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51回国会衆議院1966/02/23

大蔵委員会 第13号

発言数
89
登壇者
6
会派数
2
開催日
1966/02/23

会議録

三池信自由民主党

○三池委員長 これより会議を開きます。  国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小林進君

小林進日本社会党

○小林委員 私は、この大蔵委員会においていろいろ専門的なことをお尋ねいたしたいと思いまして、実は日に夜をついで勉強してきたのであります。きょうの朝から、言いかえれば、きのうからでありますが、この委員会の運営方法をながめて実に概嘆にたえない。立法府の中におけるこういうようなでたらめな委員会のあることを、私はいままで不詳にして知らなかった。私個人のことを申し上げてはなんでありますけれども、きのうも委員会を聞くがごとく開かざるがごときだらしのない運営のために、一日の日程を全部めちゃくちゃにしてしまった。きょうもまたそのとおりであります。大蔵大臣に日程があれば、小林進にも日程がある。小林進だけではありません。ここに集まる委員諸君にもみんな日程があるはずであります。それぞれ全国各地から連絡を通じ、時間を打ち合わせ、そして合理的に人に迷惑をかけないようにその日の日程というものをつくり上げておる。あなたは全部それをめちゃくちゃにしたじゃありませんか。あなたは私の人生をきょう一日だけでもふいにしたじゃありませんか。こういうようなことが立法府の中に行なわれているなんということになれば、たいへんである。大臣いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国会の議事運営の問題かと思いますので、委員長からお話があるかと思います。

小林進日本社会党

○小林委員 私は委員長にこれを聞いているのじゃないのです。委員長はもう朝から私の前に叩頭三拝せられて、まことに及ばざるを嘆きながら、どうか小林君憤慨しないでくれ、おこらないでくれ、あなたのおこる気持ちはわかるけれども、と、こういうことでやられている。何といっても、これはやはり政府がいけない、行政機構がいけない、政府のあり方がいけないからこういう問題になったのでございまして、やはり政府の責任であるということになれば、閣僚の一員である大蔵大臣も責任を感じてもらわなければならない。その意味において、私は、あなたの反省を促すために、どうかということを聞いている。これが一陣笠大臣であるならばまた何をか言わんや、あなたは一応実力大臣と言われている。  そこで私は、限られた時間でありまするから、専門的な問題は、子分とは言わぬけれども、あとに続く、平岡君等にひとつ質問せしめることにいたしまして、私はもっと基本的な問題についてひとつ大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。これはあなたの院の中、院の外における将来を含めて、現内閣の運命を決する重大問題だから、その基本的な問題について、まずひとつ御質問を申し上げたいと思うのであります。  大臣、あなたは昭和四十一年一月四日の毎日新聞をごらんになりましたか。ごらんになりましたかとお伺いをいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 記憶いたしておりません。

小林進日本社会党

○小林委員 その中にあなたのことが載っているんですよ。ごらんになりませんでしたか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 記憶いたしておりません。

小林進日本社会党

○小林委員 一月四日のその新聞の記事は、「「国民と議会」を考える」、これは連続の記事で、サブタイトルに「“眠れる”人々」というのです。こういうタイトルが入っている。それは何かといいますると、民主政治というものは、議会を中心にして動かされる、その議会政治に対して後援会という組織があって、その組織の中に主権者たる国民を包含をしながら、民主政治に対する批判、議会政治に対する眼というものをふさいで眠れる大衆というものをつくっているという痛烈辛らつな記事なんです。その記事の中にあなたのことが載っているのです。ごらんになりましたでしょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 見た記憶がございませんです。

小林進日本社会党

○小林委員 こういう重大なことをあなたはごらんにならないというのでありますから、あなたもいけませんし、あなたの周囲にいる人たちもいかぬ。私はこれはいかぬと思う。その中には現代の議会制民主主義にまつわる最も基本的な問題は、政治の空洞化だというんだな。これはおそろしい。その政治の空洞化というものはどこから起こるかというと、政治的無関心から起きてくる。議会政治を人体にたとえれば、議会は肺だというんだ。その議会に対する無関心というものは、肺をおかす病根である。その病根をだれがつくっているかといったら、それは、福田さん、あなたもその病根をつくっている一人であるということが、この毎日新聞の記事の中に明確に書いてあるんですよ。これは、いわゆる議会の実力者として、将来の総裁道を進もうとするあなたにとっては、私は重大問題だと思う。何をおいても、やはりこういう記事は読んで、みずからの至らざるところは反省する、直すところは直す、やはりこういう姿勢がなければ、あなたの将来にとって私は重大問題だと思う。その意味において私は聞いた。あにはからんや、あなたは読まない。あなたの周囲の人もあなたに教えない。これは実に残念しごくである。  そこで、私は、時間がありませんから一つの例を申し上げまするけれども、民主政治というのは、申し上げるまでもなく、国民が主人公だ、一人一人が主人公の立場で、その主人公の代表たる国会議員を選んで、その人たちの信任状を受けながらわれわれが議会政治を運営していくのでありますから、その主人公たる人を無関心層に育て上げたり、あるいは政治に対する関心を眠らせるようなことは、現代政治家としては厳に慎しまなければならない重大問題だと私は思います。あなたはそう思いませんか。しかるに、そのいわゆる議会政治を眠らしているものは、農村にもあるけれども、あるいは都市にもある、あるいは都会の中にもある。一番ひどいのは、後援会という組織の中にあらわれておる。これから先は私情が入ると人の恨みを買うことになりまするから、私の意見を述べて、この記事を読み上げます。「淡路島を例に引こう、自民党の原健三郎代議士の後援会である「健睦会」は、旧町村ごとに全島五十四カ所にわたって設けられ、会員数はなんと五万人に達するともいわれている。一方、対抗馬の自民党永田亮一代議士の後援会も旧町村を単位に四十七カ所に及び、これまた会員六万人と自称し、原代議士とともに全島を二分している。これによく似た例は群馬三区にもみられる。福田蔵相の後援会(福田経済研究会)は上は「通学区域」にあわせた組織から下は戦時中の「隣組」に至るまで、それこそ水ももらさぬ陣容を構え、その会員は農村部の婦人を中心に六万人ともいわれる。一方、ライバルである自民党中曽根康弘代議士の後援会も婦人部にあたる「あやめ会」また青年部ともいえる「青雲同志会」を軸に選挙区のすみずみまでゆきわたり、福田系と激しく張り合っている。そこには見事なピラミッドが築かれている。しかし、このピラミッドを組織する集団の関心は、福田個人と中曾根個人を頂点として、それ以上にはほとんどのびない。会員の大多数の関心は稲田個人、中曾根個人の〃魅力〃と、〃実力〃に集中しその個人が属する政党が、」問題は、ここなんでございますよ。「その個人が属する政党が議会でどんな行動をとり、その行動が自分たちにどんな影響を及ぼすかについてはおおむね無関心である。「会員は福田さんの徳を慕って集まった」(稲田系地元幹部)「政策というよりはキメのこまかい情が会員をつなぎとめている」(中曾根系同幹部)ということも無関心層の一断面をとらえてはいるが、この巨大な組織をつなぎとめている最大のエネルギーは、地元有力者からの〃心理的な圧力〃ではなかろうか。毎年八月になると高崎市の福田事務所わきの広い私有地では」——そんな私有地をあなたお持ちでございますか。——その「私有地では福田音頭大会が盛大に開かれる。これには農村部から一万人もの婦人がバスをつらねて集まり、そろいのユカタがけで踊りまくるという。ある人はこの光景をみて「福田教の例祭」と呼んだ。われわれはそこに議会制民主主義下の〃眠れる〃人々の姿を見出すのである。」これにあるのです。私のお尋ねいたしたいことは、あなたは知性の高い、教養のある代議士であるといわれた。あなたのような実力者でありまするから、その名称のいわれるとおり、福田経済研究会と銘打たれている後援会でございまするから、そのあなたの六万なり七万の組織を通じて、政党政治、保存党の政治の政策や経済のあり方、主義主張をくまなく喧伝をされ、教育をせられ、あるいは資料を提供して、わが日本の民主政治のすこやかなる伸張のために努力をせられているならば、私は実に福田さんはりっぱな人だと心から敬服したいと思っておる。しかるに、この記事によれば、名は経済研究所でありまするけれども、やることは政党政治にプラスしておる面が一つもないじゃありませんか。ゆかたを着て福田音頭とは一体何です。盆踊りとは一体何です。そういうようなことで日本の政治を眠れる大衆の中に——そろいのゆかたを着せて福田音頭を踊らせることによって、議会政治の正しい姿をむしろあなたは逆転せしむるようなことをおやりになっているとするならば、これはたいへんであります。私はこの記事を見て、実にりつ然として、はだに寒さを感じた。これはたいへんだわい。こんな人がこういうような大衆を眠らしておきながら、その眠れる大衆を基盤にして総裁道を進んでいかれるということになったならば、稲田さんがわが日本の自民党の総裁、総理大臣になったならば、一体日本の将来はどうなるのか。一晩私は考えて眠れなかったのです。これを憂えた。どうです。あなた、この問題はひとつ真剣に御答弁いただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今日、代議士選出母体として後援会というものが大体どこにもあるようです。私はこれは正しい姿じゃないと思う。やはり選挙は政党対政党でやらなければならぬ。そこで初めて民意というものが国政に連なってくる、また、国民の政治意識もそれで高揚される、日本の政治水準というものが高くなる、こういうふうに思うのです。そこで私は、政党対政党の選挙制度——いまの選挙制度ではどうもそういうわけにいかないので、政党対政党の選挙制度というものを制度的にも改革しなければならぬ、こういうふうに思うのですが、どうも小林さんなどは政党対政党の選挙制度への改変というものに御理解を持っておられるのかどうか、ちょっとよくわからぬのだが、私は非常な熟慮を持ってそういう制度改革の実現をいたしたい、こういうふうにいま考えております。後援会というものは、そういう制度の確立と同時にこれは解消させていかなければならぬ。しかし、現実まだそういう段階になっていないという際におきましては、みんなそれぞれ自衛の措置を講じなければならぬ。そういうことで後援会組織があるということは、これはやむを得ないことである。しかし、目標とするところは、後援会の解消であり、政党対政党の選挙制度、それによって政治水準を高めていきたい、こういうことです。

小林進日本社会党

○小林委員 大臣がそれだけの政党政治、議会政治に対する理解と御所見をお持ちになっていらっしゃるということならば、私は若干見直してもいいじゃないかという考えを持つに至ったのでございまするが、そこに至る過渡的な一つの必要悪ということばは通用せぬかもしれませんけれども、必要なる処置として後援会をやむなく持っておるとおっしゃる。それでけっこうです。過渡的な形としてやむなく後援会をお持ちになっている。それを、何とか盆踊り会だとか、福田教などという名称にしないで、福田経済研究所などという何か知性ある内容のあるような名前をつけられたことも、私は過渡的な必要な処置として、願わくは、後援会の中にもあなたの政党の持つ経済の政策を浸透せしめ、あなたの政党の性格を一般化し、その理解の上に立って、その政党の政策をもって戦う福田赳夫を推薦をし、選挙のときに応援をせいという、そういうお考えで後援会をお持ちになったというならば、私はまだ同情を持って理解する点はあるわけです。ところが、いまも言うように、あなたは、それほど後援会というものを通じて政党の真の姿、政党の政策をひとつ徹底したいというお考えがあるならば、そのために努力をされてしかるべきではないですか。それを、ただ福田さんさえ信じていればよろしい、自民党の政策が何だ、インフレが何だ、何も知らないようなそういう農村の人々に教育をさせる前に、統一の同じゆかたを着せて、そしてあなたのその高崎の広場へ呼んで盆踊りさせるとは、一体何事ですか。それは、やはり政党のあり方、民主政治というものをすなおに伸ばしていこうという努力の姿であると私どもはとることができません。私の言いたいのはそれなんです。中には、自信のない政治家は、後援会などというワクをつくって、なるべく政治のことを知らしめず、政党のことを知らしめず、自分たちの政策を知らしめず、そしてごちそうをしたり、かん詰めをやったり、あるいはサケをやったり、あるいはいわゆる観光旅行と称してバスに乗せてごちそうをしたりしている。そして眠れる大衆をつくっている。政治の空洞化をねらっている。これはわが日本のために実におそるべきことだと私は思う。しかし、あなたは実力をお持ちになっている。あなたは人を説得する力をお持ちになっている。しかも、将来総理大臣になられるというならば、あなたにまつわるその六万人の大衆にもせめて政治教育ぐらいは施して、そろいのゆかたなんかでつまらない金を出すよりは、そういう人たちにほんとうの政党政治のあり方を教えて、心から福田さんを尊敬する一票一票を積み重ねていくというくらいの努力は保守党の中にあってもいいと思う。あなたはそれをなさってはいない。それを期待するがゆえに私はあなたに申し上げる。どうですか。少し干渉がましくて悪いですけれども、即刻こんな盆踊りなんかやめて、あなたがほんとうに政策をもって戦うのが政党政治のあり方だとおっしゃるならば、そういう方向へ努力される後援会にされてはいかがですか。後援会の中でひとつおやりになったらいかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 どうも小林さんはえらい誤解をしているようですが、私がそういうことをさせているわけではない。これは盛り上がる選挙民の行事であって、私は何らの干渉もしていない。ただ、関係があるといえば、私の事務所の庭を使っている、それだけの話であります。ただいま申し上げましたように、私はもう後援会組織で選挙を運営するという形はよろしくない、一刻も早く解消すべきである、こういうふうに考え、自由民主党の中でもいろいろそういう議論が行なわれております。どうか、そういう議論が固まって出てきた際には、率先して御賛成あらんことをひとえにお願い申し上げます。

小林進日本社会党

○小林委員 私は、時間がありませんからこの問題はこれで打ち切りますが、こういうことは、大臣、その結論において私はあなたと同じですから——同じでしょう。ですから、私どもはあなたのようなそういうばかなまねはしません。私どもの選挙区とか私の後援者が、小林さん、そろいのゆかたを着たいといったときに、世間のうわさがあるからやめなさいと言って、私はやらせない。票をとるために一ぱい飲みましょう、私はそんな話に乗りません。しかし、私はわが党の政策を勉強したいという人たちを集めた後援会を持っております。その人たちも早く社会党に入党してその一員になることをこいねがいながら、私は、社会党の政策を、時に触れ、おりにつけて一生懸命に啓蒙宣伝をいたしております。私は、願わくは大臣もその方向へ努力していただきたい。李下に冠を正さずともいう。あなたの庭の中で福田音頭を踊らせておいて、私は関係がないと言ったって、人はそんなことは信用しません。あなたの議会の中における答弁にすぎない。ですから、そういうことはあなたの関与しないことであるならば、いま一歩進んで、そういう場所を提供することをおやめになったほうがいいだろうし、福田音頭なんというものもやめて、それよりもむしろ自民党音頭でもおやりになったほうがまだよろしい。そういうような方向で私は努力していただきたい。この点は、あなたは非常に軽くお考えになっているかもしれませんが、私は非常に気に入らなかった。あなたにしてなおかつこういう愚にもつかぬことをおやりになっている。これじゃ、日本の議会政治、民主政治の将来は非常に心もとないではないかと、心から嘆いたがゆえに私はあなたに申し上げた。どうかひとつ、即刻こういう悪風を改良せられて、眠れる大衆を名実ともに民主政治、議会政治の主人公の地位に引き上げていくような努力を院の外において続けられることを心からお祈りいたします。その努力を見たときには、小林進、微力ながらも野党においてあなたの総裁の成功を祈ることにいたします。  次に私がなおこの問題に関連をいたしましてお願いを申し上げたいことは、これも予算編成の問題であります。この予算の問題についても、私はこの委員会における速記録をくまなくながめてまいりました。さすがにわが党の一員でありました石村君等がこれも論じていたようでありますけれども、予算の編成、特に支出に関する問題は、これは予算委員会でありましょう。こっちは大蔵委員会、ここでやっている。そういたしますと、私どもはあなたに対して何にも質問ができない、議論もできない。そうでありましょう。一体大蔵委員会に昨年度大蔵大臣が何時間出席されたか、私は理事の諸君に聞いてみた。昨年度において二十二時間。ところが、一体法案関係で一番多い委員会はどこだといえば、大蔵委員会が一番法案をかかえている。この大蔵委員会で大臣の出席される時間が一番短い。こんなことで、一体国会の審議が円滑にいくとあなたはお考えになりますか。  そこで、私は、先ほども申し上げましたように、これを改めるには大蔵省の機構そのものを改めていかなければならぬのじゃないか、かように考える。大臣、いかがでございますか。さもなければ、この委員会は、委員長以下与野党ともにどんなに苦労いたしましても、こういう時間も日にちもさだかならざるような運営というものは、これは永久に改めることはできません。本質的に改めなければいかぬ。これを改革するために、根本的にひとつ内閣の行政制度というものを改めてもらわなければならぬと思いますが、いかがでございましょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 政府の機構というよりは、いまお話の点は、国会のほうに問題があるのじゃないかと思います。つまり、国会の総括質問というような際には、御承知のとおり、これは全閣僚が出ていなければ審議をやらぬというようなことになっておりますね。それから、予算審議の全期間を通じて、大体において大蔵大臣がそこに付き添っておらなければならない、こういう状態になっておる。その同じ時期に予算の関連の法律案が各委員会で審議をされる、こういうものですから、大臣はからだが二つあるわけじゃないのですから常任委員会への出席が非常に制約される。私はそれを非常に残念に思っております。しかし、現実の動きがそういうふうになっておりますが、きょうは幸いにして御理解のある予算委員会の処置によりましてこうしてお話を承ることができるわけであります。こういうふうな慣行が一般化しまして、そして必要のないときには予算委員会から各常任委員会のほうへ回してもらえる、こういうふうになりますれば、当委員会への私の出席もしたがって多くなり得る、私はこういうふうに思います。どうか、社会党の重鎮であられる小林先生におかれましては、さような方向で御協力のほどをお願いしたいと思います。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたは重鎮だなんておだてたってだめですよ。それは、わが党の内閣ができれば、総理大臣とまではいかぬでしょうが、相当の地位につくことは間違いないけれども……。それはそれにいたしましても、いまのはそうおだててもだめです。私どもは、あなたがおっしゃるように、いまのおことばの中に、予算委員会においても必要のないときには出ないようにしてとか、あるいは、大臣だけ呼ばないでほかの事務官で間に合うようにとおっしゃるが、それは主観の問題です。そういうようなことをあなたが思い過ごすと、議会政治というものは円滑にいかない。与党の諸君から言わせれば、われわれの質問自体も余分なことだ、大臣もいないでよろしい、こういうことでしょうが、各委員会で質問しておる諸君は、やはり国家、国民の運命に関する重要問題で、ことごとく大臣から御回答を得なければならないという真剣な気持ちで御質問を申し上げております。しかし、それも、あなたが言うように、理解のある方々の御理解に基づいてこうやってこの大蔵委員会にあなたは出てきたとおっしゃるけれども、その理解を得て来たにしても、午前十時半に開くというのが午後の二時半だ。それもようやく理解を得て来るということになったならば、なおさらこの委員会は将来とも円滑に運営していけるものではない。  そこで私の言いたいのは、いまも言うように、これからまだ大蔵委員会は二十二の法案を持っておる。しかも歳入歳出に関する問題だけだ。予算委員会でやったって、四月一日から実行しなくちゃならぬ問題がたくさんありましょう、二十二の法案で。少なくともほかの委員会へ行ってごらんなさい。ここでつまるとかつまらぬということが論争になって、他を侮辱することになりますから言いませんけれども、軽い法案でも、法案を出すときには、少なくとも大臣はその法案を通過させるために一法案四時間や五時間は必ず委員会に出席して、そうして審議に応じながら、討論に応じながら、賛否に応じながら、それが上がると、皆さん御苦労さまでございましたと、姿勢を正して帰っていく、これが習慣です。大蔵委員会は二十二の法案があるのです。これは二時間ずつ一法案に費やすとしたところで四十四時間、ほかの委員会並みにやれば、四時間ずつ費やすと八十八時間を必要とするわけです。あなた、応じられますか。これは力関係じゃないです。われわれは立法府なんです。われわれは決して行政府の付属機関じゃないのですから、あなたたちの都合のためにこの法案に引きずり回される必要はないのだ。われわれは一つの法律案を審議するにはそれほどの慎重な態度でなくちゃならぬと思っておるのです。間に合う、間に合わぬとか、そんなことはあなたの御都合で、われわれの都合じゃない。われわれ立法府といたしましては、その法律の扱いに対しては、少なくともそれほど慎重な態度がなければならぬというふうに考えておるのですが、私は、この委員会に来た以上は、うちの理事諸君とももちろん同調しながら話し合って質問をいたしますけれども、そんな軽率な法案の取り扱いについては同調するわけにはいきません。その意味においても、少し大蔵委員会のあり方というものを本質的に考えていただきたい。そのほか、私どもは、法案も重要ですけれども、より重要なことは、やはり大蔵大臣を通じて、今年度一年間、わが日本の行政、財政収支のあり方、金融の問題についてどう考えておられるかということを質問をして、それを国民の前に明らかにするということなんです。そのためには、少なくとも大蔵大臣は二十時間や三十時間はわれわれにおつき合いをしていただいて、われわれを通じて国民の前にあなたの抱いている金融の考え方、日本銀行のあり方、他の都市銀行あるいは地方銀行あるいは相互銀行等のあり方、財政のあり方、税務署のあり方、関税のあり方、国有財産のあり方、そういうことも全部明確にしてもらわなければならない。そのためには、現在ありまする過剰生産の問題——いま経済恐慌が起ころうとしておるじゃありませんか。国民はうめいていますよ。経済恐慌に対するあなたの考え方、中小企業の倒産、これは毎年毎年つぶれているじゃありませんか。あるいは失業の問題、インフレの問題、国際収支の破綻の問題、(「小千谷税務署の問題」と呼ぶ者あり)小千谷税務署の問題に至るまで、大小たくさんの問題があるわけです。やはりそういう資本主義下におけるもろもろのこうした問題についてあなたに御質問をしなければならないのでございまして、そのために、わが社会党といたしましては、こういう問題を取り扱う歳出——歳入の問題は別にいたしましても、歳出のためには、国の経済計画会議というものを設けて、そうして、その下に国土総合開発委員会あるいは貿易計画委員会というもの設け、総理大臣の直属の機関を設けて、そうして、それを大蔵省とは別個の機関において審議したらよろしいのじゃないか、こういう構想を持っておるわけでございますが、こうしたわが社会党の計画経済に基づくこういう最高の会議を内閣の中に設けて、そうして歳入歳出の問題を論議すべきであるという主張は、あなたにすぐ御賛成をいただくことはできないにいたしましても、せめて歳出の問題だけは、いわゆる予算省というものを内閣に設けて、大蔵省と切り離して、その中に主計局等の関係機関を入れて、そうして、行政上、機構上における矛盾、あるいは大蔵委員会におけるこうした繁忙の問題や、われわれの質問に応じ得ないというような理論上あるいは実際上の矛盾をここで解決することを、一体お考えになりましたか、いかがですかということを私はお尋ねいたしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま機構の改革の話ですが、それが国会の運営とどういうふうにつながってくるか、これは運用の問題だと思うのですがね。たとえば、いま物価の問題だとか、あるいは景気がどうなるのだろうかというような問題もし大蔵大臣が忙しくて当委員会に出てこれないということでありますれば、企画庁長官というようなことも考えられるわけでありまして、その問題と機構の問題とはそう関係はないと私は思う。運営の問題だと思うのです。が、いまあなたの具体的な御提案である予算省ともいうべきものは、これは総理大臣の直轄のものにしたらどうだ、こういうお話でございますが、私はこれには賛成はいたしません、つまり、財源と歳出というものは非常に密着をいたしておるわけです。これは御了解いただけると思うのですが、やはり財源とにらみ合わせながら予算の歳出面というものを規制をしていく、たとえば減税問題がある。減税問題というものは、歳出と、その効果、意味合いにおいては非常に似ておる性格を持つわけです。所得の再配分というような問題でありますが、これを歳出と切り離しで論議する、これは私は一貫性を欠くと思うのです。やはり歳入と歳出は同じ機構のもとにおいて考え、また総合して予算というものが編成される、そういう仕組みが最も実際的な仕組みである、そういう見解です。これはせっかくの小林委員の御提案でございまするが、賛成いたしかねます。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたはやはり大蔵省主計局の出身でいらっしゃいまするから、あなたの頭の中にはまだ主計局長の残滓が残っております。まことに残念でありまするけれども、そういうことでは、やはり問題の基本的な解決にはなりません。時間もありませんから、私も余分な議論をすることはやめにいたしまするけれども、あなたは、こういう大蔵委員会の議論は別にいたしまして、実際面におきましても、予算委員会と大蔵委員会の二つの委員会をかけ持ちして、それもうまくいくいかないは運用の問題であるとおっしゃいましたけれども、そんな運営論などといってこの基本的な問題の解決ができるとお考えになったら大きな間違いです。あなたの考えがそういう考えで、運営論、運営論で、これから衆議院の大蔵委員会が終わって、本会議を経て参議院に行って、また参議院で一カ月かかる、これも運営の問題で参議院にからだをとられて、こちらのほうへ顔をお出しにならないことになれば、私どもは重大な決意をしなければなりません。それをあなたの運営論で解決をする自信があるならば、ひとつあなたのお力でこれを打開してください、とびらを開いてください。私は、問題は運営論などで片づくような単純な問題ではないと思うのです。その意味において、いまあなたは分担しておられる業務を二つに分けなければならないと思う。分けなければ問題の解決には私はならないと思うし、第一、いまひとつは、国民が一番苦々しく思っているのは、一体毎年の予算折衝、あれは何です。私はまだ内容は詳しく知りませんけれども、予決令の何条でございまするか、八月の三十一日までに送付をして、十月の三十一日までに云々ということ、——そういう条文はあとでひとつ申し上げることにいたしまして、そういうような運営が一つもできない。あの予算の折衝のときのぶざまさ、私は大臣なんというものは全部並列にしていいと思うのに、いよいよ予算の大綱などというものができ上がると、各省の大臣を先頭にして、地方から山のように人が上京してきて、そしていわゆる事務折衝だ、やれ局長折衝だ、やれ次官折衝だ、そのときには何です。あなたはいやしくも総理大臣の上に存在するような、天皇みたいな顔をして、そして大綱の中に隠し財産なるものを一千億とか二千億持って、そして各省に恩恵的にばらまいてやるなどという、ああいう予算のつくり方、やり方というものは醜悪そのものですよ。私は、ああいうような編成の醜い形をなくする意味においても、総理大臣の下にそういう予算閣僚会議というか、いま少し別の機関を設けて、いま少し公明正大、しかも合理的に事を処置していくのがほんとうではないか、かように考えるわけです。いまのあなたのおやりになっている、ことしも四兆三千億おつくりになりましたけれども、ああいう折衝のしかたで予算の大綱を一体国民が納得しているとお考えになりますか。大きな圧力団体によってゆさぶられて、そうした形の中でいろいろジグザグコースをつくりながら予算というものがきまっていく、あとは、予算の閣僚会議なんというものは全くしゃんしゃん大会の手打ち式みたいな形で終わってしまうという、ああいう予算のつくり方が、一体適当であると思いますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 予算のつくり方は、私は明治、大正のことは知りませんけれども、昭和の初めごろからずっと今日のようなやり方をしておるのです。それを見ておって、決して私はこれはいい形だとは思っておりません。何とかして公明正大に、しかもみんなが見てわかりいい形できめられていくというのがいいと思っておるのですが、長い間のしきたりでもありますので、一朝一夕になかなか解決、改善できない、しかし、何とかして改善をいたしたいという意欲におきましては、小林委員と全く同じであります。

小林進日本社会党

○小林委員 その改善の一つの方法、予算の仕上げに至る、大蔵省設置法の中にあります会計何とかというのだが、ちょっと忘れましたけれども、そういう法律ですね。あなたの予算編成の姿というものは、法規の上からいっても矛盾が多過ぎる。確かにそのとおり進んでいない。これは私は忘れましたが、石村君がこの前この質問をしておるようでありますから私は繰り返しませんけれども、そこに一つの矛盾がある。この大蔵委員会の運営のしかた、これは先ほどから申し上げましたが、この矛盾があること、そして予算というものはフランクの中で、大ぜいの会議の中ででき上がる、大蔵省という一つのセクションが各省を振り回してやるような、ああいう形で私はでき上がるものではないと思っている。そういうことからあなたに質問しているのです。あなたは具体的にどこが悪いというととはおっしゃらないけれども、いまの姿はよろしくない、その改善のために努力するというならば、どういう具体的な方法をもってそれを改善しようとされておるのかということをいま少し具体的にお示しを願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 改善したいことは山ほどあるわけですが、いまお話の筋に一番関係のある点で申し上げますと、やはり復活折衝なんというのがあまりあることは私はよろしくない、こういうふうに考えます。予算の編成がきわめて秩序正しく、しかもみんなにわかりいい形で行なわれる、こういうことかと思うのですが、率直に申しまして、いまそういっておりません。

小林進日本社会党

○小林委員 圧力団体に振り回されて、大蔵大臣があ手盛りでどうにでもその予算が変わるというふうな不明朗な姿だけはひとつぜひやめてもらいたい。私は、予算というものは、総理大臣を頂点にして、全閣僚の会議の中で公正にきめられる、そういう形をつくり上げたいと思っておる。私はそういうふうに考えておりますがへその意味においても、予算はやはり大蔵省だけが自由にお手盛りでやるといういまの機構制度に対して反対です。時間がありませんから、こういう問題はいずれまたあと回しにいたしまして、次に、具体的なあなたの所管の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  四十一年度の公共事業を七千三百億円の公債発行によってやられるということを聞いておる。私はこの旧債問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、一体四十一年度に予定せられておる公債と政府保証債と地方債、その総額は大体どのくらいになっておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国債が七千三百億円です。それから政府保証債が四千億円、地方債が五百六十億円です。

小林進日本社会党

○小林委員 政府は、国債発行の歯どめとしてあなたはしばしば言われておりまするが、財政法第四条によるいわゆる建設公債に限る、国債は日銀引き受けによらず市中消化に限定するという、この二つが歯どめであるということをしばしば言明をいたします。そこで、まず私がお伺いいたしたいのは、公共事業に限ると言われるその公共事業の内容を具体的にまずお示しをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これは性格的に申し上げますと、国家国民の財産としてあとに残り、しかもこれが回り回って国民経済の将来の発展に寄与する、こういう性格のものをもって財政法第四条にいう公共事業費等、こういうふうに理解しております。

小林進日本社会党

○小林委員 時間もありませんから、事務的に聞いていきますが、議論はだんだんあとでやります。  四十一年度の公共投資が大体八千八百三億円でございます。その中で公債でまかなわれる分はどれくらいでございますか。五千八百八十億円と私は計算をいたしておりまするが、いかがでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公債が七千三百億円です。その見合いになる財政法第四条でいう公共事業費等、この等の中には、出資金、貸し付け金があります。これが約千億円くらいであります。それから六千六百億円ぐらいが、これが公共事業費であります。合計いたしまして七千六百億円、これが財政法第四条の本年度の対象額である、かように御了承願います。

小林進日本社会党

○小林委員 そこで私はお尋ねいたしたい。一体公共投資と言わるる中に、あなたは等ということばを用いられたが、財政法第四条にいう公共投資の中には、文教施設とかあるいは出資金等を一体含むものか含まざるものかということが問題であります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 出資金、貸し付け金それから文教施設、お尋ねのものみな入っております。

小林進日本社会党

○小林委員 財政法第四条でいういわゆる公共事業費という中には、文教施設の費用も入る、出資金も入る——出資金は公共投資ですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 財政法第四条ただし書きには、「出資金及び貸付金」と書いてあります。

小林進日本社会党

○小林委員 それではお伺いいたしますが、財政法第四条第一項ただし書きといまおっしゃった。それでは、そのただし書きの中にいわゆる出資金も入るとおっしゃるならば、私が次にお伺いいたしたいのは、一体軍事費も入りますか。鉄砲、大砲の費用も入りますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 軍事費というのは、いま正確な用語はありませんが、防衛費は入っておりません。

小林進日本社会党

○小林委員 この財政法第四条第一項ただし書きの中には防衛費は入らない、どうしてそういう解釈が出てきますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 防衛というのは、大体消耗というようなものにつながるという考え方なんでしょう。どこの国でもこういう財政統計等におきまして、防衛費というものは投資的経費という分類の中に入れておりません。そういう国際的通念に従いましてそれを入れないのであります。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたはどこの国も防衛費は公共事業費の中に入れておらないとおっしゃいましたが、大臣、それは少し言い過ぎではございませんか。いま一度大臣の御答弁をお願いいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 全部が全部といえるわけではないのです。例外もあるようですが、おおむねそういうようになっております。国際的通念と申し上げて差しつかえないと思います。

小林進日本社会党

○小林委員 軍事的施設はどうかということに対して、アダム・スミスの学説がある。読んでみますよ。(「十八世紀だ」と呼ぶ者あり)国防や司法、行政にとって必要な公共施設と、国民の教育に必要な教育施設、これは公共事業、公共企業の中に含まれる、特に国防について、軍事技術の発展とともに銃砲の採用、要塞の建設等のためにも、これは公共事業として含めてよろしい、こういうふうに書いているのでございまして、そこら辺でつまらないやじで十八世紀だと言ったけれども、今日二十世紀になろうと二十一世紀になろうと、やはりアダム・スミスのいわゆる自由貿易論、自由経済論は生きていますから、この学説を例の近代財政学者はいまもやはりとってますよ。どうですか。あなたはそんな通念だなんてごまかしたってだめですよ、私は学問的に深く研究を重ねてあなたと論陣を張っているのですから。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は近代財政の通念であるということを申し上げておるのであって、アダム・スミスまでのことはまだ研究しておりません。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたはアダム・スミスまで研究しないで、小林進の博学に参ったというなら、それでよろしい。何も参った者を置いていくほどぼくは残酷非道ではないからね。その意味において、軍事的施設がやはり公共事業の中に含まれるか含まれないかは、大いに説のあるところなのでございますから、あなたはこの第四条にいういわゆる公共事業というものをどこかでマークしなければ、この第四条なんというものを特に設けた理由がなくなってしまう。あなたは持論で、国際通念で軍事費だけは別だ、あとは出資金から教育施設から——それではもう一つ聞きますが、社会保障費はどうなりますか。社会保障は第四条でいう公共事業なりやいなや、お尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 社会保障費といえども、国立病院の施設でありますとか、国立療養所の施設でありますとか、あるいは保健衛生施設等は、ここにいういわゆる公共事業等である、かように解釈しております。

小林進日本社会党

○小林委員 そうでありましょう。そういうふうなこの第四条の公共事業に対して、大まかにいって、そういう狭義に問題を解釈すべきであるか、広く解釈すべきであるか。いまの政府のお考えは、大体みんな広目に解釈をせられておる。ただその中で軍事費だけ入れてないということになりますと、やはり憲法第九条の関係などでいまの政府が都合が悪いものだから、それだけは理屈にならぬ理屈でちゃんと逃げられているのだけれども、これほど牽強付会な弁はないです。あなた方の主張は非常に一貫しないものだ。もし狭く解釈したならば、私は、狭い解釈だって、筋の通った主張をしていただけばよろしい。広い意味にとるならば、アダム・スミスから今日に至るまでの広い学説に基づいて、やはり防衛施設から全部入れていかなくちゃならぬ、それでなくては筋が通らぬですよ。  そこで私は、あなた方の解釈上またそれをお聞きするのだけれども、この第四条のただし書きでいう償還だが、第四条第二項の「前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。」この償還の計画というのは何をさすのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国債は、大体これも通念からいいますと、十五年とか二十年が償還期限です。今回は市中の情勢等も考慮いたしまして、償還期限を七年といたしましたが、財政法の立案者が予定して考えておる公債というものは、七年というような短期なものじゃないと思います。十五年、二十年あるいは三十年、そういうものだろうと思います。その償還の計画を明らかにせい、こういうわけでございますが、立案者にいろいろ聞いてみるのですが、どうもはっきりした見解もない。そういう公債を発行する際には、それをいつ返すのだということははっきりさしておけ、こういうことのようでございます。したがいまして、その財政法の規定するところに従いまして、予算書におきましては、ちょっと何ページでありましたか、こういうふうにして償還いたしますということを明らかにしておる次第でございます。

小林進日本社会党

○小林委員 そういたしますと、あなたのいまのお話は、公共事業というものを非常に広く解釈されるかと思ったら解釈しないで、軍事費だけをごまかして入らないと解釈して、中間的な主張をなされておる。ところが、ここでいう償還計画の内容は何かというと、あなたは期日だけの問題だと言う。七年で返す、二十年で返す、立案者はどうも二十年とか十五年と考えたらしいけれども、政府は七年で返すと言う。償還の計画というものは、単なる期日の長短ではないという学説がある。たとえていえば、いわゆる鉄道、電電等の公営企業が、これは公社にされたけれども、これも厳格にいえば公債でございましょう。(福田(赳)国務大臣「準公債」と呼ぶ」)不規則発言をしてはいけませんよ。これは国債の変形ですよ。準国債などという詭弁を弄してはいけません。これはやはり国債です。公債に関する限り、その中に鉄道運賃だとか手数料等の収入の入るいわゆる公共企業もある。たとえば、病院だとか住宅だとか道路は、いわゆる財政法に基づく公共事業だとあなたはおっしゃった。道路にしても、有料道路、これはまあ公団がやっているけれども、これもいわば一つの国家事業の変形です。住宅だってそうでしょう。固定資産や永久のものとして子孫に利益は残るというけれども、現実に家賃という収入があがるじゃないですか。有料道路や橋を通せばその料金があがる。そういう料金を国家が徴収をして投資を償い得るものと、投資しっぱなしといっちゃ悪いけれども、同じ道路でも、有料道路でない一般道路というようなものがある。ぼくら国民がいい道路をつくれば、確かにその子孫に恩典を与えるでしょう。けれども、その道路から直接の料金はあがってこない。そういうふうに、同じような公共投資の中にも種類が二つあるじゃないですか。官庁用の建物なんというものは、やはりこれも公共投資でございましょう。あなた方のいる官庁用の投資だ。少なくともその官庁用投資からは何も果実はあがってきません。貸し付け料金をとるわけじゃありません。普通の家を公共事業で建てれば、そこからは家賃があがる、官庁の建物からは家賃は入らない。だから、同じく公共投資の中にも二種類あるじゃないですか。それに対しておのおの償還の計画というものが出てこなければならないという学説がある。何年何月という期日だけではなくて、そういうものの計画を緻密に書くのが財政法第四条にいういわゆる償還ということばである、こういう学説をなすのです。それならば、どうですか。この学説に対していかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 どこにそういう学説があるか、私よく承知をしておりませんが、官庁の建物といえども、これによって国家の行政が合理的に運営されるようになる、回り回って国民経済力の発展に寄与する、こういうふうに考えまして、広義にこれを解釈しているわけであります。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたの説明によれば、もう建てっぱなしでよろしい、後世、後輩が全部利用するということになれば、あなたの言う財政法第四条の歯どめなんということは無制限、みなやれるということになりますね。もっと言えば、いわゆる多数党の承認さえ得れば、政府が思いどおりに、税金でやるのも借金でやるのも、自由自在に、無制限にできる、こういうことになりますな。そうなりませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 そうはならないのです。予算書にもはっきりこういうものが財政法第四条に該当するのだということを書いておるわけです。その範囲を出ることはないのであります。ただ、誤解があると悪いから念のために申し上げておきますが、ことしは七千三百億円の公債発行だ、こういうので、七千三百億円に該当するに足る公共投資だけを掲げておるわけであります。しかし、私ども考えまして、公共投資という性格のものはこのほかにもあるのです。それはわれわれは非常に制限的に考えておりますが、三種類しかありません。ほかに官庁営繕の経費、それから社会福祉施設整備費、農林水産構造改善事業費、この三つは財政法第四条に該当する公共事業費であるという解釈をとっております。

小林進日本社会党

○小林委員 さっきおっしゃった文教費が入ってないじゃないですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 文教費はことしの七千三百億円の中に入っておるわけであります。

小林進日本社会党

○小林委員 そうすると、あなたの言う公共投資の範囲とは矛盾するじゃありませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ことし財政法第四条によって公債を発行する、その発行する公債は、公共事業費等の範囲を越えてはならぬ、こういうことになっておるわけであります。そこで、皆さんに御審議願う予算書には、七千三百億円だけをきっちり出せばいいわけだ。ところが七千三百億円といっても、きっちりと数字が出るはずがない。そこで七千六百億円に相当する費目を予算書では書いております。しかし、そういうことがあるかどうかわかりませんけれども、かりに来年、昭和四十二年に一体どうなるかという際には、この予算書の二ページに掲げてある費目のほかに、さらにただいま申し上げました三つの費目は、性格的にいえば公共事業費等に相当するものである、こういうことです。

小林進日本社会党

○小林委員 それじゃ、時間もありませんが、この点は私は非常に危険だと思う。あなたのような解釈でいって、ちょっと世間の評判が悪いようなら、軍事費は入っておりませんと軽く逃げながら、あとは公共事業費あるいはそれに相当するものなんだというようなことでやられるならば、現実に言われるところの歯どめはちっとも歯どめになっていないということだ。これは処女を奪われた女のようなものだ。これから先は無制限に安易な公債の道を歩いていって、そのうちにはきっとこの公債が化けて軍事費になっていくに違いない。これはもう昭和六年の高橋是清蔵相のときと同じです。高橋是清はそうしてやはり公債を出した。彼はその公債によって景気を刺激したが、この公債の発行のしかたは、市中銀行じゃない。彼は日本銀行を通して発行、交付せしめたけれども、景気を刺激したらそれを直ちに回収する考えであったでしょう。あるいは税金でそれを回収するような考えを持っておったでしょう。けれども、そのときにはすでに彼は、安易な公債の道を進もうとする当時の実力者軍部に押し切られて、彼が、これはしまったと思ったときには、銃声一発、あわれその人生を終わってしまった。あなたが高橋是清だけの良心を取り戻そうとするときには、あなたはまくらを高くして寝るわけにはいきませんよ。あなたがそんな安易な道をこれから進んでいくとなれば、国民はたいへんです。これはもう無制限にインフレの道を歩いていくことになる。これは歴史が示しているのですから、歴史のとおりいかざるを得ない。あなたはそんな安易に考えていられるけれども、あなたの話を聞いてみると、だんだんこれはたいへんだという気持ちになってきた。ほんとうに公共事業、公共投資だけに限るというならば、この点は、ひとついま少し事業を明確にして、できるだけのものは一般会計で、国民の税金でまかないながら、やむを得ないものは財政法第四条を生かしてこれをやるという、そういう峻厳な考え方がなければこれは歯どめにならぬ。実に重大問題でありますから、私はあなたに警告を与えておきたい。  次にお尋ねいたしますけれども、一体この国債の発行に基づいて一番利益を得る者はどなたでございますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国民一般でございます。

小林進日本社会党

○小林委員 国民一般というのは低所得者も入りますか。公債も買えないような低所得者は一体どうなりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 低所得者も高所得者も、全部ひっくるめて国民一般でございます。

小林進日本社会党

○小林委員 私はそうはいかないと思うのです。これはあなたと私じゃありません。わが社会党と自民党との大きな見解の開きなんです。この公債発行をすることによって、二重三重にも利益を得るものはやはり資本家ですよ。公共事業費による利益、インフレによる資産の増大、株価はふくれますよ。借り入れ金の総体的な軽減、こういうことで、ぱあっとまた資本家は浮き上がってくる。第三番目には公債費の支払い、公債財源の減税、こういうことで資本家だけは四重、五重に発展できる。同時に、この問題に対して学者はこういうことを言っている。この公債を発行することによって国民の中に格差がだんだん開いてくる。結局、この公債をまかなうものは税金でございましょう。公債も持てないような大衆の収入から税金をふんだくって、公債を持っている人に利息を支払う、償還金も支払うから、国民の中の格差はだんだん大きく開いてくる。こういうふうに、公債の発行は貧富の差をいよいよ激しくする最も悪い制度だということを学者は言っています。あなたの良心的な回答をお願いします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 それは非常に間違っている見解だと思います。つまり、公債を発行しますが、問題は、それをどういうふうに使うか、こういうことです。公債の発行によって、直接的には公共事業費が拡大される、社会資本の立ちおくれが取り戻されてくる。これは一般国民の利益になる。それから、公債を発行することの間接的な影響として、減税を可能ならしめる。社会保障費を増大することを可能ならしめておるわけであります。つまり、公債の発行によって国民の所得の配分というものが非常に変わってくるわけです。その配分基準を一体どういうふうにもっていくかということが問題なのであって、公債の発行によって、これが配分基準において、社会保障という階層の利益をはかる、あるいは減税政策において低所得者の利益を守るというような方針がとられます限りにおきましては、これは所得配分が非常に合理的に進む機縁になるという効果はありましても、言われるような格差を拡大するというような影響はない、これは確信をいたしております。

小林進日本社会党

○小林委員 残念ながら、あなたの主張は風車です。現実の面においてあなたの主張は破れていることは、火を見るよりも明らかであります。大蔵大臣は庶民の立場に立って、いま少しものを冷静に考えてもらわなければ、あとはたいへんなことになる。必ず貧富の差は激しくなってくる。庶民は公債の発行によって苦しみます。私は断言して申し上げます。  時間もありませんから、私は、次は項目的に言いますから、あなたも項目的に答えていただきたい。  一体、国債の発行と日本経済とのひずみの関係はどうであるか。生産過剰の問題はどうであるか。いま行なわれている生産過剰の問題が国債発行によってどういう形をとってくるか。お答えをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ひずみというのはいろいろありますが、大体において格差ということをいうのだろうと思うのです。その一番大きな問題は、社会資本と民間資本の間の格差、これは公債の発行が決定的な影響を持つわけです。社会資本の立ちおくれという格差を解消する、また、中央と地方の格差という問題がある。これも公債発行政策によって地方開発が進む、道路あるいは農村対策が進む、こういうことによりまして、格差の解消に相当の前進をする、そういうふうに考えます。  また、格差という、ひずみの問題でいわれるのが中小企業と大企業の問題です。これも経済がよくなる−いま中小企業が私は一番困っていると思います。不況が長くなるからであります。この不況打開というものが公債の発行によって可能となる。一番恩恵をこうむるのは、私は中小企業だと思う。さらに減税政策などということを考えると、なおさらであります。  それからさらに、一体過剰設備に対してどういう影響があるか。いま日本の産業界は口をあいて待っておるわけであります。そのあいておる口にえさを投げ込むことが公債発行ということになるわけでありまして、経済界は、これによって一挙に生産過剰の状態を解決することはよろしくない、また、それは可能でもないと考えておりまするが、その生産過剰状態を解消することに向かって堅実なる方向を歩み出す、こういうふうに考えております。

小林進日本社会党

○小林委員 残念ながら、非常にあなたのお話は地についておりません。  そこで、私はあと二点だけお尋ねしたい。あなたの主張に対して賛成するわけにいかないのですよ。けれども、問題を投げかけておきますから、あと二点だけ。一つは、まず公債発行に基づく事業の地方負担の増大に対してどう考えておいでになりますか。地方行政、地方財政、そうでありましょう。いわゆる減税によって地方税の収入は減ってくる。公債発行によって、地方の負担しなければならない公共事業量はふえてくる。一体あなたはこの地方財政をどのようにめんどうを見ていかれる考えであるか。御承知のとおり、もうことしから地方税の収入は減る。国税が減れば地方税は減ります。しかし、公債発行に基づく事業量はふえていく、それを三分の一とか半分、みな地方行政にしわ寄せしていくんですから、そうすれば地方財政は収入減にかかわらず事業量はふえていく、そこで、地方債でも発行して、あるいは縁故債でも発行して、その中央から押し寄せてくる事業をこなしていかなければならない。そのときに地方債と、あなたの発行されるいわゆる国債というものが中央の市場でぶつかる。私は、そういうときに、地方財政の圧迫、公債と地方債の消化の困難性、こういったことで中央と地方との格差が、またこの公債発行によってだんだん広がって、いよいよ地方財政、地方行政が破綻の寸前に追い込まれていくのじゃないかという重大問題があると思っております。この問題を一体どうお考えであるか。これが一問です。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 地方財政は、経済の不況の影響を受けまして固有の税収入が減ることは国と同様であります。その上さらにお話のように中央の土木事業などの負担を分担しなければならぬという問題があり、また中央の税収の減に伴う交付税の減少、こういう問題があるのであります。それらを総合いたしまして考えなければならない問題でありまするが、私は、中央と地方は一体である、そういう考え方に立ちまして、地方財政がそれらの事情によって失うところの財源、つまり財源の欠陥はおおよそ二千五百億円ぐらいに見積もられますが、それに対しましては、いまの日本の財政とすると、これがぎりぎりかというだけの対策はとっていきたいつもりであります。

小林進日本社会党

○小林委員 とてもそういうことでは地方財政の赤字を解消するわけにはいきません。むしろ赤字を拡大していくだけの力を持っております。この問題も一年間の経緯を見ておればわかるのでありますから、まだまだあなたの考えは甘いと思う。  最後の一問でありまするが、これは国債と金融政策の問題です。これも、あなたは日本銀行をして国債の買いオペは一年間はやらないと言うんですか。買いオペは、その中に国債を含めることは一年間はやらないとおっしゃいましたな。——お話しにならないならば、一体日本銀行はこの国債を買いオペの中に含められるのかどうか、これをひとつお聞かせを願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今度出す公債、これはオペレーションの対象にもいたしますし、また貸し出しの担保にも取るつもりでございます。しかしながらそれは原則なんです。今度発行いたします新しい国債は、この一年くらいの間はそういうようにはいたしません、こういうふうに申し上げておるわけであります。

小林進日本社会党

○小林委員 あなたたちが二つの歯どめだと言った第一の財政法第四条は、いま私とあなたの議論の中で歯どめにならないということが明らかになった。たよりにする第二番目、日本銀行の引き受けによらない、市中で消化するということも、あなたが盛んに言う買いオペの対象にお取りになるとするならば、直接日本銀行がいわゆる引き受けをしないとは言いながら、間接には日本銀行の引き受けと同じじゃないですか。そういう結果になりませんか。これも歯どめにならないという結果になるのではないかと私は思う。それでは何にもならない。実に私は残念しごくでございます。  そこで、最後の一問でありますけれども、市中消化による国債の発行を、あなたは一体どういうぐあいに具体的にこれを消化していかれるお考えなのかを承りたいのであります。もっと具体的に言いますと、都市銀行といわれる地方銀行、相互銀行、信用金庫、農林系統の金融機関、その間において、たとえて言えば、この七千三百億円の公債、そのほか政府保証債もありましょうし、いろいろありますけれども、それをどういう形でどういう比率に一体それを割り当てていかれるお考えなのか、お聞かせを願いたい。  時間もないようですから、私具体的に続けて言いますが、これは古いですけれども、三十九年八月の全金融機関の資金量を調査したものによりますと三十八兆円であります。その三十八兆円の資金量のうち都市銀行の占める割合がそのときには大体三分の一以下で十一兆円、その他の相互銀行や信用金庫、農林系統の金融機関が大体三十八兆円のうちの三分の二くらいを持っているわけなんでございますけれども、政府はそのうちの都市銀行に一体どの程度の国債を割り当てて、それ以外の相互銀行や信用金庫その他に一体どの程度の国債の割り当てをするお考えでありますか。四十年現在の資金量とあわせて割り当て量をお聞かせを願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 総預金の数字はそんなところになろうかと思います。これからどんどんふえていきますが、目下のところはその程度だと思います。ただ、今度発行いたします七千三百億円をどういうふうにするか。三百億円は資金運用部で持つ計画をしています。ですから、市中に出るのは七千億円ということになるわけです。この七千億円は、いま割り当て、割り当てというお話でありますが、割り当ては一切いたしません。これはシンジケート団の中でおれが幾ら持つというように相談をいたします。その結果きまるのでありまして、したがって、ここで幾ら持つであろうかというようなことはまだ申し上げる段階に至りません。

小林進日本社会党

○小林委員 そこで私はお聞きしたい。現在は私は知りません。知らぬけれども、昭和四十年三月現在によりますと、資金コストはみな違うのだ。都市銀行では大体年率平均が六分一厘六毛、ところが、地方銀行にいきますと七分二毛です。大臣聞いてくださいよ。それから相互銀行にいくとさらに資金コストが七分六厘九毛、信用金庫に至りますると、この資金コストが七分七厘一毛です。そうなりますると、今度国債の利回りは、あなた方が今度お出しになった七千三百億円のその利回りは、表面金利は六分五厘、けれども、発行価格は九十八円六十銭にされたから、応募者の利回りは六・七九五%になるわけです。この六分七厘九毛五糸という利回りは、確かに都市銀行の六分一厘六毛から見れば高い。高いから、都市銀行は、まあ、何といいますか、公債を引き受けてもそのコストにおいては損をしない。一応黒字になるから、公債を引き受けることもできるけれども、もはや地方銀行、相互銀行、信用金庫に至りますと、この公債の利回りがみんな下なんです。コストが下ですから、こんなものを買わせられれば買わせられるほど赤字になって損をするということになりますから、これは持つわけにいかない。こういう勘定が出てくるわけなんです。どうですか。事実面において、あなたがいま言うように、都市銀行は御承知のとおり三十八兆円、三十四兆円なら三十四兆円の中で持っている資金量というのはわずかに三分の一にすぎない。十一兆円か十二兆円にしかすぎない。そういう中に主としてこの国債が流れ込んでいくということになれば、これは今度は市中金融の大きな圧迫になるし、特殊銀行はこんな安いものをかかえたんじゃ勘定が合わないからお断わりするといって、これは、これを消化する意味においていわゆる重大な支障があるんじゃないか。言いかえれば、あなた方は、この国債だけを発行して、国債を引き受ける金融の基盤というもの、いわゆる機構というものを一つも整備をされていないということが、私はこれもまた公債政策を進める上における重大なミスじゃないかと思う。いかがでありますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 発行する国債が市中の金融機関でその大部分が持たれるであろうということはお話のとおりです。その持つところの金融機関が、金融機関の種類によりまして資金のコストが違うという点もそのとおりです。ただ、たとえば相互銀行、信用金庫、これが国債を持とうと現に言っておるのですが、それはどういうことかといいますと、やはり金融機関というものは支払い準備金というものが要るのです。現金を札で持っておる、あるいは預金をして持っておるという形もありますが、国債はそういう形で支払い準備を持つよりははるかに有利なんです。それから、やはり高い金利で貸し出しをする。これはその貸し出しの場合は高いです。高いですが、同時に危険性も伴うわけです。国債は有利、確実、これ以上の確実性を持ったものはありません。そういうようなことから自然国債に対する要望、こういうものも出てくるわけであります。おそらく出る国債の半分くらいは市中銀行、都市銀行以外のところが持ちたい、持とう、こういうふうに出てくるんじゃないか、そんな感じがいたしております。しかし、お話がありましたが、決して割り当てはいたしません。

小林進日本社会党

○小林委員 もう私はあなたの主張が非常にあいまいで、あるいは圧力を加えて特殊銀行でもその国債を持たせるならば、あるいはそれは可能かもしれませんが、すなおな形でいったのでは、私はあなたがおっしゃるようにはいかぬと思う。それは、大蔵省ですから、金融の本山ですから、またこれから圧力をお加えになるでしょうけれども、せんじ詰めれば、そういうものを持つのはいやだから、回り回って買いオペとか、あるいは何かの形で日本銀行で早くこれを借りかえしてくれという形で出てくるし、現実には日本銀行が引き受けられたと同じ形になって、私は、相当日本銀行の新しい札が国内にばらまかれて、大きなインフレの要因になることをおそれております。おそらくあなたのおっしゃるような形にはいかぬと私は思う。日本の金融市場というものは、そんなに、あなたが言われるように整備されておりませんよ。まことに基盤は弱たるものだ、そう言わざるを得ないのでありますけれども、うしろでやめろ、やめろと言っておりますからこれ以上この議論をするのはやめて、ただ一つ、これで私は終わります。  これは法律論争ではありませんが、あなたの行動において、さっきの福田音頭と同じようにあなたは重大な錯誤をしておいでになる。それは、ここへ厚生大臣も呼んできて、あなたと対面させてお話をすれば一番いいのですけれども、毎年各省が予算の折衝を大蔵省でおやりになります。厚生省は生活保護の基準を大蔵省に要求する。ことしも昨年に比較して一六%の引き上げを要求いたしました。あなたはそれを最初八%に値切った。大臣折衝においてそれを夜店のバナナのたたき売りのようにだんだん上げていって、最後は一三・五%の引き上げでおさめられた。昨年は一二%です。そうして、総合計によると、東京都などの一級地においては、五人家族で二万六十六円、いいですか、この生活保護の要求は他の予算の折衝と同じじゃないんですよ。予算の折衝じゃないのです。これは法律違反行為だ。生活保護法の第何条にありましたか、生活保護基準は厚生大臣がこれを定む——予算の折衝の材料になるものではないのです。厚生大臣これを定む、いいですか。こういうふうになっているのです。なぜかといえば、生活保護基準というものは、人間が人間として生きる最低の基準なんです。最低の基準をきめることなんです。これ以上基準を下げられたら、もはや人間として生きていけない。これは動物だ。人間が人間らしく生きる最低の基準なんだから、これは科学的に合理的に計算して、厚生大臣の責任においてこれを要求する。あなたはそれを一般の予算と同じように引っぱったり縮めたりしている。国民は豚になることもできません。鳥になることもできません。鶏になることもできません。それをあなたは自分のさいふの都合によって、豚になれ、鶏になれ、犬になれ、これで生きていけという、そういう予算の折衝をしている。これは重大な憲法違反です。生活保護法違反です。なぜそんなことをおやりになるのですか。これは間違いであると、そこで言いなさい。間違いであるなら、私はあらためて質問いたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 そういういろいろな各省の行政にわたることは、各省の長がこれをきめるというふうにみな書いてありますよ。しかし、それにもかかわらず、予算の裏づけがなければそれはきめられませんものですから、大蔵大臣に相談をする、こういうことなんで、法律上の問題は、これは別に異とするに足らないことかと思うのであります。問題はその内容でありますが、今度は一三・五%上げております。東京で言うと、いままでが標準家庭で一万八千円ぐらいのものを今度は二万円に引き上げるわけです。これは相当の改善であります。決してこれが法に違反しているとかなんとかというふうには考えません。これは相当の善政である、こういうふうに認識を持っております。

小林進日本社会党

○小林委員 私はこの問題に対してはもう時間がありませんからやめますが、いまのあなたの法律の違反行為に対しては、私は了承することができません。これは普通の法律と違うのです。そうして、これは国際的な法律なんです。国際的にも、この保護基準をきめるためには、どこの国でも先進国は全部厳格な規定を設けてやっているのです。規定のないところは別個の第三者の協議会を設けて、その答申に基づいてきめているのです。日本はそういう第三者の民主的な機関を設けないために、その責任をあげて厚生大臣にこれをまかしている。これは生活保護法の第八条です。こういうことになっているのでございまして、あなたの答弁は小りこうな答弁でありますけれども、少し勉強が足りないのです。この生活保護基準の問題は、どうぞあなたもいま少し勉強していただいて、こういう人の命を単なる大臣折衝で伸ばしたり縮めたりするような不謹慎な行動——これは国際的な慣例や先進国の情勢に照らしても、こういうばかなことをおやりにならないように、あなたの将来のために厳重な警告を発して、同僚諸君にたいへん御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわびをいたしまして、私の質問を終わることにいたします。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は、いま小林議員の質問の中にありました問題で、あとの当委員会での法案の審議に必要だと思いますので、ひとつ資料要求をお願いしたいのです。  本年度の公共事業費で、国及び地方に対する補助分とあると思うのですけれども、国の場合は、これは国だけで済みますからよろしいが、地方に関係のある公共事業費については、現在は実際の単価が、実は皆さんのほうの定めておる単価よりは高いのです。そこで、それの三分の一補助ということで出しますと、残り三分の二を地方が持った上に、その三分の一の中の単価によって埋められない部分をさらに地方が持つわけです。結局、国が公共事業費として地方へ配分したものに見合うその残りの地方の負担とその単価の、要するに補正分を合わせたものは一体幾らになるのか、本年度、四十一年度予算について、それをひとつ資料として出していただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 御要請のようにぴったりいくかどうかわかりませんが、今度は超過負担問題というのはほとんど解消するようにいたしたのです。つまり、ことしは知事会のほうで、これとこれとこれはひとつやってくれという話がありまして、その分については調整をいたしました。でありますから、その問題は大体もうこういうふうに解消いたしましたという表はちゃんとできます。それから同時に、中央の財政の組み方に伴いまして地方の負担が幾らふえるか、これもできます。ですから、両方総合してごらん願えば見当はつけていただける、こういうふうに思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 両方照合というのは、非常にわれわれ技術的にむずかしいので、要するに、ぱっと見たら、国がことしかりに五千億公共事業費を地方に配分をした、それに実際に地方が負担をするであろう額は、それに見合っては幾らになるのかということで出していただければたいへんいいのです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ですから、その両方を見れば、大体見当がつくような資料を提出いたします。

三池信自由民主党

○三池委員長 平岡忠次郎君。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 本日の私の質問は、一つは、減税問題、一つは、政府の公債政策についてこれを行ないたいと存じます。  昭和四十一年度の財政について、大蔵大臣は、公債政策の導入による財政支出の増加と、画期的な大幅減税の断行を通じて、積極的に有効需要の喚起、拡大をはかり、景気の早期回復と経済の安定成長へのすみやかなる移行を期すると同時に、社会資本の整備等、長期にわたる安定成長の基盤を培養することを基本とすると述べているのでありますが、その内容等につきまして、私どもは、以下に申し述べるように、税制についても、公債政策についても、政府のとらんとする施策に疑念を持つものであります。  初めに、減税問題についてでございますが、私は、景気対策には、歳出面よりもむしろ所得税減税を首座に置く税制を多く使うという最近の国際的な一般傾向に対して政府はもっと大きな目を見開くべきであるという立場に立って質問をいたしたいと存じます。  大蔵大臣は、四十一年度の減税は戦後最大の画期的大減税で、仁徳天皇もはだしで逃げ出すほどの御仁政だとのたもうておられるわけでありますが、現在の経済危機を突破するために、減税に需要刺激効果を期待するという観点から見ますと、減税財源の配分が妥当とほ考えられません。特に所得税の減税は、声の大きいわりには実効を伴わず、物価調整減税にすらなり得ないのではないか、私ほかように考えますが、あなたの御所見をまずただしたいと思っておるのであります。  実は最近、私は、ある若いカップルの結婚の仲立ちをいたしまして、お祝いに何をあげようかと言いましたら、私どもに対しましての個人的なお祝いもありがたいですが、実は新婚旅行は、先生も御承知のとおり、三月十日ごろ九州方面へということに予定いたしておりますが、国鉄運賃の値上がりは手痛い打撃です。三月から四月にかけては、何百組、何千組の、私たちと同様な若い青年男女の人化門出の旅行がありましょう。したがって、こいねがわくば、二月十五日ときめられるとかいわれている鉄道運賃は、せめてそのころまで押えていただければ、単なる私ども個人への祝福にとどまらず、波及度の高い社会的プレゼントとして、これ以上の喜びはありません。ぜひお願いしますと言われました。私、そのカップルの収入を知っておりますから、身につまされる思いがしたのであります。  昨日の午後、衆議院におきまして、われわれ少数野党の言論的抵抗はその限度に来て、右二人の願望に集約される国民の願望の灯の一つは、実質上消えうせんといたしておるわけでありまして、まことに胸痛む次第でございますが、国民怨嗟の物価対策の不在は、政権を担当する政府、与党の最大の罪悪であると考えないわけにはまいりません。それだけに、せっかくの大幅減税は、十全にその効果を発揮できるよう、慎重に国民経済的課題として取り組むべきであると思います。  大蔵大臣、来年度の政府の物価対策の内容は、金額的に見ましてもわずか百五十七億円でございます。抜本的な物価安定そのものに対する直接的効果といわんよりは、むしろそれに接近する一種の足がかり程度のものでありまして、政府が言っているように、新年度予算がそのまま物価安定予算とはなり得ないことは、院の内外においてたびたび指摘されておるとおりであります。物価安定の施策いまだきおりから、予想される依然たる物価上昇に対照して、今回の減税が家庭にゆとりをもたらす画期的大減税であると大蔵大臣は大まじめにお考えになっておられるのかどうか、まず御所見のほどを承りたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 減税につきましては、これをどういうふうにやっているか、内容をきめているかということにつきましては、慎重に検討したことはもちろんであります。一定の財源がありました場合に、それを歳出として使うがいいか、また減税に振り向けるがいいかという問題がまたその前にあるわけなんであります。今日の経済情勢から見ますと、どうしても企業に遊びがある、その遊びを解消するための施策が必要である、こういうふうなことが経済政策のかじのとり方になってくるわけなんでありまするが、そういう角度から考えますときに、やはり公共事業等に一定の財源を使用するということが、私の考えとしては、直接的にただいまの経済のそういう要請に応ずるゆえんである。公共事業に一使った場合に、これがどういうふうに影響するかということにつきましては、いろいろの見方があります。まあ、二・五に働くとか、二・七に働くとか、いろいろ見方でありますが、しかし、これが一でとどまらないということだけは事実であります。そういうようなことを考えますときに、まず歳出のほうに使うことが有効である。それじゃ減税は一切しないかというと、そういうわけにはいかない。やはり、お話のように、物価のことも考えなければいかぬ、また蓄積ということも考えなければいかぬ。そういうような意味合いにおきまして、これから御審議願うような税制改正案になったわけでございますが、特にその中で所得税並びに物品税、これは景気対策として直接的な働きをすると思います。それから相続税とか、あるいは企業課税、これまた別の働きを持つだろう、相続税は個人の資産形成というような働きになる、また企業減税のほうは、これはこの機会に企業の体質を強化するという上において働きを持つだろう、こういうふうに思うわけであります。まあ、そういうようなことも考えて公共事業費に重点は置きましたが、かたがた大幅な減税を行なう、こういう考え方をとった次第であります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 公共事業のことはおきましょう。これはあなたのおっしゃる点もあるわけですから。  私は、所得減税と企業減税とのかね合いに対しまして、あなた方は惰性的にものを考えているということを、これから逐次明らかにしていきたいと思うのであります。  それから、現実にあなたは家庭にゆとりをもたらす大幅減税だと言うていますけれども、そうはなりません。本年一月一日からすでに米の値段が八・六%、同じく十日から私鉄が二〇%、地下鉄が二六・二%上がっておりますことは御承知のとおりであります。今二月に入ると、都の水道料金が三五・四%——これは地方だから知らないというわけにはいきません、都民はやはり国民ですから。そういう意味で、都の水道料金が三五・四%、同じく国鉄運賃につきましては、近く貨物が一二・三%、旅客が三一・二%値上げとなる。そのほか、国民健康保険の本人負担分は倍増し、郵便料金の三〇%ないし五〇%の引き上げ等、いずれも生活費にびしびしはね返ってくるものがメジロ押しに並んでおるわけであります。家計をやりくりする奥さん方の背後で、物価の騰勢は依然として純化しそうもないのであります。この値上がりに国民はいまやむしろノイローゼの状態であると私は考えております。それなのに、主婦の嘆きをよそに、大蔵大臣は、ゆとりのある家計が今回の大幅減税から生まれるから大丈夫だと胸をたたいておられます。とんでもない仁徳さまであると私は思います。  試みに具体的な例をあげてみましょう。サラリーマンで年収百万円の標準世帯の場合におきまして、この世帯主が四十一年分として納める税金は、今度の改正によって、現在の四万九千二百十五円から三万七千九百十円に減額されるが、これは月にして九百四十二円、何と一日分にしてピース一個分にも満たない三十一円の減税額であります。これが平年度化されてやっと四十一円、文字どおりピース一個分であります。はたしてこれで福田大蔵大臣、ゆとりのある家計が生まれるでありましょうか。仁徳さまの御所見をじっくりもう一度承りたいと存じます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 いま物価がこう上がっていくということは非常に残念なことで、これはとにかく六年以来、惰性といいますか、そういうことで、なかなかこれが解決困難だ、しかし非常に残念なことと思います。しかし、減税が意味がないかというと、これは大いに意味があると私は思います。もしこれをやらなかったら一体どうなるかということを考えていただきたいと思うのであります。今回の減税は、いまお話のように、史上最大の規模である。いま国鉄運賃のお話だとか、いろいろありますが、これとても、国鉄の会計の要請、またその背後にある国鉄の任務を遂行するという要請、そういうものを考えますと、これはやむを得ないことだ。これは減税とまた別なんです。減税のほうは、またそれと別個に、私がかねて言っておりますように、国民にもまた企業にも蓄積を持っていただくようにいたしたいという意図から出ておるのでありまして、これを国鉄の問題と一緒に差し引きずるというやり方は私はどうかと思うのです。一つの考え方かと思いますが、これは、私は別個の問題として区別して考えるべきものである、そういうふうに存じております。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 福田さんは財政の最高の衝に当たられておるので、評論家的な言動はまことに迷惑に存じます。しかし、いまあなたのおっしゃったことに対しまして、逐次私の論旨を進め、先ほど一番先に申しました所得減税を首座に置く税制というものを、各国が景気刺激政策とか、そういう点につきまして非常に多く用いている最近の傾向において、政府はその傾向をもっと目を開いて見るべきだという私の論旨を逐次明らかにしていきたいと思うのであります。  そこでお尋ねしたいのは、今回の減税の財源配分において、国民の泣訴する所得税減税をして一片の物価調整減税に堕せしめた第一の元凶は企業減税の所得減税への食い込みであると思うが、政府はどう考えておられるか。順序として主税局長にお伺いしたいのであります。初年度における国税の減税規模のうちの所得減税額と企業減税額とをお示し願いたい。

塩崎潤大蔵事務官(主税局長)

○塩崎政府委員 所得減税、企業減税の範囲について種々の解釈がございますが、通常の考え方に従いまして、所得減税額は千二百八十九億円でございまして、企業減税額は四百三十一億円でございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 それでは、平年度の国税減税総額のうちの所得税減税額と企業減税額をそれぞれ示されたいのであります。

塩崎潤大蔵事務官(主税局長)

○塩崎政府委員 いまと同じような比例によりまして、所得減税は千五百五億円、企業減税は千七十七億円となります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 主税局長のお答えによりますと、所得減税と企業減税の比は、初年度では千二百八十九億円対四百三十一億円ですから、おおむね三対一です。三対一で所得税減税の優先度が強いように見受けられますが、平年度化しますと、とたんに所得減税が千五百五億円に対して企業減税は千七十七億円、したがって、その比は三対二となってしまうわけであります。すなわち、それだけでも所得税減税第一主義たるべしという世論に政府はかなり強い抵抗を示しているということがわかります。租税負担の軽減がひとり所得減税のみにとどまるばかりでなしに、企業減税にも及ぶべきことを一応認めるにいたしましても、はたしてしからば、これで政府が期待しているように景気の浮揚力がつくでありましょうか。私は、日本経済の危機の実態は、過剰施設による過剰生産と考えるべきであるという考え方に立っておりますので、政策としてこの上施設の増強を刺激することは当たらないと思うのであります。このようにしまして、企業減税による利益の増加も、波及効果の高い投資に向かうべくもない現状におきましては、いたずらに内部留保や借入金の返済に充てられるだけでありまして、政府が来年度の減税に期待している需要喚起とは無縁のものとならざるを得ないと思うのであります。やらずもがなの企業減税が、国民経済的視点から最重要とされる所得税減税の財源を食ってしまっているのではないかというのが私の疑問であります。この点につきまして、大臣の御所見を承りたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 企業減税と申しましても、中小企業減税がその中に非常に多いということは、平岡委員も御承知のとおりであります。今回の不況は非常に期間が長い。大企業のほうは抵抗力がそれなりにあるかもしれませんけれども、基礎の小さい中小企業はもう非常に困窮しておると思うのです。そういうようなことを考えますときに、中小企業に特別の配意をしないというわけにはいかない。これがいま主税局長から言った数字の中に入っておるわけなのです。そのことをひとつお考え願いたいのであります。  それから、その他の企業減税の景気的効果という点からいいますると、いわゆる需要喚起の面では、私は、所得税やあるいは物品税の減税とは違って、非常にその効果というものは少ないと思います。しかし、それにもかかわらず企業減税が必要でないかというと、そうじゃない。いま、大企業にいたしましても、ここでひとつ立ち上がらなければならぬ、しかもその基礎を固めなければいかぬ。その基礎を固め、立ち上がること自体がまた所得を生む根源になるわけであります。平岡さんの話をずっと聞いておると、何か……。(平岡委員「あとまで聞いてください」と呼ぶ)じゃ、その辺でやめておきましょう。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 大蔵大臣はいまいろいろなことを申されましたが、私は、政府が減税に需要喚起の効果を期待するのであれば、現在の経済情勢のもとであまり効果のない企業減税をやるよりも、その分をもっと所租税のほうに回すべきではなかったかという所論を引き下げるつもりはないのであります。  この際、もっと言いたいことを言わしていただきますと、税制はそれ自身権力の接点、権力の争点であります。むしろそれ自身権力の具体的表現でありますから、支配階級偏向の税制となっていても、現在の自民党政府のもとでは残念ながらわれわれの力の外にあるという認識に立っております。私はこの実情認識から議論をスタートしていきたいと思っております。  大蔵大臣、現在の国債飛行を軸とする政策転換は、その行きつくところ支配階層すらも道連れとする将棋倒しの危険を内蔵いたしているものでありまして、この将棋倒しを免れるためには、階級的——階級的というのは、自民党にとっての階級的の意味ですが、階級的小乗的視点から大乗的な国民経済的視野にあなた方自身が立ち戻る必要がある。そして木を見て森を見ざるの弊に落ち込んでいる大企業偏向の一群の租税特別指貫を、いまこそみずからかなぐり捨てるの勇断を持つべきであると私は思います。  御承知のとおり、四十年度における租税特別措置による国の減収額、すなわち減税額は二千百十七億円の巨額でありますが、うち、おそらく八割強相当額は大企業にかかわるところの高額所得層に対する減税をも含めて、広義の意味での大企業偏向減税であります。四十一年度もこの傾向にさしたる相違のあるはずはございません。しかりとすれば、先ほど述べた四十一年度の所得減税対企業減税の千五百五億円対千七十七億円の比率三対二の所得減税の優先性は逆転いたしまして、実情は企業減税三、所得減税二となり、所得税減税第一主義を重しとすべき日本経済の客観的要請に対して政府の施策は誤りをおかしていることを指摘、強調しなければならぬのであります。これは議論になりますから、この程度にとどめておきましょうか。もっとやってもいいですが、どうお考えでしょうか、一応お答えをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 全く見解の相違というほかないので、私どもは、景気を回復する、そして日本の経済の成長を実現する、こういうことから言うと、所得税減税だ、あるいは物品税の減税だ、これはそういう考え方の上において意味はあります。ありますが、やはり税を軽減するという考え方のほかに、所得をみんなしてふやそうじゃないかという考え方を取り入れていきたいわけです。つまり、まず所得の根源を飼育しよう、こういう考え方が長期的に出てこないと、私は、日本の経済というものは発展していかない、分配のみに急にして、分配さるべきその根源を養うということを忘れてはならない、そういうふうに思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 抽象的議論じゃないのですよ。これから危機突破をしなければならぬのでしょう。漫画家が絵をかいて非常によく似ているというのは、その焦点をよくつかまえているからなのです。私は、現在の日本の経済危機の根本的、中核的な原因は過剰生産にあると思っておる。それは、池田さんの高度経済成長政策が三十五年から始まった。私は本会議でもあなたに質問したのですけれども、その当時の資本金等十億円以上の製造業だけに限りまして損益分岐点の計算をしたら、四兆九千億何がし、おおよそ五兆円と出たわけです。ところが、現在ではどのくらいになるかというと、私の推算ですが、そうした中核的企業の総合計におけるところの損益分岐点の額が十兆円になっておる。それだけ底上げされておるわけです。そうでしょう。そこで、それはどうしてそうなったかというと、政府の指導した所得倍増計画に対してすら、池田治世のもとにおいては八兆二千億円もよけいな増加施設となったわけでありまして、そのことがいまのような企業の損益分岐点の底上げを非常に急上昇さした。そこで供給力に対して需要が伴わないわけです。しかし、そこであの損益分岐点というものがある限りにおきましては、企業はそこまではどうしても生産しなければならぬのですよ。十二兆円くらいの需要があるときに、企業が十二兆円として動いているときに、市況が悪くなったから操業短縮、あうんの呼吸でカルテルが値段をつり上げるために、十二兆円の生産を十一兆円に下げるという限りにおいては、これは操業短縮なのですね。しかし、十兆円というのは分岐点なのですから、それより落ちれば企業採算は成り立ちませんから、十兆円以上の——十兆円を底としての生産をやっていく、そこにすわって、需要をどうしようかということで、需要のほうが動いてこなければ需要造出の努力をする。その一つが、いわゆる企業間信用の増大なのです。要するに、自動車会社がいままで現金で売っておった。ところが、ある損益分岐点以上の生産をしなければならぬから、今度は掛けで売るわけだ。月賦販売で二十カ月、そういうことですね。その反面に、ついでだから言いますと、今度は自動車の下請企業のほうに対しては、それをカバーするために、二百十日の手形を出したり、あるいはお産手形を出すというような、そういう無理がきておるわけです。要するに、現在日銀の発券限度額が二兆一千五百億円であるにかかわらず企業間信用が十倍の三十兆円になった理由はそこにあるわけなのです。要するに、借金の上にずっとやっておって、そこで需給のバランスを上げるためにもつなぎとめる。そうでしょう。ですから、施設を充実する企業減税は要らないのです。その施設を動かし得るように——いまセメントなんか五〇%ぐらいしか動いていないですからね、それが七〇%、八〇%、できるならば一〇〇%動くように、そういう施策をいま政府はとらなければならぬ。要するに需要喚起が必要なんだ。だから、所得減税とか、そういうものが首座に立たなければいかぬという私の議論です。だから、抽象的に、企業も必要なんだとか、企業も国民も豊かになるようにということをおっしゃっていますけれども、その豊かさかげんは、さっきの百万円の標準家族の世帯の例についてみれば、一日ピース一個ですよ。それで豊かな家計とか需要喚起ができますか。アメリカでニューディールをやったとき、たとえばフォードが自分の会社でつくる自動車を従業員に買えるだけの給料を払った程度の、そういうニューディール方式的なものが考えられなければならぬと思うのです。ですから、あなたが、企業も必要だとか所得税減税も必要だとか、裁判官のような立場に立つことは間違いです。そこで、先ほど塩崎さんから資料をちょうだいして、初年度では三対一で所得税減税が優位に立っているようですけれども、平年度化した場合に三対二となる、さらに租税特別措置によるところの国家の減収額、つまり減税額約二千百十七億円、これは四十年度のものでございますけれども、その中における大企業関連の高額所得者に対する減税と合わせての、なべて広い意味における企業減税それ自体というものは二千百十七億円のうちの八五%ぐらいになっているのです。そのことをあわせ考えますれば、四十一年度における大体の見込み的な計算ではございますけれども、企業減税のほうが三になって所得減税が二になっている。だからそれは、いま日本の置かれた、需要喚起をしなければ景気が回復せぬという事態においては、客観的な要請に対しては逆な方式を政府がとっているというのが私の議論なんです。そういうことを申し上げているわけですが、これは議論で、質問から離れますので先に進めたいと思います。  委員長、委員会同士の約束で、予算委員会のほうに大蔵大臣は行かなければならぬということで、これはわれわれとして守らなければならぬと思います。そこで、きょうはこの程度にとどめまして、次会に私は再び質問を続行したいと思います。

三池信自由民主党

○三池委員長 次会は、明後二十五日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十七分散会

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