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51回国会衆議院1966/06/21

社会労働委員会 第48号

発言数
88
登壇者
15
会派数
4
開催日
1966/06/21

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の雇用対策法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 雇用対策法案の審議は本来きわめて重要な問題を包含しておりますし、今後のわが国の経済あるいは労働全般の問題にわたって関連をしておりますから、わが党としましてはできるだけ時間をとって慎重に審議を進めて、そして単に行政機関だけではなしに、すべての国民が今後のわが国の完全雇用実現の方向に一致して当たれるような、そういうような基礎をこの雇用対策法案がつくり上げられるようにという気持ちで、わが党としては今日まで審議に参画をしてきたわけでございますけれども、なおこれまでの審議の過程ではわれわれの疑問とする点等について完全に解明をされたという状況ではございません。  そこで、私はこの前の本法案の審議の過程で指摘をしてまいりましたけれども、何といいましても今日のわが国の雇用問題を考える場合に最も大切な事柄は、雇用という問題が国の経済政策に今日まで従属をしておった、こういうような弊風から脱却をしていく、まず経済に従属をしないで労働者である人間を中心に、そこに基礎を置いたところの経済政策というものをやっていかなければならない。そのためには雇用問題に政府全体がもっと真剣に取り組んで、完全雇用というものを一日も早く実現をしていく、こういう姿勢を政府として確立をしなければならない。雇用対策法の前提として私はそのことを強く要望をしてまいったところでありますが、その後の審議の過程を通じて大臣のほうからも、今後は経済政策に従属をするというふうに思われないように、これと並行して、そして経済政策と調和をとりながら雇用全般の問題を政府として取り上げていくという趣旨の答弁が繰り返されました。その大臣答弁が今後の雇用施策の中で実現をされることを私は強く要望しておきたいと思いますが、さらにこの雇用問題を論ずるのにあたりまして、まず政府として、国として考えなければならない点は、現在不安定雇用の問題が非常に多い。この不安定雇用の問題を取り除いて、しかる後に完全雇用の方向というものを樹立をしていく、こういう責任も当然にしてあるはずである、このようなことも指摘をしてまいりました。この点につきましてはあとからなお政府あるいは関係各省の見解を求めていく所存でございますが、私はそのほかにこの際特に政府の責任ある態度を表明していただきたいと思っておりまするのは、長い間各界において議論をされておりますところの、当委員会におきましても、再三にわたって議論をされ、国際的な問題にまで波及をしておりますところの最低賃金制の問題についての労働大臣の見解を承っておきたいというふうに思います。なぜならば、雇用の問題は賃金の問題と密接不可分の関係を有していることは言うまでもございません。そこで完全雇用というものを将来実現をしていくためにどうしても必要な事柄は、雇用労働者の生活安定というものを重点に考えていくところの、そういった国が責任を持つところの最低賃金制度というものが必要であるというふうに私どもは今日まで強調してまいりました。この最低賃金制度は、わが国にもその法律自体は現存するのでありますが、これがILOのほうからも指摘をされ、あるいは国内でもそれが議論されておったことは事実でございます。そこでこの際、この雇用対策法の提案にあたりまして、政府としては、全国一律の最低賃金制度、こういうものを早急に確立する意思というものがあるのかどうか、国際的に恥ずかしくない最低賃金制度をこの際早急に実施しなければならないというふうに私は考えるのでありますけれども、この点についての端的な大臣の御見解をこの際表明をしていただくようにお願いをしたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 最賃制につきましても、先生をはじめ、諸先生から再三御質問をちょうだいしておるわけでございますが、またこれに対する考え方につきましても、そのつど御答弁を申し上げておるわけでございますが、最賃制につきましては、昨年八月以来、最低賃金審議会に、将来の最賃制のあり方について、基本的な御検討をお願いをいたしておるわけでございます。しごうして、どういう内容の最賃制をとるべきかということにつきましては、御承知のとおり、現在の最賃法というものでは、どうもILOの二十六号条約等に適合しないのじゃないかというお説もございますし、あるいはまた一方においては、先生等の御主張のように、全国全産業について一律の最賃制をやるべきだという御主張もございます。また一面には、そうは言っても直ちに全国全産業一律ということは実情から申してどうかという、むしろ地域的なり業種別なりにきめることが至当ではないかといったような御主張も一部にあることも先生御承知のとおりでございます。そういういろいろな事情がございますので、政府といたしましては、これらの御主張も十分勘案し、特にILO二十六号条約に適合するような、疑問を持たれぬような形における最賃制というものをぜひ御検討をいただきたい、こういうことで目下中央最賃審議会において御熱心に検討をしていただいておるところでございます。そこで、しからばいつごろからそういうことになるのか、こういうことももちろん問題になるわけでございますが、そのことにつきましては、御承知のとおり、三十八年の答申で、四十一年度末までは現行の最賃法のもとにおいて極力これが実施の拡充をはかるべきである、それ以降の最賃制については、基本的に検討すべきである、こういう御趣旨の答申を審議会からちょうだいしておるわけでございますので、その審議会にいま申したような趣旨で将来の最賃制をお願いしておるのでありますから、私といたしましては、この審議会みずからのおっしゃっておられる線に沿うて時期的にも御答申がいただけるもの、かように期待いたしておるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 きょうは雇用対策法の最終的な段階に入っていると思いますから、私は個々の問題について政府といろいろ議論をしようという気持ちはございません。そのことを前提にして大臣のほうでも御答弁願いたいと思いますけれども、私が最低賃金法の問題について強調いたしますのは、何といいましても、現在のわが国の最低賃金法、最低賃金制度というものが業者間協定を中心にいたしたものであって、実態もまたそういうふうに運用されておる。そのことは、労働者と使用者の側の関係からこれをながめますと、この法律の運用の実態は、どちらかといいますと、使用者優先の考え方で運用されている。これでは正しい意味での雇用政策、労働者がほんとうに安心してその能力を発揮できるという政策を実施しようとするところの雇用の対策上から見まして、現行最低賃金制度というものは将来支障を来たすであろう、こういうふうに考えますので、いまの大臣の答弁からも明らかなように、私どもきわめて不満ではありますけれども、四十一年度までは現行最低賃金法に基づいて云々、こういうのが現在の状況であり、したがって新しい最低賃金制度のあり方については現在審議会のほうで検討中でありますけれども、これは本来でありますならば、労働省のほうとしても、自主的にかくあらねばならないということを、この雇用対策法の提案と同時に委員会のほうにその態度を明らかにして、雇用の安定に貢献せしめていく、こういう配慮があってしかるべきであろう、こういうふうに考えますが、いま雇用対策法が審議過程でございますから、それを云々してみてもどうにもなりません。しかし、これはきわめて密接不可分の関係を持っておるものでありますから、どうかひとつ労働省のほうとしても、最低賃金法というものがどうあらねばならないのか、労働者保護の見地に立ってどうあるべきか、こういう状態から考えてみて、審議会のほうにもそれぞれの労働省としての態度を明らかにし、そして全国一律の最低賃金制度の方向に、労働者がほんとうに安心して生活し得るような、そういう制度を確立をするために、積極的な姿勢をとってもらわなければいけない、こういうふうに思いますので、この点は強く大臣に要望し、その決意のほどを再度お伺いしたいと思います。  それからあわせまして、この最低賃金法と関連をしておる問題、最低賃金法をほんとうにその効力というものを発揮せしむるために、日本の現状において不可欠と考えられますものは、家内労働法であることは言うまでもないと思います。したがって、この家内労働法の制定につきましても、すでに日本社会党は提案をいたしておるのでございますが、この家内労働法の制定等についても、なお大臣は積極的な姿勢をもって同じように取り組んでもらう、こういうことが必要ではないか。雇用対策は雇用対策法の問題だけで議論できる問題でないことは、大臣御存じのとおりでありますから、きわめて関係の深いこれらの諸制度については、早急にその実現をはかってもらわなければいけない、こういうふうに私は思いますので、この点もあわせて大臣の積極的な態度の表明を求めたいというふうに思うわけでございます。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 最賃制につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、審議会のほうから、労働者保護、こういう機能を十分果たし得るようなりっぱな答申を得られるもの、私はかように期待をいたしておるわけでございますので、その答申のあり次第、これが実施等につきましては十分積極的に取り組んでまいるつもりでございます。  また、家内労働法の制定につきましても、これは先生御承知のとおり、今国会におきまして、家内労働審議会の設置をすでに両院とも御可決をいただいておりますので、この審議会を早急に発足いたさせまして、できるだけすみやかに立法措置その他についての御審議を願いまして、これまたその御意見を十分尊重して、なるべくすみやかに家内労働法等の制定もできるように、積極的に私どもは取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 最低賃金法の問題、あるいは家内労働法の問題につきましては、ひとつ言明だけにとどまらないで、具体的にその言明を実現するように努力をしてもらうことを重ねて要望しておきたいと思います。  その次に、厚生省のほうにお尋ねをいたしますけれども、これまた雇用の問題ときわめて関係の深い、特にわが国の現在の雇用問題あるいは近い将来の雇用政策上重要な問題となりますものは、中高年齢者の雇用問題であることは議論の余地がないところでございます。そこで、当然にして考えられなければならないことは、ILO百二号条約にも基づきまして、こういった雇用対策の基本となるような法案を提案するにあたっては、付随する問題として、いますでに世界六十三カ国で実施されているところの本来の意味での児童手当制度、こういったものも並行的に施行されてしかるべき問題である、こういうふうに私は考えるのであります。いままで厚生省あるいは政府の言明、新聞発表あるいは与党の選挙公約等を拝見をし、あるいは拝聴してまいりますと、その限りにおきましては昭和三十八年度総選挙においての自民党の公約——政党政治ですから、これは政府は無関係だというわけにはいきません。自民党の公約によりますと、四十一年度を目途にして児童手当は制定をするという公約がある。しかも、その後の新聞発表等もこれを裏書きするような発表が再三にわたって行なわれておる、こういう実情であることは否定するわけにはいかないと思うのです。この児童手当制度の問題については、いまの厚生省の態度は、昭和四十三年度を目途にして云々、こういうことで、調査費調査費ということでだいぶ調査に手間どっておるという実情にあるのでありますが、これは調査に時間がかかるというのではなくて、政府が本来の意味での児童手当制度を制定する意思がない、こう断定されてもやむを得ないのではないか。かりに制定する意思があっても、きわめて消極的である、こう言われてもやむを得ないのではないかと思います。申し上げるまでもありませんけれども、第三次防衛五カ年計画の予算によりますと、二兆七千億の国費を投じようとしておる、こういうのがいまの自民党の政府である。あるいは公共事業、景気の刺激策ということに名をかりて、七千三百億にのぼる公債を発行することを勇敢にやってのける現在の政府が、児童手当制度の問題については単にかけ声だけで今日に至ってもなお調査調査で日を費しているという態度は、いまの政府の国民生活に対する、言い方をかえますならば、児童の権利を尊重し、児童の健全な育成を通じて将来のわが国の発展に寄与せしめていくという態度に欠けていると言っても過言ではなかろうというふうにすら私は思います。まさにこれでは児童憲章が泣いてしまう、こういうふうに言わざるを得ないと思います。そこで、雇用対策の問題と関連をいたしまして、私はどうしても児童手当の問題を議論の爼上にのせないわけにはいかない、こう思います。初めに申し上げましたように、特にわが国の場合には中高年齢者の雇用対策が政策の重点的なものになる。この雇用対策法の中にもそのことが明瞭にうたわれておる。これら等との関連を考えますと、なお一そう児童手当制度は早急に実施をしていかなければならないはずのものである、こういうふうに考えるのであります。きょうは午後と思っていたものですから、厚生大臣の出席要求はしていなかったのでたいへん残念でございますけれども、この児童手当制度の問題について、雇用政策全般との関連の中で政府は一体現在までの公約あるいは新聞発表等々から考えてみて、いつからほんとうに児童手当を実施する気でいるのか、このことをこの機会に明らかにしていただきたいと思います。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 児童手当の実施につきましては、厚生省としましては、児童手当準備室というものを官房に設けまして、その準備を進めておるわけでございますが、現在のところでは四十三年度から実施をしたいということで準備を進めておる次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これは大臣が来ておりませんから、政府の責任ある答弁を聞くことはむずかしいと思いますが、厚生省の方針はすでに新聞等でも発表されております。ただ厚生省の方針なるものは、三十八年当時から四十一年にやります、こういうことで発表されておったわけでございますから、四十三年度からやりたいと思いますということだけで、私はそれを信用するわけにはいかない。政府の言明なりあるいは与党の公約なりが国民から信頼をされないというところに、私は今日の日本の政治の貧困の最も大きな原因があると考えるのです。したがって、この点は厚生大臣がいないので責任ある答弁をこれ以上追及はできないわけですけれども、これは労働大臣といえども国務大臣として、しかも雇用対策上から見ましてきわめて重要な問題であることは、よもや否定をするわけにはいかないと思う。この雇用対策法を提案するにあたっては、当然児童手当制度の問題を議論し、そして本来ならば児童手当制度を先行せしめて雇用対策法が出てくる、こういうことでなくては総合的な雇用対策にならない、こう私は思いまするので、この際、労働大臣のほうから、この児童手当制度の問題について、いかに対処しようとしているのか、責任ある答弁をお願いしたいと思うのです。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 先生の御指摘のように、児童手当制度をなるべくすみやかに実施に移していく、拡充していくということは、雇用対策上からもきわめて望ましいことである、かように私は考えております。  御承知のとおり、従来わが国の賃金制度では、いわゆる家族手当というようなことも行なわれておりまして、これらのことは、本来賃金という性格よりも、むしろいわば生活扶助的な色彩が強い、そのことはいなめいと私は思います。こういうことが、また先生御指摘のように、中高年齢者の就職等についてもある程度の阻害要因になっておるということも、これまた実際問題として否定ができないのではないかと思います。  それらの点を考えましても、雇用政策という点から考えまして、児童手当というものがなるべくすみやかに樹立されるということが私は望ましい、かように考えます。したがって、厚生大臣に対しましても、私のほうからも先生の御指摘のような方向に向かって極力御努力を願うように御要望申し上げたい、かように思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの労働大臣の答弁は、児童手当は所管事項ではないので、その程度になるのかわかりませんけれども、私は、雇用問題の中で、この児童手当制度というものを取り上げているのは、これは密接不可分の関係がある。本来ならば、雇用対策法案を提案するのにあたって、各省との協議が行なわれる中で、児童手当の問題についてはどうするか、こういったことについてむしろ労働省が積極的に関係各省を説得して、そして責任ある態勢というものをつくり上げた上で、この種の提案がなされるのが至当であろうというふうに私は思うのです。ところが、そういった問題については、各省それぞれでございますからということになりかねない。こういうことでは総合的な雇用対策を——雇用対策というのは、本来総合的な見地から立てられなければならないのにもかかわらず、どうも片一方だけが進んでいく、これではこの運用にあたっても支障を来たす結果になりかねないであろうということを私は指摘しなければならない。いまの状態は、児童手当の問題については、先ほど私が申し上げましたように、与党としても選挙公約なり、あるいは政府としても再三にわたって四十一年度から実施ということを言明をされてきたという経過があるのです。現在の状況は、それが全くほごにされて、そして今度は四十三年度目途というのが、政府あるいは厚生省の方針だという程度なのです。雇用対策法案というものをこの際提案をしているのですから、私は、もし政府が総合的な見地に立っての経済政策ないしは雇用政策というものを考えるとするならば、当然に児童手当の制度についてはいつから実施をする、そういう予定、そういうような決意、これくらいのことは国務大臣として表明をしてもらってしかるべきである、こういうふうに考えますけれども、再度この点を私はお伺いをしておきたい、こう思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 先生のお考えのように、雇用対策というものが総合的に行なわれなければならないということは全くそのとおりだと思います。そこで、そういう総合的な諸施策、準備ができてからこの種の法案等は提案すべきが筋合いだ、こういうお話でございます。それも確かに一つの考え方であると思いますが、そうかといって、それが全部整うのを待ってということですと、雇用政策を前進させるという意味から申して、必ずしもその前進が思うようにできない。今回のように、法案が確かに先になりましたが、これを成立さしていただくことによって、これに付随する問題の解決を促進する、こういう役目も十分果たし得ると私は思います。特に今回の法案では、中高年齢者の雇用対策については、これを重点的に進めていく、こういうたてまえをとっておるわけでございますから、それらとの関連の施策について各省にも十分御要請申し上げて、これを促進する、こういうことに相なるわけでございますので、いずれが先かということは、いろいろ考え方はございましょうが、私は、今回の法案を成立さしていただくことによって、先生の御指摘のような各般の施策というものが逐次実現に向かっていく、またわれわれとしては極力さように当然つとめなければならない、かように考えるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私はきわめて残念な答弁をいま労働大臣から得たわけでございますが、私どもがこの雇用対策法案に持っている最も不満な点、疑問な点、あるいは問題視している点は何かということについては、ここで再三の質疑の過程を通じて理解できたと思うのです。いままでは労働力があり余っておった。したがって使用者、経営者の側ではその労働力をより好んで、自由に安い賃金で使うことができた、こういう状況であったと言っても過言でないと思うのです。ところが、これからは御承知のように労働力は不足していく、特に若年労働力は不足していく、こういう状況になるので、国としても労働力というものを適宜に配置をしなければならない責任がある。しかし、資本の要請、資本の恣意、こういうものもまた労働力を必要とするということは言うまでもないと思うのです。ですから私は、この雇用対策法案の中で最も重要な事柄は、経営に従属する、資本に従属をするような雇用政策を進めることになるか、あるいは労働者を優先し、労働者保護の立場に立った労働政策をやるようになるか、これが一番重要な点であるということを私は申し上げました。大臣もそれを肯定されました。その中で、当然労働者保護という見地に立ってこの法律の運用をはかりたいという趣旨の答弁もありました。  そういう立場に立ったものとしまするならば、私は何が大切かと言うならば、いまの状態では、労働者が不安な状態に置かれている、特にこの場合においては中高年齢労働者というものがきわめて不安定な状態に置かれている。その原因の一つとして、いわゆる多子家庭ということが問題になっておることは大臣の御存じのとおりだと思うのです。ですから、雇用対策というものを労働者保護という見地に立って進めていくとするならば、総合的な見地から見ても、児童手当の問題についてはもっと積極的に、あるいは同時発足とか、あるいは児童手当制度というものを事前に発足せしめてから、こういうような方向というものがむしろ望ましいというように思うのです。そういうような総合的な労働者保護の政策というものが不十分なままで、これを必要だからということでやろうとすることは、資本に従属するような労働政策、雇用政策というものをやっていこうという危険を感じている私どもにとっては、いまの大臣の答弁は、私はその不信をさらに深めざるを得ないような気持ちになって、きわめて残念です。首をかしげているところを見ると、そうではないということのようですけれども、だいぶ時間もたってきますので、はしょっていかざるを得ないのですが、最後にこの点についてはひとつもっと積極的な姿勢で——世界六十三カ国がもう実施しておるのですから、経済成長世界一という日本が、しかも先ほど言いましたように、第三次防衛計画で二兆七千億円の金を使うと言っているのですよ。それから七千三百億にのぼるところの公債発行までやってのけるのですよ。やる気があればこれはできるのですよ。したがって、そういう積極的な姿勢をもってこの児童手当制度というものに踏み切ってもらわなければいけない、こういうふうに私は強くこの点は要望をしておきたいというふうに思います。  どうも林野庁長官が他の事情があって急いでおるそうですから、ちょっと話の順序を変更せざるを得ないのですけれども、私どもはこの雇用対策法の審議の前提条件として、今日不安定雇用の問題がたくさんにある、劣悪な労働条件のもとで働かせられている多くの労働者がいる、こういった不安定雇用の問題ないしは劣悪な労働条件、こういうものを解消していくための積極的な姿勢、これがなくしては雇用政策というものは前進をしていかない、こういう不安を表明をし、政府もこれに同調をされてまいりました。そこで私が代表的な問題として前の委員会で取り上げました事柄は、いわゆる国有林の労働者あるいは林業労働者の方々のきわめて不自然にして劣悪な雇用ないしは労働条件の実態については明らかにしてまいったことは御存じのとおりであります。その際、この不安定な雇用の状態を解消をするために、労働省、そして当の農林省、林野庁としては責任ある態度を表明してもらいたい、こういうことを私は申し上げたのでありますが、その際田中委員長から、そのことは非常に重要なことでもあるので、政府の責任のある答弁はしかるべき機会まで待ってもらいたいというとりなしがありました。あれからだいぶ日時も過ぎたわけでございます。雇用対策法について私どももこれをどうするかという態度をきめなければならないという状態に立ち至りました。そこで私は、あの田中委員長の当時のはからい等を考慮をして今日まで政府の答弁を待ったわけでございますので、同じことを繰り返しませんから、ひとつ、林野庁に存在するところの不安定な雇用の状況あるいは劣悪な労働条件、これらの問題を安定雇用の方向に乗せていくために、まず労働省としてはどのように対処をされようとしておるのか、このことをお伺いをしておきたいと思うのです。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 林業労働者の実情については、先生から先にも御指摘のございましたとおり、一定期間は雇用される、さらにまた一定期間は失業する、こういうことが毎年繰り返されておるというようなぐあいで、非常に不安定な状況にあるということは、職業の安定ということに非常に関心を持たなければならない労働省の立場からいたしますならば非常に望ましくない事態である、かようにもちろん認識をいたしておるわけであります。この点につきましては、私の承知いたしておるところでも、農林大臣もこれが改善、すなわち通年雇用という方向に向かって積極的にお考えになっておられるようでございます。したがって、私どもといたしましても特にその方向において林野当局にも御考慮を願いたい、さらにまたそれとの関連において休業中の補償の問題あるいは退職手当の問題等につきましても積極的に御善処を願いたい、こういう立場でおるわけでございまして、具体的なことにつきましては労働省といたしましても、関係当局その他と今後十分積極的に検討し、なお実のある結論をひとつ得られるように今後処置してまいりたい、かように考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この点は、内閣改造が近くあるという話ですけれども、おそらく大臣は留任されるでございましょうから、いまの答弁の趣旨につきましては責任を持ってひとつこれは実施方をお願いしておきたいと思うのです。よろしいですか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 労働省としてはいま申し上げましたとおりですから、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 続いて林野庁長官にお尋ねをします。  これまた時間を節約する意味で、この前と同じ質問を私はきょうは繰り返しません。ただ言い得ることは、きわめて不安定な状態にある。社会保障の適用の問題、あるいはその他の基準法の適用の問題、あるいは退職手当の問題等々についてもきわめて不自然な状態にある。雇用状況もまたいま労働大臣がお認めになったように雇用、離職の繰り返し、同一人がそれを繰り返している。きわめて不自然な状態にあるということは、すでに前の委員会であなた方もお認めになり、何らかの措置をとらなければならないという趣旨の答弁まではあったわけでございます。したがってこの林業労働者、そうして国有林作業労働者のこの状態というものは、これは国の責任としても一刻も早く解消し、改善の方向に向けていかなければならないことは言うまでもないと思います。その点はすでに、この三月二十五日の参議院における農林水産委員会で農林大臣も、直営直用を原則として、これを積極的に拡大して雇用の安定をはかっていくという趣旨の答弁もなされておるのでありますが、何か聞くところによりますと、林野庁の内部では、そういうことは非常にむずかしいということを言って、大臣の態度表明に対して消極的な態度をとっている人もあるやに聞いております。これはなければ幸いでございます。そういうようなことを聞きますると非常に私は心配でならない。あるいは大臣答弁というものが実施されないということになるとするならば、これまた別な角度から重大問題として指摘をしなければならない、こういうふうに考えます。この際雇用ないしは賃金あるいは社会保障、労働災害、こういった問題について制度的にも非常に多くの矛盾がある。こういったことの抜本的な改善策をこの際明らかにしてもらわなければならない。またそういうふうに基本的な対策というものを確立をし改善をすることが林業基本法の精神にも沿うことではないか、こういうふうにも考えまするので、ひとつ雇用安定の具体策について林野庁としての責任ある態度をこの際明らかにしてもらいたい、こういうふうに考えます。  なお私は、私見としてこの際申し上げまするならば、そのような具体的な雇用安定策を樹立するにあたっては、当然にして、労働組合側との話し合いを行なっていくと同時に、不安定雇用の中にも、定期作業員といったグループだけをとらえてみましても、長期に雇用される者とそれから短期に雇用される者とに分かれておるわけでございますから、私の考え方からしますならば、比較的長期雇用者についてはこれを常用雇用化していく、そして残りの方々については計画的に年次的に常用雇用化の方途を確立をする、こういう方向が望ましいというふうに考えるのでありますけれども、私のいまの意見をつけ加えまして、この際、雇用の安定化について具体的にどう対処されようとするのか、林野庁長官の前向きの答弁をお願いしたいと思います。

田中重五林野庁長官

○田中(重)政府委員 お答えいたします。  いま御質問の中にありました、農林大臣が国会で答弁した趣旨に対して林野庁の中では消極的であるというふうに聞いているけれども、なければ幸いというお話がございましたが、そういう点は決して御心配はございませんので、この労働条件の改善については大いに積極的に取り組んでいこうという考え方でおりますことを御了承いただきたいと思います。  いま御質問のありました事柄につきまして、農林省の考え方をまとめて申し上げますと、国有林労働者の雇用の安定につきましては、いまもお話がございましたように、林業基本法の第十九条、それから政府といたしましては、三月二十五日に参議院の農林水産委員会で表明をいたしましたそういう趣旨に基づきまして、従来の取り扱いを是正をして、基幹要員の臨時的雇用制度を抜本的に改めるという方向で雇用の安定をはかってまいる所存でございます。この基本的な姿勢に立ちまして、さしあたりの措置としては生産事業の通年化による通年雇用の実現なり、事業実施期間の拡大なり、あるいは各種事業の組み合わせによります雇用期間の延長などによりまして雇用の安定をはかりたい、こう考えております。  あわせて、福利厚生面の拡充あるいは労働災害防止の措置などにつきましても、積極的に推進をいたしたいと考えております。  なお、これらの具体化にあたりましては労働者の意見を尊重するということは当然でございますから、関係の労働組合と十分に協議、話し合いをいたしまして、意思の疎通をはかりながら円滑に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 林野庁長官が、きわめて積極的な姿勢をもって、長年不安定雇用に悩んでまいりました林野労働者の安定雇用のために努力をしていく、こういう態度の表明がございましたことに対して、私は、この表明をできるだけ早急にしかも円滑に具現化していただきまするように、この際特に要望をしておきたいと思います。林野庁の関係は、時間を急いでいるというお話でございますから、このことを強く要望をいたしまして、終わりにしたいと思います。  次いで、低所得者、低賃金労働者といいましょうか、そういう方々の問題について触れていきたいと思います。  これは、わが国の労働問題、雇用問題、賃金問題等の中で、非常に重視されて議論をされてまいりました問題の中で、賃金の二重構造ということがいわれてまいりましたが、この賃金の二重構造の問題は、だいぶ改善されたというふうにいわれる面もあるのでありますけれども、なおわが国には低賃金労働者がきわめて多いということもこれまた否定のできない事実であるというふうに考えます。この低賃金労働者というものは、低賃金であるということに非常に苦労されておる、生活上容易ではないという生活をしいられておる、と同時に、これらの方々にはさらにいつ首を切られるかわからない不安定雇用という問題が常につきまとっているという意味で、二重の苦難がおおいかぶさっておるというふうに私は感じてまいったところであります。そこで、これは雇用対策法の実施の過程で当然安定雇用の方向に向けていかなければならないことは言うまでもありません。あるいは各般の施策を通じて賃金等を含めた労働条件の改善をはかっていかなければならないことも、これまた言うまでもないと思います。しかしこれは、それが実現をするまでの間には、先ほど申し上げましたようにいつ首を切られるかわからないという不安定な雇用の実態にあることも事実でありますから、抜本的な対策を早急に進めてもらうと同時に、不幸にしてこれらの低賃金労働者が離職を余儀なくされた、失業をしなければならなくなったという場合につきましては、それこそそれらの方々の生活を安定せしめていくために、いまあるところの失業保険制度といったものにつきましても特段の考慮が払われてしかるべきではないか。それにはいろいろな方法があるだろうと思います。たとえば、失業保険金の最低保障額をもっと引き上げる措置を特別に講ずるとか、あるいは一定額以下の賃金労働者については失業保険金の支給割合を、現在は六〇%でありますけれども、この割合をその賃金の額に応じて引き上げる措置を特別に講ずるとか、いろいろの措置があるだろうと考えます。いまの日本の産業経済の実情から見て、この低賃金労働者の離職中に対するところの国の保護施策というものについては何らかの措置をとってやらなければならない状態にある、こういうふうに私は考えます。したがって、この際そういった方向について、労働省として十分検討をされ、そして私のいまの要望等が具体的に実現していくことを希望したいのでありますけれども、これらの点についての労働大臣としての考え方をこの際明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 わが国に低賃金の労働者が相当多いこと、またそれが不安定雇用につながっておること、そういう傾向の強いことは御指摘のとおりだと思います。特に先生のお話のございましたこれらの諸君の失業時における生活の安定をはかるということはきわめて重要な問題である、私どもさように心得ております。つきましては、さきの失業保険法の一部改正の際にも、当委員会で、四十二年度を目標にして保険給付の内容を改善するようにという御決議もいただいておるわけでございますので、その際にも申し上げましたが、この御決議の趣旨に沿いまして、労働省といたしましては、でき得る限り誠意を持って善処をいたしたい、こういう心がまえで検討をいたすということにいたしておるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの問題につきましては多く触れませんけれども、これまた該当者は若年労働者よりは中高年労働者が多いという意味で、深刻な問題でございますから、大臣のいまの答弁のごとく何らかの特別措置を早急に講じられるように強く要望しておきたいと思います。  その次にお尋ねをしたいのは、現在、産業の中には、不況のために倒産を余儀なくされる、そういう企業がございます。これは国の経済政策によって影響をこうむっているところも多々あるだろうというふうに思います。そこで、こういった不況産業に従事をしておった労働者が、その企業の倒産等のために離職というような事態が往々にして起こってまいっております。それが場合によっては、社会問題にまで発展をしているということは、大臣も御存じのとおりでございます。このような特殊な産業といいましょうか、そういうところで働いておったこの離職者に対しましては、その失業保険の受給期間等についても、何らかの具体的な特別措置を講ずることによって、その生活安定をはかる、そういうことが可能ではないか。あるいはその企業が一時的に不況になって倒産するということになるならば、その失業保険の受給期間等について、たとえば受給期間を特別に延長する、こういうような措置をとることによって、また再就職ができるような状態まで生活は安定化していく、こういうことも多いのではないかと思いまするので、その種の産業で働いておった労働者の離職中の措置につきましては、いま申し上げましたような失業保険の給付期間の延長等の特別措置を講ずる必要を私は今日痛感するのでございますけれども、大臣の考え方を、この点もあわせてお伺いしておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 この問題につきましても、今後産業構造の変化等に伴いまして、ある程度の失業が予想されるようなものも私は現に存するのではないかと思います。したがって、そういった特殊な業種等につきましては、やはり特別の配慮をしていくことが現実に必要になってくるであろう、かように考えております。したがいまして、そういうことにいかにして対処していくか、これらの労働者諸君に対してどう対処するかということも、十分これは検討しなければならぬ問題である、かように考えておりますので、労働省としましても、これまた積極的にひとつ検討をいたして善処したい、かように考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大体私がこの雇用対策法の審議にあたって関連をする、前段的に解決をしていかなければならないと考えておりました諸問題についての、労働大臣あるいは政府当局の回答をいただいたわけでございますが、きょうのいままでの質疑を通じて感じられまするのは、児童手当を除いては労働大臣やや積極的な姿勢をもって対処をする心がまえが明らかになってまいりましたので、この点は言明どおりにひとつ早急に実現方を強く要望しておきたいと思います。  なお、さらに加えて、予測される問題点として、あるいは今日すでに起こっている問題としてお伺いをしておきたいのです。それは、このごろそれぞれの企業が合同化していく、こういう傾向が非常に強い、あるいは政府自体もこれを奨励している、こういう状況のもとで、企業の合併というものは、直ちにそこで働いておった個々の労働者の労働条件の問題、権利の問題、そういった問題に影響してくることは言うまでもないと思います。ですから、こういう場合に、労働省としては、労働者保護の見地に立ってこの企業合同というものを見詰めて対処をする、こういう方向でなければいけないのではないかというふうに考えます。日産とプリンスの合併の問題の際に、私はこのことを具体的な問題として指摘を申し上げてまいりましたけれども、この企業合同は今後ますます数多くなってくるように感じられまするので、これらの問題について、労働省としてはあくまでも労働者の権利を保護し労働保護の見地に立ってそれぞれの指導にあたっていく、こういう心がまえがぜひ必要であろうというふうに考えるのでありますけれども、この点についての大臣の見解をあわせてお伺いをしておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 本問題につきましても、すでにお話のございましたとおり、企業の合併ということが相当広範に行なわれる形勢にございます。このこと自体は、やはりわが国の企業の対外的な競争力を強めるといったような関係からいたしまして、中にはやむを得ぬと申しますかあるいは妥当なものも産業政策からいえば私はあると思います。しかし、その間にあって、その企業に従事しておる労働者が大きな犠牲を払わなければならないといったような事態は、もちろん望ましくないのであります。こういう傾向がございますので、実は先般も労働省のほうから通産省のほうに連絡をとりまして、こういった企業の合併問題等にあたっては労働者の立場というものを十分考慮して進めてもらわなければならないという趣旨を実は申し入れをいたしました。通産省のほうにおいてもその趣旨の存するところもっともである、こういうことで先般とりあえず両事務当局に協議をさせたのであります。このことは将来にもわたる問題でありますから、今後も引続いて両当局で緊密な連係をとりながら、労働問題というものを、合併にあたって軽視するようなことのないように、労働者の立場というものを今後も十分尊重していくようにという基本的な考え方については通産省も同意をしていただいておるわけでありまして、私どもとしては、今後とも通産当局、その他の御当局に関連する場合もございましょうが、いずれにいたしましても、関係当局と十分緊密な連絡をとりながら労働者の立場というものを尊重しながら行政をそれぞれ進めてもらうように努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの問題はこの雇用対策法審議の前段の問題として私も指摘をしましたけれども、ここにあらわれたものは企業合同の問題として出てくるわけです。しかし、これは雇用対策なり労働政策なりというものをやっていくのにあたって根本的な政治姿勢の問題になるわけです。たとえば、政府が経済政策を担当するところの通産省、こういったところでは雇用問題というようなものを軽視して、企業さえどんどん発展をしていけはいいという態度で政策を進めていく、この場合には労働省としては労働者保護という見地に立って、労働者の権利を守っていくという立場に立って、両々相まって日本の経済が正しく発展するという、そういう方向で進んでいかなければならない、こういうことは言うまでもないと思うのです。私どもが危惧をしておりますのは、この雇用対策法についてもしかりです。これは再三申し上げましたけれども、いわばこの雇用対策法はもろ刃みたいなものだと私は思っておるのです。これは本来の意味で労働者の保護の見地に立って完全雇用というものを実現していくという、そういう見地に立って政府全体が取り組んでいくとするならば、この法案自体の持つ意味はきわめて大きいと私は思うのです。ところがわれわれが危惧するごとく経済政策に従属せしめていく。その仲立ちとしての政府が役割りを果たすというために、この雇用対策法というものが運営されていくということになれば、これまたきわめて重大だといわなければならない、こういうふうに私どもは考えてまいっておるわけです。  そこで、私は最終的に大臣の見解をお尋ねしたいんですけれども、この中で最も重要な事柄は第二章にあるところの雇用対策華本計画、こういうものであろうと思うのです。この基本計画なるものを立案するにあたって労働大臣の果たす役割りというものはきわめて大きいと私は思うのです。言いかえますならば、政府全体が雇用の問題、労働の問題というものをどうとらえ、どうながめるかという問題にもこれは通ずる。このほんとうの労働者保護、完全雇用、こういうものを実現していくという立場に立ってこの雇用対策法というものを運用していくためには、副総理くらいの人が労働大臣になったほうが一番いいと思うのです。そうでもないと、遺憾ながらこれはいままでの日本の政治姿勢のもとでは経済政策に従属させられる、こういう危険を感知せざるを得ない。この私のいまの考え方は危惧に終わってくれれはいいんです。新しい法律ですから、これはその心がまえ、姿勢によっていかようにでも運用をされるというところに非常に重要な点があると私どもは考えておりますので、いろいろ書かれておりますけれども、どうかひとつこの雇用対策法がほんとうの意味で完全雇用というものを実現していく、その基礎的な役割りを、しかも経済政策に従属をしない、そういう雇用政策というものを政府全体として固める、こういうために労働大臣に与えられた責任はきわめて大きいと私は思うのです。ですから、幾ら名文が書いてあっても、その基本計画なり何なりが立案される過程で経済政策従属のようなそういう雇用政策が生まれてくるとするならば、それは資本の利潤追求の具に労働力が供されてしまう、こういう結果になりかねないと思いますから、そういうことがないように、この点、強く労働大臣の決意をこの際お聞きをして私の質問を終わりにしたいと思うのです。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 先生の御指摘のとおりこの法案が成立いたしますならば、私は労働大臣なり労働省なりの任務というものは従来に比して一そう格段に重くなってまいる、かように存じます。そこで経済政策との関係はすでにいま法律にうたってあるとおりでございまして、私はやはり今後労働者の立場、人間の立場というものを十分尊重した政策というものが産業政策にももちろん強く反映し、両者がほんとうに文字どおり調和をとって進め得るような、そういう全般的な、総合的な施策というものが国の政治の上で実現をするように最大の努力を傾けていきたい、かように考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 関連。実は逐条審議を十一条までしかやっていないのですけれども、委員会の話し合いができたそうですから、あまりじゃまをしておってもぐあいが悪いので、一、二点だけお尋ねをするのですが、御存じのようにいまの産業構造が急激に変化をしつつあるわけです。そこで通産省として産業の再編成構想というものを出しております。これは設備が非常に過剰で、特に技能労働者、いわゆる労働力の不足ということで賃金も上がる。企業に雇っている労働力というものは比較的年齢の多い人が多くなって退職金や給与が多くなってくる。同時に自己資本が少なくなって金利は高くなる。こういうことで非常に急激に企業の合併、合同が行なわれつつある。いま吉村君も触れましたけれども、たとえば最近非常に注目に値するのは、日産とプリンスもありますが、東邦レーヨンと鐘紡の合併です。この合併がうまくいかなかったというのは、結局労働問題をいままでの経営者というものは忘れておったわけです。なに、労働問題なんといものはたいしたことはない、経営の条件というのは、うまく金を借りてきて、そして商品の売りさばきさえうまくやれば何とかなるんだという、こういう古い明治以来の日本の自由主義的な経営観念というものが結局行き詰まったことを意味するわけですよ。このことは、日本の行政においても経済企画庁や通産省が主導権を握っておる産業政策というものだけではだめだ、やはり労働省が大きくのし上がっていかなければいかぬといういまの吉村君の主張のとおりなんですよ。そこで、今度こういう法案をお出しになるなら、やはり労働大臣、ふんどしを締め直して、この雇用政策、労働政策というものをぐっと前に出さなければいかぬわけですよ。そういう意味では労働省の体制というものは少し抜かっておる、こういうことをわれわれは言いたいのです。だから、こういう法案をお通しになるならば、やはり労働省もそういう体制に労働省内部の機構を整えなければいかぬ。産業構造なり産業再編成体制が通産省の主導権だけで行なわれて、労働省はそれについていく形ではだめだ、こういうことなんですよ。一体そういう体制というものを労働省につくる意思があるのかどうかということです。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 この法案が成立しますならば、雇用対策というものが従来よりも少なくとも、一段と国政全般に及ぼす影響力というものも確かに強まってまいるし、また、そうしなければならぬ。もともとこの法案がこういう考え方から出ておるわけです。したがってまた、ただいまも申しましたとおり、労働省なり労働大臣なりの任務というものもきわめて重要になってまいる、かように私は考えております。そこで、こういう法案が通るならば、労働省の機構についても再検討を要するのじゃないか、こういう先生の御指摘かと思いますが、その点につきましても今後十分検討いたして善処してまいりたい、かように考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、とりあえずすぐに問題になるのは何かというと、石炭政策なんですよ。御存じのとおり、いま石炭鉱業審議会というのが石炭の抜本策を、少なくとも今月中にはまとめて出そうとしているわけです。これに労働省は一体いかなる主導権を握って石炭政策を誘導しようとしているのかということです。いままで巷間伝えられるところによると、十一万のいまの労働者をもう三万人首を切って八万にするんだ、こういわれているわけです。石炭労働者の平均年齢というのは四十歳になんなんとしておる。中高年齢です。そうすると、その受け入れ体制というものは五千四百の緊就以外にないわけです。緊就はワクを閉ざして、もはやなかなか入れない。この前御説明がありました。それは公共事業にまず行っていただきます、それから鉱害復旧事業に行っていただきます、どうしてもいかなければ産炭地振興事業に行っていただきます、そうしてだめならば緊就に受け入れます、こう言うけれども、いま四十歳をこえて、今まで単純な坑内労働をやっておった人が近代のオートメーション化が進行している企業に右から左に雇われる情勢はないですよ。だからこそ、黒い手帳を持った人で、三年間、今度の法律改正で五百七十円ですがいただいた、しかし、なお就職できない人が千八百人もおる。しかも、そのうちの七割というものは五十歳以上だ、こういう実態なんですからね。そういうことが解決をしていないところに石炭の抜本政策が出ようとしている。いまのように、大きな産業に石油との競争で斜陽化が起こり、合理化が行なわれようとするときに、労働省としてはこれを一体どうチェックしようとするのか。現実に受け入れ体制が不完全で、千八百人も、三年で黒い手帳の切れた人がなお滞留しておる。それにまた、これから三年か五年のうちに三万人が出るということになれば、労働省としては何か一言ここで明約しておいてもらわなければいかぬわけなんです。それが何もないです。もう不安定雇用になるということは明らかです。私が非常に心配するのは、東邦レーヨンと鐘紡の合併の問題が出て、何ら労働政策が経営の間に浸透してい安いということをまのあたりに見た。やはり労働省は、首を切られて、それでそこに失業者が出たら、その手当てを職業安定所その他を通じてやるというのではなくて、もう少し予防的に対策を明らかにしないと、これはもう労働者が不安でしょうがない。しかし、これから労働力は不足するのですからね。だから今度は労働者側が売り手市場になるわけです。そうなりますと、これは企業自身が参ってしまう。特に中小企業なんか参ってしまう。だから、いまのような石炭の最後の答申が出ようとするときに、一体労働省としては雇用対策上何をなそうとしておるのか、ひとつここで明らかにしていただきたいと思う。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 石炭産業の関係につきましては、御指摘のとおり、石炭鉱業審議会において近く抜本的な施策についての答申を出される、こういうことでございます。そこで、私どもの承知しておるところでは、審議会におきましても、もちろんこの雇用の問題ということについても十分な配慮を払いながらやってくださっておる、かように承知しておりますが、この間労働省といたしましても、労働者に対する不安というものをなるべく少なくて済むように、またやむを得ざる、予想される失業者に対しては、その再就職に対する施策等について、十分連携をとりながらいま進めておるわけでございます。  なお、詳細につきましては局長から御答弁申し上げます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 通産省が対策を出してしまってからそのあとで労働省が対策を出すのでは、話にならぬわけです。現在の日本の客観的な労働情勢から見て、中高年齢というものはなかなか受け入れられませんよ。それなら、少しは能率、いわゆる製品のコストは上がるかもしれないけれども、通産省がそんなに首を切られたら、われわれ受け入れ体制ができません、だからしたがって、雇用対策の面から見たらこの程度のものにしてもらわなければ困りますよ、というものがなければならぬわけです。労働省が何にも言わぬで、通産省がたとえば五千二百万トンとか五千万トンとか出してしまった、そこで三万人の失業者がこれから二、三年のうちにずっと出てきます、それに対して、わたくしたちは中高年齢層対策をもって救いますということでは、首を切られてしまって、血が出てから救ってやったって、それはげすのあと知恵です。こういうのをげすのあと知恵というのです。ですから、げすのあと知恵にならぬためには予防的なものをやらなければいかぬ。その点は通産省にものを言って、労働省としては雇用対策はもうこのくらいしか立ちません、それ以上首を切ってもらったら困ります、それなら五千万トンを五千三百万トンにしてくださいとか、五千四百万トン確保してもらわなければ困ります、こういうことを労働政策の立場から産業政策にものを言う立場でなければ、労働省の主導権というものはないのですよ。そうでしょう。私はそこを言いたいのです。いまはそれがないですよ。首を切って切りっぱなしで、出てきたものを労働省が救ってやる、こういう形では予防ではないですよ。もう病膏肓に入ってから救ってやろう、それでは病気はなおらないです。だからそれを一体どういう方向に——もう月末に出ちゃうのですよ。そうしたらたいへんです。なるほどあそこの石炭鉱業審議会には有沢さんのような労働問題の専門家——専門家ではないが、専門家に近いような偉い先生も入っております。しかし、主力は何といったって、もう産業政策に精通しておる人しか入っていない。やはりあそこに労働省がこの人ならば労働政策の立場から十分ものを言えるような人、若手のちゃきちゃきした人が一人、二人おることが必要です。いないのです。だから労働政策なんというものは無視されてしまっておるのです。さしみのつまですよ。それではいかぬと思うのです。だからこの際、ここでやはりあなた方はどうするのだ、いまの日本の客観情勢から見た石炭というものは労働政策からどの程度掘ってもらわなければいかぬのだというようなことを言ってもらわないことには、何も言わぬで、向こうが首を切ったものの受け入れ、中高年齢対策をやりますでは、現実に千八百人もおるのだから、どうにもならぬ。これが雇用対策というものですよ。それがないのです。だからここでひとつ明らかにしてください。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 雇用対策として石炭問題についてもものを申せ、こういうことでございますが、現に労働省からももちろんいろいろ資料等も提供し、また、先生の御指摘のような点にも触れながら、ものを現に実は申しておるところなんでありまして、今後も先生の御指摘のような方向においてわれわれとしても最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 期日がもう土曜日までくらいには出てしまうのです。だからすみやかにひとつ労働省の意見をまとめて出してもらいたい。何ならわれわれにも聞かしてもらいたいと思うのです。いま現実に三年おくれて、千八百人も余ってそれが行きどころがなくて困っているのに、また首を切られたのでは産炭地では暴動が起こりますよ。  これで終わりますが、先日御質問申し上げましたように、日本の新規若年の労働力がこれから二、三年か四、五年もしているうちには百二、三十万になってしまうわけでしょう。そして、いわば代替労働力というものだけでそれ以上百四、五十万も要るでしょう。そしてなお日本の経済が拡大すれば、新しい雇用の需要が起こってくるでしょう。それは百万をこえますよ。そうすると、労働力というものは百四、五十万の不足になってくるわけです。この百四、五十万の労働力の不足をどこから持ってきて、日本の産業が貿易の自由化、資本の自由化された中で生きていくかということになると、結局農業とか中小企業が一番やり玉に上がるわけです。その場合に一体雇用対策と農業対策との関係をどうするか、雇用対策と中小企業の関係をどうするか。もう一つ重要なのは、これは松野さんのほうで来年から、四十二年から四十六年にかけて第三次の防衛計画を立てるわけです。三次防を立てる場合に——質問すると長くなるからやめますけれども、その三次防をお立てになると、これまた相当の人員が要るわけですね。現在でも陸上自衛官が十七万一千五百人でしょう。これは三万人欠員、不足です。十四万二千人。それから海上自衛隊が三万五千五百六十一人で実人員が三万一千人、ここも不足です。それから航空自衛隊が実人員が三万七千人で定員が三万九千五百五十三人です。これがさらに今度の、いま内閣委員会にかかっているのをずっと通していきますと、もう少しふえる。そうすると日本の労働力の上において、四十六年までの自衛隊の計画というのが非常に重要になってくる。またこの自衛隊を出た人をどういうように労働力の配置の上で考慮するかということも非常に重要になる。たとえば、アメリカがいまベトナム戦争をやっている。これは志願兵と徴兵だけです。まだたった一つだけジョンソン大統領に良心が残っているのは、予備役の召集をやっていないというところだけです。しかし、ベトナムに四十万以上の軍隊をやると、アメリカの予備役の召集をやらなければならぬから、アメリカの産業はがたっといくのです。(「アメリカのことはいいじゃないか。」と呼ぶ者あり)アメリカのことはいいじゃないかと言うけれども、アメリカがそういう状態で、日本も今度韓国から御存じのとおり三、四千人の研修生が中小企業の協同組合を通じて入ってくるのですよ。それをいまどうしますかと言っている。ベトナムのことはいいじゃないかと言うけれども、これはみんな関係が出てくるのです。そればかりでなくて、御存じのとおり、そういうことになりますと、文部省の職業教育計画と関連してくる。職業教育計画をどうするかということ。そしてこれに通産省の産業政策が関連してくる。こういう日本産業全体における、あるいは日本の防衛力の整備計画との関係、こういうものと雇用対策、労働力の計画というのはどういうようにあなた方がお考えになっているかということを——労働省がそういうものも何も知らぬで、ただ雇用対策、雇用対策といって抽象的なことだけを言っておったのではいまの日本では話にならぬわけです。そうでしょう。私たちは実はこういうところをもう少し各省にも明らかにしてもらうし、労働省にもしてもらいたかったわけです。たとえば、中央教育審議会の中間報告をごらんになっても、いまの日本の教育制度を非常に大きく変革するような案が出てきているわけです。たとえば、職業または技能教育を中心とする短期高校というのが出てきている。これは財界の要望です。労働力が不足してそんなに長く高等学校へ行っておってもらったら困るという問題がある。すなわち産業の要望というものはすぐ教育に反映をしてくるわけでしょう。こういう点を、私はもう少しやはり労働省に全貌を握ってもらって、そうして明らかにしてもらう必要があると思うのです。これを無秩序でめちゃくちゃに各省が力づくでやっておったら、労働省というのは何をしているのかわからぬことになってしまうのです。そうでしょう。だから、こんな雇用対策を出したら各省から袋だたきにあって、非常に抽象的なものにならざるを得ない。抽象的なものでも、滝井さん何とか早く通してもらわなければつぶれるかもしれないなどと、こんな情けないことを言わなければならぬというのは、結局これは力の問題でしょう。労働省がそれだけの基盤、根を張ってないという証拠です。だから、いまこそ労働省が根を張る絶好のチャンスです。政治力をあなた方が発揮する絶好のチャンスです。その絶好のチャンスをあなた方がお握りになって、農林省の関係なり——米価の問題がこれほど大きな問題になっているのですから、米の自給率の問題、すなわちそのことは米をつくる労働力の問題に還元してくるのですよ。だから、その点を農林省にもう少し、あなた方で意見をどしどしやってもらう必要があるのです。そういう点がちっとも明らかでない。そういう点を今後——きょうはもうこれ以上何も言いませんけれども、資料その他で明らかにしていただいて、日本の雇用対策のきわめて具体的な全貌を示していただきたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 将来の労働力の問題、雇用対策についての考え方は、全く先生と私どもも同じなのでございます。そういう考えがありますので、実はこの法案をお願いしておるわけでございます。これを十分活用して善処していきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ではこれでおわります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 吉川兼光君。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 たいへん時間がないようでございますから、私は、ごく数点につきまして簡単にお伺いいたします。  本法案の目的はいわゆる労務統制的なものではなくして、完全雇用の達成を目ざすものだ、こういうふうな説明のようでありますが、完全雇用を達成するための施策の具体的な内容というものがこの法案とどんなつながりがあるかという、つまりその関係を明らかにしてもらいたい。  もう一つは、完全糧用を達成される時期でございますが、これはおそらく政府には一応の目安があるはずでございます。それはいつごろと考えておるかということを向いたい。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 この法案が完全雇用の達成を目ざしておるということは目的に明らかにしておりますが、これを達成する手段といたしましては、三条以下の国の施策を総合的に樹立するその方法としましては、さらに雇用対策基本計画を閣議レベルで決定して推進をしていく、こういう手段をこの法律は予定いたしておるのでございます。  また完全雇用の達成の時期という問題でございますが、これは非常にむずかしい問題で、私どもは雇用の動向を考える場合に、さしあたり五年ないし十年というふうな長期の見通しを立てて、この雇用計画を策定してまいる予定にいたしておりますので、十年先の状態がどういうふうに改善されていくかということを一応想定しながら、雇用対策を樹立していくという考え方でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 時間がないからどんどん飛ばしてまいりますが、いまの第三条第一項の第五号でございましたか、「不安定な雇用状態の是正」ということが明記してあります。これには、私が申し上げるまでもないことでありますが、労働条件の全般的な改善向上、つまり最賃制でありますとか、あるいは家内労働法の制定、または自営業者や家族従業者を含めました中小企業の対策、あるいは社会保障政策、あるいは住宅政策など、広範な施策が必要とされるのでございますが、本法案におきましては、具体的の施策といたしましては、いま申し上げました中のどれとどれであるかということをこの際明らかにしてもらいたい。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 御指摘のような施策は、この第三条の施策として列記しておる各号に関連があるわけでございますが、特に御指摘の第五号におきまして「不安定な雇用状態の是正を図るため、雇用形態の改善等」と、「等」という字を入れておるのはそのためでございまして、広範にこの「等」で必要な施策を充実していくというふうに読み取ってまいりたいと思います。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 それから今後の雇用情勢は、労働力の不足ということが基調となると、こういうふうに言われておりますし、またそれは十分そういう見通しに立つわけでございますが、労働力の不足というのは、いわゆる若年労働力のことでございまして、中高年齢労働者につきましては、ただいま滝井君の質問にもありましたように、炭鉱離職者にしても収容し切れない者が二千名近くも残っておるというような状況でございます。このことは、とりもなおさずいわゆる一面において不足であるが、他面においては過剰という労働力需給のアンバランスがここにあるわけでございまして、これを均衡させるということが本法案の目的ではないかと私は思うのでございます。したがって、第一条の目的の規定のところにございます——これは労働省の原案からだいぶ改められておるように思いますけれども、当初労働省のほうで考えたと言われておりますのは、いわゆる完全雇用というのは口実でありまして、労働力需給の均衡にあったことは、これは間違いないのであるかどうかということを聞いておきたいのであります。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 当初の原案は多少誤解を招く個所がございましたので、審議会等の審議の過程を経まして、私どもとしましては、これを思い切って書き改めまして、御指摘のように「労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上を図る」ということを第一義にいたしまして、労務の調達的な色彩は払拭いたしまして、われわれの目的が誤解されないように明記いたしたわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 先刻来滝井君からいろいろと指摘されておりましたが、それに関連することであるわけでございますが、いわゆる雇用政策につきまして、労働省が政府の各省の中においてイニシアをとるというたてまえ、これは私は今後堅持しなければならないと思うのでありますが、それにつきましてお伺いしたいのは、最初労働省の構想の中に、内閣に雇用閣僚会議あるいは雇用閣僚協議会でございましたか、そういうものを設置するというような構想があったはずでございまするが、これが消えてなくなっておるのはどういうことであるかということを大臣から聞いておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 閣僚会議の関係につきましてはこの法案の中にはうたわなかったのでございますが、今後この基本計画を策定するといったような問題を中心にいたしまして、雇用問題の重要性にかんがみまして、閣僚会議というものは閣議の申し合わせでできるわけですから、将来はぜひそういうものも実現していきたい、かように考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 各省の、雇用計画に重大な影響を及ぼしまする施策たとえば貿易の自由化、あるいは地域の開発、産業あるいは農業等の構造改善政策の実施、こういうものはいずれも雇用計画に関係があるのでございますが、それらについて労働大臣は、場合によっては雇用政策のたてまえからそれを変更させ、ないしは阻止するというようなことまでやる決意を持っておるのかどうか。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 これは全般的に申しまして、雇用政策というものと経済政策というものは調和をとらなければならぬということをうたっておるわけでございますが、具体的な、いま先生のお話のような、あるいは農業政策の問題なり貿易政策なり一般の産業政策なり、こういうものとどう調和をとっていくかにつきましては、基本計画を策定するにあたりまして各省から十分資料も出してもらわなければなりませんし、それらにつきまして雇用対策の立場から、また各省の施策について調整を願わなければならぬものは願うことにいたしますし、そういう点で今後十分各省間の連絡を緊密にしてやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 それではあと一問だけで終わりたいと思いますが、第七条によりますと、労働大臣は職業に関する調査研究をしなければならないと規定されておりますが、この規定がない場合は労働大臣は職業に関する調査研究をしないつもりであるのかどうか。さらに八条、九条でございましたか、求人、求職指導に関する規定、この規定がある場合とない場合とでは、職業紹介、職業指導の方針は異なるのかどうか。労働者の能力が有効に発揮できるような職業紹介を行なうことは、これらの規定のあるなしにかかわらず必要な事柄ではないか、ぜひやらなければならない事柄ではないかと思うのであります。さらに十一条、十二条でありましたか、技能労働者の養成確保について、職業訓練と技能検定制度についての規定を設けております。一体現行の職業訓練法のどの規定が不備でこういうような規定を置かねばならぬのであるか。不備でなければこれは全くの精神的な規定、いわゆる訓示規定以上の意味はないのではないかと私は思うのであるが、この点につきまして大臣からひとつ御答弁をいただきたい。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 あらためて申し上げるまでもなく、労働省は、一口に申せば、労働者に対するサービス機関でもございますから、いま先生の御指摘になりましたような職業の調査研究であるとか、あるいは職業紹介であるとか、職業訓練であるとか、こういったようなことは、もう本来労働省が当然やらなければならぬことでございます。しかし、このような規定をあえてここに設けましたことは、この労働省の任務というものをより明確に、あるいはより積極的にいたす、こういう趣旨からここに取り上げたわけでございまして、こうすることによって、労働省の果たさなければならない責任というものが、法律によって、いま申しますようにより明確になり、より積極的になった、またそうすることが雇用対策上きわめて必要である、かように私どもは考えておるわけでございます。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員 本案に対する質疑は終局されんことを望みます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいまの澁谷君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいま委員長の手元に、澁谷直藏君、河野正君及び吉川兼光君より雇用対策法案に対する修正案が提出されております。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。澁谷直藏君。

澁谷直藏自由民主党

○澁谷委員 私は、ただいま議題となっております雇用対策法案に関する自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  第一は、労働省に駐留軍関係離職者対策審議会を設置して、労働大臣の諮問に応じて離職者対策に関する重要事項を調査審議することにより、これら離職者の安定した職業への就職促進をはかろうとするものであります。  第二は、石炭鉱業の合理化に伴う離職者であって、他産業に再就職することなく炭鉱に就職した者が、当該炭鉱の合理化によりさらに離職した場合、現行法上は炭鉱離職者求職手帳の発給を受けることができない場合があることにかんがみ、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正し、炭鉱に就職したこれら合理化離職者に対して手帳を発給し得るよう、その要件を改めようとするものであります。  第三は、雇用対策法案では、職業訓練を充実するために必要な施策を積極的に講ずることとしているので、職業訓練の中枢的機関である中央職業訓練所の名称を、現在すでに使われている職業訓練大学校という名称に法律上明確に規定しようとするものであります。  以上につき皆さま方の御賛同をお願いいたします。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 修正案について御発言はありませんか。  なければ、この際、本修正案について、国会法第五十七条の三による内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。小平労働大臣。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 ただいま御提案がありました雇用対策法案に対する修正案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えております。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、雇用対策法案及びこれに対する修正案について討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。谷口善太郎君。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 簡単に討論いたします。  共産党は、この雇用対策法に反対であります。私は、小平労働大臣がいつ通産大臣になられたか非常に疑うのであります。これは全く大企業の雇用対策でありまして、労働者の権利を擁護するとか、労働者の自由を保護するとかいう見地はごうまつもございません。こういう重大な法律案を十分審議しないまま採決に入るということにつきましては、共産党は心底から怒りを感じておるものでございます。  反対をする二、三の点を申し上げます。  第一に、この法律案は、最近の日本産業の技術革新の急激な進行の中で、労働過程における労働者の事情が変わってきておる、言いかえますと、政府のいわゆる若年労働者、正確に言いますと、低賃金の青少年労働者が生産の中枢に入っておりまして、そのためにいわゆる中高年労働者、旧熟練工は不用のものとなりつつあって、生産から排除されるという傾向が顕著に出ております。この点につきましては、審議会自体、古い熟練工の技術はもはや無用のものになって、これを生産の現場から出して再就職させるための対策が必要だと正直に言っておりますが、これらの中高年労働者及び政府の施策によっておびただしい労働者に転化しつつあります農民、漁民、さらに衰退産業といわれる石炭、銅などの産業から出てくる失業者、中小企業から倒産整理によって首を切られる中高年の労働者、これらをひっくるめて再教育をして、そうしていわゆる若年労働者水準の低賃金で再配分しようというのがこの法律の基本的な目的であります。こういうことは労働者階級に対する不当な権利侵害であって、絶対に許すことはできないのであります。  第二の問題は、こういうやり方を政府の権力によって、政府の統制によってやりつつあるし、また、やろうとするところにこの法案のねらいがあることであります。すでに炭鉱離職者に対しても、これはいろいろの法律によりましていかに残酷に低賃金に追い落としているかということが明らかになっておりますが、その他失対事業に対する打ち切り、これは全日自労などは絶対に反対した政策でありましたが、こういうやり方で労働者を非常に低賃金に追い落とすというやり方をやってきておるのでありますが、さらに職安の窓口におきまして、失業保険等の支給の操作等におきまして実に残酷な低賃金の方向に労働者を追い落としておる。これはすでに職安局長の名前で数次にわたる通達が出ておって、失業者として認定するかどうか、労働する能力や意思を持っておるかどうかということについて一方的な認定をやって、そうして安いところで仕事をやらなければ失業保険をやらないというような、いずれにしても失業保険を打ち切るというやり方で労働者全体を追い詰めてきていることは現状において明らかであります。職安の窓口の権力でもって労働者の職業選択の自由、あるいは職業を選択する権利というものに、国家統制によって、権力によって非常な打撃を加えているというのが実情であります。今度の法律案ではこの点につきましてはもっと巧妙に、もっと全国的な立場で労働省の権力としてやるということを計画しておるのでありまして、私どもは絶対にこれを許すことはできないのであります。言いかえますと、これは憲法違反ではないかというふうにわれわれは考えます。  第三点は、労働市場センターなどという、最高の新しい機械を備えつけて、全国の職安をこれによって組織し、この組織を用いまして全国の労働者を支配統制し、登録する、こういう計画を持っておることであります。こういうことは、全世界から見てもこういうばかげたことをやっておるところはありません。しかも、これは今日の自民党政府のアメリカに従属した戦争政策の見地からいいますと、必ず近い将来にかつて東条がやりましたあの徴用制度、この制度を今日からすでに計画して進めるものであると私どもは考えざるを得ない。三矢作戦において戦時状態あるいは非常時労働力をどうするかということが計画されている。これをすでにこの法案によって計画しているものだとわれわれは考えざるを得ないのであります。これが反対の第三点であります。  小平さん、労働大臣としてほんとうに労働者の職業選択の自由や、あるいは労働者の労働条件の向上や、あるいは雇用の問題について十分に配慮し、保護するという立場に立つならば、先ほどから社会党の諸君も言いましたが、やはりこれは根本的に今日のあのにせ最低賃金を打ち破って、そうして真実の最低賃金制度をつくるべきだと思います。最低賃金の原則は、大臣は御承知のとおり、これは一人の労働者が結婚をし、家庭生活を持ち、子供を育てるという、つまり労働力の拡大再生産を償うに足ることを最低としたのが最低賃金であります。この最低賃金をまずつくるべきであります。  それから、今日の技術革新の中での単純ではあるけれども最も緻密な労働、非常な苦しい労働、労働の強化がかつてない非人間的になって、数年もすればからだの障害を起こすというような現在のオートメーション下における労働、こういう労働におきましては現在の八時間制度は長いのであります。これは、社会主義諸国におきましては四時間ないし五時間によって労働者が十分に労働できるようにしておる。こういう政策をとるべきであって、労働時間の短縮によって労働力の市場を開拓するという方向をとるべきことを私どもは主張したい。  それから、労働者の条件の問題は労働者の団結と闘争によってきまります。したがって、労働者の団結の権利、闘争する権利に対しましては、あくまでもこれを擁護するという立場に立つべきだということで、そういう意味で私どもは今日の労働三法のさらに民主的な改善を要求するものであります。しかし、現在の労働省の態度では現在の労働三法をさらに改悪する意図すら持っておるということを聞いておりますが、これも絶対に許すことはできません。  以上がこの法案に対する私どもの反対の要点でございます。  なお、修正案に対しましては、炭鉱離職者あるいは駐留軍労働者あるいは失対労働者、林業労働者に対して若干の要件の改善が見られます。そういう点では私どもはその意味を認めざるを得ませんけれども、しかしこれによってこの重大な雇用対策法を通す、あるいはこれを採決するということの条件にする意味では、絶対にこれは反対せざるを得ないのであります。  そういう意味で、原案並びに修正案に共産党は絶対に反対であります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、澁谷直藏君外二名提出の雇用対策法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立多数。よって、雇用対策法案は澁谷直藏君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、大原亨君外四十名提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び山田耻目君外四十名提出の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、審査を進めます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 提案理由の説明を聴取いたします。提出者大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原議員 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  過ぐる大戦におきまして戦闘その他公務により死亡し、あるいは障害を受けた軍人軍属及び準軍属に対しましては、恩給法は別としまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法、戦傷病者特別援護法等により援護の措置がとられておるのでありますが、その援護の対象となる軍人軍属及び準軍属につきまして逐次その範囲が拡大されつつあるのであります。  このたび政府が提案しております戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正案でも「満洲等において旧国家総動員法による総動員業務の協力者と同様の事情のもとに当該業務と同様の業務に協力」しました人々を準軍属として処遇しようとするものでありますが、何ゆえに、完全に戦争状態下に置かれていた内地において身命を賭して日夜防空業務に従事し、これにより倒れ、傷ついた者に対する援護の措置が講ぜられないのでありましょうか、理解に苦しむところであります。  もともと、防空業務に従事しました者は、旧防空法によりまして危険をおかして防空業務に従事することを法律によって強制せられ、その違反につきましては、最高一年以下の懲役に処する刑罰をもってしたものでありまして、これは旧兵役法による兵役に服すること、また旧国家総動員法による総動員業務に服すること等と少しも変わるところがないのであります。  また、防空業務に従事しました者に対しましては、旧防空法第十二条及びこれに基づく旧防空従事者扶助令、これは昭和十六年勅令第二十二号でありますが、これによりまして最低五百円から最高千五百円までの間の扶助金が支給せられ、死亡の場合には別に葬祭費が支給せられることになっていたのであります。これらの法令は昭和二十一年一月に廃止になったのでありますが、その附則におきまして廃止後も扶助金の請求はなおすることができることとしながら、政府は何ら予算措置を講ぜず、また旧内務省の解体によりまして請求の事務を処理する官署すら明白でなかったのであります。  したがって、当時旧防空法や旧防空従事者扶助令によりまして扶助金を請求することができるはずのものが、事実上請求もできないという状態に置かれてしまったのであります。敗戦という異状な事態の下にあったとはいえ、はなはだ遺憾というほかないのであります。  私どもは、このような措置がとられたことについていまさら当時の失策を責めようとするものではありませんが、終戦後二十余年を過ぎ、経済的にも、社会的にも落つき、戦傷病者等の援護措置も拡充強化され逐年準軍属等の範囲も拡大されつつある今日、これら防空業務に従事した者で死亡した者の遺族やいまなお傷病に苦しむ傷病者に相当の処遇を与えることは当然のことと存じます。そこでこれらの犠牲者を準軍属として処遇するために、この法律案を提案することといたした次第であります。  以下この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正して、旧防空従事者扶助令第二条に規定する者で、旧防空法の規定に基づき、防空の実施もしくはその訓練に従事中または応急防火もしくはその訓練に従事中もしくは協力中のものを準軍属として処遇しようとするものであります。ここで旧防空従事者扶助令第二条に規定する者とは、第一に防空監視隊員、第二に警防団員、第三に防空法第六条第一項に規定する防毒、救護等の特殊技能を有する者と同条第二項に規定する特別の教育訓練を受けた者、第四に防空法第九条第一項により緊急の必要ある場合に地方長官や市町村長から防空の実施に従事することを命ぜられた者、第五に第三と第四に掲ぐる者を除き地方官庁または市町村長のなす防空の実施または訓練に従事した者のうち内務大臣の指定するもの、第六に防空法第八条ノ七に規定する建築物の管理者、所有者、居住者等の応急防火もしくはその訓練をなしまたはこれに協力した者、第七に防空法第三条第一項の規定により、工場、学校等の防空計画の設定者の従事者等でその防空計画に基づいて防空の実施または訓練に従事したものであります。これにつきましては別紙の資料に詳細に法的な根拠を述べております。  以上述べました者が防空法に基づく防空の実施もしくはその訓練または応急防火もしくはその訓練に基づき死亡した場合または負傷しもしくは疾病にかかった場合には、その死亡した者の遺族には遺族給与金及び弔慰金が支給され、また、負傷しまたは疾病にかかってこれにより身体に障害がある者には障害年金が支給されることとなります。  第二点は、戦傷病者特別援護法を改正して、さきの戦傷病者戦没者遺族等援護法の準軍属として加えました防空の実施の業務に従事した者等を、この法律の軍人軍属等に加えて処遇しようとするものであります。これにより、防空の実施等の業務に従事中その業務により負傷し、または疾病にかかり現在なお療養中の者は、療養の給付をはじめとしてこの法律に規定する援護の措置を受けることができることになるわけであります。  なお、第三点として戦没者等の妻に対する特別給付金または戦傷病者等の妻に対する特別給付の支給を受けることができるよう措置した次第であります。  最後に、わが党といたしましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきまして、軍人軍属と準軍属とを差別して取り扱っていることには賛成しかねるものでありますが、今回の改正では、この点は一応差しおいて、とりあえず、防空従事者を準軍属の範囲に加えて処遇するにとどめた次第であります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、提出者山田耻目君。

山田耻目日本社会党

○山田(耻)議員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  特に、私自身が生き残っておる被爆者の一人でございますし、非常に感慨深くこの御提案をいたす次第でございます。  御存じのように、昭和二十年八月の六日、三日後の八月の九日、人類史上最初の原爆が、広島、長崎に投下をされまして、一瞬にして三十万近い人々の命を奪い去ってしまいました。両市を焦土と化してしまったのでございます。幸いにして一命をとりとめた人たちも、現在二十七万三千人余りおられるわけでございますが、この世のものとも思われない焦熱地獄を身をもって体験をいたし、原爆の被爆という一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負っておるわけでございます。また、あるいは原爆の熱線によりまして、痛ましい傷痕のゆえに結婚もできない、こういう悲嘆にくれる姿も見受けられておりますし、あるいは放射能の影響によりまして、血小板など造血機能の障害や原爆後遺症に悩まされておりますなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら、だれに訴えるすべもなく、ただ黙って歯を食いしばっているというのが、今日の生きておる姿でございます。しかし、何といたしましても、あれから二十年たちまして、きのうは一人、きょうは一人と、くしの歯を落とすように死んでいっておりますけれども、白血病、貧血症等の発病の不安や生命の不安、焦燥におののきながらも、働かなければ生きていけない、こういう姿の中で、原爆被爆者が日々の苦闘を続けておるという実態を、私たちは正しく理解していかなければならないと考えておるところでございます。  こうした悲惨な現実をもたらした原因が、原爆の被爆に基づくものであるという事情にかんがみまして、昭和三十二年、主として原爆症の医療について、現行の原子爆弾被爆者の医療等に関する法律が制定をされました。その後、三十五年の一部改正以来、四回にわたりまして、本委員会各位の御協力、政府の御協力によりまして、対象範囲の拡大や医療手当の所得制限緩和などの増額もはかられてまいりました。しかしながら、今日なお原爆を受けた被爆者の肉体的、精神的障害をぬぐい去ることができないのでございます。特に、最近の異常なまでの消費者物価の上昇によりまして、生活の苦しみを訴える声は日増しに高まっているのでございます。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上、生活上の不安を除去するために、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊的な状態に適応させて、かつ空活援護をはかってやりながら、一そうの拡充がはかられなければならないものと考えるのでございます。  次に、この法律案の内容の御説明を簡単に申し上げますと、第一は、援護手当の支給でございます。認定被爆者はもとより、特別被爆者のうちにそれに近い、いわゆるボーダーライン層というのがございます。これらの人々が被爆によって生じた身体障害のために労働力が減退をいたしまして、それにより働きによる収入が減少した、こうした例が多うございます。こうした場合、政令の定めるところによりまして、最高月額五万円までの援護手当を支給することにいたしたのでございます。概数を申し上げておきますと、認定被爆者総数四千二百二十名、特別被爆者の中でボーダーライン層といわれる層は、特別被爆者二十万のうちの約一割、二万人程度が認定被爆者に入れずにまさに同じような状態で呻吟をしておる。この合計二万四千二百二十名が援護手当の対象者となるというふうに提案をいたしておるのであります。  第二番目は、障害年金の支給でございます。被爆に起因した身体障害のある被爆者に対しまして、それが外的、内的障害たるとを問わず、年額十二万円を限度とする障害年金を支給することにいたしたのであります。なおこの障害年金は、国民年金の無拠出年金を除きまして、他の増加恩給その他障害年金に相当する給付とは併給することができないものといたしております。障害年金の受給対象というものを考えてみますと、今日身体障害者で支給を受けておりますのは約三十万八千人でございます。全国民人口と対比をしてみますと〇・三%でございますので、二十七万三千人の被爆者総数に対して、その約〇・三%を考えて対象といたしてみますと九百九名でございます。その程度のものはぜひとも、わずかな人数でございますし、障害年金の対象としたいということで第二項を起こしたわけでございます。  第三は、医療手当の月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。医療手当は、昭和三十五年の改正によりまして新たに加えられたものでありまして、現在は、認定被爆者が医療の給付を受けている期間中、毎月三千円を限度として支給することになっておりますが、この月額を、さきに申し上げました援護手当の額と勘案をいたしまして五千円に引き上げるとともに、医療手当にかかる所得制限を撤廃することによりまして、これら被爆者が、安んじて医療を受けることができることといたしたのでございます。今日医療手当を受けております者が七千八百十二件、約六百五十一人でございますので、予算的にも微々たるものだということが理解できます。  第四は、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者が、健康診断または医療を受けるために、日本国有鉄道の鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令により身体障害者福祉法に基づく運賃割引を行なうことにいたしたのでございます。これによって、被爆者が容易に健康診断を受け、遅滞なく適切な医療を受けることができるようにいたしたものであります。該当者総数、概算二万四千二百二十人でございます。  第五は、被爆者が死亡しました場合に、その葬祭を行なうものに対し、葬祭料として三万円を限度として支給することであります。なおこの葬祭料は、本法が施行された昭和三十二年四月まで遡及することができることにいたしたのでございます。推計四百十五人が今日までになくなっております。  第六は、以上のような措置を講ずることによりまして、いわゆる医療法から援護法へ移行するものといたしまして、法律の題名を「原子爆弾被爆者援護法」に改めたことでございます。  以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改めるとともに、委員の数を十名増員して現行二十名を三十名といたしたい。また都道府県が設置する原子爆弾被爆者相談所の費用の一部を国が補補することといたしました。さらに認定被爆者について所得税法上の障害者控除が受けられるようにするなど、被爆者の援護に関して必要な措置を講ずることといたしております。  また特に、沖縄に在住いたしております日本人約八十名が原爆被爆者として認められております。今日まで専門医の診断を受ける機会も与えられておりませんから、何らの援護も受けておらないまま放置されておる現状にかんがみまして、政令により本法を適用することとしたのであります。  原爆の被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題でございますし、被爆後二十年を経過しました今日、救済されるべき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して大体平均年齢六十歳近くになっております。肉体的にも精神的にも、また物質的にも苦痛と困窮の度を強めているのでありまして、いまにして救済しなければ悔いを千載に残し、政治はそのかなえの軽重を問われると申しても決して過言ではございません。しかも近時、いわゆる戦争犠牲者に対する救済の措置は次々と講ぜられており、また今国会におきましても恩給法の一部改正、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正、戦傷病者の妻に対する特別給付金等、一段とその拡充がはかられているのでございます。したがいまして、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろおそきに失したものであると確信をいたしております。  先般、こうした被爆者の全国の代表を含めまして、佐藤総理にお会いいたしましたときも、総理自身が、こういう人々はこれ以上数がふえるのでなく、減る一方なのだから、できるだけ手厚い保護を国として施すべきだというお答えがなされておるのであります。このようにして、被爆者に対する援護を一そう拡充強化することは、総理自身もおっしゃっています。ここで提案をしておる私たち日本社会党なり、私自身の要望のみでないと考えております。特に被爆者に対しましては、昭和三十八年十二月七日、東京地方裁判所の判決理由の中にも見ることができます。同裁判所は、「被爆者に対する救済策をとるべきことは多言を要せず、それは立法府である国会および行政府である内閣の職責であり、終戦後十数年をへて、高度の経済成長をとげたわが国において、国家財政上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは本訴訟をみるにつけ、政治の貧困をなげかずにはいられない」と述べておりますし、被爆者救済について国の責任を強く指摘しているのであります。幸い、昭和三十九年第四十八国会におきまして、衆議院では四月、参議院においては三月、「原爆被爆者援護強化に関する決議」の可決を見ております。それから本年八月には厚生省の原爆被爆者実態調査の中間報告も行なわれるやに聞き及んでおりまして、必ずや被爆者の援護をはかろうとするこの法律案の趣旨にも御賛同をいただけるものと確信をしておる次第でございます。  なお、これに要する費用は、平年度約七十四億二千六百万円の見込みでございます。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容でございます。  何とぞ御審議の上すみやかに御可決くださいますよう心からお願いを申し上げまして、提案理由の説明を終わりたいと思います。      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案の両案を議題とし、審査を進めます。  両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいま委員長の手元に、竹内黎一君、吉村吉雄君及び本島百合子君より戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案、並びに竹内黎一君、伊藤よし子君及び本島百合子君より戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案に対する修正案が、それぞれ提出されております。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 両修正案の趣旨の説明を聴取いたします。竹内黎一君。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員 私は、ただいま議題となっております戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案の両案に対する、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかるそれぞれの両修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  お手元に修正案が配付してありますので朗読は省略いたしますが、その要旨は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案中未帰還者留守家族等援護法等の改正規定及びそれに関連する附則の規定の施行期日は、昭和四十一年四月一日と予定されていたのでありますが、本法案審議の経緯にかんがみまして、これらの規定を公布の日から施行し、昭和四十一年四月一日から適用しようとするものであります。  次に、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案は、昭和四十一年四月一日から施行することと予定されていましたが、法案審議の経緯にかんがみまして、これを公布の日といたし、昭和四十一年四月一日から適用することに改めようとするのが、この修正案を提出しました理由であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 両修正案について御発言はありませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 なければ、次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案及びこれに対する修正案の各案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、これより順次採決いたします。  まず、竹内黎一君外二名提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は竹内黎一君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 この際、西岡武夫君、中村重光君及び本島百合子君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を求めます。中村重光君。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 ただいま議決されました法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  簡単でございますから、案文を朗読いたします。     戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、政府は、わが国が世界唯一の原爆被爆国である事実にかんがみ、原爆被爆地において、旧防空法等による国家要請により、防空等の業務に従事中死亡又は身体に障害をこうむった者に対し、昭和四十二年度を目途として具体的な援護措置を講ずること。なお、被爆地以外の地域についても必要な措置につき検討すること。  二、政府は戦傷病者がなお少なからぬ困難に当面している現状にかんがみ、その援護の充実につきさらに努力すること。 以上であります。  御承知のとおり、原爆被爆者の援護措置の強化については、去る昭和三十九年衆参両院の本会議において決議が行なわれたのでありますが、何ら具体的な措置が講ぜられず、かかって実態調査待ちという状態であります。特に旧防空法等により防空等の業務に従事中死傷した者に対しては、何ら援護措置が講ぜられていない実情であります。特に長崎の原爆で死亡した四百六十七人の長崎医大の学生は、当時政府及び軍が戦時体制に移行させる目的をもって学校報国隊として軍事教育令により戦争目的遂行のため任務についたものであり、さらに、防空法に基づく防空計画によって実施された防毒救護等の任務に従事していたものであります。長崎医大生は、こうした任務のさなかにおいて死傷したのでありますし、同じく防空作業に従事中死傷した防空監視員、警防団員等に対して、防空法十二条に基づく扶助令による扶助金の支給をなさなければならないにもかかわらず、何ゆえかこれを行なわず、ましてや救護法による年金の支給もないまま放置されてきたのであります。したがって、政府は、すみやかに附帯決議案で申し上げた必要な措置を講ずべきであります。  以上簡単でありますが、本附帯決議案提出の趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。                 (拍手)

田中正巳自由民主党

○田中委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、本案については西岡武夫君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、竹内黎一君外二名提出の戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 起立総員。よって、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案は、竹内黎一君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  この際、鈴木厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木厚生大臣。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま議決されました附帯決議につきましては、政府といたしまして、その御趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。     —————————————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、内閣提出の性病予防法の一部を改正する法律案、こどもの国協会法案及び臨時医療保険審議会法案の各案を議題とし、審査を進めます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 提案理由の説明を聴取いたします。鈴木厚生大臣。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま議題となりました性病予防法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申し上げます。  近年各地において早期顕症梅毒の増加が報告され、特に若年層に多発の傾向が見られ、性病の流行は新たな様相を示しつつあります。  従来この疾病の特殊性から予防対策の推進は困難な面がありましたが、このような趨勢にかんがみまして性病予防対策の改善強化をはかるため性病予防法の一部を改正し、性病撲滅の推進を期そうとするものであります。  改正の第一点は、医師が性病にかかっていると診断したときの都道府県知事に対する届け出制度を合理化し、医師の協力により重点的に患者を把握する等制度の実効を期することとしたことであります。  改正の第二点は、婚姻をしようとする者に梅毒血清反応についての医師の検査を受けることを義務づけたことであります。  現行規定上、婚姻をしようとする者は、あらかじめ、相互に、性病にかかっているかどうかに関する医師の診断書を交換するようにつとめなければならないこととされておりますが、性病のうち、梅毒は子孫にまで害を及ぼすものでありますので、義務として梅毒血清反応についての医師の検査を受けることを特に規定したものであります。  なお、婚姻をしようとする者及び妊娠した者が性病病院等において梅毒血清反応についての検査を受けた場合の費用は、本年十月一日から公費負担することといたしております。  改正の第三点は、法第十一条の売いん常習容疑者に対する健康診断命令等の権限は、現行法上都道府県知事が行なうこととされておりますが、保健所を設置する市にあってはその市の長が行なうこととし、より迅速かつ適切な運用を期したことであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりましたこどもの国協会法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年における人口構造の少産少死型への転換と、科学の著しい進歩に伴う技術革新は、幼少人口の資質向上に対する社会的期待を大きくしております。しかしながら、経済の高度成長によってもたらされた人口の都市集中、農村における生活の都市化等の社会情勢の変化は、児童を取り巻く社会環境を悪化させて、児童非行の増加、不慮の事故死の増加など児童を健全に育成する上に憂慮すべき問題を種々惹起しておりますことは、あらためて申し上げるまでもありません。  本来、児童にとりまして、遊びは教育、栄養とともにその心身の発達に欠くべからざるもので、このような事態に対処するため、政府といたしましては、児童館、児童遊園など児童の健全な遊び場を全国に普及整備してまいりましたが、一方、皇太子殿下御成婚記念事業の一つとして、昭和三十六年より、東京都と神奈川県にまたがる約九十二万平方メートルの国有地に、児童の健全な遊び場のモデルともいうべき、「こどもの国」の建設を進めてまいりましたことは、すでに御承知のとおりであります。この「こどもの国」は、昨年五月一部施設が完成した機会に仮開園をいたしましたが、その設置運営の基盤を確立するため、特殊法人こどもの国協会を設立し、これに国有財産を出資して、その適切な運営に当たせらたいと思うのであります。  この法律案は、特殊法人としてこどもの国協会を設立してその目的を定めるとともに、この特殊法人の資本金、組織、業務、会計、監督等に関し、所要の規定を設けたものであります。すなわち、第一に、こどもの国協会は、児童の健康を増進し、かつ、その情操を豊かにするための施設を設置してこれを適切に運営し、もって心身ともにすこやかな児童の育成に寄与することを目的とするものであります。  なお、こどもの国協会は法人とし、その設立の際の資本金は、政府が全額出資することといたしております。  第二に、この法人の業務についてでありますが、第一に掲げました目的を達成するため、児童のための遊戯施設、教養施設、生活訓練施設等の諸施設が総合的に整備された集団施設を設置、運営することとし、この集団施設を「こどもの国」と称することといたしております。なお、このほか、この法人は、目的達成に支障のない限り、その設置する施設を一般の利用に供することができることといたしております。  第三に、この法人の役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置き、理事長、監事は厚生大臣が、理事は理事長がそれぞれ任命することとし、その任期は、理事長及び理事は四年、監事は二年といたしております。  最後に、この法人は厚生大臣の監督を受けるのでありますが、その業務の公共性にかんがみ、業務方法書、事業計画、予算、財務諸表等については、厚生大臣の認可または承認を受けることを要するものといたしたのであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容の概略でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに、御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました臨時医療保険審議法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  医療保険各制度は、政府管掌健康保険をはじめとして財政収支が悪化しており、また、各制度の給付水準の格差是正、負担の均衡等の国民皆保険実施後における諸問題が山積しておりますが、それらの諸問題に対し、根本的な検討を早急に行なう必要があることは、すでに関係各審議会や関係者からも強く指摘されているところであります。  政府は、さきに健康保険及び船員保険の疾病部門に関する当面の財政対策を講じたのでありますが、これはあくまで応急的な措置にとどまるものでありまして、国会における御審議に際しても明らかにいたしましたように、医療保険制度の将来にわたる安定と健全な発展を期するため医療保険制度の全般にわたる基本的な諸問題について総合的、かつ、抜本的な検討を進め、早急にその具体策を樹立いたしたいと考えるものであります。しかるに現状においては、医療保険制度の全般にわたり、これを審議し、早急に結論をまとめていくための適当な総合的かつ専門的な審議機関がないのでありまして、この問題が国民の健康及び国民生活に関するところきわめて大きいものがあることにかんがみ、広く国民的な立場に立って識者の御意見を十分お聞きしたく、この際厚生省に臨時の機関として臨時医療保険審議会を設置することといたした次第であります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由でありますが、次にこの法律案の概要を御説明いたします。  まず、審議会の所掌事務は、厚生大臣の諮問に応じて、医療保険制度の改善に関する基本的事項について調査審議し、またはみずから調査審議して関係各大臣に意見を申し出ることといたしております。  次に、組織につきましては、委員を十二人以内とし、この方面に学識経験のある方々の中から、厚生大臣が任命することといたしました。  さらに、本審議会の調査審議に関し、関係行政機関、地方公共団体及び関係団体からの資料の提出等の協力を求めることができる旨を規定いたしております。  最後に、この審議会の庶務は、厚生省の保険局において行なうことといたしております。  なお、附則で、厚生大臣は、この審議会で調査審議する事項については、健康保険法等の規定にかかわらず、社会保険審議会に諮問することを要しないものとし、さらにこの審議会の設置期間を昭和四十二年三月三十一日までとしておりますが、その趣旨は、審議の重復を避けつつ、医療保険制度につき総合的かつ抜本的に検討を進めていただき、かつ、できる限り早期に結論を出していただくことを期待している次第であります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由及び法律案の要旨であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次会は、明二十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会

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