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51回国会衆議院1966/05/26

社会労働委員会 第38号

発言数
290
登壇者
21
会派数
4
開催日
1966/05/26

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ただいま議題となりました重度精神薄弱児の扶養手当法を主にして、本日は御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、身体障害者の全国の総数というものが、昨年八月の厚生省の実態調査で明らかになっておるわけでありますが、それによりますと百十四万六千人ある。その数を前回の調査であります三十五年の実態調査と比べますと、十九万六千人ふえておるのであります。パーセンテージで申しますと、約二二・六%ということになっておるのであります。いろいろな書物を見ますと、文明が進むにつれてこの障害者というものがふえてくるというように書かれております。しかし私は、真の文明というものは人間のしあわせということを目的とすべきものでありますから、これは、今日の文明のあり方というものは病的であり、真の文明ではないというように考えなければならぬと思うのでありますが、日本のこの問題を考えてみまして、われわれはその原因がどこにあるかということを追及して、この病的な状況というものを除去する必要があると思うのであります。前回に比べまして十九万六千人という障害者が全国でふえておる。パーセンテージで二二・六%ふえておると書かれておるのでありますが、その発生の増加の理由、原因というものがどこにあると厚生省ではお考えであるか、伺いたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 身体障害者及び児につきましての御質問でございます。詳しいことは社会局長からまた補足していただくことにいたしまして、私からまとめてお話し申し上げたいと思います。  この身体障害者の調査によりまして、三十五年の調査と昨年の調査につきましては、御指摘のように十九万六千人、率にいたしまして二二・六%ふえておるわけでありますが、その内訳を見てまいりますと、子供とおとなの場合は状況が違っておりまして、子供の場合は減っておるわけでございます。出現率から申し上げますと、零歳から全年齢では、三十五年調査が千人対一〇・二でございますが、四十年調査では一一・七ということで、全年齢では出現率がいささか高くなっている。ただし児童の場合、零歳から十七歳までを見てまいりますと、三十五年の調査では三・六でありましたものが三・一ということになっております。十八歳以上で申し上げますと、三十五年の一三・七が四十年に一五・七ということでございますから、ふえ方が著しいとは言えないかと思いますけれども、おとなのほうに増加が見られる。  その増加した理由はどういうことかと申し上げますと、身体障害者の場合は、特に五十歳以上に急激に上昇しているということでございます。この五十歳以上に増加しておりますのは、高血圧の関係、脳卒中とか、そういったいわゆる成人病の結果といたしまして、身体に障害を生じるという場合が多いわけでございます。そういった面から老人のそういうものが非常にふえておるというのが、全体的なふえ方の大きな原因になっておる。そのほかは、御承知のとおり、業務災害あるいは交通事故、そういったいわば社会的な環境によります事故が増加しておる、こういうことでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 また調査によりますと、障害児の数は約十一万六千六百人あるというように書かれておるのでありますが、今度の法律の対象になりますいわゆる特別児童の類別と数を伺ってみたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 特別児童扶養手当の対象となります障害児につきましては、二十歳未満ということでございますので、そういった面から見てまいりますと、重度の精神薄弱児につきましては、昭和三十八年の精神衛生実態調査等より推計いたしまして約二万九千人と見込んでおるわけでございます。ただ、重度の精薄児につきましては、正確な数というのがなかなか把握しがたい状況もございますので、なおこの辺につきましては、今年度調査いたしましてさらに正確を期したい、かように考えております。重度の身体障害児は、昭和四十年の身体障害児実態調査から約三万九千七百人、こういう推定をいたしておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今度の法律によりますと、「精神の発達が遅滞しているため、日常生活において常時の介護を必要とする程度の状態にある者」、「別表に定める程度の廃疾の状態にある者」、別表を見てまいりますと、別表の九に「前各号に掲げるもののほか、これらと同程度以上と認められる身体の障害(内科的疾患に基づく身体の障害を除く。)であって、日常生活において常時の介護を必要とする程度のもの」というように書いてありますが、まず常時介護という意味、それはどういうように規定するのであるか伺いたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 これは日常の生活をいたします上におきまして、基本的な事柄について一々手助けを必要とするということでございます。そういう面から見ますと、食事、排便あるいは歩行、また被服の着脱、こういった日常生活の基本的な事項について手助けを必要とするというのが具体的な内容になるかと思いますが、障害の程度で申し上げますと、国民年金法の一級程度あるいは身体障害者福祉法にいう一級、二級の程度でございまして、両手または両足が全く役立たない、あるいは全盲、全ろうというのが身体障害児でございまして、精神薄弱児につきましては知能指数がおおむね三五以下というふうに考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 「内科的疾患に基づく身体の障害を除く。」ということをここにうたいましたのは、これらの子供たちはほかの法律で保護されるということを意味しているのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 ほかの法律で保護される場合もございますが、ここに特別児童扶養手当の対象となりますものは、主として先ほど申し上げました日常生活に介護を要するという面に着目をいたしまして、介護料的な色彩を持つ、そういう点からいたしまして、内科的な疾患と申しますのは医療の対象にはなりますけれども、そういう介護の面では内容が違っているのじゃないか、かように考えるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると、ちょっと伺っておきたいのは、先天性の心臓の奇形等々に基づきますようなものはどうなりますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 これにつきましては、育成医療というのが児童福祉法にございますので、そういう医療の手を加えることによりまして障害を除去あるいは軽減するというようなものは、この対象にならないというように考えております。この対象は、症状の固定した者ということであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いまの医療が受けられます者は、その医療を受ける限りにおきましては育成医療を受けられますけれども、そうでなくて、非常に重度であって、その子供の体力等々からして外科手術が受けられないというようなたぐいの心疾患、たとえば心臓に穴があいているばかりでなしに、ファロー四徴症というような、少なくとも四つぐらいの非常に重い疾患を持っておりまして、手術をすれば死ぬだろうというような可能性の非常に多い子供たち、したがって手術ができない、ある意味では有効な医療ができないというような子供も相当にございます。こういう子供たちに対しては、この扶養手当法は適用できるのかできないのか伺いたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 ここで対象といたしますのは、重度の精神薄弱または身体障害ということでございますので、そういった条件に該当し、かつまた、日常の生活上非常に介護を要するというような状況が必要でございます。そういう面では、現在のところ心臓の育成医療につきまして全部が対象になるということはできないかと思いますけれども、これは医療の手の及ぶ可能性が非常に強いわけでございまして、そういう意味では、現状の法律では対象にならないというふうに考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 しかし、病状が非常に重度であって、たとえば年齢から申しましてもまだ乳児であって、もう少し大きくならなければ手術ができない、治療ができないというような子供も相当ある。その間、外科手術を受ける年齢になりますまでは、うちで大事にしておくよりしようがないということになる。そういう子供は、私は適用すべきであると思う。ときたま、年に何回か医者の診断を受けますけれども、有効な治療ができない。体力、年齢等から最もいい時期でない、こう判断される場合が相当ある。こういう子供たちは、親としましてはずいぶんと骨折って介護しているわけです。当然こういうものは受けるべきだと思いますが、「内科的疾患に基づく身体の障害を除く。」ということを書いてしまいますと、そういう子供たちは何らそういうものを受けられないという形になるわけです。こういう子供たちは、当然それぞれに応じて適用していいと思うのですが、その点いかがですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま長谷川さんの御指摘になりました内科疾患の相当重い、また、介護を要する子供たちに対して適用すべきだというお説は、私ごもっともだと、こう思うのでありますが、実はそういう子供さんたちの実態調査がまだ進んでおりません。十分な把握ができておりません関係で、今回はとりあえず、従来重度精神障害児だけでありましたものを肢体不自由児並びに重症心身障害児に範囲を広げた、こういうことでありまして、今後は、御指摘のような内科疾患の子供さん等につきましても、実態調査をいたしました上で十分検討いたしたい、前向きで検討したい、こう考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 もう一つ伺っておきたいのは、たとえば筋萎縮症などの子供、これは御承知のように今日有効な治療法がない、見つかっておらぬのでありますが、こういう、有効な治療法が見つかっておらぬ、ないというような子供、御承知のように、足がだんだんだめになっちゃって、立てないというような子供が多いわけでありますけれども、有効な治療法がない、こういうような子供に対してはどうなさいますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 筋萎縮症の症状につきましてはいろいろございまして、中には、比較的軽いものだと思いますけれども、肢体不自由施設に入所して手術をして軽減できるという子供もございます。あるいは現在行なっておりますような国立の結核療養所の一部の病棟を使って、入所してもらって治療を加えておるわけでございますが、御指摘のように現在の治療法では必ずしも効果が得られない、こういうような問題がございますので、これは私どものほうでは、症状固定と同じように考えるべきじゃないか、かつまた、身体障害という事例にも該当いたしますので、適用する必要があると考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その点、どうかしっかり確立しておいてもらいたい。治療法のある子はまだしあわせです。治療法が実際にはない、将来はできてくるかもしれぬがいまはないという子供で、しかも内科的疾患に基づくところからくる障害のある子供も相当ある、こういうものに対してもやはり落ちなくこの法の精神というものを生かしていく。これが末端にいくと、なかなかそうはまいりません。こういうふうに法律に「内科的疾患に基づく身体の障害を除く。」と書きますと、どこまでが内科的であってどこまでが外科的であるかわかりませんけれども、末端にいくと、これがなかなかそういうことばでもって適用されないという状態が出てくると思います。ここらの点は、ひとつただいまの御答弁を確立しておいていただくようにお願いをしておきたいのであります。  今回、国が重症児施設を十一カ所つくられるという企画に対しましては、私は、この方面の施策の一大躍進といたしまして非常に歓迎するものであります。ただ、これをやっていくについて、私としましては相当の心配もございます。これは、大臣も御心配になっておる点も多分にあろうかと思います。まず、全国に十一カ所つくられるということでありますが、そのつくられまする場所、収容定員等についてお伺いしたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 国立療養所に付設するものが十カ所と整肢療護園に一カ所、合わせて十一カ所でございます。  その具体的な個所、ベッド数につきましては、北海道の八雲療養所四十床、宮城県の西多賀療養所八十床、秋田県の秋田療養所四十床、新潟県の新潟療養所四十床、栃木県の足利療養所八十床、千葉県の下志津療養所四十床、岐阜県の長良荘四十床、福井県の福井療養所四十床、島根県の松江療養所四十床、香川県の香川療養所四十床、東京都にあります整肢療護園が四十床、合わせて十一カ所、五百二十床でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 これで合わせて五百二十床、大臣は、先日からの当委員会の質疑応答で、五カ年計画で五千床をつくるつもりであるということでございまして、たいへんけっこうだと思いますけれども、介護する者のいる障害児の数は、私の持っている資料では五万一千五百人である。また、いわゆる重度精薄をあわせ持ちます複合障害児が三万三百人、それから介護を要するが、介護する者のない障害児五百人という数字が出ておるのでございます。今回五百二十床つくるについて、介護を要するが介護する者のない障害児五百人という数字が、厚生省の出した多分「厚生」に出ておったと思いますけれども、そういうように書かれておりますが、これは非常に重大な問題だと私は思う。憲法十三条、個人の尊重という線から申しましても、あるいはまた、児童憲章のことばそのままから申しましても、これはたいへんなことだと思うのであります。この介護を要するが、介護する者のない障害児が五百人おる、こういうものは、実に人間としていわば尊重されておらないような生活をしておるのではないかと私は非常に心配をするのであります。これは「すべての児童は、身体が不自由な場合、また、精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。」あるいはまた、「すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。」あるいはまた、「児童は、人として尊ばれる。」「すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。」という児童憲章の定めた精神、これは憲法に従ってということを児童憲章に書いてあるわけです。しかるに、この介護を要するけれども介護する者のいない障害児が五百人おるということでありますが、これは一体どういうような事情にある子供たちであるか、実情がおわかりであったら伺いたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この「介護するもののいない」と書いてございますのは、介護する責任者と申しますか、そういったものがはっきりしていないということだと考えておるわけでございまして、その実情につきましては、特にこの点につきまして調査をさらにやっておるということはございませんので、御指摘によりましてさっそくこの点につきましてもっと明らかにいたしたい、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 これは「厚生」の四月号の五十八ページに書いてあるわけです。「障害児の四五%のものが介護されている。」「介護しているもののいる障害児は、五一、五〇〇人で四四%である。しかし介護を必要としているが、介護するもののいない障害児は、五〇〇人で〇・四%である。」こういうことばがことに書いてあるのであります。私は、十分な施設ができまするまで、こういう介護を要するが、介護する者のいない障害児というもので、重い者があるならば、まずこれを先に入れなければならぬと思うのであります。したがって、この実態というものを明らかにしてもらいたい。まずまずどなたも不幸であり、大臣がこの間から申しておられるように、おかあさんたちの重荷を少しでも取り除いてあげるというその考え方は非常にいいと思いますし、ぜひそのように進めてもらいたいと思います。また、三四%の人々はおかあさんが介護しておる、こういうように出ておりますけれども、これは何と申しましても大きな不幸の中でもまだまだ子供たちにとって道がついている。しかし、介護を要するけれども介護する者がないというものが全国で五百人おるとすれば、まずこの者を、その状況を調べまして優先的に入れる必要がある。それで、これらの五百二十床をおつくりになりますについて、それらの御配慮をしてもらっているのかどうか、また、御配慮をすべきだと思いますが、それについての御意向を承りたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま御指摘のありました、介護を必要とするが介護をする人がいない、こういう一番気の毒な状態に置かれておりますもの、この実態は後ほどさらに詳細な調査をいたして把握したいと思うのでありますが、そういうものは、国立の収容所ができました際におきましては最優先的に施設に収容いたしたい。また、所得の低い家庭、そういう点等も十分考慮いたしまして、国立の収容施設にふさわしい取り扱いをいたしたい、こう考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 この不幸な子供たちを持ったお宅からは、どなたのお子さんでも全部とって、少しでも重荷を軽くしてあげるということをしなければならぬと思いますけれども、いま大臣のおっしゃったような、そういう順序でまず進めていただいて、不幸をより小さくしていくというようにひとつ御尽力を願いたいと思うのであります。  今度のこの国立重障児施設の構想を見てまいりまして、まず第一に、この国立結核療養所を選んだ、あるいは整肢療護園を選んだ、医療法で規定する病院にこの施設をするという構想は、私は非常にいいと思うのです。ただ問題は、これらの企画を成功させる線、最大の要因は人の問題だと思う。この点児童家庭局の翁企画課長の書きましたものを三つ、四つ拝見いたしました。それから国立療養所課の戸田課長補佐のお書きになりましたものも拝見をいたしましたが、両者ともに人の問題ということを非常に強く主張されておる。これは非常に中心を貫いた考え方であると思います。確かにここに働く人を得るか得ないかということが成否の分かるるところでありまして、この問題をわれわれは真剣に考える必要があると思うのであります。先日の本委員会の御答弁の中で、たぶん大臣は、四十人定員のところに介護職員を三十人置くというように言われておったと思うのでありますけれども、そのときに私がちょっと聞き漏らしたのでありますが、その職員の構成はどういうようになさいますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 四十床を単位といたしまして、医師が二人、看護職員十七名、保母、児童指導員四名、理学療法上等三名、その他四名でございます。以上合わせまして三十名でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると、たとえばヘルパー的なものは入らないのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 ヘルパーとおっしゃいますと、よくわからないのでございますが……。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 看護助手のたぐいは……。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 看護職員の十七名と申し上げましたものの中に、看護助手と申しますか、手助けをする人は入っているわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 医師は専任が二名ですか。これは専任になりますか。もし専任であるとすれば、何科と何科の医師が入りますか。

渥美節夫厚生事務官(医務局次長)

○渥美政府委員 国立結核療養所に付設されます施設につきましては、当然院長が管理者でございます。医師でございます。専任といたしまして一名の医師を考えております。これらの医師につきましては、きわめて熱意のある方をお願いしようとしておりますが、診療科目におきましては小児科を常置いたしたい。さらに、非常勤の職員といたしまして、場合によっては整形外科あるいは精神科、こういう診療科目を標榜しておりますところの医師の応援を求めたい、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は、この職員を得ることが相当困難だ、こういうように思うのです。これは今日の国立結核療養所におりまする医師の実態を見てまいりますると、そう言うとたいへん失礼かもしれませんけれども、必ずしも健康な専門の医者がいるとは限らない。むしろ御自分自身が病気をいたしまして、それの療養を兼ねているという人々が相当多いのであります。したがいまして、国立療養所というものが十分な機能を発揮できない。しかも非常に不便なところに大部分ございまして、そうして労働時間を八時間なら八時間、七時間半なら七時間半といたしますと、あとは自分でアルバイトするという人が多いのであります。そうして、国立の医官といたしましての安い給料を埋め合わせるという行き方をしている人が多いのであります。でありますから、いま国立のこの重障児施設をつくりまして、国立療養所には医者がおる、看護婦がおるから、それで横すべりができるかというと、実情はそういうことに簡単にならない。それならば、今度はこれをほかから得るか、ほかの大学や病院から得るか。これは戸田さんが親の会におきまして御講演をなさったのを「両親の集い」という雑誌で拝見したのでありますが、たいへんりっぱ構想を心もって講演なさっていらっしゃいます。そこで、まず医師を得るのに、この施設の付近の大学病院から得るということを言うておられるのでありますけれども、それが簡単にいくかどうかということを私は心配するのであります。つまりこの種の障害児の多くの者は、医学的な興味はあまりないと私は判断する。そこに問題がある。ほんとうに医学的な興味というものが十分持てる種類の障害児であるかどうか。この点、私は、むしろその医学的興味というものはあまり持てない種類であるというように思うのです。でありますから、はたして付近の大学あるいは大病院から来てくれるかどうか。最近の大学の医局の事情というものは、大学の医局自体あまり医者がおらぬ。たとえば最近私がちょっと耳にしているところでありますけれども、新潟大学におきましても、東北大学におきましても、そのほかの大学の医学部におきましても、順次もう中小の病院は合併させる、そうして相当大きな病院でなければ医者を派遣しない、医局の者を派遣しない、さらにその医局の者が行なって勉強になる病院でなければ派遣しない、こういう方針をとってきているのであります。でありますから、中小の病院は、むしろ大学のほうから強制的に合併をさせられるという傾向にいま向かいつつあります。でありますから、はたして簡単にそう戸田さんの言うがごとくにいくかどうか、これは非常な問題だと私は見ておるのであります。大体ただいまお話しになりました十一の国立の施設、これから次々とさらに京都、愛知等にもできていくようでありますけれども、それらのものの施設の近くには全部大学病院があるのかどうか、私はこれは調べておこうと思いましたけれども、調べる余裕がありませんでしたので調べませんでしたが、医科大学が全部あるのかどうか、伺いたい。

渥美節夫厚生事務官(医務局次長)

○渥美政府委員 先生のお話、まことにごもっともでございます。実は重症心身障害児施設を国立療養所に始める一年前に、筋ジストロフィーの子供たちのためのベッドを国立結核療養所に用意したことがございます。その場合におきましても、そういった比較的興味の薄い疾患に対しまする医師の関心というものが薄いということは一応予想しておったのでございます。実は筋ジストロフィーの場合におきましても、近隣の大学の医学部、特に内科系統の先生方の非常な御協力を得てそれが現在は成功している、そういうようなことでございますので、重症心身障害児施設の設置、この十カ所の選定にあたりましても、近隣の大学との提携を十分以上配慮いたしたわけでございます。たとえば下志津の療養所におきましては、筋ジストロフィー以来千葉大の内科のほうから協力を得ておるわけでございますし、また、北海道の八雲療養所におきましても北海道大学からの非常な協力を得ておる、こういうことでございまして、本年この十カ所を選びましたのにあたりましても、近隣の大学の学問を導入する、それの御協力を得るということで十分検討いたしたわけでございます。したがいまして、先生御指摘の十の療養所でございますが、これらはすぐ同じ市内に、あるいはすぐ同じ県に大学があるとは限っておりませんけれども、その療養所自体が、大学の医学部の全面的な協力のもとにこの事業を遂行していくということは十分考えた上でのことでございます。  それから、先生の一番最初の御質問の中にございましたが、おことばを返すようでございますが、国立結核療養所の所長さんが療養をされながら院長のつとめをするとかいうふうなことは、私のほうはございませんので、一応御答弁させていただきます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いや、所長と言ったのではない。医員です。医局のほうにはそれはたくさんにありますよ。まさか所長にはめったにそういう人はないと思いますが、医局の者には多分にありますよ。その点は十分にお考えにならぬと、そう簡単にはまいらぬというふうに存ずるのであります。   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕  それから看護婦でありますが、看護婦としても興味がないです。これはなおる可能性がほとんどない子が多いのですから、したがって看護婦としても全く興味がないと言って差しつかえないと思うのです。  私は、先日来この関係の新聞もいろいろ見ておったのでありますが、幸いにして非常に明るい記事が一つ見つかりました。これは四月二日付の朝日でございますが、「おんもに出たい」という記事の中に、香川療養所及び足利療養所の看護婦さんが非常に意欲的にこれに取り組んできておる、また院長以下医師が非常に意欲的に取り組んでいるという記事がございまして、拝見いたしまして、私はこういうことであればいいがと思ったのです。しかし、おそらくこれは、私の推測では、御承知のように全国の国立療養所というものはだんだん患者が減ってまいります。あきベッドが非常にふえてまいります。いわば斜陽病院という形の傾向が強いのであります。そこへたまたまこういう新しいニュースが入ってきたので、職員たちがこれに非常にいい刺激を受けた。そういうところから看護婦さんたちが非常に意欲的にこれをやろう、こういう気持ちで、すでに島田療育園、びわこ学園等に講習を受けに行っておるということで、非常に意欲的だと書いてございますのでけっこうだと思いますが、しかし、実際に重症心身障害児等を受け入れてまいりましたときに、はたしてそういうものがうまく続いていくかどうか。これは看護婦にとって大きな喜びは、何と申しましても病気がなおっていくということ、あるいは赤ちゃんが生まれてくるというようなこと、そういうことが大きな慰めなのであります。でありますから、いままででも私、あちこちの重障児施設を拝見いたしましていわれておりますことは、看護婦が神経衰弱になって、ついに自殺をする者まであるということであります。それは重症心身障害児になってまいりますと、御承知のように、何をしてあげても全然表情その他に、ことばにももちろん応答がないという形が出てくる。そして御承知のように非常にからだの曲がったような子供が多いのでありますから、重症心身障害児というものにほんとうに直面をしてまいりますと、看護婦のいわば慰め、励ましになるものがないのでありますから、一時的にはこういう傾向ができるといたしましても、これはなかなか容易なことでないと私は思うのであります。島田療育園に二、三年前に参りましたときに、あそこの小林提樹先生が私にこう申しました。そこにアザラシっ子がいるのです。サリドマイドのアザラシっ子がいるわけでございまして、このアザラシっ子をこの重症心身障害児の施設から取り去られては困る、これを取り去られたら看護婦がつぶれてしまいます、この子たちはなるほど腕はないけれども、この子たちが、そのやり切れない看護婦の重度心身障害児の看護の疲れというものを、ただ一つこの子たちが慰めている、この子たちは手はないが、頭がよくて、それで非常にかわいい、いろいろなことをどんどん覚えていく、この子たちがこの中にまじっているので看護婦たちがここで耐えていく、この子たちをこの施設から取り去られては困ります、これはどうしても取り去らないようにしてもらいたい、こういうように小林博士が私に申しました。この事実は、いかにこの事業が看護婦にとっていわば興味のない、あるいは困難な仕事であるかということをはっきり示しておるのであります。でありますから、私はこの看護婦を集めるということ自体、全国にももちろんこういう仕事に献身しようという人々もございますから、最初集まらないということはないだろうと思います。けれども、長くこの看護婦たちがここにとどまって働いてくれるかどうかということについては、私は自分自身が施設を経営してみまして多分に危惧を抱くのであります。これらについて、はたしてそこはどういうお考えでいるか、承りたいのであります。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいまお話がありました看護婦の確保の問題でありますが、この点につきましては私も一番心配をいたし、また、特にこの確保の面につきまして、ただいまから万全の準備を事務当局にしてもらうように強く指示をいたしておるところでございます。国立病院あるいは国立療養所その他の医療機関に働いております看護婦さんの中から、特にこのような特殊な介護に当たるのでありますから、特に深い理解を持った看護婦さんを選びまして、そして島田療育園であるとかあるいは秋津療育園であるとかびわこ学園であるとか、そういう専門の施設でさらに研修等をやりまして、この特殊な仕事に従事する看護婦さんを準備いたしますことにつきまして十分手を尽くしていきたい、このように考えておるわけであります。また、勤務にあたっての環境の改善整備、さらに処遇の問題が裏づけされなければいかぬ、こう考えておるのでありまして、今年度から島田療育園等の民間の施設に対しましても特別の手当を出すようにいたしましたが、国立の施設を設置いたしますにつきまして、ただいま人事院と十分連絡をとり、いろいろ御検討願っておりまして、調整号俸等の処遇の改善ができますように、ただいまからそういう面につきましても十分な配慮を実はいたしておるのであります。公務員である看護婦さんにつきましてそういう処遇の改善ができますれば、民間の施設につきましてもそれに準じて明年度から処遇の改善をいたしたい、こういうぐあいに考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いまのびわこ学園を拝見にまいりましたときに、私はそこで看護婦が神経衰弱になって自殺するという話を岡崎先生から伺った。これは何とかしなければならぬと私自身が深く心に決したのでありますけれども、その看護婦のこととともに、また保母を得るということも、これは決して楽ではない、保母の興味というものはやはり成長であります。また、精薄でありまして教育的な成長の興味のあります者については、保母は非常な使命感に生きられるのであります。もちろん、ここに入ります者がことごとく極度の重度の心身障害児だけではないと思いますけれども、この成長していく教育的な効果があがっていくということが効果をあげない仕事となりますと、保母もまた興味を持ち得なくなってしまうのであります。情熱を持ち得なくなってしまうのであります。また、補助看護婦、いわゆるヘルパーの人たち、この人たちも今日は、いわゆる秋田おばこが島田療育園や秋津療育園に来てくださいまして、非常にありがたいことだと思うのでありますけれども、これまたなかなか容易なことではございません。これだけの施設を広げてまいる、ことに五年間に五千人もの施設をつくってまいるとしますと、容易ならぬことでございます。例のびわこ学園をつくってまいりましたその背景に、近江学園の糸賀一雄君がおるのでございますが、糸賀一雄君は御承知のように非常に熱心なクリスチャンでありまして、私と師を一つにした人でありますけれども、この糸賀一雄先生が滋賀県の公務員をなげうってこの仕事に挺身なさっておる、精薄児の仕事に挺身をなさっておる。そうして長い間の経験から、今度の心身障害児の問題を進めるについて、専門職をつくるべきだということを言うておられるのであります。看護婦にしてしかも保母であり、また心理学その他を相当に詳しく勉強する専門職をつくるべきだということを提唱しておられるのでありますけれども、これらについて厚生省は何らかの計画がありましょうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 私も糸賀先生から、先生の長年の体験を通じた御意見として、そういう御提案を拝聴いたしておるわけであります。特別な、非常に困難な介護に当たる仕事でございますので、そういう専門の職種としての制度的な問題につきましても、今後国立の収容施設をつくりますにあたりまして、今後の研究課題として十分検討を進めたい、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 この仕事を進めてまいりますと、お話によりますれば、二割は児童でない者を入れるということでありますから、いずれにいたしましても、相当思春期以後の人たらもここに入るということになってまいります。ことに、そうなってまいりますと、からだが重くなる等々からいたしまして、入浴とかあるいは清拭とか、あるいはリハビリテーションをするというような点から申しましても、男の看護人が相当要ると私は思う。この男の看護人についてはどうお考えになっているのか。戸田さん及び翁さんの書きましたものを拝見いたしまして、そこに、「看護婦」という次に(人)ということばがたぶんあったかと思いますが、そういうところを見ると、初めからそういうお考えを持っていらっしゃるかと思うのでありますが、これは非常に大事であります。この看護婦の中に男の看護人というものを入れていかないと、これは運営上非常に困ると思うのであります。ドイツの有名なベーテルの町で働いておりまするディアコニッセの人を、私は十三年前に五人ほど来ていただいて、私の施設で働いてもらったり養成をしてもらったりしてまいったのでありますけれども、ドイツの事情を私よく聞きますと、ドイツでは、女の看護婦が、男のおとなの裸になるいろいろな仕事をする、たとえば清拭をするとか、入浴をさせるとか、導尿をさせるとかいうことは絶対しない、日本へ来て、それをさせるのでたまげたと言っておるのであります。この点は、やはり心身障害者にいたしましても、あるいは精薄の人にいたしましても、相当の年齢になりますと、思春期以後の男女の問題はなかなかめんどうなことでありまして、こういうような入浴させたり裸にさせたり、あるいはリハビリテーション、あるいは外科手術等でもそうでありますけれども、するにつきましてはやはり男の看護人、介護人というものがなくてならぬと思うのでありますが、これはどういうような構想でいらっしゃいますか、伺いたいと思います。

渥美節夫厚生事務官(医務局次長)

○渥美政府委員 仰せのとおり、重症心身障害児と重症心身障害者をともに収容する施設と考えております。したがいまして、当然、先ほど御指摘のとおり、相当からだの重い、あるいはそういったおとなとして介護するという必要のあることも予想されるわけでございまして、国立の療養所内に設けられました施設におきましても、資格を持っておりますところの看護人あるいは男子の看護助手、こういった者も採用して、看護要員として働いていただくということは予定してございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そこで、私はこれらの困難を非常に考えてまいりますと、いま厚生省は、人を養成することに相当力を入れなければいかぬと思うのです。そうしていま申しましたような看護婦等でも、これはそう長く働いてもらうということを考えない。どんどん看護婦あるいは看護人をつくって——看護人はともかく、看護婦をつくって、どんどん、たとえば二年くらいなら二年くらいでかわっていってよろしい。ある療養所におきましては、結核のほうの病棟と半年ずつ交代させるということも考えているようでありますけれども、やはりどんどんつくってどんどん交代させていく。この点、いまのヘルパー、補助看護婦の問題ですが、これを小林先生は奉仕制度ということを取り入れて、ある娘さんたちがたとえば一年なら一年そこへ行って奉仕をするという立場、もちろんこれは十分な給与、待遇をすべきでありますけれども、そういうようにしてどんどんかえていく。私、小林先生の非常にえらいと思いますのは、あれだけ人に困っておりまする小林先生が、ここに働いてくれる秋田おばこの娘さんたちは長くおるべきでない、二年以上働いてもらうべきでないということを、あそこの総婦長さん及び小林先生が言っておる。これは実にえらいと思うのですよ。なかなかあれだけ人に困って手をあげてしまっておりますときに、そういうことが考えられるものじゃないのです。しかし、働いてくれる娘さんたちの将来のしあわせということを考えて、ここに長くおるべきでない、せいぜい二年くらいで、あとはその経験を家庭に、社会に生かしていくべきだ、こういうことを言っておられる。このことは、私は非常にりっぱだと思うのです。やはり厚生省としても、そういう立場でこれをおやりになるべきだと思うのであります。したがいまして、人を十分つくるということにいまは非常な努力をすべきだ。ことに五千人もの人を入れることをやろうというならば、いまから養成いたしましても、これは准看をつくりましても二年かかるのでありまして、この前にも私は申し上げたのでありますけれども、いまはそれに十分な手を打つべきときだと思うのであります。もう間もなく中学を卒業してくる子たち、あるいは高等学校を卒業してくる子たちがだんだん減ってくるときがまいります。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 ことし、来年あたりはまだこういう人たちが非常に多いのであります。上級学校に行きかねる、大学に行きかねるというような非常に多人数の進学希望者がおるわけであります。このチャンスを握らなければいかぬ。このチャンスを握って、そうして看護婦の養成、保母の養成あるいは補助看護婦の養成、あるいはまた、医師の養成等々に力を入れるべきだと思う。これはもう私は看護婦の問題をすでに数年間この国会で言うのでありますけれども、どうも——なるほど予算からすれば相当数ふえておりますけれども、その絶対数が少ないのでありますから、これは零を何倍したって零であって、絶対数が少ないものを予算がふえたからといって、いまの需要を満たすものではない。この間ある新聞の記事によりますと、東京都内だけでも七千人看護婦が不足しておる、だから大学病院でも閉じなければならぬものがある、いま国立の小児病院でも看護婦がどうにもならぬということが書いてありましたけれども、この点私は、やはりいま予算が何倍になったということではなしに、その絶対数というものをふやすあらゆる努力をすべきだと思うのであります。幸いにして今年度の、高看及び准看ともに入学希望者は非常に多かった。このときを逃がしてはいかぬと思うのであります。でありますから、この際私は厚生省当局にそれをうんとふやすということを考えてもらいたい。そうしてどんどん循環させていくことをしないと、この事業は失敗するというように思うのであります。それで、きょう大蔵省主計局、来ていらっしゃいますか。——この点大蔵省もぜひ考えてもらいたいと思う。これはもう私、長年国会で言っておるのです。これは世界的に看護婦になる希望者が非常に少ない。それは今日のような享楽時代にあのような責任のある、ことに夜勤を非常にしなければならぬという仕事、それで看護婦の数が非常に足りませんから、いよいよ夜勤がふえる。一月の間にもう十日も十一日も夜勤をする。こうなりますと、看護婦さんたちは大体未婚の人たちでありますが、デートに行くときがないのです。それが少ないから、向こう二カ月なら二カ月きまっておればいいけれども、それが始終変わるわけです。デートに行くときがない、結婚の機会がない、こういうことからいよいよ看護婦になる志望者が少ない。ことしは幸いにして志望者が、一般の世の中が不景気でありますこととあわせて、ベビーブームの影響、いま大学へ入るというのでがちっと壁にぶつかったという事情がありまして非常に多かった。来年はまた多いのです。だから、来年度のに対してはひとつ十分な予算をとってやってもらいたい。そうしないと、こういう重要な問題が解決しない。  それからもう一つ、厚生省、大蔵省にお願いしておきたいことは、後に私は議論をしたいと思うのでありますけれども、今度国公立というものをつくっていくとともに、この仕事の本質上からして、私設のものを相当つくることが非常に大事だというように思うのでありますが、ことに、そうなりますと相関連いたしまして、私設の看護婦の養成所もしくは看護高等学校というものに対する補助が、高等学校のほうは私立学校法によってございますけれども、私設の看護婦養成所にはないのです。今日ないのです。そんなばかなことはないです。かつてあり、今日もこんなに日本の社会が看護婦不足で困っておるのに、たとえば労働省関係の職業訓練所には補助がある。看護高等学校には私立学校法による補助がある。ところが、厚生省がやっておりまする、厚生省の管轄下にありまする看護婦養成所には補助がない。かつてはあったのですが、今日補助がない。こういうことではいけない。ことに、後に議論いたしますけれども、今度のこの事業が国立、公立ではうまくやれないという面が出てくるのです。これはどうしても国にやってもらわなければなりませんが、同時に、それでは理想的なものができないという本質的なものが出てくる。そうなりますと、なおさらそういう面の養成所等があわせて必要になってくるという関連が出てくるわけです。でありますから、いまこそその職員を十分につくりませんと、これはどうにもならないのでありまして、必ず失敗する、間違いなく失敗すると私は思う。すでに、さきに申しましたように、びわこ学園等であれだけのりっぱな施設——これは施設はりっぱですよ。実にりっぱで、世界じゅうどこに出しても恥ずかしくない。そのりっぱな施設を持って、いい環境で、すばらしい自然の中にありますにもかかわらず、逆に職員が少ない。自分がやめればあとどうなりましょう。やめるにやめられず、そうしてもう自分はこの重症心身障害児の仕事に耐え得ない、神経衰弱になっているということでついに自殺するという事件が起こっている。こういう人道的な仕事、国のいわば国民の道徳のレベルというものをはかり得るような人道的な仕事を遂行できない、失敗してしまうかどうかということがそこにかかってまいりますから、この際看護婦の養成のための費用、予算というものを十分とって、もっと絶対数を多くするということ、それから同時にまた、私立の看護婦養成所等に対しても補助金を出すということに方針を変えてもらいたいと思います。これは前にも私は議論しておるのでありますけれども、この点、まず厚生大臣どうでしょうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 看護婦の養成確保の問題は、ただいま御指摘になりましたように非常な不足を告げておる問題でございますので、政府としても国立病院、国立療養所その他公的医療機関をはじめ大学等の病院におきましても、できるだけこの看護婦の養成機関を活用いたしまして、その養成確保に努力をいたしておるところでございます。ただいまのところ、二十一万人程度の看護婦が第一線で働いておると思うのでありますが、なお四万人前後の不足をしておるのであります。最近は看護婦の養成事業もだいぶ各方面の御協力で軌道に乗ってまいっておるのでありますが、二万人ほど年々養成され、資格を得ておるのでありますけれども、そのうら一万人程度の者が、今度は結婚その他の家庭事情等で職場から離れていくというようなことで、実際にネットでふえておりますのは一方人程度、こういうことに相なっておるのであります。今後昭和四十五年ごろまでに百万床以上の病院のベッドができる予定になっておりますので、そうなってまいりますと、ますますこの看護婦の養成ということが大切であるのであります。そういう関係からいたしまして、今後看護婦の養成の仕事につきましては、各方面の御協力を得ましてさらに努力を重ねたい、かように考えておるわけであります。  民間の養成機関に対します補助につきましては、いろいろ過去におきましても問題がございまして、なお慎重に検討を要する点があるわけであります。この点につきましては、大蔵当局とも相談をしながら十分検討してみたい、かように考えております。  なお、先ほどお話がありました重症心身障害児の収容施設に看護婦さんが長く、二年以上勤務することはいろいろな事情からいって困難であるということは、小林先生からも御指摘がされておるところであります。したがいまして、この看護要員を大量に養成確保して、そうしてどんどん交流をしていくというような必要につきましては、私どももその点を十分認めておるところでございます。そこで、医者の問題から看護婦、保母あるいはその他リハビリテーション等に従事をいたします看護要員の養成確保の問題につきましては、厚生省の中に、児童局、医務局あるいは社会局等の幹部で今度の収容施設の開設のための準備委員会をつくりまして、その開設の準備を進めておるのでありますが、この準備委員会で今後の看護要員の養成確保の問題あるいは研修、再訓練の問題、そういう問題につきましても十分計画を立てまして、ただいま御指摘になりました問題等につきまして御要請に沿うように最善を尽くしたい、こう考えております。   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今回国がこういう施設をつくっていく、あるいはコロニーをつくっていくということ、国が責任を持ってやっていくということは、私は非常な進歩であると思いますし、また、憲法の立場からいたしましても当然なことであると思うのであります。むしろおそきに失したということであります。しかし同時に、国立もしくは公立でこういう収容保護施設をつくってまいりますにつきまして、一つの仕事の本質上の問題があるのであります。この点は、先般も翁さんのお書きになった「心身障害児の村」というのを読みました。そこに、やはりドイツのベーテルの話やその他が出ておるのでありますが、私も十年ほど前にこのベーテルを視察したのであります。そして非常に感激をしたのでありますが、ベーテルが非常な成功をしているというのには、先ほど来申しましたような本質的なものがそこにあるのであります。つまり、これらの仕事——これは国内の仕事でもそうでありますけれども、全部は存じませんが、私の見た限りにおきましては、御承知のように、非常に熱心なキリスト教の人たちが奉仕しているのでありまして、本質的に宗教的なものがないとこれはできないのであります。先ほど来申し上げておりますように、ある意味では非常に興味のない、医学的にも、あるいは看護婦としましても、保母としても興味のない仕事であります。ただ一つ、宗教的な立場に立ちますと、これは大きな意味を持ってくるのであります。かつて戦前、まだらいがなおらないとき、私はよくらい病院に参りました。らい病院に参りまして、腐り果てた、うみだらけのらい患者に会いましたその場合に、その中ではつらつとした輝いた顔をしている諸君がある。その諸君と私はよく話しました。そうしますと、そのらい患者の諸君はこう言うのです。いま自分のからだはこんなに腐っている。なおる目当ては全然ない。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、やがてキリストが再臨したら、復活するときにはこのからだが天使のように変わるんだ、復活するんだ、その日を待ち望んで自分たちは喜んで生きているのだということを言われまして、私もそういう立場でいつも慰めてまいったのでありますけれども、先ごろやはり重症心身障害児を守る親の会が発足をいたしますときに、おかあさんがよく国会のほうへ心身障害児を連れて陳情に来られました。私は、自分の会館の事務所を利用なさってどうぞ国会の陳情をやってくださいと言って、私の部屋にその子たちを置いておかあさんたちが動いたりしたことがあったのでありますが、そのときに私はこのらい病院の話をした。だから、あなた方のお子さんたちはいまあるいは生涯なおらないでしょう、しかし、大事にしなければいけません、神さまがおつくりになったお子さんです、神さまがお与えになった命だから、大事にしなければいけない、いまはなおらないかもしれない、いまは皆さんは重いと思っているかもしれないけれども、しかし、らい病院で言われたと同じように、やがてキリストが再臨なさる場合には、皆さんのお子さんは天使のごとくなおるんだからと言いましたところが、おかあさんたちは、こんなに慰められたことはない、こう言って涙をこぼして帰っていかれました。  こういう成長することもなければ、なおることもないという、いわば絶望的な子たら、その子たちに、親でもなければ何でもない人々がほんとうにこれを大事にしていくということ、それができるのはやはり宗教的な動機からであります。ベーテルに参りまして、脳水腫のあの夕顔の炭かごの大きな頭のような者がいる、あるいは小頭児の、あるいは脳のないような子供がいる。もう二十五年間も寝たきりで、毎日食事も自分でとる意思がなくて、食事をスプーンで押え込んで入れてあげるというようなおとながいる。そういういろいろなたぐいの人たちをそのディアコニッセの人たちが天使のように大事にしている姿、それはやはりディアコニッセの人たちの宗教的な使命感、献身の精神がそれを成り立たせているわけです。私はここを見てほんとうにりっぱだと思いました。そういうような立場が出てまいりませんと、この仕事がうまくいかない。問題は、国立になった場合、公立になった場合、それが政教分離、信教の自由を憲法のたてまえといたしますものにおいてその可能の道があるかどうか、可能の道がありとすればどうしてそれを実現していくか、そこに厚生省当局の非常な苦心が要ると思うのでありますけれども、これらについてはどういうお考えを持っているか。これは決して単なる役人や公務員という立場でもってできる仕事ではない。どうしてもそこに宗教的な立場が要る。だから、島田療育園あるいはびわこ学園にしても、近江学園にしても、みさかえの園にしましても、みんなそういう立場です。これらの人々は、その介護していくというそれ自体の中に、むしろ神よりの使命、召命というものを感じて、そこに愛のわざに従っていくわけです。だから、これが国立でなければならぬと同時に、国立ではいきかねる困難な問題、しかも本質的な問題がここにある。かつて小林元厚生大臣は、これらの問題が出たときに、いまとなっては宗教団体に頼むよりほかに道はありませんということを、いま大臣のおすわりになっている席で言われたことがある。ただ国立になった場合に、その間のやり方をどう持っていくか、これが憲法との問題があって、非常に困難な問題が出てくると思うのでありますが、これらについては、本質的に事業自体はそういう困難な仕事である、そういう立場でなければうまくいかないという仕事でありますが、それをどうなさるか、そこらのことについての構想を承りたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま長谷川さんがお話しになりました点は、非常に重要な点であり、また、今後運営にあたって一番むずかしい問題であろう、こう思うわけであります。今日まで民間の島田療育園にいたしましても、あるいはびわこ学園にいたしましても、そういう宗教的な信念、情熱を持たれた園長さんがおられて、そして初めてこういう仕事がりっぱに経営ができておる。こういうこと等からいたしまして、ただ施設をつくり、医者や看護婦を配置して、それだけで十分この施設をつくった目的、成果がおさめられるかどうか、そういう点につきましては、私どももただいまからその点を非常に心配をいたしておるのでありますが、先ほど来申し上げますように、この十一カ所の国立の療養所を選びます際におきまして、病院長、施設長とも十分話し合いをいたしまして、そしてこの仕事に理解と熱意を持って当たってくれる院長さん、あるいは療養所長さんがおられるところを選んだのも、実はそういう考え方に基づくわけであります。また、看護婦さんその他の面におきましても、今後びわこ学園であるとか、あるいは島田療育園であるとか、そういうところで研修をしてもらいまして、十分そういう雰囲気の中で自分の使命感というものを体得していただいて、そしてそこに勤務するようにいたしたい、このように考えておるわけであります。また、国立のこういう施設は、今後五カ年計画で五千人程度の子供さんを収容する施設をつくるわけでありますけれども、私は、これで十分この収容を要する子供さんたちの要求にこたえるとは考えてはおりません。むしろ国立の施設をつくることが各方面の理解、またこれが刺激になりまして、民間でこういうような施設がたくさん続々と生まれてくることを実は期待をしておる。全部を国立でやろう、あるいは公立でやろう、こう考えておりません。私は、あとに続く民間の方々の善意、御協力というものを実は期待をいたしておる、こういう考えでおるわけであります。また、モデル的につくりますところの国立身障者の村、 コロニーの建設は、大部分国の力でいたしますけれども、また民間の財政的な御協力も得たいと考えておりますし、運営にあたりましては特殊法人をつくって、そして民間の方々のそういう熱意、善意、御協力によって運営をしていきたい。役所の行政事務のようなことでこういう運営がやっていけないであろうことは、私どもも十分承知をいたしておるのでありまして、運営にあたりましては、いま御指摘になりました点を十分考えながら適正な運営ができまするように努力を払いたい、こう考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 国立でやってまいりまするのに、やはり一つの参考になりますのはらい療養所です。らい療養所の中には、国立でありますけれども、また民間からいろいろな慰めに行ったり、あるいはまた、教会堂を寄付さしてつくらして、そこで集まりをさしたりいろいろなことをやっております。この問題はなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、やはり少なくとも職員が宗教的な情操というものを涵養し得るような機会を積極的につくっていくという立場をお考えになる必要がある。その一方、もう一つ国立で私が非常に心配になりますのは、権利義務の中に持ち込んではいかぬということです。権利義務の関係に持ち込まないように、あらゆる努力を今後も運営でしてもらいたいということですね。これは御承知のように、国立結核療養所には患者自治会がございます。また、職員はほとんど全部が全医労に入っています。ここは最も強い権利義務を主張する場でございまして、もし今度考えられておりまするこの非常にいい企画が、権利義務という立場を前面に押し出して関係者が、言いかえれば、働く者も、あるいは収容いたしまするほうの当局も、あるいはまた、収容されまする者の肉親、親たらも、権利義務という関係でこれを処理していくような傾向が出てまいりますと必ず失敗いたします。これは困難な仕事であればあるほど、看護婦たちの士気を阻喪させる最も大きな要因になるかもしれないと思うのは、やはり保護者たちの権利の強い主張ということではないかということを私は心配いたします。いずれにしても、全医労あるいは患者自治会というものがすでにあって、国立結核療養所というものは、そういう権利義務関係が非常に強く出ておりますのが事実であります。それを国立結核療養所の中につくるという立場から、したがって同じような立場でこれを処理してまいりますと、この仕事はできなくなってしまうという心配を私はしているのであります。これは私が社会党の代議士として言うと少し変に聞こえるかもしれませんが、私は長い間施設を経営してまいりました、また、自分自身がその中に飛び込んでおります経験からして、実験からしてそれを言うのです。何としてでも看護婦たち、従業員たらの士気を阻喪させないくめんをしなければならぬ。それにはよほどそういう関係をしっかりやっていかなければならぬ。従業員たちを、今度は権利の主張という線からもっと本質的な愛情の深い方式に変えていくということをするためには、それはこの施設を経営します国がそれらの人々の待遇、労働条件というものを他の施設におるよりも少なくともよりよくしていくという努力がありませんと、権利義務の関係が前面に出てくるのをとめることはできません。いわゆる奉仕ということばをもって待遇の悪いのをごまかしてきたというようなかっての社会福祉施設のあり方というもの、そういう前時代的な労働関係というものを奉仕ということばでごまかしてきたというよろな行き方がもしここで少しでもなされますれば、これは必ずや権利義務という関係が前面に出てきてしまう。働く人がそれを強く出してまいりますれば、必ずこれまた収容保護しておりますその肉親の人たちのほうから出てくる。そこでこの事業は崩壊するというように思うのであります。でありますから、ここで私はきょう人事院の方にもおいでいただきましたのは、この働きます職員の給与の関係を、結核療養所におきましては、御承知のように特別の調整手当が出ておるはずでありますから、少なくともそれに負けないだけのものをつけないと、そういう関係が給与の面では出てこない。また、働く人の問題につきましては、先ほど申しましたように、ここに働く人々が疲れないようにするために、いまの四十人に対して三十人の介護職員がいるというだけでは足りない。なぜ足りないかというと、看護婦等につきましては三交代にせざるを得ないからであります。でありますから、四十人に対して先ほどお話しの十七人おるというとたいへんにいいようでありますけれども、御承知のように祭日、休日がある。有給休暇がある。さらに三交代である。これは私も特別養護老人ホームを経営しておりますけれども、ひどい人は一日に三十回もおむつを取りかえる。一日三十回おむつを取りかえるということになりますと、どれだけの職員が必要か。今日私が経営しております重度特別養護老人ホームでは、ひどい人は一日三十回おむつをかえる。でありますから、十七人の介護職員がおるというと非常にいいように見えますけれども、これは三交代であり、しかも休日があり、祭日があり、有給休暇があり、というものを考えてまいりますと、決してこれで十分とは言えない。どうしても一対一くらいの職員がいるという形になりませんと、これは十分なことはできないのでありますから、厚生省当局としては、その人を用意するという努力をしてもらいたい。また、それだけの配慮をしていく。また、人事院におきましては、次の勧告時に必ずこれを入れていただきたいと思いますが、これらの点について、厚生省からもお話がすでにあるようでありますけれども、人事院ではどういうお考えでおりましょうか。この事業を、少なくとも人事院では、島田療育園あるいはびわこ学園等をごらんいただいて、そしてこの仕事がどんなに困難な仕事であるかを御配慮をいただいて、そして次の人事院の勧告でこの問題を考慮してもらいたいと思うのでありますけれども、きょうは総裁がおいでになりませんようで、給与局長ですか、お見えになっているようでありますが、この点御配慮いただきたいが、どうでありましょうか。

佐藤正典人事官

○佐藤(正)政府委員 お答えいたします。  明年の一月から、国の結核療養所の十カ所につきまして、ベッド数四百八十床でありますか、重症身体障害児の療育に充てるということは、私ども心得ております。このことにつきまして、これらに従事いたします職員全般にわたりまして、お説のようにやはり特別の考慮が必要じゃないかと思うのでございますが、これは、ただいまもお話がございました結核療養所などの他の職員との均衡その他を見まして、調整その他をとって適正にきめたいと存じております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ありがとうございます。ぜひその点を考えてもらいたい。この事業が成功するかせぬかということは、やはりそこに大きくかかります。でありますから、その点をぜひひとつ十分に考えていただきたいのであります。また、大蔵省のほうでも、こういう人たちの給与、待遇等につきましては、ぜひ十分に考えていただきたいと思うのであります。  それからもう一つ、国立でやっていくについて私一つの心配がありますのは、主管局の問題であります。医務局、社会局、児童家庭局で、三局の懇談会をつくってやっていくということでありますが、これは非常にいいようでありますけれども、同時にまた、予算の獲得等の場合に、他にもたくさん予算をもらわなければならぬ点がありますので、互いになすり合いになってしまうというようなおそれがないか。また、これを進めていくについてのほんとうの責任の所在というものが、なすり合いになって、なくなってくるおそれはないか。少なくともいま直ちにはよいでありましょうが、将来においてはそういう傾向はないかということを非常に心配するのであります。これらの点の調整というものはどういうようにやっていくつもりか、また、三局が懇談会をつくってやっていくといっても、そのうちのどこが一番中心的な存在になるのか、これらの点について、大臣としてお考えがすでにあるのだろうと思いますけれども、伺いたいと思います。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この重症心身障害児の対策、また、収容施設の運営につきましての問題でありますが、これは先ほども申し上げましたように、事務次官を長とするところの開設のための準備委員会を設置をいたしまして、厚生省の重点施策としてこれを取り上げまして、児童局、社会局、医務局、この三局の十分緊密な連携のもとに総合的な施策を進めてまいる、こういう方針でただいまやっておるわけでありますが、この療育、医療、そういう面につきましては、どうしてもこれは医務局が所管をし、指導せなければいかぬ、こう考えております。その他の面につきましては、児童局が中心になりまして、在宅の指導から収容施設の療育の面等は児童局が中心になってやってまいる。収容施設の運営あるいは管理、医療の面は医務局がやる、こういうことで、その間の調整は、いま申し上げたように事務次官が中心になりまして、十分手落ちのないようにやってまいる考えでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その点は、どうかひとつしっかりやってもらいたい。そうしないと、とかく三局でやってまいりますと責任のなすり合いということになってしまって、せっかく発足しましても、あとどうしようもないということになっては困ります。予算の獲得その他の問題もありましょうから、この点は、ひとつ大臣の立場で、これをどういうように持っていくかについては十分な今後とも御配慮を願いたいし、いまの大臣がおかわりになっても、その配慮が行なわれるような組織をつくってもらいたいというように思うのであります。  それから、こういう施設をつくるについて、こういう子供たちを持っております親たちの最大の願いは、いままで児童福祉法によって制限を受けております十八歳あるいは二十歳というものをこしても、こういう施設に置いてもらいたいということが親たちの最大の願いであります。これは重症心身障害児を守る親の会の会長の北浦さんの奥さんで、理事をしておる北浦雅子さんの「悲しみと愛と救いと」という「重症心身障害児を持つ母の記録」というのでございますが、その中にたくさん出てくるのです。そして、もし十八歳をこえたら置いてくれないという制度が変わらなければ将来非常にたいへんだということ、またこの間、島田療育園が国からの補助をもらうことになったために、十八歳をこえたら児童福祉法による年齢制限ということが出てきて、その子供たちを出さなければならなくなるということになったというので、「十八歳を超えた重障者をもつお母さん方は途方に暮れました。「わたくしは、わたくしが死ぬときには、この子の首をしめていっしょに連れてまいります」」。こういう、お母さんたちが非常な嘆きを持っておるということが方々に出てまいります。「わたくしは、あいかわらず無心の笑顔を見せてくれるヒサ坊に頬ずりしながら、いいました。「ヒサ坊はやっぱりお母ちゃまといっしょに、どこまでもゆくんですよ……」」。こういうようなことになるならば、自分は死ぬときには子供を殺していかなければならぬということ——これはこの委員の中にもお出になった方がたくさんあると思いますが、この重症心身障害児を守る親の会の総会のときに、出てくるお母さん、出てくるお母さん、みんなそれを言った。私が死んだらこの子はどうなるでしょう、私が死ぬときにはこの子を殺して一緒にいかなければならぬということをみんなが言って泣いたのであります。でありますから、みんなそういうことで苦しみ、悩んでいるのです。こういうようなことも書いてあります。「しかし、わたくしたちの死後、ヒサ坊は一体どうなるのでしょうか——。ヒサ坊が一生安心してすごせるような施設が、ぜひ必要になってまいります。全国には、わたくしたちと同じ気持ちの両親が、たくさんいらっしゃり、「この子をのこしては死ねない、いっそ死ぬときはいっしょに」と悲壮な決意をしているのです。」こういうのが、重症身心障害児をかかえておりますおかあさんたちのみんなの考え方です。「ヒサ坊の病気が不治のものだと知らされたときに、わたくしはそれが既定のことででもあるかのように・死ぬ決心をしていたのでした。このさき、ヒサ坊は生きている限り苦しまなければなりません。そうしてそれをいやおうなく見ていなければならない家族。わたくしといっしょにヒサ坊がたったいま死んでしまえば、そのような苦しみはしなくてすむ。線路のキラキラした光りがわたくしの目の前に近づいていました。ポーッと汽笛の音がしました。その音に呼びさまされるようにわたくしは、あらためて長男のことを思い出していました。(わたくしがいなくなったら隆はどうなるだろうか……)」こういうようにおかあさんたちは、みんなそれを心配してきたわけです。今度のコロニーの構想があってこういうおかあさんの大きな慰めが出てくるわけでありますけれども、しかし同時に、今度つくってまいります施設、これはさきにも話がありましたように、おとなの人も二割は入れていくんだというお話がありますので、ぜひやってもらいたいと思うのでありますが、同時に、今日ある島田療育園その他の施設も、当然私は同じ扱いをすべきだと思うのです。このような点はどのようになさろうと思っていますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 十八歳で取り扱いが違うということが、いろいろこの気の毒な子供さん方の療育の問題の上で大きな支障になっておりますことは、私どもも十分承知をいたしております。そこで、まず行政の面からこれを改善する必要があるということで、とりあえず、厚生省におきましては、従来十八歳未満が児童家庭局、十九歳以上が社会局、こういう所管になっておりましたものを、児童家庭局に行政を一元化するということにいたしました。このことは、各都道府県におきましても、厚生省の行政の改革に準じた扱いをしていただきまして窓口を一本化していただきたい、こういう指導を実はいたしておるのであります。また、ただいま児童福祉審議会その他関係審議会に諮問をいたしまして、今後はこれを一本化してまいる、そういう方向で御審議を願っておるのでありまして、その答申を待って制度全般について一本化の線で改善を加えたい、かように考えておる次第であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると、大臣の御意思としては制度全体を変えていかなければならぬ。しかし、改正までの間は、島田療育園その他等につきましては特別の措置をする、こういうように考えてよろしいのですか。そういうことならば、おかあさんたちは非常に喜ぶと思うのでありますが、その点をこの際、制度のほうはやはり心配しておりますから、ここでいわば御意思を、今後の措置をこうするということを国民におっしゃるつもりでひとつ発言していただきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 国立の収容施設につきましても十九歳以上の者も収容する、こういう方針でおりますので、民間の島田療育園等の運営に対しましてもこれに準じてやっていただく、また、そういう方面につきましては、運営費その他国としてもめんどうを見てまいる方針でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ありがとうございました。全国のおかあさんたち及び全国の重症心身障害児の施設をいわば代表してそのおことばを承りまして、厚くお礼を申し上げる次第です。  それから、国立療養所の中につくっていく上について、もう一つ、二つ心配があるのです。それは、全国の国立療養所を見てまいりますと木造が非常に多い。戦前の建物が非常に多い。そこで私は、よくあっちこっち参りまして心配になりますのは、火事があったらどうするだろうかということをよく心配するのです。そして、ことに国立療養所は山とか林の中にあるのが多い。そこでこの子供たちを入れるのに、まず入れものはぜひ鉄筋コンクリートでやってもらいたい。ブロックでやってもらいたくない。ブロックは、建設省の建築研究所ですか何ですか、一生懸命研究はしているようでありますが、私は関東震災のときに東京におったものでありますけれども、そのときの事情を見てブロックに対しては信用しないのです。ことにこの下請、下請に工事をさせますと、必ずしも建設省の規格どおりに行なっているとは言えません。この子供を収容する施設はぜひ鉄筋コンクリートでやってもらいたい。  それからもう一つは、鉄筋コンクリートでやってもその土地の地理を考えて、既設の木造の建物の風下になるところにつくらないようにしてもらいたい。それは私の地方は非常に西風がひどく吹くところでありますが、大体全国、かかあ天下と西風ということばがあっちこっちにあるのでありますけれども、そういうところで風下につくったらたいへんなことになりますから、その点を配慮してもらいたい。  もう一つは、それじゃ風上にあるにしても、山火事ということが心配なところでは、周囲に十分あき地をとってもらいたい。つまり松山等があって山火事が起こったりするようなことのないようにしてもらいたい。最初子供たちは四十名でありましょうが、それぞれだんだん子供や施設が多くなってまいりましょう。そうすると、もし非常災害のときにこれを連れ出すことは容易なことでありません。でありますから、そういう配慮をしてもらいたいと思うのであります。それらについていかがでありますか。

渥美節夫厚生事務官(医務局次長)

○渥美政府委員 ただいまの建設にあたりましての先生の御注意等、どうもありがとうございました。この国立療養所におきます四百八十床の整備に関連いたしまして、三億六千六百万円の予算が計上されておるのであります。お話しのとおり、当然耐震、耐火構造、鉄筋でつくるわけでございます。もちろん、消防法の諸規定は当然順守するわけでありますが、それだけにとどまりませんで、そういった子供たちの特殊性にかんがみまして、火災報知装置でございますとか、あるいはまた、不燃材による内装を十分施す、あるいはまた、避難のための出口なども十分配慮いたしまして建設に着手したい、目下各十カ所のそういった土地その他につきまして検討を重ねておりまして、間もなく着手いたしたい、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 事務費、措置費等については、最近だいぶん改善せられまして、大体四万円程度一人について出てくるようになったことは非常に大きな改善であります。かつて、先ほどの島田療育園に参りましたときに、どうしても一人四万円以上かかるけれども、国のほうからいろいろ尽力してもらっても、今日の段階では二万円ぐらいしかどうしてもならぬ。したがってやれないという話がかつてございました。私もまたそれを非常に心配して、実は今度の法律が出てくることを予想しましたときに、この問題だけはどうしても解決しなければならない、こう思っておりましたところが、最近改善されましたようでございまして、非常に小林先生も喜んでおられるようでございますが、これだけは、やはりこの大きな意義のある仕事をするのでありますから、どうかそれらのことについて心配をさせないでもらいたい。せっかく生涯をささげていく人々のために心配をさせないでもらいたい。ドイツでも、あるいはアメリカでも日本の税制と違いまして、これらに対する寄付金等につきましては、これはたとえばアメリカでは相続税でもこういう施設に寄付してもよろしい。税金を納めるかわりに、その税金に該当するものをこういうような施設に寄付してもよろしいという税制がアメリカにはあるのであります。また、ドイツでも国のほうから相当な金が宗教的な——あそこはルーテル教会が国教でございますために、ルーテル教会関係の牧師その他の費用というのは、国が月給を出すのであります。同時にまた、一般にキリスト教の精神が非常に徹底しておりますから、寄付金が非常に多いのであります。ベーテルに参りましても非常にたくさん視察に来る人たちがありますし、その人々がみんな寄付をしてまいります。そういうことが非常に徹底しておりますからよろしいのでございますが、日本ではどうしてもそういうことができません。ここで一つ考えてもらわなければならぬことは、やはり税制の改革をひとつしてもらわなければならぬ。きょうは主計局のほうで来ていただいたわけでありますが、この点はぜひ、一方におきましては私設のもの等におきましては、建設費等に対しても、昨日滝井議員が非常に追及しましたような、年金の積み立て金というようなたぐいのものを出す道を考えてもらいたい。年金福祉事業団等から出す道をどんどん進めてもらいたいし、同時にまた、今度は自己資金を何とかそれで間に合わせるといっても、返済しなければならない。一番望ましいことは、こういう仕事は金もうけになる仕事ではないのでありますから、税制を改革していただいて、こういうものに対する寄付というものについては特別な免税をしてもらう。今日も法人税におきましてはわずかなことはされておりますけれども、法人でなくても、個人でもこういうものに対する寄付というものは、免税措置をするというふうにしてもらいたいと思うのであります。主税局長でなくてたいへん恐縮でございますが、大蔵省のほうでもぜひそういう点を大臣のほうにお伝えを願いたいのであります。そうしませんと、こういう仕事は、先ほど申しましたように国立ではいろいろの問題が出てまいります。ことに宗教的な問題になりますと、うまくまいりません。これをなし得るのは私設であります。だから、私設に対する建設費の助成あるいは融資とともに、それに対する寄付金を十分集められる体制をとらしてもらいたい。今日共同募金では、これはたくさんの施設に分けますために知れております。ところが、まとまったこういうものを私設でつくろうとすると、容易ならぬ金が要るわけであります。でありますから、そういう税制の改革についても大蔵省、ひとつ今後考えてもらいたい。それから厚生省のほうでも、その点を大蔵大臣のほうと十分交渉をしてもらいたい。そうしないと、これが本質的に言って宗教的な仕事でなければうまくいかないにかかわらず、私設のものができないという事情になり、小林さんその他におきましても非常な苦労をしてやってきているわけでありまして、骨を削り、身を削るというような思いをして経営をしているのであります。でありますから、それらの点について十分に御尽力を願いたいと思うのでありますが、これに対する大臣の御意思を伺いたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 近年こういう重症心身障害児対策その他社会福祉の事業に対しまして、各方面の御理解が相当高まってまいっております。重症心身障害児の問題につきましては、あゆみの箱の運動をはじめ、各方面で非常な御協力が得られるようになっておるのであります。そこで、いまお話がありましたところの、そういう国民の善意を集め、御協力を得るために税制上の特別な配慮が必要であるということを、私どもも痛切に感じておるのであります。大蔵省でもいろいろお考えをいただいておりますが、今後さらに一そうこういう面につきまして特別な配慮をしてもらうように、大蔵当局とも十分協議をいたしていきたい、こう考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 どうかひとつ、そういう意味で教育訓練とリハビリテーション、医療というものの総合性を重視して設備をつくっていただきたいということをお願いして、一応午前の質問をこれで終わります。      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 この際、おはかりいたします。  理事松山千惠子君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、その選任は委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、小沢辰男君を理事に指名いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午後雰時十六分休憩      ————◇—————    午後一時十二分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国民年金法の一部を改正する法律案について、昨日留保しておった分について大蔵大臣においでいただいて質問をするわけですが、非常に時間が制限をされて三十分くらいしかやれないわけです。国会審議というのは、お互いにフェアプレーで与野党がそれぞれの論議を戦わせる場合だと心得ております。したがって大蔵大臣、できるだけ、大事な財政投融資の金を拠出をしておる厚生省所管の法案ですから、ひとつどしどしこれから出ていただきたいと思います。  まず、第一にお尋ねをいたしたいのは、すでに大蔵大臣御存じのように、長期の所得を保障する共済組合、国家公務員の共済組合、それから厚生年金でいまこの国会で審議をしている農林漁業団体職員共済組合、それから私立学校職員共済組合、こういうようなものは全部、御存じのとおり国庫負担の引き上げをやったわけです。長期の所得保障についての国庫負担の引き上げをやったわけです。ところが、いま当社会労働委員会で審議をいたしております国民年金の保険料は上げるけれども、国庫負担を増額をいたしていないわけです。この理由は一体いかなる理論的な根拠に基づいて上げないのか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 御承知のように、国民年金につきましてはその対象が零細だ、こういうようなことから、前々から高率の国庫負担をいたしておるわけであります。三分の一、こういう高率の補助になっておるわけであります。厚生年金につきましては昨年一五%が二〇%に、また私学、農林は今度一%上げて一六%というようなことになったのですが、それはそれぞれの財政事情と年金や共済組合の財政事情とを考慮いたしまして引き上げをした。しかし、かねがね高率になっておる国民年金につきましてはこれを動かす必要はない、こういう見解のもとにただいま御審議をお願いしておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それでは理由にならないわけで、給付費に対して三分の一の補助をしているというけれども、たとえば額にしてみたら百円かそこらしかしてないわけです。他のものは、たとえば国家公務員の共済組合のごときは五百円以上しているんですよ。五分の一そこそこです。しかもそういう高いものをしておったものは一割から一割五分に引き上げるとか、あるいは厚生年金は一割五分を二割に引き上げたわけですよ。予算措置でも、今度は予算措置したものを法律にしてもらいました。農林年金にしても私学年金にしても、これは一割五分を一割六分に引き上げておる。一番零細な、一番貧しい層の多い農民、中小企業を対象とするこの国庫負担を上げないというのは、他のものを上げておって上げないという理屈は、いまのような理屈は成り立たぬですよ。もう少し明確な、国民にわかりやすい説明をしてもらわなければいかぬです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今度国民年金につきましては内容のいろいろな改正をしております。しかし、改正後の国民年金会計の状況を見ますと、いままでの完全積み立て方式だと問題があるのですが、今度修正積み立て方式に変えよう、こういうふうにしておるのです。そうしますと大体ただいま予定しておる給付はやっていける、こういうことになりますので、三分の一、いままですでに高いこれを据え置いていく、かような見解でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはかってに修正積み立て方式におやりになるので、初めの約束は、完全積み立てでいくという約束なんです。財政が困ったからといってあなた方がかってにおやりになっておるわけでしょう。国民年金審議会等の意見をごらんになると、まず、この国民年金の被保険者の負担能力というのが他の年金に比べて非常に低い、しかも事業主の負担がない、それから同時に、経過的に老齢年金の給付の額が小ないのでこれを引き上げなければならぬ、それから整理資源というものの処理もやらなければならぬ、だから、国庫負担というものは相当大幅にやらなければいかぬというのが国民年金審議会の意見なんです。しかもそれを受けて厚生省は、予算要求では保険料と同額のものを要求したはずなんですよ。ところが、それをあなたのほうはばっさり切っている。他のものを上げなければいいのですけれども、他のものはみな上げておるのですよ。これだけ上げないという理由が一体どこにあるのかということですよ。これは、福田さんも代議士になるのには農民、中小企業者の票をもらっておるはずです。いわばあなたの恩人ですよ。あなたの選挙の基盤なんだ。そういうところにきわめて冷酷だというのは、私はこれは政治が間違っておると言うのです。いまのような答弁では国民は納得しないです。他のものをみな上げてなければ、私はこんなことを言わない。他のものを全部上げておるのですよ。上げていないものが何かありますか。長期の年金の中で、国民年金以外に他はみな上げておるのです。国庫負担は上げておるのです。これだけは上げてない。何かありますか。

岩尾一大蔵事務官(主計局次長)

○岩尾政府委員 ただいまのお話でございますが、厚生年金は去年引き上げたわけであります。今年上げておりますのは農林、私学の共済でございまして、一般の公務員共済は、これは全然いじっておりません。  それから補足いたしますが、先生おっしゃいます各年金共済について国庫負担を上げておる理由は、それぞれみな違うわけでございます。厚生年金につきましては、先生方が去年御議論いただきまして、実際の一人当たりの実額の給付についての国庫負担額を比べると厚生年金は低いじゃないかという御議論がございまして、共済の一五%の国庫負担率というものを基礎に考えても厚年のほうは少し気の毒じゃないかという議論で、二〇に上げたわけです。それから本年いじりまして一五から一六%に農林、私学を上げましたけれども、この上げました理由は、ちょうど、たとえば公務員共済の場合になりますと恩給等は最終俸給でいきますので、旧法期間分についての扱いが農林、私学は一般の公務員共済よりも不利じゃないかという点を考慮いたしまして、一%だけ上げたわけであります。いま問題になっております国民年金についてそういった国庫負担額を上げない理由は、大臣るる申されますように、実際上の財源、財政状況から見まして、修正積み立てをやるならば十分まかなえるというところでございますので、特に国庫負担を上げないということにしたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは理屈にならぬですよ。それなら厚生省にお尋ねしますが、今回の保険料百円引き上げても、なお国庫負担を入れなかったがために一体幾らの整理資源を必要としますか、一人当たり幾ら必要としますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 整理資源一人当たり約百八十円の見込みでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、一人当たり百八十円ですよ。これはいま保険料百円です。百円上げても二百円なんですよ。そうすると、二百円の保険料に一人一年百八十六円程度不足するのですよ。約二百円不足するのです。これの二千万人分ですよ。こんなばかなことはないですよ、あなた。これを入れたら、もし国庫負担を同額にしてもらったら一体幾らになりますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 約四十円の見込みでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これでもまだ完全積み立てでないわけです。だから、当然大臣これは入れるべきなんですよ。一人の月に納める二百円の保険料と同じ程度の整理資源が不足してくるというようなことを、このまま放置する手はないわけですよ。これは当然入れるべきですよ。こういうことを平気でほおかぶりをしていくというわけにはまいらぬわけです。しかも二千万人の被保険者の実態をごらんになると、初めは三十五歳以上の若い層が六割ぐらいだったのです。多かったのです。ところが、いまはどうなっておるかというと、若い層は農村から全部出かせぎで行ってしまうのです。そうして厚生年金に入ってしまうのです。そうするとどうなったかというと、年寄りが多くなってしまったのですよ。三十五歳以上が六割になって、三十五歳以下が四割になってしまったのです。任意加入の被保険者に至っては、三十五歳以下は三割ですよ。そして三十五歳以上の年をとった中高年齢層が七割になってしまった。このことは一体何を意味するかというと、長期にわたって保険料を納める人がいなくなるわけです。したがって、それだけ保険経済というものは非常に危機に直面することになるわけです。そういう状態の中で、百八十円以上もの整理資源を放置しておくという手はないわけです。そうでしょう。それはこの前も言ったのだけれども、そういうように国がたった二分の一しか入れずに、不安定な自転車操業みたいな形で年金をするものですから、魅力がないから入り手がないので、かねや太鼓で入れようとしても被保険者は入らない。当初は二千七百万入る予定だったのが二千万しか入らない。初めは二千七百万で計算をしておったのです。ところが二千万しか入らない。しかも国が今度は、金を他のものはみんな入れておるけれども、五年前の三十六年に発足したこれに国庫負担を三十六年のときと同じ程度にやっても、これからさらに五年も同じ状態でいくということになれば、もうこの保険は魅力ないのです。大臣御存じのとおり、私が高等学校のときは、きのうも言ったのですけれども、いまの十円銅貨と当時の一銭が同じだった。だからいま千倍、三十年で千倍インフレになったのですよ。そうすると、この年金はいつもらえるかというと、四十五年先にもらうのですよ。だから、その基礎を固めるためには、国が入れておかなければ話にならぬわけです。敗戦があったというけれども、それは半分にしたって五百倍です。だから、こういうばかげた制度を、国が他のものには金を入れる、雇用労働者の側には金を入れるけれども、農民や中小企業に入れぬという政治というものは、私は不均衡な政治だと思うんですよ。そういう不均衡な、アンバランスな政治を直すというのが、少なくとも福田さんが佐藤さんと一緒に池田さんに対立した政治のスローガンだったはずです。格差をつくっておる、これをなくするということです。私たちは、この国庫負担は、明確な方針が出なければ通すわけにいかない。五年に一回ですから、千載一遇ですよ。千載一遇のこの好機を逸したら、もう五年後まで待たなければならぬことになる。どうしてくれるのですか。このままほおかぶりでいくつもりなんですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 この制度は、いま滝井さんからお話があるまでもなく、被用者というものは大体年金的なものを受けておる。しかし農村のようなところ、これはそういう制度が適用ないわけです。まじめに働いた農村をどうするというようなところから発想されておるわけであります。そういうようなことから農村の負担力、さようなものを考えますときには、国もこれは大いに援助しなければならぬ、こういうので初めから高率の援助をすることにしておるわけなんです。初めが高率なんです。他のほうがいろいろな事情で一%上がるというような事態がありますが、こちらのほうは初めから三分の一という負担をしておる。でありますので、いま御審議を願っておるような修正後においても、三分の一負担という原則はこれは修正しない、こういう考え方になっておるわけであります。これが未来永劫どういうふうになっていくかというようなことにつきましては私ども見当つきませんけれども、まず当面これでやっていける、こういう見通しのもとにさような相談に相なったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これでやっていけると言うけれども、いま一人当たり百八十円もの原資が不足してきておるわけです。これをこのままいけば、一挙に老齢をもらう人が出れば金を払えないことになってしまう。ただ、たまたま自転車操業でいけるからいいことになるだけです。だから、その点はもう少しはっきりした答えを出してもらわないと、いまの答弁では満足できません。  そこで、もう一つ私は問題を出します。そうしますと、いま一体厚生年金の積み立て金の累計と国民年金の積み立て金の累計は幾らありますか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 厚生年金につきましては、昭和三十九年度末における累計は一兆九百九十六億円、国民年金につきましては、累計が千四百七十五億円、合計いたしまして一兆二千四百七十二億円でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣お聞きのとおり、三十九年度末で一兆二千億をこえているわけです。それで、御存じのとおり昭和三十五年に岸さんが内閣総理大臣のころから、この積み立て金の運用というものをどうするかということがずっと問題になってきたわけです。そして厚生省はこれを特別勘定にしてくれ、こういう要求を出したわけです。社会保障制度審議会もそれを支持するし、厚生省もぜひそうしてもらわなければ困る、こういうことなんです。ところが、これはそのまま放置しているわけです。三十五年の十月十二日には、内閣総理大臣に対して要望書まで社会保障制度審議会は出した。そうしてもうすぐやるようなことを、もう一年待ってくれ、もう一年待ってくれと言って、私たちに何回も歴代の厚生大臣は言ってきた。大蔵大臣も言っておりました。もうちょっと待ってくれ。ところが、御存じのとおり全然やらないのですね。これは一体どういうわけですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これはなかなかむずかしい問題があると思います。ですから、なかなかそういう御要望がありましても実行できない、そういうことだと思います。つまり、いま国が仕事をやっていく、これは租税でもやっていきますが、財政投融資計画、これで大きな仕事をやっておることは御承知のとおりであります。そういうようなことで、これからいよいよ政府資金の一体的運営、こういうことが必要であるというところに差しかかってきておるわけであります。そういう際に、国民年金の積み立て金などを分離して運用する。これは財政運営の基本に関する重大な問題であります。ですから、いろいろ御議論があったようないきさつは私も聞いておりますけれども、なかなか御意見のような次第にはいかない。そういうことで、これは財政運営の基本に関するきわめて重大な問題である、そういうようなことから、いい御返事がなかったのじゃないか、また、そういう実行がされなかったのじゃないか、そういうふうに考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、大蔵大臣、厚生年金や国民年金の積み立て金は、目的は財政運営のためにあるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 財政運営という第一義的な目的じゃありません。これは、国民年金で言いますれば、国民年金制度が確実に運営できるようにというたてまえでございますが、かたがたそういう資金はいろいろな面で、郵便貯金だとか、いろいろありますが、そういうものを活用して、国家の目的を遂行するという一面もあるわけであります。そういう一面も、国民年金等につきましてもこれは当然考えられなければならぬ、こういうふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、かたがたですね。だからこれはアウトサイダーですよ。主たるものは労働者の福祉のためにたくわえて、有利確実に利用するし、労働者の福祉のために、同時にその金は利用されなければならぬわけです。  そうすると、お尋ねしますが、大臣、国家公務員共済組合の金は、大臣のほうでどの程度預かっておるか御存じですか、ひとつ聞かずに……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 あれは全部は統合してないと思います。一部と思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一部でしょう。厚生年金と国民年金は全部なんですよ、どうですか。国家公務員や他のものは一部、厚生年金と国民年金のものは、何で全部預からなければならぬのかということです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国家公務員の共済組合ですね、これは国家公務員が主体なんです。共済組合が主体なんです。これに比べますと、国民年金、これは政府がやっておるものなんです。そこに性格上の差異がある、こういうふうに思います。したがってその扱いも幾らか違ってくる、こういう理解であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、政府が管掌するから全部とるという理屈は成り立たぬですよ。それは他の国家公務員共済組合にしても、地方公務員の共済組合の金にしても、私学にしても、農林漁業団体職員共済組合にしても、みんな三分の一程度しかとっていないのですよ、資金運用部は。あとの三分の二は自主運用にまかしておるのです。しかもその金は、一体どういうところに運用しておるかということは、厚生省は全然知らないのですよ。厚生省もぼくは人がいいと思うのですよ。自分たちが四苦八苦して集めた金を、どういうふうに使っておるかというのは全然知らないのですから……。私、資料を要求した。そうしたら、住宅に使っております。しかし住宅のどこに使っておるか、私たちは大蔵省に聞かなければ全然わかりません、こういうことなんです。これはもう亭主もいい亭主ですよ。何にも知らない。集めるのは、しりをたたかれて一生懸命に金を集めるけれども、その使途を知らぬなんというばかなことはないですよ。しかも予算は、いま言ったように、当然保険料と同額のものをもらわなければならぬのに、あなたのところに三拝九拝してもそれがもらえぬという、こういうばかなことはないのです。集めた金はみんなあなた方が権限を持って使ってしまう。二兆円の金がたまっておるのですから、それをもしちょっと有利に回せば、こんなもの百億や二百億の金はすぐ出てくるのですよ、二兆ですから。どんなにへたでも、七分ぐらいに回しきりますよ。幾ら厚生省が経営能力がないといったって、七分ぐらいには回しきります。あなた方からは六分五厘しかもらわないのです、厚生省は。いまのように資金が必要なときですから、七分ぐらいに回しきる。そうすると、一分上がれば幾らになりますか。二百億ぐらいの金はすぐ出てくる。そうすると、百億あれば保険料と同額の国庫負担ができるのです。だから、集めた金は全部おれが自由に国家財政の運営の見地からやるんだ、他の長期の保険はみな国庫負担率を上げておきながら、これだけは上げない、それはもう六年前の発足のときに高かったのだ、これでは鈴木さん、あなたは踏まれたりけられたりですよ。よくも岩手県の隠忍自重を発揮しておると、私は感心しておる。こんなばかなことはないですよ。しかもそれが、佐藤内閣は格差を解消するのだ、池田さんの高度経済成長政策のために一番ひずみを受けたのは農民と中小企業者だ、こう言ったでしょう。そして、あなたは池田内閣はけしからぬ、こう言った。そのときの女房役がこの人です。その人がまたしわ寄せを受けなければならぬ。泣いても泣けませんよ。だから、鈴木さんは、滝井さん、あなたに全権を委任するから福田さんとやり合ってください、こう言ったのです。ほんとうにこれはけしからぬと、私は義憤を感ずるですよ。しかも農民と中小企業者は、まじめに自由民主党にいままで票を入れてきておる。それを高度経済成長政策でインフレ政策をとりながら、老後の安定する見通しというものは、ばく大な整理資源をそのまま放置しておって、そして、五年先までどうしてくれるかわからぬという状態では納得できないですよ、福田さん。こういうことで力でどんどん法案を通していくというのならば、私たちも抵抗せざるを得ないです。  したがって、私は大臣に要求をしたいのは、一体厚生省に来年度から特別勘定を許すか、それとも、ここであなたが言明して、保険料と同額の国庫負担を出すと言うか、二者択一ですよ。この二者とも拒否するというなら、われわれはこの法案々通すわけにいかぬです。これは五年に一回しかこない機会ですからね。だから、特別勘定を来年からやるならやると言うか、それともいま言った保険料と同額を出すと言うか、どちらか一つお答え願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 どうもどちらもあまりいい返事ができないのです。  前の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりです。  それから、統一運用を分離運用にすべしという問題も、これは政府の財政運営の根幹に関係してくる問題であります。これは滝井さんもおわかり願える問題じゃないかと思うのですが、どうも私どもの感触とは非常に違う。まことに遺憾ながら、これを分離運用するというような御説には賛成いたしかねるのです。  ただ、その運用にあたりましては、これはもちろん厚生省とよく相談してやります。今日、現に国民年金につきましては二五%還元融資をするというようなこともあり、それから二兆円の財政投融資、これも社会的な施設にその大半を使っている、こういう状況でありまして、その運用の内容をあなたが分析してごらんになれば、これはうなずけるものがあるのだろう、こういうふうに存ずる次第であります。いま非常に財政運営のむずかしい時期でありますので、せっかくの御提案でございますが、これはひとっこらえていただかなければならぬ、かように存じております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これで終わりますが、どちらもノーだとおっしゃるけれども、やり方は、特別勘定というのは、たとえば資金運用部との関連で、大蔵省と厚生省と相談してもできるわけです。何も厚生省をつんぼさじきに置かなくたって、できる方法はあるわけです。何も私は、何もかも厚生省に持っていって、大蔵省は一つも関知することができないという意味で言っておるわけじゃない。特別勘定をつくったら、それを安全、確実、有利に、しかも同時に、国家的な見地から運営することだってできるわけです。ところが、これさえ拒否するというのなら、私だって拒否せざるを得ない。  それからもう一つ、それならば、この前も言った二兆円をこえるこの金の運用について、どこが握っておるかというと、総理大臣の諮問機関の資金運用審議会が握っておるわけです。それは同時に、大蔵省が非常に発言力を持っている。総理の諮問機関であるけれども、実質は大蔵省が握っておる。だから、この委員の中に、少なくともやはり農民の代表なり労働界の代表を一名くらい入れて、そして運用について話し合いの余地を残してくれと言うのだけれども、ずっと前にはそれも拒否している。どうですか、鈴木さんは、この点については滝井さん、ひとつあんたがやってくれ、こういうことです。この点についてもだめですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 資金運用審議会の委員は、きわめて中正にして、しかも社会各般の事情に通じている人をもって構成しております。これは滝井さんも御承知と思いますが、末高博士が会長になっておるわけです。これは申し上げるまでもなく、わが国の社会保障問題のオーソリティーの人であります。そういう人に会長をお願いしておるわけですから、私はこれは御信頼申し上げていいんじゃないか、そういうふうに思います。利害関係というか、そういうような立場でなくて、公正な社会全般に通ずる高い角度からこの運用の問題を論議する、私は、ただいまのメンバーの構成は当を得ておる顔ぶれである、こういうふうに思っておるわけであります。いまそれをかえろというようなお話ですが、どこが悪いのかな、こういうふうな感じさえ抱く次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 任期がありますから、いまかえろというのじゃないのです。任期は二年で、あと一年したら終わりです、そのときに。いまは銀行家が入っています。日経連の代表みたいな人も入っております。そういう人が入っております。大臣、ごらんになったらわかる。それから都市銀行の代表みたいな人も入っているのです。それならば一人くらい、何も労働界といったって直接労働者の代表でなくてもいい。労働界の意向をくんだ人が一人くらい入る。そのくらいの政治が民主政治になかったら、金だけは二兆円取り上げる、運用はおれがやる、その使い道もおれらが選んだ者がやるんだ、こういう独善は通らないのですよ。だから、いまの三つのことを全部あなたが拒否するなら、党へ帰ってこれは通すわけにはまいりません。  これで終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 いまの同僚の滝井委員の御質問に続いて、主として大蔵大臣に御質問を申し上げたいと思います。  非常に重大な問題でございますから、滝井さんの御質問とダブらないようにしたいと思いましたけれども、いまの重要な三点について大蔵大臣の答弁が非常に不十分で不誠意でありますから、その問題についても重ねて質問をいたしたいと思います。  まず、国庫負担の点であります。これは厚生省のほうは保険料と同額、すなわち給付に対して二分の一の国庫負担をやるという計画で、今度の国民年金法の改正案を組み立てたわけです。これについて大蔵省が賛成をされずに、保険料に対して二分の一、給付に対して三分の一の国庫負担率のままこれを実行しようとしておられるわけです。それによって国民年金の財政的なバランスがくずれることは、滝井さん御指摘のとおりです。そこで、完全積み立て方式ではなしに、修正賦課方式を加味するという考え方をとられた。その中で、保険料全体あるいは国庫負担全部について、完全積み立てがいいか修正賦課がいいか、いろいろ議論があるわけでありますが、ほんとうの意味で国民年金を育てるためには、できる限りにおいて完全積み立て方式をとっていく、特に国庫負担においてとっていく。そこで一般の財政ワクも考えて、国民年金を非常に発展させなければならないときに、それを同じ率でやることが無理なときに初めて修正賦課方式を使うべきである。このようなちょぴりとした改善のときに修正賦課方式を使ってしまったならば、将来における大きな発展は期待できないことになります。国民年金は、御承知のとおり、厚生年金に比べて六十五歳開始というハンディキャップがあります。夫婦一万円年金ということを言っているけれども、単独の夫だけでは五千円であります。厚生年金は夫だけで一万円、このような非常に大きな違いがあるわけです。それを労働者と農民、中小企業者を同じようにするためには、将来に対して大きな財政の点を考えなければなりません。その大きなものを実現するときに修正賦課方式をとるならばいざ知らず、いま皆さんが努力をすればいままでのシステムの、特に国庫負担に関しては完全積み立て方式をやれるのに、それをイージーゴーイングにこの点をやめてくずした方法をやったら、将来の国民年金の発展はなくなります。  そこで、先ほど、国民年金については比較的高率な国庫負担をやっておるから、これ以上率を上げる必要はないというようなことを大蔵大臣は言われました。ところが、滝井さんも言われたように、いまの国民年金に対する国庫負担は、実額においては他の年金保険よりもずっと少ないわけであります。たとえば一番端的な例で厚生年金と比較をすれば、そこに二十五年で一万円になるのと二十年で一万円になるのと、それだけのハンディキャップは別にありますが、それはさておいても、片方は一人で一万円、こっちは二人で一万円ですから一人五千円、半分という金額、おまけに片方は六十歳開始、片方は六十五歳開始でありますから、これを計算して還元すると、〇・六になる。そうしますと、二十五年、二十年のハンディキャップをまけてあげてパーにしても、とにかく金額は半分、その開始年限を加味すると六割、したがって給付金額の平均は三割ということになるわけです。それに対して三分の一の国庫負担をしておられる。したがって、厚生年金の給付の水準に対しては一割しかしていないことになる。厚生年金については、御承知のとおり二割の国庫負担をしておるわけです。厚生省の原案のとおり、これを保険料と同額、いまの率の倍にしてちょうど厚生年金とパーになる。同じになるわけです。それでも二十五年と二十年のハンディキャップがあるわけです。そんな遠慮がちな腰抜けな厚生省の要求を大蔵省が何もいれないということがあるならば、社会保障を一生懸命やるとか社会開発をやるというような考え方を表に出しても、内心にはないということになります。福田大蔵大臣は財政の大家であっても、国民年金のことはそんなに十分に知られないと思う。ですから、このくらいでいいんだという主計局の人たちの説明を聞かれたのかと思う。厚生省が腰が抜けて引き下がったかもしれぬが、それくらいでいいのだと思った。しかし、そうでないということをはっきり申し上げますから、そういう間違いはいち早く直さなければならない。そういう点で国庫負担の保険料に対する十割というものを直ちに実行しなければ、大蔵大臣としても厚生大臣としても、国民の負託にこたえないということになる。りっぱな政治家は、たとえあやまちがあってもすぐ直すことがそのやり方であります。ですから、いま直ちにそのあやまちを改める。政府で提案するひまがなければ、与党と野党にお頼みになれば、直ちに修正はできます。そういう点で、ひとつ国庫負担を保険料の十割としていただく決心をいま直ちに固めて、その確約の御答弁をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まず冒頭に申し上げますが、厚生省と大蔵省が意見が違っておるわけじゃないのです。予算の要求にあたりましては、各省はいろいろなことを言ってくる。結局大蔵省も各省も納得ずくで詰める。厚生省がいろいろ検討いたしました納得ずくの結論が、ただいま御審議を願っておるようなものになっておるのであって、厚生省がいやだいやだと言うのを、大蔵省が無理に抵抗したという性質のものじゃないのであります。  それはそれといたしまして、ただいまここで確約をせい、こういうお話でございますが、先ほどからもるるお話し申し上げておるように、大体修正積み立て方式でいくと国民保険財政もやっていける、こういう見通しが大蔵、厚生両省の間につきましたので、保険料は三分の一という——これは先ほどから申し上げておりますように、当初から特殊な年金の性格にかんがみまして相当高い率でやっておりますので、この際改正する必要はないじゃないか、こういう結論に到達しておるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 それだから厚生省は腰抜けなんだ。厚生省はそういうことを、年金制度の将来について責任を持ってよく説明をしなければならないのに、大蔵省というところは、いま事実をもってお知りのようにずいぶんの壁なんだ。ですから、これだけがんばったらほかのほうの医療保障のほうが何とかだ、かんとかだということで、大蔵省の実際上の力に対して厚生省は弱い。それではいけないわけだ。厚生省は強くならなければならないし、大蔵省はたとえ予算編成の主導権を握っておっても、国民のために厚生省の要求が少なかったら、金をつづめることが大蔵省の任務ではない、国民の金を有効なところに使う、一番大事なところに使う、そういうことが使命だ。そういう点で、厚生省の要求はこの点がアンバランスではないかという点を指摘して、大蔵省みずから十割にしようじゃないかという提案をされるべきだ。いま申し上げたように、明らかに厚生年金に対して半分の国庫負担、この数字ははっきりしておるのだ。たとえばあらゆる社会保険において、使用主負担のないそのような農民、中小企業者に対しては、手厚い保護をするのが政府の方針であったと思う。ところが、これが逆になっている。ことに厚生年金は、昨年一五%から二〇%に上がった。国民年金は六年間そのままになっている。この機会にやらないでどうなるのか。あなた方の基本の姿勢が全然なっていない。むちゃくちゃになっているということになる。ですから、これは一財政の問題じゃありません。佐藤内閣が言っていることが全部うそかほんとうか、でたらめにやっておるのか筋を通すかという問題になるのです。ですから、どっちの責任でもなければ、内閣の責任です。お二人がすぐ佐藤総理大臣に相談をして、きょうの午後にでもこれを改める、時間的に間に合わなければ、与党、野党で修正をしてくれ、そういうような提議をなされなければならないと思う。そういう決心をすぐ固めていただきたいと思う。それについて簡単に御答弁を願いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げておるとおり、国庫負担率は動かさぬでもやっていける、こういう見通しでございますので、この際これを動かすという考え方は、政府としてはとりがたいのであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 政治家としては率直でなければいけない。いま直ちに確答したらなかなかできないというのですか。いま私の言ったことに対して、それはおかしいじゃないかという反論がないわけです。これはできないわけです。ですから、あなた方は、この原案は不十分であるということを認めなければならないわけです。不十分であっては国民に対しての責任が持てない。直ちに相談をして、あしたでもきょうでも月曜でも、そのような国民のための答弁ができるように閣議で相談をしていただきたいと思う。  それからその次に、いまの積み立て金運用の問題で滝井委員が言われましたように、共済組合や何かについては管理はあっちにゆだねておる。こっちは国でやっているからこっちでやるというようなことを言うけれども、そういうことは国民に相談されてやったわけではない。国会で相談したと言われるかもしれないけれども、そういうことではならないという論議をわれわれはしているのに、政府はそれを貫こうとしている。与党が、そういう問題については、後にりっぱなあれをされることを期待して、賛成されてこういうことになった。ほんとうの国民に相談はしておらない。国家公務員でも農民でも、同じ国民であります。したがって、同じような権利を持たなければならない。したがって、国家公務員や地方公務員の中では直接の還元融資が三分の二行なわれているなら、この厚生年金や国民年金の還元融資を、同じく少なくとも三分の二直ちに直接の還元融資をしなければならない。あなたは、私の本会議の質問に対してこのような答弁をされました。「第二点は、還元融資の二五%を拡大すべきだ、こういうような御意見でございますが、私は、むしろ二五%というような率にとらわれず、残りの七五%全部を含めまして国民福祉に還元されるようにつとめることこそが、この正しい運営のあり方である、」というふうに答弁されました。あなたのお気持ちがほんとうにそのとおりであれば、これは直ちにたとえば厚生省の管理に移す、あるいは直接の還元融資を大幅に引き上げるということを実施されないと、あなたは言行不一致ということになります。この点、国民福祉ということでぼやかしておられますが、ほかの点でも、直接たとえば輸出産業に使っておらないことはわかっております。しかしながら、中小企業の融資に使っておる。中小企業の中というのは、大のすぐそばの大きな事業経営です。事業経営に使うのは、ほんとうの国民の金を還元するということの本筋じゃありません。国土開発に使っております。これは一般財政で持つべきものであります。農民や何かの零細なお金を強制的に入れて、強制的に巻き上げておるわけですから。郵便貯金であれば、いやだったら自分で引き出せる。これは途中で引き出せない。この保険料を取られた積み立て金は、事故が起こったら、死亡になったら、老齢になったら、障害になったら、遺族に、被保険者に還元されるべき金額でありますから、積み立て金は本質的に被保険者自身の問題であります。ただ、手渡す時期が来ていない。大きな金だということで、ただそういう専門家が管理しているにすぎない。したがって、政府がそれについて管理をしても、それをほかに回すことは許されてない。先ほど資金運用審議会の中に銀行家がいる、日経連の代表がいる。日経連の代表や銀行家が国民年金の積み立て金にどろして発言権を持つのだ。大蔵大臣、そういうようなことで、あなたがおっしゃっておるように全部国民の福祉に還元されていないわけです。中小企業は国民の福祉だとおっしゃるかもしれないけれども、これは事業資金だ。国土開発のほうも一般財政で持つべきものです。そういうことが行なわれておるわけですから、こういうことを直すために、ほんとうにこの年金を管理をする適当な省である厚生省に移す、あるいは直接の還元融資である二五%を少なくとも共済組合並みに引き上げるということをしなければ、あなたの本会議の答弁が偽りであるということになる。言行一致をその本来の任務としなければならない政治家として、あなたはこういうあやまちについて、直ちに直すというお約束をなさっていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私が本会議で言いましたのは、まさにあなたがいまおっしゃったとおりでございます。私の気持ちは、大事な年金資金でありますから、これが国家国民の福祉に全部適正に運用されるように、こういう配意をすべきである、こういうことを申し上げたわけでありまして、今日でもこういう年金資金等の運用は、住宅をはじめ、あるいは農村にも中小企業にも、こまかいところに回るように配意をされながら運用されておるわけであります。そういうことを申し上げておるわけでありまして、制度的にこれを国家資金の——国家資金と申しましても、ずいぶんほかのほうの原資をもって中小企業対策だ、住宅対策だ、いろいろやっておるわけであります。そういうものと切り離して個別に運用する、これは私は非常に能率が悪いと思います。そういうようなことで、運用の実態はそういうところに着目しながら、しかし国家のそういう福祉目的には適合するようにという仕組みを考えますときに、どうも分離してやる、こういう行き方はいかがなものであろうか、かように考えるわけであります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 あなたは、政治をやるのに公平を旨とするということを考えておられると思う。そこで、たとえばほかにも共済組合では三分の二までは自分のところでやっておる。ところが、これは四分の一しかない。非常に大きな差であります。特に声の少ないそういうような農民やあるいはその他一般の市民、そういう人に対しての還元融資の率が少ない。四分の一というのをあなた方が改めて、三分の二にします、だから管理はこのまま置いておいてくださいと言うなら、これはわれわれは賛成はできませんけれども、あなた方が言っておることが全部うそではないということになろうと思う。それもやらないでおいて、中小企業の大のほうに回すような、一般財政でやるようなものに回すようなそういうことをしておいて、そのままにしておいていただきたいということでは、国民に対しては、はなはだあなたは責任をとったことにならない。大蔵省のいまの慣行だから、実力大臣でも直すことはむずかしいかもしれない。しかし、間違ったことは大蔵省としても、政府としても直さなければいけないし、同じように三分の二に直接の還元融資を直す、あるいは管理を厚生省に許すか、先ほど最小限度滝井委員の言われた、そのような審議会に農民や労働者の代表を一人や二人入れるんじゃなく——ほんとうは積み立て金は国民のものなんです。銀行の代表者などは発言権はない。そういう労働者や農民の代表を過半数以上入れる。あと資金の運用や管理について技術的な意見を持っている者を入れる。そういうことで再編成しなければ、国民のお金を年金制度で吸い上げて、独占資本のために使っていると言われても弁解はできないことになる。そうでないならば、そういう審議会の構成を変えるなり、還元融資を大幅に引き上げるなり、あるいはあなた方がどうしてもそういうことができないなら、初めからそういう立場で任務を持っておる厚生省の管理にいさぎよく譲る、これを初めからおっしゃったほうがいいのです。そういうことをされなければならない。それもしないでおいて、ただそのまま持たしておいていただきたい、そんなあつかましいことは幾ら大蔵省でも許されることではない。国民のために適切でないことをやっておることは、直ちに改めなければならないと思う。それについての大蔵大臣の前向きの——ほかの人の答弁は要りません。大蔵大臣の前向きの答弁を願います。ほかの答弁は拒否します。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は、誤りがあればこれを直ちに改めるにやぶさかではございません。ただ、いま御提起のそれらの問題は、ただいま私は誤りがあるというふうに考えていない、国家財政全局から考えましてこういうことだ、かように思います。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 本会議散会まで休憩いたします。    午後二時二分休憩      ————◇—————    午後二時三十二分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 午前中いろいろ構想を伺って、私も大いにその構想を進めてもらいたいと思うのでありますが、これらの新しい国の収容保護施設をりっぱにやっていくためには、やはり国も社会も親も、すべてのものが、力を合わせていいものを持ち出して協力するという体制をとらないといけないと思うのであります。何といっても、母親にまさる看護人というものはないのです。何といっても、親にまさるものはありません。私の親友に一人重症心身障害児を持った人がありました。この子供は小頭症と言うべきでありましょうか、もっとあるいは程度がひどいのでありましたか、生まれてからついに死ぬまで——十三歳くらいで死んだと思うのでありますが、全くものを食べる力も何もなかった。ことばはもちろん出ませんし、ほおをなぜてやるか、美しい音楽のレコードをかけてやるとわずかにほほえむという以外に、何の表情もないという子供でありましたが、私どもよそから見ておりますと、こんなたいへんな子供は早くなくなったほうがいいのではないかというふうに思ったのでありますが、その子がついに、もちろん立つこともいざることもできませんで、寝たきりで十三になって——十三ですが、まだ小さいからだで死にました。死んだときにその母親が死骸にすがりついて、その死骸をゆさぶって泣いた。私はその席におりまして、母親だなということをしみじみ思ったのであります。やはり母親にまさる看護人はない。この北浦雅子さんも書いております。北浦さんのお子さんは十九になるむすこさんでありまして、種痘後脳炎から重症心身障害児になったのでありますが、そのお子さんをやはり私の宝と呼んでおるのであります。ヒサ坊は私の宝だと言うておりますし、また、その十九年の労苦多い看病の中で、介護の中で、北浦さん自身が人間形成をしていくという経過を書いておりまして読む者を打つのでありますけれども、そこにむすこさんに対する非常な感謝の気持ちを北浦さんは持っております。たぶん大臣お読みになったのではないかと思いますけれども、やはりそういう子供たちをほんとうの宝と考える、これは親でなければほんとうにできないことであります。そういう親の責任と愛というものを、こういう施設を運営していくにあたりましてやはり強調する必要があると思うのであります。ともすれば、そういう重荷を親から取ってやることがいい、こうあるいは客観的に思われるかもしれないのでありますけれども、そうではないのである。やはりその子のしあわせのためにも、親たちのためにも、あらゆる意味からいたしまして、親の責任と愛というものを強調していく必要があるのであります。  私は先般新聞を読んでおって、非常に困ったなあと思う事件がありました。それは例の日赤の結核児童であります。国立小児病院に収容いたしました結核の乳児の「ママを忘れる「結核乳児」」という記事が五月十五日付の読売新聞に載っておりました。日赤産院で結核になりました子供を国立の小児病院に入院させてある。ところが、ここは完全看護でありますから、おかあさんを寄せつけないのであります。おかあさんがそばに入って看病するのを許さないのでありましょう、そこの子供はおかあさんを忘れてしまう。おかあさんがたまたま汗をかきかき清瀬まで行って、そして会うと、もうおかあさんを忘れてしまっている。こう書いてあります。「定期券買って病院通い」、「以前、ママは一日おきに病院にきていた。しかし、ある日、胸がつまる光景をみてしまった。一人の母親が、汗をふきふき、病とうにかけつけて、わが子をベッドから抱きあげた。その瞬間、こどもは、ワッと泣き出してしまった。それだけならよかったのだが、たまたまいあわせた看護婦さんが「どおれ、よしょし」と引き取って抱いたら、泣くのをやめて、笑顔さえ浮かべてしまったのである。こどもに、悪意があろうはずがない。ただ、正直にいつもそばに来てめんどうをみてくれるやさしい看護婦さんを、母親と思い込んでしまっていたのである。」という記事であります。これは親にも子にも不幸であります。でありますから、ともすると完全看護というようなことが、こういう結果を来たしたのだと思いますけれども、今度の重症心身障害児の収容施設におきましては、こういう方法でなくて、やはり親たらが絶えずそこに行けるという道をとってもらいたい。国立秩父学園を見ましたときに、あそこに御承知のような、親が来て子供と一緒に泊まったり、あるいはまだ入園できない子供を一緒に連れてきて、あそこで施設の訓練をいろいろ見たりというようなものがっくられてありました。やはり私は、そういうあたたかい行き方をして、親の愛と責任というものを決して子供から断ち切らないというくふうをしていく必要がある、こう思うのであります。先般も私耳にして、まだ見ておらないのでありますけれども、北海道に先年小児麻痺が非常にはやって、その後遺症を持った子供たち、その親たちの協会ができているということであります。たぶん札幌あたりのことではないかと思うのでありますけれども、そこでは、その協会のやり方といたしましては、よく方々で見ますような障害児をバスで集めてきて障害施設に連れてきて、そしてめんどうを見ていく、いろいろ訓練をしたり、いろいろしていくというやり方は絶対させない。あくまでも親か肉親のものが、うば車に乗せてその施設まで連れてくるということを絶対にさせる。そこに親の責任を持たせ、責任を持って労苦してまいりますそれと母性愛が重なって、親の愛情というものが不幸な子供たちに強くつながっていくという行き方をしているという話を聞いて、これはぜひ一度私は見に行く必要があると思ったのでありますが、やはりそういう考え方というものは非常に大事だと思うのであります。この北海道のはどういうようにやっているのか、当局のほうではお調べになっているかどうか、承りたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 御指摘の施設は、北海道におきまするマザーズホームという通園の施設であろうと思うのであります。先生のお話のように、昭和三十五年、六年に北海道において小児麻痺の大流行を見た時期があったわけでございますが、そのときに、婦人会を中心にいたしまして集まった金をもってこの施設をつくったようでございます。いわば通園の訓練施設ともいうべきものでありまして、母親と子供が一緒に通いまして、子供の手足の訓練あるいは遊び、その他機能訓練ということを主体にして運営されておるわけであります。北海道におけるこういうようなことが、いわば家庭に放置される子供をなくするという意味におきまして、今後のこういう重症心身障害児の対策として私どもは非常に参考になると思っておりますし、こういったものを今後つくるべきではないか、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そこで、いま申しましたような北海道の小児麻痺の協会のようなやり方でも考えられますような、いま私が前段で申し上げましたような親の愛情、親にまさる看護人はないのだから、ことにこういうような場合に親の責任と愛情をあくまでも強調していくという行き方をすべきだと私は思うのだが、今度の国立の施設についてこういう点はどういうようにやっていくのか、承りたいのであります。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま長谷川さんからお話がありましたように、重症心身障害児等の介護にあたりまして親の責任と愛情が最も大切である、こういうことを強調されたのでありますが、私も全く同感でございます。そこで今回国立の収容施設をつくります際に、東京とか大阪とかあるいは札幌等に大きな施設をつくって、そこに多数の者を収容するということがいいのか、それとも四十ないし八十ベッドくらいの施設をできるだけ分散をしてたくさんつくるほうがいいのか、いろいろ検討いたしたのであります。その際におきまして私どもが特に重視をいたしましたのは、一週間に一ぺんなり二へんなり親御さんや肉親の者が行って、そして収容しておる子供さんのめんどうを見てやる、見舞ってやる、そういうようなことがぜひ必要ではないか、こういうことを考えまして、まず各地方ブロックにとりあえず一カ所ないし二ヵ所ずつつくりますけれども、今後五ヵ年計画で、できますれば各県に一カ所ずつそういう施設をつくるようにいたしたい、こういうことを考えておりますが、それもこの国立の収容施設と親御さん方の責任と愛情というものを有機的に結びつけて、そして情愛のこもった介護ができるようにしていきたい、こういう考え方をいたしておるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 将来の点は施設としてもよほど考えていく必要がある、ぜひ御配慮を願いたいと思うのであります。ことに国立結核療養所の中につくりますと、わりあい不便なところが多い。必ずしもそこの近くから来るわけではなく、県に一カ所にもならずブロックに一カ所という形でまいるとしますと、なおさら遠くから来る人もあるのでありますから、その人々が来やすいような、その親たちが宿泊のできるような施設まで考えてあげる必要がある。そうしてこの不幸な関係のきずなというものを断たない、それをむしろ愛情のいよいよまさっていくところのものにしていくというような配慮、これはお役所仕事としてはなかなか困難でありましょうけれども、しかし、国立秩父学園等ではやってないことはないのでありまして、国立秩父学園の設備は寄付でつくったようでありますけれども、ああいうことができるものでありまして、ことにこの秩父学園でやっていますような、まだはいれない人もそこへ来て、どういうように子供のめんどうを見ていくかというようなこと、あるいはそこで治療ができますようなことはそこへ短期間泊まって治療もしてもらうとか、いろいろな処方をしてもらうとかいうようなこともできるようなものをも、やはり施設に付設してつくってほしい。もし国のほうでそれができないならば、少なくとも寄付等でそれができるような、そういうような配慮をしてほしいと思うのでありますが、これはいかがでしょうか。遠くから一々そこへ通うことはできませんから、親たちの願いになると思いますが、いかがでしょうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 国立の子供病院におきましても、そういう趣旨で親御さん方の宿泊の施設をつくることにいたしております。同様のことを今後国立の重症心身障害児の収容施設につきましても考えてまいりたい、こう思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 まあ今度は、そういうような一方に母にまさる看護人はないという点がある。これも母性愛の非常にいいところでありますけれども、それとともに、これが子供たちを正しく教育訓練していくのには、またじゃまになる面もあるのでありまして、河野さんがここにいらっしゃいますけれども、大体お医者さんというのは自分の子供は診察できないものでありまして、正しい診断はできない。愛情が先にかってしまいますから、うまくいかないというのが普通であります。私もずいぶん患者を扱うことはなれておるのでありますけれども、自分の孫が不幸にしてサリドマイドのために指が——一番軽い症状だそうでありますけれども、親指のかわりに人さし指が二本出てしまったという孫があるのでありますが、この間手の手術をして、人さし指を親指に変える手術をいたしました。さすがに私も、ずいぶん大きな手術も中に入って見るのですが、これはどうも見る気にならなかったのであります。これはやはり愛情の一つの欠点がそこへ出てくるわけでありまして、北浦雅子さんも、その著書の中でこういうように書いています。「ある一時期、左手を使ってパンやビスケットを自分で食べていたときがあったのでございます。それをわたくしがふびんに思って食べさせてやるくせをつけてしまったものですから、いまではわたくしがその左手になにか持たせようとすると手をかくしてしまうのです。」「母性の本能的愛情と、冷たい訓練を両立させることはわたくし自身の体験からむずかしいことだと思いますが、若い重障児のお母さん方には、わたくしの失敗を率直にお話することにいたしております。」こういうように書いていらっしゃいますけれども、そのとおりだと思うのです。そこに私は職業者、専門職の職業者のいいところがある、それをここに組み合わせる必要があると思うのです。正直に言って、どんな人でも母親だけの愛情を職業人としてその相手の者に持つことは、これは不可能であります。しかし、そこにまた専門職業者の働き場のすばらしいところがあるのでありまして、あるとき、私どもの仲間でこんな話が出たことがありました。そういうのは薄情じゃないか、やはり愛が足らないからそういうことになるのじゃないかという話が出ました。自分の子供と同じように、そういう他人の不幸に対して考えるというのでなければ人間として落第じゃないかという話が出ましたときに、ある男が申しました。冗談言うな、そんなことをしたら火葬場の前に住んでいる人は目を泣きつぶしてしまう。それくらいでちょうどいいんだという話をいたしました。そういうぐあいに、他人の子供と自分の子供と全く同じに見るということはできないのでありますが、そこがやはり職業者のいいところでありまして、そのいいところを母親の愛情と組み合わせていく必要があると思うのであります。  職業人を動かすのは、先ほど申しましたように、待遇、給与の問題である。生活環境をちゃんとつくってやるというととでありまして、これらの点についてどうか十分な配慮をしていただきたいし、また、先ほど申しましたように、過労をさせないということが非常に大事であります。それとともに、私は国立結核療養所という環境を見まして、そこにもう一つ考えなければならぬ問題があると思う。この従業員の問題、ことに看護婦さんたちの問題、あるいはヘルパーさんたちの問題で考えなければならぬことがある。というのは、こういうわりあいに不便なところ、しかもそういう環境というものは閉鎖社会になるんですね。でありますから、看護婦さんや補助看護婦をしてくれるヘルパーさん等々の人々が、一つの社会的な隔離された中に入ってしまいまして閉鎖社会になり、その欠陥が出てくるんです。端的に言うと、まず娘さんたちのことでありますが、結婚をする機会が非常になくなってくるのであります。これはまた問題であります。結婚しないでいたずらにオールドミスにしていく、そこに非常に過労が続いてくる、そうなりますと、どうしてもヒステリーを起こすという形になってまいります。そうして看護がうまくいかない、仕事の運営がうまくいかないということになって出てくるのであります。もう一方、また彼女らの働く人自身の不幸が出てくる。そこに、先ほど申しました小林さんが言う、秋田おばこの手伝いに来てくれた人たちを、長くても二年でやめていただくようにしないと、このおばこのお嬢さんたちのしあわせにならぬ、不幸になる。それでは決してよくない。したがって、閉鎖社会の中に閉じ込めてしまわないで、常に開放するという努力をしてまいりませんと、これまたうまくまいりません。  最近看護婦の寄宿舎不用論というのが出てきているんです。これは病院管理の研究会などでよくそういうことばが出てくるんですが、看護婦をそこへ入れると閉鎖社会になってしまう。したがって看護婦自身を不幸にするとともに、彼女らの性格もまた変わっていってしまう。だから看護婦寄宿舎不用論、つまり一般の民家のほうに広めて散らばしておけ、そこに結婚の機会もおのずから多いし、また社会人と絶えず接触しますから常識もできてきて、また、将来家庭を持ったときの彼女らの教養もできてくる、こういう考え方があるのであります。でありますから、非常用の者あるいは夜勤その他の者がおりますから、寄宿舎はもちろん必要であります。が、同時に、そういう一方的な考え方ではなしに、やはり住宅手当その他を与えて、事業運営に支障のこない限り、できるだけ周囲への下宿等をさせて視野を広げていくということも、これまた非常に大事でありまして、私、事業経営上やはり考えておくべきであるというふうに思うのであります。これは小さいことのようでありますが、決して小さいことではないのであります。それらの点についてはどういうお考えでありましょうか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 御指摘のように、重症心身障害児施設に働く看護婦さん、保母さんにつきましては、いわば一種の閉鎖的な社会に相なるのでありますが、そういう面からいたしまして、希望が持てないというか、そういう面も先生午前中に御指摘がございました点でございます。そういう点をできるだけなくするというような趣旨からいたしまして、結核療養所に併置するというようなことで気分の転換をはかるということも考えたわけでございます。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 それからまた、災害その他の問題もございますし、そういった際の非常のことを考えますと、やはりあまり遠いところに、ここに勤務する看護婦さん等が離れていることは考慮する必要があろうかと思いますので、宿舎の装置あるいは設計等につきましては、十分そういった面を考慮いたしまして明るさをなくさないようにしたいと思います。また、できるだけ一般社会との接触をはかりまして、閉鎖的な環境に置かないということについては十分考慮いたしたい、かように考えます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それから、社会的な後援団体の結成というようなことをする必要がある。いわば後援会の結成、これは私は相当できる可能性があると思う。だから、こういうことにも十分力を入れてもらいたい。コロニーはもちろんでありますけれども、こういう国立のものであっても、そういうものに対する後援会というようなものをつくり上げていき、そこから働く人をだんだん送り込んでもらうということも必要だと思うが、こういうことについてはどう考えているか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この重症心身障害児の今後の対策を進めますにつきましても、また今後、現在ございます施設を運営いたしますにつきましても、特に地域、地元の協力あるいは親の方々の協力ということが非常に大事な問題でございます。そういった面につきましては、すでにございます施設におきましてもそういう活動が非常に活発に行なわれておりますことは御承知のとおりでございますが、とかく国立の施設でございますとそういったものが欠けがちでございますので、そういう面につきましては、施設のございます地元のところとも十分話をいたしておりまして、現在、そういった協力会と申しますか、後援会といったようなものがつくられつつございます。そういったところと十分手を取り合って今後の対策を講じていきたい、かように考える次第であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 何といってもこの施設の中心になるのは所長であります。所長に人を得るか得ないかが、やはりこういう施設の成功するかしないかの境になります。したがって私は、初めに十分人を選んで所長をきめてもらいたい。そうしてその所長が生涯情熱を傾けてやれるようにしてもらいたい。言いかえますと、むしろ政府は環境づくりということのほうに専念をして、初めにいい人を選んだら、あまりそれにくちばしをいれて上から官僚的ないろいろな支配をしていくということについてはできるだけ控えていく、そうしてその人が生涯の情熱を傾けていかれるというような行き方をしてほしいと思います。なかなかそういうことが役所ではできないです。なかなかうまくいかない。だから、とかく役所から人が入ってくると事業がだめになってしまうという場合が多いのであります。だからそういう点を考えてほしいと思うのでありますが、なかなかそういう適任者がたくさんあるとは思いません。思いませんが、しかし、十分最初に人を選んでほしい。そういう所長についても、もうすでに選考をしていらっしゃるのかどうか。そういう人を十分選んでもらいたいと思いますけれども、どんなふうになっていますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 今年度の国立療養所を建設する場合にも、そういった点は十分考えたわけでございまして、やはり子供に全然関係のないところにこういったものをつくっていくということは今後の運営に重大な障害がある、かように考えておるわけであります。したがいまして、従来児童関係について、たとえば筋萎縮症の子供を預かっておりますとか、あるいは結核の子供たちに対して学校をつくってやっておりますとか、そういったところを第一の対象としまして、その中で特に旺盛な意気込みをもってやっていただく、こういつたところの先生方を選んだわけでございます。そういう面では、やはり施設長の考え方というものが、非常にこういう施設の運営につきましては、御指摘のように重大な影響があるわけでございますので、こういう方々が十分手腕を発揮できるように私どももやっていきたい、かように考えておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それから、これまた親たちの非常な強い願いなのでありますけれども、十分なベッドが用意されるまでの間、一時入院という制度をつくっておく必要がある。これは、たとえば介護しております母親が病気になっちゃった、あるいはまた、親たちが死んでしまったというようなときに、すぐ引き取ってめんどうを見てあげられる一なかなかこういう特殊な、ことに重症な子は他に人を雇ってできるという仕事ではありませんし、また、親類の者が来て見るというわけにはまいりません。でありますから、こういう母親が病気になって介護する者が倒れてしまったというようなときとか、親が死んでしまってどうしようもないというようなときに、これを一時入院さしてやるという制度をやはりこの際考えておく必要がある。これは私、ずいぶんいろいろ読んでみました。この全国重症心身障害児(者)を守る会で出した「重症心身障害児およびその家庭に関する実態調査報告書」というのを全部読んでみましたが、全国の親たちのやはり強い願いでありまして、ぜひこういう一時入院の制度を私はつくる必要があると思いますが、これらについてはどう考えていらっしゃるか。考えていなければぜひ考えてもらいたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 昨年、親の会の方々と懇談いたしました際に、そういった緊急入院と申しますか、要望がございまして、当時ございました三つの施設につきましては、二、三ベッドずつをそういった緊急入所のために確保するようにという指導をいたしております。また、そのように運営されておるわけでございますが、まだ国立の施設につきましては未設置でございますので、施設ができました際にはそういうことを考慮に入れて運営をやるようにしたい、かように考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ぜひそういうようにしてもらいたいし、それはぜひ考えてやってもらいたいのであります。  それから次に、訪問指導の組織であります。はいれる方がさしあたりは五百人程度であります。ずいぶんだくさんの人がここにまだ残るのであります。けさからの質疑応答によりますれば、介護しなければならぬのに介護する者がないというのが五百人もおるというのでありますから、なかなか介護してくださる方がある人たちは、はいれない。介護する母親あるいは親たちが十分な知識やあるいは経済的な余力を持っておるといいけれども、必ずしもそうでない人もあるわけでありまして、そういう人々のために訪問指導の組織をして、正しい障害児の扱い方その他についていろいろ指導してあげる。あるいは入所の手続等についてもいろいろ指導してあげる。障害児をかかえておりまするおかあさんは、外に出て歩くということはなかなか困難であります。ですから、非常に熱心で、よくもあれだけやるなと感心しておるのですけれども、実際問題としては、大部分の方々は、この子供を家に残して出ていくわけにはいかぬ。中にはひもで柱に縛って出ていく方があるようでありますけれども、私もこの話を聞いて、その間排せつ物は一体どうするのだろうかということを心配したのでございます。しかし、なかなかそれはできないのでありますから、訪問指導をするそういう人たちの組織をつくる必要がある。これはできないことはないと思うのです。必ずしも訪問の看護婦等をつくらなくても、こういう彼ら自身がつくりました組織がございます。その組織の中には、もし子供を施設に収容していただいたという方ができてまいりましたならば、そういう方たちの中にはずいぶんいい働きをする方がいると思います。そういう方々に対する適当な組織と処遇をして、こういう人たちを訪問指導に回せるということになりますれば、全部の施設ができますまでの間、ずいぶんといい働きをするのではないか。また、新しく出てまいりまするそういう不幸な子供たちのために、あるいは親のためにずいぶんいい働きをするのではないかと思います。したがいまして、こういう訪問指導をして歩きます人々の組織をつくって、それに対する助成をし、あるいは適当な処遇をいたしまして、そうした人たちを活用するということをいたしますと、ずいぶんまた暗黒の谷間に光をさす道がここにあるのではないか。何しろ一万数千名もあります子供たちの中で、はいれる人は何と申しましてもわずかでございますから、そういう組織をつくっていく必要がある、こういうように思うのでありますが、それらについてはいかがでありましょうか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 在宅の重症心身障害児につきましては、施設ができれば施設に収容するというのが一番望ましいわけでございますけれども、施設の拡充までにやはり相当の期間かかります。そのために、在宅しておりますそういった子供のための訪問指導ということで、今年度各県の中央児童相談所の活動の一環としまして、訪問指導の活動費を若干組んだわけでございますが、そのやり方としましては、医師、児童指導員、ケースワーカー、こういった者の訓練をいたしまして、家庭における療育の指導あるいは療育の相談に応ずるようにして、そういった家庭の方々の福祉の問題について十分御相談あるいは指導をいたしたい、かように考えている次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その在宅児の問題でありますけれども、今回の法律によって千二百円の手当が出るということに一応案としてはなっており、それにつきましては当委員会においても何回かすでに討議されたのでありますけれども、どうも大臣の言うところをみていくと矛盾があると思うのです。特別介護料ということであるならば、これは全部に出さなければならない。特別介護料でありますから、全部に出さなければならぬのではないか。特別介護料ということで大臣切り抜けていらっしゃいますけれども、これはしかし矛盾がある。生活保障的なものであるならば、なるほど所得制限があっても何があってもよろしい。しかし、特別介護料ならば全部に出すべきではないか。どうもおっしゃっているところに矛盾がある。大蔵省との折衝の過程でそういうことになったのではないかとも想像するのでありますけれども、どうも矛盾があるのであります。だから、一方施設に収容いたします者は月に四万円くらいかかる、四万円くらい出す。在宅児童に対しては千二百円。昨日もお話がありましたように、あるいはその前にもお話がありましたように、これはほかの児童扶養手当法あるいは国民年金の母子福祉関係との関係その他から見まして、どうも生活保障的なものならば、それよりも劣っているような行き方は変だ。そうではなしに、特別介護料というならば、なぜ全員出さないか。全部介護をしているのでありますから、全員に出さないのかということになれば、またこの所得制限をしているところから、わずかのところでこれがもらえない諸君が相当数出てくるということが出てくるわけであります。だから、特別介護料とおっしゃるなら、そういう意味もわかりますけれども、それならばなぜ全員にお出しにならないか。生活保障的なものならば、なぜこんな千二百円でとめておいたかということになるのでありまして、その間が私ども釈然としないのであります。どういうことになりましょうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 特別児童扶養手当は、重度精神薄弱児等の子供の生活に寄与する、こういう趣旨に従来なっておりまして、所得保障の一部なのか、あるいはこういう気の毒な子供さんの介護に相当手がかかる、費用もかかる、その一部を補助する、こういう趣旨なのか、その辺が両面を持っておるのか、きわめて明確を欠いておったように私思うのでございます。今回重度精薄児だけでなしに、重度の肢体不自由児あるいは重症心身障害児に範囲を広げるにあたりまして、私どもいろいろ検討いたしました結果、これは実態からいって介護料の一部を補助をする、こういうぐあいに考え、そういう制度として今後拡充していくはうが適切ではないか、このように考えた次第であります。したがいまして、今後は所得制限等は撤廃をいたしまして、全部のそういう子供さんにこれを支給する方向で今後さらに努力していきたい、こう考えている次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 全部の子供さんに出すという方針で進めるということは、ぜひそうしてもらいたいし、それからあまりに額が少な過ぎるのでありますから、それらの点についても多くするということについて、今後大蔵省とも十分御相談になって進めていただきたいと思うのであります。  次に、このすでに不幸なからだを持って生まれてまいりました子たちに対します、いまの収容保護という施設をつくって進めていくということ、これは五千ベッドつくるということはなかなか容易なことではありませんが、ぜひそれは進めていただくのでありますけれども、さらに一歩進んで、今日重症心身障害児が一万七千三百人あるという、それらの子供たちの出てきた原因、その発生原因を、私どもは一方におきましてつぶしていくということが必要である、一つ一つそれをなくしていくということが必要であると思うのであります。だから、もうすでにそういうからだで生まれてまいりますれば、別に不幸なことがここに起こってしまったのでありますから、それをわれわれはあとう限りの努力をして、リハビリテーションなり医療なり、あるいはそれができないものは保護していくという形をとらなければなりませんが、しかし、ここに肝要なことは、その発生原因をなくしていくということであると思うのです。その発生原因をなくしていくというために、まず一体そういう子供ができてきた原因というものがどういうところにあったか、それをお調べになってあるかどうか。これは医務局のほうのあるいは御意見を伺わなければならぬかと思うのでありますけれども、大体どういう原因でこの一万七千三百人の不幸な子たちが生まれてきたのであるか、お調べになったものがあれば示してもらいたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この重症心身障害児の区分といたしまして、脳性麻痺によるものというものが七五%強を占めているわけでございます。したがいまして、脳性麻痺の原因ということについて、従来いろいろ検討されておったわけでございますが、おもな原因といたしましては、出産時に重症の黄だんで生まれた場合、また分べん時の脳外傷、それからおかあさんの妊娠中毒症が非常にひどいような場合、それからまた、おかあさんがビールス性の疾患にかかったような場合、そういったことが脳性麻痺の原因になっておるというように聞いておるわけでございますが、そのほか精薄につきましても、たとえばフェニルケトン尿症とかいうような場合については原因がわからないようでありますけれども、いずれにいたしましても、妊娠あるいは出産の前後というものに大部分の原因があるということが最近はよく言われておるわけでございます。そういう面で、今後の問題といたしましては、特に妊娠、出産時の母子保健の指導ということに重点を注ぐということを対策として考えておる次第であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 けさも新聞にトキソプラズマ症のことが出ておりまして、全国の屠殺場の職員に高率にそれがかかっている。そこから水頭症等の精薄児等が生まれてくるという可能性があるということが書かれておりましたが、あるいは梅毒その他の事情もあるでありましょう。ある程度は遺伝もありましょうししましょうが、ただいまお話しのような「厚生」の四月号を拝見いたしましても、重症心身障害児の一万七千三百人のうら脳性麻痺を原因とするものは七六%ある、つまり一万三千百人がそうだということであります。脳性麻痺が出てまいりまする原因のまた三分の一くらいは、これは重症黄だんからくるということは、すでに学問的にも医学的にも立証されておるところであります。したがいまして、この重症黄だんによるもの、これを救うということは、この発生原因をなくするうちでもことに大きなものであろうと思うのであります。新生児の重症黄だんになるというものがどういうところに原因があるのか、伺いたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 新生児の重症黄だんになるという場合につきましての原因については、母と子の血液の不適合によるものが三分の二ほどあるというふうに聞いております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 だから新生児の重症黄だんは、多くのものは血液型の不適合ということであるということであれば、これは血液交換をすれば全部助かるということになるのであります。この重症黄だんの子供たら、ことに核黄だんといわれておりますビリルビンの脳に食いついていくのをなくす。それを生まれた直後において見て、血液交換をしていくということができれば、これはみな助かるということになってくるわけである。でありますから、そういう対策というものを厚生省としては十分進める必要がある。  御承知のように、新生児は一応みな黄だんになるわけでありますけれども、血液の不適合からまいります重症黄だんあるいはRhマイナス関係の不適合は、生まれると直ちにまつ黄色になってくる。大体二十四時間以内にまつ黄色になってくる。それから、ABOの不適合の子たちは、一日ないし二日目に始まってくる。いわゆる新生児の黄だんは、生後三日から始まって一週間くらいで終わるということがわかっているわけであります。だから、問題はこれに対する対策がしっかりとできれば、この問題はずいぶん大きな解決への道が開かれるわけです。でありますから、その道を進める必要がある。  ところが、これがさっぱり進まないと思うのであります。ようやく最近になってRhマイナスの子供たちの問題が取り上げられるようになりましたが、一般的には、ABOの不適合の問題などはほとんど知らないと言って差しつかえないのであります。しかし、日本では、血液型を調べてまいれば、Rhマイナスの人は非常に少ないのでありまして、むしろABOの不適合、つまり母親がOであって、父親がAその他であって、子供がAになるというときの不適合が非常に多いわけでありまして、こういう問題について国民はほとんど知らないと言って差しつかえないのであります。  この間竹内委員が問題に出した「ママの血液型」という、大臣が推薦のことばを書いていらっしゃいます本、私も拝見いたしまして、非常にりっぱで、非常にわかりやすくて、一般の人にはこれならばよくわかる、こう思って感心したのでありますが、こういうことを推薦なさるだけでなしに、これを進めていって解決する必要があると思うのであります。  いま、昭和四十年の出産を百九十八万二千人といたしまして、重症黄だんの子供が、大体全部のお産の二百人について一人という数字で出てくることになりますから、大体一万人くらい出てくる。毎年一万人ぐらい出てくると見て差しつかえない。この三分の一が脳性麻痺になってくるといわれておるのでありまして、そして重症黄だん児の三分の二は母子の血液型の不適合からくる、こういうように書かれております。  私もいろいろうちで聞いてみましたけれども、やはりそういうことのようであります。でありますから、この血液交換の方法を立てるということで、この重症黄だん児がことごとく一〇〇%なおるとしますなら、これをやるべきである。この「ママの血液型」の中にも書かれておりますけれども、大阪市の例が引いてあります。一年間のお産が約六万件である、六万件の中で、二百の出産について一人の重症黄だんが出てくるとなると、約三百人出てくる。三百人の三分の二、つまり二百人が母子血液型の不適合が原因である。ところが、この八年間に、大阪のある病院でこの血液交換をやったのはきわめてわずかである。八年間に四百人くらいだ。そうしますと、約千六百人ぐらい出てまいりましたイエローベビーが、四百人ぐらいは交換輸血をして助かってくるけれども、残りの千二百人は死因が脳性麻痺となって、非常に不幸な生涯をたどっておるということになるわけでありまして、全国的に見れば毎年三千人以上の新生児が交換輸血をすれば助かるのに、捨てられて重症心身障害児になり、あるいは死んでしまうということの不幸に落ちているのである。また、このほかに、死産で生まれるのが十六万三千人ぐらいある。この死産の原因もいろいろあるわけでありますけれども、この中にも相当そういう関係の者もあると思われるのであります。毎年生まれてまいります百八、九十万人の子供たちの中で、生後一年以内に死亡する乳児は三万四千人、そのうちで、生後四週間以内に死亡する者は二万二千人もいるということになっておる。この四週間以内に死亡する二万二千人の中には、いまの重症黄だんの子供がたくさんあるわけであります。でありますから、こういう問題はそうたいしたことではない、交換輸血をすれば一〇〇%助かる者をむざむざ殺したり、脳性麻痺にしたりしておるというのが今日の事情であるわけであります。これは克服しなければならぬ。なぜ一体交換輸血ができないか。これは申すまでもなく、国民に、この知識が一般に達しておらぬということも一つでありましょう。しかし、医師が行なわないという原因もあります。政府の対策がおくれているという原因もありましょう。医師が行なわないという大きな理由の中に、血液交換が普及してまいりませんという理由の中に、やはり私は診療報酬の問題が大きいと思うのです。日本母子血液型センターのアンケートというのが出ておりますけれども、現在交換輸血をしていない病院の約六割は手術料が安過ぎるためだと回答をしておる。この「ママの血液型」の三二ページに書いてございます。新生児の交換輸血の手術料が、六百ccの輸血をして二千三百四十円、この手術には、熟練した医師が二人と看護婦が二人、手術に要する時間約二時間、器具消毒、血液準備等々に約二時間、それらのものをみなして、しかるに手術料が二千三百四十円、これではやれないという。大阪市内のある病院の試算では、大体一万五千円ぐらいだろうと言うております。しかし、一万五千円かければ脳性麻痺の子が助かるというのならば、これは安いものであります。  ついこの間、私の町に実に不幸な事件が起こりました。これはあらゆる面で非常に示唆に富んだものでありますから、この新聞記事を紹介いたします。これは不幸な事件でありまして、静岡新聞が大きく特集をいたしました。  これは浜松市に起こった問題でありますが、「浜松市の浜松西高等学校の教諭の笠原さんの長女ひろ美ちゃんが、去る十六日」——今月の十六日であります。「十六日夜、恥血液型不適合で、生後わずか五十七時間の幼い生命を断たれたことは、勘マイナスという血液型の問題を四十万市民に再び提起した。と同時に「もしひろ美ちゃんの誕生がもう数日、いや数時間遅れ、病状の悪化が日曜日でなかったら、手当てが早く助かったかもしれない」という家族の悲しみのことばからもうかがえるように、「都会の中の無医地区」に近い日曜日や夜間の医療体制を確立すべきだとの教訓を残した。ひろ美ちゃんは十四日(土曜日)午前十時、同助産院で生まれた。予定日より一週間早かったが体重は三千百グラムと標準以上だった。同午後四時になり、ひろ美ちゃんに黄だんの兆候が現われた。十五日朝七時半、自然光に照らされたひろ美ちゃんが、あまり黄色いため、ただごとでないと察した佐原さんは医師の往診を依頼することにした。近くのF小児科、N内科医に電話したが、日曜日のためか全然出ない。当番医を聞こうと浜松中央保健所に電話をかけたが、ここも応答がない。」中央保健所で応答がない。「遠州病院」、これは公的医療病院です。農協の厚生連の病院です。「遠州病院も同様だめなので、浜松東署に当番医を聞き電話をかけ始めてから三十分後、ようやく当番医のH小児科医に通じた。往診に応ずるとの返事だったが当番医として外来患者が多く、H医師が佐原助産院に見えたのが午後三時半ごろ。「血液交換の必要性があるかもしれない」とのことだったが、「日曜日だから、あすにでも総合病院で手当てを受けたら——」といわれた。H医師は注射一本をうって帰った。十六日午前三時半ごろ、ひろ美ちゃんは容体が急に悪化、ひきつけ、奇声を発する。驚いた佐原さんが危険を感じ、入院を申し込むため遠州病院に電話する。同病院の当直(看護婦)が出て「当直医が内科医なので当病院にかかっている患者ならカルテがあって病状もわかるが、そうでなければ応急手当てはできない」という返事。また当夜の救急当番が浜松社会保険病院だからと教えて電話は切れた。仕方なく浜松社会保険病院に電話するが、ベルだけなるが、いっこうに出ない。佐原さんや笠原さんの家族はいらいらして電話の成り行きを見守る。同病院のあと国立浜松病院に電話したがやはりだめ。佐原さんはH小児科医を通じて日赤浜松病院に緊急入院を申し入れやっとOK、タクシーで同病院についたのが午前四時四十分だった。同病院の当直医の診察をうけたが、「このようすなら午前八時半からの回診までだいじょうぶ」とのことで四階病室で待たされる。午前九時ごろになって専門の小児科医の診断をうけ、午前十時ごろからひろ美ちゃんの両親の血液検査が始まる。午後二時近く恥血液型不適合の疑いが濃くなり、約一時間後に断定される。直ちに恥マイナスの血液六百ccが手配され、血液交換が始まったのが午後六時ごろから。そして、約百ccを輸血した同七時十七分、病と戦ってきたひろ美ちゃんの幼い命はついに力尽きてしまった。」   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕  これを見ますと、今日の医療制度のあらゆる欠陥というものがここに重なっておるように思う。これはもちろん国立病院も公的な社会保険病院も、あるいは日赤もみな関係している。そしてついにこの子は助からなかった。救急病院の制度の問題をここに大きくはらんでおる。私は、この記事が出る前に、この事件をうちの病院から聞いたのでありますけれども、実に不幸な事件だと思うのです。でありますから、まず第一にこの診療報酬を直す必要がある。こういうようなことになってまいりまする最大の原因は、やはり診療報酬です。こういうような夜中の問題その他救急の場合に、二千三百円そこそこでは、これはたださえ困難な病院経営にさらに大きな負担をかけるということになりますから、この報酬をまず第一に変えなければ、幾ら叫んでみても、血液交換をして脳性麻痺の子供を救う、重症黄だんの者を救うということはできないのであります。でありますから、いま申しました脳性麻痺の最大の原因となりまする母子血液の不適合を解決してまいりまするまず最初の手始めは、私は診療報酬の改定にあると思う。この点ひとつ、保険局長がいらっしゃいますが、いかがでありましょうか。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎政府委員 現在の新生児の交換輸血の技術料につきましては、取り扱いといたしまして輸血に準ずるという形になっておりまして、所定点数の二倍を支払っておる、こういう形になっておるわけでございます。それに加えまして六歳未満の場合には加算の六点と、それから血管露出術の点数を加算できるということになっておりまして、新生児の交換輸血の場合には六百cc、先ほど先生も言われましたが、六百cc程度を使いまして、大体血液の八割くらいを交換するという形で行なわれておるのが通常だと思います。手術料が二千三百四十円というふうにお話がございましたが、私のほうで試算をいたしました点数を申し上げますと、若干違っておるわけであります。生血を使う場合と保存血を使う場合とそれぞれ分かれておりますが、一応生血を使う場合、保存血を使う場合、二つにつきましての試算を申し上げてみます。  甲表と乙表がございまして、甲表につきましては、生血を使った場合は、六歳未満の加算、血管露出分も含めまして三百三十六点かかります。つまり三千三百六十円。それから乙表によりますと、これは端数がつきまして四百五十三・三点、したがいまして四千五百三十三円。保存血を使った場合は、甲表におきまして二百五十八点、二千五百八十円、それから乙表におきましては二百九.十六・五点でございますから、二千九百六十五円になります。これに生血の場合には、大体百ccにつきまして七百五十円、これを六倍いたしますと四千五百円の分が加わります。これはもちろん、御承知のように療養費払いの取り扱いをいたしております。保存血の場合には、これは二百ccで千六百五十円でございますので四千九百五十円ということになりまして、合わせますと大体一万円前後の点数ということになるわけでございます。しかし、御指摘のように、技術料が低いということは私どもも十分考えなければならない問題だと思いますし、現在いろいろと問題になっております中身につきましては、今後逐次改善するように努力いたす所存でおります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いまのお話の中で、血液代は病院の収入になるわけではありません。血液代は全部血液関係に払わなければならぬ。それから血管の露出代は、甲乙違う場合はあるけれども大体六十円ということでございまして、それらのものをとりますと、甲乙はありますけれども、私の言ったものにほぼ近いものになるわけです。そういうことで、いまのように非常に緊急の場合で夜中の仕事が非常に多いわけでありまして、医師、看護婦等を動員して、はたしてそれだけできるかどうかということになりますと、これはどこでも渋るほうがあたりまえで、命の問題を渋っては相すみませんが、しかし、いまのような診療報酬では、これは進んでやれないということになるのは当然のことであります。設備それ自体は、うちの産婦人科医にも聞いてみたのでありますけれども、なにそんなものはビニールの管一本あったらできるんだということでありまして、そんなに特別設備が要るわけでは、異常がない限りないわけです。にもかかわらずこれが行なわれない。何と申しましてもここをまず改定してもらわぬと、せっかくのことができない。不幸な子供ができてしまえばもう取り返しがつかないのであります。そして毎月四万円ずつ払っていかなければならぬということになることを思えば、こういうことは何でもない。これらの点を私はやはり十分考えてもらいたいと思うのであります。  それから第二には、いまの救急体制、これができない。このできない理由は、申すまでもなく厚生省のほうでは省令をお出しになりましたけれども、実際問題として、救急指定を受けましても何らいいところなしということになるわけですね。これは同じく五月二十一日に出ました新聞記事でありますが、「不備な救急病院」ということで、これは毎日新聞の「交通事故を追跡する」という記事でありまして、五月九日の本社の全国調査の結果をいろいろ分析してあるのであります。この中にも書いてあるのでありますけれども、「救急の指定は厚生省令による。「X線装置、手術設備、当直医、空床の確保」ができる病院の申し出をもとに、知事が指定する。」こういうことで、何らいいことがないのであります。したがって、静岡県などはいまだにこれができない。県医師会が反対しておりまして、顔を洗って出直してこいと言っている。こういうことをなぜやっておるか。ことにこの記事で、五月九日の全国調査しました日に調べました交通事故のけが人が救急病院に運び込まれた、これを全部事実で調べてみた。「この指定病院は全国に二千五百ある、ところが、意外に国公立の病院が少ない。全国調査の重傷後死亡の十四人を調べてみても、指定を受けていない病院が五分の三に当たる九つもあった。この中の四つは国立病院である。」厚生省が救急指定をする。それが何らいいことなしで、命令で犠牲だけしいるという行き方しかできない。それで一万何千人もの人が交通事故で死んでいく。交通事故だけでない。ただいま読みましたようなかわいそうな子供が死んでいる。こういう事態が起こっておる。  まず第一に私が伺いたいことは、なぜこういうものに対する手当を出さないのか、救急病院の指定をしたものについて特別な措置をしないのか)いうととが一つ。もう一つは、国公立が少ないというのはどういうことか。もし手当を出さないからできないというなら、国公立ほど進んでやらなければならない。そのための国公立じゃないか。そのためにわれわれ税金を出して、国公立病院をつくっているのじゃないか。国公立が少ないのはどういうわけか。これは厚生省、黙っていちゃいけないと私は思う。もし手当を出す金がない、大蔵省がどうしても出すことを許さない、あるいは保険庁のほうで、そういう金を出したらいよいよ健康保険が赤字になるから出せないと言うならば、国公立が全部やるべきだ。そのための国公立だ。しかもこの国公立が少ない。重傷後かつぎ込んだが死亡した十四人を調べてみても、指定を受けていない病院が五分の三に当たる九つもあって、その中の四つは国公立病院である。一体これはどういうことです。こういうことでは、こういう子供たちを救うことはできないと思います。いま読みましたのも、公的病院、国立病院全部だめなんです。どういうことです。この問題をどう解決したらいいと思うか、医務局のほうから伺いたい。

渥美節夫厚生事務官(医務局次長)

○渥美政府委員 救急医療対策の重要性につきましてはお説のとおりでございまして、昭和三十九年に、厚生省令をもちまして救急病院または救急診療所を定める省令を出したわけでございます。現在、全国に二千九百九十八カ所の救急病院あるいは救急診療所が告示をもって指定されておるわけでございます。ただ、御指摘のように、救急病院につきましては常時医師を確保するとか、あるいはまた、常時空床を確保するとか、あるいは必要な設備を整えるというふうなことで、病院、診療所に対しまして相当負担になるということも事実かと思います。厚生省におきましては、こういった救急病院の施設をまず充実するというふうなことで、昨年来救急病院の手術室でありますとか高圧酸素タンクでありますとか、そういった設備につきましての補助政策をとっておるわけでございます。なおまた、救急病院のベッドを拡充する、あるいは設備を拡充するということにつきましては、特別地方債あるいは厚生年金の還元融資等によりましてその手当てをしておるとともに、救急医療の人的資源を確保するというふうな意味で、脳神経外科系統、あるいは複雑骨折とかあるいは内臓の破裂、そういった点につきましての医師の研修を行ないまして、現在までに二千人近くの医師の研修を実施しておるわけでございます。しかしながら、御指摘のとおり、個々の救急病院なり救急診療所につきましての直接的な財政的な援助というものが、いま行なわれていないという点でいろいろ問題が起こるわけでございます。この点につきましてはさらに十分検討を重ねてまいりたい、かように思うわけでございます。  なお、御指摘の静岡の浜松市におきましては、御指摘のように公的医療機関であって告示をされてない、たとえば浜松市立病院等がございますことも事実でございます。国立病院あるいはそういった公的医療機関は、本来救急医療を使命とするような機能を持っておるわけでございますので、国立につきましては現在まで六十六の病院が告示をされており、公的医療機関につきましては、その使命にかんがみまして厚生省直接に、あるいは都道府県知事を通じまして、そういった本来の使命に徹するように大いに指導督励をしているというのが現実でございますが、なお御指摘のような遺憾な点があるようなことにつきましては、さらに是正なり指導監督を進めてまいりたい、かように思っておるのでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 だから問題は、せっかくやろうとしても、血液交換をすれば脳性麻痺の子が助かるということがわかっておっても、そういういまのような救急病院の体制あるいは実際に各病院——これは浜松の公的病院全部回ってみたが、  一つもやっておらぬということでは、これはできないのです。だから今回こういうふうに特別児童の扶養手当法をつくる、そういう施設をつくる、私はそれとともに、どうしてもこういう不幸な子を生まれさせないということを努力しなければいけないと思う。その努力する第一は、そういう子供たちが生まれてきたときに、直ちに交換輸血をしてやれるという体制をつくらなければならない。これはできないことはない。設備が要るわけじゃない。ビニール管一つあればいい、細いビニールのパイプが一つあればいいとさえ言うのでありますから、これはできるのです。ところがしかし、厚生省の直接監督指導し、助成しておる、あるいは設立しておる国公立や、あるいはまた公的病院自身が、この事件の中にあらわれてまいりましたようなそういう体制では、幾らわれわれがここで大きな声で叫んでもこれは進まないのです。しかし、これは脳性麻痺の子供を救うだけの問題ではない。今日の救急体制というものはこのままではいかぬのです。大臣、そうでしょう。こういうことではどうしようもないでしょう。それだから、これは診療報酬を高くするとともに、その人たちがやれるように診療報酬をもっと上げて、夜間その他日曜祭日等の救急の場合はもちろん、いつでもそれに応じられるという体制をつくることは、今日一万数千人の交通事故の頭部傷害その他で死ぬ人を助けるばかりでなしに、あらゆる面で国民の大きな要求だと思う。むしろ国民は金を出してもいい。どうか夜間でも日曜でもすぐ飛び込んでいって見てもらえる病院をつくってほしい、これは私は全国民の声だと思いますので、この体制をつくるべきだと思う。厚生省みずからやればできないはずはない、できないなら国立病院なんというものは全部やめるべきです。でありますから、できないはずないのでありますから、まずそういう体制をつくるという熱意について厚生大臣の決意を承りたい。これはやらなければだめですよ、こんなものは。全国民は泣いてますよ。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま御指摘になりました交換輸血の問題につきまして、いろいろ国公立病院等のこれに対する熱意なり使命感なり、そういう面につきまして十分でないというおしかりがあったのでありますが、今後は国公立病院の使命にかんがみまして、こういうものを、進んでその要求に応じられるように強く指導してまいりたい、こう考えるわけであります。なおまた、交換輸血を、診療報酬の面においても喜んでこれを引き受けてもらえないというようなことでは十分な手当てができないわけでございますから、ただいま中医協におきまして診療報酬体系の検討をしていただいておりますので、その際におきまして、この交換輸血に対する適正な診療報酬が与えられるように厚生省といたしましても十分配意をいたしたい、こう考えるわけであります。  なお、救急医療体制の整備の問題につきましては、先ほど医務局の次長から申し上げましたように、設備その他の面で、金融の面その他でできるだけ助成の措置を講じておるわけでありますが、しかし、実際の救急医療を引き受けた場合、引き受けた診療機関に対しまして十分な報酬、報いがなされてないという御指摘は、われわれも十分その点遺憾な点があったことを率直に認めるわけでありまして、予算編成の際におきましても、今後ともその点につきましては努力するつもりであります。また、救急医療にあたりましても診療報酬の面においても再検討をする必要があるのではないか、こういうことも感じておるのでありまして、これらの点につきまして今後十分前向きで積極的な検討を加えてまいる所存でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 いま申しました浜松のこの病院、私は全部知っている病院でありますけれども、どの病院もやりたくないのではないのです。ただそういう措置ができておりませんために、人員をそろえておくことができないというような事態なので、人員をそろえておけばこれは大損をしてしまう、大きなマイナスになってしまう。だからできないのでありますから、いまの大臣の御発言をひとつ確実に実現をしていただきたい。これはただに子供たちだけの問題ではなくして、全国民の大きな願いであります。むしろ高くてもいい、何とかいつ飛び込んでいってもすぐ見てもらえる体制にしてもらいたいというのが——これはそう願わない国民はないと思うのです。しかもこれは痛切に考えている。大都会の中の無医地区ということばがさつき出てまいりましたが、まことに大都会でさえそうです。ぜひこれはいまの御発言を確実に実現していただきたいと思うのであります。  そこで、交換輸血をするについては、当然母の血液型の調査をしておかなければならぬわけです。Rhマイナスの人たちを組織する運動を最近私の町でも、私の関係者におきましてもしております。けれども、先ほど申し上げましたように、Rhマイナスのほうはわりに少ないのであります。むしろABO型の母子血液の不適合という線がずっと多いのであります。したがって、O型のおかあさんが妊娠をした場合、その主人のおとうさんになる人の血液型というものもちゃんと調べておく必要がある。そして妊娠中にすでにそういう用意をしておく。この「ママの血液型」を見ますと、アメリカの話が出ておりまして、アメリカでは出産二日前にその二人の血液型を調べて、輸血のための準備をさせるということが書いてございますが、日本は、出産のときの出血による母親の死亡というものは、文明国では他にないほどひどく多いのでありますから、とのおかあさんを救うためにも、こういう産婦の出血による死亡ということを防ぐためにも、その不幸をなくするためにも、私は大事だと思います。したがいまして、この母子手帳にその血液型を記録しておくということをすべきだと思うのであります。そして、そのO型のおかあさんが妊娠した場合には、やはり主人の血液型もしるしておく。そして万一の場合に備えておく。もし不幸にして重症黄だんの子供が出た場合には、直ちに血液を交換輸血するということをする、その準備をしておくということをしますれば、この問題は一〇〇%解決していくわけであります。  ある病院でやった例が、やはりいまの血液型から出ておりますけれども、三十八人かの重症黄だんの子供の血液交換をして、結局一人死んだだけ、あとは全部助かった。後遺症も何も残ってないという記事が載っておりますけれども、そういうことを考えると、これは真剣に取り組むべきだと思います。母子手帳に当然それをすべきだと思いますが、それらに対していかがでありましょう。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 昨年の母子保健法の制定に伴いまして、母子手帳を母子健康手帳というふうに改めたわけでございますが、そのときに、内容につきましても改善を加えまして、先生の御指摘のように、血液型につきましては本人、夫、子供、この三人の血液型を記入するようにいたしたわけでございます。なお、その下の欄には、血液型が合わない場合、重い黄だんなどの病気がありましたら、ぜひとも医師と相談をしてください、こういうような注意書きも書いてあるわけでございまして、これによりまして、ただいま御指摘のような予防対策を今後とも充実さしていきたい、かように思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 だから、それを書いたってやらなければだめなんです。やることが大事なんです。幾らもかかるわけじゃないのです。この血液型を調べるだけなら、幾らもかかるわけではない。ただ裏表検査をするということになりますれば少しかかりますけれども、同時にワッセルマン反応、梅反の検査をしますときにあわせてやれば、それは幾らも労力も金もかかるわけではないということになりますから、これはやはりやらせる。そして、これは必ずやらせるということをすべきであり、それらの費用についてはおかあさんたちは喜んで出しましょうし、また、出さなければ補助してよかろうし、また、補助するのもめんどうであるならば、例の血液代の五百円というものをそれに充当していくということで、何でもないことであります。幾らもかかるわけではない。そのRhマイナスをやっても、実費五十円か七十円あればできるわけですから、これはぜひやるようにしてもらいたい。そして、いま日赤一本の方針で献血運動をしていらしゃいますけれども、これまた少し考える必要がある。これはもっとやはり積極的に、私は日赤が中心になってやることは賛成ですけれども、しかし同時に、あらゆる公的な機関にこの献血、預血運動というものを、事業というものを許したらいい。今日なお血液が足らなくて非常に困っておるところがあるのでありますから、こういうことを許して、同時に、その必要があれば、五百円をそういうような方に回していくというような形をとっていけば、この問題はできるのであります。できるものをしないでおるということではいけないのであります。血液が十分用意ができ、そういう医療機関がこれをやり、また、母子手帳に必ずそれを書き入れていく。むしろこれを義務づけてやらせるということになればこれはできるのでありますから、ぜひこの問題は厚生省が本気になってやってもらいたい。そうすれば、この不幸な子供たちは救えるのです。また、その他の緊急の場合にできるのであります。  兵庫県では、本年度、不幸な子供の生まれない対策というのを進めているということでありますが、大体どういうことをやっておるのであるか、その大要を伺いたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 兵庫県におきまする不幸な子供の生まれない対策は、四十一年度から発足を見ているわけでありますが、衛生部に特別な職を設けまして、各課に共通いたしまする母子保健関係の施策、たとえば母子保健でやっております仕事と性病関係の検査あるいは薬務局関係の仕事、こういったものを総合的に企画をしてやるという職を設けたわけでございますが、内容といたしましては、ただいま御指摘の脳性麻痺対策としての血液型の不適合のために全妊婦の血液型を検査する、また交換輸血を行なう際に、本人に負担能力のない場合には県費で負担をしていく、そういうような方法、また、その他梅毒でありますとかあるいは性病、遺伝病、こういったものについての対策を強化していく、また、薬の乱用をできるだけ戒めていく、こういうような対策を講じているというふうに聞いております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そういう運動は岡山でも大阪でも始まってきているようでありますが、ぜひ全国的にこれは進めてもらいたいと思います。  時間もだいぶおそくなりましたので少しはしょりまして、ついでにこのコロニーの問題について伺っておきたいのであります。  コロニーをいよいよつくるということで、群馬県の高崎市の近くに土地を物色いたしたということでございますが、このコロニーをつくるということは、ほんとうに重症児をかかえました親たちの非常な願いであります。これまた何としてでも成功させなければならないと思うのでありますが、このコロニーをつくってまいりまする構想について伺いたいのであります。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 コロニーにつきましては、昨年専門の学識経験者の方々にお集まり願いまして、コロニーに関する懇談会を設置いたしまして、そこでわが国でつくるべきコロニーについての構想、考え方というものを諮問をいたしたわけでございますが、結論といたしまして、わが国で初めてつくるコロニーでございますが、根本的には人間尊重の気持ちを基本にいたしまして、これを全国民のものとして育て上げていく、こういうことでございます。  なお、対象といたしましては、国でつくります場合には一つモデル的なものをつくるということでございますが、重症心身障害児とか、中度、重度の身体障害者あるいは精神薄弱者、こういったものを含めました総合的な生活共同体であるという考え方でございます。したがいまして、そういった対象の人たちの収容部門と、また、医療センター、研究施設、それから教育、授産の施設、福祉施設——これらには老人ホームでありますとか消費センターとか加わりますが、そのほかに先ほど御指摘のありましたボランティアあるいは家族が訪問した場合の宿舎施設、面会施設、そういったものを含めまして、大体四カ年ぐらいで五、六十億の経費を投じてつくりたい、かように考えておる次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほど申しましたように、この親たちの非常な心配は、自分が死んだ後にこの子はどうなるかというのが、共通しました非常な心配であります。したがいまして、コロニーをつくるという構想が出ましたときに親たちがどんなに喜んだか、その親たちの喜びを私は裏切らないようにしてもらいたいと思うのであります。これは実に容易ならぬ仕事であります。それで私も、翁さんが今度の「厚生」の四月号にお書きになったコロニーのことについて、拝見をいたしました。ねらうところ、実に当を得ている、実にりっぱに的を射た考え方を持っていると思いまして、そう言ってはたいへん失礼だけれども、翁さんがどういう経歴の方か知りませんけれども、お役所の人としては珍しい、的を射た構想を持っていらっしゃるなと、実は感服したのであります。また、ただいまお話しの、十二月に大臣に意見書を提出なさいましたコロニー懇談会の方々の構想、これまた実に当を得た、りっぱなものだと思います。ぜひこの線で進めてもらいたい。ことに従来の収容保護施設が独立自活への道ということを、生活保護法にしろその他にしろ、みな中心にしたのでありますが、それを変えて、むしろ長期収容保護または居住させるという考え方へ——コロニーとしては当然な考え方でありますけれども、との考え方はやはり貫いていただきたい。それから、このコロニーはずいぶん大きな構想でありますが、今後こういうものは民間にもつくることを進めていくのかどうか。これは一番先に、午前中にお話ししましたように、ベーテルを見ましても、宗教的な意図のもとにされるということは非常に大事であります。これは、ディアコニッセの制度をとにかく日本に取り入れたのは実に私なのでありますけれども、私は取り入れまして、私の施設の中にその母の家をつくりました後に泉寮をつくりました。私の友人でありますけれども、深津牧師が、ああいう夜の婦人のコロニーをつくるという行き方をしていったのでありますが、そこにディアコニッセに来てもらうという行き方をしたのでありますけれども、これは宗教的な仕事にならないと本物にならないのです。ですから、民間施設としてコロニーをつくっていく、それに対してやはり相当応援をしていくという行き方が非常に大事だと思います。厚生省のほうでお立てになりましたコロニーの構想を見ますと、国有にして、そして何らかの法人にまかせていこうという、これまた非常におもしろい考え方だと思います。ただ、私かつて戦争直後に、日本の施設、社会事業が経済的に非常に困難なことを見まして、国有民営という行き方をしようじゃないかというので、しばらくやらせてみたのであります。当時葛西君が社会局長でありましたが、やらせてみたのでありますけれども、しかし、なかなかうまくいかない。というのは、末端へ行くと、国有民営でやってまいりまして、とかく役人がものを言い過ぎる、あまりに支配をしていく。それが十分、もののわかった役人ならいいのでありますけれども、しばしば、つくるときと担当者がかわってしまいますと、そういうことに十分理解がない者が入ってきて、そしてくちばしをいろいろいれる。したがって、施設を運営してまいります者は、いやになってやめてしまう。そうすると、あとは全部だめになってしまう、とんでもないものになってしまうということになる。だから、ここらが国有民営の非常にむずかしいところなんです。私は率直に言うと、たいへん言いにくいことばでありますが、若いはつらつとした情熱を持った人が、役人をやめて入ってきてくれることはけっこうでありますけれども、退職するのに行き場がない人が入ってきてくれるということは、ありがたくないのであります。どうかそういう行き方をさせないでもらいたい。コロニーに生涯をかける、ほんとうにそういう人たちを人道的な立場で守っていくという情熱を持って打ち込む人々にやらしてもらいたい。それで経済的なものが入りますと、とかく経済的な力を持っておりますところに権力ができてまいります。この点が非常にむずかしいところであります。翁さんのコロニーの構想を読んで、私感服いたしました。あの線でりっぱにやり抜いてもらいたい。  私、時間がおそくなりましたから、この程度でやめますけれども、われわれも必要があればいつでも協力を申し上げます。全国のかわいそうな不幸な子供たらのためにこの線を確立して、実現していただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 国民年金法あるいは児童扶養手当法、重度精神薄弱児の扶養手当法、三法が提案をされておりますけれども、この中で特に一番大きな影響を国民に与えるであろうところの国民年金法の問題に重点をしぼって特に相当審議も重ねられておりますから、できるだけ重複を避けて政府の見解をただしていきたい、このように考えます。  いままでの質疑の過程で、政府が、特に零細な所得者でありますところの農民あるいは中小商工業者、こういった方々が対象者になっておりますところの国民年金の制度につきましてどのように考えているかということについては、先輩、同僚の委員の質問の過程で相当明らかになってきたと思います。たいへん政府は恩着せがましいことを言ってはおりますけれども、たとえば問題になっておりますところの積み立て金の運用の問題だけをとらえてみましても、ほんとうに国民の福祉というものを考えあるいは老後生活の安定というものに意を向けたところの施策を行なう意図があるかどうかということについても、この委員会の中で相当程度明らかにされてまいったと思います。もちろんこれからの審議の過程でいままでのような態度を変えて、そうして真に国民の老後の生活を保障するあるいは国民の福祉に貢献する、こういう立場に立った人間尊重というそのことばそのままの施策を行なうという方向に政府が考え直してもらわなければいけない、こういうふうに私は思うのでありますけれども、それらの点についてはなお残された審議の過程を通じて追及をしていきたい、このように考えます。  私が初めにお尋ねをしたいのは、健康保険法の審議の際にもあるいはその他社会保障関係の問題の審議の際に常に議論をされておりますところの、わが国の社会保障給付費というものがどういう状態になっているのか、こういうことについて相当程度今日までの段階で明らかにされてまいったのでありますが、そこで明瞭に言い得ますことは、諸外国と比較をしましてわが国の社会保障給付費というものが非常に低位の状態に置かれている、こういうことだけはすでに政府もお認めになっており、政府の発表するいろいろの数字がこれを告白いたしておるのでありますが、このように社会保障給付費というものが諸外国に比較をして非常に劣悪であり低位にあるということの原因を、政府は一体どのように考えられておるのかをまずお尋ねをしておきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 欧米先進国に比べまして、わが国の社会保障費がきわめて低位にあるという点につきましては御指摘のとおりであるわけであります。しかしながら、近年国民所得の上昇に伴いまして、この総所得に対するところの振替所得のほうもだいぶ向上を見ておる。四十一年度におきましてはその比率が六・三%程度にこれがのぼっておると思うのであります。私どもは中期経済計画で昭和四十三年までに七%にこれを引き上げる、こういう目標で努力をしてまいったのでありますが、中期経済計画は御承知のように経済の大きな変動によりましてこれを一応廃棄いたしまして、新たに新しい長期の経済計画を政府では策定をする、こういうことに相なっておるのでありますが、この新しい長期の経済計画を策定をいたします際におきまして、振替所得はどの程度にするかということにつきまして、先般も藤山経済企画庁長官等と協議をいたしまして、中期経済計画の目標を上回る線で、長期経済計画に見合ったところの長期の社会保障計画を樹立する、こういう基本的な方針でただいま厚生省におきましてもこの長期社会保障計画の策定に努力をいたしておる段階でございます。欧米先進国におきましては、国民総所得に対する振替所得の比率が十数%程度になっておるのでありますから、私ども今後できるだけ一日も早くその線に近づけるように今後とも努力してまいりたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 新しい経済計画によりますと、四十三年度までですか、その中で七%を目標にするというようなお話でございますけれども、この七%でもとうてい西欧諸国、特にEEC諸国の振替所得の額にはまだ半分にも満たない、こういう状態にすぎないと思うのです。私は厚生省が発行をしておりますところの厚生白書、こういうものを読んで見ましたところが、大体国民所得の伸びあるいは今後の国民所得に対する計画、こういうものから考えて、あるいは今日の国民所得そのものから見て、わが国の振替所得、すなわち社会保障給付費というものが相当大幅に好転をし得る、そういう条件を備えているということが再三に何カ所かにわたって強調されておるわけでございます。これはやりようによってはということを前もって意味しているだろうと思うのでございますけれども、この社会保障給付費を増加し得るそういう可能性というものは非常に多くなっているという厚生省の分析というものは、私はいまの日本の経済の状態あるいは国民総所得、一人当たりの国民の分配所得、こういうものから見て、この分析は正しいというふうに考えます。問題はその可能性を現実にし得るかどうかという点にかかっておる。言いかえると、これは政府全体の社会保障政策に対する姿勢の問題だというふうに私は思います。こういう点から考えてみまして、政府全体としてこの問題に取り組まなければ、たとえば先般来の議論にもありましたように、大蔵省は大蔵省なりのものの考え方で、そしてきわめて冷酷なと言っても過言ではないような、ああいう積み立て金の運用のしかたをしようとしておる、こういう状態の中で厚生省だけがやっきになって厚生白書の中で強調したり、あるいはその他の場所でPRしたり等だけでは、これは現実のものにならないであろう、こういうふうに考えざるを得ません。そこで特にいま大臣がお答えになりましたように、今度の新経済計画のもとでは、相当大幅に社会保障給付費を増額していきたいということでございますけれども、その中で最もこの重点を指向する方向は一体どこなのかということについてお尋ねをしておきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 わが国の社会保障制度と欧米先進国のそれとを比較いたしました際におきまして、医療保障の面におきましては、私は、相当日本の医療保障制度も前進をしておりまして、あまり遜色のないところまで進んでおる、こう思うのであります。ただ遺憾ながら、所得保障の面におきましては制度が発足以来年月も比較的浅い。昨年厚生年金制度におきまして一万円年金が実現をいたしたのでありますが、今回また御審議を願っておりますように、夫婦一万円年金を実現しよう、こういうことも、このおくれております所得保障の面を大幅に前進をさしたい、こういう考えに基づくものであります。  それからもう一つ、欧米先進国その他の国々ですでに実施に移しておりますところの児童手当、この制度をいま検討を進めておる段階でございまして、この児童手当制度が実施に移されますようになりますれば、わが国の所得保障は初めてここに欧米先進国に近い方向で整備、充実を見ていくものと考えるわけであります。そういうような観点で、今後の長期経済計画に見合った新しい社会保障の充実という面におきましては、この児童手当の実施を含む所得保障の面に相当重点を置いたところの施策をやってまいりたい、かように考えておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ただいまの大臣の答弁は、この三十九年度の厚生白書が発表いたしております考え方と全く同一であると私は思います。また数字そのものから考えてみまして、年金保障部門、所得保障部門が非常に極端に外国に比較をして立ちおくれを来たしておる、こういうことでございますので、この部門に力点を置かれることはけだし当然だろうと考えます。そこでお尋ねをしたいのでありますけれども、この年金部門を急速に充実をしていく、そうして諸外国の給付水準に近づけていく、こういう方針というものを具体的に実現をしていかなければならない。その絶好の機会ともいうのが実は今度の国民年金法の改正の時期であるというふうに私は考えます。その中で、もちろん拠出制の給付水準等が相当数字の上で引き上げをしよう、こういうようなことが盛られておるのでありますけれども、しかし、これは申し上げるまでもなく、二十年先あるいは四十年先、こういうときに初めて正しい意味での給付というものが行なわれるということになるのでありますから、したがって、今日の段階で社会保障給付費というものを引き上げていくというためには最も力点を置かなければならないのは、無拠出の福祉年金部門ではないか、こういうふうに私は考えます。ここに力点が置かれなければ、二十年後あるいは四十年後の問題を議論をしてみても、ほんとうの意味でこの年金部門に重点を置いて、そして社会保障給付費というものを大幅に引き上げをしていこうという言明は具体的に実現をされていかない、こういうことになりかねないと思うのであります。その角度から考えますと、今度の福祉年金の引き上げというものについては先ほどの大臣言明の方針からすると、どうも言行一致しないきらいもなしとしないと私は考えるのでありますけれども、その点はどのように理解をされておるかをお伺いをしておきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 今回の改正の重点は、国民生活水準の向上、また今後の経済の推移あるいは物価であるとか賃金の傾向等を十分考慮に入れまして、そして一面におきまして昨年改正を見ました厚生年金との均衡等をも考えまして、拠出制年金の大幅な給付の改善、引き上げというものを中心にいたしました改正案を提出をいたしておるのでありますが、それに伴いまして、拠出制の面におきましては、老齢の福祉年金にいたしましても、あるいは障害福祉年金にいたしましても、遺族年金にいたしましても、相当の改善を見ておるわけでございます。無拠出の面につきましては、これは制度が発足をいたしましてから二度、三度にわたりまして改正を重ねてまいっておるところでありまして、今回も拠出制年金の改善とある程度見合いまして、その改善をはかるということにいたしたわけであります。ただ、ここで拠出制の年金とその拠出制年金の補完的な、福祉的な制度としてやっております福祉年金というものは、必ずしも私は単純に比較をすべきものではない。これは全額国の一般会計からの支出によってまかなっておる問題でございますので、国の財政その他とも十分そういう点を勘案をいたしまして、これをできるだけ着実に改善をし、充実をしていく、こういうことで今後におきましても引き続きその充実に努力を重ねていきたい、かように考えておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 先ほどの大臣の答弁は、とにかく社会保障給付費、振替所得というものをできるだけ早い機会に西欧諸国並みに引き上げをしていく、こういう方針でございますという答弁でありましたから、私はその方針に沿って、しかも、いま立ちおくれていると大臣もお認めになっているところの年金部門というものを充実していくために、社会保障給付費というものを増大せしめていく、こういうような考え方に立って今日的な効果というものを考えるとするならば、それは福祉年金制度というものを充実する以外には、社会保障給付費というものの増大はあり得ない。二十年後、四十年後も先の問題ならいざ知らず、新しい経済計画のもとではそういう先々のことまで計画をされているはずはないと思うのです。ですから、そういう立場に立って、今日の社会保障費というものを考える場合に、最も重点を指向しなければならないのは福祉年金部門であることは、自明の理だと思うのであります。そこへいきますと、国家の財政の状況云々、こういうことで議論をそらされるとするならば、それは先ほどの言明とだいぶ食い違ったものになってくるのではないか、こういうふうに私は考えます。  なおこの点については、福祉年金の額の問題等についてあとから触れていきたいと思いますが、そういうような方針から見まするならば、いまどうしても重点を置かなければならないのは、再言しますけれども、それはやはり無拠出制の年金部門、ここに国家資金というものを充当するという以外には、先ほどの言明というものは実施できないようになるのではないか、こう思うのですけれども、この点はどうですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この所得保障である年金制度は、長期の展望の上に立ってこの制度を充実し、給付の内容等の引き上げ等もはかっていく、こういうことでございまして、その補完的な福祉的な意味合いで福祉年金という制度をやっておるわけであります。先ほども申し上げましたように福祉年金の制度につきましては、制度発足以来二度、三度にわたりましてこれが改善をいたしておるところであるわけであります。今後におきましてもこの給付内容の改善等につきましてはさらに努力を積み重ねてまいりたい、こういうことを申し上げておる次第であります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 福祉年金の額は確かに三度にわたってこれを改善をされましたけれども、制度そのものの前進でないということは、先般来の議論の中でだいぶ論議をされておりますから、私は重複は避けます。これは物価の値上がり、経済変動、これに見合う程度の引き上げが行なわれたという程度のものでありますから、したがってそれは改善と称すべきそういう性格のものではないと私も考えます。しかしこの点はあとに議論を譲ることにします。  大蔵省にちょっとお尋ねをしておきたいのですが、去年の八月だと思うのですけれども、大蔵省の主計局が医療費問題に対する大蔵省の考え方というものを、これは公式には自民党医療基本問題調査会に提出をしたこういう資料です。しかし、相当これは各方面にいまは出ておりますから、公けのものと言ってもいいだろうと思います。なお、私が本会議でこの問題について大蔵大臣に質問をした際にも、大蔵大臣はとういつた問題について大蔵省が検討をし、態度を表明するのは当然なことでございます。こういう趣旨の答弁がありましたし、鈴木厚生大臣はまたこの大蔵省の主計局発表の見解なるものについて、同感でありますという旨の答弁がありましたので、ここでお尋ねをしておきたいと思うのです。  その最も重点的な事項は、大体これは医療保険の問題について触れたわけでありますけれども、本人負担の制度はぜひとも必要である、国庫負担というものはこれ以上増額なんというものはもってのほかだという、そういうことが要約して述べられておる。その中で特徴的に私がここでお尋ねをしておきたいのは、この社会保障費というものがわが国の場合きわめて低位にあるということは、先ほどもここで申し上げましたように、いわゆる年金部門の給付費というものが非常に少ないからそうなのであって、この年金部門というものがもっと給付額が多くなり、この内容、制度が改善をされれば、社会保障費に対するところの国の負担額というものは増大をする。したがって今日の段階で医療保障に対するところの国庫負担というものはこれ以上増額すべきではない、こういう趣旨の項がございます。この項を反対に議論をするとしますならば、したがって年金部門の給付面については国庫負担というものは増額しなければならないということになるわけです。そういうような角度から見ますと、今回の国民年金法改正にあたっての国庫負担については、年金審議会あるいは従来までの関係審議会等の意見に見られますように、本人の保険料と同額のものを国庫が負担すべきであるという、そういう主張に対して、政府は、特にこれは大蔵省の、財政当局の考え方が根強く反映をしたと思いますけれども、それが三分の一に終わっておる、こういうことでございますけれども、この大蔵省の主計局の統一見解というものからしますと、今回の国民年金法の改正に対する大蔵省の態度というものは実に首尾一貫しない、こういうふうに私は考えざるを得ないのです。医療保険についてこれ以上出すことはできない、しかし年金部門についてはもっと出す必要がある、こういうことをいっていながら、実際に今日国民年金法の改正の段階になって、むしろその主張というものは全然生かされていない、こういうふうに考えざるを得ないのでありますけれども、大蔵省の考え方は一体どうですか。

平井廸郎大蔵事務官(主計官)

○平井説明員 先ほどの資料でございますが、大蔵大臣も本会議で御答弁申し上げましたように、これは公式に発表したものではございません。ただ、われわれなりあるいは与党の方々の議論の対象としてそういうものを非公式につくったわけでございまして、その限りにおいては公式に発表された資料ではございませんが、われわれの考え方を示しておるという意味においては間違いではないわけでございます。そこで、その考え方の基礎になっております説明でございますが、現在のわが国の社会保障費の国民所得に対する比率あるいは振替所得の国民所得に対する比率が低い主たる原因は何であるかと申しますと、それは確かに年金等の所得保障の部分において低位にあるからである、こういうことでございます。ただそれが、国庫負担が低位にある理由というのは何かと申しますと、これは二通りあろうかと思います。一つは、御承知のように厚生年金にいたしましても、本格的な給付の開始はここ二、三年のことでございまして、これから制度なり給付の本格化が行なわれます。それに伴いまして、国庫の負担も御承知のように厚生年金につきましては給付時主義でございますので、増大してまいります。また国民年金につきましてはまだ給付の開始は行なわれておりませんが、これは完全積み立てなりあるいは今次採用されました修正積み立てによりましても、これからどんどんと積み立てが行なわれていく、そういう限りにおきまして、先ほども申し上げましたように、当然今後の負担というのは現在のままにおきましても、将来においてかなりの程度制度的にふえてくるのであろう、こういう考え方を持っております。それからもう一点は、確かに年金制度自体についての改善が必要であろう、これは現在の所得保障自体がそれで完全なものである、ことに年金制度等を中心といたしました所得保障が一〇〇%完全なものであると私どもも考えておりませんし、できる限り今後もそういった面が伸びていくことが望ましいということは考えております。ただ、その場合におきまして、国庫負担の率を上げるということを直ちにそれでお読み取りになるということは、私どもとしては考えているところではございませんで、今回の法律改正によりましても、国の負担額は当面七割程度増額いたします。さらに大体三百円程度の保険料を支払われる段階になりますれば、国の負担額は大体現在の倍程度まで増加してまいるわけでございます。その意味におきまして、国の負担そのものも大いに増大してまいるわけでございます。これを否定しているわけではございません。ただ、先生のおっしゃるように、国庫負担を二分の一にすることまでそこでお読み取りになるということは、私どもとしては考えているととろではございませんで、少なくとも現在のような制度改正も、私どもとしては当然それによる国庫負担の増加を伴うという限りにおいては、その趣旨に反するものではないというふうに考えているわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの前段のあなたの答弁は、これは公のものではない、こういうふうに言われましたけれども、私も先ほど経過を説明いたしましたように、自民党の医療基本問題調査会提出資料ということでございますから、公でないといえば公ではない。しかし本会議の席上で、その考え方、その統一見解なるものについては大臣もこれを了承し、それを支持するという明確な答弁をしている以上は、もはや公的なものとなったと理解せざるを得ない、こう私は思うのです。  それで、いまのお話でございますけれども、この中で述べられておりまするものは、私はこの分析の中でただ一つ正しく指摘をしていると思うのは、いまのわが国の社会保障給付費の中で給付費というものが非常に低位にある、低位にあるけれども、その根本的な原因というものはどこにあるかといえば、それは所得保障費に対する国庫負担というものが少ないからだという分析のしかたをしている、これはそのとおりだと思うのです。ですから、そこでこの統一見解が述べているのは、医療給付に対しては、医療保障に対しては国庫の負担というものをこれ以上増大すれば、したがって年金部門に対する割合というものは、年金部門はもっと低位になってしまう。今後国が力点を置くべきものは、それは年金部門に対する国家の資本投下である、言いかえますと、国庫の支出を年金部門によけいにすべきである、こういうことを言っているわけです。そういうような考え方からしまするならば、今度の国民年金法の改正にあたって、もちろんそれは保険料が増額になったのでございますから、その半額を負担するということは国庫負担が多くなったということにはなるかもしれません。しかしそれは制度全体を前進をさせ、しかもきのう来問題になっておりまする積み立て金というものが、実際にはその整理資金としての機能を果たし得ない、そういう状態の中でこの制度というものを前進させ、そして充足せしめていくためには、国庫負担というものを増大していくという以外に方法はない。しかもあなた方の統一見解というものは、所得保障についてはもっと国庫の負担というものを増大すべきであるとまでは言っていないけれども、むしろお金を使うとするならば、そこにお金を使うべきであるということを言っているわけですから、そういう考え方を生かすのには、今度の年金法の改正というものは絶好の機会であったと思うのです。そういうような絶好の機会にあたって、実際にそのことを実現するための努力をしないで、そして医療保険の問題のときには、年金部門にお金を使うのはいいけれども、医療保険について使うということは困る、こういう言い方をしているというのは、そのつどそのつど、何とかして国のお金というものを国民の生活の面に使わないという、そういう態度が一貫して見られる、こう言われてもやむを得ぬだろうと思うのです。ですから私は、そういうようなことについてそのつど式に何か国庫支出というものを出し渋るということでなしに、主張したものはやはり機会が近づいたならばそれを実現していく、こういう態度というものが大蔵省にあってしかるべきである。こう思うのです。特にこの点については、厚生大臣もあの本会議の席上で、この見解には賛成でございますということを言われたのでありますから、この大蔵省の見解と、今日大蔵省がとっておる国庫負担の問題に対する態度について、一体厚生大臣はどう考えておるのか、こういうことも明らかにしてもらいたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 本会議で大蔵省の一つの考え方につきましてお尋ねがありまして、私は、基本的に所得保障の面、年金の面が立ちおくれておりまして、今後国としてもそういう面に財政的な面でも力点を置いた施策をやっていく、こういう趣旨に対しまして私も同感の意を表しておるのでありまして、その点につきましては、今日も私その考え方は変わっておりません。今回の保険料の被保険者の負担も百円増したわけでありますが、国のほうの負担も八割程度増額されることになるわけでありまして、四十一年度におきましては二十一億円の増、四十二年度におきましては九十一億円の増、四十三年度におきましては百二十五億円の増、四十四年度には百六十億円、さらに四十五年度には百七十億円の増、こういうぐあいに国の負担も実額におきまして相当負担がふえてまいるの  であります。また先日来整理資源の問題がいろいろ出ておるのでありますが、今回これを完全積み立て方式をとらないのは、被保険者の方々が完全方式をとりますれば四百円程度の保険料になるの  でありますが、現在の経済事情その他を勘案いたしまして、最小限度の百円にとどめた、またそれに見合ったところの二分の一の保険料の国庫負担、こういうことから百八十六円程度の整理資源がそこに穴が出ておりますことは御説明を申し上−げておるとおりでありますが、これらは今後五年日ごとに再計算期になります際におきまして、被保険者の所得の向上あるいは国の財政事情等々を勘案しながらこの整理資源の穴を埋めてまいる。  こういう際におきまして国の財政の許す限りでき一るだけのこれに対する補助をしてまいる、こういう考え方を私ども持っておるわけでありまして、今回は公債発行等もやるというような財政事情からいたしまして、一挙に完全方式というものを貫くということはしなかったわけでありますけれども、この積み立てにつきましては、長期にわたって給付時における支払い等に支障を来たさないように、国としても国庫負担等について十分な努力をする、考慮を払う、こういう方針であるわけであります。いずれにいたしましても、これは年金特別会計だけの問題でなしに、国が国民の皆さんに約束をし、責任を負っておるのでありますから、給付につきましては、絶対にその給付時におけるところの実額が夫婦一万円の給付がなされるように政府の責任においてこれをやっていく、こういうことにつきましてははっきりここで申し上げておきたいと思うのであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 完全積み立て方式というものがとり得なくなったということの原因は、国民の生活が、しかもこの該当者が雰細な所得者であるから、したがって四百円の掛け金というものを一ぺんにとるわけにいかないからと、こういう言い方でございますけれども、私はそういう状態であるとするならば、なおさら国庫の負担というものを増額をしていくという、そういう配慮がなくてはならないだろう、そう思うのですよ。しかも先ほど来申し上げておりまするように、この大蔵省の統一見解なるもの、大蔵省の主計局統一見解といいますか、これは医療保険についてはこれ以上いま国がお金を出すということは種々困難があるけれども、しかし所得保障の面については出すべきである、こういう主張をしておるのでありますから、予算折衝その他の場合に特にこの国庫の負担の問題については、厚生省はこの統一見解というものをたてにとって主張し得る、そういう根拠が私はあったと思うのです。しかも年金審議会等でもそういう答申をしておるのですから、そういうような場合に大蔵省の言うなりになって——大蔵省はそのつどそのつど都合のいいことを言っておると私は思うのですよ。そういう言いなりになって、そうして大蔵省のこの考え方というものを突いて、所得保障というものを充実していくために絶好の機会ともいうべき今度の年金法の改正にあたって、また大蔵省の言うなりになるということは、私はどうも、社会保障というものをもっと充実をして、特に近々の間に社会保障給付費というものを先進諸国に近づけるようにするという、そういう方向をいま語ったばかりの鈴木厚生大臣としては、手抜かりではなかったか、こう言わざるを得ないのです。こういうことを大蔵省が言っているのですから、したがって医療保険についてはやむを得ないとしても、年金保障の分についてはあなた方の考えていることもあるんだから、この際、国庫の負担というものを本人の保険料と同額負担とする、こういう方向で交渉をし、また実現し得る要素にもなり得たんではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、この点はどうも過ぎたことでございますから、きわめて遺憾であるというふうに言わざるを得ない。いまの大臣の答弁というものは私はどうしても納得できない。大臣はきわめて誠実に答弁はするのですけれども、しかしそのやっていることは、どうもことばと行為というものが一致しない面がある、こういうふうに指摘をせざるを得ないと思うのです。  その次に私がお尋ねをしたいのは、いまも大臣から今後のお話がございましたので、まあ念には念を入れてというつもりでお尋ねをしますけれども、国民年金法は五年ごとに保険料の問題について検討をするということになっております。したがって、この国庫の負担の問題についても、ややもすると、それと同時期でなければどうにもならないという考え方が根強くびまんしているのではないかというふうに思います。しかし、いま大臣の答弁によりますると、今後も不断に国庫の問題等についても検討を重ねて、そうして積み立て金が不足をして支払いに支障を来たすことのないようにと、こういうお話もございましたので、これは必ずしも五年後とか何とかということでなしに、不断に国庫の負担増等について検討し、善処をしていくというふうにいまの大臣答弁は理解をしていいのかどうかをお伺いをしておきたいと思うのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 私が申し上げましたのは、この年金制度は長期的な積み立ての上に立って給付をするのでありますから、私どもはこの給付がなされる時点までの間に、現在ありますところの百八十六円程度の整理資源の補充の問題につきましては、国もできるだけの努力を払いまして、そして支払い等に支障のないようにつとめる、こういうことを申し上げておるのであります。整理資源の補完をいつの時点でやるか、こういう面につきましては、これは被保険者者の方々の所得あるいは賃金その他の面を十分考慮し、また一面国の財政事情等も検討いたしまして、そうして整理資源をいつの段階で補完するかというような政治的な判断は、そういう角度でやってまいる必要があると思うのであります。したがいまして、今後五年目ごとの再計算の時期、これは私はそういう制度の運用についていろいろな改善を加える時期であると思うのでありますが、しかし年金制度の問題につきましては、先ほど来お話がありましたように、大蔵当局におきましても厚生省におきましても、この所得保障の充実という面につきましては、不断の研究と努力をしてまいりたい、かように考えるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの答弁は一応了解をしました。それで、なおこの法案の審議の中でも、これからの問題というものは十分に検討ができるはずでございますから、いまの大臣答弁はできるだけ早い機会にこれを実現するように私どももやっていかなければならない、こういうふうに思います。いまの答弁の中でもありましたけれども、被保険者の生活の実情あるいは国の財政事情、こういうものを考慮する云々ということがありましたが、もっと大事なことは、私は社会保障に対する政府の姿勢ということがもっと大事な問題だというふうに思います。このことを強く私はここでは強調しておきたいと思うのです。  その次、年金局長にお尋ねをしたいのでありますが、この三十四年に国民年金の中の福祉年金が発足をいたしましたが、この中で老齢福祉年金一千円というふうにきめた根拠は一体何ですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 当時、地方公共団体等において行なわれておりました敬老金等を参考といたしまして、千円という額を定めたように承っております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この前、滝井さんの質問の際にも、局長はそのことを答弁されましたが、さらにつけ加えて国の財政事情云々ということを答弁されたと思いますけれども、きょうは各地方自治体が敬老年金として支給しておったのが千円、それだけが根拠だ、こういうふうな答弁でありますが、それだけでございますか、どちらがほんとうですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 御指摘のように、もとより国の財政事情も勘案をして定められたものでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 実は私は、この「国民年金の歩み」という厚生省年金局編の本を少し読ましていただいたのでありますが、この中で社会保障制度審議会あるいは関係審議会の答申をしたところのものの中に、年金額を二千円に決定をするあるいは三千五百円に決定をする、こういう際に幾つかの要素があってきめられたということが非常に詳細に述べられております。ただ、審議会の答申というものの考え方を採用しないで、そして厚生省独自の考え方をもって当時の四十年の月額三千五百円という額がきめられた、こういうふうに結論づけられておるのでありますが、当時の社会保障制度審議会で答申をした中にはこういう問題が一つ出ております。それは生活保護基準の四級地の老人一人当たりの生活費というものが大体二千円くらいであった、こういうようなことが述べられております。さらに三千五百円の根拠につきましては、経済成長率年周二%、こういうことを考えて、そして四十年後に三千五百円という数字が出された、こういうことが経過として述べられておるわけです。ただし、厚生省のものの考え方は、そういう社会保障制度審議会の考え方をとらないで、四十年先の経済状態というものの見通しをするととはきわめて困難である、あるいは当時の状況で日本の経済成長率というものを二%程度に見ることは非常に危険である。したがって、厚生省のものの考え方としては、その当時において六十歳で三千五百円の年金額を必要とするという判断に立ってこの三千五百円というものがきめられた、こういうふうに述べられておるのでありますが、この考え方はいまでも変わりはないですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 御指摘のとおりでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうしますと、今度の改正案によりますと、四十年で八千円ですか、この四十年八千円というものは四十年先の八千円ではなくて、今日の事態で六十五歳の老人に対する年金額が八千円という考え方である、こういうふうに当然関連をして理解しなければならぬと思いますが、それでいいですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 国民年金法第四条におきまして、国民の生活水準その他に著しい変動が生じた場合にはこれを改定する規定が設けられておるのでございまして、御指摘のとおり、今日八千円の意義を持つ年金を支給するという意味でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これはあり得るわけはないのですけれども、百円なり百五十円なりを積んで、あるいは今度の改正のように二百円なり二百五十円なりを積んで四十年積み立てをした人が今日いると仮定すれば、それは八千円の年金額を支給する、こういう考え方だというわけですね。間違いないですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 今日夫婦一万円年金の持つ意義を二十五年後において実施をする、四十年後でありますれば八千円を考えるということでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 だといたしますと、二十年の五千円というものも同じように考えざるを得ないだろうと思います。それといま一つお尋ねをしたいのは、この今日八千円を必要とするというものと、それから三十四年に福祉年金制度が発足をし、三十六年から拠出制が発足をした、この関係で当時の二十五年で二千円、それから四十年で三千五百円、この当時の月額二十五年二千円と無拠出制の老齢福祉年金千円という関係、これはどういうことできめられましたか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 拠出制年金の老齢年金の二十五年二千円という数字は、厚生年金の二十年の定額部分とのバランスということを考えて定められたものでございます。この点は、今回の改正案におきましても、昨年御審議いただきました厚生年金の定額部分が引き上げられたに伴い、これを二十五年五千円ということでそろえた次第でございます。なお、福祉年金に関しましては、福祉年金は、先ほど申し上げましたように、国民年金の拠出制年金の発足に伴い経過的な、福祉的な制度として考えたものでございまして、当時の財政状況あるいは地方公共団体等において実施されております敬老年金等を参考といたしまして、やはり国が福祉年金を支給する以上月千円程度が適当であるということで定められたものでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうしますと、当時の拠出制二十五年二千円とは関係ないという趣旨の答弁になりますね。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 拠出制年金と福祉年金のレベルの関係につきましては、国民年金審議会におきましても、福祉年金の経過的な、補完的な、あるいは福祉的な性格にかんがみて関連をつけて考えるべきではないという御意見を承っておるのでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それでは次にお尋ねをしますけれども、昭和三十三年当時の一般会計予算、四十一年度の一般会計予算、同じく財政投融資の三十三年度から四十一年度の金額、それから社会保障費の同じ比較、これはどういうふうになっておりますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 昭和三十五年と四十一年と比較をいたしますと、ただいま正確な数字を手元に持っておりませんが、おおむね一般会計の規模におきまして約倍、福祉年金の予算総額も約倍でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私が質問をいたしておりますのは、先ほどの局長の答弁によりますと、この当時老齢福祉年金一千円というものを決定した根拠は、当時敬老年金というものを出す地方自治体が多くなって、その額が一千円であったということが一つ。それからいま一つの理由は、国の財政の事情等を考慮してということが一つ。そして私が期待をしたところの拠出制二十五年、月額二千円とは関係はない——私はこれと関係あると思ってお尋ねをしたのですけれども、あなたのほうの答弁は、関係ない、こう言いますから、国の財政事情ということになるとしますならば、たとえばその当時のわが国の一般会計予算はどうなっておったのか、それと今日の状況はどうなるのかということを比較しなければ議論にならないと思ってお尋ねをしているわけですから、三十三年と四十一年、この比較を数字の上で出していただきたい、こういうことです。財投、社会保障費、それから一般会計予算、なおさらに、参考までに、生活保護費の中の四級地の老人一人当たりの生活扶助額、これはやはりいまの年次でどうなっておるか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 福祉年金は御案内のとおり三十四年十一月から支給がされておりますが、三十三年度におきます一般会計の規模は一兆三千三百十五億円でございます。財政投融資の三十三年は一兆五千百六十五億円でございます。  四級地におきまして、生活保護法による老齢単身世帯の法的扶助月額は、三十三年当時二千百円でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 なお社会保障費のほうはあなたのほうで言わないようですから、いわゆるその社会保障費のほうは、私の調査によりますと、三十三年度は千四百七十億、四十一年度は御存じのように六千二百十七億、こういうことです。それから生活保護は、本年度の場合は四級地で六十歳以上は五千百七十五円で、さらに住宅扶助等を必要とする場合には三千五、六百円の住宅扶助ということになるようでございます。  そこで私が申し上げたいのは、一般会計の国の財政規模というものだけを比較をしますと、大体三十二年と四十一年度の比較で三・五倍ですよ。それから財政投融資関係では、いまの数字でいきまして約六倍、それから社会保障関係費につきましては四・五倍、老人一人当たりの生活扶助、これまた住宅扶助とかその他のものを除いてほんとうの生活費だけを見ただけでも二・五倍、こういうふうになります。  私がここで、なぜこの数字をお尋ねをしているかといいますと、老齢福祉年金が今回千三百円から千五百円になる。この千五百円というものがどうしてはじき出されたのかについては十分明らかにされていない。単に三十四年当時からの物価の値上がり等、こういうものだけがいわれているにすぎない。こういうことでございますが、この千五百円の根拠になっておるところの発足当時の千円というものが制定をされたその理由の中には、財政事情と、それから地方自治団体が敬老年金というものを支給をしておったということが理由として述べられておるわけですから、それから比較をいたしますと、国の財政事情というものは、大体一般会計予算と財政投融資ではかるしかないだろうと思うのです。このいずれもが、大体において一般会計においては三・五倍、財政投融資については急速に増大をして六倍、社会保障費それ自体を比較いたしましても四・五倍、それから老人一人当たりの生活扶助額、こういうものを比較いたしましても、これまた二・五倍、こういうことになっておる。このいずれをとりましても、今回の千五百円という数字はあまりにも低きに失しておる、こういわざるを得ない。もし千円というものが国の財政事情というものを考慮してきめられた額であるとするならば、財政規模がこのように膨脹した今日の国の事情の中では、当然にそれに見合っただけの引き上げがなされなければならない。同時にまた社会保障というものを前進をさせるという誠実性が伴うとするなれば、その財政事情の増大よりももっとその引き上げ額はプラスされなければならない、こういうことにならざるを得ないと思うのです。ところが全然そういうことが考慮されていない。単につかみ勘定的に千三百円から千五百円にしている。これで一体社会保障を充実するとか社会保障給付費というものを増大せしめますとか、こういうことを言われましても、とうてい国民は納得しない、こう言わざるを得ないと思うのです。どのようにお考えになりますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 福祉年金の支給が開始されましたのは三十四年の十一月でございまして、平年度化されましたのは三十五年度でございます。三十五年度の一般会計の規模と現在四十一年度を比較いたしますと約倍でございまして、福祉年金の関係の予算額は倍に近い四百八十一億になっておるわけでございます。なお、年金に対します国庫負担は、厚生年金の昨年の改正及び今回の国民年金の改正法案によりまして、四十年と比較いたしますと、総額では相当増加をいたしておるのでございまして、四十年度におきます厚生年金及び国民年金に対する国庫負担は六百六億でございますが、これに対しまして四十一年度は七百六十八億円、約二六%の伸びを示しておるのでございます。さらに給付費全体、福祉年金を含めて考えてみますと、給付費も四十年度におきましては七百九十六億九千五百万円、これが九千九百九十九億八千万円を四十一年は見込まれておるのでございます。なお国民年金に関しましても、この改正法案によりましても、平年度化いたしますと相当の負担があるようでございまして、明年度この平年度化した額は二百億円に近い額が見込まれるのでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 あとのほうのことを聞き漏らしたかもしれませんが、いま局長の言ったのは、三十五年度の一般会計予算と四十一年度の一般会計予算は大体倍額程度というお話でございましたけれども、私の調べているのはそうすると間違いがありますか。三十五年度の一般会計当初予算は一兆五千六百九十六億ということになっております。四十一年度は御存じのように四兆三千百四十二億です。これが倍ということになりますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 三十五年度におきます一般会計の規模は一兆七千四百三十一億円でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私の言っているのは当初予算の比較を言っているのですよ。それはたぶん補正後の決算でしょう。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 決算後の数字でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 局長、何でもごまかして答弁をしなくてもいいと思うのです。ぼくは事態を明らかにしようというつもりで言っているのですから。たとえば一兆七千億にしても約倍ということは少し言い過ぎでしょう。いま四十一年度の当初予算が成立したばかりなんですから当初予算で比較せざるを得ないと思うのです。私が三十三年ということを言ったのは、それは三十四年から福祉年金制度というものが発足をしたので、それ以前の財政状態を国は考慮の上でやったものであろう、実はこういうことから特に三十三年というものをあげただけなんです。かりに三十五年と比較をしましても、本年度の予算との関係から見ますと大体において三倍弱になるわけですよ。こういう点から見ましただけでも、国の財政事情に基づいて千円というものがきめられたとしますならば、これは財投の規模あるいは社会保障費それ自体の増加あるいは一般会計の推移というものから見て千五百円というのはあまりにも低額に過ぎるのではないか、こう思うのですけれどもこの点は一体どうなりますか。とにかく千五百円の根拠は千円なんですから、その千円をきめる根拠というのは財政事情と当時の各自治体の敬老年金制度というものを考慮したというのでありますから、敬老年金というものが現在においてどうなっているか。この福祉年金制度が発足をして以降はだんだんと変質をしてきておるわけですから、これは考慮の外に置いて財政事情だけで考慮をしたとしましても、これは当然にして千五百円という額はいただけない。これは何らの根拠もないというふうにならざるを得ないと思うのです。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 こういう数字では国民が納得しないと思うのです。やはり国民はこの千円がきめられる際いろいろ問題があり不満があって、そうして国の財政事情のためにやむを得ないということを理解せざるを得なかった。しかし国はその後国の財政事情によってとにかくどんどんとこれを改善しよくしていくということも言明されている。財政事情そのままを考えてみただけでも少なくいっても三・五倍にならざるを得ないのですよ。しかも先ほどのあなたの答弁によりますと、拠出制の四十年で現在の時点で八千円を支給すると言っているのですよ。こういうものから考えてみましても、この八千円に匹敵するのは当時は三千五百円なんですね。そうでしょう。ずっとそれとの関連等を考えてみても、この千五百円というものは何らの根拠もないのです。単につかみ勘定的に二百円を増額した、こういうことにならざるを得ないと思うのです。これは少し納得のできる答弁をしてもらいたい。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 三十五年の一般会計規模と四十一年の一般会計規模につきまして私の誤解がありました点をおわび申し上げたいと思いますが、老齢福祉年金を今回二百円引き上げを実施いたすわけでございますが、これはすでに三十四年以来二回引き上げが実施されておりまして、三十四年以来三十八年まで千円にとどまっていたのでありますが、三十八年に百円、昨年度二百円、これに引き続きまして今回さらに二百円引き上げるわけでございます。したがいまして、この二百円という額は僅少ではございますが、前年の千三百円に比較をいたしますと相当の引き上げの率になるわけでございます。また福祉年金全体といたしましては、その福祉的な補完的なあるいは経過的な性格からいたしまして、これをもって生活費をまかなうということは千円の当時からむずかしいのでございますが、しかしながら老齢者に対する一つのいわば国の関心の表明であり、あるいは家庭内において老人の地位を安定させるという意味においての役割りは大きなものがあったと考えておる次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 とにかくこれは答弁になっていませんわ。なるほど福祉年金の額は二回にわたって千百円、千三百円と引き上げにはなりました。しかしその当時あなた方が答弁をしておったことは、生活が容易ではなくなっておる、物価の値上がりがある、こういうことでこれだけのものは必要である、千円ではとうていまかないきれない、こういう考え方に立って、改善という名は冠しておったかはしれませんけれども、実質的には同一の価値しかない額にしたにすぎないわけです。今度の千五百円もそれだけの説明しかなされていない。物価の値上がりとか経済情勢の変動とかこういうものによって千五百円という数字になりました、こういう程度の説明しかなされていない。それがまた本音ではないかというふうに私は思う。しかし問題の本質は、この老齢福祉年金制度というものを設けたということは、なるほど家庭生活におけるところ生活設計というものを樹立する上に、あるいは老後の生活に慰安というようなものを与えるために貢献をしているということ自体については私は否定はいたしません。否定はいたしませんけれども、国の財政状態というものがこれほどまで拡大されたのにもかかわらず老齢福祉年金の額そのものについては何らの考慮も払われていないということだけは明らかであると言わざるを得ないと思うのです。たとえば、拠出制の四十年の当時の三千五百円に匹敵をするところの今回の改正案の八千円というものは、大体二・四倍に引き上げられているんですよ。しかもこの八千円という数字、あるいは夫婦二人で一万円という数字は、今日数字の上にはあってもこれはまぼろしの数字なんですよ。四十年後に八千円くれるとはあなた方は言えないはずなんです。今日の段階において八千円だとこう言っているのです。しかもこの八千円というものはいま支給しようがないのですよ。八千円という数字、これはまぼろしだけを与えているにすぎないのです。そして保険料だけは倍額の二百円になり、二百五十円になっているのです。これが現実の問題なんですよ。こういう状態でしょう。ですから八千円とか夫婦二人一万円とか言っていますけれども、これは四十年後とか二十五年後の先の問題ではなくて、これはもっとよけいになるという言い方をあなた方がするとすれば今日八千円必要だということになる。この八千円というものがもらえる人は一人もいないのですからまさにまぼろしの数字と言わざるを得ない。まぼろしの数字というものと比較をしたとしても、三千五百円が八千円ならば二・四倍になっているでしょう。したがって当時の老齢福祉年金というものも当然にしてその割合くらいに増大をしていかなければ意味はない。国の財政状態というものから考えるならば、おそらく三・五倍くらいに引き上げなければつり合いはとれない。さらに社会保障制度を充実する、老後の生活を安定させる、こういう誠実性というものが入っているとするならばそれにプラスされなければならな、これで初めて国民は政府の政策というものに対して信頼もし納得もするということになるだろうと思うのでございますけれども、この点は厚生大臣は一体どう考えますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 先ほど来吉村さんは拠出制年金との比較を強調されておるのでありますが、私は拠出制年金と老齢福祉年金とを単純に比較をするということにつきまして、多大の疑問を実は持っておるのございます。一方は、やはり被保険者が保険金を長年にわたって拠出をし積み立てをしていく、これに対して政府も保険料の補助をしながらこれを二十五年後において給付ができるように、こういうことでやっておるのであります。したがいまして、このほうの給付が今回の改正によりまして大幅に改善をされるわけでありますが、無拠出の老齢福祉年金を直ちにこれと比較をして、非常にこれはアンバランスではないか、こういう御指摘は、私は端的な比較は少し無理なのではなかろうか、こう思うわけであります。すでに御承知のように、拠出制の国民年金につきましては、今回初めての改正であり、いままで手がつけられていなかった、それを今回改正をいたしたわけでありますが、無拠出の老齢福祉年金等につきましては、このところ毎年これを改正をしておる。今後も、私ども、この点につきましてはそういう努力をしてまいりたい、こう思うわけでありまして、こういう社会福祉的な問題は努力を積み重ねていってだんだんこれが充実していくものである。なお、また、老人福祉対策につきましては、この老齢福祉年金の制度だけでなしに、その他の老人ホームの問題でありますとか老人ホームの養護施設の拡充でありますとか、あるいは老人クラブでありますとか、あるいはお年寄りに対するところの公費による健康診断でありますとか、そういうようないろんな総合的な老人福祉対策というものを進めてまいるわけでありまして、この老齢福祉年金もそういう社会福祉という観点からその一環としてなされておることでありますから、一方の拠出制の年金制度と端的に比較をされての御議論ということにつきましては、私もその気持ちはよくわかるのでありますけれども、少しそこに無理があるのではないか、こう率直に考えておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大臣、誤解されておると思うのです。私は拠出制の八千円の問題とこの千五百円とを比較した議論をしているのではないのですよ。千五百円の根拠になっているものは、発足当時は千円なんです。その千円というものをきめられた根拠は一体何だと聞いたら、それは主として国の財政事情でございますということになっているのです。それはあなた方のここに出しておる「国民年金の歩み」というのにも詳細に書かれておりますよ。読んでみましょうか。「老齢福祉年金の額は、経過的、補完的を問わず年一二、〇〇〇円、月一、〇〇〇円とされているが、この額はもともとこれで十分だとして定められたものではない。社会保障制度審議会の答申も述べているように、むしろなんらかの意味をもつ額としては月二、〇〇〇円程度が必要であるが、福祉年金が全額国庫負担である関係上、当面その半分程度でやむを得ない、ただしそれを下まわるようでは現在各地で行なわれている敬老年金と同じものになってしまうから、少くともこの程度は確保しなければならないとして定められたものである。つまり、主として国家財政との見合いにおいて定められたものということができる。」こういうふうに述べられておるし、年金局長も、国の財政事情ということがこの千円決定の大きな理由になっておる、こういうふうに述べられておりますから、したがって、私は国の財政の状態が三十三年、三十四年当時から今日の状態がどういうふうになっているのかということを明らかにしたつもりです。どれと比較をしましても一・五倍というようなものはどれもないのです。一般会計予算については三十五年と比較をしても、三倍弱、財政投融資については約六倍、それから社会保障費それ自体についても四・五倍にもなっておるのですよ。国の財政状態というものから判断をするとすれば、当然にしてこれは少なくとも三千五百円くらいにはしなければならない。さらに拠出制の年金との比較を私はは参考までに申し上げてみたのですけれども、それと比較をしたとしても、どんなに考えてみてもこれは二千五百円程度まで上げなければ、拠出制の八千円と当時の三千五百円との関係と今度の千五百円と当時の千円、こういうものは成り立たないのであって、したがって、当時の千円というものは何ぼ考えてみても二千五百円以上に引き上げなければ理屈には合いません。財政事情だけから考えてみたならば、これは当然にして三千円以上にならなければ、あなた方のこの一千円を制定をした根拠は成立をしない。こういうことを私は申し上げておるのです。  それから、大臣は拠出制のことを再三にわたって強調されますけれども、拠出制は、先ほど年金局長答弁のとおり、今日の段階において四十年の拠出者に八千円を必要とする、こう言っておるのです。しかし、八千円というものは今日の段階ではもらえる人はいないのです。ですからこれはまぼろしの八千円だ、こういうふうに私は言わざるを得ないと言うのです。あなた方の考え方に立って言えば、四十年先では八千円では済まなくなるのです。今日この時点で八千円必要とするということを言っているのです。また、拠出制の当時の三千五百円を制定したその理由というものは明確にそのことを示しておるのです。したがって、この八千円というものは四十年先とかあるいは五十年先の数字ではないのです。厚生省当局は、今日この段階で八千円を必要とする、こういう理解に立っているということなんです。ですから、私は、それとの比較、福祉年金の関係に比較をすることも決して無理な比較ではないと考えて、一応比較論を言っただけです。問題は財政の問題なんです。国家財政それ自体から考えてみても、これは当然にして三千円以上に引き上げられなければならない。さらに、国が、あるいは厚生省や政府が、社会保障というものについて重点的にやっているのだ、これをもっと充実しなければならないのだということを強調するのであるならば、その国の財政状態の比較よりもさらにプラスアルファがなければならない。これであって初めて国民は納得するであろう。こういうふうに私は申し上げているのです。この見解に対してどうですかとお聞きしているのです。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 率直に申し上げまして、この年金制度につきましては、厚生年金制度と国民年金制度、この拠出制の年金制度を柱にして今後の所得保障を充実していきたい、こういう考えを持っておるのであります。今回の改正もそういう基本的な考えに基づくものでございます。福祉年金、老齢福祉年金等は、先ほど来申し上げておりますように、これらの制度の補完的なものであり、また社会福祉的なものでございますから、その他の老人福祉対策等と総合的に考えてまいる。したがって、拠出制の年金制度につきましては、私ども今回の改正による給付水準を実質的に維持するという方向で当分毎年しばしばの改正というものはやらない方針で、実質的な給付が確保されるように、こういうことでやってまいることでありますが、福祉年金、老齢福祉年金等の問題につきましては、毎年今後におきましてもこの改善につきましては所要の措置を講じてまいる、こういう考えを持っておるわけであります。要するに老人福祉対策の総合的な中の一環としてお考えをいただきたい、こう思うわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大臣、問題をそらしてもらっては困るのです。だとするならば、社会福祉費全体が相当額伸びてでもいるならば、私はその答弁をある程度肯定はしますよ。しかし社会福祉費全体の国家予算の中で占める割合はすでに固定的なんです。停滞しているのですよ。これまた前の一般質問の際に私は数字をあげて申し上げました。額そのものがふえているということをあなた方は強調する。ところが一般会計予算がふえておるのだから、その比率はやはり同じ状態になっているというのが今日問題になっているわけです。ですから、あまり問題をそらしてもらいたくないのです。私は、なるほど拠出制の年金というものは厚生年金との見合いの中で考えられているということについては、その考え方自体がいい悪いは別にして、肯定します。福祉年金制度というものは、先ほど来の質疑応答の中で明らかになっていますけれども、拠出制の年金額とは直接の関係はございません、こういうことをあなた方は明らかに言っているのです。どういうことで制定をしたのですかと言えば、それは国家財政の事情によって制定をしましたと、こう言いますから、私は国家財政の比較をいましてみたわけです。ですから、いまの大臣の答弁は私はとうてい納得するわけにはいかない。したがって、いまの自民党政府はこの年金の問題について老人福祉をずいぶん増大しているかのごとく、年金額を今度ふやしてあげますというたいへん大きな宣伝をしておりますけれども、実質上、国の予算全体、財政状態全体、国の経済成長の状態、こういうものとの見合いの中では、きわめて劣悪な状態に据え置こうとしている、こういうことだけが明らかになったというふうに言わざるを得ないのです。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)ノーであるかイエスであるかは数字が示します。選挙も近いという話ですから、そういう点を明らかにしておかなければならぬ。われわれの修正意見を聞かない以上は、事の状態というものを明らかにして、近い将来に国民に判断をしてもらう、これ以外には方法がないと思いますから、とにかく事態を明らかにしたい、こう思います。  時間がだいぶ過ぎましたので、積み立て金の問題は、だいぶ議論されましたから私は省略します。  その次にお尋ねしたいのは、国民年金以外の他の公的年金と老齢福祉年金との併給の問題なんです。これはもうすでに再々問題になって、国会でも何回かにわたって附帯決議がつけられた問題ですから、十分御存じのことだろうと思うのです。  郵政省の方、来ておりますか。——公共企業体共済組合法は各公社が持ち回りで法律の運用をやっておるといろお話で、今年は郵政省が担当だそうですから、お尋ねをしたいのです。現在旧共済組合法——旧令といっておりますけれども、この旧令適用者の退職年金の平均受給額は、どのくらいになっているか。

畠山一郎郵政事務官(電気通信監理官)

○畠山政府委員 旧令の退職年金の平均受給額につきましては、ただいま資料を持ち合わしておりませんが、遺族年金についてでよろしゅうございますか。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それでは、現在公務扶助料——これは恩給の公務扶助料ですが、これを支給されている人たちに対しては、国民年金の老齢福祉年金が併給されているわけです。この併給限度額は現在のところ十万二千五百円になっている。ただし、これはあくまでも公務扶助料を支給される人たちにだけ併給をされているということです。公務扶助料の額は九万二千円でございますから、したがってその差一万五百円、これだけは併給されるということになるわけです。ところが公共企業体関係の職員あるいは地方公務員、厚生年金適用者あるいは国家公務員、こういった方々についてはこの併給は認められていないで、二万四千円を限度額としているというのが現在の制度だと思う。そこでお尋ねしたいのは、公共企業体関係の退職職員だけでもけっこうですから、もし十万二千五百円まで国民年金の福祉年金を適用する、併給を引き上げる、こういうふうになったとするならば、その恩恵を受ける人数は一体どのくらいいるか、ひとつ明らかにしてもらいたい。

畠山一郎郵政事務官(電気通信監理官)

○畠山政府委員 公共企業体の遺族年金等につきましても、戦地公務死の場合には、恩給の公務扶助料と同様な取り扱いで併給が認められております。一般の遺族年金の場合には認められておりませんけれども、戦地公務死の場合には認められていると思います。それに関連する数字でございましたら持ち合わしておりますので申し上げます。業務上の殉職年金と障害遺族年金でございますが、三公社合わせまして受給者総数が七千三百三十二名でありますが、そのうち十万二千五百円以下のものは七千二百三十三人でございまして、大部分が以下になります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 公共企業体関係のはこの程度の数字ですけれども、その他の公的年金で同じような併給を受けられない人の人数を、厚生省のほうは把握されておりませんか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 私どものほうで推計いたしました数字を申し上げますと、公的年金を受けておる者で七十歳以上の者、これを見ますと、戦争公務関係のグループが大体七十万くらいじゃないか、それから一般グループが二十八万くらいであろう、まあ合計いたしまして九十八万人くらいであろう、こういう推計をしております。そのうち、福祉年金を受けておりまする者の推計が、戦争公務関係のグループが四十一万人くらいであろう、それから一般グループが一万人ちょっと、合計いたしまして四十二万五千人くらいが福祉年金と公的年金の併給を受けている。そのうちの大体九八%が戦争公務関係であり、公務扶助料関係がその八〇%だろう、こういう推計をしております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうすると、その九十八万から四十二万を差し引いた五十六万という数字は、これは公務ではない、こういうことになると思いますから、この五十六万という数字は併給を認められていない数と考えていいのですか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 大体先生のおっしゃるような結論でございまして、その者は大体年金額が高いというような方々が多いのじゃないかと思っております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ですから、そうしますると、先ほど郵政省のほうでお話がございましたように、大体旧法時代の恩給、これらについては非常に低額の人が多いわけですよ。このほか、これは厚年も入っていると思いますけれども、地方公務員なり国家公務員なり、こういうものを合わせますと、併給限度額が押えられているために、公務扶助料を支給されている人並みに待遇されていない人数というのは相当な数字になるのじゃないかと思うのですけれども、この全体の数字は把握されませんか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 全体といいますと……。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 七十歳以上になれば月額千三百円の老齢福祉年金というのが支給される、こういうふうになっているでしょう。ところが、これは公務扶助料を支給されている者についてのみは十万二千五百円まで併給をする、こういうふうになっているはずです。したがって、公務扶助料を支給されない者については、全然これは併給をされていないということになるわけです。その数字は一体どのくらいになるかということをお尋ねしている。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 国家公務員、地方公務員等を含めました文官で、七十歳以上で公的年金を受けておりますのが十三万人ちょっとでございます。それから、ちょっと資料が古いものでございまして、厚生年金、船員保険関係の者につきましては一応二万人とあがっておりますが、今度の改正によりましてこれはゼロになるのではないかと思います。それから共済関係では五万八千人くらいの数になろう。これらの方々は福祉年金の併給を受けているという方は非常に少ない、こういう状況でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大体私のほうで調べたところによりますと、公務扶助料対象者並みに扱われるとするならば、全体として三十一万人くらい救済をされるだろうというふうになるのです。この数字は、あなたのほうで的確に把握してないので、私も必ずしも自信があるわけではない。ただ問題の焦点は、公務扶助料の関係者だけが十万二千五百円まで併給限度額が認められておる、こういう状態です。今度老齢福祉年金が千三百円から千五百円に上がった場合には、この併給限度額はまだ上がるというふうに理解をしていいのですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 今回の改正におきましても併給限度額は引き上げておらないのでございます。その考え方といたしましては、従来公的年金が一般的に著しい低水準にあった実情にかんがみまして、福祉年金が発足した当時におきまして、当時の福祉年金額一万二千円に満たない額を福祉年金として支給をする、さらにその後三十七年におきまして、これを二万四千円まで引き上げたのでございますが、そもそもこの制度は、いわば国民年金といたしましては、国民年金の被保険者でない方々に対する制度であるわけであります。国民年金の拠出制年金を受けるであろう方に対する併給とは考えられないのでございますから、むしろ公的年金との併給措置を今後廃止するという方向で処理するのが本質的には均衡をはかるゆえんではないか。なお、福祉年金を併給するといったような考え方でいきます場合におきましては、むしろ他の制度の本質的な改善を妨げるおそれもあるのでありまして、このため各省協議会等におきましても、厚生年金が昨年の改正によりまして、最低保障額を六万円に引き上げたことにかんがみて、既裁定年金等の引き上げを実施すべき旨を厚生省としては要望いたしておるのでございまして、この点は逐次実現を見つつある状況であると考えておるものでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういう考え方もあるかもしれませんが、今回は恩給法の改正に伴ってそれぞれの共済組合法が改正になったわけです。最低保障額が年間六万円になっているわけです。そうすると、六万円以下の年金をもらっている人というのは、それによって救済をされることになります。しかし、いま共済組合の退職年金というものをもらっている人たちの併給額というのは、旧令でいいますと大体平均して九万円にならないだろうと私は推定をしているのです。それから最低保障額が設定をされたとしましても、遺族の場合には年間三万円になる、こういう状態なんです。ですから、この年金額自体を引き上げるというところに重点を置かなければならないということは私も賛成です。しかし、それが実現するまでの間は——しかも福祉年金というものは三万円です。たとえば、だんなさんが長い間三十年も共済組合の掛け金を積んで年金をもらえるようになった。たまたまその額は非常に安くて六万円だった。だんなさんが死んでしまったのでばあちゃんだけが残っておる、そうすると三万円なんです。この三万円の人たちの老齢福祉年金は併給にならないのですよ。そうでしょう。一方では公務扶助料を受けている人たちは十万二千何がしまで併給になるのですよ。この併給限度額の制定当時は、これはきっと軍関係と一般の関係の間に三倍の差を持つという仕組みになっておったと思うのです。この三倍の差を持つのが妥当かどうかについても私は多くの疑問を持っている。しかし、今日的にこのことを考えてみますと、たとえば三倍ということがかりに妥当であると考えてみても、その当時七万円対二万四千円で均衡をとっておったはずですから、九万円に上がったときには二万四千円は当然上げなければならない。全然これをやってないのです。そういう状態を放置しておくことは私はけしからぬと思うのですよ。それでいまも申し上げましたけれども、とにかく老人の生活はいまどうなっているか。年金生活者というのはとてもみじめなものですよ。かりに平均の数字で議論をするとすれば、旧法適用者は平均九万円です。そうすると奥さんは四万五千円です。四万五千円の年金をもらっているために老齢福祉年金は併給にならない、こういう状態が国の施策として残っているということは私はとんでもないことだと思うのですよ。生活保護の中で老齢加算制度というものが設けられておる。生活保護を受けている方々は七十歳以上になれば、その上に老齢福祉年金千三百円ずつ加算しているはずです。それ自体私はいい政策だと思うのです。ところが一方まじめにつとめて掛け金をかけて年金をもらえるようになったその人たちについては、全くこれは老齢福祉年金も何も併給しない。奥さんなんかは四万円か五万円の年金で生活をしなければならないというところに放置されている。こういう状態は、先ほど大臣が老人福祉政策を総合的になどということを大言壮語されましたけれども、そういう実態を考えたらとてもそのことばというものは何ら生かされていないということを言わざるを得ないと思うのです。ですから、私は今日こういうふうに物価の変動が激しい、上がっている、こういう中で公務扶助料の適用者だから九万二千円まで、それ以外の者は併給をしなくてもいい、こういうようなやり方では老齢福祉年金制度というものを設けた趣旨にも沿わないと思うのです。少なくともそれは一定の限度までは引き上げなければならない、少なくともこの均衡をとるということは必要だと思うのです。ですから、その点については早急にやってもらわなければいけない。いままでもこれは二回ぐらい附帯決議がついているはずなのです。検討されたことはないのでしょう。全然やっていない。こういうことでは、私はどうも政府が院議というものを軽視すると言われてもやむを得ないのじゃないかと思うのです。もし、局長が言うように併給というものを改めて、そうして年金額自体を引き上げるようにしたいのだというならば、その考え方を各制度の中に生かしてもらわなければならない。そういうものが実現をしないうちに併給制度というものの差をそのまま残しておくということはどうもいけないのではないかと思うのです。これは福祉年金で、一般会計から出るお金になるわけですから、したがって、国がそういう方針をきめれば、これは老人の方々の希望に十分沿うこともできるし、その生活に潤いを与えることにもなる、こういうふうになると思うのですけれども、一体経過はどうなっておるのですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 福祉年金は何らの年金の受給がないという方々に対して支給をするということで発足しておるのでございまして、本来他の公的年金制度がある方につきましては福祉年金は支給されないのがたてまえでございますが、一般的な公的年金のレベルが非常に低かったというようなことから、併給の問題が出てまいったのでございます。この場合、戦争公務扶助料につきましては十万二千五百円と併給限度が高くなっておるのは御指摘のとおりでございますが、それは公務扶助料等が遺家族に対する国家賠償的な性格を有するという特殊性にかんがみ特殊事情を尊重して取り扱いをしておるわけでありまして、一般の公的年金との併給限度の問題を考える場合におきまして、福祉年金の併給という方法もその一つでありましょうが、要するに本質的には年金額の充実をはかるということがその重点であろうかと思うのでございます。  そこで、厚生度金におきましては、昨度最低保障額を六万円に引き上げまして、したがって遺族年金に当たるものも六万円になっておるわけでございますが、さらに今回の国民年金の改正法案におきましても、おおむね六万円に見合っておるのでございます。かような趣旨から、厚生省といたしましては、附帯決議の趣旨を生かすよう、各種年金制度所管の省に最低保障額を引き上げるように強く要望しておる状況であるわけでございます。  なお、本来国民年金は御指摘のように自営業者、農民等、総体的には他の年金制度に比べて所得水準の低い方々が入っておられるわけでございますが、この国民年金制度におきまして併給限度の大幅な引き上げを実施するといいますことは、自分の被保険者に対する給付水準が不十分であるにかかわらず、他の年金制度の被保険者についてはより高い給付を保障するということになるのでございまして、これは所得格差是正という見地から発足いたしました国民年金の立場からいっても、非常に適当でない結果を生むのでございます。また国民年金自体におきまして、今回の二倍半に上る大幅な引き上げをいたしましても、したがいまして母子年金は二万四千六百円に上がるわけでございますが、そういう引き上げにもかかわらず、五年後に回収が予想されます経過的な拠出制年金につきましては、なお月額二千円にとどめざるを得ないのが現状でございますので、それらの点を勘案いたしますと、併給限度額をこの際国民年金のワク内において引き上げるのは必ずしも適当でない、やはり各種年金制度の充実ということで解決をしていくほうが適当であろう、かように考えた次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 では、少し時間を節約するためはしょってまとめてなにしますが、厚生大臣は医療保険の問題について、各制度がばらばらになっておるというような問題を含めて、抜本的な検討をする、こういうことのために臨時医療保険審議会を設置したい、こういう構想を発表されております。これは近く審議をされると思います。では、所得保障関係の年金制度はどういう状態になっているかといえば、これまた私が申し上げるまでもなくて、それぞれの制度の歴史的な経緯から見て、非常にばらばらな状態になっている、こういう状態です。いま年金局長から併給の問題についての考え方の説明を受けましたけれども、併給額の限度を引き上げるということは必ずしも妥当であるとは考えていない、こういうこと。そして年金額自体の充実ということをやるのが本筋であろう、こういうお話でございました。この年金局長の考え方自体は、私はいいと思います。年金額自体を充実していこうというのはいいと思う。それをやっていくのには、比較論の問題になるのです。公務扶助料と他の年金制度との比較論の問題からこういうふうになるわけですから、各年金制度全般の問題について政府が抜本的な検討をし、そして年金額の充実、引き上げをはかるという、そういう姿勢が伴わなければ、幾ら年金局長がかくありたいと言っても、私は、それは願望だけに終わってしまうのではないかと思うのであります。ですから、この際でございますから、厚生大臣は医療保険の制度については抜本的な対策を確立する、そういう検討をするために臨時医療保険審議会を設けるという構想でありますけれども、年金制度も決して均衡のとれているという実態でもない。その不均衡が原因をして、いまのような問題も起こるということから関連をいたしまして、年金額充実のために全体の問題を考える、そういう必要があるのではないか、こう思うのですけれども、これらの点についての構想は一体どうですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、医療保険制度につきましては、先般来、当面緊急の対策につきまして国会の御審議を願い、その成立に御協力を願ったわけでありますが、しかし、どうしても根本的な改善をしなければならない、そういう時期に来ておると判断いたしまして、臨時医療保険審議会設置法を提案をし、御審議を願うことに相なっておるのであります。これに対応して、かねてから吉村さんの御意見として、所得保障の面についても同様に各制度間の不均衡なりアンバランスがあるのであるから、このほうもやるべきではないか、両方やるということであれば、これは首尾一貫しておるので、われわれも十分検討に値するという趣旨の御意見を伺っておるのであります。いまお話がありましたように、各年金制度なりあるいは共済保険なり、あるいは公務扶助料なり、いろいろ各制度間に、給付の内容において不均衡があるわけであります。またこれに対する国庫負担、国の補助という面につきましても、不均衡がそこに存在をしておるわけであります。さらにまた、障害年金等の面につきましては、障害の級の区分等におきましても、各制度においてそこに非常に不均衡がございます。いろいろの面からいたしまして、均衡のとれた、公平を失しないような所得保障の制度というものが確立をされなければいけない。またそのほかに、本日も御審議を願っております児童扶養手当あるいは特別児童扶養手当その他の諸手当等の制度におきましても、所得保障の範疇に入るものもあれば、あるいはそうでない介護料的な性質のものもある。そういう手当制度の面におきましても、この際再検討する必要があるのではないか。こういう点につきましては、吉村さんのお考えと私は全く同感でありまして、当面の医療問題の抜本的な改正をするための医療保険審議会の設置に御賛成を願いまして、また所得保障の面につきましても、引き続き私は、いま申し上げたような趣旨で検討を加えるために、そういうものの機関の設置等を検討いたしたいと考えておるわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 臨時医療保険審議会に賛成を条件としてみたいな、そういうお話のようでございます。それはそれで十分われわれのほうの意見を取り入れてもらうということを条件にしなければならない、こういうことになりますので、それはそのままお返しをしておかなければなりませんが、いまの厚生大臣の答弁は、いずれにいたしましても、所得保障制度全般にわたって抜本的に検討しなければならない、こういう御意思のようでございますから、これは方法論についてはいろいろ是非の議論はあると思うのすけれども、医療保険の問題について抜本的に検討するということであるとするならば、それは当然年金制度の問題についてもやっていかなければ筋道は立っていかない、こういうふうに私はいまでも考えておりますので、その点は十分考慮するというお話でございますから、そういうことで進めてもらわなければいけない。ただしその場合には、条件としては、われわれの意見というものを取り入れてもらわなければ、これはどうにもお話にならないということを申し上げておきたいと思います。  そこで本論に戻りますけれども、そういうようなことで、かりにこの年金制度全般にわたって検討する、こういう機関なり何なりが設置され、検討が始まる、あるいはそれが実現する、それまでの間は現在の不均衡は残るわけです。そういう過程で、とにかく長い問掛け金を積んで、そしてもらう年金額というものは、政府の物価政策の失敗のために貨幣価値が下落してしまって、何らの価値もない金額しかもらえないで苦労しておるたくさんの人がある。これは公務扶助料をもらっておる人だけではない。文官といい、すべての人がそういう状態にある。そういう方々と公務扶助料を支給される方々との間に、このようなはなはだしは格差をそのままにしておくという話は、私はないだろうと思うのです。ですから、抜本的な検討が終わって、それでそれが実現するまでの間は、やむを得ない、これは老齢年金と福祉年金の併給というもので均衡をとる、これ以外には道はないだろうと思うのです。生活保護世帯、生活保護を受けている老人のことを私は引き合いに出したくはありませんけれども、生活保護を受けている方々はどのくらいもらっているかというと、大体のところ、老齢加算がつきますと、四級地といえども一ヵ月八千円以上になるはずです。それに住宅加算などがっきますと、老人一人で一万円以上になるのです。ところが営々と何十年と掛け金を積んで、そして老後の生活をと思ってきた人たちはわずかに三万円しか保障されないのです。それで老齢福祉年金の併給はないという状態なんです。これをこのまま放置するというのは老人のための政策ということにはならない。まして人間尊重などということばを口にすることはできないであろう。こういうことを一つ一つ解決をして初めて国民は納得し、政治に対して信頼感を持つことができるだろうと思うのです。これはたいした金額でないと言えば語弊がありますけれども、そう国家財政をゆるがすほどの金額ではないのです。しかしそのことを実現することによってどれほど老人の方々が安心をするか、あるいは政治に対して信頼をするか、あるいは国家の施策というものに対して信頼をするか、こういう点から考えてみたら、私は金額の問題じゃないと思う。ですからこの点はひとつ善処をしてもらわなければいけない、こう考えるのですけれども、厚生大臣の御決意は一体どうでございますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この点につきましては先ほど来年金局長からお答えを申し上げておりますように、老齢福祉年金は、他の公的年金の給付を受けていない、また所得の低い方々に対して所得保障の補完的な福祉的な政策として実施された制度であるわけであります。また特に生活の困窮しております御老人に対しましては生活保護の面で老齢加算をいたしておるのであります。その他の御老人で公的年金等の給付を受けております方々につきましては、先ほど申し上げたように老齢福祉年金を設けたその趣旨からいたしまして、私は、必ずしもこの併給によって措置すべきことは妥当であるかどうかということにつきまして多大の疑問を持つわけであります。昨年厚生年金制度の大幅な改善、また今回の国民年金制度の拠出制の大幅な給付改善等によりまして、恩給並びに共済組合等におきましても給付の内容を改善しよう、こういう機運が高まっておるように私は思うのでありまして、私はむしろそういう傾向を助長しまして、政府全体として均衡のとれるように早く改善を加えるようにしたい、そういう面で努力をしたい、かように考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私がいま提起している問題はそうなるまでの過程を一体どうするかという問題が一つなんです。  それからいまの大臣の答弁を聞いて少し問題にせざるを得ない。それは、本委員会で再三にわたって福祉年金と他の公的年金との併給の限度額の均衡をはかるということが附帯決議として付されている。附帯決議については大臣は特に発言を求めてその趣旨に沿うように努力するという言明が常にされている。ところがいまのお話ではそういう方向は必ずしも賛成ではないということになったとするならば、当時の大臣言明あるいは附帯決議というものは一体どうなるか。これは一回ならばいいけれども、一回や二回ではないのです。何回かにわたってこの決議はなされ、附帯決議がついておる。当時扶助料が七万円に対して文官関係は二万四千円であった。これ自体についても問題があって、そしてその後扶助料の関係がどんどんと上がってくる、こういうことで、さらに問題がふくそうしてきたはずです。ですから今日非常に大きな格差になっているので、そのために非常に不満を言っておる。あるいは政府の冷酷な政治のあり方に対して非難が出ておる。こういう事態の中で国民年金制度全般の問題を検討するということは、それ自体はいいかもしれませんけれども、その検討が終わって、それが実現をするまでの過程の問題は解決しないではありませんか。そういう点を私は問題にしているのです。しかもこの附帯決議というものは、いま申し上げたように何回かついている。そういう方向について努力をすると大臣は言っている。今度は全然逆なことを主張するということになるとするならば、これは大きな問題といわなければならない。ですからいま急にそれは実現し得ないかもしれませんけれども、少なくとも根本的な抜本的な検討あるいは制度の充実、こういうものが行なわれるまでの過程は、この附帯決議の精神に沿って政府は努力する義務があるはずだと私は思う。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 吉村さんの御主張はよくわかるのでありますが、私が申し上げておりますことも、要するにそれぞれの年金給付を受けておられる方々の実質的な給付の改善が確保されるということが目的であるし、そうすることに政府全体として努力をしたい。幸いにいたしまして厚生年金等の大幅な改善に伴ないまして、各公的年金も底上げをしよう、こういう機運になってきておるわけでありますから、決議の御趣旨は十分私どもも承知をし、その趣旨を体しておるわけでありますが、要するに、本筋のほうが前進をしようという方向に向いておるのでありますから、そういう方向で政府全体として努力をしたい、こういうことを申し上げた次第でございまして、そのほうが相当おくれているというような場合におきましては、決議の御趣旨の線で福祉年金でそれを補完するというようなことにつきましても、私ども次善の策として努力をしなければいかぬ。本筋はやはりその恩給なりあるいは共済組合等の面の給付の底上げということでこれを早急に解決をするということが本筋であろう、こういうことを申し上げた次第であります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 よくわかりました。ですからその底上げ等が今回ようやく最低保障額が六万円になったわけです。これはその努力の結果です。しかし遺族の人はその六万円のうちの三万円しか支給されないのですよ。そういう現実が残っているのですよ。ですから今日的にこの問題を解決するためには、これはびほう的ではあるかもしれないけれども、併給というものの限度額を均衡をとる以外に道はないでしょう。そういう努力をしてもらわなければ、附帯決議の趣旨には沿わないということを私は申し上げているのです。ですから、その点については、そういう努力をあわせて即刻にこれはやってもらわなければいけない、こう私は主張しておるわけです。よろしいですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 吉村さんの御主張の御趣旨は十分私は了解しているつもりでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 了承をすればこれは直ちに実現のために何らかの措置をとってもらわなければいけないということなるわけです。しかしこれも金の問題ですから大蔵省という議論になるでありましょう。しかしこれは当事者の立場に立って、きわめて真剣な声、直剣な叫びというものを何人からか聞かされています。ほんとうにこんな状態のまま放置するということは、私は政府としては許されることではない、こういうふうに考えておる一人なんです。緊急にこれは処置をしていかなければならない、こういうふうに思いますので、この法案の審議の過程でなおこの点についてはいまの厚生大臣の言明が具体的に実現できるような、そういう努力をしてもらわなければいけない、こういうふうに考えておりまするので、なお幸い厚生大臣も同調しておりますから、今後の審議の過程でそれを実現していくようにしたいと思います。これは与党の人たちもよく聞いていてくださいよ。あなた方さっぱりやらないものだから……。  それから次の問題は、これは厚生大臣に念を押す程度になって恐縮なんですけれども、実はこれまたたいへんな制度間の不均衡の問題として申し上げることなんですが、旧軍人であった方々は、兵隊、下士官を例にとりますと、いま十三年以上の軍歴期間のある人は恩給の適用を受けるということになっていますね。それから七年以上十三年までの方々は、一時恩給で処理をされておるのです。七年以下の方々は、恩給法上は何らの措置もされていないというのが現状なんです。そこで、それがすべての方々にそうであるとするならば、私はそれなりに了解をするのですけれども、国家公務員、地方公務員、公共企業体職員、これらについてはこの七年以下の軍期間といえども、それぞれの共済組合期間として、年金の基礎年数としてこれは通算をされておるのです。したがって、これはきわめて不均衡だというふうに私は考えざるを得ない。農家の出身といいあるいは商人の出身といい、軍人であったものについては変わりはないわけです。あの戦野を歩かせられて、そうして生死の間をさまよってきた。ある人は国家公務員であったものですから、その軍期間は年金の通算期間として通算をされている。ところが、ある人は農家の出身であったために何らの恩恵も受けていない、こういう状態が今日の状態なんです。きわめて不均衡と言わざるを得ないと思うのです。  私はこの人数がどのくらいいるのかということを再三にわたって調べておるのでありますが、なかなか政府が積極的に協力をしてくれない関係で十分に把握できません。きょうは幸い公共企業体関係のほうを扱っておる郵政省の政府委員が出席しておりますから、公共企業体職員で七年以下の軍期間というものを共済組合の組合員期間として通算されている人数というものは、公共企業体共済組合法上で何人くらいいるのかちょっとお尋ねをしたい。

畠山一郎郵政事務官(電気通信監理官)

○畠山政府委員 お尋ねのような人数は判明いたしません。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これは調べる努力はなさったのですか。——そういうあなたの答弁ですが、その人数はわかりませんというのは、調べる努力をなさった上でのことですか。

畠山一郎郵政事務官(電気通信監理官)

○畠山政府委員 実は先生からきのうでございますが、伺ったばかりでございまして、各地方まで全部調べませんと判明いたしませんので、時間的余裕がないために、現在まで調査がついておりません。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういうことならそういうことらしくひとつお答え願えませんか。私のほうは、あなたのほうでどういう質問をされるかといいますから、実はこういうことをお尋ねをしたいということを前もって申し上げておるわけですよ。それは時間的に足りなかったということでございますが、大体共済組合の問題については地方地方でそれを所管しているはずはないのですよ。それぞれの本省のほうで把握されているはずですよ。そういう誠意のない態度では私は困ると思う。地方地方でそれはやっているというものではないはずだ。本省のほうで全部掌握されているはずですよ。しかもこの軍期間を共済組合期間として通算するかどうかということは、各共済組合で相当大きな問題になったはずですよ。そういうことが全然掌握されていないという話はないと思う。これは概数もわかりませんか。——では、郵政省できょうは時間がないということでございますから、これ以上追及しませんが、これは調べる気になればそんなに時間がかかる問題だとは私は思わない。もしどうしても調べてみたけれどもわからなかったというならば、何もここで聞かれるまで黙っていないで、実はこうだったという話をされれば、それなりに私のほうも聞き方はあるのですよ。それはもう少し誠意と熱意を持って事に当たってもらいたいと思うのです。これはあとからでもひとつ調べて出してもらいたい。  それから厚生省では把握をしておりませんか。地公、国公あるいはこれに関連といいますか、農林漁業団体等、こういうことで軍期間が通算をされている人数というものは把握できませんか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 そのような把握はしておりません。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これは年金局長も厚生大臣も、私は分科会の際に一回質問をしておりまして、厚生省のほうでも大臣が、これは前向きに善処をするということを確約しておるのです。ですから、どういう状態になっているかくらいは関係者のほうで調べておかなければならないはずだと思うのですよ。しかし、それもやってないというのですからしょうがない。ただ私がここで申し上げたいのは、軍期間七年以下の方々で国公、地公、公共企業体の職員の人たちは、すべてこれは通算をされている。ところが、国民年金と厚生年金適用者については通算をされていない。この前の厚生年金の改正の際には、旧陸海軍工廠の共済組合期間を通算するということになり、今度の国民年金についてもそういうような改正案が出ている、こういう状態です。しかし根本的には軍期間全体の通算というものはなされないということになります。国民年金適用者、厚生年金適用者というのは、そういう意味合いでは地公、国公、公共企業体職員と比較してきわめて冷遇されている、こういうことになると思うのです。ですから、私はこの点はぜひとも他の共済組合並みに、この国民年金適用者は国民年金に被保険者期間として通算をする、あるいは厚生年金適用者は厚生年金の中に通算をする、こういう制度をやらなければ、これは国民に対して政府はきわめてまちまちな扱いをするということになると思うのですよ。しかもこの七年未満の問題というのは軍恩連——軍人恩給連盟云々という団体があって、三年以上の軍歴者については一時恩給を支給しろという運動がまだ起こっていると私は承知をしておるのです。しかし三年以上というのは、旧軍人恩給法の中には三年以上の軍歴者については一時恩給の対象者であったということからその運動が起こっておるわけです。でも、三年以上の人たらにかりに一時恩給を支給したとしても、三年以下の人たちの問題は解決しないのです。ですから、私は今日的にこの問題を処理するとすれば、社会保障制度の中にこれを組み入れて、そうして各共済組合と同じような扱いをする以外に方法はない、こういうことになるんだろうと思うのです。ですから、これもいまここで急に実現をするということにはならないかもしれません。しかし、問題は非常に大きな問題だというふうに私は考えるのです。この点は、年金の問題についても厚生大臣は抜本的に検討しなければならない、こう言明をされておるわけですから、均衡のとれた姿でこれは処理をしてもらうように要望をしたいと思うのですけれども、一体大臣の考え方はどうですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この問題につきましては、予算委員会の分科会でお答えをいたしましたように、各国家公務員なり地方公務員なり、あるいは公共企業体なりの共済保険制度のもとにおきましては、通算制度がとられておるわけでございます。農民や漁民あるいは零細な中小企業の方々、こういう方々といえどもやはりそれと均衡を失するような扱い方は私は適当でない、こう考えるわけでありまして、十分との点につきましても前向きで検討をいたしたい、このことを分科会で申し上げたのでありますが、重ねてここで申し上げておく次第であります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 わかりました。これは特に与党の方々は心して聞いてもらわなければいけない。農家の方々が大半、それから中小企業、こういった国民年金適用者、あるいは民間の会社、工場、こういうところで働いていた者だけがこんなに冷遇されておるということは、私はたいへん誤りだと思うのです。何とかという団体がやることだけ一生懸命やっているというのでは、うまくないと思うのです。制度の上できわめて不均衡な問題については、やはり政治の中でこれを改善し均衡あらしめていくというのが、それが政治だというふうに考えますので、この点についてはぜひ厚生大臣の言明どおり特に実現を期待したいというふうに思うのです。これはほんとうにその場限りの答弁で終わらないで、十分前向きの姿勢で実現をするように検討をしていただきたい、こう思います。  なお、付言いたしますけれども、共済組合の通算についてどういう措置がとられたかといいますと、この整理資金というものは全部当局、公社持ちなんです。ですから、この問題の処理にあたっては本人負担によって整理されるべきものではないのです。均衡をとるとすれば、当然国庫の負担によってこの期間中の掛け金額を補てんをしなければならない、こういうことになるはずでございますから、この点もあわせて申し添えておきたいと思うのです。  このほか幾つか問題を残しましたけれども、きわめて残念でありますけれども、だいぶ時間もおそくなりましたので、私の質問はこれで終わることにしたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 吉川兼光君。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 たいへん時間がおそくなりまして、大臣もお疲れのようでありますが、先般来、会期延長の騒ぎでしばらく休養されたはずでありますから、きょうはひとつしんぼうしていただきたいと思います。  大体の問題点はいままでの質問者で浮き彫りにされておりますから、勢い重複は免れないと思いますが、一党を代表する質問として一応聞くべき事柄について、できるだけはしょって質問いたします。しかし、御答弁は御親切にお願いいたしたいと思います。  まず、国民年金制度についてでありますが、本年はその本格的な改定期に当たるわけであります。本改正案は、二十五年の保険料を納めた者に対し、六十五歳から支給するところの老齢年金を現行月額二千円から五千円に引き上げ、夫婦そろりてこの年金を受け取る場合には、二人合わせて一万円になるというのであります。つまり、政府は二人そろってこれを受け取るものという考えのもとに、いわゆる一万円年金というキャッチフレーズをお使いになっておるのでございます。最近の生活水準の向上から見ました場合に、給付がこの程度に上がることはむしろ当然であると思うのでございまして、この種の保険といたしまして、決して十分な給付とは義理にも申されないと思うのであります。そこで、一体政府は、このような五千円年金の支給をもってして、はたして老後の所得保障ができるものとお考えになっておるかどうか、まず伺いたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 この国民年金におきましても、また厚生年金にいたしましても、年金の給付水準をどう改善していくか、この問題は一般国民の生活水準の向上、あるいは賃金所得、さらに物価、あるいは貨幣価値等々の諸般の事情を考慮いたしまして、そして適正にその給付がなされるように改善を加えていく、こういうのが政府の基本的な態度でございます。しこうして、昨年、厚生年金につきましてはいわゆる月額一万円年金が実現いたしたのでありますが、それとの均衡等も考慮いたしまして、今回国民年金につきまして、夫婦一万円の国民年金を実現しようというのであります。この給付の額は国際的に見ましても決して見劣りがしない、私はこう考えておるのでありまして、今後は厚生年金、国民年金の給付が実質的に維持されるように、また、さらに国民生活等が相当大幅な向上を見ました際には、それに即応いたしまして給付内容の改善をはかってまいる。現在の段階におきましては、厚生年金の一万円、国民年金の今回の夫婦合わせて一万円という給付の内容は、国際水準に照らしましても決して見劣りのするものではない、このように確信をいたしております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 質問時間に制限がありますから、大臣と議論をしておる時間の余裕がないのが遺憾でありますが、国際的な水準比較はしばらく別といたしまして、わが国の厚生年金に比較いたしまして、その間における数字は一万円というふうに無理に符合させておりますけれども、事実はその半分の五千円給付であって、支給年齢、保険料をかける年限等から見るとはなはだ見劣りがすると思いますが、議論は避けることにして、   〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 そこで、拠出年金についてでありますが、ともかく給付水準が引き上げられましたこと自体は、これはいいことに違いはありませんが、問題は、その裏づけでありまするところの国庫負担でございます。これについては、全然本案の中には配慮されていないということは全体どうしたことでありますか。国民年金審議会あるいは社会保障制度審議会等の本案に対する答申におきましては、いずれもこの点を指摘いたしましてまことに遺憾であるとし、今後の運営の推移を考慮して善処するようにと要望いたしておるはずであります。  それはそれとして、厚生省のそもそもの原案におきましては、初め、国庫負担率を現行の三分の一から二分の一に引き上げることになっておったようでございます。それは金額にいたしまして七十八億円であったかと思いまするが、それが予算折衝の場面におきまして大蔵省にけられて、いわゆる二十一億円の自然増しか認められず、そして本改正案に落ちついたようでございまするが、どうして二分の一の原案を押し通せなかったかということが一つ。それからさらに、七十八億円に対し二十一億円しか認められないといたしますると、差額の五十七億というものは今後どうするつもりであるかという、この二つの点について御一緒にお聞きしておきたい。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 今次国民年金の再計算にあたりまして、厚生省の原案といたしましては、保険料と同額の国庫負担を要求したことは事実でございます。この原案どおり達成されますと、完全積み立てにきわめて近い方式になるのでございますが、予算折衝の過程におきまして、これを今後修正積み立て方式として考えていくということに両者の意見の一致を見たのでございます。  そこで、この修正積み立て方式は、いわば整理資源をあとに残すのでございますが、この修正積み立ての考え方は、厚生年金をはじめ、すべての年金制度におきまして、現在とられております一般的な考え方でございます。修正積み立てと完全積み立てとの差額、つまり平準保険料と現在改正案に提示されております保険料との間に差がございますので、これがいわば整理資源ということになるわけでございますが、これは今後国民の所得の伸びあるいは財政状況等を勘案しつつ、長期的な問題として解決をしていきたい、かように考えておる次第でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 どんどんかけ足でまいりますが、次は老齢年金の支給開始年齢についてでございます。厚生年金は二十年の掛け金で六十歳、その中でも坑内夫と女子は五十五歳、さらに国家公務員等の共済組合でも五十五歳から支給されることになっておりまするのに、ひとり国民年金のみこれが六十五歳であり、これが今回の改正案でも何ら改められておらないのであります。これは非常に不合理な処置ではないかと思うのでございます。掛け金の年限その他の格差についてもいろいろ聞きたいことがありまするが、それはしばらくおき、まず給付年齢だけでも六十歳なら六十歳に改正するととはできないか。たとえば、厚生省の行政基礎調査では、老齢者の世帯の定義といたしまして、男子は六十五歳、女子は六十一歳となっておるのでございますが、もし一挙に六十歳に統一することが困難であるといたしまするならば、それを実現するまでの一つのステップといたしまして、この老齢者世帯の定義にのっとりまして、暫定的にも男子は六十五歳、女子は六十一歳くらいに改めるお考えはないかどうか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 ただいま御指摘のように、厚生年金と国民年金の老齢年金支給開始年齢は五歳の相違があるわけでございます。この点は、厚生年金と国民年金との均衡を考えると申しましても、やはり対象となる被保険者の生活状況を考慮して定める必要があるのでありまして、やはり生産手段を持っております農業、自営業者の場合と、雇用関係におきまして賃金を得ることが唯一の生活手段であります労働者の場合とは、老齢になってからあとの生活状況も相違があるのでございまして、そういう生活状況の相違が一点でございますとともに、また、これらの階層の方々は比較的所得が低い方が多いわけでございますので、比較的低い保険料を払っていただいて、しかも年金としては十分相当な額を支給するといったような趣旨から、六十五歳の支給年齢にいたしておる次第でございます。  なお、国際的に申しますと、年金の支給開始年齢はおおむね六十五歳になっておるのでありまして、農民年金制度を持っておる国はあまり多くはないのでございますけれども、これらの国におきましても、やはり六十五歳程度になっておるようでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 盛んに国際的水準が出ますが、私は、実は国内における制度の不公平をお尋ねしておるのであります。ただいまの御答弁には大いに議論の余地がありますが、残念ながら次に進むことにいたします。  福祉年金の引き上げの額が拠出年金に比べましてはなはだ少ない、むしろ少な過ぎると思うのであります。たとえば老齢にいたしましても、障害にしても、母子、準母子等にいたしましても、いずれもわずか二百円のアップということになっておるのでありまして、貧弱過ぎるにもほどがあるのではないかと言いたくなるのであります。福祉年金こそ国庫負担でありまするから、政府に少し親心さえあれば、もっと大幅に引き上げることは何でもないことであります。ともかく、これでは拠出年金との間の不均衡はひど過ぎるとお感じになっていないかどうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 福祉年金の制度は、先ほど来御説明申し上げておりますように、国民年金あるいは厚生年金制度、拠出制の年金制度の二十年なり二十五年なり後に給付されるそれまでの間の補完的な制度として、また、社会福祉的な政策としてとられておる制度でございます。したがいまして、拠出制の厚年や国年の給付とこれと単純に比較をするということは、私は適当でないと思うわけでございます。国民年金制度につきましては、制度が発足いたしましてから今回初めての給付の大幅な改善ということになるわけでありますが、福祉年金につきましては今回で三度目の改正、こういうことで、実は昨年二百円を引き上げ、また引き続いて今年も引き上げるというようなぐあいに、この老人福祉対策等の面からいたしまして、今後におきましても国民生活水準や経済事情等々を勘案いたしまして、これは毎年ひとつ改善をしていきたい、そして、そういう努力を通じて福祉年金制度の充実をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 私は決して単純な比較をしておるのではありません。ただ、あまりに少な過ぎると思いまするからお尋ねしたまでで、毎年改正して何がしか増額していきたいという御意図が政府にあることをここで確認して、それを次善の策とみなし、次に進みます。  そこで、保険料の問題でございますが、先刻局長の御答弁によりますると、保険料が安くて云々というような話があったようでございますが、それはもってのほかであって、私は現行の保険料は必ずしも安くないと思っております。たとえば三十五歳未満の百円、あるいは三十五歳以上の百五十円がいずれも百円ずつ引き上げられておるのでございますが、さらに、これは四十四年には五十円ずつ引き上げることになっておる。まず、百円ずつの引き上げは、平均しますると八割の引き上げになります。さらに五十円ずつの引き上げがそれに加わりますると、十二割の引き上げになるわけでございます。ところが、昨年行なわれました厚生年金の保険料の引き上げ率といいまするのは、一般男子の場合で五割六分でございます。これに比べ十二割といいますると二倍以上という、はなはだしい割り高になっておるのでございます。国民年金の被保険者といいまするのは、特に物価高や不況の影響を直接に受ける者が多いのでございます。その上に、使用主の負担というものもないので、これは国庫負担によりその不公平が補われなければならぬ、負担過重が補充されなければならないのでございます。もしそれが困難であるとすれば、本制度にあるところの免除規定を活用して、十分に補てんされねばならぬわけだが、本改正案の中で免除規定を若干手直ししてあるようでありますが、全く申しわけ的なものであり、問題になりません。  そこで、現在免除を受けておりまするところの数は、一体どのくらいあるのか。その保険者に対する。パーセンテージはどのくらいになるのか。さらに、免除の適用範囲を拡大するお考えがあるのかどうか。これらの点につきまして一括お尋ねするわけでありますが、ついでに申しておきますが、昨年の本法の改正の際にも、当委員会におきまして、保険料の免除を受けた者の年金給付についてはさらに優遇措置を講ずるようにという附帯決議が行なわれておるのでございます。いまお伺いいたしました問題とあわせて、この附帯決議にうたっておりまするところの優遇措置というものはどういう形で講じられておるか、全然講じられなかったか、その点についてもお答えを承りたい。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 免除制度の適用を受けておる方々は、被保険者総数の一二%でございます。  なお、免除制度につきましても、この法律におきまして十五万円から二十四万円という引き上げが改正案の中に盛られておるのでございますが、農家経済調査の第一五分位程度をめどとして考えてまいりたいと考えておるものでございます。  なお、保険料が引き上げられたに伴いまして、その国庫負担も当然引き上げられておるわけでございますが、したがいまして、免除者につきましても一年当たりの年金額は大幅な引き上げが行なわれておるわけでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 被用者の妻について、本年金では任意適用ということになっておるのでございます。国民皆年金というものが達成されておりまする今日におきまして、これではいわゆる所得保障というものが受けられないおそれがないとしないのでございまするが、これは制度の上の欠陥ということになるのではありますまいか。このことにつきましては前々から問題になっていることでございまして、政府でも検討しておるはずでございますが、今度の改正案ではこの問題は行くえ不明になっているようでありまするが、それはどうしたわけでございますか。大体本制度でいいまするところの妻の数は、どのくらいおるかということを伺いたい。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 被用者の妻で国民年金に任意加入しております数は、昭和四十年度末で百六十八万人。被用者の妻で未加入者がおよそ六百万人くらいではないだろうか。これは推定でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 その数字は私の調べているのとはちょっと違いますよ。間違いありませんか。

網野智厚生事務官(社会保険庁年金保険部長)

○網野政府委員 失礼いたしました。ちょっと数字を訂正させていただきます。被用者の妻で国民年金に対して任意加入しております数は、四十年度末で百六十八万でございます。それが全体のおよそ四分の一くらいだろうと推定しておりますので、先ほど申しました六百万というのは、被用者の妻全部が六百万であろう、こういう推定をしておるわけでございます。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 ただいま先生御指摘の妻の座の確立という問題は、年金制度におきます大きな問題でございます。国民年金制度が夫も妻もそれぞれ被保険者として加入をし、被用者の妻につきましても任意加入を認めましたのは、妻の座の確立のための一歩前進であったわけでございますが、なお、妻が事故を起こした、あるいは妻が長年の間に、たとえば離婚をされるといったようなことがありますと、年金権が保証されないといったような問題があるわけでございます。この点につきましては、昨日も滝井先生から一つの示唆をいただいたのでございますが、これをも含めましてさらに慎重に検討を進めてまいりたい、かように考えておるものでございます。今回は、厚生年金の改正に引き続く再計算期として、厚生年金と国民年金との均衡の維持という点に主眼を置いて改正案を考えておりまして、その妻の座の問題までは実は手が回っていないのでございますが、今後の大きな課題として考えてまいるつもりでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 実は福祉年金の所得制限についてお伺いしたいのでありまするが、これは後ほど児童扶養手当あるいは重度精神薄弱児扶養手当法のところで一緒に触れることにして省略いたしましょう。ただ、福祉年金の場合、わずかな年金を渡すのに所得制限を加えて、それを制限するということは、私は根本的にその考えが間違っておるということをここに指摘しておいて、はなはだ不本意ながら国民年金に関してはこの程度にいたします。  さて、児童扶養手当と重度精神薄弱児扶養手当法の改正案、これに対しまして若干お尋ねをいたしたい。  この法案につきましては、社会保障制度審議会から答申も出ております。政府はこの答申の趣旨を十分に尊重しているとは思えないのでありますが、その点はどうであるか。たとえば、答申の第一点であります児童扶養手当の額でございますが、国民年金法によります母子福祉年金と同額に引き上げる要があるということが、はっきりとその答申にうたわれておるにもかかわらず、この点についての処置は十分でないようだが……。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 児童扶養手当制度は母子福祉年金の補完的な制度として出発をしたわけでございますが、母子福祉年金が死別の母子世帯に対しまして支給するのに対しまして、児童扶養手当制度は、生別の母子世帯のみならず、父が行くえ不明となっております世帯、あるいは父から遺棄されておる世帯、そのように父のない世帯に対しまして、できるだけ広範囲にわたりまして児童の福祉をはかる、こういう趣旨で創設されたものであるわけでございまして、母子福祉年金が母と子の生活保障を目的として支給されるのに対しまして、本制度は児童の生活保障、そういうような目的を主として持っておるわけでございます。こういった趣旨からいたしまして、児童扶養手当の額は、児童一人の場合の世帯につきましては母子福祉年金と金額を異にいたしておりまして、児童扶養手当におきましては改正後千四百円となりますが、母子福祉年金は千七百円、こういった違いがございます。これにつきましては、今後答申の意見を尊重いたしまして検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 御答弁にありますように、母子家庭との間に差があることはいかがなものでしょうか。同じ児童に対する国の施策として、そこに格差があるということはどうも受け取れないと思うのであります。一人のときには月額で三百円も違うのですが、これはこの場合相当問題になる額だと思うのであります。二人、三人となると同額になっていますが、一人の場合になぜこのような格差をつけねばならないか。私は、一人の場合も条件は少しも違わないと思うのであります。なるほど、今度の値上げになる前の額には差異はございます。しかしその差異が間違っているとすれば、早急に改められねばならぬはずだ。これは母子福祉法が昭和三十四年、児童扶養手当が昭和三十七年に施行された際に、こういうアンバランスなことを政府は行なったのでありまして、こんなアンバランスなことで出発したこと自体に問題があるのでありますから、できるだけ早くバランスをとるような処置を講じていただくほかはない、こういうように考えます。これは聞いておいてもらいたいのであって、もう別に御答弁は要りません。  そこで、重度精薄児扶養手当法の一部改正についてでございますが、本法は昭和三十九年に制定され、在宅の常時介護を要する重度精薄児扶養手当が支給されてきたのでございますが、今回の改正によりまして、重度の障害児まで支給範囲を拡大しようとするのでございます。重症心身障害児対策というのは、四十一年度の鈴木厚生大臣の一つの重点施策として打ち出しております点から見ましても、これは当然のことであると申さねばなりません。しかし、重度障害児扶養手当は、厚生省の四十一年度の予算書によって見ますと、四千三百余万円の減となっておるのでございます。家庭で介護されております児童数、これらの児童がどのような家庭環境にあるかということは、厚生省には調査があるはずでございますから、それとともに、この減となった理由をお聞かせ願いたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 四十年度予算に比較いたしまして四十一年度予算が減になりました理由につきましては、四十年度の対象の児童数につきまして二万一千五百五十九人という数字を見込んだわけでございます。しかしながら、実際におきましては、ことしの一月で約一万人でございまして、対象の児童が非常に少ないという点を顧慮いたしまして、本年度の予算におきましては、精神薄弱児につきまして数字を訂正をいたしまして、また身体障害児を含めたわけでございますが、一万九千三百五十五人というのが四十一年度の予算の対象でございまして、そういう面から人数が減ったために、先生御指摘のように、予算額としましては昨年の予算を下回った、こういうことでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 答申の第二点に、特別児童扶養手当の支給制限が福祉年金と同様になっているのは、その性質上適当でないということが述べてあります。先刻、国民年金の際に私がこの点の質疑を保留いたしましたのは、ここで少し詳しく聞きたいと思ったからでございますが、本法の趣旨が不幸な児童に対する介護の性格を持っているのでありますからして、所得制限などは元来あるべきではないと私は思うのでございます。これがいわゆるあたたかい国の施策ではないかと思うのでございますが、この点についてどういうふうにお考えでありましょうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 特別児童扶養手当につきましては、御説のとおり単純な所得保障ということでなしに、これは介護料的な性格を多分に持つのでございますから、したがいまして、所得制限等によって支給されないものが多数出てくるということは、この制度の性格からいって適当でない、私もかように考えておる次第でございまして、今後は特別介護料という性格をはっきりさせまして、支給制限の撤廃をはかるという方向で努力をいたしたいと考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 答申の第三点でございますが、他の手当が一斉的に引き上げられようとしているにもかかわらず。本手当だけは現行のまま、つまり月千二百円据え置きでありまするが、それはもちろん不均衡である、だから改正すべきであるという趣旨であると思います。障害福祉年金の支給額は、改正案によりますると二千二百円となっているのでございまするが、この額との間にあまりにも格差がはなはだしいように思うのであります。この点はどういう理由によってであるか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 今回の改正は、従来、重度精薄児だけに支給されておりましたものを、重度の肢体不自由児並びに重症心身障害児等、同じような立場にあります子供たちに範囲を拡大をするということと所得制限等を大幅に緩和をはかろう、こういう点に重点を置いた改正でございます。もとより、この千二百円というのは、実情に照らしまして、必ずしも十分でないということを承知いたしておりますので、今後とも給付の額の引き上げということにつきましては十分努力をしたいと考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 私は、今後十分に配慮するという御答弁はもう聞き飽いています。むろんことばじりをとらえて申し上げるのでありませんけれども、こういうふうに格差がありますることをどうするのか、とお尋ねを申し上げているのでございます。重症心身障害児を持った家庭の苦しみといいまするのは、まことに想像を絶するものがあると思いまするが、それにこのようなきびしい所得制限を行ない、かてて加えて支給額を据え置くといいますることは、本案をもって鈴木厚生大臣の重点施策の一環としているたてまえからも、どうしても受け取りがたいのであります。  そこで、文芸春秋の六月号に、水上勉という人が、「社会福祉になぜ血が通わないか」という、非常に心打たれる一文を掲載いたしております。ここに持っていますから、できれば全文読み上げたいのでありますが、その中の要点だけをちょっと読んでみますると、「一昨年、厚生省は重障害の子をもつ家庭に生活補助金を計上することにした。一軒に月額千円である。これとても、たいへんな進歩だった。ところが、これは障害の子をもつ家ならだれもがもらえる金ではなかった。年収二十万円以下の家庭に限ると法律は制限していた。今どき年収二十万円で、しかも障害の子をもつ家がやっていけるだろうか、父の給料では足りないから、どの家も母が内職するだろう、すれば、月に二万円にはなろう。すると、年収二十四万円になるから、月千円の補助は断たれる。こんな血も涙もない法律によって「重症家庭に温かい政治」といった見出しで、何億円かの予算が計上されたと新聞は報じたのだ。都内台東区で、該当者を調べてみたら、二十万円以内の家はたった三軒しかなかったと報告された。すると、この法律は画餅ということになる。重症障害の子をもった家庭の大半は、生活補助の網目から除外されている。」こういうふうに水上氏は指摘しておるのでございます。これに対し、政府はグウの音も出ないはずであります。重症心身障害児をかかえて、きびしい所得制限のために、わずかな月額千二百円すらも受け取れないという現実の姿を大臣はどのように考えておられますか。いま大臣は、今後は十分に考えますとお答えになりましたけれども、そんな抽象的な御答弁はいただけません。今後の改善の施策なるものを、どういう形で、どういう時期に打ち出されるかということをはっきりお答えいただきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 先ほど吉川さんからもお話がありましたように、重症心身障害児を持っております御家庭の苦労ということは私どもよくわかるわけでありまして、さような観点から今回は全国で十一カ所、五百二十ベッドの国立の収容施設を設置することにいたしたのであります。今後この施設を五カ年計画で少なくとも五千床に拡充をしていきたい、このように考えているわけでありますが、そういう収容施設をつくりましても、なお全部の子供さんを施設に収容することができない。そこで、在宅の子供さんに対する特別扶養手当の支給ということをあわせ行なうわけでございますが、この点につきましては、所得制限が本来あるべきものではない。これは、ちょうど施設に収容した場合の介護料に相当するような性格のものでございますから、お説のとおり、私は昭和四十二年度の予算編成にあたりましては、ぜひこの所得制限の撤廃ということにつきまして最善の努力を払いたいと考えておる次第でございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 ただいまの御答弁は決して満足すべきものではありませんが、これまた次善策としてその確実な実現を大いに期待をいたす一人でございます。  そこで……(「時間だ」と呼ぶ者あり)たいへんうしろの自民党席のほうがやかましくなりましたから……。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 御静粛に願います。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 実はだいぶ質問個所を飛ばしておりますけれども、文部省の方にひとつ伺っておきたい。  それは、重症障害児のために、憲法で言っておりまするところの教育の機会均等というのを文部省においてはどういうふうに考えられ、また現在施策が行なわれておるかということを御説明いただきたい。

寒川英希文部事務官(初等中等教育局特殊教育課長)

○寒川説明員 お話の点でございますが、心身に障害を持つすべての児童、生徒に対しまして、教育の場を提供し、その能力に応じまして適正な教育を行なうということは、機会均等の点から当然でございます。そのための努力を重ねてまいっておるわけでございますが、ただ、きわめて重い精神薄弱児あるいはきわめて重い肢体不自由児につきましては、特殊教育の対象、つまり養護学校の教育にやむなく耐えられない者があるわけでございまして、こういう子供たちに対しては、現在のところ就学の猶予あるいは免除を考慮いたしております。昭和四十年度におきましては、そういった子供たちの数は約二万二千人でございます。そのうちの大部分がそういう該当者でございますが、なお、教育の不可能なものと可能なものとの限界につきましては、いろいろむずかしい問題がございます。特殊教育の研究あるいは今後の進歩によりまして、だんだんとそういう子供たちの教育が可能になる道が開拓されつつございまして、そのための研究につきまして今後努力をいたさねばならない、かように考えておる次第でございます。そういった重度の障害児に対しましては、免除を、あるいは就学猶予をせざるを得ないような状態になることは遺憾に存じております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 就学の猶予ないし免除とおっしゃいましたが、免除などという法律的なことばが出てくること自体に、失礼ながらあなたの御答弁はなっていないと申さねばなりません。今日までの文部省のそうした処置は、われわれには了解できがたいことであります。どういう努力が払われておるかということについて、あなたは長々と御答弁なさいましたが、私は不審は解けません。一、重度の児童の教育が不可能だと一言で片づけることは承服できません。何とかしてやろうとしたが、、こういう点でどうしても行なえなかったと、実例をあげてもっと具体的な説明はできないものか。いまできなければ、あとで文書ででも詳しく御答弁していただきたい。もちろんここでできるならば、具体的にはどういうことなのか、あらためて御答弁願いたいのですが……。

寒川英希文部事務官(初等中等教育局特殊教育課長)

○寒川説明員 精神薄弱者の場合ですが、白痴とかあるいは重度の痴愚の子供たと、IQで申し上げますと四五以下の子供たちでございます。肢体不自由児についても、重度の脳性麻痺等の子供がございます。この子供たちに対しまして、現在のところ、教育は技術的に、あるいは法律論的に不可能であるというふうにされておるわけでございまして、今後の研究にまつべき点であろうかと考えております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 教育の機会の均等を実施するために開発すべきいろいろなことがあるでしょう。いまの御答弁では私はやはりもの足りませんが、どうか、もう少し詳しい資料のようなものを後日私にお届けいただきたい、それをお願いしておきます。それでは今日はこれでけっこうです。  それから、労働省の方に一問だけお伺いいたします。  先刻来、あなたは私の質問をうしろのほうで聞いていただいたことと思いますが、いま身障児童の問題を質問しておるわけでございますが、それに関連いたしまして、労働省としては身障者のための職業訓練所を整備して、雇用促進のために事業所への融資などもするとのことでございますが、その具体的施策につきまして、この際お伺いしておきたいと思うのです。

和田勝美労働事務官(職業訓練局長)

○和田(勝)政府委員 ただいま労働省におきましては、身体障害者職業訓練所は全国に九カ所国立でつくりまして、経営を各府県に委託をいたしております。職種は二十職種以上において経営をいたしておりまして、定員は、昭和四十年度におきましては千三百四十人でございます。  なお、融資関係につきましては、安定局のほうからお答えいたします。

広政順一労働事務官(職業安定局雇用調整課長)

○広政説明員 身体障害者の雇用促進融資につきましては、本年度から新たに、一応わくといたしましては一億一千六百万ということでございますけれども、雇用促進融資全体百億の中で、特に身体障害者の雇用促進という見地から身障者を雇い入れたもの——これは一人でも雇い入れた場合、該当いたしますけれども、住宅並びに福祉施設についての融資制度を始めたところでございます。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 私の質問はこれで終わりますけれども、身障者の職業訓練、就職その他のことに関してでありまするが、大体あなたのほうの所管、つまり労働省の所管で身障者をお使いになっている事実があるはずだが、身障者を使用する道を開いていることは承知していますが、その現状について、簡単でよいからこの際お伺いしておきたい。できれば一、二の実例をお聞きいたしたい、たとえば、どういうところにどのくらい使っておるというふうに。

和田勝美労働事務官(職業訓練局長)

○和田(勝)政府委員 身体障害者につきましては、先生御存じのとおり、身体障害者雇用促進法がございまして、雇用率を設定いたしております。役所関係で申しますと、それに適する職種を一・五%、労働省におきましては二%以上雇っております。

吉川兼光民主社会党

○吉川(兼)委員 最後に大臣にちょっと申し上げて、御答弁を伺ってもよければ、御答弁なしでもけっこうですが、私は、いっかの予算委員会の分科会での質問のときに、例の言語障害児、いわゆるどもりとか口蓋裂、そういうことの質問をいたしまして、大臣のこの問題に関する急速な対策を要望しておいたのですが、あれからかなりの時間が経過していますし、大臣のお考えはどんなところに到達しているのか、これなどはあるいは重度とは言えないかもしれませんが、そういう不幸な人々に対する施策について、厚生行政でいかに取り上げるおつもりなのか。言語障害児童の教育についても、文部省のほうでは依然たいした施策を行なっておりません。全国の小中学校で二百万以上の該当児童がおりますのに、全国で、千葉県を中心として、小中学校で特殊教育教室を持っているのはわずかに十校ぐらいしかない。この問題は本日の議案とは直接関係はありませんけれども、せっかくの機会なので、大臣の責任ある御答弁が聞かれるようであればお聞きしておきたい。この前のときにも申し上げたように、この問題は、あなたの時代にぜひひとつ、何とか厚生行政の面で頭を出すように御配慮をいただきたいということを重ねて御要望申し上げつつ、お尋ねいたします。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 言話障害児の福祉の問題につきましては、予算分科会で吉川さんから御提案がございましたので、さっそく厚生省でも検討をさせまして、ただいま言語障害センターで具体的な対策を御研究願っている段階でございます。できるだけ施策の上に反映させるように努力をいたしたいと考えております。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 谷口善太郎君。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 例によって時間制限の弾圧を食っておりますから、二、三の問題にしぼってお尋ねしようと思うのです。  最初に、簡単なことですが、ひとつ伺っておきたいことがございます。この間、年金局長の御答弁の中で、四十二年一月一日に二十歳で加入した者の保険料総額は十五万五千二百五十円、しかし、受け取る年金は男が百十七万、女が百四十二万というふうに言っておられます。この計算の中に、国庫負担金やあるいは利子計算が入っていますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 国庫負担金、利子は別でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 そうでしょうね。計算しますと幾らになります。——時間がかかりますから私のほうで言います。国庫負担というやつは、これはやはり法律できめられた国民の権利ですから、当然計算すべきである。それを年利六分五厘の複利計算をやりますと、六十五歳で年金をもらう年の前の年までに元利百二十八万三千四百円、十五万幾らじゃないのです。これを四十年年金として毎年九万六千円ずつ使っていったとして、十五年使ってなお七十七万七千七百五十円残ります。葬式代が残るわけです。これは私はあげ足をとるわけじゃないのです。国会の審議でこんなふうなことを言うのはうまくないです。十五万円出したら百四十万もらえる。まことにいい年金だから、みんな入りなさいと、まるで保険会社の勧誘みたいなものです。正確に言って、非常に有利だというふうに思うよりも。これだって、あとにも触れますが、実際は貯金しておるとすぐなる。十五年、九万六千円ずつもらって、なお七十七万円余るほど出すことになります。そういうふうに言わないとうまくないと思う。この点、先に言っておきます。  本論に入ります。これはいままでに論議されたことを私流に一応整理してお尋ねするので、重なるところがあるかもしれませんが、お許し願いたいと思うのです。というのは、いままでの論議では非常にいろんな点が明らかになりましたが、大衆的にはなかなかわからぬ。それでまず三十六年のこの制度ができましたときに、年金二千円、この時点で保険料は三十五歳以下百円、三十五歳以上が百五十円、あのときの記録を見ますと、平均すれば百二十円だというふうに政府委員は答えておりますが、これは平準保険料で、これさえやっておけば完全に二千円年金が払える、そういう内容でしたか、これはそうだとおっしゃったように思うのですが。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 そのとおりでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 その次は、四十二年で年金を五千円に上げた、この時点で平準保険料を設定すると、約四百円になるというふうにお答えになったと思うのですが、これもそうですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 そのとおりでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 そこで私流に計算するのですが、年金二千円で、それが五千円になったということは二・五倍になったことになりますね。これを四十二年度からこの制度を始めるとすると、保険料は百二十円の二・五倍で三百円で済むということになると思うのです。それが四百円ということになりますと、百円というのは過去の保険料の不足分ということになるわけですね。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 この点は昨日も御指摘のあった点でございますが、国民年金制度発足後老齢化傾向が強まっておる、あるいはその後給付の改善が行なわれたといったようなことが反映をいたしておるわけでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 若干そういう点は私も認める。当然なことだと思う。しかし、大まかにこの面で言えば、人間が減るとか、あるいはその他の給付がふえるとかいうこともありますけれども、給付の問題はしかし初めからわかっておるので、人間が減っていくだろうというような問題があるかもしれませんが、いずれにしましてもこれは過去の不足分でしょう。それはそうじゃないのですか。そうでないというなら、ないとはっきりしてもらえばいいのですから。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 四十四年一月一日からの保険料は今後の標準的加入者の数理的保険料を念頭に置いておるのでございます。したがいまして、整理資源、これは過去の五年間の積み立て不足の整理資源もございますし、また発足当時におきましては年齢構成が今後の標準的加入者よりも相当老齢になっておるわけでございます。そういった要素でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 つまり不足分じゃないですか。前から、たとえば三十六年で五千円年金をやれば四百円でいいのでしょう。ところが、五年間百二十円できておるから、そのことがやはり根本にあるわけでしょう。そうじゃないですか。そうじゃないというなら、ないと言ってくれればいいというのです。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 その要素も含んでおります。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 その要素が最大の要素だということですね。  そこで、次にいきますが、この間の淡谷さんの質問に答えて、五十三年に平準保険料として設定する予定だ、そのときには四百七十円にきめると言っていられますね。これは来年の一月から平準保険料をきめないで、いわゆる修正積み立て方式で数回にわたってだんだんに上げていくから、そういう保険料にするから、したがって五十三年に平準保険料をきめると四百七十二円になるのだ、こういうことだと思うのです。したがって、四十二年に平準保険料四百円というようにきめた場合との差額の七十二円もこれまたそういう意味では過去の不足分になると私は思うが、どうですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 そのとおりでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 つまり修正積み立て方式というのは、それ以前に低い保険料を払った人の不足分を、新たに値上げする新料金の中に加えることによって、年金支払いに見合って積み立て金を生み出していく、そういう方式というわけですね。言いかえますと、あとの者ほど先の人の保険料の不足分をかぶって保険料は不当に高くなるということがこの方式の法則だというふうに理解してよろしゅうございますね。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 年金制度の財政の組み方といたしましては、完全積み立て方式もございますが、また完全な賦課式もあるわけでございます。完全な賦課式は当該年度におきまして当該年度の扶養を要する老齢者を現在の生産者が負担するということでございますが、これに対しまして積み立て方式は、長年積み立てておいてそれが給付として出てくるということでございますが、修正積み立て方式はいわばその間にあっての中間的な方法でございまして、いずれにせよ、国民経済的には、老齢者に出される年金というものは、国民総生産のうちから分けられるわけでございます。その場合、完全積み立て、または修正積み立て方式の場合におきましては、その積み立てることによりまして、将来の生産規模を拡大していくといったような意味合いになるのでございます。完全賦課方式の場合におきましては、いわば国民経済自体が積み立て金になっておるというような見方をすべきものかと考えるわけでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 それはそうですよ。あなたのおっしゃるとおりなんです。私はそういうことを聞いておるのじゃない。いまの、現に皆さんがやろうとしておるこの中での計算を聞いておるのであって、この七十二円もこれまた不足分じゃないですか。それはないというなら、これもさっきのとおりないと言ってくれればいいのです。そうでしょう。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 それも七十二円は現時点において平準保険料まで引き上げないことに伴う不足分でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 そうでしょう。それは不足分であるということははっきりしましたね。あなたもそう言っておる。私もそう言っておる。一致しました。  ところで、今度の法改正によって、あとの者が前の者の不足分を全体としてどれほど負担することになりますか。これを聞かしてください。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 整理資源が後代の負担になるということでございます。ただ後代の負担になるにつきましては、その当時の国民の所得の伸び、あるいは財政状況等を勘案をして整理資源の問題を考えていくということでございます。そもそも整理資源という考え方は、完全積み立て方式を基準として考えますとこういう不足分が出るということでございますが、今後の整理資源の解決の方法といたしましては、国民の所得の伸び等を勘案をして妥当な結論を今後において出してまいりたい、かように存ずる次第でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 私もそう言っているのですよ。完全賦課方式でやっておけば、これは不足分はできるわけじゃないのですから。そうじゃなくて、積み立ての場合、修正積み立て方式をとるからあとの者がさきの者の不足分をかぶる。そういう方式だということをあなたは認めたところだから、いまあなたはそんなことを言わなくても、それがはっきりすればいいわけですから。一体どのくらいかぶるかを聞かしてほしいと言ったのですけれども、ちょっと言えぬでしょうな。私から言います。つまり大臣の説明によりますと、こう言っているのです。あなた方からもらった資料でもそうなっている。四十二年一月に百円ずつ上げる。四十四年一月にさらに五十円ずつ上げる。この計算でやると、昭和八十年には積み立て金はゼロになる。それ以後の年金支給はできなくなる。こう大臣は言っておる。あなた方からもらった資料にもそう書いてある。ということは、昭和八十年以後に年金を受け取ることになる人はそれ以前に払った三百円までの毎月の保険料の全部を人のために払ったということになる。そういうことになる。もう一つ言いかえますと、三十六年のときに二十で入った人以下の若い人たち、いやさらに四年先の二十四歳以下といってもよろしい、これは全部、四十四年で上げた時点での保険料を全期間払って、人のために払っておるということになる。それだけかぶるのです。それからあとに保険料を上げた場合ですね。平準保険料であろうと何であろうと、あとに上げた分だけが自分の支給に回ってくる。その前のやつは四十年間払って、みんな人の分を払うということで、かぶるわけですね。これはどうです。認めますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 修正積み立て方式は国民経済の発展の度合いに応じまして、その時点において国民の総生産力がふえていくということを前提として考えておるものでございます。完全賦課方式は完全に後代の負担になるわけでございますが、今後老齢化が著しいと見込まれる現状におきまして、やはり積み立て方式を基本として考えるべきである。ただし国民の所得の現状にかんがみまして、平準保険料までを上げることはまた一面において困難である。あるいは逆に国民の負担できる保険料を念頭において給付を定めます場合においては、非常に低い保険給付になりますので、それらを勘案をいたしまして修正積み立て方式を採用したということでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 むずかしいことを言いますけれども同じことを言っているじゃないですか。あとの者がさきの分をかぶるということです。そうしなければ成り立たないのです。いま言ったことをあなた認めませんか。そう大臣が言っているのです。八十年になったらからっぽになる、積み立て金もなくなるのだ。ということは、その前に払った分、少なくとも四十二年までにきめた、つまり二百円と二百五十円、その分は、三十六年に二十の人だったら四十年分人に払ってきたわけだ。それから以下の人はみんなそうです。それ以上の人もあるいは一年あるいは二年と減りますけれども、三十九年分、三十八年分、こうしてみんな人の分を払ってきたことになります。四十四年以後に二百五十円、三百円以上に保険料を上げた分だけが自分のことに残るという、これを認めないというのですか。あなたはあなた方の資料を認めぬのですか。あなた方の資料はそうなっておる。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 修正積み立て方式は整理資源をその後の国民経済の伸び、所得の伸びに応じて解決をしていくという考え方でございまして、かりにその後何の引き上げも行なわないとすれば昭和八十年において積み立て金がゼロになる、ゼロになるということは、換言すればその時点において積み立て方式を離れて賦課式に移るということを意味するわけでございます。いずれにいたしましても昭和四十四年一月一日以降の保険料は今後の標準的加入者の数理的保険料に合わせてございますので、この数理的保険料に合わせるということが長期的な年金制度を維持するゆえんであると考えているものでございます。また五年ごとの再計算期におきまして国民経済の伸び、所得の伸び等を勘案をして総合的に判断をしてまいる、かような考え方でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 いよいよわからぬことをあなた言いますけれども、同じことじゃないですか。四十四年に二百五十円と三百円まで上げても、これはもちろんあなたのおっしゃるとおりの修正積み立て方式ですから、平準保険料じゃない。安いわけだ。しかし二百五十円と三百円になるわけだ。それでやっていって八十年になったらからっぽになるのです。だから三十六年のときに二十であった人は、つまり八十年以後に年金をもらう人は、四十四年できめた保険料の範囲であればその全生涯を人のために支払ったということになることをあなた方の資料に書いてある。そのことをそうだというのか、あなた理屈言う必要ないですよ、そうでないというのか、どうです。上げればいいですよ、上げなかったら……。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 修正積み立て方式は整理資源が残る、残る意味におきましてそれは後代の負担になるわけでございます。しかしながら、後代の負担になると申しましても、その積み立て金によりまして国民生産の拡大に寄与いたしておるのでございまして、これらの点は御考慮願いたいと思う点でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 いろいろな要素を言っているのじゃないので、私は算術計算をやっている。非常に単純なことを言っている。そうしないと国民わかりませんからね。だからあなたのおっしゃるとおりに修正積み立て方式というものは後代の者が負担するということになればはっきりするのです。どれくらい負担するかはいまあなた方の資料ではっきりしたのです。昭和三十六年に二十で入った人で三百円以下の保険料は——それが上がれば上がった分は別です。三百円以下の、それから下の保険料は全部四十年間人のために払うということになるのですね。そのことをあなた方認めなければならぬです。あなた方の資料にそう書いてある。(滝井委員「そうなるんだよ。」と呼ぶ)そうなりますね、滝井さんありがとう。そこで二千円の年金を五千円にしただけで現在すでにこういう不合理がある。現在すでにちゃんとそういう結果を生んでおる。これから将来そんなふうにみんな縛られるわけだ。人のためにどんどん出していく、そういう不合理を生んでいる。大臣、頭を横に振りましたね。それならこれはうそか。大臣は頭を横に振った。そこで答えますか、これについて。どうぞ。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 算術計算はさようになると思います。しかし、人のためにのみかけているのじゃなしに、この国民年金制度に入った人たち、今後入るであろう人たち、この人たちがともに助けあって、この法律によって約束されましたところの給付を受けられるわけであります。その点はちっとも心配ございません。政府はまたその自主的な給付ができるように、政府の責任でそれを果たす所存でございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 大臣のおことばで翻訳されるとそういうことになるのだ。それは私は認める。そういうことは将来の者が前のまでも負担するということでありますから、大臣のおことばでおっしゃればまことにそのとおりになります。しかし、はっきり言うと、私の言うとおりになるのです。そこで私は聞きますが、なぜこういうことを私が言うかというと、私がいま言っているのは、経済変動がなしに五千円年金というものを計算した場合のことを言っているのでありまして、これに経済変動が加わるわけでありますから、大臣のおっしゃることがどうなるか。私はこれから聞きますよ。原則を私は言っているのです。この制度の法則としては、将来の者が過去のものを負担する。それはなるほどあなたのことばで言えば、みんなが一緒になって、次代の者が前の代の者を助けていくのだということに、きれいに言えばそういうことになります。しかし、はっきり言えば、あとの者が前のものを負担するということである。そこで、経済変動の問題ですが、経済変動について、これもずいぶんいろいろ論議がありました。将来どういう見通しを持っているかについて論議がありましたが、一向わからぬですよ。これからどういろ見通しになっていくか、ここで端的に言っていただけませんか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 年金制度は長期的な推計を立てておるのでございますが、それは年金制度のワク内において考えておるのでございまして、その後の生活事情、国民経済の変動等は五年ごとの再計算期においてさらに再検討を加えるということでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 それが大事なんですよ。五年目ごとに再調整を加えるというそのことばをもっと端的に分析すると、たいへんなことになる。経済変動の見通しですね。うんと私も公式的にやりますが、いままでの五年間の実情から見て、物価の上昇率は年間六・五%くらい。これは安い見方だと思うのです。そうすると、十年後に物価は今日の倍になりますね。二十年後には今日の四倍になるわけだ。これにつれて年金も上げていくのですね。この場合、年金を上げると言いましても、それは実質五千円、現在の五千円を確保するだけで、年金額は上がりましても実質的には今日の五千円しかないわけだ。しかし、それでスライドしておるということになっていますね。今度、法第四条第一項で改正して、すみやかにやろうということを言っておりますから、すみやかにやるだろうと私は思うのです。そうなるとどうなりますか。保険料はその場合の過去の不足分全部、すなわち三十六年、この制度が発足したとき以来の不足分の全部、これが新たにきめられた年金額に見合う保険料のスライド分のほかに加算されるということになりますね。これはどうですか。これはばく大なものになると私どもは思うのです。しかも、——時間がありませんから私のほうで言いますが、インフレの見通しは、物価上昇、政府が赤字公債を発行するということにことしは踏み切った。戦争の政策をとることもはっきりしている。これは十年、二十年後にはその倍だとか、あるいはそのまた倍だとかいうそんななまやさしいことではなくて、すべての経済学者が認めているとおりに、おそろしいことになる。そういう見通しを経済学者は持っているのです。そういうとき、一体政府はどうするのですか。この間の社会党の諸君の言い方では、また、過去の経験から言ったら、千倍になるということは幾らもある。またなったのだから。このとき保険料は過去の不足分を補てんするだけでも幾何級数的に、破局的になる。これはこの制度のインフレーションの時代における法則なのです。そういうことを政府は考えたことはありますか。昔、数年前に保全経済会というのがあったでしょう。高い利子を払うと言って人の金を持ってきて、その高い利子、二割とか三割とかいう利子を今度は別の人の金を持ってきて払った。これで詐欺をやったので司直の手が及んで刑務所に行きよった。これと同じことじゃないですか。人の金で前の分を払って、インフレになってべらぼうなことになったらできなくなる。どこかで破綻する。そういう本質を持っておると私は思うのですがね。あなた方は国会の場では、いやおまえらの金は十五万円でいいのだ、やるときには百四十万円やるのだと、きれいなことを言う。夫婦一万円年金と言うでしょう。さっきも問題になったが、これは夫婦一万円年金ではない。もし夫婦一万円年金であるならば、その夫、男の世帯主が被保険者になった場合に自動的に細君がもらえることになりますか。ならぬでしょう。夫婦一万円年金というのは二人で一万円年金である。子供と合わせて四人で二万円年金、隣近所合わせたら十万円年金になるでしょう。そういうことを言って、こんなおそろしい法則を持ち、将来に何の保障もない制度をつくっておるから、そういうばかげたことを言って国民をごまかさなければならぬと私は思うのですが、これは私の思い過ごしですか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 年金制度の財政方式につきましては、先ほど申し上げましたように、完全積み立て方式あるいは完全賦課式を両極端といたしまして、いろいろな変形があるのでございます。そこで、今回改正案において採用いたしております考え方は、修正積み立て方式でございますが、この考え方は厚生年金その他の年金制度にも共通の考え方でございます。ただ、全般的に年金制度の財政方式といたしましては、世界的に漸次完全積み立て方式から賦課式へ移行しつつあることは御承知のとおりでございます。  なお、当初御指摘のございました十五万円云々の件につきましては、予定利率は五分五厘で計算をいたしておりますので、この点は御了承願いたいと思います。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 あなたのおっしゃるとおりなんだ。世界的趨勢なんですね。修正積み立て方式というやつをやらなかったらそれはかなわぬですよ、政府のほうは。責任を持ったら……。だからみんな保険料で取るという方式をやったのがこの修正積み立て方式。それは世界的に資本主義の国は全部そうでしょう。日本もごたぶんに漏れずそれをやっておるということです。  それから五・五%の問題は、それでやりましても——あなたそんなことを言うからまた時間をとりますが、それで計算するとあなた方の言っておるようなそれくらいじゃありませんよ。これはどれだけになるかといいますと、元利九十七万八千四百九十九円になる。十五万円と違うのです。それはいいですよ。そんなに言いつくろわなくていいです。  次にいきます。これは前に淡谷さんが指摘されましたが、こうしで保険料は修正積み立て方式で法律と権力でどんどん上げていきます。上げていくつもりだろうと思います。しかし年金給付の財源の三本柱の一つの、積み立て金運用利子のスライドはできぬわけでしょう。これも淡谷さんがこの前指摘しましたが、これは大問題だと思うのです。ここにこの制度のもう一つの根本問題があると私は思う。というのは、被保険者がそのつど払う保険料は、あなた方の言う五年目ごとにそのときの情勢に見合ってやるのだ。だから価値ある金を払う。そのときの値打ちがある金を払う。ところがこれを財政投融資から借りていった、融資されていった企業は、これを使って工場を建てたり機械設備をやったり、いろいろなことをやるのですよ。それでもうけておいて、しかも十年二十年先になると貨幣価値はうんと下がるわけだ。二分の一とか五分の一とか、社会党さんの説によりますとそのときに千分の一になるのですね。つまり言いかえれば、もと百億円借りたものは、二十年後の時点ではもはや千億ぐらいの値打ちがあるものを持っておるわけです。しかし百億円に対する利子しか払わぬですね、ここに収奪があるのです。人民の金を集めて、どこかで損をするのです。自分の払った金は自分に返ってくるものだと思ったら、みんな人にいく。そして自分のものは将来くれるのだけれども、どこかで損をする。どこで損をするかいろいろ検討してみたら、独占がみな持っていく。大企業はみな財政投融資の金を借りているということで、収奪をしている。これを解決しなかったら、この保険制度は成り立たぬ。これはどうにもできませんか、何か是正する気がありますか。

伊部英男厚生事務官(年金局長)

○伊部政府委員 積み立て金の物価騰貴に伴う減価の問題は、積み立て方式の一つの欠点でございます。したがいまして、むしろ現時点におきましては修正積み立て方式のほうが妥当であろうと考えるわけでございますが、なおこの積み立て金の減価に伴う整理資源の問題につきましては、今後の課題として、審議会等におきましては国庫負担等をもって充てるべきだという御意見があるわけでございますが、それらの点を念頭に置きつつ解決をしてまいりたいと考えておるものでございます。なお、積み立て金は現在資金運用部資金に預託されておるわけでございますが、これは国民生活の向上に直接役立つ部門に回されておるのでございまして、決して大企業、輸出振興等に回っておるわけではございません。しかしながら先般来御指摘ございましたように、この年金保険の積み立て金の管理につきましては、厚生省といたしましても、大臣の御答弁にもございましたように、自主運用ないし特別勘定設定の問題を今後の問題として真剣に取り組んでまいりたいと考えておるものでございます。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 第一点の独占の収奪に対して、あなたはいま何とかするということを今後の状況の中で考えていきたいと言われたわけですが、それはどういうことをやりますか。たとえば戦後やったように、大資本の財産の再評価をやって、そしてそれに対して利子をかけていくというようなことをやりますか。国庫負担の問題を問う前に、この問題を片づけなければならぬですよ。こういう場合の国庫負担だったら、大資本をまたわれわれの税金で助けていくことになりますからね。収奪したのは大資本ですから、これから取り返すということについて何か方策を考えておりますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 谷口さん何を言っておられるのか、ちっとも私には理解がいかないのであります。先般来御説明申し上げておりますように、二五%につきましては直接国民の福祉になるように還元融資をいたしております。その他の七五%につきましても、直接、間接に国民の福祉に寄与するように運用いたしておるのでありまして、基幹産業であるとか、輸出産業であるとか、そういう面につきましては一つも融資をいたしておりません。独占とかなんとかいう、いつものきまり文句をおっしゃっておられますが、われわれには理解ができません。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 この前も私の質問に大臣は、谷口は何言っているのかわからぬと言われましたが、わからぬのじゃないでしょう。わからぬとすると、よっぽど頭がいいということになります。わかっておっても、あなた方そう言っているということは明らかなんですよ。収奪がわからぬですか。そんなら百億円貸して、二十年たって貨幣価値が十倍になったら千億取りますか、取らぬでしょう。こういう物価を上げてインフレーションをあおって人民から収奪するというのが、いまの資本主義の方式じゃないですか。この保険制度にもそれをやっているということです。そんなことをわからぬとあなたは言ってごまかしちゃいかぬですよ。あなただって以前はこういうことがよくわかっている立場にいられたわけだ。  それからこれはいま派生したことですからちょっと触れておきますけれども、大企業に貸さぬとか貸すとかいう問題ですね。これはこの間の社会党さんの質問の中でも非常にはっきりされました。二割五分の還元融資をしているというその中ですら、その融資を持っていって病院を建てたり、いろんなことをやっているという問題があるわけですね。その点をやはりはっきりさしておく必要があるのですよ。大企業に使われておるということは、だれだってそう言っているのだから。財政投融資というのはそんなものです。だからその点は幾らあなた方が言っても、これは水かけ論になりますけれども、あとでもし必要だったら、どこへ貸すかという分類表があったでしょう、あれをごらんなさい。  結論に入ります。そういう状況が見通されるのに、政府としては何もやらぬ。午後の大蔵大臣に対する滝井さんかだれかの質問には、大臣一向これについて国庫補助も大きくしないと言っていたそうだ。私は聞かなかったですが……。つまり国はこの制度が破綻するような法則の上に乗って、将来えらいことになるということが見通されるのに、それに対して何一つ保障の制度をとらないということです。これははっきりしている。とったらえらいことになりますからな。五千円年金をくれても、その五千円は、実質五千円のためには何万円かなければ、何の役にもならぬです。そういう状態の中で、国がそう簡単に、よほどの決意なしにはできっこないです。またしないと、こう言っているのです。今度委員会ではっきり、できないし、しないと言っている。そうしますと、この制度は国民が年とったら老後をひとつ保障してやろうということを言っておるけれども、その点については何の保障もないということです。しかも現実に生きて作用しているのは、現に金を集めて財政投融資として大資本に注ぎ込んでおる、この働きだけです。これだけは生きている。あなた方はこの審議の中で、保険料は財政投融資の原資にすることを目的とするものじゃないのだと盛んに言いました。ことばは百ぺん言いましても、それはだめなんです、現実にそうだから。そこのところをはっきりすると、この制度は事実上大資本に回す金がほしいから保険料を集めておるということが現実の問題になっておると言わざるを得ぬ。だから私どもは、こういう法則をもってやっていくのは将来にわたってまことに危険で、成り立たないと思う。これは戦前から戦後にかけて生きてきた私どもはもう経験済みです。この点はこの前淡谷さんも言われました。  私はこの審議にあたりまして、実に三十六年のときにこの年金に入りました人から年金手帳というものを借りてきました。この人に、今度保険料が上がるよと言ったら、こう言いましたよ。どうせ政府のやることだから、年金を将来もらうなんということは思っておらぬ、前にも戦争のときに軍事公債も買うたし、簡易保険もやったし、いろいろなことをやったけれども、みんなパーになったのだから、どうせ政府のやることだからそんなものは当てにしておらぬ、こう言っておりました。国民はみなそう思っているのです。ですから、この制度が成り立たないとすれば、ほんとうに国民の老後を考えた社会保障の制度を推進するという立場に立つなら、やはりこの間から社会党さんがずっと言われておるように、国庫補助の問題を増額すると同時に、国の資金つまり国庫でもって年金を支給するという制度を新たにやるべきだ。こういう拠出制年金をつくっても、インフレーションの時期におきましては実際はだめなんで、あなたがどんなに善意でしようしようと言っていましても、法則が許さぬ、破壊されてしまうということを、私どもはここではっきり言っておきたい。この制度はそういうインチキだということをはっきり言っておきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 こういう所得保障の制度は欧米先進国等におきましても、社会保障の有力な柱として実行いたしておるところでありまして、ただいま政府の施策に対しまして共産党一流の御批判があったわけでございますけれども、国民の大多数は、政府が責任を持ってやりますこの年金制度に対して、私は賛成をしておるものと確信をいたしておる次第であります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後八時三十分散会

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