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51回国会衆議院1966/03/17

災害対策特別委員会 第3号

発言数
47
登壇者
9
会派数
3
開催日
1966/03/17

会議録

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、最近各地に発生した火事による災害対策、すなわち、本年一月の青森県三沢市における大火、川崎市における高層ビルの火事、さらに先般の水上温泉における旅館の火事等、最近各地に相次いで発生いたしました大きな火災あるいは多数の死者を出した火災等につきまして、災害の復旧、被害者の援護等はもとより、将来にわたる災害発生の予防及び災害の拡大防止のため、諸施策に関しまして調査を進めてまいりたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口丈太郎君。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 ただいま委員長から申されました過般の火災事故中、三沢市の火災につきましては当委員会にその説明がございました。引き続いて起きました川崎市の金井ビルの火災並びに水上温泉の最近起こりました火災の事情につきまして、それぞれ当局から御説明を願いたいと存じます。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 先般の水上温泉菊富士ホテル火災につきまして御報告を申し上げます。  書面をもちまして報告書を提出いたしておりますので、それに即しまして補足をいたしたいと思います。  出火推定日時は、ここにしたためましたように、当日の午前三時四十分ごろでございまして、覚知時間は——通報すなわち覚知の時間でございますが、三時五十八分でございます。消防隊が出動指令をいたしておりますのが四時でございます。ここでごらんのとおり、この火事の惨事を招きました大きな理由、原因と申しますか、その一つといたしまして、通報の遅延ということを感ぜざるを得ない状況でございます。  出火原因等は現在さらに調査中でございますが、一応の推定原因を、ほぼかようにきめていいと思われる状況でございますが、ここにしたためましたとおりでございます。  二ページにまいりまして、消防隊の出動状況でございますが、ポンプ自動車二台、可搬式動力ポンプ十三台、これは水上の消防団の現有勢力が、ポンプ自動車二台並びに可搬式動力ポンプ十四台でございますが、ほぼ全部を動員いたしたわけでございます。なお、御承知の点ではございますが、念のため申し添えさせていただきますと、当時、この惨事のありました直後におきまして、よく手押しポンプ、手押しポンプという言い方もございましたが、さようでありませんで、可搬式動力ポンプ——小型でございますが、御承知のように近代的な武器になっておるものでございます。この水上の消防団の現有施設、現有機械力は、まだ十分とは申せませんが、全国平均から見ますと、そう悪い状況ではなかった、正直のところそういう姿でございます。なお、三ページにしたためましたように、応援といたしまして、月夜野町、沼田消防署並びに営林署の自衛消防その他当地の観光ホテル自衛消防隊等の応援があったわけでございます。  状況でございますが、地形の起伏が激しく、道路は狭隘であったというのでございますが、これは御承知のような、ああいう土地柄でございますので、お察しのとおりの地勢であったわけでございます。水利はおおむね良好であったというふうに認められております。  菊富士ホテルの概要、なかんずくその消防設備等でございますが、四ページに記載いたしておりますとおりでございます。これは、私どもの消防法の基準どおりの設備をいたしておったわけでございます。(ハ)にしたためました避難設備におきましても、さように基準には反してはおらないというふうに認められます。ただ、五ページにしたためましたように、いわゆる防火管理者でございますが、それが、前の人がやめましてからあと、現在の人は法的資格はございませんで事実上の防火管理者をつとめておった、こういうことでございます。消防計画も届け出はなく、この点については不十分であったと思います。後にも触れますが、一応の基準の設備ができておるのでございますが、これの運用と申しますか、現実の現場、いざというときの状態におきまして、まだ多くの問題を投げかけた火災でございます。それと関連いたしまして、防火管理の必要というものを痛感せざるを得ない状況でございます。  消防機関による査察の状況でございますが、ここに書きましたように、三十九年十一月、四十一年二月、もっとも、四十一年二月は危険物施設についての立ち入り検査でございますが、これを行なった状況でございます。  火災の概要でございますが、六ページに参りまして、避難の状況でございます。この火災があれほどの惨事を招きましたその理由と申しますか、その状況でございますが、夜半と申しますか、真夜中のことではございますが、しかし、私ども思いまするに、ここに書きました警報設備というものはありまして、警報設備は作用いたしましたけれども、はたして全館にわたってその警報というものが伝わったかどうかという点については、すこぶる疑問——というよりも、伝わらなかったというふうに、現段階の調査で思うわけでございます。ベルを聞いたと言う人もおりますが、大半は聞かなかったと言っております。それが熟睡のためであったか、あるいはベルが小さいためであったか、しかし、また一面、まだ起きて雑談しておったという人もおります。さような状況から見ますると、この警報が、作動いたしましても、全館といいますか、宿泊者に対して徹底するその作用というものについて、すっきりしないといいますか、非常に不十分な点があったというふうに思わざるを得ない状況でございます。  六ページの終わりにしたためましたように、従業員の行動でございますが、夜警がまず消火器の操作を行なって消そうといたしましたが、気が動転していたため、これが効果的にできなかったということ。しかし、より問題は、通報がおくれておるということ、これは先ほど申しましたとおりでございます。  死者を招きました状況をさらに補足させていただきますと、最後のほうに図面を添付いたしておりますが、一番終わりの大きな開きの紙、これにちょっと御訂正いただきたいのは、上のほうに「2階陸屋根上に飛び降り避難した。」とございますが、これは一階のミスプリントでございますので、御訂正をいただきたいと思います。いずれにいたしましても、この並びの部屋の者は陸屋根に飛びおりて避難をいたしたわけでございます。  その一つ前に戻っていただきまして、おしまいから二枚目の紙でございますが、ここに死者の状況が書いてございます。これでごらんのとおり、陸屋根のない部分の部屋の者がなくなっておるわけでございます。一名だけ飛びおりておりますが、これは飛びおりて気絶して、腰部捻挫をいたしておりますが、ともかく生命は助かっておるわけでございます。そのほかの方は全部ここでなくなっております。一番下と申しますか、201と書きました部屋が、いま申しました一人飛びおりて助かった部屋でございます。廊下でなくなっておる方の状況は、ここに示しましたような形で廊下で倒れてなくなっておるわけでございます。  七ページに参りまして、水上町の消防組織等でございますが、消防予算が三百六十万円ほどで、この町は町予算全体の約二%程度の予算で運用しておったという状況でございます。消防団の状況は、ここは消防本部署はございませんで、消防団地区でございますが、八ページにしたためましたとおりでございます。  顧みまして、この建物は相当近代的な建物であり、いろいろな施設の面においては必ずしも指摘すべき点がないにもかかわらず、かような惨事を招きましたことは、先ほど申しました通報の問題等々ございますけれども、やや平凡な言い方かもしれませんが、せっかくの施設がありながら、それらについて宿泊者に周知徹底をしておらなかった結果である。この温泉のみならず、最近よくいわれますことは、避難口というものがありながら、宿屋でもってそれを教えない。あるいは、さような点をあまり強調いたしますことは、不粋といいますか、かえって不安を招くというような、従来変な感じがございまして、避難口がありましても、その場所を積極的に宿屋でもって教えない。私どもは、トイレはどこだということを教えると同時に、かような点は徹底すべきものであろうと思いますが、さような点に欠けるところがある。さらには、これは菊富士ホテルでございませんで、一般論でございますが、非常口がありながら、錠がかけられておって、いざというときに締まっておるというような状況の宿屋もまだ多く見られるわけでございまして、かような点について宿屋のほうの管理と申しますか、宿屋のほうのかような点についてのサービスという問題、また、宿泊者もさような点について十分心をいたさなければならない点もございますが、なかんずく、広く防火管理の運用につきまして多くの反省を投げかけられておるわけでございまして、今後さような点についてわれわれとしても力をいたさなければならないと存じておる次第でございます。  なお、川崎の金井ビルのことでございますが、これは、御承知のとおり、ことしに入りまして早々の一月、川崎のにぎやかなところにあります金井ビルで、これは細長い、ちょっと塔のような六階建ての建物でございますが、このビルのキャバレーのところからやはり夜中に出火をいたしまして、十二名の死者を出した事故でございます。かような、いわば高層と申しますか、ビル火災に対しまして、私ども、最近の非常に大きな問題であると、水上も含めてでございますが、思っております。ことに煙との戦い、かような高層におけるところの消火もさることながら、人命救助の問題、避難の問題、かような問題につきまして、最近の火災の悪質化してきておることの大きなあらわれと存じまして、この点についてさらにわれわれの予防並びに防御、避難というものについての努力を重ねなければならない点と存じておる次第でございます。  金井ビル火災に対しましては、さらに報告書を書面によって委員会に提出いたしたいと思っております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 そこで、二、三重要な点について質問をいたしたいと思います。  ただいま水上温泉の菊富士ホテルの火災について詳細御説明がありました。まず第一に、ただいまの報告のとおり、この菊富士ホテルの設備につきましては、示された基準のとおりであって、手落ちはないと私も思います。ただ手落ちがありますのは、第一に、平素における非常事態に対する従業員の指導に欠けるところがあるのじゃないか。第二には、夜間における警備員の不足であります。当時は、警備員を兼ねたいわば番人のような人が一人だけ勤務をしておる。しかも、その勤務をしておった警備員が過失をおかして火災の原因をつくった。石油ストーブをけ飛ばして倒し、それによってこの火災の重大な原因をつくった。これらの点については、設備そのものは問題ないといたしましても、運用の面におきまして重大な過失をおかしておる、私はかように考えます。たとえば、非常ドア等が各階についておるようでありますけれども、その非常ドアに誘導するにも第一に人がいない、従業員がいない、こういうようなことでは、私は旅客の生命財産の安全を期することはできないと思う。しかもこれは運輸省の指定する国際観光ホテルとしての資格を与えておる。しからば、そういう国際観光ホテルとしての指定をしておる運輸省、それから災害を防止するための共同責任として主要な任務を持っておる消防庁、これらが一体どういう指導を平素しておったか。まことにもって不手ぎわ千万だ。設備をいかによくしても、これを運用する人の訓練あるいは従業員に対して訓練をするだけではなしに、人員をまず配置充実しておくということに欠けておる。こういうようなことをしておっては、国の指定をした国際観光ホテルだからといって、生命を託し安心して宿泊することはできぬと思うのですが、一体これらの指導についてどういうふうにしておられたのか、それぞれその当局から御説明を願いたい。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 法的と申しますか、制度的には、御承知のように防火管理者の制度がございまして、さらに消防計画作成の問題がございます。これに基づきまして訓練、準備というものを行なうように私どものほうでなっておるわけでございます。さらに、現実の指導と申しますか、現実の運用といたしましては、防火管理者の講習を重ねますとともに、かような点につきまして、業界、業者と申しますか、関係者を呼びまして、そして具体的な指導を行なっておるわけでございます。水上の場合におきましては、御指摘のとおりでございまして、この点につきまして十分の一ともかくかような惨事を招いたのでありますが、一般的にはさような状況でございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 ただいまの答弁ですが、平素訓練をどれほどやっておっても、人間がいないのです。どれほどりっぱな技術を持った人がおっても、夜、外へ出ていて、寝てしまっていて、いないということでは、私は防災の役割りを果たすことにならないと思います。なるほど、夜間勤務をやらしたり何かすれば経費がかかります。人件費もかかる。したがって、この菊富士ホテルというのは、経営者がそういった費用を節 するために、せっかくその従業員を雇っておりながら、それを夜間の警備勤務につかしていない、ここに私は重大な責任があると思うのです。これは監督官庁はどこになるか、労働省になるのか、あるいは指定をされた運輸省の観光局は、指定だけするのであって、そうして形式的に設備さえ整っておれば、それを平素運営する人はどうあってもいい、そういうような運営面については何らこれを指導することなしに済ましているのかどうか、これは観光局はどうなんですか。

増川遼三運輸事務官(観光局長)

○増川政府委員 私どもといたしましては、先生の御指摘のとおり、施設につきましての基準は相当厳密にやっておりまして、こういった非常災害時における対策等に要する諸施設につきましては、国際観光ホテル整備法にうたっておりまして、かつその施行規則に詳細にうたっているわけでございますが、こういう規定がございましても、これをやはり運用する面におきまして注意を欠いているということにつきましては、全く経営者の責任に帰するものと考えるのでございまして、これに対しまして、私どもとしましては、旅館ホテル等の火災のありますたびに、それぞれ要点を指摘しまして、当該事故発生者のみならず、関係業界に対しましても厳重に警告を発してきた次第でございます。今回の場合におきましても、さっそく地方の陸運局長あるいは県の関係の方面、それから関係業界に対しまして厳重な警告を発しているわけですが、なお、こういった事実認定が完全に終わりましたならば、それぞれ詳細なる具体的な対策、手段を指示いたしまして指導いたす所存でございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 とかく、事故が起きないと安全なことをしないのが日本の非常に悪いところです。たとえば、これは火災とは違いますけれども、私は運輸の専門ですが、踏み切りでも、あそこは早く踏切番を置かないと重大な事故が起きるぞということを現場の人間が幾ら当局に言っても、ちっとも踏切番を置かない。そうして、これはもう何十年も前の話ですけれども、あるところでは、消防車が出動して、踏み切りで電車にひかれて消防士が十人も十五人も死んでしまった。そういう重大な事故を起こして初めて踏切番をうける、こういうような、とにかく事故を起こして人命財産を失わなければ安全な施設をしないというのでは、どうも事が起きてからすることであって、だめだと思うのです。事が起きる前に、あらゆる事態を想定してこれに対処するということでなければならないと私は思う。しかるに、いまの答弁でも私は満足できない。これからやるというのではもうおそいのです。三十人も死んでいるのですよ。ですから、一体平素どういう指導をしているのですか。しかも運輸省の指定する国際観光ホテルとしてやっておれば、われわれは絶対信頼を置いてそこに生命財産を託して泊まっている。しかるに、その権威ある指定を受けておる国際観光ホテルが、調べてみれば、なるほど、施設の点については全然申し分がないのですが、その申し分のない施設を運用するにあたって適切を欠いている。したがってこういう重大な災害をもたらし、人命財産を失った。まことに遺憾千万。指定した官庁においても私は重大な責任があると思う。その責任を感じなければこれは行政官庁としての価値がないと思うが、いかがですか。

増川遼三運輸事務官(観光局長)

○増川政府委員 ただいまのお話、まことに肝に銘じて拝聴したわけでございます。私どもといたしましては、国際観光ホテルあるいは旅館といたしまして登録しておりますのは、これは御承知のとおり、国際観光客、海外からの来訪者を泊めるのにふさわしいという事柄で取り上げておるわけでございまして、この国際観光登録ホテルあるいは旅館以外のホテル、旅館というものが多数あるわけでございますが、現在私どものほうで完全にタッチできますのは、この国際観光ホテル整備法に基づきます政府登録を受けたものだけでございます。しかしながら、登録ホテル以外の諸ホテル、旅館等につきましても、お客さんへのサービスを確保するという面から、関係業界を通じまして個々への指導を従来実施してきたものでございまして、かつまた、火災予防法上の諸措置あるいは施設等につきましては、所管の官庁であります消防庁に全面的にお願いをせざるを得ない、こういう立場でございますので、従来からそういった面につきましては必要のつど打ち合わせばいたしてまいっておるわけでございます。なお、今回のことを契機にいたしましてなお一そう関係官庁との連絡を密にいたしまして、今後再びこういった重大なる災害の起こりませんように留意いたしてまいりたいと考えております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 ただいまこれはそれぞれ当局においてその原因並びにその責任の所在につきましては追及中であると思いますけれども、しかし、それだからといって、われわれはこういった悲惨な事故に対してちゅうちょしてはならぬと思う。したがって、この責任の所在というものは明々白々たるものだ。一つには、政府登録の観光ホテル、この政府登録を受けるということを単なる営業の手段とするがごときことがあっては断じていかぬ。政府の権威ある登録を受ける限りにおいては、その権威にふさわしい施設はもちろんのこと、従業員の訓練あるいは従業員の配置等に対しても万全の処置をとる責任が経営者にあると私は思う。また官庁も、それだけの権威を与えるのでありますから、常にそれを点検いたしまして、こういった事故を未然に防ぐための処置を講ぜられてしかるべきであると思う。それが監督行政というものであると私は思うのですが、それらを怠っておるということになれば、これは所轄官庁も重大な責任を私は負わなければならぬと思う。従業員が連日の勤務にたえかねて疲労こんぱいの末居眠りをした、そして足を伸ばすか何かした拍子に石油ストーブをけ飛ばして倒したことによってこの重大な災害を招来したということになれば、なおさらもって監督官庁並びに経営者についても重大な責任がある、重過失の責任がある、私はそう考える。ただ単に、その従業員が石油ストーブをけ飛ばしたのだから、その人間だけが重過失の責任を負うて、それで全部が終わるというのでは断じてないと私は思う。これらの点についてはいかがですか。消防庁においても、どういう警備体制で、防災の関係からどういう処置を講ぜられておられるのですか、ひとつお聞かせを願っておきたいと思います。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 この責任の問題でございますが、かような惨事を招きましたので、これは十分の究明をいたさなければならないのはむろんのことで、御指摘のとおりと思います。現段階におきましてはまだその点につきましては調査中といいますか捜査中の問題でございますが、しかし、今後のこともございますので、十分なる究明をいたさなければならない、かように思います。  問題の先ほどからの御指摘の点でございますが、私ども、さきにも触れましたように、防火管理制度というものにつきまして、消防の大きな問題といたしまして、かような旅館、ホテル等につきましても十分な努力を払ってきたつもりでございますけれども、何ぶんにも、具体的な運用ということになりますと、単に文面に書きました制度だけでは生かされないこともむろんでございまして、たとえば防火管理者制度のもとにおきましても、具体的にさらに個別に防火あるいは避難を含めましたかような異常事態における責任体制というものも私ども指導をいたしてきたのでございますが、かような結果になりました。私、多少余談がかって恐縮でございますけれども、われわれの立場からさらに強くこれを指導し、また監督いたしますと同時に、この防火、避難、ことに人命の問題につきましての事柄が、いわゆるサービスといいますか、仕事の一部に溶け込んでこなければならないのじゃないか。むろん、人命救助という法的な制度もいろいろ検討いたさなければなりませんが、これを運用いたしますためには、自然な姿において経営の中におきましてサービスの大きな部面として溶け込んでいって運用されなければならぬのじゃないか、かようにも考えております。したがいまして、私どもの立場から強く指導を重ねますと同時に、先ほど来運輸省のほうからの御答弁にもございましたように、その方面との連携もよく密にとりまして、さらに努力をいたしたいと考えておるわけでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 これは私は運輸省にも言っておきますけれども、少なくとも政府登録をしたホテルは——ただそのホテルが、この施設にありますごとく、防災に関するいろいろの規定に基づく施設をやっておる、通り一ぺんの検査をしたというだけでは、私はこういう事故を未然に防止することはできないと思うのです。少なくとも、その施設とともに従業員の配置についても万全の処置をしておるかどうか。その配置について法的根拠がないとおっしゃるなら、やはり人員配置の基準についてもできれば法的処置を講じて、人命の尊重を第一に考えて完全な防災施設を講ぜられるように、この際ひとつ強く私は警告的に申し上げておきたいと思う。  それから消防庁にお伺いしますが、川崎市における金井ビルの火災についてであります。これは建築技術ということにも私は関連すると思うのでありますけれども、最近の高層建築物は、いわゆる高さの制限を排除され、したがって、だんだんと建物が高層化される。そこで、まず、その防災という観点から、この高層建築物の構造についてであります。狭い土地に高い建物を建てて、しかもその地階から何階か上の頂上まで直線的にらせん階段が設けられておる。これが火災のときには災害を拡大する重要な原因となっておる。その階段が煙突にかわるわけであります。これが典型的な金井ビルの災害の原因であると私は考える。したがって、高層建築物の設計というものは、これは火災予防ということを十分に考えてまず設計の監督をなすべきではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これについてはいかがですか。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 高層ビルがふえますと同時に、非常に高くなってくる。御承知のように、三年ほど前までは高さに限定がございましたが、現在におきましては、むろん条件の制約はあるわけでございますが、いわば摩天楼も許されるという状況にもなってまいりました。その建築設備につきましては、私どものほうでも建設当局にいろいろと意見も申しております。また建設当局も、その点についていろいろとわれわれの消防的見地をも配慮されまして、建築基準法の改正等を行なわれております。今後もさらに建設当局ともよく連絡をいたしますが、現在におきましては、建築基準法等においてかような配慮というものは行なわれておるというふうに考えております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 これは建築法上の問題ではないと私は思っております。しかし、しいて言うならば、この高層建築物の防災という観点からは、やはり何らかの設計についての指示権限が与えられるような法的措置を講ずる必要も出てくるのではないか。今日のように上から地階まですとんと  一直線に階段が設けられておるこういうやり方は、近代高層建築物の防災という観点から見ますと非常に危険がある。したがって、これはらせん型を排除して、各階層別に階段を設けていく、こういうようにいたしまして、この階段が煙突の役目をなさないような処置をすることが防災上絶対に必要だと、私はもう前から言っている。ところが、最近の建築物は、経費の節減その他から、そういった処置は一切講じられていない。そして細長い建物が特に危険です。床面積が広ければ広いほど、たとえそれが煙突の役目をなしてきましても、被害というものは非常に少なくて済む。しかし、一階の床面積が狭ければ狭いほど、こういう煙突式の階段を設けることは一そう危険が増すわけであります。したがって、これは消防庁でも、防災という観点から、こういったものについては設計上十分配慮を加える必要、指導をする必要がある、このように考えるわけですけれども、それらについては何ら処置が講ぜられないものですか、どうですか。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 お話しの点と少しずれて恐縮でございますけれども、たとえば、避難階段が二ヵ所あればいい、こういう規定がありましたときでも、ただ単に、接近してほとんど間を置かないところに二つあるということでは意味がない、かようにも考えますし、また、調理場等のように火をしょっちゅう使うところのそばにそういう階段を置くというようなことでは、これまた非常に本来の意義を失うわけでございますので、さような点につきましては、私ども現実に即しましていろいろ事実上の指導をいたさなければならないし、また、いたしておるわけでございますが、この建築そのものの構造についての基本的な姿というものにつきましては、現在私どものほうからもいろいろ考えも申し上げ、また建設省自体も相当な研究をされております。それらの点について配慮をいたしておるつもりでございますが、今後、かような高層ビルというものが、いろいろな形で、お話しのように非常に特別な細長いようなものもできる状況でございますので、さらに防災上おくれないように検討研究を続けなければいけない、かようには存じております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 ただいまの山口委員の質問に関連しまして、消防庁に一つお尋ねしたいと思う。  最近、火災が起こりますと、建築に非常に不法建築があります。さらに、ただいま建築の様式そのものが非常に変わってまいっております。私は、先般建設委員会におきましても、こういった点から建築基準法の改正というものが非常に迫っておるのではないか、取り締まり等も非常に緩慢じゃないか、こういうことを質問したときに、建設大臣は、場合によったら建築基準法の改正もやらなくちゃいけないかもわからぬ、こう言っておったのでありますが、現在の事態においては、建築基準法の問題は、場合によっては改正するというのではなくして、もうすでに改正の段階にきているのではないか。これは消防庁の立場からですが、現在の建築基準法を直ちに改正するというような事態にすでにきているのじゃないかと思うのでございますが、この点について消防庁の立場からはっきりと御意見を承りたいと思います。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 情勢に即応いたしまして改正をすべき点も、正直のところ、あると思います。私どもも、建設省につきまして、いろいろな事故の経験等を徴しまして、かような点についてどうだろうかということについての意見を申し上げ、連絡をいたしておるのでございます。建設省ともその点については十分な連絡をはかっておる点でございます。私どもとしましても、端的に申し上げますならば、建築基準法についての手当てといいますか、改正を行なってほしい、かように思っております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 建築基準法によります危険防止という点、それから、川の上に建っているとか、いろいろそういうような問題もたくさんあると思うのです。それから、これは旅館に限らず、一般の住家でもそうでございますが、次々に不法建築がなされる。これに対しても十分な取り締まりが行なわれないで——人が足らないんだということをよく言われるのでございますが、人が足らないからこの取り締まりを不十分にしておるというのでは通らないので、これの取り締まりが十分できないとするならば、人をふやしてでもやるというのが当然なくちゃならないと思うのでございますが、こういう点が今日非常に緩慢になっていると私は思う。たとえば銀座あたりへ行きましても、窓のない建築がある。こういう場合火災を生じたらどうするのかというふうに思われる建物が、われわれしろうとから考えても、たくさんある。これらに対しても放任して取り締まらない。こういう点、もっと建築に対する強力な規制というものが要るのじゃないか。こういう点から、私たちは建築基準法の改正を急がなくちゃいけないんじゃないかということを考えておるわけなんです。幸いに建築指導課長が見えておりますから、そういう点からもこれは直ちに改正をやらなくちゃいけないと思うのでございますが、あなた方は実際に現在ぶつかっている当事者としてどう考えておるか。場合によったら改正するというのじゃなくして、現実の問題として、消防庁のほうでも、いま話されたように、現在改正の時期に至っている、こういう意見のようでございますが、建設省のほうではどうお考えでございますか。

三宅俊治建設技官(住宅局建築指導課長)

○三宅説明員 ただいま御指摘の建築基準法の改正でございますが、昨年建設省設置法の改正によりまして建築審議会が設置されまして、建築及び建築士に関する重要事項を調査審議するという役目を負わされて発足いたしております。私どもといたしましても、御指摘のとおり、建築基準法につきましては、技術規定、それから執行体制その他関連の規定におきまして、すでに法律制定施行以来十五年たち、かなり現在の時代あるいは現在の技術にに合わない面も出てきておるかと思っておりますので、早急に建築審議会等にはかり改正案の作成を進めてまいりたいと存しておりまして、作業は現在進めておるわけでございます。さように御了承いただきたいと思います。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 それから、これは消防庁にお尋ねしたいと思いますが、最近、御承知のとおり、夜具あるいは建築資材等に化学製品が非常にふえております。化学製品が燃えますと、おのずから化学作用によってガス等の発生が起こるのであります。とっさの場合に、ふとんその他の化学製品に火が移ってガスが生じてくる、それが人体に及ぼす影響等もあると思うのでございますが、こういう点に対する調査というものはどういうことになっておりますか、この機会に承っておきたいと思います。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 お話のように、最近の化学製品と申しますか合成と申しますか、繊維類あるいは塗料、じゅうたん等、内部において非常に悪質なガスを出す燃えぐきが多いわけでございます。これが火災の燃えを早くすることはむろんでございますが、さらにそれ以上に人命に対しましての危険を感じきせておるわけでございまして、私ども明らかに御指摘のとおりと思います。ただ、これを数値的に現在どの程度どうだ——これは少し雑談がかって恐縮でございますけれども、現場の経験のある消防署長なんかは、このごろの火事は三十秒くらい早いような感じがするということであります。これは燃えの点でございますが、それよりももっとおそろしいのは、ただいまお話の出ましたそういうガスの人命に及ぼす影響でございます。先ほど三十秒と言いましたのも、長年の経験による勘でありまして、どこを起点としてどうというわけではございませんが、しかし、私どもにはわかるような気もするわけでございます。ただ、これを防災の見地から逆に言いますと、どの程度どういう影響を与えておるか、普通のいわゆる一酸化炭素による中毒以外にプラスしてこういうガス性のものがあるということは、われわれ間違いないと思いますけれども、それらの点につきましてはまだ研究中でございまして、私どものみならず、関係向きにおいても最近大きな関心事になっております。ことに私ども消防研究所等で研究をいたしておるわけでございますが、まだ数値的に申し上げられない段階でございますが、早急にこれに対処すべく研究を深めていかなければならない、かように考えております。

稲富稜人民主社会党

○稲富委員 ただいまの、化学製品が燃えますことによって生ずる一酸化炭素その他のガスの発生によって、これが脳をおかす、心神喪失の状態になる、それがために人間の行動が鈍って焼け死ぬというような結果等も生ずると思うのです。こういう点に対してはやはり科学的な調査を早くして、そしてこういう人の泊まる建物に対してはその使用についての規制はやはりやらなくちゃいけないという問題が起こってくると思うのでございますが、こういう点は至急に調査して、その結果を見た上で指導するということが非常に必要じゃないかと思うのでございます。こういうことに対する対策を急いでいただきたい、かように考えます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 そこで、いま関連してほとんど質問をされましたから、私は多くを申しませんが、各ビルあるいは特にキャバレーとか旅館というような、人の出入りの激しいところ、あるいは宿泊をするようなところ等におきましては、最近ではこれもやはり法律に基づきまして火災その他の災害を防止するためにその責任者がきめられておると思うのですが、この責任者はあらかじめそれぞれ当局に届け出を励行しておるのかどうか、あるいはそういうような行政指導をなさっておるのかどうか、消防庁いかがでしょうか。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 収容人員五十人以上の施設の防火対象物につきましては、防火管理者という制度を法律で定めておりまして、これに対しては一定の資格というものを必要といたしております。そして届け出をきせまして、さらにまた、ときどき講習をいたしておる、かような制度になっておるわけでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 私は、この菊富士ホテルあるいは金井ビル等においてもその点が欠けていたのではないかと思う。その指定した責任者というものの任務についてはどういう指導をしておるのか。ただ一定の訓練を受けても、これは家へ帰って寝ておっていいということでは意味がない。その従業員の服務規程やあるいは経営者の行なうところの従業員の労働条件等から見て、その建築物等の災害に必要な体制がとり得るような指導ができているのかどうか、これらの点についていかがですか。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 防火管理者の制度を法定いたしましたゆえんのものは、防火並びに人命救助及び予防等につきまして、全体的に見て総括しましての管理を行なうということで、必ずしもこの人間一人がしょっちゅう詰めておる警備質的なものではないわけでございます。ただ、この防火管理者が全体を見て総合いたしまして——総合といいましても個別の具体的なあれでございますが、総合いたしまして、そして建物につきましてはこういうような警備、先ほど先生の御指摘のありましたような宿直とかなんとかいうものの計画を立てまして、そしてこれを運用していく、こういう意味合いにおきましての総括的な意味での責任を持っておるのが防火管理者でございます。でございますから、それの下と申しますか、その一つの計画のもとに個々のたとえば宿直なんかというものがあらねばならぬ、かような考え方をいたしておるわけでございます。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 きわめて平面的に答弁があって、そのとおりなんです。ところが、実際にこの惨事を起こした金井ビルにいたしましても、あるいは菊富士ホテルにいたしましても、設備といい、そういう機構といい、実際には文句のないことになっているのです。にもかかわらず、警備員が一人しかいないとか、あるいは警備員の勤務状況等につきましても、私はつぶさに調べてみないとわからないので、いまは言えないけれども、しかし、少なくとも石油ストーブをけ飛ばした、それが倒れて火災を起こしているのに、それを知らぬで寝ていたのじゃないかと思うのですけれども、気がついたときにはもう手に負えない、こういうようなことでありますなら、やはり人員配置ということについて重大な欠陥を起こしておる。これは経営者にも責任があるが、届け出をしておる火災等の防止に関する責任者等も重大な責任を負わなければならぬと私は思う。したがって、問題はやはり運営にあると思うが、これらの点について消防庁としても今後防災のたてまえからこれが指導について万全を期せられるべきだろうと思うのだが、そういったことについてどういう計画を持っておられるかということ。  それからもう一つは、時間がありませんから、はしょりますが、だんだん高層建築物が増加してくる、そこで、ききに私が触れましたように、高層建築物の階段等の設備の設計については先ほど稲富委員からも御質問がありましたが、その法規が不備であるというならば、法規の改正等も必要でありましょう。少なくともらせん型階段はぜひとも改良をして、そうして今後建築きれる建築物につきましては十分な措置をひとつ指導してもらうようぜひともこれは実行してもらいたい。  第二に、もう一つお尋ねしますが、本年度の消防器具の問題でありますが、高層建築物に対する消防器具の整備については政府も多少努力しておるようでありますけれども、しかし、こういった弱小市町村においてもどんどん高層建築物は遠慮なくできていくのでありまして、とうてい消防器具はその建築物の増加に追いついていくことができない。とするならば、消防器具をその市町村が購入する場合に、従来のような単なる国の補助政策のみをもってしては私は対処することができないと思う。したがって、抜本的な対策が器具の整備について必要になるが、どういう考えを持っておられるか。これは事務当局だけでは無理であるかもわかりませんが、しかし、やはりこれはあなた方事務に携わっておられる方々の努力にまたなければならぬと思うのですが、お考えはいかがですか。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 防火管理の運営につきましては、先ほどからのお話の点を十分注意いたしまして、さらに今後一そううんとがんばって指導も強化していきたい、かように存じます。  避難階段の問題につきましては、私どもといたしましてもいろいろな考え方をもちまして現在も建設当局と連絡はいたしておりますが、さらに建設省のほうともかような研究を深めて連絡をいたしたい、かように思います。  最後の消防施設の問題でございますが、昭和四十年度より、かような高層建築等に対処いたしますところの科学消防力、はしご車等の問題でございますが、それにつきましては、一つの整備計画をもちまして私どものほうで市町村消防に補助をいたしておるわけであります。四十一年度は第二年度に移るわけでありまして、若干ではございますが予算額も漸増いたしております。至急整備をはかりたい、かように考えております。

山口丈太郎日本社会党

○山口(丈)委員 これでおきますけれども、私は先ほど来質問をしてまいりましたが、それらはいずれもこの報告された火災を中心にいたしましてお伺いすると、法規上あるいは諸規則上から見て設備の点において欠けるところは少しもないのです。しかし問題は、しからばなぜこういう災害が起きるかといえば、いままで質問してまいりましたように、重大な欠陥は運営にある、こう言っても私は過言ではないと思う。したがって、その運営の一そうの強化をお願いすると同時に、高層建築物等の構造につきましても、いままで質問をいたしました内容を十分に玩味していただいて、防災の見地からひとつ検討をお願いいたしたいと思います。  最後に締めくくりといたしまして、観光局にもこれはひとつぜひ実行をお願いしたいのですが、一つは、旅館等におきましては、あるいはキャバレーにおいても同一でありますが、きめられておりますところの収容人員に比例していわゆる警備体制を強化してもらいたい。できればそれに比例して警備員を定めて、これを届け出させ、これを実行させるようにしてもらいたい。  それから、幾ら防火責任者のみにその訓練を行ないましても、従業員にこれが徹底しておらなければ防災の強化ということにはならぬのであります。したがいまして、従業員に対する指導訓練を徹底するようはかられたいと思うのであります。  第三には、これらキャバレーとか、あるいは旅館等におきましては、特に従業員の勤務条件について非近代的なところが見られるのであります。また、人件費を極端に節約するのあまり、この菊富士ホテルのごとく、警備をおろそかにする傾向が見られるのであります。したがいまして、これらの従業員の勤務条件の監督指導を強化するように励行せられたい。  また、災害防止の責任者の指定を厳重にいたしまして、これが届け出を強化してもらいたい。従来これは行なわれておることでありますけれども、ただ形式に流れておるうらみがあるのであります。単に形式によってこれらのものが済まされておるということでありましては、事は重大であります。したがいまして、形式に流れることなしに、十分なる措置を講じてもらいたいと思うのであります。  また、さきに申し上げましたように、高層建築物に対する特に科学消防の強化、並びに建築物の構造等につきましても、これは建設省と連絡をさらに強化せられまして、その設計につきまして近代的な、いわゆる防災に対応し得るような設計を指導監督するようにしてもらいたい。  私は、以上、締めくくりとして当局に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 ちょっと関連して。  旅館業とかその他客の来集する施設の管理者であるとか従業員であるとか、そういう者に防災についての責任の重いということを自覚さすことが非常に必要だ、私はこう思うわけです。そこで、いま山口委員からお尋ねのありました火災事件について考えてみまして、これは刑事責任あるいは民事上の賠償責任、そういったようなものが相当はっきりさせられるべき問題だと思うのであります。そこで、観光局長は旅館の経営等についていろいろ指導される立場にあると思いますから、その点をお尋ねするのですが、旅館、特に国際観光ホテル等非常に規模の大きいものについて、業者、すなわちその上部の管理者及びそこの従業員等について、火災防止等に関連して責任の非常に重いということを自覚さすために、刑事責任の問題、民事責任の問題その他行政上のいろいろの責任というものがあると思うのですが、それを明確に指示して具体的に指導されておるのかどうか、そういう点はいかがでしょうか。

増川遼三運輸事務官(観光局長)

○増川政府委員 それらにつきましては私ども従来から留意いたしておりまして、ただ、旅館、ホテルと申しましても、全国に全部で七万軒ばかりございまして、これを全部私のほうで一々詳細に掌握するということは全く不可能に近いのでございますけれども、特に、私どものほうといたしましては、国際観光ホテル整備法に基づきます政府登録ホテル並びに旅館につきましては、ふだんから特別に監督を厳重にいたしておるのでございまして、これにつきましては、先ほど申し上げました整備法並びにこれに基づく政令、省令等に詳細な規定も設けておるわけでございます。ただ、これにつきまして、先生の御指摘のような、管理者あるいは従業員の自覚というものに欠ける面がございましたことは、まことに遺憾に存ずるのでございまして、これらにつきましては今後一そう私ども留意いたしまして指導を強化してまいりたいと考えておる次第でございます。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 私の考えますのは、たとえば、水上温泉ですか、菊富士ホテルの火災につきましても、この警備員の方が、新聞によりますと、逮捕されて刑事責任を追及されておる。もしも刑事、民事の責任を通じて、これだけの大火災を起こして、責任者といえば警備員がただ一人だ、そういうようなことで終わるということは非常に問題だと思うのです。そして、そういうものであるということが一般に考えられるということでは、この種の火災を防止するためには非常に悪い影響を与えると考えるわけです。申し上げるまでもなく、失火に関する責任については、法律上損害賠償の点については非常に寛大に取り扱っておりまして、ただ、失火者が重大な責任があったときにだけ賠償責任がある、こういうふうになっておることは、御承知のとおりです。そうしますと、失火についての民事上の損害賠償の責任がある場合というと、きわめて範囲は狭くなってくるわけでありまして、おそらく、これまで旅館等の火災によって旅館経営者が失火によっての賠償をしたというようなことはあまりないのじゃないかと思うのですが、そういう民事上の責任を追及されることはきわめてまれである。そうして刑事上の責任は、ただ使用されておる人だけがこの責任を負うということになりますと、ほかの面での行政的な責任といいましょうか、そういうことだけでは、これまた問題がきわめてあいまいになりがちであって、何かぎょうぎょうしく規則はあるけれども、さっぱり威力を発揮しない、そういうことを私は感ずるのです。ですから、たとえば失火の場合にはこういう刑事上の責任がある、そしてまたそれに関連して損害賠償等の民事上の責任はこういうふうにあるのだ、こういうことを明確にして指導しますとともに、旅館業者であるとか、あるいはアパートの経営者、管理者であるとか、あるいはまた浴場であるとか、そういう多数の人々の集まっておる場所の失火責任というものは、普通の場合より責任を重くさせなければならぬからというのでまた特別な立法等を考えて、そうしてどこまでも問題をあいまいにしない。責任がある責任があると言いながらも、結局具体的には何ら責任を負わない結果になるというようなことのないようにしなければ、この種の、人の面からの——物的設備は完備しておっても、人の心がまえ、物的設備を有効に活用して災害を防止するという、そういう結果を得ることが非常にむずかしいと思うのです。ですから、指導される場合には、具体的に、こういう責任があって、結果ははなはだおそるべきものがあるという責任感を植えつけさすとともに、もしも法律上さつき申し上げましたようなあまりにも責任が軽いというようなときには、もしくは責任を負わしていないというような面についても、特殊なものについては、非常に人の生命身体に関する問題ですから、新しく法律でも考えてその責任を負わせることを明らかにするように措置すべきじゃないか、こう思うのですが、そういう点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。

増川遼三運輸事務官(観光局長)

○増川政府委員 御指摘の点につきましては、私も深く痛感をしておるわけでございます。直接責任者の警備員とかあるいは防火管理者と申します者だけの責任で、あとはのがれるというようなことは、常識的に考えましてもおかしいことでございまして、当然、失火になったあとの措置ということも、今回の災害を大きくしました一つの原因でございまして、したがいまして、こういったことにつきましては、当該施設の管理責任者というものが平素から十分なる注意をもって管理し、あるいは従業員の訓練といったことをやるべき筋合いのものでございます。また、そういったことにつきましては、私どもといたしましても平素から要求をしておりますし、また、関係の法令にもその点をあげておるわけでございます。被害者の救済に関しましては、私どもの要求しております宿泊約款には何も触れておりませんで、これらにつきましては、具体的な事情に応じまして処理される必要がございますので、これらはあげて民法等の規定に従って行なわれるものと考えておりますが、なお私どものほうの行政監督上、当該業者に対しましては、とりあえずの見舞い金というものは当然のことながら、事後の刑事、民事上の最大限の善後措置というものをとるように、われわれのほうといたしましても強力に指示をいたしてまいりたいと考えております。  なお、こういったことについての法的な措置につきましては、消防庁はじめ法務省その他の関係当局と十分連絡協議いたして検討したいと思います。

高橋禎一自由民主党

○高橋(禎)委員 消防庁のほうへちょっとお尋ねしますが、やはり消防関係で火災の予防ということをいろいろお考えにならなければならぬわけですが、その予防の中には、ただ物的の設備を拡充強化すればそれでいいというだけではないと思うのです。やはり人の問題、特に人の精神といいますか、心がけの問題があるわけでして、そういうほうに関連してお尋ねするのですが、さっき観光局長にお尋ねをしたところでも申し上げたわけですけれども、たとえば旅館業における火災予防ということを考えますときには、やはりそこにつとめておる人、その旅館を管理しておる人等々の火災予防に関する考え方、そしてその設備をいろいろ活用する訓練、及び、それらを十分に尽くさなかった場合における、すなわち、故意の場合は論外であり、当然のことでありますが、あやまちをおかしたような場合においてもこのような責任があるんだということ、刑事制裁の場合においても、また民事制裁の場合においても、非常にきびしいものがあるんだということをやはり具体的に徹底さしておくことが必要ではないかと思います。ただばく然と責任がある責任があると言うておっただけでは、相手はしろうとですから、どれくらいの程度の責任であるか、それを果たさなかった場合にはどういうことになるのかということが具体的にわからないから、責任の自覚というものが薄いと思うわけです。そういうことも考えられる必要があるように私は思うのですが、いままでどういうふうにやっていらっしゃったか、現在どう思っていらっしゃるかということと、それから、観光局長がただいま最後の答弁としてお述べになりました、失火に対する責任というのは非常に軽く取り扱っているわけですね。ですから、実際の結果としては、管理者に過失があったら——管理者といいますか、先ほど申し上げた菊富士ホテルの問題ですと警備員に責任があることは明瞭ですが、さて民事上の責任が旅館業者にあるのかないのかということになると、きわめて疑問があると思うのです。重大な過失があるかどうかというようなことに関連して、民法七百十五条の解釈、運用等についていろいろ問題があると思うのですが、そういうことになりますと、何か、制裁的な民事責任というものは、この警備員だけがおもなる責任者、ないしは、責任があるかないかという当事者的な立場に立たされ、業者のほうはさっぱり刑事責任も民事責任も何も負わないということになってくるわけですから、それではいわゆる災害防止に対しての責任という点からは少し制度としてはあいまいだ、こう思うのですが、そういうことについて、火災予防に関連して特別に法律の中に考えられた点があるかどうかということを、御存じでしたら、ひとつお聞かせ願いたい。もしそれが不十分であれば、その点をはっきりさせるということに御努力になるお考えがあるかどうか、それをお伺いしておきたい。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 現行の消防法では、先ほどから申し上げておりますところの防火管理者のことに関連いたすわけでございますが、管理の権原を有する者が防火管理者を定めて、そうして消防計画をつくる、また、その計画に基づいて、通報とか避難の訓練の実施等——と申しますのは、消防施設の維持管理でございますが、維持管理等を行わせなければならないという規定になっております。そこで、防火管理者を定めること、届け出すること、それからまた、別途の法体系といいますか条文によりまして、物的な施設の維持管理を行なっていなかったとき、この三つについては罰則があるわけでございます。ところが、お話のように、消防計画を作成して、それに基づいて訓練をする、こういうような点につきましては、私どもの体系では罰則がございません、それで、直ちに罰則の問題、刑罰の問題ということにつきましては、これはいろいろの問題、バランスの問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、私ども、かような点についてのいわゆる運営面での予防面というような点についての責任体制の問題、これを強化するといいますか、もっと現実的にはっきりしたものにするように考えなければならないときがきているというふうに思います。

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 井谷君。

井谷正吉日本社会党

○井谷委員 私は消防庁と水産庁にお尋ねしたいのですが、時間をセーブする上で消防庁に先にお伺いしたい。  先ほど来、火災の問題についていろいろ御意見があったわけでありますが、火災予防というような点から、現在起きているわけじゃないけれども、これからの問題としてお尋ねをしたいと思います。  これは昨年私は次長にお会いしてお話をしていた問題なんです。愛媛県の西宇和郡保内町というところに大協石油が石油タンクをつくる、こういうことで、現在地元と県と大協石油の間にトラブルが起きているわけであります。その際御説明をしたと思いますが、この保内町にタンクをこさえるというところは、人間の顔でいうとちょうど鼻に当たるのです。ここへやられますと、県道一つ隔てまして小学校がある、病院がある、保育所がある、公民館がある。消防法の規定でいえば、距離の関係からは差しつかえないらしいのでありますけれども、ここへできましたならば、一たび火災がありますとこの小さい町は全滅をする。しかもここは地盤沈下地帯である。この埋め立てました土砂は、大峯鉱山というところのがらでありまして、地盤沈下地帯である上に、そういう軟弱な地盤である。普通の河川でありますと、土砂を流しましてもこれは遠浅になるのですけれども、こういうようなものを捨てたところは屹立線になるわけです。しかもそこは地盤沈下地帯です。海岸に堤防をつくっておりますけれども、もう三寸から四寸の亀裂が一間おきにあらわれておるというような状態なんです。このために、地元ではPTAとかあるいは部落の人たちがいろいろ反対をしておるのでありますけれども、県では、消防法上からいえばこれは規定に違反しない、こういうことになっておるのであります。これらに対して、火災予防あるいは公害等の関係を考慮した上において消防庁はどういうお考えなのか。法律で差しつかえないから、これは県が認可してよろしい、こういうような割り切った、地元の意思をほごにするような御態度であるか、これをひとつ承りたいと思います。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 これは非常に難問でございまして、私どもの法体系では一種の施設の基準を示しておりまして、その基準につきまして適合した場合にはこれを許可しなければならない、こういう、しなければならないという規定になっておるわけでございます。そこで、距離、その他構造、施設において技術上の基準に適合しておりますときには、これは県当局が許可をせざるを得ない、こういう法体系になっておるわけでございます。しかし、お話しのように、基準には合っておるけれども、どう考えても、あってほしくない、危険ではなかろうか、こういうような場合も多々あり得るんじゃないか、そういうことはわれわれも思います。しかし、いまのを繰り返しますが、法体系ではさようになっておりますので、これを体しまして、行政指導面でもって、これだけの措置と、さらに、規定ではこうなっているが、なおこれだけの防御保全措置をやるべきではないかというようなことはあり得るかと思います。しかし、お話しのように、立地的にさような点について基準に合っておりますときにこれをどうするということは、なかなかむずかしいといいますか、いまの法体系では、正直申しまして、できないことでございます。また、くどくなりますが、行政指導という面につきましても、これはやはりいろいろな基準が一応ありますものですから、それをオーバーするところの行政指導という問題もなかなか現実的には難問題でございます。これは私個人の考えで、先生でございますから、ざっくばらんに申し上げるのでありますが、個々の基準には合っておって——われわれの基準も、相当検討した結果でありまして、自信を持っておりますが、しかし、さらに総合いたしましてそこに何らかの防災上の考慮というものが払われておる場合に、許可の判断の基準にするようないわば一つの包括的な規定というものが、将来立法論としてはあり得るのじゃないか。ただ、これは抽象的になりますと、やはり非常に裁量という問題が出てきますので、またむずかしい問題になります。お答えにならないかと思いますが、現在のわれわれの法体系というものを御説明していくとなると、さような状況でございます。

井谷正吉日本社会党

○井谷委員 これは私は至るところにこういう問題が起きてくると思うのです。というのは最近地方町村の財政が非常に苦しいために中なり小なり工場誘致というようなことが起きてきた場合に、最近はもう石油を使わないところは大体ございません。そういうようなことで、この法律がそうなっておるのであるならば、法律を改正する線にまでいかなくては、これは近所の者はたいへん迷惑をすると思うのです。あるいは、どうしてもそこへこさえるというのであるならば、付近の民家、そうしたものの立ちのきに対する補償であるとか、これはいろいろなことを付帯して考えねばならぬと思いますが、そういう点について、いま消防庁としてこの法律では非常に不適である、何とかしなければならぬというお考えがあるかないか、承りたい。

川合武消防庁次長

○川合政府委員 先ほど申しましたことを繰り返すようでございますが、私個人の意見としましては、いま申しましたように、いろいろ総合的な見地から見ました一つの立地と申しますか、さような判断の基準というものが、許可の基準の場合にあってもいいのじゃないか、かようにも考えます。ただ、これはさように考えますと申しましても、具体的にどういう表現になりますか、ことにいわゆる裁量の大きな余地が出てくる規定になりますものですから、私どもは、一方、技術的な基準というものを科学的に具体的になるべくしたいという方向にもいっておりますので、そこらの問題というものは正直申しまして、非常に難問題でございます。いませっかくの先生の御指摘でございますが、ここで直ちに私どもの役所の見解というものをまとめて申し上げられない段階で恐縮でございますが、さような状況でございます。

井谷正吉日本社会党

○井谷委員 これは県としても非常に困っておるのです。法律上からいえば認可しなければならない。地元からは反対がある。去年の八月から持ち越されておるのであります。たてまえは許可するたてまえであるけれども、これをやったら都合が悪かろうということで、ずるずるに現在引っぱっておるようなわけであります。そこで私は気になりますから御質問したような次第であります。御意見はわかりましたから、この質問はこれで打ち切ります。

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 それでは、本問題の質疑はこの程度でとどめます。     —————————————

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 この際、昭和四十年産ノリの被害状況につきまして、農林省当局から説明を聴取いたしたいと存じます。水産庁関根協同組合課長。

関根秋男農林事務官(水産庁漁政部協同組合課長)

○関根説明員 昭和四十年度のノリは全国的に不作でありまして、特に西日本において不作の程度は著しいわけでございます。これらの原因につきまして試験研究機関の調査によりますと、十月の中旬から十一月の下旬にかけまして、東海、西日本の地域におきまして、水温と気温の上昇の停滞が長い間続いておったということに加えまして、日照りが多かった、それから無風状態が長く続いた、こういうようなことによりましてノリの生長は阻害をされまして、枯死脱落というような現象が各地に起こっておるということがわかったわけであります。  このような天災によりましてノリの不作が起こったその不作の状況でございますが、私どものほうへの被害県からの報告によりますと、ノリの不作の被害の県は十七県にわたっております。被害額は、県の報告によりますと、一月三十一日現在の見込みでございますけれども、総額で約二百億というような報告を受けております。私どもといたしましては、このような天災による多額の被害に対しまして、ノリ業者が経営資金に困ることのないように、天災融資法を発動して経営資金の円滑な融通を期したいということで、ただいま関係方面と鋭意折衝を続けておる、こういう状況でございます。私どもとしては、できる限り年度内に天災融資法に基づく政令を公布いたしたいということで、いませっかく努力をいたしておるところでございます。

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 井谷君。

井谷正吉日本社会党

○井谷委員 私のお尋ねしたかったのは、天災融資法の適用について御努力になっておるかどうか、こういうことをお聞きしたがったのですが、いまの御説明で了解ができたわけであります。これでいいです。

日野吉夫日本社会党

○日野委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会

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