社会労働委員会 第41号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1966/06/01
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案の各案を議題とし、審査を進めます。
○田中委員長 提案理由の説明を聴取いたします。鈴木厚生大臣。
○鈴木国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 戦傷病者、未帰還者留守家族及び戦没者等の遺族に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、未帰還者留守家族等援護法、戦傷病者特別援護法、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、さらに昨年制定されました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法等により各般にわたる援護の措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の一段の改善をはかることといたし、この法律案を提案することといたした次第であります。 次に、この法律案の概要について御説明いたします。 まず第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正についてであります。 その改正の第一点は、準軍属の範囲の拡大であります。すなわち、昭和十六年十二月八日以後満州等において、旧国家総動員法による総動員業務の協力者と同様の事情のもとに当該業務と同様の業務に協力しておられました方々を準軍属として処遇することといたしたものであります。これは内地等における旧国家総動員法の規定に基づく総動員業務の協力者につきましては、現行法においてすでに準軍属として処遇されております関係上、これとの均衡を考慮した次第であります。 改正の第二点は、軍人軍属または準軍属であった戦傷病者が傷病者特別援護法によって療養の給付を受けている場合には、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、これまで障害年金を支給しないたてまえとなっていたのを改めて、療養の給付と障害年金の支給とをあわせ行なうこととしたことであります。 改正の第三点は、準軍属につきましては、従来項症程度の障害者に対してのみ障害年金を支給することとしておりましたのを、軍属の場合と同様款症程度の障害者に対しても障害年金または障害一時金を支給することとしたことであります。 改正の第四点は、準軍属にかかる障害年金及び遺族給与金の額は、従来軍人軍属にかかる障害年金及び遺族年金の額の十分の五とされておりましたのを、十分の七に引き上げまして準軍属の処遇の改善をはかったことであります。 改正の第五点は、遺族の範囲の拡大であります。すなわち、現行法におきましては、遺族年金、遺族給与金等を受けることができる父または母はいずれも戦没者と自然血族または法定血族の関係にあることが必要とされておりましたが、昭和二十二年五月三日以後に戦没者が死亡した場合におけるその継親であった者及び入夫婚姻による妻の父母であった者並びに戦没者の事実上の養親等であった者のうち、戦没者によって生計を維持し、またはその者と生計をともにしていたもので、援護審査会が当該戦没者の死亡の当時において死亡した者の父または母と同視すべき状況にあったと議決したものに対しても、遺族年金、遺族給与金等を支給することといたしました。 改正の第六点は、旧軍人恩給の停止の日である昭和二十一年二月一日から戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行の日の前日、すなわち昭和二十七年四月二十九日までの間に再婚し、この期間内にその相手方と死別した配偶者で、同日において当該婚姻前の氏に復していた者その他援護審査会において当該死別を離婚による婚姻の解消と同視すべきものと議決したものについては、遺族年金、遺族給与金等を支給することとしたことであります。これは期間内において再婚し、かつ離婚した配偶者に対しすでに同様の扱いが行なわれていることとの均衡をはかろうとする趣旨であります。 なお、戦没者の父、母、祖父、祖母等が再婚し、その相手方と死別した場合についても同様の扱いといたしました。 改正の第七点は、昭和四十年の戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により、昭和四十二年一月ないし同年七月までに実施することとなっていた遺族年金及び遺族給与金の完全増額措置を、六十五歳以上の者及び妻子等については三カ月短縮して昭和四十一年十月から、その他の者については六カ月短縮して昭和四十二年一月から、それぞれ繰り上げて実施することとしたことであります。 以上のほか、関係法令の改正により、遺族年金、特例扶助料を受け、または受けることとなる戦没者等の妻に対し、戦没者等の妻に対する特別給付金を支給する等所要の改正を行なうことといたしました。 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正についてであります。 改正の第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金等の完全増額措置の繰り上げ実施に準じ、留守家族手当の額の増額措置を昭和四十二年一月から繰り上げて行なうこととしたことであります。 改正の第二点は、未帰還者の死亡の事実が判明した場合においてその遺族に支給する葬祭料の額を、六千円から八千四百円に引き上げることとしたことであります。 第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正についてであります。 改正の第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の改正により新たに準軍属として処遇されることとなりました者をこの法律による援護の対象に加えることとしたことであります。 改正の第二点は、療養の給付を受けている者が死亡した場合においてその遺族に支給される葬祭費の額を、六千円から八千四百円に引き上げることとしたことであります。 第四は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正についてであります。すなわち、戦傷病者戦没者遺族援護法による弔慰金を受けた遺族には、同一の戦没者について年金給付を受けている者がいない限り、この法律により三万円の特別弔慰金を支給することとし、該当遺族がいない場合は、戦没者の子に限って転給することとしておりましたが、今般この転給の範囲を拡大し、遺族以外の者に嫁し、または遺族以外の者の養子となっている等の場合を除き、兄弟姉妹までの遺族に転給できるようにいたしました。 以上のほか、各法につき所要の条文の整理を行なうことといたしております。 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ただいま議題となりました戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 過ぐる大戦において、戦闘その他公務により障害を受けられた軍人軍属及び準軍属、いわゆる戦傷病者等の方々に対しては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法等により、増加恩給または障害年金等を支給するなど、政府といたしましては、これまででき得る限りの措置を講じてきたところであります。 しかしながら、これら戦傷病者等の妻につきましては、戦傷病者等と一心同体ともいうべき立場において、久しきにわたり、夫の日常生活上の介助及び看護、家庭の維持等のための大きな負担に耐えつつ今日に至ったという特別の事情があると考えられます。したがいまして、この際、このような戦傷病者等の妻の精神的痛苦に対しまして、国としても、何らかの形において慰謝することが必要であるものと考え、これらの方々に特別給付金を支給することといたしますため、ここに、この法案を提案する次第であります。 次に、この法案の概要について御説明いたします。 まず、第一は、昭和十二年七月七日に勃発した日華事変以後に公務上負傷し、または疾病にかかり、これにより恩給法別表第一号表ノ二の特別項症から第五項症までに該当する不具廃疾となり、昭和三十八年四月一日において、軍人軍属または準軍属にかかる増加恩給または障害年金、もとの陸海軍の雇用人等にかかる旧令共済障害年金、もとの陸海軍に配属された雇用人にかかる各省共済障害年金等の給付を受けていた者の妻に対し、昭和三十八年四月二日以後昭和四十一年四月一日前に戦傷病者等と離婚した場合等を除き、十万円の特別給付金を支給することとしたことであります。 第二は、この特別給付金は、十年以内に償還すべき記名国債をもって交付するとともに、この国債は無利子とし、昭和四十一年五月十六日をもって発行することとしたことであります。 なお、国債の償還金の支払いについては、省令をもって規定することとなりますが、来年五月十五日に第一回分として一万円を、その後、毎年一回一万円ずつ、最終回は昭和五十一年五月十五日に一万円を支払うことといたしております。 第三は、特別給付金を受ける権利は、その譲渡を禁止しておりますが、相続についてはこれを無条件に認めるとともに、国債についての承継に関しても、民法の原則により相続人が受継することとしたことであります。 その他、特別給付金につきましての時効、差し押えの禁止、非課税実施機関等所要の事項を規定いたしております。 なお、この法案による特別給付金の支給件数は約三万三千件程度と見込んでおります。 以上がこの法案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 —————————————
○田中委員長 両案につき質疑の申し出がありますので、これを許します。粟山秀君。
○粟山委員 今回、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案が一括審議となりました機会に、厚生大臣及び事務当局に幾つかの点について質問をいたしたいと存じます。 わが国のあのまことにみじめな敗戦に終わった第二次世界大戦の終結から、早くも二十年余の歳月がたちました。この間、わが国の社会、経済は荒廃の底から立ち上がって力強い発展を続け、国民の生活も先進諸国の水準に迫ろうとしていることは、まことに御同慶にたえないところでございます。しかし、このような繁栄の陰に、あの過ぐる大戦において一命を国にささげた戦没者、あるいは身に傷疾を受けた戦傷病者等の方々のとうとい犠牲があったということは、片時も私どもは忘れてはならないと思うものでございます。私どもは、このような立場から戦傷病者あるいは戦没者遺族等の援護処置の整備拡充を推進してまいったのでございまして、政府においても逐年関係処置の改善に努力を続けられ、重ねられておるということは、これは喜ばしいことでございます。また、本年度においても、特にただいま提案の趣旨の御説明が大臣からございましたが、非常に多くの改善がなされているということは、これはまことにうれしいことだと思います。これらの提案されました諸問題につきまして、関連してこれから質問をいたしたいと存じます。 まず第一に、戦時中に軍需工場に徴用された方、同じく軍需工場などに動員された学徒の方など、遺族援護法で準軍属といわれている方々については、その業務上の障害や死亡につき障害年金や遺族給与金が支給されることになっていますところを、従来からその額は、軍人軍属の方々に対するものの半額とされていたのでございます。このたび、政府におかれては障害年金、遺族給与金などの増額をはかられているということは、関係者にとりましてはこの上もない朗報でございますが、その額は、軍人軍属の場合に比べると格差がつけられております。すなわち、十分の七にとどまっているわけでございます。この点につき、準軍属の場合、同じ公務上の障害または死亡でありながら、十分の十、すなわち軍人軍属の場合と同額にならないのか、また、十分の七とした理由はどういうことであるか、当局の方にお伺いいたします。
○実本政府委員 いまお尋ねの準軍属につきましては、軍人軍属と同様に、戦争によります被害を受けられてなくなられたものであることにおきましては何ら変わりはないわけでございますが、御承知のごとく、この援護法におきます準軍属の処遇を軍人軍属の処遇と全く同等にしてまいるといいますことは、その国との関係におきます身分関係の差異ということが一つ、それから一般戦争犠牲者との均衡ということが一つ、そういう点を考え合わせますと、これを全く同等にするということは妥当ではないわけでございますが、現在行なわれております準軍属にかかる年金給付の額を軍人軍属の十分の五としている現状につきましても、先生のおっしゃいますように、必ずしも十分に当を得ているということを言いがたいわけでございまして、そこで今回、本来の公務以外の理由によります軍人軍属の受傷または死亡にかかります年金給付、すなわち内地におきます勤務関連の傷病により死亡いたしました軍人にかかります特例遺族年金の額が、公務によります場合の年金額の十分の六というふうにされていること等を勘案いたしまして、準軍属の公務上の傷病、死亡にかかる年金給付である障害年金及びその遺族年金の額を、十分の七というところまで引き上げることとしたわけでございます。
○粟山委員 次に移ります。 準軍属の処遇の改善の一つとして、年金額が十分の五から十分の七に引き上げられた、すなわち、金額的には相当大幅な改善を見たことは一応けっこうなことでございます。ところで、本来の軍人軍属の場合の額についてでありますが、戦地においては、脳溢血や肝臓病など、一般には公務傷病とならない病気にかかった場合でも、公務傷病にかかったものとみなして、その遺族には戦死者の場合と同額の年金が支給されているのに対して、シナ事変中、事変地で同じような病気にかかった場合には六割額しか支給されていない。これは法律上から申せば、同じように故意、重大な過失によらない病気としながら、給付の面で差をつけておくことばいかがかと思うのでございますが、なぜシナ事変のほうだけを六割にしておくのか、当局の見解を伺いたい。
○実本政府委員 戦地におきまして勤務中の故意または重大な過失によらない傷病を公務傷病とみなして、それによります障害または死亡につき、本来公務による場合と同様十分の十遺族年金等を支給することといたしましたのは、特に戦地勤務等の実態に着目したからでございまして、敗戦につながります過ぐる大戦における戦地におきましては、従前一般に公務傷病とされない病気の場合でありましても、長期間にわたる悪条件のもとにあったという実態からいたしますと、公務性が相当濃厚である場合が少なからずあるということが考えられるわけでございます。国家補償の精神からは、これを本来の公務傷病の場合と同様に扱う ことが適当であると考えたからでございます。一方シナ事変におきましては、戦争の間とは異なりまして、おおむね強健な将兵が従軍したという一般的な事情もありますので、不幸傷病を受けられた場合でも直ちに治療を加える道の講ぜられておりますこと、あるいは重傷におもむかないうちにそのつど内地に送還いたしまして、治療を加えるといったような適切な措置が講じ得られた点等を考え合わせますと、これら措置が遺憾ながら十分にはとり得なかった戦争の間の場合に比較いたしまして、国家補償の観点からいたしますと、その処遇におのずからの格差が生じますことは、あるいは当然かとも考えられるわけでございます。しかしながら、御質問の御趣旨にもごもっともな点がございますので、さらにその処遇の改善につきましては検討してまいりたいと考えております。
○粟山委員 今度は大臣にお伺いしたいのですが、このたびの改正によって、準軍属につきましては従前の処遇に比べて年金額の増額など相当大幅な改正をしようとしているわけですが、全般を通じて見ますと、軍人軍属との間になお若干の格差が残されているように考えられます。特に軍人と比較した場合、軍人は内地で肺結核、急性肺炎などいわゆる勤務に関連した病気で死亡した場合、その遺族に特例扶助料などを支給する等、ともかくも処遇されているところ、準軍族が同じようにその職場で肺結核などで倒れても何らの処遇がない、ここに何か相当な不均衡があるように思われます。準軍属の処遇につきまして将来さらに一歩を進めた改善が望まれるのでございますが、これについての大臣の御見解を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいま御指摘の準軍属の処遇の改善の問題でありますが、申し上げるまでもなく、準軍属は軍人軍属と異なりまして、身分の点についてこれを見ましても国との間に雇用従属の関係がない、また、勤務の実態についてこれを見ましても拘束の程度が軍人等と全く同様とは言えない、こういうような事情がありますことは御了承をいただけると思うのであります。このような事情からいたしまして、軍人軍属との間にやはりある程度のそこに差があるということは、これはやむを得ないことだ、こう思うわけであります。しかし、今回の改正措置等によりまして準軍属の処遇はかなり大幅に改善をされたものである、私はこのように思うのであります。しかし、御要望のように、まだまだ私どもはこれでもって十分とは考えておりません。ただいまの御趣旨を十分尊重をいたしまして、今後とも軍人軍属の処遇の問題、それから一般戦争犠牲者との均衡、そういう点をも考慮しつつ、この準軍属の処遇の改善につきましてはさらに努力を重ねていきたい、かように考えております。
○粟山委員 たいへん誠意のある御返答でうれしく思います。 それで、なお、このたびの改正により、多年の懸案であったいわゆる事実上の父母が援護の対象に加えられることになったことは、これを待ちわびる御遺族にとってまことに喜ばしいことでありますが、この事実上の父や母につき、法文上では、軍人軍属として入隊した当時すでに生計関係がなくてはならないなどという相当きびしい要件がつけられております。また、そのような要件が認められた場合でも、一件一件援護審査会の議決を受けないと遺族として該当しないということになっております。このようなことは、このたびのせっかくのあたたかい善政が生かされないような場合ができてこないか。このような条件または取り扱いをするようになった理由というのを伺いたい。
○実本政府委員 法律で定めております要件は、生計関係、それから一時点におきます継親子関係の有無というふうな、法律上父母の備えております属性のうち一般化できるものをとらえているだけでございまして、この一般的な要件さえ備えておれば直ちに父母と同視できるということにならない、実態をとらえていこう、こういうことでございまして、これらの要件を備えた個々の事例ごとに、親子としての生活意識、それから親子としの生活実態等につきまして、それぞれの事例におきますそれぞれの特殊事情に即した判断を待って、初めてこの父母と同視し得る状態にあったかどうかということを決定することができるのでございまして、父母と同視し得る状況にあったかどうかの決定につきましては、これは相当、二十年以上も前のことに属することが多いことだと思いますが、とにかく画一的基準によることができませず、やはり専門的な立場から慎重に、また公正な判断を必要とするために、この援護審査会の議決にかけることにしたわけでございます。
○粟山委員 次に移ります。 終戦後の混乱期に再婚した戦争未亡人等が離婚した場合はすでに援護の対象とされていますが、今回、死別された方々にも遺族年金等を支給するとの改正しようとするわけであります。ところで、同じく相手方と別れたということから見れば、離婚によろうが死別であろうが同じではないか、こう思うのでありますが、死別の場合は逐一援護審査会の議決を求めなければ遺族年金等が支給できない仕組みになっております。これはどのような事情を予想し、ある者には権利を与え、ある者には権利を与えないようにしようとしているのか説明を願うとともに、援護審査会の議決を求めることとした理由がどこにあるのか、これもあわせて御説明を願いたい。
○実本政府委員 生別の妻の場合には、昭和二十一年の二月一日から昭和二十七年四月二十九日までの間に再婚されまして、その期間内にその再婚を離別によりまして解消していることのみがこの要件でございますので、これは戸籍書類等に照らしますとすぐ判断できることであるわけでございますが、これに対しまして死別の妻の場合には、さきに述べました二十一年二月一日から二十七年の四月二十九日までの期間内に再婚を死別により解消していることのほかに、昭和二十七年四月三十日において離婚による婚姻の解消をしていた者と同視できるものであることをこの要件といたしておるわけでございまして、その認定は画一的な基準によることができませず、これはやはり慎重、公正な審議に待たなければなりませんので、これを援護審査会の審査にかけまして議決によることにしたわけでございます。
○粟山委員 十分に満足ではございませんけれども、次に移ります。 生別にしろ、死別にしろ、再婚を解消した戦没者の妻はまことに気の毒な状態にあるのでありますが、この際、再婚解消の期限とされている昭和二十七年四月二十九日を延長して、昭和三十年六月三十日までに再婚を解消した者をも対象とするという考えはおありにならないかどうか、その御見解を伺いたい。
○実本政府委員 昭和二十一年の二月一日から二十七年の四月二十九日までの間に再婚しまして、それを解消した戦没者の妻等を措置することといたしましたのは、この期間が旧軍人恩給は停止されております。しかも遺族援護法もいまだ適用されていない、いわば戦没者の遺族にとっては全く未処遇の期間であったために、この間に生活のために再婚を余儀なくされた遺族の特別の事情を深く考慮いたしまして、これらの者のうちで遺族援護法の施行の際にその再婚を解消していた者は、他の再婚しないでがんばっておられた戦没者の妻と同様の状態にあったことを着目したわけでございまして、他の年金制度におきましては、全くこういった特別措置は考えられていない制度でございますから、戦没者の妻等について、特別の事情が認められない期間にまでこれを延長して特別措置を及ぼすということは、きわめてむずかしいことと考えたからでございます。
○粟山委員 これは大臣にお伺いいたします。 実は恩給法の一部改正によって増加恩給、公務扶助料等の額は、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価等に著しい変動が生じた場合、これに応じて改定する旨の規定が設けられることとなっていますが、やはりこの遺族援護法においても、いろいろこれから物価の著しい変動などが生じたりすることは当然なのですから、こういう規定を設けなくても自然的に上がっていくというような考えはできるわけではございますけれども、やはり同じようにこういう規定を設ける必要があるのじゃなかろうかと思われますので、大臣のお考えと、これから検討をなさるとか、そういう御意見を伺いたい。
○鈴木国務大臣 ただいまの問題は、従来からも、恩給法の改正によりましてベースアップがされました際におきましては、援護法の場合でも、従来そういう線に沿うた改正がなされてきておるのであります。そこで、今回の恩給のベースアップがなされたのでございますから、遺族等の援護の面におきましても、十分そういう趣旨に沿うた検討を私どももしたい、かように考えておる次第であります。
○粟山委員 これも大臣にお伺いしたいのですが、戦没者の遺族のうち、その父母については公務扶助料または遺族年金などが支給されているとはいうものの、老後の扶養を期待していたただ一人のむすこを戦争で失い、それ以来今日まであと継ぎも得られないまま孤独の生活を送っている老父母がございます。また、お年寄りになってまいりましたし、特におとうさんのほうなどが動かれないような病気になっている、おかあさんのほうはその看護のために内職もできない、そういうようなまことにお気の毒な老父母がいられるわけでございます。先年、戦没者の妻に対しては、いわゆる靖国の妻としての精神的な痛苦を慰める、そういうことで特別の給付金を支給した経緯もございます。で、これらの扶養すべき直糸血族を戦争で失った老父母に対しても、国としては何らかのあたたかい施策が痛感されるところでございます。ついては、これに対してはどのようなお考えか、見解をお尋ねしたい。
○鈴木国務大臣 すべての直系血族を失った、あるいはまた、最後の直系血族を失った、こういう老父母の方の置かれておる立場、また、精神的、経済的な非常な苦痛、そういうことにつきましては、まことに御同情にたえない次第であります。私どもは、特別支給金を支給する等のことにつきまして、前向きでこの点につきましては十分検討いたしたい、こう考えております。
○大坪委員 関連して。ただいまの粟山先生の御質問は、私どもも非常に同感することでございます。何と申しましても、戦争犠牲者の措置が十分でなくしては国民の精神が振起されないと思うのでありますが、現実私どもが国民の、特に遺族の方々に触れて感じますことは、国の救援がきわめて薄いということであります。手が行き届いていないと思われることが少なくございません。こういう状態では私どもは、将来たとえば大災害が起きたというような場合を予想してでも、国や社会公共の非常時の場合に、一身を犠牲にして社会公共のために奉ずるといち国民の精神を期待することはできないのではないかというように思うのでございまして、こうい点については、特にやはり戦後処理を十分にするようにやっていただかなければならぬと思うのであります。特に、ただいま粟山先生の御指摘になりましたような事態は、私どもも実は知っている例がございます。ほんとうの、ただの一人むすこをなくしてしまった、父母はすでに年老いて、自分の力で生活をささえるということはできなくなったというような事情の者があるわけでございます。この人たちに対する遺族扶助料は、御承知のように九万三千五百円。しかるに、一般の生活保護を受ける生活保護費はそれよりさらに高いのでありまして、唯一のたよりである一人むすこないし二人むすこを二人とも国にささげたその老父母が、生活保護費よりも少ない国の援護で生活をささえていくということは、きわめてみじめなことであると思うのでございます。ただいま厚生大臣は前向きで処理したいということでございました。私どもは、その厚生大臣の御誠意を深く信頼し、これに御期待申し上げておるわけでございますが、それは来年度の予算からでもひとつお考え願わなければならぬ問題じゃないかと思うのでございますが、その辺についての大臣のお気持ちをお聞かせ願えればありがたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいまの問題は、私どもも真剣にこれを早急に解決をいたしたい、こう考えておりまして、昭和四十二年度の予算編成にあたりましては最善の努力を払ってぜひ解決をしたい、かように考えております。
○大坪委員 ありがとうございました。
○粟山委員 改正法案では、昭和三十九年の遺族援護法の改正及びこの法案等により遺族年金等を受けることとなった戦没者の妻に対しても、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法による特別給付金を支給することとしておりますが、この特別給付金に関連して、特別給付金国庫債券を国が一時に買い上げる場合、あるいは国民金融公庫がこれを担保に資金を貸し付ける場合等の基準が生活保護の被保護者等に限られ、少しきびし過ぎると思うのでありますが、どうでしょうか。また、これを、子女の結婚資金とかあるいは就学資金等に充てるための担保貸し付けができるように配意はできないものでしょうか。
○実本政府委員 特別給付金の国庫債券の買い上げの問題は、実は大蔵省のほうの所管なのでございますが、私のほうから便宜お答え申し上げます。 特別給付金の国庫債券を国が一時に買い上げます場合をいま少しく広げてはという御意見でございますが、この買い上げ措置は、御承知のように、生活保護法の被保護者やそれから災害によりまして急に生活が困窮になった者といったようなものに限って、いま特に特別な措置で一時買い上げということが行なわれておるわけでございますので、このような生活上の緊急のニードを持たない対象に対しまして例外措置を及ぼすということは、困難ではないだろうかと考えられるわけでございます。ただ、これを補います意味におきまして担保貸し付けの制度がございまして、これは国民金融公庫から担保貸し付けをするわけでございますが、この場合には、こういった生活困窮者というものに限りませず、生業資金を必要とすると認められるものであれば、これを対象といたしまして貸し付けてまいっておるわけでございまして、これでもっていわば買い上げ償還の制限を実際上補っていくと考えていただいていいんじゃないかと考えております。 なお、結婚資金とか就学資金のための担保貸し付けの措置をとることにつきましては、遺憾ながら、国民金融公庫の業務の性質上から見まして非常に困難であるのが現状であるというふうに見ておるわけでございます。
○粟山委員 大臣にお伺いいたしますが、昨年、終戦二十周年にあたり、過ぐる大戦において戦闘その他の公務等のため国に殉じた軍人軍属及び準軍属の遺族のうち、公務扶助料、遺族年金等の援護を受けていない者に対して、特別の弔慰のため、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法による特別弔慰金が支給されることとなりましたのはまことにうれしいことでございます。しかしながら、これは、戦没者の筆頭遺族と認められて遺族援護法による弔慰金を受けた遺族、及びその筆頭遺族がすでに死亡した場合であとに戦没者の子があるときのその戦没者の子に対象が限られており、援護にいま一歩の感がございました。今回の改正法案によりますと、この対象が大幅に拡大され、弔慰金を受けた筆頭遺族が死亡した場合において、あとに戦没者の父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹までの者があるときは、それらの者も特別弔慰金の支給の対象とすることとなっているのではありますが、これをさらに進めて、民法にいう三親等内の親族——おじ、おばなとしか残っていない場合も、それらの者を対象に加えることとして、一人の戦没者の死亡についてだれも特別弔慰金が支給されないという場合をできるだけ少なくするよう政府は努力すべきではないか、そう思うのでございます。また、日華事変中の戦没者遺族をも支給対象とする考えはおありにならないか、これをお伺いしたい。
○鈴木国務大臣 この遺族援護法によりますところの弔慰金は、筆頭遺族に対しまして支給をするということにいたしておるのであります。民法によりまする三親等以内のおじ、おば等の親族につきまして、その者が筆頭遺族に該当する場合には受給権を有する者、こういう扱いでやっております。このような者につきましては、特別弔慰金を支給するというたてまえをとっておるのであります。しかし、三親等以内の親族のうちで、筆頭遺族として弔慰金を受けた者以外の者全部にこれを支給するという問題につきましては、私ども御趣旨はわからぬではないのでありますけれども、戦没者とのつながりが非常に薄い、また、戦後だいぶ年月もたっておりまして、そのつながりはさらに一そう希薄になっておる、こういうぐあいに私ども考えざるを得ないわけでございます。しかしながら、この問題につきましても御要望がだいぶございますので、私どもとしても、今後課題として十分研究をしていきたい、こう思うわけでございます。 それから、日華事変の際の遺族には、この遺族援護法によりまして弔慰金そのものが支給されておらないわけでございます。したがいまして、これを日華事変の戦没者遺族にそのまま適用するということは問題がある、こう私ども考えておりますが、この問題につきましても今後の問題として研究を進めたいと思います。
○粟山委員 では、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法関係について質問申し上げます。 戦傷病者等の妻に対して特別給付金を支給しようとする政府の提案は、長年戦傷病者の手となり足となって尽くしてきたこれらの者の妻にとって、非常に心に灯をともすようなまことに時宜を得た処置であると思われますが、その内容について二、三の質問をいたしたいと思います。 まず大臣に、この法律の立法の理由、それから、特別給付金の性格はどんなものでありますか。いかがでありますか。
○鈴木国務大臣 昭和三十八年度に戦没者等の妻に対しまして特別給付金を支給いたしたのでありますが、戦傷病者等の妻の場合におきましても、戦傷を受けられた御主人をかかえて、長年介護あるいは看護に御苦労を積まれておる。また、生活面でも、そういうけがをされた御主人でございますから十分な働きができない、そういうようないろいろな精神的、物質的に御苦労の多い、また、非常にお気の毒な事情に置かれておったわけであります。そういう戦傷病者の伴侶として長年御苦労された妻の方々に対して、国が心から慰謝の気持ちをあらわしてあげるというようなことは必要ではないか、そういうような考え方に立ちまして、今回、戦没者の妻に対する特別給付金にならいまして、戦傷病者の妻に対しましても特別給付金を支給する、こういうことを実施いたそうとするわけでございます。
○粟山委員 この法律は、昭和四十一四月一日から適用しようとするのに、この特別給付金を受ける権利の設定についての基準日を、わざわざさかのぼって昭和三十八年四月一日に妻であったことを要件とした理由はどういうわけでありますか。
○実本政府委員 この戦傷病者等の妻に対します特別給付金は、ただいま大臣からもお話がございましたように、戦没者等の妻の場合に準じまして、その苦しい立場を慰謝して差し上げるための趣旨のこれに準じた給付金でございますので、そういう手本といたしますもとの戦没者等の妻に対します特別給付金の受給権の設定の場合と全く同じ基準日をとりまして、昭和三十八年の四月一日をその基準日とした理由でございます。
○粟山委員 ただいまのお答えわかるのですけれども、これについてはまだ納得できない面もあって、御検討をいただきたいと思っておりますが、次に移ります。 戦傷病者などを、シナ事変以後に受傷、罹病した者に限ったのはどういうわけか。この特別給付金が妻に対する特別の慰謝であるならば、より長い期間苦労をした満州事変、あるいは日独戦争、または日清、日露の戦役などの戦傷病者の妻こそ取り上げるべきで、特にこれらの者を排除する理由がないではないかと私は思いますが、どうでございましょうか。
○実本政府委員 戦没者等の妻に対します特別給付金を、過ぐる大戦につながるシナ事変以後の死亡者の妻に限っているということでございますし、それから、シナ事変以前の戦役、いまおあげになりましたような満州事変あるいは日独戦争、また、さらにさかのぼって日清、日露の両戦役等の戦傷病者の妻にまで及ぼしてはというお話でございますが、戦没者、戦傷病者及びそれらの者の妻を取り巻く当時の社会環境というものが、今次の敗戦につながるシナ事変以降の戦没者、戦傷病者及びこれらの者の妻の場合とその環境の事情が著しく異なっております。かつまた、日清、日露といいますと歳月の経過も非常に遠くまで及ぶということになりまして、現在におきましては、やはり特別の慰謝をする必要は戦没者の妻の場合と同じようなケースとして限定してまいりたいと考えておるわけであります。
○粟山委員 この問題については御検討いただくことにいたしまして、次に、不具廃疾の夫を持った妻の心情には変わりがないと思われますのに、第五項症程度以上の戦傷病者の妻に限定したのはどういうわけか。また、その不具廃疾の程度を昭和三十八年四月一日における状態でとらえようとしておりますが、昭和三十八年四月一日には第五項症であったが、その後第六項症以下に低下した戦傷病者の妻の場合には支給されるのかどうか。また反対に、昭和三十八年四月一日には第六項症程度にとどまっていたものが、その後第五項症以上に悪くなった場合はどうするのか、伺いたいと思います。
○実本政府委員 戦傷病者等の妻の御苦労をねぎらうために給付いたそうとしておりますこの特別給付金の対象を、障害の程度が五項症程度、つまり例をあげますと、一つの側におきます総指が全部なくなった場合、あるいはひじ関節以下の各関節の機能が廃絶したとか、あるいは一眼盲と申しますか、片方の目が全然失明してしまったといったような五項症の不具廃疾の程度にきめましたわけは、これらの障害を有する場合には通常労働能力のおおむね六〇%以上の喪失というふうに認められるに至っておりますので、これらの障害を、六〇%程度の機能を欠かれる場合の方々をかかえておられます妻につきましては、そのお世話をすることの難渋さ、あるいはそういう夫を助けて日常生活におきます家庭の維持、その他夫の社会復帰とか更生とかいったようなことにつきましての御苦労というものに対しまして払います精神的な苦痛に対しまして、国としてはその程度の方々のめどを一応五項症と見てこれを相当と考えたからでございます。 なお、今回の特別給付金の措置につきましては、戦傷病者等の不具廃疾の程度を昭和三十八年の四月一日における状態でとらえることにいたしております点は御指摘のとおりでございますが、そのように一時点におきます状態に着目することとしました以上、その時点において五項症であれば、自後においてたとえば第六項症以下になった場合にもこれを問わないのは当然でありますし、また反対に、この時点におきまして第五項症に達していないものでありますれば、たとえその自後におきまして第五項症になったといたしましても対象としないこととするわけでございます。その自後に悪くなったものにつきましては、これは対象としないということになるわけでございます。このことは、やはりある一時点におきまして症状を把握してこれを基準として法律上の要件を定めることといたします以上、その時点をどこにとろうとも、避けることのできないような問題ではないか。ある一定の時点で固めていくということは、現在どういう制度でも行なっているわけでございます。
○粟山委員 ただいまのお答えの、ある一定の時点でとらえるきりしようがないということについてはうなずけるのでございますが、どうもまだ納得ができない点があるのと、もう一つ、第五項症程度、この方たちというのが大体六割程度の機能の喪失者、そういうことでこれまでを入れたと言われますけれども、せめて私は、項症程度は全部入っていいのじゃないか。そうして五体満足な者にはわからない悩みというものが、たとえ第五項症以下の方たちの、本人はもちろん、奥さんたちにもあるのじゃないかと思われますので、これは御検討いただきたい。ただいまの、四月一日に第五項症であったが、その後低下したという人も入るという、これはまことに安心いたしました。 次に、特別給付金の額を十万円とした根拠は何かということを伺いたいと思います。
○実本政府委員 この特別給付金の性格が、戦傷病者等の妻に対します特別の慰謝であることを念頭に置きまして、一方、戦没者等の妻に対します特別給付金が二十万円であることとの均衡をも考慮いたしまして、今日の通念といたしまして十万円ということが妥当であろうと考えたわけでございます。
○粟山委員 だいぶ時間もたっているようでございますが、今回の特別給付金の償還金の支払い方法はどうなっておりますか。また、この特別給付金は生活保護法上収入として認定されるのかどうか。
○実本政府委員 この特別給付金を出しますゆえんのものは、重度の戦傷病者の夫をかかえました妻に対します慰謝でございまして、これを生活費の補給とか、そういったことから考えて出すものではございませんので、これは生活保護法の関係から申し上げますと、生活費として、その人の収入として認定していくというふうなことを避けてまいりたいと、かように社会局とも話しておるわけでございます。 国債の償還金の支払いにつきましては、省令をもって規定することとしておりますが、来年の五月十五日に第一回分として一万円を、その後毎年一回一万円ずつ、最終回が昭和五十一年の五月十五日に一万円を支払うということに支払い方法がなっております。
○粟山委員 この特別給付金の国債については、政令で定める場合を除くほか譲渡、担保権の設定はできないことになっておりますが、政令で定める場合とはどのような場合を予定しているのか。なお、国債の買い上げと担保貸し付けについては、本年度から実施されるのかどうか。
○実本政府委員 政令で定めます場合と申しますのは、国に譲渡する場合、つまり国が買い上げ償還をする場合でございます。それから、地方公共団体または国民金融公庫に対して担保権を設定する場合を予定いたしておるわけでございます。また、これら買い上げ償還等につきましては、本年度は国債の償還金が支払われないことから行なわないことになっておりますが、将来は必要を生ずる場合が必ずあると考えられますので、本年度以降必要に応じまして措置できるよう関係機関と協議してまいりたいと考えております。
○粟山委員 昨年、戦傷病者特別援護法の改正によって、戦傷病者の相談員の制度が設けられました。これは非常に喜ばれまして、時効になりそうな方が救い上げられたり、いろいろこの相談員制度の効果があがって喜ばれておりますけれども、せっかく設けられた制度の現在の定員があまり少ないために、各相談員の担当地域が広過ぎるなど、円滑に運営されていないうらみがございますので、将来これを増員する考えがおありになるかどうか。
○実本政府委員 お尋ねの戦傷病者相談員の活躍でございますが、数が少ないのに非常によくケースワーカーとしての実績をあげていただいているというふうな先生のおことばでございますが、われわれのほうから見ておりましてもそういうふうな状態でございまして、現在本土関係で四百六十名、沖繩に十名というような配置でございまして、各都道府県約十名程度の方々に活躍をしていただいておるわけでございますが、各方面からこの増員を望む声が非常に多うございますので、この制度はまだ昨年の十月に発足したばかりでございますが、来年度あたりはそろそろ、こういう非常に各方面から希望される制度というものを伸ばしていくために、増員を検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
○粟山委員 現在戦傷病者のうち入院療養を行なっている人々は、長期にわたって療養している人々が大部分でありますけれども、これらの人々が退院して社会復帰をする際には、その特別な事情を十分考慮いたしまして、たとえばアフターケア施設に入れるなどあたたかい配慮が必要と思われますが、これについてはどのような考えをしていらっしゃるか。
○実本政府委員 お話しのように、現在、戦傷病者特別援護法によりまして入院療養を行なっておる方々が相当な数ございまして、約二千名ばかりございますが、これらの大部分の方々は結核性疾患で、相当長期にわたりまして療養を行なっておられるわけでございます。したがいまして、これらの方々が療養を終えられて退院され、社会復帰するということになります場合におきましては、やはりお説のごとく、社会のきびしい荒波にもまれる現場に直接出られるということは、いままでの療養を台なしにするということでございまして、必ずこういった方々にはアフターケア施設のトレーニングを経て出させてあげるということが必要でございますので、ただいま各地方公共団体等におきまして、各都道府県大体設置いたしております例の結核回復者後保護施設というところへの入所あっせんというようなことは、十分われわれのほうからも気を配りまして行なってまいりたいと考えておる次第でございます。
○粟山委員 なお、入院療養中の戦傷病者のところにその家族がお見舞いに行く、あるいは家事の相談に行く、そういうような場合、現在その旅費は全く自弁となっております。一家の柱となる人が病床にあるために生活にはゆとりのない家族にとって、この旅費の支出ということは非常に負担になっておりますし、家族の者はできるだけ何べんも行きたいでもあろうし、また、療養中の者はことにその家族の来てくれることを望んでいると思いますが、いまのような状態でもってなかなか行きにくい。こういう家族の見舞い旅費を、何らかの方法で支給を考慮するということはできないものでしょうか。
○実本政府委員 お説ごもっともでございまして、入院患者の家族に対し、見舞い旅費を支給してもらいたいという切なる御要望はかねてからしばしば承っておるところでございますが、われわれのほうもまだ非力にしてその要望に十分にこたえかねておるわけでございますが、明年度予算要求の際には、十分それを実現できますように努力してまいりたいと考えておるわけであります。
○粟山委員 通院療養中の戦傷病者から、通院に要する交通費を支給してほしいという要望が非常に強うございます。遠隔地の医療機関に通院している者にとっては、その交通費の負担もなかなか苦しいと思われますので、これらの人々はみな公務のために疾病にかかったのでございますから、その負担をなるべく軽減する意味からも通院手当というようなものの支給が考えられないかどうか。
○実本政府委員 この問題につきましても、他の公費負担制度との関連も考えまして善処してまいりたいと思います。
○粟山委員 いろいろと質問をいたしたわけですが、戦傷病者の特別援護法による補装具の問題ですけれども、これは症状が固定していなければ交付されない取り扱いとなっていると聞いておりますが、一般身体障害者の補装具の交付基準は症状が永続性であれば対象としている。この際、戦傷病者の交付基準を改正するなり、あるいは行政指導を強化するなりの措置をとるお考えはおありにならないか。そしてまた、補装具の耐用年数については、これは社会局の問題と思いますが、いろいろそれぞれ年数の規定があるために、相当ぼろぼろになったようなものを着用しておる人がある。これはみじめなことだと思いますので、この耐用年数についてどのようにお考えになるか。こういうものをはずしてしまってはどうかということ。これは社会局の問題でございますが、関係して、援護局はどのように考えていらっしゃるか。
○実本政府委員 戦傷病者に対します補装具の交付基準というものは、身体障害者福祉法に基づきます補装具の交付基準と全く同様に取り扱っておるわけでございまして、御指摘のような事実があるといたしますれば、実施の問題でございますので、実施機関であります都道府県に対しまして、十分に行政指導を行なってまいりたいと思っております。 また、お尋ねの補装具の耐用年数につきましては、これもやはり、社会局において一般の身体障害者に対してこれを短縮する取り扱いを行なうことになりますれば、戦傷病者の場合にも全く同様の措置を行なってまいりたいということでありますが、この耐用年数というのは一応の基準でございまして、現在でも、現実に使用に耐えなくなった補装具につきましては、耐用年数経過前でありましても新規交付するといったような行政指導は行なっておるところでございますので、これも個々のケースといたしまして、実施機関の指導につとめてまいりたいと思います。
○粟山委員 軍人の勤務関連の死亡については、旧軍人等の遺族に対する恩給法等の特例に関する法律によって、特例扶助料なり特例遺族年金の支給が行なわれておるわけでありますが、勤務関連の傷病について何らかの措置を講ずるお考えはないか。
○実本政府委員 軍人について勤務関連による死亡を特例扶助料または特例遺族年金の支給事由といたしましたのは、大東亜戦争の時期においていわゆる内地等も戦場化されるに至ったということ、それから召集基準が変更されるに至ったということ、そういった特別の事情と、また遺族の実情等を考慮いたしまして、いわゆる内地等において公務上負傷または疾病でないが、戦争に関する勤務関連で負傷または疾病にかかり、それによって死亡した軍人または準軍人の遺族の処遇を改善しようとしたわけでありますが、内地が戦場化したとはいいましても、戦地とは異なるものがそこにはございます。また、死亡と障害とは本質的に異なるものがありまして、軍人の勤務関連による死亡に年金が支給されているからといって、直ちに障害者にも年金を支給することにはまだ相当な問題があるというふうに考えるわけでございます。また、たとえ軍人または準軍人の勤務関連の障害につきまして処遇をいたすといたしましても、これは恩給法との関係もございまして、なかなかむずかしい問題でございます。
○粟山委員 遺族援護法においては、款症程度の障害者については、その不具廃疾の状態に応じて障害年金または障害一時金のいずれかを支給することとしておりますが、恩給法上の制度にならって、受給者の選択によってそのいずれかを支給することとする考えはありませんか。
○実本政府委員 遺族援護法におきましては、款症程度の障害を有する者のうち、不具廃疾の程度が増進し、または低下することのないものと認められる場合におきましては、障害一時金を支給いたしまして、不具廃疾の程度の増進やまたは低下が認められる場合におきましては障害年金を支給することとしているわけでございますが、これはやはり障害者の不具廃疾の状況に応じまして適切な援護を行なうということで、こういうふうな分け方をしたわけでございます。すなわち、その障害が款症程度という比較的軽度のものであることにかんがみまして、その状況が安定しております場合には、むしろ高額の一時金たる障害一時金を支給いたしまして、社会人としての更生の資とするのが援護の実をあげるゆえんであるというふうに考えるわけでございますが、これに対しまして、障害の程度に変動が認められます場合におきましては、年金たる障害年金を支給いたしまして、障害の変動に応じてその額を改定してまいるということによりまして、現症に即応いたしました適切な援護を行なうことが妥当であると考えるわけでございます。ちなみに、厚生年金保険に定めております年金たる障害年金と、一時金たる障害手当金との間におきましても、以上と同様な扱いがなされておるわけであります。 なお、恩給法におきましては、年金たる増加恩給と一時金たる傷病賜金との選択を認めておりますのは、昭和二十八年における軍人恩給の復活に際して、同年八月一日前の公務傷病にかかるものに対してのみ経過的にこれを許して認めたものと思われますので、現行恩給法の本則におきましてはかかる選択は認めていない扱いになっておるというふうに承知いたしております。このような事情から、援護法におきます現行の扱いを、いまそういうふうに扱っておるわけでございます。
○粟山委員 これで私の質問を終わらせていただきますが、今回の改正でもって、非常に前向きな姿勢で、あたたかいいろいろな改正がなされたということはうれしいのでございますが、この法の精神に沿って、これで広くそういう方たちが救い上げられるように、どうぞ事務的な処理を早くなすっていただきたいということ。それからもう一つ、末端のほうでもって、この法の精神が皆さんに受け入れられるような行政指導をなすっていただきたい。そうして、ほんとうにこの法が活用されるようにということを期待いたします。 なお、ただいままでにいろいろ御質問申し上げましたのに対する大臣及び事務当局からの御返事の中にいろいろ問題もございますので、どうぞ今後も御検討くだすって、そうしてそういう御遺族とか傷疾を受けられた方たち、あるいはその妻の方たちが十分に心の慰安が得られるように、この方たちの非常な消え去らない傷、こういういうものに対して私どもは十分考えてあげなければならないと思うものでございますから、今後も前向きな姿勢でどうぞ大臣も改正のほうに心がけていただくようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○田中委員長 次会は明二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十三分散会