社会労働委員会 第49号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/06/22
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 性病予防法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 ただいま上程されました性病予防法の一部改正について若干お尋ねをして御見解を承ってまいりたい、かように考えます。 御承知のように、最近急速に性病患者が増加をいたしてまいりました。そして大いに世論を喚起するに至ったわけでございますが、それらの世論にこたえて、今回性病予防法の強化をはかっていこうというのがその趣旨であるわけでございます。ところが、私どもの手元にございます昭和三十九年の厚生白書を見てまいりましても、その保健の項目の中で、わずか十五行のスペースで取り扱われておるようなていたらくでございまして、しかも保健対策として取り上げながら、実際の具体的な性病対策については全く触れられておらない、こういう状態でございます。なるほど、性病が急激に増加をしてきた、そこでその対策を強化しようという御趣旨については、私どもも異論ないところでございます。厚生省が公式に刊行いたしております厚生白書、これは若干年次がおくれてまいりますから、そういうきらいもあると思いますけれども、去年からことし急に性病が増加したということではないわけであって、だんだんここ数年来増加してまいったわけでございますから、そういう意味では、この厚生省の基本的な姿勢について若干問題がありはせぬか、そういう厚生白書を刊行しながら、口では性病予防の強化をはかっていくのだということでは相矛盾しはしないか、こういうことを感ずるわけでございます。そこで、この点は、法案の内容よりも性病予防に対します政府の姿勢ということで、非常に重要な意義があると思うのであります。そういう意味で、この点につきましては大臣から率直な御見解をお聞かせいただきたい、かように考えます。
○鈴木国務大臣 性病の蔓延傾向につきましては、御承知のように、昭和二十三年をピークにいたしまして漸次減少してまいったのであります。しかるところ、昭和三十七、八年ごろから急激に性病の蔓延傾向が顕著になってきた。特に若年層におけるところの早期顕症梅毒の蔓延というような非常に憂慮にたえない事態が近年出てまいりましたので、私ども、これに対する対策を、今回性病予防法の改正を通じまして強化いたしたい、かように考えておるのであります。 河野さんから、性病に対して政府が今日まで比較的力を抜いておったのではないかという御指摘でありますが、確かに、昭和二十三年ごろをピークとして漸次減ってまいりました関係もありまして、性病予防対策につきまして若干手をゆるめたというような御指摘も当たらないわけはないと思うのでありますけれども、しかし、いま申し上げたような状況からいたしまして、私ども、次の世代をになうところの青少年、国民の健康、保健の面からいたしましても、性病対策をこの際思い切って強化する必要がある、このように痛感をいたしておる次第でございます。
○河野(正)委員 これは大臣のことばじりをとらえるわけではございませんけれども、ピークも、実は大臣はいま二十三年ということでございますけれども、厚生白書では二十四年がピークになっているわけです。ですから、これはもし大臣の御発言に勘違いがございますればけっこうでございますけれども、もし事務当局がそのような助言をしたとするならば、これはまことにけしからぬ、こういうふうに私は考えますので、その点はちょっとあとでお触れ願いたいと思います。 それから、私どもの手元にございまする一番新しいやつでございますが、この昭和三十九年度の厚生白書の資料によりましても、三十八年度の性病患者の届け出数というものが一万百五十四人ということになっておるのでございます。ところが、新聞その他巷間伝うるところによりますと、今日、性病患者というものは五百万に及ぶというふうな話もあるわけでございます。これは、その五百万という膨大な数字というものが、どこから出てきておるかということもよくつまびらかにいたしませんけれども、そういう一説もあるということは、ことばをかえて申し上げますならば、やはり政府の言っておるような数字ではない。実数ですね。これは白書の中でも、実態を把握しなければならぬと書いてある。ですから、そういう把握のしかたにも若干問題がありはせぬだろうか、こういうことを感ずるのでございますが、それと同時に、私がここで非常に不可解に思いますのは、この性病の中でも、いま大臣は若年者の顕症梅毒について御指摘があったわけでございますけれども、性病にはいろいろあるわけであります。梅毒もございますが、りん病もあるし、軟性下疳もある、こういうふうにいろいろある。梅毒だけを切り離して対策なんかできるものではない。そういうもろもろの一切の性病を対象として初めて性病対策ができるのであって、梅毒だけを切り離して対策ができるものではないわけです。ところが、厚生白書を見ますと梅毒に限って書かれてある。これでは、厚生省が性病対策、性病対策とおっしゃいますけれども、そういう体制で、はたして所期の目的が達せられるのかどうか。これは性病一切を含んで対策を講じなければならぬのに、少なくとも厚生白書の取り上げ方というものは梅毒だけに限られておる、こういうところに私は非常に大きな問題があると思うのであります。これは梅毒に感染しようと思って感染するのじゃない。何で感染するのかわからぬわけですから、そういう意味で、厚生省のこの問題に対する取り組み方に対しましては、科学的に見て非常に問題があるというふうに私どもは痛感せざるを得ぬと思うのです。これらについて、大臣いかがですか。
○鈴木国務大臣 まず最初に、性病の蔓延傾向につきまして、先ほど昭和二十三年をピークということを申し上げたのでありますが、その点は、統計的に見ましても、私が申し上げたことにつきましては誤りがないようでございます。この点は、事務当局から後ほど数字的に蔓延傾向につきまして御報告させたい、こう思うわけであります。 それから、性病の蔓延の傾向、その実態の把握ということは、疾病の性質上非常に把握が困難であるということは、専門家の河野さんの一番よく御承知のことだと思うのであります。現在、性病予防法で、医者が病気を発見いたしました際には、これを都道府県知事に届け出をする、こういう規定になっておったわけでありますが、これが二十四時間以内にするというような、非常に時間的にも実際上は相当無理なことをお願いを申し上げておったという等のこともありまして、この届け出制度によるところの患者の十分な把握が困難であったということを、私ども痛感をいたしておるのであります。したがって、この点につきましても今回所要の改正をいたしたい、このように考えるわけであります。 なお、性病予防対策につきまして、梅毒だけを取り上げての対策というのは非科学的である、おかしいではないかという御指摘は、まさにそのとおりでございまして、私どもは、性病全体を予防する、早期に発見し、これを治療し、また他に感染しないように予防対策を強化したい、こういう考え方であるわけでありますが、ただ、特に最近における傾向としまして、早期顕症梅毒が若年層に蔓延をしておるというこの実態からいたしまして、それに対応するところの梅毒の血清反応の検査というようなこと等を強化してまいりたい、こういう考えを申し上げておるのであります。
○河野(正)委員 後段の点については、私ども了承するにやぶさかではございません。ただ、前段の統計学的な数字でございますが、この点について、私は、大臣がお考え違いであれば私どもはけっこうだというふうに了承することであったわけですけれども、ところがそれが間違っておらぬということになると、厚生省はそういう間違った厚生白書を天下に公表するわけですか。こういう間違った統計を天下に公表するわけですか。この厚生白書の中には、二十四年がピークと書いてあるのじゃないですか。見てごらんなさい。あなた、これをお読みになりましたか。二十四年がピークと書いてあるのじゃないですか。
○中原政府委員 届け出の数からいいまして、年次的に見ますと、二十三年が総数で四十七万三千八百二十二人、それから二十四年が三十八万六千九百九十人、こういうふうになっておりますので、厚生白書に二十四年と出ておりますのは、まことに申しわけないと思います。
○河野(正)委員 それなら、あなた方がこういう委員会の席上で誤りを指摘されるような、そういう厚生白書を天下に公表されることについては、これは問題がありますよ。これは見解じゃないですからね。解説じゃないですからね。統計ですからね。厚生省はもっと科学的な資料を天下に公表すべきだと思うのですよ。こういう間違った厚生白書を天下に公表されるのは、これは全部撤回しなさいよ。私どもは、少なくともこういうあなた方が天下に公にされた厚生白書なら厚生白書を基調として、いろいろ認識を改めておるわけですからね。そういうことで性病予防対策の万全が期せられると思ったら、これは大間違いだ。単に簡単に、天下に公表しておきながら、それが一片のことばで間違っておりましたということでは済まぬと思う。私も長い間これをいただいて、長い間これを見ているのですからね。
○鈴木国務大臣 私の答弁いたしましたこの蔓延傾向につきまして、厚生白書に載っておることと違うではないかという御指摘でございますが、それは、私が申し上げた昭和二十三年ころをピークとするということは、昭和二十二年から——実際は性病予防法に基づく届け出制度によって、その蔓延傾向を統計的に把握したのが二十三年からであるそうでございます。しかし、その届け出制度を実施いたします前の大体の推定、傾向としましては、昭和二十年ころがピークであろう、こういうような推定に基づいての厚生白書の表現、こういうことであるわけでありますが、届け出制度に基づく統計的な把握の面では、私が申し上げた二十三年をピークと、こういうことでありますので、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。
○河野(正)委員 そうすると、なお悪いのですよ。届け出が、二十四年がピークと書いてあるのです。だから、大臣のおっしゃることを聞きますとなお悪いのです。
○鈴木国務大臣 二十三年を最高とし、と書かなければならない。
○河野(正)委員 厚生省というものは、もっと科学的な見地でこれらの問題について取り組んでもらわぬと、私ども科学者の立場から非常に迷惑をするのです。 それからもう一つは、きょうからいよいよ——きのうからですけれども、きょうはさらに国会正常化に向かってきておる段階の中で慎重審議をしていこう、党でもそういう方針をきめたわけですが、ところが、第一日目から、実はこういうたった十五行に及ぶ厚生省から出した正式の刊行文書を十分勉強もせぬで臨まれて、そして法律だけあげてくれ、あげてくれではちょっと困ると思うのですよ。少なくとも法律の審議を促進してもらいたいというならば、このくらいの勉強は それは大臣の責任じゃないですよ、数の問題ですから。事務当局としては、国会に対してもこれは非常に申しわけないことだと私は思うのです。ですから、この点はひとつ明らかにして、少なくとも厚生省が科学的な立場でいろいろものごとの判断を国民に求めなければならぬのに、そういうずさんなことでは困るし、しかも今度はそういう点について特に力点を置いて対策を講じていこう、こういうやさきでございますから、まあひとつ、私、これ以上追及しませんけれども、厚生省の示す数字というものは非常に貴重なものだということだけは再認識していただきたいと思うのです。よろしゅうございますね。 そこで、二十三年ということでございますけれども、私の承知する厚生白書によりますると昭和二十四年がピークでございまするが、昭和三十二年以降はだんだん性病患者というものが減少してきた。そうして最も少ないときは、最盛期の三十分の一程度というふうにこの性病の撲滅に成功してきた時代もあるようでございます。ところが、先ほど大臣からもお話がございましたように、三十七年、三十八年ころからだんだん顕症梅毒というものが増加をしてきた。特に厚生省の数字が、これは信用できるかできぬか、いまのことばでわかりませんけれども、一応厚生白書を基調として申し述べるといたしますならば、二十四歳以下の早期顕症梅毒の比重というものが、昭和三十五年当時は梅毒の中で一六・五%であった。ところが三十八年におきましては四六・九%ですから、約五〇%程度。三年前の三十五年と比べますると、その率というものは約三倍にふえておる。まあ数は別として、こういうふうに三十五年から三十八年の三カ年間の経過を見ましても、この顕症梅毒の発生率というものが非常に多くなっておる。それならば、こういう現象というものがどうして出てきたか、その原因を除去するということが対策の最も大きな根本とならなければならぬわけですから、そういう意味で、何が原因でそういう現象が出てきたか。この点どういうように御判断になっておりますか、ひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
○中原政府委員 若年者の顕症梅毒が増加したその原因でございますけれども、それを明確に把握するということは非常に困難だと思いますが、全般的に言えますことは、まあ若い者もあるいは一般の相当年配の者も含めまして、いわゆる性病についての関心というものが、これは行政当局においても非常に低かったと思いますけれども、ある期間相当に低かった。したがいまして、若い人たちにおきましては、それが結局性病に対する正しい知識を得るという機会に恵まれなかったということが、私は最も大きな原因ではないかというふうに考えておるのでございます。したがいまして、性病に対する知識が低ければ適正な予防も講じられないし、また、その病状その他につきまして、からだがおかしいということの、いわゆる自分での気のつき方というものもあまりないということで、治療の措置というものも当然おくれがちになるというようなことが、大きな原因ではないかというふうに考えておるのでございます。
○河野(正)委員 どうも抽象的で、そういう認識のしかたでほんとうに対策の強化ができるのだろうかという感じがいたしますが、それは後ほど触れてまいりたいと思います。 そこで、今回の改正によりまして、婚姻時に梅毒血清反応検査を実施して、その診断書を交換するという点が強化をされたわけであります。なるほど、婚姻時に梅毒の血清反応検査の証明書を交換する、それはいいとして、その前後というものはとにかくチェックする機会がないわけです。そこで、結婚年齢と早期顕症梅毒発生との関連というものがどのようになっておるのか、もう少し具体的に言いますと、いまの日本人の結婚適齢期というものが一体どの年齢層にあるのか。この点は、早期顕症梅毒の発生率が非常に高まってきておるわけですから、やはり結婚でチェックできるわけです。そこで、その年齢との関連というものが非常に重大な関連があると思う。そういう意味で、いまの結婚年齢と早期顕症梅毒発生との関連、この点についてひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
○中原政府委員 大体、結婚の年齢にいたしますと、男子でありますと一番多いのは、三十八年の統計で見ますと二十五歳から二十九歳が一番多い、女子でありますと二十歳から二十四歳代でございます。 〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕
○河野(正)委員 そういたしますと、大体二十四歳ごろまでが多いわけですね。そうしますと、ちょうどその辺が適齢期になりますと、そこで全部網にかかるということになるわけですね。ところが、今度は二十五歳から二十九歳となってくると、この網にかかるまでの期間というものが若干長くなるわけです。だから、一体その間の対策というものはどうするのか。本来から言うと、結婚適齢期と大体二十四歳ぐらいが一致すると、そこで一切がっさい網にかかるわけですから一番対策は立てやすいわけです。ところが、二十五歳から二十九歳となりますと、そこの間に若干の間隙ができる。それがまた、結局性病を社会に広げていくという一つの要素になってくる、こういうことが考えられる。そうしますと、その期間についての対策はどういうふうにおやりになるお考えですか。
○中原政府委員 婚姻時のいわゆる梅毒血清反応検査につきまして今回の改正案を提出したわけでございますけれども、これは一つの区切りといいますか、そういうような観点から、最も適切な区切りというような一つのものとしてここに出したのでありまして、一般的に言いますならば、たとえばこの梅毒血清反応検査、これを一般の人々が広く受けてくれるということがあれば、これは最も望ましいことであります。したがいまして、その結婚までの間それじゃどうするかといいますと、一般のいわゆる思想普及によりまして、そういうようないわゆる血清反応を受けるようなチャンスをつくりまして、またこちらからもその場所を提出すると同時に、向こうからも来てもらうというようなふうにいたしまして、できるだけ広くやっていきたい、こういうふうに考えております。
○河野(正)委員 その性病予防対策を強化するとおっしゃるけれども、中身はたいしたことないのですよ。いまのお答えを聞きますと、ただ結婚のときに交換するということでやや強化されるということ、あるいは今度、売淫常習容疑者に対する健康診断等を政令市長ができる、あるいはその届け出が二十四時間以内から一カ月以内という、この程度ですから、たいしたことないのですよ。だから、私がいま申し上げておるように、一番多いところで適齢期がくれば、そこで一切がっさい網にかかるから、それならばこれが非常に大きな意義を持ってくるわけですよ。それでなければ、もっとほかにもいろいろな対策というものがあろうと思うのです。たとえば二十四歳以下が非常に多いわけですから、成年式を迎えると同時に、例のいわゆる献血、預血の問題もございますが、それらも相兼ね合わせてそこで若い世代の清潔な血を守っていく、そういう意味では、私は一つのチェックのしかたはあると思うのです。ですから、そういうものを総合的にやらなければ、ただ結婚のときだけチャックするというようなことだけでは、私は——いま非常に、実質は五百万といわれておるような激増ぶりですから、その五百万が実際か、真偽のほどは私ども承知いたしませんけれども、そういうことがいわれておるということは、非常に多いということですね。届け出以外にもたくさんあるということを私は案じておるのです。ですから、そういうことになりますと、私は、いろいろな機会、いろいろなチャンスにやはり網にかける必要があるのではなかろうか、こういうことを考える。そういう意味で私はいまの問題を提起いたしておるわけでありますから、その点はひとつ大臣から御答弁願いたい。
○鈴木国務大臣 いま御指摘がございましたように、あらゆる機会をとらえまして、特に梅毒血清反応の検査をやり、血液の純潔をそこで保つように対策を立てる、このことにつきましては私ども全く同感でございます。そこで、私は、この改正案をつくります際に、いま河野さんからも具体的な一つの御提案として出されましたところの成年式を迎えた際に一斉にやる、この際に広く網をかけてみる、こういう案も実は考えてみたのでございますが、この性病予防、特に梅毒の予防ということにつきましての世論の喚起、そういうことをまずやりまして、そして漸次、いまお話がありましたような成年式等の際にもやるように段階的に進めたらどうか。一挙にそれをやった場合に私心配いたしましたのは、かつての徴兵検査の際の強制的な身体検査でありますとか、そういうようなことを連想されますと、せっかくの予防対策というものが歪曲され、誤解を受けてはいけない、こういうようなことから、まず婚姻時における男女両性の血液の検査、こういうものをやり、また、それを機会に性病に対するところの認識、知識を高めていく。それから漸次、いまお話があったような点にまで網を広げていくという漸進的な方向を実はとったわけでありまして、その点まだまだ不十分ではないかという御指摘につきましては、私も、今回の改正をもって万全であるとは考えておりません。漸次そういう方向で強化をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 いまの大臣の御見解については、全く私は同感です。非常に私はいい御見解を示されたと思います。その点敬意を表します。 いま御指摘申し上げたのでございますが、十四歳から十九歳の梅毒患者というものが案外多いという数字になっておりますね。しかもこの顕症梅毒の比重というものは、十四歳−十九歳の梅毒患者というものが非常に多い。その中で見てみても、いま申し上げました顕症梅毒というものの比重が非常に高い。三十五年は二〇%、三十六年が一九・四%、三十七年が二九・七%、三十八年が五一・七%、こういうふうに非常に多くなっておる。そこで、私どもふしぎに思いますのは、そういう十四歳から十九歳というような非常に若い年齢層に多くなってきた原因というものがどこにあるか、また、一体感染の機会というものはどういうところにあるのか、こういう点について、多少専門的にわたりますけれども、御見解をお聞かせいただきたい。
○中原政府委員 性病患者が青年層に多いということは、日本ばかりでなくて世界的傾向でございまして、いわゆる若年者の性病対策ということがほかの国でもいろいろ関心を呼んで、対策が講じられておるところでございます。それの原因がどこにあるかと申しますと、これにつきましてはいろいろ取りざたされておりますけれども、この感染源の調査から考えまして、実は全般的に言いましてなかなか実際の感染源というのがやはりつかみ切れないで、いわゆる不明という数字が大部分を占めているようでございます。しかし、やはり男子でありますと一番多いのは、そういうような商売といいますか、それに近いような女性からもらっているというのがやはり多いように見受けられます。その上にまた、そういうような性病の知識が若年者にはございませんので、そのために一そう広まり方が著しく見えるという形になっております。
○河野(正)委員 感染源がなかなかわからぬとおっしゃるけれども、これは届け出制度ですから、数が多い少ないは別として、統計的には一応出てこなければならぬと思うのです。
○中原政府委員 感染源につきましては、男子でございますと昭和三十九年を見ますと、梅毒患者につきましては、全体の二〇・四%が売淫行為者、それから〇・八%が友人、〇・四%が配偶者、その他が九・八%、不詳として六八・六%という形になっております。女子でございますと、売笑婦でございますとそのお客ということになりますが、相手方が一一・七%、友人といいますか、そういうものが三・三%、配偶者が一四・二%、その他が一三・一%、不詳が五七・七%、大体こういうような形になっております。
○河野(正)委員 いま数字をお聞かせいただいたわけですけれども、男性の場合も女性の場合も、半分以上が感染源がわからぬという数字になっております。これは私はそうわからぬ問題じゃないと思うのですね。これが少なくとも男性の場合には六八・六%が不明とか、女性の場合は五七・七%不明だというようなことで看過されているところに、私は問題があるのではないかと思うのですよ。やはりわからぬならわからぬで、その原因を徹底的に究明していく、そういう指導をなさることが、抜本的にはこの性病の予防対策に万全を期するということに通じていくのだと思うのです。届け出制になって、ただわかりません、わかりませんといって適当な届け出をする、それを見のがすようなことで、ほんとうにこの性病予防の万全を期せられるかどうか。それでは行政指導はやっぱり問題があるのではないかと思うのですよ。これは、感染機会というものがそうわからぬということは大体考えられぬことだと思うのですね。ですから、要は届け出制というものが非常にずさんになっておるのか、あるいは届け出の内容というものが、いろいろ複雑な事情等もあってずさんな結果になっておるのか、それは別として、厚生省として、やはりそれらに対する抜本対策を立てるわけですから、もう少し適切な行政指導をして、できるだけ感染経路というものがわかるようにしむけていく、こういうことをやらぬと、もう六〇%も七〇%もわからぬという統計が出てくればそれをそのままほうっておく、こういうことでは、本気で性病対策を実施していこうというふうな御意思があるのかどうか、私どもは疑問を持たざるを得ぬと思うんですよ。率直に申し上げて、きょういろいろ御質問を申し上げておるけれども、あなたのほうも、法律は通してくれとおっしゃるけれども、これに取り組む熱意というものが正直言って薄いですよ。きょうは、与党の皆さんからも与野党を代表して質問せよと言われますので、私は与野党を代表してこの点を政府に強く勧告したいと思うんですよ。どうも不勉強ですね。ですから、私は、この問題はやはりもう少し的確に原因を把握するという努力をなされる必要があると思うんですよ。ひとつここで自戒の御発言を願いたいと思います。
○中原政府委員 ただいま感染源がわからないということについていろいろ御忠告を受けたわけでございますけれども、先ほど申し上げました数字でございますが、これは梅毒でございまして、りん病のほうになりますと、若干不詳の数が少なくなってきております。これは病気の性質上そうであろうかと思いますが、たとえて申しますと、三十九年は、りん病のほうは、男はその感染源が、売淫行為者が四一・八%、友人が五・七%、配偶者が一%、その他が一八・二%、不詳が三三・三%。女子は、これは売淫常習者を含めておりますから、その相手が四四・二%、友人というのが一一・一%、配偶者が五・五%、その他が一〇・六%、不詳が二八・七%。りん病の場合は、比較的潜伏期間が短いものですから、梅毒よりはわかりやすいという関係がございまして、そのわからないというパーセンテージも梅毒よりは少なくなっている。しかし、これは、それにいたしましても確かにまだわからないというのが多い、こういう点についてもさらによく指導していきたいと考えます。
○河野(正)委員 お答えを願えば願うほど矛盾が出てくるわけですね。というのは、あなたのほうは、いま感染源の不明の数字が非常に高いという指摘をしたら、りん病のほうはこういうことですという申し開きをなさるわけですが、厚生白書を見てごらんなさい。厚生白書はりん病には触れていない。梅毒にばかり触れているんですよ。ですから、あなたのほうは梅毒に重点を置いているというのなら、梅毒の中でやはりその感染源の不明が減っていかなければ意味がないのであって、かってにりん病のほうをおっしゃるけれども、厚生白書はほとんどりん病に触れていない。梅毒にばかり触れている。そしてその際に、それは梅毒が重要ですからとおっしゃっておって、今度数字の点を指摘されると、りん病のほうはこれだけ成績がいいと言う。これでは全くつじつまが合わぬので、納得するわけにいきませんけれども、いつまでもそういうことで時間を経過してもいたし方がありませんから、その点については十分御注意なさることを勧告をして、次に移ります。 この性病感染源については、数字を承って、不明の数字が非常に高いということで私ども非常に残念に思っております。そういうことではほんとうに性病予防の万全を期せられるかどうか、私どもは疑問を持たざるを得ないということを率直に申し添えておきたいと思います。 そこで、まあ週刊誌あたりは特にそういう取り上げ方をするのかどうかわかりませんけれども、この数字の上では、統計の上では若年者の顕症梅毒が多くなっておる。ところが、一般の報ずるところによりますと、たとえば、年齢は別としてもBGであるとか、主婦であるとか、学生であるとか、こういう層に最近性病が非常に多くなった。これがまあ一つの特徴だというふうなことがいろいろ喧伝をされておりますことは、御承知のとおりだろうと思います。そこで、感染源がはっきりしませんことは非常に残念でございますが、それならば、こういう一般向けと申しますか、これは私、女子の場合を特に取り上げてまいったわけですけれども、こういう面で最近新聞その他がいろいろ報ずるような傾向になったとすれば、その原因が一体どこにあるのか。
○中原政府委員 まあ週刊誌その他には、いろいろ一般の人々の性病の罹患の問題が出ております。これは、私どもその面に正確にそこまでなかなか突っ込めない問題でございますけれども、いわゆるこの性病というものは、かつては売笑婦の病気であるというふうに思われたのでありますけれども、この性病予防法ができましたときに、性病予防法は、国民一般の性病をなくしていくという観点からいろいろ対策がとられたわけでございます。実際問題として、売笑婦がこの性病を相当に持っておるということは事実でございますけれども、それのみでなく、一般の人々の中にやはり性病というものが入り込んでおるということを、一般の人々に知っていただくということは、私は非常に大切なことであるというふうに考えておるのでございます。それで最近は、そういう一般の人々の性病という問題が相当取り上げられ始めたということが、週刊誌上等に出てきている一つのあらわれというふうに私は考えております。
○河野(正)委員 今度の法律では、売淫常習容疑者に対する健康診断の強化がはかられるわけであります、これはいままで都道府県知事だけであったのが、市長までに権限が及ぶわけですから。ですが、まあそれらは大体常習者ですから街娼ですね。ですけれども、いま出てきておる現象の特徴的なものというのは、一般の方々に非常に多くなったということだ、こういうふうにいわれておる。ですから、なるほど今度の法律改正で三点ばかりありますが、その一つは、いわゆる常習者に対する強化ですね。ですけれども、それだけではどうにもならぬ。いま特徴的な現象というものは、そういう常習者じゃなくて、一般の方がふえてきたというのですからね。ですから、私は、やはりそれらに対してどういう対策を講じていくかということは、当然必要な点だと思うのです。ところが、それは法律の中には出てきておりませんからね。一体、今後行政の運用上どうなさるかということをお聞きせぬと意味ないと思うのですよ。そういう意味でお尋ねしておるわけですから、そういう意味でお答え願いたい。
○中原政府委員 一般の人々の性病対策を強化するということにつきましては、法律の表面には、いわゆる婚姻の際の梅毒の血清反応検査、それから妊婦のいわゆる血液検査というものしか出ておらないのでありますが、ただ、いわゆる医師に対する届け出の問題の中に入っているわけでございまして、従来この届け出の問題につきまして、名前を届け出られるということが、実際問題として心理的な一つの患者に対する圧迫感を与えるというような面も、いろいろ医師の方から言われております。したがいまして、そういうような心理的な面はできるだけ排除して、そうしていわゆる性病に対する蔓延度というものをつかんでいくにはどうするかということで、届け出の第六条の改正案を出しておるわけでございますが、行政のほうの関係、一般の医師の方々と相協力をして、一般の人々の性病をなくしていこうという精神がそこにうたわれておるわけでございます。非常にお医者さん方の協力も得られることを期待して、また、従来とかく一般に対する啓蒙活動というものも不活発でございました。しかし、何よりもやはり大切なのがこの啓蒙活動でございますから、それを強化してまいりたいということでございます。
○河野(正)委員 後段のほうはそれでいいのですが、私はむしろその点を、今後どう具体的に推進するかということについてお触れを願いたかったと思うのです。前段の医師の届け出の問題等の御指摘がございましたが、この点は、正直言っていい面と悪い面と出てくるわけですね。届け出が簡単にされるということですが、今度は、されてはたまらぬということで、しろうと治療というようなことでだんだん潜在化していくというような傾向も出てくると思うのです。ですから、私は、そういう点の必要性を否定するわけではございませんけれども、むしろ一般に対しては、いまあなたが後段に申し述べられた啓蒙活動、啓蒙運動と申しますか、そういう問題を今後具体的にどう推進していくかというような点がなされぬと、ただ医師の協力を期待しますとか、あるいはまた、啓蒙活動をいたしますということでは、これは実際何にもならぬのであって、それを今後どう具体的に推進するかということが私は非常に問題だと思うのです。 〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 それでなくては、ただ一片のここでの質疑応答に終わってしまうと思うのです。そういう意味でひとつ大臣から……。
○鈴木国務大臣 先ほど来河野さんからお話がございました、性病が売春常習者であるとか、そういう特定の者に限られておるうちはそれほど脅威ではない、それが一般の家庭なり一般の青年男女なり、そういうところに入り込んできておるという最近の傾向、これが非常に憂慮すべき事態である、であるから、今後の性病対策はそういう面に重点を置いた対策を強化すべきである、こういう御指摘は、全く私は同感であるわけであります。そういう意味合いから、今回の改正でありますところの婚姻時の梅毒血清反応の検査等の対策もその一環であるわけでありますが、何と言ってもその根本は、性病に対するところの正しい知識を与え、性病のおそろしさというものを十分認識をさせる、このことが一番大切だ、こう思うわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、今後民間におきましては、日本性病予防協会でありますとか、あるいは各県にありますところの予防協会の協力を得、また、地区の衛生組織等の御協力も得なければいかぬ。また文部省でありますとか、あるいは警察方面との協力も得まして、そして一方におきまして売春常習者等の取り締まりを強化いたしますと同時に、いま申し上げたような性病に対するところの正しい知識を与える、性病のおそろしさというものを十分徹底させる、こういうことが必要であり、そういうことを具体的に今後推進をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 そこで、これから先はむしろ伊藤よし子さんにやってもらったほうがいいと思うけれども、いままでいろいろ御見解を承りました中で、やはり街娼の問題が一つあるわけですね。この街娼は、私どもも十分承知はいたしておりませんけれども、一つには、生活上の問題からくる街娼の存在があろうと思います。それからもう一つは、そういう環境といいますか、はでな環境を好む。平たいことばで申し上げますと、好きでやるというふうなケースもあろうかと思います。そこで好きでやるほうは、これはもう今後大いに教育してもらう以外にないと思いますけれども、生活上の問題から起こってくるものは、やはりひとつ施策の面で当然考えていただかなければならぬ。ここは大体伊藤よし子さんの専門の分野で雇用対策法の中でぜひやりたいということでございましたけれども、ひとつ、きょうは与野党代表質問ですから、私がかわってお尋ねをしたいと思います。この街娼あるいは売淫常習者、これらに対する対策、これは主として雇用と申しますか、生活権と申しますか、そういう意味での対策はどのようにお考えになり、また進めていただいておりますか。この点は、せっかく局長御出席ですから、局長のほうから懇切丁寧にお答え願いたいと思います。
○高橋(展)政府委員 たいへんむずかしい御質問なんでございますが、私どものほうの組織といたしましては、各府県にございます婦人少年室におきまして、婦人問題相談の一環といたしまして売春関係の事案の相談業務をいたしております。いわゆる売春婦あるいは売春経歴のある婦女の方、あるいはいろいろな事情から売春経歴におちいるおそれのある方々の御相談に乗って、その生活についての御指導等をいたしているわけでございますが、そのような関連におきまして、従来、いま御質問の売春婦等の雇用という点に関しましては、そのような相談に接しました際、何と申しましてもこれらの人々の安定した雇用をはかるということが非常に重要なことでございますので、あるいは生活指導ということによりましてアドバイスを与えたり、あるいは職業安定機関への連絡をとりまして就職のあっせんをはかったり、あるいはまた、何か特定の技能を習得させることが安定した雇用につながると考えられます場合には、職業訓練施設への入所につきましてアドバイスしたり、あるいはそれを便宜をはかったり、このようなことをいたしながら、売春におちいろうとする人々あるいは売春経歴から抜け出そうとして更生しようとしている人々に対して雇用の機会を与えるようにと、そのような努力をしてまいっているわけでございます。従来のそのような面での仕事の実績といたしましては、年間に相談を受けましたものの約三分の一が就職をしているような状態でございます。
○河野(正)委員 一つには、私は、婦人の雇用を安定さしていくということがあとの生活上の問題は一切解決するわけですから、これは問題ないと思うのです。そこに問題があるから、後段の売春をしなければならぬ、売淫をしなければならぬという問題が起こってきておるわけですから、一つには、いま申し上げますような第一の基本的な施策で解決していただくことが非常に望ましい。現実の問題としては、それからこぼれてくるわけですから、そのこぼれた分野についてどう対処していくかということが、いまここで一番大きな問題になるわけです。 そこで申し上げたいのですが、この売春容疑者あるいは売淫容疑者と申しますか、それらの方々が婦人少年室にのこのこ出て行って相談をするというケースは、事実問題として私は非常に少ないと思うのです。そこで、私はやはり積極的に婦人少年室なら婦人少年室が、この問題と取り組む姿勢というものができてこなければいかぬ。ところが、実際現場を見てまいりますと、たとえば売春容疑者は婦人補導所に入って、そして職業訓練相談を受けている。これは法務省の所管ですね。結局一つも労働省がやっておられるというわけではないのです。そこで、それらの点について、婦人の皆さん方も非常に世間の冷たい眼を向けられるという問題もあるようです。 たとえば、福岡に婦人補導所をつくったときに私はお世話をしたのですが、非常に地域から反対運動が起こりまして、この問題がなかなか難航したといういきさつがございます。そういうことで、なるほどいま相談を受けた者のうちの三分の一は就職のあっせんに成功いたしましたというお話でございますけれども、それは私は氷山の一角だと思うのです。そういうことで事足りるというような考え方ではたいへんなことであって、やはり労働省としても積極的にこの問題と取り組まれる必要がある。そのことは、結果的には性病予防の対策にも通じていくわけですから。私は、そういう点からも、どうもいまの労働省の姿勢では、はいそうですかと言うわけにはまいらぬという気がするのです。そこで、むしろいま法務省がやっておるような婦人補導所のような仕事は、労働省のほうでおやりになったほうがいいのではないかと思うのですよ。そうすると、労働省で職業訓練をやっているのだということになる場合と、法務省がやっている場合とでは、おのずから世間の眼も違ってくると思うのです。そういう点についてはいかがですか。
○高橋(展)政府委員 先ほど私どもの行なっております相談業務につきまして、婦人少年室における扱いだけ申し上げましたので、たいへんに手ぬるいというようなおことばをいただいたのでございますが、婦人少年室で相談に参りました者を受け入れるだけでございませんで、婦人少年室の仕事に協力していただいております組織としての婦人少年室協助員制度がございまして、こちらで約三千五百名の民間のボランティアの方々が活動していただいておりますが、この方々は、地域におきましてそのような転落のおそれのある者あるいは転落している者等につきまして、常時手を差し伸べるように努力しているわけでございます。しかし、先生のおっしゃいますように、確かにそのような婦女がみずから名のり出るということはたいへん少ないわけでございますので、その仕事というものはたいへんにむずかしいわけでございます。また、いわゆる人権問題もございますので、いきなりそれらの婦女子に対して、婦人少年室あるいは協助員にしろ、どこまで干渉できるかということがたいへんむずかしい問題になるのではないかと思います。それで、現状といたしましては、私どもは売春防止法の施行につきましては責任あるいは権限というものもございませんので、先ほど申しましたような相談のサービスということでもって、いささかなりともそれらの婦女子の更生に尽くしたいと思っておるわけでございます。 なお、これらの婦女に安定した職業を与えるといいます場合には、それらの婦女を専門に考えることと同時に、やはり一般的に女子の雇用機会というものを拡大いたしまして、その中にこれらの婦女が入っていけるようにと援助いたしますこともきわめて大切なことと思われますので、私どもは、一般的に女子の雇用機会を広げる、あるいは女子の労働条件を高めるというふうな方向において仕事を進めまして、また、その一環といたしまして、売春経歴のある者等が一般人と区別されることなくそこに入ってくること、そのことがやはり非常に大切なことではないか、そのような考え方も持っておるわけでございます。 なお、補導院のことの御指摘がございましたが、これは売春防止法によりまして、補導処分として収容を行なうための施設でございまして、身柄の拘束等があるわけでございますので、法務省所管ということで現在扱われておるわけでございまして、労働省が補導院をということには、まだいろいろ問題があるのではないかと思います。
○河野(正)委員 そういうことじゃなくて、そういうふうな売春なり売淫なりしたという犯罪者というものは、ことごとく法務省が扱うのではなくて、一種のアフターケアですから、そのアフターケアの分については労働省が積極的に愛の手を伸ばされたらどうですか。そうしないと、いつもそういう犯罪と関係があるということで職業訓練をやりますと、世間は冷たい目で見る。そして、かえってそういうことが更生を妨げる結果になっておる。私どもは、補導院はそういうことじゃないということで現地でおすすめしても、現地でいろいろ抵抗があるものですから、そのことが、結局は補導院に入った方々の更生を逆に妨げる結果になる。そういう点もありますから、アフターケアの分については労働省ができるだけ手をお染めになってはどうですか。こういうことを言うのは、何も所管争いをしなさいということを言っておるのじゃない、アフターケアについては労働省がおやりになったらどうですかということを言っておるわけです。
○田中委員長 委員長から婦人少年局長にお尋ねをいたしますが、各都道府県に婦人相談員という制度がございますが、この婦人相談員とおたくのほうの婦人少年室、この間の連絡は一体どうなっておるのか。もしこの間の連絡をもっとよくすれば、ただいま河野委員のような趣旨ももっと生かされるのじゃないかと思いますが、この間の事情をもっと御説明願いたいと思います。
○高橋(展)政府委員 各県にあります婦人相談員につきましては、御承知のとおり、売春防止法に基づきまして設置されている施設でございます。私どもの婦人少年室のほうは、売春防止法には直接かかわりがないわけでございまして、婦人少年室における業務の一環といたしまして、婦人問題の解決という立場から相談業務を行なっておるというのがその機能でございます。もちろん、この両者あるいはさらに補導院等も含めまして売春防止の役割りをになっております諸機関は、常時連絡を密にいたして仕事を進めているわけでございます。 具体的には、売春防止法が制定されました年でございましたか、関係各省の次官の合名通達が出まして、要保護女子の転落防止保護、更生につきましては、婦人相談員、婦人相談所、婦人少年室その他の諸機関が連絡、協力をしてその実をはかるというようなことの通達が出ているわけでございますし、また、その後も、各地に設置されました売春対策本部等の機関を通じましても常時の連絡体制がとれているわけでございます。また、実態的にも、私どもの把握いたしておりますところでは、婦人相談員、婦人相談所と婦人少年室との連絡あるいは婦人補導院との連絡等もきわめて密のようでございまして、お互いにそれぞれの特徴を発揮して事態の改善につとめているように存じております。
○河野(正)委員 冒頭に申し上げましたように、三十七、八年ごろから急激に性病患者が減少したについては、これは抗生物質その他が出回ったので、そういうしろうと治療と申しますか、特にりん病の場合はそういう傾向があると思いますが、しろうと治療によって表に出てくる数字というものが少なくなったのだ、こういう議論もございますことは御承知のとおりだと思います。 そこで、この際承っておきたいと思いますけれども、行政管理庁の勧告によりましても、薬の販売合戦が深刻になってまいりまして、そのために売らんかな売らんかなの商魂によってついに誇大広告が行なわれる、そこで、そういう誇大広告につられて勢いしろうと治療というものがだんだんと盛んになってくる、私はこういう傾向があると思うのです。週刊誌を読みましても、とてつもないような広告が非常に多いのですね。たとえば、梅毒なんか一ぺんになおるような広告もございます。それが堂々たる週刊誌に広告しているのですね。これは広告ですからやむを得ぬかもしれぬけれども、そういう広告がございます。しかも抗生物質は要指示医薬品でありますことは、これまた御承知のとおりでございます。したがって、医師の指示によって用いられなければならぬということでございますけれども、なかなか実際にはそういうふうには運んでまいっておらぬと思うのです。そこで、やはりこの行政管理庁が勧告いたしておりますように、誇大広告あるいはまた、実際に法で定められております要指示薬についての規制ですね、こういう点を相当考えないと、こういう点を野放しにしておきますとついにしろうと治療に進んでいって、それが結果的には、一時は数が減るけれどもある段階へきますと爆発的に数が多くなる、私はそういう経過になっておると思うのです。そういう意味で、いま申し上げました薬の誇大広告の規制の問題、あるいは薬事法で定められました要指示薬についての規制の問題、こういう点についてもここで私は再認識をする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、この点は大臣から御見解を聞かしていただきたい。
○鈴木国務大臣 薬の広告の問題でございますが、薬事法によりましても、誇大広告、また誤った服用等を助長するような、そういうたぐいの広告等につきましては、薬事法に定めるところによりまして政府としても十分な規制の指導をいたしておるところであります。また、ただいま御指摘がありましたところの要指示薬等が、実際に医師の指導のもとにそれが服用されておるかどうか、このことを十分励行させるということがきわめて重要な問題であるわけでありますが、 〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 私は、その要指示薬なりあるいは医師の指導によって使用さるべき薬の使用等が、規定どおりしばしば励行されていない点につきまして非常に心配をいたしておる一人でありまして、この点につきましては薬務当局を通じまして、あるいは製薬業界に対し、あるいはまた薬局に対しまして、そういう励行方の指導を実はいたしておるところであります。私は、全般的に言いまして、この薬の広告から流通の問題、さらに服用の問題等につきまして、さらに姿勢を正すといいますか、厳重に薬事法の精神に基づいて運用されるように特段の努力をしなければいけない、このことを事務当局にもしばしば指示をいたしまして、そういう方向で業界の指導に当たるようにいたしておるところであります。
○河野(正)委員 いま御指摘申し上げましたような薬の販売合戦に基づきまする弊害というものがどんどん出てまいる。それが、一つには性病等の問題にも関連する。特に私どもは、最近驚きますことは、たとえばやせ薬であるとか強壮剤、毒消し薬——この毒消し薬というのが、大体性病予防というようなことで民間で非常に使われている。そこで私どもは、やはりこういう問題を行政運用の中で解決せぬと、なかなか撲滅するということに相なってまいらぬのではないかという感じを持つのでございます。 たとえば、先般も社労委員会で私ども奄美大島へ行きましたら、奄美大島ではハブの黒焼きというのが強壮剤として出ている。ハブの黒焼きが強壮剤としてきくのかきかぬのか知らぬが、そういうことを聞くと営業妨害になるかもしれないけれども、実際どんどんそういうのが過大に広告されて、市販されておる。それから九竜虫、これが最近非常にはやっていて、私どももちょいちょい聞かれるのです。九竜虫が強壮剤としてきくのかきかぬのか。ところが、きのうの新聞を見ますと、寄生虫学者がこの九竜虫は蟯虫の中間宿主になる危険性がある、こういうことで強く警告を発したというようなことが新聞に出ております。そこで、ハブの黒焼きについても話がありますが、たまたま九竜虫が最近非常にはやりまして、いろいろなところへ参りましても九竜虫の話が出てまいりますよ。大臣も、どこかで厚生大臣として質問される危険性がないとも限りませんから、この際、九竜虫の問題についても、ひとつはっきり所見を明らかにしてもらったほうがいいんじゃないかと思うのです。この点いかがですか。
○鈴木国務大臣 私は、ごらんのとおり健康だけは人一倍恵まれておりまして、九竜虫の服用の要を実は認めていないのでありますが、(笑声)しかし、河野委員から御指摘がありましたように、最初こういう薬といいますか、あるいは強壮剤といいますか、そういう薬まがいの強壮剤、そういうものが相当各方面で服用され、また宣伝をされておる、この傾向をそのまま放置してよろしいかどうかという問題につきましては、やはりこれは、薬事法という薬の問題とは別に、私は国民の保健衛生の面からいっても看過できない問題ではないか。特に九竜虫等の服用につきましては、寄生虫の問題等が学者から指摘をされておる、こういう点等を考えますと、こういう問題を、今後やはり厚生省としても、保健衛生というような観点からも十分注意を払いまして、適切な指導を加える必要があるのではないか、かように私考えておるわけであります。
○河野(正)委員 それからもう一つ、最近はやっておりますものにお手ふきというものがありますね。アルミ箔に入って、これは弁当にはついておりますよ。それから列車に乗りますと、食堂車に置いてありますね。ところが国民は、あれはやはり、こうやりますと消毒になるというふうに大体理解をして、極端に言いますと、子供なんか、あれ使えばあとは指をなめてもいいというような父兄の方もおられるようです。ところが、実際に消毒用お手ふきの研究をやってみたところが、ほとんど殺菌効果がないというふうにもいわれておるわけですね。ですから、やはりそういう点は厚生省で指導なさって、これはだめならだめ、そういうことが一般に利用されますと、国民はあやまってやはり衛生思想というものを涵養すると思うのです。ですから私は、いまの九竜虫だって、長い間世間で、これはききますかききませんかとか、いろいろいわれておるわけですから、手っとり早く処置される必要があると思うのです。それといま一つは、これは食品衛生にも関係し、また、性病の予防にも関係するかもしれぬと思うのでお尋ねするわけですけれども、アルミ箔に入っておるお手ふきですね、これらの問題についてどのようにお考えになっておりますか、この際ですからお尋ねしたいと思います。
○鈴木国務大臣 専門の環境衛生局の食品衛生のほうの担当官が見えておりませんが、これは御指摘もございましたので、食品衛生の面で適切な指導を加えるようにいたしたい、こう存じます。
○河野(正)委員 これは、薬務局長がおられますが、薬学会でそういうような滅菌力がゼロだという発表をしておるわけですよ。ですから、これは環境衛生でなくて、あなたのほうの関係で明らかになっておるわけですから、ひとつさらに御検討願って、それは滅菌力がないならないということを、はっきりしたほうがいいと思うんですよ。そうでないと世間の人は、それは滅菌力があるんだ、消毒に有効だというたてまえでやられますと、そのことが結果的には、性病じゃありませんけれども、逆の結果が生まれますから、自分で十分だと思っているのでそのために赤痢が出るとかなんとか、こういうことがありますので、私は、国民の日常生活と密着しておるようなつまらぬ問題ですけれども、こういう問題について厚生省が手っとり早く処置されることを国民は期待していると思う。非常にむずかしい問題で、けんけんごうごうあわを飛ばしてやるような議論も必要でございましょうけれども、こういうソフトムードな国民の日常生活に密着しておる問題、こういう問題を手っとり早く処置されることは、国民にとっても大きなプラスの面があると思う。そういう意味で取り上げたわけですから、そのように御理解願って、九竜虫の問題でも、また消毒用のお手ふきの問題、それからハブの黒焼きの問題、いろいろございますけれども、それらの問題について適切な行政指導をすみやかにやっていただくことが国民にはよりプラスであろう、こういう意味で御進言申し上げておきたいと思います。 そこで、だんだん時間がなくなりましたが、性病というのは話しますと切りがないので、いずれにしても性病予防の万全を期していくためには、まずその実態というものを的確に把握するということが第一だと思うんです。それから、その実態というものが的確に把握できたら、それらに対する抜本対策を講じていく、そして所期の目的を達成していただかなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。それらの点については、若干いろいろ意見も申し添えてお尋ねいたしましたので、あえて重ねて申し上げません。 そこで、最後に申し上げ、そして御意見を承りたいと思います点は、何と申し上げましてもむしろ今後は一般の性病の撲滅ということに重点を向けなければならぬわけで、それが今日の特徴的な現象ですから、そういう意味からは性病予防思想の普及、さっきから大臣がしばしば御指摘になった点でございますけれども、これらの点について早急に具体策を強化させる必要があるということは、これは当然のことだし、また私は、これが本法案を審議するにあたっての一番大きな柱だというふうに考えるわけです。そういう意味で、ひとつ最後に大臣からそれらの点に対します力強い御見解を承っておきたい、かように思います。
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、性病が一般の家庭なり若い層の生活の中に浸透してきておる、こういうようなことはきわめて憂慮すべき事態でございますので、これが対策の強化を今後ますます私ども力を入れていきたい、こう思うわけであります。そのためには、御指摘がございましたように、性病に対する正しい知識を持ってもらう、性病のおそろしさというものを十分認識してもらう、こういうようなことが必要であるわけでありまして、そういう面からいたしまして、厚生省といたしましても、性病予防のための講演会なりあるいは映写会なり、あるいはパンフレット、リーフレット等の配布でありますとか、そういうものを機会あるごとに配布し、また、講演等も実施をいたしておるところであります。また、文部省とも連絡をとりまして、女子の高校生等に対しまして、課外講座としてそういう性教育、また、性病に対するところの知識を与えるような場を持っていただく、こういうこともいたしておるのであります。今後また民間の協力も得まして、各県の性病予防会あるいは地区の衛生組織、そういうようなものを動員し、御協力を得まして、十分性病に対するPRを徹底していきたい、このように考えるわけでございます。 それから、先ほどもそういう趣旨のお話があったのでありますが、青少年の非行化と性病の関係、これも拘置所でありますとかあるいは少年鑑別所等の子供たちの性病の調査の結果を見ましても、多いところでは四〇%くらい、あるいは二〇%前後、こういう罹患率になっておるということは、青少年の非行化と性病というものがやはり関係なしとはしない。非行化の中に日常の生活の乱れ、そういうところから性病に対する罹患率も高まっておるということから、この面につきましては法務省等とも十分連携をとって、十分な指導もやっていく必要があるのではないか。 さらに、売春常習者の中で精薄の婦女、こういう者が相当おるように私ども見受けておるのであります。精神的にも非常に弱い女性であります関係から、幾らこれを補導処分にして治療してあげる、十分性病のこわさというものを教えてやる、また、生活の立て直しについていろいろ指導助言をするというようなことをいたしましても、精薄であります関係から、すぐにまた町へ出ていくというようなこと等もございまして、こういう面につきましても特別な配慮と対策が必要ではないか、こういうことも考えておるわけであります。 冒頭に申し上げましたように、性病が一般の家庭なり若い層に浸透してきておるという憂慮すべき事態に対処しまして、そういう面に対するところの予防対策の強化ということを、今後政府としても努力をさらに傾けていきたい、かように考えております。
○小沢(辰)委員長代理 関連質問を許します。長谷川保君。
○長谷川(保)委員 二、三関連して。一つは、この資料をいただいて見てみますと、常習の売淫者の疑いで健康診断を受けた者が三十九年で千六百四十三、健康診断命令件数が三千五百四十五という数字がありますが、常習売淫者というのは全国で一体どれくらいあると予想しているのか、それをちょっと伺いたい。
○中原政府委員 これにつきましては、私どものほうとして、全体の数が一体どのくらいあるかということにつきまして、はっきりした数字はちょっとございません。
○長谷川(保)委員 およその予想はどれくらいですか。
○中原政府委員 これは戦争直後でありまして、いわゆる街娼等のいろいろの取り締まりでありますとか大体のあれがございましたけれども、その後現在におきましては、ちょっとなかなかつかみがたいということになっております。
○長谷川(保)委員 私、この数字を見て非常に少ないので、性病の予防ということが、先ほど河野委員が言われたように、実際ほんとうにはできていないのではないか。どれだけ力を入れているのかということもずいぶん疑問だということですね。こんなに少ない数というのは、驚くべき少ない数です。この点は労働省の高橋さんのほうでも——いまも大臣からお話がありましたように、私どもの浜松市というのはステッキガールで有名な町です。その実態を見てみますと、みな繊維業者のところへ東北地方その他から連れてこられました娘さんです。大体この中の精薄の子たちは、仕事を教えても覚えないわけです。そこで、せっかく東北あたりから連れてまいりました者たちをどうしようもない、仲間でもだんだん疎外されるし、それから収入も得られない。それがステッキガールに入っていく最大の理由のように私は見ている。浜松だけでも、ステッキガールの数はこればかりの数ではない。でありますから、やはりそういう調査を真剣になさらないと対策が立たぬじゃないか。あまりにも少ない数でございますので、先ほどの河野委員のお話のように、力がほんとうに入ってないんじゃないか。非常にむずかしい仕事ではありますけれども、しかし、まだまだこんな数ではないはずであります。ですから、いまの労働省のほうでも、それらの対策について、精薄の女たちを、そういう子たちに不可能な仕事に連れてきて、そして転落さしてしまうというようなことのないような対策を立てるということが非常に必要だと思います。同時に、厚生省のほうでももっと実態の把握に努力すべきじゃないか。それで予算を見てまいりますと、予算がいかにも少ないのであります。 そこで私、もう一つ伺っておきたいのは、ずいぶんベトナムあたりから帰ってまいります、あるいは韓国その他第一線から帰ってくる。ことにベトナムあたりで生死の間をさまよってきたアメリカ兵あたりが帰ってきて、日本に休養に来る。そういうところから感染させられる性病というのはずいぶんあるのではないかと思いますが、ことにサイゴンあたりの婦女子が、生きる道が非常に困難ですから、売春婦になっているということはいろいろな印刷物で見るのでありますけれども、そういうものは一体調べているのかどうか、調べられるのか全然調べられないのか、そういう影響というのはどうなっているのか、ついでに伺っておきたい。
○中原政府委員 お答えいたします。 米軍の軍人等に対する性病の予防に対して、性病予防法の適用がどうなるかというお話のようにお伺いいたしたのでございますけれども、性病予防法の適用は日本国内における外国人にも適用されるのでございますが、米軍軍人につきましては日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、これに基づく施設及び区域の合衆国軍人については当該施設に日本人の当該員等が立ち入ることができません。したがいまして、事実上は適用されておらないという関係にございます。しかし、全体的に基地の関係が特に性病が蔓延をしておるかどうかという問題になりますと、いわゆる届け出等の数字から見ますと、特別にそういう地区だけ多くなっているというふうにも見受けられませんので、残念ながらその点につきましてははっきりした根拠があるものはございません。
○長谷川(保)委員 その点ちょっと伺いましたのは、例の十二地区ですね。重点地区の十二地区、この十二地区というのはそれらと関係があるのかないのか、それはどことどこをやっておるのか、大体港地区というのが多いのだろうと思うのですが、どこどこですか。
○中原政府委員 この性病の重点地区対策と申しますのは、おもに性病の予防並びに治療といいますか、そういう予防対策を強化して行ないたいということで、モデル的にそういうわりあいに熱心な地区とかいうようなものを選んで予算を流しまして、そこでおもにやっている活動と申しますのは、全体的に見ますと啓蒙活動が主体でございます。啓蒙活動、それから医師会とか婦人会とか、そういう地区組織の人々と一緒になってやるということをやっておるわけでございます。大体の場所といたしましては、熱心な地区ということになりますので、四十年度でございますと大阪府、愛媛県、その二府県、それから横浜市、横須賀市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、呉市、佐世保市、こういう八市を選んでやっておるわけです。この中には、そういういわゆる街娼の相当おるというところももちろん含まれておるわけであります。
○長谷川(保)委員 もう一つ伺っておきたいのですが、先ほどもお話がありました医師の診断の問題ですけれども、これは今度の法律改正で一月ということになるようですが、これはちょっと長過ぎるのではないか。性病を持っておる者が一月間ほかの異性に触れないということはあり得ないのでございまして、ですから、この届け出の期間を一月にしたということについては非常な問題があると思うのです。ことに私が非常に心配しますのは、届け出をいたします医師のところには患者が来なくなるというおそれがある。そこに非常な問題がある。だから届け出をしたときに、それに対する——私は遺憾ながら知識がなくてそれを知らないのだが、届け出をしたときに医師に対して何か手当が出ているのかどうか。手当が出ているように聞いたことがないのだけれども、届け出をするということ、それにはいろいろ手続の手間もあるわけですから、届け出をしたときに、それに対する手当等をつけるということは考えられないのか。そうすれば確実に行なわれるだろうし、それから同時に、また届け出をするために患者がそこへ来なくなってしまうというような現実というもの、そこから患者を届け出る数が非常に少ない、あるいは把握できないという点が多分にあるだろうと思うのです。この届け出に対してはどういうようになっているのか。手当をもらうという話を聞いたことがないのだけれども、手当が出ているのか、それとも出ていないならそういう手当をつけるべきではないかそうして患者が届け出をする医者のところに行かないという形を、至るところでそういうことがないように、一方では届け出が十分できるようにこういうことをすべきではないかというように思うのです。今日私は、その届け出に何か手当がついているということを聞いたことがないのだけれども、たぶんないだろうと思いますけれども、そういうものについて届け出を励行させるために、また、そういう方面から届け出をする医者のところにはもう行かないというようなことから、患者を把握できないということのないようにするためにそういうようなことにはならぬのか、それらの事情をちょっと伺いたい。 これで終わります。
○中原政府委員 届け出の問題につきまして、何か手当が出ているかというお尋ねでございますけれども、これは一般的に、性病ばかりでなくて、そのほかの届け出につきましても手当は出ておりません。いま先生の御指摘のとおり、性病患者は医者のところに行くと医者が届ける、それで名前が表へ出るかもしれないというような心理的な圧迫がありまして、そこで医者のところに行かないというお話がございました。 〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 そういうようないわゆる心理的圧迫というものにつきまして、そういうものを排除していこうということが今回の改正の一つの目的でもあるわけであります。そのために届け出の期間もいわゆる二十四時間を一カ月にいたしまして、そうして届け出には病名とかあるいは年齢とか性別とか、そういうものを出しまして、名前はひとまず書かないでおくというような形にしまして心理的なものは除いていく。ただ、その御心配になりました、いわゆる医者のところに来ているところの患者が、一月もほったらかしておいて、その間に変なことをされたら困るじゃないかというお尋ねの点につきまして、そういうものがありました場合にはすみやかに医師が届ける、そうしますと、その届け出に基づきまして保健所内の行政機関の医師と協力をして、その患者を正しい治療に引き戻すようにするというようなぐあいにいたしておるのでございます。
○田中委員長 滝井義高君。
○滝井委員 逐条的にお尋ねいたします。 まず六条です。六条の中ごろに、「その患者の氏名及び居住の場所並びにその患者に病毒をうつしたと認められる者その他省令で定める事項を質問し、一月以内に、文書をもつて、患者の居住の場所を管轄する保健所長を経て、」云々ということがあるわけです。そこで、この場合に、その患者さんに病毒をうつした者はだれであるかということを患者さんに聞くことになるわけです。その場合に、御存じのとおり、黙秘権というものがあるわけですね。これを患者さんが言わなかったときは一体どうなるのですか。
○中原政府委員 この場合につきまして、法律の上におきましては、いわゆる虚偽の答弁をした場合につきましていろいろの規定があるわけでございます。
○滝井委員 どういうことになるのですか。たとえば、虚偽でなくて黙秘権を行使したときには一体どうなるのか。それから、これは御存じのとおり、相手方も人格を持っているわけです。したがって、これは相手方の秘密を医師が聞くことになるわけですね。医師というものは、秘密を漏らしてはいかぬことになっているわけです。おそらくこの場合には、医師の秘密というものは例外になるのだろうと思うのです。この秘密を漏らすということは例外になる。罰せられないことになる。しかし、患者の側からいいますと、黙秘権を行使するという場合が一つあるわけです。いま一つは、あなたの言うように虚偽のことを言う場合、真実のことを言う場合と、三つ出てくるわけです。虚偽のことを言った場合、その患者はどうなるのか、黙秘権を行使した場合はどういうことになるのかを、これは医者の立場からはっきりしておかぬと、いま言ったように、また長谷川さんも触れておりましたけれども、あまり強引なことをやると患者が来なくなっちゃうのです。それは私は経験あるのですが、終戦の後に発しんチフスが流行したのです。そのとき、私の見ておった患者が、一家が全部流感にかかったわけです。そこで発しんチフスの届けをせずに私は治療をしておった。ところが、付近から保健所に投書がいったわけです。Aという家の患者は全部発しんチフスで、滝井先生はこれを隠しているのだ、こういうことになって、そこで保健所が私のところにやってきた。滝井先生、あなたの見ておるこれこれという患者さんのところへ案内してくれ、どうも発しんチフスじゃないか、こういうわけです。私は、そうじゃない、しかし、あの家に行ったらノミが一ぱいおる、ふとんをはぐればわんさとノミが出てくる、だからそれはノミの食ったあとだ、では試みに行きましょうと言って連れていった。私はこういう人間ですから、貧しいうちですが、ふとんのそばにぱっとすわったわけです。そうすると、ノミがずっずっとはってくるわけです。ところが、保健所の人は立ったままで、へっぴり腰でしかはぐれないわけです。見たところが、なるほどノミがおって、ノミの食ったあとだ。発しんチフスで全部からだじゅう赤くなっているわけじゃない。ノミにちょっちょっと食いつかれているわけです。しかし、事実は感冒だったわけです。伝染してみんな一家が感冒だった。しかし、付近の者は、終戦の後で発しんチフスのはやっているときで、発しんチフスに用心してくださいという宣伝をしておったものだから、そういう投書がいった。こういうことになるわけですね。それは、付近が投書をしてわかって、調べてみたらそんなものでなかったから何でもないけれども、性病というのは、御存じのとおり、相手方のことを言えば人格を傷つけることになるわけです。これは相手方が、いま河野さんもいろいろ御質問になっておりましたが、街娼とかなんとかいうことならば、これはお互いに身から出たさびでやむを得ないということがあるかもしれませんけれども、これは普通の場合でもあるでしょう。その場合に、黙秘権を行使した場合と、真実を訴えた場合と、虚偽を言った場合との取り扱いというものは、そういう場合はどうなるのだということを医師というものは十分知っておかなければならぬわけです。そんなことを言ったらなんですけれども、私も医者ですし、法律関係というものをよく知らないわけです。性病予防法を一条から全部読んでしまって治療するというところまで、なかなかいかないわけだ。昔は兵隊検査をやって、そこで一つせきどめをやることができたわけですが、いまはそれがなくなったわけです。今度のこの法律というものは、今度は、結婚という人生の非常な厳粛な場所において一回せきどめをやるわけですから、それだけに、この性病予防法の取り扱いというものについては、人権を侵害しないように、相当慎重な配慮を医者としてもしなければならぬし、行政当局もしなければならぬわけです。そこで、いまの真実を語った場合はあとでいろいろ聞きますが、しかし、虚偽を語った場合と黙秘権を行使した場合に、その患者というものは一体どういう処断を受けることになるのか、それをひとつ、一つ一つ御説明願いたい。
○中原政府委員 黙秘権といいますか、それでどうしても話さないということではいたし方がないのでございます。ただ、虚偽の答弁をした場合、たとえば、だれからうつされたとかいう問題につきまして、虚偽の名前を、ほかの人の名前をあげたというようなことになりますと、これはいろいろ問題になりますので、いわゆる虚偽の答弁に対する罰則といたしまして、法律の第三十条に、「第六条の規定による医師の質問に対し、虚偽の答弁をした者は、これを六ケ月以下の懲役又は二千円以下の罰金に処する。」という規定があるわけでございます。
○滝井委員 この六条というのは改正の条文じゃないのですよね。一部改正で、いままであるわけです。それで、いままで、虚偽の報告をしたり、陳述をしたり、黙秘権を行使した場合にはいかんともしがたい。そうすると、この人からうつされましたというのがうそであった場合は、いままではありませんでしたか。あったとすれば、いま言ったように、六カ月以下の懲役とか二千円以下の罰金に三十条でやられた前例があるのかどうか。
○中原政府委員 この事例につきましては、私は聞いておりませんです。
○滝井委員 おそらくないだろうと思うのです。実は、社会保障の法律には罰則がないのですよね。大体社会保障立法には罰則がないのです。今度は、社会保障立法じゃなくして衛生立法ですから、罰則はずっといままで伝統的にあるようにあるのだろうと思うのですよ。おそらく、この三十条など動いた前例はないのだと思いますが、動いた前例はいま新局長は知らないでしょう。動いた前例があれば、どういう場合に三十条が動いた前例があるかを教えていただきたい。
○中原政府委員 いままでに動いた前例はございませんです。
○滝井委員 そうすると、スズメのこけおどしにかかしを立てるようなものであっては、これは困るわけですね。だから、こういうように衛生立法というものは非常に人心の機微をいくわけですよね。特にこういうプライバシーに属するような性的な問題というものは、罰則をつくっても、それはこけおどしになってなかなか動かないのですよ。こういう点があるということを、まず十分配慮をしておかなければいかぬわけです。三十条は書いておるけれども実際は動いたととがない、動かなくても伝家の宝刀としてあるのだ、まあそういうところじゃないかと思うんですがね、これは。そういうことがこの六条にあるということをひとつよく心しておいてください。 そうしますと、今度は、医師が性病にかかっておると診断したときには、いろいろな条件を記載して都道府県知事に届け出なければならぬのですね。都道府県知事ということで保健所に出すということになるわけです。その場合に、届け出たら一体知事は何をしますか。
○中原政府委員 いわゆる届け出たという場合に、従来のあれでございますと、いろいろ氏名とか年齢とか、それからもちろん病名とか、その他接触者につきましていろいろ届け出がありました。接触者につきましていろいろ出てまいりますと、それにつきましてそのお医者さんに詳しく尋ねたりして、その接触者につきましては治療をすすめにいくというような行為をしておるということがございます。今度は、この六条の改正によりまして考えておりますことは、氏名というものは一応これは出さなければいかぬ。病名それから性別、年齢とか職業とかいうような、いわゆるその地域の疾病の蔓延の状況を把握し、一般的な対策を立てるための必要な一つの資料を得るという目的のために、届け出をしていただくという形になるわけであります。
○滝井委員 患者は、自分に病毒をうつした人を、真実を語るわけですよ。真実を語りますと、その語ったことをそのまま文書にして、保健所長を通じて都道府県知事に医者は届け出なければならぬことになっておるわけです、六条で。届け出なければならぬ。届け出ますと、一体知事は、その患者とそれから患者に病毒をうつした者に対してどういう処置をとりますか、こういうことなんです。何かすることがなければ、届け出ただけで知事が何にもしなければ意味ないです。届け出る必要はない。
○中原政府委員 現在やっておりますのは、その届け出に基づきまして接触者の調査をいたすわけでございます。
○滝井委員 そうすると、接触者の調査をしますね。接触者をさがし出した。たまたま普通の生活をしている滝井義高という者をつかまえた。そうすると滝井義高に対して、おまえは行って治療しなさい、こういう命令を出すだけでは意味ないですよ。私、金ありませんと言えば、それまででしょう。そのときは金を出して治療させてくれることになるのですね。
○中原政府委員 この治療の一般的な問題につきましては、いわゆる性病病院、診療所あるいは代用診療所、そういうものがございまして、そのところにおいては減免を取り扱ってございます。したがいまして、金のない者につきましてはそういうところでごめんどうを見たい、こういう形になっております。
○滝井委員 そこなんですよ。結核予防法でも結核の届け出をします。そうすると、これはしただけであって、その患者をどう処置するかということについては何もやらなかったのです、いままで。だから、集団検診をやる、そしてあなたは結核ですよと言って、しても、何もやらなかったのです。だから、一体何のために検査するんだ、検査したってしっぱなしじゃないかというのが、少なくとも結核の初期の批判だったのですよ。それと同じなのですよ。やはりいま河野さんも質問しておったように、二十歳以下の若い層に非常に梅毒が蔓延をするというならば、これは真実を医者のところに行って患者が語って、相手はこの人ですと言ったら、その相手を治療させるときには強制的に、国が金を出しますから、ひとつあなたは治療しなさい、こういうことでないと、金を持っておるならおまえはやれと言ったら、その患者はそれでもう放任したと同じですよ。おまえは金を持っておるからどこに行って治療しなさいと言ったら、その人の恣意にまかしているわけです。そうでなくて、やはり、人格をある程度傷つけるかもしれないけれども、最後の最後まで見届けて治療をぴっちりして、医者が治癒という転帰を認定するまではしてもらうという拘束がないと意味ないのです。罰則をつけておるだけでは意味がないのです。金持ちはやれ、貧乏人はある程度金を出しますと言うだけでは、この法律はざるですよ。底抜けです。役立たないです。そこを金を出してやるということでないと意味ないです。 それから、あなた方のこの予算を見てごらんなさい。私これをほんとうにやると、また四、五時間かかる。こういう法律というのは、転換をするときは非常に重要だからきちっとやらなければいかぬですよ。(「転換じゃない」と呼ぶ者あり)これは性病対策の大転換ですよ。たとえばあなた方がやる場合に、予算をごらんになっても、妊婦の血液検査というのは負担は一〇〇%です。しかし、実施率は三割でしょう。それから婚姻時の血液検査だって、負担は一〇〇%負担をするのだが、百八十八万の結婚対象者に対して三割です。非常に低くしか見積っていないわけです。私は、これでは意味がないと思うのです。やるならばやはり徹底をして、全部国が見てあげます、こんなもの金を全部出しても一億か二億しかかからないですよ。民族の将来を思うならば、けちくさく性病対策に五千万円かそこらの金を出して、菅原通済さんが言うからこれからひとつ何とかやらなければならぬというような、そういう中途はんぱなことじゃだめです。やるのなら、やはり徹底してやらないとだめです。中途はんぱだったら、何もこんなものをやらなくたって、みんな中途はんぱでやっていますよ。それは抗生物質を買って飲んで、そうして発しんとか硬性下疳とかいうのがすうっと消えれば、みんなそれでもうよくなっておると思うておるのだから。私はこういう政策をおやりになるとすれば、いま言ったように、恥を忍んで医者に行って真実を語るのですから、そうしたらその届け出を県知事にしたら、県知事は相手方をやはりきちっとなおしてやるという体制でないとだめです。来ておる患者は、苦痛があるなり病状があるからこそ、医者に来てなおしておるわけです。これはわりあいすぐになおせるという可能性があるわけです。ところが、もう一つのほうは、知事に届け出、知事が治療命令を出したって、これは聞かなかったらそれまでです。やはり国が金を出して最後まで見届けてあげます、こういうことによって初めて人権を傷つけずに済むわけです。私は、そこまでいくべきだと思うのです。どうも読んでみてそういうことがないから、まず六条を一番先に聞いておるわけです。私は、そういう方向にこれは修正しなければうそだと思うのです。相手方の病毒をうつした者はだれだということを認めさしたならば、その病毒をうつした人を、感染源というものを治癒するまでやるのだ、それは全部国が金を持つ、こういうことがどうしてできないのですか。どこかあるのですか、それで国の財政が破綻するようなこともないでしょう。それは健康保険もあるのですから、差額だけを国が見てやるという方法だってあるでしょう。法律六条でこういうように届け出の義務を課したら、今度国が反射的に治療の義務をもたなかったら意味ないです。それは、お金持ちであろうと貧乏人であろうと、やるべきだと思うのです。国が全部出して最後までやる。そして治癒の認定ができたら。そのあとで、ひとつあなたは何ぼか出してくれという精算をするのならいいですよ。負担能力に応じて精算をいたします、しかし、なおるまでは、とりあえずまず国が金を持ちますと、こういう大前提をつくって、そうしてミーンズテストその他をやって、払えるものについてはそれは返済をしてもらいます、こういう形を後につくるのなら、私はそれも一つの方法だと思うのです。しかし、これでは何もないです。相手方に対する治療を、最後まで運命を見届けていないでしょう。どうしてそれを見届けないのです。
○中原政府委員 その治療の問題につきましては、一応費用負担にたえないものにつきまして治療費を見るというようなたてまえになっておりますので、そういうものも全部それでは一〇〇%見るかということになりますと、ほかの問題もいろいろありますけれども、従来のやり方をそのまま続けていくという形になったわけでございます。
○滝井委員 お金持ちであろうと何であろうと、治療をしてもそんなにばく大な金は要らぬでしょう。いままでのあなた方の報告を見ても、年次別の届け出性病患者数は、三十九年が九千五百四十人でしょう。一万人足らずじゃないですか。この相手方が、一万人はいないですよ、この統計からいけば。だから、全部見てやったところで、一万人かそこいらの梅毒の患者が、相手方を真実を語ったというのは半分だと見て、五千人くらいでしょう。それを全部見てやったって、その中に健康保険があり、何かあるものがおるのだから、差額だけを国が見ますということになれば、これはたいしたことはないですよ。私は、だからそれをまず六条でやるべきだと思うのですよ。どうしてそれができないのですか。お金持ちであろうと貧乏人であろうと、書かれておるものだったら治療は全部国がまず責任を持ちます、健康保険のものは健康保険を全部やりなさい、家族であれば半額の差額だけは国が見てあげましょう、こういうことをやれば、そうたいして金は要らぬじゃないですか。そこであとは、そのものが支払いの能力があれば、その能力に応じて返していただきます。私は、こういうことにすべきじゃないかと思うのです。まず全部国が見てやるんだ、そういう修正をこの六条でしなかったら意味ないですよ。知事に届け出さしておって、そして命令は出すけれども、その運命は見きわめないという、ばかなことはないわけです。だから、お金持ちであろうと貧乏人であろうと、その他に感染さした相手方を全部一応公費負担で一〇〇%見ます、そしてあとで、経済的な能力に応じて幾ら金を支払わせるかきめますということにしておいていいのじゃないですか。そうすればこれは非常に徹底しますよ。
○中原政府委員 ちょっとまことに申しわけございませんですけれども、私、いままでのお話につきましては、報告につきましては現在行なわれている法律そのものにつきましてのお尋ねと思いまして申し上げました。改正案につきましては、全体の患者といいますか、一つの公衆衛生の観点から、お医者さんがいろいろのことをなさるといいますか、そういう意味で性病の予防に御協力をいただくという意味におきまして、接触者につきましてはお医者さんに話すようにということでここに規定されてあるわけでございます。そして一般の届け出につきましては、特にお医者さんが、多数のものに病毒をうつすおそれがあるような接触者がわかった場合においては、特に届け出てもらいたいということが七条に規定されているわけでございます。そしてそのほかに、第七条は、医師の指示に従わないものは、要するに医師のコントロールをはずれた患者さん、こういうものを届けていただく。そうしますと、それに基づきまして保健所に届けまして、その患者さんなりあるいは重要なる感染源なりを治療のほうにつけていくというのが趣旨でございます。
○滝井委員 「その患者に病毒をうつしたと認められる者その他省令で定める事項」を質問するわけです。そうすると、滝井義高という患者にうつしたものは、一の太郎なら太郎ということがわかるわけですよ。わかったら、その人を放置するわけにいかぬわけでしょう、これは放置しておったらうつすわけですから。そうすると、これはやはり何か治療させなければいかぬわけです。それがやはり医者としての良心だというものです。そうでしょう。そうすると、保健所が来れば、この人に、滝井義高に感染さしたのは一の太郎というここにおる人間だということは話してもいいわけです。そうしますと、あなたのほうは、先ほど御説明のあったように、その者に言って、君、治療しなければいかぬ、しなさい、こう言ってやることもまた当然のことでしょう、言わなければ意味ないのだから。そうすると、言った場合に、私は金がないから行きませんと、お金を持っておったってそう言いかねないわけですよ。そういう場合は、明らかであれば感染させたのは確実なのだから、病気は持っておるわけですよ。だから、あなたは治療なさい、全部国が負担しますから、そして精算はあとでもよろしい、こういうようにして、うつした相手方についても適切な処置をとる必要があるのではないか、こう言っているのです。それをやらずして、患者だけを拘束したって意味がないのですよ、こう言っておるのです。わざわざここに「病毒をうつしたと認められる者その他省令で定める事項を質問し、」と書いてあるから質問するのですから、そしてその真実がはっきりわかれば、わかった相手方をやらなければ意味がないじゃないか、こう言っているのです。
○中原政府委員 滝井先生のおっしゃいましたことにつきまして、いわゆる感染源といいますか、そういうものにつきましてわかったならば、当然、健康診断を受けなさい、あるいは病気があれば治療させるということはもっともなことでございます。当然そうしなければならない。全般的な法律のやり方といたしましては、そういうような第六条でお医者さんが診断をして、そういうことを質問するということは、実際はどういうやり方をするか、ケース、ケースによってとり方は違ってきますけれども、たとえば患者さんに接触した人が家族であるならば、家族にお医者さんのところへ行くようにできるだけ話させるとか、そうでなければ自分のところへよこしてくれとかいうように、一つの衛生教育という立場からお医者さんが質問するその根拠を第六条に入れたわけであります。 それで、届け出の問題になりますと、実際といたしましては、多数に病毒をばらまくというようなおそれのある者、これはやはり非常に、性病予防の上から言うと重要な、危険な感染源である。したがいまして、そういう者につきましては、今度は、診断したお医者さんは氏名、住所をつけまして保健所に届けるという形になるわけであります。それに対しましても、保健所は、当然重要な患者であるならば、そこで治療を診療所なり性病診療所でいたします。治療に従わない者につきましては、強制治療命令もさせるような形になっております。したがいまして、強制治療をいたしました者につきましては、もちろんこれは治療をしてしまったあとでございますから、費用は金のある者につきましては徴収しますし、金のない者につきましては徴収しないという形になっているわけでございます。
○滝井委員 七条は、「患者に病毒をうつしたと認められる者がさらに多数の者に病毒をうつすおそれのある者であるときは、」こういう場合です。プライバシーのことですから、これも非常にむずかしいことになるのです。だから、滝井義高にうつしたAという人間が、BとかCに今度うつさないという保証はどこにもないわけです。そうでしょう。そうすると七条というものは、滝井義高にうつしたという現実がはっきりすれば、七条の適用はできることになるわけですよ。そうしないと、滝井義高一人しかうつしておらないからほっておいてもいいということならば、AがさらにB、Cにうつした場合はあとの祭りでどうにもならぬわけです。だから私は、六条で少なくともうつした者がはっきり明確にわかった、真実を患者が語ったというときには、その語られた患者の相手方に対してもやはり治療をさせるべきだ。その費用は、全部国が持ちますという形をまず原則にすべきだ。そしてお金のある者はその後それは精算をします、こういう形にしたほうがいい、こういうわけなんです。あなたのほうは、いま言ったように措置命令その他を出す場合には、他に感染させるおそれの濃厚な者しかやろうという考えはない。それでは私は、性病というのはだめですよと言うのです。そこをもうちょっと割り切らないといかぬのじゃないか、こういうことを言っているわけです。そうでしょう。だから、そうでなければこの法律というのは底抜けですよ。あなた方は、多数の者に病毒をうつすおそれのある者というのは、逆に言えば、一体何を基準にしてそういう認定をするか。医者にそういうことを言うけれども、医者はその者がうつすかどうかわからぬわけですよ。それは、そのAという人からうつったということが、滝井義高も来るし、鈴木善幸も来るし、中原も来る、こう四人も五人も来れば、これはあいつだということがわかる。しかし、そうはいかぬでしょう。たまたまその泌尿科の一医院に来た患者というものは滝井義高一人だった。しかもそれをうつした相手方はAということがわかっておったという場合には、このAに対して全額無料でしてやるんだということをしてやらなければ、これは話にならぬですよ。だから、そこを、あなた方は届け出をさせるだけで、命令も出さなければ何も出さぬということでは意味がないと私は言っているのです。それがはっきりした場合にどうして出せないのですか。そうでしょう、それは出さなければいかぬですよ。
○鈴木国務大臣 この性病の治療につきまして公費で全部見たらどうか、それが抜本的な対策ではないか、こういう滝井さんの御意見であります。いま政府がやっておりますことは、先ほど来局長が申し上げましたように、所得の低い人たちで治療費を負担ができない、そういう人たちにつきましては、都道府県が指定をしておりますところの診療所等で治療いたしました際には、その治療費等を減免をする、また、強制的に治療をさせます場合にはその負担を公費でやるもこういうたてまえをいまとっております。そしてまた、医療保険等を利用させまして、自主的に治療をさせるということの指導をしておるわけであります。しかし、滝井さんも御指摘になりましたように、貧富の別なく全部公費で、とにかく見つかった者については治療する。これは抜本的な一つの対策でありまして、諸外国におきましてそういうことを実施しておる国もあるようにも聞いておりますし、売春対策の審議会のほうからもそういうことをやったらどうか、こういう御意見も出ております。したがいまして、この点につきましては今後私どもも十分検討してみたい、かように考えておるわけでございます。
○滝井委員 時間がないですから、一時になりましたからやめますが、とにかくいまそんなに何十万と出てくる情勢ではないのですよ。ここに書いてあるように一万かそこらです。その相手方が一対一であったら一万ですよ。だから、一万の方はみずから医者のほうに来ているわけですから、そのくらいの金はたいした金でないから、この際性病対策を本格的に、菅原先生が言うように、これは民族の興亡に関係することだ、その点を非常に重要に考えてやるなら、私はやはり徹底しなければいかぬということです。いままで届け出は二十四時間以内にしなければならなかったのを、一カ月以内に改めている。これは長谷川先生も言っていたように、これをどうして一カ月以内になさるのですか。りん病のごときは、一カ月たったらなおっちまいますよ。潜伏期間は長くたって七日、早くて二、三日です。そうすると、尿道炎を起こして膿が出だして、なおってから今度は届け出を出す。そうして、なおってから一カ月して相手方を言うなんというのじゃ、これはますますざる法になっちゃう。まあ売春防止法なんかみんなざる法だというから、こういうのもざる法でいいというのなら何をか言わんやです。しかし、いままで二十四時間で、来たら間髪を入れず届け出さしておったのを、どうして一カ月なんというのに延ばすことになったのですか。一カ月以内なんということにすれば、これは出すほうにすれば、あわてて出す必要はない、二十九日目に出したらいい、二十八日目ぐらいに出したらいいだろう、人間というものはこうなるのです。二十四時間にしておったって、何かかんかあって二日か三日になるのですよ。というのは、診断がつくまでにちょっと時間がかかるのがある。非常に早期にきた場合には、特に梅毒のごときはワッセルマン反応をやれば時間がかかる。だから私は、これはやはり少なくとも一カ月以内に——一カ月以内だったら二十四時間も入っておるんだから、こうおっしゃるかもしれぬけれども、しかし、それでは改善でなくて改悪ですよ。早いほうがいいのじゃないですか。どうしてこれを一カ月以内にしたのですか。一日以内というのを、どうして一カ月以内ということにしたのですか。三十倍以上も延ばすことになったのですか。
○中原政府委員 この問題につきましては、今度は別に、患者の届けにつきまして名前も住所も一応届けない。病名、年齢、職業、性別、そういうものを一応届けていただこう。そうして地区の性病対策の統計の資料にしようというのが主眼でございまして、決してその患者のあれをすぐ追っかけていくとかいうことにつきましては、これはいわゆるその旨、医師が、たとえば治療を中断したとか指示に従わない、あるいは重要な感染源であるというふうに考えましたときに、医師はすみやかに届け出る。したがって、その届けにつきましては別に一カ月とか何か期間の制限の問題ではございませんので、そういうような医師から届けられたものにつきましては、直ちに保健所はいろいろそのときに手を打つという体制になっておるわけでございます。したがって、一月以内にいたしましたのも、これが結局その届け出を出す上において医師のほうも便利であるというような、そういう医師の届け出をしていただく上に便利であるということもやはり行政当局としては考えなくちゃならない。したがって、便宜の取り計らい。かつまた、実際にその地区の性病の蔓延状況というもの、それから傾向というものを把握ができ、そうしてごく行政上必要であるというような患者を把握して、それを追及することができるというシステムができるならば、現在のいわゆる現行法よりも、むしろ実体的には進歩ではないかというふうに考えたのでございます。
○滝井委員 どうも私は、統計その他をとるのが中心じゃなくて、やはり患者をなおしてやることのほうが中心だと考えるのですよ。だから、それはやはり早いほうがいいので、一カ月もしておったら届け出を忘れちゃいますよということを言っておきます。私の経験でも、こんなものは一カ月以内だったら忘れちゃいますよ。二十四時間以内に出しなさいというと、やはりどこか良心の片すみに置いて、一日か二日おくれてあわてて出すということもする。一カ月ということになると忘れちゃいますよ。人間の記憶というものは、正確には一カ月もたないのです。 それから八条ですが、梅毒の血清反応だけをなぜ入れたのか。いままではすべて性病にかかっておるかどうかを検査をして、婚姻のときには診断書を交換したわけですね。ところが、今度は梅毒の血清反応だけにして、他のものはやらぬでもいいということですか。梅毒の血清反応をやるときには、軟性下疳もりん病もみんなやるからということなのか、それならば何も、性病でいいじゃないか。ワッセルマン反応みたいなものだけをやれば他のものは何もやらなくてもいい、こういう意味なんですか。どうして梅毒血清反応だけにしぼったんですか。
○中原政府委員 第八条は、すでに現在におきまして健康診断書の交換をする、いわゆる努力義務がうたわれているのでございます。それにつけ加えまして、さらに、いわゆる婚姻の際の梅毒の血清反応検査を規定いたしましたのは、梅毒の子孫に及ぼすいわゆる危険の重要性と、それからまた、検査そのものが、いわゆる実際にあまり人権をそこなわないで行ない得るというような、そういう観点から特に梅毒に重点を置きまして、いわゆる健康診断、梅毒血清反応の検査を受ける義務という形でこれを改正いたしたわけでございます。先生も私どもよりよく御存じのとおり、性病の検査には、いわゆるりん病であるとかその他の問題につきましては、どうしても局所を見ないと検査ができないわけであります。ところが、それはちょっとむずかしい、なかなか抵抗があります。梅毒につきましては、それは梅毒の血清反応検査で、陽性が出たから一〇〇%これが梅毒であるわけでは毛頭ございません。梅毒を疑う一つの重要な手がかりであるということは、これは非常に確かでございます。したがって、そういう検査の難易というものを考慮いたしまして今回の改正案になったわけでございます。
○滝井委員 わかりました。そうしますと、結局四つの性病の中で、人類的に、人種的に見ても梅毒というのが一番害毒が高いし、しかも血清反応というものが人権を害することがたいしてなくて、うまくいける、だからこういうように書いたんだ。これはいわば重点主義をとったという点について賛成です。そうしますと、結婚しようとする者に梅毒の血清反応を調べさせるためには、血液をとらせなければならぬことになるわけですが、それは具体的に一体どういうようにして、できるだけ多くの者にやらしていくかということですよ。昔は二十になると、男性の側は兵隊検査というものがあって、全部やれたわけです。ところが、これはそういうものがないわけですね。そうしますと、一体婚姻しようとする者をどういう時点でとらえていくかということです。どういう時点でとらえて、そしてやることが一番いいのか、こういうことなんです。たとえば市役所とか町村役場に、鳩山さんのところのような事件がありましたから、結婚詐欺があったから本人でなければ結婚届けはだめだ、本人が持ってくるんだということにすれば、そこで本人の血液をとるという方法もある。役場に衛生係か何か置いておって、婚姻届けを持ってきたら、そこで血液をとるというような方法だってあるかもしれない。何かどこかきちっとできるだけ多くとる方法をやらなければならない。あなた方の予算書をごらんになると、これはおそらく、婚姻時の血液検査費が千十八万二千円で、公費負担一〇〇%で対象人員が百八十八万六千人ですから、この百八十八万六千人が結婚するんだと思うのですよ。そうすると、その三割ですよ。この三割というものをどういう方法でとらえるのかということです。これは全く自発的に来る者をあなた方対象にしておるのか、それとも何かあなた方が行政的に誘導政策をとって、こういうことで三割とらえるという方法があれば、その御説明をちょっと願いたい。
○中原政府委員 この第八条にあります婚姻というのは、本来婚姻と申しますのは、日本では届け出をいたしまして、そして婚姻というものが成立するわけでございますので、厳密に婚姻ということばからいえば当然そういう解釈が出てくるわけでございます。しかし、実際問題として、われわれが性病の予病ということから考えますと、実際の婚姻でも内縁でも、もちろんこれはやっていかなければならないということを考えます。したがいまして、こういう事実婚を含めて婚姻をしようという人たちをどうやってつかんでいくかということが、私どもの一番むずかしい、真剣に考えなければならないことであります。それで、こういう人たちに何か証明書を持ってこいとかなんとか言ったところで、そんなめんどうくさいことはいやだということになってくる。ただでさえ受けない人を受けさせるようにしなければならない。受けるような便宜の形にしていかなければならない。しかし、そういう人たちがどこでもということになりましても、なかなか事務のやり方としては切りがつかないでむずかしいということで、ひとまづ保健所とかあるいは代用の診療所とか、そういうところに来て——これは別に夫婦、婚約者そろう必要はない、一人でけっこうです。自分は婚姻したいと思うのだということであれば、保健所あたりに来てそういうことを言われれば、それはそこで自分の血液検査を教えなければなりませんから、当然名前も住所も書かなければならない。そういうことでありますれば、それを信頼しましてそれの血清検査をやるという具体的なやり方をせぬと、実際はなかなかむずかしいだろうかと思う。それがためには大いに事前にPRをして、こちらからつかまえに行くよりは、むしろ向こうから来てもらうような形を何とかとりたいという考えでおります。
○滝井委員 どうもこれは、三割いけるかどうかということは、いまの御答弁ではちょっと私、自信が持てないですな。これは人権を侵害しないようにということに重点を置くと血清反応をやる数は少なくなるし、血清反応をやることに重点を置くと人権を侵害するというようなおそれが出てくるということで、なかなかこれは忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならずという、平重盛みたいな心境にならざるを得ないことになると思う。そこで、御存じのとおり、いま婦人の方が非常によく聞くというのは受胎調節ですよ。計画産児の講習その他をおやりになってごらんなさい。みんな聴衆があふれて聞きますよ。参議院の加藤シヅエ先生なんか講師に選んで聞かしてごらんなさい、それはもうわんさとやってくる。伊藤よし子先生なんかもそのあれかもしれないけれども、やはり大衆的に、日本に非常に梅毒が蔓延して重要なものであるというPRのやり方は、相当これは法案に盛って、その予算をこの中に入れておかなければうそじゃないかという感じが私はするのです。ただ取り締まりの規定やこれこれしなければならぬということだけでは、私は、性病予病というものは不可能だと思うのですよ。私ちょっとお聞きしたいと思ったのですが、長谷川先生とも話したのだが、あなたのところは、性病予防重点地区対策費六百三十五万六千円、去年は八百十三万二千円、百七十七万六千円減っているのですが、十二地区になっているわけです。これは一体どういうところをこういう地区に指定するのですか。こういうのと関連があるのですよ。これはまさか横須賀とか横浜とかいうような、占領軍のうんと来るようなところだけをやっているのではないかとぼくは話したのですよ。これはどういうところですか。
○中原政府委員 これは先ほども長谷川先生のときにお答えを申し上げましたけれども、性病予防のいわゆるモデル地区といいますか、そういうことを考えまして、ひとつPR、啓蒙活動によって性病予防を推進しようということでございますので、比較的性病予防に関心があるような地域を選んでいくということに大体なっておるわけでございます。したがいまして、場所によりましては、もちろんそういうような佐世保とか呉というようなところも含まれております。そうでなくて、一般的なところももちろんございます。要するにモデル的にひとつ性病予防対策を推進していこう、地区の住民、それから行政当局と一緒になってやっていこうというような啓蒙活動の費用でございます。いま先生おっしゃいましたとおり、予算としては重点地区対策は補助金が去年より減りましたけれども、啓蒙活動費として、今度は本省費に相当の額が繰り込まれたわけでございまして、本省費とそれから補助費と両方合わせてやっていきたい、こういうふうに考えます。
○鈴木国務大臣 いまの地区の前にお話しになりました前段の滝井さんの御意見、これは性病対策の最も根本の問題であるわけでありまして、私どももそのように考えておるわけであります。どうしても性病に対するところの一般の認識の啓蒙、この性病予防に対するところの意識を十分喚起する、このことが一番根本的な問題であろうか、こう思うわけであります。 そこで、いまの婚姻時の梅毒血清反応の検査をやり、その診断書を交換する、こういう問題につきましても、私は、この性病に対する正しい知識、理解というものが普及徹底してまいりますればこれも励行されてくる、三〇%から五〇%あるいは七〇%というようなぐあいに逐次上昇してまいる、また、そういう方向に指導しなければいけない、こう思うわけであります。いままでは、健康診断等の交換をしたくとも、これを要求いたしますと相手方のお嬢さんなりあるいはむすこさんなりの人格なりを疑うようなきらいがありまして、なかなか要求できなかった。しかし、法律でこういうことが規定になりますれば、法律できまってあることでありますからぜひひとつ交換さしてもらいたい、こういう要求も相手方にできるわけでありまして、そういうことを通じまして、私どもはこの性病に対するところの予防対策を強化する一助にしたい、こういう考えであるわけであります。
○滝井委員 PRが非常に重大だというのはいま大臣もお認めになったようですが、一体いままで、八条であなた方としてはおぼろげながら把握している診断書の交換は、どの程度やられたとお考えになっておりますか。ぼくらが学生のときは、性病で診断書を交換するということは言わなかった。少なくとも私が結婚をする当時においては、やはり相手が結核であるか、肋膜炎をやったことがあるかどうかということが、診断書交換の主目的だった。時代とともにこういう診断書の対象も移り変わってくることになる。われわれのときは少なくとも結核だった。肋膜炎を相手がやったことがあるかどうか、これはやはり診断するときやってみる必要がある。というのは、いまから二十四、五年から三十年前は、結核というものは業病だ。これはなかなかなおらなぬぞ。いなかに行ったら、結核の患者が一人出て死んで葬式を出すと、かめをみな割ってしまえ、かめの底に結核菌が沈んでおるというような迷信を言っておった。いなかへ行ったら、それはもう業病であると思っていたわけです。しかし、いまや結核はそうではなくなってしまったけれども、当時は結核でやりなさいと言っておった。ところが、いまや時代は移り変わって、結核から梅毒になってきてしまった。そうすると、いままで八条があったわけですが、これは 一体どの程度診断書が交換されたとあなた方は思っていますか。何かそういうあれは、およそでも調べたことがありますか。
○中原政府委員 実はこれは、八条で規定はしておりますけれども、それをつかむ具体的な方法というものがないわけであります。それで、実際はなかなかその正確な数というものはつかみ得ない。ただ、ある特殊な地域で、保健所長等が興味を持っていて、アンケートか何かそういうものを調べて、大体一割くらいだなと言うような人はおりますけれども、それも非常に不確かであると思います。今回もしも梅毒の血清反応検査が行なわれるようになりますと、その数字だけでもはっきりと把握できるという形になって、私どもとしても非常にやりやすくなるということになるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、いままでは、梅毒血清反応を婚姻をするときにやってもらうといっても、無料でなかったわけですね。今度は無料になるわけです。だから、やはりPRの重点はここにあると思うのです。結婚する人は無料で全部血液検査をします、御夫婦とも来てください、これがやはりキャッチフレーズだと思うのです。無料ということは、何かつまらぬようだけれども、非常な魅力になってくると思う。だから、私がさいぜん、相手方の治療も無料にしてやる、こういうことを言いなさいというのはそこなんです。だから、梅毒の検査も無料、性病にかかった人は申し出れば無料でしてあげますということですよ。そうすると、いまの若者というのはドライで割り切っていますから、無料ならひとつお医者さんへ行こう、こういうことになります。ところが、行って金も取られるのではというようなことになれば、これはこそこそとなるのですよ。こそっとなるのですよ。だから、血液検査も無料だ、それから治療も無料、さあいらっしゃい、こういう形にやったって、国の大蔵大臣が心配するほど、破産するほどにはならぬと思うのです。それでも来るのは、りょうりょうたるものではないですか。一万か二万も来れば、私はたいしたものだと思うのですよ。だから、そこらあたりまでやはり政策を徹底することですよ。こういうものは徹底しないと意味ないですよ。いろいろ条文を書いたって、百日の説法へ一つです。だから、そういう意味で徹底をしてもらいたい。しかも、今度は梅毒だけに限って重点を置いたのだから、これ一本で勝負してみる、こういう形でやっていただきたいと思うのです。 もう時間がありませんから、あと四つ、五つ条文がありますが、またこの次、この法案が残っておって、時間があればやらしてもらいます。
○鈴木国務大臣 ただいまの最後の滝井さんの御意見は、私ども十分御趣旨を体しまして、今後さらに努力していきたい、かように考えます。
○田中委員長 本島百合子君。
○本島委員 ただいま滝井さんが申されました最後の段階のところ、最も大切だと思うのです。いままでたびたび性病予防についての改正がなされておりながらもその実があがらなかったという統計上からも、私ども知ることができるわけです。したがって、どこに隘路があるのかということが先ほどから論議されておったと思うのですが、まず届け出ということ、また医師は報告をしない、また、治療すべき者が金を払って治療するほど良心的な者がある階層ではやれるのです。だが、いま蔓延をさしておる原動力になっておる人々は、衛生的な知識も少ない、金も少ない、こういう階層の人に多いと見なければならないと思うのです。ですから、そういう点に対するPR活動並びに治療費をどのように持つかということ、また、届け出をもっと簡素化してもらって、本人の名前は絶対に外に漏れない、こういうような配慮というものがなければ、この法改正はいままで繰り返してきたことをもう一度繰り返すような結果になると思うのです。この点について、売春対策審議会の中でもこれが問題になったわけであります。 そこで、いまいろいろ申し上げた点についても、厚生大臣としての、これからどうあったらよかろうかという私案程度のものでもけっこうですから、御発表を願いたい。同時に、ことしの予算委員会のときに、この罹病者を大体二百万人と厚生大臣はお答えになった。きょういただいた資料に基づきますと数百万人となっておるのでだいぶん数が開いておるわけです。したがって、政府はいいかげんなことを言っているのだからというような感じ方を与えられるということではこの法改正をいたしました後の成果もあがってこないだろうと思います。したがって、どの程度が確実なものであるか、先ほど河野先生からも統計上の指摘があったようでありますが、一応いろいろの資料に基づいて現在は大体この程度かかっているのだということをひとつはっきりしていただきたい。そうでないと、売春対策審議会の会長の菅原通済さんからも、外向きに発表するときに困っちゃうというので、この数を幾らにするかということを明確にしてくれということがその審議会でも言われたわけでありますので、そういう点も含めて御答弁願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 性病の蔓延状況特に梅毒を中心としましたその実態の把握でありますが、これは病気の性質上その実態を的確に把握することはきわめて困難なことでございます。厚生白書にあげてありますところの数字は、これは昭和二十二年からこの届け出制度を実施いたしまして、それによって調査をいたしました数字の統計がそこに出ておるのであります。もとより届け出をいたしました患者の数というものは全体の中のほんの一部であろうということが推察をされるのでありまして、そういうところからいろいろの大きな数字がそこにあげられてまいるのであります。私どもは、千葉医大におきまして相当長い年月にわたって調査をされ、そこから出てまいりましたところのパーセンテージでもって国全体の患者数を推定いたしましたもの等を参考にいたしまして、私はこの前衆議院の予算委員会でありましたか、二百万程度ではなかろうかという推定の数字を申し上げた記憶を持っておるのであります。しかし、それが数百万というようなことは私どもまだ聞いておりません。ある程度の根拠を持ったものさしで推定をいたしましたものが大体二百万程度ではなかろうか、こういうことに考えておるわけであります。 そこで根本的な性病対策に対する政府の考え方はどうかというお尋ねがあったのでありますが、これにつきましては先ほど来申し上げておりますように、まず第一は何といっても性病に対するところの正しい知識、性病のおそろしさ、この病気の実態というものを国民各層特に若い世代の人たちに十分周知徹底をせしむる、そのためのPRということが私は大切な問題であると思う。また政府としてもその面につきまして今後具体的な啓蒙宣伝の努力をしていきたい、これが第一点でございます。 それから第二点は、医師によるところの診断の結果の届け出を徹底させまして、そしてそれによってできるだけ早く患者を把握する、また接触者の調査をやって早く感染源を把握をしてこれに対するところの治療等の適切な措置を講ずる、このことが蔓延を防ぐ一つの具体的な対策であろう、こう考えるわけであります。 第三は、予防の措置といたしまして、この梅毒血清反応等の検査をあらゆる機会をとらえて広くやるということが必要と考えるのでありまして、その第一着手といたしまして、今回婚姻時においてこれをひとつ公費でもってやりたい、こういうことを考えておるわけであります。 それからさらに売春防止法との関係もあるわけでありますが、常習的な売淫者等についての更生補導の措置を講ずる、またそういう者の治療というものをもっと強化徹底をはかるということが必要ではなかろうか。そういういま申し上げたようなことを総合的に政府としても今後推進をしていきたい、かように考えておるわけであります。
○本島委員 そのPRの問題ですが、私ども若い時分に有田ドラッグというのがありまして、町の売薬店の至るところに模型が出ておりましたね。あれはあの当時、非常におそろしいものだということを目で教えていたと思うのです。いまそういうものがないのですが、ああいう目から教える方法ということも必要じゃないかと思うのです。いまそういうものを置いてくれる薬屋さんがあるかどうかわかりませんが、一応そういう多くの人が出入りするところに対して、絵でもけっこうですが、そういうものを出させてもらうとかあるいはまた病院等においては性病のおそろしさを——いま成人病に対する啓蒙のポスターというものは医院の中にかなり張ってありますけれども、性病に対するものはほとんど掲げられておりません。そういうようなことで厚生省が努力をされてそういういいものをおつくりになって貼付してもらうとか、そういうことを考えてもらうことはできないかということが一つ。 それからもう一つは、先ほど婚姻に対しての一つの調査を試みよう、こう言われておりますが、一番集団的検診のやりやすいのはいろいろの企業体であろうと思うのです。こういうところでは、いろいろお聞きいたしますところによれば強制的に性病まで検診するというわけにいかないというととで、そこの労働組合の方々が希望をされたときに初めて検診ができるという現状だということです。そこで、いろいろの意味でこれを集団検診の対象にすることができないかどうか、こういう点はいかがでしょうか。
○中原政府委員 先生の話されましたPRの一の手段でありますが、私どもも若いころ有田ドラッグはよく覚えておりまして、これにつきましていわゆる有田ドラッグそのものを置くかどうかという問題はございますけれども、目で見るものがわりあいに訴えやすいということは当然でございます。したがいまして、現在は映画等もつくっておりまして、そういうものも何とか考慮していろいろの方法をはかっていきたいという考え方でございます。 なお、梅毒の血清反応検査を広くやられるということにつきましては、私ども非常に望むところでございます。それに対しまして、いわゆる会社等で集団検診を行ない得るかどうか、これは、なるほどこういう集団検診を受ける場合にそこに働いている人々の全部の意思というものにかかりてまいります。私どもも全部そういうものは受けたいということであれば喜んで協力していきたいというふうに考えておるわけであります。また喜んで協力するにしても積極的にそういうことを呼びかけてまいりたいということも考えております。
○本島委員 この前、売春対策審議会でそういうところが非常に少ないと聞いておったのですが、それは働きかけがなかったせいでしょうか、それとも組合関係のほうでこういうものまでという、人権を侵害するようなおそれがあるということでやらないのか、心理的にはどちらでしょう。
○中原政府委員 場所によりましてはやるところもございますけれども、多少やはりそういうものの話を持ち込んだときにそれがほかの者に知れるとかいうようなことを危惧されている面が非常に多いように承っております。
○本島委員 いまのおことばにもありますように、ほかの者に知れるという危惧、これは医師の場合でも同じですね。そういうものは絶対わからないようにします、こう言っていても、かかっている人の心理として言わせるならば、ばらされるのではないかという不安、そういうもので実際は罹病者のほうが逃げて歩いているというかっこうですね、特に性病の問題は。こういう点を勘案して、先ほどから言われているように、もっと簡素化して、氏名等がわからない、治療もある程度国の費用で見る、こういうかっこうになれば、私は性病撲滅という観点からすれば目的を達するのではないか。ところが本人はえてかってな遊び方をして病気になってしまった、それを国の費用でなおすなんてけしからぬという考え方が非常に強いという声を聞いておりますが、厚生省その点いかがでしょうか。
○中原政府委員 昔から性病に対しましては、私が兵隊に行きましたときも三等症、非常に不名誉な病気ということで、したがって性病に罹患することは恥である、罰であるというふうな考え方が一般でございました。しかし、私ども性病の予防をやっておりますと、それでありましてはいつまでたっても性病を隠してしまう。それがしろうと療法に走る一つの原因でもあるということで、性病というものが一つの社会病である、われわれが生活していく上におきましてどうしてもいままでのところは取り去ることができない、社会的に一つの根をおろしている病気であるという観点から、この性病予防対策を進めなくてはならないということで、従来そういう考え方で進めてきたわけであります。しかしなおそういう性病なんというのは自分でいいことをしたのだからその罰を受けるのは当然だという考え方がまだ一部の方に残っているのは確かだと私は思います。
○本島委員 そういう感じ方は一般の税金を納める者の立場からすればとかく言われがちでございますが、こういう機会に、非常に悪質な梅毒が流行してきておるような今日においては、やはり徹底的撲滅ということで大きく予算化等もはかってもらいたいと思うわけなんです。 もう一つは、いま問題になっております売春防止法が十周年を迎えて、ざる法だということでさんざん世間からはこづかれ、男性の中には赤線復活、公娼制度を復活すればこういう性病はなくなっていくんだというようなべらぼうもないような議論をなさる方がふえてまいっておりますが、こういう点について今回参議院において改正案が出されておるわけなんです。聞くところによれば、これも現行法でいろいろの点である程度防止ができるから、積極的に改正する必要はないのじゃないかという声も厚生省の一部に流れておることを仄聞するわけであります。こういう点について厚生大臣の見解をただしたいのですが、戦前におきましても公娼制度がある時分におきましても、性病がものすごく蔓延した時期があるのです。そうすると、今日そうした公娼的なものがなくなった、だから性病が増加した、蔓延しているのだというような一説を立てる人たちに、そうでないということを明確に答えてもらいたいと思うわけです。というのは、この売防法というものがあれだけの犠牲を払って、売春汚職までされながらも、婦人議員また男子議員の大きな協力によってでき上がったものが、十年たっても法改正がなされない、しかも今日性病問題を審議するにあたって、やはり売春婦のかなり多数の者がこの感染源であるということが明確になっておる、そうして、それみたことかという論法も逆に使われておるということになっておるわけです。したがって、私ども婦人議員としての立場からすれば、戦前において公娼制度があってさえも蔓延した時期があり、今日これが一時下火になって性病というものはほとんどなくなりはしなかったが、まあそれほど問題にするほどでもなかった時期もあった。しかし今日これだけ性病が蔓延してきたということは、常識的に考えても、国内においてこれだけの悪質な菌が発生したということは考えられない。外から来たものだというふうにだれもが思っておるわけです。それを先ほど長谷川先生が御質問された、ベトナムあるいは韓国というところを経由してきた菌ではなかろうかということが言われておるわけです。そういたしますと、こうした菌の出所というものについてもやはり一応検討していただいて、それに対しての措置はどうあるべきかというような点について、厚生省としても思い切ってこうした届け出とか何とかいうこととは別に、病菌を退治するのだという意味合いにおいて、どのようにしたならばいいかというPRが必要だと思うのです。したがって売春防止法との関連、売春婦の保菌者の問題、そしてこの菌が外から来た菌であるということが言い得られるかどうか、またそういう強力な菌に対してどういう治療の方法があるのか、こういう点をひとつ御回答願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 売春は婦人の人間としての尊厳を冒涜するものでありますし、また善良な風俗を乱すというようなことから、売春行為を徹底的に取り締まり、これを撲滅する、こういうことにつきましては欧米先進国におきましてもひとしくやっておるところであります。私は、日本の売春防止法の改正意見も出ておりますけれども、現在の法律におきましてもこれを十分に励行する、この法の精神を十分徹底をするということがなされてまいりますれば、法律の改正をいま直ちにいたしませんでも、相当の成果をあげることができるのではないか、このように考えておるのであります。特に私は、婦人の生活の困窮あるいは置かれておる境遇等々につけ入って、これを食いものにして売春行為を強制する、そういうような者が一部にあるということは、私ども社会悪として一番これを排除しなければならないことだ、こう思うわけであります。 性病予防との関係におきましては、私ども、先ほど申し上げましたように医師会その他各方面の御協力を得まして、できるだけこの感染源になっておるような常習的な売淫者、売春婦というようなものの調査、把握ということをいたしまして、それに対しましては必要に応じて強制的な入所治療あるいは更生補導というような措置も講じてまいる、そうして売春によって起こるところの性病の蔓延というものを防止するように、この面につきましても厚生省としては最善の努力を払っていきたい、かように考えておるわけであります。 いま米軍によるところの性病の国内への持ち込みの危険があるのではないか、そういう事情があるのではないかというような意味合いのお尋ねがあったのでありますけれども、すでに御承知と思うのでありますが、米軍等におきましては性病に対するところの取り締まりといいますかあるいはこれに対する衛生、予防の徹底といいますか、私どもが考えておる以上に厳重に、厳格にやっておるように見受けられるのであります。そこで、身体検査等の結果どこで感染したかというような実態が明らかになりますと、直ちに日本側の保健所等に通報をしてきております。そういうようなことからいたしましても、私は彼らがこの国内に蔓延しておるところの病気の持ち込みの大きな原因になっておるというようなぐあいには考えておりません。また、基地その他の周辺の実態の調査、届け出等のことからいたしましても、特に基地の周辺に多いというような事実関係が出てきておりません。しかし、私ども十分今後におきましても米軍側とその点につきましては協力をし、通報をお互いにいたしまして、そして性病の蔓延等が未然に防止できまするように十分手を尽くしていきたい、かように考えております。
○本島委員 売防法のことはあとでちょっと申しますが、いまの後段の分ですが、これは米軍だけではなくて、私が聞いているのは日本人でもかなり行っているわけですね。そういうものからきているんじゃないかということなんです。軍隊では、日本の性病予防法の改正の中にもあるように、進駐軍の命によりということがあったわけですから、その点を問うているわけではなくて、その菌がいままであった菌であるのか、新しい菌が入ってきて、そしてそれが強力なものであるのか、こういう点がどういうものであるかということがわからないで、ただこわいこわいでは、かつての梅毒でしたら六〇六号でしたか、あれを打てばいいんだとか、それから先ほど言われたように売薬を飲めばいいんだとか、そういうことで日本人の感覚はあるわけです。ですからそこに蔓延させる大きな危険性もあるわけですから、この際それがどういう菌であって、どういう結果をもたらすものかということがおわかりでしたらばお知らせ願いたい、こう言っているわけです。
○中原政府委員 現在いわゆる顕症梅毒がふえてまいりましたその原因は、新しいスピロヘータじゃないのかということがしばしば聞かれるわけでございまして、それでその道の専門家の先生方にいろいろ意見を聞きまして、従来使っておるところの薬による治療の効果、そういうものにつきましても従来のものと一向変わりがなくて、やはり治療を早期にやれば治療効果もあがっておるということでございまして、菌が新菌であるということは学者の間ではまだだれも唱えておるものはございません。従来と変わらないという考え方で進んでおります。
○本島委員 そういう点でPR活動をされるときには、まあそういうことが土台になってなさることであろうかと思いますが、私ども聞くところによれば、戦前の梅毒と違って今日の梅毒は非常におそろしいものだということを聞かされております。したがって控え目に御答弁されたと思いますので、それは医師とも相談されて、もっと徹底的にこれのこわさというものを周知徹底させていただきたいと思うわけです。 それから次に売防法との関係ですが、厚生大臣は改正の必要がないというような、現行法の中でも運用によってりっぱにできるとおっしゃったのですが、私ども十年の経過からいたしまして、やはり現在参議院で提出されている改正点程度は改正していただきたい。そうしなければ売春が社会悪であるということも徹底して行なわれないし、これをつぶすこともできないし、また性病の蔓延の感染源というものが温存されていくということになる。こういう意味合いで、売防法の内容については審議されるときにまた御質問いたしますが、どうかひとつ参議院で出されております改正案を御検討くだすって、そんなこそくな考え方でなく、思い切って売春なき日本、そうして性病なき明るい日本をつくり上げていただきたい。こういうことが私たちの念願であります。そういうことをお含みの上で今後に対処していただきたいことを要望いたします。 最後に、優生保護法との関連をちょっとお聞きいたしますが、性病にかかっておる人々は必ず優生保護法によって子供を生まないようにしていられると思いますが、それがどのくらいの数であるか。先ほどの統計を見ましても妊婦、産婦というものが出ておりますけれども、この優生保護法を受けて中絶をしておる人の数がわかればどのくらいか。それからなおかつ、今日こういう法律があっても、知らなくて子供を出生される方が多いわけですが、こういう今日のように複雑な社会の中では小児麻痺とかあるいはかたわだとか、その原因は多々あるようでございますが、性病からくる先天的梅毒というような形においての不具者だとか精薄者だとか、そういうものの数は出ておりませんか。
○中原政府委員 優生保護法と性病の関係というお話でございますけれども、これは人工妊娠中絶についてだというふうに思います。人工妊娠中絶はこまかいデータが、実はどの病気によるものであるかというようなことが出ておりませんのでちょっとわかりかねるわけでございますが、ただ大部分のものが経済的な理由とか、いろいろな理由になっておりまして、こまかい疾病のことでいろいろデータが出ておりませんので、残念ながら現在手持ちがございません。申しわけございません。
○本島委員 私、これはたいへんなことだと思うんですよ。優生保護法の手続によって中絶をされておられる方々は病名がはっきりしているはずなんですね。その病名がはっきりしなければ中絶をしてはいけないのですから。そうすると、いまおっしゃるように経済的理由、母胎の不健康な理由、そういうものが圧倒的に多いことはわかるのですが、しかし病気によるところの中絶ということで優生保護にかかっておられる方もあるはずです。それからなら割り出しがきくと思って私質問したわけなんです。そういたしますと、こちらのほうの統計に出ておりますように、産婦、妊婦という形で一応罹病率が出ておりますが、その中で出産をしておるものとそれから中絶をしておるものと、こういうことはわかりませんか。
○中原政府委員 ただいま手持ちの資料がございませんもので、調べまして、ございましたならば御報告申し上げたいと思います。
○本島委員 お昼抜きの委員会でございますので、もうこれで簡単に結論を出していきますが、ただいまのことについて手持ちの資料がないということは、もう優生保護法ができてだいぶたっておりますし、また最近妊娠中絶ということが世論をにぎわしておるわけなんです。出生率の倍以上はあるだろうと言われておる。病気でなく、また母体の生命に影響がなく中絶をされておる。やみからやみに葬られていく。こういうことについてもある程度の資料を厚生省は持っていられなければならないと私は思っていたわけです。それで質問したわけですが、今後ある程度の資料がつかめましたならば、早急にこの委員会に提出していただきたい。ということは、結論的に言うと、優良なる子孫を残していくはずの母体でありながらも、この梅毒は子孫にその影響を残すものであるので、いままで言われておったいろいろの事情を勘案いたしましたときには、最もおそるべきものではないかと思うわけです。 もう一つは、ヒロポンの問題あるいは麻薬の問題等で特別委員会まで設けてそれに対処して、予算まで獲得して、撲滅運動を一生懸命してまいりました私たちにいたしますれば、その人一代きりで問題が解決するものと、こうして子孫に影響を残すものということになりますれば、どうしてもこの子孫に残していく影響のあるもの、そして夫婦、家庭に大きな影響のある、こういう問題こそ、もっと大幅に積極的な対策がなされなければならない。同時に今回のような性病予防法の改正ということが行なわれる際に、大なたをふるうというくらいの勇気がなければなりませんが、最近婚姻関係者におけるところの調査からまず始めて、それも三割程度の把握である、こういう心細いことでは、とうていいま蔓延しておる、大臣が推定二百万人とおっしゃった、そのことばからいたしましても、どれだけの効果があがっていくのかということは、この法律案を審議するにあたっても非常に危惧の念があるわけであります。そういう意味でもう来年度の予算編成に入ってまいっておるはずでありますので、そういう点についてどの程度に厚生大臣は来年度予算を獲得し、この性病蔓延を撲滅していく決意があるか、その点も御報告を願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 私どもは今回の性病予防法の改正を契機としまして、性病予防対策をさらに強化してその徹底を期したい、かように考えております。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後二時四分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕