社会労働委員会 第30号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/05/06
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法の一部を改正する法律案、児童扶養手当法の一部を改正する法律案及び重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律案の各案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 議題となりました国民年金法につきまして、厚生大臣並びに関係者各位に御質問を申し上げたいと思います。 今度提出されました国民年金法の改正案は、少し見ますると、幾ぶんの、ある程度の改善のように見受けられる内容でございます。しかし、よく検討をいたしますと、五年目の改定期にこの程度のものでございましたならば、国民年金制度の将来を非常に道を狭くする、発展にブレーキをかけるというような、非常に貧弱な内容の改正案というふうに私どもは考えるわけでございます。その点について厚生大臣がいかように考えておられるか、一応総括的にお答えをいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 国民年金の制度は、厚生年金の制度とともに所得保障の大きな柱でございます。そこで、政府といたしましても、今日まで、国民年金法の改正につきましてしばしばその努力を重ねてまいったのでありますが、今回は、いまお話がありましたように初めての再計算期の時期でございますので、かねて昭和三十七年に社会保障制度審議会から、社会保障に関する総合調整、また今後の社会保障制度の充実に関する勧告等も出ております。そういう趣旨を、できるだけこれを尊重し、制度の改善にあたってその趣旨を生かしたい、こういう立場に立ちまして今回の改正案を作成いたした次第でございます。 そこで、私は、この国民年金の制度は、国民生活水準の向上に見合って給付の内容も漸次改善され、向上していかなければならない、こう考えておるのでありますが、当面は、昨年国会で御承認を得ました厚生年金の制度との均衡も考えまして、給付内容を夫婦月額一万円というぐあいに、給付内容の改善ということに重点を置いた改正を いたした次第でございます。
○八木(一)委員 厚生年金の改正とバランスが合う、確かに、この法案の内容は形式的にバランスが合っております。ところが、その根本で国民年金法の、ただいま申し上げておるのは拠出制年金の問題でございますが、非常に違っているわけでございます。厚生年金法の開始時期は六十歳開始であります。国民年金法の開始時期は六十五歳開始であります。六十歳と六十五歳の差がいかに大きいものであるかということは、厚生大臣もよく御存じだと思います。そういうような根本的な欠点がありますのを、これはこの前の国民年金法の審議がされました昭和三十四年のこの衆議院において、あるいは参議院においては十分に論議がされておったわけであります。また、福祉年金にもされておりまして、非常に不十分な内容であるからこれは急速に改善をする、スタートのところだから、このぐらいでがまんをしてほしいということを政府がさんざん言われて、それで私どもは、それでもスタートからそういう悪いことはあとあとまで禍根を残すからということで、わが日本社会党の完全な法案がしかるべきだということでこれを論戦に及んだわけであります。その論戦では、ここにその当時おられた方々もおられますけれども、私ども率直な判断で、私どもの日本社会党の案が、百点とは言わないけれども、九十七、八点である、その当時の政府の案が三十点くらいのものであるということは、点数は言わなかったけれども、与党の方も含めて、おそらくこの年金問題のわかる方はそういうことを認識せられて、そういう論戦が展開をされたわけです。ただ、与党の方々は、政府のほうがこの不十分なものを急速に改善するということを約束されたので、スタートとしてこれはやむを得なかろうということで賛成をされた。われわれ社会党のほうは、急速に改善するなんて言ってもそれはおくれる、それは不十分であるに違いないということで、最初からスタートのいいものでなければならないということで反対をした。多数でこの貧弱な国民年金法案が通って、施行をされているわけであります。その後、幾ぶん手直しはございましたけれども、根本的な改善はございませんでした。今度、五年目の根本的な改定の期に、このような根底の非常に不十分なものをそのままにして、ただその不十分なものとその当時の厚生年金とのバランスを横すべりしたのなら、いつまでたっても国民年金法の不十分なことは改善ができないわけです。労働者は、国民の中で非常に大事な国民であります。労働者に対しての所得保障をよくすることは当然さらによくしなければならないけれども、同様に、農業をやっている人、中小企業の人、その他国民年金の被保険者も大切な国民であります。同じように老後の保障を十分にされる権利を持っている。それにもかかわらず、スタートの悪さをこの五年間根本的に改善しようとしないで、五年目の改定期に厚生年金との違ったバランスを横すべりをする。そのようなことでは改正にはなりません。五年後の改定期にこのようなことであれば、将来国民年金制度は縮まってしまいます。そういうことについて鈴木厚生大臣はほんとうに深い認識を持っておられるか、ほんとうに検討されたか、またはそのほんとうの意味のことについてどれだけ努力をされたか、この点についてひとつ伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 確かに、この拠出制年金の場合におきまして、厚生年金の被保険者の給付が二十年であり、一方が二十五年である、そういう給付の開始の期間が違うことは事実でございます。しかし、その給付の内容につきましては、私ども社会保障制度審議会等の御意見の趣旨を体しまして、昭和四十五年に、四十年かけた場合におきまして七千五百円程度に到達すべきである、こういうことに対しまして、今回の改正におきましては、すでに八千円の給付ができるように、そういう内容の給付の大幅な改善をいたしておるわけでありまして、その点におきましては、私は、厚生年金と均衡をとりつつこの制度が老後における国民の生活保障の資として十分機能を果たせるものである、このように考えておるわけであります。
○八木(一)委員 社会保障制度審議会とか、そういう審議会のことをよくこの委員会でわれわれも論議に出しますし、政府のほうも論議に出されます。そのときに、政府のほうは自分のかってなときに制度審議会を援用し、必要なときに制度審議会なり保険審議会の答申をそのままやらない、そういうようなひきょうな、かってな扱い方をしていただきたくないと思うのです。社会保障制度審議会は、私も委員で十年ほどやっておりますけれども、これは私の考え方では完ぺきではありません。というのは、政府の次官が十名ほど入っています。それから学者の方々にも、いろいろ厚生省なり大蔵省の事情——大蔵省が壁になるという事情を聞かされて、その影響をある程度受けておると思われる節があります。各団体の人たちは、自分の団体に関係する社会保険その他の制度については熱心だけれども、それ以外のことについてはそれほど積極的な意見を言われません。そうなると、おのずからその決定についても、これは最小限度それ以上でなければいけないという点で権威はありまするけれども、それでいいという内容のものではないと思う。ことに年金制度については、社会保障制度審議会は一つの失敗をいたしております。昭和三十三年の年金の勧告であります。その年金の勧告のときにどういうことをしたか。私は、拠出制年金制度については六十歳以上でなければならない、無拠出制についても六十歳以上でなければならない、その他金額についてもあのような金額であってはならない、少なくとも最低のものが八千円ぐらいのものでなければならないという主張を重ねていたしております。ところが、三十三年の四月に解散がありました。非常に微温的な、厚生省の意図を受けたか受けないか知りませんけれども、内閣というものがこういう社会保障に金を出さないその現状において、少しでも前進すればいいというような、ほんとうの理念的なものじゃない、ほんとうの陳情団体的な一と言っては失礼かもしれませんが、そういう影響を受けているような意見を持っている人、そういう人に対してそれであってはならないという主張をいたしておりましたけれども、そのときに解散があって、年金制度を強力なものにしようという主張者が解散で資格を失っている。その年の六月に当選してすぐ再任をされることがわかっているのに、その三日前にその答申を出したという経緯がある。その年金の勧告については非常な欠点がありました。これは厚生省自体認めておるわけです。老齢年金だけしか考えておらないで、障害や母子については何も答申を出していない。制度審議会の答申では一番粗末な答申であります。そこで厚生省は、その粗末なことを考えられて、遺族やあるいはまた障害者についての年金を、政府のあの貧弱な年金法案にすら幾ぶん加えて出してこられたわけであります。そのように厚生省の伝統的な非常に憶病な態度でございましたけれども、その当時の年金局は、制度審議会の答申があまりに貧弱だったので、政府みずからそれをつけ加えて出してこられた。その出してこられた法案が、この委員会で討議をしたならば、まことに貧弱きわまる法案だという経緯があります。そういうことを鈴木厚生大臣もよく理解をしていただきたいと思います。制度審議会なり保険審議会の答申は、その中でいろいろな構成メンバーがたくさん違っておりますから、政府がこれくらいしかやってくれないだろうという憶病な心から意見を出す人がある。そういう人の意見も意見、ほんとうに所得保障、社会保障を前進させなければならないということで意見を出す人もいるということで、たとえば保険審議会においては多数意見、少数意見、あるいは制度審議会においては満場一致制をとりますから、平均値みたいなかっこうの答申になる。そこで、ほんとうに考えるときには、この平均値になったものはどんなことがあってもやらなければならない。たとえば健康保険法の問題については、国民負担よりも国庫負担を多くしなければいけないという制度審議会の答申が出る。今度法案が通りました。政府原案と違うことになりましたけれども、政府原案では四百二十三億の国民負担を志向している。そうして、少なくとも制度審議会の答申を守られるならば、五百億から六百億の国庫負担を計上しなければそれを尊重したことにならない。それを政府は、百五十億しか出してない原案を出している。そのように、最低のものすらそれを値切ったことがある。最低のものが政府にとっては幸いにして非常に微温的なものであったときには、それだからそれでいいのだというような、そういうかってな扱い方をすることはいけないことだ。そういうような審議会の答申は、最低中の最低として、どんなことがあってもそれを上回らなければならぬ。しかし、そこに不十分なものがあれば、政府みずからほんとうの社会保障の精神に従って、しかも制度審議会の委員とは違って、厚生大臣も、総理大臣も、国会議員も、憲法九十九条で憲法を守る、これを前進させる重大な責任がある、憲法二十五条の第二項を推進させる責任があるという立場から、不十分なものがあれば、それをよけいにするという態度で考えていかなければならないと思う。かってに制度審議会や保険審議会の遠慮がちな答申を、あるときには大幅に値切り、あるときには遠慮がち中の遠慮がちのものを基盤にして、そこで答申が出ているからこのくらいでいいんだ、そういうようなかってな態度は、ほんとうの社会保障の企画、行政部門を担当しておられる厚生大臣としては適当でない態度であると思う。私の申し上げたとおりに考えて、問題の前進をはかっていただかなければならないと思うが、その点について厚生大臣の前向きの御答弁を期待いたします。
○鈴木国務大臣 社会保障制度審議会その他の審議会の御意見を尊重し、その趣旨を体して政府が努力をする、しかし、政府といたしましては、国の財政全般の問題もあるわけであります。また、他の制度との関連もいろいろあるわけでありまして、そこで私ども、審議会の御意見や勧告につきましては十分尊重してまいる、こういう気持ちでありますけれども、必ずしもそれが全部そのまま出されなければいけないというようなことではなしに、政府としてあらゆる角度から、その審議会の御意見をどういうぐあいに生かしていくかということで努力をいたすのであります。また、国会におきましては、さらに国民の代表という立場で最終的にこれに対する御決定をなされる、こういうようなことであって、審議会が政府を一〇〇%拘束したり、また国会を拘束をしたり、そういう性質のものではない、私はかように考えるのでありまして、十分その意のあるところ、御趣旨を尊重し、その実現に努力はいたしますけれども、政府、さらに国会は、もっと高い立場からそれを国民の立場において御決定を願う、こういうことであろうか、こう思うわけであります。
○八木(一)委員 国会は、もちろん最高機関として一番高いところから決定をいたします。しかし、国会にそういう議案を出される政府は、非常な決意を持って当たらなければならない。審議会の答申との関係は、審議会の答申については少なくともその答申は完全に尊重する、そして審議会の答申が不十分だったときには、それをさらに改善をする、よくするという方向でなければならない。審議会の答申を値切るというような考え方だったら、審議会というものは価値がない。審議会の答申は最低限度守る。それ以上に政府が熱心になる。そうして出してこられた法案について、国会は国民の立場から討議をして、法案が悪ければさらに改善をする、それが順序であります。あなたのおっしゃっていることによると、審議会の答申は、ある場合には値切ってもいいということに通じます。それからもう一つ、もっと極端に言えば、こっちの方向ばかりある場合には値切ってもいい、答申が非常に遠慮がちな、不十分な場合には、答申があったからそれでいいんだということで問題をストップさせる、そういうことであってはならないと思う。審議会の答申に、必ずしも一言一句そのとおりでなければならないということではありません。しかし、少なくとも各審議会の答申を尊重し、それ以上のものを——政府はたくさんの高級役人をそろえている。国民の要望を聞く状態はたくさんある。国会においても前々から論議をされている。そういう立場に立って審議会の答申を、不十分なところはさらによい原案にして持ってくる、それが政府の立場でなければならないと思うわけです。その点について厚生大臣の前向きの答弁を伺いたい。
○鈴木国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、三十七年の国民年金に対する御答申に対しましては、まだその答申なり勧告のとおり実行に移せない部面もあります。しかし、ある面ではその答申以上に、先ほど申し上げたように、四十年かけた場合におきまして七千五百円程度ということに対しまして、今回の改正で八千円というぐあいに、その勧告を上回る面もあるわけであります。しかし、私どもは、全体としてこの審議会の御答申なり御意見の趣旨というものを生かすように努力をしてまいりたい。これは一ぺんにいきませんけれども、そういう努力を積み重ねてまいりまして、その御趣旨を十分生かすように努力をしたい、こういう考えでございます。
○八木(一)委員 三十七年の答申といまの時点の四十一年と、どれだけ物価が違っておるのです。三十七年の答申は、私は不十分だと思う。私もその中にいたけれども、意見は全部通らなくて足して二で割るような形になるから、答申は答申として認めますけれども、三十七年の答申は全部物価がそのまま安定しているとして答申を出した。全部お読みになったらわかります。三十七年の七千五百円程度というものは、ほんとうの答申の精神を読めば一万円以上でなければならない。一万円でも私は少ないと思う。少ないと思うけれども、そういうかってな読み方をしてはならない。あの試算表を見ても、全部物価が安定しているとして、そういうことを書いてある。鈴木厚生大臣はその当時厚生大臣でおられなかったから、十分お読みにならなかったかもしれないが、年金局長やそういう人たちは、自分たちが大蔵省の抵抗、圧力をおそれて貧弱なものを出した。それがあたかもあらゆる点でいいもののような理屈を考え出して、それを厚生大臣に教え込んで、それを答弁させる。そういうことが年金制度やあらゆる制度の発展を阻害する。悪いものは悪いもの、不十分なものは不十分なものと、局長以下認識をしなければならない。厚生大臣はおそらくそんなことを教えられたと思う。本会議で質問したときに、あなたは具体的な答弁は一つもしなかった。同じやつが質問するから、こういうことを言ってくるだろう、そのときはこういうことをお答えなさい、そういう進言をしたに違いない。そういうインチキなことで、そういう不熱心なことで、ふまじめなことで、現在の厚生省や現在の年金局だけを守るような立場で国民の制度が守れますか。そういう点があることを厚生大臣は十分お聞きになって、年金局長がこういうような答弁をしなさいというようなことを前もって言ったならば、それは全部忘れて、厚生大臣の明快な判断で、前後の事情がわからなくても、こうならばこれがいいということを判断できるような質問をいたしますから、この場で、社会保障の責任者の厚生大臣が、それがいい、それはやります。どんなことがあっても命がけでやりますという答弁を逐次これからしてもらわなければならないと思う。あらかじめ年金局長が、こういう理屈があるから、こういうときにこれでごかんべんくださいというようなへ理屈を教え込んだか、また、あなたが命令してなされたかわからぬけれども、そういうことは一切忘れて、これからほんとうの国民の立場の年金論を展開いたしますから、この立場で御判断になって、そのとおりだ、それをやりましょう、そういう答弁をこれから逐次五十も六十も重ねていただかなければならないと思う。そうでなければ、厚生大臣としての資格はないと思う。年金局長の言うとおりじゃなしに、ぜひ厚生大臣はそういう立場でこれから御答弁願いたい。
○鈴木国務大臣 私は、冒頭にも申し上げましたように、国民年金の制度にいたしましても、あるいは厚生年金の制度にいたしましても、これは国民生活の水準の向上、また貨幣価値でありますとか、物価の問題でありますとか、そういう経済的な情勢の変化に即応して、そして老後においてそれが真に生活保障の資に値するように内容を改善してまいる、これが必要である、こう考えておるのであります。したがいまして、昭和四十五年を待たない四十一年度段階におきましても、すでにそういう点を考えながら、また、厚生年金との均衡等も考えながら今回の改正をやっておる。私は、これでもう当分固定をして、これでいいのだというような考えは持っておりません。こういう努力を積み重ねていって、そして真にこれが生活保障のささえになるように、そういうものに生々発展をしていきたい、その努力の一つが今回の改正である、かように御理解を願いたいのであります。
○八木(一)委員 それでは、ここに与党のりっぱな委員の方もおられますし、野党のりっぱな委員の方もおられますけれども、ここで国民の立場で論議をされて、厚生大臣のまことにしかりに思われたことは、ことしできる改正はさらにこの修正をつけ加える、これは議会のすることですけれども、それについて政府が協力をする。また、来年度からしなければならないときには、来年度からそういう意味を含めた、前進した改正案を出される、そういう気持ちで対処をされるということでありますね。
○鈴木国務大臣 今日の時点におきましては、今回の改正案は、政府としては相当努力をいたしました改正案であるわけであります。また、給付の内容におきましても今回大幅な改善でございまして、なおまた、被保険者の負担の問題もございます。政府の財政の問題もございます。そういうようなことから、漸を追ってこれは改善をしてまいりませんと、一挙にこれをやろうといたしますれば、そこに被保険者の負担が過重になったり、あるいは国の財政の面からそれがなかなか困難であるという場合もあるわけでありまして、私どもは長期的な展望に立って、そしてこの所得保障としての年金制度が漸次りっぱなものになっていくように努力を積み重ねていきたい、かように考えるわけであります。
○八木(一)委員 いま提出された立場においては、なかなか言いにくいことはわかります。しかし、ここで論議をされて、ことしから直すべきであるということについては、この委員会あるいは衆議院あるいは国会全体において審議すべきでございますが、そこにおいていろいろの問題で政府が直すことに協力をされることが一つの要件であろうと思う。それだけの御努力は当然されなければならないと思います。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 少なくとも来年度においては、ここで審議されたことが実現するようにされなければならないと思う。 そこで、厚生大臣はいま財政その他を言われました。財政というものは、国家全体で大事な問題であります。厚生大臣も国務大臣としての一半の責任をお持ちでございましょう。しかし、その財政の問題も含めて、これをこうしなければならないという問題があるわけであります。そういう問題について、これから私のみでなしに与野党の委員の方からりっぱな質問がされ、りっぱな御意見が開陳される。そこでその意見が反映されるように努力をするのが政府であって、それをしなければ、国権の最高機関としての国会は意味がないということになろうと思う。そういう意味で今後の質問に対処していただきたいと思います。 さらに、先ほどは、年金局長以下その他のことについて少しくきびし過ぎる、あるいは失礼な発言をいたしました。私は、年金局長以下非常に努力をしておられることはわかります。わかりますけれども、大蔵省の壁の問題について、その努力を百しなければならないところが三つか四つしかしていない。いまの厚生省のベースとしては努力はしておられるけれども、その厚生省あるいは年金局のワク内の努力ということが、対象者の二千万の国民について非常な不幸なことになっている。ワクを離れて、いままでの大蔵省に押えられたワクを離れた努力をされなければならない。いままで提案されるまで努力されたのはわかるけれども、提案がきまってしまうとその法案を守らなければならないというふうに自動的に考えられ、厚生大臣にそのような守らなければならないというような方式の答申を御連絡になる。そういうことで国会というもののほんとうの審議にブレーキがかかる。国民に真相がわからないということになる。そして大蔵省の無理解な壁がいつまでも破れないことになる。そういうことを突破することが、この委員会の審議の非常に大きな任務だろうと思う。そういうことについて十分な理解というか、十分な気持ちを持たれて、厚生大臣も、あるいは年金局長その他の方々の御答弁も、社会保障制度を前進させなければならない、国民年金制度を前進させなければならないという立場からの答弁を要求しておきたいと思います。これからさらに具体的に進みます。 いま非常に、何と言いますか、ある程度の改善のように言われました。いままでの貧弱な国民年金法に比べれば、ある程度の前進であることは私も認めます。最初から申し上げておる。しかし、最初のスタートが猛烈に悪かった。そのスタートの悪さをもとのままにして、厚生年金法の改正にスライドされたのでは、悪さが一向直らない。夫婦一万円年金というようなセンセーショナルな宣伝をしておる。こういうようなことはよくないです。ほんとうに内容がよかったときには国民の方に喜んでいただくようにしたらいいけれども、夫婦一万円年金というのは、とにかく本人の一万円年金と非常に間違うわけです。夫婦がついていれば間違うはずはないと言われるかもしれないが、厚生年金が一万円になった、それで国民年金も一万円だというふうに、だんだん末端になるとそういうふうな期待を持たれる。ところが、これは明らかに一人五千円であります。厚生年金に比べれば金額は半分。しかも六十歳開始と六十五歳開始では非常な違いがあるわけであります。六十五歳開始と六十歳開始の金額を、年金計算で比較した金額があったならば、ひとついまそれを公表しておいていただきたいと思います。
○伊部政府委員 六十五歳支給と六十歳支給の相違は、年金原価で五八%に該当いたします。
○八木(一)委員 厚生大臣、この数字は御存じでいらっしゃいましょうね。五八%です。そうすると、厚生年金が本人一万円で、こっちは本人が五千円、しかもその年金換算すると、五八%というと三割ですね。労働者の年金に対して、農家の人たちや中小企業者の人たちの年金が三割、そういうものであっていいかどうか。いまの原案を離れて、厚生大臣の率直な感想を聞かしていただきたい。
○伊部政府委員 厚生年金と国年との相違点につきまして、大臣の御答弁の前に事務的な御説明を申し上げたいと思います。 申し上げるまでもなく、厚生年金と国民年金の対象は、厚生年金は労働者であり、片一方は農民その他の自営業者の方々であるわけであります。そこで、その生活の実態の相違というものを考慮に入れなくてはならない。また、労働者の方々は賃金という比較的明確な所得の基準がございますし、さらに、その賃金の支給を受ける際に保険料の納入も、いわば被保険者の立場からすれば自動的に終わっておる。これに対しまして国民年金の場合は、自営業者であり、自主納付であるわけであります。こういった要素を考えますと、保険料を比較的低額にとどめつつ、しかも給付は相当の給付をいたしたい。したがいまして、二十年とあるいは二十五年の相違、あるいは六十歳と六十五歳の相違といったような点が出てくるかと思うのでございます。また、自営業者の実態から申しまして、年金の支給年齢は、六十五歳が適当であると現段階では考えられるのでございます。なお、八木先生に申し上げるまでもないことでございますが、国際的にも、労働者関係の年金につきましては六十五歳の支給開始年齢が一般的でございます。なお、厚生年金と国民年金との比較につきまして非常に問題になります点は、先生御指摘の厚生年金が一人分である、国民年金も一人分ではないかという点でございますが、この点は、生活の実態からいたしますと、厚生年金は長期間にわたって考えてみますと、やはり御主人がお働きになって、その年金で夫婦の生活をカバーしておる、そこで扶養加算もあるわけであります。したがいまして、厚生年金につきましては、多くの場合やはり夫婦単位、世帯単位の構成を持っておると考えるべきではなかろうかと思われるのでございます。 さらに、基本的な相違点といたしましては、厚生年金におきましては、定額部分と報酬比例部分とを持っておるのでございます。これを合わせて一万円年金ということになっておるのでございますが、国民年金の場合におきましては、いわば定額部分に当たるもののみを目下のところ考えておるわけでございます。これにつきましては、附加年金を受けるということが法百条に載っておるのでございます。別に法律をもって定むということになっておるのでございます。この問題につきましては、今回大幅な改正もし、あるいは保険料の引き上げもあることでございましたので今回は見送ったのでございますが、今後の研究問題として考えていかなければならないと思っている問題でございます。したがいまして、両者の比較につきましては、世帯単位か個人単位か、あるいは所得比例を含むのか含まないのか、そういった点も御配慮を仰ぎたいと思う点でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣、御答弁ありませんか。
○鈴木国務大臣 ただいま年金局長から御説明申し上げましたように、厚生年金と国民年金を単純に比較して、その内容の優劣を端的にお話をするということは困難だ、私はこう思うわけでございます。日本の現在の状況からいたしまして、厚生年金の場合におきましても厚生年金の場合におきましても、やはり老後における夫婦の生活のささえになるように、こういう観点で厚生年金の一万円年金に対しまして、国民年金のほうは、夫婦合わせて一万円の給付ができるように改正が行なわれた、こう考えられるのであります。
○八木(一)委員 厚生大臣の御答弁も、年金局長の御答弁も、かなり苦しい御答弁をなさっておられる。筋が通っていないことははっきりわかっていながら、何か筋が通ったように言おうとする。明快なるべき大臣なり局長の御答弁が、だいぶ低い声で回りくどくおっしゃっているところでそれは明らかであります。これはへ理屈をそっちのほうでとっておられる。全体的にアンバランスがあることは明らかである。 いまおっしゃった問題から申し上げますと、まず、労働者と農民の場合には生活の実態がいろいろ違うということを言われた。あなた方の言い分で言ってあげると、とにかく農家の人や中小商工業者の人は生産手段を持っている、労働者の場合には持っていない。だから、生産手段を持っていない人は定年になってぱっとやめるとか——定年と言うのはよくないが、とにかくやめたら収入がなくなる。そのときは老齢である。厚生年金は、退職という条件がついておりますけれども、とにかく老齢である。ですから、老齢で収入がなくなるから多い収入が必要だ。国民年金のほうは、六十歳になって、あるいは六十五歳になってぱちっとやめるわけではなく、農業収入、また店にすわっていても収入が入る、そういうことが実態の違いである。あなた方の加勢をして申し上げるとそういうことになる。そういうことですが、しかし、それを考えてもひど過ぎるわけです。たとえば六十五歳から収入が国民年金の被保険者にあるから、そんなに多くなくともいいとか、あるいは六十五歳、六十三歳くらいでも収入があるからいい、そのくらいでがまんしてもらってもいいじゃないかという、平ったく言えば、へ理屈みたいな理屈は一応十分の一ほど成り立たないわけではない。けれども、それはほんとうは成り立たないわけです。たとえば厚生年金のほうに、六十歳以上には減額支給というものをしました。これはいいことです。就職をしておっても年金を受けられる制度をつくったわけです。厚生大臣は厚生年金も共管ですから、あなた方は両方とも責任があるわけです。いい制度を今度つくった。その理屈からいえばとにかくそのとおりで、ある程度収入があっても、年金が必要だということを厚生省みずから認められたわけだ。そうなると、老齢になってもちろん農業もやりにくい、商売もやりにくい、仕入れもできない、宣伝もやりにくいという条件が起こってくるから、幾ぶんの収入があるけれども、年金制度が必要だということになる。あなた方は、就職中に年金が支給されるような制度に改善をされた。非常にいいことです。前はそうじゃなかった。今度改善されたのですから、そういうことも一貫して考えられなければいかぬわけです。そうなれば、年をとっても自営業者のほうには生産手段があるから、収入は減るけれども、幾ぶんあるからいいじゃないかという理屈は成り立たないということになる。 それからもう一つ、金額の点で、片方は世帯単位あるいは個人単位というのは、変な観念的な理屈でのがれようとしておられますけれども、大体労働者の家族のうち、特に妻に年金制度がないのは大間違いです。遺族年金じゃないですよ。労働者の妻の本人の年金制度が確立されなければならないのを、あなた方はなまけておる。それについて、労働者の配偶者も国民年金制度の任意適用という制度があります。これがいいかどうかは別として、とにかく労働者の配偶者には所得保障がないというのは厚生省の大怠慢です。そういうことになるわけです。そっちのほうの怠慢があるから、そういうふうに何かあるかということで理屈をひっかける。片方で悪いことをしておるから片方で悪いことをしてもいい言うことは、こういう委員会では通らないということをよく覚えておいていただきたい。とにかく労働者の配偶者の問題はやらなければいけないのをあなた方はなまけておる。不完全な形で国民年金制度の任意適用制度があるということになる。私は、厚生年金の中で、主人が生存しておるときに労働者の配偶者の年金制度をつくっておかなければならないと思うのです。一応いまの制度では、国民年金制度の任意適用制度というものが、非常に不完全な、不十分な、けしからぬ方法だけれども、ある。そうなれば、労働者の配偶者にも——本人に任意適用があったら、奥さんのほうにもちゃんと年金が入る、労働者のほうにもちゃんと年金が入る。そうしたら、農民の場合でも中小企業者でも、奥さんのほうにも入れば、だんなさんのほうにも入る、同じになる。そこで労働者のほうには平均一万円、農民のほうには平均五千円、ここに大きな考えがある。おまけに六十五歳と六十歳という差がある。この矛盾について厚生大臣はどうお考えか。政府案を守られる立場でなしに、近い将来の年金制度というのはどう考えなければならないのかという立場で、ひとつお答えを願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、この厚生年金のほうの定額部分と国民年金のほうの今回の改正の給付額というのは、均衡を考えながらそういう改正をいたした次第でございます。私は、今回の改正でもって十分とは考えておりませんけれども、現段階として被保険者の負担の問題その他を考えました場合に、この程度の改善は均衡上からいっても必要である。これで十分とは考えておりませんけれども、現在の時点としては、政府としてはこの程度の改善が一番時宜に適した改正ではなかろうか、かように考えております。
○八木(一)委員 厚生大臣が御答弁しやすいように私は質問しているつもりなんです。いろいろ注解も加えて。何も言わないで、これはどう思うか、これはどう思うか、これでは食い違うではないか、そういうような方法はとっておらないわけです。こっちが正しいと思うことを全部言って、それであなたの判断、あなたの考え方を求めている。ですから、いまの政府案が現時点として最善だったという紋切り型の一つ覚えみたいな答弁ばかり繰り返さないで、ほんとうに憲法の九十九条を守るという精神から御答弁を願いたいと思う。厚生年金の均衡を考えられてというのは、最初から言ってあるじゃないですか。最初から国民年金の発足が非常にアンバランスだった。だから、厚生年金がちょっとよくなった、二倍半になった、こっちが二倍半になったといっても不均衡は依然として残る。拡大をするという問題だということを申し上げてあるわけです。そういうことを理解して御答弁を願いたいと思う。何でもかんでも、どんなことを言っても、政府案が現段階で最善だと思うと言ったら、そんなものは審議は要らぬ。そんなものは、間接的には独裁政治をしこうということになる。政府案がいいか悪いかについて審議をしているわけです。何でもかんでもいいと思うばかりだったら、そんなものは審議は要らぬのです。不十分だ、現段階とおっしゃったから、現段階ではこれだけのもの、来年からよくしたいというならまだ話はわかりますけれども、そういう、現段階は、現段階はがついていても、それが最善だ、最善だと言われては困る。 そこで、もっと具体的に申し上げますけれども、この二十五年払い込んで五千円という年金ですが、今度の予算の生活保護の一級地標準四人世帯を平均して一人分に割ると、たしか五千幾らになると思うのですが、社会局から答弁してください。
○今村政府委員 一級地について二万六百六十二円ということになりますので、四人で割りますと、五千ちょっと端数がつきます。
○八木(一)委員 私が割ってみると、一級地四人世帯で二万六百六十二円ですから、四で割ったら五千百六十五円四十銭です。厚生大臣お聞きのとおり、厚生大臣の所管の社会局の計算で、これは一級地ですから、生活保護の標準四人世帯の一人平均を出しますと、五千百六十五円です。いまの生活保護の水準が、これはまたごまかされるなら、社会局に中を追及しますけれども、健康で文化的な最低生活を保障するものではないということは、もうあらゆる点から明らかであろうと思う。その五千百六十五円という、憲法で保障された健康で文化的な最低生活を下回る金額が、二十五年保険料を払い込んで五年待たされるわけですね。これは四十年で計算したら、四十年払い込んで何とかということになります。政府は二十五年で考えられておりますから、二十五年払い込んで五年待たされて、それで支給される、その間にずいぶん違ってまいりますね。物価も変わってくるでしょうし、生活水準も変わってくる。現在のあの貧弱な生活保護の水準以下の金額が、二十五年払い込んで五年待たされて、やっとこさ支給される。そんなもので一体十分と考えておられるのですか。去年までは不十分だった、五年目の改定期に直されるだろうと国民は期待している。また、それが最初の法案のときの約束であった。しかし、その改定期にあなたが出されたのが、こういう貧弱な案です。どう思われますか。現在のこんな低いものが、二十五年払い込んで五年待たされてやっともらえるんですよ。
○鈴木国務大臣 八木さんは、二十五年先のことと現在のことを比べて御議論なさっておられるわけでありますが、先ほど来申し上げますように、生活水準の向上に見合ってこの年金の給付額というものも向上をしなければいけない、そういう改善の努力を、私ども、今後も長期的な展望の上に立ってやってまいる、こういうことを申し上げておるのでありまして、したがって、二十五年先の将来におきましては、国民生活ももっともっと欧米先進国並みに、あるいはそれ以上に向上していると思うのであります。そのときにおける年金の給付というものも、当然変わらなければいけない。そういうものを、いまの時点の生活保護の基準と比較することが、私は、八木さんは十分御承知の上でそういうことをおっしゃっていると思うのでありますが、これは比較にはならない、こう思うわけであります。 それからまた、物価の問題とか貨幣価値の問題につきましてお触れになりましたけれども、そういう面につきましても、私ども、今後とも年金のスライド制等についても研究していかなければならない。いずれにいたしましても、二十五年後の時点において給付されるその額というものが、老後の生活保障、それで全部食えるとは言えませんけれども、それが有力な一つのささえになるというようなものに成長させていかなければいけない、充実していかなければいけない、かように考えているわけであります。
○八木(一)委員 おっしゃるように、二十五年間には金額をふやさなければならないと思う。その点について、今度は「すみやかに」ということが入ったのはちょっとましですけれども、前から言っているように、物価が変動したときにすぐそれがスライドをされる、それから生産がふえて国民生活の水準が上がったときに、自動的に一年ごとにこれに合わせていくというような方法がとられなければ、将来のことについても、これは国民は信頼はできないということになろう。まず、そういうととはとられるとしても、生活保護水準も物価の変動その他によって上がるわけです。そうなれば、いまのこういうことを続けておったならば、たとえば一番初めの国民年金制度のときに、生活保護水準が二千円だったのですね。それで、そのとき、二十五年の六十五歳以後の金額が二千円という水準で国民年金法が組み立てられているわけです。現在、この生活保護水準が五千円というときに、また五千円で組み立てられている。そうなると、生活保護という基準を入れない考え方を政府が持っておる、生活保護以下の考え方を持っておる、保険料を長年払って保障される金額が、いま言ったようにほんとうにスライドされるとしても、それをなまけないと仮定しても、その時点時点の生活保護水準以下、そういうことは所得保障の名に値しますか。保険料をちゃんと払って、老後の生活を保障されるといって長い間かけて、それで六十五歳になってもらえるものが、いま言ったようなスライドを完全にされるとしても、生活保護水準くらいの企画しか持っていない。少なくとも前の生活保護水準のときに、二十五年二千円ということをやったときに、今度は生活保護水準が五千円のときに、いまの時点で八千円とか一万円にするならその発展は認められます。そうでなく、五千円でいま設定されているわけです。そんなものが所得保障と言えますか、厚生大臣のお考えを伺いたい。
○鈴木国務大臣 私は、生活保護につきましても、一般の国民生活の水準にできるだけ早く近づけるように、ことしも、昭和四十一年度の生活水準の向上の見通しは一〇・二%であったのでありますけれども、一三・五%に生活保護基準を改正した。これはそれだけ格差を縮めていきたい、こういう考え方に基づくものであります。でありますから、生活保護基準というのは、八木さんがいつも強調されておる、憲法に保障されておる国民の最低生活の保障、そういう趣旨に沿うべくこれは努力していかなければいかぬと考えるわけです。一方、年金のほうにおきましては、生活保護を受けるような立場の方でなしに、やはり自分としてもある程度の生活をする所得があり、その上にこの年金の給付が受けられる、こういう形で老後の生活が安定するように、こう考えておるわけでございます。そういうようなことから、私は、年金制度というのは、生活保護と直ちにそれを結びつけて考えることは適当ではないのではないか、かように思います。
○八木(一)委員 国民は、保険料の負担は非常に苦しいし、敏感であります。長い間保険料を払わなければならない。そういう制度のもとで、非常に長い間たってもらえるものが生活保護水準と同じ。いま言ったように、スライドされるとしても、生活保護は前進されなければならない。いまの厚生省の考え方は生活保護水準以上にしない。そうなれば、ほんとうに生活に詰まった人の考え方で言えば、いま必要な金額で保険料を払っても、それで何十年後にもらうものが生活保護と同じであれば、非常に生活が詰まって、いろいろな権利意識、いろいろなそんなことが考えられない。そういうことを考える余裕のない人から見れば、長年保険料を払って、何年もらっても生活保護と同じなら、いまの保険料を払わないで緊急に必要のあるものに使って、そのときに生活保護をもらえばいいじゃないかと言うことに通ずることになるじゃないか。それでは発展がないと思う。国民が、国庫負担をよけいにした制度でそのような年金保障ができて、老齢になっても生活保護の申請をしないでいい、それ以上のものがちゃんと権利としてすぐもらえる。生活保護も権利でありますけれども、すぐ自動的に、所得制限その他妙なものがなしに、すぐもらえるものとして確立されなければ、年金制度というものの値打ちが少ないわけです。ですから、生活保護水準を上回るものが設定をされなければならない。生活保護水準は、健康で文化的な最低の生活、年金制度の指向しなければならないものは、健康で文化的な相当の生活、そういうような考え方にならなければ、これは社会保障を扱う国務大臣としての資格はありません。そういう考え方でものを処理しなければならない。それなのに、厚生大臣の御答弁は、そういう考え方をしておられないように思う。それではいけないと思う。首を横に振っておられるのは、それはいいことです。そうじゃないなら、生活保護というものは、健康で文化的な最低生活を保障するに足る金額でなければならない、年金というものは、積極的に、健康で文化的な相当の生活を保障する金額でなければならないという考え方でおられるべきであるのでございまするが、そうであれば、そのようにはっきりおっしゃっていただきたい。
○鈴木国務大臣 今回の改正は、生活保護が二千円時代から五千円に引き上げられたから、それに見合って生活保護ベースでもって改定をした、こういうことではございません。これは八木さんも十分御承知の点でございます。私どもは、今後におきましても、生活保護の基準と国民年金の給付の額というものが、一致しなければならぬとは全然考えておりません。それは、先ほど申し上げましたように、本人の掛け金負担もあるわけでございますし、できるだけ生活保護にたよらない、そういう安定した生活ができる家庭、世代というものを育成していきたい、こういう考え方でございますから、私ども、生活保護にとらわれたり、それを基準としてこれをやる、そういう考えは毛頭持っていないということをはっきり申し上げておく次第でございます。
○八木(一)委員 大体いい方向の御答弁ですが、私の質問したことにずばり答えていただきたい。生活保護というのは、健康で文化的な最低生活を保障する金額でなければならない、所得保障というものは、健康で文化的な相当の生活を保障するものでなければならない、そういう考え方でおありになろうと思います。そうでなければならないと思いますが、それについてひとつお答えいただきたい。
○鈴木国務大臣 御趣旨のとおりでございます。
○八木(一)委員 その御答弁は非常にけっこうであります。確認をいたしておきます。その方向は非常にけっこうでありますが、今度の法案は、やはり生活保護と同じようになっているわけです。大体最初に、これは社会保障制度審議会の中のイージーゴーイングな、少しへっぴり腰の考え方を持っている学者にわずらわされたのですが、最初に国民年金法は、あのときの二千円くらいの生活保護水準のときに、二十五年で二千円というようなものを出した。母子や障害をつけ加えたのは少しよかったけれども、大体それにのっとって出たのが、あのときの三十四年の国民年金法案です。そこで、そのままで生活保護はやはり二倍半になっているわけです。こっちも二倍半にしたように見えていますけれども、具体的には同じになっている。ですから、その五千円というのは、その観点から見てもとんでもない少ない金額です。さっきは厚年との比較で申し上げましたが、労働者と農民と差をつけるべきではないという考え方から見れば、労働者が平均一万円であれば、これも一万円にならなければならない。おまけに生活保護の考え方でいっても、これは五千円では足りない。さっきの労働者のほうは、年金局長が、ただ一つの寄りかかりとして、標準報酬比例部分があって、定額が五千円だからということだけにしがみついて何とかこれを合理化しようと考えておられるけれども、六十五歳と六十歳という差は、依然として非常に大きな幅の差として残っているということを考えれば、金額にしても年齢にしても、非常に問題があるわけです。金額が少なくとも一万円なり、あるいは労働者のいまの標準報酬比例部分の点が、年金局長が説明された状態を勘案しても、少なくとも七千円か八千円くらいに持っていかないと、これはバランスがとれない、そういうことになると思うのです。それについて厚生大臣が、いまの法案はそうでないと言うのはわかります。いまの法案については、大蔵省その他も介在して閣議できめたことだから、これをあなたがいますぐ変えますとおっしゃらないのはわかっておりますけれども、方向として、こういうような非常に金額のアンバランスな、金額が少ないという点については、これは至急に直していかなければならないというような考え方になられるのが至当だと思いますし、そういう点についてひとつ……。
○鈴木国務大臣 これはやはり被保険者の負担能力と申しますか、そういう点、それからまた、国の国庫負担の問題、現在でも、御承知のように、共済年金や厚生年金等の他の制度よりは、国民年金に対しましては三分の一国庫負担をやっておりますから、国年に対しては国としても一番手厚い助成をしておる、こういうことになるわけでありますが、いずれにしても給付内容をさらにさらに、一人五千円のところを八千円にするというようなことになってくると、やはり被保険者の御負担ということも考えなければいかぬ。こういう点等からいたしまして、今回の改正は、漸を追うて理想に向かって前進する一つの段階としては妥当なものではないか、私はこのように考えておるわけでございます。目標といたしましては、私は、給付の内容はほんとうに老後になってそれが生活の保障の有力なささえになるというものであるべきである、こう考えておりますし、そういう方向に向かって前進をしていきたい。
○八木(一)委員 いま国庫負担の問題を関連して申されましたが、この問題はあとでじっくり御質問を申し上げたいと考えております。年金制度で一番のとおっしゃっても、これは筋は通らぬのです。たとえば健康保険に今度は百五十億しか出されなかった。これは率にすると五%です。ところが、国民健康保険に四割の国庫負担、五分の調整交付金、これも貧弱なことですね。そういうことも御存じのはずでございます。また、厚生年金の金額といまの国民年金の金額とを比較すると、国民年金のほうに入った実額の国庫負担のほうがぐっと少ない。あとでじっくり申し上げますけれども、国庫負担などは国民年金にとっては非常に乏しい。最高だとおっしゃったけれども、実態は違うのだということを、ひとつお昼休み中によく復習をしておいていただきたいと思います。これは国庫負担がとんでもなく少ない、三分の一なんか、とんでもない金額だということを私ども考えていますから、事前にひとつ御研究になって、昼からのときには、多いなんというような、そういう実態に合わない答弁をなさらないようにしていただきたいと思います。 その金額について上昇をするのと、もう一つ、六十歳と六十五歳の問題について、これは厚生年金が六十歳であれば国民年金も当然六十歳にしなければ、老衰するのは同じです。労働力が減ってくるのは同じです。それで厚生年金のほうには、就職しているときに年金が支給される。これは当然しなければならない。おくれておりましたけれども、その善政を実施するために、この前改正案を出されてそういうことになされた。ですから、そういう点について六十五歳というものが六十歳ということにならないと、国民を不平等に扱うということになろう。その点について、六十歳開始の方向に来年でもやらなければならない。御答弁を願いたい。
○鈴木国務大臣 私ども、この制度を検討いたします際に、やはり国際的な視野で各国の制度も検討いたしておるわけであります。また、すでにわれわれ日本人の平均寿命も非常に延びてきておりまして、年齢構造からいっても国際水準並みになってきておるというようなこと等からいたしまして、国民年金としては六十五歳というのが適当ではないか、私はかように考えております。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
○八木(一)委員 各国の制度各国の制度と言いますけれども、社会保障制度はイギリスで言ったり、ニュージーランドはかなり完全ですけれども、かなり前にやったものです。北欧諸国とか、フランスとか、ドイツとかやっていますけれども、そんなところの社会保障制度なんというものは、ずいぶん昔に発足したんです。ですから、古くさいのです。各国の問題も、社会保障制度はイギリスのまねをすればいい、ニュージーランドのまねをすればいい、北欧三国のまねをすればいい、フランスやドイツのまねをすればいい、そういうものじゃない。彼らは早くこの問題の重要性に気がついてスタートをしたかわりに古くさい。ですから、そういう問題については、理の当然なところ、憲法の条章に従って、方向に従って考えて、それで国民のほんとうの意味の公平を考えていくということで考えていかなければならない。老衰するのは農民でも労働者でも同じです。それから、生産手段を持っているという理由がありますけれども、労働者のほうに、これはいいことですけれども、就職中に年金を支給する制度を去年から厚生年金であなた方が提案をした。そうなれば、老齢になって収入があっても老齢年金が必要だということをあなた方が認めて、われわれもよしとして成立をしているわけだ。そういうことならば、当然農民にもそういうことを発足をしなければならないわけだ。それでいま老齢人口老齢人口と申しますけれども、この年金制度は遠い将来のことですから、来年からもいきますけれども、ほんとうに二十年、三十年先を考え、いま老齢人口がふえてくる、先もふえてくる、そういうことと同時にほかのことも考えなければならない。数十年後にはあらゆることがオートメーション化される。そうすると、人間の労働力があまり要らないでやっていく時代が来なければならない。来ると思う。これは工業だけでなくて、農業にしても、中小商工業者にしても、オートメーション化される時代が来るわけです。いま労働力が、現時点で、日本では若年労働力が少ない。それで、中高年齢層の労働力を動員しなければならないというふうに思っていられるらしいが、年金制度はいまの時点じゃないのです。先の時点を考えていかなければならない。いまの科学の進歩というのは、相当後には、オートメーション化があらゆる面において行なわれ、労働時間も短縮され、あらゆる面で労働力が少なくなる事態です。そのときに、老齢者があらゆる生産の第一線に行けば、それは若い人たちのほんとうに活躍する場所がブレーキをかけられるということが、遠い将来には起こってくるわけです。ただ、いま労働人口の老齢化というのは、五年、十年先のことだけ考えていてはいけません。そういう点で考えれば、これはとにかく年金開始時期というのは、生産の第一線を老人が六十歳から去る、そして若い人たちが活躍するその場を与えられるということになれば、六十歳から年金が必要になってくる。いま、現時点の労働力としては若年労働力が少ない。だから、六十五歳でも働かなければならないということなら、それはそれでいい。しかし、その場合に、働いていても年金制度がくる。当然お年寄りの人は、これは賃金体系やいろいろな体系で減ってくるでしょう。年寄りになれば、商売の才覚も十分できなくなる、農業もできなくなる。ですから、収入が減るから、そこでダブって、自分の収入のほかに年金の収入があってしかるべきです。六十歳開始にして一つも悪い理由はないのです。いまのヨーロッパの連中の考えていることなどは、昔、そのとき一生懸命出与えたことで古くさい。ヨーロッパがそうだからそのままという考え方でなしに、日本のりっぱな社会保障制度をつくって、イギリスなり、ドイツなり、北欧なり、ニュージーランドなりに教えてやる、こういうような覚悟で進んでいかなければ、そういうものの発展はありません。そういうような考え方でぜひ考えていただきたいと思います。 そこで、六十歳開始にする、あるいは金額を一万円にする、その両方をしなければならないけれども、少なくとも来年ぐらいからは、その二つのアンバランス——片方で金額が半分だ、片方ではそういうふうに開始年齢がおそい、二重のこのアンバランスは二つとも解決をしなければならないけれども、鈴木さんの言う階段的に、具体的にという考え方をいれて、少なくとも一つぐらいは来年から直さなければならないと思う。そういう問題についてお昼休みに御検討なさって、二つともしなければならないけれども、来年から一つはやります。どんなことがあってもやりますというような御答弁を、ひとつ昼からの質問のときにお答えいただきたいと思います。
○田中委員長 午後一時まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ————◇————— 午後一時十五分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。八木一男君。
○八木(一)委員 先ほど拠出年金制について、一部、金額あるいは開始年齢の点についていろいろと御質問申し上げました。今度の制度が非常に不十分であることは明らかになりましたが、政府として将来に前向きに努力をされるお気持ちを、鈴木厚生大臣としては、いろいろな表現でございますけれども、そういう気持ちを持っておられることについては、私ども好意を持って理解をいたしたいと考えておるわけであります。そういう点について、最終的に昼の休みの後に御答弁をいただきたいと先ほどから申し上げておきましたことについて、重ねて簡単に質問をいたしますので、簡単にひとつ御答弁を願いたいと思います。 国民年金制度の中の——もちろんあとで福祉年金について触れるわけでありますが、その根幹である拠出制年金の給付金額及び開始年齢について、一般的に非常に内容が不十分である、厚生年金と比較してみても非常にその負担において差が多い、そういう問題を差を詰める、あるいは基本的にその給付をよくするということについて政府の前向きな御努力を要望したいわけでございますが、そういう点について基本的な御答弁をひとつ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 午前中から八木さんが熱心に御質問、また御主張なさっております国民年金の給付金額の引き上げ等の問題につきましては、私ども、今回の改正で必ずしも十分とは考えておりませんので、今後とも十分検討してまいりたいと考えております。
○八木(一)委員 それでは、金額と年齢の問題については、福祉年金についてはもちろん後に十分御質問申し上げますけれども、一応本日のところは、拠出年金のその点についてはこの程度にしておきまして、ほかの問題に触れたいと思うわけであります。 今度は、拠出制年金の機構の中の仕組みの問題でございます。社会保障制度の一環であるべき国民年金制度、特にほかの社会保険制度といいますか、ほかの制度には乗っておらない、非常に社会保障の趣旨を盛った条文を持っている国民年金制度について、社会保障の理念に従った組み立ての改善が行なわれなければならないと思うわけであります。昭和三十四年に成立をいたしましてから、社会保険的に組み立てられた非常に悪い点が、幾ぶんなりとも社会保障的にごくわずか改造されてまいったわけでありますが、なおその社会保険的な悪い面が多分に残っておるわけであります。そういう点について、どの点がそういう点であるか、もし厚生大臣がお考えがまとまっておられたならば、ひとつ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 この国民年金制度につきましては、今日まで数次の改正を通じまして社会保障的な精神を十分取り入れて、国民の生活の保障になりますように、こういうことで努力をいたしてまいったのであります。今回の改正にあたりましても、そういう観点でこの改正に当たったわけでございまして、給付金額の引き上げの問題、あるいは福祉年金の給付制限の緩和、そういうような面につきましては、いま八木さんからお話しになりましたような精神に立ちまして、私ども今回の改正を企図いたしたわけで、今後もそういう方向で努力いたしたい、こう考えております。
○八木(一)委員 私の御質問申し上げたこととちょっと違った御答弁をされたわけでございまして、今度の改正案の内容じゃなしに、国民年金制度全体について社会保障の精神と違った部分がある、そういう点についてはどういう点が一番そういう特徴的な点であるかということを、厚生大臣の御意見を伺いたかったわけであります。しかし、それは厚生大臣から伺わなくても、こちらから申し上げたいと思います。さらに、厚生大臣がおっしゃった、今度の改正の中の社会保障的な改正というものは幾ぶん認められますけれども、それは障害者関係について、昔から社会党の私どもが、口をすっぱくして内部障害まで障害の諸条件を及ぼすべきだと言っておりましたことを、逐次直してこられました。最後に残りました循環器関係の障害について、そういう問題をお入れになったこと、あるいはまた、配偶者所得制限その他について、障害者関係についてはそういうものをはずされた。そういう点の一連の社会保障的な改善が認められるわけでございまするけれども、その内容の非常な欠点の多きに比しましたならば、その中のほんとうに九牛の一毛にしかすぎない内容でございます。現在のこの国民年金制度の中で一番悪い点は何かと申しますると、免除制度に関連してあるわけであります。 まず最初に、昭和三十四年にできました法律案においては、免除制度というものはございましたけれども、免除を受けたときのその年月が、年金の算定計算には一つも入らないという内容でございました。そういう点について、非常にこれではいけないという運動が起こり、また委員会において追及され、そのために翌々年にその改正が行なわれまして、免除者については、保険料についての二分の一の国庫負担、あるいはまた、給付についての三分の一の国庫負担というものが普通の制度にありますのを、その特に気の毒な人たちについて国庫負担がつかないのはおかしいではないかということだけが取り入れられまして、その免除を受けたときも、百円については五十円の原資が積み立てられる、百五十円については七十五円の原資が積み立てられる、それを原資にして約三分の一の年金の給付が行なわれるというふうに改善を見たわけであります。しかしながら、これは部分的な改善でございまして、ほんとうの意味でいけば、保険料を払い得ないような人が老齢になったときに一番年金の必要度が多いわけです。また、保険料を払えない人がけがをして、一級障害、二級障害になったときに一番年金の必要度が多い。また、その人たちが不幸にしてなくなられた場合に、遺族に対する給付が一番必要度が多いわけです。それを、やはり免除を受けた人については三分の一の計算しかないということであれば、これは社会保障の内容としては非常に不十分なわけであります。私どものほんとうの考え方で言えば、この保険料を払い得ないような人たちの遺族あるいは障害のときの給付、あるいはその人の老齢の給付は、ほかの人よりも必要度が多いのであるから、ほかの人よりも多くしなければならない。そこまで一ぺんにいけないにしても、少なくとも保険料を払い得た人と同じだけのものが確保されなければ、社会保障制度としては意味がないものだと思うわけであります。そういうような根本的な改正を、少なくともそういう問題について二年後に幾ぶんの手をつけられたことを、今度の再改定期において完成をされる必要があると思うのです。それについては何ら原案においても触れておらなかった。こういうことでは社会保障という使命に反する内容だ。こういうことでは、また五年越しの改定でこのままにとまっているのでは、この原案が社会保障の方向へ国民年金制度を向けていく道を狭くする、ブレーキをかけるという内容になろうと思うわけでございます。それについての厚生大臣の、この原案がこの点で至らないものは至らない、間違っていることは間違っているという意味の、ひとつ率直な御答弁をいただきたいと思うわけであります。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、この前の改正の際にいまお話がありましたような改正をいたしたわけでございますが、今回は、主として、給付水準を引き上げるという問題と、それから福祉年金等の支給制限の緩和をするという点、そういう点に重点を置いた改正をいたしたわけでありまして、ただいまお取り上げになりました問題は、今後も私ども研究の課題として検討を進めていく所存でございます。
○八木(一)委員 これは、この前の三分の一の国庫負担分だけ原資にするという改正があってから、この衆議院の社会労働委員会において、免除者に対する国庫負担、その優遇措置について講ずべしという附帯決議が何回もついているわけです。その後においても、これは不十分である、これを直さなければならないということがこの国会の委員会において決議をされているわけであります。ですから、その再改定期にそれをそのままに置くということでは、非常に怠慢であるというそしりを免れ得ないと思う。今後ということをおっしゃいますけれども、今後ということであれば、これだけおくれているわけでございまするから、それが明年でありますかどうか。明年にそれを改正をされ、改善をされるというならば、われわれも厚生省なり厚生大臣の努力あるいは善意と認めたいと思いまするけれども、ただ今後今後ということでこういうことを置き去りにしておくのでは、ほんとうにそういう所得保障を必要とした人を置き去りにする、あくまでも社会保険的に考える、保険料を払った人に払った度合いに応じて給付をするというような保険的な考え方、社会保障と相反した考え方を持っておられるということになろうと思う。来年度にこれを改正され、改正案を出されるということであれば、私どもとしても、本年度でないことは非常に遺憾でありまするけれども、その善意を認めたいと思います。しかし、そういうお約束がなければ、その問題については、厚生省あるいは政府がそういうほんとうの社会保障の考え方に徹しておられないということについて徹底的に追及を重ねてまいらなければならないと思うわけです。どうかひとつ、来年度にも必ずその問題について、結局免除者について原資を確保し、あるいは賦課方式をとられる場合もあろうと思いますが、免除者について免除を受けなかった人と同じだけの年金給付をする、そういう改正をする、そういうようなお約束をいただきたいと思うわけであります。
○鈴木国務大臣 この前の年金法の一部改正にあたりまして当委員会から附帯決議が出ておりまして、その中の重要な項目としていまの問題があるわけであります。政府といたしましては当委員会の御趣旨に沿うべくいろいろ検討を進めておるわけでありますが、御趣旨の線で改定に当たったものもあります。また、不十分ながらそういう方向で若干の改定をしたものもあります。また、それが全然まだ改善の措置が講ぜられない点もあります。幾多問題が残っておるわけであります。非常にたくさんの項目にわたっての附帯決議でございましたから、私どもも、審議会等の御意見も伺いながらこういう問題を逐次検討し、漸進的に改善をいたしていきたい、こう考えておるわけであります。 ただいまの問題のほかに、老齢福祉年金、障害福祉年金における配偶者所得制限をなくするというような問題等もあるわけでありまして、いまの保険料の免除を受けた者の年金給付についての優遇措置、この問題につきましてはこの前に改定をいたしまして、まだこれで不十分という御意見もありますが、今回は、この点については、前回改定したばかりでありますので手をつけなかったわけでありますけれども、今後も引き続き検討を加えたいと考えております。
○八木(一)委員 国民年金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、四十年五月十三日の、この前の附帯決議であります。これについては非常に多量のものが書いてございますが、この中でさっき言ったのは、「特に左の具体的事項については可及的速やかに実現するよう図ること。」という文言の中の条項です。ですから、これはとにかくすみやかに実現する。検討するというのじゃなくて、特にすみやかに実現しろという具体的な事項の中にあることをよく御理解をいただきたいと思います。全般的に国民年金制度をよくするいろいろなことについては、六項目出ております。具体的に改善することについては十一項目。すぐに実現をしなければならないという点は十一項目出ておるわけです。この委員会の決議としては、これをすみやかに実現するということにあるわけでございまして、この前のその問題についての改正は、すでに四、五年前に出ておる。そういうことをぜひ理解をいただいて、来年度においてこれを実現するように、ぜひ推進をしていただきたいと思うわけであります。この推進の御努力のお気持ちをひとつ伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 この保険料の免除を受けた者の優遇措置でございますが、今回の改定におきましても、八木さんのおっしゃる点とは若干御趣旨に沿わないかもしれませんけれども、政府としてはその点にも配慮をいたしまして、免除期間一カ年につきまして従来三百五十円というものを八百円に引き上げるというような点等につきまして、やはりそういう方々を優遇しなければいかぬという気持ちで措置いたしておるわけであります。
○八木(一)委員 それはわかっておりますが、全体のベースが二十五年限度において二倍半、それから四十年ベースにおいては二倍半より少し給付率が落ちるわけです。三百五十円を八百円計算ということは、二倍とちょっとです。ですから、二十五年限度において二倍半レートによって給付をふやした。それに合わしたにすぎない。ですから、それを合わしてなければ、免除者にとって前より冷酷な扱いに変わったことになるので、そのくらい上げることはあたりまえ中のあたりまえです。ほかとのバランスで——何でもバランスを考える政府ですから、そんなものはあたりまえな話で、改善ということにはならないわけです。ですから、そうではなしに、明年でけっこうですから、これを抜本的によくされるというような御努力をぜひいただきたいわけであります。その御努力の御決心のほどを伺わせていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、当委員会の付せられました決議は、私ども政府として十分尊重してまいりたい、こういうことで努力いたしておるわけでありますが、それは一ぺんにはできない点もございますので、引き続いてこの点だけではございません、附帯決議をいただいた条項につきましては引き続き前向きで検討してまいりたい、こういうことであります。
○八木(一)委員 問題を変えまして、前からもう何回も申し上げているのですが、どこかに石頭がいて、この問題にブレーキをかけているわけですが、実はその問題について本会議でも質問をいたしたわけであります。ところが、厚生大臣はその問題については答弁を逃げて、答弁をしておられないわけでございますから、重ねて、御研究になったと思いますからここでひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。 その問題は、障害についての問題であります。少しいじくっておられることはわかります。今度障害については、一回軽度の障害として認定されたら、その後重度の障害になってもそういうことはだめになっておったのを、後に重度の障害になっらそういうことにするという点のごく微細な変更はしておられるわけでございますが、この国民年金法の仕組みには、障害者に対する考え方が根本的にないわけであります。たとえば一級障害である全盲の場合に、最低保障額でいきますと、今度の改正案では月額六千円になる予定であります。ところが、障害福祉年金のほうは二千二百円にしかならないわけであります。片方は最低で六千円、片方は最高も最低もない、ずばり二千二百円ということであります。障害は両方とも一級障害、全盲という場合を例にとりましょう。その場合に、片方の人は、二十歳以後に全盲になったならば最低保障六千円もらえるわけです。ところが、十九歳で全盲になった人は、どんなに保険料を払ってもいいから障害年金をたくさんもらいたいと言っても、その問題については二千二百円どまり。しかも所得制限というものがあって、その人が何らかの収入を持っていれば、これが支給されないという状況になる。この問題は非常に不合理だと思いますが、その政府原案を守るという立場ではなしに、ほんとうの政治家、ほんとうの国民の代表者としての鈴木善幸厚生大臣が、名前の示すごとく正しく善人として御判断になったときに、十九歳の全盲の人は、どんなに努力しても所得制限の要件に入ったときには二千二百円、二十歳以上の人は六千円の支給を受ける、それが非常に不均衡であるということは、明らかに御認識になると思います。その点についての率直な、不均衡であり、不公平であるという御答弁をぜひいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 純然たる社会保障という観点からいたしました場合には、いまのような御意見、私も理解できるのであります。しかし、国民年金の制度におきましては、やはり被保険者の方は保険料を納付をいたしまして、政府もこれに補助いたしまして、その積み立て金によって生活の保障としていく、こういうたてまえをとっておるわけでありますので、被保険者として保険料を納付されておる方々と、まだ被保険者にならない方々との取り扱いにつきましては、この国民健康保険制度の発足が日なお浅い今日の段階におきまして、八木さんのおっしゃるようなところまでいま直ちに行なえるかどうかという点につきましては問題があるわけでありまして、その他国会のほうからつきましたところの附帯決議で解決すべき問題がたくさんございます。そういう問題を解決しつつ、こういう問題につきましても将来の重要な検討事項として考えてまいる所存であります。
○八木(一)委員 保険庁の人、いますか。——一級の障害年金をもらった人のその後の保険料を払うか払わないかの問題について、保険庁はどういうふうにお考えですか。
○網野政府委員 一級障害の障害年金をもらっている者については、法律の八十九条によりまして当然法定免除に該当しますので、保険料は免除ということになります。
○八木(一)委員 厚生大臣、いまお聞きのとおりです。これはややこしい問題だから、知っておりましたけれども、ちょっと保険庁に答弁してもらったのです。一級障害年金をもらうと、保険料はあと免除になる。二十歳で一回だけ保険料を払った。そのときは全盲じゃなかった。それで一回保険料を払った。それから全盲になると、一年一回払ったあとは適用になりますから、一級障害年金で最低でも六千円もらえるわけです。それから後は保険料免除。その人たちは保険料一年分だけ払った。二十歳ですから百円ですね、千二百円。それは目が悪くなくて、普通の場合、生産に従事して自分の収入をあげたという場合に、その保険料を一回払った。障害が発生すれば、障害年金月六千円、年七万二千円というものは最低保障としてもらえて、翌年から保険料は免除。その前の場合、十九歳の人の場合にはもう所得保障がないから、保険料を幾ら払ってもいいからそれに入れてくれと言っても入れてくれない。入れてくれないで、二千二百円のものしかもらえない。しかもその人が一生懸命働いて、ごくわずかの収入があったというときにはもうパー。片方の人は、収入があってもこれは拠出制の障害年金ですから、月六千円もらえるんですよ。二十歳になってからめくらになった人は、財産収入があっても、労働収入があってももらえる。片方の人は、ちょっとでも収入があったら一切もらえない。所得制限の範囲であった場合でも二千二百円しかもらえない。そのために必要なら一年分くらいの保険料を払いまずからくださいと言っても、くれない。こういう制度の矛盾があるわけです。その矛盾がどこから出たかというと、これは社会保障じゃない考え方から出た。この国民年金法をつくるときに、厚生省がまたインチキな委員会をつくったわけです。厚生省が、制度審議会もあればいろんなものがあるのに、インチキな審議会をつくって、それでこういう問題の組み立てをつくった。そこの中へ、民間の保険会社の人を有力なる委員として入れているわけです。民間の保険会社としては、逆選択ということを考えなければ保険経済が成り立たないから、当然逆選択という考え方を大きく主張するに違いない。その当時の厚生省が非常に不見識である。民間の私的な保険と社会保障というものがどんなに違うかということがわからないで、そういう人たちを入れて、そういう人たちがわからずやで逆選択という考え方を入れても、そうでないんだということで、そこで取り去ればいい。国民年金法には、保険というようなことは保険料ということ以外書いてない。保険事故なんということはどこにも書いてない。それにもかかわらず、保険だ、保険事故でなければ給付ができないというような、制度をひっくり返すような組み立てをしているわけだ。その欠点は何回も指摘をしている。ですから、こういうときにそこの欠点の部分を直さなければ、いつまでたっても直らないわけです。厚生大臣、いまおっしゃったように、厚生大臣が悪人でなければ、うそつきでなければ、十九で全盲になった人が、収入があったら何ももらえない、ちょっとしか収入がなくて、所得制限以下の場合でも二千二百円しかもらえない、二十歳の人は六千円もらえる、その人は幾ら収入があっても六千円もらえる、どんなにアンバランスかということがおわかりだろうと思う。その善人の鈴木さんが、これは矛盾だ、これはいけないと思うことを、何回も指摘しても厚生省が直してこようとしない。これは保険局の重大な責任ですよ。保険事故なんということに、日本の法律が、政府がどこに制約されることがあるのです。民間の保険会社だったら、それはあるかもしれません。何もない学者が考え出したつまらぬ保険事故という四つのことばで、国民の大切な権利が侵害をされておる。そういうことを今度改めないで、どうして改めるのですか。これは何回も申し上げておる。本会議のときに申し上げても答弁がない。厚生大臣はほんとうの政治家であるのなら、この問題に関する限り間違っておる、これを撤回して出し直すから待ってくれ。国会の会期が間に合わなかったら、非常に強力な力を持っておる自民党の人たちにも社会保障に熱心な人がいる。それを直してください。厚生大臣はほんとうに勇をふるってこの点を直す、障害に関する限り、保険事故ということではなしに、一級障害を全部、拠出年金の一級障害給付が受けられるようにやっていただきたい。これは特に強制保険です。民間の保険会社のような逆選択ということはあり得ない。そういう理屈はあり得ない。ですから、厚生大臣はおわかりになったと思うのです。厚生省がそういうことをイージーゴーイングにして直そうとしない、それに誤りがあった、ほかの点については熱心な局長以下ですが、そういう怠慢については、しかりつけなくてもいいから、すぐ直さなければいかぬ。その直し方を研究して、場合によっては撤回してすぐ出し直す、場合によっては自民党や社会党や民社党に頼む、そういう方向をとって、こういう矛盾を即時、ことしから直される、そのような決心をぜひ明確に示していただきたいと思う。
○伊部政府委員 二十歳前の障害の方につきまして拠出制の年金を支給せよという御要望は、前々から八木先生の御主張でございまして、この問題につきましても、原案作成の過程におきましてわれわれとして出検討いたしたのでございます。先生に申し上げるまでもないことでございますが、国民年金におきましては、二十歳前の障害につきましても、被保険者資格を取得後一定の障害が発生した場合におきましては、これを総合認定をする仕組みになっております。したがいまして、この点におきましては、他の年金制度がすべて被保険者期間中の障害に限って給付をしておる点に比べますと、いわば思想的には進んでおるのでございますが、ただ、やはり国民年金といえども関係者の共同連帯によるいわば資金のプールで給付をいたしておるわけでございますので、このプールに全く寄与しないという方につきまして拠出と同じ扱いをすることは、いろいろむずかしい問題があるということでございます。 なおまた、負担の均衡という点から申しまして、国民年金は、御案内のとおり自営業者、農民の方々で構成をされておるわけでございますが、この二十歳前の障害の方は、一般の労働者の子弟の場合もありましょうし、あるいは公務員その他の子弟の場合もあろうかと思います。そこで、まあいわばグループ別に一つの共同連帯ができております関係上、自営業者、農民のグループが二十歳前の障害者を全部引き受けるというのは、やはりいろいろ問題があるのじゃなかろうか。やはりこれにつきましては、福祉年金でございますれば全額国庫負担でございますので、その点の負担の公平は保たれるということになるわけでございます。 なお、国際的に申しますと、むしろ二十歳前の障害者の社会保障における取り扱いは、児童手当の延長という形で解決しておる例が非常に多いように承知いたしております。したがいまして、児童手当の問題も検討の日程にのぼっておるわけでございますが、その一環としてこの問題が一つ大きな研究課題になろうかと思うのでございます。 また、障害等級につきましては、各種年金制度の間にいろいろ大きな差があるのでございまして、沖中先生を長とする研究会がいろいろ等級問題をここ数年来研究されておりまして、近く結論が得られる見込みでございます。これを機会に、障害年金制度全体につきましても、各省、協議会等を通じまして総合的な検討をいたしたいと考えておるのでございますが、その際にも一つの問題として検討いたしたい。 なお、検討の方向としては、やはりグループ別にやっております以上、そのグループにそれぞれもっともな形で負担が行なわれるような形でなければならないと思うのでございますが、これらの点を十分考えてまいりたいと思っておるのでございます。 なお、障害等級の委員会の審議の過程におきまして、同じ障害につきましても、二十歳前の障害と二十歳以後の障害とは非常に意味を異にする。つまり、たとえば四十なり五十になって盲目になったという場合におきましては、従来の職業をほとんど失い、かつきわめて困難であるわけでありますが、二十歳前の場合におきましては、これに対しますリハビリテーションが、その後に比較をいたしますといろいろな制度も相当充実をいたしておりますし、可能性が多いわけでございます。これらの点もまた検討の一つの材料かと思っておる次第でございまして、事務的な点を御説明申し上げた次第でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣、いまのような答弁をするからいけないのです。厚生大臣はほんとうの政治家として、国民の代表として、いまのことが絶対けしからぬことだ、直さなければならないことだと思っていると思う。思わなかったら、あなたは政治家じゃない。ところが、事務官僚がああいうことをして、それをまだゆっくりしてもいいというようなくだらぬ理屈を言って、厚生大臣を牽制しているわけです。厚生大臣は、鈴木さんはもっと続くと思うけれども、大体一年でやめる。局長は三年ほど続く。その局長に牽制されて厚生大臣が国民の声を実行できない、そういう点に間違いがある。局長のそのような答弁を一つ一つ反駁するけれども、そういうことはへ理屈中のへ理屈ですよ。 まず第一に、厚生年金よりも国民年金のほうがそういう点についていい。いいということは知っていますよ。それはわれわれさんざん口をすっぱくして言ったから、幾ぶん、その十分の一か二十分の一かを少しずつやってきた。あなた方が自発的にやったわけじゃない。そこで厚生年金よりもいいと思ったら、なぜ国民年金に合わせないか。合わせるのがあたりまえじゃないか。(「冷静に」と呼ぶ者あり)委員長、不規則発言を禁止してください。発言を二回したら退場を命じてください。三回したら懲罰委員会にかけてください。 まず第一に、いまの厚生年金よりもいいと言うなら、厚生年金をなぜ変えないか。具体的に国民年金のほうで進んでいるのは、たとえば片足の人は条件が悪いから被用者になりにくい。だから、片足とれた人が国民年金に入って、後に障害で両足とれたときに一級障害になる。そういう制度ができるなら、全部にできるのがあたりまえだけれども、具体的には国民年金の被保険者にそれが圧倒的に多い。片足のない人は就職がしにくいから、厚生年金や何かに被保険者の数が少ない。そっちもしなければいけないけれども、あなた方のなまけた中においても、国民年金のほうにややそれが進んだわけだ。なまけていなければ厚生年金もできるはずだ。国民年金のほうが数が多いから、ややなまけが少なくてそれをやった。ややなまけが少ない程度ですよ。いばることじゃない。そういうことでできておるけれども、そういうバランス論で、そっちよりも少ないからそっちより進まなくてもいいというような印象を善人の鈴木厚生大臣に与えるような、国民年金制度をストップさせるような発言は、年金局長としては非常に不謹慎だ。そういうことを言うべきじゃない。 それからその次に、児童手当とあわせて考える。——外国のイギリスだとか、あるいはニュージーランドとか、北欧諸国とか、フランスとか、ドイツ、そのような社会保障制度に不熱心な国のまねをする必要はありません。また、児童手当について日本でどうやるのですか。本格的な児童手当は一つもない。その間に、障害者は生活に苦しんでいるのですよ。児童手当をあわせて考えるということは、しないということに通ずるのです。しないということの責任をそっちに転嫁させることに通ずるのです。そんなことを言う人がありますけれども、それは理屈になりません。それはしなければなりませんということをあなた方が発言し、厚生大臣に進言しなければいけない。三文学者でそんなことを言う学者がいるが、それはいけないということをあなたが発言しなければいけない。 次に、共同連帯共同連帯で、その被保険者全部にはかってごらんなさい。あなた方は観念的に大蔵省に責められて、いままでの保険学者の社会保険理念——二、三の学者の言うことに抵抗できなくて、ほんとうのことができないのかもしれないけれども、被保険者全体について、二十歳で反対給付を月に六千円のものが支給される、十九歳で目が悪くなった人にはそれが支給されない、それを国民年金制度に入れていいですかと、ほんとうにひねくれてない、気違いでない国民に聞いてごらんなさい、いかぬと言う人はいないでしょう。かってなあなた方は、共同連帯だから、そこから資金が出ているからそういうことはできないと言うが、国民一人一人に聞いてごらんなさい。そんなことはおれが損だからできない、十九のめくらの人がどんなに困っても、そんなことはやる必要がないと言い切れる国民がどこにおりますか。厚生大臣、そういうことですよ。それで、原資の問題はあなた方が考えることなんだ。そこにこそ国庫負担があるのじゃないですか。それだけ原資を国庫負担で出せば、ほかの国民年金の老齢年金をもらう人は不公平なことにならない。国庫負担はもっと本格的にやるべきですが、そういうところにこそ国庫負担が必要だということは、政府がいつも言っていることなんだ。一番気の毒な人について国庫負担を考えたいと、年がら年じゅうそういう答弁をしておいて、との場合だけ国庫負担がない。厚生大臣の御答弁を願いたい。年金局長のいま言ったことは全部誤りです。年金局長は、そういうことは誤りだ、そういうことを言うやからがいるけれども、そういうことを言わないでこれをしなければならないということを厚生大臣に進言すべきだし、厚生大臣は、その進言がなくても、そういうような考え方の年金局長はいかぬ、それを直ちにそういう人たちが障害年金がもらえるように変えなければならないという決心を、ただいま即時固めていただくことが必要だと思う。それが政治家の任務だろうと思うし、りっぱな政治家の鈴木厚生大臣には、その問題についてはっきりとした、それをやるという答弁をいただけるものと期待して、答弁を求めます。
○鈴木国務大臣 八木委員がおっしゃるように、満二十歳になって国民健康保険の被保険者になってから一級障害になった、また十九歳で被保険者にならない、そのために、同じ一級障害になった方でも処遇の面で非常にお気の毒な立場にある、これを社会保障という観点から同じようにしてあげなければいけない、こういう気持ちにつきましては、私は十分理解がいけるのであります。しかし、いまはこの国民健康保険の制度の中で、被保険者の方々に対する給付をどういうぐあいに改善をするか、こういう土俵の中の問題につきましていろいろ検討を進めてまいり、また、改善策を考えてきておるわけであります。また、前回の国民年金の改正をいたします場合に、特に重要な十一項目につきまして当委員会から附帯決議をちょうだいいたしておる、そういう面につきましても、一ぺんには政府としてもなかなかやっていけない面がございます。漸を追うてこれらの点を実行するように、御趣旨に沿うように努力をしていきたい、こう思っておるわけでありまして、当委員会の御決議の趣旨は、私どもは十分尊重し、実現をすることに努力をしていきたい、かように考えておる次第であります。 また、いまの十九歳の方の問題につきましても、今後私ども前向きで検討を進めるということであります。
○八木(一)委員 私は、問題をわかりやすくするために、十九歳という例をあげたわけです。これはゼロ歳から、一歳でも二歳でも全部同じであります。ただ、あそこの、いまの局長の言うことについては、初めから目の悪い人ならば職業訓練を受けられる。だから、とっさに視力を失った人と違って、生活に困り方が少ないという理屈を必ず言うだろうと思いまして、私は、ものをわかりやすく言うために、二十と十九の例を比較して申し上げた。十九であっても十八であっても十七であっても、同じであります。ゼロ歳から全部そういう問題を考えなければならない。そのように全盲というのは非常な障害があって、その人が一生懸命に職業訓練を受けて社会で活躍をしたい、自分の生活も成り立たせたい、そういう努力をしている人に対して、その努力があるから、後に障害が起こった人ほどの年金は必要でないというような過酷な考え方は、一切捨てていただきたいと思う。とにかく障害については、ゼロ歳からそういう障害年金を支給する方向で、これの実現に邁進していただかなければならないと思う。いま言ったのは、そういうことを必ず年金局長は言いそうだから、十九という例で言った。十九という例で言ってもああいうことを言う。ほかには熱心だが、この問題については非常に不熱心、冷淡であります。十九の例で言ってもああいうことを言うから、三歳くらいの例で言ったら、必ずそういうことを言うにきまっている。とにかく生まれたときから障害があった人は障害年金を支給する。いまの社会連帯という考え方は、年金局長も厚生大臣も変えていただかなければならないというのは、その制度の中で、二十歳以上だったら自分の収入を得る年齢であります。収入を得る人がそこで保険料を出すということで、一つの問題であります。ところが、給付を受ける人は、ほんとうに必要な人に必要な給付が条件なしにいく、これがやり方であります。これを組み合わせても一つも悪くない。全部無拠出にして金額を多くしてもいい、そういう方法もありますけれども、いま拠出制の年金制度をとっておられる立場で申し上げたときに、保険料を受けたからその反対給付をするという考え方を捨てて、保険料は、そういうような生産に従事している、農業や商工業をして二十歳から六十歳まで働いているんだから、負担能力があるから出してもらうんだ、給付のほうは、必要な人に必要な給付を絶対に渡すんだ、そういう考え方にして拠出年金制度を考えないと、すべてに間違いが起こる。さっきの免除制度もそうだ。全部これは無拠出にして、全部何万円ずつの給付をしたほうがいいと思うけれども、なかなか政府はそれを取り上げる状態もないから、現在の拠出制年金で申し上げているわけですけれども、拠出制年金でも、保険会社の言うような保険料をもらって反対給付でやる、そういうような社会保障と全然相反した考え方で組み立てられている部分を廃して、二十歳から六十歳までの働いている部門については何がしかの保険料をいただく、国庫負担をできるだけつぎ込む、その原資をもって必要な人に必要な給付を上げるという考え方に徹すれば、いまの問題も完全に解消する。免除の問題も解消する。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 そういうふうにこの国民年金、拠出制年金の性格を理解をして、たとえば共同連帯という第一条が悪ければそれを省けばいい。そこに政府の改正案の提案権がある。くだらぬ条文はやめたほうがいい。そういうことを直して、ほんとうに社会保障的になるようにそれを改善していかなければならないと思う。そういう考え方に徹して、さっきの免除の問題と、それから今度の障害者の障害年金については、生まれたときからの障害全部について障害年金を必ず適用する。これを急速にやる。政府の言う急速は、来年度にその改正案を出すということであります。国会はその前に、本年度これを改正するかもしれません。それは別として、政府のほうとしては、それができなかった場合に、そういうことがなかった場合に、どんなことがあってもその問題の改正案は来年度に出すというお約束をぜひいただきたいと思う。それをお約束できないならば、鈴木さんはほんとうの政治家ではないと思う。鈴木さんが熱心にやられれば、佐藤榮作さんも福田赳夫君もその理の当然なことについては承知すると思う。しなければ彼らも政治家の資格はない。こういうほんとうのことについては、勇気を出して、厚生大臣の全責任をかけて来年度は改正案を出すと言い切っていただきたい。
○鈴木国務大臣 八木さんはずっと論理を発展させて、零歳、乳幼児、そういうところまでお話があったわけでありますが、私は、そういうお気の毒な子供さんたちのために、国が社会福祉の施策をやらなければいかぬという御趣旨につきましては全然同感であります。ただ、それを国民年金制度というワクの中で取り上げるのか、別の社会福祉の施策でもってそういう面を救済するのか、これは私はこだわる必要はない。全体として、そういうお気の毒な方々に対する福祉の手が国として差し伸べられていくようになればいいのではないか、私はこう考えるわけでございます。先ほども申し上げますように、国民年金法の改正につきましてはその他たくさん国会からの御注文もあるわけでありますから、そういうものにつきましては、漸を追うて逐次改善策を打ち出していきたい、かように考えております。
○八木(一)委員 答弁が少し後退しました。全盲の人や両足の不自由な人、とにかくからだに障害のある人、あるいは精神に障害のある人もありますけれども、精神薄弱児の人もありますけれども、その人たちが自立できるように、たとえば能力開発をやる、職業訓練をやる、職業あっせんをやる、職業の諸条件を整える、あるいは雇用の義務制をつくる、そういうようなことは当然やらなければならない。それと、この障害の所得保障とは並列してやらなければならない。それをやったらいいという問題じゃない。たとえば障害年金のほうで、全盲になったけれどもそれまでずっとつとめてきた、四十五歳で全盲になったけれども、つとめてきたから厚生年金のほうで退職金ももらえる、それでいろいろなものもある、それまでの蓄積もあるという人でも、その障害年金をもらうわけです。片一方の、農業で四十五歳までやって、十分に農業経営をやって、商売の経営をやって収入のある人も、その障害者について障害年金が入る。片一方は、それだけの重度の障害で、一生懸命刻苦勉励してそれで職業についても、特別にその人が何億円か親の財産のもとで運営して株でもうけたというようなときは別として、普通の労働収入で、全盲の人や両足のない人や両手のない人がどれだけの収入をあげられますか。それの職業の補導をするとかなんとかいうことはあたりまえの話で、これはしなければいけない。それと同時に、障害については、ほかの収入や財産のある人でも、全盲あるいは両足切断、両手切断ということについては、ほかの制度では一級障害の年金がもらえるわけです。国民年金制度においても、老齢福祉年金よりも加算された一級障害年金がもらえる。ですから、二歳、三歳で、職業補導をしようがなかろうが、その人が努力をして収入をあげようがなかろうが、当然ほかの障害者と同じように、この障害年金はもらわなければならない。差し上げなければならない。これが国の政治です。それにブレーキをかけているのは保険事故だ。二十歳以後は、障害が起こったら、それは障害だから上げるんだ、保険料をもらった人に上げる、そういう民間の保険会社の考え方を入れているから、民間の保険会社の考え方しか入れられなかったら、国民年金制度をやめて全部保険会社にまかせなさい。そうじゃない制度をつくった以上は、その民間の保険会社の残滓みたいな精神はやめて、障害年金については、障害者について全部差し上げる。特にこれは強制保険ですから、強制的な年金だから、障害者の人だけが入るとか入らないという問題じゃない。社会保障の精神に従って全部の障害者に、生まれたときからの障害であろうと何であろうとそれを適用する。その年金を、ほかの後の障害者と同じように差し上げる。これが政治的にあたりまえの話でしょう。ところが、厚生大臣は、十九と二十の例で言った、そこで厚生大臣が、十九はいいけれども、十八はいけないということはまさか言わないと思ったけれども、その辺、十九は約束したけれども、十八は約束してない、ブレーキをかける、それが万々一でもあったらいけないから、当歳からはっきりさせようとしたら、そこで厚生大臣が後退をした。それでもあなたは政治家ですか。十九でも十八でも十七でも同じですよ。ですからそういうような後退した、保険局長に牽制されておるような考え方でなしに、政治家としてすべての障害について障害発生の時期いかんを問わず障害年金を支給する、そのように国民年金制度をしなければならないそれに対してとやかく言う三文学者の意見は全然取り入れない政府内でそれについてとやかくブレーキをかける連中についてはそれを論破してその迷妄を覚ましてやらせる。厚生大臣が英遇なるはずの総理大臣と大蔵大臣にも、これはすぐわかるはずですから説得して直ちにやる。少なくとも来年度からやる。できれば自民党にもお願いをして、社会党にも要請をして、今年度からこれを変えてもらいたい、そのような決心を現在お披瀝にならなければ、あなたは社会保障ということをほんとうに考えておらない。ただそういう政治家になろうとも、りっぱな政治家だと私ども信じております鈴木さんがそのようなちょっとでも後退した考え方は、またことばの言い回しでそうなったのだと思いますから、もとに戻して、障害の発生時期いかんを問わず障害者について国民年金制度の障害給付、拠出年金の障害給付を支給するようにこれを改善をする、改正をすることを来年度に出す、そういう決心をぜひ披瀝していただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 私は、後退をしたとかなんとかいうようなことを言われるのでありますけれども、決して私、申し上げておることには変わりがございません。国民年金制度の改善につきましては私どもも努力をし、当委員会におきましてもいろいろな建設的な御意見が附帯決議として前回も出ておるわけであります。そういう問題につきまして一ぺんにはなかなか被保険者の負担の問題もございますし、また国の財政事情等もございますし、漸を追うてこれは改善をしていかなければならない、こう考えているわけであります。今回の改正も、その附帯決議にありました御趣旨の一端のまず給付の大幅改善、引き上げというような点につきまして私どもも努力をいたしたのが今回の改正案であるわけであります。その他の点につきましても、今後時間をかしていただきまして漸次改善を加えていきたい、そういう問題と合わせましてただいま八木さんがおっしゃっております点も、御趣旨はよくわかっておるのでありますから私ども今後の問題として検討を進めたい、かように思うわけであります。
○八木(一)委員 先ほども申し上げましたように、これはまあ全部一回読んでおく必要があると思いますけれども、後にまた態度があいまいだったら読むことにいたしますが、国民年金法で、この委員会で、そのときは竹内さんも、齋藤さんもみんな賛成されたりっぱな附帯決議ですが、その中に六項目非常に基本的なことを書いて、それから「特に左の具体的事項については可及的速やかに実現するよう図ること。」として、その中に「年金加入前の障害についても拠出制年金の支給対象とすること。」、専門家が読んだら一つも違わない、そんなことばでかちっと書いてある。ですからこれは特に左の具体的事項については可及的すみやかに実現しろと四十年の段階で言っているのですよ。ですから厚生大臣としてはことしそういうものを提出しなくて申しわけありませんでした、しかしながら来年はどんなことがあっても、それができなかったら内閣総辞職をする覚悟を込めてもやりますというような御答弁でやっとわれわれが了承できるかどうかという問題です。ですからいまそういうふうに答弁をして、はっきり来年は必ずやりますという答弁をすればわれわれも了承するかもしれません。そうでなければ内閣は国会の無視で、国民のほんとうの権利を無視するから、直ちにきょうにでも総辞職してもらわなければならないというような問題になります。そういうことで、来年度は必ずやりますという答弁をひとついただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 私の答弁は一貫して変わりはありません。国会の、特に当委員会の附帯決議の御趣旨は十分尊重して、この実現に向かって努力してまいりたい。しかし一ぺんにはできないことでございますから、今回は給付の大幅の引き上げをするという御趣旨に沿った改善をいたしたわけでありますが、残余の面につきましても引き続き漸を追うて改善をしてまいる所存でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣が長いこと厚生大臣におられるかどうかわからない。あなたが総理大臣になられたらいいけれども、またほかの文部大臣か何かになられるかもしれない。だからあなたの時期にあなたがいつやるかをはっきりしていただかなければ国民は安心できないわけです。 それからもう一つ。この問題については、総理大臣には本会議で質問しておる。総理大臣も厚生大臣も、ぼくの質問については全然具体的な答弁をしないで逃げてしまっている。ですから、総理大臣も本会議で答弁もしていませんし、また総理大臣は必ず来ますから、佐藤榮作総理大臣に連絡不十分で非常に迷惑をかけてもいけませんから、鈴木さんはいますぐ厚生大臣としてやるということを御答弁になると同時に、総理大臣がおいでになったときに総理大臣がすぐやる、ほかの点でも一生懸命やるつもりだし、これも一生懸命やる、そういうことでいま総辞職する気はありませんから、責任を持ってやりますと、これは少しよけいなことかもしれませんが、そういうようなことを総理大臣が答弁できるようにあなたは厚生省として意見をここではっきり言って、私は責任を持ってそういたします。総理大臣もそうなさらなければ、総理大臣としての責任を全うしたことになりませんよということをおっしゃる必要があると思うのです。まず第一にあなたは来年出すということを確約をされる、それから総理大臣に直ちに御連絡になって、総理大臣がおいでになったときに総理大臣のほうから、それはいたします。たいへんおくれて申しわけなかったけれども、政治責任をかけても必ずいたしますという答弁をされるように、総理大臣を補佐される責任があると思います。そういうわけで、厚生大臣としてはとにかく政治生命をかけて来年度に提出することにいたしますということをおっしゃっていただいて、総理大臣にも同様の答弁が数日後に必ず行なわれるように厚生大臣にひとつやっていただきたいと思います。ひとつ御答弁を願います。
○鈴木国務大臣 こういう改正は全部を一ぺんにということになかなかまいりません。そこで私は、先般の決議の中で最も重要な年金額の大幅な引き上げあるいは福祉年金の給付制限を緩和する、こういうような面に努力をいたした次第でございます。 今後のことにつきましては、これはやはり内閣の最高責任者である総理大臣でなければ、期限を切って来年とかそういうようなことは、ちょっと無理な問題であろうか、私はこう思うわけであります。私どもは八木さんのおっしゃることは十分理解できるのでありますから、今後に向かって努力をするつもりですし、当委員会の御決議の趣旨は十分尊重してこれを実現するという方向に最善を尽くす所存でございます。ただいつというようなことは、これはやはり総理の最高責任者としての立場でないと、大蔵大臣もおられることであり、内閣全体としてこれは考えなければいかぬ問題でございますから、私はいま申し上げたように、当委員会の決議の御趣旨は十分これを尊重し、将来に向かって実現に最善を尽くす、こういうことを申し上げる次第でございます。
○八木(一)委員 そこで、これから幾つもあります。またほかの委員からもおっしゃると思いますが、いまここで申し上げておきますが、とにかく障害給付については、国民年金制度加入前に起きた障害、したがって生まれたときからあるわけですが、それについては拠出制の障害給付を適用する、そのための改正案を出さなければならない。それを、来年度に出さなければならないということをいま厚生大臣としては意識を固めていただくこと、それ々総理大臣に直ちに進言をしていただく。総理大臣が国民の要望に反した、社会保障の精神を全然わきまえない総理大臣であるというようなことにならないように直ちに進言して、総理大臣が出てこられたときに、それを直ちに来年度は必ず改正をいたしますという答弁をされるように、職を賭してもその進言をされるかどうか、それを伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 八木さんの御要望は十分伝えて、総理の御意見を固める資にしたい、こう思います。
○八木(一)委員 それでは少しもとへ戻りまして、今度は一番大事な国庫負担の点について申し上げてみたいと思います。 今度の厚生省の原案をつくられるときに、保険料に対して同額、すなわち十割、給付に対して二分の一、現行は保険料に対して五割、半額、すなわち給付について三分の一という国庫負担でございますが、その国庫負担を保険料について同額、給付について二分の一とする原案をつくられたわけです。それを何ゆえに途中で変更されてこういうような粗末な原案になったか、その経過について、それからそれについての考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
○伊部政府委員 今回の改正案を作成する過程におきまして、当初保険料と同額の国庫負担を考えましたのは御指摘のとおりでございます。その際の前提といたしましては、従来国民年金は他制度に比してむしろ完全積み立てにきわめて近い形をとっておったのでございます。その姿を引き続き維持することができるという見地で二分の一の国庫負担という要求をいたしたのでございますが、財政当局その他の折衝の過程におきまして、国庫負担は従前どおり三分の一、保険料の二分の一ということになったのは御承知のとおりでございます。この点はこの改正案によりましても本年度におきまして二十億、来年度におきまして九十億、その後百数十億まで増加を見込まれるのでございまして、そういう財政負担の点が一点でございます。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 それからまた国民年金は長期保険でございますので、長期的にものごとを考えていく必要があるのでございまして、保険料の負担その他の今後の推移を考えまして長期的にものごとを判断してまいりたい。現時点におきましては保険料は百円上げることになっておるのでございますが、あるいは四十四年からはもう五十円上げるわけでございますが、この額は国庫負担の率が据え置かれたために保険料の額を引き上げるということではないのでございまして、当初の案のとおりでございます。そこで、今後の保険料の負担が国民の所得との関係におきましてどう推移するかということを考えつつ、今後の問題として検討してまいりたいということで、今回は国庫負担の率はそのままということにした次第でございます。
○八木(一)委員 こういう問題になると、厚生大臣でなくて年金局長が先に答弁するのですが、厚生大臣にできるだけ先に答弁していただきたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 経過を聞きたいというから……。
○八木(一)委員 経過についてもやはり厚生大臣から伺っておきたいのです。まあその点はけっこうですが、厚生省の原案では、保険料について同額、給付について二分の一の原案であった。それのほうが正しいと思います。それを大蔵省の無理解、抵抗、ここに主計局の方おられるでしょうね。そういうことでこういうようになったと思うのですが、厚生省としては前の考え方を貫いて今後も前進をしていただかなければならないと思いますが、それについて厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 国民年金の国庫負担の面につきましては他制度に比べまして国庫の負担率が高い、最も有利になっておるという点は、ただいま年金局長から申し上げたとおりでございます。ただ、私ども今後国民生活水準の向上、またこの制度をほんとうに生活保障の柱にしたい、こういうような観点から給付水準等も引き上げていく必要がある、こう考えておりますので、そういう諸般の状況とにらみ合わせながら、この国庫負担の増額という問題につきましても今後とも努力をしてまいる考えでございます。
○八木(一)委員 まじめな厚生大臣だから言いにくくてしようがないのですが、大体年金局長やほかの人も熱心だろうと思うけれども、もう少し年金制度をよくするための論点を厚生大臣に御連絡をして、厚生大臣から、今度の要求が通らなかったことは大蔵省がけしからぬ、内閣自体も無理解だったというくらいな強硬な発言が出るくらいな——論点はたくさんあるのですよ。そういうことを局長は厚生大臣に進講を申し上げなければならないし、厚生大臣はそういう調査を命じなければならない。またそれに基づいて確信のある国庫負担増額要求の基礎をつくられなければいけないと思う。厚生大臣、国民年金の国庫負担が多いなんて、ちっとも多くありませんよ。こんな少ない国庫負担はありませんよ。まずいろいろな観点から申し上げますと、医療保障のほうで、健康保険法については今度百五十億の国庫負担の案を出してこられた。これはけしからぬことに、定率でなしに定額の、しかも毎年でもなしに一年ぽっきりの、実に言語道断な法律を出してこられた。その言語道断な法律でも、これを換算してみると五%に当たる。そのときに同時に出してこられた国民健康保険法は、国庫負担四割、調整交付金五分、五%と四割五分ですよ。ですから対労働者、対農民に対しての考え方は国民健康保険ではこんなに開いておる。そこを考えたら、厚生年金の二割、国民年金の三割三分三厘、どこにバランスがありますか。政府はいつもバランス、バランスと言う。他制度との比較比較。とんでもない、大間違いじゃないですか。こんなものは保険料と同じように五割にしたってまだ少ない。五分と四割五分、九倍ですよ。五分もまた不安定な五分ですからね。その不安定要素を換算すると、片一方は十何倍に当たるわけです。片一方は二割だったら十倍にしたらどうですか。二十割にしたっていいでしょう。そうしてこそ、いまの夫婦一万円年金なんというけちなことを言わないで、単独一万円年金で六十歳開始ができる。そういう考え方を持っていないから大蔵省にやられるわけです。それが一つ。 その次に三分の一の国庫負担で率は多いと言うが、実額は一体どうなんです。今度改正されて厚生年金は二割の国庫負担をした。厚生年金は一五%を二〇%にしたならば、少なくともその点で三分の一の国庫負担を横すべりさせたならば、給付に対して五割、保険料について十割、そのぐらいあたりまえの率じゃないですか。その次に実額で考えてごらんなさい。厚生年金の被保険者に対して国庫負担のいく額と、国民年金の被保険者に対して国庫負担のいく額が三分の一ですよ。ほかの制度よりはるかに多い国庫負担がある、そういうような考え方でいるから国民年金が進歩しないのです。こういうことについて比較をして検討されたことがあるかどうか、そういう点について閣議で主張されたことがあるかどうか、伺っておきたいと思う。
○鈴木国務大臣 これは本人の負担と国庫負担との関連を十分考えなければならないと思うわけであります。いま厚生年金、かりに三万円の所得のある方がどれだけ負担しておるかというと、八百二十五円負担をしております。また国家公務員の共済組合の場合には千三百二十円負担をしておるわけでございます。そういうぐあいに、他の年金におきましては被保険者の負担が相当額が多くなっております。国民年金のほうにおきましては、低所得の階層の方が多いという実態を考えまして、今回は被保険者の保険料は百円程度の引き上げにとどめたわけであります。これは厚生年金等のように大きな保険料の負担ということにはたえられない。もしそういう額になった場合における三分の一ということになりますれば、国の負担額というのは相当多額にのぼってくるわけでございます。今回の改正におきましても、あとで局長から御説明申し上げますが、年々相当の国の負担増になっておるわけであります。国民年金の被保険者の負担やまた給付内容の改善、そういうものと見合いながら、国庫負担につきましても今後漸次改善するように努力をいたしたい、このように考えておるわけであります。
○八木(一)委員 厚生大臣、ちょっと考え方を整理してください。年金局でぐちゃぐちゃ変なことを言うから、聡明なる厚生大臣も迷うと思うのです。また大蔵省がわからずやのことを言うから迷うと思うのです。けれども、そうじゃなしに、ほんとうに正常な、ほんとうの割り切った立場で考えていただきたい。労働者は大事です。農民も国民はみな全部大事であります。国の一般財政から老齢保障、所得保障ということで渡すときに、ほんとうを言えば同じ金額が国庫負担から渡るべきだ。あと保険料をたくさん出しているから、あとの給付というものは、これは付加的なものです。仕組みでまぜこぜになっておりますけれども、国の負担は同じだけ出さなければならない。そうでなければ、公平の原則に反する。ところが一般的には国民健康保険の例であるように、農民や中小企業者の方がよけい出していますね。これは保険料負担が足りないで医療保障は即時必要なものであって、医療保障をよけいしなければならないという理由から出している。この点についてもわれわれ認めているわけです。ところが国民年金は逆になっているわけです。同じ金額が出てない。厚生年金の給付に対して、その中に国庫負担の占める部分、それに対して国民年金の給付に対して占める部分の金額。比率でなしに実額は三分の一か二分の一です。ほかの制度ではよけい出しているのでしょう。同じ対象者のこの制度では、普通のものよりも悪くなっている。バランスは一切もう考えないのだ、行き当たりばったりで各制度はとんちんかんなことをやるのだということであれば、いけないことだけれども、この意味において筋は通りますけれども、いろいろな制度のバランス、バランスと年がら年じゅう一つ覚えみたいにおっしゃる政府として、こんな反対なことをしていいのですか、厚生大臣。
○鈴木国務大臣 八木さんはときに定率を唱えられ、ときに定額を唱えられて政府の措置を批判されるわけでありますが、定率でまいりますから厚生年金に対する二割、こちらは三分の一、三割三分三厘。しかし、保険料が定額でございますから、それを定額に直せば額は少ない、こういうことになるわけであります。定率化ということはよくおっしゃるわけでありますが、そういう面も検討をいたしておるわけでありまして、先ほども申し上げたように、被保険者の保険料が、厚生年金の場合のようにたくさん納めていただけるような状態であればまさに率は高いわけでございますから、国庫の負担というのは非常に増額をされる、こう思うわけでありますけれども、実際はなかなか負担の面でそうはいかない。だから率においては三割三分三厘でありますけれども、額に直せばあるいは少ないかもしれない。しかし今後長期にわたり国民年金制度の保険財政あるいは給付の内容の改善ということと見合って、国庫負担の問題につきましても十分検討を加えていきたい、こう思うわけです。
○八木(一)委員 厚生大臣、やや反撃に出られて、定率、定額を言われましたけれども、異なることはどんどん反撃していただきたい。しかし私の言ったことを全部覚えてから反撃をしていただきたい。私は定額を主張しているのではない。三分の一の国庫負担、保険料に対する二分の一の国庫負担が少ない。厚生省の原案でも少ないけれども、保険料に対して十割の定率国庫負担、給付に対して五割の定率国庫負担が、いまの段階として最小限度必要なのになぜそれを撤回したかということから始まっているわけです。定率を主張している。全部定率で論議をしてもいいのですよ。それなら給付を全部お合わせなさいと言うのです。これも六十歳開始にして、金額も本人一人一万円にしたならば、定率だけで論議ができるわけです。あなた方は給付をこんなに違えておいて、あと率だけで言うから、こういうふうに話がこんがらかってくるわけです。六十歳開始にして本人一万円にして、それで三分の一の定率をやっている、片一方は二割、だからこの制度はほかの制度より悪くありませんというなら話はわかりますけれども、金額がこんなに下がっているのだから、定率化したって実額は少ない。それをわかりやすく実額で申し上げている。そんなことばの魔術みたいなもので逃げようと思っても、われわれも一生懸命勉強していますから、そんなものでは逃げられない。反駁は幾ら反駁してもけっこうですが、理屈に合った反駁をしていただきたい。ほんとうに給付が少なくて、三分の一しかしていないから実額にしたら少ない。片一方は給付が高くて二割の国庫負担をしているから実額は多い。国庫負担がそういうふうにこんなにアンバランスがある。国民年金制度の被保険者については国庫負担が三分の一くらいしかいっていない。ところが医療保障では逆にいっている、こういう制度の不一致、おかしなものだと思うのです。片方では医療制度でよくいっているから年金制度はほったらかしてもいい、そんな小学生みたいな、気違いみたいな答弁はなさらないと思う。国民健康保険制度にたくさんいっている。保険料負担に国民がたえられない、それから使用主負担がないからということを政府が言っておられる。それと国民年金も同じはずです。保険料をたくさん負担してもらうなら国庫負担はよけいにする。そんなものじゃありませんよ。給付を同じにしておけば、国庫負担をよけいしたら保険料は下げられる、下げることができるわけです。給付は高くしても国庫負担をうんと上げれば保険料を上げなくてもできるわけです。何でもかんでも局長や何かが保険料、保険料ということを厚生大臣におっしゃるから、厚生大臣は非常に聡明な厚生大臣だけれども、はたから保険料、保険料と言えば十分の一ぐらいは引っぱられる。朱に交われば赤くなる。そういうことではいけない。政治家が官僚になってはいけません。そういうことで、原案の不十分なことを一生懸命守ろうというような、そんなものはこの論議では必要がないのです。それならばこの審議会は要らない。原案はこういう点で不十分だ、こういう点でひん曲がっている、こういうことについての論議が出て、そう言われる、そうしたらこの委員会は直す、あるいは政府が直す、それで国民のための政治が進む。原案が絶対にいいから直してもらっては困る。大蔵省ににらまれる。そんなことを考えておったら政治はできませんよ。大蔵省もよく聞いておいてもらいたい。あなた方の無言の圧力がこの社会保障制度をとめておる。あなた方は計数だけ合わせてその全体のことを考えられるかもしれないけれども、社会保障制度というのは憲法で規定をされているのだ。しなければならない。国民のあなた方も政治家の国会議員も大臣もみんな責任を持っている。それをそういう低次元の財政バランスをちょこちょこ合わせるということでブレーキをかけるということは許されない。大蔵省はよく大臣以下全部腹を据えて聞いておいてもらいたい。厚生大臣も厚生省も腹を据えてそれを決心をして、大蔵省が何と言おうとも正しい主張を通すのだ、通らなければ厚生大臣がやめればいい、局長以下全部やめればいい。そうしたら内閣がひっくりかえるからそこで頑迷固陋な大蔵省が反省をするわけだ。そのくらいの決心でものごとをやらなければだめですよ。 いまの問題について先に進めますけれども、国庫負担を、とにかく前の厚生省の原案でも私は少ないと思う。保険料と同額、給付の二分の一ぐらいのものはどんなことがあってもやらなければならない。ほんとうにあなたが政治生命をかけて今度はねられたのを取り返すかどうか、その決心をひとつ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、この国庫負担の問題につきましては、今後給付内容の改善また被保険者の保険料の問題その他国の財政事情、そういうようなことを十分考慮しながら私はできるだけ保険給付が完全になされるように国庫負担の面につきましても今後努力をいたす考えでございます。
○八木(一)委員 そこでやや技術的な点になりますけれども、大切なことですからこれはじっくり申し上げておきますが、福田赳夫君なり主計局長なりここにおられる主計官がまたごちゃごちゃ言うだろうと思うことをいま想定して申し上げておきたいと思うのです。 完全積み立て金方式じゃなくてもいいんじゃないか、修正賦課方式に直してもいいんじゃないか、財政も苦しいことだし、給付も変わらないから、そういうことをやってくれというようなことを、とにかくそれがほんとうにいいことみたいにして、おそらく厚生省の中でも、この問題については悪知恵の発達している連中が大蔵省の中で言うかもしれません。それは将来の一つの筋であります。いまからそういうことをとることは許されない。将来の筋で、たとえば完全積み立て金方式というのは積み立て金を毎年しなければならぬから財政については影響があります。厚生省が強力に給付改善を主張されるときに、大蔵省は、そのかわり国庫負担はかんべんしてくれというようなことを言いかねない。それは必ず言うと思う。それに乗ってはいけません。たとえば、いまの六十歳開始あるいは本人一万円というような厚生年金と同じようなバランスにするまでは、これは完全積み立て金方式でやらなければいけない。さっき言ったような、たとえば障害者を入れる、免除の国庫負担をする、そういうものは全部原資は完全積み立て金方式でやるべきだ。それをくずすときには、そのような一万円でなしに月給付が三万円とか五万円とか、ほんとうに健康で文化的な相当程度のものに発展するときに、これはいま現在の国民の負担にたえない部分が出てくるでありましょう。国庫負担だけでもそういう点についてなかなかたえ得ない。そのときに修正賦課方式という考え方を入れて、一万円では足りない、三万円にしろ、そういうときにそれを考えてもいい。いまのような貧弱な原案で修正賦課方式というふうなものを認めてしまったならば、最後の大切な財源がなくなり国民年金制度がこれでとまってしまうわけです。どんなことがあってもこの程度の問題で完全積み立て金方式をなくす、その方式を変更するという方針をとってはいけないと思う。それを変更するときには、飛躍的に国民年金制度の内容の増大をし、改善をしようとしても、大蔵省がそれはでききれないからと言ったときに、それではそのために修正賦課方式でかまわないというふうに、そのときに出すべき問題である。大蔵省はもうすでに出していたと思うし、いまも必ず出してくると思う。そういう重大なときに残された最後の財政的な措置だ。それをイージーゴーイングにこんなつまらぬときにそういうことを考えたら、国民年金制度はこれで終わりです。国民の期待を背負って十年間ほど育ててきたこの国民年金制度が、鈴木厚生大臣のときにその将来を非常に貧弱なものにされる、将来死滅するような内容になるというようなもとをつくってはならない。きょうそのもとをつくられた。首を締められかかったその手を払いのけて、保険料に対して十割、そうして給付に対して五割というものはどんなことがあってもその主張を貫いて獲得をしなければならない。必ず大蔵省からそういうことを言いますから前もって申し上げておきます。そういうことを言ったときに、いま言ったことを私の声の百倍くらいの声で福田赳夫君をどなりつけて、そういうことにさせないように、国庫負担を厚生省の原案のように取り返すようにしていただきたいと思う。厚生大臣の御決心を伺いたい。
○鈴木国務大臣 完全積み立て方式、これを堅持していく、こういうことは私は望ましい点だ、かように考えておるわけであります。今後被保険者の負担の問題等、いろいろむずかしい問題があろうと思うのでありますが、政府としては二十五年後における給付の際に、またその他の給付の際におきまして、この国民年金法で定められた給付につきましては絶対の責任を持ってその給付額が確保されるように最善を尽くす所存でございます。
○八木(一)委員 その問題はまた論議をしたいと思います。同僚各委員からも、一番重要な点ですから何回も繰り返して質問があろうと思いますし、私もまた引き続きさせていただきたいと思いますが、一応その話の入り口に入っただけです。 そういうことで、その次に保険料の点であります。保険料の点で、今度の改正案では、四十一年度の一月から百円、百五十円のやつを、二百円、二百五十円にしよう。その換算のやり方はいろいろありますけれども、私なりに換算をしてみますと、前の保険料について、平均して七割六分の引き上げになろうと思います。厚生省ではどういう換算をしておられるか。
○伊部政府委員 保険料の引き上げの率につきましては、御指摘のように、百円が二倍に、百五十円が一・七倍ということになるのでございます。厚生年金の料率引き上げが一般男子で約一・六倍でございますが、これと比較をして、今度の国民年金のほうが大幅ではないかという御指摘を、実は八木先生から本会議でも受けたのでございます。ただ、この両者の保険料を比較をする場合におきまして、御配慮を仰ぎたいと思います点は、厚生年金は率できめられておるのでございます。国民年金は御案内のとおり定額でございます。そこで、引き上げの比較をする場合に、実額で比較をする場合におきましては、両者とも実額で比較をする必要がある。さらに、率で比較をする場合におきましては、両者とも率で比較をする必要があろうかと思うのでございます。そこで、額で比較をしてみますと、厚生年金は所得に対する率で定められておりますので、所得が上がりますと自動的に保険料額も上がるわけでございます。国民年金拠出制が発足した時点と現在とを、厚生年金で比較をしてみますと、この間約二・四倍に保険料額の引き上げが行なわれておることになります。これによりまして、先般御審議いただきました厚生年金のいわゆる一万円年金を実現をしておるわけでございますが、一方これを率で比較をいたしますと、国民年金の場合は、所得の捕捉が、なかなかよるべき資料が乏しいのでございますが、被保険者の大宗を占めます農民につきましては、御案内のとおり、農家経済調査がございます。農家経済調査で、発足当時の保険料額がどういうパーセントを占めたか、そして、最近における農家経済調査における所得に対して、どのような。パーセントを占めるかということを比較いたしますと、おおむね率は同じでございます。 以上、額の場合と率の場合につきまして、御説明申し上げた次第でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣お聞きのとおり、何を言っておるかわけのわからぬ答弁で、苦心の御答弁だと思いますが、それで、厚生年金の引き上げ率は一・六とおっしゃいましたけれども、私の計算では五割七分、五七%になっております。それは厚生省のほうが資料が多いから、そっちのほうがあるいは正確かもしれないけれども、私の計算したところによると五割七分、それから国民年金の今度の引き上げ率は、七割六分ということになっております。いま何といいますか、これの引き上げとかなんとかおっしゃいますけれども、その給料が上がって、率が上がって、実額が上がるというのは、給料が上がった人は退職しまして、下から今度は若い人が上がってきますから、そこのところを精密に勘定しないと、この点ははっきりしないと思う。そこで、少なくともいまの年金局長の答弁で、はっきりしない点がありましたが、少なくとも私の計算では五割七分、厚生省の答弁では一・六倍、六割増、私の計算で、国民年金法のほうは、昭和四十一年度の一月の改正で七割六分の値上げになる。それから四十四年一月に想定されている値上げを考えますと、十一割四分の増額ということになるわけです。いつもいわれておりますように、国民年金の被保険者層は、いまの成長経済から取り残されて、非常に生活が困難な人たちであります。 〔委員長退席、藏内委員長代理着席〕 もちろん、給付を上げるのだから保険料を少しぐらい上げてもらってもかまわないというようなお考えがおありだろうと思いますけれども、この国民年金制度の発足のときに、観念上の理屈としては保険料を取るということはわかっていながら、どれだけ熾烈な国民年金の反対運動があったか、あるいは抜本的改正までの延期運動があったかということは、年金局は御存じであると思います。ですから、公務員の方々や議会の人たちが観念的に頭で考えるのと、その対象者の保険料負担が困るという感情、困るという実情との間に、ずいぶん開きがあるということを十分に認識をしておられると思います。そこで、厚生年金という、給料を取るときに引かれるという制度でないところで納める制度が、こういう問題をほんとうに運用さしていくことに非常に問題の多いときに、厚生年金よりも率の高い引き上げ率を採用するということは、非常に案としては妥当でない案だ。それについて厚生大臣はどうお思いになりますか。
○鈴木国務大臣 今回の国民年金の保険料率の引き上げにあたりましては、私ども、八木さんと同じように、被保険者の負担能力ということを十分配慮をいたしまして、できるだけこれを低額に押え、段階的に所得のふえることに伴って負担を増していくという方法を考えたのであります。本来でありますれば、今回の給付内容の改善に見合った保険料ということになれば、どうしても四百円ぐらいの保険料の負担をしてもらわねばいかぬということでございましたけれども、それを一挙にそういうことをやるということは、現在の大部分を占める農民諸君や何かの負担能力から見て無理だ、こういうようなことで、今回は百円程度の引き上げということにいたした次第でございます。 なお、昭和三十五、六年ごろから今日までの農家所得の上昇を見てまいりますと、七割以上あるいは八割近く農家所得がふえておる。また、貯蓄の面からいいましても、当時の三倍以上に貯蓄がふえてきておる。そういうこと等を十分考えながら、しかし、できるだけ最小限度にとどめたいということで、今回のような額に相なった次第でございます。
○八木(一)委員 一応おっしゃることはわかるのですが、そういう事情はわかりながら、厚生年金でもそういう事情があったわけです。厚生年金でも、給付の引き上げに見合っただけの保険料の値上げはしておられないわけです。これは妥当な方法だったと思います。それならば、厚生年金の被保険者より以上に、こういう保険料の納入については困難な状態にあり、困難なことを感じているこの被保険者層に対して、厚生年金よりもよけいな、高い率の値上げを考えられるというのは、これはバランスを失していると思うのです。ある程度保険料を値上げをしなければならないというのは、政府の現行法のたてまえとしては、給付を二倍半にしたのだからわかります。わかりますが、そこの中である程度の配慮をされて、百円を百五十円、二百円を二百五十円にとどめられたということもわかりますけれども、厚生年金保険法であれだけ難航したことは御承知だと思うのです。とにかくあれだけの金額でとどめられた、引き上げ率でとどめられたということをお考えになりますならば、厚生年金と同じくらいでも、まだ少し配慮が足りない。ところが、厚生年金よりもよけいですね。これはそういうことでは、政府のそういう点についての配慮、御努力が非常に少ないということになろうと思います。そういう点について、少ないことを少ないとはっきりおっしゃっていただきたい。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、一方は定額であり、一方は料率による保険料の負担、こういうことになっておるわけであります。近年における給与所得の上昇、賃金等の上昇は相当の伸びを示しておるわけであります。したがいまして、実際的には三万円の所得の勤労者が八百円以上の負担をしておる、こういう状況でございます。でありますから、その計算でまいりますと、また給付の改善等によって、四百円程度の御負担を願わねばいかぬのであるけれども、その点を配慮をして今回最小限度にとどめた、こういうことは御了承をいただける、こう思うわけであります。
○八木(一)委員 ちょっと私、御答弁中ぼんやりしておりましたから、聞き違っておったらなんですが、八百円程度ということをおっしゃったのは厚生年金の関係ですね。国民年金のほうの百円を百五十円に、二百円を二百五十円にするとおっしゃると、何か少ないように見える。ところが、これは全被保険者にかかるわけです。世帯四人としますと、三十五歳以上の人が二人いる、三十四歳以下の人が二人いるということになりますと、片方の人で今度上がるほうで月二百五十円ですから、五百円ですね。若夫婦で月に九百円ですね。ですから、厚生大臣の御比較ですが、片方は本人だけしか保険料を取られない。ところが国民年金では、全部の被保険者について、世帯について取られるわけです。そういうことになりますから、厚生大臣のおっしゃった比較は、その金額をもってすると、国民年金が非常に感覚的に、またその人たちにとっては非常に払いにくいということになるわけです。その点をひとつお考えになっていただきたい。片っ方は一人分しか払わない。片っ方は世帯全部払う。そういうことで、この国民年金の保険料の値上げというものは非常に大きな問題です。政府のほうの御努力はわかります。この内容では、私も厚生年金は一生懸命、虫ですから、わかっておりますけれども、なお御努力が足りない。厚生年金が五割七分、これが五割六分ではなお御努力が足りないということを、また私どもの申し上げた点も御理解をいただいて、さらにこれを低くしていただく努力、高くしない努力、それをひとつやっていただかなければならないと思う。 ところで、この一月のほかに、四十四年の一月にさらに引き上げがあれば、それがまた過重になる。それからもう一つ心配があるのは、これはさっき年金局長はそうでないと言われたので、やや安心でございますけれども、しかし、よくその決心を固めていただかないと——保険料に対して十割の国庫負担をするときの保険料値上げ案がこれだった。ところが、あっちのほうがことしは飛ばされているわけです。そういうことになりますと、いまはそういう決心を固めておられても、これはうっかりして、ぼんやりして納めると、さらに保険料値上げというようなおそれが出てくるわけです。ですから、先ほども言ったように、国庫負担は奪回する、原案のとおりにとるということを絶対にしなければいかぬ。そういう点をひとつ決心を固めておいていただきたい。厚生大臣の御決心を伺いたい。
○鈴木国務大臣 この被保険者の負担の問題につきましては、四十四年の一月の時点におきましても、その時点における所得がいかようになっておるか、その時点における負担能力を十分考えて、実質的な重税にならないように、そういう配慮を十分いたしたい、かように考えておるわけであります。
○八木(一)委員 先ほど免除の問題に触れましたけれども、免除のもう一方の側面で、免除制度についての扱いを根本的に変えるとともに、その免除制度の適用の範囲を拡大しないと、特に保険料は上がりますから、その境目の人は猛烈なことになる。ですから、免除の適用範囲をうんと広げる必要があろうと思う。そういう点について前向きな御準備も、厚生大臣も年金局長も年金課長も、しておられなければならないと思うのですが、それについてのお答えをいただきたい。
○伊部政府委員 免除制度の運用につきましては、この法律の中におきましても、十五万円から二十四万円というぐあいな改正を行なっておるのでございますが、免除制度の円滑な運用によりまして、先生御指摘のような事態が起こらないように考えたいと思っております。そのため、昨年免除基準のための調査を実施いたしまして、これをもとに、新しい保険料に対応する新しい免除基準をつくってまいって、無理のないようにいたしたいと思っておりますが、なお今度の改正によりまして、給付の計算の基礎が月単位になっております。したがいまして、従前もあったことではございますが、この月単位による免除というものを考える余地が出てきたわけでございます。そこで、一年単位でなく月単位で免除を考える際、従前千二百円を負担しておった方が二千四百円になる。そこで千二百円、あるいは二千円ならば負担ができるが、二千四百円では困るという方もあろうかと思われますので、その辺は月の運用によりまして、たとえばそういう方は六カ月払っていただいて六カ月免除する。あるいは十カ月払っていただいて二カ月免除する、こういうことによりまして、免除の場合におきましても、先ほど御説明申し上げましたように三百五十円から八百円に引き上げておりますので、いずれの場合によりましても年金額としては向上をするということになるわけでございます。
○八木(一)委員 免除の適用については、これは法律規定のほかに、行政運用でやられている点がずいぶん多くあると思います。それについて、前向きな御計画をひとつ早急に示していただきたいと思います。それについて、さらにこれはこうすべきであるんじゃないかというような論議を展開して、そういう点についてのこの委員会の各種の意見をもとにして、極力免除の適用者を拡大するという方針をとっていただきたいと思うのです。それについての厚生大臣の基本的な、前向きな御答弁をひとつ伺いたい。
○鈴木国務大臣 この免除範囲の拡大の問題につきましては、ただいま厚生省におきましても鋭意検討いたしておるわけでありまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 次に、福祉年金の問題がたくさんございますが、引き続き拠出年金制度についてすっとなでて——ほかの問題についてもまずなでる程度ですよ。えぐる程度じゃありませんけれども、なでて御質問をいたします。 スライドの点で、今度条文がいささかよくなったようでございますが、こんなことではまだ不十分だと思うのです。「すみやかに」とかという文言はないよりはあったほうがましであります。「すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない」と第四条に書いてあります。これはないよりはましですけれども、前から言っているように、こんな抽象文句ではいけないのです。あの当時、国民年金制度の拠出年金制度に対する国民の非常な反対運動がありました。反対運動の中で少し理屈の間違った論点のあったことも私知っているのです。その中で一番重大な問題は、いま払っている保険料が何十年後に返ってくるとしても、貨幣価値が下落しておったら問題にならないじゃないかということで、ほんとうに当然中の当然の理屈であって、反対運動、批判運動の主軸であった。それにこたえるためには、ほんとうにはっきりと答えなければいけない。たとえば貨幣価値が半分になったら——半分ということよりも、貨幣価値が何割か減ったならば、その減った分の逆比例の分だけ年金額を自動的に上げる。これは法律改定でなくても、法律的に基本的にあって、たとえば貨幣価値が半分になったら年金額は倍になる。法律を提出しなくたって、可決しなくたって、もらえるものは、今後二十五年の五千円のものは一万円になるのだ、そういうような自動的にオートメーションで動く規定を設けておく必要があろうと思うのです。 それからもう一つ。国民生産が非常にふえてくる、生活事情が上がってくる。これを、いまの年代の人が働いて、そのために経済が伸展して、それで生活自体が上がるのですが、その前代の社会を受け持っている老人に対して、いまの人たちの努力の配分を同じくしなければだめだ、そういう意味のスライドもしなければならない、物価のスライドと、両方、二つしなければならない。この二つについて、国民年金の条項はほかのものよりは少しましなんですが、ましといってもちょっとましになっているだけで、根本的に解決してない。「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合」というように、「著しい」というブレーキがかかっておるわけです。「著しい」というのは認定事項だから、貨幣価値が半分になっても著しくないと、非常にわけのわからぬ政治家が思えば、これはとまってしまう。そんな「著しい」などという文言は一つも要らないわけです。変動が生じたらそれを直さなければいかぬというぐらいに政府原案としても出てこなければならない。竹内さんもそのとおりだというような顔をしておられる。 そういう「著しい」などという文言をはずして「すみやかに」というなら、まだまだこれは十点満点のうちの一点か二点になると思うのですが、ほんとうに十点満点の十点にするには、とにかく貨幣価値の変動に応じて、貨幣価値が下がったら逆比例で年金額をふやす。そういうものを直ちに一年ごとに改定しなければいかぬ。あるいは何%以上の変動があったら——私どもは五%くらい変動があったら改定しなければいかぬと思うのです。そういうことを変えなければいかぬというような規定をはっきりとここに載せなければ、ほんとうに国民の心配を解消したことにならない。 国民年金制度はあれだけ問題がありましたが、これは政府のほうがひきょう未練な方法をとりましたので、いま適用されてしまって、たとえば、拠出制年金に入らないと福祉年金のほうも適用者にならない、拠出制年金に入って、保険料を払っておかないと、偶然に事故が起こって一級障害になっても一級障害の福祉年金がもらえない、それから、なくなった場合に遺族に対する母子年金がもらえない、そういうような不利益条項をあそこに結びつけた。払わなければこれをやらないぞという強迫をして入れた部分がある。ほんとうに納得して入ったのではない。ほんとうに納得して入るには、一根本の問題はスライドをがっちりとすることである。ですから、そのような貨幣価値の何%以上の変動に対しては必ず自動的に金額が改定されるという条文を入れなければ、これは国民の信望を得るものにならない。ことに、今度は保険料の値上げがある。そこでまた反対運動が再燃して、日本国じゅう大騒動になって、いろいろな意味でみんなが心配し、みんなが苦労することをとめる、そういうことをしたくないとお思いになるならば、そこで自動的にこういう条文に変えなければいけない。(発言する者あり) 委員長、不規則発言は禁止してください。とんでもない。不規則発言するやつは退場をさせなさい。
○藏内委員長代理 静粛に願います。
○八木(一)委員 (続)今度不規則発言したら退場ですよ。これを退場を命じなかったならば、委員長自体自分で懲罰委員会に申請してください。委員長の任務を果たしていないのだから。 そういうことで、なぜこういうことをやらなかったか。厚生年金のときに、あれだけスライドについて厳重な附帯決議をつけられ、約束もされた。厚生年金の改正から一年たっているのです。こういう重大な問題を一年間で解決できない。そういうようなことでは厚生省の資格はない。内閣としての資格もない。年金でスライド問題がどんなに大事であるかということはだれもかれも知っている。理屈で知っているだけでなくて、国民の中で感覚的に知っている。昔の制度で、インフレが起こって貯金もだめになって、郵便年金もだめになって、全国民が知っているわけです。そういうような悪夢を忘れて、ほんとうに国民年金制度を信頼して、これに一生懸命保険料を払い込んでおけば老後の生活で安定ができるという安心を持たせるためには、このスライドをがっちりとしなければならない。なぜこの「すみやかに」ぐらいの改定でとどめるか。ないよりましですけれども、「著しい」なんという文言をなぜ省かなかったか。何%以上のときには自動的に改定されるということをなぜ積極的に入れなかったか。何回口をすっぱくして言ってもこれをやろうとしない。厚生省が一生懸命やらなければできないですよ。スライドについてはほかの制度がある、共済がある、何とかかんとか言っても、根本は、国民年金や厚生年金は厚生省が踏み切らなければほかの省は踏み切るはずはありません。この国民年金だけは断固として踏み切る、今度から踏み切る、そういうことをやられなければ、年金制度、所得保障制度全体についての国民の不信の念を払拭できない。どうしてこういうことをされなかったか。どうしてこういうあいまいな条文だけの改定にとどめたか。「著しい」なんということばはなぜ省かなかったか。はっきりした御答弁を願いたい。
○鈴木国務大臣 国民皆保険の制度のもとに強制的に加入をさしている制度であるわけであります。また、二十五年拠出というようなぐあいに、みずからも被保険者が積み立てをしていく、こういう制度でございますから、法定されたところの給付が、実質的にその時点で給付をされるということが絶対に必要である、政府はそれに対して十分責任を果たさなければならない、かように私は考えておるのであります。そこで、「著しい」とか、いろいろな表現はありますけれども、基本的には貨幣価値の変動等に対処しては、十分その法定の実質給付がなされるように、スライド制につきましては政府としても真剣に取っ組んでまいる考えであります。ただいま、国民年金審議会等でせっかくその問題は御検討いただいている点でございますので、私どもは、いま申し上げたような国の責任を明確にして、被保険者の方に安心してこの制度に加入していただき、またそれによって老後の生活保障の資になるように、さようにしてまいる考えであります。
○八木(一)委員 これは年金局長でいいですが、厚生年金のときに、そのスライドについて具体的なものをすぐ考えるという公約をされて、それから附帯決議がついた。それをどこの機関で、どういうふうにやっているか。
○伊部政府委員 スライド問題につきましては、先般の厚生年金法の御審議の際に最も多くの御議論をいただいた問題でございまして、また附帯決議も御指摘のようにいただいておるわけでございます。このスライド問題につきましては、年金額の実質的な価値を維持するということは、年金制度を維持していく上で一番基本的なことであろうと考えております。この点は過去の実績を見ましても、たとえば厚生年金が発足した当時の老齢年金が今日一万円年金になっておる。当時の標準報酬あるいは旧規定を基礎に計算をいたしますと、約十七円程度の恩給、年金になるのでありますが、これが今日一万円年金に厚生年金がなっておる、あるいは国民年金におきましても、発足以来五年間の給付を二倍半程度に引き上げようといたしておるのでございまして、そういう点の過去の実績ということは御配慮をいただいておる点でありますが、今後スライドをどういうぐあいにするかということでございます。これにつきましては、社会保険審議会の厚生年金部会及び国民年金審議会におきまして、このスライド問題の御検討をいただいておるわけでございます。なお、国民年金法の改正にあたりまして、この問題も御審議をいただいたのでございますが、一つは、非常に基本的ないろいろな問題を含んでおるということもございますし、もう一つは、完全な自動スライド規定といいますものは、長所もありますと同時に、ある意味におきましては年金の体系を固定化する欠点がある点の御議論があったのでございまして、そういった点も十分もう一度検討してみる必要があるので、その際は、厚年に均衡のとれた年金額の引き上げということに主眼を置いて、改正案を提出すべきであるという御意見でございまして、ただいま先生の御指摘になりました条文は、昨年の厚生年金保険法の御審議の際に国会で修正された条文のように、このスライド規定を改正する原案にいたしたのでございます。 なお、スライドにつきましては、いわゆる自動スライドと政策スライドがあるのでございまして、日本の厚生年金あるいは国民年金はいわば、この表現からまいりますと、政策スライドということになろうかと思うのでございますが、ただILO等の分類によりますと、政策スライドあるいは自動スライドともにスライド規定を持つということになっておりますので、その上におきましては、日本もスライド制を採用しておると言ってもいい面もあるのでございますが、御指摘の点は、このスライドより明確なフォーミュラを考えるべきであるという御意見であろうかと思いまして、この点は今後の課題として早急に両審議会の御審議をお願いしたいと思っておるところでございます。 なお、スライド規定の詳細につきまして、外務省にお願いをいたしまして、主要数カ国の資料を在外公館から提出していただいております。御審議をいただく際の材料にしていただこうかと思っておるのでございますが、ただいま集まりました西ドイツ、フランス、イタリア等の資料によりますと、スライドをするフォーミュラは相当詳細になっておりますが、なお完全に自動にはなっておらないのでありまして、時の賃金水準あるいは経済情勢あるいは財政状況等を勘案をして定めるようになっておるようでございます。
○八木(一)委員 非常に丁寧な説明もいいですが、伺ったことは、国民年金審議会と社会保険審議会で何回くらい審議をやり、何時間くらいやりましたか。
○伊部政府委員 厚生年金部会におきましては、一回でございます。それから国民年金審議会におきましても、一回でございます。
○八木(一)委員 そういうことだからいけないというんです。審議会にゆだねるのはいいですけれども、あれから一年間で一回というのでは、百年河清を待つようなものです。あなた方が改悪法案を出すときには、審議してくれ、審議してくれとわんわん言うでしょう。保険料を上げるときの十倍ぐらい一生懸念やらなければだめですよ。かってな改悪法案なんかはやってくれやってくれと言うかわりに、大事なことについてはなまけてなまけて大なまけ。ほんとうにけしからぬと思う。厚生大臣、どう思いますか。こんな大事なことについて一回しかやっていない。それで健康保険法の改悪法案はせいてせいて一生懸命やっている。そういうようなことだから厚生省はいけない。スライド審議会を、そんなにとまっておるなら、われわれつくってもいい。
○伊部政府委員 厚生年金部会におきましては、先般の厚生年金保険法が成立いたしまして、それに伴う厚生年金基金の問題が相当御議論いただいておりまして、まだスライド問題は本格的に取り組む時間的余裕を得ていないのでございます。しかしながら、厚生年金基金の問題につきましても、おおむね審議が大詰めに近づいてきたように存じますので、本年度はスライド問題についても相当御議論いただけるものと期待しているわけでございます。国民年金審議会としましても、厚年部会と並行いたしまして、この問題についての御検討を仰ぎたい、かように考えております。
○八木(一)委員 国民年金審議会でも一回しか開いていないのだし、そんなに熱心じゃないと思う。国民年金審議会の答申を見ると、専門審議会でありましょうけれども、とにかく大したことはない答申しか出ていないでしょう。とにかく六十点くらいの答申でしょう。政府原案をちょこちょこっといじって、これでいいとかなんとか、一つくらい意見をつけて、制度審議会は完全ではないけれども、それでもそれよりずっとましな答申である。あなた方はいいかげんでわかっているから、臨時医療保険審議会という妙なものを考えるんだったら、なぜその前にスライドをほんとうに早く進める審議会をつくらないか。自分たちのかってな改悪法案を考えるときには、妙な審議会をでっち上げて、大事な問題についてはほったらかしておる。臨時医療保険審議会なんかやめて、急速に各年金制度のスライド審議会というものをつくったらどうですか。厚生大臣のお考えを伺いたい。
○鈴木国務大臣 このスライド制の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、ただに国民年金制度だけの問題でなしに、年金制度全般に対する国民の信頼また安心を確保する上からいたしましても、重大な問題だ、かように考えております。今回の改正も、そういう意味で給付内容を大幅に引き上げようというのも、先ほど局長は政策スライドだ、こういうことも言ったのでありますけれども、実情に合うように給付の内容を改善しよう、絶えず私どもそういう考え方を持っておるわけであります。国民年金審議会また社会保険審議会の部会等におきましても、あるいは調整年金の問題でありますとか、いろいろな問題と取り組んでいただいておるわけであります。このスライド制の問題は決して私ども軽視しておるのではなくて、先ほども申し上げたように、年金制度の最も基本的な問題であると考えておりますので、今後ともスライド制の問題について早く答えが出て、国会の御審議をわずらわすように努力いたしたい、かように考えます。
○八木(一)委員 それについては政府の考え方でも、こういうことはどうでしょうかと積極的に示せば、これはまた推進するんですよ。改悪法案については、積極的にこういう改悪をしたいということを示す。それなのにこういう大事なことは全然なまけて原案もつくらない、草案の素案もつくらない。悪いことについては草案の素案をつくって早くやっているでしょう。政府のほうも自動スライド、政策スライドなんて名前に固着をしないで、そういう名前を使ってもいいですが、一番いいのは、物価については自動スライドですよ。生活水準とか賃金とかいま言った問題、これも自動スライドにできるところはしたほうがいいのですけれども、これはなかなかむずかしいから、政策スライドになるという部分もあるかもしれない。少なくとも物価については自動スライドをとらなければ国民は信頼をしない。政策スライドの部分は、いま言ったような国民の総生産とか賃金とか生活水準、それでやっていっていいわけです。そんなことは一生懸命考えればすぐわかることです。そんなものはヨーロッパや何かごちゃごちゃ調べぬでもわかる。こっちがりっぱなものをとって、ドイツやフランスにまねをさせるようにすればいい。これはヨーロッパにおんぶしないで、こっちがヨーロッパを指導してやればいい。そんなことに手をかけるより、ほんとうに大事なことは何かということを考えれば、どれが大事だということは出てくる。そういう方針で、こういうことでどうでしょうかと政府が出せば、そういうことから進むわけです。そこでもなまけていれば審議会なんか抜きにして提案したらいいのです。そのような勢いでいかなければ、むずかしい問題は全部審議会、そしてその中で大事な問題は審議会を督促しない、ただ大蔵省に押されたような問題だけ審議会のほうに早くやってくれ、早くやってくれ、厚生省の主体性は一体どこにあるのですか。大蔵省からぎゃあぎゃあ赤字赤字と言われる問題だけ一生懸命やって、ほんとうに進めなければならぬ問題についてはなまけ切っておる。そういう厚生省の根本的な姿勢を直されなければいけない。スライド問題についてはほんとうに急速に根本的にやられる、政府のほんとうに確信を持った数字を出す、こういうものはどうだろうかと審議会にはかる、審議会がそれで動かなければ、いま動いていないのだから、即時でもこれこそは臨時スライド問題審議会でもつくって急速にやってもらう、ほかの問題と一緒じゃ延び延びになってしようがない、そういうことを考える必要があると思うのです。これは宿題としておきますから、わが党の、あるいは自民党、民社党の熱心な議員がどんどん突っ込まれると思いますから、そのときにぱちんと、あしたでもあさってでも答弁ができるようにひとつ考えておいていただきたいと思う。
○滝井委員 関連。これは資料ですが、さいぜん外務省に依頼して在外公館から主要国のスライドフォーミュラをもらった、西ドイツ、フランス、イタリアですか、その資料をひとつあす委員会があると思いますから、出していただきたいと思うのです。
○八木(一)委員 それじゃちょっと急ぎます。なでることを急ぐのですよ。あと深いことはまたさせていただきますが……。 その次に積み立て金の運用でありますが、これは集まった保険料の四分の一だけ還元融資というようなことで、与野党の議員が一生懸命、特にここにおられる河野さん、滝井さん、吉村さんやぼくら一生懸命追及して、そういう制度が数年前にできましたけれども、それから横すべりになっているのです。あそこで各審議会が特別勘定をつくれということを何回も何回も言っているわけです。私どもは特別勘定みたいなものではまだちゃちなものだ、こういうような積み立て金というものは、この金自体が給付のための積み立て金だから、被保険者自体の問題である。国が金を出そうが出すまいが、積み立て金となった以上は、これはその人が老齢のときの給付あるいは障害のときの給付あるいはその人がなくなったときの遺族の給付の金だから、本則的にこれは被保険者のものである。ただ非常に膨大な金だし、使い道を間違えるといけないから、その道の達人が幾ぶん管理することを許すというだけの問題であって、被保険者のものである、被保険者の意思によって運用されて、被保険者のために運用されなければならないという性質のものだ、それにもかかわらず四分の三という金額が資金運用部を通じて、ほかのほうでもさんざん金を貸してもらっている独占企業に使われるということであってはならないということが本筋なのです。そういうことについて厚生大臣はしっかりと考えておられると思いますが、そういう考え方に立つならば、四分の一というような還元融資でほったらかしにして、問題をそのままにしておくということは許されない問題だ、今度なぜこの問題について、審議会でせめて特別勘定を設けるとか、四分の一を三分の二くらいにするとか、そういうような提案をされなかったか、なぜそういうようになまけたことをしておられるのか、それについての厚生大臣の反省を込めての御答弁を願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 国民年金の積み立て金の運用につきましては、二五%につきまして国民の福祉に寄与するようにこれを還元融資する、あとの四分の三につきましても、やはり大局的に見て国民の福祉に寄与するような運用がなされなければならないのであります。また一面こういう国民の皆さんからお頂かりをしておる積み立て金でございますから、安全かつ有利にこの運用もはからなければならない、安全に確実にこれを運用するということと、これを国民の福祉に合致するように運用する、こういう二つの要請があるわけでありますから、私はただに二五%の分だけでなしに、あとの四分の三の問題につきましても、大蔵大臣と厚生大臣が十分話し合った方針によってこの運用をやってまいる、こういう方向で大蔵大臣と話し合いをいたしておるのであります。
○八木(一)委員 あとの四分の三については、いまどういうふうに融資をされておるか、大蔵省のほうからひとつ伺いたい。
○伊部政府委員 大蔵省の担当が参っておりませんので、私からお答え申し上げます。 〔藏内委員長代理退席、委員長着席〕 年金資金等の昭和四十一年度におきます運用の計画は、国民生活の安定向上に直接役立つ住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業の分野に三千八百七十五億円が充てられております。この額は年金資金等の総額の七九%に当たっております。残余は、国民生活の安定向上の基盤となる国土の保全、災害復旧、道路、運輸通信、地域開発に千七億円が充てられておりまして、この額は年金資金等の総額の二一%に相当するものでございます。なお、基幹産業及び輸出振興には、年金資金は一切充てられておらないのでございます。
○八木(一)委員 ちょっとわからないのだが、還元融資二五%というのは、このどっちにどれだけ入っているのですか。
○伊部政府委員 還元融資は七九%のうちに入っているのでございます。今年度千百六十四億円でございます。今年度はなお二五%のほかに、国民年金の保険料の引き上げ等がございますので、五億別ワクとして還元融資がふやされております。
○八木(一)委員 そこで、それは千百六十四億使われておるのでしょう。それで五億というのはないよりましなようなことですけれども、五億というのは何%に当たりますか。
○伊部政府委員 千百六十四億円は厚生年金を含む額でございます。したがいまして、国民年金では百四十六億が本来の二五%でございます。これに五億を加えたものでございます。
○八木(一)委員 主題のことは聞こえなかったから、あるいは厚生年金特別会計か何かで言われたのかもしれませんけれども、とにかく国民年金の質問をしているのですよ。そこで厚生年金の積み立て金とごちゃごちゃの答弁をなさるということ、そういうやり方はいけないですよ。ぼくら数字見てわかりますから、おかしいなとすぐ気がつくから言うけれども、千百六十四億となれば、国民年金からそれだけ出ているのはかなり大きいなという感じがするわけです。われわれだからいいけれども、傍観者がいたら何のことだかさっぱりわからない。そういうようなずるいやり方をしないでください。国民年金のときは、初めから国民年金の数字でおっしゃっていただきたい。
○伊部政府委員 国民年金の本年度の預託金増加見込み額は五百八十五億円でございます。これに対して二五%が百四十六億円、このほかに五億円を加えまして、百五十一億円が還元融資になっているわけでございます。実は百五十一億円は、それぞれ使途別の分類があるのでございますが、四分の三分につきましては年金資金等ということで一括されて使途別分類がつくられておるということでございます。
○八木(一)委員 そんなごちゃごちゃなことではわかりませんよ。この中で中小企業といえば何か国民に関係があるかもしれないけれども、中小企業にも大きいのも小さいのもあるわけです。中小企業の大きなところにうんと事業融資をし借りられているのだったら、国民の権利はそれだけ侵害されていることになるわけです。そういうようなでたらめなことじゃなしにはっきりしなければ、こういう大ワクのいまの答弁は、間違いなしにその実態がでたらめであるなら、これは大問題です。中小企業というのはピンからキリまであります。大企業の一つ次の中小企業だってある。そこに国民年金の資金が事業融資として与えられておる。文教というのはどういう内容ですか。大体こんなものは一般行政から出すのがあたりまえだ。国土保全というのは一体何ですか。こんなものは一般行政から出すべきだし、融資もそれこそ出すべきじゃないですか。
○伊部政府委員 厚生福祉施設は御案内のとおりでございますが、中小企業につきましては国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金に資金が回っておるわけでございます。それから文教関係につきましては、一般地方債でございますが、私学振興会と地方公共団体。それから農林漁業につきましては開拓者資金特別会計、特定土地改良事業特別会計、農林漁業金融公庫、愛知用水公団、農地開発機械公団、森林開発公団、農地管理事業団、八郎潟及び地方公共団体。それから住宅は住宅金融公庫、住宅公団、年金福祉事業団、雇用促進事業団、地方公共団体でございます。国土保全、災害復旧については地方公共団体。それから道路は道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、地方公共団体でございます。運輸通信は、国鉄、特定船舶、鉄道建設公団、空港公団、地方公共団体でございます。
○八木(一)委員 非常にあいまいでございますから、そういう精密な資料をこの委員会に提出されるように要求をいたしておきます。 それからいま大まかに聞いたわけでございますが、たとえば中小企業金融の三団体にこの金が回っておる。この中で国民金融公庫は庶民金融に近いけれども、そうじゃないところはいわゆる中小企業金融ということになります。そうすると、中小企業のかなり大きなところの事業資金に回っている。おそらく金額は多いと思います。そういうようなことがある。国土保全なんというものは、一般行政で当然やらなければならないし、それを何らかの機関に融資をしたとするならば、一般の公債、一般の融資の金でこれをやるべきだと思うのです。もう一つは、この厚生年金と国民年金の金を使っているけれども、ほかの共済組合の金がここに使われておるかどうかという問題もあろうと思う。そういうことであれば、こういう厚年、国年の金だけが、そういうような美名のもとに、被保険者の直接利害以外のところにずいぶんと使われているという内容になろうと思う。こういうようなことがあるから、四分の一の還元融資というものを二分の一、三分の二ぐらいに拡大しないと国民年金の被保険者のほんとうの利益が守られないということになろうと思う。いま厚生大臣は大蔵大臣と相談をしてと言われた。いまの政府の現状はそうですけれども、大体これは国民年金の被保険者の金だ。厚生省が管理するのはあたりまえです。大蔵省が管理して、そのうちちょっと還元融資にもらえないかということで、やっと五億円ことしもらった、そういう性質のものじゃない。厚生省が管理をして、それで国民年金制度の被保険者の団体が方向をきめて、被保険者のためにこれはほんとうは全額還元融資の対象にされるべきだ。そこで予定利率を上回ったことをしなければならない、あるいは確実に融資、投資をしなければならないという要件もあるけれども、その責任を厚生省が持つということだけであって、厚生省でもかってにすることは許されない。ましてや大蔵省などがかってにすることは許されない金である。それを厚生省と大蔵省と相談してというような弱い立場であってはいけない。厚生省のものだ、厚生省が国民の被保険者の方々のために管理をしている金だという精神でこれを厚生省の所管に移す。大蔵省から間接に国民年金の被保険者に、大事だから何とかそちらへ融資に回してもらえないかというときに、いろいろと勘案してごく一部回してやるということがあるというふうに主体を立て直さなければならない。それについての厚生大臣の強い決心と、今後大蔵省とそういうことについて議論をして、その管理を取り返す決心を伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 この積み立て金の管理、運用は政府の責任でやっておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、この運用にあたりましては安全、確実ということと、国民の福祉に合致するように、こういうたてまえで政府の責任で行なっておるところでございます。したがいまして、基幹産業であるとか輸出産業であるとか、そういう面に対しましては一切融資をいたしておりません。すべて国民福祉に合致するように、こういうたてまえで政府の責任で運用してまいりたい。
○八木(一)委員 政府の責任でやっていられるのはいいですよ。しかし、政府の中ではどこの省が所管するかといえば、厚生省が所管をしなければならない、大蔵省であってはならない。それを厚生省の主管大臣がそういう決心を持っておらない、そういう考え方を持っておらないのでは、厚生大臣としての資格はありませんよ。いま残念ながら大蔵省の管理であってもこれは厚生省が管理すべきものである。何が何でもそれを主張して厚生省の管理に移さなければなりません。そういう決心を披瀝なされないような厚生大臣であっては、この国民年金制度を所管される資格はありませんよ。
○鈴木国務大臣 これはそういう趣旨で私ども国民年金の積み立て金の性質にふさわしいように運用してまいる、この点におきましては、厚生大臣が最も強いこれに対する発言権を持って運用に当たっていく、こういうことでございます。
○滝井委員 関連して。鈴木さん、あなたの前任者、すなわち古井さんのときからこの問題が非常に大きな問題になっておるわけです。そうして当時古井さんは、ある程度政治生命をかけて、この積み立て金の運用については特別勘定でやらなければいかぬという強硬な主張もしたのですよ。そうしてこれはわれわれもこの委員会で相当言いました。できるだけひとつ来年からやる、幾度かそう言ってきているのですよ。ところが、いまのあなたの御答弁を聞いていますと、安全かつ有利にやる、国民の福祉に直結するように運用するということだが、それは原則でそうきまっているのであって、運営の主体は一体どこに置くか、いますべて大蔵省にとられてしまっているのです。それでは納得しない。国民の零細な保険料をこつこつ集めていくのだからとても納得しない。だからこれは厚生省が少なくとも運用しなければいかぬのだ、そういう政治的な一応の妥協としてできたのが使途別分類表ですよ。それをいま年金局長が読んだ。これは予算書を見たらちゃんと使途別分類表に書いていますよ。そういう形で、あれはとりあえずの政治的妥協としてできたものです。その後も厚生大臣はこの席で幾度か、来年からも厚生省が主管をするような形でやりますということを言ってきておるのに、いまの大臣の御答弁ではちっとも前進をしていないですね。だから、そういうように、責任ある政党の大臣が政党政治のもとで委員会で言明したことが、大臣がかわるともとのもくあみに返って、また原則論だけを終始答弁していくということになれば、これは議会政治の発展はないですよ。そういう答弁ならわれわれは率直に言ってこの法案を通すわけにいかぬですよ。いまの政党政治のもとにおいては、野党というものは、いつも言うように法案を審議するとき以外に発言権はない。与党の議員もこういうときでなければ党の領袖以外は修正権を持たないということになるのですから、与党の諸君も代議士としての権威を確立するために、筋の通ったこと、大臣が言明したことは野党も率直に賛成をしてやる体制をつくることが私はほんとうだと思う。議会が修正をしないと意味がないですよ。ビューロークラシーが横行することになってしまう。官僚政治と戦うために明治以来われわれの先達は血と汗を流してきておるのです。これはやはり藩閥官僚を打倒するために血を流してきておる。だから、いまのビューロークラシーをある程度是正をしていく、打倒する必要はないから是正をしていくということになれば、政党の大臣が言明したことを、国会のたびごとに同じことを繰り返しておったって意味がないと思うのです。これは少し伊部さんも大臣に古井さんのときからの歴史的傾向を説明する必要がある。歴史的傾向をいまの大臣はちっとも知ってない。いまの答弁では歴史的傾向を教えなければいかぬですよ。古井さんはこの戦いで血みどろの戦いをやったのです。そういう意味で、大臣、いまのような原則論の答弁は、われわれはもう耳にたこのできるほど聞きあきてきているわけです。もう少し明白な、古井さんが諮問をして国民年金審議会が答申をした線までいけなければ、少なくともことしは、では私のほうは二割五分を三割くらいに前進しましょうというくらいのことは言わなければ、原則論ばかり言って、安全かつ有利に運用いたします。これを国民の福祉に合致するように運用いたしますということだけでは一歩も前進はないですよ。しかも横の局長があたかもそれを二つの原則にいまの運営のしかた、使途別分類の運営のしかたが合致しておるがごとき答弁をするというのはもってのほかです。あなたも古井さんの諮問をした答申の結論を実施していないということになる。大臣も補佐する局長もそれを実施せずして馬耳東風でいくというなら、政治はもはやないですよ。だから、この点大臣、いまのようにあなたが不勉強なら、もう 一ぺん勉強し直して、あすでもあるいは来週でも出直していただきたいと思うのです。いまのような答弁ではとてもだめですよ。
○鈴木国務大臣 これは先ほど来申し上げるように、国民年金の被保険者の積み立て金をお預かりし、運用しておる重要な問題でありますので、年金審議会の答申等の趣旨の線に沿うて私も就任以来事務当局を督励し、なお私自身も大蔵大臣とも話し合いを進めておるところでありまして、積み立て金の使途を明確にするために特別勘定を設定して、そして先ほど来申し上げるように、国民の福祉に合致するようにこれを運用してまいる、そういう方向でただいま政府部内で意見の調整をはかっておる、こういう段階であります。私は、政府部内の調整努力、こういう段階でございますから、古井さんのようなぐあいに明確にここに申し上げられなかったのでありますけれども、そういう趣旨を体して努力をしておる、こういうことだけは御了承をいただきたい、こう思うわけであります。
○滝井委員 この問題は古井さんのときからですから、もう三年越しになるわけですよ。それでまだ意見の調整ができないということもおかしいのです。しかも、私たちは、その意見の調整ができなければ、資金運用審議会の委員の中にでも労働者代表を入れいという主張をした。ところが、これも大蔵大臣はがんとして受け付けない、絶対だめだ。与党も一緒になってそれはだめだ、こうなっている。だから、まずわれわれは、一挙にそんな理想的なことができないならば、しかもその資金運用審議会にでも委員を入れたらどうだと言っても、それも入れない。それでは幾ら意見の調整といっても、これはできやしないですよ。意見の調整をするというなら待ちますよ。この法案が少なくとも国会を通るまでに結論を出して御答弁いただきたいと思うのです。これは私も何回も質問しているのです。他の委員もみな何回も質問しているのですよ。幾度か言うて、そして牙城が抜けないというなら、これは力で抜くよりしかたがないですよ。力といっても体当たりで、暴力で抜くわけじゃないですよ。それは合理的に、合法的に力で城を落とすよりしようがない。だから大臣、意見の調整をやっているならばすみやかに一この法案の審議中に大蔵大臣と一晩二晩徹夜でやれば結論は出ますよ。ひとつやって、ぜひしていただきたいと思うのです。そういうことでいいですね。
○八木(一)委員 厚生大臣、同僚の滝井委員の質問に対するお答えがないうちに私質問に立ってしまいましたけれども、滝井委員の質問と同じことをもう一回申し上げます。ですから、特別勘定を設けること、厚生省の所管に移すこと、それから還元融資の比率を二五%から少なくともまけてまけて五〇%まで本年度からすること、そういうことについて十分に急速に大蔵大臣と協議をし、それから総理大臣に進言をして、この国民年金法の審議中にそのとおりいたしますという答弁を政府からされる、そういうことをしていただきたいと思う。滝井さんの御質問といまの最後の要望と同じことでございますが、それについてひとつ至急に努力をされて、そういう答弁をしていただく、そういうお約束をいただきたい。
○鈴木国務大臣 この問題は、先ほど来滝井さんからもお話がありましたように、歴代の厚生大臣が努力を続けておる問題であります。きわめて政治力の貧困な私が、一挙に一両日の間に解決をするということはなかなかむずかしい問題でありますが、今後とも、先ほど申し上げましたような方向に向かって私は私なりに全力を尽くして努力をいたしたい、かように考えます。
○八木(一)委員 いま、とにかく古井さんの時代よりもそれだけ時代が進んでいる、時代が経過をしているということになれば、それを早くしなければならない必要度がぐんと高まっているわけです。このようなそれに関連の深い国民年金法を審議しているという時期は、その問題を決定する一番大事な時期である。したがって、謙遜はされましたけれども、誠実で一生懸命にやられる厚生大臣が、この数日間一生懸命に努力をされて——これは解決できる問題であるし、しなければならない問題である。したがって、この国民年金法案の審議中に、その問題について厚生大臣なりあるいは総理大臣からはっきりとした約束ができるような、そのような体制をぜひつくっていただきたいと思います。私どもは、そのお約束が、そういう御答弁があるものとして審議を進めますけれども、御答弁がない場合には、委員会における公約、あるいは国民の要望を内閣なり厚生大臣が全然取り上げないということになろうと思いますから、そのときにはおのずからそれに対し国会として、またわれわれ委員として強い対処をしなければならないという決意をひとつ申し上げておきたいと思います。 次に、いろいろな問題がありますが、拠出年金をちょっとなでましたので、今度、福祉年金についてちょっとなでた質問をしたい。福祉年金の中心である老齢福祉年金について今度月額千三百円のものを月額千五百円、年額一万八千円に改定をしようという法律案を出されたわけであります。私どもはこれを見てほんとうにあきれ返ってものが言えないというような気持ちであります。年金制度の根本的な拠出年金制度は将来にわたっての問題でございますから大事でございますけれども、いまの老人の問題を考えるときに、別な意味で福祉年金制度、老人や障害者や母子家庭のことを考えますときに、福祉年金制度のほうが実際的にはるかに大事だという内容を占めておると思う。そこで千三百円を千五百円、ほんとうに話にならない金額だと思います。昭和三十四年の十一月に福祉年金発足当時から現在に至る、あるいはまたこのささやかな年金の発足するのは来年の一月で、それを受け取るのは来年の五月になる内容ですけれども、年金額の改定は本年度の予算に一つも関係がない。こんなインチキきわまる法案の内容ですけれども、とにかく、本年、いままでの物価変動、貨幣価値の変動、来年五月までにどのくらい変動するかという推定、その金額について当然研究をしておられなければならないと思う。その金額についてひとつ発表していただきたいと思う。
○伊部政府委員 物価水準は農村平均で見ますと三十四年を一〇〇といたしまして、三十九年が一二七・一でございます。
○八木(一)委員 全国平均で言ってください。
○伊部政府委員 全国平均で申しますと、同じ期間におきまして一四〇になります。
○八木(一)委員 それはいつの時点までですか。
○伊部政府委員 三十九年までであります。
○八木(一)委員 三十九年の何月ですか。
○伊部政府委員 年間平均でございます。
○八木(一)委員 三十九年の何月の時点ですか。
○伊部政府委員 失礼いたしました。消費者物価指数、昭和三十四年を一〇〇といたしまして全都市平均……。
○八木(一)委員 ぼくら分割したものは要らないですから、全国平均で言ってください。
○伊部政府委員 資料としては全都市平均と農村とでございますので、とりあえずこれだけ申し上げたいと思います。全都市平均では三十四年度暦年を一〇〇といたしまして、四十年度が一四〇・二でございます。したがいまして、これは年度でございますので、四十一年三月までの見込みをカバーしておるわけでございます。農村平均につきましては、農村の消費者物価指数は、昭和三十四年を一〇〇といたしまして三十九年で一五・〇でございます。ただいまのところ資料はこういう状況でございます。
○八木(一)委員 それはどこの資料でございますか。
○伊部政府委員 全都市平均は総理府の家計調査報告、農村平均は農林省の農家経済調査でございます。
○八木(一)委員 こういう問題について企画庁の数字はないのですか。
○伊部政府委員 調査の上次回にお答えいたします。
○八木(一)委員 同僚の委員の数字によると、企画庁では一四九という数字が出ておるのだそうです。とにかくこの数字から見て、企画庁の統計について、またほかの統計について、精密にひとつ資料を出していただきたいと思いますが、企画庁の数字によれば一四九、厚生省の数字によると一四〇ということになります。これが四十年ですが、この年金が今度改定額が施行されるのは四十二年の五月ですから、それからずいぶん物価が上がりますね。これからの物価変動が非常に多いと思いますから、そうなれば、これは一番の発足当時の老齢福祉年金月千円のものを下回る内容になる。甘く考えてもそれと同じ内容にしかならないということです。そうすると一つも発展がないわけですね。鈴木さん、実はこの国民年金制度の審議を三十四年にみんなで、ここにおられる方大部分がなされました。私も年金の虫でずいぶんいたしました。そのときの岸内閣総理大臣もいまの内閣総理大臣よりは長い時間出てこられた。それからもう一つは坂田君が厚生大臣だった。ずいぶん長いこと、何十時間審議しました。私の案について与党からも八田君かだれかが、これも十時間くらい質問していただきまして、ずいぶん討議をしたのですが、そこで、この福祉年金が少なくて少なくてけしからぬということは、もう与野党通じての金額でありまして、ただ与党のほうは、政府が泣きの涙で、これは発足するときだから、急速によくするから何とかかんべんしてもらいたいということを与党に一生懸命陳情されたので、与党の委員は少なくてけしからぬと思いつつも自民党政府の言われることだからしぶしぶ賛成をされたわけです。私どもはそういうことではいけないということで反論をしたわけです。そういうような経過で、とにかく政府のほうは急速によく直すということで、与党の熱心な方々も、政府が直されるだろう、社会保障に熱心な田中さんなんかもおられましたけれども、熱心な方も、政府が直すだろうということで、とにかく不十分だけれども通そうかという意見になられた。われわれは、こんな政府では直しっこないからだめだろうということで反対をした。社会党案を主張したわけです。案の定直っていない。五年目の改定期だ、拠出年金の改定期だといわれるけれども、国民年金の全体の大改定期に、二百円上げて千五百円、物価変動を考えれば岸内閣の発足当時よりも下落をしている。岸さんもほかの面でりっぱかもしれないけれども、総理大臣として総体的にわれわれはずいぶん批判した。ところがあの人が少なくとも社会的に親孝行しようといった案を弟さんの佐藤さんのときにそれを下落させる。兄貴のほうが親孝行で弟のほうが親不孝だという案を出してこられたのがいまの厚生省だということになる。こんな案をよくも恥ずかしくもなく出してこられた。なぜこんな貧弱な案を出してこられたか。一体幾らを主張されて大蔵省にどうなたをふるわれたか、初めから腰が抜けてこんな案しか出されなかったのか、そこをはっきりしていただきたい。
○伊部政府委員 福祉年金の額につきましては、御案内のとおり明年一月から老齢福祉年金を千五百円に引き上げるわけでございますが、このうち四百円は本年度及び前年度二年にわたり引き上げるものでございます。そこで、福祉年金の引き上げが拠出制の年金と時期を合わせておりますので、本年度は予算に組み込まれておらないわけでございます。したがいまして、大蔵省といろいろ折衝した過程におきまして二百円という数字に落ちついた、こういう次第でございます。
○八木(一)委員 原案は幾らでしたか。
○伊部政府委員 これは来年度予算がございませんので、要求という形でございませんで、国民年金の改善の一環をいろいろ話し合った過程におきまして二百円ということに落ちついた次第でございます。
○八木(一)委員 予算が要らないなら、なぜ五千円でも要求しなかったのですか。原案が何であったか伺っても、年金局長もごまかして言わない。何とかかとか言って二百円にきまったと言う。聞いたことに答えてくださいよ、原案は幾らの要求であったか。
○伊部政府委員 福祉年金の引き上げの考え方につきましては、国民年金審議会におきましてもいろいろ御議論いただいたのでございますが、その御議論に基づきまして厚生省としては千五百円を要求し千五百円を認められた、こういう経過でございます。
○八木(一)委員 ですから、千五百円しか要求しなかったのですか。そんな腰抜けなことで一体どうなるのですか。(「去年上げたじゃないか」と呼ぶ者あり)去年おととし上げたということをあなたも言われ、不規則発言も言っているけれども、そんなこと、あたりまえの話じゃないですか。千円から千百円になるのでもほったらかしておいて、千百円から千三百円になるのに一年かかって、千三百円から千五百円になるのに一年かかる。その千円から千百円になるまでに実質価値がどれだけ減ったか。最初千円上げますといったときには実質価値は七百円くらいあった。その貧弱なところをあとでちょっと追いついたにすぎない。百円上げた、二百円上げた、そんなことは、上げなければならないものをおくればせにあとから追いついただけの話です。それを理由にして今度二百円しか上げない、そんなへっぴり腰の腰抜けの態度でどうなるのです。大体総理大臣や厚生大臣がぼやぼやしているけれども、年金局自体がそんなぼやぼやしていたら問題にも何にもならないじゃないですか。厚生大臣もいろいろ忙しい、総理大臣もいろいろ忙しい。年金局がそういう腰抜けだったら、厚生大臣、総理大臣だって腰抜けのほうにうんと言ってしまうじゃないか。あなた方の責任ですよ。なぜ三千円なり四千円なり要求しないのか。しかもことしの予算に関係なければ大蔵省にぐずぐず言わせなくてもいい。この改定期に、あなた方は拠出制年金について二十五年払い込み二千円のものを五千円にした、二倍半にしたでしょう。そうしたならば福祉年金にも同じ考え方でなぜ処しなかったか。千三百円の二倍半だったら三千二百五十円くらいになるはずだ。その間に上げたということを言うでしょう。齋藤君あたりがさっきから言っているから、あなた方も言いたいでしょうからそれは言わせてあげるとして、それならばもとにさかのぼって三十四年に一千円なら、そのときに拠出制年金は二十五年払い込み二千円だったでしょう。今度その二千円を五千円にした。なぜどんなに少なくても千円を二千五百円にしなかったか。全然つじつまが合わない。片方は五千円にしているんだ。拠出制年金を二倍半にしてどうして福祉年金を二倍半にしないか。福祉年金は少なくてしようがない。ほんとうは拠出制年金と同じようにしなければいけない。現在の年寄りも数年後の年寄りも、われわれをはぐくんでくれて社会をつくってくれた功績は同じなんだ。特にいろいろなことがうまくいってないから現在の老人が一番苦しい。拠出制年金と同じようにしてしかるべきだ。拠出制年金を上げたときにその比率さえも上げない。そんなことで年金制度を考えていると言えますか。そんなことで年金局を預かれますか、そんなことで厚生省が預かれますか。厚生大臣、年金局長、その不明を恥じて、この点については、どんなに少なくてもこの問題は二千五百円にしたい、政府案をいま撤回したいと委員長にお願いしなさい。それができなかったら、田中委員長にお願いして、ぜひ政府のこの欠点、誤りを委員会で直していただきたい、二千五百円に老齢福祉年金を直す、その他の福祉年金をそれにスライドして直す、そういうふうにしていただきたい、そうでなければ、年金局長としての私の職責が果たせません、私はやめるよりほかありません、いますぐそういう決意を表明すべきである。また厚生大臣も年金局を預かったというけれども、厚生大臣はその点について完全に理解をしなかった、努力をしなかった不明を恥じて、そういう意味の、厚生大臣としてそれをことしじゅうにできなかったならばあなたは国民に対して不明を恥じて、不明を謝して、辞表を提出する、そのような決意で当たっていただかなければならないと思う。直ちにこの法律案を撤回して、そのように修正して出し直す、あるいは与党野党に頼まれて、あるいは総理大臣に直ちに言って、総理大臣からそういう撤回をする、あるいは撤回をすることを国会にお願いする、あるいは与党と協議をして、与党と相談をしてそれを直ちに直す、そういう意見を総理大臣が直ちに、あすにでも、ただいまでも言われるような措置を講じられなければ厚生大臣としての資格はないと思うのです。厚生大臣のほんとうの意味の政治家としての発言を伺いたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 老齢福祉年金の額の引き上げの問題につきましては、政府としても、拠出制年金の補完的な性格を持っております年金制度でございますので、できるだけ給付の内容につきましても均衡のとれるような形でやってまいりたい、こう考えでおりまして、昨年も二百円引き上げ、ことしも引き続いて二百円引き上げ、さらに今後におきましてもその努力を重ねてまいりたい、このように考えておるわけです。
○八木(一)委員 厚生大臣、とにかく善人な厚生大臣だけれども、ほかの点では善人かもしらぬけれども、いま善人のような答弁をしてごまかそうとすれば善人と正反対に非常な悪人ということになりますよ。ほかの点であなたはりっぱな人だと思う。しかし、こんなに悪い法案を出して、それを気がつかなかったいままではいいが、指摘をされてまだその悪い法案をのらりくらりと逃げようということでは、ほんとうに厚生大臣としての資格はありません。補完的な制度と言われた、補完的な制度ということに問題があるけれども、政府のベースで考えても補完的に片方がこういうべースだったら片方ではこういうベースにした。前に二千円という貧弱な生活保護水準で二十五年払い込みの金額を設定をして、その半分の金額で福祉年金を設定されたわけだけれども、現在の問題であまり物価価値が変動するというので追及をしたら、おくればせに百円、二百円を上げた。ところで今度改定期、基本の拠出制年金が五千円になったならば、二倍半になったならば、そこで福祉年金のほうも二倍半にしなければいままでの政府の考え方をここではずすことになる。現在の老人については、いままでは少しは考えていたけれども、今後はもう親孝行はしない、かってに苦しんで生活せよということを発表したことになるでしょう。国民の中には人のいい人が多い。ほんとうの意味での改悪案、非常に前進をしなければならないときにストップさせる案を出しても、二百円上がればありがたいことだと言う人もあります。そのような、人のいい、苦労した人たちを、去年上げたから、ことし上げるからこれは善政であるとごまかして、それで政治家と言えますか。拠出年金を二倍半にしたらどうして福祉年金を二倍半にできないか。政府のいままでの考え方だったら、全部そういうふうにスライドできるではないか。いまの老人についてはもっと上げなければならない。ほんとうは三千四百円にしても筋が通る。一ぺんに五千円にしても筋が通る。十年満期の犬とのバランスを言いたいように保険課長はこっちを見ておるが、十年のバランスの人だって二倍半になるはずだ。それをオーバーすることにはならない。なぜ二千五百円にしないか。しかも所得制限がついておる。ちびってちびって所得制限をつけておる。なぜ二千五百円にできないか。この案は、いまの老人について非常に過酷な、あたたかい考え方のない悪い法案である、われわれは間違いましたということを鈴木さん、言ってください。
○鈴木国務大臣 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、毎年政府としては努力をいたしまして漸次御趣旨に沿うような水準まで高めていきたい、そういう努力をここに御約束申し上げて、今後とも私ども一そう全力を注ぐ考えであります。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。
○八木(一)委員 それでは、鈴木厚生大臣はほんとうに紋切り型の答弁だと思うのです。ここで二千五百円にしたら大蔵大臣福田赳夫君とつかみ合いをしなければならないということでしょう。だけれども、つかみ合いでも何でもして、二千五百円と社会党の委員は言われるから、そこまでいかなくても二千四百円でも二千三百円でも、ほんとうはなぐり合いはいけないけれども、なぐり合いもする、決闘でもするという覚悟でとってみせる、そういうようなことでも言うのだったら話はわかるが、こんなけちな、こんな前進をとめるような案で、そんないいかげんな、なまぬるい答弁では、われわれとしては承知ができない。佐藤榮作君がもし普通の政治家であれば、鈴木厚生大臣と一緒によくしようと言うだろうと思う。鈴木さんが確信を持ってやらなければいけないのです。大蔵大臣が何と言っても、やらなければいかぬのですと言えば、それで問題は済みますよ。ほんとうにいつでも言いますけれども、いま書いておいてくださいよ。書いておいて、それを持っていって、あなたと親しい、信頼される佐藤総理大臣に、どうあってもこれをやらなければ厚生大臣としての任務が果たせないと言って、たたきつけてごらんなさい。佐藤さんでも福田さんを押えますよ。こんなにいい厚生大臣が一生懸命に命がけでそれを推進しようとすれば問題は済みますよ。そのような決意を表明しないで、いまみたいな、同じようなぬらりくらりした答弁では国民は承知しない。われわれも承知しない。与党の方だって与党の立場があるから黙っておられるけれども、これでは不十分だ。一部の不規則発言ばかりしているような人は別として、ほかの人たちはそのとおりだと思っているに違いない。われわれは年がら年じゅう年金の問題について与党の委員と話しているけれども、福祉年金を多くしなければならない、そういう強い、熱心な気持ちを持っていられる。そういう強い決心をしてください。何が何でもこの法案を直す、そういう決意を表明していただきたいと思う。
○鈴木国務大臣 社会保障あるいは社会福祉、こういう問題はみなそういう気持ちを持っておるわけでありまして、不断のたゆまざる努力が必要だ、私はこう考えるのでありまして、一朝にして理想の姿は出現いたしませんけれども、そういう努力を与野党ともに積み重ねていって、そして社会保障制度の前進があるわけであります。そういうような意味合いで、この福祉年金の問題につきましても、昨年に引き続きことしも改善をした。さらに今後におきましても私ども努力をしてまいる決意でございます。八木さんが叱咤激励なさるお気持ちはよくわかるのでありますが、そういうことを体して私ども努力を今後してまいり、与野党ともに不断の努力をすることによって社会保障制度が前進をするし、またさせなければならない、かように私は考えております。
○滝井委員 ちょっと関連して。伊部さんにちょっとお尋ねしますが、昭和三十四年の十一月に無拠出の年金が発足するときに、月に千円なんですね。それでこの千円というのが三十四年から四十一年と足かけ八年過ぎたわけです。生まれた子供が数え年八つになったわけです。八つになったときにそれが千五百円になっておる、こういうことです。あなたの御説明でも、総理府の統計で四割物価が上がるし、農村で二割五分、経済企画庁は四割九分ですよ。したがって、八木さんの主張されるように、おぎゃあと生まれた子供が小学校にあがるようになっても、日本の無拠出の年金制度というものは実質価値がはるかかなたの三十四年のときと同じ千円の価値しかないと、こういうことです。制度的に少しもこれは前進をしていないわけです。ここが非常に問題なんです。そして一方拠出制の年金は、いまや一万円年金と、かねや太鼓であなた方が国民にPRをしておる制度的な前進があった。片一方は制度的前進がないじゃないか、ここがわれわれは問題だ、こう思うわけです。 そこでお尋ねしたいのは、そもそも無拠出の年金、七十歳以上、当時所得十八万円かそこらだったと思いますが、以下の人たちについて月に千円差し上げますという、その千円の根拠は一体どこに置いておったかということです。理論的根拠はどこに置いて千円をきめたのか。
○伊部政府委員 福祉年金は本来経過的な、福祉的な性格を持っておるものでございます。したがいまして、制度発足当時千円という額が今度の改正案によりますと千五百円になるわけでございますが、この福祉年金の性格は、これによって生活費をまかなうということは、この金額ではとうていできないと思うのでありますが、ただ老人世帯のいわば一つの心のよりどころとして、あるいは家庭内における人間関係の改善といったような意味におきましては、この役割りは非常に大きい役割りを果たしてきたと思っておるのでございます。また経過的な、福祉的な性格でございますので、かつまた財源が御案内のとおり一般会計でまかなわれているわけでございます。このたびの二百円の引き上げは、一般会計で明年度の負担にいたしますと約七十四億円になるのでございます。そのほか、今度の国民年金法の改正案によるその他の自然の増を見込みますと、二百億円近い自然増が四十二年度見込まれるのでございます。 なお、御参考まででございますが、本年度におきましては前年度の引き上げの自然増、その他受給者の増がありまして、福祉年金に対する総予算は四百億弱から四百八十億、約八十数億の増額を見込んでおるのでございます。この結果、年金制度全体に対する国庫負担は、四十年度約六百億に対しまして四十一年度は七百六十億に増額を見込んでおるのでございまして、四十二年度におきましては、自然増を見込みますと千億に近い、千億前後の数字になるかと思うのでありまして、こういった一般会計の負担である、したがって、それらの財政的な負担というものも十分考慮する必要があるということでございます。
○滝井委員 伊部さん、そのことを尋ねておるのじゃないのです。千円というのを昭和三十四年十一月にきめたとき一体何を基礎にしてきめたか、こういうことを聞いておるのです。
○伊部政府委員 当時の国会審議におきましては、この年金は経過的な補完的なものであり、また全額国庫負担であるので、国家財政の制約もあり、月額千円としておる、しかし、たとえ千円程度といえども現在の受給者には喜ばれようし、また現金収入の少ない農村においては生活費の足しとしてもかなり意味を持つものと考えるという当時の答弁があるのでございますが、そこで千円という額をきめました経緯は、当時各市町村におきまして敬老年金が出されておる、その額等を考慮いたしまして千円という額を定めたということでございます。
○八木(一)委員 年金局長は言ったことだけ答えればいい。ほかのことは言わぬでいい。大事な審議を急がなければならない、十分しなければならないので、聞かれたことを答弁してください。宣伝しなくても、そんなこと言わなくてもわかっておる。三十四年に年金の金が三百億か四百億出ていたはずだ。いまの予算は四兆三千幾ら、三十四年の予算は一兆四千億です。三倍こえておるのですよ。そのときでも千円というのは少ないという意味のことを言っておるじゃないか。ただ、国家財政でまかなうから千円に当時とどめておいて、少ないが、これでもなきにまさって喜ぶであろうということを言っておる。予算は三倍になっておるのですよ。三倍になって拠出年金は二倍半になっておる。それで千五百円というばかな話はない。全体の予算がふえて、八百億になるとか千億になるとか言っておるが、あたりまえじゃないか。それっぽっちじゃいけない。もっとふやさなければいけない。予算のあれがあるからこれでしかたがないというような妙な答弁を年金局長はすべきものではない。こんなちっぽけな予算でははなはだ不満である、大蔵省が認めないから困ったのだとなぜ言わないのです。その当時の予算は一兆四千億、いまは四兆三千億ですよ。そういうような、予算について多くなるからできませんというようなことを言ったら、あなたが国民年金制度を絞め殺すようなものです。年金制度に国民が非常に熱心になっている。関係者が熱心になっているのを中軸のあなたが絞め殺すようなことをしたらいけませんよ。予算が千億だというが、千億ばかりの少ない金で国民年金がほんとうによくできるか。なぜ大蔵省の主計局にどなりつけないのか。そういうことで、厚生大臣、年金制度を二千五百円にしなければ、ほんとうにあらゆる意味で筋が通らない。ですから、その問題について、さっきも言ったように、これは急速に決心を固められて、ほんとうに辞表を出す覚悟でやってもらいたい。年金局長も関係者もそれが通らなければ厚生省を去る決心で、これを撤回して出し直す、その決心を固めてもらいたいと思う。その決心を厚生大臣にお聞かせいただきたいし、いま決心ができなかったら、あしたでもいいです。次の、この審議中の前半に、来週の野党の質問をするときにこの決心を固めて、辞表を書かれるなりちゃんと用意をされて、それで決心を披瀝していただきたい。 次に、老齢福祉年金の開始年齢の問題について、これを制度審議会でも答申をしている。こちらの社会労働委員会でも討議をしている。なぜ開始年齢の問題について触れなかったか。七十歳開始では問題になりません。年金制度には不可避的な一つの欠点ともいうべき点があるのです。欠点でもないのですが、長生きをしたら年金をたくさんもらえる、早死にしたらもらえないという一つの現象があるわけです。ところで、国の政治が全般的に非常に悪かったために苦しんできた人、そういう人たちは残念ながら早く老衰をするわけです。残念ながら早く死ぬわけです。老人の中で一番年金を上げなければならない気の毒な人が年金をもらう年限が短い、あるいはもらえないで死んでしまう、そういうことがあるわけです。七十歳開始のままとめているので、国の年金制度の恩典を受けないで、いままで数年間、六十九歳で死に、六十八歳で死に、六十七歳で死に、六十六歳で死に、そういう人がずいぶんあるわけです。国民年金制度ができた、苦労した年寄りにも政府が考えてくれる、親孝行ができたと喜んだ老人に全然日の目を見ないうちに死なれてしまった事例があるわけです。それを取り返すために、少なくとも福祉年金の開始年齢を下げなければならない。われわれは六十歳にしなければならないと思うけれども、政府のいまのベースでも拠出年金に六十五歳を支給している以上当然少なくとも六十五歳にしなければ筋が通らない。何回これを申し上げても取り上げようとはしない。それは、大蔵省の壁があり、厚生省のへっぴり腰があるからだ。開始年齢を下げれば、金額はこんな二百円や五百円上げるよりもずっとふえる。そういう問題があるためにこの問題については極力触れまいとする。そしてほんとうに上げなければならない人が死んでいくのを待っている。なぜ開始年齢の引き下げを考えておられないのか。今度提案をされないのか。その理由について厚生大臣から伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 今回は拠出年金の支給の内容を大幅に引き上げ、また支給制限をできるだけ緩和する、そういう点に重点を置いたわけであります。また拠出制年金の給付開始の年限等とも見合いまして、やはり一方は長年にわたって拠出をしておるわけでございますから、ある程度のそこに支給年限の差というものは均衡上やむを得ないのではないか。しかし私は、決して現状で十分だというぐあいには考えておりません。今後全体の内容の改善と相待ちまして、こういう面につきましてもできるだけの改善をはかるように今後努力していきたいと思っております。
○田中委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中委員長 速記を始めて。
○八木(一)委員 厚生大臣、ほんとうに情ない答弁ですよ、いまのこれは。いま生きておるお年寄りがさんざん苦労をして農業をやったり、中小企業をやったり、そこで貯金をしたものが、戦後にインフレでなくなって、むすこさんが戦争で死んで、あと余命幾ばくもない、そういう人たちに対して国が対処しようということを、一番大事な政治の姿勢と考えられないで何ですか、拠出年金とのバランスとかそんなことをきっと年金局長が教えたんでしょう。そんな年金局長みたいなビューロークラシーに固まった人の意見を聞いていたら、あなたは政治家として落第になりますよ。政治家ですよ。あなたは国会議員から大臣になっている。そういう制度になっている。政治家というのは、ほんとうに国民の現状を把握してやるためにこういう制度ができている。バランスや何かの問題は考えられない。バランスで生活はできないでしょう。そのバランスさえ逸している。拠出制年金を六十五歳で開始する必要があると認めるならば、なぜいまの老人にも六十五歳から年金が必要だということがわからぬのか。保険料を払っておるからというなら、金額の差があるからあたりまえだということは、まだ幾ぶん理屈は通ります。片一方は保険料を出したから金額が多い。片一方は出していないから金額が少ない。それも私は反対ですけれども、それならば最小限度のへ理屈は通ります。けれども、拠出制年金を六十五歳で支給しておいて、いまの老人に六十五歳で支給することは必要ないというそんな理屈がどこを通りますか。しかも六十五歳の人はだんだん死んでいくのですよ。早くやらなければ死んでしまってやれないでしょう。あなたは地獄か極楽のところまで追っかけていって渡しますか。死んでしまえばあとはどうでもいいという、そういう考え方ですか。あなたは死んだ人はどんなに損でもかまわない。死んだ人はどんなに希望を果たせないでもかまわない、そういう考え方ですか、あなたのお考え方は。そのお考え方をちょっと伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 先ほども申し上げたように、社会保障や社会福祉に関する考え方、これは八木さんと私も全然考え方は変わっていない。そういうことを目標にして、絶えず努力を重ねていく必要がある。福祉国家は一日にして成らないわけでございますから、絶ゆまざる努力、そういうことが私は何よりも大切だ。遺憾ながら、いま直ちに八木さんが御提案になったところまでは参りませんけれども、今後私どもも努力をしたい、かように考えておるわけであります。
○八木(一)委員 ほんとうに厚生大臣、政治家鈴木善幸氏を私は非常に敬服をしていたけれども、それを直していただかなければ何といいますか、猛烈に憎悪するかもしれない。なまいきな話ですけれども、軽べつをするというか、そういう態度に変えなければならぬと思う。なぜそれを言えないのですか。いま大蔵省の壁があるのはわかっておる。総理大臣に説明して納得させるのに努力が要るのはわかっている。けれども、正しいと思ったことならば、やりたいということがなぜ言えないのですか。この貧弱な案を弁護するために使った年金局長の下らぬへ理屈みたいなものを引用して、なぜ逃げようとするのですか。いませいぜい努力して何とかかんとか言っていたら、いまの人は死んじゃうのですよ。拠出制年金は三十六年から発足したから、あなた方のこの案では四十五年に拠出制年金が、これは保険料を払っていない人もいるけれども、本則として発動するのだ。だから、四十四年までにしなければ、この福祉年金の年齢の引き下げという意義の大部分は失われるのですよ。いまから考えたら全然この問題は取り上げられなかったということになる。あなたはほおかぶりして四十五年までやって、拠出制年金が発動した。その大部分が、拠出制年金だから六十五歳開始です。十年しかないから金額は少ないけれどもそれでいいのだ、そういうふうに言ったでしょう。年金局長はそういうふうに思っているに違いない。そんなことで、国民が要望していることでここで何回も決議をされたことで一生懸命やっておることを、十年間ほおかぶりをして、拠出制年金が昭和四十五年から発動するから、あとはその問題は解決しました、そんなことで問題が済むと思いますか。いましなければこれは問題にならないのですよ。どんなに大蔵省が抵抗したって、いましなければだめだ。ひとつ方法を教えてあげましょう。大蔵省は抵抗に抵抗を重ねるけれども、大蔵省もよく聞いておいてもらいたい。主計局の人にも……。この六十五歳——われわれの主張は六十歳ですよ。政府のベースでも拠出制年金で六十五歳で、老齢年金を支給するのは、この国民年金の対象者のあの農民の人たちや中小企業者には六十五歳から老齢保障が必要であるということを政府が認めてやっているわけだ。そうなれば、いまの老人の農民やあるいは中小企業者の人も必要なことは同じなんです。そこで、保険料を払っているかいないかという問題は金額の問題だ。それも同じにしたらいいのだけれども、あなた方のけちな考え方に合わしても、金額だけの問題なんだ。開始年齢の問題を合わせなければならない。何回口をすっぱくして言っても厚生省はへっぴり腰をして立ち上がらない。その原因は大蔵省の抵抗があるからだ。年限を下げたならば、年金を二割、三割上げるよりは金額は非常に要ります。そういうことで、あなた方は採算のバランスを合わせるだけのために、われわれを育ててくれたわれわれの大切な親たちに対する社会的な親孝行を忘れている。一大蔵省の主計局のバランスを合わせるために、大切な両親に対する親孝行を忘れている。それは大蔵省と厚生省の態度だ。そこで、あなた方のけちくさい考え方でやっても、たとえばことしから六十九歳開始、来年から六十八歳、その次から六十七歳、その次から六十六歳、その次から六十五歳にしたならば、あなた方のベースにも合うわけだ。四十五年から六十五歳に全部なるのだ。一年ごとに刻むぐらいなことをなぜ考えられないか。私どもはいま即時という。しかし、あなた方がへっぴり腰でやったから急にはできないとしても、少ししゃんとしたら少なくともことしから六十九歳開始をする、来年から六十八歳に、最大限政府のベースに合わせて最長の提案をしてもそういうことになる。そのくらいのことをなぜ自分で言えないのか。厚生大臣、直ちに考えて、来週の質問のときでも、少ないけれども、六十九歳、六十八歳のシステムをとる、そういう答弁をするようにしていただきたいと思う。そうでなければ厚生大臣はほんとうにりっぱな政治家ではない、厚生省をあずかる資格はないということになる。それを総理大臣が聞かなければ、国政を担当する資格が佐藤君にはないということになる。それを大蔵省がブレーキをかけるならば、国政を阻害するけしからぬ者どもだということになる。そういう決意を直ちに固めて、来週に必ず明確な、それを実行する答弁を願いたいと思う。厚生大臣の明確な答弁を要求をいたします。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、今回の国民年金法の改正は、御審議を願っておる点でありますが、今後老齢福祉年金等の改善につきましても鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
○八木(一)委員 いま申し上げたように、今後というのはこの二、三日の間に具体的な努力をしてください。そんな今後なんて言ったって、あなたがいつまで厚生大臣でおるわけでない。佐藤君がいつまで総理大臣でおるわけでない。福田君がいつまで大蔵大臣でおるわけでない。われわれに渡してくださればすぐやってあげます。私たちの佐々木委員長が総理大臣になれば、ここにいるだれかが厚生大臣になったらすぐやる。だけれども、残念ながらあなた方がお渡しにならない。それならあなた方がやらなければならない。二、三日にその確答をしていただきたいと思う。 次に、私は実はずっと質問をやるつもりでおりましたが、いま委員長や与野党の理事さんからお話があって、皆さんの御予定があるらしいので、実は大事な問題で、まだ老齢福祉年金までしか入っておりませんけれども、全般の世帯所得制限、配偶者所得制限、本人所得制限、あるいは母子福祉年金、準母子福祉年金、障害福祉年金、この諸要件についても大切な質問があるわけです。それから、いまの質問もずっとさっきから言っているように、奥深く入っていないわけであります。きょう厚生大臣に宿題にした問題もたくさんあるわけであります。さらに、なおこの問題を詰めるために必要な大蔵大臣の出席もなかった。かわるべき大蔵政務次官すらなまけて来なかったというような状況です。理財局もいないから主計局にも答えられないという問題もあります。でありますから、後刻いろいろな点で十二分に質問をさせていただくことを保留をいたしまして、この辺で本日は終わります。
○田中委員長 次会は、明七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十七分散会