社会労働委員会 第18号
- 発言数
- 254 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/04/06
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 私は、保険三法に関連をいたしまして、ある場合には社会保障から経済の問題にも触れる場合がございますが、主として、いま問題になっておりまする保険制度の問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。 具体的な内容に入る前に、私は、いわゆる医療の専門家ではございません。まあ、しいていえば、一般国民、患者として、あるいはまた国会議員の一人として、総合的、大局的な見地から、社会保障の中核である医療問題について考えておる一人であります。特に、私は、そういう中で、わが国においてもそうでありますが、同時に、近代国家において社会保障の中核というのは、これは何といっても医療制度にあることは間違いがありません。したがって、政府もしばしば医療を中心にした社会保障の伸展をはかる、こういうことを言われてきたわけであるけれども、どうも私の見るところ、また最近における当委員会におきまするいろいろの政府との質疑応答の中でも私は、詳細に速記録を実は読んでまいりましたけれども、政府が社会保障万般についてはたして伸展をさせるための総合的長期計画がこれであると言えるのか、いま一つは、その中の中核である医療制度についても、抜本的改正をやるということは口にせられておるようでありますが、はたしてそれが前進の方向であるかということについて疑いをはさまざるを得ません。したがって、私はこの機会に、単なる技術的問題ではなくて、鈴木さんに厚生大臣として政府を代表しての一つの識見を承りたい。 それは、いろいろな資料が過去においてございます。私は、それらの詳細をお尋ねすることはあるいはできかねるかと思いますが、一つの問題は、ここに中期経済計画がございます。私は、かつてこの中期経済計画について、主として経済的側面から総理や関係の大臣の方々にお尋ねをいたしたことがありますが、この中に、重要な項目として社会保障及び環境衛生その他の社会施設、社会福祉、こういうことについてのいささかの展望が述べられておる。ところが遺憾ながら、この中期経済計画は、いわゆる発足早々において、その指標に大きな現実との食い違いができて、これを政府としては破棄せざるを得なかった。それにかわって新経済計画を立案するということを国会に対して公約をせられたのであります。私は、その後の経緯について詳細を知ることはできませんが、新聞の報ずるところによって知れば、近く政府としては、経済企画庁をして経済審議会にこの新経済計画なるものを諮問をいたしたいということを言われておる。したがって、まず私は、その経済計画が、いま私が述べたような推移において進展をしているのか、検討をせられておるのか、それらの計画について、これは厚生大臣に国務大臣としてお尋ねすればいいのでありますが、冒頭、幸い経済企画庁がお見えになっておると思いますから、それらの計画の推移について承っておきたいと思います。
○鴨田政府委員 ただいまの総合的な立場からの御質問でありますので、まことに抽象的でありますけれども、お答え申し上げたいと思います。 日本経済が非常に変動をいたしまして、特に中期計画もただいまの御意見のとおり、あるいは景気の後退、物価の上昇、いろいろな悪条件が出てまいりましたので、これを改定せざるを得ないところへ実は追い込まれまして、今回御承知のとおり、特に財政政策を取り入れましてこれが安定的な成長をはかるべく計画をしたわけでございます。こういう面からいたしまして、いままでの経済政策に非常に違った面が出てまいりましたので、今後の長期計画をつくる上におきましては、もちろん経済審議会の議を経ましてこれが具体化をするわけでありますけれども、少なくとも財政政策を導入いたしました関係上、財政と金融との長期的な調整をはからなくちゃならぬ。さらにまた、特に問題になっておりまする物価問題につきましては、長期的な計画、いわゆる物価安定の長期的な計画をまずここにつくり上ぐべきである。第三といたしましては、やはり企業自体の体質の改善、これをしっかりとあらゆる面から総合的に検討して、そうして自主的な、しかもまた合理的な面からこれをつくり上げていかなくちゃならない。もう一つは、やはり日本経済の発展ということは、何と申しましても海外貿易の改善、伸長ということが一番重要でありまして、こういう面からひとつ総合的に取り上げまして、そうして国民経済を安定した線に持っていくと同時に、国民生活の安定をはかり、先ほど御質問のございましたとおりな、いわゆる社会保障の問題も、その間において歩一歩ずつこれを改善していこうという考え方であると存じておる次第でございます。
○辻原委員 新しい経済計画の中で、社会保障を歩一歩ずつ伸展をせしめていきたいといういまの政務次官のお答えは、政府を代表してのことばだと私は受け取っておきます。具体的に私がお尋ねをいたしました、大体春に経済審議会に諮問をして、秋にその答申を待つという計画で進まれておるか、この点を明確にお答えをいただきたい。
○鴨田政府委員 御説のとおり、春諮問をいたしまして年度内には結論を出したい、こういう考え方でおります。それが幾ぶんおくれるかもしれませんので、時期的には、ひとついまのような私のお答えで御了承を願いたいと思います。
○辻原委員 そうすると、私がお尋ねをいたしましたように、春に諮問をして年度内にその答申を待つということには誤りはございませんね。
○鴨田政府委員 もちろん、先ほど触れましたとおり、早ければ早いほどいいわけでありますけれども、ある程度のやはり慎重さを持ちます、そういう答弁が妥当じゃないかと思います。
○辻原委員 そうだとするならば、経済企画庁として、ないしは政府として、それに諮問をする態度というものの大綱は、すでに方針としてお持ちになっておる、こういうふうに理解してよろしいですね。
○鴨田政府委員 私は、ただいま辻原さんの御質問に冒頭お答え申しましたとおりの大綱によりまして、いろいろさらにそれにつけ加えるものもございますので、先ほどは抽象的にという前提でお答えをした次第でございますが、そういう線に沿いまして実はいま検討中でございます。
○辻原委員 政務次官が抽象的にということでありますから、私は、それらの点についてはあまり突っ込んだ御質問はいたしませんが、しかし、いまの政務次官の御答弁を前提として考えれば、いずれにもせよ三月には諮問をして、年度内にはその答申を待つという限りにおいて、これから新しく四十二年以降五カ年間における経済運用についての方針というものを定められる機会というものが近づいているわけであります。しかも、これは先ほどのお答えのとおり、社会保障については、これを歩一歩進め、その中に取り入れたいという考えであります。そうだとするならば、私は、少なくとも厚生省が主管をする政府万般の社会保障に対する以降五カ年間における具体的展望というものは、これは持っていなくちゃならぬと思います。同時に、鈴木厚生大臣とされては、あなたは主管大臣であると同時に国務大臣である。そこに全体の経済政策の中にいかなる社会保障の位置づけをするかということについての見識がなければいけない。それは単に抽象的ではなく、すでに問題は具体化をしておるのであるから、したがって、この際私は、そのことについてのあなたの御答弁を、今度は所管大臣でありますから、いまの政務次官のお答えのように抽象的というわけにはまいりません。具体的に私はお尋ねをいたしたい。 そこで、その前に、翻って中期経済計画の中における社会保障はいかなる点に位置づけされておったかということは一応の数字もございます。したがって、それらを踏まえて、ひとつこの際お答えを願いたい。抽象的ではなく、具体的にお答えを願いたい。私も具体的にお尋ねをいたしたい。
○鈴木国務大臣 わが国の社会保障の充実の問題につきましては、政府は経済の発展と見合いながらその充実に努力をしてまいったところでございます。戦後わが国は敗戦の中から立ち上がり、また、戦禍を受けた中から経済の発展、民生の向上という建設をしながら、一面において社会保障の充実をはからなければならないという立場にあったわけであります。西欧諸国がすでに長年にわたる社会資本の蓄積の上に立って社会保障に大部分の国費を投入できるという状態と、わが国の戦後の事情というものははなはだしく条件を異にしておりますことは辻原さんの十分御理解の点でございます。一方において住宅の建設あるいは道路、港湾あるいは鉄道等の整備、そういう面の大きな公共事業に対する投資をしながら、そして国民生活の安定、向上をはかりつつ社会保障を進めていかなければいかぬ、こういうようなことでございまして、政府の努力にもかかわりませず、今日わが国の社会保障は西欧諸国にまだ相当隔たりがあり、見劣りがありますことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、近年になりまして経済の発展、成長に伴いまして、社会保障に対しましても相当の予算を計上できるような状態になったわけでありまして、また政府もそういう方向に努力を払っておるところでございます。西欧諸国におきましても国民総所得の十数%前後の社会保障給付費を出しておるのでありますが、わが国におきましては、それに対しまして、一九六〇年当時、その国民総所得に対する社会保障給付の割合は五・四%前後、一九六三年にはこれが六・四%程度に向上をいたしております。昭和四十一年度におきましてはさらに前進を示しておるのでございますが、そのように、私ども、社会保障の充実につきましては特段の努力を払っておるところでございます。また、わが国のこの比率が低いという原因の中には、すでに御承知のとおり、所得保障の面、つまり年金制度が立ちおくれておるというところに問題があるのでございます。本日御審議を願っております医療保険の面におきましては、私は、西欧諸国にさしたる見劣りはない、しかし、この国民総所得に対するところの給付費の比率が低いというのは、先ほど申し上げましたように所得保障の面がおくれておる、また、児童手当がいまだ実施されていない、こういう点も大きくその立ちおくれの面になっておると思うのでございます。私どもは、今後中期経済計画の面におきましては、社会保障制度審議会の社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申及び社会保障制度の推進に関する勧告の線に沿うて、中期経済計画におきましては社会保障の位置づけをいたし、そういう方向で制度の前進をはかるようにいたしておったのでありますが、この中期経済計画も辻原さん御指摘のとおり、経済情勢の大きな変化によりましてこれを破棄し、新しい立場で経済計画を立てざるを得ない、こういう状況になったわけであります。私どもは、今後の経済計画の立案にあたりましても、昭和三十七年八月に出されました社会保障制度審議会の答申及び勧告の趣旨を体しまして、またさらに、新しい情勢に対応するところの医療保障なりあるいは所得保障なりその他の社会保障の面につきまして、関係機関、関係各方面の御意見を伺いつつこれに処してまいりたい、かように考えておる次第であります。
○辻原委員 私は冒頭に、抽象的にお答えをいただいても、当委員会ではあまり意味がないということを申し上げた。それは厚生大臣として、ある程度自分のおやりになっておることを礼賛されることはけっこうであるけれども、問題は、いかにして現実を冷厳に分析してその前進をはかるかということが私は本来的の任務だと心得ておる点から、ひとつ率直に、具体的に承りたいということを申し上げたのです。いま、たとえば医療についてはすでに諸外国と比較して遜色のない域になったといったようなお話もありましたけれども、そういう点についても、必ずしも厚生大臣の御意見と私は同調することはできない。しかし、いまその詳細をあげることは、私の冒頭における質問の主題ではない。一体今後策定をする計画の中で、社会保障全体としてどう位置づけるかということが私の質問の第一点です。お答えの、関係各方面と連絡の上で検討してまいりたいということでは、すでに先刻お話のありました春、すなわち、いま春なんですから、諮問をしようという段階でそういう抽象的なことで、はたして今度の計画の中に伸展をさせようとかいう意気込みがどこにもあらわれていないじゃないかということを私は申し上げたのです。少なくとも所管大臣としては、この程度の社会保障は計数的にも位置づけをしたい、内容的にもこの程度のものは盛り込みたいという考えがなくては意味がないということを私は申し上げておる。たとえば、一つの問題は、幸い中期経済計画の中に社会保障の占める年次的な計画の大綱も示されておるから、新経済計画にあたっては、その経済計画全体の量の中において、一体どの程度のパーセンテージをもって社会保障の伸展を年度的にはかろうとしておるのか、ここらが国民の知りたいところなんです。まず、それが具体的にならなければ、社会保障は一体どっち向いて走っているのかすら国民に理解できない。四十六年といわれる最終年度に、現時点からどの程度のいわゆる振替所得といいますか、社会保障に投ずる経費というものをお考えなさっておるのか、具体的に明らかにしていただきたい。
○鈴木国務大臣 先ほど経済企画庁の政務次官のほうからお答えがございましたように、新しい長期経済計画は、いま経済企画庁を中心に大蔵省その他関係機関の間で具体的に策定を進めてまいる段階でございます。したがいまして、この経済計画と見合いながら、私どもの社会保障に対する長期計画というものも計画されていき、また、位置づけをやってまいらなければならぬ、こういうことでありまして、まだ長期の経済計画についての骨格が具体的に固まってまいりません段階におきましては、遺憾ながら、先ほど申し上げましたような基本的な考え方で進むという私の考えをお話し申し上げて御了解をいただきたい、こういうことであったわけであります。つまり、その考え方は、先ほども申し上げましたように、社会保障制度審議会が出しておられますところの社会保障に対する基本的な答申及び勧告の趣旨、これが先ほどのただいまの指針になっておるわけでございます。そして、この線に沿いまして、政府は従来から、昭和三十八年度におきましては振替所得が五・三%でありましたものを四十三年度におきましては七%程度に成長さしておる。そういうぐあいに前進をさしておるのでございます。私は、この昭和四十一年度の予算の編成にあたりましても、中期経済計画は御破算になっておるのでありますけれども、この社会保障制度審議会から出されました指針に従いまして四十一年度の予算も編成をいたしたのであります。今後は、長期経済計画と見合いながら、社会保障に対してどれだけの給付費を回せるか、また、総所得に対する社会保障の給付費を十数%という西欧並みの段階に一日も早く前進をさせたい、こういうことを目標に考えておるのでありますが、それを今度の五カ年計画の中で一挙に達成できるのか、あるいは半ばを達成できるのか、これは経済計画と見合って具体的にきめてまいらなければならぬと考えております。
○辻原委員 いま、中期経済計画での数字をあなたは出されました。四十三年度は振替所得が七%になっているということを言われたが、これは単なる計画であって、すでにパーになったわけでありますから、これはいまそういうことにはなっていないわけです。目標だけであって、目標自体がパーになっておるのであります。そこで、新しい目標をどうするかということを私はお尋ねしておるわけです。ならば、四十一年度経済計画においては六・三%、それから四十三年度の当初の中期経済計画での完成が七%、そういうことでテンポを追ってまいりますると、四十六年ではどうしたいというお考えをお持ちになっておるのかということを私はお尋ねしておる。どうしたいとおっしゃるのか。その指標が中期経済計画には示されておったが、それは中途にして消えた。新しい経済計画の中で所管大臣としてはどの程度にそれを持っていきたいとお考えなさっておるのか、これが明らかでないと、長期展望があるということは言えないわけです。おおむねの方向は、いまの段階でも私は述べられるはずであると思います。ただ抽象的に社会保障制度審議会の答申を云々と言ったところで、それは現実的に私は受け取りかねる点があるから、新しい経済計画の中でどうなさるおつもりかということを、もう少し具体的におっしゃっていただきたい。
○鈴木国務大臣 辻原さんも財政の専門家でいらっしゃるからよくお考えいただけると思うのでありますが、やはり社会保障に対しましては大きな原資を必要といたします。児童手当を実施いたしますにいたしましても、具体的に申し上げますが、義務教育の学校に通っておりまする子供一人に対しまして月額千円の児童手当を出す、こういうことになりましても相当の原資が要るのでございます。中学三年から生まれたばかりの子供まで全部のお子さんにこの手当を出すといたしますと三千億の原資が必要になるのであります。そのように、社会保障にはずっと大きな原資が必要になることは御承知のとおりでありますが、したがいまして、この社会保障の充実ということは、今後わが国の経済がどういうようなテンポで成長してまいるか、国民の総所得がどういう形で伸びていくか、こういうようなことと見合って社会保障にどれだけの給付を回せるか、こういうことになってくるわけであります。経済計画と切り離した社会保障の計画というものは、私がここで抽象的に一〇%に引き上げるとか、あるいは一二%に引き上げるとか申しましても、それは実現性がない。やはり長期経済計画の策定に見合いつつ社会保障制度審議会の答申や意見というような方向に沿いまして、私ども西欧先進国を目標にしながら着実にわが国の社会保障を伸ばしていきたい、こういう基本的な心がまえでおるわけであります。
○辻原委員 私は、そういうことだから困ると言うのです。それは、鈴木さんは単なる伴食大臣ではないと私は心得ておる。あなたはかつて池田内閣の番頭までやられて、いわば閣内での有力な発言者の一人だと私は心得て、ひそかにその手腕力量を御期待申し上げておる一人なんです。そういう立場からいうと、いまのあなたの答弁は、私はどうも合点がいかない。なぜかというと、経済計画はあなた方所管大臣、同時に、国務大臣として全体としておつくりになる。いまのお話だと、何だか経済計画がどこかでつくられて、それに厚生省が追随するような印象を私は受ける。そうでなくとも、社会保障というこの一つの大きな命題を考えてみたときに、得てして経済的側面から押されて社会保障が埋没をするというきらいが、これまで従来わが国にもありました。特にわが国の場合、実際上そういうような立場をとらされてきたというのが現状だと思います。数字でもって、四十一年には振替所得が六・三%に向上をいたしました、予算は前年対比二〇%以上伸びましたとおっしゃいますけれども、中身を見ると、いま問題になっている医療の赤字問題に主として財政の主力が注入をせられて、まあ、先般からもここでずいぶん議論をせられておりますが、保育所の問題だって、あるいは病院における給食費の問題だって、生活費の問題にいたしましても、どこにも大きな画期的前進を示しておるということがないのです。ただ、数字的に金が若干ふえましたということにすぎない。さらに、その数字の一体どこがふえたかを追及していくと、結局は、赤字の対策に追われてその数字が、何といいますか、自然にふくれ上がらざるを得なかったというのが実情なのです。そういう社会保障の現状を踏まえて考えたときに、あなたのような消極的なお考えでもってしては、大きく国全体の経済計画の中に位置づけをさせて前進をさせるという社会保障の姿は、私は期待できないと思う。だから、いま一度、その点について、積極的に経済計画の中に社会保障をこうすべきである、そういうあなたの考え方を注入すべきであるし、注入するだけの見識をお持ちなさらぬといかぬ、私はそういうことを申し上げておる。お答えを願います。
○鈴木国務大臣 これはまだ、先ほど申し上げたように長期経済計画の骨格が固まってきておりません。これは、私も国務大臣でございますから、その長期経済計画の策定の進捗に見合って社会保障をどういう位置づけをするか、どういう計画で進めるかということを計画的に準備をいたしたい、このように考えておるのでございます。ただいま、昭和四十一年度の予算において、全体の予算が前年度当初に比べて一七・九%の伸び率の中で、厚生省の予算が二〇・四%伸びたけれども、その大部分は医療の赤字を補てんするにとどまったではないか、こういうような御批判があったのでありますが、その御批判は、これは私どもの考えております努力目標と必ずしも当たっていない。ガン対策にいたしましても、あるいはまた重症心身障害児等、深刻な社会問題になっております諸問題につきましても、昭和四十一年度におきましては特に重点を置いて、また、具体的な予算の措置も講じたつもりでございます。また御批判がありました医療制度に対して私どもが特に力を入れておりますことは、いまのままの状態でまいりますと、わが国の社会保障の大きな柱であるこの医療保障という制度が、財政の面から崩壊の危機に直面しておる。これはどうしても、国民の生命を守る、国民の健康を守ってまいります上からまいりますと、この医療保障という制度は皆さんの御協力を得て、これをどうしても守っていかなければならぬという趣旨によるものでございます。社会保障のうちでも医療保障というのは非常に重要な部門を占めておる。戦後わが国の国民の寿命が相当伸びました。今日医療保険は赤字を出しておりますけれども、国民の健康勘定は黒字になっておる。こういうようなことからいたしまして、医療保険制度が、医学、医術の進歩あるいは給付内容の改善、そういうようなことで赤字は出ておりますけれども、国民の健康を守り、国民の命を保障しておる、こういう面では、私は非常な前進をしておると、こう思うのでありまして、それによって生ずる赤字については、国も、また国民の被保険者はじめ関係者が、みんなで協力し合ってこの制度を守っていくべきものだ、このように考えておるのであります。国保の七割給付の達成の問題でありますとか、あるいは厚生年金の一万円年金への前進でありますとか、あるいは国民年金を夫婦で一万円年金に改善するという問題、こういう医療保障、所得保障という面につきましても、今後、私は、長期計画の中におきましては、これをさらに内容を充実、前進させるように目標を置いて努力をいたしたいと考えておるわけであります。
○辻原委員 医療保険等の問題はあとでお伺いをいたしますが、私が若干申し上げました批判がやや御不満のようでありますが、御不満であろうとも、現実は現実であります。これはずいぶん当委員会でもその点についての意見交換がありました。そこで、私は、いまの大臣答弁からこういうふうに承ったのでありますが、それでよろしいかどうかをお尋ねをいたしておきたいと思います。経済計画全般は、まだ具体的にその構想がならない、したがって、その構想のなる段階において、厚生大臣または厚生省としては、それについて積極的に参加をしたい、こういうことですか。そうだといたしますならば、当然、経済計画が策定される直前においては、いま私がお尋ねをしているいわゆる社会保障に対する長期計画なるものを、厚生省としてその構想を明確におまとめになる御意思である、その一つの中軸としては、まず、先ほどからお伺いをいたしておりますように、一体、四十六年完成年度においては、厚生省としては、すべての社会保障を含んで、振替所得をどの程度西欧並みに前進させたいかについての具体的計数を持ってわれわれにお示しが願える、こういうふうに受け取ってよろしいのですね。
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、新しい長期経済計画の策定の進捗状況に即応いたしまして、私といたしましても長期の社会保障の計画の策定をしてまいる。そうして、長期経済計画が閣議で決定をいたし、国民の皆さんにお示しができる段階におきましては、同時にこの長期の社会保障に対する計画も一緒に決定をし、国民の皆さんにお示しをすることができる、そういうことで努力をしてまいりたいと思います。
○辻原委員 その点は、したがって後刻、経済計画の策定直前に、当委員会においても当然積極的に厚生省から具体的な開陳があるものと心得て、いまの問題についてはそれ以上私は申し上げませんが、ただ、先ほどから抽象的に言われておるのですが、新経済計画の具体的なものが政府にない、まだ固まっておらないとおっしゃるけれども、しかし、私は、その中心になるものは、今度の国会でもかなり明らかにされておると思うのです。それによれば、たとえば経済成長率については、中期経済計画では、たしか、私の記憶するところでは八・一%を指標とした。これは現実に狂いました。それに対して政府は、その後において、当面の三カ年の経済運用の方針というものを策定せられた。また、それに関連をして、新経済計画をつくる成長率の大体の方向というのはおおむね七%から八%の範囲ということも、これは大蔵大臣なり総理から明確に御答弁があった。それからCPIについては、大体三%にとどめたいということもおっしゃっておる。それから貿易規模等についても触れられておる等々、経済計画の基本になる指標をこうあげつらえてまいりますれば、おおむねの政府の構想は出ておるのです。その基本が策定になれば、あとは計算機の問題であって、おおむね国民所得なりいろいろなものの推定も可能である。そうだとすれば、そういう前提は動かない、そういうことでやれますとおっしゃっておるのですから、それに対応する計画は、すでに私はあっても当然だと考えているのです。しかし、いまはそれはないのだ、こうおっしゃらないということを私は積極的ではないのですよと申し上げた。だから、そういうような考え方からまいりますと、おおむね政府の経済政策というものは、大体私にも、ああこの程度のものだなという構想が出てくる。その構想を踏まえてまいりますと、どうも社会保障は前中期経済計画と大差がないなという気が私はするわけです。だから、どの程度意欲的に、新経済計画の中に中期経済計画を上回らそうとする積極的姿勢が厚生大臣並びに厚生省におありなのかと思ってお尋ねしたのだけれども、どうもその点についてはやや失望をいたしました。しかし、これ以上この議論を行なってまいりましても鈴木さんのお答えからは出ないと思いますから、私はその点についてはこれ以上申し上げません。ただ、先ほどからしばしば言われております、私も使っておりますが、ここでまことに小学校一年生のようなお尋ねでありますけれども、一体社会保障というものをどう定義づけられておるのか、いま口で言われておる社会保障というものはどういう範囲のものをお考えになっておるのか、この機会でありますから、私は、一度厚生大臣から、将来の展望というその社会保障というのはこういう範囲のものを考えられているかを——これはあるいはいままで議論があったかと思いますけれども、明確にしておいていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 社会保障につきましては、いろいろの範囲の取り方によって違うわけでありますが、おおむね社会保障給付費として、西欧諸国においても取り上げております給付があるわけであります。わが国におきましてもそれによって社会保障としての施策を進めており、また、社会保障制度審議会においても、そういう線に沿うていろいろの答申、意見を出していただいております。私も、これらの社会保障全体の給付費の中であげられております項目、この線に沿うてわが国の社会保障は進められていくべきものである、かように考えておるのであります。
○辻原委員 私は、社会保障は、必ずしもいま厚生大臣のおっしゃったようには理解をしない。たとえば経済計画の中で私がとらえてみると、社会保障は、いま厚生大臣のおっしゃった給付費という意味はどういう意味か、これも正確にわかりませんけれども、そうではなくて、全体として社会福利、それに伴う施設、そういったものまでも含めて、広義の意味において社会保障の数字をあらわしておる。たとえば中期経済計画の中の国民生活の一項をとらえてみれば、一体国民生活をどうあらしめるかという中に、こういう表現をしておる。政府投資に占める住宅建設及び環境衛生、厚生福祉施設の比率を、三十四年から三十八年までの一〇%から計画期間の一三%に増大させることにより、国民生活の内容の向上と健全化をはかるということを明記しておる。したがって、あなたのいま言われた給付という意味は、常識的に解すれば、こういうものは必ずしも常識的な意味においては入らないように思う。とするならば、国民生活の重要な問題として、一方において公共投資、その公共投資の中にいわゆる厚生福祉、こういうものも広義に含めて、そうして生活水準というものをこう持っていきたいという経済計画と必ずしもマッチしないように私は見受けるが、その辺のところはどうなのか、だから、私はしばしば演説においては常識的にそう使っておるが、はたして経済計画などという大きなものを策定するときに、その辺のところの明確な一致点がなければ、これも象のしっぽをつかまえたり頭をつかまえたりする議論におちいるきらいがあると思いますから、この際、やはり議論をする対象の社会保障というものは一体何だ、厚生大臣がお考えになっておる社会保障とは何ぞやということを明確にしておく必要があると思います。
○鈴木国務大臣 社会保障の骨格をなしますのは、何といっても医療保障、それに所得保障、これが骨格をなしますが、さらに生活保護関係、それから社会福祉の関係、保健衛生の対策、こういうものが社会保障の有力な柱であります。なお、公共投資の中には、病院でありますとかあるいは環境衛生施設でありますとか、そういうようなものも当然これは入ってくるわけでありまして、私は、国民の健康を守り、そうして国民が文化的で健康な生活ができるように、そういう総合的な施策を社会保障の概念でとらえて、今後具体的に進めてまいる考えであります。
○辻原委員 大体後段におっしゃる点は私も理解できるし、そうあらねばならぬ。だから、そういう意味で、社会保障というものを明確にとらえておくことが必要だということを考えます。だから、その前提がなければ、社会保障ということばを使っての議論は困難であろう。いままで当委員会でいろいろお答えになった資料を見ましても、数字においてもややまちまちの点がある。だから、それはそういったとらまえ方の相違によって生まれるのではなかろうかということも、実は私は感じておったから申し上げたのであります。 それからいま一つは、先ほど厚生大臣は——これは先ほどだけではなく、いままでもお答えになっておるが、欧米の水準、いわゆる欧米先進諸国の水準に照らして云々、また、政府全体としても欧米水準に近づけたいということをおっしゃっているわけです。しかもそれは、国民所得に対した場合に、欧米諸国の場合には十数%がいわば振替所得になっている、こういうことを指標にあげられているので、そこで私は、それでは日本では、それに近づけるための年度計画なり経済計画を一体どうするのだということをお尋ねしたのだが、まあこれははっきりいたしませんが、そこで、その欧米水準に近づけるという構想をいま端的にいえば、いまの現状においては欧米水準のやや半分ですね。とするならば、それをいつの日に近づけるか、これはむずかしい話である。しかし、意気込みがなければいかぬ。いつの日にそれを近づけていこうという努力をするのか。これは先ほどの質問にやや戻りますけれども、そこらも、単に欧米はこうだということだけをあげられて、わが国の姿勢というものを——いまのようにいわゆる医療を中心にして社会保障が問題化され、国民が期待されておるおりに、やはりそういった指針を示すということは、所管大臣としては私は必要ではないか。これは見識だと思う。あなたのお考えを承りたい。
○鈴木国務大臣 この点は先ほど来申し上げておるとおりでございますが、社会保障制度審議会が、欧米先進国の社会保障を目標にそれに近づけるという努力を政府に対して要請をいたしておるのでありますが、その社会保障制度審議会の答申並びに勧告は、昭和四十三年度に七%、こういうことを提示いたしておるのでございます。私は、これは政府に対する一つの大きな努力目標として示されたものでありまして……(「それは中期経済計画だ」と呼ぶ者あり)ただいまの点は、中期経済計画が社会保障制度審議会の答申等を考えながら目標として定めたものでございます。しかし、私は、今度の長期経済計画にあたりましては、社会保障が所得保障の面で前進をしておりますし、今後もさらに充実をしてまいる、特に児童手当等も、私は今度の長期計画の中におきましてはぜひこれを組み込んでまいりたい、かように考えておるのでありまして、したがいまして、中期経済計画を上回るような位置づけをいたすという方向で努力をいたしたいと考えております。
○辻原委員 中期経済計画のことはわかるのでありますが、先ほどから社会保障を指針だと言われている。私もちょっとその社会保障の原簿を持っておるのでありますけれども、その中における一つの振替所得に対する指標というものが、私はまだ明確に資料を持っておりません。それはどうなっておりますか。あなたは指針だと言われるのですが、社会保障制度審議会における答申の指針はどうなっておるのですか。
○鈴木国務大臣 企画室長からお答えいたさせます。
○加藤説明員 社会保障制度審議会の三十七年度の総合調整におきましては、先生御承知のとおり、わが国の社会保障制度の現状をいろいろ分析されまして、特に私どもが指針として深く受け取っておりますのは、わが国の社会保障制度の中におきまして、医療保険制度はある程度前進しているけれども、所得保障制度、特に年金制度、それから児童手当制度、この辺が非常におくれている。したがって、均衡のある社会保障制度を充実するためには、まずこの辺を第一番に力を入れなければいけない。それからもう一つの点は、社会保障の充実のためには経費の分担を公平にする必要がある、均衡をとる必要があるが、この辺についても十分に行なわれていない。それから、一方給付についても、低所得層と一般層とを比べると、その間において必ずしも十分な均衡がとれていない。この均衡をとる必要がある。大まかに申し上げましてこの三点が柱になっておりますので、この点につきまして、先ほど大臣からお答え申しましたように、私どもはまず年金制度の充実ということで厚生年金、国民年金の改善に努力していく、それから負担の問題につきましては、国民健康保険の被保険者が一般に負担能力が小さいのにわりあいに負担が重いということで、こちらのほうの国庫負担の充実に努力していく、給付の面におきましても、国民健康保険の給付率の改善を三十九年度から四カ年計画で七割給付を実施すべく、現在いろいろと御審議をお願いして努力している次第でございます。 以上のような意味で、指針として私どもはこれを実行に移すべく努力しているわけでございます。
○辻原委員 私がちょっとお尋ねが悪かったかもしれませんが、先ほど大臣が述べられた、要するに四十三年、中期経済計画における七%というものに対応する、それも三十七年度の社会保障制度審議会の答申の線に沿ってやってきたとおっしゃるわけです。今後もまたやっていきたいとおっしゃる。いきたいならば、社会保障制度審議会が答申をしたいわゆる長期展望に立つ——これはたしか十年計画だったですね。十年を展望してのその最終年度に、一体いかほど振替所得を社会保障制度審議会としては期待して答申をし、政府もそれを了承して進めたか、こういうことです。
○加藤説明員 その点については、私ども社会保障制度審議会から、はっきりした数字はいただいておりません。ただ、社会保障制度審議会であの答申の線に沿って実施した一つの試算として、試算されたものはございます。これにつきましては、私どもとしても、いろいろと制度審議会の事務当局その他にわからない点をお聞きしているのですけれども、これはあくまで試算であって、そう一々問い詰めてという問題ではないという問題でございますので、私どもは、これは一つの足がかりにして厚生省は答申をいただいたわけでございますから、答申の線に従って計画をしながら、取り急ぐものから実施していく、そういう態度で実施してきたわけでございます。
○辻原委員 そうすると、たしか私は、いまお話しになったような試算をして、付表にその指標が出ておったように聞いているのです。それは十年をトしてそのときどきの内容的なものをこうしていく、同時にその完成年度におきましては、何といってもその基礎となるものは金なんですから、その投資はこうあるべきものだという指標を示した。それを全体として、昭和三十七年度における社会保障制度審議会における長期展望に立つ構想だと理解しているわけです。ところが、いま肝心のその一番の最終年度における振替所得の目標というものは、試算として見たけれども厚生省としてはそれは採用しなかった、こういうわけですが、それなら目標がないということなんですよ。中期経済計画も消えた。しかし、先ほどから承ると、これを目標にしてやっていくのだから、消えたけれども大体同じようなテンポでいくだろう、こう考えたのだが、それが目標でないということになれば、肝心かなめなところを厚生省は目標にしてないわけだ。そしてそのときどきに起きてくる問題を、ただ必要に応じて処理をしていくというていにすぎない、悪く言えばですね。口の悪い点は御了承願いたいと思うのだが、そうでしょう。目標を掲げて一番肝心な、たとえばわれわれは欧米制度等をいろいろ見たって——厚生省が出しておる統計をずいぶんひねくり返してみた。しかし、実際外国の制度と日本の制度、いろんなものを比較するのは率直に言って困難ですよ。ただ、その場合に、私どもが大きなスタンダードとして考えられるのは、向こうは全体の経済計画、全体の国民所得の中においてこの程度を投じておる、日本もいまのテンポからいって、経済成長もここらあたりなんだ、日本の経済実勢力というものもここらあたりなんだ、そうするならば、日本もそういうスタンダードでいくべきじゃないかという議論が当然出る。これが目標なんです。それだから、私がその点についてかなりの時間をかけて皆さんに承っているのは、そういう意味なんです。ところが、だんだんに承ると、その目標がないということは、どうも私は風のまにまにという印象を免れない。だから、あるならひとつその点をおっしゃってくれとさっきから言っているのです。
○鈴木国務大臣 先ほど来その点につきましては申し上げておるつもりであります。つまり私どもの目標は、西欧先進国並みの社会保障をやりたい、これを目標として努力を重ねてまいりたい、そして具体的には、今度の新しい経済計画に即応する社会保障の長期計画は、前の中期経済計画の中で取り上げられておった社会保障の四十三年七%、これを上回ることを私は目標としてそれを策定したい、そして大きな目標は、西欧先進国並みの社会保障を充実する、それを目標にして、今度の新しい長期経済計画の中では、少なくとも、前の破棄された中期経済計画の中に織り込まれたところのものを上回るものを私はぜひ実現をしたい、こういうことを申し上げておるのでありまして、辻原さんの御質問に対しては先ほど来お答えを申し上げておる、こう思っておるのであります。
○辻原委員 まあ初めて具体的に、四十三年度においては中期経済計画で策定をした七%を上回る計画を策定してあれしたい、こうおっしゃった。その点については大臣の意気込みを私は壮とするが、ただそれがここだけの大演説にならぬようにしてもらいたい。それと同時に、そういうことをおっしゃる以上、七%を上回る具体的数字が、先ほど私が念を押したように、長期経済計画策定の直前において、厚生省としては明確にここでお答えができるはずだ。同時に、いまの社会保障制度審議会が指標として示している、当時積算か試算か知りませんけれども、確かにその一つの目標としては、大体欧米水準に近づける一三%か四%の指標をあげておったと思う。そういうことが、いまの厚生大臣の意気込みから想定をいたしまするならば、出てくるはずだと私は理解をする。 なお、この点については同僚滝井君から関連の質問があるようですから、一時席を譲りたいと思います。
○滝井委員 いま辻原さんが非常に重要なところをついておるわけですが、所得倍増計画を修正した中期経済計画で、国民所得の七%を振替所得に持ってきたわけです。当時三十九年からこれは実施することになっていたと思いますが、これが出ましたときに、私は衆議院(しゅうぎいん)の予算委員会で質問をしておるわけです。それは、三十七年の大内先生のほうから出ている総合調整に関する長期の構想とこれとは、片一方が国民所得の七%程度を振替所得に持ってくる、片一方は、たぶん一四%くらいだったと思うのです。そこで、非常に数字が違うが、これはどうしたんだ、一体どっちがほんとうなんだ、こういうことになったのですよ、予算委員会で。政府は答弁できなかった。答弁ができずに、ちょっと待ってください、これは検討の上その御答弁をいたします、こういうことになった。その後、厚生事務当局が私のところに何と言って答えを持ってきたかというと、青刷りの紙を持ってきまして、大体これはまあ算定の基礎が幾ぶん違うんで、内容は同じでございます。いま企画室長の加藤君が言ったと同じことを、中期経済計画に書いているわけですね。しかし、その前の総合調整においては、加藤君の言った思想をきわめて具体的に書いているわけですね。だから、その中期経済計画の中に数字が出ていないのですよ。ただ、国民所得の七%程度とるということと、重点を厚生年金とか児童手当とか家族の七割給付、こういうところに置くということだけ書いて、それを一体どういう形で年次的にやるということは書いてないのです。そして、四十年の一月一日から四カ年計画で、国民健康保険の家族の七割給付をするというのが具体的に出ただけで、何も出ていないのです。したがって、前のその三十七年の総合調整に関する勧告並びに答申とあとのものと、非常に関係があるがごとくないがごとく、はっきりしないままで終わってきているというのが現実なんです。しかもそういうものも、厚生省の企画室その他で、古井さんが大臣のときその他、あるいは灘尾さんのときもいろいろアドバルーンを出しました。しかし、それらのものは省議で決定されたものでもないし、閣議の決定を経たものでもないのですよ。これはわれわれがここで何回か追及したけれども、あなた方はそれを明白にしなかったわけです。そこでいまのように、これらの二つのものというのは、明白にならないままにきているわけです。これはいわば公認をされていない私生子なんです。ところが、いまの鈴木さんのことばでは、辻原さんの質問で、中期経済計画が今度新しく経済計画に再編成をされる場合には、自分のほうも、その経済計画に見合って同時に長期の社会保障計画は必ず立てます、こういうお話があった。歴代の大臣はみなそう言うのです。みんなあなたと同じことを言ってきた。私もここで大臣がかわるたびごとに言った。 そこで、鈴木さん、あなたはきょうの新聞をお開きになって見たと思う。松野さんのほうの防衛庁は、第三次防衛計画というものをお立てになっておるわけです。四十二年から四十六年までに二兆七千億円金を使います。これは国民所得の二%です。いまは四十年度は一・三三ですよ。これを二%まで持っていこうと言って、陸海空三軍の飛行機の数から、戦鑑のトン数を十四万トンを十七万六千トンにするとか、きわめて具体的な数字をあげてしまっておるわけです。そうして同時に、このことはどういうことを意味するかというと、このことは国内における防衛生産とも関係があるわけです。だから、三月二十八日には、松野さんは財界人を集めて何と言ったかというと、これから七千百億円の兵器の生産を国内でやるのですから、財界の皆さんもひとつしっかり態勢を整えてくれ、こういうことを言ったのですよ。そうすると、大砲かバターかということはいままでいつもいわれておるわけです。四十二年から防衛計画があれほど具体的に、緻密に立つとするならば、社会保障をいまから経済計画が出たら立てますという、そんな——これだけ医療問題が大問題になり、年金問題でも調整年金をつくるかつくらぬかということがまだもめておるときに、暗中模索の型ではいかぬと思うのですよ。やはりこういういいチャンス、いい機会を辻原さんが与えてくれておるのだから、この機会に、松野防衛庁長官に負けないようにバターの姿を打ち出すのが厚生大臣の任務なんですよ。 それは、桂太郎が明治三十年に、村田式のあの小銃を口径の小さいものに変えたのです。これは単に小銃を変えるということだけではないのですよ。村田銃から三八式の銃に変えるためには、これは予備役のどの程度のものを一体準備するか、その予備役のための銃を用意しなければならぬと同時に、その修理をやる態勢を整えなければならぬ。同時に、その銃のたまをととのえなければならぬわけです。そういう非常に長期の見通しと決断とを持って、桂太郎は明治三十年に村田式の小銃というものをやめておるわけです。やはり一国の防衛庁があれほどの大きなアドバルーンを上げておるときに、内閣の中では松野さんよりか実力のある鈴木さんが、ぼやっと手をこまねいて、藤山経済企画庁長官のほうから出さなければ私のほうでは出せませんなんということでは、とてもこの日本の医療保障の狂瀾怒涛のごとき難局というものは乗り切ることはできないと思うのですよ。だから、やはりここで、こういう機会にそれを明らかにする。四十三年度はこういう方針でいくともうきまっておるのですから、年金は五年に一回変えなければならぬし、国民年金はやがて変えなければならぬ時期にきている。そうすると医療、児童手当——児童手当はどこかに吹っ飛んでしまったじゃないか。だから、こういう点は明らかにこういうことにする。少なくとも暫定措置をやる場合に、長期の方向がなかったら暫定措置なんかきまらないです。こんなものはきまらぬです。だから、その点をここで明らかにしてもらいたいと思うのです。もしそういうことがわからなければ、少し頭を冷やして勉強してきて、ここで明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。こんなことは当然ですよ。
○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、長期経済計画がはっきり固まってから社会保障制度の長期計画を策定する、こういうことを申し上げておるのではございません。長期経済計画の決定を閣議でいたします場合には、同時に社会保障の長期計画も決定できるように、これは両方見合ってその策定をいたしたいということを申し上げておるのでございます。 それから、児童手当につきましては、いろんな事情で今日までおくれておるのでありますが、今度は、この長期経済計画に見合った長期の社会保障計画の中には児童手当をぜひ織り込んでまいりたい、このように考えております。御指摘のように、所得保障である年金制度につきましても、厚年あるいは国年について私ども昨年来努力してまいったのでありますが、これも老後の国民の生活の保障に値するように年金制度も逐次充実をしてまいる必要があると思うのでありまして、当然、この年金制度の充実の問題も長期計画の中に入ってまいるのであります。 さらに、医療保障の面におきましては、先般来申し上げておりますように、各種医療保険制度が、被保険者の負担の面におきましても、また給付の内容におきましても、また各制度の保険財政の面からいたしましても、そこに非常な不均衡があるわけでございます。私は、医療保険が、国民皆保険下のもとに均衡のとれた形で医療保障がされるようにいたしたい、そしてこれを逐次前進させていきたい、こういうことを考えておるのでありまして、この面も、私は今度の長期保障計画の中には当然その計画を織り込んでまいる必要があると思うのでございます。 なお、さらに低所得対策、生活保護を中心といたしまして、これを長期計画の中でどういう水準に引き上げていくか、そういう問題も当然重要な課題になってくるのであります。そういうことを私ども骨格といたしながら、長期経済計画に見合ったところの長期社会保障計画というものを樹立してまいりたいと考えております。
○滝井委員 松野さんのほうは国民所得の二%ときちっときめて、そして四十二年から四十六年度までの計画を出したのですが、大砲かバターかということは、ずっと私ども言い古したことばです。大砲についてはそういうようにきちっと計画を出したのに、バターのほうは出せないというのはおかしいじゃないですか。そうでしょう。だから、当然あなたのほうも、松野さんのほうがああいうことを言うとすれば、しかも三月二十八日には財界を集めて演説までして、七千百億円の国内の武器の生産をやりますよということをやっているのですからね。そうすると、やはりあなたのほうは、製薬企業くらい集めて、製薬を五カ年にはこのくらいのことをやるというくらいのアドバルーンを上げて、そして製薬はあまりもうけぬようにしてくれ、広告もあまり出さぬようにしてくれ、これくらいのゼスチュアくらいは、やはり健康保険を強行採決しようとするならば、そのくらいの根回しはやらなければ話にならぬですよ。大砲だけはぶちあげるけれども、バターは骸骨みたいにやせこけているというのでは話にならぬと思うんです。だから、この法案を強行採決しようとするならば、松野さんがあげたくらいのものをあなたがあげなければ、われわれはそれは了承できないです。
○鈴木国務大臣 この第三次防衛計画の二%の問題は、これはすでに池田内閣の当時、国防会議におきまして二%の範囲内で今後の防衛計画を策定する、こういうことが政府として既定の方針として決定をいたしておるのであります。この線に沿うて今後の第三次防というものが策定をされるのでございまして、そこに一つの政府としての基本的な決定が前提になって、ああいう計画が立っておるのであります。この今回の中期経済計画に見合った社会保障計画というものが御破算になりました段階におきましては、先ほど来私が申し上げておりますように、新しい経済計画に即応した社会保障計画というものを、ともに見合いながらこれを決定してまいりたいということを重ねて御答弁申し上げます。
○辻原委員 いま滝井委員が言われるように、大砲だけが威勢よくぶっ放されて、社会保障のほうはその影をひそめるということは、これは国民の望んでいる方向ではないはずなんです。だから、われわれは声を大にして、少なくとも佐藤内閣がいわゆる社会福祉を中心として社会開発をやり、そして福祉国家を目ざす平和国家とおっしゃるならば、具体的構想くらいは経済計画と同時に明確にされなければならぬということを言っているわけです。 そこで、厚生大臣がだんだんと強調せられてきました中期経済計画を上回る具体的な構想を打ち立てて、それを全体の計画の中に位置づけたい、こうおっしゃる。それは、中期経済計画が閣議において決定されるまでにという意味であるのか。私は、少なくとも政府としての大綱がまとまって、それが閣議において検討される段階でないと、実際問題として、話が大体きまってからそんなものをぶちあげたっておよそこれは意味がないわけですから、その辺の時期的な問題をどうお考えになっておるのか。 〔委員長退席、竹内委員長代理着席〕 もう一ぺん復習するならば、春に諮問をして、年度内にその答申を得ると言われる。その過程でおおむねこれは固まっていくわけだ。そうすると、常識的に考えれば、少なくとも諮問のされる段階ないしはその答申が固まる直前、こういうときにその構想が出なければ、これは全体計画の中からずれてくるという心配がある。私は現実的にものを考えるわけです。したがって、大臣の構想としていまお話しになったのだが、ややそれらの全体計画との関連がぼやけておる。したがって、その時期的な判断はどうお考えになっておるか、これを承っておきたい。
○鈴木国務大臣 長期経済計画を閣議で決定いたします際、同時に長期の社会保障計画も閣議で決定できるように、そういうテンポで十分緊密な連携を財政当局その他ととりながら具体性のある計画を立てたい、こういうのが私の考えでございます。
○辻原委員 単にここでの答弁ということでなしに、私は全体を考えてものを言っているので、大臣もその点は、あとでこれは、私はきちっとしてまたそのときにもう一ぺんやりますから、そういう意味でお尋ねをしている。そうすると、中期経済計画は四十三年度を終期にして、新経済計画は、これは内容のあれは別として、四十二年から四十六年までというのは間違いのない事実です。そうすると、四十二年度の予算編成は、少なくともことしの六月ないし七月から具体的に進行するわけです。とするならば、この新経済計画というものは、そう大幅にずらすというわけにはいかない。時期はおのずから制約されてくるわけであります。そうすると、大臣の言われる、いわゆる社会保障についての長期計画の具体的構想というものも、実際問題として、そう時間をおくわけにいかぬのですよ。それは大臣、お認めになりますね。
○鈴木国務大臣 先ほど来私は申し上げておるのでありますが、所得保障の面につきましては、今後におきましても、厚年及び国年を通じまして新しい計画の中で給付水準を高めるように、これを長期計画の中へ織り込んでいきたい。また、医療保障の面におきましても、今回御審議を願っておりまする暫定対策は別といたしまして、引き続き根本的な改善策を立てたいと考えておりますし、その根本策を立てます場合には、当然各制度間のアンバランスを是正いたします前提の上に立って、逐次、年を追うて給付内容の改善等をはかってまいる。これが長期計画の中に当然取り上げられる問題であるわけであります。また、児童手当の問題につきましても、これは今度の新しい長期計画の中に織り込んで実施をしてまいりたい。また、生活保護水準の引き上げにつきましても、社会保障制度審議会からの御答申もありますが、これも新しい長期の経済計画に見合って給付の改善についての計画を立ててまいる。こういうようなぐあいに、相当今後の新しい計画の中に織り込むべき問題点を私はここにお答えをいたしておるのであります。そして年次的にこれにどれだけの予算の裏づけをしてその目標を達成するかという問題につきましては、これは長期経済計画と見合って、初めて予算的裏づけの数字が固まってくる。長期計画の内容は、大体所得保障、医療保障あるいは生活保護その他の点については、こういう点を長期計画の中へ織り込んでやってまいります、こういうことを私は申し上げておるのであります。
○辻原委員 そのことはわかっておるのです。それはしばしば言われておりますし、また私はあとで必要な部分についてはお尋ねをするつもりでありますが、問題は、その全体計画をいつの時期に策定をされるか、私は、国全体としての実際の施策の関連の上においていまお尋ねしておるわけです。幾らつくる、つくると言ったって、お祭り済んでのみこしかつぎではそれは間に合わぬのですから、そのことを言っておる。当然間に合う時期に策定されるであろう。そうするならば、私の常識をもってすれば、そう期間をおくわけにはいかない、それは経済計画全体がそうですから。これが進行して四十二年度半ばにおいて経済計画をつくるなんということは、これはもうすでに計画じゃないのですから。これは企画庁のほうもよく聞いておいてもらいたいと思うのです、そんな計画はないのですから。実際の年度が進行しておる中に、進行年度を含めて計画をつくってしまうという計画はないのです。計画年度の進行しない以前に計画があって、初めてそれは計画と言える。いままでの中期にしたって、どうもそういうきらいがある。だから私は、賢明な皆さんがそういう愚をなさるまいと思うから、そういうことを前提にして申し上げておる。 そこで、そのことはいろいろ議論がありますけれども、時間の関係もあるから私は一応おくとして、いま大臣のおっしゃることを冷静に聞いておると、若干矛盾がありはしないかということなんです。それはどういうことかというと、いま盛んに、しばしば言われておるように、医療制度については、これは根本的改革を進めたい。それで先般の委員会でも、何かの審議会をつくっておやりになりたいということもおっしゃっておる。ところが、私は冒頭に申し上げたように、医療制度というのは社会保障の中核である。だから、これについての将来計画、将来の方針が明確に立たなければ、一体どうして社会保障全体の計画が策定できるのか、ここに疑問があるわけです。社会保障全体としての計画を立てます、こう言っておる。そうすると、別途に、医療についてはこれから審議会でも設けてぼちぼちやりましょう、こういうのです。それがマッチしますかということです。だからあなたは、根本計画をそれとマッチさせて、いつまでに根本計画の成案を持ちたいとお考えになっておるか。いままでのあなたの御答弁から私は推定するならば、全体計画が閣議の決定を行なうその直前までにきめるわけですから、その中に当然含まれてこなければならぬ、こういうように受け取って差しつかえありませんか、明確にしておいていただきたい。
○鈴木国務大臣 その点は、しばしば滝井さんその他の御質問の際にもお答え申し上げてあるのでありますが、今回の暫定対策が国会の御承認を得ますれば、直ちに引き続いて根本的な制度の改善等に着手いたしたい考えでありまして、それは昭和四十二年度の予算編成、これはぜひ新しい制度のもとに実施できるようにしたい、こういう目途で根本策と取り組んでまいりたいと考えておるのでありまして、ちょうどこのことは、新しい経済計画に見合ったところの長期の社会保障計画の一環でもあるわけでございます。したがいまして、決して矛盾はいたしません。今度の根本策は長期計画の中の一環である、こういう形でやってまいる考えであります。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕
○辻原委員 問題を次に進めたいと思いますが、いま大臣が言われた医療制度について、四十二年度を目途にこれの根本方策についての成案を得たい。あらためてお伺いをするのでありますが、いま私も申しましたように、そのために審議会を設けられるようなお話でありますが、それについての心組みは、名称はどうなのか、それからそれをほんとうに設けられ——何か新聞の伝うるところによると、閣議でも決定されたかのようにもいわれておる。今国会に提出されるというようなことも伝わっておる。その辺のところは一体どうなのかを、明確にこの際しておいていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 閣議で私が先般私の構想を報告をし、閣議了解として御承認をいただいておりますものは、医療保障制度の全体にこの際再検討を加えて、そうして均衡のとれた医療保険制度に改めたい。その対象は、言うまでもなく国民健康保険であり、組合健康保険であり、また、政府管掌の健康保険であり、船員保険であり、日雇い健保であり、また公務員等の共済保険の問題である。こういうようなわが国の各種の医療保険制度を全部この機会に検討を加え、そして給付内容におきましても、また負担の面におきましても、財政の面におきましても、長期的な安定と進展ができるようなものにしていきたい、こういうことを目標にいたしまして、これは仮称でございますが、臨時医療保険審議会というものを設置いたしまして、そして四十二年度を目途にわが国の医療保険の抜本的な改善策を講じたい、こういうことを申し上げまして閣議の了承を得た、こういう次第でございます。
○辻原委員 私は、審議会をおつくりになって積極的に進められるということについて、普通の場合でありますればとかくのことは申し上げません。しかし、いままでのこの問題に対する経過を考えてきましても、また現在、社会保険の制度、社会保障についてはそれぞれ審議会を持っておられるという現状から考えて、いまさらに臨時医療保険審議会というものを設けておやりになるということには、どうもぴんとこないものがあります。なぜ現在設けられている社会保障制度審議会なり社会保険審議会、あるいは中央医療協、こういった審議会の活用をお考えになさらぬのか。私は最終的意見はまだ持っておりません、しかし、私の印象であります。なぜあえて屋上屋を架されるようなことをおやりになるのか。実際考えてみれば、たとえば社会保険審議会も三者構成、社会保障制度審議会、これも学識経験者もおれば、またそれぞれの関係者も入っておられる。この間、私は参考にここにそれぞれの人名なりをいただいております。それをしさいに検討いたしてみますと、今度おつくりになる場合、やはりこれは医療制度なんですから、もっと詰めて言えば医療保険が中心なんですから、当然その関係者を入れなければ、本格的な審議会、民主的な意見を聴取するという審議会にはならぬ。とするならば、構成も同じようなものになるじゃないか、また、ある場合には人も同じような形になってくるじゃないか、何でそんな屋上屋をつくらなければならぬのか、こういう疑問が、私だけでなくて、おそらくいままでの経過、現状をある程度考えた方々には生ずる。その点について、明確なあなたのお答えをいただきたい。
○鈴木国務大臣 辻原さんもすでに御承知のことでございますが、現在、医療保険につきましての審議会といたしましては、社会保障審議会というのがあるわけであります。これは、御承知と思うのでありますが、政府管掌の健康保険、船員保険、日雇い健保、この三つの制度が対象でございまして、大きな分野を占めておりますところの国民健康保険は、この審議会の対象外になっておるのでございます。また、国家公務員、地方公務員等の公務員共済保険、これも対象外でございます。さような意味合いからいたしまして、やはり一つの制度の根本的な改善策をきめますためには、どうしてもこの際一つの審議会で全体を検討してみるという必要があると私は思うのであります。いろいろな審議会がそこにあって、それぞれが一つ一つの医療保険制度を審議していくということでは十分な目的が果たし得ない。先ほど来申し上げておりますように、今日のわが国の医療保険制度はたくさんに分かれておる。しかも負担の面、給付の面、財政の面、みんな内容が違います。また、国庫負担につきましてもみんな違います。それを均衡のとれた形で各制度がやってまいるほか、また、さらに必要があれば総合調整なりあるいは統合できるものは統合する、これは社会党の皆さんもしばしば当委員会におきまして御主張なさっておる点でございます。そういうことをいたしますためには、国保も健保も、また政府管掌の健康保険も、さらに公務員の共済組合の短期給付の医療保険の部門も、みんな一ぺんこの際見渡して、そして皆保険下における国民の医療保障はどうあるべきか、こういうことをやる段階にきておる、その必要がある、そうしたい、こういうことで、臨時的に臨時医療保険審議会というものを設置いたしたい、こういうことをいたしたのであります。遺憾ながら現在の社会保険審議会ではそれができません。対象は、いま申し上げたとおり政府管掌、日雇い健保、船員保険、こういうことに限定をされておるのであります。そういう点から、私は、この社会保険審議会は全体の医療保険制度を検討する場ではない、かように考えておるのであります。また一方、内閣総理大臣の諮問機関として、御指摘の社会保障制度審議会というものがございます。しかし、これは医療保険プロパーの審議機関ではない、わが国の社会保障全体を取り上げておる審議会でございますので、これは大所高所から均衡のとれたものにわが国の社会保障を前進せしむるために、従来どおり内閣総理大臣の諮問機関としてやっていただいてけっこうだ、こう私は思うのであります。また、今度設置いたしたいと考えております臨時医療保険審議会の結論に対しましては、社会保障制度審議会が、他の所得保障その他と均衡のとれた形でその医療保険の位置づけ、あり方というものを高い立場から御検討願ってしかるべきだ、かように考えておるのでありまして、決して屋上屋ではございません。そして現在の社会保険審議会で審議、検討したものを臨時医療保険審議会にまたかける、そういう性質のものではございません。さようなことは考えておりません。この制度の抜本策をやる間におきましては、医療保険部門は全部臨時医療保険審議会で御検討願うのでありまして、その暫定的な期間は、社会保険審議会は国民年金であるとかいうようなものの御審議を願う、こういうことに考えておるのであります。
○辻原委員 きょうは行政管理庁にも来てもらっておいたらよかったなと思っておるのです。審議会をつくることが問題解決ではない。前段の大臣の言われたことは、私は意味がわかります。積極的に今度こそひとつこの問題について根本的に取り組みたい、その内容はしかじかかくかくであるということのそのお話はわかる。だから、そこへすぐ結論が新しい審議会をつくるということには、私は飛躍があると言っているのです。たとえば、いま社会保険審議会、社会保障制度審議会のことを言われた。私はあなたのお話をじっと聞いておって、聞いておれば聞いておるほど、それほど重要な——事は社会保障制度の根本問題であり、それは単に赤字をどうするとか、そういった問題にとどまらず、今度は社会保障全体の中で一体社会保険というものはどうあるべきかということをやるのに、社会保険だけをつくる委員会でやるのがいいのか、社会保障万般の問題として関連をつけて、そこでその期間それに頭を用いつつ専心をするのがいいのか、常識的に考えた場合に、後者のほうがいいじゃないかという意見もある。しかも、いまあなたがはしなくもおっしゃった社会保障制度審議会は当面厚生年金でもやっていただこうと、わきから声もあったように、厚生年金については厚生年金審議会があるでしょう。すべてがそういう形で屋上屋なんです。それが私は根本策か、こう言っている。しかも社会保障制度審議会は、昨年の職権告示以来問題が紛糾し、いまだに医療側の代表——と言っては語弊がありますけれども、その立場の方々はここには復帰せられておらない。しかし、医療側の方々も、わが国における医療の実務を担当する立場から、根本的な社会保険については建設的な、積極的な意見を持っておられる。たまたまこの根本問題をやるのに、私は、従来の経緯を全部水に流して、新しい観点から社会保障制度審議会が医療側の復帰も望んでこういう問題をやるのだ、あなた方の御意見もあるのだから、ひとつ新しいテーマとして取り組んでいただきたいということも一方策ではないかと思うのです。社会保障制度審議会は厚生年金をやってくれ——おそらく医療側が復帰するチャンスはないでしょう。同時に、それを受けた社会保障制度審議会は、おれらは内閣総理大臣の諮問機関として高い視野に立って日本の社会保障なり医療制度を考える機関でありながら、肝心かなめの根本策をやるときに、われわれは意見を言ってもらってもけっこうだけれども、しかし、それはあなた方にやっていただくのじゃないですよという形を厚生省がとった場合に、この制度審議会が積極的にほんとうに腹から協力をしてもらえますか、こういうことなんです。おそらく私だってそうだ。根本問題をこそ、ここでおやり願いたい。意欲を燃やすかもしれません。しかし、まあどうだ、厚生年金であとはこっちでやってもらいますよということで、本腰を入れて社会保障問題について検討するという気がまえに人情としてなりませんよ。だから、いまは医療問題は根本問題だけに限っておりますけれども、さっきから議論をしたように社会保障全体としての議論、その中に重大な問題が出たときにまた別個な委員会をつくってやる。だれが本格的に腰を据えて、社会保障制度審議会の中で取り組んでいこうということになりますか。これを冷静に御判断しなければ、あえて申しませんけれども、過去にそごを来たしたような問題が厚生行政に、この根本問題を審議する過程において出てくることを私は心配する。いかがでありますか。
○鈴木国務大臣 その点は先ほど申し上げたのでありますが、臨時医療保険審議会でまとめましたところの御意見は、さらに内閣総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会におきましても引き続きこれを御検討願って、全体の社会保障の中で医療保険制度のあるべき姿、位置づけというものが大所高所からなされる問題だと私は思います。現在でもどうなっておるかと申しますと、社会保険審議会というのがございまして、この社会保険審議会では、政府管掌健康保険なり、船員保険なり、あるいは日雇い健康の諮問に対して答申案をまとめますと、今度は社会保障制度審議会にあげまして、社会保障制度審議会が高い立場からこれをさらに検討いたしておるのが今日のやり方でございます。社会保険審議会がまずやって、そうしてその御意見を社会保障制度審議会という内閣総理大臣の諮問機関が高い立場から検討しておる、こういうのが正規の運営のしかたであります。先般は、神田大臣当時、総報酬制であるとか、あるいは薬価の半額負担であるとか、そういうような諮問をされまして、それがいろいろの御事情でおくれてまいりましたことは、当面の対策を急ぎます関係から時間的な余裕がありませんので、社会保険審議会と社会保障制度審議会が同時に御審議を願うようにお願いいたしたのでありますが、これは変則でございます。ほんとうは社会保険審議会でまず医療保険として御検討願い、そのまとまった意見を社会保障制度審議会が全体の社会保障という高い立場から御検討をいただいておる。これが正規の扱い方であります。それと同じように、いまの社会保険審議会は、遺憾ながら国民の大きな部分を占めておる国民健康保険等を扱えない審議会でありますから、しかも、いまは各制度の根本を根本的に見直しすべき必要に迫られる段階にきておる。だから、臨時医療保険審議会というものをここでつくって、そうして全体の医療保険をここで検討していただく、そうしてその固まった意見を、内閣の社会保障制度審議会の高い立場から、全体の社会保障制度の立場でもう一ぺんこれを御検討、御審議を願う、こういうことに考えておるのでございます。そこで、先ほど、一方厚生年金審議会というのがあるではないかというお話でありましたが、これは国民年金審議会でございまして、その点は御理解を願いたいと思います。
○辻原委員 その点は私の間違いでありまして、国民年金審議会の意味ですが、いま大臣の御答弁がありましたけれども、私はそれでは納得がいきません。新しい審議会でつくって、さらにそれを今度は内閣の諮問機関である社会保障制度審議会に再諮問する、それこそ屋上屋ではないかと言っておる。おそらく、この審議会をつくるというならば、現行の審議会は全部法律に基づいておるわけですから、新しい立法か何かによってつくられるわけだ。そうなれば、現在ある審議会を、たとえば法律を改正する等運用を考慮されて、十分活用の道があるはずだ。かりにこれほどの重要な問題をきめて社会保障制度審議会に持ち込んだ、ところが、受ける側の社会保障制度審議会は時期的にも制約がありましょうし、しかも一応固まった一つの審議会の案として持ち込まれたときに、それをすなおに受け取って、十分な意見を意欲を燃やして述べ得るかというと、さっきも申し上げたように、単にこれは社会保障制度審議会をある程度無視されて押しつけられたのだという印象を受けますよ。現にそうでしょう。絶対そういうことはありません、喜んで社会保障制度審議会がやるとおっしゃるならば、それをおっしゃりなさい。
○鈴木国務大臣 その点は、先ほど私が申し上げましたように、現在の政府管掌の健保関係の社会保険審議会、この社会保険審議会で審議、検討したものを、上級の審議機関と言っては語弊がございますけれども、内閣総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会に全体的立場からもう一ぺん見直していただいておる。しかしこれは、従来からいたしまして十分御熱意を持って御協力をいただいておりますし、また、社会保険審議会の答申と社会保障制度審議会の答申が食い違った結論等を出した前例はございませんし、その関係はわりあいスムーズにいっておると私は考えておるのであります。
○辻原委員 社会保険審議会に従来諮問をした問題と、今度新しく設けてやる問題とは、これは問題が違うのです。根本問題です。それなら私はお尋ねするが、社会保障制度審議会で、たしか私の聞いている範囲では、いろいろな意見が出ているはずだ。喜んで、そういう諮問はけっこうですとおっしゃっているかどうか、ここで明言しなさい。そういうような形式を踏んでおやりになることはけっこうですと社会保障制度審議会がいっているなら、そういうふうにおっしゃいなさい。ぼくはそうでないだろうと推定する。それは明確にしてください。
○鈴木国務大臣 これはただいま、私が先般閣議で発言をいたしましたものを、先日来当委員会で御質問に応じて私の構想を御説明申し上げておる段階でありまして、まだ社会保障制度審議会で十分私が直接御説明申し上げておりません。いろいろな誤解なりいろいろな推論があると思いますが、私がお会いしてよくこの構想を御説明申し上げれば御異論はないもの、また御賛成いただけるものと私は考えております。
○辻原委員 そのとおりいけばはなはだけっこう。しかし、私には必ずしもそうはいかぬという情勢の判断ができる。もっとむいた話をすれば、いまあなたが審議会と言われている構想については、おそらくここにおられる与党の諸君だって、私は心から賛成しているとは思わない。あなたは非常な楽観をしておられる、その皆さんのいろいろな意見を集約すれば。いま政府の方針としてもそうでしょう。ある程度審議会を整理して、できるだけ従来のもので活用して効果あらしめるということが原則だ。そういうときに、しかもまた、現在の審議会でこの機能を十分に発揮させるための手だてのないままにそれをはかっておいて、そうして新しいものをつくりますというような行き方が、はたして、これほどの大きな問題をかかえて十分審議を尽くすという審議会の、いわゆるそういう政府の態度であろうかということを私は心配するわけです。しかし、冒頭に申し上げたように、私も決定的な最終意見を持っているということは申し上げません。申し上げませんが、私の印象としてどうもそう感じるわけだ。だから、できるだけ国民の納得する根本的な方針を策定してもらいたいために、少なくとも、そのやるいわゆる土俵だけは国民から賛意を表し、各関係者からすべて支持されるものでなければならぬという前提を設けなければならぬです。それに対してあなたは非常に楽観視されておる。どうですか、率直な御意見は。いまでも引き下がれませんか。
○鈴木国務大臣 私が辻原さんの御意見を先ほど来伺っておりまして、わが国の現在の多岐に分かれておる医療保険制度、しかも制度間に非常な不均衡がある、これを国民皆保険というもとにおいては、やはり給付の内容にしても、あるいは負担の面にしても、あるいは国庫負担のあり方等においても均衡のとれた形に直すべきである、こういう点につきましては御異存のないところだろうと私は思うのであります。そこで、それを早急にやるにはどうしたらいいか。そこに問題があるのであります。内閣にある社会保障制度審議会をそのまま活用してやったほうがいいのか、また、社会保険審議会という一部の制度だけを管掌しておる審議会を、立法的な措置を講じて改組するというような行き方がいいのか、いろいろ考え方はあると思いますが、いずれにしても医療保険制度全体をこの際取り上げて見直す、こういうことが私は必要であると考えるのでありまして、この点は、まだ社会党さんのほうでも御方針をはっきりおきめになっておらぬようでありますから、まただんだんお話し合いをいたしまして、御了解を得ながらこの大目的を達成するようにしてまいりたい、こう考えております。
○辻原委員 厚生大臣の考え方はおぼろげながらわかりましたが、私は納得するわけにはいかない。われわれのほうの側のことを言う前に、あなた方のほうで、と言うよりも、あなた個人、厚生大臣個人としてもう再検討する余地がないのかどうか、これをひとつ承りたい。
○鈴木国務大臣 閣議でも御了承を得ておる段階でございますから、十分御納得のいくまで御説明を申し上げて御協力をいただきたい、かように考えます。
○辻原委員 それならば、私も少しお尋ねをしておきたいと思う。この審議会は、法律として今国会に必ず提案をされるつもりですか。
○鈴木国務大臣 さようにいたしたいと考えております。
○辻原委員 そこで、かりに審議会が……(「その審議は長くかかるぞ」と呼ぶ者あり)いま陰の声がありましたが、相当長期にかかということは、これは考えておかなくちゃならぬ。そういうことを考えて、あなたはその審議会をつくって、答申をいつごろまでにお求めになるというお考えですか。
○鈴木国務大臣 四十二年度の予算の編成に間に合わせるようにお願いしたいと考えております。
○辻原委員 それは、私の勘ではとても間に合いそうもないと思いますね。これはしかし、今後の問題ですから……。 その際に、これはしばしば批判をされてきたところであるが、問題がむずかしくなると——これは私は厚生省だけの悪口は言いません。しかし、その中でも厚生省は最たるものです。むずかしくなると、問題を中途はんぱにして審議会、審議会と審議会へ送り、政府としての明確な態度をもって締めた審議会のあり方というものは少ない。たまたま明確になると、とんでもない明確な線を出して、ともかくわっさわっさ、もう土俵が割れてしまうようなことをやらかす、こういうことがいままでの厚生省のやり方であった。それで国民が必要とする問題の根本施策というものは、ずるずる延びてここに至っておるのです。だから、今回は私はそういう愚はやってもらいたくないと思う。(「政党内閣だから」と呼ぶ者あり)政党内閣という話がいまありましたが、政党内閣に違いないのだから、政府は当然その方針を明確にして、いずれの場合も臨むべきだと思う。そのことはここで確言できますか。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、抽象的な諮問でなしに具体的な政府の案をもって諮問すべきである、こういう御鞭撻を受けておるのでありまして、滝井さん等からもしばしばそういう御鞭撻を受けております。私もさような心がまえで、今回は、はっきり私の案というものを固めまして諮問いたしたいと考えております。
○辻原委員 明確な結論を持って臨みたいというお話であります。審議会のことは、いずれわれわれも近い機会にそれに対しての最終的態度を決定するでありましょうが、私どもの印象は、いまの大臣の話を聞いても、政府が少なくとも明確な態度をもって臨むのであれば、あえて新しいものをつくる必要はないじゃないか、屋上屋という感をますます深めるのです。しかし、それは議論でありますから、いまはそれ以上のことは申し上げません。 最後に、私はこの問題について申し上げておきたいと思うが、さっきからの大臣の構想によれば、この審議会で医療を中心とした医療制度についての根本方策を策定し、しかる後に内閣の諮問機関である社会保障制度審議会に再諮問をして、大所高所的見地からその答申を求めて完成したものとする、こういうお話であります。とするならば、当然これは医療、すなわち保険制度の問題にかかわる点でありますから、その構成についてはそれぞれの保険の関係者の代表を必ず入れる必要があると思うが、その点についてはどうお考えになっておりますか。
○鈴木国務大臣 各種医療保険制度が並列をいたしております。これらの制度間におけるアンバランス等を是正する、さらに進んで総合調整も考えたい、また、さらに進んでは統合できるものは統合もしたい、そういう問題があるわけでございます。したがって、この各制度全体の検討すべき問題点に即応いたしまして、それらの立場の御意見が十分反映できるような人選をいたしたいと考えております。
○辻原委員 いまの御答弁は、私が申し上げましたように、保険制度であるから、それに関連をする各立場の方々が入って、そのそれぞれの意見が公正に反映できるようにするおつもりがあるのかという質問に対して肯定をせられたものと、こう理解してよろしいですね。
○鈴木国務大臣 いま具体的な人選のことにつきまして申し上げる段階でございませんが、いずれこれは、審議会の設置につきましての法案を当委員会で御審議を願うことになるわけでありまして、その際に審議を通じて明確にいたしたい、かように考えておりますが、いまの段階で申し上げられますことは、制度全般を十分審議し、それぞれの制度の問題点について御意見を伺えるような人選をしたい、かように考えておるのであります。
○辻原委員 私は、もし審議会というようなものを今後においても構成される場合は、少なくともその審議会が、政府の御都合によって、意見をやかましく言う者を入れておいたのでは審議会の議論が政府の意のごとく進まない、出てこないなどという安易な考え方でもしやるということであるならば、これは重大な問題であると思う。したがって、困難ではあっても、それぞれの立場の意見を十分反映できる審議会でなければならぬということを、私は、もしつくる場合はこれを強調しておきたいと思います。 そこで、だんだん時間も経過をいたしますので、前段の質問だけに時間をとられた感がございますから、少しく私はこまかい点に入ってお尋ねをいたしておきたいと思います。 当然その次の問題となるべきものは、これは先ほどからも大臣が言われておるし、この委員会でも、また予算委員会等でもいろいろ御議論になった、いわゆる根本的な検討をするというその問題は何か、こういうことになると思うのであります。それには実に広範な、いわゆる社会保障全体として関連のある問題がたくさんありまするし、私はそれを有機的に関係づけて、しかも実態を把握しながら議論を進めたいと思いますけれども、若干はしょって、その点についての問題は後日に回すことといたしまして、その中で私が特にこの機会にお尋ねをいたしておきたいのは薬価の問題であります。薬の問題であります。これも長い間にかなり議論は尽くされてきましたが、依然として問題の本質的な解決には至っておりません。しかも今日医療費の中で薬が占める割合は年々累増をしておる。生産額も、これは私は厚生省からお話しになった数字をとらまえて言うのでありますが、たしか昭和四十年でしたかの生産額は五千六百億にのぼっておる、こういうことであります。 この薬の問題というのは、私は二つの面からとらまえてみなければならぬ。一つは、医療行政上保険制度としての医薬——もちろんその薬の効用ということに触れるわけではありません。薬の価格という問題については、二つの面からとらえる必要がある。それは国民医療を、国民の負担なく医療制度に大きなしわ寄せをせない、そういう範囲における一つの価格の問題と、同時に、他のいろいろな日常物価と対比して、国民が今日ほど物価の高騰に対して戦々恐々としている時代はない。しかも本年度の予算は七千三百億の公債をもってするいわばインフレ予算である。公共投資を繰り上げて、いわゆる景気刺激を財政面からやろうとしているところに、私どもは将来に対する物価の高騰をさらに心配するわけなんです。したがって、一般物価、国民が買ってこれを使うという物価、そういうランクにおけるこの薬価の問題もとらえてみなければならぬ。私はそういう二面から、きょうはあなたにお伺いをいたしたいと思います。 そこで、製薬業というものに対する再販契約を一体あなたはどうお考えになっておられるか。——私は政策論議をしているのです。事務的な問題についてのお尋ねのときは事務当局から言ってもらいますが、基本問題は大臣からやってもらわぬと困る。
○鈴木国務大臣 薬に対する基本的な考え方についてのお尋ねでありますが、まず医療保険で使います医薬品等の薬価の問題であります。この点につきましては、三十五年以来医療問題についてのむずかしい事態がいろいろ起こりまして、薬価基準の改定がなされないままに昭和四十年までやってきたのであります。しかし、幸いにいたしまして昨年の十月並びに十一月、二度にわたりまして薬価基準の改定を行なったのであります。昭和三十五年当時には、保険に収載されておりましたところの薬価基準というものは相当高かった。ところが、その後におきまして薬の自由化も進み、また国内の製薬業界の設備の改善、合理化あるいは生産面における進歩した技術の導入というようなことで、実勢薬価はだいぶ値下がりを来たしておるのであります。そういう保険に収載されておる薬価基準と実勢薬価との間に相当の開きがあるということが、いろいろそこに、また医療保険上の副次的な問題を惹起いたしておったのであります。それが幸いにいたしまして薬価基準の改定によって、保険の薬価というものが実勢薬価に相当近づいてまいった。今後も少なくとも毎年一回、また大きな情勢の変化がありました場合には二度でも三度でも、実勢薬価に合うようにこの薬価基準の改定をいたしたいと考えておるわけでございます。 さらに今度は、一般大衆薬あるいは消費者から見たところの薬価という問題につきましては、これは政府でもってこの薬価を定価づけをするということはいたす考えはいまのところございませんが、しかし、生産並びに流通の過程を通じ、これらの合理化を通じてできるだけこの薬価を引き下げていく、そういうような心がまえで製薬業界、販売業界を指導したいと思うのでありまして、しばしば当委員会や予算委員会でも御指摘がありましたところの過当競争からくる誇大広告、また過大な宣伝競争、そういう方面に二百億、二百五十億というような膨大な宣伝費等が使われておる。しかもそれが消費者の負担になるというようなことは、これは好ましい現象ではございませんので、そういう面につきましては、業界に対してしばしば私のほうからも自粛並びに必要なる指導を加えておるところでございます。 私はそういうような努力を重ねまして、医薬品につきましては前段申し上げたとおり、また大衆薬につきましては、そういうような行政指導によって目的を達成していきたい、かように考えておる次第でございます。
○辻原委員 失礼ながら、いまの大臣の答弁は、医薬の現状をいささかでも調べてみると、私は全くナンセンスだと思う。合理化を進めて云々したい——合理化は進んでいるのです。これ以上合理化を進めていくといったって、製薬会社のもうけが進むだけなんです。問題は、現状においても大きく改善をしなければならぬ。だから、私は二つの問題を取り上げている。一つは、あとで議論いたしますが、薬価基準、一つは、いわゆる大衆薬と称して一般の薬局その他の店舗に対して売る、一般の営業の部面に属するその中でとらまえた再販の問題を、どうお考えになるかということをあなたに尋ねた。明確なお答えがないのです。 これは事務当局に伺いますが、余分なことはよろしい、私のお尋ねしたことだけ答えてください、時間もあまりございませんから。一体いま再販を結んでいる実施メーカーは何軒ありますか。
○坂元政府委員 御存じのように、再販契約といわれるものは公正取引委員会のほうで扱っているわけでございますが、私どものほうで承知いたしておりますところによりますと、再販契約を実施しているメーカーは、現在のところ二十二社くらいだ、こういうように聞いております。
○辻原委員 違います。最も最近の新しいなにによれば二十九ある。そういうことだから、私は不勉強だと言うんです。一番問題となるこの種の問題に対して、いかに関心が薄いかということがわかる。たしか当委員会であったかと思うのですが、これ以上ふやさない、政府の方針としてはいまのいろいろな流通問題、それから物価対策、そういう面から不必要な再販等についてはこれ以上ふやさぬという方針を示した。現実にどんどん進行しておるのです。しかも、再販は二十八年の法律改正によって生まれた直後、きわめてわずかであった。むしろその後において急激にふえてきておる。本年に入ってからでも逐次ふえておる。私が調べた資料においては、いま言われたなには、確かに昨年の段階においては二十二、しかし現時点においては二十九あるはずである。そういうふうに、いまの医薬業界において、再販が進行しなければならぬほど業界の態勢が悪化しているのか。ここに私は大きな疑問がある。だから、大臣に、再販についてはどうお考えになりますかということを私は聞いておる。もう一度お答え願いたい。
○鈴木国務大臣 私は、先ほどお答えをいたしましたように、薬の販売流通過程におきましても、これが適正な形で行なわれることが望ましい。あまり過当競争で乱売になっても、これはわが国の製薬業界なり薬の問題に対する将来の長い展望に立った場合は、そういうことは望ましくない。また、再販を強化してまいりまして、価格を一つの線で固定して公正な、自由な取引が阻害されるようでもいけない、私はこう考えておるのでありまして、再販がこれ以上広がっていくということについては、好ましい現象とは考えておりません。しかし、一面において乱売競争等が行なわれますことは、長期的な立場に立ちますと、これはわが国の医薬品の確保という面からいって好ましいことではない。やはり公正な、適正な商取引の中において、正しい薬の値段というものが生まれてくることが望ましい、こういう基本的な考えを持っておるのであります。
○辻原委員 再販売価格維持契約というのは、メーカーの保護なんです。この間のこの委員会においてお答えになっておりましたその数字を、私はここに書いておりますが、あえて企業のことについて私は云々はいたしませんが、それを見ても、大手十二社の収益というものは、他の製造産業に比較をして、最近の不況下においても、利益率においても内部留保においても決してこれは落ちておらない。だから、そういう決算あるいはそういう数字を見るたびに、薬九層倍ということの観念というのはどうもいまだに払拭し切れない。また今日、国民の中にもやはりそういうものの考え方がある。しかも、いまこそこれほどの物価高の中なんですから、やはり企業が存立をしない範囲において値をくずせ、そのコストが企業運営に見合わない範囲において値を下げろなんという暴論はいたしません。企業をやる限り、適当な利潤を確保し、再生産のための適当な内部留保を必要とするということも、私は常識として知っています。しかし、現実に薬の値段が、再販があるために、一般物価よりかなり実際自由競争のもとにおいては下がるべきものが下がらない現実というのは、何というてもこれはいなめません。大臣がこれ以上ふやすことは望みませんとおっしゃったが、きわめて抽象的な言い方であります、ふえているのですから。いま現にふえている。だから私は、いまこそこの再販について検討を加えるべき時期だと思うのです。これは公正取引委員会の所管かもしれませんけれども、しかし、薬価基準を中心にして薬務行政をあずかる厚生省は、他のものとは違うわけです。他の一般商品物価と違う。少なくても薬価基準は、との再販という問題と、そうして薬の価格はどうあるべきかということについて、姿勢を正してものを考えなければならぬ時期だと思う。そういうお考えがございますか。
○鈴木国務大臣 その点は、先ほどお答えをいたしましたように、公正な競争を通じて適正な薬の値段というものが出るようにしなければいけないということでございまして、いまの再販制度の行き過ぎがありました際におきましては、公正取引委員会等と十分連絡をとりましてその指導に当たるべきだ、かように考えておるのであります。私は、わが国の製薬業界の現状につきましては、幾多改善を要する点があると考えております。五千億にのぼるところの大きな生産をあげながら、まだその二%にも足らない海外輸出しかできてないということは、国際的にもりっぱな、また良質の医薬品が日本で生産されていない、また、そういう面に対する努力が足らないというような点も、私は、業界に対してもっと努力をすべきことを注意を促しておるのであります。また、広告宣伝費用に大きな金を使うよりは、もっともっと新しいりっぱな薬を開発研究する、そういう面に努力を払ってもらいたい。利益があがった場合には、そういう研究開発の面に大いに力を入れてもらいたい、こういうようなことも私は希望をいたしておるのでありまして、価格の面につきましては、今後とも医薬品については、実勢薬価にいつでも近づけるような薬価基準の改定というものをしばしば行なうようにいたしたい。また、一般の大衆薬等につきましては、公正な競争を通じて適正な価格が生まれるように、公正取引委員会等とも連携をとりながら、指導してまいりたいと考えておるのであります。
○辻原委員 薬価基準はどういう目的のもとに設けられているのですか、厚生大臣。
○鈴木国務大臣 医療の中に占めるところの医薬品の役割りは非常に大きな役割りを占め、また、診療費の中に占める比重も相当高い。そこで、この薬価の基準というのは、実勢薬価にできるだけ近いように、適正な価格にするというのが薬価基準の改定でございます。
○辻原委員 私のお尋ねにぴたりお答えはなっておりませんが、私は常識的に、薬価基準というものは、医療保険制度を公正なものにする、同時に、その中で使われる医薬というものの適正価格を示すものだと、こう理解している。そうでしょう。ところが、現実には、薬価基準をとらえてみると、必ずしもその作用ばかりとは言えない。ある面においては支持価格の役割りを果たしていますよ。一般大衆薬は、再販というこのメーカー保護の制度に守られて、これも大衆薬の支持価格の役割りを果たしている。これが実勢に見合わないものだから、国民の側から見ると、下がるべき医薬が下がらない。これが現状だと思う。首を振っておられるから、私は一、二例を出してお尋ねしておきたい。問題を明確にする意味で、あえて会社の名前も出しておきましょう。しかし、私は別に他に意図はない。一つの例として申し上げる。 最近、いわゆる大手と称される製薬会社の中に、新しいいろいろな名前をつけた保健薬の新剤が売り出されております。その中で、たとえば田辺製薬にベストン——これは薬価基準に入っておりますね。ベストン、これが売り出されている。それから最近に、田辺製薬においては、ハイベストンというのが一般に市販されてきた。それ、間違いございませんか。
○熊崎政府委員 ベストンにつきましては薬価基準に登載されておりますが、ハイベストンは登載されておりません。
○辻原委員 いまお答えにありましたように、ベストンは薬価基準の中に含まれ、ハイベストンは薬価基準には含まれない。そこで、ベストンは主として医家向けに使用せられており、ハイベストンは薬価基準にありませんので、一般の市販向けに売り出されている。うがった見方をすれば、ベストンが一般市販をされるならば、当然そこにある程度の値くずれが起きる。そこで、ベストンについては市販をせずに、新しくハイベストンを売り出す。ハイベストンとベストンの相違は一体どこにありますか。
○坂元政府委員 ベストンのほうは、御承知のように治療薬ということで、薬価基準に掲載されているわけでございます。これは従来からあったものでございます。たまたま私どものほうで、大衆薬と治療薬というものを今後分離する方向に持っていこうというような一つの施策を考えました際に、活性ビタミンBの誘導体でありますベストン、それから、御存じのようなアリナミン等のものにつきまして、治療薬と大衆薬という分離の観点から、その成分なり効能等を一部変えまして、従来のものと名称も変えまして、いわゆる大衆薬というものを最近売り出しているというのが実情でございます。したがいまして、ベストンとハイベストンとの間には、成分も違いますし、それから効能、効果も、片や医者向け、片や大衆向けというような形の効能、効果に分けてございます。こういうような違いがあるわけでございます。
○辻原委員 成分で、具体的にどことどこが違うんですか。
○坂元政府委員 ただいまここに資料がございませんので、後ほど御説明いたします。
○辻原委員 それでは私がお尋ねをするが、私の調べている範囲、私の聞いている範囲では、ベストンにB6、B12を添加したものだと聞いているそれは、うなづいておられますが、そうですか。
○坂元政府委員 ごく大ざっぱに申し上げますと、私もそういうふうに記憶しておりますが、若干それ以外の成分が入っているように承知しております。その成分の正確なものをここに持っておりません。
○辻原委員 それならば、別に根本的にこれは治療薬、これは大衆薬という区別はないじゃないですか。B6とB12を添加したにすぎない。それがどうして根本的に治療薬と大衆薬に区別できる根拠になるのですか。私も、お粗末ながら少しは化学を勉強した。もう少し化学的にお話しをいただきたい。
○坂元政府委員 ハイベストンとベストンの成分の違いでございますが、おもな点を申し上げますと、ハイベストンのほうに新たに入っております成分だけを申し上げますと、リボフラビン二・五ミリグラム、それから塩酸ピリドキシン二・五ミリグラム、あとシアノコバラミン二・五ミリグラムが入っております。そういうものが従来のベストン以上によけいにハイベストンのほうに入っております。そこで、これの効能、効果でございますが、先ほど申しましたような特殊な成分が入っている関係上からいたしまして、ベストンのほうの効能にないような新たな効能がハイベストンのほうに加わってくるというようになっております。その種類は大体十種類ぐらいございます。
○辻原委員 それなら治療薬ですよ。大衆薬と言う限り、治療薬と保健剤と区別したのですから、常識的に保健剤と言う限り、ビタミンが新しく添加されたにすぎない、こう理解していた。しかし、治療に効果があるということなら、これはまた考えなければいかぬじゃないですか。ハイベストンがベストンより治療効果があるというのなら、なぜそれを薬価基準に入れないのかという問題が出てくるのじゃないか。しかし、きょうはそのことばかり議論するのが私の主題ではない。一例を申し上げたにすぎないのです。これはあとでお調べ願いたいと思うのだが、こまかい点は私は触れないけれども、要するにB6とB12を添加したといういわゆる活性ビタミン剤で、本来的に区別のできるしろものではない。しかし、それを片や薬価基準に、片や大衆向けに、あなたはいま厚生省は分離しようという方針だと言われたが、これは重大な問題だと思うのです。なぜ私がこういうことをお尋ねするかといえば、田辺だけではありません。同様な薬がたくさんある。武田さんにはいままでアリナミンF、今度はアリナミンA、これには同じくB6とB12を添加したものだ。三共さんにはビオタミン、それからこれはテレビに出てきているからよくわかるのですが、ビオタミンゴールド、これもB2、そのほかに若干のものが加わっている。藤沢さんにはノイビタ、これはまだ出ていないようでありますが、そういう計画があると聞いていますが、新ノイビタというのかノイビタゴールドというのか、大体同じような薬を、製薬会社が片や薬価基準、片や大衆薬として売り出されておる。そこで一つの問題がある。その問題は、たとえば冒頭に私が申し上げました田辺さんのべストンは、これは私の聞いた範囲ですからそういう意味でお聞き取りを願いたい。誤っておるなら誤っておるとお答え願いたい。たとえば、これは主として医家向けに出ておる。その際に、これは薬価基準にあるわけですから、価格がきまっておる。たとえばその際に、量が百五十ないし二百、こういう形で医家向けに販売するとするならば、一体その場合の実際の一錠当たりの価格は何ぼになりますか。これは小学校三年生の算術なんです。単位当たりの価格というのは、おそらく三割くらいでしょう。ベストンを大衆薬としてどんどん一般向けと医家向けと区別なくして売り出したら、ある程度の値くずれは免れない。幸い医家向けの場合は薬価基準としてちゃんと価格が保障せられておる。大衆薬は新しいものを売り出しましょう。ここへいきますると、今度は再販契約がある。大きく値くづれする心配はない。買ったお医者さんは、薬価基準に照らして堂々と請求なさる。あたりまえのことです。実勢価格に近づけるなんていうことを先ほど大臣がおっしゃっておられた。もしこれが事実なりとすれば、どうなんですか。先ほど私が言ったように、薬価基準は支持価格の役割りを果たしておる一方、これからどんどん新規格でもって大衆薬として売り出すのには、再販がそのてこ入れになっておる。これだからこそ、いわゆる薬業メーカーは安泰なんです。迷惑をこうむるのは国民。社会保険の中で医療費の増加ということが問題になっており、先ほどの大臣のような抽象的な答弁では事済まない問題がたくさんあるわけです。どうお考えになりますか。
○鈴木国務大臣 保険に採用されておりますところの医薬品の薬価基準が、下がるべき薬価をむしろ下げないようにささえておる、こういうような御指摘があったのでありますが、これは過去においてそういう事実はございました。昭和三十五年以来、薬価基準の改定が数年間にわたってなされなかった。でありますから、これをある程度そういう作用をしたと思います。しかし、先ほど申しましたように昨年の十月、十一月、二回にわたって四・五%、金額にいたしまして四百五十億相当の薬価基準の引き下げを行ないました。これはだいぶ実勢薬価に近づいたと私は思います。私どもは、薬の適正な値段、また実際に大学病院なり、国立病院なり、療養所なり、あるいは公的医療機関、あるいは私的医療機関等々が現実に買い入れておりますところの薬価と薬価基準との間に開きがあります場合には、それを実勢薬価に合うように今後はしばしば薬価基準の改定をいたします。こういうことを申し上げておるのでありまして、決して薬価基準が、薬の値段を適正な値段に値下がりするものをこれがささえになっておるというようなぐあいには、私は考えておりません。 また、後段の再販の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、公正な競争を通じて正しい薬の値段というものが生まれるべきであり、再販問題については、今後行き過ぎについては公正取引委員会等と十分連絡をとって、これを是正してまいりたいと考えています。
○辻原委員 私が具体的に例示をしたことについての反駁がございません。私は具体的に例をあげて、ともかく昨年薬価基準を改定したことは知っています。しかし、価格についてはいじらないけれども、実際、量においてそれを増していけば、価格が実勢と大幅に違っているということと同然じゃありませんか。もちろん、私がいま出した例というのは、すべての医家がそういう形で買い受けているということを申しているのではない。少なくともかなり量のまとまった大きな病院でありましょう。しかし、現実にあるという事実を私は聞いている。だのに、なぜわずか三%とか五%とかいう範囲しか、この薬価基準の改定が行なわれないのか。また現に、そういう形でないとなかなか買ってもらえない薬というものを、あえて再販の契約の中でこれを保護していかなければならぬか、私は非常に大きな疑問を持つ。 そこで、先般あなたは予算委員会においても、たしかわが党の大原君の御質問であったかと思いますが、今後薬事審議会においてさらに委員を動員し、これについて検討を進めたいとおっしゃっておりますが、その進捗の度合いはどうなんですか。いまあなたがおっしゃったように、価格の問題、同時に製薬業界におけるコマーシャルの問題、いま二百五十億とかと言われましたけれども、私は、少なくとも三百億ないし四百億に近いものが今日コマーシャルに使われていると思う。そういう万般のことについてどの程度の進捗をして、今日どういう方向を見出されておりますか。根本問題をやっていこうというときに、のんべんだらりんこれをやっておったのでは、根本問題の解決はできませんよ。
○鈴木国務大臣 予算委員会におきまして大原さん等から、行き過ぎた誇大広告その他テレビ、ラジオ等を通じての過度の広告宣伝、こういう問題についての姿勢を正すべきだという御指摘がございまして、やせ薬でありますとかあるいは美顔、目薬でありますとかいうような誇大広告に対しましては、薬事法に基づいてここに厳重な規制を加えております。また、その他の行き過ぎた広告宣伝等に対しましては、業界の自粛を促しておったのでありまして、私は相当の効果がおさめられつつあると考えております。他面、新聞協会その他の面からは、厚生省がそういう自由競争の範囲である広告宣伝等について、権力的に介入をしてこれをチェックするようなことは適当でない、こういうような申し入れ等も実はあるのでありますけれども、私は、国会における御意見等も十分新聞業界等にも御理解を願って、そうして大所高所から御協力を願うように御理解を求めておるのであります。私どももそういう状況下においてなお一そうの努力を払っておる、また相当の成果をおさめつつあるということを申し上げておきたいと思います。
○辻原委員 他にたくさん私は例を持っておりますが、時間が昼に近づいて、もうあまりないようでございますから省きますが、今回の暫定措置では、薬価の一部負担というものをはずされて、国民の声にこたえられたという意味において、私はその点に関する限り政府の態度というものはよかったと思うのです。しかし、どうもときどき、衣の下のよろいじゃありませんけれども、薬価一部負担ということについて、ちらほらあっちこっちで出されておる。しかし私は、今日国民が、いまの薬事行政の中においては、おそらくこの薬価一部負担ということは納得いたしはすまいと思う。値下げできるものをなぜ値下げしようとしないのか。値下げしないで、それぞれの利益に回っておるものをなぜ国民が負担しなければならぬか、患者が負担しなければならぬか、それこそ大きな国民の痛烈な声になって上がってくると思います。そういうことを留意されて、薬事行政の姿勢を正してもらわなければならぬ。既往のことについて、厚生省と製薬会社との問題がいろいろございます。しかし、すでに私は、大臣も言われたように、積極的に各方面の抵抗を排除してでもこの重要な薬事行政をやろうという意味において、あえて触れませんが、これが根本問題の中における重要な問題として私の提起した、今日バルクラインが九〇だの、再販がなお現実においてふえておるものを、ある意味においては必要だなどという現実離れをした意見を吐かないで、もっと実際の姿というものに足をつけて薬事行政というものをやっていただきたいということを、私はここに、この問題について多くを申し上げませんけれども、強く要望をいたしておきたいと思います。 なお、私は、一、二別の問題について、きょうはぜひお伺いをしておきたいと思います。 一つは、保険の赤字に対する指導方針というものが、必ずしも政府部内において一致をしておらない。それは健康保険の中においてもそういう点が見受けられまするし、国民健康保険に対する厚生省と自治省のものの考え方についても、私は根本的な相違があるように見受ける。これはまことに遺憾であります。厚生省自身も、国保と健保の取り扱いについての赤字に対する対策は首尾一貫をしておらない。すなわち、健康保険については、四十年までの累積赤字七百億については一応たな上げをしておる。ところが、地方に対する国保については、料率引き上げないし一般会計からの持ち出し、強要ということばはあたらないかもしれないが、実際そういうような考え方で指導している。一体その点について政府としての統一した見解はどうなのか、この点をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 いま辻原さんの御意見でありますと、政府管掌の健康保険については、四十年度末までの六百九十六億の、約七百億の赤字をたな上げをした、しかるに国民健康保険については、そういうような措置を講じない。少し国保については冷たいではないかというような御意見のように私伺ったのでありますが、決してさようではございません。御承知のように、私が就任いたしましてからでも、昨年臨時財政調整補助金といたしまして四十億円の支出をいたしました。さらに、先般の補正予算におきまして二百六億の補正をいたしておるのであります。その結果、三十九年度の決算におきましては、三十八年度の決算よりも改善を見ておりますことは辻原さんも御承知のとおりでございます。さらに四十一年度に対しましては、国保に対して国が千四百五十億を負担することにいたしまして、所要の予算措置を講じております。また事務費につきましても、従来一人当たり二百円でありましたものを二百五十円と、大幅にこれを改善をいたしておるのであります。このように国保に対しましては、国といたしましてもできるだけの財政的な援助ないしは助成をいたしておるところでありまして、今後におきましても、私は、国民の負担と見合いながら政府としてもできるだけの財政的な措置を講じてまいりたいと考えておるのであります。
○辻原委員 私が核心としてとらえておる点は、いま大臣のおっしゃったような一般的事項じゃない。それは国民健康保険と健康保険の性格が違いますから、だから国民健康保険は、それは従来から国庫においてかなりを負担しているということは当然なんです。それだから、国民健康保険の赤字を一方においてはたな上げし、一方においては国はこれに対して国庫負担を大きく供与したということと同一論にはならない。
○鈴木国務大臣 私は、三十九年度の決算につきましては、まだ詳細な数字を記憶いたしておりませんが、三十八年度の決算におきまして、国民健康保険におきまして九十億余りの赤字が出ております。その内容を分析してみますと、三十億程度のものは保険料の収納率が他の保険団体、町村に比べて非常に悪い、その点の努力がいまだしという点でありまして、これは私はやむを得ざる赤字である。あとの二十億は、これは法定の給付を上回っておる給付をやっておられるのでありまして、その法定給付を上回った部分につきましては、その町村が独自におやりになっていることであって、これは一般会計から補てんをされるということは自然の処理であると思います。その他四十億余りにつきましては、これはいろいろ事情があります。保健婦の活動等、当然一般会計から出してしかるべきものもあり、いろいろございますが、私は九十数億の赤字が全部さようなものだとは申しておりませんけれども、その中には当然一般会計から繰り入れてしかるべきものがあるということを御説明申し上げた次第であります。
○辻原委員 いまたまたま三十九年度決算における赤字の問題が大臣の口から出ましたので、お尋ねをして明らかにしておいていただきたいと思いますが、現実赤字が約百億、正確には九十六億三千五百万ですか、この赤字を厚生省はお認めにならぬというのですね。
○鈴木国務大臣 先ほど私が申し上げたのは、三十八年度の分につきまして、それを分析した結果をお答えとして申し上げたのでありますが、三十九年度の分につきましては、いま内容を保険局長から御説明申し上げます。
○辻原委員 ちょっと、それでは数字は持って回りますとなかなかややこしくなりますから、私はわかりよくいたしておきたい。そこで、三十九年度における事実上決算に対して、厚生省の把握は、国保の赤字を幾らと考えておられますか。
○熊崎政府委員 三十九年度の決算につきまして申し上げてみますと、いわゆる決算につきまして、これは形式的な決算とそれから実質的な収支の決算と分けて考えなければいかぬと思うのです。それで、私どもが実質的な収支のほうで申し上げておるわけでございますが、先ほど大臣が御答弁いたしましたように、実質的な収支の決算につきましては、例の四十億の臨時財政補助金を支出しましたことによりまして、実質収支は三十三億の赤字ということになっております。ただ、当委員会でも問題になりましたように、一般会計の繰り入れ金があるわけでございますので、一般会計の繰り入れ金がなかった場合の実質収支がどうなるかということになりますと数字が変わってくるわけでございまして、一般会計の繰り入れ金がなかったとした場合の実質収支の赤字は、三十九年度で百三億ということになっております。それから、先ほど大臣が申し上げました九十億の内訳といいますのは、この一般会計の繰り入れ金の内訳でございますので、誤りのないように重ねて申し上げておきます。
○辻原委員 そこで、厚生省は三十九年度、地方団体には実質は三十三億しか赤字がない、形式的決算では百三億もある、こういうことですね。
○熊崎政府委員 一般会計の繰り入れを言ったのです。
○辻原委員 それはわかっておるのです。そういうことは省略しておる。 そこで、自治省がお見えになっておると思いますが、自治省は、この地方団体の国保の赤字をどう把握されておるか、その点について伺いたい。
○中井説明員 三十九年度の国民健康保険会計の決算についてお答えいたしますが、ただいま厚生省のほうからお答えのありましたように、財源補てん的な繰り入れ金等を考慮いたしました場合の赤字団体の赤字は、三十九年度において百三億円でございます。この数字には間違いございません。
○辻原委員 そこで、私は自治省に、責任ある答弁を望むために大臣にかわるべき人をお呼びしておったのですけれども、見えておりますか。——厚生省は、ややこしい数字の話はよろしい。要するに実質赤字三十三億で、それを対象にすればよろしいとお考えになっておるのか、それとも、先ほど言いましたような、大臣も触れられました一般会計から繰り入れする分もある、そういう考え方をとっているように私は聞いたのですが、それは、あなたのほうはそうなんですね。だから先ほど述べられたように、要するに最終的赤字は三十三億で、それだけあればよろしい、そういうことですか。
○鈴木国務大臣 決してさように申し上げておるのではございません。その一般会計からの補てんをしておる九十億、これを分析いたしますと、私どもから見て当然一般会計から負担をしてよろしいものもあります。そうでない、これは保険財政の面でカバーしなければならぬ面もあるわけでございます。そのことを先ほど私が申し上げた次第であります。そこで、私どもは、いまの健康保険制度につきましては、今度の国会で御審議を願うことにいたしておりますが、家族七割給付を計画に基づいて達成いたしました市町村につきましては、従来二五%の定率国庫負担をいたしておりましたものを定率四割に改める。それからさらに、事務費につきましても、これが町村の保険財政でも相当の御負担になっておったと思いますが、この面も今回は一人当たり二百円を二百五十円、相当大幅に引き上げをいたしておるのでございます。私どもはこういうぐあいに三十八年度決算、三十九年度決算を見て、これで満足だというようなぐあいに決して考えておりません。できるだけの改善策を考え、また、国としても、できるだけの町村の保険による負担を軽くするように、今後とも努力してまいりたい考えに変わりはございません。
○辻原委員 そうだとすれば、この形式決算の百三億、そうですね。形式決算は百三億でしょう。その百三億の中に三十三億ほどの開き、これについては必ずしも三十三億とは限定しない、一般会計から繰り入れる必要がある点もある、それから保険財政でまかなわなければならぬ点もある、こうおっしゃっているわけですね。そうするならば、一般会計から厚生省がいま洗って繰り入れる必要があると考える額は幾らですか。保険財政でこれは受け持つべきだと考えている額は幾らありますか。その点を明らかにしてください。
○熊崎政府委員 先ほど大臣の御説明にありましたように、一般会計三十九年度では八十九億になっておりましたが、これを四十年度で見ますと少し減っております。七十何億になっております。 大体、率から言いますと、一番多いのが法定給付割合以上の給付をやるための財源の繰り入れでございまして、現在は七割、五割、世帯主は七割、家族は五割ということになっておりますが、たとえば家族を六割にしたいとか、あるいは七割にしたい、場合によっては世帯主をもう少し上げたいということは、法律以上のことを各市町村がやりたいというためにやるわけでございますので、それをしも一般会計から繰り入れをしてはいかないということは言えないと思います。それが実は一番大きなウエートを占めておりまして、これが大体全体の率から言いますと、四十年度で大体三〇%前後というふうなぐあいになっております。 それ以外に、実は一番問題の点が、保険料の賦課が不足しておる、つまり当然これだけの市町村の国保財政をやっていくためには、それに見合う保険料はこれだけ取らなければならない、しかし、保険料を上げるためにいろいろと事情がございまして、上げるわけにはいかないという市町村もあるわけでございますので、その分が、富裕な市町村であれば一般会計から繰り入れをするという分が、大体これも三〇%前後。 それから次に大きいのが、事務費が不足しておる。市町村の国保事務をやるための事務費として、国のほうで三十九年度におきましては二百円の支出をいたしましたけれども、まだいまこれでは足らない。場合によっては、各市町村によりまして国保の事務職員は老齢者の方もありますけれども、そういう高給の方々に払うためには国が出しております二百円の経費では足らないというようなことで、その分を一般会計から負担していくということもやむを得ないという事情もあるわけでございます。 しかし、いま申し上げましたようなこれだけは三つの大きな一般会計の繰り入れの財源でございますけれども、これが先ほど大臣が申し上げましたように、たとえば七割給付を家族についてもやる場合に、定率の四割まで国の負担をする、または事務費につきましては二百円を二百五十円に上げていくというようなことによりまして、一般会計の繰り入れば逐次減っていくわけでございます。 それから一番問題の保険料の不足をどうするかという問題につきましては、私どもとしましては、やはり国保会計というものは特別会計である限りにおいては、方針としましては保険料を上げていただくというのが私どもの行政の指導方針としては当然とらなければならない措置であるということで、保険料の増収もある程度は考えていただくということで、一般会計の補てんというものは逐次減らしていくように自治省当局とも相談をしながらやっておるわけでございます。したがいまして、方針としましては、国保特別会計の会計の維持にはつとめていく、しかし、万やむを得ない場合一般会計から繰り入れをするということは、ある程度はしかたがないことであろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○辻原委員 中身はわかりましたが、そうすれば、三十九年度決算における最終的に詰めた赤字というのは、差し引き計算をして何ぼになるのかということをお尋ねしておる。従来厚生省は同じようなことを言われてきたわけなんだが、しかし、若干譲っている面もある。そうすると、調整して一般会計からこれを入れてもらわなければいかぬ、これは保険会計から持ち出しましょう、それを調整すると、一体赤字というものはどれだけに厚生省は踏まれておるか。
○熊崎政府委員 厚生省があらゆる機会にいわゆる国保の赤字というふうに申し上げておりますのは、確かに、自治省のほうで国保の赤字というふうに申し上げております数字とはいままでは違っております。それは、自治省のほうは、国保特別会計であるがゆえに、当然一般会計から繰り入れをするというのは望ましくない。したがいまして、一般会計から繰り入れた分は赤字であるというふうに言っております。私どもは、いま申し上げましたように、ある程度やむを得ないので、実質的な赤字としては三十九年度におきましては結果的に三十三億ということになったわけでございまして、それも前は五十一億という数字になっておったわけでございます。それから赤字の市町村も、三十九年度の例の臨時財政調整、補助金が出ない前は、七百九十五程度赤字の市町村があるということを公表いたしておりましたが、四十億の財政補助金が出ることによりまして赤字の市町村は七百九十五が二百二十六に減り、金額の赤字五十一億は三十三億になりました。これは三十八年度あるいは三十七年度の当時の赤字よりも、赤字額としては三十九年度においては相当減ってまいっておりますというふうに公表いたしておるわけでございますので、厚生省の発表は三十三億というふうに御了解をいただきたいと思います。
○辻原委員 早くそれを言ってもらえばいい。厚生省はいろいろ持って回ったけれども、要するに三十三億が赤字だというわけでしょう。その数字というのは、要するに厚生省の判断によって一般会計から当然繰り入れてしかるべきものだというものを入れて、これを差し引きしたものだ。自治省は三十三億を認めておるのですか。それはどうなんです。というのは、私はきょうはこの問題は本論ではありませんけれども、あとの国保の審議のときに赤字が一体何ぼになるか、政府の見解も数字もはっきりしないでは審議できないから言っておる。自治省は三十三億を認めておるのか。どうなんですか。
○大西政府委員 自治省の考え方によります結果は、先ほど調査課長から申し上げたとおりでございます。自治省と厚生省とのいわゆる赤字額というものは、数字の上では異なっておりますけれども、計算の基礎になるものはそう変わってないのじゃないかと思います。ただ、それをどの点でとらえるかという点で変わっておるのではないかと思いますが、自治省の立場から申しますと、先ほど申し上げましたように百三億になるわけであります。
○辻原委員 何だかわかったようなわからぬような話で、数字が違っているのに考え方が変わらぬとか、そんなばかな話はないですよ。考え方が違うから数字が違ってきている。赤字の把握が政府部内で一致できないようなことでは、委員長、今後少なくともこの点が明確にならぬようでは国保の審議はできませんよ。だから、私は要求をいたしておきます。先ほどその差し引き計算でだいぶくるくる回りましたが、結局もとの三十三億に返ってきたわけなんだが、百三億を三十三億にしぼった、その内容の明細を当委員会に提出をしてもらいたい。 この際、私は申し上げておきますが、昨年の自治省の指導方針、これはちょっと苦言を言っておきます。自治省からもらったんだけれども、こんなものは読めませんぞ。白紙同然なんだ。資料をもらったけれども、印刷してあるけれども読めないです。しかし、私はそれを判読してみた。そうすると、重要な部分は、要するに、保険財政の赤字については一般財政から繰り入れるべきでないということの明確な指導通達なんです。次官通達のところだけわかる。昭和四十年五月三十一日、自治財第五八号の次官通達としてこれは出されている。その線に従っていま百三億、こうおっしゃる。ここに私もいろいろ数字を持っております。しかし、数字は魔術といいますけれども、ほんとうにこれほどふかしぎなものはない。赤字対策をやる、根本対策をやると言いながら、その赤字が一体何ぼあるのか、政府の数字はどっちを採用していいのか、私どもは了解に苦しむわけであります。したがって、ひとつ双方からこれが明確な積算の根拠、これを当委員会に資料として提出をいただきたいということで、この問題はいずれまた本格的な審議の際に検討いたしたいと思います。 時間がございませんから、最後に、私は医学制度について、問題になっているインターンの問題についてちょっと伺っておきたい。 まず、インターンというのは語源は何でしょう。
○若松政府委員 インターンという語源のことは、私わかりませんが、要するに、修練施設の病院に泊まり込んで修練をするという趣旨であるようでございます。
○辻原委員 そうすると、日本にはインターンはありませんね。これはどうなんですか、住み込んでその研修をやるという者、これをインターンという限り——いまあなたおっしゃったですね。住み込んでやる研修はありますか。
○若松政府委員 外国で広く行なわれておりますインターンということばを準用いたして慣用語になっております。日本で通常インターンと称しておりますのは、医師法でいう医師の実地修練生でございまして、いわゆる住み込んでやる欧米流のインターンの実態ではございません。
○辻原委員 どこのインターンか知らぬですけれども、インターンというのは、要するに住み込んでやる実地研修をインターンという制度だと私は理解をしておる。ところが、戦後二十五年たったけれども、日本にはその意味においてのインターン制度はない。しいて言えば、いまあなたが言われたように通勤見習い制度だ。通勤見習い制度という制度はあるように私も聞いておる。しかし、本格的なインターンというものがない。 そこで、いま問題になっておることはずいぶん議論を尽くされておりますから、私はそれを蒸し返しはいたしませんが、いわゆる本来的な意味においては、住み込んであらゆる場合に医師として対応できる実地技術というものを修練させる場、これを名づけて皆さんインターンというわけだ。とするならば、今日の俗にいわれているインターンというのは、本来的なものではない。したがって、これを根本的に改革せなければならぬことは当然だと思う。いろいろな実態については、もう申し上げるまでもなく、今日寄宿舎もなければ、その身分制度についてもこれは全く不安定、しかも国家試験がその後においてあるのだから、実地修練よりは国家試験のほうに気持ちが向くことは当然であります。俗な表現をとってみれば、本格的医師になる期間におけるある種の浪人制度と言っていい。それほどの悪評を買っておりながら、いまだにこの制度の改革に手を染めないということは、これもまた厚生省の怠慢は免れないと思う。 そこで、私ははしょって私個人としての見解を申し上げて、これをひとつ厚生大臣、それから文部省からも御答弁を願いたいと思うのだが、少なくてもその研修制度が研修制度である以上、しかも学識、実地経験、技術、こういうものを兼ね備えた一人前のお医者さんとして世間は待望しておる。また、それをお医者さんの一つの資格要件として心得としたい。それも、少なくてもその実地研修は、私は教育でなくちゃならぬと思う。現在の大学におけるいわゆる医学のスクーリングは六カ年である。一カ年は先ほどから言うようなあいまいな形で過ごされている。少なくても七カ年というものは、私は当然教育として行なうべきであると思う。何も厚生省に置く必要はない。大学を主管する文部省が、大学における一つの教育としてこれをやられればよろしい。端的に言って私はそういう考え方を持ちます。 それからもう一つは、試験制度は、司法修習制度の中でもそうだし、もう一つ、これらの制度について似通っているものには現在の学芸大学における教育者養成の教生制度、いずれも卒業資格を与える前それらの研修を積んで、初めてそこで資格を与え、試験を受けさせておるわけです。それでりっぱに問題なくいけておるわけだ。そうなるとすれば、いまのようなあいまいな形でなく、当然教育制度としてこれを行なうべき必要がある。この見解に対して厚生大臣はどうお考えになるか、それから文部省はどうお考えになるか、ひとつ政策についての根本の考え方を示していただきたい。
○鈴木国務大臣 わが国のインターン制度につきましては、御指摘のとおり今日まだ非常に不備な点がございます。改善を要すべき点がありますことは御指摘のとおりでありまして、ただいま各方面の御意見を伺いながら、この制度につきましての改善策を検討いたしておるのであります。ただいままでの段階で私どもが考えておりますのは、大学で所定の教科を終えました者は国家試験を受けさせまして、医師の免許をここで与えたらどうか、しかる後一カ年間義務的に実地修練、実地研修の義務を与えて、そして実際的にも医師としてりっぱな技術、教養を身につけさせる、こういうようにいたしたらどうか、そういうような方向で、ただいまインターン制度に対する法的措置を考える方向でいろいろ検討を進めておるという段階でございます。
○辻原委員 原則的には教育としてやっていくということは、これはあなたはお認めになられたわけですね。その場合に、当然必要な、要するにインターン、住み込みで、たとえば救急患者が出た、その救急に対して、突発的に起きたそのことに対する技術を現地において習得するといった場合、いまのような通勤見習いではこれはどうにもならぬ。当然そこに寄宿舎をつくって、いまの大学の中にある看護学校のごとく、やはり寄宿舎の中で身分も確立し、またその生活のある程度の保障も与えてやるということでなければ、実地の修練はできないはずですから、そういうことも含めて、そういう方向で検討されておるという意味ですね。
○鈴木国務大臣 まだその寄宿舎をつくって収容するとか、あるいはまたインターンの期間、これに一定の手当を出すべきかどうか等々の問題につきましては、あわせて目下検討いたしておるところでありますが、方向としては、私は、まず医師としての国家試験を受けさせる、その資格を得た者を義務的に一カ年間実地研修をさせる、そういう方向で、あとはどういうぐあいに、いま御指摘になった点につきましても、肉づけをしていくかという問題は、目下検討をいたしておる段階でございます。
○辻原委員 なお、その際に、私は、もう一つのことを日本の医学制度としては考えるべきではないか、こう思います。それは、大体年限的に見て、諸外国では九カ年というのが医学修得の、いわゆる学校教育として通例であるように私は調べてきた。日本の場合には、学校教育から医局への技術習得、その間には無給医局員の問題もございましょうが、年限的に見ると、十年ないし十一年というものを要している。どこからが正規の医者であるのか、どこまでが教育であるのか、非常に不確かなのが日本の場合の医学制度であると私は思う。そこで、一人前の医師になる制度はここまでだということを一応区切るべきだ。そして、なお技術を習得したい者は、医局でありましょうが、あるいはどこかの病院でありましょうが、それは十分なすったがよろしい。 同時に、もう一つ大切なことは、何といっても医学というのは、また特に臨床医学の場合、これは人間の生命を預かるわけであります。しかも最近のように科学技術の日進月歩のおりには、新しい薬も開発され、新しい技術も開発され、新しい機械もできる、そういうことに、はたして今日のお医者さんがついていけるための国家施設というのが一体あるのか。一体いつの日に、そういう技術をみずから再教育できる機関があるのかと考えたときには、日本の場合はきわめて乏しい。だから、前段申し上げましたように、インターンとして一応そこでピリオドを打つ限りにおいては、今度は、それぞれ出て実地に携わるお医者さん方に対して新しい技術、新しい知識をもう一度持つ機会というものを与えることを考えなくてはならぬ。そうして時代の進運とともに、患者が安心してたよれる、格差のないお医者さんの技術というものを、私は国家的に打ち立てる必要があると思う。そういった意味で、技術研修の再教育費といいますか、これはいろいろな場合においてそういうことは考えられておろうが、日本の医学体系の中には、私は遺憾ながら大きくそれを発見することはできません。具体的には、国が再教育研修費というものを、しかるべき教育大学なりあるいは医療機関に交付することによってそういう機会を与えて、その便宜をはかるべきだ。現にやっているところがあります。それは別に国から多額の補助をしているわけじゃない。ある場合には、医療体系の中からお金を持ち出しておる。だから、いろいろ病院経営について苦しい。そういう部分は当然国家で、現在の看護学校の施設と同じように持つべきである。そういう再教育の研修費を、この際、積極的にインターン問題とからめてお考えになる意思はありませんかどうか。この点をひとつ厚生大臣から、それからさっきの問題について、文部省からもひとつお答えをいただきたい。
○鈴木国務大臣 ただいまの辻原さんの御提案についてでありますが、私は、すべての医師が必ずそういう再教育また研修の機会を持ち、それを国が制度として助成する、また国費を計上する、こういうようなことが絶体必要であるかどうか、また、そう全部の医師についてやるべきかどうかということについては、大いに今後研究をしなければならぬ問題であり、即答いたしかねるのでございますが、ただ、たとえば救急医療の問題等について、指定医療機関の医師に対して救急医療についての研修をやり、あるいは最近はガンの問題が非常にやかましくなってきておるのでありますが、ガンの技術なりあるいは放射能の技術なり、あるいは検診の問題なり、そういうきわめて専門的な分野もあるわけでありまして、そういう面で今後ガンの専門の医療機関を整備していく段階におきましては、そういう面の専門の研修なり、講習なり、再教育なり、そういうことが必要になってくると思うのでございます。私は、そういう面につきましては、これは国としても必要な予算措置を講じましてもこれを実行すべきである、かように考えておるのでありますが、すべての医師に、あらゆる機会にそういう再教育なり研修なりの場を全部持たせなければならぬ、さようには私はいま考えてはおらないのであります。
○辻原委員 ちょっと私の申し上げたことに誤解があったようでありますが、私は制度として義務づけよとは言っておらない。また、すべての医師に、すべての機会にとも言っておらない。そういうチャンスを与えるべきである、そうしてその研修というものは必要だということを国家的に明らかにすべきだ、社会的に明らかにして、そうして医師みずからが必要と感じたときに、必要な大学病院その他の医療機関でやる場合には、それに必要な研修費というものを一般の診療報酬体系の中から持ち出すことなく、それを教育としてやり得るような制度を検討しなさいという意味です。すべてを強制しない。その点は誤解があったから、もう一度。
○鈴木国務大臣 私は、いま申し上げましたように、必要に応じて、特別な場合におきまして国が予算等の措置を講じてこれをやってまいる。その例として、ガンの問題でありますとか救急医療の問題を例示的に取り上げたのでありますが、そういう必要な面につきましては、御提案のように、研修なり再教育なりをする必要があると私も考えております。また、政府としては、近く国立の医療センターをつくる計画を立てておるのでありますが、この国立医療センターの中には、いま辻原さんが御提案になったような、そういう教育もやるようにいたしたいと考えております。
○木田説明員 お答え申し上げます。 第一点のインターンのことでございますが、いわゆる実地修練が広い意味におきます一つの養成、教育の作用であると、大臣からもお答えがありましたように私どもも考えます。それを学校制度の中でどのように位置づけるか、あるいはそれを学校制度の外でやるかということは、それぞれの職種によりまして、いろいろと事情もあります。学校制度の中でやっておりますような海員、船員の養成のような行き方もございますし、学校制度を離れた養成の制度として司法修習生のような、司法職員の養成のようなタイプもございます。それぞれ資格に応じて養成の形態がとられていくことと考えるわけでございます。また、御指摘ございましたように、医師の養成にあたりましては、インターン、実地修練が終わりましたあと、また大部分の人たちは、大学院あるいは無給の医局員として長く勉強をしておられます。そういうこともありますので、いろいろとこのインターン生の扱いにつきまして、数年来厚生省御当局を中心に御検討を進められておるように私ども伺っておるわけでございまして、そのインターン、臨床修練につきましては、大学の関係者は、これを医学教育の一環として医務機関がその責任において行なえるようにしたいという意向を出しております。私どもも、今後どのように位置づけるかにつきましては、やはり厚生省の御当局と相談をして進めてまいりたいと思っております。ただ、医師の養成のことが、ただ単に卒業した、資格を取ったということだけでなくて、現実に、いま辻原委員から御指摘がありましたように、そのときどきにおきます一番新しい医学知識を持って医療行為に当たらなければならぬということから、そういう面もありまして、一面では、いろいろな御指摘をいただいておりますが、大学の医局におきます無給の医局員とか、研究生の制度というものがあるというふうに私どもも考えておるわけでございます。大学並びに大学病院は、常に研究の先端として最新の知識を研さんしていく場所でございまして、その場を卒業されたあともいろいろと御利用をいただくということは、研究機関のあり方としてもまた考えておかなければならぬことだと思っております。問題になっております無給医局員につきましても、大体いま概数八千名というふうに考えておりますが、そのうち三千人以上は、卒業後七年以上たった人たちでございます。また、常にこの数は流動をいたしております。また、すでに博士号を取っております者も、三千人以上その中でおります。ですから、そういう方々が、大学で医局の指導教官等を中心に、新しい知識に触れる場として常に勉強を考えられておられるということにつきましては、私どもも、大学が持っておりますその使命というものを、社会的にお役に立つようにという方向で考えていかなければならないというように考えております。ただ、他面、ときどき御指摘をいただいておりますように、そうした数多くの無給の医局員が慕って来られます大学と、それから事実、長くそこで勉強を詰めてされる方もあります関係上、無給医局員自体の扱いをどうするかということは、医師の資格を取りましたあとの研さんの問題として、やはりあわせて考えていかなければなるまいというふうには考えております。 いずれにいたしましても、いま実地修練の問題を中心にして、いろいろ関係者、私どもも含めまして検討をしているところでございますから、御指摘の御意見等十分拝聴いたしまして事に当たりたいと考えております。
○辻原委員 たいへん時間が過ぎまして恐縮なんで、これで質問を終わりたいと思いますが、私は冒頭からいろいろ各般についてお尋ねをいたしました。いまわれわれは、当委員会に付託せられておる保険三法についての暫定措置というものを審議させられておるわけでありますが、だんだんに承れば、社会保険だけではなく、医療制度、さらに広くは社会保障全体としての総合計画も、きょうの私のお尋ねによりまして政府は明確な態度を計画的に示されるということであります。私は、きょうは暫定措置の中のこまかい問題には触れませんでしたけれども、しかし、四十年度以前の赤字をたな上げし、四十一年度以降生ずるであろう七百数十億の赤字の問題についてのみ云々するといったような、そういうことでは暫定措置にあらずしてびほう的措置であり、これがひいてはわが国の長期的展望に立つ社会保障に重大な影響をもたらすと私は考えます。したがって、この種の暫定措置が必要がなく、恒久対策の中で根本的に社会保険を中心とした医療制度を検討すべきであるという意見を強く申し上げて、私の質問を終わっておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 最後の辻原さんの締めくくりの御意見でございますが、今回御審議を願っております保険三法は、制度審議会におきましても、社会保険審議会におきましても、当面の対策としてこれをやるべきである、そうして制度の根本的な改善策は、引き続いてやるべきであるという御答申の線に沿うて政府として精一ぱいの努力をいたしておるところでございまして、御協力をお願い申し上げたいと存じます。
○辻原委員 それをおっしゃるなら、一つだけ言っておきます。答申の線に沿うてということをしばしばあなたは言われておる。これはあなたのみではなく、大蔵大臣も何かそういうことを言われる。たとえば保険料率の問題等にしても、答申には、今回提案の七〇%はどこを見てもありませんよ。審議会の答申をするその意見を言ったのは、公益委員の二人だけではありませんか。ここが重要な点なんです。国民負担をどうするかということは、社会保障として一番中軸の問題だ。なぜかといえば、国民負担がふえれば社会保障ではなくなるんですよ。こんなことは言わなくてもわかっておる。それならばただの保険ですよ。保障としてどうするかというときに、保険としての制度について一歩進めておいて、さあこれでやれというようなやり方はないと私は思う。だから、これは他の委員も質問されますし、今後さらに、そういう具体的なことは当委員会において詳細に議論が進められるから、私はあえて触れなかった。しかし、あなたの言う答申に沿うてというのは間違いだ。沿うてなんて、ちっともしていない。以上で終わります。
○田中委員長 午後二時五十分まで休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 ————◇————— 午後三時九分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。足鹿覺君。
○足鹿委員 私は、ただいま審議中の健康保険法改正案を中心に若干の御質問を申し上げたいと存じます。 最初に、健康保険法改正案の審議態度について、厚生大臣の御所見を承りたいと存じます。今回提案されておりますところの健康保険法等の改正とその背景につきましては、今日まで同僚委員各位の熱心な御質疑が続けられてまいったのでありまするが、私は、これに対する政府答弁にはまだまだ納得できかねる点が多々あると感じておるものでありまして、このような立場から政府の御所見を順次ただしたいと存ずる次第であります。 最近、新聞報道等によりますると、政府は今回の改正案の成立をたいへんお急ぎになっておるようでございますが、私は、医療保険制度のあり方というものは、国民の健康を守る問題と非常に密接な関係を持つものでありまして、きわめて重大であると理解しておるのであります。このような重要な制度の改正であり、また、ここ数年来医療制度をめぐって大きな混乱が見られておる状態であると思いますが、本改正案の審議に際しましては、国民の健康を守るためには、国や医療機関、被保険者である国民あるいは企業体がそれぞれどのような責任を負わねばならないのか、特に医療保障の体系を国はいかに整備していくのかというような問題につきまして、十分な審議を尽くす必要があると考えておるものでありますが、厚生大臣の御所見を承りたいのであります。
○鈴木国務大臣 ただいま御意見を交えてお尋ねがあったのでありますが、医療保険制度は、国民の健康を守る重要な医療保障ということで表現されますように、きわめて大切な制度であると考えておるのであります。で、このわが国の医療保険、特に今回御審議を願っております政府管掌の健康保険、日雇い健保、船員保険、これらの三制度は、最近の医療費の増高に伴いまして保険財政が極度に悪化をいたしておるのであります。この対策といたしまして、社会保険審議会及び社会保障制度審議会に神田大臣当時に一つの諮問案を提示いたしまして御審議を願ったのでありますが、その諮問案の骨子である総報酬制の採用並びに薬価の患者一部負担、こういう点につきましては、制度の根本に触れる問題であるから、これを抜本的改正をやる際の審議にゆだねることとして、当面応急の対策として、とりあえず健康保険等三法の改正をすべきであるという答申があったのでございます。この答申の内容につきましてはすでに御承知のことと存ずるのでございますが、政府は、その答申の趣旨を体しまして、総報酬制あるいは薬価の一部負担、こういうものは今回は見送ることにいたしたのでございます。そして標準報酬等級区分の上限の五万二千円を十万四千円に引き上げる。また、国庫負担を大幅に増額をするという趣旨に沿いまして、昭和四十年三十億でございましたものを百五十億と、相当国の財政も困難な際でありますが、これを百五十億計上いたしたわけでございます。保険料率の点につきまして、この点ただ一点社会党の皆さんが御不満を表明されておる点であるのでありますが、千分の七十としたいという改正案をいま御審議を願っておるのであります。これは多数意見の千分の六十五ということから見ますと、必ずしも答申の線に沿っていないのでございますけれども、国も相当の国庫負担をやるのでありますし、また、過去の昭和四十年度末までの累積赤字をたな上げをいたしまして、四十一年度においては今回の改正で当面の財政対策をやりたい、こういう観点から千分の七十、労使折半いたしますと千分の三十五、こういうことになるのでありますが、この保険料率は、国民健康保険の被保険者の負担や、また公務員共済保険の負担等と見合いましても決して無理な、被保険者の方々が耐え得られないような、そういう御負担ではないわけであります。一番負担力の弱いといわれる国民健康保険等におきましてもこの程度の御負担を願っておる段階におきまして、私は千分の七十をぜひお願いをいたしたい、御協力を願いたいということで右のような改正案を行なった次第でございます。 なお、この医療保険制度は、今日の改正をもって私は十分とは考えておりません。これはあくまで臨時応急の対策でございまして、引き続き制度の根本的な改正をやりたい。御承知のように、わが国の医療保険各制度間におきましては、負担の面あるいは給付内容の面、あるいは財政の面で非常なアンバランスがそこにあるわけでありまして、これらの不均衡を是正する、あるいは各制度間の総合調整をやる、さらに進んでは、必要なものは制度の統合もやる、こういうことが必要であると考えておるのであります。 さらに、国庫負担の定率化の問題につきましても、いろいろの御意見があるわけであります。国保におきましては定率化をとっておりますが、その他の保険制度におきまして国庫負担がどうあるべきか、こういう問題は、私は、制度の根本に触れる問題でございますので、今後引き続き取り上げますところの抜本的な対策を検討いたします際に、この国庫負担の問題も重要な研究の課題として取り上げてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○足鹿委員 前段にお述べになったことについては、従来の当委員会でも承っておるのでありますが、要するに、今回の健康保険法等の改正を急がれておるゆえんのものは、結局直接的に累増していく赤字をどうするか、日に二億円ともいわれておるわけでありますが、この赤字対策をどうするかということからのみ提案をされておることに帰着すると私は思うのであります。私は、基本的な問題について十分触れることなく、単なる赤字対策として改正法案を認めるわけにはまいらないのであります。したがって、慎重審議もって国民の健康を守ることにふさわしい審議をし、もし必要ならばこれに改正を加えていく、そういう審議態度でもって臨む必要があると思うのでありますが、もしそれをも拒否されるといたしますならば、四十年度末における七百億円という累積赤字につきましてはすでにたな上げされておるわけでございます。さような経過があるわけでありますから、本年度の赤字につきましても、同様の措置をとってでも慎重なる審議を尽くしたって一向差しつかえないではありませんか。四十年度七百億のたな上げをしておられるわけでありますから、総合的、抜本的改正をすみやかになさるという心持ちがあるならば、まず七百二十億のたな上げを決意され、そうして抜本的な体系を樹立して、しかる後に問題を処理するということも私は不可能でないと思う。これが本法に対するところの審議態度でなければならないと思うのでありますが、にもかかわらず、二月一日に成立実施を企図せられたものが延び延びとなっておることに対して、これをすみやかに成立をされる。聞くところによると、今明日中にでもこれの採決を急いでおられる。これが政党内閣の立場から、あなた方も与党と一体となっておられはしないかと思うのでありますが、そういう審議態度は私は誤りであると思う。厚生大臣は、この際当委員会の慎重審議に即応して、そして当委員会で大幅の修正をまず行なうか、あるいは一時七百二十億をたな上げして、次の機会にすみやかに、総合的な医療体系の確立をお急ぎになって、そして完ぺきな案を、確信の持てる案を御提案になることがしかるべきであると思うのであります。この点につきまして、法案の審議も他の委員諸公によって尽きておると思いますが、さらに御一考をわずらわすべく、重ねて厚生大臣の御所見を承りたいと存じます。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、社会保険審議会の御答申も、また社会保障制度審議会の御答申も、暫定対策と根本的、抜本的対策と二段階に分けて実施をするという点につきましては、あの答申の中にこれをお認め願っておるのでありまして、私も、今日、昭和四十年度までの累積赤字が七百億になんなんとする、これをたな上げをいたしまして、そして診療報酬の支払いの遅延等を起こさないように、制度の崩壊を財政面から来たさぬようにやってまいりますために、国庫余裕金の運用でありますとか、いろいろな金融上の措置等を講じまして、今日かろうじてこの財政面の破綻を乗り切っておるような段階でございます。これ以上、これをさらに昭和四十一年度まで現行法のままで千四百億に及ぶ累積の赤字をかかえてやってまいりますことは、事実上、この政府管掌健康保険等の運営を円満にやってまいるという観点からいたしまして非常に困難である、どうしてもこの際当面応急の対策をやり、そして引き続いて根本的な改正に取っ組んでまいる、こういう措置を講ずることが、一番政府として責任ある当面の態度である、かように私は確信をいたしておるのでありまして、これは先ほど申し上げましたように、両審議会のお考えもこの方向にあるのでございますから、社会党さんその他におかれましても、そういう線に沿うて当面の暫定対策と根本的な制度の改正、こういう段階を追うて、わが国の医療保険制度の長期的な安定と伸展を期するように御協力を願いたい、こう思うわけであります。
○足鹿委員 ただいまの厚生大臣の御答弁は、これを押し問答しても始まらぬと思いますから、次に移って、内容的に健康保険財政の赤字の原因についてお互いが検討してみたい。特に発生別の金額と比率を、私は明確にしていくべきだと思うのです。これについての資料の御提出を求めたいと思っております。すなわち今回の健康保険法の改正は、四十一年度の単年度において七百二十億にも達するという保険財政の赤字に対する暫定対策として御提案になっておるわけです。 〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕 国民の健康に重大な責任を持つ健康保険制度が、昭和四十年度までの累積赤字七百億、昭和四十一年度にさらに七百二十億という膨大な赤字に瀕するという事実は、これは大きな政治問題であると同時に、国民の生命と健康に直接つながるきわめて重大な社会問題でもあると存ずるのであります。最近の新聞報道等によりましても、健康保険法改正につきましては、多くの国民が重大な関心を寄せていることが明らかでありまして、何がゆえに今回大幅な保険料引き上げを内容とする法改正を行なうのであるか、その理由を詳細かつ具体的に明らかにしていくことは、本委員会に課せられた重大な使命であると私は信じております。このような立場から、ここで私は、すでにしばしば明らかにされておりまする七百億円といい、あるいは新たに七百二十億円といわれる赤字の原因について、徹底的な究明が行なわれなければならぬと思うのであります。この点につきましては、本委員会の審議やその他の機会に厚生大臣はじめ厚生当局が明らかにされてきたと思うのでありますが、これを整理してみますと、大体次のように整理できると思うのであります。その一が、新薬の使用などによる薬剤費の増大、二が、受診率の急上昇、三が、従来三年であった給付期間の制限が撤廃されたこと、四が、水増し請求等の問題、最後に五として、保険料収入の伸び率に比べて保険給付の伸び率が大きいこと、大体この五点に要約されるように存じますが、赤字発生の原因のおもなものを以上のように理解してよろしいのでございましょうか、厚生大臣の御答弁を承りたいと存じます。
○鈴木国務大臣 足鹿さんが御指摘になりましたような点がおもな原因であるということにつきまして、私どももそう考えております。
○足鹿委員 そういたしますと、お尋ねいたしますが、赤字発生の原因につきましては、必ずしも大臣の見解を是とするものでは私はありませんが、その点は後ほどこれから申し上げることといたしまして、ただいま大臣も認められました赤字発生原因が、昭和四十年度までにおいて七百億円、四十一年度において七百二十億円といわれる赤字額に対して占めるウエートはどうなっておるのでありますか、これをお尋ねしたい。 同時に、赤字の発生原因別に金額と比率について具体的に明らかにしていただきたいと存ずるのでありますが、いかがでございましょうか。
○熊崎政府委員 こまかい数字にわたることでございますが、概括的なことをちょっと申し上げてみますと、一番最後のほうから申し上げるのが適当だと思いますが、三十五年から四十年までの保険料収入と保険給付費のアンバランスといいますか、これが極端に開いてまいってきたのが、健康保険勘定からいえばそのまま赤字がふえておる、こういう形になるわけでございます、赤字に転換いたしたのが実は三十七年からでございまして、三十五年当時は保険料収入が九百三十一億、保険給付費が八百七十億ということで、この当時は均衡がとれておったわけでございます。三十六年も保険料収入が千百四十億、保険給付費は千百七億ということになっておりまして、非常に金額がふえてまいりましたが、対前年度増加率は、保険料収入においては三十六年が二二・四%、ところが保険給付費のほうが二七・二%というふうにふえております。三十七年になってまいりますと、保険給付費のほうが実は保険料収入よりもふえてまいりまして、逆調になったわけでございます。金額を申し上げますと、保険料収入が千三百九十八億、対前年度増加率二二・六%、保険給付費につきましては千四百一億、対前年度増加率二六・六%ということで、保険給付費のほうがふえてまいったわけでございます。三十七年から赤字が十六億出てまいっております。三十八年になりますと、保険料収入が千六百四十五億、保険給付費が千七百五十六億ということになりまして、保険給付費の対前年度増加率は二五%、赤字が百三十一億というふうになっております。三十九年に入りまして、保険料収入が千九百二十二億、保険給付費のほうが二千二百六十二億ということで、保険料収入のほうが対前年度増加率が二八・八%でございますのに、保険給付費のほうは対前年度増加率が二八・八%ということで、非常に差が出てまいりまして、三十九年度においては、赤字は三百六十三億ということに相なりました。四十年度に入りまして、保険料収入が二千二百五億、保険給付費が二千七百四十一億ということになりましたために、赤字が五百三十五億ということになりました。四十一年度は、御承知のように保険料収入が二千五百十一億、それで保険給付費が三千二百億で、赤字が七百二十億、こういう形になったわけでございます。対前年度伸び率につきましては、四十年度が、保険料収入で一四・七%、保険給付費のほうは二一・二%でございます。四十一年度が、収入のほうは二二・九%、給付費のほうは一六・七%、こういうふうに少し減ってはおります。 以上が保険給付費と保険料収入との差が拡大をいたしてきました実態でございまして、あと、先生御指摘の医療費の中に占めるいわゆる新薬と投薬、注射につきましての材料費の割合が最近極端に目立ってふえてまいりまして、三十五年当時、入院、外来を含めまして投薬、注射の材料費の割合が二一・五%でございましたのが逐次ふえてまいりまして、三十九年の五月におきましては総数で三六・八%という数字になってまいりまして、投薬、注射の材料費の総点数中に占める割合が非常にふえてきた。これが全部とは申しませんが、一部医療費の増高を来たしたということになってまいるわけでございます。 〔齋藤委員長代理退席、委員長着席〕 それから、二番目に御指摘いただきました受診率の向上につきましては、これは入院と外来を比べまして、入院のほうはたいした変動はそうないわけでございますけれども、外来につきましては、三十五年当時に比べまして、三十九年において増加率二三%とふえておるわけでございます。ただ、受診率が向上しますと、同時に片方におきまして、医療費のふえる原因といたしまして、外来、入院につきまして一日当たりの金額が非常にふえておる。これは御指摘のように、新薬等を使うことが多くなったということも含めまして、一日当たりの金額がふえておるということでございます。 あと、水増しその他の御指摘の点は、金額がどの程度ということは、はっきりした数字はわかっておりません。 以上でございます。
○足鹿委員 ただいま述べられましたものにつきましては、五の保険料収入の伸び率に比べて保険給付の伸び率が大きいということが、一番大きな原因のようでございますが、私が五点指摘したことについて大臣も一応御肯定になっておりますし、これは重要な問題であります。将来の展望にも役立ってきますので、資料として御提示をいただきたいと思います。ただいまの御答弁を承っておりますと、それぞれの原因が入り組んでおりましてそう簡単にきちんと割り切れるとは思いませんが、とにかく具体的な数字を御提出願っておきたいと思います。いただけますね。
○鈴木国務大臣 はい。
○足鹿委員 それで、先ほど述べましたように、本問題につきましては国民が重大な関心を寄せておるのでありまして、問題の中心点である赤字原因について、計数的かつ具体的に明らかにする必要があると思うのであります。このことが、国民の負託にこたえて十分な審議を尽くすゆえんであろうと存ずるのでありまして、病気に対して正確な病因の分析、診断が行なわれない限り、的確な治療が行なわれないということは申し上げるまでもありません。ただいまのような資料をちょうだいいたしました上で、さらにこの赤字対策を検討してみる必要があると考えておるわけであります。 そこで、申し上げたいことは、赤字の原因は、これはもう全力をあげて計数を整備されることはきわめて困難であるかもしれませんけれども、私は可能である、かように存じます。正しい方向で国民の健康を守っていく方法としては、どうしてもやらなければならぬことだと存じております。 新しい薬の採用の問題については、午前中辻原委員も指摘されておりましたが、薬剤費の増加分は幾らであるのか、そのうち乱用と見られるものがあるとするならば、それは一体幾らなのか、受診率の上昇によって幾らの赤字を生じておるのか、受診率の上昇のうち乱受診とでも言えるものがあるとするならば、その程度はどうなのか。また、よくいわれておりまして、私どもは信じがたい点もございますが、いわゆる水増し請求というようなことが世間でよくいわれておる。そういう不徳なことが現在でもあるのかないのか、その程度はどういう程度なのかといったようなことを一つ一つ洗っていって、そしてその原因を明らかにすることによって初めて赤字対策が立ってくると思うのです。それなくしてこの赤字対策というものは成り立たない、私はかように考えるわけであります。本日の委員会において、ただいま後段で指摘いたしましたような点について、私の納得のいくような御説明がいただけますかどうか、この点につきまして、前段の資料と後段において述べましたような詳細な資料がいただけるかどうか、この点もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 前段に御要求がございました、先ほど保険局長が御説明を申し上げました資料につきましては、用意もすぐできることでありますので提出をいたしますし、後段のそれぞれの分析、また原因の探求という問題につきましての検討は大体私どもも進めておるのでありますが、いまの乱受診が全体のどれだけ一体占めておるのか、あるいは水増し請求がどういう比率になっておるのか、そういう点につきましては、的確にこれを表示をするというようなことはなかなか困難である。しかし、医療保険制度が、支払いの面等において適正に運用されなければならないわけであります。また、濃厚診療であるとかあるいは過度の不必要な受診であるとか、そういうようなものは改善を要する点でございまして、私どもも努力をいたしておる点でございます。そういう点を的確に数字をもって資料を提示するということは困難な面もあるのでありますが、私どもが検討したそういう傾向等につきましては、これをその他のはっきりいたしております点とあわせて資料を提出いたすことにいたします。
○足鹿委員 ごもっともでありますので、それでけっこうであります。要するに、以下述べることが私どもの言いたいことなんでありまして、赤字の発生原因について私どもの考え方を申し上げますならば、いろいろありますが、やはりその中心をなすものは、健保の対象になっておるものは、低賃金階層が大部分を占めておるという制度自体が持つ矛盾が赤字の大きな原因をなすゆえんである、そう私どもは理解しておるのです。これが大きな赤字の発生の根本原因である、かように私は考えておるのであります。したがって、今日健康保険財政が膨大な赤字を余議なくされたということは、第一に、現在の医療保障制度の多くが賃金に比例して掛金を徴収するという保険の仕組みで運営されておるわけでありますが、その根源となる賃金がきわめて低いという点にあることが、このような結果をもたらすゆえんであろうと思うのであります。 いま問題となっております政府管掌の健康保険の標準報酬は、去る三月二十四日の本委員会で吉村委員の御質問に対する御答弁で明らかにされたところによりましても、昭和四十年十月末で平均が二万六千百六十二円という低い数字であるとのことであります。しかも二万円以下が被保険者の四四・四%、三万円以下が七〇%ということであります。これは、政府管掌健保に加盟しておる人は、中小企業に働く日の当たらない低賃金労働者が多数を占めておることを実証しておると思います。その標準報酬は、健保組合、共済組合、船員組合といった他の制度に比べて格段に低いのであります。これが第一点。 第二は、すでに同僚委員からも御指摘があり、社会保険審議会の答申、すなわち昨年十月二十日の答申に指摘されておりますとおり、政府が制度の基本的事項の検討を怠り、健康保険財政をもっぱら加入者の保険料収入に依存し、国庫負担を僅少に押えてきたことにあると指摘しておるとおりであります。 政府がお示しになりましたこの資料によっても明らかでありますように、政府管掌健保の赤字の要素は三十七年度から出てまいっており、先ほど御説明がありましたが、一方被保険者一人当たりの国庫負担額について申し上げますならば、三十一年度五百三十四円、三十二年度四百六十五円、三十三年度百四十五円、三十四年度百三十二円、三十五年度五十九円、三十六年度八十四円、三十七年度四十九円、三十八年度四十七円、三十九年度四十四円、四十年度二百五十四円、そして昭和四十一年度千二百四十円であることが明らかにされております。三十二年度以降、三十六年度を除いては毎年度とも前年度に比べましてかなり大幅に国庫負担額が減ってきており、かりに政府が、ほんとうに国民の生命と健康に責任を負うという政治姿勢を貫いて応分の財政負担をいたしておれば、今日見られるような膨大な赤字は生じなかったと私は申し上げたい。その点について厚生大臣はいかに反省しておいでになりますか。
○鈴木国務大臣 足鹿さんから、国庫負担の面で政府の努力が足らなかったことが、政府管掌健康保険の財政を悪化させた大きな原因である、こういう御指摘があったのでありますが、この面につきましては、政府もできるだけの努力を払ってまいっておるのでありまして、特に昭和四十一年度におきましては、御承知のように、昭和四十年度に比べまして相当大幅な国庫負担の増額をいたしておるところでございます。三万円未満の被保険者が七〇%以上を占めておる、こういう実態であるわけでありますが、それが、標準報酬の等級区分の上限が五万二千円に押えられておった。しかも近年におきまして、相当賃金所得がふえておる実態からいたしまして、これはやはり倍額の十万四千円程度に引き上げて、所得に応じて御負担を願うということにおいて、負担の均衡という面からいたしまして、私は妥当な措置であると考えるのでございます。一面料率の問題につきましては、私は、政府管掌の健康保険だけをとらえて、財政が苦しいからこれを千分の七十にということでございません。各制度の負担の面等をいろいろ比較検討いたしまして、この程度の御負担は、負担力の弱いといわれる国保の被保険者等に比べた場合に、決して御無理な額ではない。この程度の御協力をお願いしたい。こういうことでこういう改正案にいたした次第でございます。政府の国庫負担の問題につきましては、私は、微力ではありましたが、最善の努力をいたしたつもりでございます。
○足鹿委員 いまの御答弁は、私の質問にお答えになっておらないと思うのであります。つまり、あとでまた触れますが、国庫の負担額が年々下がっておる。これは定額の面では若干ふえても、定率の面からいえば低下しておる。その結果がこういう数字になっておるのであります。国の責任がだんだん軽くなっておる。それなんですよ。それを私は言っておるのであります。これについて私がいま述べた数字が間違いないと思いますが、三十五年に五十九円、ところが三十一年には五百三十四円あったのですよ。物価は上がっていくのに、国の負担額がその十分の一になるようなことで、赤字が出なければふしぎじゃありませんか。三十七年度は四十九円、三十八年度は四十七円、三十九年度は四十四円ではありませんか。これが赤字の大きな原因でなくして何でありますか。ここに定率化が必要になってくるのですよ。これは、われわれは無理なことを申し上げておるつもりではございません。ただいまの大臣の御答弁は、私は満足できません。
○鈴木国務大臣 四十一年度の国の負担を百五十億にいたしました場合の一人当たりを試算させておるのでありますが、千二百二十八円の負担を国庫がやることになるわけでございます。
○足鹿委員 あとでこの点はもっと触れますが、この点の御認識を大臣は——前のことですから、あなたの責任だと言って責めておるわけじゃありませんよ。事実を事実として認識をなさいということを言っておるのです。 第三の原因は、現在の診療報酬体系のあり方そのものが、赤字を生む仕組みになっておるということであります。同僚委員からもこれはしばしば指摘されておるとおり、医師の技術が低く評価されている、一方薬を多く使えば使うほど、医療機関の収入が上がるようにできているわけであります。政府の言われておるような薬剤費の増大という問題の大きな原因は、この点にあると言わざるを得ないと思うのであります。健康保険財政が重大な危機に立ち至っておる根本的原因は、以上の三点に把握をすべきものであり、そこから次の施策が生まれてくるべきだと私は考えておりますが、この点について大臣と御所見が違いますか。
○鈴木国務大臣 私は、足鹿さんの御意見と全く違うという立場で申し上げておるのではございませんが、いまの薬剤の問題にいたしましても、確かに薬価基準が昨年の十月、十一月に二度にわたって改定されたわけでございます。昭和三十五年以来この改定が行なわれずに、実勢薬価と相当の開きがあった。そういう段階におきましては、足鹿さんが御指摘になるような点も私はあったと思います。しかし、この薬価基準の改定以来、そういう傾向は大きく是正をされておるものである、私はこういう認識を持っており、今後も薬価基準は、できるだけ実勢薬価に合うようにしばしば改定をしてまいりたいと考えております。ただ、基本的にわが国の医学医術の進歩及び高価な新薬等が使われるようになりまして、診療報酬、医療費が増高しておることは御指摘のとおりでございます。それだけまた国民の健康の確保、疾病の早期治療ということが、一面において成果をおさめておるわけであります。しばしば申し上げておりますが、医療保険勘定は財政的に非常に苦しい、赤字を示しておりますけれども、健康勘定のほうは黒字になっておるということで、わが国の医療保険制度は大局的には非常に成果をおさめておる、私はこういうぐあいに考えております。 問題は、御指摘になりましたような点につきましても私ども十分原因を追及し、そしてむだを排除して適正に医療保険制度が運用されるということに努力をいたしますけれども、また先ほど来申し上げておりますように、医療費の増高ということは、医療の進歩向上、給付内容の改善、こういう面からも大きな原因があるわけでありまして、そういう問題につきましては、これに対する財政政策を即応してとっていかなければならない。一般の公共料金のように、ただそのものずばりで値上げをするというのでなしに、医療保険の場合には、給付内容が改善向上されておる、受診率も高まっておる、そして国民の健康はそれだけ確保されておる、こういうふうに内容的にもよくなっておるのでありまして、それに伴って起こってくるところの医療費の増高、保険財政の問題は、被保険者もまた政府も協力いたしましてこの財政対策をやっていくべきだ、こう考えておるわけであります。
○足鹿委員 どうも私の質問とかみ合わない点があるようでありますが、健保財政の赤字発生の根本原因の把握について、政府と私の見解が若干食い違うということは私はやむを得ぬと思いますが、根本において私は大きな食い違いがないと思っておる。私の言わんとしておることに率直にお答えにならないようでありますから、この質問を進める中で解決していきたいと思いますが、健保財政の赤字解消を、主としてこの加入者の負担において行なうということの妥当性、合理性ということを私は理解できません。言うならば健保財政の赤字の責任はだれが負うべきか、赤字の負担割合はどうあるべきかということについて私は申し上げたい。 厚生大臣の御所見を承りますと、この保険運営によって国民の健康を守る上において大きな成果があがったのだ、したがって国民よ、おまえたちも少しの負担の上がることはがまんせいと言わんばかりの御答弁のように私には聞こえるのでありますが、そうではなくて、もっとこの点については掘り下げていかなければならぬ。私には資料がありませんので、あなた方からいただきました資料を拝見いたしまして申し上げますと、四十一年度の赤字見込み額の七百二十億というものの解消対策として、標準報酬上限を引き上げて百三十八億円、これは要するに五万二千円の頭打ちを十万四千円に上げること、こういうことによっての増収、保険料率の引き上げ、千分の六十三を千分の七十に引き上げることによって二百九十億円、合わせて四百二十八億円、これは全部被保険者の負担であります。薬価の基準の引き上げ四十四億円となっております。そして第五に、行政努力により九十八億円となっております。合計七百二十億円ということで解消をはかろうとされておるようでありますが、この赤字解消策のうち第一の標準報酬の引き上げと第二の保険料率の引き上げによる四百二十八億円については、先ほども述べましたように、被保険者である労働者と中小企業を中心といたしました事業主の負担にかかるものであることは言うまでもありません。第四の薬価基準の引き上げによる四十四億円については、一応医療機関の負担となるやに見えますが、これについては技術料の引き上げでカバーされるのでありますから、結局その大部分は労働者と事業主とが負担するということになろうかと思います。第五の行政努力による九十八億円というものは、一体行政努力ということばの具体的な内容が明確でありませんので、これから伺いたいと思っておりますが、保険料の徴収率の引き上げ、標準報酬査定の強化、標準報酬請求に対する審査の強化というような内容であるようでございますが、この九十八億円につきましても、被保険者、医療機関が負担するということになろうかと思います。そうでしょう。そうしますと、結局七百二十億円の赤字のうち二〇%の百五十億円を国が負担するだけで、六〇%ないし六五%、すなわち四百二十八億円ないし四百七十二億円は被保険者及び事業主が負担をし、残りの二〇%ないし一五%、金額にして百四十二億円ないし九十八億円の大部分を医療機関が負担するということになろうかと思います。この数字に誤りがあるならあると御指摘を願いたいと思いますが、そこで大臣に伺いたいのでありますが、このような負担割合による赤字解消は、先ほど申し上げました赤字発生原因のウエートなり赤字発生責任の所在なりから見まして、正しくつり合いがとれておるものとお考えになっておりますか、どうですか。つまり今回の財政対策は、赤字の責任の所在及び責任の度合いに応じた負担になっておるとお考えになりますか。その間の関連について具体的に御説明を願いたい。妥当性がありますか。私から言わせるならば妥当性がない、かように思うのであります。
○鈴木国務大臣 ただいま足鹿さんがお述べになりました数字は、そのとおりでございます。政府は七百二十億の四十年度赤字見込みのうち、百五十億負担をいたすのでございますが、一面におきまして、昭和四十年度までの累積赤字約七百億円というものをたな上げをいたしておるのでございますけれども、これは今後の制度の根本的改正によりまして、医療保険財政が黒字基調になりますればこれは別でございますけれども、そういうような大きな黒字の余裕が出てこない、おそらくそれは困難だと思うのでありますが、そういたしますと、過去における累積赤字の処理というものは、これは政府が中心になってどうしてもこの処理をせざるを得ない、こういうことに私はなるのではないかと考えておるのでありまして、過去において国庫負担に対する国が出すものを出さなかった、それが累積赤字になった原因であるということを先ほど御指摘になりましたが、結局ここに生じました約七百億円の過去の累積赤字、これは一時的にたな上げをされますけれども、処理せざるを得ない問題でございます。そういうこと等を考えますと、決して、政府は、この政府管掌保険等の赤字を傍観をして、保険主義でやるべきであるというたてまえだけを貫いてやっておるのではございません。やはり社会保険でございますから、保険主義でやっていくたてまえは変わりはございませんけれども、また被保険者の負担能力の限界というものを十分考えまして、政府としてもこれに対するできるだけの助成また財政措置を講じてまいる、こういろ考え方でございます。
○足鹿委員 とにかく考え方をいかに力説されても数字を動かすことはできないわけでありまして、負担割合は政府は肩がわりをしておいでになる、これは間違いないと思うのですが、これはまたあとで触れますから、まず一番問題になる行政努力による九十八億の根拠は一体何ですか。不達成の場合の政府の責任はどうあるべきかということについて伺いたい。先ほど七百二十億円の赤字解消に関して、このうち九十八億は行政努力による計画になっておるということについて私は申し上げました。また、政府もそのように説明しておられますが、そこで、この行政努力というのは一体具体的にどういうことでありますか。私が先ほど推測いたしましたような内容のものでございますか。
○鈴木国務大臣 内容とそれに見込んでおります数字につきましては、事務当局から説明いたします。
○加藤(威)政府委員 行政努力の内容について御説明申し上げます。 行政努力の内容につきましては、先生御指摘のとおり四項目ばかりございまして、第一が標準報酬の的確な把握ということでございます。予算で一応四十一年度の標準報酬がどういうぐあいになるのであろうかということは、過去二年ぐらいの平均の伸びをとりまして、毎年予算では推計をいたしておるわけでありますけれども、それを約一%伸ばそうという、そういう努力をいたそうということでございます。この努力というのは、結局事業所にできるだけ係員を派遣いたしまして、標準報酬の実態というものを的確に把握する、こういう努力をいたしますと、わりあいに標準報酬が上がる実績がございます。そういうような努力をいたしまして、正確に標準報酬の把握につとめよう、こういうので約二十四億計画いたしておるわけでございます。 それから二番目が保険料の収納率の向上でございます。これで予定いたしておりますのが三十億でございます。これは一応来年度の保険料の収納率、現年度分を九七%、これも過去二、三年の実績の推計等によりまして九七%という一応の計算をいたしたのでございます。それにさらに努力を加えるということで、それを一%増しまして、現年度分の保険料の収納率を九八%にする、こういう努力をしようということで、その分が三十億でございます。 それから三番目が診療報酬のレセプトの点検調査の励行ということでございます。これで予定いたしておりますのが三十五億でございます。これはどういうことかと申しますと、お医者さんの請求が基金に出まして、基金から社会保険事務所に回ってまいりますが、そのときにたとえば業務上のレセプトがまぎれ込んできたり、あるいは共済組合のものが入り込んできたり、あるいは被保険者の資格を喪失している者の請求書がまぎれ込んできたり、そういう場合がございます。そういうものを全部チェックいたしまして、それぞれ整理をするということを励行することによって三十五億くらいを出そう、こういうことでございます。 それから四番目が現金給付の支給の適正化、これが約九億でございます。これは傷病手当金の受給についてよく調査をいたしまして、適格者以外の者で受給している者が往々にあるわけでございますが、そういうものをチェックすることによって九億ばかり出そう、こういうことで合計九十八億ということでございます。
○足鹿委員 わかりました。要するに、保険料徴収の引き上げや標準報酬査定の強化といった行政努力は、末端の社会保険出張所等の職員の労働強化なり、被保険者の保険料負担の増加をもたらすことになると考えられるのであります。診療報酬請求に対する審査の強化といった行政努力は、医療機関の医療行為に対する圧迫となるおそれがあるのではありませんか、どうですか。
○鈴木国務大臣 先ほど来お話がございましたが、医療保険制度を適正に運用してまいりますためには、そこにいささかの不合理があってはいけない、またむだがあってはいけない、やはり正しく支払うものは支払うということでなければならぬのでありまして、そういう当然のことをさらに努力してまいる。いままでもやっておるのでありますが、さらにこういう保険料まで上げなければならぬという事情でございますので、私どもはそういう適正な運用ということにさらに努力を尽くしたい、こう考えておるのでありますが、一面におきまして、この監査でありますとかあるいは監督、そういうような審査、監査を強化するというようなことで診療者を圧迫したり、そういうような考え方はごうまつも持っておりません。これはいま事務当局から説明を申し上げましたように、レセプト等の間違いの点検をする、こういうことでございまして、いわゆる保険法にいう監査あるいは審査の強化によって、診療担当者を圧迫したり、そういうような考え方はごうまつも私ども持っておらないことを、この際はっきり申し上げておきたいと思うのであります。
○足鹿委員 その厚生大臣のお気持ちはお気持ちとして、先ほどお示しになった標準報酬の的確な把握で二十四億ですか、保険料収納率の向上で三十億、レセプト点検向上で三十五億、現金給付の適正化で九億、計九十八億、これは受診者への圧迫に結果としてなるのですよ。私はよく前のことは知りませんが、聞くところによりますと、この行政努力ということばとその内容は、昨年度、昭和四十年度において四十三億とか聞いておりますが、ほんとうですか。
○熊崎政府委員 そのとおりであります。
○足鹿委員 そういたしますと、一躍二倍以上になるのですね。去年は四十二億であったものが、ことし一躍九十八億という数字を行政努力によって生み出そうとするならば、これはいままでゆるめておったとか、いままでが適当でなかったとかいうことなら別でありますが、いままでのものを肯定する上に立って数字を行政努力によって生み出そうとしていけば、これは明らかに医療機関の圧迫になり、あるいは結果として受診者への圧迫となるのじゃありませんか。
○熊崎政府委員 毎年保険財政のほうは逐次スケールが大きくなってまいりまして、必ずしも四十年度と四十一年度の会計規模全体が同一ではございませんし、また、それに応じまして行政努力の中身も重点的にやるということで、方針が変わってくることは御納得いただけるのじゃないかと思います、ただ、いま申し上げました諸点につきましては、これは、昨年健康保険法の改正にからみまして、社会保険審議会等で赤字の原因その他を徹底的に委員の方々に御論議をいただいたおりにもしばしば指摘されたところでありまして、たとえば保険料の収納率等はもう少し上がるのではなかろうかというようなことを非常に強く指摘されたということもございますし、また、標準報酬の把握自体がさらに徹底すれば、もう少し財源は出るはずだ、また、医療機関の審査とは関係はございませんレセプトの点検といいますのは、つまり医療担当者側のほうから請求を支払い基金に出す場合、間違った請求を出す場合があるというふうなことをさらに徹底して追及してみれば、ある程度そこでもやはり財源が出るのではないかというふうな話を全部総合いたしまして、九十八億という行政努力にいたしたわけでございまして、これはいわば私どもとしましては、国の努力といいますか、各出先を通じまして、国が百五十億を国庫負担で支出すると同時に、現業であります社会保険庁の第一線機関も、従来の事業をさらにより徹底的に冗費を省くようにして、しかも、一部それは御指摘のように労働強化という面はあるでありましょうけれども、非常に深刻な赤字の状態でございますので、行政機関の努力によっていわば財源を生み出していくということでございますので、これが被保険者のほうに肩がわりされたり、あるいは医療機関のほうに肩がわりされるということは、私どもとしては考えておらないわけでございます。
○足鹿委員 「答申は尊重されたか」という座談会があるのです。これを読んでみて、社会保障制度審議会の委員二人の対談なんですが、なかなかいいことを言っていますね。高橋さんという人は、「行政努力九十八億という数字がでているが、きいてみると四十年度、つまり今年度で五十何億なんですよ。それが一年で倍近くにまで行政努力をあげられるものなのかどうか。そりゃ、徴収率をあげるとかどうとか、いってはいますが、そこは初めに千分の七十をきめ、」よく聞いておいてください。「標準報酬等級上限をきめ、国庫負担をきめて、最後のつじつまを行政努力にもってきたのだとも思えますね。」と言っておるのです。どうですか。さらに、大阪市大の近藤名誉教授は、「そりゃそうですわ。だから、そういう含みをかなり高くみるか、みんかということですわ。いずれにしても作文ですよ。」と言っていますよ。これはあなた、あなた方の権威ある制度審議会の委員のこれはおことばなんです、あなた方がちゃんと任命された……。どうですか、厚生大臣。こういう見方がありますから、私どもが独善的に、一方的にきめつけておるのではない。こういう点について、あなたはもっと慎重に、いわゆる吏僚政治にならないように善処されなければならぬと思いますが、去年の倍以上の数字が達成できなかった場合には、政府は一体どのような責任をおとりになりますか、具体的かつ明確にこの際承っておきたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいまの座談会の記事、私読んでおりませんが、私が読んでおりますのは、社会保険審議会の末高さんからの答申の御趣旨の中で、行政努力について、「政府は収納率の向上、レセプト点検等につき格段の行政努力を払うべきである。また、療養の給付に関する不正を排除することを厳正に行なうべきである。」こういう方針につきまして私も熟読玩味いたしておりますが、先ほどの座談会は、遺憾ながら拝見いたしておりません。私はこういう面で趣旨に沿うてやってまいる考えでございますが、繰り返して申し上げたいことは、不当に審査あるいは監査を強化して、そして無理な徴収をしよう、これは私は行政努力ではない、そういう不当なことは全く私は考えておりません。正しく制度の運用をやる、適正にやる、そういうことでこの行政努力の成果をあげたい、こう考えております。
○熊崎政府委員 前年度四十三億、大体四十四億ということでございますが、ことしは、さらにそれよりふえておるというおことばでございますけれども、実は先ほど説明が足りませんので補足させていただきますが、四十年度の対策といたしましては、これは実は支出対策がその主体になっておるわけであります。いわば支出対策、レセプト点検とか、あるいは傷病手当金の適正化ということで、支出面の対策だけを計上いたしておったわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、四十一年度におきましては、さっき大臣のおことばのとおり、行政努力につきまして、収納率の向上等、収入面の対策も加味するということで、その分がプラスになったわけでございますので、お間違いのないように願いたいと思います。
○足鹿委員 お間違いないようにとは何ですか。間違えてやしませんよ。要するに、大臣に承っておくことは、無理なことはしないということなんです。その点をおっしゃったが、その場合、数字が達成できなかったときにはどういう責任をおとりになるかということを聞いておるのですよ。肝心のことを答弁してください。
○鈴木国務大臣 私は最善を尽くしまして、この社会保険審議会の答申にあります行政努力について、政府として格段の努力をせよということについて、全力を尽くす所存でございます。
○足鹿委員 いや、全力を尽くされることは、もちろん自信のないことをやられるのでしょうが、去年のものが倍にもなる、いままでの御答弁で私はどうも納得いかぬのです。これは客観的に——これは読んでおらぬと言われれば、ごらんになってもいいですけれども、まあ忙しいからやむを得ぬといたしまして、もし万一これが達成できなかったときには、どう処理されるかということを聞いておるのですよ。
○鈴木国務大臣 私は必ず達成できる、こういう確信で部下を督励してやっておるのでありまして、まだその結果については何らの不安を持っておりません。
○足鹿委員 それじゃ、必ずやるのだということですが、もしできなかったそのときの御用意はあると、私はこう解釈しておきますが、去年の四十三億の内訳をちょっと言ってごらんなさい。
○加藤(威)政府委員 昨年度の四十三億のうち三十四億がレセプトの点検によるもの、残りの九億が傷病手当金の適正化でございます。
○足鹿委員 実績はどうですか。
○加藤(威)政府委員 実績はまだいまのところ出ておりません。
○足鹿委員 その実績は、達成できる見込みでありますか。オーバーするのですか、マイナスなんですか。どっちなんですか、見込みは。
○加藤(威)政府委員 その点、オーバーするということまでは申し上げかねますけれども、大体目的に近い結果が出るのじゃないかという感じでございます。
○足鹿委員 この点については、同僚滝井委員が予算委員会で詰めておられるのです。ここにおられるから、やってもらってけっこうですが、どうもただいままでの御答弁では、このものは、残ったものを一括行政努力にたたき込んだ疑いが多分にある。したがって無理がある。無理を承知で厚生大臣が善処をされる。そうすると、どこかで破れて出る。そうすると、あなたは責任をとらなければならなくなりますよ、あなたがそれまで、内閣改造のときに残られるかどうか。善意の大臣ですから残られると私は思いますが、そういうことになりますとこれは問題ですよ、大臣。残られた場合のときのことを想像して私は心配するのですよ。どうですか。
○鈴木国務大臣 行政努力九十八億につきましては、社会保険庁の職員諸君も最善を尽くすであろうし、そのほうは私、これは間違いなくこういう線に落ちつくものだ、こう考えておりますが、私の留任のほうは、ほとんど見込みはございません。
○滝井委員 ちょっと関連して。こういう大事なところをいいかげんにのがれることはいけないことなんです。予算委員会で私が質問をしたときには、昨年の四十三億、当初は五十八億なんですよね。これは年度初めは五十八億。中途で四十三億に変わっちゃったのです。あなた方がわれわれに初め出した資料は五十八億、中ごろで四十三億になったわけです。この五十八億が四十三億に変わった経過も、われわれには何も知らしていないのですよ。そして今度の九十八億、こうなってくるわけです。四十三億は具体的に一体どういうところにいったかというと、この前の答弁は、それらのものは、実はその出した資料を見てごらんなさい、ゼロになっておるから。いまのようになっておらぬ。だから、一文もとっておらぬということです。一体このゼロになっておるというのはどういうことだ、こうなってくる。どういうことになったかというと、それはそれぞれの、たとえば標準報酬のところで努力するのはそれの中に解消しました。あるいは傷病手当金は傷病手当金そのものに解消しました。こういうことになってしまった。それならば、あなた方が初めからそんなでたらめな、何とか努力するふりをしたっていかぬと思うのです。それならいまの二十四億の標準報酬の把握は、四百二十八億という料率の改定なら、標準報酬のところに入れてこなければならぬ。初めからお入れになったらいい。そして、カッコして、この中に行政努力が二十四億あります。それから保険料の収納率の向上が三十億出てくるのですよ。こういうような形にしておいてくれたらいいのです。そして四百二十八億がたとえば五百億になりますとか、こういう形で出してくるべきものなんですよ。あたかも労働者に負担が少ないがごとく見せかけておいて、そして六十三を七十に上げても皆さん方に対する負担はたったこれだけですよという、こういう羊頭を掲げて、最後は狗肉を売るというのじゃなくて、逆なんです。狗肉を掲げて今度は羊の肉を売ろうとする、こういう悪らつな予算の組み方であり、法案の出し方ですよ。それならば四十三億の内容を、四十年度にきちっと行政努力した数字を明らかに入れなければならぬ。入れてないでしょう。だから、いまのような御答弁ではわれわれは絶対に納得することができないのですよ。
○加藤(威)政府委員 滝井先生のおことばでございますけれども、確かに七百二十億という赤字を出しますときに、こういう行政努力、たとえば標準報酬の把握とかあるいは収納率の把握の中に織り込みますれば、七百二十から九十八ぐらいを引いたものが赤字、そういう出し方もあると思いますけれども、一応私どもといたしましては、正常の、従来の予算の積算方法によりまして、標準報酬なり収納率なりを割り出しまして、その結果七百二十億の赤字が出る、その上に、こういう緊急事態でございますから、特別の対策として非常な努力が要ると思います。相当の覚悟でやらなければ達成できないと思いますけれども、その行政努力をやる、こういうことを別ワクに出したわけでございます。そういう予算の組み方もあり得るのではないか、こういうぐあいに考えるわけでございます。
○足鹿委員 行政努力を達成することに努力するなんという、そういうことはナンセンスじゃないですか。何を言っておるのですか。大体こういう具体的なことについて確信がないようなことでは、われわれはこれ以上審議を進めることはどうかと思うのです。大臣は留任の見込みがないなどといやに弱気だし、そういう確信のない大臣や行政当局が努力したって、これは努力が実らぬ、どうですか。大臣、留任の決意を固めて、行政努力を努力するなどというややこしいことではなく、もっと端的に、滝井委員が言われたように、他の項目に織り込むとかその他の措置を講ずべきじゃないですか。
○熊崎政府委員 ちょっと経緯がございますので、私から申し上げます。 滝井先生はよく御存じだと思いますが、健康保険につきましては、三十年から三十二年にかけましてやはり赤字が出まして、赤字対策をやったわけでございます。三十年当時の財政対策といたしましても、保険料率の引き上げあるいは等級改定、薬価基準の引き下げその他ありまして、国庫補助も出ております。当時三十年度全体で七十三億の財政対策をやりましたときに、保険料率の引き上げ分で二十五億、等級改定分で五億、国庫補助で十億、行政努力で十三億、それからあと残りの二十億を借り入れ金でまかなったという例があるわけでございまして、三十年度当時と現在の赤字の財政対策につきましてのスケールはもとより違いますけれども、しかし、当時におきましても、やはり行政努力十三億という予算計上をいたした例はあるわけでございます。
○足鹿委員 あとでまたこの点についてはやりましょう。 少し先へ問題を進めますが、これからは大蔵省の出席を要求いたします。大蔵大臣の御出席を願いたいのですが、どうでしょうか。
○田中委員長 足鹿君に申し上げます。 大臣の出席要求がけさほどございましたが、大蔵大臣は他によんどころない御用がございまして、どうしても出席できませんので、主計局の次長に出席してもらっておりますから、次長に御質問願いたいと思います。
○足鹿委員 委員長のおことばですが、主計局次長が政府を代表するなんということは私は理解しがたいので、大臣がどうしてもいかぬのなら、次官の御出席を願いたいと思います。
○田中委員長 それでは、直ちに次官に出席するように手続をいたしますので、しばらくの間、この状態で質問を続けていただきたいと思います。
○滝井委員 来る前に、重要な点を関連でちょっとお尋ねしたいのです。 さいぜん厚生大臣は、四十年度までの七百億の累積赤字については、これは国が努力をしていないというけれども、国はこの七百億について、その処理を政府が中心になってやらなければならぬだろう、過去のものは一時たな上げをしておるけれども、これは結局国が処理をすることになるのだという意味の御発言があったわけです。これは非常に重要なところなんです。そこで、いまの行政努力その他の問題もございますが、また先になってこういうものがのこのことたなからおりてきて、抜本改正のときに、労働者の保険料の改定、引き上げにかぶさってくるというのはたいへんなことなんです。さいぜんの大臣の発言は非常に重要なところですから、これを確認しておきたいのですが、これは労働者の保険料の負担とか事業主の負担にならずに、国が責任を持って処理すると理解して差しつかえありませんか。それは過去において、十三億の行政努力を出しましたから、そのときに厚生保険特別会計で当時の赤字を、約七十億くらいあるのを七カ年程度で国が年々十億ずつ処理するという法律をつくって出した、こういう前例があるのです。いまの鈴木大臣の発言は非常に重要ですから、これは国が責任を持って処理すると理解して差しつかえないのですね。
○鈴木国務大臣 その点は、先ほど私が申し上げたとおりでございます。
○滝井委員 それだったら国が責任を持って処理すると理解して差しつかえないですね。
○鈴木国務大臣 制度の根本的な改正とともに、このたな上げの分をどう処理するかという検討をいたすことになっておるのでありますが、私は、こういう大きな赤字を補てんするだけの保険財政が黒字基調に大きく転換をするということは非常に困難だ、こう考えておるのでありまして、どうしてもこの問題は政府が中心になって処理せざるを得ないと考えております。
○足鹿委員 質問を進めます。 大蔵大臣の出席を待ったわけでございますが、藤井政務次官がおいでになりましたので、これから大蔵、厚生両大臣にお尋ねをいたします。 先ほどの関連で、滝井委員から御質問があり、私の先刻の質問で厚生大臣からも御答弁がございましたたな上げ赤字七百億円の処理について伺います。 四十年度末七百億円といわれる累積赤字のたな上げ問題でありますが、聞くところによりますと、政府は、この累積赤字七百億円については、新たに臨時医療保険審議会なるものを設置して、この機関において医療保険問題の基本についての検討を行なう間は、この七百億円はたな上げし、借入金によって処理されるとのことでありますが、差し迫った赤字対策としてならこの処理でもやむを得ないかもしれませんけれども、一体この七百億円はどのようにして解消されるのでありますか。何でもかんでも、まだできもしない臨時医療保険審議会にはかってやるのだということでは納得まいりません。いかがでありますか、大蔵、厚生両大臣から承りたい。
○鈴木国務大臣 政府におきまして、昭和四十一年度の予算の編成の際に、当面の政府管掌の健康保険に対する財政対策をいろいろ検討いたしたのでありますが、その際におきまして、私どもは、この四十年度までの累積の赤字はたな上げをいたしまして、そして制度の根本的な抜本対策をやります場合に、このたな上げ赤字の処理もあわせて検討する、こういうことに政府部内で話し合いをいたしておるのでございます。 そこで、私はこの問題につきまして、しばしば当委員会において御質問がございましたので、これに対する私の所見を申し述べてあるのであります。それは、政府部内におきましてはただいまのような話し合いになっておるのでありますが、さて、制度の抜本的な改正をいたします場合におきまして、私は、できるだけ長期的に安定をし、さらに伸展をしていくような制度の確立を期したい、こういう腹がまえで、基本的な考え方で抜本対策を進めるわけでございます。したがいまして、今後、根本制度の改正が行なわれました場合におきまして、保険財政が大きく黒字基調になって、そしてこの過去の大きな累績赤字を補てんをするというようなことはなかなか困難であろう、私はこう思うわけであります。そこで、この面につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたように、結局これは政府が中心になって計画を立ててこの処理に当たらなければならないのではないか、私はこういう考えを持っておるのでありまして、これを全部今後被保険者の負担においてこのたな上げした赤字を解消するというようなことは、私は考えていないということを申し上げた次第でございます。
○足鹿委員 大蔵大臣に伺いますが、先ほど申し上げましたように、健康保険財政の赤字については、社会保険審議会の答申におきましても、政府が基本問題の検討を怠ってきたこと、国庫負担が不十分であったことを赤字発生の主たる原因として指摘しておるのでありますが、大蔵政務次官は御存じでしょうね。
○藤井(勝)政府委員 ただいま、直接担当の厚生大臣からいろいろ御答弁がございましたように、四十一年度予算編成におきまして、私も側面的に大臣の予算折衝の経緯を承知いたしておるわけでございますが、やはり医療制度の抜本的な改正ということに四十二年度を期して、とりあえず健保財政のささえとして百五十億円、こういうことでございますので、やはり制度の根本的な改正の案が担当厚生省のほうから出されまして、よく協議して制度が円滑に運営できるように善処しなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
○足鹿委員 私が聞いておるのは、健康保険財政の赤字については、社会保険審議会の答申によりましても、政府が基本問題の検討を怠ってきたこと、国庫負担が不十分であったことを赤字発生の主たる原因として指摘しておるのでありますから、この点を御存じになった上で、答申に基づいて当然抜本改正を出さなければならないはずなのに、つまみ食い的に処理をされて今日に至っておるのでありますから、この社会保険審議会の答申と異なった何か答申を期待されるような、医療保険審議会の設置をもくろんでおいでになるのでありますか。私が聞かんとしておるのは、この保険財政の赤字問題についての指摘を率直に受け入れられるかどうか、審議会の答申を率直に受け入れられるかどうかということを聞いておるのです。
○藤井(勝)政府委員 この問題は、まず厚生大臣の御意見をわれわれとしては十分尊重して善処するというのが基本的なかまえであります。ただいま重ねてのお尋ねでございますが、確かに、国の財政援助も十分でなかったことも言えるのではないかと思いますけれども、やはり国の財政は総合的にいろいろな施策を推進しなければならない、裏づけなければならぬ、こういうことでございまして、そのほか薬価の問題であるとか、いろいろその制度そのものに含まれている改善事項もあろうかと思うのでありまして、先般出されました答申も、いろいろ専門家が検討された結論でありますから十分尊重しなければならないけれども、その答申が最善のものであるかどうか、人間のつくった結論でありますから、その後のいろいろな医療制度全体の推移、社会情勢の変化に相呼応した推移をながめながらよりよき結論を出さなければならぬ、こういうように思うわけでございます。
○足鹿委員 それでは突っ込んでお尋ねをいたしますが、昭和四十一年度七百二十億円の赤字解消策を見ましても、六〇%以上は保険料増徴によって行なわれようとしているのであります。この示された案が、いま審議中の案がすなわちそれであります。政府がこのように保険料中心主義の考え方を改めない限り、たな上げされた七百億円は、結局将来保険料の引き上げとか、給付率の引き下げといった形で処理されることになるのではないかという懸念を持たざるを得ないから、そうでないと断言をしてもらいたいのであります。いかがでありますか。
○藤井(勝)政府委員 具体的な各論でございまして、私も先ほどここへ入り込んでまいったわけでございますが、まず各論的な話でございますから、岩尾次長が答弁いたしまして、不十分であると考えましたら私がつけ加えます。
○岩尾政府委員 お許しを得まして、国庫負担の問題でございますが、先ほど先生のおっしゃいましたように、答申には、多数説の意見といたしまして、政府が基本政策を怠ったこととか、あるいは大幅の国庫負担が必要であるというようなことが書いてございます。しかし、答申は多数説もございますが、公益委員が行って作成をしました少数意見も付記されておりますし、全体の答申の中でどういうことがほんとうの趣旨として述べられているかということがやはり一番大事なわけでございまして、大蔵省といたしましては、そういった点を考慮いたしまして今回の問題を処理いたしたわけでございます。 さらに、今後のたな上げ赤字の処理の問題につきましても、これは答申にございますように——答申もいろいろな赤字の原因を指摘いたしまして、こういうものは根本的な解決を検討しなくてはならない、しかし、その前に暫定的対策としてかようなことをやったらどうかというような趣旨でございます。そこで、そういう根本的問題につきましては、四十二年度にとにかく実行できるようにやりたい。その手段として、厚生大臣はいま臨時医療保険審議会というものを考えておられますが、いろいろなことがやり方としてはあるかと思いますが、いずれにしても、とにかく四十二年には根本的解決をはからねばならないということで、政府としては対策を考えるということでございます。
○足鹿委員 鈴木厚生大臣、いまお聞きのとおり大蔵省が言っておりますが、私が先ほどお尋ねをし、また同僚委員から関連質問がなされた際にも御言明になりましたが、具体的に私は明らかにしておきたいから申し上げておるのであります。つまり、われわれの懸念に対して答えておいてもらいたい。たな上げ七百億円は、保険料の引き上げとか給付率の引き下げといった形で処理される心配が多分にありますので、臨時医療保険審議会をおつくりになるそうでありますが、その審議会の答申は答申、あるいは審議は審議といたしまして、基本的な姿勢として、ただいま述べた保険料の引き上げとか給付率の引き下げといった形でやらないと御断言願いたいのであります。そうでないと、基本姿勢がくずれますから、結局被保険者の負担の増高ということになることを心配しておるからであります。御答弁願いたい。
○鈴木国務大臣 私が、制度の根本的な改善策を引き続きやらなければならない、また、それに向かって真剣に政府は取り組んでまいるということを申し上げましたのは、この過去における累積赤字を処理するために、その際に保険料を特に引き上げをするとか、さようなことは私はごうまつも考えておりません。わが国の医療保険制度はいろいろございますが、この制度間のアンバランスを是正し、国民皆保険下の医療給付が公正に、国民にひとしく行なわれるようにいたしたい、そういうことで今回あらゆる医療保険制度全体にわたっての審議、検討をいたしたい、こういう趣旨であるわけでありまして、私は、その際に過去の累積赤字を補てんするために、特に保険料の増徴をするというようなことは考えておりません。また、その過去の七百億の赤字解消のために、給付率を下げるというようなことはごうまつも考えておりません。制度の長期的な安定と伸展を期して制度の根本的改正をはかりたい、かように考えております。
○足鹿委員 厚生大臣の御答弁は了承いたしました。 大蔵大臣に伺いますが、政府はこの際、医療保障に対する施策がきわめて不十分であったことを率直にお認めになり、たな上げ赤字七百億円については、これは制度加入者の負担によって解消をはかることをやらない、国庫の責任において解消するのだということを言明さるべきだと思います。当然、ただいまの厚生大臣の御答弁に関連して、さような御決意を承っておきたい。大蔵大臣、大蔵当局の御所見を明らかにしておいていただきたい。
○藤井(勝)政府委員 ただいま厚生大臣から御答弁がございました。われわれも、主管大臣のお考えを尊重いたしまして善処しなければならぬ、このように考えるわけであります。ただ、いろいろ先ほどからお話がございます。保険料率は引き上げないで、給付率は引き下げないでと、これはみんなが願っておることだと思うのであります。ただ問題は、やはりそれをまかなうに国庫支出金ということ、これは結局、足鹿委員よく御承知のごとく、みんなの税金でまかなうわけでございます。そして病気になって治療を受ける。これは、いわゆる広くいいまして、受益者負担と一般の負担との均衡をどうやったらいいかということは、私は非常に重大な問題だと思うのでありまして、それを考え、同時にまた、全体の財政収入、財源ということを考えながら足鹿委員の御精神をできるだけ生かさなければならぬ、このように思う次第であります。
○足鹿委員 けっこうです。いい御答弁をいただきましたので、福田大蔵大臣にかわっての御答弁でありますから、大蔵、厚生両省がただいまの御言明を十分実行されんことを希望いたします。 次に、国庫負担の定率化の問題について、国庫負担の方式等について最初に大蔵大臣に伺いますが、政府管掌保険財政が大きな赤字を生むに至った原因について、ただいまも申し上げたとおりでございます。今回の保険三法改正案に対する社会保険審議会の答申書によりましても、政府が大幅な国庫負担を行なうべきであったにもかかわらず、これを怠ってきたことにきびしい批判が行なわれておることは御承知のとおりであります。昭和四十年度あるいは昭和三十九年度について私が調べたところによりましても、政府管掌健保においては、三十九年度の総収入千九百二十八億七千九百万円に対しまして、国庫負担はわずか五億円、総収入に対する割合は〇・二%強にすぎないのに対し、保険料収入は千九百二十二億二千百万円でありますから、総収入の九九%強を占めておるのであります。次に、四十年度について見ますと、総収入二千二百三十六億二千九百万円に対し、国庫負担が一・三%強の三十億円、保険料収入が九八%強の二千二百四億九千六百万円となっておるのであります。しこうして、昭和四十一年度につきましては、この参考資料を拝見いたしますと、総収入三千九十億千三百万円に対し、国庫負担が四・八%強の百五十億円、保険料収入が九五%の二千九百三十八億八千四百万円となっておるのであります。このように、百五十億円というかってない多額の国庫負担を行なう本年度におきましても、国の負担割合は従来と大差のない結果となっておりまして、依然として保険料収入に財政の大半を依存しておることが明白であります。今日、公害問題や合理化による労働密度の強化など、社会的生活環境は悪化してまいっておりまして、国民の疾病は増加してきておるのでありますが、この際、政府は、国民の健康を守るために、従来の医療保険に対する国庫負担の方式を抜本的に改められる必要をお認めになるべきだと思うのでありますが、この点いかがでございますか、御決意のほどを明らかにしてほしいと存じます。
○岩尾政府委員 先生のお話でございますが、今回の政府管掌健康保険の赤字の原因でございますが、先ほど来いろいろお話がございましたが、私らといたしましては、国庫負担が足らないために赤字になったというふうには考えておりません。むしろ赤字の原因は、給付費が非常にふえたということにあることは明白でございます。したがって、こういった実際の医療給付費というものの増高を正しい姿にするのでなければ赤字は減らないわけでありまして、それが赤字の最大の原因であるとふうにわれわれは考えております。 そこで、そういう点から考えまして、従来の国庫負担について先生から御指摘がございましたが、先ほど政務次官からもお答えいただきましたように、本来、保険というのは、その給付を受ける人が保険料を出すわけでございますから、そういうたてまえで保険料はできておりますので、国といいましてもこれは別の金庫があるわけじゃございません。やはり国民の税金からできておるものでございます。税金で医療給付というものを負担するのか、あるいは保険料という、その給付を受ける人が直接負担していくほうがいいのかという問題の議論に結果はなるわけでございまして、現在の自由経済におきましては、みずからが受ける医療給付についてはみずからの保険料でまかなうという、社会連帯の思想によって成り立つ保険というものが一番いいのではないかということでできておるわけでございますから、したがって、国庫負担をする場合には、税金というものが持っております社会の所得再配分的な思想に合致いたしますような低所得者に対する手当て、あるいは特殊な、その会計の臨時な赤字のような問題、こういうものに対して税金のほうから補てんしていくということは考えられますけれども、単に全体に対して何割という社会保険料を国が国庫負担をしていくということは、われわれとしては考えておりません。
○足鹿委員 私が聞きたいのは、いわゆる百五十億ということしの国庫負担を定率化してみますと、従来と変わりはない。定額化の問題よりも、いま期待し、望んでおることは、定率化を求めておることは御否定になりますまい。そうでしょうね。それを御否定になるならば、これは前進になりませんよ。いつもつかみ金を出して、一応金額で目をおおう、こういうことではほんとうの前進はあり得ないと私は考えるからであります。
○岩尾政府委員 まず、先生のおっしゃいました国庫負担額の従来の経緯でございますが、これは国として投入をいたしました金が、たとえば三十一年度には、当時の三十年、三十一年の異常な政府管掌健康保険の赤字がございまして、滝井先生からもお話がございましたが、十億の国庫負担を入れ、次の年に三十億というふうに入れてきたわけでございます。そういう臨時の赤字に対して国が幾ら補てんするかということで、応急の措置としてほうり込んできた金があるわけでございます。あとは、そういったものと関係なしに、単なる五億とかそういう小さな額で、ある程度、健康保険をやっておられるについては、低所得者の方もおられるわけだから、そういう意味で保険財政というものを豊かにするために入れるということで入れてまいった金でございます。したがって、これを比較しまして、この率が減っておるから、したがって国庫負担が非常に少ないというような御議論をされるのは、ちょっとおかしいのでございます。なお、私らの考えといたしましては、先ほど先生もおっしゃいましたように、いまのような率を中心に国庫負担をすべきであるという御意見に対しましては、私らは、先ほど来申しておりますように、健康保険は保険料でもってまかなうのがたてまえであって、いまの状態では、もちろん一つの議論としては全部そういうものを税金でまかなうという考え方もあるでしょう、あるでしょうが、それは経済状態なり国の状況の違ったところの話であって、現在の日本の状況では、やはり給付というものは保険料でまかなうというのが原則である、しかし、そのためにたとえば保険が赤字になるとか、あるいは非常に低所得者の方がおられるという場合に、税金をもってその所得再配分の思想を使って補てんしていくというのがたてまえではないかと思っております。
○足鹿委員 さっきあなたの発言中不穏当なことばがあるが、あれは取り消しなさい。おかしいなんて、それこそおかしいですよ。そういうばかな答弁はおかしい。私は、つかみ金を定額で出すということについて、これは妥当でない、定率化をはかっていくべきだ、それが国の責任において、国民の健康を守る医療保険制度の前進だと言っているのですよ。それをあなたは否定するのですか。それをあなたはおかしいと言うのですか。そういうことは聞き捨てなりませんよ。国庫負担の方式について、われわれはここでいま論議をしておるのです。先ほどの厚生大臣の御方針を全面的に、あなたは事務当局として否定されるのか、あるいは否定に近いような、私の発言をつかまえておかしいなどと言う御言明は納得できません。いただけません。これは取り消しなさい。
○岩尾政府委員 おかしいという表現を使いましたことは、まことに申しわけないと思います。ただ、いま申されましたような国庫負担を定率化していくことが社会保障のためにいいという御判断に対しましては、私らは、国庫負担というものは、保険ではなくてほかの社会保障の低所得者対策とか、あるいはこれは三十七年に出ました社会保障制度審議会の総合的調整の意見にもあるわけでございますけれども、各階層に応じて、その対策に応じて国庫負担をすべきだという答申が出ております。そういうような趣旨でわれわれは考えておるということを申し上げたわけであります。
○足鹿委員 藤井さん、どうですか。大蔵政務次官、いまの御答弁は、名は保険であっても、国民の健康と生命を守ることについては、国が当然定率的な援助を行なって、そうしてこの制度の完ぺきを期する、こういうことがすなわち厚生大臣の先ほど言われたことの裏づけになって、実を結ぶと私は理解するのであります。それを取り消しはされたけれども、おかしいなどという考え方は、私はこれは全く事務官僚の少し行き過ぎではないかと思うのです。したがって、この点については、他のこの種のものについても定率的な国庫負担の導入が行なわれておるわけでありますから、低きにつくのではなくて、いい方向へこれを改善向上せしめていくということが、われわれの政治の目的ではないでしょうか。政治家として、この議論に大蔵政務次官は御異存はなかろうと思いますが、この点について、保険だから被保険者の負担によることがあたりまえだという、そういう割り切り方では、この問題は前進いたしません。そういうことでわれわれは審議しておるのではありません。どうですか、その点は。
○藤井(勝)政府委員 健康にして文化的な生活のできるように政治はつとめなければならない、この前提から考えまして、足鹿委員の御意見、一つのお考えであり、はっきりした定率の補助の制度というものを導入することも、私はりっぱな一つの見識だと思うのであります。ただ、いままで大蔵省が健康保険制度を運営する基本的な考え方ということについて、岩尾次長からただいま説明をいたしたわけでございまして、これがやはり結論は財源とのかね合いになるわけでございまして、政府は、片やできるだけひとつ税金は安くしていこう、蓄積のある家計、企業、こういった方向を打ち出しておることは御案内のとおりであります。したがって、そのような財政のやり繰りをしながら、今後りっぱな文化的な、健康な生活が保障できるような日本の国づくりをするために、定率の線でいくべきかどうか、これまた医療制度の根本的な改正の答申というものを待って善処すべきものであろう、このように考えておる次第でございます。
○足鹿委員 私がこのことをくどく申し上げるようでありますが、よくお聞き取りを願いたい。昨年の後半に至りまして、労働者の実質収入が低下してきておることは、政府みずからの統計で明らかでございます。今回の保険料引き上げは、労働者の生活を圧迫することになるでありましょうし、他方国庫負担の方式については、根本的に改めることを行わないのでは、結果として保険料の引き上げによってつじつまを合わせようとするやり方にならざるを得ない。このようなことでは、健保財政のほんとうの意味での健全化ははかられないと私は考えておるからであります。この考え方には私は間違いないと思います。いわゆる健康保険という名前を使っておりますが、元来、保険ということばはきわめて自己本位の思想を持っておるものです。しかし、国が国民の健康と生命を守るという点において、当然定率化によって国が負担をすべき社会保障の性格を一面に持つ。それなくして、どこにも意味がないと私は思う。第一、保険という名前を使うこと自体が——これは保険ということばの持つ意味を厳正に申しますと、たとえば民保の場合、生命保険でも火災保険でも、これは自分がかけ、いざというとき自分がもらうという思想に立っておる。しかしこれは、国が少なくとも管掌するという意味においては、特に低額所得者を中心にしておる。しかもそれが経済の影響を受けて、いわゆる賃金が低下の傾向になってきておる。こういう情勢の中において、国がめんどうを見ない、そういう思想では何のための健康保険ぞやと私は言いたい。どうですか。そういうことであなた方大蔵省が今後これに対処するということになりますと、事は重大であります。大蔵大臣の御出席を願って、じかに私はこの問題について聞かなければならぬし、もっと政治の全体の責任を持つ立場の人が、高い角度から問題をいかに判断するかということを聞かざるを得ない、そういうことになりますよ。普通の民保などと同じような思想でものを判断すること自体が誤りではありませんか。あまり大きな看板だけかけないで、もっと真摯な態度で御答弁を願いたいと思います。
○鈴木国務大臣 これは大蔵省を含めて、今日まで政府といたしましては、必ずしもこれは健康保険であるから政府は一切めんどう見ない、事業主と被保険者ですべてやるべきであるというような考え方でやってきたのではございません。過去におきましても、政府管掌健康保険にいたしましても、あるいは日雇い健保等におきましも、保険財政が極度に悪化をし、また被保険者の負担が相当重くなり、限度に来ておると見た場合におきましては、政府におきましては、過去におきましてもこれに対して財政的な援助をいたしてきておりますことは御承知のとおりでございます。今回、暫定対策ではありますけれども、百五十億の相当大きな国庫負担をいたしますのも、これは社会保険であるから被保険者と事業主でやれというような考え方に割り切っておりますれば、決して、このような財政困難の際にかかわらず、これだけの大きな国庫負担はいたさないのであります。こういうようなことから考えましても、政府といたしましても、この保険制度というものは国民の健康を守る上からきわめて大切な制度であり、また、財政というような面からこの制度を崩壊さすべきでない、こういう考え方で被保険者にもひとつ応分の御協力を願うと同時に、国としてもできるだけの財政的な援助をする、こういうたてまえでやっておるのでございます。私はこの定率化の問題につきましては、これは制度の根本に触れる問題であり、今回私が考えておりまするところの各種医療保険制度の総合調整なり、あるいはアンバランスの是正というような根本的問題を検討いたします場合の最も重要な一つの研究課題にこの国庫負担の問題もなるであろうということは、先ほど来私が御答弁申し上げておるところでございます。
○足鹿委員 大蔵省の見解はどうですか。次長の答弁とそれは全然違うですよ。
○岩尾政府委員 大臣のおっしゃいますことと、私の申し上げておりますことと違っておらないのでございます。いま先生のおっしゃいましたのは、定率でやれというお話でございます。定率ということは、これは保険の原則になるわけでございます。私は原則ということでは、保険は定率では国庫負担をすべきものではあるまい、そういうふうに申し上げております。したがって、先生のおっしゃいましたように、たとえば保険料が特殊な理由で減ってくるとか、あるいは医療費の形によって赤字になるとか、そういったような特殊な原因がある場合には、いま大臣のおっしゃいましたように、その分について国は十分見ておるではないかということをおっしゃっておるわけでございます。 なお、ほかに定率化というものがあるかというお話でございますが、これはたとえば国民健康保険につきまして定率でやっております。これは、企業者でありますれば事業主がおるわけであります。事業主と被保険者と両方で負担をしておるわけでございますが、国民健康保険にはそういった事業主はおりません。それをかわって国が負担をしておるたてまえでやっております。さらに、日雇い健康保険につきましても負担がございます。これは低所得者であるという理由で、こういう負担をしておるわけでございます。それから医療ではございませんが、年金等につきましても負担がございますが、年金というのは、将来にわたって金を積み立てて、そうして給付になるということでございますから、そういう意味合いで均衡をとって国庫負担をしておるような状況でございます。これはなお外国の例等もよく御検討いただきまして、実際上は、外国等でも大半はそういった定率の国庫負担というものはできておりません。
○足鹿委員 すでに社会保険審議会は、答申書において国庫負担の定率化の検討を要請しておるのであります。何を言っておるのですか。したがって、私どもは、健保について三割の国庫負担を行なうべきであると要求しておるわけでありまして、政府は国庫負担の定率化について、どのように検討をする御趣旨であるかというこの質問に対して、あなたはまっ向から否定されるのですか。
○岩尾政府委員 先ほど申し上げましたように、社会保険と申しましてもたくさんございます。そこで、答申で国庫負担の定率化について検討しろということでございますから、もちろんわれわれは検討をする決心でございます。しかし、現在の大蔵省の立場を述べろとおっしゃいますならば、定率にしておるものにはそれぞれの理由がございまして、原則として社会保険に全部定率の国庫負担をすべきものではないということを申し上げておるわけでございます。
○足鹿委員 ただいまの次長の答弁を私は了承するわけにはまいりません。これは世論も認めており、政府の諮問機関も答申をしておるところでありまして、これをいまさらあとへ戻すようなことでは、この制度の前進は期せられません。したがって、これは大蔵大臣の御出席を願うか、他にもっと高度の政治責任を持つ人の総合的な立場に立った御答弁をわずらわす以外には方法なかろうと思いますが、藤井政務次官がそれにかわって御答弁になるとおっしゃいますならば承りますが、いまの次長の答弁は絶対に私は了承することにはまいりません。私が先ほど来申し上げておることについて取り消しはされたけれども、その根性は一つも変わっておらぬ。
○藤井(勝)政府委員 足鹿委員のせっかくの御質問でございますが、すでに所管大臣である厚生大臣から御答弁がされまして、私の聞き及び知る限りにおいて、現時点に立って、どのような方がここへ来られても、なかなか足鹿委員の御希望されるような答えは、現時点ではむずかしいのではないか。確かに定率補助の制度というものは、制度として一つの見識である、このように私も理解いたしますけれども、やはり国の全体の負担の均衡の問題、これが税金でいくか受益者でいくかというこの割合の問題、こういった点を考え、また健康保険制度のそれぞれの特徴がございますから、そういうものを十分勘案して、医療制度全体の検討の暁において結論を出したい、出すべきではないか、このように考えておりますので、何とぞひとつさように御了解いただきたい、このように思っておる次第であります。
○足鹿委員 大蔵大臣もおられませんし、いまの藤井さんの御答弁と次長の御答弁もどうもニュアンスが違う。したがって、大蔵大臣の御出席を願ってそこへ並んでいただいて、そしてやるか、あるいはもしくは鈴木厚生大臣が政府を代表して、定率化の方向について検討していくという審議会の答申の線に沿って善処をするかいなかという御答弁を、私はもって明らかにしていただきたいと思う。明らかにできなければ、これはこの法案の中心問題ですから、どうですか、鈴木厚生大臣。
○鈴木国務大臣 その点につきましては、私先ほど来御答弁を申し上げておりますように、私は、元来社会保険であるから国庫負担はやるべきでないとか、あるいは社会保障であるから国庫負担をやるべきであるとか、保険主義あるいは保障主義というようなことにこだわっておりません。これは国民の健康を守る国民の重要な医療の制度を確立するという問題でございます。したがいまして、被保険者の方々の負担が相当重くなって限界に来ておる、そういう判断がなされ、また、他の医療保険の制度と比べて均衡のとれた形の負担をやっても、なおかつその保険財政が赤字でどうにもならぬ、こういうような場合におきましては、これは国としてこれを放置するわけにはまいりません。私は、さような意味で、保険主義とか社会保障とか、そういうようなことに拘泥をいたしておらないのでございます。 そういうような観点に立ちまして、今後根本策をやります場合には、この答申に出ております公費負担定率化という問題も、一つの重要な研究課題として検討を進めてまいるということを先ほど来御答弁申し上げておるのであります。
○足鹿委員 それは大蔵省が、いまの厚生大臣の話と全然違ったようなニュアンスの答弁をしておったのでは、これでは審議が進みませんよ。
○滝井委員 ちょっと関連して。 一応鈴木厚生大臣に答えてもらいたいのですが、現在政府が管掌している社会保険で、国庫負担をしておるものを全部言ってみてください。
○鈴木国務大臣 いますぐに数字までは用意いたしておりませんが、国庫負担をやっておりますのは、国民健康保険、日雇い健保、厚生年金、国民年金、失業保険、こういう制度でございます。
○滝井委員 そうでしょう。そうしますと、やっていないのは、あとに何が残るのですか。国庫負担をやっていないのは、残るのは政府管掌健康保険と船員保険だけでしょう。みなやっておるじゃないですか。この保険だけに定率負担ができぬなんという理論は出てこない。今度は岩尾さん苦労したのだけれども、農林漁業団体職員共済組合と私立学校教職員共済組合にも定率国庫負担ができたのですよ。今度共済組合にできたのでしょう。そうしますと、足鹿さんがさいぜんから御指摘になっているように、二万六千円という低いベースの労働者、しかもそれは千二百万人ですよ、家族が大体同じ程度おるのです。この家族を合わしたら二千三、四百万の中小企業の労働者です。その労働者の施策に国がわずかに四%かそこら、百五十億入れても四%かそこらでしょう、それくらいしか入れない。そうして、それに定率負担ができないという理論が一体どこから出てくるのですか。しかも、低所得階層というものに対して中心的に政策をやらなければいかぬ。三十七年来、社会保障制度審議会は、一貫をして定率負担をやらなければいかぬといっておるのですよ。八木さんという書いた本人もちゃんといらっしゃる。ことしの答申の一番最後にも、足鹿さんの御指摘になったように、定率負担を考慮しなければいかぬ、こういうふうにいっておるのですよ。ことし、四十一年度には考えなければいかぬと、社会保険審議会は二百億入れなさい、多数意見は三分の一程度入れなさいとなっておるのです。事業主、国というものがそれぞれ分に応じて考えるということは、三分しなさいということなんです。それをいっておるのです。だから、この政府管掌健康保険、船員保険という、中小企業の労働者のために定率負担をやらなければいかぬという——いまから検討しなければとか、どうなんということは、何もする必要がないのです。結論が出ておるのです。ただあなた方がやるかやらぬか、勇断を持つか持たないか、決意だけの問題です。客観情勢というものは成熟してしまっている。こういうことにあなた方がじんぜん日を送って、審議会の意見をどうとかいうのでは、政治は要らぬです。政治は全部諮問機関にやってもらったらいいです。国会は要らぬです。何のためにわれわれが何万票の票をもらって国会に出てきたか。政府管掌健康保険に国庫負担一つきまらぬと言ったら、国会はてんから笑われますよ。二十三万も四万も給料をもらっておるけれども、そんなもの返してしまわなければならぬ。だから、このくらいの決断ができなかったら、しかもわれわれ野党としては、こういうところで言質をとらなければ野党の役割りはどこにありますか。だから、あなたがここで言明ができなければ、われわれはこれで引き下がるわけにはいかない。ここまで国庫負担を議論してきたら下がるわけにはいかない。だから、最高責任者の総理に来てもらうかどうかです。きょうは、はっきり言ってもらわなければ納得できません。
○鈴木国務大臣 これは、先ほど来私が足鹿さんの御質問に対してお答えを申し上げたとおりでございます。
○八木(一)委員 厚生大臣のいまの答弁に対して、これは重大な問題でありますから、関連して発言をいたします。 厚生大臣の先ほどの答弁は、私は社会保障、社会保険にこだわらずにものごとを考えている、考えていくと言ったはずです。厚生大臣は、憲法九十九条と憲法二十五条を理解しておられるかどうか。憲法九十九条で、国会議員である国務大臣に課せられた重大な任務を忘れておるのじゃないか。そういう点をよく胸で考えて答弁をし直していただきたいと思う。憲法二十五条には、社会保障をよくすることを書いてある。条文を読みます。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と明記をしておるわけであります。社会保険ということばは載っておらない。その社会保障について具体的に一番重大な責任を持っている厚生大臣が、社会保障の中心である医療保障の問題について、社会保障、社会保険ということにこだわらない。それが前向きの姿勢であるかのごとき態度をもって言うならば、日本の社会保障はここで瓦解をすることになる。そういうことは許されることではありません。現在健康保険が社会保険の制度をもってつくり上げられて、いま実行されていることは知っておるのでありますけれども、国が不断に社会保障の前進をさせなければならない。ですから、いまの制度が社会保険であっても、社会保障に向かってこれを前進させることが内閣の責任であり、特に社会保障を主管としてやっておられる厚生大臣の一番大きな責任でなければならない。その厚生大臣が、社会保障か社会保険にこだわらないと言うようなことであったらとんでもないことだ。憲法九十九条をあなたはじゅうりんするつもりか。憲法二十五条をじゅうりんするつもりか。その点をはっきり踏まえて答弁をし直していただきたいと思う。答弁のいかんによっては、あなたは国の憲法をじゅりんするということをはっきり言明したことになりますから、直ちに職を辞してもらわなければならないということになります。
○鈴木国務大臣 ただいま私が御答弁を申し上げましたのは、政府管掌健康保険について、国庫負担の問題をめぐりましで保険主義か保障主義かという議論が一方においてあるわけであります。私は、これは社会保険であるから保険主義に沿わなければならぬというような固定した考え方は持っておりません。そういう趣旨を申し上げておるのであります。被保険者の諸君がやはり応分の負担をし、なおそれをやりましても保険財政に赤字が出てくる、財政の面からこの制度が破綻をする危険がある、こういうものを政府が放置をしておるわけにはまいりません。国民の健康を宇るということ、大きくいえば八木さんの言う憲法の精神に沿いまして、やはりこの制度は、国が財政援助をしても守っていかなければならぬ、こういうことになるのでございます。そのことを私が強調いたしておったのであります。
○田中委員長 八木君に申し上げますが、部屋が小さいのですから、もっと低い声でも十分聞こえますから、よろしくお願いいたします。
○八木(一)委員 そのかわり与党の不規則発言を完全に制してください。 〔「大きいぞ」と呼び、その他発言する者あり〕
○田中委員長 静粛に願います。
○八木(一)委員 厚生大臣に申し上げます。 いま前段におっしゃったことは、先ほどの答弁から少し言い方が直っております。六十点、七十点に変わってきておりますが、後段におっしゃったことが、ほんとうにさっき足鹿さんがおっしゃったようないい意味の根性がまだ完全に育っていないということになろう。いま社会保険で健康保険がある。しかし、憲法の条章によれば、これを社会保障のほうに向けていくことが内閣の責任であり、厚生省、厚生大臣の責任である。そこで、前半あなたがいまお答えになったことは、ややその姿勢に近い答弁をされました。しかし、後段は、具体的内容はそうではありません。赤字になったときに国庫負担をする、あるいは低所得者で保険料の負担にたえないようなものについてするということでは、これはほんとうの社会保障の前向きの姿勢ではないのであります。赤字の原因にはいろいろありますけれども、赤字の原因の一つには、やはり負担能力のないところに国庫負担を先につぎ込まないために赤字が出るという要因も、往々にして働いておるわけであります。前から前向きに国庫負担を定率化して増率をしてやっておけば、そういう赤字は出ません。社会保障というものをよくするために、赤字が出たときにやるというのではなしに、全体について社会保障の給付をよくするために、それを保険料負担の増額によらないで前進するためにこれをやっていく、国庫負担を増額して、それを人数がふえてもちゃんと全部行き渡るように定率化してこれを持っていく、これがいまの非常に不十分な社会保険である健康保険その他の社会保険制度を、社会保障の方向に向けていくことであります。全部について国庫負担増率、定額化、増率、その方向に向かってやっていかなければならないわけであります。そのほかに、それで足りない場合に、たとえば赤字の特に多いところに、一般的に二割、三割の定率化をしたときにそれに五割、六割、七割の定率化をする。たとえば日雇労働者健康保険のごときものについては八割くらいの定率化をする、あるいは低所得者階層のものについてはそのような高率の国庫負担をするというなら話がわかります。一般的に全部の社会保障、あるいはその中の医療保障を前進するために、全国民に定率の国庫負担を増率して実施をする。その上に赤字のあるものについてはさらにこれにプラスアルファを加える、あるいは低所得者階層のところには、恒常的にはそのような定率化と率を上げる、そういうことをするならばこれは話がわかります。だが、そのような赤字のとき、低所得者階層の保険のみするというようなことを予想されるような答弁を厚生大臣がなさったならば、これは社会保障をあなたがとめることになり、憲法二十五条をじゅうりんすることになり、憲法九十九条の国務大臣としての責任を完全に果たさないことをあなたが言明することになるのであります。そのような意味でさっきのやや前向きになりました答弁を、ほんとうの意味で鈴木善幸君が憲法を順守する人間であるということを明らかにするために、答弁をし直していただきたいと思います。
○鈴木国務大臣 社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会等からいろいろ貴重な御答申をちょうだいいたしております。また、その答申の中には、社会保障制度審議会の委員としての八木さんの御意見等も十分含まれておると思うのでありますが、私は両審議会の答申の趣旨を体しまして、今後も努力をいたす所存でございます。
○滝井委員 さいぜん大臣お述べいただいたように、結局国庫負担をやっていないのは、船員保険と政府管掌健康保険だけでしょう。失業保険はもと三分の一だったのを四分の一に削った。しかし、非常に赤字になるときには三分の一返すことになっておる。厚生年金は一割五分が二割になる。それから国民年金は納めた保険料の半分です。それから日雇いが三割五分、国保が四割になったでしょう。みんな定率になっておる。しかもこの政府管掌健康保険の労働者諸君は、足鹿先生がさいぜん御指摘になったように二万六千円でしょう。ボーナスを入れても四十万そこらでしょう。そうすると、大蔵省が先日出したのは独立成人で百八十六円八十七銭、生計費は五十八万六百九十八円でしょう。これよりはるかに下ですよ。こういう人たちの疾病に定率負担を入れぬなんということは、その薄情ぶりは人間じゃないですよ。ヒューマニズムがもしこれから先でもあれば、当然率先してやることです。こんなことを一々諮問機関に聞かなければ政治家が勇断を下せないなんということになったら、政治家をやめたらいい。率直に言いますよ、善幸を悪幸と変えたほうがいい。(笑声)少なくとも善幸とおっしゃるのはヒューマニズムに満ち満ちておるということですよ。(笑声)それを、こういうことさえできないということだったら、われわれ審議する必要がない。何のために国会議員として出てきたんですか。私は恥ずかしいですよ。これ一つ残ったことが恥ずかしい。しかもそれがえんえんたる赤字でしょう。三十七年以来累積赤字が続いている。それらの諸君の給与は、ぐんぐんウナギ登りに上がっておればいい。しかも足鹿さんが指摘したように、現在〇・三%下がっているのだから、実質所得においても支出においても下がっています。だから、そういう実態を見れば定率負担をやることが当然です。定率負担をやる。しかし、支出その他の問題についてチェックしなければならぬことがあれば、われわれも勇断を持ってチェックするにやぶさかではない。しかし、国がこれに一定の責任を持つことが、少なくとも政府管掌と言うからには、政府が管理をする保険であるからには当然ですよ。それを風のまにまに黒字になったら入れない、赤字になったらちょっぴり入れる、こういう行き方はいけない。だから、もしここであなた方が言明できぬと言うなら、ひとつ総理も来てもらって、きょうわれわれ十二時までやってもかまわぬです。総理も大蔵大臣も来てもらって、そうして相談をしてください。そうしないと、これからわれわれ審議が進まない。一番重要な点です。またあしたとかあさってになって、この問題を蒸し返すわけにいかぬですよ。
○鈴木国務大臣 いま御審議を願っております保険三法の改正案は定率ではございませんけれども、答申の御趣旨を体して、財政困難の中から百五十億円の国庫負担をするという案で改正案を提出し、御審議を願っておるのでございます。今回のこの法案は、決して社会保険審議会が答申をしておりますところの大幅な国庫負担をせよという精神にもとっておるのではない、その御趣旨を体して、私は微力ではありましたけれども、最善の努力をいたしたのがこの百五十億であるわけでございます。したがいまして、今後、この暫定的な対策としての今回のこの法の改正が幸いにして成立をいたしました際におきましては、引き続き制度の根本的な改正に取り組んでまいる、こういうことを申し上げておるのでありまして、その際におきまして非常に負担力の弱い、負担が限界に来ておるような御事情にある場合におきましては、やはり国としては、これに対して拱手傍観はできない、医療保険制度を守っていかなければならぬ立場にあるのでありまして、私は、そういう観点から、定率国庫負担という問題も一つの制度の根本策を検討する際の重要な課題として検討いたしますということを申し上げておるのであります。
○滝井委員 何もかにも審議会の意見を尊重するというならば、そういう答弁でいいですよ。ところが、ある場合には審議会の多数意見を尊重し、ある場合は少数意見を尊重してやっておりますから、この問題は国会の意見は徴しても、何も審議会の意見を聞く必要はない。定率負担をやります——たとえばことしのごときは百五十億、〇・五に直したら定率になる、定率負担をやるということをあなた方が言明したらいい。われわれはここで三百億出せ、五百億出せと言っておるわけではない。それの勝負はまたやればいい。定率負担をやるかどうかということを聞いておる。定率負担をやるかやらぬか、こんなことまで審議会の意見を聞かなければ政治ができないというようなら、国会は要らない。全部審議会でやったらいい。あなた方も、一方においては審議会の少数意見をとってやっておるじゃないか。百五十億しか出していない。国会が定率負担をやれと言ったときに、やります、時期その他は相談したらいいが、大蔵大臣も鈴木厚生大臣と同じように定率負担をやりますという言明ができないのはおかしいじゃないかと言っておる。一体定率負担をやってないのは何かといえば、政府管掌健康保険と船員保険だけだ。その中で、事業主が金を出さなければならぬと言って、何のかのとへ理屈を並べておることは了承できない。われわれ野党としては国会でやる以外にない。ここは世論を反映してお互いのやりとりで、いわゆるティーチインをやるところなんです。世論指導をするところです。その指導した世論を政治家は討議したあと出さなければならぬ。それを出さないからいけない。やるならやると言明してくださいよ。
○鈴木国務大臣 制度の根本的な改正の問題は、しばしば私がここで申しておりますように、各制度間のアンバランスの是正をしなければならない、また、必要に応じては総合調整なり統合も考えなければならぬ、こういういろいろな問題点を含んでおるわけであります。国庫負担の問題だけを切り離してここで言明をという御要望ではございますけれども、それは今後制度全体の検討の一環として検討さるべきものである。先ほど来、そういう問題は審議会にかけないでもやれというお話もございましたが、御承知のように、審議会にかけないで、その答申を待たないでやりますと職権告示であるとかなんとかいうようなおしかりもこうむるわけでありまして、そういう点につきましては、御趣旨のあるところは十分私も理解ができておるのでございますから、今後そういう方向で努力をいたしてまいる、検討してまいるということを先ほど来御答弁申し上げておるのであります。
○滝井委員 大臣、この審議会の答申をごらんになっても、制度の抜本改正をやるときには定率負担を考慮しなさいと言っておるんですから、何もいまここであなたが定率負担をやりますと言明したからといって、それが職権告示にも何にもならないんです。その率を一体幾らにするというときに、制度の抜本改正のときに考慮したらいいんです。定率負担をやるという言明さえすればいい。そうすれば、われわれは法律を修正することができる。その定率負担をやるということさえここで言えぬということなら、審議をやめますよ。そんなにまでしてやる必要はない。何のためにわれわれは国会に出てきたんですか。
○鈴木国務大臣 今回の保険三法の審議にあたりましては、先ほど足鹿さんにもしばしば御答弁申し上げておるとおりでございますが、今回提案をいたしましたところのこの改正法律案を直ちに定率化の面で修正をするということは、私は考えておりません。今回の保険三法は、この原案を基礎として定率化の問題は基本的な問題として今後検討することとして、今回の国庫負担百五十億ということをまず前提として御審議を願いたい、こう思うわけでございます。
○滝井委員 われわれそういうことでは了承できません。とにかく国会の意向というものが一つも反映できぬような審議なら意味がない。何にもかにも審議会にまかそう——審議会は行政のベースですよ。それを国会に出てきたわれわれ野党が主張したものを、そんなものはだめだ、もう審議会の意見を聞かなければだめだと言うなら、全部抜本策をしてからこれはやりましょう。これは足鹿さんが一番初めに言ったように、全部七百二十億たな上げでけっこうです。少しも支払いに支障を来たさないのだ。なぜなら、百五十億を利子にしたらいい。ことしあなた方は、八百六億八千七百四十三万二千円の借り入れ金をしておるのですから。そしてこれは六十三億の諸支出金を出しておる。これは利子ですよ。だから、百五十億の国庫負担があるのですから、これを利子に回したらいいのです。そうしたら、二千億程度の金は借りられますからね。ちっとも支払いに支障を来たしません。それでわれわれはこれでいきたいと思う。そして抜本策をゆっくりやってください。これでちっとも支障を来たさない。——石炭も心配なことはない。前例がある。石炭は千二百億借金がある。これをたな上げします、そしてことし五十億とりあえず利子補給している、六月に抜本策をする、それまで泳いでいくわけです。国鉄も何も、全部延期してやるわけです。それと同じことです。健康保険も同じにしたらいい。同じことをしてやればいい、石炭でやっておるのだから。だから、国庫負担さえ言明ができなければ、われわれだってそれでがんばりますよ。
○鈴木国務大臣 滝井さんのせっかくの御質問でございますけれども、いま提案いたしておりまする保険三法を定率化という線で修正することを認めろ、こういう御質問でありますれば、私は、残念ながら政府としてはさようにはまいりません、制度の根本的な対策を検討いたします場合に、有力なる一つの問題点としてこの国庫負担の問題は検討いたします、こういうことを申し上げておるわけでございます。この点を御了承いただきたいと存じます。
○滝井委員 たとえばことし百五十億ありますよ。〇・五%という定率を書いても、百五十億あるのだからちっとも差しつかえない。私はたとえばと言っているんですよ。それであなたの権限を侵すこともなければ、社会保障制度審議会その他の権限を侵すこともない。そうでしょう。そうすると、これは来年になってそれが二割の国庫負担になるか、三割——社会党は三割を主張している、三割だってなり得るわけです。そういうことが政治というものですよ。そういうことが、いわば次のあなた方が大蔵省なりその他と折衝する場合の足場ができたということなんですよ。百五十億では足場ができない。百五十億では、来年百五十億もらう保証がない。百五十億というのはことし限りでしょう。
○鈴木国務大臣 滝井さんの御所見はよく拝聴いたしました。また与党の委員の皆さんのお考えもあることでございますので、十分御審議をいただきたいと存じます。
○田中委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後六時十三分休憩 ————◇————— 午後六時三十八分開議
○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。足鹿覺君。
○足鹿委員 先刻来、私のいたしました質問につきまして厚生大臣の御答弁を拝聴いたしましたし、また、大蔵政務次官なり事務当局からも御答弁がございましたが、この点については両者の御答弁が食い違っておる点がございまして、まことに遺憾に存ずる次第でありますので、その点について、両省の意見の食い違いをいかように大蔵、厚生両当局は御判断になりますか。私は決して無理を申しておるつもりではございません。立場の相違はありましても、筋を通しながらお伺いをいたしておるのでありまして、厚生大臣の御言明を大蔵事務当局が否定をなさるような、さように受け取れるような御答弁を同じ場所でなさるということにつきましては、私は納得いたしかねるのでありまして、この点につきまして、厚生大臣並びに大蔵政務次官のほうにおきまして、いままでの御答弁の点について十分御勘案の上あらためて御答弁を求めたいと思います。その上でこの定率化の問題をめぐりまして、さらに若干、きわめて短い質問でありますが、いたしまして先へ進みたいと考えておりますので、御善処あらんことをお願いいたします。
○鈴木国務大臣 先ほど来足鹿さんからお尋ねの問題につきましては、さきにちょうだいをいたしました社会保障制度審議会の答申の趣旨を体しまして、引き続き行ないますところの医療保険制度の抜本的な改正案を検討いたします際に、重要な課題としてこの問題を検討する考えでございます。
○藤井(勝)政府委員 先刻の足鹿委員の御質問に対して、大蔵省の事務当局からお答えを申しました点につきまして、予算編成の事務当事者として慎重を期したあまり、多少ことばが足らなくて誤解をお与えしたかもわかりませんが、ただいま厚生大臣がお答えになりましたとおり、政府の基本的な態度は一致いたしておりますことを、ここにあらためて御答弁をいたします。
○足鹿委員 念を押すようで恐縮でありますけれども、いま一度実情を申し上げまして、これについて御答弁をわずらわしたいと存じます。すなわち健康保険組合連合会の調査による統計を見ますると、健康保険組合の保険料の負担割合は、おおむね事業主六〇%に対し被保険者の四〇%となっておるようでございます。健康保険組合をつくれる実際の認可基準は、千人以上の被保険者を有する企業に限られておることは御承知のとおりであります。しかるに、健康保険組合の被保険者、つまり政府管掌の健康保険組合の被保険者と事業主の負担割合が折半であることは、私は妥当でないと存ずるのであります。組合管掌の被保険者の平均給与は、先ほども若干触れましたが、三十九年度末の統計によりますと三万一千円でございます。政府管掌の健康保険組合の被保険者の平均給与は二万四千円でございます。この数値を見ましても、いかに政府管掌の健康保険組合の被保険者が低給与であるかということが御理解願えると思うのであります。同じ健康保険法のもとにありながら、高額所得者は低い保険料を負担すれば済むのに対し、低額所得者は高い割合で保険料を負担しなければならない点は、何としてもこれは矛盾であり、理解できないのであります。したがいまして、政府管掌の健康保険組合の対象は中小あるいは零細企業の従業員でございます。これらの実情を考慮いたしますならば、負担割合を組合管掌と同じく事業主六〇%、被保険者四〇%としても何ら私は不当な措置でない、かように確信をいたしておる次第でありまして、今後これはぜひお改めを願いたい、かように存ずる次第であります。したがって、先ほど来御質問をいたしましたように、政府管掌の健康保険組合を中心といたしまして、その実情に照らして国庫負担の定率化導入のため、厚生、大蔵両大臣が善処されるよう私は強く要望をいたす次第でありますが、これにつきましていま一言両大臣のほうから御言明をわずらわしまして、たいへん念を押すようで恐縮でございますが、御答弁をいただきたい、かように存ずる次第でございます。
○鈴木国務大臣 国庫負担の定率化の問題は、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、いま重ねてこの事業主と被用者の保険料の負担、この負担の割合を変えたらどうかというお尋ねがあったのでございますが、足鹿さんも御承知のように、今日被用者保険といわれておりますところの厚生年金保険、失業保険、共済組合の例に見ますように、従来から保険料は事業主と被保険者の折半で負担をするということがたてまえになっております。さらに、昭和三十七年に行なわれました社会保障制度審議会の答申及び勧告におきまして、こういうことをいっておるのであります。医療保険の財源については、労使折半負担の原則を貫くべきとされていることから見ても、現段階におきまして保険料負担について労使折半の原則をくずす積極的な理由はない、こういうぐあいに私は考えておるのでございますが、この問題につきましては、今後私どもも、御意見もございます点でございますから、研究をいたしたいと存じます。
○藤井(勝)政府委員 ただいま厚生大臣から御答弁されました御趣旨を尊重して、大蔵省としても善処いたしたい、このように考えます。
○滝井委員 関連。さいぜんの国庫負担百五十億のときにちょっと数字を間違えて、現在三千億に対して百五十億を国庫が補助金として出しておるのですが、それを〇・五%と間違えましたけれども、五%でございますから。社会党は〇・五%と言ったじゃないかと言われても困る。五%ですから。
○足鹿委員 以上で私は、赤字問題を中心といたしました健康保険組合のあり方等をめぐって質問をいたしましたが、次には、医療行政の問題点について若干の質問をいたしたいと考えておりますが、だんだん時間もたっておりますし、同僚議員にいつまでも御迷惑をかけても申しわけないと存じますので、本日のところは一問だけお許しをいただき、残余を明日の機会にしていただきたいと存じます。 つきましては、この医療行政の問題に入るに先立ちまして、先日来報道機関等を通じて大きく問題となり、また、検察当局も事態を重視して糾明に乗り出さんとしております千葉医大の中におけるチフス菌の問題につきまして、厚生当局はその実情をいかに調査検討しておいでになりまするか。これは重大な人道問題を内包しておると申し上げても過言でないと存ずるのであります。したがいまして、私どもは、軽々に報道機関の報道をそのまま受け取るという軽率な態度はとりたくありません。しかし、厚生当局が、しかも国の検察当局の発動をも起こそう、引き出そうとしておるこのときにあたって、この問題に無関心であられるはずはないと存ずるのでありまして、その調査の内容と状況の御報告をこの際求めたいと存ずる次第であります。その点につきまして、厚生当局の御答弁をわずらわしたいと存じます。
○中原政府委員 今回の腸チフスの流行につきましては、私ども、三島におきまして一月から三月の流行につきまして調べ、それから昨年の七月の千葉大学における発生につきまして、疫学的にいろいろ調査をしていったわけでございます。その疫学的の調査の問題につきましては、私ども三十一日、それから一日と、状況を一応法務省、検察庁あたりに報告をいたしました。そういう状況でございます。
○足鹿委員 内容はどうですか。
○中原政府委員 ただいまここに、内容につきましては全部詳しい資料を持ち合わせてございませんけれども、三島におきましては、四十二名の腸チフス患者が出、その腸チフス患者も医師とか職員とか、あいるは外来患者とか、そういうものに腸チフスが出、それから千葉におきましても、その職員におきまして腸チフスの患者があったということでございます。
○足鹿委員 本問題につきましては、淡谷委員も当委員会におきまして先般御質問になっておりますし、当委員会といたしましてはきわめて重大関心のあるところでございます。したがって、本問題が今後いかように展開されるか、捜査当局が乗り出されておる段階において、その事態をこの際御報告願うことが困難といたしまするならば、厚生当局においては——これは、いままでわが国の医療行政の面においてかつてなかったことのように私どもは判断をいたしておるのであります。したがいまして、最も権威のある大学の医療当局に新聞で報道されるがごとき事態がもしあるといたしまするならば、これはゆゆしきことになりましょうし、また、そうでないといたしまするならば、事の真相はもちろん明らかにし、国民の医療機関に対するところの信頼をまた高めていかなければならないと思うのでありまして、これは司直の手にかかるかかわらないは別として、厚生省当局としてはこの実態、今後の対策というものについて真剣に取り組まれる必要があろうかと存じますが、厚生大臣の御所見をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
○鈴木国務大臣 この問題は、ただいま足鹿さんが御指摘になりましたように、わが国の医療行政の面からいたしましてきわめて重要な問題でございまして、厚生省といたしましては、この異常な事態が発生を見ましてから、疫学的な立場また医学的な立場で鋭意調査をいたしてまいったのでありますが、厚生省の段階といたしましてはこれ以上さらに突っ込んだ調査は困難であると判断をいたしまして、この点を法務省、検察当局に御報告、御連絡をいたしまして、検察当局の自主的な判断に基づいて今後の取り扱いを進めていただくことに相なった次第でございます。厚生省といたしましては、今後疫学的また医学的観点から、この捜査当局の調査に対しまして全面的な御協力をいたしたい、そしてすみやかに事態を明らかにいたしまして、今後の医療の問題につきまして国民の疑惑を解消し、心配のないように適切な措置を講じたいと考えておる次第であります。
○田中委員長 次会は明七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後六時五十六分散会