商工委員会 第40号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/06/07
会議録
○天野委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。石野久男君。
○石野委員 私はきょう北朝鮮からの技術者の入国問題についてお尋ねしたいのですが、三木通産大臣にお尋ねする前に、官房長官に時間の関係があるそうですから先にお尋ねをいたします。 長官は四月二十七日の記者会見のときに、技術者の入国問題についてはケース・バイ・ケースの形で認めるという発言をなさっておるわけです。その後やはりそういう方針は変わっていないのですか。
○橋本政府委員 お答えの一部でありますが、前提として佐藤総理が広い意味でこういう問題をどう考えておるかということを申し上げておきたいと思います。 これは国会の施政方針あるいは国会を通じて佐藤総理は常にいかなる国とも親善関係、親しくしていきたい、仲よくしていきたいということばを使っております。これは、いわゆる日本の国自身が置かれた憲法上の地位並びに世界的な立場における日本の地位、そういう基本的な原則から考えて、総理が言われておることは日本の一つの国是であろうと思うのです。そういう前提のもとに考えて、したがって未承認国といえどもケース・バイ・ケースで前向きにこれを処理していきたいということは、佐藤総理が世界平和を念願し、世界の政局の安定を願うがゆえにさような基本的な方針をとっておるわけであります。 そこで、いま石野さんからの御質問である北朝鮮問題ですが、御承知のように佐藤総理は基本方針としてさように考えておりますけれども、国際情勢というものはまた複雑であることは御承知のとおり、いわゆる一民族が二つに分かれたりあるいは種々なる条件で種々なる国際条件が生まれてきております。さようなもとにありますからして、総理の基本方針として世界の平和を念願し、いかなる国ともいわゆる親善関係にありたい、仲よくしていきたいという一つの考え方が、ある意味においてはこれを実現するためにはジグザグのコースをとるといいますか制約をされる場合もあり得る。北朝鮮の場合でありますが、これも総理が国会を通じて皆さんにお話し申しておりますように、未承認国でありますからして、いわゆる旅券法によるところの正規の手続はできません。したがって、いわゆるケース・バイ・ケースでこれを考えていきたい、かように総理もまた関係委員会において答弁をいたしておるわけであります。 この北朝鮮の技術者の入国問題も、そういう観点から私は従来の方針と変わりはない、さように考えて処理をいたしてまいりたいと考えておりますが、いま申したように国際情勢等のこともありますので、これをいつ何どきどうするかというような具体的な御質問があれば、それについてはまだお答えする事態ではない、かように御了解を願いたいのであります。
○石野委員 従来の方針に変わりはないという長官の御答弁ですが、昨日決算委員会で総理が同僚中村委員に対する答弁をなさっているのです。速記録を正確に見ておりませんのでわかりませんが、総理が昨日中村委員に答弁した真意はどういうところにあったのか、その点をひとつ御説明願いたい。
○橋本政府委員 ちょうど私、当委員会に出席をいたしておりませんし、他の用事で総理とそのことについての話も聞いておりませんので、速記録を見てからまた答弁する必要があれば、その際に答弁いたします。
○石野委員 私は新聞あるいはテレビで——正確には見ていないのですが、日韓両国の国交関係がこの技術者の入国によって何か冷たくなっては困るから冷たくならないように、そういう立場で処置したいというような御答弁があったと聞いておるのであります。日韓両国の国交関係が冷たくならないようにという意味が、これはきわめて微妙でございますが、どういう意味かわからない。そういう点について総理との間にどういうように官房長官は意思の統一をしておりますか。
○橋本政府委員 先ほどちょっと触れましたが、基本方針には変わりはないが、現在の国際情勢は複雑なものがある、そういう観点から一応の制約を受けざるを得ない、しかし、政府としては総理の基本方針であるいかなる国とも仲よくしていきたい、かような観点に立って十分なるいろいろの意味での理解のもとに立ってこれを処理していきたい、かように考えておるわけであります。
○石野委員 長官は、韓国の金大使と、あるいはまた張副総理が日本に来られた場合も総理がお会いになった、そういうときにも立ち会っておられると思いますが、四月二十七日に長官の記者会見があって以後、韓国側の動きというものは、この問題について非常に積極的に政府に対する話しかけが出てきておるように聞き及んでおります。また韓国のいろいろな新聞がそのことを伝えておるわけです。その間の事情は、金大使あるいはまた張副総理あるいは丁一権首相がこっちへ来ましたときに話されたのはどういう事情であったか、この際一応事情をお話ししてもらいたい。
○橋本政府委員 金大使が私のところに参られましたことにつきましては、これは渉外事項でありますから、詳しくは具体的には申し上げることを遠慮いたします。ただおっしゃるように、金大使が、いわゆる北鮮の技術者を日本にもし入れることによって受ける韓国の情勢等については御報告がありましたが、それに対して私は特にコメントをしておらない。要するに、ただ金大使の説明を聞いておくということにとどめておったわけであります。 なお、丁首相と総理が会いましたのは、御承知のように台湾における蒋総統の就任式に参列をいたしました帰りに、丁首相はわずか十五分か二十分の時間だけ表敬の意味で官邸に立ち寄られたわけであります。その寄られましたときの話の中では、この問題には一切触れておりません。両者ともにこれには触れておりません。蒋総統の就任式の状況についていわゆる懇談あるいは雑談というか、歓談があった、かように御了解を願いたいと思います。
○石野委員 丁首相がこちらに立ち寄ったときにはその問題には触れていないが、金大使あるいは張副総理が日本に来たときには、その問題は相当きびしく日本に対して要請があったと聞き及んでおる。いま長官は、要請があったけれども、それは外交事項だからあまりこまかくは言えないという話であったけれども、その内容の中には、もし日本が北朝鮮の技術者の入国を決定するというようなことがあるとするならば、韓国政府としては日本の在韓商社に対して報復手段をとるだろう、こういうようなことまで言ったといわれておるのですが、そういう事実はありますか。
○橋本政府委員 丁総理からの親書のお話のようでありますが、親書はありましたが、その内容についてはここで申し上げることができません。かつまた、さような意味でのものはもちろん親書の中には含まれておるとは私は考えておりませんが、どういうような内容であったかということを申し上げる自由を持っておりませんので、御了承願いたい。
○石野委員 総理が副総理と会ったのが五月十六日だと思いますが、そのとき約一時間くらい会った内容は、十七日の「東亜日報」によると、技術者の入国は事情を十分検討して慎重に考慮するということが一つ。それから中国と同様の政経分離の原則は適用しない。それから三つ目には、借款または延べ払いでの承認はしないのだという約束をした、こういうふうに「東亜日報」は伝えておるのですが、そういう事実はありますか。
○橋本政府委員 それはだれとの間の話でしょうか。
○石野委員 それは張副総理との間の話です。
○橋本政府委員 張副総理と佐藤総理が会いましたが、張副総理は日韓の貿易会談のために参っておりまして、表敬の意味で、それも二十分ないし三十分程度の短時間会ったわけであります。その間にいろいろの話が歓談的には出ましたけれども、さような具体的な事項は私の出席しておる範囲内においては聞いておらない。またさような新聞記事が正しいかどうか、私はここでコメントする必要もないと思います。
○石野委員 韓国の新聞はそういうことを非常に大きく報じておるわけです。長官はコメントしてないんだということですが、この報道はただ「東亜日報」だけじゃなしに、「京郷新聞」とかその他の新聞がほとんどみなそういう報道をしております。おそらくそういうようなことがあったのじゃなかろうか、こういうように考えておりますが、この中でいう、中国と同様の政経分離の原則は適用しないがということとケース・バイ・ケースでやるという問題との違い、これはどういうふうな違いがあるのですか。政経分離の原則は適用しないが、ケース・バイ・ケースでやるのだということは、基本的にはどういうところが違うのか。
○橋本政府委員 いまの張副総理との間にそういう話があったかどうかは、ここで申し上げることもできませんし、具体的にはさように私は承知いたしておりませんが、一般論のお話として、石野さんのおっしゃるような政経分離とケース・バイ・ケースはどういう違いがあるのか。これについては、御承知のように、中共との間にLT貿易のことも実際に行なわれておるわけであります。かつまた、日本は中共に対しては、従来貿易関係は公式的にいわゆる政経分離でいく、したがって民間貿易の促進は当然これをはかる、こういうたてまえを言っております。北朝鮮との問題については、従来政府は、さような問題につきましてもケース・バイ・ケースでこれをきめる、こう言っておりますのは、もちろんいろいろな政治的な関係をも考慮いたしますと同時に、一がいに未承認国といいましても、あるいは北朝鮮の場合、中共の場合、その他の未承認国の場合ありますが、いろいろの事情が、実際上の状態が、政治的環境を異にしておる場合が相当あります。さような意味で政経分離というたてまえ——もちろんこれはいろいろの議論がありましょう、政経分離ということが実際上行なわれておるかどうかという議論がありましょうが、一応政府はそういうたてまえで中共には対処いたしておりますが、北朝鮮の場合にはいわゆる政経分離で貿易を積極的に推進するんだという考えは目下のところは持っておらない。ただし、いろんな事情から見て、それが日本の国家の、あるいは国民の利益に合致するものであるならば、これはケース・バイ・ケースで考えよう。しかしながら、それがいろいろ広い意味での日本の国民及び国家に対して必ずしも有益でないと考えるものはケース・バイ・ケースでこれを断わることもあり得る、かように考えておるわけでありまして、理論的な、あるいは一種の法律的な考え方としてどうあるべきかということになれば、なかなかむずかしいし、一がいにはお答えができない状態でありますので、その点は石野さんも十分に御理解が願えておると思っております。
○石野委員 ケース・バイ・ケースの場合と政経分離の場合との違いは理論的にはどうであるかということについては、あとで政府の側でもひとつはっきりしてもらいたいと思う。 ただいま長官が言われたように、国家の利益とならぬような場合には、これは断わるとおっしゃられた。利益になるような場合は、これはケース・バイ・ケースで進める。そこで問題になる東工物産から出ておりまするこのアクリル繊維の貿易問題について——この契約の問題はすでに二年有余、三年以上にも仮契約してからなってきております。この二、三日前に向こうからの入国する人名がはっきりしたので、東工物産のほうでは代理申請の形で四名の方の入国申請をしております。この四名の方々が日本に入国する場合、それがわが国の国家の利益にならぬというような判断を政府が持っておるかどうか、そしてその国家の利益にならないという判断をする根拠はどこにあるか、その点をひとつ官房長官にはっきり聞かしておいてもらいたい。
○橋本政府委員 これは先ほども前提として申し上げておりますが、日本の国家及び国民の利益というものは、ある部分と日本の国民と国家とを関連して考えるべきではなくして、国際関係というものは複雑なることを申し上げましたが、やはりこれは国際関係での間において考えなければならぬ。ただ、ここで取引をすれば幾らかもうけがあるだろう、こういうことだけではものは考えられない。そこに未承認国の場合には種々の問題が介在しておる。ただ、具体的な問題については、私が答えるよりも所管大臣である通産大臣、または法務大臣が答えるのが至当と思いますので、この点には触れることを遠慮いたします。
○石野委員 官房長官が所管大臣でないからということで答弁をあるいは三木大臣、あるいは法務大臣のほうへ持っていくこと、これは私はよくわかりますが、ただ問題は、内閣官房長官としてこれらの問題について、特に総理が昨日決算委員会で答弁をしておられる。この場合でも北朝鮮からの技術者の入国問題について、私ども、これは断わるのか、あるいはまだそれがはっきり断わるとはきまっていないのかについて、それを読み取るのになかなか困難を来たしておるような実情にありまして、事実上長官の話を復唱すると、国の利益にならないと思えばケース・バイ・ケースで断わるんだ、こういう結論が出てくるわけです。この場合、そういうような結論がいま内閣または政府に出ているのかどうかという問題を、これはやはり所管大臣というよりも、むしろ官房長官に一応所見を聞いておきたい、こう思っておるわけです。そういう意味で長官のひとつ所見を聞いておきたい。
○橋本政府委員 いまの石野さんのお話の東工物産の調査のための技術者の入国申請が正式に出たのかどうかまだ私知りません。何か新聞によりますれば、きのうかおととい出たように聞いておりますが、関係事務官に聞きますと自分らも承知しておらないということですが、出たといたしましてもきのうかおとといだろうと思います。書類が出ますれば、先ほど申しましたような諸般の事情を十分に考慮して検討をする、こういうことであります。ただ、先ほど最初の段階で申しましたことは、かなり私は意義があると思うのですが、総理が世界平和を念願しておるということは、ある国とは仲がいいがある国とは仲が悪い、こういう状態をつくることじゃないのであります。したがってできるだけどんな国とも仲よくしていきたい、こういう考え方を持っておりましても、国際環境の間でそれらがそのとおりには通用しない場合があり得ることは、これはもう石野さん十分御承知のとおりであります。けれども、日本の国是としては、やはり世界平和を念願し、特に極東の安全と平和を念願する日本としては、どんな国とも仲よい状態をつくっていくということが外交の最大の方針であり国是でなければならぬ。そのためにいろいろの苦労があるわけであります。そう簡単にこれを処理することはできないことは石野さんのよく御承知のとおり。そういう苦労をいわゆる総理及び閣僚各位は常に念頭に置いてこれを処理をしていきたい、こうであるから簡単に断わってしまう、こうであるからやらない、かような簡単な筋合いのものではないので、非常に総理も、及び関係各大臣も、そういう大きな念願のもとに努力をしまた検討をしておる、かように御理解願えれば十分にこれは御承知置きを願えるであろうと思います。
○石野委員 長官は御承知置き願えるだろうと言われるが、何を言っておるか私わからないのです。長官だけわかっておられるがこっちにはちっともわからない。世界平和を念願するためにいずれの国とも仲よくする、けんかするようなことをしたくない、しかし国際情勢の変化によってそれらのことが通用しない場合もあるんだ、北の朝鮮の場合、特に貿易問題で技術者を入れるということが、実際問題として国と国との関係でどこかで非常に不利な状態をもたらすような事情が出てくるのかどうか。特に南朝鮮の場合、このことをやりますと、たとえば入国をさせるということを実現すると、それはいまの日韓条約の基本的な精神に相反するのかどうか、こういうわれわれは疑義を持ちますが、そういうたてまえから政府がこの問題にこだわっているのはどうかというような疑問を持つのですが、政府はやはりこの問題、何か入国許可をすると日韓条約の基本方針にもとるとでも考えておるのでございますか。
○橋本政府委員 この点については、当時日韓条約を審議する際に、総理及び外務大臣から北朝鮮の地域に対しては白紙である、かように答弁をいたしております。したがって、これを黒とも黄色とも考えておらない。白紙の状態でありますからして、これからどういう字を書いていくかというのがやはりいまの努力の最中である。そういう点をひとつ考えられて、皆さん方響においても十分意のあるところはくみ取ることができるであろう。白紙であるからどういう字を書くか、その字は国際平和である、こういうことを申し上げておるのであります。
○石野委員 白地に字を書く場合に、書く字は国際平和だ、こういう長官の答弁なんです。国際平和の問題と技術者の入国の問題との関係は、それじゃここではどういうふうに判定するかということの問題になると思うのです。その問題について、入国問題は国際平和を乱す、こういうふうにそれじゃ考えておるのかどうか、この点ひとつ長官に聞かしてもらいたい。
○橋本政府委員 どうも石野さんの話と私の話とは食い違う。私のほうはちょっと次元が高過ぎて石野さんのほうはあまりに具体的な問題に触れ過ぎるのじゃないかと思うのです。やはり国際関係というものは、いま一つの問題を取り上げて、たとえば過去の例、これが適当かどうかわかりませんけれども、やはり、はり・きゅうの大先生だという金先生という人を入れることを私は希望したが、向こうから断わってきました。やはりその間にはいろいろな、そう簡単に一と一を足して二を出すという方式ばかりじゃない。私のほうから一を出しましても向こうのほうでゼロを出す場合がある。これが複雑な国際関係であろうと思う。でありますから、その人を入れることがどういう国際関係に、あるいは日本の利益に反するのかということを突き詰めて聞かれましても、それを今度は広げて私のほうでこういう場合であると言うことは、もちろんこれは答える限りではない。ただ、やはり狭く言えば日本をめぐる付近の国々及び民族の関係においても、広く言えば世界関係においても複雑であることは十分御承知のとおりであります。さような観点に立って政府は慎重にこれに対処する。もちろんその前提としては、できるだけいわゆる極東の安全平和と国際平和を念願してのたてまえでもってやっていきたいというその苦衷のほどを御理解願いたい、かように申し上げておきます。
○石野委員 長官の発言が非常に次元が高過ぎて私との間に食い違いが出ている——私はやはり政治というのは現実だと思っておる。問題は、次元の高い一つの理想なり理念なりに基づいて現実をどういうふうにこなすかということだと思うのです。ここで出ておるのは、貿易を進めるにあたって、技術者を入れるか入れないかという問題にかかっている。先ほど長官は、数日前に法務省に出しました入国申請の問題について、まだ正確に見ていないからということでことばを濁されましたが、私がここでお聞きしておきたいのは、この入国申請の問題は先月私と山本幸一君、それから横山君とが椎名外務大臣に会って、その席上、名簿は受け付ける、前向きで受け付けるという答弁をもらっておるわけです。そういう方向でこの申請書の処理はされるものと私は思っておりますが、これらの問題についていま内閣としては、大体椎名外務大臣が言っているような方向で処理されるものとわれわれは理解しておるのですが、いま何かその間で別な、先ほどから再三官房長官が言っておる国際的な関係での複雑な問題というものが伏在しておるのかどうかということを、ひとつここで簡単でいいですから聞かせてもらいたい。
○橋本政府委員 私が申し上げましたのは、原則論、一般論を申し上げたのでありますから、その点では御理解できると思いますが、椎名外務大臣から皆さんにそういうお話があったとすれば、彼は国務大臣でありますから、私はまだ単なる政府委員であって、一応国務大臣である椎名君が考えてさように事を処理しておるというのであれば、いわゆるまたその次元においてあるいは通産大臣ともお話があるであろうし、あるいは法務大臣ともお話があるであろうと思います。まだ私のところではさようなことについての話は正式には承っておらない、かように申し上げます。
○石野委員 これは所管の通産とか法務の関係になるから、官房長官としては直接のなにじゃないとは思いますけれども、しかし総理大臣がこの問題について一つの方針を出し、それから官房長官が先ほど来、世界平和を念願する総理の考え方はこうであるということで、いわゆるケース・バイ・ケースの取り扱いをするんだという方針を明確にされたわけです。その方針に基づいての処理が当然行なわれるべきだと思います。先ほどはり・きゅうの問題について金博士の入国の問題について官房長官から話がありましたが、またそのときの条件や何かがあってこれは向こうで断わってきたんだと思います。この際技術者の入国問題については官房長官としてはできるだけこれは側面的に貿易が実績があがり、また仮契約をむだにしないような方向で努力するということをはっきりしてもらうことが私は大事である、こう思っておるのです。そういう意図があるかどうか、この際最後に一つ聞いておきたい。
○橋本政府委員 関係省、関係大臣においてこれらが内閣にあげられる場合は、慎重に検討いたしたいと思いますが、原則としてはかような問題は所管大臣の間で処理される性質のものであろう、かように考えております。
○石野委員 もう一つ私は聞いておきたいのですが、在日朝鮮人の帰国といいますか、往来問題です。昨年の暮れに官房長官などの非常に大きなお骨折りで二人の在日朝鮮人が祖国へ帰り、ことし初めにまた日本へ帰ってまいりました。この問題はその後何人かの申請がありますが、事実はやはりそのままでとぎれた形である。私は一度こう開いた道を無理にとめる理由がないんじゃないか、こう思っておるのです。官房長官は、こういうふうにせっかく二十年も祖国へ帰れなかった在日朝鮮人の諸君の、墓参なりその他いろいろな帰郷の問題について人道上の立場からやはり当然これは認めてやるべきだと思っておるのですよ。こういうことを認めることもやはり何か韓国との間に問題があったり何かするのでとめているのかどうか。あとあと続いております入国、往来を念願しておる在日朝鮮人の諸君に対して、官房長官はどういう御意図を持っておられるか、また先に行った方々に続く者の処置を、私どもとの話し合いで官房長官は何べんも、近いうちにやるということを言っているのですが、そういう考え方はなくしてしまったのかどうか、この際御意見を聞かしていただきたい。
○橋本政府委員 これはこの前石野さんその他のごあっせんで、二人の老人を人道上の問題からこれは帰国を認めましたが、いわゆる北朝鮮人の自由往来、これは政府としては認めておりません。ただし人道的な立場からケース・バイ・ケースでこれを考えていきたいという方針には変わりはない、この点は御了承いただきたい。
○石野委員 これは未承認国であるから自由往来の問題は認めてないけれども、人道上の立場ですでにこの帰国問題などはもう長い歴史に立って赤十字を通じた問題としてやっております。今度の往来の問題はケース・バイ・ケースで、しかも墓参などのことについてはこれは認めるという考え方を今度とったわけですから、これはやはりその方針をできるだけとだえてしまわないようにしていただきたい。これは特に官房長官のお骨折りが非常に大事だと思いますので、この点についてはいま一度私は長官にひとつ希望を申し上げておきます。長官からもう一度お答えを……。
○橋本政府委員 人道上の問題として前向きに処理していきたいという考え方には変わりはありません。ただその場合もひとつそういうことが阻害されないような周囲の条件ができることを、私としてはまた石野さんに希望いたしておきます。
○石野委員 もう一つ私は長官に聞いておきたいのですが、時間がないようですから簡単でよろしゅうございます。 長官が四月二十七日に記者会見をして以後、韓国の大使が中心になりまして、韓国との間にたびたび行ったり来たりしていますが、そういう形の中で、実は北の朝鮮と取引をしておりました他の商社に対するいろいろな新しい事態が出てきたわけです。特に韓国大使が直接電話などで商社に対して、取引をしたら報復手段をやるぞというようなことがしばしば各所に行なわれている。それだけではなしに、たとえば足立日商会頭とかあるいはまた植村経団連副会長だとか、そういう財界の要人に対して、あるいは招致したり会談をしたりすることによって、それを強要しておるという事実があります。こういうことは、韓国の在日大使の外交上の任務といいますかそれを越えた越権行為であり、内政干渉だ、私はこういうように思います。わが国が自主的な立場で諸外国との間の友好関係を結んでいくときに、韓国の大使がこういうような越権行為をするということは許してはいかぬと私は思うのです。官房長官はこういう問題をどういうように見ておるか、またこういう事実に対して、これは注意を喚起する必要があるのじゃないかと考えるが、長官はどういうふうにこの問題を見ておるか。
○橋本政府委員 私の耳にまで、そういうことが行なわれているかどうか聞いてもおりませんので、その点についてはお答えしかねますが、外交慣行上のことは、私もあまりそういう方面のことはいわゆるえてでもありませんし、またわかりませんので、外務大臣であれば、そういうことは外交慣行上どうのこうのというお答えができるだろうと思いますが、どうも私から、かようなことがあったとすれば、はたして外交慣行上いいか悪いか——ただ、私自身はさようなことは聞いておりませんので、この際答弁を差し控えたいと思います。
○石野委員 これは私は、外交問題だから官房長官は、私は知りませんというようなことで過ごせる問題じゃないと思うのですよ。外交上の問題の交渉はそれは外務大臣がやるかもしれませんが、わが国の国内で外国の大使が、わが国の国民の間に行なわれるいろいろな商的行為とかあるいは対外貿易交渉の問題等について何か押えつけるような形で、おまえそういうことをやったら報復手段としてこうやるぞというようなやり方で電話をかけたりなんかしておどかすということは、もってのほかだと私は思うのです。ことに商売で一番大事な銀行だとかあるいはまた商社、メーカーというようなものに対してそういうようなことをやるということは、これは在日外国公使の、あるいは大使のやる権限を逸脱していると私は思うのです。ある、ないということを知る知らないにかかわらず——そういう事実はあったのだが、ただ官房長官はそういうことを知らない。しかしそういう事実があったということを官房長官は知らないからといってほっておくようだったら、日本には政治は皆無になってしまう。わが国の自主的な政治はなくなってしまう。そういうことは許してはいかぬと思うのです。あなたは情報網が十分あってそういうことがわかっていても、ここでは、国会の席上では、知らないというようなことを言っておるのだけれども、私はここであえてお聞きしておきますが、そういう事実は現実にあるのだから、あなたがその事実があったということがわかった場合、内閣の大番頭として、そういう問題はもう外交上の問題だからおれは知らぬのだというような態度を長官はとるのかどうか。この点は、ひとつわが国の内閣の大番頭としての橋本さんの真意、決意のほどを聞かせてもらいたい。
○橋本政府委員 事実があったならばという仮定のお話のようでございますが、ただ、官房長官というものはどこまでやるのか、私自身もよくわからないわけです。いまおっしゃったようなことまで一切がっさいやるということになれば、どうも官房長官は外務大臣から一切を兼務しなければ実際上できないことになりはしないか。ですから、政府の方針とか外政の方針、内政の方針を立案することについては、もちろんこれは総理の補佐役として官房長官も関与いたします。しかしながら、そうした具体的な問題についてまで官房長官が責任を持って指揮命令をしなければならぬかということになると、どうも私自身としては、はたしてそこまでをやるべき地位にあるだろうか、内閣官制によればさようなことは入っておらないのでありまして、政治的な感触からいえばさようなお話も一応うなずかれますけれども、こういう公式の席上でしからば大番頭だからそこまでひとつやってやろうということまではちょっと申し上げかねる。当然各省分担の責任規定があるのでありまして、内閣官房長官というものはやはり内閣法の中でやる職務の範囲はきめられておる。その範囲内においてお答えするのが当然の責任かと考えて、以上のような答弁をいたしたわけであります。
○石野委員 官房長官は指揮命令をする権限は持ってないことは百も承知している。百も承知しているけれども、ただ、こういうような問題があるときに、官房長官が総理の腹心としてそれのすべての立案あるいは企画をやらなくちゃならない立場で、この問題を等閑視するのかどうかということを私は聞いているわけです。だから、公開の席上では言いにくいというけれども、そういう問題は等閑視できるのかできないのかというくらい言えるはずだ。そのことまではっきりしなかったら、われわれは内閣に対して信頼を寄せることができなくなる。なぜなら、先ほど官房長官が私は知らぬと言ったけれども、現実にはこの問題は出ているわけです。そして、そのことのために商談を中止している会社も出ているわけです。そういう事実があるから、ただあなたがそれを聞かないということになると、あなたは都合のいいものだけ聞いて都合の悪いものは聞かないという、そういう二つの耳を持っていることになってしまうので、そういう官房長官を置いておいたのではこれは困ってしまうということになる。だから、もう少しまじめな御答弁をいただきたい。
○橋本政府委員 私はまじめに答弁しておりますからかたくなってしまうのでしょうが、これはいろいろ政治的な行動といいますか官房長官としての行動がある場合もありましょうが、ただ原則論からいえば、この問題につきましてもあるいはその他の問題につきましても、その関係省間において総理大臣の処置あるいは指揮を仰ぐべき事態が起きた場合、あるいは具体的にいえばそういうようなことを通産大臣なり外務大臣なりからお話があった場合、これはもちろん官房長官はこれに関与いたしますけれども、ただ、 いまのお話しになった時点においてはまだ私さような話も聞いておりませんし、したがって私がどういう考えでこれに処するかと言うことは、やはり越権のそしりを免れないということにもなりますので、その点は私はいまお答えができない、かように申し上げておるわけであります。
○石野委員 もうこういう問題でくどくど聞いているのはなにですから、最後に一つ伺っておきますが、こういう事実が至るところに起きているわけです。しかもそれらの問題は、韓国側に報道されている新聞の記事の中でたくさん出ているわけです。これはあとでまた通産大臣にもいろいろ聞きますが、そういうような事実がありました場合に、総理からの下命がなければ考えないということじゃなくて、事実問題としては官房長官、そういう問題をいろいろ扱っているわけですから、そういうような事態があった場合、総理に対してそういうことをやめさせるような献策をすべき任務もまたあると私は思う。またそれでなければ番頭の役はつとまらないのじゃないかと思います。だから、事実こういうものがあった場合に、総理からの下命があるなしにかかわらず、官房長官としてこういうことをやめさせるように他の省なりあるいはまた総理に対して忠言するべきじゃないか、私はこういうように思っているので、そういう配慮は当然すべきじゃなかろうかと思いますが、官房長官、それらの点についての自分の考え方だけをひとつここで言ってください。
○橋本政府委員 先ほど申しましたように、私の手元へ通産大臣からあるいは外務大臣からかような事実があるという申し入れもありませんし、当該のいわゆる関係者といいますか、その注文主か何かそういうところからもあるいは銀行からもかようなことがあったということの話もございませんので、私としてはこの事実を認識することも困難である。かつまたそれに対処するかどうかということを考える必要も現段階ではない、かような事情でございますので、精神論としてはいろいろ石野さんの御注意については大いに傾聴いたしますけれども、具体的な問題について私自身がどうということを申し上げる立場にはないということでございます。
○石野委員 三木通産大臣にひとつお尋ねします。 大臣は、いまもお聞きのように、そしてまた大臣自身がすでにわかっているように、東工物産からアクリル繊維に対しての仮契約を実現するために、技術者の入国問題の申請があるわけです。私はここで大きな貿易論や何かを論じようとは思いませんが、東二物産から申請のあるこの技術者についての取り扱いの問題です。これを入国させることは国の貿易政策上あるいは国際的な諸関係の上で非常に不利になるというようなお考えを持っておられるのか、それともまたすなおに入れてやるべきだというふうにお考えになっているか、担当大臣としての三木さんのお話をひとつ聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 この問題は、新聞でいろいろ言うけれども、まだ申請が出てないのですよ。出ましたときには、われわれの立場としてはそう国の利益に反するとは思っていない。だから近ごろのはやりのことばでいえば、前向きで検討をいたします。こういう考えでございます。
○石野委員 大臣はまだ入国申請の問題はないと言うのですが、六月三日の午後法務省に対しての申請はしているはずです。ですから、これはいま大臣が言うように、前向きの姿勢で処置するというたてまえはぜひひとつ通してもらいたいと思うのです。ところが、この問題について大臣に対しては金大使からもいろいろな強い要請があって、なるべくこれは入国許可をさせないようにという要請があったように韓国側の新聞は伝えておるのですが、そういうような事実はあったのかどうか、これらの点をひとつ大臣からお聞かせ願いたい。
○三木国務大臣 金大使が見えましたときにこういう問題にも触れたことは事実ですけれども、強い要請ということではありませんでした。しかし、いろんな見解を述べておったことは事実ですけれども、こういう問題について必要なことは、日本側においてやはり自主的な判断を下すということが必要ですから、だからこの問題についてはいろんな、こういう国際的な——北朝鮮の場合は国交回復してないですから、回復しているような国のようにはスムーズにはいかない点もあります。だからいろいろ問題はあろうと思いますけれども、姿勢としては、私はいま言ったような姿勢で検討すべきである。しかしながらこれは各省、外務省、法務省いろいろの見解もありましょうから、少なくとも通産省としてはそういう心がまえで、今後そういうものが具体的に起こったときには各省と協議をいたしたい、こういうことでございます。いま私としての心がまえを述べたわけであります。
○石野委員 聞くところによると、日本の政府が韓国政府に対して、韓国の政府が日本の在韓商社に報復処置をとらないという条件で日本側は六月の中旬に持たれるアジア外相会議が終わるまでの間は入国問題についての許可はしない、それまで待ってくれ、こういう話し合いがついておる、こういうことを新聞は報じておるのですけれども、そういうようなことを何か話し合いがあったのでしょうか。
○三木国務大臣 そんな話は私聞いておりません。
○石野委員 聞いていないということは、そういう条件がなしに、とにかく申請があればすぐにでも審査をして入国させるかどうかの許可事項についての行為が起きる、こういうことですか。
○三木国務大臣 申請があれば、結論がすぐに出るかどうかということは、各省間で協議をしなければなりませんから言えませんが、申請が出ればそれはすぐに検討を開始しなければならぬ。結論がいつ出るかということは各省間の協議でありますから言えないですけれども、申請が出れば直ちにこの問題について検討すべきことは当然だと考えております。
○石野委員 北朝鮮との間に取引の契約といいますか、仮契約の段階まで入っておりましたのは、いわゆる東工物産のものとそれから別に新日本工機の二つがあったのです。それでそれらのことは大臣はよく知っておるはずです。ところが新日本工機のほうについては韓国の強い圧力があって、特にこの会社は、在日朝鮮人の方が社長をやっておるというような関係から強い圧力のもとに、片方は申請を却下するというような事情があった、こういうように聞いておりますけれども、大臣はその間の事情をよく知っておりますか。
○三木国務大臣 私はそういう話は聞いておりません。
○石野委員 問題はそういうようなことを韓国大使が電話をかけたりあるいは呼び込んだりしてやったわけですよ。東工物産のものについても取引銀行の頭取を呼んだりして、そうして何とか契約をやめさせるようにしようという行為が現実に行なわれておる。こういうようなことは許してはいけないと私は思うのです。先ほど官房長官はそういう事実が通産省あたりから出てくれば何か考慮しようというようなことを言っておりましたが、私は通産省が言う言わぬにかかわらず、大臣としては、こういう問題を銀行だとかあるいはメーカーあたりへ行っていろいろなじゃまごとをするというような事実がある場合に、日本の商社を守るという立場での行動を起こしてもらう必要があるのではないか。こういうようないたずらごとをほうりっぱなしにしておいてはいかぬと私は思うのですが、通産行政を預かっておる立場からこれらの問題は放置しておきますか。
○三木国務大臣 石野さんのおっしゃるようなうわさを私も聞きまして、外務大臣に向かって注意を喚起しておきました。
○石野委員 注意をしておいただけではいけない、やめさせなければいかぬと思うのです。現実に銀行の頭取なんかを呼んで金大使がそういうようなことをやることをやめさせなければいかぬし、またかりにそういうようなことをやる場合には非常に越権的な行為だと私は思います。こんなことになりますると、やはり日本の自主外交というものはなくなるし、もちろん法治国としての自主性もなくなってくる。これは断固として、外務大臣だけじゃなしに、総理をしてそういうことをやめさせるように韓国側に注意すべきじゃないか。大臣自身がそのことを聞いているわけですから、むしろ自主的な発動をすべきじゃないかと私は思うのですが、大臣はそういうことをやる気持ちはないのですか。
○三木国務大臣 私もうわさとしてそういうことを聞きましたので、そういうことは好ましくない、こういう考えです。そういうことでこれは外交関係に属しますから外務大臣に注意を促したわけでございます。いずれにしても、しかしこの韓国側との間には国交回復がしていろいろな経済協力などの点もいよいよ具体化しておるのですから、日本としても日韓のこの経済協力というものが、北朝鮮の間に少々の貿易があっても日韓関係の根底に何か危惧の念を持たすようなことのないようにすることが一番私は大事だと思うのです。そういう点でこれは日韓の経済協力というものをわれわれとしても真剣に考えないと、何かちょっとあったら日韓それ自体の経済協力というものに動揺を来たすような日韓の経済協力のあり方はよくない。その点に今後ともわれわれとしても十分気を配っていきたい。いろいろなことは起こるでしょうが、それが一々日韓関係の基本に響いてくるというあり方はよくない。これはわれわれとしても誠実に日韓の条約で約束した経済協力を履行するという、この誠実さ、そういうことで少々のことが北朝鮮との間にあってもそのことで何か大使が走り回るような状態というのはよくない。もっとやっぱりそういうものでない、日韓の経済協力を打ち立てるためにわれわれも努力しなければならぬ、こういうふうに私非常に強く印象をこの問題で受けておるということもつけ加えて申し上げておきたい。
○石野委員 いま大臣が話されたその大臣の所見ですが、日韓条約による経済協力のあり方というものが何か北との間にごたごたがあるとすぐ大騒ぎになるというようなことはよくない、だからそういうことのないようにしたいということは、裏を返して言えば、日韓関係の経済協力の関係を基本的にスムーズにやるためには北との関係はなるべくやはり取り合わないでいこうというような意見のようにも聞き取れるのですが、本意はそういう意味ですか。
○三木国務大臣 北との関係もこれはやっぱり無関係というわけにはいかないのです。北との関係があっても日韓が基本的な条約を結んで永遠の友好関係を結ぼう、経済協力をやろうというこの基本に動揺を来たさないような日韓関係を確立せなければならない。そのことが北朝鮮との間にはこれはもう全然何も交渉を持たぬ、そういうことではないので、交渉を持っても動揺されない日韓関係というものを築き上げるという責任が両国に私はあるということを、この事件をめぐるいろいろな動きを通じてそういう感じを非常に持った。やらぬというのじゃないのですよ。やっても動揺を来たさないような日韓関係というものを築く責任が両国の政府にあるという感じを私は持ったということです。
○石野委員 今度の件でわれわれが聞き及んでおるところによると、貿易の取りきめを北とやる場合に、これは契約を取り結ぶにあたって技術者が行き来することは当然のことだと私は思うのです。ところがこの技術者の入国することが即日韓の基本条約の本旨にもとるものであるというのが韓国側の意見のように聞き及んでおります。もしそういうことがそのまま通るとし、またその結果として入国を許可することができないというような事情になるとすると、いま通産大臣が言われたように北との関係がありても南との関係をスムーズにやれるような条件というものは出てこないわけですよ。これは貿易に関する限りは出なくなると思うのです。したがって、いま通産大臣の言われているところのほんとうの意思というものは、この韓国側のいう、たとえば技術者の入国はけしからぬというようなことをはねのけていかなければ、いま通産大臣の言うようなものは出てこないことになる、私はそういうふうに考えますが、通産大臣はそれではその点はどういう御意見を持っておりますか。
○三木国務大臣 これは、私はそういうふうには思わないんで、やはりわれわれとしては韓国がほんとうに安定して、そして韓国の経済の安定、民生の向上、こういうことを誠心誠意日本が願い、また、その日本の善意あるいは誠意というものを韓国自身もこれがそうだということで両国の緊密な関係が結ばれるならば、少々なことがあったところで、そのことによって日韓関係の基本について何か動揺を来たすようなことはない。それは国際関係をごらんになってもそうじゃありませんか。たとえば米ソの関係を見ても、何か言っておることなんかいろいろなことがありますよ。しかし、平和共存という一つの基本というものはくずされているわけではない。言っておることは激しいことをやりとりしながらも、しかし平和共存という路線がそれに偏向しているという、そういう基本の問題について動揺が米ソ関係であるとは思わない。いろいろな国際関係というものはそういうもので、やはり根本に大事なことは、両国のこれから提携して韓国をよくしていこう、これに対する日本も誠心誠意である、こういうことの基本さえお互いに信頼があるならば、少々のことがあっても動揺されない基本関係というものはできるし、そういうものが打ち立てられなければ条約を結んだって永久の友好関係というものは私はできるものではないと思う。そういう点で今後この日韓の経済協力の主たる——もう一番大事なことは、いまのところ北朝鮮の貿易というものは金額からいってもたいした金額でもないのですからね。やはり韓国との関係に比べたら、金額の上からいってもそう多いとは言えない。やはり日本も韓国の政府もお互いに条約に対してこれを忠実に誠心誠意履行して両国の関係を、あんまりいろいろなことに災いされないものを打ち立てることに責任を私は感じておる。
○石野委員 いま北との取引については、まあ金額の上では大したことはないのだから、だから南の韓国との間に少々のことがあっても基本的に動揺のしないような状態をつくりたい、こういう意図。その意図は韓国との間でよくわかりますが、しかし韓国の側では北との商取引を行なう商社は韓国との商取引をすることができないことを日本政府に通告する訓令を五月の六日に送ったということが向こうの新聞には出ているわけですよ。そういうような趣旨に基づいてきますと、三木通産大臣の言われることばは、韓国の情勢待ちだ、日本の側は韓国の情勢待ちだということになってくると思います。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○三木国務大臣 それは、外交はやはり自主的に判断しなければいけませんので、よその国の情勢待ちということではいけないわけですが、しかしこれは国交がすでにある国との関係ですから、したがってこれはよく話し合ってみる。いろいろな意見を持つでしょうが、これに対して外交の上においては説得もしなければならぬ場合もあるだろうし、そういう努力をやはりしなければ、ただ情勢待ちということでは、それは外交の自主性というものはないんで、いろいろな意見はありますよ。各国みないろいろな意見を持つことは当然なことで、そのことが悪いとは言えない。ところが、こうだということで日本からも説得もしたり、両方が話し合って、そうかというような了解に達するような場合も多いと思いますので、そういう努力も日本としてはしなければならぬ。ただ、しかし、私は情勢だけをじっと待っておると言うのではない。
○石野委員 そうすると、情勢待ちでないということは、韓国の意見が出た場合でも日本の自主的な意見を出すということなんですから、そういう努力をする、そういうことはするんだというふうに受け取ります。その場合、たとえば東工物産のこの問題は、先ほど大臣の答弁を聞きますと、北の側の取引額は南に比べてはわずかなんだから、そのことのために韓国の側から言う文句は聞いてやらねばいくまい、こういうことになろうと思うのですよ。結論を言えば、結局、この際韓国からの文句のつくものについては北との取引はやめます、通産大臣の意見はそういう意見である、こういうふうに聞き取ってよろしいわけですね。
○三木国務大臣 いまの石野さんのお話は、私の真意を把握していられないことばだと思うのですが、実際、金額はまあそう大きな金額じゃないことは事実ですから、だからそういうことで、たとえば北朝鮮からの交易があってあるいは技術者が入国するとかそういうことがあった場合に、そのことが日韓関係の基本に響くような波紋を描くことのないような日韓の関係を築き上げるために、われわれとしても、条約上の義務の履行、あるいは条約ばかりでなしに韓国の経済の安定等に誠心誠意協力しなければならぬ、こういうことを言っておるので、たいしたことはないから北朝鮮の場合は全部断わってしまえ、こういうことではないのです。
○石野委員 私の言うのは、たいしたことじゃないから断わってしまえということではなくて、先ほど大臣が言ったように、韓国の意見が出てまいったときに、韓国と日本との関係が非常にまずくなっていくような場合には、やはり北のほうは小さいのだからあまり考慮する必要はないのじゃないか、こういうふうに大臣から答弁があったわけです。そうすると、いま韓国側からは、一切技術者は入れちゃならぬという強い要請がきているわけです。これがある以上は、幾ら三木大臣が善意がどうだとかこうだとか言ったって、日本の貿易はそれ自体できないじゃないか。じゃ私はお尋ねしますが、東工物産の問題で、この技術者を入国させなければ契約は破棄されることになる、これはもうはっきりしているのです。そういう場合に、三木大臣は、この問題についてはもうしかたがないのだという態度をとられるのかどうかなんですよ。
○三木国務大臣 いま言っておることは、そういう申請というものをまだ受け取ってないが、申請があったならば、これは通産省ばかりの問題でもないわけですから、入国問題にも関係をしておりますから、外務省、法務省とも十分協議をいたします、通産省の態度というものは、できるだけ前向きにこういうものを考えていきたいというもので、それ以上のことはないのです。ただ、私が韓国との関係で付言したのは、いろんなことを言ってもそのとおりしなければ韓国との関係がよくならぬということでは困ったものですから、これはやはり日本は日本として韓国からいろんな話があってもそれを説得するだけの外交の努力をしなければ、いろいろ言ってこられたそのとおりしなければ日韓の関係はやっていけぬのだということだったら外交の自主性なんかありませんよ。だから、国が違うのですからいろんな意見があることはやむを得ない。その場合に、これに対して日本の政府は、こうだああだといって説得もしたり了解も求めたりして、ものごとを何か両方が対立したままでやるということは好ましい国際問題の処理の方法でないですから、円満に話し合いをつけることが一番好ましいが、その努力をしなければ、努力も何もしないで、向こうが言うからということで聞くのなら、日本の外交というものはないということであります。
○石野委員 通産大臣のそういう意見を聞くことは非常に心強い。ただ、それは、ここだけのことじゃなしに、閣内におきましてもやはりそういうようなことが——たとえば、われわれの仄聞しているところでは、技術者を入れる場合には一方では韓国にあるところの日本の商社に対しては圧力をかけるぞというおどかしもきていると聞いておりますし、それからまた技術者を入れるということそのことが日韓条約の基本方針に反するのだというような意見もきているというふうにいわれている。こういう問題のために、正当に行なわるべき貿易関係のものが左右されるということは非常にまずいと私は思う。だから、この問題は、もしそういうような事態があった場合には、通産省はやはり外務省との間に明確にその主張点をはっきりさせるような交渉、話し合いをしていただかないと困ると思うのです。通産大臣にそのことを特に私はお願いしておきたいと思うのです。 それでは経済局次長がおいでになっているようですから外務省にひとつ聞きますが、通産大臣からいま答弁があったように、私たちとしては、北からの技術者を入れるという問題について、これは、日本の貿易拡大の面からいいましても、それからまた現実問題としての貿易業務を実行する上からいっても、非常に大事なことだと思っているのです。韓国の側からどんなことが言われようとも、日本は日本の立場でその処理をしなければならぬ、こういうようにわれわれ考えておるのですが、外務省としてはこの貿易の問題に関連する技術者の入国問題はどういうふうに扱おうという考え方でおるか、その点をひとつ聞かしてもらいたい。
○鶴見政府委員 今度の具体的な取引に関しましての問題かと存じますが、外務省自身といたしましても、北朝鮮との貿易につきましては、その貿易に政治関係がからまってこない限りこれは促進していくべきものであるという基本的な立場に立っております。この具体的な問題につきましては、その貿易の契約自身がまとまるためにあるいは実行されるためにはどうしても技術者の入国が必要であるということも考えられるわけでございますが、他方、先ほど官房長官からお話がありましたとおり、この入国問題自体につきましては種々の国際関係というものを十分に慎重に判断した上でなければきめられないのではないかという立場に立っておるわけでございます。
○石野委員 この前私どもが椎名外務大臣にこの問題についての話をしたとき、前向きの姿勢で扱おうということを言っておるわけです。この問題は単なる貿易問題でなくて、政治問題がからんでおるというふうに見られる性質のものなのですかどうなんですか、その点外務省はどういうように見ておるのでしょう。
○鶴見政府委員 この問題自身は貿易の業者間といいますか、貿易当事者間の私契約の問題かと存じます。したがいまして、そのこと自体は政治に何ら関連はしていないというふうに考えられます。しかしながら、先ほど来のお話にございますように、入国問題それ自身につきましては、これは本来北朝鮮との間の自由往来というものは認めないという政府の方針でございますので、その例外をなすかどうかということになりますと、この点はまた別途の観点から十分に検討しなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
○石野委員 取引の問題で契約をするために技術者が入ってくるということが、自由往来が許されていないからだめなんだということになると、もう一切取引はできなくなるわけだ。取引の成立条件を欠いてきますから、できなくなると思います。外務省はこういう場合にどういうような便法を講じようとしておるのか、その考え方をちょっと聞かしていただきたい。
○鶴見政府委員 その具体的な考え方というものは、まだ現在のところ煮詰まっていないわけでございます。どういうふうに考えていくべきかということで、目下省内におきましても種々慎重に検討しているという段階でございます。
○石野委員 慎重に研究しておるのではまずいんだと思うのです。もうすでに具体的な事実が出て、そして外務大臣が、名簿が出れば慎重に前向きで検討しようという約束をわれわれにしましたから、それに基づいて名簿を出したわけです。もう検討しておるのじゃなくて、現実問題が出てきておるのですが、その問題について外務省の方針はまだきまっていないのですか。
○鶴見政府委員 その具体的な事実自体につきまして、あるいは事実と申しますよりも具体的な方針でございますが、まだきまっていない段階でございます。 先ほど石野先生のお話で、法務省に代理申請が六月三日に出されたということでございますが、まだそのこと自体につきまして、法務省から正式に私どもは通報あるいは協議というものを受けていない段階でございます。そういうものがありました場合には、あらためてまた慎重に検討してまいりたいということでございます。
○石野委員 先ほどは、未承認国との間の貿易関係が論議される場合に、技術者を入れることについてそれが政治問題がからんでいるかどうかということについては、今度の場合は政治問題はそうからんでいるとは見られないという御答弁があったわけです。ただやはり往来の問題で、未承認国との間の往来がまだはっきりしていないから、それをどうするかということで検討中だという答弁をあなたがしたわけです。私の聞いているのは、この問題は二年も三年も持ち越しの問題でございますし、現実には大臣から、名簿が出れば前向きに扱うよ、こういう話し合いがあったので、事件はもうすでにここまで進んできているわけです。外務省からそういう問題についてやはり一つの方針が出ていないと、それはまたいつまで延びるかわからない。外務省の方針がきめられるのはどういうような経緯をたどってきめられるのか、またどういうような条件が整えばそれが可能になるのか、こういうような問題について次長からひとつ所見を聞かしていただきたい。
○鶴見政府委員 外務省自体の方針がこの入国問題についていつきまるかという御質問でございますが、ただいま申し上げましたように、正式に法務省のほうから協議を受けまして、その上で外務省自身の方針というものを考えるわけでございますけれども、それにあたりましては、先ほど通産大臣がここで言われましたように、関係者といたしまして外務省のみならず通産省、法務省というものがございますので、それぞれの中での協議あるいは打ち合わせというものがやはり段階としては事務的にあるわけでございます。その段階を経まして最終的な方針の決定に進む、段階といたしましてはそういった手続になるというふうに考えております。
○石野委員 手続は大体そうなんでしょうが、まあ普通に一般的に考えて、こういう貿易関係で、しかも通産省のほうでもこれはやりたいのだというような考え方を持っているときに、外務省のほうでそれをチェックしなければならないような事情が何かおありになるのですか。
○鶴見政府委員 私どものほうでは、先ほどの自由往来というものが現在北朝鮮との間に行なわれていないということが一つの条件でございます。そのほか二つ目の条件といたしましては、そのこと自体の国際関係に及ぼす影響、こういうものは外務省の立場といたしましては当然考慮しなければならない問題だと思います。条件としましてはほかにもいろいろ考えられると思いますが、大きな二つの考え方といたしましては、その二つの観点に立ちまして、そのこと自体の及ぼすメリットといいますか利点、国際関係のもつれ合いといいますか、そういうものとの関係を十分考えて方針をきめていきたい、そういうふうに考えております。
○石野委員 自由往来が行なわれていないということについては先ほど来話があったので、その問題も一つの問題だということはわかりますが、二つ目の理由になっている国際関係に及ぼす影響というのはどういうことなんですか。
○鶴見政府委員 現在のところ、具体的に国際関係にどういう影響が及ぶということについては、まだ現在の段階で十分検討が進んでおりませんので、まだ申し上げる段階でないと思います。
○石野委員 研究が進んでいる進んでいないよりも、各国間の関係は現実にあるわけですから、この北の技術者を入れるということが国際間に影響を及ぼすというのは、イギリスに対してですか、フランスに対してですか、アメリカですか、どこですか。
○鶴見政府委員 先ほど通産大臣も仰せられましたように、一番具体的に関係が及ぶ国は南の韓国であります。
○石野委員 それでは、北の技術者をこの貿易問題で入国させるということが、南の朝鮮との間にどういうような関係が危惧されるのですか。
○鶴見政府委員 日本と韓国との関係が、先ほど三木大臣が仰せられましたように昨年の末から正常化されまして、今後さらに緊密化していくということでございますが、そういう観点からでございまして、先ほど申し上げましたように、十分慎重にそういった面からもひとつ検討してまいりたいというのが私どもの現在の考え方でございます。
○石野委員 この技術者が入国することによって、日本と韓国との間に非常に不測の事態が起きるというような心配が外務省にはあるのですか。
○鶴見政府委員 現在そういう心配があるかないか、そういうものを含めまして検討しておるわけでございます。あるかなしかについて、この際まだお答え申し上げる段階ではないと思います。
○石野委員 先ほどからの御答弁によりますと、問題が国際関係に出てくるのはほとんど一〇〇%韓国との関係だということがわかったわけです。その韓国との関係でどういうふうなまずい関係が国際的に出るかということをぼくらいま聞いているわけです。われわれの考えでは、これは貿易なんだから、そしてここに申請をしておる人はみんな技術者なんだから、そんなに韓国との関係がまずくなるようなことはなかろう、こう思うのですが、外務省がそれを危惧する理由はどこにあるのか、そこをひとつ聞かしてもらいたい。
○鶴見政府委員 どういうふうな韓国との関係になるかあるいはならないか、そういった点をいま検討しておる段階でございますので、どういうことになるかということをいまお尋ねいただいても、これに対しては現在まだお答え申し上げる段階ではないということを、先ほどから申し上げておるところでございます。
○石野委員 何でもいいから言いのがれれば、時間がたちさえすればいいんだというような考え方でそういう答弁をするんなら、われわれのほうも聞くんだけれども、韓国との間に問題が出てくるんだということをなぜ外務省は心配するんですか。
○鶴見政府委員 ただいまの最後の御質問の趣旨が実は正確に把握しかねましたので、もう一ぺん……。
○石野委員 いま外務省は、南との間に、韓国との間に問題が起きるかもしれないということで研究している、とこういうんでしょう。そうだったでしょう、答弁は。
○鶴見政府委員 そういった関係にどういう影響が及ぶか及ばないかという点で検討しているわけでございます。
○石野委員 いま自民党さんのほうからも次長さんではちょっとかわいそうだからとこういう話があるので、私は別にあなたをどうこうしようというわけじゃないんだが、しかし、あなたは大臣の命を受けていろんな仕事をなさっているわけだ。そこで、この問題についてやはり研究せねばならぬという下命を受けていると思うのです。そこで、そういうような命を受けて研究しておるのでしたならば、大臣なりあるいは局長なりから、これこれこういう理由でこういうことを研究しろという内容が明示され、それを研究しているんだろうと思うのですよ。いま外務省がその問題で一番心配している問題はどういう点なのかということを研究しているんじゃ、なぜそれでは韓国との間にそういう問題が起きるんだということを危惧するのかということをわれわれは聞かざるを得なくなるわけですよ。そうでしょう。どういう問題が具体的になってくるのかという前に、なぜ韓国との間にそういう問題が問題になってくるのかということを外務省は心配したのか、こういうことをわれわれは聞かなくちゃならなくなるわけですよ。だから、研究しているんだからしかたないというようなことでは困るのです。われわれはやはり外交問題を、日本の前進のために諸外国との友好関係を考えておるんだから。だから、外務省が何かの問題を研究するんならば、研究しなくちゃならないようなテーマがあるはずなんですよ。韓国との間になぜそういう危惧しなければならないような条件が出てくるのかということを、私たちはやはり外務省に聞きたいわけなんですよ。外務省はなぜ韓国との間にそういう問題が問題になるんだというふうに心配するのかということをわれわれは聞きたいということで、それをあなたに聞いている。
○鶴見政府委員 石野先生もよく御存じでございますように、韓国の政府あるいは国民というものは、北の朝鮮との間のいろいろな交流というものについて、非常に神経過敏ということでございます。その点を十分考慮しなければならないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○石野委員 そうすると、北との交流について韓国が非常に神経質になっているので、北との交流をすれば、日本と韓国との間の問題は、それのはね返りで非常にまずい結果が出てくる、こういうようなことを外務省は心配をする、そこで、そのことについてどういうことになるかということの研究をしているんだ、こういうことですね。
○鶴見政府委員 そういうことでございます。
○石野委員 これはちょうど韓国の側で、李東元外相やあるいは丁一権総理、あるいは韓国側の新聞報道などでも伝えられておることなんですが、北の技術者を日本に入れるということは日韓条約の基本方針にもとるものである、こういうふうに向こう側は言っているわけなんですよ。外務省はやはりそういうふうにこの問題を受け取って、それでそういう立場から研究しておられるのかどうか。もうあまりあなたに聞きませんから、この点だけひとつ外務省の立場として答弁してください。もし答弁できないんなら、だれか上の人を呼んでもらってもいいですよ。
○鶴見政府委員 ただいま石野先生の御指摘のありました丁一権首相とか張副総理という方々が、そういったことで、日韓の基本関係あるいは基本方針にもとるというようなことをわが方に対し申し出たということは、私存じておりません。そういうことは事実はなかったというふうに理解しております。
○石野委員 いや、日本にそういう申し入れをしたということは、正式というよりも、向こうでそういうふうに言っているわけですね。日本に申し入れがなければそれでけっこうですが、向こうではそういうふうに言っておるし、その結果として、もしそういうような技術者を入れるならば在韓日本商社の諸君に対して報復手段をとるぞというようなことを、向こうの新聞なんかでも書いているわけだ。だから、そういう点について外務省はどういうふうな見方をしておるかということです。
○鶴見政府委員 向こうがこの問題についてそういうふうなことを言っている、新聞等に伝えられておることは、私も承知いたしておりますが、これは先方の考え方でございまして、その先方の考え方に対し、それが正しい考え方であるとか、あるいは正式にわが方に申し伝えてくるか、申し伝えてまいりました場合には、先ほど三木大臣も言われましたとおり、われわれの立場から考えまして判断すべきことであるというふうに、外務省としては考えております。
○石野委員 外務大臣じゃないんだから、私、あまりきつく尋ねることはというふうにも思いますけれども、しかし、ここでは外務省を代表してあなたが来ておられる。日韓条約の基本精神にもとるかもとらないかというぐらいのことは、向こうに言われる言われないにかかわらず——北の技術者を日本に入れるということは日韓条約の精神にもとる、こういうような考え方について、研究もくそもないでしょう。外務省はそれをどういうふうに考えるかということを私はあなたに聞いているわけなんだから、それについての答えをしてください。
○鶴見政府委員 私どもの考えといたしましては、このこと自体が、昨年十二月末にできました日韓の基本条約そのものに触れるというふうには考えておりません。 ————◇—————
○天野委員長 参考人出頭要求の件についておはかりいたします。 先ほどの理事会において御協議を願いましたとおり、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○天野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 この際暫時休憩いたします。午後一時より再開いたします。 午後零時二十五分休憩 ————◇————— 午後一時十一分開議
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますのでこれを許します。石野久男君。
○石野委員 入管局長にお尋ねしたいのですが、去る三日に、問題になっております東工物産と北朝鮮との間に仮契約をしておりますアクリル繊維のことについて、北朝鮮のほうから四人の方の入国申請が出たはずでございますが、そのとおりですね。
○八木政府委員 ただいまお話しのとおりでございまして、六月三日に東工物産株式会社から代理申請がございまして、北鮮の朝鮮機械設備輸入商社社長の孔鎮泰という人を含めて技師三名、通訳一名の三十日間の滞在、入国の申請がございました。
○石野委員 いまこの申請に対して入管のほうではどういうふうに取り扱いをしようとしておりますか。 私ども、これは長いことの懸案でもございますし、特に先月下旬に私ども社会党の山木国際局長と私と横山氏と三人で椎名外務大臣に会って、椎名外務大臣がそのとき、名簿の提出があったら前向きで処理するという話し合いの上この名簿の提出になった経緯があるので、できる限り早くこの許可を出したほうがいいのじゃないかというふうに考えておるのですが、入管としてはこの問題について何かやはり特別に考えるところがあるのだろうか、その間の事情をひとつ聞かしていただきたい。
○八木政府委員 御承知のとおりこの問題は足かけ三年の懸案でございまして、これに対する政府の方針は、総理大臣以下関係各大臣がたびたび国会の御質問の中で、日本政府としての根本的な考え方は明言しておられます。それは、北鮮との人事往来の問題は、これはその個々の事情に基づいてその懸案ごとに解決をしていくということである。しかし本件のように純然たる貿易上の取引に関連しての技術者の入国ということであるから、もちろん好意的に考えるべきものであるということでございます。 私どもとしましては、申請を受けて法務省の立場でやることは、入国を申請した個々の外国人が入国を認めて差しつかえない人であるかどうか、言いかえれば好ましくない外国人であるかどうかという点だけの個人的な記録等による審査でございまして、その点においてはわれわれの結論は大体きまっております。 ただ、御承知のとおり外国人の入国というのは、ことに国交関係のない国の外国人の入国ということにつきましては、その者の入国を許すことが日本の利益になるかという点だけを考慮しまして政府が一方的に判定し得る立場にございますので、そのいろいろな利益という点から関係者の間で検討いたしまして、さしあたって問題になっておりますのは、韓国がこれに対していろいろ意見があるようでありまして、そういったことに関する日本の外交上の利益という点から、いまこの時点においてすぐ許可にすべきであるかどうかという点について外務省などで審議しておるというふうに了解しております。しかし問題は事務当局の検討の段階ではなくて、むしろ高度の政治的な観点によって処置すべきものと私ども考えております。事実、政府の上層部において、いろいろ高い次元からこの問題について現在検討が行なわれている、このように理解しております。
○石野委員 そうしますと、入管当局としては自分たちの任務として、その外国人を入国させてもいいかどうかという資格認定といいますか、そういうような点では問題はない、こういうことですね。
○八木政府委員 ただいま申しましたのは、実は内輪のざっくばらんに申し上げるとそういうことだということでございまして、あくまで政府の意思というものは一つでありますから、各個々の官庁、たとえば治安関係とか外交関係とか、いろいろの関係を担当しております官庁が意見を統一した上で、許可とか不許可とかいう決定を私どもが窓口として実施いたすわけでございます。いま私が、さしあたって法務省としては特に個々の人について拒否すべき記録はないと申し上げましたのは、これはあくまで入管内部の問題でございまして、最終的な決定という段階では、もちろん政府全体の意向が統一されるということが必要でございますので、事務的な検討ももちろん並行して行なわれておりますけれども、現在はもうすでに三年前の事件でございますので、実際は事務当局の間の話し合いはほとんど尽きております。ただ、前向きの政府の姿勢というものを打ち出す時期等については、これは事務で決定する問題ではございませんので、政府の上層で政府全体としての見解を調整していただくという形になっているわけでございます。
○石野委員 入管の意向はよくわかりました。問題は、政府全体としての治安関係とかあるいは外交関係の問題も含めて結論が出てくることはより高い次元の問題だということもお話はわかったわけです。入管局長にこれ以上のことをいろいろお聞きしてもたいへん御無理だと思います。ただ現状では、そういう治安関係といいますと、法務省関係にもございますが、何かあなた方の省内で、そういう問題で疑義が入管のほうへ提起されているというようなことはいまのところあるのかないのか。そういう点でもし局長が御答弁できることであるならばひとつ事情を聞かしてもらっておいたほうがいいと思います。
○八木政府委員 三日に書類を持ってまいりまして、その結果、私どものほうとしては、一応形式的には関係官庁に書類でこれを送付いたしまして見解を求めるという段階をとっております。したがいまして、治安関係につきましても、法務省の中にもありますが法務省外の官庁もございますから、そういうところで書類による検討を受けてきまるというかっこうになりますので、形の上ではまだ意思表示を受けたというわけではございませんけれども、しかし従来も、三年間もこの問題をやっておりますので、治安という面ではわりあい問題はないというふうに理解して差しつかえないと思います。
○石野委員 私はこれ以上ここではなにしませんが、できる限り事務当局としてはこの問題が早く処理できるような努力をしてもらいたいし、なお私は法務大臣等にそれらの問題について要請しなければなりませんが、内部としても、あなた方内部の問題として、上司のほうにそれぞれ意見を述べるとか、あるいはその要請をするというようなことは、ひとつ努力していただきたい、こう思います。 それからこの際にお聞きしておきますが、違った件で、最近アジア体育連盟のほうから、体操ですか何か審判員の講習会がある、それに関連して、やはり入国の問題が申請されているというふうに承知しておるのですけれども、この問題もやはり束工物産の問題と同じようにむずかしい内容を含んでおるものなんですか、どうなんですか。この際ひとつ聞かしてもらいたい。
○八木政府委員 バレーボールと体操に関しまして、非公式に日本の——私、いま正確な名前は忘れましたが、そういった体操とかバレーボールの協会から問い合わせがございまして、いずれ正式な申請はまた後日書類の上では出ると思いますが、これは国際バレーボールあるいは国際体操協会、正確な名前はこれもいま失念いたしましたが、そういう世界的な団体がございまして、その本部からの委嘱によって、その構成国である日本の協会が日本で主催をして審判員の講習会を開きたいという意向を聞いております。一応そういう意向の表明がありましたので、これも関係方面に照会中でありまして、その返答を待っている段階でございますが、もちろん主催国を引き受けた場合には、その国は当然その国際団体の加盟のあらゆる国の代表を日本に招致する義務がございます。たとえば一昨年のオリンピックの場合に、北朝鮮の選手団も入国を許可しております。今度は選手そのものではございませんけれども、この審判員の講習会に出席しないと、審判員としての資格を認められないという、その方面では非常に重要な会でございますので、いずれ出そろった上で十分に検討いたしたいと思います。事柄の性質からいって、さして問題はないと私は考えております。
○石野委員 審判員の件については、これはバレーボールですか、体操ですか、たしか体操のほうだと思いましたが、アジア体育連盟では、三人くらいしか審判員がいない。そのうちの二人が日本人で一人が北朝鮮の方だ、そういうきわめて重要な位置にある人だそうであります。これらの問題が出た場合、いたずらに諸般の事情や何かでごたごたしないようにということを要請しておきたいと思うんです。 なお、もう一つこの際局長にお聞きしておきたいのですが、往来の問題については、未承認国だからというので北のほうとの関係はやはりむずかしいものがあることはよく承知しておりますけれども、しかし昨年の暮れに、在日朝鮮人が故国に墓参とか、あるいは慶弔のことで行き来する道は開けたわけでございます。昨年二人の方が帰りましたが、同様な条件の毛とに置かれておって、国へ帰ることを非常に急いでおる方々もたくさんおるわけです。こういう人々の申請が前々からあなたのところへ出ておるわけですけれども、この在日朝鮮人の祖国往来の問題について、当分これは許可の出る見通しがないのかどうか、入管の責任者としてのあなたは、申請された事件について、いまどういうふうに案件を握っておられるのかどうか、どういうように処置しておられるのかどうか、この辺のところを少し聞かしていただきたい。
○八木政府委員 これもたしか法務大臣が前の国会などでたびたび答弁されておったはずでございますが、われわれとしては純粋な人道問題、ことにこういう人々はかつて日本人として日本に来ておりまして、そのまま一度も国に帰ることなく数十年経過してしまったというような非常に気の毒な人々でございますので、純粋な人道問題として処置したいという気持ちはわれわれ十分に持っております。またそういった再入国の許可の申請と申しますか陳情も、ここで正確な数は覚えておりませんが、非常にたくさんの数が出ております。ただ、これも非常に残念ながら、いろいろそれに関連して問題が政治的にもたくさんございまして、それについてはいろいろまた理由なり背景なりあるわけでありますけれども、大臣がよく答弁のときに申しておりますが、従来、昨年の暮れまでは一件もなかった、ゼロであった、それを非常に努力した結果、とりあえず三名昨年の暮れに出した、ものごとは何でも、ゼロからスタートする場合には、初めのうちは大きな数は期待することはむずかしいんだから、自分たちの気持ちをよく理解して、もう少し待ってもらいたいということを、関係の方によく言っておられますけれども、私どもとしても常に問題を念頭に置きまして、その内容についても十分に考えております。そして一度実施したことについて、それきりで打ち切るなんということは全然考えておりません。将来機会を見て、できるだけ早い機会に、そういう気の毒な人たちの希望をかなえて上げたいという気持ちは十分持っておりますけれども、ただ遺憾ながら、現在いろいろ政治的な問題がそれに関連して起こりますので、いついつというふうに明確な日にちを切ってお約束することができないのは非常に残念でありますけれども、関係しておるわれわれ一同としては、気持ちの上では今後とも決して不必要に延期するというようなことは考えておりません。なるべく早い機会に、状況を見て実現できるように努力したいと考えておるわけでございます。
○石野委員 入管の事務当局としての意図はよくわかります。できるだけ早い機会にそういうふうにすることができるように私たちとしても期待しておるわけです。いま入管の局長にこういうことを聞くのはどうかと思いますけれども、率直にいって、いまの祖国往来の問題にしましても、もうこれは一月の末に帰ってきまして、それから二月は無理だろうけれども、三月から四月ごろにはよかろうというように、われわれは聞き及んでおったわけです。それが四月過ぎ、五月過ぎて、六月ということになっているのが実情です。こんな調子でいくと、これはまたことし一年だめなんじゃないかという気もするのですが、ほかでちょっといろいろ聞いておるというと、六月のソウルの外相会議が終わるまではすべてストップだというようなことも、われわれ耳に入ったりしてくるんだが、入管の事務を扱っておる皆さんの感じでは、やはりそういうような見通しでございましょうか。ここらのところ、どんなぐあいですか。
○八木政府委員 実はいろいろ日韓の間にも問題がたくさんございますし、われわれ機会あるごとに、こういった問題については外務省と意見の交換をやっておりますけれども、いま会議はあと一週間だと思いますが、目の前に控えて、ここですぐに許可に踏み切るということは、許可と申しますか、その次に控えておるような人たちについての再入国の許可をすぐここで一週間以内に出すということになりますと、これはまた政治的にもなかなか問題があり得ると思いますので、ソウルの会議は来週からだそうでありますから、その前に許可が出るということはまずないと思います。
○石野委員 これ以上の問題は局長にお尋ねしてもちょっと無理だと思います。まあ端的に申しますと、午前からこの問題では通産大臣あるいは官房長官とも私はいろいろ論議をしておるのですが、何か韓国の意向に振り回されているような感じを受けるのです。そういうようなことが事務的な側面まできちゃったのじゃこれは処置なしですから、政治的にそういうような形があるということで、もう事務的にすなおにものごとを進めるように、これは入管のほうへはひとつ私のほうからも希望しておきたいと思うのです。 あとの問題は、これは委員長、きょうもうこれ以上質問しましても、ちょっと入管局長では無理だと思いますので、この問題については他日また法務大臣なりあるいは外務大臣、通産大臣等、一緒に置いたところで質問させていただきます。きょうはこれで私の質問は終わります。
○天野委員長 次会は明八日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一瞬三十二分散会