだけ接近するのがよかろうと思うのです。そこで、何としても、長い間から見ていけば、生産性の向上という問題が大きく働く必要があろう、こういうことを申し上げるのです。
○西宮委員 いずれあらためてこの問題は詳しくお尋ねをしなければならぬことだと思いますので、やめますが、ただ非常に安易にスライド的な——スライド制とは言わないだろうけれども、現実にはそのとおりのことが行なわれている。去年も一昨年もそういう実態です。そういうことでははなはだ困るということを強く指摘しておきたいと思う。 最後に、一つだけ価格の問題をお尋ねしたいのは、いまの繭糸価格が実勢価格と非常に遊離している。最低価格と最高価格が非常に遊離している現状であるわけですが、ああいう実勢価格を見るにつけても、少なくとも最低価格のごときは相当底上げをするということが当然行なわれていいのではないかと思うけれども、その見通しはどうですか。
○坂田国務大臣 蚕糸局長から……。
○丸山政府委員 現在いわゆる取引所で形成されております生糸の価格が、政府の最低価格、最高価格をはずれているというととは御指摘のとおりでございます。この原因はいろいろございまして、若干御説明いたしますと、この趨勢は昨年の十月ごろからわれわれ考えております。したがいまして、政府手持ち八千俵という数字がございましたけれども、これも十月以降本年の一月まで、そういう糸価の状況を見まして放出いたしました。それによって若干ふえたわけでございますが、御承知のとおり、前年度から生産量が約五%減である、それから特に国内における高級絹織物、そういうものの需要が非常に強い、あるいはまたこれはいわゆる業界の想定でございますけれども、ことしの春繭もそうはふえないだろうというようなことがいろいろ重なりまして、現在のところ飛び出した価格になっております。最近は逐次落ちついたと申しますか、やや低い線に落ちつきかけております。 そういうわけで、御質問の来年度の価格はどうするかという問題でございますが、これも一般の価格算定の方式に従いまして、生産費を基準といたしまして、それから需給事情を勘案し、最低は幾ら幾ら、最高はこのくらいということになると思います。これにつきましては、四十年度の生産費調査の集計がまだ終わっておりませんので、今後これをどういう形で、たとえば据え置きであるか、あるいは上げるか、上げるにしますとどの程度上げるか、そういう点については、まだいまの段階では生産費の調査結果の集計中でございます。方針はいまの段階では申し上げられません。
○西宮委員 それではこの問題もまた他日ゆっくり時間をかけてお尋ねしたいと思うので、これで終わりにいたしますが、私きょう申し上げたことは、一番初めに申し上げた、いわゆる食糧、特にその中の主食、その増産ということを統一見解を発表してまで農林省の態度を決定したということは、非常にけっこうなことだと思うのです。だから、それならばそのことをもっと明らかにして、しかもそれが政府全体の責任において紹介されるようにしてもらいたいということを強く言いたい、しかも、そのことは、内閣の方針の中には、たとえば総理の演説等にも、そういうことが全然うたわれていないということに不安を感ずるし、もう一つは、たとえばこの前発表された中期経済計画ですね、あれは要するに高度成長が農業や中小企業にひずみをもたらした、だからそのひずみ是正ということを問題にして、中期経済計画ができ上がったはずなのだから——あの計画の中では、農業に投資される公共投資は、前の所得倍増計画のときよりもパーセンテージが落ちているわけです。そういうことでは、いやしくも農業のひずみ是正を目標にした中期経済計画として、全く逆行ではないかということをわれわれは——その当時私はここにおらなかったけれども、そういうことを痛感しておったので、そういう中で農林省だけがんばってみても、政府全体の政策にはならないので、先般決定されたいわゆる統一見解なるものを政府全体の政策の中に生かしてもらいたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。
○田口(長)委員長代理 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後二時四十八分開議
○中川委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。 質疑を続行いたします。玉置一徳君。
○玉置委員 時間の関係もございますので、簡潔に質問をしていきたいと思います。 まず第一に、農業基本法成立以来の農家の構造でありますが、一体きょうまでどうなっておるか。それは農業基本法の制定当時に想定したような推移でなってきたかどうかということについて、政府当局の御見解を承りたいと思います。 まず、農地の移動が年に幾らほどありまして、農家の平均所有反別がどのくらいこの五年間に増加したか、当局のお答えをいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 農地局長にちょっと数字を申させます。
○大和田政府委員 まず、最近における農地の移動について申し上げます。 三十五年は農業基本法制定の前の年でございますけれども、三十五年におきまして自作地が有償で動きました面積は五万七千町歩、三十六年以降三十九年までそれが多少ずつ増加をいたしまして、三十六年が六万三千町歩、三十七年が六万七千町歩、三十八年が七万一千町歩、三十九年が七万六千町歩という状態でございます。それで、大体の傾向といたしましては、当初は北海道における農地の移動が盛んでありましたけれども、都道府県においては大体三十八年くらいまではそれほど大きな動きはございませんでしたが、三十九年になりますと、北海道も都府県も同様なる動き方をいたしておるわけでございます。したがいまして、最近の事態で申し上げますれば、所有権の移転が売買等有償の形で行なわれておりますものは、大体最近において年七、八万町歩というふうに申し上げてよかろうと思います。これに反しまして賃借り権のほうは、小作料の水準が固定をしてきわめて安いという問題もございましょうし、耕作権が非常に強いということもございましょうが、賃借り権の設定の形で土地が動きますのは非常にわずかでございまして、賃借り権の設定によって土地が動いておりますのは、三十五年に二千七百町歩、三十六年が二千五百町歩、三十七年が二千四百町歩、三十八年が六千五百町歩、三十九年が三千二百町歩という程度でございます。
○玉置委員 それで、平均所有反別がどのくらい五年間で上がったか。
○大和田政府委員 三十五年のセンサスから四十年の中間センサスまでにおける農家戸数が六・五%の減でございます。それに対しまして農地の増減は、やや微減をいたしておる程度でございますから、平均の耕作反別で申し上げますれば、大体五・六%の増というふうにはなっておるだろうと思います。
○玉置委員 ただいまの農地の移動でありますが、農地の移動は、必ずしもそれが農家の反収の増になっていくような移動ばかりではないのじゃないか。いまの統計は宅地その他にも転用されたようなものも含んでおるのじゃないかと思いますが、局長どうでありますか。
○大和田政府委員 私が、農地が売買その他の有償契約で動いておりますものが最近年七、八万町歩と申し上げておりますのは、これは耕作目的で動いておるもので、転用のために動いておるものは除外されております。
○玉置委員 いずれにしろ、年に五、六%の微増でございますので——これは年ですか、五年間ですか。
○大和田政府委員 農家戸数六・五%の減と申し上げましたのは、三十五年と四十年の五カ年間です。
○玉置委員 したがって、前の農業基本法成立当時設定されておりました自立経営の基準と申しますか、標準と申しますか、たしか二町五反歩と承知しておりますが、そういうところから考えると、非常にほど遠いのじゃないか、こういう感じがいたします。そこで、この五年間あるいは十年間でもけっこうでございますが、専業農家、兼業農家、兼業農家は第一種、第二種でございますが、これの構成が農業基本法成立当時と現在とでどのように変わったか、お答えをいただきたいと思います。
○和田(正)政府委員 昭和三十五年の兼業農家の数は三百九十七万五千戸、総農家の六五・七%でございますが、昭和四十年度は四百四十四万七千戸で、七八・五%ということになっております。その兼業農家のうちでは、二種兼業の農家が多うございまして、昭和三十五年が百九十四万二千戸、三一%に対して、昭和四十年度は二百三十六万五千戸、四一・八%ということになっております。
○玉置委員 そこで、この五年間にこのような顕著な傾向が出た。専業農家が少なくなって、兼業農家が多くなってきた。ことにいまのお話のように、第二種兼業農家が多くなってきた。これも北海道とか東北とか北陸というようなところまで入れました日本の平均でありますから、これが関東とか関西とかいうようなところだけで見てみれば、もっともっと兼業農家の数が多くなっておるのではないか、こういうふうに考えられるわけであります。そこで、結論といたしましては、将来とも農業就業人口の減少に比べまして、農家戸数の減少はそれほどにもないということが見込まれるわけでありますが、政府当局、局長でけっこうでありますから、どういうように将来の見通しをお立てになっておるか。
○和田(正)政府委員 いまお話のございましたような農家の兼業化につきましては、先日もこの席で大臣からお答えを申し上げましたように、他産業への雇用機会が非常にふえましたとか、その他いろいろ社会的、経済的原因に根ざしておるわけでございます。そこで、これらの兼業農家が完全な就業、雇用の機会が今後拡大をされて、所得の増大に資することも、労働行政との関連で重要でございますけれども、やはり兼業の形で農家所得と申しますか、その所得全体のあんばいをはかりますことは、どうしても現段階としては必要でございますので、技術の普及とか、あるいは機械の導入による共同作業とか、あるいは農協等によります共同経営とか、そういうような形で生産性の向上をはかりまして、農家としての所得の増加をはかっていくようにいたしたいということを考えております。たとえば、四十年度から米につきまして高度集団栽培事業などというものを開始をいたしましたが、これもこれらの兼業農家の所得増加に対応する策として考えておるわけでございます。
○玉置委員 政府は、農業基本法の制定当時は、農家の所得と他の産業の所得の格差をなくすためには、自立経営農家をすみやかに育成するんだということが一つの考え方だったと思います。農家の戸数が減ることによって、そのことは、その他の専業農家の反別を増すことによって所得を拡大できるという想定に立った、いろいろな質疑応答がかわされてきたわけであります。ただいままでの五年間では、第二種兼業農家がふえるだけであって、自立経営農家の反別はそう簡単に二町五反歩というようなところへ届き得るものではないんだということもわかってくるわけでありますし、今後大都市周辺並びに限界地と思われるような奥地におきましては別といたしまして、一般の農村では、挙家離村というようなこともそう簡単に行なわれるというような見通しもないのじゃないか。こういうことになってまいりますと、当時思っておったよりも——第二種兼業農家というものは、農業そのものもやっておりますけれども、家族のうちであるいは勤労所得をもらってきておる者もおる。そういった農家所得は、何もかもまぜて、農業所得だけではなしに、農家所得というものの増大をとりあえず考えなければならない現状であり、近い将来もまた同じようなことが言えるのじゃないか、こう思うのです。そういうような意味では、逆に考えますと、劣弱なる老人並びに婦人の労働をもって、第二種兼業農家の方々をして生産意欲を高め、国民経済的には日本の農業の総生産を高めながら、その方々の所得を向上していくというようなところへ政策も持っていかざるを得ないと思うのですが、自立経営農家を大きくすることも非常に大切なことでございますが、同時に、ここ十年や二十年はおそらくなくなりはしない、かえってふえていくであろうと思われる第二種兼業農家の方々のそういう意欲を振起するために、どういうような手を打とうと思っておるか、お答えをいただきたいと思います。
○坂田国務大臣 いまの問題に関連してですけれども、実はこの農業の実態は、これは皆さんもよくおわかりのことで恐縮ですが、地域によって非常に違います。たとえば、北陸地帯は専業農家が多いだろうと一応想像されるかもしれませんが、一〇%以内なんです。専業農家が一番少ない。農事統計上ほとんど全部兼業農家になっております。というのは、こういうことからきておるわけです。単作地帯、そしてそこへ機械力が入ったり、調整にしても電気が入ったり、いろいろのなにが非常に省力的になってきた。そこで、三町歩くらいつくっておる、あの辺で一番大きな農家でも手があくわけです。そうすると、いままでのように所得が少ないから兼業をやるというのじゃなしに——もちろん、それはうんと余ってどうもならぬから金を捨てるというような人は別ですけれども、やはり手があくものですから、ほかの仕事をせざるを得ないということになる。そのときに、農業的な仕事をやることがあるわけです。米作プラスアルファで、そのアルファも農業、そういうときには、農事統計では専業になって出るわけです。同じ経済的な本質を持っておるものでも、米作プラスほかの農業以外のものをやると、それは兼業に出るわけです。でありますから、兼業であるからといって、必ずしも貧乏でもないし、兼業であるからといって、必ずしも婦女子だけでやるわけでもない。たとえば北陸なんか、農事統計上相当大きな兼業として銘打たれて、統計の上にあらわれる兼業というものは、実際は案外自立農家的なものですね。そういうものもあったりして、所によって非常に違うと思うのです。そういう関係にありますから、兼業そのものについても、やはりわれわれは、兼業だからいかぬとか、そういうことはとても言うべきでもないことは言うまでもない。そういう面から見た一つの大きな見方もございます。そういうわけでございますが、しかし、できれば——やはり玉置さんもおそらくそうだと思うが、やはり農業でりっぱに生活していって、そうして農業のほうへ自分の家族労働全部を燃え尽くさすという農家で、収入も相当ある、こういういわゆる自立農家というものが部落なりその地帯に多いということが、われわれの希望することでありますので、そこで、自立農家というものをできる限り多く造成していきたいということについては、私どもは熱意を欠いていないわけでございます。しかし、兼業農家はもう非常に多いわけで、そういういろいろの種類の兼業農家がございますので、それらの問題もこれを放置するということはいかないので、どうしても所得の増強をはかっていく。それは農業ではかられれば一番いいけれども、いろいろ問題があるのであります。そこで、それを農業的に考えていくということになれば、協業なりいろいろの点でもって経営の発展をはかった意味の生産性向上の面に向かって、それらの問題を結集していくということになろうかと思うのでございます。
○玉置委員 いまのお話のように、自立経営のなるべく達成できるようにお進めいただく施策は十分打っていただかなければなりませんけれども、おそらくあと十年、二十年の想定といたしましては、果樹や畜産その他特殊な地帯における反別を非常にたくさん持っておるような——稲作にいたしましてもそういうところもたまにはございますけれども、先ほど申しました果樹、園芸、畜産等の専門農業と申しますか、非常に経営の豊かな専業農家の方々と、それからいま申されましたような、いろいろな施策にかかわらず、耕地、大土地整理が完了してない日本の現状におきましては、なかなか二町五反歩の自立経営なんというものは、思うべくしてでき得ない問題でもありますから、どうしても現状における第二種兼業そのままの形の農業外の所得の向上もはからなければならないけれども、日本の農業の観点からすれば、国民経済的な視野から見ても、この兼業農家の方々をしてひとつ総生産を高めるような、そして農業の所得も高まるような施策を講じていくのにはどういう方法によらなければならないか、どなたか局長からひとつお答えをいただきたいと思います。
○大口政府委員 ただいま大臣その他局長から申しましたように、現在の農家の中で兼業農家の占める割合が相当高いということは、これは現実でございますので、今後における農業の生産性向上というものをはかって農業所得の増大をはかると同時に、やはり相当な多数を占めておりまする兼業農家を含めた農家全体の農家所得の増大ということにも、あわせて農林省としては考えていかなければならない、かように考えております。
○玉置委員 具体的にどうしたらいいか、ひとつ頭のいい局長から、すかっと……。
○和田(正)政府委員 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、たとえば佐賀県の例などを見ますと、米の反収が昨年日本一であったわけでございますが、これらの地帯では、高度集団栽培のような形で、協業化あるいは共同経営というようなことを県も非常に熱心にすすめまして、それの組織による技術水準をレベルアップすることに熱を入れてやっております。そういうことから考えますと、先ほどもちょっと例として申し上げました高度集団栽培等のように、やはり共同事業とか協業経営とかいうようなことを進めまして、なるべくその地域における技術水準の高い人の水準で生産力が上がるような方向を指導してまいりたいということを考えております。
○玉置委員 それでは、農業基本法制定当時非常に一生懸命やられた農地局長にひとつ御質問申し上げたいと思います。あなたが責任者だから、この失敗をどう取り戻すかをこれから考えていってもらいたい。失敗ということでもないけれども、思惑がそううまくいかないわけです。 それでは農地局長にお伺いいたします。農業の近代化と機械化ということを一体どうしたらいいか。と申しますのは、いま申しましたように、二町五反歩の自立経営なんというようなものは、いろいろな施策にかかわらずなかなかできるものではない。それはなぜかというと、日本のように農地が分散されて、かってな形のものでやっておるようなところでは、そう簡単にはいろいろな施策をしてもなかなか集まらない、こういうことが言えると思うのです。いま申しましたように、自立経営農家というものはそうふえはしませんし、ましていわんや、二町五反歩というようなものは、あれからほんとうに微増をしておるだけだろうと思うのです。というような点を考えてみますと、この兼業農家の非常に数の多い、しかも、それは近い将来、先ほど申しましたように、都市近郊もしくは極限地以外のところでは、一般農村では簡単に減少を見ないような感じもいたします。そうすれば、今後この兼業農家をして生産力を高めるためには、土地の生産性を高めると同時に、近ごろやかましくいわれておる労働の生産性を高めざるを得ないのでありますから、どうしても機械化あるいは近代化をせなければならないわけでありますが、そうすると、こちらからいいますと、結局大土地改良だと思うのです。大土地改良に二兆何千億の長期計画もけっこうだけれども、私は、もっとスピードを上げなければその他の施策を十分にやることもでき得ないんじゃないかということを非常に心配するわけです。農地局長、質問が飛びますけれども、その二兆何千億円の長期計画の概要をひとつ説明されて、私はここまで思うておるんだけれども、大蔵省がどうしてもきかぬのやというところを説明してください。
○大和田政府委員 いま先生が最初におっしゃられましたことから申し上げますと、基本法以来の最近の農家の動きで、大体戸数として六・五%ぐらい減っておりますけれども、専業農家の下限と思われる一町五反以上の農家は現実にふえておるわけであります。それからさらに経済中期計画以降の作業では、私ども自立経営農家の指標を二町五反とか二町とかいう経営面積で言わないで、地元農村における勤労者と生活水準が匹敵するような所得を農業であげる農家というふうに規定をいたしまして、農業所得六十万円ないし七十万円というものを押えているわけでありますけれども、それも農家経済調査によりますと、現実にふえておるわけでございます。ふえておるけれども、ただ、ふえ方がいかにも微弱であって、当初予想していたような力強いふえ方はしていないということが問題であるわけで、傾向としては、私はそのほうに動いているというふうに思います。したがって、自立経営を伸ばしながら、全部の農家が自立経常的なものになるという可能性も期待もできないわけでありますから、やはり二種兼業農家を中心として共同化の道を歩むべきだということは、御趣旨のとおりだろうと思います。その場合に、生産基盤でありますところの土地改良が、この問題を解く一つのかぎであろうと思いまして、私ども、幸い土地改良法が三十九年に改正されまして、長期計画の規定が載りましたことから、四十一年度の予算案を大蔵省できめますときに、大体の土地改良長期計画の骨格を話し合いをいたしたわけであります。 その内容をごくかいつまんで申し上げますと、昭和四十年を出発点にいたしまして、四十九年までの十カ年間で、土地改良の事業費は総体を二兆六千億というふうにいたします。二兆六千億のうちで、一兆一千五百億が圃場整備、それから基幹用排水施設が七千億、農用地造成が五千五百億、それから防災事業が二千億で、計二兆六千億でございます。一兆一千五百億の圃場整備で申し上げますれば、これは何といっても、農業労働力が減る過程で経営の合理化なりあるいは生産性の向上をはかっていくわけでございますから、土地の区画整理が一つの眼目になるわけであります。日本の水田が大体三百四十万町歩でございますが、私どもの調査によりますと、三百四十万町歩のうちで、大体三百万町歩が圃場整備を必要とする。その三百万町歩の中に、さらに小分けをいたしますと、二百万町歩程度が区画整理を伴う圃場整備を必要とする部門でございます。あとの百万町歩は、傾斜度が比較的高いとかその他の事情で、区画整理を行なうことは無理であるし、またあまりその必要もないだろうけれども、農道を整備したり、かんがい排水事業をやったり、客土をやったり、暗渠排水をやる必要がある。そういう意味で、区画整理を伴う圃場整備の必要面積が約二百万町歩、区画整理を伴わない圃場整備を要する面積が百万町歩というふうに押えまして、十カ年計画では、一兆一千五百億の圃場整備は、水田で区画整理を伴う圃場整備が八十五万町歩程度、それから区画整理を伴わないで、農道整備あるいはかん排事業とか、暗渠排水あるいは客土、そういうものが大体四十二、三万町歩。したがいまして、十カ年間で土地改良を必要とする、あるいは圃場整備を必要とする水田面積の四割強が圃場整備の対象になるわけでございますから、そのスピードで伸ばしますと、私ども、二十年かからないうちに、区画整理を要する水田の圃場整備二百万町歩、区画整理を要しない水田の圃場整備百万町歩が仕上げられるというスピードでこの事業をやってまいる、そういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、区画整理を中心とした水田の圃場整備を行なって、その上で無理のない方法で共同化あるいは機械化を進めていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。
○玉置委員 それでは時間の関係で構造改善のことをお伺いしたいのですが、構造改善の事業の中で、区画整理を行なう事業というものは、一体どの程度できておるか。もう一つつけ加えて、構造改善事業というのは、私が調べたところでは、ことしの分は知りませんが、大体三カ年の実績によりますと、一つの村の対象範囲、面積からいいますと、平均は一割八分の面積です。一市町村の一割八分を対象にしておる。十カ年で経過するとすれば五十カ年かかる。それの五分の一がたしか区画整理であったと思います。もっと少ないかもわかりません。そうすると、三百年しないと日本の区画整理ができないということになります。構造改善事業のことでもっと聞きたかったのですが、時間がございませんのでなんですが、そもそも構造改善事業なんというものをやらしますのに、農林省で企画をきめてあてがっているところに無理がある。したがって、きょうまである品目における先進地におきましては比較的容易に受け入れられたけれども、これから後のはなかなかたいへんである。いまごろから主産地を形成するなんてことを言い出して、しかもその主産地形成は、だれもこしらえたものに対して売ってやるだけの責任を持っておらないわけです。こういうことに多額の金を出すのだったら、せめて土地区画整理一本やりで構造改善事業の費用を費やしていくほうがいいんじゃないだろうか。日本の農業の近代化と日本の農業の機械化、あるいは先ほど申されました土地の自立経営の助長といい、兼業農家の皆さんの生産性を高める点から考えても、まず、農林省のするのは区画整理である、こういうように感ずるのですが、前段の区画整理の構造改善事業における実績について、だれか局長からお答えをいただき、後段の区画整理一本やりでやるべきじゃないかということについて、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○大和田政府委員 私からお答えいたします。 構造改善事業による区画整理という区分けした資料をただいま持ってまいっておりませんけれども、構造改善事業による区画整理を含めて水田の区画整理が、最近における数字を申し上げますと、年に大体三万七、八千町歩でございます。
○坂田国務大臣 もちろん、この区画整理というものが非常に大切であります。生産性向上ということ、所得向上というものを目標にして、基本法の大きな目標に向かって進んでおるわけでありますが、その一番先にやるべきものはやはり基盤整備だと思います。もっとも、基盤整備をやらなくてもやっていけるのもございます。そういうのはそれで進めていけばいいし、やはり基盤整備をやらなければそれができないという地帯は、基盤整備が先だ。構造改善の問題は、去年の八月以来調査をしてもらったのでございますが、やはりそういう点について地方の実情に即応するということと、それから順序がやはりちゃんと立っておるということが、構造改善を成功させる一番大きなものであります。そういうことでありますので、一がいには言えませんけれども、基盤整備を必要とする地帯においては、それがやはりあなたがおっしゃるとおり一番先にやらなければならないことだ、こう思っております。そうでなくてやれるところも相当あります。たとえば都会付近の構造改善というと、大きな経営はできません。これはもう経済原則です。いかに考えても、これはだめです。そして北海道や東北地帯、これは大きくなるのです。これはもう経済上の原則であるから、いますぐなるならぬにかかわらず、それはそうであります。ところが、やはり小さくて改善せざるを得ないものもあるわけであります。また、その地帯によってはそうでなければならぬものもあるのでありますから、そういうところはそれで進み得ると思います。畜産、養豚のごとき、養鶏のごときも、それは言えるだろうと思います。
○玉置委員 大臣は、自分の説明のしやすいときになってくると大きな声を出して、しにくいときには小さい声で聞えぬようにお話しになるが、ひとつ両方とも気合いを入れてもらわなければいかぬのですが、構造改善事業につきまして前々からお願いをしておるのは、赤城農林大臣のときにもそうでしたが、大体検討時期にきておるということは、どの大臣もおっしゃっていると思います。いままでのが失敗だとは決して申しません。いままではいままでの効用があったと思います。けれども、これからは若干変えていかないと、受け入れ側にもあまり喜ばれておらないんじゃないか、こういうような感じがしますから、ひとつこの際十分にお考えをいただきたいと思うのですが、時間がございませんので、これはこれにいたしまして、質問を飛ばしていきたいと思います。 稲作につきまして御質問申し上げたいと思います。だれか御質問をされた方があるかもわかりません。重複するかもわかりませんが、簡単にお伺いしておきたいと思います。 農業基本法制定当時、選択的拡大生産というので、果樹や畜産あるいは蔬菜、園芸等に重点を指向してくれというような言い方になりまして、十年間に稲作は一割程度上げていったらいいんだという目標を掲げたわけでありますが、そういうような意味で、稲作軽視のムードが出たことは事実だと思うのです。当時、五年前でありますが、その三年くらい前にこれは御検討されておったのですから、八年くらい前は、国際環境もまた食糧の過剰生産で悩んでおった当時でありますから、高いものを買わぬでも安いものを入れたらいいじゃないかという空気で、経済の合理主義という点からそういう理論の出たことも、あながち一がいにけなすわけにはいかないと思うのですけれども、それから今日、ずいぶん国際環境も変わってまいっております。こういうようなことで、ちょっと簡単に聞いておきたいのですが、ここ五年間くらいのわが国における米の需給の推移と今後の見通しについて、ひとつ説明をいただきたい。と申しますのは、ここ数年来、有史以来二番目の、あるいは有史以来三番目の豊作であるというように、年々新聞に載るわけでありますが、端境期になりますと、いよいよ米の需給が逼迫いたしまして、各農協に眠っております政府保管米というものはもうがつがつになってまいります。そういうようなことで、近年六、七十万トンの外米を輸入するのに非常にあくせくとせざるを得ないような現状でございますが、この数年の需給の推移はどうであって、今後の見通しはどうなんだということについてお答えをいただきたいと思います。
○大口政府委員 まず、米の需要の面で最近起きておる事態を中心に申し上げますと、米の一人当たりの消費量、食用としての消費量は、三十八年、三十九年とやや微弱ながら減少傾向が見えております。しかしながら、米の加工原料用としての需要が非常に伸びておりまする関係、及び人口が増加をいたしておりまする関係で、米の需要そのものといたしましては、今後やはり伸びてまいるのではなかろうかというふうに考え、見通しております。 それから次は、米の生産面でございますが、最近における米の生産の状況は、最近の二、三年間、ことに気象が異常でありましたことにもよりまして、総生産としては停滞ぎみでございますが、その中で特にわれわれ注目をいたしておりますのは、米のいわゆる反収、十アール当たりの収量というものが、やや停滞ぎみもしくは若干減った年もあるようでございます。この米の生産のこまかい数字を申し上げてもあれですが、時間の関係もありますので……。そういうことでございますので、今後かりに十年間というふうに仮定をいたしますと、大体需給をほぼ均衡させるためには、現在の農地の壊廃に見合うだけの程度の農地の造成をして、耕地面積を大体一定として計算をいたしまして、約一割くらいの反収の増を見込む必要があるのではなかろうかというふうに考えております。
○玉置委員 農地局長にお伺いしたいのですが、ここ数年来の田畑、耕地面積の造成と壊廃の関係はどのようになっておるか、それはまたどういう今後の見通しをお立てになっておるか。
○大和田政府委員 農地の造成等、拡張で申し上げますと、三十五年が一万九千町歩でございます。三十六年が二万一千町歩、三十七年が二万町歩、三十八年が二万四千町歩、三十九年が二万九千町歩、これが拡張面積でございます。それから壊廃面積は、三十五年が二万四千町歩、三十六年が二万七千町歩、三十七年が二万九千町歩、三十八年が三万七千町歩、三十九年が四万七千町歩というふうになっております。したがいまして、最近においては壊廃、拡張を差し引きまして、相当な農地の減少が見られるわけでございます。私ども、先ほど申し上げました長期計画では、ここ数年の農地の壊廃の動きから、四十年ないし四十九年の十カ年における農地の壊廃面積を約三十五万町歩というふうに想定をいたしました。そして現在せいぜい二、三万町歩の拡張でございますけれども、十年間で農用地造成といたしましては、農地で三十五万町歩、それから草地で四十万町歩というふうに計画を立てておるわけでございます。
○玉置委員 想定のほうはなかなかつじつまが合うのですが、実績は非常に減っておるということが言えると思うのです。 それから国際食糧の需給、ことに米の問題につきまして、需給とその確保の現状と見通し、これにつきまして伺いたい。
○田中説明員 お答え申し上げます。 国際食糧のうちで、米の関係を申し上げます。 大体国際的に動いております米の中では、普通外米と称する長粒形のもの、それから私ども買っております円粒形のものとございます。最近の国際的な米の状況全般を申し上げますと、価格もややここ一、二年高くなってきておる傾向もございます。国際的に見ますと、米の需給というものは大体均衡しておるということが言えると思います。それから私ども国が輸入いたしております主たるものは、準内地米と称する円粒形のものでございますが、大体この供給地域といたしましては、中共、台湾、それから主としてアメリカ、こういう地域になっておるわけでございます。現在のところ、こういう円粒形の準内地米の需要というのは、やはり特殊な地帯に限られておりますので、わが国が買いますこの供給源といたしましては、現在需給上、私ども大体七、八十万トン、ことしの作柄に相応いたしまして八十万トン近くのものの輸入を計画いたしておりますが、この手当てにおきましては、現在のところ順調に経過いたしておるわけでございまして、現在のところ、八十万トン近くの計画のうちで買いましたものにつきましては、中共、アメリカその他を含めまして大体すでに五十四、五万トンの手当てを終わっておるわけでございます。その他の残余の数量につきましても、目下台湾からも責任者が来ておるわけであります。この計画に対しての手当ては十分可能であると考えております。
○玉置委員 今年の手当ては非常に順調であるというお答えでありまして、非常にけっこうなことだと思うのですが、要するに、近年の食糧の国際環境と申しますか、必ずしも潤沢ではない、ここ五年、十年前のような様子ではないということは言い得ると思うのです。しかも、インドとかいろいろなところのああいう飢餓状態を見ましても、決して余っておるはずはないわけでありまして、今後こういうところの生活程度の向上に伴って、あるいは人口増に伴って、よほど画期的な増産の対策がその地でとられない限り、必ずしも需給は容易でないということが想定せられるというのが一般の見方であります。こういう点と、なお、米をはじめとして飼料作物その他の農産物の輸入が相当なドルを必要としておる、こういう二点から考えましても、農業基本法制定当時の米に対する考え方をもう一度再検討しなければならない時期にきておるのじゃないか。ことに大体早期栽培もしくは農薬の進歩、種子のあんばいというような点は、大体国内的には一巡したのではないか。これから土地の生産性、労働の生産性等を上げるのには、相当思い切った施策を打たなければ容易ならぬ事態が起こるような懸念もあり得るわけでありますので、ひとつ米作の振興について農林省当局としては思い切った決心でもってやっていただかなければ、前のようなムードのままで置いておいたのではまことに寒心にたえないというように感じるのですが、農林大臣の御所見を承りたい。
○坂田国務大臣 いまお話しのとおりでございまして、それは午前中もそのお話がありまして、米作についてはできる限りの力を尽くすという考えでございます。
○玉置委員 いろいろお伺いしたいのですが、時間もございませんので、次に飛ばしていきたいと思います。 農地局長にお伺いを申し上げたい。かねてから宿題として御検討いただいております。河川の河床低下によります田畑の用水の取水困難、そういう障害を起こしてまいるのは当然であります。これは河川局のほうでも考えていただいておりますが、河川局のほうでは、先般も河川局長は現地を見まして、あれは非常にけっこうだ、川の容積というのですか、断面が広くなるから、提防のかさ持ちをしたのと同じ効果があるから、もっと下げます、こういう話です。それならば、川の提防をかさ持ちする費用のほんの少しを使えば、農家がせっかく既得権として持っております用水が入らないようになった分を、建設省に当然負担させるべきであって、これは原因者負担であって、農家の負担ではない。農家が土地を土持ちしたのではなしに、河床が下がったのであります。これは原因者が当然負担すべきであって、原因者が不特定多数の場合は管理者が当然に手を打つべきであるということを、こと三年来再三予算分科会その他におきまして、農林省、農林大臣並びに建設大臣に善処方を迫っておるのでありますが、ごもっともである、必ずいたしますということを、赤城さんも、その前の農林大臣も主張しておいでになるのでありますが、まだ一向にその手が打たれていない。今度の予算委員会までにその手が打たれなかった場合には、しかるべく方途を講じます、というのは、これは当然のことなんだから、議員立法でもいたしますぞ、そのかわり全国の河川のそういう個所を私は知っておりますから、そこの先生方にお話をしてやりますぞということまで、何回もこれは御注意を申し上げておるわけでありますが、大蔵省の頭が固いのか、農林省の勉強が足らぬのか、建設省がぐあいが悪いのか、一体どうするつもりか、局長からお答えをいただきたい。それについて大臣の決意も聞いておきたい。
○大和田政府委員 この問題は、前々から御議論いただいておる問題でございます。木津川で二十以上の取り入れ口でございましょうか、ずいぶん古い施設があって、現在水を取り入れておりますのが、砂利を取ったということも一つの理由になりまして、河床が低下して、水がよく取れないような状態に少しずつなってきておるわけでございます。先生も前からこの問題でしばしば御議論されておりますので、私ども建設省と話し合いを進めております。四十一年度の予算で、この木津川の用水改良事業は国営事業として採択の申請がございまして、なお建設省と具体的に十分調整がとれておりませんから、その採択を差し控えるべきではないかという議論も、実は内部であったのでございますけれども、地元における要望は非常に強くて、それを待っていては、なかなか全体実施設計をやって早くて一、二年で、それから着工になるわけでございますから、何でもかでも着工してほしいという地元の要望が強いものですから、私ども建設省との話し合いは今後に具体的に進めることにいたしまして、まず採択はいたしたわけでございます。それで、採択と申し上げましても、御承知のように、着工ではございませんので、全体実施設計を今後早くて一、二年のうちに立てるわけでございますから、全体実施設計の作成の過程において、一体事業の進め方で建設省がこの問題についてどの程度、どういう形で費用を持つなり、あるいは工事をするかということを具体的に詰めていくわけでございますが、私どものほうもまだ直轄調査をした段階でございますから、まだ具体的に事業の細目についての設計ができておるわけではございませんので、ここしばらくの間に全体実施設計を具体的に進めながら、着工にかかるまでに、おそくも建設省と具体的な事業の進め方についての話し合いをいたすつもりでおります。そういうふうに私も建設省と話をして、そうしようということになっておりますので、もうしばらく時間をちょうだいいたしたいと思います。
○玉置委員 私は地元の問題だから申し上げておるのじゃなしに、一般的に普遍妥当性を持っていると思うのです。ひとつ十分御検討されまして、建設省の管理の不十分による問題で農家が御迷惑をしておるから、農林省が手当てをしていただくより方法がございませんので、農林省当局にお願いをしておるような次第で、農林省に食ってかかっておるのじゃございませんから、ひとつ十分農家を庇護するお立場にある皆さんによろしくお願いを申し上げたい、かように思います。 新聞で、御承知の農協合併助成法をあと三年ほど延ばすやに大臣から新聞記者に報道がありました。きょうまでの実績が目標の六〇%ないし七〇%にとまっておるやに聞きますが、どういうところに難点があって、そして今後助成法を延期するときに何か手を打つようなお考えがあるかどうか、この席でひとつ言明をいただきたいと思います。
○和田(正)政府委員 農協合併助成法は、御承知のように昭和三十六年に五カ年の時限法で制定をいたしました。昨年の十二月三十一日で合併計画の承認をいたします時期が終わりましたわけで、昨年末まで、つまり、法律による期限までの合併の達成率でございますが、法案を準備をいたしましたときに計画をいたしました合併に対しまして、全国で九〇%の達成でございました。県別にいろいろ差はございますが、全体としては、私どもは目標の一応の達成ができたというふうに考えております。なお今後合併を希望する組合もあるわけでございますが、それぞれの組合もいろいろ合併の困難な事情をかかえておりますことは御承知のとおりでございますので、現在のような合併助成法をそのまま延長をしただけでは解決しにくい点もあろうかと思います。現段階におきましては、現状のままで促進法を延長すると申しましても、実は制度的には期限が切れましたので、そのまま延長するということは、私どもは実は考えてないわけでございます。
○玉置委員 少なくとも新たに二、三年のものを制定することはお考えになっておるのですか。
○和田(正)政府委員 ただいまも申しましたように、現在のような形の助成法と同じようなものを新たに制定をしましても、それぞれかかえております困難な事情はそのままでは解決をいたしませんので、政府としては今後行政指導は続けてまいりますけれども、ああいう形の法案を提出することについては、現在検討いたしておらない状態でございます。
○玉置委員 新聞に大臣の談話として発表になっておりましたが、あれはどういうことですか。
○坂田国務大臣 それはおそらく北陸地帯かどこかのときに、何かそういう合併していないところの問題についてどうかという点についての問題に触れたときに、どうしても合併しなければならぬような事情であるならば、その点を検討しよう、こういうことを申したことがあるのでございます。
○玉置委員 どうも言いにくいほうの側になっておると思いますので、あれですが、それでは話を変えまして、質問の形式で前の国会でお願いしたのでありますが、農民の暮らしを守ることは、基盤整備が前提条件になるようなものでありますので、相当な日数を要することだけは、これは事実だと思います。したがって、現在でも若年労働がほとんど絶無に近いような現状になりつつあるときに、せめて農村の環境を整備するということで、今度は意欲的な予算をお盛りになっておるやに説明を承っております。その一つとして農山漁村の住宅改善、これはいま想定されておるようなものよりもさらに一歩を進めていただきまして、農家の嫁の対策といたしましても、結婚される場合には、住宅金融公庫のあのままの金利やあのままの制限額というようなものではなく、もう少し農林省自体からそこへ上積みすることによって、利子補給もしくは何らかの措置をとることによって、もう少し長期低利な形で家の修築ができるようにするところまでやっていただきたいと思いますが、大臣の御所見はいかがですか。
○和田(正)政府委員 住宅改善の問題につきましては、従前は住宅金融公庫の融資と、それから例のガソリン税の見返りでつきました生活改善資金の融資がございます。生活改善資金のほうは、ちょっと手直しをして個室をつくりますとかいうように、あまり金額のかさみませんものに現実には利用されております。これは御承知のように無利子でございますが、来年度もその融資ワクを生活改善資金全体として三割もふくらましました。それからもう一つ、住宅金融公庫のほうの融資につきましては、来年度は農村住宅向けを一万戸分、住宅金融公庫のほうで予算ワクをとってもらいまして、本年は約六千戸くらいの予定でございますので、総ワクとしては相当ふくらみました。 それからもう一つは、最近農林中金等の系統資金も、農家住宅のような貸し付けを積極的にいたすことを昨年秋以来検討いたしておりますので、そういう面での融資の道もございます。ただ、御説のように、住宅公庫の資金だけでは必ずしも十分でないという点もございますので、昨年の秋に各関係の農業団体及び住宅改善に関します建設省所管の建築面での住宅関係の団体、それらを糾合いたしまして、住宅問題の研究会と申しますか、協議会をつくりまして、いろいろなルートで出ておりますいろいろな資金を取りまとめて、末端では総合的に使えるようにしますとか、あるいはモデル設計をこしらえて流してやりますとか、そういう少しきめのこまかい面にも手を入れて、住宅改善の指導をしていきたいということで、昨年の秋にそういう協議会を結成いたしまして、せっかく努力をいたしております。 ただ、利子補給というお話でございましたけれども、これは実は本年度の予算編成にあたって、私もおっしゃるような意味で検討いたしましたけれども、いろいろな面で困難がございましたので、今後そういった面については引き続き検討して努力をしてまいりたいと思います。
○玉置委員 せっかくの努力を要望しておきたいと思います。 次に、農民の付加年金、これも前の予算委員会でずいぶんお願いしておったのですが、鋭意御検討いただいておるやに新聞その他で承ります。どの程度まで検討ができて、どのようにするつもりであるか、この際、お聞かせいただきたいと思います。
○和田(正)政府委員 御承知のように、農民に対する年金制度は、一つには、老齢後の生活の保障という問題と、それから早く若い世代に世帯を移していくというような構造政策的な意味もあろうかと思います。そういう二面から考えまして、現在あります国民年金制度、約千九百万人の加入者がございますが、そのうち七百万人くらいは農家だという実態もございますので、ちょうど来年四十一年度が国民年金制度の改定の時期にも当たりまして、昨年厚生省といろいろ折衝してまいったわけでございますが、給付金額については、一万円の厚生年金と同様に、二十五年かけますと、二人当たり月五千円の給付になるように、給付そのものの改正は実現いたしたわけでございます。それにおっしゃいますような、報酬に応じてさらに上乗せができますような制度を来年度以降取り入れたい。特に農業関係では、御承知のように共済事業をやっておりますので、あの団体を母体にして、そういう付加年金制度を国民年金制度の上に上乗せたいと考えまして、団体側ともほぼ設計をつくる段階を終わりましたので、来年度以降、予算要求なり国民年金法の改正なりを関係各省とも詰めてまいりたいと考えております。
○玉置委員 最後に、果樹、野菜の流通についてお伺いしたいと思っておりましたが、時間がございませんので、一点だけお伺いしておきたいと思います。 市場でありますが、市場を東京の周辺に分散して設けることが、市内の交通のいたずらなふくそうを避けることにもなり、それらがお互いに競合することによりまして、流通過程の改善の一助になるのじゃないか、こういうように考えます。いま一カ所大宮のほうにつくっていただいたようにお伺いしますが、中央線のほうにももう一カ所おつくりなさるほうがいいのじゃないか、こう思っておりますが、御所見を承りたいのと、もう一つ、農家の農地並びに仕事場等につきます固定資産税でありますが、現在国会で問題になっております固定資産税は、当分の間農地には前の税率を適用するということになっておりますが、収益税であるか、財産税であるかという点につきまして、固定資産税の問題は、根本的に言い出すと、なかなか論議があると思うのですが、こういう機会に、当分の間というようなことじゃなしに、収益税から考えて、農地の固定資産税は税率を現在の税額になるように押えるべきだ、こう思うのですが、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
○森本政府委員 東京その他のいわゆる過密都市におきます中央卸売り市場のあり方の問題でございますが、現在御案内のように、昭和三十八年から中央卸売り市場の整備八カ年計画ということで、もちろん、東京、大阪を含めまして計画を立ててやっております。具体的に東京都のほうでは、現在都心部に二市場、中間部に五市場、それから周辺部に十三分場ということで市場が配置されております。先ほど申し上げました整備計画によりますと、ことに郊外の問題の御指摘がございましたので、申し上げますが、周辺部の十三分場を統合いたしまして、かなり大規模の市場をつくるというふうな計画で、実は整備に着手いたしております。ただ、それだけでは過密都市の市場問題は解決しないというふうな面もございますので、実は昨年度から、東京あるいは大阪の過密都市の市場の根本的なあり方につきまして、あるいは外国における諸事情といったようなものを調べる、具体的にまた東京、大阪の現在の流通の形態がどうなっておるかといったようなことも調べる、あるいはまた数カ所の候補地について、どこが適地としてすぐれておるかというふうな点についても調査をいたしております。来年度はそういう具体的な候補地につきまして、それぞれどういう規模の市場をつくればいいかといったようなことについて検討を進めていきたい、こういうふうなことでございます。
○大和田政府委員 固定資産税の件でございますが、実は御承知のように、固定資産税の評価は四年目ごとにやることになっております。たしか次回は四十二年になると思いますが、自治省としては四十二年にはやらないように考えておるようであります。その次は四十五年になるわけです。固定資産税法の改正そのものについては、御承知のように、地方行政委員会で御審議になると思いますが、少なくとも農地につきましては、現在の税額がふえないように措置をするということで、自治省と交渉をしてまいりました。自治省は最初、四十五年の評価がえの時期まで現状維持ということを言っておりましたが、私どものほうとしては、それでは納得できないということで、当分の間ということにいたしたわけで、少なくとも評価がえ等の問題は直接触れずに、農地についての固定資産税を上げない方向でということで、あの政府原案を自治省と話し合いをしたいきさつがあるわけでございます。今後評価がえ等の問題が起こりましたような場合におきましては、御指摘のような点は十分わかっておりますので、今後なお検討したいと思います。
○玉置委員 質問を終わります。
○中川委員長 森義視君。
○森(義)委員 先日、大臣が本委員会で明らかにされました所信表明の中で、林業問題に限定をいたしまして、数点お尋ねをしたいと思います。 その第一点は、大臣も方針書で述べておられますように、木材の需要が引き続いて拡大をしている、それに対して国内材の供給が対応できないために、外材輸入が増大をしている、こういうふうに言っておられるのですが、外材の輸入がわが国の林業にどういう影響を与えてるか、まず第一に、この点についてお答え願いたいと思うわけです。政府の刊行物である経済白書等を読んでみますと、外材輸入によって国内価格が低迷をして、造林が非常におくれておる、こういうふうに指摘をしておるわけですが、その実態はどうなのか、そういう点について、第一にお尋ねをしてみたいと思います。
○坂田国務大臣 外材輸入の影響でございますが、まず価格問題でございます。価格問題については、昭和三十五年を一〇〇としますと、三十六年度から需要が非常に激増いたしているために、一般物価、いわゆる卸価格でございますが、これが三十五年を一〇〇としますと、大体横ばいでございますが、最近において一般の物価は一〇二くらいにいっていると思います。ところが、材木のほうは、卸にいたしまして、三十五年を一〇〇としますと、三十六年に一二〇くらいに上がって、あとは大体それ以後横ばい。しかし、若干上がって、最近は一二四くらいになっているはずでございます。数字は多少違うかもしれませんが……。三十五年が一〇〇で、三十六、七年には一二一・七となり、少しずつ上がって、四十年には一二六・一くらいに上がっております。ですから、外材が入ったからというて——三十六年度は急激に上がったのでありますが、その後若干上がっている、こういうことで、大きな影響はないように思われる。一般物価はそういうふうにして全くの横ばい。こういうことでありますと、そんなに大きな影響は価格の面においてはない、こう思います。それからまた一面、需要の面からいいますと、最近は、三十九年の白書によりますと、需要が七千万立米、そこへ輸入が千九百幾ら、こういうことになっておるわけでございます。それがごく最近の毛のは、おそらく需要が七千四百万立米くらいであろうと思います。そこで輸入が二千幾ら、こういうことになっておるわけです。需要の面からいうと、やはりいまのところ、どうしても輸入をしないと山を維持できないということに現在なっておる。したがって、いまのところは、どうしても需給関係から見ても輸入は若干要ります。その影響というものは、それは入っただけの影響はあるに違いないが、いま言ったように、ほかの物資と比較して、そう大きな下がり方はない。むしろ、ちょっとまだ上がりぎみの横ばい、こういうふうに御了承願えればいいと思います。
○森(義)委員 どうも大臣の答弁は、私の質問のしかたがまずいのかわかりませんが、かみ合っていないわけです。私は日本の林業にどういう影響を与えるのかということをお尋ねしているわけです。いま価格と需要の面で、入ってきた実情を報告されたわけですが、先ほどちょっと触れましたように、外材の輸入が価格の低迷を来たして、造林、保育、そういう面で非常に林業家の意欲を阻害しておる、こういう弊害も出てきているわけです。そういうふうなわが国林業に与えたプラスの面とマイナスの面がどういうふうにかみ合ってあらわれてきているのか、こういうことを実はお尋ねしているわけです。もう少し大臣は高所に立って、外材輸入がわが国林業に与える影響というものを御答弁願いたいと思うのです。いまの大臣の答弁ですと、何か林野庁の長官の下の課長あたりの答弁のような数字の説明なのです。もう一ぺんはっきり言ってください。
○坂田国務大臣 これは結局、需要がふえてきて.いる以上は、どうしても輸入が要るので、外材が入れば値段が下がる。非常に困るということであればなにでありますが、そうでもないということである。しかし、これは本質的には、やはり日本の山を守って、そして生産も国内産でやっていけるようにしなければならぬということは当然です。その点からいうと、これだけの輸入をやらなければならぬということは残念なことである。その意味から、ひとつ大いにやろう、こういう考え方であるわけであります。
○森(義)委員 需要に国内産の供給が不足しておるから、これは外材を入れざるを得ない、しかし、本来からいうならば、国内材で需要を満たすような態勢にしたい、こういう御答弁だと思うのです。それでは国内材の生産を増強する観点から見る場合に、外材が入ってくることによって、国内材生産の意欲が、造林の問題でもあるいは撫育の問題でも、うんと低下しているわけです。それではいつになったら、外材が入ってこないでも国内材でその需要に見合うような態勢がとれるのか、こういう問題が出てくるわけです。口ではそう言っておられますけれども、国内材で日本の需要を満たすような供給を持つためには、いまの外材の果たしておる役割というものはプラスなのか、マイナスなのか、そういう点どうなんです。
○坂田国務大臣 むずかしい質問ですが、もし全然入らないということになれば、たいへん困ったことになるでしょう。そのかわり、山のことは一生懸命いやでも応でもうんとこさ増産ということになるでしょう。ものの道理はそうです。しかし、そういうわけにはいかぬので、必要があれば、やむを得ず輸入する、しかし、これで満足すべきでない、こういう気持ちでなければならぬと思う。 もちろん、入っただけの影響はそれはあるに違いない。だけれども、どれだけの影響かというと、そうおそろしいほどの影響ではない、こういうことであろうと思う。 なお、長官からひとつ補足的に……。
○田中(重)政府委員 外材の輸入がわが国の林業に及ぼす影響という意味で、ただいま大臣からお答えになりましたように、国内の取引価格に影響していることは確かでございます。その次は、国内の木材の流通面に影響しているということが言えるかと思います。さらにそのような外材の流通が造林等の意欲に影響しているのかいないのかという問題もあると思います。 それでまず、価格の面で申しますと、いま大臣からもお答えになりましたように、一つの見方としては、外材が大量かつ比較的低廉に入ってくるから、国内の木材価格がそのために低く押えられているのではないかという見方がございますけれども、この点は、いまもお話がございましたように、むしろ外材の現在の流入にかかわらず、昨年の秋以来は強含みというか、反騰に転じて現在に至っているというような状況でございます。しかしながら、一方、外材が入っているということで、もし入らなければさらに騰貴したであろう木材価格が、この面では押えられて、安定をしているというふうに見てもいいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。 一方、流通の面で見ますと、外材が、これは南洋材、米材あるいは北洋材といわず、全国的に輸入されておりますために、地域的の木材の格差が平準化をいたしまして、各港に近い工場では、外材を主としてひく工場がふえてまいっております。その方面の各県では、自県産で足りない分は、他県産で入ってきているのを外材の輸入で間に合わせるというふうに、流通面の変化を来たしているということが言えるかと思います。 次に、外材のそのような入り方が、これからの将来の造林に影響してくるのかどうかという点でございますが、一般に見られておりますように、外材の大量かつ低廉な輸入が造林の意欲を失わせているというふうに見る見方もございますけれども、そういうふうに見るのは早計であるという考え方もあるのでございまして、その考え方といたしましては、造林の年々の面積が、たとえば昭和三十六年ころの四十万ヘクタール等に比べまして、若干下回っておることをさしているわけでございますけれども、これに対しましては、むしろ造林の進度のおくれているのは、拡大造林の面であるということ、そうして拡大造林の対象地域は、おもに薪炭林該当木といいますか、低質林分が広範に広がっている地帯、そういう地帯の造林が比較的おくれているということは事実でございます。これは御承知のとおりに、薪炭の需要の急激な減退、そうしてなお、それの販路の開拓が活発に展開をされていないという面があるということのほうが、造林の停滞の大きな原因ではなかろうか、こういうふうにも考えるわけでございます。そこで、低質林分の需要の販路の開拓並びにその地帯の造林資金の導入を活発にすることによって、その拡大造林の推進をはかっていきたい。そこで、考え方といたしましては、大臣からも申されましたが、外材の輸入はあくまでも補完的に考えていく。そうしてできる限り自給率を高めていくという面からいいますと、やはり国内生産体制の強化の問題といたしましては、造林のしやすいような基本的な助成の措置が必要でございまして、林道の拡充なり造林資金の大幅の導入なり、それから生産性の向上なり、そういう面でできる限りの国の助成をはかってまいりたい、こういう考えでございます。 まあ、外材の影響といいますと、いま申し上げましたようなふうに考えております。
○森(義)委員 長官の答弁を聞いておりますと、外材の輸入面におけるいわゆるプラスの面、それを必要以上に高く評価し、マイナスの面はできるだけ必要以上に低く評価する、こういう考え方のように受け取れるわけなんです。外材問題は、今日、日本の林業の中では重大な役割りを果たしているわけです。林野庁あるいは農林省が、この外材問題を単に需要と供給との間の不足分の補完的な役割りを果たしておるというようなきれいごとで済まされない段階にきておると私は思うわけです。先日の朝日新聞の社説にこういうことが書いてあります。日本林業はいま構造的変動に遭遇している。これを図式化しまして、三十六年のいわゆる高騰、そこで外材の輸入、それから現在の均衡、そこで外材の定着、外材を主導力とする構造変化、生産の停滞、こういう事態にいま遭遇しておる。今日、外材は御承知のように日本の需要量の二八%入っているわけですね。これが今日日本の木材価格を左右するまでに大きな影響力を持っている。それから外材をひく製材業が全製材業の中の三五%を占めてきておる。これらの問題は、今日外材問題が単なるこちらの自給率を高めるまでの段階における一時的な補完的役割りを果たしているというような見方は、私は実に甘い見方じゃないかと思うのです。先ほど林野庁長官は、造林の問題は、外材が入っているからそれによって造林意欲が低下しているとは言わぬ、考えられない、こういうことでございますが、実情を見ますと、一般造林の中の自力造林は、三十五年を一〇〇として、三十九年は五八に下がっているわけです。それほどもう一般林業家が自費で造林することに対する造林意欲を失っている。育林の面を見ましても、うんと下がっておりまして、三十四年を一〇〇としますと、三十八年は七六に下がっている。いわゆる日本の生産増強のにない手である林業家が、今日その基盤整備である造林あるいは育林の問題について、三十六年の外材輸入以来このように下がっておるということ、この事実をもっと正確につかむ必要があると思うわけです。朝日新聞の社説が指摘しておるのは、そういう実態をつかんで、日本の林業に外材が及ぼしておる影響というものは構造的な変化にまできておる——若干オーバーかわかりませんが、こういうとらまえ方をしておる。私は、このくらいオーバーなとらまえ方をして外材対策を立てても決して行き過ぎじゃない、こう思うわけです。いまの需要の拡大は、どんどんと外材がふえていくわけですね。それに対して自給率を高めるとおっしゃいますけれども、昭和三十五年以降の需要と供給の推移を見ましても、とてもそんなに高まるような状態にないわけですね。需要の拡大にとうてい供給が追いついておらないわけです。そういう状態の中で外材の占めておる役割りというものが、いまのようなとらまえ方ですと、日本の林業全体が誤るような形勢を生ずると思うわけです。それは林野庁長官は、大臣の答弁があったので、その答弁からあまり離れて長官が言い過ぎると、大臣の顔をつぶすことになると思って、大臣の答弁に合わすように言っていると私は感ずるわけです。もっと事実を正しくつかんでおられるように思うのですが、もう一回その点について御答弁を願いたい。
○田中(重)政府委員 私も、外材の影響のことをマイナスの面がないと否定をして申し上げているわけではございませんが、現在の造林の停滞という面にその原因を求めれば、いまも申し上げましたような地上立木の販路の閉塞といいますか、それから造林資金の足りないということ、そのほか、さらに数えますと、労賃の急激な上昇というようなことが、やはり造林の停滞の大きな原因になっておるというふうに見ざるを得ないということを申し上げたわけでございます。 そこで、それの基本的な対策といたしましては、造林、林道等林業生産の推進されるような基本的な措置がやはり一番重要であるし、優先すべきではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、そういう意味で、四十一年度予算におきましても、造林、林道の面の予算措置の改善をはかりますと同時に、一方また、農林漁業金融公庫等の造林融資のワクの拡大についても、できる限りの努力をいたしたい、そういう考えでございます。
○森(義)委員 外材輸入がわが国の木材の高騰を押える、需給のバランスを外材の輸入でとるという、そういうプラスの面はいいと思うのですが、私は、やはり将来の林業というものを考える場合においては、日本の資源をどう培養していくのか、そういう観点で林野庁は考えていかなければならない。そうするならば、外材の輸入がもたらしておるところの造林や保育の停滞というものに対しては、積極的な手を打っていかなければならぬ、こういうふうに思うわけです。 時間があまりないようでありますので、次に進みたいと思いますが、いま大臣も長官も答弁の中でおっしゃいましたように、外材の輸入は、あくまでも国内供給の不足に対する補完的な立場で考えておる、自給力を高めていく、こういうお話なんです。そういうことならば、当然木材の需給計画というものがしっかりできておって、そしてその需給計画に対して、外材はどこまで入れる、そしていつ、何年度には自給率を何%達成して需要量を満たしていく、こういう計画性がなければならないと思うわけです。そうでないと、外材が補完的なのか、あるいはオーバーして入っているのか、つかめないわけですね。そういう長期にわたる木材の需給計画について、どういう方針を持っておられるのか、あるいは現在どういう計画ができておるのか、お尋ねしたいと思います。
○田中(重)政府委員 需給計画につきましては、いままでも経済企画庁等の計画に木材についての需給計画があったわけでございます。それから林野庁といたしましても、当面の木材需給の見通しについて計画をし、それによって業界の指導に当たってまいったわけでございますが、このたび林業基本法の十条に基づきますところの森林資源の基本計画並びに重要な林産物の需要と供給に関する長期の見通しというものを策定をいたしまして、公表することになっております。そこで、この基本計画並びに長期の見通しにつきましては、この三月に林政審議会に諮問をいたしまして、そうしてその答申を得た上で、三月中には公表の運びになるかと存じます。それで、その長期の見通しは、いま申し上げましたように、三月に公表をするのでございますけれども、一応申し上げますと、昭和四十年から一応基本計画に基づきまして長期の見通しを五十年間にわたって立てる。それに対する需要と国内の供給、したがってその不足の分についての輸入の見通し、したがって木材についての需給、これを各年度ごとに策定をいたし、そういうふうに供給面を持っていくための造林と林道等の、これもまた長期の計画を策定いたしまして、そうして公表をするということにいたしております。なお、短期的なものといたしましては、昭和四十一年度の予算にも、木材の需要動向観測調査というのを四百万円計上をいたしまして、これは当面の需要と供給、したがって外材の要輸入量、こういうものを見通しまして、これを公表して、そうして特に輸入の業界等の指導にあたって、数量並びに価格の適正輸入の措置を講じたい、こう考えておる次第でございます。
○森(義)委員 木材の需給計画は、林政審議会に諮問をして公表をする、その期間は四十年から五十年間の見通しのうちで長期計画を立てる、いまこうおっしゃっておられますが、今日までの、三十五年から四十年までの間の需給の推移が資料に出ておるわけなんですが、需要は三十五年を一〇〇として、三十九年は一二七に伸びている。それに対して、供給のほうは、薪炭材を含むと九四に減っているわけです。用材だけですと一〇五、こういう状態なんです。需要の伸びのほうが大きくて、供給の伸びのほうが低いわけですね。その間、外材が穴埋めしているわけですね。いまこういう状態にあるわけです。これが外材の穴埋めしている分をこれから自給率を高めていって減らしていくのだという計画を実際問題として立てようとする場合に、いまの外材をそのままほっておいて、林業家の造林や植林に対する意欲を阻害したままほっておいてできるのですか。それは机の上で数字ははじけますよ。はじけますけれども、実際問題として、私はそれは不可能じゃないかと思う。それほど今日外材は日本の林業の中にどっかりとすわっておる。その影響というのは実に大きいものがある。こういう判断から先ほどからの質問をしておるわけです。いまのような林政審議会に諮問して公表される長期需給計画をまだ見ておりませんのでわかりませんけれども、それには思い切った根本的な措置を講じないと、そういう体制は整わないと思うのですけれども、今度の計画を作成された長官として、いや自信があるのだ、こういうようにおっしゃるならば、自信のほどをもう一回聞かしていただきたい。
○田中(重)政府委員 お説のとおりに、三十五年から今日までの需要の伸びに対して、供給の伸びが相当におくれているということは事実でございまして、その間を外材が補完をしてまいったのでございますが、こういう面を申し上げたいと思いますが、現在の日本の林力から申しますと、終戦前後に植栽をされた二十年生以下の林分が、人工造林地全体の面積で約六割程度を占めている。それから成長量におきましても六割程度を占めている。つまり、そういうことからいいますと、需要の伸びに十分に対応し得るほど日本の林力は回復をされていないという面があるわけでございます。ですから、外材が入るために山林所有者の切り控えが相当に行なわれているというふうに一がいに断定はできないのでございまして、山林所有者によりましてはそういうのもないとはいえないと思いますけれども、全般としては、大体力一ぱい切っているという状況があるということでございます。したがって、それをできるだけ回復するということに重点を置いて、今後の長期計画を立てようといたしておる、こういうことでございます。
○森(義)委員 大臣は予算委員会に出席されるようでございますので、時間がありませんから、質問を保留いたしまして終わりたいと思います。その点についてはまた次の機会にお聞きしたいと思います。
○中川委員長 次会は来たる三月一日開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十八分散会