社会労働委員会 第14号
- 発言数
- 165 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/03/29
会議録
○齋藤委員長代理 これより会議を開きます。 内閣提出労働組合法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 先般来質疑を行なってまいりました労働組合法の一部改正について若干お尋ねをして、御見解を承ってまいりたい、かように思います。 今度の労働組合法の一部改正を行なわんといたします趣旨というものが、労働委員会の事務の円滑な遂行を期する。こういう点にありますことにつきましては、私ども了承いたすところでございます。また、提案の趣旨説明を承っておりましても、最近急激に労働委員会の事務量というものが増加をしてまいった。そこで、今度の改正によりまして、東京なり大阪の労働委員会の委員を増強する、こういうことでございます。 そこで、まず最初にお伺いをいたしておきたいと思いまする点は、それならば、一体今日の労働委員会の事務量ないしは作業状態というものがどういう状態にあるのか、こういう点を承っておきたい、かように考えるわけでございます。
○三治政府委員 最近におきます中央労働委員会及び地方労働委員会の事件の取り扱いの状況でございますが、まず第一に不当労働行為の仲裁の問題でございます。不当労働行為事件につきましては、年によって若干違いはございますが、年間三百件ないし五百件。これは新しく出る件数でございます。 それからそれが終結を見ますのも、大体年によって三百件ないし五百件、こういう状況でございます。 それから第二に、争議の調整の事案でございますが、これは年間約一千件から千五百件ございます。これが年度の中におきまして、あっせんが約九五%、それから調停が約百件、仲裁のほうはほとんど数件にすぎません。その他労働委員会のおもな仕事は、組合の資格審査でございますが、この件数は年間約二千件でございます。 こういうふうな状況でございまして、いま先生のおっしゃいました東京とか大阪とか、特定の労働委員会につきましては、特に不当労働行為事件について増加の傾向が見えます。しかしほかの件数、いわゆる調整件数は相当の幅がございますので、特に増加傾向にあるというふうには必ずしも申されません。それは、東京、大阪というところに労働者、労働組合が非常に増加している、その増加の割合が非常に大都会に集中したその結果として、こういう不当労働行為事件数が特に増加してきておる、こういうことでございます。
○河野(正)委員 不当労働行為なり争議調整なり、そういう取り扱いの件数が非常に増加したということで委員の増強をはかっていくということでありますが、特に今度の法案の中で、東京、大阪に限定をして委員の増強をはかった、これらの根拠についてひとつお答えをいただきたい。
○三治政府委員 いまの労働委員会の労、使、公益三者制度は、現在それぞれ五名ないし七名ということで、しかも政令で定めるようになっております。一昨々年、その件数が多くなりました神奈川、愛知、兵庫というふうな、いわゆる全般的にふえたところは、三十八年五名なり、七名に増加さした、東京、大阪のように、初めから七名であったところが、三年越しの増加傾向で、今回これについては法の改正を要しますのでお願いをする、その前の、いわゆる横浜、名古屋というふうな、最近急激にふえたところにおきましては、三十八年に政令の範囲内で人員の増をそれぞれ処理をして、一応の対応処置をとったところでございますので、したがって、労働委員会の機能につきましては、今回この東京、大阪の処理で一応当面の処理はできるのではないか。なお、この労働委員会の活動の部面につきましてのいろいろな検討につきましては、今後とも根本的に検討しなければならない問題のあることは承知しておりますが、とりあえずそういうことで処理していきたい、こういうことでございます。
○河野(正)委員 事務量の増加によって今度は東京、大阪の委員会が増強される、また昨年度においては、政令によって神奈川なり愛知なり兵庫というものが増強されたということでございますが、それらの委員数の増加というものは、大体事務量の増加に比例して配慮を加えられているのかどうか、単につかみとして大体この程度だろうということでやられているのか、その辺の事情についてお聞かせ願いたい。
○三治政府委員 この労働委員会の数につきましては、従来は、大体労働者の数、組合員数で線を引いておったわけでございます。五人と七人の線は、一県の組織労働者の数が四十万人、したがって一昨々年の神奈川、愛知、兵庫という線が従来の東京、大阪、北海道といった線に伸びてきたというところで、同じ条件のところにおいては同じような労働委員会としての行政機能を持たしたらいいのではないかということでやった、したがって、件数がたまたまふえるということだけでは、行政委員会でございますので、そう員数に増減をするのはどうかというふうに一応の基準ははっきりつくっておくべきではないか、こういうふうな考え方を持っている次第でございます。
○河野(正)委員 この点は、基本的な問題ですから、ひとつ大臣にお答えをいただきたいと思いますが、このように労働委員会の委員の数を増強して、事務の円滑なる遂行に当たっていくということは、そのこと自身は、やはり争議を解決し、あるいは不当労働行為を解決して、労働者の権利を守っていくことですから、そのこと自身には異論がないと思うのです。しかしそういう不当労働行為が多くなったとか、あるいは調停案件、調整案件というものが多くなったという傾向というものは、これは好ましい傾向ではないと思うのです。そういう傾向が出てきた、すなわち労働委員会の委員を増強しなければならぬような傾向が出てきた、それらの傾向が出てきた原因が一体那辺にあるのか、こういう点についてひとつ御見解をお聞かせ願いたい。
○小平国務大臣 不当労働行為等がふえてきたということが好ましい傾向ではないということは、もう御指摘のとおりだと思います。なぜそう不当労働行為がふえたのか、こういうことでございますが、一つは、やはり最近の経済情勢という点も一つの背景としては考え得るのではなかろうかと私は思います。さらにまた、これは提訴する件数がふえた、こういうことなのでございまして、はたして実質的にどうか、不当労働行為そのものが一体ふえているのかどうか、これはおそらくそういう調べをしたことはないんだと思いますが、いわば従来やみに葬られておったものが、組合の活動が盛んになり、あるいは組合員の自覚がより高められたために、従来ややともすれば問題にされなかったようなことでも、労働委員会に提訴される、こういう面も、数はわかりませんが相当そういうものもあるのではなかろうか、こう私は思うわけでございまして、こういう労働委員会といった機関があるのですから、問題があれば、やはり労使間の話し合いがつかない以上は、ここに持ち込んで解決をしてもらうという慣習ができるということは、私は、慣習それ自体はむしろ好ましい方向であろう、かように考えておるわけでございます。 大体経済事情なり、あるいは労働組合の活動というものが、やはりそれだけ活発になってきた、こういったことが主たる原因ではなかろうかと考えております。
○河野(正)委員 いま大臣もちょっと触れられたわけですけれども、不当労働行為の案件というものがだんだんふえてきた、あるいは争議調整案件というものがだんだんふえてくる、こういう一つの現象というものについては、その背景というものが当然考慮されなければならぬ。ふえてきたから、その問題を事務的に処理するために、労働委員会の委員の増強をはかるということだけでは、必ずしも労組法第一条の目的を達成したということに相ならぬと私は思うのです。労組法第一条においては、労働者の地位を向上せしめるということが、当然労組法の目的として明記されておりまする事柄でもございますし、そういう意味では、単なる労働委員会の委員の任期を長めで、そして能率をあげる、あるいはまた委員の員数を増強するということだけで、私は、所期の目的を達成することには相ならぬ、こういうように考えるわけです。 そこで、労働委員会の委員の員数を増強しなければならぬという情勢に立ち至った経緯なり背景というものが、当然労働行政の中に出てこなければならぬ。これがこの法案にとっては大事なことであって、それは任期を一年を二年にしたり、あるいはいままでの七人を十一人にあるいは五人を九人にするとか、そういうことは、私はたいした問題でないと思うのです。要は、そういう法律改正をしなければならぬようになった背景というものが、一体どうであるのか。それらに対して労働省がしっかり取り組んでいく、むしろ労働委員会の委員を減らしたほうがいいという情勢が生まれるほうが、端的に言うと望ましい、こういうように私は思うのです。 そこで、私は、この法案の内容については、たいして問題はないけれども、その辺が非常に重大な要素を持っているのであって、むしろ法案に出てくる現象よりも、その背景の問題について、労働省なり労働大臣というものが、十分な配慮を加えて、今後、労組法で示された労働者の地位向上という問題について、ひとつ取り組んでいただく、こういうことがきわめて望ましい、こういうように私は思うわけです。その点については、大臣も御同感だと思いまするけれども、ひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
○小平国務大臣 先生のお示しのとおりだと私も思います。言うまでもなく、不当労働行為などということがないことが一番望ましいわけでありますから、使用者側にそういう行為が減少するようにというか、理想としてはなくなるように、労働行政の上でも十分配意してまいりたい、私はかように思います。
○河野(正)委員 今度の労働組合法の一部改正というものが、労働者の福祉に貢献しようという意味で改正をされたという点については、私も同感でございます。そういうように労働組合法の一部を改正して、労働者の権利なり福祉を守っていこうという点については、これは異論のないところでございます。しかしながら、現状は、いま各界における労使関係というものはどうであるかということを考えてまいりますると、私は、必ずしもいまの労使関係というものは、非常にスムーズに、健全に推移しているというふうには、理解するわけにはまいらぬと思うのです。 そういう意味で、私は、前回の委員会の関連もございますので、基地関係についての労使問題について若干触れてまいりながら、労組法の第一条に示されておりまする労働者の権利というものがほんとうに守られておるのか、あるいは労働者の地位というものがほんとうに向上しつつあるのか、そういう点と関連しながら若干関係者の方々にお尋ねをいたしてまいりたい。かように考えます。 まずお伺いをいたしたいと思いまする点は、国内におきましても、たとえば中小企業であるとか、あるいは零細企業、こういうふうな条件の比較的悪い企業内におきましては、労働者の権利というものはなかなか守られぬ、こういうケースが非常に多いと思う。ところが、基地関係は、外国の主権者というものが一つの使用者的な立場をとる事業場と言っても、私は過言ではないと思うのです。そこで、なるほど中小企業、零細企業等においては、いろいろ悪条件が重なって残念であるけれども、労働者の権利というものは守られぬという傾向がかなり強いが、外国の主権者という非常に高い立場の使用者というものが存在する基地における労働者の権利というものは、一体どういう状態に置かれておるのか、この辺については今日までいろいろ問題の多い点でございます。私どもしばしば委員会でも御指摘を申し上げたとおりでございます。そこで、要するに常識的には、外国の主権者が使用者という立場をとる事業場でございますから、したがって、基地内における労働者の地位なり権利というものは十分尊重され、守られなければならぬというふうに考えるわけでございますけれども、今日どういう実情にあるとお考えになっておりますか。これは施設庁長官のほうからお答えいただきたい。
○小幡政府委員 御承知のように、基地の労務問題につきましては、地位協定で、日米双方で合意されたものを除いては、日本の国内法令を適用することになっております。米軍もこれに準拠してやっておる次第であります。 ただいまおっしゃいましたように、外国のいわば使用者という関係になっておりましたので、その中に間々相互の誤解等の結果生ずるような問題もございまして、ときにはいろいろな問題もございましたが、そのつどケース・バイ・ケースでそれを解決しまして、つとめて日本全体の労働者の問題と同じような線にまで持っていきたいと努力している次第でございます。
○河野(正)委員 努力してまいりたいというような御見解でございましたが、基本的には、やはり国内でございますから、したがって日本の国内法、特にきょうは労働者の権利擁護という問題を取り上げておるわけでございますから、日本の国内法の中でも特に労働法規、あるいは労働慣行というものがほんとうに順守され尊重され完全に実施されておるか、この点が問題だと思うのです。ケース・バイ・ケースというお答えでございますけれども、基本的には、私はやはり国内法、特に労働法規というものが完全に実施されなければならない、こういうことだと思うのです。しからば、いま基地内においてそういうような日本の国内法、特に労働法規、あるいはまた労働慣行というものが順守され、尊重され、また完全に実施されておるというふうにお考えになっておりますかどうか。
○小幡政府委員 先ほど申し上げましたとおり、地位協定で米軍の基地につきましては、米軍の基地管理権、そういったものに基づきますような事項につきましては除外例を設けられておりますが、その他のことにつきましては、日本の国内法を適用するというたてまえになっております。われわれとしましては、その順守に責任を感じておるわけでございます。大体において私は妥当にいっておると思いますが、やはり国情の差異から、ときに解釈上妥当でないものもございまして、そういうものにつきましてはケース・バイ・ケースでよく向こうと話し合いまして、日本の国内事情を説明するという手順は、いわゆる国内企業よりは必要であったという場面が数回あったということを申し上げたわけでございます。
○河野(正)委員 基地管理権を除いた以外については、日本の国内法なり労働法規というものが守られておると言われる。ところが実際に基地管理権の解釈いかんによっては日本の国内法なり労働法規というものが完全にじゅうりんされる、こういう結果になると思うのです。そこでこの基地管理権に基づいて日本の労働法規なり国内法が守られぬという点は具体的にどういうふうにお考えになっておりますか。その点についてひとつお答えをいただきたい。
○小幡政府委員 たとえば一例を申し上げますと、軍隊でございますので、軍の自衛上の立場からいたします保安解雇、あるいは抜き打ち検査というふうなことがその種の例でございます。
○河野(正)委員 保安解雇ないし立ち入り検査というものが管理権に属するといったようなお答えであったようでございます。それならば、それらの点を除いては、日本の国内法なり労働法規というものが順守され、尊重され、実施されておるというふうにお考えになっておりますかどうか。
○小幡政府委員 私は率直に申しまして、軍のほうは非常に規律正しいところでございますので、日本の大企業に比べますと、法律では最少限度のことはやっておると思いますが、それ以上の施策は、一般の大企業に比べますとおくれておるのじゃないかと考えております。
○河野(正)委員 保安解雇あるいは立ち入り検査というふうな基地管理権を除いた点については、日本の労働法規なり、あるいはまた労働慣行というものが順守され、履行されておるというふうな御理解であるとするならば、私はそれは認識不足もはなはだしいというふうに指摘せざるを得ないと思うのです。 そういう意味で私は一、二の具体的な例を取り上げてひとつ御見解を承っていきたい、そうしてあなた方の認識を改めていきたい、こういうふうに考えます。その一つは、これはまことに常識的な問題でございますけれども、女子の生理休暇の問題でございます。この生理休暇に関しまする条項の規定によりまして、女子の労働基準法に定められました権利というものがはなはだしく不当に制限をされておるという現況があるわけでございますが、これらの点についても、どうも基地管理権の面からやむを得ないというふうにお考えになっておりますのかどうか、率直に御見解をお聞かせいただきたい。
○小幡政府委員 ただいま御指摘の生理休暇の点に関しましては、医師の診断をとることが協定にあるわけでございます。この点に関しましては管理権がどうこうという問題ではないと思っております。これにつきましては過去にある特定の一、二の職場で米側から見まして妥当と思われる以上に生理休暇の要求があったということから、なるべくそれを妥当な線に戻したいという向こうの要求があって、そういうふうになったと考えております。
○河野(正)委員 この生理休暇の妥当性という点について、何を基準にそういう判断がなされておるとお考えでございますか、その点ひとつ率直にお聞かせ願いたい。
○小幡政府委員 私も詳しくはあれですが、大体労働基準法で非常に就業困難な状態にある場合に休む権利があることはよく承知しております。しかし、これに対しまして診断書をとるということが妥当かどうかという問題になりますと、私はこれは妥当ではないと思っております。しかしながら、この取りきめをいたしました背景を考えますと、先ほど申しましたようにある特定の例外の基地でございますけれども、相当数の妥当と思われる以上の休暇の要求が出まして、それに非常に当惑をしたために、こういう規定を用いざるを得なかったのであろうという経緯がございます。一応これはこれといたしまして、私はその妥当性が決して医者の診断にたよる性質のものでないと思いますので、これにつきましては、現在では向こう側に申し入れまして、実際は診断をとっておりません。さらにこの規定そのものが私は好ましくないと思いますので、この規定の改定方一両日中に向こうへ申し入れたいと思っております。
○河野(正)委員 改定方を一両日中に申し入れたいということでございますけれども、この問題については、昨年の六月以降組合からも提議をされて、そうして条項規定の改定を行なうべきだ、こういうふうな要望なり要求があったかというふうに私どもは理解をいたしております。しかるにもかかわらず、委員会で私どもが取り上げたからそういうお答えであったかどうかしらぬけれども、何もいまさら私がここで取り上げたからといって、ここ一両日中に申し入れをするというふうなことについては、全くナンセンスだと思うのです。これは、私どもが国会で取り上げるとか取り上げぬとかいう問題とは別に、そういう女子の権利というものが不当に制限されておるということは法律違反の疑いがあるわけですから、当然国会で取り上げる取り上げぬ以前の問題としてこれらの問題については処理さるべきだというふうに私は考えるわけでございますが、その点いかがですか。
○小幡政府委員 実は全く同感でございまして、昨年この協定ができましてから、やはりこの規定は妥当でないという判断をいたしまして、再度ならず申し入れまして、先ほど申しましたように実際は医師の診断をやっておりませんが、しかし、この規定があるがために、当然生理休暇を申し出る人が申し出ないというふうな圧迫を加えているのじゃないかというふうに判断しておりましたところ、全駐労からもそういう申し出がありまして、何もきょうの御質疑があるなしにかかわらず私としては明日司令部を訪問することを全駐労側にもお約束したということを御報告申し上げておる次第でございます。
○河野(正)委員 これはいま私も言っておりますように、そういう条項の改定が行なわれるということが一番望ましいと思います。しかし私は、いままでの基地内におきまする労使慣行の経緯を見てまいりましても、やはり軍側の態度なり姿勢に問題があるのではなかろうかということをしばしば痛感をいたしてまいりました。そこで、やはり基本的にはこの生理休暇に関する条項、規定の改正をはかる。それからもう一つは、先ほどの基地管理権の解釈によっては労働基本権というものがことごとく制限を受け、じゅうりんされる危険性というものが出てくる。ですから私は、やはりこの際、生理休暇では非常に恐縮でございますけれども、これを一例としていろいろ軍の姿勢というものを正していただかなければならぬ。日本には日本の慣行がございます。日本の長い間の風習がございます。習慣がございます。ですから、あるいは施設庁としては生理休暇が実際法律で規定されておるのは日本と中国だというような御見解でお考えになっておるかもわからぬけれども、それぞれ国情に応じた法律慣行というものがあると思う。そういう意味で、私はやはりこの際政府はき然たる態度というものをとるべきだというふうに考えます。そういう規定がある以前は大体生理休暇の取得率というものは六〇から五〇%前後であったわけです。それがこの改定をされて医師の診断書が必要だというようなことになりまして急激に生理休暇の取得率というものが減少してきた。だから、どうも生理休暇という権利を乱用しておるというふうな解釈をすることが、私は非常にその辺に危険性がある、こういうことを考えております。それはこの生理休暇のために医師の診断書をとるということがきわめてデリケートな問題なことは、私自身が医師でございますからよく理解できるのです。ところがそういう現象と、この生理休暇が自由にとられたときは非常にパーセンテージが高い。横須賀の低いところで三六%、それから高いところで六〇%、ところが、昨年の七月以降というものは一〇%前後になっておる。だから、どうも基地の女子従業員というものはこの規定を乱用しておる、要するに基準法六十七条を乱用しておる、こういう解釈の理解をするというところに私は非常に危険性があると思う。そういう意味でやはりこの問題というのはきちっと整理しておく必要があると思う。ですから、たとえば一応私が国会で追及するとかせぬとかは別として、一両日中に改定の申し入れをされるということですから、ぜひ改定が実施されるように努力されることを強く要望するわけです。同時に、改定後といえども私はやはりいまも私が申し上げましたような姿勢で臨まれるということについては非常に問題があると思う。そこで、長官は男性でしろうとですから、この問題についてはあまり理解がないと思うので、きょうは労働省の婦人少年局長が御出席でございます。そこで、この間若干私も事態というものを明確にして、そして今後の軍交渉の参考に供していただく、そういう意味で、厚生省からも御出席でございますから、一、二見解を承っておきたい。ひとつ長官はとくとお聞き取りいただきたい。 と申し上げますのは、この統計上の数字から言いますと、どうもそういう協定いかんによっては労働者が権利を乱用するというふうな誤った理解を与えがちでございますので、そういう意味で私は二、三そういう関係者にお伺いをしたいと思いますが、たとえば労働基準法六十七条に規定される生理のために就業困難だ、そういう認定をするわけでございますけれども、そういう認定をする場合の基準というものは一体どこにあるのか。私は、この点は明確にしておかぬと、その生理休暇に関する条項を改定しても、その解釈いかんによってはまた紛糾するおそれがございますから、この点はひとつ明確にしておきたい、かように考えます。
○高橋(展)政府委員 お答えいたします。 生理休暇に関係いたしまして、生理日の就業が著しく困難であるということが生理休暇を請求する一つの要件になっているわけでございますが、その就業が困難であるということの挙証と申しますか、それはどのようにするかというお尋ねであると思います。これにつきましては、本来この制度が女子労働者の母性保護ということの見地から設けられたものでありますし、また、女子の生理というはなはだ特殊な問題に関係したものでございますので、その就業が困難であるということの挙証ということに関しましても、その手続を繁雑なものにいたしますと実際問題としてこの制度が殺されてしまうということにもなるかと思います。たとえば、医師の診断というようなものを挙証のために必要とするようなことになりますと、そのこと自体非常に繁雑であり、また、女子の心理としても好ましくない手続でございますために、実際に生理休暇を必要とする者も、その手続の繁雑さゆえに請求いたしかねるという事態も起きるかと考えられますので、私どもといたしましての行政指導といたしましては、生理日の就業が困難であるかどうかということにつきましては、一応まず女子労働者本人の証明ということにまつ。しかしまた、はなはだしくそのことに疑いがあるような場合も、医師の診断というようなことよりもたとえば同僚の証言という程度の簡単な証明によって行なうということで十分ではないか、そのような方針で行政指導をいたしております。
○河野(正)委員 同僚の証言というようなこと、これは私は医師の診断よりもやや運用上の妙があると思うのです。ですけれども、職場あるいは地域、環境によっては、たとえば農村地帯である工場につとめておったというような場合に、同僚の証明ということが可能であるかどうか、これは都市と農村地帯あるいはまたそれぞれの環境ということによっていろいろあろうと思う。ですから原則的には、私は、やはり本人を信頼する以外にないと思うのです。それを同僚の証明であるとか医師の証明であるとか、医師の証明よりも同僚の証明のほうがやや前向きですけれども、基本的にはこれは法律で保護されておるわけですから、本人の申し出によってすんなり六十七条の適用を行なっていくということが、原則的にはそうあるべき姿だというふうに考えるわけでございますが、いかがですか。
○高橋(展)政府委員 先ほどことばが足らなかったかと思いますが、原則的には本人の証明で十分として、しかしなおかついろいろな理由からそれ以上の証明が必要である場合においても同僚の証言程度でけっこうと、このような指導をしておるわけであります。
○河野(正)委員 原則的には本人の申し出によって直ちに六十七条の適用が行なわれる、こういうふうな理解でよろしゅうございますか。——それでは、今度はせっかく公衆衛生局長御出席でございますから、あなたにもお尋ねせぬと申しわけない気がしますので、少しお伺いをしておきたいと思いますが、もし疑わしき場合が出て、そしてこれは当局側、使用者側の判断ですから、疑わしいということで医師の証明を持ってこい、こういう場合というものがいままでの経緯によりますと私はあるような気がするのです。なるほど今度の改定によってはそういう条項というものを削除して、そして医師の証明書、診断書の提出の必要を認めないということになるよりも、やはり運用の中で、またこの生理休暇の取得率が、今度みんな安心をして、ほんとに自分は生理休暇の必要があるというふうな申し出が出てきて、もし現象的に取得率が高まってくるというとまた乱用じゃないかというふうな考え方で締めつけが行なわれるという一つの可能性があると私は思うのです。その際に医師の証明書が必要だ、しからば医師の証明というのは何を基準にしてやるのか、これは非常に問題があると思うのです。この辺は公衆衛生局長としてどういうふうに御理解願えますのか、これはごたごたしてまいりました経緯もございますので、ひとつ施設庁長官にも、アメリカ軍と交渉する際の参考に供する必要からお聞かせいただきたい。
○中原政府委員 お答えいたします。 まことに申しわけないのですが、生理休暇のほう、私のほうでいままであまり研究しておりませんので、ちょっと即答いたしかねますので……。
○伊藤(よ)委員 関連いたしまして、私も婦人の一人でございますので、特に婦人局長がおっしゃいましたことでちょっとあれなんでございますが、これは医師の診断書が要るなんということは当然問題外で、若い女の人の場合はある意味でちょっと恥ずかしいというお気持ちもございますので、生理休暇をとるということ自体にたいへんちゅうちょすることが多いのでございます。その上に医師の診断書なんというのは、これはだれもいやがって出さないと思います。ずっとよほどの人でないと出さないと思います。 それともう一つは、同僚の証言という問題も、これも私はやはりもしそういう指導が多少でも行なわれるというようなことがあって——やはり当然困難であれば本人が申し出ればいいというふうに、これは保護されていくということが私は非常に婦人の立場から大切じゃないかと思うのです。大体いま最初に申し上げましたように、同僚に対しても気がねがございましたり、若い女の人の気持ちというものは非常にデリケートでございますから、やはりせっかく保護があるわけでございますから、とりやすいような条件にしておいても、周囲の事情で遠慮してとれないということになりがちでございます。職場においてそういうことが多くございますので、大体一般的な婦人労働をやっておる職場におきましても、同僚が仕事が過重になるから、自分の分までやるということで遠慮してとれないという条件もたいへんございますので、この点はぜひ婦人局あたりの御指導としては、当然な権利として困難であればとれるというほうをむしろ指導していただいたほうがいいのではないかと思いますが、その点について……。
○高橋(展)政府委員 基準法の六十七条で生理休暇について規定しているのでございますが、その規定の内容につきまして、少し御説明させていただきたいと思います。 生理休暇が女子労働者の母性保護のために設けられた制度であることは申すまでもないことでございますが、この場合、すべての女子労働者に女子であるからという理由で生理休暇が直ちに与えられるという趣旨ではございませんで、女子労働者が請求した場合ということがまずございますが、請求できる女子労働者としましては、その生理日に当たって著しく就業が困難である場合と、それから従事しております業務自体が女子の生理に有害である、そのような業務に従事しておる女子労働者、この二つの場合が請求できる、このようになっているわけでございます。 先ほど来問題になっておりますのは、その前段、前者と申しますか、生理日の就業が著しく困難な女子の場合であるかと思いますが、その就業が著しく困難であるかどうかということにつきましては、またこれも実際にはそれを科学的に基準を設けることは非常にむずかしいことのようでございまして、通俗的にはおなかが痛いとか腰が痛いとかいうことをさすことになるかと思いますが、結局はなはだ主観的なものでございますので、これの取り扱いとしましては本人が証明するということで、しかもその場合女子労働者である本人は良心的にこのことを請求すべきであるし、また使用者のほうはそれに対しまして請求の手続をいたずらに厳格にすることなく、先生おっしゃいますように、それらに該当する女子が請求しましたときは、簡単にそれが認められるように、そのような趣旨からこの規定が設けられているわけでございまして、一々個別の場合に毎月毎月 証明を得てするというような、たとえば病気における休暇とはおのずから異なった特定の生理休暇という制度として認められているものでございますので、先生おっしゃるとおりの趣旨のように取り扱うべきではないかと思います。
○伊藤(よ)委員 私も労働基準法の生理休暇の問題はよくわかっておりますけれども、ただ女子というものが全体としての女子労働の中で困難な人も生理休暇がとりにくいような条件に置かれておりますので、そういうまた若い女の人の気持ちとして、自分も経験があるわけでありますけれども、かなりしんぼうするというような面がございますので、困難の場合には申し出ができやすいような条件に置いていくというところの指導が大切じゃないかということを申し上げているにすぎません。どうぞそういうふうにひとつぜひ御指導願いたいと思います。
○河野(正)委員 ことばの上ではやや前向きなお答えのようでございますけれども、たとえばこの問題が起こって防衛施設庁から労働省に対して照会が行なわれた、その照会に対して昨年の十月四日労働省の婦人少年局長は、女子従業員が生理休暇を請求する場合に当該女子に対する医師の診断書の提出を求めることは好ましくない、こういう意味の回答をなされたというふうに私どもは仄聞いたしております。なるほどいまのお答えは非常に前向きのようではございますけれども、防衛施設庁の照会に対する回答というものは医師の診断書の提出を求めることは好ましくないということでございますから、そうなりますと、大体私どもがいま条項の改定をしなさいと言っておるこの条項とさして変わらぬような印象を受ける御回答だというふうに理解をせざるを得ぬと思うのです。ですから、やはりいかぬならいかぬというふうな回答をなさるべきであって、好ましくないのですからやってもかまわぬが、そういうことはなるたけやりなさんなということだと思う。ですから原則的にはさっきおっしゃっておるように、これは本人の請求によって当然適用されることが適切であるというふうなことなら、ずばりそのとおり労働省の見解をお示しになるべきだというふうに私は考えますが、いかがでございますか。
○高橋(展)政府委員 先生御指摘のように、先般施設庁からのお問い合わせに対して医師の診断書の提出を求めることは好ましくないという表現で御回答申し上げているわけでございますが、この好ましくないという表現につきましては、考え方といたしましては医師の診断書の提出を要求することが基準法に違反するかどうかという趣旨のお尋ねの意味があるやに解せられましたので、この医師の診断書の提出の要求が直ちに基準法の違反にはならないのではないか、しかしその運用上はなはだ遺憾な事態も惹起されるということが想定されますので、好ましくない、このような表現を使ったわけであったと記憶いたしております。
○河野(正)委員 アメリカ軍の見解は別ですけれども、労基法の中では別に医師の診断書を強要しておるわけでも何でもございません。これは本人の請求があれば六十七条の適用が行なわれるという規定ですから、やはり医師の診断書を強制するということは私はこの六十七条の違反だと思う。これはケース・バイ・ケースじゃなくて、法文そのものをずばり解釈すればそういう意見も出てこなければならぬというふうに私は理解をいたします。そういうふうに理解をせぬと、解釈解釈でいきますとまたこの解釈というのが拡大されて、結局条項の改定をされても解釈運用の中でまた規制をなさる、こういうことになるから私は少しくどいようでございますけれどもお尋ねをいたしているわけであります。やはりこういう問題は女子のためにはたいへんなことですけれども、生理休暇の問題を何べんもこの委員会で私は繰り返してやりたくないのです。ですから、せっかく取り上げた以上はここできちっとこの問題については解決していこう、こういう考え方でお尋ねしているわけですから、そういう意味で率直にひとつお答えを願いたい。
○高橋(展)政府委員 六十七条におきましては、先ほど申し上げたような条件にある女子が生理休暇を請求したときにその者を就業させてはならないということを規定しているわけでございまして、仰せのとおり、医師の診断書云々ということは全然触れられていないわけでございます。そのためにこれをどのように読むかということはなかなかむずかしい問題があるかと思いますが、医師の診断書を要求することば必ずしもその者を就業させないということとはならないのではないか、このような考え方もあり得ますので、診断書を求めるということ自体が直ちにこの規定の違反を構成するかどうかということに結論づけることはむずかしいのではないか、このように部内では考えているわけでございます。
○河野(正)委員 それで私は最初お尋ねしたのです。それならば生理休暇を与えなければならぬ状態というものは、医学的に見て医師は何を基準にして診断書なら診断書というそういう証明を発行するのですか、こういうことになると思うのです。そこで私は公衆衛生局長にさっきもお尋ねをしたのです。ですから、医師の診断書を出すということが違反にならなければ、やはり医師の診断書というものが一番根拠になると思うのです。そうすれば医師の診断書というものは、これは仕事につかせることが非常に困難だと判定する基準というものはどういうことになるのか。これはまあ本人が最後のキーポイントを握るということになりますから、そこで局長に対してお尋ねしておるわけです。何を根拠に医師は判断しますか、これは判断のしようがないでしょう。どうですか、局長。
○中原政府委員 これは結局、いわゆる臨床の医師としてそういう患者に診断書を書く場合に何を基準にして書くかというようなお尋ねでございます。ちょっと私には公衆衛生の面からというわけでもないので何ですが、結局概括的に一般に医師として言う場合に、その者が身体に障害があって、その者がいろいろ労働をする場合にどういう障害を及ぼすか、したがって働けるか働けないかというような大体のところでおそらく一般のお医者さんは診断を下さざるを得ないだろう。その場合にどの業務についてどれだけ働けるかということについてはなかなかむずかしい問題だと思います。だからこれはずばりという即答はちょっと知識がございませんので私からは申し上げかねます。
○河野(正)委員 そういう公衆衛生の国の最高の責任者がどういう判断をしていいかわからぬというふうな診断書をなぜ求めなければならぬかということにこれはなるわけです。この医師の診断書というものがきめ手になるとするならば、それについてはやはり確固たる基準なり条件というものがなければならぬ。ところがそれらについては認定しがたいということになると、医師の診断書といえども全くあいまいもこたるものです。そういうあいまいもこたる診断書をなぜ強制しなければならぬか。それですから私は、私も医者ですけれどもこれはなかなかむずかしい問題である。そういうむずかしい問題をなぜその条件にしなければならぬか。だから私は基準法六十七条でもそういう規定はやはりできぬと思うのですよ。できませんよ。できたってこれは全く根拠薄弱ですから、結核のように、あなたはレントゲン写真をとったらこうなっております。あるいは喀たん検査をしましたところが菌が出ましたというようなことではない。 このことを私がもう一つ心配しておるのは、たとえばこの六十七条に示されておりますように「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女子又は生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない。」というこの「生理に有害な業務」という判断についてももう一つ問題が出てくると思うのです。それは、いままでアメリカ軍基地でやっておりますように、この業務というものは生理に有害でないのだという判断を一方的にやる。そうしますと御本人が申し出てもこれは認められぬということになりましょう。だから私はやはりそういうあいまいもこのものは、疑問を抱くものはこの際削除したがよろしい。今日までそういう事情があるわけですね。この職場というものは生理に無害な作業をしておるから、生理休暇は申請をしても認めません。それならば、一体この作業というものが生理に悪影響を及ぼすか及ぼさぬかという判断はだれがするのですか。
○齋藤委員長代理 河野正委員に申し上げますが、法の解釈でございますから、村上労働基準局長の答弁を求めます。
○村上(茂)政府委員 先ほど来るる御質問がございましたが、生理休暇の制度というのは、立法例としてはあまり数多くございません。立法例としてございますのは、「就業が著しく困難」という条項よりも、むしろ「生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したときは、」という場合の生理休暇を認めておる例が多いわけであります。そこで、先ほど来いろいろ質疑応答がございました著しく困難な状態をだれが判断するか。これは立法例がはなはだ少ないわけでございまして、まあわが国その他、数少ない規定になっておると私どもは考えております。そこで、著しく困難であるかいなかは、普通の法律解釈によりますれば、まあ客観的に判断すべきである。こういうことになってしまうわけであります。しかし、この困難であるかどうかを一番判断しやすい者はだれかと申しますれば、これは本人であることは間違いないのじゃないかと思います。しかも、それが突発的な困難を伴う場合もありましょうが、大体生理的に、始まって以来自分は非常に生理的な異常を生ずるということを経験的に承知し得るというものでございますれば、同僚女子労働者のことばとか、あるいは本人の経験的ないろいろな事例から十分これは立証できると思うわけであります。そういった形が突発的じゃなくて、本人それぞれの過去の経験に基づいて立証し得る性質のものではなかろうかというような判断に立ちまして、第一次的には処理せざるを得ない。それが客観性がない、ぴんぴんしておるのに、著しく困難だと言われた場合にどういうふうな処置をするかということが、次に問題になることと思うのでありますが、そういうような場合には、制度的に医師の証明書を要するということになりますれば、むしろその精神として、生理休暇を与えないためにそんな制度をつくるのだ、こういうような解釈もされますから、それは望ましくないのだというふうな答えを婦人少年局長からされておるものだと私どもは解釈しております。ただ、個別例として、本人が至って元気でいろんな活動をしておるのに、困難だ、困難だと言ったような場合にはどういうふうにして判断するか、それは専門医の診断を受けるというようなこともあり得るかと思うわけであります。まあそのようなことでございまして、個別的に判断をせざるを得ないが、法文が何しろ「就業が著しく困難」と、こういう文言になっております関係上、この解釈をめぐっていろいろあるわけでございます。ただ、繰り返しになりますが、就業規則とか、そういった規則によりまして、制度的にこうしなければならない、絶対医師の証明書がなければ認めないといったような制度をつくりました場合には、その趣旨が生理休暇を与えない趣旨と解せられるというような場合には、この法第六十七条の規定に違反するのではないかという疑いが持たれることになるだろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 私が言わんとするところは、疑問を生ずるような条項なり規定があると、誤って悪く解釈される、拡張解釈される。たとえば、さっき冒頭に指摘いたしましたように、基地管理権というような解釈がだんだん拡大してきますと、基地内における労働者の権利というものが全面的にじゅうりんされるということにも通じてくる。そこでこの際、疑わしい条項というものは設けるべきではないというのが、私が申し上げまするゆえんのものです。特に具体的にそういう例があるわけです。たとえば私が申し上げましたように、いま局長は六十七条の前段のほうについて主として触れられましたが、後段には「生理に有害な業務に従事する女子が生理休暇を請求したとき」とある。この「生理に有害な業務」というものはだれが認定するのか。具体的には、この職場というものは生理に有害でないのだというふうなことで、請求しても認めなかったというケースがあるわけなんですね。ですからそういう場合は一体だれが、この職場というものは、この業務というものは「生理に有害な業務」というふうに認定をするのか、こういうことを私は御指摘申し上げておるわけです。
○村上(茂)政府委員 御承知のように、何が生理に有害な業務であるかという業務の範囲は、女子年少者労働基準規則十一条に定めてございます。すなわち十一条の第一項には「一 大部分の労働時間が立ち作業又は下し作業を必要とする業務」、「二 著しく精神的又は神経的緊張を必要とする業務」、「三 任意に作業を中断することができない業務」、「四 運搬、けん引、持上げその他相当の筋肉的労働を必要とする業務」云々というように六つの例があげられております。具体的にはこの十一条第一項各号に該当するやいなやの判断の問題が生じてまいりますが、この具体的認定の問題になりますれば、労働基準監督機関におきまして、こういうケースについては六十七条違反があったかどうかという観点から事実認定せざるを得ない、かように思うわけでございます。 ただ一言申し上げておきますと、十一条の第一項では「生理に有害な業務」を列挙しておりますが、第二項のほうでは、特別の施設を設けたり、休憩時間を与えたりというような場合には例外を認める、こういうような構造になっております。そこで、この女子年少者労働基準規則第十一条との関連を考慮に入れつつ、本法の「著しく困難」であるかどうかという解釈との均衡を保つということになりますれば、いろいろまた問題が生じてくるわけであります。 そういう問題がございまするが、六十七条第一項の前段部分については先ほどお答え申し上げたとおりでございます。まあ具体的に認定は個々にせざるを得ないということになると思います。
○河野(正)委員 いま御説明になったお答えを聞いても、たとえば精神的に、神経的にどれだけ影響を与えるか、あるいは肉体的にどれだけ影響を与えるかについては、これは判断の問題でしょう。ですからどの程度までが精神、神経について大きな影響を与えたかということについても、これは判断の問題なんです。 そこで、具体的には、個々についてはそれぞれケース・バイ・ケースでいくのだというお答えであるとするならば、私は具体的に一例をあげます。神奈川の座間基地のランドリーにおきましては、この生理休暇に対しまする制限というものが非常にきびしかった、そこで労働基準法の百四条に基づきまして、監督署に対する申告をしたというケースがございます。このケースについて労働基準局はどのような処置をおとりになりましたか、ひとつ具体的にお示しいただきたい。
○高橋(展)政府委員 お尋ねの基地におけるランドリー業務における女子労働者の生理休暇の点でございますが、ランドリー業務が生理に有害な業務であるかどうかという問題にかかるかと思いますが、ランドリー業務と申しましてもいろいろと職種がございますので、一がいにこれが有害である、あるいは有害でないというふうなことは言えないかと思うのでございます。そこで先ほど労働基準局長から申し上げました女子年少者労働基準規則の各号に該当するような職種あるいは業態である場合には、生理に有害な業務ということになるかと考えられるのでございますが、そのようなことをめぐりましての問題があったということにつきましては、私どものほうは寡聞にしまして聞き及んでいなかったわけでございます。
○河野(正)委員 結局その解釈の問題で、それぞれ具体的な事例について判断するとおっしゃったから、この神奈川の座間基地のランドリーの制限問題については、労働基準法百四条に基づいて申告を行なっておるわけです。ですから、それぞれ具体的な事例について私は判断いたしますと、こうおっしゃっているから、それならば、こう神奈川の座間基地のランドリーの生理休暇の制限問題については、すでに百四条に基づいて申告しているわけですから、どういう判断をなさいましたかと聞いている。具体的に判断するとおっしゃったから、どういうように判断するかと具体的にお尋ねしているわけです。
○村上(茂)政府委員 ただいま婦人少年局長がお答え申し上げましたように、実は座間のランドリーの場合の具体的事例を私ども承知いたしておりませんが、ランドリーが一般に有害業務であるかどうかという判断は抽象的には困難であろうかと存じます。作業環境その他具体的に判断せざるを得ないと思うのでありますが、ランドリーの作業をいたします状態が、立ち作業でどういうような作業をいたしますか、ちょっと実情がわかりませんので、お答えは差し控えたいと思います。
○江藤政府委員 ただいまの河野先生の御質問につきまして私から概況を申し上げます。 私どもとしましても、女子年少者労働基準規則第十一条に定めるような有害な業務に従事する女子が生理休暇を要求した場合には、当然これは認めなければなりません。具体的に業務がそれに該当するかどうかというようなことで、判断を要する問題が起きました場合には、そのつど現地の労働基準監督署に申し出まして、その判断を仰いでおるわけでございまして、ただいま御質問の座間のランドリー業務につきまして、これも現地の労働基準監督署に調査していただいております。現在まだ結論は出ておりませんけれども、具体的にそこに勤務しております従業員は約十五名でございますが、現在では七名から九名程度有給休暇としまして毎月とっておるという事情でございまして、ランドリー業務が直ちにこの十一条に該当するかどうかという結論はまだ出ておりませんけれども、私のほうの判断としましては、現在大体約半数ばかりとっておりますので、実質的に、もし十一条に該当するものがございましても、これはすでに生理休暇をとっておるというふうな判断をいたしておる次第でございます。
○河野(正)委員 私はそういうことではないと思うのですね。それは極端に言いますと、時と場合によっては一〇〇%とらなければならぬという事態もあると思うのですよ。いまのお答えのように、すでにこれだけ生理休暇をとっておるのだから問題ないということと、この労基法百四条の申告の問題とは、これは別関係だと思うのです。そういうことでお答えになるならば、私はもう少し突っ込んで聞きますが、この百四条に基づく申告をしたが、その申告に基づく処置というものは一体どういう処置がとられておりますか。
○江藤政府委員 これは現在現地の労働基準監督署が調査中でございますので、はっきりした結論が出ておりません。もし生理休暇のとり方が妥当でないという結論が出ましたならば、米軍と交渉しまして十分措置していきたいと考えております。
○河野(正)委員 この百四条に基づく申告をした。それがまだ調査をしておらぬというようなことでほんとうの調査ができますか。たとえば、この座間のランドリーにおける職場環境というものが、六十七条にいわれておる職場であるかどうかという判断をする場合に、これは百四条の申告が行なわれたら直ちに調査をしなければ、その間、時間を遷延しておる間に施設を整備したり内容を整備したりすれば、これは結果的には何のために百四条の申告をしたかわからぬという結果に終わると私は思う。だから百四条の申告があったら直ちに調査することがたてまえでしょう。しかるにもかかわらず、これは去年の八月でしょう。それを今日まで結論が出ないというのはどういうことですか。
○村上(茂)政府委員 御指摘のように百四条第一項による申告がございました場合には、申告の内容によりますが、たとえば生理休暇を与えてほしいということで生理休暇を与える結果になりますれば、その申告事案として一応処理されるわけでございます。ただ、いまの場合はそうではなくて、女子年少者労働基準規則の十一条に該当するかいなかという判断を求めてきたケースでございまして、必ずしも法律に違反する事実があるということだけではないように私は思うのでありますが、法律に違反するかどうかという問題になりますれば、この規則第十一条第一項と第二項、両方の規定をあわせて解釈いたしますと、現在は第一項の規定に該当して、有害な業務であると判断されましても、第二項で、「特別の休憩時間を与え、かつ、休憩のための施設を設けたとき。」こういうときには除外されるというような関係があるわけでございまして、第二項の状態が実現いたしました場合には、第十一条の第一項だけに固執して判断をするということも実質的な意味がない、こういうことになろうかと思います。しかしいずれにいたしましても、御指摘のケースは具体的な事例でございますので、私ども早急に取り調べまして、善処いたしたいと存じます。
○河野(正)委員 一般論としては、あなたのおっしゃることはわかるのですよ。しかしその場合の判断はどういうことで判断するのですか。それは具体的なケース・バイ・ケースによるとおっしゃるから、私は具体的な一例を出しましょう、これはどうなったのですかと聞いているのですから、したがって、この問題に対する回答をなさらなくちゃいけないのですよ。それをこの問題についての回答を一般論でおやりになるから、あなたのおっしゃるケース・バイ・ケースということは納得できませんよ。あなたは一般論はこうです、しかしケース・バイ・ケースによりますとおっしゃるから、それでは一例を具体的に出しましょう、ですから、この例に基づいてあなたが一般論でなくて、具体的にこの問題は一体どうだということの御見解をお示しにならなければ、これは回答にならない。あなたは、具体的に百四条について申告をやっているわけだから、申告を受けました、それについて調査をいたしましたところが、この結果はこうでございますということにならなければならぬのに、それを依然として休憩時間を与えれば、あるいは休養施設をつくればどうだこうだということにはならぬでしょう。
○村上(茂)政府委員 ただ具体的にという意味は、ランドリーは有害業務であるかどうかという問題の提起をなされますと……。
○河野(正)委員 そうじゃないですよ。神奈川の座間基地におけるランドリーの職場というものが非常に生理休暇の制限を受けた、これについての百四条の申告を受けたということなんです。一般論じゃないのですよ。
○村上(茂)政府委員 ですから、先ほども申し上げましたように、はなはだ遺憾でございますが、座間のランドリーの作業が、労働時間が何時間で、どういう状態で、立ち作業をどの程度やるか、休憩がどういうように織り込まれておるかという事実をいま把握いたしておりませんので、座間のランドリーはどうかというせっかくの御質問でございますけれども、ちょっと具体的判断を下すには材料が不足であるというふうにお答え申し上げている次第でございまして、早急に取り調べまして善処いたしたいと思います。
○河野(正)委員 あなたがそういうふうにお答えになるならば、それは問題ないわけですよ。そういう具体的な事実を御存じないのに、私ども幾ら追及したってお答えはできない。それをあえて一般論でお答えになろうとするから、私はいろいろ申し上げるのです。 それでは施設庁はどうですか。この百四条の申告については、あなたも所管官庁として、基準局は別として、その間の事情は御承知になっておろうと思うのです。これは基準局長がそういう具体的な事情について承知しておらぬからということですが、あなたのほうは、昨年の八月のことですから、その間の事情は当然御承知になっておろうと思うのです。
○江藤政府委員 座間のランドリーの作業そのものが、女子年少者労働基準規則第十一条に該当するかどうかということにつきましては、昨年の八月に、私どもの出先の渉外労務管理事務所と、労働基準監督署との共同調査で調査いたしたことはございます。その結論は、まだ私のほうは労働省からいただいておりませんので、それが具体的にはっきり該当するかどうかという結論は出ておりません。
○河野(正)委員 それは結論はいいです。経過だけでもひとつ御報告ください。
○江藤政府委員 具体的な資料を私のほうももらっておりませんので、はっきりしたお答えはできませんけれども、これがはっきり十一条に該当するという断定もなかなかいたしかねているようにもうかがっております。しかしながら先ほど来申し上げますように、十一条に該当するような業務に該当するのではないかというふうにも判断いたしました場合には、直ちに現地の労働基準監督署に申し入れまして、調査いたしまして、その結論によりましては、米軍と交渉して生理休暇の妥当な運用をするように、都道府県に対して指導をいたしておる次第でございます。
○河野(正)委員 百四条の申告をされたのは、昨年の八月のことですよ。しかも今日まで結論が出てこぬで、もし十一条に違反するというふうなおそれがあれば適正な処置をいたしますということになりますと、もし生理休暇を極端に制限を受けておるということであった場合には、その結論が出てくるまで制限を受けなければならぬということですか。
○江藤政府委員 先ほど長官からもお答えになりましたように、現在の実態としましては、本人が実際に生理上就業が困難であるということであるならば、これは当然とるべきではないかという指導をいたしておりますし、現に医師の証明書等もとらないように米軍に強く申し入れまして、現在ではとっておりません。したがいまして、それは先ほど来お話がありましたように、あくまで主観的な判断になりますけれども、本人があくまで主観的に考えて生理休暇をとる必要があると思えば当然とるべきではないか、これは私どもも十分指導いたしたつもりでございます。
○河野(正)委員 指導とかいう問題ではなく、百四条の申告を法律に基づいてやっているわけですね、それらについて結論が出ておらなければ、今日まで結論が出てくるまでの過程の中でどういう調査なりどういう処置をおやりになっておりますかということを聞いているわけです。
○村上(茂)政府委員 いま施設庁のほうで御答弁がありましたような事実を私はいま承知したわけでありますが、労働本省におきましてその決断を下すという段階にはまだ入っておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、その事実を調査いたしまして善処いたしたい、かように考える次第でございます。
○河野(正)委員 あなたは御存じないと言うから、お答えにならないでけっこうですよ。何べんお尋ねしてもお答えがないのですから、お答えの意味がありません。ですけれども、施設庁のほうは所管庁ですから、たとえ百四条の申告というものが基準局を通じて行なわれるにしても、あなた方は所管庁ですから、その間の事情というものは十分御承知になっておらなければならぬはずですね。だから昨年の八月申告をなされたその後、その調査の経緯というものが、結論は別としても、どういう経緯になっているかということをお尋ねしている、こういうことです。
○江藤政府委員 私のほうも女子年少者労働基準規則十一条に該当するのではないかというふうに考えられます。たとえば、ランドリーの問題とかあるいはキーパンチャー等の問題につきまして。
○河野(正)委員 たとえばではない。この座間の問題を具体的にあげて言っているのですから、これについてお答え願えばいい。一般論ではない。ケース・バイ・ケースとおっしゃるから、私は具体的に例をあげて言っている。
○江藤政府委員 座間のランドリーの業務は昨年八月に調査いたしております。いたしておりますが、その後の結論につきまして、労働省あるいは現地の労働基準監督署に対してその結論の督促をいたしておらないというのも私どもの怠慢になるかと思いますが、今後なるべく早く結論を出してもらうことに努力しなければならないと私どもも考えております。ただ、この場合におきましては、従来確かに十五名がほとんど全員常に有給の生理休暇をとっておったという事実がございますが、その後一時米側において医師の証明書云々の問題が出まして以来急減いたしました。しかしながら、これは実際に十一条に該当するのではないかというふうな感じもいたしましたので、現地の渉外労管を通じまして調査するように私どものほうから指示いたしました。同時に従業員に対しても、事実生理上就業が困難であるということならば、当然とるべきではないかというようなことを現地の渉外労務管理事務所からも指導いたさせまして、先ほど申し上げましたように、現状は、大体半数以上はとっております。 なおまた、この問題が根本的に解決しているかどうかということにつきましては、今後現地の労働基準監督署等にも十分連絡をとりまして、その結論を督促し、私どものほうも十分調査してまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 あまりくどくど申し上げても時間の浪費になりますけれども、国会ですから、いろいろでいさいのいい答弁をしようというようなことで御努力なさっておるのかどうか知らぬけれども、具体的な事実はそういう事実じゃないのです。昨年の八月、申告をした。今日まで結論が出ない。ところが今日まで職場において直接作業に従事しておる従業員から事情をお聞きになった事例もないわけなんですよ。こういうていたらくなんです。そして鋭意調査いたしております。こういう指導をいたしました——指導するもせぬも、現地の従業員からその職場における実情というものを聴取する機会を今日まで一回も持っておらぬ。そうして結論が出てこぬ。こういうことでは何のために労働基準法百四条が存在するのか、全く法の存在の意義がなくなると私は思う。大臣、いまお聞きになってよくおわかりだと思うのです。まだ今日に至るまでその職場の従業員から実情を聴取するという機会も設けていないわけですよ。そしてここでは答弁だけうまくしておこうということかどうか知りませんけれども、鋭意調査中だ、こういうことでは困ると思うのです。百四条の違反があったと思われる場合には申告する権利があるわけですから、その権利行使については当然早急に処置をなさるべきだと思う。そして申告が誤っておれば誤りだ、申告が正しければ正しいということで改善をされなければならぬと思うのです。ところが今日に至るまで、いま申し上げますように、直接従業員から事情の聴取も行なっておらない。こういうていたらくなんです。ケース・バイ・ケースじゃないと判断ができませんとおっしゃる。だから、それではこのケースはどうですかというと、いま申し上げますようなていたらくなんです。だから、これは基準局長は事情を御存じないからやむを得ぬとしても、施設庁なり労働省の怠慢のそしりは免れぬと思うのです。これは大臣も実際の事情を十分承知しておられないわけですから、いろいろ申し上げるのは酷と思います。ですけれども、少なくとも経緯というものはそういう経緯になっておるわけですね。しかも、その百四条というものは労働基準法ですから、それが適切に実施されておるかどうかということについては労働大臣の任務ですから、そういう意味で私はやはりこの問題については労働省としても大いに責任が存在するというように考えるわけですが、その点、大臣いかがですか。
○小平国務大臣 私もいま初めてそういう問題があることを知ったわけでございますが、先ほど来のお話を承っておりまして、昨年八月に申告のあったものについて、その後どうやったかよくわかりませんが、いまのお話ですと、一向処理が進んでおらぬ、こういう事情のようであります。こういうことははなはだ遺憾でございますから、さっそく現地ともよく打ち合わせまして、事情を明らかにして、いずれにしても座間の問題、現地でそういう問題があるのでしょうから、なるべく早急にひとつ結論を出す、こういうことにさしたいと思います。
○河野(正)委員 これはそういうことをさしたいということでなくて、今日まで申告してきた事実があるのですから、そういう点についてはやはり申しわけなかったくらいの誠意はお示しにならぬとたまったものではないですね。
○小平国務大臣 先ほどお聞きにならなかったかもしれませんが、おくれておったことは遺憾であるという話も申し上げたわけです。
○河野(正)委員 これは一例でございましたけれども、基地内の労働者の権利というものがなかなか順守されておらぬ。こういう事柄を示す一例として、実はいまの生理休暇の問題を取り上げたわけです。これは一両日中に生理休暇に関する条項の改定の申し入れをされるということですから、ひとついまいろいろやりとりしましたことも十分念頭に入れながらその実現のためにさらに努力されんことを強く要望いたします。この点については労働大臣も、基準法に関連する問題でございますから、十分、施設庁とも連繋をとりながら、この問題の実現のために大臣からも善処してほしいと思います。その点について一言御見解を承りたい。
○小平国務大臣 全般的によく役所の仕事はおそいと言われますけれども、私も民間育ちですから、そういうことは痛感しておるのです。ですから、この正月の労働部長ですか、それから基準局長との会合があった際も、とにかく行政をもっと早くやれ、親切に、公正に、迅速にやれ、これは部下ですから、訓示ということになるかもしれませんが、そういうことも特に言ってあるわけでありまして、いまお話しのようなことも、要するに迅速でない一つの例かと思います。いずれにしてもそういう問題でいつまでもごたごたしておるというようなことは望ましいことじゃございませんから、先ほども申しましたとおり、さっそく現地と連絡をとって、速急に処理をさせる、こういうことにいたしたいと思います。
○小幡政府委員 私も使用者側に属するものでありまして、八月の申告がなお今日おくれておることは非常に遺憾でありまして、この点はおわびいたします。もう少し労働関係の機関がセンシブルになって、全体として労働者の福利向上をはかれるような仕組みに持っていきたいと思います。
○河野(正)委員 いま一つ、基地内の労働者の権利という問題を通じてお尋ねをいたしてみたいと思います。 それは基地労働者の労働災害、さらには安全管理の面についてでございます。最近、ベトナム戦線が拡大をいたしまして、おそらくそれらの影響もあると思うのでございますが、今日、全国に散らばっておりまする各基地におきまするアメリカ側の監督者が労働安全を無視する、こういう傾向というものが——これは私はベトナム戦争の影響もあると思うのです、作業量が非常にふえてまいりますから。そういう点があったと思いますが、いずれにしても基地における米軍監督者の労働安全無視によって、基地労働者の事故、災害というものが非常に増加をしてまいった、こういう事情が出てまいったことを私どもも非常に遺憾に感ずるのでございます。こういう現況について、施設庁としてどういう御見解でおられるのか、まずもってお伺いをいたしておきたい、かように思います。
○小幡政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年の秋ころから今年度にかけまして例年よりは事故がふえております。死亡にいたしまして五件、傷害が約十件、これにつきましては確かにわれわれも例年よりは事故がふえておるという感じを持っております。これに対しましては、御承知のように、いろいろ安全管理につきましては、労働基準法できめております諸般の措置をとっております。また軍自身も軍隊の特有性から見ましてきわめて厳粛な安全管理の規則は持っておりますが、現実には現場現場ではやはり手落ちもあるだろうということも推察されますので、私はこの問題は先ほどの問題とともに非常に重要視いたしまして、これも明日、折衝の形で諸般のことを向こうに申し入れたい、かように考えております。
○河野(正)委員 いま長官からも、昨年の秋以来事故件数というものがだんだん増加したということでございますが、全くそのとおりであって、私どもも非常に遺憾に感ずることでございます。特に、こういうように再三事故が出てまいりますので、基地労働者のほうでも、これは人命の問題でございますから、したがって、そういう事故が繰り返すことがないようにということで、再三警告もされたようでございます。したがって、そういう警告もあることでございますし、また人命上の問題でございますから、やはりそういう起こってきた事故の原因というものを徹底的に究明をして、そして改善すべき点があるなら、すみやかに改善するという方策がとられなければならぬというように考えるわけです。ところが、実際には、事故が次々にふえていく。このことはある意味においては、まだ私はやっぱりそういう改善策というものについて熱意がなかった、あるいはまた、改善についての努力が足りなかった、こういうことに続いていこうと思うのです。そういう意味で、やはり私はその間の責任というものは非常に重大だと思います。しかも、私どもはこの際特に強調しておきたいと思います点は、先ほどもちょっと触れましたが、監督者の安全無視によってこういう事故というものがだんだん多発してきた。この点が非常に重大だと思います。やっぱり事故でございますから、これはまあなかなか不可抗力的な面もございましょう。ですけれども、最近の傾向として、非常に顕著な事実としては、監督者の安全無視という思想なり傾向によって事故が繰り返される、こういう傾向が出てきたということを、私どもはきわめて重要視しなければならぬと思うのです。こういうことは、民間では業務上過失致死とでも申し上ぐべき災害だということを、私どもは指摘せざるを得ないと思うわけです。私は、それらについてはいろいろな原因があると思うのです。原因はあると思うけれども、やはりその原因の中でも、たとえば基本労務契約十六章あるいは契約主文の十七章、そういうような点というものが、私はやはり事故を次から次に起こす一因にもなっているというふうな感じを持たざるを得ないと思うのです。特にそういう安全及び衛生に対する契約という面の中で、日本政府の自主的な処置というものがなかなか思うようにできない。そういうことになりますというと、私はやはりこの基本労務契約という問題が、駐留軍基地労働者の安全を考えていく場合にはかなり重要な問題であるというふうに考えるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えになっておりますのか、この際、率直にひとつ御見解をお聞かせいただきたい。
○小幡政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、事故はいろいろの原因で起こっておりまして、必ずしも斉一な原因で起こりませんものですから、なかなか共通な対策は立て得ないのですが、やはり事故が多発するということは一つの問題であろうと思っております。そのことがやはり安全対策と申しますか、あるいは監督者と申しますか、そういうものが相当に注意してやらなければならぬ面だと思います。私どもといたしましては安全管理計画というものを再検討いたしまして、米軍の監督者の、従業員の安全教育については徹底してもらう。先ほどお話のありました、日本側も何とか安全対策に自主的に参加できるような体制ができないものだろうかと考えまして、たとえば労管とか基準監督署の事故調査というものを、いち早く行なえるような仕組みに米軍の協力を要請したい。結局、事故は事故原因を分析いたしまして、その分析の結果によって対策を立てるということが一番でありまして、その事故調査については日本側も参加できるようにいたしたいということを向こうに折衝する。さらにまた事故が起こらない前のいろいろな安全管理につきましても、日米共同で、協力してその調査等もできるようにしたいというふうなことを、明日いろいろと、向こうの首脳部と会いまして折衝したいと思っております。
○河野(正)委員 特に、人身事故が起こりましても、労働基準法ではさっそく報告しなければならぬという義務があるのですけれども、ところがこの基本労務契約によっていろいろな点が規制をされておる。そこで米軍側が日本側に対して即時通報の義務がない。ところが人身事故の場合は、その原因を直ちに調査する、この点についてはいま長官も触れられましたが、同時にまた救援対策というものを直ちに確立しなければならぬ。ところが基本契約の規制によって日本の自主性というものが侵されている、そのために一刻を争うこの救援対策ができなくなるということは、それはまことに申しわけない話であって、基本労務契約そのものが基地労働者の人命というものを結果的には軽視をし、また助かる命が助からぬということになるわけですから、やはりこの基本的な問題を早急に解決をし、改善をはかっていく必要がある。こういう点を解決せずに、単に基地労働者の災害が起こった、これはたいへんなことだということでは相済まぬと思うのです。やはりその基本的な原因に対する問題を解決することなくして、これらの問題の解決などは困難だということは、いま私が申し上げたとおりです。ですから、私はやはりこういう基本契約についての改善をすみやかにはかるということが、非常に焦眉の急であるというように考えるわけですが、その点いかがでございますか、ひとつ御見解を承りたい。
○小幡政府委員 事故調査につきましてはすでに申し上げたとおりでございます。先生と全く意見が同じでございますが、事故が起こった場合の緊急報告につきましても、実は最近横田基地におきまして二、三日おくれた例がございますが、このような例は非常に困るということを向こう側にも申し込れておりまして、軍側もそれを率直に認めまして、遺憾の意を表しております。そうした関係で、いまおっしゃったような制度にわれわれもしたいと思います。そういう意味で、基本労務契約の中で改善すべき点があれば、検討の過程におきまして十分検討したいと思っております。
○河野(正)委員 私は、そういう基本的な問題の解決がはかられておらぬということのために、非常に不利益をこうむっておる例が多いのでございますから、そういう意味でひとつ若干お尋ねを申し上げてみたいと思いますが、いま私若干触れましたように、基地労働者の人身事故が、米軍側の業務管理上の過失あるいは安全規則を無視した、さらには無理な業務命令を出した、そういうことのために基地労働者が犠牲をこうむっていく、災害を受ける。ところが、先ほど申し上げましたような、基本契約条項によってこの通報を行なう義務がないわけですから直ちに調査することはできない。したがって、軍側の業務管理上の過失あるいは安全規則の無視、それから無理なる業務命令というようなことで、当然、日本的に言うならば業務上過失致死あるいは過失傷害ということで刑事責任を追及される立場になるわけでございますけれども、さっきの協約というものが災いをして調査がなかなか思うようにできない。したがって、この事故の原因を徹底的に究明することがそのために不可能になる、あるいは実際には過失によって基地労働者が命を失い、あるいはまたけがをするということでございますけれども、その責任者の責任所在というものがはっきりしない。そういうことのために、やはり基地労働者の災害というものが次から次に積み重ねられていく、こういう現象というものも私は今日までたびたびあったというふうに理解をいたしております。ですから、そういう意味でも私は、いま御指摘申し上げましたように、契約の改定について格段の努力をしてもらわなければならぬということに相なってまいろうかと思います。これらについて、いままでアメリカ軍側と折衝をしておられますならば、それらの経緯についてひとつお聞かせをいただきいた。
○小幡政府委員 先ほどお話に出ました事故等があった場合の報告書につきましては、基本契約の十六章の4の「報告書」の項に、そういう報告書を出すべく規定しておりますので、ただこの報告書は、先ほど私が申し上げましたように、横田でその事故が起こったものでありますから、その点は非常に遺憾であるということを申し上げました。なお、いろいろな公務上の過失等によりまして、従業員が死亡とか疾病、傷害を受けます場合には、労働者の災害補償法によりましてやっております。さらにまた、弔慰金等も、今度は新しく出すように折衝していますが、そのほか、いろいろ従来の裁判等の経過も考えまして、たとえば、慰謝料等についても何とかひとつ前向きで考えたいというふうに現在検討しております。
○河野(正)委員 これは業務上の死亡の場合と、そうでない死亡の場合においては補償の額に非常に隔たりがあることは御承知のとおりだろうと思うのです。そこで結果的には、業務上の場合には労災法によって補償がある。ところがそうでない事故で死亡した場合には、いわゆるホフマン方式で補償になる。そうすると、この業務上の場合は労災ですから非常にわずかな補償に終わるけれども、業務上でない場合には、ホフマン方式ですから非常に膨大な補償を受ける。社会通念的に言いますと、業務上の場合のほうが厚い補償が行なわれるということならば多少わかりますけれども、逆の結果になっておることは、長官、御承知のとおりです。そこで私どもは、この際、業務上の死亡の場合はホフマン方式によらない合意があるわけですけれども、この合意を破棄せしむべきではないか、そうして業務上の死亡の場合にもその補償について、手厚い補償があるということを検討すべきではないか、そのように考えますが、その点はいかがですか。
○小幡政府委員 業務上の場合もホフマン方式を適用すべきではないかという御意見でございますが、これはやはり意見のあるところでございまして、少なくともいままではわれわれは業務上の場合はいわゆる第三者と見ずに労災でやっていたわけでございます。しかしながら先生も御指摘のように、非常に差が大きいということは事実でございます。われわれのほうでは、これは関係方面も相当ございますので、慎重を要する問題でございますが、この事案が現在東京地裁で裁判にかかっておりますので、裁判の判決を見た上で善処したいというふうに考えております。
○河野(正)委員 一つは、いま私ども申し上げましたように、業務上と業務上でない場合との間において非常に補償の隔たりがある。それが感情上から言いますと逆の結果になっておるということですから、いま申し上げましたように御指摘申し上げたのでございます。それから、それは裁判の結果を見るということでございますが、それからもう一つは特別弔慰金、こういった制度を設けるべきではないか、こういうふうに考えますが、その点はいかがですか。
○小幡政府委員 この点につきましては全く同感でございまして、現在金額につきましてはいろいろ御意見もあることかと思いますが、十数万出せるようにとりあえず現在折衝しております。
○河野(正)委員 いずれにいたしましても、基本的には、基本労務契約に基づいて、そしてそのために結果的にはかえって基地労働者の災害の原因究明というものが困難になったり、あるいはまたそれらの災害についての処置が迅速性を欠いたり、こういう結果が出てまいっておりますので、いま私がるる申し上げましたように、基本契約についても再検討を加うべき段階にあろう、これについては御努力されるということでございますから、さらに格段の努力を願っておきたい。補償の点についてはホフマンについては裁判の結果ということですし、弔慰金については具体的に数字も十五、六万ということが出てまいりましたから、できれば組合側の要望もあることでございますから、ひとつそういう線に沿うてさらに努力を願いたいということにいたしておきたいと思います。 いま一つは、これはベトナム戦争と私は関連があると思うけれども、最近新聞でも報道されておりますように、日本の基地内に野戦病院が開設されておる。そうしてベトナム戦線からの負傷者なり傷病者なりが日本国内に送還されてくる。こういう事態が起こってきていると思うのです。これらが新聞でも報道されておりますが、どういう現況にあるのか、まずお知らせをいただきたい。
○小幡政府委員 現在野戦病院につきましては、大体米側からいってきておりますのは相模、岸根、入間、王子の四カ所をいってきておりまして、朝霞をその補助地としていってきております。各地とも大体ベッドにいたしまして五百から千二百ぐらいの間のベッド数をいってきております。現状ではすでにその病人が来ておるかどうか、この点私も何名いるかということは現在把握しておりませんが、先日この病人が伝染病であるかどうかということを非常に心配いたしまして、向こう側の施設とも話しておりましたところ、向こう側の参謀長から私のほうの大臣あて書簡が参りまして、米軍は、コレラ、ペストその他の伝染性の患者については、従来日本側にそういう患者を入れたことはない、将来もそういうものが伝染性のある間は入れない方針である、検疫は十分守る、万が一そういう事故が起こった場合には、十分日本側と協力して、そういうものの絶滅に尽力を惜しまないという旨の正式の書簡が参っておりますので、米側も伝染病疾患の予防には万々の注意を払っておるというふうに考えております。
○河野(正)委員 その参謀長の万々の注意を払っておるはけっこうですけれども、それらの発言について日本政府は確信を持てるのかどうか。コレラ、ペストやその他の伝染病が入ってきて、そして蔓延して、そこで驚いても始まらぬと思うのです。ですから、要は、なるほど参謀長のほうから万々注意を払っておるということはけっこうですけれども、それらについて確信が持てるような状態であるのかどうか、その点いかがですか。
○小幡政府委員 これは厚生省のほうから責任を持ってお答えになるかと思いますが、私のほうの考えでは、いままでも入ってきておりませんし、検疫で非常に厳重にやるということを約束しておりますので、日本側で厚生省の立場からごらんになりましても、そういう保障がある以上、まず心配ないものというふうに考えております。
○河野(正)委員 万々の注意を払っておるので、それで安心だというふうなお答えのようでございますが、実際には、アメリカ側からの報告を厚生省が受けて、厚生省は、それをうのみにしておるというふうな実情ですね。ですから、やはり私は、ほんとうに安心するためには、その点について日本の政府はある程度の責任を持つということにならぬと、単にアメリカ側から報告を受けて、ああそうでございますか、こういう仕組みでは、もし万々一伝染病が蔓延するというようなことになったときにたいへんなことになるというふうに思うわけですが、その点はいかがお考えになっていますか。
○小幡政府委員 私は、米側の検疫並びにそういう厚生系統の責任ある処置を信頼いたしますが、なおそういったことだけでなくて、労働者側の自主防衛という意味から予防接種等の制度もございますので、そういう危険が予想される場合にはそういう措置をもとってまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 一つには、私がいま申し上げましたように、検疫については、日本政府は厚生省がアメリカ側の報告を受けるということにとどまっておる。問題点としては、これが一つ。もう一つは、私がいまのようなことをどうしてお尋ねするかというと、実際に日本の基地内の野戦病院にベトナムからの傷病兵を収容した。ところが、それらの汚物処理について施設が十分であるかどうかということについては非常に疑問がある、こういうことが一ついわれておる。ですから、検疫では万全を期しておるということですけれども、実際具体的な事情をながめてみると、汚物処理についてはどうも十分ではないという判断が下せる、そういう問題があるから、私は、いまの万全を期しておるという報告があったということで、はいそうですかというわけにはまいらぬ、こういうことを申し上げておるわけです。これらの点について御承知でありますかどうか。
○小幡政府委員 いま御指摘の点は私初めて耳にいたしましたので、さっそく、場所等がわかりましたら主管の省とも連絡いたしまして、善処したいと思っております。
○河野(正)委員 それが私は無責任だと言うのです。アメリカの参謀長から防疫や検疫については万全を期しておると言われておるから安心だ、こういうような御見解なんです。ところが実際は、汚物処理その他についてはどうも施設が十分でないということを私どもは聞いておるが、そういうことをお尋ねすると、それはわからぬ。そういうことがわからぬで、向こうのほうからそういう報告があったからわれわれは万全を期しておるというふうに理解している、こういうことは私は非常に無責任だと思うのです。だからやはり、そういう報告を受けたが、実際にはどうだという実態というものを十分承知をして、その上に立って安心すべきかどうかという判断が出てくると私は思うのです。ところが、それらの点について十分御承知でなくて、ただ向こうのほうから報告を受けた、だから万全を期せられておると思うという。厚生省にしても同じだ。厚生省にしても、アメリカ側から報告を受けて、それを了承するにとどまっておるわけですね。確認する方法はないわけです。ですから、いま伝染病が起こっておらないからいいようなもんです。起こった際にあわてても始まらぬことです。これは基地労働者だけにとどまらぬわけです。一般の国民、住民にも伝染をするわけですから、たいへんなことです。ですから、私は、ころばぬ先のつえということばがございますように、そういう不幸な事態が起こらぬように、起こる前に手当てをすべきものは手当てをすべきだということで申し上げておるわけですから、そういう意味で、長官のお答えではどうも不安でならぬというように指摘せざるを得ぬと思うのです。これは十分そういう実態というものは御存じないですか。
○小幡政府委員 伝染病の対策は厚生省が所管しておりますが、私のほうも、基地労働者に関係いたします立場上、すぐにも厚生省と連絡いたしまして、そういうところに——あるいはもうすでに立てておるかもしれませが、十分調査いたしたいと思います。
○河野(正)委員 一つには、ベトナム戦争が、だんだん戦線が拡大をして、そうして傷病兵がどんどん日本の基地内における野戦病院に送られてくる、そういう面についての労働条件の問題がありますね。労働強化が起こってくる、あるいはまた労務計画、作業計画という問題についてのいろいろな問題点もあると思います。ですけれども、それらの点については、いずれ別の機会に申し述べるとして、きょうは特に安全、衛生の点にしぼって申し上げておるわけですが、いま申し上げまするように、私どもは、安全、衛生、防疫の面について安心していい状態にあるかどうかということについては、いま何点かの事例をあげてお尋ねしたわけですけれども、若干疑問を持たざるを得ぬという状況にあると思うのです。 それらに関連をして、ここでもう一つお尋ねをしておきたいと思いまする点は、たとえばベトナムからどんどん傷病兵が送られてくる、そうしますと、そこでいきなりそれらに対する対策を立てなければならぬ。したがって、この基地労働者に対する自宅待機、労働強化の問題もございます。が、それらの点は後ほど申し述べるとして、いま申し上げるように、いつ傷病兵が送られてくるかわからぬという問題と関運をして、自宅待機を強要されるという問題があると思うのです。実際にあるわけです。その際、自宅待機については、やはり待機手当というようなものが考えられておりますかどうか、伺いたい。
○小幡政府委員 何といいますか、まだ具体的にそういう事例があがってきておりませんので、まだ考えてない次第でございます。
○河野(正)委員 これは基地に限らず、一般においても、従業員を拘束する場合には、日本の基準法によっても拘束手当というものが支給されておるわけです。ですから、この自宅待機については、待機手当なり拘束手当というものが当然考えられなければならぬ。国内法のたてまえからいってもそうでございますから、私は、この駐留軍労働者についても当然考えらるべき筋合いのものだというふうに考えるわけですが、あがってくる、あがってこぬは別として——私はあがってきておると思うけれども、それをあがってこぬとおっしゃるから、それは別として、そういう事態があるとするならばお支払いになりますね。
○江藤政府委員 先生の御質問の趣旨がよくわかりかねる次第でございますが、就業時間の変更という問題につきましては、これは現在規定がありまして、十五日前に申し出る、しかし、個々の基地におきましては、従来の労使慣行によりましてそれが三日前に、あるいは二日前に届け出れば就業契約を変更することがあり得るわけでありますが、その場合におきましては、もしかりに一日前に申し出るというような場合になりましたら、その翌日の一日は当然休業補償というようなものを支給しております。具体的に待機命令を出す、それが就業契約の実質的な変更になるということになりましたら、個々の場合によりましては、休業補償というような問題が出てまいると思います。現在具体的な問題としましてはちょっとわかりかねますが、一般の原則としてはそういうふうな規定になっております。
○河野(正)委員 休業補償じゃないわけですよ。これは勤務が明けて帰りましょう。しかしながら、いつ傷病兵が大量に送られてくるかわからぬ。その際に作業量がふえるわけですね。だからその際に——これはお聞きになっておると思うのですよ。消防自動車を使って、そして労働者の家庭を回って労働者をかき集めて仕事をさせる、こういう事例があるわけです。ですから、休業補償でなくて、帰っても常にうちで待機してください、いつ仕事があるかわからぬのだから、こういうかっこうで待機をさせる、こういう事例を取り上げて申し上げておる。ですから、その際、消防自動車で迎えに来ることがありましょう。ですから、それまで自宅で拘束されておるわけですね、もし大量に傷病兵が送られてきた場合には。これは全く、私どもは常識で考えられぬわけですけれども、消防自動車を使って労働者を集めて回る。そうして緊急に作業に従事させる。ところが、そうでなくても、そういう仕事がいつあるかわからぬから自宅に待機しておりなさいということで待機させれば、当然拘束する手だてをしなければならぬ。これは日本の労働基準法でもそうですよ。そういう事例についてはどうですかと、こういうように申し上げておる。
○江藤政府委員 確かに先生がおっしゃいますような事例が二、三ございました。そのような変則的な、就業時間をかっては変更するということは、労使の慣行としては非常に好ましくないし、現在の基本労務契約の規定から見ましても好ましい状況ではございませんので、この点につきましては厳重に米軍に申し入れております。そういう場合には、当然超過勤務手当はつけるべきであるし、あるいは就業時間を変更するのであれば、これははっきり一定の手続に従って変更すべきである、それに従って就業時間を定め、その定められた就業時間によって、あるいは超過勤務手当を払う、あるいは休暇を与えるならば、そういう手続は正規の手続をとって当然やるべきであるということは申し入れております。確かに、いまおっしゃられましたような事例が二、三ございました。これは米側に十分に申し入れて、現在はそのようなことのないように逐次改善をされておるというふうに考えております。
○河野(正)委員 改善された分についてはいいですけれども、依然としてベトナム戦争が終わっていないわけですから、おそらく私のいま申し上げたような事態というものは起こり得ると思うのです。ですから、そういう事態については、私が指摘申し上げましたような方策というものを、ぜひひとつ実施をしていただきたいというふうに申し上げておきます。 実は労働組合法という問題は、組合法の第一条にございますように、労働者の地位の向上ということにあるし、また今度の改正というものは、それは背景にはいろいろ問題はございますけれども、一応労働者の不当労働行為とか、あるいは調整案件というものを円滑にすみやかに解決をしようということにもあるわけでございますが、しかし、現実には、いま私が一、二の例を申し上げましたけれども、労働者の権利というものが、特に基地関係においては非常に大きな圧迫を受けておる。これでは労働組合法で幾ら労働者の福祉なり地位の向上というものをうたい文句にいたしましても、これは全く絵に書いたもちであって、仏つくって魂入れずに終わるわけでございますから、やはり組合法の改善と同時に、実際にも労働者の権利というものが守られるような、こういう努力が必要だということを特に私は強調を申し上げたい。そういう意味で、きょう若干具体的な事例を取り上げて、いろいろ御見解を承ったわけでございます。 そこで、時間もございませんから結論的に申し上げますが、ひとつ今後の基地労働者——一般の中小企業、零細企業にもあると思うのですが、特にきょうは基地問題を集約的に取り上げましたから、特に基地労働者の権利という問題が非常に弱められておるというふうな現状というものを、ひとつ労働大臣も十分御認識をいただいて、そうして今後は、もちろん所管省というものは防衛施設庁ではございますけれども、しかし、労働者の権利を守る最高の責任者としての労働大臣としても、ひとつこの問題についての格段の御配慮を願いたいということを強くお願い申し上げておきます。それらの点について、ひとつ大臣、さらには施設庁長官からも御見解を承っておけば幸いだ、かように思います。
○小平国務大臣 基地関係の労働問題につきまして、詳しくお話を承りました。私も一そうこの問題にも留意をいたしまして、できるだけ努力をいたしたいと思います。
○小幡政府委員 基地問題につきまして、いろいろ御質問をいただきまして、ありていに申し上げましたように、法律の最小限度の努力はしておりますが、まだ第一線におきましては相当労働施策が立ちおくれておりますので、私どもはなお今後一そう反省をいたしまして、労働省の力をかりまして一そう努力をしたいと思います。
○齋藤委員長代理 関連質問を許します。淡谷悠藏君。
○淡谷委員 この間、大臣が見えられなくて保留しておいたのですが、労働法規が適用されない事例が、いろいろ河野委員からお話しがありましたけれども、LSTの乗り組み員の問題について、あのLSTの乗り組み員の雇用経過は一体どうなっておりますか、お聞きしたいと思います。これは前に御返事できなかったものですから、大臣の来るまで待っていたのです。
○有馬政府委員 LSTの乗り組み員は、昨年の十二月十五日現在で千二百六十九名おります。それで、この乗り組み員の募集の方法でございますが、これはほとんど縁故によって直接米軍に採用されておりまして、安定所経由の者はいない状況でございます。
○淡谷委員 米軍によって直接雇用される。そうしますと、日本の労働法規とは全然関係なくなりますね。乗り組み員は。日本の法からははずれてしまう、こう理解してよろしいですか。
○村上(茂)政府委員 日本の労働法規一般について私からお答えするのはいかがかと思いますが、労働基準法は外国籍の船舶には適用がありませんので、適用はないということになるわけでございます。
○淡谷委員 大臣、いまお聞きのとおり、外国の船の募集には日本の労働基準法は適用しない、この外国人の日本労働者の雇用については、労働省としては、全くノータッチで自由にやらせるという御方針ですか。
○有馬政府委員 これはもともと船員の関係でございますので、私どもも直接タッチしていないわけでございますが、現在のLST乗り組み員は、先ほど申し上げましたような経路を直接米軍が採用しておる、こういう現状でございます。
○淡谷委員 大臣、外国の船舶その他が日本から自由に船員を募集することには、全くノータッチで、基準法も適用しないで許しておかれるわけですか。どんどんふえたらどうしますか。
○村上(茂)政府委員 先生御承知のように、船員一般につきましても、これは運輸省所管になっておるわけでございまして、本問題についても、実態的には運輸省により関係が深いと存じますが、私どもが承知いたしておりますのは、あっせん経路は先ほど職業安定局長がお答えしましたような形で行なわれておるようでありますが、しからば労働条件はどうかという点につきまして、具体的法規の適用問題とは別に、労働者保護の見地から私どもも深甚な関心を払っておるところでございます。これも先生御承知かと思いますが、労働条件につきましては、全日本海員組合と極東管区軍事海上輸送司令部との間に昭和四十年三月十五日に協定をいたしまして、日本人船員人事管理規則書に含まれておる労働条件につきましては、この極東管区軍事海上輸送司令部と全日本海員組合との協議の上発布されるというような手続をとっておるような次第でございまして、今後におきます問題につきましても、さらに全日本海員組合と協議するといったような申し合わせをいたしておるような次第でございます。私ども、そういった、いわば労使間における協定等を通じまして、労働条件が確保されますことを期待いたしておる次第でございます。
○淡谷委員 滝井委員は来ないそうですから、私もつなぎの意味がなくなりましたのでやめますが、いまお聞きのとおりこれは船員であり、雇用主が外国船だといっても、日本の労働者としては変わりがないことになる。それがいまの全く自信のないような御答弁では、ちょっとしたつなぎ質問では解決のつかぬ問題だと思います。 もう一つ残しておきました問題として、日韓条約に伴う韓国における保税工場の問題があります。ここで韓国の労働賃金の安い労働者がどんどん雇用された場合、本来なら日本で完成して輸出されるべきものが部分品として行きますから、やはり日本の工場に対する労働力の雇用の一つなんですね。これが日本の労働力の雇用市場に与える影響というものは非常に大きいと思うのです。 この二点をこの前実は残しておいたのです。大臣からゆっくり御答弁を伺うつもりでおりましたが、きょうはやめましょうや。あらためて時間をいただきまして、じっくりこの問題をお尋ねしたいと思いますから、その点をひとつあらかじめお調べおき願いたいと思います。いまのような御答弁ではどうも私満足できませんので、この問題は非常に重大な問題でございますので、運輸省のほうからも来てもらいまして、明らかにすることをあらかじめ申し上げておきます。
○齋藤委員長代理 本会議散会まで休憩いたします。 午後零時五十分休憩 ————◇————— 午後三時四十九分開議
○齋藤委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。 質疑を続けます。滝井義高君。
○滝井委員 労働組合法の一部を改正する法律案について御質問申し上げたいと思いますが、労働委員会というのは、船員のほうにも船員労働委員会があるのです。それから、公共企業体のほうには調停委員会があるわけです。船員の労働委員会は、同じ労働委員会でありますけれども、運輸大臣が委員を任命をして、そして地方の海運局が委員会を持っておるわけです。公共企業体の調停委員会の場合は、これは労働大臣が所管をしておって、実質的にはこれは地方の機関になっているわけです。われわれがいま論議しようとする労働組合法の一部を改正する法律案の中における問題の、増員を必要とする地方労働委員会は、これは都道府県の機関になっているわけですが、それぞれの機関が、任命権者も運輸大臣であったり労働大臣であったりして違っているわけですが、これは一体どうしてこういうことになっているのですか。労働問題であれば全部労働大臣が任命したらよかりそうなものなんですが、それがそういうまちまちな形になるというのはどういうことですか。
○青木説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生申されましたように、船員につきましては船中労委及び海運局ことに船員地方労働委員会が置かれておりまして、船員につきましては、戦前からの特殊な関係もありまして、運輸省に船員局が置かれ、船員関係の基準監督その他全部を運輸省が所掌いたしております。そういう関係から、労組法制定以来、労働委員会につきましては、船員につきましては別個の労働委員会としてこれを設け、その委員については運輸大臣がこれを任命するというような仕組みに相なっております。なおこの点につきましては、臨調の答申におきまして、そういう労働関係を取り扱う上からいって労働委員会を別個にしておく合理的な理由がないのじゃないかというような答申もございました。なお労働省におきましても、三十四年以来労使関係法の運用の実情及び問題点につきまして、学識経験者十三名の方々にその問題点を検討いただいておりまして、この検討の中におきましても、船員関係だけを特別に取り扱う合理的理由はないのじゃないか、こういうような論議がなされておりました。そういう問題点はございますが、現行法のようなたてまえになっておりますのは、船員に関する労働関係の特殊性ということとわれわれは理解いたしております。 それから公企体関係でございますが、これまた先生御存じのように、三公社五現業につきましては公労法という労組法の特別法がございまして、特に争議行為を禁止したこととの関連において強制仲裁制度というものを設けております。一般の民間の労使関係とは若干違った仕組みでもって事件の調整を行なう、こういうふうに相なっております関係上、公共企業体等労働委員会というものを特別に設けまして、内閣総理大臣が委員を任命する、こういう仕組みに相なっているわけでございます。 なお、先ほども申されました地方調停委員会でございますが、これは地方に置かれておりますけれども独立の機関ではございませんで、公労委の内部機関として調停委員会というものを常設しておくだけでございまして、地方労働委員会とはちょっと性格が違っておりますので、その点もお含み願いたいと思います。
○滝井委員 内閣のほうで公務員制度審議会ですか、ああいうものができて団結権、団体交渉権、争議権等の問題も論議をしておりますけれども、労働関係を調整していくそれらの機関が、船員は船員、民間の労働者は民間の労働者、公共企業体は公共企業体と、こう分かれておることも、やはり憲法の労働基本権というものは分かれておるわけではないわけで、私はこれは分かれておることが非常に問題だと思う。しかも今度は、その委員の取り扱いや待遇というのがみんな違うのですよ。だからそういう点でも、昔から分割支配ということがあるかもしれないけれども、ていよく分けておる。しかし、同時にそこに出る委員も待遇、取り扱いが違うということはやはり私は問題だと思う。臨時行政調査会において、こういうものは別々にしてはいかぬ、何か統一して一本化する必要があるというのも、私はまさにそうだと思うのです。そういうものをやはり一本化してやることのほうがいい。しかもそれを全部労働大臣が責任を持つ。この前港湾労働について問題がありましたが、経済的な側面、いわゆる業者の側は、運輸省が港湾運送事業法でやる。ところがその港湾運送事業法の近代化というものができていないために、そこにおける労使関係というものも非常に非現代的な、前世紀的な、しかも手配師なんという変な者がおって、労働力を自由にもてあそぶというような形になる。それはいかぬじゃないかというと、労働省のほうで港湾労働法というのを近代化しようとしても、運輸省のほうががんとしてそれに応じない、こういうことでちぐはぐになってしまっておるということなんですね。こういう点から見ても、私は船員関係でも同じだと思うのです。だから、これはやはり運輸大臣が船員労働委員会の委員を任命するのじゃなくて、船員関係の労働関係というものは労働省が握るというほうがいいのじゃないか。たとえば厚生行政においても、厚生省の保険局がいままでは医療もやる、そしてその監督もやるというようなことの二足、三足のわらじをはいてはいかぬというので、保険局は政策の立案その他、全く純粋の政策的なことをやる、そして社会保険庁という現業を別につくってこれを分ける。いま医務局がまだ混淆している、これはやはり分けなければいかぬというのと同じように、少なくとも労働省というものが昔の内務省から離れて、あるいは厚生省から離れて確立されたからには、労働関係は労働省が握るということのほうがいいのですよ。運輸省の中に持っておったって、そんなもので労働関係がよくなるはずはない。通産省の中に労働関係を入れておってごらんなさい、ろくなことはないのですよ。それは経営の側に立ってしまうのです。私はなぜ冒頭からこういうことを言うかというと、あとの質問にこういうことが関連してくるのですが、やはり使用者の関係と労働の関係というものが混淆されておるから、いつも問題が解決しない。したがってこういうものについてはひとつぜひ、公務員制度等の関係もありますが、いまのような十三人の学識経験者をもってそういう基本的な問題を三十四年以来御検討になっておるなら、もう六年も七年にもなるわけですから、すみやかに結論を出して、そういう労使関係というものをすっきりさせる必要が私はあると思うのです。しかも、させると同時に、その労使関係を明白に調整する機関というものがやはり強力な一本のものでなければいかぬです。しかもこういうものは、私は中央の機関でなければいかぬと思うのですよ。ところがいま言うように公共企業体というものは中央のもので、出先はその公共企業体の内部の調整機関です。しかし、中央労働委員会と地方労働委員会とがあって、これは別個のものになっておるわけでしょう。そういうちぐはぐというものは、そんならばなぜ公共企業体だけは一本のものにして、民間のものは別々に分けるのだというと、筋が通らない。これはなかなか簡単には説明ができないですよ。だからこういう点は今後ひとつ明白にしていただきたいと思うのですが、どうですか。
○小平国務大臣 労働委員会あるいは公共企業体等労働委員会、船員労働委員会と、それぞればらばらにあるということは好ましくないのじゃないかという御主張でございますが、われわれも労働省の立場からいえば、これが一本になっていくことが望ましい、かように考えますが、これは申し上げるまでもなく、なかなか機構の改革というものは容易でないことは御承知のとおりでございます。しかしいずれにいたしましても、容易でないからといって捨てておくというわけにはまいりませんから、私どもの労働省としてはそういう方向で逐次各省とも話し合いをいたしてまいりたいと考えます。 ただ、先ほども御説明申し上げましたように、この種の委員会のあり方と申しますか、組織その他につきまして基本的な点を学者その他の有識者に検討もお願いしておるわけでございますので、そういう方面の御意見も十分拝聴いたしまして今後善処してまいりたい、かように考えるわけでございます。
○滝井委員 将来のことはぜひひとつ進歩的な形で解決してもらいたいと思います。 今度は現状について少し質問をするわけですが、この地方労働委員会の委員の選任についてです。一体いま委員の職業的な分布というようなものはどういうようになっているのかということですね。
○青木説明員 お答え申し上げます。 労働委員会の委員は、先生御存じのように三者構成でございまして、公益を代表する者、使用者を代表する者、労働者を代表する者、こうなっております。したがいまして、使用者側と労働者側委員はそれぞれ使用者団体、労働組合の推薦に基づいて任命をいたしております。問題になりますのは公益委員の職業分野と思いますが、昭和四十年の調査によりますと、弁護士が九十三名、三七%、大学教授、講師が七十六名、三〇・三%、非常利団体の役員二十名、八%、あとはジャーナリスト、計理士、公認会計士、医師、そういう方々がそれぞれごく少数でございまして、最も多くを占めておりますのは弁護士と大学教授、これでもって二百五十一名の委員のうちの約六七%を占めておる、こういう実態でございます。
○滝井委員 いま大臣お聞きのとおり、労働委員会というのは法律家偏重なんですよ。ここに問題があるわけです。なぜ一体労働委員会が法律家偏重にならなければならないかということなんです。これは労働委員会が結局準司法的な機能を非常に発揮をしようとするからこうなるわけです。これは一つは労働委員会の規則にも罪があると思うのです。特に地方労働委員会で問題になる不当労働行為の審査手続が裁判所方式をとるわけです。だから弁護士みたいな人でないとだめなんです。ところが弁護士みたような人を入れたら、もう御存じのとおり、まず原告と被告の法廷方式をとるわけですから、これはもはや労働問題として扱わないわけです。法律的な問題として扱ってくるわけです。だからこれはじんぜん日を過ごして長引いていくわけです。しかもこの人たちはみんな専業じゃないわけです。兼職、非常勤です。だから幾ら人数を三十人ずつにしたって問題は片づかぬですよ。問題は根本的にはここにあるのです。この人数を、代表する委員を、東京とか大阪は非常に事件が山積しているから九人とか十一人にする、なるほど、ふやしただけ幾ぶんは進捗するかもしれぬですよ。しかしそうじゃない。本質は、そのやり方、方式そのものにある。しかも全部出てくる人が法律家偏重です。だから法律論を展開する。ところが労働問題というものを法律的に割り切っておればじんぜん長引く。長引けばだれが一番損するか。これは不当労働行為をやった経営者側は損をしない、労働者側ですよ。これは明らかです。こういう委員というものが法律家偏重であって、兼職、非常勤であるということのために能率が上がらない。だからこれをあなた方が人数をふやしてやろうとすればむしろこれは待遇をよくして少し専従の人を何人か置いたらどうかと思うのです。労働委員会の中の人数を十一人とか九人とか東京とか大阪をおふやしになるとすれば、いま少し待遇をよくしてこの中の二人とか三人を専従にしてしまう。あとにも私いろいろ案を出しますが、そうしてやらせるわけです。そうしますと能率がはかどっていくのですよ。ところがそういうことをおやりにならぬで、ただ人数をふやしていくということは、一体労働委員会というものをほんとうに重要なものとして見ておるのかどうかということを疑わざるを得ないわけです。いまの法律家偏重、兼職、非常勤、これに対して一体そのままでいいのかどうかということについて、私はどうもよくないと思うのだが、大臣なり労政局長の見解を聞きたい。
○三治政府委員 審議会をやっておりましておくれまして申しわけございませんでした。 いま先生のおっしゃるような議論は、われわれのほうとしても十分うなずけるところでございますが、実際の労働委員会の二十年の経歴からいきますと、やはり本職でやりますと、どうも労使が、おれたちが頼んでやったから彼らはめしが食えるのだ、こういうような空気が非常に出てくる。したがって、こういう第三者機関として公平にやるためには、やはり本業は持っておって、その労使の同意というものにあまりこびへつらうことのない人が必要である。こういうところからこの制度が出ておるということが一つであります。 それから不当労働行為制度というものが戦後アメリカの指導でできた。しかも世界のこういう制度の中で不当労働行為制度なんというものをつくっておるのはアメリカ、カナダと日本くらいのもので、ほかの西欧各国にはこういう不当労働行為制度というものはない。したがって、こういうものがあるために、労使関係で法律万能をさらに助長させたという傾向は確かにあると思います。しかし、現実にこれが機能し、組合の権利として非常に認められておって、現実に問題がある、そういう場合にこれをどう改善していくか、こういう問題が本質論としてはありますが、当面といたしましてやはり今度ふやした理由は、不当労働行為の参与制度がありまして、労使がそれぞれ一件ごとにその審問が行なわれる場合に参与する、その上にさらに弁護士がつく、こういうために複雑になり、長くなり非常に法律論になっておるのが現実でありますが、しかしそれが労使それぞれ参与したいということでやっておる、そうすると、労使ともそれぞれ労働委員会の委員として専門ではない、副業なんだ。そうすると自分たちの都合のつく限りにおいてある程度、一カ月のうちに多くたって三回くらいしか出られないのだ。それがそれ以上、一週間に二回ずつ出てきても審理を促進しよう、こういうようなことは無理だというのが労使一体の意見でございます。したがってあくまで労働委員会というものは行政委員会であるかもしれぬけれども、われわれが当事者としてこれを利用していって、しかもそれぞれ自主的に参与していくということになるとどうしても副業的にやらざるを得ない。そうすると人数は多いほどいいのだ、こういう労使の御意見が非常に強いわけです。それからさらに専門職ということも確かにあります。先ほど申し上げたとおりでございますが、われわれが現実の労働委員会の運営を見ておって、公益委員が副業としておやりになっていただいても、公益委員の方はわりあいに何と申しますか、そう本業とされるということはわれわれはあまり聞いていない。むしろ労使の委員の方々の事情でこういうふうにやらざるを得なかった、こういう実情でございます。したがって、最初に申し上げましたように、労働委員会の運営、不当労働行為の事件の迅速な処理という問題については、労使とも公益の審問される方のやり方、こういうものを合理的に改善しようとする意欲が出てこないと、これは実際上制度を直してもしっかりうまくいかないのじゃないか、こういうふうに考えます。したがって、この制度の問題につきましては、先ほども答弁になったかもわかりませんが、労使関係法研究会で、この労働委員会の運営の問題について非常に御熱心に討議されて改善案も出されることと思います。それをさらにその労働関係法研究会の先生方に労使にいろいろPRしていただきまして、そういうふうなものの改善、具体案が出た上でさらに根本的な検討をしたいというのが現在の私たちの態度でございます。
○滝井委員 御存じのとおりこれは人数をふやします。ところが、いまふやさなければならない一番忙しいのはだれかというと、使用者側委員でも労働者側委員でもなく、不当労働行為で一番忙しい主体になるのは公益委員ですよ。公益委員が非常に忙しいわけです。これは三者構成ですから労使もふえてくるわけです。それで人数も非常に多くなる。こういう形になる。あとで総会のことなんか触れますけれども、多くなってくる。そこで労使の委員もふやしてけっこうです。しかし、同時に、滞積する案件をピッチをあげてやっていくということのためには、どうしても公益委員の中の何人かを専任制にするということ以外に打開の道はないんですよ。それは、たとえば私のちょっといま思いついたところでは、健康保険の審査でもいま非常勤で、月の初めにそれぞれの三者構成から出てくる医者が当たりますよ。しかしその中にも専任審査委員をちゃんと置いていますよ。それもあとで触れますが、あなたたちのほうでいえば、労働保険の審査官というのはちゃんとした役人ですよ。それは専任で県に駐在しておるでしょう。ああいう形のものを、事務局機構にも関連しますけれども、置いたらいいですよ。そうして促進する。そうしますと、あなたのいま言われるように、労使双方の公益委員承認を必要とする。だからおまえたち給料取りになったのはおれたちが食わしてやるんだという弊害が起こるかもしれませんけれども、いまでもずいぶんその弊害が起こっていますよ。との次の公益委員になるためには労使双方の了解を得なければならぬからというので、ちゃんと手心を加える人もおるし、はなはだしいのは、使用者側にべったりくっついておってその使用者の会社の重役になったやつがおる。そういう浜の真砂と何とかは尽きないという石川五右衛門のような悪いことをするのは幾らでもありますよ。どんな世の中でも神さまばかり、聖人君子ばかりではないから、幾ぶん悪い面があるけれども、いい面のほうが非常に多ければその面をとるべきだと思うのです。そういう意味で、法律家の偏重と、いまのような兼務制というものをある程度切り抜けて克服して、そして幾ぶんでもこの滞積する案件の処理を迅速化しようとするならば、人数をふやすことには反対いたしません。しかし、ふやすならばその中の何人かを思い切って専従にするというぐらいの前進がないと、それは竜を描いて眼を入れておらぬということになる。大臣どうですか。ひとつ思い切ってまず隗より始めよで、東京とか大阪とかに、忙しいときにだけモデルケースとして二、三人置いてみるというぐらいの前進をやらないと、せっかく法律を出したのに任期を一年を二年にする——労働組合も最近二年になりつつあるからいいんですが、人数をふやすというだけではあまり法案として価値がないんですよ。これは竜を描いておるけれども魂がない。だからここに魂があるぞというものを、三治労政、やるなら三つぐらいいいことをしなさいよ。やらなければ話にならぬ。
○三治政府委員 先生のおっしゃるとおりでございますが、われわれも、そういうことで労働委員会関係のこの改正につきましては待ってくれというふうに、出すものについてはいろいろ三年越し待ってもらって、いまにいい案をつくるからということであったのですが、どうしても待てないから暫定的にということでやむを得ずやって——先生の御質問の線はわれわれのほうとしても十分賛意を表したいところでございますが、いずれにしても、御承知のように、今後この労組法を根本的に改正するためには、非常にいい案であるというようにそれを労使が納得をしてくれるPRと申しますか、事前の討議が必要でございますので、先生の御趣旨の方向でわれわれのほうも今後努力していきたいと思います。この常勤制の問題につきましては、非常に最近各種行政委員会としては、給与の関係でいまも非常勤にしております。ことに公益の先生方の待遇がどうしても非常に低劣な関係になっておりますので、われわれのほうは、片方こういう人たちの待遇の部面からいっても常勤制をとらないとやはりいい人が得られないというふうな感じも持っておりますから、そういう公益委員の方の待遇の面、それからさらに先生のおっしゃる事務能率の改善向上という部面からいっても、われわれのほうとしては、できるだけ早く成案を得て改善の方向にいきたい、そういうふうに考えております。
○滝井委員 これをもし九人とか十一人にする人の中から二人とか三人を常勤にするという場合には、法律の何条を改めたらいいのですか。
○青木説明員 常勤を置くといたしますと、労組法第十九条の第十一項、第十二項、第十三項あたりに入れるというかっこうになるかもしれません。
○滝井委員 結局十九条の十一項で、委員の任期は二年とする、ここが一番大きな隘路——隘路というか、修正を必要とする一番大きな点ですね。何ならこれは修正をして、このうち二人か三人くらいは常勤とするぐらいを入れると一番いいと私は思いますが、きょうあげるというのには間に合わぬような感じもいたしますので、ちょっとこれはたな上げをしておいて、とにかく専任というものを置くことが地方労働委員会の能率化の上に非常に重要であるということは御理解いただいたと思うのです。 そこで、この地方労働委員会と他の地方における行政委員会との比較の問題です。地方労働委員会は一応各都道府県に置くわけですから、そうしますと、これと同じような行政委員会と比べてみると、非常に失礼な言い分だけれども、軽く扱われておるんですね。たとえば、都道府県の人事委員会、それから公安委員会ですね。公安委員会は、たとえば東京都の公安委員会には日経連の一流の人が行っています。佐藤さんと仲のいい安西さんが行っています。国の公安委員は、やはりまたそれと同じようにいい人が来ています。相当人間的な比重の高いところが来ておる。それから教育委員ですね。土地収用委員会の委員なんかは、中央のやつは衆議院の事務総長クラスが行っていますね。そうすると、人事委員会とか教育委員会とか公安委員会とか土地収用委員会とかと地方労働委員会と比較しますと、一体どうですか。県における待遇その他、あなたたちが見て、それらと肩を並べておりますか。
○三治政府委員 こちらのほうは大体において常勤になっておりますので、常勤の部面については非常に待遇が改善されております。いずれにしても、公益委員のほうは労使の同意を得なければならないというところで、非常に人選がむずかしくなっているんじゃないかというふうに思っております。
○滝井委員 いま私ちょっとここに給与の一覧表を持っていないのですが、あなたのところで地方の人事委員とか教育委員とか公安委員と、地方労働委員会の公益委員との何か給与を比較したものでも手元にありますか。
○青木説明員 給与そのものの額を比較したものはございません。 なお、先ほど先生、公益委員のほうをおっしゃいましたが、たとえば東京都の人事委員会の委員には慶応の峯村先生も今度なっておられます。東京都の労働委員会の公益委員の中にも東大の伊藤教授とか石川教授、そういう方々全部入っておられまして、どちらのほうが格が上とか下とかは申せませんが、一流の人物がやはり公益委員としては任命されておるものと考えております。
○滝井委員 一流のものが任命されておるならば、その都道府県における待遇関係というのはどうなっておりますか。比べてみたら非常に低いのじゃないですか。
○青木説明員 いま手元に正確な資料がございませんが、たしか東京都の公益委員でございますと、月額七万円ぐらいじゃないか、こういうふうに思っております。
○滝井委員 それは、一番キャップは委員長といいますか会長といいますか、地方労働委員会会長ですか、その人のじゃないですか。
○青木説明員 お答え申し上げます。 会長は九万円、会長代理が七万五千円、公益委員が七万五千円、労使委員が七万円、こういう数字に相なっております。もちろん東京都は比較的高いほうでございます。
○滝井委員 これはおそらく教育委員や人事委員はもっと高いんじゃないですか。ちょっと私も資料を持ってきておりませんが、いまの東京は、おそらく全国で最高だと思うのです。そうすると、地方に行くと、この地位というのは、待遇は非常に低いわけですよ。そこで、こういうものについても、やはりこれを引き上げていくということが非常に必要なんですね。なぜその待遇の問題を言うかというと、不当労働行為の審査にこれは影響するわけですよ。わずかな手当等しか出していなければ、やはり人間ですから、アダム・スミスの見えざる手に導かれちゃいかぬ、導かれて暗いほうに行っちゃ困るわけです。あるいは力の強いほうに行っちゃ困る。公正な立場で命令その他を出してもらわなければいかぬ。ところがこれは身分保障がないわけでしょう。裁判官というのは身分保障されている。これは裁判官は憲法で保障されているわけですけれども、裁判官に比べてあまりに身分保障がない。ということになりますと、やはりその不当労働行為というのがほんとうに労働組合が言うようなものであるかどうかという判断を下すためには、相当圧力に対して筋を通さなければいかぬ場合が出てくるわけですよ。そういう場合の防止法はないわけです。だから、さいぜん私が言うように、いつの間にかぴたっと使用者側にくっついてしまって、一年してみたらその会社の重役になっておったなんということにもなりかねない人もおったわけですよ。だから、この点の身分保障の問題をあなた方は一体どう考えておるかということです。これは一種の裁判官ですよ。不当労働行為の審査のやり方は、御存じのとおり民事訴訟法のやり方をまねてやるわけですからね。
○青木説明員 お答え申し上げます。 確かに労働委員会の委員の身分保障につきましては、全く規定がないわけではございませんで、労組法の十九条の第十項に規定がございます。「心身の故障のために職務の執行ができないと認めたとき、又は委員に職務上の義務違反」があったとき以外は罷免できない、そういうふうな規定に相なっておりますけれども、こういう現行法の仕組みに相なっておりますのは、委員の非常勤をたてまえにいたしておりまして、非常勤委員につきましては、他の立法例を見ましても、特定の身分保障規定というものが別段ございませんで、この労組法十九条第十項と同じような規定があるだけでございます。しかし、労働委員会の職務内容といたしましては、先生先ほどから御指摘のように、準司法的機能として当事者の審問を行なうという不当労働行為の救済手続がございます。そういう関係で、労使関係法研究会におきましても、その点非常に問題になっております。そういう準司法的機能を、あっせん、調停、仲裁というふうな調整的機能と同じような仕組みの中で行なうことがはたして妥当なのかどうか。むしろ不当労働行為というような問題については、先生が先ほどからおっしゃっておられますように、常勤の委員をも任命し、さらに一定の身分保障を設け、給与保障をし、さらに一般の職員の中から審査官とかそういう専門職を設けて、国家一本の線でもって行なうべきではないか、こういう御議論も非常に強く出ております。ただし、これはもう労働委員会制度の基本にかかわる問題でございまして、やはりその答申を得、さらには労使各側の御意見もお聞きをした上で措置すべき問題と考えております。そういう問題は、先生の先ほどから御指摘の点は、十分われわれのほうも検討いたしておりまして、そういう線に沿って今後対処していきたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 非常にたくさんな案件の滞留がある。これはあとでも触れますが、特に不当労働行為について地方労働委員会が命令を出した。その命令が労働者側にとっていい命令だということは、使用者側にとってはきわめて不利な命令が出たということです。そういう場合に、そのいい命令を受けた労働者の運命というものは、企業の中で一体どうなったかということをごらんになってください。いい命令を受けた労働者の運命というものは実に哀れですよ。不当労働行為であったということで使用者側がぎゅうっとおきゅうを据えられた。そうして労働者は万歳を唱えた。しかし企業に帰ったらその運命というものは実に哀れですよ。それはお調べになってごらんなさいよ。私もざっと調べてみたのですが、もうその運命は哀れなものなんです。どれほど職場の中に入ってきびしいかということは、三井三池の状態をごらんになったらおわかりになるわけです。真正面から戦ってほんとうに労働者として生き抜こうとすればするほど、第二組合がどんどん太ってくるのです。これはもうだれが見ても、われわれがほんとうに神の気持ちで見たらそのとおりですよ。それを世の中が少し色めがねで見るから、第一組合のほうが無理だとかなんとか言うけれども、労働者の立場としては、あれほど純粋な道を歩んでおる者はないわけでしょう。ところが、そうはいっていないわけです。だから、そういう点から考えてみても、その運命をあなた方がごらんになっても非常に悲惨な状態です。勝って悲惨な状態ですよ。労働者側にいい命令が出て悲惨な状態なんです。したがって、いまあなたが言われるようなこの労働委員会における二つの機能、特に準司法的なものの資格審査とか、不当労働行為の審査というようなものは、やはり国家的なものでやらなければならぬということは、大体地方労働委員会を長くやった専門家の間には、そういう方向へ固まってきつつある。しかもたくさんな小さい案件が出てきたということは、もはや地方労働委員会が労使関係における一番重要な問題点である不当労働行為を解決するためには、一つの壁にぶち当たったことを示すわけですよ。だから、これはいわば根本的に検討をして、改正に乗り出す時期が来ていると思うのですよ。そういう点については、これはいまあなたの言われるように、何か十三人の学識経験者で労使関係のいろいろの問題を検討されておるそうですか、それらの意見もお聞きになって、これはすみやかに抜本的な改正をやる必要があると思うのですよ。しかも冒頭に私が述べましたように、船員あるいは公企業体等においてもばらばらなんです。ですから、こういうものを思い切って労働大臣が握り、そうして労使関係というのは自分が責任を持ってやる、こういう体制をとることが必要だと思う。そういう抜本改正をやる時期が来ておると私は判断しておるのだが、大臣は一体どう思うかということです。
○小平国務大臣 先ほども申しましたが、労働委員会あるいは船員関係の労働委員会等々、それらの機構については、先生もいまお話しのとおり、確かに検討すべき多くの問題をはらんでおりますし、また改正すべき方向というものも、大体先生がおっしゃっている方向にいくことが私も至当であろうと考えます。ですから、今後研究会の御意見等も十分尊重し、あるいは労使関係方面の意見も徴しまして、なるべく早い機会にやはり根本的な検討を加え、改正を行なう、こういう方向で努力をいたしたいと考えます。
○滝井委員 ひとつ、ここで言明されたことは、ぜひ実践をしていただきたいと思うのです。 そこで、さいぜんの、特に東京、大阪等の典型的に事件が滞積をする地域における委員のうち、若干名を常勤にしたらどうだということと関連をして、そういうことが法律を改正することにすぐ間に合わないとするならば、それを補う道としての一つの方法がある。それは事務局を強化するということです。御存じのとおり、この地方労働委員会の事務局長クラスですか、こういう人たちは、やはり県の人事異動の中で動いていくわけです。そうしますと、これは委員長の齋藤さんも身をもって御体験のとおり、役人というものは一つのポストに長くおったら出世しないですよ。やはり一年か二年でとっとっと行かないと出世しないわけです。そうしますと、こういう労使関係というものは、やはりぬるま湯にじっとつかっておるように、三年とか五年、その中にいないと、その地域の労使関係というものはわからぬわけですよ。ところが労働委員会の事務局長に三年も五年もおったら、もうそれはそれでお払い箱になるという可能性があるから、役人はいようとしない。いようとしないということは、労使間の労働問題に対する研究意欲をそぐことになるわけです。そうすると、事務局長がそうなれば、事務局職員もそれに見習うわけですよ。これは昔から模倣の爆布ということばがある。社長がまず大きな邸宅を建てて、れんがづくりのへいをやります。そうすると専務が、社長が大きな邸宅を建てて赤いれんがをしたから、おれは黒れんがぐらいでよかろう。社長よりちょっと小さい邸宅を建てて、黒れんが。そうすると部長は、黒れんがではまずいから、ひとつブロックぐらいでへいをやる。そうすると課長は、まあ部長がブロックぐらいだからということで、今度は板べいをするわけです。そうすると係員ぐらいは、わしはへいのかわりにちょっと木でも植えておこうかということになるのです。上から見ると、赤れんがのへいから、ずっと板べいから木の囲いに至る模倣の爆布ができておるわけです。それと同じですよ。局長がそうなれば、会長も人事についてはおざなりでいく。しかも非常勤で、来たり来なかったりするということになれば、みんなそういうぐあいで、適当に、おれの任期のときはあんなむずかしい問題は片づけずに引っぱろうじゃないかということで、意見が一致してしまう。そうして気をもんでおるのは、労使の参与だけが気をもんでおる。こういう形ですよ。それじゃいかぬので、そういう悪循環をどこかで断ち切らなければいかぬ。一つの断ち切る方法は、専任の公益委員を置くということも一つの方法だ。もう一つ、それがどうしてもできないならば、この法律で人数をふやす機会に、あなた方が事務局ベースでできるのは、事務局の局長クラスを少なくとも四年か五年ここに置く、そのかわり、置くけれども給料も上げてやる、出世をさせるような——四年も五年もおったって、どんどん局長に栄転させる、局長でどうもあの人は役に立たぬから、そろそろ労働委員会の事務局長かなと言われるくらいでは困るのです。生きた実社会における、いわば生きた労働問題を解決する場なんですから、やはり生きがいい人を、まないたに乗った生きのいいコイぐらいを置いてもらわなければならぬ。そうしないと困る。そうでしょう。それがないのです。だから、それがないので、また事務が渋滞をするのですよ。やはり人間というのは、その仕事に迫力を持って打ち込んでいくところに事務がはかどるのだから、その点では、いま事務局職員の任用というのは、これは知事が自由に——地方労働委員会の事務局職員は、知事が自分で動かしていますよ。なるほど地方労働委員会の会長はめくら判を押すだけだ。そんな人はどうも困ると思ったって、いやしないわけです。めくら判を押す、そういう実態でしょう。首を縦に振るようなところを見ると、そうでしょう。みんなそうだろうと思っておる。
○三治政府委員 確かに地方労働委員会の事務局の職員は、知事部局との人事交流が行なわれて、専門的な人が少ないということは十分言えると思います。これもまた地方労働委員会におきましては、やはりそれぞれ各県独立的な精神が非常に強いわけです。それからこの労働委員会の労、使、公益委員の方々が事務局の強化に必ずしも賛成ではなかった、こういうような事情が非常にあると思います。したがって、今後こういうふうな実際面において事務の渋滞が生じてきたというところに非常にいま反省の機運が出てきております。われわれのほうとしては、こういうような不当労働行為みたいな専門的な法律事項につきましては、やはり専門職をつくる必要があるのじゃないか。それぞれこういうふうな問題について、一般的な行政事務だけではいかなくて、やはり専門的に訓練された一つの資格を持った専門職制度なり専門家を養成する。それについては、先生のおっしゃったとおり、身分の昇進の道が開けるような制度をつくることが必要じゃないか、こういうことを考えておりますが、これはみな逃げるようで恐縮なんですけれども、やはり委員会制度の根本的な検討と関連して処理していきたいというふうに考えております。
○滝井委員 どれもこれもみんな根本的な検討のときに一緒にやろうとするとできないのですよ。みんな役人はそう言う。厚生省の役人も健康保険を言うと、いやまさに御意見はごもっともですけれども、根本的な改定のときにやりますと言う。じゃ根本的な改定はいつできるのかと言うと、それはいつの日になるかわからないのです。それと同じで、やはり何もかも根本的なものを一ぺんにやろうとしたってできないのです。だから、一つ一つやっていかなければならないのです。各個撃破ということばが昔からある。孫子の兵法のいろはです。だから一つ一つやらなければ、二つ、三つ欲ばって一ぺんにやろうとすれば——そのうちあなたも労政局長でなくなっちゃうのだから、あなたが労政局長のときは、何かひとつやる。あなた、汽車に乗ってごらんなさい。さすが国鉄の施設局長というのか何か知らぬが、えらいと思う。汽車の窓がみんな違うのです。だからあの国鉄の人たちは、この窓はおれが局長のときつくったのだということで窓をひとつやるわけです。その式ですよ。三治さんが局長のときには地方労働委員会の職員の身分をきちっとした能率的な改定をやってくれた、こういうようにやはり残るものを一つ二つでいいですよ。二年か三年しか局長をやらないのですから、だんだんと次官になっていくでしょう。次官になったらまた次官になったときのものを残せばいいのですよ。だから、何もかにもよけいにやろうとしたっていかぬ。私たち国会の中だって一週間か二週間に一回か二回質問をします、しかし質問のたびごとに偉大な言質をとろうとしたってだめですから、だからこれはとねらったときだけは一ついただく、こういうことですよ。ですからお互いに以心伝心、あなたも三治労政局長のときにはこれを一つ残そうというものを答弁したらいいんですよ。それを考えなければ——法案出したらそのくらいの前進をはからなければ意味がないですよ。これだけが通ればいいというものではない。出した中で前進への一歩をつくっておくということが、あなたのあとに続く労政局長へのおみやげなんです。だからこの法案を出したら、私は委員の常勤制を言ったんだけれども、これは法律を改正しなければだめだ、だから一歩下がって今度は職員のことを言っているわけだ。非常に段階的に調子を下げている。高い調子から低い調子で、だからそこをひとつ感じて、したがって、二オクターブくらい下げた職員のことを言っている。だからこれはまず第一に職員の人事権というものを——もちろん知事が持っているけれども、やはり会長の同意をとるという習慣を全国的につけさせるということです。そしてその会長のもとにやってきた事務局職員は、いたずらに本庁に帰らなければ立身出世ができないという幻想をたたき破るということです。それは労働問題というものが一年か二年でわかるようになればこれはたいしたものだけれども、そんなことは無理なんです。一年か二年でわかるようにはならない。それは代議士でもわかるでしょうが、代議士でも一年生、二年生、三年生、こう言うんだ。五年か六年にならなければ大臣にしないのだから、おのずからその道ができてきているのですよ。それは初めから道があったわけではない。多くの人がそこを通るから、そこにおのずから道が形成されるのと同じですよ。それと同じで、労働問題で少なくとも一番むずかしい争議の中から出てくるあるいはいろいろな労使関係の中から出てくる不当労働行為その他を解決しようとするなら、一年か二年労働問題をやってそれが解決できれば何も専門家は要らぬ。だからあなたの言うようにこういうものに専門職を置こう、こうおっしゃるならば、年期を入れて労働問題を研究させる人を置かなければいかぬ。しかもそこへ行ったらそれをやるというつもりで行かせなければいかぬわけです。まずこれならできるでしょう、会長が少なくともある程度人事の配置をやるときには知事からちゃんと相談を受けるという習慣を全国的につけさせる。それから来た人はやはり四、五年くらいはおらせる。そして四、五年おらしたら、今度はなかなか本庁には帰れぬ場合が出てくるから、今度は労働委員会同士の、九州なら九州ブロックの中の事務的な人事交流をやるわけです。あるいはこれを労働省が全部握って全国的な交流をやれば一番いいんです。しかしそれもなかなかできかねるでしょうから、まず九州なら九州、中国なら中国ブロックの交流というものをやってみる。こういうようにして労働問題のベテラン、年期の入った専門家というものをつくる意欲と方向とを労働省が出さなければ、県にまかせっきりではやれないですよ。県は労働行政までは手が回らぬですよ。なぜならば、御承知のとおり職安とかそういう労働関係というのは県知事が全部握っていない、そういう部面があるわけです。したがって、こういうものは労働省がそういう指導体制を確立しなければいかぬわけですよ、それがされていない。だからこの点、私は非常に高度なことも言いますけれども、非常に低い実現可能なところを言う。社会党というものは何か夢みたいなことを言うというけれども、そうではない。私ども地に足のついた、保守党の政権のもとにおいてもすぐに実行できることしか言わないわけです。高いことを言うけれども、そういうことも言っておるわけです。どうですか。
○三治政府委員 おっしゃることも全くごもっともで、私たちちょっと赤面の至りでございますが、先ほども申し上げたように、労働委員会というものは非常に独立精神が旺盛で、ちょっとほかから手を差し伸べると、とかく文句をいわれたのでございまして、全然労働省として地方労働委員会につきましても、先生のおっしゃるような点について何らやっていないようなことは事実であります。したがって、最近はどうしているか、こういうような問題になっておりまして、私が労政局長になってから、せめて中労委が地方労働委員会事務局と仲よくし、そこで共同的な進歩の政策をとってもらいたい、こういうことで、中労委のほうが音頭をとって現在全国労働委員会連絡協議会というものや事務局長会議なんかをやるようになりまして、非常にそれがスムーズになってきております。さらに先生のおっしゃる点を今後この方面にも働きかけまして、またわれわれのほうは人事権の問題について直ちに先生のおっしゃるような点は要望するとともに、さらに最近地方のこういう専門職なりあるいはむずかしい仕事については研修会制度を設けております。したがって、専門的な問題について中央へそれぞれ専門家の卵なり専門的なことをやっている人を呼びまして、そこで長期の研修をやって逐次そういう専門家も養成していく、そして先生のおっしゃる方面を実現していく、こういうふうなことに至急手を打ちたいと思います。
○滝井委員 ぜひ大臣、そうなると、ある程度予算その他をつけてやらないとだめなんですね。したがって、職員の問題をチームワークをうまくさせて専門職化していくということのためには、予算の裏づけその他を十分ひとつやるように要望いたしておきます。 そこでこの委員の数ですね。今度委員を、三者構成ですから、東京では十一人で三十三人、大阪が二十七人、こういうようにふえてくるわけですが、これは三治さん、最高裁の裁判官の人数は何人か知っておるでしょう。
○三治政府委員 十五人でございます。
○滝井委員 これは十五人では多過ぎるというのですよ。実は最高裁に事件がたまりまして、そしてこれをふやさなければいかぬという論が起こった、ところがいろいろ討議した結果、これはもう鎧袖一触、問題にされなかった。その最高裁と地方労働委員会と比べるのはどうかと思いますけれども、しかしいかなるところも真理というものは一つしかないのだから、最高裁における真理も地方労働委員会における真理も一つということになれば、これは価値は同じと見なければならない。そうすると、一体地方労働委員会は、三十三人で総会というものを開いて——いまあなたが言うように、なるほど全国の地方労働委員会は、中労委の音頭とりで連絡の協議会等開いておる、それならば地方労働委員会の委員全員が集まって、ときには労働問題をディスカッションして、そして重要な問題については総会の議決でぴしっと構想をきめなければいかぬ、そういうことを一体行なっておるかどうか。
○青木説明員 労働委員会は一般の行政委員会と違いまして、その扱う事案が特殊でございます。先生御存じのように、調停事件につきましては、委員が十一名でありましても七名でありましても、大体三名くらいの委員でもって調停委員会をつくってそこで一応取り扱う、あるいは仲裁事案になりますと、公益委員が三人で仲裁委員会を設けてこれを取り扱う、さらに不当労働行為につきましては、労働委員会規則におきまして、審査委員を任命して、その人が審査を担当して最終的には公益委員会を一回開いて合議をしてものごとを決定する、こういうような運営になっておりまして、不当労働行為であれ、調停、あっせんであれ、すべて全員でもってやるというような場合が非常に少ないわけでございます。ただ総会の付議事項といたしましては、労働委員会規則の第五条によりまして、労組法十八条の協約の拡張適用の場合あるいは労調法十条の規定によるあっせん員候補者の委嘱をする。これは委嘱といいましても、そのつど委嘱をするのではございませんで、一回あっせん員候補者の名簿をつくっておきますと、それが一年なり二年あるいは三年、四年と有効に存続するわけでございます。そういうことで総会の付議事項は約八項目くらい規定してございますが、そう毎回毎回あるというような性格のものではございませんで、そういうことで現に各地方労働委員会におきましては総会は大体月二回程度開いておる。大体これはもうどこの委員会でも同じでございますが、月二回程度開いて、いま申し上げましたような連絡調整をやる。さらにこの総会を開きます場合には、いわゆる連絡員制度というのをとっておりまして、労、使、公益からそれぞれ幹事役の方が出ておりまして、この幹事役の方々で話をきめて総会の運営をスムーズに運ぶ、こういうような仕組みをとっておりまして、したがいまして、今回東京都十一名、合計三十三名になりますけれども、その運営についてはそれほどの支障は生じないのではないか、こういうふうに思っております。
○滝井委員 初め労働委員会ができたときは活発に総会で議論をしておったわけです。ところがいまあなたのいわれるように、だんだん仲裁は公益がやるとか、不当労働行為は審査員を任命してやるとかいうようなぐあいになっちゃった。労働委員会というものは形式化してしまったわけです。実際はもう何人かの委員でやる。これは労働保険審査会等も同じになっちゃった。労働保険審査会というものになってこの合議制というものがなくなっちゃったわけですね。そうすると、船員はやっておるでしょう。
○青木説明員 労働保険の場合は先生いま御指摘のように合議体でもってやれる、こういう規定がありますが、同じく全員会議という制度も持っております。これは最高裁の大法廷、小法廷というような仕組みと同じようなものと思っております。なお、中労委及び船員関係におきましてももちろん総会は開いております。開いておりますけれども、その回数は大体月二回程度、これはもう船員のほうも大体月二回程度に相なっております。
○滝井委員 船員ではいろいろなものを活発に総会で議論をしているというのですよ。ところが地方労働委員会というのはいまいったように形式化し、形骸化してしまっているのですよ。だから、こういう点やはり少なくとも三十三人委員がおって、そしてその中で十一人の公益委員ができて、公益委員の意思統一をするということになると、やはりみんなが集まって不当労働行為その他を議論をする場というものが必要なんですよ。それをやらなくて何人かの委員にまかせきりになってしまうということについては問題がある。だから重要な問題というものは総会にかけて議決をしていく習慣というものが必要なんですよ。そのことはやはり何人かにまかしてしまっておるということになると、何人かでいろいろなことが行なわれるわけです。ところがそれが多くなればなるほどそういう変なことが行なわれなくなるわけです。変な取引が行なわれなくなるわけです。そういう習慣というものが今後労働委員会の運営については、私は必要だと思うのです。特に、大事件についてはそういうことをやっていく必要があるのではないかという感じを私は持っておる。それは最高裁だって大法廷にかけるわけですからね。いまこれは大阪あたりを調べてみたんですが、ほとんど総会はないです。あってもほんとうに形式的だ、こういうことなんですよ。そういう点もう少し考えていただきたいと思うのです。 皆さんおそろいになったようですからもう一つ……。この地方労働委員会と基準局や労政事務所との関係は一体どういうようになっておるかということです。たとえば、最低賃金制度を実施していこうというような場合に、この賃金問題というのが非常に不当労働行為その他の問題になってくるわけです。そうしますと、これは基準局の関係になるわけです。ところが、同時にその問題は労政を県で担当している労働部長も関係してくるわけです。それから労政課長等も、これは重要な問題になってくる。そうすると、地労委の事務局長というものも、これはやはり事務的に見なければならぬ。というと、こういうさいぜんの十八条の拡張解釈の問題等の関係を総会に付議しなければならぬので、事務局長の関係が出てくる。そうすると、これらの基準局長なり労働部長なり労政課長なり地労委の事務局長というものが絶えず連絡をとってやっておかないと、地方の労政というものはうまくいかないわけですよ。いまそういうものはやられていないのです。だから、そのことをうまくやるということが、同時に労働大臣の存在を末端に知らせることにもなるわけです。労働省の労政がここにありということを知らせることになる。そういうものについては連絡不十分ですよ。だから最低賃金その他もうまくいかない。労働基準局と連絡がとれないために——これは労働基準局がしっかりしておれば、たとえば予告解雇手当もくれずに解雇するなんということはないわけです。そこらの連絡がないから、不当労働行為だと訴えられてみて基準局はあわてる、こういうことになる。だから、そこらの関係を一体あなた方はどういう指導をされているのか。
○三治政府委員 現在、内部部局の関係の労政、職安、基準、婦人少年局については、地方の出先機関の県単位、あるいはさらに県の下の安定所、監督署、それから労政事務所の連絡会議は定期的にやるように指導しておりまして、これもわれわれが口をすっぱくして年来言っていても、これはなかなか前進しないのですが、最近この点についてもやや軌道に乗ってきたと思っております。ただ、労働委員会につきましては、先生の御指摘のような点も確かにあるかと思いますが、先ほど来申し上げておりますように非常に独立的なものとして理解されており、むしろわれわれ内部部局の者や行政機関が委員会を引き出す、また一緒に何かやるということは、とかく色目で見られるじゃないか、こういうふうな気持ちが非常に強いものですから、この関係についてはやっておりません。こういう問題について先生の御指摘のような問題、いわゆる出先機関全体として実際の労働行政の動きをお互いに情報交換するということぐらいは、またさらにアクティブに行動するような打ち合わせというようなものもできるかどうかにつきましては、十分検討して前向きの姿勢で対処していきたいというふうに思っております。
○滝井委員 予告手当がなくて解雇される。三六協定を結ばずして残業させる。そして労働基準法違反をやっておって、それがうまくいかないで地方労働委員会へ持ち込まれてくるなんという例はざらですよ。ところが、基準行政がきちんとしっかりしておれば、ほんとうはそんなものは起こらぬはずです。ところが、その地域におけるたとえば最低賃金に関する統一的な見解というものについて絶えずそういう人たちが話し合いをして連絡をとっておれば、そんなものはなくなるのです。事件が起きたらぴゅっとすぐに以心伝心のうちに処理できるのだけれども、そういう連絡の行なわれていないところに問題がある。そこでいまのように前向きにひとつ、こういう点についてもあまり遠慮せずに、あなた方が神のようなまっすぐな気持ちでやれば、何も疑いというものは、初めは疑われるかもしれないけれども、すぐ晴れちゃう。労働省は正しいことをやっているとなれば何のことはないのだから、そこで正しい道を歩んでいただきたいのだが、人数をふやした場合に問題は一体人材、適任者が集まるかどうかの問題です。いまでもいい人が集まらぬで困っている。だから今後地方労働委員会の仕事を迅速にしかも円滑に解決をし、隘路を打開をしていくたった一つの方向は、人数をふやすことだ、こう政府は出しておるわけだが、それならばその人材ありや、こういうことです。
○三治政府委員 人材の関係につきましては、今度の増員は東京、大阪だけでございますので、この二つには、非常にたくさんの人材が集まっておりますので、人材に欠けるということはないというふうに思います。
○滝井委員 ひとつできるだけいい人材を掘り起こして運営をうまくやるようにしていただきたいのですが、地方労働委員会ができて二十年の歳月が流れたわけですね。いろいろさいぜんから問題点だけを簡単に指摘したのですが、私ちょっと勉強してみたら、まだ非常に問題がある。そこで、労働省も十分ひとつ反省してもらって、近く抜本的な改正をやっていただきたいと思うのです。いま地方労働委員会にものごとを持っていこうとする労働者の気持ちというものは、非常に複雑なんです。というのは、そういう労働委員会に持っていかなければ自分を救ってくれるところがない。ところが、不当労働行為事件で持っていってみたら、なかなか裁判所方式をとって、使用者側から出てきた弁護人が、証拠を出せ、何を出せ、証人の出頭をやれといってだんだん引っぱられていく、こういう形でもう泣き寝入りをするというようなことで、一つの不信感が渦巻いているわけです。そうして一方においては、うまく、不当労働行為だ、直せという命令が出た。ところが直してもらえると思って喜んで、今度は会社に帰ってみたら、会社がおりづらくてやめた、やはりあきらめておる。こういうたよらなければならぬという気持ちと不信感と、矛盾した二つの気持ちをいま持っているのですよ。そういう形で、公益委員なり労使の皆さん方が非常に努力をしていただいておるけれども、そういう気持ちがあるということはもう確実なんです。だから、これをある程度直していくということは、さいぜんから申し上げましたように、地方労働委員会の姿勢を正させるということは、労働省自身の労政が姿勢を正す以外にないわけです。そういう点で、姿勢を正す一つの方法論として、委員の常勤制をまず始めて見るとか、職員の人事交流をやるとか、職員を専門職に持っていくとかというような、労働省のベースでできるものをすみやかにやっていただいて、労働者の依存感は高めてもいいが、不信感というようなものを払拭する方向で、この法案が通過をしたら努力することを要望をいたして、質問を終わります。
○齋藤委員長代理 他に質疑はありませんか。なければ、これにて労働組合法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○齋藤委員長代理 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 内閣提出、労働組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○齋藤委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手) ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○齋藤委員長代理 次会は明三十日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五分散会