社会労働委員会 第28号
- 発言数
- 182 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1966/04/27
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
○伊藤(よ)委員 私は最初に厚生省のほうに伺いたいのでございますけれども、四月二十一日の朝日新聞に「赤字ぐんと減る四十年度国保決算見込み」という題で、厚生省が二十日に、四十年度の国民健康保険の財政事情は大幅に好転する見通しであるということを発表なすったというのが出ております。新聞は簡単ですけれども、その御発表になった内容をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○熊崎政府委員 前回の委員会の席でも御説明申し上げたところでございますが、四十年度の市町村の国保会計の決算見込みがようやくでき上りましたので、その中身を発表いたしたわけでございます。 数字を申し上げますと、歳入におきまして四十年度二千三百八十六億、端数は省略させていただきます。歳出において二千二百八十二億、したがって全市町村を通じての収支差っ引き百四億ということになりまして、その内訳といたしまして、黒字の市町村が三千百二十三、金額にいたしまして百四十一億、それから赤字の市町村が二百六十二で、赤字額三十六億ということになったわけでございます。それで、その原因といたしましては、四十年度において全国平均約三五%の保険料引き上げが行なわれました結果、三十九年度に比べまして保険料の収入額が約二百億増加したこと、それから第二番目に、四十年度におきまして臨時財政調整補助金四十億の交付が行なわれましたほかに、三十九年度の精算不足分百十一億、四十年度の不足見込み額百億の補正措置が講ぜられました。計二百五十一億の補正措置が講ぜられたわけでございますが、これによりまして国庫支出金収入が大幅に増加した。金額におきまして大体五百億の増加でございます。その結果が、いま申し上げましたような結果になりましたということを、簡単に発表いたしたわけでございます。
○伊藤(よ)委員 そういたしますと、前年度の赤字だった市町村が千三百五十四から、四十年度は二百六十二に少なくなるわけですね。ちょっともう一ぺんその点を。
○熊崎政府委員 さようでございます。
○伊藤(よ)委員 赤字の総額が、いまちょっと私、よくとれなかったのですけれども、新聞のこの数字を見ますと、九十億だったのが三十六億になるわけでございますね。
○熊崎政府委員 千三百五十四の赤字市町村の赤字額が九十億、それが二百六十二に四十年度なりまして、赤字額が三十六億。これが赤字の市町村の数と、それからその額でございます。
○伊藤(よ)委員 そこで、私は非常にここに問題があると思うのです。いま国庫の負担をおあげになりましたように、四十億、百十一億、百億ですね。そういう国庫負担も大幅に増額にはなりましたけれども、二百億近い保険料が一年の間に——四十年度平均して三五%も保険料が大幅に上げられたことによってこの赤字が減ってきた、こういうことに私は非常に問題があると思うのです。それで、平均で三五%なんですけれども、市町村によっては二倍、三倍近い保険税が一挙に上げられておるところもございますし、私の近くの町村なんかでも、六割も七割もあるいは八割も上げた町村が非常に多数ございます。これによりましても、同年度中に三〇%以上引き上げた市町村は全体の六五%とございますけれども、そのとおりでございますね。
○熊崎政府委員 そのとおりでございます。
○伊藤(よ)委員 大体いままでの質疑応答の中でも、あるいは厚生白書によっても明らかだと思うのでございますけれども、この国民健康保険の被保険者の構成でございますが、ごく簡単でけっこうでございますけれども、念のため伺っておきたいわけなんです。所得の割合、それから職業と年齢の構成ですね。簡単にちょっとおあげ願いたいと思います。
○熊崎政府委員 年齢のほうから申し上げます。大体零歳から十五歳までが二七%、それから十五歳以上から六十歳まで五九・二%、それから六十歳以上二二・八%でございまして、平均年齢は三二・四歳でございます。 それから所得の世帯数によります所得階級別の分布を申し上げます。三十万以下の世帯が三十九年度で七二・八%になります。 それから世帯単位によります職業別の分布を申し上げます。三十九年度におきまして、農林漁業水産養殖業、これが四二・六二%でございまして、その他の自営業者が二六・六四%。それから被雇用者が一八・一四%、無職が八・六六、その他、こういうことになっております。 以上でございます。
○伊藤(よ)委員 いま御答弁がありましたように、一番問題になるのは所得なんでございますね。年間三十万以下の所得の人が七二・八%を占めているという。 〔委員長退席、松山委員長代理着席〕 そうしてもう一つは、一般の老齢人口よりも六十歳以上の人が、厚生白書によりますと、九・五%ぐらいなものが二二・八%という、非常に多くなっているわけでございますね。そういうことからも明らかなように、この健康保険の被保険者の階層というものは、非常に低所得、しかも老人、あるいはまた、職業別に見ましても、農山村あるいは漁業などに従事しているような、非常に低収入で生活の安定がないような階層の人たちが非常に多いということが明らかなんでございます。 そこで、先ほどの問題に返りまして、この階層の人は、ただでさえ最近の不況と、そうしてまた、物価高の中で生活を締めつけられていて、昨年などは、特にたいへんな中で平均三五%のこの保険税が上げられたということは、この階層の人にとってはたいへんな問題だと思うのです。この点、特にこれは厚生大臣にお伺いしたいのでございますけれども、この物価の値上がりでも、概算いたしまして昭和三十五年から五年間ぐらいにずいぶん物価が上がりました。統計によると三七、八%ぐらいその間に上がっているんじゃないかと思うのですけれども、それがわずか一年の間に三五%平均、中には、先ほど申し上げましたように、市町村によっては二倍、三倍、あるいは七、八〇%というようなのはざらにあるわけでございますが、このように、このような階層の人たちから保険税が上げられて取られていったということに対して、どのようにお考えになっておりますか、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 昭和四十年度の国民保険税あるいは保険料の平均の値上げ率は、ただいま御説明申し上げましたように三五%程度の値上げをいたしておるのでありますが、これを分析してみますと、おおむね他の市町村に比べまして保険料率が低かった市町村、こういう市町村が昨年度多くの値上げをいたしておるのであります。つまり保険料の平準化が行なわれた結果であろうと思うのであります。昭和四十一年度におきましては、そういうような経過を経ております関係もありまして、一三%程度の保険料率の値上がりということに落ちつきつつあるのであります。これは、一面、もうこれ以上保険料の増徴ができないという傾向の頭打ちの結果でもあるというふうにも見られるのでありますが、大体、ただいま申し上げたように、全国の市町村の保険料、保険税の平準化が一応行なわれた、こういうことが言えると思うのでございます。また、政府におきましても、すべての国民健康保険の赤字を保険税なり保険料なりの増徴によってまかなうということでなしに、先ほど局長から御報告を申し上げましたように、昭和四十年度、私が厚生大臣に就任いたしましてから、臨時財政調整補助金として四十億、さらに三十九年度の精算不足額百十一億、さらに四十年度の不足見込み額約百億、合計いたしまして二百五十億にのぼるところの国庫からの繰り入れもいたしておるわけであります。私どもは、被保険者 の方々に御負担を願うとともに、国におきましてもできるだけの財政援助をしてまいる、こういう方針でやっておるわけでございます。 なお、伊藤さんが御心配になっておられますところの低所得階層に対しましては、保険税、保険料の軽減措置を講じておりまして、なおその範囲を年々広げておるところでございます。今後におきましても、そういう所得の低い方々に対しましてはできるだけ軽減措置を講ずる、その範囲を広げることにつきまして努力してまいりたいと考えております。
○伊藤(よ)委員 大臣のおことばを返すようでございますけれども、平準化を行なうためにそういう保険料の値上げが行なわれたといたしましても、とにかく現状は、最近は非常に物価が高くなっておりまして、特に先ほど、三十万以下といいますと月収二万四、五千円ですか、二万四、五千円以下の階層というのはこれはたいへんなことでございまして、私、この間偶然ちょっと児童手当の創設の問題で厚生白書を見ておりましたら、児童の養育費調査というのがございましたけれども、その中で、やはり二、三万のところの小学生あるいは中学生などの子供の養育費というのが、平均しても一人五、六千円から七千円くらいかかっているわけなんです。これは三十七年度の調査でそうなんでございますから、昨年あたりはもっとこういう養育費などもかさんでおりますし、また、食料費なども、このときよりはかさんでいるわけなのでございますから、そういう中で三五%平均の保険料が上げられたということは、私は平準化されたからということでは済まされない問題だと思うのです。特に国民健康保険について最近非常に問題になってまいりましたのは、財政上赤字が出たということがたいへん大きな問題になって、赤字を埋めるためにどうしたらいいか。いまおっしゃるように、当然これは国家でお出しになるべきものがおくれていたわけなんでございますけれども、大臣になられてから、いまおっしゃるように四十億あるいは百十一億とか百億というような国庫の補助がなされて、赤字を埋めるために出されていることは私もよくわかるのですけれども、何か、赤字を埋めるということも大切ではありますけれども、そういうことに主眼が置かれてしまって、本来国民健康保険というものがどういうためにあるかという意義と申しますか、国民の健康を守るために国民皆保険になってきたと思うのですけれども、そういう立場に立ってのものの考え方が非常に薄いのじゃないかということを考えるわけなんです。ただいまのような低所得の人たちに保険料が上げられますと、その結果がどういうことになるかと言えば、保険税、保険料を上げられて、窓口におきましては、家族が七割になりつつございますけれども、場合によってはまだ五割家族の場合には出さなければならないところも残っているわけでございます。また世帯主も、七割給付でございますから、窓口では三割あるいは五割のお金を払わないとかかれないわけでございますから、こういう階層の方々にとってはそれは非常に大きな負担でございます。物価が値上がりをして、食料費などを切り詰めて栄養も十分でない、そういろ病気になりがちなところへもってきて、また窓口でお金を払わなければ医者にかかれないとすると、この人たちは自然、いまのせっかくの国民健康保険の恩恵とも無縁になりがちではないかと考えるのです。ですから、平準化が行なわれたというような上っつらのことだけでは済まされない。一年の間に三五%も上げられたというところに私は非常に大きな問題があるということを考えるわけです。そういう点について、厚生大臣がいまのような減免措置を講じられて——この点もあとでお聞きしたいと思っていたところでございますけれども、ほんとうに平準化が行なわれたからやむを得ない、いいというふうにお考えになっているのか、その点についてもう一度厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 これは、昭和四十年度の決算の分析、その内容を御説明申し上げた一環として、その傾向につきまして私お話を申し上げたのであります。なお二百六十町村ばかりの赤字団体が残っておりますし、金額にいたしましても三十六億程度の赤字があるのでありますけれども、これを見てまいりますと、東京でありますとか、横浜でありますとか、京都でありますとかいうような大きな都市は、ほかの市町村に比べまして保険税、保険料が低い保険税、保険料になっておりますことは、伊藤さんもよく御承知のとおりでございます。そういうところがこの三十六億の赤字のうちの半分程度を占めておる、こういうことでありまして、保険税、保険料は低いに越したことはございませんけれども、やはり全国で各市町村がそれぞれ努力をされまして、そして保険財政の安定をはかり、医療給付等に支障を来たさないように、こういうことに努力をされておるのでありますから、東京都や横浜市等につきましても同様の御努力を願いたい。そうしてこそ政府におきましても、保険者の努力に対しまして国としても協力をいたしまして、そして保険財政の安定、また、医療給付の向上ということをはかっていきたい、こう考えておるのであります。 そこで、私も、伊藤さん御指摘のとおり、保険税、保険料の被保険者の御負担が相当重くなってきておりますことを承知いたしております。これ以上国保におきまして被保険者の負担を重くするということは、たいへんな段階に来ておるということを承知いたしておりますので、今回の国民健康保険法の改正、つまり年次計画で家族七割給付を達成した市町村に対しましては四割の定率国庫負担をやる、政府が責任を持ってそれだけは義務的に国庫負担をやる。また、一人当たりの事務費につきましても、二百円から二百五十円というぐあいに増額措置を講じようとしておるのであります。こういう四割定率化の問題や事務費の引き上げの問題、これも政府が、これ以上被保険者の方々の負担を重くしないように、こういう配慮からいたしておるのでありまして、今回の改正法案が国会の御承認を得ますれば、さらに引き続いて各医療保険制度の総合的、全体的な抜本的改正に取り組んでいきたい、こういう一貫した医療保険制度の改善策を考え、それに努力を続けておる、こういうことでございます。
○伊藤(よ)委員 いまの大臣のおことばを返すようでございますけれども、東京とか横浜というような大都市の非常に少なかった保険料が、非常に大きく上がっているとおっしゃっておるわけですけれども、特に保険料の引き上げの問題にしぼって私が御質問申し上げようと思った根拠は、決して大都市のみではなくて、私愛知県でございますけれども、私の周辺の市町村なども、昨年度において六割から七割、八割と各市町村が上げております。そういうことを身近に見ております。先ほど来繰り返して申し上げるように、最近特に物価が値上がりをしてまいりまして、低所得階層の方々が、特に栄養なども十分とられないような状況のもとにおいて、そして子供の養育費などあらゆるものが家計を脅かしておる際に、しかも昨年度において急激に保険料が上げられたということは、私は非常に心ないやり方のように思います。これはいままで各市町村で保険税が安かったから、ぜひ赤字を埋めるためには、国庫も負担するけれども、市町村としても保険料を上げるべきだというような御指導があったのじゃないかというふうにも考えまして、この際であるから急激に上がったということに問題があるということを特に思うわけでございます。やはり問題は、赤字を埋めるということも大切ですけれども、それに急であるために、そういう階層の人たちの健康を守るという立場に立って運営をされなかったといううらみがあるのじゃないかということを私は感じますので、この点を執拗に申し上げておるわけです。そういう観点からいたしまして、いま大臣がおっしゃいました、今回の改正で二割五分から四割に定率で上げられることは、前進であるとは思いますけれども、いままでも二割五分に、七割給付のところには四分の三、二割に対して四分の三やって一割五分、四割実質的には補助がされていたわけですから、定率になってくるということは確かに一歩前進ではありますけれども、実質的にはそれほど大きな変化はないのじゃないかというふうに考えるのです。この点についてどのようにお考えになっておりますか。
○鈴木国務大臣 今回の改正によりまして、世帯主七割に対しまする四割定率国庫負担、そのほかに家族七割給付を実施に移しておりまする市町村に対しまして、四十二年度までの計画に従いましてやはり四割定率の国庫負担をすることになるわけであります。これは従来財政調整交付金の中から補助が出ておりますけれども、いわば腰だめの一応のめどをつけての補助でございまして、決算の際におきまして政府が定率四割に相当する部分を義務的に国庫で負担をする、こういう制度に実はなっていなかったのでございます。今回は、その面において政府の国庫負担についての責任を明確化した、こういうことでございまして、保険者におきましてもそういう前提の上に立って財政計画等が立てられる、こういう面におきまして保険財政の長期的な安定ということが期せられることになるわけでありまして、また、実質的にも、今回の制度改正によりまして国庫の負担すべき金額はやはりふえてまいるのでございます。私は、今回の改正は、必ずしも御指摘のように十分なものとは考えておりませんけれども、国保の現況から見まして相当の前進がこれによって期せられる、こう考えておるわけであります。
○伊藤(よ)委員 私は、まあ一歩前進ではあると思いますけれども、せっかくの御改正であれば、私どもの希望としては、その国庫の負担を五割程度にお上げいただければ、この際市町村においてもほんとうにありがたいことになると思うのでございますけれども、その点は一挙にできないでも、将来ぜひそういう方向に努力していただきたいと思います。 そこで、調整交付金がいままで一割でございましたのが、今回五分に引き下げられておりますけれども、私は調整交付金の内容がよくわかりませんので、一度、いままでの一割出された根拠とその内容につきましてお伺いしたいと思います。
○熊崎政府委員 調整交付金につきましては、ただいま伊藤先生一〇%を五%に引き下げたというお話でございましたが、御承知のように、調整交付金は四種類の配分を行なっておるわけでございまして、簡単に申し上げますと、普通調整交付金、これは本来の財政調整機能を果たす交付でございます。それから世帯主の給付改善費交付金、これは御承知のように五割を七割に引き上げるための四分の三。それから三番目に保険料の軽減費交付金、いわゆる低所得被保険者世帯に対しての保険料を軽減するための交付金でございます。それから最後に、その他特別の事由による特別な調整交付金、こういうことで、これは災害その他のために出すのでございますが、その比率を三十九年度で見ますと、全体を一〇〇といたしまして、世帯主の給付改善費の交付金が三十九年度は四九%になっております。ところが、世帯主の給付改善費交付金といいますのは、世帯主の医療費が非常にふえてまいりますので、これが私どもの推算では、四十一年度になりますと五四%以上をオーバーしてくるということになりますので、したがってその他の、世帯主以外の財政調整のほうに食い込んでくる。だから、実質的には、普通財政調整の役割りを果たすべきものが、五〇%でしかるべきものが四〇%前後になるということになってまいりますと、非常に財政調整の機能を果たす役割りが少なくなってくるということで、世帯主の増高する分を定率四割のほうに持っていきました、このいわゆる五%ということについては、完全な財政調整機能を果たす役割りがとられ得るものというふうに考えておるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 いまお話がございました世帯主の五割から七割にした分を、今度国保の四割のほうに振り向けていくから、あと五〇%というものは従来と変わらないというのでございますけれども、減免などのほうは年々ふえていると先ほど大臣がおっしゃったと思いますが、それは現状どういうふうになっておりますか。減免分をふやしていくとすれば、従来と同じ——従来も四九%が、五割から七割に世帯主の分が入っておったとすれば、やはり残った分につきましては従来と同じですね。むしろ私は、この際こういう観点からすると、従来と同じであってもふえていくならば調整交付金は一割にしておくべきだと思うのですけれども、五分にしますと、ふえていく分についてはどういうふうになりますか、減免の状況をひとつお伺いしたいと思います。
○熊崎政府委員 調整交付金の五%といいますのは、これは療養給付費総額に対しましての五%でございますので、根っこの療養費が給付対象の分がふえてまいりますと、五%の金額もワクがふえることは自然増として当然あり得るわけです。その五%のワク内で低所得者の軽減対策をやっておるわけでございまして、したがいまして、低所得者の軽減対策に回すべき経費は、総体的にふえていくということは当然だろうと思うわけでございます。ふえていく範囲内の五%の調整交付金の中で、低所得の軽減対策を、私どものほうとしては、毎年その対象を拡大していくといいますか、そういう形で処理をいたしておるわけでございまして、たとえば九万以上の世帯につきましても一世帯一万五千円の控除を考えておりましたのが、これを二万五千円にするとか、場合によってはそれをさらに今後ともふやしていく、また九万円というものもさらに引き上げていくというふうな措置でもって今後低所得対策の拡充をはかっていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 いま私はよくのみ込めなかったのですけれども、その調整交付金は、調整交付金を交付される市町村というのは全体としてどれだけ、どのくらいでございますか、赤字になっていないところにはやらないわけですね。
○熊崎政府委員 国保課長からお答えいたします。
○信沢説明員 調整交付金は、いま局長から申し上げましたように四種類ございます。そのうち世帯主の給付改善交付金、つまり世帯主の七割給付に伴うものでございますが、これは全市町村にまいっております。それから低所得階層の減額措置に伴うものでございますが、これも全市町村にまいるわけであります。それから普通調整でございますが、これは必ずしも全市町村にいっておりません。先ほど申し上げましたように、市町村の被保険者の所得状況、それから医療費の状況等を考えまして、そして財政調整をいたすわけでございますので、全部の市町村にいくわけではございませんが、本年度の結果からだけ申し上げますと、全体で三千四百八市町村ございますが、そのうち普通調整がまいっておりますのが二千八百三十四市町村でございます。大体八〇%程度の市町村にいっている、こういう状況でございます。また、特別の事情に基づく特別調整交付金は、これは災害等がございまして保険料の減免をやったとか、あるいは広島、長崎のように原爆の医療費が非常に多いものとか、保険経済に相当大きな影響を与えておる、こういうような特殊な例があります市町村について個々に判断をして交付するということでございますので、さような問題のある市町村にだけ交付をする、こういう実情でございます。
○伊藤(よ)委員 そうすると、いまの低所得者の負担の軽減をはかるために、全市町村にわたる減額措置ですね。それの額がだんだんふえていくのじゃないかと思いますけれども、ふえつつあるのじゃないですか。
○信沢説明員 三十九年度、私のほうで、いまの保険料の減額措置に伴って調整交付金で補てんしました金額は約二十七億円でございます。四十年度、これが先ほど申しましたように、対象世帯の範囲を拡大したというような理由から約三十五億円にふえております。ただし、調整交付金の総額も相当ふえておるわけでございまして、したがって、三十九年度の二十七億円と申しましたのは全体の調整交付金の中の約二二%を占めておるわけであります。しかし、四十年度は、金額はふえましたにもかかわらず、調整交付金の総額がふえておりますので、全体の調整交付金の中に占める比率は約一二%、一一・七%でございます。そういうように率としては減少しているわけでございまして、そういう意味から減額をすべき対象の金額もふえますが、同時に医療費もふえるわけでありますので、それの一〇%あるいは五%相当額の調整交付金の金額もふえてくる、こういうような関係にあるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 どうも私にはよくのみ込めないのですけれども、いずれにいたしましても、いままで一〇%だったものを五%にする。むしろ従来と変わりなければ、多くしなければならないようなときに同じであるということ、また、五%に下げられたことによって、いろいろいまのような減免の措置が押えられたり制限を受けたりしてくるようなことに、査定とか、どういうことか知りませんが、そういうことになるおそれがないかという心配をするのですけれども、そういう点はいかがでございましょうか。
○熊崎政府委員 減免の対象になります施策をどのようにして進めていくかということは、やはり五%の範囲内で行なわれることでございますけれども、いま国保課長が申し上げましたように、五%という金額は毎年毎年ふえてまいります。ふえてまいりますがゆえに、したがってその中で行なわれるべき低所得対策も、おのずから、いま申し上げましたように、三十九年度の低所得対策のパーセントは、全体を一〇〇として何%だということになるとすれば、絶対額がふえてまいりますので、金額的にもふえてくる。そのふえてきた範囲内で低所得対策をさらに拡充していくということはできるわけでございますし、また、そういうことを当然行なうべき筋合いのものであるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、これはそのまま前年度と同じような対象にしておいても、ふえることはあり得るにしても、しかし、絶対額がふえてまいりますので、さらに低所得対策を拡充するということはそのつど対策としてなし得る、こういうふうに私どもは考えております。
○伊藤(よ)委員 その点は、やはり私は不安に思います。当然自然増していくばかりではなくて、そういう低所得者の減免措置を非常に大幅にふやしていくという見地に立てば、やはり従来と同じパーセントでふえていくということでは足りないと考えます。これはやはりそういう措置が十分に行なわれるためには、従来と同じ五%でなくて、ふやしてもいいと考えるわけなんですが、その点。
○鈴木国務大臣 その点御心配のようですから、重ねて私から御説明申し上げるのでありますが、伊藤委員も御承知のように、昭和三十六年、三十七年におきましては、調整交付金は五%でございました。そのとき、三十七年は五%で八十四億でございました。今回、四十一年度からまた五%にするわけでありますが、私どもの推算によりますと、五%で百六十一億ということで、三十七年当時の倍額に近いものがこの五%でも計上される、こういうことになるわけでございます。 〔松山委員長代理退席、委員長着席〕 この傾向は、私は今後におきましてもある程度続いていくのではないか、これが第一点でございます。 それから第二の点は、私が先ほど申し上げ、また保険局長も申し上げたのでありますが、世帯主の療養給付費の五割から七割へ引き上げにつきましての四分の三の補助金、従来やってまいりましたものを今回定率化するわけでありますが、これは近年医療費の増高に伴いまして、だんだん世帯主の分がふえてまいりました。一〇%のうち五・四%くらいが、世帯主の療養給付費の五割から七割への引き上げ分にこれが使われておる、こういうことになるわけであります。そういたしますと、従来の一〇%という限度におきますと残りは四・六%、これで市町村に対する財政調整なり低所得階層に対する対策なり、こういうことを四・六%程度のものでまかなっていかにゃならぬ、こういうことになるのでありますけれども、それを今回は五%にしたということは、それだけ市町村に対する調整機能あるいは低所得対策が強化できる、こういうぐあいに私は考えておる。絶対額もふえてまいりますし、また、パーセントの分からいってもその点が強化される、こういうことでございます。
○伊藤(よ)委員 確かに、大臣のおっしゃるようであれば幾らかはふえていくと思うのですけれども、いずれにいたしましても私が心配いたしますのは、この低所得者の負担の軽減をはかることが、十分に行なわれないような事態になりはしないかということを心配するわけでございまして、やはり従来よりもふやしてもいいときに調整交付金が五分に下がったということで、各市町村の段階においては、減免措置などが十分に行なわれないような傾向が出てきやしないかということをたいへん心配するわけでして、具体的に言ってどういうふうに、減免の措置を講ずる場合にどういう経過をとってそれがされるのか、そういうところの実態がわかりませんので、これは政府のほうで、これまでは減免をしてもいいとか言うことになるのかどうか。市町村が申し出た分について、全部というわけではない、五分の範囲において、いろいろさっきございましたその中で行なわれるのが、押えられるようなことはないかということを心配するわけなんです。そこらの具体的なことがわかりませんので、これ以上私は申し上げませんけれども、いずれにしても従来と同じではなくて、多少ではなくて、この際、こういう市町村における減免措置が十分に行なわれるように調整がされるように御配慮をいただきたいという趣旨でいろいろ質問申し上げているわけでございます。その点どうも私には具体的なことはわからないものですから、やはり心配をいたすわけでございますけれども、従来どおりの一〇%に置いておいてもいいじゃないかという気がいたしますが、もう一度伺っておきます。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕
○熊崎政府委員 低所得に対しまする保険料軽減措置につきましては、毎年度保険料の減免、それにつきましての基準を各市町村に示しまして、その基準に基づきまして各市町村が減免措置をとっておるわけでございまして、これにつきましては一〇〇%、全市町村について行なわれておるわけでございます。その基準につきましては、前々から御説明申し上げておりますように、所得九万円以下の世帯につきましては均等割り、平等割りの十分の六、それから九万以上の世帯につきましても、世帯員一人につきまして四十年度におきましては二万五千円、従来一万五千円でございましたものを二万五千円にするというふうなことで基準を設けまして、それに基づいてやっておるわけでございますので、各市町村によって行なっておるとか行なってないところとか、そういうことはあり得ないわけで、全市町村において行なって、それを全部国が調整交付金で見ておる、こういうことになっておるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 その点はその程度にいたしまして、もう一つ伺っておきたいのは、昨年中に市町村が一般会計から保険財政に入れました額でございますが、それはどれだけでございますか。
○熊崎政府委員 三十九年度におきましては、一般会計から繰り入れましたのが、金額にいたしまして八十九億になっております。ところが四十年度におきましては、一般会計の繰り入れが七十二億ということになりまして、一般会計の繰り入れば若干減っておるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 これが、先ほど御発表になりましたお見通しによりますと、今後、四十一年度においてはもっと大幅に減っていくわけですから、これは一般会計から埋められた分については、このままやはり市町村の一般会計から埋めたということで、市町村の負担のままに今後もなっていくのですか。
○鈴木国務大臣 保険局長から補足的に内容の分析を数字でもって御説明申し上げますが、この七十億余りの一般会計からの繰り入れの中には、当然一般会計から繰り入れてしかるべきものが相当あるわけでございます。たとえば法定の給付率以上の給付を、自主的な立場でそれを行なっておるという場合におきましては、その法定の分を上回った分につきましては、一般会計から補てんして私は至当である、当然である、かように考えるわけであります。また、保険税等の収納率が非常に低い、全体として九八%とか九七%とかいうような全国の平均に対しまして、七五であるとか八〇であるとかいうような、保険税の収納率が非常に低下をしておるそういう町村におきましては、これはやはり一般会計からその分については補完をする、こういうような措置がとられるわけでございます。それから保健婦さん等を設置していろんな仕事をやっておるのでございますが、その中で、公衆衛生活動というようなものは、これは住民全体を対象として行なわれることでございますから、こういう面につきましては一般会計で負担してしかるべきものである、こういうようなものが、七十二億でございますか、その中には相当の比重を占めておる、こういうことを御理解を願いたいと思うのであります。それがどういうぐあいにどういう比重で、金額で含まれておるかということにつきましては、保険局長から御説明いたします。
○熊崎政府委員 三十九年度の八十九億の内訳を簡単に御説明申し上げます。 保険料の賦課が不足しておるということで三十億、それから法定給付平均以上、つまり七割五割、それを八割六割というふうな形でやっております場合の、そのための財源が十九億、それから収納率が悪いという程度のもの、これは金額的には大体五千万程度、それから次に大きいのは事務費の不足ということで、これが十九億程度、それから、大臣が申し上げました、保険施設に充てるための経費といいますものが大体十億程度でございます。したがいまして、保険料の賦課が不足しておるというものが一番大きい率を示しておりまして、その次が法定給付割合以上のための財源、その次に事務費、こういうふうな順番になっております。
○伊藤(よ)委員 そこで、やはりいまの御説明の中にも明らかになりましたように、保険料の賦課の——いまのは三十九年度ですから、その賦課の不足のためのものが三〇%くらいで、法定給付以上のものというものも相当大きいパーセントなんですけれども、やはり事務費の不足のためというものが相当な金額になっているわけです。だんだん事務費を上げてはいらっしゃるわけなんですけれども、私はこれは非常に問題だと思うのです。よくいわれておりますけれども、事務費などは、当然全額、実際に要る費用は国家で出すべきだと考えるのです。この点、だんだん上げてはおいでになるのですけれども、やはり不足の額が相当部分一般会計、地方の負担になっているという点につきまして、これはぜひほんとに全額を見なければならないんじゃないかと思います。 その点が一つと、もう一つ、いまの収納率が不足のためにというものがございますけれども、これはどういうのでございましょう。やはり金があっても出さない人があるのですか、一般に困窮のために、低所得のために出しにくいのか、収納率の内容はどういうことでしょうか。
○熊崎政府委員 あとのほうからお答えいたしますが、収納率が不足するといいますのは、現年度調定額といいまして、一応保険料の見込み額を計算しますが、その分につきまして徴収率が悪いということで、その分の穴埋めのため、こういうことでございます。 それから事務費のほうでございますが、三十九年度の決算では確かに十九億程度の、率としては非常にウエートが高いあれでございましたが、四十年度五十円アップをいたしまして、また四十一年度にはさらに五十円アップということで、二百五十円になっています。三十九年度におきましては百五十円でございましたのが、三十九年度から比べますと百円オーバーされることになるわけでございまして、大体四十年度では、事務費の全体の六〇%近くは国でもって確保できるではないかというふうに考えておるわけでございます。実はこれは、全部国が見るかどうかということについて議論があるところでございまして、中には、市町村によりまして非常に高額の老齢者をかかえておるとか、あるいは兼務でやっておるものを国保の事務費のほうで見るとか、いろいろな実態があるわけでございまして、今度の私ども四十一年度の予算措置によりまして、事務費の実態というものは、各市町村とも相当よくなるのじゃないかということを考えておるのでございます。
○伊藤(よ)委員 その点、いまのようにほかの事務と一緒にやっているという点があるかもしれませんけれども、実質国保の事務をやるために要った費用というものは、当然国家で見るというたてまえをぜひ実現していただきたいということを、私は強く要望申し上げます。 そこで、先ほど来私がずっと申し上げてきたことは、結論的に申し上げればこういうことなんです。赤字を埋める、財政を赤字にならないようにするということは大切であるけれども、これが全面的な問題ではなくて、本来健康保険が皆保険になった意義というものは、とれによってあくまでも国民の健康が守られていくということが第一で、それがすべての健康保険の中心になる問題だと私は思うのです。そういう観点で先ほど来申し上げたように、非常な物価高で低所得の人が困っている際に、高額なパーセントに保険料が引き上げられるということは非常に重大な問題だと私は考えるのですが、先ほど来厚生大臣も、できるだけ低所得者の負担を少なくしていくということをおっしゃっておりますけれども、私はいま限界に達しているというふうに考えます。少なくとも今後は、また赤字になったからといって保険料を上げることによってそれをまかなっていくという形は、いまやもう限界であると考えておりますので、医療費がかさんで、また、財政が赤字になれば来年度また保険料を上げていくというふうなことにならないように、そういう点について大臣のお考えをこの際ぜひ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 伊藤委員のおっしゃっておる御趣旨は私も十分理解ができるのでありまして、国民健康保険における被保険者の負担というものは相当きつくなっておる、限界に近いところまできておるというぐあいに私も認識をいたしておるのであります。さような意味から、今回の改善策もそのことに対する対策として考えられた措置でございます。今後におきましても、先ほど来申し上げておりますように、わが国の医療保険全体につきまして根本的な再検討を加え、そして国の負担等がどうあるべきか、被保険者の負担はどういう程度にとどむべきか、また、医療費等においてむだな点がないかどうか、そういう全体として制度の再検討を加えまして、被保険者の負担がこれ以上増高してまいらないように政府としても十分対処していきたいと考えております。
○伊藤(よ)委員 もう一つだけつけ加えて御要望申し上げたい点なんですが、各委員からもお触れになった点ですけれども、医療機関の適正配置がされておりませんために、同じような保険税を払っていながら、病気になると、必ずしも僻地といわれないようなところにおきましても、山を越えて診察を受けに行くというようなところがたくさんございます。私は、ことしの一月、私の選挙区をいろいろ用事で歩いておりましたときにも、おばあさんが山を歩いておられたので車に乗せてあげましたら、かぜを引いてお医者に行くために、これから山を越えて何里も歩いていくのだと言っておられました。いずれにいたしましても適正配置がされていないために、同じ保険料を払っていながら医療が十分に受けられないというようなことが各地にありますので、こういう点はぜひ——非常に僻地だといわなくても、僻地は僻地の問題で特に特別な措置が要るわけなんですけれども、一般的に、一般公的医療機関の適正配置の問題は強く御要望を申し上げておきたいと思うのです。その点ひとつ大臣から……。
○鈴木国務大臣 国民皆保険のもとに医療の保障がなされておるわけでありますから、病気にかかりました際に医療給付が十分なされるようにということは、これは政府におきましても責任を負っておるところであり、また、県や市町村と協力をいたしまして、医療機関の適正配置、また、医師や看護要員の確保といった面につきましてさらに努力をしなければいかぬ点だと思います。僻地あるいは離島という面における医療機関の配置が十分いっていないということは、御指摘のとおりでございまして、この点につきましては、巡回診療車の配置であるとか、あるいは患者輸送車、輸送船の増強でありますとか、そういうようなそれを穴埋めする応急の対策も講じておりますが、根本的にはやはり医療機関の適正配置がなされなければいかぬ、医師や看護要員の確保がなされなければいかぬ、こういうことでありますので、そういう面につきましては今後とも一そう努力してまいる所存でございます。
○伊藤(よ)委員 もう一つ伺いたいわけなんですけれども、たとえば私の地方などでこういう問題がございます。大きな工場がございまして、そこで組合の健康保険に入っている方たちが、五十五歳ぐらいになりまして定年で今度は国保に入ってまいりますね。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 この場合に、大きな企業ですと健康管理も十分にいっているので、あまり病気はしない。そのときには高い保険料を払っているわけなんですけれども、定年になってその人たちが国保に入ってきたときに、ようやくからだにがたがきて病気がいろいろ出てくる。そういう人たちが国民健康保険の中に含まれて、先ほどの統計によりましても六十歳以上の率がわりかた多いわけなんですけれども、私はやはり国保の赤字の一つの原因になっていると思いますが、こういう点は、何とか前の組合健保の中で見てもらうということはできないものか、あるいはもし国保へくるならば、何か財産を持ってくるというんですか、そういうようなことにならないものかと考えますけれども、そのような点について何かお考えになっておる点がございましたら……。
○鈴木国務大臣 伊藤委員の御指摘の点は非常に重要な問題でございまして、それが今後各制度全体を再検討いたします際の総合調整と申しますか、一つの大きな課題になろうかと考えております。私どももそういう不合理な点を十分承知をいたしておりますし、今後それに対して十分納得のいけるような改善策を講じたい。また、老人の層が年々だんだんと厚くなってきておりますので、この老人の方々に対する医療保険の面においても何か特別に考える必要があるのではないか、こういう問題もございますので、そういう点はあわせて検討いたしたいと思います。
○伊藤(よ)委員 大体国民健康保険に関する御質疑をこれで終わりたいと思いますが、この際、緊急な問題として、やはり健康保険にも関係がございますのでぜひお伺いしたいのでございますけれども、四月十六日でございましたか、各新聞に非常に大きく問題になりました、産院で乳児結核が多発したという問題であります。これはせんだっての千葉医大のチフス事件とか、八王子の例の朝倉精神病院の事件だとか、文化村の赤痢多発の問題だとか、そういう問題に次いで、いやそれにも増して、非常に信用のある有名な赤十字病院などの産院において、こういう乳児の結核が多発し、しかも院内感染ではないかというような問題が出たということは、非常に身ぶるいをするようなセンセーショナルな問題であると私たち思うのです。私の身近にも最近子供を産むために入院した人たちもありまして、世の中の妊産婦の不安を非常に増している問題だと思うのでありますけれども、私たち新聞を読む以外によくわかりませんので、この実情と、そうしてどのような措置をおとりになっておるか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○中原政府委員 新宿の赤十字産院において発生いたしました乳児結核につきまして概要を御報告申し上げます。 この発見の端緒は、昨年の十二月の二十二日、牛込の保健所の予防課長から都庁に報告がございまして、その報告によりますと、牛込保健所管内におきまして乳児の三名が相次いで結核に罹患した、しかも同一の産院へ入院した者であるというようなことが報告されたわけでございます。そこで都庁といたしましても、院内感染の疑いということも考えられましたので、至急に調査をするということになりまして、同産院の所在地であります淀橋保健所の所長に電話連絡をいたしました。そして原因の究明その他患者発生の防止について、必要な指示をするように依頼をしたわけでございます。翌二十三日以来、東京都庁ではこの保健所と共同して、産院に対しまして、発病しました乳児と同じ時期に入院した乳児の名簿の提出を求めまして、そしてそのうちの一部につきましては、二十四日の午後から電話連絡の上、各保健所にその健康状態の調査を依頼したわけでございます。その結果、十二月二十八日までに健康状態の確認できた者九十名の中で十名、これはすでに報告されておった三名も含めました十名でございます。この患者が発生していることがわかったわけでございます。 それで、現在までどういう措置をとったかということについて申し上げますと、昨年十二月二十三日から、乳児室関係の職員に対しましては、エックス線の直接撮影を実施いたしました。同時に、例年四月に定期健康診断をやっております。したがいまして、この実施した職員の定期健康診断のエックス線の間接フィルムの再読影を行ないまして、これを結核予防会に委託して検査を行なったわけでございます。その結果、職員の中では要医療の者六名を発見いたしました。もちろん要医療といいましても、全部が菌を出しているわけではありません。そのうち一名の事務職員は菌を出していることが発見されましたけれども、あとの者はそうではございませんでした。また、四十年六月以降退職した職員につきましても調査をするようにいたしました。 患者の発病の状況につきましては、四月十八日現在では、東京都内では総数が十九名でございました。そのうち十名が入院をしております。それから他府県が三名でございます。 そういたしまして、この結果をいろいろ検討いたしまして、その患者がはたして産院内でうつったものであるかどうかということの結論を出すためには、なお詳細な調査をしなくてはならない。結核は一つのいわゆる慢性の疾患でございます。また、退院してからの問題もいろいろございますので、したがいまして、現在は、昨年中にそこで出産をした者全部についての調査を行なっております。なお、その家族についてこの調査というものも行なうようにして、現在なお調査中でございます。
○伊藤(よ)委員 新宿の赤十字病院のことは、そういうことで一応解決するかもしれないと思うのですけれども、そういうような有名な病院でもそういうことが現実に起きて、そして確かに結核の人がいるからなったという結論は、まだ最終的に出ていないわけですが、いずれにいたしましても心配いたしますのは、これは朝日新聞なんですけれども、その同じ記事の中で、他の産院でも最近開放性の結核患者が従業員として毎日妊婦や乳幼児と接触していたことがわかって、あわてて隔離した、そういうケースがあるというようなことが言われておるわけなんです。たまたま新宿の赤十字病院にあらわれたから、一そう大きな問題になったわけですけれども、その他の民間のいろいろな産院などでもあり得ることだと思うのでございますけれども、こういう点について、今後どういうような御対策をとっていらっしゃるのか。生まれたての無垢な、ほんとうに裸の乳児に、産院で結核が感染するというようなことが出てきたとすればたいへんな問題ですから、今後こういう点についてどのような御対策をとっていかれるのか、また、そういう不安をなくすために全力をあげていただきたいと思うのですけれども、そういう点について伺います。
○中原政府委員 結核につきましては、全国民について一応結核の定期健康診断というものが義務づけられておるわけでございますが、このうち事業の使用者は、当該事業において使用する従業員について、毎年期日を定めて定期健康診断を行なっていく。したがいまして、もちろん病院、産院の職員等もこの定期検診を行なう対象になっておるわけでございます。しかし、この定期健康診断の一般の使用者における実績は、残念ながらわりあいに低いというのが現状でございます。この後も定期健康診断の励行ということにつきまして一そう努力していきたい、こういうふうに考えております。なお、定期健康診断以外にも、発生患者の家族その他濃厚な感染のおそれのあるところにつきましては定期外の健康診断を行なうようにして、できるだけ感染のおそれのあるような患者を発見していくということに努力しているところでございます。
○伊藤(よ)委員 一般的にはそうなんですけれども、産院などで出てきたということは、おとなの場合と違いまして乳児の場合、特に生まれたての乳児の場合は、何と言うのですか、非常に感染しやすい状態だと思うのです。だから、私がいま特に伺っておきたいのは、産院などでこういう問題が起きた際に、産院などから乳児が結核に感染することがないように、格段の御努力をしていただかなければいけない、対策をとっていただかなければならないと思うのですが、そういう点について、特に何か、こういう事件が発生しましたからおやりになるというわけではないのですか、そういう点を伺っておきたい。
○中原政府委員 この問題につきましては、なお原因を究明いたさなければなりませんけれども、こういうところでもしも起こるということになるとやはりたいへんでございます。したがいまして、この面につきましては各府県に指示をしまして、厳重な定期健康診断を励行するというふうにつとめていきたいと思います。
○伊藤(よ)委員 もう一つつけ加えておきたいのは、いま繰り返し申し上げておるように、たまたま産院で起きましたので、一般的な病院の健康診断ということでなくて、特に産院等につきましては格別な御監督を願いたい。 と同時に、私はもう一つここに問題があると思うのです。これはある産院の医師のことばとして出ております。医師仲間で危険だなと感じていても、はっきり口に出して職場を去れとは言いにくいということがあるというふうなことを言っております。私は、そういうことがあるんじゃないかと思うのです。医療担当者の中に結核の人があることは、もしわかっていても、やはりその人に職場から去れと同僚では言いにくいというような事態がありますので、こういう人たちが安心して療養が得られるような状態というものもつくらなければいけないと思うのです。せんだっての無給医局員の方たちの御陳情の中にもありましたけれども、案外お医者さまなりそういう医療機関に働いている人が、十分に療養ができないような、できにくいような条件もあるわけなんで、そういう点もあわせて御考慮をいただきまして、そういう医療機関の中で働いている医療担当者が、療養が十分にできるような、そういう配慮も同時にしていく必要があると思いますが、その点を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○中原政府委員 一応医療に携わる者が伝染のおそれがあることがわかりながら、そういうおそれのある場所において勤務するということは、まことに非科学的であるというふうに考えております。もちろんそういう場所を離れて、ほかにも働く場所もあります。したがいまして、今回の産院につきましても、一応伝染性ではございませんけれども、要医療と判定された者は配置がえをいたしまして、その者は、別に職に困ることはなくつとめておるようにいたしております。
○伊藤(よ)委員 これで終わりますが、最後に大臣から伺いたいのです。 先ほど申し上げたように、千葉医大のチフス事件だとか、朝倉病院の事件だとか、いま申し上げたような産院の乳児の結核の問題とか、最近一連のこういう事件が、からだをなおしてもらう信頼しなければならない病院で、こういうような医療機関で起きているということは、たいへん国民を不安にしておりますので、その監督の衝に当たられております厚生省といたしましては、今後格段の対策に努力をしていただきまして、国民の不安を除くようにお願いしたいと思うのですが、最後に大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 最近、相次いで病院あるいは産院等で、私どもの予期しないような事件が発生をいたしております。これらの事件を解明してまいりますにあたりまして、私どもがいろいろ今後の医療行政を進めてまいります観点から反省をし、また、早急に改善を要する点が多々あると私感じておるのであります。医師の健康管理の問題、あるいは病院の運営の改善あるいは人事管理、さらに医師のモラルの問題、いろいろ今後検討を要する点があると思うのでありまして、そういう点につきましては、再びこのような事態が起こらないように、十分改善策につきまして関係者と協議を遂げまして、密接な措置を講じてまいりたい所存でございます。
○田中委員長 吉川兼光君。
○吉川(兼)委員 きょうの私の質問時間は十分と制限されていますが、十分では満足な質問ができるわけがありません。そこで、個条書きを読むような形でかけ足で質問いたしますが、御答弁のほうも、よけいな時間を食わぬよう簡略に要領を得た答弁をお願いしたい。 〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕 今回の改正案は、三十九年度からの四カ年計画に基づくととろの、家族の七割給付の法定化と、それからもう一つは、もろもろの国庫負担や補助金制度を整理統合して、国庫負担と調整交付金の二本立てにするということがおもなる内容のように思います。その意味におきましては、確かに多少の前進はしておると認めてもよいと思いますけれども、何といいましても国民健康保険制度といいまするものは、他の被用者保険制度に比べますと著しくおくれておる。つまり大きな格差があるわけでございますが、大臣は、この格差を将来どういうふうにして是正しようとする御意図であるのか、これを伺っておきたい。
○鈴木国務大臣 今回の御審議を願っております法律の改正は、ただいまお話がありましたように、昭和四十二年を目途に家族七割給付をまず達成をする、その実施にあたりまして国庫負担の定率化、国の財政上におけるところの責任を明確化する、そうして保険財政が長期的に安定をするようにしたい、こういうことがねらいになっておるのであります。しかし、私どもは、世帯主及び家族七割給付をもって十分とは考えておりません。先般来申し上げておりますように、各種医薬保険制度と均衡のとれた、そうして長期的に安定をし、前進をするような方向で、今後国保につきましても引き続いて抜本的な改正を考えていきたい、かように考えております。
○吉川(兼)委員 今回の改正は、家族療養給付率のみでございまして、世帯主の給付割合については全然触れておらないのでありますが、低所得者層で占められておりまするところの国民健康保険の被保険者のことを考えました場合に、世帯主が長期の疾病にかかったような場合におきましては、現在の三割負担というのは家は非常に大きな障害になりまして、十分な医療が受けられないというような場合が生じてくることが予想されるのであります。世帯主の給付割合を被用者保険並みの十割にするとか、あるいは一挙に十割にいかなければせめて九割程度にするとか、こういうことを考えるべきではないかと思うのでありますが、それらの点につきまして御所見を伺いたい。
○鈴木国務大臣 結核でありますとか、あるいは精神病でありますとか、特殊な長期の療養を要する疾病に対しましては、この医療保険とは別の、国の施策としまして対策もあるわけであります。しかし、私は、先ほども申し上げましたように、そういう制度があるからといって、国保の世帯主の給付が現状のままで十分であるというぐあいには考えておりません。他の制度との均衡という問題もございますので、この問題につきましては、抜本策を検討する際の重要な一つの問題点として検討してみたいと思っております。
○吉川(兼)委員 去る三十七年八月の社会保障制度審議会の答申の中で、分べんに関する給付につきまして、最近における人口構造の推移から見て、特に人口資質の向上をはかる必要性があり、健全な子供の出産はその基礎をなすものである、こういう意味からいたしまして、分べんにつきましては現物給付の方法をとって、必要な実費をカバーできる程度にまで給付内容を充実し、そして産前産後の健康診断を行なうことも考慮すべきである、こういうふうに行なわれてあったと思うのでありますが、政府は今日に至るも依然として一件当たり二千円を補助対象とするにとどまっておるのでございますが、厚生省におきましてはそれで十分とお考えであるのかどうか、さらに、ついでに葬祭費についてもどういうふうに考えておるのか、あわせてお聞きしておきたい。
○熊崎政府委員 分べん費につきましては、先生御指摘のとおり二千円ということになっておりまして、現金給付をやっておりますが、御指摘の現物給付の問題につきましては、多年の問題点として私どもも検討いたしておるところでございまして、ただ国保に限らず、全部の被用者保険を含めまして、保険給付全体の問題としてどのような形で制度に取り組むかという根本問題でもございますので、根本的な検討の際にそういう方面を実現するような形で検討してまいりたいと思っております。 それから葬祭費につきましては、やはり同じように金額的にはたいしたものをやっておるわけではございませんが、この点も将来の検討として十分考えてまいりたいと思います。
○吉川(兼)委員 疾病手当金あるいは育児の手当金、これらはいずれも任意の給付となっておるのでありますが、市町村におきまするこれらの実施状況を、この際簡単にお聞きしておきたいのであります。さらに、これらの給付を、厚生省は将来任意給付から義務給付に変更する意思はないのか、一緒にお伺いしておきたい。
○熊崎政府委員 実態を申し上げますと、任意給付の状況でございますが、四十年の四月現在で、助産給付は全部やっております。それから保育手当でやっておりますのは、千二百四十の市町村でございます。以上が実態でございますが、この任意給付を今後どうするかということにつきましては、御趣旨の点も十分われわれとしては考えまして、根本的な問題として検討してまいりたいと思っております。
○吉川(兼)委員 次は、事務費でございますが、現在は全額国庫負担をたてまえといたしておるのでございますが、実際は、国の交付と市町村の実支出というものが、相当な差があるわけでございます。このことが、とりもなおさず地方の国保財政を赤字にする大きな原因になっておるとも見られるのですが、本年は二百円を二百五十円に引き上げてはおりますけれども、もちろんこれでは、なお大きな不足であります。今後市町村の実績等を基礎にいたしまして、もっと豊富に交付すべきであると思いますが、この点につきまして大臣から……。
○鈴木国務大臣 国保の事務費の問題につきましては、昭和四十年度に百五十円から二百円、さらに引き続き四十一年度におきまして二百円から二百五十円、この両年度にわたって大幅な改善を行なっておるのであります。なお、私は、これは全国平均で計上いたしておりまするから、これを配分する際にあたりまして、やはり都市あるいは地方、そういう地方団体の間には、いろいろ事情を異にしておる実態がそこにあるわけでございます。そこで、その配分にあたりましては、できるだけ市町村の実情に合うような、弾力的な考え方でこの配分を適正にやってまいりたい、実情にできるだけ沿うように配分してみたい、こう考えて、ただいま事務当局でその具体的な措置を検討させておる段階でございます。
○吉川(兼)委員 私は、以上五点についてかけ足でお尋ねいたしたわけでございますが、御答弁はいずれも、できるだけ、あるいは誠意を持って将来検討する、という御答弁でありますが、私の耳にはどうもおざなりの御答弁のように聞こえて、どうももの足らないのです。せっかくの御答弁の誠意を疑うという意味ではありませんが、きょうの御答弁がおざなりでなく、文字どおりに誠意を持ってできるだけ早い機会に実現できますよう大臣の特段の御配慮を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○齋藤委員長代理 谷口善太郎君。
○谷口委員 大臣にはお初にお目にかかるわけでありますが、いろんな点で二時間ばかり質問を用意したのです。ところが、私も同じく十分間ということで、全部やめまして、ただ二、三点だけ伺ってみたいと思います。私は、ここで大臣と団交する気はないのだけれども、ただ、政府のやろうとしておること、あるいはやっておること、このことについて国民の知りたい点を三点ほど聞きます。 最初に、今度の法改正で、国の負担が率の上でよけいになるのですかならないのですか、その点、お伺いします。
○鈴木国務大臣 四十年度までに至る国の負担よりも、国庫負担は増額されることになると思います。それだけ市町村のこの国保の財政というものは、従前よりも安定的な方向に私は進む、かように考えております。
○谷口委員 お金が多くなるのは、この予算書を見ればわかりますよ。大臣も盛んに言っておられるわけです。しかし、私の聞きたいのは、大体国民健康保険の場合の国の負担というのは、いろいろな方式がありますけれども、結局定率でやってきている。ですから、医療費が上がれば、お金は上がるのは当然であります。よけいになるのは当然でありますが、今度の改正で、国の負担が率としてよけいに上がったと私は思えぬ。それでも率として多くなりますか。内容に入るとややこしいから、私も計算してきているのです。政府も出しておるのだけれども、率として上がらぬと思う。上がると言っているのは調整交付金の問題で、特別調整交付金として世帯主の七割の場合にやっておった分を、今度は国庫負担金として四〇%の中に入れる。それが、この間政府委員の若い人に来てもらって聞いてみますと、大体一割と言っている。調整交付金の中で世帯主の七割給付に対する補助の分は、その一割の中で五二%ぐらいに相当する。したがって、残る部分は、正確に言えば四八%ぐらいになるのだが、それを五〇%残すから、その二%だけがふえるという言い方をしておる。そうかもしれない。こういう計算は、政府の計算だから私も信用しませんけれども、しかし、一応信用するとして、世帯主の七割給付に伴う補助が、調整交付金の一割という部分の中で百分の五十二であるとすれば、なるほど残る部分は百分の四十八ですから、それより、百分の五十出すわけだから、その分だけ多くなるということであって、あとは少しも変わらぬと思うのですが、どうですか。
○鈴木国務大臣 四十一年度の推算でまいりますと五四%に当たります。したがいまして、率でまいりますと、四%だけは調整交付金のほうでそれだけ増額される、財政調整のほうにそれだけ多く回る、こういうことになるわけであります。
○谷口委員 そこにからくりがあるのです。あなたは、さっきからふえた、ふえたと言っているし、外へ出て見ると、みんなが今度の改正でふえるのだと思っています。ふえぬのです。いまあなたは四%ほどとおっしゃいましたけれども、これはいま申しましたとおり、この間、人に聞きますと二%ぐらい、つまり一割の中の二%。そのからくりは、いずれにいたしましても四十年度で四%に相当するかもしれませんし、あるいは私が聞いたときのように、二%に相当するかもしれません。つまり、五二と四八という割合になるか、五四と四六になるかという、割合はいろいろあると思うのです。その点をここでせんさくしておったら、それはもう十分ぐらいで済みません。 〔齋藤委員長代理退席、委員長着席〕 結局これが、かりに私がこの間聞いた五二と四八だとしまして、大臣のおっしゃるそれは倍になるわけですが、それで計算すると国庫負担金というのが四〇%、それから調整交付金で五%でありますから、総計して四五%、大ざっぱな言い方をしますとそういうことになる。その中での割合を計算してみますと、結局大臣がいま盛んにやかましく言っている増額の分は、大体四五・四%ぐらいの上がりになると思うのです。つまり〇・四%余りが上がるということになる。これを医療費は総額三千億としますと、これは約十二億円ほどになります。これを二千八百の市町村に割りますと、一市町村に対しまして月に約三万円ですね。それで上げた上げたと言うのは、ちょっとおかしいですよ。今度の法改正では上がらぬのだということをはっきり言いなさい。それをはっきりしなさい。
○鈴木国務大臣 谷口さんは何を言わんとしておるのか、私には御趣旨が理解できないのでありますが、今回の国庫負担の四割定率化によりまして、私は、今日までの国保の財政よりは政府の責任が明確化いたしますから、それだけ保険財政の安定の面には寄与する、こういうぐあいに確信をいたしておるのであります。
○谷口委員 それは私の質問に対する答弁と違います。そのことはまた別に言ってもいいと思うが、ここでは時間がないから言いません。私も吉川君と同じように、いろいろな形で出しているので、はっきりと国庫負担として四〇%出すというようにきめたのだから、その点では非常に整理されていいと思うのですよ。その点だけを言えばいいと思うのです。ちょうど坊主が彼岸の供養に来た場合に、お布施だとか車代だとかお菓子料だとか出しておったものを、今度全部お布施に突っ込んだだけであって、中身はちっとも変わらない。そのことはいいですよ。しかし、その金を上げい出すのだということを盛んに政府は言っているのだ。だけれども、そうじゃないのだ。現行法でも、医薬費が上がれば出さなければならないようになっている。今度の改正案ではその点が違うのです。だから、上がるのじゃないということをはっきりここで認める点が一つです。上がるんだと言うのだったら言ってごらんなさい。上がるのは、一市町村に対して月三万円ほどよけいに出すということです。恥ずかしくて話にならぬ。これ以外に上がることがあったら言いなさい。
○鈴木国務大臣 定率化四割というのは、これは政府が決算にあたりまして責任を明確にいたした点でございます。従来は、調整交付金でやってまいりました関係で、その点が必ずしも年度を越えた決算の際に、国の国庫負担、財政的な援助という面が、責任を明確にするという面から言いますと十分でなかった、こういう点があったのでありますが、今回はその点が明確になり、各市町村団体が国保財政につきましての対策を講じます際に、はっきりこの基礎の上に立ってその年度の財政対策も立てることができる、そういう面からいたしまして、私は、各市町村においてもこれを歓迎しておる、こういうぐあいに確信をいたしておるのであります。
○谷口委員 その点は大臣言ったとおりだ。お布施一つにしたから便利になったということで、たいしたことないのだ。だけれども、あなたは、そのことで中身が上がっているということは言えぬでしょう。上げるんだ、上がったんだと言えぬでしょう。そのことだけしか言えぬでしょう。だから、上がっておらぬのだ。上がるのはないのだということがはっきりしましたから、次へ行きます。お布施の問題はいいですよ。これはけっこうです。 ところで、現在のやり方よりもちっとも上がらぬとしますと、今度は七、七の給付をやらなければならぬことになりますね。それをどうしてやります。現在でも七、七にすれば、政府は今度は、改正案と同じように金を出している現在でも、それでもできないところが残っているでしょう。しかも、さっきからいろいろ聞いておりますと、いままで料金をどんどん上げてもう満度にきている。そういうところで半分近いものが七、五でやっておるのです。それが今度は、二年間に法律によって義務を負うわけですね。七、七にしなければならぬわけです。みんなほんとうはやりたくてたまらぬのだ。京都なんかもそれをやることとしている。京都のことをこの間ちょっと質問して、間違った答弁があったから訂正しておきますが、京都は六、六を七、五に変えまして、そのとき料金を上げた。私なんか十万円ですよ。局長、九万円と言ったのは違うのです。最高が十万円ですよ。まあ代議士ですから、高額所得者だ。それから、ほんとうは七、七にしたいのだし、あるいは一〇、七にしたいのです。それがもうどうにもしようがないです。そういうところが残っているのです。今度の改正で、ちっとも政府が金を出さぬということを前提にしながら、強制的に上げるということにきめるのですね。どうしてやりますか。どういうふうにしてできると思いますか。
○鈴木国務大臣 御承知のように、家族七割給付は三十九年度から四カ年計画で、年次計画で実施をいたしておるわけであります。その年次計画で実施をいたします市町村に対しまして、国庫四割定率負担をしよう、こういうことであり、現在すでに実施に移しております町村等の財政事情から考えまして、私はこの計画は今回の政府の措置と相まって十分実施できるもの、このように考えております。
○谷口委員 わからぬ人ですね。いままでにも出しているんでしょう。上げた分は出してきた。それは今度は変わらぬです、同じことです。出してくれることになっているけれども上げられなかった。七、七にできなかった。なぜかといったら、満度にきていて保険料も上げられぬ。だから、今度は、それを自主的にやらなければならぬということになるのですから、そうすると、その市町村は一体どうなるのです。料金を上げなければできやしませんよ。
○鈴木国務大臣 その点は、やれないということを谷口さんは言っておるのでありますが、四カ年計画の線に沿いまして、着々進んでおります。その点は御心配ありません。
○谷口委員 これは保険料を上げればできますよ。これは心配要りません、あなたのおっしゃるとおりだ。保険料を上げていけば何でもないですよ、金さえあればできるんだから。政府は今度国庫補助を定率でふやして、そして言うならわかるけれども、定率でちっともふやさないでおいて上げるというのですから、保険料を上げてやるということでしょう。それができぬから市町村にやれというのでしょう。そういうことですね。そう理解していいですね。
○鈴木国務大臣 特にこの保険税等を急激に上げなければ、家族七割実施ができないというぐあいには、私は見ておらないのであります。全国的に保険料の引き上げというものは、大体一応の料率の改定がなされまして、四十一年度以降におきましては、保険料の大きな増徴がなくとも、今後、今回の措置と相まちまして国保の家族七割給付は達成できるもの、私はこのように考えております。
○谷口委員 こういう押し問答をやっていてもしようがないのですが、あなたが幾らできる、そう思っていてもだめです。京都なんか、さしずめできませんね。だって料金を上げるか、借金するか、国が出すかする以外にないじゃないですか。国が出さぬというのですから、料金を上げないで借金してやれというのですか、料金を上げるよりしようがない。これは、あなた、普通の家庭の経済だって同じです。むちゃくちゃですよ。だから、あなた方はどう思っているかよりも、政府がやろうとしているこのこと自体の中で、どうしても保険料を上げるか、あるいは赤字をふやして借金するかということにならざるを得ぬことをあなた方はきめておいて、それで前進だとか前向きだとか改善だとか、おかしいですよ。(「共産党の言うこと、社会党は賛成だ」と呼ぶ者あり)賛成だね。社共統一だ。(笑声)それはわかった。だから、それも答弁がはっきりしましたからわかりましたが、時間がないので残念です。 今度は、調整の問題ですけれども、みんな触れています。私は、これはこの十分の中でもやるつもりでおったのですが、時間がないからやめますが、各制度間の調整とか、あるいは総合だとか、そういったような総合調整の問題ですね。そういう問題でも、結局これは金の問題ですよ。よく聞いてください。金があればできるんです。金がないのですよ。だから、各制度のアンバランスをなるべく平均化していこうとかなんとかいうことになったら、やはりそのほうでやらなければだめじゃないですか。それで、もう料金は出さない、これ以上ふやさないというような状況だし、赤字ができたら困るんだから、国が出す以外に道はないのですね。こいつをはっきりしませんとだめなんだが、この間の健康保険の改正でも、政府は国の定率化した補助をやるということをやらなかった。今度の場合でも、上げたんだ、上げたんだ、いいようにしたんだということを盛んに言っておるが、聞いてみると何も上がらぬということですから、これはどうも調整とかなんとか言いますが、だめだと思いますが、私はそれについて実は意見を持っております。 国民健康保険の場合、一番不本意に思っているのは世帯主と世帯全部にかかるということです。保険料を出す場合、これは他の被用者保険なんかと違うのです。被用者保険があって、これは保険料を出すという場合には、家族は扶養家族になる。国民健康保険の場合は違うわけですね。もし各制度との間にアンバランスをなくしていこうというのだったら、これはまずやめるべきだ。これが一点です。 それから保険料の取り方も、いまの取り方は取りほうだいになっているのですね。国民健康保険の場合は、保険料の名前で言おうと保険税の名前で言おうと、取りほうだいになっておる。とれにやはりちゃんと、政府管掌なら政府管掌の限度にすべきだというような、何かそういう方向ではっきり歯どめをすべきだ。 それから、低額所得者の集中しているのは国民健康保険ですね。ほんとうに保険料なんか払えないところがたくさんおるのが国民健康保険です。やはりここでの減免の水準をもっと上げるべきである。ぼくたちは、税金の上では、所得百万円以下は無税にせよということを所得税において言っております。つまり、そういう限度にまで引き上げていく必要があるだろう。 それから、給付の問題は、やはり十割やらなければなりませんから、そういう点ですべてが国庫補助にかかりますが、そういう点での国庫補助の問題を考えなければ、この医療制度全体にわたってのその制度に関して、国民健康保険の前進はないというように私どもは思うわけであります。 また、国民健康保険の場合は、被用者保険と違いますから、資本家負担というものがないわけです。そういうわけで、政府や自治体の負担が多くなるのは当然です。そこらを原則的に考えなければだめだと思うのです。その点を強調しておきたいのであります。 同時に、政府のいままでやってきており、また、現に今度の国会でやりました幾つかの保険制度に対する改正の方針というものは、逆に国は出さないで、国民から保険料や保険税で取るという方向で解決しようという方針を出しているわけですね。これは原則的な立場を堅持しているわけです。だから、皆さんの言う各制度間のアンバランスをなくするとか、あるいは各制度間を統合するとか統一するとかいうようなのは、そういう考え方の基礎には国民の負担でやろうという大それた考え方があって、これはもう労働者も国民も絶対に許せぬことだから、それはそういうことでやるのだったら大闘争になるということを覚悟しておく必要があると思う。この点をはっきりしておきまして、私の質問を終わります。
○田中委員長 午後二時三十分まで休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後三時三分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、暫時休憩いたします。 午後三時四分休憩 ————◇————— 午後四時十五分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出の雇用対策法案、中村高一君外十三名提出の駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案、吉村吉雄君外十二名提出の国有林労働者の雇用の安定に関する法律案、横路節雄君外十五名提出の最低賃金法案及び横路節雄君外十五名提出の家内労働法案の各案を議題とし、審査を進めます。 —————————————
○田中委員長 順次、提案理由の説明を聴取いたします。 まず、小平労働大臣。
○小平国務大臣 ただいま議題となりました雇用対策法案につきまして、その提案理由及び内客の概要を御説明申し上げます。 近年わが国の雇用失業情勢は、ときには停滞の時期もありましたが、全体としては、雇用の大幅な増加、失業の減少などかなりの改善が見られたところであります。 今後の情勢を概観いたしますと、本春を頂点として新規学校卒業者を中心とする若年労働力の急激な減少及びその学歴構成の変化、平均寿命の伸長による人口構成の高齢化の傾向に加え、技術革新の進展、生産工程の変化等に伴って、技能労働者等生産部門に従事する労働者の不足が一そう激化することとなる反面、中高年齢者等の再就職問題などが懸念されるところであります。したがいまして、このままでは、わが国経済の基調が人手不足へ移行する過程において、年齢、職種、産業等によって、労働力需給の不均衡が顕著になり、その結果、労働者が安定した職場でその能力を有効に発揮できるようにし、これを通じてその経済的、社会的地位の向上をはかることに対して大きな障害となるものと考えられます。 このような事態に対処するため、今後の産業及び労働面における構造的変化等に伴う雇用に関する政策について、昭和三十九年二月内閣総理大臣から雇用審議会に諮問したところ、同審議会におきまして二年近くにわたり慎重な審議が行なわれ、昨年末これに関しての答申をいただきました。労働省におきましても、かねてから今後の情勢に即応する雇用対策の方向について検討を加えてきていたところでありますが、この答申の趣旨を十分に体し、そこに述べられております「すべての労働者の能力が十分に発揮されて、経済の発展と労働者の福祉の向上を実現していくために」、「職業能力、職種を中心とする近代的労働市場の形成」、「労働力の適応性と流動性の向上」、「技術者、技能者の養成と職業指導の充実」等必要な施策を総合的に展開することを内容とする雇用対策の大綱を取りまとめたのであります。 この大綱は、何ぶんにも雇用対策に関する重要事項でありますので、重ねて雇用審議会にはかり、その御意見を全面的に取り入れて、成案を固め、ここに雇用対策法案として提案した次第であります。 次に、その内容の概略を御説明申し上げます。 第一に、この法律は、国が雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的、社会的地位の向上をはかるとともに、国民経済の均衡ある発展と完全雇用の達成とに資することを目的とするものであります。なお、当然のことではありますが、この法律の運用にあたっては、労働者の職業選択の自由及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならないこととしているのであります。また、国はこの目的を達成するため、職業指導及び職業紹介の事業、技能に関する訓練及び検定の事業、労働者の福祉の増進に必要な施設、労働者の職業の転換、地域間の移動、職場への適応等を援助するために必要な措置、雇用形態の改善等を促進するために必要な施策その他労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策を充実すること及びこれらの施策を総合的に講じなければならないこととしております。 さらに、これらの施策及びその関連施策を講ずるに際しましては、国民経済の健全な発展、それに即応する企業経営基盤の改善、国土の均衡ある開発等の諸施策と相まって、雇用機会の着実な増大及び地域間における就業機会の不均衡の是正をはかるとともに、労働者がその能力を有効に発揮することの妨げとなっている雇用慣行の是正を期するように配慮しなければならないことを明示しているのであります。 第二に、国は雇用対策基本計画を策定しなければならないこととし、その中で、雇用の動向を明らかにするとともに、先に申し述べました労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策の基本となるべき事項を定めることとしておりますが、この場合に、職種、技能の程度その他労働力の質的側面を十分考慮しなければならず、かつ、特定の職種、中小規模の事業等に関して特別の配慮を加えることができることとしております。 また、その策定にあたっては、労働大臣が、広く関係行政機関の長と緊密な連携を保って案を作成し、雇用審議会の意見を聞き、かつ、都道府県知事の意見を求めた上閣議で決定しなければならないこととし、さらに、計画の策定または実施に関し、労働大臣が関係行政機関の長に対して、所要の要請をすることができることとして、必要な施策の総合的な実施及びその実効性を確保することといたしております。 第三に、労働者がその能力に適合する職業につくことができるようにし、また、企業がその必要とする人材の確保ができるようにするため、雇用に関する諸情報の提供とこれに基づく指導援助を充実することといたしております。このため、労働大臣は、労働力の需給の状況、求人、求職の条件その他必要な雇用情報を迅速かつ的確に収集、整理するとともに、今後の技術革新の進展や産業構造の変化等に即応して職業の現況及び動向、職業に関する適性、適応性の増大等職業に関する基礎的事項について調査、研究をし、これらの雇用情報、調査研究の成果等を職業指導、職業紹介等を行なうに際して活用させるとともに、広く関係者が利用し得るよう配慮することといたしております。さらに、職業紹介機関は、これらの雇用情報、調査研究の成果等を提供して、求職者に対しては、その適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択することができるよう、また、求人者に対しても、職務に適合する労働者を雇い入れることができるよう必要な指導、援助をすることといたしております。 第四に、国は、若年層の能力の開発向上及び中高年層の職業への適応性の増進をはかるため、職業訓練施設の整備、職業訓練の内容の充実及び方法の研究開発、職業訓練指導員の養成確保及び資質の向上等職業訓練を充実するための施策を積極的に講ずるものとし、また公共の職業訓練機関が行なう職業訓練と産業界が行なう職業訓練とが相互に密接な関連のもとで行なわれ、有為な技能労働者の養成確保がなされるようはかるべきことを明らかにいたしております。また、技能を軽視しがちな雇用慣行を改善し、労働者の技能の向上と技能労働者の地位の向上をはかり、能力を中心とする労働市場の形成を促進するため、技術の進歩等の状況を考慮して技能評価のための適正な基準を設定し、これに準拠した技能検定制度を確立し、かつ、その拡充、普及をはかることといたしております。 第五に、産業構造の変化等の過程において生ずる職業転換を円滑にする等、労働者がその能力に適合する職業につくことを容易にし、及び促進するため、職業転換給付金制度を創設し、関係給付の充実をはかることといたしております。 これは、従来、特定の失業者に対して支給してきた就職指導手当、職業訓練諸手当、職場適応訓練費及び就職のための移転費について必要な充実をはかるほか、その支給対象を拡大するとともに、特定職種訓練受講奨励金、広域求職活動費、訓練受講のための移転費、帰省旅費を新たに加え、制度的に確立しようとするものであります。 第六に、中高年齢者または身体障害者の雇用を促進するため、国が、別に法律で定めるところにより、雇用率を定め、これが達成されるよう必要な施策を講ずるものとし、これと並んでこれらの者の適職を選定し公表するとともに、その就職の促進につとめ、また、事業主その他の関係者に対し、その雇い入れを容易にするための援助を行なうことといたしました。 雇用率に関しましては、現在、身体障害者については身体障害者雇用促進法に必要な規定を設け、その推進をはかってきているところでありますが、中高年齢者につきましても、事業主は、労働大臣が適職に応じて定める雇用率を達成するようその雇い入れにつとめなければならないこと、及び労働大臣が常時百人以上の労働者を使用する事業所であって中高年齢者の雇用に著しい困難を伴わないものに対し、雇用率の達成のために必要な要請ができることを職業安定法に規定するよう措置しているところであります。 第七に、労働大臣は、身体に障害のある者、新たに職業につこうとする者、中高年齢の失業者その他職業につくことについて特別の配慮を必要とする者に対して行なわれる職業紹介及び職業指導の実施に関し必要な基準を定めることができることとし、また、労働者募集に関し、過当な求人競争による弊害を除去するために労働大臣が募集時期について規制することができるようにする等職業安定法に若干の改正を加えているところであります。 第八に、建設業その他事業の実施が、季節の制約を受ける業種の労働者が年間を通じて雇用されることを促進するため、事業主に対し、これに必要な設備の設置または整備に要する資金の貸し付けを行なう業務を雇用促進事業団の業務に追加することといたしております。 以上のほか、この法律案において、大量の雇用量の変動についての事業主の届け出義務等必要な規定を設け、また、その附則において関係法律について所要の整備をいたしております。 なお、この法律案の作成にあたって、雇用審議会のほか、中央職業安定審議会及び中央職業訓練審議会にはかり、その意見を十分尊重しているところでありますが、今後とも、この法律の施行上の重要事項につきましては、これらの関係審議会に意見を求めるとともに、その施策の実施にあたり関係行政機関とも緊密な連携を保ちつつ、今後の情勢に即応して積極的な雇用対策を展開し、すべての労働者がその有する能力を有効に発揮することができるよう万全を期する所存でおります。 以上、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○田中委員長 次に、提出者河野正君。
○河野(正)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案の提案理由並びにその骨子について御説明を申し上げます。 御承知のように、この法律案は、わが党から数回にわたって提案いたしてまいったものでありますが、残念ながら成立を見なかったのであります。しかしながら、日本社会党が再三再四にわたってこの法律案を提案いたします理由は、この法律案が、駐留軍労働者の雇用の安定と生活確保のために必要欠くべからざるものと判断しているからであります。これまでも強調してまいりましたが、駐留軍労働者の地位はきわめて不安定であります。一昨年においては、アメリカのドル防衛政策とその戦略変更によって、五千人をこえる労働者が解雇されました。また昨年においても、約二千人に近い労働者が離職せざるを得なくなったのであります。しかも、これらの離職者のうち再就職した者はわずかその三〇%前後にすぎず、その他の者は、なお安定した職場を得ていないというのが実情であります。この一事をもっていたしましても、駐留軍労働者の雇用がいかに不安定であるか明らかだと思うのでありますが、日本社会党といたしましては、ぜひとも緊急にこれらの労働者の雇用安定をはかる必要があると考える次第であります。 特に、これらの労働者は、米軍のもとで働いているものでありますが、その雇用については日本政府が雇用主であります。したがいまして、これらの労働者がもし米軍の都合により解雇されました場合には、日本政府がその再雇用の責任を持つのが当然だと考えるのであります。しかも米軍基地は日本政府の意向とはかかわりなく、アメリカ政府の軍事戦略によって変更、移動または廃止される地位にあるのであります。したがいまして、駐留軍労働者の職場は、いついかなる事由によってなくなるかわからないという特殊性、不安定さを持っているのであります。この点こそが一般産業の雇用問題と根本的に相違するところでありまして、そこに駐留軍労働者の雇用安定策の必要が存在すると思うのであります。 日本社会党は、以上のような理由から、特にこれらの労働者の雇用について法的保障が必要と考え、駐留軍労働者雇用安定法案を提案いたしているのであります。 次に、法律案の概略を御説明申し上げます。 第一に、「目的」では、米軍の撤退等に伴って解雇される場合には、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者の雇用の安定をはかろうといたしているのであります。 第二に、本法案によって保護される駐留軍労働者の範囲は、もっぱら政府雇用労務者だけを対象といたしているのであります。 第三に、防衛施設庁長官がアメリカ軍の撤退等の場合に余剰となった労働者を解雇しようとするときは、労働大臣の同意を得なければならないことといたしました。この場合に、労働大臣の同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実である場合にだけ許され、かつその同意は、あらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会の意見を聞かなければならないことといたしております。さらに、同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定いたしております。 第四に、「雇用計画」についての規定は、アメリカ軍の撤退等による余剰の労働者を転職させる計画の作成義務を労働大臣に負わせ、これには解雇制限を受けた労働者についてだけではなく、将来予想される余剰労働者についても雇用計画に織り込むことといたしております。 第五に、転職促進の措置の実施を規定し、職業指導、職業紹介、公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務を労働大臣に義務づけたのであります。 第六に、労働大臣の不同意にかかる労働者に対する措置を規定し、解雇制限を受けた労働者にはそのすべてに対して転職促進の措置を必ず受けさせる義務を課すことといたしました。 第七に、駐留軍労働者雇用安定審議会に関する事項を規定いたしたのであります。 以上が駐留軍労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由とその骨子であります。何とぞ慎重御審議の上、本法案の御採決をお願いするものであります。(拍手) さらに、私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者の雇用の安定に関する法律案について、その提案理由と内容について御説明申し上げます。 現在五十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし、歴代保守政府の進めてまいりました高度成長政策は、山林労働者をも一そう貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活の近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。 すなわち、これらの労働者の賃金は、依然として人間としての最低生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件を規定した労働基準法の中心的規定であります労働時間、休日、休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。 わけて本十五万人に及ぶ国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の降雪、積雪を理由とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者の身分、生活を極度の不安におとしいれているのであります。 しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、定期作業員、日雇い作業員、臨時日雇い作業員という雇用区分によってその労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強行している当局が、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私の最も遺憾とするところであります。 さらに、昨年三月の中央森林審議会の国有林経営合理化に関する答申によると、国有林野事業の利潤追求を第一義とした企業性重視の立場から、労働者や地元農民、中小企業者の犠牲によって一そうの合理化をはかろうとしているのであります。これは高度成長政策のしわ寄せによる国有林経営の悪化を、国有林労働者の人減らしと労働強化によって切り抜けようとするものであり、その矛盾をますます拡大する以外の何ものでもありません。 最近開催されましたILO国家公務員専門家会議におきましては、恒常的な職務を遂行するため必要と目される職員は常勤として採用されなければならないし、その間といえども、常勤と非常勤との間の法的身分の違いをもって賃金や労働条件全体について差別の理由とすべきではないという報告をしているのであります。したがいまして、現在林野庁が行なっております労務政策は、このILOの見解にも全く違反しているのであります。 このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者の雇用を継続させ、その雇用と生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。 次に、この法律案の概要について説明申し上げます。 まず、国は、国有林労働者として前年度及び前々年度においてそれぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また、前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないものといたしました。 第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国は、できる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしたのであります。 第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者で、常時雇用の国有林労働者の対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。 第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。 以上が国有林労働者の雇用の安定に関する法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○田中委員長 次に、提出者吉村吉雄君。
○吉村議員 私は、社会党を代表いたしまして、社会党の最低賃金法並びに家内労働法の両案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。 申し上げるまでもなく、近代国家の目標は、そこに住むすべての国民に安定と希望と生きる喜びを与えることにあります。すなわち、言いかえますならば、福祉国家の実現こそ国家の崇高な任務であります。福祉社会の実現は、社会全体の生産の躍動、その躍動に裏づけられた経済の繁栄が不可欠の条件であります。生産の躍動と発展は、生産になくてはならない労働力をできる限り大切にし、かつ、これを高く評価しなければ、とうていそれを期待することはできません。国は、そのために機能し得るあらゆる施策を実施する責任を有することはまた当然であります。最低賃金制度は、社会進歩の源泉であるところの生産、その生産に携わるすべての労働者の労働の価値を正しく評価し、再生産に必要な生活をなし得るに足る賃金を国が保障せんとする政策でありまして、国家としてなさなければならない最低の義務ともいうべき制度であります。 国際的に見た最低賃金制度の歴史は、もちろん労働保護立法として位置づけられてまいりましたが、他の一面では、貿易競争から生ずる国際緊張緩和の有力な手段として、国際連帯を強め、ついにILO二十六号条約として実を結び、今日この二十六号条約を批准した国はすでに七十三カ国の多きに達しているのであります。 ところで、わが国の実情はどうでありましょうか。月額二万円以下の労働者が雇用労働者のうち約九百万人、このほか内職労働者という名のきわめて低い労働賃金のまま放置されているいわゆる家内労働者の数、実に二百万世帯の多きに達しているのであります。なるほど、わが国にも最低賃金法という名の法律は存在いたします。しかし、それはあくまでも名前だけであって、最低賃金制度が本来具備しなければならない条件を全く欠いていることは、その制定当時から、わが日本社会党の指摘をはじめ各方面の批判の的となり、今日なお国際、国内の紛糾の種になっていることによって明らかであります。 具体的に、現行最低賃金法の欠陥を指摘しまするならば、まず第一に、その最低賃金が、労働者の生活を保障するどころか、逆に低賃金にくぎづけする役割りを果たしているという事実であります。 すなわち、現行最低賃金法による最低賃金額は、労働省の調査によりましても日額四百五十円以下に集中しているのでありまして、月額に換算をして一万二千二百五十円以下という低額なのであります。この驚くべき低賃金の最賃法の適用を強制されている労働者は実に四百万人に達しており、その大部分は未組織の労働者であります。この未組織労働者の低賃金は他の組織労働者の賃金にも決定的な悪影響を与え、今日わが国の労働者はすべて低賃金政策の中で呻吟していること、そのためにまた労使関係が不安定になっていることは御存じのとおりであります。鉱工業生産世界第四位を誇り、経済成長率世界第一位を呼号するわが国の見かけの繁栄の陰に隠された悲惨な一断面というべきでありましょう。この現実を正しく表現しまするならば、このような低賃金労働があって初めて世界第一の経済成長が達成され、大企業の国際進出はなし遂げられたというべきであります。現行最低賃金法が、資本にとっていかに有効な役割りを果たし、労働者にとっては生活を圧迫する役割りしか果たさなかったかの有力な証左でもあります。 第二は、現行最賃法が、わが国の国際信用を傷つけているという点であります。 由来、わが国貿易は、低賃金労働を基盤として海外進出を続けてまいりました。すなわち、ソシアルダンピングの非難は今日なお解消せず、特に、綿製品、雑貨工業、繊維製品等の輸出をめぐって、国際的に波紋を起こしてすらいるのでありますが、これは、その生産が多く家内労働に依存していることと決して無関係ではないのであります。それらが原因しているかいなかは別といたしまして、アメリカの労働組合では、日本の労働賃金調査センターをわが国内に設置する提案すらなされているのであります。このような事実は、わが国の正常な経済発展を阻害するものと憂慮せざるを得ません。 第三は、現行最賃法が、労働者が持つ基本的権利を抑圧しているという点であります。 本来、労働賃金は、労働者と使用者が対等の立場に立ち、直接交渉によってきめられるべきものであることは、労働組合法、労働基準法の明記するとおりであります。しかるに、現行最賃法は、法律の名においてこれをゆがめ、使用者の一方的な意思によって賃金をきめることを公然と認めた悪名高い業者間協定にその中枢的役割りを与えているのであります。これこそ断じて許すことのできない点であります。まさに現行最賃法は、最賃法に名をかりて低賃金政策を合理化し、労働者の生活を圧迫し、それゆえに国内市場を狭隘化して、わが国経済の正常な発展を阻害する有力な原因となっているばかりか、他方、労使関係混乱と紛糾の大きな要因としての役割りしか果たさなかった、わが国労働法規上、悪法の最たるものといっても決して過言ではありません。わが党がここに再三、再四にわたって、ほんとうの意味の最低賃金法を提案し、世に問うゆえんのものは、実にここにあるのであります。 しからば、真の最低賃金法の具備しなければならない要件とは一体何でありましょう。以下、その原則に基づいて立案いたしました最低賃金法並びに家内労働法の骨格について御説明申し上げます。 その第一は、最低賃金額の決定方式についてでありますが、この点につきましては、労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって中央最低賃金委員会を設置し、この委員会に強力な権限を与え、とこで決定をされた最低賃金額について行政機関はこれを追認し、一般的拘束力を持たせることとして、ILO二十六号条約の精神に合致させたものであります。 第二に、最低賃金額決定の基準につきましては、この制度が本来労働保護を目的としているたてまえ上当然のことながら、生活賃金の原則を採用することといたしました。この点は、わが国におきましては、支払い能力原則とか、公正賃金の原則とかに議論が分かれるところでありますが、現行最賃法が支払い能力主義を採用しているために、最低賃金法としての機能を発揮できず、ILO二十六号条約批准の重大な支障となっている事実にかんがみまして、労働者の生活を保障しようとする生活賃金原則をとることが当然と考えるのであります。 第三に、決定された最低賃金額の適用につきましては、全国全産業一律制といたしたのであります。このことは、特にわが国のように産業別、業種別、企業別、地域別に賃金格差がはなはだしく、低賃金労働者が多数存在する状況のもとでそれぞれの最低賃金額をきめることは、最低賃金制度の効果を半減するからであります。もちろん、全国一律の最低賃金の上に、労使の団体協約に基づいた産業別、あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度も確立することといたしまして、運営の完ぺきを期した次第であります。 次に、家内労働法についてでありますが、本法は、申し上げるまでもなく、最低賃金法をして真に効果あらしめるためには不可欠の制度であり、家内労働者の団結権を保護し、その生活を守るために、最低工賃を定めることを骨格として必要な措置を規制し、わが国低賃金の温床的役割りを果たしている内職労働者を苦汗労働から解放し、あわせて、家内労働に依存せざるを得ない諸産業の近代化に資さんといたしているのであります。 以上が両法案の骨子でありますが、ここで最後に申し上げておかなければならないことは、全国一律の最低賃金制度は、中小企業者の経営を困難におとしいれるのではないかという不安についてであります。しかしながら、私は、ただいま提案をいたしました最低賃金法案は、むしろ中小企業者の経営安定に最終的には貢献するものと確信をするのであります。 今日の中小企業者は、政府の大企業偏重の財政、税制政策、下請単価の切り下げ、下請代金の長期手形化などによって呻吟しているのが実情であります。そのため、中小企業者は、やむを得ずそのしわ寄せを労働者に転嫁し、その結果、いたずらに労働争議の発生を余儀なくしているのであります。すなわち、中小企業者も、そこで働いておる労働者も、ともに大企業の利潤追求の犠牲者であるということには変わりはありません。もし全国一律の最低賃金法が制定された場合には、そのことが大企業の下請単価切り下げを食いとめる歯どめの役割りを果たすものと信ずるものであります。同時に、中小企業の経営安定には、何といいましても国の保護、助成なくしては全きを期し得ないのであります。したがいまして、わが党は、中小企業事業分野確保を中核とする中小企業四法を提案して、その経営安定をはかっているのであります。 以上、私は、最低賃金法案並びに家内労働法案について、その提案理由を御説明してまいりました。これまでも申し上げましたように、現行最賃法は、もはやその名に値しないことはだれの目にも明瞭となったばかりか、わが国低賃金の温床的機能に転落をしてしまったのであります。国際的にも軽べつの目をもって見られているのであります。おそまきながら政府もその欠陥を認め、根本的再検討を言明せざるを得なくなったのであります。いまこそ政府と与党が勇断をふるって、との日本社会党提案のほんとうの最低賃金法に率先賛成をされ、今日までのにせ最低賃金法擁護の汚名を挽回をする機会とされますことを強く要請をして、提案の説明を終わります。 なお、本法律案の施行と同時に、現行最低賃金法は廃棄されるものであることをも付言をいたします。(拍手) ————◇—————
○田中委員長 次に、内閣提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、引き続き厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。 まず第一に、この国民健康保険法の今度の改正案を見ますと、国民健康保険にとって非常に大事なことについて、抜けている点がかなりあると思います。その一番大切なことは、ざっくばらんに、端的に申し上げますと、無医地区の対策というものが、この法案なり、あるいはまた、法案の関連として予算なりに十分なものが盛られていないように思うわけであります。国民健康保険法自体の内容の改善あるいはその他負担の軽減、そういうととは非常に重要でございますが、それとともに、この法律の適用を受けながら、実際に医療を受けられないというような問題については、厚生省けもっと本腰に対処をされなければならないと思うわけであります。 今度の厚生省の予算で、昨年度より、そのような無医地区対策ということについて、どういう予算をふやされたか、どのような行政措置の強化なはかっていられるか、ごく簡単でけっこうでございますから、御説明を願いたい。
○鈴木国務大臣 国民皆保険の制度のもとにおきまして、医療の給付が国民全体に適正に確保されるということが必要であることは、ただいま御指摘のとおりでございます。しかるに、都市に人口が集中し、また、医療機関や医師等も偏在をいたしておりまして、地方の農村や山村等におきまして医療機関が十分適正な配置をされていないという点につきましては、政府におきましても、これが改善をはかりますために、鋭意努力を重ねておるととろでございます。 私も東北の岩手県でございまして、無医地区なり、また医療機関が十分適正に配置されていない土地柄でございまして、この点を平素痛感いたしておるところでございます。そこで、就任以来、この僻地医療対策、また医療機関の適正配置という面につきましては特に意を用いてまいったところでございます。その地方地方の医師会等と保険団体が緊密な連携をとってもらいまして、そして無医地区に対するところの医師の巡回診療あるいは医師の出張診療、そういうような面につきましても御協力を願っております。また、巡回診療車あるいは患者輸送車、そういう面の増強につきましても、ぜひこれを進めてまいりたいということで、四十一年度予算におきましても、そのような面につきまして予算措置も講じておるわけであります。 今後、医師の確保あるいは保健婦等の看護要員の確保につきましても、待遇改善その他いろいろ手を打たなければならぬ問題もありますので、引き続き努力をしていきたいと考えます。
○八木(一)委員 局長でけっこうですから、昨年度よりどういう予算をふやしたか、どういう処置をふやしたか、ごく簡単に答弁願います。
○熊崎政府委員 僻地医療対策の推進といたしまして、昨年は一億九千万ございましたのを、二億二千万にふやしまして、僻地診療所の新設三十九カ所、患者輸送車の整備三十台、診療車二十三台、船一隻、雪上車二台、あわせて巡回診療班に対して補助を行なうことといたしました。
○八木(一)委員 いまのような御説明がありましたけれども、いまの僻地医療については、牛の宏みのような対策の進みしかないと思うのです。ここで、たとえば国民健康保険——僻地医療という問題は、労働者の健康保険のほうにも関係はございますけれども、おもにこの国民健康保険の関係が多いと思うわけでございますが、国民健康保険全体の助成費が千四百五十一億という総額があるときに、僻地の人に対しては、いま言ったような金額的に少ない措置しかとられていない。そのために、十分な診療を受けられないで、保険料を払いながら受けられない——金の問題ではなしに、人間の基本的人権の一番大事な問題の、生命を保持する、健康を回復する、病気をなおすという問題に対処されていないわけです。この問題については、鈴木厚生大臣が熱意を持って当たりたいと言われるなら、その実を示していただかなければならないと思う。いま抽象的に言われましたけれども、診療所をつくる、あるいは巡回診療車をたくさんつくる、また場所によっては船をつくる、あるいはヘリコプターを備えつけるという問題、それからそこに医師を充足するという問題があります。医師を充足する問題でも、無医地区ということば自体があいまいなことばでございまして、昔、無医村ということばがありましたけれども、町村合併がありましたので、市町村の管轄内に医師が一人もいないところはなくなったから無医地区ということになっただけで、その実態は変わりないわけです。たとえば、大きな広いところに医師が一人しかいない。無医地区ということばには当たらないけれども、片方で急性盲腸炎を起こした、片方で難産があったというとき、これが同時に遠く離れたところで患者が発生した場合に、どちらかの患者を医師が見放さなければならないということになるわけです。そういうような状態ではいけないので、お医者さんの密度がふえなければならない。そして、そこにただ小児科のお医者さんがいて、外科のお医者さんがいないということであれば、外科的処置をする必要がある場合には、これは助からないということになる。ですから、各科のことのできる医師が相当な密度を持って各地区にいなければ、完全な無医地区の解消はできないわけです。現状はそれにはるかに遠いわけであります。それをするためには、国が相当の思い切った国費の投入をしなければそれができない、これはだれが考えても明らかであります。船とか車とか、あるいはヘリコプター、そこにおける諸施設、そういう問題にも金がかかります。そのほかに、非常に熱心な医師をそこに配置するということにたいへんな問題があるわけです。民間の医療機関の採算ベースには合わないところでありますから、よほどのことをしなければそこには医師は行かない。そういうことになれば、民間の自由開業の医師にそこに行ってもらうことに対するあらゆる意味の対処をしなければならない。それと同時に、それだけで解決しないことは明らかでありますから、結局そのような直営診療所その他を充実して、そこに医師を派遣しなければならない。派遣するにしても、その医師が医師として自分の技能を習得し、どんどん技術を練摩したいという希望もあり、それから子供の教育もあるから、文化的なところに住みたいという希望もあります。いろいろの希望がありますから、医師にしてみたらだいぶ犠牲になるわけです。だから、犠牲でない状態をつくって、医師が喜んで——喜ぶまでいかないにしても、そう苦痛じゃなしにそこに行ってもらえる態勢をつくらなければならない。それには、国立、公立の医師がいろいろなところで研究をしておられる。そこで研究をしておられる方が、二年なり三年なり無医地区に行って研究し、実際の診療にあたって十分な腕を持った人が——無医地区に永久に行くのじゃその人のいろいろな希望に合いませんから、一定の時限を画してそこに行く。帰ってきたならば、国立なり公立の医療機関において一段上がった指導的地位に立てるというような条件をつくらなければ、これはなかなか行かないだろうと思うのです。そういう条件、それから行っている間の給与等の条件について、思い切った措置をとらなければならない。それだけでは足りないと思います。それとともに、たとえば、医師になりたいけれども、いま学費がないために医師になり切れないという人たちに、国のほうでその学費を全額出して、また学業修得中の生活費も出してあげるような措置をつくって、そのかわり、修業して練摩された後において、永久にじゃなくて一定の期間そこに行っていただくという条件な加味して、そういうことも解決していく。あるいはまた、私的医療機関について、国がいろいろと助成に厚味をかける。その助成を受けた人は、やはりそういうようなことについて——これは国立、公立の医師よりはめんどうだろうと思いますけれども、具体的にそういう人たちも協力できるような態勢をつくる。そういうようなことをすべて考えていかなければなりませんし、医師だけでは問題が運びませんから、看護婦の問題もありましょう、いろいろの医療技術者の問題もありましょう、そういうことについて思い切った措置をとらなければならないと思います。遅々としてはかどりませんけれども、予算の面では、いま出ておるような予算ではとうていできない。これは一ぺんに少なくとも百倍くらいにしなければならぬ。私は一万倍と言ってもいいくらいだと思いますが、少なくとも百倍くらいにしなければ、この問題には対処できないと思う。そういう点について、厚生大臣は思い切った措置を強力に、熱心に推進される必要があろうと思います。ほかのこともいろいろこまごまと伺いたいわけでございますが、厚生大臣は十分御存じのことでございますから、思い切った措置を至急に御検討をして、それを推進するという、そういう前向きの決心を聞かしていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいま八木さんから、僻地医療対策、特に医師等の確保の問題につきまして、きわめて適切な具体的な、詳細な御提案がございました。私どもも、そういう対策を進める必要があるということにつきましては、全く同じような考えを持っておりますので、今後その面につきまして特に力を入れてまいりたいと思います。
○八木(一)委員 大蔵省はいないのですか。——いまの厚生省が一生懸命にやられることに往々にしてブレーキをかけるのは大蔵省でございますから、ぜひ委員長からも、それから答弁をされた鈴木国務大臣からも、福田大蔵大臣にその趣旨を十分にお伝えをいただきたいと思う。 次に、本題に移りたいと思います。この国民健康保険法の改正案の提案理由を、この前も申し上げましたけれども、もう一回その大事なことを読んでみたいと思います。政府の印刷物ですが、「国民健康保険につきましては、保険給付の内容を改善して被保険者負担の軽減をはかるとともに、その財政に対する国の援助を強化することが当面の急務と考えるのであります。」というふうにお述べになりましたし、また配付をされておるわけであります。これはまさに非常に重要なことで、このとおりだと思うわけです。厚生大臣は、これをほんとうに確信を持って熱心に考えておられると思いますが、その文言についてずばり前向きの御答弁をお願いしたい。
○鈴木国務大臣 国民健康保険の被保険者は、所得の低い階層の方々が相当多数を占めておるわけでございますので、政府におきましても、今後とも保険料の減免措置を拡大する、また、保険料負担をできるだけこれ以上ふやさないように、また、給付の面につきましてもこれを逐次計画的に向上してまいりますように、そして国民健康保険がわが国の医療保険の中枢的な大きな柱として健全な発展ができますように、さらに努力をしたいと考えております。
○八木(一)委員 先ほど伺いましたことをそのままお認めになった上で、いまの具体的なことについて積極的に御発言をされたものと確認をいたします。 ところで、厚生省のほうが急務と考えておられる、私どももそのように思っておるわけであります。ところが、今度の法案がその実を伴っていないことは、この前からの各委員の審議でも明らかになったわけであります。いままで二割五分の国庫負担を四割にするということになって、それだけ見れば非常に国庫負担が強化されたように見えますけれども、しかし、いままでの調整交付金が一割、それからもう一つは、家族の七割給付達成のための補助金が一割五分ありますから、算術計算をすると五割になる。普通一般の調整交付金の中に、世帯主の給付七割のところは計数的に半額があるということでありますから、一番最初にしろうとが見ると、二割五分が四割になってよさそうに見える。もうちょっと調べた人が見ると、五割のところが四割に下がった。もうちょっと調べてみると、実質上は横すべりだったという内容にすぎないわけです。ただし、いままでの補助金が結局見積もりであって、実額に対した負担ができない点は、こういう国庫負担の部分のほうを多くしたために実額になるという点で、ほんとうにスズメの涙ほどの前進だということは、私ども論議している者はわかっておるわけであります。ところが、全体的に、このように保険給付の内容を改善して被保険者負担の軽減をはかるとともに、その財政に対する国の援助を強化することが当面の急務と考えるとおっしゃったこととは、ほんとうに離れた、問題にならない内容であります。したがって、いろんな問題について申し上げますけれども、基本的に、国庫負担四割という問題を、五割なり六割なりに進めていかなければならないと思います。この法案は四割という内容であるけれども、政府が次年度等において、基本的に国庫負担の四割を五割なり六割なり、そういう進める努力を熱心にされる必要があろうと思います。その点についての厚生大臣の前向きな御決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 今回御審議をわずらわしているような改善をやりますと同時に、引き続き医療保険全体の抜本的な改善策を講じなければならぬ、こう考えておりますが、その際におきまして、国保が何といってもわが国の医療保険の重要な柱でございますから、この給付内容をさらに改善し、引き上げていく。また、保険料の負担の軽減をはかりますために、国庫負担の増額あるいはこの定率の引き上げという面につきましても、政府として真剣に取り組んでまいりたいと思います。
○八木(一)委員 非常にりっぱな御答弁だと思います。給付の内容の引き上げ、改善、それから保険料の軽減のために国庫負担率の増率を積極的に考えていきたい。これは関係団体の人は喜びます。それ以上に被保険者たる国民の方々が、この問題を理解されたら、政府の、鈴木厚生大臣の決意に対して非常に喜ばれると思うわけであります。 ところで、この前の質問を申し上げましたときも、厚生大臣は、何と申しますか、保険料の負担が非常に多い、本年度におきましても、この一年前から平均して三四%の引き上げがある、それから三十四年から見れば、結局世帯について見れば約倍、個人について見れば約三倍の引き上げがある、そういうことは非常にその関係者に対して重荷になっておるということを御質問を申し上げましたら、それをそのまま認められまして、政府としては、そういう保険料が値上げをされないということについて一生懸命に対処をしているんである、また、対処をするから、今後は一切そういう心配は要らないという意味の御答弁があったわけでありまして、そういう意味で、それを実際に移されて保険料の値上げなどをしないでいいように、ぐんぐんと国のほうの援助の対策を強化されるとともに、そういう決心を持ってそういうことを具体的に進めておられるわけでございますから、各市町村の国民健康保険団体において、いままでさんざん痛めつけられたところで、政府に対してはそういう信頼がないと思いますが、これからは積極的に取り組んでいかれるわけでございますから、この点については心配がないというので、いままで非常に保険料を上げ過ぎて、関係者にとっては非常な重荷になっているので、保険料を上げないように政府のほうは努力をしているんであるから、各市町村においても保険料を上げないようにされたいというような行政指導を強化していただきたいと思うわけであります。その点について、ひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 保険料の問題につきましては、先般来御答弁を申し上げておりますように、今日まで屡次にわたって引き上げが行なわれてきております。したがいまして、私は、被保険者の負担は相当重くなっておるということを認識いたしておるのであります。したがいまして、今後保険料の引き上げの問題につきましては、全国的な水準以上にこれをさらに引き上げをするというようなことのないように、国としても、国庫負担その他の面につきましてもできるだけの手当てをいたしまして、そういうような方向でやってまいるようにしたいと思います。
○八木(一)委員 全国的な水準以上にというお話がございました。いわゆる厚生大臣がお考えになっておられる水準に達していないところについては、逆解釈をすると、そういう引き上げないような指導はしない。あるいは逆にもっと勘ぐれば、引き上げるようなことをさせるおそれもあるということに、ひっかかって考えればなるわけです。厚生大臣は善意で、そういう考え方はないと思うのです。特別の特別の事情があったときに、そこもかってに上げるなという指導は、厚生省としてもやりにくいだろうと思います。そういうことは別として、特に特別な事情があるところ以外は、これは上げないように厚生省として強力に指導をされる、そういうような必要があろうと思う。それについてぜひ−……。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国民皆保険のもとにおける医療の確保をはかってまいるわけでございますから、負担の面におきましても、あまり市町村の間にアンバランスがあるということは適当でない、私はこう考えておるわけであります。したがって、全国的な水準以上に保険料を重くしようという市町村等があります場合には、できるだけ国としても財政的な援助、協力もいたしまして、さようなことがなされぬようにやっていきたい、こう考えておるわけであります。ただ、全国的な平均のその中において、それを越えない範囲におきまして、各町村が自主的に、自己の保険財政の事情等を勘案してやります場合につきまして、そこまで私ども干渉してどうこうと言うようなことは考えておりません。
○八木(一)委員 だいぶいい御答弁なんですけれども、その心配があるわけです。全国的な水準ということばをあまりおっしゃると、私も厚生省の立場はわかりますから一歩譲歩して、特別の特別の事情のあるところ以外はということを申し上げているわけです。全国的な水準というと、半分より下のところを上げることを認める、あるいはまた、かってに上げることを知らぬ顔して認めるか、裏で上げるということに通ずるおそれがあるわけです。ですから、特別な事情のあるところは、これは私も無理を申しませんけれども、そうでないところについては上げさせない指導をする。全国水準よりはるかに高いところはむしろ下げさせる。上げ過ぎて住民に気の毒過ぎるから、国も対処しているし、これからも対処するんだから、特別の特別に上げ過ぎたところは、むしろ下げなさいというような指導をしてしかるべきだと思う。そういう意見をつけ加えて、いま言ったような全国水準ということばじゃなしに、ほんとうに特別の事情のあるところは別として、それ以外の一般的なところは上げないような指導をなさるというふうに、ぜひしていただきたいと思うわけです。それについての、ひとつぜひ前向きの御答弁を願いたい。
○鈴木国務大臣 私の申し述べておることは、八木さんのおっしゃることとそう内容的に変わっていないと思うのであります。要するに被保険者の負担の面においてもなるだけアンバランスのないようにしていきたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
○八木(一)委員 私の申し上げた表現について、そういうお気持ちであるというふうに理解してよろしゅうございますか。——厚生大臣は首を縦に振られましたので、私も、さっき申し上げたことの同じ御意見をここで言っていただいたというふうに確認をいたしたいと思います。 その次に、先ほど厚生大臣が非常に積極的な態度で、国庫負担について保険料の負担を軽減するためにということと、内容の向上、給付の改善のために抜本改正のときに考えたい、前進させたいということを言われたわけであります。一つは、一般的にいまの状態でも保険料が非常に負担が高いから、そのために国庫負担を上げたいという部門にあるわけです。それは私、ぜひ伺いたかったのですが、鈴木国務大臣から言っていただいて非常に満足です。もう一つは、給付の改善、内容の引き上げということについて、当然国庫負担が要るわけです。これも御答弁中にあるわけです。その点で非常にりっぱな前向きの御答弁であろうと思う。 そこで、給付の内容の改善については、いろいろの問題があろうと思います。まず、給付率の引き上げという問題がございます。ただいま世帯主の七割給付が完全に行なわれておって、家族の七割給付が進行中であります。そこで、制度審議会その他の答申では、少なくとも九割以上に給付をしなければならないということであります。これが国民健康保険の行く道であります。ですから、七割から八割、九割、十割というふうに進んでいかなければならないと思うわけであります。その点について、もちろん根本的な抜本改正のときにお考えになろうと思いますが、そこで、この前私が御質問申し上げて厚生大臣に御答弁いただきましたように、各医療保険の中で、これをただそのまま平均化するのではない、みんな前向きに前進させなければならない、平均化させなければならないという私どもの質問に対して、同じ気持ちであることを御答弁になりました。そういう方向でいくと思います。ですから、その方向の中の一つのものとして、そういう前向きに前進しながら格差がなくなるようにするという中で、国民健康保険の給付率を七割、八割、九割十割と、だんだんに上げていかなければならないと思うので、そういうことについても、抜本改正のときに積極的に上げていく御努力をなさるであろうと思いますし、また国庫負担について、さっき申し上げましたように、当然それを実施するために、国庫負担の増額が必要だということになろうと思うわけであります。それについて、ひとつ前向きの御答弁を願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、先ほども私から進んで御答弁申し上げたところでありますが、この抜本的な改正をいたします際に、そういう方向に向かって計画的に改善を進めていく、その具体策につきましては、審議会の意見等も伺いまして、それを尊重して具体的な対策を講じていきたい、かように考えております。
○八木(一)委員 そこで、給付率の問題が一般に一番重要な問題で、だれしもそれが中心であろうと思うわけでございます。そのほかにも問題があろうと思います。たとえば、ほかの健康保険制度については、傷病手当金とか出産手当金というものがある。また、出産についての直接の出産手当金みたいなものもございますけれども、こういう問題については、国民健康保険は各地において条例の中で違いはありますけれども、平均的に、傷病手当金のあるところはほとんどない、それから出産給付も少ないということになろうかと思いますが、当然その中の中心課題である傷病手当金、出産手当金というようなものをこの中に導入をしてこなければならないと思います。これが結局、全部が被保険者になっておりますから、具体的な進め方、たとえば労働者の健康保険の家族にまでそれを及ぼすかという問題とも関連がありますから、問題としては、最初に考えられるのは、おそらく世帯主等の傷病手当金ということになろうと思いますけれども、傷病手当金と出産手当金——出産というのは女性に限りますから、これは世帯主でなくても、当然女性のそういう人たちにも考えていかなければならない、全般的に家族と女性についても考えていかなければならないと思いますが、そのような問題についても、それを実現する方向でぜひ御検討をいただきたいと思うのです。それについて……。
○鈴木国務大臣 傷病手当でありますとか出産手当、この問題も当然取り上げて検討いたしたいと思っております。また、外国の諸制度等もいろいろ参考になると思いますので、そういう点も十分調査し、研究をしながら、この問題も研究の課題として取り上げたいと思います。
○八木(一)委員 非常に前向きな御答弁をいただきましてけっこうでありますが、鈴木厚生大臣が、こういう問題についてほんとうに熱意を込めておられるお気持ちを明白に認識いたしまして、うれしく存ずるわけでございます。そういう問題について、長らく御在任なさって、ぜひ早く実現していただきたいし、また、どなたか別な方にかわられるのだったら、その意思を継いで、それ以上に熱意を込めてやっていただけるように、次の方にぜひとも確実に引き継いでもらいたいと思うわけであります。 そこで、国民健康保険についてひとつ定義をしておきたいと思いますが、私も国民健康保険の被保険者であります。いろいろと給付を受けたことがございます。ただし、保険料が高いために、総体的には私は損をしておりますが、それでも給付を受けたことがございます。私の実感だけではございませんけれども、ほかの方々について非常に不便なことがあるわけであります。というのは、国民健康保険は市町村の単位で行なわれている、このことのために、たとえば財政調整交付金が要るとか、いろいろな問題がございます。国民健康保険の中において給付のアンバランスがある。私どもは、ほんとうはこれは被用者以外の国民に対して、国が一本の健康保険制度として運営されてしかるべきものだと考えるわけでございますが、いろいろな経緯があって、一ぺんに飛びはねてはむずかしいと思います。そこで、抜本改正がむずかしいそういう国民健康保険内の地域格差のある点、それからまた、地方に委託されているために、いろいろ国のほうの見積もりが違って地方に非常に迷惑をかけている点、いろいろな点については御答弁いただけると思いますが、ことに被保険者の患者の立場からいいますと、非常にふしぎなことがあるわけです。たとえば千葉県で健康保険に吉川先生が入っておられる。そこで東京に来たときに、からだのぐあいが大いに悪くなった。東京の病院で診療を受けて、すぐに入院しなければならぬというときに、これは現物給付がないわけであります。市町村なり府県なりがいま非常に変動しておりまして、交通機関が発達し、職場が近代的になっておりますから、居住地で必ずしもその時間の大部分を過ごすわけではないのであります。勤務しているところ、働いているところで時間を消費することが多い。そこで病気になったときに、自分の市町村以外のところで診療を受けなければならないということが多くあるわけです。そのときに、これは現物給付を受けられなければ、療養費払いという制度になるわけです。私も貧乏代議士でございますけれども、わずかな金を何とか借りて用意できたから、そのときはよかったのですが、ほんとうに零細な低所得の方々の場合には、その全額の療養費をそこで払わなければならない。それで、手続をして、何カ月かおくれてから療養費払いで保険会計から出てくるということが非常に不便なわけです。非常に不便であるし、便利、不便という問題だけではなしに、非常に金の余裕のない人にとっては、病気の心配で家族があたふたしているときに金の心配までもしなければならない。そういうことで、病気の性質によってはその心配がある。自分が苦しい、自分の命があぶない、それで死んだ場合に家族がどうなるという苦労のほかに、当面対処する医療の金までやりくりしなければならないという問題が起こります。もちろん十割給付でなくて、七割給付でございますから、三割は、残念ながらいまのところ自分でやりくりをしなければなりませんけれども、あと七割をやりくるというのは非常にたいへんなことであります。この間ある場所で結核の胸部の肺切の手術をやった私の知っておる患者から費用を聞きますと、その人は、社会保険がありましたからたいしたことありませんが、総額三十七万円くらいの大手術でありました。そういうときに、七割給付、七割の分を自己負担するととんでもないことになる。ですから、この現物給付が、何らかの方法でほかで受けても現物給付ができるというふうにしていただかないと、せっかくある国民健康保険がそとでほんとうの意味で有効に働かない。金の問題は同じです。これは療養費払いであとから払ったって、金の問題はほとんど関係ない。被保険者患者の問題としては非常に大事な問題であります。そういう問題について、これを解決するようなことをぜひ厚生省で御検討になり、実現をしていただきたいと思うわけです。それについての厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 いまお話がありました点につきまして、療養取り扱い機関の状況を調べてみますと、全国どこの被保険者でも扱います病院が現在五六・一%ございます。また、隣接県の人々を対象にして療養ができます病院が二二・一%ございます。それから自県の範囲内でやっておりますものが、これも二二・一%、こういうぐあいに病院ではなっておりますし、私は、この全国の五六%という病院の現状を、だんだん全部の病院がそういうようなことができまするように指導していきたい、こう考えておりますし、また、制度的に今後抜本的な改正をいたします場合に、現在は市町村単位ごとに国民健康保険をやっておるわけでありますが、これでいいのかどうか、都道府県単位がいいのか、また、国が全部プールしたほうがいいのか、そういう根本的な問題につきましても検討をしていきたい、こう考えます。
○八木(一)委員 非常に前向きな御答弁でけっこうでありますが、ちょっとわからない点がありますので、いま数字をおっしゃったのは国民健康保険の扱いをする病院というわけで、療養費払いの扱いをするところでも現物払いはされないで、療養費払いしかできないのじゃないかと思いますが、事務的なことですから、局長のほうから……。
○熊崎政府委員 ただいま大臣が申し上げましたのは、現物給付をするところでございます。それが病院では五六・一%、それから隣接の、たとえば千葉で東京もやるというような隣接県を扱っておるところが二二・一%、残りが自県だけということになっておりますので、これを逐次全国の扱いがやれるように持っていく、こういう趣旨です。
○八木(一)委員 わかりました。かなりそういう点についても配慮されていることはわかりましたけれども、さらに完全にしていただきたい。患者があわてたときには、現物給付をやっている病院かどうかさっぱりわからぬのです。入ってみて、これは極端に言えば、自由診療のところに行って、健康保険は扱いませんよというところにぶつかってしまうこともあれば、国民健康保険も扱わないところにぶつかることも多い。そういうことになりますので、いま申し上げたことをどんどん進めていただくと同時に、そういうことを患者にわかりやすく、国保でこういう病気について見てもらうには、どこの病院に行けばいいのだということがすっかりわかるような方法をぜひ考えて、実施をしていただきたいと思います。 それから、続いてもっと具体的な内容に入ります。実は先ほど保険料の引き上げをさせない点についても、それから国の援助、国庫負担その他の援助をすることについても、また、給付の内容を改善することについても、あるいはまた、無医地区の問題についてもかなり前向きの御決心を伺えて非常にけっこうでございますが、今度の法案に関係のあることで、もっと具体的な問題をこれから御質問を申し上げたいと思います。それはこの前、私も質問しましたし、同僚の委員からも御質問がございましたと思いますが、減免の問題であります。減免の問題については、これは御承知のとおり、この前も申し上げましたけれども、本人負担の減免、保険料の減免、この四つの問題が課題になって、そのうちの保険料の減額については実施をされておるわけです。もちろん、市町村ですから、市町村がやろうと思ったら条例でできるのですけれども、結局市町村の財政が非常に苦しいから、国の減免分についての補てんということが実現をしなければ、問題が全然前進をしないということになるが、国のほうの補てんがその四分の一の程度しか行なわれていないわけです。この点について、総体的に本人負担の減免、それから保険料負担の減免について、やっていないものは新しくその制度をつくる、やっているものはこれを強化する、拡大をするという方向で熱心に対処していただくことが大事だと思うわけであります。というのは、保険料がこれだけ増大したわけでございますから、そこで低所得階層にとっては保険料の負担が非常に痛い、特別に痛いということで、その問題に対処するためにも保険料の減免が必要でございますし、先ほど申しましたように、十割給付が達成しておらないところにおいて、本人負担というものが低所得階層については非常に痛くて、そのために、金がないために、命が助かる条件があるのに診療をしてもらうことが十分できなくて命を失う、あるいは病気の回復がおくれるという点があるわけでございますから、これの強化は非常に大事だと思うわけであります。保険料の減免、本人負担の減免について、それの補てんについて国の制度のないものは急速に新設をされる、あるものは急速に拡大をされる、対象者も、内容の減免の率についてもこれを改善をされるということが必要だろうと思います。総体的に熱意を持った前向きの御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 保険料の減免の措置の範囲を拡大するという問題が第一点、それから第二点は患者の本人負担の減免措置を設ける問題、この問題につきましても引き続き前向きで検討したいと思います。
○八木(一)委員 いまの国民健康保険法では、残念ながら保険料の減額に対する補てんの基礎条文があるだけだと思っておりますから、ぜひそれを進める意味においては、本人負担の減免、保険料の免除についての基礎条文をつくっていただく必要があろうと思います。それについて、ぜひいまの御答弁に従って前向きにしていただきたいと思いますが、現在の法律では減額に対する補てんの条文しかないわけです。そうなると、それをいまの趣旨に合わして非常に強化をし、拡大することが必要だと思います。現行の状態では、一世帯が九万円以下の所得の場合に保険料の六割を減額する。したがって、四割払えばいい。それからもう一つは、九万円以上の世帯であっても生活が苦しくなりますから、家族一人について二万五千円のものを足して、それを足しただけの世帯の収入があってもこれを減額する。この減額の率は四割減額であって、したがって保険料の六割を払わなければならない。その減免をした中から、調整交付金の中から国がこれを補てんをするというような制度になっておるわけであります。そこで、そのような免除というものがないということを、いまの現行法でその趣旨に近づけるとすれば、いま六割減額をしているところでこれを七割なり八割なり九割なりに近くすることによって、免除という規定がないのをできるだけ行政的にカバーすることになろうと思う。また、四割しか減額していないものを、五割減額、六割減額、七割減額というふうに、その内容の数についてはこれから御検討になろうと思いますから、そういうことを多くしていくことが、免除制度がないことを行政的にカバーするゆえんになると思います。そういうことについて、ひとつ前向きに御検討を願いたいと思う。それについてひとつ……。
○鈴木国務大臣 お説のとおり、現在は減額措置だけが行なわれておるわけでありますが、減免の措置につきましても今後十分検討したいと考えております。
○八木(一)委員 そこで、これは法律事項じゃありませんけれども、ほんとうに御検討になって決心をされれば、それを行政的に関係の諸官庁と御相談になれば前進ができるのであります。ぜひ次の、こういう改正案を審議する際には、これはうまくできた、こういうふうに、前進したということを厚生大臣から御報告くださるような、そういう前進をお願いしたいと思うわけであります。 それから具体的に、現行の問題で今度は率の問題を申し上げますと、現行のその六割減額、四割減額の相手の問題であります。いまの六割減額の相手は、九万円以下の世帯に対してこれをやっているわけでありますが、その九万円というのは、地方税の免除をされておる規定に合わせてつくられているわけであります。地方税法が変わりましたから、それを当然地方税法の改正に合わせると、この法を立案された趣旨でいくと、当然十万円以下にスライドをしなければならない状態になるわけです。行政的にこれから手続をされるのに、これは半月や一月かかると思いますけれども、急速に、この九万円以下の六割減額というものを十万円以下の六割減額ということだけは、即時という文言で申し上げてもいいくらいの事務手続だけを終えて、すぐやっていただく。これをぜひ厚生大臣から国民に対しておっしゃっていただいて、国民に非常に喜んでいただくようにしていただきたいと思うのです。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、税法の改正に即しましてそれに適合するように前向きで検討したいと思います。
○八木(一)委員 これは最小にしぼったことですから、検討じゃなしに、ぜひ実施をするというはっきりしたことばでやっていただきたいと思います。事務的に各官庁といろいろな折衝をすることがあると思いますけれども、これについては、たとえば自治大臣とか大蔵大臣なんかも、その方が気違いじゃない限り賛成はされると思います。ですから、実施するのだということをおっしゃっていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 いま私一人で申し上げることはできませんが、御趣旨に沿うように努力いたします。
○八木(一)委員 今度やっていただくものは九万円ですが、それよりも収入が多いけれども、家族が多いから単独で九万円なり十万円の人よりも生活が苦しい人の問題についても、いままで家族二万五千円を加算したものに対しても対象者にするということになっていましたが、この二万五千円を、そういう点で一ぺんにはね上がれないにしても、そういうようなスライドと、いま政府のベースでお考えになっても、当然考えていただいていいだけのものは、ぜひ至急にやられるというお考えを披瀝していただきたいと思います。私は、これを、一人当たり二万五千円というのはほんとうは四万円、五万円が必要だと思いますけれども、私の考え方だけ押しつけては申しわけございませんから、どんなに少なくとも二万五千円を三万円くらいにするというようなことは、ぜひ御決意を願いたいわけであります。そういう点で、一人当たりの金額を三万円くらいにそのものをする。控除というのか、技術的に何といいますか、減免対象者の要件に、世帯収入の要件があり、そこに家族があることによる要件の緩和、その部分を、一人二万五千円というのをどんなに少なくとも三万円くらいまでは、事務手続が終えられて一両月の間に実施をされるということを、ひとつぜひ御決意をいただきたいと思うのです。それについてひとつ厚生大臣から……。
○鈴木国務大臣 家族の一人当たりの控除額現在二万五千円でございますが、とれを増額をする、こういう方向で今後努力したいと考えております。
○八木(一)委員 それでは、引き続き御質問させていただきます。 この減免ということについては、非常に前向きのお約束と、それから御決意を伺わしていただきました。非常にけっこうでございました。いまおっしゃっていただいた分ではごくわずかしか国費はふえませんけれども、そのほかに免除を実施する、それから本人負担の減免を実施するということになると、ある程度の費用が要ることになろうかと思います。そこで、こういうものについての原資を扱っておりますのはいわゆる調整交付金であります。調整交付金については、これは国民健康保険各団体も、四割の国庫負担については満足をしておりますけれども、少なくとも一〇%のまま置いておいていただきたいということを、非常に遠慮がちの国民健康保険団体の代表者が熱意を込めて政府にも御要望申し上げ、自民党の方々や私どもにも、それの実現のために努力をしていただきたいということを要望しておられるわけであります。自来国民健康保険団体のほうは、これは市町村関係の方が多いものですから、政府というものの権威についてある程度遠慮がち、極端なことばで言えば弱い立場でございまして、この表現は、最大限度のかつかつのことを遠慮がちに言っておられるわけです。こういう点については、十分に考えていかなければならないと思うわけです。ことに減免はどんどん拡大されなければならないわけでございますが、いまの調整交付金の一〇%のうち、五〇%前後のものは、世帯主の七割給付のために使われているということで五〇%がはずれた。ところが、その残りの相当大きな部分は減免に使われているわけであります。いまおっしゃったように、減免を拡大をしなければならない。そうなると、残りちょっぴりが本来の調整交付金の任務である。たとえば災害のときの補てんの問題もありますけれども、それ以上に本来の任務でございます貧困市町村、貧困保険団体に対する調整任務に当たるということになります。この調整任務ということで、最初できたときに、一切ほかの問題がないときに五%の調整交付金があったわけであります。ほかの減免とか、そういうような任務のないときに五%があったのが、今度そういう任務を含んで五%にされたわけでありますから、本来の調整任務、調整機能がここでぐっと薄れているわけであります。今度の案はこうなっておりますけれども、ぜひこれは、やはり本来の調整機能ということは非常に大事でございますから、少なくとも私どもは、いますぐにでもこの一〇に回復をしなければ、本来の機能を失なってしまうし、また、要望にこたえる道ではないと思うわけです。ただこの法案に盛られておりませんから、いま直ちにこの法案を修正していただきたい気持ちはやまやまでございますけれども、いろいろな問題がありますから、そういう点について、私どもは調整交付金はいろいろな点で積極的に一五%、二〇%くらい必要だと思いますが、少なくとも一〇%に、一番近い機会に、私どもは来年度の改正においてそういうことを実現していただきたいと思います。そういう点について、ぜひひとつ前向きの御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 調整交付金の率を引き上げる問題につきまして、厚生省といたしましても最善を尽くす考えでございます。
○八木(一)委員 自治大臣が来られましたし、時間が限られておりますから、自治大臣のほうに質問を移したいと思います。書類をごらんになる必要はありません。権威者の自治大臣ですから、申し上げることは全部おわかりのことなんであります。鈴木厚生大臣が、国民健康保険に非常に熱意を込めて、前向きの御決意を披瀝していただいたわけです。その点、私どもは非常に敬意を表して、いま質問を続けているところであります。国民健康保険については最初からこの二十数年間、非常に熱意を込めて当たってこられた、しかも国民健康保険について関係の深い自治省を預かっておられる永山さんの、同様の御意見を伺って、国民の方々に確実に喜んでいただきたいということで、永山さんに御出席をいただいたわけでございます。権威者でございますからあれでございますけれども、いままで厚生大臣が御決意をなさいましたことをかいつまんでぱっぱっと申し上げます。全部御賛成だろうと思いますし、それをひとつ項目で申し上げます。 まず第一に、国民健康保険に一番関係が深く、ほかの社会保険とも関係が深い無医地区の解消のために一生懸命やり、そのために金を出して施設をつくるなり、医者がほんとうに行ってくれるような施設について前向きの御答弁をいただきたい。それが一つ。 その次に、国保全体の改善について、いまの御趣旨では、「国民健康保険につきましては、保険給付の内容を改善して被保険者負担の軽減をはかるとともに、その財政に対する国の援助を強化することが当面の急務と考えるのであります。」こういうことで提案理由が始まっておるわけであります。その趣旨は非常にりっぱな趣旨だ。ところが、今度の改正案は、そのりっぱな趣旨に合っていなくて非常に不十分である、だからということで質問が始まりまして、国保の保険料がここ十年間、三十四年から世帯割りにして倍になっている、個人当たりにして三倍になっている、非常に被保険者にとっては痛い。そういうことを申し上げてから、こういう問題を解決するために、まず国庫負担を多くする必要がある。いまの四割の国庫負担は——二割五分を四割になさるとして、調整交付金が一〇%で、家族の七割給付の補助金が一五%だから、合わせれば五〇になるけれども、しかし、世帯主の七割実現の分が調整交付金の中に入っている。そこまで比べると横すべりだ。横すべりだけではいけないので、国庫負担自体を上げていただく必要がある。そういうことに対して厚生大臣は、保険料を軽減するためにということと、それからもう一つは、給付の内容をよくするためにということ、両方の意味で国庫負担をふやす必要があるということを言われまして、抜本的改正のときに、一生懸命この国庫負担をふやすことに努力をするということをお約束いただいたわけです。 それからその次に、いまの保険料については行き過ぎであって、去年から三四%上げて関係団体が非常に困っている。ところが、政府のほうは、いろんなことで保険料を上げないために一生懸命対処をしておるのであるから、最終的に、特別なところは別として、一般的に保険料を上げないように、ひとつ政府のほうから各市町村に指導してもらいたい。もちろん政府が十分な対処をするということをやると同時に、そういうことを申し上げたわけです。後に申し上げますけれども、事務費の問題なんかも完全に解決するように申し上げますけれども、そういうこと。それに対して、そういうふうに努力いたしますという返事であります。 それから具体的になりまして、次に、減免の問題について、本人負担の減免と保険料の減免について、これを実現するために一生懸命努力をするということであります。もっと具体的になりまして、現行法の減額の国の補てんについて、この減額の率を上げるために努力をするということ。その次に、もっと具体的になって、いま九万円以下の人は六割減額になっておりますのを、十万円に地方税法が改正されておるから、これは横すべりに、十万円以下にそういうことを適用するようにするということでありました。これは自治大臣とお話しにならなければならない問題でありますけれども、こんな問題は、気違いじゃない限り反対はされない、ことに熱心な自治大臣が、それ以上に賛成されることが当然考えられるからということを申し上げて、それをやるという御返事をいただいたわけです。 それからその次に、いまの九万円、今度直していただいて十万円以上の人でも家族が多ければ生活が苦しい。だから、減免の必要があるということで、いま家族一人当たり二万五千円を加算して減免の対象にして、その分は四割減額ということになっておるけれども、家族一人当たりで適用する金額をふやしてもらいたい。そのほかに、最低せめて一人当たり二万五千円のものを、三万円は少なくとも支給していただきたいということについても、前向きの御答弁をいただいたわけです。 それから調整交付金については、国保団体から非常な要請がある。国保団体は猛烈に遠慮がちの団体であるから、遠慮がちだからといってそでにしないで、十分に真意をくんで、調整交付金を一〇%にとどめていただきたい。そういう点で私どもは一五%、二〇%が必要だが、最低しぼって一〇%というものは、この法律案に載っていないが、来年度には実現していただくようにしてもらわなければならぬ。その理由として、調整交付金の中では減免をふやすことが、いままで数年前には減免という任務がないときにも五%あった。今度減免任務があったから、残りの調整任務に当たる部分はごく少なくなっておる。少なくとももとの機能は回復しなければならないから、その点で、一五%にしようという調整交付金を、むしろ四割国庫負担した上で一〇%に少なくとも来年はしていただかなければならぬ。それについても非常な最大の努力をするという御返事をいま厚生大臣からいただいたところでございます。 自治大臣は、いろいろな財政のことについて悩んでおられる自治体の責任者であります。国民健康保険について非常に関係が深い大臣でございますから、鈴木厚生大臣に非常な敬意を表しておるわけでございますが、同様に敬意を表していい永山さんでございますから、鈴木厚生大臣より以上に、いままで質問をしましたことについて、全面的にそれと同様あるいはより以上にやるというふうにひとつ御答弁をいただきたい。まとめて申しましたけれども、権威者でいらっしゃいますから全部すぐおわかりだと思いますので、ぜひ前向きの御返事をいただきたいと思います。
○永山国務大臣 ただいまお話しの諸点につきましては、きわめてごもっともな意見と考えますので、よく鈴木厚生大臣と相談いたしまして、今後十分ひとつ御意思の反映するように努力をいたしたいと考える次第でございます。
○八木(一)委員 さっき言った中で、これから一生懸命努力されるものと、お約束をいただいたものと、両方あるわけです。これから一生懸命努力をされるものは、いまの御答弁で非常にけっこうでございます。さっき言ったような減免について、厚生大臣がお約束をいただいた諸点、この点について、自治大臣もひとつお約束をいただきたいと思うわけでございます。その点について御答弁願いたいと思います。
○永山国務大臣 減免措置の問題につきましては、厚生大臣、大蔵大臣と相談をいたしまして、御意思に沿うようにやりたいという考え方で努力をいたしたいと考えます。
○八木(一)委員 減免措置についてはけっこうなんです。ほんとうにいまやっておる現行法の減免を、九万円以下の所得の人には六割減額をいま適用されておるわけです。地方財政法が変わったので、それでその基礎が変わりましたから、九万円のところが基礎になれば十万円になる。それについて、十万円以下にそういうことをやるというのは、行政的にやらなければならないことなのです。それについては、いま厚生大臣からお約束をいただいたので、同様永山さんから、やりますとおっしゃっていただきたいと思います。 それからもう一つ、家族の二万五千円という問題について、三万円にするということについてお約束をいただきました。あとの点は、さっきの御答弁で非常に満足でございますが、その点について、厚生大臣と同意見でありますというふうにおっしゃっていただくというふうにしていただきたいと思います。御相談はいろいろな御相談があると思いますから、御相談の上でかまいません。
○永山国務大臣 厚生大臣と同意見でございます。厚生大臣とよく相談をし、大蔵当局の意見も十分——大蔵省のほうの関係もやはりよく話し合いまして、御意思のあるようなぐあいに全力をあげてやります。
○八木(一)委員 厚生大臣と同意見でありますということをおっしゃいました。厚生大臣は、この問題について、すぐできる問題と、それから背景が大きいので非常に努力をされる問題と、いろいろ答弁が少しずつ問題によって違うわけです。そのすべてについて厚生大臣と——さっきは要約して申し上げましたので、聡明な自治大臣もすっかり一〇〇%のみ込めなかったと思いますけれども、りっぱな厚生大臣がちゃんとそれを約束されたので、それ以上に国民健康保険については熱意を持っておられる永山さんですから、同意見であるということを確認をしまして、それでよろしいと思うのですが、それでよろしゅうございますね。
○永山国務大臣 よろしゅうございます。
○八木(一)委員 鈴木厚生大臣の非常に熱意を込めた御答弁をいただきまして、問題が一番よいところを経過しているときに自治大臣が来られましたので、ちょっとだけペースが乱れたようですので、ちょっとだけ雰囲気を元に戻しまして、それでまたやりたいと思います。何といいますか、調整交付金を増額することに最大の努力をされる。来年度については、少なくとも調整交付金を一〇%にするために努力するという決心を御披露になったわけでございますので、それでその点は非常にけっこうだと思います。
○田中委員長 関連質問として滝井義高君。
○滝井委員 八木先生が少し頭を冷やしておられる間に、いまの調整交付金の問題ですが、まず保険料の標準賦課総額、問題はここから出発するわけですね。保険料の——保険税でもかまわぬですが、標準賦課総額は、原則として当該年度の初日における療養給付費総額の見込み額から、一部負担総額の見込み額を控除した額の七割五分というのが賦課総額ですね。ところが、いま八木さんが御説明になったように、低所得の人が多いと負担減免の措置がとられることになるわけです。年間九万円未満の所得の世帯ないしこれに準ずる低所得世帯に対しては、均等割り等の四割ないし六割を減額をして賦課することになるわけです。そうですね。そうすると、その減額した分について、特別調整交付金が埋め合わせとして動いてくることになるわけです。この場合に、現状において七割五分の賦課をやっているところは、一体全国の市町村でどの程度あるかということが問題になるわけです。
○信沢説明員 三十九年度の数字でございますが、ただいま先生おっしゃいました、地方税法できめております法定どおりやっている市町村は、全体で六百五十二ございます。さらに、それを若干上回るところまでかけている団体が三十五団体ございます。したがって、大体全市町村の二〇%程度が御指摘のようなことをやっている、こういう状況でございます。
○滝井委員 大臣、お聞きのとおりです。三千有余の町村の中で、地方税法できめられた七割五分を取りなさいと言われて、七割五分取り切るところは二割しかないのです。あとは全部七割五分取っていないのです。そういう実態ですよ。そうしますと、どういうことが起こってくるかというと、四割の定率国庫負担にすると、全市町村の二割程度しかないところのそういうところは、七割五分の課税能力があるのですから、そういうところは非常に医療費が高くなってきているわけです。だから、こういう裕福なところ、担税能力のあるところは、確実に四割を最大限フルに取っていくわけです。そうすると、貧しいところの医療費をうんとやろうとすれば、七割五分かけなければだめなんです。ところが、七割五分以上というのは二割かそこらしかない。一体五割を取っているのはどのくらいあるのですか。
○信沢説明員 五〇%未満のところは団体数で千六百三十、率にいたしまして約四二%でございます。
○滝井委員 だから、三千有余の町村で約半分しか取れないのですよ。そうしますと、そういうところは半分しか取っていないのですから、医療費の支払い能力は低いのです。低いから四割の恩典に浴することは少ないわけです。そうすると、どういうことになるかというと、国庫負担の医療費は裕福なところに大量に集中してくるのです。そして貧しいところは、比較的にずっと少なくしかならない。そこで、国民健康保険というものは、他の保険との間に大きな格差がある中で、国民健康保険の支払いは裕福なところと貧しいところで格差ができる。とういう二重の格差に国民健康保険ははまり込んでいるのです。そこで、どういうことになるかというと、こういう政策を急激に、あなた方が一挙に四割というものを行なって、いいような感じがするけれども、全国の市町村の実態というものは、急激に行なったために貧しいところは前進ができないわけです。そこで、理論的に言うと、調整交付金の一割がここに必要になってくるわけです。そこで頭をひねって考えているが、そのとおりです。そうなってくるのですよ。だから、今度はその結果どういうことが起こってくるかというと、自治省にしわがかかってくるのです。柴田さんのほうにあなたのほうの迷惑が及んでくる。少なくとも社会保障というものは、厚生省の政策としてやるのだから、自治省に迷惑をかけてはいかぬわけです。そういうことになるのです。その貧しい市町村は、税は七割五分取らなければならないのに五割しか取れない。そこで、どういう方法をとるかというと、これは一般会計からつぎ込みをやるわけです。そこで、まず、いまの三十九年の一般会計からのつぎ込みは幾らあるか、言っていただきたいと思います。
○柴田(護)政府委員 三十九年度の決算では八十九億円でございます。
○滝井委員 いまのとおりです。そうしますと、これはどういうところからつぎ込んでいくかというと、県の一般会計からのつぎ込みと市町村、自治体の一般会計からのつぎ込みとが二重になってくるわけです。そうすると、これを分析するとどういう結果が出てくるかというと、たとえばAならAという市におる住民というものは、共済組合にも入っておれば、健康保険組合にも入っており、国民健康保険にも入っておるわけです。ところが、税金を納めておるのはだれが納めておるかというと、労働者諸君も、農民も、中小企業者も、みんな税金を納めておるわけです。ところが、医療における保険というものについて、一般会計から国民健康保険に入れるとすれば、労働者の側から、われわれの健康保険組合なり政府管掌の健康保険が赤字になったから、保険料を上げられるから一般会計から入れてくれと言われた場合に、断わる余地がないのです。そういう問題が最近は起こってき始めた。そうすると、その場合に自治省としては、そういうものを入れるとすれば、一般会計から入れたものを基準財政需要額で見てくれればいいのですが、見ていない。そうしますと、たとえば市町村に住んでいる労働者というものはどういうことになるかというと、保険については自分の保険は赤字であって保険料を上げられておる、ところが、同胞である農民なり中小企業の諸君は、担税能力がないために保険料を上げ得ない、上げ得ないので自分の税金で今度は農民なり中小企業をまかなうことになる、こういう形になっておるのですよ。だから、これは社会保障ではあるけれども、勤労者諸君が食えるような状態にあるならば出してやってもいい。だが、彼ら自身も、健康保険の料率を七十にも上げられることについては大反対だということで、六十五に据え置いたでしょう。そういう実態があるわけです。だから、これは社会保障という観点から言うと、自治体としては非常に迷惑な話なんです。そうでしょう。
○柴田(護)政府委員 完全な社会保障という観点に立ちますならば、一般会計の中で保険会計の問題をまかなうという体制をとっていきたいと思います。しかし、今日のような社会保険の理論というものが基礎にあって、それに社会保障的な考えを入れるというたてまえにおいては、おっしゃるとおりでございます。
○滝井委員 そのとおりです。迷惑な話なんです。それはどうしてかというと、国民健康保険というものは、国が国民健康保険法というものを出して、そしてもとはたぶん相互扶助という形だったと思うのです。ところが、健康保険法を先年改正したときに、それは除いちゃったでしょう。国が責任を持ってやるということになったのです。これは、私は歴史的沿革を身をもってよく体験したから、絶対に忘れぬです。そうしますと、国が責任を持ってやるといって国民健康保険法を改正しておきながら、いま言ったように八十億も、九十億も一般会計から負担をさせておいて、そして住民は法律で七割五分の賦課をやらなければならぬものを、七割五分はできない、やっておるのは二割しかないのです。だから、その実態に合わせなければならない、合わせるにはどうするか、調整交付金以外にないのです。そうでなければ、自治体が出したものを、基準財政需要額としてこれを補てんしてやる以外にない。税金の補てんをする以外にない。すなわち今度上げたのは交付税の三十二ですね、それをもう少し上げてでも、一般会計からやらなければならぬことになるわけですよ。そういう理論を貫いてこないとつじつまが合わないのですよ。ところが、あなた方もそういう根本的なことを考えてない。私に言わせれば、考え方が非常に浅いのですよ。もう少し地方自治体に迷惑をかけておる実態にまで頭を突っ込んでやらなければいかぬことになるでしょう。この理論に太刀打ちできるなら、きちっとやってごらんなさい。大刀打ちできない。こういう矛盾というものを持ったままで、午前中の共産党の谷口先生の意見に鈴木さんなかなか反論されておったけれども、私、横から聞いておりましたが、あの場合は率直に言って谷口さんの勝ちです。鈴木さんのほうが負けです。共産党と自民党、共産党のほうが勝ちです。だから、そういう点ではもう少しはっきりやって、少なくともいま永山自治大臣があなたに協力しようというならば、あなたも協力してこれを基準財政需要額の中に入れるべきです。八十五億を基準財政需要額に入れることに全面的に努力できるかどうか、ちょっと答えていただきたい。
○鈴木国務大臣 今回、家族七割給付を達成いたしました市町村に対しまして四割の定率国庫負担をするということにいたしまして、そのために財政調整交付金が、従来一〇%ありましたものが五%ということになったわけであります。そのために、この五%によって低所得階層に対する減免の措置もさらに拡大をしていくというような対策も講じ、さらに財政調整の機能もやってまいる、こういうことになります場合におきまして、今回の五%では非常に不十分ではないかという御指摘、先ほど来八木さんからもそういう御指摘がございましたが、従来世帯主の四割給付というものが一〇%のうちで五・四%ぐらい占めておる、そういうことで、市町村間の財政調整の機能も、また、低所得に対するところの減免措置対策も今後前向きでやりますためには、どうしても四・六%程度では非常に困るというようなこともございまして、今回四割の定率化をした、そこで本来であれば四・六%程度の財政調整と低所得対策に使っておりましたものが、今度は五%になるわけでありまして、そこに幾らかの改善にはなっておりますけれども、先ほど来八木さんからの御意見もあり、私どもも、この調整交付金の増率に対しまして厚生省としてさらに最善の努力をいたしたい、こういうことを申し上げておるのであります。
○滝井委員 そもそも調整交付金を五%から一〇%にするときに、私たちは五年も努力をしたのです。粒々辛苦したのですよ。昭和三十年の健康保険の赤字のとき以来、私どもは五%の調整交付金を一割にと主張し続けてきたのです。そしてようやくこれが三十八年に実ったのです。ところが、その三十八年に実るときには、私はさいぜん三十八年のときの記録を見せてもらいましたが、なるほど本人七割給付分については、調整交付金五%を一〇%に引き上げる中に含ませるということは書いております。それは説明には書いておりますが、法律には実はそういうことは書いてないのですよ。だから、私たちはそんなものが入っておるとは思っていなかったわけなんです。これは率直に言って、われわれが当時の政府の説明を聞くことについて十分綿密な注意を払っていなかったという点もあるかもしれぬけれども、私たちは、もう全く全国の農民なり中小企業の皆さん方低所得なんだから、しかも高度経済成長政策のひずみを受けておる層だから、当然それだけの調整交付金は必要とするということで獲得したと思っておったわけです。ところが政府は、その分が入っておる、しかもそれがいま大臣の言われるように四・六%に当たるのだ、だからこれを四割の中にも投入してしまいました、こういうことなんですよね。ところが、一割の調整交付金の中には、大体何と何と何の要素が入って一割というものをつくるのですか。
○熊崎政府委員 調整交付金の中には四つの方式がございまして、普通調整交付金、これは本来の財政調整機能を果たす交付方式であります、それと世帯主の給付改善交付金、保険料の軽減費交付金、その他特別な事由による特別交付金、以上の四つでございます。
○滝井委員 大臣、いまのとおり、結局普通の調整交付金は財政上の問題がおもです。七割給付の分ですね。それから低所得の減免分、その他というのは災害などの特別の事情に対処するための交付金です。そうしますと、さいぜん御指摘を申し上げましたように、七割五分の賦課をやらなければならぬにもかかわらず、七割五分ができないわけですね、五割しか取っていないというところが四割七、八分もある、五割近くもあるわけですから。そうすると、七割五分取っているというのは二割そこそこでしょう。そうしますと、ここに出てくる事情のほかに、その他の中に当然これは入らなければならぬ。ところが、五%というように調整交付金が押えられてしまいますと、世帯主分を抜いてしまうのですから、非常に薄くしかいかないわけです。全国の市町村に、調整交付金は薄くしかいかないでしょう。しかもその調整交付金をやるときに、今度はどういうコントロールをやるかというと、御存じのとおり、医療給付の四割は頭からやらなければならぬ。ところが、この五%で保険料引き上げのいわゆる操作をやるわけです。保険料を二割しか引き上げなかった。赤字は一千万円も二千万円もあるというときには、保険料三割引き上げてきなさい、そうすれば調整交付金をもうちょっと気ばってやるぞ、こういうことになるわけです。いまそういう操作をしているのですよ。大臣、御存じだと思うのです。そういう操作をしているのです。そうしますと、これは額が少ない五%だと、そういう操作をし得ずに行なわれることになる。そうすると、一体どこにしわが寄ってくるかというと、裕福なところはゆうゆう閑々です。ところが、貧しい零細な市町村は、ゆうゆう閑々するわけにいかぬ。料率を上げる。一方に料率を上げながら、一方では一般会計からの投入をやる、こういう形になる。したがって、いまから三、四年前に、地方財政の赤字の最大の原因は、国民健康保険の赤字を解消するために、一般会計から国保の特別会計につぎ込んだというところに原因があった。特にそこに事務費が大きな原因だったのですよ。こういう実態があるわけですから、これは一切しわが柴田さんのほうに寄っておる。だから、柴田さんのほうでは、いま炭鉱地帯では閉山のしわが寄り、国民健康保険の赤字のしわが寄る。産炭地というのは貧乏ですから、しわが寄る。かといって、一般会計から入れるなと言うわけにはいかぬ、基準財政需要額にするなと言うわけにもいかぬ。平重盛の心境になる。いまうまいことを言って帰りましたけれども、これが永山忠則さんの心境ですよ。だからここは、あなたがもう少し平重盛の気持ちを察してやって、この際、調整交付金を一割にしなければいかぬですよ。一割にしないと、信沢さんが行政できないですよ。国民健康保険のほうはできない。もうこれでやめますけれども、一年の所得が九万円ある人は、市民税を幾ら納めて、国民健康保険税を幾ら納めておるか、言ってください。
○信沢説明員 正確な資料を持ち合わせておりませんが、九万円以下でございますから、おそらく市町村民税の均等割りだけ納めておると思いますが、その場合最低の金額は四百円、こういうふうに承知しております。保険料の場合には、段階によってそれぞれ違いますので、はっきりしたことを申し上げかねますが、先ほど来問題になっておりますような減免措置の適用がございますので、東京都の二十三区の例で申しますと、年額二百四十円であります。
○滝井委員 これは全国でとってみると、自治省の先輩でこの方面をやっておる荻田さんが調べておりますよ。それによると、たとえば九万から十五万で、住民税は六百十五円で、保険税は二千九百五十九円ですよ。二千九百五十九円だけれども、一年にどの程度保険料が上がっていくかというと、千二百円から千三百円ずつ一年に上がるのですよ。だから、市町村長はいま何と言っておるかというと、これは自民党の代議士の諸先生方にも陳情がきておるはずです。これは負担の限界は、市民税の二倍までが限界だと言っておるのです。三倍、四倍になったら、とても国民健康保険はやっていけませんというのが市町村長の真の声ですよ。ところが、いま言ったように、九万から十五万で六百十五円で二千九百五十九円。三千円としたら、これは五倍ですよ。五倍いっておるのですよ。そんなばかな政治はないですよ。社会保障というのは、所得再分配をやるものでしょう。再分配をやらずに、貧しい者から収奪しておるわけですよ。だから、こういう人たちは、きょうは肉が食いたいなと思っても国民健康保険の保険料を納めなければならぬから、肉を食うのをやめてたくあんを食う。その分は血肉を抉出している。今度病気になったときに、保険証を持っていってかかりますが、なおるものもなおらないで長引くから、医療費がますますふえる、こういう悪循環が行なわれる。これをどこかで断ち切らなければいけない。断ち切るとすれば、基準財政需要額に入れて国民健康保険をもっと財政的に間接的に豊かにするか、それとも一挙に、そんな回りくどい迂回路をとらずに直接国庫負担を入れるか、その方法は四割もらったのだから、抜け道はたった一つ、調整交付金を一割還元する以外にないのです。それしか政策の道はないのです。全部ふさがれて、逃げ道はこれしか残っていないのですよ。こういう実態ですから、もう少し、良心的な厚生大臣に勉強してもらって、熊崎さんや何かこの実態を教えなければいかぬでしょう。おそらく大臣は、失礼な言い分だけれども、全国の二割ぐらいが標準しかないということは知らなかったと思う。政治家というのは、こういう実態を知って政策を立てないと、事務官僚の言うとおりをうのみにしておったら、それは岐阜の長良川のウより悪いですよ、悪いことばだけれども。だから、そういう点は、補佐をするあなた方が、失礼な言い分だけれども、やらなければいかぬ。もう少しこれはひとつ良心的にやっていただきたいと思う。来年度予算編成においては、もう一ぺんこれはどうせやりますよ。ぜひとも一割にやっていくという、こういう積極的な意欲があるのかどうか。鈴木さん、あるのかどうか。 それから自治省のほうとしては、一般会計から国保の特別会計に注入したものについては、基準財政需要額として見る努力をするのかどうか。
○鈴木国務大臣 先ほど八木さんにも御答弁申し上げましたが、この調整交付金の増率につきましては、さらに真剣な努力を重ねてまいりたいと考えております。
○柴田(護)政府委員 調整交付金制度につきましては、滝井先生御承知のとおり、昭和三十五年に、三十三年でしたか、二年でしたか、国民健康保険法の全面改正をいたしましたときに、これは国民健康保険会計における地方財政平衡交付金であるというのが創設の趣旨であります。したがいまして基準財政需要額においては、いままで一貫して見ないという態度をとってまいりました。今日におきましても、その趣旨は変えておりません。したがって、私どもに言わせますれば、先生の御主張の検討の前に、調整交付金をしてほんとうの調整交付金たらしめることが必要である。それが一〇%とすることがいいのか、あるいは別のパーセンテージがいいのか、この問題は一つございます。それはやはり標準保険料というような制度、それから標準的な給付金というものをどう立てるかという問題をまず考えて、その間差を調整交付金で完全に埋める、こういう仕組みをつくる以外にないのじゃないか。それが先生のおっしゃるように一般会計から入れるのだということであれば、これは現在の社会保険の理屈の上に立った国民健康保険会計をぶちこわして、完全に社会保障制度の上に立った国民健康保険会計というものを立てなければならない。そうなりますと、調整交付金は一般の交付税の中に吸収されてくる、こういうことだと思います。私どもといたしましては、いまの国民健康保険のたてまえから言いますならば、やはり調整交付金をして、ほんとうの調整交付金たらしるめようにやりたい、こういうことで在来から私どもは主張してまいりました。今後におきましても、そういうつもりで厚生省当局とも相談をしていくつもりであります。
○滝井委員 わかりました。そうしますと、結論的に言うと、結局基準財政需要額で見ていくというわけには、いままでの自治省のたてまえから言ったらできない。そこで、やはり調整交付金は平衡交付金と同じような機能を国民健康保険において果たしておるのだから、そこでやるべきであるという正論を述べたが、迂回論としてそこへいかなければやむを得ないかと思っておったが、あなた方がそう考えるなら、もう一本でいく以外にないわけです。私はこれでやめます。鈴木さん、私はもうわき道をやりません。自今調整交付金一本で進んでまいりたいと思いますので、全面的な御努力を要望してやめます。
○八木(一)委員 同僚滝井委員の角度を変えた方向からの御質問と、先ほど私が御質問申し上げましたことで、調整交付金の増率ということが非常に大事なことであるということは、厚生大臣も前向きに積極的にお認めをいただいたわけであります。そこで、この増率に非常な決意を持って当たっていただきたいと思います。少なくとも来年には、あらゆる意味において一〇%を実現するということが絶対に必要であろうと思います。再度ひとつ厚生大臣の前向きの御決意を明確に述べていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 調整交付金の増率につきましては、十分各市町村の保険財政の財政調整の機能が発揮できるように、増率に向かってさらに努力を重ねたいと思います。
○八木(一)委員 調整機能については、前に最初五%があったのが、ほかの要素の任務を与えられて、実質的にいま減免を入れれば五%が一・六か二ぐらいに下がっております。ですから、それを回復しなければならないという点で、これをするためには一〇%が絶対に必要である。もっと財政調整を積極的にやる、減免を積極的にやるときには、一五、二〇という数字が必要になるということも、さらに決意を固められて進めていただきたいと思います。私は、どんなことがあっても一〇%に来年度はする、さらに厚生大臣の御努力が実れば、それ以上のものになるというふうに厚生大臣の御答弁を認識いたしまして、その問題を進めてまいりたいと思います。特段の御異議の御発言がなければ、それを確認をいたしまして進めてまいりたいと考えております。 その次に、事務費の問題であります。事務費については、本年度一人当たり二百五十円という予算を組まれました。その前に厚生省の要求をされた事務費が二百八十八円であります。それがこういうふうに大蔵省の予算査定で削減をされたわけであります。いままで、その前はもっと少なかったわけであります。各市町村、各国民健康保険組合が非常な財政の痛手をこうむって、自治省もその点について非常に苦悩の道を歩んでおるわけであります。これはおもに大蔵省がけしからぬと思いますけれども、それを動かすための厚生省の御努力がいまだ不十分であったと思います。この事務費を完全に実額交付するために、事を実現をされなければならないと思うわけでございます。その点についての厚生大臣の明確な御答弁をひとついただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 事務費につきましては、昭和四十年度に百五十円から二百円、さらに四十一年度におきまして二百円から二百五十円、こういうぐあいに両年度にわたって百円の増額をいたしておるところでございます。これは全国平均の額でございまして、市町村によりまして、この事務費がどれだけかかったかという実態の差がそこにあるわけであります。この配分にあたりましては、そういう実情に合うように配慮しながらこの配分をいたしたい、こう思いますし、いま八木さんから御提案がありましたように、事務費は、私どもとしては完全にこれを交付するということを目標に、今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○八木(一)委員 けっこうであります。その点はぜひ具体的に急速に進めていただきたいと思います。 次に、国民健康保険については、市町村のやっておられるほかに組合がやっておるところがあるわけであります。この組合がやっておるところについて、今度国庫負担を四割にする方法がとられておりません。それにつきましては、かなり片手落ちであると思うわけであります。で、国民健康保険組合についても国庫負担率の増率をして、その担当者が赤字を出さないように努力をして、内容をよくするように努力しておるところへも、ひとつ同じようにあたたかい配慮が必要であろうと思います。その意味においてこの国庫負担の増率について、国庫補助の増額についてぜひ前向きで進めていただきたいと思いますが、それについて厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 国保組合のあり方につきましては、制度の根本的な改善をはかります際に、この国保組合というものがいままでのような姿でいいのかどうか、こういう根本問題もございます。しかし、それはそれといたしまして、今後の検討の課題といたしまして、国保組合に対するところの問題につきましては、家族七割給付が完成をするまでの間に、この国保組合に対する問題につきましても十分検討したいと考えております。
○八木(一)委員 十分前向きの御検討をいただきまして、急速に国庫負担率の増率が実現するようにお願いをいたしておきたいと思います。 そのほか、国民健康保険については保健婦に対する補助、あるいは直営診療所に対する建設費や運営費の補助、その他のそういう具体的な問題を進めるための補助が行なわれております。いろいろの、たとえば人件費もふえます。建設費もふえます。運営費もふえていく情勢でございます。ですから、これを増額をする、率を増率をするということを積極的に進められまして、そのほかにもこの国保の内容を充実し、よくするためのいろんな助成措置を強化していただきたいと思うわけであります。そういう点について、こまやかな、あたたかい前向きの配慮、それに対する御決心をぜひ伺っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 これは午前中に伊藤さんからの御質問もございましたが、保健婦並びに直診等の確保整備等の問題は、国民の医療を確保する上から重要な問題でございますので、これらに対する助成につきましては、従来にも増して力を入れてまいりたいと思っております。
○八木(一)委員 国民健康保険の国民の負担を軽減し、そうして内容を充実する問題について、鈴木厚生大臣から非常に前向きの御決意をいただきまして、国民のために喜びたいと思うわけであります。きょうお約束をいただいた問題については、必ずそれを確実に実現をされ、そうして検討、努力をお約束をされたことについては、ぜひ至急に検討され、至急にそれを実現していただくように心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
○田中委員長 これにて質疑は終局いたしました。 —————————————
○田中委員長 ただいま委員長の手元に、竹内黎一君、吉村吉雄君及び吉川兼光君から、国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。 —————————————
○田中委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。竹内黎一君。
○竹内委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、三派共同提出の修正案について御説明申し上げます。 修正案の要旨は、内閣提出法案における施行期日が、昭和四十一年四月一日となっているものを、この法律の公布の日に改めるとともに、これに関連し、附則の関係規定の整理を行なうものであります。 委員各位の御賛成をお願いいたします。
○田中委員長 修正案について御発言はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 —————————————
○田中委員長 御発言がなければ、これより国民健康保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、竹内黎一君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、国民健康保険法の一部を改正する法律案は竹内黎一君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○田中委員長 この際、西岡武夫君、伊藤よし子君及び吉川兼光君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 その趣旨の説明を求めます。西岡武夫君。
○西岡委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、国民健康保険法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付するの動議について御説明いたします。 その附帯決議の案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。 国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、国民健康保険制度の重要性並びに被保険者の保険料及び本人負担の困難なる現状にかんがみ、被保険者の負担の軽減と給付内容の充実をはかるため、可及的速やかに左の事項を実現すべきである。 一、保険料減免措置を拡大するとともに、新たに患者負担の減免措置を設けることを検討すること。 二、医療保険の抜本対策に際しては、国保の給付率の引上げと国庫負担の増率を検討すること。 三、調整交付金を増率すること。 四、事務費負担金は実額完全交付すること。 五、国保組合に対する国庫補助の増額を検討すること。 六、その他保健婦及び直診に対する補助を増額する等国保制度に対する助成措置を強化すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
○田中委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本案については西岡武夫君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、鈴木厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。鈴木厚生大臣。
○鈴木国務大臣 ただいま、政府提案の法律案につきまして、御決議をいただきますと同時に、附帯決議をちょうだいいたしたのでありますが、この附帯決議の御趣旨を十分体しまして、これが実現のために最善を尽くしたいと存じます。 —————————————
○田中委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○田中委員長 次会は明二十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時四十四分散会