内閣委員会 第49号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/06/23
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出第一五号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、及び内閣提出第三七号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
○山内委員 国防会議議長としての総理にお尋ねするわけですが、短い時間をたくさんの同僚で分け合っておりますので、率直にお尋ねいたしたいと思います。 いま巷間に伝えられております第三次防衛整備計画、この三次防なるものを、総理はどの程度に理解され、責任を持って御答弁できるか、この点であります。伝えられるところによると、まだ国防会議にもかけておらぬ、こういうのですから、私は内容は全然知りませんと言って逃げられるとすれば、これはまた、こっちで質問のほうを考えなければなりませんので、責任のある御答弁をまずお願いしておきます。
○佐藤内閣総理大臣 たいへん山内君から実情を御了承の上で、お尋ねのようであります。ただいままだ三次防衛計画そのものは確定されてはおりません。しかし、もうすでに二次防等が期限が来ておる、こういう意味で、次の防衛計画をやはり持つ、そういう意味で各省の間でいろいろ相談しておる、かようには聞いておりますが、これを持ちますもとの基本的な考え方は、私が申し上げるまでもなく、しばしば伝えておりますように、日本の防衛計画、自衛力の装備充実の計画というものは、国力、国情に応じて私ども考えるということは、絶えず申しておりますので、この三次防を考えるにいたしましても、この基本に立っての各省の話し合い、かように御理解をいただきたいと思います。
○山内委員 そういう御答弁ではないかと私も予想はしておったのですが、それがすこぶる問題なんであります。巷間伝えられておるいわゆる三次防なるものの内容というものは、非常に詳細をきわめておる。しかも四十一年度の予算が通って、その中にはすでに第三次防の計画の一端が、もう予算化されておる。どこからどういう形態で漏れておるか知りませんけれども、この三次防の内容が具体的に巷間に伝わっているために、非常な混乱を防衛産業の上にも与えておるし、また外国にもいろいろな波及を及ぼして、私ども実際に見聞しておるところでも、外国の軍需産業までが日本にまた入ってきて、ロッキード、グラマンの紛争が起きようとしているその寸前にある、こういうことで、これは非常に私は綱紀の紊乱を来たしておると考えておる。そういう意味で、ここまで発表された以上は、せめて防衛庁原案なるものでも、巷間に伝わっているものは誤りなら誤りで、それをただすためにもわれわれに示す必要があると思いますが、この第三次防衛計画なるものも、これはまだ国防会議にかけておりませんから、原案、試案のままでけっこうですから、ぜひお出しになっていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 別にいまの山内君のお尋ねに答えるわけじゃありませんが、いまもお話しがありましたように、まだ防衛計画がきまっておらない。これはお認めになると思う。そこで、巷間でいろいろ伝えられておる、その伝えられておるものを出せ、こう言われるのですが、これはやや無理ではないかと思います。だから、いずれ決定をする、決定をいたしましたらもちろん御審議をいただくことになるのだと思います。しかし、その前にどういう考え方でいるか、そういうものを問題に供して、そうして問題を紛糾さすべき筋のものではない、私はかように思いますので、御了承いただきます。
○山内委員 私、いま申し上げたとおり、何も国防会議の決定版を出せと言っているのじゃない。新聞の報道でも、すでに第三次防原案まとまるということで、詳細に出ております。ところが、これは新聞によって、雑誌によって内容が必ずしも一致しておらない。そういう点を足がかりにしていろいろ防衛産業などが動くことを押えるためにも、これは防衛庁がつくった原案です、こういうことででもいいから出してくれ、こういうことなんです。これは無理でない。それならば、無理だとおっしゃるならば、私は……。
○佐藤内閣総理大臣 いま新聞にどういう記事が出た、これはもちろんその新聞記事を私ども責めるわけじゃないので、有能な記者がいて、それぞれ探訪して材料を取って出てくる、かように思いますが、しかし、いまのお話にもありましたように、各紙とも全部が同一でもない。こういうところに一つの問題があるわけです。そういうことを考えますと、いま私どもが持っている——確定的なものがあれば、それは御審議をいただくことが当然ですけれども、いま中間的な、まだ未熟な状態のものを直ちにこの国会の審議の場に提出する、これは少し無理じゃないだろうか。ひとつ御了承をいただきたい、かように思うのであります。
○山内委員 これは何にも無理でないのです。それなら私はお話ししましょう。防衛庁長官は、古いのから順に、時間があれば私はお話ししたいと思うのですけれども、これはこの間の四月十三日に国産化懇談会でも話しておる。いまの松野長官が就任された祝賀会のパーティーで、何か非常に詳細なお話をしております。特にこの中でちょっと私ども奇怪に思うことは、四十一年度をいわゆる重複した年として三次防を繰り上げる、こう言っておる。そして現に予算に載っておるのです。これは一体あなた、国防会議の議長としてこういうことを御承知ですか。承認を与えたものですか。
○佐藤内閣総理大臣 冒頭に申しましたように、まだ三次防そのものの計画はかかっておりません。だから、これは御了承いただきたいと思うのです。私どもが申し上げておることは、そのままお受け取りをいただきたい。決定はしておらない。このことを御了承いただきたい。
○山内委員 ですから、防衛庁長官がパーティーに行かれて、自分が就任されたお祝いですから、喜びの気持ちもあったろうとは思いますけれども、すでに具体的内容を言って——じゃその具体的内容をお知らせしましょうか。——そのうちに資料が出てくると思いますが、いま出なくてもいいのです、その内容の概略はわかっておりますから。これは航空機五百機、約五千億です。この防衛のあれでもって約七千百億のいわゆる軍需産業を国産化して発注するという御説明があるわけです。ですから、これに飛びつく防衛産業の人たちの執念というものは、たいへんなものなんです。これが私は綱紀を紊乱さしている原因だと思う。国防会議の最高の機関を経ないで、かってに長官がそれを一年繰り上げて、そうして第二次防の終わった年と初年度をくっつけて——パーティーですから、業界を喜ばせるつもりだったと思う。そういう気持ちもあったろうけれども、そういうことで混乱を起こすことを、あなたは国防会議議長として、これは取り締まらなければいかぬですよ。これをやらないと——私ども常に、いろいろ戦争の危機をはらんでいる今日でも、いわゆるシビリアンコントロール、文官優位の原則を貫いてくれと言うのは、その点にあるわけです。何も制服をせびろに着かえたからこれは文官になったのではないので、そういう国防会議という一つのチェックする機関を抜きにして、そうしていろんなことを先に伝えてしまう。御承知の通り、あなたは国防会議の議長だ。それに大蔵大臣、外務大臣はもちろん、経済企画庁長官、そういう人たちが入って——経済企画庁長官も入るし、大蔵大臣もいる。そういうところの国防会議できまれば、国政の全般にわたる、あなた先ほど言われたその線で一応チェックされるから、われわれもある程度の安心感は持てるわけです。それを長官が、自分の立場からどんどんどんどん、そういう二次防、三次防というものを次々に国防会議にかけないで、そうしてこれだけの生産をやるんだ、これだけ発注するんだ、国産化するんだ、そう言って発表したら、どういうことになりますか。そういう点を私はあなたにお聞きしておる。
○佐藤内閣総理大臣 私が最高責任者でありますし、私が知らない間にそういう計画がどんどんきまることはございません。これは責任を持って私がお答えいたします。だから、そういう点は御心配ない。ただいま松野長官がパーティーの席で述べられたといろそれは、もちろんどんなことを言ったか私は知りませんが、これは決定されてそのとおりになるものだ、こういうことではございません。おそらく自分の願望というか、そういう希望というか、そういうものを述べたんだ、かように私はとります。
○山内委員 それでは、自分の閣僚である防衛庁長官が総理にお話しになって、それで御存じだという意味の言いのがれだと思う。私はそう言っているんじゃない。国防会議という、この出先機関のそういうものがかってなことをするのをチェックするりっぱな機関があって、あなたはその議長として処理できるわけです。それをはからないで、たとえばさっき言った一年繰り上げの問題、それからいま出てまいりましたけれども、この防衛懇談会で松野さんの発表された内容というのは、これは新聞記事ですから、私も正確にはどうかわかりませんけれども、戦車が四百両、これは三百億、それから輸送機が五十機で五百億、地対空ミサイル、ナイキ三個大隊で四百億、ホークが四個大隊分で四百億、艦船が七万トン、千五百億、航空機、これは輸送機を除くそうですが、五百機で四千億、これだけのものを国産化するのだ、これは七千百億であります。そうしますと、第二次防でも一千三百億、それが七千百億というような膨大な数字になります。全部の防衛計画は三千五百億ですね。そうしますと、倍以上になる。ちょっとこの数字はあるいは間違いがあるかもしれませんけれども、とにかく第二次防に対して、第三次防計画というものは二倍以上になります。こういうものを、おそらく総理は数字は御存じないと思う。こういう重大な国防の最高に関するものを、総理が議長として御存じないうちに発表されることは、出過ぎたやり方だ。それをチェックされるのは議長であるあなたの責任だということを言っておる、どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 御注意は十分拝聴いたしましたが、ただいま申し上げますように、まだ防衛計画自身が、三次防というものがきまっておらないのです。きまらないうちにいろいろな議論がされることは困りますから、これはもちろん御注意のありますように、十分注意するようにいたしましょう。
○山内委員 注意されるというのですから、その実績があがることを期待しておりますけれども、そのためにいろいろな新聞で御存じ——私ども、直接投書なども来ておるわけです。それを探ってみますと、その根元はどこにあるかというと、こういう混乱、まだ国防会議も決定しないのに一部のものが漏れてくる、これは松野さんが漏らしたかどうかわかりませんが、いま申し上げただけでも、防衛産業に携わる人にとっては垂涎おくあたわざる計画でありますから、それに結びつきたい、長期固定化した一つの権利をとりたいというのは、これはいい悪いは別としても、ああいう人たちの立場としては当然だと思う。そういうことから、どんどんいろいろな業者のあつれき、競争、そういうものが結果的には、残念ながら防衛庁の黒い霧というような巷間うわさされるような問題となって出てくる。こういうことを正すために、総理は、まだ知らないんだ、そういうことでなく、最後に決意を申されたとおり、しっかりやってもらいたい、こういうことです。 それでは、その次にお聞きしたいと思うんですが、この委員会でも防衛庁長官は、三次防の終局は国民所得の二%を防衛費に充てたい、こういうことを言われておりますが、これについての総理のお考えはいかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど冒頭に申しましたように、国情、国力に応ずる、こういう考え方でございますから、ただいま防衛庁長官が希望しておりますとおりにはたしてできますかどうか、さらに他の関係官庁ともよく相談しなければ、きまるものではございません。
○山内委員 首相は、常に平和に徹するというお話をしておられます。けっこうなことですけれども、ことばは平和に徹すると国民に言いながら、どうもこういう一部の防衛産業の拍手を歓迎されるようなことがあるのではないか。巷間いろいろ松野さんはそのために拍手を受けておるそうですが、これは平和に徹するという総理の考え方とは相反する考え方だと思うんです。特に私はきょうお話ししたいと思って実は持ってきたのですが、第一次防衛計画のときは、そういうことをはっきり計画の中にうたっております。常に経済の安定を害しないように留意し、特に年次別の増勢については、財政事情を勘案し、民生安定のための施策との均衡を考えて、弾力的にこれを決定する。私は、第一次防衛計画というのは、非常によかったと思う。ところが、第二次計画になりますと、年平均百九十五億から二百十五億の間でどんどん増していくんだ。そして、そのときの事情は考えるけれども、この最低百九十五億というものは、一つの防衛予算の権利として、上積みのことを計画しておる。今度の第三次防のいま発表される範囲内においては、この二兆七千億という膨大な予算を五カ年で固定化していって、国民所得の二%までは一つの長期計画でのっけようというのですから、たいへんな防衛の基本に対する考え方が変わってきておる重大な問題です。そういう点でぜひ三次防は——近くどうせお話があると思いますけれども、そういう点を十分勘案してもらいたいと思う。いろいろ経済のこと、国民生活のことは考えるとおっしゃっていますけれども、きのう発表された国民所得、経済企画庁の発表でも二十四万五千円ですけれども、ベネズエラ級だ、自由陣営の二十一位だと書いておる。こういうときに、二%の固定化された国民の血税をこれに投資するということをいまからずっと考えておくということは、国民の生活に決してプラスになりません。そういう点で十分弾力ある御判断と、日本の防衛を誤らないようにしていただきたいと思います。 持ち時間がまいりましたから、残念ながら……。
○木村委員長 大出俊君。
○大出委員 松野さんがいませんので、いま早急に帰ってきてくれるように頼んでいるのですが、ものの順序ですから、おりませんけれども申し上げますが、きのう田口委員から質問いたしました際に、防衛庁長官みずからの御答弁で、先ほど来山内委員が質問している問題につきまして、参議院の予算委員会では、時間があったので、巷間伝えられている、新聞あるいは総合誌その他に載っております三次防について、松野さんがしゃべったそうです。これについては全部、たとえば七千百億というような数字をあげて説明をいたしました、こう言い切っておる。したがって、いま総理はいろいろあずかり知らぬと言われるけれども、松野長官がおいでになればわかりますけれども、いろいろお話しになっていることは、昨日お認めになっている。 そこで、ひとつ承りたいのでありますけれども、いま山内さんからあげたこの数字等について、何が何台で幾らというものについて、長官の御発言によれば、おのおのの防衛産業各社における製造能力というものも一つあるから、具体的にこのくらいの計画なんだが、しかし製造能力があるか、こういう意味で問題を提起したんだ、こう言っているわけですが、そこらは御存じですか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われておりますように、また山内君にお答えいたしましたように、はっきりした具体的な三次防というものはございません。まだきまっておらない。しかし、それぞれの立場におきまして、いろいろ研究しておること、また検討しておること、これは私も認めるわけであります。とにかく、きまらなければそんなもの検討してはいかぬ、かようなことは申すわけにはいきません。だから、検討はしておる。しかし、検討の途中において、それがいろいろ出てきて新聞等の記事になっておる、同時にそれをこの席でまた出せと言われると、まだきまらないんだから、いよいよ問題を紛糾させるだけだ、それはひとつお許しを得たい、こういうお願いをしたわけです。 そこで、いまの防衛産業についての心がまえ、これは一体どうなるのか。この点につきましては、松野君は私に、防衛産業、国防産業、そういうものはもっと積極的になっていいのじゃないか、かような話がありました。私はそのとおりだと思うのです。こういうことで、防衛産業について、もっと産業界で関心を持つように、こういうことを考えておると思いますが、いまわが国の防衛力自身が、外国から全部買ってくる、こういうことでは情けないじゃないか、こういうものは、やはり同じ国費を使うにしても、日本の産業界でまかなう、こういうことが望ましいのだ、こういう意味で松野君と話をしたことはあります。しかし、それが具体的に幾らの機数で、また幾らの数でと、こういうことでございますれば行き過ぎですが、ただいま申し上げるように、国防産業、それから防衛産業が、全部外国に依存しておるような情けないことではいかぬ。これは当然私は松野君とも相談をしておる。
○大出委員 防衛庁が研究をする、こういう意味で三次防とからんでいろいろ数字をお出しになったことについては、それは総理はお認めになっておる。しかし、それは三次防として確定したものではない、こういう意味で、あまりここでそのことを明確にすることはかえって混乱をするから、こういう配慮だった。そこで、松野さんがお見えになりましたから承りたいのですが、防衛庁が五年間の総額を大体メモ的に算定をされておる。これが二兆七千億円。メモ的な算定でございます。四月五日の日には防衛局長の島田さん、ここにおられますけれども、島田さんも新聞記者を前にしてものを言っておられる。これもいま総理が認めておられる防衛庁の三次防にあたっての検討の過程で出てきた数字、こうなるわけであります。これをさらに具体的にいえば、先ほどちょっと山内さんも触れましたが、戦車四百両、約三百億、輸送機五十機、約五百億、地対空ミサイルナイキ三個大隊、これが大体約四百億、ホーク四個大隊で四百億、艦艇七万トン、約千五百億、輸送機以外の飛行機約五百機四千億、こうなっておるわけですね。これは大体おまとめになったメモ的な資料、こういうことになるわけでありますけれども、研究段階におけるメモ的なという意味でけっこうですが、松野さんが防衛産業その他の集まりのときに、またきのうも、製造能力というものも含めて検討が必要だからものを言った、こうおっしゃっておるのですが、現段階におけるメモ的なという意味の見当、これはいま私が申し上げたくらいのところでよろしゅうございますか。簡単に御答弁願います。
○松野国務大臣 大体そういうことを一つの目途といたしております。
○大出委員 ここに担当の記者の方々が書いておられる内容からいきましても、これを大蔵省が査定をする。あるいは時のアメリカとの関係、その他のいろいろな関係とからみあって、どの程度削られるかわからぬ。わからぬけれども、そこで問題になりますのは、航空関係だけをながめましたときに、今日まで、三次防までの間のつまり航空関係の予算総額、これをいま四千億といわれるものをながめてみますと、三千三百七十五億くらいが二次防の終わりまでの航空関係の予算ですから、メモ的に四千億といわれると、三次防というものの規模はきわめて大きなものになる、こういう見当になる。なお、この問題だけをとらえても、防衛関係産業がひしめき合うというのは、無理もない。FXといわれる次期主力戦闘機だけをめぐりましても、たくさんの会社の名前がずらりあがって、機種がいろいろあがっている。ロッキード、グラマンではないけれども、たいへんなことに、再び商戦をたけなわにする、こういう感じを受けるわけであります。 そこで、私はひとつ防衛庁長官に承りたいのは、黒い霧だの赤い霧だの——赤い霧はどうかわかりませんが、いろいろな霧があるようでありまして、「黒い墓標」から始まって、「葬送行進曲」から「汚職の道教えます。」などというおだやかならぬ文章が飛び回っておるわけであります。私もここに原文を持っております。そこで、私のところに投書が来ている。これは名前まで書いてある、所番地も書いてある、そういうわけですが、そこで、綱紀委員会をおつくりになったようでありますが、何回おやりになりましたか。
○松野国務大臣 綱紀粛正委員会をことしの二月ごろつくりまして、そうして部内の規律——大体部内がいろいろなうわさの種をまくようなことがあってはならない、これが第一であります。最近は非常に厳格にこれが実施されておりまして、第一には、登庁時間は、九時——防衛庁の中をごらんになっても、九時にはぴしゃっと出ております。そういう規律の問題、それからまた個人の交際の問題、そういうすべての問題をまずみずから正すということ、部外の問題を正すよりも、まず部内の規律を正すことについては、相当効果をあげております。もうおそらくそういういろいろなものは部内からは出ない。もう一つ、ロッキード、グラマン等の商業の戦いという苦い経験を持っておりますので、なおわれわれは国産ということでやっております。要するに、外国からの売り込みを防ぐということは、きれいに身を正すのには、一つの方法としては最善の道であろうと思うのです。したがって、最近の輸入的な外国からの売り込みは、この六カ月間はほとんどあとを断っております。防衛庁以外のところで、銀座あたりでうわさをされているのはしかたがありませんが、防衛庁自身は、防衛庁内はきれいだと自信を持って申し上げます。まだ少し白い霧みたいなものが、昔のものが残っているかもしれませんが、しかし、朝霧ですから、もうすぐ消えます。私は自信を持っております。
○大出委員 最近は、黒い霧より白い霧のほうが危険なんです。排気ガスでも黒くはない。 ところで、総理にひとつ伺いたいのでありますが、綱紀委員会のいろいろの中身のことを最近の総合誌は書いておりますが、だれがこんなことを言われたかわからないけれども、この怪文書の出どころを糾明しようとか、あるいはまことに申しわけないのだが、ここに全く名前を言わぬわけにもいかぬと思うのでありますけれども、海原さんはそこにおられる、村上さんはどこにおられるか知らないけれども、いろいろの方の名前があがって、防衛庁の汚名をそそごうという発言は全くなかったということで、つまり綱紀委員会は世間を欺くためのゼスチュアにすぎなかったと言われておる。こう書いてあるわけですね。そうなりますと、(「書くのはかってだ」と呼ぶ者あり)書くのはかってだというやじがありますけれども、やじには応酬いたしませんけれども、総理に承りたいのだが、世の中にこれだけ、「黒い墓標」から始まって、週刊誌が一ぱい書き、それからまた、最近出てきた軍事研究というものも、だいぶ一ぱい詳細に書いておる。相当なうわさが広まっている。地方の新聞にもいろいろのものが載っている。こういう段階にきているのに、綱紀委員会は、内部のことについての手を打っただけであって、黒い霧がそれによって白くなっただけだったでしょう。こういうことで事が済みますか。私は、松野さんが山田長司氏に答えている予算分科会の席上におりましたが、あのときの綱紀委員会なるものが——これらのたくさんここに出ている防衛庁を取り巻く疑惑を信用するしないは別問題ですが、これは世の中が非常に疑惑の目を向けている。私は内閣委員会を担当しているということで、町の方からたくさん質問があるわけですが、ロッキード、グラマンではないが、やはり将来に向かって、三次防というものをかかえて、さっきメモ的にそのくらいの見当だとおっしゃった額からいけば、おおむね二兆七千億に近い推計になる。これだけのものを扱われる防衛庁でありますから、してみると、白い霧どころではなくて、霧の原因は一切かくかくしかじかで、出どころはどこだからどうだということまで明確になって、世の中に明らかにされて、名前があがった方々についても、原因はかくかくしかじかだからこうなんだという明らかな立場がとられて、その上で三次防というものに取り組まれるのでなければ、事は決着がつかぬ、政治の責任は負えない、その意味で国防の責任も負えないということになる。この点を一ぺんも何ら明らかにされようとしない態度について、私は何回か長官の御発言も聞いておりますが、きわめて不満なんです。したがって、この点については、事実のことはいざ知らず、いろいろな疑惑が起こっているのに、しかもバッジについてもホークについても詳細に書いているのに、なぜ根本原因を明らかにしないか。この点は私は非常に不可解なので、総理から明快に御答弁いただきたいのであります。責任があります。
○松野国務大臣 私は、当面の責任者として、そういううわさを完全に払拭するために、部内及び部外に対してもあらゆる限りの捜査はしております。その問題について、名誉棄損の疑いがある。事実ならば、われわれも身を正すが、相手も身を正すべきだということで、警視庁に捜査依頼もしております。名前が出ました雑誌、新聞社は、直接呼びまして、真相について君のほうの出どころで何かあるならばいつでも突き合わせようということで、名前が出ました本人に対しても、弁明なりあるいは必要な資料があるならば、その資料に基づいて必要なことを弁明さしております。われわれとしては、いかなる場合においても、文書においても、あるいは事実においても、それは否定するだけの準備ができております。したがって、私は、これ以上のことはできないくらい——ただ、言うなれば、これは公開でやるか、極秘でやるかの問題だと思います。いま申しましたことは、すべて今日までこの六カ月間手を尽くした点だけを申し上げたのであります。
○大出委員 私は、これは与党、野党の問題や政党政派の問題じゃないと考えておりますから、その意味でお答えいただきたいのですが、いま松野さんの六カ月間の御努力の経過を承りますと、警視庁に捜査依頼された、こうおっしゃるのですが、それじゃ私は刑事局長に承りたいのですが、あなたは知らぬということを、いま私が聞いたらおっしゃったけれども——すぐそこにおいでになって、何ですかとおっしゃるから、いや防衛庁を取り巻く黒い霧、白い霧ということがあると言ったら、全然聞いておらぬとあなたはおっしゃる。あらためて公に答弁してください、知らぬなら知らぬと。いまのお話だと、捜査依頼されたはずなんだから……。
○津田政府委員 防衛庁に関する問題でございますが、これは私は現在何も承知いたしておりません。あるいは検察庁その他で若干の調査をしておるかどうかも現在は存じておりませんが、警視庁に御依頼になったということであれば、警察関係であるいはそういうことがあるのかもしれませんが、現在私どもは何も聞いておりません。
○大出委員 長官が先ほど明らかにされたように、調査依頼をされたという。それから、いろいろな雑誌によりますと、丸紅飯田ではないかとか、日商ではないかとか、しかもこれは防衛庁内部の方が言っている。あるいはナイキにしても、ホークにしても、国産化ということを前提にすれば三菱系統にいってしまう。たくさん資料があります、確かにそうなる、間違いなくなる。そうなると、三井系の東芝その他を中心にして問題が起こる。そこまで明確にしている。内部からそういう発言がある。新聞記者の諸君に聞いてみてもそうだ。そうだとすると、その捜査依頼をされたということになるとすれば、あなたのほうもそこらあたりの見当はおつけにならなければならぬはずだ、ここまでくれば。捜査依頼の結果について、あなたはいま資料を一ぱいそろえている、どんなものが出てきても対応する資料があるとおっしゃる。そうだとすると、そこのところをいま刑事局長は全く知らないと言うが、おかしな話だと私は思う。捜査依頼を政府の防衛庁がされて、刑事局長が知らないなんというばかな話はない。その辺について、もう一ぺん長官にはっきり御答弁いただきたい。
○松野国務大臣 捜査中のことにつきましては、それは各省も自信がないもので、今日こういうものだということは、これは言わないだろうと思います。私のほうからは、捜査当局に、こういうものについて今後捜査ができ、事実があるなら当方に通報してもらいたいということは、厳重に申し上げておる。いまだに通報がきません。私のほうですべての資料があるというのは、いろいろ言われるような事実について、そういう事実が非常に誤っておるという自信を持った資料は、私はいつでも用意しておる、こういうわけであります。
○大出委員 捜査中と調査中は違うはずですがね。あなたのほうが正式に訴訟法に基づいて云々という形になっていないとすれば、内偵中とか調査中とかいうことになるはずなんですが、いまおっしゃっていることからすれば、明らかに防衛庁の側から依頼をしたことに間違いない。それはあなたは御存じないですか。言えなければけっこうですけれども、なぜ言えないかだけおっしゃっていただけばいいですから、これを明確にしてください。
○津田政府委員 私の刑事局にはすべての事件が報告があるわけではございませんが、もちろん事件について捜査に着手いたしますれば、官庁関係の事件であれば、当然報告がございます。したがって、現在私どもは全然承知いたしておりませんから、捜査に着手したとは思われないわけです。ただ、捜査に着手する前に、いまおっしゃいました内偵とか調査とかいうことはいたすことがありますが、それにつきましては一々報告をいたしておりませんので、あるいはやったかもしれないが、やらないかもしれない、その点はいま私はわからないわけであります。 なお、警察に御依頼になったということであれば、御承知のとおり、警察と検察庁とは捜査機構として別に独立しておりますから、必ずしも警察に御依頼になったことが検察にわかっておるとは限らないわけであります。
○大出委員 いま刑事局長、警察、検察二つ言われたのですが、どちらですか、もう一ぺん。
○松野国務大臣 警視庁でございます。
○大出委員 政府の防衛庁という機構なんですから、そうだとすれば、警察などということではなくて、ここまで明らかにされたのですから、検察に、これはやはり総理のほうから事の真偽のほどを明確にして、国民の前に責任を明らかにして、その上で三次防と取り組む、こういう姿勢が一番きれいなあり方で、国民の信頼を回復するという意味でも私は非常に大きな問題だと思うので、その点、総理にはっきりひとつ検察という正規のルートを使っていただいて明らかにしていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 これはひとり防衛庁ばかりじゃありません。どこの省でも、とにかくいろいろなうわさが出ておる、それをそのままほっておいて国民の信を得るということは、これはできることじゃありません。したがいまして、しばしば国会でも注意されているのですが、綱紀粛正をしろとしばしば決算委員会などでは強い要望をされておるのですが、私の政治の姿勢から申しまして、基本的に、疑惑を持たれる、あるいは不信を買うようなことを政府部内から一掃しよう、こういう意味でみずからも姿勢を正してまいりますが、同時に、関係の者に対しまして厳重に注意をしておるわけであります。ただいま大出君からもさような意味のお話だ、かように思いますので、ただいまのうわさそのものが、これが非常に疑わしい、こういうお話ではないだろう、むしろ総体として綱紀を一体いかに正すか、こういうようなお話であろうと思いますので、その点では今後とも一そう注意するつもりであります。 また、ただいまの三次防の計画そのものとただいまいろいろなうわさが立っておることと関係があるように言われることは、これは私は迷惑でありますし、このいわゆる疑惑、不安、不信、こういうようなことがあれば、それはそれとして処置する。しかし、防衛計画の必要なことは社会党の諸君も御了承だと思いますので、そういう意味で、この防衛計画は関係省それぞれのところで十分検討して、そして最終的に国防会議においてきめていく、こういう考え方であります。
○大出委員 これは総理、いま長い答弁をされましたが、一点しぼって承りたい。三次防とからませることは迷惑だとおっしゃるのだが、たとえばバッジならバッジをながめましても、バッジのときに、最初、ヒューズ−伊藤忠−日本電気、こういう形のグループと、GE−三井物産−東芝、リットン−日商−三菱電機、こういうふうに争ってきましたね。そして、そのきまった結果を見ると、いま日本アビオトロニクスといわれているところ、戸塚なんかにも工場がありますが、結局ヒューズ−伊藤忠−日本電気のグループがとったわけだけれども、そこは何と防衛庁納入実績で百八億で、トップにおどり出ている。とれなかったほうはどうなったかといいますと、東芝がGEと同様にしてつくったバッジ受け入れのための合弁会社東芝エレクトロニック・システムズは、営業成績云々で非常に苦しくて、わずか三億三千万、これしかない。片方は百何億あるなんというのに、そういうことになって、まさにたいへんな資本投入をした結果としてはひどいことになっている。こういうことになりますから、焦点がぴたっとそこに向いたアトム氏のいう何とかかとかが出てくる。そうなると、三次防と関係なくはないのです、つまり、うわさの本体である書いてある文字、中身が。だとすると、これは明確にすべきものは明確にすべきである。だから、閣内に法務大臣もおられることだから、明確に内偵すべきものは内偵する、調査すべきものは調査して、これを明らかにする、こういう態度があって、世の中に明らかにした上でやっていただきたいということを申し上げておるのですから、もう一ぺん御答弁いただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 御意見は十分伺っておきましょう。
○木村委員長 大出君、時間です。
○大出委員 それでは時間ですからやめますが、その点だけ念を押しておきます。
○木村委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 三次防の計画は、一年二次防とダブって、四十二年から五年間の計画です。このいわれておる二兆七千億というような予算は、国民の生活と非常に関係がある。また日本の経済発展の度合いと関係がある。したがって、政府がやがて発表するであろう中期経済計画とも非常な関連があろうと思います。たとえば、最終年度において、防衛費が国民総生産の二%というようなこともいわれておる。したがって、佐藤内閣としては、現在の佐藤内閣——巷間七月に入ると改造が行なわれるようなことも聞きますが、現在のメンバーにおいて構成される国防会議で三次防が決定されるのか、あるいはこの三次防の決定をする国防会議は、中期経済計画が確定した後にこれは決定されるつもりであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 この国防会議のメンバーは前もってちゃんときまっておりますので、これを変更するような考えはもちろんございません。したがいまして、国防会議のメンバーどおりで会議をする、かように御了承いただきたいと思います。 また、ただいまそれは知っておるんだが、その間に内閣改造をやるのじゃないか、こういうお話ですが、この点では、まだそういう点についてはお答えをいたしません。 次に、この時期は一体いつか、こういうお尋ねでありますが、できるだけ早く意見がまとまるようにしたいものだ、かように思っております。
○楢崎委員 いまの点は、メンバーは役職で並べてあるから変わらぬ、それはあたりまえです。人間が変わるから言っておるのです。たとえば、松野長官がせっかくいま一生懸命に三次防の計画をされておるが、改造でこれがはずされると、この国防会議で三次防をきめるメンバーに入らぬのです。だから、現在のメンバーの内閣で構成される国防会議でやられるのかどうか、その辺、たとえば私具体的に言いましょう。では、中期経済計画が確定した後においてこの三次防を確定するのか、それ以前でも確定されるのか。
○佐藤内閣総理大臣 楢崎君にちゃんと分けてお答えしたつもりでございます。メンバーは御承知のようにちゃんと役職できまっておる。けれど、それまでに内閣改造するかどうか、それはお答えをいたしません、かようにお答えを申し上げております。また、中期経済計画が樹立される、その後にやるのかどうかということについては、三次防、これはできるだけ早くきめたい、かように申しておるわけであります。
○楢崎委員 しからば、三次防の最終年度、国民総生産の二%といったようなものは、これははたしてそのときの国民総生産が幾らになるかもわからないというような段階で、いまの計画では二兆七千億といわれておる、そういったこの三次防を、計画決定以前にきめられようとするのですか。
○佐藤内閣総理大臣 これは楢崎君も御承知だと思いますが、長期計画になりますし、また、来年度の予算というものについては、これは予算編成の時期等もありますから、来年度その計画の実施がどうなるか、こういうことはまた別になりますし、私は非常なべらぼうなものをつくればそれはとんでもないことですが、ただいま申し上げますように、長期計画として一応構想が考えられる、これは今日でもある程度データはある、かように私は思いますし、問題は来年度、あるいはその次のここ二、三年どういうような予算を計上するか、これはたいへんだ、かように思っております。いずれにいたしましても、最初申し上げましたように、国力、国情に応じた防衛計画を立てるのでありますから、そういう意味で御審議をいただきたいと思います。
○楢崎委員 私は、いま計画をされておる三次防は、いままでの一次防、二次防と違って、非常な自衛隊の質的な戦略転換を意味する内容になっておる。特徴の一つはそれであります。そしてまた、特徴の二番目は、産軍依存体制が確立されようとしている。これは、かつて軍部と財閥が結託をして、かつての日本が誤った戦争への道を歩いた、あの姿をわれわれは省みて、非常にこれは危険を感ぜざるを得ないわけであります。その内容については、時間がないから、防衛大臣にあらためて具体的にその点を私は立証してみたいと思います。 しかし、私は、ここで特に一問題にしぼって総理のお考えを聞きたい問題があります。私も、日本社会党の青少年局長をいたしております。青少年の問題に非常に関心を持っておるところであります。この三次防の中で、陸上十八万ということが出されております。二次防段階では定員十七万一千五百、しかもその十七万一千五百の定員の中でも、欠員が二万近くあります。一体この十八万への補充はいつやられるおつもりであるか、まずそれを伺いたい。
○松野国務大臣 第三次防が、本年を入れますと六年、来年から五年、その五年の後半に、どうやら十八万という数字が達成できると私は思っております。
○楢崎委員 そこで、私は率直にお伺いをいたしますが、実は定員の補充の中に、いまの長官のお答えであれば、現在の十七万一千の欠員を埋めるという構想ではなくて、十八万の定員を埋める場合の構想だと思いますけれども、この中に少年、満十五歳、中学校卒業程度の少年自衛隊員を五千名採用する、婦人自衛隊員を千五百名採用するという構想が、発展をされております。現在まで看護婦等で婦人の隊員がおられるのは、承知いたしております。少年の場合も、技術要員として若干の隊員がおられるのは、承知をいたしております。しかし、今回の構想は、そういった技術要員ではなくて、戦闘隊員として少年を採用するという構想であります。私は、これは佐藤総理に特に考えていただきたい点でありますが、一体この自衛隊の定員の補充ということは、困難をきわめておる。たとえば自衛隊の内部で発行されておる新聞を見ても、高校卒業の人が自衛隊と大学と一緒に受けまして、大学のほうに通ったら、自衛隊の勧誘員がその家庭まで行って、大学なんかやめちまって自衛隊に入りなさいという強力な運動を展開しなければならないほど、なかなか定員が埋まらない。そういった埋まらない欠員を少年にその目を向けられるという点については、私は非常に佐藤総理に考えていただきたいわけであります。児童福祉法ではどうなっておりますか。児童福祉法、これは満十八歳までを対象にいたしております。ここでは総則にどう書いてありますか。「児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」そういった環境の中で育てなければならない少年を、自衛隊の戦闘隊員として補充をする。かつての誤ったわが国の軍国主義時代の少年航空兵なり、少年戦車兵を思わせるような、こういった点、ただでさえ佐藤内閣は非常に反動的な面があるのじゃないかといわれておるこの段階で、こういった戦前への復活を思わせるような少年兵の戦闘隊への採用について、一体佐藤総理はどのようにお考えになっているのか、これを承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いまの少年隊あるいは婦人隊、これは部隊について防衛庁でどういうことを研究しておるか、その詳細は、私、知りません。けれど、防衛庁におきましても、この種のものが戦闘部隊以外でいろいろ考えられておる、かようには聞いております。ただいまのような御心配もあるようですけれど、私は一部で考えられるように反動的な政策はとりませんから、どうか御安心いただきたいと思います。
○楢崎委員 そうではないのです。今度は一般の戦闘隊員としてこれを採用する構想があります。そうでありますから、佐藤総理のお考えを聞きたい。長官はすでにそういう構想を持っていらっしゃる。
○佐藤内閣総理大臣 いま私が申しますように、戦闘部隊としては考えてないというように私は聞いておりますので、これはたいへんけっこうだと思っております。どうかひとつ払拭して、あれは意外に反動的でないと、かようにひとつらく印を押していただきたい。お願いしておきます。
○楢崎委員 それでは今度の少年兵の採用は、一般の自衛隊員ではない、もしそうでないときには許さないというお考えですか。
○松野国務大臣 何か少し私のほうの答弁が、誤報かもしれませんが、それは教育隊として青年を採ろうという新しい構想を実は持っておるわけであります。したがって、各部隊に配属するというようなことはございません。大体かりに何千人という場合には、総監中心に教育隊として、青年を学校的なものにするというので、いわゆる戦闘隊員として配属するという構想は、これは何か私のほうが説明不十分かどうか知りませんが、そういう構想は持っておりません。
○楢崎委員 最初の二年間教育訓練をやって、その後の二年間は各隊に配属されるという構想ではありませんか。
○松野国務大臣 十八歳から自衛隊として今日採用しております。したがって、十六歳で採った場合には、十八歳までは青年の教育隊として教育隊に付属する。定年に達したときに一般の自衛隊員として昇格する、こういうわけであります。
○楢崎委員 教育であろうと何であろうと、自衛隊員であることは間違いないわけですね。
○松野国務大臣 そのとおりであります。
○楢崎委員 それではお伺いをいたしますが、おそらくあなた方は自衛隊法の改正は必要でないと思われておる。施行規則の中に、すでに三陸士あるいは三海士として特別の長官の定めがある場合は満十五歳から採用していいようになっておるから、改正は必要ないと思っておられましょうが、はたして満十五歳の青年がこの自衛隊に入るについて、自衛隊法でいう任務あるいは服務を理解できるでしょうか。理解できますか。
○松野国務大臣 自衛隊法の規定としては、自衛隊の一般隊員は十八歳であります。ただし、学校及びその教育隊としては、十八歳以下において特に定める場合において採用する、その条項であります。今日の少年工科学校、ああいうふうなものを一般に——あれは特殊な技術ですから、一般普通科にこれを適用しようというふうな思想から、この構想が出ているわけです。まだ確定的なものではありませんが、今日の構想はそういうところであります。
○楢崎委員 それでは、やはり採用される際に、これは当然その保護者の了解も要るわけです。そういった意味で自衛隊が家庭に入り込んでくる。それでは施行規則三十九条に規定されておるような服務に対する宣誓手続を、その少年自衛隊に採用される場合にやられるのですか。
○松野国務大臣 今日やっておりますのは、自衛隊としての宣誓として、そこに入校するということが宣誓の第一点であります。十八歳になってあらためて自衛隊に入るというときに、自衛隊の宣誓をいたします。したがって、十六歳のときには、自衛隊のその学校教育を受ける宣誓であります。十八歳になっていよいよ定年に達したときに、自衛隊員として宣誓する。したがって、十六歳で自衛隊の宣誓をさせるわけではありません。十六歳の場合は、二年間の教育を受ける、入校をする、その間の服務規定を守るという宣誓であります。したがって、それがいよいよ自衛隊に入るときには、さらに宣誓をいたします。これは防大でも同じようなものです。
○楢崎委員 時間がないそうでありますから、私は特に佐藤総理に、このような考えはひとつ総理大臣はやめようというようなことを言われないのか。少年を自衛隊に入れるというような、そういう思想を佐藤総理は依然としてお持ちなんでしょうかね。私は、これはいかに定員が満たないと言え、その定員の穴埋めに少年を雇って埋めるというような考え、私はそれはかつての軍国主義への復活の顕著なあらわれである、このように思わざるを得ない。これは総理に、特にこの三次防の中において現にかかっておる二法案とも関係がある点でございますから、佐藤総理のもう少し少年に対する明確な育成のお考えを、この際私は承って終わりたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私、何か誤解したのかどうか、たまたま松野長官と楢崎君の質疑応答を聞いておりまして、松野長官の言っていることを支持するような考え方でございまして、また実情を聞きましても、現代の青少年諸君はなかなか希望者が多い、かように私は伺っております。かような意味におきまして、たいへん御期待には沿わないかわかりませんが、私は、この制度はたいへんけっこうな制度だ、かように考えます。
○楢崎委員 それでは最後に一点確かめておきますが、教育教育と言われますけれども、しかし十八万の定員の中に入れることは間違いないのでしょう。
○松野国務大臣 もちろんそういうふうな場合には、十八万の自衛隊の中に区分けしまして、少年の場合は教育学校における少年の自衛隊員、防衛大学の場合は防衛大学の生徒、一応ある程度の身分で定員の中に含まれております。だから、総体的には自衛隊の中に入ります。しかし、一般の自衛隊員の定員の中には、これは二つに区分けをしております。したがって、その、区分けというものでその中に入っております。
○楢崎委員 十八万の定員の中に入る。では欠員を埋めることになることは当然じゃございませんか。それだけ指摘しておきます。
○木村委員長 田口誠治君。
○田口(誠)委員 いままで国会で質疑がなされておることでございますけれども、ここで総理と思想統一をして、それから質問に入りたい。その内容は、防衛力の増強と違憲の問題でございます。 そこで、私のほうから申し上げることは、憲法違反になるかならないかということをまずお答えをいただきたい。海外派兵、それから核装備、それから徴兵制度。これをまずお答え願います。
○佐藤内閣総理大臣 海外派兵、核装備、それからもう一つは徴兵、これは、私は違憲だとかなんだとかいうよりも、ただいまの状況で私がやるかやらないか、そのほうがまず第一に大事なことだろうと思います。ただいまその三つについて、私はいずれも具体化するような考え方を持っておりません。そのことをはっきり申し上げておきます。
○田口(誠)委員 ただいまの総理の答弁は、憲法第九条には、海外派兵をしても、核装備をしても、徴兵制度をしいても、違反にはならないけれども、総理の胸三寸、いわゆる政治的配慮からやらないという考え方を持っておる、こういう答弁であったのだが、そういう答弁でよろしいですか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、いまやる考えはないということをはっきり申したのです。また、法律的な説明が必要ならば、法制局長官がおりますから、そちらに答えさせます。私自身がやる考えがないものですから、別に憲法には違反しておらぬだろう、かように考えております。そういう意味でお答えしたのであります。もし法律的な説明が必要なら、法制局長官から答えさせます。
○田口(誠)委員 時間がありませんので、きょうは総理にお聞きするのですが、少なくとも総理は、こういう重大な問題については、法制局から説明を受けなくても、その程度のことはお知りにならなくてはならないと思う。したがって、先ほど来申しておりますところの海外派兵、核装備、徴兵制度は、これは憲法の禁止するところである、これはもう常識であると思うのですが、この点は肯定されるかどうか。イエスかノーで御答弁をいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は、ただいまの三つの問題は、私、憲法学者で身を立てておるわけじゃございません、政治家として身を立てておるのです、その立場からお答えするのが、国民も安心されるだろうと思います。この海外派兵、核装備並びに徴兵制度、これを実施する考えはございません。はっきり申し上げます。
○田口(誠)委員 総理の答弁は、あくまでも違憲であるかどうかということについては明確に答弁がないわけです。ただ、政治的な配慮からやる考えが現在のところはない、こういう答弁であるので、これはきわめて重大だと思うわけなんです。幾ら学者でなくとも、少なくとも一国の総理大臣が事こういうような問題を考える場合には、憲法制定当時の論議とか、あるいは当時の吉田総理の国会における答弁の内容、あるいは鳩山当時の総理の考え方、こういうようなものを一貫して考え合わせて、そうしてあなたの所信を披瀝されるのが当然であろうと思うのですが、この段階になって違憲である、ないということが明確に言えないということは、私は、国民が非常に大きな疑惑を持ってこの第三次防を重視することになろうと思うわけでございます。それ以上の答弁はできなければできない、できればできる、こういうように答弁をいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申しますように、私はこれを具体的な、政策的な論争だと思っております。お尋ねになるのもそういう意味だ、かように思いますので、私が憲法論議よりも、実際に政策としてどうするのか、これが国民は知りたいだろう。よし、憲法では違反だ、こういう事柄でも実施する、憲法を無視するというような考え方があるのか、こういうような議論は困るでしょうし、また憲法で許しておりましても、憲法違反でないから必ずやるのだ、これも困るだろうと私は思います。したがって、国民の知りたいことは、政策として一体現総理はいかに考えるか、これは、三つともやらないということをはっきり申し上げます。御安心をいただきたいと思います。
○田口(誠)委員 憲法に違反するかしないかという点について、国民が非常に大きな関心を持っておるということは事実であるわけです。それで、この内閣が政策的にこの問題を実施するかしないかというようなことよりも、それより前に、日本の平和は何から守られておるか、これは憲法第九条によって守られておるということが明確であるわけなんです。どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 日本の基本的な国のあり方というものを第九条で規定しておる、かように御理解をいただきたいのであります。憲法九条で守られておるというのは、ちょっとことばが……。
○田口(誠)委員 これは時間を食うだけで、意見の相違でございますので、私はこの質問はまたいつかのときにだれかがやっていただくことにして終わります。 そこで、なお突っ込んで関連をして質問をいたしたいと思います。核装備も、小型のものは憲法違反でないというようなことを言われておるいうことを聞いておるのですが、ただ政策的にやらないだけだ、こう言われておるようです。この点だけは、きわめて簡単に答弁をしていただければ、法制局のほうから答弁していただいてもよろしい。
○高辻政府委員 きわめて簡単に申し上げます。これは実はかっても申したことがございますので、大体御承知だと思いますが、要するに核装備ができるかどうかという問題ではなくて、わが国の憲法九条が許していることは、自衛の限度以上にわたるかわたらないかというのが問題の中心でございますので、それは核兵器であろうと、一般兵器であろうと、そういう限度を越えるものは違憲であり、その限度内のものであれば、憲法上は問題がない。しかし、現在の核兵器でその限度内にとどまるものがあるかどうか、これはまた別個の問題でございますが、理論上の筋の問題としては、そのとおりでございます。もっとも、政策的にこれをどうするかというのは、先ほど来総理大臣が仰せのとおりに、別個の問題でございます。
○田口(誠)委員 小型は、政策的には持たないけれども、持てるという意味の答弁である。そうしますと、小型とはどの程度までをさしていうか、こういうことになろうと思う。その点をひとつ総理から説明をいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま憲法九条の解釈で、そんなところへ入らないつもりでしたが、結局引っぱり込まれたようですが、しかし、御承知のように、私どもは攻撃的な兵器は持たないし、国際紛争も武力によって解決するという手段はとらない、いわゆる戦争放棄の規定がございます。しかし、私はしばしばふしぎに思っておりますのは、自衛のためなら何でもいいのだ、核兵器を持ってもいいのだ、自衛のためなら核武装もけっこうだ、こういう議論が、いま堂々と一部で行なわれておる。私は、かようなことがはたしてできるかどうか、その点を十分考えていただきたいのです。これは結局、ただいま申し上げるように、憲法上の議論ではなくて、政治上の問題として、政策的の問題として、核装備するかしないかということがきまるわけなんです。この点では、日本政府、私は、しばしば申し上げておりますように、どういう場合でも核装備はいたしません、また、核の兵器はこれを持ち込みを許しませんということをはっきり申し上げておきます。一部の国が言っておりますように、自衛のためならこれはいいのだ、かような考え方は、私は持っておりません。その点は誤解のないように、この際にはっきりしておきたい。
○田口(誠)委員 私の質問に対しての答弁をしていただきたい。というのは、小型の問題をいま出しておるわけなんです。小型とは、どの程度を小型として考えておられるのかということなんです。その点、明確でないと、小型、大型という限度がぼくらのほうではわからないから、お聞きをするの、だ。
○佐藤内閣総理大臣 これはいま田口君から小型、大型の議論に発展なすった。先ほど、私は、法制局長官の答弁で、きっとその次に来るんじゃないか——こういう議論はしばらくやめて、一体核装備するのかしないのか、大型だろうが小型だろうが、許されるものでも、するのかしないのか、こういうことについて政策論争が必要なんだ。その点では、そういうことは御心配ないように、私はしないということを申しておりますから、これで信頼をしていただきたいというのでありまして、大型、小型の論争は、これは議論としてはおもしろいかもわかりませんが、どうも実際問題としてはたしてこれが役立つのかどうか、また心配があるのかどうか、その辺から見ますと、あまり議論としても取り上げないほうがいいように思います。
○田口(誠)委員 おもしろいので質問をやっておるのではありません。政策の問題としてはどうかということについては、あなたはあなたの考え方を披瀝されたわけなんです。それで、私の質問に対してのお答えとは違った角度で、政策の面で答弁をされておるわけです。したがって、小型核の場合の問題について先ほど法制局からお話がございましたので、しからば小型とはどの程度までをいうのか、この点をお聞きしておるわけなんです。
○高辻政府委員 ただいまの御質問に小型ということが出ておりますが、その小型でも、えらく効力があるようなものも、理論的にはあるいはあり得るかもしれません。いずれにしても、小型だからいいとはすぐには言えない。何がけじめになるかと言えば、先ほど、通常兵器であろうと、核兵器であろうとということを私は申し上げましたが、一般兵器であっても、他国に対して侵略的脅威を与えると申しますか、憲法の九条は、国際紛争を武力で解決するのに役立つようなものは、これは何であろうと許されないというのが、私どもの見解でございます。実際に小型の兵器がどういうものがあるか、こういうことは私は十分に承知しておりませんが、小型だからいい、型でもって言うのはどうかという気がいたします。
○田口(誠)委員 小型、大型ということは、別に寸法を言っておるのではありませんよ。爆発力の威力がどうかということを基準に置いて言っているわけです。だから、あなたがいいかげんな答弁をやっておるけれども、そんな答弁では了解できないわけです。ただ、あなたは先ほど来言っておるから、ここを確認をしたいと思いまするが、佐藤総理は政策上の問題として答弁をしておられるが、憲法の九条の関係からいえば、先ほど私が総理に質問したことは、これは違憲になるという解釈なのかどうか。
○高辻政府委員 これは佐藤内閣で初めて出た問題ではございませんで、実は従前の内閣でもしばしばこの問題が出ております。大体私が申し上げたことは、従来の考え方と同じでございます。要するに九条の国際紛争を武力で解決するというようなものに役立つようなものであれば、これは憲法は、違憲として保持は許されない。しかし、そうでないもの、もしこれがあるのであれば、それは話は別であるということでございます。むろん、それにしましても最後の決は政策的にどうするかということに帰着することは、言うまでもございません。
○田口(誠)委員 それで、先ほどの総理の答弁を聞いておりましたら、第三次防の計画は、第二次防の総予算の倍になっておるが、その点についてはまだきまっていない。しかし、それをどうするかということについては、将来の問題としては国力に応じてやるのだ、こういうことです。そういう答弁からいきますると、日本に国力がつけばどれだけでも自衛隊の拡充・強化をはかっていくのだというように受け取れるわけですが、その点の限度はどういうようにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 国力、国情に応じてと、こういうことを申しております。また、国力があったからといって、必要でないような軍備をする考えは毛頭ございませんから、御安心いただきたい。
○田口(誠)委員 そこで、国力、国情に応じてということはしばしばの答弁の中にありましたけれども、きょうはどういうことか、国情ということが、国力、国情ということが中に入っておらなかった、きょうの場合は、あなたの答弁は。だから、私は、国力だけだったから、国力をお聞きしたのです。どうですか、これは。
○佐藤内閣総理大臣 もう先ほどから国情、国力に応じてと、そのように二つ並べてはっきり申し上げておる。だから、その辺は誤解のないように願っておきます。
○田口(誠)委員 日本の憲法は戦争を禁止しておりまするが、それでお聞きをいたしたいと思いますることは、戦争への道の抑止力になるものは、軍備であるのか、それとも日本が持っておるところの平和憲法がもとになるのか、この点はどちらをお考えになっておられるのですか。
○佐藤内閣総理大臣 現在の国際情勢のもとにおきましては、遺憾ながら日本の平和憲法だけではどうしようもございません。これはやはり軍備、そのもとにおいて世界の平和は維持されている、かように私は思っております。
○田口(誠)委員 それでは、情勢によっては、憲法に違反するというような面があれば、憲法を改正してでも、憲法のワク外の自衛力をつくらなければならないというように、これは判断できるわけです、あなたの答弁からいきますると。その点はどうですか。これは重大なんですから、明確にしてください。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまお尋ねがございますが、私は、憲法違反をする考えはございませんし、また十分憲法を守って、そしてこの国の安全を確保していく、かような考え方でございます。
○田口(誠)委員 それでは、質問はこれで終わります。 私のほうから申し上げておきますが、私は、あくまでも平和憲法があるから、それで日本の核装備、核の持ち込み、こういうようなものも禁止されておるのだ、こういうように判断をしておりまするし、もしこれがなかったとするなれば、あのベトナム戦争に韓国やフィリピンの軍隊が派兵されておるように、日本の自衛隊も同様の要請を受けて派兵されるようなことができておるかもわからないと思いますので、あくまでも日本の平和憲法というものの解釈は明確にして、そうしてただいま政治的な判断と言われましたけれども、そのことは確実に憲法の禁止するところだ、こういう考え方の上に立って今後の政治を行なっていただきたい。 時間がございませんので、私の、質問は打ち切ります。
○木村委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 佐藤総理にお尋ねをいたします。 佐藤総理は、国民の世論というものは尊重すべきものだという姿勢で防衛の問題についても取り組む姿勢はお持ちだろうと思いますが、いかがでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。
○村山(喜)委員 最近の世論調査を各種ずっと調べてまいりますると、憲法第九条に対する改悪に対しましては反対、これは国民の大多数の声でございます。そして自衛隊の増強については、これも賛成は毎年少なくなり、現状維持というのが増大をしているという数字が出ております。しかも中立主義への傾向というもの、傾斜というものが、国民の中には増大している。このことは、NHKの調査等によってもそのとおりです。こういうような現状の中で、佐藤内閣の外交の姿勢に対する国民の声というのは、これは信任をするというのは非常に数が少ない。賛成でないというのが大多数です。ということは、いま佐藤内閣がとっている防衛政策というものは、安全保障政策の中における防衛政策の位置づけというものが十分でないということを意味するのではないかと私は思う。自民党の中間報告がなされました。私も敬意を表してこれを拝見いたしました。新聞に評価されておりまするように、政治、外交、国民の意思の統合という面を忘れて、軍事、治安一本やりで安全保障という問題をとらえているという評価がなされております。まさにそのとおりであろうと私は思う。(「まだ出ていないよ」と呼ぶ者あり)当事者はそうおっしゃる。しかし、政府の、自民党の問題は別にいたしましても、政府の安全保障政策というものも、多面的な安全保障政策というものが乏しいのではないかと私は思うのですが、この問題について佐藤総理はどういうふうにお考えになっているのか、お答えをいただきたいのであります。というのは、安全保障というのは、一面においては非常に高度な専門的な科学、経済、外交という分野がある。そういうような選択の分野があると同時に、また一面においては、国民感情なり国民心理という、そういう非合理的な要因というものも含んでいることは間違いない。そういうようなものを対象にする政策の選択に関する問題であろうと私は思うのです。そのような立場から今日までの防衛論争あるいは防衛政策というものを見てまいりますと、基本的な安全保障に対する姿勢というものが不十分であって、防衛力一本やりの増強政策というものが先行しているのではないかという印象を受ける。私は、そういうような国民世論というものを踏まえた中においてこの問題に処していくという方針がなければならないと思うのでありますが、現在、このような情勢の中で、自衛隊の増強がいま法案として提案をされている。これでは私は十分な安全保障政策ではあり得ないのではないかと思うのでありますが、これについての御見解を示していただきたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま私が政局を担当している、これは一体何を意味しているか、実は絶えず考えております。申すまでもなく、国民の生活を安定さし、向上さすこと、また同時に、この国の安全を確保する、これはもう私に課せられた最大の、またそれが基礎的な仕事だと、かように私は思っております。こういう観点でものごとをいろいろ考えてまいりますから、国際的な紛争、わが国の安全について悪影響があるような事態は、できるだけそういうものがないように、これももちろん努力していかなければなりません。同時にまた、やはりこの国を守る、この国の安全を確保する、これには、何といいましてもみずからの力でみずからの安全を確保する、こういう意気込みであってほしい。また意気込みばかりでなく、その努力があってほしい、かように私は思っております。しかし、わが国の安全を確保する、こういう点におきましては、遺憾ながら今日の国際情勢では、わが国だけの力でわが国の安全を確保するということはできません。したがいまして、ただいままで私どもが日米安全保障条約、そのもとにおいて、わが国の国民の協力により、みずからの奮起によりこの国を守る、この意気込みと合わしてこの国の安全を確保していくというのが、現状であります。
○村山(喜)委員 そこで具体的な問題に入りますが、日本の安全保障の問題をいま当面する問題としてとらえていくならば、私は、最大の課題はベトナム戦争の平和的な解決並びに日中国交回復であろうと思うのであります。そういうような立場から問題を処理していく立場において、いま中共の核開発の問題に対処する松野防衛庁長官の見解というものが一つの問題になろうと思うのは、この中共の核の開発の問題をとらえまして、直接侵略について意図があり、能力があるという見方をされている。予算委員会において、中共の核武装は脅威である、日本の防衛力はこれによって格段の変革を来たすであろうということをおっしゃった。ということは、この脅威というのは、やはり能力と意思というものが二つの要素として働く。その場合において、この脅威とは一体何ぞやということが、私は、今後に来たるべき第三次防の性格決定にも大きな影響をもたらすであろうと思う。したがって、その点は直接の脅威があるとお考えになっているのか。この点について見解を披瀝していただきたいのであります。
○松野国務大臣 防衛は、長期的な観点から考えるべきもので、一時的なものではありません。したがって、その能力、その方向、その意思、そういうものが総合されたものがある。それは常に相対的なものである。日本の置かれる立場においては相対的なものである。その意味からいうならば、一方が非常に軍備の拡充、開発をするというなら、その周辺、一般的にそれに対応するもの、これはやはり脅威を精神的に感ずることは当然なことだと私は思っている。それが軍備であり、それが防衛であり、それが安全の保障だと私は思っております。したがって、軍備には軍備をもって争うなどという意味ではありません。しかし、その気持ちの方向というものはそうあるべきだ。したがって、直ちに直接侵略を受けるというような脅威感にあおられている人物では私はありませんが、ただし、兵器を開発するということは、戦争用に使うということであります。逆に言うなら、脅威、被害を受けるという可能性は近辺にはあるということであります。そういう永遠の安全というものと方向というものを導いて、軍備は瞬間的なものにあらずして、安定した長期的な方向を見誤ってはいけないという意味に申し上げておるのであります。
○村山(喜)委員 精神的な、あるいは間接的な、こういうような表現であるとするならば、いわゆる直接の脅威というもの、いわゆる意図、能力というものもやはり判断をして、それに即応するところの態勢を整えるという考え方をお持ちなのかいなかということをお尋ねしたわけですが、いまのところは精神的な、いわゆる間接的なそういうような脅威である、こういうように受け取って差しつかえございませんね。
○松野国務大臣 そういう趣旨ではありません。いかなる場合でも、日本の国民の安全を守るために、その相対的な防衛というものは常にわれわれは努力しなければならない、こういう基本的な考えから相対的な防衛というものは、常に国民は心がけなければならない。きょうあるか、あしたあるかという、そういう瞬間的な脅威を私は言っておるわけではありません。
○村山(喜)委員 この問題は、総理の時間がきょうは割り当てが少ないので、あとで申し上げます。 そこで、総理にお尋ねをいたしたいのは、国連中心の平和外交をやるんだ、国連協力を進めていくんだ、平和に徹する、このことばは非常に佐藤総理は好きでございます。平和に徹するというその考え方は、私は非常に尊重すべきものだと思う。しかしながら、そのことばの裏には、平和に徹するような外交政策というものがなされていないじゃないか。(「やっておる」と呼ぶ者あり)そうじゃない。そうであるとすれば、中共の国連加盟の問題等について、日本がアメリカと一緒になって共同提案国になる必要はないじゃないか。私は、今日の日本の安全保障という問題を考えるならば、これはベトナムと中国の問題だ。この問題をやはり解決をするという平和的な解決の中において安全保障を確立するというのが、最大の問題であろうと思うのです。こういうような外交政策というものは、なぜ自主外交をやらないのかという国民の声となってあらわれておる。これについていかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、自主外交をやっております。
○村山(喜)委員 時間がありませんので、一言だけ佐藤総理にお尋ねいたします。 私は、日本の非核武装宣言というのは、これはアメリカから袖を引かれる必要もないし、やはり自主的に、しかも安全保障の最たるものとして採択ができる政策であろうと思う。この点については佐藤総理はおやりになるつもりですか、どうですか。その決意はございませんか。
○佐藤内閣総理大臣 具体的な問題のお尋ねでございますが、こういうものは十分その効果もねらわなければなりません。その時期も考えなければなりません。いつでもそういうものをやるんだとかいうことが、効果があるわけでもありませんが、よく考えてみたいと思います。
○村山(喜)委員 終わります。
○木村委員長 茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 なかなか総理に御質問する機会もありませんし、今国会もあとわずかであります。予算委員会もついに開会ができないようでありますので、防衛問題に関連して、一、二政治的な質問をしたいと思います。 今会期もあと余すところ数日でありますが、いま問題になっております防衛二法も、私どもの判断によりますと、なかなか今国会では成立は容易でない。したがいまして、ほかにもかなり重要案件が残っておるようでございますが、この国会の推移によって、総理は秋あたり臨時国会の召集をお考えになっていますか、それが第一点。 第二点は、小選挙区制を中心とした選挙制度審議会の議論がかなり煮詰まってまいりまして、近くその結論が答申されるようでございます。この小選挙区制を中心とした選挙制度審議会の議論に対して、もちろん世論もかなり問題が起こっておりますし、社会党、民社党、公明党、共産党四党が、非常な反対を表明しておる。自民党の内部には、一部にはこれに対する反対もあるようでありますが、総理のお兄さんである岸元総理を中心とした一部の方々は、非常な推進力としてお動きになっておるというふうに思われる。こういうことから、来たるべき次の通常国会には当然この小選挙区制を中心とした選挙制度改正案を提出されるのではないかということがございます。これに対して総理はいかような御所存を持っていらっしゃるか、第二点。 それから第三点は、佐藤総理が政局を担当されてからかなり日数もたっておりますし、今衆議院の任期も、この秋で三年になります。来年の秋任期一ぱいの四年でございますが、いろいろな情勢から判断されまして、一時この国会の中盤あたりにおいては、秋の解散が必至かのような情勢がございました。しかし、今日いろいろな観点から考えて、四年一ぱいの任期ということもありましょうけれども、佐藤総理の内閣担当以来いわゆる解散がないということ、さらにまた、経済情勢の変化、外交問題、いろいろな問題を中心に、当然この秋あたりには解散、総選挙をして、いわゆる佐藤内閣に対する国民の信任の状態ないしは新しい国政の展望というものも必要じゃないか、こういう論もございます。こういう観点から、今国会の終盤を迎えて、防衛二法その他重要な案件がもし継続審議または廃案となった場合における秋の臨時国会、その臨時国会を迎えた場合のいわゆる解散ということに対する佐藤総理の所見を、ただ単にやるとかやらぬとかじゃなくて、佐藤総理としてのやはりある程度政治的な判断に立った御所見を、この三点についてお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 まず第一は、臨時国会をやるかやらないかということでありますが、私は、ただいま国会の長期延長までいたしまして皆さま方に御審議を願っておる最中でありますから、最後の仕上げをする際でございますから、こういう際に、今日の国会の見通しをいたしまして、次の段階にどうするか、こういうところまで実は考えておりません。どうか残っておる審議期間中、できるだけ有効にひとつ使っていただきたい、法案は私ども提案いたしたのでありますから、ぜひとも全部が成立することを期待いたしておりまするので、どうかそういう意味で御協力願いたいと思います。 第二の問題は、選挙制度審議会の問題であります。選挙制度審議会につきまして、ただいま委員の諸君が非常に答申を急いでおられる、かように伺っております。ことに委員の諸君の任期が八月に参りますので、その八月までにはぜひとも答申を出したい、かように言っておられるやに伺っております。しかし、私自身は、ただいま小選挙区制度について意見を徴されましても、これをただいま申し上げることはたいへん不謹慎になるのじゃないか、せっかく選挙制度審議会に審議をお願いして、そして答申を待っている段階でありますので、その中身につきまして、また見通し等につきまして、私などがとやかく言うことは間違っている、かように思います。せっかくの茜ケ久保君のお尋ねでございますが、私はさような意味におきまして、ただ政府自身また私自身この選挙制度審議会の答申を待っておる、これは平静に待っておるということを、ひとつ御記憶、また御了解をいただきたいと思います。したがいまして、通常国会にもう小選挙区に関する法案が出る、かようなことは、私ただいま考えておりませんから、いずれにいたしましても答申をまって、しかる上で私どもの態度をきめるという考え方でございます。ただいまもいろいろ社会党や民主社会党、公明党や、あるいは自民党内部等について言及されましたが、これらの事柄につきましても、私は批評をする限りでない、かように思っておりますので、これはせっかくのお尋ねでありますが、お許しを得たいと思います。 最後に、解散の問題がございます。解散の問題につきましては、いままでしばしばお尋ねがありました。その中には、私が不用意に、また冗談まじりで話したことなど、いろいろ疑惑を生んだようなこともございますが、ただいま解散について考えてないという、このことだけはっきり申し上げておきます。
○茜ケ久保委員 大体御答弁で、了解はしませんけれどもわかりますが、ただ小選挙区の問題は、やはり日本の政界の将来に非常に大きな影響を持つと思います。したがいまして、総理のおっしゃるように、せっかく現在審議中でございます。特にこれは総理の諮問によって審議をしておるのでありますから、これが結論の出る前に総理がとやかく言うことは、もちろん不謹慎であります。しかし、審議を依頼されましてそれの結論が出ました場合には、総理としては諮問された関係上、その答申を尊重されるということは当然だと思うのです。尊重された結果が、その取り扱いがどうなるかは、これはやはり問題でございます。私どもの観点から考えますと、非常に重大でございますだけに、総理の御見解は、私どもとしてもこれは容易でない結論を出すことになるわけでございます。したがって、選挙制度審議会の結論の取り扱いについて、尊重されることはけっこうでありますが、いわゆる政局の重大性、その影響というものを大きく考えて、慎重な、それこそ慎重な一つの処置を期待をしまして、質問を終わります。
○木村委員長 受田新吉君。
○受田委員 おつかれです。ごく簡単にお尋ねしますからお答えをいただきたいと思います。 私は問題点を二つにしぼって、与えられた時間のワク内でかっちり質問を終わりますから、御了承いただきます。 まず第一に、昨年の通常国会で憲法調査会廃止法案が通過いたしたわけでございますが、私はここでぜひひとつ、憲法第九条の戦争放棄の規定にも関連する重大なこの憲法調査会答申書の扱いについて総理の御所見を伺っておきたいと思うのです。もともと私、この憲法調査会法案が出たときに、提案者である総理並びに担当国務大臣にお尋ねをして明らかになっておると思うことでございますが、三十一年六月十一日に公布された憲法調査会、それは内閣に付属機関として置くという非常に高いウエートを持っておりました。それが社会党その他一、二の学識経験者などの不参加者もあって、三十二年八月にようやく曲がりなりにも第一回の会合を持たれ、七年にわたって調査されて、三十九年七月の第百三十一回調査会でこの報告書を内閣、国会に報告されたのでありますが、その長い間かかって、制定の経過から、改正を要するか、運用の改善を要するかというようなところにまでこまかい心づかいをやって、ばく大な経費を費やして報告書が出された。この部厚い報告書の扱いを総理大臣はどういうお考えで御処理されようとしておるのか。答申を尊重するという法律の規定に基づいて、ここに出された多数意見、少数意見をいかように扱おうとされるか。自民党は三十年十一月に合同されたときに、自由民主党の政綱の中に「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、」とうたわれました。そして法律による憲法調査会を設置して改正案を準備することも決定されたわけです。その意図に基づいて憲法調査会が設けられ、その報告書が国会並びに内閣に提出されました。この報告書の内容をつまびらかにお尋ねするわけではございませんが、基本的にこの調査会の答申を尊重するという法律の精神の扱いを、総理大臣としてはいかようなお考えで処理されようとされるか、お答え願いたいのです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま述べられましたように、長い年月、また多数の国費、また各界の英知を集めた調査であります。この調査は憲法問題について貴重な手がかりになっている、かように私は思っております。そういう意味におきまして、十分大事にしていかなければならぬと思います。 そういう意味で、内閣自身においても、散逸しないように、この貴重な意見のとりまとめ方をいろいろくふうしておる。これは御承知のとおりであります。同時にまた、政府自身が、その答申についてはこれを尊重する、そういう態度は、ただいまもくずしてはおりません。 しかし、憲法問題は、もう基本の問題であり、同時に、まことに重大な問題であります。これは慎重な上にも慎重に扱わなければならない問題であります。しばしば政府自身も申し上げておりますように、国民とともに、慎重な態度でこの問題をいかにするかということを考えていくというのが今日の態度であります。したがいまして、いまの少数意見をどうするか、多数意見をいかにするか、こういうところまでまだいっておりませんので、ただいまのようなお答えをする以上には出でません。 いずれにいたしましても、この貴重なる調査資料を生かすように、今後とも努力しなければならないものだ、かように思っております。
○受田委員 そうしますと、総理御自身は、慎重に扱って、当初、自由民主党結党当時の自主体制に基づく憲法の改正を企図されたことを急いではやられないという意味でございますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまこれは一党だけの考えではないのだ、国民とともに、こういう問題に慎重に取り組む、かように御了承をいただきたいと思うのです。自民党自身の政綱、政策、これもはっきりいたしておりますけれども、しかし、これは自民党だけの問題じゃなくて、国民とともに、この問題を慎重に扱う、この姿勢をくずしておりません。その辺、誤解のないように願います。
○受田委員 総理の御意見は、国民とともにある憲法というたてまえをとりたい、それから総理御自身も、平和主義に徹しておられる、人間尊重のすばらしい御意見を持っておられることも、私、血は水よりも濃い、同じ郷里の関係でよくわかっております。私は、その意味で、あなたにその点敬意を表しておるのですが、ただ、懸念されることは、この憲法改正という意図でスタートされた自民党の提案、それに基づく答申の扱い方の中に、第九条に伴ういろいろな自衛隊のあり方、集団安全保障体制にどう切りかえるかという法律上の不備を補うやり方等で、憲法を改正すべしという意見もあるわけですが、当面は、野党も参加していなかったこの憲法調査会の実情も考慮されて、現行の憲法を順守するというたてまえで、その間に検討するという御意見と伺ってよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、この憲法ではいろいろな規定をいたしております。しかし、この中の平和主義あるいは人権宣言その他自由主義というような点について、これはもう国民の血となり肉となっておりますから、基本的に守っていかなければならない。こういう点は、どんなことがありましても、これを改正するとか直していくというようなことは考えられません。したがって、そういう意味で、ただいまこの問題をいろいろ検討しておるんだ、かように御了承いただきたいと思います。
○受田委員 私、それで関連するもう一つの問題、これはひっかけてお尋ねするのですが、国防会議の構成等に関する法律というのがあるんです。この法律で、国防の基本方針や防衛大綱あるいは防衛出動の可否等を御決定になって、これを総理大臣の諮問に応ぜられるわけになるのですけれども、この国防会議というものが、総理大臣以下関係閣僚六名を含めて、いわばインナーキャビネット、閣内閣議のような形式で運営されております。しかし、これには私は非常に危険があると思うのです。佐藤さんのような平和に徹しておられる方が総理の時代には間違いは起こらないでしょうが、もし防衛出動をやろうというような総理が出て、簡単に兵を動かすようなすばらしい馬力の総理が出て、自己の意思に反するような閣僚を罷免して、そして国会などでは事後承諾をとればよろしいのでございますから、そういうところですかっと出動するというような勇ましいことでもやられると非常に危険である。したがって、国防会議の構成員の中に、せめて練達の識見の高い人を何人か入れて、当初の案に、五名、三年任期という案が一つあったことがあるのですが、いまの時期に民主化された国防会議、国民のための防衛最高会議といいますか、先ほどから総理は、国民のためと盛んに言っておられるが、この会議は、そういう練達の識見の高い議員を民間人の中から選ばれて、国防会議構成員にこれを加えていかれて、そこで防衛の最高方針等をおきめになる、こういうたてまえをとる時期が来ているのじゃないでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 受田君のせっかくの御提案ですが、私は、現行のこの国防会議の構成員で実は十分ではないかと思っておるのです。これは別にインナーキャビネットでもございませんし、また、いま言われるような必要があれば、それぞれの人を臨時に呼び出し、そうして参加させるということもできるのでありますから、私は現行で十分だと思っております。しかし、なお、こういう事柄は、自分でかように考えましただけではなく、広く各方面から英知を集めることが望ましいのですから、さらに私も研究はいたしてみますが、ただいまは、受けた感じだけでは、いまのでもいいのではないか、かように思っております。
○受田委員 この民間人の意見をいれるということは、現在法律の規定の中にも、民間人の適当な意見をいれる規定もあるわけです。しかしながら、総理、いままで国防会議で、そうした識見の高い練達の士の意見をお聞きになったことがありますか。
○松野国務大臣 国防会議におきましては、各界の意見というものは、私どもの防衛庁としては、原案をつくるときに事前に聞いております。言うならば、防衛に関する評論家あるいは防衛に関する民間人の有識者、いろいろな方の意見を聞きながら、これを一月おきに、そうしてこの防衛計画の前にはひんぱんに意見を聞いた上で、実は防衛庁原案を作成しておるわけであります。その限りにおいては、十分反映しておると私は思います。
○受田委員 それは防衛庁がお聞きになっておるのでありまして、国防会議が聞いておるわけではないのです。そこに問題がある。今度の第三次防についても、二兆七千億円という膨大な予算を一応腹案としてお考えになっておるのである。しかし、それは総理はまだ知らなかったのだ。総理としては非常に高い立場で判断しておられる。そこで、防衛庁が立案をして第三次防を立てられる。それを国防会議に持っていくと、防衛庁の圧力がそのまま国防会議に反映する危険があると思う。むしろ中間報告などを皆さんのほうで国防会議にお出しになって、それに基づいて政策的な決定を国防会議がおきめになって、それに基づいて、防衛庁はこうせい、通産省はこうせいという指示を与えるというような形で、国防会議はもっと強い力を持ってもらわなければならぬと思う。 たとえば、この三次防の計画を立てるにしても、インドネシアはいま一応片づいたとしても、まだベトナム問題があり、中共の核武装があるというように、国際情勢が変化しておる。それに対して、いま長官は、くしくも何らかの答えを出さなければならぬようなお答えがあったわけですが、こういうことを考えると、これは外交の問題であって、防衛庁が軍事力でどうするかの問題は第二次的なもので、国防会議としては、外交、防衛すべてを含んで国防会議できめてやるということが必要だと私は思う。したがって、そういうものについて、国防会議がより高度の外交政策を考えるならば、わが国の外交をより進めることができ、また、軍事費も押えることができる。そういう意味で、国防会議の権威を高め、政策立案も、国防会議が基本的な政策を立案して、国防会議がきめて、防衛庁にこの範囲内でやれという指示を与えるような、そういう権威ある国防会議にしなければならないと思うのです。 国民のための防衛最高会議ですから、総理、その意味で、最後には防衛庁に押しまくられる——防衛庁は松野さんのような民主的な大臣がおられても、制服組にどんどん力を持ってこられて、シビリアンコントロールなどというのは、いかに有能な大臣でも結局やられてしまう。そこで、国防会議で民主的な圧力を加えて、この政策立案の最高くらいのものは国防会議でおきめになって、防衛庁はこのワク内でやれ、外交面などは、もっと大きな国防の方針の中に入れられて、そこで防衛庁の制服組の強大な力を押えていくという、そういう国防会議になってほしい。そこで、国防会議の構成、それからもう一つ、いま民間人の意見などをじかに国防会議で聞かれるように、国防会議顧問制度などを置かれる——総理がおられる間にそういうことをしっかりやっておいてもらいたい。お答え願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの受田君の御意見を交えてのお尋ねでありますが、これは御承知のように、国防会議をつくる際に、そのメンバーをどうするか、ずいぶん議論したものであります。特に民間人を入れろというなにが非常に強く、また入れたほうがいいか悪いかということも、ずいぶん長く時間をかけて審議願ったと思います。私は、先ほど申し上げますように、もちろんこういう国家の基本的な大問題をきめるのですから、そういう意味では、国民の協力を得る、こういうような意味であってほしいと思います。しかし、それは、いまのところでは、やはり国会の協力を得る、協賛を経るという形で十分だと思うし、また、ただいまのように、あるいは防衛庁だけが前もって意見を聞くとかいうこともございますけれども、今日の状態では、まずあの構成員のつくり方で支障はないのじゃないか、かように実は私は思っておるのであります。しかし、先ほど来申し上げますように、御意見は、各方面の英知をまとめてきめてこれは取り組むべき仕事だと思いますから、なお研究するということだけは申し上げたつもりでございますが、ただいまこの席で、これを入れます、かようにはお答えするわけにはまいりません。こういう事柄は十分慎重に検討したい、かように思います。御了承願います。
○受田委員 時間が三分前と書いてあります。これでさっとやめます。 私は、政策では堂々と総理と対決させてもらいたいのです。それは、何となれば、私たちはこの防衛庁のあり方、国防会議の存在意義というものに対して、いまの自衛隊が持っているあの親切な、災害出動とかいろいろな公共事業への協力とか、これはもう最近において、自衛隊は国民に親しまれておりますよ。これは動かすことのできない実績です。ここまで自衛隊が進んできたときに、もう国民の中で日陰者などといわれる時代は完全に払拭されておるのです。国民に非常に貢献しておる。その自衛隊を国民の自衛隊らしくするためにも、防衛最高会議というものはもっと民主化されなければならない。そして、アメリカの安全保障会議のようなものにすぐせよとは申し上げませんけれども、もっと権威あるものにしなければならない。国防会議がなめられて、たまに会議を開いて防衛庁試案をそのままにうのみにするようなだらしのないところに、日本のシビリアンコントロールの実績をあげ得ない、制服組の圧力が重加される危険があると思うのです。 この機会に、はっきりしたもので、この国防会議の構成に民主的な運営、権威あるものを十分に織りなすこと、そして、またもう一つ、いませっかく自衛隊は防衛庁職員として国民に親しまれておる段階で、つまらぬ国防省設置などというやぼなお考えを持たないで、このままで国民に愛される自衛隊員という立場からいっても、防衛庁はそのままでよろしいし、自衛隊は現状でもっと国民に愛され、親しまれるという形をとって、そうして国民、国土を守るための自衛力を持ち、りっぱに安定させるという方向でいいのじゃないかと思います。国防省設置などというやぼな考え方でなくて、現状を十分に進めて、親しまれる自衛隊として、その立場を尊重してあげるという立場を総理御自身お持ちになっておるかどうか。これでもう質問しませんから……。
○佐藤内閣総理大臣 いまの防衛庁の実情を、ただいま受田君が誤って考えておられないか。私や松野防衛庁長官といたしまして、ただいまの御意見にはたいへん不満を感じておる。制服に押しまくられて——これはたいへんに意外の感じを持ったのであります。どこまでもシビリアンコントロール、このたてまえでやっておりますから、この点は誤解のないようにお願いしたい。ただいまたいへん私は、そういう意味ではこの点が聞きづらかったのですが、しかし、これは私のほうの感じとして、ただいま、防衛のあり方、国防のあり方、この基本はシビリアンコントロールでやるのだ、こういうことをまた重ねてお答えをいたしておきます。 同時に、また、ただいまお尋ねになりました点は、これは十分今後御意見は御意見として伺っていくことにいたしまして、この際に結論めいた話は差し控えさしていただきたいと思います。ただいま言われますように、いつまでも日陰の身にしない、このままでりっぱに国民に愛される自衛隊にしろ、こういうお話でございますが、それはただいまのような防衛庁というような形で国民に愛されるのがよろしいのか、これをもうりっぱに入籍をして、国防省のもとにおいて国民に愛されるほうがいいのか、これらのことはなお検討を要する問題だろう、かように思いますので、私は、どうも実情について誤られると、ただいまシビリアンコントロールが十分でない、こういうところからスタートされると、議論がいろいろ間違ってくるのじゃないか、かように思います。
○受田委員 もう一分あるのです。ちょっと総理の言うことが私、気にかかるのです。私は、政府の力でシビリアンコントロールをりっぱに実施してもらって——制服によって圧せられる防衛庁であってはならぬという願望、また、そういうことに対するわれわれの将来の警告を一つ申し上げたわけで、その点は十分含んでおいてもらいたい。 それから、それを強化するために国防省などという、むしろ自衛隊の中で、国防の一員だという認識を持つために国防省がいいのだと考える危険があるから、これは防衛庁でりっぱに自衛隊の立場を守られる、まま子じゃないのだから、りっぱな嫡出子になっておるのですから、したがって、そのことで誤ってお考えになっておられるようですから——私のいまお尋ねしておるのは、現状はりっぱな嫡出子です。したがって、いまのままでまま子じゃないからということ。何だか国防省にせぬと嫡出子にならぬように懸念されるから、この不安を一掃さしていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 御意見はよく伺っておきます。
○受田委員 きょうはそこでおきましょう。
○木村委員長 この際暫時休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕