社会労働委員会 第40号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/05/31
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の雇用対策法案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 労働大臣、この前に一般労働政策でちょっと触れましたが、韓国における保税加工の状態について、きょうは通産省からもおいでを願っておりますので、労働省の雇用需給関係に大きな影響を持つものと私は思いますが、これから通産省から事情をお聞きいたします。大臣にはひとつ特に注意して聞いていただきたいと思うのであります。 通産省はどなたが見えておりますか。
○田中委員長 市場第三課長が見えております。
○淡谷委員 それじゃ、通産省のほうにお伺いしますが、韓国で新しく保税加工を行なうということがしばしば伝えられておりますが、従来この内容は明らかにされておりません。しかも、いままで例を見なかった試みでございますので、その内容について詳しく御説明を願いたいと思います。
○小村説明員 ただいま保税加工に関する御質問でございますが、これは従来から行なわれておりますが、ただ最近になりまして非常に伸びが著しい形態の貿易でございます。 簡単に御説明申し上げますと、韓国で、いろいろな原料をほかの国から入れまして、これに加工をいたしまして、また輸出をする、こういうことでございますが、実態といたしましては、ほとんど大部分の原料を日本から入れまして、そしてこれを日本及びその他の国に出しております。それで、ちょっと数字を申し上げますと、昨年の実績が、韓国側で出しております統計によりますと、そういう形態に基づいて出した輸出が千九百万ドルとなっております。これに要する原材料といたしましては千二百万ドル程度を海外から輸入しておるわけでございますが、そのうちの大部分、千百五十万ドル見当と記憶しておりますが、これを日本から入れております。それで、これをつくって出します千九百万ドルの輸出の行き先でございますけれども、これはアメリカを中心といたしまして、東南アジアの諸国、西欧諸国、それから日本となっております。実は日本に返ってまいりました部分は、統計によりますと約百三十万ドルになっております。したがいまして、日本から見ました場合には、原料としては非常に出ておりますが製品として返ってきておる部分は比較的少ないのが現在のところの実態でございます。それで、先方では、もう少し日本にたくさん輸入してほしいということでいろいろ要求をしておりますが、これにつきましては、目下のところ実績もだんだんにふえておるような現状でございますから、もう少しいまのままの様子で見ていきたい、簡単に申し上げますとそういうことで考えております。
○淡谷委員 従来もこういうケースで行なわれた例があるというのですが、韓国以外にはどことこういうやり方をしておりましたか。
○小村説明員 こういう形態の貿易につきましては、大体どこの国でも実は多かれ少なかれこの種の形の貿易をやっておるわけでございます。つまり、外国から原料を入れまして、それでこれを製品にして出すという形の貿易は、日本でももちろんたくさんやっておるわけでございますし、台湾、香港、その他の後進国、あるいは先進国でもみなこういう形態の貿易があろうかと存じます。ただ、韓国の場合に特に問題になりますのは、これを韓国の政策として非常に優遇しておりまして、入ってきた原料を無税でこれに加工させまして、関税をその間免除しております。それで、安い原料を使わせて製品にして出す、こういうことでございまして、これを韓国側では、韓国の天然資源が少ないこと、それに対しまして非常に労働力が豊富なことという面からこういった形態の貿易を大いに促進する必要がある、そういうことで非常に力を入れているのが実態であります。
○淡谷委員 原料を輸入してこれに加工して出すという貿易形態はあったでしょう。私の聞いておりますのは、保税という形でのことであります。関税などを免除しないまでも、しばらく猶予しておいて、そうして原料を輸入させるというような形態、こういうのは韓国以外にどこにあったか。日本の場合をお聞きしたい。
○小村説明員 いまのは日本の中のお話でございますか。
○淡谷委員 日本が輸出する場合に、相手国が関税をしばらく猶予して、保税加工するために保税倉庫なりあるいは保税工場なりにこれを保留しておくという例はほかにあったかどうかという問題です。
○小村説明員 お答え申し上げます。 日本におきましてはほかの国から原料を入れた場合に、保税地域で加工いたしましてこれを外に出す場合と、それからもう一つ、戻し税——戻税と申しておりますが、それによりまして一度保税地域でない部分に実際に物を入れまして、あとで関税を返して外に出させる、そういう方法と二つ現在ございます。
○淡谷委員 もう少し質問の要旨を詳しく申し上げますと、日本へ入ってくる原料じゃなく、日本から出ていく原料で保税の形で加工するというようなケースが韓国以外にあったのかどうかという問題です。
○小村説明員 ちょっと御質問の意味が私よくわからないのでありますが、日本から原料を出す場合には、これにつきましては日本では輸出税はかけておりませんので、日本の税の関係は出てこないと存じますが、ちょっと私御質問の意味が……。
○淡谷委員 これははっきりしているでしょう。むろん関税は向こうでかけますよ。どこの国でも、原料を入れても一応は関税を取るでしょう。それを保税加工という以上は、韓国の場合はいまあなたがおっしゃったとおり関税を取らない、猶予している、そういうようなケースの取引はほかにあったかどうかという問題です。
○小村説明員 こういったケースの貿易は台湾でも行なわれておりますし、それから香港でも現在行なわれておるわけであります。
○淡谷委員 台湾と香港だけですか。あとはありませんか。
○小村説明員 これは主として向こうの外国側の制度でございますが、ほかの国でも大体におきまして、先ほど日本の例について申し上げましたが、保税地域の制度及び戻税の制度があるのが普通でございますが、一々の国につきましていま私資料を持ち合わせておりません。
○淡谷委員 それじゃ韓国に限ってお聞きしますが、現在ここに出ております日本からの原料輸出千九百万ドル、この内容はおわかりでありますか。
○小村説明員 この内容につきまして手元に、ごく大ざっぱなものでございますが、繊維品が千九百万ドルのうち千七百万ドルとなっております。それから雑貨が七十万ドル、機械類が八十万ドル、金属類が十数万ドルということになっております。
○淡谷委員 大体繊維が多いというふうにとられますが、この場合、向こうで原料を輸入して向こうの労働者を使うわけなんですが、この保税の場合はどういう段階で関税が取られますか。免税する場合はかまいません。保税するというのは、原料が向こうへ行った場合に向こうが関税をかけない、関税をかけるまではそこに保っておくという意味だろうと私は思う。そうしますと、これに対して、加工した場合に関税を取るのか、販売した場合に関税を取るのか、どっちでございますか。
○小村説明員 ただいまの御質問でございますが、先方におきましては保税加工用の原料といたしまして、政府から許可をもらって原料を入れる場合があります。その分につきましては関税が初めからかけられません。それで、それを加工してちゃんと出たかどうかは先方の政府がチェックいたしまして、その確かであることが——通常の場合は保税地域にあるものでございますから、その地域から出ていないということを確認すれば、その材料がまた加工されて輸出されるということで何ら支障はないと存じます。
○淡谷委員 これは実際、免税なんですね。保税という名前の免税なんです。
○小村説明員 そのとおりでございます。
○淡谷委員 関税なしで日本の原料が向こうへ出ていっている。千七百万ドルの多くの繊維原料が入っていっている。これに対して向こうで使います労働者の賃金は、通産省おわかりになりますか。
○小村説明員 この点につきましてははたして非常に信頼できるものかどうかわからないのでございますが、いろいろな資料によって調べましたところ、大体先方の賃金は、円に直して申し上げますが、大体普通は日給で百五十円程度、それから熟練工で三百円程度、このような数字が出ておりますが、これはおそらく一、二年前の数字でございますし、少しずつインフレが進行しておりますので、この数字より現在多少は高くなっておるかと存じます。
○淡谷委員 労働大臣、いまお聞きのとおり、かなり大量の繊維原料その他のものが韓国に出ております。しかも関税を免除されたままで出ていっている。これは本来日本で加工する場合には相当多くの労働力を吸収し得ると思うのでございます。しかもこの繊維原料というのは日本で出ている原料ですか。繊維原料は日本にたくさんありますか。
○小村説明員 ただいまの御質問でございますが、大体出ておりますのは合繊、それから綿、そういったものでございまして、綿につきましては御存じのとおり、ほとんど全部外国から来ているわけであります。ただこれを糸によったり、あるいはこれをされにいたしましたり、そういう段階で出しているわけでございます。それから合繊につきましては、もちろん原料としてはいろいろ石油その他があるかと存じますが、これをやはり同じく糸にしまして、あるいはきれにいたしましてその状態で韓国に出ているわけでございます。
○淡谷委員 大臣、やはり本来ならば日本で原料を輸入する、それを日本で加工して加工品として売り出すのが普通の形なんですが、輸入した原料を原料のままでさらに輸出をして、そこで一日百五十円もしくは三百円というような労働力を使って加工しておる。千九百万ドルの輸出のうちで原料は千二百万ドルとしますと七百万ドルが大体加工の上で輸出される。これからの労働力の需給というものも国内だけじゃなくて国際的にも影響が非常にあると思うのでありますが、こういう点について労働省はいままで触れたことがございますかどうか。無制限にこれを許すならば、私は非常に日本の繊維産業に影響を来たすだろうと思うのです。大臣の御見解を聞きたい。
○小平国務大臣 この問題は日本側からいえば私は一般の輸出とも言い得る、かように思うのです。いま先生のお話に、原材料、特に繊維の原料等を輸入したままでまた韓国に輸出するというお話がございましたが、この点は先ほどの通産省からの御説明もありましたように、綿花を日本が輸入してそのまま綿花の形で韓国に輸出するというようなことは、私もそこは詳細存じませんが、例があってもおそらくまれだろうと思います。綿糸にするなり綿布にするなりして、この輸出を日本側がすれば、韓国にしておる。こういうことで日本で全然輸入した姿のままの原材料で、すなわち何らの加工もせずに韓国に輸出するということは、かりにあっても、それはまれな例ではなかろうかと思います。それにいたしましても、とにかく韓国側とすれば輸入するものは原材料ということになるわけで、その後の加工を韓国側でやる、こういうことだろうと思います。 そこで、もちろん最終製品に至るまで日本が日本において加工をやる、最終製品として日本が輸出をするということが、日本の輸出産業からしてもむしろ大宗をなしておる、大部分を占めておる、こういうことに違いないと思いますが、しかし一面また韓国側からの事情からすれば、お話のとおり豊富な、低廉な労働力も相当ある。むしろこれが余っておる。こういう状況ですから、原材料を入れて保税の姿のままに、そういう状態で豊富な、低廉な労働力を使って加工した上でまた外国にこれを輸出をする、こういうことも韓国の施策として考える余地があることも認めていいのじゃないかと思うのです。ただ、これが日本の貿易にどういう影響をするかという問題でございます。特に労働関係からどういう影響があるかという点が私に対するお尋ねだろうと思うのですが、こういう形による、韓国で行なっておる保税加工による貿易というものは、大体が先ほどの説明でもおわかりのとおり繊維であるとか雑貨であるとか、こういった比較的いわゆる軽工業であり、あるいは労働力が集約的に使われる産業、工業、こういうことであろうと思います。こういうことはやはり世界の分業という立場から見れば、いわゆる後進国ということばはこのごろ使わぬのだそうですか、開発途上にある国ですか、そういう国としてはやはりそういう方法も選ばなければならぬでございましょうしするから、世界における分業というような立場からすれば、私はこれはある程度の理解をもって見てやる必要があるのではなかろうかと思います。しかし、そうかといってこういう姿における日本の貿易というものが非常に大きくなり、日本における加工ということが非常に少なくなる。したがって日本における労働力需要が非常に少なくなり、非常な影響を与える、こういうようなことにでもなりますならば、これは日本からいえば先ほど申しましたとおり純然たる輸出ですから、この輸出に管理令といったような法律もあるようでありまして、日本経済に非常な影響を与えるというようなときには輸出をチェックするということも、これは可能のように私も承知いたしております。ですから、韓国における保税加工貿易というものが日本の労働事情に非常な悪影響があるというような事態が考えられますならば、これは労働省としても当然通産省と連絡をとってこの種の輸出を規制をしてもらうとか、そういうことももちろん考えなければならぬ、かように考えておりますが、現在のところでは私はその段階まではまだ至っておらないのじゃなかろうか、かように考えておるわけです。
○淡谷委員 きょうはひとつ小平大臣に国際的な観点から日本の労働問題を考えていただきたいのですが、今度の雇用対策法にもいってあるとおり、適切な、自由な職場を求めるとなれば、労働市場においてはやはり需要が多いことを前提とする。幾ら自由に適切な職業を与えようと思いましても、需要がなければこれは与えられない。いまの韓国の保税加工の問題でも、繊維加工とそれから雑貨、機械なんですね。日本の最も得意とする業種だろうと思う。また、従来労働需要なども非常に多かった職場だろうと思うのであります。通産省は、一体輸出する場合に、原料として輸出するのが本来のたてまえであるのか、日本に非常に多い——このごろは不足になったといっておりますけれども、原料さえとれない日本ですから、労働力というものをそれにつけ加えまして、でき上がった品物を輸出したほうが日本の通商産業の上から見て得なのか、一体通産省の基本的な考えはどうなんです。
○小村説明員 ただいまの御質問でございますが、実は韓国でいまやっておりますものは、繊維を中心といたしまして雑貨等でございますが、これは日本から出ております品物に比べまして、まだ質はずっと落ちているというのが現状でございます。したがいまして、アメリカあるいは西欧等に輸出されましても、いわば一番安い店で売られるものでございまして、日本のものとはもちろん競合は全然ないとは申し上げませんが、かなり競合度の薄い品物でございます。そういう意味で、韓国のそういった輸出品が競合するのは、むしろ香港あるいは台湾、それから中共等の輸出品でございますが、これらとむしろ競合する面が強いように承知しております。
○淡谷委員 さっき労働大臣からちょっと疑問が出ましたが、繊維の原料というものは、どの程度まで加工して出しておるのですか、綿花でなく、あるいは糸その他に加工して出しておるのかどうか。
○小村説明員 ただいまの点でございますが、こちらから出ておりますのは、糸の段階で出るもの、それからきれの段階で出るもの、その程度でございます。
○淡谷委員 そこで労働大臣、もう一つお伺いしたいのは、韓国に原料が輸出されるというのは、非常に低賃金を前提としている。これは国会にあらためてILOの問題が出てきましょうけれども、ILO条約を結ぶのは、世界的に労働者の賃金を一つのレベルに押えようというのが目的だと私は思う。その場合に、低賃金を前提として、すぐ隣の韓国でこの種の産業がどんどん栄えていくという形は、これは同情には値するかもしれませんが、韓国の労働者としては、低賃金に押えられるといった関係で出てくると思うんですが、最近における韓国の賃金状態についてのお調べはございましょうか。
○小平国務大臣 ちょっと質問の趣旨が何ですが、韓国の労働事情からすれば、日本からどういう形にせよ韓国の工業のいわば原材料を入れるということですから、それだけ労働力の需要がふえる。したがって、韓国における失業者の問題の解決なり、あるいは積極的に賃金の改善なり、むしろプラスの面に作用する点が多いはずだ、かように考えるのですが、ちょっと先生の御質問と反対のような結論で恐縮ですが、どうも私は常識的にそういうことになるんじゃないかと思うのです。
○淡谷委員 そういうふうに考えられるのは常識でございますけれども、さっき通産省のほうの御答弁を聞きますと、韓国の国内で使うよりも輸出するのが多いらしい、他の国に出すということがいわれています。そうしますと、韓国で日本の輸出と競合しなくとも、出していく先でやはり競合する面が出てくるだろうと思うのです。そうしますと、日本の労働賃金よりもさらに韓国の賃金が低いとすれば、その面で、海外市場の非常に大きな競合の場面が出てくると思う。これは労働者側から申しますと、大臣がおっしゃるとおり、失業者がなくなり賃金が上がっていけば無事ですけれども、少なくとも賃金の差額に重点を置いての産業であるならば、賃金が上がるよりも資本利潤のほうが上がるというのは、これは現在の資本主義産業の鉄則なんです。ですから、私お伺いしたいのは、二、三年前の賃金で百五十円ないしは三百円といわれる賃金が現在ではどのくらい上がったか、少しの輸出であっても賃金にどういうふうな影響を与えておるのか、労働省としてお調べになっておりますかということです。
○小平国務大臣 労働省で調べたのもあるはずでございますので、事務当局から説明申し上げます。
○有馬政府委員 韓国銀行の統計月報によりますと、三十九年が、工業で平均賃金五千七百三十ウオン、製造業が三千九百九十ウオン、四十年の一月が、工業で六千三百七十ウオン、製造業で四千五百ウオン、一ウオンが一円四十一銭だったと思いますので、製造業の場合大体七千四、五百円になろうかと思います。
○淡谷委員 日本から見ると、まだ非常に低い賃金です。通産省はこの原料輸出に対して、いまのところ、どの程度で押えるかといったような長期の見通しが立っているのですか。
○小村説明員 ただいまのところ、こちらから出ます原料につきましては、通常の貿易の状態で出ておるので、日本側から見ます場合には、何らほかの輸出と変わりないわけであります。つまり、韓国の中で使われるために輸出されるものかあるいは加工するためのものであるかは、日本から出るときにはわからない場合が多いわけであります。したがって、チェックするしないということは、いま一般論としてはないわけでございますが、ただ先ほど大臣から御指摘がありましたように、品目によりまして非常に困る場合には、これは韓国だから、あるいは香港だから、台湾だから困るということでなくて、たいてい、そういう場合には綿糸なら綿糸あるいは綿布なら綿布、そういう品物全体について困る場合が多いものでありますから、したがいまして、品物として全地域に輸出の規制をかけることはございます。
○淡谷委員 輸出の動きはどうなっておりますか。多くなっていますか、減っていますか、横ばいですか。
○小村説明員 韓国に対する輸出全般といたしましては、増加の傾向をずっとたどっております。数字を申し上げましょうか。——日本からの輸出が、最近の三年を申し上げますと、通関統計で一億五千九百万ドル、それから一九六四年が一億八百万ドル、一九六五年が一億八千万ドルということになっております。
○淡谷委員 相当伸びているわけですが、そこで労働大臣、これは、もしも韓国の安い労働賃金が、日本の中で労働者が使われて払われるとすれば、非常に大きな問題になります。これは戦争中のように、むしろ低賃金で日本の労働賃金を圧迫するという形になってくるから、このままでは通らぬでしょう。日本で原料を輸出するかわりに、日本の資本家が韓国労働者を安い賃金で使うということは許されないと思いますが、いかがでございますか。
○小平国務大臣 いまのお尋ねは、日本の経営者が韓国人をこちらで安い賃金で使うことは許されない、こういう御趣旨と思いますが、そのことはもう確かに御指摘のとおりでございまして、人種の差別等によって労働条件を異にするというようなことはILOでもしてはいかぬ、こういうことになっておりますし、日本の基準法なりあるいは職業安定法なり等においても、大体同じ趣旨のことがうたってあるわけですから、韓国人を入れたからといって、特に劣悪な労働条件のもとに日本国内において使うということはできない、かように私ども考えております。
○淡谷委員 通産省にもう一ぺんお聞きしたいのですが、韓国に対して、おもなるプラント輸出の実態はどうなっておりますか。
○小村説明員 申しわけないのでございますけれども、きょうちょっと手元にプラント輸出の数字を持ってまいっておりませんでしたので、あとでお届け申し上げます。
○淡谷委員 これは通産省のほうにもお願いしておきますが、きのう私の部屋に来て第三課長でいいかというお話しでありましたから、十分答え得るならばよろしいということを言っておいたのですが、やはり高度な問題ですからあなたでは答えられないんですね。きょうは別に無理をして大臣に来いとは申しませんけれども、労働大臣、これは非常に大きな問題だと私思うのです。現在日本の国内で安い労働者を使って日本の労働者の賃金を圧迫し、また国際競争に低賃金をもって対抗しようということは許されない。ところが日本と韓国の間には日韓条約を通じて特殊な状態が展開されているわけです。プラント輸出もあります。資本供与もあります。だから労働者が韓国から日本の国内に出かせぎが許されないとするならば、日本の資本が名目はどうあろうと韓国へ出かせぎして、そこで韓国の安い労働者を雇って出かせぎ先で産業を行なった場合は一体どうなりますか。私は日韓との間に行なわれておりますこの産業形態は、ややどころではない、資本の出かせぎ的形態が漸次加わっているということを大体考える。きょうは通産大臣でもおいでになりましたらこの点を確かめてみるのですが、これは一体日本の雇用状況にどういう影響を及ぼすでしょうか。
○小平国務大臣 これはもっぱら日本側から申せば資本の取引という関係になるだろうと思います。お説のように日本の資本が韓国へ出ていってあちらで事業をやってあちらの人を使ってやる、こういう事態だと思うのですが、それが非常に大規模に行なわれるということになれば、それだけ日本の国内における労働力に対する需要というものは減る、理屈的にはもちろんそういうことになると思います。したがって、それが日本の労働市場にいい影響を与えるとは当然考えられません。そこで、そういう問題にどう対処するかという問題ですが、この点につきましても、資本の日本からの進出については、韓国なら韓国の場合にこれを歓迎するという立場をとるかあるいはチェックするという立場をとるか、また日本の立場からいたしましても自由に資本の流出というものを認めるかどうか、これにも一定の規制の措置もあると思いますから、そういうことによって日本の労働市場に非常な悪影響があるということになりますれば、原材料を輸出する場合と同じように、これは主として大蔵当局だと思いますが、われわれのほうとしても十分連絡をとって日本の労働市場に顕著な悪影響等が起きないように処置をしてもらう、こういうつもりでおります。
○淡谷委員 日本の国内の産業を見ましても、アメリカの資本が相当強く進出してまいりました。実際日本の工場かアメリカの工場かわからぬといったような工場もできておるわけなんです。これがかつてのように日本の低賃金にねらいをつけたものであれば、これは日本として非常に大きな問題になる。韓国の場合も、産業発展という形から見れば、あるいは日本の原料に韓国の低賃金労働者の労働力を加えて輸出することはプラスかもしれません。広い意味で見ますと、これはまた韓国の労働問題にとって新しい一つの難点を生ずるおそれが十分あると思うのであります。これはきょうは通産大臣もお見えになりませんから、閣議でもあった場合は労働者の立場から韓国との貿易の問題特に保税加工の問題では十分な配慮をされて、この雇用対策にも反映させていただきたいと思うのです。その点の御決意を伺いたいと思います。
○小平国務大臣 御注意の点は、十分心得まして善処してまいりたいと思います。
○淡谷委員 私は最近の日本の政治経済の形を見ておりますと、非常に国内的なものから国際的な面にいい意味では伸展しているのが多いと思うのです。疑獄汚職などでも、国内的よりも国際的に発展したほうがわからないらしい。汚職を追及した場合、われわれは国内との関係だけではなくて国外と関係のある汚職を発見いたします。一々申し上げませんが、大臣もこれは十分おわかりだろうと思うのです。あっちこっちの疑惑はみな国際的なものをはらんでおる。したがって、こういうふうな経済の取引をそういう意味ででも十分重視されることが願わしいのです。労働基準の面においてもこういう関係が生ずると思うのです。 今度はひとつ運輸省のほうにお聞きしたいのですが、問題になりました例のLSTの問題です。LSTの職員なり労働者なりの雇用の形は一体どういう手続をとるか、ひとつお話し願いたいと思います。
○星野説明員 LSTに雇用されている船員は現在千二百九十七名でございます。これらの雇用条件、労働条件というものがどう扱われておるかという御質問と承りました。LSTに乗り組む船員の給与及び災害補償、これらにつきましては昭和四十年の三月十五日でございますが、MSTS、すなわち米海軍極東海上輸送司令部と全日本海員組合との間に協議確認されました日本人船員管理規則というのがございます。それによりまして定められております。その内容を申し上げましょうか。
○淡谷委員 いや、いいです。 労働大臣、このLST関係の雇用はMSTSと日本の海員組合との間で協議されておるようですが、これに対して労働省は何らかタッチしておりますか、あるいはタッチすべきでもないというふうにお考えか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○村上(茂)政府委員 御承知のように、船員につきましては、国内法の適用関係につきましては、労働基準法ではなくて船員法の適用を受けておるわけでございます。その関係をもちまして、法的には労働省といたしましては直接関係ないという状態にございます。ただ、労働者一般の問題といたしまして、法的には変わりはありませんけれども、深甚なる関心を払っておるということは申し上げることができると思います。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
○淡谷委員 運輸省のほうではこのLSTの乗り組み員に対する労働基準監督の面あるいはさまざまなトラブルが起こった場合の対策について、運輸省自体がやはり責任を持って万事取りつけられますか。
○星野説明員 LSTに乗り組んでおります船員につきましては、日本のいわゆる労働基準法でございます船員法、船員に関する基準法でございますが、これの適用はございません。したがいまして、これらの雇用条件についての監督権限はございません。これは直接米軍と日本人との間で雇用契約が結ばれて、そして行っておるわけでございます。
○淡谷委員 労働大臣、これも千二、三百人のうちはいいでしょう。多くなりますと、日本人が同じ職場を求めながら、一方においては日本の国内法、基準法の保護を受ける、一方はこれとは全然関係なしにアメリカの法律のもとにあって労働をする、こういうふうな同じ国民でありながら二つの労働者の形が出てくるのですが、これはこの前にいろいろお聞きしました基地内の労働者は、これほどは離れておりませんけれども、若干きらいがある。労働基準法の適用あるいは労働法の適用についても、国際的な関係が生じつつあるのですね。大臣としてはこれを一体どのようにお考えでございますか。
○小平国務大臣 この前は、いまのLST乗り組み員については、日本の基準法なり船員法なりの適用がない、こういうことですが、これはもちろん外国の船籍の船の関係ですから、本人自身が一定の契約を結んで、それにそういう条件のもとでそこに就業するということをおきめになる以上——なるほど、同じ日本人で日本の法律の保護を受ける者とそうでない者が生ずるという点だけを見ると、ちょっと割り切れぬ気持ちも情として起きますが、しかし、現在国際的に、各国どこでも同じ方式で大体やっておるようでありますから、逆に申せば、たとえばアメリカ人が日本の船籍の船に乗っている場合は、これは日本の船員法の適用を受けるのでしょうし、また、船でなくても、日本の事業場に働いていれば、これは当然日本の基準法の適用を受けるこういうことなので、どうもこれはいまのやり方としてはやむを得ないものではないでしょうか。私はそういうふうに考えております。
○淡谷委員 船というものを領土の一つとして見ればそのとおりなのですが、しかし、これは、外国へかってに日本人が行くというわけにはいかないのですね。したがって、基準法やその他の問題は別としましても、労働雇用の上から見ますと、労働省を離れて雇用される数というのは、一応労働省が把握される必要があるのじゃないですか。これはそっちのほうには影響がないとしても、そういうふうに労働者を向こうへ連れていった場合に、全般の労働雇用政策の上では影響を持ってくるのじゃないですか。この点はどうですか。
○有馬政府委員 御指摘のような、日本人の労働者が、LSTの場合、あるいは海外に移民を行なう場合、いろいろございます。これらについては、もちろん私どもとしましても重大な関心を持っており、雇用政策の立場からいたしましても、今後また重大な関心を持ち続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○淡谷委員 そこに少し、労働大臣のお答えに私は納得いかない点があるのですが、これは外国の船だから、個人がこれと契約を結んで入ることはしかたがないじゃないかと申しますけれども、基地労働者の場合は、やはり似ていますが、少し違うのは、一応調達庁なり県なりが中に入って、この実態を確かめてやっている。それから、何かアメリカとの間に問題が起こった場合でも、日本でさまざまあっせん調整することはできるのですね。船の場合はこれはできないのです。旅行をしているから、きょうはどこへ行くかわからない。それに対して、日本の政府が、あるいは機関が、全然タッチしないという形で一体どうなりましょうか。運輸省は、そういうケースは何かございませんか。LSTの問題でこの問題を起こしたことはないですか。
○星野説明員 まず、LSTのみならず、日本の船員が外国の船舶に乗り込みたいという要請が、終戦後非常に船員が余っている時代に相当ございました。それで外国からも、日本の船員を雇いたいという申し込みが相当ございました。これを一体どう処理するかということを運輸省でいろいろ検討いたしまして、基本方針といたしましては、日本の船員が外国で非常に安い賃金で雇われて、レーバーダンピングというようなそしりを免れないということは現実にある。それで、一応国際的な船員の賃金を調査いたしまして、これらに劣らない賃金——アメリカは非常に高いのでございますけれども、ヨーロッパ並みの賃金、こういう賃金を一応のめどといたしまして、これ以下の賃金では雇われないように、雇用契約をしないようにという行政指導をいたしました。ただいまのLSTにつきましても、一応乗る前に安定所の窓口に参りますれば、向こうの雇用賃金の状態というものをよくお話ししまして、これは日本の約二倍くらいの賃金になっております。これでやるように、と、行政指導といたしましてはそういう考えでやっております。
○淡谷委員 そうしますと、雇用の窓口はやはり運輸省がおやりになっているのですね。
○星野説明員 日本の船員が外国の船舶に乗り組みたいという場合には、現在の船員職業安定法によりまして、船員職業安定所が紹介するようになっております。
○淡谷委員 LSTの現在従事している仕事というものはどういうものか、お確かめになりましたか。
○星野説明員 大体軍需物資の輸送をやっていると聞いております。
○淡谷委員 これは、雇用するときには明らかになっておりましたか。
○星野説明員 雇用するときには、大体どういう仕事をするのであるというようなことを一応よくわれわれのほうで本人に話しまして、それでも行くのか、というようにしておりまして、いろいろと注意を与えておりますが、最近の傾向といたしましては、むしろ私のほうの安定所にはあらわれませんで、ほとんど大部分の者が、新聞広告などを見まして、直接米軍に参りまして雇用されている現状でございます。
○淡谷委員 軍需物資の輸送というのは一つの戦争行為と認められます。ベトナムの戦争などの急迫に引き続いて、軍需物資の輸送というものは非常に大きな使命を持っている。これはやはり一つの軍事行動であると私は考えているのですが、運輸省の見解はどうですか。
○星野説明員 これは安定法によりますと、軍艦は適用になっておりません。LSTは単なる物資の輸送をしているものと思いますけれども、そういうもので一応認めているわけでございます。
○淡谷委員 これは運輸大臣にも一ぺん聞いてもらいたいところですが、かわりに、閣僚として労働大臣にもお聞き願っておきたいのですが、軍需物資の運搬ということは、どういう軍需物資か、一々こっちが調べる自由を持っていないのです。軍艦でなくても、軍需物資を持っておりますと、これこれの物資を輸送しますとは言わぬはずです。行く先もはっきり言わない。これは軍需輸送の常識なんですね。そこで、日本人が、ある場合には運輸省の監督のもとに乗り組む、ある場合には個人がかってに乗り組む、これで一体いいのでしょうか。どうお考えになりますか。これはたいへん大きな問題になります。
○星野説明員 そういう高度な判断は私どもできませんので、現状ではやむを得ないかもしれません。
○淡谷委員 これを御答弁ができるというから私はお尋ねしましたけれども、御答弁ができないようですから、やはりあらためて運輸大臣に来ていただいて伺いたい。 それから労働大臣、いわば船に乗り込もうと何しようと、やはり労働者なんです。日本の労働者がいつの間にか外国の、しかも軍需物資の運搬をやっておる船に乗り込んで、直接的か間接的か知りませんけれども、他の国の軍事行動をやっているという事実は重大な問題であると私は思いますが、大臣どうお考えですか。
○小平国務大臣 申しわけございませんが、LSTに乗り組んでおる日本人の船員が実際どういう仕事をしているのか、私も実情をよく承知いたしませんので、何とも申し上げかねるわけですが、いずれにいたしましても、日本の国柄から申して、直接戦争に参加するような仕事に従事するという点は少なくとも望ましいことではない、私はそう思います。ただ、これを就職という点から考えた場合に、いまの日本の法制のもとで、本人が、国柄がどうであれ国の方針がどうであれ、そういうことに従事したいという場合に、それを制限と申しますか規制というか、そういうことができるかどうか。こうなりますと、法律的には、後ほど事務当局から説明いたさせますが、私の承知している限りでは、どうもいまそういう法律はないのじゃないかという気が私はするのですが、いずれにしても事務当局から説明いたさせます。
○有馬政府委員 非常にむずかしい問題ですが、職業安定法によりますと、職業選択の自由が求職者の立場において保障されておることは御承知のとおりでございます。したがって、本人が自由意思に基づいてLSTの乗り組み員を希望するという場合に、現在の状態で直接それをわれわれの立場で抑制する、規制するということができるとは考えられないのでございます。一方求人者の場合に、米軍側が安定機関に求人をしてくるというふうなケースが出てきた場合に一体どうなるだろうか。現在のところは、これは縁故による直接募集でございますので、安定機関を通しておりませんから問題になりませんけれども、もしそういった事態が出てくればどうなるかという点については若干疑義を持っております。と申しますのは、安定法の十六条に「求人の申込」という条項がございますが、原則的にはいかなる求人も受理しなければならぬ、こうなっております。しかし、ただし書きで、法令に違反する、あるいは労働条件が通常の場合と比べて著しく不適当であるというような場合には受理しないことができる、こういう規定になっておりますので、いま御指摘のような戦闘地域に出入りするLSTの場合に生命の危険というものが当然伴うわけでございまして、この辺の危険の度合いいかんによりましては求人受理を拒否するというふうなことは当然考えなければいかぬのじゃないかという考え方を持っております。しかし、こういった求人という形で現実にまだ出てきておりませんので、この法律をそういう解釈のもとに運用した経験はいまのところございません。
○淡谷委員 これは出てくるはずないのですね、自由に本人の希望で乗り組んでいるというのですから。十分いい俸給であれば——二倍だというのですから、これは給料につられて行くでしょう。それは、職業選択は自由でしょうけれども、法にはずれた職業を選ぶ権利はないはずですね。たとえば非常に割りがいいからといって売春をやったりばくちやったり、あるいは強盗やったり、これは許されないでしょう、職業として見た場合は。戦争行為というものはやはり日本の憲法で禁止していますから、戦闘行為をすることが明らかになった上で、これが俸給がいいから、かってなんだとくれば、傭兵になってくるじゃないですか、ある意味では。高い給料をつけて、ひとつ軍隊というその職業につかしてくれと言われた場合に困る。これは大臣やはり非常に大きな問題ですから、普通の職業とは別に軍事行動に携わる者は慎重にお考えを願わなければならないと思うのです。しかもこのLSTの問題で事故が生じましたね。これは基準局長のあれかもしれませんが、LSTが爆破をしてけがをした事件が起こりました。あれは一体どういうふうになっておりましたか。
○村上(茂)政府委員 先ほど申し上げましたように、労働基準法の適用関係については直ちにこれによって樹立されるという関係にはなく、むしろ、先ほど運輸省のほうから答弁がございましたように協定に基づいて折衝が行なわれるように私どもは承知いたしております。LSTの問題につきましては外務省、運輸省それから防衛施設庁などがそれぞれ地位協定の適用関係等についていろいろ御検討なさったようであります。労働省としてはこれに直接関与いたしておりません。したがいまして、補償の問題につきましても運輸省のほうで取り扱っておるように私ども承知いたしておるわけであります。
○淡谷委員 LSTの船がドックへ入ってこれが爆破した事件があったでしょう。あれはいろいろな点を運輸省がおやりなったのですか。
○星野説明員 あれは修理中でございまして、船員は乗船しておりませんで、けがをしたのはドック作業員でございます。
○淡谷委員 これはどっちのほうが扱ったのです、賠償あるいは慰謝の方針などは。
○星野説明員 あれは労働基準法上のことで、労働省でございます。
○村上(茂)政府委員 たいへん失礼しました。先般の日立造船の神奈川工場における爆発災害の問題について、これは労働省の所管でございます。これは御承知のように一月二十三日に発生した事故でございまして、被災労働者は死亡四名、重傷四名、軽傷一名計九名を出した事件でございます。これは通常の造船事業における災害と同性質のものでございますので、実は私どもいわゆるLST乗り組み員の問題とは考えておりませんで、先ほどの御答弁は、勘違いいたしましてたいへん御無礼いたしました。
○淡谷委員 そこで、外国船が停泊中にこの外国船の中で日本内地の労働者が荷役その他働いた場合に生じた事故はどっちが扱うのですか。外国船という一つの他国の領土ですね、ここで働いておった日本の内地の労働者が何らかの事故を生じた場合は一体管轄はどっちになります。
○村上(茂)政府委員 御承知のように、たとえば港湾荷役の中で、船内荷役につきましては、外国船の荷物の積みおろしをするという例は幾らもございます。そういった場合におきましては、そういった港湾荷役の当該会社が事業場として基準法の適用を受けておるわけでありまして、それに雇用される労働者でございますから、労働基準法の適用があり、労災保険法の適用がある、ただその作業遂行中の認定がたまたま停泊中の外国船内部で行なわれた貨物の取り扱い作業であったということになるわけであります。
○淡谷委員 では、外国船であっても、日本の労働者が荷役などで船中で働いていた場合に起きた事故は基準局が扱えるというわけですね。
○村上(茂)政府委員 御承知のようにアメリカの船、ギリシャの船、たくさん日本の港に入っておりますから、その船舶の内部におきまして荷役作業をやるという場合は、労働者はいわゆる業務上の状態にあるということで、災害が発生したという場合には当然労災補償の対象になるということでございます。
○淡谷委員 実例を一つ申し上げてお聞きしたいのですが、昭和四十年の十一月二十五日の午前十時十分ごろに八戸市の八戸港の第一区で韓国の釜山号という船が入っておりました。この船倉内の作業で即死した事件があります。御承知ですか。
○村上(茂)政府委員 承知いたしておりません。
○淡谷委員 これはしかし外国船の中で日本の労働者が働いた例なんですよ。
○村上(茂)政府委員 調査したいと思います。ただいまそういう全国で起こりましたケースことごとく私ども知悉するというわけにいきません。ただいまその事件を初めて伺いましたので、さっそく調査いたしたいと思います。
○淡谷委員 基準局関係は入っていないのですね。これは非常に新しいケースとしてやはり問題にならなければならない問題です。こういう例はあると思う。外国船、特に軍事機密などに関係のあるような船、たとえば軍需物資を輸送する船などは基準局が入るのをいやがるのですね。日本の港にもどんどんそうした外国が船の形でやってきているので、これはやはり労働大臣、国際的な観点から十分にごらん願いませんとたいへんです。 いま一つの例は野戦病院の問題です。これは防衛施設庁の長官にお聞きしたいと思うのですが、相模原、この間私は見てまいりましたけれども、二百五十しかなかったベッドが千にふやされています。それから周辺の病院がことごとく野戦病院の形態をとって、将来戦傷者を目標としておるということを言っておるわけです。ここへ入ってくる傷病者は日本の防疫のあれはないので、直接立川から運ばれてくる例が多い。あるいはLSTその他の船で運ばれる例が多い。ここで患者の看護などに当たっている看護婦さんや日本人の労務者がおりますが、これはやはり防衛施設庁があっせんされているのでしょうね。
○小幡政府委員 そのとおりでございます。
○淡谷委員 この野戦病院というのは本来からいえば後方陣地じゃないですか。どうなります。同じ病院ではありますが、野戦という名前がつき、戦地から直接多くの人が入ってきているわけですから、これは一つの後方陣地のようにわれわれとるのですが、いかがでございますか。
○小幡政府委員 私どもとしましては、日本の国内にありますところの米軍の提供施設の中で利用させておる形態で、後方陣地とは考えておりません。
○淡谷委員 これは幸いベトナムが大きくならなければいいのですが、どんどん大きくなっていったら文字どおり後方収容施設になると思うのです。これは軍需物資を運搬する船にまで自由に乗り組ませておる現状ですから、病人くらい収容するのはあたりまえと考えられておるかもしれませんが、やはり軍事か軍事でないかという問題は今後の労働条件にとって非常に大きな意味を持ってくる。ここに勤務しております日本人の看護婦その他の労務者は何人くらいおりますか。
○小幡政府委員 現在ジョンソン飛行場、キャンプ朝霞、米軍医療センター、岸根兵舎地区その他を含めまして要求されておりますのは五百五十八名でございますが、それに対しまして新採用とか配置転換とか合わせまして現在従業しております従業員は三百六十名でございます。看護婦のほうは三名しかおりません。
○淡谷委員 これも施設庁知らぬうちに入っておる人がいるのではないか、私が見ただけでも三名ではなかったのですが……。
○小幡政府委員 私のことばが足りませんでしたが、配置転換で、現在雇用しておるのは立川から行った例はあると思います。新規に採用した者は三名でございます。先生がごらんになりましたのは新規採用以外の分が若干おったかと思います。
○淡谷委員 これはいろいろな問題を生じた場合に基準局で扱いますか、防衛施設庁が米軍との間で扱いますか、どっちですか。
○小幡政府委員 これは地位協定に基づきまして基本労務契約を結んでおりまして私のほうで扱うことになります。
○淡谷委員 防衛施設庁として結んでおります米軍に提供しておる労務者の数はどのくらいあるのですか。
○小幡政府委員 契約別に申しますと、いわゆる基本労務契約という関係で雇用しておりますのが約四万、それからPXとか諸機関、ああいう関係の協定で雇用しております者が約一万、それから船員契約これが二百二十名余りでございますから、合わせまして五万名くらい現在提供しております。
○淡谷委員 労働大臣、今度の雇用対策法をつくる構想の中に、こういう国際的に相当入り乱れております日本の労務関係を何とか整理しよう、あるいはこの条件を取り入れてやろうという構想が入っておりましたかおりませんか。つまり雇用状況その他にもこういう労働省以外の雇用関係が勘定に入っておるかどうか。
○有馬政府委員 いま御指摘のような約五万名にのぼる駐留軍関係の労務者がございますが、これはかって御承知のように十数万おったわけでございますので、この労勝者の雇用の変動についてはわれわれ重大な関心を持って、この雇用対策の立場から、雇用の動向なりあるいは必要な離職者対策なりあるいは逆に需要が出てきた場合の供給対策なりいろいろな角度で今後換討、施策を樹立してまいりたいと考えますが、その他の場合においては数において現在のところそうたいしてのぼっておりませんので、先ほどのような外国労働力の出入りの問題が今後大きくふえてまいりますならば、当然またそれに対処して見通しと対策を樹立する、こういう関係に相なると思います。
○淡谷委員 この構想の中には入ってなかったという御答弁と受け取ります。つまり防衛施設庁などでやっております従来慣習のあるものは入っておるけれども、たとえばLSTとかその他韓国の保税加工からくる影響、こういうものはあまり考慮されていないように受け取りましたが、そうですか。
○有馬政府委員 現状の規模程度であればLSTの乗り組み員がせいぜい千二、三百でありますので、この雇用対策基本計画にいう雇用の動向に影響を持つようなウエートは持っていない。しかし何らかの事情でだんだんそういった外国との労働力のやりとりが大きなウエートを持ってくるというふうな情勢が出てくれば、当然その雇用の見通しのもとに必要な対策を樹立していく、こういう関係に相なるということを申し上げた次第であります。
○淡谷委員 将来重要な段階になるようですか、ならぬようですか。見通しの問題ですからね。きょうあすよければそれでいいというものじゃないでしょう。雇用対策というものは、冒頭申し上げましたとおり、遠い見通しを持たなければならない問題です。将来雇用問題の世界的な関連、国際的な影響が非常に大きくなると思うのですが、これは見通しとしてはどう思われるのですか。
○有馬政府委員 軍需に基づく雇用の大きな変動というものは一応私どもは考えておらないのでございますが、一般の産業に必要な外国労働力の出入りの問題、それは先ほど御指摘のありましたような委託加工あるいは資本の進出というふうな問題を含めて、わが国の雇用市場にいろいろな影響を持ってくる問題でございますので、これについては、今後の雇用対策樹立にあたっては重大な関心を払ってまいりたい、かように考えております。 冒頭に申し上げましたように、軍需関係について対策法がいろいろな予定をしているということは全然ございませんので、誤解をいただかないようにお願いいたしたいと思います。
○淡谷委員 それを予定されたんじゃたいへんなことになりますけれども、ただ、予定と実際の形はかなり違ったものが出てくるのじゃないかということを私は心配するのです。さっきの御答弁のように、軍需輸送に携わる者は職業を求める自由だというふうにお考えになり、また運輸省がお答えになっているとおり、直接外国船と契約をして乗り組む者は、LSTのような軍需物資を運搬するようなものではこれはしかたがなかろうというような見解に立つならば、非常に急迫した段階では、いつの間にやら大量の傭兵となって出てきはせぬか、こういうことがいいか悪いかじゃなくて、実際の問題として心配せざるを得ない。したがって、そういう点については、労働省の方針としましてもはっきりした職業観念を樹立する必要があると思うのです。これは職業を求める自由と申しますけれども、日本の法律では、これを規制するような法律の中にそういう行動が入るのだと私は思いますが、その点はいかがでしょう。
○有馬政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、安定法の第二条に規定されております職業選択の自由も無制限に自由なのではなくて、「公共の福祉に反しない限り、」という前提がございますので、御指摘のような、事態が非常に急迫したような場合にどういうふうに考えるかということはまた検討の余地があろうかと思います。
○淡谷委員 急迫な事態というのは、これはそのとき検討したんじゃ間に合いませんよ。もうすでにLSTの乗り組み員などでそういうケースが出てきておるのですから、この際はっきりとそういうことを御検討になりますかどうか。つまり、戦争に出ていくことまで職業だというふうに考えられるなら、傭兵をつくるおそれがある、この一点です。したがって、公共のための一つの職業は自由だといっても、戦争なんて行為ははたしてそれにふさわしいかどうか。義勇兵とはまた違った形ですね。その点はどう考えるのです。これはLSTの問題に限って言いますが……。
○有馬政府委員 義勇兵の御指摘がございましたが、安定法はあくまで、法律の目的として「工業その他の産業に必要な」云々、あるいは「経済の興隆に寄与する」ということを規定してありますので、義勇兵の募集に奉仕するというつもりは毛頭ございません。
○淡谷委員 いや、義勇兵の募集ということがはっきり打ち出されればまだいいのですよ。さっきの話では、LSTの乗り組み員が二倍の賃金をもらっているのですから、黙って船に高給をかけた労働者を雇用して、それが日本の労働法を離れ、基準局の監督を離れるわけですから、向こうの都合で何の仕事をさせようとかってだというわけで、戦争へでも引っぱり出された場合があり得るのじゃないですか、いまの論法をもっていえば。突破口を開いた以上はそこまで吸い込まれる。これは極端な言い方かもしれませんが、そこまでやはり考えておく必要があると思う。野戦病院の問題もそうです。これは、われわれが言うだけでそうは思わないというかもしれませんが、たとえば相模原その他の野戦病院なども、もし報復爆撃でも加わった場合にはこれは完全な戦場ですよ。そこで働いているのはあそこの看護婦さん、労務者だ。あるいは日本全体がそうなるかもしれませんが、非常にその点がはっきりしない。そこまでいきますと、これはなかなか問題の解決は進まないかもしれません。LSTだけに限ってみてもこれを軍事行動と見るかどうかということをはっきりしておきませんと、これは拡大解釈でどこまで引きずり込まれるかわからぬという心配がある。その点はいかがです。
○星野説明員 われわれの現在判断しておるところでは、これは一般商船と同じような単なる輸送業務に従事しているというふうに判断をしております。
○淡谷委員 これは少しこじつけじゃないですか。軍需物資を運搬する船だと認識しているのでしょう。軍需物資を運搬する船は、この前の戦争のときでも爆沈されているじゃないですか。軍需品の運搬は戦闘行為と見られているじゃないか。これはあなたには無理でしょう。これは、いずれあらためて大臣においでを願って確かめておきたいと思う、重大な問題ですから。そこで、このことをいつまで議論してもなかなか労働大臣では的確なお話もできかねるので、次回にあらためて触れます。 ただ、雇用対策法で問題になりますのは、やはり十分に仕事につける人たち、あるいは職業の選択の自由のある人たちはあまり問題にならぬと思うのです。失業者あるいは失業のボーダーラインにある者が一番問題になると思うのです。せめてこの問題は、役所関係だけでもまず調整しておきたいのですが、これは林野庁の問題が出てきますけれども、定員外の労務者の問題です。通年雇用のできない労務者の問題です。これをひとつ林野庁長官から——実はこの内容を知っていますから、ほんとうに正直に林野庁の長官がこういう点は困るのだということを訴えていただきたいのです。私どもは陳情を受けたいのです。困っていることがたくさんあるでしょう。通年雇用はできないという事情もあるだろうし、通年雇用するにはこういう隘路があるということはわかるのじゃないですか。私は知っています。知っていますので、くどくは質問を申し上げませんから、林野庁長官から実際こういう点は困っているということを率直に訴えていただきますと、ここに労働大臣もおられますから——おそらくこれは農林大臣だけでは解決がつかず、いろいろ骨を折っていただかなければならぬと思うのです。その点は多少知っているわけですから、あまり歯にきぬを着せずに率直にここでお話を願いたいと思います。
○田中(重)政府委員 ただいまお話しの問題は、国有林野事業に従事する定期作業員の問題かと存じます。定期作業員は御承知のとおりに、六ヵ月以上一年未満の雇用契約をもって国有林野事業に従事している作業員でございますが、林業経営の特殊性から申しまして、その作業が季節に支配をされるという点がきわめて大きな特長でございます。植えたりあるいは切って出したりという仕事がそれぞれ季節に左右される。申すまでもなく、木を植える、あるいは植えた木に対して下刈りをする、これはそれぞれの作業の適期というものがございます。それから、一方、切って出す場合にも、材木を水へ流して運搬する、あるいは積雪を利用して雪のある間に作業を行なうというような形でございます。そういうような仕事でございますから、林業の作業員は、農業の閑期をうまく利用をいたしまして、農民の手によってその経営が行なわれてきたという実態でございまして、国有林野事業といえども林業経営である以上はやはりそのような形で仕事を行なってまいったわけでございます。そこでこの定期作業員という作業員が生まれました理由も、いわゆるこま切れ雇用をするために定期作業員として雇用しているのではなくて、ある必要な期間であって、しかも農閑期の農民の余剰労力をあてにするということで行なわれてまいったわけでございます。しかしながら、近年におきましては、そういうような労働者の雇用の形態も、別の面から見まして、いわゆる不安定雇用であるという形として見られるようになっていることも事実でございます。そこで、私どもといたしましては、その農民が引き続いて国有林野事業に従事したいという希望がある場合に、国有林野事業といたしましても、でき得る限りその希望に沿いまして、またいわゆる不安定な雇用を解消をしていくという考え方で改善を加えてまいりたい、こう考えておるわけでございます。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、この定期作業員の雇用をできるだけ通年化してまいるためには、その前提として仕事が継続して行なわれる必要がございまして、そういう意味合いからも先般参議院の農林水産委員会でも農林大臣から、直用事業を原則として、そういう前提で雇用の安定に努力をしたいという意味の態度表明を行なったわけでございます。 ところで、その仕事を続けてまいるというためには、造林と、切って出す仕事をできるだけつないでいくことによって事業をまず継続させていくくふうが必要でございます。それで、たとえば高知あるいは熊本両営林局の地域等におきましては、造林なりあるいは伐木なりについての技術の開発その他いろいろくふうをこらしまして、造林等が植物生理上季節に支配されるとはいいながら、できる限りその適期の範囲を拡大するようなくふうをいたし、また伐木においても、雪に支配されることが少ない地方でございますから、できる限り機械化された形で伐木事業につないでまいるくふうをいたしまして、いわゆる常用作業員が圧倒的に多いのがこの地帯でございます。これはやはり事業を継続して行なうことをくふうし得た成果だろう、こう考えているわけでございます。 そこで定期作業員の問題は、主として北海道あるいは東北地帯においての問題になってまいります。その北海道、東北地方では、積雪期間というのがございまして、以前はこの積雪を利用して先ほど申し上げましたように切って出す仕事を行なってまいりました。それはやはり積雪という季節に支配されるために、積雪の期間だけに限られた仕事として独立をしておったわけでございますが、この積雪期間の事業と申しますと、積雪の状態が年によって非常に違ってまいりますから、まず事業の計画性がなかなか立ちにくいということがございます。あるいは積雪の中で仕事を行なうわけでございますから、能率があがらない。またその反面、労働安全の面からいいましても近代的でない面も多いというようなことで、積雪中の作業を漸次やめまして、積雪以外の期間に仕事をするようにくふうをした結果、逆に冬の仕事がなくなったというような状態がございます。それで、これを継続して年間仕事をするためには、積雪中といえども仕事が行ない得るようなくふうが必要でございまして、それには機械化等による技術の改善も相当必要でございますし、それから雪のないときから、雪が降ってから行なう仕事につないでいくようなくふうも必要かと思います。そういう点の技術上の改善がなお結論を得ていないという面で、造林と伐木をつなぐ東北、北海道地帯の問題の解決ができないでいるというのが実情でございます。 もう一つの問題といたしまして、いまも申し上げましたように、一つの適期の範囲で仕事を行なうために、その期間に集中的に作業員を必要とする。その適期が経過しますと、その作業員は要らなくなる。昔は、こちらのほうでは要らなくなったのが農家では自分の仕事に帰るという形で繰り返されたわけでございますが、その場合にこれを年間通じて仕事をつないでいくといたしますと、ある期間に集中的に必要な人全部の雇用を年間つなぐということに非常に無理が出てまいります。と申しますのは、仕事の量が一定いたしておりますから、そこで簡単に申しますと、現在の定期作業員をかりにそのまま年間通じて雇用したとした場合には、その伐採量を異常に増大をしなければ、かりに技術的に仕事がつながれても雇用を消化し得ないという問題が出てくるわけでございます。ところが、伐採量につきましては年々若干ずつふえておりますけれども、これは長期にわたった計画をもって木を切り、そのあとへ植える、これが国土の保全、治山治水上も必要なことでございますし、国の木材需給の観点からいいましても、計画性をもって伐採しなければならないことはいうまでもないことでございますから、そこで現在の定期作業員全部をつなぐための仕事の拡大ということはきわめて困難であろうというふうな問題もございます。 しかしながら、先ほども申し上げましたように、いわゆるこま切れ雇用、いわゆる不安定雇用、これはたてまえとして解消しなければならない。この雇用対策法案の示している趣旨にも、国の措置として、そういう不安定雇用の解消につとめるように、そのたてまえを表明しております以上、私どもといたしましても、労働者の立場からいいまして、できるだけ安定した雇用に持っていくという熱意を持っているわけでございますが、いま申し上げましたように、国有林野事業の特殊性からいいまして、直ちに具体的な雇用安定の結論を出し得ない状態でいるわけでございます。しかし、現在鋭意その対策を練っているというのが実情でございます。
○淡谷委員 これは林野庁長官と一緒に労働大臣にもお聞き願いたいのですが、農村における農民の生活の形というものは、だんだん労働者化してきている。したがって、いま長官のおっしゃったような、最初は農閑期に手間をとるために山で働いたという観念では通用いたしません。ほとんど専門的な山林労働者としての形が出てきたわけでありまして、これは山林労働者に限る、農家自体がつなぎ的に出かせぎに出ていこうという形になっておりますから、農閑期には山で働き、農繁期にはたんぼや畑に帰るという観念は払拭してもらわなければならない。 それから、いま経営者側としての苦労を長官から伺いましたが、雇用される側から見ますと、これまたまことに忍びがたいことがたくさんある。たとえば今度のベースアップの問題でも、ちゃんとした雇用されておる者は恩典にあずかりましょうけれども、通年雇用のほうは非常に条件が悪い。それから半年は失業して半年は労働しながら二十年ぐらい続けている人がある。これもただ失業している間は失業保険をもらうだけで、何らの恩典にも浴していない。二十年も同じ山林で働きながら、恩給もなければ退職金もないといったようなまことに不均衡な措置をされている。これは働くほうから申しますと、耐えられないことだと思う。林野庁にせよ労働省にせよ、労働者側の立場に立ってこの問題にじっくり取り組みませんと、ただ林野の特別会計の黒字を大きくするというような考え方だけでは解決のつかない労働問題としての扱いを、これは労働大臣にも一緒にお考えを願いたいと思うのであります。 それから完全雇用の線を出し、通年雇用をしたいという確固たる決意があるならば、私は策はないわけじゃないと思う。たとえば冬山の危険なんかも、南のほうでやっております木馬なんという草の上をすべらす馬がありますが、あれよりはあぶなくはない。それからまた冬山でも冬山を利用しての仕事はまだまだあります。 それから特に機械化に関連しまして、これは労働力を減らしているような形でございますが、機械化すること自体は、やはり労働の強化を落とし、労働時間の短縮ということを前提にしませんと労働者の幸福にはならない。問題を起こしております白ろう病などでも、外国にあまり例がないということがよくいわれますが、第一は賃金が高いから食べものがいいこと、第二は労働時間が短いこと、チェーンソーは二人がかりでやることがかなり行なわれている。日本のチェーンソーなども手で引っぱるよりは楽な仕事ですから、二人で引くものを一人で使ったり、非常な坂道で腰をふんばりながら無理な作業をする。この作業の無理がかなり病気の誘因になっているようであります。管理のお医者さんなんというのは、長官御存じかどうか知りませんけれども、本庁の意を体して、白ろう病になっておっても、なるべく白うろ病にしないようにという観点からいろいろな診断をしておりますが、社会問題になった今日では、白ろう病専門のお医者さんも方々に出てまいりました。この研究も進んでおるようです。やりようによっては雇用量を増加し——つまり労働時間を短くして人手を多くして、労働の強化を落とせば、あの不幸な病気も若干防げるという形も見えてきているのであります。この点も十分お考えを願いたい。 とにかく、そういう観点から完全な労働雇用、通年雇用というものに踏み切る決意を固めまして、それを前提にしていろいろと一緒にくふうしなければならぬ面があるだろうと思います。特に考えますのは関連産業です。製材の事業でもあるいは運輸の事業でも、採算に合わぬからという理由で切り離して随時請負制度に落としている実態がある。機械化と同時に労働の状態が変わっていくのですから、やはりそこには完全雇用を前提とした関連産業の点などの前向きにも解決する必要がある。これは具体的にはさまざまむずかしい問題もありましょうが、あくまでも、ただ人間を減らす、労働力を経済的に用いるという観点ではなくて、これはむしろ労働省の問題かもしれませんけれども、この雇用対策法に関連して官庁自体の不合理な失業者をなくするという点に重点を置いて、この大きな問題に取り組んでいただきたいと思います。 なお、さまざまお聞きしたいこともありますが、一番大事なLSTの問題なども、いまの御答弁では満足しないものがありますから、きょうは保留いたしまして、私の質問を終わります。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇—————