大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号
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- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/06/01
会議録
○山本小委員長 これより会議を開きます。 税制及び税の執行に関する件について、調査を進めます。 質疑の通告がありますから、順次これを許します。横山利秋君。
○横山小委員 先月十九日でありますか、国税庁は、ちまたの話によりますと、まさに史上最大の手入れといわれておるのでありますが、百数十人の税務職員を動員をして、日証並びに東京大証の査察を行なわれた模様であります。この今回の査察の意義はきわめて大きく、また影響するところもきわめて甚大でありますから、私の質問も慎重にいたすつもりではありますが、ともあれ、まず第一に、国税庁から、いかなる理由があって、いかなる事態を除去するためにこの大規模な査察が行なわれたのか、まず御報告を受けたいと思います。
○泉政府委員 お話のように、去る五月十九日、国税庁の調査査察部査察課と東京国税局査察部並びに大阪国税局の査察部の人員を相当多数動員いたしまして、株式会社日証及び株式会社東京大証に対しまして強制調査を行ないました。この両社は商業手形の割引をいたしておるわけでございますが、その商業手形の割引いたしましたものを、さらに特定の個人に再割引をしておるようでありまして、その特定の個人が割引料収入につきまして申告納税をすべきにもかかわりませず、しておらないし、その金額が相当多額にのぼっておる、こういうことから、その個人の所得税法違反嫌疑事件を調査するにあたりまして、その取引の記録が株式会社大証及び株式会社日証にございますので、参考人として捜索の対象にしたものでございます。
○横山小委員 延べ動員一日にどのぐらいでございましたか。
○泉政府委員 五月十九日当日におきましては、先ほど申し上げましたように、東京、大阪のそれぞれ大証の本社、それからその職員等の自宅なども含めて捜索に従事いたしましたために、当日は延べ百八十人程度でございました。二日目、三日目からは人員を若干減らしていたしております。
○横山小委員 いまの御説明によりますと、主として日証並びに東京大証から再割引をした個人の所得税脱税容疑違反ということで日証並びに東京大証を調査したというのでありますから、日証、大証それ自身は反面調査のために行なわれたと解するのですか。
○泉政府委員 反面調査と申しますか、その手形の再割引をいたしましたことを記帳した資料が日証、大証にございますので、その記帳しております資料を押収するために捜索をいたしたのでございます。
○横山小委員 同僚諸君にも理解をしてもらうために、少しその一般的事実について質問したいのでありますが、日証並びに東京大証等の手形割引業者と申しますか、その周囲には、職員のいわゆるセールスマンがたくさんおる、それ以外にブローカーがたくさんおる、そして、その外辺にいわゆる金持ちといいますか、再割引を受けた本人がおる、その本人がいわゆる脱税をした。問題となりますことは、一体そのセールスマンなりあるいはブローカーは、その金持ちなり納税者は知っておるけれども、会社は知らなかったかどうかということだと思うのですね。そこのところは、商習慣として証券業界と比較して考えることができると思うのでありますが、反面調査という言い方が正しいかどうか知りませんけれども、日証並びに東京大証を調査したということは、その納税者の名前その他が帳簿にあがっておるのではない、つまり、通常あがっていないというところから調査の必要が生じたというふうに解すべきですか。
○泉政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、この大証あるいは日証が手形割引をいたしまして、さらにこれを、いまお話しのように、セールスマンとかブローカーを通じまして、いわゆる銀主と申しておりますが、その銀主がさらに再割引を行なうわけでございます。その再割引を行なった銀主の所得税の問題になっておるわけでございますが、その再割引をした行為についての記録が当然株式会社大証あるいは日証にあるべきものでございます。したがいまして、私どもとしましては、その記録を押収して、当該個人がどれだけ再割引によって収入を得ておるか、そしてまた、それを申告すべきものにかかわらず申告しておらなかったか、これを調査するために、その本来あるべき記録を捜索によって得るために強制調査を行なったということでございます。
○横山小委員 手形割引業者が再割引をした人の名前、住所その他を記録する必要は法律上ないかもしれぬ。しかし、商習慣上、その記録がないということについては、私は実は理解できないと思うのです。もしもそういうことが行なわれておるとするならば、これは適当な企業経営でもないし、あるいは巷間伝えられるキャッチフレーズであります安全、確実、有利、無記名、そして無税と言っておったかどうか知りませんけれども、その四つか五つのキャッチフレーズが実にそのとおりになる。そういうようなあり方というものは適当なあり方ではないし、実際問題として、その再割引をした納税者の名前を知らないと会社が言っておることについては疑問があると思うのですが、どうお考えですか。
○泉政府委員 まだ現在調査を実行いたしております段階でございますので、調査の内容について、あまり詳しく申し上げ得る段階に至っておらないのがはなはだ残念でございますが、会社のほうといたしまして、私どもがいろいろ調査し、押収しました書類には、再割引の事実は帳簿に記載されておるのであります。ただ、それがいかなる相手方であるかということは、会社としてはわからない、それは会社のセールスマンだけしか知らないんだ、こういうことを会社は言っております。セールスマンのほうを調査しなければならないわけでありますが、セールスマンはなかなかその氏名を明らかにしないというのが調査の現段階であります。したがって、会社自体は相手方がわからぬと言っておらないのでありますが、外務員であるセールスマンしか知らなくて、会社自体は知らない、こう言っておる段階でございます。
○横山小委員 帝国銀行会社要録を見てみますと、株式会社日証は資本金四千五百万円、今日の日証の膨大な業務内容から考えますと、きわめて資本金は少ないのでありますが、年商昭和四十年度において八百五十億円、従業員が千二百八十三名、そして業績を見ますと、三十八年十二月は利益が九億三千万円、配当は三〇〇%、三十九年十二月に至って十二億六千三百万円、配当は二〇〇%、実にたいへんな業績をあげておる模様であります。また、私の調査したところによりますと、実にこの調査網が充実しておるように考えられます。証券市場が疲弊をいたしまして、庶民が株に対する興味を失ったこの状況の中で、この手形割引というものが見る見るうちに増大をしたと思われる。そうして、いまの実態であるならば、まさに無記名である。そして日証の調査網並びに日証なり著名なこの種の手形割引業者の機構を通じたものはきわめて安全である、そして確実である。金利につきましても、おおむね年九分三厘はかたいところといわれておるのでありますが、あなたのほうの調査によって、一体どのくらいでこれらの手形割引業者が手形を引き受け、そして再割りはどのくらいで行なわれ、あるいはその間の再割りしたものの利益はどのくらいのパーセントを占めるか、御報告を願いたい。
○泉政府委員 先ほど横山委員のおっしゃいました点につきまして、お答え漏れがございましたので、まずそれを申し上げておきたいと思います。 いずれあとで問題になることかと思いますが、との証券市場が衰微いたしました段階で、こういった手形割引という方面に資金が流れてきておる。そして、巷間伝えられるところによりますと、こういった手形再割引ということは、安全、有利、確実である、そのほかに税金もかからぬと言ったかどうか、そういった点が問題になるわけでありますが、そういった事情があるようでございまして、私どものほうとしましては、そういう宣伝文句がビラになっておるとかいうことで、いろいろその線を調査いたしましたが、いままでのところ、そういったものは、相手方がうまく回収したのかどうかわかりませんけれども、現段階ではつかまえることができておりません。なお調査をいたしておる段階にございます。 それから、いまお話の株式会社日証それから株式会社東京大証というのは、日証から分かれてできたものでございます。株式会社日証は、お話のとおり相当多数の従業員を擁し、かつまた、きわめて多額の収入があり、かつ所得がある状況でございまして、この商業手形を買い入れておる場合におきましてどの程度の利益を上げておるかということでございますが、これはまだ現在調査をいたしておるのでございますが、おもな点だけを申し上げますと、一流手形、つまり一部上場の法人の手形でございますと、それを買い入れる際は日歩三銭二厘で買い入れております。それから、手形再割引をいたしますときは二銭五厘、出すときは二銭五厘ということでございます。それから、二部上場の法人の二流手形になりますと、手形を買い入れる際は日歩四銭二厘、それから再割引に出すときは日歩二銭七厘、それから、その他の三流手形になりますと、これは相当、バラエティーに富んでおるようでございますが、手形を買い入れる際は日歩四銭二厘から十五銭まで、それから手形再割引に出します際は三銭五厘以上といったような状況でございます。したがって、昨年一年じゅうは、経済全体が沈滞しておった関係もございまして、手形割引がなかなかうまくいかなかったようでございますが、三十八年、三十九年当時におきましては、お話のとおり相当多額の収入があり、かつ所得もあげ、配当もいたしておるというふうに承知いたしております。
○横山小委員 一流、二流以外の三流のところで日歩五銭程度といたしまして、まあ二割くらいになりますか、それに八銭、十銭というような状況になりますれば、とほうもない金利かせぎをすることになる。それで、差しつかえるかどうかわかりませんが、巷間伝うるところによりますと、年商一億円以上の利益をあげておった人たち、あるいは月に一億円以上の売り上げ——購入ですか、再割引をした人があるがごとく伝えられておるのでありますが、いま調査のベースに乗っておるのはどのくらいの規模の人たちでありますか。
○泉政府委員 まだ現在調査中の段階でございまして、かつまた、その手形を再割引いたしておりますのは一人ではございませんで、かなりの人数に及んでおります。したがいまして、私が申し上げるのは、すべての人がそういう大きなものでもないわけでありまして、中には規模の小さいものもおるわけでございますが、きわめて大きい人といたしましては、まあ、査察でございますから、告発、起訴の関係からいたしまして、約三年間の所得を追及いたしておるのでございますが、その三年間の所得がおおむね私どもの見込みで六億円程度というのが最高でございます。そのほかにもかなりの収入を得ておると見込まれる人がございますが、そういった大きな人を除きますと、三年間の所得が数千万円程度という人が多いようでございます。
○横山小委員 伝うるところによりますと、日証は、日本におけるきわめて著名な某映画会社が給料の財源がちょっと乏しくなったときに、十億円、日歩七銭というから、年にして約二割七分五厘になりますか、その映画会社の社長の個人資産を担保として貸し出しておる。もちろんそれは返済はされました。しかしながら、このような巨額の金を融資したり、割り引いたりする財源は、一体どうして調達をしておると推察されるのでありますか。これは国税庁の範疇になるのか、銀行局の範疇になるのか知りませんけれども、実に巨額の金が動いておると痛感するわけでありますが、これはどういう財源から出ておるものと推察をされるわけでありますか。
○泉政府委員 これもまだ私どものほうは、先ほどお話いたしましたように、当該申告納税すべき個人につきまして、脱税の嫌疑で調査をいたしておるのであります。その関連において株式会社大証、株式会社日証の取引の状況も調査をしておるということでございますが、株式会社大証あるいは日証それ自身の脱税の嫌疑があって調査しておるものではございません。したがって、いまのお話のように、株式会社大証なり日証がどうやってその手形割引を行なうための資金を調達しておるかというような点については詳しくは調べておりません。ただ、いま申し上げましたように、その申告所得税を脱税しておるという嫌疑のありまする人たちが相当多数おりまして、その人たちが相当の資金を提供しておる、それからまた、株式会社大証あるいは日証それ自体も、先ほど申し上げましたように、手形割引の仕事が非常にふえてまいりまして、相当多額の利益を得、かつ、税金を払った後も蓄積がかなりできておりますので、そういった資金も動かしておることと思います。さらに、そのほかに金融機関のほうから借り入れているかどうかという状況は、私のほうでは現在のところ調査いたしておりません。
○横山小委員 この会社要録を見ますと、日証は三井、三菱、三和、第一、大阪第一信金等の金融機関並びにその支店と取引をしておる模様でありますが、銀行局長、こういう手形割引業者に対する金融については、これは通常融資条件その他については何ら差別はないのですか。
○佐竹政府委員 これは、現在決して法的に制限を設けておるものではございませんので、それぞれ取引先の信用度あるいは担保といったようなことによって、それが金融機関の融資ベースに乗るという場合においては、融資が行なわれることと考えております。
○横山小委員 国税庁長官にお伺いします。名前を申し上げるのは差し控えますが、この種の業者で第三国人に非常な資金の供給を受けている会社があるんです。まさに大口になりますと、お客様に、それじゃ、ちょっと時間を下さいと言って、その第三国人に一応了解を求めてから割引その他の許諾の返事をするというような実態になっておると私は承知をしておるのであります。今回の調査の対象は、内外両方にわたっておるのでありますか、日本人だけでありますか。
○泉政府委員 現在調査いたしておりまするのは、現在日本国籍を持っておる者に限っております。横山さんの言っておられる方はおそらく想像がつきますが、現在は日本国籍を持っている人であります。
○横山小委員 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の第九条におきまして、手形割引等についても金銭の貸借とみなすということにし、そうして第二条は「業として預り金をする」云々としておるのでありますが、今回の手形割引、再割引の実態と、この出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律との関係についてどうお考えでございますか。
○佐竹政府委員 この点は、ただいま先生御指摘の出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の第一条、第二条の解釈の問題でございますが、ここで申しておりますことは、実は二つの要件がございまして、「不特定且つ多数の者からの金銭の受入」ということを申しております。同時に、それを「業として」行なう、この二つの要件があるわけでございます。したがいまして、不特定多数の者から受け入れ、しかも業として行なう、その場合の金銭の受け入れというものについては、これは、いま先生御指摘のように、いわゆる預金、貯金、借り入れ金その他、何らの名義をもってするを問わず、そういう同じ経済的な性質を有するものということを申しておるわけでございますので、問題は、いわゆる不特定多数の者から、同時に業としてこれを受け入れているかどうかということが、この第一条、第二条に該当するかどうかというきめ手になるわけでございます。
○横山小委員 それで、本件との関係はどうなるんですか。
○佐竹政府委員 それは広く不特定多数の者から受け入れるということであれば、これは該当するわけでございますが、不特定多数であるかどうか、その点は実態に即して見なければならない、かように思いますが、実際問題として貸し金業の実態を見ておりますと、いわゆるあっせんと申しますか、手形の売買のあっせん——甲の者が買いたい、乙の者が売りたいといっている、いわばその間に立ってあっせんをする、その結果、そこで手数料を受け取るということをもってその商売の内容としている部分が私は相当あるように聞いております。したがって、ただいま先生御指摘のようなことに直ちに現在の貸し金業の実態が当たるかどうか、その点は実態に即して見る必要があるのではないか、かように思います。
○横山小委員 先般、本委員会におきまして貸し金業についていろいろ質疑応答をかわしたことがあります。この貸し金業はこの法律によって制限を受ける点があり、貸し金業法としては制定されていず、そして、大蔵省はこの種の法律について都道府県知事に業務を委任して、以下何もしていないという状況だと私は判断をしています。そうでなければ——何か銀行局長言いたいことがあるような顔をしておるのでありますが、実際いま、この貸し金業の実態をこの機会に調査をしてみますと、大は日証等から、小は業としているかどうかわからないけれども、実際問題は継続して利潤をあげておるというようなキリの人に至るまで、実にこの社会においていまやそれぞれの存在の意義がある、これを排斥するわけにはいかぬ。それぞれ町の一般の金融機関なりあるいは政府関係金融機関の範疇に入らない金融について、やはり社会構成の一環をなしておることは事実であります。しかもそれらが、最近一つには証券業界の低落に伴ってぐんぐんとその社会的地位を伸ばしておる。それに伴って、いま問題の再割引手数料等の問題が実にびっくりするほど大きな金額になっておるということは、これは国税庁のベースで処理さるべき本来的な問題ではなかろう、そう考えるのでありますが、先般、あなたでありましたか、前任者でありましたかに質問をいたしましたときに、そういうピンからキリまでの貸し金業者は大蔵省には手が余る——これは二、三年前でありましたか、手が余る、こういうお話でございまして、全くの野放し状態である、この点についてどうお考えでございますか。
○佐竹政府委員 御指摘のように、貸し金業の問題は、まさにそれは金融の問題に違いないと思います。そこで、先般この法律改正が行なわれまして、貸し金業法は廃止され、今日の法制になった。そのときの経緯は、横山先生私どもよりはるかに詳しく御存じでございますので省略をいたしますが、この貸し金業というものが本来どういうものであるのか、つまり、いわゆる一般の金融機関ということになりますと、これは広く一般大衆から預金を集めてくる、そうしてこれをまた一般的に広く貸していく、こういうことでございます。すなわち、そこに不特定多数の広い一般の預金者というものを前提にしての営業でございますので、これに対しては、預金者保護ということからやはり厳重な規制が必要となってまいるわけでございます。 一方、この貸し金業の姿を見ますと、これはそういう意味の、つまり広く一般大衆から預金等を集めてくるという性格のものではなくて、本来的にはやはり自己の資金をもって、それを自己の責任において運用をしていくというところに貸し金業の本質というものがあるわけでございましょう。同時にこれは、いわゆるそういう公的な金融機関というものと違った、いわば自由営業的な色彩と申しますか、そういうものを実は持っておる、そういうところに着目されまして、現在の法制のもとにおいては、これは届け出ということをもって足ることにされておることは先生よく御承知のとおりでございます。その場合の届け出というのは、やはりいわゆる業務内容その他の実態について、先生おっしゃるような野放しの状態というのは、これはまたいかぬのじゃないか。いかに自由営業的な色彩があるとは申せ、たとえば金利の点につきましても、日歩三十銭というものが法定の限度でございますが、これをこえるということになれば警察取り締まりの対象になるわけでございます。そこで、そういったような意味から、やはりどういう人が、どこで、いつからやっておるということは明らかにしておく必要がある、そこで、届け出ということによってそれが把握されておるわけでございます。一般の金融機関に比べて、監督、検査といったようなものの態勢が手ぬるいという御指摘は、まさにそのとおりでございますけれども、それはやはりその業の持つ性質、本質と申しますか、そういうことからくる一つの区別であろうか、かように考えておるわけでございます。しかし、そうかといって、これが非常に乱に流れる、たとえば無届けで実態として貸し金業を営むものがあるということであってはならぬわけでございまして、そういうものについては、やはり警察取り締まりということを随時行なって是正していかなければならぬ、最近の実態によりますと、無届けでやっておったものが若干発見されておる事例もございます。そういう意味で、常に目は光らせていなければならない、こういうように考えております。
○横山小委員 銀行局長のお話はきわめて実態に触れていない。あなたの所管でもなさそうだ。委任してしまっておるから。だから通り一ぺんの御答弁に聞こえてしかたがないのであります。先ほど私は、これらの貸し金業者、手形割引業者に対して金融機関の実態はどうかと言ったら、ベースに合うなら貸して何ら差しつかえないし、普通にいっておると言っておりますが、この日証のように、さっと十億、二十億、大銀行があなたの言うように普通のように動いておるものと、それから町の貸し金業者が銀行へ行って貸してくれと言っても融資順位が低いということで貸さぬのです。非常にその辺の格差がある。いい悪いは別として、そういう実態なのです。それから、原則として自分の資金でやっておると言うけれども、そんな自分の資金でやっておるような貸し金業者、手形割引業者は小さいものです。商売ではないというくらいのものです。金融機関から借りてくるか、どこかから借りてきて、それをまた回してやることによって規模がふえていくのですから、あなたのお話は私は実態に合っていないと思う。それから、届け出がしてないやつは目を光らして警察等云々とおっしゃるけれども、いま貸し金業者の実態を見れば、そんな届け出をしていないやつをひっくくろうとしたところで、それはさいの川原の何とやらで、そんなことで網にかかるものは私はないと思う。もしそういうことであるならばあるようにしっかりとした態勢をつくらなければ、これはうまくいかない。そうして、大蔵省それ自身が金融機構の一環として目を当てなければ私はうまくいかぬと思う。 三十銭の話が出ました。日歩三十銭ならこれは警察ざたであることはそのとおりであります。わが党は、すでにこの国会に、三十銭というとほうもない数字が低金利のこの時代にいつまでも放置されておること自身に間違いがある、だから、二十銭なり何なりに金額を改正すべきだということを提案しておるわけです。この点についても、あなたのほうはどうもこの種の問題を大蔵省が手がけることについて非常に消極的ですね。どうなんですか、この日歩三十銭を是正して改正をするつもりはありませんか。
○佐竹政府委員 この日歩三十銭というものは、あくまで公序良俗に反するところの限界線を示しておるものでございますから、決して、そういう金利が一般に適正に行なわれていいということを考えておるわけじゃ毛頭ございません。ただ、そのときそのときの経済社会の実態から見て、一体どの辺のところから公序良俗の違反になるのかということは、やはり時代とともに移っていく性質のものであろうとは思うのであります。したがって、そういう意味で私どもは三十銭がもう絶対不動のものだというふうにはもちろん考えておりません。これとても、先生御承知のように、若干の沿革を経て今日の三十銭になってきておるわけでございます。そういう意味で、だんだんに一般的な市中金利水準が低下をしてまいり、通常の一般の取引の金利水準を頭に置いて考えました場合に、これが著しくかけ離れたものということであるならば、そこでやはり再検討はしなければなるまいと思いますが、さて、ただいま直ちにこれがどうかということにつきましては、これはいわゆる短期金利の変動といったものだけでもなかなかものは見れない。そこで、経済社会の実態の動きを常時見ながら時々刻々検討してまいるべき筋合いのもの、かように考えております。
○横山小委員 本件に関連をして、一説に、本来日証なり東京大証なりそれらのところが納税者を知らないはずはない。知っておるに違いない。すべてがそうだとは言いませんが、大口が知らないはずはない、これは社会常識である。そうだとするならば、そこで源泉徴収をしたらどうかという意見がある。この点についてはずいぶん私も検討してみたけれども、実際問題とすればむずかしい議論ではあろう。しかしながら、これに膚接する問題はある。それは何かというと、利子所得の定義の問題であります。 そこで主税局長にお伺いをしたいのでありますが、もう積年税制調査会において利子所得の問題について議論があって、問題が提起をされておる。三十五年でありますかを例に引きますが「公社債の償還差益等についての所得分類の合理化」として、「現在、利子所得の範囲は「公債、社債及び預金の利子並びに合同運用信託の利益」と定められ、これらについては、その支払いを受ける際所得税の源泉徴収をされることとなっている。他方、この利子所得の範囲に掲げられているものと実質的な利子である点において異ならない公社債の償還差益、定期積金の給付補てん金等については、現在利子所得としてでなく、雑所得として取り扱われている。」、「公社債の償還差益、定期積金の給付補てん金等は、上記のように利子所得でなく雑所得とされているため、源泉徴収の対象とならず、公社債については、特に無記名証券が多いということもあって、ほとんど総合課税の実があがっていない現状である。この点は、従来から預貯金及び利付公社債の利子に対する課税との権衡上問題とされているところである。」として、すみやかにこの点について是正さるべきだという提言をしている。しかるに、聞くところによれば、興銀、長銀あるいはその他の金融機関がこれに対して反対をしておると聞いておる。反対の理由は、それではこの公社債の売れ行きが減るだろうからということらしい。しかしながら、ここの調査会の結論で明らかなように、税制上の均衡がそれで保たれるか、はたして総合課税が行なわれておるだろうかというと、まさにこれは期待し得ない問題だと私は思う。いま私は、今回の一斉査察に関連してあらためてその周囲を見直して、かかる膨大な脱税が、しかも庶民のペースでなくて一部有産者のみに限定して行なわれておる実情を根本的に、ないしはそれに付随した問題をためるとするならば、まずまっ先に積年提起されておる利子の問題から庁づけ、それに膚接するもろもろの問題を均衡をとりながら処理すべきであると考えるがゆえに、すみやかに公社債の償還差益については善処すべきであると思うが、主税局長の意見を聞きたい。
○塩崎政府委員 手形の再割引に際します所得に対する問題から、ただいま横山先生、公社債の償還差益、割引債券等につきましての源泉徴収の問題にお触れになったのでありますが、私も当時税制一課長をしておりまして、そのような答申に基づきまして種々検討したことがございます。横山先生のおっしゃったように、所得税は特に総合課税のたてまえでございますし、さらにまた、投資所得は投資所得なりにお互いにバランスのとれた課税を受けるべきであろうということは、税制の大きな筋道であろうと思うのであります。一つのものが源泉課税を受け、他の同じような経済的性格を持つものが源泉課税を受けないということになれば、投資利回りが混乱する、それがすべて横山先生のおっしゃるように総合課税されて、人的な控除も受けまして課税されれば、まさしく源泉はなくてもいいのでありますが、必ずしも現実はそうはなっていない、そういった場合に、ひとつ源泉課税はどうか、こんなような御提案であろうと思います。当時のいきさつは、私も思い出すことがいろいろあるのでありますが、興長銀だけでなくて、商中、農中、こういった政府関係、あるいは準政府機関の問題もありましたし、さらにまた、法律的にはキャピタルゲインといった所得論の議論もございました。さらにまた、源泉徴収の技術的な方法についても種々の難点が唱えられまして見送ったのであります。要は、横山先生のおっしゃったように、すべての所得をできる限り公平に扱い、また総合課税の実をあげるような方向で検討する意味におきましてどうすればいいか、考えてみなければならぬと思っておるのでございます。ことに再割引所得の問題、割引所得の問題は、いわば金を出しておるものについて別途のまた借金の利子があるとか、種々のむずかしい問題もございます。さらにまた、どこで徴収するかというようなことになりますと、先ほど来御議論のように、届け出だけでしたような貸し金業者を相手にいたしましても、これもまた公平にいかないと、特定の金融業者を通ずるということになると損をするというようなことでは、また別な意味におきまして弊害を生ずる点もございます。いずれにいたしましても、横山先生の、私どもにとりましては非常にありがたい脱税を防止するための趣旨の提案を考えろという意味で、今後ひとつ慎重に検討してみたい、かように考えております。
○横山小委員 銀行局長に伺いたいのですが、証券会社にあっては、役職員が自己の地位を利用して利益をあげることは禁止をされておる。金融機関も同様だと思うのですが、どうなっておるか。 〔小委員長退席、吉田(重)小委員長代理着席〕 また、そうだとすれば、この種の民間機関についてはどういうことになるのか。そういうことを禁止されておりながら、証券業者の役職員が自己の地位を利用して株を買ってないとは私は信じないのです。それと同じように、この種の会社が自己の地位を利用して、これほど安全、有利、確実、無税と言っておるかどうかそれは知りませんが、そうであるならば、そういうきらい、実態がなしとしないと感ずる、その点はどうお考えですか。
○佐竹政府委員 金融機関の役職員が、自己の利益のためにその地位を利用して利益をはかるという問題につきましては、先生御承知のように、法律の規定をもって禁じておるわけであります。すなわち、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律第三条におきまして、いわゆる浮き貸し等の禁止という規定がございまして「金融機関の役員、職員その他の従業者は、その地位を利用し、自己又は当該金融機関以外の第三者の利益を図るため、金銭の貸付」等をしてはならぬということでこれは禁止をしておるわけでございます。したがって、そのようなことが許されるべきでないことは、もう申すまでもないわけでございます。 第二のお尋ねの点は、いわゆるこの種の金融機関とおっしゃいましたのは、おそらくはこの貸し金業のことかと思いますが、貸し金業というものにつきましては、これはいわゆる金融機関と申しておるものの範疇には実は法律的には入っておらないわけでございますけれども、当然その精神からいって、貸し金業の役職員というものが自己の利益をはかるためにその地位を利用するということは、これまた許されざることであろう、かように考えます。
○平林小委員 いま横山さんのお話を聞いておりまして、少し私も知っておきたいと思いまして伺うわけですけれども、手形割引というのは、大体年間において総額としてはどのくらい動いておるのですか。また、きょう問題になりました日証、大証というのがそういう中に占める割合というものはどんなものでしょうか。そういう実態把握はどの程度行なわれておるのですか、ちょっと伺いたいのです。
○佐竹政府委員 貸し金業の実態調査につきましては、昨年の六月末現在において行なわれた調査がございます。本年におきましても、最近の時点で調査をやるべく現在実行中でございまして、最近の結果はまだ実は出ておりませんが、昨年六月の調査によってみますると、届け出をいたしておりますところの業者の数が約六万軒ございます。そのうちで個人が四万三千軒、約七割程度が個人でございますが、残り三割の一万七千軒程度が法人、こういうことになっておるわけでございます。 そこで、いわゆるその資金量でございますが、これは非常に的確な統計は実はございませんので、ある程度推定で見ておるわけでございますが、推定の資金量といたしましては大体約二千八百億円ぐらい、融資の残高で見ますと、約二千六百億円ぐらいのものが融資残高としてある、こういうことでございます。 そこで、いまお尋ねの手形の割引というものがどのような割合を占めておりますか、この点については、融資の方法としまして、手形割引と手形の貸し付け、それから証書貸し付け、その他、こういうふうに大体四種類ぐらいに分かれておるわけでございますが、実はそれの種類ごとの金額はそのときの調査においては把握をされておりませんので、ちょっといまの全体としての割合がお答えできないわけでございます。ただ、大体一件当たりどのぐらいのものが一体平均して融資をされておるかという点を見ますと、これはいろいろなものがございますけれども、非常に小口が多いわけでございまして、大体中心は五万円ないし十万円というものでございます。また、この融資期間も一件平均で見ますと、大体中心が三ないし四カ月ぐらいの状態、したがって、これは六万軒の非常に数多い貸し金業者は非常に零細な者が圧倒的に多いということを示しておるものかと思います。ただいまいろいろ御議論になっております日証だとか何とかというところは特別に大きな、非常に例外的なケースであろうかと思います。なお、金利等の調査もございますが、これは最近時点から比べますと、だいぶ前の時期の金利でございますのであまり御参考にならぬかも存じませんけれども、大体手形割引貸し付け等を通じまして、中心レートが当時においては大体十五銭ないし二十銭というかなり高いものであったわけでございます。
○平林小委員 本日、株式会社日証と株式会社東京大証の商業手形割引の件、それにからまるいろいろな取引が脱税ということで国税庁が手入れを行なったということでございますけれども、先ほどのお話ですと、こうした手形割引の動きというのは、昭和三十八年、三十九年、非常に高くなってきたというお話がございました。そういう時期に国税局のほうはこの問題については手を触れないでいた。最近この問題が初めて大々的に取り上げられてまいったんですが、その以前はこれはどういうふうにされておったのですか。
○泉政府委員 御承知だと思いますが、この手形割引の実態というのは、その資金を供給する者が別段事業設備を持っている必要もなくて、いわば電話一本でそういう場合に資金の供給ができる、こういった関係にございますので、そういう手形割引をする場合にだれが資金を供給しておるかということの調査は非常にしにくい性質のものであるわけでございます。従来はそういった状態の者がおるだろうということは推測されておりましたけれども、必ずしも明らかでなかったわけであります。ただ、昨年、御承知のとおり株式会社森脇文庫の事件がありまして、やはりこれを通じまして、貸し金業者あるいは手形割引を業としておる者、こういった者の実態がだんだんとわかってまいりました。そういたしまして、そこで調査をいたしますと、いや、自分だけじゃない、ほかにもあるじゃないかというようなことからだんだんと実態がわかってきたというのが実情でございます。従来そういった点の調査が十分でなかったことは申しわけないと思っておりますが、その実態がなかなかわからなかったというのが実情でございます。
○平林小委員 確かに実態がつかみにくいという事情はわかるのでありますけれども、今度の場合も、日証とか東京大証の場合でも、この動きを捕捉しようと思いましても、国税局としてはなかなかわからないでしょう。特に店頭売りというような形をとっていれば、相手の名前はわかりませんということで、実態はまさにつかめないわけですね。そうすれば、これはどういうふうにしたらつかんでいけるかという問題が基本的にはあるわけですね。従来のように、いや、これは店頭売りだからわかりませんということで、そのまま逃げられるのか、いや、そういうことにしないで、記帳させて、そしてその行くえをわかるようにさせるものなのかどうなのか、そういう方向についてはどうしたらいいと思っていますか。
○泉政府委員 私どもは、御承知のとおり、税の賦課徴収のほうの仕事に従事いたしておりますので、こういった株式会社日証であるとか、株式会社東京大証の貸し金業者に対して、これをどういうふうにやって指導したりあるいは監督していくかということは、必ずしも私どものほうの所掌に属しておらないわけでありますが、貸し金業者としては、どういうお客から手形を割り引いたとか、あるいはどういう人に再割引を頼んだとかいうことは、業者として記帳しておくのが当然のことではないかというふうに存じます。ただ、その後いろいろ聞いてみますと、それぞれ日証なり大証のセールスマンとかあるいはブローカーというものはそれぞれ自分の得意の銀主を持っておるわけでありまして、その銀主を明らかにすることは、自分のそういう仕事に非常に影響がくるので、死んでも申し上げられません、こういうことを言っておるようでありまして、記帳義務を課しても、なかなかその記帳義務は履行できないのではないかという疑いがございます。 そこで、先ほど横山委員もお話があったわけでありますが、一説には、それならば源泉徴収したらどうかという意見もあるわけでありますが、しかし、かりに源泉徴収の税率を高めるといたしましても、源泉徴収の税率だけでものごとを済ますというのは、税の総合課税のたてまえから考えておもしろくないであろう、しかし、源泉徴収もしなければ、いよいよ何らの納税も行なわれないということであってもまた困る、その辺に、今後税制の面でもどういうふうにすべきか、主税局のほうで検討していただかなければならぬことがあると同様に、そういう貸し金業者の取り締まりをされるほうにおかれましても、そういった点におきまして、記帳義務を課して、それが励行されるようになるかどうか、その辺の見通しをはっきりさしていただいて指導をしていただく必要があるのではなかろうか、このように考えておるのであります。
○平林小委員 結局、手形割引という一つの行為が行なわれるのは、その会社の必要性も私はあると思うのですね。そして、いま銀行局長のお話のように、たくさんの手形割引の中には、五万円とか十万円とかという小額のものもありますし、必要に迫られて、一番便利なという形でこういう業態、業種が生まれ、またこういう社会の必要性も私は一面生まれてくるということは否定できないと思うのです。しかし、その金額が非常に大きくなってくると、いまの形のままですと、やはり相当の収入がありながら、申告をしない限りは捕捉できないということになるわけでありまして、私は、ある一定の金額について一つの規定を設けて、それについては何らかの措置をとるとかということも考えていかなければならぬのではないかという気がするわけであります。主税局のほうでは、一体どんなお考えで今後臨まれるのでありますか。
○塩崎政府委員 お答え申し上げます。 ただいま泉長官がおっしゃられたとおりだと思うのでございます。源泉徴収というのは、源泉で取るという前払い的なものでございます。やはり私どもの理想は総合課税の実を上げなければならぬ、そしてまた、累進税率を実現すべきだ、こう思うのでございます。しかし、その理想がなかなか行なえないのが現実であり、ほんとうの貸し金の資金の提供者あるいは再割引した人の名称がほんとうに税務署に届けられるかどうか、私は今後訂正していただきたいと思うのでございますが、なかなか実現もむずかしい面もあろうかと思います。そんな際に、源泉を導入することも一つの方法かと思いますが、先ほど申し上げましたように、技術的に非常にむずかしい面もある、さらにまた、一定以上の限度の支払い調書という御提案も、これも一つの方法だと思います。その際にどんな方々が公平にこれをやっていただけるか、なかなかむずかしい問題もございましょう。御提案のような各種の方法をひとつ慎重に検討して、私どもは、できるだけ脱税のないような税制、さらにまた、投資として考えられるものの間の税負担のアンバランスをなくして、変な形の投資が生じないようなことにひとつつとめてまいりたい、かように考えております。
○横山小委員 私の調査したところによりますと、今回調査を受けておる者、また対象になる可能性のある者、まさに零細な自分の金で株を買って、井戸ばたで心配しているような層はほとんどなくて、相当金を持っておる人にあると思うのであります。しかも、その業種は多岐にわたっておる。また、その中に政治家があると私は聞いておる。それは調査の対象にあるという意味ではないのですよ。この種の業界に政治家が大なり小なり関与しておる。しかもそれは衆議院議員である。その点についてあなたは御存じでございますか。
○泉政府委員 私どもの調査いたしておりまするのは数名の個人がございますが、ただ、いまお話の政治家の方を調査の対象にはいたしておりません。ただ、私どもが調査をいたしておる当該個人のお知り合いの方の中に政治家はおられるようでございます。
○横山小委員 その人であるなしは別として、別の角度から伺いたいのですが、すでに本問題について、あなたのほうへ某々政治家から、どういうことになっておるか、あるいはこれはこういうように考えるべきであるが、という制肘があったように聞いておるが、その点はどうですか。
○泉政府委員 私ども、別段制肘とは思っておりません。査察を行ないますと、いろいろ御陳情がございますのはいつもの例でございますので、そのようなものと承知いたしております。
○横山小委員 ああ、そうですか。なるほどね。しかしながら、私どもが本件を特に本委員会で取り上げましたゆえんの基本的な気持ちはこういうことなのであります。 一般論からまず申し上げますと、われら与野党ともに税制を担当して考えるべきことは、大局的に考えて課税の公平を期するということである。そしてまた第二番目には、労働の所得と不労所得との相違である。これが完全に不労所得だといえるかどうか、それは議論がありますが、大局的に見て不労所得である。この不労所得がまさにその課税公平の谷間になっておる。そして、一部の有産者に非常な利益を与えて課税漏れになっておるという点については、本件を知る人聞く人、すべてまさに歯ぎしりかむような思いで、そんなことがあったのかというような義憤を感じておるようなときであります。なるほど、国税庁のやり方にも非常に不十分な点あるいは手落ちの点あるいは人権じゃうりんの点等がままありますから、私どもも陳情ではない、けしからぬじゃないかという点はある。あるけれども、事、本体に関しましては、やはり大局的な点から考えますと、この種の、あなたの言うところの陳情なり、あるいは制肘でないかどうか知りませんけれども、照会か知りませんけれども、この種の問題で国税庁のあり方なり、大蔵省のあり方がぐらぐらするようなことがあるのではないかと町では言っておる。私、先般汽車に乗りまして偶然に駅で佐賀潜さんの「脱税者」という本を買いました。これはごらんになったかどうか知りませんが、いわゆる森脇事件を扱って、少なくとも専門家の私どもにとりましては実に克明に事実を追っておると思うのです。これは相当の数が町に出ておるそうでありますが、もう一度森脇を考えてみまして、結局いま森脇が一番けしからぬやつだということになっておりますけれども、一般町の中では、真犯人は別にあるという考え方と、それから森脇の脱税を国税庁はよう取らぬだろう、あれはあのままになっていくだろうという感じをみんな持っておるわけであります。したがいまして、戦後最大かどうか知りませんけれども、百八十何名を一挙に大量動員をして、そしておそらくそれだけの決意をなさる以上は、国税庁長官としてもまさに職を賭しておやりになっているのではないかとすら私は考えるわけであります。したがいまして、本件の処理のあり方が、いままでお伺いしたところではペンディングの点がずいぶんありますけれども、しかしながら、本件の処理が、法の示すところ、租税の公平を期するところ、断固として初心を邁進をしていただかなくては、これは大局的にならぬと私は思っております。もちろん、あなた方がやられることがすべて十分だといつも私は思いません。ずいぶん欠陥があるからすでに本委員会で取り上げておるところであります。そういう点はあるけれども、大局的には、本問題について、これだけの陣容で、これだけの決意を持ってかかったならば、断固としてやってもらわなければいかぬ、それだけのお考えがあるかどうか、伺っておきたいと思います。
○泉政府委員 いつもおしかりを受けてたいへん恐縮いたしておるのでありますが、御激励をいただきまして、たいへんありがたく存じております。別段、職を賭してというほど気負った気持ちでおるわけではございませんけれども、やはりこうした脱税が見のがされておるということは、私ども税務行政に携わる者といたしましてはなはだ遺憾のことに存じますので、私ども当初目的といたしておりまするように、こういう脱税を見のがさないように適切な措置をとりたい、かような考えを持っておるわけであります。
○横山小委員 それから、銀行局長並びに主税局長の御答弁を含んで政務次官にお伺いしたいのでありますが、本件は、かりに、いまの国税庁長官の答弁をもって全力をあげてやったにしても、あすあさっては一体どうなるだろうかと思いますと、私の調査した分でいけば、これはどこかやはり根本的に問題がある。まさにセールスが自分のお得意さんは絶対申し上げぬと言うておる。これはようあることだ。そうだとすれば、この横山利秋という名前を言わないで、セールスに、おい、これだけ手形をひとつ頼むと言うてやれば、これはまさにその意味でいえば絶対安全で、一割は確保できるのですから有利で、しかも日証、東京大証のような調査網の機構が充実しておるところでありますから、リスクは日証、東京大証が負ってくれる。絶対確実です。私は、処理のしかたによっては、これは一般脱税者に非常な脱税の有利なところを教える結果になる、こういうことを心配しておるわけであります。こんなことがあるのか、株はもうからぬ、それならおれもやろうという考えを与えるおそれ十分だと私は見ておる。しかりとするならば、先ほどからの銀行局長やあるいは主税局長のなまはんかな御答弁ではだめだと私は思う。これは国税庁長官の範疇の問題ではありません。もしも課税の公平が期せられるとするならば、別な角度で、先ほどから私がいろいろ申し上げておったような——私も非常にペンディングな点が多いから、結論じみた点はきょうは言っておりません。暗示を投げかけているつもりできょうは言っておるのでございますけれども、そういう角度の措置が並行して行なわれなければ、今回はこれで済む、けれども、あしたは、あさってはどうだしかも、平林委員並びに私が申し上げるように、この種の仕事はいまの近代社会においてはなくてはならぬ問題になっている、一定の社会的要素になっている、もっと仕事は発展する、そう思うのでありますから、新しい角度でとらえて処置をしなければならぬ。単にこれは脱税をどうするかという問題ではない。しかしながら、脱税をどうするかという問題に対しましても、別な角度で措置しなければだめだ。逆現象のほうを私はむしろ大きな心配をいたします。その点について、政務次官の御意見、並びにあらためて両局長の御意見を伺いたい。
○藤井(勝)政府委員 ただいまの横山委員の御意見、私も、今度の事件を通じまして、当面、脱税者に対するできるだけの方策を講じなければなりませんが、このような世の中で、ちょうどいい薬ができて、今度また病気が一そう深い病気になる、いままでの人間の知恵ではある程度これでやっていけたはずのものが間に合わない、現実が一歩進んできておる、まあ、人間の悪い面の知恵が進んでおるわけでございますから、貸金業法の金融上の問題、それから税制の、先ほどからいろいろお話がございました問題に対して、どういうふうにこういう事態を捕捉して税の公正を期するか、新しい事態に対処して、衆知を集めて最善の努力を払いたい、このように考えます。
○佐竹政府委員 先ほどから再三申し上げておりますように、貸し金業そのものに対する取り締まりの問題は、これは現行法のもとにおきまして、実態調査ということを法律は明示しておる、その実態調査のしかたが必ずしも今日十分でないということは、私も率直に認めております。そういう意味で、今後ともこの実態調査についてさらに改善を加えていくということは確かに必要なことだというふうに存じておる次第でございます。
○塩崎政府委員 私は、先ほど申し上げましたように、脱税のない税制を常に心がけるべきものだと思っておりますので、広い角度で御提案の趣旨を十分くみまして検討してまいりたい、かように考えております。
○吉田(重)小委員長代理 平林剛君。
○平林小委員 きょう私は通告をしておきましたけれども、一つの事件の処理につきまして国税庁に善処を求めたいと思うのであります。 それは、国税庁の管轄である関東信越国税局が道路を公売に付してしまったという問題であります。どうも困ったことでございまして、公共用財産を、事もあろうに国の機関である国税局が売り飛ばしてしまったという問題であります。このためにその道路の周辺に住んでおる人たちはたいへん困ってしまった。そして派生的にいろいろな訴訟問題が起きまして、いまだに安住の地を得ることができなくて困っておる。もとはといえば、国税局が道路を売り飛ばしてしまったというところに原因があるのでございますから、私は、この点について国税局の責任を少し追及するとともに、追及するだけでなくて、国民が困っておる問題につきましてあなたのほうも責任を感じてひとつ善処をしてもらいたい、こういう問題でございます。 具体的に申し上げますと、これは神奈川県の中郡二宮町における問題でございまして、そこの付近の住民が土地所有者からおおよそ二百坪ばかりの土地を分譲してもらいまして十数人が家を建てたわけであります。そして、分譲地でございますから道路をつくらなきゃいけないということで、道路分も含めてお金を払ったわけであります。そしていわゆる私道を設けたのでございます。そこまではいいわけでありますけれども、ところがその土地の所有者である人が国税局に滞納があった。そこで滞納の差し押えを国税局がやられました。よく調査すればいいのですけれども、調査をしたのかしないのかわからないけれども、この滞納したものの分としてそれを差し押えて公売をしてしまった、こういう事件なんです。私はこの問題について事前にお知らせしておきましたけれども、その実情については御調査できましたか。もしできておりましたら、その経緯についてひとつお話をいただきたいと思うのであります。
○泉政府委員 平林委員からお話がございまして調査いたしたのでございますが、お話のように、ある人が自分の持っておる土地を、当時は地目は山林になっておったようでございますが、それを分譲して、それを買った人はそこに住宅を建設し、またお互いの行き来のために私道を設けたということであります。ところが、当該分譲いたしました個人が滞納をいたしておりますので、国税局といたしまして当該土地を所轄しておる税務署長に滞納処分の引き継ぎをいたしました。この土地の分譲を受けた人は土地の登記をいたしておりませんので、税務署はそういう分譲の実態を知らずに登記簿上差し押え登記をいたしたのであります。そして、差し押え登記をして公売をいたしたのが昭和三十四年のようであります。ところが、その差し押えの具体的内容等につきましては、御承知のように、こうした書類は五年間の保存義務で焼却いたすことになっておりまして、ちょうど三十九年の年度末で五年たちますので、すでに焼却を行なっておりまして、その具体的な公売状況の内容が判明いたさないのであります。ただ、いま申し上げました関東信越国税局で滞納の事績を調べておる書類の中に確かに三十四年に公売したという記録だけが残っておりまして、その公売の内容ははっきりいたしません。
○平林小委員 書類を焼却したということになるとたいへん困るのでありますが、実は、この土地は昭和三十年の七月にその土地所有者から分譲を受けたのであります。そして二カ月半ばかりたちました昭和三十年九月十五日に、神奈川県知事から神奈川県指令建第百七十二号で道路の指定を受けたのであります。そして、その指定を受けると同時に、県営水道の引き込み設備だとか簡易水道なども地主の承諾を得て施設をしておいたわけであります。その地主の滞納処分による差し押えは昭和三十一年六月であります。そしてこの事実を百も承知で三十四年の一月に国税局が公売の通知をしたわけです。私はここが問題だと思うのです。こういうふうに県知事の道路指定が行なわれたものを——また調査にも来ておるわけです。調査に来られた人の名前もわかっておるわけでありますが、これは申し上げなくてもけっこうです。しかし三人、四人調査に来られており、名前もわかっています。それでその私道を登記したかどうかという質問もなさったそうです。しかし、この私道は十数軒でもってそれぞれ分け合ったものですから、だれが登記していいかわからないのですね。それでそのことを担当した人におまかせしておいて、自分たちはまあ私道はできておるし、何なら町のほうで全部あれしていただいてもいいというふうな意向でございまして、その点は当時調査に来られた人にはっきり事情をお話したはずなんであります。ところが三十四年に公売をされてしまった。私は第一にここに国税局の問題があると思うのです。こういう点は、書類が焼けてしまったというと困るのでありますけれども、大体のことはわかっているんじゃないですかね。名前だって私のほうはわかっていますから、その人を何ならあとで教えますから、事情を聞いてください。私は、そこに責任の一端がある——一端どころじゃない、まず第一番に責任があると思うのですけれども、この点はどうですか。ここまでは調べてみませんでしたか。
○泉政府委員 神奈川県知事の名前で道路の指定があったかどうかというようなことは、書類が焼却処分いたしました関係でわからないわけでございますが、ただこの公売は、私道だけを公売したのではございませんので、その滞納いたしておりました地主の所有しておった土地は、確かにお話のように分譲を受けたのだと思いますけれども、登記をいたしておりませんので、国の差し押え登記に対抗することができなかった、こういう事情があって公売処分がされ、その公売処分の際に宅地になっている部分と私道とを含めて公売処分が行なわれたのではないか、このように思うわけでございます。
○平林小委員 もう一つ問題があるのです。それは、後にこういう事情がわかったわけであります。そこで公売をしたところが、その住民の手に渡ればよかったのだけれども、全く縁のない人に土地が渡ってしまいまして、その人が今度は、自分はその私道にうちを建てるのだから、のいてくれという訴訟を起こしてしまった。共有の簡易水道設備や県営水道の引き込み設備は撤去してもらいたいという訴訟を起こした。ここにまた問題が起きた。ますます複雑です。初めのうらに直せばよかったのだけれども、その人がだいぶ訴訟が好きな人らしくて、訴訟を起こしてしまった。それで鉄筋コンクリートで建てるなんていうものですから、たいへんなことになってしまったわけであります。そこで、この地域住民の人はたいへんなことになってしまうというわけで、今度はそれに応訴して裁判所で争ったわけです。争ったときに、国税局が差し押えをしておるところの一件書類を出してさえいただければ、そこににせの契約書が入っていることがはっきりわかる、それを出してもらえば、こんなものは一ぺんに解決をして、地域住民の人たちはそれで安心できたわけでございますが、貸してくれなかった。裁判所のほうのお話を聞きますと、裁判所のほうでも、ここで国税局が協力さえしてくれれば、有利にもとどおりに復旧できたのに、どうしても貸してくれない。お話によると、それは事情もあるでしょう。そういう民事訴訟にはあまり書類を出さぬということもあるかもしれませんけれども、そこはあなた方のほうに手落ちがあるのですから、どうして協力できなかったか、こういう問題もあるわけです。このことについては、再三にわたって税務署長にも国税局にもお願い申してあるのに耳をかさなかったということは、私は二重の責任でないかと思う。この点はどうなんですか。
○泉政府委員 そういうことのあと裁判が起きまして、国税局あるいは税務署に対して契約書を見せてほしいというお話があったようでございます。ただ、先ほど平林委員のお話がございましたように、私どもといたしましては、民事裁判の場合においては両当事者がおるわけでありますので、一方の当事者にだけ味方するような結果になってはぐあいが悪いものでございますから、その訴訟当事者から国税局なりあるいは税務署の資料を出してもらいたいという御要望があったときにはお断わりいたしまして、裁判所のほうから実地検証なり何なりの形でおいでになって、その際に証拠となるべき資料を出せ、こういうことでございますれば、裁判所にお見せする、そういうことで裁判に御協力するという立場をとっておるのであります。民事裁判になりますと、どっちかの当事者が自己に有利になろうということでいろいろなさるわけでありますが、そういうことに巻き込まれてはどうも適当でないということでそのようにやっておるわけであります。本件の場合、その後裁判所がどのような措置をとられましたのか私存じないのでありますが、国税局にあるのは何か契約書の写しだそうでございます。本物は御本人が持っておられるとかいうことでございます。
○平林小委員 確かに国税局のほうにあるのは土地売買契約書の写しだそうでありまして、この点は、土地の人が行かれまして写さしてもらったということを聞いております。この土地売買契約書によりますと、昭和三十一年の六月七日にその土地を公売で落とした人と地主とが契約したという形になっている。こんなことはあり得ないことなんですよ。第一に、公売に付されたのが昭和三十四年ですから、その前に公売で落とした人と土地の所有者が契約するなんということはあり得ないことなんですね。そういうはっきりしたことがあるのですから、私は、民事裁判には国税局はどちら側にも公平でなければならぬという立場はわかりますけれども、悪い人を援護することはないと思うのです。しかも、事はあなたのほうの間違いから出発したのですから、もっとそこら辺は、大岡裁判じゃないけれども、融通のある態度をとったらこんな問題にならなかったはずだと思うのです。ところが、これを出してくれないものでありますから、また、その地主のほうも出さないものでありますから、とうとう最後には、井戸のあるところの三坪の訴訟まで起きて、法律上は不利になってしまって、それも撤去しろなんということの訴訟になりそうなんであります。こうなると、一番ばかを見るのは、その土地の分譲を受けた善良なる町民なんですね。特に、井戸のあるところの三坪の土地の問題については、昭和三十八年九月三日に神奈川県の行政監察局長からも関東信越国税局統括国税徴収官に対してお願いを申しているのです。前の間違いだけならまだしも、今度は井戸の問題についてまで問題が発生してきて、生活上の問題だからそういうことのないように配慮してもらいたい、こういう陳情を神奈川県の行政監察局長からも事情調査とともにお願いに行ったわけです。そうしたら、そのときの答えはこうなんです。公売ということになれば、前記道路の公売のような、住民に不利益を与えるような方法をとらないから安心してほしいとのこと——こんなことにさせないから安心してもらいたいという趣旨のことを答えている。それが今度は行政監察局長から住民のほうに、前のこと、前非を悔いて——前非を悔いてということばは書いてないけれども、前のことは悪かったから、今度はそんなことはさせないようにするからというお答えがあったものですから、ああよかった、住民の人は安心してくださいよと言った、これを裏切った結果になってしまっている。どうしてくれますか。これは実は国税局の責任だと思うのですよ。どうしてくれますか、ということなんです。率直に言って、私も、国税庁長官はこの際責任をとってもらいたいと思うのです。どうしてくれますか。
○泉政府委員 国税局の滞納処分によって税務署長が公売手続をとった。その公売物件の中に、私道あるいは住民が使っている井戸——何か井戸地の分は、これは差し押えを解除したというふうに聞いているのでございますが、まあ、それらに関連いたしまして今度は裁判が起きて、民事の裁判と、何か刑事の裁判も起きておるやに聞いておるのでございます。その裁判がどういうふうになっておりますか、私まだその実情を十分確かめておらないのでございますが、先ほど申し上げましたように、裁判所に協力する手段はございますので、私のほうといたしましては、そういうことのために裁判上解決すべき明らかなことが解決できないでおるということは好ましくないと考えておりますので、裁判所に十分御協力申し上げて、そういう事態が一日も早く解消するようになるのが望ましいと存じております。ただ、先ほど申し上げましたように、何分にも書類を焼却処分にいたしましてその実態を十分把握できませんが、ただ、私どもの調べたところといま平林委員のおっしゃったところは同じ内容に存じますので、そういう意味で裁判所に協力いたしたいと存じております。
○平林小委員 国税庁長官も、この国会の大蔵委員会におきまして、国民を代表する私の、どうしてくれますかという質問に対しまして、善処をし、裁判所に対しても協力をし、これが復元をするように協力をしてくれるというお話でございますから、私はこれ以上以前の責任は追及はいたしません。ぜひひとつ、罪滅ぼしと思いまして、この問題について善処できるように、あなたのほうの機能でできる限りの御協力をお願いいたしたいと思うのであります。そういうことで、この問題は打ち切っておきます。 そこで、もう一つの問題、今度は入場税の問題について、ちょっと私、この機会に主税局のほうに御意見を聞いておきたいと思います。 ことしの入場税の税収の目標、それから昭和四十一年度ですか、入場税の税収は大体どのくらいになるか、初めにお答えいただきたいと思います。
○塩崎政府委員 昭和四十一年度の入場税の収入見込み額は百六億六千七百万円でございます。四十年度の予算は百四億五百万円でございましたが、実際の歳入は、四月末におきまして百三億七千六百万円になっております。
○平林小委員 この入場税によるところの収入をもう少し分けて、映画とか演劇とか、どういうふうに区分しているかわかりませんけれども、その明細をちょっとお知らせください。
○塩崎政府委員 割合でまず申し上げますといいかと思います。 区分は、私どもは大体税法に従いまして、常識的に行なわれますところの催しもの等の基準をとったものでございます。映画が七七・八%、演劇が七%、演芸が五・八%、音楽が二・八%、スポーツが四・六%、見せものが一・一%、競馬が〇・五%・競輪が〇・三%、小型自動車競走が〇.一%、このような割合となっております。
○平林小委員 最近の映画産業の実情などから見まして、これからの入場税収入というものはそう多くを期待できないような時代がきているのではないだろうかと思います。もう一つの最近の特徴は、入場税による税収というものは、国家の得られるいろいろな税法による収入から見ますと非常にウエートが下がってきたということ、昭和四十年度において百三億円、ことしの四十一年度予算において百六億円ということになりますと、その割合というものはかなり少なくなってきたように思うのであります。特に映画の七七・八%は別にいたしましても、演劇の七%あるいは音楽の二・八%というものはさらにそう大きな税収ではなくなってきておる。この点に最近の入場税の特徴というものを私は見ることができると思うのであります。 そこで私は、政府あるいは一般においても、わが国を文化国家として育てあげる、そういうムードを形成していくということになりますと、そろそろこうした分野に対する入場税を再検討していい時期がきておるのではないだろうか、こう思うのでございますけれども、主税局長の感触はいかがですか。
○塩崎政府委員 お尋ねは感触でございますので、私も感触らしくお答え申し上げます。 確かに、入場税の大部分は映画からの税金からなっております。さらにまた、映画産業が最近斜陽的な産業であり、伸び悩みであることはもう御指摘のとおりでございます。そんな関係で、私はイギリスにおきまして入場税が数年前に撤廃されたということも存じております。しかしこれは、税は税としていろいろな意味があり、たとえば、第一に入場税というものは一つの間接消費税であり、一つの最低生活を越えた、もう少し趣味、娯楽——いいことばでいえば文化的な面の支出からの税でございます。そこで、そういった入場税、たとえば、いつも平林委員御指摘の所得税の課税最低限がどうなっておるか、それからきます所得税収入とのどちらに税収を期待するほうがいいか、これはやはり考えてみなければならぬ点だと思うのでございます。まだ所得税の減税の期待も大きいし、平林委員御指摘のように、八十万円までをいつ実現するか非常に関心を持たれる点でございます。入場税の収入百億円といえども、この百億円の税金をあげますには御存じのとおりなかなかむずかしい、新税の創設もなかなかできない状態でございますし、どんな税でも増税のできるような情勢にないと私は思います。さらにまた、徴税の実際におきましても、たとえば百万円の税でも貴重なものでございます。そんなようなことを考えますと、税全体の中でどういった税目を今後減税の対象にするか、少し考えていかなければならぬ点じゃないかと思うのが第一点でございます。 第二は、私は長らく入場税を戦前、戦争中から経験したのでございますが、当初、昭和十五年前は地方税であり、戦争中は国税ですし、また二十三年から地方税に移しまして、例の遊興飲食税と並びまして議論をいたしましたが、結局入場税を、財源偏在是正という意味で、警察の事務の府県市町村間の配分の費用の一部といたしましてその財源に充てるために国税に移したのでございます。そのときに、入場税の中にありました第三種の施設に対しまする入場税は、現在御存じのように地方税の中で娯楽施設利用税という形で、やはり一つの映画の観覧あるいは演劇の観覧につながる趣味、娯楽的な支出に対する課税として地方税が残されておるのでございます。こんなような関係を見ますと、やはりこれらとのバランスもとらなければならない、さらにまた、地方税からきました入場税でございます。地方財政も苦しいし、電気ガス税について課税しなければならぬような地方税制でございます。さらにまた遊興飲食税との関係、地方のいろいろな施策との間に密接な受益の関係もあるような税でございます。こういった地方税源としての娯楽税との関係あるいは地方税制における他の税との関係、これらもひとつあわせてみて初めてこの入場税をどうすべきかといった点を考えるべきではないか、かように思っております。 まことに感触らしい個人的な見解でございますが、私はいまのところそういうふうに考えております。
○平林小委員 主税局長の感触は、きょうは非常にかたい。ちょっとざらざらしたところがある。特に入場税というものが、最低生活を越えた分野の、いわば担税能力はあるという言い方はちょっと気に入らないですね。実際問題としては、最低生計費の中の収入をさいても、やはりこの程度の娯楽を求める国民層のほうがむしろウェートとしては多いんじゃないですか。それは、中には特等席にすわってものを見る人もあるかもしれませんけれども、一般の晩画の入場者、あるいは少なくとも演劇、スポーツなんというものには、私はいまの主税局長の感触というのは少し荒々しいものがあるのじゃないかという感触ですね、私の感触は。どうですか、政務次官、あなたの政治的感触のほうは。私は、やはりこういう時期に参りましたら、競馬とか競輪——この間の競馬では相当の入場者がありまして、まあこの競馬の性格もずいぶん変わってきたと思います。中には一獲千金を夢見た人もあるでしょうが、家族連れで楽しみに行くというような人もありまして、競馬や競輪——競輪の中身にいくとあまり感心しないものもありますが、しかし、スポーツとかあるいは音楽とか演劇とか、それから大衆的な料金である映画とかいうものに対しては、こういう時期に来たら入場税の再検討をする必要があるでないかというのが、私政治家としての感触でなければならぬと思うのでございます。政務次官もひとつそういう意味でいかがでしょうか、政治的な感触についてあなたの御見解を漏らしていただけませんか。
○藤井(勝)政府委員 先ほど主税局長から地方税との関係、並びにまた所得税その他の国税の全体の税体系のもとにおける入場税のあり方、こういう点から一応の答弁があったわけでございます。ただ、政治的にどのように政務次官は考えるかという再度の質問でございますので、私も自分の感触を率直に披瀝させていただきますならば、やはり健全な娯楽的な面の入場税、これはひとつできるだけ廃止の方向で検討すべきではないか、このように思います。ただ、先ほど主税局長からお答えをいたしましたような全体の税体系においてこの問題を、それじゃ来年どうやるかということになった場合には、簡単にすぐ撤廃するというわけにもいきかねるというふうな心配も頭に浮かぶわけでございまして、これはやはり現実の徴税技術上から見ても、たとえば映画館あたりなかなか手間がかかっておるようです。また、ごまかしやいろいろな問題も私は耳にしております。そういう点からいうと、明朗な税制のあり方からいっても検討すべき問題だというふうな感触です。
○平林小委員 やはり政務次官の感触のほうが私のほうにぴったりくるような感じがいたします。やはり私はそういう方向だと思うのです。 それで、主税局長どうですか、これは私、次回の税制小委員会には税制調査会の方においで願って注文しようと思っておったのであります。ほかの問題もございますから、一度そういう形の税制小委員会を開いてもらうように委員長にもお願いをしておるわけでございますけれども、この間税制調査会に、国会で問題になったという点をいろいろあげられておりましたけれども、この問題を私は落としておったものですから、ぜひひとつ追加して、こういう問題も検討してもらいたいということを、国会でも議論があったからひとつどうかということを、あなたさっきのような変な感触でなく、どうかひとつそういうムードを起こしてもらいたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○塩崎政府委員 税制調査会で現在大きな問題を検討中でございます。御指摘のように、先般、まず国会におきまして御指摘のあった点、御要望のあった点、早期に実現すべき点、こんなような問題をすべて網羅したつもりでおるのでありますが、私は、消費税と申しますか、所得税あるいは直接税と間接消費税との関係、いかなる税制をとるべきかというふうな角度から当然議論していただくつもりでございます。入場税につきましても非常に要望が多い点でございますので、フランクに、これはひとつこういった御要望もあるということで御検討していただくことにはやぶさかでございません。間接消費税を廃止しようという方もあれば、そうではないという方もおられますのでどうなるかわかりませんが、公平な御議論をいただく意味で、入場税、物品税、さらにまた砂糖消費税も御議論いただくつもりでおります。
○平林小委員 政務次官から先ほどお答えをいただきました入場税は、諸般の情勢もあるけれども、撤廃の方向にいくべきであるという御答弁は、価千金でございまして、ぜひその方向で税制調査会でも御検討いただきたいと思っておりますので、政府におきましてもひとつ心組みをそういう方向に向けるようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○吉田(重)小委員長代理 藤田高敏君。
○藤田(高)小委員 時間もかなり経過しておるようでありますので、できるだけ簡単に質問をしたいと思います。 まず第一に、国税庁長官にいま私の知り得ております具体的な問題、というよりも、率直にいって、半ば事件になっておる問題に関連をして、税務行政のあり方について質問をしたいと思うわけであります。この問題は、いわば係争中の問題でございますので、具体的にはこの事件のあらかたの見通しがついた上に詳しく質問するなり、あるいはその取り扱いについては考えてみたいと思うわけでありますが、今日の段階では、したがってごく抽象的な事柄についてお尋ねをしたい。 税務行政の中核をなすものは賦課徴収、調査、査察、大綱的に分けてかりに三つあるといたします。この問題については抽象的な言い方でありますが、おそらく主税局長にしても長官にしても御承知であろうかと思うのですが、こういうケースの問題であります。いわゆるある中小企業の業者でありますが、この事業主というのは学問的な知識というものは全然ない。もっと端的に言うと、西も東も字が読めぬ、そういう事業主であります。しかしながら、納税に関しては、これは当然のこととして、公認会計士をつけてどの程度の税を納めるべきかという、そういう手だてはやっておるわけであります。結果的には、納税申告をやって、税務署からもやってきて、今年度の事業税はこの程度ということで、いわば納得づくで税金を納めておる。これは私の一方的な調査でありますから、必ずしもそこまで絶対だということは言えませんが、この問題について聞いた範囲では、歴代の税務署長は、その地域においてはいわば多額納税者といいますか、税をたくさん納めてもらってありがたい、こういう、半ばおせじにもせよ、おほめのことばにあずかるくらいな状態で税金を納めてきた、こういう言い方をしておるわけであります。ところが、たまたま査察部門としては独自の権限を持っておりますから、査察の対象になった。ふたをあけてみると、どこまでを大口と言っていいか知りませんけれども、脱税行為をやっておるということで告発をされて、いま裁判になっておるという問題であります。断わっておきますが、査察の対象になろうと、どういうケースになろうと、脱税行為そのものに対して、私は何もこれをしんしゃくないしはかばう気持ちはありません。これは私ども社会党の基本的な立場でありますし、また、私自身の考え方としてもそのとおりであります。ただ問題は、査察の対象になってみると告発の条件を持っておった。ところが、一般的な徴税の過程では、税務署長から先ほども言ったようにおほめのことばにあずかるような協力をしてきたというように本人は思い詰めておるわけであります。その場合に、片や、事業主は結果的にどうなりますか。いまの経過から言えば、これもごく常識的な見通しですけれども、おそらく脱税の事実というものが明らかになった以上は、これは何らかの形の刑事罰に問われるのではないだろうか。これから先は仮定の論議でありますが、もしこの事業主がそういう経過の上に立って刑事罰を食らったとしますね。ところが片一方、賦課徴収の段階では、先ほど言ったような過程を踏んでおる。そういうことになりますと、納税者は、程度にもよりますが、若干の手違いによって脱税をやって、そのために刑事罰に問われる。おほめのことばさえ出したという税務署長や責任ある税務課長、そういう者は何ら行政上の責任も問われないのかどうか。私はこの点についてはたいへん不合理なものを感じるわけでありますが、その点についての見解をひとつ聞かしてもらいたいと思うわけです。
○泉政府委員 藤田委員のお話は、具体的な事件に関連しての点でございまして、なかなか抽象的にはお答えにくい点であるわけでございますが、制度といたしまして申告納税制度がとられております。そして、その申告納税したのが詐欺その他偽りの行為に基づいておる場合におきましては査察を受けるということになるわけでありまして、そして査察を受けた結果告発の要件を備えておれば告発されるということになるわけでございます。ただ、いまお話のように、従来、納税者は税務署の申告慫慂と申しますか、納税相談と申しますか、そういうことで納めておって、税務署長から多額納税をして感謝までされておったということでありますが、申告慫慂なりあるいは納税相談ということは、御本人の帳簿などを基礎にいたしますと収入支出がこれくらいになるから、そういうところで御申告なさいということでありまして、その額で申告すれば更正はしませんよという約束をするわけではございませんし、また、御本人がその帳簿を——ことばが悪いので恐縮でございますけれども、もしごまかした帳簿をつくっておいて、それを税務署のほうに持ってこられて、私の収入支出はこれで、したがって所得はこれしかありませんということで、それを基礎に税務署員は、この収入支出なら所得は幾らですなということで、申告をなさっておった、ところが、ほんとうに調べてみると、その帳簿は偽りの帳簿であって、ほかに真実の所得が非常にたくさん隠されておった、こういうことがありますとやはり査察を受けるということにならざるを得ないことかと思います。しかし、いずれにいたしましても、申告納税の本来の趣旨は、納税者がみずから自分の所得を計算して、そして申告して納めるというところにあるわけでありまして、税務署がそれに対して納税相談に応じたりあるいは申告慫慂をするということは、申告納税本来の趣旨からいけば必ずしも好ましいことではないわけであります。そういう意味で、従来お知らせ制度をとっておりましたのを、たしか昭和三十二年だったと思いますが、廃止いたしまして、納税相談、しかもその納税相談もできるだけ具体的な金額を税務署から言うことをしないように、納税者のそれぞれの業況をお聞きして、収入支出の状況をお聞きする程度にとどめて、みずから税務署のほうで、それではあなたの所得は幾らですねというようなことを言わないような方向にまいっておるわけであります。しかし、それにいたしましても、なお現在納税相談を行なわざるを得ないような状況にあるわけであります。それに基づいて申告され、そして査察を受けるというようなことが起きるのは、税務行政のあり方としては必ずしも好ましいことではないと思います。 それでは、具体的にそういうことをした当該職員なりあるいは税務署長はどうなるかというお尋ねでございますけれども、そういうことは好ましくはないと思いますけれども、行政責任を問題にするということのできないような問題ではないかというふうに考えるわけでございます。やはり御当人の詐欺その他不正の行為をなさったところに、御当人が告発を受け、刑事処分を受けるという責任があるわけでございます。もちろん、税務署がもっと早く注意して、本人がそういう脱税をしておるなら、査察にいかない前に御当人の反省を求めて、そこまで至らしめない配慮が必要ではなかったかと言われますと、それはそういう配慮をすることが望ましかったとは思いますけれども、そういう配慮をしなかったからすぐに当該職員の行政責任を追及するというわけにはまいりかねることかと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういう納税者と税務署との関係からいたしまして、査察を受けるような事例に発展する場合に、知らぬこととは言いながら、申告納税の相談を続けてきておったということ、これは今後反省しなければならぬ点である、かように存ずるのであります。
○藤田(高)小委員 基本的な考え方については、国税庁としての考え方は一応理解できますので、これはこの程度にとどめたいと思います。 ただ、事務的なことですが、一つお尋ねしておきたいのは、この種の問題で査察の対象になりますね。そうしますと、専門的にはわからないのですけれども、追徴金というのですか、いわゆる追加して課税する分がありますね。これは自動的にかかるようになっておるんですか、どうですか。
○泉政府委員 自動的というのは語弊がございまして、やはり税務署長の権限で、いま申告が行なわれておるわけでございますから、それに対して更正処分を行なう、それから、刑事罰のほうはまた別でございます。これは裁判の結果、刑事罰を科するか、あるいは刑事罰を科さないか、そこら辺は裁判できまるということになるわけで、課税の関係としては、税務署長が更正処分をすることになるわけであります。
○藤田(高)小委員 わかりました。これは係争中でございますので、冒頭断わりましたように、その必要性があれば、この事件の推移を見てあらためて質問をすることにいたしたいと思います。したがって、私の長官に対する質問はこれでありませんから、どうかお引き取りいただいてけっこうです。 続きまして主税局長にお尋ねしたいわけでありますが、主として退職金の問題であります。私が立つと、ここのところ退職金ばかりやるので、またかというふうに思われるかもわからないのですが、四十一年度の所得税法の一部改正をめぐりまして、私どもの立場から、せめて退職金に対する税金くらいは無税にするか、もしくは現行制度を維持していくとしても、一定の課税、一種の、所得税でいう課税最低限と申しましょうか、そういうものを大幅に引き上げて、そうして、いわゆる所得税の大幅軽減をすべきではないか、こういう主張をしてまいりましたところ、与党の御協力を得て、たしか三月の二十四日であったかと思いますが、本会議における委員長報告にもあるように附帯決議がついて——四十二年度の税制改正では、所得税課税の最低限の引き上げ、税率の緩和、さらには退職金それ自体の大幅減税、こういうものについて十分なる検討を政府としてもやれ、こういう附帯決議がついたことは御承知のとおりであります。その附帯決議を尊重するという形で、おそらく私はすでに主税局としては検討を始めていただいておると思うわけでありますが、その具体的なあらわれが、おそらくこの間の五月二十五日の毎日新聞、二十六日の朝日新聞——毎日のごときは一面のトップに出たわけでありますけれども、退職金問題については、減税の方向で大蔵大臣も事務当局に指示をしたらしい、また事務当局もそれを受けて検討しておるらしいということで、それぞれ報道界の見解を交えた記事が出ておるわけであります。これは私は、お尋ねをせぬ先に独善的な判断をしたのではいけないかもわかりませんけれども、私が善意に解釈する限りは、そういう国会の一連の審議を尊重するというたてまえに立っておそらく事務当局も検討を始めておるのだろう、このことは、大いにその態度として歓迎するものであります。そこで私は、この新聞報道に関連をするわけでありますが、ああいう方向でもうすでに検討を始めているのかどうか、この点、ひとつお尋ねをすると同時に、税制調査会に対して、大蔵事務当局の試案といいますか、改正に対する試案というようなものは大体いつごろをめどにして検討を進めつつあるのか、この点をまずお尋ねをしたいと思うわけであります。
○塩崎政府委員 先ほど平林委員にもお答え申し上げましたように、本国会におきまして、四十一年度の税制改正案をめぐりまして種々御指摘のあった点、さらにまた、今後の改正要望点、これらにつきましてはすべて税制調査会に御報告申し上げまして、何といっても国民を代表される国会の声でございますから、詳細に御説明、御披露申し上げたところでございます。 どういった検討の方向に入っておるかというお話でございます。税制調査会におきましては、御存じのように、現在、総会、一般税制、企業税制、地方税制、税制簡素化特別部会、こういった五回ばかりの会合を持ったわけでございます。しかし、まだまだ非常に大きな問題を御審議願っておる途中でございまして、退職金の問題は、最初申し上げましたように、こういった国会の御要望があった点は、附帯決議としての中にあったことを申し上げただけで、具体的な審議には入っていないところでございます。 したがいまして、私どもがどういった試案をいつの段階で提起するかという次の御質問でございます。まだまだ予定もしておりませんが、何と申しましても私ども事務当局でございますし、常日ごろ種々の検討はいろんな形で持っておく必要があろう、こういった意味で各種の研究はいたしております。ことに、御要望は、藤田委員の御指摘のような定年退職者について——将来のある方が若くして退職して別のところへ行くというような退職手当ではなくて、長年つとめて、将来の生活のほんとうの唯一の資になるような退職手当については、いま課税はもう少し緩和できないかというようなお考えでございましたので、そのあたりを中心にどうすればいいか考えていきたい、かように考えております。何ぶん所得税は、退職所得だけの課税の問題よりもより大きな問題といたしまして、百八十六円八十七銭で皆さま方の御指摘を受けましたような課税最低限の問題、これをどうするかという問題、あるいは納税人員の問題にいたしましても考えなければならぬ、税率もまだまだ問題の多いところでございます。そういった問題がまず最初にもう少し取り上げられ、それからだんだんと退職手当、あるいは平林委員御指摘の妻の内職所得の課税最低限の問題、こんなような問題がだんだんと議題に上がってくる、かように思っております。大臣も、国会の御審議を尊重いたしまして、新聞記者会見等で一つの目標としましてこの退職金の問題を掲げられたようでございます。私どもも、非常に大事な問題でございますし、その後の新聞の投書等から見ますと、これが相当な反響があったこともわかりますので、ひとつ慎重に検討してまいりたい、かように考えます。
○藤田(高)小委員 主税局長の検討される態度として、決して退職金を軽く見ておらないけれども、課税最低限の問題であるとか、税率の緩和の問題であるとか、退職金の減税問題であるとか、これは総合的にやっていかなければいかぬでしょうし、また、あえて軽重をつければ、人によって見方の違いはありましょうけれども、軽重もつこうかと思うわけです。大体いまの答弁で、そういう真剣な、慎重な、俗にいう前向きの姿勢で検討を始めておるという程度の実情はわかったわけでありますが、ただこの機会にひとつお尋ねしておきたいのは、新聞の記事ではございませんけれども、減税をしていく方法にも幾つかある。たとえば、現行のように勤続一年ごとに何万円という控除をする方法もあれば、またそれはそれとして、最終的に課税最低限として出てくるものを引いた残りを二分の一にするか三分の一にするかというような減額の方法もあるだろうし、あるいは、現在税率は所得税の税率と同じものを採用しておるわけですが、この税率を退職金独自の税率を設定するという方法もあるだろうし、さらには三十九年まで用いておったような、年齢別に一年ごとの控除額を分けて設定をしていく、こういう方法もあろうかと思います。そこで私は、どのシステムをとるかということは、これも人の好みにもよるだろうと思うわけです。しかし、少なくとも三十九年度までとっておったシステムを今日のように改革したことは、そこにはおのずから現行制度のほうがよりベターだという積極的な理由があったから現行の制度に改正したのだと思うのですが、その場合の積極的理由というものはどういうものであったのか、これをちょっとお尋ねしたい。 それから、時間の関係で、質問点を先に集約をしたいと思うわけですが、退職金は、民間の場合ですと、たとえば会社に退職金を要求するというときに、大体勤続二十五年か三十年で、中卒者であればこれだけ、高卒者、大学卒業者であればこれだけというふうに、一つの中心基準というものをきめて要求をするわけです。そういう考え方の上に立つとすれば、同じ税をかけるほうから言っても、少なくとも五百万円以上の退職金をもらう人に対しては税金をかけてもいいだろう、三十年で五百万円以下だったらそれは無税にすべきじゃなかろうかという一つのそういう基準になるべきものがあると思うのです。これは時間がありませんので詳しく申し上げることは省略しますが、たとえば退職金四百万円の例をとりますと、勤続三十年で、地方税と国税を合わせて、私のこの計算に間違いがなければ、三十万七千七百五十円となって、これは退職金額に対して約七・七%、二十五年勤続で同じ四百万円もらったとすれば、税額が三十五万四千二百五十円、その率は八・八%、二十年勤続で四百万円というのは、民間の場合はちょっと多いような気もいたしますが、一つの計算上例にとれば、この場合は両方合わせて税金が四十万七百五十円ということで、約一割の税金がかかっておるわけです。こういうケースを、たとえば退職金三百五十万円の場合、三百万円の場合というふうにいろいろはじいてみますと、おのずからそこに退職金に対する割合が出てくるわけですが、この制度改正をやる、現在そういう軽減をやるという方向で検討する場合にも、どこを一番基準にして作業に入られるのか、また、現在の制度はどういうところを基準にしておきめになっておるのか、それをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
○塩崎政府委員 藤田委員、非常に退職金課税につきまして御検討されておるようでございまして、私以上に専門家であるかもわかりません。 まず第一に、昭和三十九年に年齢による要素を廃止したのはなぜかという御質問でございます。確かに、先ほど御提案になりましたように、退職金に対します課税を今後緩和するにいたしましても種々の方法がある、単純に現在の勤続年限一年当たり五万円を上げる方法もあれば、さらにまた特別の税率をつくる方法等があるというような御指摘がございました。三十九年に廃止しました年齢要素も一つの方法であったわけでございます。実は、三十九年の年齢要素は私が考えたものでございます。税制一課長の際に考えたのでございますが、その趣旨は、年をとればとるほど支払い能力が弱くなるという考え方で私はそういった年齢要素を入れてみたのでございますが、大方の御意見では、あまりにも複雑である、やはり退職金課税は源泉徴収の制度に乗せておりますので、あまり複雑な方法はいけないというような御要望があったので、このような年齢基準をやめて単純勤続年限当たりにする、こういうふうにしたのが実情だと聞いております。三十九年は私はちょうどおりませんでしたが、当時の模様を聞いてまいりますと、簡素化である、そのほか、三年間の前後の重役等の退職金の通算とか、種々のむずかしい規定がございまして、退職金課税につきましては、源泉徴収者からも、また税務署からも不平が相当あったようでございますので、そこで思い切って簡素化したのが実情でございます。かように思います。 第二の御質問は、先ほど同じ百万円の退職金でも、勤続年限によって税額が非常に変化するではないか、おそらくこれには何らかの客観的な基準があってきめられたものであろう、その基準をひとつ示せというお話でございます。私どもは、退職金につきまして種々の研究をし、合理的な制度を打ち立てるべくいろいろな考え方を持っております。まず、退職金は何かという問題からスタートするわけでございますが、御指摘のように、第一には、将来の生活の保障、第二には、過去の給与のあと払い的な要素もあるではないか、こういった二つの面が普通いわれている退職金の要素でございます。そこで、私どもが計算をいたします際には、この二つの要素に着目いたしまして、たとえば、将来の生活の保障だといたしますれば、それが年金の形で受給されるならばどんな課税になるであろうかということを、一つ余命年数を基礎にいたしまして算定するわけでございます。四百万円の退職金が支払われずに年金の形で支払われたならば、これが当時七十五歳くらいが余命年数だと思いましたけれども、五十五歳から二十年複利で企業が運営いたしまして、年金の形で支給されるならばどんな課税になるか、年金自体現在議論がございますけれども、普通の所得として課税されているような状況でございます。さらにまた、年金は、私どもが過去におきまして研究しました経緯から見まして、やはり退職一時金という形は近代国家には少ない、年金の形に持っていくべきであるというのが大かたの世相のようでございます。しかし、そうは申しましても、貧弱な日本のことでございますから、年金だけではなく、一時の資金を得て事業を始めていこうというような慣習もあり、そこには浪費をするというような心配も多分にございますが、現在退職金を支給されているというのが実情だと思うのでございます。そこで、年金とのバランスも考えていかなければならないというようなことで、簡単に退職金の金額だけで税負担をきめるということも適当でないということで、そんなような研究を一つの足がかりとしております。 第二には、過去の給与のあと払いでございますので、もしもその給与が先に払われたならばどんな課税を受け、その残りが蓄積されてどんな利子を生むかというような計算をすることも可能でございます。 いま申し上げました二つの要素は、完全に数字的に立証してこういった負担になったというものではありませんが、一つの目安といたしましてそんなような基準を置きながら現在の退職金の税負担を研究しておるわけでございます。今後もそういった角度も入れ、年金制度との関係を考えながらいきたい。何と申しましても、税の影響は相当あるわけでございます。年金が得ならば年金のほうにいく、退職金が得ならば退職金のほうにいく、しかし、それが経済に変なゆがみを起こしてもつまりませんし、いわゆる世の中が期待されておりますところの年金の方向というようなことと矛盾してもつまらないと思いますので、広い角度からそういった要素を入れながら、しかしながら、何と申しましても退職金が現にあり、定年退職の際には御指摘のようにここまで課税するのはどうか、三十年もつとめてここまでの退職金、それが将来の唯一の所得というようなものに対して、というような社会的な感情もまた数字に乗せられない事実でございます。そのあたりも全部考慮に入れまして検討してみたい、かように考えております。
○藤田(高)小委員 時間さえあれば、私もこういった半ば専門的な委員会ともいうべきところで、いま一つの課題を投げかけられたこの退職金と年金との関係についてどうあるべきかというような一つの論議をすることが、この委員会の性格には見合っておると思うのですよ。しかし、常識的に言って——きょうはかなり時間も経過して、ごらんのとおり、私はだれもいなくても、委員長と政府のほうさえおっていただけばこの種の問題はけっこうだと思うのですけれども、まあおのずから常識的な条件もありましょうから、その問題はきょうは触れません。 ただ、先ほど私が質問した点について、若干私の質問のしかたも悪かったかもわかりませんが、局長の御答弁はぴったりこない面があるのです。というのは、一般的にはなるほど説明されたことで一つの考え方はわかりますけれども、現在、たとえば三十年勤続で三百五十万円なり四百万円もらったという場合に先ほど例を引いたような税金がかかっておるわけですね。少なくとも今日の物価情勢の中で——退職金の性格には幾つかの理由づけがありましょうけれども、主とした条件は、やはり老後の生活保障、半ば社会保障的な性格もある、一部賃金のあと払い的な性格もあるだろう、これは一つの賃金の歴史的な性格からいってそういうものも含まれておる。まあ二つか三つか知りませんが、そういう要素があるとします。そういう性格の退職金に対しては、何百万円までは少なくとも税金をかけるべきじゃないという、そういう一つのめどというものが出てくるんじゃないかと思うのですよ。現在はそういうめどをどこに置いておるかは、現行の制度では私には十分理解できない。ですから、極端に言えば、百万円もらっても税金はかかるわけですね、年数等のからみ合いにおいて。ですから、少なくとも三十年なら三十年勤続したら、一ぺん退職金をもらってやめて——まあ、局長なんかその該当者になるかわからぬが、愛媛県の知事候補にもあがっておるようですけれども、たとえば局長をおやめになるときに退職金をもらわれる、また知事になって退職金をもらわれる、こういうのは、まあ、失礼だけれども例外だと思うのですよ。やはりわれわれ一般勤労者がサラリーマンとして三十年なら三十年勤続する、そのときにもらう退職金、この程度のものは、やはり先ほど局長も御指摘になったような性格から見てその税金はかけるべきでないという基準について、いま検討に入っていただいておる事務当局としてはまず今度はそういうものをかちっと一つの目標として設定をされて、それから私が先ほどいろいろ言う減税をするにしてもいろいろな方法があるだろう、そういう末梢的といいますか、部分的な問題に入るべきじゃないかと思うのですが、その考え方についてはどうでしょうか。
○塩崎政府委員 確かに、私も退職金につきまして種々の考え方があることはいま申したとおりでございますが、最終はもう社会感情あるいは常識によってきめられるべきだと思います。しかも、その際にはやはり将来の年金等の方向を阻害しないというようなことも必要でございます。現在は三十年つとめれば百五十万円、それがいいか悪いか、そのあたりからスタートして、たとえばそれを二百万円にするのがいいか三百万円にするのがいいかというような一つの社会常識としての線も当然また考えられるわけでございます。さらにまた、先ほど申し上げておりますし、また藤田委員も御指摘のように、退職金を何べんももらえる方のための御議論ではなくて、ほんとうの定年退職で、それが唯一の将来の生活の資になる方の議論だと思いますので、多分にそういった常識的な数字にあらわれない要素も加味いたしまして考えられるべきだ、かように考えております。
○藤田(高)小委員 この点については、三月十八日の大蔵委員会で、私も、私の意見のみならず大綱的には社会党の一つの考え方というものをやや具体的に申し上げたと思うのです。そういう三月十八日の見解というものをひとつ十分参酌願いたい、これはあらためて申しておきますが、いまの情勢からいけば非常に大まかな言い方ですが、五百万円くらいまでは税金をかけるべきではない、そこらへひとつ思い切って目標を置いてもらいたいということを特にきょうは要求をしておきたいと思います。これは私だけの声ではなくて、ついでですから申し上げておきますと、この間五月二十八日の朝日新聞の「今日の問題」というところに「退職金の税金」ということで出ておりますが、先ほども御披露しましたように、五月二十五日の毎日、五月二十六日の朝日と続いて五月二十八日のこういった記事、そしてまたあるいは「天声人語」か何かにも載り、この退職金の問題は非常に話題を呼んでおると思うのです。そういう点で、これはまさに社会党の声ではなくて日本の勤労者の共通した一つの要求だと思うので、そういう点では、どうか三月十八日の大蔵委員会における私どもの意見というものは最大限に尊重しよう、こういう姿勢で御検討いただくことを強く要求しておきたいと思います。 最後にお尋ねしたいのは、主として国税を中心に質問をしてきたわけですけれども、退職金の場合非常に地方税がかかるのです。せっかくもらった、ところが退職金にかかる地方税は翌年度かかってくるでしょう。ですから、実際ある意味においてはこれはわれわれの体験の中から出ておるわけですけれども、なるほど三百万円なら三百万円、三百五十万円なら三百五十万円とかたまってもらう、ところが源泉で国税を引かれる、そして自分の子供を大学へやったりしておる借金があります。会社だったら、このごろは退職金の前借り制度というものがありますから、大なり小なり借りておるわけですよ。そういうものが引かれるということで、あれやこれやに引かれて、四百万円もらったうちの二百万円か百五十万円くらい残ったと思っても、翌年になって次に地方税がかかってくる。もはやほとんど手持ちがないというところへばんと忘れたころに市町村民税なり県民税で取られる。これは国税と地方税を分離することはむずかしいかもわかりませんけれども、いませっかく退職金に対する大幅減税をやってやろうという検討をしておる段階ですから、私は、できるものであれば、せめて地方税くらいは退職金には税金をかけぬ、そういう税制の改正ができないのかどうか、これもきょうの段階ではばしっとした御見解を求めることは無理でありますが、この点についても私は強く要望しておきたいと思います。あえてきょうは数字は申し上げませんけれども、退職金そのものの税額というのは、三十九年が百三十二億円、四十年が百二十四億円、四十一年が、これは予定でしょうが百五十四億円ですか、こういう程度で、給与所得の三十九年度の四千四百九十五億円、四十年度が五千五百四十一億円、四十一年度が五千七百九十一億円、こういうものに比較すると非常にそのファクターというものは小さいわけです。ですから、これは新聞の記事ではございませんけれども、退職金というものは、かりに全廃をしてもさして国の財源にそうがたがくるほど大きな影響はないという説をなしておる人さえおるわけですから、この点はひとつ、少なくとも地方税については退職金の税金はかけぬということもあわせ御検討を願いたいと思うわけですが、その点、今日段階における局長の見解を聞かしてもらいたいと思います。
○塩崎政府委員 退職金に対する住民税問題の御質問でございますが、地方税は共管ではございますが、主管は自治省でございますから、私が責任ある答弁はできないわけでございますが、まず第一に、藤田委員御指摘の、地方住民税は退職金について一年おくれで課税になる、こういう問題であります。そのような御指摘があったことが原因だと思いますが、四十一年度の改正で、国税と同じく退職金につきましても地方住民税は源泉徴収が行なえる、こういうことになりまして、消費に回ったことからくるところの納税資金の枯渇という問題は少なくなろう、こんなふうに見ております。 第二は、御指摘のように、それは税金を取ることであって何にもならない、自分の主張は、住民税は退職金については取らないことであるという御指摘でございます。一つのお考え方であろうかと思いますが、御存じのように、住民税は所得税よりもむしろ課税標準の範囲は広い、課税最低限は国税より低目でございます。農民の国税納税者は二十万もいないが、地方税にまいりますとその十何倍の納税者が出てくる地方税でございますので、退職金についてだけはずすというのはなかなかむずかしかろうと思いますが、何ぶん御提案でございますから、一時的な性格を持つ退職金について、住民税はどういうふうに考えるべきか、今後税制調査会でも御検討をいただくように考えてみたいと思います。
○藤田(高)小委員 これで終わりますが、私どもの意見が具体的に税制調査会の中にも反映できますような一そうの御努力を願いたい。できることならば、これから先、大蔵当局の、あるいは自治省当局のそういった意向が税制調査会に反映するまでの間にこういった小委員会が一回開かれるか二回開かれるかわかりませんけれども、少なくとも税制調査会に大蔵当局の試案、一つの考え方が出されるまでに、われわれこの小委員会においても、大体こういう方向でいきたいのだというぐらいの見解が、私どもにも公式の場を通じてわかるような作業を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
○吉田(重)小委員長代理 本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会