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51回国会衆議院1966/04/05

社会労働委員会 第17号

発言数
49
登壇者
16
会派数
2
開催日
1966/04/05

会議録

田中正巳自由民主党

○田中委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 提案理由の説明を聴取いたします。小平労働大臣。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 ただいま議題となりました失業保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  日雇い失業保険制度は、日雇い労働者の失業時における生活の安定をはかることを目的として、昭和二十四年、第五回国会における失業保険法の一部改正によって創設され、社会保障政策並びに雇用失業対策の一環としてその機能を果たしてまいったところであります。  現行の日雇い失業保険金日額は、昭和三十六年における失業保険法の一部改正によって定められたのでありますが、最近における日雇い労働者の賃金の実情にかかんがみ、今般その保険金日額の引き上げ等を行なうこととしたのであります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。  第一に、日雇い失業保険金の日額の引き上げについてであります。  現行制度では、日雇い失業保険金の日額は、第一級三百三十円、第二級二百四十円とされておりますが、現行の日額は、すでに申し上げましたように、昭和三十六年に定められたものでありまして、その後現在までに日雇い労働者の賃金額も相当に上昇しており、実情にそぐわないうらみがありますので、この際、新たに五百円の保険金日額を設け、これを第一級とし、これに伴い、従来の三百三十円の日額を第二級とし、従来の二百四十円の日額を廃止して、給付内容の改善をはかることとしたのであります。  第二に、日雇い失業保険の保険料日額の改正についてであります。  現在の保険料日額は、第一級十六円、第二級十二円とされておりますが、保険金日額の引き上げに伴い、その引き上げ率と同率の改定を行なうこととし、新たに二十四円の保険料日額を設け、これを第一級といたしました。これに伴い、従来の十六円の日額を第二級とし、従来の十二円の日額を廃止するものといたしたところであります。また、新しい第一級及び第二級の保険料日額の区分は、日雇い労働被保険者に支払われた賃金日額六百六十円以上の場合は第一級、六百六十円未満の場合は第二級といたしたところであります。  なお、保険料日額の改正に伴い、日雇い労働被保険者及び事業主の負担すべき保険料額は、従来どおり労使折半とし、それぞれ、第一級については十二円、第二級については八円とした次第であります。  以上がこの法律案の要旨でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。      ————◇—————

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次に、労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 去る三月十八日、当委員会におきまして私は出かせぎ問題について関係当局に御質問をいたしました。その節相当大部分の質問が残っておりますので、お許しをいただきまして、本日はこれを継続さしていただきたいと存じます。  先回において私がお尋ねをいたしました点は、主として出かせぎ農民の悲惨な状態について実情を申し上げ、しかもその出かせぎ者が不当な労働条件のもとにあって、賃金の不払いその他によって非常に困っておる、また一面、動物的な生存ともいうべき非人間的な飯場において、労働基準法の外で毎日を暮らすことを余儀なくされておる、これらの点について、労働大臣を中心にお尋ねをいたしました。いろいろと御所見を承ったわけでございますが、その際、いろいろお尋ねをいたしました際におけるその後とられた措置があるように思いますので、これをひとつ最初にお伺いいたしたいと思います。  その一つは、先般労働省は飯場の一斉検査を行なわれたと聞いております。その検査の月日、規模、方法、またその結果をどういうふうに把握され、どういうところに問題点があって、今後これに対処されようとしておりますか、その点について具体的に御説明をお願いいたしたいと思います。  第二点は、去る四月一日、労働、建設両省間において通報制度なるものが新設されたと聞いておりますが、その趣旨は、悪質の建設業者を締め出しをはかるということにあるように承っておるのでありますが、適当な機会だと考えますので、その内容について説明をせられ、運営方針等について明らかにしていただけば幸いかと存じます。  なお、二つの問題については、資料として後日に御提出を願いたいと思っておりますが、とりあえず、この二点について御説明をわずらわしたいと存じます。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 出かせぎ労働者の問題につきましては、諸先生から御熱心な御質疑あるいは御忠告等もございましたので、労働省といたしましてはさっそく各般の施策を行なったわけでございます。  一つは、ただいまお話がありましたとおり、建設業界の代表者に集まってもらいまして、まず業界自体の自主的な近代化と申しますか、従来至らなかったところを改める体制をぜひ具体的に示してほしい、こういう点を要望をいたしたわけでございます。これにこたえまして、近いうちに建設業界自体の改善策というものが出てまいるものと目下期待をいたしておるところでございます。  さらに、それとあわせまして、これまた御指摘の飯場の実地検査と申しますか監督をいたしたのであります。これが詳細につきましては後ほど基準局長から御説明を申し上げますが、聞くところによりますと、各業者と申しますか使用者側においても、これを契機にいままでの施設等について反省するところが相当あるようでございまして、これにつきましては基準局長から詳細御説明を申し上げさせたいと思います。さらに第二の通報制度の点につきましても、かねがね建設省と、不良の下請等を使った場合にこれをどう処置するかということについて協議をいたしてまいったところでございますが、建設当局も非常な御熱意をお示しいただいて、先般一応の結論が出まして、その結果、下請等で賃金未払いであるとかそういった問題を引き起こすようなものに対しては、その下請業者自体のこと、さらにはそれが元請との関連におきましてもこれを今後お互いに通報し合って、指名の際の基準がございますので、指名の際にそういったものについては考慮をいたしていこう、こういうことに相なったわけでございまして、これにつきましても、詳細は引き続いて基準局長から御説明を申し上げたいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 まず第一に、三月十四日から一週間行ないました南関東四県の建設業関係の監督実施状況の中間報告を申し上げます。  この監督の結果報告は、四月二十日が期限となっておりまするので、まだ報告が全部集まっておりません。したがいまして中間報告というふうにおとりいただきたいと存じます。  監督を実施いたしましたのは、主として宿舎を中心に行なったわけでありますが、監督を実施する目標数は、東京九百、神奈川五百、千葉三百、埼玉三百、合計二千を目標として設定いたしまして、一週間一斉に監督をしたのでありますが、現実に実施いたしました数は、目標数をこえまして、二千二百八十九監督を実施いたしたのであります。  監督の内容は、寄宿舎関係を中心に行なったわけでありますが、賃金不払いにつきましては、現に飯場に寄宿いたしておりまして、まだ仕事をしておるという関係がございまして、いわゆる賃金不払い事件が成立するに至っておるという件数はほとんどまれであったようでございます。しかし、中間搾取の問題がないかどうかという観点から監督をいたしました結果、容疑があると思われるものはございます。これにつきましては捜査その他の問題がございますので、詳細はいま手続進行中でございますから、遠慮させていただきたいと思いますが、容疑はある。これについては手続を進めておるということを御了承いただきたいと思います。  それから寄宿舎につきましては、かねてから第二種寄宿舎であるけれども、出入り口が一カ所しかないとか、いろいろ御指摘を受けております。この点につきましては寄宿舎規程違反もございまして、使用停止を命じたものも、いままでわかっておりますものでも三十数件ございまして、これを四月二十日の報告が全部まとまります時点において調べましたならば、あるいはもっと多くなるかと存じます。ただ注目すべき現象は、この前、足鹿先生が本委員会で質問なさいましたときに、大臣が、一斉監督実施中であるという御答弁をなさいました。これは業界方面においてもそういった事実は明らかになったので、ただいま大臣からお話がございましたように、会社の重役などが自分の休日を返上して寄宿舎を回りまして、出入り口が一つしかないのを、パイプハウスのごときは、溶断いたしまして、別に出入り口を一つつけるとか、いろいろな措置をとり行ないまして、これは結果的によかったのかどうか、ちょうど一斉監督実施中であったわけでありますが、監督実施の事実が明らかでありましたので、そういった、放置すれば寄宿舎規程違反になるものを、幹部が督励してパイプハウスの壁に穴をあけて出入り口を急造したとか、そういった現象がかなり見られたということが一つの特徴であります。まあ、こういったことがよかったか悪かったか、両方の見方がございますので、いま軽々に是非を結論づけるわけにいきませんけれども、そういった現象があったということを申し上げておきたいと思います。  そうして、寄宿舎の問題につきまして、今回は南関東を中心に行なったわけでありますが、特徴的な問題としては、まず第一に、寄宿舎用地の入手難ということから、本来は仮設の寄宿舎でございますけれども、簡単に土地が得られないということからして、第二種の寄宿舎ではありますけれども、だんだん寄宿舎の設置期間が長期化するという傾向が見られる。また、構造も二階建てのものがだんだん多くなってきておるといったようなことからいたしまして、都市におけるこういったいわゆる飯場につきましても、いま申しましたような事情からしまして、設置期間の長期化、高層化といったような問題がございます。また、元請が寄宿舎を設置いたしまして、これを下請の労働者に利用させるといったような関係もだんだん多くなってきておるようでございます。これらの点は、現行の寄宿舎規程における第二種のものにつきまして、今後どうするかという問題点を示唆するものと私ども感じております。先般来本委員会におきまして、大臣からも、事業附属寄宿舎規程の第二種については検討を命じておるというお答えがございましたが、いま検討の過程におきまして、ただいま申し上げましたような事実が都市部においては特徴的となっておるということは、非常に有益な資料を得たものと私どもは存じておる次第でございます。  先ほども申し上げましたように、四月二十日が報告期限となっておりますので、労働基準法及び付属法令の違反件数が何件あったかというような数字はまだまとまっておりませんので、報告をいたしかねますが、以上中間報告として申し上げた次第でございます。  次に、通報制度の問題につきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、建設省の格別の協力を得まして、三月二十四日、労働基準局長通達といたしまして、都道府県労働基準局長に通達いたしますと同時に、都道府県知事及び関係機関にも連絡申し上げました次第であります。  内容は、概略申し上げますと二点ございます。第一点は、入札参加者の資格審査項目の中に、労働者の福祉に関する事項が新たに加えられたということに関連いたしまして、賃金不払い等の事件を発生した場合に、これを建設大臣認可の登録業者に対しましては直接建設省に、都道府県知事が認可いたします者については都道府県労働基準局長から関係都道府県知事へという通報の制度を設けたことであります。ただいま申しましたように、労働基準法第二十四条の賃金不払いの問題のみならず、第二十三条で労働者が退職した場合の金品の返還に関する規定がございます。従来の賃金不払いといわれますものは、二十四条違反より、この二十三条違反の場合が少なくないのでございます。退職直後に金品を返還すべき義務があるにかかわらず、その義務を履行しないという問題が多くございますので、この二十三条または二十四条違反の賃金不払いがあった場合に、労働基準監督機関から是正勧告を出すという手続をとる場合がございます。その是正勧告を行なった場合にはこれを通報する。まだ送検するとか罰が決定するとかいう段階に至らぬ以前におきまして、違反の事実あり、これを是正すべしとして勧告された段階において、まず通報するという制度を考えたわけであります。  その賃金不払いの形でございますが、下請のまた下請が賃金不払いを行なっておる、元請はどういう関係にあるかということがかねて御議論になってこられたところでありますが、その場合の賃金不払いの下請、元請の関係につきましても、次の三つの場合には元請にも責任ありとして通報するというふうにいたしております。  まず第一に、「下請代金の支払遅延その他下請の賃金不払に関する経済的原因が元請建設業者にある場合」代金の支払いが遅延しているといったような場合、それから第二は、下請のまた下請というように「不当な重層下請施工の放任その他下請施工に関し元請としての施工管理が著しく不適当であると認められる場合」という重層下請に伴う管理の不十分に基因する賃金不払い、それから第三は、「当該下請建設業者に賃金不払の前歴がしばしばあることを知りながら、工事を下請させ、賃金不払が生じたと認められる場合」以上三つの場合につきましては、その元請にも関係ありとして通報の対象とする、かようにいたしたわけであります。この通報につきましては、昭和四十年第三四半期の事件から通報いたすということにいたしております。  次に、大きな内容の第二でございますが、建設業者が罰金以上の刑に処せられた場合における通報制度であります。先ほど申し上げましたのは、勧告した段階における通報でございます。建設業者が労働基準法または労働災害防止団体等に関する法律に違反して罰金以上の刑に処せられた場合におきましては、建設業法第二十八条第一項第三号前段の「建設業者又はその営業所を代表する者がその業務に関し法令に違反して罰金以上の刑に処せられたときに該当いたしますので、同法第二十八条または第二十九条に基づきまして、建設大臣または都道府県知事は、登録建設業者に対して必要な指示、六カ月以内の営業の停止、または登録の取り消しを行なうという制度がございます。この制度に乗せようとするのが第二の方法であります。この場合の通報のしかたにつきましても、先ほどの是正勧告をいたした場合とほぼ同様でございまして、建設大臣登録業者については、労働省から建設大臣に通報する。都道府県知事登録業者については、当該建設業者を司法処分に付した都道府県労働基準局長から、当該都道府県知事に通報するという方法によりまして、行なうことにいたした次第でございます。  先ほど資料提出のお話がございました。さっそく御提出申し上げるように準備いたしたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 ただいま大臣なり基準局長から、詳細な御報告をいただきまして、熱意ある御施策に対して敬意を表しますとともに、第一の飯場の一斉検査と申しますか、それが、いま御説明になったような効果をすでに発揮しつつあるということは、まことに喜ばしいことだと思います。したがって、その四月二十日における最終報告を取りまとめられた後において、十分検討なさって、今後これをただ単に南関東に局限せずして、全国にこれを施行せられることが、この際必要ではなかろうかと思うのであります。一挙にはどうかと思いますが、やはり手をつけられた以上は、これを局部にとどめることなく、すみやかに全国の基準監督署を督励して適用され、成果をあげられることを期待してやみませんが、この点について大臣の御所見も承っておきたいと思いますし、なお、ただいま通報制度について御説明がございました。私はその成果があがることを期待するものでございますが、要は両省間における、あるいは出先、あるいは地方公共団体との間における迅速な連絡と事務処理、運用の妙諦を発揮されることが、きわめてこの制度を成果あらしめるかいなかにかかっておるのではないかと思いますので、この点につきましても、設けたばかりの制度でありますから、この際是非を論ずることは差し控えまして、ただいま私が指摘いたしましたような点を十分配慮して、まず運用され、その結果に基づいて、さらにまた、問題があれば措置するというふうにされることを期待いたしますが、この点についても、迅速なる事務処理によって十分効果を発揮し得るように、一段と御指導をこの際にわずらわしておきたい、かように思いますので、この点について、労働大臣の御所見を承りたいと存じます。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 まず第一点の監督の問題でございますが、これは、先ほど局長からも御説明申し上げましたとおり、南関東地区だけの監督におきましても、相当の成果があった、こう思っておるわけですが、御報告申し上げましたとおり、中には会社の幹部がみずからあらかじめ改善をはかったというようなこともございます。しかし、私は、要するに飯場そのものが改善されて人が住むに足るような飯場になれば、これが一番けっこうなことでございますので、あえて違反者を摘発するのが終局の目的ではない、私はこういうふうに心がまえておりますので、その点はあらかじめ直したこともけっこうである、私はそう考えております。  なお、これを全国的に及ぼせ、こういうことでございますが、この点は、私としましても、もちろん逐次全国に及ぼして、できるだけ広範にやってまいりたい、かように考えております。これも予告するようなかっこうになるか知りませんが、このことによって業界がみずから直してもらえば、私はそれでけっこうじゃないかと思います。それにもかかわらず、予告をしておるにもかかわらず、なおかつ直さぬというような向きに対しては、厳重にこれは法に照らして処断していく、こういう方針で臨みたいと思います。  第二の通報制度の関係につきましても、先生お示しのとおり、せっかくこういう制度を両省間でつくりましても、これが円満にあるいは迅速に実施に移されないというのでは、効果が出ませんから、この制度が十分その目的を達しますように、両省間の連携を一そう密にしまして、今後十分御趣旨に沿うように進めてまいりたい、かように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 了承いたしました。十分御善処あらんことを希望いたします。  さて、先日の続きに入りたいと思いますが、本日は、社会保障の問題について、出かせぎ者に対するこの適用の問題について承ってみたいと思います。  出かせぎ者の職場には、先ほど来も問題になっております土建業者、その重層下請との関連が非常に重要な問題になっておるわけでありますが、この重層下請の場合には、ほとんど労災保険あるいは失業保険あるいは健康保険といったような各種の社会保障が全然行なわれておらない。もちろん、有給休暇などもない。先般も同僚委員から指摘がありましたように、けがをしたり死んだりしても、そのような場合は労災保険ももらえないという実例がざらにございます。政府はこの実情を御存じないはずはないのでありまして、ぜひその指導を強化して、そのようなことの絶無を期していただきたいと思いますが、私はここに、大臣にお目にかけてもいいのでありますが、これは、私どもが先般西日本の大会を開きました際に、参加いたしました出かせぎ者から見せてもらって、預かっておるものであります。これは大阪のさる土建業者の二月分の半月分の給料明細書でありますが、屋働計が九・三人、残業の計が一万三千九百五十円、夜働の計が七・一人役で一万六千三百三十円、出来高合計金が三万二百八十円、その中でたばこ代だとか酒代だとか食事代というものが六千二百六十円差し引かれておりまして二万四千二十円ということになる。これ、ごらんいただいてもけっこうでありますが、失業保険の差し引きもありませねば労災の差っ引きもない、健康保険の差っ引きもない。何もありません。そういう状態でございます。  これはたまたま私どもが手に入れましたからお見せすることができると思いますが、労働基準監督署あたりはざらに御存じだろうと思います。別に新しいことを奇をてらうわけではありませんが、やはりごらんをいただくことが一番実感が伴うと思って持ってきたわけでございます。そういう実情にあるということを大臣も十分御認識になりまして、人間存在の基本的な姿すらも破壊されておるこの状態を何とか改善してもらいたい、そのために努力をしていただきたいと思います。  具体的な問題としてお尋ねしたいのでありますが、四カ月以上の出かせぎ者に対して、一カ月一日以上くらいの有給休暇を与えるようなことはできないものであろうか、そういう指導はできないものであろうか。また一定日数の忌引き有給休暇制、あるいは公職選挙法による選挙投票の有給休暇を認めるといったようなこともあわせて検討してもらったらどうか、こういうふうに思うのでございます。特に指摘しておきたいことは、失業保険等は労働者の死活の問題でありますから、やはりすべての職場に強制適用を行なうべきではないかと思うのであります。と申しますのは、現在の失保の受給につきましては、法律第十四条によりまして、一カ月のうち賃金支払いの基礎となった日数が十一日未満の場合は被保険期間に算入されないということになっておる。このため、たとえば給料が二十日締め切りの職場に就業した出かせぎ者の場合は、十日に就業した場合には十日から数えて十一日間ありますから、一カ月就労として被保険期間に算入されますが、何かの都合で一日か二日おくれて就労した者は九日間なり十日間働いたにもかかわらず、一日、二日の都合でその月は被保険期間がゼロということになっておるようであります。そういう場合が出かせぎ者の場合には特に著しいようでございます。このような弊害を解消するために何らかの措置をおとりになる必要があると私は考えておるわけでありますが、失保の窓口規制は最近なかなか厳重をきわめておるようでございまして、あなた方の態度と私が要求しておりますこととは相当隔たりがあるように思いますが、これは出かせぎ労務者の職場における実態でございますので、特にこの点について私は大臣のあたたかい措置を講ずるための御所見を承っておきたい、かように思うわけであります。ただいまの給料袋等もごらんになりまして、三法の適用の問題、その厳正実施のための監督指導、また有給休暇その他に対するところの大臣の率直な今後の御所見があれば承っておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 労働省所管の関係では労災保険と失業保険ということになっておりますが、ただいま先生から見せていただきました給料袋の労災保険の関係は、これは建設業の関係で強制加入になっていますから全部入っておる。こういうわけでございますが、保険料の関係は事業主のほうの負担ですから、これは給料袋とは関係ない、こういうことだと思いますが、失業保険の関係につきましても、原則としては四カ月以上の就業者は出かせぎであろうと何であろうと入る、こういうことでございますが、なお失業保険の関係につきましては保険事業本来の立場というものもございますので、ここに若干の規制をいたしておるということも事実でございます。  なお、先生からお話がありました有給休暇の問題あるいは失業保険での取り扱いの問題等、いずれも出かせぎ者にとりましては非常に重要な問題である、こう思いますので、よく検討をさしていただきたいと思いますが、なお詳細につきましてはそれぞれ局長から御説明を申し上げたいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 保険関係につきまして、労災保険の場合はいま大臣から大要お話がございました。御承知のように労災保険は建設業には強制適用になっておりまして、しかも保険関係の成立は、数次の請負事業の場合におきましては元請人のみを適用事業の事業主とするというように労災保険法第八条で定められております。したがって、元請のほうで一括して払いますので労働者の賃金支給の場合の諸経費差っ引きの問題にはならぬわけでございます。ですから、大臣が申し上げましたように給料明細書には出てこない、事業主が払うということでございます。  なお、労災保険に入っていないとか、いろいろな話を耳にするのでありますが、いま申しました関係で下請が入ってなくても元請で一括して入っておりますので、保険関係は建設労務者についてはすべて成立しておるということであります。問題は、従来の制度で給付制限という制度がございまして、保険料を納めていない場合には保険給付について給付制限が行なわれておりましたが、昨年の労災保険法の改正によりまして、保険料滞納の場合も労働者には法定の給付を全額行なう、滞納部分については別途それぞれに見合う保険料を徴収するというふうにいたしまして給付制限という制度を廃止いたしました。したがって、今後保険料の滞納いかんにかかわらず労働者にとっては全額保険給付がなされるということになっておりますので、先生御指摘の点につきましては、労災保険についてはまず問題がないではないかと思っております。  それから有給休暇を年次有給休暇のような形で考えたらどうかという御指摘でございますが、御承知のように、年次有給休暇といわれるものは一年間継続勤務した、しこうして八割以上出勤したという場合に設けられた制度でありまして、この制度を数ヵ月しか働かない労働者に押し及ぼすかという点につきましては、臨時工その他短期就労者一般に通ずる問題があるわけでございますので、私どもはこの点なお慎重に検討させていただきたいと思います。当面切実な問題は、労働基準法で定められました週休制すら行なわれていないということではなかろうか。年次有給休暇として一日いただいても、一日で郷里に帰れるかどうかということになりますれば、問題があるわけであります。その週に一回与えられる休日が正確に守られておるならば、実はほとんどのこの問題は消えるのではなかろうかというような感じを私ども持っております。先生御指摘の出かせぎ労働者の団体がございます。私どもも従来幾回となくお会いしたことがございますけれども、週休すら与えられていないということに問題の根源があるやに私は了解いたしておったのでございますが、この労働基準法の週休制を確実に守らしめる、こういった点につきまして私ども当面努力を払ってまいる、しこうして一方におきましては、大臣の御答弁のように、今後さらに検討をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 御指摘の失業保険法十四条の被保険者期間の問題でございますが、十一日以上であれば一カ月計算、未満であればその月は算入しない、この条項につきましては、立法当時の経過から申し上げますと、月間の就労日数の半分という考え方でこの十一日というのを割り出しておりますが、現在の実情からいたしますと、十二日か十三日ぐらいに実はなるのでございます。御承知のように、日雇いの失業保険というものが別にありますので、常用労働者としてはこの程度の制限がないと日雇いとの区別もつかなくなってくるというので、私どもといたしましては、この十一日の計算期間はこれがぎりぎりではないかというふうに考えております。一方では、六カ月の最短期間で失業保険の受給資格がつきますので——六カ月と申しましても前後の月がそれぞれ十一日ずつという計算をいたしますと、四カ月と二十二日で実は失業保険がつくわけでございます。そういった点で、この被保険者期間をもっと厳格に延長すべきではないかというふうな意見も一方にございますので、私どもとしましては、この十四条の問題は慎重に検討してまいりたいという考え方でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 この問題につきましては先般の質疑の際にも触れておりますし、十分慎重な御検討をいただきまして御善処を強く要請いたして次に移ります。  次に、就業あっせんと監督の問題について伺いますが、職安は出かせぎの実態を十分把握した上で就労あっせんをしておいでになるかどうか。これは限られた人員で遠距離にあるところにおいては、相互の機関を動員して御連絡になるわけでありますから、そう十分とはいかないまでも、一応把握しておられるものだと思っておるのでありますが、しかし実際にあたって見聞するところは、出かせぎ者の中で行くえ不明者がある、その原因をいろいろ聞いたり見たりしますと、最初地元の職安で聞いて出たときの就労条件と、行ってみると実際と相当食い違っておる、そこでしょうがないから一週間か十日でまた次の職場に変わる、それ以後転々とするうちに、先般も述べましたように行くえがわからなくなって家族との音信がとだえてしまう、こういう事例があるようであります。別にこれは職安当局を非難するとかどうとかいうことでなしに、実態としてそういう姿がある、このことを御認識を願っておきたいと思うのです。  そこで、職安の就労あっせんの場合の問題ですが、就労先の実態、求職者の実働などを十分調べるための何らかの措置がこの際必要ではないか、そういう事態が起きておるのではないかと思うのであります。私の地元の職安では、出かせぎは奨励すべきではない、しかし、かといって、出かせぎ者が悪い条件のところに出ることを手をこまねいて見ておるわけにもまいらない、何とかいい方法はないものでしょうかといって真剣に心配をしてくれておる。その結果がこの間の出かせぎ大会にみずから進んで、やはり西日本の声が聞きたい、現地のなまの姿が見たいというので、一緒にバスに乗って出られた。私はその熱意に非常に動かされたわけでありまして、そういったようなことから、県におきましても職安の予算なり調査活動というものについて、予算的に何とか協力態勢を整えたらどうか、こういう動きも出てきまして、明年度からわずかではありますが、出かせぎ調査費として県費を計上してもらっておるわけであります。私はこういう動きが各県にあると思うのでありまして、そういうことを契機にしてこの調査に真剣に取り組んでもらいたい。そうして、新しくこの職安の仕事の中に出かせぎ者に対するウエートが相当重くなってきておる、したがって職安の機構、予算の面からも、制約があるならばそれを除去し、新しく充実した内容に改善する必要があると思うのであります。これは一つの政策問題でありまして、事務上の問題とは考えませんので、労働大臣にこの点の御所信を承っておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 出かせぎ問題につきましては、いまお示しのありましたようないろいろな問題が現に存するわけでございますので、まず第一に労働省としましては、出かせぎ者が安定所を通じて正常ないわゆるルートで就職をされるように、ぜひそういう方向に指導をしたいということでいろいろくふうをいたしておるわけでございますが、現実の姿はどうかと申しますと、大体出かせぎ労務者の約二〇%程度が安定所の紹介で就労しておる、その他は大体縁故で就職をしておる、こういうような事情でございますし、また安定所の数そのものも全国で四百五十八カ所ということでございまして、すべて直ちにこの安定所を通じて就労をしてほしいと申しましても、実際問題としてなかなかそうもいかぬという事情が存するわけでございます。また就労者の中にも税金の関係その他でことさら安定所を通ずることを避けるという面、これも全然否定するわけにもいかぬようでありまして、そういう問題もあるかもしれませんが、いまお話のような問題が生じますので、われわれとしてはできるだけ安定所を通じて、いわゆる正常ルートで就労をしてもらいたい、こういうことでつとめておるわけであります。それがためには四十年度からは御承知のとおり出稼労務者対策要綱というものをつくりまして、出かせぎ者の台帳もつくり、一方においては出かせぎ等を使用する事業所の台帳もつくる。この間、出かせぎ者に対しては巡回指導をやるとか、いろいろのことを行ないまして、あらかじめこの出かせぎについての労働条件等についても十分これを承知をしてもらう、また、行き先においても、その条件が守られるように指導する、こういうことをやっておるのでありますが、中には募集の際の条件と実際とが違うというような事態が起きて、いまお話のように意に満たないで他にかわる。それが次々と行なわれることによって行くえ不明者が出るということも確かにあるようであります。もちろん当局としては募集の際の条件、就労後の条件が違うというような場合がありますならば、就労経路のはっきりしておる場合には事業所について十分指導監督もできるわけですが、そうでない場合、つまり安定所を通じない場合にはそういうことがなかなかできかねる、こういう事情に相なっておるわけでありまして、労働省の立場から申せば、いま申しましたようにできるだけ就労経路を安定所を通じてやってもらう、それと就労地におきましても、そういう条件が異なるというような場合には、どしどし現地におきます安定所なり、現地には相談所等もできるだけ設けることにいたしておりますので、そういうところにどんどん申し出ていただいて、当局が指導しやすいように、これは出かせぎ者側にもひとつ御協力を願わなければ、なかなかその目的を達し得ないのではないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題は、いまや社会問題にもなっておるわけでございますので、私どもとしては関係の自治体なり、あるいは農業委員会等ともできるだけ連絡をとりまして、こういう事態が一日も早く解消いたしますように最善の努力を今後ともいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、先生も御承知のとおり、この季節的な出かせぎ等につきましては、なるべくいわゆる通年雇用にいくことが望ましいのではないか、こういうことから新たに使用者側に通年作業、主として工事でございますが、そういうものができるような施策をやってもらうことがやはり望ましい、こういう立場から今年度は新たに三億円ほどの主として冬季でございますが、冬季の作業もできるような施策を行なう向きに対して融資をしようということで、そういう融資制度も今度設けることにいたしたような次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 十分御努力になっておると思いますが、さらに一歩を進めて、私が申し上げております就労条件と実地との食い違い等のないための具体的な措置を十分講じていただきたい、このことを強く要請申し上げておきます。  次に、監督について申し上げますが、さて就労してみた。ところが出かせぎ者の気持ちとしましては、なるべく帰るときにたくさん金を持って帰りたい。そのために残業をみずから進んでやらしてくれという気持ちになっておるようです。農村で鍛えておりますから、わりあいそういうことにも耐久力があるわけですが、そういう点を足元を見るというか、どうもこの辺に問題があるようなんです。たとえば深夜業、仕事によっては連日夜間のみの作業をやるところもありますようですが、この残業した場合でも、労働基準法にうたわれておる二割五分の割り増し賃金を払っていないところが相当あると言われておる。これに対して労働基準法に違反する行為としてどういうふうに現状を規制し、労働基準法の厳正実施をはかられようとするか、これが一つ問題だと思うのであります。聞くところによりますと、労働基準監督署は、一人で千の職場を監督官が担当しておると言われておる。ほんとうとは信じがたいような過重労働になると思うのですが、そういうところから善良な意思とは別に手抜かりが出てくる。そのすきを見て、深夜業その他に対するところの基準法違反が横行する、こういうことになろうかと思うのであります。この点につきましては、先般の予算委員会において、わが党議員の質問によって、労働大臣及び基準局長は、監督官の増員と機動性の増加に努力しておるということでございました。これは職安とやはり一体的な関係において重要なことだと思いますが、労働基準法の厳正実施のために監督官の増員、機動性増加に対する具体的な対策、その見通しをこの際お聞かせを願って、そうして基準法違反の絶無を期し、監督署に勤務している人々の勤務の成果があり、基準法違反に泣き寝入りをすることのないようにはかりたいものだと思うのでありますが、この点について御所見がありましたならば承りたいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 御指摘の建設労務者の就業時間、それと賃金との関係、いろいろ問題がございますし、それからそういった実態を数の少ない監督官でどのように監督するかいろいろ問題がございます。それらの中にあって、建設業労働者の労働諸条件に関する問題をどのような観点から重点的に正したらよいかという点については、やり方がいろいろあろうかと存じますが、私ども一番方を入れたいと思っておりますのは、就業規則を明らかにするということであろうかと存じます。労働組合がございますれば労働協約という形で労働条件が明確にされますが、労働組合がない場合における労働条件の明確化という問題がすべての労働条件の問題の基本であろうかと存じます。そこで、事業場ごとに就業規則を作成すること、及びこれを周知させること、これが諸問題解決の前提になるのではなかろうかというふうに存じまして、監督の場合にもこの点に力を入れておるわけでございます。従来の監督実績を申しますと、年間約四万数千件の建設事業場の監督を年々実施いたしております。全体の監督件数が約二十万でございますので、その五分の一は建設関係の事業場の監督ということに実績が相なっております。過去の監督の実績を見ましても危害防止の問題と就業規則の作成関係を中心にいたしておるわけであります。  そこで、先生御指摘の残業の問題につきましても、就業規則でどのようにこれを定めるかという問題があるわけであります。個々の事業場によりましてかなり事情も違うと思いますけれども、就業規則の明確化という手段を通じましてその点を明らかにしてまいりたいと存じます。  なお、深夜業の問題は女子、年少者の場合と成年男子の場合と違いますので、その点は別でございますけれども、いずれにいたしましても労働条件が就業規則で明確にされておるということが基本ではなかろうかと存ずる次第であります。  そのような状況下におきまして監督官の定員の増加なり機動力の増強がどのように行なわておるかということでございます。昭和三十一年以後三十五年までは監督官数が二千三百八十六名でございました。その後若干ずつ増加いたしまして、昭和四十年度におきましては二千五百九十八名、四十一年度は定員の純増は認められませんでしたが、監督官への定数振りかえといったような形で二千六百八名という数字になっております。事業場の増加と比較いたしまして監督官の増加がもとより微弱でございまして、これで決して十分とは申せませんが、ここ一両年につきましては増員が非常に困難なおりからでもありましたけれども、監督官については若干ではありますが増加をいたしてきたような次第でございます。また、機動力の関係につきましては、地方の基準局、監督署に配置いたしておりました自動車は、特に監督用の自動車としてジープとか特殊な自動車を利用いたしておりますが、百二十台でございました。これを四十一年度ではさらに四十四台追加いたしまして百六十四台、こういう形にいたしおります。もとより基準局については一般の乗用車が配置されております。これは六十台でございます。全体の監督署の数が三百四十二でございます。それと比較しますれば半分程度にすぎない、こういう御指摘もあろうかと存じます。この点につきましては東京、大阪のような交通事情のところと、北海道とか、福島といったような地帯ではかなり交通事情が異なりますので、自動車の使用等につきましては、それらの事情に応じました措置を講じたいというふうに考えておる次第であります。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 御努力になっておるようでありますけれども、二千五百九十八名が本年度予算で二千六百八名としますと、十名の増加、これは御努力の結晶とはいえあまりにも少な過ぎる。たとえば、これは大臣、政府は予算が成立いたしましたが、早期支出によって——公共事業といいますと、ほとんど土木事業になろうかと思います。それがこの大型予算によって全国に施行された場合、労働基準監督署等の活動を要する状態が急激に増加してくるわけで、そのような実態に行政がタイミングを合わせてマッチしないということは、私はそこにいろいろな矛盾を醸成していくことになると思うのでありまして、この点については一方的な変更でなくして、総合的な政府の施策を特にこの人間尊重の立場から対処してもらいたいと思います。十名では、これは御努力にならぬとは言いませんが、あまりにも軽微に過ぎると思いますので、大臣にその点特に御所見を承っておきたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 御指摘のように、人員の増加のほうは思うにまかせませんで、はなはだ残念でございまするが、政府全体として、なるべくいわゆるチープガバメントでやっていこう、こういうことも厳格にやっておりまして、ほかの場合はよほど特殊の場合しか定員増を認めておらぬわけでございますので、やむを得ずこの程度にとどまったわけであります。  そこで、当局側の施策としては、これももちろん思うにまかせませんが、私は単に人を増すというばかりでなく、それにも努力いたさなければなりませんが、やはり機動力をますます増加いたしていく、こういう面により努力を払うべきではないかと考えております。  しかし、さらに申しますならば、私はいわば基準法で定めておるような事項は、これはもう事業主が進んで守る、こういう風潮を助長していく。これが私は一番基本的じゃないかと思う。取り締まりをまって直すなどということは、私は事業主としてはむしろみずからの任務を果たさぬことなんでありますから、事業主に進んで法を守ってもらう、こういう風潮をどうしてもこれは私は強くしていかなければならぬ。先般の業者代表の会合でも、私は四十一年度のいまお話のありました公共事業を特に上半期で六割もやる、こういうたてまえから申しましても、それに即応した体制をつくる意味でも、業界自体がとにかくまずやってくれ、こういうことを強調をいたしておいたようなわけでございまして、この点はもちろん業界それ自体の御指導に当たっておられる建設省等にも十分御協力をいただいて、あえて取締まりをまたぬでもまず自分からやるんだ、こういうことにぜひなってもらいたい、私さように考えており、その面で私どももできるだけ努力いたしたい、かように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 もう三点あるのですけれども、関連があるそうですから、この際ちょうど切りがいいから、関連をやってもらいます。

栗林三郎日本社会党

○栗林委員 最近産業災害が続発しておるのでありますが、これらの問題につきましては別の機会に質疑をし、十二分に討論をし、検討して具体的な産業災害の防止対策を樹立しなければならないと思います。しかし、きょうは関連質問でありますので、これらの根本的な対策につきまする質疑は次の機会に譲りたいと思います。  特にきょうは、去る三月二十二日に発生しました長野県奈川渡ダム崩壊事故による十一名の惨死事件がございましたが、この奈川渡ダムの崩壊事件に関してお尋ねをいたしたいと思います。  まず、この崩壊事件によりまして、労務者は十一名死亡したのであります。この犠牲になりました十一名の方々に対しまして、及びその遺族に対して、私は深甚なる弔意を表するものであります。  この十一名の労務者の中には、出かせぎ農民が五人おるのであります。内訳を申し上げますと、山形県村山市出身の者が三名、宮城県河北町出身の者が二名、以上五人でありますが、特に宮城県の今野哲夫さん、今野義之さん、の二人は一月までは郷里で働いておりましたが、四月になれば再び郷里に帰るという約束のもとに、二月の七日にこの崩壊しました現場に就労したのでございます。働いてからわずか一カ月余りでこれらの災厄に遭遇したわけでありまして、まことにお気の毒にたえざるところであります。つきましては、この際、これら十一名の犠牲者に対する労災補償の手続はどうなっておるのか、さらに法律以外の道義的な立場においての下請である松井建設、元請である鹿島建設及び発注者である東京電力等が、どの程度の弔意の方法を講じてくれたのか、これらの点につきまして、ひとつ御報告願いたいと思います。  それからもう一つ、この事故の発生の原因並びに経過等につきまして、簡単に御報告をお願いいたしたいと存じます。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 御指摘の東京電力安曇水力発電所及び奈川渡ダム建設工事における災害は、三月二十二日午前七時二十分ごろ発生したものでございまして、災害の種類といたしましては、土石崩壊災害というふうに判断いたしております。  御承知のように、この事業の元請は鹿島建設でありますが、松井建設がこれを下請いたしておるわけであります。災害防止の関係につきましては、元請の鹿島建設安曇出張所長が統轄管理者となり、安全管理者を九名置く、また下請の松井建設におきましても安全管理者を置くというような、安全管理体制につきましてはかなりの努力が払われておったように存じます。しかるにこのような災害がいかにして発生したかということにつきましては、現地の気象状況等の影響もございまして、連日の積雪地における雪または雨の交互の降雪、降雨があり、それが地盤に影響を及ぼしまして、従来現地に土石落下の場合の金網その他事故防止をいたしておりましたけれども、土石落下という現象よりも、むしろ地すべりとでも称すべき現象が起こりまして、従来設置いたしておりました石などの落下防止の措置では十分でなかった、地すべりを起こしまして、それによって多数の労働者が生き埋めとなり、死亡したということでございます。  この災害発生直後、労働省といたしましては現地の局長、所長を派遣いたしますと同時に、本省からも安全専門官を派遣いたしまして、調査に当たったわけでございます。  その内容については、先生も御承知であろうと存じますので、省略いたしますが、補償関係について申し上げますと、労働者一人当たりの平均補償額は六十三万四千円、もちろんこれは年金でございますので、年金の総額ということではなくて、前払いの場合を想定した金額でございます。この合計額が六百九十七万六千九百円となっておりまして、補償費支給については別段問題はございません。しかしながら、先生御指摘のように、元請会社といい、関係発注事業場といい、相当大きな、いわゆる大手筋の業者が関係しておるので、法定補償費以外に見舞い金その他社会的な補償と申しまするか、そういった点について十分な努力がなされておるかどうかという点についての御指摘であろうと存じます。  今日まで私ども承知いたしておりますのは、松井建設から十万円、鹿島建設から十万円、別途香典平均十万五千円、合計三十万五千円の金額が各人ごとに支払われているという情報は得ております。ただしかし、これで十分であるかどうかという点についていろいろ御意見もあるようでございますので、この点についてはできるだけの努力をいたしてもらいたいということを私どもの行政機関を通じまして連絡をいたしておる次第でございます。

栗林三郎日本社会党

○栗林委員 人命は金にはかえられない問題でありますけれども、しかし遺族に対する最大の弔慰の方法は、やはり丁重な見舞い金等がその役割りを果たすものだと思うわけであります。この際法定補償費につきましては法律できめられておりますから、それに基づいてこれは遺憾なく措置されておるものと確信するものであります。またそうなければならないのでありますが、問題は法定補償以外の道義的な問題でございます。ただいまの局長の御報告によりますと、直接雇用しておりました下請の松井建設が十万円、元請の鹿島が十万円、発注者である東電が十万五千円、こういう御報告であります。しかし法律で定まっておるもの以外のものでありますから、権利義務の関係で申し上げるのではありませんが、二月十六日名古屋に発生しましたあのタンカー事件、この際における下請、元請、発注者の犠牲者に対する道義的な見舞い金等に比較しますと、これはあまりにもひどい措置ではないかと考えられるわけであります。名古屋事件の際には下請の明星工業は十万円、これはあとで幾らかプラスされたはずであります。しかし元請である石川島播磨造船所では七十万円見舞い金を出しておるのであります。しかも発注本社であるブリヂストンではやはり五十万という弔慰金を見舞い金として遺族に差し上げておるわけであります。先ほども申し上げましたように人命を金銭で論ずることはできません。できませんが、法律上の責任があるないにかかわらず、道義上の立場から石川島は七十万、発注本社は五十万、労働者にとっては大金であります。こういう弔慰金を霊前に供えてくれたのであります。金額を論ずるならば、多い少ないという議論がまだありますけれども、この名古屋のタンカー事件に対処した下請、元請、発注者であるこれらの会社の道義的な措置に比べますと、今回の奈川渡ダムの法定外補償の道義的な問題につきましては納得がいきかねるのであります。経済力がないというのであるならば、これまた別問題でありますが、下請である松井建設は別といたしましても、元請である鹿島建設は天下の鹿島建設であります。石川島と資本関係において事業関係において甲乙はないはずであります。発注者である東京電力も、これまた独占企業であります。しかも、公共性のある独占企業であります。してみれば、経済能力は十二分にあるのであります。したがってこういうような現場における事故災害の場合には、もっと使用者としての道義的な責任を感じてもらいたい、これはそういう責任のある措置を講じてもらいたいと思うのであります。しかし法律に定まっていることではありませんので、これらのことは行政指導の立場から労働省あるいは出先の基準局が中心になってお世話をしてくれなければ、これら災害者の遺族は泣き寝入りになるではありませんか。私は法定外の補償につきまして、もっともっと真剣に積極的に労働省及び基準監督局は、これらの元請及び発注者に対して話し合いを進めて、さらに深甚なる弔慰の方法を講ぜしめるよう御配慮を望むものでありますが、この点に関しましての大臣、局長の御決意をひとつ承りたいと思います。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 奈川渡の災害で十一名の方がなくなられたことはまことに遺憾でございまして、心から御弔慰を申し上げます。  ただいま元請あるいは発注者側の弔慰金の問題でお話がございました。特にほとんど時を同じくして発生いたしました名古屋のタンカー爆発、その際の弔慰金との比較の話を具体的にお示しになられたわけでございます。この問題につきましては、私どもも元請なりあるいは発注者なりの自発的な、できる限りの弔慰をぜひ希望するわけでございますが、先生のお話の中にもありましたとおり、われわれとして具体的にどの程度まで出せとか、幾ら出してやったらとか、なかなかそこまでいくことは役所としてどうかという、実は率直に申して私はそういう気もいたします。しかしいまお話のとおり、ほとんど同時期に起こりました災害の際の例もあることでございますから、そういう実際の例というものをやはり話をいたしまして、先生からも御指摘があったという事実を伝えて善処をお願いするということにいたしたい、私どもはかように存ずるわけでございます。何ぶん片方に労災保険というものがあって、これは申し上げるまでもなく、万一に備えて全額を事業主が負担してやっているわけでございますから、当局の立場として、どこまでも幾ら幾ら、こういうことまで申すのはいかがか、こういうふうに私は考えております。

栗林三郎日本社会党

○栗林委員 法定外の弔慰金につきましては、法律で規定されていることではないのですから、したがってお話し合いもしにくいと思います。しかしこれを話してくれるのはほかにはおらないわけです。結局は労働省が行政指導という立場からこういう話し合いを持つことは可能だと思いますので、どうかひとつ遺族の立場に立って、もっと道義的な責任を感ぜしめてもらいたい、もっと深甚なる弔慰の方法を講ずることになりますように、一そうの御配慮をお願いしておきたいと思います。  時間がありませんから最後の問題をひとつお尋ねしてみたいと思いますが、この崩壊事件は、私は現地を見てまいりましたが、これは事前に予知のできる崩壊事件だと思ってまいりました。この点については局長はどう見ておられるか。どういうような報告が寄せられておるのか。不可抗力であったのか、事前に予知のできる災害であったのか。この点をひとつ御答弁願いたいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 ただいま手元に詳細な報告書を持ってきておりませんが、私が現地からの報告その他を得まして判断したところによりますと、いわゆる法違反があったかどうかということは別にいたしまして、事故数日前までは作業をしておらなかった。しばらく休止しておりましたところのものを、久しぶりで作業を再開した。ところが雪がまだ若干残っておる。しかも雨が降った。かつ地質は非常にもろい地質でありまして、地すべりがあるかもしらぬということは、万が一のこととしては考えられるわけであります。したがいまして、原因としては、そのような天候及び地質に関係のある事項でございますけれども、地盤のゆるみぐあいに対する注意とか、さらに必要な退避の準備であるとか、念には念を入れてやったならば、あるいは崩壊があっても、労働者はその場から退避できたかもしれない、こういうことは言えるかと思います。ただ、しかし、それが法違反であるかどうか、あるいは過失があったかどうかという点になりますと、念には念を入れという配慮が足らなかったかもしれませんが、社会通念上必要とされるような準備と申しますか、用意はしておったのじゃなかろうか。ただ、たまたまその災害が起きました時点における就労体制が、その崩壊した土砂の上部に見張りを置くとか、下にも置くという作業配置体制が完成しない前に地すべりが起こった、こういうことでありまして、完全作業体制についておったならば、あるいは退避ももっと迅速にいったのかもしれない。ところが、いま申しましたように、監視その他の体制がまだ整わない前に事故が起こってしまった、こういうような関係にあるわけでございます。現に、一人助かりました労働者のごときは、たまたま道具をとりにいったその間に事故が起こって助かったというように、まだ作業に着手する完全体制ができておらなかった、こういうような間における事故でございます。したがいまして、過失ありやいなや、労働基準法の違反ありやいなやという点については、消極的に解せられる条件がむしろ多いと存じます。しかし、今後の災害防止の観点から見ますと、非常な教訓を与えるものと私ども考えまして、今後の災害防止の指導につきましては、この教訓を生かしまして、さらに努力をいたしたいと思います。

栗林三郎日本社会党

○栗林委員 法違反の疑いはないようだというお話ですが、これは私は見解を異にしております。それよりも、法の問題よりも、私はこの災害を事前に予知することができたかできなかったかという問題を提起しておるわけです。  この際お尋ねしますが、昨年この崩壊した山の隣接の山、これは続いておる山です。その隣接の山に大崩壊事件が発生したことを局長は御存じでございますか。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 その大崩壊事件と申しますか、あるいは私どもが承知いたしておりますのと違うかもしれませんが、その地盤自身はもろい地質であって、くずれやすいということは、私ども報告を聞いて承知いたしております。したがって、それあるがゆえにこそ、金網を張りましたり、あるいは傾斜地の表面で鉄線でおおったり、そういった処置を講じておったという点から見ましても、崩落の可能性は予想されておったというふうに思われます。ただ、その崩落が単なる土石落下といったような程度をこえまして、むしろ地すべりというような形で起こったというところに、関係者の予測をこえた原因がそこに発生したというふうに私どもは承知しておるような次第でございます。

栗林三郎日本社会党

○栗林委員 これは崩壊した山の隣——これは同じ山ですよ。その山は昨年大きな地すべり的な崩壊事件がありました。そのために、この山に対しては非常に具体的に綿密な防止、土どめ対策が施工されておりました。ですから、少しぐらいの崩壊事件が起きてもこれはびくともしない、そういうような防止施策が完全にできておるのですよ。これは昨年崩壊したものですから、幸いに人命その他には大きな損害を与えないで済んだ事件でありますけれども、しかし、崩壊事件としてはかなり大きな崩壊事件が発生したわけなんですよ。そこで、これを防止するために、コンクリートで綿密な防止施策の施工を施して、絶対に山くずれなどは起こさない、起きても完全にこれを防止することができる、そういう施工が完全にできておりました。それと同じ山なんですよ。しかも、この山の土質は非常に悪い。地層も悪い。常に山自体が動いておるといわれているほどの土質の悪い山であります。それでありますから、昨年そういうような隣接の山に大きな崩壊事件があるのですから、したがって、同じ山なんだから、当然大きな崩壊事件が発生するということは、ちょっと注意をするならば、私は予知することはできたはずのものだと思うのであります。それにかかわらず、なるほど金網は張ってあった。くいも打っておった。しかし、これは崩壊を防止するための防止施工ではないのであります。石が落ちるとか岩が落ちてくるとか、そういう落石を防止するためのそういう防止網でありまして、山くずれを防ぐことのできるような、そういう強靱な防止施工ではないのであります。私の言いたいことは、昨年隣の山にそういうような崩壊事件があったのだから、当然いまの山にもそういう事故が発生するであろうということは、これは予知することができるわけなんです。それを使用者側が、金がかかるというので、それでこの施工をサボっておった。この責任を私はどこまでも追及しなければならないと思う。ただ、時間がないから本日はこの程度でやめますけれども、この責任は私は重大であろうと思うのであります。法律上のことにつきましては、労働安全衛生規則の百十六条に、「崩壊の原因となる雨水、地下水等を排除すること。」ということが明記されておるのであります。この事件の発生は三月の二十二日だ。前日まで、雨が降っておる、気温が高くなったというので、土の状態、山の状態が非常に悪いというので、危険のために作業は休まれております。この配慮は、松本監督署の指導のもとに行なわれたやに私は承ってまいりました。とにかく、前日まで、作業条件が非常に悪い、山の状態が悪いというので、そこで作業を休んでおる。その次の日はたして好天であったかどうかという点です。なるほど気温は若干これは下がっております。前日のような雨は若干やんでおります。しかしながら、やはり天気が悪い。雨も降っておった。そこで私は、百十六条の「崩壊の原因となる雨水、地下水等を排除すること。」という明記があるのだから、前日来降りたまった雨水が完全に排除されておったかどうかということを確認をしたらどうかということです。百十六条の第三項に明記されておるのです。「崩壊の原因となる雨水、地下水等を排除すること。」この雨水が完全に排除されておったかどうか。こういう点について法違反の疑いが十二分にあるものと私は指摘しておきたいのであります。その法律論よりも、昨年隣の山がくずれておる。同じ山であるし、土質、地層とも同じであります。したがって、隣の山と同じような崩壊事件が発生するということは十二分に予知することができるのです。それにもかかわらず、わずか、落石を防止する程度の防止網しか設置しておらなかったということは、安全管理の面においても、使用者側の怠慢といわざるを得ないと私は思うものであります。  私は、この点につきましては別な機会をお願いいたしまして、産業災害を完全に防止するという立場に立って、これらの問題をひとつみんなで検討いたしてもらいたい、このように考えるものでございますが、以上の質問で私は終えますが、これに対して、ひとつ当局の御答弁をお願いしておきたいと思います。

村上茂利労働基準監督官(労働基準局長)

○村上(茂)政府委員 現地にお出ましいただきまして、非常に綿密な御調査をいただいておりますから、あるいは私より先生のほうが実情をよく承知しておられると思います。ただ、お話しの点は、崩壊の危険がないだろうというのでのんびりして作業をやっておったというのじゃなくして、御承知のように、すでにコンクリート打ちをやりまして側壁をつくっておったこと自体が、崩壊の危険があるということを予知しましてそういった土どめのコンクリート打ちをやっておったわけであります。それを逐次延長しておった工事でございますので、大崩落があった、しかるに全然それを考えずに作業をやっておったということではないのであって、やはり全体としてのその地盤の崩落を防止するためのコンクート打ち工事を進めておったときの工事であるわけでありますから、そういった危険性は予知できるわけであります。そのための作業進行中におけるいろいろな配慮という点につきましては、やり方がいろいろあろうかと思います。ただ、作業がだんだん上部に上がってまいりまして崩壊を予想するにいたしましても、一番下部の底部の部分の作業と、だんだん上に上がってまいりました際の作業の状態というものはやはり違っておるだろうと思います。勾配のとり方その他につきまして問題があり、設計変更をしたという事実もありますことは先生御承知のとおりかと思います。そういう意味におきまして、一般的な注意は払っておったように私どもは聞いているのでございます。  ただ、問題は、安全衛生規則のたてまえから見まして、地下水の処置なり雨水の処理といったような点についてどうかということでございます。これは、私よりも先生のほうが的確な御判断をなし得ると思いますが、あのような傾斜面におきまして、あるいは地下水と称するか、あるいはどういうふうな理解のしかたをするか、あそこには地下水排せつの施設をどのように講ずるか、あるいは講ぜしめるかといったような点については、私ども、写真判定でございますけれども、その点について法違反があると判断するにはやや専門的な研究を要するだろうというふうに存じます。しかし、先生のせっかくの御指摘でございますので、そういった点についてもさらに検討をいたしたいと思います。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 午後一時まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後一時五分開議

田中正巳自由民主党

○田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 私は休憩前に引き続いて、税金の問題、出かせぎ者の健康の問題、出かせぎ者の留守家族援護対策の問題等について具体的にお尋ねいたしたいと思っておりましたが、労働大臣が重要な所用のためにぜひ中座をしたいと言われますので、結論を先にして、ちょっと私の気持ちでは気合いがかからぬのですけれども、御都合があるそうですから先に御質問申し上げて、逆に今度具体的に入らしていただきたいと思います。  要するに、労政と農政とでも申しますか、その上さらにいろいろな関係省に関連をする、きわめて複雑なこの出かせぎ問題というものは、方々に政策の盲点といいますか、断層といいますか、そういうものを含んでおるように私は考えるのであります。そこでこれは労働、農林両大臣に御要望申し上げるとともに、御所見を聞く所存でございましたが、とりあえず労働大臣に結論を申し上げて御所信のほどを承りたいと思います。  労働省が三十九年に全国で開いた農村婦人問題懇談会では、出かせぎによる夫婦間の生活感情のずれがひどくなったという報告が多く、具体例として主婦のノイローゼ、自殺、これは三重、和歌山、夫に出かせぎ現地で愛人ができて離婚した例、これは東北、北陸、山陰、四国、九州、逆に妻の出かせぎで愛人ができた例、また石川では夫婦の出かせぎですれ違いになり、夫は出かせぎ先に愛人、妻は夫の不在のときに愛人を家に入れるといったような事例があげられたと伝えられております。まことに深刻な問題でありまして、これはあとで触れますが、出かせぎが生む農村婦人、農業経営と主婦といった問題で、非常に考えさせられる点が多いと思うのであります。さらに労働省が農家婦人生活に関する意識調査をいつかおやりになったと伝えられておりますが、この統計によりますと、産前産後の休養状態は次のようであると報告しております。産前農作業を休んだかに対し、前日まで仕事をしたのが六九%もあり、何日か休んだは二二%にすぎない。床についた日数では十日未満が四五%、十日ないし二十日が三三%、産後農作業を休んだ日数は、三十日以上が六二%、二十日ないし三十日が二〇%ということになっておるようであります。このような非人間的な、動物的な生存のもとにある農村婦人のために、新しい角度から母子福祉のあり方が当然私は問題にならざるを得ないと思うのであります。しかるに現在、文部省にも総理府にも農林省にもそれぞれの機構があり、それぞれの法律に基づいて対策を講じておられることは私も認めておりますが、激しく流動するこの実態に備えた対策というものはばらばらであり、一種の官庁のセクショナリズムも手伝って、総合性を欠いておると思うのであります。こういう点から私はこの際、労働省は出先の労働問題が主である、農林省は帰ってきたときの農業経営を自分たちは担当するのである、また文部省は青少年の教育問題を別個に考えるのである、こういうようなことでは、この出かせぎ問題に端を発した農村地域社会の変貌に備えて行政の総合効果をあげることは不可能に近いのではないか、かように憂えておるものでありますが、この点について先日私は農林大臣に、この出かせぎ問題を中心に取り組んで関係省と緊密なる連絡体制をとるためには、関係閣僚協議会のようなものが必要ではないかということを申し上げましたところが、何か意外にからだをかたくしてほとんど期待した答辞もなさらなかった。そんなにからだをかたくしないで、もっと柔軟な弾力的な態度をもって対処される必要があると私は思いますが、特に先日来の質疑を通じてこのむずかしい問題ととにかく懸命に取り組んでおられる労働省の努力を私は多としたい。したがって、この問題について少なくとも労働、農林、厚生、文部、言うならば自治も関係するでありましょうが、これらの点については質問が進んでおりませんので、結論だけで御納得しにくいと思いますけれども、総合的なひとつ出かせぎ対策というものを打ち立てていただきたい。それはやはり現地でこの出かせぎ問題と取り組んでおられる労働省のいわゆる今日までの姿勢、具体的な施策ということについて、私は質疑を通じて理解ができましたので、特にこの点について、労働大臣であり、かつ国務大臣の立場から総合的なこの問題との取り組みを御努力願いたいと思うのです。たとえて申しますと、これはいろいろな問題がありますが、農村では、文部省が所管しておるでありましょうが、幼稚園なんというものは、これはもう考えてみるだにやぼったいことなんです。幼稚園どころか託児所もない、保育所も、あってもなかなか都会のように九千円も月に出して、共かせぎをやっておる家庭のようなわけにまいりません。それどころか、もうろくしたような年寄りが幼い子供の守をして、そして上の中学校あるいは高等学校に手が届くか届かぬ娘が家畜の世話をし、そして子供たちのめんどうを見、年寄りのめんどうを見ながらまた自分もみずから農業をやっておる。おとうさんもおかあさんもおらない。またおとうさんがおらなくて母が中心となっておれば、勢い子供の教育ということについては身が入らない、こういう状態になっておるわけでありまして、こういう場合には少なくともこれに対応するためには、やはり私は保育所、託児所、少なくとも農繁期ぐらいにおいては総合的な立場から各省が協力して託児所くらいは設けてしかるべきなんです。にもかかわらず、何らそういう動きはないのです。あとで農林省にお目にかけますが、あなた方のやったことがいかに冷淡しごくであるかということは申し上げますが、とにかく調査、調査に日が暮れて、具体的な施策というものが伴っておらぬ。これに対して、ただ一人大臣として御出席を願っておりますので、ひとつ国務大臣という高い角度から総合的な対策について今後どう取り組まれるか、その姿勢について御所信をこの際承っておきたいと存じます。

小平久雄自由民主党労働大臣

○小平国務大臣 出かせぎ労務者が非常にいろいろの事情から最近多くなってまいっております。これに伴いまして、ただいま御指摘のございましたようないろいろな問題が発生いたしておることは、そのとおりであると私どもも考えております。そこで労働省といたしましては、もちろん出かせぎ労働者その人の問題について、もろもろの施策を進めてまいるということは当然のたてまえでございますが、同時にまた実は労働省はその問題だけやっておるわけでもないのでありまして、特に婦人少年局の関係におきましては、全国に千人からおります協助員の方々にお骨折りいただきまして、留守家族の問題とも積極的に取り組んでおるわけでございます。しこうして、このことは、また単に留守家族といろいろ連携をとり、あるいは御相談に応じ、御指導を申し上げるというばかりでなく、出かせぎ労働者の働いております地域におけるまた協助員を通じまして、出かせぎ者と留守家族との連絡を密にするように指導をいたす。特にこの点は、四十一年度におきましては重点を置いてやりたい、こういうことで、たとえば具体的にカードシステム等も採用いたしまして、両者がふだんにおいてできるだけ密接な連携ができるようにお手伝いをいたしてまいりたい、こういうことを考えておるわけでございます。いまお話のございましたように、いろいろこれは家庭生活の面から、あるいは留守を守られる婦人の方々の労働強化の問題もございましょうし、あるいは子弟の教育の問題ももちろんございましょうし、各般の重要な問題がそこから派生をいたしておるわけでございまして、これを御指摘のとおり総合的に国政の上で取り上げるということは当然必要なことだ、私どもも日ごろからさように考えております。  そういう点から労働省といたしましては、近く御審議をわずらわすことになっております雇用対策法におきましても、その中で雇用対策の基本計画を立てることになっておりますが、その一つの柱としてやはり出かせぎ問題というものを総合的に取り上げましてもろもろの施策を策定いたしてまいりたい、かように考えておりますし、また婦人の労働問題、これは直接は職場に出る婦人の方が主になるかと思いますが、そういう点からもこの問題をやはり取り上ぐべきであるという御意見もございますので、その面からもぜひ取り上げていきたい、かように考えております。いずれにいたしましても関係する役所が非常に多いわけで、これがお互いに十分連携をとって行政を進める、施策を行なうということが当然必要なわけでございまして、従来からもことに労働省としては農林省ともできるだけ連絡をとってまいったわけでございますが、せっかくの御指摘でもございますから今後さらに一そう緊密な連携をとりまして御趣旨に沿うようにつとめたい、かように存じます。  それから、私はこの点もよく今後関係各省で研究してもらわなければなりませんが、いわば行政の守備範囲とでも申しますか、どうもそういう点が明確を欠いている面もあるのじゃないかという気もいたします。ですから、各省で協議をして総合的に施策を進めるという前提に立って、しからば各省が一体どういう範囲のことを責任を持ってやるかというような点もでき得ればむしろ明らかにして、いわゆる突っかけ持ちと俗に言われるようなことでどっちに責任があるのかわからぬような状況で進めるということはかえって徹底を欠くのじゃないかという気も私はいたしますから、その辺のところもひとつあわせて、これは事務的にも十分検討を要しましょうから研究をしてもらって、私どもとしては御趣旨の線に沿うように十分今後とも努力をいたしたい、かように考えております。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 それでは時間も迫ってきましたので、大臣にお引き取りを願いまして、関係当局に簡潔にお尋ねをいたしますので御答弁願いたいと思います。  出かせぎ者の留守家族の援護対策でありますが、自治省は留守家族の相談に親身になって相手になる窓口を出かせぎ者の多い県や市町村につくらせるような指導をなさる御意思はございませんか。たとえば、最近の新聞によりますと、福島、宮城、山形の三県知事会議は上野駅前に東北六県共同の出かせぎ相談所を開設し云々という記事を報道しております。当然これは知事等の創意くふうによるものでありますが、私はまずこれを国の方針として推進していく、相協力する体制に持っていくということが必要じゃないかと思いますが、その点について自治省当局の御所見を承っておきたい。と同時に、村の大半の働き手が出かせぎに出ていくような地帯では、出かせぎのために地域社会における活動がほとんど麻痺状態になっておる。たとえば、消防団などでは苦肉の策として女子消防隊を編成しておる町村もございます。私の県にもそういう事例がございます。また部落で何人以上は出かせぎに出るなという決定をする、これは雪おろしに困るからそういう決定をしてこれを食いとめようとしておるところもある。したがって、手間を食いますから村の世話やきや消防団になり手がない。こういう状態の中にあっていざ災害というような場合には一体どうするか、これは重大な社会問題を惹起する要因があると思うのであります。そこで、この消防団や村の世話やきを有給化していく、そして定着をさせていく。仕事を与えると同時に災害、火災その他天変地変に即応しても遺憾なきを期するというような段階に達しておるのではなかろうか。現在の消防体制等で消防庁はよろしいとお考えになっておりますかどうか、この点をお聞かせを願いたいと思います。  それから関連しておりますのでこれは労働省事務当局にお尋ねをいたしますが、労働省の失対事業の賃金の地域ごとの基準につきまして、今度失業保険法の一部改正の法律案が提出をされる機会にでもまた触れたいと思っておりますけれども、つまりPmを是正して地元への事業に従事して生活ができるような、したがって都市との格差を解消していくということが私はさしあたって必要ではないかと思うのでありますが、そうすることによって出かせぎを最小限度に食いとめてこれを地場へ定着させていく、いろいろなことが考えられると思うのであります。この点についてどういうふうにお考えになっておりますか、これは労働省から御答弁を願いたい。  それからこれは文部省へお尋ねをいたしますが、出かせぎという不自然な形によって留守家族、特に出かせぎ家庭の子弟に大きな影響を与えておることはお認めであろうと思います。特にこの出かせぎ地帯は奥地山村が多いわけでありまして、夫婦とも出かせぎに出ている場合が多いのであります。先般の西日本大会に私も列席をして親しく出かせぎ者の諸君とも語り合いましたが、大会議長に選ばれた一人の中には婦人も含まれておりました。ですから留守家族は老人と小学校から高等学校の間の子供たちによってささえられておる。先ほども申し上げましたように家畜にえさをやったり親がわりにきょうだいのめんどうを見るというようなことからどうしても長期欠席が起きてくる。いわゆる都会でかぎっ子問題が起きるとマスコミは大問題のようにこれをとらえますが、最近における農村のこういう気の毒な実情というものに対しては、問題が僻地であるためにあまり取り上げられない。また残念ながらそういう間にあっては非行の原因も忍び寄ってくると思います。こういう状態の中で文部当局はどのように実態を把握しておられますか。特にこのような残された子供たちの家庭教育、義務教育の面、つまりいうならば社会教育を含めてどのように対処されようとしておるか。農村は民族の苗しろだとかあるいは子供は国の宝だとか口先では言っておりますが、現実の農村の子供たちはそういうこととはかけ離れたむざんな状態にございます。特に最近農繁期が迫ってまいりますが、乳幻児が川へ落ちて死ぬる、あるいはため池へ落ちて死ぬるという事例はもう枚挙にいとまがありません。全く手の届かないところで投げやりになっておるわけであります。それが成長してもほとんど家庭教育らしいものは受けられない、学校へもろくろく行けない。こういう状態の中に民族の苗しろも国の宝も私はないと思うのです。そういうことに対して文部省はどのように対処されようとしておりますか、これをこの際明らかにしていただきいと思います。

岡田純夫自治事務官(大臣官房参事官)

○岡田説明員 出かせぎ問題につきましては、各関係府県ともそれぞれ地域問題として非常な関心とまた憂慮をいたしております。そして個々の団体に聞いてまいりますと、あるいは出かせぎの手帳等を交付いたしまして、職場との関係であるとか、あるいはまた家庭問題等についても県のほうでいろいろ相談に乗ってやれるような仕組みと申しますか配慮をしておるようでありますし、また、出かせぎ相談所等を設けまして同じような配慮をいたしております。いずれも適切な措置だと思っておりますので、自治省としましてもこれらの関係県とよく話し合いまして指導助言いたしてまいり、前向きに対処してまいりたいと思っております。  なお、先ほど、先生、総合的な施策というふうにおっしゃいましたが、自治省としましては、地方行政連絡会議、これは、国の出先機関の長も入ってもらいまして、関係知事との間でもっていろいろ協議いたす会議でございますが、こういうような会議を通じましても出かせぎ問題について積極的に考えてまいるように助言いたしてまいりたい、かように考えております。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 消防団の問題に関連いたしましての消防組織の問題でございますが、私のほうは、二年ほど前から、一定の都市に対しましては消防本部、消防署の義務設置を法律で規定いたしておるわけでございます。しかし、お察しのように、先生御指導のような地帯はまださような義務設置という段階でございませんで、数で申しますと全国で六百をこした程度でございます。したがいまして、御指摘のような問題の地区でございますが、消防団の中におきましても、常備体制、かようなことで消防団の常備部の設置を勧告しておるところもございますが、一定の市町村でございますが、常備部とまでいかなくても、常勤体制、さらに交代制による常勤体制をとるように、かような指導をいたしておる次第でございます。

有馬元治労働事務官(職業安定局長)

○有馬政府委員 失対賃金の都市部と農村地域との格差の問題でございますが、これは御指摘のように現在七割程度の格差がございます。実際、屋外職賃の実勢を見ますと、最近の傾向といたしましてはこの格差が多少開きつつあるというふうな実勢がございまするけれども、この四月から実施いたしておりますることしの失対賃金の地域別の賃金額は、この実勢を多少修正をいたしまして、格差が開かないように措置をいたしました。全国の平均では一二%の上昇率でございますが、東北、九州、山陰、四国、こういったところは大体一三%程度の賃金上昇をいたしました。反面、都市部は平均値を多少下回る、こういうふうな措置をいたしまして、格差はできるだけ縮小をしていこう、こういう措置をいたしたわけでございます。もちろん、先生御指摘のように、失対賃金の格差縮小だけでこの問題は解決するわけではございませんので、やはり地域の格差をいろいろな面で修正をしていかなければ、出かせぎをそれぞれの出身地域で吸収するということはできないと思いますので、それらのことについても十分今後検討してまいりたい、かように考えております。

西村勝巳文部事務官(初等中等教育局初等教育課長)

○西村説明員 夫婦共かせぎ等による長期欠席児童の実態でございますけれども、総体を申し上げますと、昭和三十九年度で長期欠席児童は十万人強になっております。そのうち、特に貧困によるものという者は、小学校で二千七百八十七人、中学校で八千四百八人ということになっておりまして、一万一千百九十五人が貧困による長期欠席ということになっております。そのうち、特に農村関係がどうなっているかという点は、精密な調査はございませんけれども、各県別に見ますと、たとえば北海道でありますとか、青森、岩手、茨城、栃木、千葉、奈良、和歌山、徳島、長崎、宮崎あたりが従来もたいへん長期欠席の率が多いということになっておりまして、最近の情勢もやはりそこに反映しているのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。むしろ長期欠席、これは連続五十日以上欠席している者を長期欠席としているわけでございますけれども、さらに、問題は、長期欠席でなくても出席の状況が常でないそういう者はかなり見られるわけでありまして、程度の差はございますが、都道府県の調査によりますと、児童生徒のうち大体一〇%ないし一五%が親がいないためにたいへん就学のために困難を感じているというような数字が出ているわけでございます。これに対する対策としては、できるだけ学校に来やすいように経済的に援助をしてやるということでありまして、その総額は非常に多いわけでございます。国が四十五億、地方を合わせまして九十億というような予算が組まれておりまして、内容といたしましては、学用品を購入するとか衣料費でありますとか給食費でありますとか修学旅行費でございますとか、宿舎費、そういったようなものをそれぞれ段階に応じて給与をしているわけでございまして、その際に、農村関係におきましては、状況が一様でございませんので、特に必要とするところにたくさんその金額が配分されるというような措置をとっているわけでございますが、現在の状況にかんがみまして、やはり農村関係における共かせぎ、そういうようなところになるべく配分するように、実態に合わせるような努力が必要であろうかと思います。  なお、乳幼児等が保育にかけてめんどうを見る者がない、そこで災害を受けるというようなことを御指摘になったわけでございますが、乳幼児関係になりますと幼稚園、保育所の問題になります。幼稚園だけでもなかなか負い切れない問題でございますので、厚生省とも十分連絡をとりまして、保育所において保育するかたわら幼稚園教育もできるということで教育の機会を確保するというような措置もとっているわけでございます。なお、また、家庭に入りまして十分めんどうを見ることができるような措置を社会教育関係のほうでとっておりますので、社会教育の一環として青少年教育課長のほうからさらにお答えいたします。

石川智亮文部事務官(社会教育局青少年教育課長)

○石川(智)説明員 ただいま御説明したほかに、私ども社会教育で、学校外の問題として、俗に言っておりますかぎっ子の問題でございますが、留守家庭の児童の予算を本年度から五千万円計上していただきまして、これは市町村教育委員会が中心になりまして、いわゆる学校の緊張から離れてうちへ帰ってただいまと言っても受けてくれる人がいない。それが原因になって情緒形成上いろいろな問題が起きまして非行の問題を生んでおる。御指摘がございましたように、そういった問題は一応教育上見ていられないというたてまえから、予算はだいぶ組んだわけでございますが、一応二十万の定額、十五万の定額、約三百カ所の市町村の補助金ができ上がりましたので、この配分にあたりましては、いわゆる都会の団地のかぎっ子だけを私ども相手にしているわけではございませんし、特に農村からは出かせぎの家庭にも配分してくれという非常に強い要望もございますので、実情に合わせた上で——三百カ所で決して十分だと思っているわけではございませんので、この三百カ所を中心にしてどういった問題があるか、今後の予算の組み方なりあり方なり、三百カ所全部について十分研究させていただいて、四十二年度以降の材料をとりたいというふうに考えておりますので、先生の御趣旨に沿いまして、配分上の問題につきましても、出かせぎの市町村に配れるように交付いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 それぞれ御答弁いただいて、もっと深めたいのでありますが、時間もありませんから、私だけ独占しては申しわけありませんので、先へ進みます。  建設省もおいでになっておるようでありますが、公共事業、土木事業が本年度の上半期に半分以上早期支出になるというお話が先ほどもありました。それは別に悪いこととは思いませんが、通じて冬季間における現金収入の道をはかっていくためには、農林省等とも連携を保って、農村の公共事業を特に大幅に興して、そこで出かせぎを未然に防止して、現金収入の道を与えていく。そういった観点から土木公共事業の取り上げ方ということが必要な段階ではないかと思うのでありますが、この点について何らかの措置を講ずる御意思があるかどうかお聞かせをいただきたいと思います。  次に、農林省には普及部に生活改善課というものがある、労働省には婦人少年局がある、厚生省には児童家庭局というものがある、この三つのほうから総合的に御意見を承りたいのでありますが、少なくともいまのこの機構というものは新しくできたものもありましょうし、また古くからあるものもございましょう。古くからあるものについては相当改善も加えられておると思います。新しい時代に即応してできたものはこれからいろいろと企画されるでありましょう。が、いままでの質疑応答をお聞き願っておって、この激動しておる農村地域社会に対応する行政として、三省共通の何か一つの総合対策というものがございますか。私の見るところでは、農林省も炊事の共同化の問題であるとか、あるいは家庭生活の改善の面で台所の改善の問題であるとか、あるいはいろいろな面について手を打っておられることは知っておりますが、打つ相手がもうへとへとになって手に負えない状態になっておるにもかかわらず、それに生活改善を説いてみたところで、根本がぐらついておるわけでありますから、受け入れられる余地は私はないと思うのです。問題は、そのことは同時に厚生省の児童家庭局にも言えるし、労働省の場合にも当てはまっておるのじゃないかと思うのです。これは私、労働行政はしろうとでありましてわかりませんし、厚生行政についてもしろうとでありますからよく断定はできませんが、同じ条件じゃないかと思うのであります。したがって、この都会のかぎっ子問題といい、農村におけるかぎを持たない気の毒な子供たちの問題といい、これはあわせて各地域社会におけるところの母子福祉の問題に結局帰一してくると思うのであります。その新しい農村社会の変貌に備えてどう対処されていこうとしておるか、厚生省、農林省、労働省のそれぞれの所管の立場から御所見をこの際お聞かせをいただきたいと思います。

大津留温建設事務官(計画局参事官)

○大津留説明員 建設事業の冬季の工事のお尋ねでございましたが、従来冬季におきましては建設工事は中止するところが多かったわけでございますが、今後は労働対策面からいたしましても通年工事ということの必要性が出てまいりました。労働省とも御連絡をとりながら、冬季における建設工事ができますように、いろいろ研究をしております。冬季における工事は、雪その他の関係で費用がよけいかかるということは免れがたいのでございますが、いろいろ技術的にも研究いたしまして、できるだけ冬季における事業もやっていきたい。最近は道路が発達いたしまして、冬は雪のために交通途絶という状態が、だんだん除雪作業をいたしまして、冬季においても交通が維持できるということにいたしておりますので、除雪作業等によりまして農村の労働力の活用をはかっていきたい。  また、近々パリで冬季工事の国際会議も持たれますので、労働省のほうと一緒に建設省からもこれに出まして、諸外国におきましては冬季においてどういうふうなやり方をしておるかよく研究いたしまして、御趣旨の方向に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 厚生省におきましては、児童と家庭の問題を対象にして対策を考えておるわけでございますが、先ほど先生が御指摘になりました出かせぎによりますところの農村問題、また都会におきましての共かせぎの問題、共通して言えますことは、婦人が外に出て働く、こういうことによりまして家庭自体も危機に瀕している、そういうような傾向にあることは十分承知いたしております。またそれを前提にいたしまして対策を考えていきたい、かように考えておるわけでございます。  現在厚生省でやっておりますことは、第一は家庭児童の相談の機関を充実していきたい、こういうことでございます。従来は、児童の問題につきましては主として児童相談所が窓口でやっておったわけでございますが、これをできるだけ家庭により近く持っていくということで、全国の福祉事務所に家庭児童相談室を設けまして、これの網の目を広げていき、また相談しやすくしていきたい、かような計画をもって現在までに三百室の家庭児童相談室を設けたわけでございます。御指摘のような、特に出かせぎの多い府県につきましては、この家庭児童相談室をできるだけ早く設けるというようなことで、私どもも援助いたしておるような次第でございます。  それから第二番目は、働く母親のために保育所あるいは児童館、こういった児童の厚生施設を設けまして、そういう仕事をやりやすくする。また子供の問題につきましても、安全な健全育成という面に考慮いたしておるわけでありますが、保育所につきましては現在三つの対策を考えておるわけであります。  第一は、常設の保育所でありまして、これは法規によります保育所でありますが、特に出かせぎの多い府県につきましては、保育所の設置をしておるところが非常に少ない、全国の平均から見ましても非常に少ないという状況でございますので、こういったところを重点的に、未設置の市町村にまず保育所をつくるということの方向で努力しておる次第であります。  第二番目は僻地の保育所でございます。これは常設の保育所ができないようなところ、特に僻地につきまして簡易な保育所をつくっていく、またそれに対して補助金を出す、こういう方法でございます。  第三は、御指摘がありました既設の保育所でございまして、これは農繁期といった時期を選びまして、既設の保育所を補助、援助する、こういう方法でございます。  また、児童館と申しますのは、主として学校に通っている子供の遊び場所または勉強する場所として、各地につくっておるわけであります。こういった児童の厚生施設を設置いたすことによりまして、母親の就労または児童の健全育成というものに努力をいしたておる次第でございます。  それから第三番目は、地域連帯の養育と申しますか、地域の母親クラブあるいは親の会あるいは子供会、こういったものを育成いたしまして、こういった家庭が孤立しないように、またお互いが助け合うというような気持ちでやっていただくということであります。  それから最後に、第四番目としましては、残された母子家庭と申しますか、そういったところの生活の援護の問題でありますが、これにつきましては母子福祉貸付金とかあるいは児童扶養手当とか、そういったものを、特に一年以上も生死がわからないというような留守家庭につきましては適用するというような方法も講じております。また、母子保健の問題につきましては、確かに、労働の問題からいたしまして、妊産婦、乳幼児に対しましてのしわ寄せがまいっておりますので、そのことのために母子保健の強化をはかってまいっております。また、非常に地域差という問題もあるわけでございますので、地域の実情に応じた援助というようなことを、今後十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

高橋展子労働事務官(婦人少年局長)

○高橋(展)政府委員 労働省の婦人少年局といたしまして、農村婦人、特に出かせぎの留守家庭に対しての対策として行なっておりますことについて御説明申し上げます。  婦人少年局で農村の婦人あるいは出かせぎ留守家庭を取り扱います立場は、婦人問題という見地から取り上げております。すなわち、労働省の所管といたしまして、婦人の地位の向上、その他婦人問題の調査及び連絡調整、このような機能が任務づけられているわけでございます。職場に出て働く婦人だけでなく、一般の家庭婦人、農村婦人も含めまして、婦人の地位の向上、あるいは婦人問題の対策を進めることが、労働省の婦人少年局における任務となっているわけでございます。そのような立場から、農村婦人につきましては、かねてから非常に大きな関心を持ちまして、諸般の施策を進めてまいったわけでございます。特に、戦後間もない時期におきましては、農村の婦人の地位というものが、いわゆる非常に封建的な体制の中で、非常に隷属的な暗い人間関係の中に置かれているというような問題意識で、これの啓発につとめてまいったわけでございますが、近年の農村の急激な変貌に伴いまして、問題の所在も変わってまいったというように私ども考えまして、特に近年は、この激しい変動の中にある農村、そこにおける婦人の生活ということに焦点を合わせて問題をとらえ、対策を試みているわけでございます。  具体的に行なっております施策といたしましては、まず調査活動がございます。先ほど先生が御指摘なさいました昭和三十六年における農村婦人の調査、これもただいま申し上げましたような問題意識で、この変動する農村社会において、婦人の生活がどのような影響を受けているかということについて明らかにいたしたい、このような趣旨で行なわれたものでございます。また特に、近年はそれらの問題がいわゆる出かせぎという社会現象に集中してまいったようにも見受けられますところから、昨年の十二月、農村の出かせぎ家庭の調査を実施いたしました。これは青森その他十六のいわゆる出かせぎ者の送り出し県におきまして、それらの出かせぎ者の留守家庭の調査を行ないまして、さらにまた、それらの家庭から出かせぎに出ている出かせぎ者をその稼働先に追跡いたしまして、面接調査を行なう、この二段がまえで、留守家庭のほうと出かせぎ者のほうとを調査いたしまして、ただいまその結果を取りまとめ中、このような段階でございます。この調査がまとまりました上は、そこでいろいろ明らかにされました問題につきまして対策を進めてまいりたい、このように考えております。  それからまた連絡調整活動といたしまして、特に三十九年度から、この出かせぎ問題をめぐりまして各地方——婦人少年局の出先が各県にございまして、婦人少年室というのがございますが、ここの活動を通じまして、関係機関あるいは農村婦人の団体等に呼びかけいたしまして、農村婦人問題連絡会議というものを開催いたしております。そしてそれらの各地域におきます具体的な問題の把握ということを試みますとともに、関係機関相互の連絡ということの一助にもしているわけでございます。  それからまた、具体的な援助活動といたしまして、先ほど大臣も触れられたところでございますが、私どもの出先であります婦人少年室に協力、援助をしていただく民間人の組織といたしまして、婦人少年室協助員という組織がございます。これらの方々を特に四十年度から千名増員していただきまして、農村地区に配置いたしました。それらの方々に、特に留守家庭につきまして情報を把握していただき、またいろいろな生活相談にあずかるという、このような仕事をお願いして今日に至っております。これらの方々は農村地域における有識者の方々でございまして、この方々が御担当の地域のそれら出かせぎ留守家庭に対しまして、具体的な生活の相談に応じ、また必要な機関へ紹介を行ない、あるいは出かせぎ先の夫への手紙の代筆をしてあげるというような活動をいたしまして、出かせぎ留守家庭の心のささえとなるようなことを数々行なわれておられるわけでございますが、特に来年度はこの活動を一そう強力に進めてまいりますために、カードシステムによりまして出かせぎ留守家庭と出かせぎ者との間の連絡を緊密にはかっていくというようなことを行ないまして、しばしば世上に問題になりますような出かせぎ者の行くえ不明であるとかあるいは音信不通というような事態、またそれから惹起されますところの家庭不安であるとか家庭崩壊というような事態を防止するようにつとめてまいりたい、このように考えております。  なお、今後のいろいろな施策につきましては、先ほどの調査の結果を分析いたしまして、また関係機関と十分に御相談をしながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

矢口光子農林技官(農政局普及部生活改善課長)

○矢口説明員 農林省におきましては、生活改良普及員を全国に二千三百五十名に増加させていただいておりまして、この生活改良普及員が農家の生活相談、生活指導を行なっております。仰せのごとく、近年、農家主婦の労働過重によりますところの病気でございますとか、子供の成績の低下、それから不良化その他の、家事の粗放化によりますところのいろいろな問題が特に出てきております。それに対処して私どもが特に指導しておりますことは、共同炊事でありますとか共同洗たく、共同保育所その他の家事の共同利用施設がいろいろございますが、こういうものの設置と、そのために生活改善資金を使用したりいたしておりますが、この効率的な利用をはかっております。  それから、生活改善グループが全国に一万六千グループございます。これが活動内容といたしまして、困っている母子家庭などの共同の農事作業をいたしますとか、田植えの共同作業をいたしますとか、そういうことによります共同作業を行なっているわけであります。それから子供の問題につきましては生活改良普及員が行なっております指導内容の中に、最近は教育相談がふえてきている、子供の教育でございますとか、病気の予防でございますとか、しつけの問題、そういうことを最近力を入れてやっております。ただ先ほど御指摘のとおり総合的に行なっているかどうかということについてでありますが、特に注意して指導を行なってはおりますが、それが現場でどの程度行き届いておりますか、もう一度その点を確めて注意してやってまいりたいと思います。

足鹿覺日本社会党

○足鹿委員 せっかくおいでいただいておりますので、税金の問題だけを最後にお尋ねを申し上げます。  血のにじむような出かせぎ労働者が総合課税を受けておるという実情について、予算委員会の分科会で同僚委員の質問に対して、自治大臣は総合課税はあたりまえだ、これ一点ばりの御答弁になっておる速記録を拝見いたしました。しかし、そう簡単には片づかぬと私は思うのであります。借金を返すため、生活費の足らないのをかせぐため、子供の教育費をかせぐためというようなせっぱ詰まったこの種の出かせぎの収入を取り扱うについては、もう少しあたたかい弾力性のある取り扱いを必要とすると私は思うのであります。ある地方の実例を見ますと、出かせぎに出れば十万円くらいはかせいでくるはずだというので、農業所得にプラス十万円の課税をしておるという事例もございます。なぜ職安を通じて就職しないかというと、一目りょう然でその収入がわかることをおそれて、そして特別のルートでもって条件の悪いところへ出ていくという事例もなきにしもあらずと聞いております。でありますから、当然特別控除の制度を考えるべきである、私はそう思うのであります。  国税庁と自治省の税務当局の見解を聞きたいと思いますが、出かせぎに出るような家庭ではおそらく所得税を払うというような家庭は少ないと私は思います。問題は、地方税のわずかな税金でもこたえるので、これはどろぼうして取った金でも収入は収入だといういまの税法上からいえばそういうことはできぬとおっしゃるかもしれませんが、つまり夫婦、親子が同じ屋根の下で暮らせない、人間的な生活の基本がくずれておる、長期にわたって出かせぎを余儀なくされておるといえば、言うならば別居手当という意味も私は考えていいと思う。また出かせぎ収入というものについては特別経費控除制というようなものを認めても私は差しつかえないと思っております。とにかく生きた政治を行なうことによって、税の減免をはかることによって、この零細な、からだを張ってかせいできたものが総合課税の立場からまた取り上げられるというような課税方針というものは改められなければならぬと私は考えておるのであります。つまり税務当局としては出かせぎに要する支度金あるいは旅費、二重生活による経費増といったようなもっと具体的な問題に突っ込んで御検討になったことがあるのでしょうか。私は少なくともこういう問題については、あたたかい観点から取り上げて、そしてただ収入は総合課税だということではなしに、配慮があってしかるべきものと考えます。課税の原則は原則として、別途にこれらの特別控除制等の問題を総合的に検討される御用意はございませんかどうか、ぜひ御考慮を願いたいと考えておりますので、大蔵省と自治省当局にこのお尋ねを申し上げまして、まだあとにたくさん残っておりますが、またの機会に譲りまして質疑を打ち切りたいと思います。  どうも委員長、長らく失礼いたしました。

林大造大蔵事務官(国税庁直税部所得税課長)

○林説明員 国税庁の所得税課長の林でございます。  先ほど御指摘がございましたとおり、最近国税、たる所得税につきましては、諸控除がたびたびの税制改正で引き上げられまして、その結果出かせぎ関係の方で所得税の課税を受けられる方の数は非常に少ないと思います。と申しますのは、今回三月三十一日に国会を通過施行されました改正所得税法によりますと、夫婦子供四人で、夫婦で農業に従事している場合を考えてみますと、約年六十二万円程度の所得までは所得税は課税されないことになっております。ただ、所得税に関します各種の取り扱いは、おのずと地方税たる住民税の課税上の取り扱いにも同じように取り扱われる例が多うございますし、また農村関係の所得を算定いたします上に、所得税について適用されます所得の標準がそのまま住民税の課税標準の算定に使われます関係上、やはり国税関係の取り扱いが当然地方税関係にも及んでくるという趣旨として御答弁申し上げたいと思いますが、その点で申し上げますと、総合課税とおっしゃいましたが、総合課税の場合に二つございまして、夫が働きに出て妻が家にいる、そして妻が家で農業に従事し、夫が出かせぎをして出かせぎの収入を得るという場合に、妻と夫の所得を総合して課税するという問題と、もう一つ、夫が出かせぎした自分の出かせぎ収入と自分の農業所得とを総合して課税するという問題と二つに分けられるわけでございます。このうち夫が出かせぎした場合に、残った留守家族の農業の所得は一体家に残っている妻の所得であろうかあるいはたまたまやはりその夫が家に戻りますので、たとえば冬の農閑期だけ外に出て働き、農繁期には家に帰って農業を主宰しているという場合、どちらであろうかということは事実認定の問題でございまして、この問題につきましては、かねがねいろいろと議論されました末に、夫をその農業所得の帰属者として扱うべきか、あるいは妻をその農業所得の帰属者として扱うべきかにつきましては、実情に応じてよく判定するように通達が出されております。もしもその所得が夫の所得というふうに判定されますと、やはり今日のたてまえでは、人が働いて得ました収入は、それがいかなる種類の所得の源泉から生じたものでも、一年間の所得を合算して課税をするというたてまえになっておりますので、これはどうしても総合して課税せざるを得ない。ただ御指摘になりましたように、二重生活に伴う各種の出費がございます。これは農村の出かせぎのみに限りませんで、所得の種類によりまして、たとえば普通の給与所得者でも転勤の都合などで子供さんの教育その他で別居せざるを得ない場合も数々ございますし、また船員の方とかその他職務の性格上、どうしても別居しないと職務が遂行できないという方、その他いろいろございます。そのような方につきましてその担税力をはかるために何らかの特別控除を設けるべきか、あるいは別居手当、非課税というような扱いをしたらどうかという問題もいろいろと議論されたのでございますけれども、各国の例を見ましてもそのような例はないようでございますし、やはり現行の所得税制のたてまえの中では、そのような特別の配慮をすることは現在のところむずかしかろうという一応の結論が得られております。しかし、先生の御指摘もございますので、今後も税制調査会その他で検討をいたします際に、全体の問題の一環といたしまして取り上げて研究してまいりたいというふうに存じております。

石川一郎自治事務官(税務局府県税課長)

○石川(一)説明員 住民税の問題として御質問になっていると思いますので、住民税としてお答えを申し上げたいと存じます。  住民税は所得税と違いまして、広く住民に負担を分任してもらう、こういうたてまえから課税されておるものでございますので、所得税の課税最低限と異なって、さらに低くなっております。ただそれにいたしましても、所得税の課税最低源は年々引き上げられてきておりまして、住民税についてもさらに課税最低限を引き上げるべきであるという強い要求がございます。このため、今回国会を通過いたしました地方税法の改正では、基礎控除、扶養控除等の控除をそれぞれ引き上げまして、夫婦、子三人の標準世帯の場合におきまして、三十四万七千円の課税最低限が、四十一年度におきましては四十二万三千円というように引き上げられたのでございます。しかしこの点につきましては、参議院の地方行政委員会におきましても、なお今後住民税の性格をもあわせ考え、同時に経済情勢の推移、地方財政の実情等を考慮しながら、その引き上げにつとめるべきである、こういう趣旨の附帯決議がなされております。私どもといたしましては、住民税の所得は、原則といたしまして所得税の所得の計算の例にならっておるわけでございます。ただその控除が、住民税と所得税との違いで違っておるわけでございますが、御指摘のような問題もございますので、今後その点もあわせ考えまして、税制調査会等で十分御審議を願ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。

田中正巳自由民主党

○田中委員長 次会は明六日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十三分散会

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